1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月二十九日(金曜日)
午後一時十分開議
出席委員
委員長 木村 武雄君
理事 天野 光晴君 理事 服部 安司君
理事 松野 幸泰君 理事 渡部 恒三君
理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君
理事 福岡 義登君 理事 浦井 洋君
小沢 一郎君 梶山 静六君
國場 幸昌君 田村 良平君
中尾 宏君 野中 英二君
林 義郎君 三原 朝雄君
村田敬次郎君 大柴 滋夫君
佐野 憲治君 清水 徳松君
中村 茂君 渡辺 惣蔵君
柴田 睦夫君 瀬崎 博義君
新井 彬之君 北側 義一君
渡辺 武三君
出席政府委員
建設政務次官 内海 英男君
建設大臣官房長 高橋 弘篤君
建設省計画局長 大塩洋一郎君
建設省計画局宅
地部長 大富 宏君
建設省都市局長 吉田 泰夫君
建設省都市局参
事官 國塚 武平君
委員外の出席者
農林省構造改善
局農政部農政課
長 関谷 俊作君
自治省税務局固
定資産税課長 川俣 芳郎君
建設委員会調査
室長 曾田 忠君
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本日の会議に付した案件
生産緑地法案(内閣提出第五六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/0
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001・木村武雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、生産緑地法案を議題とし、審査に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水徳松君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/1
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002・清水徳松
○清水委員 私は、議題になりました生産緑地法案につきまして、若干の御質問をいたしたいと思います。
まず最初に、きょうは、建設省、自治省、農林省等、大臣の御出席をお願いしておったわけですが、御都合で出られませんので、どうしても大臣に質問をしなければならない点については、後ほどの機会に保留をいたしておきたいと思います。ただ、その質問の骨子は、次のようなことでございます。
農林省、自治省として、今日のこの農地の宅地並み課税の実情に照らして、どのように現在お考えになっておるか。この一年A農地の課税をやってきたのですけれども、その結果や、それに対するそれぞれ地方自治体の対応、受けとめ方などを見た場合に、農林省、自治省としても、それなりの総括、御判断あるいは評価をされているだろうと思いますが、その点についてどのようなお考えを持っておられるか、これが第一点でございます。
それから次の点は、農林大臣は、いまの農業というものが、食糧生産のほかに環境保全のために果たす役割りが非常に大きいということについて、御理解をされていると思います。この点について、私は本会議において前の農林大臣に対して御質疑を申し上げたことがありますが、現農林大臣のこれに対する基本的な考え方というものをまだお伺いしておりませんので、これをぜひお伺いをいたしたい。
それからまた第三点として、建設大臣については、農業の都市環境保全のための役割りをどういうふうに理解されておるのか、これを今後都市計画その他建設関係でどのようにお生かしになるのかということをお聞かせを願いたいということでございます。
また最後の点として、農林大臣、自治大臣にお伺いするわけですが、生産緑地法に対する農業を守る立場での御見解をお持ちになっておるのか、この点も実はお伺いをいたしたかったわけであります。これは大臣がそれぞれ御出席の際にひとつお聞かせを願いたいと思います。
次に、今度は、建設の政務次官が来られておりますのでお伺いしますが、生産緑地法案は、この都市計画中央審議会の御答申に基づいて出されてきたものだと思いますが、この生産緑地法案作成の過程において、自治省や農林省とはどのような形で御協議が持たれたものであるか、全然御意思が反映されておらないものだろうか、その点についてまず政務次官のほうからお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/2
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003・内海英男
○内海(英)政府委員 中央審議会におきましては、農林三団体の代表の方、さらに農林省あるいは自治省の関係の方々にも、それぞれ委員として御意見を十分くみ入れて答申をつくっていただいた、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/3
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004・清水徳松
○清水委員 それならば、地方自治体がこの市街化区域内の農地に対して現在どういう扱いをしておられるのか、それからまた今後どのような方針でこの農地に対して行政指導なり営農指導をやっておられるのか、それからまた実務者がどのような状態でこのお仕事をやっておるのか、その辺のところは、十分御審査の上この生産緑地法案というものをお出しになられたのか、その点お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/4
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005・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 昨年の地方税法改正以後、今日までの間におきまして、地方税法の対象都市が百八十二ございますが、そのうち相当の都市におきまして、条例あるいは指導要綱のような形で適正に保全されているような農地等を対象に、その保全をはかるべく一定の期間農地としての営農を継続することを条件にいろいろな奨励策、奨励金の交付というようなことをやってきておることを承知しております。まあ各市町村の判断でそういうことがなされてきているわけでございますが、私どもは、先国会の衆参地方行政委員会の附帯決議、あるいは参議院の建設委員会の附帯決議等もございましたので、都市計画の制度として生産緑地の制度を法制化するということをいわば宿題として引き受けまして、今日このような成案を提出させていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/5
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006・清水徳松
○清水委員 実態をお調べになったとおっしゃいましたが、具体的に、この地方自治体の代表者をどのような形で招集されて、どのような形で意見を聴取されたのか、そういったようなことをおやりになったのかどうか、重ねてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/6
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007・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 審議会の委員には関係各省あるいは関係の諸先生も入っていただきまして構成して審議を進めたことは、政務次官から申し上げられましたとおりでありまして、そのほか、おっしゃるような地方自治体の実態も、いろいろと自治省を通じ掌握いたしました上で審議を進めたわけでありますが、先ほど申し上げましたように、都市計画の制度として法律案に仕上げるということは一応建設省の責務でもございますので、関係各省との連絡を中心に、そういったものを通じまして市町村の実態も聴取した。市町村の各担当者あるいは市町村長の方々がどのようにこの法案を見守ったかということにつきましては、私どものところに意見が開陳されたものは直接にはないのでございますが、いわばそういう間接的な形で実態を踏まえつつ審議を進めたというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/7
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008・清水徳松
○清水委員 私、この答申案なるものを拝読いたしましたけれども、地方のこの一年間の実情なり、あるいはまた地方の希望と申しましょうか、実際この一年間やってみてのいろいろな問題点等等の勘案された御様子というものが、どうもこの答申案の中には全然見当たりませんし、さらにまた、いま御答弁をお伺いしても、やはり建設省として、何か答申案だけに依存をしながら、地方の実情といったようなもの、実態というものの積極的な把握が非常に足りないような印象、というよりもそういう実態をいま見るわけであります。ですからその点、この緑地保全法案の中でも、そういったような実態の無理解からやはり相当の欠陥と申しましょうか、問題点というものがその辺のところからもうすでに出ているというような気がするわけであります。これからでも決しておそくはありません、これから審議するわけですから、地方のこの一年間の実態というもの、そしてまた地方でやってみた結果の希望というようなものをもう少し率直に取り入れていただきたいということを、まず最初にお願いを申しておきたいと存じます。
それで、各省から来られておりますが、最初にまず農林省のほうにお伺いをいたしたいと思います。
農林省は市街化区域にある全国二十八万ヘクタールの農地、そして農業に対してどのようなお考えで営農指導をやっておられるのか、その点をまず最初にお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/8
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009・関谷俊作
○関谷説明員 市街化区域内農地についての農業施策面の考え方でございますが、御承知のように、都市計画法によりまして市街化区域を設定するについては農業との調整を行なっておりまして、そういう関係から、市街化区域内についてはおおむね十年以内と申しますか、優先的、計画的に宅地化を促進する地域である、こういうふうに承知しておりますので、その区域内の農地は現存しておりまして、当分の間と申しますか、市街化が実際に進行するまでの間は農業を継続する、こういうようなたてまえでございますので、そういう実態に着目しました農業施策は積極的に講じてまいりたい。内容的には、いまお尋ねのございましたいわゆる技術指導、それから家畜を飼っておりますれば家畜の衛生面、あるいは植物の病害虫の防除でありますとか、経営の金融面とか、そういう年々の経営活動に必要な農業施策については、従来から、また今後とも引き続き積極的に講じてまいる考え方でございます。ただ、市街化区域という性格上、非常に長期的に効果の及びます土地改良、こういう関係については原則的には差し控えるべきものではなかろうか、こういうような方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/9
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010・清水徳松
○清水委員 特に、この四十八年からA農地、それからことしの四月からB農地にいわゆるみなし課税がされることになるのですけれども、特に三大都市圏のA、B農地、その面積大体一万八千三百ヘクタールですか、この農地に対してどのようなお考えで指導されようとしておられるのか。特にこれは税制面から非常な圧力を加えられておるわけですから、その点について農林省としてはどういうようなお考えを持っておられるのか、その辺のところをお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/10
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011・関谷俊作
○関谷説明員 今回、A、B農地で宅地並み課税が四十八年及び四十九年から実施されますものは、私どもも一万六千ヘクタールを少しこす面積と承知しておりますが、これにつきましては、税制上の問題として、実際に宅地として評価をして課税をするのが相当である、こういう判断のもとに扱われることになったわけでありますが、農業施策上の扱いとしましては、こういう実態ではございますけれども、先ほどもお答えいたしましたとおり、あくまでも、その農業が実際に継続されておる、そういう関係からは、たとえば食糧管理制度の適用でありますとか、農業共済制度でありますとか、あるいは農協の団体面の問題、こういう全体的な年々の経営活動と関係します農業施策については、宅地並み課税が実施されることになったからといってすぐに対象からはずす、こういうような扱いにはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/11
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012・清水徳松
○清水委員 多少質問が前後になるかもしれませんが、最も典型的な例として首都圏内の川越市の例をあげてみたいと思います。
A農地は四十八年度からそれぞれ固定資産税、都市計画税が非常に大幅に値上げをされておるわけであります。四十八年度は固定資産税がいままでの大体五十倍、そして四十九年度は百倍、五十年度は百七十倍、五十一年度は二百五十倍、こういう形で課税をされる。都市計画税は四十八年度九十倍、四十九年度百八十倍、五十年度三百十倍、五十一年度四百五十倍。B農地の場合はことしからいよいよ一挙に三十二倍に上がるわけです。それから来年は六十四倍、五十一年度は百十三倍、五十二年度は百六十二倍。都市計画税に至っては三百二十三倍に五十二年度はなるわけです。しかもこれはA農地は八百四十四反、大体八十四ヘクタールあるわけです。それで五十二年度には、税金だけでも三億五百七十六万二千円かかるという計算になるわけです。一反当たりの課税額は何と三十六万円になるわけです。四十九年度でまだまけてもらっておる現状でも八千五十二万円の税金がかかるわけです。一反当たり税金だけでも大体十万です。こういったような状況にあるのを、農林省は一体手をこまねいて見ておられるのか、やむなしとしておるのか。その点、農林省の見解をひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/12
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013・関谷俊作
○関谷説明員 いまお尋ねのございました宅地並み課税の実態につきましては、今回の適用に伴いまして税額が非常に上がる、これは事実でございます。その判断でございますけれども、結局、農地の所在、それから評価面にあらわれるその持っております開発上の価値と申しますか、そういう関係に着目して、税制上の均衡なりあるいは宅地化の促進、そういう観点から宅地並み課税がこういう形で実施をされたと私ども承知しておりまして、農地といえども、その持っております市街化形成上の意味合いから申しますと、ある範囲内でこのような措置がとられるということ自体はやむを得ないのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/13
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014・清水徳松
○清水委員 やむを得ないと思っておられるとするならば、農林省としては、ここで農業をやることについて、ほとんど税金だけの生産すらもあげ得ないような状態というものを、やむを得ないものとしてそのまま放置する、そういうふうに解釈してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/14
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015・関谷俊作
○関谷説明員 A農地、B農地の実態から申しますと、今回の宅地並み課税の対象になりますようなものは、非常に市街地内に介在しておる、あるいは地片の面積としましてもかなり小さいものである、こういうふうに実態的に承知をいたしておりますが、従来から、農地の転用面あるいは農業施策上の扱いとしましても、そういう市街地内に介在している農地については、農地全体として見た場合には、宅地の需要、あるいは工場用地の需要、そういうものにこたえてもし転用するとすれば、そういうものから順次転用がされていく、こういう順位上の問題としてはやむを得ない、こう考えるわけでございまして、そういう意味では、そこの農地を使いまして農業を実際に継続していくということは、間接的にむずかしくなるわけでございます。
ただ、市街化区域が設定されましたそういう経緯からしまして、そういうところで従来農地を持って農業をやっておられた方が、宅地化の促進と関連して、そこでは農業をやめて、ほかの部門で、あるいはほかの地域で農業をやる、こういう希望を持たれる方が多いわけでございますので、それにつきましては、たとえば、農地を売却して、別に市街化調整区域なりあるいは農業振興地域で農業を継続する、そういう場合の農地の買いかえについては、税制上の特例も講じておりますし、それから畜産等につきましては、畜産農家が移転をする場合の行った先の団地造成を助成をする、こういうことで、引き続き農業をやられる希望を持っておられる農家については、そういう関係で対策を講じてまいる、こういうことで対処しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/15
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016・清水徳松
○清水委員 農林省、御承知だろうと思いますが、この近郊都市周辺の農業の働き手というものは、通勤の形で都市の労働者としてほとんど農業はやっておらないわけです。いまさら転業のできないお年寄り、三ちゃん農業が二ちゃんなり一ちゃんになるというような状況にあるケースが多いのでありまして、たとえそれが専業農家であれ、お年寄りが大体中心になって農業をやっておるという場合が多いわけであります。そういうことですから、そのお年寄りから生業を奪う、追い出すというような結果にこの宅地並み課税というものがなりつつある。特にこの一万六千八百ヘクタールについてはそういう形が非常に明確に出ておるということについて理解はしておらないのでしょうか。その点、農林省としてのお答えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/16
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017・関谷俊作
○関谷説明員 その現存します宅地並み課税の対象農地については、先ほど申し上げましたようなことで、その位置的な関係、あるいは周辺の市街地施設の整備状況、こういうものから判断しますと、やはり宅地化の順序としては一番先の問題になる、こういうふうに考えるわけでございまして、その場合に、二つの問題があろうかと思います。一つは、実際にその土地ではもう農業をやらないけれどもほかに移転される方、そういう方々に対する対策は十分講じなければならないと考えておりますし、また同時に、その農地自体が実際に宅地開発の価値を相当持っておる、こういう場合には、課税と同時に宅地化の促進についての相当の優遇施策が講ぜられる、こういう点についても前回の国会で措置もされたようでございますので、その両面の施策をもちまして、そういう土地については、国土の有効利用なり都市化の形成、そういう面から見て、やむを得ない措置として宅地並み課税が講じられておる、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/17
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018・清水徳松
○清水委員 どうもそういうお考え方というのは、一年前の考え方と全然違っておらない。つまりこの一年間の経験というものを生かした答弁とは言い得ないような感じがいたします。
