1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十七年三月十日(金曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 鬼木 勝利君
理事 大坪 保雄君 理事 神田 博君
理事 藏内 修治君 理事 地崎宇三郎君
理事 岡田 利春君 理事 相沢 武彦君
理事 伊藤卯四郎君
有馬 元治君 鹿野 彦吉君
進藤 一馬君 菅波 茂君
川俣健二郎君 細谷 治嘉君
松本 七郎君 田畑 金光君
田代 文久君
出席国務大臣
通商産業大臣 田中 角榮君
労 働 大 臣 塚原 俊郎君
出席政府委員
通商産業省公害
保安局長 久良知章悟君
通商産業省鉱山
石炭局長 莊 清君
通商産業省鉱山
石炭局石炭部長 青木 慎三君
労働省職業安定
局失業対策部長 桑原 敬一君
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二月九日
臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案
(内閣提出第二三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案
(内閣提出第二三号)
石炭対策に関する件(石炭対策の基本施策及び
朝日炭砿災害に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/0
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001・鬼木勝利
○鬼木委員長 これより会議を開きます。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
先般、委員各位の御推挙によりまして、引き続き委員長の重責をになうことになりました。まことに光栄に存ずる次第でございます。
皆さま御承知のとおり、わが国の石炭鉱業は依然として困難な状況にございます。このような事態を直視した新しい石炭対策の確立を推進すべく、当委員会の使命はまことに重大だと存じております。
幸いにいたしまして、御経験豊かな委員各位の御協力、御支援を賜わりまして、委員会の円滑な運営をはかってまいりたいと存じております。何とぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/1
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002・鬼木勝利
○鬼木委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。
石炭対策の基本施策について、まず、塚原労働大臣から説明を聴取いたします。塚原労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/2
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003・塚原俊郎
○塚原国務大臣 石炭鉱業に関する当面の労働諸問題について、一言所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。
最近の石炭鉱業の動向は、昨年十二月、石炭鉱業審議会体制委員会の「新長期石炭対策実施までの間における緊急対策について」の決議にも見られるように、その前途はきびしいものがあります。
このような情勢に対処し、労働省といたしましては、石炭鉱業審議会の答申の趣旨に沿って、まず、炭鉱労働者の労働条件と福祉の向上を促進し、雇用の安定をはかってまいる所存であります。
他方、石炭政策の進行に伴い、今後やむを得ず閉山する炭鉱の離職者につきましては、従来の経験を十分生かして援護対策を推進し、その再就職に万全を期する所存であります。
また、石炭鉱山における労働災害の防止につきましては、労働省として、労働者の保護及び福祉向上をはかる見地から重大な関心を持ち、通商産業省に対し、災害防止に関する勧告を数回にわたり行なってきたところであります。
特に、労働省では、近年の産業社会の変貌に即した的確な労働災害防止対策を講ずるため、労働安全衛生に関する総合的な法律案を作成し、今国会に提出いたしております。石炭鉱山における安全衛生の確保につきましても、通商産業省と十分な連携を保ちつつ、これらの対策を総合的に実施することにより炭鉱労働者の保護に万全を期してまいります。
さらに、一酸化炭素中毒症に関する特別措置法による健康診断の実施、救急医療措置の確保などについて今後一そうその徹底につとめてまいりたいと存じます。
以上、石炭鉱業に関する労働問題について、所信の一端を申し述べました。今後とも、各位の御意見を十分分拝聴して行政の推進に力を尽くしてまいる所存であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/3
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004・鬼木勝利
○鬼木委員長 次に、昭和四十七年度労働省所管の石炭関係予算の概要について、政府から説明を聴取いたします。桑原失業対策部長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/4
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005・桑原敬一
○桑原政府委員 お手元の資料により御説明を申し上げます。
