1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月十日(水曜日)
午後零時四十五分開議
出席委員
委員長 木村 武雄君
理事 天野 光晴君 理事 渡部 恒三君
理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君
理事 福岡 義登君 理事 浦井 洋君
梶山 静六君 中尾 宏君
野中 英二君 林 義郎君
大柴 滋夫君 佐野 憲治君
清水 徳松君 渡辺 惣蔵君
柴田 睦夫君 新井 彬之君
北側 義一君 渡辺 武三君
出席政府委員
建設政務次官 内海 英男君
建設大臣官房長 高橋 弘篤君
建設省計画局長 大塩洋一郎君
建設省都市局長 吉田 泰夫君
建設省住宅局長 沢田 光英君
委員外の出席者
建設委員会調査
室長 曾田 忠君
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本日の会議に付した案件
宅地開発公団法案(内閣提出第四三号)
建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七五号)
都市再開発法の一部を改正する法律案(内閣提
出第八一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01319740410/0
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001・木村武雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
去る五日本委員会に付託されました内閣提出、宅地開発公団法案、去る三月二十六日本委員会に付託されました内閣提出、建築基準法の一部を改正する法律案、去る四日本委員会に付託されました内閣提出、都市再開発法の一部を改正する法律案の三案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01319740410/1
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002・木村武雄
○木村委員長 まず提案理由の説明を順次聴取いたします。内海建設政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01319740410/2
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003・内海英男
○内海(英)政府委員 ただいま議題になりました宅地開発公団法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
近年における人口と産業の大都市集中に伴い、大都市地域においては、土地利用の混乱、地価の異常な高騰など土地問題が一段と深刻化しており、都市勤労者が住宅、宅地を取得することはますます困難になりつつあります。
土地問題を根本的に解決するためには、全国的に土地利用計画を確立し、これに即して公共優先の立場から土地の取引、利用にわたる規制、誘導を強化し、投機と乱開発を排除することが急務でありますが、同時に現下の地価上昇と宅地取得難の原因が基本的には宅地需給の不均衡にあること、特に大都市地域においては、今後人口と産業の地方分散を強力に進めたとしても、なお膨大な宅地需要が見込まれることにかんがみ、宅地の大量供給を促進することが緊急の課題となっております。
しかるに、現在、大都市地域においては、大規模な宅地開発事業の実施は、関連公共施設等の整備に伴う地方財政負担の増大、通勤難等の隘路に直面しております。
このような現状にかんがみ、当面する宅地開発の隘路の打開をはかりつつ、大都市地域における住宅地の大量供給をはかるための新機構が必要であると判断いたしまして、関連公共施設、交通施設等の整備を行なう権能を備えた宅地開発公団を設立し、大規模な宅地開発事業を行なわせることとした次第であります。
なお、大都市地域においては、日本住宅公団は、勤労者のための大量の住宅建設という重大な任務を持っておりますので、同公団が行なう宅地開発事業は、今後はその住宅建設用地の確保に重点を置くことといたし、新公団との業務の分担を明確にいたしております。
以上がこの法律案を提案いたしました理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。
第一に、宅地開発公団は、人口及び産業の集中が著しく住宅不足のはなはだしい大都市の周辺の地域において、住宅の用に供する宅地の大規模な造成を行ない、これとあわせて整備されるべき施設の用に供する宅地を造成するとともに、これらの宅地に必要な公共施設、交通施設等の整備を行なうこと等により、良好な住宅の用に供する宅地の大量供給と健全な市街地の形成をはかり、もって大都市及びその周辺の地域における住民生活の安定と福祉の増進に寄与することをその目的といたしております。
第二に、公団の設立に際しての資本金は五億円とし、政府がその全額を出資することといたしておりますが、建設大臣の認可を受けて政府及び地方公共団体の出資により、その資本金を増加することができるものといたしております。
第三に、公団に役員として、総裁、副総裁、理事八人以内及び監事二人以内を置くこととしているほか、非常勤の理事を置くことができるものとしております。
