1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十九年四月十二日(金曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 木村 武雄君
理事 天野 光晴君 理事 渡部 恒三君
理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君
理事 福岡 義登君 理事 浦井 洋君
國場 幸昌君 田村 良平君
中尾 宏君 野中 英二君
林 義郎君 村田敬次郎君
井上 泉君 大柴 滋夫君
佐野 憲治君 清水 徳松君
渡辺 惣蔵君 柴田 睦夫君
瀬崎 博義君 新井 彬之君
北側 義一君 渡辺 武三君
出席国務大臣
建 設 大 臣 亀岡 高夫君
出席政府委員
建設政務次官 内海 英男君
建設大臣官房長 高橋 弘篤君
建設省計画局長 大塩洋一郎君
建設省都市局長 吉田 泰夫君
建設省住宅局長 沢田 光英君
自治政務次官 古屋 亨君
自治大臣官房審
議官 山下 稔君
委員外の出席者
農林省構造改善
局農政部農政課
長 関谷 俊作君
農林省農蚕園芸
局植物防疫課長 福田 秀夫君
農林省食品流通
局野菜計画課長 戸田 博愛君
自治省税務局固
定資産税課長 川俣 芳郎君
建設委員会調査
室長 曾田 忠君
—————————————
委員の異動
四月十二日
辞任 補欠選任
中村 茂君 井上 泉君
同日
辞任 補欠選任
井上 泉君 中村 茂君
—————————————
四月十日
地代家賃統制令の撤廃に関する請願(田中伊三
次君紹介)(第四二八三号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れに関する件
生産緑地法案(内閣提出第五六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/0
-
001・木村武雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、生産緑地法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/1
-
002・井上泉
○井上(泉)委員 まず委員長にお尋ねしたいのですけれども、私、きょう建設委員会のこの生産緑地法案の審議に参加したわけですが、「農地等」ということになっておるわけですけれども、やはり「農地等」と位置づけてこの法案を審議をしておると思いますし、そうすると、農地というものがどういう役割りを持っておるかということを考えてこの法案の審議をなされておると思うわけです。そうなりますと、これは委員長としてはベテランでありますので、こういう場合、生産緑地としての農地をこの法案でどういうふうにしていくということが目的と理解をしてこの審議に臨んでおるのかどうか。まず委員長の見解を承ってからこの審議に入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/2
-
003・木村武雄
○木村委員長 あなたのお考えのとおりに御質問をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/3
-
004・井上泉
○井上(泉)委員 お考えどおりにしても、その考えどおりに質問をするということになりますと、もうどんな質問でもして、それであとは多数で採決、こういうことになるのですか。間違った点があれば採決ということなしに振り出しへ戻る、こういうことも委員長としては当然考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/4
-
005・木村武雄
○木村委員長 私の仕事は、ここの委員会の運営を公平にやることでありまして、私がこういう考えを持っておる、ああいう考えを持っておる、こういうことになりますと、取り扱いに不公平が生ずるといけませんから、厳正公平にやるためには私は意見を述べない、それが一番正しいことだ、こういうように思いますから、どうかあなた御質問してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/5
-
006・井上泉
○井上(泉)委員 それは私は、ベテラン委員長として納得のできない御見解ですが、これは公平にやるというんでなしに、この法案に間違った点、誤りがあれば、その誤りというものが判明した場合においては振り出しへ戻るとかいうようなことは、やはり審議の過程の中で——ただ質問をするのを公平にやるとか、あるいは発言を公平にやるとかいうのが公平じゃないんですから、そういう理解でやられたら困るわけです。
これは提案者にお伺いをするわけですが、生産緑地という名前をかぶせても、これは農地には間違いがないわけでしょう。農地に間違いない限りにおいては、その農地を保護し農地としての価値を高める、それがこの法案の趣旨である限りにおいては、やはりこれは農林省の所管として取り扱うべきが当然だと思うわけですが、一体どうして建設省がこれを取り上げておるのか。この委員会で論議もされたと思うわけですけれども、私、初めてでありますので、その点についての御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/6
-
007・内海英男
○内海(英)政府委員 七十一国会におきまして、地方税法の一部改正の審議の過程におきまして、附帯決議を衆参両院の委員会でつけられたわけであります。その中で、都市計画の中でこの問題の処理を行なうべきであるというような意味の附帯決議がございましたので、それを受けて御提案申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/7
-
008・井上泉
○井上(泉)委員 なるほど地方税法の関係では、附帯決議で「都市計画法に基づく生産緑地の制度を創設し、一般の農地と同様の税負担とするよう検討すること」。このときの地方行政委員会における審議の経過は承知をしませんけれども、大体、附帯決議とかいうものをこんなにすばやく受け答えするということは、国会の附帯決議なんかで多く例を見ないわけです。たとえば私が関係をしておる農林水産委員会の林政振興に関する決議等に至っては、三年前にもう決議をしたものがいまだに実行されてないのに、この建設委員会のいわゆる生産緑地の法案については、附帯決議があったからこれを取り上げてこういうことになっておるわけですが、生産緑地というものについての取り扱い方というものを、都市計画の見地からこれを見るのか、農地としての見地からこれを見るのか、こう私は考えた場合に、やはり市街化区域内の農地というものは農地として見なければいかぬのだ、その私の考え方は間違いでしょうか。間違いであれば、それを農地とみなして市街化区域内における農地の活用をはかるという法律を制定するのが当然である。そうなれば当然農林省がこれを考えるべきだ、こう思うわけですが、その私の考え方は間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/8
-
009・内海英男
○内海(英)政府委員 御指摘のような考え方もあるかと思いますが、都市計画の中における市街化区域内の農地であるという限られた中における農地、しかも国会におきましての附帯決議、その他緑地保全法の審議にあたりまして、参議院の建設委員会等の附帯決議、さらに都市計画中央審議会の答申等も受けましてこういった形で提案をいたしたわけでございまして、農林省あるいは自治省とも十分な打ち合わせ調整の上に提案いたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/9
-
010・井上泉
○井上(泉)委員 あなたは、市街化区域の農地が現在どういう役割りを果たしておって、どういう現状になっておるということを掌握をしておるのでしょうか。しておるとするなら、その説明を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/10
-
011・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 全国の市街化区域の中に農地が約二十八万ヘクタールありまして、そのうち三大都市圏にA、B、C農地合わせて約十万八千ヘクタール、さらにその中でA、B農地が一万六千八百ヘクタールあるということでございます。市街化区域の中の農地でありましても、もちろん立地条件等から見まして、都市の生活における生鮮野菜の供給源等の貴重な価値もあるわけでございますが、一方では、何と申しましても市街化区域でございまして、原則としては市街化を促進する区域、そのためには調整区域との区分におきまして農林省とも十分調整を行ない、また県、市の段階でも十分その間の調整をはかって、原則として優良な農業団地はこれを市街化区域に入れないというようなことも配慮しつつ行なった場所でございます。市街化区域はそういう性格のものであるとともに、住宅、宅地の不足に対処するということも非常に重要な問題でありますので、その間の調整をはかりつつ、極力、その市街化区域の基本的性格に反しない限りにおいて、農地等も都市計画上積極的に意義づけ、それを相当長期にわたり保全したいというのが本法案のねらいでありまして、まさに市街化区域内における農業的利用と住宅、宅地等を主とする都市的土地利用、その調整をはかりつつ制度化したものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/11
-
012・井上泉
○井上(泉)委員 あなたは、市街化区域内の農地は、市街化区域の中に農地が割り込んだような考え方でこれをとらえておるのと違いますか。農地というものは昔からありて、その付近が市街化されていって、市街地は農地の中にできたわけなんですよ。このことは理解をしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/12
-
013・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 それはおっしゃるとおりでありまして、どうしても人口、産業が都市地域に集中傾向が強いものですから、都市側のほうが住宅、宅地等の新規開発という形で農地を転用していくという形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/13
-
014・井上泉
○井上(泉)委員 そのことば、農地の所有者、農業者は都市化における被害者である、このことはあなたもお認めになるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/14
-
015・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 都市に流入している人口、あるいは自然増、次第に世帯分離というようなことで膨大な宅地需要が生まれ、宅地問題が非常に大きな問題としてクローズアップしてきているわけでございまして、その面から見れば、どうしても必要やむを得ない都市の拡大、こう考えております。まあ受け入れ側の農民から見れば、いろいろな諸事情等から見て困るという場合もありましょうし、その点ではおっしゃる面も確かにないわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/15
-
016・井上泉
○井上(泉)委員 それは理屈はいろいろありましょう。理屈はありましょうけれども、結論的にはいま局長が言われたように、私は市街化区域に農地を持っておる農業者は被害者であるということは間違いないと思います。そうなれば、被害者に対して加害者側が救済措置、補償措置、しかるべき措置を講ずるのは当然なことである。その当然なこととして、今度都市計画法によって生産緑地をつくって被害地の農地を守ろう、こういうことが法のねらい、要約するとそういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/16
-
017・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 この法案を提出した経緯は、附帯決議もございますが、端的に申して、昨年度から実施され始めました農地の宅地並み課税、これが契機になっていることはいなめないと思います。しかしながらこの法律は、やはり都市計画の制度として意義づけられるように、その要件、規制内容等を定めまして、それで初めて市街化区域内における生産緑地なるものを都市計画上も評価する、こういうたてまえでありまして、その反射的効果として宅地並み課税をはずす、こういう仕組みでございます。したがいまして、直接的に農民あるいは農業を保護していくというような考え方が主ではなくて、主としてはやはり、農地等で民有地でありながら計画的に保全できるならば、市街化区域の中は何もすべて住宅、宅地で埋め尽くすばかりが能ではない、むしろそういったオープンスペースをできるだけ計画的に保全していくということも都市づくり上重要ではないか、都市に住む生活環境としても重要ではないかということが主の制度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/17
-
018・井上泉
○井上(泉)委員 何かあなたの説明を聞くと、市街化区域内の農地を都市計画法の中で保護することによってこの宅地並み課税というものから免れる、そういうふうなことが一つのこの法のねらいのようなことを言っておるわけですけれども、そんなことは何もこんな法律をつくらぬでもできることじゃないですか。農地として現存する限りにおいては、これは宅地並み課税として課するようなことのない措置をとる。何も生産緑地として都市計画法の中に組み入れなくてもそれはできやせぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/18
-
019・内海英男
○内海(英)政府委員 宅地並み課税をはずすということは、生産緑地に指定されたときの副産物みたいな形にはなるとは思いますけれども、都市化が進行する過程におきまして、適当な緑地も当然必要であるし、また農家の方々が農地としてさらに農業にいそしんでいきたいという趣旨も生産緑地として指定することによって生かされるし、将来、市街化区域である以上、市街化が進行するに従いまして、そのときになって公用地等の需要がふえてまいりまして、それに対応する意味におきましてもこの生産緑地を活用する、こういった一石二鳥ぐらいの意味のある内容で、十分全般のものを満たすとは言い切れないかもしれませんけれども、大体宅地並み課税も一応はずれる、農業をやっていきたいという方に対しても一応一定の時期やっていただけるような措置もとれる、さらに将来の公共用地としての目的もある程度確保できる、こういった意味から生産緑地制度というものは相当な評価ができる法案ではないかと私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/19
-
020・井上泉
○井上(泉)委員 それは提案者としては評価のできないような法案を提案する道理はないでしょう。ところが、提案する道理のない法案が、いま三つの利便をあげたわけですけれども、ねらいとするところはその第三番目のことであって、初めの一、二はほんの付録的なものではないか、こう思うわけです。
そこで、いわば生産緑地とは一体何をさすのかということは、「農地等」ということで包含をしておるわけですが、これは、農地なら農地、いわゆる林地なら林地、河川敷地なら河川敷地、こういうことにあるわけですが、どうして「農地等」ということで生産緑地を包含したのか、いわゆる肩がわりしたのか、それをひとつ局長に説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/20
-
021・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 「農地等」というのは農地が主でありますが、そのほかに採草放牧地、林業の用に供されている森林、漁業の用に供されている池沼、こういうことでありまして、宅地並み課税自体は農地だけの話でございますが、この法律は宅地並み課税を背景としつつも直接的には都市における緑を保全したいということの一環でございまして、おっしゃるような、純粋な樹林地、良好な景観を持っているような樹林地につきましては、先国会成立いたしました都市緑地保全法というもので規制しつつ保全するというような制度が別途できております。ただ、そのときにも議論がありましたが、農地も、広い意味のオープンスペース、あるいは作物が植わっている限りにおいて緑があるわけでございますが、これはどうもそれ自体で良好な自然環境を形成するというような定義に当てはまらないというところから、その都市緑地保全法でも対象外となっておったわけでございます。
ところが、いろいろ先国会来の御審議によりまして、そういう生産されつつある農地等であっても非常に都市環境上意義づけられるものがあるではないか、そういうものをすべてつぶしたときの都市の形態というものは、オープンスペースも非常に足りないし、いい町づくりとはいえないのではないか、こういう御指摘があり、そんなこともありましてああいった附帯決議にもなったものと私ども理解しておるわけであります。そういう意味で、従来の緑地保全のための都市計画の制度になかったもの、足りない面、つまり生産されつつある広義の緑地というものを生産緑地として新たに取り上げて、これを都市計画上も保全すべきもの、そしてその反射的効果として宅地並み課税は適用しない、こういうことを考える必要がある、こういう経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/21
