1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月二十七日(水曜日)
午前十時二十六分開議
出席委員
委員長 福永 健司君
理事 大西 正男君 理事 久野 忠治君
理事 小山 省二君 理事 笹山茂太郎君
理事 田中 榮一君 理事 大柴 滋夫君
理事 佐藤 観樹君 理事 津金 佑近君
赤澤 正道君 小泉純一郎君
小島 徹三君 白浜 仁吉君
松野 頼三君 山本 幸一君
林 百郎君 林 孝矩君
小沢 貞孝君
出席国務大臣
自 治 大 臣 町村 金五君
出席政府委員
自治省行政局選
挙部長 土屋 佳照君
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三月十八日
参議院地方区の議員定数是正等に関する陳情書
(第三三八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第三七
号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/0
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001・福永健司
○福永委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/1
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002・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 参議院選挙が近づいてきたわけでありますけれども、大臣も御存じのように、たいへんいまの選挙が金がかかるということで、選挙費用の問題というのは、これはやはり政治の信頼の問題とたいへん関係が深い問題だと私は思うわけですね。
そこで、いまはポスター一枚つくれば百円かかる、それをベニヤに張ると百円かかるということで、参議院選挙なんかのように特に大きくなりますと、たいへんな費用がかかるわけでありますけれども、今後、金のかからない選挙、この方向として、いま大臣の頭の中にはどういうような方法が考えられているのか、まずその辺のことからお伺いをしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/2
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003・町村金五
○町村国務大臣 選挙に非常に金がかかるということは、きわめて重大な悪い影響が各方面に出てまいることは、だれが考えても当然のことでございまして、何としても選挙に金がかからないようにするということは、きわめて肝要なことだと考えます。
御承知のように、日本は、そういった趣旨もございまして、いわゆる公営的なところにずいぶん諸外国以上に金が使われておるという事実がございますけれども、なおかつ、個人としては、年々選挙のたびごとに非常に費用が多くなっておるということは、だれしも体験上知っておることでもあり、また、周知の事実であると考えるのであります。したがって、これを一体どうしたならば、いま御指摘のようなぐあいに、金のかからない選挙がやれるのかということになるわけでありまして、これにはやはり私は、選挙制度自体の改革、改善と申しましょうか、そういうことがまず基本にならないと、いまのような個人本位の選挙というようなものをやっておりまする限りにおいては、お互いに、何とかして当選をしなければならぬ、それがためには、いま申し上げたような、たとえば御指摘がございましたけれども、ポスター一枚を例にとりましても、これが十年前あるいは二十年前に比べてみますると、各段の高いものになってきておる。御指摘になりましたことはたまたまその一例にすぎませんけれども、おそらく他の面におきましても、最近は非常にお金がかかっておる。したがって、私は、基本的には、やはり選挙制度全体の改革と申しましょうか、万事を公営的にやることのできるような、純粋の政党本位の選挙というようなことにでもなれば、それはあるいはまたそこに道が出てくるかと思いますけれども、いまのような個人選挙のやり方を続けておる限りにおいては、いまやっておりまするような公営制度をさらに広げるということをかりにいたしたといたしましても、おのずからそれには限度がございますので、実はなかなか容易なことではない。しかし、私は、やはり選挙に費用がかかるということはいろいろな点において問題があるということは申し上げるまでもございませんので、これはひとつ本格的にこの問題には取り組んでいく必要があるんじゃないか、かようにいつも感じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/3
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004・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 この改正は、選挙制度自体の改革というおことばが大臣のお答えの中にあったわけでありますけれども、これは参議院選挙にはすぐ間に合うわけじゃありませんけれども、せっかくそのお話が出たところでございますので、こまかいことになってくると別でございますけれども、選挙制度自体の改革と言われた大臣のことばは、基本的にはどういうことが具体的なのか、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/4
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005・町村金五
○町村国務大臣 私も別にいまここで、こういうような具体的にという案を実はお示しするだけのものを持ち合わせておるわけではございません。多少私見的なものはないわけではございませんけれども、それを申し上げることは必ずしも意味のあることではございません。したがって、私は少なくともいまのような個人的な出費のできるだけないような選挙制度をとるのには一体どうすべきかということにつきましては、やはり選挙制度審議会なりあるいは各党におきましてもそれぞれこれらの問題については常に真剣にお感じになっていらっしゃることでございますので、そういうようなところでひとつみなが知恵を持ち寄って、できるだけ金のかからない選挙をどうしたならば実現できるかということにお互いにもっと力を注いで検討すべき課題だ、私はかようにいつも感じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/5
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006・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 これはお互いにさらに研究を続けなければいかぬことだと思いますので、そのことについてはそれだけにしておきたいと思うのですが、差し迫った参議院選挙の問題で、投票時間を延長するという話が新聞等に出ておりますし、田中首相も言われたというふうに報道されているわけでありますけれども、延長してほんとうに投票率が上がるのなら、われわれも反対する筋合いはないわけでありますが、過去の実績からいくと、必ずしもそういう結果になってない。逆に考えられることは、会社や工場等がいろいろな便宜をはからなくてかえって——そんなことじゃ日本の民主主義はいかぬといえばそれまででありますけれども、現状では、いまの時間帯ならば会社に投票時間だけおくれて行ってもいいという便宜をはかってくれるということで、ある程度の投票率が維持されているということがあると思うのでありますが、その辺のところで、投票率を上げるという目的で平日投票にするあるいは時間を前後二時間延長するということが報道されているわけでありますけれども、これを一体どの辺まで具体的に自治省のほうでは考えていらっしゃるのか。またこれに伴う弊害というもの、具体的には、投票率は上がらぬだろうし、平日にやれば、学校の施設をいまほとんど使っているわけでありますから、その辺のところの問題もありますし、そのほかもろもろの問題があるわけでありますが、そのあたりのことはどういうふうに考えていらっしゃるのか、事務当局からでもけっこうでございますので、大臣と双方にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/6
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007・町村金五
○町村国務大臣 詳細なことは事務当局からお答えをさせることにいたしますが、いまいわれておりますあるいは平日選挙にしたらとかあるいは投票時間をさらに繰り下げるというような問題は、いまも御指摘がございましたのは、結局投票率をできるだけ上げたいという本心にほかならないと思うのであります。ただ、私も詳しいことはもとより存じておりませんけれども、過去におきまして御承知のように平日で行なった例もかなりあるようでございますけれども、必ずしもその結果はそれほど投票率の向上というものにつながっていないというような実例もあるようでございますし、ことに最近は御承知のようにかなり選挙の人手の問題というようなものもございまして、かりに二時間投票時間を延ばすということになりますと、当然その日のうちに即日開票などをどうしても行なおうということになりますと、いままでのような選挙管理委員会の体制ではなかなかやりにくいのではないか、やれないことはないと思いますけれども、そういった問題もあるようでございまして、投票率がこれによって向上されるという見通しが明らかになりますならば、私はやはり投票時間の繰り下げなりあるいはまた平日投票ということも必要ではないかというように考えますけれども、過去の例というものは必ずしもそういったことになっていないということ、さらにまた、投票時間を繰り下げるということによりましていろいろ選挙管理上のむずかしい問題等も起きることが考えられまするので、この点は私どもは慎重に対処すべきではないか、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/7
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008・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 これは事務当局にお伺いをしたいのですが、この問題は公職選挙法の四十条に規定をされているわけでありますけれども、この規定で、たとえば全国の都道府県の選挙管理委員会に各市町村の選挙管理委員会が全国的に届ければ、この四十条を、法律を改正しなくても、かつてのように特例法で一律二時間なら二時間延長するということをしなくても、この法律第四十条の読み方によっては二時間繰り上げ繰り下げということができるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/8
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009・土屋佳照
○土屋政府委員 いま御指摘の四十条で、投票所は午前七時に開いて午後六時に閉じるということになっておるわけでございますが、御承知のように二時間の範囲内で繰り上げ繰り下げというものができるわけでございます。しかしながら、それができますのは、市町村の選挙管理委員会が選挙人の投票の便宜のため必要があると認められる特別の事情のある場合あるいは選挙人の投票に支障を来たさないといったような特別な事情のある場合に限って、都道府県の選管の承認を得てできるということになっておるわけでございます。したがって、特別の事情というのが前提としてあるわけでございますので、そういった事情がない場合に、ただ一律に上げるということだけの指導ではこれはできかねる。したがって、全国それぞれにみんな納得できる理由がございますれば、市町村がそれを判定していけばできないことはないわけでございますが、一律ということになりますとなかなか指導だけではできかねる、やはり法律その他ではっきりと規定をしなければできにくいであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/9
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010・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 そうしますと、投票時間を前後二時間繰り上げ繰り下げをするということは、全国一律にやろうと思えば、この四十条を改正するかあるいは特例法を新たにつくるか、それをしなければできない。全国一律にやろうと思えばできない。平日にやるというのは、これは別に規定がございませんからかまわないわけでありますが、そういうふうに理解したいと思うのです。
それから、大臣、これは田中首相なり自民党の橋本幹事長のほうからそういう発言があったわけでありますが、会期も四月の二十九日までしかないわけでありますので、実際にこれをやろうと思うとかなり時間的には限られてくると思うのでありますが、いまの大臣の御答弁では、自治省側としては具体的な問題からいくとかなり否定的だと私は受け取るわけでありますが、この二時間延長の問題については——延長と申しますか、正確にいえば繰り上げ繰り下げの問題については何らかの作業というのか、それを始められているのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/10
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011・町村金五
○町村国務大臣 先ほどもちょっとお答えを申し上げたわけでありますが、そういった考え方、すなわち投票率をできるだけ上げたいというような角度からあるいは平日選挙の問題あるいは投票時間の繰り下げ問題というものを検討する必要があるんだということで、私どもは選挙部を通じまして検討をさせておることは事実でございます。したがって、もしそういうことを政府としてどうしてもやろうということになりますれば、そのときに用意が間に合わないということでは私どもとしては困りますので、用意はといいましょうか、検討はいま十分させておるという段階だというふうにお答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/11
