1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月九日(火曜日)
午前十時十六分開議
出席委員
委員長 木村 武雄君
理事 天野 光晴君 理事 松野 幸泰君
理事 渡部 恒三君 理事 渡辺 栄一君
理事 井上 普方君 理事 福岡 義登君
理事 浦井 洋君
小沢 一郎君 梶山 静六君
金丸 信君 野中 英二君
林 義郎君 村田敬次郎君
佐野 憲治君 中村 茂君
渡辺 惣蔵君 柴田 睦夫君
新井 彬之君 北側 義一君
渡辺 武三君
出席政府委員
建設省都市局長 吉田 泰夫君
委員外の出席者
参 考 人
(全国農業会議
所専務理事) 池田 斉君
参 考 人
(全日本農民組
合大阪府連合会
書記長) 梅原 昭君
参 考 人
(日本公園緑地
協会副会長) 佐藤 昌君
参 考 人
(東京大学名誉
教授) 山崎不二夫君
参 考 人
(全国農業協同
組合中央会常務
理事) 吉田 和雄君
建設委員会調査
室長 曾田 忠君
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四月五日
宅地開発公団法案(内閣提出第四三号)
同日
中霧島有料道路の建設促進に関する請願(瀬戸
山三男君紹介)(第三六三二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
生産緑地法案(内閣提出第五六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/0
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001・木村武雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、生産緑地法案を議題といたします。
本日、御出席をお願いいたしました参考人は、全国農業会議所専務理事池田斉君、全日本農民組合大阪府連合会書記長梅原昭君、日本公園緑地協会副会長佐藤昌君、東京大学名誉教授山崎不二夫君及び全国農業協同組合中央会常務理事吉田和雄君であります。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。ただいま本委員会におきましては生産緑地法案を審査いたしておりますが、本案につきまして参考人の方々の忌憚のない御意見を伺いたいと存じます。
なお、御意見の御開陳はお一人十五分程度にお願いすることとし、後刻、委員からの質疑の際、十分お答えくださいますようお願い申し上げます。
なお、御意見の開陳は、池田参考人、梅原参考人、佐藤参考人、山崎参考人及び吉田参考人の順序でお願いいたします。
まず池田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/1
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002・池田斉
○池田参考人 農業会議所の池田でございます。ただいまこの委員会で御審議を願っております生産緑地法案につきまして、私の考え方を若干申し上げたいと存じます。
私は、この問題を法案にする前提として、都市計画中央審議会に建設大臣から諮問が出まして、それに参画いたしました一人でございます。そういう意味で答申に参画をしたという経過もありまして、全般的にこの法案は、筋道としては何とか御推進を願って通していただきたい、こういう立場に立たざるを得ないわけでございます。ただ、農業側の対応から考えまして、私ども生産者側の審議会の委員が、この内容につきましてどうも農政上の位置づけが十分でないというような問題が一点と、それからいま一点は、一種、二種の生産緑地がいろいろ策定をされるわけでございますけれども、それでもやはり農業側の立場から見ますと、どうしてもこれに乗ってこれない農用地がかなり広範に残ってくる。その辺の問題につきましては法律で十分仕組めないという場合も想定し、できれば法律でさらに仕組んでいただきたいのだが、できない場合これをどうするか。こういう二点につきまして、特にこの法案を策定する場合に、われわれが答申をいたしましたものを忠実にやる以外に、その辺をひとつ配慮願いたいということをこの答申の前文に特にうたっていただくということでこれに参加した経過が実はあるわけでございます。
そういう観点からこの法案をながめ、その後いわゆる都市地域の農業者のこの問題に対するいろいろな対応、そういうものを踏まえまして、若干、ここで皆さま方の審議の御参考に供する問題を含めまして、申し上げたいというふうに実は考えるわけでございます。
言うまでもなく、都市計画法が施行されまして線引きが行なわれたわけでございますが、当初、建設省がこの法案施行と関連して、市街化区域の総体の面積を八十万ヘクタールぐらいを想定をし、これで大体十年間の都市計画は可能である、こういうことでございましたけれども、線引き後の実際の面積は百二十万ヘクタールというふうに相なったことは御案内のとおりでございます。そういう意味合いにおきまして、線引きをやり直して必要な面積にしぼり上げるという方法もないことはございませんが、これは現実の問題として事実上はほとんど不可能に近いというのが、農村側、農業側を含めましてその地帯の実態ではないか。
〔委員長退席、井上(普)委員長代理着席〕
こうなりますと、都市計画が生まれました当時の情勢と違って、その後、公害その他いろいろな問題が生活環境の中でやかましくなっておる段階でございまして、私どもは、今日の食糧事情なり、あるいは都市に対応する生鮮食料の供給なり、そういうようなことを考えますと、むしろ市街化区域の中におきまして、都市計画といわゆる農業というものが両立するようになる。四十万ヘクタールもたくさんの土地があるわけでございますから、そういうことのほうがむしろ積極的な意味が今日段階ではあるのではないか、こういうことで生産緑地の問題がここで仕組まれるわけでございますが、しかし都市計画のサイドから見ますと、やはりこれは住民の環境というようなものが前面に出てまいりまして、そこで土地を管理しながらものをつくるといういわゆる生産緑地につきまして、農政上の位置づけというものを立法上位置づけることは非常に困難であるということはわかりますけれども、いま申し上げましたように、農政といわゆる都市計画との両立、接点を求めるという場合におきまして、この生産緑地は農政上の位置づけというものがもう少し明確な形で行なわれるべきではないか。できればそういう点につきまして法律の上にも書いてもらいたいという考え方がございます。どうしてもそういうことが不可能な場合には、そういう地域で行なう、特にこの法案にある第一種の生産緑地につきましては、いわゆる農政の施策というものを他の地域に劣らない形で十全に適用してもらう、こういう問題を国会の意思を通して行政の御指導を願うような国会の意思をひとつ出していただきたいということが第一の問題でございます。
なお、市街化区域の中で、私ども農業会議所の系統におきまして具体的な調査をいろいろ実施いたしましたが、その結果、たとえば東京都、あるいは神奈川、あるいは京都等におきましても、総体といたしまして、十年以上農業を継続したい、こういう考え方を強く打ち出しておる農業者というものは、約三〇ないし三五%おるわけでございます。これは全農家に対する意向調査を実施した結果でございます。県によりまして若干の開きはございますが、総体として三割ないし三割五分が、十年以上農業をそこでやっていきたい、こういう強い希望を持っておるわけでございまして、あとの七〇ないし六五%、こういう方々が、五年間くらい、あるいは五年から十年。五年以上十年以内になると思いますが、五年以上はひとつ農業をある程度やりながらそのうちに身の振り方を考えたい、こういうものがやはり三割から三割五分ぐらいあるわけでございます。
〔井上(普)委員長代理退席、松野(幸)委員長代理着席〕
まあ五年以内に何とか身の振り方をきめたい、ひとつ農業はやめたいというのがやはり三割程度。大体そういうような状況が三大都市圏の市街化区域の中の農業者の態様でございます。やはり民主政治をやる上におきましては、そういう農業者の意向というものが、都市計画の中に生産緑地を適用するという姿の中で十分対応をしてもらわなければならないというふうに考えるものでございます。
なお、もう一つここで申し上げておきたいのは、いわゆる宅地並み課税が三大都市圏のA、B農地に適用されておる、こういう事態との対応におきまして、市町村が自主的にこの問題に対しまして、新しい視点から、たとえば農業をできるだけその中で守っていこうというような視点もございますし、また都市環境をできるだけひとつ守っていこう、こういうような観点もあるようでございますし、また一面におきましては、今日のように、やたらに住宅が膨張をするような都市政策というものは好ましくないというような、そういう市町村長の考え方もあるようでございますが、いずれにいたしましても、宅地並み課税を事実上停止をしてこれを還元をする。この方法はいろいろありますけれども、具体的にそういうことを実施をしておる市町村が、御承知のように六割程度今日あるわけでございます。そういうような問題がございますので、この法案が通りました場合に、そういうことがむしろ政府の非常に強い指導なり規制において撤回をされていく、こういう問題を非常に心配をしている向きがあることは御承知のとおりでございます。
そういう意味におきまして幸いにこの生産緑地法案が通りまして、これが施行されまして、これで吸収をされるという立場の農業者はいるわけでございますが、吸収されないという人々につきまして、この還元方式的な考え方もそこで撤回をされるということになりますと、これは非常にその地域の住民は心配をしておる問題でございますので、その辺を適切にひとつお考えを願わなければならないということをひとつお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
私どもは、すでに国会に対しまして大体七項目の要望をしながら、この法案に今日対応をいたしておるわけでございまして、要するに一つの問題は、農政に十分対応するような施策を、この生産緑地、特に第一種の生産緑地にはやってもらいたい、できれば法律の上にもそういう思想が書けないものかどうか、こういうことが第一点でございます。
それから第二点は、総体として、これは言うなれば都市計画審議会の答申にきわめて忠実に立法はされておりますけれども、その後の地方の対応におきましては、まだ規制が少し強過ぎる、こういう意向が非常に強いわけでございます。もちろんこれは、都市計画のサイドから見まして相当の規制をしなければならぬということはやむを得ない問題でございますけれども、これらの問題は、あまり法律でぎしぎし規制をするより、基準的なものを一つ表示をして、具体的には市町村でそういう精神を体して実態的に対応をしていく、弾力的な対応が可能である。こういう地域の実態に即応した生産緑地のあり方というものをつくり上げるということが、むしろ住民感情から見ましても全体として調和のとれる姿ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