第四に、公団は、その目的を達成するため、土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業等により住宅地を造成し、管理し、または譲渡するとともに、これに関連して必要となる公共施設及び利便施設を整備することとしております。また、住宅地の造成とあわせて整備されるべき健全な市街地の形成のため必要な施設の用に供する宅地を整備することとし、工業団地造成事業、流通業務団地造成事業を行なうこととしております。さらに、公団は、みずから地方鉄道業または軌道業を行なうことができることとしております。
第五に、公団は、関連公共施設を整備する場合には、当該公共施設の管理者の同意を得てその工事を施行することができることとしております。この場合、当該工事にかかる国の負担金または補助金は、直接公団に交付することとし、地方公共団体は、工事の施行に要した費用から国の負担金または補助金の額を控除した額を公団に支払うものとしております。
第六に、関連公共施設の整備に要する費用のうち地方公共団体が公団に支払う支払い金及び公団が整備した利便施設を地方公共団体が譲り受ける場合の代金について地方公共団体が公団に支払うべき利子の軽減に資するため、公団に関連施設整備事業助成基金を設け、その運用により地方公共団体の財政負担の軽減をはかることとしております。
第七に、公団は、公団が造成した宅地を譲り受けることを希望する者が引き受ける宅地債券を発行することができることとしております。
第八に、公団は、業務内容に応じて建設大臣又は運輸大臣が監督することとしております。
そのほか、財務及び会計、関係大臣との協議、罰則等に関する規定を定めるとともに、日本住宅公団法その他関係法律の改正を行なうこととしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるよう御願いいたします。
ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
建築基準行政につきましては、国民の生命、健康及び財産の保護をはかるためその推進につとめているところでありますが、近時の建築物の高層化とその用途の複合化に伴い、大規模の建築物内で火災が生じた場合、重大な事態を引き起こす事例が再三見られるところであります。また、都市における土地の高度利用の進展に伴い、日照紛争その他の都市環境を阻害する事態が随所で発生しております。
このような事態に対処するため、既存の百貨店等に対して防火避難施設の整備を義務づけ、あわせて工事中の建築物の使用制限を強化するとともに、建築物による日影に関する基準の設定、第二種住居専用地域内における用途規制等の強化、建築協定に関する規定の整備等の措置を講じることが必要であります。
以上がこの法律案を提出する理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。
まず、建築物に関する防災対策の強化についてであります。
第一に、既存の百貨店、病院、ホテル、複合用途建築物、地下街等で一定規模以上のものに対して防火避難施設の整備を義務づけることといたしております。なお、構造上、用途上特別な事情がある場合には、建設大臣が防火避難上これらと同等以上の性能があると認める構造方法によることができることといたしております。
第二に、特殊建築物等を新築する場合またはこれらの建築物の増築等の工事で避難施設等に関する工事を含むものをする場合には、特定行政庁が安全上等の支障がないと認めた場合を除き、検査済み証の交付を受けたあとでなければその建築物を使用してはならないものとすることといたしております。
第三に、建築等をする場合または用途を変更する場合に建築主事の確認を受けなければならない特殊建築物の範囲を拡大することといたしております。
次に、都市における環境の整備保全と土地の合理的な利用の推進についてであります。
第一に、日照問題の解決に資するため、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、住居地域等内の中高層の建築物は、冬至の日の午前八時から午後四時までの間において、その敷地外に一定の限度を越えて日影を生じさせてはならないことといたしております。
第二に、第二種住居専用地域内の建築物の用途の純化をはかるため、建築物の三階以上の部分を店舗、事務所等第一種住居専用地域内において建築することができない建築物の用途に供してはならない等とするとともに、同地域内の建築物の容積率及び建蔽率の限度を強化する道を開くことといたしております。また、第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、住居地域等内の建築物の前面道路の幅員による容積率の制限を強化することといたしております。
第三に、建築協定制度について、土地の所有者による一人協定の道を開くとともに、建築協定の締結の促進をはかるための規定の整備を行なうことといたしております。
第四に、敷地内に相当規模の空地を有する建築物で容積率、高さ等について総合的な配慮がなされていることにより、市街地の環境の整備改善に資するものにつきましては、その建築を促進するため、所要の規定の整備を行なうとともに、第一種住居専用地域内におきましては、特定行政庁が住居の環境を害するおそれがないと認めた相当規模の空地を有する建築物について、十二メートルまで高さの限度を緩和することといたしております。
