1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月十一日(木曜日)
午後零時十八分開議
出席委員
委員長 野原 正勝君
理事 大野 明君 理事 斉藤滋与史君
理事 葉梨 信行君 理事 山口 敏夫君
理事 山下 徳夫君 理事 枝村 要作君
理事 川俣健二郎君 理事 石母田 達君
大橋 武夫君 加藤 紘一君
片岡 清一君 塩谷 一夫君
住 栄作君 田川 誠一君
田中 覚君 竹中 修一君
戸井田三郎君 中村 弘海君
羽生田 進君 橋本龍太郎君
宮崎 茂一君 粟山 ひで君
金子 みつ君 島本 虎三君
田口 一男君 田邊 誠君
村山 富市君 森井 忠良君
八木 一男君 山本 政弘君
田中美智子君 大橋 敏雄君
小宮 武喜君 和田 耕作君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
労 働 大 臣 長谷川 峻君
出席政府委員
厚生大臣官房審
議官 三浦 英夫君
厚生省社会局長 高木 玄君
厚生省児童家庭
局長 翁 久次郎君
厚生省年金局長 横田 陽吉君
社会保険庁年金
保険部長 出原 孝夫君
委員外の出席者
社会労働委員会
調査室長 濱中雄太郎君
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委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
加藤 紘一君 赤城 宗徳君
瓦 力君 大石 千八君
同日
辞任 補欠選任
赤城 宗徳君 加藤 紘一君
大石 千八君 瓦 力君
同月十日
辞任 補欠選任
加藤 紘一君 前田治一郎君
粕谷 茂君 本名 武君
瓦 力君 床次 徳二君
小林 正巳君 越智 通雄君
住 栄作君 藤尾 正行君
高橋 千寿君 赤城 宗徳君
同日
辞任 補欠選任
赤城 宗徳君 高橋 千寿君
越智 通雄君 小林 正巳君
床次 徳二君 瓦 力君
藤尾 正行君 住 栄作君
本名 武君 粕谷 茂君
前田治一郎君 加藤 紘一君
同月十一日
辞任 補欠選任
伊東 正義君 中村 弘海君
粕谷 茂君 竹中 修一君
瓦 力君 片岡 清一君
小林 正巳君 塩谷 一夫君
高橋 千寿君 宮崎 茂一君
大原 亨君 八木 一男君
同日
辞任 補欠選任
片岡 清一君 瓦 力君
塩谷 一夫君 小林 正巳君
竹中 修一君 粕谷 茂君
中村 弘海君 伊東 正義君
宮崎 茂一君 高橋 千寿君
八木 一男君 大原 亨君
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四月八日
療術の制度化に関する請願外二件(安倍晋太郎
君紹介)(第三九一六号)
同外二件(河上民雄君紹介)(第三九一七号)
同外一件(木村俊夫君紹介)(第三九一八号)
同(橋本龍太郎君紹介)(第三九一九号)
社会福祉施設労働者の労働条件改善等に関する
請願(瀬野栄次郎君紹介)(第三九二〇号)
戦時災害援譲法制定に関する請願(武藤嘉文君
紹介)(第三九二一号)
生活保護基準及び失業対策事業賃金の引上げに
関する請願(諫山博君紹介)(第三九二二号)
同(浦井洋君紹介)(第三九二三号)
同(梅田勝君紹介)(第三九二四号)
同外一件(川崎寛治君紹介)(第三九二五号)
同(瀬野栄次郎君紹介)(第三九二六号)
同(田代文久君紹介)(第三九二七号)
同(津川武一君紹介)(第三九二八号)
同(中川利三郎君紹介)(第三九二九号)
同(成田知巳君紹介)(第三九三〇号)
同(楢崎弥之助君紹介)(第三九三一号)
同外一件(松本忠助君紹介)(第三九三二号)
同(湯山勇君紹介)(第三九三三号)
全国全産業一律最低賃金制の確立に関する請願
(浦井洋君紹介)(第三九三四号)
原爆被爆者援護法制定に関する請願(新井彬之
君紹介)(第三九三五号)
同(瀬野栄次郎君紹介)(第三九三六号)
建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に
関する請願(新井彬之君紹介)(第三九三七
号)
失業対策事業就労者に年度末手当支給に関する
請願(諫山博君紹介)(第三九三八号)
同(浦井洋君紹介)(第三九三九号)
同(川崎寛治君紹介)(第三九四〇号)
同(瀬野栄次郎君紹介)(第三九四一号)
同(田代文久君紹介)(第三九四二号)
同(中川利三郎君紹介)(第三九四三号)
同(野間友一君紹介)(第三九四四号)
同(不破哲三君紹介)(第三九四五号)
同(山田芳治君紹介)(第三九四六号)
同(湯山勇君紹介)(第三九四七号)
国民生活を守るための福祉政策推進に関する請
願(中村茂君紹介)(第三九四八号)
同月十日
建設国民健康保険組合に対する国庫補助増額に
関する請願(大久保直彦君紹介)(第四一七四
号)
同外一件(坂口力君紹介)(第四二六九号)
同(松本忠助君紹介)(第四二七〇号)
同(村上弘君紹介)(第四二七一号)
生活保護基準及び失業対策事業賃金の引上げに
関する請願(諫山博君紹介)(第四一七五号)
同(枝村要作君紹介)(第四一七六号)
同(小濱新次君紹介)(第四一七七号)
同(庄司幸助君紹介)(第四一七八号)
同(楯兼次郎君紹介)(第四一七九号)
同(辻原弘市君紹介)(第四一八〇号)
同(寺前巖君紹介)(第四一八一号)
同(土橋一吉君紹介)(第四一八二号)
同(平田藤吉君紹介)(第四一八三号)
同(伏木和雄君紹介)(第四一八四号)
同(増本一彦君紹介)(第四一八五号)
同(島田琢郎君紹介)(第四二二八号)
同(諫山博君紹介)〈第四二七二号)
同(多田光雄君紹介)(第四二七三号)
原爆被爆者援護法制定に関する請願(小濱新次
君紹介)(第四一八六号)
同外一件(坂口力君紹介)(第四二六六号)
同(松本忠助君紹介)(第四二六七号)
国民生活を守るための福祉政策推進に関する請
願(大久保直彦君紹介)(第四一八七号)
同(坂口力君紹介)(第四二七四号)
農林水産業雇用者等の失業保険制度に関する請
願(津川武一君紹介)(第四一八八号)
療術の制度化に関する請願外二十件(河本敏夫
君紹介)(第四一八九号)
同(坂口力君紹介)(第四二六八号)
失業対策事業就労者に年度末手当支給に関する
請願(諫山博君紹介)(第四一九〇号)
同(小濱新次君紹介)(第四一九一号)
同(庄司幸助君紹介)(第四一九二号)
同(田代文久君紹介)(第四一九三号)
同(辻原弘市君紹介)(第四一九四号)
同(伏木和雄君紹介)(第四一九五号)
同(増本一彦君紹介)(第四一九六号)
同(島田琢郎君紹介)(第四二二九号)
同(高沢寅男君紹介)(第四二三〇号)
同(諫山博君紹介)(第四二五八号)
同(田代文久君紹介)(第四二五九号)
同(多田光雄君紹介)(第四二六〇号)
同(津川武一君紹介)(第四二六一号)
同(土橋一吉君紹介)(第四二六二号)
同(中路雅弘君紹介)(第四二六三号)
同(中島武敏君紹介)(第四二六四号)
全国全産業一律最低賃金制の確立に関する請願
(土橋一吉君紹介)(第四二六五号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子
爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
原子爆弾被爆者援護法案(大原亨君外十三名提
出、衆法第一四号)
国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第四七号)
児童手当法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第五四号)
賃金及び物価の変動に対応する公的年金給付等
の額の改定等に関する特別措置法案(田邊誠君
外五名提出、衆法第一九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/0
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001・大野明
○大野(明)委員長代理 これより会議を開きます。
委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び大原亨君外十三名提出の原子爆弾被爆者援護法案の両案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/1
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002・森井忠良
○森井委員 原爆の被爆者の皆さんが昭和三十一年以来要望し続けてこられました被爆者援護法の制定について、私ども社会党をはじめといたしまして、野党四党、このたびそろいまして、懸案の被爆者援護法を本委員会に提出をいたしました。政府はそれに対しまして、原爆の医療法並びに特別措置法の改正案をお出しになっていらっしゃるわけであります。私は、すでに少なくともここ数年間、被爆者の方々の総合的な援護措置を政府自身において考えられるべきである。また、齋藤厚生大臣あたりの昨年の社会労働委員会等の答弁を分析をしてみますと、やはりもう被爆者の問題は総合的に考えられる時期が来ているのではないか、こういうふうな趣旨の御答弁もいままでしておられるわけでありまして、言うなれば、今回おそらく援護法が政府の手によって提案をされるであろうと考えておりましたけれども、残念ながらいま申し上げましたように、いわゆる原爆二法の改正案にとどめられたようでありまして、私はきわめて遺憾であると思うわけであります。私ども野党、全野党が意見の一致を見まして、このたび援護法を提案したわけでありまして、政府の今回の改正案との基本的な違いは、私ども野党四党案は、いわゆる国家補償の精神に基づいてもろもろの援護措置を行なうという形でございますし、政府案はあくまでも社会保障的な域を脱しておらない、こういうふうに理解をするわけであります。
そこで、初めに齋藤厚生大臣にお伺いするわけでありますが、今回野党四党が統一をした援護法案を提案をいたしましたけれども、いま申し上げましたようなもろもろの今日までの推移から見まして、厚生大臣はどのようにお考えになっておられるか、まずこの点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/2
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003・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 野党四党が共同で提案されております原子爆弾被爆者援護法の内容については私も承知をいたしておるわけでございますが、この法律は、私が申し述べるまでもなく、国家補償的な立場に立っておるわけでございます。
そこで、私どもは、戦後のこうした被害を受けられた方々に対する援護の法律といたしましては、国家と何らかの身分関係のあった者に対しましては国家補償的な立場に立つ法律を制定をし、その援護の充実をはかってまいっておるわけでございますが、原爆被爆者に対しましては国と何らかの身分関係があったかということになりますと、一応ないわけでございます。そういうふうなことで、私どもは国と特別な身分関係はないにいたしましても、こうした特殊な被爆者でございますので、社会保障的な面で援護をするということが適当であろう、こういうふうに考えてきたわけでございます。しかもこの被爆者に対しましては、社会保障の体系の中において、一般国民とはまた多少違った被爆者というものを対象とした、やはり特殊な社会保障の立法であると思うのでございます。一般の国民の社会保障的な法律よりももうちょっと上の特殊な社会保障の体系において援護する、こういう考え方をとってきたわけでございます。
そこで、この問題につきましては、被爆者の方々からも野党四党の方々からも今日まで、国家補償的な法律をつくったらどうだという非常に強い要望のあったことは私も十分承知をいたしておるわけでございます。そこで、私としては、こういう考えを持って社労働委員会で昨年もお答えいたしましたが、国家補償的な性格と社会保障的な法体系と、その中間くらいのところで実は考える道はないだろうかということをいろいろ研究をしてまいりました。しかし、どうも国との特別の身分関係がないということからいたしまして、かりに中間的であっても、これを中間的な位置づけをするというのが非常に困難であるということを知ったわけでございます。そこで、国家補償と社会保障の中間的なものの位置づけができないとするならば、せめてそうした方向に近づけるような努力だけはしなければならぬだろう、私はこういう考えを持っておるものでございます。
そういうふうなことから、今回の法改正においても手帳の一本化といったふうなほかに、新たに特別手当、まあ金額からいえば、それは皆さん方、あるいは少ないとかなんとかおっしゃるかもしれません、すぐおっしゃるのですから、そういうときはいつも言われるのですから。ですけれど、新しい特別手当というものをつくったということは、私は評価していただけると思うのです、これはほんとう言うと。これは一つの、何と申しますか、特別手当の創設ということは一種の生活保障的な色彩——性格とはあえて言いません、色彩がある制度でございます。これは、私は森井さんも御理解いただけると思うのです。そういうふうなことを創設するという考え方で創設をして、そうしてやはりこの社会保障体系から国家補償体系に近づけるというか、多少なりとも生活を見てあげるというふうな方向に私は努力をいたしたつもりでございます。まあそのほかのいろいろな至当の増額とかいうことは別といたしまして、この特別手当の創設ということは、被爆者の援護に関する法律の中の体系としては画期的なものであるのではないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。したがいまして、私はいまのところ、皆さん方の御提案なさっておられる国家補償的な観点に立った被爆者援護法というものの制定には賛成いたしかねますけれども、特殊なこういう方々でございますから、こうした方々の生活の安定あるいは福祉の充実、そういう方面に今後とも努力をいたしまして、かりに立場は社会保障的な立場をとっておるにしても、徐々にそうした方向に近づけるような努力を今後とも続けていきたい、こう考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/3
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004・森井忠良
○森井委員 いま厚生大臣が申されました手帳の一本化であるとかあるいは認定疾病治癒者の特別手当の新設であるとか、評価をする点は確かにございます。これは評価をいたします。
〔大野(明)委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕
ただ基本的に、いま厚生大臣、かなり前に向いた答弁をしていただいたわけでありますが、要するに国家補償と社会保障の中間的なところにランクづける、こういうお気持ちでありますが、やはりそれは性格をいつまでもあいまいなものにするというおそれが私はあると思うんですね。国家補償か、あるいは社会保障かという問題については、大臣、先ほどちょっと言われましたけれども、国家と雇用関係、あるいは国家が強制をしたような問題等を対象に考えておられるのだろうと思うのでありますが、いま国家補償ということばが使ってある法律の一つに、戦傷病者戦没者遺族等援護法がございます。これは明らかに国家補償という立場でそれぞれの援護措置がとられておるわけでございますけれども、しかし、これは原爆の問題とうらはらの問題であると私は申し上げたいわけです。戦傷病者戦没者遺族等援護法は、軍人あるいは軍属——まあ今回の国会で軍属の範囲がかなり広がりました。警防団、医療従事者等も含められたわけでありますから、かなり広くなってきておると思うわけです。先般の社会労働委員会等で厚生省のほうで説明をされるのは、これは軍が強制をして、旧防空法によりまして、そうして防空業務に強制的に従事をさせた、これがまあ論拠だと思うわけであります。原爆の場合は、考えてみますと、もう蒸し返された、過去に何回も議論された問題でありますけれども、原爆の投下行為そのものは明らかに国際法違反である。これは政府もおそらく御認識になると思うわけであります。そういたしますとそういった加害者に対して国家として違法行為に対します、あるいは不法行為に対します賠償の請求権というものが当然あるわけでありますが、サンフランシスコ条約でこれを日本政府が放棄をした、この事実なんですね。ですから、国民の側からいけば、これは当然ああいうふうに一発の原爆によって——これは広島、長崎で二発でありますけれども、ともかくそういった不法行為によって殺され、あるいはまた、いまもってほとんどなおらないといわれる原爆症その他関連の疾病がずっと続いておる、遺族はさらにまた泣いておるこういう現状がいまあるわけです。
本来なら国家を通じて相手国家に対して損害賠償の請求をする権利がある、こういう関係だと思うわけでありまして、言うなれば、被爆者から見れば、被爆者の意思と関係なしに日本国政府が損害賠償請求権を放棄をした、こういう形なんですね。したがって、そういう立場からするならば、国家が被爆者に、ことばが悪うございますが、無断で請求権を放棄をしたわけでありますから、当然国家と被爆者との間の関係というのは依然として残るわけでありまして、むしろ国家は、言うなれば、俗っぽいことばでありますけれども、被爆者が債権者で国家が債務者という関係になると私は思うわけであります。したがって、そういう立場からするなら、やはり国家補償と社会保障の中間的だなんて言わないで、厚生大臣、先ほどあなたがおっしゃいましたように、だんだん進歩をしておることは事実でありますから、まだ私どもの援護法とはかなりかけ離れておりますけれども、あなたも順次国家補償のほうに近づけたい、そういうお気持ちもあるようでありますから、そういう立場からするなら、私はぜひひとつさらにさらに前向きに、できれば援護法をいつごろつる、こういうふうなところまで明言をしていただきたいと思うわけです。この点について再度大臣の御答弁をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/4
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005・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 森井委員の仰せになられること、私は十分理解もいたしておりますが、そうは申しましても、法体系ということがやはり法律をつくるときには非常に大事な考え方でございます。
いろいろとお述べになりましたけれども、国と戦争中何かしらの身分的な関係というものを前提とすべきであるといういまの大きな法体系の組み方でございますので、私は、いまにわかに国家補償的な立場に立った援護法をつくれ、こう言われましても、これににわかに賛成するということはできません。しかしこうした被爆者の方々の生活の実態、あるいは医療の実態というものを考えてみますれば、やはり年々その実情に合うように改善に改善を加えていく、この努力はすべきものである、これは当然なすべき国家的な責任である、私はこういうふうに考えておる次第でございます。お述べになりましたことは私も十分理解できます。しかしながら、いま直ちに——この法体系というのはなかなかめんどうなものでございまして、援護法なども、ほんとうを言うと純粋の国家と身分関係の非常にはっきりしたものから出発しているわけです。ところがそれがだんだんこれに類似するものも範囲の中に入れていこうというふうな努力をしておるわけでございまして、いまにわかに被爆者援護法という法律には賛成いたしかねますけれども、今後ともできるだけ前向きに援護の充実をはかっていく、こういうふうにいたしたい、かように考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/5
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006・森井忠良
