1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月二十二日(水曜日)
午後一時五分開議
出席委員
委員長 角屋堅次郎君
理事 坂本三十次君 理事 登坂重次郎君
理事 林 義郎君 理事 渡部 恒三君
理事 島本 虎三君 理事 土井たか子君
田中 覚君 岩垂寿喜男君
小林 信一君 米原 昶君
岡本 富夫君 坂口 力君
折小野良一君
出席政府委員
環境政務次官 藤本 孝雄君
環境庁長官官房
長 信澤 清君
環境庁大気保全
局長 春日 斉君
通商産業大臣官
房審議官 江口 裕通君
委員外の出席者
環境庁大気保全
局企画課長 山崎 圭君
参 考 人
(大阪府公害監
視センター次
長) 大塩 敏樹君
参 考 人
(横浜市公害局
長) 助川 信彦君
参 考 人
(工業技術院公
害資源研究所公
害第一部第一課
長) 横山 長之君
参 考 人
(電気事業連合
会環境対策特別
委員長) 伊藤 俊夫君
特別委員会調査
室長 綿貫 敏行君
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本日の会議に付した案件
大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八五号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/0
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001・角屋堅次郎
○角屋委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、大気汚染防止法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
本日は、参考人として、大阪府公害監視センター次長大塩敏樹君、横浜市公害局長助川信彦君、工業技術院公害資源研究所公害第一部第一課長横山長之君、電気事業連合会環境対策特別委員長伊藤俊夫君、以上四名の方々が御出席になっております。
この際、委員会を代表いたしまして、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ、また遠路にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
本委員会といたしましては、現在、大気汚染防止法の一部を改正する法律案について慎重な審議を続けておりますが、本日は、参考人の皆さまから貴重な御意見を承り、もって本法案審査の万全を期したいと存ずる次第であります。つきましては、どうか忌憚のない御意見を述べていただきたく、お願い申し上げます。
なお、議事の整理上、御意見の開陳は、おのおの二十分程度に要約してお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただくようお願いいたします。
それでは、大塩参考人からお願いいたします。大塩参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/1
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002・大塩敏樹
○大塩参考人 大塩でございます。
私は、いままで総量規制の技術的な問題につきまして検討をいたしてまいりました関係で、本日は、技術的な立場から総量規制の意義、必要性、またその果たす役割りを、まず、申し上げたいと思います。
なお、時間がございますれば、この法律が一日も早く成立することを心から願っている者でございますが、今後の政省令あるいは法律の運用につきまして、若干の意見を申し上げたいと思います。
まず、大気汚染でございますが、御承知のように、大気汚染は、その地域の排出量と気象条件というものによって、その地域の濃度が変わってまいります。その中には、気象条件と関連して地形等の条件も入ってくるわけでございます。
そこで大気汚染をわかりやすく二つに分離いたしまして、一つを風のある状態の汚染、一つを風が非常に弱いときの汚染、このように分離してまいります。
風がある場合につきましての較差につきましては、従来、風によって、ある特定の物質を大気中にばらまく、こういう目的のための研究が数十年前から行なわれまして、その理論的な裏づけにつきましても、多くの成果があるわけでございます。ただ、この大気の成層と申しますか、状態が一様ではなくて、その中でいろいろな乱れがありますために、厳密な理論の適用がむずかしいという状況でございました。
しかしながら、風のある場合の基本的な原則といたしましては、たとえば風下方向の地上濃度、すなわち、私どもが呼吸いたします大気中の汚染物質の濃度といいますのは、煙突から出されます汚染物質の総量に比例して、風速に逆比例して、煙の立ち上がる高さの二乗に逆比例するという基本的な原則がございます。
この原則を用いまして、大気汚染防止法におきましては、K値規制という形で法律の規制として取り入れられたわけでございます。このK値規制の根拠として、いろいろな数値が出されておりますが、一応、毎秒六メートル程度の風があるという前提で理論を組み立てまして、その排出量を煙突の高さに応じて規制しようとするものでございます。
一方、風の弱い状況のものにつきましては、非常に理論的な点で研究がおくれてまいりまして、大気汚染防止法でも、緊急時の措置といたしまして、風が弱いときに起こる大気汚染につきましては、緊急時の措置によって対応する、こういう二つの組み合わせになったわけでございます。
この結果、局地的な高濃度汚染といいますものは改善され、またあわせて燃料使用基準の適用等によりまして、低硫黄化対策の総合的な対策が進められました関係で、地域の濃度は昭和四十五年度以降急激に減ってまいったわけでございます。しかしながら集合高煙突の反面、一方では汚染が広域化する、しかも低濃度の影響範囲が拡大するという問題が起こったわけでございます。
この中で、やはり今後の問題として一つの契機になりましたのは、四日市の裁判の結果でございます。この中で特に総量規制と関係ございますのは、排出基準を遵守するということよりも、人の健康に支障のないレベル、これに環境基準を置いて、それを守ることが、まず大事なことであるという点。それから因果関係につきましては、統計的な手法を用いまして証明すればよいので、厳密な因果関係の立証は必要ではないという考え方。それから世界最高の技術で、いわゆる技術を先取りしたような規制で臨まなければならない場合もある。以上の点から見ますと、従来の環境基準を行政の目標にいたしまして、排出基準を段階的に強化する方法は再検討せざるを得ない状況になったわけでございます。すなわち、排出基準を確実に守れば環境基準が達成できる、こういうような状態にしなければならない。言いかえれば、排出基準と環境基準のお互いの関連において明らかにしなければならない、こういうことになったわけでございます。
そこで登場いたしましたのは、大型電算機によります計算モデル、それを解析することによりまして、発生源と地域汚染との因果関係を明らかにするという手法がとられることになったわけでございます。この場合非常に重要な点は、自治体におきましても観測網の整備を行なっておりますが、そういった現実の汚染を証明できるようなモデルを組み立てまして、そのモデルによっていろいろな作業をするわけでございます。この結果、従来の観測網の中ではわからなかったような汚染が計算的には出てくるという点。また、実際の汚染が証明できれば、将来の予測が可能になってくる、将来の予測の精度があがってくるという問題がございます。
さらに、この全体量を削減するという手法におきましても、最も効果的に総量を削減して環境基準を達成するには、どのような方法で削減したらよいかということが明らかになってくるわけでございます。こうした計算のモデルにつきましては、その後いろいろな研究が各国で行なわれまして、いろいろな注目すべき結果が出ております。
まず一つは、アメリカのTVA火力発電所におきましての結果でございますが、従来の拡散理論では証明できないような汚染が、風が吹いている条件でも起こり得るという事実が明らかになりました。これは千二百メートルまたはその以下のところで拡散を抑制する一種のふたができる、そういった場合では従来の濃度よりも一・五倍ないし一・八倍の濃度が出てくる。したがって煙突を二倍にすれば四倍のものが捨てられるという、いわゆる従来のK値規制につきましても若干の問題が提起されたわけでございます。
その後、この大型電算機と申しますのがいろいろな目的に、いわゆる自動的に使えるような状態になりまして生まれましたモデルがございます。これはパフモデルと、こういうように申しておりますが、いままでの拡散モデルは風下方向に一様な規則性を持ちながら無限のかなたに薄まっていく、こういうことを前提に解かれていたわけでございますが、風の非常に弱い状況では、お互いの煙がぶつかり合ったり、あるいは停滞したりするわけでございます。そうした状況を一つ一つ追跡しながら、解いていくモデルがアメリカで開発されまして、大型電算機の利用によりまして、一時間ごとの値が予測できるような状況になったわけでございます。
そういったことを背景にいたしまして、環境庁では岡山県と協力いたしまして、水島地区をモデルにとりまして、拡散の計算を行ないました。この方式は従来のモデルに加えまして、先ほど申しましたパフモデルを導入いたしまして、この両方の組み合わせで実際に起こっております汚染の状況を説明しようとするものでございます。この風の弱いときのモデルは大阪府の場合はボックスモデルを使用しておりますが、水島の場合につきましては、このパフモデルによって現実の汚染を説明しょうということでございます。
これを一口で申しますと、従来の拡散理論の解といたしましては、発生源から一定距離離れたところに高い濃度が出てくる、言いかえれば発生源の直下が一番きれいである、こういうような結果になるわけでございますが、このパフモデルを適用いたしまして、風の弱いときの状況を計算してまいりますと、発生源を中心とした、いわゆる同心円的な汚染のパターンができ上がってくるわけでございます。したがって、この両方の組み合わせで現実の汚染が示される、こういうことになりますと、風の弱い地域ほど発生源を中心とした濃度の高まりというのが問題になってくるわけでございます。
こういうことになりますと、われわれが利用します空気の流れそのものにつきましても、ある一定限度があるのではないか。したがって、空気の量に限りがあるとすれば、環境の質をきめた以上は、そこに排出し得る汚染物質の量というものも一定以下でなければならないのではないか、こういう考え方が出てくるわけでございます。
総量規制の理論的な根拠につきましては、今後さらに研究が進められると思いますが、いずれにいたしましても、今回の総量規制の理論的な根拠をつくったものでございます。現行のK値規制につきましては、これも一種の総量を削減するための意図で組み立てられたものでございます。この実際の方法を見てまいりますと、地域の亜硫酸ガスの排出量、これを施設ごとに集計いたしまして、その地域の汚染物質の濃度が燃料量に比例して伸びる。そこで一定の目標値を達成するためには、削減率というものが出てまいりますから、現状の量に削減率をかけたものが、いわゆる目標の地域排出量、こういう形になるわけでございます。
ただし、それを個別に当てはめる場合につきましては、いわゆるK値の形をとっておりますから、煙突の有効高さ、煙の有効高さの二乗の割合に応じて、その排出量が配分される、こういう形になってまいります。したがいまして、そういった点で風の非常に強いところではK値規制による改善が比較的容易ではございますけれども、風の弱いところにつきまして、有効高さの二乗に応じたような排出量を配分をいたしますと、やはり問題が起こってくる、こういうことでございます。
したがいまして、今回の法律案におきましては、もう一度もとへ戻りまして、現実の汚染を大型電算機によりまして計算をしていく。しかも、その許容量につきましては、合理的かつ公平なルールによって汚染物質の許容排出量を割り当てようとするものでございます。そういった意味では非常に画期的な考え方でございますが、先ほど申しましたように、これはいわゆる政省令あるいは法律の運用に当たる場合につきましての問題点につきまして、若干申し上げたいと思います。
まず、技術的な問題といたしましては、シミュレーションと申しますか、大型電算機を使いまして発生源とその地域の濃度を結びつける作業の点がございます。
この場合の問題としまして、二つほどございます。
一つは、現状の発生源というものを固定しまして計算する場合につきましては、たとえば大阪のようなところですと、非常に重化学工業率が高い、そういったものに既得権として現状の排出量を頭に置いて計算いたしますと、いろいろな割り当ての問題とからみまして問題を生じてまいります。また、将来の計画をとりまして、シミュレーションする場合につきましては、やはりワクを少しでも多くしたいということで、発生源の計画をとる段階で、過大な燃料使用量というものに基づいてシミュレーションしますと、特定の発生源にワクが多くいくというような問題がございます。こういった点につきましては、ばい煙の削減計画の中でこの計画の実現性等をやはりチェックする必要があるということがいえます。
また、今後知識集約型あるいは省資源型の産業構造に転換するということでございますから、高度に重化学工業化された現状のパターン、現状の排出量の比が今後ずっと続いていく。特に増設に対して、そういった割り当てをしていくことは、かえって知識集約型の産業というものの伸びを抑制するんではないか、こういう意見がございます。したがいまして、割り当てにつきましては、公平かつ合理的なルールを定める必要がある。
それからもう一つは、こういった規制が現実に実施されますと、地方自治体にとりましては、これを監視する体制を整備しなければなりません。直罰の規定も入ったようでございますが、発生源の監視というのは非常に大きな労力を要しますし、費用も要するわけでございます。こういった点につきましては、技術的また資金的な面で援助をする必要がある。また、そういったものにつきましては、企業負担というような面で、やはりこの発生源監視というものについて再検討する必要があるのではないかということでございます。
それから区域の限り方でございますけれども、この総量規制基準が適用され、また新増設につきまして、きびしい基準が適用されるということになりますと、総量規制を適用する区域というものは、できるだけ狭いところになるという問題があります。したがいまして、ばい煙の削減計画にあたりましては、その指定地域にかかわらず、その周辺の汚染を計算した結果、これを参酌して指定地域にする必要があろうかと思います。と申しますのは、やはり指定地域外のほうへ大きな発生源がふえていきますと、せっかくその地域の対策が無になる可能性がある、そういうことが考えられます。特に最近の汚染は、光化学スモッグでも見られますように、広域的に広がりつつございますが、今後府県間の調整、広域的な対策、こういった面につきまして配慮する必要があろうかと思います。
なお、技術の問題につきましては、今後窒素酸化物あるいは光化学スモッグ対策として同じような手法が考えられると思いますが、この新しいモデルにつきましては、膨大な調査のデータが必要になってまいります。特に都市におきまして上下方向のデータというものが非常に欠測しています。平面的な測定網は整備しておりますが、鉛直方向につきましての資料が少ない、これがいわゆるスモッグを解決する際の一つのネックになっております。そういった点で気象官署等におきましては、定期的に鉛直方向の要素をとるようにいまから整備しておかないと、窒素酸化物あるいは光化学スモッグに対する場合の許容限度というものがどうしても不明確になりやすい、こういった点があげられます。
こういった諸問題につきましては、政省令の段階で検討されるというように伺っておりますけれども、この法律が一日も早く成立いたしまして、具体的な細目が明らかになる、それに応じて自治体が具体的な作業ができるように希望いたしまして、私の話を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/2
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003・角屋堅次郎
○角屋委員長 ありがとうございました。
次に、助川参考人にお願いいたします。助川参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/3
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004・助川信彦
○助川参考人 ただいまも大塩参考人からの御陳述にございましたように、このたびの大気汚染防止法の改正は、これまでの防止施策をそのままにいたします、そして、それにつけ加えまして、ばい煙の総量を一定の基準以下に押えようとするものでございます。人の健康に対しまして、何ら有害な影響を与えないような大気環境の実現をはかろうという趣旨でございまして、当面これは大気環境基準の確保が困難な地域に適用しようとしているというふうに解されます。
したがいまして、私ども行政サイドの者から申し上げますと、基本的には何ら反対すべき問題ではないと存じます。むしろ、これまでの規制方式が、ただいまもお話がございましたように、濃度を中心とした規制でありましたために、ばい煙発生施設が過密に密集しておりますような地域におきましては、個々のばい煙発生源が排出基準に合格しておりましても、地域全体の大気汚染はなかなか改善されない。ときにより、ところによりましては、悪化の一途をたどるというところから、すでに公害のはなはだしい地方自治体におきましては、それぞれくふうをこらしまして、ただいまお話がありましたような地域の実情に即した総量規制的な施策が進められつつあるわけでございます。
私どもの横浜市におきましても、すでに十年ほど以前から、市域に立地しております大工場との間に、複合排煙着地濃度についての実験値やら実測値、予測値、そうしたものを組み合わせまして、繰り返し大気汚染防止上のきめこまかな協定を取り結ぶ、あるいは改定をするという手法で、周辺地域に対する影響を最小限にとどめるような努力を重ねてまいりました。液化天然ガスの導入なども行なわれました結果、市内の新たにつくりました根岸工業地域等におきましては、ある程度の成果が得られております。
また、神奈川県のほうにおきましても、昭和四十六年以降、大気環境濃度と二酸化硫黄発生総量との比例モデルを用いまして、発生量の大幅な削減、非常に蛮勇をふるったと申しますか、要するに一定の相関があるというようなところから、これだけ削ればこうなるだろうというふうなことで、公害防止条例に基づきまして、二酸化硫黄の旧環境基準の達成につきましては寄与していただいたと思っております。
また、川崎市におきましては、環境濃度と汚染物質排出量との関係を推計いたします、ただいまお話のありました独自のシミュレーションモデルというようなものによりまして、独自の地域別の総量規制基準を条例化いたしまして、昭和五十一年には、臨海工業地域におきましては二酸化硫黄の中間の目標値、年平均〇・〇三PPMの実現を期しておられます。
さらに、私どもの横浜市のほうで現在作業を進めております地域別総量規制的発想、これは当面公害防止協定の改定という形で推進するというようなことで作業中ではございますけれども、昭和四十五年以前におきましては、重油と石炭から出る二酸化硫黄の総量は年十万トン内外でしたが、それ以後年次を追って九万トン、八万トン、五万七千トンというふうに削減をしてまいりまして、一番汚染のはなはだしい川崎市の臨海地域に近い鶴見区におきまして、ようやく昭和四十七年には旧環境基準を下回る〇・〇三PPM台まで下げることができたのでございますが、何ら人の健康に影響がないという新しい環境基準、年平均値に直しまして〇・〇一PPM前後というふうにいわれておりますけれども、これを達成いたしますためには、大工場四十社の排煙量、二酸化硫黄にして五万トンほどございます、これを八〇%カットいたしまして、燃料転換あるいは排煙脱硫、ガス化脱硫というような手法を組み合わせまして、その他の千四百カ所ばかりの工場、事業場につきましては、燃料規制等を含めて五〇%カットをいたしまして、一万三千二百トン、つまり四十七年の五万七千トンの四分の一以下にしなければならないことがわかっております。これは市内を六つのブロックに一応分けまして、個々の発生源に、ばい煙総量の削減を行なわせるということで進めております。
ただ、大気環境の濃度の改善をはかります上では、陸上の固定発生源を押えただけでは、横浜のようなところではだめでございまして、横浜港に出入いたしておりますところの船舶の発生する二酸化硫黄の影響が予想以上に大きいこともわかってまいりました。その点につきましては、苦慮をいたしておるところでございます。
ひるがえって、昨年末以降の石油危機というものが、わが国のような固有の資源に乏しい国にとりましては、非常に深刻な影響を及ぼしたことは御承知のとおりでございますが、あの当時、要路の方から、地方自治体が国の定めた基準をこえて規制を行なっている点について、それは一面から見れば、大塩参考人も申されましたように、地域の実情に即した適切な規制をしている、またやむなくそこまでやっているということなのだと私は思うのでありますけれども、その点を非難するかのごとき発言がなされたと新聞報道で伝えられておりまして、これが直ちに公害対策の緩和につながるのではないかという観測も一部には行なわれまして、第一線で働きます私ども公害陣営にある者の士気をそぎかねない状況もあったのでございますが、低硫黄重油の確保や排煙脱硫技術の向上等につきましての国の一そうの御努力が望ましいのでありまして、その裏づけなしに総量規制の作業は具体的に進んでまいらないと考えるのでございます。
聞くところによりますと、国におかれましては、総量規制の実施に際しまして、排煙脱硫の効率を約八〇%と見込んで計画を一部で練っておられるようなお話も伺ったのでございますけれども、京浜地区の大工場におきましては、すでに二十近い排煙脱硫装置が稼働しておりまして、よいものでは九八%の安定した効率を示しておるものもあります。かたく見積もりましても、九〇%程度を上回っております。こうしたものを八〇%でよいということではなくて、排煙脱硫効率の技術的な向上というものを促進するような姿勢で、せめて九〇%程度に見込んで計画をお進めいただくことが望ましいと思います。
今回の総量規制を進めるにあたりましては、広域的な考えも多分に取り入れる必要があるかと存ずるのでございますが、具体的に申しますと、たとえば京浜地区におきまして、横須賀火力発電所の影響を無視することはできません。また神奈川県で申しますと、東京湾に面する川崎、横浜あるいは横須賀の三市を対象地域として指定することが最小限必要であろうかと存じます。さらに申しますならば、対岸の千葉県の二百メートル煙突の影響等も考え合わせるべきではないかと思われるわけでございます。このことは、逆に千葉県側でも対岸の様子を十分に考え合わせて計画をしなければならぬというようなことになろうかと存じます。
なお、今回の指定ばい煙発生総量削減計画に関しまして、地方自治体の長に対する環境庁長官の行なう必要な助言あるいは勧告というようなものが、これまで申しましたような総量規制の推進に寄与するような方向で行なわれねばならないというふうに存じます。先ほど申し上げましたような地域、地域での具体的な実情あるいは経験に基づきまして、積極的な施策を進めておりますものを国が統制し、あるいは牽制するというようなものであってはならないというようなことを考えております。ただ、原燃料の見通し、達成年限、達成年次というようなものが法律の中に入っておりますけれども、現下の石油事情から考えてやむを得ないことと考えるのでございますが、国におかれまして、排煙脱硫あるいは脱硝技術、そういうようなものの改善向上の推進に格段の努力を払われ、大塩参考人も申されましたように、これを取り入れる企業に対しまして財政援助やら税制上の優遇措置を与えるなどのことによりまして、地方自治体と一体となりまして総量の規制を推進し、良好な大気環境の確保が早期に達成されるよう御尽力をいただきたいと考えております。
法律を新しくつくったり、あるいは改正したからとて、それだけで直ちに大気環境が改善されるものでないことは申すまでもないことでございますけれども、とかく法律ができたから、もういいのだというような風潮がないでもないようにこれまで考えられます。いかにきめこまかに配慮した法律でありましても、その運用がよろしきを得なければ成果をあげることができません。この点につきましても、大塩参考人からの御意見に、省令にまかされている問題につきましての御指摘がございました。たいへん参考に私どももなったわけでございます。
先ほどから申し上げておりますように、大気環境の確保が困難である地域に総量規制を行なわざるを得ないという状況は、決して先取り行政ではないと思います。大気汚染に悩む地域の住民にとりましては、むしろおそきに失したあと追い行政と見られると思います。それにいたしましても、われわれ地方自治体の公害行政をあずかる者どもといたしましては、国と一体的に協力をいたしまして、一刻も早く健康的な環境を回復したいと熱望する次第でございまして、本法案の成立を願うものではございます。国におかれましても、各地域の気象、地形、住民の健康状態あるいは意識等を十分尊重されまして、単に画一的な、あるいは統制的な規制におちいることのないように、地方自治体の自主性あるいは住民の参加意欲というようなものを育てながら、法律改正の目的を達成するようにしていただきたいと思います。
