1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十八年三月二日(金曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 井原 岸高君
理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君
理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君
理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君
理事 斉藤 正男君 理事 梅田 勝君
阿部 喜元君 小此木彦三郎君
大竹 太郎君 唐沢俊二郎君
關谷 勝利君 渡海元三郎君
徳安 實藏君 西村 英一君
宮崎 茂一君 山村新治郎君
綿貫 民輔君 井岡 大治君
太田 一夫君 金瀬 俊雄君
久保 三郎君 神門至馬夫君
紺野与次郎君 田代 文久君
石田幸四郎君 松本 忠助君
河村 勝君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
出席政府委員
運輸省港湾局長 岡部 保君
委員外の出席者
建設省道路局企
画課長 浅井新一郎君
自治省財政局地
方債課長 石原 信雄君
自治省税務局固
定資産税課長 小川 亮君
運輸委員会調査
室長 鎌瀬 正己君
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委員の異動
三月二日
辞任 補欠選任
國場 幸昌君 宮崎 茂一君
石田幸四郎君 坂井 弘一君
同日
辞任 補欠選任
宮崎 茂一君 國場 幸昌君
坂井 弘一君 石田幸四郎君
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三月一日
余剰はしけの買上げ及び個人船主の営業保障に
関する請願(中路雅弘君紹介)(第七九八号)
国鉄小浜線合理化計画修正に関する請願(植木
庚子郎君紹介)(第七九九号)
同(堂森芳夫君紹介)(第八八九号)
バス事業の振興に関する請願(唐沢俊二郎君紹
介)(第八八五号)
同(小坂善太郎君紹介)(第八八六号)
国鉄小海線の電化促進に関する請願(唐沢俊二
郎君紹介)(第八八七号)
同(小坂善太郎君紹介)(第八八八号)
道路運送車両の保安基準改正に関する請願(倉
石忠雄君紹介)(第九一三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
七三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/0
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001・井原岸高
○井原委員長 これより会議を開きます。
港湾法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、順次これを許します。小此木彦三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/1
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002・小此木彦三郎
○小此木委員 先般の提案理由の説明にもありましたように、港湾法は昭和二十五年という経済基盤の強化に主力を置いた時代に制定された法律であって、公害防止等港湾の環境の保全等々、現在社会的に重大となっている諸問題に対する配慮に欠けている、そういう実情にかんがみ、港湾環境整備施設、廃棄物処理施設、港湾公害防止施設などの整備を推進するとあるわけでありますけれども、これらをまず具体的に説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/2
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003・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 提案理由のときに御説明申し上げましたように、ただいま小此木先生お述べになったような趣旨でございますが、もう少し具体的に申しますと、ただいまお示しのように港湾法は二十五年に制定せられまして、それ以後わが国の経済基盤の一つとしまして国民経済の発展に相当大きな貢献をしてきたことは事実だと思いますが、近年、開発に伴います環境の悪化あるいは公害の発生というようなものが非常に大きな社会問題になってきておるのであります。そこで今度の法改正の主眼としておりますものは、港湾の環境整備の施設でありますとか、廃棄物の処理施設でありますとか、港湾の公害防止施設というようなものにつきまして、その整備を促進することなどによりまして港湾の環境保全をはかることが大事だと考えております。同時に海洋汚染の防除体制をさらに強化していこうというのが一つの眼目になっておるのであります。
もう一つは、国土の適正な利用及び均衡のある発展をはかっていきますために港湾及び航路の計画的な開発、利用及び保全の体制を確立すると同時に港湾区域外の港湾関係諸施設の安全の確保もはかることが必要である、こういうことを主眼といたしましてこの改正法案を提案をしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/3
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004・小此木彦三郎
○小此木委員 廃棄物の処理や公害防止施設などの整備について当局が意欲的に取り組んでもらうことをことに望むわけでありますけれども、言うまでもなくいま日本じゅうの大港湾というものは、というよりも大都市そのものがいわゆるごみとの戦いということに非常に苦しんでいるわけであります。こういうときに海の上のごみ処理の対策というものが陸上のごみの処理対策の上にも非常に大きな利便を供すると思いますので、私はこの施策の実現というものを早急に望むところであります。
と同時に、いま日本の大港湾がみんな困っていることは、例の沈廃船の処理というととであります。もちろんこれは方々の港で大いに努力しておるのでありますけれども、あまりはかばかしい効果があがっていないのであります。そこでこの処理対策あるいはその進捗状況、これについてお伺いしたいし、さらにこの沈廃船の処理ということはすべて港湾管理者が責任を負うべきものであるのかどうか。地方の海運局やあるいは海上保安庁、そういうものはどういう監督的な立場にあるのか、お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/4
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005・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 運輸省におきましても、沈廃船の処理の問題につきましては意欲的に取り組むつもりで関係の各省とも協議をし、あるいは港湾管理者とも協議をしておりますが、お尋ねが非常に具体的な問題になるようでございますから、政府委員のほうから少し具体的に御説明をさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/5
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006・岡部保
○岡部政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生の御指摘のございました大港湾でのいわゆる港内清掃と申しますか沈廃船の除去の問題、これは確かに非常に大きな問題でございます。たとえば横浜港を例にとりましても、いわゆるはしけ等の廃船、しかも沈んでしまって水面を事実上占用しておるというような問題がだいぶ起きております。ただ、これはどこがやらなければならない義務であって、どこの機関がどういう手だてでやっておるのかという点につきましては、いささか法的にははっきりしておりません。この点は今回の港湾法の改正におきましても、港湾管理者の業務にこのような問題点ははっきりうたっておりますが、これは港湾管理者の業務として取り上げておるのでございまして、この沈廃船を除去するというための義務がどこにあって、それでその資金関係、金がどこからどういうふうに出るかというような問題についての十分な解明ができたという段階では、まだ残念ながらございません。ただ、はっきり申せることは、最近大港湾の港湾管理者におきましては非常に御自身での努力というものをされております。たとえば横浜港、大阪港、神戸港等におきまして現実にはしけの沈廃船の除去をされ、それを陸上に揚げまして焼却されたり、あるいは破砕されたり、そういうような処理をしていただいております。したがって、今回私どもといたしましては、この港湾管理者が一つの業務としてやっていただくというはっきりした法律的な手だてをいたしますと同時に、その陸上での処理をする、いわゆる廃棄物処理施設といっておりますが、たとえば、焼却をするとか破砕をするとか、そういうような施設については四十八年度から、ただいま御審議をいただいております予算案の中に含んでおりますが、新しく補助の対象にしようというところまでこぎつけたわけでございます。残念ながらまだ沈船を引き揚げるというものに対する補助というところまでは進んでおりませんが、これも今後の問題として努力をする考え方でございます。したがいまして現状といたしましては、現在決して沈廃船がもう非常にきれいになってきたとは私申し上げるところまで残念ながらまいっておりませんが、これをなるべく早い機会に沈廃船をきれいにするような手だてを進めていくということだけを申し上げざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/6
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007・小此木彦三郎
○小此木委員 方々に責任を持たせるということなしに、たとえば、港湾管理者なら管理者に全部責任を持たせて、そして資金の面で国がいろいろ考えてやる方法をとるべきだと思うのであります。それにしても、一口に沈廃船と申しましても、沈廃船の中にはもちろん沈船もありますし不稼働はしけもあるし、また不経済はしけもあるし、またそういうものが沈廃船となって数を増していくわけであります。と同時に、港港によりまして事情も違うわけであります。たとえば神戸港においては鋼船が多いし、横浜港においては木船が多いというようにでありますけれども、ただ困ったことは、いままではいま局長が言われたように業者が処理施設、たとえば焼却場などへ自発的にその沈廃船を運んでいたのであります。ところが港運構造改善、はしけの救済、はしけの買い上げの話が起こって、今度はそのはしけを業者が自発的に運んでいかなくなってしまったわけであります。ある港のごときは、去年十隻くらいに沈廃船が減った。これでことしじゅうには沈廃船が片づくのじゃないかと思っていたところそのような状況でたちまち五、六十隻にその船がふえてしまった。こんなことでは港湾管理者がいつまでたっても救われないと思うのでありますが、この点についていかが考えるか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/7
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008・岡部保
○岡部政府委員 先生のただいまの御指摘全くそのとおりでございまして、いわゆるはしけの不経済化と申しますか不用のはしけであるとか、そういうものがいたずらに沈船化されておるというのは事実でございます。そこで私ども港湾運送事業界の構造改善という問題で、はしけの相当部分が不用化してくる、そういうことは今後の一つの傾向として、いわゆる景気の波、変動によるものではなくて、一つの構造改革である、構造の変革であるというふうに考えております。したがって、これに対して何らかの財政的な措置もするし、業界あるいは利用業界においても十分これの処置をしてもらいたいということで、現在鋭意進めている最中でございます。
ただ、そういうことを一つの問題点とされて沈廃船がふえてくる、これはとんでもないことでございまして、私どもとしては、こういうものを、はしけの買い上げということでその便宜をはかって買い上げていくということは本来の筋と全く異なりますので、こういうことについては厳重に慎んでいかなければならない。したがってこのような、いま先生のおっしゃいましたような事態というものは、一部の、まあいやな言い方をいたしますと、不心得な考え方ではないかという点で、この点は十分今後とも注意をして、そういうことのますますふえるようなことのないような手だてを講じていきたいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/8