○森井委員 どうも少し議論がかみ合わないようでありますが、この際お伺いをしておきたいのですが、三月三十日、福岡地裁民事一部の判決が出ましたね。これは原爆被爆者健康手帳交付却下処分取り消し請求訴訟なんですね。韓国のソンシントさんという人が国家を相手どって訴訟を起こされました。一口で申し上げますと、いま日本に住んでおります皆さんと同じように原爆手帳を交付してもらいたい、そして同じように医療を受けたい、こういう切実な願いなんです。これに対しまして井野裁判長は、この原爆の投下の問題については国家補償をすべきである、こういうような形で明確に判決が出されました。おそらくもう控訴する期限はあすに迫っておるんじゃないかと思うわけです。この中身はもう私から申し上げるまでもなく、当然厚生省も法務省と相談をされまして分析はしていらっしゃると思いますけれども、ソンシントさんが出しております訴訟の中身の根幹は、やはり国家補償の精神に基づきまして、たとえ自分が韓国人であっても、日本政府が補償してもらいたいという立場であります。それに対して福岡県知事の場合、御承知のとおり、これは機関委任事務でありますから、厚生大臣の事務を代行しておるわけでありますが、ここでは福岡県知事は、この人は適法な居住者ではない。あるいは日本社会の構成員でもない、こういうふうな形で、根幹を流れておるものは、先ほど来指摘をしております社会保障的な考え方に立っておられると私は思うわけです。
判決は、先ほど申し上げましたとおり、明確に被害者の立場を支持をいたしまして、とにかく原爆医療法の立法趣旨からしても国家補償的な処理をすべきであるという前提に立って、わが国の観光を目的として一時的に入国した外国人や不法入国者においても、その者が被爆者である限り、医療法は適用されると明快に言い切っておるわけであります。
いま冒頭に私と厚生大臣でやりとりをいたました国家補償か社会保障かという問題について、これは裁判の場で明確に判断が出たものであるというふうに私は評価をしたいと思うわけです。
私は広島でありますが、広島の被爆者の皆さんもとにかく非常にいいことである、特に孫さんのように、朝鮮人の皆さんはかつて日本の軍部によりまして、御案内のとおりこれは日本人であったわけです。そして強制的とも言えるような形で日本に連れてこられて、それぞれの労働に従事をさせられておったというふうな問題があるわけでありますから、広島での行為は当然だと思うわけです。ここでも明確に、いま申し上げましたように、国家補償の立場を貫くというのが判決の趣旨になっております。この点に対して厚生省は、もう期限も来ておるわけでありますが、一体どのように対処されるのか、福岡県知事に対してどういう指示をなさるのか明確にしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/6
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007・三浦英夫
○三浦政府委員 過般、三月三十日に韓国人の孫さんに対する福岡県知事との関係の裁判の件、内容につきましては、被告である福岡県知事の言い分が通らなくて、原告の言い分が通った形であるということはそのとおりでございます。ただ判決の趣旨を私ども読みました場合に、国家補償ということよりはむしろ原爆法の関係が——先生御承知のとおり、原爆法は生活保護とかいうような法律と違いまして、国籍を問わないということになっております。日本人であることを要しない。そういう観点から、判決のほうは、日本に居住をした者については原爆法の適用を受けられる者はすべて適用しなさい、こういう趣旨の判決と理解いたしまして、国家補償かどうかということについての争いは、あまりなかったのじゃないかと思っておる次第でございます。
それはそれといたしまして、機関委任事務を受けました福岡県知事の言い分といたしましては、適法というか、正当にわが国に入国されて、正当な居住関係がある方につきましては、もしも原爆の被爆者である場合には、当然本人の請求によって手帳を交付すべきであると思います。ただ御承知のとおり、この方はいわゆる不法入国でお入りになって、すでに懲役十カ月の判決も受けて、現在は御案内のとおり大村収容所に収容されているような方でございます。私どもの厚生省及び福岡県として続けてまいりました言い分は、やはり適法というか、正常な形でわが国に居住地関係を有する方につきまして、原爆法の必要な措置をとるべきだ、こういう観点からしてきたわけでございますが、私どもの国及びそれを通ずる福岡県知事の言い分が十分に通らなかった、これは事実でございます。控訴の期限は、先生御指摘のとおり、確かにあしたになっております。もちろん、当然福岡県知事が被告になっておりましたので、控訴すべきかどうかという当事者は福岡県知事になってまいりますけれども、私どもとしては、この判決につきましては、十分私どもが納得のいかぬ点がございますので、最終的にはもう一度、あすが期限でございますので福岡県知事とも相談をいたしますけれども、現在ちょっと納得をしかねるという状態の次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/7
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008・森井忠良
○森井委員 まず、判決の理解のしかたですけれども、あなたのほうは、不法入国者である、これを非常に強調されるわけですね。私、つぶさに読んでみましたけれども、言えますことは、孫さんの立場を十分理解をした。まず広島で八月六日に原爆にあったというふうなことから始まっておるわけでありますけれども、それに起因をして、日本でいうところの原爆症にかかったわけですね。そして、四苦八苦をしておるが、韓国では適当な医療機関がない、やむにやまれず密入国という手段になっておるわけです。何も、韓国に十分な医療施設等があって、日本と同じようにできるなら密入国はしてなかった。目的は、明確に密入国というのは原爆の治療を受けるためという形になっておるわけです。ですから、これは言うなれば広島の原爆に起因をした密入国なんですね。間違っていないと思うのです。そこで、むしろこれは正当防衛か緊急避難に該当するものだ。審議官、あなたでも、もし韓国におられて、原爆症がだんだんひどくなった、しかも治療するところもない、ほっておけば命がなくなるというときに、そう簡単に、それじゃ死ぬのを待つか、そうはいかない。やはりこれは何とかして日本に来たいという一念から、確かに法律的には不法という面はありますけれども、これはそう大きなウエートをかけて議論すべき問題じゃない。あくまでも広島の原爆を被爆をされたという事実を重視をするという、そういう判決になっておるわけであります。ですからあなたの基本的な判決に対する認識が私は違っておると思うのです。この点の見解をお伺いをしておきたい。
それから、やはり、先ほど私が申し上げましたように、原爆に被爆をしたというこの事実を非常に重視をし、しかも井野裁判長の評価は、原爆そのものは明らかに国際法に違法な行為である、そういう前提に立って理論を展開しておられることは間違いないと思うのです。この点について、再度明確にお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/8
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009・三浦英夫
○三浦政府委員 先生におことばを返すようになって恐縮でございますが、まず第一点の、不法入国をされた動機につきましては、裁判その他では争いが行なわれておりません。韓国のほうでも正当に出国を認めたものでもなくて、いわば、私どもとしては、動機とは別にいたしまして、わが国における居住関係がない、こういう理解に立っておったわけでございます。
ただ、御指摘の緊急避難の問題につきましては、実は孫さんはこちらにおいでになって結核におかかりになっております。そういう関係で、結核予防法はやはり国籍を問わないということで、結核予防法の適用をいたしまして、福岡東病院に、結核におなりになったときに刑務所から一ぺん仮に出ていただいて、わが国の結核予防法によって治療をやったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/9
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010・森井忠良
○森井委員 時間の関係もありますし、この法案の審議が早まったものですから、外務省を呼んでおりませんので、あなたを相手にはちょっと議論のしにくい点はありますけれども、ただ、いずれにしても、これは朝鮮の人に限らず、あの広島の原爆にあわれた人は、すべての外国人に、かりに医療その他の援護措置を求めてくればこれは適用すべきであるというふうに私はあの判決を理解をすべきだと思うのです。そういたしますと、これを控訴しましてさらに争うというのは、私は被爆者の気持ちを逆なでするようなものである。もう御承知のとおり、韓国には、政府が措置をしてくれないものでありますから、民間の皆さんで医師団を派遣したりして、韓国在住の被爆者の皆さんの治療に当たったりしておるじゃありませんか。そういう時期に、ちょっとはっきりしなかったのでありますけれども、そうすると厚生省としては、もちろん法務省との関係もありますけれども、不満であるから控訴したい、こういうお気持ちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/10
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011・三浦英夫
○三浦政府委員 先ほど申し上げましたとおり、最終的には被告は福岡県知事になりますので、福岡県知事とも相談をしなければなりませんし、さらに、訴訟の事務は法務省が所管になっておりますから、法務省との最終的な打ち合わせをきょう、あしたのうちにしなければならぬわけでございますが、私どもとしてはこの判決には納得がいたしかねる、こういう現在心境におる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/11
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012・森井忠良
○森井委員 福岡県知事は、確かに形の上ではこの訴訟の当事者になっているわけでありますが、これは機関委任事務なんで、法務省もありますけれども、私はもう厚生省の腹次第だと思うのですよ。気持ちをはっきり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/12
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013・三浦英夫
○三浦政府委員 一日まだありますから、ただ、さっき申し上げましたとおり、私どもとしてはこの判決には納得をしかねる点がありますので、福岡県知事ともそういう線で相談したいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/13
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014・森井忠良
○森井委員 そうすると、先ほど申し上げましたとおり、いまのことばの、日本語を解釈をすれば、もう控訴せざるを得ないというふうに受け取るわけでありますが、私はきわめて理不尽だと思う。まだもう一日あるので考える余地があるというのなら、私はこの際ほんとうに、先ほど申し上げましたように、少なくとも孫さんの場合に限って申し上げますと、その当時日本人だったんですよ。少なくとも八月六日の時点では日本人だった。たまたまいろいろな事情で韓国に住むようになった、こういうことでしょう。あえてそれを争ってまで、先ほどすべての外国人にと私申し上げましたけれども、そこまでは波及をさせないにしても、日本の軍国主義によって朝鮮がああいうふうに統一をされて、そして朝鮮人民の皆さんが日本へ連れてこられて強制労働に近いようなことをさせられたことは、私はまだ記憶に新しいと思うのですよ。そういう人たちに対して原爆手帳を交付する、あるいは必要な援護措置をするということぐらいは、日本政府として当然じゃないですか。私は控訴しないで判決に従ってほしいということを強く要求をしておきたいと思うのです。
それから、次に、今回の原爆二法の改正、先ほど大臣の御答弁の中にありましたように、手帳の一本化あるいは諸手当の金額の増額、あるいは特に認定治癒者の特別手当の新設、確かに私は前向きな点について評価をしておるわけでありますが、このもろもろの給付の引き上げについて、厚生省としては何を基準にしてもろもろの給付をお出しになったのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/14
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015・三浦英夫
○三浦政府委員 この諸手当の中で、やはり一番裨益を受けているのは、いわゆる手当を受けておる数の多いのは健康管理手当でございます。御承知のとおり約七万人の方が受けておられますが、やはり健康管理手当というものをどうすべきかということをまず一番課題に考えたわけでございます。福祉年金が五千円から七千五百円に引き上がる、こういう去年からの国会のお約束になっておりまして、私どもも健康管理手当が同じ五千円でございまして、福祉年金というのを一つの目標にいたしまして、五千円を七千五百円に引き上げたというのがまず健康管理手当でございます。
それから認定患者さんに出ます特別手当でございます。これが四十八年度は一万、千円であったわけでございますが、これを一万五千円に引き上げております。健康管理手当というものを七千五百円ということを着目をいたしまして、なかなか従来のルール的な計算が非常に困難でございますが、認定患者さんの要する健康の管理の費用とかあるいは治療に要するいろいろな費用等を考えますと、健康管理手当の倍程度は必要ではないかと思いまして、健康管理手当の七千五百円を倍の一万五千円にしたような次第でございます。ただ一万一千円から一万五千円とごらんになりますと、健康管理手当のほうが五割増しで、特別手当のほうは約三割五分かそこらの引き上げにしかなりませんので、バランスがとれないのではないかという御議論もあるかもしれませんが、昨年も健康管理手当と特別手当をそれぞれ引き上げましたときに、健康管理手当が四千円から五千円の引き上げでございます。それから特別手当のほうが一万円から一万一千円の引き上げでございまして、むしろ昨年は同額の引き上げで国会の御審議をいただいて御可決をいただいたわけでございますから、それから見ますと、特別手当は四千円の引き上げになっておりますので、昨年の均衡からいきますと、より特別手当の額を引き上げられたのではないかと思っておる次第でございます。
それから、大臣最初に申しました、これは昨年大臣が国会でお約束をなさったいわゆる第三の道という特別手当でございますが、病気それから治癒しても、その方が生存する限り、認定患者さんにつきましては手当を差し上げるという意味の特別手当、これは七千五百円にしております。これは健康管理手当とのバランスで七千五百円にさせてもらったような次第でございます。
なお、そのほか医療手当等もございますが、医療手当が七千五百円から九千五百円に上がるものの、五千円から七千円に引き上がるものとの二種類がございますが、これは健康管理手当が五千円から七千五百円に二千五百円の上積みになっておりますので、それと同じくいたしまして七千円を九千五百円、五千円を七千五百円にさせてもらったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/15
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016・森井忠良
○森井委員 審議官、あなたはよく覚えていらっしゃいますよ。局長おられないからたいへんだと思うのですが、私が聞いたのは何を基準に金額を上げたのかということ、まず基本的なことを聞きたかったわけですね。聞かないことを話していただきまして、額の少ないという点でかなり問題があるわけでありますけれども、もう本会議が始まるようでありますから、私の質問はきょうはこれで留保いたしまして、次回に譲らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/16
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017・斉藤滋与史
○斉藤(滋)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
午後零時五十四分休憩
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午後三時十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/17
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018・野原正勝
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
国民年金法等の一部を改正する法律案、児童手当法等の一部を改正する法律案、賃金及び物価の変動に対応する公的年金給付等の額の改定等に関する特別措置法案、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、大原亨君外十三名提出の原子爆弾被爆者援護法案の各案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/18
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019・金子みつ
○金子(み)委員 私は、児童手当法等児童に関する三つの手当制度のことについて、時間がたいへんに短うございますので、具体的な質問は先に保留させていただくことといたしまして、一応基本的な問題につきまして二、三質問させていただきたいと考えております。
世界的に貧しい日本の社会保障の中でも、最も立ちおくれがはなはだしかったのがこの児童手当ではございませんでしょうか。やっと一昨年、四十七年の一月から実施されたこの児童手当に関しましては、その他の社会保障関係の給付の改善が着々と進められておりますのにもかかわりませず、何らあまり改善もされないで、放置されてきたような感じがいたします。児童手当は日本の将来への投資であるというような考え方は見られなくて、あるいはまた、社会保障としての意義もあまり感じられませんが、どう言ったらよろしいでしょうか、何か救貧的対策として取り扱われてきているような感じがいたしますけれども、その辺のお考えはいかがでございましょうか、大臣お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/19
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020・翁久次郎
○翁政府委員 御質問の児童手当でございますが、御指摘のとおり、この制度が発足いたしましたのは四十七年の一月からでございます。また、わが国の多くの社会保障制度の中で、児童手当につきましては一歩おくれてその発足を見たことも事実でございます。またこの両三年の間、児童手当の内容といたしまして、御承知のとおり、まず年齢満五歳までの児童、それからその翌年は満十歳までの児童、それから今年は義務教育終了前までという段階的実施をまず行ないました。わが国にとにもかくにも児童手当という制度を発足させるということに、四十七年一月以来の児童手当の主たるねらいがあったわけでございます。
御承知のとおり四十九年度におきまして、この児童手当制度のいわゆる段階的実施が一応完了を見ることになっておりますので、五十年度におきましては新たな角度におきまして、ただいま御指摘の点を含めて再検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/20