終わりに、都市自治体の一員として申し上げたいことは、特にある程度の実力を持っております指定都市、これは大気汚染防止法の規制権限の委任をすでに受けておる政令市でもございます。この総量規制基準の策定というのを都道府県知事が一元的に行なうことは、あるいは広域的な面から必要であろうかと存じますが、それぞれの市域内のばい煙総量削減計画の策定あるいは燃料使用基準の決定等についての権限は、住民に直結をしております、住民と企業の間に立ちまして、公害対策に取り組んでおります直接的な都市自治体にお与えになることがいいのではないかと存じますので、その点に対しましては、この法律改正案につきましては、遺憾の意を表明したいと思いますが、県市との間あるいは国と県との間、そうしたものに対しましては、必要な発言もできる、連絡調整もはかれるような条文もあることでございますから、このままで成立をいたしたといたしましても、私どもは積極的に関係官庁あるいは隣接自治体との連携を密にいたしまして、総量規制が実効をおさめるよう一そう努力を重ねたいと存じておりますので、また、今後とも何かと御指導賜わりたいと申し上げまして、これで終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/4
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005・角屋堅次郎
○角屋委員長 ありがとうございました。
次に、横山参考人にお願いいたします。横山参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/5
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006・横山長之
○横山参考人 大気中における汚染物質のふるまいに関しまして研究している立場から意見を申し上げます。
御承知のように、汚染物質の排出規制の方法としましては、従来から濃度規制、それと実効的な排出高度に基づいてきめられますK値規制がございます。濃度規制におきましては、これは薄めて出すという対策が考えられまして、これでは非常に局地的な対策にしかならないのは明白でございます。それからK値規制におきましては、一本の煙突から排出されますガスについての拡散理論に基づきまして立てられておりますのがK値規制でございます。煙突数が次第にふえてくるということになりますと、K値の改正をしばしば必要といたしますので、これは計画性がないということになるかと思います。
それに比べまして、総量規制ではあらかじめ排出源を設定いたしまして、大型のコンピューターを使いまして、大気汚染質の拡散のシュミレーションをあらかじめ行ない、その地区で排出でき得る総量、環境基準に合う総量を算定することが可能であり、非常に計画的でありますので、前の濃度規制、K値規制に比べますと、すぐれた方法であるということがいえると思います。そういうすぐれた総量規制でございますが、それだけに環境基準に合致する総量の算定法が正確でなくてはならないということは、当然いえることでございます。
この総量の算定でありますが、これはその地区で排出されました汚染質が大気中に拡散して、そして人が住んでいたり、動植物のあります環境の中へ入ってくることによって汚染が起こるということで、そういう拡散状態の予測という問題を含んでおるわけであります。
ところが問題なのは、この大気中における拡散状態の予測法で誤差が全くないような、あるいは誤差が非常に小さいような予測法というものは、現在のところ存在していないわけであります。
この拡散の予測、ひいては総量の算出ということになりますが、そういう予測法として現在各国で使っております方法は、大別して三種類ございます。おのおの一長一短があります。
一つは、先ほど大塩参考人が御説明になりました拡散の方程式、拡散の微分方程式から導かれます単純化された拡散の計算式でございますが、そういう拡散の方程式に基づいて計算で汚染濃度を予測する方法でございます。
それから、二番目に使われております方法は、これは風洞とかあるいは水路などの物理モデルを使った拡散の予測法でございます。
それから、三番目に使われております予測法は、過去の濃度とか気象条件の測定値、実測値に基づきまして、統計的に予測を行なうというこの三種類の方法が現在使われております。いずれも一長一短がございます。
まず計算式による予測でございますが、これは長所といたしましては、種々の気象条件の場合に適用できるということであります。風が吹いている場合にはもちろん適用できますし、風が弱い静穏時の拡散の予測にも使えるわけであります。それから都市部などで大気下層部に発生いたします混合層、上空でちょうどふたをされたような形になっております混合層の中での拡散というようなものの予測にも、この計算式による方法は適用が可能であります。ところが一方短所といたしましては、地形、地物の影響があるような場合、よくそういう場所では風が巻きおろすというような、ダウンウォッシュ現象を伴うわけでありますが、こういう風の巻きおろしと、その中に巻き込まれた汚染質が地面へ急激に下降してきて起こす局地的な汚染の予測ということには、この計算法では現在のところ予測ができないわけであります。
一方、風洞とか水路を使いました物理モデルでは、これはこういう地形とか地物による煙の巻きおろし現象というものの予測は、わりあい正確に行なえるわけでありますが、反面幅広い気象条件に応じて汚染濃度がどう変化するかというような予測には、この物理モデルは現在のところ、適用できないわけであります。
それから、統計的な予測法でありますが、これは総量の算定には、現在のところ、使われないのではないかと思います。と申しますのは、統計的な汚染の予測法におきましては、汚染が起こってからでないと統計処理することができないという欠陥があるわけであります。
したがいまして、総量の算定には計算式による方法、それから物理的なシュミレーションモデルによる方法、こういうものを組み合わせて、長所を十分集約した形で、複数のこういういろいろの手段を長所をよく集めまして、予測法の精度を高めるということが必要だと考えられます。したがいまして、この総量の算定の方法は、必ずしも一つにきめる必要はなくて、物理的に見まして、ある一定レベル以上の条件を満たすような方法であるならば、そういういろいろの方法を使って総量を算定してみる、相互に比較して、かつ実測との比較対照を行なって、一番正確な予測手法を確立していくということが大切ではないかと思います。
それから、低層大気中における拡散の研究でございますが、現在各国でたくさんの研究が非常に行なわれておりまして、拡散の状態というものの知識、知見が現在急激にふえております。したがいまして、この総量の算定の方法というものを固定せず、そういう予測技術の進歩に合わせて、たびたび学問的に一番高いレベルの予測法を取り入れていくということが大切ではないかと考えます。
それからもう一つは、現在SOxの環境基準がきめられておりますが、この環境基準は一時間平均値が〇・一PPM以下でなければいけない。それから一日平均値が〇・〇四PPM以下である日が、一年間のうちの総日数の九八%以上なくてはいけないというふうにきめられております。したがいまして、この予測で総量を算定する場合にも、この環境基準の時間間隔一時間平均値、それから一日平均値というものを一年間について計算した上で、それの累積出現頻度というようなものを算定して、環境基準にきめられている平均化時間をとって算定をするべきだろうと考えます。単なる年平均値の予測だけではなくて、一時間値、一日平均値というようなものを累積頻度をつけて算定するということが必要だと思います。
それから、そのようにして算定されました環境総量でございますけれども、それに基づきまして、今度その環境基準を満足しない地域につきましては、汚染質の排出を削減していくという手順になるかと思います。その削減のしかたは、これはいろいろの削減のしかたが考えられますが、公平の原則にのっとって、そして、かつ、その削減を行ないましたら、その総量算定に使った予測方法を再度使って再確認を行なうということが必要かと思われます。再確認が必要でないのは、たとえばSOxの濃度についていいますと、削減をS分のカットだけで行なうというような場合には、これは再度計算しても、濃度と排出量が比例関係になっておりますから、よろしいわけでございますけれども、たとえば煙源の条件を変えるとか、あるいは煙突の高さを変えるとかいうような汚染源の条件が変わってまいりますと、当然環境総量が変わってまいりますから、したがって、再度予測手法を適用して確認をしておくということが必要だろうと思います。削減の手段については、これは公平であればどのような方法でもよろしいのではないかと考えます。それから最後に、適用する物質でございますが、現在考えておられますのが硫黄酸化物、SOxでありますが、この硫黄酸化物は、御承知のとおり大気中での変質が非常に緩慢であります。大体普通の状態で半減期が三時間というようなことが言われております。したがいまして、普通対象とされます距離の範囲では、このSOxは急激には消滅したりしないということを仮定して算定ができるわけであります。
一方、現在非常に問題になってきております窒素酸化物、これにつきましては、自動車等から排出されますハイドロカーボン、そういうものとの混在の結果、紫外線が当たったりしまして光化学反応を起こし、この光化学反応はきわめて複雑な一連の化学反応を含んでおります。したがいまして、この総量の算定は、原理的にはSOxでありましてもSOxでありましても、同じに適用できるわけでありますが、そういう光化学反応というようなものが入ってまいりますと、これはその光化学反応のシミュレーションを行なって、その上でさらに拡散のシミュレーションを行なわなければならないということになります。したがいまして、こういう窒素酸化物にこの総量規制を適用するには、この光化学反応というようなもの、あるいは熱反応というようなもの、これの基礎的研究を早急に進めて、こういう基礎的な光化学反応過程を解明した上で、早急に総量規制の中へ取り入れていくのが最善かと思われます。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/6
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007・角屋堅次郎
○角屋委員長 ありがとうございました。
次に、伊藤参考人にお願いいたします。伊藤参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/7
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008・伊藤俊夫
○伊藤参考人 伊藤でございます。
このたび、総量規制の形におきまして大気汚染防止の施策をお進めになるというお考えに対しましては、私どもといたしまして、原則的に賛意を表するものでございます。
そう申しますのは、ただいまも御指摘もございましたように、従来行なわれておりましたのは、いわゆるK値方式と称するものでございまして、その手法そのものは非常に科学的な観点に立っているものでございますが、二、三問題点があったわけでございます。
一つは、先ほど御指摘もございましたように、ばい煙発生施設の数に制限がなかったということでございまして、一台であろうと十台であろうと変わりはないというふうなことが、一つ問題がございました。
私ども企業サイドのほうといたしましては、もう一つ、煙突の集合効果というものをお認めいただかなかったということは問題点であるわけでございますが、実際、企業はできるだけ集合煙突を立てまして、大気汚染の防除の効果をより上げるような努力を従来してまいってきております。
もう一つは、この従来行なわれました規制の中には、ある一定の容量のもの以上が適用の対象になっておりまして、適用対象外の発生源、いわゆる群小煙源、それから移動煙源でございます。先ほどもお話がありましたような港湾におきます船の影響だとか、そういういろいろな影響のためにスポット汚染が発生しておるということが実態であったと思います。こういうふうな実態から、各地方自治体におきましては、それぞれいろいろな方法を従来ともお考えになりまして、個々の工場、事業所を、プラントごとにばい煙の発生の総量を規制されるとか、または幾つかばい煙発生施設がございます工場は、その総合的な排煙の影響、地上に対する地上濃度、PPMの規制をおやりになるとか、最近になりましたら、今回御提案になっておられますような総量規制の方向に進んでこられる地方が、かなりふえてきたわけでございます。
したがいまして、こういうふうな現在の情勢でございますから、従来施設ごとのK値もやはり量規制でございます。確かに量規制ではございますが、数の制限がなかったということでございますから、このK値規制を補完するという意味におきまして、その地域の総量を規制する方式をあわせて採用されるということは、われわれとして異議を申し立てるべき筋合いはないというふうに考える次第であります。
ただ、この方式は日本が世界に先行しまして採用しようとしている方式ではなかろうかと思います。私ども、あまりよく勉強しておりませんが、世界で非常に珍しい新方式であろうと思いますので、これの実施につきましては、科学的に非常によく検討をしていただきまして、おやりをいただきたいというふうに感ずる次第であります。したがいまして、総量規制の導入にあたりましては、その規制の基準とか削減計画、配分、削減率、そのようないろいろなファクターにつきましては、十分科学的な根拠をもって合理的に、しかも実施の結果、非常にその効果が的確にあがるような効果的な方法を策定していただくべきではなかろうかというふうに考える次第であります。
なお、過密が進展いたします地域でございましても、新増設の可能性をぜひお考えいただきたいと思いますが、本案には、その点につきまして特別の基準を御設定になるというお考えを盛り込んでいただいておられるということは、非常にありがたいことでございまして、ぜひこれをひとつ可能性のあるように今後とも御推進をいただきたいというふうに思います。
当面は、硫黄酸化物を対象としてお進めになるように承っておりますが、その後窒素酸化物が対象になるやに存ずる次第でございますけれども、窒素酸化物の総量規制ということにつきましては、ただいま窒素酸化物の防除技術につきましては研究開発の途上でございまして、十分なめどなり見通しがついているという段階まで来ていないのではなかろうかというふうに存じますので、その点の時間的な関連を十分慎重に御考慮の上実施に移していただくべきではなかろうかというふうに存ずる次第であります。
それで、この総量規制の実施の手法につきましては、ただいまお三方の参考人の方からいろいろ御意見が出まして、私の申し上げたいと思っておりますことも、ほとんど同様のことでございますが、まず現時点の基準年度におきます総量はどのくらいあるか、それからその実態の汚染の状態がどうあるかということを正確に把握すべきであろうかというふうに思います。単に量だけではございませんで、それぞれ発生源によりまして、その汚染に対する寄与度がどうであるか、そしてどの部分を圧縮すれば最も効果があるのかというふうなことを、いろいろシミュレーションその他モデルテスト、その他の方法があろうかと思いますが、これを科学的な基盤に立って確認をしていただいた上で実態を把握していただいて、次の目標値の総量値を確保していただくというふうにしていただくべきではなかろうかと存じます。往々にいたしまして、極端なスポット汚染だとか、ごく短期間な汚染が削減率の対象になるというふうなことでは困りますので、その点慎重な数字的なお取り扱いをお願いしたいと存じております。
基準目標の対象になりますのは、ただいまお話もございましたように、現在は環境基準というものは一時間値または二十四時間値が環境基準ということに相なっておりますが、この総量規制の対象でお考えになります地点は、おそらく年間かなり汚染度が進展いたしておりまして、いわゆる高原汚染と称するような地域が対象になるのではなかろうかと存ずる次第であります。したがいまして、もちろん一日二十四時間の環境基準の達成を目標とすべきではございますが、その対象の総量になりますのは、おそらく一日をとるか、月をとるか、一年をとるか、三つの方法があろうかと思いますが、ただいまも申しましたような長期間の汚染が進展しているような地域ということでございましたら、おそらく年間の量を対象にされるであろうし、そのほうが有効ではなかろうかというふうに考える次第であります。
そういたしますと、年間の平均的な環境基準というものは、どうあるのか、その地域地域で一日の環境基準を達成するためには、年間どのくらいであるべきかということを、実態をベースにしていろいろな科学的な手法で十分御検討いただくべきではなかろうかというふうに存ずる次第であります。
それから、初め申しましたような削減率の設定または配分をおきめになります過程におきまして、新増設分につきましては、ある程度のリザーブということを、その作業の過程において、ぜひお入れをいただきたいというふうに考える次第であります。
配分の問題でございますが、今回の法の考え方の基本になっておりますのは、大体汚染源のグループが三つあると思います。一つは特定工場、事業場、いわゆる大型の発生源でございまして、もう一つは群小の発生源でございます。さらに、窒素酸化物を対象にいたします場合には、移動煙源が相当大きなファクターを占めるのではなかろうか、こういうふうに考えますが、マクロ的にこの三つの煙源に対して、作業をされました目標になりますいわゆる許容的な総量を、どういうふうに配分をされるのが、最も環境基準達成の効果があるかということをよく御検討いただいて、公正な、公平な配分をお考えいただきたいというふうに考える次第であります。これで各グループ間の配分がきまりましたら、方法といたしましては、特定の工場、事業場に対しましては、実質的に、ここでいわれております総量規制が適用されまして、群小煙源に対しましては燃料基準なり燃料規制が適用されるということでございますので、その後規制の推進の過程におきまして、大きな二つのグループの規制の推進のあり方が大体並行的に公正に行なわれるように御指導をお願いいたしたい。
具体的に申し上げますと、群小煙源に対しましては、やはり良質燃料の供給その他におきまして、国といたしましても十分な後援なり御援助をしていただくということによりまして、群小煙源による影響の低減の実効があがってくるというふうに考える次第であります。
特定煙源の場合は、排出量をできるだけ削減いたします手法といたしましては、できるだけ良質の燃料に転換するということと排ガス脱硫装置をつけ加えていくという手法がございますが、いずれにしましても、ある程度技術的にも限界があろうと思います。したがいまして、状況によりましたら、特定煙源のほうは各工場、事業場の操業度と申しますか稼働率と申しますか、そういうものを低減せざるを得ないということに相なろうかと思いますので、移動煙源を含めました三つの割合ということに対しましては、国のほうでも強力に公正な御指導を組み入れていただきたいというふうに考える次第であります。
それで、特定工場、事業場に対します総量的な配分がきまりますと、各事業場、工場に対します再配分の問題が出てこようと思いますが、このときには、やはり単純に現在どのくらいの量を出しておって、これを総量的にここまで落とすべきであるからということで、単純比例計算で行なわれるようなことがないように、個々の工場、事業場の汚染に対する寄与度をよく組み入れていただきまして、従来実施されておりますK値規制のような考え方も組み入れた上でおはかりをいただきたい。この辺が非常に単純な取り扱いが行なわれますと、実施されました場合に、当初の目的と食い違った結果が出てくるかもわからない。したがって、もう一度配分をきめた上でシミュレーションの再チェックをしていただいたほうが、よりりっぱな方策が行なわれるであろうという御発言が先ほどあったと思いますが、まあさような意味だろうというふうに解釈しております。
さように、いろいろこういうふうなものが行なわれました場合に、現在各企業の中では先行的に非常に努力をいたしておりますところと、努力がそれほどでもないところとの格差が実際あろうと思います。これははなはだ具体的な例を申し上げまして恐縮でございますけれども、かりに一つの地域で現在一%の平均的な油をたいておりまして、いろいろ御検討の結果、七〇%くらいは削減しなければいけないということになりますと、硫黄分で対処いたしましたら〇・三%の硫黄分のものをたかなければならない。重油でございましたら、その程度のものは何とか可能であるということでございますと、現在一・〇%の油をたいております工場は〇・三に切りかえましたら、御要望に沿えるわけでございますけれども、これは極端でございますが、非常に先行的に努力しまして現在〇・三の油をすでにたいている工場は、その油をさらにほかのものに切りかえられる手段がございませんでした場合には、その工場の操業度は七〇%カットして三〇%しか操業できないというようなことが起こりかねない。そういうファクターがあるということも、再配分のときによく御考慮いただきまして、実施をしていただきたいということをお願いする次第であります。
初めに申し上げました窒素酸化物関係のことは、硫黄酸化物につきましては、燃料をだんだん良質のものに切りかえていく、それから排ガス脱硫装置を添加していく。排ガス脱硫装置も最近は実用段階に入ってまいりましたので、この総量規制に沿って各企業が努力していきます技術的、燃料調達その他のあらゆる手段につきまして、かなり強い可能性は持っていると思いますが、窒素酸化物につきましては、御承知のように燃焼過程において発生いたします窒素酸化物と、それから燃料の中に含まれている窒素分によって発生いたします窒素酸化物と二つのファクターがございまして、燃料関係によって発生します窒素酸化物は、燃焼技術の改善によりましたら——私どもが所属いたしております火力の発電所のような大型のボイラーでございましたら三〇%、四〇%のカットは可能でございまして、現在その方向につきまして非常に努力を続けておりまして、ほとんど達成のめどがついておりますが、ただ全体の削減率が、それ以上に七〇%、八〇%カットしなければいけないということになりますと、とても燃焼技術の改善だけではできないわけでございます。
将来のことを考えましたならば、やはり脱硫装置に見ましたような脱硝装置の開発につきまして、大いに努力しなければいけないというふうに考えている次第でございますが、これは単に企業サイドだけの努力では不十分だと思います。国におきましても強力に脱硝装置——これは固定煙源だけではございませんで、移動煙源、自動車その他に対します脱硝装置の開発につきましても、一そうの御援助をいただきましたならば、御要望の窒素酸化物の総量規制ということも十分達成できる可能性が出てくるかというふうに存ずる次第であります。
簡単でございますが、以上で終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/8
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009・角屋堅次郎
○角屋委員長 どうもありがとうございました。
以上をもちまして、参考人からの意見聴取は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/9
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010・角屋堅次郎
○角屋委員長 引き続きまして、参考人に対する質疑を行ないます。
なお、本日の質疑時間につきましては、理事会での申し合わせもございますので、その線を踏まえまして質疑を行なわれるようお願いいたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/10
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011・林義郎
○林(義)委員 四人の御参考人の方には、たいへんお忙しいところ御足労いただきまして、ありがとうございました。
いまお話を聞いておりますと、四参考人とも今回の大気汚染防止法の一部を改正する法律案で、大気に関する総量規制をやることについては賛成である、こういうふうなお話でございました。ただ、具体的にやる場合におきまして、いろいろと問題がありますから、いろいろな御注文もついたようでございます。