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009・小此木彦三郎
○小此木委員 港運の構造改善のことにつきましてはまた別の機会に詳しい質問をしたいと思いますけれども、実際問題としてそのようないまのタイミングの悪さと申しますか、そのために沈廃船がたちまちふえてしまったということは事実であります。まあこれはそういう突発的な現象としてそれなりの処理を望むところであります。
そこで、先ほどの説明の中に具体的にはなかったのでありますが、たとえば港湾の環境の保全をはかるための中に「緑地等の港湾環境整備施設を港湾施設として追加し、」ということでありますけれども、おそらくこれは緑化事業として埠頭内に緑地を設けることなどを含むと思うのでありますけれども、私どもにはこのような国の考え方というものは、何かこそくな感じがしてならないのであります。たとえば観光地の渡し舟に毛のはえたような船のとまるところやフェリーの発着場のようなところの周辺に緑地をつくるということは、箱庭のような一種の興趣を添えてそれはそれなりに意味もありましょうけれども、何万トンもある大きな船がとまる埠頭の中にちょぼちょぼ緑地くらいこしらえてもたいして意味がないと思うのであります。もっとスケールの大きい大胆な緑化事業と申しますか、そういう意味の港湾の環境整備施設というものを進めたらいかがかと思うのでありますが、大臣はいかが考えられるか、お聞かせ願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/9
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010・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 大体の方向としては小此木先生おっしゃったような方向で考えるべきだと思いますが、この問題はむしろ各港湾につきまして具体的にこれを検討していかなければならぬ問題でございますから、港湾管理者のほうでいろいろの計画が出てくるかと思いますから、そういう計画を見まして、港湾管理者のほうとよく相談をいたしまして、いまおっしゃったような大きな計画を立てなければならぬ部分もございましょうが、そうでなく、今度計画しておりましたような範囲内においてある部分を緑地化したほうがいいというような港湾も、ないことはございませんので、そういった問題を当面取り上げようということでございまして、いま仰せになりましたようなことを徹底して行なうことになりますと、都市計画その他いろいろな方面に影響がございますので、これは非常に大きな計画になりますので、この点は将来の問題といたしまして、個別的に各港湾について検討をして、慎重に処理すべき問題ではないかと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/10
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011・小此木彦三郎
○小此木委員 港々の実情に応じてこれをやるということでよろしいわけですね。そうしますと、日本の代表的な港湾には、大体それに隣接してりっぱな美しい大きい公園があるわけであります。こういうような公園で、もちろん別な意味の金の出どころがありましょうけれども、そういう公園をいまの考え方で整備するんだという理解でよろしいわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/11
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012・岡部保
○岡部政府委員 いまの先生の御説、大臣の答弁申し上げましたとおりでございまして、たとえば非常に大規模な公園というものを考えなければいかぬという場合には、現実には本来の都市公園という一つの体系でこれは整備するべきではなかろうか。ただ都市公園で整備する、いわゆる都市計画事業の一つとして都市公園で整備するというやり方はいいんでございますが、さらに港湾のほうでもそれをお手伝いできる部分があればひとつお手伝いしようじゃないかというような考え方が今回の考え方であるというふうに御理解いただきたいと存じます。
したがって、たとえば横浜港で例をとって申しますと、山下公園というほんとうに港あるいは海浜に接しました日本では珍しい公園があるわけでございますが、ああいうものを新しくあの規模あるいはもう少し大きなものをつくろうというのであれば、私はむしろ都市公園で整備をしていただくというのが本筋だと存じます。ただ、たとえば山下埠頭であるとかああいうところにほんとうにもっと緑地をふやして、緑のある埠頭にしていこうというようなことは、これは港湾施設を整備するというような際に一貫してやらなければいかぬ。そういうものは港湾のほうでお手伝いができるようにしようという考え方で、ただもちろんその境界線がどこでぴしっときまるという問題じゃないと思いますが、これは両方でできるだけの手段で緑をふやしていこう、環境を整備していこうという考え方でこれから整備していきたいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/12
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013・小此木彦三郎
○小此木委員 わかりました。そうしますと、日本の東西を問わず、古い代表的な港湾には百年ないしそれに近い施設があるわけであります。歌の文句に出てくるように、名前や場所は有名でも、もうスクラップと化してしまっておる、そういう場所やそういう施設の、いわゆる港湾の再開発について国はどう考えておられるか。たとえば東京湾におけるメリケン波止揚とか新港埠頭とか——新港埠頭などというものの中の赤レンガの倉庫なんというのは、触わればもうこわれるような感じさえするわけでありますけれども、ああいうものをこわして、スペースを広げて、エプロンを拡大すれば、荷役の能率も高まりますし、またあり余った余地を快適に整備すれば、いまや都市化とともに国民が港や海に無縁になっていく、そういうものに親近感を抱かせて、そこに集めれば、やはり物的公害以外のいわゆる精神公害を解消するのに役立つということになると私は思うのでありますが、そのような古いこういう港湾施設の再開発について国はどういう考え方を持っておられるか。と同時に、もしもこれをやる気があるならばどういう形でどういう程度に補助をするのか、これもお聞かせ願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/13
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014・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 各港湾についていろいろの沿革がございまして、小此木先生のおっしゃったような港湾もないことはないと思いますが、ただ、港湾は御承知のように海陸の交通の接点になるところでございまして、今日では船もだいぶ昔とは変わってきておりますし、陸上設備も変わってきておりますので、やはりそれに応じたような港湾の施設を充実していくことが当面の一番大きな問題であろうと思います。でございますから、一口に簡単に申しますと、これを近代的なものに合理化いたしまして、流通機構の中でこの港湾施設を有効に効率的に働けるようなものにしなければならぬということはこれはやはり一番の要求ではないかと考えます。と同時に、それだけを考えておりますと、やはり港湾を中心にいたしまして公害が置き去りにされましたり、あるいは港湾でいろいろな仕事をしている人たちの環境というようなものが悪化するおそれがありますので、そういう港湾の環境設備をよくしよう——今度の港湾法の改正の中にそれは盛ってあるわけでございますが、そういうことも考え、港湾を中心にいたしましての公害の防除ということにつきましても骨を折りながら調和のとれた近代的な港湾に改造していくというような方向が望ましいのではないかというふうに考える次第でございますが、各港湾につきましてこれはいまお話しのように具体的な事情がそれぞれございますから、その点につきましては政府委員のほうから答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/14
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015・岡部保
○岡部政府委員 ただいま大臣が申しましたように、原則的に古い施設というものが確かに陳腐化と申しますか、現在の荷役のメカニズムに合わなくなってきているという施設がございます。先生御指摘のように、たとえばエプロンの幅であるとか、あるいは背後の上屋の面積であるとか、あるいはうしろの上屋がなくて、ちょうどコンテナヤードのごとくむしろ野積み場のほうが必要なんだというようなケースであるとか、あるいはそういう背後地の利用ということからピアの幅が狭過ぎるというような問題等々ございます。たとえば新港埠頭などの例をもって申しますれば、震災の洗礼を受けたわけでございますが、その前からのほとんど平面計画、それがいままでずっと続いてきておる。そういう点で何らか考え直さなければいかぬ点が多々ございます。したがって、そこの辺は今後そういう古い施設に対して再開発と申しますか、そういうようなものも一つの港湾の整備というものの一環として考えていくという考え方で港湾計画を練ります際に考えていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/15
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016・小此木彦三郎
○小此木委員 貴重な場所にむだなものを放置しておくこともどうかと思われますので、すみやかなる処置を望むところであります。
次に、海域の利用及び保全に関する問題になると思うのでありますが、従来、国は特定重要港湾であるとか、重要港湾であるとか、地方港湾であるとか、あるいは避難港であるとか、そういうような分類というか格づけを行なってきたのでありますけれども、これは主として財政支出の面での一種の利便と考えてよろしいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/16
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017・岡部保
○岡部政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、現行法で地方港湾、重要港湾の区別、重要港湾のうちでも外貿上特に重要な港湾として特定重要港湾の区別、それから法律的には地方港湾の中に含まれると思いますが、主として避難のために使われる避難港という港の格と申しますか種別をいたしておりますが、これは明らかにその目的別に、たとえば重要港湾と地方港湾の国の補助率、負担率が違うというあたり、これは国が関係する度合いが重要港湾のほうが大きい、地方港湾のほうが地方的なマターであるというような差でこの補助率、負担率の差が出ておるということでございますし、また避難港におきましては、これはその地元の利益というものよりもそこを通過する、その沖を航行する船舶の利益が非常に大きいということで、これは国が手厚く助成すべきだというようなそういう助成の観点からこういう分類をしたことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/17
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018・小此木彦三郎
○小此木委員 そこで仄聞するところによりますれば、国は別の意図から、いわば海域の均衡ある利用及び保全をはかるためということで、たとえば流通拠点港湾、地方開発拠点港湾、さらにはレクリエーション拠点港湾、こういうようないわば目的づけの分類をするやに聞いておりますが、事実かどうか。そしてまた、もしもこれを今回こういうぐあいに改正しないとすれば、近い将来これを行なうのかどうか、これをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/18
