1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十七年五月二十四日(水曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 高橋 清一郎君
理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君
理事 古川 丈吉君 理事 本名 武君
理事 水野 清君 理事 古川 喜一君
理事 中野 明君 理事 栗山 礼行君
宇田 國榮君 小渕 恵三君
亀岡 高夫君 佐藤 守良君
中村 拓道君 羽田 孜君
林 義郎君 阿部未喜男君
武部 文君 土橋 一吉君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君
出席政府委員
郵政政務次官 松山千惠子君
郵政大臣官房長 森田 行正君
郵政大臣官房電
気通信監理官 柏木 輝彦君
郵政省電波監理
局長 藤木 栄君
郵政省人事局長 北 雄一郎君
委員外の出席者
逓信委員会調査
室長 佐々木久雄君
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五月二十三日
庶民金融制度確立に関する陳情書外一件
(第三〇六号)
電信電話設備の拡充のための暫定措置に関す
る法律等の一部を改正する法律案反対に関す
る陳情書外一件
(第三〇七号)
地方公共団体の広報紙の第三種郵便物適用に関
する陳情書
(第三五六号)
函館地方貯金局の存続に関する陳情書
(第三五七号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
有線テレビジョン放送法案(内閣提出、第六十
五回国会閣法第一〇二号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/0
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001・高橋清一郎
○高橋委員長 これより会議を開きます。
有線テレビジョン放送法案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗山礼行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/1
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002・栗山礼行
○栗山委員 私は、廣瀬郵政大臣に、本論に入りますまでに、一、二の所見を申し上げて御参考に供してまいりたい、かように考えております。あえて御答弁は求めたいと存じておりません。
実はきょうの理事会で、審議の日程についていろいろ理事会としての協議がございましたが、この法案の審議に入るにあたりましては、御承知のとおり三回の継続審議になっておる法案でございまして、ようやくこの問題に取り組んでまいろうということで、関係方面の参考人の意見を聴取いたしましたり、あるいはまた各党の質問を展開いたしまして、おおむね明日の委員会を通じまして大体質疑の終了で、どのようにはかってまいるか、こういう内容を持っておることは御高承のとおりであろうか、こう思うわけでございます。ただし、この問題につきましては、いろいろ与野党の内部に法案自身についての意見がございまして、単なる質疑でこれを採決していただくということでなくて、十分に審議を尽くし、さらに両方の問題点については、与野党でもし修正点がありとすれば、共同の立場で、謙虚に修正に応ずる方向で審議を進めていこう、こういう合意が実はございまして、理事会でそのような意思のもとに今日まで進めてまいった。きょう新聞でごらんのように、自民党の通信部会が、いわゆる野党の同調を求める法律改正案の内容が麗々しく載ってまいった、こういうことでございまして、この事柄については、審議を進めてまいりました本旨と反する経過が出てまいっておる。野党といたしましても、やはり与党の意見も伺いつつ、あるいは場合によりましたら、たたき台をひとつ御提示願いつつ野党の意見等も十分に述べまして、そして共通の問題点をつくりまして、ひとつ法案改正の方向づけをしてもらいたい、こういうことでございましたが、どういうことでございましょうか。自民党さんは通信部会が存知しないとか、あるいは出先の理事の先生方が存知しないというようなことでございました。まことに残念な経過が出てまいりまして、実はきょうはこの問題の審議に応ずることはいかがなものかというような議論も展開いたしてまいりましたことは事実でございますが、いろいろ話し合いまして、審議は十分尽くすべきである。そして当初の約束をされました方向によって与野党が共通の問題を持って、この法案をどういうふうに改正することが望ましいか、あるいは方向づけをすることが望ましいかということで、協議をいたしてまいろうというようなことを基本にいたしまして審議に入ったということを、大臣が御明察をいただかなくちゃならぬきょうの経過であるということでございます。
なお、これにつけ加えまして、郵便貯金のいわゆる庶民金融の貸し出し制度の問題について大臣の御苦労されておる事柄については、私どもも敬意を表しつつ、また野党の立場におきましても、これの実現を目ざすあるべき姿というものについて対処してまいりたいということで、いろいろそれぞれの党の立場におきまして検討を加えておりましたことは事実でございます。また、場合によりましたら、ひとつ与野党の共通の場としてこの問題を解決する道がなかろうかというような御苦労をされておる関係者もございますことも、御承知のとおりであろうかと思うのでございますけれども、が然この中に、郵便貯金の金利の引き下げの問題が出てまいりまして、大臣は強硬にこれに抵抗と反対の意思を示されておるということについて、私どもは拍手を送り、それの実現を期待いたしておったのでありますけれども、新聞の伝えるところによりますと、妥結でありますか、屈服でありますか、いずれにいたしましてもそれとの見合いにおける相殺をされる。メリットの面よりもデメリットの面、あまりにも深刻な国民の貯金に対する大きなデメリットを与えるというような結果に相なったということが、率直な郵便貯金をいたしております人たちの幻滅であり、大きな失望であり、あるいは一つの大きな怒りに発展いたしておるやに私自身は理解をいたすのでありますが、もしそういうふうなことになってまいりますと、われわれが努力をいたしてまいりました事柄についても、この問題との相関関係が存するので、十分にひとつ今後の運用について、あるいは委員会の運び方について善処いたしてまいらなければならぬというようなことを理事会で協議をいたしてまいりまして、どのように進んでまいるか存じませんけれども、そういう深刻な事態に直面をいたしておるということは、単に民社党の栗山礼行ということでなくて、委員会の共通の一つの問題、理事会の共通の問題でございましたことをひとつ付言いたしまして、今後の運営についての御参考に供してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
たいへんよけいなことを申し上げたのでございますが、一言、審議に入るまでに若干の経過の問題に触れておきましたので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/2
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003・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 あえて私の答弁を求められておりませんけれども、まことに事業を思い、友情にあふれた御忠言をいただきまして、ほんとうにかたじけなく承ったわけでございます。
CATVの問題につきましては、きょう実は自民党の通信部会がございまして、その際、私も修正案についての御説明を承ったわけでございますが、これはただいま御指摘のように、もう数回にわたりまして継続審議になった法案でございますから、今度の国会で皆さん方全部の御同調をいただきまして、ぜひ成立させたいというたいへんな御好意を持ってくださっておりますようなことを前提といたしまして、いろいろこの法律案については、政府の手の届かなかった点もありますようでございますから、各党の共同提案として修正をいたしたいという御意思のように私は承ったのでございまして、私は、そうしていただきますとたいへん好都合だと思うのでございます。そこで、私も立ち上がって、ぜひ今度の国会でこの法律案を成立させていただきたいので、与野党共同提案ということで修正案を出していただくという御説明でございましたが、この点特に私うれしく思います、ぜひそのような御方針でやっていただきたいということを私の所見として申し上げ、また今後の御協力を切望申し上げたわけでございますが、どうか与野党が十分その間の御協議をいただきまして、足らなかったところは皆さん方の御英知で補っていただく、それが修正案になるということになりますとまことにしあわせだと思いますわけでございまして、ただいまそういう形で進んでおりますことを非常に喜んでおりますわけでございます。
きょうの新聞の記事も拝見いたしましたわけでございますが、こういうことは御承知のとおりでございまして、もちろんそういうことも先生方は踏まえましての修正案になろうかと思っておりますわけでございますが、いずれにいたしましても与野党共同で出していただくということが最も好ましいというように私は考えておりますわけでございます。
それから第二の問題でございますが、庶民金融については、たいへん御支援を従来やっていただきまして、この点まことに感謝にたえない次第でございます。これと郵便貯金の金利引き下げというものを取引には決していたしておりません。庶民金融は庶民金融として、絶対に今度の国会中に成立させたいという悲願を持って私ずっと努力してまいったつもりでございます。党のほうで意見がまとまったかのごとく、まとまらないかのごとく、この数日来ほんとうに私といたしましては苦悩の連続であったわけでございますが、どうやら関係省庁の話し合いが昨晩おそく煮詰まりまして、きょうは法律案の作成にかかるという段階ではないかと思っております。非常に大きな希望を見出したというような形でございまして、うれしく思っておるわけでございますが、実はこの法律案の提出につきましては、ただいま御指摘のように、私は議員提案がいい、こういうことを強く念願いたしまして、党にもそのことは要請いたしておいたのでございますけれども、法律の内容が、従来の郵便貯金制度に対する大きな変革だ、非常に大きな意義を持った制度の創設であるから、政府提案がよかろうというようなことを申されまして、党のほうでもそういう方針で進まざるを得ないということで、ただいま申しましたように政府間の折衝でこの法律案の作成を急いでおりますわけでございます。
一方、郵便貯金の金利の引き下げの問題につきましては、昨年暮れのあの時期には、私、郵便貯金の本質と銀行預金の本質とは全く違う、このことは現在もそう思っておりますわけでございますが、強く確信いたしまして主張してまいりましたことは御承知のとおりでございます。私は当時、銀行預金だけでも金利は引き下げてしかるべきだ、郵便貯金だけはその必要なしということを主張したのでございますが、郵便局の金利引き下げをしないということに便乗いたしまして、銀行預金も預金の金利を引き下げずに今日に至ったわけでありますが、最近の情勢が、御承知のように、景気の問題にいたしましても、外貨滞留の問題にいたしましても、非常に深刻な状態になっているということで、こういう全体の経済情勢下にあって、郵便貯金をいかにすべきかということをほんとうに私は悩んでまいりました。ときどき郵政省に学者先生をお招きいたしまして御意見を聞くというようなこともやってまいったのでございますが、どうしても引き下げなくちゃならないという結論に達しないということでずっと最近までやってまいったのでございますけれども、諸情勢から申しまして、やはり下げざるを得ないであろうというような気持ちに数日来なっておりますことは事実でございます。その間のいろいろないきさつ、また、どうして最近新聞等で報道されておりますような私の態度になったかというその推移等についても、御説明申し上ぐべきだと思いますけれども、現在の私の心境としましては、一般の金利の引き下げと一緒に、郵便貯金の金利引き下げもやらざるを得ないのじゃなかろうかという考えに至ったわけでございますが、ただ問題は、郵政審議会という段階がございます。ここに従来の委員ばかりでなく、臨時にかなりの数の学者先生方、経済方面の知識に富まれた方々の御参加もいただきまして、この点を論議していただくというような場もつくりたいと思っておりますし、今後残された問題は、金利引き下げをやるということになれば、郵便貯金をいつ実行するかということと、引き下げの幅を銀行の預貯金の引き下げに対して、それと同じ割合に引き下げるか、あるいはさようでないかというような問題があるかと思いますけれども、そのうち、時期の問題についてはもう非常に切迫いたしておりますようでございまして、この大勢にはどうも私、順応せざるを得ないというような状況になっておるわけでございまして、私はその間に処して身を捨てるくらいの覚悟は、これはもうわけはないと思っております。しかし、そういうことではたしてすべてうまくいくかというようなことを、実は非常に心痛いたしておるわけでありまして、そこで、ただいま申しましたような気持ちになっておるわけであります。ただ、引き下げの幅についてはまだまだ折衝の余地があると私は考えておりますが、本格的な御質問でございませんから、私本格的な御答弁を申し上げておりませんけれども、それではもちろん御理解することができないというようなことになろうかと思いますけれども、とにかく簡単に私の心境だけをお答え申し上げておく次第でございます。
いずれにいたしましても今後ともぜひひとつよろしく御指導、御鞭撻、御協力のほどを切にお願い申し上げたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/3
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004・栗山礼行
○栗山委員 あえて御答弁をちょうだいいたしますることはいかがなものかということを懸念をいたしつつ、率直にきょうの理事会の方向の一端を、私が冒頭にあたりまして申し上げた、こういうことでございます。私どもの立場におけるサイドで十分大臣のお説の存するところも踏まえまして、将来の審議の方向に進んでまいりたい、こういうことを申し上げまして、たいへん時間をとったのでありますけれども、本論に入らしていただくことにいたします。
今度の法案の問題は、再放送と、それから自主放送の両面がございます、法案の内容につきましては。そこで、私は何と言いましても再送信の都市難視の解消が当面の急務の課題だ、こういう理解をいたしておるわけでございますが、法案の審議に入るにあたりまして、大体都市の難視状況というものについて、概略的にお伺いを申し上げたい。
以前にお断わりを申し上げておきますが、私もあまり質問の時間がございません。特にきょうはおり悪く物価特別委員会の私の質問との関連がございまして、呼びに参りますと直ちにそちらのほうに参らなくちゃならぬ、こういう関係でございますので、きわめて要約願いまして、簡潔に御答弁をお願いするということを、これは柏木監理官のほうですか、電波監理局長のほうですか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/4
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005・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。私どもの把握しておるところでは、現在都市難視聴と申すものは、数にしまして約三十三万世帯程度であろうと推定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/5
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006・栗山礼行
○栗山委員 数字の取り上げ方についてはいろいろございましょう。高層建築における谷間の問題あるいはそれに関連いたしまする難視というものをどのようにとらえてまいるかということについては、いろいろ議論の存するところでございますけれども、かりに藤木局長の三十三万、こういうのは現在の時点でありまして、御案内のように毎年著しく都市化の方向によって都市難視の状況が悪化の傾向に進展するということにつきましては、もう論ずるまでもない、こういうことであろうかと思うのでありますが、都市難視の解消についての具体的な方向をどのようにお進めをいただいておるか、お伺いを申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/6
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007・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。現在都市難視聴の解消ということにつきましては、NHK、民放もそれぞれやっておりますけれども、私どもも主導的にこの解消方法を指導しておるという状態でございますが、具体的には、いわゆるCATVと申しますか、有線テレビジョンの共同施設と申しますか、そういうものでやっている場合と、それからそれぞれアンテナの位置であるとか、高さであるとか、そういった点を調節いたしまして見やすくするように指導するとか、そういったような方向で現在やっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/7
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008・栗山礼行
○栗山委員 どうでしょうか、藤木電波監理局長、実際にいまの難視世帯に対するどの程度の成果があがっておるかということが私のお伺いしたい一点でございます。いま、両面作戦でやられておる、今度のCATVの方向で都市難視の問題を解消するというような一面を、重要な柱とされておるやに私は理解をいたすのでありますが、CATVによって都市難視が解消をするという、現状及び将来の展望の中にそれが望めるかどうかということについて、どういう見解をお持ちになっていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/8
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009・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。現在、おっしゃいますように都市の高層建築化というようなものは非常な勢いで進んでいるということでございまして、私どもも的確にこれを把握するというのは非常にむずかしいわけでございますが、先ほど申しましたように、本質的には有線テレビジョン施設というものによりまして解消しなければ、本格的な解消というものは望み得ない、そういうふうに私どもは思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/9
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010・栗山礼行
○栗山委員 ちょっと私そこのところがわかりにくいのですが、都市の難視の解消については、CATVによって解消することが望ましい路線だとお考えになっておる、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/10
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011・藤木栄
○藤木政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/11
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012・栗山礼行