ここに上福岡の例があるのですが、ここも非常に人口密度の高いところでございまして、残された数少ない農業であるけれども、これは大事にしなければいかぬということで、宅地並み課税に対して、「農業緑地保全に関する要綱」というものをつくりまして軽減措置を講じようとしておるわけです。つい昨日ですか、要綱が通ったようです。それには「都市計画法第七条に規定する市街化区域内に所在する農地の保全を図り、もつて都市緑地の確保と農業経営の安定に資することを目的とする」。農地の保全、農業経営の安定です。この一年間の農地の宅地並み課税という事態を踏まえまして、地方自治体においては、農業をいかにして保護していくか、そういうことで、都市の環境を保全するための農業の大きな意義というものをいかに生かしていくかという観点に立って、農地の保全、そして農業経営の安定というものに努力しつつある、このことについていまのような農林省の御答弁では、はたして農林省といえるのかどうか、いささか疑問に思わざるを得ないような気がするわけです。これは上福岡市だけではありません。所沢もそうです。おそらくこの表で見ましても、八王子市の場合は、農業緑地という、これは要綱でしょうか。それから小平もそうです。立川もそうです。農業というものを保護する立場を非常に明確にあらわして要綱なり条例をつくっておる。この事態をどのように理解し、農林省として評価されておるか、その点、御答弁をお願いをいたしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/18
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019・関谷俊作
○関谷説明員 これは最近の実態として、いまあげれらましたような緑地保全的な対策が講じられておる、こういうことも私どもも承知いたしておりますが、全体的な土地利用調整の問題としましては、都市計画法が制定されまして線引きを行なう際から、全体的に都市の計画的な形成をはかる、そういう場合に、いわゆる土地利用区分をどうしたらよろしいか、こういう観点で調整がなされたわけでございます。その場合に、農林省としましてはあくまでも、優良農地、あるいは公共投資の対象になった農地で今後とも長期的に保全すべきもの、こういうものは市街化区域に含めない、こういうことで対処し又実際に協議調整をして線引きを行なったわけでございます。しかし市街化区域内につきましては、現実に農業経営が行なわれる、また相当期間行なわれますし、その間の緑地保全的な機能もあるわけでございますので、冒頭に申し上げましたように、農業経営の維持と申しますか、運営、それに必要な各般の施策については、従来も含めまして、市街化区域であるからといって全然その対象にしない、こういうことにはいたしておらないわけでございますので、そういう意味では、緑地保全的な対策が市街化区域の中で出てまいる、こういうこととの関係については十分理解をしながら今後とも政策を進めてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/19
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020・清水徳松
○清水委員 理解を示しながら政策を進めていくということはけっこうだと思います。こういう農業経営の安定のために地方自治体が努力をしておる。この努力をしている状況を見ながら、現に農地の生産力以上の税金がかけられ、あるいはかけられようとしておるこの実態について、農林省は何らかの保護というか、助成というか、そういったようなものを考えておられぬのだろうか。非常に残念に思います。明確にその辺のところを御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/20
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021・関谷俊作
○関谷説明員 固定資産税の扱いにつきましては、農業政策と申しますか、あるいは農地の維持、そういう面から見て、農林省としては非常に関心を持って従来から発言をしておりまして、一般の農地につきましては、御承知かと思いますが、三十八年以来の据え置き、こういうような扱いで非常に低い評価に据え置いていただいておるわけです。そういう中で、特に宅地化の促進なり市街化区域内の農地の扱いということで、先ほど御指摘がありました一万六千八百ヘクタールという、しかも三大都市圏の百八十二市の中で、A、B農地という都市の中に介在している農地について限定的に宅地並み課税が実施される、こういうことに対して、都市化の形成上はやむを得ないことであろう、こう考えたわけでございます。
先ほど来申し上げております農業施策の扱いについては、たとえば、技術指導だけではなくて、災害復旧事業でありますとか、衛生面、家畜の病害虫、さらにいえば米の買い入れ、農業共済、あるいは農業団体の仕事、こういう全体については、農業施策の対象として何ら差別をしておりませんので、そういうことで実際に農業経営が行なわれる限りはその健全な運営を確保していく、こういうことで今後とも進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/21
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022・清水徳松
○清水委員 私の言うのは、農林省がそのようにいろいろ営農指導されることについては大いに敬意を表しながら、今後とも御努力をぜひお願いいたしたいと思いますが、現実に生産力以上の税金がかけられようとしておる、またかけられつつあるというこの事態を踏まえてどうするか。しかも地方自治体はそういう事態を避けるために最大の努力をしておる。これに対して農林省は、黙っていままでどおりのことだけで済まされるのかどうか。私は、農林省にほんとうに誠意があるならば、農林省が先頭を切って、少なくとも現在農業をやっている者については宅地並み課税は反対してもらいたいということを、もう少し政府内において主張してしかるべきではなかろうか。さらに、どうしても宅地並み課税をするというならば、農林省が自治体にかわって補助金を出すぐらいのかまえを見せてしかるべきじゃないかということを言いたいわけです。その点についての御答弁をお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/22
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023・関谷俊作
○関谷説明員 宅地並み課税につきましては、これは固定資産税が年々相当額に高くなるわけでございまして、たとえば、そういう制度をつくっておきながら片方で、その宅地並み課税を全面的に、あるいは部分的に帳消しするような農地に対する投資を行なうというのは、政策的にも制度的にも非常に矛盾を来たすのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございまして、やはり根本は、宅地並み課税そのものがある範囲内で行なわれることがよろしいかどうか、こういう問題に帰着するのではなかろうかとわれわれは考えております。したがいまして、宅地並み課税が実際にどういう農地で、どういう範囲について行なわれているか、こういうこととの関係で申し上げますと、繰り返しになりますが、今回の百八十二市の措置のような非常に限られた範囲内で、しかも宅地需要の非常に強い三大都市圏の市部の区域でA、B農地に限ってこういう措置が講ぜられていく、こういうこと自体はやはりやむを得ない、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/23
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024・清水徳松
○清水委員 これはあとで質問申し上げますが、農林省、もう少し強く出ていいような状況にあるのです。というのは、何も現在やっている農地に宅地並み課税をして農業追い出し政策をとらなくても、宅地確保のためにはいますぐにもできることがうんとあるわけです。あとで御質問しますけれども、建設省のサイドでも、三大都市圏における宅地の確保のためにいろいろやっていることもあるわけでして、何も宅地並み課税をしてまで現在やっている農業をやめさせるというような強硬手段をとらなくても、まだまだたくさん方法があるということをひとつお含みおき願いたいと思います。農林省ももう少し誠意をもって、市街化区域内におけるA、B農地というものが、単に食料生産だけではなくて、むしろよりよい都市環境をつくるための役割りを果たしておるのだということも考えられまして、もう少し農家サイドに立った営農指導をしていただきたい、考え直していただきたいと強く要望しておきたいと思います。
次に、自治省に対して若干の質問をいたしておきたいと思います。
自治省は、三大都市圏各市町村で四十七年以来行なっております、特に神奈川県あたりを中心に始まりました農地の宅地並み課税に対する逆の減免措置のこの動きに対して、今後どのように対処されるつもりであるか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/24
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025・川俣芳郎
○川俣説明員 四十八年度からいわゆる宅地並み課税を行なっております三大都市圏内の市街化区域農地につきまして、あるいは緑地保全、あるいは都市近郷農業の維持というような観点から、歳出面におきまして補助金を交付しておる例がございますのは、御指摘のとおりでございます。これにつきましては、私どもは、関係の市におきましてそれぞれの目的から独自の判断で歳出面の措置を講じておるというふうに考えておるところでございます、ただ、今回の生産緑地法案に基づきまして生産緑地制度が設けられました場合におきましては、この生産緑地に指定をされました農地については本来の純農地としての課税に戻すということにいたしますが、それに該当しない土地についてさらに関係の市において補助金等の交付を行なうということは、これは適当ではないというふうに考えております。ただ、生産緑地制度ができましても、新しい制度ではございますし、現実に指定が行なわれますまでの間にはかなりの時間を要するのではないかというふうにも考えておりまして、その間に関係の市において補助金が交付される場合はあり得るであろう、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/25
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026・清水徳松
○清水委員 それは、生産緑地制度に指定されれば宅地並み課税されないのですから、補助金を出す必要はないと思います。それは当然だと思います。これは建設省とも関係あることですから、建設省、自治省両方にお答え願いたいと思いますが、都市計画法の基本理念について、同法第二条に「農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定める」というふうに書かれておるわけです。当然この考え方で市街化区域と調整区域との線引きが行なわれると同時に、市街化区域は、すでに市街地をなしているか、あるいは十年以内に市街化を促進すべきところというようなことで、そこにある農地は農地としてはみなさないで宅地化を促進するというような論理の発展となって、そしてこれが四十八年度からいわゆるみなし課税ということになってきたと思います。ところが、先ほど農林省のほうから、たいへん矛盾であるといわれるような御見解も披瀝されたわけでありますが、市町村では今度は全く同じ目的で、宅地並み課税に対して、緑地保全に関する要綱、あるいはまた条例等々で救済措置を講じておるわけです。一方において健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保するために宅地並み課税をして、一方においては今度は同じような目的で救済措置を講ずる、全くこれは矛盾した話であると思います。しかも、四十九年度あたりからB農地まで適用されるわけですから、おそらく各市町村でこういう方向に行くんじゃないかというふうに思います。市町村は地方税法で、市街化の促進ということで、固定資産税、それから都市計画税、そういったようなことで取ったものを今度同じ目的で返してやるという、こういう状態というものを一体建設省も自治省もどういうふうにお考えになっておるのか。全くおかしい話のような気がするのですが、どういうふうにお思いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/26
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027・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 市街化区域は、先生おっしゃったように、できるだけすみやかに市街化をはかろうということでございますので、基本的には、市街化していく、またそれを助長するような施策を重点的に講ずるという地域でございます。もちろん市街化区域の中でも、適当な間隔、適当な規模の公園緑地等のオープンスペースが必要なことは当然でありまして、そういうものは都市計画の施設として積極的につくるとともに、あるいは緑地保全地区の指定とか、あるいは、今回御提案申し上げている生産緑地というような、民有のままの形での緑地として確保していくということも重要だと思います。ただ基本的には、その大部分は市街化され宅地化されて、いわば都市的土地利用に切り変わっていくべき区域だということでございます。
御指摘のように、片一方で宅地並み課税を実施しながら、全く同様の観点で自治体の施策としてこれを還付する、あるいは奨励金の形で交付するということは、私どもも本来あるべき姿だとは思いません。ただ、地方税法改正の際に、今回御提案申し上げましたような、生産緑地を法律の制度として保全する制度がなかったものですから、そういうことも起こったのではないかと考えまして、その点がまた前国会で種々御指摘があったところ、附帯決議にもなったところでございますので、私どもとしては、都市の面から見ても意味のある制度として緑地保全地区なるものを考え、これに該当するようなものであれば、これは都市計画としても十分意義づけられるし、その当然の効果として宅地並み課税の適用除外になるということが出てくるわけでございまして、この法案がもし通れば、先ほど自治省からも申されましたように、一定の経過期間というのはもちろん必要でございましょうが、その経過期間経過後は、おそらくは緑地保全地区の制度におおむね一元化されるのではなかろうか、そうあるのが筋ではなかろうかと思います。
ただ、緑地保全地区の制度は、都市環境の保全と各種の公共施設用地の候補地として意義づけておりますので、それ以外の観点というものは入っていないわけでございます。たとえば農家経営の安定とか、そんなものは都市計画の制度になじみませんから入っていないわけでございまして、市町村の現にとっておられる制度と完全に一致しておるとも思いませんけれども、おおむね一致しておるということは確かにいえるわけでございまして、そういうものは、この法律がない間の暫定的な緊急の策としては一がいに否定できないと思いますけれども、もしこの法律ができれば、やがてはそれに帰一すべきもので、少なくとも、観点が全く同じか非常に以通っているという角度からの施策であり、かつ、宅地並み課税との差額の全額とそれに近い高率のものを還付するというようなことは、筋としてはおかしいというようなことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/27
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028・清水徳松
○清水委員 たいへんな御答弁をいただいたわけなんで、だからこの生産緑地法案は、はたして建設省は、この一年の実態を踏まえながら、そうしてまだ日本の農業というものを考えながら立案したものであるかどうかということをお伺いしたわけでございまして、この辺のところ、目的はいかにも生産緑地として日本のA、B農地というものを保護するような形をとりながら、実際は追い出し政策より一歩も出ておらないという、そういう実態がさらけ出される結果になったわけでありまして、その点、この法案の中にはこの一年間の経験というものが全然生かされておらないということに、われわれとしては非常な不満を持たざるを得ないのでございます。
それから、いま建設省だけの御答弁をいただいたわけですが、自治省のほうはどういう御見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/28
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029・川俣芳郎
○川俣説明員 市街化区域農地につきまして一定の補助金を出しております市がございますことは、先ほども御指摘のあったとおりなんでございますけれども、その場合におきましても、やはり大部分の市では、一定規模以上の面積、あるいは一定期間農業を継続する、こういう条件を付しまして補助金等を交付しておるわけでございます。したがいまして、生産緑地制度ができました場合におきましては、当然これに移行をしていくと申しますか、その段階で各関係の市におきましては、現在出されておる補助金等の要綱についての見直しが行なわれるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いわば生産緑地制度の先取りと申しますか、あるいはつなぎと申しますか、そういうものとして私どもは現在の市の補助金を理解しておるわけでございまして、生産緑地制度ができました場合においては、これらについて見直しが行なわれるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/29
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030・清水徳松
○清水委員 一定の規模あるいは一定の年限を約束をさせて補助金を交付しているわけですが、そういったようなことがこの生産緑地法案に生かされておるように自治省としては考えておられるのか。現在行なわれておる自治体での努力がほんとうにこの生産緑地法で吸い上げられるのかどうか。その辺のところをどういうふうに御理解されておるのでしょうか。それからまた、同時に建設省としても、この一年間の経験を踏まえながら、この実態をこの法律で救済できるものである、そういうふうに御理解しておられるかどうか。その点もお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/30
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031・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 都市計画として第一種生産緑地地区と第二種生産緑地地区という制度を御提案申し上げておるわけでございますが、これは当然、先ほど来の地方税法の改正にからんで問題になってきたことでもあり、私どもも、宅地並み課税と密接にからむ問題という認識は持っております。しかしながら、都市計画の制度としては、その税の高過ぎることを救済するための制度を考えているわけではございませんで、都市計画上位置づけられる、評価される制度ということを考えざるを得ないわけであります。その結果がこの法案にありますような規模とか期間の要件になっておりますが、たとえば五年というような期間をかりに考えた場合に、これはその期間が過ぎれば自由になるという土地になりますから、むしろすぐにでも宅地化されるかもしれない農地を五年間供出をとめるということにもなりかねないわけでありまして、私どもとしては、そういう意味からだけでもそういう短い期間というものは考えられないわけであります。
〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
実は都市計画としては、第二種で考えました十年という期限づきの都市計画というのも全くの新例でありまして、その意味で非常に法律的にも問題になったわけでございますが、しかしながら、この第二種というのは、すでに区画整理、開発行為等によって周辺地域を含めまして整然たる町づくりの基礎ができ、そこでの土地利用の振り分けというものができました土地で、しかも要件としてさらに、区画整理等の施行地区のおおむね三〇%の範囲内で第二種生産緑地を指定することができる。逆にいえば、おおむね七割程度が宅地化され供給に乗るというそのメリットも考えまして、あえて新例を開いてまで期限づきの制度をとったわけであります。十年ということになれば、都市計画の制度としてもまずまず一応の安定性のある期間ということもできるし、その期間の長さから見まして、すぐにでも宅地化に乗りそうなところは、これは乗ってこないだろう。やはり相当期間保全する決意、意欲、それから客観的な条件というものが出されているはずであろう。そういうことであれば、こういう制度をつくることによって当面の宅地供給を阻害するという弊害もないのではないか、こう考えた次第でありまして、私どもも、宅地並み課税のかかる分をすべて救済するというために出した制度でもありませんので、確かにおっしゃるような、これで課税の面からのみ見れば、救われないというものも当然出てくると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/31
