1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十六年十二月七日(火曜日)
午前十時三十六分開会
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委員の異動
十二月一日
辞任 補欠選任
平島 敏夫君 塩見 俊二君
初村瀧一郎君 鍋島 直紹君
土屋 義彦君 安井 謙君
竹内 藤男君 柴立 芳文君
十二月二日
辞任 補欠選任
棚辺 四郎君 原 文兵衛君
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出席者は左のとおり。
委員長 玉置 猛夫君
理 事
寺本 広作君
増田 盛君
河田 賢治君
委 員
片山 正英君
高橋 邦雄君
原 文兵衛君
若林 正武君
神沢 浄君
杉原 一雄君
上原繁次郎君
藤原 房雄君
中沢伊登子君
衆議院議員
地方行政委員長 大野 市郎君
地方行政委員長
代理理事 上村千一郎君
地方行政委員長
代理理事 小濱 新次君
地方行政委員長
代理理事 吉田 之久君
地方行政委員長
代理 山口 鶴男君
国務大臣
自 治 大 臣 渡海元三郎君
国 務 大 臣 中村 寅太君
政府委員
警察庁長官官房
長 土金 賢三君
林野庁長官 松本 守雄君
自治大臣官房長 皆川 迪夫君
自治省税務局長 佐々木喜久治君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
警察庁警務局人
事課長 今泉 正隆君
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本日の会議に付した案件
○地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律
案(衆議院提出)
○地方行政の改革に関する調査
(地方行財政の当面の諸問題に関する件)
(警察行政に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/0
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001・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る一日、平島敏夫君、竹内藤男君、初村瀧一郎君及び土屋義彦君が、二日、棚辺四郎君が委員を辞任され、その補欠として塩見俊二君、柴立芳文君、鍋島直紹君、安井謙君及び原文兵衛君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/1
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002・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。大野衆議院地方行政委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/2
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003・大野市郎
○衆議院議員(大野市郎君) ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げます。
まず、この法律案を立案した理由を述べますと、地方議会議員共済会の収支は、発足以来、昭和四十五年度まで順調に経過し、各年度とも黒字でありましたが、統一地方選挙の行なわれました昭和四十六年度を境として、情勢は一変し、急激に悪化して単年度収支が一挙に赤字基調となり、このままに推移いたしますならば、議員共済会は数年を経ずして、これまでの積み立て金をすべて食いつぶすことはもちろん、制度自体が危機に瀕し、年金等の給付が不可能となる事態も予想されるのであります。
したがいまして、地方議会議員の年金制度の健全化措置は、まさに焦眉の急務といわなければなりません。議員共済会のこのような実情に対処するため、このたび地方公務員等共済組合法の一部を改正することにより、議員共済会の掛け金率、地方公共団体の負担金等について所要の健全化措置を講じようとするものであります。
次にその内容について御説明申し上げます。
第一は、掛け金率を現在の百分の七から百分の九に引き上げることとしております。
第二は、給付金の算定の基礎となる標準報酬月額は、現在、議員の退職時の額を用いておりますが、これを退職前三年間における掛け金の基礎となった標準報酬月額の平均額に改めることとしております。
第三は、共済会の給付に要する費用については、議員の掛け金を充てるほか、地方公共団体が毎年度負担することとし、その負担すべき金額は、共済会の収支の状況を勘案して、自治省令で定めることとしております。
以上がこの法律案の立案の趣旨及びその内容の概要であります。
なお、本法律案の立案にあたり、衆議院地方行政委員会におきましては、本法の施行に関し、地方議会議員共済会の財政の健全化措置に関する件につきまして決議をいたしておりますことを申し添えます。
この法律案は、衆議院におきまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の各党の合意のもとに成案を得まして、国会法第五十条の二の規定により、地方行政委員会の提出にかかる法律案として提案し、全会一致をもって衆議院を通過いたしたものであります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/3
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004・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) これより質疑に入ります。
御質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/4
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005・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/5
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006・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/6
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007・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君)全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/7
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008・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/8
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009・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君)次に、地方行政の改革に関する調査のうち、地方行財政の当面の諸問題に関する件を議題といたします。
御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/9
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010・片山正英
○片山正英君 私は木材引取税の問題につきまして、まず第一番目に、たいへんお忙しいところ御出席いただきました自治大臣にちょっと基本的な方向につきまして御質問いたします。
去る九月十六日に、柴立議員の木材引取税撤廃についての質問に対しまして、自治大臣より、昭和四十七年度においては必ず対処する旨の御答弁があったわけでございますので、長年の懸案の解決であると私はたいへん心強く、かつ喜ばしく存ずる次第でございますが、そのような多年の問題の木材引取税の撤廃の方向への前向きの善処方、かつ財源問題もあると思いますけれども、そういう問題も含めて前向きの御検討をいただいて、四十七年度にはその方向を打ち出していただく、このように解釈してよろしゅうございましょうか。まずその点からお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/10
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011・渡海元三郎
○国務大臣(渡海元三郎君) ただいま片山議員からのお尋ねでございますが、先般の私当委員会における柴立議員の御質問に答えました点、廃止するということで答弁があったように申されましたが、私、廃止するとは申しておりませんので、その点ひとつ御了承賜わりたいと思います。あるいは私が、ことば足らなんだかもわかりませんけれども、たしかそのおり、撤廃しろという御質問に対しまして、撤廃を私がここで言明することはできません、しかしながら従来の論議も十分ございますので、その論議の線に従いまして何らかのこの税に対する措置をいたしたいと、こういうふうに答えさしていただいたと記憶いたしておりますので、この点、廃止ということではございません。
なお、木材引取税が存続に関しまして議論になっておる点は、多年にわたって行なわれておりますことで私もよく承知をいたしております。十分議論のあるところでございますが、御承知のとおり、来年度の地方財政というものは相当きびしいような状態でございます。その際に、山村の市町村にとりまして大きな税収源となっておりますところの木材引取税を廃止するということは非常に不可能ではないかと、こういうふうに考えております。もしそういうふうなことを行なう場合にはかわり財源を必要とする。そのかわり財源も交付税とか地方債とか、そういった臨時的な要素を含むかわり財源でなくして、木材引取税が恒久的な財源であったごとく、税の本質をとらえた恒久的なかわるべき税を見つけることによって初めて措置し得る問題であると、私はこのように目下その線に沿うて検討さしていただいておるというのが現状でございまして、撤廃ということは考えておりませんので、ひとつ御了承賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/11
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012・片山正英
○片山正英君 確かに議事録を見ましても、撤廃ということではございませんで、ただ前向きの方向、そうしてそのかわり財源等を御検討されまして、それの恒久的なものとしての財源の見通しができたときに大きく検討される、あるいは善処される、こういうふうに実は解釈いたしたわけでございます。よろしゅうございますか。
それでは、いまはそのかわり財源等を含めて前向きに御検討をいただいて、その中で御解決をいただくというふうに理解をいたすわけでございますが、そこで林野庁長官にお伺いいたしたいわけでございますが、現在輸入材が五〇%余入ってきております。非常に苦しんでおる山村の製材工場があります。もちろん、木材引取税を廃止したら即座に山村の工場がよくなるということではありません。それは必ずしもそれだけの問題ではないと思います。林産行政としてどうあるべきかという基本的な問題があろうと思います。しかし現実の問題として、山村の工場は非常にのるかそるかの実態にあるのじゃないかというふうに実は思うのであります。したがって、いま国内の製材工場、国内材を使っておる製材工場のほんとうの経営の実態はどんなであるかということを簡単に長官から御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/12
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013・松本守雄
○政府委員(松本守雄君) お答えいたします。