その中で私、ちょっと順番を追ってお聞きしたいのですが、大塩参考人からお話がありました中で、政省令の中で特に監視体制を強化する必要がある、こういうふうなお話がありました。私も確かにそうだと思うのです。総量規制でありますから、各工場から出るところの発生源を押えていく、それについていろいろな規制をすることは当然のことでありますが、同時にその測定体制というものを、観測点等につきましても、いろいろと整備をしなければならないし、それから各工場の中にありますところの監視体制というものも十分に監視ができるようなものにしておかなければならない、こう思うのですけれども、この辺につきまして私は現在の法律では必ずしも十分でないような感じがするのです。ひとつこの際でございますから、大塩参考人から、具体的にこういった点が欠陥であるから、この辺をこう直したらどうだろうかというような御提案でもあればひとつ聞かせていただきたい、こう思っております。それが第一点であります。
ちょっと時間がございませんから、ずっと質問を一わたりいたします。
次に、助川参考人でございますが、原燃料脱硝技術の問題につきましては、財政援助をするというお話がありました。脱硝技術がなかなかできてない、これは伊藤参考人からもお話があったところでございます。私も全くそうだと思いますが、単に財政援助だけで解決できる問題でもないと思いますし、かたがた窒素酸化物につきましては、いま暫定的な基準がきまっておりますし、その中では大体五年ないし八年の間にやっていこうということでありますが、現段階ではなかなかむずかしい問題だと私は思うのです。特に自動車の問題につきましては、私は非常にむずかしい問題があるだろうと思うのです。この辺につきまして、たとえばどういった方向で技術開発をやったらいいのかという点につきまして、助川さんは公害局長さんでございますから、何かこういったことをやったらいいのではないかというふうな、単に財政援助ということでなくて、もう少し具体的に何かお話がございましたら、聞かせていただきたい、こう思っております。
それから横山参考人でございますが、窒素化合物の場合におきまして検討するときに、ハイドロカーボンの問題があるし、それから窒素化合物については光化学反応、熱反応というような問題がありますから、そういったものも計算方式の中に入れるべきだ、こういうふうな御趣旨だったと思うのです。具体的に申しまして、どういうふうな形で、普通の拡散理論であるとか風洞による物理モデルであるとか、過去の実験値による場合とちょっと違いまして、その辺を光化学反応であるとか熱反応であるとかいうものを方程式の中に実際問題として入れるということは、なかなかむずかしいだろうと思うのです。もしも、そういった方式があれば、その方式を少し具体的にお示しいただくのと、この点につきまして、実際にやっておられますところの大塩参考人にお尋ねいたしますけれども、そういったことが現実問題としてやれることになるのかどうかということにつきまして、横山さんからのお答えがありました後で、ひとつお答えをいただきたいと思います。
それから伊藤参考人にお尋ねいたしますが、窒素化合物の防除技術について、いろいろ配慮しなければならない。私は正直に申しまして、窒素酸化物の環境基準が一応つくられておる、この基準目標も非常に高い基準でありまして、〇・〇一というのは自然状態で発生するものである。〇・〇二というのが目標でありますから、実は、私は非常に高い基準だろうと思うのですね。こういった基準を達成するためには、たいへんなことをやっていかなければならない、こう思うのです。いろいろな産業活動をしていく場合におきますところのものは、ほとんどゼロに近いところまで持っていかなければならないだろう、こう思うのです、もしも達成するということになれば。
したがいまして、そういったことがはたしてやれるかどうかという問題もありますし、特に私は、これはあえてお尋ねするのですけれども、そういったようなものが全体として見通しが、いまのところ全然立ってない状況だと私は思うのです。そのときに、そういった見通しのないものであるけれどもやっていくということは、なかなか現実問題としてむずかしい。たとえばSOであったならば、ある程度まで見通しが立ちますから、やろうと思ってもやれるわけでありますが、見通しのなかなかないものについてやるということは、私は非常にむずかしいような気がするのです。お話がありましたように移動発生源の対策とか群小源泉に対する対策だとかいうことがありますが、基本的にいって、私は非常にむずかしいような気がいたしますけれども、その辺につきまして、どういうふうにお考えになっておられるのか、お答えをいただければ幸いだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/11
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012・角屋堅次郎
○角屋委員長 ただいまの林委員の質問につきまして、四人の参考人より、それぞれ御答弁を願いたいと思います。
まず、大塩参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/12
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013・大塩敏樹
○大塩参考人 監視測定体制につきまして、御説明申し上げます。
今回、考えられておりますようなシミュレーションを行ないますと、常時監視のあり方そのものにつきまして、幾つかの問題が出てくることが予想されます。一つは、現状の測定点の値よりも低い結果が出た場合、その高いデータを異常値として現実の出ている濃度を無視するようなことが起こるのではないかという問題。逆に、計算結果、非常に高い濃度が出てきた、これについては、実測値よりも高い濃度が計算上出てきた場合に、それをまた異常値あるいは計算値ということで一応無視するという考え方が起こってくると思います。そういう点から見ますと、現在までの常時監視のあり方は、面積当たりの測定点で指導されておりますから、やはりシミュレーションまでやるとすれば、そういった点が妥当かどうかということも考えた測定体制の整備ということを考える必要があろうかと思います。これは現に具体的に政省令で場所を指定するという問題じゃないかと思いますけれども、そういった指導は今後やっていく必要があると思います。
もう一つは、発生源監視でございます。これは特定工場の数はおそらく政省令できまると思いますが、大阪におきましても、おそらく百から百数十の工場がございますし、一つの工場で数十の発生源がある特定工場が考えられます。そういったものの排出量を把握するためには、人海戦術というよりは、やはり的確な科学的な方法で排出量を把握するということが必要でございます。そのためには、やはりもう少し迅速簡便にはかる方法で発生源を監視して、それがある程度を越えれば立ち入り検査をする、こういうような形にしないと、現在自治体の監視体制は四六時中は機械がやっておりまして、人間のほうはそうではございませんので、そういった点がございます。実はこの発生源の数の多い特定工場ほどそれを集めて監視するのに非常に費用がかかりますので、こういった費用につきましてはその配分、分担を先ほど申しましたように、はっきりしていただきたい、このようにお願いしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/13
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014・助川信彦
○助川参考人 お答えいたします。
林先生の御指摘のとおりでございまして、金を出せばできるという筋合いの仕事ではございません。特に排煙脱硝を中心といたしまして、その周辺の問題を一通り触れてみますと、燃焼温度が非常に高い、特に化学工業等におきまして、相当の高熱あるいは高圧を利用するというときに窒素酸化物が、燃料の燃焼量は同じでございましても、非常にたくさん出てまいるということになります。したがいまして、技術的に燃焼温度をコントロールしていく、そして生産効率等にも影響が出ないようにするという方法がまず考えられますし、バーナーその他の炉の改造によりまして、炎が均一にまんべんなく炉の中でゆっくり燃えるという形をとることが必要でございます。
広い意味では、やはり工場立地というものが非常に過密な狭いところでやっておりますと、こういう排煙脱硫にいたしましても、あるいは脱硝にいたしましても、その装置の置き場所に困るという事態が起こりがちでございます。二段燃焼法とかいろいろな新しい方法が考えられておりまして、一部につきましては、排煙脱硝につきましても、テスト的なプラントがすでに横浜あたりでも電力会社等で稼働をいたしておるわけでございますけれども、さらにこの傾向を強めてまいる必要もあります。
先生の御指摘は、自動車の問題でございますけれども、こうした自動車の窒素酸化物の規制、一応五十一年度でマスキー法をやるんだというふうにわれわれは承知いたしております。これはやはり極力推進につとめないといけないであろうと思います。やはりマスキー法自体の精神というのが、まずできるかできぬかということよりも、目標を定めて、そのときまでにひとつやるんだというふうなことが、最近石油不足等もありまして弱められておるのでございますけれども、強力に推進をしていく必要があると思います。
大阪でございました万国博覧会で電気自動車等も動いておったわけでございますけれども、あれから十年たちます。とにかく早くその目的地へ着こうとか、能率的に仕事をやろうとかというようなことにつきまして、われわれ非常に急ぎ過ぎたように思うのでございまして、こうした価値観の転換というのを、国民の合意を取りつけるというような方向あるいは自動車そのものの総量を減らしていくというような努力、あるいは道路を、これまでは便利な高速道路をたくさんつくりまして、そして車の流れをスムーズにしようというところにポイントがあったわけでございますけれども、こうしたものにつきましても、大きな反省を迫られておるわけでございますし、高速道路の周辺につきましては、住宅地等問題のあるところについて、国におきましても、十メートルとか二十メートルのそうした緩衝地帯もつくらねばならぬというふうな傾向もございます。そうした膨大な費用もかかる問題でもございますので、自動車そのものを非常に必要とする人々に限って使わせるというふうな、もう少し政治的な背景を持った公害対策というものが必要であろうかと思いますが、くどくど申しますと長くなりますので、これだけにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/14
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015・横山長之
○横山参考人 お答えいたします。
固定発生源から排出されます窒素酸化物は主として一酸化窒素でございますけれども、これが大気中へ排出されまして、熱反応、それからハイドロカーボンの共存と、それから紫外線の照射ということで起こります光化学反応を伴って二酸化窒素に変わってまいります。環境基準は二酸化窒素を基準にとって規制が行なわれておるわけであります。したがいまして、このシミュレーションができるかどうかということは非常に重要な問題でありますが、熱反応につきましては、室内でスモッグチャンバーとかいうようなものを使いましたいろいろの実験が行なわれておりまして、NOからNO2に変わっていく速度が相当つかまえられていると思われます。
それから、ハイドロカーボンとの共存によります光化学反応でございますが、これについては、スモッグチャンバーの中で起こる現象と大気中で起こる現象との間に相違が見られるということが、いろいろ学会等で指摘されておりまして、早急にそういう基礎的な、その相違とか、それから反応速度というようなものについて解明していく必要があるだろうと思われます。そういう一々の化学反応の反応速度が解明された時点で初めてシミュレーションが可能になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/15
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016・伊藤俊夫
○伊藤参考人 お答えいたします。
窒素酸化物の対策といたしまして、実際にその可能性があるかどうかという御質問だと思いますが、御指摘のように、現在制定されております環境基準は〇・〇二でございまして、承るところによりますと、アメリカは年平均で〇・〇五、一日換算にいたしましたら〇・一相当くらいの程度でございますから、日本よりも五倍くらいゆるいような基準でございます。現在東京都は大体〇・〇九ぐらいだというふうにいま承っておりますが、その状態でございましたら、アメリカでは環境基準の中に入りますが、日本では環境基準の四・五倍というふうな状態にあるように存じておりますので、これをただいまお話の出ておりますような総量規制の形にいたしましても、そこまで到達いたしますことは非常に困難な問題であろうかと思います。
一度きまりました環境基準のことでございますから、それをどうのこうのと言うわけではございませんが、何とかやはりこれに到達する努力といたしましては、八〇%、九〇%カットできる可能性を追求しなければならないと思います。したがいまして、自動車はマスキー法その他によりまして九〇%可能だといたしましたら、同時に、われわれ固定煙源を持っておりますものにつきましても、それに近い努力をすべきではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
ただ、固定煙源といたしましても、非常に多種多様でございますので、ほかの業種の方々の状態を私もよく存じませんので、単に電気事業関係の大型ボイラーについて申し上げますと、先ほどもちょっと触れましたように、燃焼技術の改善によりましては四〇%程度の改善は可能でございまして、すでに進展をいたしております。
それから別途に、窒素酸化物の中の何十%かに相当いたします燃料中の硫黄分によります窒素酸化物につきましては、燃料中の硫黄分をできるだけ少なくするような方策がとらるべきだというふうに思います。これは実際におきまして、火力発電所の硫黄分を低減いたしてまいりますと、いわゆる良質の燃料に転換をしてまいりますと、傾向といたしまして、燃料中の窒素酸化物の含有量もだんだん減ってくる傾向がございます。
いま一つの電力会社の例を御参考に申し上げますと、昭和四十五年の燃料硫黄分の平均が一・四%でございますと、それに対する窒素分は〇・二四でございますが、昭和四十七年硫黄分の平均が〇・六八%になりますと、燃料中の窒素分は〇・一八、将来昭和五十年度の目途でございますが、硫黄分が〇・一七になりますと窒素分は〇・〇八というふうなデータがございます。こういうことによって、かなり低減の可能性はございますが、これを合わせましても、八、九〇%のカットということは、ほとんど不可能だと存じますので、特に電力供給につきまして供給責任を負わされております電気事業といたしましては、さらに積極的な脱硝装置について、先ほど国の御援助をお願いいたしましたが、やはり自力の立場におきましても研究を進めておる次第でございまして、すでに数カ地点において、小型のパイロットプラントの開発に着手をいたしております。この一、二年のうちに、パイロットプラントの成果を見ました上で、さらに中型、大型の実用規模に到達いたしまして、何とか窒素酸化物の達成年度でございます五年ないし八年の時限までには到達するようにいたしませんことには、総量規制関係から、火力の発電所の操業度を低下いたしまして、電力供給上支障を来たすようなことに相なっては申しわけございませんので、そういう努力を懸命にやっておるような次第でございます。
ただ、並行いたしまして、総量規制に合致いたしますためには、その際に、もし操業の低下がございましたら、これを転嫁するための水力の発電所、原子力の発電所その他これを転換できる可能性のある電源の開発をあわせて努力をいたしまして、御要望に沿うようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/16
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017・林義郎
○林(義)委員 時間がないようでございますから、質問は残念ながら、これで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/17
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018・角屋堅次郎
○角屋委員長 島本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/18
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019・島本虎三
○島本委員 忙しい中を各参考人の皆さんから、大気汚染防止法の改正案についての貴重な意見を賜わりましたことを、心から感謝申し上げます。
一、二点だけ、ちょっと私流に理解が不十分な点があろうかと思いますので、その点を聞かしてもらいたい、こう思うわけです。
まず私は、逆順に参りまして、伊藤参考人のほうからお伺いしておきたいと思います。
伊藤参考人に伺いたいのは、三点でございます。
その一点は、石油危機が叫ばれました。そしてアラブ関係の石油が、なかなか入手困難になった時期もございました。当然良質の油をたくということが一つの流れであり、指導であったわけでありますけれども、約束どおりの良質の石油を使用していない傾向があるようでありますが、この時点において、一体総量規制を本分とするこの法律をたてまえにして、実際面でこういうことに対して主務官庁である通産省さんのほうで、どのような指導をなすったのでございましょうか。これは今後、法をつくっても、やはりそれを行政面でいろいろ取り上げる際の参考になりますので、まず第一点、これを聞かしてもらいたいのであります、おわかりでしょうと思いますが。
それから第二点目でございますが、それは、やはり脱硫装置の点について、いろいろ御意見を賜わりました。なるほどそのとおりでございましょう。この脱硫装置には直脱、間脱それぞれございますが、直脱のほうは効率がなかなかあがるようでございます。しかし、金がかかるのであります。この場合には、やはり直脱が技術的には困難であるということで熱心でないかのように、ちょっと思うわけでありますけれども、電力値上げは、きのうはっきりきまってしまいましたけれども、脱硫装置のほうに対しても、この点はそれと合わしてき然とした態度で臨まなければならない問題じゃないかと思っているのでありますが、業界の指導の点について、この点一点伺います。それは二番目であります。
同じ伊藤参考人のために、これはまとめて申しわけございませんが、先ほどの参考意見の際に、いろいろ総量になった際のこの評価についての御発言がございました。一日がよろしいか、月がよろしいか、年がよろしいか、これは平均的な環境状態を見るためには、年の長期的な評価のほうがよろしいのではないか、こういうような御意見があったようであります。この点について、長期的な意見がいいというような判定をきちっとなすったということにつきまして、ひとつもう少し具体的に聞きたい、こう思うのであります。
短期的な評価と長期的な評価、これはいずれも両様かみ合わせてほんとうの評価でなければならないはずであります。長期がよろしい、こういうふうに断定される根拠というものは、どうでございましょうか。その基本的な考え方として——私は北海道でございます。北海道は札幌。この札幌というところは寒地でありますから、冬は燃料をたく必要があるのであります。冬燃料をたきますと、いままではずっと御承知のとおり石炭でございましたが、いまは油にかわってきたのであります。そうすると、十一月の末から四月までの間は極端に濃いのであります。汚染されるのであります。しかし夏になりますと、ほとんどたいておりませんのでございまして、きれいなのであります。そうすると、長期でもっていつでも平均をとることによって、ほんとうにこれはきれいなんだ、しかし病気になるというので、これは不完全な評価になるのじゃないか、こう思うのでありますけれども、長期がよろしいといった考え方に対して、少し私は聞いておいてみたい、こう思うのでありますが、この三点を伊藤参考人にお伺いいたしたいと思うのであります。
その短期的評価と長期的評価、いずれがいいのであるかというような点につきましては、同様に大塩参考人と助川参考人、それから横山参考人の皆さんにほんの一口でけっこうでございますから、この基本的な考え方を教えてもらいたい、こういうように思うのであります。
ついでですから、もう三つやります。
いま言ったようにして、私どものほうとしては、今後日本列島の改造計画だとかいろいろ立法化されておる面もあるのであります。その中で今後の一つの重化学工業基地をつくっていく、おそらくは北海道の苫小牧なり青森の小川原なり、また具体的に名前があがっております志布志湾とかあるわけであります。すべて、これは現在は、あまり環境の汚染されていないところであります。環境庁は、それに対してマニュアル方式をもって今後いろいろ環境の状態を調べておるようであります。それは的確に現状を把握することと、その上に立って現状がそれ以上よごれている場合には、これは規制しなければならないし、それは人間のからだ、それと同時に動植物の関係もございましょうから、それを基本にして環境庁で考えられているようであります。
しかし、まだまだ問題があるのじゃないか、こう思われるのでありますが、今後やはり国が考えるような、こういう一つの環境事前評価について、皆さんのほうではどういうふうにお考えでございましょうか、この点、大塩さんと助川さんと横山さん、お三人さんに、ひとつこの点をお伺いしておきたいと思います。あまりたくさんになると、時間がございませんので、とりあえずその点に対して、ひとつお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/19
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020・伊藤俊夫
○伊藤参考人 お答え申します。
良質燃料の入手につきましては、アラブにおきまして最近相当問題が起こったことは御承知のとおりでございますが、電気事業といたしましては、あらゆる方策、あらゆる努力を通じまして、現在電力供給に必要な油の入手は確保いたしております。
それから問題になりましたのは、アラブ地域でございますが、特に良質燃料の入手につきましてはインドネシア方面から入手されていることのほうが多うございますので、その辺を総合いたしまして、当面の各発電所は、各地域に対しまして公害防止協定でお約束いたしております燃料の低硫黄分は十分確保できているものというふうに存じておる次第でございます。
それから脱硫装置につきましては、ただいま御発言のございました直脱及び間脱の使用につきましては、これは私どものボイラーでたきます前に石油業界におきまして努力していただくべき、また設置していただくべき性格のものでございまして、実際はボイラーでたきます前に、いい油にしていただいたほうがいいわけでございますので、できるだけ石油業界とも提携をいたしまして、この方向への脱硫装置の開発促進、設置促進について努力をしているわけでございますが、並行いたしまして、発電所でたきましたボイラーから出ます煙から脱硫するということにつきましては、現在積極的に各電力会社とも脱硫装置の設置を急いでいる実態でございます。
ただ、これは全部のかまに設置するというわけではございませんで、特に過密の激しいところ、それからその発電所に比較的良質の燃料を持ち込みにくいような事情のございます発電所というところを優先的に取り上げまして、排脱装置を設置いたしまして、できるだけ排脱装置設置の効果を速急にあげるような方向で努力が行なわれているというふうに申し上げていいと思います。
第三番目の問題で、規制のほうは、年で取り扱っていただくほうがいいのではなかろうかというふうに申し上げましたのは、その節に申し上げましたように、おそらく指定地域として対象になりますのは、年間にわたりまして相当長期に、いわゆる高原汚染的な汚染が発生する地域を主体として、こういう方式が行なわれるのではなかろうかと思いますので、その場合は年にせざるを得ないし、年のほうがいいのではなかろうか。
ただ、そのときに、もちろん環境基準は一日が環境基準でございますから、一日の環境基準と年平均値とか、年の環境的な数値との相関関係を科学的によく御検討の上で、年をとっていただくことになるのじゃなかろうかというふうに申し上げましたので、地域によりまして、短期間の汚染でございましたら、その短期間の総量規制か、または短期間のK値規制でも、これに代行して環境を改善する手法があるのじゃなかろうかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/20
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021・大塩敏樹
○大塩参考人 環境の汚染の評価として長期をとるのか、あるいは短期をとるのかということと、総量規制の基準として長期をとるのか短期をとるのかという問題があると思います。先ほど来シミュレーションにつきまして、まだ若干の不確定要素があるといいますのは、年間を通じまして例外的に起こる異常な状態を予測する手法がないということで、そういう観点に立てば、日平均値と年平均値、あるいは一時間値と年平均値との相関をとりまして、それを年に当てはめる。年によって、たとえば削減率とかいうものを考えるということだろうと思います。厳密にいいますと、やはり短期のデータの積み上げが集まって、これが長期になるわけでありますから、基本としては技術を開発して、できるだけ短期の数値が正確に出るようにつとめていく、それの積み重ねが長期になるということであろうと思います。したがって、理想的にいえば、この両方の考え方が必要になってくるというように思います。