○栗山委員 そこで問題が起きてくると思うのです。後ほど大臣にも所見をお伺いいたしたいと思うのでありますけれども、たとえば参考人にお招きいたしました東京ケーブルビジョンあるいは京阪神ケーブルビジョンの実態も、つまびらかに私どもは意見として伺った次第でございます。これには藤木局長も参加されておりまして、この二つの地域の状況をながめましても、いまの焦眉の急でございます都市難視の問題が一体解決できるというようなことを、ほんとうにお考えになっていらっしゃるかどうかということについて、私は疑問に存ずるのであります。
きのう私ちょっと触れたのでありますけれども、二月二十九日の新聞協会報というものがございます。東京ケーブルビジョン、TCVの現状がもうお手上げであるということで、これが明らかに、郵政大臣や関係方面に要望書でございますか、陳情書でございますかが提出されておることがここに載っておるわけであります。これはここで読みますまでもなく、御承知のことだと思うのでありますが、こういう現状で、たとえば東京における都市難視がほんとうに解消の方向に進んでまいるということが、どの程度の期間でどういうふうに進んでまいるか、現状においてすらいろいろな壁にぶつかって、そうして方向転換をしなくちゃならぬという実態をお話をされたと思うのであります。これは藤木局長、そういうことをほんとうにまじめにお考えになっていらっしゃいますか。あるいは京阪神の問題についても、この問題が、都市の難視解消だということの焦眉の急だと、こういう理解をされる場合について、これ自体で一体解決する方向がございますか。これは、相当な時間をかけてまいる、あるいは内容を充実してまいるということをはかる場合においてのみなし得ることでございましょうけれども、その間に相当の時間と経過を踏んでまいらなくちゃならぬということになりますと、その谷間における難視の被害というものは、これは視聴者でありまして国民に迷惑をかける、こういう事態についてどのようにおこたえするか。いわゆる現代語でいきますならば、それこそ国民不在の政治の方向じゃないか、こういう批判が出てまいりましても、それはまさに適切な表現だ、こう理解せざるを得ないのでありますが、もう一ぺん本音として、都市難視の問題がCATVによってのみ解決するという考え方について、私はどうしても理解がいきにくいのでありますが、具体的にひとつそういう方向路線をお示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/12
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013・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。現在私ども、いろいろ都市難視聴の問題に取り組んでおるわけでございますが、基本的には、まず原因者となる建物、高層建築物というのがあるわけでございまして、それによりまして難視聴が生ずるというところから、あくまでも第一義的には建物の、いわゆる原因者のほうで負担をしてもらうというのがまず第一でございまして、それにつきましては私どもも、関係する役所あるいは建築業者といったものと接触をしまして、そういった点につきましては相当PRもし、現在は建物のほうで明らかに難視ができたという場合におきましては、その建物側で、建築主の側で共同施設というものをつくって難視を解消してもらうという方向で進んでおるわけでありまして、これはまあ相当実績があるわけでございます。しかし、はっきりしない場合があるわけでございまして、これが一番私どもの頭の痛い問題でございます。おっしゃるように、私どもも大いにその御批判を受けなければならない立場にあるわけでございますが、これにつきましてもNHKその他とも共同いたしまして、さしあたりはアンテナあたりを動かしたり何かすることによりまして、少しでも解消するという方向で指導しているという状態でございます。しかし、やはり本格的にいい絵を見るということになりますと、どうしてもCATVと申しますか、有線テレビジョン施設というものをつくってもらわなければならないということで、そこが私どもの一番頭の痛い問題点でございますが、これもおっしゃいましたような東京ケーブルビジョンあるいは京阪神ケーブルビジョンといったものが、まだできて間もないという状態もございまして、特に東京ケーブルビジョンは、先ほどのその新聞にも書いてありましたように、必ずしもはかばかしく難視の解消という点につきましても進んでないというわけでございまして、私どもとしましても、大いにその責任を感じておるわけでございますが、何せ新しい事業というところで、道路の占有の問題にしましても、あるいは電柱共架という問題にしましても、あるいはまた良好な絵を受信する受信点を見つけるという問題自体につきましても、いろいろな技術的な問題もございまして悩んでいるという状態でございますが、私どもとしましても、今年度は、ほんのわずかでございますけれども、そういったものに必要な調査費というものも獲得いたしまして、積極的に解消に乗り出していきたい、そういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/13
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014・栗山礼行
○栗山委員 いま局長のお話のように、原因者責任主義という一つの方向で、そういう谷間における難視の問題についても共同の施設等々で一応補完的に解消に努力するという、過渡期的一つの処置をとっているというのが一つだ、しかし、将来の路線としては、CATVによって都市における難視を解消する、こういう方向の一面が強く出てまいっておるのじゃないか、こういうふうに理解をいたすのでありますが、私はまあいろいろ、先ほど東京のケーブルビジョンの問題あるいは京阪神のいまの進行状態等をながめまして、ほんとうに行く手についてどれだけの期待をなし得るかということについては、はなはだ疑問を深く持たざるを得なかったというのが率直な意見でございます。
そこで問題は、私はもう大臣に結論をお伺いするのでありますけれども、大臣はほんとうにCATVで当面の都市の難視の問題が解決できる、こういう保証と自信をお持ちになっていらっしゃるのかどうか、ここが私のお伺いいたしたい最もの要点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/14
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015・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 都市の難視解消の問題につきましては、先刻藤木電波監理局長が御答弁申し上げましたように、原因者に責任をとってもらうという考え方、これはまあこういう措置をとっていままでもやってまいったわけでございます。ところが、将来の長い展望から申しますと、やはりこのCATV、これを本格的に実施いたしまして、そうしてこれによって難視の解消に当たるということが、現在の段階では最善の方法ではないかと私は確信いたしておるのでありまして、将来何か新しい方途の開発というようなことでもありましたなら別でございますけれども、現在の私どもの考え方といたしましては、CATVにそのような大きな役割りを担当してもらいたい。そういうためにこのCATVというものを、ほんとうに公共の利益になるように持ってまいりたいということを考えて、このような法律案の提出をいたしておりますわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/15
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016・栗山礼行
○栗山委員 どうもあまりにCATVに依存度が、ウエートがかかり過ぎておるという感じが率直にいたすのでございます。一つの方向路線としては私は認めるにやぶさかではございません。しかし、現状の推移からながめまして、これに依存度を高めてまいるということのはなはだ危険な要因がある。先ほど申し上げましたように、迷惑するのは難視の視聴者でないか、こういう実態を踏まえて考えてまいらなくちゃならぬというのが私の結論に相なってくるわけなのであります。
そこで、時間がございませんから、私、集約的に申し上げますと、局長からでも、それから大臣の御答弁でもけっこうでございますけれども、私自身は、昨日の参考人にもちょっとお伺いをいたしましたのでありますが、その一つの要旨はこういうことであります。CATVの地域内でございましても、私は、NHKが難視の解消の役割りを、公共放送として最も責めを持っておられる。この立場において、従来も、民放との一つの相違がございますけれども、協力を求めて、そしてNHKが難視の解消に責めを持つという方向をとるべきでないか、こういう質問を昨日御承知のように私が展開をいたしました。まあそれぞれニュアンスはございましたけれども、私はそれより道がないのじゃないかというふうに結論を考えておる。もし将来、こういうことまで申し上げて——藤木局長は御承知だと思います。NHKがその施設をつくった。しかしその地域が、CATVが将来その施設を必要とする場合について、NHKはこれを譲渡なりあるいは協議によってこれを提供するという方向をもって、ともかく当面の問題としては都市難視の解消をはかっていくという路線で私は集約して取り組んでまいることが望ましいのでないか、こういうふうな質問を私は展開いたしましたことは御案内のとおりであろうかと思うのです。
そこで、きのうはああいうような場面でございますから、藤木局長にはあらためてもっと具体的にお伺いいたしましょうということで別れたのでありますが、重ねて私はこのことについて、難視解消の役割りは、将来はCATVの役割りを果たすまで、NHK及びそれに関連いたしまする民放との一つの協力を求めつつ解決をしていくという方向が、難視を解消する最善の方法なりと考えたのでありますが、その御所見をひとつ担当の局長にお伺い申し上げ、また大臣の御見解をお伺いいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/16
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017・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。NHK自体が都市の難視を解消する義務があるかどうかという点につきましては、私どもは、いわゆる放送法の立場から申しますと、NHKは正常な電波を出しているのに、その途中に高層建築物が建ちまして受信が困難になるという状況から見ましても、NHKにその責務があるというふうには考えておりませんけれども、しかし、NHK自体はやはり公共放送の立場から、当然この難視解消というものには大いに意を尽くしていただいて、現在でもやっていただいているわけですけれども、NHKのみに帰するということは私どもはいかがかと考えておるわけでございます。しかし、場合によりましては、先生のおっしゃいましたように、臨時的に、NHKが施設をして難視を解消するということもあり得るかと存じます。ただ、いまのところは、NHKが単独でやるという例はございません。これは受信する方々は、御存じのように単にNHKだけではなくて、やはり民間放送のほうも見たいということで、現在でもいわゆる辺地共聴と申しますか、いなかのほうでやっている施設につきましては、NHKは、幹線部分は自分で引っぱりますけれども、やはり民放も一緒に見たいということで、地元の方々がそのお金を出し合いまして、民放も受信できる施設をつけ加えまして、NHKのみならず、民放も両方見れるというかっこうになっておるわけでございまして、これは都市におきましても同じであろうということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/17
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018・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 NHKの役割り、使命等につきましては、ただいま局長からお答えしたとおりでございまするが、もともとNHKは、電波を利用いたしまして公共放送をするということが本務でありますわけでございます。しかし補完的に、そのNHKの本来の業務と関連いたしまして、たとえば山間僻地の共聴施設、これにも協力するというようなことは、これはまさにNHKの業務そのものを補完するというような意味があろうかと思っておりますわけでございます。また大都市におきましても、このCATV、これを利用するというようなことで、NHKの難視聴地区の解消というようなことについてNHKが参与するということは、これはあり得ると思いますわけであります。そういうような場合の料金関係につきましては、後日の懸案であろうかと思っておりますわけでございますけれども、とにかくNHKは、電波を使って放送するということが本来の仕事でございますから、施設そのものを本来的にやっていくというようなことではないんじゃなかろうかと私も考えておりますわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/18
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019・栗山礼行
○栗山委員 若干の共通認識もございます。また相違も何がしかあろうと思います。
重ねて申し上げますなれば、CATVのほうで、現在の状況において、あるいは将来の展望の上において、昨日も意見がございましたように、少なくともこの原点に立ち返るということになれば、都市の高層ビルの谷間の難視の解消ということが基本の原点なんだ。さらにいろいろ自主放送とかその他の問題が、多面的な要因があろうかと思いますけれども、これは未来にわたる一つの方向の問題で、当面の問題というものは明確に規制がされなくちゃならない性質のものである。こういうことで私が考えまするときにおいて、一片の法律をつくった、あるいはCATVにこれを依存をしたというような、目先の技術論や処理論で解決できると一体思っておられること自体がナンセンスじゃないか、こういうような私の一つの論理に実際問題として発展をするわけであります。
そこで、やむを得ざる処置として、従来もやっておられる責任者原因主義の方向も踏まえて、いろいろ地域の問題がございましょう、民放の位置づけもございましょう、NHKの一つの法の規定等もございますから、これらの関連において、私はまず法律の規制やあるいは制度ができましても、実効があがらないということで、国民に迷惑をかけるということを排除するということが、やはり少なくとも立法上において十分検討いたすべき問題だ、こういうふうな事柄から、NHKに、あるいは中核としてそういう難視の解消への一つの方向をゆだねるということの路線をとったらどうか、こういうことを私は私の持論として申し上げた、こういうことでございまして、決して私はこれ以上の再答弁を求めませんけれども、こういう道よりないのじゃないかというように考えておるわけでございます。これは私の意見だけを申し上げておきます。
そこで、法律案を見ますと、御案内のとおり、役務の提供というものについての規定がございませんが、これは、藤木局長、どのようになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/19
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020・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。役務の提供の義務というものにつきましてははっきりした規定はございません。しかし、役務の提供の契約約款というものはこの法律の中にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/20
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021・栗山礼行
○栗山委員 私は、やはりこの点は明瞭に法制化いたすべきじゃないかという考え方のもとにお尋ねを申し上げたのです。できるだけ法律は明確にその使命と方向を明示するということでなければ、法律たるゆえんの効力を発揮しない、こういう立場に立って申し上げたのであります。そういうふうに役務の義務づけを法律でいたしましても、それによって難視解消ができるかということにつきましては、私は必ずしもそれに全的な信頼を寄せてまいろうというような考え方は持っておらないのであります。また持ち得ない状況下にあるのじゃないか。やはり少なくとも、NHKというものは公共放送であって、非営利的事業である。片やの問題は、非営利的事業が採算を度外視してのみそういう義務づけと解消への役割りを果たせるんだ、こういう観点に立って私の質問を展開いたしておるということを御承知をいただきたい、かように考えております。
その次の問題でありますが、私は必ずこういう問題が起きてまいるということの、杞憂かもしれませんけれども、今度の法案の中に、NHKの契約行為が明記されておらないということは一体どういうことかということなのでございます。少なくとも再送信の問題につきまして、民放だけじゃなくて、NHKの再送信ということがきわめて当然な条件の内容になってまいるということであろうかと思うのです。そこでいろいろきのうのお話を伺いましても、結局二重負担的な感覚におちいって、そうして当然、NHKの契約行為の聴視料をお払いになることについて、悪い傾向が出てまいるという危険がありはしないか、こういうことが、いみじくも昨日もお話があったと私は思います。少なくとも現行の契約行為という放送法に定めておりますもの自体につきましても、これは民法上の問題でありまして、払わずに解決するというような一つの考え方で取り組んでおる人も、ずいぶんあるのじゃないかということを私がNHKのほうへお尋ね申し上げたのは御承知のとおりであります。また一つの手段として、NHKの不払い運動というものがいろいろ起きてまいったということも、これは御承知のとおりであります。また意識的に払わぬでも、どうにもようしゃしないんだから払う必要はないんだというような、へそ曲がりといいますか、あるいはそういうような不健全な思想の発想によって不払いをされておるというものが、相当数にのぼっておる。いわんやこの問題が進行いたしますると、義務づけをされておるNHKの聴視料というものの影響が、どうなってまいるのかということを考えざるを得ない。私は、NHKが営利事業でございますなれば、これはまた別の角度からの問題でもございますけれども、公共放送としての非営利的事業という観点から見てまいりますと、この点もやはり法制上に明確に規定をしていかなくてはならないのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、大臣の所見いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/21
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022・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 いま二点のお話がございましたが、最初の役務提供義務の問題につきましては、これは私もすぐれた御意見であろうかと思っております。
いま一つのNHKの関係でございますが、これはしかし、私が料金の問題なんか起こってくるというのは、その辺のことを心配して申したわけでございまして、在来NHKの放送が支障なく見えたり聞こえたりしておった。それが高層ビルが建ったためにこれにさえぎられて見えなくなった。それは原因がはっきりいたしておりますれば、原因者責任主義でその原因者に料金の負担を願うなんということもできますけれども、全般的にだれが原因者かわからないという地域にCATVの施設ができた。在来見えておったNHKの放送が見えなくなった地域が、新しいCATVの施設によって見えるようになった。しかし、見えるようにいたしますためには、受信者からCATVに料金を払わなくてはならない。ところが、またNHKにも受信料を払っている。二重になるじゃないかという問題の御指摘であろうかと思うのでございますが、これは私はやはり今後の非常に大きな課題であろうかと思うのでございます。この辺は郵政省があっせんいたしまして、CATVとNHKとの間に、費用の負担等について十分折衝するというようなことが必要ではないか、このように私は私見として、いま御質問ございましたから、とっさと申しましてもいいくらいな考えでございますけれども、考えております。
