1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月二十一日(火曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 野原 正勝君
理事 大野 明君 理事 斉藤滋与史君
理事 葉梨 信行君 理事 山口 敏夫君
理事 山下 徳夫君 理事 枝村 要作君
理事 川俣健二郎君 理事 石母田 達君
伊東 正義君 瓦 力君
志賀 節君 住 栄作君
田川 誠一君 田中 覚君
高橋 千寿君 登坂重次郎君
中村 弘海君 羽生田 進君
橋本龍太郎君 粟山 ひで君
大原 亨君 金子 みつ君
田口 一男君 村山 富市君
森井 忠良君 山本 政弘君
田中美智子君 寺前 巖君
大橋 敏雄君 坂口 力君
小宮 武喜君 和田 耕作君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
労 働 大 臣 長谷川 峻君
出席政府委員
文部政務次官 藤波 孝生君
厚生大臣官房審
議官 三浦 英夫君
労働政務次官 菅波 茂君
労働省労政局長 道正 邦彦君
労働省労働基準
局長 渡邊 健二君
労働省婦人少年
局長 高橋 展子君
労働省職業安定
局長 遠藤 政夫君
労働省職業安定
局失業対策部長 佐藤 嘉一君
労働省職業訓練
局長 久野木行美君
委員外の出席者
警察庁警備局警
備課長 山田 英雄君
文部省初等中等
教育局財務課長 松浦泰次郎君
文部省初等中等
教育局地方課長 鈴木 勲君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部財
政課長 石月 昭二君
郵政省電波監理
局放送部業務課
長 田代 功君
労働省職業安定
局業務指導課長 加藤 孝君
建設省計画局建
設業課長 井上 孝夫君
日本国有鉄道常
務理事 加賀谷徳治君
日本国有鉄道新
幹線建設局長 斎藤 徹君
社会労働委員会
調査室長 浜中雄太郎君
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委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
加藤 紘一君 志賀 節君
粕谷 茂君 中村 弘海君
同日
辞任 補欠選任
志賀 節君 加藤 紘一君
中村 弘海君 粕谷 茂君
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五月二十日
医療担当者修学資金貸与法案(藤原道子君外一
名提出、参法第一〇号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子
爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
労働関係の基本施策に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/0
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001・野原正勝
○野原委員長 これより会議を開きます。
労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本政弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/1
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002・山本政弘
○山本(政)委員 きょうお伺いしたいのは、ミツミ電機の百八名の解雇に関する件について労働省の見解をお伺いしたい、こう思うわけであります。
その前に、私はぜひ次回のチャンスがありましたら、森部社長を参考人にお呼びいただきたいと、きょうこの席上でお願いをいたしておきます。
と申しますのは、過日、十五日に調査に参りました。そのときに社長はお見えにならなくて、そしてほかの方がお出になって、いろいろお話をいたしたわけでありますけれども、責任ある答弁が聞かれなかった。したがって、その席上、話し合いで社長にも連絡をとっていただきまして、十八日に会うという約束があったわけであります。ところが、十八日に本社で会いたいというから本社に参りましたところが、ここでは困る、組合の人たちもおるから困るという話でありました。したがって、それは私どもも話し合いをしまして、そしてけっこうだということで、社長に、それでは調査団とお話をいたしましょうということで、席を変えまして指定する場所へ参ったわけであります。ただその際に、私は組合の委員長もしくは書記長、この人たちはひとつ同席さしてほしい、社長との話し合いの間に私どもが組合側にただすべきこともあるだろうからということで、一名もしくは二名という話を申し上げましたところが、それもできぬということで、議員と社長でなければお話し合いはできない、こういう話でありました。かなり私は礼を尽くしたつもりでもありますし、そして、決して大時代的なことを申し上げたこともないつもりであります。にもかかわらず、お会いすることを拒否されたということになれば、事実をどこで確かめるかということば、ほかに方法はありません。したがって、次回はぜひひとつ森部社長をお呼びすることを委員長のほうで御考慮をお願いしたいと思います。
問題の百八名の解雇に関する件でありますけれども、実は五月の二日であります。黄金週間といいますか、そういうことで、労働者が楽しんでいる最中に、経営合理化を理由に、五月二日の午後三時に、執行部に団交があるからということで一室に閉じ込めて、そうしてその間に社長のほうで、経営上の都合を理由に解雇を行なうという放送を社内でやったわけであります。しかも、放送直前に解雇者を呼び出して——放送前であります。前であるにもかかわらず、社長の放送でおわかりのように、あなたを本日をもって解雇をするという通告をしたわけであります。しかも、被解雇者が具体的な理由を問いただしましたけれども、具体的な理由というものを説明を行なわなかった。そうしてその直後に、被解雇者以外は社長の放送と同時に、終業時間三十分前に一斉に退社をさせたということなんであります。私が一番疑問に思うことは、社長のほうにきちんとした確信があり、経営上の理由ということであるならば、まず就業時間を三十分なぜ繰り上げて退社をさせる必要があるのかということですね。その辺からどうも森部社長の会社の経営に対する、あるいは会社の従業員に対する認識というものがたいへん非近代的ではないか、つまり従業員をでっち扱いにしているのではないかという感じがしてならぬわけであります。しかも経営上の理由、とこう申し上げておるわけでありますけれども、その前の四月の朝礼に、ここに出ておりますけれども四月の四日号、そこには新入社員を男子三十七名、女子三十名、合計六十七名採用しているわけなんですよ、三月末に。そのことがちゃんと先ほど申し上げた四月の四日の日に、社員に社長の朝礼のあいさつということで誌上に再録されているわけですね。人を入れておって一カ月たたない間に首を切る、この辺にも私は経営上のといいますか非常にずさんな従業員の取り扱い方があると思うのですけれども、まずお伺いしたいことは、解雇者の中に、頸肩腕症候群にかかった認定の患者でありますが、八名おるわけです。その患者全員が実は解雇されておる。
労働省のほうにお伺いしたいことは、そういう取り扱いというのが実は社会の通念上正しいあり方なのかどうなのか、つまり常識的なあり方なのかどうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/2
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003・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 先生御承知のように、労働基準法の第十九条で、業務上の疾病にかかって療養中及びその後三十日間は解雇してはならないという解雇制限の規定があるわけでございます。このミツミ電機の事件につきまして現地の監督署に調査をいたさせましたところ、確かに解雇の予定者の中には頸肩腕症候群、業務上の疾病である旨の認定を受けた者が八名おるわけでございますが、私ども監督署で調べたところによりますと、これらの人に対しまして会社のほうはまだ解雇はしていない、疾病治癒後三十日間の法に定められた期間を経過した後に解雇する予定であるという旨の通知をしたにとどまっておって、まだ雇用関係は継続しておる、かように言っておるわけでございまして、そういう意味で現時点におきましては基準法違反という、法的にそこまではいっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/3
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004・山本政弘
○山本(政)委員 それじゃお伺いいたしますが、あとで頸肩腕症候群のことについては田口委員のほうから詳しい質問があると思いますが、私はただ一点だけ。三十日たって頸肩腕症候群の人がなおっておらぬという場合に解雇した場合にはどうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/4
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005・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 いま申し上げましたのは、なおってから三十日間は解雇してはならないわけですから、会社のほうもなおったのち、三十日間経過したあとで解雇する予定だということを言ったということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/5
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006・山本政弘
○山本(政)委員 そうすると、現実にその人たちは解雇通知を受けているのですよ。私は確かめてきたわけです。その場合は一体どうなりますか。これは出ているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/6
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007・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 解雇しておるとすれば十九条違反になるわけでございますが、私どもの監督機関から私どもが聞いておりますところでは、解雇する予定であるということを通知しただけであって、まだ雇用関係は継続しておって解雇になっていないというふうに聞いておりますが、よく事実関係は確かめてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/7
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008・山本政弘
○山本(政)委員 では一歩譲りましょう。解雇する予定であるということについて、社会通念としては正しいことでしょうか、会社のあり方として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/8
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009・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 法に定められた療養期間中及びその後三十日間の解雇制限期間中に解雇するのではない、それがなおったあとで解雇するという予定の通知をすること自身は、直ちに法の違反ということまではいえないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/9
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010・山本政弘
○山本(政)委員 ぼくの聞いておるのは、法の違反であるかどうかということを聞いておるのじゃないのです。つまりそういうものが労働行政上通念としてまかり通るものなのかどうなのかということを聞いておるのですよ。あなたの考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/10
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011・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 解雇が妥当かどうかという問題は、いろいろな諸般の事情で非常にむずかしい問題でございます。これは労使間で十分に法違反でない部面につきましては話し合われまして、社会的に不当でないやり方でよく話し合いによって解決されるべきものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/11
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012・山本政弘
○山本(政)委員 解雇者の中に二人、産休で休んでいる人がおるわけですね。これは私もいまの十九条それから六十五条ですか、そういうことの関連でお伺いするわけですけれども、これは一体基準法違反になるのかならないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/12
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013・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 産前産後の六十五条による休暇中及びその後三十日間について解雇制限がございますことは、業務上の負傷疾病で治療をしている者と同じでございますが、これにつきましても、私どもが末端の監督署で調べたところを聞いておるところによりますと、産前産後の休暇中の者、これは先生二名とおっしゃいましたが、三名というふうに私どものほうは聞いておりますが、これにつきましても解雇はまだしていない、産前産後休暇の後三十日間を経過した後に解雇する予定である旨を通知しただけであって、まだ雇用関係は存続しておるというふうに聞いておるのでございまして、先ほどの業務上療養中の者と同様であると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/13
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014・山本政弘
○山本(政)委員 ちょっと、それじゃ、これごらんください。
〔山本(政)委員、書類を示す〕
私は現実に解雇されているとかされていないとかいうことをいま議論をして、技術上の問題を云々するということをお伺いしようとは思っておらぬわけです。たとえばそこにおる百八人の人が少なくとも、いま先ほど申し上げたように、五月二日の午後三時ごろに社長の放送で、経営上の都合を理由に解雇を行なうという話があって、そして個々に解雇者を呼び出して通告を受けたという現実があるということですね。ただ要するに解雇予告というものをしなかったということで、いま三十日間か就業さしているということなんでしょうけれども。ですからそうなってきますと、一歩退いて考えても、解雇予告をしているというふうに私は考えていいだろうと思うのですよ。解雇予告をしているのだと思うのですよ、その人は。あなた方は要するに三十日たったら解雇いたしますよということで、いまそこに出した百八人の人の名前が出ているのだろうと思うのですね。そうしたらそれは解雇と同じじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/14
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015・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 私どもが聞いておりますのは、これらの産休中あるいは業務上で療養中の人を除く人につきましては予告手当を払って即時解雇したけれども、これらの人についてはまだ解雇してない、それぞれの法で定められた期間経過後に解雇する予定である旨を通知した、こういうふうに聞いておるわけでございますが、先生からいただきました資料によりますと「確定者」というふうに書いてございますので、なおその辺の事実関係は十分に調べてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/15
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016・山本政弘
○山本(政)委員 委員長、お聞きのようにこういう食い違いがあるわけです。だから、社長に対してただしたいと思うのだけれども、社長はお見えにならぬし、そして組合側とそれから経営者とのほうで食い違いがあるから私どもはそれをただしたい、こう言っているんだけれども、お出にならぬということなんです。だから冒頭に申し上げましたように、ぜひひとつ参考人を呼んでいただきたいと思います。社長をですね。
そうすると、基準局にお伺いいたしますけれども、これは解雇予告ということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/16
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017・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 基準法による解雇予告でございますと、何月何日という日にちを確定して予告をしなければ基準法の予告と認めないわけでございます。この場合には病気がなおって三十日たったらというようなことで、なおるのがたとえば何日であるとかその辺はわからないわけでございますから、こういうことについては基準法の予告でない。向こうが言っておるとおりとすれば、単なるあらかじめ予定を知らせただけである、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/17
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018・山本政弘
○山本(政)委員 つまり、産休者を含めて、そういう状態の中であらかじめ、なおったらあなたは首にしますよということが労務管理上正しいあり方なのかどうなのか。その辺どうなんですか。ぼくが聞きたいことは、法律がこうでありますからというしゃくし定木なことじゃないんですよ。つまり労務行政上生きた行政になるのかならぬのかということをお伺いしたいのです。はっきりとした見解を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/18
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019・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 その措置が妥当かどうかという問題でございますが、それはいろいろな事情でほんとうにやむを得ないものかどうなのかということにもかかわると思うのでございまして、そこまで私どもまだよく事情は把握いたしておらないわけでございますが、そういうような問題であるとすれば、まさにこういう問題こそ労使関係の問題として当事者が十分に話し合って、労使の話し合いによって円滑な処理をさるべきものであると考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/19
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020・山本政弘
○山本(政)委員 この問題で第一番に百八名の解雇者のうち五十六人がミツミ労組の組合員である。その中で組合の幹部、活動家がたいへん多いわけであります。中央執行委員、それから支部の執行委員が十三人中十一名、中央委員が二十一人中十二名、元の執行委員、それから中央委員が十人、つまり私どもに言わせたら組合の中枢部というものを根こそぎに解雇しよう、そして破壊しよう、こういう目的があるというふうに感じるわけですが、その中でいま申し上げた頸肩腕症候群の全員解雇の問題がある。
第二番目には、これはお伺いしたいわけでありますけれども、ミツミ労組が会社側の不当労働行為、これの停止と救済の申し立てを起こして都労委に提出しているわけです。そういう人と、それからもう一つは、解雇処分無効の訴えを起こしている裁判の本人ではなくて、証人ですね、証人を解雇する。都労委に出ている証人は三人ですけれども、そういう証人、あるいは処分撤回裁判の証人の予定者、そういう人を含めて全部解雇しているということについて、私はよく知りませんからお伺いしたいのですけれども、これは不当労働行為になるのかならないのか、これが第一点。
もう一つは、これも社会通念として労使の関係というものが正常であらなければならないということから考えて、そういうやり方というのがやはり正しいのかどうなのか、この二点ちょっと聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/20
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021・道正邦彦
○道正政府委員 先生も御承知のとおり、労組法の第七条に不当労働行為についての規定がございますが、その第一項の第四号に、労働者が労働委員会に対し、使用者がこの条の規定、要するに不当労働行為の規定に違反した旨の申し立てをしたことを理由として解雇すること、これも不当労働行為というふうに規定いたしております。したがいまして、あとは事実関係の問題になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/21
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022・山本政弘
○山本(政)委員 だからぼくは、事実関係の問題になるということで、後段の問題について、つまりそういうあり方が労政上あたりまえのこととしてまかり通っていいのかどうかということなんです。証人になったら全部それで首切られるというんだったら、だれだって証人になるわけにいかぬでしょう。そんなら労働者のほうは証人のなり手がないということになって、要するに不利な裁定を受けることだってあり得る、十分考えられるわけですね。とすると、会社側のほうは意図して証人、になるそういう人の首を全部ぶち切っていって、自分が裁定に対して有利な立場に立とうという考えをとるのはあたりまえでしょう。そういうことが一体許されるんですか。ぼくは法規にあるとかないとかいう問題を聞こうと思っているんじゃないですよ。一体そういうやり方というのが労政上許されるのかどうか、そのことを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/22
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023・道正邦彦
○道正政府委員 労使関係は労使の自治がたてまえでございますので、労使が話し合って事態を円満に解決するのが理想であることは申すまでもございませんが、組合法はその間にあって労使がそれぞれ守るべきルールを定めておるわけでございます。その大きなルールの一つが不当労働行為制度でございますので、労政のあり方からどうかというふうにお尋ねがございましたが、それにお答えするとすれば、いかなる場合にも不当労働行為にわたることがあっては困るということははっきりしていると思います。
ただ個々具体的なケースが不当労働行為になるかどうか、その事実認定につきましては、また法律がみだりに他者の介入を不適当と認めまして、公正な第三者機関である労働委員会制度というのをまた法律が定めておるわけでございます。
先生のお話にもございましたように、ミツミ電機の事件につきましては、労働委員会に係属しているものもございますので、そういう第三者機関が公正な判断をしていただくことを労政当局者としては心から期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/23
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024・山本政弘
○山本(政)委員 それはおかしいんですよ。要するに、労使の間の紛争がある場合に、使用者のほうは証人をたくさん出せるけれども、労働者のほうからは証人を全然出せない。出した場合には全部首をたたき切られるということだったら、証人は出っこないじゃありませんか。その間に労使の正常な関係というものは期待できるんでしょうか。それから、要するに都労委の十分な公平な第三者としての裁定ができるものだろうかどうだろうか。証人を出しなさい、こう言われたときに証人が出ませんということになれば、それじゃ証人が出なければ出ないほうが不利な立場になるのはあたりまえでしょう。そのことを予知しながら首を切るというのですから、ぼくはたいへんおかしな話だろうと思うのですよ。大臣は目をつぶっていらっしゃるけれども、どうです。ぼくは詳しい労働法規の関係なんてよく知りません。しかし、社会的な通念としてそんなあり方というものが許されていいのかというと、許されないと思うのですよ。もしわれわれが労働者の立場になって、労働者であるとして、そういうことをやられたら、どこにもそういうことに対して公平な裁定を受ける場所がないということにしかならぬじゃありませんか。ぼくはだから、そういうあり方が、会社のやり方が正しいのか正しくないのか、望ましいのか望ましくないのか、そのことを聞いているのですよ。労働省の希望を聞いているわけじゃない。好ましい、こうあってほしいなんということを聞いているのじゃないのですよ。現実を踏まえて、その現実の中で一体それがほんとうに労働者に対して不利な立場に追いやるのではないのかと私は質問しているわけです。そのことに対する答えをしてください。きちんとした答えをしてほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/24
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025・道正邦彦
○道正政府委員 一般的な原則でなくて具体的な問題だというふうになりますと、これはまさに労働委員会がきめるというのが法律のたてまえになっております。したがって、公正な第三者機関である都労委が公正な判断をしていただくということを期待する以外にないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/25
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026・山本政弘
○山本(政)委員 裁定の最も大切な基礎的条件が欠格をしている場合に、この欠格をさしたことに対して何ら労働省としては不審を、あるいは疑義を差しはさまないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/26
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027・道正邦彦
○道正政府委員 私どもは重大な関心をもって調査をいたしております。一いろいろ経過があるようでございまして、一日も早く労使が円満な話し合いによって解決をすることを期待いたしております。
また、一般的な原則、方針を言えということでございますれば申し上げるわけでございますけれども、先生のおっしゃるように具体的な問題になればこれは労働委員会が扱うというのが法律のたてまえでございますから、労働委員会の御判断を求める以外にないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/27
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028・山本政弘
○山本(政)委員 一般的な言い方からすれば、あなたのおっしゃるとおりなんです。都労委が第三者として公平な立場に立って、そして裁定を行なうというのはこれは一般的な話です。そこに特殊的な問題が出てきているのですよ。証人に立つ者は全部首を切る、そういうものが出てきているのでしょう。そういう特殊的な問題が出てきている場合に、一体それが社会通念として正しいのかどうかということなんです。後者が一般的じゃないでしょう。——じゃ、道正さんにお伺いします。あなたが社長だったら、組合から労働者が証人に出る、全部首を切っていいとあなたはおっしゃいますか。首を切れとおっしゃいますか。具体的な問題ですよ。裁判の証人、都労委の証人三名、これが証人として出ている。おそらくそれこそぎりぎりの数でしょう。よし、それじゃこれを切れば証人に立つ者はおらぬとお思いになったときに、あなたはやはりお切りになりますか。あなたが社長の場合、仮定の問題ですよ。答えてください。きょうの問題はそれが一番大切な問題なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/28
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029・道正邦彦
○道正政府委員 どうもお答えが平行線になりまして恐縮でございますけれども、個別の事案、さらにそれが具体的な問題になればなるほど都労委の判断できめる、私はここで、仮定を置いてのお尋ねではございますけれども、申し上げることが、やはり具体的な労使関係がデリケートであればあるだけそれに響くわけでございますので、差し控えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/29
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030・山本政弘
○山本(政)委員 森部さんはこう言っているのですよ。これは社内報なのですが、この社内報の中で、この調子でいけば厚木事務所の収益性改善も時間の問題だ、こう言っているのですよ。それで、この文章の中に先ほど申し上げましたように——首を切る前ですよ。「その一つは入社式で、今年は」、つまり三月末です。「男子三十七名、女子三十名の新入社員を迎えました。」六十七名入れておって、それで百八名首を切ったわけですね。もしも六十七名採用しなかったならば、それでは六十七名の首が助かるのかどうかという問題が出てきます。入れておって首を切るということでしょう。これは首切りを前提にして入れるということになるのかどうか。一つはそういう疑いが出てきますよ。
もう一つは、五月二日の社長のあいさつの中で、経営が悪くなったから経営合理化のためには要するに解雇をしなければならぬ、こう言っているのです。ところが、四月四日のいま申し上げた社内報の中には、「厚木事業所は、現鈴木所長をはじめとするみなさまの努力によりまして、このところ業績面でも、あるいは工場内のムードの面でも大きな改善のあとが見られます。」こう言っているのです。そうして続けて、「この調子をもってすれば、残る収益性の改善も時間の問題と考えられますので。新所長を中心に、みなさんの益々の努力を期待したい」、こう言っている。そうしてそこあとに、「すでに、おにぎり誌上」というのは、これは社内報でしょうね。「おにぎり誌上でも紹介されたように、国内会社の最新公開特許ランキングで、当社は四十二位という好成績を納めたことであります。これはダイヤモンド社が、毎年各社の公開件数を集計し、百五十位までをランクづけして発表するもので、四十七年七月から四十八年九月までの一年間に、当社は特許百七十八件、実用新案四十六件、合わせて二百二十四件を公開しており、前年度の二百位以下のランクから一挙に四十二位に躍進したということで、当社の技術開発力の強さと、社員のやる気を世間に知らせることができました。」と誇示しているのです。四月四日です。そして五月七日には、社長の朝礼で、経営が悪くなったから首を切ります、こう言うのですよ。こんなのは実に無定見じゃありませんか。一カ月たってない間に、片一方では業績が向上したから皆さん御安心御安心、社内のムードもよくなった、こう言っているのですけれども、一カ月たたない五月七日には、今度は経営が悪くなったから首を切ります、百八人ばっさり。なるほど、すぐ解雇をしてないとか解雇しているとかいうことでいま基準局長から御答弁があったけれども、それじゃ、かりに産休が明けたり、頸肩腕症候群がなおった、こういうことで三十日たったら首を切っていいということで正常な労使関係というものが期待できますか。あなたは産休が明けて三十日だったら首を切るのですよと言っておって、仕事をやりなさいといってちゃんと仕事ができると思いますか。あるいは頸肩腕症候群がなおったら三十日たったら首を切りますということで、その人たちが安心した気持ちで治療を受けられるだろうかどうだろうか、そこにあなた方のおっしゃるきちんとした労使関係というものが生まれますか。生まれるか生まれないかだけ聞かしてください。いろいろ問題があると言うけれども、そのことだけで見たってたいへんおかしなことになっているじゃありませんか。まさにでっち扱いですよ。いずれぼくは大蔵委員会でもこれを質問しようと思っているのですよ。この会社はいろいろ問題があるわけでしょう。株の問題もあるのですよ。西ドイツと株の問題何年か前に問題を起こしているんです。有価証券を見たらたいへんおもしろいことが出てきますよ。そんな経営の中で労使関係というものが、すべて経営が悪化してきたら首だけ切ればいいということでいいのかどうかという問題、ぼくはたいへん疑問になってきていると思う。それで、ぼくがお伺いしたいのは、病気がなおったら三十日で首が切られるということを知ってて労使の間が正常になれるかどうなのか、あるいは産休があけて三十日たったら、法律では切れるとおっしゃるんだけれども、その中でちゃんとした労使関係ができるとお思いになるのかどうか、その点聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/30
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031・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 そういう予定の通知を受けておりますれば療養中でも非常に不安であることは、先生御指摘のとおりであると思うわけでございます。ただどうしても解雇がやむを得ないものとすれば、なおったとたんに切られるよりは、そういう通知があればまたそれなりのあれで次の職場を心がけるというようなこともある場合もあるわけでございますから、その事情がどうなのかは、いろいろな全体の事情の中でやはり考えなければいけないわけでございまして、そこまでは私どもも詳細には存じませんが、そういう問題についてこそ、これは労使関係の問題でございますので、両方が率直な話し合いによって円滑な処理をはかられることが適当であろうと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/31
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032・山本政弘
○山本(政)委員 そうでしょう。だから、円滑な話し合いというものは、適当な機関を設けて、そうして労使の間で、組合と話をしながら、会社の経営実態も認識をしてもらう、そして納得してもらって、会社の経営の方途を講ずるという、それならぼくはまだ話がわかると思うのですね。しかし事前にそういう話し合いは全然抜きにしておって、いきなり百八名の人の首を切るということは、これは労使関係の中では望ましいことではないということははっきり私は言えると思うのです。念を押してお伺いするのですけれども、本来ならばちゃんと適当な時期に適当な機関を設けて労使の間で話し合いをする、そして経営の実態も認識してもらうということが私は正しいあり方だと思うんだけれども、その点どうでしょう。どちらのお方かわかりませんが、聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/32
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033・道正邦彦
○道正政府委員 私どもの調査によりますと、労働協約で、解雇協議約款等の規定はないようでございます。しかしながら、一般的に申しまして、経営不振を理由に従業員を解雇するというケースがあるわけでございますが、通常のケースでございますならば、先生御指摘がございましたように、従業員に十分事情を説明して、両者話し合いの上に解雇が行なわれるのが望ましいことは、おっしゃるとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/33
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034・山本政弘
○山本(政)委員 そうなんです。この会社には労使の間の協定がないのです。私もたいへんおかしいなという感じがしている。ここに協定のかわりに、要するに団交で事項を確認をして、それを基礎にしてやってきたような形跡があるのです。私は、そういうあり方というものが実際に正しいあり方なのかどうか知りませんけれども、しかしそういうことになっている。しかも社長が言っているのは、まず首を切るんだと、その次に売り上げの増進、製品の値上げ、材料費の低減化、経費の一大幅削減、不採算機種の整理統合、在庫の低減化一をやるんだ、こういっているんです。全く逆なんですね。いま申し上げたようなことをやって、なおかつだめならば、私は人間の整理というものもやむを得ないんだろうと思う。同時に、その整理をするのには、いまさっき申し上げたように、労使の間で協議していくということが望ましいと思うのですけれども、つまり、まず首を切って、そして人を減らしていって、そしてそのあとに、いま申し上げた売り上げの増進とか製品の値上げとか材料費の低減化、経費の大幅削減、不採算機種の整理統合、在庫の低減化ということをやるんだという。逆なんですよ。言いにくいことでしょうけれども、森部という社長のあり方というのは、私はたいへん時代錯誤なことをやっておると思うのです。だから、それが実は私どもが行ったときりああいう態度になって出てくるんだろうと、こう思うのです。ここで要するに昨年度の経営実績なんか言ってもしょうがないと思いますが、これは新聞にも出ましたし、それからここに切り抜きを持ってきたんですけれども、いろいろな雑誌にも出ておるようでありますけれども、労働省として、労使の正常な関係について一体このミツミに川してこれからどういう指導をなさろうと、そのお考えがもしあれば、私は聞かしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/34
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035・道正邦彦
○道正政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、個別のケースについてそれが不当労働行為になるかならないかという判断は、制度上労働委員会がやるのが適当であるというたてまえになっております。したがいまして都労委が本件について公正な、しかも迅速な結論を出すことを期待するわけでございますけれども、労働省といたしましても、一般的に申しまして、労使関係が労使の話し合いによって自主的にかつ円満に解決されることが望ましいことは当然でございますので、重大な関心を持ちつつ、法のたてまえは尊重しつつ、できる限りの努力をしてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/35
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036・山本政弘
○山本(政)委員 いまここに紙をもらったんです。「全社員の良識を信ずる 社長」というので、五月二十日の社長朝礼。「しかし、現状の解雇撤回斗争が、ますますエスカレートし、社内の混乱が長びくようなことになれば、改善できるものもできなくなり、業績の悪化が続き、考えてもみなかった二次、三次の人員整理問題に発展するおそれも生じてきます。」そのあとです。「経営の改善について非協力的な組合が強くなることではなく、経営の改善が予定通り実行されるかどうかにかかりている」と、こういっておるんですがね、これは「二次以降の解雇問題を防止するのは」に続いて、こういっているんです。そうするとこの社長というのはすでに、組合というものは非協力的なものだというふうに頭の中に入れ込んでやっておるわけですね。大臣、ちょっと、森部という社長に会って、一ぺん実態をあなたはお伺いをする気持ちはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/36
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037・長谷川峻