それから、環境の評価につきましての調査のあり方でございますが、特に今後開発が予測される地点でシミュレーション等をやろうと思いますと、現在の状況を非常によく調べておく必要がある。その場合に自動測定記録計のようなものですと非常に維持管理がかかる、こういうことから、先生御指摘になられましたのは、マニュアル方式と申しますのは、ある一定期間空気をとってやるのか、そういうような評価のしかたと、長期的な、たとえばシーズンあるいは年を通じての調査かということになろうかと思います。
硫黄酸化物の場合につきましては、自動測定記録計もさることながら、ほかに簡便な測定方法がございます。大阪府の場合でいいますと、亜硫酸ガスの測定点は四十幾つでございますが、これと二酸化鉛法の測定器を並列しておりまして、すでに両者の相関から地域の汚染の実態を把握するようにしております。その二酸化鉛法による測定点を、大阪府では二百八十整備しておりまして、二平方キロに一つずつ置きまして、それと自動測定記録計の相関によって環境を評価する、こういう方法をとってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/21
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022・助川信彦
○助川参考人 短期的、長期的評価の問題につきましては、大塩参考人と同意見でございますので、省略いたします。
環境事前評価の手法についてのお話でございますけれども、そうしたこれから開発を予測される地域に対しまして、総量規制の手法を導入すること、今回の法律の改正はそういう趣旨ではございませんで、非常によごれているところを指定してやるということでございますけれども、そうしたことが前向きの施策ということになろうかと思います。
考えてみますと、われわれの所管しておりますような過密の地域におきましては、十年来の一応の測定データは、大塩先生からお話がございましたように、あるいは平面的に、多少は立体的に、鉛直方向についてのデータ等もわかっておりますし、気象条件や地形についての問題もわかっております。したがって、そうした既存の知識を極力利用いたしまして、新しい開発を予定されるような地域について、ひとつ客観的に厳重な事前評価をやるということは必要であろうと思います。これはしかし、実測値がものを言うと思うのでございまして、たとえば風向、風速というようなものにつきまして、その地域の特性あるいは地形的要素、また将来そこに工場が進出をいたしましたり、開発が行なわれたりいたしましたときの変容というものにつきましては、既設のこのような過密地域での経験を織り込んで評価をすべきことであろうと思います。現時点では、環境事前評価の手法というのは、そう客観的に確立されたものはないのではないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/22
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023・横山長之
○横山参考人 お答えいたします。
まず、濃度の平均化時間の問題でございますが、これはシミュレーションの手法と関係がございます。環境濃度のシミュレーションを行ないます場合に、長期間の平均濃度を求めるほど、平均化時間が長いほど予測値と実測値の一致がいいというのが現状でございます。短時間の濃度というのは、それほど正確に予測ができないというのが現状でございます。ただしかし、環境基準としてはあくまでも一時間平均値と一日平均値できめられておるわけでありますから、もし一年間のシミュレーションの予測をやって、それを単純にあらゆる地点についての累積出現頻度みたいなもので年平均値を一時間値、一日値に換算するだけで、年平均値を使って濃度を押え込んでいった場合に、はたして環境基準に正確に反映できるのかどうかという疑問点があります。したがいまして、でき得れば、このシミュレーション技術の精度を高めて一時間値、一日値で評価するというのが最善かと存じます。
それから事前評価の方法でございますが、これは御指摘のとおり、長期間にわたるその対象地区における低層気象の条件、風向、風速とか大気の安定度とかあるいは特殊な、たとえばむつ小川原とか、そういう地区につきましては霧の調査とか、そういう条件を十分に測定して収集して、それに基づいて、この総量規制等で使いますシミュレーション手法を駆使して、環境基準を守るような濃度に押え込んでいくというのが目標かと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/23
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024・角屋堅次郎
○角屋委員長 岩垂寿喜男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/24
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025・岩垂寿喜男
○岩垂委員 大塩さんに最初にお伺いをしたいと思うのですが、総量規制の実施地域におけるいわば工場の立地規制みたいなもの、もっと正確に言うと、許可制というようなものを生かす必要があるのじゃないだろうかという意見があるわけであります。当然その場合にも地域住民の同意を得てということが前提になろうと思うのですが、その問題が、この法律の中に生かされていない点について生かすべきではないかという考え方があるわけでありますが、その点についていかがお考えかということを一点承っておきたいと思います。
二番目は、助川参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、先ほど船舶のSO2のことを指摘されましたが、全体の中のどのくらいのパーセントを占めているのかということを承っておきたいと思います。
二番目は、私が申し上げるのも変なんですけれども、横浜と川崎、それから東京という関係でいつも公害対策の問題は議論の対象になるわけでありますので、私どもも指定都市に権限をおろしていくという立場を主張したいと思うわけでありますが、実際問題として、たとえば日本鋼管の問題について川崎と横浜が話をして、日本鋼管と詰めていくというような経過があるわけでありますので、そういう指定都市の実際の措置について、あらためて参考になる御意見がありますれば、承っておきたいと思います。
三番目は、総量規制に伴う財政措置の問題、これは多くのことを必要としないと思いますので、ぜひお答えをいただきたいと思います。
横山さんにお伺いをしたいのは、総量規制の手法を全国一律にしないで、たとえば地域の地理的な条件や社会的な特性ということを配慮して、何種類かのものにしていく必要があるのじゃないだろうかというふうに思いますので、その辺について環境庁もいろいろな努力をなさっておられるわけでありますが、どうも幾種類かの手法というものが生かされるべきではないだろうか、こんなふうに思いますので、これは横山さんにお伺いをいたしたいと思います。
以上、私、時間がございませんので、簡単にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/25
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026・大塩敏樹
○大塩参考人 公害の規制におきまして許可制というのは、いつも話題になることでございます。大阪府の条例におきましても、たてまえとしては許可地域というものを設けておりますが、この許可制とうらはらに出てまいりますのが許可要件の問題でございます。許可基準というものでございます。したがって、許可基準というものがあって、それに基づいて許可をするという形になってくるわけでございます。府の条例の場合は、それ以外のことも勘案しながら行なわれるように措置をいたしております。今回の総量規制の法律の改正案によりますと、はっきりと許可制ということばは使われておりませんが、新増設につきましては、あらかじめ、いわゆるリザーブしておく分は、公示とかあるいは告示の形をとりますと明らかになってまいると思います。また、その段階では、市町村長または審議会の議を経て一応告示、公告するということでございますから、許可要件としての基準が問題になろうかと思いますが、そういうことで措置されれば事実上許可制に近いような形のもの、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/26
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027・助川信彦
○助川参考人 船舶の影響につきましては、船舶から出ます二酸化硫黄、亜硫酸ガスというものは、年間二千トン内外ではないかと私ども考えておったのでございますけれども、最近港湾局からこまかい資料を取り寄せまして、若干詳しく検討して、まだ詰める余地はあるのでございますが、年間約六千トンくらいの二酸化硫黄が船から放出されているということに大体見当がついてまいりました。これは先ほど四十七年度に、横浜市のいろいろな群小煙源を含めまして五万七千トン程度のものがあると申し上げたわけでございますけれども、そのうちの五万トン程度が大企業四十社程度でございます。それ以外の千二百社くらいが約六千トンくらいあります。あとの残りの千トンはと申しますと、ディーゼルカーでも、やはり若干硫黄酸化物を放出いたします。これをおおむね推計いたしますと、千トンくらい路上等から放出されていく。さらに詰める必要があるのでございますが、しいてお尋ねでございますので、お答えいたしました。
それから財政措置といたしまして、たとえば最近電力会社が深夜電力を利用いたしまして、ヒートポンプ方式というようなことでビル暖房を横浜市内等でも積極的にやっているところもございます。あるいは根岸に例の天然ガスが入っておりますので、これは窒素酸化物対策というような意味も含めまして、二酸化硫黄はゼロでございますけれども、都市ガスへの転換というのを強力に進めてみております。
こうしたものでも、ある程度のビルになりますと、都市ガスへの転換のため、三千万円あるいは五千万円というふうな費用がかかります。公害防止事業団の資金援助のワクの範囲に、そうした無公害的なものや、あるいは低公害型の燃料に転換をする、あるいは暖房方式を変えるというふうなものにつきまして融資の道を、われわれももちろん地元で自治体の中小企業に対する援助等は強化してまいりますけれども、あわせて国においても御尽力を賜わりたいというふうに存じております。この際、お願い申し上げておきます。
権限の問題につきましては、広域的な配慮をいたしますと、総量規制基準的なものの策定が県にということは、やむを得ないといたしましても、先ほど申し上げましたように、それぞれの発生源別の削減計画あるいはそうしたビルの燃料転換の推進、現にやっておりますような仕事につきましては、指定都市に権限を委任することがきわめて妥当ではないか、このように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/27
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028・横山長之
○横山参考人 お答えいたします。
総量算定の手法でございますが、これは御指摘のとおり、地域の規模、汚染源の数、汚染源の条件それから気象の特殊性等を勘案いたしまして、それぞれ最適と思われる方法を適用していくのがよろしいかと存じます。したがいまして、単一の方法にはなり得ないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/28
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029・岩垂寿喜男
○岩垂委員 ありがとうございました。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/29
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030・角屋堅次郎
○角屋委員長 米原和君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/30
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031・米原昶
○米原委員 時間が非常に限られておりますから、最初に質問だけ全部申し上げます。
最初に、大塩参考人にお聞きします。
いま同僚議員の岩垂君からも質問がありましたが、現行法でも今回の一部改正案でも、いずれも工場の新増設は届け出となっております。この際、むしろ法の抜本改正を行なって知事の許可制にしたほうがいいのではないか、こう考えるわけでありますが、いままでの行政の関連で、この点どうでしょうか、意見を聞きたいのであります。
それから、現行法では発電所などが適用除外となっておりますが、大阪の具体的な問題を考え合わせると、その点はどうだろうか。
それから第三番目に、緊急時の措置の問題として、昨年の夏、光化学スモッグ発生当時の状況と、電気事業法における電気供給業務との関連で、どのような措置を国へ要望されるか、この点を聞いておきたいのであります。現在オキシダント濃度が〇・五PPM以上のときに警報が出され、緊急時の措置がとられることになっておると思いますが、この〇・五という数字は実情と照らしてどうでしょうかという点であります。
それからもう一つ、この際、聞いておきたいのは、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律で現状はどうなっており、どのような問題があるかという点であります。また分析化学研究所のような問題も起きたわけで、それだけに自治体の分析体制を確立することが非常に重要だと思うので、国の補助がどうなっているか、その点についての要望を聞いておきたいのであります。
次に、横浜市の助川参考人にお聞きします。
ちょっと一言申しますが、先ほど助川さんの申された修正的な意見に私たち全面的に同感なんです。実を言いますと、この法案が参議院にかかった段階で、おっしゃったような趣旨の修正案を私たちは出しましたが、残念ながら、これは通らなかったのであります。通らなかったけれども、もちろん、この原案そのものが大きな前進ですから、原案にも賛成した、こういう経過をたどっているわけであります。横浜市における大気汚染防止計画と比べて、今回の総量規制案は、これで十分か。不十分とすれば、どういう点かという点をお聞かせ願いたいと思います。
それからその次に、工業技術院の横山参考人にお聞きします。
大気汚染防止の技術開発の程度からして、今度のこの体制は十分かどうかという点が第一。技術開発に全力を尽くすのは当然でありますが、防止技術の進歩がなかなか必要性に追いつかない場合があると思います。そうしたときの研究者の立場として、どう考えられるか、そういう段階では、どういう法の措置をとるべきであるか、この点をお聞きしておきます。
最後に、電気事業連合会の伊藤参考人にお聞きします。
昨年夏の光化学スモッグ発生時に、自治体からいろいろ要請があったとき、電気事業者のほうでどういう態度をとられたか。ことしも同様の事態が起こりつつあると思いますが、その点についてお聞きしたいと思います。
それから電気供給義務がありますから、この点でいろいろ問題があると思うのであります。技術上の問題は別にして、たとえば大口需要者の供給を減らすというような措置が可能となれば、公害防止の上でもいろいろ協力が可能となるのではないかと思いますが、この点についての御意見を聞いておきたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/31
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032・角屋堅次郎
○角屋委員長 ただいまの米原委員の質問に、各参考人より、それぞれ御答弁を願いたいと思います。まず大塩参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/32
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033・大塩敏樹
○大塩参考人 第一点の許可制の問題でございますが、実は大阪府といたしましては、五月六日付で知事名によりまして、国に公害対策の全般にわたりまして要望書を提出いたしております。
この中では、大気汚染の発生源対策といたしましては、総量規制というものをできるだけ早く実施していただきたいということが一つと、未規制のものについても、対象ワクを拡大していただきたいという点、窒素酸化物につきましては、いわゆる現在排出基準が適用されてないものについても、早急に技術開発等を検討されて規制を拡大していただきたい。したがって、そういう意味では、上のせ規制を地方団体ができるように配慮していただきたいといってございます。
それから許可制につきましては、これは先ほど申し上げましたように、この条例では一応許可制のたてまえをとっておりますので、要望といたしましては、瀬戸内海の法律との関連がございますので、ばい煙発生施設については、すべて府県知事の許可制としていただきたい。
それから、総量規制につきましての一時停止その他の直罰規定が導入されてございますが、光化学スモッグにつきましては、昨年、特に電力等につきまして、その削減の数字をめぐりましていろいろ問題がございました。私どもはやはり規定に出されております数字は守っていただきたい、こういう要望をいたしまして、その後は規定どおりの削減がなされているわけでございますけれども、光化学スモッグ発生時におきましては、要望書では都道府県知事が電気事業者に対して操業の短縮または一時停止ができるようにしていただきたい。その結果、大口電力使用者についても電力の供給制限を行なうように明文の規定を設けていただきたいという点。
それからオキシダントにつきましては、府は〇・三PPMで警報措置をとっております。法律上は〇・五PPMになった場合に重大緊急時として措置をしているわけでございますが、〇・五PPM以下であっても、こうした措置がとれるように施行令の改正をしていただきたい。
それから自動車の排ガスにつきましては、マスキー法の早急な実施をお願いしたいという点。それから総量を削減するための総合的な対策、アセスメント手法を導入しながら、車の排ガスの量を減らしてもらいたいという点。
全般的な公害対策につきましては、法律の補助対象になります事業の拡大とそのワクの拡大、これは公害防止計画の承認をいただいた後も、機会あるごとにお願いしているわけでございます。
なお、分析化学センターのお話がございましたが、今後たとえばシミュレーションをやるといたしましても、おそらく自治体で消化できるほどの大型コンピューターを整備しておりませんから、委託業務となると思います。ですから、そういう点につきましては、そういった間違いが起こらないように、府の研究機関なり監視センターについては、そういったシミュレーションが日常業務として行なえるように、私どもは整備する予定としておりますけれども、それについて何ぶんの援助、補助をいただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/33
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034・助川信彦
○助川参考人 大気汚染防止法が不十分であるとすれば、どういう点かというその前に、先生先ほど御支持をいただきまして、たいへん心強く存じます。
これは大気汚染防止法の問題だけではないと思うのでございますが、先ほど申し上げておりますような船舶とか、あるいは自動車等につきましての移動発生源の規制というような問題が——地方自治体におきましては、固定発生源について権限の委任を受けており、移動発生源については権限が非常に分散をいたしております。陸運事務所あるいは県警の当局で、交通の規制なりあるいは車の規制というようなものをいたしておるわけでございます。そのように権限が分散しておりましても、市民にとりましては、沿線地区あるいは海岸におきまして被害を受ければ、地元の自治体の当局に申し出をしてくるわけでございますから、対応せざるを得ないし、また大阪の副知事さんの、電力の安定供給についても府知事は責任があるんだというふうな御発言を最近新聞で拝見いたしました。
いずれにいたしましても、住民の保護という見地に立てば、自治体の長というのは、すべての面に責任を持つわけでございますので、もっと広い範囲で地方自治体のほうに国が権限を委任するような形が必要である。逆に、この法律で不十分な点を根本的に改めますためには、そのような措置が必要である。そのように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/34
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035・横山長之
○横山参考人 お答えいたします。
総量規制によって大気汚染防止を行なうことが十分であるかどうかというわけでございますが、これを十分としていくためには、やはり脱硫技術とか脱硝技術あるいは自動車排ガスの処理、それからアセスメントの精度を高めるというような基礎的な研究に十分な時間と、それから人員、予算等を投入して、基礎研究を早急に進めるということが大切だと思われます。その間、たとえば緊急時の措置みたいな方法を発展いたしまして、大気汚染の即時予報と即時制御、規制というような方法を併用して十分なものにしていかなければいけないと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/35
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036・伊藤俊夫
○伊藤参考人 光化学スモッグが発生いたしました場合の電力会社、特に火力発電所が御要請にどういうふうに対処しているかということでございますが、そういう事態が起こりましたときには、最初は各電力会社の自力の供給力の余力、当該地域以外の火力発電所の能力、それから水力発電所、それから一部原子力発電所の余っております能力を活用いたしまして、御要望に応じるのが第一でございます。
それだけでは足りません場合には、隣接の電力会社からの応援を受けまして対処するという方法につきましては、特に光化学スモッグ対策の協力体制につきまして、広域的の姿からよく事前に連絡協調いたしまして、特別の融通をお互いにいたし合うというふうにいたしております。さような状態でございまして、昨年度には東京地区、中部地区、関西地区、相当程度の予報、注意報の発令がございましたが、二〇%の御要望に応じてきたわけでございます。
ただ本年度におきましても、さらに過密が進んでおりまして、御承知のように、この四月のゼネストの時期にも、すでに光化学スモッグが大阪地区にも発生しているというような情勢でございますので、楽観は許されませんので、ただいま各電力の担当の者寄りまして、本年度の光化学スモッグ発生のときに対しまして、どういう対策をとるかということを寄り寄り研究いたしまして、対策の完ぺきを期すように努力をいたしておりますが、御質問の大口電力につきましては、各電力、特にただいま私の手元にございますのは中部電力、関西電力におきましては、最悪事態には九十万キロワット程度の大口需要家さんの需要を、電力会社の要請によりまして光化学スモッグ発生の可能性のあります時点には、大体前日からお願いしませんと実効がございませんので、大体そういう手法で御協力いただきますようなお約束をすでにいたしております。
それ以外にも休日の振りかえをお願いいたしますとか、あらゆる方法がございますが、まだこれから、本年度の夏、光化学スモッグ発生時におきましては、冷房需要のためにどのくらいの需要が伸展するであろうかということと、それから当面の石油並びにエネルギー関係のいろんな制約が、どのくらいあるであろうかということにつきまして明確な見通しがつきかねますが、一応最悪の事態を対象として検討いたしまして、何とかその御要請に応じるような体制を整えるべく、ただいま努力をしておる途中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/36
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037・角屋堅次郎
○角屋委員長 坂口力君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/37
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038・坂口力
○坂口委員 参考人の皆さんには、きょうはたいへんお忙しいところをありがとうございました。ラストスピーカーでございますので、よろしくお願いいたします。