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012・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 これは事務的にはかなり前にも特例法をつくったこともあるわけですし、そうむずかしいことじゃないと思うのです、ただ、それを現実の各市町村までやる事務についてはたいへんなことだと思うのですけれども。わかりました。
それからもう一つは公報の配布の問題なんですけれども、われわれの耳に聞こえてくるところでは各大都市がかなり生活の態様も違うので各戸配布というのがかなりむずかしいという実情も聞いているわけでありますけれども、これは事務当局でけっこうでございますけれども、その辺のところはどういうふうに把握をされているのか、土屋部長のほうからお伺いをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/12
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013・土屋佳照
○土屋政府委員 ただいま御指摘がございましたように、選挙公報の配布についてはいろいろ問題が出てきておるわけでございます。御承知のように、現行法では有権者の各戸に配布をするということにされておるわけでございまして、私ども全国的にいろいろ抽出調査で調べてまいりますと、現在ではかなり町内会なりあるいは自治会なり、そういったところを使ってやっておるところが実際にはまだ多いわけでございますけれども、そのほか職員が直接配っておるところもございます。そういったものが多うございますけれども、最近の状況を見ますと、大都市、特にその近郊あたりで非常に人口が増加しておる、あるいはまた人口の流動が激化しておる、また居住態様も非常に複雑になってきておる、そういったところになりますと、ただいまのような強行規定ではなかなか万全を期しがたいといったような事情も出てきておるわけでございまして、できますれば何かこれにかわるいい方法がないかということを検討いたしておるわけでございます。その結果、私どもとして考えておりますのは、大多数のところがそういう従来の方法でやれるならば、それは原則としてそのままやっていただきたい。しかしながら、ただいま申し上げましたような、非常に居住態様等が複雑化して全戸に配布ができないといったようなところに対しましては、そういった困難であると認められる特別の事情があるという場合は、市町村の選管あるいは都道府県の選管の承認を得るとか第三者の承認等も経た上で新聞折り込みその他適当と認められるような方法をもって原則にかえることができるというような形にできないものであろうかということで、事務的には案を練っておるところでございます。ただ、そういうことになりますと、新聞の配布というものが、これがどの程度カバーできるかということが一つ問題になるわけでございます。一つの例として申し上げますと、四十八年でございますけれども中央調査社で調べたところでは、全国的に見ても一枚以上の新聞をとっておるところが約九四%くらいあるわけでございまして、特にいま問題になっております大都市地域あたりたとえば京浜地区でございますと九六%ぐらい、東京で約九五%といっておりますが、その程度の新聞の配布というものは、新聞はみんなとっておられるという状況でございます。そこで新聞折り込みでいけばかなりの部分がカバーできる、しかしながらその残りのところをどうするか、この補完方法をどうするかということが私ども一番悩みの種でございまして、やはり補完方法をかなり十分なものにしないと、そのような方法も問題を生ずるということでございますので、補完方法としてたとえば特定の世帯へは郵送をするとか、あるいは特別な施設等については職員による配布も交える。たとえば独身寮とか母子寮とか老人ホームといったような、配れるところははっきりしておれば配るとかという方法もございましょうし、あるいはそのほかそれぞれの施設を持っておるわけでございますから、公的な出先機関、そういうところにも備えておいて、必要な方は持っていっていただくとか、これは単なる例でございますが、どういうふうに組み合わせるか、もっといい知恵があるのかもしれませんが、そういうことをいろいろ組み合わせながら補完をしていくということになりますと、先ほどの新聞の配布率、これは従来よりもかなりいい線でカバーができるのではないかというようなふうに考えておるわけでございまして、できますならば、ただいま申し上げたような方法で法案として準備をしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/13
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014・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 その際に、選挙というのは現実でありますから、私たちもいろいろ現実面を考えておるわけでありますけれども、ただ、いままでの選挙が一応手配りということでかなり公正が期せたんじゃないかという感もするわけなんで、もう少しわれわれも考えてみなければいかぬと思うわけでありますが、いま土屋部長は具体的には新聞の折り込みに入れるということを一つの例としてあげられたんでありますけれども、いわゆる手配りをしない場合の方法として、新聞以外に何か考えられることというのはあるのですか。やるかやらないかは別として、具体的に何かほかの方法——いま新聞を具体的な例としてあけられたわけでありますけれども、ほかには何があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/14
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015・土屋佳照
○土屋政府委員 現在やっております方法以外にそれにかえるものとしての方法は、新聞以外には有効なものはあまり考えられないわけでございます。現在でもたとえば宅配業者を使ってやっておるところもございますけれども、これはそういうものを使って直接配布しておるということでありますから、全然違う方法というわけにはまいらない。やはり従来の範疇だと思うのでございます。やはり基礎には新聞折り込みというのが一番効果的ではないだろうかというような感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/15
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016・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 そこでもう一点お伺いをしておきたいのは、万が一それによって——いまでもあるのかもしれませんけれども、私にも実態はちょっとよくわからないのですが、選挙公報が配布されなかった地域が生じた場合に、これはいまの見解として訴訟事件なり選挙無効なり、そういったことになるような心配というのはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/16
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017・土屋佳照
○土屋政府委員 きわめて原則的に申し上げますれば一応各戸配布しなければならないという解釈をとっておりますので、行かないということは一つの管理上のあるいは欠陥かもしれないという気はするわけでございます。しかしながら、それが選挙の管理のミスのためにその効力に影響するとかどうかといったほどの事柄ではないであろうし、その問題について配ってこなかったというところからいろいろ文句が出てあわててそこへ届けるといったような例はございますけれども、そのために効力上問題になったという事実はございません。ただ、基本的に言えば、法律の上からはやはり十分な措置をとっていなかったといわざるを得ないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/17
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018・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 それはいま部長が言われたのは、いままでの、現状の百七十条の範疇だと思うのです。それを新聞折り込み等によっても配布をするということが認められたという場合に、万が一何らかの事故によって公報がいかない地域が出てしまった、そういったときにはやはりかなり選挙無効というような問題にまでなってこないだろうかということをわれわれとしては一番心配するわけなんですが、いまの百七十条の配布するものとするという項目を変えなければいかぬわけですね。たとえば新聞折り込み等を使う場合にはその際に万が一何かの事故で配布されない地域が出た場合には選挙無効等、そのあたりはどういうことになるのだろうか、それを心配するわけなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/18
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019・土屋佳照
○土屋政府委員 現在の規定はいまお示しのとおり配布するものとするというのは、これは配布しなければならないということになっておりますが、先ほど私が申し上げましたのは、第一項のこういった現在の書き方によってやるということが困難と認められる特別の事情があるときは先ほど申し上げましたようなことによってかえることができるのだということにいたしますと、その方法自体がもうそれでまかり通るということになるわけでございますから、かりに一部どこか行かなかったということがあっても、それはそれなりでもう免責されてしまう、そういった形になるというような構想を私どもは考えておるわけでございます。それゆえに補完というものを十分しなければいけないということをはっきりとさしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/19
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020・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 この問題の最後に大臣にお伺いをしておきたいのですが、日本の選挙制度の中で、事務当局はたいへんだったわけでございますけれども、公報の手配りと申しますか、各戸配布と申しますか、これが選挙の公正を期すという面ではかなり大きなウエートを占めていたのではないかと私なんかは考えるわけでありますが、現実に配れないという地域が出てくるということになると、これはわれわれも考えなければいかぬことだと思うのでありますけれども、そのあたりでいま土屋部長からいろいろ御説明をいただいたわけでありますけれども、大臣としては選挙の公正ということと選挙公報の配布の問題、これについてはどういうふうにお考えになっているか、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/20
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021・町村金五
○町村国務大臣 選挙が公正に行なわれるために選挙公報というものが各戸に漏れなく配布されなければならないということは、これはもう言うまでもないところでございます。ただ、いまも選挙部長からもだんだんお話を申し上げておりましたように、事実問題としては非常に困難な場合がある。必ずしもこれは私は非常に多い数だとは思いません。きわめて限られた少数ではございますけれども、事実なかなか公報を配布することができないというようなことが過去においてあったように私も聞いておるわけでございます。したがってこれをどうしてそういうような配布漏れを防止することができるかということについて、選挙部といたしましてはいろいろの角度から検討をいたしておるようでございまして、いま申し上げました新聞折り込み等にするというふうなこともその重要な一案として考えられたものでありますけれども、なおかつ新聞は日本全体の全戸がみな必ず新聞をとっているかというと、やはり若干新聞をとっていないうちもあるということになりますると、それをどうして補完するかということが次の問題で、その補完方法が非常にむずかしいのではないか、実はこう考えておりますけれども、しかしこれはひとつあらゆる方法を講じまして、何としてでもひとつ全戸配布という目標に向かってこれを実現をするというくふうと努力を今後とも重ねるべきものであり、いま選挙部といたしましても、そういったことについて鋭意検討をいたしておるところだという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/21
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022・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 もう一点だけ、このことについて土屋部長にお伺いしておきたいのでありますけれども、わが党でこのことについて論議をしたとき、いま私も調べてありませんけれども、だんだん新聞代が高くなったから一家で二部、三部、二紙、三紙というのをとっているところはそうなくなっているかとも思うのでありますけれども、たとえば新聞折り込みということにしますと、おそらく全部に入れなければいかぬことになると思うのです。そうしますと、紙不足ということがたいへんいわれているときに、各新聞に一通ずつ選挙公報が入るということになると、家庭によっては二部、三部入る。これの費用と、それから従来の各戸配布ということの費用とはどちらがどういうふうになるものなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/22
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023・土屋佳照