なおさらに、電波監理局長の意見を申し上げさしてみたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/22
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023・藤木栄
○藤木政府委員 ただいま大臣から申し上げた点でございますが、いわゆる都市におきます難視聴の場合、CATVに加入しないというような方々は、おそらく実質的には高いアンテナを立てるとか、あるいはアンテナの位置をほかに持っていって、受けやすいところに設置するとか、いろいろなくふうをされて受けておられると思いますが、そういったものに対する費用というものはばかにならないわけでございます。一方CATVに加入いたしますとやはりある程度の料金というものはかかるわけでございますが、それによりましてやはり良好な画質のテレビの受像ができるということになりますと、ある程度の負担というのはやむを得ないと考えております。したがいまして、NHKの受信料は、御存じのように放送法でもきめられておりますので、それにプラスCATVの加入料あるいはある程度の料金というものは、私どもとしましてはこれはやむを得ないものであろうと思っております。現在御存じのように、辺地共聴と申します、いなかにおいてNHKが幹線部分を設置してやっております共聴施設におきましても、毎月の運用費と申しますか、二百円とか、三百円払って、その上にやはりNHKの聴視料を払っておるという状態でございます。これにつきましては、私どもとしてはいまのところ、それに対する不満というものはあまり聞いてないわけでございますが、おっしゃいますように、今後都市におきまするCATVというものが発達した場合、NHKの聴視料プラスそのCATVの料金ということにつきましては、確かに問題があろうかとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/23
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024・栗山礼行
○栗山委員 事が非常に重大な問題、公共放送のやはり将来の命運といいますか、方向を定めていくキーポイントの問題であろうかというふうに考えておりますので、大臣のお説を伺います。
その思想的基盤というものは将来、私がお尋ね申し上げました内容のような方向もあり得るだろうということがおよそ想定もできる、しかし、その時点においてCATVの関係者等との関連において十分にひとつ善処いたすべきものだという理解が大臣の政治的な一つの理解だ、こういうふうに御答弁をいただいたように思うわけですね。藤木局長の場合におきましても、その認識基盤というものは、それと異なった認識点ということ自身、大臣の考えの基盤の上に立っての一つの御答弁をいただいたように私はいま理解をするのです。これはたいへんな重大な問題になってくると思います。私は、少なくともNHKは確かにいいものを送っておるのです。ところが、いろいろ御案内のとおりそういうふうなよく見えないという、難視の状態があらわれてまいってくるということでありまして、これはNHKが加害者でありまして、被害者的要因ではないということで、当然これは聴視料というものを基本にして非営利的に進めておるところでありますから、これは聴視料をひとついただくということの義務づけが契約行為という一つの名によって行なわれておる。私はここに明確な規定がないところに、なお将来混乱する要因がある、こういうふうに理解をいたしておるわけなんでありますが、問題はCATVがどういう一つの料金を求めるか、あるいはNHKにリベートを求めるかという問題じゃなくして、NHKの現存する一つの規定、あなたの認可をされた規定、料金を徴収するということの明確な明定がなければ、この問題によって将来大混乱が起きてまいるという最も危険な問題がここにひそんでおる、こういうふうに私は考えるのでありますが、何か私はどうもNHKさんと省側との間において、よくわかりませんけれども、もっと真摯な——こういう新しい、第三放送と称せられておる問題について、NHKの位置づけ、あるいはCATVの位置づけというものを、明確に法律で制定するということが必要でなかろうかということを感じてならないのでありますが、どうでしょうか。この問題は平行線になるということなら、私どもは重大な問題としてやはり検討を新たにいたしてまいらなくちゃならぬ、こういうふうに理解いたしますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/24
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025・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 私の答弁と電波監理局長の答弁、大体同じようなことを申し上げておるはずでございますけれども、多少ニュアンスが違っておったかと私も考えるのでありまして、私はまっ正面に前を向いておりますけれども、電波監理局長は少し横を向いているというような違いがあるかもしれませんけれども、しかし、問題の重大性につきましては、私も局長も同じように認識をいたしておるわけでございまして、しかも、NHKの受信料というのは、これは最も尊重しなければならない料金制度であるわけでございまして、これは御指摘のとおりだと思うのであります。そういう体制をゆるがしてはならないわけでございます。電波監理局長は、山村僻地の共聴施設について、受信料のほかにもそういうものを負担しているという説明をいたしたわけでございますけれども、都市のCATVの料金の負担というものが、山村僻地の共聴のように比較的軽微で軽いというようなことでありますれば問題ないかもしれませんけれども、かなり大きな負担をしなくちゃならないということになりますれば、まさに問題を御提示いただいておりますような、非常に大きな意味合いを持ってくるかと思っておるわけでございまして、この問題につきましては、ひとつ十分検討いたしまして、何とか国民の納得できるような結論を出さなくちゃならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/25
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026・栗山礼行
○栗山委員 平行線で長く時間をとることはいかがなものか、こう考えておりますから、ただこの点だけお尋ねを申しあげておきます。
前段で申し上げましたように、この法律につきましては委員会が審議をいたしまして、与野党がよりいい内容をもって修正する場面があるのではないか、こういうことが共通の認識であったということを前提に申し上げました。もし与野党が共通で、この問題の重大性にかんがみましてこの法律にこれを明定するということができました場合には、大臣は謙虚にその法律改正を受けとめるという勇断があるかどうか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/26
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027・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 国会の御決定は、最も尊重しなければならないわけでございますから、いつか先生から御注意をいただいたこともございますから、もちろんそのような御修正でございますれば尊重いたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/27
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028・栗山礼行
○栗山委員 初めて明哲な御答弁をいただいて、若干暗さから明るさを取り戻した感じでございます。これはいろいろむずかしいことはよくわかります。やはり視聴者には二重負担は大きな不合理だという認識もございます。それから見えるものが見えないようになった、こういう実害について、どのように解消をしてくれるかというような責任を持ってくる一つの傾向もございますことは事実でございますが、CATVの問題は、当面は都市の難視の解消ということに置いておりますけれども、将来は多面的な一つの要因を持つものだという未来的方向につきましては、私なりにつかんでおるのでありますが、ほんとうは視聴者のほうから有線テレビに加入することについて、現在の難視を解消するということによっての料金及び設備料を払っておるということは、自主放送という新しい料金に値する一つの価値的条件というものの先買いといいますか、あるいは希望的な要素を入れまして進んでおることは御承知のとおりであります。しかし、実際問題として自主放送というものをうたってまいることは、私は法制上望ましいと思うのでありますけれども、そういうような一つの方向に進んでまいるということにつきましては、よほどの紆余曲折と困難な問題があるのではないか、こういう一つの観点から私自身はこの法律をとらえておるような次第でございまして、私どもも将来に、この法律で新しい第三の放送が法制化されたというような意味合いのもとにおける一つの議論や検討をいたしてまいりまして、その使命の一端を果たしてまいりたい、こういうふうに考えておりますから御了承いただきたいと思います。
こまかい問題になりますが、藤木局長にちょっとお尋ねを申し上げます。きのう私は、こういう点をお尋ね申し上げました。地域放送衛星の問題が現在可能だ。有線放送のみによって難視の解消は、もはやナンセンスというような感もするのではないか。しかも、アメリカでは進んでおるのでありますが、日本においては地域放送衛星が大体いつごろ成功するだろうかということについては、私は専門家でないのでわからないのだが、あなたにおいてはおおよそのめどもつくだろうから一ぺんお教えをいただきたい、こういうことで申し上げたわけです。と申しますことは、CATVに多額の金が要ってまいるということでございまして、しかも、技術革新が、われわれの想像もつきにくいほど急テンポで進展しておるというのが、一つの今日的国内的及び国際的な状況である。科学技術の進展につきましては、それほどわれわれの理解できざるテンポで進展いたしておるということについては、何人もこれを否定することのできない内容だ。こういうふうにながめてまいりますと、せっかく土地を買って開発して、そしてそれの設備をしたけれども、設備ができて、ややこれが機能的な効果を発揮するときにはもうこれはゼロなんだ、こういうようなことになりかねないいまの科学技術の進展の状況だ。こういうことから考えると、もう少し当面の問題と、それから長期的な視野に立って立法措置というものを検討しなくちゃならぬのじゃないか、こういうお尋ねを申し上げたことについて、それぞれの意見がございました。あなたは大体十年ぐらいということの見通しで、その程度までかかるだろうというような、想定論でございますけれどもお話がございました。それからNHKの野村専務理事に至りましては、アメリカの地域放送を活用するということなら別として、日本の自主開発をやっておる一つの問題という事柄については、私は専門的でよくわかりません、ただし、地域衛星ではなくて、無線による難視の解消の技術的な方向が、そう長くない期間にこれが解決できるやに私は理解をいたしております。これまた非常に重大な問題を持っておる内容であろうか、こういうふうに承知をいたすのでありますが、率直に申しまして、国際電電等につきましても私なりに書生論で謙虚に意見をお伺いしてまいりました。いろいろ見方によるのでありますけれども、藤木さんの言われておるのは、一般論あるいは常識論という一つの想定に理解をしていいのではないか。私は、もう日本人が簡単にここ数年でこれに成功することができるというようなことを、最も権威ある人からお話を伺った。もし私の伺いました点がしかりといたしますならば、このCATVの将来の方向というものを、どう体系化するかということの大きな問題点を提起するのではないか、かように考えますので、私は基本的なことだけを申し上げるようでございますけれども、藤木電波監理局長、私のいま申し上げましたような受けとめ方で、なお一般論になりますか、他の引例等もございましょうから、もう少し詳しく御説明をちょうだいしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/28
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029・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。昨日放送衛星のことについて若干申し上げましたけれども、これは私は十年以上かかるだろうと、しかも大都市においてはチャンネルの数が非常に多いというところから、なかなかこの放送衛星をもってしては困難であろうということを申し上げたわけでございます。しかし、昨日もありましたように、技術の進歩というものは私どもの予想しないようなスピードで進むということもございまして、もっと早くできるかもしれませんけれども、私の常識的なことから申し上げますと、とても十年やそこらでは実現しないだろうと思います。
一方、野村専務理事が言われておりました、別の電波という点があるわけでございます。これは少し専門になりますけれども、現在NHKが十二メガサイクルという非常にマイクロの電波を使いまして実験をやっております。これはまだほんとうの実験の段階でございまして、これがうまく通常のテレビに利用できるかどうかというのは、今後の問題でございますけれども、そういったものが実用にならないということは言えないわけでございまして、将来はそういうものも実用になり得るだろうと思います。しかし、都市におきまする現在のような高層建築物が非常に急速に形成されているという状況から申し上げますと、たとえそういった新しい電波で暫定的には都市の難視というのが部分的に解消されましても、また新しい建物ができるということになりますと、それによってまた影響されるということで、都市におきまする難視の解消の方法といたしましては、私どもとしましては、たとえ新しい電波が開発されたとしましても、それだけで解消するということは考えられないわけでございまして、補完的に、あるいは臨時的に、そういう方法も将来あり得ると思いますけれども、やはり基本的に建物が幾ら建ってもだいじょうぶだというのは、いわゆるCATV、有線テレビジョン施設というものでなければならないのじゃなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/29
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030・栗山礼行
○栗山委員 私も専門家でございませんし、エンジニアでございませんから、御高説をひとつつつしんで拝聴するということでお伺いをいたしましたようなわけで、これは敬意を表してまいりたいと考えております。
藤木局長にお伺いをいたしますが、将来この法案がかりに通過いたしました場合において、たとえば東京とか、京阪神とか、福岡とか、愛知というような、七大都市の方向については、公益法人というようなことでNHKも出資をいたしておると私は理解をいたしておるのです、予算その他をながめまして。ただ、そういう公益法人じゃなくて、営利による民間会社ができてくるのでないかというように理解をいたすのでありますが、その場合における基本的な態度、お認めになるのか、あるいはお認めにならないのか、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/30
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031・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。
現在、東京都の中には東京ケーブルビジョンというのがございますけれども、これが東京都の難視を全部解消するというわけには、これは事実上無理だろうと思います。したがいまして、現在でも部分的には、この小さな施設で解消しているところもございますし、これはまあ任意団体みたいなのがやっておりますし、あるいはその一つの建物によっている場合は、その建築主がそういった施設を提供してやっておる場合もあるわけでございまして、今後場合によりましては、当然営利法人というものも出てまいりまして、解消する。おそらく営利法人の場合は、単なる再送信だけではなくて、毎時放送もあわせてということが多いと思いますけれども、そういう場合もあると思います。その場合、NHKは今度の法案によりまして出資ができるわけでございますから、NHKも積極的に、そういう営利法人でありましても出資をすることによりまして、その難視の解消の一翼をになうということができようかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/31
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032・栗山礼行
○栗山委員 よくわかりました。
そこで問題は、NHKという公共放送、公益法人が、一営利会社に出資するということの道が開けるということについて、私は非常に疑義を感ずるのです。そういう一つの方向が望ましい姿であるかどうかということについての疑義でございまして、その点はどのような解釈をされていらっしゃるか、お伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/32
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033・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。NHKが出資をするという場合、それが公益法人でございましても、あるいは営利法人でございましても、いわゆる難視の解消というものが目的でございますから、私どもとしましては、それによりまして難視が解消できるということでけっこうだということで、この法案の中に入れたわけでございます。もちろんこのNHKという公共団体が、営利的な事業に投資するということはいかがかというお説だと思いますけれども、私どもとしましては、あくまでもそれが難視の解消ということを目的とする以上、NHKといえどもそれは許さるべきであろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/33
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034・栗山礼行
○栗山委員 そういたしますと、常識論としては私はわかります。常識論として理解ができるのです。少なくとも、NHKの公共放送に関連する難視の解消を役目とする一つの会社である。したがって、公益法人のNHKとしても出資をすることがしかるべきでないか、こういうきわめて常識論としてはわかるのでありますが、そうすると、公益法人としての法的根拠に基づいて何かそういう条文がございますか。これは常識論としては、私はわかる。法規上の問題として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/34