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021・金子みつ
○金子(み)委員 児童手当は、いま御説明もありましたけれども、特別な理由を付するのではなくて、ただすべての子供に、あらゆる子供に与えられるという手当制度であるべきでございます。もちろん、いま御説明ありましたように、日本の場合は段階的に、そして年齢を限ってというふうな進め方をされてきたわけでございますけれども、四十九年度からは最後の段階に入ったわけだと理解いたしております。
ところで、この児童手当というのは、児童憲章に基づいて日本のすべての子供が守られるというたてまえからつくられているものだと考えられますので、この児童手当はそのほかの、たとえば児童扶養手当でございますとか、あるいは特別児童扶養手当でございますとかというような、別の他の対象——同じ目的と思いますけれども、対象の異なった子供たちに対して用意されております手当制度と比べますと、児童手当そのものは、私はこの三つの子供に関する手当の中でも基盤になるものだ、ベースになるものだというふうに解釈するわけでございます。したがいまして、ベースになる児童手当とその他のあとの二つの手当とは併給されることが可能だと思うわけでございます。ベースのほかに母子家庭の場合、児童扶養手当あるいは重度心身障害児を持たれる場合には特別児童扶養手当、ですから、児童手当を基盤にして併給制度というものが考えられてしかるべきだと考えますけれども、これはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/21
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022・翁久次郎
○翁政府委員 お示しのとおり、児童手当制度並びに児童扶養手当制度、特別児童扶養手当制度、それぞれ目的を異にし趣旨を異にしております。したがいまして、それぞれ要件が該当いたしますならば併給するというたてまえになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/22
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023・金子みつ
○金子(み)委員 わかりました。そういたしますと、ここに一つ、併給する場合にそろわない部分がございます。それは年齢だと思うのですけれども、児童手当の場合は義務教育終了前でございますか、中卒でございますね、十五歳までとなっています。それから他の二つの手当の場合は児童という解釈の中で取り扱われておりますから、二十歳ということになっておりますね。この年齢の相違、この点はどのようにお考えでございますか。これはやはりバランスをそろえておかなければ困るんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/23
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024・翁久次郎
○翁政府委員 児童手当制度におきましては、第一子が十八歳でございまして三子が十五歳までの児童を扶養している場合に児童手当が支給されることになっております。児童扶養手当におきましては、十八歳までの児童を持っておられる母子家庭のお母さんに対して、児童扶養手当として支給されるわけでございますが、ただし障害を持ったお子さんの場合には、特例として二十歳までということになっておるわけでございます。それからまた特別児童扶養手当につきましては、これは御承知のとおり重度の障害ということに着目いたしまして、重度の障害児を持っておられる御家庭に対する特別扶養手当ということで、二十歳まで支給する、こういうことになっておるわけでございます。障害福祉年金が二十歳以上の方に支給されるという関連もございまして、そういったことでそれぞれ制度の目的に応じて年齢がそれぞれきめられておる。ただし、原則としてはすべて児童という十八歳を基準としている、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/24
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025・金子みつ
○金子(み)委員 児童手当に関する手当額でございますね。今回新しい予算が成立いたしますと三千円が四千円になるわけでございます。千円だけ増加したということが事実になるのだと思うのですけれども、増加するということはけっこうなことだと思うのですけれども、この千円というのは何が根拠で千円ふえるんでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/25
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026・翁久次郎
○翁政府委員 これは私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように手当制度そのものが現在段階実施の途中でございますので、根本的な見直しというのは段階実施の終わった時期というふうに考えておったのでございますが、御承知のように最近の物価情勢あるいは家計支出、こういう状況からいたしまして、この制度発足当時の三千円ではやはり問題があろうということで千円プラスということにしたわけでございまして、その根拠として考えておりますのは、消費者物価指数あるいは過去における家計支出の伸びというものを参考にいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/26
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027・金子みつ
○金子(み)委員 千円がいいとか悪いとかいうことを議論いたしておりますとこれはなかなかきりがないと思いますので、きょうは時間もございませんから、これは保留することにいたしますけれども、昨今の経済社会情勢を根拠に考えたということになりますと、ただの千円が追加されただけで、どれだけのことがカバーできるかというのは非常にふしぎだと思います。ですから、この点は依然疑問として私は残っておりますけれども、本日はこの問題はこのまま保留させていただきます。
次に、先ほど三つの子供に関する制度の併給のことをお尋ねいたしましたけれども、同じような関連で、子供に与えられる手当と、それから母子、いわゆる公的年金の中の母子年金あるいは準母子年金がございます。それからまた福祉年金の中の母子福祉年金というのもございますね。こういった非常に関連のある幾つかの違った制度があるわけでございますけれども、これからは先ほどの児童手当を基本に考えるという立場から申しましたならば、公的年金と併給するということが考えられてしかるべきだと思いますが、それはどのような状態になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/27
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028・翁久次郎
○翁政府委員 児童扶養手当の立場で申し上げますと、御承知のとおり児童扶養手当の支給を受けるおかあさんは、いわゆる主として生別、生き別れの離婚された方が大半であります。こういう方々はそのほとんどが公的年金の支給を受けておられないのが実情でございます。ただそういった方々でも、老齢になられたりあるいは障害を持っておられて、そのために老齢福祉年金あるいは障害福祉年金の支給対象となっておられる方々につきましては、この児童扶養手当と併給をする、こういうようにいたしておるわけでございます。
特別児童扶養手当につきましては、原則としてこれは、いわゆる重度の障害児を扶養しておられる家庭に対する介護料という意味でございますので、公的年金とは併給をするというたてまえをとっております。したがいまして、二つの制度とも、考えられる公的年金については併給が受けられる、こういうような仕組みになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/28
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029・金子みつ
○金子(み)委員 ちょっと私がうっかりしていたかもしれませんが、母子年金及び準母子年金でございますね、これは公的年金でございますね、これと特別児童扶養手当とは併給されるということはございます。だけれども扶養手当のほうは併給されておりませんね、その理由がわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/29
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030・翁久次郎
○翁政府委員 確かに御指摘のとおり、母子福祉年金と児童扶養手当とのからみでございますが、大体、考えられるケースといたしましては、児童扶養手当は生き別れの母子家庭、母子福祉年金の場合には、いわゆる死亡された死に別れの母子家庭ということで、ほとんどの場合が、対象が、ケースが分かれているわけでございます。ただ、きわめてまれなケースとして、いわゆる生き別れの母子家庭であって、なおかつ母子福祉年金を受けられる方が全くないとは申し切れません。これはほとんど例外中の例外でございますので、制度としては併給をしておらない、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/30
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031・金子みつ
○金子(み)委員 生き別れであろうと死に別れであろうと、要するに片親しかないわけですね。そして、子供との生活ということで、それは生活の実態としては同じだと思うわけです。それをなぜ区別なさるかというのが非常に理解に苦しむわけです。大体この公的年金のほうは子供を育てるための年金ではなくて、生き別れ、あるいは死に別れをした片側の親のための生活扶助だと考えます。ですから、子供を育てるための費用というのは別の手当でもって、これはやはり併給されるべきではないでしょうか。ですからそういうことを考えましたら、やはり当然いずれの場合も併給されてしかるべきだと思いますけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/31
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032・翁久次郎
○翁政府委員 児童扶養手当は制度といたしまして、いま御指摘のございましたように、子供をかかえた、いわゆる母子家庭の所得を補うというのが制度の趣旨でございます。母子福祉年金にいたしましても、いわゆる未亡人の家庭の稼得能力の失われたことに対する補助といいますか、保障といいますか、そういう性質を持っているわけでございます。先ほども申し上げましたように、母子家庭の態様によりまして、あるいは未亡人になられ、あるいは生別母子になられるという、何らかの原因によってそういう状態になったことに対して、母子福祉年金あるいは児童扶養手当が支給されるということでございますので、制度としてはそれぞれ意味を持って両立している、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/32
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033・金子みつ
○金子(み)委員 時間がかかりますので、残っている疑問は保留したいと思いますけれども、私はこのことに関しては将来検討していただいて、すべての場合にこれが併給されるような形に持っていっていただいて初めて社会保障制度になるのだと理解いたしますので、その方向でお進めいただけるようにお願いしたいと思うわけでございます。
同じ児童扶養手当の関係でございますけれども、日本の場合は第二子、第三子となっていきますと、だんだんとその手当額が減っていきますね。第二子は八百円、第三子は四百円にしかなりませんけれども、第二子、第三子と子供がふえるにつれて費用はよけいかかると思うのですけれども、子供がふえるにつれて、その子供に対する手当が逆に減っていくというのはどういうことなんでしょうか。きょうは時間がありませんから諸外国の例を一々取り上げて申し上げませんけれども、御存じだと思いますから特に申し上げませんが、どの国でも第二子、第三子になっていきますとだんだんふえております。九〇%ふえるとか、あるいは一六〇%ふえるとかというふうにふえていく国があるわけなんですけれども、日本の場合どうして下がっていくのでございましょうか。ここら辺の理由がはっきりいたしませんが、どういうお考えで下げていかれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/33
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034・翁久次郎
○翁政府委員 確かにただいま御指摘のような問題はあろうかと思います。児童手当制度につきましても、日本のように三子支給という制度もございますけれども、片や第一子からあるいは第二子からというような国もあるわけでございます。わが国の場合、児童扶養手当制度におきましても、あるいは母子福祉年金におきましても、大体制度の発足の当初から二子、三子といくに従いましてこの支給額が下がっておる、経緯的にそういうことになっておることは事実でございます。私どももこういった二子、三子の手当額につきまして、やはり将来増額していくべきものだと考えております。
なお、母子福祉年金あるいは他の社会保障制度全般との関連におきまして、ただいま御指摘の点も含めて、さらに今後前進を続けてまいりたい、また、改善すべきものは改善してまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/34
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035・金子みつ
○金子(み)委員 その点については、私は政策として今後考えていただくべき問題だと思いますが、大臣いかがでございますか。日本の場合も諸外国と同じように第二子、第三子、第四子、第五子と、子供の数がふえるにつれて、それに対する手当はふやしていくべきだとお思いになりますか、それとも減らしていくべきだとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/35
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036・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 それぞれの経緯を経て今日に至っているわけでございますが、将来いろいろこういう問題については、やはり額の問題については研究すべきものが私はたくさんあると思いますから、ひとつ諸外国の例なども見ながら十分検討させていただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/36
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037・金子みつ
○金子(み)委員 ほんとうに十分やっていただきたいと思います。というのは、日本だけなんです、子供がふえるにつれてだんだんと金額が減っていってしまうというのは。よその国はふえるにつれてふえていっているわけですから、この辺はだれが考えても非常に理解に苦しむと私は思いますから、十分真剣に御検討願いたいと思います。
次に、家庭におる重度の心身障害を持つ子供あるいは成人した年長の人たちに関する手当の問題でございますけれども、現在、日本で家庭におる重度心身障害を持っている子供あるいは成人の数というものははっきりつかめていらっしゃるでしょうか。それをまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/37
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038・翁久次郎
○翁政府委員 時間がございませんので、いま調べまして、わかり次第お答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/38
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039・金子みつ
○金子(み)委員 それでは先に進みます。
重度の心身障害を持つ子供ないしは年長者の方たちが、家庭におられる場合に、家族は非常にたいへんだということは、もう申し上げる必要もないくらい理解していただいていると思います。経済的に非常にたいへんだということは当然のことですけれども、精神的な苦痛や負担というものが非常に大きいと思います。あるいは、まわりの一般社会から何となく疎外されているような空気の中で、そういった環境の中で、苦労しながら育てていかなければならないということで、非常に苦労しておられると思います。
ところが、こういうような家庭で、重度の心身障害を持つ子供ないしは年長者の人を世話していく、その場合に用意された手当がございますけれども、この手当が与えられますためには、審査と申しますか、調査と申しますか、それが非常にきびしいという問題がございます。それからまた、障害の程度をきめるのに、これまた非常にきびしい基準がございます。この点はすでに御承知と思いますけれども、社会保障制度審議会からも指摘が行なわれておりますが、きびし過ぎるんじゃないだろうかという問題でございます。たとえば、私見せていただきましたところでは、身体にどの程度に障害があるかということを調査して、そしてそれをきめるのに一つの基準がある、この基準がきびし過ぎるというのは、いま申し上げましたけれども、この基準に合わせていらっしゃるのだと思いますが、そのことの問題が一つと、いま一つは、その扶養する家庭がどれくらいの財政状態にあるかということをお調べになるわけなんですね。そして、たとえば年金支給があるかないか、年金支給を受けているか受けていないかということを一応調査なさるのは、私は別に問題はないかと思うのでございますけれども、それ以上に資産や収入の状況を、郵便局や銀行や信託銀行などを通して資料を用意させて提出させたりして、そして一体ここの家には手当を出していいか悪いかということをきめようということなんだと思うのですけれども、これは少し行き過ぎになるんじゃないだろうかというふうに考えます。と申しますのは、これだけきびしく調べて、これだけきびしい基準でおきめになって、それで一人の子供に対して五万とか十万とか手当が出るのなら話はわかりますけれども、わずか一万一千三百円しか出ないのに、こんなきびしい調べをなさる必要があるのかということです。しかもその数も四十七年では全国でわずか二万六千九百二十四人しかありませんね。それだけの数にこれだけの金額しか出さないのに、こんなきびしい調査をする必要がありますでしょうか。その辺は、私はほんとうに制度審議会がいっているとおりだと思うのですけれども、審議会の答申にもあるとおり、ほんとうにきびし過ぎる、この点はどういうふうにお考えになりますでしょうか。もう少しこの点はゆるめることができないでしょうか、ちょっときびし過ぎる、範囲が狭過ぎる、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/39
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040・翁久次郎
○翁政府委員 さきに御質問のございました在宅の心身障害児者の数でございますけれども、身体障害者につきましては十八歳未満の人が九万三千八百、十八歳以上が三十一万四千、それから精神薄弱につきましては、総数が三十一万二千六百、十八歳未満が十四万一千七百、十八歳以上が十七万九百。四十五年ないし四十六年の調査でございますので、現在若干の相違があると思いますけれども、そういうことでございます。