-
022・井上泉
○井上(泉)委員 あなたの説明は、私は頭が悪いかしらぬがなかなかわからないのです。理解が非常にしにくい。この法案そのものも非常に専門的な勉強でもしてないとわからぬぐらい私には理解のできない法律で、この生産ということをあなたはどう定義づけておるのか。それと、いわゆる生産緑地という場合における生産とは何をさしておるのか。このことを説明してもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/22
-
023・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 農業とか採草放牧とかあるいは水産業とか林業、こういう物を生産する、それを考えておるわけで、それをやりながら同時に緑地である、こういう両者の性格を兼ね備えたものを生産緑地と考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/23
-
024・井上泉
○井上(泉)委員 それでは何もこの生産緑地というのはこの法律で規定する範囲のことではなしに、たとえば、そこのところの国会の中における庭木を植えてあるところ、これも生産緑地と理解をして間違いないでしょうか。それとも、さらにはまた、この区域から離れた農地等について、稲作あるいは野菜作物、そういうようなものをやっているところもやはり生産緑地、こういう考え方であなたの言われておるこの生産緑地というものを理解をしておっていいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/24
-
025・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 建物の境域内にある庭木のようなものは、それ自体が生産しているというものではありませんので入りません。しかしながら、苗木等を育て、そして分譲しておられるような、こういう業態の苗木の育成というようなことは当然生産に入ります。それからもちろん田、畑、すべて入るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/25
-
026・井上泉
○井上(泉)委員 生産がなければその土地が緑地としての効用は発揮をしないわけでしょう。これは理解できるところですが、そうすると緑地として効用を発揮するためには生産が伴わなければいかぬ、その生産をするところがいわゆる市街地の農業地域である。その市街地農業地域の持っておる役割りというものは、これは政務次官、も言われたように、非常に重要である。それからあなた自身も認められておることですが、これをいわゆる生産緑地として位置づけて考える場合には、この農作物の生産というものを担当しておる役所は一体どこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/26
-
027・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 これはもちろん農林省でございますが、この法案の作成にあたりましては、十分農林省ともお打ち合わせをし、またこの直接のもとにいたしました都市計画中央審議会の答申におきましても、農業関係の方も入っていただき、また農林省も入っていただきまして、十分審議を尽くした結果のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/27
-
028・井上泉
○井上(泉)委員 それは十分審議は尽くしたでしょう。それは尽くしてないとも言いません。ないとも言わないけれども、市街地における農地を生産緑地として保護しようということになっておるならば、私は農林省にお尋ねしますが、現在、市街化地域におけるそういう生産緑地として建設省のほうで考えておることについて、これは農政課長のほうですか、芝田参事官ですか、どちらでもけっこうですけれども、生産緑地として市街地の農地を生かしていくということについて、農林省はどういう見解をとってこれに対処してこられたのか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/28
-
029・関谷俊作
○関谷説明員 農地という概念につきましては、ただいま都市局長のほうからお答えございましたように、現実に農業生産の用に供されている土地でございますが、それが今回の生産緑地制度では、都市計画の制度としまして都市の良好な環境の形成に資する、そういう観点からその機能を認められて都市計画の制度として今回の制度が提案された、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/29
-
030・井上泉
○井上(泉)委員 農林省としては、その市街地の農地というものに対して、農地をどういうふうにしようと考えておられるのか。建設省の関係で市街化A地区、B地区、C地区というような形で線引きがなされ、そして、またここに生産緑地の法案が出てくる。大体、農林省のほうが、市街地における農地というものをいわゆる農業生産上どう位置づけてこれに対処しておるかということ、これが私は重要なことであって、こんなに建設省に市街地の農地だからといってお世話にならなければいかぬようなことは、これは役所として、担当の役人としては恥ずかしゅうないか、こんなふうに思うわけですが、それはいささかも恥ずかしいとも思わないのか。非常に残念だけれどもしようがないと考えておるのか。ひとつそれについての見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/30
-
031・内海英男
○内海(英)政府委員 私のほうからちょっとお答え申し上げたいと思います。
都市計画法に基づきまして市街化区域と市街化調整区域の線引きをやりましたことは御承知のとおりだと思いますが、その市街化区域にきめ、あるいは調整区域にきめる段階におきまして、農林省あるいは関係の地方公共団体等も十二分の打ち合わせの上に線引きを行ないまして、市街化区域と調整区域をきめたわけでございます。したがいまして、市街化区域内にある農地、これにつきまして今回生産緑地という制度を設けて、都市計画の中における市街化区域の中の農地を生産緑地としてこういった制度の中で指定していこう、こういうことでございまして、市街化区域は、その線引きの段階におきまして、将来市街化されるべき地域というふうにきめた地域でありますから、これは将来市街化区域の農地は市街化されていくべきものであるという前提に立っての都市計画法による線引きであった、こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/31
-
032・井上泉
○井上(泉)委員 そうでしょう。それはそうだからこの法案は建設省から出しておると思うのですが、私はそのあなたの、つまり建設省の前提が気に入らないわけです。市街化区域内の農地は将来市街地になるということを前提としてこれを計画するということは、まさに田中総理が三十万ヘクタールの農地を宅地に転用するということを言ったこと、それが方々で世論の追撃があったがために、これにすりかえてやっておる、こう考えても間違いないのじゃないかと思います。
その市街化区域の中の農地を将来市街化区域として考えるということは、これは私はたいへん間違いだと思うわけです。これはいま真実を政務次官は申し述べたのでありまするから、私はその真実というものは、これからの日本の市街地域の農地というもののあり方をそういう形でやられるということは、これは市街地の農民としても耐えられないことであるし、さらにまた市街地に住居しておる市民としても耐えられないことであり、いまここに市街地の農地こそ守らないかぬのに、この生産緑地というかっこうのいい法律で、守るような形はとっておって、表では守るようにして実際は市街地にしていくというそういうやり方というものは、これはちょっとずるっこいやり方じゃないですか。これはそのことばが当てはまるかどちかわからないですけれども。もっと市街地の農地としての役割りを発揮さすような方向で農地というものを守っていくという、私はそういう姿勢というものが必要でないかと思うわけですが、それについて政務次官の考え方と、そしてその政務次官の考えと同時に、あとでも前でもいいですけれども、大体農林省が、もうここで線引きされたから市街化区域の農地はかまっちゃおれぬと、こういうことでいわゆる農政の対象から市街化の農地はもう放棄をしておる、こう言われるのかどうか、そういう姿勢でおるのかどうか、そのことを承りたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/32
-
033・関谷俊作
○関谷説明員 市街化区域内の農地についての考え方でございますが、いわゆる線引きということがございまして、市街化区域を区分する、こういうことになっておるわけですが、その意味合いと申しますのは、先ほどの御質問にもございましたように、都市が形成されていく場合に秩序ある都市化をはかるということで、農林省も参画いたしまして、このいわゆる線引きというものを行なうについては、長期的な意味合いでここは市街化を進めていくところである、そうでないところは市街化調整区域に区分するこういうことで、将来を見通しまして、期間の問題としてこの農地の扱いをどう考えるか、こういう考え方からいわゆる線引きをいたしたわけでございます。したがいまして、線引きされた市街化区域内にあります農地は、長い目で見ますと、これは都市化というか、計画的な市街化をはかるべき地域内にある、こういう性格を持っておりますので、その農地についての考え方としましては、長期的な効果を持つような農業投資でありますとか、そういう対策を行なうのは非常に適当でない。しかし、短期と申しますか、現実にそこで農業生産が行なわれておる、農家の方々が生産活動を行なっておるという関係で必要な施策は、これは市街化区域にあるからといって行なわない、こういうことではございませんので、いろいろ価格対策とか流通面の問題、それから家畜の衛生、植物防疫、その他の対策につきましては、農業経営の維持、改善、こういう関係での対策は市街化区域内農地についても行なってまいる、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/33
-
034・内海英男
○内海(英)政府委員 都市計画法に基づきまして調整区域と市街化区域の線引きを行ないました際には、先ほども申し上げましたとおり、関係省庁あるいは地方公共団体とも緊密な話し合いの上に線引きを行なったわけでございまして、なぜそういった線引きを行なわなければならなかったかということにつきましては、先生も御承知のとおり、著しい大都市周辺における人口の急増、それに伴う住宅宅地の不足、こういった観点から、将来この地域は当然市街化されて都市計画の中における市街化区域になるであろうという観点に立って、十分な検討の上に行なわれた市街化区域でございまして、その中でさらに農業を当分の間やっていこう、あるいはお茶とかその他特産物を生産をしておるというようなものにつきましても、これは相当長期間にわたって保護していかなければならない。そしてさらに緑地としての都市計画の中における効用、環境保全といった意味の効用にも資していきたい、こういう多方面からの目的にかなうような制度として編み出したのがこの生産緑地制度でございまして、どこまでも都市計画法に基づく市街化区域の中における緑地をある程度守っていこう、それに加えて農業生産も、当分の間、相当長期にわたってやっていただこう、こういう意味合いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/34
-
035・井上泉
○井上(泉)委員 いまの御答弁は前の答弁とは若干変わってきておるわけですが、しかし市街化区域内の農地というものは、将来農地としての機能を発揮する、いわゆる生産緑地としての、農業生産物を生産する農地としての場所というものを失わしめていくという方向にあるということは、これは間違いのないこの法のねらいだ、私はそう思います。それはいままでの政務次官の答弁の中にも出ておりますし、また農林省の当局も、長期的にはそういうふうなところの農地についてはかまってはおられない、しかし短期的にはめんどを見る、こういうことを言うておるわけですから、短期的には農地としての存在は認めるけれども、長期的にはもう農地としての存在を認めた行政はやらない、こういうことになっておるわけですが、これはいろいろくどくど農林省、説明には及ばぬから、短期的には農地と認めてそれに対するいろいろな行政措置をやるけれども長期的にはやらない、そのことは、市街地の農地というものは、線引きされた段階でもう農地としての生命は絶たれたも同然である、こう理解をして行政を進めておる、こう判断をしていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/35
-
036・関谷俊作
○関谷説明員 市街化区域内の農地について現在の制度なり農林省の施策でやっておりますことは、結局、特例としましては、農地の転用許可というものは市街化区域内の農地については不要である、こういうことにいたしたわけでございます。その他の関係につきましては、いまお尋ねがございましたが、農業協同組合の形成でありますとか、農業共済制度、食糧管理法、その他農林省全般の制度につきまして、市街化区域内の農地であるからといってこれを農業施策とか農業制度の対象外にする、こういうことは一切いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/36
-
037・井上泉
○井上(泉)委員 それはさっきあなたは初めに、長期的には農地としての政策は行なわない、行政は行なわない、こう言ったでしょう。長期的には市街化区域内における農地というものはいわば見限っておる。短期はやっておるというからいいですが、長期的に見限っておるということは、もう市街化区域の農地は、将来は農地としての役割りを放棄をせざるを得ないような状態になるであろうということから、もう放棄をしておる、こう理解をしておっていいのかどうかということです。市街化の農地はもう農政の対象から将来ははずすであろう、はずさざるを得ないであろう、こう理解をしておっていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/37
-
038・関谷俊作
○関谷説明員 現実に農業生産が行なわれておるという限りは、これは農地でございますし農業者でございますので、いま申し上げました制度その他から対象にしない、こういうことにはいたしておらないわけでございます。長期的な問題と私が申し上げましたのは、たとえば、二十年でありますとか、三十年でありますとか、そういう長期的な効果を持ちます農業投資、これは差し控えるべきものである、こういうたてまえをとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/38
-
039・井上泉
○井上(泉)委員 農地というものは、これは息の長いもので、人間の生命と違うてずっと未来永劫にあるものですから、だから、二十年、三十年の先を見越していろいろな農地改革、農地の改良事業等もやらなければいかぬわけです。
そこで、これもあなたに言うても始まらぬ問題かもしれませんけれども、この線引きを行なった昭和四十五、六年の時代と、この四十八年、九年、今日の時代とは、農業に対する考え方も、土地に対する考え方も、これは根本的に変えなければならない状態にあると私は思います。そういう状態の中で、市街地の農地の持っておる役割りというものと、それから生産される農作物の持っておる役割り、こういうものと考えると、むしろ市街地の農地こそ農業生産地として保護され、そうしてそれが効用を発揮するような政策を打ち出していくことこそ、ほんとうにこれからの日本の国民の食糧というもの、特に生鮮野菜食料を確保する面からも重要なことではないか、こう考えるわけですが、まだそこまでには思いが至らない。それはあなたに言うても始まらぬことですけれども、これは政務次官、あなたはやっぱり、線引きされた昭和四十五、六年時代と昨年の石油危機に端を発したエネルギー問題こういう中での日本の現状等考えて、その時分に考えたことが今日そのまま行なわれるということが当然の経過だと思うのですか。それとも検討せねばならないと考えるのか。これは政務次官としてのお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/39
-
040・内海英男