○土屋政府委員 地域により明確にその数字を申し上げるわけにまいりませんが、ただいまおっしゃいましたように複数でとっておる家庭もかなりございます。しかしそれは一部とっておるところに比べると非常に少ない率になってまいりますが、そういったところは複数で選挙公報が入るという結果は招来するだろうと思っておりますけれども、ただ御承知のように、現在のように職員で配布するとかどうとかいう方法をとりますと、かなりなそのための手数と金がかかっておるわけでございます。特にやりたいという大都市地域について聞いてみますと、そういった費用から見ると、新聞折り込みで複数になってもまだそのほうが安いという話を聞いておるわけでございます。こういう特別な措置をとらなければならぬところは非常に大量に人手と公報そのものを要すると思いますので、そういうところは非常に効率的になってくるためにかなり浮いてくるのではなかろうか。それがどの程度どうなるかということは、これはちょっと私ども言いかねますが、自治体のほうではそういうことをいっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/23
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024・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 最後にもう一つお伺いをしたいのは、いわゆる在宅投票の問題であります。これはもうくどくど説明する必要もないと思うのでありますけれども、大臣も予算の分科会の中で前向きに検討したいということを言われたわけでありますが、この在宅投票制度が、かつては認められておりながらいまなくなっているというのは、昭和二十六年のいわゆる統一地方選挙でこれがかなり悪用されたということがいまなくなっている原因になっているわけですね。土屋選挙部長にお伺いをしたいのでありますが、昭和二十六年のその統一地方選挙でこの郵便による在宅投票制度とうものがどういうふうに悪用されたのか具体的にどんな事例があがったのか、そのあたりについてお伺いをしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/24
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025・土屋佳照
○土屋政府委員 いま御指摘のように二十六年の統一選挙ではいろいろと悪用されておりますが、その不正の形態を見てまいりますと、そういった歩行困難といったような、したがって在宅投票をするというような事由に該当するかどうかの証明段階、医者等の証明の段階での不正というものが一つの類型としてございます。医者の証明ということでございますので、いろいろとこういった実例が記録としても残っておりますが、たとえばリューマチで動けなかったはずの人が子守をしておったとかどうとか、いろとろと事例が残っておりますが、そういう証明段階でどうもあいまいな形で証明が発行された、そういった点が一部ございます。
それからもう一つは、投票用紙等の請求段階での不正と申しますか、御承知のように二十五年のときは郵便で請求するほかに、同居の親族がかわりに直接投票用紙をもらいに行って、持ってくるというようなことがございました。そういった意味で結局有権者自体と関係のない人が出ていって投票用紙をもらってくる、これがかなりあったようでございまして、そうして本人が知らないうちにそれを書いてまた届けてしまう、これがかなり多かったという例がございます。それからもう一つは投票の記載段階での不正と申しますか、いまの類型とほとんど似たようなことでございますが、一応かわりの者に持ってきてはもらったけれども、本人もその意思はあったが、本人が知らないうちに周囲の者が書いて持っていってしまった、あるいは送ったというような事例がございます。そういったおおむね三つの形態に分かれようかと思いますが、そういったことのために選挙無効、あるいは当選無効の訴えがかなり出たということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/25
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026・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 それで、これも予算の分科会でわが党の横路孝弘議員が質問したのですが、こういった不正というものが、もう一度郵便による在宅投票制度というものを復活させた場合に、はたしてチェックができるだろうかということに関して、私たちもいろいろと検討して、いまいわゆる在宅の巡回投票制度というのを国会に提案するように準備をしているわけでございますけれども、大臣のこの前の御答弁では、巡回投票制度というのはとても現実にはできないのじゃないかというお話でございますが、私は選挙の基本的命題というのはいわゆる秘密が守られるかどうか、いわゆるその投票をした人の善く意思が守られるかどうかという秘密主義と、それから自分が書くという自書主義、この二つが守られるということが、私は投票の基本的な命題だと思うのです。その意味でいわゆる郵便制度というものは、いま土屋部長からお伺いしましたように、不正がなかなか防げないのではないか。つまり立ち会い人がいるわけではないので、不正が防げないのじゃないかという点で私たちはかなり無理をしていわゆる巡回投票制度ということを考えたわけでありますけれども、大臣のこの前の予算分科会のお話では、やるとしても郵便制度をもう一度復活さして、ただ過去の二十六年の失敗というか、この弊害というものをチェックできるようにしてやりたいということなんでありますけれども、たとえば技術的に、いま土屋部長が言われたような問題について、はたして郵便の在宅投票制度というもので自書主義あるいは秘密主義というものが貫徹できるだろうかということについて、私ははなはだ疑問を持つわけなんです。その辺で技術的にチェックできるだろうか、このことについては土屋部長いかがお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/26
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027・土屋佳照
○土屋政府委員 過去の例に照らしましてもこの公正確保ということが一番の問題であろうかと思います。そういう問題がございますので、私どもこの問題について長い間検討を続けてきたというのが実情でございます。そういった意味で私ども先ほど三点ほど申し上げましたけれども、かつて不正があったこと、事由、その中身をよく調べまして、そういった事態によく対処し得るような制度でなければならないという気がしておるわけでございますが、その意味では、一つは公正確保のためには代理人による請求というものは認めるわけにはいくまい。過去の例も確かにそうであったから、代理人が行くということはできない。したがって直接本人が請求をするということにせざるを得ないわけでございますが、それを最も確実な方法でということになりますと、確かに選挙管理委員会のほうで各戸に巡回をして回るということも一つの考えではございます。これもるる申し上げませんけれども、世田谷区等のように非常に多くの対象者をかかえておるようなところでは、選挙時においてとてもそれだけの巡回ができるような体制にございません。そういった意味で、私どもは巡回は無理であろうというふうに考えておるわけでございますが、しからばどういった方法があるのかということになると、大臣からも前に申し上げたと思いますが、郵便投票というようなことにならざるを得ないのかなという感じがするわけでございます。
そこで、御指摘のように、郵便投票は問題がまだあるのではないかということになってまいります。その点につきましては私どもは、一つはやはり従来の経緯にかんがみましても、まず在宅投票のできる方々の範囲、認定方法というもの、これをはっきりしていくのがまず第一点である。したがいまして確実に身体障害者等であって、実際に投票所に行けないということが法的に明確に把握できる者、そういったところに、範囲を狭めるというわけじゃございませんが、範囲を適正なものに確定いたしまして、そういった人をまず対象にするという点で一つの公正をはかる。それからもう一つは郵便なら郵便でやるといった場合には、やはりだれが書いたかわからないではないかということでありますが、一応自書主義ということでおりますし、そして私どもとしては一応本人がそういった該当者であるということがわかるように、前もって証明書というものを、これは何年か有効なものでもけっこうでございますが、たとえば身体障害者手帳等のごときものを提示して、確かに間違いなく下肢、体幹の一級である、だからこの人は動けないのだということが法的にわかる、そういった方については証明書を出しておく、そういう方が選挙になると前もって証明書で投票用紙を請求をされる、そういった際に、たとえば宣誓書等もひとつ添えてもらうというようなことで、投票された場合の筆跡その他も全部封筒等に残りますので、直ちにそれを両方見比べて、選管が本人かどうかということを判定するということは非常に容易ではございませんし、またできないと思いますけれども、問題が起こったときは、当然そういった筆跡というものは残っておりますので、それは十分一つの歯どめになる。宣誓までしてやっていただくということにすれば歯どめになるであろうというふうに考えておるわけでございますし、またそういったことに違反するような者については、たいへん言いにくいことでございますが、これは投票関渉罪といったようなものの対象にもするとかどうとかといったようなこと等もあわせ含めて考えていけば、範囲といまのような手段ということをあわせて考えていって、何とか公正を保っていけるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
ただ最初に申し上げましたとおり、これは過去の経緯にかんがみても非常にむずかしい問題が多いので、私どもも最後までどの方法がいいかということはもっともっと研究を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/27
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028・佐藤観樹
○佐藤(観)委員 いま土屋部長からもお伺いしたわけでありますが、二十六年にそういった数々の不正が行なわれて、この郵便制度というものが廃止をされてしまって、いわゆる在宅投票制度ということがなくなってしまったわけでありますが、それを基本的にまたここで郵便制度を復活するということになれば、これはかなり慎重にやっていかなければいかぬと思うわけです。私たちが考えたのは、これはまた法案として提出さしていただきますので、そのときにまたわが党の案も皆さん方に審議をしていただきたいと思うわけでありますけれども、そこで巡回ということを考えたわけなんであります。
それはさておきまして最後に大臣にお伺いをしておきたいのでありますけれども、自治省の調べでも身体障害者の方々が全国で百三十万人、うち歩行困難の方が十万人、それから寝たきり老人の方が三十五万三千人、そういう数字があがっているわけなんで、その方全部が投票する意思があるかないか、これは別でありますが、これだけの数にのぼっているわけなんで、この時期に至っては、やはり裁判にもなっていることでありますし、あるいは自治体の議会が在宅投票制度を復活するようにという議決もしているところもある段階まで来ているわけでありますから、いまや、模索することは大事でありますが、もう実行するかしないかの段階に私は来ていると思うのです。何といっても六月か七月に参議院選挙があるわけでありますから、そのときまでにやはり 方法はこれから論議するにしても、これは基本的には復活をさせる、そうしてもう国会の会期もわずかしかないわけでありますけれども、今度の公職選挙法の改正の中に、先ほどお伺いした公報の配布の問題あるいは費用弁償の問題などと一緒に、この在宅投票制度というものを復活させる公職選挙法の改正というものを提出なさる意思があるかどうか。現実には時間はかなりないわけでありますけれども、今度の公職選挙法の改正の中に復活させるお気持ちがあるかどうか、それを最後にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/28
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029・町村金五
○町村国務大臣 いまもお話がございましたように、そういった身体障害者で歩行困難な者あるいは寝たきり老人といったような者の数が相当の数にのぼっているわけでありまして、そのゆえに、投票をしたいという意思があっても実際にはできないという者が相当あるということがいまの在宅投票制度の復活をはかるべきだということになった事由であることは申し上げるまでもございません。したがって私どもとしては、できるだけそういう方にも、投票の意思のある方には投票の機会を与えなければならぬという大前提の上に立ってこれらの問題の検討をいたしておるわけでございますけれども、ただ一面、先ほど来申し上げておりますように、選挙については公正を確保するということがきわめて重要な問題でございますので、そのためにいろいろの方法を検討をいたしておるわけであり、いま佐藤議員からも、いわゆる巡回制度というものが一番公正を確保するゆえんであろうという御指摘は、私どもも全く同様に考えております。何と申しましても、選挙管理委員会が出向きまして、その面前において投票が行なわれるということが一番望ましいことであるということは、これは言うまでもございません。しかし、現実の問題としては物理的に困難な場所が相当に多いということを考えてみますと、できないこと、困難なことを無理にやろうと思いましても、これまた不可能なことにも属してしまう。そこで先ほど来選挙部長がお答えを申し上げましたようなことで、選挙の公正というものが失なわれないようなことで、なおかつそういう方法がないかということで鋭意検討をいたしておるところでございます。
そこでわれわれといたしましては、この国会中に成案が得られるような運びになりましたならば、これは私はぜひ御提案を申し上げたいと考えておるのでございますけれども、ただ私は、いま御指摘がございましたように、ことしの夏予定されております参議院選挙に間に合わせるということは、これは私は非常にむずかしいのではないか。と申しますのは、これだけのことをいたしますのには相当に準備というものが私は必要であろうと思うのであります。そういったことが、かりに今度の通常国会の間に提案し、そうしてこれが幸いに議決されるということの運びになりましても、実際に今度の参議院通常選挙に間に合わせるということはなかなか容易なことではないのではないか。やはり次の総選挙に間に合うというようなことにならざるを得ないのではないか、私はこう今日のところ考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/29