そういう意味合いにおきまして、幾つかの規制をやや緩和してもらいたい。特殊な事情の場合には、それをひとつ別の形で認めてもらいたいというような幾つかの項目を掲げておりますが、そういう問題を締めくくる意味におきまして、都市計画には審議会が中央と地方にございますが、市町村段階にもこれを設けることができるということが、都市計画の法律ではなくて、別途そういう指導が行なわれております。私どもは、生産緑地の審議会というものを市町村につくって、そこで全体として基準を示したこの法律を、その地域の実態に対応してできるだけ実情に即応するように策定していく、こういうことを念願するものでございまして、審議会をぜひつくっていただきたい、こういうことを実は修正の一つの中身として出しております。もしこの審議会がそのような形でできない場合には、市町村に設置することが可能な審議会に生産緑地部会でもひとつ設置をしていただいて、その市町村におきまして、農業者の意向というものに十分対応できる、こういうような形でいろいろな規制につきましてやや弾力的な対応が可能である、こういう問題をぜひ考えていただきたいというのが総体としての第二点の問題点でございます。
三番目は、先ほども申し上げましたけれども、何とかこの生産緑地が行なわれまして、吸収できない問題がございます。その辺が、いわゆる宅地並み課税の還元方式をあわせてやめてしまうというような問題にならないように、これは別の系列の問題意識で行なわれておるわけでございまして、特に自治省関係におきましてそういう問題が強く出てまいりますと、これは非常に問題が複雑になってまいります。したがいまして、法律事項ではないかもしれませんけれども、その辺はひとつ十分に、地方の実態との対応におきまして、今日の市町村が行なっております約六〇%、行く行くこれは一〇〇%なる方向で進んでおりますが、そういう問題を生産緑地と置きかえて消滅させるということは絶対ないように、ひとつ格段の御配慮をお願いし、そういう方向で行政に対するチェックをこの国会の意思においてぜひやっていただきたいというふうに考えるものでございます。
以上、申し上げましたような筋道で私は若干の修正をお願いいたしまして、できるだけすみやかに今国会におきましてこの法律が通りますように、都市地域の住民がこの問題をめぐっていまいろいろ心配をいたしておりますので、どうかひとつ私どもの意のある考え方をこの委員会におきまして御審議の上、修正の上、御可決を願いたいということをお願いいたしまして、私の意見の開陳を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/2
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003・松野幸泰
○松野(幸)委員長代理 次に、梅原参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/3
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004・梅原昭
○梅原参考人 ただいま御紹介をいただきました梅原です。
羊頭を掲げて狗肉を売るということばがありますけれども、私は、この生産緑地法案こそまさにこのことばにふさわしい法律案ではなかろうか、このように考えているものであります。生産緑地を確保して都市の環境の整備をはかるということが目的として掲げられておりますけれども、実際の目的は、都市近郊の農地をつぶし宅地化の促進をはかる以上の何ものでもないように思われます。そのような意味で私は本法案に反対するものでありますが、反対の理由として、以下三点にわたって申し述べたいと思います。
第一番目に指摘したいと思いますことは、本法案が成立いたしましても、生産緑地の指定ということは事実上生じないであろうということであります。生産緑地の指定を前提とする本法案において、生産緑地の指定が事実上生じないならば、本法案が目的としている生活環境の保全は達成されるはずがありませんし、また、宅地並み課税の除外制度を設けたといわれておりますけれども、これもまた有名無実にすぎないということを申し上げたいと思います。有名無実に終わるということの理由といたしまして幾つかの点がありますけれども、とりわけ生産緑地として指定をされました農地に対する土地利用制限のきびしさということが、農民をして指定申請に踏み切らせない最大の理由であろうと思います。
御承知のように、第一種生産緑地につきましては永久農地であるという考え方が本法案を貫いております。この永久農地という考え方は、調整区域における農地の土地利用制限よりもさらにきびしいわけであります。これだけがんじがらめにされた土地利用制限が行なわれておりますならば、ほかの点においていかなる条件の緩和が行なわれたといたしましても、ただこのことだけで農民が緑地指定の申請に踏み切るということにはならないと確信をいたします。
第二種の生産緑地につきましては、区画整理等の行なわれた特殊な地域についての規定でありますけれども、御承知のように、区画整理が行なわれました場合には、二〇%ないし二五%程度の減歩という名の土地の無償提供を行なうことによりまして宅地化の条件を整えるわけでありますから、そのようないわば犠牲を払って宅地化の条件を整えた区画整理地域内の農地について、今後十年間は宅地化をいたしませんという約束をすることが、事実上その農民にとってできることなのかどうかということを考えてみれば一目瞭然であります。結果としましては、区画整理が済んでから十年以上農地のままでいるというものはかなりあります。しかし、それは結果でありまして、当初から、今後十年間は宅地化いたしませんということを、区画整理区域内の農地について当該の農民が約束をするということは至難なわざであろうと思われます。
そのような意味におきまして、第一種生産緑地、第二種生産緑地ともに、このような土地利用制限のきびしさのために、事実上、緑地指定という問題は出てこないというふうに考えます。したがいまして、法案の中で、あるいは本建設委員会の審議の中で、それぞれ三〇%以内に押える、こういうふうなことが明らかにされておりますけれども、私の考えるところでは、三〇%云々ということばは、まことに人に対して錯覚を与える以外の何ものでもないと思います。三〇%どころか、関係農地の中の三%の申請が出てくれば、それは見つけものだというふうに申し上げて差しつかえないと思います。もちろん、都市近郊の農地につきましていかなる土地利用制限が妥当であるかという議論になりますと、これはさまざまな意見があると思います。しかし、その問題とは別に本法案について言いますならば、緑地指定の申請がまるっきり出てこないのであれば、この法案自体が意味がないということになるわけでありまして、そのような立場からいたしますと、本法案を成立をさせることの無意味さということを強調したいと思うのであります。
第二番目に指摘をしたいと思いますことは、自治体できめております生産緑地制度こそが自治体の実情に合った制度でありまして、この法案は逆に実情に合った自治体の生産緑地制度をつぶそうとしておるということを申し上げたいと思います。
自治体の生産緑地制度と本法案の内容的な違いを、私の住んでおります大阪に例をとりまして若干申し上げてみたいと思いますが、一つは面積制限の違いであります。御承知のように、本法案では、おおむね一ヘクタールということになっております。第二種生産緑地は特殊な場合でありますから省略をさしていただきますが、これに対して大阪府下三十市が現在関係をしておりますが、すべての市で生産緑地制度がすでに発足しておるか、あるいは近く発足をすることになっております。ほとんどの市におきましては面積制限を全くやっておりません。若干の市において面積制限をしておりますが、最高〇・二ヘクタールであります。
もう一つの点は、生産緑地の指定期間であります。本法案では、先ほども触れましたように、第一種生産緑地については永久農地、第二種生産緑地については十年間、こういうふうなことになっておりますが、大阪における自治体の指定期間は、ほとんどの市におきまして三年間を一つの区切りにしております。その他いろいろございますが、面積制限と指定期間の点において、自治体の生産緑地制度と本法案とは、言うならば月とスッポンほどの内容的な違いを持っておるというふうに考えます。
それでは、自治体でなぜこのような生産緑地制度を発足させたのかという問題でありますけれども、御承知のように宅地並み課税の法律ができてしまいました。ところが自治体段階としましては、この宅地並み課税の法律に基づいて実施できないような事情が発生をいたしております。第一番目に、人口をこれ以上急増さしてしまうのはごめんだという考え方がきわめて濃厚であります。私の住んでおります大阪府の枚方市というところを例にとって申し上げますと、ただいま人口が二十七万でありますけれども、毎年二万人近くずつ人口がふえておるわけであります。これでは自治体として財政上とてもかなわぬ、学校は建てなければならぬ、道路は整備しなければならぬ、金ばかりかかって、少々税収がふえましても、税収をはるかにこえる支出を余儀なくされる、こういうふうな立場から、これ以上人口がふえるのはごめんだというのは、人口急増都市において共通して見られる自治体としての要求であります。そしてまさに、農地の宅地化を促進すること、農地の宅地化を促進するために宅地並み課税を実施すること、これこそまさに人口急増の促進をはかる以外の何ものでもないというのが、自治体が生産緑地制度を発足させた第一番目の理由であります。
第二番目の理由といたしましては、人口が急増する中で住民の最も関心の深いのは、生活環境の保全であり、とりわけ緑を確保することであるという要求が非常に熾烈であります。
第三番目には、生鮮食料品を自分の市町村の中でできるだけ確保したいという自治体としての願いであります。例をあげますと、市民農園というふうな名前で農地を一般の都市住民に開放し、都市住民が自分の手でわずかばかりの土地で野菜をつくる、こういうふうなことが行なわれて非常にふえております。また、農家と消費者とが結びまして、農家のつくった野菜を消費者に直売をするというふうなことが、最近の物価高の中でだいぶふえてきております。こういうことを促進するために、自治体としては生産緑地をつくり、できるだけ農地がつぶれるのを守り農業を振興させようとしておるわけでありますけれども、本法案ができますと、市民から歓迎されております市民農園も、野菜の直売も、その源になる農地が全部宅地にせざるを得ないような状況が生まれてまいると思うのであります。現に、本建設委員会で都市局長が答弁をしたというふうに承っておりますのは、本法案と自治体の緑地制度は両立しないということを答弁しているように伺っております。そこいら辺からいたしますならば、宅地並み課税の法律ができても、自治体としてはおそれながら法律に従うわけにはいきません、自治体の実情からいたしますならば、むしろ農地や農業を守ることこそいまの情勢からいうと大事なんですということを主張しているわけでありまして、これを根本からくつがえすことになる本法案に対しては反対せざるを得ないわけであります。
第三番目に、国総法との関係について若干申し上げたいと思います。
先ほど申し上げましたように、本法案は、宅地並み課税について有名無実の除外制度を設けて、それを理由として自治体の生産緑地制度をつぶそうとしておりますけれども、自治体の生産緑地制度をつぶすことによって、近い将来、おそらくは昭和五十一年度から宅地並み課税の適用地域を拡大しようとすることをねらっておるというようにいわざるを得ないのであります。
現在、宅地並み課税が適用されております市は百八十一市でありますけれども、適用が拡大されますと八百六十七市町村に適用されるはずであります。そして適用される面積は現在の面積の二十倍に達するはずであります。このような広大な適用地域で重税によって農地の宅地化が促進をされるということになるでありましょう。国土総合開発法案の基本的な要素は、高度経済成長政策を維持、発展させるための開発計画にあると私は理解をしております。そして高度成長政策自体が再検討課題であるために国総法の開発部分は取りやめるということに、当委員会においても意見の一致を見たと聞いております。ところが、八百六十七市町村で現在の二十倍もの農地の宅地化を促進するということは、列島改造論の高度成長政策を実現させるためのものでなくて何でありましょうか。