○内海(英)政府委員 御指摘のように、農業全般の政策上の問題からいきますと、食糧の自給体制を確立しなければならないことは、国家としても当然最重点的に考えていかなければならない施策だと思います。しかしながら、大都市周辺地域における最近の住宅事情等を見ましても、その用地の取得ということが非常に困難をきわめておることもまた先生も御承知のとおりだと思います。そういった意味合いからいきまして、線引きをした段階のことを必ずしも未来永劫にわたって堅持するとまでは言い切れないにいたしましても、原則としてこれを守っていこう、農地として将来ともこれを確保していきたいといった地域につきましては、その線引きの段階で都市周辺であっても調整区域というような形で指定をいたしたわけでございますので、この原則は守っていかなければいけないものだ、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/40
-
041・井上泉
○井上(泉)委員 その原則を守るということについての、これはまた論議をすると時間がたちますので、そこでやはり法案に直接関係するわけですが、生産緑地の指定について、第一種生産緑地、第二種生産緑地の関係において、第一種生産緑地というものをどれだけの規模においてこれを地区選定をする考えであるのか、あるいはその第二種地区はどれだけにする考えであるのか、その点について御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/41
-
042・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 第一種生産緑地区の一つ一つの規模要件はおおむね一ヘクタール以上ということで、そのうちで永年作物のものにつきましてはおおむね〇・三ヘクタール以上ということになっております。第二種はおおむね〇・三ヘクタール以上。一つ一つの規模はそうでございますが、全体の面積としましては、第二種は区画整理等開発行為が行なわれた土地の区域内で認められるという特殊な制度でありまして、その区画整理等行なった総面積のおおむね三〇%以内ということになっております。
それから第一種の全体指定量につきましては、これは各市町村ごとにもいろいろ実情の違いがあろうということから、あえて法律でははっきりした明確な限度は定めておりませんで、市街化区域内でいろいろな土地利用と競合するわけでありますが、そういった都市的な土地利用、要するに住宅、宅地不足に対処するというような観点も踏まえつつ、あるいは公共施設も整備しなければならない、そういったものとも抵触しないというような観点から、合理的な範囲のものというふうに抽象的に書いてあるわけであります。したがいまして、市町村等によりましては、もし希望が多ければ相当程度のものまで指定できるというのが法律上の制度であります。
ただ、実際に指定見込み量がどの程度かということは、この制度が非常に特異な生産ということを考えた制度であるだけに、従来の都市計画と違いまして、御本人の同意を要するということになっております。したがいまして、同意される方の御判断ということでいかようにもなるわけでございまして、現段階でなかなか見込みは立てにくいわけでございますが、私どもとしては、第二種というのは一応期限が十年に切られているというようなこともあり、規模要件も小さいということから、ある程度御希望、同意が得られるのではないか。第一種につきましては、期間の定めのない制度でありますし、規模要件もおおむね一ヘクタール以上というのが原則でありますために、そういう要件に該当するものは相当ありますけれども、同意を直ちにとれるかどうかという点では全く予想しにくい。同意がなければ指定できませんので、そういう意味で当初においてはさほど大量のものは見込めないのではないか。しかし、まあ周知徹底もはかられ、なるほど悪くないというようなことになれば次第に同意もふえてくる。あるいは第一種としては気が重いという場合でも、区画整理等行なっていくという過程で第二種に指定できることになりますから、それならばいいというような形で御希望がふえてくるというようなこともあるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/42
-
043・井上泉
○井上(泉)委員 都市計画を遂行する上において、いわゆる都市計画法に基づいて生産緑地というものを指定づけて、そこでいろいろ使い方を考えなければいかぬという考えであるがためにこの法律を出したんでしょう。そうするならば、現在国が考えておる都市計画の中でこういう生産緑地として指定をせねばならない区域が、相手方の同意を得る得ないは別として、これだけのものが必要である、いわゆる日本の各都市の計画を進めていく上でこれだけの農民が必要であるということはわかるでしょう。それが確保されるかされないかは別としても、これだけのものは必要ということは、あなた専門家だからわかるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/43
-
044・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 都市における緑地の必要量というものは、科学的になかなか見きわめがたい問題がありまして、いろいろ試みの調査などはやっておりますが、私どもいまのところでは、諸外国の実例、いろいろな学説、あるいは従来の実態、その辺を踏まえますと、できれば一人当たり四十平方メートルぐらいは望ましい、こう考えるわけでございます。もちろんこれはすべて身近な身辺、いわゆる市街化区域の中になければならぬというものでもありませんし、市街化調整区域等にありましても、ときどき出かけて緑の環境を楽しむということでも足りるという、大規模な公園であるとか、緑地保全地区であるとか、風致地区の一部等が考えられるわけでありますが、その総量の中で、私どもはやはり中心的には、積極的に公共施設としての都市公園、都市緑地を整備していく、こういうことが最も重要だと思います。これも現在は非常に足りないわけですが、今後整備を進めまして、一人当たり九平方メートルぐらいまで昭和六十年くらいには持っていきたい。残るものは、先ほど申しました風致地区とかあるいは緑地保全地区、これは去年法律が通ったばかりでございまして、これからの話でございますが、そういうものに大きく期待するとともに、そのいわば補完的な意味でこの生産緑地地区にも若干のものを期待したい。しかし、同意を要すること、これは御本人の保護のためにどうしても必要だったものですから、ほかの地区と違いまして、都市計画で思いどおりにきめていくというわけにいかないという点の制約がどうしてもあります。そういう意味でも補完的に若干のものを期待する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/44
-
045・井上泉
○井上(泉)委員 あなたの説明は非常に長い。まあ、私は長く説明せぬとわからぬから、長く親切に説明してくれておると思うわけですけれども、もっと要約をして説明を願いたいと思うのです。
私の言うのは、この提案理由にも書いてあるでしょう。「市街化区域内において適正に管理されている農地等のうちには、良好な生活環境の確保に寄与し、かつ、公共施設等の予定地として機能するものがあることにかんがみ、良好な都市環境の形成に資するため」云々とあるのですよ。良好な都市環境を整備するために、つまり日本の都市を良好な都市環境にするためにこの市街化区域内における農地を生産緑地としてやっていこう、そのことは、政務次官も言ったように、将来市街化ということを前提に置いて、農業生産のためにこの市街化区域の農地を将来は見てないわけですから、だから大体どれだけのものが要るのか。つまりその予定をされておるものが市街化区域内にある二十八万ヘクタールに相当するのか。二十八万ヘクタールも要らぬけれども、せめてこの提案の趣旨を生かすとするならば、生産緑地の地域として考えるものは、市街化区域に入る農地の中のまあ十万ヘクタールぐらいだろうとか、あるいは十五万ヘクタールだろうとか、それだけのことは立案をするに際してお考えになっておるであろう、こう私は考えて御質問申し上げたわけですが、そういうことは全然考慮に入れずに、いま言われたような一人当たりが何ぼとか、まあ一人当たり何平米とかいったところで一人の者にそこらのところの農地を分けてやるわけじゃないですから、全体の中でやはり一人当たりの平均を出すといま言われているわけですから、この法律に基づいて生産緑地として考えるべきところが大体どれくらいあるのか、どれくらいの予想をしておるのか、その説明をしてもらいたいというわけです。簡単でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/45
-
046・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 当面二千ヘクタールぐらいが予想できるのではないか。さらに将来にわたっては五千ヘクタールぐらい。しかし、できれば一万ぐらいを期待したい、こういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/46
-
047・井上泉
○井上(泉)委員 この法律そのものは、私はもっと検討せねばいかぬところがたくさんあると思います。
そこで、大臣も来られたのですが、この法律が、結局いま私が読み上げたようなことで提案をされておるわけですから、市街化地域における農地は私どもが常識で考えておる農地、つまり米をつくったり野菜をつくったり、あるいはまたその他の農産物のいろいろな生産をあげるような、もうそういう農地としての機能を考えるのではなしに、やはり市街化区域内の緑地として位置づける方向で考えたいというのがこの法律のねらいである、こういままでの私は質疑の経過の中で理解をしたわけですが、この理解に間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/47
-
048・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 私もそのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/48
-
049・井上泉
○井上(泉)委員 そこで、これは委員長にお尋ねしたほうが一番わかるでありましょうか、国総法がたな上げになる、あるいは廃案になる、そういうことは別といたしまして、野党四党と与党、五党の間で土地規制法のことを議員立法の形で考えておられるということを私ども理事のほうから承っておるわけですが、その作業は進んでおるでしょうか、委員長に承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/49
-
050・木村武雄
○木村委員長 進みつつあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/50
-
051・井上泉
○井上(泉)委員 進みつつあるということは、これは進みつつあることがどたんばにおいてどうなるかもわからぬことも予想されるわけですけれども、土地の規制をするという土地規制法をそうやって四党が話し合ってやっておる中で、それぞれの都市計画の中で、たとえば高知市がある。私は高知ですから。高知市のいわゆる都市計画を立てるのに、高知市のこの地域は生産緑地、これは生産緑地というような形でやる計画をこの法律で何もやらなくても、いま考えておられる土地規制法の中でこのことが考えられないものかどうか。このことは、これは聞く話によると、そういう役目を十分果たす、そういうふうな作業の進め方のように承知をしておるわけですけれども、それは私の承知しておることが間違っておるであろうか。あるいはそういう方向にその作業が進みつつあるのか。市町村は市町村でそれぞれ土地の利用計画を立てる、県は県で計画を立てる、国は国で計画を立てる、つまり下からずっと上に突き上げていって日本全体の土地利用計画あるいは土地規制をやる、こういうふうに聞いておるわけですが、そういうふうになっていないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/51
-
052・木村武雄
○木村委員長 大体そのとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/52
-
053・井上泉
○井上(泉)委員 これは大臣、そういう方向になっておるとするならば、ここでこんな生産緑地法というような——いわば大臣の言われるようなことであるから、これは農林省は一切市街地の農地は放棄しておるわけです。これはまた農林委員会で私は大臣の見解等もたださなければいかぬし、あるいは農林省の当局の考えもただしていかなければいかぬと思うのですが、全くもってのほかだと思います。市街地の農地を農政の対象からはずして、そういういわゆる都市計画の線にのせていくような方向に賛成をするとは、一体農林省とは何たることかと、こう思うわけです。そこで、いま委員長が言われるように、市町村で、つまり高知市は高知市での土地利用計画というものを定めるわけですから、何も建設省がこの法律をつくってそれを押しつけるようなことをしなくとも、手間が省けてけっこうじゃないですか。大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/53
-
054・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 井上委員も御承知のとおり、この生産緑地法案というものは、実は国会におきまして、昨年宅地並み課税という問題を解決する際に附帯決議を付せられた次第でございます。その国会の御意思によって、私ども一年間いろいろ検討をした上において、国会の御意思に沿って提案を申し上げたということであるわけでございますので、その点ひとつ御理解をいただきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/54
-
055・井上泉
○井上(泉)委員 あなたは非常にまじめな方でありますから、国会の決議を尊重してこういう法案をすぐ準備をされる、その姿勢というものについては私は敬意を表します。しかし、国会における附帯決議を、初めにも申し上げましたが、たとえば私の所属しておる農林委員会で林業振興のいわゆる林興決議にいたしましても、全会一致で決議はしても、実際それが行政の中で生かされるということはめったにないです。附帯決議が決議どおりにあなたが行なっているように迅速に対応していたら、もっといい政治が日本には生まれておるはずですけれども、もうそのときだけ附帯決議で各党一致を取りつけたことによって自己満足して、そこで国会の中は通り抜ける、こういう傾向の中にあるわけで、私は、これほど迅速に、附帯決議があるからということで拘束されてまじめに取り組んだということについては、ちょっと早過ぎではないかと思うのです。いわば国総法がどうなるかわからぬ。だから、その国総法がどうなるかわからぬから、ひとつこの都市計画、あの附帯決議に便乗して生産緑地の法案を出して、これでひとつ国総法をごまかしてやろうという意図がありはしないか。それで、国総法がどうなるかわからぬから、今度は四党で土地規制法をつくって、そこでその規制法によって四党一致の法案をきめる、これはけっこうなことです。一致になってやることはけっこうですが、その法案ができることによって各市町村、自治体における土地の利用計画というものは定めることになっておるということを聞くわけですから、それができれば何もこれでやる必要はないのじゃないか。問題のたくさんあるこの生産緑地法というものをそう急いで考えるのではなしに、せめて四党の共同の法案ができるかできないか、それをひとつ見通して、そうしてそれができたあとでもまたこれが必要とするならば、また次の国会で審議をする、こういうことにされたら、これは都市計画局長も、農林省のほうも、あなたも負担が軽くてけっこうじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/55
-
056・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 国会の御意思を尊重した結果おしかりを受けるということになりまして、私ももう立つ瀬がないということのような気がいたすわけでございます。やはり国会の最高機関の意思が行政府に示された場合には、これが実現を期すために最善の努力をはかって国会の意思におこたえするというのが、私ども行政府にいる者のこれはつとめである、こう信じまして、実は私、ずいぶん急がせたものでございますものですから、井上先生からいまここでおしかりをいただくと、たいへん恐縮するほかないという気持ちで一ぱいでございます。しかし、おっしゃりたいお気持ちは私もわからないでもない感じがいたすわけでございます。やはり私ども、都市計画並びに土地関係の行政をお預かりしておる立場から申しますと、結局、この土地に対する基本的な考え方というものをきちんとしていただくように御配慮を願っておるようでございますが、そのあとに来たるべきものという考え方はわかる感じもいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/56
-
057・井上泉
○井上(泉)委員 これはまた委員長にお尋ねするわけですけれども、都市緑地保全法もできておるし、それからそれにも附帯決議をつけて、附帯決議の中でも、都市計画法に基づく生産緑地制度、こういうことも書いてはあります。書いてあるから、それに対してまじめな建設大臣は急いでこの緑地法をつくる、こういうお気持ちになったと思うわけです。そこは私は理解できます。みな担当大臣がそういうふうにして、附帯決議を実際行政の中でこうして迅速に生かされてもらったら、これは私どもももっと附帯決議というものの価値を評価するわけですけれども、なかなかその評価どおりにいかないのが国会の附帯決議の実情であるわけであります。