昭和四十七年度石炭及び石油対策特別会計予算のうち、石炭勘定分の労働省所管分について御説明を申し上げます。
05の炭鉱離職者援護対策費が六十億一千四百五十八万円余でございます。それから06の産炭地域開発雇用対策費が三十九億二千六百十九万円でございまして、合計九十九億四千七十七万円余になっております。今年度に対しまして四億二百七万円余の増でございます。
まず、05の炭鉱離職者援護対策費のおもなものについて御説明申し上げますと、
まず第一に、炭鉱離職者援護対策事務費でございますが、三億二千百八十一万円余で、本年度に対しまして三千七百四十万円余増加いたしておりますが、これは離職者の職業相談、職業紹介あるいは就職指導等を担当いたします就職促進指導官の人件費でございます。
第二は、炭鉱離職者緊急就労対策事業費の補助金でございますが、これが三十億三百万円でございます。本年度に対しまして一億三千八百万円の減になっておりますが、その内訳は、吸収人員が本年度より五百人の減で三千四百人、事業費単価のほうは一人当たり九・七%増になっておりまして三千四百円、こういうふうになっております。
第三は、炭鉱離職者援護事業費の補助金でございますが、その内容は、炭鉱離職者の移住資金、雇用奨励金、労働者住宅確保奨励金等に必要な経費でございまして、雇用促進事業団に対する補助金でございます。十五億五千九十九万円余を計上いたしております。
第四は、炭鉱離職者の職業訓練費の補助金でございます。炭鉱離職者が他産業へ再就職いたします際、これを容易にするために都道府県が行なっております職業訓練の補助の経費でございまして 八千七百七十六万円余を計上いたしております。
第五は、炭鉱離職者の就職促進手当の経費で、ざいまして、十億五千百万円でございます。本年度に対しまして四千八百万円の増でございますが、その内容は、手当の単価が一八%程度アップいたしまして、最高日額を九百四十円から千百十円にいたしております。
次に、06の産炭地域開発雇用対策費でございますが、四十七年度におきましては三十九億二千六百十九万円を計上いたしておりまして、本年度に対しまして四億二千万円の増になっております。その内訳は、吸収人員が本年度同様三千二百人ございますが、事業費の単価のほうを一二%増をいたしまして五千六百円といたしております。
以上、労働省所管分について御説明を申し上げました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/5
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006・鬼木勝利
○鬼木委員長 この際、去る二月十九日、北海道岩見沢市において発生いたしました朝日炭砿のガス突出による災害について、政府から報告を聴取いたします。久良知公害保安局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/6
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007・久良知章悟
○久良知政府委員 去る二月十九日の朝日炭砿の災害におきまして九名の死亡者を出しましたことは、監督の衝にある者として、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。
災害についての御報告を申し上げます。
お手元に「朝日炭砿の災害について」という資料を差し上げてございますので、それによって御報告申し上げます。
朝日炭砿は、北海道岩見沢市朝日町所在の炭砿でございます。朝日炭砿株式会社に所属する甲種炭砿、本坑を稼行する炭砿でございます。社長は野村宗一郎、保安統括者は伊藤計三、保安技術管理者は大江譲でございます。
災害発生個所は、同炭砿本坑のマイナス三百九十メートル水準、第一卸操車巻立坑道でございまして、坑口から千七百六十メートルの個所でございます。
災害が発生いたしましたのは、本年の二月十九日午前九時五十分ごろでございます。
災害の種類は、ガス突出と考えております。
罹災者は、全部直轄夫でございますが、死亡者が九名、それから現在四名の方が美唄労災病院並びに炭鉱病院に入院をしておられます。三名の方はすでに退院をしておられます。
次に、同炭砿の操業の概況でございますが、出炭は、月産約一万トン、鉱山労働者の数は、一月末で三百四十人でございます。稼行しております切羽は、三百二十メートル水準より浅い個所に二払、それから、災害の起こりました三百九十メートル水準に二払でございます。
災害の概況でございますが、二月十九日の午前九時五十分ごろに、三百九十メートル水準の一番層払におりましたこの払の担当係員が圧風を感じたわけでございます。係員は、直ちに誘導無線を使いまして坑外の司令所へ、何か災害があったのではないかという急報をいたしました。保安技術管理者が坑内各所の作業個所へ連絡いたしましたところ、三百九十メートル水準の北部内で災害が発生したらしいということ、それから入坑者九十五名のうちの十六名が行くえ不明であるということが判明したわけでございます。