このような意味で、本法案はいかにも都市における緑地確保を目的としておるかの装いをこらしておりますが、実は列島改造論の実現、高度経済成長政策の実現にその真の目的があるということを強調して、私の意見陳述を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/4
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005・松野幸泰
○松野(幸)委員長代理 次に、佐藤参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/5
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006・佐藤昌
○佐藤参考人 私、長らく都市計画及び公園緑地のことに携わっておりますものの一人でございますが、今回この生産緑地法案が出ます前に、私も都市計画中央審議会でその審議に参加いたした一人でございまして、今回の法案は、拝見いたしますとその内容が全部盛られておりまして、この法案が早く実現することを望むものの一人でございます。その意味で、この案につきまして、二、三考えますことを申し述べさせていただきたいと思います。
まず緑地ということばでございますが、これにはたくさんの種類がございまして、今回の法案に盛られております生産緑地ということばは、すでに昭和八年に内務省の都市計画課におきまして緑地の定義を審議いたしまして、東京を中心といたします五十キロ圏の緑地計画を樹立いたしたことがございます。それが昭和十年に決定いたしておりますが、その際に初めてこの生産緑地ということばがあらわれました。そのときは、やはり生産農地、山林、牧野、その他池沼等を含めまして、この生産緑地が都市の環境に及ぼす影響の重大なることを考えまして、生産緑地という項目を設けたものでございます。しかしながら、これが何らその後法制的な裏づけがなくて今日に至ったわけでございまして、今回初めて生産緑地ということばが法律としてあらわれるということは、その当時の思想がすでに実現したというような意味合いにおきまして、私どもは喜んでおる次第でございます。
御承知のように、緑地というものは建蔽されてない場所という意味で、外国語のオープンスペースに当たるわけでございまして、この緑地以外の、商工業用地あるいは交通用地を除きました以外の建蔽せられざる土地というものが都市の環境をいかに支配するかという意味におきまして、非常に重要であることは申すまでもないと思います。その意味で、緑地のうちの公園とか、あるいは運動場とか、いわゆる公共用地として法的に確保できます土地以外の緑地、こういうものにつきましては、公共用地と同様な重要な意味を持っておると私どもは考えておるわけでございます。
その意味で、できるだけ公共用地をふやすことは望ましいのでございますけれども、財政その他の関係上、公共的な緑地というものをふやす以外の方法としましては、民営でいろいろな用途に使っております緑地を確保するということが最も大事でございまして、この政策と申しますか、その計画手法はすでに諸外国で行なわれておるわけでございます。たとえば有名なロンドンのグリーンベルトにいたしましても、当初はこのグリーンベルトを全部買収いたしまして公共緑地にしようという計画でございましたのを、一九四七年の法律で買収をやめまして、計画制限によって確保するという方式をとっております。また、ドイツにおきましても同様な法律が都市建設法の中に含まれておりまして、用地を買収せずにそのオープンスペースを確保するという手段は各国で行なわれておる一つの手法でございます。
過般、都市緑地保全法というものが施行されまして、これも同様の趣旨で民営の土地を、すなわち緑を確保しようという政策がとられましたことは、まことに御同慶にたえないと思っておる次第でございまして、その意味におきまして、私どもは、今回の生産緑地もそれと一体となって一つの緑地体系をつくるものだ、かように考えるわけでございます。
御承知のように、このような緑の保全ということは、私が申すまでもなくその必要性は御存じのとおりでございますが、この緑は日本の現状におきましてはたして一体どれだけあるかと申しますならば、公共緑地に至ってはまことに微々たるものでございまして、ようやく五カ年計画で相当量が確保されるといたしましても、この量は諸外国に比較しまして二十分の一にすぎない。これを補うには、どうしても緑地保全地区あるいは今回の生産緑地によって補う必要がある、こういうことは常々思っておることでございまして、その重要性はいまさら申すまでもございません。
そこで二、三考えますことを申し述べたいと思いますが、まず第一に、これらの生産緑地はなるたけ広いほうがよいと私は思うのでございます。いま申しました緑地が一般的に少ないということを補う意味からいきましても、また現状におきましてかなりの生産緑地があるとするならば、できるだけこれが多いことが望ましいのでございまして、その意味から申しますならば、今回の法案に盛られております面積標準は、私が考えますならば非常に小さ過ぎるのではないか。先ほどいろいろ御意見が出たようでございますけれども、こういう緑地保全、緑保全の意味から申しますならば、いま法案に盛られておりまする面積要件と申しますものはまだ少ないのではないか、かように思う次第でございます。
次に、多ければ多いほどいいという問題以外に、そのあり方が問題だと思います。これは計画の要素でございますけれども、一般の公共緑地の計画におきましても、その緑地の位置、配分等が常に問題になるわけでございますが、これら緑の問題は、先ほど申し上げましたように、公共緑地あるいは民営緑地を合わせまして一つの緑のマスタープランが形成されるべきものでなくてはならない。
まことに講義めいて申しわけございませんが、公共緑地と申します中には、主として公園でございますが、これは都市民、住民がそこを利用するものを主として考えております。したがいましてわれわれはこれを利用緑地といっております。生産緑地のようなほかの用途に使っておりますものは、それがそこにあるというだけで価値があるものでございまして、山林にしろ農地にしろ、その中に人間が入って遊ぶ、あるいは運動する、その他のようなことをしなくても、そこにあることによりまして、通風、日照あるいは防災その他の用途として、環境上良好な環境をつくるという効果を持つものでございます。したがいまして、こういうものは存在緑地とわれわれは申しておるのでございますが、この利用緑地と存在緑地が相重なりまして、全住民に対してよい環境をつくり、よいレクリエーションの場をつくる、こういうことが望ましい理想的な姿でございます。したがいまして、今回、この生産緑地が指定になりましても、この生産緑地は他の公共緑地並びに民営緑地と合わせて一つの緑のマスタープランをつくるべく一つの要素となるというふうに考えるべきだろう、かように思います。
その意味において、そのことは法案に盛られておらないのでございますが、行政指導におきまして、そのあり方については緑のマスタープランづくりを指導されんことを切望するわけでございます。このことはお互いの緑地の機能を強化することになりまして、一つあるよりは二つ、複数できることによりましてその効果を倍増するというものでございます。その意味におきまして、先ほど私が申し上げました面積が小さ過ぎるということも、これに関係するわけでございます。
しからば、どれだけ生産緑地が全体に都市にあったらいいかということは非常にむずかしい問題でございますが、あまり多ければ、これは都市というものに対しまして、交通なり、あるいはガス、水道等の供給施設の延長が延びるとか、経済効果上非常な不便がありますし、住みにくいという問題がございます。この問題が都市計画なり緑地計画なりでわれわれが苦心しているところでございまして、いまのところ、諸外国の例などを参考にいたしましても、少なくとも人口一人当たり四十ないし五十平方メートルぐらいの緑地、これはいま申し上げました公共緑地並びにいまの民営緑地を加えましてその程度は最小限であろう、かように思っておるわけでございまして、緑のマスタープランづくりにおきましては、かような方向で都市が形成されるならば、少なくとも将来の都市環境においてある程度の満足すべき状態がくるのではないか、かように思うわけでございます。アメリカなどに至りましては、このオープンスペースの比率などは百平米以上を考えております。州によっては三百六十平米というところもございます。イギリスなどは、公共緑地だけで二十平米、そのほかイギリス特有のコモンスとか、いろいろ特有な都市形態がございますが、それを入れて最近の計画では四十平米、アメリカとほぼ同じ水準で計画を進めている、かように思うような次第でございます。
次は、この法案は全国的な適用ということになっておりまして、この点は賛成であります。いま申し上げましたように、日本の都市環境は大都市及び小都市に限らず、非常に緑が不足しております。その意味において、この生産緑地制度は全国的に適用されるということは、われわれの望ましいところでありまして、ぜひそうあるべきでないかと思う次第でございます。
最後に、現在、この生産緑地以外に、農家の安定、あるいは特殊生産物、あるいは生鮮食料品の確保というような農業政策面から、いろいろな条例その他が適用されているところがたくさんあると思います。これらにつきましては、私どもは、いま申し上げました緑地の機能と全般的に矛盾しないものならば、あえてこれを除く必要はない、共存していくべきではなかろうか、かように思うわけでございます。
以上、簡単でございますが、主として緑地計画あるいは緑地という都市計画サイドから意見を申し上げましたが、法案がすみやかに可決されまして施行されんことを望む次第でございます。どうもありがとうございました(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/6
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007・松野幸泰
○松野(幸)委員長代理 次に、山崎参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/7
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008・山崎不二夫
○山崎参考人 山崎でございます。
私は、かつて大学で農地工学と申します、どうやったらいい農地ができるかというようなことを研究してきたものでございます。まず最初に、都市農業についての私の考え方を申し上げて、その考えに基づきまして、この法案についての意見を述べたいと思います。
まず、都市農業というものはどういうような意義なり役割りを持っているかということでございますが、やはりまず第一にあげなければならないのは、食料生産の役割りだと思います。都市農業でつくる食料なんかたいしたことはないというような感じを一般には持たれるかと思いますが、青果物に限って申しますと、非常に大きな意味を持っております。ちょっと数字をあげてみますと、たとえば京都市内の青果物市場に占める京都府産の野菜の占有率は八九・六%というような数字になっておりますし、また神奈川県の農産物の県内自給率というようなものを見ますと、野菜については四八%、それから牛乳が四五%、卵が五六%というような数字が出ております。都市圏内の野菜生産というものは輸送条件が非常に有利でありますから、軟弱なものを中心にしていまなお非常に高い比率を占めているわけであります。でありますから、この新鮮な野菜を市民に供給するという意味が非常に大きい。これがやはり都市農業の第一義的な役割りだろうと思います。