そこで、いま委員長も言われましたように、作業が進みつつある中で、これはどうですか、こういう生産緑地法、これに盛られたものを、議員立法の中にきちんと位置づけてやる必要ありとするならばやるのが、国会のいわゆる議員立法としての権威を高めることであって、いま大臣は一生懸命作業を急がせてやったと言うけれども、その大臣のやった行為というもの、いわゆる苦労というものは今度の議員立法の中に生かされるような形で、これは農林と建設の合同審査もやったわけでありますけれども、まだそのやったことについての農林委員会における審議もなされていないので、私はぜひひとつ生産緑地法はもっとあと回しにしてもらいたい。これは、よそからきょう委員会に来てそういうことを申し上げるのは恐縮ですけれども、委員長としてそういう配慮はできないものかどうか。
それともう一つは、都市局長が事務担当者としてこれを一生懸命やって、その御労苦というものはなみなみならぬものがあろうと思います。しかし、いま言われるように、市町村段階でも土地の利用計画を定めよ、あるいは県段階でも定めよ、そういう法律ができる中で何もこの生産緑地法で苦労せぬでもようないか、こう思うわけですが、その辺のお考えをあわせて局長から承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/57
-
058・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 大臣からお答え申したとおりでありまして、直接に宅地並み課税に関係ないとはいえ、現実にこの法律の附則で地方税法を改正して、生産緑地地区につきましては宅地並み課税の適用除外を明文化したわけでございます。ことしからはA農地も一段上がり、さらにB農地まで拡大するということを考えますと、この法案がどうしても必要だという限りは、やはり一刻も早く成立して、都市計画上も望ましい姿に完備し、また都市農業もこの制度に乗っかって保全されるということはやはり早いに越したことはないと私、考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/58
-
059・木村武雄
○木村委員長 委員各位の意見を十分お聞きいたしまして、なお、あなたの御意見のあったことも、重ねて委員にお話ししてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/59
-
060・井上泉
○井上(泉)委員 いま委員長の言ったこともよくうちの理事さんも聞いておっていただいて、ひとつこれはお蔵入りにしてもらいたい、こう思うわけです。
そこで大臣に最後にお尋ねするわけですけれども、法律をつくることに何か政府、役人は意義を見出しておるようですが、そんなにやたらに法律をつくらなくとも、一つの法律の中でちゃんとできるものを、何か毎国会たびにどっさり法律をつくってくるわけです。生産緑地のなにも、都市計画法のかりに一部改正でこれを設けるとか、あるいは農地を生産緑地として農地としての価値を生かすという方向でこれを考えてないから、農林省が考えておれば一むしろ農林省のほうでは、市街地化農地のほうを何かいわゆる保護する法律なり何なりを考えるのがまた適当かと思うわけですけれども、そういうことも農林省は全く考えていないし、それから建設省のほうは、都市計画法に基づいて計画がスムーズにいくために、ひとつ今度別に市街化の農地へこの法律をおっかぶせようというような一つの法律をつくってくる、こういうことで、あまり法律をつくることに意義を見出すのではなしに、実際行政がほんとうに住民の要求にこたえ、住民の希望というものが生かされて、そうして国民がしあわせになるような、そういうふうな法というものの整備のしかたを考えていただきたいと思うわけですが、それについての大臣の見解を承って、私の飛び入りの委員としての任務を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/60
-
061・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 お説、私もそのように考えまして、できるだけ法案はまとめて、しかも主権者である国民にわかりやすいようなものを仕上げていかなければならないということを事務当局にも申したわけでございます。ところが、この生産緑地法案は、都市計画法の改正にもなかなかなじまない、また農林省のほうにおいても、将来市街化するであろうと予想されておる地域に対する振興策というものも立法的になかなかなじまないということで、結局、独立した法案で提案を申し上げることになったわけでございます。
実は蛇足かとも思いますが、私この法案をいろいろ検討をいたしております間に、生産緑地というのはたいへんいい考えであって、現在、光化学スモッグなんという酸素欠亡症という現象がわれわれの周囲にあらわれております今日、やはり酸素を補給をする、酸素を生産をする、これはもう私は農業の持つ食糧生産以上の大きなやはり使命じゃないかという、そんな感じも実はこの生産緑地法を事務当局と議論をしておる間に持ったわけであります。したがいまして、これはそういう意味においては、日本がこの狭い土地の中で年々人口がふえていく、これから五十年、百年後の日本を考えました際には、あるいはこの生産緑地法をきょうここでこうして御審議いただいておるということがほんとうに歴史的な価値を持つのじゃないかという考えも実はいたしたわけでございまして、そういう意味で、全国の都市計画の中にこの生産緑地法というものの精神を取り入れていくということは、私は非常にいいことではないかという感じを持っておりますことを申し添えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/61
-
062・木村武雄
○木村委員長 清水徳松君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/62
-
063・清水徳松
○清水委員 この法案については、いままでの質疑応答の中で大体趣旨その他中身についてわかってきたわけでありますが、最終的にわれわれとして念を押してお伺いをしたい点が二、三ありますので、重ねて御質問をいたしたいと思います。
まず最初に亀岡建設大臣にちょっとお伺いしたいんですが、先日の連合審査委員会において、この農地の宅地並み課税についてはC農地にまでは及ぼさないのだというような御発言をされて非常に心強く感じたわけですが、その点についてもう一度再確認のために御質問申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/63
-
064・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 将来の宅地並み課税の適用区域の問題につきましては、この前、私としては、現在国会でいろいろ御審議いただいております土地問題等の今後の動静、並びに、いろいろ土地対策が講ぜられていくことによって地価が鎮静化の傾向をたどり宅地供給の促進もはかられること、並びに食糧問題がたいへん重大な問題であるということの意味から、宅地並み課税の持つ意義というものを考えました際に、いろいろ情勢の変化がありますので、そういう中で都市政策を進めていくためには、どうしても農家の農業をやっている人の協力を求めませんと、宅地政策なんかはもう実際上進まないという感じを私は強く持っておりますために、宅地並み課税は当面宅地の大量供給が必要な三大都市圏以外には拡大すべきではないと考えます、こういうふうに申し上げたわけであります。
宅地並み課税の適用地域については、地方税法の中で検討条項の規定がなされておることも実は承知をいたしておるわけでございます。私としての感じを申し上げたわけでありますが、政府としては昭和五十年度中にはその検討を行なわなければならないということで、まだこの問題についての政府の方針というものが統一されておるわけではございませんので、私の考え方を実は申し上げた次第でございます。今後において、新たな情勢の変化、地価の推移、都市化の状況等を総合的に勘案した上で政府としての結論が出さるべきであると考えるわけでございますし、そういう際には、私は私の主張を主張いたしたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/64
-
065・清水徳松
○清水委員 八日の連合審査においては、もうC農地には絶対宅地並み課税はいたしませんというように非常に明確にお答えになったわけです。これは速記録を見ればはっきりわかるわけであります。これはわれわれとしては非常に心強く感じたわけでありますが、ちょっといまの答弁ですと、少し余分な説明がつき過ぎたような気がするわけであります。もう少し簡単に明確にひとつもう一ペん再確認をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/65
-
066・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 政府としての見解じゃなく、おまえの考えはどうだ、こう聞かれたものですから、私としては、政府の統一見解としては結論が出ておりません、また、五十年度に結論を出す、こう法律には示してあるわけでございますけれども、おまえの気持ちはどうだ、こう聞かれましたから、私としては三大都市圏以外に宅地並み課税は広げるべきではない、そういう考え方を持っておりますということを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/66
-
067・清水徳松
○清水委員 この一年A農地に課税をしただけでも、この近郊農業というものに対して非常に大きな影響を与えまして、それが各自治体での、生産緑地保全のための要綱、あるいは条例をつくって宅地並み課税から少しでも救済しようということで助成措置を補助金を交付したりしてやっておるわけでありますが、ことしからB農地にまで及ぼす、そしてさらに五十年度までにC農地に対する態度も明確になるということになるわけですが、特にこのC農地ということになりますと、市街化区域内の二十八万ヘクタールの中のほとんど九〇%以上がC農地ということになろうかと思います。したがって、わずか四千ヘクタール程度のA農地における宅地並み課税でもこれだけの波紋を起こしておるということを考えるときに、C農地に対する考え方というものが与える影響というものはやはり非常に大きいと思います。私は建設大臣としては、建設サイドからも宅地並み課税というものばすべきでないという見解を個人的にお伺いしたわけですが、これは、自治大臣あるいは農林大臣等も、いまから明確にお考えを持っておかなければならない問題だろうというふうに思います。
自治大臣は同じ八日の委員会において、五十年度末まで慎重に考慮して結論を出すんだというようなきわめて原則的なお考えを披瀝されたわけです。いま言ったように、C農地というものはこの市街化区域の中における農地の大半を占めておる。九〇%以上です。しかもそのC農地というものは優秀農地が多い。ところが、この宅地並み課税というのは明らかに、宅地としてみなされ農地としてはみなさないというようなことでありますので、これは農家にとってはきわめて死活にかかわる重大問題であろうというふうに思います。この問題で、かりにそれが建設大臣の個人的な考え方であろうと、自治大臣との間の食い違い——農林大臣はどういうお考えを持っておるか知りませんが、内閣の中で意見のばらつきがあるということは非常に重大だと思います。ですから、自治大臣も建設大臣と同じように、C農地には宅地並み課税はしないというふうにはっきりこの際明言をしてもらいたいというふうに思います。いわゆる内閣の統一見解なるものをここで明確にしておいていただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/67
-
068・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 この前も、先ほど申し上げたとおりでございまして、法律によりますれば、五十年度中に結論を出す、こういうふうになっておりますので、私は私なりに自治大臣、農林大臣に私の気持ちを申し上げて、五十年度、法律に示された期間中には政府の態度をきちんときめたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/68
-
069・清水徳松
○清水委員 それじゃちょっとかわります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/69
-
070・福岡義登
○福岡委員 ちょっと関連。いまの点なんですが、八日の連合審査会に私も出ておりました。いま大臣から御説明がありましたが、実情は少し違うように思うのです。建設大臣は、政府としてではなく私個人として答えた、こうおっしゃるのでありますが、当日は宅地並み課税は現行よりも拡大するべきでないということを明確におっしゃったですね。ですから、今後閣内においてそういう努力を続けたいと思うとおっしゃるならわかりますよ。しかしいまのところはそうでない。御答弁はそういうことになっていないわけですね。八日におっしゃった発言の内容ときょうの答弁の内容はどうも食い違っておる。五十年に見直しをするというようなことは当日はおっしゃらなかった。町村自治大臣はおっしゃいました。そこで山口鶴男委員が、建設大臣と自治大臣の見解が違うじゃないか、閣内不統一じゃないか、どうしたんだと詰め寄った場面もありました。ですからここで明らかにしていただきたいのは、建設大臣としては宅地並み課税を拡大するべきでないと思っております、今後閣内でそういう努力をしたいと思います、こう首尾一貫した御答弁でないと、どうも食言的なにおいがしてきて、われわれとしては釈然とできない。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/70
-
071・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 気持ちとしては福岡先生御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/71
-
072・福岡義登
○福岡委員 それでは、今後閣内において宅地並み課税はこれより拡大しないという方向で建設大臣は努力をするというように確認できるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/72
-
073・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/73
-
074・清水徳松
○清水委員 建設大臣は建設大臣として、閣内においてC農地には課税反対ということでの主張をされるのはよくわかりますが、自治大臣としては、ここに出席しておられませんが、むしろ一年間のこの貴重な経験を踏まえながら、いまだに全然建設大臣ほどの見解もないというのは非常におかしいと思う。どういう見解を持っておられるのか、ぜひひとつ御見解を承りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/74
-
075・古屋亨
○古屋政府委員 先般の連合審査会におきまして町村大臣からお答えしたところでございますが、いわゆる先生のお話のC農地につきましては、四十八年度の地方税の改正法におきまして、附則十八条でございますが、五十年度末までにさらに課税の適正をはかるための検討を加えるという法律の規定になっておるわけでございます。御趣旨の点、また建設大臣からお話しになっておる点は、私ども十分承知しておるのでございますが、五十一年度以降におきます課税措置の問題につきましては、この問題が国全体の都市政策とも関連するところが大きいのでもございますし、また地価の推移、都市化の現状、生産緑地の運用状況等を見きわめながら総合的な検討を加えてまいりたいということをこの前自治大臣からお答えしております。私のほうは附則の十八条でそういうふうになっておりますので、その間十分検討を加えながらC農地の税金の問題につきましては総合的に考えてまいりたいというような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/75
-
076・清水徳松
○清水委員 それはもうすでに法案が成立した段階でそういうことになっておったと思います。ですからそのことは、御意見を伺わなくてもわかることなんで当然だと思います。しかしながら、一年のこの経験を踏まえてC農地に対してさらに拡大していくものであるかどうか、その自治大臣としてのお考えをお伺いしたい。建設大臣も、個人的とはいいながら一応の確たる考え方というものを、はっきり申し上げておるわけです。自治大臣にないというのは非常におかしいというふうに思います。自治大臣はどのようにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/76
-
077・古屋亨