なお、ただいま御指摘の点、当事者になられた方々から見ると、ほんとうにむごい仕打ちのように見受けられる点があるかとも思います。ただ、御理解いただきたいと思いますのは、御承知のとおり、特別児童扶養手当の制度につきましては、所得制限の規定がございまして、給与所得者の方でありますとこれが非常につかみやすいわけでございますけれども、そうでない方についての所得の状況というものをつかむのに対しまして、いろいろそういった、いわばきびしいと申しますか、そういうような点が間々見受けられるのではないかと思います。ただ、そういう給与所得以外の方の所得の調査というものが、現行なかなかむずかしい点もございますので、そういった点があろうかと思いますけれども、現状におきましては、この所得制限の範囲内で大体対象者の方はほとんど支給を受けられる、九十何%受けられる状態になっております。ただ、御指摘のございましたように、問題のある点につきましては、私ども十分戒心いたしまして、そういうことのないように、少なくともそういう心ない感じを与えない仕組みをとるように指導してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/40
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041・金子みつ
○金子(み)委員 時間が迫っておりますので質問を保留させていただいて、最後の質問にしたいと思います。
先ほど数字を教えてくださいましたね。この数字でいきますと、精神障害のある人と身体障害のある人に分かれているわけです。両方あわせ持っている人の数字というものは出てこないわけですね。それは、時間がございませんからあとでいただくことにいたしまして、私がなぜ数字を伺ったかと申しますと、時間があれば質問したかったのですが、家庭で療養しているこういう人たちを持っている家庭に対して、ホームヘルパーですとか母子相談員ですとか、あるいは専門家が行って生活指導をするとかいうような措置があるわけですね。これが一体どの程度にできているかということを実は知りたかったのです。この人たちは非常に数が少ないのですね。全体の数字で計算すれば、百四十人に一人とか千二百人に一人とかいう数字にしかならないので、話にならないぐらいこういう人たちの数が少ないという問題をお尋ねしたかったので、数字を伺ったのですが、これは先に保留しておきまして、はずしたいと思います。
最後の問題になるわけですが、心身障害のある子供や年長者の人たちへの福祉政策と申しますのは、それぞれの方たちが持っていらっしゃるハンディキャップを軽減する、そして一般社会の中で独立して生計を営むことができるような体制をととのえていってあげるということが、その大きな目的だろうと思います。それは生活条件も社会条件もととのえて、そのようにするのが本来の目的なんだろうと考えるわけでございますが、その方向で施策を今後進めていっていただきたいと思うのであります。その点については審議会からも指摘がありますね。それをぜひ強力に進めていっていただきたいと思うわけなんですが、私は、最後にこの記事を読みまして、大臣から御所見がいただきたいと思います。
これは去る五日、京都で起こった事例でして、私そのとき京都におりましたが、新聞では三段抜きの写真入りで記事が出ておりました。東京ではほんのわずか数行載っておったわけです。その問題でございますが、小学校五年の男の子が自殺した母親を悲しんであと追い心中をしたという京都のニュースです。暗然として言うべきことばはありません。竜治君というのですが、十歳です。無職のおかあさん、四十八歳と二人暮らしでした。学校の成績もトップクラス、明るくてやさしい子だったと教師は言っています。おかあさんは高血圧と心臓病の持病を持っていて、月に二、三回倒れます。発作を起こすと口もきけない。看病と家事一切はこの十歳の小学生の男の子にまかせられていた。その竜治君が五日の夕方、近所の病院の屋上から飛びおり自殺をしました。手にしっかり握られていたメモには、おかあさんが悪くなって、医者に来てくれと連絡したけれども来てくれなかった。家には母も死んでいますと書かれてありました。警官がびっくりして自宅にかけつけてみたら、母親も電気ごたつの中で死んでいました。発作が苦しい、死にたいという書き置きがあり、服毒自殺だったわけです。親子とも死んでしまって、いまとなっては事実を知ることはできないのですけれども、竜治君はおかあさんの発作で医者に電話をしたりかけずり回ったに違いない。十歳の子供の話では、医者がその事情をよくのみ込めなかったのかもしれない。医者が来てくれないと知って母親は絶望のあまり、目の前で薬を飲んだのかもしれないし、あるいは竜治君が走り回っている間に服毒したのかもしれない。おかあさんのまくらのわきに竜治君のまくらも並んでいたということですから、少年は母親の死を一人でみとったのかもしれない。世間の無情を恨みながら、どこからもお医者を連れてこられなかった責任が自分の身をさいなんだのかもしれない。それが少年を自殺に追い込んだのかもしれない。すべては想像をするよりかしかたがないのでありますが、だがどう想像しても持っていき場のない救いのなさが黒々と心に残ります。「みんなが親切にしてくれへんかったせいや」という竜治君の遺書が読む者の心を打ちのめすのであります。こういう記事がありましたのをお読みになったかどうか存じませんけれども、私はこれで大臣にお願いしたいのですが、こういうような記事が載っていて、これは幾つかあるケースの中の一つだといって済ましてはおられないと思うわけです。ことに今日のような状態の中では非常に問題になると思います。ですから、児童に関する手当制度につきましては立ちおくれを取り戻すということのために、ほかの制度に比べて立ちおくれているのを取り戻すため長もっともっと格段に力を注いで真剣に、そしてあたたかい政策を出していただきたい。その点について私は最後に大臣の御感想と御所見とを伺って質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/41
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042・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 非常に気の毒な、また非常に深刻な悲惨な事例をお述べになられたわけでございまして、私もこの話を承りまして、こういう仕事をあずかる大臣としてほんとうに責任を痛感する次第でございます。こうした家庭のないようにするためにはもちろん手当の増額等も必要でありますが、やはりそういう御家庭を親身になって相談相手になってあげる母子相談員と申しますか、あるいは民生委員とかあるいは児童相談員とか、そういう制度をもっともっとやはり拡充充実さしてやって、そして御家庭のどんな悲しいことでも相談になってあげるという仕組みをもろともっと拡充しなければならぬだろうということを痛感をいたしておるわけでございます。こうした仕事に従事される方の処遇も本年度においてだいぶふやすことはいたしましたけれども、まだまだ十分でありませんし、特に数などはまだ十分でございません。今後とも児童扶養手当の増額の問題とかあるいは母子相談員、その他のこういうふうな仕事をされる方々の処遇の改善、増員、そういう問題に真剣に取り組みまして、こういうふうな事例が新聞記事に出ないように今後とも大いに努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/42
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043・金子みつ
○金子(み)委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/43
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044・野原正勝
○野原委員長 田中美智子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/44
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045・田中美智子
○田中(美)委員 まず児童手当について質問いたします。
今度三千円を千円上積みしたということなわけですけれども、この三千円というのが毎年上がってきているのではなくて、物価は毎年上がっているわけですけれども、三年目に千円上積みされたというこの三千円がきまったとき、そのときのあれでは子供の養育費にどのぐらいかかるか、そのころ大体六千円というような数字が出て、それの大体半分を国がしよう、それを三児だけにということだったわけですね。そうしますと、いまの子供の養育費というのは大体どれくらいだというふうにお考えになってこの千円をおきめになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/45
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046・翁久次郎
○翁政府委員 ただいま御質問のございましたように、この制度が発足いたしました時点におきます養育費、これはお示しになりましたように六千円何がしでございました。これは大体所得六万円以下の家庭におきます児童養育費、これを昭和四十二年の養育費調査でとらえたものでございます。当時、いまお示しがありましたように、それのおおむね半分ということで発足したわけでございますけれども、現在児童の養育費がどの程度かということにつきまして実は四十八年に調査をいたしました。近くその調査がまとまることになっております。これは先ほども申し上げましたように、段階実施の終わった段階におきまして、額をどうすべきかということの一つの資料としてとっているわけでございます。したがいまして、三千円を四千円に今回引き上げるにあたりまして養育費を基礎にすることができません。そこで私どもといたしましては、四十七年に発足いたしました当時の基礎の数字でございますところのいわゆる消費支出、こういうものがどういうように動いてきたか、大体三割七分程度、四十五年、四十六年、四十七年と上がってきております。それから消費物価指数がどの程度動いてきたか、これも大体四十六年から四十七年あるいは四十八年と見通しますと、おおむね毎年一〇%近い九・六%、したがいまして、それらの数字を勘案いたしまして千円という額をきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/46
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047・田中美智子
○田中(美)委員 そうしますと、最初の三千円はある程度子供の養育費というものを考えてつくられたけれども、今度のものは、ほんとうに私から見ますと現状ではない、別のところでのいろいろな見解から千円というのが出されたと思うのですけれども、もう少し現状を見ていただきたい。いま調査している結果が五月か六月に出るということで、そして今度は養育費に沿ってその半分というふうに出てくるのかどうだか知りませんけれども、それにしてもあまりにも現実離れしているというふうに思うわけです。まず生活保護の家庭を見ましても、三歳児で大体八千九百円くらいの基準額が出ているわけですね、それに三人子供がおりますと多子加算というのがつきますからね。そうすると一万一千九百円、大体一万二千円くらいの計算が出るわけですね。そうすれば、その半分というところを一般のわれわれは見ていくわけです。それでもし六歳であるならば、これはまあ教育加算なんかもつきますから、約一万五千円くらいの支給がなされているわけです。そういうふうに、政府でも一応一人の子供を育てるにはこれだけの金額が要るというのが出ているわけですね。なぜそれを考えないで、いろいろな周辺のところから千円というものをきめられたかということが非常に私自身は不満に思うわけです。この点、今後調査が出た結果、それをどういうふうにしていくという目安というものがあるのでしたら、これをぜひ厚生大臣答えていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/47
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048・翁久次郎
○翁政府委員 御指摘のとおり、児童手当は児童を養育している家庭の養育費に対しまして、公が補助すると申しますか、お助けをする——お助けといっては少しことばが過ぎますけれども、そういう意味の養育費の一部を負担するという制度でございます。したがいまして、制度発足の当初とりました考え方は、第三子に対します一人養育費の半額、おおむねそういうものをめどにしたわけでございます。将来どうするかということにつきましてはいろいろな考え方があろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、現在の時点においての養育費がどうなっているかということは、やはり基礎的に知るべきではないだろうかということで、目下調査をしているわけでございます。その調査の結果、集計が出ました暁におきまして、いろいろな角度から検討もし、そしてまた他の社会保障給付との関連もございます。さらに申し上げますならば、児童の対象数が範囲の拡大に伴って非常にふえております。たしか四十九年度におきましては二百二十万と思いますが、したがって、そういうこともすべて勘案した上で、いかなる点に求めるべきかということをきめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/48
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049・田中美智子
○田中(美)委員 大臣にお答え願いたいのですけれども、社会保障制度審議会でも、ここ数年の他の社会保障給付の改善の動きに比べてこの児童手当が非常に放置されてきたということを書かれているわけです。「飛躍的な発展をはかることが、この際必要である。」というふうにいっておりますし、それから社会保障研究所の児童の養育費という調査、これでも人二万円以下ということは考えられないということが出されているわけですね。そういう点から見て、この千円の上積みということが非常に少ないということは、大臣も十分御存じだと思いますけれども、こうした答申にも「飛躍的に」こう出ているわけですので、これについての見解を簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/49
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050・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 確かに御意見私ごもっともだと思います。ただ、児童手当は先ほど来申し上げましたように、三年間で段階的にやっていくという進行中のものでございまして、やっと昭和四十九年度で完成するというところでございましたので、さればといって当初始まった三千円で据え置くというのもどうであろうかというので、四十九年度は千円上げた、こういうわけでございます。しかし、これで児童手当制度というものが中身は別として一応完成する、こういうわけですから、五十年度以降に本格的に改革をはかっていくときが来ると思うわけでございます。
この児童手当の飛躍的な発展のためにはいろいろな問題がたくさんあるのです。金の問題がありますし、第三子からじゃなくて第二子からという御意見もある。第一子からしたらどうかという、諸外国では第二子というのが普通の例でございますが、そういうふうな問題もある。そういう問題については五十年度以降においてひとつ実行していく、こういうふうにしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/50
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051・田中美智子
○田中(美)委員 五十年にできるだけ飛躍的にこの児童手当をふやしていただきたい。これは日本の未来をしようという意味で非常に子供は大切な存在でもあるし、また子供自身がものを言えないわけですから、そういう点で社会保障制度審議会でもいわれているように、放置されてきたんだというふうに私は感ずるのですけれども、そうであれば、これは日本の国の問題として、非常に基礎的な問題として大きな問題だと思うわけです。いま日本のわれわれ庶民の生活がどうなっているかということは、生活保護を基準にして、一カ月の養育費はどれだけだという見方もありますけれども、現状の庶民というのをごらんになっていただきますと、食べて寝て着るということ。そして最低の教育ということだけ以外に非常にたくさんの出費がかかっているという現状があるわけです。この現状を一つ、二つお話ししたいと思うのです。
これは小さい子供から申したいと思いますけれども、幼稚園に入るときですね。このときに、まずいまの幼稚園では入り切れない。保育所でも結局あぶれるということ。ちょうど大学受験のようになっているわけです。幼稚園の場合は先着順だものですから、三日ぐらい前から受け付けをするわけです。よく新聞なんか出ておりますように、徹夜で並んでということがあるわけですね。いまのように共働きの家庭もふえておりますし、家族の人数も少なくなっておりますと、徹夜で並んで入園の順番をとるということが不可能になってくるわけですね。そういうところから自然に、資本主義ですから商売が出てきてアルバイトが出てくるわけですね。アルバイトで夜、外へ寝袋や何かで寝て順番を待っているわけです。こういうのに相場ができまして、若い男性なんかに頼むわけですね。一晩一万円、それにウイスキー一本ということなんですね。大体二晩は泊まらなければならないといいますと、二万円にウイスキー二本というものを親は負担をするわけなんですね。そういう形でやっと順番をとって、そして入園することができた。御存じのように非常に幼稚園は高いですから、できれば公立の幼稚園なり保育所に入れたい。入れたいのだけれども、それであぶれる心配があるから、まずすべりどめに私立の幼稚園を受けておくわけですね。そうしますと、それに入園しますと、公立よりも先に私立の幼稚園があるものですから、これで入園資格、いわゆる合格しますと、入園料が二万五千円とか保育料を一カ月分七千五百円、それから父母の会費が二百円とかスクールバスの協力費が千円とか千五百円とか、そういうのにユニホームまで買わされる。そうしますと、約四万円というお金をアルバイト以外にまた幼稚園に払うわけですね。そうしてその次、幸いにして公立の保育園に入ったとしますと、それは全部パアになってしまうわけですね。そういうふうな形で、普通の食べて着て寝るということ以外に、子供を育てるというのは非常にお金がかかっているわけです。小学校、中学、高校、これは言いますと皆さま十分御存じだと思いますけれども、いわゆる授業料と入学金以外に非常にたくさんの金がかかるし、いま言ったような全く捨て金というものも親は使っているわけなんですね。これが幼稚園からこんなに膨大な金を使っているということは、父兄が若いわけですから非常に大きな負担になっているわけですね。
こういうことは児童手当だけで解決するものではありませんけれども、せめて最低の養育をするという点のところをやはり完全にやっていかなければならないんではないかというふうに思います。その点で飛躍的にやりたいと大臣もおっしゃっていらっしゃいますので、一日も早くこれを実現させていただきたいというふうに思うわけです。