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035・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。今度の法案で、この附則によりまして、放送法の一部を改正することになっておりまして、現在放送法の第九条に、宇宙開発事業団に出資するという項がございます。その「宇宙開発事業団」に加えまして、「有線テレビジョン放送施設者」というものを加えて改正をしようというわけでございます。しかもその場合は、宇宙開発事業団並びにこの有線テレビジョン放送施設者というものに対する出資の場合は、これは当然郵政大臣の認可を受けまして、しかもまた収支予算、事業計画及び資金計画で定めるところにより出資できるということでございまして、こういった収支予算、事業計画及び資金計画というものは、当然国会の御承認を得なければならぬというかっこうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/35
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036・栗山礼行
○栗山委員 たいへんうるさいのでありますけれども、私はそういうお尋ねを申し上げておるのじゃないのです。宇宙開発事業団についても、いま出資をいたしておる。それはそれなりの規定をいたしておるわけです。しかも、今度のCATVの問題につきましても、出資ができるという一つの規定に基づくということだから、それはその法律の適用で出資ができるのだ、こういう説明なんでありますが、少なくともNHKという一つの法人が、公益法人の一つの定める法規がございます。これはその法規の何条にそういうことが許されるということの規定が存するかという、以前の法律上の条文をお伺いをいたしたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/36
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037・藤木栄
○藤木政府委員 私も説明が悪かったかもしれませんけれども、今度の有線テレビジョン放送法案にございますように、附則によりまして放送法自体を改正するということになるわけでございます。
〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕
現在、放送法の第九条にありまする宇宙開発事業団への出資の項の中に、宇宙開発事業団並びにこの有線テレビジョン放送施設者ということばを入れるわけでございまして、これによりまして放送法自体が改正になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/37
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038・栗山礼行
○栗山委員 大体了承をいたしました。
そういたしますと、従来から電波及び放送法というものの問題について、改正が非常にやかましく論じられました。しかし電波、放送に対する憲章ともいうべき重大な法律であるということで、政治的な意味を持ちまして、どの大臣もこの点にしり込みをせざるを得なかった。私は廣瀬郵政大臣が御就任されましたときに、この問題等につきまして率直にお伺いいたしました。井出大臣等にもお伺いいたしましたのでありますが、検討を加えておりますということでありまして、政治的な、電波、放送法を改正すべきである、こういう考え方のもとにおける御意見は、かつて私及び同僚の質問についても御答弁をいただいたことがない、こういうふうな内容であったと思うのでありますが、いみじくもいま放送法の改正をいたすんだ、こういうふうなことで発言がございましたが、これのみに限定されて放送法の改正をされるというのか、あるいはこれを契機として放送法及び電波法の全体についてこれを改正するという方向で臨まれるのか、これはきわめて重大な問題でございますから、大臣から御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/38
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039・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 放送法、電波法の改正につきまして御質問がありましたときに、前向きで改正をはかりたいということを私はお答え申し上げたつもりでございますが、でき得るならば今度の国会に出したいということで作業を進めてまいったわけでございます。いま御指摘の点も、今度新たに放送法改正の一つの点になりますわけでございますけれども、御承知のように、昭和四十一年の五十一国会から、電波法と放送法の改正案の提出は、私ども郵政省に課せられた課題になっておりますわけでございまして、五十一国会ではついに流産したと申しますか、不成立に終わったわけでございます。そこで、でき得るならばなるべく早く改正の成案を得て国会に出したいということで、努力を続けておりますわけでございますが、省内においてやっておりますとともに、与党の中でもそういうような動きが非常に活発にありますようでございまして、ただ今度は時間的に間に合わなかったわけでございまして、政治的に特別意図があったというわけではございません。
そこで、どういう点を改正の点として考えておるかと申しますと、たとえば電波法におきましてはチャンネルプラン、この周波数の分配とか使用とかいうようなことにつきまして、それがいままでは何も法的根拠がないのでございまして、こういうような免許にとりましてきわめて重大な基礎的な課題でございますチャンネルプランについて、やはり法的な基礎、根拠というものをつくっておく必要があるということも私は一つの問題であろうかと思いますし、また免許いたします場合の基準につきましても、内規みたいなものがございますけれども法律じゃないわけでございまして、基準の主要な大きな問題だけでも法定する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておりますわけでございます。
それから、放送法につきましては、御承知のようにNHKは公共放送というところで、あまねく国民が見えたり聞こえたりするような施設をしなければならないという義務、責任規定がありますわけでございますけれども、民放においては何もないわけでございます。しかし民放の使っております電波、これはまさに国民の共有のものであると私は考えております。民放といえどもやはり公共性というものは考えてもらわなければならぬ、そういうことをせんじ詰めてまいりますと、民放にもあまねく見えたり聞いたりすることができるようなことを、NHK同様には無理じゃないかと思いますけれども、何かもう少し公共的な放送ということが仕事であるというようなことを認識していただいて、それに立脚しましての何らかの措置が必要であるというような気がいたしますわけでございます。この民放に普及義務の問題を課するということは非常に大きな問題でございますので、軽々には言えませんけれども、こういう点も一つの論議の点になるのじゃないかと私は考えておりますわけでございます。
そういうようにいろいろ改正を必要とする点があるのじゃないかと思いますが、放送番組の内容につきましては、これはなかなか軽々に触れられない問題でございまして、人権、編成の自由というようないろいろな、憲法でもうたわれております大きな問題もございますから、これはまた慎重でなくちゃならないというように考えておりますわけでございますが、私は、番組の内容については、やはり各放送業者が自主的に自覚してもらって、めいめい放送番組審議会というものを持っておりますので、こういう方々の意見を聞いて、自主的におやりになることが一番効果的じゃないかと考えております。いろいろ考えあぐんだ末、これが一番いい方法じゃないか、効果的じゃないかと思います。放送法の四十四条の三項に番組を規制するようないろいろなことをうたいましても、うたうそのことも問題でございますけれども、たとえうたいましても、それをすぐに電波法に持ってまいりまして処置する、処罰するというようなことはできないわけでございます。なかなかできないのです、証拠も何もないわけでありますから、ビデオテープもとっておるわけじゃございませんから。でございますので、そういうことをうたってもなかなか実効があがらないということになれば、やはり自主的に放送業者がやってもらうということがいいんじゃないかと思っておりますわけでございますが、そういう番組のことは四十四条の三項の規定を変えたほうがいいのじゃないかという意見もあり得るかと思いますが、私はまだそこまではっきり踏み切っていないわけでございます。やはり電波法にしましても、放送法にしましても、いろいろ問題がございますから、番組の問題をあえて申しましたのは、そういうことを考えて電波法、放送法の改正をはかっておる意味じゃないということを申し上げたわけでございまして、しかし、そういう意見もあるということもこれまた事実でございます。
そういうわけでございますから、ただいま電波監理局長から申しました点もまさに一つの課題ということになるわけでありまして、今度幸いにしてそういうような放送法と違った別な法律案を提出いたしておりますが、これにうたっておるということになりますわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/39
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040・栗山礼行
○栗山委員 いろいろ承りまして、これはひとつ謙虚に私どもも承るということにいたしてまいりまして、せっかくそういう方向で進んでいただいておるというともかく方向の路線については、大歓迎で敬意を表してまいりたいと考えております。ただ問題は、いつもそういうふうな決意表明やあるいは意見は表明されるのであります。これは現大臣だけじゃないのでございますけれども、どこからか忍術で雲のように消えてしまうというのが、一つ重大性等もございまして、かすみのごとく消えてまいる、こういうことでございます。私はやはり一つの建設的な、現状を打ち破るという一つの勇断が必要だ、こういうことで実行を強く切望を申し上げてまいりたい、かように考えております。
たいへんこまかい具体論になるのでありますが、著作権の問題についてちょっとお伺いを申し上げておきます。
法の第十三条の第一項でございますね。再放送の義務づけに伴う著作権料について、法の義務づけによって行なわれるのであるから免除されるべきと考えるべきであるか、どのように考えてしかるべきであるかということについてお尋ね申し上げたい。その二は、自主及び再放送の場合の著作権料はどのようになるか、この二点について御答弁をわずらわしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/40
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041・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。第十三条におきますいわゆる受信障害の発生区域におきます再送信は義務づけられているわけでございまして、これにつきましては、実は著作権法のほうを改正いたしまして、これはあらかじめ実は改正しておったわけでございますけれども、義務がある場合は著作権法の適用が除外される、そういうふうになっておるわけでございます。しかし、もちろん自主放送の場合は、当然著作権法が適用されるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/41
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042・栗山礼行
○栗山委員 次に、チャンネルの問題でございますが、許可されます施設の持つチャンネル数を、技術的に可能な最高数が私どもちょっと伺いますと約二十チャンネル、こういわれておるのでありますが、今度の場合についてはどの程度のチャンネルに限定されるおつもりなのか、これが一点伺いたいのであります。
それから、その場合におけるあきチャンネルができてまいる場合における利用について、テレビ放送以外の利用としてお認めになるのか、どのような方向でお進めになるのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/42
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043・藤木栄
○藤木政府委員 現在、私どもチャンネル数につきましては、いわゆる技術基準の段階で省令で規定するということになろうと思いますが、いま考えておりますのは、おっしゃいますように、大体二十チャンネル程度でございます。これは現在テレビの第一、第二、第三チャンネルと第四チャンネルの間が物理的に相当あいておりまして、その間に約十チャンネルぐらいとれるわけでございまして、それを利用しますと、現在のテレビが十二チャンネルございますから、それを含めると約二十チャンネルはとれるという勘定になるわけでございまして、大体そういうことを考えておるわけでございます。
なお、後段の点につきましては監理官のほうからお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/43
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044・柏木輝彦
○柏木政府委員 あきチャンネルの利用の関係について御答弁申し上げます。
御承知のように、有線テレビジョン放送関係施設も一般有線電気通信施設でございまして、有線電気通信法の適用を受けるということになっております。したがいまして、このあきチャンネルを有線放送業務以外のものに利用させる、あるいは自分が利用するという場合には、これは有線電気通信法の規律を受けるということになるわけでございまして、有線電気通信法の第十条におきましては、有線施設の一般的な他人使用の禁止制限規定がございます。したがいまして、この禁止規定におきましては、警察あるいは消防あるいは災害救助法等、非常に公共性の高い業務につきましてそれぞれの機関が使用するとか、あるいは公社の委託を受けまして公衆電気通信業務を行なうとかいうような場合には、他人使用も許されておるのでございますが、そのほかは特に公共性の高い、公益上特に必要があると認めまして郵政大臣が認可するという方法もあるわけでございますが、一般的には他人に使用することを禁止するということになっておるわけでございます。御承知のように、地域的な情報手段を先取りして、これを独占してしまうということはたいへん好ましくないという趣旨から、有線電気通信法の規定を一部この法案の附則をもって改正いたしまして、このような道を開いたのでございますが、これは有線放送の業務を行なおうとする者が、その業務の用に供するために、使用の申し込みを受けた者に対しましての施設の提供義務であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/44
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045・栗山礼行
○栗山委員 料金問題についてちょっとお尋ねをいたしてまいりたいと思いますが、加入の料金は一つの原則的な基準をお定めになって、地域の加入状況、施設状況を勘案して料金をゆだねるというような一つの方向もございましょうし、あるいは全国一律制の一つの基準を設けて、料金制度の統一化という方向もいろいろあろうと思うのでありますが、実施にあたって料金制度の問題についての基本的な一つの考え方というものをお伺いをいたしてまいりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/45
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046・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。料金につきましては、いわゆる義務再送信の場合と自主放送の場合と両方あると思いますが、この義務再送信の料金につきましては、この法案に掲げてございますように、いま認可制をとっているわけでございまして、その料金は「業務の能率的な運営の下における原価に照らし妥当なものであること。」ということになっているわけでございまして、その「原価」と申しますのは、有線テレビジョン施設の規模であるとか、あるいは利用者の加入率といったようなことによっても異なるわけでございましょうし、また施設者自体が営利法人であるか、あるいは公益法人であるかといったようなことによりましても、異なるということがあるかと思いますので、この料金自体を一律にするということも、実情に照らしては必ずしもふさわしくないのではないかと思っておるわけでございます。しかし、あくまでも義務再送信の場合でございますから、その公共性ということを考えれば、当然料金というものは低廉でなければならないということで、この料金の認可後におきましても、その事業の経営といったようなものの結果、多額の利潤をあげるということも考えられるわけでございまして、そういった場合は、この法律によりまして、大臣の命令によりまして改善を命ずることができるというふうになっているわけでございます。
一方、自主放送といいますか、義務再送信以外の場合でございますが、そのうち義務再送信以外の料金につきましては、地元のテレビジョンというものは良好に聴視できるというものでございますので、特別法律によりまして規制をする必要はないのではないかと考えているわけでございまして、私どもとしましては、再送信事業者と受信者の間の契約にゆだねて差しつかえないものであろう、そういうふうに考えているわけでございます。また、この自主放送の場合につきましても、この業務自体が必ずしも独占を招来するものではないわけでございまして、同業者間の自由な競争関係及び受信者との自由な契約というような関係を通じまして適正な料金の維持が可能である。実際は、おそらくその場合はいわゆるスポンサー、コマーシャルをとりまして、広告収入によってまかなうということが大部分であろうかと思いますので、実際の受信者の負担というものはあまり多くないんじゃないかというようなことで、私どもとしましても特にこの料金を大臣の認可にかけるというようなことは考えてないという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/46
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047・栗山礼行
○栗山委員 ちょっと私、理解をいたしかねる諸点もあるわけでありますけれども、時間が相当経過いたしておりますから、あとこまかい法律案の条文についての二、三の問題を担当の方からお伺いいたしまして、私の質問を終わることにいたしてまいりたい、かように考えております。
いただきました法体系といいますか、その内容を私なりに少し勉強さしていただいたのでありますが、依然として、どうも省令にゆだねる点が非常に多い。これは一般的な最近の法律形態であるかどうかということでありますが、もう少し明確に法制定をして、それに準拠する一つの省令行為ということで進んでいただかなくちゃならないのでないかというのが私の基本でございますが、何でもかんでも一つの省令行為に託するということについては、私は、立法機関としての疑義を感ずる。この法案を通じても、そういう認識を変えることができないような読み方と理解をいたしたということを前提に申し上げてまいりたい。
以下二、三の問題についてお尋ねをいたします。
第三条の施設の許可の問題でありますが、第一項「その規模が郵政省令で定める基準をこえない有線テレビジョン放送施設については、この限りでない。」この場合の郵政省令の内容とはいかなるものかということが一点であります。
第二点は第六条、施設の設置期限、「郵政大臣が施設を設置する区域を区分して指定する期間内に、」の文中の「期間内」とは、具体的にどの程度の期間をさすのであるか。
第九条、施設の提供義務、「郵政省令で定める場合を除き、」の郵政省令とは具体的に何であるか。
第十三条の再送信の問題でありますが、「郵政省令で定める場合は、この限りでない。」という場合の郵政省令とはいかなるものか。
第二十二条、手数料の問題でありますが、「郵政省令で定める額の手数料を」という郵政省令の中身はどういうものであるか。
第二十三条の適用除外の問題、第四号、「郵政省令で定める有線テレビジョン放送」の郵政省令とはいかなるものであるか。