○古屋政府委員 お答えいたします。
ただいまの問題につきましては、とにかく五十年度末までに十分検討する、課税の適正化をはかってまいるということでございますので、自治省といたしましては、先ほど申し上げましたが、五十一年度以降の課税措置につきましては、その間の種々の状況を考え、また建設省の都市政策、あるいはこの問題についての考え等も十分お聞きをし、連絡をし、しかも、いま申し上げましたような、地価の推移とか、あるいは生産緑地の運用状況などを考えて、総合的に検討してまいりたいという考えでございますので、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/77
-
078・清水徳松
○清水委員 では、現時点においては、C農地に対しては、さらに宅地並み課税の適用を拡大していくかどうかという閣内の統一見解というものは出せないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/78
-
079・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、努力をいたしますということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/79
-
080・清水徳松
○清水委員 このC農地に対する課税については、そのC農地というものは市街化区域における農地の九〇%以上を占めるものであるという意味におきましても、これはやはり早急にはっきりとした見解を出してもらいたいというふうに思います。
ということは、C農地というのは、A、B農地以上に非常に優秀な農地首都圏における特に蔬菜を中心とした供給源になっておる、そういう役割りを果たしつつあるというような農地であります。したがって、そういう農地がやがてA、B農地のように宅地並み課税の適用を受けて、そして宅地としてしか認められないといったようなことになりますと、私は、農業というものはやはり五年、十年、二十年という長期展望に立ってやっていかなければならぬ、そういう産業であるだけに、こういうような不安定な形でそのまま放置されるということは、きわめて重大なることであろうというふうに思います
〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
おそらくC農地については、この都市計画が行なわれる過程において、こういったようなところには絶対宅地並み課税はないんだというような、保利大臣というふうに聞いておりましたが、大臣のそういう約束があって、こういったような農地については、宅地並み課税というものは絶対にあり得ないんだという確信をC農地を所有される農家の方々は持っておるわけであります。それが五十年度末の段階で慎重に結論を出すといったようなことになっておるために、A、B農地の適用の状況を見ながら非常に不安な状況におとしいれられておるというような段階であるだけに、ぜひこの際早急に、C農地にまでは絶対に適用しないのだ、安心して農業をやるようにという形での閣内の統一した見解を出していただきたいということを、心からC農地を所有する農家の立場に立ってお願いを申し上げたいというふうに思います。
そしてまた私から言わしめるならば、この農業に対して最も責任のある農林省が、しかもその最高の立場にある農林大臣が、一度もこの生産緑地法案を審議する委員会に、連合審査にも出席されない、現在もされておらないということはきわめて無責任であろうというふうに思います。はっきり言って、この生産緑地法案というものは、都市計画サイドのほうから立案されたものであることは当然であろうと思います。したがって、本来ならば農林大臣が主張しなければならぬこと、そしてまた農林大臣が当然質問を受けなければならぬようなことを建設大臣が受けておるというような状況の中でこの委員会の審議が行なわれておる。この状況を見ても私は、農林省の無責任さ、農林大臣の無責任さというものを痛切に感じておるわけであります。このA、B農地のみなし課税をすることについては、ほんとうにこれは問題である、特にC農地に拡大するとはもってのほかだ、そういったようなことを大いに主張しなければならないというのは農林省であろうというふうに思います。農林大臣であろうと思います。ですから、きょうも農林大臣が出席しないことを非常に不満に思うわけでございます。
特にまた、去年から始まっておる宅地並み課税を、これを救済するために自治体が要綱や条例をつくって還元をしておるわけですが、その還元金などは自治体が負担をするのではなくて、むしろ農林省が負担をすべきではなかろうかとすら思うわけであります。この点についてほんとうは農林大臣にお伺いしたいところですが、きょうは来ておりませんので、一応これはいずれそのうち農林・大臣に対して御質問を申し上げたいというふうに思います。答弁は要りません。
それから農林省は、A、B農地についても、少なくとも、病害防除、あるいはまた災害防止等については、決して手を抜かない、差別をしないというようなことをおっしゃっておられたわけであります。営農指導についても十分配慮するようなことを申し述べておられましたが、その点については、そのように考えてよろしいのでございましょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/80
-
081・関谷俊作
○関谷説明員 市街化区域内の農地につきましては、いままさに御質問のあったとおりでございまして、植物防疫、家畜衛生、その他そういう病害虫の防除、こういう面はもちろんのこと、経営の維持に必要な施策は市街化区域内であるからといってしない、こういうことではございませんで、同様に積極的にやってまいることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/81
-
082・清水徳松
○清水委員 多少こまかい問題になりますが、これはA、B農地に起こっておる具体的な問題ですので、質問をさしていただきたいというふうに思います。
このA、B農地の経営のためには、どうしても米麦ではなかなか生産性が上がらぬということで、ほとんど野菜に転換されておるというのが実態でございます。私たちの埼玉県の、特に入間郡、あるいはまた比企郡等におきましても、このA、B農地というのが非常に多いところでございまして、ここでは有名な入間ゴボウ、それからコンニャク、ヤマトイモ、こういったようなものがいわゆる埼玉特産物としてA、B農地に多く生産をされておるわけでございます。ところが、その生産に必要な農薬、特に土壌の消毒薬ドロクロール、こういう薬があります。これは御存じだと思いますが、三井東圧、日本化薬等の二社が生産しておるようでございます。これを投下しないとほとんど連作というものができなくなるし、ろくなゴボウなりコンニャクができてこないというようなことでございまして、これを投下しないと生産が半分以下、売買のできるものは二〇%程度ぐらいしかできない、こういう状態でございます。これは一反歩について大体一本、二十リットルぐらい。一本分二十リットル入りですが、これが必要でございますが、大体一本一万二千円ぐらいで売られているようであります。ところが、この農薬について、各府県において、非常に円滑に流通しているところと、われわれのところのように、ほとんど手に入らない、要求の二〇%ぐらいしか入らぬというような状態のところもあるわけでございます。現にコンニャクの産地である秩父においては、二、三日前、県庁のほうに大量に押しかけまして、何とかしろというふうにして陳情をして、県庁のほうでも、非常にこのドロクロールの入手について努力をしておるというようなところでございます。現在、川越の堀兼農協等においては、千本ぐらいの要求に対して実際配られたのは二百本、福原については千本ぐらいの要求に対してわずか五十本しか配られておらないというような状況であります。
こういったような問題について、農林省は一体どのような協力をしてもらっているのか。また、二のドロクロールの生産等についてはどういうふうなことになっておって、流通はどういうふうになっているか、その辺のところについて御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/82
-
083・福田秀夫
○福田説明員 お答え申し上げます。
御指摘のドロクロールという農薬は、非常に刺激性のある塩素を含んだ農薬でございまして、実は生産しにくいものなんでございます。例の公害の問題で塩素が全般的に逼迫しておりますものですから、つくる場合あまりつくりやすいものではない、また使う場合も使いやすいものではない、これは公害の問題でございますけれども、そういう農薬でございますが、御指摘のように、連作をするという場合にはどうしてもなくてはならない農薬でございますので、私どもといたしましても、生産者に対して適切な指導をして、この農薬の確保につとめたいということで努力してまいりました。
〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕
具体的には、例の電力、石油等の削減の場合も特別な配慮をするなどいたしまして、この生産指導をしてまいりました。おかげをもちまして、ことしは昨年度よりもよけいに生産できるという見込みが立っております。少なくとも一割以上昨年よりも生産が確保できるという見込みが立っております。
あと、御指摘の流通の問題でございますが、ただ、最初申しましたみたいに、ことしこの薬が足りなくなるのではないかというような懸念があったものですから、各地で仮需要と申しますか、早目に手配したいという動きもございました。そこで、せっかくつくったものが片寄るということがあってはならないということで、私どもも各県に対しまして、少なくとも月二回以上、きめこまかく、各農協における、あるいは販売店における在庫等を調べて報告しろ、それで足りなくなったようなところがあれば至急に知らせるように。そうした場合、生産者、流通団体、流通業者あるいは自治体等と協力しまして、そのものの現在流通している実態をつかみまして適切な指導をしてまいりたい、このようなことをずっとやってまいっておりまして、二、三の県からドロクロールが足りないというような御報告もいただいておりますけれども、まことに恐縮でございますが、いま御指摘いただきました地区につきまして、まだ私のところまでこまかく上がってきておりませんので、御指摘の点につきましてはさっそく調査いたしまして、その確保につとめたいと思っております。
なお、農協関係、全農、経済連関係では、とりあえず昨年の実績に比例してと申しますか、そういった配分を各経済連にしたというふうにも聞いておりますのですが、いま御指摘のありましたような非常に欠乏しているという事態がありますと、これは非常な問題でございますので、さっそく調べましてその確保に努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/83
-
084・清水徳松
○清水委員 このA、B農地に非常に関連のある近郊農業、そういったような農薬等についてもいろいろな要望の多い地域であろうと思います。特にそういったようなことについて、ひとつ今後ともきめのこまかい指導を農林省としてやっていただくように強い要望を申し上げておきたいと思います。
時間がありませんので、最後の質問をいたしたいと思います。
本法案の内容は、都市農業確立の視点及び農家の実態を軽視したものでありまして、「農林漁業との調整を図りつつ、良好な都市環境の形成に資する」という本法案の目的とは相当かけ離れたものじゃないかというふうに思います。特にまた、三大都市圏の多くの市が条例、要綱等に基づいて独自に実施しておる農業保全対策を十分踏まえたものでもないというふうに言い得ると思います。特に上福岡、富士見、川越、所沢等の条例を見ても、いずれも農地の保全、こういうことを目的として、しかもそのほかに農業経営の安定ということを明確にしておるわけであります。したがって、この法案について、真に日本の農業の置かれておる状況というものと、自治体が現在やっておるいろいろな救済策、こういうことを配慮していくならば、この都市農業の確立について、緑地保全法案の目的について、日本の農業を守るという精神を盛った一つ修正というものが必要ではないか。現在にその自治体がやっておる条例、要綱には、この農地の保全、あるいはいわゆる近郊地域の農業経営の安定というようなことを明記しておるわけですが、これは都市計画サイドからの法律案ですから、そのまま盛り込めとは言わないが、その点について十分配慮した一つの目的というものをうたっておく必要があるのじゃないかというふうに思う次第です。そうでなければ、この生産緑地制度の期するところは、農業振興ということにもならないし、宅地並み課税の緩和ということにも絶対つながらないというふうに思うわけです。むしろ最大の効果は、いま内閣が目ざしているといわれておる三十万ヘクタールの宅地化というものとつながるのではないか。特に、圧倒的な面積を占める市街化区域の全農地二十八万ヘクタール、この農地を宅地にするためにそれを促進するというようなこと、それだけの効果しかこの緑地法案にはなくなってくるのではないかというような感じがするわけであります。多くの自治体がとっておる農地保存を目的とした生産緑地制度、このこととこの法律案というものは、同じ生産緑地ということばを使っておりながら、中身は全く反対のような気がするわけであります。政府はこの点についてどのようにお考えになっておるのか。もう少し農業サイドということから考えていかないと所期の目的を達することにはならないんじゃないかというような感じがするわけですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/84
-
085・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 先生も御承知のとおり、線引きをいたしますとき、市街化区域というのは十年ないし二十年の間に市街化する予定地、こういうことで線引きをいたしておるわけでございます。その際いろいろな問題がありまして、私どもが予想した以上に、市街化区域というものが全国的に広がった経緯もあるわけでございます。あの法律によりますと、五年ごとにその線引きというものを見直すこととなっております。そういう立場から、どうしても農業でなければいけないという地域は、その五年ごとに、自治体ごとにあらためて見直されていくという道があるわけでございます。したがいまして、市街化区域の中において農業を営むということにつきましては、先生のお気持ちはわかるわけでありますけれども、一般の農業振興地域、調整区域の農家の方々のおやりになっておる農業というものとやはりちょっと性質が違ってくるのではないか、限度があるということをひとつ御理解願わなければならぬのではないか。そういう上に立った上で、農業でなければ食っていけない、そういう方々が現におられるわけでありますから、そういう方々に対しては生産緑地の法律で対策を講ずる、こういう立場をとらしていただいたわけでございます。もちろん農業は、食糧問題からいって、政府としても、国としてもきわめて重要な問題でありますから、農林省が中心になって、自給度の向上、飼料の増産、できるだけ輸入を少なくしていくような国内の生産体制を進めてまいるということで進められておるわけでございまして、この点は、私はよく話し合えばわかっていただける、こう思うわけでごいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/85
-
086・清水徳松
○清水委員 それじゃ具体的に質問を申し上げたいと思いますが、面積制限について、第一種、第二種農地それぞれ一ヘクタール、〇・三ヘクタールというふうにされております。指定期限も一律に十年、これが一単位になっているわけなんですね。これではいままでの一年間の経験を踏まえてみると、指定を希望してくる農家というものはなかなか少ないのじゃないかというふうに思います。だから条例だとか要綱でやっておるところも面積制限は非常に低いのです。五百平米だとか千平米、こういったようなところ、面積制限のないところもあります。それからまた期限についても、ないところもあるし、また三年、大体一番多いのは五年が多いわけです。そういったような実績からして、どうも十年というふうにきめるのはあまりにも長過ぎるのじゃないか。特にいろいろな統計から見ましても、ほとんどの農家は、五年ぐらいならば希望するけれども、十年ということになってくるとなかなか見通しが立たないというような、そういう調査もはっきり出ているわけです。たとえば三百数十軒ある農家の例をとってみますと、これは川越の例ですが、大体十年以上やるというのは二百六十八軒、どうも五年以内にやめたいというのが七十四軒といったような数字もあるわけでありまして、十年といったような、そういう長期にわたっての見通しを立て得る農家というものは非常に少ないという実態をぜひ把握していただきたいというふうに思います。