それからもう一つ、特別児童扶養手当の問題ですけれども、重度の心身障害児というものを、五十年までに希望者は全部施設に入れるというようなことを昨年の国会で総理大臣が言われているわけですね。それは一応計画としてはそうしてやっていただきたいわけですけれども、そこの子供一人にかかるお金ですね、養育するのにどれだけかかるか。重心の施設の措置費というのは大体二十万というふうに聞いておりますけれども、間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/51
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052・翁久次郎
○翁政府委員 施設の入所児童一人当たりの経費といたしまして月額約十八万でございます。十七万九千何がしということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/52
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053・田中美智子
○田中(美)委員 約二十万という金額になるわけですね。そうすると、自宅にいるお子さんですね。施設をつくるというのは非常に大切なことです。しかし親によってはやはり自分の手で世話をしたい。そしてそこからいろいろ教育を受けたいというふうな親の気持ちというのもまたあるわけですね。これはやはり希望者は施設に入る、自宅にいたい者は自宅にいるということが並行されるべきだというふうに思うわけですね。それに対して、特別児童扶養手当を見ましても一人一万一千三百円に今度多少値上げされたわけですね。これは先ほどの質問の中にもありましたけれども、該当者が非常に制限を受けているということ、非常に少ないということですね。それから重複している場合ですね、精薄と身体障害が重なっている場合、これに特別手当というものが三千円つく。これを大きく計算しましても一万四千三百円しか出ないわけですね。この差というもの——自宅にいたらわずか一万四千三百円しか社会的な恩恵をこうむれない、施設に入った場合は二十万円というものがかかっている。この二十万円は決して高くはないわけです。中を見ますと非常に少ないわけです。同じ金額というふうには——もちろん情勢が違いますからあれですけれども、あまりにも開き過ぎるんではないかということが親たちの考えだというふうに思うのです。これについてやはり飛躍的に改善していただかなければならないというふうに思うわけです。この格差についてどのようにお考えになるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/53
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054・翁久次郎
○翁政府委員 確かにただいま御指摘のように、親御さんの中には、施設に入れるよりもむしろ自宅で介護していきたいという希望を持っておられる方が最近はふえているように伺っております。御承知のように、在宅の障害児に対する手当が一万一千三百円に福祉手当三千円、そのほかに国といたしましては重症の心身障害児の相談員、それからさらに日用品具あるいは便器であるとか補装具であるとか、そういうものの支給、それからまた新しく国、地方に巡回バスを買っていただきまして、そこで相談員が、福祉事務所なり児童相談所の職員が出向いて相談に応じていただくというようなことも考えております。
さらに通所施設と申しますか、重いお子さんを施設に通っていただいて、そこで機能訓練あるいは子供さんたちに合った教育と申しますか、そういうことをするための施設の道具をふやすという方向で、在宅の重症心身障害あるいは肢体不自由、重度の精薄を持った方々に対する施策というのは、もちろん手当の額も必要でございますけれども、それ以外の施策としての総合的なものをさらに進めていくということで、新しい年度の予算を組んでおります。
なお、この額の引き上げ等につきましても、われわれこれで満足するものではございませんので、今後さらに前向きに進めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/54
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055・田中美智子
○田中(美)委員 確かに金額だけではもちろんありませんけれども、あまりにも格差があり過ぎるということ。やはり全体のレベルを上げると同時に、制限を狭めないということと、それから施設と家庭の子供を公平に扱っていく、こういうことは、せっかく政府が多少の金額を上積みしても、それが大きく精神的な逆の不満になってくるということをかもし出しているわけですので、これは社保審でいっているように、飛躍的な発展をはかるように努力していただきたいというふうに思います。
その次に、保険庁にお尋ねしたいと思うわけです。これは非常に緊急にやっていただきたいというふうに思いまして、きょう取り上げさしていただきます。
これはじん不全の患者さん、じん臓の悪い患者さんで人工透析を受けなければならないところまでいった方たちです。この方たちの障害手帳を交付するという、障害認定の認定日の問題ですけれども、これはいま非常に深刻な状態になっているわけです。これが人工透析を受けてから三年たたないと廃疾認定にならないということですね。これについてどのようにお考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/55
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056・出原孝夫
○出原政府委員 厚生年金、国民年金の障害年金に関しての御質問かと存じますが、一般的に申し上げますと、じん臓の病気を含めまして内部障害につきましては肝臓、心臓等も同様でございますが、その状態に常に変動があるということから、お話しのような三年を経過した日において廃疾の認定を行なうということになっておるわけでございます。そういう意味におきましては、じん疾患につきましても同様な原則が法律の規定として私どもにも義務づけられておるわけでございます。
ただ、人工透析を受けておられる者につきまして申し上げますと、じん臓の機能が回復するということがきわめて困難な状況にあるということがございますので、そういった面から見て、症状が固定したというような例外的な取り扱いでできないだろうかという問題がございます。そういう点につきましては、私どもも患者さんからいろいろ事情等をお伺いしておりますので、現行法の許す範囲内でできるだけ前向きに検討したいということで、鋭意検討いたしておるところでございますが、医学上の専門的な知識ともかみ合わせて検討いたしませんと、いま直ちにちょっと答えを出すのはむずかしゅうございますけれども、できるだけ早く答えを出したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/56
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057・田中美智子
○田中(美)委員 私は、患者さんにも伺いましたけれども、医者にも伺ってきたわけです。この透析療法というので、医療の技術セミナーに出ている中身を見ますと、大体この人工透析を受け始めてから、まだ六年くらいしか歴史がないわけです。この中で患者さんにとっては非常にショックな統計ですけれども、一年間に生存率が五八%しかない。そして結局透析を受け始めてから三年間たたなければ廃疾認定にならない。その廃疾認定を受ける前に、三年までの間に二一・二%しか生存率がないということがこの医者のセミナーでもって報告されているわけなんですね。これは、現在もこのとおりの状態で三年たてば二〇何%しか生存率がないということではなくて、やはり医学の進歩につれて、やはり年度別の生存率を見ますと、命が延びるということでは少しずつ長くなっておりますから、必ずしもこの統計のとおりに今後はいかない。もっと生き延びていくということがふえてくると思いますけれども、結局なおる見込みが何もない。じん臓自体はもうなおらないわけですから、これはいまの法律を変えなくて、現行法の中で私はできるのではないかというふうに思うわけです。これが結核の場合には通牒のような形でなされているわけですね。私自身結核で手術をいたしまして、身体障害者の手帳を持っているわけなんです。そういう点から見まして、この透析を受けている方たちというのは、症状が固定して治療の効果を期待できない状態がなおった時点だというふうにすれば、当然これをやらないほうがおかしいのじゃないかと私は思うわけです。いま現行法の中で十分できることがなぜやられていないのか。これをいつまでも検討、検討といって流されている間に、結局廃疾認定を受けられないために、経済的にも非常に困難な人たちが出てくる。そして認定されるころに、もしなくなっていくという状態になったら、あまりにも残酷ではないかというふうに思います。法改正をする、しなければならないというならば一定の時間がかかる、検討するということもわかりますけれども、どう考えてもやっていないほうがおかしいんだというふうに私は思うわけです。
たとえば足がない方、外から見たときにはっきり見える。足がない方というのは義足をつけてとんとん歩いていたってこれは障害者なんですね。それがどうしてじん臓の方だけは、症状がもう固定して治療の効果が期待できない、透析で生き延びているという人が廃疾認定にならないのか、このほうがおかしいというふうに思うわけです。その点で早急にやっていただきたいと思うわけですけれども、検討の期間というものをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/57
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058・出原孝夫
○出原政府委員 私どもも患者さんの状態から考えまして、こういう問題は早急に結論を出すべきものだと考えております。そういう意味において、私どもも検討を急いでおりますので、できるだけ早く答えを出したいというように考えております。ただ、いま申し上げましたように、医学的な見解と私ども社会的な見解とを総合いたしませんと答えが出ませんので、ちょっといまここで数週間とか数日とかいうようなことの御返事を申し上げにくい段階なんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/58
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059・田中美智子
○田中(美)委員 これはもう人道上の問題だと思います。だれが聞いてもこれは廃疾認定しないほうが理屈に合っていないというふうに思いますので、早急に結論を出していただきたいと思います。この結論が出まして、そちらのほうで決定しましたら、すぐに私のところにお伝え願いたい。おそいようでしたらときどき催促させていただきたいと思います。
それからもう一つこの問題ですけれども、現況届けというのを出すということですね。これは生きているんだということをはっきりさせる意味で、私は届けを出すことはかまわないと思うのですけれども、そのたびに診断書をとるということですね。これはもう固定し、なおらないという問題なのに。そうすると、結局足がない方のことを考えれば非常によくわかるのです。なくなった足は義足をつけたって決してはえてくるわけではない。それを、毎年診断書で確かに足がありませんということを出すのはおかしい。これと同じだと思うわけです。こういう点で診断書を不要にしていただきたい。これは患者さんにとっては非常に負担になっているわけです。経済的にも、精神的にも、時間的にも、いろいろな面で負担になっているということです。
それからもう一つ、私自身、皆さんたちもそうだと思いますけれども、かぜを引いて一週間休んだ、それで熱も下がり、健康になってきても、職場に最初に出てきたときはからだはしんどいわけです。しんどい、しんどいと言わないだけであって、しんどいわけです。この透析をしていらっしゃる方、これは一週間に二回やる。一ぺんに千八百ccくらいの水分を出すわけです。これは老廃物だけではなくて、からだに必要なものまでも出す。じん臓のようにじょうずには出してくれないわけですから、そういう意味で栄養が不足したり貧血を起こしたりということがあるわけです。一応働くことはできる。それで何とか働くことができたとしましても、これはやはり私は普通の健康体ではないというふうに思うわけですね。この方たちの認定が三級であるというのはやはり非常におかしいというふうに思うわけですね。やはり当然一級だというふうに私自身思うわけです。これはもちろん医者の考え、そっちの社会的な考え、いろいろあるかもわかりませんけれども、これをぜひ一級に認定をしていただきたい、こういうふうに思うわけです。
今度、いま政府・自民党といいますか、自民党政府といいますか、政府が国民に言っていますことは、「七〇年代花開く年金」というふうに言っているわけです。ここを見まして障害者の問題が一体花開いているだろうか、つぼみの赤みさえ出ていないじゃないかというふうにこの点を見たら思うのですね。こういう点に何とかしてつぼみのふくらみだけでも出るように、廃疾の認定日を早急に検討していただき、一級にし、そうして診断書をとるとかいうふうな理屈に合わないことは、これをやはり現状に即したように早急にやっていただきたいというふうに思います。これについてはっきりともう一度御返事をいただいて質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/59
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060・出原孝夫
○出原政府委員 御指摘のような問題をも含めまして、かなり込み入った問題でございますので鋭意検討いたしておるところでございます。
なお診断書につきましては、一般に内部疾患につきましては、このじん不全の場合、もとへ戻らないということのケースが多いのでございますけれども、やはり全般的に内部疾患はまたよくなられる方もあるものでございますから、そういった意味で診断書をいただくというのは基本になっておりますので、この問題はそれをも含めまして全般的に、先ほど申し上げました医学の問題と社会的な判断の問題をかみ合わせて答えを出すという必要があると考えておりますので、現在鋭意検討中でございます。(田中(美)委員「一級の問題……」と呼ぶ)いま申し上げましたような問題も含めて検討いたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/60
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061・野原正勝
○野原委員長 大橋敏雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/61
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062・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 私は、先週のこの委員会で児童手当法案について質疑をいたしました。そのときに対象児童の拡大、児童手当額の引き上げの問題につきましていろいろな方面から指摘したわけでございますが、そのときの大臣の御答弁は、次回には飛躍的な発展を考えております、今回はこの程度でがまんしてほしい、このようなお話があったわけでございますが、いずれは飛躍的な発展のための検討をなされるでありましょうから、そのときの参考の意味におきまして、もう一、二、問題を提起しておきたいと思います。
その一つは、額の問題でございますけれども、児童手当、これまでの一人三千円というのは、四十二年度当時のいわゆる経済社会情勢における試算値であったわけですね。しかし、現実に児童手当が支給され始めたのは四十七年一月実施でございましたので、実質価値はかなり低下したところであったわけです。先週もこの問題に触れたわけでございますけれども、そういう点も十分今後配慮して検討していただきたいと思います。
同時に、現在わが国の子供の出生率、これは一・八九%、死亡率が〇・六九%、自然増加率が一・二〇%、人口増加率は一・一%、一世帯当たり人員は全国平均三・六九人ということであります。また夫婦と子供の核家族の平均を見てまいりますと、三・九〇人、四人を切れるわけですね。その扶養児童数を見ますと一・九〇ですから二人に欠けるということです。したがいまして全国平均からものを見てまいりますと、いまの児童手当制度は一人も対象者がなくなるのだ——極端な言い方ですよ。全国平均扶養児童数の一・九〇という立場から見れば、現在の制度はまず十八歳以下が三人いなければならぬし、その三人目からの支給でございますので、一人も対象者はいないということになるわけです。しかし現実的には、御承知のように発足当時百十二万人、それから四十八年度百九十五万人、四十九年度になってようやく今回二百四十二万人の対象者になるわけでございますが、それとて現在義務教育終了前の子供の数は全国約二千六百万人ですから、二百四十二万人ということは〇・九%、一割にも満たないという実情にあるわけですね。したがいまして、この児童手当の対象拡大、これを前回きびしく追及したところでございます。
これはこれといたしまして、いま社会的弱者を守れ、こういう声がちまたにあふれております。私はもう天の声だ、このくらいに思っているわけでございますが、大臣も先般特別一時金支給という措置をとられて、これまでになかった措置をとられたことにつきましては、私も偉大なる英断であったと認めます。しかし社会的弱者といえば、その典型的な姿はやはり心身障害者に当たるだろうと私は思うのであります。実はいまから申し上げるのは具体的な事実の例でございますけれども、都内の台東区西浅草に居住しておられます六十七歳になる守田政次郎さんという方のことですけれども、この方は全盲です。一種一級の方です。したがいまして昭和三十四年から障害福祉年金の受給をされていた方です。ところが、ある日福祉課の方がこの人のところへ行きまして、国民年金のいわゆる十年年金の加入勧誘をしたわけですね。そうしますとこの老人の方はその勧誘に応じまして、それでは十年年金に加入いたしましょうということで国民年金の被保険者になったわけです。そうして年数がたちまして昭和四十七年に六十五歳になったわけです。十年年金が支給されるようになりましたために当然障害福祉年金は停止ということですね。これは障害者であるという事実は、前もいまも少しも変わらないわけでございますけれども、年金の制度の矛盾からこういうことになるわけでございますが、現在は一般被保険者扱いになっているわけです。今回の法改正で十年年金は一万二千五百円ですかね、障害福祉年金は一万一千三百円、多少十年年金のほうが額は多いわけでございますけれども、問題点は、この方がもし十年年金の国民年金に加入していなかったならば、現在も障害福祉年金の受給者であって、先ほど言いました、厚生大臣が先般とられた英断と言いましたこの特別一時金の支給の対象の恩恵に浴したのですね。しかし、四十七年から国民年金の一般被保険者になっているために、障害者でありながらこの人はその恩恵に浴せなかった、こういう事実があるわけです。これは制度上の問題で、私に言わせれば欠陥と言いたいところですけれども、その問題点と、現実問題としてこうした障害の老人の方々が、そういう立場からずいぶんとそうした恩典の谷間に置かれているということです。したがいまして、私は、いまのような社会情勢あるいは経済情勢の中でございますので、こういう障害者にも洩れなくその恩典が浴されるように特別の配慮をお願いしたいということでございますが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/62
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063・横田陽吉
○横田政府委員 ただいま先生の御指摘の問題は、問題が二つあると思います。一つは、拠出制年金と無拠出制年金の金額の格差の問題でございます。それからもう一つは、障害年金が、被保険者期間内に発生した障害についてだけ障害年金を払っておることの可否の問題、この二つあると思います。