まず大塩参考人から、順を追ってお聞きをしたいと思います。
先ほどお話しいただきました中に、上下の実態調査というものが不十分だというお話が一つございました。私は、このことにつきましては、いままであまり聞いたことがなかったものでございますので、今後の研究というものが大気汚染等に非常に大きな影響を持つことならば、これは真剣に取り組まなければならない問題ではないかというふうに聞かせていただきました。このことにつきまして、もう少しお教えいただきたいというふうに思います。
それから、発生源が密集する地域がだんだんと大きくなっていきましたときに、総量規制もだんだんときびしくしていかざるを得ないという、まあしろうと考えでございますけれども、するわけでございます。そこで、工業地帯の面積の制限に関する研究というようなことは、あるのでしょうかどうか、これをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
それから助川参考人のお話の中に、排煙脱硫装置として九〇%ぐらいは可能だというお話がございましたが、これは昨日のこの委員会における話し合いの中にも、この脱硫ということが技術的に非常にむずかしいというようなことが話題にのぼっておりました。これは現在どれぐらい可能で、将来の可能性としては実際問題として、どれぐらい可能になるのかどうかということを、ひとつお教えをいただきたいと思います。
それから横山参考人に対しては、先ほど大塩参考人もおっしゃいましたが、やはり人の健康に害のないということが一番中心になって考えていかなければならないと思うわけでありますが、たとえば二年とか三年とか、あるいは五年とかというような期間ではなしに、もっと長期に汚染が続きました場合に、人体に対する影響というものも別の角度から検討をしなければならないと思うわけなんです。そういう意味で、長期の汚染というものに対して、どう公害と取り組むかということが、現在研究の面でどれぐらい問題になっているのか、そしてそのことについてどう研究が進められているのかということが、もしございましたら、お教えをいただきたいと思います。
それから最後に、伊藤参考人に対しましては、先ほどお話の中で、燃料の改善ということについては、ある程度限度がある、硫黄分を低下させるということについても、ある程度限度がある、そういたしますと、総量規制で押える以上は、操業の短縮という方法をとらなければならない。しかし、それも産業構造上非常にむずかしい面もある、こういうふうなお話があったかと思います。しかし、いずれにいたしましても、お互いにそこに住む人間にとってよい環境をつくるためには、どうしてもこれはやらなければならないことでございますので、それに対してもう少し突っ込んだ何か御見解がおありであったら、お聞かせをいただきたいと思いますのと、もう一つは小零細企業の問題が今後大きな問題になろうかと思います。この小零細企業からの公害というものに対して何か名案がございましたら、ひとつ御所見を賜わりたい、こう思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/38
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039・角屋堅次郎
○角屋委員長 ただいまの坂口委員の質問に対し、各参考人より、それぞれ御答弁を願いたいと思います。
まず、大塩参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/39
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040・大塩敏樹
○大塩参考人 上下方向のデータが非常に不足しているということでございますが、最初に申し上げましたように、光化学スモッグにいたしましても冬季のスモッグにいたしましても、これは空気中に、あるふたができるという現象に基づくものでございます。従来そういうふたがないものとして考えておりましたけれども、特に光化学スモッグ、あるいは大型の火力発電所の周辺部の調査報告のようなものが諸外国でも出されておりまして、千二百メートルという例を申し上げましたが、光化学スモッグの場合は、千五百メートルから極端にいえば五千メートルの上空まで風が弱い、そういうときには、いわゆるふたができているのだ。ふたができますと、その中の計算モデルは全く変わってまいります。ふたの位置が非常に低いとき、冬の接地逆転なんかそうでございますが、ふたの位置が低ければ非常に低煙源のものによりまして局地的な濃度が非常に上がります。逆に、また高くなりますと、そのふたを煙が外へ越えて出られませんので、そういった制約ができてまいる。そのふたの位置と申しますのは、時々刻刻変化しておりまして、やはりこれを常時はかる必要がございます。
わが国におきます上空の観測所というのは、全国的に見ましても非常に限られておりまして、これを直接指定地域の総量規制のシミュレーションの中には、なかなか使いづらいということがございますので、そういったデータは非常に専門的な業務でございますので、気象のほうの資料をいただきたいのだ、こういうことを申し上げたわけでございます。
〔委員長退席、坂本(三)委員長代理着席〕
その次の密集地域でございますが、特に東京とか大阪の都心部におきましては、大発生源は別としまして、中小の発生源が密集してくるというのが普通の形でございます。これにつきましては、一応面積当たりの排出量というような形で置きかえることが可能でございます。アメリカにおきましても、大都市の一般的な汚染といいますのは、面積当たりの排出密度、これが関係してくるので、やはり面積当たりの排出密度を落とすように持っていかなければならないということは、アメリカの大気清浄化法にも指導として出ておりますし、たとえばドイツなどでも、そういったシミュレーションは一キロ四方とか五百メートル四方で切断して計算しますから、一キロの発生源の強度が全部出てくるわけでございます。そういう高いところは色塗りをしまして、そういった高いところについてのアセスメントというものを徹底的にやるという手法があるわけでございます。そういう意味で、自動車の問題をおそらくシミュレーションしていけば、こういった面積当たりの排出量というものが一つの尺度になってくることは間違いないと思います。
そういう意味で、そういった点は今後都市計画とか、あるいは大阪の場合ですと工場等制限法とか、そういう都市計画の中でも生かしながら総量をできるだけ群小煙源についても減らしていくような措置が必要であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/40
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041・助川信彦
○助川参考人 坂口先生にお答えいたします。
具体的な例を申し上げてみようと思います。やや小さなものでは、処理最大排出ガス量が一時間当たり六万二千N立米の鶴見曹達のものでございます。これは石川島播磨でつくりましたTCA型のアルカリ洗浄法によるものでございまして、二・五%のS分のものを使いまして、副製品として硫酸をつくり出すわけです。
〔坂本(三)委員長代理退席、委員長着席〕
四十六年の六月以降九九%の効率で継続的に安定した効果をあげております。
さらに旭硝子におきまして一昨年設置をいたしました。これは三菱化工機で製作をいたしました。やはりアルカリ洗浄法でございます。しかし、これの処理最大排出量は一時間当たりのN立米二十一万三千五百でございまして、九五%の効率をあげております。ガラス原料に使います硫酸をつくります。排水のほうは循環処理をいたしております
似たような大きさでは、二十四万二千五百N立米の大きさのものでアジア石油が、これも四十六年以降昭電・荏原式でございます。アルカリ洗浄法で二・五%の硫黄分のものを使用いたしまして、九五%以上の効率をあげております。
中小企業等でいたしておりますものの中に九〇%を割るものが若干ございますが、十六工場につきまして調べました結果では、一応全部九三%から九九%というようなよい効率で、大きな脱硫装置も、比較的小さなものも、現在のところうまく動いております。
こうした非常な過密地帯でもございますし、設備投資あるいは当局の非常な指導もございますし、市民の要求等もございまして、こうしたものが全国的な視野に立って見ました場合にどうであるかというようなことは別といたしまして、これは将来の計画でございますから、極力推進して、技術開発が高度に進むような、そういう御指導を賜わりたいという趣旨で先ほど申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/41
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042・横山長之
○横山参考人 一年間とかいうような長期間の濃度が健康に害がないかどうかという御指摘でございますが、私は、医学のほうについては、しろうとなものですから専門的なお答えはできませんけれども、普通いわれておりますのは、ある小さなレベルでの濃度をスレッショルドとして、それ以上の濃度ですと、やはり濃度にさらされている時間、ドーセージみたいなものがきいてくるのではないかと思います。ただ、先ほどから申し上げております平均化時間の問題は二つございまして、一つは環境基準値——これはやはり医学の専門の方たちが集まっておつくりになっているわけですから、そういう専門知識を結集してつくった環境基準値が一日平均値とか一時間平均値という濃度できめられている以上、そういう濃度で規制も行なっていくべきだろうということを考えておるわけであります。
それともう一点は、シミュレーションをやります場合に、平均をとります時間が長くなるほど実測値との相関がよくなってまいります。短時間濃度を予測するということが、なかなかむずかしいわけであります。だからといって長時間濃度でシミュレーションをやりまして、そこの濃度の高いところをつぶす、そうした場合に、はたして短時間のその高い濃度のところもつぶれるかどうかという問題が出てまいります。したがいまして、環境基準を厳密に満足させる規制を行なうシミュレーションであるならば、当然、環境基準できめられております一時間値、二十四時間値、これを基準にとってシミュレーションの精度を高めていくということが必要だろうと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/42
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043・伊藤俊夫
○伊藤参考人 お答えをいたします。
環境基準の進展に伴いまして相当の削減を必要といたします場合には、原則として、良質の燃料の調達に限界があります場合は、やはり操業度の低下を来たさざるを得ないということは申し上げました。ただ各企業といたしましては、そういうことをできるだけ避けまして、所期の目的を達すべく全面的ないろいろな努力が行なわれるだろうと思います。特に大型企業におきましては、燃料だけではございませんで、並行いたしまして排ガス脱硫装置を活用するという手法も残っておりますので、そういうことの総合によって達成できるのではなかろうか。まあ全部が全部とは申し上げません。
たとえば一例を申し上げますと、電気事業におきましては、昭和四十一年度の日本全国の電力会社の使っております油の平均の硫黄分は二・四%でございましたが、これが将来時点におきまして、昭和五十二年では〇・二九%程度までの良質の燃料の入手のめどをつけております。私が現在所属いたします関西電力におきましては、昭和四十年の平均が二・五でございましたのが、本年度四十九年度には、その約十分の一の〇・二五の調達のめどをつけておりまして、約十分の一の削減の努力をいたしております。
かようなことでございますので、環境総量の規制の基準年度によりまして、どの程度までできるかということではございますが、特に過密地域に良質の燃料を供給する。東京電力さんなんかは、特に京浜周辺、東京湾周辺にはLNGを主体としておたきになりまして、硫黄分のない燃料をたかれるというふうな対策を講じておられますので、できるだけ操業低下しないような努力が行なわれていくだろうというふうに思っております。
あと、小規模の企業に対する問題でございますが、これは今回の法のお考えでは、燃料の基準なり規制でおやりになるということでございまして、やはり一番手っとり早い手法といたしましては、できるだけ良質の燃料を各企業が入手していただくと同時に、国のほうも、できるだけ硫黄分の少ない良質の燃料の供給について御援助をいただきたいと思うわけでございますが、さらにいい手段だということになりますと、これは企業の形態によっていろいろ違いますけれども、都市ガスに転換するという方法もかなり効果的な手段だろうと思いますし、ばい煙発生指定施設によります所要のエネルギーを、てまえみそになるかもわかりませんが、たとえば電化いたしまして、電力に転換するとかいうふうな方法もいろいろあろうかと思います。
今後の推移によりまして、それぞれのくふうによって御要望に沿うような努力をやっていくべきだというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/43
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044・坂口力
○坂口委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/44
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045・角屋堅次郎
○角屋委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。本特別委員会委員各位を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/45
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046・角屋堅次郎
○角屋委員長 速記を始めて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/46
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047・角屋堅次郎
○角屋委員長 引き続きまして、政府に対する質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/47
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048・岩垂寿喜男
○岩垂委員 最初に私は、最近特にひんぱんになっております光化学スモッグの問題について若干の時間をさいて質問をいたしたいと思います。
光化学スモッグが、たしか昭和四十五年だと思うのですが、起きてから今日まで、被害者はおそらく十万人をこえていると思うのでありますが、環境庁はそれについて、どのような把握をなさっておられるか、その点について伺いながら、特にこの光化学スモッグ対策について個々に、たとえばこの間もディーゼルの規制その他などの手だてを通して対策は進めておられるわけでありますけれども、もはや猶予が許されないというかなり差し迫った状況になっております。しかも、きのうの新聞などによりますと、児童生徒への影響の拡大と相まって、たとえば植物あるいは農産物にまで——きのうの場合は、何かホウレンソウにまでその影響が及んでいるというふうな記事が出ているわけでありますが、こういう広範な光化学スモッグの拡大、そういうものについて、環境庁が具体的にこの夏に備えて、かなり集中的に対策をとっていかなければならないのじゃないか。たとえば長期計画でやっていくということもけっこうですが、この場合には急速に集中的な対策を、とりわけ広域対策を含めて考えるべきだと思うのでありますが、これについての環境庁の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/48
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049・春日斉
○春日政府委員 昭和四十五年から現在に至ります間に、関係都道府県から環境庁に報告されました光化学スモッグによると思われます、——これは確実に光化学スモッグの被害者とはいえないかもしれませんが、ほぼ断定されております報告数は、四十五年に一万七千八百八十七名、四十六年には四万八千百十八名、四十七年が二万一千二百四十五名、四十八年が三万一千九百六十六名で、合計十一万九千二百十六名となっております。四十九年度でございますが、関係都道府県からまだ正式に報告はないわけでございますが、私ども電話等による速報によりますると、七千八百六十九名が報告されてきております。したがいまして、五月二十一日現在でございますが、四十五年から延べ人員は十二万七千名に達しておる、こういうふうにいえようかと思います。
なお、五月二十二日までのおもな都道府県の報告を見てみますと、東京は注意報が六回、警報が一回、被害届けが千五百五十一名でございまして、昨年の同期が千九十八名であったということでございます。神奈川県は三百十三名でございますが、昨年同期は百六十八名、大阪は五百名で、昨年同期は二百二十二名、兵庫は三千八百六十名という報告が入っておりますが、昨年同期はゼロであった、こういうふうな実情でございます。
そこで、もう一つお尋ねの、連続してこういうふうに光化学スモッグの被害が出てきておるけれども、従来の対策では不十分ではないか、至急対策を見直すべきではないかという御質問でございますが、確かに、光化学スモッグの防止対策としては、私は緊急を要する問題が多々あろうと思います。
光化学スモッグ対策推進会議の四十九年度の開催は四月八日に行なったのでございますが、そのときの決定事項に基づきまして、総合的な対策を私どもはすでに進めてまいっておるわけでございますが、四月以降光化学スモッグの発生状況を見ますと、先ほど申し上げましたように猶予ならないところがございまして、今夏におきます光化学スモッグ最盛期に対処するためには、いろいろな処置をとってまいりたい。
ことに重点的なものを申し上げてみますると、まず第一に、協力工場におきます緊急時の燃料使用の二〇%ないし四〇%カットの徹底というものを、これは監視並びに立ち入り検査の強化によってはかってまいりたい。
それから二番目は、夏季におきます電力、ガソリン等の需要節減のための指導及び広報の徹底、これはやはり石油危機以降かなり緩和される方向にあるわけであったわけでございますが、そういったことに対しまして、私どもは、光化学スモッグという立場からも、なお、ガソリンスタンドの休日の休業というようなことは続けていただくように要請し、それが行なわれておるわけでございます。
それから、都市総合交通規制の実施でございますが、これは昨日、警察庁からの発表もございましたように、いろいろな方法で交通規制を新たに行なおうとしてございます。これはかなり画期的な方法であろうと思っております。
それから四番目としましては、公共交通機関の利用の促進ということ、これは当たりさわりのないような話ではございますが、これはやはり今後の都市生活において飛躍的に重要性を増していく問題であろうと思っております。
それから五番目に、緊急時発令中におきます適切な校内活動の指導徹底でございますが、これもやはり数日前の新聞にも出ておりましたが、光化学スモッグの警戒警報が出たにもかかわらず、ある幾つかの小中学校あるいは高等学校においては、屋外におきます体操その他をそのままやらせておったとか、あるいは被害者の報告というものをすべきところを、しないで済ませてしまったとか、そういうような問題がまだまだ残っておりまして、この校内活動の指導徹底とか、あるいはそういった教育関係者に対する光化学スモッグの啓蒙というものも進めていきたいと思っております。
それから、正確な被害状況を把握するための調査の実施及び被害届け様式の改善というようなことは、先ほどの例でもわかりますように、届け出は二百名であっても、実際には千名の被害者があったというようなことでは困るわけでございます。これは教育委員会等々を通じまして、それぞれの都道府県に徹底方をお願いしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/49
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050・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いまいろいろ対策をお伺いしたのですが、光化学スモッグ被害に対する、いわば措置の条件とでもいいましょうか、オキシダント濃度が〇・一〇PPM以下、つまり被害が出る限界みたいなものを基準にしまして、たとえばNOxとかHCは何%くらい削減すべきだろうかというふうなぎりぎりの条件を、東京都なら東京都の場合に考えるべき時期が来ているのじゃないだろうか。それは総量で押えることができないとしても、やはりこの辺について一つのレベルを見つけ出す必要があるのではないだろうか、こんなふうに思いますが、それらの点について環境庁はそういう努力をなさったことがあるか、あるいは考え方として、どのような考え方を持っていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/50
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051・春日斉
○春日政府委員 これはあとで御質問いただくかもしれませんが、実は光化学スモッグの抑制のための大きな問題として、炭化水素の規制の問題があるわけでございます。私どもは、まずとりあえず炭化水素の環境基準をつくるべく、中公審の専門部会によりまして検討を重ねてまいっておりますが、その中で、先生の御指摘になりましたような見方から炭化水素の規制というものを考えておるわけでございます。
現在、光化学スモッグというものは御承知のように、大気中の窒素酸化物と炭化水素に対しまして太陽光線の紫外線が照射されることによりまして二次的な反応物質ができ、それが害をなすということでございますので、炭化水素をどのように削減するか、あるいは窒素酸化物に重点を置くかという問題がございますし、どちらにプライオリティーを置くかということは——たとえばアメリカあたりは、最近は炭化水素のほうにむしろ重点を置いておる。窒素酸化物を落とすということは、炭化水素以上に非常にむずかしいという点もございまして、そういうようなことも加味いたしまして、私どもは炭化水素の環境基準をいかに設定すべきかというディスカスをしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/51
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052・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いま春日さんからお答えをいただいたのですが、アメリカのロサンゼルスなどでは光化学スモッグ対策としては、先に炭化水素を規制していく段取りを考えている、つまり、そこで若干窒素酸化物がふえても、現実問題として光化学スモッグの被害は起きない、そういう努力をしているようなんですけれども、日本ではどうしても窒素酸化物のほうに少し力がかかり過ぎてやしないか、つまり片手落ちではないかという批判もあることは御存じのとおりであります。そういった意味で、いま中公審で議論をなさっているということを承りましたが、炭化水素の規制、環境基準というのは大体いつごろ——これはいつというふうに具体的にお答えいただくことはできないのかもしれませんが、できるだけ早い機会に出していくことを期待したいと思っております。いわばそのプログラムをお教えいただきたいことが一つ。
当然それに関連をして有機溶剤の問題だとか、さまざまな問題があろうと思うのでありますが、そういう段階的な措置を含めて、この際、お答えをいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/52
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053・春日斉
○春日政府委員 炭化水素にかかわります環境基準につきましては、ただいま申し上げましたように、中公審の大気部会の炭化水素環境基準専門委員会で審議をお願いしておりまして、その報告を得次第、早急に環境基準を設定する予定で作業を進めております。非常にむずかしい問題がございまして、炭化水素と申しましても非常に多種多様なものがございます。芳香族から始まりまして、不飽和炭化水素その他もろもろのものがございまして、測定方法すら、世界的に見ても、まことにむずかしい問題をはらんでおります。