直ちに、会社といたしましては、九時五十二分に坑内の電源の遮断を指令いたしまして、十時に入坑者全員に対しまして退避の指令を発しております。また、救護隊を招集いたしたわけでございます。十時十分に炭砿幹部が入坑いたしまして、坑内の災害発生個所の偵察を行なったわけでございますが、三百九十メートル水準の巻立坑道で五名の労働者が死亡しているのを発見いたしまして、その遺体を収容したわけでございます。さらに、十時二十分に救護隊が入坑いたしまして、三百九十メートル水準の深部を探検いたしたわけでございますが、巻立坑道の奥と、それから北大坑道で六名の労働者が倒れているのを発見いたしまして、救出をしたわけでございます。残念なことに一名の方はすでに死亡しておられ、残り五名の方を病院に収容、入院をさしたわけでございますが、その後そのうちの三名の方はなくなられまして、二人の方が現在療養につとめておられるわけでございます。引き続きまして救護隊は、誘導無線によりまして、そのまた深部に四名の労働者が生存をしておることを確認しておったわけでございますが、三百九十メートル水準の北大坑道のB2昇に進入いたしまして四名を救出いたしております。さらに、同坑道の引立におりました一名が無事であることを確認いたしまして、救出をいたしております。これらの救出されました五名の労働者は、いずれも呼吸の可能な救命袋に入っていたために窒息を免れたわけでございます。
災害の原因といたしましては、現在、現場を取りあげ中でございますので、最終的な結論が出るにはまだ若干の時間がかかるわけでございますが、現在までに判明いたしました事実は、次のとおりでございます。
第一に、地質学者の研究によりますと、朝日炭砿の稼行炭層でございます朝日來炭層の中には、粒の大きい粗粒砂岩層がございます。これは同炭砿の稼行炭層でございます五番層の下部三十ないし四十メートルの個所にあるわけでございますが、この粗粒砂岩層の中、それからこの砂岩層の近くには、油徴と申しますか、原油がたまたま見られることがあるわけでございます。それから、普通のガス突出の場合には、石炭の粉化されたものが突出をするわけでございますが、今回のガス突出にあたりましては、石炭ではなくて岩石の微粉が突出をいたしております。突出いたしてまいりましたガスを分析しました結果では、石油系のガスであるということが判明いたしております。さらに、災害後、突出個所付近をボーリングをいたしまして調査をした結果によりますと、その付近にやはり油徴とガスのゾーンが認められたわけでございます。
これらの事実から、今回の災害の原因は、石炭ガスの突出ではなくて、粗粒砂岩帯の近くを掘進中に、たまたまその個所に存在しておりました石油ガスに近づきまして、作業のためにかけたハッパが誘因となって石油系のガスの突出を引き起こしたものではあるまいかと推定されるわけでございます。
今後の操業の問題でございますが、三月一日に、朝日炭砿の労使から、札幌鉱山保安監督局に対しまして、操業再開の申請が出てまいっております。監督局の検査の結果、三月二日から、災害の起こりました三百九十メートル水準から約七十メートル上部にあります三百二十メートル水準から浅い部分の全面操業と、それから三百九十メートル水準部内の保安作業に限定をして許可をいたしております。三百九十メートル水準の全面操業につきましては、突出現場のある水準でございますので、再突出の危険性がないということを確認いたしました上で許可をいたす方針でおるわけでございます。今回ガス突出が発生いたしました掘進現場は、調査が完了いたしましたあとには放棄をいたしまして密閉をし、可燃性ガスの流出を防止する方針でおるわけでございます。また、朝日炭砿の今後の深部の開発につきましては、別途に坑道を開さくする必要がございますので、その坑道は、油徴が認められない、ガス突出に対して安全な層内に設けるよう、現在、計画の再検討をさせておるわけでございます。
次に、今後の対策でございますが、ガス突出といたしましては非常に珍しい災害ではございますが、従来のガス突出指定区域に加えまして、第一に新たに油徴のある個所、それから二番目に地層変動個所、三番目に未開発区域を指定区域といたしまして、その指定区域内におきましては、先進ボーリングを実施させる、救命袋、簡易酸素マスクというふうな、突出が万一起こりましたときにも呼吸を可能にする施設を備えさせる、それからまた、突出の誘因となりますハッパ時には、点火のときの退避位置を安全な個所に規格化するというふうな対策を実施させまして、それと同時に保安教育を強化いたしまして、突出発生の未然防止に万全を期させる所存でございます。
その次の図面をちょっとごらんいただきたいと思いますが、「朝日炭砿坑内概念図」の中で、図の左から南部斜坑という斜坑がおりております。これが主要入気でございまして、右側に、本坑斜坑という、やはり斜め左のほうに上がっておる坑道がございますが、これが主要排気でございます。
災害の起こりましたのは、図面の一番下部の、南部斜坑という斜坑がこの図面の一番端まで下がっておりますが、ここにマイナス三百九十mL、カッコして千六百メートルとなっておりますが、この坑道が水平に移りまして、左のほうにぐるっと回って第1卸巻立と書いてございます。この巻立坑道の一番端、引立で突出が起こったわけでございます。水平に波線で書いてございますのが計画第1卸というふうになっておりますが、こういう卸を新たに開さくをいたしまして深部開発に移ろうとしておったわけでございます。その開発途中の第1巻立で災害が起こったということでございます。
次のページに、いまの図面をやや拡大して書いてございますが、横に斜めに南部斜坑と書いてございます。これはいまの千六百二十七メートルの斜坑でございます。この斜坑の一番右の端、奥のほうから左にぐっと回っておるわけでございますが、この回った一番先で突出が起こったわけでございます。その突出個所には係員一名と鉱員三名が稼働いたしておりました。それから、この右の端のまん中、マイナス三百九十mL北大坑道と書いてございますが、その坑道の一番端、引立に、四角に囲みまして係員一名、鉱員三名と書いてございますが、ここにこの四名の人が稼働いたしておりました。それから、その少し手前から左に、マイナス三百九十mL北大坑道B2昇と書いてございます。ここにやはり係員一名、鉱員三名が稼働しておったわけでございます。