政府は、現在の地方自治体のこの農業の実態に照らしまして、面積制限及び指定の制限等については、面積制限等においてはこれを撤廃するというよりも、これを法的にはっきりあらわさない。そしてまた期限等についても三年あるいは五年程度にぐっと下げる。そうして市町村に農業者代表を加えた生産緑地審議会といったようなものを設置して、その議を経て市町村長がこれをきめる、そして指定を行なうというような形にこの法律案というものを修正していく意思がないか、そういうようなことをやってこそ、初めていままでの自治体のやってきたことと矛盾しないことにもなるし、そしてまた多くの農家というものをいわゆる宅地並み課税からはずることができるんじゃないか、所期の目的を達することができるんじゃないかというふうに思います。政府は、少なくともこのような方向でこの法律案というものを修正する弾力的なお考えがあるのかどうかをお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/86
-
087・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 御提案申し上げましたものは、私どもといたしましては、一年以上も審議会で専門家の方々の御意見をお出しいただいてまとめたものでございますので、御提案申し上げた線が妥当なものである、こういう考え方で提案申し上げておる次第でございます。それだけ申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/87
-
088・清水徳松
○清水委員 もうこれでおしまいにしたいと思いますが、このA、B地域において農業がやりやすいような、そしてまた三年でも五年でも農業をやっていけるような、そういう条件を与えておくほうが、都市計画サイドから見てきわめて妥当ではございませんか、という理由は、おそらく都市計画から見ても、その中に農地があっても、良好なる都市環境をつくるための条件としては当然のものではなかろうか、農地があっていいじゃないかということと、そしてかりに三年なり五年でおやめになっても、農地から転換される速度と、そしてまた地方自治体が資金を用意して公共用地を買い得る——一ぺんには買えませんから、相当の時間的な経過も必要であろうと思います、いまの状況からして。その辺のところは全く相一致するんじゃないかというような感じもするわけでありまして、私は都市計画サイドからしても、A、B農地を農業をやりやすいような形で残しておくということは決して矛盾するものではないというような考え方を持っておるものですから、あえてこれらの面積制限、あるいは指定期限の撤廃、あるいはまた地域における審議会、あるいは市町村長の裁断をまってこれが適用になるような、そういう形で法律案を改めたほうがよいのではないかというふうに御提案を申し上げたわけでございまして、その点については私は、この生産緑地法案の提案の趣旨とは全然矛盾しないというような考え方に立っていままで御質問申し上げたわけであります。どうぞそういう方向でぜひ修正をされるよう、手直しをされるよう強く希望を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/88
-
089・木村武雄
○木村委員長 柴田睦夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/89
-
090・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 最初に都市計画法上の問題ですが、この都市計画法上の市街化区域、これは、「すでに市街地を形成している区域」と「十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」、こういうように定義されているわけですけれども、この市街化区域内にある農地につきましては、都市計画上は、これを農地のままで残しておくというような考え方は全くないのかどうか、このことを最初にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/90
-
091・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 一般論としては市街化区域は、その名の示すとおり市街化を促進する地域でございますが、もちろん市街化をはかるという場合に、すべていわゆる建築物、工作物の敷地にして埋め尽くすというわけではなくて、まず公園等の公共緑地、それから緑地保全地区のようなもの、あるいは農地等の生産されつつあるオープンスペースとして残っていくということも十分考えられるわけでございまして、それはその地域における宅地住宅の需給度とのバランスも大いに関係すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/91
-
092・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 平たくいえば、都市計画上は都市計画になじむ緑地、農地の場合は生産緑地になると思うのですけれども、この生産緑地になり得るものは残すけれども、その他の農地はなくしたい、こういう考え方で貫かれているのかということをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/92
-
093・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 生産緑地の指定を受けるものは制度的に一定期間あるいは長期にわたって残すということになりますし、その他の農地につきましても、市街化を促進するというのは、その基盤の整備等をはかるというようなこと、あるいは一方において宅地並み課税等の施策を一部について講ずるというようなことを意味するわけでありまして、直接に農業をやめるというような施策は現在もとっておらないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/93
-
094・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 ところが実際においては、農地として利用するには採算が合わないような固定資産税がかけられるし、こういうことから農業の意欲を失わせるような税金を取られる、こういうことがあるわけで、現在の三大都市圏にあるA、B農地についてこういうことが行なわれているわけです。そして都市計画の側からすれば、生産緑地として指定されたもの以外の農地は、事実上計画的に市街化をはかっていくということの中から存在できなくなってしまう、こういうことになると思うのですが、都市計画上一定の生産緑地が必要である、この一定の生産緑地を必要とするという考え方にいまはなっているのか、そのことをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/94
-
095・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 都市計画上、都市公園とか都市緑地、これを基盤といたしまして、その他の緑地保全地区とか風致地区とかいろいろな既存の緑地、公的緑地、民有緑地合わせまして、全体として都市計画区域内でも相当量の緑地が必要だ、現在は足りませんが、それを逐次ふやしていかなければならない、こう考えておりまして、生産緑地もその一環として位置づけておりますが、機能としては補完的なものになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/95
-
096・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 生産緑地を補完的なものとして緑地の中での必要性は認めるということになるかと思いますけれども、この法律案が施行された場合に、現在の市街化区域のうちのどれだけの農地が生産緑地としての指定を受けるのか、その見通しにつきまして、いままで述べられたところを見ますと、二十八万ヘクタールのうち一〇%から三〇%、こういう答弁がありました。その根拠については、特に根拠があって言われるという趣旨でもないようですけれども、またそのための、どの程度がこの生産緑地として指定を受けるか、その調査を行なったということもないようであります。そうしますと、実際は法律を施行してみなければわからない、こういうことになるわけです。都市農業を営んでいる人の意識調査をやって、永久に農業を続けたい、こう笠える人もいるわけですけれども、こう思っている人であっても、遠い将来に向かってまで自分の農地の処分が制限される、そういう法律の拘束を甘んじて受けてもよいということと、農業を続けたいということとはまた別になってくると思います。都市計画からいいますと、どれだけの生産緑地ができるか、その見通しを立てて都市の緑地を確保する計画の中に組み込まなければならないと思うわけですが、そのためには、農地の所有者にこの法案に定められたような条件を理解させて、指定を受ける気があるかどうか、こういう調査をやらなければ実際上の計画は成り立たないと思います。都市計画の上で生産緑地を指定するとすればそのような調査が必要だと思うのですけれども、この法案を提案するにあたって、そういう意味での生産緑地の指定がどれだけできるかということを中心にした調査の必要性というものは、全然考えられなかったのかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/96
-
097・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 いろいろ農協の方とか農業会議所の方にもお入りいただき、農林省にも御参画いただいて、都市計画審議会等を中心に、条文化にあたっても詳しく御相談してきたところでありまして、たとえば京都府で都市計画区域内の市及び町の農業委員会、これは十七市二十二農業委員会ですが、これが農家の意向調査を京都府農業委員会議の指導のものに実施されたものなども、資料としてお示しいただいたものであります。
この中でいろいろな調査をなされておりますが、たとえば面積要件二ヘクタール、転用規制十年、さらにその後の将来も何らかの土地利用規制がかかるというようなことを条件にいたしまして調査したものによりますと、約三〇%が生産緑地というものをその条件でも希望するというようなものがあります。組織立った調査はなかなかできなかったわけでございますが、一方ではこの法律は、第一種でも十年たったら、第二種は五年たったら買い取り請求できるという制度がありまして、これは適正価額で買い取る、もし買い取れないときには自由に使える、こういうことでありますから、その点で、一たん生産緑地に同意したけれども何年かたって気が変わったというときにも、その買い取りの制度によりまして十分保護されておる。つまり、先々永久に、あるいは十年以上も農業を続けなければならぬ、そこまで考えなくても、市町村等には買い取りが要求でき、買い取りする場合に、農地だからといっていわゆる農地並み価格で買うのではなくて、宅地見込み地価格として適正価格で買うということでありますから、これは一般の方には売れないということだけのことでありまして、十分保護されていると思います。
なお、先ほど全国二十八万ヘクタールのうちの
一〇ないし三〇%が指定されているのではないかということを私、申したという御指摘がありましたが、そう申したのではなくて、A、B農地の三大都市圏の一万六千八百ヘクタールのうちの一〇ないし三〇%ぐらい。ですから数量としては、ごくわずか何千ヘクタールという程度のものを見込んでおるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/97
-
098・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 いま京都で調査した例があげられましたけれども、それは一地区の問題ですけれども、建設省としてこの法案を提案するにあたって、組織的、全国的な調査、特に三大都市圏における調査、こうしたものは特に必要ではないと考えられたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/98
-
099・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 これは、法律の規模要件とか、期間要件とか、あるいは規制内容とか、それぞれ都市計画の制度として打ち立てられるものでなければならないということが基本的にありまして、その辺の審議がどうしても必要だったわけでありまして、そういう意味で、現在の市町村等のいろいろな施策も、立案過程までに間に合ったものについていろいろ調査いたしまして、違うことは承知しておりましたけれども、しかし、そこまでこの制度としてはとても広げるわけにいかなかった。これは法律制度としての問題のほかに、やはり何と申しましても基本的に、市街化区域、これを宅地化の需要にもこたえるように用意しないと、農業ばかりを残すということでもこれはおかしいわけでありまして、そういうことではどうにもなりませんから、その面の弊害も出ないようにというようなことを考え、それが期間要件なり規模要件にも連なっておる。また規模要件のもう一つの観点は、周辺が市街化されるときになお独立して存在効用、環境保全ということがいえるというような観点、その辺がありまして、どうしても限界を考えざるを得なかった。まあ一部現地視察なども都市計画審議会でやっていただきましたが、そのときいろいろ御意見も聞いておりますが、現に実施しておられる程度にまではとてもこの制度としてはいけないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/99
-
100・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 法案によりますと、この市街化区域内の生産緑地の指定については、公共の用に適するとか、あるいは農業用の必要条件を備えているとか、さらには一定面積以上とか、あるいは同意とか、いろいろな要件によって制限される。ということは一つは、生産緑地の確保ということが第一種については最初はまずないであろう、こう言われるように、確保すること自体がなかなかむずかしいということであるし、そしてまた農業をやりたいと思っている人でも、収益に合わない、税金に迫られて農業をやめなければならなくなるということは、むしろこの法律によって農地の廃止また農業の切り捨てを推し進める。部分的であるけれども、その部分的に指定を受けるもの以外は大体なくなっていくという方向に進むと思うのですけれども、この法律によって農地の廃止や農業の切り捨て、こういうことを推し進める、こういう結果になりはしないかということをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/100
-
101・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 この法律は少なくとも方向としては、都市計画上も生産緑地の意義を評価し位置づけたものでありまして、そのためにこそ転用規制等も行ない、一方宅地並み課税を適用除外するということでございますから、現状以上に宅地化を促進するというような意味を持った方向の制度ではない。ただ、これによって守られる対象農地のとられ方が思ったよりも少ないではないかというようなことはあり得るかと思いますけれども、逆に農地をつぶすために出した法案だというわけでは決してないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/101
-
102・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 ですから、この指定を受けることが非常にむずかしいということから考えてみて、いま言われましたように、その指定を受けるのが少ないということは、あと残りの多くのものについて非常に不安定な状況になる、こういうことがいえると思うわけです。
現実を見てみますと、日本の農耕地は近年次々に減少していっているわけです。昭和三十六年の六百万ヘクタールというのを最高にして、この十年間で四十四万ヘクタール近くが減少した、こういわれております。国土建設長期構想によりますと、昭和五十年には五百八十万ないし六百万ヘクタールへと農耕地を拡大する、こういう計画がされております。こうした計画がすでにあるにもかかわらず、現実には年々農地が減少している。三十万ヘクタールの農地取りつぶしていうことさえいわれているわけです。本法施行後は農地が現実的な問題としてまたなくなっていくことが想像されるわけで、ここで農林省に尋ねたいのは、農耕地拡大の計画、これは一体どこでふやしていこうとするのか。現実に減っている中でほんとうに農地を拡大しようとするのか。拡大しようとするその具体的な内容についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/102
-
103・関谷俊作
○関谷説明員 農林省としましては、農産物の需給動向から見て、必要な農用地面積はどのくらいかという見通しを昭和四十七年に立てております。それでは昭和五十七年の時点で耕地、草地合わせまして五百八十万ヘクタールの農用地が最低限度必要である、こういう考え方に立ちまして、いまお尋ねのございました農用地造成につきましては、およそ十年間に七十万ヘクタール程度の農用地の造成が必要であろう。こういうことで昨年の五月に閣議決定いたしました土地改良長期計画の中で、十年間に七十万ヘクータールの農用地造成を推進する、こういうことを予定をしているわけでございます。