○長谷川国務大臣 先ほどからの質疑応答を拝見していると、いろいろ、何さま具体的な会社の問題でありますから、解雇されたという話もあれば、解雇予定者であるという、知らせたという話もあり、一つ一つの問題については労働省としても具体的にいま調査できないことは御存じのとおり。しかも、やはりそういうふうに複雑になればなるほど、やはり具体的な事案が不当労働行為に該当するかどうかというのは、やはり独立専門機関である労働委員会にお願いしていることでありますが、一般的に申しまして、やはりこういう大事なときに労使が協調しながらやってもらいたいという、その間に無用な摩擦、そして、将来の企業の運営に影響のないということを実は願うわけでありまして、いますぐ、それほどやかましく言う森部という人を呼んで、私がいろいろどういうことですかと聞くのもどうかという感じも持ちますので、いずれにいたしましても、労働省のいろいろな機関を通じて、こういう委員会で出たのを参考にしながら、円満な労使慣行が生まれ、そして、みんなが気持ちよく働けるようなそういう方向に持っていかれるようにひとつやってみたい、こう思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/37
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038・山本政弘
○山本(政)委員 私が非常に不審に思うのは、つまり、基準局長の言うように、かくかくのここに名前の出ている人たちを、要するに、たとえば産休が明けて三十日間、あるいは頸肩腕症候群がなおったら、三十日たったら整理するのだ、解雇するのだというふうな腹を会社が持っているとするならば、まず第一番に不審なのは、どうしてその人たちの名前が組合側にわかったのかということが不審なんですよ。
第二番目には、それは、あなたのおっしゃるように、首を切られたら次のほうの仕事にいくんですよという心がまえをしなさいというのだったら、たいへん酷薄なやり方だと思うのですね。いま、普通の会社でも整理をしようとしたら事前に一緒に話し合いをする。要するに、配置転換も考えるでしょうし、他社への就職の世話もしますよ。だけれども、そういうこともやらないで、ここで自分たちで食っていきなさい、こういうわけでしょう。そういうことで名前を出すということが労務管理上正しいのかどうなのか、あるいは社長、経営陣の考え方は狂っているんじゃないかという感じがする。
そこで、私がここで基準局長にお伺いしたいことは、この人たちがあなたは解雇しますよと通告を受けているんだったら、これは間違いなく基準法違反になりますね。解雇いたしますということになれば、先ほどの話からいけばそうですね。それだけ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/38
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039・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 解雇しておれば、基準法違反になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/39
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040・山本政弘
○山本(政)委員 ですから、解雇通告がいっておればでしょう。解雇いたしますよということで解雇通告がいっておれば、違反になるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/40
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041・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 解雇するという通告がいっておれば、違反になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/41
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042・山本政弘
○山本(政)委員 違反になりますね。はい、ありがとうございました。
私はこれで質問をやめますけれども、いま話をしたように、どうも森部という人、一カ月の間に言っていることが違ったり、それから社長の朝礼のあいさつを見ましても、組合を組合と認めない認めないというか、つまり、組合というものは会社に全く非協力的な存在であるというふうに頭からきめつけて、話し合いの余地がないというような態度をとっているということは、少なくともミツミの会社と労組の間の正常な労使関係というものを誤っている、こう思うのです。それが一つ。
もう一つは、先ほど大臣もおっしゃったように、基準局のほうで理解をしていることと、私どもが理解をしていることとは食い違いがあるわけです。そうして、その食い違いをただそうとするにもかかわらず、社長は、委員長がおってはだめだとか、書記長がおってはだめだとか、一人か二人の人が要するに交渉の、交渉というよりか、私どもと社長の話し合いの場に入ることに対して、出席することを拒むというようなことがあるわけです。したがって、これはぜひ委員長にお願いしたいのですけれども、間違いなくひとつ参考人に呼んでいただきたいと思うのです。疑問がたくさんありますから。そうして、私は、少なくともいままでは社長に対して礼を尽くしたつもりです。それがいま申し上げたような結果になっておるわけですから、ぜひひとつお考えを願いたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/42
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043・野原正勝
○野原委員長 委員長から申し上げますが、理事会で相談いたします。田口一男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/43
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044・田口一男
○田口委員 まず大臣に、労働の基本姿勢について一言だけお伺いしたいのです。
たしか先月の十一日の本委員会で、弱者救済の問題でいろいろやりとりがありましたが、最終的に大臣の答弁で、失対賃金の引き上げについての考え方は、物価の上昇の度合いを見ながら検討するとかいうことです。たしか、私どもが新聞で見る限りでは、去年一年間の平均上昇率が一七%、この四月、一カ月だけの瞬間風速を見れば二十数%、こういう数字が出ておるのですが、失対賃金の引き上げについて、大臣、その後の経過についてどのようなお考えを持っているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/44
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045・遠藤政夫
○遠藤(政)政府委員 失対賃金につきましては、先生御承知のとおり、緊急失業対策法の規定によりまして、同一地域の類似の作業に従事する労働者の賃金を基本にいたしまして、賃金審議会の意見をもとにいたして労働大臣が決定する、こういうことに相なっておりまして、毎年八月の調査の結果をもとにいたしまして翌年度の賃金が決定される、こういうことになっております。したがいまして、四十九年度の賃金決定にあたりましても、昨年の八月調査の結果をもとにいたしまして、一九・二%の増額をいたしたわけでございます。その間に、十二月、それから本年に入りまして緊急事態というようなことで五%の臨時的並びに増給措置二回、合わせて三回の特別措置を講じたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/45
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046・田口一男
○田口委員 十一日の答弁の精神からいって、いまの局長の答弁では、去年十月五%上げたし、本年四月一九%上げたのだからまあ必要がないじゃないかというようにとれるのですけれども、四月十一日のあの答弁の趣旨からいうと、物価の上昇の度合いを見た上で考えなければならぬ、こういうふうに私どもは受けとめておるのですが、この辺、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/46
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047・長谷川峻
○長谷川国務大臣 局長から経過について御説明申し上げたわけでありますが、本年度は一九・二%上げておるわけでありまして、物価そのものには直接スライドはしませんけれども、動向を見ながら私たちはいままで善処していることは御理解いただいておると思います。そういう意味で、いまから先も考えていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/47
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048・田口一男
○田口委員 では、それはわかりました。
そこで、この委員会で頸肩腕症候群ということについては何回かやりとりがあって、その経過については私も承知をしておるつもりなんですけれども、ここで一応中間的に問題点の整理をすれば、私は三つぐらい問題があるのじゃないかと思うのです。ひとつ基準局長のほうで、そうか、落ちておるか、それ以外の問題があるかということも出してもらいたいと思うのですが、まず一つは、基準法の施行規則三十五条第三十八号で規定しておる、その他業務との関係が明らかな疾病ということで、この条項で扱っておることが一つ問題になっておりますね。ですから頸肩腕症候群というものは職業性疾病なんだ。これを三十七号にするか三十九号にするかは別として、この段階ではっきりすべきじゃないかというのがいままでのやりとりの問題点の一つだったのです。それから二つ目の問題は、こりいった疾病でありますから見るお医者さんによっての差もあるだろう、診断をする医師によって違いがあるのじゃないか、そういうことから、診断をするお医者さんを選定をする自由がこちら側にとってみればあるのじゃないか、いや、その自由があるなしということが一つの問題になっております。
それから三つ目は、当然に職業病ということ、また職業という原因からいえば、企業主の側にそういう職業性疾病患が発生しないように予防をする義務がある。その予防をする義務を追及する立場で補償責任というものは一体どうなのか、これを明らかにすべきではないか、この三つぐらいが今日までの委員会を通じて、国会の外でもそうですけれども、頸肩腕症候群についての問題点、こういうふうに私なりに整理をしたのですが、その辺、局長、どうですか。
〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/48
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049・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 大体主要な問題点、先生おあげになりましたようなことであると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/49
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050・田口一男
○田口委員 そこで、まだ今日の段階では、頸肩腕症候群についてはこれは業務に起因する、こういった点について明快な答えは出ていないと見て差しつかえないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/50
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051・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 頸肩腕症候群が全部業務上であるわけではないわけでございまして、業務外の原因によりましても頸肩腕症候群になることが非常にあるわけでございますので、病名が頸肩腕症候群となったからといって全部業務上であるわけではない。しかし業務に起因いたしまして頸肩腕症候群になったと医学的に認められる、こういうものは業務上として取り扱っておる、これはもう私どももずっと以前からそういう取り扱いをしておるわけでございます。
問題は、業務に起因したものであるかどうかという個々の場合における認定の問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/51
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052・田口一男
○田口委員 確かにおっしゃるとおりだと私も理解をしておるのですが、何でもかんで 頸肩腕症候群と名前がつけば業務上だとは、私はそこまで言いません。業務に起因をして関係がある、そういう場合に、いまおっしゃったように認定をする側は、はっきり言って労働基準監督署——単純な言い方ですよ。私が労働者であればいろいろな証拠をあげて、これは業務上に起因する、そういったことを挙証した結果、確かにそうです、業務上と認定をしますと言うのは労働基準監督署ですね。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/52
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053・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 法令上、労災保険につきまして認定をするのは監督署長の権限になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/53
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054・田口一男
○田口委員 そこでさっきのミツミの問題に関連するのですけれども、山本委員が頸肩腕症候群の問題に触れておったのですけれども、百八名のうちで何人かが頸肩腕症候群、業務上だといって認定をされた、その者が解雇された、それから申請をしようとする者も解雇されておるのですね、私どもが労働組合から聞いた限りでは。その際に、こういう会社側の文書があるのです。いま局長がおっしゃった、認定権は労災法上労働基準監督署長にあるということを認定したのですけれども、「当社における頸肩腕症候群の実情について」というミツミの人事部長の通達です。そこで長々と書いてあるんですが、「労災の取扱いを一時保留に……」という大きな見出しで、簡単ですからちょっと読み上げてみます。「このように、会社は本人達の行動や特定医師の診断にきわめて大きな疑問を感じ、やむなく、これらの問題が解明するまでの間、その休業保障についての取扱いを一時保留にするとともに、その後の頸肩腕症候群を訴える人達についても、会社としての労災申請を一時中断したのです。」というのは、私がさっき一番初めに言った問題点の第二ですね、医師の選定の自由。この人事部長の通達によると、「特定医師の診断にきわめて大きな疑問」というのは、前にこういう表現があるんです。「提出される診断書の殆んどは鬼子母神病院」といって、それから名前を二、三あげておるんですが、「民医連やその他特定な医療機関や、病院に限られている」、そのことを受けて「大きな疑問を感じ」という表現になっておるんです。「最近では一部の人が独自で労働基準監督署に申請をし、それが認定されましたが、その認定根拠は全く示されていない現状です。業務上の原因で発病したか否か——医学界でも結論を出し得ない難解な疾病に対して“作業に無関係とはいえないだろう”という理由だけで認定されたのでは、前述のような疾病の特殊性や一連の行動からみて、会社としても納得できないのです。」こういう理由で労災の取り扱いを一時保留にする、こうなってくると、この申請の動機、いろいろ事実関係はあるのでしょうけれども、ともかく最終的に認定をする機関の労働基準監督署で、あなたは業務上に起因する頸肩腕症候群ですよと、こう認定をされたものを、難解な疾病で、結論も出てないのにそう簡単に認定されちゃ会社はたまったもんじゃない。いわば労働基準監督署の認定に対して反論を加えておりますね。認めてないと言ってもいいと思うのです。こういう場合に一体労働基準監督署の認定するものの効果、厳密に言うとどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/54
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055・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 労働基準監督署長が認定をいたします場合につきまして、キーパンチャーのように非常にむずかしい職業病につきましては、私ども、非常に例が多い手指作業などの場合につきましては、その道の専門家に認定基準というもりをつくっていただいておりまして、それを基準にして、出てきた診断書等で認定をする、その基準になかなか明確に該当する場合でないものにつきましては、もちろん主治医の方の診断書がついておりましても、さらに専門のお医者さんの御意見等も聞いて監督署長が認定をいたしておるわけでございます。使用者のほうでそういう結果についていろいろ御疑念がある場合もあるかと存じますが、監督署長としてはそういう慎重な手続で認定をいたしておりまして、行政上、監督署長が認定をいたしましたものは法令上の業務上の疾病である、こういうことで取り扱っているわけでございます。したがいまして、使用者がそういう気持ちとしてそれがおかしいと思われることは御自由でございますけれども、法的に申しますと、監督署長が認定をいたしましたものは、法令上はやはり業務上の疾病にかかったものとして取り扱っていただかなければならないわけでございまして、監督署長が認定をしたものを、法令上取り扱いにつきまして、業務上の疾病にかかったものでないとして取り扱われるというようなことになると、それぞれの法令違反の問題が使用者に生じてくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/55
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056・田口一男
○田口委員 重ねてだめを押しますけれども、そうすると、この文書でいっておるように、会社側のそういった判断から、認定をされてもその休業補償についての取り扱いを一時保留するということについては、これは明らかに違法ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/56
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057・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 保留するという意味がどういう意味かよくわからないのですが、たとえて言いますと、もちろん基準法に、そういう業務上の疾病で療養された場合に休業補償の義務などございますが、おそらくこういうミツミ電機といったような製造業のものについては、いまもう全部強制適用でございますから、労災保険に加入しておりまして、休業補償を使用者が直接お払いにならなくても、労災から休業補償が出る、療養補償が出るわけでございます。したがって、保留するとおっしゃったことがどういうことを保留されるのかよくわかりません。もしそれが、たとえば先ほども議論にごさいました解雇制限等々の法令上の義務について、そういうものを業務上の疾病にかかったものとして取り扱わないということであると、それは違反になるわけであります。法令上の問題でなくて、たとえば会社の規定、内規等によりまして、労災保険のほかに、会社独自の上積みのいろいろな給付をしたりなんかする取り扱いがされておる、そういうものを適用しないというだけで、法令上の取り扱いについては、業務上疾病にかかって療養している者に対してとるべき処置はとっておるということになりますと、これは法令違反という問題ではない、会社の内部のそういう規定の運用といった内部問題になるわけでございまして、お読みになりました保留するということを何を意味するのか、どうもそれだけのお話ではどちらともちょっとにわかに判断はできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/57
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058・田口一男
○田口委員 そこのところで、言いがかり的な言い方をするのじゃないですけれども、組合のほうで聞けば、その保留をするという中身は、労働協約で賃金の一〇〇%を補償するとかどうとかという条項がありますね。そういったものをも含めて言っておるのだろうと思うのです。組合側の意見ですよ。ですから会社側としては、この問題で、じゃ保留するのは何か、いま局長自体が疑問に思っている例の法で規定されておる補償までも保留するのかどうか、その辺のところをこちらは聞きたいわけです。聞きたいから社長にお会いをしたい。それがさっき山本委員が言ったように、なかなか会ってくれない。こういう問題があるものですから、私は一方的なこの文書を、自分なりに解釈してこの文書をそのまま読んだわけですけれども、いま言った労働協約に結ばれておる、たとえば付加給付的なものの保留という意味ならこれはわかりますよ。しかし、ここではそういうことは一言も触れてなくて、休業補償についての取り扱いを一時保留する、その後の頸肩腕症候群を訴える人たちについても、会社としての労災申請を一時中断する、これはどういうふうにとれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/58
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059・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 労災保険の申請をされる場合には、通常の手続でございますと、やはり会社に判こをついていただいて申請書を出してもらう手続になっております。しかし、会社がどうして認めないと、自分は業務上だと思うのに労災補償の申請もできないということになりますと、労働者の権利保護に十分でございませんので、基準機関といたしましては、会社がどうしても判こをつかないような場合には、会社の判こなしでも、そういう事情を説明して申請ができる、こういうようにいたしております。その場合には、会社の判こがなくても役所としては申請を受理いたしまして、そして、基準局の職権で、労働者の申請の内容、診断書、その他諸般の事情を調査して、そして業務に起因する疾病であるかどうかを認定する、かような取り扱いにいたしておるわけでございますから、会社が申請の手続を一時保留するということをいたしましても、労働者としては、そういうことで監督署においでいただければ、申請を受け付ける、こういう取り扱いにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/59
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060・田口一男
○田口委員 法的な手続ということからいえば、会社が判こを押さなくても労働者が訴え出る、その道は開かれておる、それはわかるのですけれども、それじゃ、会社の判こをもらわずに申請し、労働基準監督署が厳密な調査をした結果、これは業務に起因する職業性疾患だ、こう認定をしたものが、それじゃ、休業補償は、中身は知りませんけれども、保留する、こういったやり方を会社がとった場合に、はたして、先ほどから大臣なり労政局長が言われておるような正常な労使関係ということが保てるかどうか。
私はその前に言いたいのは、これは何でもかんでも、好きで、いやがらせで、私は頸肩腕症候群になりました、ひとつ職業病と見てくださいというような人は労働者でいないと思うのです。その仕事が、私も二、三時間現場を見てきたんですけれども、なるほどなという感を深くしたのですが、そういった頸肩腕症候群というようなものが発生しないように、労働者からもいろいろな要求があると思うんですね、職場改善の。それらを十分労使が話し合って取り入れる、改善をする。しかもそれでなおかつ職業病と認定されたのならば、それに対して法の定めるとおり保護をする、さらに労働協約で定められておるように付加給付もする、こういう状態が続けば、これは労使の間はそういう険悪なものにはならぬと思うのです。しかし、どういうかげんか、よその会社は出ていないのに、うちばかり出る、それは一つの労働組合の戦術だというふうなとり方をして、保留にしたり会社としての申請は中断をしたり、こういうことを積み重ねてきた上で今回の大量解雇。その中には、先ほど山本委員からも質問がありましたように、すでに認定された患者が十人。これはさっき局長が言われたように、基準法第十九条の精神からいって違法ですね。解雇制限の条項からいって、認定されておる者を解雇するということは違法でしょう。この辺のところをもう一ぺんはっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/60
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061・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 その点につきましては、さっき山本委員の御質疑でもお答え申したのでありますが、私どもが調べた限りにおいては、そういう監督署で業務上の疾病と認定された人に対してはまだ解雇していない。病気が治癒して、その後三十日たった後には解雇することになろうという予定の通知をしただけであって、解雇はしていないというふうに、私どもは末端の監督署の調査の結果として報告を受けておりますが、先ほど山本委員は、そういう人たちは解雇されておるのだという御指摘がございましたので、その辺の事実関係につきましては、さらに確認を今後いたしてみたい、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/61
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062・田口一男
○田口委員 ここでは、会社側の意見を私どもは全く聞いておりませんから、組合側の資料による以外にないのです、さっき言ったように社長は会ってくれませんから。
これはもう一ぺん確認をしたいということですから早急にやってもらいたいのですが、だれとだれとだれが今度の解雇の対象になったかということを。組合側では、百八名やるというけれども、人名を確認するまでに至ってないんですね。それでいろいろな手だてを講じて調べた結果の中に、名前は省きますけれども、職業病として治療中、それから職業病認定患者、これは本人の申し出をそのまま記録したのだと思います。この者を首切ってない、いまのお答えですとね。しかし本人にとってみれば、私は頸骨腕症候群の認定をされていま治療中なんです。そして解雇を言い渡されました。こんなおかしなことありますか。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/62
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063・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 その辺の事情はよく確認をいたしてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/63
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064・田口一男
○田口委員 もう一つそれに関連をして、さっきからいわれているように、ミツミという名前があがったから大臣もたいへん言いにくいというような表現でしたけれども、職業病として認定された者は十九条の趣旨からいって解雇は違法である、これは一般的に言えますね。ところが申請をしておる者、私はどうも頸骨腕症候群らしい、それでお医者に見てもらったらそうだということで申請をし、最終的に認定を基準監督署のほうではしてないけれども、まあ係争中といいますかその問題がはっきりしないその段階の者を解雇するということは、基準法の精神からいってどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/64
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065・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 私どもが監督署で調べたところによりますと、申請中の方で解雇された者は四名いるということでございますが、会社のほうでは、もし申請中で監督署がいま審査している、これについて業務上の疾病であるということが認定をされれば解雇は撤回すると監督機関に対しては言っているそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/65
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066・田口一男
○田口委員 そこで一番初めの問題にまた戻るのですけれども、こういった頸肩腕症候群という最近珍しい、業務に起因するかどうかの判定がむずかしい職業性疾患というものが多発をしてきた、それで申請をする、また認定された。これをいまのお答えによりますと、基準監督署でそれは業務上ですと認定されたら解雇を撤回しますというふうなこと、それはあくまでも机の上でものを書いているだけの話で、現実に申請中の労働者は毎日毎日生活をするのですから、おまえは首だぞ、しかし基準監督署のほうで何とか言ってきたらまた取り消してやるわなというようなことが、社会常識上これは許されますか。それはひとつ労使で話し合ってみろと言いたいのでしょうが、こういう問題についてやはり一つのはっきりしためどを立てて、見通しをつけてやるというのが労働省の役目じゃないですか。この辺どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/66
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067・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 特にそういう労使関係の複雑な問題ができるところにつきましては、そういう不安定な状況に置かないためにできるだけ早く判定をして、労使双方ともあいまいな状況でなくすることが必要であると存ずるわけでございまして、私どももそういう状況にある方に対しては判定をできるだけ急ぐように指導をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/67
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068・田口一男
○田口委員 できるだけ早く判定をするという、その趣旨はわかります。しかし私はそこまでにいく段階で、申請中の者も首を切る、認定された者も首を切られる。そして判定の結果わかったらまたもとへ戻しましょうという、そういった人事管理といいますか労務管理というか、今日のこういう時代に、ただ一企業の恣意にまかせます、労使の話し合いをすることはないようにしてもらいたいというような期待感だけではたしてやっていけるのか、そういうものであれば、私どもはここであえて特定の会社の名前をあげて特定の事案を質問する必要もないと思うのです。そういう労働者を保護するために、申請中の労働者なりまた認定された者については基準法の精神からいって解雇は無効だ、制限をするのだということをはっきり言い切らぬことには、それなら申請をして、労働基準監督署の判定が逆な目に出た場合、それは業務上に起因しません、こう出たら解雇は有効になるのですね。しかも労働者にとってみれば、そういう頸肩腕症候群になったのはいま言ったような仕事をしておるからたぶんなったのだろうという気持ちのほうが強いわけです。疑わしきは何とかという表現がありますように、そういう基準監督署に申請しておる者、そういった者までについて指名解雇の範囲に入れるというようなことは、これは社会正義上からいって認められないんじゃないか。ここのところをこの委員会の席上ではっきりしてもらいたい。労使の話し合いにゆだねるという以前の問題として、はっきりする必要があるんじゃないか、そこのところを私は強調したいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/68
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069・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 一番通常の場合でございますれば、そういう問題についてあらかじめ労使が十分に話し合いをされて、そういう者の取り扱いをどうするかというようなことも含めて話し合いの上で解雇問題など処理されるのが通常の形であろうと考えるわけでありますが、どういう理由であるか今回の場合にはそういう話し合いなしにこういう問題が取り扱われたのでございます。したがいまして、今後、いま問題になっております問題についても労使が話し合いで円満な処理をされることが期待されるのでありまして、ただ一がいに申請中の者はすべての場合に必ずのけておけということが一般にいえるかどうか、それはそれぞれの場合のいろいろな事情によって一がいには必ずしもいえない問題であると存じますので、やはり話し合いによって処理される、こういうことが最も妥当なのでないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/69
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070・山本政弘
○山本(政)委員 ちょっと関連して、基準局長、ちょっと教えていただきたいのですけれども、解雇通知が出ておらぬということでいま調べてもらいました。解雇通知はすでに出ているのですよ。ただし十九条に従って産休明けに解雇します、こういうのが出ているのですね。すでに行っているのですよ。もう一つは、頸肩腕の人たちについては解雇しますけれども、それは要するになおってから解雇いたします、ただし五月七日以降はあなた方は休職だというふうに出ているのですよ。これは基準法違反になりませんか。基準法違反になるかならぬか、それだけ聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/70
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071・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 その通知は基準法違反にはならないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/71
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072・山本政弘
○山本(政)委員 休職にすることも基準法違反にならない−五月七日以降休職にすることは基準法違反になりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/72
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073・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 基準法十九条は解雇を禁止しているわけでございまして、休職扱いにしたというだけでは基準法十九条違反とまではいえないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/73
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074・山本政弘
○山本(政)委員 あなたの話だったら、先ほどはなおってから三十日たってから、こういうわけですね。これは一体どういうことなんですか。解雇予告というのは三十日前に予告することが解雇予告ですね。そうするといまさっきのあなたの議論からするならば、なおってから、解雇いたしますと、こうなるわけですね。これはそのいずれにも属しませんね。いずれにも属しない。それはどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/74
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075・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 先ほど申しましたとおり、二十条の解雇予告というのは、日を定めて、何月何日解雇するという日を特定した予告でなければ二十条の解雇予告とみなされないようになっています。したがいまして、なおってからということになりますと、なおる日がいつであるかはまだ不特定でありまして、これは二十条の解雇予告でもない、したがってこれはなおったあとに解雇しますよという予定の通知であって、法律上の解雇通知でもなければ解雇予告通知でもないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/75
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076・山本政弘
○山本(政)委員 日にちはさまってないというけれども、産前産後の休暇というのは日にちがきまっているわけでしょう。きまっていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/76
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077・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 たとえばいま産前休暇中の方などでございますと、産後というのはこれは出産からでございます。出産というのは予定日はございますけれども、必ずしも予定日に出産されるとは限らない、動くこともございまして、そういう人たちにとっては、いまのお話で確定しておるとまではいえないのではないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/77
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078・山本政弘
○山本(政)委員 二十日も十日も一カ月も狂うわけじゃないのですよ。おそらく出産というのは狂って一日か二日、(発言する者あり)あるいは、たいへん狂った場合にはそうじゃないという話があるから、一週間。だけれども一カ月も二カ月も狂うことはないでしょう。(発言する者あり)うしろのほうで二週間と言うから、二週間にしてもいいですよ。そうすると、ほぼその間の日にちは限定されるじゃありませんか。つまり、確たる日にちはないけれども、あなたのおっしゃるようにばく然とした日にちでもないはずですよ。まあ十日か二週間ということだったら、それでもいいですよ。それならそれは確定した日にちでもないし、不確定な日にちでもないじゃありませんか、厳密な意味からいえば。ぼくに言わしたら、それは実に法技術のもてあそびですよ。運用する人の態度じゃないじゃありませんか。大まかな日にちはわかるわけでしょう。ばく然とした日にちではないけれども、大まかな日にちはわかるはずです。そこでもうあなたは首になるのですよ、こうなっているわけです。あなたの言い方をすれば、何月何日何時何十分に首にしますということまで言わなければならぬということになる。法律の運用というものはそういうものじゃないでしょう。
もう一つは、休職は解雇ではないけれども、休職は就業じゃないということも事実ですね。そうしたら、頸肩腕症候群か何かで、あなたは休職にしますということは、本人にとって不利益な処分、扱いにならぬわけですか。休職ということは少なくとも不利益処分扱いになるわけでしょう。その辺どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/78
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079・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 第一点につきましては、何日から何日までの間といったような予告は、日を確定してない予告であるので、二十条の予告でないというふうにわれわれは解しておるのでございまして、やはりいまのような場合は二十条による予告とは認められない。解雇する場合にはあらためて何月何日ということで解雇の予告なり解雇の申し渡しなりをされなければならない、かように解するわけでございます。