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032・川俣芳郎
○川俣説明員 ただいまの御質問につきましては税サイドからお答えするのが適当かどうかとも思いますけれども、生産緑地制度ができました場合におきまして、第一種、第二種の生産緑地について具体的な指定が行なわれることになると思うのでございますが、いずれにいたしましても、生産緑地の形態あるいは態様と申しますものは、地域地域によって非常に異なってくるというふうに考えられると思うのでございまして、具体の生産緑地の指定にあたりましては、このような地域の実態に応じまして指定がなされるように、私どもとしては期待をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/32
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033・清水徳松
○清水委員 自治省、この生産緑地は、区画整理のやってないところは大体一ヘクタールでしょう。それから区画整理の終わったところは〇・三ヘクタール、三反歩、大体それが標準になっているわけです。ところが、いま地方自治体で救済しているところは、もう小さいところは五百平米ですよ。大体標準としては、千平米以上がいわゆる要綱なり条例などで補助をしている制限面積になっているわけですね。それからこの協定の年限等についても、短いところは三年、それからないところもありますね。大体平均五年ですよ。こういったような実態を踏まえてこの生産緑地法案が作成されているとはどうしても思えないわけですよ。その点、自治省として、はたしてこれが、現在の実態を踏まえた、現在の実態を反映した緑地法案であるかどうかという、そのことの見解を聞きたかったわけです。
全然実態を踏まえていないのですよ。大体最初から、地方の自治体の代表だけとかその関係者なんか、全然法案の作成の過程に参加していませんし、また建設省も、中央審議会の答申というものをそのまま法案にしたというだけで、あまり実態調査もしていないという状況ですから、当然そういう結果が出てきたわけです。そしていま言ったように、農地に対する考え方が、建設省サイドではさっき答弁のあったような考え方であるわけですから、当然こういったような形が出てくるのは予想されておることなんです。ですから、その点について自治省としても、もう少し地方の実情というものを踏まえた意見というものを建設省に対してもっと強く主張していいのじゃないかというふうに思います。その点についての御答弁をお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/33
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034・川俣芳郎
○川俣説明員 生産緑地制度そのものにつきましては、実は昨年度の地方税法の改正が行なわれました際に、衆参両院の地方行政委員会におきまして、生産緑地制度を早急に創設し、これに該当をする農地については一般農地と同様の税負担とするよう検討するようにということでございましたので、都市計画制度といたしまして、都市緑地の確保、さらには都市近郊農業の維持という観点から生産緑地制度が創設されるということについては、当初から自治省としましては賛意を表してきたところでございます。
その範囲につきましては、やはり都市計画サイドとしての制約というものもあるでございましょうし、そういった制約も踏まえながら、しかし先ほども申し上げましたように、それぞれの都市の実情に応じました具体の指定がなされるように期待をいたしておるわけでございます。これも先ほど申し上げたところでございますけれども、生産緑地制度ができました暁におきましては、御指摘もありましたように、小規模のものについて補助金の対象にしておるというようなところもあるわけでございますけれども、それについては、やはり都市計画としての制度ができ上がるわけでございますから、各関係市において見直しが行なわれるということが必要であろうと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/34
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035・清水徳松
○清水委員 どうもよくわからぬわけでありますけれども、この生産緑地法案に地方の実態というものが反映されているとお考えですか。それとも不十分であるというふうにお考えですか。その辺のところを簡単にひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/35
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036・川俣芳郎
○川俣説明員 私どもとしましては、おおむね地方の考え方も反映されたものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/36
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037・清水徳松
○清水委員 大体何割くらいこれで救済されると見ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/37
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038・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 救済ということはあれなんですが、この制度は全国の市街化区域を対象にしておるわけです。しかしながら、この緑地保全地区に指定されることによって、いろいろな農家経営上のメリットがほかにもあるかと思いますけれども、何といっても一番大きな効果は宅地並み課税が適用除外になることであるかと思いますので、その点を中心に考えれば、現在、宅地並み課税の適用になりますのは、三大都市圏の近郊整備地帯内の市の区域の中のA、B農地一万六千八百ヘクタールというものだけであります。しかもこの法律では、都市計画決定にあたりまして、関係権利者、所有者等の同意を必要としております。したがいまして、非常にきびしい規制を受けるということでもありますから、同意するからにはその人にとって相当のメリットがあると考えるのが通常でありますので、そういう意味ではA、B農地一万六千八百ヘクタールが主として対象になるのではなかろうか。それ以外の宅地並み課税に関係のない市街化区域につきましても皆無とは思いませんし、若干は出てくると思いますけれども、これはどの程度出るかちょっと見当がつきません。
そこで、いまの一万六千八百ヘクタールのうちで、それではどの程度の人が同意するであろうかということでございますが、これもなかなか予測は困難であります。ただ規模要件から見れば、一般の場合はおおむね一ヘクタール、第二種につきましてはおおむね〇・三ヘクタール、それから第一種でも苗木とか果樹園、茶畑等のものはおおむね〇・三ヘクタール、こういうことでありますので、その面積要件に当るものは相当多い。あとは同意するかしないかという主観的な問題にからんでくるわけであります。正直言いまして、第二種のほうは十年という期間も切られておりますし、規模要件も小さいわけでありますから、このほうはかなり希望が出るのではなかろうか。また第一種でも、茶畑、果樹園のような、これはまあ遠い将来に向かって営農されることが大体多いと思いますから、これも相当数出てくるのではなかろうか。そこで残る、そういう茶畑等の永年作物以外の、しかも区画整理等が行なわれていない区域内一ヘクタール要件の第一種というものがどの程度出てくるか。これはなかなか捕捉困難でありますけれども、そういった基礎的な数字を踏まえまして、そのうちのたとたえば一割とかそこらというものは当面出てくるのではなかろうか。まあしかしこれは予測でありまして、何とも申し上げられません。あるいはもっと多いかもしれません。しいて推測を言えといわれれば、私としては、いまのところその程度のお答えをさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/38
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039・清水徳松
○清水委員 一割ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/39
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040・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 はい、A、B農地のですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/40
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041・清水徳松
○清水委員 ほんとうに現在のA、B農地の大体一割くらいしかこの生産緑地法の適用される面積はないであろうということは、これは地方の実態を踏まえるならば非常に明確に出てきている線でございます。それでは、あとの九割についていままでどおりのやり方で農業追い出し政策をそのままお続けになる、そういう結果になってしまうわけですが、その点については、これは建設省サイドではないかもしらぬが、一応建設省としては、これは建設省サイドの問題ではないということで片づけてしまうつもりでしょうか。それは政務次官でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/41
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042・内海英男
○内海(英)政府委員 御指摘のようにそういう事態になるかと思いますが、大体、生産緑地に指定される地域というものは、都市計画の中の市街化区域の中という限られた区域でございますので、市街化を促進をしなければならない地域でございますから、追い出しというような極端なことばで表現されると私どもも答えがしにくいわけでございますが、市街化を促進しなければならない地域であるというふうにお答えを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/42
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043・清水徳松
○清水委員 市街化を促進すると言うけれども、いま残っているA、B農地全部に家を建てるつもりでしょうか。このごろは首都圏も大体ドーナツ型に人口構造がなりつつあるわけです。そういうドーナツ型の人口密集地帯にわれわれも住んでおるわけですが、駅の周辺は大体住宅の中に農地が点在しておる。これは大体A農地です。少し離れたところに、農地の中に建て売り住宅、団地が点在しておる。これは大体B農地に囲まれておる。こういう状況です。そこを全部売らしてしまうのか、そして住宅をぽんぽん建ててしまうのか、そういうことを頭の中に置いておられるのか、その辺のところをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/43
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044・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 先ほど、どの程度見込むかということをあえてお尋ねでしたので、はなはだ恐縮ですが、当面そのぐらいではないかという私見のようなものを申し上げたわけでございます。しかし、これは私どもも当面ということでございまして、実はその点もあって第二種という非常に特異なものを考えたわけでございます。つまり、市街化区域で残っているところはまだまだ広いわけでございますが、今後これを漫然と整備しないで家を建てるということではなくて、できるだけ区画整理等の面的な開発、市街地として公共施設を備え、オープンスペースも備えた計画的な町づくりにして、しかる後に都市的土地利用をはかってもらいたい、こういう念願を持っておりまして、そのために、この三大都市圏にいろいろ行なわれる区画整理事業その他の住宅建設事業にかなり大幅な助成措置も講じつつ法制化もはかりたいと思っておりますが、この生産緑地法におきましても、そういった面開発で仕上げたところにつきましては、特に十年づきの〇・三ヘクタールおおむねあればいいという、農民の方にとっても応じやすい要件のものを考えまして、そのかわり開いてもらった面積のおおむね三〇%を限度といたしますよ、つまり残りの七割程度は宅地化してもらいたい、こういうことで考えてみたのがこの第二種の制度であります。今後そういったものが行なわれていきますと、たとえば現在は一ヘクタールの規模に合わないというものでも拾えてくることになります。また規模ばかりじゃない。第一種のほうは十年というような期間が区切られておりません。将来にわたる都市計画として考えておりますので、そこまでの決心がつかぬという方でも、第二種であれば、十年間見通しを立てれば決断できるわけですから、そういうものをやっていけば、そういう事業の今後の施行とともに、第二種という形での指定というものもさらに加わっていくのではないかと思います。
なお、そういう解決のほかに、現在の市街化区域の中の宅地、それは何もすべて住宅が建つというわけではありませんで、必要ならばこの生産緑地と別にオープンスペースとしての都市公園の計画決定をしたり整備もする、あるいはその他の公共施設の用地としても必要であろう。しかしながら、基本的には市街化区域でありますし、特に宅地不足が叫ばれておる三大都市圏の、しかも比較的便利な場所ということでありますから、これは何とか高度利用していただいて主として住宅等に使いたい、こう私どもは考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/44
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045・清水徳松
○清水委員 いまみたいに、この生産緑地法でも適用になるのは大体一割ぐらいに、あとの九割はもう高い税金をかけられたままで、これから五十二年までますますきびしくなっていくわけです。ですから、もうこれは持っていたのではかえって損になりますから、当然売ります。これはこのままでいったらだれが買うでしょうね。ぼつぼつ時間ですからやめます。今度大臣が来たときにやりますが、その点ひとつお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/45
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046・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 住宅を平面的に建てますと、現在の地価から見れば、このA、B農地のところは相当高い額になっておりますから、なかなか国民大衆の手に入らないという気がします。私どもは、そういう場合にはできるだけ公的機関が乗り出す、あるいは民間権利者の方でも、中高層化したような、要するに一戸当たりの土地を小さくして立体化したような住宅にして供給する、こういうことであれば賃貸にしろ分譲にしろ、一戸当たり面積を減らすことによって国民の方々にも手が届く価格ということが可能だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/46
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047・清水徳松
○清水委員 大体そのようなお答えが出てくるだろうと想像しておりました。けれども、いまその公的な機関がすぐ買えるような状況にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/47
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048・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 土地所有者の方がなかなか手放さないというようなことがあるかと思いますが、もし手放していただければ、そういう場所はかなりこまかく区切られた場所でありましても、公営住宅あるいは公社住宅等として買い取る用意は事業主体側に十分あると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/48
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049・清水徳松
○清水委員 これはあとの銀行局長通達等にも関連することなので、大臣が来たときに御質問するということで保留しておきます。
ただ、A、B農地だけに執着しなくも、いま住宅用地としていわゆる放出させる土地がうんとあるのじゃないかということを申し上げたいのですよ。というのは、建設省は大手の業者に対して、三大都市圏における所有地に対して利用五カ年計画を立てさせておるのでしょう。それが提出されて、それじゃあまり大ざっぱだからわからぬからもう少し詳しいものを提供しろということで再要請しているはずです。さしあたり資料としてお願いしたいのですが、最初にこの大手から出されたその計画をひとつ御提出願いたいと思います。それからやがて出されるであろうもう少し詳しい今後の事業計画も、出てさましたら御提出を願いたいと思います。
大手の持っておる三大都市圏の宅地の面積というのは、市街化区域の中でも五千六百ヘクタールといわれております。ですから、そこに家を建てただけでもたしか三十何万戸建てられるはずなんですよ。ところが、それすらもまだなかなかやり切れないでいるような状況のときに、何もお年寄りが死ぬまで農業をやっていきたいと執着しておるこのA、B農地一万六千八百ヘクタールに執着することはないだろう。もう少し、いま地方自治体が展開しておるところのこれに対する一つの農地保全、そうして農業経営の安定の努力を、建設省としても、また自治省としても、農林省としても、あたたかい目をもってひとつささえてやっていただきたい、そういったような生産緑地法でなければならぬというふうに考えておるわけであります。きょうの論議も、建設省なり、あるいはまた自治省なり農林省なりの、基本的な日本の農業に対する考え方、日本の農業の都市の環境保全のために果たす役割り、こういったようなものに対する基本的な考え方を承ることができませんものですから、一応それを承ってさらに議論を展開したいと思いますので、本日はこれでおしまいにしたいと思います。
ただ一点だけ申し残しました。自治省の高官が、この生産緑地法が成立したあとでは自治体がやっておる生産緑地をいままでのように黙認はしないのだ、というようなことを言っておるというふうにお伺いしておるわけですが、生産緑地で救われるものは一割ですから、あとはおそらく、各自治体がいままでもやり、これからもやろうとしておる条例なり要綱によっての一つの救済措置にたよらざるを得ないだろうと思うが、こういったようなやり方に対して黙認はしないといったような強圧的な言動をしておるというふうに聞いておりますが、そういったようなことがほんとうかどうか、最後に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/49
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050・川俣芳郎
○川俣説明員 ただいま御指摘のありましたお話については、私ども実は承知いたしておりませんけれども、いずれにいたしましても、生産緑地制度ができました暁におきましては、やはり現行の各市の要綱等については見直しが行なわれるであろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/50
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051・清水徳松