国内の製材工場は非常に数が多うございます。およそ二万五千といっておりますが、しかもそれは零細であるということ、したがってその体質は弱体である。一方、原木の仕入れとか、それから流通面におきましても近代化が十分はかられておらないというぐあいでございまして、最近、外材が国内消費の半分以上入るようになっておりますが、その外材の面をとらえましても、内陸製材業と臨海製材業ではその立地条件が明らかに差がございます。そういうことで、国内製材業というものの今後はどうなるのかという点が非常に不安視されております。
このことは、さらに問題が発展をいたしまして、国内製材業と国内林業家というもののパートナーシップという関係にも問題を生じてくるわけでございます。いま日本林業は非常な危機と呼ばれておりますが、その林業から生産される材木というものを有効に使ってもらうというためには、国内製材業を強化しなければいかぬということにもなるわけであります。そこで政府としましても、幾つかの対策を近年続けて実施をしてまいっておりますが、いずれもが十分でもありません。またその成果も逐次あがってはおりますが、思うようにはあがっておらないというのが実態でございます。近促法による近代化計画あるいは構造改善を実施するという、いま検討中でございます。そのようにこの製材業が体質的にも非常に弱いということと、その製材業というものは、元来は原木代が主体を占めておりまして、付加価値が非常に低いということで、その収益率というものもきわめて低くなっております。したがいまして、そういった重要物資に対する、いま課せられておる流通税というものが廃止されることによって少しでも一この製材業の強化策がはかれればというとで、林産行政、林業行政の面からはその撤廃の必要を感じておる次第でございます。
以上申し上げましてお答えといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/13
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014・片山正英
○片山正英君 ただいま長官の、時間もございませんので、主として抽象的なお話でございましたが、私の調べましたところによりますと、現在の製材工場の利益、これは大体一・三%、ところがその原料でありまする原木は大体製品の七割から八割のウエートでございます。その七割ぐらいのウェートの原木に対して、これは山元ですからもう少しウエートは少なくなるかとは思いますけれども、おおむね七、八割の原木代に対しまして、二%ということでございますから、私は相当の木引税というものが利益率に関係がある、そういう中で非常に苦労しているというのが実態でございます。
そこで、実は佐々木税務局長にお尋ねするわけでございますが、九月十六日にやはり柴立議員の質問に対して、木引税の現状、それから課せざるを得ない理由、それからいろいろの過去の経緯、そして御検討されている実態をお聞かせをいただいたわけでございますが、それを私なりに要約しますと三点あるように思うのであります。
第一点は、その木引税は、まず立木は固定資産として立木のままあるいは徴収するのがいいかもしれぬ。しかし、これは技術的に困難であるから、むしろ固定資産税相当分として伐採したときに取るんだ、こういうふうな意味のたしか御趣旨であったと思います。
第二点は、山間僻地であるからほかに財源がない、過疎地域の町村では木引税というものは非常に大きな財源である。ほかに財源を簡単に見つけられない、だからやっておる。これが第二点のように私は思います。
第三点としましては、素材生産に対しまして、市町村としてそれ相当の林野行政費を支出しているから、市町村の公共的費用の負担をしないのはおかしいじゃないか。私は、まあ要約すると、いろいろあると思いますが、その三点が非常に力強い御発言があったように記憶するのであります。
そこで私は、その三点につきましてひとつ御質問を申し上げまして、お考えと善処方を実は整理をしていただきたい、こう思うのであります。
まず第一点の固定資産税相当分としての徴収でございますが、私はまず立木ははたして固定資産に当たるものだろうかどうか、この点でございます。と申しますのは、土地から生産される果実に対しまして課税されておりません。これは私調べましたが、ほかに課税されている例がございません。私もそう思います。立木に、あるいは立木相当分について固定資産としてこれは認めるのだと言っておりますが、ほかにはございません。たとえばミカン、リンゴ、そういうものの立木についてこれはかかっておらぬと思います。それから期間的には短いのですが、コンニャクならコンニャクは四、五年たって生産される。その間における固定資産的なもの、これは固定資産税じゃないかもしれませんが、少なくともかかっておりません。要は、立木であってもこれは長期にただ年限が長い、生産期間が長いというだけの相違でございますから、私はいわば商品となる製造過程の問題、逆なことばで言えば、たなおろし資産的なものは固定資産から除かれるべきものである、製造過程のものである、私はそう解釈するわけでございます。
それからもう一点、特に最近森林資源の造成ということをもっともっとはからなければならない。公害の問題、資源保護の問題、いろいろの問題から国民の世論としてもっと資源造成をやれ、これが国民の声であろうと思うのであります。その国民の声はどういう問題かと申しますと、やはり私は水の問題、森林は水を養っております。建設省は昭和六十年になると五百万トン水が足りなくなるのじゃないかということを新聞紙上で私は見ましたが、その水を養っているのは森林でございます。森林の育成こそ、これを確保しなければいかぬ。それから最近はレクリエーションの場、これも足りなくて国民は自然にあこがれている、これも非常に国民は要望しているわけであります。そのようないわゆる公害、あるいは酸素供給源とさえいわれている森林は、確かに炭酸ガスを吸収してそのかわり酸素を供給します。そのような機能、そのような意味合いで、私は広い意味の森林というものが非常に期待されている。その森林は森林所有者のためにあるのじゃなしに、もはや全国民の期待の中に森林の育成を願っておるというのが実態であろう。したがって私は、森林の立木の資産、立木に対して課税をする、それもその中心は所有者になってくると思います。あるいはそれを使う製材工場になると思いますが、少なくとも全国民が期待するようなそのような立木に対して、かつまた長期であります生産過程にある資産に対して、ほかの物資では何もかけておらないということを御答弁をされておりますので、私も調査しますとそうでございます。そのようなものになぜかけなくちゃいかぬのか、これは別の問題じゃないか、これが第一点でございます。
時間もありませんので、私は続けて第二点に入らしていただきたいと思いますが、第二点は、過疎地域だから、ほかに財源がないからこれをかけるのだ、こういうような意味にも——極端な私の表現はお許しいただきたいと思いますが——とれるような御答弁だったと思いますが、私はかわり財源、先ほど大臣がおっしゃった財源に問題がございます。私は一、二例をあげたいと思いますが、もしこれを廃止した場合に、当然相関連しまして市町村交付税がふえるのではないか。その額は、私の調べましたところによりますと七五%還元される、あとの二五%は確かになくなってしまう。現在二十六、七億が木引税の全税でございますので、その二五%と言えば六、七億の額になるのじゃなかろうか。とするならば、この六、七億は最低限度確保しなければ山村に対するますます問題が出ることになりますから、この問題だろうと思いますが、そこでたとえば基準財政需要額というものをどう算定されておるか。そのときに、これを農業行政費と私比較してみますと、農業行政費のうち林業行政費がどれだけ占めておるかと申しますと三%です。詳しい数字を持ってきておりますが時間がありませんので省略いたしますけれども、農業行政費の中のその他行政費の二二%に当たっております。農業行政費に対してその他行政費が、ちょっといま数字は忘れましたが、農業行政費に対するその他行政費、その中に林業が入っておるわけですが、その他行政費の二二%が林業行政費だ、そのように私は記憶いたします。それを計算いたしますと農業行政費の中で三%だ、こういうことでございます。私はこれを所得関係で見ましても、農業所得に対して林業所得は約五分の一から四分の一でございます。それを例に引くのも必ずしもぴったりはしないと思いますが、しかし農業行政費に対して三%というわずかなものがはたして妥当であるか、非常に私は山村に対して不遇と申しますか、非常にウエートの軽い見方ではないか、こう思います。そこで私は、なぜそういう林業行政費がウエートの少ないものに出ているのかということを調査いたしますと、国勢調査におきまする林業従事者数というものを十月末これを判断して、十月末の林業従事者数が何人いたかということで林業行政費をはじき出しておりますが、この十月末というのは非常に林業の従事者数が少ない、全国的に見ましても少ない。季節的に見て少ない時期を選んでおる。たまたま入っておるというところに問題がありはせぬか。これが御検討いただきたいまず第一点でございます。
それからもう一つは、たとえばの話でございますが、山林所得税、これは当然山林所得税としては納めるべきだと思います。これは所得でございます。リンゴだってミカンだって所得があれば納めるわけでございますから、これは納めるべきだと思います。ところが、林業には不在地主というのが相当ございます。したがって、山林で収入をあげた場合に、たまたまその人は東京におる、大阪におるというのが相当おるわけでございますが、そのときの所得税の税収はあげて大都市に入ってしまう。営々として何十年もして育った山林からの収入がその山村に落ちないで都市に落ちます。私はそういう点が全部とは申しません。しかしある程度あるということを考えますときに、所得税法でむずかしい面はあると思います。しかしこれは分離課税になっていますから、何かその辺に山林に落とし得る税源として御検討はできないもんだろうか、こういうふうに実は思うのでございます。そういう点をひとつ御検討をいただきたい。過徴金の問題も実はいろいろあります。国内税としての問題もあると思いますが、輸入税に対する。これは非常に長くなりますので、いろいろ問題も多うございますから、きょうはとても御質問する時間がございませんので省略いたしますけれども、要は、山村に税がないので立木税相当のものを課するんだということは、もう一度そういう角度から広い意味で御検討をお願いしたい
それから第三点でございますが、素材生産に対して市町村としてそれ相当の林野行政費を支出しているから、市町村の公共用負担として負担するのはあたりまえじゃないかということでございます。私はそういう意味で、林野行政費がもっと充実され、そしてそこに受益者としての負担というものが私は当然であろうというように思うわけでございます。それをただ山林所有者あるいは山村の製材工場、それに税源を求めるというところに少し問題があるのじゃないか。先ほど申しましたように、立木があることによって恩恵を受けている人は、立木を持っている人じゃなしに、むしろその下流の人、あるいは先ほど申しました公益的の種々のことから全国民が利益を受けておるわけでございますから、そういう場合に、単に山林所有者に、あるいは山村の工場にその税負担がかかるというような方式じゃなしに、私は総合的な負担のあり方というものがこの際検討されるべきじゃないかというふうに実は思うのでございます。
大体、ちょっと言い回しが——時間も非常に制約されて、十一時十分ぐらいまでだということでもございましたので、約三十分の余裕しかきょうは時間がございませんので、要領を得ない、あるいはいささか飛び過ぎた説明の足りない御質問になったかと思いますが、以上三点についてひとつ御検討をいただきまして、先ほど税源が確保できれば何とかできるんだ、あるいは検討ができるんだという自治大臣のお話もございました。私は決して農山村の町民あるいは町村をどうというわけではございません。むしろ、農山村の町村がほんとうに力強く発展することを願うがゆえに、そこに住む工場が倒れてしまったら過疎に拍手をかけるようになると思うのでございます。したがって、何も立木税をやめたから山村の工場がよくなる、それだけに私は期待をしておるわけではございませんけれども、先ほど長官のおっしゃった総合的なものが必要ではございますけれども、いまや山村の工場の声は、少なくとも当面の問題となっている立木相当分の税としての木引税に対して、もっと大所的な観点から善処を願いたいというのが熾烈な要望でございます。したがいまして、私は、山村の町村はじめ、それらの工場がりっぱに成り立っていくように総合的な判断をぜひお願いしたいという意味で御質問を申し上げた次第でございます。