それから後段の休職の問題でございますが、これは十九条にいたしましても「業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間」ということでございまして、この適用を受けるのは休業しなければいかぬ人、こういう方でございます。したがって、就労できないということは当然の前提でございます。
それから産前産後の休暇中の人も、産前産後の事情のために休暇をとって、そして就業してない人がこの適用を受けるわけでございますから、就業はないという前提であることは当然でございます。ただ休職の取り扱いというのはそういう社内規定上の身分上の取り扱いであるわけでございますが、雇用関係は休職の場合でも切れているわけじゃございません。したがって、十九条の解雇制限違反ということにはならないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/79
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080・山本政弘
○山本(政)委員 そんなことを言っているんじゃないのですよ。要するに五月六日までは休職じゃないんですよ。つまりあなたのおっしゃる休業になっているわけです。休業になっているけれども、その取り扱いは私知りませんよ、五月六日までは少なくとも休職になっていないことは事実でしょう。休業にはなっているけれども。しかし、なぜそれじゃ五月七日から休職扱いにするのか、それがぼくにはわからぬのです。そんなことは理屈が立たぬじゃありませんか。なぜ休職にしないで、そのまま五月六日以前の状態になっておって、そして日にちが来たら、一歩譲ってあなたの言うとおり、なおってから予告して解雇するなら解雇すればいいじゃありませんか。なぜ五月七日を境にして、休業だったものを休職にする必要があるのか。その辺だって取り扱いがおかしいじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/80
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081・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 私も、なぜ休職にされるのか、その理由はよくわかりません。ただ私が申し上げておりますのは、十九条は解雇すれば違反になるのであって、雇用関係が残っておれば違反にはならないということを申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/81
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082・山本政弘
○山本(政)委員 だから、なぜなったのかわからぬ、しかし休職にするということは、首にするということの前提でおそらく休職にしたんだろうというようにぼくは思うのですよ。そうしたら、それはあなたの職分じゃないかもわからない、道正さんの範囲かもわからぬけれども、そういうことの中に労使の正常な関係が保たれるかとぼくは言うのですよ。保たれるわけないじゃありませんか。一方的に、いままでやってあるものが、六日まではそのままの状態になっていたものが、なぜ急に七日を境にしてそういうことになるんだろう。それはすでにもう首にすることを前提にしている前提条件じゃありませんか、普通から考えれば。なぜしたか私にもわからぬ、あなたにもわからぬ。しかしわかることは、会社がそういう意図をもってやっていることはわかる。首にするという意図を持っていることですよ。そのことははっきりわかるでしょう。だからあなたの範囲じゃないかもわからない、道正さんの範囲じゃないかもわからない。しかし大臣の範囲であるわけですよ、統轄しているんだから。そういう関係というものはノーマルなあり方だろうかどうだろうか、そのことだけ御返事ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/82
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083・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 いろいろな事情までは私どもつまびらかにいたしておりませんけれども、先ほども申しましたとおり、こういう問題については労使で十分に話し合われて、そして円滑な処理をされることが私は適当であろう、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/83
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084・田口一男
○田口委員 いまの産休の問題でもう一人いますけれどもね、十九条の精神からいったら産前産後、いわゆる産休中に解雇はできぬということでしょう。その精神を拡大解釈する意味じゃないんですけれども、今度の解雇者名簿、組合が調べた名簿の中に、妊娠中の者も指名解雇になっていますね。妊娠中ですよ。妊娠をすれば十月十日で産まれるんですからね。産前の休暇が当然やがてくるわけですね。妊娠中の者までも解雇になっている。そうすると、こういうことまで出てくるんじゃないですか。結婚すれば妊娠することは当然としなければなりませんわね。そうすると、産前産後が済んで指名解雇になる、妊娠中の者も指名解雇になる。これはへたをすると結婚して——妊娠を前提とした結婚ということになると、これまで退職、解雇になるんじゃないかという労働者の不安、それは極端じゃありませんよ。こういうことが社会正義上許されるかどうか。労使で話し合えといったって——私は会っていませんからこの社長をどうこう批評はできませんけれども、こういうことが堂々とやられておる。こういう問題について、ただ労働基準法の第何条の解釈はこうです、運用はこうですというだけで律し切れる問題かどうかということですね。生きておる人間、労働者を扱っておるんですからね。この辺、大臣の所管としてどうですか、所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/84
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085・山本政弘
○山本(政)委員 いまのに関連して。解雇予告は一カ月前に出すわけですね。そうすると、これは一カ月前よりかもつとはるかに前になるわけですね。そうですね。これは解雇予告になるのならないの、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/85
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086・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 これとおっしゃいますのは、どれをおさしでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/86
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087・山本政弘
○山本(政)委員 つまり十九条により、あなたは産休があけてしまったら首にいたしますということは、解雇予告になるのですかどうですかというんですよ。解雇予告は一カ月前だとするならば、これは一カ月よりかはるかに前になるわけだ。なおったら首にしますよということも、はるかに三十日よりか前になるわけですね。それは解雇予告に入るのですか入らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/87
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088・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 解雇予告は三十日以上前であれば、別に三十日きっかりでなくてもいいわけでございますが、しかしいまの場合は、先ほど申しましたようなことで、日がいまの段階で特定されていると思えないので、解雇予告には当たらないのではないか、かように考え、単に予定という通知をしたにすぎないのではないか、かように解釈するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/88
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089・山本政弘
○山本(政)委員 そうすると、人間のなま首というのは、三十日の予告もなしに、はるか前から、要するに首切ることを簡単に予定することできるわけですか。つまりそういうことが労働法制上許されるわけですか、それを聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/89
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090・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 解雇をする場合には予告するか、あるいは予告手当を払わなければならないということは法律にございますけれども、それ以外のそういう予定や何かの場合にあらかじめ通知しておくというようなことがいけないということも特にないのでございまして、そういう通知をしたことが違法であるということはないと思います。ただ先ほどから先生お話しのように、非常に本人が不安ではないか、こういう問題は当然あるわけでございましょうし、そういう問題については、ですから単に一方的に通知するというようなことでなくて、十分に話し合って円滑な処理をはかられることが適当であろうと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/90
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091・田口一男
○田口委員 さっきの私の質問はどうですか。妊娠中の者……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/91
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092・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 どうも失礼いたしました。先の御質問にあとからお答えする、まことに失礼いたしました。
基準法十九条では「産前産後の女子が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。」かようになっておるわけでございます。産後の休暇というのは六十五条で必ず与えなければいけませんが、産前休暇というのは労働者が休暇を請求した場合には与えなければならぬ、かようになっておりまして、産前については必ずということではなくて、御本人の希望によって与えるということになっておる。そして休業しておる方は十九条で解雇制限になりますが、休業しておられない場合につきましては十九条の解雇制限はかぶらないことになるわけでございます。したがいまして、妊娠をしておられるだけで産前休暇を請求しておられないような場合につきましては十九条の法違反の問題は起きないわけでございますが、ただそういう妊婦のような方、それもまだ妊娠早々である場合、あるいは間近い場合、いろいろあると思いますので、一がいに言えないと存じますが、そういう場合につきましては、やはり御本人の事情その他もあるわけでございましょうから、こういう問題については十分話し合って処理をされることが適当であると考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/92
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093・山本政弘
○山本(政)委員 いまあなたの御答弁を聞いていますと、三十日以前に予告することはできるけれども、この場合は要するに解雇の予定者の中に入っているのだろう、そういうあり方は好ましくないという意味の発言があったと思うのです。つまり、もっと労使の間で話し合いをすべきだろうという話がありましたね。ですから、少なくともそういう意味では会社のやり方の中に十分とは言えない手続があったというふうに私理解していいでしょうか。それが第一点。
第二点は、頸肩腕症候群という病気については私も聞いております。一日休業さすということもあるだろうけれども、病症によっては半日仕事をさす、あるいは半日リハビリをさせるという方法があるんだ、そしてむしろそのほうがいいということがあるのですよ。そうすると、そういうことも頭に入れて会社のほうとしてはいままで休業さしておったかもわかりません。私はそういうことについてはまだ事実を確かめておりませんから、いずれ確かめてみたいと思いますけれども。しかし、そういうことがかりにあったとするならば、五月七日以降休職にしたということは、はっきりと首切りを前提にして考えているのだというふうに理解するほかはないでしょう、普通から考えれば。その点についてあなたのほうでどういうふうにお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/93
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094・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 前段の問題でございますが、私が申し上げましたのは、そういう予定の通知をすることがすべていけないと申し上げたわけではないのでありますが、そういう不安定な状況で通知をしっぱなしということでなしに、そういう取り扱いについてはよく労使で話し合われて円滑な処理をはかられることが好ましいであろう、ベターであろうということを申し上げたのでございます。
それから業務上疾病にかかった方の解雇の問題でございますが、これにつきましては確かに業務上疾病にかかられましても、休業して療養される場合もございますし、通院という形で休業しない療養の形もあるわけでございますが、十九条で解雇制限をいたしておりますのは、同条にございますように「業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間」というふうになっておるわけでございます。したがいまして、当然その解雇制限の適用を受けられる方は現に休業しておられる方、かように解するのでございまして、休業を要するかどうかということは、これは十九条の解釈に関する限り、休業を要するかどうかという医者の判断によって許すべきものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/94
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095・山本政弘
○山本(政)委員 頸肩腕症候群というのはだれもすき好んでなったわけじゃないのですよ。つまりその工場で働いておったがゆえに病気になるわけでしょう。そうして働いておったがゆえに当然そういう補償というものがあるべきだ、なおしてやったからとか、なおったからあと首切っていいというわけじゃないと私は思うのですね。そういう意味から考えても、ぼくに言わせたら、会社のやり方というのは非常に酷薄だと思うのですよ、冷酷無比だと思うんだな。それだけとにかく申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/95
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096・田口一男
○田口委員 最後に一つ。私がさっきから言いたいことは、妊娠中の解雇の問題でも、十九条の精神からいって、ここに書いてあるように、産前産後の女子は六十五条の規定によって休業する期間中は、またその後三十日間は解雇してはならないというけれども、それを厳密に解釈するのじゃなくて——厳密というのはちょっとおかしな言い方になるのですが、その精神からいったら、妊娠をすれば当然に産前産後の休業ということは起こり得るだろうと思う。起こり得るわけですね。ところが、休業に入っていない者を解雇しても十九条の解雇制限の条項には違反をしないのだという解釈だけでほんとうに労働者が守られるかということです。これはひとつ労使で話し合ってもらうべき事項じゃないかと言えばそれまでですけれども、そういうことまでもあえてやる。それから、いま関連で山本委員から言われたように.休業を休職にして、解雇の前提である休職を発令した。これも法律の条項からいえばあえて違法ではないにしても、妥当ではありませんね。この法律の条項からいったら違法ではないということは言えたにしても、今日のあり方からいって妥当ではないでしょう。そういうことが会社の経営上の理由だ何だということで許される、放任をされる。これは労使で話し合ってもらいたい、ところが労使の間の話し合いはなかなか十分にいっていない。私はきょう持ってこなかったのですが、それに抗議をして何かの行動をやれば抗議警告という文書を出して、おまえのやったことはひとつおれは十分記憶しておくぞ、あとで処分の対象にするぞといったような抗議警告が出ているわけですね。だから、抗議をやればまた解雇されるかもわからぬ、これじゃ正常な労使の関係を望もうたって無理じゃないですか。そういう点についての御所見を最後に大臣からお伺いして質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/96
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097・長谷川峻
○長谷川国務大臣 お話をお伺いしている間に、大勢の労働者を使いながら、その中にまた女の職員もたくさんおるだろうと思いますが、どういうことでそういうふうになったのか、事情をつまびらかにできないところに歯がゆさを感じますが、いずれにいたしましても、そうしたことがほんとうに日常の労使の話し合いというのがうまくいっていれば理解できることでありまして、一つ一つの会社に労働省が立ち入りするということは、これはそれぞれの機関がございますのでむずかしいことでございますが、一般論といたしまして、私たちはやはり時間をかげながらほんとうに労使の正しい慣行というのができる雰囲気、そういうものを望み、しかもこういう事件があればあるほど、そういうことによっていたずらなる不安が出ないように、これを願っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/97
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098・田口一男
○田口委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/98
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099・斉藤滋与史
○斉藤(滋)委員長代理 森井忠良君。
〔斉藤(滋)委員長代理退席、葉梨委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/99
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100・森井忠良
○森井委員 私は、労働災害事故の撲滅の問題について御質問申し上げたいと思います。もちろん労災事故というのは全国に多発をしておりますから、その中で、特に国鉄の新幹線工事に伴います労災事故にしぼって御質問申し上げたいと思います。
もう私から申し上げるまでもなく、いま山陽新幹線が建設中でありますし、それに上越、東北両新幹線等がいま建設中でございまして、一口で申し上げますと非常に事故が多くなってきておる。私は許しがたいと思うわけです。ことしの三月末で、山陽新幹線の場合すでに百五十八名というたくさんの方が労災事故でなくなっておられます。また、休業八日以上の重傷者が大かた五千名近く出ておられるわけでありまして、かりにこれを鉄道線路の長さから申し上げますと、百メートルに一人は死傷事故が出ておる、まさに新幹線は、言うなれば人柱の上にこれから建設をされ、それを国民が走るというふうな形になっておるわけでありまして、決してこの問題は看過することのできない深刻な問題である、こういうように思うわけです。しかもなくなられた方は、あとでもうちょっと詳しく申し上げたいと思いますけれども、もちろん国鉄の職員よりは工事会社、さらに建設工事の関係の会社でいえば、元請と下請の関係でいきますと、圧倒的に下請が多い。しかも下請の中で今度はどういう状態になっておるかというと、高齢者、五十五歳以上の方が二三%も労災の事故にあっておられる。あるいは農業労働者を中心としますいわゆる出かせぎ労働者の方、これがすべてといってもいいほど、事故の中身について分析してみますと、そういうことがいえる。しかも国鉄にしてもあるいは労働省にしても、私どもも、山陽新幹線の場合は一番事故が多い広島労働基準監督署の管内を見せてもらいました。なかんずく備後トンネルというのを見ましたけれども、わずか八千九百メートルのトンネルのうちで六人もなくなっている。とにかくこのまま放置をしていいのかという問題が当然出てきますけれども、一体この山陽新幹線の建設工事の労災事故について、国鉄と労働省、時間の関係がありますから、一体これをどう見るのか、それぞれの立場からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/100
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101・菅波茂
○菅波政府委員 森井先生のおっしゃるように、最近の新幹線事故が非常に多発しておることは非常に残念なことでございます。特に労働省といたしましては超大規模建設工事に新幹線を指定いたしまして、労働災害防止というものには最重点という形で、実は発注者である日本国有鉄道と密接な連絡をとりながら、地方局やあるいは署においても、現地の工事局と協議会を設置いたしまして、十分な連絡をとりながら強力に労働災害防止対策の推進につとめているところであるわけでございます。また施工業者に対しても、労働災害防止を最重点といたしまして、非常に濃密な監督指導を実施しているところではございます。しかも、それにもかかわらずそのように災害が多発しておるということは非常に悲しいことでございますので、今後も労働省としては、その災害の発生状況にかんがみまして、さらに充実した災害防止対策を進められますように監督指導を強化してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/101
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102・斎藤徹
○斎藤説明員 山陽新幹線、先ほど先生山陽新幹線の死亡事故が百五十八名とおっしゃいましたが、これは新大阪−岡山間を含めましての数字だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/102
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103・森井忠良
○森井委員 山陽新幹線というのはそういうんじゃないの。新大阪から博多までが山陽新幹線でしょう。何を言っとるんだい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/103
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104・斎藤徹
○斎藤説明員 実はこれから申し上げるのは、私のほうは、実は資料が岡山以西についての資料を使わせていただきますので、今後御説明する中で岡山以西の数字が主になるかと思いますので、ちょっとお断わり申し上げたいと思います。
実は、百五十数名のうち、岡山−博多間は四十四年の暮れに着工いたしまして、現在までに、まことに残念なことなんですが、九十四名の死亡者を出しておりまして、そのうちの大部分、八〇%以上が実はトンネルの中での死亡事故になっております。実は四十四年に山陽新幹線を着工いたしました際、特に労働省のほうの重点的な御指導をいただきまして、事故絶滅を期して着工いたしたわけでございますが、先生御存じのとおり、非常にトンネルの多い建設現場でございまして、特にトンネル工事の特徴といたしまして、毎日毎日、岩の質あるいは湧水状態が変わる、言うなれば毎日作業環境が変わるというような特殊な環境下の工事のために、当初絶滅を期しておった事志と違いまして、まことに多くの犠牲者を出していることは非常に残念に思っておりますが、ただ、言いわけがましくなりますが、東海道新幹線の実績と比べましてかなり改善はいたしまして、事故の件数その他はかなり減らしてはおるわけでございますが、何せ絶対数におきまして非常に大きな数を出しておりますことは非常に残念に思っております。
ただいま政務次官のおっしゃいましたとおり、今後ともさらに監督署あるいは基準御当局の御指導を得まして、できるだけ絶滅の方向へ最大の努力を傾けたいと、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/104
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105・森井忠良
○森井委員 いま御答弁をいただいたわけでありますが、まず国鉄のほうにお伺いしたいと思うのです。労働省からすでに四十六年の十月二十一日、これはおそらく異例だろうと思うのでありますが、業者とそれから国鉄当局に対して、非常に事故が多発をしておるので具体的な対策を立てなさいということで、業者には警告、国鉄は同じ政府関係機関でありますから勧告という形になっておりますけれども、異例の勧告が出されておるわけであります。
〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕
これは御存じですか。これについて具体的に国鉄としておとりになった態度、これをまずお伺いしたい。それが一つ。それから、これは四十六年ですからね、現在四十九年、すでに三年になんなんとしておりますが、一体その間同じような事故がずっと続いておるわけですね。たとえば、はだ落ち、落石、触車、この種のものがずうっと続いてぎておるわけでありまして、勧告を受けて具体的な措置をしたとすれば私は事故は減るような気がするわけです。依然として続いておるその原因、この二点について明確に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/105
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106・斎藤徹
○斎藤説明員 四十六年十月二十一日付の広島労働基準局長よりの勧告は、実は私、広島の幹線局長をやっておりました当時いただいたものでございますので、十分承知いたしております。それに対しまして、直ちに請負業者支店長以下、責任者全員集めまして、私たち工事局の幹部と懇談会を開きまして、いままでの事故の反省、それから今後の事故防止に対する具体的な方法、段取りその他の打ち合わせをさっそくいたしました。もちろん、工事局長の名前で各請負業者に対して厳重な勧告をいたしたことももちろんでございます。そういうようなことで、基準局のほうからの御勧告はありがたくいただきまして、十分にこれに対する反省その他はいたしたつもりでございます。
ただ、いまもおっしゃいましたとおり、その後また同じような事故が多発いたしておりますが、実は、トンネルの特性については先ほど申し上げましたとおりでございまして、そういうようなトンネルの事故の原因というのはいろいろな事故原因がございます。それで、従来トンネルの中の事故が非常に多かったわけでございますが、いろいろ検討を加えました結果、かなりの改良をいたしまして、絶対数は非常に多うございますが、発生率そのものはかなり減らす努力はいたしたわけでございます。したがいまして、事故原因が非常にしぼられてきたということはいえるんじゃないかと思います。
昔、昔と申しましても東海道以降、いろんな事故原因がございましたが、山陽、特に岡山以西の工事につきましては非常に原因がたいへんしぼられてまいりまして、いま先生御指摘のとおり、はだ落ち、抗内の車両関係の事故、そういったものが非常に多くなっておりますので、われわれといたしましては、事故原因が非常にしぼられたということを踏まえまして、特に重点的にそういったものに対する対策を講じてまいったわけでございます。そのためにそれなりの成果はあがったと思ってはおりますが、何せあらわれてきた数字は御存じのとおりの数字で、まことに残念に思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/106
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107・森井忠良
○森井委員 事故の数について具体的にことしの四月の数字で申し上げます。数についてはもうあなたも御存じだと思うわけでありますけれども、広島の労働基準局の管内で、なくなられた方が四十三人、それから、休業八日以上の労災にあわれた方が千百七十六人、こういう数字になっておるわけです。これは国鉄の数字を参考にしましたから間違っていないわけだと思うのですけれども、労働省から勧告を受けたにもかかわらず、具体的に、あなたは減ったとおっしゃいますけれども、メートルでいきますと、ちょっと荒っぽい数字でありますけれども、百メートルに一人は事故が起きるという状態になってきておる。だから、勧告を受けなくとも、何らかの形でほんとうは真剣に対策を考えられなければならない。いまあなたのお話ですと、事故が起きればいろいろ分析したり云々ということがありましたけれども、具体的に工事請負契約をなさる場合に、安全の問題についてはどのように業者と話し合いをしておられるのか。特に業者と国鉄との責任の分担等についても明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/107
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108・斎藤徹
○斎藤説明員 請負業者と隧道の契約をいたしますと、できるだけ早い時期に請負者のほうで、現場の施工方法あるいは段取り、それからそれに使用するいろいろな設備、機械、そういったものの届け出が工事局のほうにございます。したがいまして、工事局のほうでは、特にトンネルに詳しい専門家がかなりの数おりますので、そこで集まりまして、そういった届け出の工法あるいはそういう段取りといったものを十分に審査いたしまして、もちろんそれが工事行程的に十分間に合う計画であるかどうかということを計画段階で検討いたしますが、それ以上の注意をもちまして、それが安全に対するちゃんとした対策になっておるかどうかということもあわせて検討いたしておりまして、あるいは若干の修正を命じましたりすることもございますが、そういった届け出に対して承認を与えております。
それから、工事にかかりましたあとは、先ほど申しましたように、毎日毎日が地質が変わったり湧水の状態が変わったりするという状態でございますので、そのつど適切な対策を、これは今度は現場の工事区を中心といたしまして、現場の作業所の責任者あるいは安全管理者といったものを中心に、状況が変化するたびにそれに対する対策を打ち合わせしておるわけでございまして、特に事故の原因になっております浮き石の点検とか、あるいは落下事故というのもかなりございますが、そういった足場の整備、それから照明、それから車両事故の大きな原因になっております、この照明とともにいわゆる注意警報ランプというものをつけておりますが、そういったものをどこにどのように設置するか、そういうふうなこともあわせて各作業所単位で打ち合わせをして、もちろんその間には基準局のほうの御指導も当然いただいておるわけでございますが、そういった体制で、そのつどそのつど対策を考えながら工事をしておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/108
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109・森井忠良
○森井委員 現地で私ども、広島の新幹線工事局長から事情を聞きました中で、こういう説明があったのですね。労災事故については、国鉄としては契約書やあるいは標準示方書のとおりやればこういう事故は起きないはずだ——私、持ってきて、こまかく読ましてもらいましたけれども、まあ、一口で申し上げますと、これだけなんです。国鉄の考え方としてはそのとおりですか。発注者としての責任はどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/109
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110・斎藤徹
○斎藤説明員 現地の局長がどういうニュアンスで御説明したのか、私はその場におりませんからわかりませんが、契約書、示方書だけを守っておれば事故は絶対に皆無になるという言い方は、若干言い過ぎるきらいがあると思います。
と申しますのは、もちろん契約書、示方書を完全に忠実に順守しておれば回避し得るような事故は回避できることは当然でございますが、ただ、事故の内容にはいろいろな事故がございまして、ほんとうに本人がもう少し気をつけてくれればという性格のものも実はかなりあるわけでございまして、そういうものを含めて事故をなくするためには、いまの、工事局長が申したそれだけでは全部カバーしきれないのじゃないかというように考えておるわけでございます。まあ、その辺の御説明した前後の関係はよくわかりませんが、私はそう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/110
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111・森井忠良
○森井委員 これだけ事故が多発しておるわけですからね。国鉄としては単に、契約書でもう必要な金額が全部はじいてある、その中に安全対策の費用もあるのだというお考えですか。私どもがこちらで、社会党の政策審議会を通じて国鉄当局に今月の九日に問い合わせをいたしまして、十二日に現地でもらったわけでありますが、こういう回答が来ております。「トンネル工事の計画、設計にあたっては、施工業者が安全に施工できるよう、地質に応じた断面、構造、施工法、工期等を計画し、これに要する人員、器材、設備等をもとに工事費を積算しているので、安全対策に要する費用はこの過程のなかに十分に盛り込まれております。」これは国鉄の公式の見解だろうと思うのでありますが、そうしますと、発注はするが、あとは、指導監督をするわけであるから、したがって、今日までの事故については、国鉄は遺憾ということばをお使いになりましたけれども、それこそいかんともしがたいのであって、国鉄が悪いのじゃない、業者が悪い、こういうように理解をしていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/111
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112・斎藤徹
○斎藤説明員 ただいまお読み上げになりましたとおりでございます。特に安全対策費としての工事種別、工種をあげておるわけではございませんし、それに対する金を特別に出しているわけではございませんが、先ほどお読み上げになったように、承認の段階で安全であるかどうかということを十分審議してやっておりますのと、それからわれわれも計画、積算の段階で十分そういったことを配慮いたしまして設計、積算をしておりますので、すべて請負金額の中に包含しておると申し上げたことは間違いないと思います。ただ、それだけで事故がなくなるというわけではございませんで、一番大切なのはやはり作業員一人一人の訓練というか安全に対する意識の高揚というものが非常に大事になってまいりますわけでございまして、そういった方面での訓練、運動、そういったものをこれから大いにやっていかなければ、なかなか対策だけではカバーし切れないのではないか、このように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/112
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113・森井忠良
○森井委員 いま労災事故が多発しておる政府関係機関の中に、ちょうど同じような経営形態で電電公社があるのです。これもやはり年間数十名、電話の建設工事による死亡者を出しております。これは本委員会でもあるいは逓信委員会等でもしばしば取り上げられてきたわけなんですけれども、それだけ事故が多発をいたしますと、単に工事請負契約の金額だけでなくて、安全対策費というものを別に出して、これはこういう器具を買いなさい、これはこういう対策に使いなさいということ、つまり安全対策に指定をして別に金額を出していく。いまのあなたの考えでは、なるほど契約書には、あるいは示方書等々で具体的にあっても、具体的な安全対策というものがないとそれだけに専門的に使うという予算がないわけですね。ここのところ問題だと思うのですよ。たとえば、現地で聞きました、これは大林組と西松建設ですか、二社でありますけれども、建設業ですから三百名をこしておりますと安全対策の専門家がおらなければならぬ。いないのですよ。管理者みたいのが数人でパトロールをしておる程度でありまして、安全対策の専門家もいないという形なんです。この際そういったふうな前向きなことをおやりになる御意思があるかどうか、この点についてひとつ……。
時間がないので質問を重複させますけれども、二つ目は、先ほど申し上げました四十六年十月二十一日の労働省からの異例の勧告、これに対してこういう文句を使っていますね。「地質の変化等により従来の方法による場合、労働災害発生のおそれがあるときは、工事の一時中止、施工方法の変更等について、積極的に施工業者を指導し、」必要な対策を講じなさい。つまり工事中止も含めて検討しなさいというようなことが具体的に書いてありますが、四十六年以降で、その意味で工事を中止をされたり具体的に業者を積極的に指導されたりしたことがあるかどうか、これが二つ目。
同じくこの勧告文書の中で「施工業者の決定に当っては、今後とも、安全成績を十分勘案し、不適格者に対しては発注を差し控える等の配意をすること。」かなりきびしく労働省から国鉄に対して勧告がなされておるわけでありますが、この対策も具体的にどのようになすったか、以上三点についてお伺いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/113
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114・斎藤徹
○斎藤説明員 最初の第一点でございますが、われわれ安全対策費が十分であるとは考えておりません。まだまだ実情に応じて打つ手はあるんじゃないかと思っております。もちろんいままで気がついたことはあらゆる手を尽くしてまいりましたが、なお今後とも基準局その他の御指導を得まして、いい方法があればちゅうちょなくその方法を採用してまいりたい、これはそのように考えております。
第二番目の勧告の内容でございますが、非常に地質の悪い場合、積極的に業者を指導したり中止させた例があるかということでございますが、たくさんの例は私聞いておりませんですが、一つの例は、関門トンネルでいま海底を掘っておりますが、これの海底部分の特に断層部分の突破につきましては十分時間をかけまして、その手前で工事をやめまして、日本国内のトンネルの権威者全部を集めましてトンネル会議を開いて、工法並びに進捗のスピードその他を検討したという実例はございます。そのような実例は私の経験では、かつて六甲トンネルを掘っておるとき何カ所かございます。特に悪い場合には、そういうことで国鉄だけじゃなしに、部外の権威者も集めまして対策を講じております。
それから三番目の御質問でございますが、不適格業者に対する勧告でございますが、われわれ請負者を指名する場合には請負業者資格及び指名中央審議会というのがございまして、二年ごとに資格業者の選定をしておるわけでございますが、このメンバーはすべて部外の学識経験者あるいは建設省といった関係官庁の方に入っていただいておる国鉄総裁の諮問機関でございますが、そこで請負者を審査しておるわけで、その審査の過程におきまして過去の実績、資力、技術力並びに過去のそういったいろいろな問題点すべてをしんしゃくいたしまして資格審査をしておりまして、その審査に通った業者の中から数社を選んで指名競争させておるわけでございまして、勧告のような不適格業者がもしあれば、当然それに対する強い制裁を加えなければならないと思いますが、現在までには不適格業者であるという判定を下すような業者はないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/114
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115・森井忠良