そういうようなこともございますが、いずれにいたしましても、私どもは、現在すでに固定発生源からの炭化水素については、大規模な石油タンク類とか石油スタンドについて、フローティングルーフ、浮き屋根構造といったもの、あるいは蒸気の回収装置等の施設の設置を行政指導によって実施しておるつもりでございます。もちろん一般に、固定発生源からの炭化水素は多種類に及ぶということは申し上げたとおりでございますが、また発生形態も非常に多岐にわたっておりまして、一律的な規制というものは、かなり困難がある。そこで原材料の転換をはじめ安全面及び効率面を含めた総合的な発生源対策を考えなければいかぬのではないか。たとえば有機溶剤塗料というものは、できれば水溶性の塗料にかえるとか、そういったような問題を含めまして、有効な対策を講じてまいりたいと私ども思っております。
したがいまして、環境基準と申しますものは、できるだけ早く中公審の報告を得次第——これは私どももきわめて急いでいただくことといたしておりますので、それまで御猶予いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/53
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054・岩垂寿喜男
○岩垂委員 炭化水素の規制の問題というのは、いろいろな意味で困難があるとしても、最近の光化学スモッグの状況などを含めて急ぐべきである、とりわけ環境基準を提示することを急ぐべきである、このように考えますので、そのほうの努力をお願いしたいと思うわけであります。
窒素酸化物の問題についても、これは昨年排出規制、PPMのいわば濃度規制を明らかにしたわけでありますが、やはり総量規制の立場を明らかにする時期がぼつぼつ来ているような気がするのです。技術的にいろいろな困難があるということも承っておるわけでありますが、本年度も調査費を計上して、その技術的な開発について努力をしているわけでありますけれども、どんなめどを考えていらっしゃるか。というのは、今度の法律との関連で、やはりこの辺のところも、私どもとしては理解をしておく必要がある、行政の目標として、関連して問題をとらえておく必要があると思うので、その点について承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/54
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055・春日斉
○春日政府委員 窒素酸化物の総量規制の問題点につきましては、先ほど参考人からの意見聴取の際、一、二の方々から御意見が出ておりましたように、窒素酸化物の総量規制に至る以前に若干の前提条件があるようでございます。その一つは、先ほども申されたように、データとして鉛直方向の大気の動きというものを、いかに把握するかという問題もございましょうし、あるいは光化学スモッグの実態を踏まえてのデータの収集というものが、まだまだ不完全であるということもございます。あるいはまた、その他の予測手法というものにつきましても、いろいろ問題があるわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ早く総量規制のラインに乗せるべく検討してまいりたいと思っております。私どもは本年度の予算をもちまして、一定の地域におきまして窒素酸化物総量規制の前提としての環境容量の測定ということを行なうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/55
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056・岩垂寿喜男
○岩垂委員 それに関連して、これはもう春日さん御存じのとおりに、川崎がこの窒素酸化物の総量規制の考え方というものを明らかにし、行政のサイドでこれに取り組むことになっているわけでございますが、これについて率直な意見を実は伺っておきたいと思うのであります。
固定発生源、移動発生源の問題についていろんな困難があること、とりわけ移動発生源について、これは五十一年のマスキー法を待つ以外に、その基準を達成するのはかなり困難だということも前提としながらも、しかも、なおかつ、川崎の置かせられている条件、市民の健康という角度から見て、そういう努力をせざるを得ない。そして現実に、そういういわば努力を先取りをしつつある。これはいま問題になっている総量規制の考え方でもそうなんでありますけれども、一番被害がひどい極端な場所は、自衛のためにもそういう措置をとらざるを得ないわけでありまして、それが先取りということに実は結果的になっているわけでありますが、これについて率直な見解を、この際、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/56
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057・春日斉
○春日政府委員 私どもも川崎市がNOxの総量規制を一律三〇%カットの方向で行なうようなお考えであるということを承知いたしております。ただ三〇%という数値は、当面の目標であろうと思うわけでございますが、さらに将来の長期的方針を今後川崎でもお考えになっているものであろうと思っておるわけであります。
ただ、ここで問題点がないわけではございませんで、たとえばいまだに窒素酸化物の排出規制がかぶせられていない二、三の施設もあるわけでございます。たとえて申せば、製鉄業あるいはセメント業の幾つかの施設でございますが、こういったものに対しまして三〇%一律カットということは、かなりきびしいものではないか、場合によれば、操業率のカットにつながる問題ともなろうと思っております。政府といたしましては、環境基準を計画的に達成していくために、できるだけすみやかに窒素酸化物の総量規制を導入していく方針には変わりないわけでございまして、もし総量規制に突入いたしました暁は、川崎で行なっていらっしゃる御経験というものは、十分私どもは尊重してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/57
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058・岩垂寿喜男
○岩垂委員 この法律の中にある環境庁長官の助言という問題も含めて、この辺は私どもとしては、少し神経質に、関連をしてとらえておきたいというふうに考えておりますので、要するに川崎が、そういう住民の置かせられている条件のもとで、こういう措置をとらざるを得なかったこと、そして同時にそれをやはり国の政策として、できるだけすみやかに実現することを期待していることを、この際、申し上げておきたいと思います。
それで、当然そこの関連で、これはこの前も委員会で質問をいたしましたが、大臣に何かもぐもぐとやられてしまったという感じなんですけれども、五十一年規制の問題もヒヤリングは行なわれるわけでありますが、たとえば一社だけでも技術的にその条件を満たすことが可能だということであれば、環境庁は五十一年規制の問題をきちんと明らかにすべきだろう、こんなように思います。たとえば一社だけでもというケースの場合に、これは率直なところ、いろんな意味でお答えしにくい面もあろうと思うのですが、環境庁としての見解を、この際、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/58
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059・春日斉
○春日政府委員 仮の問題でございます。役人的に申せば、仮の問題に対しては、なかなかお答えしにくいわけでございますが、私どもかりに一社が五十一年度規制に対応する技術の開発が完全にできたというような場合、他社もこれに追随できるかどうか、その他の種々の問題があろうと思います。慎重に検討する必要があるのではなかろうか、かように考えております。これはヒヤリングあるいは中公審の御意見等々によって慎重に検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/59
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060・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いまのお答えを聞いていると、他社のほうにウエートが置かれているような感じがしてならないのであります。やはりパイオニアの役割りを果たしたそういう実績というものを尊重しながら、一社できるわけですから、できるとすれば、他社をそれに追従させていくという、むしろ先導的役割りを認めていかなければならぬと思うのですが、ことばの大きさもあろうと思うのですけれども、どうも他社のほうに基準があるような感じがするので、その点もう一ぺんお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/60
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061・春日斉
○春日政府委員 まあ仮の話でありますが、たとえば一社ができたといたします、他社が絶対にできないといたします。そういたしますと、新車はほとんど市場に出ないということになります。そうなりますと、新車に比べますと、はるかに汚染のはなはだしい車が依然として走るということで、大気汚染防止という観点からは、メリットが何もないというようなことにもなろうと思います。したがいまして、私どもはともかく先生の御意見どおり、先導的な役割りを一社が果たしてくれるということは、これは非常に有効なことでございまして、それを十分使いたいとは思いますが、その辺の問題につきましては、今後慎重に考慮さしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/61
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062・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いまのお答えでは、ほんとうはポイントをついていないと思うわけですけれども、しかし、これはまた機会を得てお尋ねをしていきたいと思います。
先ほどの話にちょっと関連をして、もとに戻って恐縮なんですが、光化学スモッグの対策として、午前中、特に午前六時から九時ぐらいの炭化水素の量を減らすことによって現実問題として光化学スモッグを押えることができるという経験は、もうみんなの理解としてなじんでいる問題だろうと思いますが、きょう警察庁をお呼びしようと思ったのですが、時間的な関係がまずくて連絡がとれなかったわけですけれども、その角度を含めたいわば交通規制、乗り入れ規制とでもいいましょうか、自動車の総量規制みたいな考え方を、やはりこの際、採用すべきだろう。
〔委員長退席、坂本(三)委員長代理着席〕
きのう新聞に出ていた警察庁の見解というのは、まだこれからいわば地図をかいていくということでありますから、現実の問題には、なかなか対応できないわけでありまして、それにしても、そこに気がつくことは悪いことではないと思います。
それから安眠ゾーンの問題、騒音の問題などを含めて警視庁が一定の成果をあげている問題もあります。そういう交通規制のサイドから乗り入れ規制というものを考えるべき時期がきている。この点について環境庁の見解を押えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/62
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063・春日斉
○春日政府委員 確かに六時から九時までの炭化水素の濃度がその日の正午前後の光化学オキシダントの濃度を支配する、こういう一つの傾向は見られるわけでございます。東京都あたりはそういった傾向は高いと伺っておりますが、最近におきましては、午後三時とか四時とかという光化学スモッグというものも、かなり見られるようになってきておりまして、こういったものに対しましては、六時から九時だけの炭化水素の規制だけでは、これは片づかないという問題が出てまいっております。
そういったことも私どもは踏まえまして、現在炭化水素のいろいろな環境基準についても検討いたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういう観点から時間帯を考えて、自動車の乗り入れ規制を早急に実施すべきではないかという御提案に対しまして、私どもといたしましては、すでに警察庁が交通安全、公害防止の見地から都市交通の総合規制を実施してまいりたい、こういうことでございますので、これは決して単なる交通安全のみではないと私ども考えております。光化学スモッグあるいは公害防止という観点も十分に踏まえての総合交通規制であろうと考えております。したがいまして、御質問の趣旨は十分警察庁に伝え、検討していただく、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/63
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064・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これは川崎のことに関連して申し上げて恐縮なんですが、川崎の場合には御存じのとおりに、東名高速、それから首都高速横羽線、それから国道一号などの、いわば主要な幹線道路というものが町の中を横断をしているわけであります。どうしてもやはり自動車の乗り入れ規制ということを考えなければならないと思うのであります。特にいまの窒素酸化物の規制、その他がおくれているという条件のもとでは、そういう措置をとらざるを得ないと思うのですけれども、これはぜひ環境庁にもその辺について、私どもが市民としてあるいは住民としてお手伝いをいただきたい。つまり、そういう措置がいまや必要であるという見解をいまお述べいただいたわけですが、もう少し前向きに、もう一ぺんお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/64
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065・春日斉
○春日政府委員 十分先生の御質問の趣旨を私ども生かして、今後交通問題につきましても、公害の観点から関係省庁に要請をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/65
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066・岩垂寿喜男
○岩垂委員 総量規制に戻りまして、この総量規制の考え方について、この機会にお尋ねをしておきたいと思うのであります。
環境容量のとらえ方というのは、いろいろな見解がありまして、まだまちまちだということは私も承っておるわけであります。問題は、自然界というものは本来、汚染を浄化する能力を持っている。だから、汚染物質の排出がこの限界を越えたときに、要するに公害が発生するということは、みんなわかっているわけです。その意味からすれば、自然界が浄化し得ないような汚染物質は、たとえそれがどんなに微量であったとしても、自然界に排出してはならないということになると思うのであります。つまり、そのことは汚染物質の排出量は、いかなる場合においても、環境の浄化能力の範囲内に制御するという考え方に立つべきだろうと私は思うのであります。
ところが、そういう考え方に今度の総量規制の考え方が立っていらっしゃるのか。そうじゃなくて、全く対立するものじゃないにしても、環境容量を行政目標としてとらえて、そして一定のレベルの環境濃度を維持し得る汚染物質の総排出量としてとらえていく、こういう見方に立つのか、二者択一ということはないと思うのですけれども、それについてやはり押えておきたい、こんなふうに思いますが、御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/66
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067・春日斉
○春日政府委員 総量規制を行ないますときに、いわゆる環境容量、これを自然の浄化能力、こういうふうに見る見方は学問的にも正しいことであり、概念として私は十分納得のいく問題であろうと思います。この場合の浄化能力と申しますものは、水滴だとか樹木等へ吸着する問題、あるいは雨によって洗い流されるという問題、あるいは他の安全な物質へ変化するというような問題、場合によりましては、風によって遠く海のほうへ移送されてしまうというようなもの、そういったものの総合であろうと思うわけでございますが、現時点におきましては、何せ学問的にそれを定量的にとらえることができないわけでございます。
たとえば大阪の環境管理計画におきましても、この環境容量を定義いたしまして、まさに自然の浄化能力である、こう定義されておりますが、しからば、それが実際に行政化する場合にはどうかと申しますると、やはり現実には環境の汚染を、人の健康を良好な状態に維持し得るレベルで定められている環境基準が満足できるように、地域全体の排出総量を算定して、これをベースに総量規制を行なう、こういうことになすっておるわけでございまして、総量規制に対しまして、最も先鋭的な大阪府におきましても、現状はそうであるということから御納得いただきたいわけでございます。
なお、この総量規制を行なうにあたりまして、環境容量を自然の浄化能力の範囲内におさめれば、それで事足れりというわけにはまいらない場合も私はあると思うのです。要するに、自然の浄化能力以内でありましても、そこのある汚染物質の濃度が環境基準をこえておるような場合は、当然これは困るわけでございますので、したがいまして自然の浄化能力の中におさまっておれば、それですべて済むという問題でもないように考えまして、現在の学問的レベルでは環境基準に照らした、こういう考え方にならざるを得ないのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/67
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068・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これは先ほどの参考人の意見の中にも実はあったわけですが、総量規制の手法について——ここが実は私ども一番問題にしなければならぬ点だろうと思うのですけれども、先ほども質問のときに私申し上げたのですが、環境容量、ことばを変えていえば、地域別の許容排出総量といってもいいと思うのですけれども、それは地域内における発生源の態様、これはおそらく立地状況や業種やあるいはまた排出量など、いろんなものを含んでいると思いますが、あるいは気象条件、これは風向きのこと、あるいは風速のこと、大気安定度のこと、あるいは地形の問題というのは考慮しなければならぬと思うのですが、そんなことを考えたときに、総量規制の具体的な手法というのは幾つか考えられなければいかぬだろうし、また考えられるべきだろうということを、先ほど横山参考人も言っておられましたけれども、その点でいま環境庁が準備をされているこの手法というのは、全国一律の単一のものをお考えになっているのか、複数なのか。複数であれば幾つぐらいの手法をお考えになっていらっしゃるのか、この点を実は承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/68
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069・春日斉
○春日政府委員 総量の算定方式につきましては、先ほどの横山参考人も実施可能な方式は二つあるというふうに言っておられたと思います。一つはシミュレーシヨンによる方法、二つは風洞等の物理モデルを使ってやる方法である、こういうふうにおっしゃっておりましたが、私は、大きく分ければ、その二つに分けることができようかと思います。現在、私どもはそういう意味で、専門家を交えて検討を行なっておるところでございますが、現在の考えでは、私ども基本的な方針としては、統一していくことは必要ではございます。しかしながら拡散モデルやパラメーターの採用につきましては、どういったものを使うか。これは御指摘のように、地域の特性を十分に反映できるようにしなければならないので、全国一律にするというような考え方は全く考えていないわけでございます。
たとえば水島で開発されましたパフモデルを導入した方法は、現実汚染に対して非常に適合性があった。したがって、将来予測にも用いたということを、どなたかおっしゃっておりましたが、これは水島地域において合致したわけでございまして、これを山間の盆地のようなところで用いたり、あるいは山岳地帯で用いた場合は当然合わないわけでございまして、私どもは幾つかの特殊性、気象状況、地理条件等に合わせた一つのスタンダードというようなものを、お示しすることも考えておるわけでございます。もちろんこの手法は日進月歩ということでございますので、進歩性というものが十分に取り入れられるように、固定するつもりはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/69
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070・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いまのに関連して、これはお答えをいただきたいと思うのですが、手法の問題がかなり問題になろうと思う点は、現にいま総量規制を実施している県や市の問題点、やはりそこで当然問題になろうと思うのであります。そこで、いまやっているところと、今度の法律によるところの規制の手法との関係、これは手法やSO2の総量などにも関係があると思うのですが、一つは川崎や三重でやっている——ここに先生がおられるわけですけれども、条例とのギャップ、それを埋めていくプロセス、こんなことについて、どういうふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。
それからもう一つ。この法律が成立をしたときに、いま申し上げた地方の条例というのは、一体どんな位置づけになるのか。極端なことをいえば違法だなんてことを言いかねない状況もあるのですが、その点について関連を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/70
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071・春日斉
○春日政府委員 現在先進県と申しますか、いろいろなところで行なわれております総量規制を、私どもは十分に尊重したいと思っております。この法律に基づく総量規制にスムーズに移行できるようにしていきたいというのが、私どもの原則的な考え方でございます。ただ、総量規制の実施にあたりまして、基本的な方向は統一していかなければならぬ、これは当然でございます。たとえば、メッシュの切り方や拡散式の差というものは、地域によって、もちろん異なることはございましょう。しかし、これは根本的な問題ではないと思います。私は、ほぼ国の制度に乗せていくことができるであろうと思うわけでございます。もちろんそういたしますると、現在条例で行なわれておりますものは、そのまま国の法律に従って乗っかっていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/71
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072・岩垂寿喜男
○岩垂委員 メッシュの切り方や拡散式の問題というのがあるわけで、いまおっしゃったとおりだと思うのです。川崎の場合には四キロ平方でメッシュを切っておるわけですが、今度は、環境庁の政令事項としていえば、一キロ平方というふうに私ども理解してよろしゅうございますか。その辺の川崎との違いがもし具体的に——おそらくもう検討していらっしゃると私は思うのです。たとえば高い煙突、低い煙突、それから川崎の方式は皆さん御存じのとおりで、率直に申し上げて弱点もないわけじゃないのです。しかし、それらと関連をして、比べてみて、いま環境庁が政令事項として議論なさっている問題点との違いみたいなものを、どうとらえていらっしゃるか。これは三重にも関連があるので、ぜひ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/72
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073・春日斉
○春日政府委員 これは川崎あるいは四日市というふうに固定しないで、一般論として申し上げるわけでございますが、たとえば総量算定にあたりまして旧環境基準に基づいて許容排出総量を算定なすっているところもないではないと思います。そういったところは、やはり新しい数字に基づいておやりいただくというような作業も必要でございましょうし、それからメッシュの問題も一キロ平方がよろしいか四キロ平方がよろしいか、これは問題のあるところでございますが、もしかりに一キロ平方を一つの基準にするとすれば、川崎の場合には、それは補完調査も若干必要かもしれません。そういう意味で私どもはかなりフレキシブルに考えておりますので、その点はあまりこだわっていないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/73