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030・福永健司
○福永委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。大柴滋夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/30
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031・大柴滋夫
○大柴委員 ただいま佐藤君から、非常に選挙に金がかかるという質問がありましたが、この際、大臣並びに政府の見解を聞いておきたいのであります。
ポスターがカラーになるとかベニヤ板を買うとか、いろいろのことがあるのでありますが、これは行き過ぎだなと思うことは、印刷物による政党の宣伝並びに候補者の宣伝であります。いま実際上は、何か政党のリーフレットが三種類許可されて、それが各家庭に配られているわけでありますが、それ以上に、政党機関紙、場合によっては機関紙の号外というようなものが、まんべんなく各家庭に配られているわけであります。たしか政党の機関紙などは、通常の配布方法というものを越えて配られているわけでありますが、このことは、まあどの党がどうだということは申さないのであります。われわれもすれば、皆さんの所属する政党もするだろうと思うのでありますが、結局、みんなすれば同じではないかという結論に立って、たいへん町や村を混雑にしているのでありますが、この現状について大臣はどういうお考えを持っておるか、これを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/31
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032・町村金五
○町村国務大臣 先ほど、いわゆる選挙公報一枚配りますのにもずいぶん困難だというような実情がございます一面、最近の選挙では、各政党が印刷物を各戸に配布するということを、ずいぶん熱心に、しかもきわめてひんぱんにこれを配布をされるというようなことが現実に行なわれた例がずいぶん多いように私どもも承知をいたしておるのでございまして、世間には、どうもビラ公害だとさえ言うような一部の声もあがっておるということも、私ども承知をいたしておるところでございます。したがって、これらの問題につきましては、やはりこういうことがかえって選挙の公正を害するに至るのではないか、こういう一面の意見もあり、これに対しては相当な規制を講ずべきではないかという意見がございますが、一面、御承知のとおり、選挙というものはあくまでも自由を確保するということが大事だという、基本的なそういった考え方もあるわけでございますので、われわれといたしましては、その間の調和をどういうふうにはかっていくべきかということが、いま私どもの重大な関心事であり、検討をいたしておるところでございますけれども、そういった点をどうこれから処理をしてまいるかということは、なおひとつ十分検討をさせていただきたい、こう考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/32
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033・大柴滋夫
○大柴委員 大臣、要するに政党機関紙あるいは機関紙の号外なんですよ。これは明らかに、常識的に見て、各党とも通常の発行、通常の配布を越えていることをやっているんですよ。こんなことはだれが何と言っても——駅でわれわれは、二年半なら二年半歩いていても、政党の号外などというものを見たことはあまりないけれども、選挙になれば毎たびそれが配られるわけですね。そのことがいいか悪いかということはしばらく問わぬにしても、とにかく、通常の発行、通常の配布を越えているということはお認めになっているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/33
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034・町村金五
○町村国務大臣 それは私どもも十分認めるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/34
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035・大柴滋夫
○大柴委員 そうすると、いままでは紙もあった、石油もあった、いろいろあったのでありますが、いま御存じのとおり、学校の子供のわら半紙もない、それからまた帳面もないというようなときに、政党だけがこういうことをやっておって世間の指弾を受けないかどうか。それは政党ですから、何といったっておのおの力があるわけであります。こういう指弾を受けているというようなこと、そういうことに対してどういう見解をあなたはお持ちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/35
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036・町村金五
○町村国務大臣 確かにいまの、いつの選挙というわけでもございませんけれども、特に激しくなった選挙の場合には、いま大柴委員御指摘になりましたような、かなり過度と申しましょうか、常識を越えるような大量のビラが各戸に配られておるということは、これは御指摘のとおりであり、ことに、これは選挙の自由である以上は当然だという見方もございますけれども、しかしおのずから、一つの政党がいたしますれば、これは他の政党もどうしてもそれに対抗するためにやらざるを得ないということになってしまうのでありまして、そうなれば、お互いに非常な金のかかる、労作のかかることをやっておるんだということに結果的にはなってしまうだろうと私は思うのであります。そうなれば、こういったことはむしろひとつお互いに自制をするという方向で私は当然考えていってしかるべき事柄だ、こう存じておりまするので、こういった問題の扱いにつきましては、私はやはりこれはそれぞれの政党の自由な政治活動として行なっておられることでありますので、お互いにそういった点についてはひとつ十分御意見をいただいて、今後この問題にどう対処すべきかということを私どもとしても真剣に検討してまいりたい、こう考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/36
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037・大柴滋夫
○大柴委員 これは政府の責任だけでなくて、われわれ各政党の責任だろうと思いますから、政党同士も、もしそれが折り合えるならば相談をして一つの結論を出したいと思うのでありますが、政府も、目下各地で選挙が行なわれているわけでありますが、その選挙をひとつよく、どういう合法すれすれの文書がまかれて、有権者の人々がどういう考えを持っているかということを調査をされて、少なくともこの国会に間に合うように、あるいはまた、参議院選挙までに国会で対処できるようにその結果を発表願いたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/37
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038・町村金五
○町村国務大臣 最近各地で御承知のようにかなり大きな選挙が行なわれておるわけでございます。そういった最近の状況を実は私は十分把握はいたしておりませんけれども、十分調査もいたしまして、でき得るならば、ただいま御指摘のございましたような方向で私どもも結論を得るように努力をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/38
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039・福永健司
○福永委員長 林孝矩君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/39
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040・林孝矩
○林(孝)委員 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案に関連して、質問をいたします。
先ほど来、同僚委員から、在宅投票に関する質問がございまして、その答弁をいろいろ伺っておったわけでありますが、基本的にその考え方というもの、この論理をすりかえられてはいけないと私は思うわけであります。何が問題であるかということは、すなわち、投票する権利を持っておる、しかも投票する意思がありながら行使できない、こういうことの事実の認識のしかたにあると私は思うわけであります。憲法に保障された選挙権を行使できない状態に置いておくというその責任というものは、非常に重大だ。そういうことが運営の欠陥あるいは行政の怠慢、そうしたものと置きかえられて考えられたときに、それは物理的に困難であるとかあるいはいろんなそうした理由がそこに成り立つわけでありますが、決してそのようなすりかえというものであってはならないし、この件に関してはやはりもっともっと積極的に早急に解決されなければならない問題だと思っております。と同時に、今日までこの問題に対していろいろ大臣の答弁がありました。町村大臣あるいは元自治大臣であるところの江崎さんだとか、その議事録をずっと見てみますと、いまの答弁とあまり変わらない答弁、全く同じであるといってもいいかもわかりませんが、そのような状態で今日までずっと来ておる。そしてなぜこれが実現できなかったかという理由も、同じ理由がそのときどきに述べられておる、こういうことなんです。したがいまして、もちろん公正と秘密ということは選挙に関しては非常に重大なことでありますし、これは確保されなければならないことでありますが、やはりこのときにあたって、機会というものをつかんで、勇断をもって実施するという必要があるのではないか、そのように考えるわけでありますが、大臣の考え方を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/40
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041・町村金五
○町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたところでございますが、投票の意思を持ちながら身体の自由を欠いておるというために投票ができないという人のために投票の権利の行使を確保するということは、私どもとして当然考えていかなければならない基本的な問題であると私は考えておるのでございます。ただ、御承知のように、この制度は昭和二十六年実際に行なわれて、選挙の公正が著しくそこなわれたというようなことがあって、この制度は廃止をせられたという経緯のあることは申し上げるまでもございません。したがって、私どもといたしましては、この投票権の行使を確保するということと、同時に、きわめて大事な選挙の公正を確保するということ、この二つの問題をどういうふうに調和し、実現をしてまいるか。しかも選挙の公正という面だけを考えてみますれば、いま申し上げたような経緯もございますので、きわめて消極的な意見が出てくることは当然でございますけれども、しかし一面、投票権の行使の確保というきわめて重要な、民主政治の基本に関する問題でございますので、公正の確保ということが十分できるような方法で、なおかつ投票権の行使ができるだけ拡大されるようにすべきだというのが、実は私どものこの問題に対する基本的な考え方でございまして、きわめて積極的にこの問題の解決に当たりたいという考えでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/41
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042・林孝矩
○林(孝)委員 公正をはかり、なおかつ選挙権を行使できるということの順序が逆であると私は言っているわけであります。選挙権を行使するということが優先して、なおかつ公正が保たれなければならない、こういうことだと私は思うわけです。
そこで、これらの在宅投票者の対象として、もちろん実施段階に来ているわけでありますから、当然どういう人たちがその対象になるか、たとえば指定病院以外の病院の入院患者の問題だとか、あるいは在宅の障害者の場合、また寝たきり老人だとか、それにもやはり家族のいる場合、ひとり暮らしの人たちもいるでしょうし、あるいは妊産婦の場合だとか難病者、いろいろ分けられると思いますが、現時点で対象をどのように考えられておるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/42
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043・土屋佳照