たいへんこまかい質問でございますけれども、担当の方々から御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/47
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048・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。まず、第一番目の、第三条の郵政省令で定める基準をこえないものについてはこの限りでないと書いてあるところでございますが、これは私どもとしましては、現在、施設の規模としまして、三百世帯以下のものは許可の対象にしない、そういうふうに考えているわけでございます。
それから第六条の設置の期限でございますが、これにつきましては、私どもとしましては最大限三年というふうに考えております。これはやはり実際の規模その他によりまして、いろいろ検討しなければならぬと思いますが、最大限三年。
それから、第九条の設置の提供義務でございますが、この「郵政省令で定める場合を除き、」と書いてあるところは、これはいわゆる申し込みがありましても、法律によりまして作成されました契約約款に従わないような申し込みでは困るわけでございますし、また施設が、チャンネルをもう全部使っちゃいまして余裕がないときということもあるでございましょうし、その他いろいろなことで承諾することが非常にむずかしい。これは具体的にはちょっとはっきりしませんわけでございますけれども、そういったようなことにつきましては、申し込みがありましても、これは受けなくてもよろしいということでございます。
それから、第十三条の再送信のところでございますが、「郵政省令で定める場合」というのは、私どもとしましては、有線テレビジョン放送施設を設置する区域が、ある放送事業者の放送局の放送区域から非常に遠く離れている場合であって、その放送を受信して再送信を行なうことが技術的にきわめて困難である場合における放送事業者の放送であるとか、あるいは放送の受信による再送信以外の方法である放送事業者のすべての放送番組が同時に有線放送されている場合、そういった場合におきまする放送事業者の放送というようなものを予定しているわけでございます。
それから第二十二条の手数料の関係でございますが、これにつきましては、現在、どの程度の手数料ということはまだはっきりきめておりません。現在試算中でございますが、許可の申請の審査に要する実費のほかに、放送局の場合、その他法令におきまする各種手数料の例がございますので、そういった例も参考にしてきめたいと思っておるわけでございます。
それから二十三条の適用除外でございますが、このうち第四号のものでございますが、これはいわゆる同時再送信を行なう場合でございまして、受信施設の数が五十以下のような場合であるとか、あるいは店頭その他これに準ずる場所に設置した有線テレビジョン放送施設によりまして街頭放送の業務を行なう場合でございまして、もっぱら受信した放送の再送信、または自己の業務の広告宣伝の送信のみを行なうといったようなものを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/48
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049・栗山礼行
○栗山委員 これで終わらしていただきますが、いま省令の内容について一々御説明いただきまして、私はこれについて再質問するという内容はございません。ただ基本的に、たとえば第六条の施設の設置期間の問題等の御解釈、御見解を承ったのでありますが、これ一つ見ましても、この施設の設置期間が三年ということになっておるのです。都市の難視解消という一つの急務の問題を、こういうようなとらえ方でものを運んでいくというところに問題が存するのでないか。
以上、私の愚見を御参考にされまして、法律制定が目的じゃなくて、問題自体をどのように解決するかということにおいてのみ法律の基本があるんだということを十分御銘記をいただきまして、ひとつ進んでいただきたい、こういう御要望を申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/49
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050・内海英男
○内海(英)委員長代理 次に、土橋一吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/50
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051・土橋一吉
○土橋委員 時間があまりありませんので、私は郵政大臣にちょっと聞いておきたいのですが、五月二十一日の読売新聞によりますと、郵便貯金の金利を引き下げることについて政府の方針がきまったということが書いてあります。郵政大臣は前々から、金利の問題は考えていないというふうにおっしゃっておって、われわれ非常に賛成をしておったわけですが、これはどういう経過でこういうことになったのか。委員会ではこの問題について正式には法案が出ておりませんので、委員会としてどうというんじゃないのですが、こういう記事が出ておりますと、あなたの仰せになっておったこととだいぶん違うような気がするので、その点をちょっと聞いておきたい。簡単でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/51
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052・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 郵便貯金の問題についてたいへん御心配いただきましてほんとうにありがたいと存じます。
話せばたいへん長くなりますわけでございますけれども、御質問の時間も短いようでございますが、私はもともと郵便貯金と銀行預金というものは性質が違うものだ、こういうふうに考えております。したがって、昨年の暮れ、ああしてがんばりまして、その主張がずっと今日まで貫かれてきたわけでございますけれども、最近までその考え方は変わらなかったわけでございますけれども、最近の諸情勢、つまり景気の浮揚の実態とか、あるいは外貨滞留の実態でありますとかというようなことから、そういうような全体の金融、全体の経済の中において、郵便貯金の利子の問題いかにあるべきかということをずいぶん悩んでまいりまして、結論が出ますまでは強いことを御答弁申し上げてまいりましたけれども、実は内心非常に悩んでおったわけでございまして、答弁の端々にも、国益と国民の福祉の関係をどう考えるかという問題があるというようなことをお答えしたこともございますし、そうしていろいろな学者先生から、郵政省においでを願ってお話を聞くとかいうようなことをやってまいりましたが、それでも私はその主張を続けたいという気持ちで、そういうことを前提としてそういうような各方面の知識を吸収してまいったつもりでございますけれども、まあ結論におきまして、ある程度折れざるを得ないという日本の情勢ではないかというようなことになっておりますわけでございますが、また郵政審議会の議にも付さなければなりませんし、それから期限は、非常に時期は急ぐようでございます、政府全体といたしましては。でございますけれども、郵便貯金の特殊性がございますから、あの内容、たとえば利率引き下げの——時期は非常に切迫しているように内閣全体として考えておりますわけでございますが、引き下げの率でございますね。〇・五%ということを大蔵省が主張しておりますけれども、私は多少違った考え方を持っておりますわけでございまして、一方庶民金融という問題がございまして、これと交換では決してございません。交換ではございませんけれども、ときたまたまこの庶民金融を通さなければならないという時期と、それから公定歩合の引き下げに連動いたしまして、郵便貯金の利子を引き下げなければいけないという問題がちょうど時期が同じくなりまして、また考え方によっては、内容によって、郵便貯金の利子を下げるということは、それだけ預金者のマイナスになるわけでございますけれども、それをカバーする意味において庶民金融ということもあり得る。庶民金融というのは預金者にプラスであると思っておるわけでございます。そういう関係はあるかと思います。しかし、取引の材料には決していたしておりません。しかし、連動と申しますか、関係があるということは、これはまさに事実だと思うのでございまして、いろいろこういうような事情になりましたいきさつにつきましては、詳しくお話し申し上げれば、賢明な土橋先生でございますから必ず御了承賜わると思います。郵便貯金の引き下げはある程度やむを得なかった、しかし、庶民金融はある程度やるべきだ、大いにやろうという在来のお気持ちを御堅持いただけると思いますけれども、時間がございませんので、きょうのところはほんの簡単な言いわけとお聞き取りと思いますけれども、こういう程度で御了承いただきまして、後日ゆっくりお話を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/52
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053・土橋一吉
○土橋委員 この問題は、全逓労働組合結成以来の問題でございまして、われわれも非常に関心を持っております。ぜひ郵政大臣の勇断をお願いしたいのですが、何しろドルがだんだんたまってくるというような関係から、また円の再切り上げというような問題もからんで、非常にむずかしい問題があるということは私も理解はしております。また、特に大蔵当局の今日までの言明や、あるいは日本のいわゆる独占資本と私ども申し上げておる大資本が、この問題についてかなりてこ入れをしておってむずかしいということもわかっております。しかしながら、初心を貫くようにしていただきまして、ほんとうに零細な金を預けておる、ほんとうに庶民です、これは。しかも、へそくりのようなものを預けておるわけなんですから、一般の法人の利子の問題とか、国全体の金融の関係からは、ぜひこれははずしておかなければならぬという考えを私は切実に持っているわけです。特に、定額貯金とか定期貯金だとかは、つめに火をともすような生活をしながら努力をしたものである。そこへもってきて物価は上がってまいりますから、ますます定額貯金の本来の意味がなくなるわけです。それと、いま申し上げた円の切り上げの問題、貿易の問題というものとふくそうしておると思いますけれども、私は、この問題については、ぜひ初心を曲げないで努力をしていただきたいということを要請しておきます。
次は、有線テレビ法とは直接関係ございませんけれども、労働行政に関する点を少しくお話をして聞きたいと思うわけです。人事局方面も見えておるので……。
私は、実は四月三日、四日、高知県へ参りましたが、高知県の南国市というところの稲生という定員十三名のいわゆる特定集配局の問題でございます。これは前々、地域の住民の諸君と局長との間、あるいは局長代理との間において、いろいろの不信感が生まれまして、松山郵政局に対して、地元約六千の人口に対しまして三千をこえる署名をとって、稲生の郵便局を明るくする会というのをつくられて、そしてこの人たちが松山郵政局に参りまして善処方を要請しておったわけです。ところが、松山郵政局は、この問題について一顧だにすることなく、労使関係で地域住民の皆さんが松山郵政局まで来る必要はない問題だ、こういうような非常に冷ややかな態度で、この問題の処理については肯定をしなかったわけです。そこで地域の方々からも私のほうへ電話連絡などございまして、また地元の労働組合からも要請がございまして、どういう事情か調べてみたわけです。
ところが、この小さい局で、局長代理が昨年の夏ごろ赴任をしておる。この局長代理という方は小池義徳さんという方です。この人が、おれは実務定員じゃないから仕事なんかしないということで、十三名のうち一人の局長代理が、手をうしろにして、たばこを吸いながら、結局労働監視を強化しておる。おれは局長代理だから、現場の仕事はしないというような態度であったわけです。そういうことがますます不信を呼びまして、ここにもいろいろな労働組合としての問題はあるけれども、話せば非常に長くなりますので……。不信の数々、約十二、三項目にわたってトラブルがあるわけなんです。
その中で一つ大きな問題というのは、昨年の十一月二十六日に、この局長代理さんが赴任をしたときにこの局に二百万円ほどいわゆる貯金をされたわけですが、ところが、その二百万円の貯金通帳と判こは、松山に住んでおる奥さんが持っておられるということで一どこか家を建てるという問題が起こったらしいのです。そのために、稲生の局へ預けた二百万円の金を払い下げをしたいということであったわけですけれども、貯金通帳と判こがないままに、二百万円の金を局長の矢野要という局長さんと局長代理のもとで引き出されておるわけです。それで引き出したときの預かり証というものを、現金出納の主事の、たしか渡辺さんといいましたですか、これに預けて、通帳と判こなくして二百万円持っていってしまった。そして、それが事情を聞きますと、その日のお昼ごろかに奥さんが松山からやってきて、高知の播磨屋橋で貯金通帳と判こを渡して現金を引き取って松山に帰る、こういう事件であったわけです。
私は、松山郵政局長永末さんにいろいろ聞いてみたのですが、通帳と判こなくして金を引き出すというようなことは私は指導していない、必ず判こと通帳がなければいかぬということを指導しておるのだけれども、この局長も、いわば第三者で預金者なんだからそこら辺もひとつ考えてもらいたい、こういう発言もございました。また現金出納をやっておる沢本さんという方に対しまして、協力しなかったから責任があるのではないか、こういう発言もございました。これは松山郵政局長さんです。いま申し上げたように、十何項にわたるトラブルで、局内では電話をかけられないという事態が起こっておった。局長と局長代理が別なアジトをかまえて、そして松山郵政局との間にいろいろな連絡をしておる、こういうことなんです。
結局、私がここで究明したいということは、永末松山郵政局長は、そういう全体の問題について、全責任を自分で負うという体制をとっていなかったわけですよ。これは沢本君が協力しないのが悪いんだ、協力せよ、といったところで、やってはならないということに窓口の沢本さんも引き入れるということは不都合じゃないか。あなた自身の趣旨からいっても違うじゃないか。ましてや、御本人が通帳と印鑑を持って、現金は奥さんに渡して帰って局へ来たわけです。そしてその窓口の沢本さんに、これで二百万おろしてくれといって通帳と判こを渡したのです。ところが、沢本さんはどうもおかしいと思って、そこで現金の担当の主事の渡辺さんに聞いてみた。現金はありますかと言ったら、現金はありませんよと言う。そこで沢本さんは、小池さんという局長代理に、いま現金はないそうですからあすにでも金を集めてきてそれで払い下げをしたらよろしいでしょうといって、印鑑と貯金通帳を渡したわけです。ところが、それはいかぬというのです。それに協力しなければいかぬじゃないか、こういうことになってきて、この日のつまり出し入れの締めは八十万千五百五十一円の締めで終わっておるわけです、当日の締めが。ところが、こっそりと局長代理と局長さんで、それを概算しまして、——ここにあるのはその現金出納の実際の、本人が現金の窓口を締めたのがいま申し上げたように八十万一千五百五十一円であるわけです。ところが郵政局に出しておる通帳は、窓口担当の了解を得ないでかってに二百八十万一千五百五十一円という現金出納にしておるわけですね。これは明らかに二重取りであるわけです。二百万先に持っていって奥さんに渡しておいて、それは通帳も判こもないわけです。そしてまた窓口に持っていって二百万出してくれというようなことは、これは詐欺的な行為といっても言い過ぎでないようにも思うのです。したがって、こういう職員に対して郵政局長としては、事実を調べないでおいて、ただ沢本君が悪いということで、四月の四日、高知の飛行場で最後まで私が言ってもそれを聞かない、対決するような姿勢で結局終わったわけです。ところが最近竹下事務次官やあるいは人事局の幹部の皆さんの薫陶によりまして、一定の成果を得たような報告がございました。このことについては私は非常にりっぱな態度だと思うのですけれども、私が申し上げたい点は、この郵政局長、そしてこの末端の局長さん、それから局長代理、これらが一体となってそういう不正な行為をカバーをするような、それで何か自分たちは責任のがれをするようなそういう指導をずっと郵政局はやっておるわけです。これは松山郵政局の下津浦という人事局長さんにもお会いしていろいろお話ししたが、らちがあかないわけなんです。こういうことは私は郵政省全体の機構から見まして、こういう間違ったことに対して、やはり謙虚に内容を調査しなければならぬというふうに思うわけです。したがって、この永末という局長の処遇の問題について、やはり明確にすべきじゃないか。これは東京郵政局にも私はあろうと思います。また東北仙台でもそういう傾向が非常に見受けられるわけです。それは最近のマル生運動などを通じまして、たとえばこの前も北さんにもちょっと申し上げましたように、仙台の郵政局長とその人事局、そして平の佐藤治郎局長との、こういうものに一貫したものが、そういう悪いことをあくまでも全体で伏せてしまう、そうしてそういうことに対して反感を持ったり反対をする者については、ねじ伏せてしまうという体制をとっておるわけです。東京のブラザー制度もそうなんですね。これはたまたま不正なことをやったことが明確であったから、私はこの責任は一体どうするのかということを郵政大臣に聞いてみたいと思うのです。そんなのでよろしいのかどうか。そんなでたらめなことを局長代理や局長がしておって、郵政局長はそれをカバーするような体制をとって非を認めようとしていない。こういう姿勢が郵政省全般にあることは、私は許しがたいことだと思うのです。最近の、たとえば酒田の郵便局における監視労働やその他の問題でもそうですよ。あるいは東京郵政局におけるこれまでの郵政局長をしておった方の、要するにブラザー制度に対するやり方でも、この間も発言をいたしました。また京橋郵便局の問題については、まだどういう処置をしたのかひとつも示していない。東京国際郵便局の問題についても、明確な態度をとっていない。あるいは最近の水戸の郵便局を中心とする問題でもそうです。大阪の福島郵便局の問題でもそうです。すべてこういう一連の、要するに局長を中心として、末端の郵便局長や局長代理がそこだけで責任を負わされて、御自分自身が重大な責任を負わなければならないものをほったらかしておく、こんなことについてひとつ郵政大臣どう思うのか。この問題の答弁のいかんによっては、さらに永末君の不当な行政処分について私は追及したい点があるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/53
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054・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 お話を承りますと、まことに遺憾千万なびっくりした事件でございますけれども、省内の書きものによりますと、この問題につきまして全逓の高知地区の委員長から、局長の行為は公文書偽造である、また局長代理の行為は横領の嫌疑があるというところで、松山郵政監察局高知支局長にも告発をいたしましたようでございますが、その後支局長のほうで調査いたしました結果、本件は犯罪にならないと認められたそうでございまして、しかし刑事訴訟法の規定がございますから送検はいたしたそうでございますが、昭和四十六年の十二月十二日に犯罪不成立と認める意見を付しまして高知地方検察庁に送検をしたわけでございます。検察庁で昭和四十七年五月二十二日に嫌疑なしといたしまして不起訴処分としたというように承っておるわけであります。職員の行政処分につきましては目下検討中であるというように書かれておりますが、ただいま御指摘のありました永末君、それが責任者ということになるわけでございますから、ただいま申しましたように十分その辺のことを調査いたしまして、郵政局長として指導を欠いたというような点がございましたならば、それに従って考えなくちゃならない、こういうふうに思っております。