それから第二は緑地的な意味でございますが、これは先ほどもお話がございましたように、農地も緑地として非常に大きな意味を持っている。一つだけ数字をあげたいと思いますが、東京の二十三区の農地面積は四十五年で三千七百六十六ヘクタールございますが、これは東京都の公園の面積の約四倍になっております。この農地と公園を合わせまして市民一人当たりどのくらいの面積になるかと申しますと、これは五・三平米にすぎません。これをニューヨークとかベルリンとかロンドンとかモスクワとかいう大都会の緑地面積に比べますと、四分の一ないし二分の一程度でございます。したがって、現在の二十三区の農地を全部保存しても、まだまだ緑地としては足りないということになります。ところが現在二十三区の農地は非常な勢いで減少しております。現在の減少のテンポが続くといたしますと、大体昭和五十五年ごろには全部なくなってしまうのではないかというふうになります。そういう意味で、この農地の維持、保存ということは非常に重要な意味を持っているといえると思います。
このほかにもう一つ、とにかく都市農業によって生活している農家が多数あるということ。これはもちろんその市民の数に比べれば少ないわけでありますが、しかし、たとえば横浜市あたりを見ましても、戸数にして一万戸以上の農家がございますし、東京二十三区でも八千数百戸の農家があるわけでございます。そういう農家がそれによって生計を立てているという意味も無視できないと思います。
こういうふうに都市農業は非常に重要な責務を持っているわけでございますが、それにもかかわらず都市化が進むとともにどんどん衰退してまいります。その原因は、都市化することによっていろいろな不利な条件が出てくるということで、その第一は高い地価だと思います。地価が非常に高くなりますと、もう農業をやっているなんというのはばからしいというような気分が出るということ、これは心理的な影響が非常に大きいと思いますし、また、規模を拡大しようと思っても地価が高くて拡大できないというような面もございますし、それから地価が高くなりますと固定資産税も相続税も高くなりますので、そのほうでもって圧迫されるという面もございます。
第二には賃金が非常に高いということで、しかも高い賃金でも人が雇えないというようなマイナスの条件がございます。
それからもう一つは、非常に住宅と農地が混在していわゆるスプロール状態をしておりますので、スプロールに原因する水の汚染であるとかその他いろいろな公害が起きて、農業が非常にやりにくいということがございます。
こういうような悪い条件のもとで都市農業が続けられておりますが、それを続けている農家を見ますと、いろいろくふうをしております。軟弱野菜とかあるいはセロリというような、非常に高度の技術を要する野菜を選んで栽培するということ。あるいは花とか植木などもやっております。非常に集約的にやっているということ。それから家族労働力をフルに使って周年栽培をする。つまり年に数種類の野菜を選んで、それを十回も二十回も高速回転させていつでも労力を消化できるような体制をとっているというようなことをしております。
こういうような努力をしているにもかかわらず、一般的に申しますと、都市圏内では、都市的な土地利用による収益、まあこれを都市地代といってもいいかと思いますが、そういう都市地代に対して、農業的な土地利用による収益、これを農業地代とかりに申しますと、都市地代に対して農業地代で対抗することは一般的には困難でございます。でありますから、都市農業を推持、存続させるためには、都市圏内の農地に対しては、緑地の公共的な価値というものを認めて、まあこれをかりに緑地地代ということにいたしますと、緑地地代というようなものを認めて、この公共的な価値に対して国とか自治体というものが何らかの形でもって援助をするとか補助をするというようなことが必要ではないかというふうに考えます。
都市農業について私はこのように考えるわけでございますが、そういう考えに基づいてこの生産緑地法案を見てみますと、こまかいことはいろいろ問題があると思いますが、私は二つだけ申し上げたいと思います。
その一つは、生産緑地に指定された農地には宅地並み課税を免除する、そして農業を続けさせるということでありますが、そういう法律をつくるということは、裏から申しますと、指定されない農地には宅地並み課税をするのだということ、そして宅地化を促進する、そういう意味を持っていると思います。
現在、大都市圏内の市町村では、いろいろな条例などで農業緑地制度というようなものを設けて、一たん徴収した税金を一部農家に還付している例が多いわけでございます。それでもって都市農業はようやく息をついているということでありますが、市町村は財政が苦しいわけでございますから、こういう法案が成立いたしますと、自治体としてはこの機会に条例を廃止しようとするような動きが出るのではないかというふうに考えます。それも、都市圏内の農地の大部分が生産緑地の指定を受けられるのであればたいした問題にはならないわけでございますが、この生産緑地の指定要件と土地利用制限がかなりきびしいものでございますので、実際に適用を受ける農地というものは相当限定されるのではないか。そういたしますと、適用を受けられない農地が相当出てくるということになります。その適用を受けられない農地に対しては、自治体の農業緑地制度のようなものが廃止されますと、宅地並み課税がそのままかかってくることになりますので、これは都市農業を破壊してしまうといってもいいのではないかと思います。これが私の第一の心配の点でございます。
それから第二は、いま申し上げたような問題がないといたしましても、この法案の第一条にうたわれております目的、つまり「農林漁業との調整を図りつつ、良好な都市環境の形成に資する」というこの目的を達成するのには、単に宅地並み課税を免除するというようなことでは不十分であって、もっと積極的に都市農業を発展させるための施策というものが盛り込まれなければならないのではないかというふうに思います。特に農地の団地化をはかるというような点が非常に重要ではないかというふうに思います。やはり農地というのは、住宅と混在しているということによって、住宅も困り農業のほうも困るという状況があるわけでありますから、はっきりと区別をして団地化をする、そういうことが大切だ。これは非常にむずかしいわけでございますが、それを避けて通ったのでは、都市農業の基盤である生産緑地は確立されないだろうというふうに考えます。
したがって、そういうような点からこの法案を見ますと、私といたしましては、たいへん不十分である、そういうような感じを持つわけでございます。
これで意見開陳を終わります(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/8
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009・松野幸泰
○松野(幸)委員長代理 次に、吉田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/9
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010・吉田和雄
○吉田参考人 全国農協中央会の吉田でございます。いま提案されております生産緑地法案に対する意見を簡明率直に申し上げたいと思います。
まず、私ども系統農業協同組合といたしましては、基本的な態度として、この法案が私どもの要請を取り入れられ、所要の修正及び問題点を明確にした上で可決、成立することを強く望むものであります。そして私どものこの基本的態度は、御案内のように、昨年の四月に市街化区域農業の宅地並み課税の法律が強行されたおりに、「市街化区域内の農地については、その実態にかんがみ、都市計画法に基づく生産緑地の制度を創設し、一般の農地と同様の税負担とするよう検討すること」「生産緑地の制度を創設し」という附帯決議が全部の政党の賛成によって行なわれたということの趣旨と、私どもの基本的態度は一致しておるというふうに存ずるものであります。
さて、先生方が御承知のように、この法案が国会に提案されるまでの間におきまして、四十四年の新都市計画法審議以来いろいろの経過があったわけであります。そして残念なことには、この経過の中に占める大部分のものは、政府当局に対する農民の不信がますます積み重なってきたと言っても過言ではないと思います。その一々をあげますと非常にいやみになりますので、ここでは申し上げられませんけれども、そういう状況であります。
私ども系統農協としましては、従前からこの農民と政府との間の不信を幾ぶんかでも緩和させたいということで、都市と農業との共存をはかるべく農住都市建設計画を打ち出しまして、これを実行をいたしております。そしてこの農住都市につきましては、その法制的な整備を含む政府の一そうの積極的な施策をずっと要請をいたしてきたわけでございます。しかしながら、きわめて遺憾なことには、いまだこれがほとんど日の目を見ていないという事実でございます。
私がこのようなことを申しますのは、今日この法案を廃案としたほうがいいとする意見があることは、先ほどの参考人の御意見でも御承知のとおりでございまして、その廃案という意見の根底には、以上述べました政府当局の施策に対する農民の不信という心情があるということをあえて申し上げる次第でございます。しかもこのような心情的なものだけでなくて、現実の問題といたしまして、この法案は、御承知のように、対象地域なりあるいは面積要件なりをきびしく規制をいたしております。したがいまして、この法律が成立、実施されることによりまして、いませっかく大都市圏の市町村の約六〇%が、御存じのように、農業緑地保全条例等によりまして実施しております生産緑地などに対する奨励措置、これが廃止されるのではないか。廃止されると現状より非常に改悪になるというようなことに対する危倶なり不安なりが農民の間にあることは御承知のとおりでございます。したがいまして、この際国会の審議を通じまして、このような不信、不安、こういうものが明確に解消されますように特段の御配慮をお願い申し上げたいと申います。
それでは法案内容の個々の問題につきまして、さらに意見を開陳をいたします。
まず第一に、このことは法の目的にも関連することでありますけれども、あまりにもこの法案が都市サイドに片寄り過ぎておるということであります。農業というものの存在がどうも軽視をされておるんではないかというふうに私どもは感ずるのでございます。