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019・岡部保
○岡部政府委員 ただいま御指摘のございました流通拠点港湾であるとか、あるいは開発港湾であるとか、そういうような目的別の港湾の分類を、私ども関係者が使っておることは事実でございます。
そこで、まず今回の法律改正におきましては、このようなものを港湾の格づけと申しますか、分類と申しますか、そういうものに何ら使っておりません。そういうような点での法改正は全然触れておりません。なぜ流通港湾であるとか開発港湾であるとかそういうような名称を一つの港の分類として利用しておるかという点について、若干御説明をさせていただきます。
たとえば港湾の整備方針あるいは整備の重点をどこに置くかというようなことを定めまして、そして今後のそれぞれの港湾の計画を立てていくわけでございますが、その場合にこの港湾の主たる目的がどういうところにあるかということで考えておきますと、今後の整備の重点であるとか中心事業であるとか、そういうものが非常にわかりやすいわけでございます。さらにたとえば国としての港湾政策を立てる際におきましても、一つのそういうような分類で考えますと、一体日本全国で流通拠点としてどういうふうに港湾を考えたらいいのか、あるいは開発の拠点としてどういうふうに港湾を考えたらいいのか、そういうふうな分類で考えますと非常に考えやすい、そういうような理由からこういう分類を実際に使っております。ただ、これは先ほども申しましたように、港湾法で申します分類で、国の助成の厚い、薄いのための分類というものと直接結びつくものであるかどうかという点にはいささか問題がございます。したがって、これは今回の法改正では新たに補助をしていただくというような項目をつけ加えたのは事実でございますが、従来ございます補助体系というものは全くいじっておりません。ただ、この辺につきましては、私自身どうも最近の情勢からいっていささか問題点がなきにしもあらずという感じはいたしておりますので、これから検討をいたしまして、でき得れば近い機会にまた御審議をいただくような改正のほうに移るかもしれませんけれども、現段階といたしましては一応現行の補助体系をそのまま今回の法改正では継続するという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/19
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020・小此木彦三郎
○小此木委員 こういうことは考えられないですか。たとえばもしもこれをやるとすると、大きな港湾はいま言った目的づけの分類というものの三つを合わせ持つというような考え方、要するに、一つの港がレクリエーションの拠点港湾でもあり、流通の拠点港湾でもあり、地方開発の拠点港湾にもなる、そういうことは考えられないかということが一つ。そしてもしもそのような分け方をすると、最初に申し上げた財政支出の面での分け方に微妙に影響していく、ということは、具体的にいままであった港湾の補助率というものにも微妙な影響が出てくるのじゃないかと私考えるのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/20
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021・岡部保
○岡部政府委員 ただいまの先生の御指摘、そのとおりでございまして、一つの大きな港というものをとりますと、これは当然流通問題で一つの性格を持っておりますし、またあるいはレクリエーションという問題で性格を持っておる。そういうように多目的的な港であることは事実でございます。したがって、そういう分類のときに、たとえば東京湾は一体どこの分類に入れるべきか、あるいは横浜港はどこの分類に入れるべきかという点につきましては、いろいろな議論があるところでございます。ただ、私どもこういうものを整備して全国的な一つの計画の体系を考え、あるいは個々の港の計画を管理者がお考えになるというときには、やはり多目的であればそういういろいろな要素があるのだという判断でいかざるを得ないというふうに考えております。
次に、第二点の補助率の問題とそれがどういうふうにからむかという点でございます。これはいま申しましたように、整備の重点であるとかそういうために一つの目的を明らかにしていくという意味でございまして、これは補助体系と直接結ぶものではないと私は思います。たとえばいま補助体系で非常に奇異な感じを私自身持っております問題、極端な例を一つ申し上げさせていただきますと、たとえば離島におきます港湾というものに対しては、非常に手厚い補助の優遇策が施されております。ところがその対岸であって、いわゆる本土側からいえば非常に僻地であるというような港の補助率というものは、いわゆる本土並みでの地方港湾であるとすれば、普通の四割の補助である。そこに非常な差があるわけでございます。こういうような考え方は補助体系として一つの地域別の体系からきておりますが、現実の問題としてはいささか問題があろう、こういうことが現実にあるわけでございます。そこで補助体系というのはそういう目的別の分類ではなくて、むしろもう一つ別の考え方から、やはり地方財政とのからみ等々から考え直さなければいかぬという考え方を私は持っております。したがっていま先生のおっしゃいましたように、たとえば大港湾でそういう利用目的別の考え方から補助率体系が変わるのじゃないかという御指摘は、これはそういう面から見れば変わり得ることがございますが、私どもとしては補助体系を考え直すときには、そういう面から考えるのではなくて、むしろいま申しましたような地方財政面、あるいは常識的に何かこう矛盾があるという点をもっと突っ込んでいきたいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/21
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022・小此木彦三郎
○小此木委員 補助率、補助体系の問題は、かなり前の委員会で私論議したことがあるのでありますけれども、このことはむしろ高いところに合わせるべきだという主張を私はしておいたのでございますが、きょうは補助率の問題はさておきまして、この説明資料の中の、こまかいことになって恐縮でありますけれども、六ページの「開発保全航路の配置その他開発に関する基本的な事項」の5に、「港湾管理者は、基本方針に関し、運輸大臣に対し、意見を申し出ることができる。」とあるのでありますけれども、この「意見を申し出ることができる。」ということはいつの時点で申し出ることができるのか。要するに事前に申し出ることができるとすれば、この計画の中に港湾管理者の意見を織り込めるのであるという解釈が成り立つのでありますけれども、そういう理解でよろしいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/22
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023・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 いまお示しの「港湾管理者は、基本方針に関し、運輸大臣に対し、意見を申し出ることができる。」とございますのは、もちろん意見をお出しになれば、運輸大臣はその意見を尊重してきめるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/23
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024・小此木彦三郎
○小此木委員 次にこの二十五ページの「港湾管理者の協議会の設置等」というところの五十条の二に、「運輸大臣は、」以下云々として、「港湾の開発、利用及び保全に関する重要な事項について相互に連絡調整を図るため、協議により規約を定め、協議会を設けるべきことを勧告することができる。」とあるわけでありますが、このことについて少し聞きたいのであります。
従来から大阪湾、あるいは伊勢湾、さらには東京湾、これらの地域において組織的な協議会、委員会、そういうものはなくても当然協議を行なわなければならないような場合が再々あったと私は思うのでありますが、そういうときにはいままでどういうふうにしておったのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/24
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025・岡部保
○岡部政府委員 ただいまの、いままでどういうふうなやり方をしておったかという御質問でございますが、従来の、たとえば港湾整備の面で隣接している港の食い違いがあったり、あるいは管理方針で食い違いがあったりというふうな際に、実質上それがこれからの進め方に障害になるというような際には、事実上の行為として運輸省、特に港湾局といたしまして、これの調停役のような事実上の行為はいたしてまいりました。ただこれではほんとうに必要な問題点が出たというときに初めて私どもキャッチいたしますし、その調停の事実上の行為に出るわけでありますけれども、どうもそうでないような場合に両港湾管理者の間で、ある意味でトラブルが生ずるという例は決してなかったわけではございません。したがって、何らかそういう意味で、特に必要な地域に限ってはこういうものを法定されたものでつくるべきじゃないかという考え方でございます。
それからもう一点。これは港湾法が制定されました昭和二十五年以降、その成立時点でございますが、たとえば京浜の港において、あるいは下関、門司の両港においてというようなところでひとつ今後の問題があるからということで、非公式で両管理者、あるいは多数の管理者の間で協議会をお持ちになった例はございます。ただこれは実質上ほんとうの協議会としての動きにならないままで現在に立ち至って、事実上の機能を失っておるということが言えるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/25
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026・小此木彦三郎
○小此木委員 いま、言うまでもなく、関西においては神戸港や大阪港、あるいは伊勢湾におきましては名古屋港であるとか四日市港であるとか、また東京湾においては横須賀、横浜、川崎、東京、千葉、こういう港湾を開発していくのに、いわば国民経済的な立場からはこれを一体としてとらえていかなければいけない、あるいは地域的な立場からはこれを合理的に運営していかなければいけない。そのためには外国に見られるようなポートオーソリティーのような管理主体を設けて、機能的に運営していかなければいけない時期が私は熟したと思いますし、熟したというよりは、むしろやらなければおそいのじゃないかというような気がするわけであります。特に東京湾においてはその荷扱い量が三億トンに達した、昭和六十年には九億トンに達するし、あるいはそれをこえるというようなときに、運輸省が協議会の設置というような消極的な態度でお茶を濁していたのでは、近い将来たいへんな禍根となってこれが出てくるのじゃないかというような気がするわけであります。しかしそうは言いましても、この実現というものはいろいろむずかしい条件があるわけです。たとえば日本の港にはそれぞれの生い立ちの背景もあるし、隣同士の港には複雑で深刻な利害関係もありましょうし、また地方自治の経験の浅いわが国の場合に、百年の歴史を持つ外国のポートオーソリティーというものをすぐさまつくれといっても無理であることは、私も十分承知しているわけであります。しかし、無理であるけれども、こういう事態を前にやらなければいけないということはだれしも同感であろうと思うのです。そこで国はこのような協議会、ひいてはポートオーソリティーというような管理主体を設けることについて意欲があるのか、そういう指導精神があるのかということをお聞きしたいし、あるのだけれども、実現には非常にむずかしい条件があるのだ、隘路があるのだということであるならば、その隘路について説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/26