○土屋政府委員 目下いろいろ検討中でございますので、どこまでを対象者にするかということ自体が一つの問題でございます。したがいまして、その範囲がどこまでということはちょっと申し上げかねるわけでございますが、一応現在選挙権がありながら実際に投票ができないといったような方は、いま御指摘がございましたように、身体障害者が百三十一万人ぐらいございますが、そのうちで下肢、体幹の一級、二級とかいった実際に動けないという症状に当たるという方が約十万ぐらいであろうかというふうに聞いております。それからいわゆる寝たきり老人というものが、厚生省の調べによりますと三十五万三千という数でございますが、これも実際上、いろいろ福祉行政が進んだとはいうものの、まだ確実にその数が幾らであるという最近の正確な数というものは私どもも把握し切っていない状況でございます。一応これは厚生省の白書でございます。それから先ほどちょっとお話がございましたたとえば妊産婦でございますが、これは一時的なそういった方をどうするかということになりますと、現在でも不在者投票制度というのがあるわけでございます。そういったことも活用できるわけでございますが、数だけを申し上げますと、厚生省の調べによりますと、年間大体二百十四万人ぐらいであるというようなことでございますので、月十七万八千というぐらいな数になろうかと思いますが、これらの方々が全部対象にしていいのかどうかということについては、先ほども私お答え申し上げましたように、基本的な問題はおっしゃるとおりでございますけれども、いろいろと技術的な公正を確保するといった面で、どの範囲にするかということが一つのこの問題の進め方の焦点であろうというような考えを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/43
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044・林孝矩
○林(孝)委員 どの範囲を対象にするかということについての結論を政府としてはいつごろまでにまとめる考えであるかという点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/44
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045・土屋佳照
○土屋政府委員 先ほど大臣からお答えいたしましたが、成案を得るならば今国会に出したいということでございます。それももちろんタイミングがございます。国会の期限というのもあるわけでございますので、そのタイミングの合うような時期までには詰めてまいりたいという考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/45
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046・林孝矩
○林(孝)委員 それから先ほど来郵便制度の問題、巡回制度の問題、巡回方式、郵便方式という二つの方式についてのお話がございました。いわゆる昭和二十六年統一選挙のときにおける郵便方式の障害、不正という問題があったわけでありますが、その中身へ内容についても先ほど説明がございました。この巡回方式と郵便方式という二つの方式のうち、いままで郵便方式においてそうした事故が起こった。そうしますと、当然、郵便方式を採用するということになりますと、その事故の起こった原因が除かれる内容において郵便方式が採用されなければならない、こういうことが考えられるわけです。いま政府が考えられておるのは、郵便方式を採用されるのか、あるいは巡回方式を採用されるのかという点、巡回方式ということになりますと物理的に非常に困難な点があるということも言われておりましたが、先ほどからるる述べられておるように、いわゆる秘密、公正という二つの問題を確保するためにどちらがいいかということが考えられなければならないと思うわけです。われわれは今日まで巡回方式というものを主張してきたわけでありますが、政府においてどちらの方法を採用し、そしてその方法においてどのような効果を求められようとしておるのか、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/46
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047・土屋佳照
○土屋政府委員 選挙人の権利を守り、同時にまたその公正を確保するということを考えていかなければならない。そういった点で、いま二つの方式をお示しいただいたわけでございますが、私どもといたしましては、巡回方式、選管による巡回投票制度というものは、現実問題としてはなかなか困難な点がございまして、それに踏み切るのは非常に困難な感じを持っておるわけでございます。そうなってまいりますと、やはり郵便投票という制度を用いるのが一つの方法であろうかという感じがいたしておりますが、それは一つには、前回のときの代理人の請求という制度はもうやめるということが前提でございました。本人自身が郵便で請求をし、そして郵便で投票するということにおいて——それは、それをわざわざ横に来て見る人がおれば投票の秘密とかいったことは問題になるかもしれませんけれども、少なくとも本人がその意思で、直接郵便で本人に返ってきてそれをまた投票するということであれば、それはある程度防げるのではないかというような気がしておるわけでございます。
それと同時に、先ほども申し上げたわけでございますけれども、それを証明する確実なものを選挙人に与える。すなわち、たとえば身体障害者手帳のような非常に公的に証明力のあるもの、そういったものを提示いただいて、その本人に在宅投票のできる証明と申しますか、そういうものを与えておいて、それを添えて出してもらうということによって、それは本人以外に持ち歩けることはあまりないわけでございますから、そういう点でも公正の確保がはかれるのじゃないか。同時に、先ほど申しましたような宣誓制度その他等によって本人の自書というものがはっきりわかるというような形等を取り入れまして公正を確保していきたい。そして同時に、いまのお答えとは若干範囲がはずれるかもしれませんが、その対象者の範囲、確実にそういう人であるということをはっきりと確保いたしまして、それと含めていまのような方法をとることによって一歩前進さしていきたいというような考えを持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/47
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048・林孝矩
○林(孝)委員 アメリカだとかイギリス、フランス等においてその郵便方式というものが定着しておりますが、その適用範囲はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/48
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049・土屋佳照
○土屋政府委員 各国によってそれぞれ違うわけでございますが、たとえばイギリスでございますと、盲目またはその他何らかの身体上の無能力のためにみずから投票所に行くことができないといったような者を対象にしておりますし、またアメリカあたりでも、病気、身体上の不具等のために投票所へ行くことができない者というようなことで、大体現在の公職選挙法の四十九条の三号事由に該当するような方々が対象になっておる例が多いようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/49
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050・林孝矩
○林(孝)委員 いわゆるそうした国においては郵便方式を用いて問題が起こっていない、そして範囲が非常に広範囲なことになっております。たとえば国内において公務についているけれども、自分の本来の所在地にいないとかそういう人たちを含んでおるとか、あるいは本人または配偶者の勤務の都合により投票地に不在の者だとか、いわばこれは不在投票の部類に入るわけでありますが、そしていわゆる在宅投票を必要とする身体無能力のため投票に行けない者、身障者、寝たきり老人あるいは妊婦、そうした者も含めて対象者としている国もあるわけです。非常に広範囲な対象を設けてこの在宅投票にしておる。私はこういう外国の例をいろいろ見てみますと、本来のあり方というものはこうでなければならない。いわゆるそういう限定されて、百人いるけれども、そのうちの三十人においては認められるけれどもあとの七十人においては認められないというような行き方というもの自体が、いわゆる基本的人権というものを大きく阻害しておる、侵害しておるという形の行き方であり、考え方だと私は思うわけです。ですからほんとうに理想的なのは、すべての人が持っている権利を行使できる、そのために全力を傾けてやっていくということでなければならない、そのように思うわけです。ところがいままでの議論を総括してみますと、やはりそこに制度上の不備だとかあるいは運用上の欠陥、理由等によって、こういうことがあるからそれがなかなか困難であるというそういう論理になっているわけです。これをやはり大きく展開、改善していかなければならない。そういう意味におきまして、これは自治大臣も先ほどから答弁されておるわけでありますが、さらにここで再考をして今回の参議院選挙に間に合わせる、そういう考え方を持って臨まなければ、やはり来年になったって再来年になったってこういう問題は解決しないわけですから。情勢が物理的な理由が変わるということはなかなか考えられない。同じ背景のもとで同じことを論ずるわけでしょう。それならば、一日も早く勇断をもって実施する。そういうようにきめてしまって、そのためにどれだけができるかということをまず考え、そして将来においてはここまでしていこう、今回はこれだけしかできなかったということのほうがむしろ大きな前進ではないかと思うわけであります。そういう意味において、早期に実施するということが、私は、こうした権利を行使する意味におきましても、最も重大なことではないかと思うわけでありますが、その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/50
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051・町村金五
○町村国務大臣 私どもも、先ほど来だんだんお答えを申し上げておりまするように、国民の選挙権の行使を確保しなければならぬという前提の上に立ってこの問題に取り組んでおるわけでございまして、したがって、私どもは、できるだけ投票の機会を確保するということを前提といたしておるのでございますけれども、しかし同時に、選挙につきましては、その公正を確保するということもこれまたきわめて重要な課題であることは言うまでもございませんので、したがって、選挙権の行使を確保するというその前提の上に立って公正を確保することも可能だというふうに考えられる方々に、私どもはこの際まず投票の機会を与える配慮のための法制の改善、改革をしてまいりたい、こう考えておるところでございまして、いま御指摘のように、何でもどんどん広げればいいじゃないかというわけにはやはりいかぬのではないか、公正を確保するということもこれは私は非常に重大な事柄であろう。したがって、私どもが考えまして、あるいは一般の方がお考えをいただいて、これはぜひこの際認めるべきだ、この方法によって認めるべきだということが、私は大方の方の大体の一致した御意見になるのではないか。そこで、先ほど事務当局がお答えを申し上げましたようなことは、今日までの研究の結果、大体そういうようなところにこの際まず話を煮詰めていったらどうかというふうにいま考えておるところでございまして、いま御指摘がございましたように、どれもこれもとにかく全部に投票権の機会を与えるという方針は持ちながらも、しかし現実に不公正がどうしても行なわれる危険性のあるというものについては、これは第二段に考えていくべきであろうというのがいまの私どもの考えでございまして、先ほども申し上げましたが、われわれもできるならば今度の参議院選挙に間に合わせたいということはやまやま考えておりますけれども、実際の問題といたしましては、もうこの参議院の選挙はいつになるかわかりませんけれども、早ければ六月あるいは七月というときにはおそらく行なわれるわけでございましょう。そういたしますると、いままでこういった困難な問題でございますので、相当に周知をさせるという必要もございますし、諸般の準備を整えるということになりますると、かりに今度の国会で御決議をいただきましても、実施は次の選挙でなければ間に合わないんじゃないかということを私は先ほども申し上げたような次第なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/51
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052・林孝矩
○林(孝)委員 これは政令事項ですか、法律事項ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/52
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053・土屋佳照
○土屋政府委員 基本的な点は法律に書かなければならないと思います。細目にわたっては政令にゆだねる点がかなりあろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/53
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054・林孝矩
○林(孝)委員 いま大臣のお話のような趣旨でいけば、まず最初はぐんと範囲が限定されますね。そうしますと実態調査という——たとえばホームヘルパーの実態、入浴車の問題だとか、あるいは母子手帳だとかというようないろいろな角度から、この対象になる人がどれだけいるだろうかというような実態調査をやって、その上にこういう計画をプランニングするというような作業ではなく、もう現実にきまっておるそういう人たちを対象にしてやるということになると思うわけです。そうしますと、そんなに時間はかからないんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/54
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055・土屋佳照