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074・岩垂寿喜男
○岩垂委員 法律の中に、都道府県の中で二以上の指定区域を設けることが予想されているわけでありますが、これについて、もう時間が来ましたので急ぎますけれども、すでに先進的な役割りをやっているところとの、いわば事前協議、これはぜひ保証し合っていただきたいと思うのですが、その点について御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/74
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075・春日斉
○春日政府委員 全くそのとおりでございまして、そういう意味で私どもは、知事に計画をつくっていただくその中で、いろいろ分散して行なうような場合には、お互いに情報を持ち寄り意見を交換しながらまとめていく、こういうことを法律の中できめておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/75
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076・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これは先ほど助川参考人に伺ったことで繰り返しになるわけですが、指定都市にある程度の権限を委任する、そういう立場を私どもとしてはやはり主張したいわけであります。それは県知事への事務委任を一がいに否定するつもりはございませんけれども、しかし、やはり指定都市というものが制度として存在をし、特に大気汚染防止法の委任事項について指定都市が対象になっているわけでありますので、それらについての見解を、もう一ぺん承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/76
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077・春日斉
○春日政府委員 最近の大気汚染の特徴と申しますのは、何と申しましても広域化でございます。それで、これからの規制というものは、広域的な見地から行なわれなければならないというのが私は原則であろうと思います。特に総量規制におきましては、そういった総量の算定につき市町村の境界にとらわれないで、相互に大気汚染の影響を及ぼし合っているような地域については一体として地域指定をやる、こういうことでなければならないと考えております。少なくとも都道府県に一元的に実施の権限を与えることが妥当ではなかろうか。そのためにこそ、私どもは先生の御指摘もわかるわけでございますので、地域区分できるようなことを示しておるわけでございます。
助川参考人のお話にも、そういう意味からすれば、必ずしも反対ではないというような御意見もありましたように、私どもは、やはりすべて先進的なところばかりではございませんので、そういう意味で知事に、包括的な地域指定を行ないまして、計画を立てせしめるということが重要ではなかろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/77
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078・岩垂寿喜男
○岩垂委員 最後にお尋ねをいたします。
先ほども参考人の中から御指摘をいただいていますけれども、良質燃料の確保あるいは排煙脱硫、脱硝などの技術開発が、特に総量規制方式を導入することによって急がれなければならない、そのことが切実な課題になっているということは言うまでもないわけであります。そういう点で、良質燃料の供給の見通し、あるいは排煙脱硫装置の普及などについての見通し、技術開発をどのように進めていくかということについて見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/78
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079・春日斉
○春日政府委員 御指摘のとおり総量規制を行なうにあたりましては、中小企業は燃料規制を行なってまいるわけでございますので、低硫黄燃料の確保ということが一番中心的な問題になってまいろうと思います。したがいまして、この低硫黄燃料の確保については、通産省と十分連絡をとってまいりまして、この点については十二分な事前の計画を立てていただくように要請をいたしておるところでございます。
なお、排煙脱硫装置の開発の問題でございますが、先般来たびたび申し上げておりますが、ここ一年の間に急速に排煙脱硫の技術も進んでまいりまして、ことに効率も九〇%以上になっておる、こういう実態もございますので、これにつきましては、ますますわれわれは技術促進を要請してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/79
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080・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これは環境庁に言うことではないと思うのですけれども、常に公害のひどいところは、やはり自治体が先進的な役割り、パイオニアの役割りをせざるを得ない、財政支出その他の点でも、たいへんな負担を余儀なくされているわけであります。そういう意味では、そういう先進的な経験、そしてその手法を含めて、これまでやってまいりました歴史的な役割りというもの、それらの立場というものを国が十分尊重して、行政の上にその主張を生かしていく、このようにお願いをしたいと思うのですが、最後にやはり財政的な面でも幾つかの問題点があるわけでして、これらについては環境庁に申し上げることではないのかもしれませんけれども、ぜひ御努力というか、御協力といいましょうか、そういう措置を賜わりたい。このことを最後に要望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/80
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081・春日斉
○春日政府委員 財政的な助成の問題あるいは税制面での問題等々につきましては、昨日、環境庁長官も申しておりましたように、十分配慮いたしまして、総量規制の達成に努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/81
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082・岩垂寿喜男
○岩垂委員 ありがとうございました。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/82
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083・坂本三十次
○坂本(三)委員長代理 林義郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/83
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084・林義郎
○林(義)委員 この法律の審議にあたりまして、たくさんの方々がすでに質問されましたが、私はまず基本として、今回の法案は総量規制をやる、こういう話が内容であります。この総量規制をやらなければならないのは、最初に書いてありますように、この法律の「第三条第一項若しくは第三項又は第四条第一項の排出基準のみによつては公害対策基本法第九条第一項の規定による大気の汚染に係る環境上の条件についての基準の確保が困難であると認められる地域」についてやるのだ、こういうことであります。
そこで、公害対策基本法の第九条第一項の規定による大気の汚染というのを見ますと、ここには「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めるものとする。」こう書いてあるのです。ここで私は誤解があってはならないと思うのですけれども、望ましい基準というのは、まさにその希望をするところの基準でありまして、ミニマムの基準であって、これが達成されなければ環境が破壊され、人の健康を保護することができないとか、あるいは生活環境を保全することができないという基準ではなくて、そういった基準からは上の基準である、望ましい基準である、そういうふうに私は理解をしておりますし、その基準につきましては、「常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」ということが、同法第九条第三項に規定してありますから、私のいまの解釈というのは間違っているかどうか、この辺をちょっとあらためてお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/84
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085・春日斉
○春日政府委員 一応硫黄酸化物の環境基準に例をとって申し上げますと、硫黄酸化物の環境基準と申しますものは、まさにメディカルのスタンダードでございまして、決して物理現象だとか、あるいは化学的反応のように、きちっときまったスタンダードではないわけでございます。また工業製品のJIS規格というようなものではないわけでございまして、常に個人変動あるいは個人間の変動が非常にございますところの人間の健康に及ぼすSO2の影響というものをいかに把握するか、そして一番安全なところにラインを引くとどうなるかということでございまして、閾値とか閾濃度とか、あるいは最低許容量とか、あるいは受忍限度といったような一つの概念とは違うわけでございまして、言うなればSO2でございますと、老人や子供は非常にSO2に対する反応性が強い。それからまた呼吸器系疾患や循環器疾患を持っていらっしゃる方も非常に鋭敏に反応する。そういう特定の非常に鋭敏な方々にも適するような一つのシンプルなスタンダードとして定めたのが環境基準でございますから、言うなればSO2の閾値に対して二重にも三重にも安全率をかけたものが、いわばSO2の環境基準である、かように考えることもできるわけでございまして、先生の御指摘のとおりであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/85
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086・林義郎
○林(義)委員 そういたしますと、望ましい環境基準でありますから、政務次官にお尋ねしますけれども、やはり国際的に環境宣言その他もあるのです。やはり国際的なノルマルなスタンダードというものであるのだろうと思うのです。日本人のからだが特に小さいとか、特にひよわであるということではないと思うのですね。この基準というものは、やはり世界的にどこでも通用しなければならないような基準ではないかと思うのですが、大体そういうふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/86
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087・藤本孝雄
○藤本政府委員 基本的にはそうだと思いますけれども、それぞれの国によりましては条件が異なるわけでもありますから、その点は十分に考慮を払わなければならぬ、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/87
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088・林義郎
○林(義)委員 どうもよくわからないのですけれども、私はここに書いているのは、環境上の条件について、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準、やはり世界の人々はすべて望ましい基準を達成されるということを願っているのだろうと思うのです。同じような考え方で、私は環境問題というのは世界的に取り組んでいかなければならない。この前も日米の閣僚会議があったようでありますけれども、国際間の交流を必要とする云々ということは、私はやっぱり一つのこういったものを達成していこう、国際的な合意があるからでありまして、日本は特に自然環境が違うとかなんとかということでありましたならば、やはりここは書き方をちょっと変えておかなくてはいかぬだろうと思いますね。公害対策基本法を読むと、私はやはり世界的に同一だろう、こう思うのですけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/88
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089・春日斉
○春日政府委員 実は昨年の十一月に、OECDの環境委員会がございました。その中で、事務当局が作成いたしました環境基準というアジェンダについて論議をいたしたときに、原案では、環境基準というものは、それぞれの国の実情に応じて変わるべきものである、それが原則であるというように書いてありました。私は、むしろ環境基準というものは、そのときどきの科学的な資料に基づいて行なわれるものであるから、世界においてはほぼ同じ方向できめられるべきではなかろうか、少なくとも同一ということはむずかしいにしても、ハーモナイズしていく必要があるものではないかということを提案したことがございますが、まさに先生のおっしゃっている御趣旨は、私どもが当時考えておりましたことと全く同じでございまして、世界的にやはり考え方はハーモナイズしていかなければならない。しかし、ハーモナイズするということは、決して同じ数字でなければならないということではないと私、思うのです。ある程度の幅は、その国々の考え方によって当然かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/89
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090・林義郎
○林(義)委員 私は別に数字的にどうだこうだということを申し上げているのではないのです。数字的に全く同じでなければならないということを申し上げているのじゃない。
〔坂本(三)委員長代理退席、委員長着席〕
考え方として、望ましい基準というものが環境基準である、こういうことで、それはやはり望ましい基準であったら、同じ人間でありますから、黒ん坊であれ、白ん坊であれ、黄色ん坊であれ、同じことでなければならないのじゃないか、こう思うのですけれども、どうでしょう。考え方ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/90
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091・春日斉
○春日政府委員 私も、そういう方向が当然であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/91
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092・林義郎
○林(義)委員 現在の大気汚染防止法の中で一番問題になりますのは、法律に書いてありますところの硫黄酸化物と、それからばいじんと、それから窒素酸化物、この三つが私は大きな問題だろうと思うのです。
そこで、私はお尋ねしたいのですが、現在の法律体系のもとでは、総量規制というのは導入されておらないということだと思うのですが、現在、川崎市でやっていますところのいろいろな計画は、どういう位置づけになるのかということをお尋ねしたいのです。四十五年に硫黄酸化物で十二万トンぐらいありましたが、四十九年には四万四千トン、五十一年には二万一千トン、こういうふうな話でありまして、五十三年には二千トンか三千トンぐらいにいたしましょうというような計画があるようでありますが、これは現在の規制と全然違う規制であるか、あるいは現在のこの大気汚染防止法に基づくところの規制であるのか、どちらなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/92
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093・春日斉
○春日政府委員 川崎市の硫黄酸化物の削減の問題につきましては、私、手元に川崎市の詳しい条例を持っておりませんので記憶いたしておりませんが、要するに段階的に削減してまいりまして、最終年度には環境基準に照らして算定されるところの総量以下に押え込もう、こういう考えであることは間違いないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/93
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094・林義郎
○林(義)委員 現在の上のせ基準というものがやられますから、上のせ基準をやるという形において、硫黄酸化物についての上のせ基準をつくるところの算定根拠で、先ほど申し上げたような数字をはじく、こういうことでありまして、そういうことならば、大気汚染防止法に基づくところの規制になるだろうと私は思うのですが、形の上におきましては地方自治法に基づくところの規制なのか、大気汚染防止法に基づくところの規制なのか、罰則の規定が違いますから、どちらの規定かを、私ははっきりしていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/94
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095・春日斉
○春日政府委員 御承知のとおり、SO2のいわゆるK値規制の上のせというものは禁止されておるわけでございます。しからば、横出しというかっこうでほかの方法で規制をするのはどうかという問題で、現実に総量規制等がすでに行なわれておるわけでございます。したがいまして、その横出しの場合を大気汚染防止法の見地がらやっているのかどうかという御質問に対しまして、これはなかなか議論のあるところでございますが、私は、現状といたしまして、川崎市がとっておられる方法は、いわゆる上のせではない方向で、カロリーによる規制を行なっていらっしゃるもの、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/95
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096・林義郎
○林(義)委員 そうすると、ちょっとよくわからないのですが、それは地方自治法に基づくところの権限でやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/96
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097・春日斉
○春日政府委員 先ほども申しておりますように、いろいろ議論のあるところでございますが、そのように考えたほうがいいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/97
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098・林義郎
○林(義)委員 そういたしますと、この第五条の二に、第三条第一項云々の排出基準のみによってはできない、こう書いてあるのですから、そこは地方自治法のほうで、もしもやれるということになるのか、その辺の解釈をはっきりしておかないと、私は五条の二の規定の適用ができないのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/98
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099・山崎圭
○山崎説明員 お答え申し上げます。
今度の御提案申し上げております原案におきます現行の排出規制基準ではできないというのは、現行の排出基準で認められておりますもの、そのほかに、たとえば地方が条例に基づきましてやります、つまり上のせが認められておるという範囲内で行なわれておりますものを含めて考えるわけでございます。それで困難であろうと認められるものを指定地域として指定していきたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/99
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100・林義郎
○林(義)委員 そういたしますと、それはこの法律によって認められておる、その上のせ基準では困難であるということになりますと、地域別にそれぞれみな条件が違う、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/100
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101・山崎圭
○山崎説明員 要は、それは政令で地域を指定します場合の法定の要件でございまするから、具体的な地域地域がその要件にはまるかどうか、これはなかなか一義的には申し上げにくい、やや抽象的なことにはなりまするけれども、基本的な考えは先生のお話のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/101
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102・林義郎
○林(義)委員 そういたしますと、その政令を認めるときには、これは法律で書いてあるように、政府のほうに対して、どの程度までが困難であると認められるとかというようなことは、やはり基準があるんだろうと思うのですね、政令で書くというのですから。もしもはっきりきまっているならば、もう政令で定める地域と書かなくて、ここにはっきりと法律で書いておいたらよろしい。わざわざこう書くのですから、その政令で定めるときに、確保が困難であると認められるというような認定基準というのは、どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/102
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103・山崎圭
○山崎説明員 そこで、政令で予定しております内容は、具体的な地域名でございます。たとえば東京都で申し上げれば二十三区、ちょうど現在K値で規定しておりますように、具体的な地名を書く予定でございます。したがいまして、法定の要件は、あくまで解釈の問題になるわけでございます。そういたしますと、一体K値についての、K値で環境基準が達成できない地域とはどういうものか、これが具体的な基準、われわれが持つべき基準だろうと思います。それはK値の、排出の今後の強化とにらみ合わせましても考えなければなりませんし、具体的なその地域がどうであるかという条件が当然に考慮の対象になるわけでございます。
私ども、昨日も局長からお答え申し上げましたように、おおむね当面はK値で一ないし二ランクの地域の中から考えていくということになろうと申し上げましたのは、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/103
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104・林義郎
○林(義)委員 そうしますと、川崎市の例を引きますが、先ほど申し上げました数字があります。大体そういった数字でもって達成をしていけば、現在の新環境基準でありますところの〇・〇一二ですか、〇・〇一七ですか、その基準には達成されるであろうということがカーブをもって引かれる。引かれますよね、これ。現在は、四十五年に十二万トンでありましたものを、ずっと削減していこう、削減計画は一ぺんでできないからということでやるというのはわかるのですが、最終的にたとえば排出量をとりますと、四十四年でいうと三万三千トン、五十一年でいいますと二万一千トン、五十三年になると二千トンから三千トンと、こういうふうな形になる。
それは数字的に計算すると、そういうことになってしまうということなんですけれども、三万三千トンを三千トンに減らしていくということになりますと十分の一にカットということになるわけですね。そういったことは、数字計算上はこう出てくるんだそうですが、私は、そんなことは実際的にできないだろう、こう思うのですね。この辺は一体どういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/104
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105・春日斉