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027・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 この広域のポートオーソリティーの問題は、趣旨は小此木先生のおっしゃったとおりだと思います。これはお話のように、隣接した港湾それぞれに関係もございますし、またそれぞれの特色を持っておるかと思いますけれども、それかといって各港湾管理者にまかせましてばらばらの港湾管理をやっておりましては、これは港湾の機能を十分に発揮するゆえんではないと考えておるのでありまして、今度の港湾法の改正にあたりましても、この問題はもちろん真剣に取り組んでみたことは事実でございますが、ただ、ただいまの地方自治制度の現状を前提といたしまして、大体において港湾の財源措置の基盤を地方自治体、地方財政というものに依存してきておりますし、そういった財政的基礎の上にでき上がって、長い間の沿革を持って積み重なってきておる港湾制度でございますから、その点におきましてわれわれのほうは公共的な見地から、公益を守るという見地から国がいろいろの補助をしてその面を補っておるような実情でございまして、この点は自治省との関係におきまして、実はありように申し上げますと、必ずしも意見は完全に一致するわけにいかなかったのでございます。われわれも方向といたしましては、いまお話しのように、東京湾でありますとか瀬戸内海でありますとか伊勢湾でありますとか、そういったところを考えますと、広域の港湾管理制度をつくるのが理想であるということはそのとおりでございますが、すぐに実現は困難な事情がございますが、われわれとしましては、今後はそういう方向に向かって障害を除去しながら進んでいくというつもりでございます。今度の港湾法改正におきましてはそういう意図を盛りまして、これはなまぬるい方法かもしれませんけれども、関係の管理者の間で協議会をつくって、お互いに相補って、相協力して港湾の能率を最高限に発揮してくれるような方向で考えてもらいたいし、運輸省といたしましても、その方向で指導をしたいというようなことでこの協議会制度を今度は提案をしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/27
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028・小此木彦三郎
○小此木委員 由来大都市をかかえた県と大都市というものは、仲が悪いといっては語弊がありますけれども、あまりいい関係にはないわけであります。またそういう大都市ほど大きな港湾を持っているわけでありますけれども、そういう中でたとえば名古屋港などは管理組合、名古屋港ではポートオーソリティーと称しておりますけれども、県と市の関係も非常にうまくいって、あの施設の拡大のために非常に貢献しているわけです。今度この協議会の設置を勧告するということは、協議会そのものは自治体をまたいでできるものでありますから、協議会そのものが自治体をまたいでできるということになれば、そのような進行の中で当然ポートオーソリティーというものを私は考えていかなければいけないのじゃないか、またそういう意欲を持たなければいけないのではないかと考えるのです。われわれもそのことのためには大いに協力していかなければなりませんけれども、とにかく同じ地域、同じ湾内の港湾が一体化することによって、あるいは一本化することによって施設の重複投資も防止できる、あるいは施設を効率的に活用できる。したがって、経費も節減できるし、入出港のいろいろな手続も簡素化できる、こういう利点を考えていけば、私はどうしてもこれは小さなことを捨てても大同についていかなければいけないと思うのです。
ごく手近な例を考えてみましても、日本の港の関係者がさぞかしやりずらいであろうと思うことは、日本の港にはあまりにもたくさんの省庁が関係し過ぎているのです。たとえば厚生省は検疫所を持っている。法務省は日雇い労務者を扱っている。通産省は貿易を扱っている。建設省は道路関係、自治省は起債の面を受け持っている。関係のないのは文部省くらいなものじゃないかと私は思うのです。その文部省ですら、近ごろ港湾には職業訓練学校というものができて、まんざら無縁ではなくなってしまったわけです。だから私はこの監督官庁、省庁の一元化だけを考えるポートオーソリティーというものができてもいいのじゃないかと思うのです。できてもいいというよりも、これが日本の古い体質を持った港の土壌に合った、一番適したポートオーソリティーじゃないか。ポートオーソリティーにはああなければいけない、こうしなければいけないという公式や定義はないのでありますから、そういうようなことをもって進んでいく、それを第一歩とするということだけでも大いに意義があると思うのでありますが、この点いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/28
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029・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 ただいまの御意見は私もそのとおりに考えます。そういう方向で進まなければならぬと思うのでございますが、いま政府委員から聞きますと、行政管理庁からもかつてそういう方向で港湾行政の一元化をはかれというような意見も出ておるようでございまして、もうこれ以上ばらばらな行政になると困ると思います。しかし御承知のように、各省の関係事務が錯綜しておりまして、これを現実的に理想どおりにすっきりまとめるのには、よほど決心をしなければならぬと思うのでございます。運輸省といたしましては、近代的な港湾、そうして海陸の接点であり、これがまたその都市の、その町の非常な繁栄にもつながっていくというような意味を持っておる港湾、こういったものを考え合わせまして、関係各省とも連絡をいたしまして、少なくとも計画を立てたりあるいは管理者との関係をどうするかというような問題につきましては、行政を一本化する方向で今後とも最大限努力をしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/29
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030・小此木彦三郎
○小此木委員 そういうことであるならばなおのこと、この一元化、少なくとも官庁関係の面での一元化だけでも早急にされることを望む次第であります。
そこで、いまもポートオーソリティーをつくればこういう利点があるということを申し上げたのでありますけれども、その実現のための隘路とかいうことのほかに、こういう現象が起きているわけでございます。たとえば国が協議会を設置するのだというような考え方に立つと、皮肉なことに、港湾管理者がおのが港がその協議会の主導権をとらなければいけない。主導権をとるためには施設を拡大しなければいけない。施設を拡大して荷物をよけいにとらなければいけない。まるで打ち出した近代化の方向と逆な現象というものが見えているのじゃないかということに私は気がつくのでありますけれども、この点について運輸省はどういうふうに気がつき、またどういうふうに考えておられるか聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/30
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031・岡部保
○岡部政府委員 確かに隣接いたしました港において、いわゆる競争原理が働くと申しますか、競争的な意識になりまして、施設をよけいにおれのほうがたくさんつくりたいのだというような施設の奪い合いであったり、あるいは貨物の奪い合いであったりということ、決して例がないわけではございません。ただ私ども考えておりますのは、そういう問題で国が乗り出しまして、ほんとうにどうしてもしようがないというときに調整をする程度は私はいいと思うのでございますけれども、私自身の考え方として、どうも国が乗り出してこういうふうにするべきだといって調整することがいいかどうかという点については、いささか疑問を持っておるわけでございます。そこで、これは変な話でございますが、港湾法自体の考え方というのは非常に自治的と申しますか、それぞれの港湾管理者自身が考えていくのだというのが中心の考え方になっております。したがって、そういう点ではやむを得ざるときに調整はいたしますが、でき得る限りみずからの考え方、お互いの考え方で自主的に調整をしていっていただきたいということを考えております。したがって、ポートオーソリティーができればもう理想的であるし、そういう点先生のおっしゃるとおりだと思いますが、現実の問題としては非常につくりにくい。現段階で直ちにポートオーソリティーをつくろうといっても、なかなかできるものではございません。したがって、そのためには自主的にこういう調整をしていく、しかもオーソライズされた機関というものが必要ではないか。そういう意味で、協議会というものをみずから運営していただくという方向に持っていきたいという考え方で、こういう法案の御審議をいただいているというふうにお考えいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/31
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032・小此木彦三郎
○小此木委員 では、その施設の拡大につきまして先ほど補助の面で多少聞いたので、今度は起債の面で少し伺いたいのですが、国は新年度の港湾の起債の総額をどのくらいに見積もっておられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/32
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033・岡部保
○岡部政府委員 ただいまの御質問でございますが、港湾関係での起債と申しますといろいろな種類がございますけれども、一応先生の御質問のはいわゆる港湾機能施設の起債の問題ではないかと思います。いわゆる上屋、荷役機械あるいは埠頭用地等整備のための起債ではないかと存じますが、これにつきましては、四十八年度の計画といたしまして約三百億円の起債のワクをただいま考えております。これは四十七年度の当初の計画額でございます二百六十五億に対しまして、三十五億増加するという計画をただいま持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/33
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034・小此木彦三郎
○小此木委員 実際によりまして機能施設あるいは特別会計というような形での会計の方法は違いますけれども、昭和四十八年度末の自治体の、要するに港湾管理者の起債の総額というものは、たとえば大阪では五百八十億くらい、名古屋では三百億くらい、横浜では二百億くらいになるのではないかと推定されるのであります。そして港湾管理者が長年にわたって起債の償還の条件を緩和してくれということを要望しておるのであります。たとえば港湾が十五年であるとすれば水道は三十年で、水道と同じ三十年くらいの条件に緩和してくれたらいいではないか。耐用年数その他から考えてわれわれも妥当と思うのでありますが、これにつきまして自治省はいかが考えておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/34
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035・石原信雄
○石原説明員 港湾機能施設関係の地方債の償還条件でございますけれども、現在施設によりましてその耐用年数と償還年限との間にかなり開きのあるものがございます。たとえば上屋などの場合には、ものによって違いますけれども、耐用年数は四十年あるいは四十五年といわれておりますが、現在の地方債の償還年限は政府資金の場合は十五年、それから公営企業金融公庫資金の場合が十年ということになっております。この点では確かに非常に短いという不満が自治体関係者の間にもありますし、私どももそのように感じております。しかしまたそのほかの荷役機械とかあるいは引き船とか、その他港湾のいわゆる機能施設全般について見ますと耐用年数が十二年のものもありますし、七年のものもありますし、いろいろでございます。そこでこの港湾管理会計については一応特別会計を設けることをたてまえにしておりますような事情もありまして、各施設の現実の耐用年数をある程度捨象して起債の償還条件をそろえてはどうであろうかというような考え方から、本年度から上屋の場合も、それから荷役機械の場合も埋め立て事業の場合も貯木場の場合も、また引き船の場合もすべて十五年に統一いたしております。すなわち荷役機械の場合は昨年までは十年でございましたが、これを十五年にした。それから埋め立て、貯木場も同様に十年から十五年に五年延ばしております。公営企業金融公庫債の場合も従来すべて七年でありましたけれども、これを全部十年に統一いたしております。このほか、いわゆる市場公募債も重要な資金源になっておりますが、これも昨年の七月から従来の七年から十年に延ばしております。この市場公募債の場合には償還の途中におきまして大体十年目にもう一度借りかえが認められますから、実質的には二十年ということに相なります。そのようなことで現状におきましてはできるだけの努力をしております。また、これからも他の類似の施設とのバランスも考えながら償還年限の延長には努力してまいりたい、かように考えております。ただ政府資金の場合あるいは公営企業金融公庫資金の場合には資金総量に限りがありますから、なかなか耐用年数どおりの償還年限の延長というのがむずかしいのが実情でございますけれども、個々の施設の実態に応じましてなお今後とも条件の改善に努力を重ねてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/35