○土屋政府委員 先ほどの話にも関連してくるわけでございますが、この対象者という場合にはもちろん非常に長期的な歩行困難者と一次的な歩行困難者がおるわけでございます。たとえば範囲につきましても、妊産婦といったような御指摘もございました。しかし、現在の法律でも不在者投票管理者のおるところで投票するという意味での不在者投票制度というのは現に日本ではあるわけでございます。外国はないところが多い、したがって範囲も広い。日本の場合は一応投票所で管理者のもとでやる。それができない場合に不在者投票制度というものを不在者投票管理者のもとでやる、そういう制度もございますので、かなりそういう面で救われておる面もあるわけでございますが、それはそれといたしまして、大臣から申し上げましたように、やはり長期的歩行困難者というものを対象にいたしましても確実なところからいきたいというのが、過去の経緯その他に照らして私どもとして考えておるところでございますが、ただ現実にこの制度をつくりました場合に、私ども考えておりますのは、たとえば身体障害者手帳の所持者も厚生省の調べによりますと五七・九%でございまして、こういった方に証明をする段階でそういうものを提示してくださいといっても、四割以上の方にPRもしなけりゃいけない、そういう制度ができましたということもございましょう——これは一例でございますが。そういったことにもかなりな日月を要するわけでございますし、それから先ほど一つの考え方として申し上げましたが、そういう方が実際に何年か通用になるような選挙証とでも申しましょうか、そういった証明書をもらう手続というのもいろいろかかるわけでございます。そのほかそれに要する選管の認定手続、それから投票方法のためのいろいろな諸準備、そういったことを考えますと、これはきわめて短時日にはでき得ないというような考えでございまして——と申しましても、それでは今度間に合わなければ次にやるかということになりますと、実施時期ということもだんだんおそくなりますので、私どもとしては考え方がまとまれば一歩ずつその段階で前進していきたいということを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/55
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056・林孝矩
○林(孝)委員 いまの御答弁を伺いますと、考えがまとまれば今回の参議院選に間に合わせるということもあり得るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/56
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057・土屋佳照
○土屋政府委員 制度そのものはできれば間に合わせたいと思いますが、ただいま申し上げましたようないろいろの諸手続というのがございますので、実際に投票するというような段階まで準備を進めるにはかなりな日月を要するので、その制度自体が参議院の選挙ですぐ適用されるということは非常に困難じゃないかということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/57
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058・林孝矩
○林(孝)委員 それからこれも同じあれになりますが、参議院選挙の定数是正という問題に対してわれわれ前国会から議論をしてきたわけです。これは今回は意見をお伺いするだけにとどめておきますけれども、われわれが前国会から議論をしてきたのは、今回の参議院選挙に何とか間に合わせたい、そういう強い希望がわれわれの中にあり、また国民世論の中にもそうした強い要望があったわけです。そういう中で今日まで続けてきたわけです。これも先ほどの在宅投票の時間の——私ははっきり言って完全に時間がかかり過ぎて、いままでどういうことになっておったのかという憤慨にたえないわけでありますが、この定数是正の問題に関しても、同じ気持ちを持たざるを得ないわけであります。したがいまして、今回の参議院選挙に間に合わせたいという大半の声と全く逆行するような現状になっておると私は思うわけでありますが、自治大臣としてそのような流れ、またこの定数是正に対してどういう考え方をお持ちになっておるか、この際明確にしておいてもらいたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/58
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059・町村金五
○町村国務大臣 いまの選挙区と申しましょうか、定数というものが、人口と対比いたしまして確かにきわめて不公正になっておるということは、私どもも重々承知をいたしておるところでございまして、やはりこれはなるべく早い機会に是正をしなければならぬということは、これは私どもも全く同様に考えておるところでございます。ただ、申し上げるまでもなく、定数是正の問題は参議院の定数ばかりでなく、衆議院のほうにも同じような問題が当然に考えられておるわけでございまして、これらはやはりあわせて考えて実行に移していくべきものであろうしかも定数の問題を考えまする場合には、さらに選挙制度全体の問題にも当然触れていかなければならない問題ではないか。これだけを切り離してやるということには、いろいろ無理な問題もずいぶん起きてくるように思いますので、したがって、今回のこの参議院選挙には定数是正の問題というものはどうも私は間に合いかねるという状況にある、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/59
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060・林孝矩
○林(孝)委員 それでは最後に、この定数是正の問題を大臣として日程に乗せ、定数是正を一つの成案としていくめどをお持ちになっておるのかどうかお伺いして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/60
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061・町村金五
○町村国務大臣 これは申し上げるまでもなく議会政治の基本に関する問題でございまするので、やはり選挙制度調査会というようなものにこういった問題も十分御検討を願い、さらにこういったことは国民全体のコンセンサスが得られるというような形で進めていかなければならないたいへん重大な問題でございますので、私どもといたしましては、この問題は今後とも真剣にひとつ取り組んでいかなければならない重大な課題だというふうに心得て、今後その方向で私としては努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/61
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062・林孝矩
○林(孝)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/62
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063・福永健司
○福永委員長 小沢貞孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/63
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064・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 いまここで議題になっている国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案、これは私はあまり問題がないわけであります。ただ、一つだけお尋ねをしておきたいことは、予算案をつくる積算をやったのは去年の七月前後だろうと思います。これが最初に適用されるのはことしの参議院選からだと思います。その間約一年、石油ショック以来狂乱といわれる物価騰貴があったわけです。だから積算の基礎が狂ってきておるのではないか、こういうように考えます。当時算出したときから卸売り物価においては三割以上上がっている、こういうようなことになるならば、この積算にもう狂いが生じておる、こういうことについてはどうでしょう、これは部長からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/64
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065・土屋佳照
○土屋政府委員 御指摘のとおり昨年いろいろと作業しましたころから今日までにはいろいろと諸物価も上がっておることは事実でございます。そういった中で二、三例を申し上げますと、たとえば超過勤務手当等についても一体どうなるかということでございますが、これは今後のベースアップといったようなものは調整費の中に一応考えておるというようなことでございます。また非常に値上がりのひどかったたとえば紙代、そういったものにつきましては私ども単なる物価指数をとりませんで、この前の福岡三区の補欠選挙とか、そういった実態等を見まして予算編成の際に大蔵省と折衝をしたわけでございまして、一応ある程度の実勢をもとに置いて数字をはじいておりますので、かなりその点は単なる指数等で見た形のものよりは伸びはいいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/65
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066・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 これは大臣に要望しておきますが、積算の基礎になった、つくった去年の七、八月と比べてすでに三割以上上がった、こういうことになるので、これはこの次の参議院選挙はこれで適用されても、その次の、来年の暮れかいつかはわかりませんが、国会の選挙のときにはまたこれでは間に合わない、こういう事態が生ずるのではないか、こう思います。事務当局としては去年改正したばかりだからまた改正するのはというちゅうちょがあるだろうと思いますが、こういう時期ですから、次のときにはまたこれを改正するにやぶさかでない、こういうことでなければならない、こう思います。どうでしょう、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/66
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067・町村金五
○町村国務大臣 これはきわめてごもっともなことでございまして、従来こういったものにつきましてはある程度の年月をかけておりましたけれども、それはいまのような激しい物価高騰の時代ではございませんでしたので、毎年ということではございませんでしたが、ことしはかなり激しい物価の高騰でございますので、次の選挙がいつになるかわかりませんけれども、その場合には当然これでは間に合わないということになることが大体判断をされますので、その時期にはそれに応ずるだけの改正を行なうということは当然だ、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/67
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068・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 ではそれを大臣に要望しておいて次に進みたいと思います。
これは委員長と一緒に外国を歩いたときに外国の大、公使館員からもだいぶ言われたわけであります。従来はこれはどういうようになっておるのか、それをまず聞かしてもらいたいのです。大使館員、公使館員には一体どうやって投票に参加させる道を開いているか。いままでどうなっているか。それからこのごろは商社や大企業等で海外に長期出張というのがたくさんあるわけであります。そういう者は国政参加の道が閉ざされておるのじゃなかろうか、こういうように私考えるわけです。いままでの実情はどうであろうか、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/68
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069・土屋佳照
○土屋政府委員 御承知のように、国民でございましても、実際上選挙権の行使という場には当該市町村に三カ月以上住んでおるとか、そういうことによって選挙人名簿に登録をされるというようなことがございます。したがいまして、ただいま在外公館あるいは商社等で海外におるような方が住所そのものがこちらにもうないというような形になってくるわけでございますので、そういった意味ではいままで選挙権の行使ということはわが国の場合はないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/69
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070・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 これは制度がないということは——その人が、制度はあってもどうしてもむずかしいからとか時間がないからとかいうなら話はわかるのです。在外公館にいる者にとっては実質的に投票ができないということは私は重大なことではなかろうか、こう思います。特に国際化時代ですから、広い世界的な国際的な視野から日本の国政を考えるということになるならば、そういう人こそ国政に対していろいろ発言をしたい、こういう希望があるし、またそういう人を参加をさせなければならないのではないか、こういうように考えます。ところがその前に、これは制度がないのだから、実質的に投票権を剥奪されているわけであります。これは年を追って多くなっているはずであります。在外公館、商社、企業の長期出張、こういうものは一体どのくらいあるのだろうか、検討したこともございませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/70
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071・土屋佳照
○土屋政府委員 在外公館等につきましては、それは一応関係のところで調べればわかると思いますが、商社その他まで含めてということになりますと、最近の実情は私ども把握いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/71
