1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十二月十六日(木曜日)
午前十時十分開会
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委員の異動
十二月九日
辞任 補欠選任
辻 一彦君 小野 明君
十二月十四日
辞任 補欠選任
高山 恒雄君 藤井 恒男君
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出席者は左のとおり。
委員長 大森 久司君
理 事
川上 為治君
剱木 亨弘君
竹田 現照君
藤井 恒男君
委 員
赤間 文三君
植木 光教君
小笠 公韶君
矢野 登君
阿具根 登君
林 虎雄君
原田 立君
柴田利右エ門君
須藤 五郎君
国務大臣
通商産業大臣 田中 角榮君
政府委員
通商産業政務次
官 林田悠紀夫君
通商産業省貿易
振興局長 外山 弘君
事務局側
常任委員会専門
員 菊地 拓君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714461X00319711216/0
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001・大森久司
○委員長(大森久司君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714461X00319711216/1
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002・大森久司
○委員長(大森久司君) 速記を起こしてください。
委員の異動について報告をいたします。
去る九日、辻一彦君が委員を辞任され、その補欠として小野明君が選任されました。
また、十四日、高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714461X00319711216/2
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003・大森久司
○委員長(大森久司君) 理事藤井恒男君が委員を一たん辞任されたため、理事に一名の欠員が生じておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと思います。
理事の選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714461X00319711216/3
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004・大森久司
○委員長(大森久司君) 御異議ないと認めます。それでは理事に藤井恒男君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714461X00319711216/4
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005・大森久司
○委員長(大森久司君) 輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田中通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714461X00319711216/5
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006・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその趣旨を御説明申し上げます。
今後ともわが国が経済の国際化をはかり、世界経済と調和のとれた発展を遂げていくためには、発展途上諸国に対する経済協力の充実、資本自由化、輸入自由化等の推進並びに将来にわたって輸出構造の高度化を進めていかなければなりません。なかんずく、今後の輸出構造の高度化の中心をなすところのプラント輸出につきましては、わが国の国際競争力は、一部機種を除き、いまだ脆弱であり、輸出信用面での諸国との競合に対処する必要があります。また、発展途上国の便宜を考慶し、その開発プロジェクト推進に協力するためには、輸出信用供与方式の多様化をはかっていく必要があります。
さらに、わが国の経済発展の基盤たる鉱物資源につきましては、海外依存度の上昇等にかんがみ、経済規模の拡大に即応し、その長期かつ安定的な輸入の確保をはかってまいる必要がありますが、その際には、資源保有国の経済政策、資源開発政策と調和のとれた資源開発という観点に立った海外投融資の推進が必要であると考えられます。
南北問題の進展とわが国の国際的地位の向上に伴い、前述のように経済協力の推進は、わが国対外経済政策の重要な課題となっておりますが、輸出信用の供与、海外投融資は、その一環として位置づけられるものであり、この面からも輸出信用供与方式の多様化、海外投融資の促進をはかる必要性は高まっておるのであります。
以上、述べましたことは、先般、政府において決定をいたしましたいわゆる八項目対策においても触れられているところであり、そのすみやかな実施をはかることが今後のわが国対外経済政策にとりまして重要な課題となっております。
輸出保険制度は、輸出、海外投資等の対外取引に伴って生ずる種々の危険負担を分散し、軽減することによってわが国対外取引の健全な発達をはかろうとするものでありますが、現行の制度は、以上申し述べたような今日の国際環境下におけるわが国対外取引の実態に十分対応し切れない面があり、かねてより各界からもその拡充、改善を強く要請せられていたところであります。
このような実情にかんがみ、現行の輸出保険制度に所要の改正を加えることとし、本改正案を提案した次第でございます。
次に、改正案の内容を御説明いたします。
改正点の第一は、輸出代金保険の改正であります。現行法におきましては、輸出代金保険の対象は、プラント類の延べ払い輸出、いわゆるサプライヤーズ・クレジットに限られておったのでありますが、これに加えて、輸出信用供与方式の多様化をはかる観点から、本邦から輸出される貨物の代金決済に充てるための本邦からの貸し付け、いわゆるバイヤーズ・クレジットについても、新たに付保の対象とすることにいたしたのであります。これにより現行の延べ払い輸出に伴う代金等の回収不能の場合と同様、バイヤーズ・クレジット及び輸出信用バンクローンに伴う貸し付け金につきましても、非常危険及び信用危険による回収不能がてん補されるわけであります。
このほか、完成後引き渡し条件付き輸出契約につきましても輸出代金保険の改善をはかることといたしておるのであります。
改正点の第二は、海外投資保険の改正であります。