このことにつきましては、法律理論的な体系から言いますと当然だという理論もありましょうけれども、しかしながらいまは、新都市計画法が成立をいたしました四十四年当時とは、御承知のように全く経済事情が変わってきております。言うまでもなく、昨年の夏におけるアメリカの大豆の輸出規制、それに引き続きます石油危機というようなことによりまして、わが国の経済は根底から動揺をいたしております。すなわち、それはどういうことかと申しますと、いままでのように、ドルがたまり過ぎまして輸入農産物が安い価格で思うように手に入るという時代はすでに過ぎ去ったのでございます。たとえて申しますと、国民の主食である米につきましては、いまアメリカの加州米を輸入するといたしますと、実にトン当たり約二十二万円につきます。これは国内産の生産者米価の約十七万円の約三割高でございます。また小麦につきましても同様に、輸入をいたしますといまトン当たり約八万円につきまして、国内産の小麦の価格の約一割高でございます。しかも高くても手に入るならけっこうでございますけれども、今後の状況といたしましては、これらの農産物が手に入りにくいという状況が、気象条件あるいは国際的な農産物の需給の状況から見まして見通されておるという状況であります。したがいまして、新都市計画法が制定されました当時は、都市農業なんかはむしろ切ってしまえ、国際分業論でやれというのが世間一般の世論でございましたが、いまはこれは全く違うわけでございまして、都市の農業といえども、かつての切り捨て論はいま常識としては通用しない時世でございます。
そういうことから考えますと、特にこの法案に書かれております第一種生産緑地、これは永久農地として考えられておるようでございますけれども、ここ第一種生産緑地につきましては、市街化区域以外の農村地域と差別のない農業施策を導入するということは、現在の状況から見て当然であると思います。そういうふうな施策の転換を行なう必要があるということを特に申し上げておきたいと思います。
第二に申し上げたいことは、この法案では、第二種の生産緑地の設定の際におきまして、対象区域なり、あるいは指定面積なり面積要件なり、こういうことにつきましては上のほうからきわめて画一的に規制をされている点でございます。われわれは、こういう点を修正をしていただきまして、池田参考人も申し上げましたけれども、原則的な基準だけを法律では示し、実際にあたりましては、地域の実情に即しまして市町村の認定にゆだねるようにしていただきたい、そういう弾力性を持たしていただきたいということでございます。このように弾力性を持たしませんと、実際には生産緑地であるという条件を備えながら、第一種生産緑地にも第二種生産緑地にも適合しない宙ぶらりんの農地ができまして、これが必ずあとで問題の火種になるというふうに考えるのでございます。また何よりも、東京におりましては地域の実情というのはわからないわけでございまして、その地域に住んでいる人が一番よく知っておるわけであります。したがいまして、地域の住民の代表者を入れた生産緑地審議会というような市町村長の諮問機関を設けまして、その議を経て市町村長が、開発行為とは一体どの程度の範囲のものを示すのかというようなことにつきまして認定をするということが最も常識的であり、妥当なやり方であるというふうに思います。
第三の点につきましては、指定期間の中途でありましても、たとえば農家が共同いたしまして農住団地をつくる場合のように、秩序ある自主的な開発を進める場合におきましては、市町村に対する買い取り申し出等の行為の段階を経なくてもこれを認めるということにしていただきたいわけであります。
このことはどういうことかと申しますと、農業者は土地を手放すということにつきましては非常に抵抗感があります。ですから、十年を経たら全部買収をされてしまうんだということにつきましては非常に抵抗があるわけであります。したがいまして、農住団地方式と申しますか、所有は移転しないで賃借でやっていくというような自主開発を進めることが施策としても最も賢明であるということを考えるわけでございます。
第四の点は、ややこまかい問題のようでございますけれども、なかなか重要な問題でございまして、生産緑地内の土地を買い取る場合は、私どもの要請といたしましては、公示価格でなく時価にしていただきたいということであります。この時価とすることは、都市緑地保全法など他の法律を見ますと、これは時価となっております。これは同様の趣旨の法律でもございますので、その間のバランスをはっきりとっていただきたいということでございますし、何よりも農業者にとりましては、生産緑地に指定されたために何か損をするんじゃないかというような感じを持たれることは、まことに施策として得策でないということを考えるわけであります。
以上申し上げましたのは、私どもが要請をしておりますおも立ったところでございますけれども、冒頭に申し上げましたように、現時点におきまして農民は、この法案に対しまして一面では期待しておりますが、一面では非常に不安のまなざしをもってその成り行きを注視しております。したがいまして、この際、法案の不十分な個所は、先生方の御勇断をもちまして修正をするなど、いままでうっせきをいたしました不信、不安をこの際ひとつ取り除いていただきたい、そしてあとくされがないようにりっぱな法律をつくっていただきまして、この国会で通していただきたいということを最後に念を押しまして申し上げまして、私の陳述を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/10
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011・松野幸泰
○松野(幸)委員長代理 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/11
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012・松野幸泰
○松野(幸)委員長代理 これより質疑に入ります。
なお、質疑の際には参考人を御指名の上お願いいたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します、中村茂君。
〔松野(幸)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/12
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013・中村茂
○中村(茂)委員 ただいまは、それぞれの参考人の方から、これからの法律の審議にあたって非常に有効な御意見をお聞きしましてありがたく思っております。
そこで、簡単でけっこうですけれども、全部の参考人の方にひとつお聞きしたいというふうに思うわけでありますが、この法律は、宅地並み課税が実施になって、これに対応して生産緑地という形で出てきているわけでありますが、いまのところでは、三大都市圏のA、Bがそれぞれ宅地並み課税にかかっていくという段階的になっているわけでありますが、C農地、それから三大都市圏以外の市街地につきましては、五十年末までに実はその取り扱い方を検討することになっているわけであります。そこでお聞きしたいというふうに思いますのは、C農地そのほかのところについて宅地並み課税をこれ以上広げるべきではない、または広げてもいい、その御意見を全部の参考人の方から、簡単でけっこうですからお聞きしたいというふうに思うのですが、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/13
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014・池田斉
○池田参考人 宅地並み課税は、われわれはA、Bにつきましても賛成をしなかった問題があるわけですので、ましてC農地まで適用するということにつきましては、ひとつぜひお控えを願いたいということで今後の立法に注意をしていただきたい。
ただ一つ申し上げたいのは、この問題、私、修正で賛成と申した場合に、そのC農地、いまの三大都市圏以外におきましても、現在市街化区域であるために、これは農林省の政策にも基づきますが、いわゆる農業施策、たとえば融資一つにつきましても、制度融資は適用にならないというような問題がございますので、この法案は全地域に及ぼすべきである、こういう考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/14
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015・梅原昭
○梅原参考人 宅地並み課税についての政府の考え方というのが、そもそも都市において農業や農地というふうなものはあまり必要じゃないんだ、むしろ宅地にどんどん切りかえていったほうが都市の発展のために役に立つんだ、こういう考え方が前提になって発足をしたわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、もはやそのような高度経済成長政等を推進するような農地の宅地化推進というのは時代おくれであるということが、すでに自治体における生産緑地制度で証明をされておるというふうに考えておるわけであります。したがって、現在きわめて限定された市街化区域の全農地から申しますと、さっき触れましたように、わずか五%にしかすぎないわけでありますけれども、それでさえもごめんだということで自治体で生産緑地制度をつくっているわけでありますから、ましていわんやこれを拡大するというふうなことは全く論外であるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/15
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016・佐藤昌
○佐藤参考人 私は、先ほど申し上げましたように、緑地の位置づけというものを重要視しておるわけでございまして、A、B、Cに現在分かれておるCは、面積なり位置なりにおいて重要なものであれば宅地並み課税を排除すべきである、しかし一般的にはC農地は課税除外から排除すべきである、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/16
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017・山崎不二夫
○山崎参考人 私、都市農業というものは都市にとって絶対に必要なものだというように考えておりますので、その宅地並み課税は都市農業を破壊するというふうに考えますから、C農地にもかけるべきではないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/17
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018・吉田和雄
○吉田参考人 池田参考人と全く同様でございまして、拡大することについては賛成できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/18
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019・中村茂
○中村(茂)委員 ありがとうございました。
そこで、まず池田参考人にお聞きしたいと思いますが、先ほどいろいろ意見を述べられた中で、答申にあたって、審議委員の一員として御参加されたというお話でありますが、この答申の前書きにも書いてありますように、いえば生鮮食料品、特に野菜、この面についての補給基地としての意義づけをするということが出ているわけでありますし、それからお聞きするところによれば、そういう生鮮野菜についての意義づけをした上に立って、この法律でいっている二種のような扱いを何とかできないか、こういう少数意見のあったということも聞いているわけでありますけれども、先ほどのお話にありますように、そういう前書きがあるにもかかわらず、今度の法案の中にはそういう趣旨が出ていません。したがって、この答申を出す際に、いろいろ御意見があったと思いますけれども、どんな形で法案の中へそういう意義づけと形を入れていくというようなお考えがあったのかどうか。というふうに私が特に御質問を申し上げますのは、前書きのほうには、そういうふうに答申の中に書いてあるわけでありますけれども、そのほかの、創設とか地区のきめ方とか、そういうのは具体的に答申にも実は出ていないわけであります。そこで、そこら辺のところを、簡単でけっこうですからお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/19