災害が起こりました結果、多量のガスが出まして、これが、入気側と申しますか、坑口側と排気側に流入いたしまして、中に所在しておりました労働者の方の呼吸を困難にし、ガスの非常に濃厚な個所におられた方は死亡されたわけでございます。マイナス三百九十mLの巻立というところにかけじるしが五つ、それからその少し奥に一つというふうにかけじるしが入っておりますが、この個所で罹災し死亡しておられたわけでございます。それから、との北大坑道の一番深部で稼働しておりました係員、鉱員のうち三人が助かったわけでございますが、その三人は入院をしたわけでございます。それから、この昇のほうに稼働しておりました四名の人は、ここで呼吸袋の中に入っておって助かったということでございます。
その次の図面をちょっとごらんいただきたいと思いますが、これはさっきの図面をさらに拡大した図面でございます。左のほうに斜めに走っておりますのが三百二十メートルの坑道、それから右側が三百九十メートルの坑道でございまして、この坑道で油徴のありました場所、それから粗粒砂岩の個所が示してあるわけでございます。薄い斜線で示したところに粗粒砂岩がございまして、濃い二重の斜線で示してありますところに油徴があったわけでございます。この油徴は坑道ボーリングで確認したものでございます。大部分は推定で書いてあるわけでございますが、この引立面に空洞がかなりあったということが、この図面に明らかに出ておるわけでございます。
いずれにいたしましても、この炭砿におきましては石油系のガスの突出というものをわれわれとしても初めて経験をしたわけでございます。これを基礎にいたしまして、今後同種の災害の防止に努力していきたいと存じておる次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/7
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008・鬼木勝利
○鬼木委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/8
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009・鬼木勝利
○鬼木委員長 速記を起こして。
通商産業大臣がお見えになりましたので、引き続き、石炭対策の基本施策について、田中通商産業大臣から説明を聴取いたします。田中通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/9
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010・田中角榮
○田中国務大臣 最初に、本年二月十九日に、北海道岩見沢朝日炭砿におきまして、罹災者十六名を伴う災害の発生を見ましたことは、所管大臣としてまことに遺憾であり、保安行政面において今後一そうの努力を払う決意をここにあらためて表明する次第でございます。
御高承のとおり、わが国の石炭鉱業を取り巻く情勢は、いわゆるエネルギー革命の進行の中で逐年きびしさを増しており、国の助成、需要業界の協力及び労使一体となった企業努力にもかかわらず、石炭鉱業は漸次縮小のやむなきに至ってまいりました。
政府といたしましては、かかる石炭鉱業の苦境に対処いたしまして、昭和三十八年度以来四次にわたり、国会をはじめ関係各方面の御協力のもとに、石炭対策の拡充につとめ、炭鉱における保安の確保をはかるとともに、石炭鉱業の合理化と再建を可能な限り支援する措置を講じてまいったのでございます。また、やむを得ず発生する閉山が、従業員及びその家族並びに地域の経済社会に与える影響を極力緩和する見地から、閉山、離職者対策、鉱害復旧、産炭地域振興等の諸施策についても、その充実をはかってきた次第でございます。特に、昭和四十四年度から発足したいわゆる第四次石炭対策におきましては、それまでの諸施策に加えて、総額八百五十億円にのぼる第二次債務肩がわりの実施、石炭鉱業合理化事業団による無利子貸付制度の拡充、石炭鉱業安定補給金の引き上げ等、助成の大幅拡充を行なうとともに、その後においても、逐年対策の改善につとめてまいったところでございます。
しかしながら、わが国の石炭鉱業は、かかる国の助成の拡大強化にもかかわらず、今日なお全体として困難な状況を脱するに至っておらないのでございます。特に最近は、採炭条件の悪化、コストの増大、労務者確保及び資金経理上の困難等、石炭鉱業内部の諸条件が一段と悪化している上に、公害規制の進行、経済活動の国際化、平価調整等、従来にない新しい事態が出現し、国内石炭の需要動向に、以前にない重大な困難をもたらしており、将来のわが国エネルギー需給構造のうちにおいて国内石炭が占める地位に関し、新たな問題点を提起せしめるに至っておるのでございます。
このような石炭鉱業の内外の諸条件の著しい変化にかんがみ、政府におきましては、現行の第四次石炭対策の期限とされている昭和四十八年度末の到来を待たず、新しい情勢の進展に対応した長期的石炭対策を策定することが必要と考え、このため、昨年九月以降石炭鉱業審議会体制委員会を再開して、将来の石炭及び石炭対策のあり方について根本的な検討を行なっておるのであります。私といたしましても、さきに申し上げたような石炭鉱業をめぐる情勢の著しい変化のもとで、これまでの国の対策のあり方をも含め、過去の経験をこの際率直に反省し、わが国の石炭の将来像及び問題の所在の的確な見通しの上に立って、実態に即し、かつ、時代の要請に真に合致した対策を確立することの必要性を痛感しており、今後とも広く各界の忌憚なき意見が審議会の慎重な審議に反映され、適切な結論が得られることを期待しておる次第でございます。