以上三点について、税務局長からひとつ前向きのお答えをいただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/14
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015・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) まず第一点の立木課税等の問題でございます。確かに固定資産税の創設の当初におきまして、立木に対して固定資産として課税すべきかどうかということについてはいろいろ議論がございました。一般の立木のみならず果樹等についてはどういう扱いをするのか、あるいは当時でございますから、牛馬について、これを固定資産として課税すべきかどうかというような観点についてのいろいろな検討が行なわれたことは事実でございます。ただ、その当時におきまして、やはり農業というものが日本の経済、いわば国民の衣食住の食を担当している重要な部門であり、そうしてまたその所得が、いわば零細所得が非常に多くあって、そこまで課税すべきかどうかということについてはやや問題があるというような観点から、果樹に対する課税あるいは牛馬に対する課税ということは、一応所得税の関係等におきましては減価資産ということにはなっておりますけれども、課税対象から除外をしていくという取り扱いをいたしたわけであります。
その際に、一般の立木についてどういう扱いをすべきかということにつきましては、これは確かに議論があったわけでありまして、考えてみれば野菜や何かと同じじゃないかという面もあるわけでありますけれども、やはり社会一般の通念からしますならば、それが相当長期にわたって、その植樹の当初におきましては相当な経費がかかるわけでありますけれども、何年かたってまいりますというとやはり一般の財産的な見方がなされるのではないか。そういう意味においては、たとえば二十年以上たった立木については、そうした立木の資産価格を認めて課税すべきじゃないかという議論があったわけでありますけれども、前からこの立木につきましては木材引取税というような税が別に存在をしている。そういう点で、むしろ立木については長年の育成の結果、四十年ないし五十年に一ぺん所得が実現される。その所得の実現される機会に課税したほうが担税力あるいは税の支払いの面からいっても都合がいいのではないかということで、こうした木材引取税との関係において立木課税というものはやらないということで、なくなったわけでありますけれども、確かにその後木材引取税自体についての問題もあり、それであるならば立木課税に切りかえて木材引取税を廃止すべきじゃないかという議論もいろいろあることは事実でございます。それぞれこの課税につきましては問題があるわけでございまして、私どもも立木課税にすべきか木材引取税という形で課税すべきか、これは毎年検討している問題でございますけれども、なかなかその点につきましては結論が得られないままになっているというのが現状でございます。
それからこの木材引取税にかわる財源の問題でございます。確かにいろいろな財源付与の方法はあると考えております。ただ山林所在市町村も自治団体としてその財源においてやはり自主的な財源があることが望ましいということは事実であります。そういう意味におきまして、現在の林野行政費との受益関係において、山林所在市町村についてそうした自主財源を付与するという観点からするならば、やはり木材引取税というようなものが適当ではないだろうかというような考え方でおるわけでありますが、ほかの税源というものはないかと言われますと、御指摘のような山林所得に対する地元においての課税方式というものの検討、これは確かに一つの方法であろうと思います。ただ現在、山林所得につきましては五分五乗方式がとられている、あるいは経費の通算、それから不在地主の場合におきましては、その損益通算の段階において、Aの村においての損がBの村の益によって通算されるという場合には、その山林所得の計算がなかなかむずかしいわけであります。しかも課税の面では、山林所得をその所得の源泉地になります山林所在市町村に分割をするということは技術的にはきわめて困難な問題が伴う。
それからもう一つは、山林所得は分離課税でございますので、住民税でも捕捉いたしておりますけれども、山林所得の住民税が総額で十億でございます。その不在地主がそのうち幾ら負担をしているかというのは、サンプル調査による推計でございますけれども、約一億五千万ということでございますので、現在二十六億前後ございます木材引取税のかわり財源としてはなかなかなり得ないというような問題がございます。そのほか財源付与の方式としまして交付税計算というのもあるわけでありますが、現在、市町村の林野行政費というものがどれだけかかっているかといいますと、昭和四十四年度の実績におきましても林野行政費が三百五十二億でございます。そのうち一般財源の所要額が百十三億でございます。木材引取税の約四倍半が市町村の林野行政費になっておるのでございます。したがいまして、こうした市町村の林野行政費のすべてを木材引取税に求めるということはとうていできることではございませんで、やはり国庫支出金も必要でございます。あるいは地方交付税、起債等の措置もこれに充てられておるわけでありまして、ただこういう林野行政費の一部をやはり受益者である木材、立木の所有者、あるいはその他の転嫁を通じて製材業者あるいは消費者に負担をしてもらうという考え方で木材引取税を課税しておるわけでございます。
ここ数年非常に問題になっておりました、確かに木材引取税は内国材だけに課税される、外材について課税されてない。この税の不均衡の問題、確かに御指摘のとおりでございます。それからまた、最近における製材業界、林業界の経済的な不況という観点からいろいろ私どもも検討を進めておるわけでありまして、先ほど大臣が申しましたように、最近の機会において何らかの結論を得なければならないというふうに考えております。いまいろいろなかわり財源措置等についても検討を進めておる段階でございまして、できる限り早い機会にその結論を得て、また制度の改正が必要とあれば国会に御審議をお願いするということになるだろうと思っております。よろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/15
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016・片山正英
○片山正英君 与えられた時間が非常に少ないのでどうも要領を得なくなりますが、いま御答弁をお伺いしますと、多少私の質問とすれ違っておるような実は気がするわけです。先ほど立木で税金をかけるのか、伐採して税金をかけるのかという、そういうような御答弁があったんですが、私はそういう意味じゃなしに固定資産として見ることがおかしいのじゃないだろうか。たまたま長期であるだけでございますから、いわゆる生産過程にあるそういう商品生産とか、そういうものを固定資産としてかけるんだということがおかしいんじゃないか。だから伐採でも要らない、立木でも要らない、ましてや素材にして税をかけることは必要ない、こういう私は考えを貫いていけませんでしょうかということを実は御質問申し上げたわけでございます。
それから二十七億の木材引取税、確かにそうでございます。その七五%は地方交付税に還元されるんじゃございませんでしょうか、それはどうなんでございましょうか。そうすると、残ったのは二五%だけじゃございませんでしょうか、それは五、六億でございましょう。その中の一億五千ですか、先ほど伺いました、決してばかにできないものじゃないでしょうかというようなことを実は御質問申し上げたんで、二十七億というのは地方交付税で還元されないというなら、確かに一億余は二十七億のうちたいへん微々たるものですが、そうじゃないんでしょうかということを、私はこの点を質問したんです。
三点目は、先ほどこういう山林所有者あるいは素材を扱う山元工場、これが非常に苦しんでおりますが、立木を生産する、四十年もかかって営々としてつくっておる。このことは山林所有者が得だからやるのだということじゃなしに、むしろ、いまやこれは全国民がその森林があることによって、森林を造成していくその姿に対して非常に恩恵をこうむっているんじゃありませんか。全国民がそうなっておるんじゃありませんか。そういう場合、なぜ営々として苦しんでやっているその者に税金をかけるのですか。切ったときの所得税、これは金が入る、これはかけてけっこうです。五分五乗、いろいろな問題があると思います。もっと検討を要すると思いますけれども、所得税というような場合はかけてよろしい。ミカンだってリンゴだってこれはかかるわけです。しかし、単なる取引をしたというだけのときにいわゆる木材引取税としてかける必要はどこにあるでしょうか。私はそれをお伺いしたがったわけでございますが、時間もないでしょう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/16
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017・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) あと少しあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/17
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018・片山正英
○片山正英君 その辺ちょっと答弁がこうすれ違ったような気がするのですけれども、その辺をもう少し前向きに御検討をいただいて、そして山村全体が、農山村が不安なく過疎にならないようにいくことこそ考えていきたいもんじゃないかと、こういうことです。
いま、欧州各国、私ども聞きますと山村から人は減らぬ。農村は減ってきているけれども山村は減らぬ。なぜ減らぬか。これは全国民のために山村にとどまるような施策をやろうとしている、やっている。こういうゆえに山村から人は減らぬのだ。これは何も山を持っている人のためじゃない。全国民のためにそうせざるを得ない、そうすべきだという諸情勢になっておる。やっておる、かつまた。こういうことも聞いております。私は、そういう角度からひとつ前向きの明るい御答弁をいただきたいと思って実は質問したわけでございますけれども、きょうは多少すれ違っておるのですが、その点もう一度ひとつ御検討いただくことをお願いするわけでございますが、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/18
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019・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) ちょっと御質問を取り違えまして申しわけございません。
やはり立木に対する課税という問題を考えてみますと、確かに一面におきまして、一般の野菜などと同じような性格を持っておるという一面はございます。しかしながら、立木なりあるいは果樹なんというものが、それぞれ植栽をされ育成をされて相当の資産価格になるということはまあ事実だろう、それ自体において財産価値がある、こういうような観点からその財産の所有という事実に着目をして税負担を求める。そこに担税力を見出して税負担を求めるということは社会的に合意されることではないだろうかというふうな感じを持つわけでございます。