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036・小此木彦三郎
○小此木委員 時間がありませんので、もう一問だけ大臣に聞きたいのでありますが、その前に資料を二つばかり要求をしたいのであります。
先ほども私が申し上げましたとおり、たとえば東京湾の取り扱い貨物が三億トンに対して六十年に九億トンをこえるというような中で、いま東京湾では横浜港が三五%から三七%くらいの量を扱っておるわけであります。と同時に東京港が六%から七%くらいの取り扱い量だと思うのでありますが、今後こういう中で施設が拡大し荷物がふえていくと、昭和六十年の時点でこのパーセンテージが一体どういうふうに流動してくるか。現在ある外貿定期船のベースポートが移るほどのこともないと思いますけれども、施設の拡大その他でどういうふうに推移するか、東京湾、伊勢湾、大阪湾について、運輸省の見通しの率を伺いたいと思います。
と同時に、これは湾岸道路の問題でありますけれども、東京湾の湾岸道路の進捗状況というものはどういうふうになっているか、伊勢湾の湾岸道路の進捗状況はどういうふうになっているか。せっかく建設省の方も見えましたけれども、時間がありませんので、恐縮でございますが、この点の資料をお願いしたいし、それとともに名古屋港における金城埠頭、この埠頭を中心として西四区あるいは九号地に達する連絡道路は、現在、橋となって計画されるのか、あるいは沈埋トンネルとして計画されるのか、そしてこの計画の着工はいつであるのか、これらについて具体的な資料をお願いしたいと思います。
そして最後に大臣にお聞きしたいことは、幾ら協議会だ、ポートオーソリティーだといったところで、それにはそれなりの物理的な条件を満たした上のことでなければならないことは言うまでもないわけであります。そこで私は、これはしばしば申し上げていることでありますけれども、港湾と陸上交通体系との連携の確立、港と道路の関係、神戸においても大阪においても横浜においても東京においても名古屋においても共通の大きな悩みであるわけでございますけれども、この現状を認識しながら、大臣はこれをどういうふうに進めていかなければならないという考え方を持っておられるか、最後に聞きまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/36
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037・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 私に対する最後のお尋ねでございますが、この点は、方向としましてはいまお話しのとおりだと思います。ただ現実の問題としましては、たいへん遺憾でございますけれども、どこの港湾を見ましても、陸上との交通関係、これが、先ほどの港湾における管理体制と同様にいろいろの官庁にまたがっておりまして十分に斉合化されてないということは事実でございますが、しかしこの現実の事実は私にとっても非常に不満でございまして、これを改善することによりまして港湾の機能をさらに増進できると思いますので、この点につきましては、非常に困難な点は先ほどの問題と同様でございますが、今後とも一そう努力をしていかなければならぬ重要問題の一つであると考えておりますので、今後より一そう努力を重ねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/37
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038・井原岸高
○井原委員長 資料の提出でございますが、よろしゅうございますね。
太田一夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/38
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039・太田一夫
○太田委員 最初に大臣にお尋ねをいたしますが、今度の法改正、一番中心になりますのは目的の改正であろうと思うのです。そこで第一条の目的の改正でございますが、これはいままでとがらりと内容が変わっておるわけなんです。その意味するものは、御説明はありましたけれども、条文のほうの表現のほうが少し明らかでありまして、大臣の御説明よりは法文を読んだほうがいいような気がするのです。今度の第一条の目的の改正は、「交通の発達及び国土の適正な利用と均衡ある発展に資するため、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図る」これがその主文になっておるわけですね。いままでのほうは「港湾管理者の設立による港湾の開発、利用及び管理の方法を定めること」を目的とした。がらっと変わるわけです。この大きく変わった点は、新しい時代に即応する港湾法の行くべき道を目ざしていらっしゃるような気がするのでありますが、これは具体的にどういうことを意味するのか、この点について大臣から御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/39
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040・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 港湾法のこの港湾の目的を改めました理由は、先ほどもちょっと申し上げたところでございますが、これは一言で申しますと、最近の港湾の使命というものがだんだん変わってきておりますから、それに応じたような港湾施設の内容を整えなければならぬということ。それにはいままでやっておりましたように、港湾管理者が港湾そのものを管理運営しているというだけではなくて、最近の社会情勢、経済情勢から見まして、港湾の保全ということをもっと重視をしなければならぬということからこの目的を変えるということにしたわけでございます。
なお、港湾につきましてはいろいろの港湾ができておりまして、それぞれの目的を持って活動しておるようでございますけれども、全国的な立場から見まして港湾の適正配置をしなければならぬというようなこともございまして、この点を考慮をいたしまして港湾法の改正をし、そうしてその目的を一部変更したということになるわけでございます。そういう趣旨で御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/40
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041・太田一夫
○太田委員 そういたしますと、いよいよ港湾の重要性が増したということになりますから、したがって施設その他については時代に即応しなければならないということになれば、何条でございましたか、費用の負担というような問題は、先ほどの御答弁ではいままでどおりで何ら変わっておらない。これを地方港湾にまで拡大するとかなんとかいう斬新的なものがなければ、お金が伴わなければだめだと思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/41
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042・岡部保
○岡部政府委員 先ほどその点について私御答弁申し上げましたものでございますので、私から答弁さしていただきますが、先生おっしゃるように新しい時代と申しますか、港湾の重要性が増して整備の必要性というものが——いろいろな意味がございますが、非常に重要であるということを前提にすれば、当然補助率体系と申しますか、そういうものも何か抜本的に改正があるべきではないかという御説に対しては私異論を唱えるものではございません。当然そういうものが考え方に入らなければならぬと存じます。ただこれ、残念ながら今回の法改正までに十分にその考え方をまとめるととろまでまいらなかったという現実の問題が一点。それからさらに先ほど申し上げましたように、いままでの一つの補助体系というものとそれから今後計画を進めてまいりますためのいわゆる目的別の一つの体系というようなものとのからみ合い。さらには先ほども例をあげて申し上げましたが、現実に明らかに矛盾しておるというような例とのからみ合い、そこの辺の問題をもう少し時間をかけて検討させていただきたいということで、今回はむしろ非常に急がれております環境整備問題を補助対象にするという、補助体系としては新しいものを追加したということに限定されてしまったわけでございます。その点は御了解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/42
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043・太田一夫
○太田委員 新しいもの、言うならば第二条五項の九と九の二、九の三にありますような諸施設に対する負担の明文化が出たわけでございますから、その点新しいものは皆さんの考え方もよくわかったわけですが、一番大事な第一条の全文が変えられるというときにおいて、内容が、特に重要港湾に限定された考え方というのは、わが国の港湾行政から見ますと、少し片手落ちじゃないだろうかという気がするのです。
そこで、皆さんのお考え方をもうちょっと明らかにしてほしいのですが、それは四十五年度、四十六年度の貨物の輸送量というのが白書には発表されております。それを見ますと、四十五年度は、鉄道は二億五千六百万トン、四十六年度になりますと二億五千一百万トンとなって、その対前年比九八・一%、こういうように鉄道のほうは下がっておるわけです。それから内航海運のほうは四十五年度に三億四千二百万トン輸送量があった。四十六年度は三億一千八百万トンと、これは九三・一%、これもまた減っておるわけです。そこで自動車のほうはどうかというと、四十五年度四十六億二千六百万トン、四十六年度四十七億九千六百万トンで、その対前年比一〇三・七%、これは非常にふえておるわけなんです。
こういう実態から考えまして、目的にありますように、わが国の交通の発達というのを、一つは貨物という面から見ました場合に、言うならば内航海運というのは発達をしているのか衰微しておるのかわからないという気がいたすわけです。これについてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/43
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044・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 内航海運につきましては、近年の傾向を見ましてもやはり盛衰があると思いますが、大体の傾向といたしましては、距離によりまして内航海運のほうは落ちている部分も相当あると思いますし、ものによりましては多少ふえておるものもあるかと思いますが、全体の傾向としては一般の陸上機関における輸送量がふえるわりあいには内航海運のほうはふえていないということは事実だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/44
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045・太田一夫
○太田委員 さらに船腹量を見まして、四十三年度末三百三十一万総トン、四十四年度末三百八十一万総トン、四十五年度末四百三十一万総トンと非常にふえまして、数字を見ると、いわゆる船腹は過剰傾向にあるように思えるわけです。