その他、建築物または建築物の敷地が建築基準法の規定による建築物に関する制限を受ける区域、地域または地区の内外にわたる場合における容積率、建蔽率、高さ等の取り扱いについて所要の改善措置を講ずることといたしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して一年をとえない範囲内において政令で定める日から施行することとするとともに、既存の百貨店等に対する防火避難施設の整備の義務づけについては、三年または五年の猶予期間を設けることといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
ただいま議題となりました都市再開発法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
最近における都市化の進展に伴い、大都市はもちろんのこと、地方都市におきましても、環境の悪化、災害の危険の増大、市街地内の住宅の不足等の都市問題がますます深刻化しております。これらの事態に対処するためには、各都市における既成市街地の再開発を積極的に推進し、公園、緑地、街路等のオープンスペースを十分に確保しつつ、中高層の耐火建築物を建設し、あわせて職住近接をはかることがきわめて重要であると考えます。
このため、既成市街地の再開発の一層の推進をはかるべく、公益性が高く、かつ大規模な事業を早急に施行するための手法を確立するとともに、主として関係権利者による計画的な再開発の実施を促進するために市街地再開発促進区域及び個人施行者の制度を新設する等の必要があります。
以上が、この法律案を提案する理由でありますが、次にこの法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、従来の権利変換手続による第一種市街地再開発事業のほか、用地買収方式による第二種市街地再開発事業の制度を新設することとしております。これは、公益性が高く、かつ、現行の権利変換手続では事業の実施が非常に長期化するような大規模な市街地再開発事業を早急に実施することを目的とするものでありますが、地区内に建設される再開発建築物に入居することを希望する関係権利者に対しては、その入居を保証することにより、関係権利者の保護につきましても十分配慮いたしております。すなわち、地区内の宅地の所有者、借地権者及び建築物の所有者は、再開発建築物の一部等の譲り受け希望の申し出を、また、地区内の建築物の借家権者は、再開発建築物の一部の賃借り希望の申し出をすることができるものとし、施行者はその希望に応ずるように管理処分計画を定めなければならないこととしております。なお、との第二種市街地再開発事業につきましては、地方公共団体または日本住宅公団等に限り、施行できるものとしております。
第二に、民間の旺盛な建築活動を計画的な再開発に誘導するための措置として、市街地再開発促進区域及び個人施行者の制度の新設、高度利用地区の制度の改正等を行なうこととしております。
まず、市街地再開発促進区域の制度の新設でありますが、これは、関係権利者による計画的な再開発の実施をはかることが適切と認められる市街地について都市計画に市街地再開発促進区域を定めて、関係権利者による再開発の実施を期待し、その後五年を経過しても再開発が実施されないときは、市町村等がみずから市街地再開発事業を施行するというものであります。なお、この促進区域につきましては、一定の建築物の建築許可、その不許可の場合の土地の買い取り、開発許可の基準の特例等を定めております。
次に、個人施行者の制度は、宅地の所有者または借地権者が、関係権利者の同意を得て、一人で、または数人共同して施行する市街地再開発事業の制度を新設するものであります。
さらに、高度利用地区の制度の改正につきましては、建築規制の項目に、建蔽率の最高限度及び壁面の位置の制限を追加して、街区内におけるオープンスペースの確保をはかることとしております。
第三に、その他の項目として、再開発建築物のうち関係権利者に対して与えられる部分以外の部分、いわゆる保留床を関係権利者に優先的に賃貸し、または譲渡する道を開くとともに、住宅金融公庫法の一部を改正して保留床の取得等について住宅金融公庫の融資対象の範囲を拡大すること、地方税法を改正して再開発建築物のうち関係権利者に対して与えられる部分、いわゆる権利床に対する固定資産税の軽減をはかること等、所要の改正を行なうこととしております。
以上がこの法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01319740410/3
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004・木村武雄
○木村委員長 以上で三案の提案理由の説明の聴取は終わりました。
三案に対する質疑は、後日に譲ります。
次回は、来たる十二日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01319740410/4
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