いずれにしましてもこういうような事件が、たとえ嫌疑なしとして不起訴に終わったといたしましても、御指摘によりますと非常に考えさせられる点があるようでございますから、まあ私は郵政省にはマル生運動なんかはないと思っております。またブラザー制度につきましては、先般来るると申し上げておりますように、存在の理由がありますわけでございまして、そういう制度は悪い点は改めてまいりますけれども、制度の持っております貴重な価値というものは、どんどん生かしていかなくてはならない、そうして不信感を一掃いたしまして、信頼感と誠意をもって労使間対処いたしまして、御指摘のような明るい職場をつくるということを目ざして努力を重ねてまいらなくちゃならないと思っております。そういう点は同感でございますけれども、この点につきましてはもうしばらく調査さしていただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/54
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055・土橋一吉
○土橋委員 大臣、正しい立場に立っていただいて御処断を願うように私はお願いしたいのです。それは先ほどから申し上げますように、十何項目にわたるトラブルがあるわけです。それはそれとしてそれぞれ処置をしなければならぬ問題でございますけれども、たとえば顕著な例でございますけれども、十三名いるところで外勤が六名くらいいるわけです、貯金、保険と郵便の集配とで。内勤をする人は五名か六名くらいしかいないわけです。
〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
そこへ六名にわたるいわゆるトラック部隊というものが乗り込んできて、その十三名しかいない局において六名もの郵政監察関係の諸君が一々タイムウォッチでいろいろなものを調べるとか、状況を調べる、それは数日にわたっておるわけですね。たった十三名しかおりませんわけですよ。朝配達に出ていけば残った人は五、六名です。そこへ六名も来て威圧を加えるということは、全く状況を知らないといってもいい暴挙だと私は思うんですよ。
またもう一つは、これは矢野さんの責任だと思うのですけれども、この沢本さんという方が、たまたま高知の全逓本部に書簡を出す、つまりこれは労働組合の報告のようなものを出そうとした。ところがそれは十五円の切手を張ってなかったわけです。それがボックスに入っておった。それを局長さんが奇貨としまして、いままでのトラブルがあるから、これを直ちに監察に訴えて、本人に二十五時間にわたる尋問をしまして、そうして犯罪扱いにして、これが何と月給の一割、一〇%の減俸処分を三カ月間やっておるわけです。おまけに、同じ昨年の正月に起こった現金書留の紛失事件があって、これはパートタイマーなんかがございました状況で、局長の指導のもとに三者で、要するに御本人が八千何ぼ、局長さんも八千何ぼお互いに弁償しようということで——その前のも入れて処分をした、ここにその処分の通告がございますけれども、三カ月一割の減俸をしておるわけです。こういうむごいことをする。これは沢本君を呼んで、君、切手を張ってないじゃないか、しかも、これはサービスをいわゆる略奪をしたという形式でやったのですが、手紙もまだもとの局にあるのですよ。切手をただ張らないで、忘れたという事実もはっきりしておるのです。本人も釈明しておるのです。それは全逓の地方本部との関係で切手を何枚かもらって、いままでは通信事務や切手別納でやっておったのだけれども、お互いにそんなことをやめましょうというので、官側と組合側でも、いわゆるあいさつ状なんか通信事務で出さない、労働組合も切手を張って出すということで話がついておったところを、たまたま一枚忘れたわけです。それを取り上げて、要するにいまの切手を張らない行為は不都合だというので、いま申し上げた本人は五万四千円の給料です、要するにその一〇%ですから、五千何百円、それの三カ月分の減俸をしておるわけです。同じようなことをやっておる松山郵政局のある職員がおるのです。これは試験が受かりまして、別の福祉関係から郵便にかわったわけです。ところが本人は、特定局その他の知り合いがあるものですから、新しくかわったということで通信事務で百八十通出しておるわけです。それは減俸が一割、一〇%に二カ月なんですね。片方はまだサービスしてないのです。郵政省として何らサービスしていない。片方はもう配達してしまってサービスを完了しておる者が要するに二カ月の減俸、どういう意味があるのですか。こういう不都合なことを平然として永末さんはやっておるから、これはけしからぬ、こんな局長は正しくない、こういうことを私は感じておるのですが、あなたはどう思いますか。事情はそういう内容です、片方は郵政局で使っておる職員が、もうサービスをしてしまった、配達をしてしまったわけです。片方はまだ局にある、全然配達してない。ただ注意してやればああ済みませんというので、十五円張れば済むだけのことだ。それが減俸三カ月の処分になっている。こんなでたらめなことが郵政局長のもとで行なわれておるから、ここの局長はけしからぬ。これは共産党に対するいびり方というものはひどいものなんだ。そういうことをやっておることについて、私は許せないと思うのです。あなたはどう思うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/55
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056・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 職員の処分でございますから、最も慎重でなくちゃならないことは当然でございます。処分を受けるということについては、それ相当の理由があったと私は思いますけれども、先ほどの先生の御指摘もございますから、さらによく調査いたしまして、その処分が妥当であるか不当であるか、不当であるということになれば、私ども大いに考えなくちゃいかぬと思うわけでございますから、十分ひとつ勉強さしていただきたいと思っております。調査さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/56
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057・土橋一吉
○土橋委員 ただ大臣、調査をするということだけではいけませんので、事実は、いま私が申し上げたように書類もございますから、お調べになってみればすぐわかることなんです。郵政省全体の将来の発展のためにも、こういうことをやる局長では私は信用が置けないと思います。聞くところによると、最近たいへん反省されておるということも聞いておりますけれども、それはそれとして私はけっこうですけれども、郵政大臣として、こういう局長を置いておって、そうして下ではがたがたして問題を起こしておる、地域の人も信用していない、稲生の局なんかには、とてもじゃないが簡易保険なんか入れない、こういう事態が生まれておるのにかかわらず、これをカバーする、こういう体制は正しくない、私はこういうふうに思うのです。ですから、あなたに善処方をお願いしたいし、また郵政省全体もこういう仕組みではよくない。やはり局長としては正しくものを見、また謙虚でなければならぬということを私は願っておる次第でございますので、その点をただ調査するだけではなくて、やはりあなたの英断をもって、そういう局長には十分な措置を講じなければいかぬということなんです。ただ、末端の局長さんとか、局長代理さんとか、あるいは課長さんとか、課長代理さんをいじめるだけでは済まないわけです。そういうことをやっているから、こういう全体のマル生運動がいまだにおさまらないのですよ。私はこの点をあなたにお願いをしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/57
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058・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 私どもが調査するとお答えいたしますときは、その結果に基づきましてそれ相応の措置をするわけでございますから、不都合でもございましたならばそれに対する処分はやりたい、こういう意味を含めての調査でございます。ただ、マル生運動マル生運動と先生おっしゃいますけれども、私はそのようなことはないものだと確信いたしておりますから、それはひとつ御認識願って、よく御指導賜わりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/58
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059・土橋一吉
○土橋委員 あなたの気持ちはよくわかるのですよ。あなたは、自由民主党の幹部だし、郵政大臣ですから、その気持ちはよくわかる。しかし、末端の、たとえば山形県の酒田の郵便局の例なんか見ますと、労働組合の、そういう官側が入ってはならないような、遠慮しなければならないところへだっと入ってきて、写真がございますよ、そうして一々メモをとったり、だれがどういう発言をするというようなことを平気でやっておるわけなんです。そうしてこのマル生運動を進めておるわけです。こういう東北の郵政局長及び局長及びそういう一連の者があるわけです。ですから、あなたはきわめて善意におっしゃっておるけれども、実際郵政省のいまの人事関係というのは、そういう形を形成してずっとやってきておるわけです。これはよいことじゃないわけなんです。正しいことで団結をするのはけっこうですけれども、そういう不当労働行為でやることについて、私はあなたに率直に申し上げておるわけなんです。
それでは本論に入りまして、有線テレビジョン放送の問題について、先ほどの委員からもお話がございまして、私もたいへんむずかしいので困っておるのですが、一体郵政大臣は、都市における難視聴解消のために、中心としてこんな法案を出したのか。私は、電波監理局が、要するに最初の説明で書いておりますように、二十チャンネルもあるということについて、自主放送する場合に、どういう規制をしなければならぬかということも考慮して、そしてこの法案をつくったように思うのですよ。ところが、いまのお話でございますと、大体都市の難視聴を解消するというようなことにお話がなってきておりますけれども、はたしてそれが本命であるのかどうか、もう一度私は聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/59
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060・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 有線テレビジョン放送は、ただいま御指摘のように、都市の難視聴の解消という使命を持っておるわけでございますが、そうした使命は、だんだん都市形態というものが進んでまいりますから、高層ビルがどんどん建っていくという将来性を考えますと、いよいよ必要性というものは多くなっていくというように考えておるわけでございます。そういうような重大な使命を持った有線テレビジョン放送でございますから、適正な施設者が選ばれて適正な事業をやってもらわなくちゃ、被害を受けるのは公衆であるということで、今度施設の許可制にしようということにいたしたわけでございまして、なぜ施設の許可制にして適正な業者を選ぶためにはこういう法律が必要かということになりますと、ただいまお話しのように、この有線テレビジョン放送の施設というのは非常に独占性を持ったものであるということ。第一に、いまお話の回線が非常にチャンネルの収容力の強い、二十幾つか入るというようなものでございまして、これが一つできますと、他の業者はまたさらに回線を敷設するということはできないわけですね。そういう意味から申しましても独占性を持っている。また、費用も非常にたくさんかかる。でございますから、よほどたくさんな資金を持った人でないと、対抗馬としてあらわれることができない。そういう経費、費用の面から申しましても多額を要しますので、非常に独占性を持っているというわけでございます。
いま一つは道路の占用という点から申しましても、だれか一人、その道路を占用しますと、またそのほかにその道路を占用するという余地がなくなってくる。それから電柱の共架にいたしましても同様でございますけれども、だれか一人そういうようなことをしますと、ほかにそういうような使用をしてくる人がやりにくくなるということで、そういう点で、回線の点から申しましても、また経費の点から申しましても、また道路並びに電柱の使用という点から申しましても、きわめて独占性を持ったものであるから、競争相手というものが出にくい仕事でございますから、それなれば、一そうひとつ適正な業者を選ばないと、迷惑をこうむるのは公衆であるということで、こういうような許可制を設けることにしよう。施設についての許可制でございますから、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/60
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061・土橋一吉
○土橋委員 たいへんよくわかるのです。ところがこの問題について、施設とそれから放送業者と、一番肝心かなめなのは受信者、それから郵政省の監督の問題、この三つが一つの大きな柱だと私は思うのです。あなたが仰せになっているように、施設についてはいろいろむずかしい点もございますし、技術的な水準あるいは力というようなものもございますけれども、あなたのうたっておられる内容を見ますと、たとえばこの法案の、施設の許可についてこういうふうにあなたのほうではおっしゃっておるわけですね。これはちょっと私には解せない点で、第四条の——一、二は、私はわかる。これはかなり必要性のあるものだと考えておるのです。ところが三にいきますと、ここであなたの出しておられる法案を見ると「経理的基礎」というようなことを書いてあるんですね。「経理的基礎」なんということが一体この中で何の必要があるのか。たとえば公法人にしたければ、地方自治団体にやらしたらどうですか。東京都とか大阪府というようなところにやらしたら、この経理的な問題はすべて解決するんじゃないかという気持ちが私はしておるんですよ。これは地方自治団体が責任を持つべき問題じゃないか。難視聴についても一部分ございます。
それから四番目の問題については、これは大臣もよく御承知のように、「自然的社会的文化的諸事情に照らし必要であり、かつ、適切なものであること。」こんなむずかしい制限を設けたら、おそらくこれは郵政大臣がもう、かってにするということを意味しておると思うんですよ。つまり何とでも難くせがつけられるわけですね、極端な言い方をすれば。「その地域における自然的社会的文化的諸事情に照らし必要であり、かつ、適切なものである」なんて、郵政大臣にそこまでそんなに心配してもらわなくたっていいじゃないか。何のおせっかいで、こんなむずかしいことをいうのか。公益に必要なためにというふうに書いてあればいいのに、こんな条件をつけられたのはどういう趣旨なのか。私にはその必要がわからない。ここまで手とり足とりなことをいわなければ施設業者はできないのか。特に自由競争ということも頭に入れて考えると、これは郵政大臣が行き過ぎじゃないか。こんなにまで制限を加えるのはおかしいという気がするのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/61
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062・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。御指摘のように、第四条の「許可の基準」という中には、第三号といたしまして、この「施設を確実に設置し、かつ、適確に運用するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。」あるいは第四に、「その他その有線テレビジョン放送施設を設置することがその地域における自然的社会的文化的諸事情に照らし必要であり、かつ、適切なものであること。」ということがございます。これを抽象的に、たとえば第四号にしましても、公益上必要だ、ということになりますと、まあむしろ公益上、ということによりまして、非常に明確でない点が出てくるわけでございまして、私どもとしましては、この第四号の「自然的社会的文化的諸事情」というものは、そこにおきまする地形の状況でございまするとか、その受信障害の実情、あるいはまたその受信者の需要と申しますか、そういうものの要望、あるいはほかの有線テレビの施設の状況でございますとか、あるいはまたその他、他の許可申請というような関係、そういったものを全部ひっくるめまして検討する必要があるだろうということを申し上げているわけでございます。
また、この第三号の、施設につきまして、やはり確実に施設をしなければ受信者にとって不利益になるわけでございますから、その施設を確実にするに必要な経理的な基礎あるいは技術的な能力ということも、当然これは要求されるべきものではなかろうかと私どもは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/62
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063・土橋一吉
○土橋委員 都市の難視聴を解消するというのは、原因者である高層ビルを建てた人が責任を負うし、まあNHKさんも努力をしていただけば解消できることであって、もし都市の難視聴だけを解決したいと言うのなら、何でこんなむずかしい法律をつくってやる必要があるのか。これは何かのものを先取りする考えを持っているのじゃないか。つまり電波局が出しておりますような二十チャンネルというところを中心にして、これが将来どう動くかということを危惧するあまりに、こんなむずかしいようなことを、制限を設けているのじゃないかというふうに私は疑わざるを得ないわけです。
ところが現状は、あなたのほうが出したこの資料を見ると、自主放送をしているものは一つもないんですよ。そうでしょう。再放送するについて、ここに若干統計が書いてございますが、三つですよ、皆さん。東海地方に一つと、それから近畿に二つ、これだけしかないわけです。あとは、要するにNHKが再送信を——九千五百五あるのです。自主放送したいというのは一つもありやしない。ありゃしないことを見ても、なるほど計画はございますよ。あとの二ページ目には、計画ではたくさん出ていますよ。これは公法人として、営利法人として、あるいは地域の業者としていろいろな要求が出ているけれども、具体的に東京ケーブルビジョンの例を見ても、近畿ケーブルビジョンの例を見ても、いまみんなあごを出しているじゃありませんか、経費がないとかなんとかで。そして将来の見通しもはっきり立っていない。ましてここで、たとえば長野の例をとりますと、長野の市川さんというのと池田さんが要求しておるんですよ。それから各会社合弁してやっておるわけなんです。ところが、これは単なる見込みなんですね。ケーブルビジョンというものはどういう成果をあげるかはまだ明確ではないけれども、まあ届けておけ、そうすると何か利益があるだろう、まことに申しにくいわけなんですが、そういう先取りをしている傾向が多々あるわけです。現実にやっておる東京のケーブルビジョンにしても、あるいは大阪方面のケーブルビジョンにしても、みんなあごを出しておる。こういう状況の中で、しかも自主放送をしたいというのは一件もありやしない。全国的に見て、やっておるのは三つしかない。こういう状況のもとに、なぜこの法律を急遽この国会に上程しなければならないのか、私はわからないんですよ。現にこれがふくそうして、それこそ全国でわんわんやっておって、そうしてこういう規制をしなければならないということが明確であればわかるのです。ところがそうじゃなくて、施設をやる人だってまだ足踏み状態で、これが海とも山ともつかない。現にやったものはもうどろ沼に入ってしまっておる。こういう状況の中でこの法案を出してくるというのは一体どういうわけか、これが疑問になっている根本なんですよ。それは電波局が、先ほど申し上げるように、この資料などに、二十チャンネルも使いますよというようなことを言い出しているから、それじゃ自主放送は一件でもあるか。ありやしない。この統計では一つもないですよ、あなたのほうの。そうしてみると、電波局の考えておった路線の問題と、現実の同軸ケーブル敷設の問題やら有線の問題は非常に困難が多い。経済的に非常に困難だ。もし都市の難視聴地域解消だったらば、原因者に負担させればいいわけですよ。何もケーブルビジョンなんてつくる必要はないはずです。ましてや、野村さんも話しているように、七百メートルの範囲に及ぶいわゆる短波放送で、そういうことがだんだん実現ができるということになれば、これをやった人はえらい損害を受ける。とんでもない。この法律をつくっても何ら実行力も何にもないということになってくる。こういう情勢にあるので、こういう点を大臣は考慮してこの法案を上程されたかどうかということなんです、私の聞きたいのは。だからこの法案の中には非常に不備なものがあるし、ある意味においては先取りを考えて、つまり私が言いたいことは、そういう点について、もっと的確な内容を示した、要するに充実した内容にしなければいかぬじゃないか。この資料を見たって、どうしてこの法案をつくっていかなければならぬかというものが一つもうかがえないのです。ただ、最初、出だしが何回か流産しておるので今回は通したいということだけであるのであって、その中身をよく見れば、何ら緊急性とその必要性というものが感じられていないわけですよ。そういう点について簡単にひとつ答えていただきたい。なぜ、そういう状況の中でこの法律案を出してきたかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/63