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020・池田斉
○池田参考人 先ほど申し上げましたように、私を含めまして農業に関係の深い委員が三名おりまして、一応この答申の中身について、この限界までは了承せざるを得ないのですが、言うなれば残されたものが必ず出るので、これは第二種の生産緑地に準ずる扱い方を暫定的に行なう立法を行なうべきではないか、こういう主張を実は操り返し続けたわけでございますが、これはどうしても都市計画法の改正というワクの中においてはなじまない姿のものである炉これが限界であるというようなことで、やむを得ずわれわれもそういう問題について一応引き下がって、そのかわり、こういう問題は国会の審議の過程において十分やっていただきたいという意味もございましたので、前文にそういう問題を明らかにしておく、こういうことで、無答申に終わるよりも答申をすべきだ、こういう立場でやった経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/20
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021・中村茂
○中村(茂)委員 もう一点、池田参考人にお聞きしたいと思うのですが、私の聞き違いかどうかわかりませんけれども、先ほど、答申の中にはないけれども、修正というような考え方で生産緑地審議会のような制度をつくってやっていくことのほうがいい、こういうお話でありましたが、それはいま私が申し上げましたように、答申の中にはそういう字句はあまりないのですけれども、考え方としては、論議の過程でそういう意見も出たりいろいろしたのか。それで、いまのお考え方で、やはり審議会等をつくって——これは、審議会にいかなければ部会のようなもの、こういうお話が先ほどあったわけですけれども、そこら辺のいきさつと考えのまとまっている点を、ひとつお聞かせ願いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/21
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022・池田斉
○池田参考人 先ほどもちょっと触れましたように、この規制につきましては、できるだけ基準を示して実際は市町村が具体的にその地域の実態に対応してきめていくというのが、一番その地域の農民の意識から妥当でございますので、ひとつこれは市町村に審議会をつくるということを私どもが審議会で主張いたしましたけれども、この問題はなかなか全体としていれられないということで、われわれは今回の修正という面の中でその問題をぜひ取り上げていただきたい。どうしてもこれがむずかしい場合には、従来の立法の中に、市町村にもこれをつくることが別の法律なり指導で行なわれることになっておりますから、せめてそこに生産緑地部会でも設置する、こういうことで解決を願えれば、やや地方の実態に即応する指定なり運営ができるのではないか、こういうふうに考えて申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/22
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023・中村茂
○中村(茂)委員 次に、梅原参考人にお聞きしたいと思います。
先ほどのお話で、自治体で現在実施している生産緑地制度、特に大阪を中心にしては一番進んでいると思うのですけれども、私がずっと検討している中では、大阪の周辺の自治体でつくっている緑地制度と東京周辺でつくっているのでは若干の違いがあるような気がしますけれども、大体同じ方向です。そこで、まだ制定されて間がありませんから、どの程度この条例によってそれぞれ指定を受けようとして申請されているのか、まだ軌道に乗っていないと思いますけれども、現在の実情と、どういうふうになっていくのか、一つの自治体でもけっこうですから、おわかりになっている点を現在の実情についてひとつ。それと将来どういうふうになっていくかという点について、できれば適用面積、それからその何%ぐらい、どういうかっこうになっていくというような点を中心にお話し願いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/23
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024・梅原昭
○梅原参考人 先ほど申し上げましたように、大阪の場合、ほとんどの市におきましては面積制限をやっておりません。面積制限をやっておらずに、とにかく都市農業としてきちんと耕作がされておるということを唯一の条件として、生産緑地に適用される資格を認めておるわけであります。そういういわば適格条件を持った農地の中で、どの程度が生産緑地として指定の申請を農民のほうから行なっておるか、こういうふうな御質問かと思いますが、お話ありましたように、現在それぞれの市において取りまとめ最中でありますので、きっちりした数字は申し上げられませんが、中間報告的なものになりますけれども、大体八割程度。市によりましてもっと多いところ、少ないところありますけれども、大体八割程度の農地が生産緑地として指定をしてもらいたい、こういうふうな申請を市に対して行なっておるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/24
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025・中村茂
○中村(茂)委員 八割という話ですけれども、もう少しこまかくお聞きしたいと思うのですが、この八割というのはA、B農地についてですか。それとも市街化になっているところ全体を言っているわけですか。その辺をちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/25
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026・梅原昭
○梅原参考人 先ほどもちょっと触れたと思いますが、自治体の生産緑地制度の適用対象にしておりますのは、まさに宅地並み課税が出たために、それに対する対応策として出しておりますので、現在宅地並み課税が適用されておる三大都市圏の中の市という名前のついた都市のA、B農地を自治体の生産緑地の対象にしておりますので、そのA、B農地の中の八割、こういうふうな意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/26
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027・中村茂
○中村(茂)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/27
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028・木村武雄
○木村委員長 浦井洋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/28
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029・浦井洋
○浦井委員 あまり時間がございませんようですから、簡単に各参考人に、最初に私から指名をさしていただいて、一括して問題を提起いたしますので、ひとつお答えを願いたいと思います。
まず最初に、池田参考人あるいは吉田参考人、どちらからでもけっこうでございますけれども、端的に聞きますけれども、いまのお話によりますと、修正するなり、あるいは問題点を明確にして成立させてほしいということでございました。逆にいえば、修正できないような場合、あるいは問題点がまだまだ残って農民の不安を解消できないような場合に、一体、農協中央会なり農業会議としては、どういう態度をとっておられるのかということを端的にお聞きしたいと思うわけです。それが質問です。
それから、佐藤参考人にお尋ねをしたいのですけれども、都市に緑地、なるべく広いオープンスぺースが必要だ、そういう中でさらにマスタープランが必要というようなお話をお伺いしたわけで、私も、緑地を広く残しておく、それを保全していくということは必要だという点ではあなたと同じ意見であるわけなんですけれども、しかし、いま他の参考人がいろいろ述べられましたように、この法案が成立するならばむしろ都市の中の緑地は減っていくのではないか、そういう御意見が多かったようにお伺いするわけです。といたしますと、佐藤参考人が願っておられる、広い緑地を残しておくという願いがかなえられない、そしてしかもなおこの法案には賛成だという点で、私は少し矛盾をしておるようにも思うわけでございます。そういう点で、具体的に農地を含めた緑地を残しておくには一体どのようにすればよいのか、もう少し首尾一貫した方法を教えていただければ幸いであるというふうに考えております。この点を質問したいと思います。
それから、山崎参考人にお伺いをしたいわけなんですけれども、いろいろと農業土木の上でうんちくを傾けていただいて、よくわかったわけでございますけれども、二つほど具体的にお尋ねをしたいわけです。
一つは、一般的に土地地代に対して農業地代は対抗できない、特に大都市周辺ではそういう傾向が顕著である、だから都市農業の、たとえばという表現だったと思うのですが、緑地地代というようなものという考え方を導入をして、もっと都市農業に対して国や自治体が援助をしなければならぬ。きわめて適切な御意見だと私思うわけでございますが、この点について、もう少し専門的な、しかも具体的な御意見をお聞かせ願いたいというふうに思うわけです。これが第一点。
それからもう一点は、都市環境の形成が、この法案のように、単に、それもできもしない宅地並み課税の免除というだけでは不十分だ、だからということで、もっと他のいろいろな措置を導入するのが当然だと言われて、特にそのときに農地の団地化をはかるということがきわめて大切であって、これはむずかしいけれども避けて通ることのできない問題なんだという御指摘がありました。これも私、全くそうだろうと思うのですけれども、それでは農地の団地化をはかっていくために、一体、先生は、どういうような具体的な措置が適当なのか、どういうお考えを持っておられるのかという点についてお聞きをしたいわけです。
他の参考人の方に対しましてはけっこうでございますので、この三人あるいは四人の方に、以上の点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/29
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030・池田斉