次に、当面の諸対策について、申し上げます。
まず、石炭鉱業につきましては、石炭各企業の経理状況がきわめて悪化しておる現状にかんがみ、昨年十二月に石炭鉱業審議会体制委員会から提出された当面緊急の対策に関する決議に基づき、本年度につきましては石炭鉱業合理化事業団に対する近代化資金の返済の猶予を行ない、また、昭和四十七年度におきましては、坑内骨格構造の整備拡充及び保安の確保をはかるための助成の拡充強化並びに石炭鉱業安定補給金のうち一般炭単価の引き上げ等を行なうほか、不測の閉山の増加に対処するための借り入れ金制度を設ける等、対策の拡充を行なうこととしておるのであります。
次に、鉱害復旧対策につきましては、昭和四十四年度末で総額約一千三百八億円にのぼる残存鉱害の計画的復旧をはかるため、昭和四十七年度においても引き続き復旧事業予算の拡充を行なうほか、特に、本年七月末をもって期限の到来する臨時石炭鉱害復旧法及び石炭鉱害賠償等臨時措置法について、最近における諸情勢の変化に即した改善を加えつつ、その十年延長を行なうため、今国会に臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案を提出いたしておるのであります。
また、産炭地域振興対策につきましても、石炭鉱業の長期不況により疲弊した産炭地域の振興をはかるため、諸般の施策を引き続き拡充するとともに、右臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案の内容の一つとして、産炭地域振興臨時措置法の一部改正し、産炭地域進出企業に対する地方税の減免を国が補てんする措置の拡大をはかることとしておるのであります。また、政府といたしましては、全国土にわたり均衡ある工業の発展を促進するため、新たに昭和四十七年度から、工業の全国的再配置を推進する総合的政策を展開することとし、今国会に関係の法案を提出しておりますが、この際、現在の産炭地域振興事業団を新たに工業再配置・産炭地域振興公団に拡大改組し、従来の産炭地域振興業務のほか、工業再配置促進のための業務を行なわせることとし、このための産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案を提出いたしておるのであります。私といたしましては、従来の産炭地域振興施策に加え、この工業再配置促進のための施策の実施によって、産炭地域に対する企業の進出がより一そう促進され、産炭地域の経済発展に貢献することとなるものと期待しておるのでございます。
最後に、石炭対策特別会計法の改正について申し上げます。
政府におきましては、今国会に石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案を提出しておりますが、これは、昭和四十七年度においては、不測の閉山の増加により閉山交付金等の財源に不足が生じた場合は、借入金をもってその不足財源に充てることができるものとするとともに、昭和四十七年度から、現行の石炭対策と並んで、新たに石油対策につきましても、原重油関税収入の一部を特定財源として対策を購ずるため、現行の石炭対策特別会計を、新たに石油対策に関する予算措置を付加して石炭及び石油対策特別会計とし、あわせて同会計の期限を、昭和五十一年度まで延長することとするものであります。もとより、今般の改正によって、石炭対策の推進に関する政府の基本方針に変更が行なわれるものではなく、石炭対策につきましても、今後とも同特別会計の中で引き続き所要対策財源の確保をはかってまいる所存でございます。
以上、石炭対策に関し所信の一端を申し述べました。本委員会におかれましては、かねてから石炭対策の推進につきまして深い御理解と御協力を賜わっておりますが、終わりに臨み、今後とも変わらぬ御支援、御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/10
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011・鬼木勝利
○鬼木委員長 次に、去る二月九日に付託されました内閣提出の臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。田中通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/11
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012・田中角榮
○田中国務大臣 ただいま議題になりました臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
本法律案は、第一に臨時石炭鉱害復旧法の一部改正、第二に石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部改正、第三に産炭地域振興臨時措置法の一部改正をその内容とするものでございます。
まず、鉱害関係二法の改正でございますが、これまで、政府といたしましては、この二法に基づきまして、鋭意鉱害復旧の促進、鉱害賠償の円滑な実施につとめてまいったところであります。この結果、本年度までにすでに処理いたしました鉱害は、これまでに発生した鉱害の半ばをこえるに至っておるのでございますが、なお、復旧費にしまして一千億円をこえる鉱害が残存し、さらに石炭鉱山の相次ぐ閉山とともに無資力鉱害の激増を招き、鉱害問題は、いまだに深刻な状況にございます。