それから財源付与の方式の問題でございますが、確かに、御指摘のとおり木材引取税が廃止になりますれば、現在の地方交付税の計算におきましては七五%相当分はいわば税収が減った計算になるわけでございますから、特にその市町村に付与しなければならない不足財源というのが約六億ちょっとくらいの数字になるだろうと思います。山林所得を分割してその該当市町村に配分をするという方式をとりますれば総額におきまして一億五千というようなことで、約四分の一が充足されるのではないかというようなお話でございます。確かにその総額の数字を、総額で割合を計算いたしますとそういう形になりますけれども、実は山林所得に対しての課税が、国税の場合の山林所得計算というものは、これは所得者個人について総額について計算すればよろしいわけでありますから現在の山林所得課税方式でいいわけでありますが、これを市町村民税として各市町村ごとに分割をするということになりますと非常に技術的にむずかしい問題が出てまいるわけであります。特にその問題としては、収入金と必要経費との関係というのが各市町村ごとに区分ができるかどうかという問題、あるいは損益通算の問題で、他の所得との損益通算が行なわれた場合に、結果的に、ある町村であげられたと見られる所得そのものよりも、その者が他の所得の損失によって相当減殺されるというような問題も出てまいります。それから税率が市町村によって違う場合がある。超過課税はだいぶ減らしてまいりましたけれども違う場合が出てくる。その場合に五分五乗方式を現在適用いたしておりますから、一体どこの税率で税額計算をしていくかというふうな問題も出てまいります。これを分割するには非常に技術的にむずかしい問題があるわけであります。それから住民税自体が現在は住所地主義によって課税をいたしております。これを所得が得られた市町村で課税をするという考え方を取り入れますと、これはまた住民税につきましては非常に大きい問題が出てまいります。そういう意味におきまして所得課税の方式はこれをとることがなかなかむずかしいのではないだろうか。したがって私ども、いろいろなかわり財源方式を検討いたしておりますけれども、それぞれ一長一短がある。まあ結論としましては、立木課税の方式もなかなかとりにくいだろうし、所得課税の方式も非常に技術的にむずかしい。そうすればもう一つ別な方式を考えざるを得ないんじゃないだろうかということで、いまいわば第三の方式ということについてさらに具体的な検討を進めているところでございます。いましばらくその結論につきましてはお待ちいただきまして、そういうことで何とか結論をできるだけ早く得たいということで努力をいたしております。
それから林野の所在は、全国民的に見た場合に、これは非常に望ましいものであって、そうした全国民が恩恵を受けるものについて課税をしていくということについてどういうふうに考えるかということでございます。確かに、林野につきましてはそういう面があると思いますし、また農地などにつきましても、緑地保全という観点からいいますと、住民の生活環境を保全していくという面において、その観点からでは確かに有益なものであるというふうに考えられますが、それなるがゆえに、税については一切課税すべきではないということには直ちにはつながらないんではないだろうかというような感じがいたしております。やはり税の場合には、そういう全国民的に見た場合に非常に有益な施設であっても、そこにやはり担税力が見出されるというようなものであるならば課税ということも考え得るものではないだろうか、こういう感じがいたすわけでございます。確かに御指摘のような点につきましては、課税にあたってそうした実態を考慮すべきであるということは十分よく私どもわかりますけれども、また税の面から見ますならば、私どもの考えておるようなことも容認されるのではないだろうかというような感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/19
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020・片山正英
○片山正英君 それでは時間もございませんので、一言、大臣と局長にお願いを申し上げます。
ただいまの質疑では、確かに時間もございません、不十分だと私は思って、いずれ機会があればもう少し御質問したいのでございますけれども、要は担税力があればという点のお話もございましたが、先ほど林野庁長官が言われるように、非常に苦しい。私も一そういうことを申し上げましたが、非常に苦しいその原因は、確かに木引によってそうなったんだと言っているわけではございません。しかし、そのような客観情勢、外材との関係、かつ外材とのバランスもとれない、片っ方にはない、このような形の中で非常に苦しさを出しておるわけでございます。財源措置等も合わせまして、どうか来年度何らかの方法——その間におきましては、あるいはまたいろいろ御相談、お教えをいただきたいのですが、ぜひ農山村が木引がなくなったことによって打撃を受けないような財源の確保を通して、これはあくまで木引としては廃止していただく方向で御検討いただくことをお願い申し上げまして、本日の質問は終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/20
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021・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/21
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022・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 速記を起こして。
本件に対する本日の調査はこの程度にとどめます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/22
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023・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 速記を起こしてください。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/23
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024・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 警察行政に関する件を議題といたします。
この際、中村国家公安委員長から発言を求められておりますので、これを許します。中村国家公安委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/24
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025・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 昨十二月六日、警視庁荏原警察署小山台派出所の警察官が拳銃を暴発し、小学校六年生の中野俊介さんに全治一週間の傷を負わせるという事故を引き起こしました。まことにこれは申しわけがないことで、つつしんでおわびを申し上げる次第でございます。
このところ警察官による窃盗事件とか、あるいは傷害事件あるいは傷害致死事件あるいは拳銃暴発事件などの悪質な事案が続発しまして、まことに申しわけもなく存じている次第でございますが、これはごく一部とは申しながら、警察官の中に職責の自覚に欠ける者があって、そうしてこういう事件が勤務の内外に影響を及ぼしておるというようなことを考えますときに、これは警察官の気のゆるみから不祥事案となっているということであると御批判を受けてもやむを得ないことでございます。
警察当局といたしましても、こういう事案の絶滅をはかるためにはあらゆる手段を尽くして、国民の期待にこたえる警察官として使命を果たしていくように気をつけていかなければならぬと考えております。特に今後の問題といたしましては、各級幹部がそれぞれの警察官に身を引き締めて国民の期待に沿えるりっぱな警察官をつくり上げていくという態度の確立をはかりますと同時に、反面においてこういう事件がどうして起こるかということをもっと検討いたしまして、そうしてそれぞれに対して適当な処置をとっていかなければいかぬと考えておりますが、最近のこの事件の発生いたしましたあとで、そういう事件をどうして起こしたのかというようなことをいろいろ調査いたしてみますと、事件を起こす寸前までまじめに警察目として勤務についておった、それが帰りしなに変な気を起こしてぱっと悪事を行なうというような事件等も一かなりあるのであります。
私は、そういうことを考えますときに、何かやはり原因があるのではないかと、こういうことを考えましていろいろ苦慮いたしておるところでございますが、まず私は、やはり警察官の一番大事なことは警察官という職責のきわめて重大なものであるという自覚の上に立って、きびしく自分を規制しながら任務を果たしていくということが第一でございますが、そういう警察官をつくり上げてまいりますためには、やはり基本的には警察官の生活安定というものも考えてあげなければならぬということではなかろうか。それからさらに教養を高めるようないわゆる教養施設を充実するとか、さらに私は、最近の若い人等は、さっきも内閣委員会で問題になったのでございますが、ほとんど昭和生まれの人であって、警察官の幹部クラスというものとの間にはやはり世代的な時間的なズレもある、こういう問題で意思の疎通を欠くということもやはりあるのではなかろうか。そういうことを考えまして、今後は若い警察官の悩みを聞くとか、あるいはいろいろの不自由、あるいは不満等を率直に受けとめて、そうして人間としての落後者にならないような一つの配慮も警察行政の中に取り入れていく必要があるのではないだろうか。こういうことを考えまして、いま警察庁としてそういう問題について真剣に検討を加えて、できるだけ早くそういう措置をしたいと、かように考えておる次第でございまして、先ほど申しましたように次々に事件を起こしまして、皆さま方にもたいへん御迷惑をおかけいたしまして申しわけもないと心からおわび申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/25
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026・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/26
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027・杉原一雄
○杉原一雄君 ただいまの委員長の報告で概略わかりました。
そこで、昭和生まれということばもあったのでありますけれども、今度の場合の警察官は十九歳、そうしますと、言うならば未成年者でございますが、一体未成年者警官というのは、これは警視庁管内だけという限定をすれば簡単でございますが、そうではなくて全国的にどれくらいおりますか。パーセントはどうなりますか。その点はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/27
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028・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) お答えいたします。
全国で十七万五千警察官がおりますが、その中で警察学校で新任教育を受けております者を除きますと約四千六百人が十九歳の警察官でございます。パーセンテージで申しますと三%足らずになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/28
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029・杉原一雄
○杉原一雄君 現在学校で教育を受けている、そういう方もいるわけですが、大体ぼくら全くしろうととして言わせていただくならば、いわゆる募集をして採用になって教育をして現場に移す、つまり現場に移るまでの過程においての教育の日程ですね、それからカリキュラムと申しますかね、どういう教科編成になっておるのか。できればその点で、いま公安委員長が非常に心配している人間的な教養の問題等はカリキュラム編成過程の中でどの程度実施されているのかということと、あわせて、学校でいうと教科書になるのですが、そうしたものがあるのかどうかですね。もしあれば、後ほどでようございますから、教科書めいたもの、そういうものを資料としてお届けいただければ幸いだと思います。質問と要望です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/29