第一の点につきましては、一万二千五百円の十年年金でございますが、これはいずれ四十八年度の物価指数の上昇によりまして、これはスライドいたすことになっております。したがって一万二千五百円と御比較いただく金額は、七千五百円と御比較いただくわけです。七千五百円が一万一千三百円になる。それに対応しましては、この一万二千五百円が消費者物価指数でスライドいたしますから、これは相当高い金額になるはずでございます。
〔委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕
この辺の、拠出制年金と無拠出年金との格差がどういうふうなつり合いになるかという問題につきましては、御指摘よりは相当大きな差になることは事実でございます。
それからもう一つの、障害年金の対象になります障害というものが、被保険者期間内に限られておるという問題につきましては、これは非常に大きな大事な問題だとは思いますけれども、日本の拠出制年金のみならず、無拠出年金もこの原則をすべてとっておりまして、これを一挙にはずすというふうな問題は、なかなか年金のワク内の措置としてはむずかしいだろうと思います。したがって、そういった点につきましては、無拠出の年金額を高めていくとか、あるいはまた別個に障害についての手当制度を創設するとか、いろいろな角度から検討をすべき問題だと思っております。いずれにいたしましても、たいへん重要な深刻な問題ではございますが、年金制度のワク内の問題としては、解決は非常にむずかしい問題ではございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/63
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064・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 大臣、年金制度の問題点を私は知りたいという気持ちで言ったわけじゃないのです。これはいま局長がおっしゃるとおりだろうと思います。その差はだんだん開いていくだろうということはわかるわけです。ただ私が言いたいのは、今回大臣が英断をもって、こうした社会的弱者に対して一時金の支給をなさった。そういう時点から見た場合、現実的にこうした全盲一種一級というような障害者でありながら洩れてしまう、こういう点を特別措置をとられる場合には、特別配慮をしていただけないものかという、政治的な立場から申し上げているのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/64
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065・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 お気持ちはよくわかるのです。私、大橋委員がおっしゃることですから、ごもっともだと、こう申し上げたいのですが、やはりこれはなかなか、制度には制度それぞれのあれがありますので、そう簡単にはいかぬかと思いますが、やはり厚生行政というのはきめのこまかいようなやり方をすることが大事でございますから、将来の御注意として承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/65
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066・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 これは、わずかながらでも恩典を受けた人々はそれなりにやはり喜んでいらっしゃるだろうと思うのです。逆に、いまのような姿ではずされた方は、やはりある意味では非常に残念な思いでいらっしゃるだろうと思います。
いまも大臣が、むずかしい問題ではあろうけれども、今後重要な問題として考えていくというような趣旨の御答弁がありましたので、こまかいことといえばこまかいことかもしれませんけれども、きわめて大事な問題であろうと思います。年金制度の改革の際にもこれをあわせて考え直していただきたいということを要望しておきます。
それからもう一つ、障害者、いわゆる在宅者対策について多少矛盾を感じますのでお尋ねするわけでございますけれども、いま施設入所者あるいは入所児ですね、その一人当たり運営費というものは月に十七万九千円程度であると伺っておりますが、まず確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/66
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067・翁久次郎
○翁政府委員 いま御指摘の点は、重症心身障害児施設における一人当たりの処遇費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/67
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068・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 大臣お聞き及びのとおり、重症心身障害児の施設入所者の一人当たり運営費というものは月に十七万九千円であるわけです。ところが在宅障害児については、今回の改正案を見ましても、特別児童扶養手当は六千五百円から一万一千三百円になることになっておりますね。そして父母の介護手当といいまして特別福祉手当、これが新設されまして、三千円ですか、合わせまして一万四千三百円になるわけですね。この在宅の一万四千三百円と、施設に入っている方の十七万九千円とでは、あまりにも格差があり過ぎると私はこう思うのでございますけれども、いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/68
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069・翁久次郎
○翁政府委員 確かに数字の上では御指摘の点はございますけれども、施設に入所しておられる人の処遇費というものは生活費も入ったものでございます。この在宅の手当は、御両親が重症の障害児を介護するということで、介護手当ということで一万一千三百円プラス三千円というものが出されておるわけでございます。そういった意味合いにおきまして介護手当という性質が一つと、それから先ほども御答弁申し上げたわけでございますけれども、相談事業とかあるいは巡回バスによる相談、それからまた、それぞれの重症児にふさわしいいろいろな補装具であるとか器械器具の補助、それからまた民間団体もございますけれども、重症心身障害児にはそれぞれ父母の会等がございます。こういった会を通じての、国ができることの援助を通しまして相談あるいは療育ということもいたし、さらにこの子供さん方を通わせる施設、通所施設と申しますか、そういったことも充実強化するというような、総合的な立場でこの在宅障害児対策というものを進めてまいり、なお手当の額等につきましては今後なお改善の方向で善処していきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/69
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070・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 大臣、いま重症心身障害者、この方々は、施設に入りたくとも施設が少ないために、在宅という、たいへんな苦労をしていらっしゃるわけですね。これはもう御承知のとおりでございます。いま申し上げましたように、入所者のほうは一人当たり月に十七万九千円のいわゆる運営費がつけられる。しかし入りたくとも入れない在宅重症対策のほうは、特別児童扶養手当で一万一千三百円になって、そして今度新設される父母の介護手当三千円を入れて一万四千三百円ですね。これは先ほど局長はいろいろと説明はしております。生活費も入っているからとか、あるいはいろいろと説明がありましたけれども、それにしてもあまりにも開き過ぎている。今後これは当然私は真剣に考えるところじゃなかろうかと思うのですけれども、大臣の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/70
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071・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 心身障害重度の重複の方々の対策は、これはすでに御承知のように、わが党政府は、全員国の施設に収容するという基本方針を立てておるわけでございます。大体これが一万四、五千人おりますから、たしかもうすでに一万一千人から一万二千人分近い施設はちゃんとできておるわけでございます。大体予定どおり、昭和五十年度一ぱいでその数は整備されるということに相なったわけでございます。ところが、こういう重複障害児者の御家庭にありましては、そういうふうに重度の方で手数はかかるにしても、母親の愛情のもとに暮らさせたい、こういう御家庭があるわけでございます。そして社会福祉施設のいろんなあり方についても、すべて国の収容、国の収容という方針ばかり一本やりでいくのはどうであろうか。やはり在宅ということも考えなければなるまい、こういう世論も出てまいったわけでございます。先般の社会保障長期計画懇談会においても施設収容、こういう一本やりの方針ではいかぬのだ、在宅ということも考えなさいという御意見もいただいたわけでございます。
そういうふうなこともあって、私は金額はこれで十分だなどとは思っておりません。将来これで十分だなんて言いません。しかし、そうした方々に対する援護の一つの手段として、在宅手当という新しい制度を、一万一千三百円だってある意味からいえば在宅手当なんです。そうですね。おわかりになっていただけると思うのです。これもやっぱり介護のお金です。でございますが、特に重度の方々についてはひとつ新しい施策を講じてみよう、これは野心的な考えなんです。これは非常に将来のためにいい制度であったと実は私は思っているのです。そういうわけで今度創設したわけでございますが、私はこのお金で十分だとは思っておりません。特に社会福祉施設の将来のあり方については在宅も考えなければなりませんという世論もありますので、私は将来はこういう方面を拡充して、そして施設に入りたい方は入る、御家庭の母親の愛情のもとに暮らさせる、こういう御家庭に対してはやはり手厚く介護の手当をあげる、こういうふうなことにすべきではないか、こう私は思います。
そういう意味において、私はこの額に満足しておるわけではございませんから、将来とも大いに皆さん方の御協力をいただいて、そういう方面に今後は大いに努力をしていきたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/71
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072・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 時間が参りましたので、最後に一言要望申し上げますが、いまの重症心身障害児の入所者と在宅者。私もすべてを入所させようと言っているわけじゃありません。それはもちろん在宅の意義も大いにあるわけです。ただ、私がいま主張していたのは、入所者の一人当たりの運営費の金額と、そしていわゆる在宅手当とおっしゃったその金額が合わせて一万四千三百円ではあまりにも開き過ぎているんではないですか。これでは満足しておらぬから、将来これは拡充していくぞとおっしゃっていましたけれども、この程度の軽い気持ちじゃだめだと思うのです。やはりこれは真剣に、なるほどおまえの言うとおりにこれは開き過ぎておるわい、これをはっきり認識した上での今後の対策でなきゃいかぬと主張しているわけです。もう一回、その点私の気持ちが通じたかどうか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/72
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073・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 大橋委員の気持ちは私はよく理解しております。私は軽い気持ちで申し上げているのではないのです。これはほんとうに考えなければならぬ問題だと思います。真剣に取り組むことをお約束申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/73
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074・大橋敏雄
○大橋(敏)委員 じゃ、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/74
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075・大野明
○大野(明)委員長代理 和田耕作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/75
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076・和田耕作
○和田(耕)委員 厚生大臣に二点だけを御質問申し上げたいと思います。
第一点は、いまも問題になっております重度の心身障害児、これは特別手当というものがついているわけですけれども、これもいかにも少ないという感じがするんですが、私がここで問題にしたいのは、この軽度のたとえば精薄なら精薄という人に対しての手当がこの制度の中にはないわけですね。これはいかにもおかしいんじゃないかという感じがするんです。
私のよく親しくしている渋谷の人ですけれども、こういう人が三人くらいおるのですが、特殊学級へ通っているのですね。特殊学級へ通う朝の八時半から四時半ごろまで、おかあさんはずっとつきっきりで学校へ通っておられる。学校の授業を見ておりますと、黒板にものを書いてわかる人じゃないんです。話して理解する人じゃないのです。玉ころがしをすると、先生の助手になって玉を拾ったり何かしてやっておられる。子供が特殊学級におる間はずっとついておられる。こういうおかあさんの姿を見ておりますと、たいへんなことだなあという感じがするのですね。これは特殊学級に通える程度の人です。こういう子供さんに対して何らの特別の手当をつけないということは、いかにも私社会的な不公正じゃないかという感じがするのですが、大臣、いかがでしょう、感じとして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/76
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077・翁久次郎
○翁政府委員 ただいまの御質問でございますが、特別児童扶養手当、この制度本来の趣旨は、御承知のとおり、重度の身体障害あるいは重度の精神薄弱、こういった子供さんを持っておられる家庭の御両親に対する手当、しかも、そもそもこの制度の発足のときには重度の精神薄弱で出発したわけでございます。その後、御承知のとおり対象が拡大されてまいりまして、重度の身体障害を持っておられるお子さんも対象になり、そうして特別児童扶養手当、こういうことになったのであります。さらに、先ほど大臣も御答弁申し上げましたとおり、それをさらに重複しておる重い児童に対しては特別福祉手当として特別に三千円プラスするというのが今回の改正の趣旨でございます。
ただいま御指摘の、いわゆる中度の精神薄弱を持つお子さんをかかえておられる家庭に対する介護はどうか。これはこの制度が出発いたしましたそもそもの目的がそういうことでございましたのと、それからもう一つは、大体そういう御家庭においては、施設に入れておられる方は別といたしまして、大体子供さんを扶養しておられるということが一つあるわけでございますので、所得を保障するというよりも、むしろ介護という点に着目した制度になっておるわけでございます。ただ、私どももただいま御指摘のような点があることを承知しております。したがいまして、この重度の身体障害あるいは重度の精神薄弱ということではなくて、いわゆる中度と申しますか、そういったものも含めた制度として、介護料としてどうあるべきかということが今後のわれわれの課題ではなかろうかという意味におきまして、ただいま御指摘の点は、まさしく今後われわれ真剣に検討しなければならない問題である、かように考えておるわけでございます。
なお、少しふえんいたしまして恐縮でございますけれども、昭和五十四年からは義務教育の面におきまして、いわば障害を持つ子供さんに対する全面的な義務教育が発足することになっております。したがいまして、厚生省のサイドにおきます精神薄弱児施設あるいは通園施設、それからまた養護学級という面での制度の拡充ということもあわせて進めてまいりますので、そういった広い意味での社会保障の中におきまして、ただいま御指摘のございました、特に手のかかる、あるいはそういった特殊学級に通わせるおかあさん方の介護というものをどういうようにとらえていくかということは、総合的な意味におきましても、われわれ検討しなければなるまい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/77
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078・和田耕作
○和田(耕)委員 この重度の身心障害児の場合、大臣もお答えがありましたように、当然国が施設をつくって収拾していくという一つの目標をもって、しかし過渡期で一ぺんにできないから相当額の——現在の額では不足だと思いますけれども、補助をするという考えだと思うのですが、この児童手当というものの本来のあれからすれば、重度というのは、特別の、これは本来施設で収容すべき対象の人たちだ。そうでなくて、一般の子供さんと同じように家庭で養育をしている人として、いまの中軽度の人たちに対しては特別の手当を至急につくってあげなければならない。おそらく大臣も自分の身近な人の中にそういう人がおると思うのですよ。特にそのおかあさんにとってはたいへんなことです。費用もたくさんかかるわけです。つまり朝の八時半から四時半まで、学校へ行くのにもぎっちりついている人が多いのです。しかも家へ帰っても何やかやとたいへん費用もかかる。精神的な負担からその他のことを入れて、おそらく普通の人の十倍かかるんじゃないかと思うのですよ。そういうことも含めて、軽度の心身障害児に対しての児童手当の拡大を至急にひとつ検討していただきたい。大臣いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/78
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079・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 軽度と申しますか、中度と申しますか、そういう方に対する援護の施策が講じられてない、それは私はそのとおり率直に認めるわけでございます。まあ私ども厚生省におります者は、こういう重度であろうが、軽度であろうが、中度であろうが、そういうハンディキャップを負っている方々に対しましては、できるだけきめのこまかい施策を講じていく、こういう気持ちでおるわけでございますが、その中には、やはり軽重選択の問題があるわけで、そこまで手が及んでないわけでございます。しかしながら、この特別児童扶養手当の問題にしましても、御承知のように障害福祉年金の二級という制度が今度できましたね、いよいよ四月一日から実施される、こういうふうになってまいりますと、やはりこういう問題をもっと幅広く検討して、社会的な要請にこたえていく、こういう制度を考える必要があると私は思います。