そこで運輸省のほうでは非常に内航海運の不況ということが長期的にあるものと見て、私はつまびらかにはしておりませんが、一年か二年くらい前に何か対策要綱をお考えになったということもあるようであります。それと今度の港湾法の改正と関係があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/45
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046・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 先ほど申し上げましたような内航海運の傾向にございまして、数年前から内航海運は非常に不況な状態におちいったことは事実でございます。運輸省といたしましては、数年前にこの内航海運の不況対策と申しますか、そういう対策を講じることにいたしまして、とにかく内航につきまして余った船腹を係船をするとか、それに対して間接的な助成をするとかいうような方策を講じたことは事実でございます。しかし海上の荷動きというものは市況との関係で絶えず変動するものでございますから、これが必ずしも将来ともに固定するものではないかと思いますが、要するに内航海運、それから陸上輸送との関係がコストの点あるいはサービスの点、そういった問題で、どちらがいいかということは、荷動きの、荷物の種類によりまして、これは非常に変わってくる問題だと思います。内航海運に適しておって内航海運に頼っておったような荷物が非常に減った。たとえば石炭の動きのごとき、そういったものが減ったということは事実でございまして、そういう点が非常に大きな内航海運のいわゆる不況を招いた原因ではないかと思っておる次第でございます。いまおっしゃったような内航海運の不況対策を講じたことがあるということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/46
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047・太田一夫
○太田委員 という御認識があるといたしますと、今日運輸省として考えるのは、港を経由するところの荷物あるいは旅客輸送の費用、コストを極力下げるように考えなければいけないということになるような気がするのです。言うならば、港の諸施設につきましては、建設も改良もともに、いままで十分の五と十分の五は特定港湾でありますが、地方港湾を含めて十分の五と十分の五にするというそこまでいくように努力をなさると同時に、いまたとえばカーフェリー時代になってきた。そういうときに、埠頭の建設につきましては、これをそれぞれの港の自由にまかしてある。港湾管理者の裁量にまかしてあるわけですね。たとえば、あるところでは公社方式をとっておるとか、あるところは県が直接やるとか、あるところは当該船会社がやるとか、あるいは苫小牧のように自民党の有力な政治家が音頭をとって、埠頭会社をつくるという株式会社方式をとっておるところもある。まあそれぞれ地域の特性がありましょうから、運輸省が統一するということは困難かもしれませんけれども、そういう任意的なやり方というものに対してはどう把握していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/47
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048・岡部保
○岡部政府委員 ただいまの御指摘でございますが、たとえば例示されましたカーフェリーの問題、フェリーのためのバース、港湾施設の問題でございますが、このカーフェリー埠頭の整備主体というのが確かにいろいろな種類があるというのは事実でございます。これもはっきり区分けして申しますれば、従来港湾管理者である地方公共体が公共事業として整備されるという場合と、それからカーフェリーを運営される民間企業者がみずから整備される場合、それから最近になりまして、いわゆる地方公社によってこれを整備するという場合と、まあ大きく分けまして三つの種類があるかと存じます。これからカーフェリーというものがふえていくというようなことを考えますと、それぞれの港で決して水際線はあり余っているものではございません。相当貴重な水際線である。したがって、こういう水際線を有効に活用するために、そこに一つの社がカーフェリーを持ってきたからといって、そこの社に施設をつくらせるということで、自由にかってにつくらせるというのはどうもよろしくないということで、これはむしろ何社かが一緒になれるならばするということで、まとめて使うような施設にするべきであるという考え方で、したがって、個々の企業者でつくっていくというのは、非常に小規模なフェリーの場合を除いて、比較的大規模なフェリーになってまいりますと、これは今後としては進めるべき道ではないと存じます。したがって、今度は公共事業でやるか、公社制度でやるかという問題になってまいります。そこで、最近は公共事業制度というもの、公社制度も同じ公共事業の一種でございますが、これが公社でやる制度に移り変わりつつあるのが現状でございます。それで今後はこういう公社制度というもので、このカーフェリーの埠頭は整備していくという考え方に立っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/48
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049・太田一夫
○太田委員 公社制度によってやるといたします場合には、それに対する国庫補助はどういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/49
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050・岡部保
○岡部政府委員 これを整備する事業費の二〇%を無利子で貸し付けるということが助成の内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/50
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051・太田一夫
○太田委員 そうしますと、外国貿易の場合は別にいたしまして、内航船の関係だけの問題にしぼってお尋ねをするわけですが、埠頭使用料とかあるいは発着料というようなものについて何か運輸省において一つの基準というものをお示しになるものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/51
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052・岡部保
○岡部政府委員 たとえば埠頭の使用料でありますとかそういうものと存じますけれども、その使用料については特にどういう標準でやれというような指示はいたしておりません。むしろその施設の償却をするのに伴って——これは地方公共団体でございますからもうける必要はない。それでとんとんになるような施設の使用料というものをはじいて、それが使用料になっておるというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/52
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053・太田一夫
○太田委員 公社で埠頭をつくらせようということに今後の運輸省の指導方針がきまりますれば、おのずから使用料という問題が出てくるわけです。だからそれぞれ自由でいいじゃないか。それじゃ、いまの新しい時代の交通の発達や国土の適正な利用と均衡ある発展に資するということになってこない。逆に阻害するようなことになるじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/53
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054・岡部保
○岡部政府委員 先ほど申しました国の助成で、二〇%が国の無利子貸し付けということを申し上げたわけでございますけれども、ちょっとその点もう少し詳しく御説明をさせていただきます。
公社で事業をいたします際に、この二〇%は国が無利子で貸し付けをいたします。それからそれと同額の二〇%は港湾管理者が無利子貸し付けをするというたてまえでございます。したがって、その無利子貸し付け分が四〇%に合計なるわけでございます。残りの六〇%を二つに割りまして、三〇%については特別転貸債ということで国がこの起債のあっせんをいたしまして、その設立母体であります地方公共団体の地方債になりまして、それが特別転貸されまして、この公社の金になるという考え方でございます。さらに残りの三〇%は市中借り入れをするというような資金構成で、この公社は事業を実施いたしております。
そこで先ほどお話のございましたこういうことによっての資金コストによってでき上がりました施設というもの、この施設の耐用年数というのはおのずからございますので、それによって逆算してまいりまして使用料というものをはじくというやり方で、公的な立場の公社でございますから、そこの間には決して、言うなれば一般管理費以外にそれほど特別な経費がプラスされるわけではございません。したがって、特にこれこれこういう標準でというようなことは必要ない。むしろその場所場所によっての工事費が、基礎の地盤の問題であるとか何かで高低がございます。そういうことで影響を受けるだけであるというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/54
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055・太田一夫
○太田委員 そのお話は無利子のお金が貸し付けられるとか、あるいは地方債が経過的に認められるということはあるにいたしましても、それは使用料というのがただになるということではないわけなんですから、そこでそれぞれの港湾におきましてそれぞれの公社のはじき出すそろばんによるところの使用料というものが付加されることであろうと思うのです。これはもう現在でもそうでありますが、どこでも一定した基準がないようであります。現在各港湾におきましてどれくらいの使用料というのをとっておるか、何かわかっておりましたら発表してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/55
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056・岡部保
○岡部政府委員 まことに申しわけございませんが、ただいま資料を持っておりませんので、御必要があれば、後刻御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/56
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057・太田一夫
○太田委員 新しい時代というのは、陸上交通から海上交通へと、長距離におきましては貨物、荷物等はルートを変更するというのがほんとうだろうと思うのです。そうなりますれば、いまの交通ラッシュとかあるいは事故とか公害という問題がはるかに少なくなることは、これはもう火を見るよりも明らかなんです。そうなりますと、六大港湾だけがすべて港であって、他は港でないという態度もおかしいのであるし、それからたとえば九州、北海道等の各港湾につきまして、そこに接岸しようとしても、埠頭がなければ、その船会社自身が埠頭をつくるとか、あるいは県がつくるとかいろいろなことになろうと思うのですよ。荷物を海上輸送するというような発想は、新しい時代の発想でしょう。そのためにはそういうような諸施設は、この重要港湾の費用分担と同じように、十分の五、十分の五というようなぐあいにまでもっていくような思い切った改革があってもいいと思うのでありますが、とりあえず第一条の目的をこのように大上段に振りかざす限りは、もう少し地方港湾等のその接岸施設、埠頭等に対する何か助成の具体案があっていいと思うのですが、これは局長でけっこうですが、何か腹案、現在どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/57
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058・岡部保