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030・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) 採用されます警察官の典型的な例といたしましては、高等学校を卒業した者を採用するわけでございます。高等学校卒業でございますから十八歳以上で入ってくるわけでございます。これに対しまして各都道府県の警察学校で一年間の新任教育をやります。なお、例外と申しますか、現在三割程度は大学卒業が入ってまいります。大学卒業につきましては、これは年齢的には二十二歳以上の者となるわけでございますが、これには半年都道府県の警察学校で教育をいたします。高等学校卒の一年の教育でございますが、いまここに私も手元に時間割りを持ってまいっておりませんので、それにつきましては後刻御報告をいたしたいと思いますが、これは警察官の実務、特に警察学校を卒業しまして最初につきます実務は、多くの場合派出所勤務でございますが、そういう派出所勤務に必要な程度の法律知識、実務知識を中心にいたしますが、その前に警察官としての素養と申しますか精神的な素養、こういったものをもちろんカリキュラムの中に組んでおります。ただその時間数がどの程度かというのは、きょうちょっと資料を持ってきておりませんので後刻御報告をいたしたいと思います。
それから教科書でございますが、教科書も各科目、これは主として警察実務に関係のある刑事警察、警備警察、外勤警察、防犯警察といったものについて教料書を渡しまして、そして教育をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/30
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031・杉原一雄
○杉原一雄君 警察教養規則というのがあるわけですけれども、その第二条で「警察教養の目的」というところがございます。いまおっしゃったようなことなどがそこで大体うたわれているわけですね。その中でちょっと気がかかりになるのは、「実力を養い、」云々ということばがありますね。この「実力」というのは、人を縛ったりなんだりするようなことなどを意味するのでしょうね。そういったようなこともやっぱり実技訓練という形で、ここに原さんもおりますが、おやりになっているのでしょうか。その辺もどういうことを実技訓練としておやりになっているのか、ちょっと御紹介ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/31
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032・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) この「実力」の中には、事に臨んであわてず、落ち着いて職務を執行するための自信としての実力も含んでおりますが、御承知のとおり、われわれ警察の仕事が他の仕事に比べての特徴といたしましては、最後の場合、違法なものに対して実力をもってしてもこれを逮捕する、あるいはこれを鎮圧するという任務を持っておりますから、そのための実力を行使する、その実力というものももちろん含んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/32
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033・杉原一雄
○杉原一雄君 そうするとピストルの使い方、もちろん百発百中というのが使う場合の本来的なものでしょうから、そうした意味のものも内容的に含んでいるわけでしょうね。きのうの事件等はまさにピストルの問題ですから、そうするとピストルの取り扱いについては「警察官けん銃警棒等使用および取扱い規範」というのがございますから、きのうの大津君ですかの場合は、この規範の第五条の「けん銃の安全規則」というこの点について、この規範に対してかなり手抜かりがあったのじゃないか。いわば「実力」の中の実力の欠除ということになるか、そういう面だけ追及していった場合にも、そういうようなものも結果的にあるのじゃないかということで、実力、教養の問題としてこの辺のところをそういうふうに理解しておいでになるのかどうか、まさに大津君が気まぐれでやったのかどうか、その辺のところはもうそろそろおわかりだと思いますから、犯人が逃げておるわけではありませんから明確に掌握しておられると思いますので、この規範の面から見たらどうなるか、その辺のところを明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/33
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034・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) まず警察学校では、先ほど申しました一年間の初任教養の中でけん銃の使用、取り扱いに関しまして約八十時間の教育を行ないます。この八十時間の教育の中で、特に使用に関しましては、一番中心でありますのは、先生がいまおあげになりました安全規則と申しますか、けん銃を安全に、しかも使うべきときに使うという教育をやるわけでございます。その点から申しまして、先生御指摘のとおり、昨日の大津巡査の行為は全くこれに違反をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/34
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035・杉原一雄
○杉原一雄君 その点で、いわゆる教養課程で実力の問題とか、あるいは公安委員長の報告の中心焦点はやはり教養の問題に何か焦点が移っているようですね。いわゆる精神面が問題になっておりますから、私は精神面だけでない問題として、実力の養成という点で欠けるところがあったのじゃないかという一応疑問を持ちましたからいまの点を確かめたわけですが、いま課長が申したように、規範に対する理解と、それに基づくけん銃の取り扱いという線でかなり不十分さがあったのじゃないかということを明確に指摘されているわけですから、そこで問題をそれより一歩前に進めていくとすれば、今度は未成年者が四千六百人おる、全国で。その未成年者を第一線に配置する場合、人事担当官として人事管理の面から見てどういう配慮をしてあるか。未成年者、これは学校教育を終わって、言うてみれば自動車の運転免許を与えたと同じことであるから、これは人事管理の面で適材適所主義だということばで一切が進められているのかどうか。そうじゃなくて、未成年者であると、対人関係の問題とか守備範囲の問題等について人事管理の面から何か特段の配慮をしているのかどうか、その辺のところを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/35
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036・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) お答えいたします。
御指摘のとおり、一年間の教育は終えますものの対人関係その他全く初めての職務につくわけでございますから、これらの卒業直後の警察官につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように大体原則として派出所、交番勤務をさせます。交番勤務は、ときに一人で職務を行なうこともありますが、たいてい複数の勤務でありまして、先輩の警察官と一緒に、見よう見まねも手伝いまして勤務をいたすわけでございます。なお、そういった新任の警察官に対する指導につきましては、これはまあ新任警察官だけでありませんけれども、各それぞれの所属の幹部ができるだけ多く交番に、われわれは監督巡視と称しておりますが、そういった巡視をいたしまして実務的な指導をする。それからまた、この勤務を半年済みますと、さらにもう一回、これは現任補修科教育と称しておりますが、警察学校に入れまして、ここでまた三カ月間、今度はその半年の間に経験した実務を中心にして教育をするというようなことを行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/36
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037・杉原一雄
○杉原一雄君 その次に、未成年者だということが前提になって、教育の進め方、プログラムは大体わかりましたから、その他人事管理の面で、最近は警察官の募集も不景気だからたくさんあると思いますが、募集してもなかなか来ないというようなことなどあったりして、未成年者だから大事にする——きれいなことばで言うと。もっと別な管理の面から言えば手ぬるい、手を抜くといったようなことなどは過去の過程の中であったかないか、その辺のところをひとつお聞きしたいと思います。おそらくお答えは、ないとおっしゃると思いますが、これは新聞なんか伝えるところによると、何か過保護ということばは当たりませんけれども、何か過保護的な意味で若干の——愛情と言えばきれいごとですけれども——手抜きがあるような気がいたしますが、その点はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/37
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038・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) お答えいたします。
その点は、一部の新聞などでちょっと取り上げられましたが、結論から申しますと、ございません。特に他の職場に比べて若干われわれのほうはきびしくやっております。
実は先ほど一年の最初の教育期間と申しましたが、これは教育をいたしますと同時に、この一年の間に、これがほんとうの警察官としてやっていけるかどうかということを、ためすと申しますか、そういう条件つきの期間にもいたしております。せっかく採用いたしました者をきびしくやって、それでそのためにやめていくというのは、一面経済的には残念なことでありますけれども、しかし職場が職場でありますだけに、この点には特に意を用いておりまして、たとえばこれもごく大ざっぱな統計でございますが、毎年五千人ないし一万人の警察官が入校するわけでありますが、大体三%から四%くらいはこの一年の間にみずから脱落するか、あるいはこちらのほうで排除するというような措置もとっております。そういうことから、平均して言えばきびしい措置で臨んでおるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/38
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039・杉原一雄
○杉原一雄君 先ほど中村委員長のほうから、かなり責任が重大であることから精神的な重圧感、そうしたこととあわせかねて、生活の不安とかいろいろな問題があるわけで、警察官の憂いなり悩みなりという点等もあたたかく包んでいきたいという考え方、私、非常にありがたいことだと思います。そうしたことについて、警察庁なりそれぞれの機関がアンケートをとったりしてお調べになったことがあるのか。同時にまた、アンケートのみならず、あるいは対話集会等を持って、一諸に銚子を傾けながら談論風発する中から彼らの不満の所在を明らかにし、それを人事管理に生かしていくというような配慮なり努力が今日までの過程で行なわれているのかどうか、その辺のところをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/39
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040・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) おっしゃられますようなアンケ−トあるいは座談というのは非常によくやっております。その中で、たとえばアンケートをとりまして、一番いま何を希望するか何でも言え、というような種類の問題を出しますと、わりに多く出てまいりますのが、休暇をまとまって、一日でなくて、まとまってとれて、そうして多少遠いところにドライブをしたいというようなものが率直な意見としてわりに多く出てまいります。この点は、私たちの職場が職場でございますから、一たん緩急あるときには出動に応ずるかまえも必要であります反面、しかしまた、そういった要望というのは、現在においてごく自然な要望でもありますので、全くそういう一たん緩急あるときにも出動しなくてもいいようなまとまった休暇というようなものを、われわれの職務とのバランスに立つわけでありますけれども、そういったことに配意していきたいというのが、最近のアンケートの中で特に印象に残っている点であります。