○池田参考人 これは、吉田参考人からもお話があると思いますが、私ども農業委員会の系統と農協が、皆さん御案内のように、七項目につきましてぜひ修正をして通していただきたい、実はこういう形でおるわけです。しかし、この中におきまして、どうしても法律を修正するということは困難であるというようなものも、実際問題は含まれておるような感じもいたします。したがいまして、そういう点につきましては、国会の審議を通して、行政上その運用を、われわれの意見の趣旨に沿うように、附帯決議なりいろいろな形を通して政府がそれを守るというような点があるいはあるのではないか。なお具体的には、これは全体の要望ですから、できれば国会においてできるだけ七項目のうち多数を、修正をしてそういう形でぜひあげていただきたい。したがって、これがだめな場合にどういう態度をとるかということでございますが、私どもはそういうことをいま考えておりません。何とかひとつこの七項目について修正、あるいは修正がどうしてもできないところは、附帯決議なりいろいろな形で政府にその問題を確約させる、こういうことで、いま不安に悩みながらこの問題をながめておる、三大都市圏ばかりではございません、全体の都市計画の市街化区域の農民を安心させていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/30
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031・吉田和雄
○吉田参考人 いま池田参考人の述べられましたことと全く同じでございます。賢明なる先生方でございますから、私どもの要望をいれて修正なり問題点をこの機会にひとつはっきりさせていただきたい。それがうまくいかないということは私ども考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/31
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032・佐藤昌
○佐藤参考人 私、緑地が広ければ広いほどよいということを申し上げたのでございますが、この制度がもしなかったとすれば、ますます農地あるいは緑地が減るということは当然だと思います。今回の法案が通りまして生産緑地が指定されるならば、それだけ緑は確保できる、こういう意味で申し上げたわけでございます。
その具体的方法をどうするかという御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、市街化区域でありますので、市街化の合理的な計画ができ上がって、それに基づいて緑が残されることが一番望ましい。その意味で先ほど、緑のマスタープランというものをつくるべきである、こういうふうに申し上げたわけで、これが一種の具体的方策だと私は思っております。その内容をどうするか、どの程度どういうふうに残すかというようなことは、これは建設省当局が行政指導なりによりましてその量を確保する、こういう施策を行政指導されることが望ましい、かように思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/32
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033・山崎不二夫
○山崎参考人 第一の緑地地代ということでございますが、このことばは適当かどうかちょっとわからないのでございますが、要するに都市圏内の農業はいろいろな都市圧のために非常に不利な条件でやっているということで、非常に努力をしても、その土地を貸し家にして使うとか、アパートにするとか、そういう土地的な利用からやられる収益にはなかなか対抗できないという事実があるわけでございます。それで、実際に農業を続けている農家を見ましても、その多くは農地の一部をさきまして、貸し家を建てて、都市的な地代をあげて収入をカバーしているというような農家も現実には非常に多いわけでございますし、それから、将来農業以外にどういうような計画を持っているかというような調査をいたしてみますと、農業以外に貸しアパートをやりたいというような農家がやはり五〇%前後あるわけでございます。ですからなかなか農業だけではやっていけないという現実がございます。ですから、一部の土地を売るとか農業以外に使うということ、これはつまり農業の規模を縮小させるし、農業のやり方に非常に無理がくるわけでございますから、できればそういうことなしに農業を続けることが望ましいと思います。そのためには、とにかく都市圏内の農地というのは、緑地としての価値、公共的な価値を果たしているわけでございますから、それに対して何らか国なり自治体で施策を講ずべきである。そのやり方としては、たとえば税金を下げるといういうようなやり方もあると思いますし、また土地改良、圃場整備を援助するというようなこともあると思います。その程度のことしか私は考えていないわけでございます。
それから農地の団地化の問題でございますが、これは農地と住宅が大体非常に混在している、スプロールしている状態がどこにも見られます。そういうような状態になりますと、住宅のほうは、農業のほうで農薬をまかれて困るとか、あるいは家畜の悪臭があるとか、あるいは鳴き声がうるさくて夜眠れないとか、あるいは作付しない時期にはほこりが立って困るとか、いろいろな苦情がございます。それから農業の側にいたしますと、畑の中にごみを捨てられて困るとか、飼い犬が入ってきて作物を荒らすとか、子供もいたずらをするとかいうようなことで、そういうような苦情は調べてみますと百項目くらいにあがります。ですから、そういう混在状態になっているということは、住宅側にとっても農業側にとっても非常に困るわけでございます。それをはっきりと区分をする、そういう意味で団地化が必要だということでございます。それで、たとえば数ヘクタールくらいの団地にいたしますれば、それは農業の生産基盤として整備するというようなことも非常にやりやすくなります。それが非常にこまかいとなかなかやりにくいという問題もございますし、また緑地としての機能も、やはりある程度の規模がないと発揮できません。たとえばいろいろな災害が起きたときの待避場所というような意味からいいましても、関東大震災のときの調査などから見ますと、三ヘクタールくらいないと役に立たないというようなことがいわれております。ただし非常に樹木が多い場合には、〇・七ヘクタールくらいでもかなり役に立つというようなこともいっておりますが、やはりかなりの団地として存在するということが必要だということでございます。そういうふうな点から考えますと、かなり広くして、そしてその農地の周辺はある程度樹木帯で囲むというようなことをすることが非常に望ましいと思います。
それでは、そういう団地化をどうやってやるかということでございますが、これは非常にむずかしいと思います。普通の土地改良法の適用ができるところでは、土地改良法に基づく区画整理をいたしまして、そしてそこで換地処分をするときに団地化が行なわれるわけでございます。したがって、市街化区域内の農地に対しても土地改良法が適用できるようにするとか、何らかのことを考えてやる必要があるというふうに思います。
かつて木曽川の下流の、つまり名古屋を中心とした地帯の調査をしたことがございます。その際に、どうやって団地化をしたらいいかというようなことを少し考えたことがございます。そのときには、とにかく都市化の始まっているような地帯でも農地の区画整理を認める、その際に保留地というものを相当広くとる、宅地にする場合にまず保留地から宅地化をすること、宅地への転用は保留地に対しては認めるという形にして、そしてそれが宅地になった場合の収入は農家へ分配することを許すというような措置をとれば、宅地と農地というものはさい然と区別されて、農地は農地としてまとまって優良な生産をあげることができるだろうというようなことを資源調査会の報告でもって述べたことがございますが、いろいろな方法があると思います。ただし非常にむずかしいから、思い切ってやらないとだめではないかというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/33
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034・木村武雄
○木村委員長 新井彬之君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/34
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035・新井彬之
○新井委員 きょうはお忙しいところおいでいただきまして、貴重な御意見を聞かせていただきまして、ほんとうにありがとうございました。私もまとめて御質問をしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。いままでで大体おもだったことは出ておりますので、重複するかもわかりませんけれども、御了承願いたいと思います。
初めに、池田参考人でございますが、生産緑地の審議会をつくって、今回の生産緑地法案が通りましたときには、そこで今後の都市計画の中で農地というものを明確に位置づける、そういうものをやっていかなければならないということで提唱されておるわけでございますが、この前からの建設委員会の質疑におきましては、都市計画審議会におきまして、その中にそういう代表の方が入っておられるので、十分そういう内容については意見が入るはずである、したがってあまり必要がないような答弁があったように思いますけれども、そういう面において、いままでの実情、あるいはまたもしもこういう生産緑地の審議会をつくらなかった場合においてはどのようになるかという、考えられることがありましたらお答えを願いたいと思います。
それから次に梅原参考人でございますが、生産緑地法案といまの自治体がやっておるところの違いというのは、面積制限にしましても、指定期間についても違いがあるわけでございますけれども、そういうような違いを直した場合において考慮する価値があるのかどうかということでございます。確かに土地利用制限のきびしさ、こういうものがございますけれども、こういう件について、もしこういうところを直すならという具体的な法案の中の条項において指摘するところがありましたら、お教え願いたいと思います。
それから佐藤参考人にお伺いをしたいわけでございますが、日本の国の緑地というのは非常に少ない、これはもういままでにも建設委員会におきまして何回も指摘をされてまいったところでございます。五カ年計画におきましてとにかく公園緑地をふやしていきたい、こういうことでありますけれども、現状からいろいろ考えましたときに、やはりなかなか緑地というものがふやしにくい。財政上の状況とかいろいろの状態等がございまして、できないような状況があるわけです。したがいまして、やはり緑地を残すということにおいては、この農地等がいまの環境をよくするために非常に役立っている。したがいまして、外国の例を引かれまして、大きければ大きいほどいいということはよくわかりますけれども、この日本の狭い国土の中にありまして、また人口集中している中にありまして、小さな農地においても非常に大事な緑地としての立場があるのではないか、こういうことを日本流に考えなければならぬのじゃないかということを思うわけでございまして、そういう件についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