○清水委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/51
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052・天野光晴
○天野(光)委員長代理 浦井洋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/52
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053・浦井洋
○浦井委員 生産緑地の法案について総論的な質問をしてみたいと思うのです。
まず第一番は、すでに昨年の暮れに、田中総理が、例の三十万ヘクタールの農地を一挙に住宅用地や工場用地に転用するという方針を明らかにし、それを受けて、新聞報道によりますと、農林省あるいは建設省ともすでに具体的な作業に入ったというようなことが伝えられておるわけです。ですからこの生産緑地法案も、そういう大きな政府の施策の中の一つ、その作業の一つの具体化として考えられるというふうに私、思わざるを得ないわけなんですが、一体三十万ヘクタール構想の総合的な作業として、現在、どういうような内容で、どういうような見通しを持って作業を進めておられるのか、建設省並びに農林省の見解をまず最初に聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/53
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054・関谷俊作
○関谷説明員 お尋ねのございました三十万ヘクタール農地転用問題でございますが、これにつきましては、昨年、そういう農地の転用促進措置ということにつきまして、宅地なり工場用地なり都市の用地需要が非常に大きいわけでございますから、それにつきましては、農業との調整を十分行ないまして、また優良農地の保全にもつとめながら適正円滑に転用を進めたい、こういうようなことで、具体的な措置としましては、昨年の十二月に農林事務次官通達をもちまして、従来農地の転用許可の事務が非常に期間がかかる、こういう批判もございまして、実態調査その他も含めまして適正にまた迅速な処理をはかる。その内容としましては、事案の内容に応じこれは許可ができる、あるいは許可ができない、許可、不許可の判断をできるだけ早期にやって国民一般にも御迷惑をかけない、こういう方針で処理をしようという趣旨で、昨年十二月八日でございますが、農地転用許可事務処理の迅速化についての通達を出したわけでございます。
それからもう一点としましては、そういう農業以外の部門の需要についてその実態を把握する必要があるということで、昨年、関係省庁にお願いをしまして連絡会議を開催すると同時に、どのくらいの需要があるか、これについて各省から、各省所管の事業等につきまして、どういうような転用が見込まれるだろうか、こういう需要についての連絡をしていただいて、いまそれをとりまとめ整理中でございます。
その二点が、三十万ヘクタールの転用関係に伴いまして私どものとった措置でございまして、当初のお尋ねがございましたような、全体的に作業を進めておる、あるいはこの生産緑地法案がそれに関係がある、こういうようなことは一切ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/54
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055・大塩洋一郎
○大塩政府委員 ただいま農林省から御答弁がありましたように、関係連絡会議等にわれわれも出席いたしまして、農林省と、いまお述べになりましたような措置について、協議しておるわけでございます。
宅地開発の面から見ますと、長期目標といたしまして二十万ヘクタール近くの需要がございます。それと具体的にどういう三十万ヘクタールの農地と組み合わせるかという個所の問題につきまして、かみ合いが検討を必要としております。
〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕
そういうことで、資料を出し合いながら検討中であるというような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/55
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056・浦井洋
○浦井委員 もう一つ、先ほども出たようですけれども、総論的な質問をしてみたいと思うのですが、昨年の国会で宅地並み課税が非常に大きな問題になって、われわれとしては、やはりこれは農民からの土地取り上げであり、日本の農業をより一そう破壊していく道を開くものだという認識で反対をしておるわけでございますけれども、その市街化区域内の農地について、建設省に伺った説明では、市街化区域内の農地はもはや農地としては見ておらないというふうにはっきり言われておるわけなのですが、この際に最初に伺ってみたいと思うのですが、建設省あるいは農林省、各省は、市街化区域内の農地について基本的にどういう見解を持っておられるのか、伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/56
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057・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 基本的には市街化区域は、調整区域と区分しまして優先的、計画的に市街化を促進する地区ということであります。このために公共施設等も重点的に投資しようということで、事実そういうふうに進めてきておりますので、大きな意味で言っては、近い将来市街化される都市、またそれを目ざすということであります。もちろんミクロに見れば、これは先ほどもお答え申し上げましたが、すべて建築物が立ち並ぶというわけではなくて、適切なオープンスペース、公園緑地等もとられ、また公共施設も配置され、また道路、鉄道等も配置されて下水道も整備される、こういうことでありまして、その敷地が全部いわゆる建築物の敷地になってしまう、こういう意味ではもちろんないわけでございます。それは、あるべき都市の姿とか、あるいは適切な人口密度というものが考えられるわけでありますから、そういった良好な環境の町づくりにしていく、こういうことでございまして、その間にありまして農地は、別にいまのところ直接的に転用を強制する手法もありませんから、当分の間、あるいは相当長期にわたって農業をされる方もありましょうし、いろいろな経過をたどると思いますが、この生産緑地に指定されれば、これは相当長期間、あるいは十年間は少なくとも農地として保全されるということで、これまた、この法案に考えました基準に適合する限り、市街化区域の中ではありますけれども、都市計画上も評価される好ましい姿だということで考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/57
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058・関谷俊作
○関谷説明員 市街化区域内農地についての考え方でございますが、一つは、市街化区域内についての農地をどういうふうに設定をするかという問題でございますが、これにつきましては、ただいま建設省のほうから御答弁がございましたように、市街化区域内の性格にかんがみまして、おおむね十年以内に計画的、優先的に市街化する地域である、こういう趣旨でございますので、優良な集団農地については極力市街化区域内には編入しない。都市形成上非常にやむを得ない場合には、十分農業と各種事業との調整をはかった上で編入をする場合もございますが、まず基本的なたてまえとして、そういう趣旨で都市化と農業との調整を行なって設定をしておるようなわけでございます。設定されました農地につきましては、一つは、その農地の上で行なわれます農業経営については、その農業経営が行なわれる限りは、その円滑な運営に支障がないような技術指導その他の措置を講ずる。ただし、その農地自体を農業面に長期的に固定するような土地改良投資、こういうようなものは原則として差し控えるべきである、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/58
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059・浦井洋
○浦井委員 まあ法令に従ってきわめて当然のことをお答えになったにすぎないというふうに私は思うわけですけれども、そこで最初に農林省からお尋ねをしたいと思うのですが、先ほどもあなたが言われました例の昨年の暮れの事務次官通達の件なんですが、これはすでに新聞などでもよくいわれておりますように、昨年の四月二十日に同じ事務次官の通達で「農林地の確保のための措置について」ということで、民間資本の土地の買い占め、あるいは投機的な買い占めなどに対して、農林業の振興に好ましくない影響を及ぼすものということで、農林地確保のための具体的ないろいろな措置を通達をされておる。そこから見ますと、やはり農林省というのは、優良農地であるとか、あるいは地域農林業の振興というようなことを通じて、今後とも農林地確保という考え方を持っておられるというように私、思っておったわけでございますけれども、先ほどのお話のように、田中総理が昨年の十二月に三十万ヘクタール構想を出して、すぐにそれを追っかけるようにして四十八年の十二月八日に事務次官通達がある。いま言われたように、「農地転用許可事務処理の迅速化について」ということで、一見事務手続の円滑化あるいは迅速化という点で、なるほど事務的であるというような装いをこらしておりますけれども、やはりタイミングといい、あるいはその具体的な内容をしさいに検討してみると、いままで農林省が農用地を確保するという態度であったものが、今度ば逆転をして農地転用を一そう進めようという、そういうふうな態度に変わったのではないか。とするならば、非常に矛盾に満ちた施策をとっておるというふうに私いわざるを得ないというふうに思うわけですけれども、ひとつこの点について農林省の見解を聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/59
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060・関谷俊作
○関谷説明員 お尋ねのございました四月二十日の通達でございますが、これは、いま御質問の中にもございましたように、いわゆる土地買い占めが農村地域でも非常に激しく行なわれる、そういう傾向に対処しまして、やはり事前に十分そういう動向を把握すると同時に、その買い占めがありましたからといって転用許可上の判断がおろそかになってはならぬ、こういう趣旨で、「農地法の励行」という項目の中で、特に申請内容を調査して厳正な判断をするように、こういう趣旨を通達したわけでございます。その後十二月八日の通達を出しておりますが、この関係につきましては、やはりあくまでも関係事務の迅速化、こういう趣旨でこの通達を出したわけでございまして、その内容にも、従来に引き続き、優良農地の保全、あるいは農業環境の保全、そういう面から転用許可を運営すべきである。それから内容的に申しましても、その内容におきまして、たとえば許可基準上どういう問題があるか、その問題の事案ははたして農地転用の許可基準に照らして可能であるかどうか。それから、相手方においていろいろ損害防止その他の措置をしてもらわなければならないけれども、それはどうであるか。さらに、許否の見通し、許可と不許可になるそういう見通しも含めまして、適正な判断を迅速にするようにという、こういう趣旨で出したわけでございます。その意味しますところは、やはり転用許可でございますので、農業関係の諸事業、あるいは農村の実態、そういう調整が非常に時間がかかりまして、簡単に申しますと、どちらか、いいか悪いかわからないような状態で非常に長い時間がかかる、こういうような批判が確かにございましたので、許可、不許可も含めまして、事務の迅速化、あるいは判断を早く出す、こういうことをくれぐれもやってもらいたい、こういう内容を明らかにして出した通達でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/60
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061・浦井洋
○浦井委員 いままで迅速でなかった、迅速ではないという批判にこたえて転用許可を迅速にやれるようにしたにすぎないというふうなお答えであったわけでありますけれども、この事実は、もうすでに田中総理の三十万ヘクタールにきわめて忠実にこたえた農林省の姿勢の変更であるということは、これはもう天下周知の事実でございます。そういうことを私、最初に総論的にお伺いをしたわけです。
そこで次に、まず第一の問題は、この法案の第三条西ところに、簡単に言いますならば、生産緑地に関する都市計画は市町村長が土地所有者等の同意を得て定めるものというふうなかっこうで規定をされておるわけなんですが、そこでこれに関連してお聞きしたいんですが。現在、昨年の宅地並み課税が実施されて以来、非常に大きな波紋が広がりまして、多くの市町村では農業従事者に対する保護というような形でいろいろな対策がとられてきておる。その中には、農業緑地であるとか生産緑地という名称を冠した保全条例であるとか要綱、こういうようなものが出されておるわけなんですが、最初に聞きたいのは、そういう保全条例、要綱というのは、現在全国でどれくらい実施をされておるのか。あるいはさらにどれくらい現在準備をされつつあるのか。これは自治省でも農林省でも建設省でもけっこうですが、そういうことを調査されておるのかどうか、お答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/61
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062・川俣芳郎
○川俣説明員 私どもが一月の二十日現在で調査をいたしましたところによりますと、すでに公布が確定をいたしております市が六十二、公布の内定をいたしておりますところが十二でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/62
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063・浦井洋
○浦井委員 これはもちろん農林省も建設省も御存じのことだろうと思うのですが、私たちが関東近県ということで調べたところによりましても、ことしの一月の二十三日現在、東京都では二十二市、神奈川県で四市、埼玉県で三市というふうに、条例または要綱を決定しておるわけなんです。
そこで、建設省にひとつお尋ねをしたいわけなんですが、こういうような法案を提出されるにあたって、すでに確定し、あるいは内定しておるこれらの条例及び要綱について、どういうふうに評価をされておるのか。さらに、この生産緑地法案ができ上がったならば、そうした条例や要綱に対してどういう効果を及ぼすものだというふうに考えておられるのか。建設省に二点をお尋ねしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/63
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064・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、昨年、地方税法の改正が通りまして、すぐにA農地には宅地並み課税が適用になったということでありまして、その当時の国会の御議論でも、都市地域における緑地、オープンペースの不足というものをどう考えるか、そういう受け皿なしにむやみに宅地化をはかるということは乱暴ではないかというようなこともありまして、それを受けまして私ども今回の生産緑地法を考えたわけでありますが、その間一国会おくれたわけであります。その間に、B農地は四十九年度からでありますが、A農地は部分的に段階的に四十八年度から実施されたということもありますので、各市町村では独自の御判断をもってその問題に対処されたのではなかろうか、このように評価しておるわけでございまして、もちろん私ども相談を受けたわけでもありませんから、この法案の内容とは違いますし、あるいは別の角度からの観点のものも入っているかとも思います。そういう点では、都市計画法の制度として出しましたこの法案と完全に一致しているとは思いませんが、おおむね似たような目的をねらっているということはいえると思います。
そういうわけでありますから、本法が成立すれば、基本的には、都市地域における都市計画としての土地利用のあり方として保全されるべき生産緑地というものが位置づけられることになりますので、これに該当するものは、当然本法による生産緑地に切りかえられると思います。
なお、規模要件、あるいは農民の方の考えておられる主観的要件等で、本法ができましてもなおかつ入ってこないものがあると思いますけれども、そういうものにつきましては、これは先ほどお答え申し上げましたとおり、本法と全く同一の目的、あるいはきわめて類似する目的からする制度であって、しかもその奨励金なり還付金というものも、宅地並み課税額の全額とか、それに近い高額のものを還付するというようなものでありますれば、この法律に一本化されるべき筋合いのものではなかろうか。しかしながら、もし別途の観点の政策であり、市街化区域内における土地利用のあり方としても支障がないというようなものが考えられるとすれば、そこまでは本法は考えておるわけではありませんから、必ずしも両立し得ないものでもない、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/64
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065・浦井洋
○浦井委員 そうしますと、本法がもし成立したあとには、本法による施策が骨子となって、それに既存の自治体のいろいろな観点の各条例がそれを補完するというような形になる。その中でも、目的が別途のものであれば、本法とは無関係だから当然そのまま有効に働くだろう、こういうような御趣旨ですか。もう一ぺん確認をしておきますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/65
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066・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 現在制定されております市町村の条例とか要綱は、おおむねこの法案のねらっている目的に類似しているわけであります。そういう意味で、いまの形のままでなお存続するということは筋がおかしいと思いますが、先ほど私申し上げましたのは、現在とっておられる制度とはまた違って、がらりと角度を変えられたようなものがもし考えられるならば、自治省がいっておられるいわゆる見直しということで行なわれて、それがそれなりに評価され、かつ都市計画としても、つまり三大都市圏の市街化区域内のA、B農地という非常に貴重な都市的土地利用の側から見れば、のどから手が出るような土地であることともそう矛盾しないというようなものが考えられるならば、それは両立し得ないものではない、こう申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/66
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067・浦井洋
○浦井委員 なかなか玩味すべきお答えであったわけなんですが、少し角度を変えまして、それではこの問題引き続いて質問してみたいと思うのです。
私が入手いたしました、これは公表されておるものですが、東京都の出した「かしこい消費者」という定期刊行物、この中に「見なおしたい 東京の農業」という特集があるわけなんですが、その中にこういう文章があるわけなんです。「この生産緑地制度は、必ずしも農業そのものを残そうというよりも、たんに「都市に緑を残す」という都市公園的発想でおこなわれる傾向もあるともいう」と書かれておるわけなんです。この特集全体としては、いまこの本委員会に提出されておる生産緑地法に対して相当大きな警戒の念をいだいておる、こういうことなんですよね。こういうことについて、ひとつ建設省の見解をお聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/67