その場所はどういう方面かということでございますが、これからの農産物の需給の面から見ますと、必要なのは、草地と飼料作物をつくります飼料畑、この二つが農用地造成の主なものでございまして、そういう意味では、現在の都市近郊というよりはむしろやや奥まったほう、あるいは今国会に御提案しておりますような農用地開発公団のような方式で大規模な農用地造成をかなり遠隔地のほうで形成して相当大型の畜産基地を形成する、こういうような考え方を中心として農用地造成を進めてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/103
-
104・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 いまの点で、都市近郊については特にふやす考えがなさそうな発言でございましたけれども、人口が集中しているところについては野菜などもたくさん要るわけです。この近郊の農業を発展させる意味において、都市近郊においてもやはり農地に使ったら適当であると思われるところもあると思うのですけれども、都市近郊において農地を拡大するというような考え方はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/104
-
105・関谷俊作
○関谷説明員 都市近郊と申しますか、都市の地域の関係につきましては、農林省の考え方としましては、農用地の拡大ということでお尋ねでございますが、むしろ拡大するというよりは、現存の農用地をどうやって土地の利用計画をうまく立てて効率的に利用するか、こういうことが基本であろうと考えております。したがいまして、都市計画、農業振興地域制度、そういうものを使いまして、農業としてまとまって使うような優良集団農地は極力保全をする、こういう考え方で、しかもその中で現在地価水準も非常に高うございますので、できるだけ農民の間で利用関係を設定して効率的に利用してもらう、こういうような方向で政策制度を推進してまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/105
-
106・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 先ほどお話がありました市街化区域農地の宅地並み課税は三大都市圏以外には拡大しないという大臣の御発言ですが、そしてきょうお話を承っておりますと、閣内で協議する場合においても、そういう自分の考えが実現できるように努力するということを言われました。私は、この市街化区域内の農地について、ほんとうに農業に利用されているものにつきましては宅地並み課税はすべきでないという考え方に立つものですけれども、この法案の形式を見ますと、全国の市街化区域について生産緑地を定めて、生産緑地と定められたものについては宅地並み課税をしない、こういうことになっております。現在は三大都市圏以外では宅地並み課税は課せられていませんし、建設大臣は、そこに拡大する考えのない、また拡大しないために努力する、こういう考えですから、この三大都市圏以外のところにおいては、生産緑地に指定されようがされるまいが、税金の面では何ら変わりがないわけです。そんな変わりがないところにおいて生産緑地の指定を受けるということは、これは自分の土地について自分の自由な処分の制限をすることになるわけですから、そういうことをする人はまずいないと思うわけです。そうするとこの法律は、現実には全国的に適用されるものではなくて、三大都市圏にしか適用されない法律ということになると思うのですけれども、現在の建設省の考え方からすれば、この法律は三大都市圏にしか実際は動かない、こういうふうに見てよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/106
-
107・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 直接に一番大きく響くのは、宅地並み課税が適用除外になるかならないかということでございますから、そういう意味では三大都市圏が実際上主たる対象地域になると思いますが、この制度によって、三大都市圏外でありましても、生産緑地地区に指定されると、市街化区域という基本的性格の中ではありますが、相当長期にわたり営農が継続されることになりますので、農林省当局におかれましても、第一種、第二種の区分に応じいろいろな施策を講じようといっておられるわけでありまして、あながち宅地並み課税ばかりが本法案の所有者側から見たメリットであるというわけでもない。現に先ほどの委員会におきます参考人の御意見の中でも、農業会議所は、ぜひこの制度を三大都市圏に限らず全国的なものにしてもらいたい、そういうことによって市街化区域内農地というものも、まとまったものは極力保全しつつ施策を進める基礎をつくってもらいたい、こういう御発言があったわけでありまして、私どももそのような意見も踏まえ、また都市計画の制度としても全国の制度とすることが当然必要なわけでありまして、都市に緑地が不足するという実情は必ずしも三大都市圏に限らない、地方都市でも大いにあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/107
-
108・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 評価の問題になるかと思いますけれども、この三大都市圏においては農地の保全という目的、あるいはまた緑地という目的から、条令などの処置によって農地の宅地並み課税から農民を保護する、こういうやり方をとっているわけです。いま自治体などが要求しているのは、そしてまたそれが必要だと思うのですけれども、こうした自治体が処置をとっている場合において、自治体の負担をなくしてやるということが必要であると思うわけです。そのような農地について宅地並みの税金を取らない、あるいは税金の負担に対して国のほうが援助をする、そのことが一番求められていると思うのですけれども、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/108
-
109・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 自治体は自治体なりの御判断でいろいろな農地保全策を講ぜられておるわけでございますが、その一番の原因は宅地並み課税の制度が昨年度から施行された、一方国の施策としては、まとまった、しかも長期にわたる営農の御意思のある方でもこれを拾い上げる制度が法律上なかった、そのギャップを埋めるということが当面必要であった、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/109
-
110・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 はたしてそれがギャップを埋めてよい方向に動くかどうか、それが問題になるわけです。
ところで、市街化区域の中に緑地が必要である、これはもう言うまでもないことです。科学技術庁の資源調査会が出しました「高密度地域における資源利用と環境保全の調和に関する勧告」、これがあるのですけれども、その中で多元的土地利用の計画というのが提唱されております。その中に「生物の種の多様性を保つに必要な保持容量の面積を、都市環境内に確保する」。たとえば自然状態に近い山林三十ヘクタールの規模、こういうようなことを言っております。人間の生活の上で緑地空間が必要であるということは、これも言うまでもないことです。都市計画審議会の答申では、緑地空間のオープンスペースが取り上げられておりますが、人間が良好な環境で生活するための緑地空間の確保に関して、この科学技術庁の調査会の提案なども参考にした上で建設省は検討しておられるか、その基本的な見解を示されたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/110
-
111・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 資源調査会の勧告がございまして、私どももそれが次第に研究が進められ、科学的にも量的に把握できれば非常に望ましい、こう考えておりますが、諸外国を含めまして、なかなかそこまではまだいっていないという現状でありまして、建設省でも、過去においても何回かそういった調査もいたしましたが、なお今後とも検討を進め、できるだけ正確な所要量というものを積み上げるような基盤ができるように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/111
-
112・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 公園の問題ですが、都市内で公園緑地を確保するということについて、昭和四十七年度を初年度とする公園緑地整備五カ年計画では、いま一人当たり二・八平方メートルなんですが、これを五年間で四・二平方メートルに拡大する、こういう計画が出されております。現在のところ、この計画の進捗状況、それから五カ年計画の見通しについて説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/112
-
113・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 都市公園等整備五カ年計画は昭和四十七年度から五十一年度までの五カ年計画でございまして、都市公園としては初めての五カ年計画でございます。現在それを計画に即しまして逐年実施しているわけでありますが、現在までの事業費としての進捗率は、三年終えまして四七%ということですから、これ自体は大体予定どおりの進行ぐあいだと見ております。ただしその間、用地費、工事費単価等が高騰いたしておりますので、実際には事業量としてはさほど進捗しているとはいえないということであります。同じ単価で計算して一人当たり四・二平米を目ざした制度でありますが、いまのままでいきますと、そこまではなかなかいかないのではないか。したがいまして、今後何とか五カ年計画自体の拡大改定も含めまして、内容も充実してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/113
-
114・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 経済社会基本計画によると、昭和六十年をめどに一人当たり九平方メートルという計画になっております。これは、いままで言いました数字も全国平均であろうと思うのですけれども、やはり一番問題は三大都市圏であると思います。この三大都市圏、いわゆる過密都市においての都市公園の整備の実現、それから目標どおり達成できるということははなはだ疑問に思われるわけです。いまの点を三大都市圏のほうから見た場合に、この公園の確保の状況、その見通しについて説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/114
-
115・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 六十年に一人当たり九平米というのは現在の数字から見て相当努力しなければならない数字でありますが、ぜひその程度には持っていきたいという長期の構想でありまして、しかも全国平均であります。御指摘の三大都市圏はもうすでに既成市街地としてでき上がっているところが非常に不足して、この中での確保というのは非常に困難でありますので、今後も新しい市街化区域、市街化する区域、あるいはその周辺に散らばる市街化調整区域等もフルに活用しまして、できるだけそういった数字に持っていきたいと思いますが、現在まだその長期構想についての三大都市圏を切り離した数量的見通しというものを立てているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/115
-
116・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 この都市公園を計画どおり広げるということは実際上非常にむずかしいということはわかるわけですけれども、この生産緑地はこの緑地を補完するという考え方があると思うのですけれども、この生産緑地は、都市公園の公園緑地、この中に入れて考える、そういう考え方はないかどうか、確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/116
-
117・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 おっしゃるとおり、生産緑地も非常にオープンスペースとしての機能、緑としての機能がありますから、都市が過密化し密集化していく段階を考えますと、非常にその存在効用というものは高いと思います。これを広い意味で緑地体系の中に十分位置づけられると私どもも考えておりますが、私どもの定義では、都市公園というのは、存在効用のほかに、そこに人が入って散策したり、景色を見たり、あるいはスポーツをしたりという利用する面も考えた施設でございますので、生産緑地をその範疇に入れるということは困難ではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/117
-
118・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 これは公園の範疇に入れてもらっては困るということなんです。生産緑地は都市生活上の必要な緑地空間ということから見ますと、たとえば森林などに比べてみますと非常に効果は薄いものだと思うわけです。特に臣大都市の環境保全という点が問題となる場合に、生産緑地に緑地環境保全ということを期待しても、これは効果が少ないと思います。これは生産緑地を都市公園の数字合わせのためにそういうことがあっては決してならないし、生産緑地と都市公園とは厳格に区別して都市公園の整備を急がなければならない、こういうことを言いたいわけです。
それから、都市農業に対する施策ということがいろいろ議論されておりますけれども、いままでの議論の中から見まして、積極的な農業投資はなされていない、こういうように見なければならないと思います。都市内で生産される生鮮食料品が市場においてどういう地位を占めているか、あるいは都市内における野菜などの自給率、こうしたものについて農林省のほうでは調査をしておられるのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/118
-
119・戸田博愛
○戸田説明員 お答えいたします。
現在、市街化区域二十八万ヘクタールの中の野菜の作付面積は、おおむね二万五千ヘクタール程度と推定をいたしております。大体一割だと思います。また、全体の野菜の作付面積三十万ヘクタールぐらいございますので、八%ぐらいが市街化区域内にあるというふうに思います。しかし、それはあくまで全体の話でございまして、大都市圏の、しかもある一定の時期の一定の野菜についてはかなり高いシェアを占めております。たとえば東京中央卸売市場に入ってまいります東京都下産の野菜が、キャベツで言いますと、年間は一〇%程度でございますけれども、六月は四割近いシェアを占めている。あるいは軟弱蔬菜類については、特にコマツナ等は七〇%程度を占めている。そういう意味で一定の時期の一定の野菜についてはかなりの役割りを果たしておる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/119
-
120・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 そういう意味で都市の野菜が都市の住民の生活にとって非常に重要である。この都市の農業を保全しなければ、また生産緑地としての保全も困難になってくるわけです。都市農業を保全するという中で生産緑地はどういう意味を持っているのか、どういう効力があると考えているか、この点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/120
-
121・関谷俊作
○関谷説明員 都市地域につきましては、市街化区域内の農地ということでありますと、非常に長期を見ますと、これは市街化区域の中の問題になるわけでございますが、今回の生産緑地制度ができますと、これは都市的な意味で良好な都市環境の形成に資するような一定の要件に該当するものは、この制度によって保全がはかられるわけでございますので、そういう意味では、現在よりは、農地の保全、あるいは農業の保全、また都市の環境の中で農地の果たします機能、こういうものがこの制度の中で位置づけられていく、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/121
-