○岡部政府委員 先ほども申し上げましたように、地方港湾の補助率が現在の重要港湾と比べて、五〇%、四〇%と一割低いということが、これは非常に理論的であって最もよろしいということは、私ども決して考えておりません。ただ、先ほども申しましたように、確かに地方港湾を整備しなければいかぬということは、私自身実感を持って現在計画を見直しておる最中でございます。しかも、その際に、補助率をどういうふうにしなければ困るというような地方の声も伺っております。ただ、補助率の一つの体系を直しますということはなかなかむずかしいことでございまして、私どもだけで政府の原案をきめられるわけではもちろんございませんし、財政当局あるいは地方財政面の担当をしておる省庁ともいろいろ御相談しなければならぬ点もございます。したがって、まず考え方として一体どういう考え方でまとめていくかという点でずいぶん努力をいたしておりますが、先ほども申しましたように、現在までまだいろいろ実態的におかしげな点が確実にあるわけでございますが、その点を一つ直すにいたしましても、直ちにさっといかないという点がございますが、いささか申しわけないのでございますが、時間をちょうだいいたしたい。その上でもう少しこの補助率体系を再検討するということをお約束させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/58
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059・太田一夫
○太田委員 それはそういうことにしておきましょう。
そこで、特にコンテナ船の輸送が急速に伸び、カーフェリーの輸送も急速に伸びておるという現在でございますから、これが新しい時代に港湾の諸施設に対して非常に大きな影響を及ぼすだろうと思うのですよ。そこで現在コンテナ船の航路というのは、外国貿易は北アメリカ、豪州ないしはヨーロッパ航路でございましょうからこれは別にいたしまして、国内のカーフェリー航路というのは、たしか二十足らずの航路ではなかったかと思いますが、現在これはどのぐらい伸びておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/59
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060・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 正確な数字はいま手元にございませんので、あとでお手元にその数字は差し上げることにいたしますが、御承知のようにカーフェリーはいま非常な勢いでふえておりまして、いま私の手元にきております申請状態から見ますると、むしろ過当競争になるのではないかと思われるくらいにふえてきておることは事実でございまして、これはやはりお互いに共存共栄で発展させるのにはもう少し運輸省における許可の場合において具体的にいろいろ考慮しなければならぬというくらいにまでいっておることは事実でございます。ことに著しい問題は、いままではきわめて近いところのカーフェリーが非常に多かったのでございますけれども、最近では長距離のカーフェリーが非常にふえておりまして、いまお話しのように国民生活に非常に密着したような物資の輸送もカーフェリーが引き受けているというようなことで、従来の内航海運におけるシェアとは非常に違った大きなシェアを持ちつつあることは事実でございます。そういう状況を明らかにするような意味で、あとで関係の局から詳細な数字を提出させますので、いまちょっと関係の局長も来ておりませんし、私の手元にも数字がございませんので、一応数字の点はしばらく御猶予を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/60
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061・太田一夫
○太田委員 それはあとでお出しいただいてけっこうだと思うのでありますが、言うならばカーフェリーというものは海上バイパスでございましょう。いま国道何号線だとか何でも非常に交通過密でございまして、事故はふえるわ、公害は多くなるわ、たいへんでございますけれども、海上バイパスとしてのカーフェリーというのがどんどん発達してきたっていいことでありますが、それに対応する港湾のあなたのほうのかまえというものができておらぬじゃないかということを私は先ほどから申し上げているのです。公社にするからいいんだとか、若干の無利子の貸し付けをするからそれでいいんだということでは、あなたのほうであとで基本計画、基本計画とおっしゃいましたけれども、基本計画を策定するときに腹ができておらぬということになるのじゃないだろうか。だからカーフェリーは海のバイパスだ、こういう認識はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/61
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062・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 港湾施設も沿革的に申しますと、先ほど来申し上げておりますように、地方自治体を中心にして、その土地、土地で地方の財政とそれから国の財政が一緒になって港湾施設の拡充をやり近代化してきたことは事実でございますが、この海運といわず、陸上交通といわず、最近の社会、経済の状態を見ますると、非常に公共的な分子がふえてまいりまして、そういう観点から考えなければならぬというような傾向にあることは事実でございます。先ほどお尋ねの中にも出ましたが、対外航路におきましてはコンテナ船というのが世界の大勢になっております。そういうものにこたえまして、京浜とか阪神方面におきまして、公団をつくって埠頭の整備をいたしておることも御承知のとおりでございますが、国内航路におきましてもそういう点は私たちも将来に向かって認識をして、公共的な投資については一段と努力しなければならぬということは考えておるのでありますが、今度の、先ほど局長から申しましたように港湾法の改正におきまして、そこまで抜本的に改正ができたかといいますと、そうではないと思います。しかし方向はいまお示しになりましたような方向で考えていかなければならぬ問題がたくさんあるということは私も了承する次第でございまして、とにかくいままでの港湾法ではもう港湾の環境を変えていかなければならぬとか、あるいは航路につきまして開発保全航路をつくって、港湾の有効な利用を促進しなければならぬというような非常に目の前に迫った要望があるものですから、とりあえず今度の港湾法の改正におきましては、一応そういう線をもとにいたしまして改正案を提案したわけでありますが、これでもちろん十分であるとは考えておりません。いまお示しになったような方向で、公共的な方面から見まして港湾の施設の整備もしなければならぬし、いろいろの地方自治体との関係も調整しながら、公共的見地から港湾の整備について国がもっと責任を負えるような立場で今後の検討を進めなければならぬということは私も考えておりますので、その点はもう少し時間をかしていただいて、これからの宿題ということにしていただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/62
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063・太田一夫
○太田委員 これはしからばどういうことになりますか。第三条の二に、運輸大臣は基本方針を定めなければならないとありまして、その中の三項は「基本方針は、交通体系の整備、国土の適正な利用及び均衡ある発展並びに国民の福祉の向上のため果すべき港湾及び開発保全航路の役割を考慮して定めるものとする。」これはずいぶん高邁な条文でございまして、これを具体的に基本方針として定め、さらに地方港湾審議会等の意見も得て、審議会のそれに従ったそのワクの中におけるところのいろいろな活動をさせようとする場合におきまして、この港湾計画というのは実に憲法にもなるようなものでございますね。ですからいまのカーフェリーならカーフェリー一つとってみましても、それは海上バイパスというような位置づけがない限りは、ここの三の基本方針というものはできないじゃありませんか、そう思うのですよ。ですから港湾の諸施設の整備とかという物的な——右に左にするということのほかに、総合交通体系として港の占める役割りは何かという、こういうものはあるでしょう。局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/63
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064・岡部保
○岡部政府委員 ただいま先生おっしゃいました、たとえばカーフェリーが道路のバイパスと申しますかそういうものではないか。私事実そういう考え方で整備をしていかなければならないと考えております。
それでたとえば現在カーフェリーの埠頭の、先ほど航路の数をちょっと所管じゃないものですからはっきりした数字を持っておりませんのですが、バース数については資料を持っております。これで申し上げますと、四十五年度末現在で、全国で約二百五十のカーフェリーのバースがございます。このうち約三割が民間の施設でございます。残りの七割がいわゆる港湾管理者である地方公共団体が公共事業によってつくったカーフェリーのバース数でございます。そこでこれに対して四十六年度から五十年度、現在やっております港湾整備五カ年計画というもので、一体全国にどれだけのカーフェリーのバースを考えておるのだということを申し上げますと、全国で百二十のフェリーバースを整備するということを考えております。その百二十のうち、中、長距離、いわゆる大型船が主体になっておりますようなフェリーのバースにつきましては、先ほど申しました地方公社方式が主体になります。これが大体半分がそういう施設でございます。それから半分は、たとえば離島のフェリしであるとか、これはとてもこんな公社などにはなじみません。したがって、従来どおり公共事業で実施するというのが全国で約半分ございます。したがって、六十ほどのバースがこの五カ年計画で、いわゆる大きなバイパス的な考え方というカーフェリーに対して五カ年間で整備をするというかっこうになっていくわけでございます。特に先ほど四十五年末現在で二百五十も全国にあって、そのうち地方公共団体でその七割を持っておると申しましたが、そのうちで中、長距離のフェリー、いわゆる大型船の大型化フェリーが着きますのはわずか二十程度のバース数でございます。したがって、今回の現在実施中の五カ年計画で相当程度これを整備するという考え方でございます。したがいまして、私ども今後の港湾施設の整備で、最近のいわゆる流通革新と申しますか流通手段が非常に変わってきておるということで、今後非常に整備をしなければいかぬというのが内航海運ではカーフェリーの問題でございます。外航海運では何と申しましてもコンテナの問題でございます。こういう問題についての港湾施設の整備というものについては、相当に重点的に実施をしていくという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/64
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065・太田一夫
○太田委員 現在株式会社の埠頭会社が建設中のところもあるわけでありますから、早急にいまの方針は策定していただきまして、公社ならば公社で施設をつくったほうが有利である、そのほうがよろしいという気持ちをみんなに与えるように明らかにしてほしいと思うのです。そうでないと、いまのようなぐあいにかりに任意に使用料を取るということになりますと、たとえばトン十円だ二十円だ三十円だという使用料ということになりますと、フェリーも大体一万総トンくらいの大型になっておりますから、十万、二十万、三十万、場合によっては四十万要るよというところもあるらしいのですから、一発着にそんなに使っていたら、それは採算がとれないじゃありませんか。ですから、総合交通体系の中におけるカーフェリー航路というのは、言うなら陸上交通路のバイパスであるという位置づけから考えていきますと、そのフェリー埠頭等につきましては、特に港湾法の中に抜き出して明らかに何か位置づけていくくらいのものがあってもよかったと思うのです。そういう気がする。それが隠れてしまっておる。だから目的の改正を見ましても、第三条の基本方針の内容等を見ましても、そういうものをちゃんと把握して、認識してお書きになったとは思いますよ。思いますが、港のことはなかなかむずかしいというか、複雑であってどうもはっきり手がつけられないとおっしゃれば、それまでのことでありますけれども、これを明確に規定するものがない。残念に思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/65