このため、政府といたしましては、昨年八月の石炭鉱業審議会の答申を中心に最近の鉱害処理対策に対する要請を勘案いたしまして、本年七月末までに廃止するものとされております鉱害関係二法につきまして、所要の期限延長をするとともに、あわせて、最近における鉱害をめぐる社会的経済的環境の変化に即して、より効率的かつ計画的な鉱害復旧を実施し得るよう、所要の改善を行なうこととする次第でございます。
次に、産炭地域振興臨時措置法は、石炭鉱業の不況の進行がもたらす産炭地域の経済的、社会的疲弊を回復するため、同地域における鉱工業等の急速かつ計画的な発展等をはかることを目的といたしておるのでございますが、今般の改正は、産炭地域に対する企業進出の一そうの促進をはかる必要があることにかんがみ、地方税の減免を補てんする措置を拡充強化しようとするものでございます。
以下、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
第一条は、臨時石炭鉱害復旧法の改正でございます。
その内容の第一は、同法の延長についてでございます。臨時石炭鉱害復旧法は、昭和四十七年七月三十一日までに廃止すべきものとされておりますが、残存鉱害の状況にかんがみまして、昭和五十七年七月三十一日まで十年間の延長を行なうことといたしておるのでございます。
第二は、この法律に基づく復旧の対象となる公共施設の追加を行なうものでございます。すなわち、新たに工業用水道及び公園を鉱害復旧の対象とするとともに、その他の公用または公共用施設につきましても、政令で追加することができるようにすることといたしておるのでございます。
第三は、鉱害復旧長期計画に関してでございます。すなわち、今後十年間における残存鉱害の計画的かつ効率的な処理をはかるため、新たに、鉱害復旧長期計画を作成公表することといたしております。
第四に、復旧不適農地及び家屋等に対する措置に関してであります。復旧不適農地につきましては、従来の要件を緩和いたしまして、復旧することが著しく困難な場合に加えて、復旧することが著しく不適当な場合におきましても石炭鉱害事業団が金銭補償を行ない得ることとし、さらに、被害者保護の一そうの徹底をはかるため、被害者の申し出があった場合には、石炭鉱害事業団が復旧不適農地を買い取る制度を新設いたしております。
また、復旧することが著しく困難または不適当な家屋等につきましても、農地の場合と同様に金銭補償を実施する制度を新設いたすこととしております。さらに、賠償義務者が無資力または不存在の場合の金銭補償の費用について国及び都道府県が補助することといたしておるのでございます。
その他、鉱害地域における都市化の進展等、土地利用状況の推移に即しまして、農地から宅地への転換復旧を、被害者の理解を得つつ促進するため、みなし復旧工事の補助率を引き上げることといたす等、所要の改善措置をあわせ購ずることといたしておるのでございます。
第二条は、石炭鉱害賠償等臨時措置法の一部所正でございます。
そのおもなる内容は、第一に、臨時石炭鉱害復旧法と同じく、本法の期限を昭和五十七年七月三十一日まで十年間延長するとともに、第二に、鉱害賠償積立金について、いわゆる無資力復旧の取り扱いを受けた鉱業権者の取り戻しの制限を行なうこと等であります。
第三条は、産炭地域振興臨時措置法の一部改正についてでございます。
その内容は、現在、同法におきましては、産炭地域における工場立地を促進するため、関係地方公共団体が地方税のうち不動産取得税、固定資産税を減免した場合の税収減を、普通交付税で補てんする措置を講じておりますが、このたび、企業誘致の一そうの促進をはかるため、同措置の対象として、新たに事業税を加えることといたした次第でございます。
以上が、この法律案の提案理由及び要旨でございます。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/12
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013・鬼木勝利
○鬼木委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/13
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014・鬼木勝利
○鬼木委員長 続いて、石炭対策に関する件について調査を進めます。
昭和四十七年度通商産業省所管の石炭関係予算の概要について、政府から説明を聴取いたします。荘鉱山石炭局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/14
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015・莊清
○莊政府委員 お手元に、「昭和四十七年度石炭及び石油対策特別会計(仮称)予定額総表(石炭勘定分)」という資料、及び「昭和四十七年度一般会計(石炭関係)歳出予定額総括表」という二つの資料をお配りいたしております。また、説明資料といたしまして、「昭和四十七年度石炭対策予算案について」という資料を提出してございますので、以下、この資料に沿いまして、四十七年度の石炭関係の特別会計、一般会計予算案の御説明を申し上げます。
なお、御説明の内容といたしまして公害保安局の部分も含まれておりまするが、あわせて御説明を申し上げます。