現行法におきましては、付保の対象となる海外投資は、経営参加株式の取得、経営支配外国企業に対する貸し付け金等に限られておるのでありますが、これらに加えて、海外鉱物資源確保の緊要性にかんがみ、長期契約に基づき輸入される鉱物の開発資金に充てられる非経営支配外国企業に対する長期貸し付け金を新たに付保の対象とすることといたしました。また、担保危険につきましては、新たに付保対象とした長期貸し付け金につきましては政治危険のほか、信用危険を加えることといたしておるのであります。
以上が今回の改正の概要でありますが、これらの法改正措置は、現在、成約困難となっているプラント輸出の成約促進、停滞している海外投融資の活発化につながることとなるものでありまして、その意味からも本国会に急ぎ提案をした次第でございます。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714461X00319711216/6
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007・大森久司
○委員長(大森久司君) 次に、補足説明を聴取いたします。外山貿易振興局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714461X00319711216/7
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008・外山弘
○政府委員(外山弘君) 輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、若干の補足説明を申し上げます。
輸出保険制度につきましては、昭和二十五年の制度創設以来、累次の制度改正を行ない、現在では、七種類の保険制度を有しております。
その利用状況を見ますと、昭和四十五年度におきましては、保険引き受け件数にして五十四万八千件、保険金額にして三兆七千億円と輸出保険機関としては世界第一位の引き受け規模となっております。
このように、論出保険制度が、広く対外取引において利用をみておりますのは、輸出、海外投資自体の急激な伸長もさることながら、これらの対外取引に伴う種々の危険をカバーし、対外取引を行なう者に対して安心を供与するというこの制度の機能が高く評価されていることを示すものでありましょう。
しかしながら、わが国経済の国際化に伴い、対外取引の形態も多様化しており、これに対応した輸出保険制度の改善、拡充が強く各界から要請されております。このような実情にかんがみ、政府といたしましては、今回、御審議いただきます改正法案を提案した次第であります。
まず、改正点の第一であります輸出代金保険の改正につきまして御説明申し上げます。
従来、わが国のプラント輸出におきましては、輸出代金の延べ払い、いわゆるサプライヤーズクレジット方式による輸出信用の供与がほとんどすべてを占めておりましたが、近年、中南米諸国を中心とする発展途上国等からいわゆるバイヤーズクレジットの要望が強くなされております。この方式は、プラントの輸入代金の決済用資金を本邦の信用供与者が輸入者に貸し付け、輸入者はこの資金で代金を現金決済するとともに、当該資金を長期にわたって信用供与者に返済するものでありますが、発展途上国によっては、商慣行化していることもあり、また、これら諸国の開発計画推進のための方式としては、サプライヤーズクレジット方式よりもすぐれた点がある等の理由でこの方式が好まれており、また先進諸国においてもサプライヤーズクレジットと何ら区別することなく積極的に供与を行なっております。さらに、バイヤーズクレジットの一形態として中小企業向けバンクローンというものがございますが、この方式で後進国に輸出信用が供与される場合には、中小プラントメーカーの輸出機会の増大に寄与することとなります。
したがいまして、わが国といたしましても、輸出信用供与方式の多様化をはかる観点から、サプライヤーズクレジットと同様、バイヤーズクレジットにかかわる貸し付け金を輸出代金保険の対象に加えることとした次第であります。担保危険といたしましては、現行の輸出代金保険と同じく、戦争、為替制限等の非常危険、相手方の破産、履行遅滞による信用危険とすることといたしております。また、てん補率につきましては九〇%を予定しております。
なお、このほか、プラントの輸出形態といたしまして、プラントの完成後に相手方に所有権が移転するいわゆるフルターンキイ契約というものがございますが、これは、単なる機器の輸出のみではなく、技術と一体となったいわゆるシステム輸出であり、また発展途上国の技術のおくれをカバーするものであります。しかしながら、こうした形態のものにつきましては、プラントが完成するまでの危険がきわめて大きいため、この間に戦争、内乱等によってプラントに生じた物的損害を新たにてん補範囲に加えることとしております。
次に、改正点の第二といたしまして、海外投資保険の改正につきまして御説明申し上げます。
申すまでもなく、わが国の経済発展のためには、基礎資源たる鉱物資源の長期かつ安定的な確保が重要な課題でございます。こうした資源開発のためには、わが国企業が経営に参加できる開発参加方式が安定供給をはかる意味からも最も望ましいものであり、これにつきましては、さきの第六十三特別国会におきまして御賛同を得ました海外投資保険の拡充により、十分なリスクカバーがはかられております。しかしながら、資源保有国の資源政策等により必ずしもわが国企業が経営に参加できない場合もあり、また現実に鉱物の長期開発輸入のための非経営支配外国法人に対する融資、いわゆる融資買鉱方式も最近大きな実績を占めるに至っております。
したがいまして、今回、従来の海外投資のほか、こうした融資買鉱方式にかかわる海外融資につきましても、海外投資保険の対象に加えることといたしたわけであります。担保危険といたしましては、元本等の収用、戦争による損害、回収した元本等の送金制限といった政治危険のほか、融資者がその経営を支配することのできない第三者が相手方でありますので、債務者の破産、債務不履行といった信用危険を加えております。また、てん補率といたしましては、政治危険につきましては九〇%、信用危険につきましては八〇%を予定しております。
以上、簡単ではございますが、若干の補足説明を申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714461X00319711216/8
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009・大森久司
○委員長(大森久司君) 以上で本法案についての説明聴取は終わりました。
本法案に対する質疑は後日に譲ります。
次回は十二月二十一日十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十時二十五分散会
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