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068・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 この法案によります生産緑地地区の制度は、法案の内容にもありますとおり、都市地域における環境保全ということを一つのねらいとし、あわせて、将来、公園にするか、その他各種の公共施設にするかいまだはっきりしないけれども、何らかの公共施設用地として使う可能性の濃い候補地というような意味、いわば多目的保留地ともいうべき機能というものをあわせ考えましてつくった制度でありまして、都市地域における土地利用のあり方として望ましい位置づけを考えた、またその範囲を出ない性格のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/68
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069・浦井洋
○浦井委員 たてまえとしてはいまお答えになったようなことだろうと思うのですが、やはり実態は、この東京都の定期刊行物が特集しておる、責任者が危惧を漏らしておるように、農業そのものというよりも、やはり都市の中に都市公園的な発想で緑を残すというようなものにすぎないのではないかというような危惧の念がどうしても私もとれないわけなんです。
そこで、農林省に聞いてみたいと思うのですが、農林省は、もちろん今度の制度に関連して、先ほどもお答えになったようですけれども、市街化区域内の農地に対する農業投資というものは、これは短期のものにするという方針を持っておられる。そういうこと一つから考えてみましても、一種にしろ、あるいは二種にしろ、実際には都市農業の振興というのはあまり期待できないのではないか。やはり東京都が危惧の念を抱いておるように、農業のために農地を残すというよりも、単に緑を残すということもうなずけるのではないかというふうに私、思うわけなんですが、同じ問題についてひとつ農林省の見解を聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/69
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070・関谷俊作
○関谷説明員 市街化区域内農地の扱いにつきまして、今回の生産緑地制度の法案提出と関連して、私どもとしてもいろいろ検討したわけでございます。基本的な考え方としましては、やはり市街化区域内農地のいわゆる国土利用計画的な意味の位置づけとしましては、やはり基本的には市街化区域内の市街化促進という意味での性格をになっておりますので、私どもの申し上げた中で、農業施策上の扱いから申しますと、たとえば、そこで土地改良投資をしまして用排水路その他を整備する、あるいは農地の圃場条件自体を整備する、こういうことになりますと、その長期的な投資効果がかなり将来に及びますので、そういう投資の性格と市街化区域内にある農地、この性格が両者適合するかどうか、こういう問題になってまいりまして、たとえば国費の使い方として妥当かどうか、あるいは反対側の都市計画側から見てそういうことが妥当かどうか、こういう両面の問題も出てまいりますので、やはりそこは慎重にならざるを得ないということを先ほど土地改良投資については申し上げたわけでございます。
ただし、そういうことの問題がございますけれども、農業経営という面から見ますと、たとえば生鮮食料品を供給しておる、それから現実に農業を営んでおりますし、それからさらに最近で申しますと花卉、花木類あるいは庭木、そういうような園芸的な面ではかなり生産のウエートも高いわけでございますし、そういうような超都市近郊と申しますか、その実態に応じた農業、またそれに対する技術指導なり経営が続くような条件整備と申しますか、金融その他の面については引き続き実施をしなければならない、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/70
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071・浦井洋
○浦井委員 非常にじょうずにするりするりと答えられたわけですが、それなら農林省に、いま言われたように、あなたはそういう矛盾した二つの目的があるので慎重に対処せざるを得ない。そうすると、一種に指定された場合に、いまあなたが言われたですけれども、農業用の配水というような長期の農業投資を一体やる意思があるかないのか、全くないのか、ひとつはっきりと答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/71
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072・関谷俊作
○関谷説明員 今回の第一種生産緑地でございますが、法案にもございますように、一団地一ヘクタール以上、こういうことでございまして、それから性格と申しますと、一応永久指定でございますが、十年なら十年たった場合に、あるいは将来として公共用地として保留するための買い取り制度もある、こういうような全体的な判断が一つございます。
それからもう一つは、その農地自体がやはり都市のワク組みの中に位置づけられておりますので、用排水、そういうような大きな問題になりますと、水の系統、水利の系統、あるいは排水路の最終の落とし方、全体も含めまして非常に大きな土地利用のワク組みの中でものを考えなければならないわけで、そういたしますと、結果的にやはり農業に長期的にその土地を使うというような性格を持つ投資はなかなかなじまないのではないか、行なえないのではないか、こう考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/72
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073・浦井洋
○浦井委員 なるほど、一種は永久農地として残すということであるけれども、先ほどからのお答えのように、なじまないであるとか、慎重にならざるか得ないというようなことでは、これは東京都の「見なおしたい 東京の農業」という定期刊行物がいっておる危惧は、やはり一向に解消されない。結局、そういうことで仕事が進められるならば、どんどん周辺から宅地化してしまって、そして長期の農業投資はないわ、農業を残すのでなしに緑を残すにすぎぬ、都市公園は残りましたというようなことにならざるを得ないのじゃないかというふうに私は思います。私はこの点を一つ指摘をしておいて、もう一つ次の問題に移りたいと思うのです。
建設省からいただいた資料などに、これはすでに公表されておりますけれども、東京での市街化区域内の平均農地面積というのは〇・四五ヘクタールだ。
〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
だからこれが一種の指定ということになって、一ヘクタールという条件から見るならば、一つの地域の指定にやはり二人あるいは三人以上の農民の土地が存在する。それがこの第三条によりますと、全員の同意が地域指定には必要だということになると、これは指定要件としてはきわめてきびしいものになる、きわめてむずかしいものになるのではないかというふうに思うわけですし、さらに指定要件の中には、公共施設の用地に供するものというような表現もあるわけなんですが、これでは、この一種の要件に適用するというところはますます限定をされてしまって、なかなか指定を受けるというような要件を満たすことができないというように思うのです。先ほど質問がございましたように、A、B農地で一割ぐらいはできるだろうという。これは都市局長の私見ということを言われたのですが、都市局長、ちょっと聞きたいのですが、あなたの私見というのは、一体どういう具体的なことを根拠にして一割という数字を出されたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/73
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074・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 先ほど申し上げましたのは、まず同意をするからには、非常にきびしい制限を考えれば、かつ長期化することを考えれば、その方にとっての有利な点というものがなければなかなか同意しないのではなかろうか。そういう点を考えると、まず一番考えられるのは宅地並み課税の適用除外という点であろう。そういう意味では、三大都市圏のA、B農地、この農地が、同意をしてでも生産緑地に指定をしてもらいたい、あるいはもらってもけっこうだという動機が強く働くのではなかろうか。それ以外のところについては、それはもう全く各農家の方の意欲次第で、どういう気持ちで同意されるか、なかなか見当もつきませんので、そちらのほうの数字は何とも申し上げかねるということを申し上げました。
続いて、A、B農地のうちでおおむね当面は一割ぐらいであろうと申しましたのは、確たる根拠は正直言ってございません。ただ、そう多くの方方が、当面、この法律ができて短期間のうちに、その有利さ、あるいは不利さ、将来計画というものの決断を立てられて同意されるにはひまがかかるのじゃなかろうかということがありますから、すでにこういう法案も準備されているということを承知されて、成立するならばと待ちかまえているような人ということになりますと、数は相当限られてくるんじゃなかろうか。そういう意味では、五%かもしれませんし、あるいは案外一五%か二〇%ぐらいあるかもしれませんが、その辺はちょうとわかりませんので、私、そう多い数ではなかろうという意味で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/74
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075・浦井洋
○浦井委員 同じ質問をひとつ自治省に聞きたいと思うのです。一体こういうA、B農地でどれくらい指定になるのか。それから角度を変えていえば、一体、一種に指定される面積というのは、どれくらいあるものだろうか。自治省は、そういう調査をされたり、あるいは予測を立てるための作業をされたようなことがあるのかどうかということも、あわせてひとつお答え願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/75
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076・川俣芳郎
○川俣説明員 三大都市圏内のA、B農地のうち、どの程度の割合のものが生産緑地に指定されるかということにつきましては、私どもといたしまして、別にいままで実態調査等を行なったことはございません。しかし、いずれにいたしましても、具体の指定にあたりましては、その地域地域の実情に応じました指定がなされることを私どもは期待をしておりますし、また地方団体の実情等につきましても、まあ税サイドからそういう調査をやることはいかがかと思いますけれども、やはり地方団体の声をできるだけ忠実に反映できるようにいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/76
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077・浦井洋
○浦井委員 それでは答えにならぬわけなんです。調査をしておらないということはわかったわけなんですが、どれくらいの予測をしておるかというようなことについてのお答えはなかったわけです。もう一ぺん答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/77
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078・川俣芳郎
○川俣説明員 総量につきましては、実は具体的な予測はいたしておりませんのでございますけれども、当面の指定につきましては、先ほど都市局長からお答えがあったような程度のことになるのではなかろうかと考えております。
〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/78
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079・浦井洋
○浦井委員 だから、いま建設省も自治省も私見——自治省の場合は私見なのかどうか知りませんけれども、いずれにしましても、指定されるところというのは非常に限られてくることは必至だというふうに思えるわけなんです。だから、この法案の「目的」、第一条には、「農林漁業との調整を図りつつ」というふうに麗々しく書き立てられてはおりますけれども、実際にはこの法案の重点というのは、現在の政府の方針であるところの、農地を取りつぶして農業を破壊する、そしてしゃにむに都市環境をつくり上げて、住宅用地であるとか工場用地の確保、これに進むんだという一つの補助手段であるというふうに私、疑わざるを得ないわけであります。きょうはこの点についてのお答えは要りませんから、あとでまた、わが党の他の委員の各論的な質問に答えていただきたいと思うのです。
そこで次の問題に入りたいと思うのです。これは農地の将来の見通しについてでありますけれども、御承知のように建設省は、新国土建設長期構想で六十年には農地について五百八十万から六百万ヘクタールという見通し、それから新全総では六十年には六百五十万から七百万ヘクタール必要だ。それから農林省のほうを調べてみますと、五十七年目標に耕地として五百二十万八千ヘクタール、牧草地として六十三万七千ヘクタールが必要であるというふうな数字をあげておられるわけなんですけれども、そこで聞きたいんですけれども、四十五年の調査によりますと、四十五年の耕地面積は五百七十九万六千ヘクタール。ところが、昭和三十五年から十年間の農地からの転用面積というのは約十九万ヘクタール、四十六年、四十七年の二カ年間の農地の転用面積というのは約十二万ヘクタール、だから、この傾向から見ますとどんどんひどくなってきているわけですから、今後十年間の農地からの転用というのはますますふえていくということが当然予測をされるわけなんですけれども、こういうような一般的な傾向、こういうような状態の中で、ひとつ建設省、農林省、両省から聞きたいんですけれども、あなた方があげられた農地の確保の見通し、どうやって一体確保されていくつもりなのか、ひとつはっきりとお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/79
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080・関谷俊作
○関谷説明員 農地の需給と申しますか、将来の見通しでございますが、ただいま御質問の中にございました五百二十万ヘクタールの耕地と草地が約六十三万ヘクタール、この数字は昭和四十七年の末に農林省が発表しました「農産物需給の展望と生産目標の試案」、その中にある数字でございます。このときの考え方は、将来の農産物の需要とその国内供給可能な生産量とを見通しまして、それを生産するに必要な農地面積としてただいまの数字を見通したわけでございます。
その実現の可能性と申しますか、手段ということにつきましては、大体昭和五十七年までの十年間を大ざっぱにとっていただきますと、その間のいわゆる農地の転用があるおおよそ九十万ヘクタールくらいあるだろう。これは従来の数字から申しますと、一年の数字としては平均九万ヘクタールになりますので、やや大きいわけでございますが、将来十年間で約九十万ヘクタール、こういう壊廃を一つの不可避の状態として見通さざるを得ない。一方、生産目標を実現するための農地面積の実現については、これをカバーするための農用地造成を実施しなければいけません。そういうことで、この約十年の間に農地で三十万ヘクタール、草地で四十万ヘクタール、合わせまして七十方ヘクタールの農用地造成を計画しております。これは、昨年の五月に政府として決定いたしました土地改良長期計画の中で、今後十年間に約七十万ヘクタールの農用地造成をする、こういうことで、最終目標としての農地、草地を合わせまして五百八十四万ヘクタールの農地を確保したい。現在の農林省の考え方としましては、そういう見通しを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/80
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081・大富宏
○大富政府委員 昭和六十年までの一応の長期の見通しを立てまして、住宅建設必要戸数を二千四百万と仮定いたしまして、必要な新規宅地面積は九百万戸分が必要だということで十八万六千ヘクタールという見通しを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/81
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082・浦井洋
○浦井委員 私は、どうやって農地面積を確保していくつもりなのかということを、農林省と、それから今度は反対側のサイドからの建設省にお聞きしているわけなんです。もう一ぺんお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/82
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083・内海英男
○内海(英)政府委員 いま担当者がちょっと気分を害しまして中座しておりますので、どうも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/83
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084・浦井洋
○浦井委員 そうしたら、これはひとつ保留をいたしまして、次に進みたいと思うのです。
これも農林省と建設省に聞きたいのですが、市街化区域内の農家の皆さん方が将来どうしたいかという意向調査をやられたことがあるのかないのか、お聞きしたいと思うのです。一言ずつでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/84
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085・関谷俊作
○関谷説明員 現在までのところでは、そういう調査は組織的にしたことがございません。ただ農業委員会等で、都市農業のあり方ということで若干アンケート調査等をしておりますが、これは四十八年度から開始しました事業で、まだ結果をまとめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/85
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086・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 農業会議所あるいは農業委員会が市町村等とタイアップしまして、京都府と東京都についてかつて将来の農家の意向をサンプル調査したことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/86
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087・浦井洋
○浦井委員 そうしたら、いま手元に資料をお持ちですか。東京都の一番新しい資料をひとつ教えていただきたいと思うのです。京都はあとでいいですから、東京都だけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/87
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088・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 東京都と東京農業会議所が作成した調査表によりまして、二十三区及び市町村の農業委員会の協力によって意向調査をしたものがあります。これは、今後五年ないし十年の間に、農家はどういうふうに農業を考えみずからの生活設計を進めようとしているのかということでありまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/88
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089・浦井洋