○森井委員 それでは、たとえばトンネルの中でハッパをかけた。あなたがおっしゃったようにトンネルが多いわけですから、ハッパをかけた。労災事故が起きた。調べてみたら、ハッパは無資格者がやっておった。あるいはこういうようなものもありますね、軌道の道床の排水不良。本来、示方書等を見ますと、完全に排水をして工事をやりなさいというような項目がありますね。あるいは、年少者を坑内作業につかしている、そしておまけにショベルローダーの運転をさせた、こういうようなものがあるわけです。いま私が申し上げましたのは、広島の労働基準局が悪質なそれぞれの法令違反ということで書類を送検をいたしました十一件の中、これは十一件といいましても四十七年の六月以降四十八年中ですけれども、十一件悪質なということで書類を検察庁へ送っております。結論が出たものもある。これは国鉄と業者との契約示方書に明らかに違反をした悪質な行為なんですね。こういう場合にどういう処置をしておるのですか。
時間の関係で二つずつやりますから、それが一つ。
それから二つ目は、工事請負契約書の中で、基本的にはこれは元請が全部やるべきでありますが、下請にまかす場合もある、それは国鉄も認めていらっしゃる。その下請を入れる場合には、発注者の許可が必要であるということになっていますね。先ほど申し上げましたように、事故が多発をしておりますのは、この元請ではなくて下請が多い。同じ下請の中でも、孫請、ひ孫請と重層的に続いておりますけれども、言うなれば元請から見て遠くなるような請負業者ほど労災事故が多発しておる。そこで、契約書に基づきまして、これだけ労災事故が発生しておるわけでありますから、具体的には国鉄当局としては、下請の具体的な企業内容について、これは構成をしております労働者の中身についてまで本来は検討されなければ、依然としていういった事故が起きてくるわけですから、つまり下請の把握について国鉄はどのようにしておられるのか、この点についてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/115
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116・斎藤徹
○斎藤説明員 御存じのとおり、われわれが契約をしておりますのは、請負契約書に基づきまして請負会社と契約をしておりまして、下請の選定につきましては、これは元請業者のほうが自主的にやってまいりまして、これに対する報告は受けております。ただ、それの審査については、われわれのほうとしましては、下請の技術力その他について審査するだけの資料がございませんので、それに対する干渉はあまり当初はいたしておりませんが、工事進捗の過程におきまして、先ほどおっしゃいましたようないろいろな具体的な不祥事項あるいは不当事項が出てまいりました場合には、下請業者を取りかえさせるということは何回かやったことはございますが、下請業者の選定については、われわれはなるべく介入しないのがいままでの状態でございます。
先ほどの御指摘の具体的な事例につきましては、そういう事例があったということは聞いております。これに対しましては、会社の本社あるいは支店に対して、二度とそういうことのないように、厳重な注意を与えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/116
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117・森井忠良
○森井委員 国鉄は、古いことばですけれども、やはりだんなですよ。とにかく金を出して、そして工事を受け合えば、あとは具体的にはもう請負業者の仕事であって、新幹線が早く開通すればよろしい、これに尽きるじゃないですか。私は、ことばは悪うございますよ、申しわけないと思いますけれども、ほんとうにもうちょっと国鉄が本気に力を入れるためにはどうすればいいか。労災事故をなくすために本気にならなければならない。これはもう発注者ということよりも、国鉄もまぎれもなく政府関係機関の大きな一つですから、異例の労働省の勧告があって、具体的にはほとんど前向きのものがない。十分ひとつその点反省をしていただきたい。
先ほど質問が落ちたわけでありますが、今後、安全対策費を出されるのか出されないのか、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/117
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118・斎藤徹
○斎藤説明員 安全に対してわれわれはもっともっと真撃な姿勢で取り組んでいかなければならないというように考えております。今後とも十分に反省しながら考えていきたいと思います。
それから二番目の、安全対策費として別途出すかという御質問でございますが、具体的にそういうものがありますかどうかという検討から始めたいと思います。あれば当然そういうような手は打ってまいりたい、こういうように考えております。いま具体的にどういう対策を講じたらいいかというのは、いまとっさに具体的なことは思い浮かびませんので、今後とも検討は進めてまいりたい、そういうように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/118
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119・森井忠良
○森井委員 国鉄のほうはあとにいたしまして、次に労働省にお伺いしたいと思うのですけれども、先ほど指摘をいたしましたような、業者とそれから国鉄に対しての勧告を四十六年に出しておられるわけです。いま四十九年なんです。その間、事故はずっと続いておるわけです。なくなっておらない、むしろふえる傾向にあるといってもいいし、ひいき目に見ても、せっかくの警告あるいは勧告にもかかわらず、ずっと今日まで横ばいで来ておるという状況があるわけですね。しかも残念なことに、これは労働基準局の管内は違いますが、すでに工事が始まっております上越新幹線等についても、これまた同じように続いておる。そういたしますと、四十六年の一片の通達だけで、その後具体的にどのような措置をなさったのか、ここのところをとくとお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/119
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120・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 山陽新幹線にそのように事故が続発いたしておりますことはまことに遺憾でございまして、先生の御指摘のように、四十六年には広島の基準局長から現地の主事局長や業者に勧告もいたしたわけでございますが、単に勧告をしただけでほうっておるわけではございませんで、それが実際に守られて、安全衛生対策が確実に履行されますよう、できる限り監督指導につとめておるわけでございまして、広島の局だけで申しましても、四十六年から四十八年の三年間に、新幹線工事だけにつきまして、延べ千五百件の監督を実施するということで、濃密な監督をいたしまして、個々の現場ごとに、勧告に示したようなことが実際に励行されておるかどうか、これを指導し監督しておるわけでございます。そういたしまして、それに対しまして、それが守られてない、特にそういう問題につきまして緊急を要する場合には、いろいろ施設等の使用停止処分を行なう、あるいはさらに、悪質な違反を繰り返している者に対しては司法処分に付するということもいたしておるわけでございまして、先ほど先生から、広島だけで十一件というお話がございましたが、岡山以西だけですでに十九件の送検もいたしておるということで、その勧告後、実際に個々の現場で守らせますように監督指導につとめまして、事故を防止するために努力をいたしておるところでございます。
なお、先生、上越新幹線のお話をただいまされたのでございますが、上越新幹線は、先生御承知のように、これは鉄道建設公団が行なっております工事でございまして、鉄道建設公団との間には、本省と公団本部との間に協議会も設置いたしまして、上越新幹線につきましても、山陽のような事故多発の状態を起こさないようにいま鋭意努力をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/120
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121・森井忠良
○森井委員 確かに現地の広島の基準局長も、声は大きゅうございましたし、確かに気持ちとしてはやっておられる。しかし局長、千五百件の勧告等を出しておられるということなんですが——千五百件の勧告でしたか。(渡邊(健)政府委員「監督です」と呼ぶ)ですが、実際には、先ほど申し上げましたように、件数で申し上げますと、広島管内だけで死亡者が四十三名、それから休業八日以上の労災事故にあわれた方が千百七十六名なんです。千五百件の監督というのは、私はおよそもう御理解いただける数字だと思うんですよ。ですからやはり元気のいいことをおっしゃいましても、現実の問題としてはとにかく労災事故というのは前へ進んでいないわけです。私どもも現地で聞きますと、立ち入り調査をしておりますとか、いきなり臨検等をやっておられますか、やっておりますと、こういうことなんですね。しかし現実にはそれは実効があがってない。労働省は今度、作業環境整備士ですか、測定士でしたか、法律をつくって、なるべく民間等の力で労働省の陣容の薄さを変えようとしていらしゃいますけれども、やはり私はもうちょっと、これだけ新幹線の工事で労災事故が多発をしておるような状態のときには、やはり機械的な監督官の配分というのは無理があるのではないか。私が申し上げるまでもなく、これは監督官が少ないですよ。全国で二千九百人そこそこでしょう。三千人いないのだ。単純に割ってみると各県にせいぜい五、六十人配置をされるしかない。五、六十人というと、これは市町村に一人の数に行き渡らないぐらいの数なんですよ。確かに見ておりますと、それは私どもが見ました備後トンネル、これは八・九キロあるわけですけれども、工事の最盛期には監督官一人や二人ではもうどうにもならない、ものすごいものなんです。しかも照明あるいは騒音その他の職場作業環境、これは私が申し上げるまでもなく、ものすごい環境なんですね。相手が何を言おうが全然わからないというような騒音の中で仕事をしておる。坑内の照明でもおそらくこれは二、三百メートル一カ所でしょう、あとは懐中電灯にたよる場合が非常に多いというような深刻な状況なんです。そうしますと、やはりいま国鉄がああいうふうに今度は上越、東北等の新幹線が行なわれますけれども、重点的に工事をやられる場合にはやはり監督官をもっとふやすか、あるいは傾斜的にそこへ監督官をふやすとかのそういう措置が要るのじゃないか。依然として一片の文書——一片といえば語弊がありますけれども、正式に警告なり勧告をなさった上で、あとあなたがおっしゃったようなことをしておられました。特に広島の管内で十一件も送検をされるということについては、これはよくよくのことだと思いますので、その御労苦は多といたします。しかし実効があがってないということは、単に送検をしただけじゃ片づかない。本来、そうは言うものの、トンネルの八・九キロというのは大がかりな工事ですからたいへんなことなんです。常時監督官が一人ないし二人ぐらい適当な作業場にいるくらいの気持ちでもいいのじゃないか。そうしますと、陣容については非常に足りないし、労災事故の結果から見れば、労働省の力がまだ大きく足りなかったということがいえるわけです。その点いかがですか、監督官の増員も含めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/121
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122・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 私ども監督官、安全衛生専門官の増員にはつとめておりますが、決して十分とは考えておりません。確かに手薄なところもあると存じますので、今後増員の獲得にできる限りの努力をいたしますとともに、先生御指摘のようにそういう危険の多い重大工事が行なわれているようなところには、監督官の配置その他運用を機動的にいたしまして、十分に対処してまいりたい。またその質につきましても、そういう場所には建設関係の専門家を配置する等、こういうことによりまして十分実効があがるように努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/122
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123・森井忠良
○森井委員 労働大臣がいらっしゃいませんので、この件につきましては政務次官から決意を込めた御答弁をひとついただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/123
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124・菅波茂
○菅波政府委員 ただいま局長が申したように、事故が多発するということは、いかような勧告をしても、非常に残念なことでございますので、いま局長が申したように、十二分に先生の御質疑に対して意を用いて努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/124
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125・森井忠良
○森井委員 業者に対する具体的な指導が四十六年の文書の警告書の中に入っていますね。落盤とかはだ落ちによる災害あるいは坑内車両による災害が頻発しておるという現状を認識された上で、具体的に支保工の点検体制の整備、時期、方法、責任者の適性等の再検討であるとか、浮き石の排除、支保工の整備、さらにはいわゆる触車事故の問題につきましては、安全な坑内歩道の確保、照明の整備、坑車を推進運転する場合の誘導員の配置、安全な添乗施設の設置等まあたくさんあるわけでありますけれども、これは業者がやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/125
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126・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 これは四十六年の十月に業者に勧告をしただけでなくて、その後とった措置についても文書で報告を徴しておるわけでございます。したがって業者はそういうことを配慮してやっておると存じますが、個々具体的な現場におきましてこれが適切な処置であるかどうか、この辺が一番問題であろうと存ずるわけでございまして、こういう点につきましてやはり監督に行きました際に、そういう点を見まして、照明が足りないではないか、あるいはその他浮き石の排除あるいは支保工の整備等が十分でないではないか、それを個々に指摘をいたしまして設置をさせる、こういうことが重要であると考えまして、そういうことにつとめているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/126
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127・森井忠良
○森井委員 ですから、やはりこれは問題は増員で、現に文書が返ってきても、つまり回答書が来ても、やられておるかどうかということは何といいましても監督官が目で見なければならない、確かめなければならないということに尽きるわけでありますから、先ほどのことは強く要求をしておきますし、政務次官からも前向きの御答弁をいただいたと私は理解をいたします。
そこで先ほど話がありましたように、山陽新幹線工事における司法事件として扱われたものが十一件あるわけでありますけれども、これはもうそれぞれ具体的に法令に違反をしておるわけでありますから多くを申し上げませんし、御認識あるものと理解をして申し上げるわけでありますが、建設業法によると、具体的な建設業の中でも法令に違反した者については建設業法第二十八条によりまして、一項の第三号でしたか、そこで他の法令に違反した者につきましては建設省のほうで具体的に指示その他処分も含めてやらなければならぬと、こうなっておるわけです。そうしますと、これは建設省に一々労災事故について目を配れということにはならぬと思うので、一体こういったふうに特に送検をされたような、司法事件として扱われたようなものについては建設省に具体的に通告をしなければならぬと思うし、できればやはりその場合どういうふうな指示をするかということについて両省が協議もされなければならぬというようなケースも出てくると思うのでありますが、この十一件については建設省へ報告しておられますか。報告じゃなくて通報ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/127
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128・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 建設省に対する通報につきましては、四十七年以前は賃金不払い事件と、それから司法事件につきましては罰金以上の刑に処せられたものだけを通報しておったわけでございますが、四十七年以後につきましては、先生御指摘の建設業法の改正等もございましたので、刑に処せられた場合だけではなしに、そういう司法処分、送検をいたしましたものを通報することにいたしておるわけでございます。したがいまして、これらの司法処分にしましたものは通報いたしていると存じますが、そういう通報制度の取り扱いを変更いたしました当初におきましては、必ずしも末端で十分それが守られなかった点が若干ございましたので、あるいは落ちておったものもあるかと存じますけれども、現在におきましてはそういう司法処分にいたしましたものは通報するようにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/128
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129・森井忠良
○森井委員 現地では、いま申し上げました建設業法第二十八条に基づいて建設省へ通報しておられますかという質問に対して、しておりますという答弁だった。私も建設省にきのう念を押して聞いてみました。これは通報されておらないという建設省からの返事であります。一体どうなっておるのですか。私はやはり労働省の姿勢を問われる問題だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/129
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130・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 いま聞きますと、広島の十一件については事務の手違いから通報がおくれておったそうでございまして、これにつきましては至急是正させるようにいま処置をとっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/130
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131・森井忠良
○森井委員 建設省にお伺いしたいと思うのでございますが、見えておりますか。——法的な根拠についてはもうお聞きのとおりでありますけれども、現実の問題として昨日の段階であなた方が、これは私の非公式な調査でありましたけれども、賃金不払い等については——つまり従来そうでしたからね、賃金不払い等については通報を受けておりますというふうなことがありましたけれども、こういった労働災害等の事件についての通報について、どうも私の理解では建設省からそこまで聞くんですかというふうなお答えをいただいたような気がするんですね。建設省のほうの体制はこれはどうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/131
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132・井上孝夫
○井上説明員 お答え申し上げます。
きのう係がどういうようにお答えをしたか、ちょっと詳細は存じないわけでございますが、先ほど労働省の局長から御答弁がございましたように、四十七年から改正建設業法が施行せられまして、現在登録制から許可制に移行いたしております。そういうふうに業者の資質を高めると同時に、こういう労働法規あるいは建築法規等その他、他の法令に違反することのないように厳重に監督処分体制を整えていくという形で、先ほど局長もお答えになりましたように、四十七年十月には、この労働法規関係につきまして、法令違反を労働省から御通報いただくような仕組みになっておりまして、現に賃金不払いにつきましても、それから労働災害につきましても御通報をいただきまして、私どものほうで監督処分を実施いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/132
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133・森井忠良
○森井委員 私は、労働省もそれから建設省もやはり労災事故に関しては責任重大だと思うのです。特に労働省の責任は私は重大だと思うのです。現地で私どもが聞いたら通報しております。ですから具体的には役所の機構からいけば、現地の労働基準局長はおそらく本省へあげるわけですから、本省から建設省へ通報する、こういうルートをとるわけでしょう。そうすると局長、あなたの手元へ十一件にわたるものがとまっておった。しかし、とまっておったといいましても、早いのは四十七年六月なんです。二年前、つまりもっとはっきりいえばいっておらないということなんですね。ですから、このことについてはもうあなたがお認めになりましたから、私これ以上追及はいたしませんが、厳に慎しむと同時に、これからもこういう問題があるわけでありますが、確かに建設業という関係からいけば、労災事故の一つの大きな原因になっておる業種でありますから、今後両省密接に連絡をおとりになって、こういうことのないようにしていただきたい。このことを確約できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/133
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134・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 そのように的確に行ないますように、でき得る限りの努力をいたす所存でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/134
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135・川俣健二郎
○川俣委員 この際、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の共同提案にかかる原子爆弾被爆者援護法案を議題とし、その審査を進められんことを望みます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/135
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136・野原正勝
○野原委員長 川俣健二郎君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/136
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137・野原正勝
○野原委員長 起立少数。よって、本動議は否決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/137
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138・野原正勝
○野原委員長 内閣提出の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑はございませんか。——本案についての質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/138
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139・野原正勝
○野原委員長 ただいままでに委員長の手元に、山下徳夫君、川俣健二郎君、石母田達君、大橋敏雄君及び和田耕作君より本案に対する修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/139
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140・野原正勝
○野原委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。山下徳夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/140
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141・山下徳夫
○山下(徳)委員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
修正の要旨は、特別手当及び健康管理手当の支給範囲の拡大並びに手当額の引き上げにかかる実施時期を昭和四十九年十月一日から同年九月一日に繰り上げることであります。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/141
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142・野原正勝
○野原委員長 修正案について発言を求められております。川俣健二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/142
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143・川俣健二郎
○川俣委員 ただいま提案されました修正案に関連して、政府に確認しておきたいと思います。
すなわち、過日の国民春闘で弱者救済等で交渉に当たって、関係各位の御努力の結果合意を得た点についてであります。
すなわち、特別手当及び健康管理手当の支給額の引き上げの実施時期を修正により繰り上げて本年九月一日とする場合、特別手当及び健康管理手当以外の政令で定められておる支給額があるわけですが、その医療手当、介護手当及び葬祭料についても同様の措置を検討してもらいたいと思います。それをこの際に、同様の措置をとるかどうかを確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/143
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144・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 ただいま提案されておりまする修正案が成立いたしました暁には、政令で定めておりまする医療手当、介護手当及び葬祭料の支給額の引き上げの実施時期についても同様に措置するようにいたしてまいりたい、かように考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/144
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145・川俣健二郎
○川俣委員 了解しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/145
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146・野原正勝
○野原委員長 この際、修正案について内閣の意見があればお述べ願います。厚生大臣齋藤邦吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/146
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147・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としてはやむを得ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/147
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148・野原正勝
○野原委員長 これより本案及びこれに対する修正案を討論に付するのでありますが、申し出もありませんので、採決に入ります。
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず、山下徳夫君外四名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/148
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149・野原正勝
○野原委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/149
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150・野原正勝
○野原委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/150
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151・野原正勝
○野原委員長 この際、山下徳夫君、川俣健二郎君、石母田達君、大橋敏雄君及び和田耕作君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。その趣旨の説明を聴取いたします。山下徳夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/151
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152・山下徳夫
○山下(徳)委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及び原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、被爆者が現在もなお置かれている特別の状態と被爆者の援護対策充実強化の要望に配慮し、今後被爆者の援護措置全般にわたる制度改善を図ること。更に政府は本法の施行に当たり、次の事項についてその実現に努めること。
一 各種手当の額を更に引き上げることとともに、所得制限、健康管理手当の年齢制限の撤廃等の適用範囲の拡大を図り、もつて被爆者に必要な施策の充実に努めること。
二 被爆者の医療費については、全額公費負担とするよう検討することとし、さしあたり国民健康保険の特別調整交付金の増額については十分配慮すること。
三 昭和五十年の国勢調査を目標として、被爆者の実態調査を行うこと。併せて復元調査を更に整備充実し、被爆による被害の実態を明らかにするよう努めること。
四 被爆者の子及び孫に対する放射能の影響についての調査研究及びその対策について十分配慮すること。
五 沖繩在住の原子爆弾被爆者が、本土なみに治療が受けられるよう専門病院等の整備に努めるとともに、沖繩の地理的歴史的条件を考慮すること。
六 葬祭料の金額を大幅に増額するとともに、過去の死亡者にも遡及して支給することを検討すること。
七 特別手当については、生活保護の収入認定からはずすよう検討すること。
以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/152
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153・野原正勝
○野原委員長 本動議について採決いたします。本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/153
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154・野原正勝
○野原委員長 起立総員。よって、本案については、山下徳夫君外四名提出のごとく附帯決議を付することに決しました。この際、厚生大臣から発言を求められております。これを許します。厚生大臣齋藤邦吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/154
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155・齋藤邦吉
○齋藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/155
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156・野原正勝
○野原委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/156
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157・野原正勝
○野原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/157
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158・野原正勝
○野原委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。森井忠良君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/158
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159・森井忠良
○森井委員 質問を続けさせてもらいます。
現地の労働基準局長の説明を受けたわけでありますが、坑内作業をしております労働者の労働時間の問題がどうしても私、気になるわけです。現地の局長は、一日十二時間勤務をやっておりますという。これは労働省の局長ですよ。したがいまして、二交代で工事を休まないで、御案内のとおりあかりの区域でしたら当然雨が降ったらできないわけでありますが、坑内労働でありますから、天候に左右されません。そこで現地の労働省の局長からお伺いをいたしますと、一日十二時間労働をやらしております、したがって二交代ですという説明でした。いまよくなったのは、いわゆる週休日にはきちっと休ましております、こういう説明なんです。
問題は二つあると思うのです。一つは現状認識がまるっきり違うということなんです。きちっと十二時間でやめられるはずがない。第一それでしたら、作業の交代の、片方やめるというわけにいかないわけでありますから、マラソンのタッチみたいにすぐ次の作業者が入れるわけがありませんから、必ず重複した部分があると考えられます。それは、工具その他機械器具等も含めまして、当然十二時間の交代制勤務というわけにいかない。しかも現場の労働者、これはすでに大部分の方はいませんけれども、私どもがかって把握した範囲では、実際には、十二時間ということになっておるが、十三時間も十四時間も働かされるということはしょっちゅうでございますという説明を私どもは聞いております。さらに十二時間の内訳は、そのうち二時間、休憩時間がございます心まあこれは当然のことですけれども、あるということなんですが、一体どこで休んで昼食等をとっておったのだろうか、こういう疑問も残る。したがって、十二時間の労働で、いまよくなりまして週休だけとらしておりますという言い方については、これも労働省の姿勢としておかしい。第一、連続拘束十二時間ということになりますと、これはたいへんです。特に深夜の場合は、深夜十二時間作業を労働省として是認されるということ自体が、私は非常に前時代的なものを感じてなりません。この点についても是正をされる御意思があるかどうか。第一、就業規則なりあるいは時間外労働の協約、さらに労働基準監督署への協約の通告等につきましても、実態は、会社の部合のいい人に、ちょっとおまえ判を押してくれという程度で、およそその職場を代表する労働者とは認めがたいような人の判をもらって、法律に必要な就業規則なりあるいは時間外労働の協約なりの通告がなされておる、これが実態であります。したがって、この際、いま申し上げましたような現状から、抜本的に労働時間あるいは労働条件、就業規則等について、この際労働省として再審査をされるといいますか、メスを入れていただきたいと思うけれども、その点についてどうか。
それから二つ目は、国鉄にお伺いをしたいわけでありますが、とても言いにくい話でありますけれども、評判が悪い。人一人殺しても、香典も払わぬじゃないかという悪評が出ておるわけです。基礎は、先ほど申し上げましたように、国鉄は発注者なんだから請け負った以上は請負者の責任だという、全く私企業的な態度で今日まできておられる。だから香典も出さないという形になると思う。現実には香典等はおそらくどこかから少しは出しておられるのかと思いますけれども、問題はやはり基本的に国鉄の姿勢を問われる問題でありますので、現状を申し上げますと、なくなられた場合、いわゆる労災保険法による給付以外は、元請業者が百万円、これは現在は改正されてもう五十万ふえておりますが、一応その当時百万円。それから下請業者が二百万円、それだけなんですね。だから、なくなられてもこれはもう痛くもかゆくもないといえば語弊がありますけれども、人一人殺したら、業者はもうそれこそもうけが吹っ飛ぶばかりでなしに、会社の経理にも重大な影響がある——補償責任を持たさないからこういうことになってくると思うのです。ここのところは、人の命が元請けの場合なら百万円、この辺にも私は問題があると思うわけです。国鉄当局は、そういうふうな死亡事故等が出た場合は当然指導監督の責任を負うべきでありますから、こういった現状に対して、労災の給付以外に何らかの物的な給付についてお考えになる御意思があるのかどうか。これはぜひ再検討願いたいということを、要求も含めてお願いしておきたい。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/159
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160・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 お尋ねの第一点でございますが、隧道工事のような場合は、コンクリート覆工が完了いたしますと、これは坑内労働でないということになるわけでございますが、掘さく中等は坑内労働に該当するわけでございます。そういたしますと、先生御承知のように、時間外労働は基準法で二時間以内ときめられておるわけでございますので、八時間の労働に二時間の時間外労働を加える、もし休憩が二時間ということであれば、十二時間労働は、法規上から申しますと基準法違反ということにはならないわけでございます。もしこれをこえますような労働が実際に行なわれるといたしますれば、これはもう基準法違反でございまして、私どもそれについては厳正に監督し是正させることはもちろんでございますが、もしこのとおり行なわれておって、基準法違反でないという場合におきましても、一日十二時間労働といったような長時間労働は、私ども必ずしも好ましいものだと考えておらないのでございまして、これにつきましては、私ども昨年全般的な通達を出しまして、いわゆる時間短縮の指導にも取りかかっておるところでございまして、この際、時間外労働につきましても適正なものにしていく、時間外協定等も単なる形式的なものでなしに、合理的な適正なものにするように指導もし、さらに建設業等につきましては、いままで必ずしも行なわれておらなかった日を特定した週休制の確保というようなことも昨年来指導いたしております。広島は最初にこれを実施したところでございますが、そういうことによりまして指導いたしておるところでございます。今後ともあまり適当な限度をこえたような長時間の労働につきましては、できるだけ適当な範囲内に短縮させるように行政指導をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/160
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161・斎藤徹