それから座談会、これはまた非常によくやっております。何といたしましても、非常に御指摘のように緊張した職場、勤務が短時間ではありますが続きます。その場合に、例が適切かどうかわかりませんが、ときにはばりざんぼうを浴びる、それに対して、われわれがそれに返答するというようなことがあってはいけないということを職務柄申すわけでありますが、何としてもそういったものが胸の中にたまっているというのは、これがときに不祥事犯になったり、あるいはまた過度の飲酒をする、過度の飲酒だけで終わればいいんですが、それが不祥事犯にもなるというようなこと、これは現実に起こることでございますので、座談会などやりまして、それでそのときの、きょうの勤務の中で非常に憤慨したこと、あるいは非常にうれしかったこと、そういったことを吐かせる。その点では、昭和生まれの最近の若い警察官たちは、これは他の人たちもそうであると思いますが、わりにそういう座談会などで個人を中傷するというようなことでなくて、いろいろ意見が出る。これは非常に好ましいことだと思います。もちろんその中からわれわれ施策に取り入れるべきものは取り入れてまいろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/40
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041・杉原一雄
○杉原一雄君 私、ここに「毎日」と「朝日」持っているのですが、それぞれの見出し、こう開いてみるとたいへんな見出しでございますからね。かりに「朝日」ならば「一線警官の“ゆるみ”また…」とあります。それから「毎日」は「警官の綱紀たるみっ放し」ということで、この警視庁管内だけでも、東村山ですか、ああいう事件やきのうの事件を含めると十四件になると思いますが、非常な不祥事件が起こっているわけで、先ほど公安委員長は総括的な見通しなり決意を述べていかれたわけでありますが、いまちょうど官房長も来られたわけですが、そのお話の中で、あるいは生活の安定の問題が提起されたわけです。だから生活の安定ということになると、いまのお話でもわかるように、長期の休養ということを要求しても出動時間で規制をされる。どう見ても警官の生活というものは人とは違う、社会人と違うという点はこれはいなめないわけでありますから、そうした点をカバーするような人事管理、給与、勤務時間の問題等大きく配慮されねばならない。つまり精神的不安定の条件をなくしていくということが人事管理の面できわめて重要ではないかというふうにまず思うのでありますが、ただ問題は、おしなべてこうした問題が連続して起こっておる中で、後ほど神沢委員のほうからも質問があると思いますが、いろいろ客観的な問題がある。あるいは今度の国会周辺の出動回数が非常に多くなっている、そういった問題も含んでいるのではないかと思います。これは後ほど神沢委員のほうからあらためて質問ございますから。
私、警察法も読んでみ、いろいろ考えてみると、警察官の仕事というのはたいへんだと思うんですよ。百三十何戸ほどの町内会の会長を十年勤続して私やっておりますけれども、この町内会にも実は警官がおるわけです。なかなか隣近所のなじみ合いというのは私は非常にむずかしいと町内会長として見ておるんですね。奥さんもそういう点でつとめて融和な関係をつくろうという努力をしておられるようでありますが、警官の個人的な私宅ですけれども、私宅の玄関には防犯連絡所という札がある。あれは全般見ているんだろうと思いますが、私も町内会長ですから、うちの玄関にも防犯連絡所という看板を私あげておるわけですが、そのことを撤回しようとは思いませんけれども、市民生活の中で、警官の皆さんというのはとにかく注目されて、もっと極端に言ったら違和感が同じ町内におる者の中に存在する、これはいなめない事実だと思うんですよ。そういう勤務の実態と市民生活との関連においても、対、人と人との関連においても、私は、警官としては非常に生活する場合に息苦しいものがあるんじゃなかろうかということなどは、やはり警察行政を担当する上位の人たちからかなり配慮をいただかなければならないんじゃないか。私、労働運動をいたしておりますから、警察官にストライキ権を与えよと言いたいんですが、そこまでいくと飛躍しますので、きょうはそこまではいきませんけれども、そうしたことなどいろいろあると思います。
ですから官房長から、先ほどの国家公安委員長の答弁だけで見当はつきますが、おしなべて警視庁管内だけでも、きのうも含めて十四件もさまざまな事件が続発しているわけですね。この辺のところをもう一度整理して、このような事件がなぜ起こったかということと、それからこれに対処する方法等については、警視総監の訓示もありますし、事故防止委員会をつくって対処するということも報道されているわけですけれども、責任ある立場から、もう一度整理されて、今後こうした事件を未然に防止する、そうして警察法にのっとって不偏不党の警察行政が実行できるような体制を整えるためにはかくかくのことをなすべきだと思っているということを、きょうの委員会を通じて国民に明確に出していただきたいと思います。
私の質問はこれで終わりまして、あと同僚委員の神沢委員に移ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/41
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042・土金賢三
○政府委員(土金賢三君) 先ほど大臣からも御方針の御説明があったと思いますが、警察官の最近のこういった非行が出ておりますということは、まことに遺憾に存じておる次第でございますが、なぜこういった事案が続発するかという点に関しましては、やはり基本的には、私は、職責の自覚というかそういうふうな点が、やはりこういった勤務の忙がしさというか、そういうような点も手伝いまして少しゆるんだというか、そういうような点があるのではないかと存じておるわけでございます。もちろんこの職責の自覚ということは、抽象的に訓示とかいろいろそういったことだけで解決し得る問題ではございません。いろいろの勤務の態様とか、あるいは先ほど御指摘のありましたような異和感とか、そういった問題もあろうかとは存じますが、こういったことに対する対策ということは、したがいまして非常に広範な立場から、広い立場から考えていく必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
まあ何と申しましても根本的には一人一人にその警察の、やはり警察というものは、一般の市民とは、国民が警察官に期待するものが違うのだということ。これは一般の市民と同じことをやってもいいじゃないかという、若い警察官はそういう感じを持っておるようにも思われるのでございますけれども、やはり現在においては、まだまだ警察というものは国民と同じようなことをやったのでは不十分の点がある。警察官の生活というものはもう少しきびしさがあるのだ、一般の市民とはもう少し違ったきびしさがあるのだというような点の認識、それを私たちは職責の自覚と、こういうふうに言うのでございますが、そういった点をほんとうにわかっていただく、わかってもらう。若い警察官にそういうふうな点をわかってもらうということがやはり大事ではないか。
そのためには、ただ単に口やかましい訓示とかいうふうなことでなく、人間味を持ってやはり部下に接しまして、寛厳よろしきを得た指導をしていく、幹部が親身の指導をするということが非常に大事ではないか、こういうふうに考えるわけであります。そのためには同僚同士の話し合い、現在ではいろいろ同僚同士の話し合いというふうなことは比較的たやすくいわれても、上官というか幹部に対して自分たちの悩みごとを訴えるというか、そういうふうな点が必ずしも円滑には行なわれていないのではないかというふうな面もございますので、そういうふうな点につきましては、単に生活相談というか、向こうから積極的に、警察官のほうから悩みごとを積極的に持ってこいということではなかなか持っていきにくい点もあると思われますので、こちらから積極的にそういうふうな点を指導するような、そういうふうな方法を考えていく必要があるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。そのためには、余暇をいかにして利用するか、あるいは余暇がなければ積極的に余暇をつくってやるような方法も考えなければならないでしょうし、あるいはともに汗を流すというか、そういうふうな方策も考えていく必要があるのではないか。幹部とつまり若い警察官がともに汗を流す、そういった機会を積極的につくっていく、こういうふうな点も必要ではないか。いろいろそういうふうな点を今後真剣に検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/42
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043・神沢浄
○神沢浄君 この機会に関連をして一、二お伺いしておきたいと思うのでありますが、先ほど大臣からの決意も聞きました。それからいま官房長の考え方をお伺いしたのですが、それにつけても私が感じておりますのは、ここ相次ぐ警察組織内の不祥事故の連続というようなものがどこに起因をするかという点をもっと警察自体はもとよりですけれども、私ども国民という立場からこれを掘り下げて考える必要があるのではないか。こういう点から、まず第一に私はあげておきたいと思うのは、現在、なるほどそれは訓示も必要、命令も必要、いろいろな教育もけっこうなことでありますけれども、それらの問題以前のこととして、今日警察が、言うなれば新左翼の動向などに必要以上に刺激を受けて、そしてあるいは警察官の事故なども相次いでおりますようなそういう情勢から過度の刺激を受けている。いわば暴力至上主義とでもいうのですか、暴力本位主義とでもいうのですか、そういうような考え方に流れていないかというような点が非常に重要だというように思われるわけであります。
私、それにつけても思い出すことがあるのですが、日華事変当時、私は当時の北支の山東省に約九年間在留したことがあります。戦争の末期近くだったものですから、匪賊の掃滅のために日本軍は特殊部隊を編成をいたしまして、その特殊部隊というのは何かというと、人切り部隊なんです。山の中を歩いて匪賊と見ればすぱっと切り捨てる、こういう部隊を編成をしてやったことがありますが、ところが、最初はそういう目的だったのですけれども、やはりそういうふうな殺伐とした任務というものは人間を変えます。私は雰囲気と環境というものがいかにおそろしいものか、逆に言えば、人間というものはそういうものにいかに弱いものかということをその当時経験したことがあるわけなんです。そういうふうな任務についておりましたために部隊の人間そのものが変革をされてしまいまして、もう全く人間ではなくなって、いわば人を殺すことが目的のような動物化してしまったような部隊になりました。したがって、部隊内に問題が相次いで、しまいには上官を殺す、あるいは同僚仲間でもって絶えず血なまぐさい殺傷の事故が相次ぐくらいはまだしもですけれども、これが町へ出てきますと一般住民を殺傷する。実は私は青島に住んでおったのですけれども、この部隊が青島に休養するためにおりてくるときには特別の警告があります。ボタンの二つ目に赤いしるしをつけているから、この部隊を見たらさっそく逃げるようにというか、絶対に相手にならないようにというふうな警告が出ておったにもかかわらず、その当時居留民の間には幾つかの事故が相次ぎ、私はそのことをいま実はまざまざ思い出しているわけであります。
どうしていま、たとえばピストルの問題にいたしましてもそういう不注意が起こってくるのか、あるいはひったくり事件にしてもそうでありますけれども、こういうふうな本来ならば警察部内などに起こってはならないような事故が相次いで起こってくるのかというところに、今日のむしろ警察官そのものが人間として、もし情操指導の中にいまの暴力本位主義のような考え方というものが流れておるとするならば、これは個々の警察官のほうが被害者のほうに立たされておるということにもならざるを得ないと思うわけでありまして、実は私は、国会周辺のデモ規制などの実態などを見ておってそのことも感ずるのですけれども、これはもう無謀、非常識な新左翼の動向などについてと、それから秩序に従っての請願行動というものはおのずから別なものだと思うのですけれども、それがほとんど区別ないような姿勢が見受けられるわけであります。それがどこからあらわれることかということは、これは指導にも問題があるでしょうけれども、しかしもういま警察内の雰囲気そのものが、いわば暴力の任務というものを第一に考えておるような雰囲気、そういう環境というものが醸成されてしまっているところに問題があるんであります。そうだとするならば、本来これは国民の身体、生命を守り財産を守るという警察本来の目的から考えてみますと、これはゆゆしいことでありまして、そういうふうな点を非常に憂慮いたしますだけに、警察自体もひとつここで謙虚にひるがえって考えてみていただいて、警察の中にそういう動向がないか、暴力至上主義的な姿勢というか、流れというようなものがありはせぬかというふうな点を、これをひとつ真剣に考えていただきたい。と同時に、そのことに対してひとつ所見を伺わせておいていただきたいと思います。