○春日政府委員 まさに先生が御指摘になりましたことが計画の内容としてあがってくるわけでございますので、それにつきましては十分私ども検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/105
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106・林義郎
○林(義)委員 先ほど参考人から意見の聴取をいたしましたときも、いろいろとお話がありました。特に横山参考人から、予測法は拡散方式、風洞実験、それから過去の実験値による方式といういろいろなお話がありましたが、私は現実の問題として、削減の方法というのが一番大きな問題だろうと思うのです。削減の方法というのは、公平であればよろしいということだけしかお話がなかった。私は実際もっと質問しようと思ったのだけれども、時間がないというお話でありましたから……。
聞いておられたと思いますけれども、一体どういうふうな形でその辺をやっていくのか。いまの、たとえば十分の一に硫黄酸化物をカットするということになりますと、現在やっているところの規制を十分の一にカットするということは非常にむずかしい話だろうと私は思うのですが、四十五年に対して十分の一ならば私はまだできると思うのです。排煙脱硫をつける、その他のものをつけてやるということでやってきたのですが、それだけやるということになれば、これからやはり硫黄酸化物につきましても新しい技術の開発というのはどうしても必要だろうと思うのです。それはやらせるおつもりですか、どうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/106
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107・春日斉
○春日政府委員 一つは良質燃料への転換をさらに強力にはかるということ、それからもう一つは、やはり排煙脱硫の効率化及びその普及をはかるということ、これ以外に現在のところ硫黄酸化物のカット方式としてはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/107
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108・林義郎
○林(義)委員 そうしますと、その排煙脱硫と、いい燃料を使う、こういうことであります。いい燃料を使うということになれば、石油ですから、ガソリンを全部使わなくてはいけない、こういうことになる。ガソリンにすればS分は少なくなる。それから軽油、灯油、重油のA、B、Cというように、だんだんS分はふえてくるわけでありますから、いままでC重油を使っていたものをB重油に転換し、A重油に転換し、そういうことをやっていくわけでありますけれども、現在だって、おそらくこれを達成するためには、大体あの辺は灯油を使っているのだろうと私は思うのです。灯油を使いましても、なおかつ、そのくらいの話でありますから、それをさらに十分の一に削減するということになれば、全くS分のないようなものを使わなければできなくなってくるのではないかということを私は心配しているのですが、この辺につきましての実験的なことをおやりになったことがありますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/108
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109・春日斉
○春日政府委員 川崎市の場合でございますと、工場五百八十三のうち、四万N立米以上の大工場四十一、率にして七%に当たるわけですが、それによりまして硫黄酸化物の排出量の比率は九四%に達するわけでございます。それから八十七工場を押えますと、九六・七%に達するということで、かなり川崎市の場合は巨大煙源というものが実際には硫黄酸化物の排出を占めておるようでございます。したがいまして、そういったところにおきます良質燃料への転換、たとえばLNGへの転換というものもかなり行なわれつつございますし、また、排煙脱硫装置の強力な効率化によりまして、私は相当程度達成することができるのではなかろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/109
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110・林義郎
○林(義)委員 その十分の一の達成ができるというふうにお考えですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/110
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111・春日斉
○春日政府委員 これにつきましては即答しかねるわけでございますので、十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/111
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112・林義郎
○林(義)委員 これは技術開発を伴ってやらなければ、なかなか達成可能でない。単に基準をきめた、総量規制をやるということでやっただけでは、私はなかなかむずかしい問題があるだろうと思うのです。
政務次官にも私はぜひお願いをしておきたいのです。とかく環境庁は基準をつくったならば、それでよろしいということで済まされては困ると私は思うのです。やはり日本の中のこれだけ豊かな社会をつくってきたのでありますから、いろんなものも要るだろうと思うのです。電力も要りますし、石油も要るのです。ガソリンもお互いにみんな車を走らせれば要ります。そういった意味におきまして、そこをどういういうふうに勘案してやるかということを、やはり考えてやらなければならない問題だろうと私は思うのです。原始時代に返るというなら話は別ですけれども、そうじゃないのでありまして、この豊かな社会を維持しながら、しかも公害のないような対策を立てていくためには、私はポイントとして申し上げるならば、設定した環境のための技術開発というものに精力的に取り組んでいただかなければならない、こう思うのです。政務次官、私の考え方につきまして、どういうふうにお考えになりますか、御所見を承りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/112
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113・藤本孝雄
○藤本政府委員 私も、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/113
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114・林義郎
○林(義)委員 いま硫黄酸化物のお話を申し上げましたが、もう一つNOxの問題につきましても同じような問題があると思います。川崎で、この前ちょっと拝見したのですが、やはり非常に問題があるだろうと思うのです。そのほかの地域でないというわけではありませんが、川崎のことで申しますと、これは市でやったようでありますけれども、NOxの排出量を固定発生源と移動発生源と二つに分けまして、排出量からいたしますと、固定発生源が八四%である。それから移動発生源が一六%である。ところが、そこで工場周辺の環境基準を見ますと、大体固定発生源によるところのものが四〇であるし、移動発生源によるところのものが六〇である。山間部——川崎にも山間部がありますから、山間部なり住宅地のほうへ行きますと、固定発生源によるところの影響が一〇で、移動発生源によるところのものが九〇である、こういうことだと思うのです。
そういった実態を踏まえて言いますならば、私は工場のほうについても徹底的にやはり技術開発をやってもらわなければならないと思いますし、同時に移動発生源であるところの車についても徹底した技術開発をやってもらわなければならない。一体こういった技術開発のめどがあるかどうか、こういうことであります。私正直なことを申しますと、新聞その他で拝見しているところでは、めどがなかなか立っていない、こういうことだと思うのです。しかも、工場周辺でなくて、お互いの住宅環境に対する影響、生活環境を保全するということになれば、やっぱり住宅環境のところの排出量の問題を考えていかなければならない、こう思いますが、そうするならば、やっぱり自動車をどうするかという問題になってくるだろうと私は思うのです。
車の量を制限する。車の量をもしも制限して、たとえばいまの十分の一にするということになれば、九〇%の影響もありますから、車だって、やはり九%くらいに数を減らさなければ計算ができないということになると思うのです。計算上はそういうことになるだろうと思う。そういったようなものを一体いつごろまでに達成できるのかという見通しがなければ、九〇%の影響がある車のほうをほっておいて、工場だけやるというのも、なかなかアンバランスな話だろう、こう思います。そういった点につきまして、窒素酸化物の問題につきましては硫黄酸化物の問題よりは、はるかにむずかしい問題がある、段階的に目標をつけてやっていかなければならないと思いますが、この考え方につきましては、どういうふうにいま考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/114
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115・春日斉
○春日政府委員 窒素酸化物の規制につきまして、総量規制のラインにできるだけ早く乗せたいという考え方には変わりはないわけでございますが、御指摘のように、窒素酸化物の規制は硫黄酸化物の総量規制に比べまして、はるかにむずかしい問題を内包いたしておりまして、たとえば先ほどの参考人のお話にもございましたように、データ不足ということがいろいろございます。それによりまして総量の算定というものを科学的に把握することがなかなかむずかしい。したがいまして、そういったことが解決されないと、やみくもにいたずらにカットをするだけが総量規制であるかのごときことになりますと、これは問題でございます。
それからまた、窒素酸化物の総量規制の前段階として、あるいは前提としてと申していいと思いますが、いまだに窒素酸化物の排出規制が十分できない、不可能な業種もあるわけでございまして、そういったものに対する排出規制を開発していく、技術を開発していくということが、やはり総量規制の前段階になろうかと思っております。したがいまして、先生の御指摘については、十分私どもは考慮いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/115
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116・林義郎
○林(義)委員 私は申し上げておきたいのは、車も走らせなければならない。先ほど申し上げましたように、全然車なしだというわけになかなかいかないと思うのです。工場だって全然ストップだというわけになかなかいきません。そういうときに、どういうふうな形でもって、そこをうまくやっていくかというのが、これからの公害行政の大きなポイントだろうと思うのです。そういった意味におきまして、私は、いろんな技術革新をやっていくと同時に、それが実施可能なような段階で総量削減計画をつくってもらわなければならない。実施不可能な総量削減計画というものをつくられても、実施不可能なものは私は不可能だと思うのです。その辺はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/116
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117・春日斉
○春日政府委員 おっしゃるとおりでございまして、実施可能なものでなければならないわけでございます。ただ、一方、きわめて汚染がひどくて現実にいろいろ被害者が出るというような段階におきましては、そういった実態を踏まえて段階的に落としていく努力を続けていかなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/117
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118・林義郎
○林(義)委員 そういたしますと、私はやはり切っていかなければならないのは、車のほうからだろうと思うのです。車を切る場合には、やはり交通制限と通行量制限というのが当然まずまつ先に考えられていいだろうと思うのです。そういったようなことというのは、この法律の規制の対象外だ、こういうことでありますけれども、道路交通法との関連は法律的にどうなっているのか。たしか、あの法では、公害の発生を防除するため必要な云々というときには、都道府県知事が警察署に対して申し出ることができる。それから、警察署のほうもまた、逆のことが国家公安委員会か何かに申し入れることができる。都道府県公安委員会が発議をすることもできるというふうになっていますが、この総量規制をやるときには、必ずそういったことを前提にしてやるというような形式というのが必要だろうと思いますが、それは必要ないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/118
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119・春日斉
○春日政府委員 自動車の問題につきましては、窒素酸化物を考えるにあたりまして非常に大切な問題であることは、私どもも承知いたしております。五十年度規制によりまして、四十八年度に比べて窒素酸化物を四五%にカットし、それから五十一年度規制によりまして、四十八年度の車に比べますと十分の一に減らそうということでございまして、私どもは、車の問題はそういった車の排出ガス規制にゆだねたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/119
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120・林義郎
○林(義)委員 車の排出ガス規制というのがありますね。工場の排出規制というのがありますね。私は同じことだと思うのです。やはり車の問題につきましても、私は総量規制的なことをやるのは、車の数量制限だと思うのです。通行量制限だろうと思うのであります。先ほど私が数量で御説明しましたように、やはり大きな影響を持っているのは車だろうと私は思うのです。
この車の問題につきましては、政務次官にお尋ねいたしますが、車社会というものについてどう考えるかというのが、これからの一番大きな問題だろうと思うのです。一つには、交通安全対策の問題もありますし、それから排気ガスの問題もありますし、いろいろな問題があるのです。私は、車の問題というのは、片すみに置いて議論するわけにいかない現代社会の一番大きな問題だろう、こう思うのでありますが、政務次官、この辺はどういうふうにこれからやっていかれるおつもりでありますか。環境庁としても、大いに車の問題に対してやらなければならない点がたくさんあるだろうと思うのであります。この辺につきましては、どういうふうにお考えになっておられますか。また、対策を進めておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/120
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121・春日斉
○春日政府委員 政務次官のお答えに先立ちまして、私から一言お答え申し上げますと、先生の御指摘のとおり、自動車の量の削減、あるいは直接規制的な方法の導入ということにつきましては、警察庁と私ども相談をいたしておるところでありまして、その一部方向につきましては、先般来、警察庁からも発表されているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/121
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122・藤本孝雄
○藤本政府委員 環境保全上問題が起こってくることにつきましては、林先生のお考えが当然考慮の中に入ってこなければならないというふうに思っております。要は、総合的に経済的な効果だけで判断することもでき得ないでしょうし、自動車の数量が環境上問題であるという原因になってくれば、そういう観点からの配慮を行なっていかなければならぬということは当然のことだと思っておりまして、先ほど局長からお話ししましたように、交通規制の問題につきましては、現在警察庁と相談中である、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/122
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123・林義郎
○林(義)委員 車の問題でやるときに、ぜひ考えていただきたいのは、アメリカの規制との関連であります。アメリカもやはり大きな車社会である、日本も車社会になってきた、こういうことであります。アメリカでは、マスキー法云々という話がありますが、やはり環境基準の問題にはね返ってくるんだと私は思うのです。最初に申し上げましたように、環境基準というのは望ましいところの基準である。これはアメリカだって同じことだろうと私は思うのであります。アメリカの基準と日本の基準というものが相当にかけ離れているという点は事実であります。これはこの際、私は科学的な究明をしていかなければならない問題だろうと思う。公開の場におきまして相当煮詰めていかなければならない問題があると私は思うのです。
環境基準というのは、一ぺんきめたら、それは絶対動かさないということではないと思うのです。動かさないようなものでしたら、私ははっきり法律に書いてもらいたい。動かさないというものであるならば、法律に書かなければならない。科学的にまだはっきりしておらない。いろいろなデータも不足である。現在きめているところのものにつきましてもデータは不足であるし、アメリカの環境庁、日本の環境庁と、類似の官庁を持っていけば、これはあまり参考にならないというような話も伝わってきておる。
そういうことでありますから、やはり基本になるところの環境基準というものをNOxについてどう定めるかというのが、一つ大きな問題だろうと思うのであります。いますぐに私は取りかかってもらいたいとかなんとかということではありません。ありませんが、総量規制をやるにあたりましては、これは全部罰則がかかるわけでありますから、また根本から納得のいくような数字を出されなければならないだろう、こう思うのです。この辺につきまして、環境庁のほうはどういうふうにお考えになっておられるか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/123
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124・春日斉
○春日政府委員 窒素酸化物の環境基準は、アメリカと日本とで、かなりの相違があるという点につきましては、御指摘のとおりでございます。ただ、申し上げますことは、アメリカの測定法がヤコブス・ホッカイザー法という、その変法を用いておりまして、日本の現在とっておりますザルツマン法の二倍ないし三倍高く出るという問題がございまして、そういったことを比較していきますと、アメリカの基準と日本の基準と、それほどの格差はないといわれておるわけでございます。
しかしながら、先生の御指摘のように、公害対策基本法に示されております環境基準と申しますものは、科学的データによりまして常に変改していくのが当然でございまして、理論的に申せば、必ずしも強化するばかりではなくて、先生のおっしゃっておりますように、科学的なデータ次第によりましては、もっと逆な方向に動くこともあるべし、これは当然であろうと思っております。しかしながら、現在までのところ、そういった知見は得られていないわけでございます。ただし、これは十分に検討を続けてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/124
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125・林義郎
○林(義)委員 ザルツマン法という話が出ましたから、私申し上げておきますけれども、ザルツマン法というのは精度が非常に乏しい。ザルツマン法で〇・〇二などということになりますと、誤差の範囲が〇・〇幾つということでありまして、ザルツマン法ではかったところの〇・〇二などということは、計量的には、統計誤差が非常に多過ぎて、なかなかできないというような話もあるのです。その辺もやはり考えていかなければなりませんし、そう簡単にきめられる問題でもないだろうと私は考えておりますけれども、そういった問題も含めて、私は、この辺は慎重に検討してもらいたいし、それから、こういったものが進んだ上におきまして総量規制をぜひやってもらいたい。こういったものができてから、ひとつやってもらいたい。これはどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/125
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126・春日斉
○春日政府委員 御指摘のように、窒素酸化物問題につきましては、環境基準から始まりまして、確かにいろいろな問題がございまして、そういったことを解決しないままに、やみくもに総量規制に走るということは、先生の御指摘のような種々の問題点を生むことは確実でございます。その辺は十分解決をつけるということが一つの総量規制の入り口になろうかと私は考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/126
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127・林義郎
○林(義)委員 時間も参りましたようですから、私の質問は終わらせていただきますが、やはり公害問題につきましても、バランスのとれたことをやってもらいたい。
それで、一つのアンバランスがありますのは、私は光化学スモッグの問題だと思うのです。これは、起きましてから私も、この公害委員会でずいぶん議論をいたしましたけれども、起きてから三年も四年もたっているわけであります。依然としてまだ実態の究明もされていないし、どこでどうなっているのかよくわからぬ、こういうふうな話であります。この辺の対策というものは十分に立てていかなければならない。むしろ総量規制の問題というのは、一般的に受け取られるのは、光化学スモッグ対策ではないかというふうな受け取り方さえされているわけでありますから、早急に対策を立ててもらいたい。
これは国だけではないと思うのです。東京都におきましても、相当しっかりやってもらわないと、毎年のことでありますから、国や都の名誉にかけても、ひとつこの問題の早急な解決なり対策を立てられることを切に望むものであります。これをひとつぜひ早くやってもらいたい。それでなければ、いかに総量規制とかなんとかいったところで、あまり相手にされないと思うのです、はっきり申し上げて。そういったことを私は、この際、ぜひ申し上げておきたいと思うのです。
それから、先ほどお話がありました、千葉県に発電所がある、それが横浜のほうに影響を及ぼす、こういうふうなことでありますが、この辺の手当てはしてあるのでしょうね。これは隣接県ではありませんけれども、海を渡って二以上の、こういうことはいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/127
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128・春日斉
○春日政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私ども十分に勘案いたしまして、御趣旨の点の実現をはかりたいと考えております。
なお、横浜の対岸でございます千葉県の二百メートルグラスの高煙突の問題につきましては、私ども一都三県、すなわち千葉、東京、神奈川並びに埼玉の一部といったところで、共通した協議会をつくらせ、それによりまして、いろいろ情報の交換、究明の共同その他を現在も行なっておりますので、その点は総量規制を行ないますときは織り込み済みになるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/128
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129・角屋堅次郎
○角屋委員長 次回は、明後五月二十四日金曜日、午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204209X02619740522/129
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