○浦井委員 全部読み上げていただくと時間がかかりますから……。たとえば、その資料によりますと、意向調査では、積極的に農業を継続したいというのが、しかも市町村でなしに二十三区の中では五二・五%という数字が出ておる。今後五カ年間の市街化区域の土地利用の見通しについて、農地として保全し自分で使いたいという人が七一・九%ある。この数字は私の持っておる資料と同じ資料ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/89
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090・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 ちょっと違っておりまして、当分の間農業を継続しようという希望を持っている方は区部では四八・八%。それから非農業志向、つまり農業から他へ生活の主体を移したいという人は、同じく区部で三九・四%、きめかねているのが一一・八%というのが私の持っている資料でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/90
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091・浦井洋
○浦井委員 これは私のほうが新しいし、あるいは同じ東京都でも、私のは東京都経済局の調査資料ということになっておる。しかし、いま言われた中でも出ておりますように、私の資料によりますと五二・五%、あなたの読まれた数字でも四八・八%。しかも将来、今後五年間は少なくとも農地として保全し自分で使いたいという人が七一・九%。農業をやっていきたい、自分のこの土地で何とかやりたいと言われる方が非常に多数な占めておるということは、この数字一つを見ても明らかであります。
それからもう一つ、私、数字をあげておきたいのですけれども、東京都内産の新鮮野菜の中央卸売市場占有率では、キャベツが四一%、コマツナが七六%、シュンギクが七七%というふうに、都内産の新鮮野菜のシェアが非常に高いわけです。言うならば都民にとって欠くことのできない供給源になっておるわけなんです。そういうキャベツとかコマツナ、あるいはシュンギクを栽培しておる方たちに聞いてみますと、やはりこの人たちは、長年にわたっていろいろ苦労して研究会をやったり、その結果、品種改良をやってみたりいろいろな苦労をされて、こういう成果をあげられておるわけなんで、こういう実情を踏まえて、一体市街化区域内の農家に対して農林省はどういうふうな施策で報いるつもりなのかということをあらためて私は聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/91
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092・関谷俊作
○関谷説明員 市街化区域内の農業の形態としましては、ただいま御質問にもございましたように、私どもの統計でも、大体、花卉関係あるいは野菜、そういうような品目が非常にウエートも高いわけでございますし、ただいま中央市場の入荷量でお話がございましたが、いわゆる軟弱野菜と申しまして、近郊で生産される葉ものの野菜については、特に時期的に見ますと、都下産あるいは埼玉、千葉あたりの近郊もののウエートが非常に高い。これも事実でございます。
ただ、全体的に市街化区域内ということで見ますと、傾向としては徐々に産地がもう少し奥のほうに移動していく、こういう傾向が見られまして、私どもの政策としましては、たとえば野菜の問題で申し上げますと、そういう産地移動の動向も踏まえながら、たとえば春先のキャベツとか、そういうものの需給の安定をはかりますために野菜の供給確保の特別の事業を実施するということで、四十九年度からは、そういう供給安定対策、こういうものにも新しく取り組んでまいりたい、こう考えておりまして、全体としては、いまお話しにもございましたように、実際に農業を継続する意向の強い農家がございまして、特に形としては、個人農業と申しますと恐縮ですが、団地的というよりは、むしろわりあい個人単位の農業になっていく、専門的な農業になっていく傾向がございますので、そういう農業の運営に必要な技術指導、金融、その他価格安定とか、こういう面の対策には万全を期してまいりたい。また同時に、長期的に見ますと、やはり供給基地的には移動をしていく、これは一つの傾向でございますので、それが円滑に進みますような対策もあわせて講じてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/92
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093・浦井洋
○浦井委員 非常に都合のよいような解釈をされておるわけなんですが、この生産緑地法案審議の、いまの質問あるいは答えを農民の皆さん方に聞いていただくならばおわかりになるように、農民の側から見ますと、いま農業政策が非常に不十分である。ただでさえ農業を今後続けていけるのかどうかという点でますます危惧の念を強くしてきたやさきに生産緑地法案が出た。一方では昨年から宅地並み課税がかかってきた。さらに生産緑地地区という、いいような面もあるけれども、この地区指定を受けた場合に、はたして安心して営農が可能なのかどうかという点がさっぱりわからぬようになるというふうに私、率直に感ずるわけです。だから、政府がこの市街化区域の農地の吐き出しを促進するような措置を講じてきておる段階であるわけですから、結局、何だかんだ言っても、農業破壊、農業取りつぶしをやって宅地供給を促進するという方向に行かざるを得ないのではないか。そのことをさして、農林省にしても、あるいは建設省は特にそうですけれども、それこそが合理的な土地利用であるというような考え方は、これはとうてい承服しがたいというふうに私は思うわけです。政務次官、ひとつその辺の問題について総論的なお答えを願っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/93
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094・内海英男
○内海(英)政府委員 都市計画法に基づく市街化区域の中における生産緑地地区としての指定を行なうわけでございまして、都市計画法からいきましても、市街化を促進すべき地域ということでございますので、宅地並み課税をかけて、農家の方も多大の課税に一面たいへんお困りの問題も出てくるわけであります。これは市街化を促進させるという意味の含みもあったと思いますが、地方税法改正をいたしました時点におきまして、御審議の中で衆参両院から附帯決議までいただきまして、その趣旨をこの法案の中に幾らかでも織り込んで、宅地並み課税から生産緑地というこの法案の指定を受けることによって、幾らかでもおこたえができるんではないか。また、都市計画中央審議会等の答申を経まして、各種団体の意見等もくみ上げた上で、こういう措置をとったわけでございまして、これは必ずしも全面的に御満足をいただける状態にはないかと思いますけれども、何にいたしましても原則は、市街化区域の中の農地で市街化を今後とも進めていかなければならないというたてまえにあるということにつきましては御了解をいただきたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/94
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095・浦井洋
○浦井委員 私、きょうは総論的な質問をずっと全般にわたってしたわけなんですけれども、私たちの党の調査によりますと、七一年からの三年間で大企業が買い占めた土地は全国で四十七万ヘクタール。東京都だけで二万ヘクタールに達しておる。四十七万ヘクタールというのは、経企庁の調査もほぼ四十万ヘクタールといっておるわけですから、大体合致しておると思うのですけれども、そういう中で、農地三十万ヘクタールを転用して宅地供給に回すという、いわゆる三十万ヘクタール構想という田中総理の方針は、こういう大企業が反社会的な行為で買い占めた土地をこそ、やはり生活用地、公共用地に使うというようなことにすべきだ。そのために私は、そういう大企業の買い占めた土地を積極的に収用していくような措置を政府は講ずべきだというふうに思うわけです。
そこで政務次官に、もう一点、最後に総括的な質問をしたいのですが、ほんとうに合理的な土地利用あるいは民主的な土地利用の観点に立って考えるならば、私はこういうやり方をすべきだ。大企業の買い占め地を収用して宅地供給に充てるというところに大転換をすべきではないかと思うわけですけれども、この点について最後に政務次官に見解をお聞きして、私の質問をきょうは終わっておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/95
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096・内海英男
○内海(英)政府委員 この法案御審議にあたりまして、浦井先生からただいまのような御発議があったわけでありますが、その問題につきましては、別途、いま、野党の四党の方々、あるいは与党のほうで調整をはかられておるやに聞いております土地規制に関するところの法律に基づきまして、大企業の土地問題につきましても、あわせて宅地問題の解決ということで処理ができるのではないかというふうに考えております。この生産緑地法案につきましては、生産緑地法案なりの効果というものもひとつ御判断をいただきたいと、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/96
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097・浦井洋
○浦井委員 最後に一言だけ、そのことが出ましたのでつけ加えておきますが、私どもは、四党の書記長、書記局長会談の合意に基づきまして、修正ではなしに、国総法を撤回し効果的な土地規制の法案をつくるべきであるということを最後に要望いたしまして、私の質問を終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/97
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098・木村武雄
○木村委員長 新井彬之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/98
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099・新井彬之
○新井委員 私は生産緑地法案につきまして質問をさしていただきます。
質問の初めに、建設省、それから農林省、自治省にお伺いしたいのですが、答申であるとか、あるいはまた、地方公共団体とか地元の方の御意見ですね、そういうものはどのような受けとめ方をされておるか、基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/99
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100・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 都市計画審議会の議を経まして、その中に関係各省あるいは関係部門の方も入っていただいております。その中には、神戸市長とか市町村会の代表等、地方自治体の長の方もメンバーに入っていただいているわけですが、そういう答申を受けましたものを、ほぼ基本的な骨格は変えずに法制化できたものと思いますが、法制化にあたりまして、法律的に困難な点は若干変更さしていただいております。
なお、地元の意向ということは先ほども言われたのでございますが、都市計画審議会の委員の方にも、御案内して、東京近郊、あるいは埼玉県の一部等、現地視察もしてもらい、そのとき、地元の市町村の方も御案内いただいたというような経緯がございますが、私ども今度考えましたのは、都市計画制度としての生産緑地地区のことでありますので、おのずから角度も限られ、税法との関連という意味では、完全にオーバーしているわけではありません。市町村におかれましても、必ずしも税法だけを考えた制度とは思いませんが、相当程度それを意識した制度のようにも思われますので、その実態は、私どももわかり次第把握につとめたわけでありますが、そのまま市町村側の意見をこの制度に取り入れるということも困難なことが多かった。したがって、現在の条例あるいは指導要綱による制度とは、規模要件あるいは期間要件等かなり違っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/100
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101・関谷俊作
○関谷説明員 今回の生産緑地制度の策定の過程については、いま都市局長のお答えがあったとおりでございまして、農林省としましては、昨年の宅地並み課税の問題以来、この関係にはずっと建設省と御相談をしておりまして、都市計画中央審議会にも私どもの担当局長が入りましたし、またその過程におきましては、関係農業団体とも重ね重ねいろいろ意見調査をいたしまして、また最終的な法案につきましても、私どもとして御意見も申し上げながら今回の案がつくられたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/101
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102・川俣芳郎
○川俣説明員 都市計画審議会におきまして地方団体の意向はどのように反映したかという御質問でございますが、審議会におきましては、先ほど都市局長からもお話がありましたように、地方団体関係者も委員として入っておられまして、審議の過程で意向の表明もあり、かつ反映がされたものというふうに考えておるわけでございます。
現実に補助金等を出しております市におきまして、対象面積あるいは営農期間等において、法案に盛られておりますものとの間に差異もあるわけでございますけれども、この点につきましては、都市計画サイドからの制約もございまして、基準として、一種、二種について規律法案に盛られておるような基準は、妥当なものではなかろうかというふうに考えております。
なお、先ほどからも申し上げておりますように、具体の指定につきましては、やはり地域の実情に即した指定が行なわれますように、私どもといたしましては期待をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/102
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103・新井彬之
○新井委員 生産緑地の制度についての関係市町村長の意向調査によりますと、その制度が必要と見る理由については、「十年間で全域に都市施設を整備できず、相当の農業が残る」、「地方財政から人口抑制する必要があり、一定の農地は市街化抑制する必要がある」、そういう答えの中で、「およそ十年後を見通した場合、市街化区域内の農地のうち、どの程度(%)農地として残ると見ているか」ということに対しては、三〇%から五〇%が三七・一%、五〇%から七〇%が二二・三%、こういう結果が出ているわけです。この生産緑地制度化についての意向調査では、必要であるというのが八三・九%です。それから不必要というのが一四・五%です。しかし、それが必要であるというその理由の内容というのは、いまあげた二つ以外に、「生鮮食料など農業生産上の重要な役割を果しているものがある」、あるいは「都市住民の緑地、自然環境を確保するため」、あるいはまた「災害時の避難場所を確保するため」、それから「水害など防災上必要」、こういうことでずっとパーセントが上がっているわけです。
こういうような今回の意向調査でありますけれども、私はこの問題については、とにかく新都市計画法ができましたときに、大体建設省では八十万ヘクタールの市街地ということで想定をされておったわけですね。それが結局、その審議の過程において、保利建設大臣のときだったと思いますけれども、農地は一切そういう宅地並み課税とかいうことはしない、農地として十分保護するのだ、そのために百二十万ヘクタールの市街化区域というものができ上がっておるわけですね。いま問題になっておるのはA農地、B農地ですけれども、今後これが五十年からいろいろ検討されて、新農地、要するに市街化区域全体ということになってまいった場合に、今回のこの生産緑地法というものが農業あるいはまた都市という面において大事な問題になってくる、こういうぐあいに思うわけです。したがって、逆の面からいきますれば、市街化区域の中はおよそ十年間において市街化になるのだ、全部が完了するのだ、こういうぐあいに言ってできたんですけれども、この十年間でこれができるのですか、それをまずお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/103
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104・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 市街化区域は約百二十万ヘタタールということであります。これは人口から想定いたしますと、一ヘクタール当たり六十人というかなりゆったりした密度でありまして、これはまんべんなくヘクタール当たり六十人の宅地化が進むということではなくて、宅地化が進んだところは、それはヘクタール当たり百人とかいうことになりましょうから、空閑地としての農地というようなものがかなり残りつつも一部ずつ市街化されて、そういった程度の人口密度を平均的に持つであろう、こういう推定であります。
ところで、市街化区域内の公共施設の整備が問題であります。建設省が所管しているものだけでも、街路、公園、下水道といったものが考えられるわけでありまして、市街化するという以上は、これらを重点的に配分いたしまして、そして町づくりとしての基礎が先行しなければ良好な町とはならないということでありますので、私ども、そういった街路、公園、下水道の市街化区域内での整備ということに力を尽くしているわけであります。かなり先のことになりますので、現在、道路や下水道や公園の五カ年計画の数字だけでもっては推測できないわけでありまして、今後とも日本の国民所得の伸びに対応しこれらの公共投資も全体として伸びるであろう、中でもこういった市街化区域の整備に重点が置かれるであろうというようなことを想定して、建設省なりに計画しているものでは、昭和六十年ごろまでにはおおむねそういったものは概成される、こういう計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/104
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105・新井彬之
○新井委員 それでは、もう一ぺんお伺いしますけれども、おおむね十年差いうのはどのぐらいのことをいっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/105
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106・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 おおむね十年というよりも、長期構想において昭和六十年までにと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/106
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107・新井彬之
○新井委員 この新都市計画法は四十三年に審議されているわけでしょう。いま四十九年ですね。これからだってまだ十一年あるのですよ、それを局長はおおむね十年と解釈するのですか。政務次官は何年と解釈しますか、おおむね十年といわれた場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/107
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108・内海英男
○内海(英)政府委員 この法案が成立をいたしましてからおおむね十年というふうに解釈いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/108
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109・新井彬之