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064・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 原因者負担と申しますか、原因者責任と申しますか、その原則は貫いておりまして、原因者がはっきりわかりますような場合は、その人に責任を負ってもらって負担を願っております。ところが、最近の大都市の高層ビルの現状は、どこに原因があるかわからない。全般的に何となくそういうような難視聴の地区が出てきているというようなことが非常に多いものですから、こういうようなものを特に施設しなければならないというような必要性に迫られておりますわけでございまして、それでも現に相当たくさんなこの施設の申請が出ておりますわけでございますけれども、まだこういう法律の審議中なんですから受理をせずにおりますわけでございまして、各方面から非常に熾烈な要望が出ていることは事実でございます。
それから既存の業者、東京とか大阪なんかの例を引かれましたけれども、大阪はかなりうまくいっているんじゃないかと思いますけれども、東京は御指摘のように非常に経営がまずい。しかし、これについてはいろいろな原因が、理由がありますわけでございまして、私もその理由はいささか知っておりますけれども、そういうことについては、郵政省が指導してつくった財団法人でございますから、今後とも大いに指導してまいらなくちゃならぬと思っておりますが、必要性のありますことは、事実もう熾烈な要請があっておりますわけでございますから……。
それから、自主放送が立っていないと申しますけれども、放送事業、放送業務ということで、これには自主放送もあれば再送信もあるというわけでございまして、双方向通信という一つのメディアもございますけれども、今度の法律案におきましては、そのことはまだ考えてない。再送信、自主送信だということに限定をいたしておりますわけでございます。ファクシミリは含んでおるものだというようにお考えいただいてけっこうだと思うのでありますけれども、双方向通信は考えていないというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/64
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065・土橋一吉
○土橋委員 こういうわけで、この施設については、先ほども申し上げましたように、三号とか四号という余分なような内容ではなくて、一、二でかなり私は規制ができると思うのです。したがって、こういう規制は金のかかる仕事であるし、むしろ地方自治団体が中心となって、そしてNHKや政府と協力体制をとってやることがむしろ好ましいことじゃないかということなんです。もしこれが完成するようなことになってくる、あるいは部分的に完成しておるということになれば、今度は二十チャンネルをどうするかという問題になってくると思うのですよ。
そこで、放送業者の立場からいいますと、私はいまのNHKが、一万何千人のスタッフをかまえて日夜努力をしてもあれだけの放送である。民放全体を集めても、要するに数万の人が七チャンネルの放送のために日夜奮闘されておる。もしこれが十三チャンネルか二十チャンネル使うということになってきたら、それこそ十万人をこえる従業員を擁して、資金もばく大なものを持っていかなければならぬというようなことが想像されるわけですね、そうでしょう。そういう場合の業務の規制という問題や、自由にするという問題については、大きな問題になってくる。それすらの見通しもないという現状なんです。
そこで、私は施設についていま申し上げたような考え方を持っておるわけです。しかし、この第十二条のこの放送業者というのは一体どういう人なのか。個人はなれないのかどうか。もし放送業者だけということになれば、これはつまりこの二十チャンネルの電波をいわば遊ばしておくというようなことになって、特に言論の自由の問題と関連をして、大きな問題が出てくるんじゃないか。したがって、これは国民はだれでもできるというふうになぜ書けないのか。郵政省のある人に聞くと、これは国民ということなんですということをおっしゃっておる。国民なら、国民及びその放送業者は自由に施設を借りることができるとか書いたらいいじゃないか。それをなぜ一体放送業者だけに限るのか。限るとすれば電波法の適用を受けて、いろいろな制限があるわけですね。ここらの点が私には非常にわかりにくいのです。国民だというならば、国民はひとしくこの施設業者からこれを利用することができると書けば一番いいのです。並びに放送業者も利用できるというふうにすればいいのに、これは国民だと言っていながら結局業者だけだ。どういうわけなんだか、この点がちょっと私はわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/65
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066・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 施設者の問題でございますが、これは自治団体でも差しつかえないようでございます。ただ、それを借用しまして使用さしてもらうというのは、だれでもいいということになりますわけでございます。それについては選定の基準がございますけれども……。
それから国民並びに放送業者となぜ書かぬかという御指摘でございますけれども、それも国民だけでいいわけなんでございまして、放送をやるようになりまして初めて放送業者ということになるわけでありまして、既存の放送業者でなければ使用はできないという意味じゃございませんので、その点は先生誤解じゃないかと思います。
なお、詳しいことは電波監理局長から説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/66
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067・土橋一吉
○土橋委員 いや、大臣、私はここのところは非常に疑問なんですよ。放送業者というと、放送を行なうことによって、営業として、職業として、それによって生活を営んでおる者というふうに私は理解をするんだ。ところが、たとえばあなたが自民党の代議士として、おれはこういう意見を述べたいんだ、この二十チャンネルのどこかあいたところにやらしてくれ、おれは自民党の代議士として自分の所信を述べたいという場合に、それを放送業者というのか、いわないでしょう。労働組合の代表が、ここ二時間ほどあきチャンネルを使って、総評なら総評の意見を述べたい、あるいはたとえば県漁連の代表が、最近の政府の方針について私は反対だからして意見を述べたいという場合に、それを放送業者にするのですか。これはおかしいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/67
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068・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。第十二条に「有線テレビジョン放送事業者」ということばがございまして、単なる放送業者ということばはそこにはございません。これは先ほど大臣がお答え申し上げましたように、単なる放送法によりまする放送事業者ということではないわけでございまして、あくまでも一般の人でよろしいわけです。ただ個人がふらっとこのチャンネルを借りて放送するということでは困るわけでございまして、あくまでも放送事業者ということにならないと困るわけでございます。その放送事業者になろうとする者は、そこにございますように、「郵政省令で定める事項を郵政大臣に届け出なければならない。」と書いてあるわけでございまして、ただ届け出をすればよろしいというだけでございます。ただ、もちろん事業としてやるということでなければならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/68
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069・土橋一吉
○土橋委員 そうすると、十三条の規定を見れば、有線テレビジョン放送施設者たる有線テレビジョン放送業者はというふうに、つまり施設をやった人で同時に事業をやりたいという人の場合の例をあげておるわけです。この十二条の規定は施設のことは関係ないわけで、一時借りたいという人なんだ。その借りたいという人を、ここに書いてある。有線テレビジョン放送業者となろうとする……。郵政大臣が自由党の議員として放送したいというのもテレビジョン放送業者となろうというような、そういう内容じゃないでしょう。なぜそういうむずかしい形容詞をかぶせるのですか。国民はいつでもその施設業者に借りることができると書けば一番いいじゃないですか。これを書けば、必ず放送法の規定のいわゆる第一条とか第三条とか四十四条の三項の規定を受けざるを得ないのです、放送業者ですから。個人の場合だったら、そんなものははずして、自由に放送できるわけでしょう。放送業者になれば、どうしても放送法のいわゆる不偏不党性とか中立性とか、いろいろな制約を受けなければいかぬわけでしょう。そうすれば国民だといえますか。国民の範囲、特にそういうことについて専門的な番組編成等を知っていたり、いろいろな関係を知っている者でなければ放送業者といえないでしょう。放送業者なんですから、個人の私がやりたいということにならないでしょう。そこのところ、どうもはっきりしない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/69
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070・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 放送の施設者にして放送事業者というのは、施設もやり、そしてまたその人が放送の仕事もやる、兼ねてやるという意味でございます。それから、放送事業者というのは、国民が届け出によってその施設を借りまして放送を始めるという場合に、始めて放送事業者になるという解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/70
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071・土橋一吉
○土橋委員 そうすると、電波法の規定やそれから放送法の規定を受けるでしょう。そうすると、憲法二十一条の規定に反するではございませんか。国民だと言っておるのに、有線テレビジョン放送業者となろうとする者は、といえば、これは必ず放送法の適用を受けなければならないのですよ。受けないで放送することはできませんよ。どうですか、そこのところ、どう考えてもわからないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/71
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072・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。この第二条に「「有線テレビジョン放送事業者」とは、」という定義がございます。そこにございますように、「有線テレビジョン放送の業務を行なう者」を放送事業者というというようになっておるわけでございまして、これは一般の国民でよろしいわけですが、あくまでも「業務を行なう」ということになるわけでございまして、「業務を行なう」ということは、一回ぽっきりただ演説をするということではなくて、やはり放送事業として反復的にその業務を行なうということになるわけでございます。そうしますと、この法律によりまして、先ほどの第十二条によりましてこの事業者になろうとする者は届け出なければならないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/72
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073・土橋一吉
○土橋委員 それでいい。それなら明確なんです。これは国民じゃないです。テレビジョン放送業者として経験を持ち、また放送法の規定を受ける者でなければならぬわけです。国民は自由にはやれないということなんです。そうすると今度は、二十チャンネルもあって長い時間があるにかかわらず、国民に利用させないという逆の面が出てくるのではないかということを私は憂えておるわけです。そうでしょう。大臣はこれから選挙でも始まると、またあなたは自分の選挙区でおやりになるでしょう。そのときに、飛び込んでいって、あいたチャンネルで自分は所信を述べたいということはまかりならぬわけです。必ずテレビジョン放送業者として、今度はNHKが規定しておるところの、たとえば三条であるとか四十四条の適用を受けなければいけない。そうすると、意見を述べることはできやしない。それでは国民の自由なる意思を表現する機会にならないのではないかということを言っておるのですよ。おわかりいただいたでしょうか、私の言っておることが。それは憲法第二十一条に違反するじゃありませんか。てこで、憲法二十一条に違反をするようなものを国会に上程してきて、二十チャンネルもありますよ、国民は使えますよというような説明では、ごまかしではありませんか。必ずNHKの制約を受けるテレビジョン放送業者としていかなければこれは使うことができぬということになれば、これは全然、憲法第二十一条が保障しておる言論や表現の自由を認めていない。逆に消極的に、中立性をなくして、言論の自由を押えるためにこの法案を出してきたといっても言い過ぎじゃないじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/73
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074・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。先ほども申しましたように、有線テレビジョン放送事業者となろうとする者は、届け出だけをすればよろしいわけでございまして、これはだれがやろうとも差しつかえないわけでございまして、あくまでも放送事業というものをやろうとする人は、届け出だけをすれば、それでできるということでございます。しかし、有線テレビジョンというものは、現在の電波によるテレビと同じように、家庭の中でチャンネルをひねればすぐ出てくるわけでございまして、現在電波による放送自体につきましても、いわゆる社会的な影響が大きいという点から、おっしゃいますようないろんな法律の規定があるわけでございます。放送法の四十四条の三項にありますようないわゆる番組の編集の準則といったもの、そういったものにつきましても、ただ電波であるからという電波の有限性に根拠を置いているだけでございませんで、放送の有する機能あるいは影響力というものにも着目したものでございまして、いわば放送というものが放送である以上守らなければならない最低の基準、あるいは最大公約数的な準則を示したものというふうに考えたわけでございます。現在の有線放送業務の運用の規正に関する法律、いわゆる有運法と申しておりますが、これは昭和二十六年に議員立法によって制定されたわけでございますが、それに対しましても放送法の四十四条の三項の番組編集の準則は適用されておるわけでございまして、これが今度有線テレビジョン法というふうにこちらに移りましても、やはりそういった意味におきましてはこの放送法の適用は、やはり適用されてしかるべきものだと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/74
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075・土橋一吉
○土橋委員 もうこれで最後です。おっしゃることはわかるのです。あなた方は、国民はだれでもできるというふうに宣伝をしていながら、有線テレビジョン放送業者という一定のワクをきめたものでなければできない。そのワクが入ったものは放送法の適用を受けて不偏不党性のワクが入っているわけです。そういう政治的な中立のワクが入っているわけだ。公序良俗を守らなければいけないというワクが入っているわけだ。そのワクはいいといたしましても、これは法律事項ですから、それを守らなかったら処罰されてしまうわけです。任意事項ではない、注意事項ではない、法律事項ですから、国家の権力によって処断されてしまうわけです。ところが、自由に放送をしたい人が、二十チャンネルもあって、あたかも国民がだれでも利用できるような体制を一応示したような顔をして、そしてNHKと同じようなそういう規制を受けなければならないもの以外には放送ができない。こういう規制を受けたものを、共産党や自民党やあるいは民社党がそれぞれ意見を述べる、これは要するに、真実を求めるために、適正にそれぞれの意見を聞かす、これはコップの中で、一つの放送業者としてのいわゆる腕の中で意見を述べているわけだ。これは自分が積極的にこういうことをしたいということを述べる機会は得ないわけです。ここに憲法二十一条の規定に違反をするようなことを、有線テレビジョン放送業者ということでかぶせてくるのは不都合ではないか。それならそのようにちゃんとここで、これは放送局のような人でなかったらできませんよといえばいいものを、だれでも国民はできますよ、というような表現でこれをやっておるのはけしからぬじゃないかということを私は言っておるのですよ。それなら、国民はすべて施設者と話をして、あきチャンネルを十分利用して、自分の思想、信条を自由に述べる権利をなぜ保障しないのか、こういうことを言っているわけです。私の言っていることはわかるでしょう。ですから、この法律は、非常にまやかしものがあるということを私は言うのです。