○斎藤説明員 ただいまの先生の、評判が悪いぞという御指摘については十分に反省いたしますが、ただ、死亡事故という不幸な事故が起きたときに、国鉄当局が非常に冷淡であるということは絶対にないわけでございます。事故が起きれば、直ちに少なくとも私のところには速報が参ります。速報を受け取った私自身が非常に暗い気持ちにもなりますし、私がかって現場におりましたときには、そういう事故が起きた場合に、工事夫全員がほんとうに二、三日非常に暗たんたる気持ちになったという経験もございますので、外部から見られればそういうふうに受け取れるか存じませんが、決して死亡者に対してそんな冷たい、冷淡な感情で対しておるわけではないというふうに私は申し上げていいと思います。
それから、そういう犠牲者に対する補償関係云々という点でございますが、現状では、殉職者に対する補償関係はすべて請負業者と雇用関係にある犠牲者との間で行なわれるような制度になっておりますので、国鉄が特に補償するということになっておりません。ただ、これは将来の問題として、法令が改正されたりそういうことになれば当然発注者としてもそれに応じなければならないと思いますが、現状の法令ではあくまで補償の義務は請負業者のほうにあるということになっておるので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/161
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162・森井忠良
○森井委員 いまの両者の答弁につきましては、政治論として特に国鉄には冷淡ということばを使いましたけれども、これはあなたがそう思っても、やはり全般的に見れば、いわゆる弔慰金なり補償金といったものの給付がない以上は、感情の問題とこの国会で議論する場合と違うのでありますから、ぜひひとつ前向きに御検討いただきたいと思います。
それから労働省のほうには、いまの答弁は、私が申し上げました就業規則なり時間外労働の状態なり休憩、休息の場所なり、そういったものについて、山陽新幹線の場合は具体的にはもう実態がなくなっているきらいもありますけれども、これは当然上越あるいは東北新幹線に続いておるわけで、現に事故が起きておるわけでありますから、そういう意味も含めて再考願うということで理解してよろしゅうございますね。
それでは最後に、労働省にお伺いしたいわけでありますが、備後トンネルの関係で、障害等級七級以上の方々の調査を私どもも受け取ったわけでありますけれども、五人ほどいらっしゃいます。これはいずれにしても深刻な生活の問題があるわけでありますけれども、現地で聞きましたら、この方々が障害等級七等級以上になられてその後どうしていらっしゃいますかという質問には、把握をしておりませんということだったと思うわけですよ。これは新幹線だけでも先ほど申し上げましたように多数にのぼる障害者が出ておられるわけでありますから、労働省の大事な政策としてこれから当然追跡をしていかなければならぬ問題だと私は思うわけです。したがって、とりあえずたまたま出されたこの五名、一つの例になって恐縮でありますが、この方々は現在どうしておられるか。これは再就職の機会等も含めて、そうしますと、訓練ということが問題になってきましょう。あるいはその家族の生活等の問題も出てまいりましょう。各方面の労働災害被災者の皆さんに対する措置としてこれから当然手がけていただかなければならない非常に大事な問題ですし、現在の法制でも完全に要求が満たされるような条件になっておりませんから、ぜひ追跡調査をされて、いずれかなるべく早い機会にこれらの障害者の皆さんに対する——全国的には非常に多いわけでありますけれども、労働省の方針をお示し願いたいと思う。その点について御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/162
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163・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 災害にあわれまして不幸にしてなおられたあとも障害が残られた方々の生活の問題については、私どもも深い関心を持っておるところでございます。ただ、毎年全国では非常に件数が多いために一々は把握いたしておりませんが、ときどき全国的な抽出調査はいたしておるところでございます。最近でございますと四十七年に、これは婦人局にやってもらったのでございますが、労働災害家族の生活実態に関する調査というのを全国についていたしまして、そういう方々の生活の実態を把握いたしております。今後ともそういうことでできる限りそういう方々の実態を把握しながら行政を進めてまいりたい、かように考えております。
なお、こういう方々のいままでの労災の措置等、必ずしも十分でございませんでしたが、今国会では労災保険法の一部改正法案を提出いたしておるところでございまして、七級以上といったような年金を受け取られる方々に対しまして、年金額も平均一二%くらい引き上げられる、こういう措置もとっておるところでございますし、さらに治癒されましたあと社会復帰されるについてのアフターケア措置なども、昨年十一月に通牒を出しまして、必要な職業訓練その他についてのいろいろなごめんどうを見るような措置も昨年の暮れ以来とっておるところでございます。こういうところを今後一そう手厚くいたしまして、そういう方々の生活については十分に配慮するようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/163
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164・野原正勝
○野原委員長 枝村要作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/164
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165・枝村要作
○枝村委員 同僚の森井委員から新幹線の工事に伴う災害の問題についていろいろ質問がなされたのでありますが、私も昨日上越新幹線をつぶさに調べてまいりました。その内容は大同小異でありまして、同じような問題になると思います。したがいまして、私は質問の時間も十分くらいしかありませんので、総括的に取りまとめていきたいと思います。ですから、一方的な私の質問ということになっていきますから、御了承願いたいと思います。
上越新幹線工事が開始されてからあまり間がないのです。それにもかかわらず四十九年三月三十一日現在で死亡が九名、それから休業八日以上の重傷百四十名、こういう労働災害が出ておるのです。山陽新幹線工事においてたくさんな犠牲者が出ております。これは先ほども森井委員から指摘されたと思うのですけれども、死亡が百五十八、重傷が四千九百三名、こういう多大な犠牲者が出ておる。しかもその出した企業は上越新幹線でも同じ企業だと思う。ですが、結局は、そういう犠牲者を出したという教訓を企業はもちろん政府も十分に生かして、あとあとのそういう工事に労働災害をなくそうとする努力がされたとは思うのですけれども、結果的には全くむなしいものになっているということが言えるのではないか。ですから、このままほっておきますと、いまからが本格的な工事、上越新幹線やその他新しい新幹線がどんどんいまから開始されるのですから、たいへんなことになる、こういう心配を私は持っております。ですから一段と、企業、それを指導する国鉄あるいは政府、これは一体となっていままでの教訓を生かして、労災がないようにしてもらいたいということを冒頭に申し上げておきたいと思います。
私どもが調べて明らかになりました問題点を、数点ひとつ指摘しておきたいと思うのです。
山陽新幹線の岡山以西の建設工事においては、先ほど言いましたようにたいへんな死亡者を出しております。それから大手の建設会社は今度の上越新幹線の大清水トンネル工事でも、数字をあげていうと、同じ会社がそういう類似の事故を起こしておる。たとえば鹿島建設は、山陽新幹線では死亡を八名出しておるのが今度大清水トンネルでは二名も出しておる。それから大成建設は、山陽新幹線で七名が大清水トンネルでは二名、佐藤工業も三名と一名、こういうふうに出ております。いろいろ原因がありますけれども、これはほとんどが人災だと私は思っております。
きのうの調査では、不可抗力的なものだという発言をしておったのですけれども、それはみんなから袋だたきにしかられまして、陳謝をしておりましたが、ほとんどが人災だ、防ぐことのできるものであったものが、結局予防措置とかその他の企業側あるいは監督官庁側の指導の不備によって起きてきたものだというようにわれわれは見ております。その中でも一番痛感したのは、現場で直接働いておる労働者が非常に未熟者が多いということです。その原因は何かといったら、直営ではなく下請に回しておるからだとわれわれは指摘いたしました。企業あたりはトンネルならトンネルの専門の会社に請け負わしたほうがいろいろの面でよい、こういう判断をしておる。確かにトンネル専門の工事を請け負っておりますので技術者はおるでしょうけれども、そのまわりを取り巻く労働者というものはほとんどが農村から出かせぎに出た人たちとか、そういう未熟な人が多い。だからいろいろな事故につながってくるのではないかということを指摘したのでありますが、これは労働省になりますか、そういうことが事故にもつながっていくという点についての御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/165
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166・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 確かに建設工事その他におきまして、労働者が未熟であるというための事故が多いことは事実でございまして、私どもこういう問題に対処いたしますために、先般制定していただきました労働定全衛生法におきましても、労働者を雇い入れたとき及び新しい職務につかせるときには必ず安全衛生教育をやるという義務づけを事業主にいたし、規則で教育をすべき事項も指定をいたしておるところでございますし、さらに、法令でそういう規制をしておるだけではなくて、実際においてもたとえば出かせぎ者等につきましては、主要な送出地におきまして、関係地方自治体の協力を得まして、就労前に安全衛生講習会を開くとか、あるいは自治体がそういう安全衛生教育をやった場合には助成措置を講ずるというようなこともいたしておるところでございまして、今後ともそういう未熟であるための事故というようなものに対しましては、安全衛生教育をできる限り行なうことによってそういう事故の防止をはかっていきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/166
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167・枝村要作
○枝村委員 契約書では安易に下請に出せないようになっているのですけれども、実際は無制限にこれがそういう下請、さらにその孫請というような調子で出しておるというのが実態です。これはわれわれからいえば、元請の大企業が責任をのがれようとする手段である、こういうふうに指摘しておるところです。
それから、休業六十日の重傷さえ軽傷扱いにして、おるようです。そして被災者に対するアフターケア、先ほど答弁もありましたが、そういうものやあるいはリハビリデーションも全然なく、また再就職の保障やその他の職業訓練も全くしていない。これが明らかにされております。
それから、私どもはアンケート調査を同時に行ないました。これは会社の了解も得てやったのですけれども、それによりますと、けがで休んだ場合、半分しか被害者が賃金を支払われていないということがわかりました。これはたいへんなことだと思いますね。
その次に、先ほど言いましたが、職業訓練、安全対策が実質的にほとんどなされておらぬ。ときどき所長が訓示をしたりあるいはミーティングをやったりしますけれども、これは仕事の指示と精神訓話というような程度でありまして、ほんとにいま言いましたような安全対策のための真剣な取り組みというのが、どうもこういう建設業者、そういう現場では見られない、こういうふうに痛感しました。
それから坑内車両の密度が高いので、速度制限もないばかりではなく、多種の作業が狭い空間で結合して、高速度に進められておる。無理が押しつけられておる。これで死なれた方がおるのです。それから作業能率のみが重視されて、散水が省かれて空中の粉じん量がきわめて高い。じん肺の患者がたくさん出ております。それから、全部ないとは言いませんけれども、便所や休憩の設備もしてないところがたくさんあるようであります。
それから、たくさんありますが、もう時間がありませんから省きますが、各会社で就業規制というものはつくってはおりますけれども、実際にはこれは何年か前のそのままの労基法とか、そういうものが適用された額による就業規則、それをまた、労働基準局ですか監督署か知らぬが、ここがそのまま認めておる、こういう調子になっておりますね。たとえば葬祭料が六万円プラス三十日分などという、これは四十五年以前の規定、それから六十日分などという四十年以前の規定が、そのまま就業規則の中に生かされている。もちろん、監督署ですか基準局ですか、来た場合には、そういう支払いはしませんけれども、就業規規そのものは昔のままで平然と通用しておる、こういう実態なんです。ですからこれは古い。こういうのも、労働省あたりは特別に指導していかなければならぬと思います。
そこで、私どもいろいろ要求する事項はたくさんあるのですけれども、、その中の一つだけを申し上げます。とにかく元請責任を明確にして、元請企業の経営者を厳重に、こういう事故が起きた場合には処罰する。と同時に、災害を繰り返した場合には、その経営者は免職する。これは国鉄にお聞きいたいのですが、大体そういう前科のある企業から指名入札させるという資格を剥奪するということはできないのですか。そうしないとこれは、最適の手段とは私は思えませんけれども、強い姿勢を示さぬと、労働災害、特に類似の災害がどんどん起こるということでありませんけれども、起きてもその責任を痛感しないことに通じてくるのではなかろうか。むごい仕打ちのようでありますけれども、そういう最後のだんびらをふるって警告を与えるということはできないものか、こういうことについてひとつ御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/167
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168・斎藤徹
○斎藤説明員 山陽新幹線に例をとって申し上げますと、山陽新幹線の岡山以西は、先ほどもちょっと申し上げましたが、トンネルは百十本ございまして、その延長は二百十キロあるわけでございます。それを大体百二十工区に分割しまして、それぞれ請負に出して仕事をやったわけでございますが、その仕事をやるのに入っておる業者の数は実は二十数社しかないわけでございまして、二十数社のうち十一社くらいか——この二百十キロのトンネルの七割ぐらいは、その十一社の業者が請け負っておるということは、日本にたくさん請負業者はございますが、いわゆるトンネルをできるというか、トンネルを得意とする大手業者というのは十数社しかないというふうに見れるんじゃないかと思います。したがいまして、それぞれそういう大手業者が、今後の問題としまして、東北あるいは上越を含めまして、やはりこれらが一番トンネルに対する技術力を持っておりますので、どうしてもこれを施工するためにはこういう業者を使わざるを得ないのではないかと思います。ごれが使えないとなりますと、なかなかトンネルの仕事が十分消化できないということになるわけでございまして、われわれとしましては、やはりこの業者それぞれが事故を絶対に起こさないように、それぞれが自戒してがんばってもらう以外はない。これは業者だけの問題じゃなくて、労働省のほうの御指導をいただきまして、われわれもいままで以上にさらに真剣になって業者の指導といいますか、業者と一緒になって安全対策を講じていかなければならない、このように考えておりまして、今後特に安全その他の問題に対しましてひどい状態を起こすような業者がありましたら、当然のこと厳重に、指名停止でも何でもする所存ではございますが、現状はそういうことでありまして、残念ながら事故皆無という業者が一社もないということはまことに残念だとは思いますが、今後ますます改善してまいりたい、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/168
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169・枝村要作
○枝村委員 国鉄や発注者、鉄建などは、きのうも一生懸命やっていると言っておりますけれども、しかし単に口先や文書の指導だけでは、なかなかこれはそういう企業にちゃんとした定全対策その他の防御処置をとらせるまでには——長い間の彼らの一つの何かあるんでしょうな、よくない慣行が。そういうやつを打ち破らぬと、できぬと思います。そういう意味で最後に述べられたように、非常にたくさんなそういう労働災害を起こすような企業に対しては、何かの手段で反省を求めるということに一生懸命につとめてもらいたいと思いますし、労働省も監督官庁として、そういう立場に立って徹底的な指導をしていただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/169
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170・野原正勝
○野原委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後一時五十六分休憩
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午後二時三十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/170
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171・山下徳夫
○山下(徳)委員長 代理休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。田中美智子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/171
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172・田中美智子
○田中(美)委員 五月十七日に、生活保護の基準一が六月一日から再改定されるというふうなことがここで話されたわけですけれども、この生活保護の基準が再改定された場合には、やはり昨年のように失対の賃金の再改定もすぐに同じ時期に同じパーセントでやっていただけるというふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/172
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173・長谷川峻
○長谷川国務大臣 いま生活保護基準の問題が出ましたけれども、正式にはまだ私たちは聞いていないことを御理解いただきたいと思います。しかし失対賃金の問題は、この委員会でも私がときおりお話し申し上げているように、いろいろな関係方面と連絡をとりながら、常によその方面に負けない前向きの姿勢であるということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/173
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174・田中美智子
○田中(美)委員 前向きの姿勢はわかりますけれども、生活保護と一緒にやっていただく、生活保護が六月一日ならば失対のほうも六月一日にというふうに、その点のところを確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/174
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175・佐藤嘉一
○佐藤(嘉)政府委員 生活保護基準の改定が行なわれます場合に、生活保護基準はそのまま直ちに実施できますが、私どものほうはそういう方針がきまりまして、失対の賃金でございますので失対事業賃金審議会の御意見を聞かなければならない一わけでございます。そういった点で粗漏のないように努力はいたしたいと思いますが、必ずしもオールウェイズ同時にということが、時期的な関係という問題で実は非常に気にはいたしておる点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/175
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176・田中美智子
○田中(美)委員 いま物価指数は二〇%は上がるということがだれが見ても言われているわけです。ですから、六月一日に出るということはある程度予測されることですから、新聞にも大きく報道されておりますし、国民はそれを期待している。そこまできているわけですから、いまからの時間の間に心準備ということはできるはずです。それが出て、それから準備をするということではなく、いまからできるはずだと思うのです。いまのようなお答えというのは、いま物価の上昇というものは非常に速度が速いわけですから、そういう時期にそういうのんびりした態度というのは非常に困ると思うのですけれども、その点でしっかりした決意を聞かせていただきたいと思います。大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/176
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177・長谷川峻
○長谷川国務大臣 各役所の情勢などを見、また先生のおっしゃったような新聞のことなどもこれあり、十分真剣に検討して、いろいろな事務的な問題などもあれば、そういう問題なども含めながら検討していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/177
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178・田中美智子
○田中(美)委員 それでは、昨年の十月にやったときの時点と同じように考えてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/178
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179・佐藤嘉一
○佐藤(嘉)政府委員 昨年は、十月から生活保護及び失対の賃金につきまして五%の再改定を行なったわけでございますが、昨年は時期的な時間の余裕もありましたので同時に改定ができたわけでございます。私どもとしては、本来先生御指摘のように同じようなタイミングということでございますが、四月の消費者物価指数が出ますのは、私どもが承知しております限りでは五月の末でございます。もし五月の末に出まして、生活保護基準の改定はその数字を見まして、政府部内の御検討を得まして結論が出れば、直ちに六月一日からでも改定は可能なわけでございますが、私どものほうはその方針が出まして審議会を招集いたしまして、委員の先生方の御意見を聞かなければならぬという手順がございますので、そういう点を先ほどから率直に申し上げているところでございます。そういった観点から、六月一日という仮定に立ちますとそういう問題もあり得るのじゃないかということを申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/179
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180・田中美智子
○田中(美)委員 あり得るということは最悪の場合ということかどうかわかりませんけれども、昨年十月にできたことがことしの六月にできないということはあり得ないことだと思いますし、生活保護が六月一日から再改定されるということはほぼきまっていることなので、いまからそれを準備するということは当然できることだというふうに思うわけです。なぜそれができないのか、ここまできていてなぜできないのか。できるということで確約したくないというおつもりかもわかりませんけれども、生活保護がきまった場合には昨年の十月と同じようにやっていただきたい。国民もそのように期待しておりますし、その点についてはっきりしたお返事をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/180
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181・遠藤政夫
○遠藤(政)政府委員 ただいま失対部長からお答え申し上げましたように、いわゆる低所得者に対する措置ということにおきましては、生活保護基準が改定になればできるだけ同様な考え方で検討してまいりたい、大臣から積極的にお答えがございましたとおりで、ございます。
ただ、失対賃金は、御承知のように緊急失業対策法によりまして物価とは全くリンクするようにはなっておりません。同種の職務に従事する、類似の作業に従事する人たちの賃金を基礎にして定めることになっております。そういった関係で、私どもが努力はいたすといたしましても、必ずしも同時的に同じような措置をとられるということではございません。その点御理解いただきたいと思います。
六月一日云々につきましては、そういう仮定の上に立ってのことは私どもはお答えできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/181
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182・田中美智子
○田中(美)委員 いまのお答えは、先ほどの大臣のお答えよりももっと後退しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/182
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183・遠藤政夫
○遠藤(政)政府委員 後退はいたしておりませんけれども、いま先生のお話のように、仮定の上に立って同時にやれとおっしゃられても原則が違いますし、基づく法律も違うわけでございますから、それを踏まえて、大臣のお答えになりましたような方向で私どもは努力いたしたい、こう申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/183
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184・田中美智子
○田中(美)委員 原則がいろいろ違うということはよく存じております。しかし、昨年十月にもそれはできたわけですし、いままでそれは大体全部同じようにやってきたわけですから、この時点でそれをもし変えるということであるならば、変える理由というものがはっきりなければならないわけで、いままでずっと同じにやってきたわけですから、それがこの時点でできないということはないと思うのです。十月の時点と同じようにやっていただきたいというふうに思います。
それから引き上げ率の問題ですけれども、新聞報道などでは一〇%というような予測が報道されておりますけれども、昨年は一八%上がっているわけですね。それが今度の場合に二〇%上げるということは、昨年の五%が入っているわけですから、そういうことになりますと昨年は全部一八%上がったということは、春闘相場からすれば、春闘の相場というものがほぼそれに近い数字になっているわけです。一九・五%くらいになっているわけですね。ことしは春闘相場、いまおっしゃったような他の建設労働者の賃金と比較しましても、そちらのほうは三一・五%上がっているわけです。そういう意味でこの上げ幅というものを、生活保護のほうとは計算が違うにしても、春闘相場というものと大きくかけ離れない数字というものの再改定をしていただきたいと思いますけれども、その点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/184
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185・佐藤嘉一
○佐藤(嘉)政府委員 失対事業就労者に払われますものは賃金でございますので、法律のたてまえで申しますと、屋外職賃の調査の結果から、類似の作業ということで賃金改定を実施いたしてまいっているわけでございます。昨年の十月の際はまさに異例の措置でございまして、私どもは数字がないわけでございます。調査は毎年八月に行なわれますので数字がございません。ただ失対の就労者は非常に低所得者であるということで、諸般の事情を考慮しまして、総合勘案しまして、生活保護と同じ率の改定を大臣の御決断により決定し、実施をいたしたわけでございます。
今回の場合におきましても、いろいろと春闘の賃金の上げ幅であるとか、また私どもで実施しております毎月勤労統計等のいろいろな数字はございますけれども、建設労働、日雇いというものは賃金に非常にブレが多うございます。むしろそれによることが有利かどうかというようないろいろな問題が昨年の場合にもあったわけでございます。昨年の場合で申しますと、もし建設の日雇い労働者の賃金をいたしますならば五%にもなりません。そういった事情もございますので、要は総合判断をいたしまして、大臣の御決断により私どもといたしましては対処いたしてまいりたい、そういうことでいろいろなネタは集めて勉強はしておりますけれども、法律のたてまえによりますと、新しい調査に基づいてやらなければならないというたてまえでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/185
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186・田中美智子
○田中(美)委員 いま大臣の決断でと言われましたので、ぜひ大臣が決断していただきたいと思います。いまの失対の状態というものを何と比較して何がどうだからというふうなことばかり言っていないで、現状というものは、いま物価が異常に上がっているということは、ただ戦後のような物価が上がったというときとはだいぶ違っているわけです。現在の物価高というものは中小企業やサービス面の物価高よりも、大企業製品とか公共料金が非常に上がっているわけですね。そういうものは、むしろわれわれにとりましては社会的に強制された出費なわけです。家賃を節約できない、電気代も節約できない、そういうところが非常に上がってきているわけですね。そうすれば、実際には食生活を詰める以外には生活できないという実態になってきているわけです。
いまの失対の食生活を見てみますと、総評のつくった標準生活費と比較しましても、食費を見ますと三九・八%ということは、総評関係の労働者の半分以下の食費である。その食費の中を見てみますと、穀類が三八%ということで、穀類ばかりを食べているわけですね。そうして肉はわずか七・六%、平均の七〇%じゃなくて七・六%。牛乳とか卵とかいうものは一六・三%、野菜が二〇%という、こういうひどいものになっているわけです。それから人事院の理論生計費と比較しましても、これは五二・六%の食費ということになっているわけですね。
これではほんとうに生命を維持していくということは非常に困難になっている。ただ全体に物価が上がったから、私たちと同じように彼らも困る。そうではなくて、彼らのほうがより多く、低所得者ほど大打撃を受けているということを考えていただければ、昨年の十月が異例の措置だと言われますけれども、いまはそれ以上にもっと異例の措置だというふうに思うわけです。そういう意味で、大臣の決断をあれしまして、あれは日給計算になりますので、大至急にいまから準備をして、六月一日の生活保護が上がるときと同時に、それがやっていかれるように決断をもってやっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/186
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187・長谷川峻
○長谷川国務大臣 春闘の話も出ましたが、春闘で三〇%上がったといっても、これはサラリーマンが月給がさっと上がるものですから、そういうことからくる、いわゆる谷間にある方々が非常に困るだろうということは、私、よくわかります。でありますから、いろいろな事務的な問題等々もありますが、前向きの姿勢で考えていきたい、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/187
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188・田中美智子
○田中(美)委員 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/188
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189・山下徳夫
○山下(徳)委員長代理 坂口力君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/189
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190・坂口力
○坂口委員 まず国民の祝日に関する質問からひとつお伺いをしたいと思います。
昨年、国民の休日に関する法律ができまして、口の悪い人は、去年の政治の中で一番よかったのはこの法律であって、日曜日と祭日が重なった場合に翌日が休みになるという、これだけが唯一のよい法律であったという人もあるぐらい、たいへんな反響をも呼んだと思うわけであります。
この国民の休日に関する法律の第三条、それから労働基準法の第三十五条、三十七条のところに、いわゆる休日に関することが詳しく述べられております。国民の休日に関して規定されているわけでありますが、大きい企業等の労働者、この方々は祭日、いわゆる日曜と重なった場合には翌日お休みにするという、これが行なわれているわけでありますけれども、中小企業の場合には、なかなか十分にそれが行なわれていないという現状のようであります。この点をどのように把握しておみえになりますか、ひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/190
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191・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 振りかえ休日を企業においても休日としているかどうかという点につきましては、私ども調べておるところによりますと、先生御指摘のように、やはり大企業は休日とするものが多いようでございまして、私どもの調査では、千人以上の企業ですと休日としているものが六七・五%、休日としていないものが三二・五%、かように相なっております。しかし、規模が下がりますと休日にしているものがだんだん少なくなりまして、百人以下三十人ぐらいの中小企業になりますと、休日としているものは四七・一%、休日としてないものが五二・九%というような状況に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/191
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192・坂口力
○坂口委員 いまおっしゃいましたように、百人以下大体三十人ぐらいのところでは四七・一%でございますか、非常にこのパーセントが下がってきているわけでございます。
そこで、これは賃金の問題がからんでくるわけでございますが、祝日に出勤する場合に当然考えることとして、いわゆる割り増し金が出されてもよいと思うわけでありますが、この点についてはどういうふうな調査がされておりますか。もしも調査した結果がございましたらひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/192
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193・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 基準法上は週休の、週に一回の休日に働かせる、休日労働をさせる場合には二割五分以上の割り増し賃金を支払わなければならないことになっております。それをこえます休日を就業規則等できめております場合においては、基準法上は割り増し賃金を別に払う義務はないのでございますが、割り増し賃金を払っているところも確かにございます。ちょっと私ども、現在のところでは、振りかえ休日について割り増し賃金を払っているか払っていないかの資料を持っておりませんので、その辺は明確ではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/193
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194・坂口力
○坂口委員 皆さん方のほうの行政指導という形ではどういうふうにしておみえになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/194
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195・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 私どもは、せっかく法律で祝日と日曜が重なった場合にはその翌日を、月曜日を休日とする取り扱いが規定されておりますので、できる限り振りかえ休日も企業内においても休日にするように指導をいたしておるわけでございます。週一回の休日をこえて休日をふやしました場合には、せっかく休日とした趣旨からいたしますればなるべく休日労働をさせない、休日としたからにはほんとうに休ませることが休日とした趣旨でございますので、割り増し賃金を払うから働かせていいというわけではございませんが、やはりなるべく休ませる。もし万一どうしても働かせなければならぬ場合には、割り増しを法律上の義務でないにしろ付することが好ましい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/195
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196・坂口力
○坂口委員 一年間の間でそう幾日間かあるわけではございませんし、おそらく多くても二、三日ではないかと思うわけです。小零細企業におきましては、経営上、非常にいろいろの困難等も伴うものと思いますが、しかしそう年間で幾日間かの問題ではありませんので、でき得る限り、この法律が小零細企業で働いておみえになる皆さん方にも潤うように指導というものを強化していただきたいと思うわけであります。
そうはいいますものの、小零細企業では、どうしてもいろいろの関係上出勤をしなければならないというようなときには、割り増し金か何か、何らかの方法というものが検討されれば私は幸いだと思うわけです。この割り増し金の問題につきましては労働基準法とのからみもあると思います。今後ひとついままで以上の指導をお願いをしたい。大臣から一言この問題についてお話を伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/196
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197・長谷川峻
○長谷川国務大臣 法律もあることですから、なるべくそれを実施していきたい。またそういう指導をしたい、こう思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/197
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198・坂口力
○坂口委員 簡単明瞭にお答えいただいたわけでございますが、局長のほうからもう少し足していただくことがございましたらお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/198
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199・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げましたように、法律でせっかく休日と祭日が重なった場合には、翌日を休日とすることになっておりますので、企業においてもそういう日は休日とするように指導いたしたいし、万一そういうふうに何らかの都合で働かせざるを得ないような事態があれば、御趣旨のようになるべく割り増し金その他の措置によって労働者に保護を与えるような方向で行政指導をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/199
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200・坂口力
○坂口委員 ではその点ひとつお願いをいたしておきたいと思います。この問題はもうこれだけにいたします。
次に、ろうあ者の問題に移らしていただきたいと思います。