それから山崎参考人にお願いいたしますが、先ほども集合農地のお話が出まして、集合農地は一定の面積というものが必要であるということでありましたけれども、都市の中にありまして農業というものが存在してきたということは、いままで水田ができておったものが、客観情勢からそういうことはできない。したがいまして、いろいろの要件を農業をやられている方が考えられて、軟弱野菜であるとか、先ほど先生からお話がありましたように、非常に効率化されたようないろいろなやり方においておやりになっている。したがいまして、〇・一ヘクタール程度の農地でありましても、年に六百万なら六百万という収入を得ているというような実例もあるようでございますけれども、そういうように都市化と農業というものが基本的に両立をしていかなければいけないわけですけれども、そういう面における問題点は何か。日本のそういう面における、もっとこういう政策をしなければいけないというところが抜けているんだというようなことでありましたらお教え願いたい、このように思うわけでございます。
それから最後に吉田参考人でございますけれども、今回の法律につきましては、期待と不安ということで皆さんがお考えになっているということでございますが、法案の中に明確にうたうということは一番いいことでございますけれども、それがうたわれない場合に、もちろん具体的にたくさんの項目が出ておりますからそれでいいわけですけれども、こういうことを明確にうたっていただきたいというような御提言がございましたら、その目的のところ、それをお教え願いたい、このように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/35
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036・池田斉
○池田参考人 政府のサイドにおきましては都市計画審議会がありますので、それに若干の農業側の利害関係者なり代表的なものも入っておるから、それでいいじゃないか、こういうことでございますが、やはり生産緑地法案は、なるほど一面都市計画のサイドからのいろいろな規制を含めながら生産緑地を認めていく、こういうことですが、もう一方におきましては、農政なり農業側からこれにもって積極的に接近をしていく、こういう問題が市町村の実態との対応において十分議論をされその意見が反映される、こういうことが望ましいわけでございますので、地域の指定をしたり、あるいは面積要件をきめたり、その他いろいろな規制を、法律に基づいてできるだけ弾力的にその地域で対応する。このためには、従来の都市計画審議会のワク組みでは十分でない。したがって生産緑地審議会をつくるべきである、もしそれがむずかしいならば、都市計画審議会に生産緑地部会をつくって、できるだけ農政の面から、この都市計画にどう接近をするか、その地域の実態を踏まえながらりっぱな生産緑地制度が施行される、こういうことを念願するものですから申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/36
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037・梅原昭
○梅原参考人 私に対する質問は、もし直すとするならばどういうことが考えられるか、こういうふうな御質問であったと思います。
私、こういうところに出ますと、いろいろな参考人が来まして、大体意見が一致しないのが通常でありますけれども、ずっと聞いておりまして、ただ一つの点について意見が一致したということを、私はこれはたいへんなことなんではないかというふうに思っております。その私が意見一致した、こういうふうに理解をしておりますのは、自治体でやっております生産緑地制度を、国のほうがたとえ法律をつくったからといって、自治体のものをやめてしまうというふうなことをすべきではない、こういう点については五人の参考人の意見が全部一致したというふうに理解をしております。言い方は少しずつ違いますけれども、たとえば公園緑地協会の佐藤さんの御意見も非常に興味深く伺っておったわけですけれども、公共緑地、民営緑地、いろいろ緑地はあるけれども、そういうものがそれぞれ相まって緑地としての機能を発揮するのであって、一つだけが必要であって他のものは必要でないというふうな考え方をとるべきではない、法案には賛成だと言っておられますけれども、内容的にそういうふうな指摘をされておられるということはやはり非常に大事な点でありまして、その点では意見が一致しておる。ここいら辺を当建設委員会でどのように今後審議をしていただくかというのはこれからの課題であろうかというふうに思います。
その点について私の意見を若干申し上げてみますと、法律によって、自治体がつくりました生産緑地制度、条例の場合もありますし、要綱という形をとっていることがありますけれども、これを法律の形で弾圧をするということは事実上できないことでありますから、せんだってこの建設委員会で都市局長が答弁しましたように、両方の制度、国の制度と自治体の制度というものは両立しないんだ、こういうふうな考え方で政府がもし進むとするならば、財政的手段によって自治体の生産緑地制度が成り立たないような手段を講ずるということが考えられるわけです。つまり地方交付税を算定する際の基準になります基準財政収入額なり基準財政需要額なり、そういうものを計算する際に、自治体が現在やっております、宅地並み課税を徴収するけれどもそれを助成金として返していくというのは、これは自治体がかってにやっておるんだから、地方交付税の算定の際にはこれに入れないんだ、こういうふうな立場をいまの政府答弁からするとやるだろうと思います。そこら辺を、はたして政府が答弁をしておるようにやらせるのか、そういうふうなことをやらせないのかということがこれからの一つの問題でありまして、私は政府の考えているようなことをやらせるべきではないというふうに思います。それが第一点であります。
それからもう一つの点は、先ほどもちょっと質問の中で触れられておりましたけれども、宅地並み課税が三大都市圏の中の市という名前のついているところのA、B農地だけに適用されておる現在でありますけれども、それでもなおかつ、宅地並み課税は地方自治体の実態に相反しておるということで自治体の生産緑地制度ができておるわけですから、ましていわんや昭和五十一年度から他の地域においても宅地並み課税の適用拡大をするというふうなことはさせるべきではない。いまの流れからしますと、その傾向が非常に強いわけでありますけれども、そこら辺をひとつ当委員会の審議において明らかにしていただきたい。
お願いをしたい点はその二つであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/37
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038・佐藤昌
○佐藤参考人 日本の都市における緑地が少ないことは御指摘のとおりでございまして、多ければ多いほどいいというふうに申し上げましたことは、まことに皆さん御同感のことだと思います。そこで、そういう際にどんな小さなところでも緑地を保存すべきじゃないか、こういう御意見のようでございますが、これも私、同感でございます。ただし、現実は私よく存じませんが、都市都市によっておのおの違うと思います。それからまた、小さいといいましても程度があると思います。また、もう一つは、先ほど来申し上げましたような位置の問題があると思います。したがいまして、私どもとしましては、将来生産緑地をやめてしまってそのあとが公共緑地になるというような場合には、公共緑地の近隣公園というものがございますが、あるいは児童公園、少なくともこういうものになり得る広さがなければこれは将来のためにはならない、かように思います。その意味でお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/38
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039・山崎不二夫
○山崎参考人 たいへんむずかしい御質問で、どうもうまくお答えできるかどうかわかりませんが、確かに〇・一ヘクタールくらいの面積から百万円くらいの農業所得をあげているような経営がかなり出てきております。そこで、そういう場合にはハウスとか温室とか装置化が進んでいるわけでございますが、しかしやはり狭いといろいろ無理が生じているということ。ことにたとえばハウスなんかでも、土壌の入れかえをしなければならないという問題もございます。その土壌をどこから取ってくるかという問題も出てくるし、かなり無理をしているということだと思います。しかし、とにかく野菜というようなものは水けがずいぶん多いわけで、それを遠くから運搬してくるというようなことは、本来からいえばあまり望ましいことではないので、地場で生産をしてい地元で消費をするというような体制が、国全体から見れば望ましいことではないかというふうに私は考えます。そういうふうになりますれば、高速道路とか新幹線とか、そういうような輸送体系というようなものもかなり考え直せるのではないかというようなことにもなるのでございますが、とにかく都会ではその周辺の農地で生産した野菜を消費する、そういうような体制をつくるべきであろうというふうに考えます。
それから、これもちょっとはずれるかもしれませんが、都会とその周辺の農地というものの間にはいろいろな循環が行なわれるべきだろう。市街地から出てくるごみというようなものをコンポストにして農地に戻して土壌の生産性を高めるというようなことが考えられないと、現在は非常に農地の生産力が落ちて、地力がなくなったということも重大な問題になっておりますので、そういうような観点も含めて都市農業あるいは都市の生産緑地というものを考える余地があるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/39
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040・吉田和雄
○吉田参考人 「目的」に「都市農業の役割りを重視し」というようなことを加えていただければ、申し分ないと思いますが、法体系上困難であるということであれば、附帯決議なり何なりにはっきりそういう点を明記していただきたいというふうに考えております。
要は、先ほど申し上げましたように、市街化区域につきましては、これも農林省は非常にけしからぬと思うのでございますけれども、何か放棄したみたいな感じを与えております。現実にも、市街化区域以外の農業と、助成につきましても融資につきましてもかなり隔たりがございます。そういう点に、都市農業というものをこの際見直してやはり力を入れるという点をはっきりさしていただければいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/40
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041・新井彬之
○新井委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/41
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042・木村武雄
○木村委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本案審査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。
次回は、明十日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01219740409/42
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