昭和四十七年度石炭対策予算予定額は、特別会計が千一億五千万百円で、一般会計が五千百八十九万一千円となっております。
まず、特別会計について御説明申し上げます。
昭和四十七年度におきましては、これまでの石炭対策のほか、新たに石油対策につきましても、原重油関税収入のうちいわゆる十二分の二を特定歳入として、特別会計により対策を講ずることとしており、このため、現行の石炭対策特別会計に新たに石油対策を付加して、石炭及び石油対策特別会計に改組することといたしております。このため、石炭対策特別会計法の一部改正法案を今国会に提案申し上げておる次第でございます。したがいまして、昭和四十七年度の石炭対策にかかる特別会計予算の予定額は、石炭及び石油対策特別会計の中の石炭勘定予算の予定額として作成いたしております。この場合、石炭勘定の歳入としては、従来どおり、原重油関税収入のいわゆる十二分の十を充てることといたしております。
石炭勘定予算予定額の総額は、歳入歳出とも千一億五千百万円で、前年度の当初予算額を五十九億二千七百万円下回ることとなっておりますが、予算案の作成にあたりましては、財政投融資等の活用もあわせ、許された財源の中で極力対策の拡充につとめるとともに、特に、昨年十二月に石炭鉱業審議会体制委員会から提出された当面の緊急対策に関する決議につきましては、これを十分尊重して、その内容の実現をはかることといたしております。
以下、歳出の主要内容について御説明いたします。
まず、炭鉱整理促進費でございます。
四十七年度の炭鉱整理促進費補助金、いわゆる閉山交付金及び離職金は、百十一億五百万円を予定しており、同年度中に処理すべき閉山規模を三百十万トンと見込んで算定いたしております。
また、体制委員会の決議におきましても閉山交付金等の原資の確保が要望されているところでありますが、四十七年度は財源上予備費を大幅に計上することが困難でありますので、万一不測の閉山の増加により所要資金に不足を生じた場合は、特別会計の石炭勘定において別途借り入れを行なってこれに充てる措置を講ずることとしております。このため、石炭対策特別会計法の改正に際しまして、その旨の規定を法律の条文として設けるということにいたしておるのでございます。
第二に、石炭鉱業生産体制改善対策費について申し上げます。
この項目の中心は、坑内骨格構造整備拡充等補助金であります。
石炭鉱山における坑内骨格構造の整備拡充は、能率の向上、出炭の安定及び保安の確保の見地からきわめて重要であり、体制委員会の決議におきましても、本件補助金の充実が期待されているところであります。このため、四十七年度におきましては、補助単価の実質的引き上げとなるよう運用の改善を行ないつつ、補助金額を前年度の四十四億四千百万円から四十八億一千二百万円に引き上げることといたしております。
第三に、石炭鉱業合理化事業団出資金について申し上げます。
石炭鉱業合理化事業団に対する出資金は、同事業団が炭鉱に対し行なう設備近代化、新鉱開発等に対する無利子融資及び近代化機械の貸与等の原資に充てるためのものであります。四十七年度におきましても、前年度と同額の百五億円といたしております。
第四に、石炭鉱業経理改善対策費について申し上げます。
本件項目は、石炭企業の累積債務についての、いわゆる第一次肩がわり、これは石炭鉱業元利補給金、総額一千億円。四十七年度予算予定額九十四億九千三百万円となっております。及び、第二次肩がわり、これは石炭鉱業再建交付金、総額八百五十億円。四十七年度予算予定額六十億九千六百万円でございます。並びに、石炭企業に対し、生産トン数に応じて一定の単価により交付する石炭鉱業安定補給金、これは四十七年度予算予定額百十一億二千八百万円でございます。これらから成っております。
四十六年度予算に比べて、元利補給金は十億七十五百万円、再建交付金は五億一千万円の減額となっておりますが、これは対象企業の閉山によるもので、算定方式は従前どおりでございます。
また、安定補給金につきましては、体制委員会の決議において要望された緊急対策の最重点事項として、炭鉱の経理改善の見地から、一般炭の単価をトン当たり百五十円引き上げることといたしております。
第五に、石炭需要確保対策費、いわゆる石炭増加引取交付金について申し上げます。
石炭増加引取交付金は、前年度四十九億九千万円とほぼ横ばいの五十億円を予定いたしております。算定の方式は従前どおりでございます。
第六に、石炭鉱業保安確保対策費について申し上げます。
保安確保対策の重要性にかんがみ、四十七年度におきましては、新たに坑内冷房及び防爆電灯の設置を補助事業の対象に追加する等の改善をはかりつつ、対策費として二十億二百万円を予定いたしております。なお、前年度は十九億八千五百万円でございます。第七に、石炭鉱業合理化事業団補給金について申し上げます。本件項目は、新規項目でございまして、石炭鉱業合理化事業団の体質の強化をはかるため、業務経費の一部を補助することとするものでございます。予算額は一億八百万円を予定しております。第八に、鉱害対策費について申し上げます。石炭鉱業の残存鉱害は、四十五年九月に通商産業省において取りまとめた全国鉱害量調査の結果、四十四年度末現在で約千三百億円にのぼっており、その計画的復旧が重要となっております。このため、本年七月をもって期限切れとなる鉱害関係二法につきまして、その十年延長をはかることとし、このため、臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案を御提案申し上げておる次第でございますが、別途予算面におきましても所要の対策費を確保することとし、四十七年度の鉱害対策費は、前年度を十一億六千六百万円上回る百五十一億六千万円を予定いたしております。