ろうあ者等の問題でございますが、基本的なことを皆さん方にお伺いをしたいと思うわけであります。ろうあ者の基本的人権を守って生活、医療、教育、職業あるいは福祉等種々の面がありますが、きょうは特に労働というか職業関係にしぼってお伺いをしたいと思うわけであります。
現在労働省で行なっておみえになるろうあ者対策の実情について、まず荒々お伺いできたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/200
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201・遠藤政夫
○遠藤(政)政府委員 現在ろうあ者の中で、公共職業安定所にいわゆる求職の登録をしておられる方がことしの三月末現在で約二万人ございます。そのうち、就業者が約一万八千人で、未就職の求職者が千四百名余りということになっております。こういうろうあ者につきましては、いわゆる盲人と並びまして聴覚に障害がある、言語機能の障害を持っておられる、こういう方々でございますので、意思の疎通を十分行なうことができない。こういった点で一般の他の身体障害者の場合以上に職業上の問題につきましては困難性がございます。職業指導なりあるいは職業紹介を行なうにつきましても十分な指導がなかなか行き渡りにくい。同時に適職という面につきましてもその範囲がきわめて限定される、こういうことでございますので、公共職業安定所におきましても通常の形での職業指導、紹介というわけにまいりません。そこでこういった人たちの職業能力の判定なり適性の指導、こういった面につきまして身体障害者の職業センターを全国おもな地点に八カ所つくりまして、こういったセンターで、特にこういうろうあ者の方々の職業指導に当たると同時に、一般の安定所の担当職員ではこういった方々に対する御指導ができませんので、昨年、四十八年から、おもな職業安定所にいわゆる手話協力員、こういうろうあ者を専門に担当していただく協力員を配置いたしまして、この人たちによって職業指導なり適職の判定なりあるいは職業紹介、あっせんを実施するようにいたしておるわけであります。この手話協力員が現在四十名配置されておりますが、これは今後増員をしてまいるつもりでおりますし、その協力に対する諸経費につきましても、現在なかなか思うように十分ではございませんが、今後一そう充実してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/201
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202・坂口力
○坂口委員 このろうあ者の労働条件というものをいろいろ話を御本人等に聞きますと、かなりきびしい労働条件にあるようでございます。たとえば賃金にいたしましても普通の人の半額あるいは四割というような方もかなりたくさんおみえになるようであります。しかし仕事によりましては普通の人と同等、あるいはそれ以上にでき得る方もかなりたくさんございます。たとえば洋裁でございますとか和裁でございますとか、きれを裁断するとかというような技術を持っている方もかなりおみえになりまして、そういった方は非常に仕事内容としましては普通の人も負けるぐらいな腕を持っておいでになる方もたくさんあるわけであります。ところがそういう人でも、賃金の面になりますと、なかなか普通にいっていない場合が多いようでございまして、そういうふうな職を持った人でもせいぜい七割かくらいのところの人がかなり多い。そういうふうな人から、やはり仕事ができるのだから、何とかしてそれだけの賃金はもらいたいというふうな御意見がたくさん出るわけであります。これは個人の経営のところに雇われておみえになるわけでありますから、公的な場ではございませんけれども、そういった賃金面で皆さま方のほうでお調べになったものがありましたらひとつお教えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/202
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203・加藤孝
○加藤説明員 昨年の一月から三月にかけまして、心身障害者の方々の実態調査をいたしました。そこで聴覚障害の方についての賃金が平均いたしますと六万一千円というデータが出ております。その時点におきます一般の労働者の賃金、これはいずれも所定内賃金でございますが、それが六万九千円、こういうデータが出ております。ろうあ者の方の賃金を重度の方、中度の方、軽度の方というふうに分けますと、特に御指摘にございました賃金の低い方、これは重度の方がやはり安くなっておりまして、四万四千六百円、それから中度の方が六万四千九百円、それから軽度の方が五万七千九百円、こんなようなデータになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/203
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204・坂口力
○坂口委員 それは公のところと申しますか、たとえば官公庁等におつとめになっている方でございますか、それとも一般の企業、あるいは小零細企業等におつとめになっている方も含めてのデータでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/204
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205・加藤孝
○加藤説明員 ただいま申し上げました調査は、昨年の一月ないし三月の間におきまして、民間の大企業を含めまして約一万六千事業所を一分の一から六百分の一の抽出調査をいたしましたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/205
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206・坂口力
○坂口委員 私どもが実際に聞きます場合には、労働環境等の非常に悪いところが多いということもあろうかと思いますけれども、私どもが聞いた値はいまおっしゃったのと比べてかなり低い値になっております。いま申されました金額でございますと、重い人ですとかなり低うございますが、中級あるいはそれ以上だったらさほど変わらないというような結果が出ているような感じでございますけれども、実際われわれが当たってみる範囲内では、もっと大きな開きがあるというふうな気がするわけでございます。
それで、先ほど局長のほうから職業安定所の問題が提起されました。職業安定所にいわゆる手話通訳と申しますか、そういった方を全国で約四十名置いているという話でございますが、この手話通訳をしてくださる人というのは、なかなか少ないということもあろうかと思いますが、これはどうしても皆さん方の職業を守る窓口でございますので、この人数を何とかしてもう少しふやしていただきたい、こう思うわけであります。現在手話通訳をなさる方、これは今後どれくらいふやされる計画があるか。また、非常に手話通訳等をしてくださる人というのは少ないと聞いておりますが、これはいわゆるこの方々の身分上の問題あるいは労働賃金等の問題で非常に低いのか、その点の問題点はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/206
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207・遠藤政夫
○遠藤(政)政府委員 この手話協力員をお願いしまして、窓口の職業指導、職業紹介を実施いたしておりますが、これは昨年から初めて取り入れた制度でございます。昨年二十名のものを今年度四十名に倍増いたしておりますが、今後、先ほど申し上げました身体障害者の職業センターを中心に、そういったろうあ者の職業紹介を重点的にやってまいりたい、こう考えておりますが、こういったろうあ者の求職者の動向等にらみ合わせながら充実をはかってまいりたい。ただ先生御指摘のように、この手話協力員になっていただく方自体がきわめて得がたい方々でございます。そういった実情を充分勘案しながら充実をしてまいりたい。それから同時に、経費の面につきましても、現在時間給で経費を支弁いたしておりますけれども、その額につきましても今後一そう充実をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/207
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208・坂口力
○坂口委員 結局常勤ではなしに、月何回かというふうにお雇いになっているのだろうと思いますが、私ども聞くところによりますと、謝礼金のような形で一時間千五百円ぐらいというふうに聞いておりますが、大体そのぐらいでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/208
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209・遠藤政夫
○遠藤(政)政府委員 そのとおりでございます。常時勤務していただくわけではございませんで、こういう方がおいでになったとき、あるいは時間的にこういう方々の紹介、あっせんをするというような場合にお手伝いをいただくわけでございまして、いわゆる非常勤で出てきていただいたときに時間給で千五百円というのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/209
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210・坂口力
○坂口委員 それからこれは身体障害者の方全部に言えることでございますが、ろうあ者の職域の開発という面がございますが、いままでのろうあ者の職場というものもかなり限られているようでございますが、これの職域の開発ということに対してどういうふうにお考えになっているか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/210
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211・遠藤政夫
○遠藤(政)政府委員 冒頭申し上げましたように、ろうあ者とか盲人という場合には非常に職域が限定されてまいります。ただ、その中で適職についていただければ、と同時にその適職について何らかの訓練を実施することによりまして、健常者と同じように働いていただけるということでございますので、私どもは職業研究所におきまして、こういったろうあ者なり盲人の適職開発を検討実施いたしておりまして、それに基づいて、それに必要な作業用具だとかいろいろな援助のための措置を具体的に実施するというようなことをやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/211
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212・坂口力
○坂口委員 それからちょっと中身の違った問題でございますが、先日もろうあ者の方々とお会いしましたときに、テレビなどで、これはいつもは無理だろうけれども、たとえば週に何回とか限って、たとえば特定の時間のニュースだとか、あるいは番組だとかというようなものに、いわゆる洋画のときのような字幕を入れてもらうことができないかというような問題があったわけでございます。これはすべての時間にこれは当然無理なことだろうと思いますが、ある特定の時間を限って、あるいはまた特定の番組等に限って、そういった方法を取り入れていただくということは、これはこの人たちにとりましては非常に大事な問題ではないかと思うわけであります。その点で、これは私どもとしてはぜひそういうふうな試みが実現されることを望んでいるわけでありますが、お考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/212
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213・田代功
○田代説明員 テレビの画面に字幕をつける、あるいはどの時間にそういったものを放送するかといった問題、いわゆるテレビ番組の編集の問題に属するかと存じますが、放送番組の編集につきましては、放送法の規定によりまして法律の権限がなければ政府はこれに関与してはいけない、こういう大原則がございます。したがいまして、私ども、たとえば行政指導で番組の中にこういったものをつけたらどうだといったことを指導することはたいへんむずかしかろうかと存じます。しかし、いまお話しのような御要望が国会の場で出ておるということは、NHKなりあるいは民放なりに十分伝えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/213
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214・坂口力
○坂口委員 放送の番組の内容を云々の問題じゃございませんで、その内容に応じた字幕等をつけるということについては、これは内容をああしろとかこうしろとかいう行政指導の問題では決してないと思うわけです。そういうふうな字幕をつけるということは、一つの操作がふえるわけでありますから、あるいはまた一般の人にとりましては余分なものが出るということで問題等もあるかもわかりませんけれども、しかしこれは特定の時間、あるいは特定の番組等に限ってであれば不可能なことではないと思うわけです。やはりそういうことについても内容ではなしに、そういうふうな方法を試みてはという行政指導というものも、これは非常にむずかしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/214
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215・田代功
○田代説明員 放送番組編集の自由といいますときには、一番極端な例は番組の内容でございますけれども、番組の配列、あるいは時間、あるいはその番組のたとえばスタイルといいますか、そういったものまでひっくるめまして、広く放送番組について他から干渉を受けない、こういうのが大原則になっておりますので、いまのお話、実情はよくわかるのでございますけれども、私ども政府として、政府の意見としてそういった字幕をつけてはどうだという指導をすることは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/215
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216・坂口力
○坂口委員 報道の自由、あるいはその他の自由との問題のかかわり合いもあろうかと思いますけれども、ひとつそういうような皆さん方の御意見があるということは、皆さん方もお知りをいただきたいと思います。
これは、直接ろうあ者の皆さん方から、放送関係の皆さん方への注文という形で提起されたほうが妥当なのかもしれませんけれども、皆さん方のほうとしてもそういうお声があるということはひとつ頭に置いていただきたい、こう思うわけです。放送関係の皆さんとのお話し合い等の場がある場合に、そういうふうなこともこれは議論になったということは、ひとつ押しつけではなしに、そういう意見もあるということはお伝えをいただきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/216
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217・田代功
○田代説明員 お話の趣旨はよくわかりましたので、お伝えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/217
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218・坂口力
○坂口委員 次に移らしていただきますが、身体障害者雇用促進法につきましては、先日来何回か大臣もお話を伺いましたり、質問をさせていただいたわけでございますが、これには大体何%、一・六%か一・七%以上の雇用をするというような義務がございます。ろうあ者の雇用状況というものはわれわれもなかなかそのデータというものはつかみにくいわけでございますが、これは労働省の段階ではつかまれておるわけでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/218
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219・加藤孝
○加藤説明員 先ほど申し上げました昨年の一−三月の間に調査をいたしました実態調査によりますと、このろうあ者の方々の就職しておられます現状を見ますと、たとえば職種で申しますと、重度の方ではたとえば木製品などのいわば木材関係の加工業務、あるいは金属関係の加工業務、それから先生のさっき御指摘ございました縫製とか裁断とか、そういったような関係の業務その他印刷、製本、電気機器の組み立て作業、そういったようなものに重度の方でも就業をなさっておられる、こういう状況にございます。
中度あるいは軽度の方につきましても、もちろんそういった業務のほかに、軽度の方になりますと、サービス業といったものでもやはり就業しておられる、このような状況をつかんでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/219
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220・坂口力
○坂口委員 たとえば外国の例を見ましても、イタリアなどはILO九十九号でいわれておりますように、身体障害者の雇用について積極的にいろいろのことをやっております。特に一九五八年にろうあ者義務雇用法なるものをつくったり、特に盲人強制雇用法でありますとかをつくって、この人たちの職場というものの確保にかなりつとめておるようであります。日本の場合にはそこまで行っていないわけであります。先ほどもお話がありましたように、職安のほうに名前のあがっておる方だけでも二万人をこえているわけであります。やはりこの人たちにもよりよい職場を与えられるように、あるいはまたそういう労働環境が与えられるように、何らかのこういう法的措置というものも必要なのではないか、こう思うわけでございますが、どのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/220
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221・遠藤政夫
○遠藤(政)政府委員 ろうあ者につきましては、先ほど先生から御指摘がありましたように、一般の身体障害者以上にいろいろ困難な問題がございます。まず第一には、やはりこういったろうあ者について適職の選定、それとその職種に必要な技能の付与、このことをまず基本的に措置をしなければ、特にこういうろうあ者の就職の促進ということはなかなかむずかしいかと思います。
そこで私どもは、先ほど申し上げましたように、こういった適職の選定、それと同時に、ろうあ者についての職業能力をいかにして向上させるか、能力を開発するかという点につきまして重点を置いて、今後のこういったろうあ者の方々の就職の促進をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/221
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222・坂口力
○坂口委員 強制的な法なるものをつくるのが最もよい方法かどうかは議論の分かれるところであろうと思います。しかし、現在のように、どうしてもこの職場が自主的には確保されていかないということであれば、より積極的な方法としてやはり法制化というものを考えざるを得ないと私は思うわけであります。ろうあ者だけでなしに、障害者全体についてもこれは言えることでございますけれども、今後この面での積極的な行政指導なり、皆さん方のほうとしてなし得る努力をしていただきたいと私は思うわけであります。
それから先ほど賃金の問題が出まして、障害者実態調査、これで平均して六万一千円とおっしゃいましたでしょうか、ろうあ者だけではなしにほかの人も含めて。六万一千円前後のところだろうと思いますが、ろうあ者の生活が非常に苦しい段階に追い込まれていることは事実だというふうに思います。今後の問題として、これは社会保障の充実ということを中心にしていくのか、それともいわゆる最低賃金という形で全国一律な形で持っていくのか。その辺、一応社会保障としての一つのベースがあって、その上に賃金という形でいくか、それとも、もう社会保障ということではなしに、働ける人はとにかく一般労働者と同じ賃金でいくのだ、こういう考えでいくか。これは基本的な考え方によってかなり異なってくるだろう。この点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/222
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223・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 最低賃金は、現在最低賃金法に基づきまして地域別、業種別にきめられておるわけでございますが、考え方は、現在の最低賃金はやはり一応通常の労働力を持った人、こういうことで、金額もきまっておるわけでございます。
御承知のように最低賃金法の八条に、これは何号かございまして、その一号に、「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」こういう人につきましては、使用者は都道府県労働基準局長の許可を受けたときは、最低賃金の適用を除外することができる、こういう規定がございます。これは身体、精神等の障害によりまして、労働能力が著しく低い方に、一般の労働力を前提とした最低賃金をそのまま適用したのでは、かえってそういう方の雇用を促進することにならない、雇用の場を狭めることになる、こういうことも考えられるので、そういう規定があるわけでございますが、ただこの趣旨からいたしますれば、それは心身の障害だからといって、直ちに適用除外を認めるということではなしに、それぞれの方、あるいはその働いておられるお仕事から見まして、それが現についておられるそのお仕事にとって著しく労働能力が低いかどうか、こういうことで判断をすべきで、たとえば身体あるいはいまお話しのろうあ者というようなことで、心身障害の方でありましても、いまやっておられるお仕事から見れば、特に一般の労働能力を持った人と仕事の上では差がないというような場合には、これは心身障害者だからといって適用除外を認めるということではなくて、いまついておられる仕事から見て、これは通常の労働能力から見て非常に低いというような場合に適用除外を認める、こういうような考え方に立ちまして、慎重に適用除外はいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/223
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224・坂口力
○坂口委員 いま八条一号の差別条項の点について御説明があったわけでございます。そういたしますと、最低賃金制のこの定めによっていくということになりますと、結局社会保障の充実ということが非常に重要な問題になってくると思うわけであります。現在のところは御承知のような状態でありまして、言うまでもなくこの人たちにも十分でない段階であります。いわゆる労働の場というものが十分に認められていない。そこに賃金的な差があれば、その差はやはり社会保障的な考え方で埋めていかなければ、この人たちとしては当然生きていかれない、こういうことになろうかと思います。その点今後どのように考えていかれるのか、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/224
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225・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 先ほど申しましたように、賃金の面で申しますと、現についておられるお仕事からいって、一般の能力より非常に低い場合には賃金としてはやむを得ないわけでございまして、先生おっしゃいますように、これは社会保障の充実によってその面が見られるべきだと思うわけでございます。そういうことになりますと、これは労働省というよりは厚生省の所管の、たとえばろうあ者の方などの障害年金か何か、そういう面の充実が必要になると私ども考えるわけでございます。これは厚生省の所管ではございますが、私どもそういう面につきましては、できる限り充実されるように期待をして臨んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/225
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226・坂口力
○坂口委員 もう一点だけお聞きしておきたいと思いますが、身体障害者は、障害者でない者と一緒にまたは同じ条件のもとで、職業訓練所等でいろいろの訓練を受けたいという希望がかなりあるわけでございます。これは訓練の内容等によりまして、不可能な面も中にはあろうかと思います。しかし、この皆さん方の訴えももっともな面も私たちはあると思うわけであります。この点についてお伺いをしたいと思うわけであります。現在どのくらいろうあ者などが一緒になって訓練を受けているのかということです。
それから時間の都合で続けて質問だけいたしておきますが、受けられないとすれば、これは職業訓練法の第二十四条の一項だと思いますが、こういうふうな規定によって受けられないのか。それから訓練を受けていない人は、身体障害者の職業訓練所で受けておみえになると思うわけでありますが、法定職業訓練所で受けられるようにこの改善はできないものか、これらの点についてひとつお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/226
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227・久野木行美
○久野木政府委員 三点御質問でございますが、第一点の一緒にやっておるかという点でございますが、これは現在、遺憾ながら、一カ所に集めて特に一つの職種でというような訓練は実はやっておりません。現在、調べてみますと、昭和四十八年度で、身体障害者のための特別の訓練校がございますが、そこで約百三十名の聴力、言語障害の方々が訓練を受けておりまして、大体軽印刷とか理容、洋裁、機械製図等、ろうあ者として向くであろうと考えられております職種で訓練を受けておる、こういうふうな実情でございます。もちろん、一緒に集めてということが一番能率的であるかと思いますが、この点は将来の問題として私ども考えてまいりたい、こう思っております。
それから、第二点の認定職業訓練でございますが、これはもちろん、この法律に基づきまして事業主等が特に行なうという場合につきましては、私どもの定めた基準に応じまして行なわれる場合につきましては、もちろん奨励する、助成をするというように考えてまいりたい、こう思っております。
それから第三点の、受けていない場合に今後職業訓練校でどうするかという問題でございますが、これは第一点の答えとつながりますが、ろうあ者につきましては、普通の身障者とはまた別の問題がいろいろとございますので、私どもは、本年度、厚生省と一緒になりまして、国立リハビリテーションセンターの中で、こういう特殊な方々の職業訓練を今後どうするか、職種につきましてもどうするか、技法についてもどうするかというのを将来研究をする、また、そういうところで実際に実験的な訓練をするというようなことも将来考えていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/227
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228・坂口力
○坂口委員 いろいろいま御説明いただいたわけでありますけれども、全国で、たとえば一カ所とか二カ所という限られた地域で、ろうあ者等の特別な訓練をどうするかというようなことでは、やはり全国におみえになる皆さん方に非常にこれが潤いにくいという面がある。したがいまして、一カ所に特別なりっぱなものをつくってもらうということよりも、やはり各地域において、できる限り皆さん方が職業訓練を受けられるという体制をひとつ積極的に進めてもらいませんと、この人たちにとっては潤わないと思うわけであります。その点につきまして、ひとつ強力にお願いをしたいと思います。
それから、大臣に、以上いろいろの点でお伺いをいたしましたが、総合的に、このろうあ者に対する今後の問題としてひとつ御所見をお伺いして、終わりにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/228
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229・長谷川峻
○長谷川国務大臣 地方に行きますと、こういうろうあ者の方々とお目にかかります。そしてまた、そういう御夫婦の中から話が自由にできる子供もいるんですね。そして最近は、やれパーマネント、散髪というふうな職種もふえています。衆議院の第一議院会館も最近はろうあ者を使って、これはもうお客さんに不愉快な感じを与えない。そして本人もしっかりやっているんですね。でありますから、私は、こういう諸君がやはり胸を張ってやれる雰囲気というものをつくって、そういうことで、いままで政府委員から答弁いたしましたように、協力員制度を設けるとかあるいは雇用関係の推進とか、先生はかねてこういうものを強制的に法律でやったらいいじゃないかという御持論の持ち主でございますけれども、これは審議会の答申なども、性急に強制的にやるのはどうだろうかという話もありますから、その前に国民運動なりいろいろな問題等々をやりながら、そういう盛り上げの中から御期待に沿うようなことを、とにかく同じ人間でありながら、そういう不自由なからだの中に働く意思のある者をよけいつくっていくということにしていきたい、こう思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/229
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230・坂口力
○坂口委員 大臣のただいまの御所見が、この委員会における発言だけに終わらないことを期待いたしまして、終わりにさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/230
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231・山下徳夫
○山下(徳)委員長代理 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/231
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232・山下徳夫
○山下(徳)委員長代理 速記を始めてください。
小宮武喜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/232
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233・小宮武喜
○小宮委員 国鉄にひとつ質問します。
先々月の三月二十六日の二十時から二十一時の間に、佐賀の鳥栖機関区内において何が起きたのか御存じですか。また、四月の十五日、十二時三十分ごろ、千葉の津田沼車掌区において何が起きたか御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/233
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234・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 ただいまの御質問で、三月の二十六日に鳥栖機関区におきまして起きた問題は、これは最近職場におけるいろいろな暴力事件というのは、一ころからだいぶ鎮静しまして少なくなっておるのでございますが、こういう違法なことでございますけれども、闘争期間中やはり気分が多少高ぶっているというような関係もあったと思いますが、鉄労組合員を動労の組合員約三十名くらい詰問した、われわれのそういう闘争になぜ協力しないのかということで詰問した。一時軟禁状態になるというようなこともございまして、当時、管理者はそれを聞きつけまして、すぐ公安職員を待機させるなどをいたしまして、管理者の手でそういった事態を早くやめるようにという説得をいたしまして、これは多少その点時間がかかりましたけれども、そういった事態を解消したということでございます。これは多少軟禁あるいは暴行、そういったものが加わっておりまして、本人の申告がございまして、警察署でも実地検証なんかその後しておりますし、五月十九日に、六名の動労組合員が佐賀地検へ書類送致されたというような形になっておるわけでございます。
それから津田沼車掌区の問題の御指摘でございますが、これも四月十五日でございますが、二人の鉄労組合員、ちょうど勤務が終了いたしまして列車からおりてきた二人の鉄労組合員、車掌でございますが、それの腕を引っぱるとか何か腰をけるとかいうような暴行があったということでございます。これは、残念ながら管理者の見ているとこで行なわれてなかったものでございまして、それを聞きつけまして、すぐ管理者がかけつけたときには、そういう事態を現認することができなかったというような状態でございますが、それにつきましては、厳重にそういうようなことをしてはいかぬということで管理者が注意いたしまして、そういう事態を解消しておるということでございます。これらにつきましては、これは現認がなされておりませんので、処理としましては非常にむずかしいと思いますが、現在そういった事実関係についてはいろいろ調査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/234
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235・小宮武喜
○小宮委員 暴力問題は何も闘争の高ぶりだけで起きたということでないと私は思う。今度の事件は三月二十六日、四月十五日に起きておるけれども、過去数年間にはどれだけ起きたですか。こういうような暴力事件が何件起きたか、それじゃ報告してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/235
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236・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 過去において、的確な数字をいまあれでございますが、二年ほど前から職場問題、例の生産性問題なんかございまして、残念ながら当局の不当労働行為が指摘されたというような事態がありまして、それ以後かなり職場におきまして、当局に対する反発と申しますか、したがって組合員の管理者に対する暴行といったようなことがかなり起きた。その間にもちろん組織間の争いというようなこともありまして、そういったものが加わりまして、年間八十数件、九十件に近いくらいの数字が出た時期もございます。これらにつきましてはそれぞれその態様に応じまして、あるいは告訴、告発すべきものはするというふうなこと、それから行政処分で正すべきものは正すというふうなことで、大体処理されておるということでございます。
それからだんだんそういった傾向が鎮静してまいりまして、われわれも一応組合に対して言うべきことは言う、そういう事態はあるまじきことじゃないというようなことで、言うべきことは言う。それからまた管理者につきましても、国鉄の現場の仕事を遂行するについて、規律をはっきりさせなければいかぬという意味におきまして、はっきり筋を通して正すべきことは正すというような態度をとるように、重ねて管理者にも要望してまいりまして、そういうようなことも、まあ一時気落ちした感じが、徐々に回復するというようなことで、盛り上がってきておりまして、最近では過去一年間——現在から過去さかのぼって一年間ぐらいでございますが、過去一年間の件数を見ますと、非常に小さいものまで含めて十四、五件に落ちているというようなことで、しかし十五件ぐらいといいましても、そんなことはやはり職場の中であってはいけませんので、私どもとしては、さらに、現場の管理をしっかりさせるという意味において、そういったものに対して見て見ぬふりをしないように、指導しておるわけでございます。
最近の傾向としましては、組合間の争い、ほとんどが組合間の組織の争いといったような現象になっておりまして、場合によっては、私どもの件数としてあがっているものは小さいものまであげてもその程度でございますが、ただ管理者の目の届かないところで、いろいろな陰気な問題が起きているんじゃないか、そういったようなこともありますので、そういったことにつきましても、あわせてやはり、労働問題以前の問題といったような感じもございますので、管理者としては、そういうことを聞いた場合には、現場管理上、人間関係の問題として、よく注意すべきは注意するというようなことでやるよう指導しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/236
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237・小宮武喜
○小宮委員 四、五年前からこの暴力事件が減りつつあることは私も認めます。その減りつつあるというのは、当局が姿勢を正したからその暴力事件が減ったというふうに考えられますか。それとも、ほかに何かの理由があると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/237
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238・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 先ほども申し上げましたように、やはり感情が高ぶっていろいろな暴力事件が続発するといったときには、それ相応の、やはり普通でない現象があったということは、これは言えると思うのです。そういった点につきましては、やはりわれわれ、労使間の不信感を取り除くといいますか、これは筋道あっての労使の関係でございますから、何も筋を曲げてどうこうという意味ではございませんが、一応その労使の間の信頼関係を取り戻すというような努力も、それぞれしてきたつもりでございます。また、国鉄は、御承知のように、現場の仕事あっての国鉄でございます。職場の規律、職場を明るい職場にするということにつきましては、そういった問題があったあとでございますので、さらに一そう関心を持たなければならぬというようなことで、私ども、総裁をはじめ、そういったことについての指導を十分にやるようにという方針のもとに、いろいろやってきておる、そういったようなこともかなり原因をなしておるということも言えると思います。それから、全般的に組合間の争いといいますか、そういった関係が多少でも落ちついてきているといいますか、そういう客観情勢もある程度あるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/238
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239・小宮武喜
○小宮委員 労使の信頼関係がよくなりつつあるということでございますが、ほんとうに労使の関係がよくなりつつありますか。それは別として、あとでまたやりますから。
それでは、いま、三月二十六日、四月十五日に起きた、この暴力事件に対して、その鳥栖機関区の責任者である機関区長、それから津田沼車掌区の区長、この責任者は、どういうような態度をとられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/239
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240・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 先ほども簡単でございますが、その当時の事件の模様の経過を御説明申し上げたつもりでございます。一応この場面における処置としましては、なすべきことをなしたのじゃなかろうかというふうに考えております。これは残念ながら組合間の争いでございますが、実際問題として、仕事を遂行する上において非常に問題があったかどうかといったような点につきましての——当時ちょうどストというような状態になっておりまして、なかなか性格がむずかしいと思いますが、しかしこれら両方の事件につきまして、今後とも事実をよく調べて、行政処分なり何なりなすべきことはなすという態度で、この両方の現場の区長はやっておるというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/240