そういう意味合いにおいて、今後とも社会福祉審議会と申しますか、児童福祉審議会と申しますか、そういう方面にも十分御検討をいただいて、やはりきめのこまかい社会的な要請にこたえた施策をやっていく必要があるのではないか、こういうふうに考えます。したがって、今後ともそういう点についても研究を続けてまいることを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/79
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080・和田耕作
○和田(耕)委員 特に私、今後の児童手当の問題を考える場合に、そういう人たちをもっと重点的に考えていく必要があると思いますのは、この手当制度自身が第三子から手当を与えるというわけでしょう。これはいろいろな意味を持っているわけですね。つまり、たくさん子供ができれば手当がもらえるという考え方は、ちょうどこれができたころは労働力不足という問題もあって、それにからませた法案だなという一つの見方もされたわけですね。しかし、現在ではそういうときの社会経済状態というのとかなり変わっていますね。これは世界的に変わっておるのです。たくさんの子供という考えではなくて、適正あるいは少ない子供というふうな考え方に変わっておるわけで、この第三子という考え方自身も修正をしてみる必要がある。と同時に、つまり子供というものに対してのこの法律の趣旨も、若干意味が変わってくるということも考えなければならない。とすれば、そういうこの法律をつくった当時の考え方の一つの焦点から、やはりハンディキャップを持っている人たちをもっと手厚く見ていかなければならないというふうに考え方を次第に移していく時期じゃないかと私は思うのです。そうしないと、時代の変化に対する適応というものができないんじゃないかというように思うのです。
〔大野(明)委員長代理退席、委員長着席〕
したがって、そういうふうな児童手当法の運用というものをぜひともそういうふうにひとつ考え方の焦点を変えてみていただきたい。ということは、何も第三子には必要でないということを言っているわけではありません。出すとすれば一子、二子、三子は区別なく出すべきだということですね。そして重点を、ハンディキャップを持っている人たちにもつと現実に合った手当をやるべきだというふうに、基本的な考え方の焦点をひとつ変えていくべきだというように私は思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/80
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081・翁久次郎
○翁政府委員 ただいま御指摘の児童手当制度のあり方につきましては、御指摘のような点があることを十分承知しております。したがいまして、その児童手当制度の先ほど来申し上げております段階実施の終了時点におきましてどういう姿であるべきかということは、根本的に検討し直したいと考えております。
なお、ただいま御指摘のございました、障害を持っている子供さんに対する手当の重視、これは先ほど申し上げましたように、現在国で持っております手当制度といたしましては、特別児童扶養手当と児童扶養手当とがあるわけであります。その二つの、児童扶養手当並びに特別児童扶養手当を総合勘案いたしまして、ただいま御指摘のありました中度の障害児童をどうするかということで検討の対象にしていく、そういうことで、ただいま御指摘にございました点を十分踏まえた上で、総合的に検討し直していきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/81
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082・和田耕作
○和田(耕)委員 私の質問はこれで終わりますけれども、ぜひとも大臣、いま特殊学級に通う精薄の例をあげてお聞きしたのですけれども、ほんとうにたいへんなことだと思うのですよ。そういうことであるし、一方ではこの児童手当法の運用というものを考える社会的な状態も変化しておるという問題を考えながら、児童手当としては第一子、第二子、第三子、あるいはそれ以下の人たちの区別なしに支給するという考え方の方向が一つ。
もう一つは、ハンディキャップを持った人たちに対して、もっと手厚い援護をする方法を検討すること。ひとつ至急に御検討をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/82
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083・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 この児童手当の問題につきましては、この法律制定の際には、御承知のように人口問題的な考え方を加味しないで、児童の養育費の経済的負担の軽減ということで出発したわけでございますが、社会情勢がこういうように激動しておるわけでございます。御承知のように、最近におきましては人口問題というのは非常に大きく取り上げられるような背景を持ってきております。そういうふうなやはり社会的な事情の変化、そういうものも十分に頭に描いて考えていかなければならぬ問題でしょう。さらにまた、いまお述べになりましたような重度でない、軽度の、あるいは中度のそういう精薄その他の障害者をかかえておられる御家庭の経済的負担をどうするかというふうな問題もあるわけですから、そういう問題を含めて、最近における経済情勢を背景にした手当制度という問題について、基本的なあり方について検討し直すという時期に来ているのじゃないか、こんなふうな感じもいたすわけでございますので、お述べになりましたような御意見も十分踏まえまして、今後の検討課題にさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/83
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084・和田耕作
○和田(耕)委員 では、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/84
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085・野原正勝
○野原委員長 山口敏夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/85
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086・山口敏夫
○山口(敏)委員 福祉社会の建設という長期的な目標のもとにはなばなしくスタートした福祉元年の昨年に比べまして、ことしは物価抑制という短期的な課題と苦悩を背負いながらも、大臣はじめ政府の関係者が年金制度等、各種社会保障施策についてきわめて積極的な努力を傾注していることは、昭和四十九年度の予算編成において、特に社会保障関係予算を大幅に拡充したことなどから見ても非常に高く評価するものでありますが、しかし、国民の福祉のより一そうの充実を目ざしていくという、今後におけるわが国内政の最大の課題ということを考えますれば、昨年来の著しい生活環境の混乱等々、一方においては物価抑制のために各種施策に全力を傾注するとともに、一方においては国民の中で、特に社会的に弱い立場の方々に対して、安定した生活を保障していくための社会保障制度、なかんずく所得保障の中核としての年金制度についてさらに一そうの改善、充実をはかっていくことが必要だと確信をするわけでございますが、その点につきまして、厚生大臣の所信をまず伺いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/86
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087・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 社会保障の充実、これはもう内政の最重点課題の一つといたしまして、従来からその充実に努力をいたしてまいったところでございます。
特に昭和四十八年度においては、厚生年金、国民年金を通じまして、いわゆる五万円水準年金という、水準年金の実現と物価スライド制の確立、福祉年金や諸手当の大幅増額をはじめとする各種社会保障施策の改善をはかってまいったところであります。
また、昭和四十九年度の予算編成にあたりましては、昨今の急激な物価上昇という状況に真剣に対処いたしますとともだ、社会的弱者に特に重点を置いて、わが国の社会保障を充実することが必要であると考え、昭和四十九年度にこうした各種改善措置をこのような考えのもとにさらに一そう進めるべく、一般会計予算の伸び率一九・七%の約二倍に当たる三七%という非常に高い伸び率の厚生省予算を計上し、福祉年金の五〇%引き上げ、拠出制年金の物価スライド制の実施、こういうものをはじめといたしまして、各種給付を大幅に引き上げるなど、社会保障施策全般にわたる改善、拡充を行なうことといたしておるわけでございます。
ところで、国民生活の安定、社会福祉の増進、これは国民が広く今日要望するところでございまして、現在、国民を取り巻いておる諸情勢に十分対応、対処しながら、今後ともこれらの国民の要求にこたえるべく、社会保障施策の一そうの充実をはかってまいりたいと考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/87
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088・山口敏夫
○山口(敏)委員 申し上げるまでもなく、社会福祉の問題は、もちろん金銭だけのことで解決のつく問題でもございませんし、きめのこまかい配慮と施策の中で、今日のような生活状態を少しでも老人あるいは身障者、または母子家庭等々の生活を守らなければ、こうした狂乱物価の中に押し流されてしまう、こういう点につきましても、特に政府は今回、福祉年金について、老齢福祉年金の額を七千五百円に引き上げるなど改善をしてあるわけでございますが、福祉年金の受給者が現在の年金受給者の大半を占めておる現在の老人に対する施策としては、私は最も重要な意味を持っておるということがいえると思うわけです。そうした点につきましても、今回の改正にとどまらずに、今後さらに福祉年金の一そうの充実は進めていかなければならない、そういう点について大臣のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/88
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089・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 福祉年金の改善につきましては、つとめて今日まで配慮をいたしてまいったところでございます。昭和四十九年度におきましても、老齢福祉年金その他年金額を五〇%引き上げ、老齢年金で申しますれば、月五千円を七千五百円、こういうふうに引き上げますとともに、所得制限あるいは恩給等との併給制限の緩和の措置等を講ずることといたしてまいったわけでございますが、今後においても福祉年金を充実する、これはきわめて大事な問題でございますので、私は今後とも引き続いて年金額の引き上げ、こういったふうな改善に努力をいたしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/89
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090・山口敏夫
○山口(敏)委員 そうした年金額の増額を続ければ、もちろん福祉政策が推進をされたということだけでも困るわけでございますが、しかし大臣のただいまの御発言にありますように、この大事な年金でございますので、一そうの御努力をいただきたい、かように思うわけでございます。
さらに、厚生年金あるいは国民年金につきましても、昨日も社会保険審議会ですか、厚生年金保険部会において意見書が提出をされたと伺っておるわけでございますが、そうした面から、この最初のスライドが昭和四十九年度に実施されるということは確実だと思われるわけでございます。そのスライドの実施につきましてどのような措置を講ずるのか、この辺も大臣から伺っておきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/90
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091・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 昨年の年金の大改正によりまして、厚生年金、国民年金、拠出制の年金制度につきまして、物価スライド制というものが導入されたわけでございまして、わが国の年金制度に初めて導入されたきわめて画期的な、初めての試みであるわけでございます。したがいまして、そのやり方、実施方法については慎重に各方面の意見を聞いて行なっていかなければならぬ、こういう考え方のもとに、先般来、社会保険審議会厚生年金保険部会に御検討をお願いいたしてまいったところでございます。
ところで、同部会におきましては、本年一月以降、六回にわたり、種々の角度から慎重に検討を重ねていただきました結果、昨日、四月十日、スライド制の実施方法、やり方についての意見書の提出を見たのでございます。政府としては、この意見書の趣旨を踏まえて所要の政令を定めるなど、スライドの実施について万遺憾のないよう対処いたしてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/91
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092・山口敏夫
○山口(敏)委員 厚生年金あるいは国民年金につきましても、昭和四十九年度にスライドが行なわれた場合、その実施時期は、厚生年金は本年の十一月から、国民年金は来年の一月から、こういう形になっているわけですね。もちろん社会保障の問題というのは、いわば真の所得の公平な再分配にも寄与しなければならないわけでありますし、制度や負担のあり方等々につきましても、近視眼的な、あるいは短期的な検討等だけでは解決のつく問題ではございませんけれども、しかし昨今の物価の動向等を考えますと、これではちょっとおそきに失するきらいがあるのではないか。そういう意味において、特に石油ショック等々の直撃を受けて、国民生活におきましても、非常に多面的な問題を提起されておる。そういう見地から、昭和四十九年度に限り、特例の措置として、スライドの実施時期を可能な範囲で繰り上げて、年金受給者の生活の安定を早急にはかるべきでないか、かように考えるわけでございますが、大臣のお考えをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/92
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093・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 最近の物価上昇というものは、ほんとうに著しいと申しますか、異常なものがあるわけでございます。
そこで、厚生年金、国民年金の物価スライドについて、繰り上げ実施の措置を講じてほしい、こういうふうな国民の強い要望が寄せられていることは、十分私も承知をいたしておるわけでございます。このような要望にこたえて、スライドの実施時期を繰り上げるということにつきましては、事務的には、これはたいへん困難な面があるわけでございます。たいへんなことでございます。たいへんなことでございますが、最近の物価動向にかんがみまして、昭和四十九年度限りの、お述べになりましたような臨時の特例の措置として、このような措置を講ずべきではないかという御趣旨には、十分理解できるものがあり、国会審議の過程において、このような御趣旨で与野党の御意見がまとまりまするならば、国会の御意向を尊重して、前向きに対処をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/93
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094・山口敏夫
○山口(敏)委員 さらに福祉年金あるいは児童扶養手当あるいはまた原爆被爆者の特別手当などですね、改善が予定されておるわけでございます。これらについても、やはり物価を中心とした暮らしの問題の中で、私は、年金受給者と同じように、昭和四十九年度限りの特例措置として、その実施時期を繰り上げる必要があると思うわけでございますが、その点についても、ひとつ一緒に伺っておきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/94
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095・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 老齢福祉年金をはじめとした福祉年金あるいはまた児童扶養手当、原爆被爆者の特別手当などの改善につきましても、最近の物価上昇が著しいものがあるわけでございまして、その改善をできるだけ早期に実施してほしい、こういったふうな強い要望が寄せられていることは、私は、十分に承知をいたしておるわけでございます。政府としては、これらの各制度について最善の改善策案を御提案申し上げているものと考えてはおりますが、昨今の物価の動向から見まして、昭和四十九年度限りの臨時特例の措置として、これらの制度の改善の実施時期を繰り上げるべきではないかという御趣旨には十分理解できるものがあり、国会審議の過程において、このような御趣旨で与野党の御意見がまとまれば、国会の御意向を尊重して、前向きに対処をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/95
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096・山口敏夫
○山口(敏)委員 まあ事務的にはきわめてむずかしいという御判断もあるようでございますが、いずれにしましても、ベテラン大臣でございますから、国会のほうにおきましても、私ども社会労働委員会におきましても、野党の委員の皆さん方と十分協議して、今日の物価あるいは生活環境の中で、年金をはじめ、それぞれの特例手当等につきましても検討したいと思いますので、ひとつ政府側といたしましても、十分前向きに御検討をいただいて、実施していただきたいということを強く要望しておきまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/96
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097・野原正勝
○野原委員長 田邊誠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/97
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098・田邊誠
○田邊委員 野党各党を代表する形で、三問質問いたします。
第一問は、厚生大臣に対して質問をします。
年金制度は、所得保障制度の根幹をなすものでありまして、わが国も皆年金制度ができておるわけでありまするけれども、その内容はまだまだ不十分な点が多いわけであります。特に年金の水準については、老後の生活、障害者などの生活を保障するには、きわめて低い状態でありまして、これを格段に充実していくことが、今後の施策として望まれるところであります。このためには、現在、八つに分かれておる公的年金制度、これをばらばらに運用しておったのでは、なかなか給付内容について差があるので、その充実強化をはかれないのだということでありまするから、そのうち総合調整をはかるべきであるということも当然の成り行きであると思います。