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066・新谷寅三郎
○新谷国務大臣 基本計画をつくります場合に、これは一般抽象的な方針になると思いますけれども、そういう点を十分考慮いたしまして、趣旨が明確になるようにしなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/66
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067・太田一夫
○太田委員 では、その点につきましては一応とどめておきまして、あと少し資料を出していただいてさらに論及していきたいと思います。
この費用負担の重要港湾の費用負担十分の五と十分の五、この水域施設、外郭施設、係留施設というものの中に今度の新たなる港湾環境整備施設等がその中に入らなくて、全然別にされたというのはどういうことでしょうね。これは負担金の問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/67
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068・岡部保
○岡部政府委員 これは決してそういう意味ではございません。別になったと申しますのは、いわゆる施設の性格が違うということと、それから別になったために、たとえば補助率でも別のものがあるではないかというような御疑問もあるかと思いますが、そういう点につきましては他の同じような性格の施設、いわゆる環境整備施設では、たとえば陸上の清掃事業等で同じような施設があるわけでございます。そういうものとのバランスがございまして、したがって、こういうような取り扱いになったということが事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/68
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069・太田一夫
○太田委員 重要港湾ないしは地方港湾等の中においてある程度の水準以上のもの、言うならば国道の建設諸費用というものは全部国が持つがごとくに、この諸施設に対する費用分担につきましても、地方公共団体と国とがいままで半分半分持っていたというのは私は正しいと思うのですよ。そういうことにならないで、そこがはずされていくというのは少し残念だと思います。いまのお話で予算の関係もあるし、少し対象が違うからというのですが、確かに港には金がかかることはわかるけれども、それを国が全部めんどうを見るということはたいへんだから、特定のところにしぼって、なるべく地方に負担させろという気持ちが最初からあったのではなかろうか。そういうものがいまなお残っているとすると、私は残念だと思うのです。将来はひとつ重要港湾だとか地方港湾だという区別そのものを再検討されることが望ましいし、費用の分担については最高限度に引き上げていただくことを期待をしたいと思うのです。
それで小さいことになると思うのですが、自治省の方いらっしゃいますね。いまのカーフェリー等の埠頭の諸施設に対する固定資産税は、たしか横浜かどこかは免除になっているやに聞いておりますが、これはどういう基準で賦課し、どういう基準で免除をしておるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/69
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070・小川亮
○小川説明員 現在カーフェリーの施設に対しては、特に固定資産税の免除とかあるいは特例の措置はございません。ただ、先生からるるカーフェリーについて御説明ありましたし、また運輸省からも公社で整備していきたいというような方針を示しておられますし、またこういったものについては無利子の貸し付け制度もあるというようなことで、来年度から公社の設置するそういったものにつきまして、緊急なものとして課税標準の特例の措置を設けたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/70
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071・太田一夫
○太田委員 その課税標準の特例というのをもう少し、明らかでありましたら詳細に述べていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/71
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072・小川亮
○小川説明員 施設をつくりましてから三年間、その家屋と償却資産につきまして二分の一の課税標準の特例を設けたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/72
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073・太田一夫
○太田委員 しかし、公社であるから二分の一といわれればそれだけのことでありますけれども、これは免除しても別に差しつかえないと思うのですよ。言うならば、国道でございます。これを免除するというところまでできない理由はどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/73
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074・小川亮
○小川説明員 固定資産税、いろいろな資産を各企業が持っておりますけれども、そういった一つのバランスの問題がございます。それからフェリー埠頭公社というのが数年前にできております。これは御承知だと思いますが、国策に沿ってできた港湾法に基づくものでございます。この場合にも免除しておりませんで、やはり二分の一の課税標準ということにしております。そういった固定資産税全体のバランスの問題から見まして、いま考えておるのが適当であろうということでいま考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/74
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075・太田一夫
○太田委員 国鉄の固定資産税は一応市町村納付金という形をもってかえられております。これも課税標準で大体二分の一とかその程度でございましょうが、これすらこういう非常のときにあたっては、この制度そのものをもう一ぺん再検討して、納付金そのものを国が肩がわりできないだろうかという意見も出ておるくらいなので、いままで二分の一であったから今後も同じように二分の一にするというのはいかがなものですかね。そこに革新性といってはなんですが、進歩性が認められないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/75
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076・小川亮
○小川説明員 固定資産税は、財源としましても市町村として非常に安定性のある重要な財源でございますし、二分の一というのは非常の特例としては大きい特例でございます。国鉄につきましても、最近またいま先生がおっしゃいましたような問題が出ましたけれども、われわれとしてはやはり市町村の財政事情その他から見まして、絶対この二分の一の特例というものは守っていきたいというふうに思っておる次第でございます。そういうことで今回の二分の一というのが最も適当であろうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/76
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077・太田一夫
○太田委員 二分の一の特例が一つの慣例になっておると理解してほしいということだろうと思うのですが、それは一応御説明として承っておきます。しかし問題は、この港湾法の改正に乗り出した背景というものは、過疎地と過密地帯の解消の問題、陸上交通の渋滞解消対策、そうして外国貿易時代に備えての港湾施設の拡充とか、こういうように新しい時代というものに足並みをそろえてその内容を変えようというのだ、久しぶりの大改正だといわれておるのであります。久しぶりの大改正ならば、もっと大きな改正があっていいだろうと思うのですが、大事なところが抜けておると思います。いまの点もそういう事情はわからないわけじゃありませんが、これは公社である限りにおいては公社方式をとろうということの御説明が先ほど運輸省のほうからありました。課税等につきましても、もっと大幅なる減免の方策をおとりになることを期待したいと思うのです。
時間がだんだんなくなってきたし、十二時半から私も代議士会です。大事な代議士会ですし、まだ十分資料が出てない点もありますから、続けることはいかがかと思うのです。
一つだけお尋ねしておきたいのは、ここに書いてないのですが、港湾労働者の厚生施設というものに対して、対象を拡大するとか配慮するとかいうような御説明がないような気がするのですが、これはいかがなんですか。どこかにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/77
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078・岡部保
○岡部政府委員 港湾施設といたしまして港湾厚生施設というものがございます。その港湾厚生施設と申します内容は、「船舶乗組員及び港湾労務者の休泊所及び診療所」というものでございます。これに対して今回の改正で、「船舶乗組員及び港湾労務者の休泊所、診療所その他の福利厚生施設」というものを付加することにいたしました。この原案で港湾施設の範囲の拡大をはかっておる次第でございます。現実にいま先生のおっしゃいましたような問題点がございますので、今後ともこういう面を港湾として考えていかなければならぬということを施設の内容の拡充という点で織り込んだつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/78
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079・太田一夫
○太田委員 それは「その他」ということで包含されておると言えばそういうわけですが、それは補助はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/79
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080・岡部保
○岡部政府委員 この港湾厚生施設に関して、いわゆる港湾整備事業としての補助は現在いたしておりません。全然別途の問題としてこういう問題は取り扱われておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/80
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081・太田一夫
○太田委員 いまの点は補助をしていないという点につきましても納得のいかない点がございますから、少し何か掘り下げていきたいと思います。ただ、十二時半から私のほうも代議士会がありますから、先ほど資料の出ておりません関係で、一応きょうの私の質問をこれで打ち切らしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/81
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082・井原岸高
○井原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる六日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、これにて散会いたします。
午後零時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107103830X00519730302/82
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