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241・小宮武喜
○小宮委員 いままでの実例をいろいろわれわれが聞いている範囲内では、責任者は組合間の紛争についてはあまりタッチしたくないということで、ノータッチの態度をとってきたというのが今日までの国鉄管理者の姿勢ではないのか。しかし、その問題は一応あとでやるとしまして、いま言われたように監禁状態におくということも、これは人権侵害なんです。しかも傷害が起きておる。鳥栖の機関区でも四日間のけがをしておる、津田沼でも五日間のけがを負っておる、こういうような加害者に対してはどういうような態度、処置をとられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/241
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242・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 先ほど来申し上げておるとおりでございますが、私どもの基本的な態度としまして、いま先生の御質問ではございますけれども、組織間の問題といえども、勤務中にこれが何らかの形をなして行なわれるといったような場合には、明らかに業務に支障を起こすという事態も起こるわけでございまして、そういった問題なんかにつきましては、断固まずやはり大きなことにならないように、管理者はそれを見つけ次第、見て見ぬふりをしないでその中へ入って説得をする、正常の状態に戻すことをやらなければいかぬと思いますが、不幸にして何か起きたというような場合には、勤務の支障も生ずるわけでございますから、当然なすべき処置はしておる、またさせておるということが国鉄の方針だ、こういうふうにお考え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/242
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243・小宮武喜
○小宮委員 ここの答弁だけをうまくごまかそうとしたって、だめですよ、ぼくらは現実にそういうような事例を幾らでも知っておるのだから。したがって、まず基本的な問題ということをいわれましたので、こういうような職場内の暴力事件について、国鉄当局は基本的にどう考えておるのか、確認をしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/243
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244・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 基本的な点をただいまも申し上げたつもりでございますが、この数年の経過を見ますと、暴力事件というのは、おもに仕事中に管理者に向かって暴行を働くというのと、組合間の争いに基づいて組合員同士の暴行事件というふうに分けられると思うのですが、それもやはり当局としましては一つの職場の規律を維持し、明るい職場に持っていくというようなことは、これはむしろ労働問題以前の、管理者としての当然のなすべきことであるということになりますので、そういった意味の人間関係という意味で、常に何といいますか、組合運動というのは、特に民主的な組織に基づいて民主的な運動をするんだということになっておりますから、そういった意味においては管理者もできるだけ組合員を説得する、働きかけるということがあるべきものだと思いますが、実際問題としましては業務の遂行上、その業務に支障があったというような事態が生じないと、これをとらえて云々するというのは非常にむずかしいというようなことになります。
特に業務の遂行中でないものは、職場以外の場所において、管理者のなかなか目の届かぬところで行なわれているというふうな行為もあるわけでございまして、もちろん業務の遂行上非常に支障を生ずるような事態になった、あるいはなりそうだというふうなときは、積極的に管理者がそれへ入って、そういうことをすべきものじゃないというふうに説得するなり、何か起こった場合には、当然なすべき処置をするというようなきびしい態度で私どもは臨んでおる。ただ、職場以外のところにおきまして行なわれたというようなことにつきましては、これは本人の告訴なり告発といいますか、そういったものを待ってなされなければなりませんので、そういった点につきましても、そういった告訴、告発の結果を見まして、当然処置すべきことは処置するというふうな態度で臨んでおるというふうに御承知願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/244
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245・小宮武喜
○小宮委員 組合相互間のトラブルということを言われますけれども、これは一方的に暴力事件がしかけられておる。双方が自然発生的に起きた問題じゃないのですよ。しかも業務上支障がないという場合は、何か国鉄当局としてはあまり関係はしないというようなふうにも聞き取れましたが、たとえば、直接、車の運転あるいは作業に支障ないとしても、勤務中にこういうふうな暴力事件が起きた場合は、国鉄当局としてはこの問題に対して、責任者はそれをやめるように、中止するように呼びかける、そういうようなことは当然やるんですね。
それからもう一つ、職場内職場内と言われておるけれども、たとえば自分の直接の仕事場はここであっても、国鉄構内全体の中では一応職場とみなしてものごとを判断しておるのか。国鉄全体の職場の中で、その人の職場はここだ。ここを離れてこちらでやる分については、それはノータッチだというような考え方があるのか、その点明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/245
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246・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 具体的に処分とか非常にはっきりした形にあらわしたものをやる場合には、やはり事実関係、そういったものをいろいろ調べた上で、的確な措置をしなければならぬということはあると思います。しかしいま先生おっしゃるように、私も先ほどの答弁でもちょっと申し上げたつもりでございますが、現場の管理者としては、その職場の規律をちゃんと維持してりっぱな仕事ができる、いい職場をつくるということが、労働問題むしろ以前の話として、あるいは組織と組織との間の以前の話として、非常に大事な仕事であるはずでございますので、そういった点については、遠慮なく自分の職場の管理をしっかり持っていけるように、ふだんから職員間に働きかけることは働きかける。何かありそうだ、何かあったというような場合には、説得するなら説得するというような積極的な管理を行なうような指導をしておるということでございます。ただ残念ながら、ちょっと申し上げましたが、組合運動ということで、組合運動だから何でもしていいという一部の間違った観念がこれはなしとしない。これは非常に民主的な組織で民主的な運動をやろうという団体としては、私は非常に残念なことでございますが、多少そういったような問題がある。組合組織によって主義主張が違うのですから、いろいろ言うことも行動も違ってくるはずなんですが、そういったものを謙虚に認め合うというような点のないことにつきましても非常に残念に思っております。そういった点につきましては、これは非常に道義的な話になるわけでございますが、管理者としても人間関係の接触の中で説得するなりいろいろ話し合うなりといったようなことで、できるだけいい職場をつくるということに心がけるということは絶えず申しておる次第でございます。自分で言っていたんでは世話はございませんが、最近一般に国鉄の職場は一時の状態からだいぶ脱却してきていると私どもは判断しておりますが、まだ一部の現場におきましていろいろな問題点がたくさんあります。そういった点につきましては、特にそういった現場について、こういうふうに正すべき筋道は正せ、その場合に多少のトラブルが起きてもやむを得ない、しかし正すべきことはちゃんと正すべきであるというような具体的な指導もやっておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/246
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247・小宮武喜
○小宮委員 当局はそういうような指導をやっておられたとしても、末端の管理者ではそれが実行されておらないということはやはり当局の責任なんですよ。どうですか。国鉄の職場内は治外法権ですか。警察庁どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/247
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248・山田英雄
○山田説明員 国鉄の職場内といえども警察権は及ぶわけでございまして、治外法権というようなことは毛頭ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/248
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249・小宮武喜
○小宮委員 この二つの事件について警察は通報を受けましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/249
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250・山田英雄
○山田説明員 三月二十六日の鳥栖機関区内の集団暴力事件について、警察がその事件の発生を認めました経緯を申し上げますと、当日午後十時十分ごろ、鉄労の門司地本の副委員長など幹部三名の方が鳥栖署に来られまして、そこで鳥栖機関区乗務員控え室において、鉄労の労組員三名が動労の組合員から集団暴行を受けておるという届け出がございました。また同じ時刻に、鉄労の門司地本から、福岡県警の門司警察署に同様の届け出が電話で行なわれまして、門司署から佐賀県警に通報があったわけでございます。したがいまして、鳥栖署においては直ちに警察官を現場に急行させましたが、すでに事態は終わったあとでございましたので、関係者からも事情を聴取して所要の警察措置は講じたわけでございます。その後、国鉄御当局から格別の告訴、告発は受けておらないわけでございますが、ただいま申し上げました通報によって事案を承知したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/250
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251・小宮武喜
○小宮委員 それでは、国鉄当局はこの問題について——警察に通報のあったのは十時十分ですね。この事件が起きたのは二十時から二十一時まで。国鉄はこの問題を、何時何分ごろこういうような事件が起きておるということを知りましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/251
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252・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 いまの問題は鳥栖の問題でございますか。——鳥栖の問題につきましてちょっと時間がはっきり判明しておりませんが、約二時間ぐらい動労組合員によって、乗務員控え室の中に軟禁状態になったという事態はございます。
それから津田沼の問題につきましては、何かやっておるぞという情報に基づいてすぐ管理者が、二名でございますが、その場所に出向いていきまして、そういうことをやっておる——これは国労組合員でございますが、そういったことは絶対するなというような注意、説得をいたしまして、すぐその事態を解除しておるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/252
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253・小宮武喜
○小宮委員 それでは国鉄当局は職場内において暴力事件が発生した場合、それをキャッチした場合は、その暴力事件を排除するために警察にすぐ連絡するという方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/253
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254・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 過去にもいろいろなことがあったわけでございますが、その事態に応じてそういうこともあり得るというふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/254
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255・小宮武喜
○小宮委員 事態に応じてというのは、それはだれが判断しますか。具体的に事態に応じてということは、どういうようなことをさしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/255
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256・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 その現場の状況を見ている者でなければもちろんわかりませんし、それからまた現場管理の問題でございますから、当然現場長が判断するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/256
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257・小宮武喜
○小宮委員 だから、現場長が判断するということでしょう。これに対して、当局としてこういうような暴力事件に対してはこういうような指導をしなさい、こういうふうにしなさいという指導はやっていないのじゃないですか。ただ現場のそういうような責任者にすべて判断をゆだねておるというのが実情じゃないですか。だからいろいろなところで問題が起きておる。あなたがここでえらそうにいろいろな答弁をしても、現実はそういうような問題が起きておるじゃないですか。だから私はさっきも、基本的姿勢はどうなんだと聞いておる。もう一ぺん答弁しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/257
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258・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 基本的な考え方としましては、やはり現場管理上の全般の問題としてこうあるべきだということで指導しておるわけでございまして、そういった事態が起きたときの判断は、やはり何といっても、管理責任上もあるいはまた非常に身近なその場におるというような意味としても、現場長がやって処置しなければならぬということになっていると思うのです。現場長に対するわれわれの指導につきましては、先ほども申しましたように、これは労働問題としての認識も持たなければならぬというような場合もあるわけでございますが、やはりその現場を預かっておる全般的な管理の問題ということを基本にいたしまして、特に国鉄なんかのように列車を走らし、たくさんの人命それから財産を預かって安全に運行するということが、これは利用者に対する使命でございますから、そういったことを遂行する意味におきましても、特に職場の規律が正しくあるということが非常に大切でございます。そういった意当におきましては、職場の規律を保持する、あわせて管理者としてやはり三百六十五日その部下を使っていい仕事をしていくという職場でもございますので、やはり信頼関係のあるいい、明るい職場といったようなものをかみ合わせて不断の現場管理をやる。むしろ私どもとしましては、ただじっと見ていて守りの姿勢というよりも、むしろ積極的に出ていって管理をするんだというようなことで指導しておるつもりでございます。またそのくらいでないと、私どもの職場はなかなかもたぬというような意味もございます。いま言いましたように非常に危険な仕事を扱う職場でございますので、そのくらいのあれがなければいかぬというようなことで、これは新しい総裁なんかも常にそういうようなお気持ちで、いま各地を回って現場長なんかにできるだけ接触しておられるわけですが、そういったようなことを非常にやかましく現場長に伝えて協力を要請しているというようなことが現場の現状でございます。
そういった基本方針でわれわれは臨んでおりますので、まだまだいろいろな問題の職場なしとはしません、あります。そういった点につきましても具体的に一つ一つ、できるだけそういった形にならぬように、いい職場になるように、尽くすべきことがあれば尽くしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/258
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259・小宮武喜
○小宮委員 まだこの問題だけでもやりたいのだけれども、時間がないので先に進みます。
三月一日、三月二十六日のストライキのときに、国鉄当局は列車の全面運休を行なっているわけですが、これは全員がストライキをやっているわけではないし、全面運休というのは経営権の放棄にもつながると思うが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/259
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260・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 全面運休というのは、結果としてそれに近い状態ができたのはまことに残念でございます。三月二十六日の問題を先生とらえての御質問でございますが、三月二十六日の零時を期してストの指令だということでございますが、前の日に出た夜行列車などにつきましては、組合の説得によりまして極力目的地まで持っていくというようなこともやったわけでございますが、私ども計画的に全面運休するというような考えは基本的には全然持っておりません。あらゆる汽車を動かすのだということであらゆる努力をしたということになりますが、先生おっしゃるように、全部がストに入ったわけじゃない、しかるに何だということでございますが、御承知のように、国鉄の列車は運転士だけがおれば動くというものでもございません。車掌も要ります、保手も要る、それから車両の検修も要る、いろいろなことが要る。こういったようなものが全部そろいませんと列車は動かせないということになりまして、私どもはそういう意味ではいろいろ努力したのですが、なかなか動かせない。それからまた、ある程度一部動かせるといったような場合につきましては、社会的に問題が発生しそうもないというような場合につきましては、できるだけお客さんの便宜をはからなければいかぬですから、動かした例もございます。しかし全体の乗客なんかとの、総体的な判断になりますが、そういった判断によって、この程度の列車ではかえって危険を伴うというような、これはまた別の意味の判断でございますが、そういった場合にはやむを得ず数個列車動かせる場合でも断念したというようなこともあるわけでございまして、そういった点につきましては、先生の御質問のお気持ちは十分私どもわかるわけでございますけれども、そういう状況にあったという点を御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/260
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261・小宮武喜
○小宮委員 ストライキを実施しておる当日、ストライキをやっておる人たちが職場に出勤をして、国鉄当局は出勤したことを認めてそれに賃金を払っておる、この事実を認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/261
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262・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 ただいま御指摘の点、一部の組合において、ちょうど四月の時点のゼネストといったような事態におきまして、列車が動かない状況を確認した上で、これは一部の組合員でございますが、職場へのこのこ出てきたという事態があったことは事実でございます。それに対しまして当局といたしましても、先ほどもちょっと申しましたように、たとえば機関士あるいは電車運転士が出てきても汽車は動かない。いろいろなものがそろわないと汽車は動かせないということでございますから、実際にはなかなか汽車を動かすという措置にはならぬわけですが、しかしわれわれが勤務をする意思があるのかないのかということをはっきり確かめた上で、勤務をする意思があるというふうに答えた者につきましては、結局これは組合の闘争命令に従わないということでございますから違法ではございますが、そういった者につきましてはいろいろ訓練を行なうなり、あるいはまたローカル列車なんかで多少動かせる余地のあるものについては動かしたり、あるいは機関区内のいろいろな雑務と申しますか、そういった仕事につかしたという事例はございます。しかし、勤務する意思はないというふうにはっきり答えた者につきましては、はっきりした処置をとりまして、これはもちろん不参と同様な扱い、賃金カットをするというような厳正な扱いはしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/262
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263・小宮武喜
○小宮委員 ストライキをやっておる組合員が職場に出て、私は働きたいという場合はそれを認めて、賃金を支払うということは、当局はスト破り行為をやっているんじゃないですか。おかしいですよ。国鉄当局はそういうようなスト破りを公然とやっていいですか。これはスト破り行為じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/263
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264・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 先生御指摘のように、これは考えようによっては非常に奇妙な現象なんですが、ストライキそのものが違法なことでございまして、ストライキをやっているというたてまえでわれわれがそれに対処するということはできないわけでございます。したがって、たとえば民間でございますればロックアウトというような考え方もできるわけでございますが、違法ではございますが、組合からストライキ指令が出ておる以上、その出てきた職員は自分の意思によって出てきている。しかしそれをさらに、おまえほんとうにそういう意思かということを確かめた上で処置しなければならぬというようなのが、いまの法制下における現状ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/264
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265・小宮武喜
○小宮委員 違法であろうとなかろうと、スト指令を受けて当然ストライキに入っておる人たちを、私は働きたいということで、それなら働きなさいということでやることはスト破りですよ。ストライキとは何ですか。あなたはストライキの何たるかを知っておるのですか。そんなことをするから労使の信頼関係を回復しようとかなんとか言ってみたって、労使の信頼関係はできるはずはないじゃありませんか。違法だからとか違法でないからといっても、スト指令が出た場合は、組合員はそれに従わなければならぬわけです。本人が出てきて私は働きたいから、それでは働きなさい、こんなばかな考え方を持っているから、現代の国鉄の労使はいろいろなトラブルが起きる。そればスト破り行為ですよ。少なくとも、こういった国鉄内部においてのいまの重要な労働運動のあり方の中で、そんなことを認識しないということはおかしいじゃないですか。
それはそれとして、それではもう一つお聞きしますが、よくわれわれが汽車に乗りますと快適な旅行をしましょう、車両内はきれいにしましょうというマイクの呼びかけをやっておるのですが、ストライキになりますと、車両の横には大きなペンキでなぐり書きをしておる。ポスターはべたっと張っておる。当局はこれを認めているのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/265
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266・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 車両にビラを張ったりあるいは国鉄の建物にビラを張ったりするというようなことは、規程、通達等によって厳重に禁止されておるということでございます。これにつきまして私どもは非常に苦慮しているわけでございますが、実際問題としましては、少数の人間で非常に短い時間の間、夜間侵入してきてやるということでございまして、それからまた、その区の人間でなく、よその者がやるという関係もございまして、まさに夜陰に乗じてやるというかっこうでございまして、まずそういう行為をさせることを阻止することも盛んにやっておるわけでございますが、なかなか全体を阻止できないかっこうになっております。これは一時かなり激しかったわけでございますが、最近では皆無にはなりませんが、特にお客さんに商品として提供する車両なんかにつきましては、今度の大きな闘争期間中もいつもに比べまして非常に少なかったといえると思います。今後もそういったことにつきましては、厳重に阻止する。それからまた、見つけたら厳重に処分するという形でやっております。過去におきましては、そういった損害とか何かにつきましては、損害賠償などもある程度やった例もございますが、そういった問題につきましてはいろいろ問題もございますので、今後できるだけ組合員の良識ある行動に訴えるということと、それから、できればそれを阻止する。それからやった者につきましては、部内の規程に基づきまして厳重に処分をするという形で対処していきたい。これは国鉄人として非常に残念な問題でございますが、お客さんにいろいろ御迷惑をかけている点につきましては、われわれ深くおわびを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/266
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267・小宮武喜
○小宮委員 幾ら当局が美化作業とか、きれいにしましょうと言ってみたって、あれを見て非常に不愉快です。しかも、東京発の列車が博多に着くと、博多にはちゃんと二、三人待っていて落としておる。汽車が出るから一、二枚をはいだらしまい。その金なんかどこから出るのですか。国鉄は赤字赤字と言いながら、ストライキ中の組合員に出勤させて金を払うてみたり、スト破り行為を平然とやってみたり、そういうことをしておいて、国鉄は赤字であるから運賃値上げをしますなんて言ってみたって、そんなことは通用しませんぞ。時間も来たようですし、最後に、先ほどからいろいろ指摘をしておりますように、国鉄の職場は職場規律が一つも守られていない、職場秩序が乱れておる、しかも、暴力行為は発生しておる。これでは善良な国鉄職員は安心して職場で職務に従事することはできません。先ほどからもるる答弁があっておりますけれども、私に言わしめれば、国鉄当局をはじめ現場の管理者は無気力、無為無策、そういう集団暴行に対してもむしろ迎合するような姿勢に出ておる。私は全く残念だと思う。したがって、国鉄当局としては、今後どういう態度で、どういう姿勢で、先ほどから言われておるように信頼感の問題、国鉄の職場規律の問題、職場秩序の問題を守ろうとしておるのか、決意のほどを最後にお聞きして、私の質問は終わります。運輸省おりますか。運輸省と国鉄から答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/267
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268・加賀谷徳治
○加賀谷説明員 先生の御指摘はごもっともでございます。いまの総裁も、昨年かわられたわけでございますが、就任以来、現場の秩序を回復して明るい職場に持っていく、総裁は第一声で非常に素朴なことばで、同じかまのめしを食っているのではないかということもおっしゃったのですが、そういう姿勢でみんな一緒になって、現場だけでしっかりせいと号令をかけるだけでなく、局も十分バックアップする、本社も一緒になってバックアップする。最近ではとにかくみな一緒になってやろうということで臨んでおる。これが基本姿勢でございますので、その点は御理解願いたいと思います。
ただ、先生おっしゃるように、全般的にそういう職場であるということではございませんので、私ども、これはいい職場と悪い職場をはっきり区別してやってかかるという問題もございますし、一部の職場において御指摘のようなところも皆無であるというふうには申しませんが、そういった点につきましては特に留意いたしまして、重点的に進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/268
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269・石月昭二
○石月説明員 先生御指摘のように、国鉄財政が非常にたいへんなおり、国鉄の職場秩序が非常に紊乱しておる、職場が明るくないという問題はゆゆしき問題だと思っております。
運輸省といたしましては、従来から、先ほど御指摘のような違法なビラ張り、その他につきましては、き然たる態度をもちまして、要求すべきものはちゃんと要求して、組合に対しても違法な行為に対しては損害賠償しろということを国鉄に対して指導してまいっておりますけれども、今後ともそのような方向で一刻も早く職場秩序を確立し、優秀な人材が国鉄にどんどん集まってくれるような明るい職場をつくるために努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/269
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270・小宮武喜
○小宮委員 これで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/270
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271・山下徳夫
○山下(徳)委員長代理 石母田達君。
〔山下(徳)委員長代理退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/271
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272・石母田達
○石母田委員 私は、きょう、一人一人の子供を大切にする教師の問題について質問したいと思います。
私は、初めに、この社会労働委員会でなぜこのような問題を取り上げるのかということに関しまして、教師の性格、地位ということについて労働大臣にお伺いしたいと思います。私は、教師は、いろいろの特殊なものはございますけれども、労働者であるというふうに考えておりますけれども、労働大臣はどう思っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/272
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273・長谷川峻
○長谷川国務大臣 公務員である学校の先生は、自分の労力を提供する、そしてまた生活をそれで得るという点におきましては、一般の労働者と異なるところはないと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/273
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274・石母田達
○石母田委員 労働者であるとともに、教師というものは、子供に基礎的な知識や技術などをいろいろな発達に即して身につけるように教えるという、特に精神的、文化的な特殊な仕事をしておられるわけです。その結果、教育というものによって子供の人格形成にも重大な影響を与える、こういう仕事だと思っております。ですから私どもとしては、よく使われる聖職と呼んでもいいというほど、仕事の内容が専門的でありかつ神聖なといいますか、職であるというふうに考えておりますけれども、この点について労働大臣はどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/274
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275・長谷川峻
○長谷川国務大臣 働くことはたいへん大事なことでありますから、そういう意味で、勤労する人、これがまた大事であります。一方また、職業の内容、これによってそれぞれの位置づけといいますか評価というもの、また心の中の誇りというものがあろうかと私は思います。そういう意味からしますと、教職員が非常に高い専門的な内容を要求されますし、それからおっしゃるとおり、これはほかの産業の一つの比較をしますと、ほかの仕事がかりにベルトコンベアから一つ一つの製品が生まれるのと違って、とにかく人間、いまから伸びる子供、そしてこれに影響力があるという先生のお仕事というものは、われわれは前々からこの方々は聖職である、こういうふうに実は思って、いろいろまたそういう意味での手当てというか、そういう意味での感じ方をもって今日までやってきたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/275
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276・石母田達
○石母田委員 私は文部省の政務次官にお伺いしますが、いま労働大臣が答えられたように、教職員というのは、労働者であるとともに専門的な知識を持ち、先ほどから言われているような、子供の人格形成あるいはまた、いえば国民全体に対する奉仕者ともいうべき聖職的な内容を持っている、こういう地位にあるんだという見解に対しまして、どういう考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/276
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277・藤波孝生
○藤波政府委員 よく世上、教師は聖職か労働者かという問われ方をするわけでございますが、これはやはり間違いだと思います。問い方が間違いなので、いま大臣から御答弁がございましたように、先生が勤労者としておつとめになっている、それはまさに憲法の、労働者としての形を持っているということはそのまま事実だと思うわけでございます。同時に、先ほど来先生の御指摘がございましたように、次代の青少年を育成をしていく、全人格を傾けて青少年の心に呼びかけていく、その人格成長に大きな役割りを果たす、影響力を持つという意味で、聖職的な役割りを教員が果たしているということは、これもまた大臣のおっしゃるとおりでございまして、そういう意味で、労働者か聖職かという問われ方は若干無理があると思いますけれども、両方の性格を持っている、こんなふうに私も理解をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/277
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278・石母田達
○石母田委員 私どもも、聖職か労働者かというような二者択一的な性格ではなくて、労働者であるとともに、また普通の、物をつくる労働者と違って、いま言ったような特殊な、専門的な精神的な文化的な内容を持ったお仕事をしているという意味では、聖職といってもいいほどの地位の仕事をされている。これはやはり統一的に私どもは考えていかなければならぬというふうに考えているわけです。
さて、私どもは、新しい教師像というようなものにふさわしい労働条件、労働環境というものがはたして保障されているかどうかということについて、二、三お伺いしたいというふうに思うわけです。
私の子供、二人ともまだ小学校にお世話になっております。それでだいぶ子供たちの学校なんかに参観に行ったりして、いろいろ先生の実態をつかむ機会が多いわけです。それで、親としては、やはり子供の教育に関しては先生におまかせするというか、先生を信頼しているわけです。ですから、その教師が、はたしていまここで出されているような、教師にふさわしい高い地位、尊重されるような地位にふさわしい状況にあるかどうかということについては、また特に関心を持っているわけです。私どもとしては、いわゆる教師の地位が尊重されて、教育活動に専念できるような条件をわれわれとして保障してやらなければならぬというふうな責務も感じているわけです。
さて第一に、教職員の勤務時間、労働時間というものが一体どういうものであるかということを私は非常に疑問に思うのです。授業時間数などでいろいろ計算されておりますけれども、私の子供なんかに聞きますと、お昼休みの給食の時間も一緒に——私は低学年の子供があるものですから、一緒に手伝って、一緒に給食を食べる。終わりまで小一時間近くいるのですね。それでそのあとお昼休みがあるのかどうかというと、お昼休みともいえない短時間の、私の調べでは二十五分か何かの時間があるようでございますけれども、そういう時間はどういうふうな時間なのか、これはまず文部省のほうにお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/278
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279・藤波孝生
○藤波政府委員 若干事務的に間違いがあれば、あとからまた課長から訂正させますが、先生のお仕事というのは、どこまでが勤務時間でどこまでが自分の時間であるのかあるいは休みの時間であるのか。たとえば休憩の時間でありましても、外からそう見えていても、絶えず心の中で子供たちのことを心配をして、あの子供はきょうは弁当を持ってきたであろうか、あの子供はきょうは宿題はどうなっていたであろうかと、心にそんなことを心配していらっしゃれば、それはまさに勤務しているのと同じことになるわけで、したがいまして、先生のお仕事というのは、どこまでが勤務時間でどこまでが休憩であるということが判別しにくい。特に管理者から見て、とてもそれははっきりと、どこまでがどこまでだといえないような状態になっている。そういうようなこともございまして、調整額という形で四%、いわゆる残業手当問題が起こりましたときにも、そういう処理を国会の御同意を得てお願いをしたというようなことになっておりまして、非常にさだかでないところにむずかしさもありますし、また教員のお仕事の特殊性もある、こんなふうに理解をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/279
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280・石母田達
○石母田委員 いや、専門的な人から答えてもいいですから、超過勤務とかなんとかいう場合の、その基準になる時間というのは一体何なのか。いま、超勤のことで、調整額四%でそれは補償しているというのだけれども、超過勤務ということだから、超過になる、もとの基準はどの時間なのかということについて、専門的な方でもいいですから、お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/280
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281・藤波孝生
○藤波政府委員 給食の時間中は勤務時間でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/281
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282・石母田達
○石母田委員 あれは勤務時間になるわけですね。