中でも、現在の老人に対する年金の充実ということはきわめて緊急の課題であります。特に受給者が最も多い福祉年金の額を引き上げることは、国民年金審議会の意見にもありまするとおり、どうしてもこれは緊急の課題であります。福祉年金については、これから先は生活保障的な性格を強めていくべきである、このように考えるのであります。
さらに、昨今のような急激な物価上昇では、年金積み立て金が目減りをしていくわけでございまするから、いわゆる年金の財政方式を賦課方式に切りかえ、積み立てを行なうということでなくて、実際に支給する年金額の改善をはかるべきであるという意見が大きくなっておることも、これもまたうかがえるところだろうと思います。したがって、昨年国会において審議をいたしました年金法の改正によって、物価スライドというものが導入されましたけれども、年金生活者の生活水準を維持するためには、本来賃金スライドに改むべきであると思うのであります。
このようないろいろなことを考えてまいりまするならば、われわれは、形だけの年金制度だけでなくて、年金制度の全般について抜本的な改善をはかるべきときが来ている、このように思考するわけでございまして、これらの年金制度の改善について、政府は一体いかなる所信を持っておるか、この際、厚生大臣の決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/98
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099・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 厚生年金、国民年金等におきましては、被保険者の賃金体系など、所得のあり方がまちまちでございまして、景気変動の影響を受ける度合いが異なる、こういったふうな事情もございますので、年金額のスライドの指標としていま直ちに賃金そのものを用いるということは、私は必ずしも適当ではないと考えております。しかしながら、この賃金スライドを適用するかどうかについては、これはもう年金制度の基本的なあり方に関する問題でございますので、そうした基本的なあり方に関する問題の一環として考えていかなければならぬ問題であります。
ところで、年金制度の基本的なあり方全般ということになりますと、たとえば先ほどお述べになりましたように、まあいろいろな問題があるわけでございますが、特に財政再計算期の短縮、こういう問題が一つ大きな問題があります。さらにまたスライドの実施時期の繰り上げ、こういったようなきわめて重要な問題があります。こればかりじゃありません。そのほかにもいろいろ、田邊委員お述べになりましたような問題がたくさんあるわけでございます。
そこで、そういうふうな問題を含めまして、年金制度の基本的なあり方全般につきまして、国会が終了いたしました暁にできるだけすみやかに、それぞれ専門家が入っておられる社会保障制度審議会、まあそのほかの審議会もありますが、そういう社会保障制度審議会等において検討をお願いいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。そうして、制度改善に私は今後とも前向きに真剣に取り組んでまいりたい、こう考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/99
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100・田邊誠
○田邊委員 年金制度の拡充強化が今日非常に必要であるといわれておりまするけれども、何といっても憲法に規定をされた最低生活を維持する、そういうわれわれの国民的な要求から見れば、一番われわれとして考えていかなければならぬことは、生活扶助基準の問題、そしてまた社会福祉施設に入っている方々の生活の問題であろうと思います。政府は、昭和四十九年度における生活扶助基準及び社会福祉施設の入所者の生活費を、消費者物価の上昇率を九・六%と見込んで、二〇%増の改定を行なったのであります。しかし、その後におけるところの消費者物価の急騰は御承知のとおりであります。たとえば二月の全国消費者物価指数を見ましても、対前年同月比二六・三%の上昇となっているわけでありまして、せっかくの改定というものも物価上昇によって食われてしまいかねない情勢でございます。したがって、この際政府は、この生活保護基準及び社会福祉施設の入所者の生活費について見直しをする必要があるのではないかと私は思いまするけれども、これに対する政府の考え方をこの際、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/100
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101・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 困窮しておる国民の最低生活を守る、これはもう政治において最も大事なところでございます。そういうわけでございまして、こうした方々の生活扶助基準、さらにまた老人ホームその他の社会福祉施設に入っておられる方々の生活費につきましては、政府は、今日まで、一般国民の消費支出あるいは物価の動向等を総合勘案いたしまして決定をいたしておるところでございます。物価の動向が、生活扶助基準等に対し、無視することのできない影響を及ぼすと判断されるようでありまするならば、すみやかに所要の措置を講じていくべきものと考えておるわけでございます。
そこで、まだ一月、二月の消費者物価がはっきり出ておりません。そこで、三月の消費者物価がどういうふうになっていくか、これも近くわかると思います。さらにまた、昭和四十九年度における四月当初の消費者物価指数もはっきりわかると思いますので、私といたしましては、三月ないし四月の消費者物価の推移を十分見まして、そして、いま申し上げましたような所要の措置を講じていくべきである、こういうふうに私は考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/101
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102・田邊誠
○田邊委員 労働大臣、この際お伺いしたいのは、いま厚生大臣から答弁がありましたとおり、今日の消費者物価の急騰によりまして非常に国民の生活が困窮をしている、こういう事態にかんがみまして、生活保護基準の再引き上げといったようなことが行なわれますならば、当然失対に働くところの労働者に対しても、この失対賃金について、これは再引き上げを行なうべき事態が来ておるのじゃないか、このように考えまするけれども、これに対してひとつ政府のとるべき措置についてお答えいただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/102
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103・長谷川峻
○長谷川国務大臣 失対賃金は緊急失業対策法の賃金決定の原則によりまして、御存じのように生計費や物価と直接リンクするものではありませんが、昨年の十月には、諸情勢にかんがみまして、年度途中において異例の改定措置を講じました。また、昨年の十二月と今年三月の二回にわたりまして、生活保護世帯に対する一時金の支給にあわせまして、失対就労者にも就労日数増の特別措置を講じた次第でございます。私としましては、失対就労者の生活実態等につきましては重大な関心を持っておりますので、事態の推移に即して、すみやかに適切な措置を講ずるよう配慮したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/103
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104・田邊誠
○田邊委員 非常に重要な内容を含んでおる課題でありまするから、ひとつ政府がそれぞれの施策についてすみやかにそして適切な措置をとられるよう強く要望して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/104
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105・野原正勝
○野原委員長 これにて、国民年金法等の一部を改正する法律案及び児童手当法等の一部を改正する法律案の両案についての質疑は終了いたしました。
この際、暫時休憩いたします。
午後五時二十分休憩
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午後六時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/105
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106・野原正勝
○野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいままでに委員長の手元に、大野明君、橋本龍太郎君、川俣健二郎君、大橋敏雄君及び和田耕作君より国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案が、また、大野明君、橋本龍太郎君、川俣健二郎君、石母田達君、大橋敏雄君及び和田耕作君より児童手当法等の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/106
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107・野原正勝
○野原委員長 両修正案の趣旨の説明を聴取いたします。大野明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/107
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108・大野明
○大野(明)委員 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正の要旨は、第一に、厚生年金保険、船員保険及び国民年金の年金額のスライドの実施時期を、昭和四十九年度における特例措置として、厚生年金保険及び船員保険にあっては八月、国民年金にあっては九月とすること。
第二に、各福祉年金及び老齢特別給付金の額の引き上げ並びに母子福祉年金等の支給の対象となる子らの障害の範囲の拡大の実施時期を昭和四十九年十月から同年九月に繰り上げること。
第三に、各福祉年金及び老齢特別給付金について、昭和四十九年度における特例措置として、昭和四十九年九月の支払い期において当月分までを支払うものとすること。
第四に、厚生年金基金の加入員にかかる厚生年金保険の保険料率を、昭和四十九年十一月から千分の二引き下げることであります。
次に、児童手当法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
児童手当法等の一部を改正する法律案に対する修正の要旨は、第一に、児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額の引き上げ、児童扶養手当の支給対象児童の要件の緩和並びに特別福祉手当の支給を昭和四十九年十月から同年九月に繰り上げること。
第二に、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び特別福祉手当について、昭和四十九年度における特例措置として、昭和四十九年九月分を同月に支払うことができるものとすること。
第三に、特別福祉手当の認定の請求の手続を昭和四十九年九月一日前においてもとることができるものとすることであります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/108
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109・野原正勝
○野原委員長 修正案について御発言はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/109
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110・野原正勝
○野原委員長 なければ、両修正案について内閣の意見があれば、お述べを願います。厚生大臣齋藤邦吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/110
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111・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 ただいまの国民年金法等の一部を改正する法律案並びに児童手当法等の一部を改正する法律案の両案に対する修正案につきましては、政府としてはやむを得ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/111
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112・野原正勝
○野原委員長 これより国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、並びに児童手当法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
国民年金法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、大野明君外四名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/112
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113・野原正勝
○野原委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/113
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114・野原正勝
○野原委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
次に、児童手当法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、大野明君外五名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/114
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115・野原正勝
○野原委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/115
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116・野原正勝
○野原委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/116
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117・野原正勝
○野原委員長 この際、大野明君、川俣健二郎君、石母田達君、大橋敏雄君及び和田耕作君より国民年金法等の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
その趣旨の説明を聴取いたします。川俣健二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/117
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118・川俣健二郎
○川俣委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、老後保障において年金制度の果たす役割の重要性にかんがみ、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
一 厚生年金保険、国民年金、各種共済組合について、その相互の関連において、各制度充実のため、基本的に検討を加えること。
二 年金の財政方式、特に賦課方式への移行については、将来にわたる人口老齢化の動向を勘案しつつ、積極的に検討を進めること。
三 今後における厚生年金及び拠出制国民年金の年金額の水準については、社会経済情勢の推移に対応して財政再計算期を早め、賃金、生活水準の動向に応じた改善を図ること。
四 各福祉年金について、その年金額をさらに大幅に引き上げ、その範囲の拡大を図るとともに、本人の所得制限及び他の公的年金との併給制限についても改善を図ること。
五 国民年金の保険料免除者に対する年金給付については、さらにその増額を図ること。
六 遺族給付及び障害給付に係る通算措置の実現に努めること。
七 五人未満事業所の従業員に対する厚生年金の適用の問題については、具体的方策の樹立に努めること。
八 掛け捨て及び脱退手当金受給者の年金受給権の方策を検討すること。
九 積立金の管理運用については、被保険者の福祉を最優先とし、拠出者の意向が十分反映するよう民主的な運用に努めること。
なお、児童手当制度の立ち遅れの現況にかんがみ、今後一層拡充強化するよう努力すべきである。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/118
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119・野原正勝
○野原委員長 本動議について採決いたします。
本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/119
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120・野原正勝
○野原委員長 起立総員。よって、本案については大野明君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣齋藤邦吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/120
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121・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、これが実現に努力をいたす所存でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/121
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122・野原正勝
○野原委員長 おはかりいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/122
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123・野原正勝
○野原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/123
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124・野原正勝
○野原委員長 次回は、明十二日金曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X01719740411/124
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