特にこういう点があるのですね。報告及び検査の義務があるわけです。郵政大臣は、及び政令の定めるところによって、——これは施設者に対しても、あるいは放送業者に対してもそうでしょう。これは一々報告をしたり、そういう書きものをしなかったら放送できない。こんなむずかしいことをして、国民が持っておる聞く権利あるいは表現する自由までも拘束する、そういうことが郵政大臣はできるのかどうか。私はそんなことはできないと思うのです。郵政大臣はそこまで干渉して、一々報告をとるなんということは、放送業者の場合は、それはいま話しましたように、一定のいままでの法律の規制の体制からそういうことになっているけれども、自由に放送そのものはできないわけです。そうしてくると、この法律は要するに当初申し上げたように、先取りをする多くの点と、こういう点から非常に不都合なものを含んでいるではないか。
さらに、いろいろございます。たとえば省令に委任が非常に多いわけです。なるほど技術的な点でしろうとではわかりにくい点があるから、それはそれぞれ手とり足とりのように、郵政省令でいろいろきめてくださることもわかるのですよ。ところが、そういうものでいつでも郵政大臣が気に食わなければ事業を停止をするといったような、そういう逆の面が出てきておるわけですね。ですから、省令に委任することもけっこうですけれども、しかし、そういうことで結局自由に国民の意思を表現させる機会を、せっかく有線テレビジョン放送は二十チャンネルも使えるという前提に達しながら、それを阻害をしてしまっている。これを阻止する体制をとっている。こういう自己矛盾におちいっているではないか。この点が私はどうしても納得できないし、賛成できない点です、こういう点は。ましてや、いま申し上げた点は、あなたのほうの資料を見ても、全く脆弱な基礎の上にそれがっくり上げられている、というならば、これはすみやかに提案を引っ込めておくべきじゃないかという意見を私は持っておるのであります。
それだけ申し上げて私の質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/75
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076・高橋清一郎
○高橋委員長 水野清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/76
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077・水野清
○水野委員 CATVの法案の審議につきまして、この際、大臣及び電波監理局に二、三御意向を聞いておきたいことがございます。それは都市の難視聴をこれからどうするかという問題でございます。たとえば東京に例をとってみますと、新宿の副都心に超高層のビルが大体来年くらいに五つ、六つ建ちます。さらに、池袋の巣鴨の刑務所のあとにも超高層ビルが建ちますが、現在考えられる都心の超高層以外にこういうものが出てまいりました際に、東京都内の難視聴解消という問題は、非常に重大な問題になってくるんじゃないか。これはCATVの問題だけではなくて、一般の放送の世界で重大問題になってくるのじゃないかと思います。そうしますと、これに関連して、CATVの現在東京にあります東京ケーブルビジョンは、一体これからどういうふうにそれをカバーしていけるのかということについて、少し具体的にお考えを聞いておきたいと思います。
たとえばの話でございますが、現在、東京のほとんどのキー局は、東京タワーから電波を出しておりますが、新宿副都心に高層ビルができた際には、これは私の非常にしろうとの推定でございますが、中野区、杉並区あたりに、あるいは世田谷区のほうにかかるかもしれませんが、非常に長い帯状の難視聴地帯が発生するであろうというふうに思います。あるいは池袋の超高層で豊島区、板橋区のほうにかけてそういうものが発生するかもしれません。さらに、これらのビルで電波が乱反射をして、とんでもないところにテレビの難視聴地域がまた発生するかもしれません。もちろんこれは、これからのあれですから、原因者というものが考えられますけれども、原因者に金を出してもらうとかもらわないとかの議論の前に、これだけの問題が予想されるのに、一体東京ケーブルビジョンでこれらの難視聴解消を、将来完全にカバーできるのかどうかということです。簡単に考えただけでも、私はちょっとむずかしいと思います。昨日この委員会へ、東京ケーブルビジョンと京阪神ケーブルビジョンの従事者の方に参考人としておいでいただいて、あなた方は将来CATVだけで一体難視聴解消ができると思っていますかという御質問を申し上げたら、あまり自信のあるお答えははね返ってこなかったようでございます。これにつきまして、大臣からでも、電波監理局長からでもけっこうでございますが、これから複雑に発生する、主として東京でけっこうでございますから、東京都内の難視聴解消についてはどういう方針でやっていくかということをお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/77
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078・藤木栄
○藤木政府委員 お答え申し上げます。都市内におきまする難視聴の問題は、おっしゃいますように非常に重大でございます。特に新宿副都心というところができますと、おそらくおっしゃいますような事態が生じてくるだろうと私どもも覚悟をしているわけでございます。しかし、現在その解決の方法といたしましては、先ほどもお答え申し上げたわけでございますけれども、個々の家庭のアンテナを高くしたり、場所を変えたりという方法もございますし、あるいはまたアパートの上に共同アンテナをつけてやるという方法もございますし、本格的なCATVという方法もございます。それからまた先ほど栗山先生の御質問に対してお答えしたわけでございますが、電波による方法もないことはないわけでございます。これはしかし、電波によって全部解決するとは思われないわけでございまして、いまのように新しい建築物がどんどんできるということになりますと、また障害が起きるというようなことになりまして、電波によっては暫定的あるいは補完的と申しますか、にはできるかもしれませんけれども、最終的に本格的にやろうとすると、どうしてもこういったCATV、有線テレビジョン施設というものによらざるを得ないであろうと私どもは思っておるわけでございます。しかし、おっしゃいますように、これがはたして難視聴の解消にどんどん役立つかどうかという点につきましては、このもの自体が非常に経費がかかるという問題あるいはまた電柱に共架する問題にしましても、あるいは道路の占有の問題にしましても、いろいろ問題があるわけでございます。先ほど御引用になりました東京ケーブルビジョンといったものも、そういったことのために非常に苦労している。東京ケーブルビジョンだけで東京の難視聴が解消するとは私どもも思ってないわけでございまして、現在NHK、民放その他も、それぞれの立場でこの都市の難視聴というものについては、非常に努力をされているわけでございます。私どもとしましても、現在受信障害対策協議会というものをつくりまして、関係者を集めまして、積極的にこの難視聴の解消ということをやっているわけでございますが、具体的な方法というのは先ほど申し上げたようなことでございまして、必ずしもはかばかしくいってないというのが現状でございます。しかし、私どもとしましては、この施設をつくるからには、しっかりした施設をつくってもらわなければいけないという意味から、こういった法案の提出をお願いしているというような状態でございます。
お答えにならないかもしれませんけれども、私どもとしては私どもなりに努力して、何とか難視聴の解消をはかっていきたいというつもりではございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/78
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079・水野清
○水野委員 いまの藤木さんのお話、率直に言うと、あなたも自分で言っておられるように、何のことだかわからない。要するに、何でやるかというきめ手をしっかり考えていただきたいということを私は言っているのです。いまここで御答弁ができないという事情もよくわかります。ですから、CATVで、もし東京ケーブルビジョンでやるということならば、きのうの参考人が言っていたように、東京ケーブルビジョンに相当に金を出してやって、それこそ補助金でも出して徹底してやらなければできないことであります。簡単にできることでありません。もしそれができないということならば、私はこれからもう一つ次の問題として伺いたいのですが、きのうもここに来られたNHK専務理事の野村参考人が言っていたこと、それは郵政省がケーブルビジョンの許可をなすって、その地域内で視聴者に施設を設置させ、三年なら三年の期間内に十分にあまねくサービスができなかった場合には自分たちのほうにやらせてくれ、こういうことを言っておりました。いいですか。この関連が出てくるわけです。御承知のようにNHKは難視聴解消という義務を持っていますから、これはやらなくちゃいけない。しかし、CATVを許可してしまったから、これはもうなわ張りだから、NHKは入ってきてはいかぬということになれば、東京ケーブルビジョンが責任をもってやらなくちゃならない、こういう問題が起きてくるわけです。ですから、あなたのほうではそれをどういうふうにするのかということを、もう少し明確にしていただきたい。これはいま伺うのは無理でしょうが、大体東京ケーブルビジョンの業務区域というものは、この法律が通った場合に、どの範囲でやらせるかということです。東京一帯なんということになったら、これはできないことはわかっています。新宿区だけでもサービスが完全にやりきるかどうか。どのくらいの金がかかるかということを少し考えておかないといけないと私は思います。その辺の事情を、きのうのNHKの野村専務理事は、CATVもやらない、NHKのほうもそこに行って共聴施設をやることができないということになると、自分たちとしては、必ず画像を視聴者に届けるという義務があるのに、それに反することになるから心配であるということを言っておりましたが、電波監理局長、それに対してどういう考え方を持っておられるか。簡単にひとつやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/79
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080・藤木栄
○藤木政府委員 東京ケーブルビジョンのいわゆる業務区域というものは、東京都及びその周辺ということにいまなっておるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、東京ケーブルビジョンだけでは全部カバーできないことは十分私ども認識しております。したがいまして、NHKが特別のところに対しまして難視聴を解消したいということで、自分でも施設をつくりたいという場合は、私どもとしても事情をよく調査いたしまして、そういう場合もあり得る、そういうふうに考えます。これはやはりいろいろな場合があると思いますので、私どもとしては弾力的にケース・バイ・ケースでやっていきたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/80
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081・水野清
○水野委員 その場合、東京ケーブルビジョンが、この辺はもうかるから、私のほうでやりますから困るといったらどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/81
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082・藤木栄
○藤木政府委員 東京ケーブルビジョンは、御存じのように公益法人、財団法人としまして郵政省の監督下にあるわけでございますので、私どもとしましては、十分にそういった点を指導いたしまして、これはほんとうに東京ケーブルビジョンがやればそれでよろしいわけでございますけれども、先ほども申しましたように、なかなかむずかしい問題もあるわけでございますから、そういった場合におきましては十分に調査いたしまして、先ほど申しましたケース・バイ・ケースで弾力的に、場合によってはNHKにやってもらうということもあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/82
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083・水野清
○水野委員 非常にくどいようですが、もう少しその点で突っ込んで伺いたい。
それでは、ともかく東京ケーブルビジョンがやりますといっていますが、いま郵政省で考えておられるのは、大体三年以内に施設を全部提供するということのようですが、三年たっても難視聴解消でケーブルビジョンができなかった場合、これはどうしますか。片方でNHKがやらしてくれといっているけれども、東京ケーブルビジョンに三年間与えていますからしばらくやってくれと、これは電波監理局の立場としてそうおっしゃるでしょうし、その辺はやむを得ないと思いますが、片方で、おそらく、東京都内のことですから、私は視聴者が騒ぎ出すと思うのです。これは一種の公害問題のような形になって、難視聴解消の変な団体のようなものができて、いろいろ騒ぎが起こってくると思うのです。片方でケーブルビジョンを押えておいて、NHKにやらせない、しかし三年たってしまった、そういう際には、それではNHKなり民放の共聴施設というものに対して、もうケーブルビジョンを切ってやれということを責任をもっておやりになるかどうかということを伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/83
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084・藤木栄
○藤木政府委員 施設の設置期限は、最大限三年ということでございますが、私どもとしましてはできるだけ早いほうがよろしいわけでございまして、また地元の住民も、特に難視聴という問題になれば当然一刻も早くということになろうかと思いますので、最大限三年ということではございますけれども、私どもとしましては、半年でも三カ月でも、できるだけ早いほうがよろしいわけでございまして、決してどの施設に対しましても三年は十分に見てやるということではございませんので、できるだけ早くその施設を設置してもらうことを期待しておるわけでございます。場合によりましては、いま先生のおっしゃいましたようなその施設が、たとえば一年というようなことになっておりましても、一年ではできない。しかし、地元の住民が非常に要望しまして、実際に調査をしましてもひどいというような場合は、先ほど申しましたようにNHKがぜひやりたいということであればNHKにお願いするということも実質的にはあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/84
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085・水野清
○水野委員 大体そのお答えでけっこうなんですが、来年くらいになると、この問題が現実になってまいりますよ。いいですか。東京ケーブルビジョンの現在の営業の内容、資産の内容からいって、私はとうてい補えるものではないと思います。これを一体どういうふうにして処理していくか。これは非常に重大なことになります。いまはまだ可能性の話ですが、おそらく来年のいまごろの逓信委員会では思わぬ問題としてここに出てくるかもしれません。ですから、いまのうちからよくこの辺を詰めておいていただきたい。われわれは、この有線テレビジョン放送の法案について、現在郵政省がお出しになったものの中で、CATV業者が視聴者に対して、何かもうかるところだけつまみ食いをするのじゃないか、そういう危惧を持っております。ですから、この点についてはでき得れば委員会の中で、各党の合議の上に修正をしたいとも思っております。ですから逆に申し上げると、地域を指定したら、その中は必ず視聴者サービスをしなければならぬ、そういう義務を負わされますが、法律で書くだけではだめなんです。いま局長のお話では、ことばの上だけではまとまっていますけれども、現実には設備に非常に金のかかる問題でございますから、法律で規定しましても、おそらく一つの区、新宿区だけのサービスを全うすることすら、私はむずかしいのじゃないかと思うのです。まして隣接の区、難視聴の問題がさっき申し上げたように新宿区に起こるならいいのですが、隣の中野区や杉並区や世田谷区に起こった場合に、そこまでカバーしきれないことは論を持つ必要もないわけでありますから、郵政当局としてもいまのうちから十分検討しておいていただきたい。
もう一つの問題は、現在見えているテレビが、高層ビルが建つことによって見えなくなる。これはよく調査をしておいていただきたい。こういう問題が起こるのは、やはり原因者にこの費用は負担をしてもらわなければならない。金の出どころがなくなります。将来、ないからといって、きうCATVの事業の方々が、経営が苦しいからすぐ国の補助をしてくれというようなことを言っておられましたけれども、そんなことになれば、これはたいへんなことになります。原因者を早いうちにつかまえていただいて——ですから電波監理局も、いままでは書類を出してきた人に、申請者の資格を調べてテレビ局の認可をしておられる、そういう仕事だけをやっておられましたけれども、電波監理局の下部機構もあることなんですから、今度はもっと機動的に、先手を打って原因者をつかまえておいでにならないと、幾つかのビルが建ってくると、今度は原因がはっきりわからなくなる。どのビルが原因で見えなくなるということがわからなくなると、結局最後にはしりは国庫に持ってくる、こういうことになりますので、ひとつ有機的な行政をやっていただきたいことを要望申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/85
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086・廣瀬正雄
○廣瀬国務大臣 第一点の、東京ケーブルピジョンの現在の実態、私もいささか知っておるわけでございまして、この改善については絶えずいろいろ検討いたしておりますけれども、御指摘のように、有線テレビジョン法が実施ということになりますれば、まさに大きな具体的な懸案になってくるわけでございますから、この改善と申しますか、再建と申しますか、そういうことについてはさらに一そう努力を急ぎたい、こういうふうに考えております。
それからただいま御審議いただいておりますCATV法の内容については、私どもも思慮が足らずして手の及んでいないような面も必ずしもないとはいえないと思うのでございまして、こういう点につきましては十分御審議、御調査をいただきまして、できますれば与野党相携えてその修正の御意見をまとめていただき、一日も早く成立させていただきたい。こういうふうに私どもからもお願い申し上げたいと思います。
さらに、CATVのこの法律が成立するということになりますれば、さらに大きな問題になりますし、ただいま私ども原因者責任、原因者負担という方針をとっておりますから、現状において原因者がどういう建物であるかということは、急いで把握する必要があるところでございまして、機動的な行政の姿勢をもって、その辺のことについてもひとつ御期待に沿うような調査を急ぎたい、こういうように考えております。
お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/86
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087・水野清
○水野委員 以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/87
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088・高橋清一郎
○高橋委員長 次回は、明二十五日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/106804816X01819720524/88
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