それから、時間の関係があるから続けてお尋ねをしておきますが、もう一つは、これは絶えず私なんかが、今度の問題にかかわらず、感じさせられている点でありますけれども、やっぱり警察はわれわれ一般国民の立場に比べますと一つの権力を持った立場であります。したがって、ややもすると権力的な警察一家主義というようなものが生じがちであります。一般の国民などはそういうことでもって非常に迷惑を受けるような場面も少なしといたしません。私が経験をしております一つの問題にしましても、交通事故がありました。相手は警察官でありまして、明らかにわれわれが客観的な立場でもってながめてみますと、酒に酔って起こした事故でありますけれども、しかし、どこということは申しません、いろいろまた問題があるといけませんから。しかし警察の側では、いわゆる警察の権力の立場を集中をして、酔ってもいないことにいたしましたし、むしろ生じた事故の原因は相手側だということにいわばでっち上げてしまっているような大きな疑問を残す事故のことを私は知っております。そういうようなことを通じて、一般の国民の信頼ももちろん失われるわけでありますが、むしろ対部内的に非常に懸念をされますのは、そういう権力的な一家主義的な、むしろ警察自体が本来は規律、秩序を守らなければならないのを規律、秩序を無視してまで警察官が一家主義的ないわば専断をするというような、こういう点から部内的にひとつの道義感とか、あるいはその規律に対するところの尊重の気持ちとかというようなものがだんだん希薄になってまいりまして、そういうことが知らず知らずのうちに現代の内部事故を続出させるような、こういうふうな一つの原因をつくってないかというふうな点が非常に懸念されるところであります。
以上の二点について、ひとつ率直な今後の警察づくりというふうな点からいって、ただ何か申し上げたような点について一応説明をして済ましてしまうということだけのことよりも、むしろ私ども国民という立場にあって、ほんとうに警察らしい警察をどうつくってもらうかということにたいへんな関心を持つがゆえにお尋ねをするわけでありますから、そういうような立場からしてのひとつ所見をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/43
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044・土金賢三
○政府委員(土金賢三君) ただいまの神沢委員の御指摘は、まことにごもっともな御指摘だ、こういうふうに考えます。
第一点のこの殺伐とした雰囲気というか、そういう警察官の勤務、警察官のそういう職務執行、きびしい職務執行というものが知らず知らずの間に警察官の気持ちにそれがはね返るということは、御指摘のように十分これは考えられることだと思います。戦場ほどではないにいたしましても、そういった殺伐とした雰囲気というものが生活の中に浸透してくるということは私どもとしても十分これはあり得ることだし、またそういうふうにならないように、私どもとしても十分これが対策というか配慮をしなければならない問題であるというふうにも考えておるわけでございます。たとえば、これをやわらげるというか、そのために、一例といたしましては機動隊員にお茶とかお花でございますね、御婦人が一般にやっておられるお茶の作法とかお花のこういう先生を機動隊の宿舎あるいは隊舎にお呼びしまして、そこでそういうものを習わせるとか、そういった情操教育ということには私どもとしても力を入れているつもりではございますが、そういったことはまだあるいは不十分ではないかという感じもいたしますので、今後こういった情操教育の面についても検討を加えたいと、こういうふうに考える次第でございます。
もう一つの、この権力的な警察一家主義というふうな御指摘でございますが、まあ私どもがただいまのお話を承ってちょっと感ずる点でございますけれども、私ども本部長——県の本部長をやっておりまして感じております点は、何か事故が起きましてもそれを県本部に報告しないというか、警察署だけで何とか漏れないようにするというふうなことが、そういう空気がややもすればあるような場合も考えられるわけでございます。そういうことではこれは問題をますます内部的に進行させまして問題を大きくするということにもなりますので、私はそういう場合は、もうとにかくどういう場合でも報告は必ずする。必要があるときは——必要があるときというか、これはもうそういうものについては報道機関の方にも、実はこういうことがあって、こういう処分をしたということは、もういさぎよくそういうことについては御批判を願うというふうな態度で私ども指導してきたつもりですけれども、そういうふうなこともなく、まあ内にこもって、それが先ほど御指摘のように部内的の道義感、規律感というものに悪影響を及ぼすということがあってはなりませんので、そういうふうな点についても十分注意をいたしてはおりますけれども、そのつもりではございますが、ただいま御指摘のありましたように、もう一ぺんこの機会にそういうふうな点についても反省を加える必要があろうかと、こういうふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/44
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045・藤原房雄
○藤原房雄君 大臣からも御報告がございまして、おおよそのことはわかりました。官房長もいらっしゃいましたので一つだけちょっとお伺いしたいと思いますが、このたびの事件が、ずっと連続して起きたというところに私ども非常に残念といいますか、何とかこういうことのないようにしなければならないという、こういう気持ちでありますが、この原因につきましても、先ほどからいろいろ大臣から御報告がございましたが、先ほどおっしゃっていた点につきましても、確かに一つ一つ解決しなければ——解決といいますか、適当な処置をしなければならないことだと思います。
それらのことの中で、同僚議員からもただいま大事な問題についてお話がございました。私はこのたびの一連した事件、若い人に問題が多いということで、確かに若いということはそれだけ経験が少ないということであり、特に昭和生まれの方方なんかについての今日の教育のあり方だとか日常の職責の自覚、こういうものに対する問題についても先ほどお話があったわけでありますが、やはりいま言われておりますように、昭和生まれの方々と以前の方々との断絶といいますか、ものの考え方、すべての点について大きな相違がある。生活環境も全然違いますので、いろいろ意思の疎通を欠かないように取り計らいがあるようでありますけれども、やはり幹部の方々が十分に若い人たちの気持ちをくんであげるということが一番大事なことじゃないかと、こう思うわけであります。先ほど大臣からも、幹部が心を引き締めてということでありますけれども、まあ基本的にはここになると思いますが、やはり若い人たちが一連の事件を引き起こしているというその点をかんがみますと、もちろん教育のあり方や今日までのいろんな警察のとってきた一連の問題について検討を加えることも大事だと思いますが、やはり昭和生まれの方々の、戦前の私どもとは違って生活環境なんか違っておりますし、ものの考え方も基本的に違うわけなんで、こういう点を十分に気持ちを知らなければならないという、この点についてもっと具体的な若い人たちの気持ちをくんであげる場というもの、そしてまたそれを具体化していくものがはっきりとなければならないんじゃないかと、このように私は思うわけであります。そういうことから生活態度のあり方とか、また待遇とか給与の問題とか、こういうことももちろんございますが、それらのことを引っくるめて若い人たちの気持ちを、もちろん警察官としての職責というものが一般の方々とは違った態度でなければならないと思いますけれども、やはり人間性の上に立って、よく若い人たちの気持ちをくんだ上に立っての自覚というものを与えていかなければ、従来のままの姿であってはやはりどこかにかみ合わない問題が出てくるんじゃないかと、こういうことから教育のあり方等につきましても、新しい若い人たちの立場に立った、その気持ちを知った上での教育のあり方といいますか、その上に立っての警察官の職責をどう実行していくかという自覚を与えるか、こういう基本的なことを洗い直してみるときがきてるんじゃないか。警察も、決して従来からの踏襲で今日まできているわけではない、そのときどきに応じて教育のあり方等についても検討なさったと思いますけれども、こういう一連の事件を見るにつけまして、こういう点をもう少しよく検討しなきゃならない、このように痛切に感ずるわけであります。
先ほども生活の安定とか教養施設の問題について、また昭和生まれの方々と意思の疎通を欠かないようにというお話がありましたけれども、この点は具体的にどうお考えになっていらっしゃるか。具体的な問題につきまして今後また改善されるだろうと思いますけれども、官房長、今日までの状況の中にあってどのようにお考えになっていらっしゃるか、お考えがございましたらお聞きしたいと思いますし、二度とこういう事故の起きないように、特に若い人に対する問題につきましてお考えをお聞きしたいと、こう思うんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/45
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046・土金賢三
○政府委員(土金賢三君) ただいま御指摘のありましたように、青年警察官と申しますか、これに対する指導というか、断絶をなくするということが非常に大事であろうと存じます。これに対しまして、青年警察官の心をつかむということがどういうふうにやればできるかという具体的な方法についてはいろいろ検討はいたしておるわけでございますが、先ほども御説明申し上げましたように、一つはやはり余暇の利用と申しますか、そういった点についてもう少し一くふうあってもいいのではないかというふうに考えております。生活の忙しさというか殺伐としたそういった勤務に押し流されて、心のゆとりを持つというか、自分を取り戻す時間というものをそこに与える。ただ一人でおってはなかなか自分の心を取り戻すということも——一人でじっくりいるということも必要でしょうし、あるいはまた友とそこでゆっくりといろいろのことを話し合うということも必要でしょうし、そういった余暇の利用方法、ともに汗を流すという、こういった余暇の利用の方法についてもう少し検討したいというふうに考えております。
それからもう一つは、断絶ということで、私どもこういうことを申しておりますけれども、やはり青年警察官から見れば、非常に頭が固くなっておる、こういうふうにおそらく思われる可能性が強いわけでございますので、そういった面について青年の心理を十分私ども幹部が勉強する必要がある、そういうふうに思います。そういう点で、そういう心理学の先生等にもいろいろと話を聞いて、青年心理というものをまず幹部が理解してかかる、勉強するということも考えておるわけでございます。それからまた、いろいろと話しにくいような問題もございましょう。そういうふうなことにつきましては、アンケートというか、そういった方法も取り入れて、青年の気持ちというか、そういうことを大局的につかむというか、そういうふうな努力も必要ではないか。
それから、これは大臣みずから発意してやられたことでございますけれども、大臣が県に参りまして、若い青年警察官を囲む座談会というか、そういうふうなことも大臣みずからやっておられますが、そういった方法をもう少しくふうをして、もっと広くそういうことを活用することも必要ではないか。