○新井委員 そういうことで、結局はいま、市街化なら市街化をきちっとするのだというはっきりした予定というものが立っていないわけですね。六十年なら六十年でいいですよ。六十年の時点に、この市街化区域というのは一応いまの構想のように完璧にでき上がっているのだ、そういうことが言えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/109
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110・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 これは将来のことでありますし、一にかかって私どもの今後の努力、政府全体としての考えのあり方にもからむ問題でありますが、市街化区域が設定されたのが大体四十五年から六年、七年にかけてが多かったわけでありまして、それから見れば、昭和六十年というのは十三年ないし十五年くらいということになります。おおむね十年というには少し長いわけですが、せめてそのくらいの期間には何とか達成したい、またそう努力しなければならないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/110
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111・新井彬之
○新井委員 この新都市計画法を審議したときに保利建設大臣が、農地についてはこういうような宅地並み課税はしないと言ったわけですが、それだけのものがふえているわけですね、したがいまして、この市街化区域の中にありましても、その農業の役割りというもの——広範囲なたんぼであるとか、土地改良事業であるとか、そういうような多額な資金というものを投入する農業というのは無理であるかもわかりませんけれども、やはりこれに対する明確な位置づけというものがこの法案になければいけない、こういうぐあいに思うわけでございますけれども、そういう点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/111
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112・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 まさにおっしゃるようなことを考えまして、従来の都市計画になかった、いわば抜けておった制度としてこの生産緑地の制度を考えたわけでございます。単に宅地並み課税をはずすというだけであれば、都市計画区域によっては、市街化区域をとり過ぎたところがあれば逆に調整区域に入れるということも考えられるわけですが、そういったことはあまり考えませんで、市街化区域ときめた以上は市街化していこう。しかしながら、市街化といってもすべて建物で埋め尽すということであるべきはずはない、必要な公共施設は十分とらなければならないし、オープンスペースとしての緑地機能というものも、公共的な緑地のほかに民有のままの緑地というものも多分に取り入れて、そしてゆったりとした町づくりにしていかなければならない。そのための制度としていろいろ既存のものもありますけれども、いずれも一長一短ありますし、それを補完するものとしてぜひともこの生産緑地というものが必要だろう、こう考えて、市街化区域内の農地につきましても、長期間にわたる営農の御意思のあるようなものを都市計画に位置づけた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/112
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113・新井彬之
○新井委員 自治省にもちょっとお伺いしておきたいのですが、これは担当外だったら答える必要はありません、けっこうでございますけれども、とにかくそういうことで今後整備というのが行なわれていった場合に、地方公共団体としても、ものすごく財源が要るわけですね。自治省としては、それがちゃんとできるように思っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/113
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114・川俣芳郎
○川俣説明員 直接の担当でございませんものですから、適切なお答えができないかと思いますけれども、市街化が進みました際に、地方公共団体の財政需要が増高いたすということは当然のことでございまして、これにつきましては、やはり所要の財源措置等が講ぜられるようにしてまいらなければならないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/114
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115・新井彬之
○新井委員 そこで自治省、A農地、B農地についてはみなし課税がなされたわけですね。そこで今後C農地等の検討というようなことがあった場合に、実際問題として、宅地並み課税にして農業をやりたくてもできないような状態にする。しかしそれは、絶対的な前提としては、やはりそれだけの市街化ができるというきちっとしたものがなければ、一方的にそういうものをやめた場合にはこれは大きな問題になります。今後そういうことについてよく実態調査をしていただきたいと思うのです。今後六十年までにどうなるのかというようなことを踏まえてそういう課税というものをやらなければいけない、こういうぐあいに私は思うのですけれども、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/115
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116・川俣芳郎
○川俣説明員 三大都市圏内におきますところのC農地、それから三大都市圏以外の市街化区域内の農地の固定資産税の課税のあり方につきましては、御案内のとおり五十年度までに結論を出すよう検討をいたすことになっております。そこで市街化すべきであるとされておりますところの市街化区域内の農地について、農業をやっていけないという場合にどういう措置をとるのかというお話だと承ったのでございますが、この点につきましては、実は昨年いわゆる宅地化促進法ができまして、従来農地を所有されておりました方がこれを宅地に転用される、そしてその上に賃貸住宅、分譲住宅等をお建てになるというような場合につきましては、私どもの関係で申しますと、その建設されました住宅につきますところの不動産取得税でございますとか、あるいは固定資産税、さらにはその敷地についての土地に対する固定資産税についても所要の軽減措置を講ずる等、宅地化が進めやすいような方途を税制面においても講じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/116
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117・新井彬之
○新井委員 私が言っているのは、さっきお話しましたように、市町村長の意向調査、これに基づけば、十年間に全域に都市施設を整備できず、相当の農業が残るというのが六三・二%の内容になっているわけです。そういうようなことを踏まえていかないと、いまいろいろ施策を打ってますけどれも、それがやられたとしてもなかなかできないのだという考え方に立っている市町村長が多いわけですね。こういうことを言っているわけです。したがって、そういうことを一切無視して一方的に、こういうことをやっているんだ、ああいうことをやっているんだと言いますけれども、それはそれとして、たくさん残った農地というものに対してやはり明確な位置づけというものをしなければいけない、こういうぐあいに思うわけです。
そこで、今回のこの生産緑地法案については、これは都市計画上から位置づけられておるということです。そういうことで、農業的見地から見た場合に、これはさっきから何回も答弁いただいているのですけれども、一言で言えば、これはやはり農地をなくすということですね。そういうことでよろしいのですね。農林省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/117
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118・関谷俊作
○関谷説明員 都市計画法ができまして市街化区域を設定しましたときの考え方につきましては、十年以内に市街化する、こういう見通しのもとに土地利用の調整をして、農地として市街化区域内に含めることもやむを得ないものはそれに分類した、こういうことでございます。今回の生産緑地法案の案の作成につきましては、先ほども申し上げましたように、私どもも審議過程に参画させていただきまして、この都市計画制度として考える、こういうワクというか前提で法案をつくる場合に、その中で農地の位置づけをどういうふうにできるか、こういう意味で私どもも検討をさせていただきまして、この第一種生産緑地なり第二種生産緑地なりという制度で農業として相当期間使っていく、こういうものは一定の手続により相当のものがこれで位置づけできる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/118
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119・新井彬之
○新井委員 そこで、第一条の「目的」に、「農林漁業との調整を図りつつ」、こういうぐあいに載っておりますね。これはどのような調整を具体的にはやるのか、それについてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/119
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120・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 これは、市街化区域といえどもすべて建物でおおい尽くすというものではない、また公共施設でおおい尽くすものでもない。その農林漁業の従事者の同意性にはかかっておりますけれども、将来にわたり営農を希望されるような方もおられるわけですから、そういう方の同意を得つつ、市街化区域の中にも生産緑地という形で農業を続けながら民有の緑地として残すということを考える必要が都市計画上もある。そういうことを「農林漁業との調整を図りつつ、良好な都市環境の形成に資する」、こう書いたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/120
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121・新井彬之
○新井委員 農林省はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/121
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122・関谷俊作
○関谷説明員 これは都市計画法についても同様でございますが、都市計画というようなもの、あるいは今回で言いますと生産緑地制度、こういうものによって区域指定をしましたり、そういう場合には、現在行なわれております農林漁業との調整はその中で十分はかるべきである。具体的にはこの生産緑地法で申しますと、農地等で生産緑地の指定をする場合には、農業的に見ても十分継続可能な要件を備えておるとか、ある程度団地的なまとまりを持ちまして、農業としてもある相当の期間継続実施、あるいは効率的な農業ができる、こういう点についての配慮がなされるものである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/122
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123・新井彬之
○新井委員 じゃその件はあとで関連してまた出てきますので、もう少し具体的にお伺いしますけれども、そういう都市農業の確立ということ、これはやはり農林省のほうで明確に考える必要があるのじゃないですか。ということは、今回こういう都市計画の中で明確にそういう地域というものができたわけですね。したがって、それに対してやはり農林省としては明確な位置づけをする、そうしてそれに対する今後どういうような方策でやっていったらいいかということがなければ、やはりこれは農業切り捨て政策であるということになると思いますね。もちろんいまも、この土地利用の件については、市町村長からたくさんの、こういうことでも使いたいから置いておくべきだというような意見がありますけれども、そういうことから考えても、当然そういうものが位置づけられるのじゃないか、こういうぐあいに思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/123
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124・関谷俊作
○関谷説明員 私どもいわゆる都市農業についての考え方でございますが、現在の市街化区域内には、農地で申しますと二十八万ヘクタールが含まれておりますが、私どものことばで都市農業と申しますときには、もう少し広い、いわゆる大都市地域、三大都市圏等を中心にします都市地域の農業のあり方はどうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
その意味合いと申しますのは、都市に非常に近い、こういうことで市場条件としても非常に運賃が安い等の立地条件が有利でございます。反面、非常に労賃が高いとか、他部門に働く道が非常にたくさんある、こういうような条件を備えているという意味では、都市地域というものはもっと広く考えるべきである、こう考えておりまして、そういう意味で見ますと、都市地域は、生鮮野菜でありますとか、花卉類でありますとか、豚、鶏等の中小家畜でありますとか、そういうものが立地としては非常に適しておる地域でございます。そういうことで、都市地域全体としてはやはり相当の生産シェアも持っておりまして、私どもの考え方のとり方では、全体としては農業生産額で四分の一というようなかなり大きいものを持っておるというふうに考えております。
ただ、これを放置しておきますと、土地利用が非常に混乱をする。畜産でございますと公害が起きるとか、野菜でありますれば、ほうっておけばだんだん産地が衰退していく、こういうこともございますので、そういう意味で、都市地域全体として見ました場合には、市街化調整区域と市街化区域の区分をする。市街化調整区域につきましては農業振興地域の指定をするとか、そういうようなことで、土地利用区分と並行しながら、その土地利用区分に応じた農業施策を進めてまいるということで、全体として都市農業の健全な育成をはかってまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/124
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125・新井彬之
○新井委員 そうしますと、もう一度確認しておきますけれども、都市農業というのはそれなりの役割りがあって、今後極端にいえば永遠に続くような施策というものを農林省はとるのだ、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/125
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126・関谷俊作
○関谷説明員 都市農業全体としては御指摘のとおりでございます。特に市場立地、市場との関係で申しますと、絶対的な有利性を持っている作目がございまして、特に単価の安い大衆的な野菜でありますとかそういうものについては、近郊野菜の重要性というものは将来も非常に続くわけでございますので、そういう意味での都市農業の健全な育成ということは農林省の農業施策の中の重要な分野である、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/126
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127・新井彬之
○新井委員 それから、生産緑地とその他の公園緑地、こういうものとのオープンスペースの状態があるわけですけれども、そういう中でどういうような位置づけを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/127
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128・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 市街化区域の緑地保全のあり方としては、まず基本的に最も重要なのは、都市施設として都市公園あるいは都市緑地を積極的に整備するということであろうと思います。しかし、それだけではもとより十分なところまでいきませんので、さらにそれに並ぶものとして、首都圏近県の近郊緑地保全区域であるとか、あるいは前国会に成立いたしました都市緑地保全法による緑地保全地区、これは良好な景色とか特にそういう限られた場所ではありますけれども、そういうところに指定していくとか、こういった民地のままでの緑地保全のあり方というものが同様に重要だと思います。従来は大別してそのような二つのものしがなかったわけでありますが、今回考えました生産緑地というのは、いわばそれを補完いたしまして、農業、これも樹林地ほどには環境機能というものがないかもしれませんが、それにしても、緑がある、空間があるということでありますから、ある程度の規模のまとまりがあれば、いろいろな意味での都市の生活環境の保全という意味があるだろう。しかしながら、そういう機能だけでは生産緑地の制度としてなかなか仕上げにくいものですから、あわせて多目的な公共用地の保留地という機能をも含めまして構成したわけであります。
ただ、問題が問題で、営農を続けるという御本人の意思が非常に重要な要素になりますことから、普通の都市計画のように一方的に決定するというわけにもいきませんので、どうしても同意を要するということにせざるを得ませんでした。そういう意味で、同意がなければ残念ながら指定できないという意味では、一般の公園緑地等とは違いまして、それに並ぶというほどのことはいえないかと思いますが、しかし、施設緑地あるいは緑地保全地区などを補完して、一体としまして都市地域の緑、オープンスペースの確保に寄与するという機能は十分評価できると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/128
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129・新井彬之
○新井委員 生産緑地地区の地区区分についてお伺いしますけれども、第一種の生産緑地は土地区画整理事業及び開発行為があった区域では指定できないことになっておりますが、良好な都市環境形成にとっても、要件を充足すれば第一種生産緑地の指定を認めてもいいのではないかということでございますが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/129
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130・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 第一種と第二種を考えまして、第一種は恒久制度、かつ規模要件も高い、第二種は十年で失効する制度、かつ規模要件もゆるい。大体大ざっぱに言ってそういう二種類の制度を考えたわけでございます。このためにはまず、区画整理とか開発行為が行なわれて整然たる土地利用区分のもとに市街地づくりの基礎ができ上がっている場所、こういうところならばあえて規模要件が小さくてもそれなりの環境機能は評価できるだろうということもありまして、規模要件を縮めたわけでございますが、もう一つの大きな動機としては、規模要件の小さいものも、できるだけ広い、かつ土地所有者の同意を得やすくするために、期間も十年という都市計画としては異例な期限つきの都市計画まで考えた。そういうことによってこれを保全したいと考えたゆえんのものは、そのかわりにおおむね七割程度のものを宅地化していただくという制度にしたからにほかなりません。そういうことで整然たる面開発事業によっておおむね七割を宅地化してもらえるならば、特に規模要件、期間要件を設けました第二種というものを特例的に考える、できるだけそういうふうに誘導したいという気持ちで第二種をつくったわけであります。