122・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 私は、都市生活と農村生活、これをやはり総合的に一体としてとらえる必要がある、すなわちつり合いのとれた都市づくりでなければならない、こういう基本的な考え方に立つわけです。そういうことのためには、都市計画の中において、何といっても住民の意識が計画の中に反映できるような民主的な手続による計画が必要であると思うわけです。先ほど言いました資源調査会の勧告の中にあっても、「住民の正しい理解に基づく土地利用の検討」といたしまして、都市内において確保すべき緑地面積、特に自然状態に近い林地の必要面積の量的研究を進めることが必要だ、こういう趣旨が述べられているわけです。量的研究、あるいはこの都市づくりということの中で住民の理解を得られるようにするということは、住民の意思を反映するということだと思うのですけれども、そういうやり方についての検討をされているかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/122
-
123・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 この法律は、そういう点十分考えまして、まず御本人の同意を要するということにいたしております。しかも、都市計画決定権者は市町村といたしまして、市町村が知事の承認を受けて定める。その場合に、都市計画の制度でございますから都市計画審議会にかけるわけでございますが、特にこの問題につきましては、農業関係の代表の方にもさらに加わっていただきまして、そういった角度からの御意見も十分拝聴した上で審議会で結論を出していく、こういうことに運用いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/123
-
124・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 同意の問題ではなくて、この町づくりにおいて、どの程度の農地がこの町に必要であるか、そういうことをきめることの中にやはり住民が参加したやり方で計画を立てていくということでなければならない。それによってほんとうにつり合いのとれた町づくりができるんだということを申し上げたいわけです。
それから、この緑地空間の確保、また都市農業の保全という目的から見ますと、この生産緑地を保全するということではあまり多くの期待はできないということになります。そしてまた、都市農業のあり方、都市と農業の両立の問題など、まだ現時点においてほんとうに解明されていない問題が非常に多いと思うわけです。そういうところで生産緑地の制度を法制化するということは、やはり私もこれは早過ぎる、こう思います。都市計画側の考え方から農地に宅地並み課税をするというのがもともと間違っておりますけれども、なお、との都市づくりがどうあるべきであるかということについて、まだ解決されていない、検討しなければならない問題がいままでの議論の中にも出ておりますけれども、そういうときにこれを法制化してしまうということはまだ早過ぎる、こういう考えなんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/124
-
125・亀岡高夫
○亀岡国務大臣 この生産緑地法が、いわゆる都市計画、都市サイドと、それから農家サイドと、いままで行政的にも法制的にも非常に放てきされておったという感じなきにしもあらずということは、柴田委員も御理解いただけるだろうと思うのです。そういう意味において、都市計画の中に農村の立場、農家の立場というものを法律的に認めていくということについては、いわゆる都市と農村との接際点において生活する農業者、生活する都市勤労者、そういう関係を法律的に調整をとろうというこの生産緑地法の考え方というものは、私はもう早過ぎはしない、むしろおそ過ぎるうらみがあったのではないかとさえ、私、実はこの問題を検討している間に痛切に感じたわけであります。したがいまして、柴田委員が早過ぎると仰せられますけれども、もしこれをきちっとしませんと、現に今年度のA農地を持っておる方々は高い固定資産税を取られてしまうというデメリットも実はあるわけでございます。私ども建設省の立場から、都市サイドの側から、農家のことばかりいっていたんじゃ都市計画はさっぱり進まぬじゃないかという御批判もあろうかと思いますけれども、私は、むしろ建設省側が農家の立場に立って考えてあげてこそ、長期視点においては農家の協力を得ることができる、こういう見方をすべきではないか、こう思いますので、あえてこの都市計画の手法の中に、市街地の中においても農業経営を正式に認めていこう、こういうことは私はもう早過ぎはしない、こういう感じを持つわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/125
-
126・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 現実にこの都市農業を保護することになるかどうか、これが分かれ目になると思うわけです。地方自治体においては、この目的や対象、あるいは制度のあり方についていろいろの違いはありますけれども、この宅地並み課税に対して農民を保護するということでは一致しているわけです。先日の委員会におきまして、梅原参考人ですが、自治体の生産緑地制度の目的として、これ以上の人口急増を押える、生活環境を保全する、生鮮食料品の供給、こういう三つに分析して、これが自治体がいま類似の制度をとっている背景だという説明をされましたが、こうした地方自治体がとっている制度の背景、このことについて建設省、自治省、どう考えるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/126
-
127・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 自治体がいろいろの角度から農地の保全奨励策をとっているわけでありますが、それは基本的には、税法が先に進んで、この生産緑地法のような都市環境上も必要な生産緑地を保全する制度がおくれたということが、その間のギャップを埋める意味でまず必要であったんだと思います。この制度ができますと、ほんとうの意味で長期間営農される方は、規模要件等も若干ありますけれども、相当数がこれに乗れるわけでありまして、しかも第一種でも十年、第二種でも五年たてば市町村に対する適正価額での買い取り請求権までありますから、ほんとうに遠い先まで見通す必要はない、こういうことでありますので、この制度で相当カバーできるということは私ども考えております。もちろんすべてが拾い尽くせるというものではありません。それはこの制度が、市街化区域という基本的性格、そこにおける住宅、宅地の需要というもの、それと調整が必要だということでありますし、また都市環境上も、わざわざ集団的な農地として保全するためにどうしても基本的な規模要件等が必要だという考えから出ているものでありますから、市町村の現状の施策ですべて救えるものとは思いませんけれども、こういう制度ができれば、市町村におかれましても、当然現在のいろいろな施策を見直されまして、見直した上で、あるいは必要に応じ別の観点からの施策を考慮されるかもしれない。施策が別であれば、私どもとしても、この法律と相矛盾するというようなことにはならないわけでありますし、同じような観点のもの、税金を還元するというような形のもの、こういうものは、一定期間経過後にはやはり本制度に一本化されるべきもの、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/127
-
128・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 いまの三つの、人口急増を押える、それから生活環境を保全する、生鮮食料品を供給の基盤にする、こういう考え方でやるということは一向に差しつかえないし、それからこれはむしろ正しい考え方だ、こう思うのですが、そういう見解でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/128
-
129・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 市街化区域の生活環境を保全するというのは、まさにこの法律が目的としているところでありますから、そういう観点のものはこの制度に一本化されるべきであると思います。
それから、人口急増の抑制という観点は、だれしもこの大都市圏の人口急増は押えたいわけでありますが、それにもかかわらず、現に住んでいる人、あるいはその世帯分離というものをどう受けとめて住宅を供給するかというところに大問題があるわけでありまして、もちろん思い切ったいろいろな施策によって、現に住んでいる大都市圏の人を地方に分散できれば、これはけっこうなことだし、またそういう方向にいろいろ施策は進められるべきだと思いますが、どっちみち強制的に立ちのかせるというようなことができない以上は、結局、現に住んでおる人がそうはかばかしく地方に出ていくことは期待できない。のみならず、へたをすれば現に地方に住んでいる人がまた流入してくるということさえあるわけでありますから、そういった全国的なことは別途講じつつも、現に大都市圏にいる人の住宅、宅地に対処するという大命題にはどうしてもこたえなければならぬ。私の市町村には来てもらいたくないというお気持ちも、いろいろ現行制度上の隘路を打開しつつ気持ちよく受け入れてもらえるように仕組みながら、やはり基本的には市街化区域のこの貴重な面積の相当部分は宅地化され国民に供給されるということでなければならない。そういう観点から人口抑制というようなものは本法の目的ではありませんけれども、いま言ったような観点からして私は適当ではないと思います。農業施策という点になれば、これは本法とも違いますし、市街化区域という地域の市街化が基本的に必要だという場を踏まえながらの施策であり、いま言った宅地供給にも支障がないということであれば、私はあえてそれまで否定するということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/129
-
130・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 それから、自治体の制度と本法の生産緑地の制度が一致できるものについては切りかえるという趣旨のことを言われておりますけれども、現在の自治体の制度で緑地の指定要件、あるいは手続などで一致しているものがはたしてあるかという問題があります。面積要件だけを見ても、第一種で川口と青梅が一ヘクタール以上ということになっておりますけれども、期間については、十年、永久ということをきめているものもないわけです。そういう意味では、厳密に法案とは一致するものがないと言ってもいいと思うわけですけれども、これを法案で統一するということは、実際は自治体のきめた制度よりも過酷な条件になるということで、この緑地指定にあたっても過酷な条件を農民に押しつけるということになると思うのですけれども、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/130
-
131・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 私どもから見れば、やはり市街化区域の基本的な性格、住宅、宅地の供給の場として、市街化区域の全面積とはいわないけれども、相当面積を期待したいというようなこと。それから、そういう基本的性格から見た場合の都市環境、生活環境の保全上必要だという規模要件あるいは期間要件というものは本法程度が妥当ではないか、こう考えておりますので、それよりもさらにゆるいもの、あるいは短期のもの、こういうものは基本的には望ましくない、こう考えます。
先ほど申したように、全然別個の観点からされるならば、これは私ども何とも言いようがありませんが、それにしても、やはり市街化区域の住宅、宅地の供給に支障があるというようなことだけはないようにいたしたい。それだけの余裕の面積は私ども市街化区域にあると思いますので、そういう支障のないような調整をはかりつつやることはできると思います。
したがって、私の申しておるのは、規模とか規制内容とか、あるいは指定期間、こういったものが同じものを吸収するというんじゃなくて、本法の趣旨と同じようなものは吸収すべきであろう。つまりそれ以外は、市町村の独自の判断でされておったけれども、この市街化区域の基本的性格から見て好ましくないと私どもは考えておるからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/131
-
132・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 参考人から意見を聞いたわけですけれども、五人の話の中で共通しているところとして、これはもうみんなの人が、自治体の意思を尊重する、すなわち、自治体の意思を尊重してこれを助成する方向をとるべきであるという意見であったと思います。自治体の意思を尊重してその制度について援助する、特に明白に間違っているものは別として。まあ、そういうものは現実にはありませんけれども、ともかく、自治体が自分たちの市町村の状況から考えて計画を立て制度をつくっている、それを積極的に援助するということがいま一番求められていると思いますけれども、参考人の皆さんが言っておられた、自治体の意思を尊重するということについてはどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/132
-
133・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在は過渡的に自治体でいろいろな制度がとられております。それは本法がなかったのですからやむを得ない面があったわけですが、本法ができれば、本法の趣旨、目的と同じようなものは、一定期間経過後本法に一本化されるべき筋合いのものであろう。しかしながら、本法と別個の観点から、たとえば特産物の保護といったような観点から独自の保全奨励策をとられるということにつきましては、今後もし本法が成立いたしましたならばあらためて各市町村で見直されると思いますけれども、その見直されたあとにおきましては、本法と両立し得るものも十分考えられるわけでありまして、そういう点で参考人として意見を述べられた方もあると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/133
-
134・柴田睦夫
○柴田(睦)委員 最後に、法案にある買い取り請求の問題ですが、自治体が買えない場合、その土地は結局、民間デベロッパーの買い占め、あるいは開発の対象になってしまう。そうすると、生産緑地としての空間も現実にはなくなってしまうということになるかと思いますが、せっかく生産緑地として存在していたものを、買い取り請求があっても買えないということで、あとかってな開発にさらすというようなこともおそれなければならないし、そういう意味では、自治体が買い取る場合の国の助成という必要も出てくるかと思うのですけれども、その点については、まあ法案には特にございませんが、全然考えないのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/134
-
135・吉田泰夫
○吉田(泰)政府委員 買い取り請求制度は、第一種では十年たってから、第二種では五年たってからが原則でありまして、もちろんその間に、御本人の死亡とか疾病とか、特殊な場合にはすぐにでもあり得ますけれども、それはケースとして非常に少ない、財源として心配するほどのことではないと思いますので、したがって、財源上の配慮も加えつつ、必ず買い取りに応ずるという体制をとるためには、まだ相当の期間があります、その間にいろいろ政府部内でも措置をとりまして、市町村が必ず買えるようにしたい。法律上はやはり、制度として打ち立てるために、万一買い取れなかったときの御本人の権利保護ということをどうしても書かざるを得なかったから、念のため書いてあるわけでありまして、そのようなことのないようにすべきことは当然でございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/135
-
136・木村武雄
○木村委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。
ただいま社会労働委員会において審査中の、内閣提出、雇用保険法案、内閣提出、雇用保険法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、川俣健二郎君外九名提出、国有林労働者の雇用の安定に関する法律案、及び森井忠良君外九名提出、失業保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案について、社会労働委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/136
-
137・木村武雄
○木村委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
なお、連合審査会の開会日時につきましては、委員長間の協議の上決定されますが、来たる十九日金曜日開会の予定でありますから、御了承をお願いいたします。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204149X01419740412/137
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。