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072・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 それでは事務当局に、これは少しひまがかかると思いますが、実質的に投票の道が開かれないような商社、企業の出張者、あるいは在外公館、あるいは船乗りの場合も私はそうではなかろうかと思います。大体どのくらいの数になるだろうか、おおよそのことしか把握できないと思いますが、それをひとつぜひ調査をしていただきたい、それが一点であります。
それから、これは大臣に要望したいのだが、これは選挙法の改正その他たいへん事務的にはむずかしい問題があろうと思います。あろうと思いますが、やってできないはずはないわけであります。これらの人に投票の道を制度として開く、こういうことがこの国際化時代においてはたいへん必要なことではないか、こういうように私は考えます。そういう人の声こそ、繰り返すようですけれども国政に反映させなければならない、こう思いますので、これはひとつ早急に選挙制度その他の改正があるならば、その方向で研究をしていただきたい、こう思います。これは大臣から御答弁をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/72
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073・町村金五
○町村国務大臣 先ほど在宅者投票のときにも申し上げたのでありますけれども、日本人が持っておりまする基本的な権利である選挙権の行使が、たまたま海外におるということで行使ができないということは、まことに遺憾なことであると私も考えます。ただ事実問題としては物理的にかなりむずかしいというようなことなども私はあると思いますけれども、いまの御指摘の点はまことに重要な御示唆をいただいた、こう考えますので、今後ひとつ重要な検討課題として検討をさせていただくということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/73
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074・土屋佳照
○土屋政府委員 先ほど申し上げましたとおり、いろいろと技術的には問題があろうかと思います。ただ、いまお話がございましたように、日本国民であって成年男女でありながら、実際に海外におるために選挙権が行使できない、こういったことはそれなりに非常に問題になることだと思いますので、検討はいたしてみたいと思っております。しかし現実の問題としては、国内におる人につきましても現在三カ月要件なり何なりといったような、選挙人名簿登録のための要件が三カ月必要だということになりますと、在外公館の方は国の選挙の場合はあるいはもっとやりやすいかもしれませんが、地方団体の選挙にはどこを住所と見るのか、いろいろ技術的には非常にむずかしい問題があるだろうという気がするわけであります。しかしそういった点についてはいろいろ検討もいたしてみたいと思っておりますが、そのほかに船員の場合は一体不在者投票制度というものをどういうふうに活用していくかということ、これを一つの研究課題としていままでもやっておるわけでございます。現在船員については御承知のようにある程度は投票できる道も開いておるわけでございますけれども、たとえばクウェートあたりに油を積みに何十日も行っておるというような場合、これはなかなか方法がございません。そういった点をどういった方法で考えたらいいかというようなことも議論はしておりますが、なかなかこれといった結論はまだ得ていないわけでございます。いずれにいたしましても、先ほどお話しのございましたような、どの程度の数でそういう人がおるのかといったようなことについては、できる範囲内で調べてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/74
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075・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 それじゃ大体どのくらいな人員になるだろうか、これは見当だけでもいいと思います。これは事務当局からひとつ調べてあとで御回答いただきたいと思います。それから大臣は重要な点だからこれから検討をしたい、こういうことなので、せっかく検討をしていただくように要望いたしたいと思います。
次に、これは方々から意見が出るわけですが、地方議会の議員の選挙のポスターの掲示場であります。国会の選挙の場合には掲示場があって掲示できるわけでありますが、ところが一つは、このごろはどこへ行っても板べいがなくなってブロックのへいになって張る場所がないぞ、これは弱ったことになってしまった、来年の県会選挙、地方選挙についていまから候補の予定者はそういうことを悩んでおるわけであります。いま一つは、国会の選挙と同じように掲示場を設けてやれば、町の美観にも役立つのではなかろうか、私はこう思います。第三点は、市町村か何かは五百枚とか千何百枚とかきまっているわけであります。小さい市町村へ行けば、五百枚ももらってしまって、べたべた張って、小さい村は村じゅうこのポスターの洪水になってくるわけであります。
こういう三つの点を考えるならば、国会の選挙と同じように、やはり掲示場を設けてそこに張らせる、こういう方法をとるのがよかろう、こういうように考えるわけであります。これは法改正その他があろうと思いますけれども、これに対してひとつ部長から御意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/75
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076・土屋佳照
○土屋政府委員 御承知のように、現在公営制度というものは衆参議員とそれから知事というところを基本としていままで来ておるわけでございまして、都道府県議会議員の選挙については義務的なポスター掲示場というのはございません。御承知のように条例で任意にこれを設けるということができることになっておるわけでございます。したがいましていま御指摘のような社会の事情だから、なかなかポスターの張り場所もないといったようなこともいろいろ聞くわけでございますけれども、それと同時に、議員の場合は千二百枚というものがポスターとして許容されております。そういったことがございますので、都道府県議会議員の選挙区の中で、それだけのものを全部張るようなポスター掲示場というものは、これはなかなか容易ではない。したがいまして結局ある程度できる範囲内でのポスター掲示場に張るとなれば、いままでできた枚数をぐっと減らさなければならぬ、そういったような問題もからんであるわけでございますので、一体そういった枚数制限のほうがいいのか、あるいはポスター掲示場のほうがいいのか、またその場合でも都道府県議会議員だけそれでは義務制にするのかということになりますと、都道府県会議員だけそういった義務制を入れるとかいったようなことになりましても非常にむずかしい問題が出てくるかと思うわけでございます。
それで、任意制の場合どの程度やっておるかということになりますと、各県やっておるところもあるわけでございますけれども、非常に数が少ない。それを今後どういうふうに扱っていくかということで、私ども一つの課題としては検討しておるところでございます。町の美観とかいったようなこともございます。しかし一方ではまたこの数を非常に多くしますと、ポスター掲示場自体が設けにくいというような実情もあるわけでございます。それらを彼此勘案をいたしまして、どういったことにするのが一番いいのかということはさらに議論を進めてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/76
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077・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 公選法百四十四条の四によれば「任意制ポスター掲示場」こういうようになっておるわけです。だから条例の定めるところによってポスターの掲示場を設けることができる、こういうようにうたわれておるわけですから、市町村あるいは県が条例で定めてやればできる道は開かれておるわけであります。ところがやらない理由は何であろうか、こういうことになるわけであります。県会が千二百枚だか千五百枚、市町村会はたしか五百枚、こういうようなぐあいにポスターの数はきめてあって、掲示場は条例で任意にきめろ、法律は大体そういうようになっておると思います。ところがそれを両方とも改正をして、条例で定めなければならない、こういうようにすれば、小さい市町村は小さい市町村なりに掲示場の数をみずからきめるであろう。県会選挙は県会選挙で、この市、この郡は掲示場はどうしたらいいだろうかということを、国会の選挙やその他を通じてよくなれていますから、これは選管が適宜きめることができる、こういうように考えます。
ところがそれをやらない理由は何かというと、またおそらく金の問題であろうと思います。そういうものをやった場合に、地方交付税の特交なら特交、そういうようなものの算定の基礎に入れるぞ、こういうようにきめさえすれば、財政的な裏づけがあるならばできるのではないか、私はこういうように考えるわけです。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/77
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078・土屋佳照
○土屋政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、財政的な問題だけではなくて、数を多くするということでなければどうも意味がないというようなこと等もございまして、その掲示場自体を設けることが非常に困難だという点もやはり障害になっておるのだろうと思いますが、いま御指摘のように掲示場というものはかなりの金がかかりますので、その点の財政的な問題というものもあるいは市町村あたりでは頭にあるであろうと思います。ただ、いまそれを財政的な措置をこうするからということがいえないかということでございますが、私の立場から直ちにそういった財政制度をとるとかどうとかいうことはちょっと申し上げかねますので、いろいろと先ほどからのお話の件は検討いたしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/78
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079・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 大臣、これは法律に両方書いてあるからいけないのです。百四十四条のほうにはポスターの数を五百枚とか千二百枚とか書いてある、それをやめてしまう。それから百四十四条の四のほうへいけば掲示場は任意に設けることができる、こうありますから、任意に五十カ所設けたけれども、ポスターのほうは五百枚張ってよろしい、こうなっているものだから、どの候補者だって四百五十枚掲示場のほかにどんどん張りたい、こういう問題が出てくるわけなんです。ところが大臣、きわめて簡単なことです。百四十四条のほうにポスターの数というものは掲示場のところだけだ、こうきめればいい。それから百四十四条の四のほうは掲示場を設けなければならない、そうして財政的な裏づけは大臣がオーケーといえば、これは特交なり何なりでくれればすぐだ、こういうようにきわめて簡単なことになるわけであります。どうです大臣、これはぜひ実現をしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/79
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080・町村金五
○町村国務大臣 たいへん有力な御提案だと思うのですが、実はこの間、一体選挙の金がどれくらいかかるのかというようなことをちょっと聞いてみますと、この公設の掲示場だけに実はばく大な金がかかっているわけであります。しかも選挙をやるたびごとにそれは全部やりかえておるというようなことでございまして、あるいは一つの考え方としては、やはりビラの数と掲示場の数が同じでなければおかしいというのはまさに御指摘のとおりだと私は思うのであります。しかも、これは私のいまの思いつきみたいなことでまことに恐縮でありますけれども、選挙というものは近ごろはしょっちゅう行なわれておる。しかもだんだんといまのようなビラを雑然と張られるということは決して好ましいことでないという意見等もございますので、あるいは掲示場以外にはビラは全部張らせないということにして、しかもその掲示場の数等については、町村長の選挙からもう全部、衆参の選挙に至るまで同じ数にしてしまうということになれば、やや恒久的な掲示場というようなものを各町村でつくっておくというようなことなども一つの検討課題ではないかな、いまお話を伺いながらちょっとそんなことも感じたわけでございます。
いまおっしゃったように、ビラの数と掲示場の数が違うというのは確かにこれは……。(小沢(貞)委員「ポスターの数」と呼ぶ)ポスターの数とが違うというのは、これは一見おかしな問題だという感じが一面いたします。これはもちろん、掲示場だけに限るということになりますとたいへん数が制約をされてしまうというので、いまのようなポスターの数と掲示場の数が非常に違っているということが起きておるのだろうと思いますが、しかし有力な御提案でございますので、ぜひひとつ検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/80
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081・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 検討をしていただくということなので進めていきたいと思いますが、いなかの小さい町村に行けば、部落が十ばかりあるとします、十カ所に掲示場があればそれでいいわけです。それなら十枚のポスターでいいわけです。それをその小さな村へいって五百枚のポスターを使える、こういうものだから、村会議員の候補者なんか二十名も三十名も出る者が五百枚使える、こういうことになるものだからたいへんなことになってしまうわけです。だからそういう小さいところの美観の問題、経費の問題、いろいろあります。そうしてまた法律改正はきわめて簡単なことであります。ぜひせっかく検討をしていただいて、来年の地方選挙には間に合うようなぐあいに早急に検討していただくことをひとつ強く要望しておきたいと思います。