このらち、鉱害復旧事業費補助金は百二十億九千四百万円で、これにより、復旧事業規模を四十六年度の百四十五億六千万円から、四十七年度は百六十四億六千四百万円に引き上げることとしたほか、所要の制度面の強化を行なっております。また、鉱害防止融資及び鉱害賠償融資の原資となる石炭鉱害事業団出資金は、四十七年度は十三億五千万円と、前年度の二十億円より減額となっておりますが、同事業団の実際の融資規模は、償還金等の活用によりまして、前年度を上回る規模を確保することといたしております。第九に、産炭地域振興対策費について申し上げます。産炭地域振興対策は、産炭地域について産業基盤の整備、企業の誘致、地方財政の援助等を通じて、石炭鉱山の閉山がもたらす地域経済の疲弊を可及的に回復することをねらいとして実施されております。四十七年度においては、合計八十億八百万円の予算を予定いたしております。
その内訳は、産炭地域小水系用水開発事業費補助金五億六千四百万円、前年度が四億九千三百万円でございます。産炭地域振興臨時交付金十二億九千九百万円、前年度が十四億円でございます。工業再配置・産炭地域振興公団出資金五十六億六千万円、前年度と同額でございますが、等であります。
産炭地域振興臨時交付金は、閉山があった市町村に対し四年間にわたって一定の交付金を交付するものでございますが、この場合、第二年度目の交付金額は初年度の七五%、第三年度目は五〇%、第四年度目は二五%と、逓減することとなっております。四十七年度におきましては、産炭地域市町村財政の現状にかんがみまして、第四年度目の二五%を四〇%に引き上げることといたしております。
次に、現在の産炭地域振興事業団につきましては、四十七年度から新たに工業再配置・産炭地域振興公団に拡大改組することとし、このため、産炭地域振興事業団法の一部改正法案を御提案申し上げておる次第でございますが、したがいまして、産炭地域振興事業団に対する特別会計からの出資は、四十七年度からは同公団に対する出資とすることとしております。この場合、公団におきましては、産炭地域振興業務と工業再配置業務とについて、それぞれ区分勘定を設けて対策費の運営に当たることとしております。また、四十七年度五十七億六千万円の出資は、前年度と同額でございますが、別途財投からの借り入れを、前年度の八十六億円から百十四億円に引き上げることとしており、これによりまして、前年度の約百六十億円の規模を大幅に上回る事業規模、約百九十四億円を確保することといたしております。
第十に、炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費でございますが、これら二項目は、先ほど労働省政府委員から御説明申し上げたとおりでございます。
第十一に、国債整理基金特別会計への繰り入れについて御説明申し上げます。
この項目は、特別会計の過去における借入金の元利の返済でございまして、四十七年度は、四十四年度に借り入れた三十五億円の返済を行なうため、五十億千七百万円、前年度は十七億円でございますが、といたしております。
最後に、予備費について申し上げます。
予備費は、四十六年度は三十五億円といたしておりましたが、四十七年度は、財源の関係上、二億円にとどめてございます。
以上が石炭勘定についての御説明でございます。
次に、一般会計予算について御説明申し上げます。
昭和四十七年度の石炭関係一般会計予算予定額は五千百八十九万一千円で、前年度に比べて三百六十八万一千円の減額となっておりますが、これは亜炭鉱業整備共済事業補助金の減少によるものでございます。
次に、そのおもなるものについて御説明申し上げます。
第一に、海外原料炭開発株式会社に対する補助金でございます。
海外原料炭開発株式会社は、石炭業界と鉄鋼業界の共同出資によって設立したものであり、海外の原料炭資源に関する資料、情報の収集及び基礎的予備調査を行なっております。
本件補助金は、鉄鋼用原料炭の確保が長期的に重要な課題となっていることにかんがみ、同社の事業の補助を行なうもので、四十七年度は二千十七万一千円を予定いたしております。
第二に、亜炭鉱業の生産体制改善に必要な経費について申し上げます。
亜炭鉱業における炭層探査を促進し、合理的な坑道掘進を行ない、生産体制を改善するための費用の一部を補助するためのものであり、四十七年度予算予定額は、前年度と同額の千三百七十九万八千円といたしております。
第三に、亜炭鉱業整備共済事業補助に必要な経費について申し上げます。
全国亜炭鉱業協会におきましては、四十五年度から、亜炭鉱山の閉山の円滑化をはかることを目的として、亜炭鉱業整備共済事業を行なっておりますが、本件補助金は、同事業に要する資用の三分の二を補助するものであります。昭和四十七年度の予算予定額は九百三万四千円で、前年度の千三百三十六万七千円を四百三十三万三千円下回っておりますが、これは、対象事業量、つまり閉山トン数でございますが、対象事業量の減少によるものでございます。
以上をもちまして御説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/15
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016・鬼木勝利
○鬼木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804589X00219720310/16
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