いろいろ考えられるわけでございますが、要するにそういった青年の、ただいま御指摘のありましたように、幹部が青年警察官の心をくんで人間性の上に立った指導ができるように、そういうふうな点についてもう少しくふうをしてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/46
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047・中沢伊登子
○中沢伊登子君 ちょっと一言。思いつきでたいへん恐縮なんですけれども、いまの青年警察官ですね、こういった人たちは何時間勤務ということはさまっておるのですか。朝は何時から出勤してきて、それで大体何時に帰るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/47
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048・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) お答えいたします。
これは職種によって違いますけれども、東京都内の外勤警察官でございますと週四十四時間でございます。ただ、週四十四時間なんですけれども、一般のデスクワークの人のように朝八時半から夕方五時までというのが六日間続いて一日休むというのでなくして、交代制勤務というのでございますが、たとえば、きょうは八時半から五時まで勤務する、それであと帰る。あしたは八時半から出まして翌朝の八時半まで二十四時間勤務になるわけでございます。実際には休憩が何時間かございますが二十四時間、それで翌日は休みというか非番、そういう勤務をやる、これが外勤警察官でございます。それからそのほか、たとえば交通警察官でございますと、やはりこれは同じ四十四時間勤務でも交通事故の起きやすい時間帯に勤務するということになります。それからまた刑事警察官の中には、たとえば暴力団を担当しております者は夜間勤務をする。そういうことで、一週間の勤務時間をとりますと四十四時間でございますけれども、内容が規則的でなくて不規則な勤務ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/48
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049・中沢伊登子
○中沢伊登子君 たとえば事件が起きたなんというときに非常召集されますね。そういうときの手当、それはどれくらい出ておるのですか、一時間について、出るわけでしょう。いまの朝八時半から夕方五時までいたけれども、何か事件が起きたというために非常召集しますね。そういうときの手当、あるいはいまのデモなんかがありますときに機動隊出て行きますね、ああいう人たち、たとえば東京でたいへん大きなデモがあるとしますね。そうしたら、新聞を見ると、たとえば神奈川県とか千葉県とかいろいろなところから来ますね。そういう方々の一時間の手当、こういうのはどれくらい出しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/49
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050・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) いまお尋ねの問題はまあいろいろの方法がございます。一つは、おっしゃるとおり召集がある。召集がありまして時間が多くなる。それは一つは超過勤務手当ということで解決する方法があります。しかし、超過勤務手当という手当の問題よりも、数時間連続しておりますために、しかるべき休憩を、休暇を与えることが適当な場合には代休と申しますか、翌日勤務を少なくするという方法がございます。
それで超過勤務手当なんですが、これはまあ各人の給与によって異なりますが、警察官になったばかりの、採用、実務についたばかりの者が今日三万六千円ぐらいの俸給でございますが、月給でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/50
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051・中沢伊登子
○中沢伊登子君 それは高等学校を終えた人ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/51
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052・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) そうでございます。これ高等学校出て、警察学校一年終えた者、これが月にまあざっと百八十時間勤務するとしまして、一時間当たり二百円ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/52
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053・中沢伊登子
○中沢伊登子君 それからもう一つお尋ねなんですが、さっき華道や茶道を勉強させるという話がありましたが、それは何か寮みたいに入っている警察官もあるわけですか。若い警察官ですね、家から通勤しないで、どこか警察の寮みたいなものがあるわけですか。そういうところでやらしていらっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/53
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054・土金賢三
○政府委員(土金賢三君) お答えいたします。
先ほど御説明申しました機動隊の寮ですね、機動隊の寮にそういう先生をお招きして、そこでそういうことを講習というか、そういうことをやっていただいているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/54
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055・中沢伊登子
○中沢伊登子君 もう一つ伺いたいんですが、派出所がありますね、駐在所。駐在所につとめている巡査——家族がございますね、そういう方もあそこにいらっしゃるけれども、やっぱり事件があったりいろいろなことで二十四時間勤務みたいです。派出所にいる方、このごろ何というのですか、駐在所といいますか、家族をかかえていらっしゃる、こういう方の手当はどうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/55
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056・今泉正隆
○説明員(今泉正隆君) おっしゃるとおり、これは駐在所と申しますが、家族と一緒に公私の生活をしておるわけでございますが、こういう場合に、本来の勤務時間以外に勤務につく場合がございます。その場合にその警察官に超過勤務手当が出るわけでございますが、なお、おっしゃいますように、そういう超過勤務ということでなくて、一般的にいって二十四時間的なところがございます。この点につきましては、通常われわれは奥さん手当と称しております。現在、月四千円の手当を一応これは奥さんに上げるという形で報償金が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/56
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057・中沢伊登子
○中沢伊登子君 もう一つ聞かしてください。
それで、よく私どもも地域で言われるのですけれども、そういう駐在所の宿舎ですね、建物、家族が住んでいるところがたいへんきたなくなって、古くなって、もう奥さんが台所で働こうにも足がぬれたりたいへんなところがあるようです。そういうものを建て直すとき、少し私どもも、二十四時間みたいなことだし、いま奥さん手当があるというのでたいへんうれしかったのですが、これもたった四千円ですけれども、そういう中で、夜、夜中でも道を尋ねてきたり、酔っぱらいがタクシーに乗って、タクシーの運転手が家がわからないで起こしたりいろいろなことがあるわけですね。そういう中で、せめて住宅くらいは、広くはありません、たいへん狭いところですけれども、気持ちよく住んでもらいたいなと、こう思っているのですが、それはいわゆる自治会が負担をしなければいけないのか、そこら辺の住居の改築といいますか修繕といいますか、そういうものは気をつけていただけるのか、どうなっているのでしょうか。そこら辺ひとつ伺わしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/57
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058・土金賢三
○政府委員(土金賢三君) 警察官の住宅でございますが、駐在所におきましては、これは県費と国の補助金でもってそういう駐在所を建てているのが原則でございますけれども、なかなかそれが建て切れないで県のほうにお願いして建てるというものも、現状では相当その県の単独費用と申しますか、県単で建てていただくというふうなものも現在までには相当あったわけでございますが、これにつきましては、今度要求というか、来年度予算で要求いたしましていることでございますが、これを全部国の補助金を必ず出して建てるようにいたしたい。こういう計画を立てまして、県のほうに御迷惑をかけないような方法で建てるようにいたしたいということで現在来年度予算の要求をいたしております。
なお、それ以外の一般の警察官の住宅でございますが、これにつきましてはいろいろの方法がございますが、まず当面私ども力を入れております点は、警察官のいわゆる待機宿舎というのがございますが、これは独身者の寮もございますけれども、それ以外に家族向けの寮というものがございます。家族向けのやはりそういう待機宿舎というものもございまして、名前は待機宿舎ということでございますが、これは住宅でございますが、こういうものをやはり国のこれは補助金でございますが、補助金を出しまして全国的に相当これは建てております。そのほかに警察の共済組合がございまして、この警察の共済組合の投資によりまして、たとえば三十年償還とかそういう相当長い期間をもちまして県のほうから出資というか出していただきまして、その利子の償還については県のほうから出していただくわけでありますが、資金は共済組合の資金を活用しまして、これによってそういった住宅を建てておるというふうな例もございます。いろいろあらゆるそういうふうな点を考慮しまして住宅の充実という点については努力をいたしているわけでございますが、まだ十分というわけではございませんが、今後も引き続いて努力いたしたいと、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/58
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059・中沢伊登子
○中沢伊登子君 もちろん私どもも警察官の皆さんが治安を維持してくださるものですから、それこそ夜もまくらを高くして休めるものですから、地域にあるそういった警察官の宿舎がたいへんきたなくなった、こういうふうなことを皆さんで気がついて、持ち寄って、もう少し何とかしようじゃないかということに対しては、私どももお手伝いすることはやぶさかではございませんし、とにかくいろいろな意味で命を的にして働いていらっしゃる方も多いようですから、その点十分にねぎらってあげていただきたい。こういうふうに思いますと同時に、この間からもいろいろな事件が引き続き起こりましたので、この点では先ほどから同僚の議員もいろいろ御指摘になりましたので、その点はこれを今後も十分注意をしていただきたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106714720X00419711207/59
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060・玉置猛夫
○委員長(玉置猛夫君) 本件に対する調査はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十分散会
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