次は、私は歴史がよくわからないでいけませんが、いまも林委員から定数是正の問題が出されました。それで、衆議院の定数は別表第一によって三名ないし五名になっているわけです。三名、五名の中選挙区のこれは、一体どういう根拠があってこうなったものだろうか。私は党の門司大先輩に聞いたが、いや、これは理屈は何にもないんだよ、ただそういうことから始まっただけのことだよ、こういうわけですが、三名ないし五名でなければならないという歴史は、一体どういうことから出たでしょうか。唐突な質問でちょっとお答えが困難かと思いますが、部長なり大臣なり、知っていらっしゃる範囲でいいですから、お答えをいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/81
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082・土屋佳照
○土屋政府委員 御承知のとおり、戦後も大選挙区制限連記といったような制度があったりいたしましたので、中選挙区制はそのあとできてきたわけでございますが、もちろんこの公職選挙法の中には、各選挙区の数は何人から何人にするといったような条文はございません。しかし、その選挙区ごとの定数というものは別表に掲げられております。別表それ自体も法律の一部であるわけでございます。
そこで、当時総定数をきめます際の各選挙区の配分というものはいろいろ歴史があって、大体何人程度を標準として配分をするといったようなきめ方がされてきたわけでございますけれども、その際に一応、三名よりも少ないというのではこれは困るし、中選挙区制という以上は三人というのが下限であろう、それから、上のほうでも五人というものが、従来からの中選挙区制時代の一つの制度でもございましたので、そういう形での日本式の中選挙区制というものが定着をしてきたというような形でございます。したがいまして、長い間そういうことで歴史的な事実としてそれが定着をしてきておるということ自体、そしてまた、それが法律の一部であります別表でそのとおりになってきておるということが、一つの現在の考え方になっておる。したがって、日本式の場合は、三人、五人というものが一つの制度であるという考え方に定着しておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、昭和三十九年でございましたか、十九名の総定数の増加をいたします際も、いろいろと国会でも御審議を願ったわけでございますけれども、やはりその際も、三人、五人というかっこうにやるのが本筋であるということで、国会でもそういう修正をいただいて現在に至っておるということでございます。本文のほうにはございませんが、そういいった事実としても定着をしておるんだというふうに私どもは解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/82
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083・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 定数是正の問題、私は国民の声だと思います。
これは実は私が一つ案をつくったわけです。委員長のお許しを得て、検討の材料にし、自治省なり委員からあれしていただきたいと思いますが、私は、その定数是正を困難にしている一番大きな理由は、六名区になったときに選挙区を割らなければならない、これが定数是正の大きなブレーキになっているのではないか、こういうふうに考えます。だから、天の声、国民の声である定数是正を容易ならしむるためには、何も五名でなければならない、こういうことはどこにも何にもないわけであります。中選挙区制がちょっと規模が大きくなった程度で六名区というものをつくることさえやるならば、私は、定数是正というものはきわめて簡単ではないか、こういうように考えるわけであります。
この間の選挙においても、群馬県のある選挙区は三万円何がしで当選、東京第七区は十四万何千で落選、これはもう有権者同盟その他の方から、こういうものを是正をしなければならない。訴訟をやっても必ずしもこれは国が負けてはいませんけれども、これはいまのままで捨てておいてよいということにはならないのではないか、こういうように考えます。
新聞で伝えられるところによれば、自民党の中においても、都市議員か何かが、定数是正をやれ、こういう声が上がって、新聞で拝見をしているわけであります。その場合に私がそんたくするならばおそらく、この五名から六名になったときに選挙区を割らなければならない、この問題がネックになってできないでおる、こういうことになろうかと思います。
私がここに考えたのは、もう土屋私案で、第五次だか第六次の選挙制度審議会の途中で、二十七万七千人以上の選挙区においては、議員一人当たり人口が二十七万七千以下となるように議員定数を是正する、これは三十七名であります。この土屋私案による選挙区も、そこにあるような二十選挙区を具体的にあげて定数をふやせと、こうなっておるわけであります。
ところが、六名区は半分に割れ、こういうことがあるものだからネックになっちゃっているわけです。それを、六名区をつくるということになるならば、これは上から大阪三区は四名が八名になるんだから、これは四名、四名でまことにだれも異議は申すまい。千葉の一区は四名が八名になるのだから、これもまた異議は申すまい。こういうようにやってくるならば、七名区の人が一番つらいわけですが、これは片方三名で片方四名になるからがまんしてもらうということになると、ここに六名区が五カ所、このものは救われるということになれば、これは私は非常に具体的な現実的な意味を持ってくるんではないか、こう思います。だからもうたって六名区はだめだという積極的な理由があったならば私はお聞かせいただけばいいのですが、どうでしょうか、こういう問題について大臣。
それから大臣、これは先ほど林委員から質問があったように、参議院と一体になってやらなければならない、こう思います。参議院の定数是正というのはいままでたびたび言われてきたわけであります。ところが、第七次選挙制度審議会の、あれは答申ではなかったので報告の中にあるのは、こういうことをやっているから私はいかぬのじゃないか、こう思います。
たとえば参議院を定数四人ふやす場合に、現在改選の三名と定数増の四名全部を一緒にして七人で選挙をやる、こういうことをやっているから激変があるわけであります。それを避けるためには、定数が四名ふえる場合に、今回の選挙において半分の二名を増員し、次回の選挙において二名を増員する、こういうように二回の選挙にわたって定数をふやしていけば、これは私は可能性がある問題ではないか、こういうように考えるわけです。この私の提案のみそは、六名区をつくれということと、参議院の増員されるものを、四名ふやす場合に、一気に四名全部ふやしちゃっていまのものと一緒に選挙をやって、最下位の二人だけが三年議員だ、こういうことを第七次選挙制度審議会の答申の中では考えておったようですが、それを避けて、二回の選挙にわたって、四名ふやすなら今回二名、その次に二名、こういうようにやっていくならば、激変を緩和することができて、たいへん可能性があるのではないか、こういうように考えます。この別表第二のほうは、第七次選挙制度審議会の答申以降に極端に変わっているところを一、二加えただけでありまして、こういう提案のポイントはそこであります。二回にわたってふやしていったらどうか、こういうことであります。唐突な提案でありますので、これは大臣から御感想をいただいて、また、委員や自治省も十分検討していただきたい、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/83
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084・町村金五
○町村国務大臣 私、ただいま小沢委員からの御提案、いま実は初めて伺ったところでございます。
まず第一点の、衆議院における定数のいま三名ないし五名というものをさらに一名ふやして、六名を限度にするというお考えのようであります。確かにいまこういった問題を割る場合に実はたいへんいろいろ問題が起きて、そのためになかなかこういった問題が進捗しないという一面のあることは、まさに私も御指摘のとおりであろう、こう思うのでございますが、ただ、いままで三名ないし五名という中選挙区制というものをとってきておるわけでございまして、そういった点を考えてみますと、六名にふやすという問題には、これはやはり私はかなりな問題があるのではないか。実は一番スムーズに行くやり方であるということについては、私も全く同様に考えるのでございますけれども、一面、だんだんと大選挙区制に近づいていくような傾向になるということも考えられますので、この点は今後の重要な課題としてひとつ検討をいたすべき事柄であろう、こう存じます。
次に、参議院の定数増を二回に分けて、あまり激変を生じないようなやり方でやったらどうか、これも私確かに有力な御提案ではないか、こう思うのでございます。これもひとつ今後の検討課題にぜひさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/84
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085・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 時間ですのでこの程度で終わりたいと思いますが、実はきょう唐突に、正式の理事会の前に、こういうものはどうだろう、定数是正はどうしてもやりたいみたいな話があったときに、懇談の中で、いや六名区をつくったってちっとも差しつかえないじゃないか、各党みんな意見が偶然一致したものだから、かねて思っているようなのをきょうここで提案をしたわけであります。また委員長は定数是正の推進の何か会長か委員長をやっておられるようであります。せっかくひとつ自治省も当委員会も御検討いただくように希望を申し上げて質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/85
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086・福永健司
○福永委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/86
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087・福永健司
○福永委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/87
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088・福永健司
○福永委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————
次に、本法律案に対し、小山省二君外四名から自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者から趣旨の説明を求めます。小山省二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/88
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089・小山省二
○小山(省)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読し、説明にかえさせていただきます。
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、国会議員の選挙等の執行経費につき、地方自治体に超過負担をかけることのないよう、その現状について調査し、必要な措置をとること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/89
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090・福永健司
○福永委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/90
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091・福永健司
○福永委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。町村自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/91
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092・町村金五
○町村国務大臣 ただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、御趣旨を体しましてその実現に努力をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/92
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093・福永健司
○福永委員長 おはかりいたします。
本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/93
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094・福永健司
○福永委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/94
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095・福永健司
○福永委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204219X00319740327/95
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