ところで、同じ区画整理等を行なったところに第一種もあり得るということになりますと、これは、そういう地区だから期限が切れる、規模要件も小さくていいとわざわざつくりました第二種が、その存立が非常にむずかしくなってきまして、すべて第一種しかできないというようなことになりかねませんものでしたから、あえて土地の属性として、そういう面開発が行なわれてないところでは第一種だけがある、面開発が行なわれたところでは第二種だけがある、それはそういった面開発が行なわれたというその土地の属する性格から必然的に来るものだ、こういうふうに区分けしまして、そういうことによって第二種を成り立たしめ得たと私は考えておりますので、そういう意味で、第一種は区画整理等の区域内では認められないことになった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/130
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131・新井彬之
○新井委員 市街化がどんどん進んでいきますと、これは全体的に極端にいえば開発行為が行なわれてくるわけですね。あるいは土地区画整理事業が行なわれてくるわけですね。そうしますと、だから私はさっき「目的」のところでいろいろお話もをしたのですけれども、とにかく「農林漁業差の調整を図りつつ」というような項目になっておりますけれども、それで「良好な都市環境の形成に資する」わけでしょう。そうしますと、それが良好な都市環境の形成に資しない場合は別ですけれども、そういうものがきちっとしてそういうところにもあるということが、あるいはさっきの市町村の意向調査にもありますように、災害時の避難場所を確保するためにも必要だ、それから都市住民の緑地、自然環境を確保するためにも必要である、あるいはレジャー農園、貸し農園など住民のレジャー空間としても必要であろう、こういうことでいろいろあるわけですね。したがって、さっき私は農林省にお伺いしたことは、とにかくそういうものを永続的にきちんとした地位を確定してやっていくようにしなければいけない。そもそも農業をやりたくない方が何もそれをやることはないわけですね。本人がほんとうにやりたいのだ、そのやりたいことが今後のわれわれの都市の中の住居環境にも私は絶対に必要なことだということを感じておるわけです。その点についてもう一ぺん農林省のほうからお聞きしますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/131
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132・関谷俊作
○関谷説明員 都市近郊地域あるいは都市地域の農地の持つ機能というものをどういうふうに考えるかという問題であろうかと思いますが、いま御質問の中にもございましたいろいろな意味でのレジャー的な施設、あるいは環境的な意味合い、そういうような観点からの生産緑地の指定、こういう目的については今回の制度の中で十分対処できるのではないか、こういうような判断をしております。これはやはり都市計画制度の系列の中でできておる法律でございますが、その中に、良好な生活環境の確保に効用がある、こういうような趣旨等がうたわれておりますし、農業の持つ一つの環境保全的な機能、そういうものはこの制度の中で評価すべきものは評価して緑地としての保全はできるというふうに考えてよろしいのではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/132
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133・新井彬之
○新井委員 だから私は、この区分については、第一種の生産緑地は土地区画整理事業及び開発行為があった地域では指定できないことになっているけれども、それを指定するようにしたらどうか、こう言っているわけですね。それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/133
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134・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 第二種は一応十年という期間で失効することになっておりますが、この法律の条文に、さらに一回限りもう十年延長できる、こういうことになっております。したがって、二十年まではできるわけでありまして、二十年といえば相当先のことになりますから、かなり恒久的な制度、安定的な制度ともいえるわけでございまして、相当長期間にわたって農業をしたいという方から見ましても、二十年で足りないということもないのではないか。また市街化区域の整備のテンポも、幾ら何でも二十年もたてば、相当まわりのほうは市街化してきて、その土地の利用のあり方というものもはっきりしてくるであろう。そうとすれば、都市計画の見地からは、生産緑地というような角度のものではなくて、別の直接の事業手法で、公園にするとか、あるいは学校用地にするとか、あるいは宅地造成をするとかいうような使われ方が、はっきりきまってきているんではなかろうか。まあ十年で短いということもあると思いましたので、さらに十年だけは延ばせるようにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/134
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135・新井彬之
○新井委員 市街地の中にそういう農地というものがある、生産緑地というものがあるということは、日本にとっては非常に大事なことだと私は思うわけです。それは、今後住宅等がどんどんできてきた場合に、当然それに付随した公共施設ができると思います。下水道にしても学校にしてもいろいろできます。その中で、日本の公園というのはめちゃめちゃに少ないわけですね、よその外国の都市に比べて。その上になおかつ五十坪の土地を持った住宅というものが今後望めるかということから考えた場合に、いまの建て売りなんかずっと見てみますと、もう三十坪だとか、ひどいのは二十坪ですね。それにもう小さな家が建っている。しかしそれを買った方というのは、ものすごい、結局一生の自分の働いた退職金まで前借りをして買っているわけです。したがって、ほんとうに余裕のない、良好な環境なんというものじゃないですね。諸外国から比べても、公園施設というようなものは倍も三倍もあっていいぐらいなんですね。その狭い家の中だけで生活しているということはちっともよくないことです。したがって、よそへ出ていって、公園の広いところで子供さん方が運動する、そういうようなことですね。また、家がそういうところでたくさん密集してきた場合において、今後災害等が起こったときに一体どこへ避難するんだ。そういう避難場所すらない。したがって、いろいろなものを張りつけた場合に、やはり大事なのはそういうような空間、スペースというものをどのように考えるかということでしょう。さっきもそのことについてちょっとお伺いして答弁いただきましたけれども、そういうことからいけば、そこに生産緑地があるということは、春でも、あるいは秋でも非常に目を楽しませる、あるいはまた、それにおいて良好な環境というものがプラスされていく、こういうことを非常に思うわけです。したがって、さっき言ったようなことが今後私は都市計画を考える場合においては絶対に必要じゃないか。特に、その百二十万ヘクタールも市街化をきちっと整備しなければいけないわけです。したがって、それをやる財源、そういうことから考えて、ほんとうにそれが整備されていくのかどうか。そういうときに、私は、ここにいわれている「農林漁業との調整」というものが完ぺきにはかられた上で、なおかつ良好な都市環境というものが生まれてくる、そういうことをやはり考えなければいけないときに入っているんじゃないか、こういうように思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/135
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136・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 確かに公園の面積は日本は非常に少のうございます。できるだけ今後ふやしまして、欧米並み、あるいはそれに近づけていこうという公園整備計画の実行、あるいはその拡大改定ということが今後の大きな課題になっておるわけでございます。しかし、それだけで都市のオープンスペース、緑というものが確保されるはずはないわけでありまして、そのほかにも民有の形での開発規制手法による制度というものがどうしても必要だ。今回の生産緑地法も、都市計画の角度から見ればまさにその一環であるわけでございます。
しかしながら、庭つき一戸建てがなかなか望めないとしましても、中高層化した団地等、建蔽率を小さくとりまして、ああいった空地に、一棟一棟の皆さんの手近に使えるようなオープンスペースとして、あるいは緑地として建設していくということは、従来も行なわれております。今後もますます努力していくというような形でオープンスペースが活用されていくということもありますし、また将来は公園にしたいということがはっきりするようであれば、都市公園として計画決定しておいて、当分の間はそれを生産を続けていただくといういわゆる施設緑地というような方法によっても、これはその間、従来の法律の規定によって、宅地並み課税がやはり同じく適用除外になるわけでありますから、そういった形で計画的に公園を予定していくとか、いろいろな手法を積み重ねて、先生のおっしゃるとおりの、オープンスペースを持った、災害に強い豊かな町にしなければならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/136
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137・新井彬之
○新井委員 これを計画する場合には、都市計画審議会で審議をされまして、今後こういう計画を立てられるわけですけれども、そのときには、農業のわかる方、そういう方のメンバーというものは、現在どのくらい入っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/137
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138・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 各府県に都市計画審議会が置かれておりまして、いろいろな専門の学識経験者が入っておりますが、農業の関係の方も必ず入っていただいているはずでございます。また、そのお守役としての幹事等の事務組織におきましても、地方の農政局等の方が入っていただいておる、こういうことであります。また、都市計画法の正式の機関としての都市計画審議会とは別に、市町村単位にも都市計画審議会に事実上類するものができておりますが、そういうところにも農業関係の代表の方が入っておられるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/138
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139・新井彬之
○新井委員 私の知っているところでは、大体一名ないし二名ぐらいだと思うのですね。いままではこういう生産緑地地区というのが指定されてないときでございますけれども、今後この目的に沿ったようなことでやっていこうと思うならば、当然これはメンバーを充実しなければいけない、こういうぐあいに思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/139
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140・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 都市計画審議会の構成員そのものがそう多人数でもありませんので、一名ぐらいのところもあるかと思いますが、しかしそれは、数が一名でありましても、こと農業に関連する都市計画につきましては、ほぼ絶対の御意見を持っておられるわけでありまして、むやみに多数決できめるというようなことはありませんから、農業上の調整を要する、配慮すべき事項については十分その方が納得される、その代表の方が納得されるということは、その管轄区域内の農業関係の方も大体納得されての話でありますから、そういう意味で、都市計画審議会における農林漁業との調整ということは、現況でも十分機能していると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/140
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141・新井彬之
○新井委員 これについての要望は農業者の方からも、いま局長は反映されるということを言われますけれども、当然これでは反映されにくいのだということから、これはどうしてもふやしてもらいたいということがあるわけです。
それから、さっきもちょっと局長先に答弁をされておったようですが、第二種生産緑地は十年で失効しますね。いままでの都市計画上においてはこういうことではなかったわけですね。たくさんの地域指定がありますけれども、そういうものは設定上ないわけです。これはもう一度、どういうことでなったのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/141
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142・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 制度のたてまえとしては、面開発、区画整理等によりまして周辺地域も含めて整然たる町づくりの基盤をつくられたあとで指定されるということになりますから、そういうところでは、比較的規模要件が小さくても、あるいは期間的に限られても、それなりの環境機能というものは評価できるであろう、また、公共施設の予定地としての機能も果たせるであろう、こういうことでありますが、実際に私ども何とかこういう制度でつくり上げたいと考えた最大の動機は、期限が切られるということによって十年程度の予測は農民の方にも立ちやすいだろう。とすれば、規模要件がゆるいことと相まって、第二種生産緑地については同意される方も多いのではないか。第二種生産緑地を同意されるということは、そういう市街地づくりの整然としたところでは第二種という形で生産緑地が残しやすい、残したい量が確保しやすいということでもありますし、また、現在はそういう面開発が行なわれていないところにつきまして、今後極力面開発をしていただいて整然たる町づくりにするとともに、その七割程度を宅地として出していただく。一〇〇%宅地にしたいというのは、宅地側から見ればそういう希望もあり得るかもしれませんが、そういうことではなくて、じっとしておればなかなか宅地化されにくいものを第二種という制度を設けることによって七割は宅地化されやすい状態に誘導する、こういうことに非常に効果的ではないか、こう考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/142
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143・新井彬之
○新井委員 十年で失効するということはやはり農業の切り捨て政策ですね。だから私は、初めから言っておりますように、農林省としては明確な位置づけをする、そしてそれに対して建設省としても、こういうものがずっと必要なんだというものは置いておく必要があるわけですね。いまの説明どうですか、農林省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/143
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144・関谷俊作
○関谷説明員 生産緑地の制度は、都市計画制度として、しかも市街化区域の中で適用される制度でございますので、市街化区域としての本質的な性格というものはやはり全体にかぶってまいるのであろう、こう考えております。そういう意味で、第二種生産緑地も含めまして、この問題の検討に際しては、あくまでも都市計画制度あるいは市街化区域内のワク内で、可能な限り農業の保全と申しますか、農業経営が行なわれる限りはそれについての農地保全ということも考えていこう、こういう趣旨で検討がなされた、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/144
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145・新井彬之
○新井委員 そうしますと、さっきから私、何回も確認しているように、農林省としては、ここで農業をずっとやりたいということについては、それはもうどうしようもないんだということに話がまた戻るわけですね。その辺もう一度お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/145
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146・関谷俊作
○関谷説明員 農地全体の扱いとも関連いたすわけでございますが、農地というものは、現在の宅地需要なり都市化の需要に対して、やはり相当なものは実際問題としてこたえていかなければならないわけで、問題はそれをどうやって計画的に進めていくかということであろうかと思います。そういう意味でこの制度を考えますと、都市の近郊で計画的な市街地形成をはからなければならない、そういう場合には、無秩序に農地転用を進めますよりも、市街化区域の区分をしてちゃんと土地利用計画を立てて、そのワク内で農地の壊廃なり宅地化を進めていく、こういう意味で市街化区域の中に入りました二十八万ヘクタールの農地の問題でございますので、それについては、やはり全体的な目標としましては、都市的施設の整備されるのに応じて計画的に宅地化されていく、そういう方向の中で当面農業経営が行なわれる農地をどうやって経過的に保全していくか、こういう問題に対する対策がこの制度であろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/146
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147・新井彬之
○新井委員 時間ですから、まだいろいろありますけれども、もうこれでやめます。私は政務次官に最後にあれしておきたいのですが、今回のこの法案に対しましていろいろな意見というのがありますね。そういうような意見で当然取り入れられるものというのがあるわけです。したがって、ただ都市計画上だけのことではなくて、やはり新しい一つの段階というものを迎えているのだということで検討していかなければいけない、こういうぐあいに思うわけでございます。今後また質問さしていただきますけれども、そういう面についてどのようなお考えをしているのか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/147
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148・内海英男
○内海(英)政府委員 都市計画の地域内、しかも市街化区域の中における限られた生産緑地ということでございますので、いろいろ御議論もあるかと思いますが、宅地並み課税という制度が課せられておる中において、一歩でも二歩でも農民の生産意欲を、この法案によってある意味においては何%かでも達成さしてあげられるではないかというようなことで、一応の評価をしていただけるのじゃないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/148
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149・新井彬之
○新井委員 じゃ終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/149
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150・木村武雄
○木村委員長 次回は、来たる四月三日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X00919740329/150
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