そうすると、じゃ勤務時間というのは——私が聞いた中では、これは学校によって多少違うようですけれども、八時半から四時半というような八時間、これが勤務時間になっている。その中でまた、休憩時間とかを除いたものがこまかにずっと出ていますけれども、六校時ないし七校時やっているけれども、この中で五分ずつぐらいの休み時間がありますね。それから、これですと、給食が終わってからの二十分ばかりの休憩があるわけですね。そうしますと、私どもここで、主として労働基準法でいつもやりとりしているものですから、こういうことが理解できないのですね。八時間をこえる場合には一時間の休憩があるということになると、いまのが勤務時間になると、休憩時間は一体どうなるのか。これは全部五分を足したものが休憩時間になるのか。その点もう少し具体的に説明してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/282
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283・鈴木勲
○鈴木説明員 ちょっとおくれて参りましたので、御質問の趣旨を取り違えるとはなはだ申しわけないのでございますが、現在の教員の勤務時間につきましても、一般の公務員と同じように、条例によりまして四十四時間という定めがございます。それから各学校については学校長が勤務時間の割り振りをするという形になっておりまして、たいていの学校は、通常の場合には八時間の勤務の割り振りをしているわけでございます。その中で、休憩時間は労働基準法によりまして四十五分−労働基準法の三十四条によりまして、六時間をこえる場合においては少なくとも四十五分というふうになっておりますので、その四十五分の休憩時間、それから休憩時間が十五分ございます。休憩時間四十五分と休息時間の十五分を合わせまして一時間という昼休みの時間をとっているのが通常でございます。その中で給食の指導も行なわれているという実態であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/283
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284・石母田達
○石母田委員 そうすると、一時間の昼休みの中で給食時間は勤務時間だというのが先ほどの答えですね。先ほどの答えでは、給食の時間に一緒に御飯を食べたり片づけするのは勤務時間ですと、あなたが来る前に答えがあったのです。そうすると、昼休みの間に給食をやる間は勤務時間と、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/284
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285・鈴木勲
○鈴木説明員 休憩時間につきましては、これは労働基準法によりまして一斉に与えなければならない、その勤務時間の利用については勤労者が自由に使用することができるということになっておりますので、そういう形で四十五分と十五分の休憩時間と休息時間を合わせまして一時間といういわゆる学校の昼休み、その中で給食指導も行なわれている、そういう実態だと申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/285
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286・石母田達
○石母田委員 委員長代理も首をかしげているが、私もよくわからぬ。先ほどの私の質問に答えて、給食の時間、たとえば十二時から十二時五十分、私の知っている学校ではこれが給食時間なんです。学校の先生が生徒と一緒にいるわけです。給食というのは、皆さんの前の見解でも教育の一部だということになれば、これは勤務時間だと、こういう答えがあったのです。あなたの言うように、昼休みの時間が一時間あって、そのうちで給食時間をとっているのだ。そうしますと、全体はどういうことなの。それは先生が自主的にやっているとかやっていないとかいう問題が出てくるけれども、もう少し私の質問に答えるような形で言ってください。勤務時間が休みの時間の大半じゃないですか、あなたの答えだと。私の質問はわかるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/286
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287・鈴木勲
○鈴木説明員 先生の御質問は、四十五分は勤務時間ではないだろうという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/287
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288・石母田達
○石母田委員 いやいや、そんなことは言っていないですよ。あなたのほうで勤務時間だと言うから、その五十分という給食時間が勤務時間なんですかと質問したのです。あなたのほうで勤務時間だと答えているのですよ。あなたの答えだと、昼休み一時間のうち給食の時間をとりますと、いま答えはこういうことでしたね。そうしますと、昼休みは一時間あって、そのうち五十分が給食の時間、勤務時間なのかということになると、普通の私どもの理解だとちっともわからぬから、特殊、特殊といっても、私ども労働基準法と労働組合法の頭で考えていますから、もう少しわかるように話をしてください、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/288
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289・鈴木勲
○鈴木説明員 給食の指導の時間につきましてはいろいろ考え方があるわけでございますけれども、通常、普通の場合には食事を休憩時間にとるというようなことをしながら、しかも給食という指導をするという二つの面があるわけでございまして、完全な自由時間という形にはなっていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/289
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290・石母田達
○石母田委員 ちょっと答弁がおかしい。勤務時間だといって、それは自由時間ではない。あたりまえでしょう、あなた。どういうことなの。さっき給食時間は勤務時間ですという答えだったけれども、あなたはそれに対して異論があるの。何か聞けば聞くほどおかしなことを言っているのだ。給食時間は勤務時間ですという答えがそちらのほうからあったけれども、あなたもそのとおりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/290
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291・鈴木勲
○鈴木説明員 それはお答えしたとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/291
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292・石母田達
○石母田委員 そうすると、私の聞いているのは、あなたが今度は昼休み一時間ということでいって、その昼休みの中で給食をとっています、勤務時間をとっていますということになるとどういうことなんですかということなんで、何べんも同じことを聞いていても時間がだんだんなくなるので、ほかの人ちょっと……。あの人と私がやりとりをしてもしようがないから政務次官でも、だれかあの人より私にわかりやすく説明をしてよ。
教職員の場合は、正確にいうとどれが休憩でどれが勤務かわからぬくらい、いろいろ生徒のことをしょっちゅう考えていなければならぬということは一般的にわかりますよ。わかりますけれども、私の質問がわからぬのか。休憩時間、休息時間というのはどういう解釈でやっておられるのか。その給食の中にも勤務時間みたいな、そうでないみたいな時間があるとかないとかいうと、なかなかわからなくなってしまう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/292
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293・鈴木勲
○鈴木説明員 その四十五分が勤務時間だというお答えは政務次官からあったわけでございますか。——その一時間というセットをしておりますのは、休息時間について、これも与えなければならないという労働基準法上の規定がございますので、それをセットにして一時間、四十五分と十五分というのをセットにいたしまして、学校の昼休みの時間ということにしております。そういたしますと、実際に四十五分の休憩時間をフルに給食指導に使いますと、十五分しか休みがないというような形になりますが、通常の場合には四十五分フルに使うわけではございませんで、あるいは二十分で終わるところもございますし、いろいろな形態があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/293
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294・石母田達
○石母田委員 大体わかった。こういうことでいいですね。そうすると、給食を含めて休憩時間だと。そのうちでその一部を給食に何分使うかはその学校によって多少違うけれども、給食の時間が縮まれば縮まるほど、先生が一人で休憩をする、休むという時間がふえる、こういう関係だと、そういうことですか。そうすると、休憩、休息の時間の中に給食という時間があるんだ、こういうことでいいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/294
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295・鈴木勲
○鈴木説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/295
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296・石母田達
○石母田委員 これは労働大臣、こういう事実を知っていたかどうか。私は寡聞にして、給食時間が労働基準法でいう休憩、休息を与えなければならぬというようなことに含まれる活動、しかも、先ほどの答弁だと給食時間は勤務時間だ。そうすると、休憩、休息の時間に勤務時間が含まれるというのは、これまたおかしな話ですね。労働大臣、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/296
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297・長谷川峻
○長谷川国務大臣 質問、答弁を聞いておりまして、なかなか複雑な問題があると思います。私も給食の時間など学校に参りますけれども、やはり先生が生徒に給食の作法あるいは生徒が弁当、給食のいろいろなものを運ぶあるいはそれを配列させる、いろんな指導をしているのを見かけるわけであります。そういう中に、それが休憩時間であっても授業時間と申しますか、勤務の時間というふうになっているだろう、こう思っておりますが、全体的に、一週間に先ほどお話があった四十四時間というものがどういうふうにセットされているかというふうなことも一つの問題じゃなかろうかと思いますので、その辺の複雑なところは、ちょっと私、いま言われたばかりではなかなか理解ができない面があることを御理解いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/297
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298・石母田達
○石母田委員 大臣は政治家だから問題を避けているんだ。そこに専門家がいるから、基準局長、あの人はわりにはっきりものを言うほうだからね。あなた、いまの答弁を聞いて、文部省が基準法でいう休憩、休息を与えなければならぬという立場から与えているものの中に、給食という、しかもそれは勤務時間だ、こう言うのですね。そういうものが含まれているものが、そうだという解釈がどこから出てくるのか、あなたのほうは省が違うからそういうものについては協議しなくていいのか。しかし労働基準法の精神からいって、そこに規定しておる休憩、休息というものはそういうものが含まれているのかどうか、ひとつあなたの見解を聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/298
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299・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 基準法では、先生もおっしゃいましたように、六時間をこえる場合には、四十五分、八時間をこえる場合には一時間の休憩を与えなければならないわけでございます。学校の実態は私もあまり詳しくございませんけれども、一時間日とか二時間日とかという間の休み時間、これは休憩の時間にあたると思うわけでございます。お昼の時間がどうなるかということでございますが、文部省のお話でございますと、お昼の時間が四十五分ないし一時間あるような場合に、給食を先生が生徒とともにされる時間は、これは勤務時間であるということでございますと、その時間を除いた時間と、それから一時間日、二時間日の境目の休憩時間を合わせましたものが、基準法にいう六時間をこえる場合には四十五分、八時間をこえる場合は一時間、それに合致しておりますれば基準法上の問題はないわけでございます。したがいまして、お昼の時間のうちどれだけが休憩時間であるか、どれだけが給食に伴う勤務時間であるか、それは学校によってもいろいろ違いがあるわけでございましょうが、それぞれの学校でそれがある程度はっきりしておればいいのではないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/299
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300・石母田達
○石母田委員 そうすると、あなたの基準法の解釈だと、ばらばらに、小刻みにやってもいいのかな。たとえば昼休みが、四十何分かしらぬけれどもある。しかし給食活動に時間をとられて十五分ぐらいしがなかった。そうすると、まとまっていなくても、五分ずつずっとばらばらにして、それでいまこの学校では、基準局長、あなたの言う昼休みの残りが十五分なんです。そうするとあとは五分ずつ足せば、計算できないけれども、あるいは四十五分になるかもしれぬけれども、それでも基準法違反ではない、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/300
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301・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 基準法上は、労働時間の途中で与えた休憩時間を足して四十五分なり一時間であればいいわけでございます。ただそれが好ましいか好ましくないかという問題がございます。一般の製造業などの労働者でございますと、食事の時間というものがまとまって与えられるのが当然でございますが、いまの学校の例で聞きますと、昼の食事時間というのが、生徒とともに、教育をしながら食事をとるということになりますために、普通ならばまとまって与えられるお昼の時間が短くなるということはあり得ることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/301
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302・石母田達
○石母田委員 だから食事の時間として与えられておるものが、実際は給食という勤務時間、ここに先生の特殊性があるわけですよ。それから、休憩、休息といったって、いま政務次官が言ったように、その間に生徒がいろいろな相談をする。個別的にいろいろそのときを待って先生のところに来る。先生というのは、いま休みだから、休憩だからといって、よその労働者みたいに突っぱねるわけにいかない。でありますから、休憩、休息であっても、実際には休息になってないという問題そこに先生がそういうものを拒否できないという、高い精神的な文化的なことをやっているという特殊性があると思うのです。この点について、いま六時間をこえるということで、六時間という基準というのは授業時間数のことなんですね。その六時間という勤務時間、あなたはさっき普通八時間と言ったけれども、休憩、休息を与えるときの基準になる六時間というのは、それは授業時間のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/302
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303・鈴木勲
○鈴木説明員 授業時間だけではございませんで、授業の前の朝の集会から放課後の生徒の指導から含めまして、教員の勤務時間として学校がきめている場合の時間でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/303
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304・石母田達
○石母田委員 そうしますと、八時半から四時半、あなたの言う休憩を含んでこれが勤務時間というふうに私どもは理解するのだけれども、それは足したら八時間になってしまうのじゃないですか。ならないのですか。私、八時間の勤務時間というふうに考えているわけだけれども、八時間をこえる場合に一時間となるのだが、その計算のしかたがどうも、授業時間だけじゃない、いま言ったような時間を含むとなると、私はいま普通八時間じゃないかと思うのですけれどもどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/304
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305・鈴木勲
○鈴木説明員 八時半から四時半までは八時間、そういうふうに八時半から教員が出勤いたしまして、そして教員室に行って打ち合わせをいたしまして、それからホームルームとか授業に入るわけでございます。それから何時間かありましてから、終わって、教案の整理をいたしまして、生徒の指導をいたしましたり、その勤務の終了の時間が四時半ということになっているわけでありまして……(石母田委員「それが勤務時間でしょう」と呼ぶ)はい、勤務時間でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/305
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306・石母田達
○石母田委員 私もそうだと思います。この学校でいうと、八時半から職員の打ち合わせをやって、八時五十分から第一校時が始まって、四時半に帰るとしますね。あるいはもっとおそくなるかもしれぬけれども。その四時半に帰るとすれば八時間という勤務時間でしょう。それをこえた場合に、労働基準法の精神からいってもその休憩は一時間やらなければならぬ。先ほど聞くと、六時間以上だから四十五分でいい、勤務時間八時間だとすれば、八時間以上はちゃんと労働基準法に基づいて一時間やるのですか、どうなんです。先生は別だから休憩を数えるときはそういう短いようにしてしまって——休憩を与えるときは、これは労働基準法の精神からいって、勤務時間が八時間なら、ちゃんと八時間以上の精神に従って一時間なら一時間やるべきだと思うのですけれども、これは労働大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/306
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307・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 基準法は八時間をこえる場合には一時間となっております。したがいましてそれらの休憩時間を除きまして、四時半なら四時半が八時間までである、八時間をこえなければ途中は四十五分でいいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/307
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308・石母田達
○石母田委員 だから、下校するまでだから、下校して四時半をちょっと過ぎたとかなんとか、学校でいろいろきめるのです。そうした場合に、八時間こえる場合には一時間与えなければならぬ、これはいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/308
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309・渡邊健二
○渡邊(健)政府委員 休憩時間を除きました時間が八時間をこえるようならば、これは途中の与える時間は四十五分ではなくて一時間にならなければならぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/309
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310・石母田達
○石母田委員 これは休憩時間、休息時間と、いろいろその解釈が先生の場合違うのですから、そういう意味では、私もここでこれだけやっていると時間があれですが、この問題について私は、先ほどからここで言われている先生の場合は非常に特殊な問題があるわけですから、その点については、労働基準法の立場からの運用についても、やはり労働省のほうと十分相談してやっていただきたいと思うし、労働省のほうも、この教員という先ほど言われたような地位や責務ということを十分に尊重しながら、労働基準法というものはこういう解釈なんだということをよくやって、そうして先ほどの新しい教師像にふさわしいような、教育活動に専念できるような、そこにいろいろな疑問が起きて、そのこと自体が不必要な摩擦を起こすということにならないように。
いまここであっただけでもずいぶん複雑で、解釈上いろいろありますので、その点について労働大臣のほうから、労働基準法の精神、立場に立って、そういう教師の特殊的な、専門的な立場を十分に尊重した上での運用というものについて、できるだけ善処していただきたいということをお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/310
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311・長谷川峻
○長谷川国務大臣 私たちは、教師は勤労者のほかに聖職の面が非常に濃いということからして、その地位の向上あるいは労働の問題等々をいままでも考えてきておるのですが、何さま複雑な問題でございますので、いまから先も、そうした教師の地位の向上と、聖職としての意識の向上、そういうものにじゃまになるようなものを取り除きながら、労働省、文部省とだんだんと協議したい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/311
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312・石母田達
○石母田委員 文部省の方にも、いま言われましたような点から、給食時間が勤務時間であり、それが休憩の中で勤務時間に入るというようなことについても、教師としても労働者ですし、人間ですから——やはりそれは十分な休息、食事時間というふうにならないわけです。その点の取り扱いについてもぜひなお検討をしていただいて、教師が教師としての活動ができるような休憩、休息時間をとっていただくように検討していただきたいということをお願いしたいと思いますが、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/312
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313・藤波孝生
○藤波政府委員 先ほど来いろいろ御指摘もいただきましたように、教員の仕事の性格は非常に特殊なものでございます。それだけに残業手当の取り扱いなども、さっきも申し上げましたように、特別な扱いをしていただいておりますし、また国民の教育に対する御熱意を背景にいたしまして、昨年の二月以来御審議をわずらわしてまいりました人確法につきましても、ことしの二月に与野党一致で成立をさせていただきまして、給与の改善に抜本的に、計画的に取り組んでいく、こういうかまえを見せておるわけでございます。同時に、勤務時間等のいろいろな労働条件の問題につきましても、従来も十分労働省と御相談を申し上げてやってまいりましたが、今後さらに先生御指摘の線に沿って、十分協議をしながら進んでまいりたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/313
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314・石母田達
○石母田委員 もう少し具体的に、給食時間の問題の取り扱いですね。これは勤務時間というと、どうしても先生も参加しなければならぬということになります、教育活動の一部だということになりますから。その点は休憩、休息時間との関係で、明確に区分してやる必要があるのじゃないかというふうに、さっきの論議でも思いますので、この点の検討と、いまあなたは超過勤務手当の問題で、四%の問題が出ましたけれども、この点についても超過勤務ということで、給食の時間が超勤に入るかどうかは別として、いろいろ複雑な問題があるわけです。超過勤務という問題が調整金で一応とられていますけれども、その後何年かたっておりますし、そうしてこの問題についていろいろ組合のほうからも要求、意見も出ているようですから、超過勤務という問題手当を出すかあるいはどうするかは十分検討していただきたいということと、いまの給食時間の取り扱いについては、先ほど論議された方向で、ぜひ先生の休憩、休息時間をきちんと保障するという立場から、取り扱いについて検討していただきたい。この二つの点について具体的にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/314
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315・藤波孝生
○藤波政府委員 前段の残業手当の問題につきましては、いろいろ御議論をちょうだいいたしまして、教員という職業の特殊性に基づいて、調整額という形で今日のところきておるわけでございます。いろいろ各界になお御意見はあるようでございますけれども、一応そういった特殊性に基づいて、皆さま方の御指導に基づいてそういった決定をいたしておりますので、この点につきましては、やはりいまのところそういう方向をすぐに変えるという考えは持っておりません。
給食の時間と先生の勤務時間との関係は、御答弁申し上げましたこと、若干不明確な点もございまして、おわびをいたしますが、今後さらによく検討をいたしまして、法的に、あるいは先生のお仕事としての特殊性等、十分いろいろな角度から勘案をいたしまして、検討を進めることにいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/315
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316・石母田達
○石母田委員 超過勤務手当の問題、一応そういうふうになっているということですけれども、その後いろいろ事態を検討されて、ぜひ再検討を望みたいと思います。
さて、時間がございませんので、私は婦人教師の育児休暇の問題、婦人教師の問題について二、三お伺いしたいと思います。
文部省の学校基本調査報告書によりますと、小学校の場合は男の先生が十八万三千七百二十一人、それから婦人教師が二十万九千七十二人ということでありまして、婦人教師のほうが男性より多いというのが四十八年度の調査で出ているようでございます。私どもの見るところでも、小学校あるいは中学校においても婦人の教師がそうしてだんだん多くの地位を占めているわけで、これはけっこうなことだと思いますけれども、それだけにまた婦人教師という特殊な立場から、いろいろ教師の教育活動に専念する上で、今後改善されなければならない問題というものはたくさんあると思っています。
最近、これは川崎の組合の調べだということで、三十歳未満の婦人教師の退職数及びその理由というのがございます。四十五年までしか私のところに入っておりませんけれども、四十三年度が三十歳未満で離退職された方が六四・五%、四十四年度が六九%、四十五年度が七一・一%となっておりますが、こうしたものは何か全国的に調査されたものがあるのでしょうか。あればその数字と、いますぐなかったら、あとで私のところに報告してもらっていいのですけれども、川崎の組合のによるとだいぶ高い比率になっております。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/316
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317・鈴木勲
○鈴木説明員 やや古い数字でございますけれども、ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/317
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318・石母田達
○石母田委員 あったらちょっと答えてください、三十歳未満のを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/318
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319・鈴木勲
○鈴木説明員 年齢別のはちょっとございませんが、女子教員のうち何人退職をいたしまして、そのうち出産、育児のための退職者の数が何名で、結婚のためにやめた者が何名というような調査でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/319
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320・石母田達
○石母田委員 では、時間の関係で、それはあとで私のところにください。
これによりますと、やはり育児が大きな部分を占めるのです。四十三年度が三五・六%、四十四年度が二八・五%、あるいは結婚も二けたの数字になっております。これは全国的にも大体同じような傾向じゃないかと思いますけれども、実態を見ましても、一九六九年の天羽という人たちの「職業別に見た労働環境と妊産婦の実態調査」ということで、教員の場合、妊娠中の異常が五〇・五%、分べん時の異常が六〇・六%、産じょくの異常が三八・一%、新生児の異常が一四・七%、こういう数字が出た調査がございます。
また労働省婦人少年局の「勤労婦人の妊娠、出産に関する調査」でございますけれども、この内容を見ましても妊娠中の異常も非常に多い。出産についても異常が多く発生していることが示されております。こういう中で私どもは、この婦人教師の問題で、育児の問題とかあるいは子供に関する問題で、いまの状況の中でぜひとも育児についての一定の休暇というよりも休業と申しますか、そういうものが必要なのじゃないかということを考えているわけです。これは勤労婦人福祉法の第十一条、育児に関する便宜の供与という中で、「事業主は、その雇用する勤労婦人について、必要に応じ、育児休業(事業主が、乳児又は幼児を有する勤労婦人の申出により、その勤労婦人が育児のため一定期間休業することを認める措置をいう。)の実施その他の育児に関する便宜の供与を行なうように努めなければならない。」こういうふうな条項がございます。この条文解釈について、育児休業に関する研究会議の第一次報告書によりますと、この一定期間の休業というのは、かなり長期間継続して仕事を休むという趣旨であり、一定の日数の休暇を与えるというのではないのだという解釈などをしております。
そういう点について、私はこれは労働省のほうにまずお伺いしたいのですけれども、こうした勤労婦人福祉法に基づくようなものが、婦人教師のそうした実態の中で必要なのじゃないかというふうに考えますが、この点についての御見解をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/320
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321・高橋展子
○高橋(展)政府委員 ただいま先生御指摘のように、勤労婦人福祉法におきまして、事業主の一般的努力義務といたしまして、育児休業を認めるということが規定されております。それで、労働省といたしましては、この法律に基づきまして、育児休業制度というものの普及をはかっております。その普及促進にあたりましては、やはり特に女子の労働者の多い職場、あるいは女子が基幹的な役割りをになっているような産業等を重点的な対象といたしまして、普及をはかっているところでございます。
そういう意味合いで、女子の教員というものは、これは伝統的にも女子の非常に多い職場でございますし、また、質的にも非常に女子が大きな役割りを果たしており、社会的に欠かせない重要な職場であると存じますので、これらの女子教職員の職場におきまして育児休業制度というものが実施されるということは望ましいことであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/321
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322・石母田達
○石母田委員 その場合、この休業した場合に、雇用関係上の地位を失うことなく、復職ということを当然の前提としませんと、休んでいてもこれは不安でございますので、そういう点で、報告書のほうにもそういう解釈だというふうに書いてありますけれども、この点はそのとおりでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/322
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323・高橋展子
○高橋(展)政府委員 仰せのとおりでございまして、この育児休業の休業という文言自体が、これは労務の提供をいたさないということでございまして、その間、雇用関係というものの継続ということを前提といたしておりますので、その休業の期間が終わりましたときは、当然そのもとのところへ戻るということを意味しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/323
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324・石母田達
○石母田委員 これは文部省としてはよろしいのですか。こういう考えで対策を練っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/324
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325・藤波孝生
○藤波政府委員 女子教育職員の育児休業制度を設けますことにつきましては、いま労働省の局長からお話もありましたように、勤労婦人福祉法にもうたわれておりまして、同時に、学校教育というのは、やはり一年間を一つの単位にして教育を進めているわけでございます。したがいまして、一年の間に何回も先生がかわるというようなことが必ずしもいいことではない、そういった教育の一貫性ということもございますので、そういった角度からもぜひ実現をしたいと思って取り組んできておるわけでございます。
しかし、この問題につきましては、かつて国会の参議院で法案が通過をいたしまして、衆議院で審議未了になったいきさつなどもございますので、今後ともさらにひとつ——いろいろな御議論があるようでございまして、たとえば有給にするのか無給にするのかという議論でありますとか、それから、婦人労働の職場が、教育者だけではなしにいろいろな職場があるわけでございますので、そういった範囲をどうするかというような御議論等ともあいまって、いろいろな御議論をちょうだいをいたしておるわけでございますが、文部省といたしましては、一日も早く実現をするように努力をしてまいりましたし、今後もその努力を続けてまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/325
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326・石母田達
○石母田委員 有給にするか無給にするか、これが実は一番問題なんですね。これは無給であったら、せっかくのこの措置というものがプラスになるかどうかということは非常に疑わしいんですね。そういう点で、どのくらいの補償にするかということについてはいろいろ御意見もあると思いますけれども、これはやはり補償しませんと、ほんとうの法なりそういう制度の趣旨が生きないと思いますが、この点については、文部省とそれから労働省のほう両方から話を聞きましょう。——じゃ労働省のほうから聞きましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/326
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327・高橋展子
○高橋(展)政府委員 勤労婦人福祉法におきましては、御案内のように、休業期間中の給付の点については触れておりませんで、これは労使の自主的な決定にゆだねるというたてまえをとっております。それは、考え方といたしましては、やはりこの勤労婦人福祉法は全産業の勤労婦人を対象とするものでございますので、それらの全国のあらゆる職場で育児休業について、その間の給付というものを特に企業の負担で律するということを期待するということは、これは過大に過ぎて、かえって女子に対しては逆選択を招くのではないかというような配慮から、このような規定になったと理解いたしているところでございます。
ただ、御指摘のように、育児休業期間はかなり長期のものでございますので、その間全く所得の道がとだえるということは、これは非常に重大な問題でございますし、またそのようなことでは、この制度自体の実効も期しがたいという点がございますので、その期間中、何らかの生活安定の措置を講じることが必要であるということを認識いたしておりまして、このため現在、専門の方々によりまして、具体的なその生活安定の方策についての検討を労働省としては進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/327
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328・藤波孝生
○藤波政府委員 国会にもお立場によっていろいろな御意見がございますし、また労働省のほうでもいろいろ御検討をいただいておると承っておりますので、それらの御意見に謙虚に耳を傾けて、いま文部省としては検討いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/328
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329・石母田達
○石母田委員 この点については、労働省のほうを高く買うわけじゃないけれども、やはり御婦人の立場からお話をされているかどうか知りませんけれども、労働大臣、私はいまの局長の言われた点は非常に大事だと思いますので、ぜひ労働省のほうからも——婦人教師もやはり労働者の一員でありますから、ぜひ婦人教師のそういう立場を理解されて、育児休業を設ける場合に、有給といいますか、補償するという方向で見解を述べ、そういう方向で解決されるよう、労働大臣のほうからももう一度決意を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/329
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330・長谷川峻
○長谷川国務大臣 いままで政府委員から答弁もありましたことでありますし、またさらにいま婦人の労働者、ことに女の先生が多いという実情、そしてまた、女性にとって一番大事な妊娠、出産、育児、こういうことでもありますので、こういうものはいろいろな経緯などもございますけれども、全体的にやはり生活の安定の措置をはかることが必要だ。それに対しては、やはり全産業にどういうふうな影響があるかという問題等々もございますが、専門家のそういうものを前向きの姿勢で検討させてみたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/330
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331・石母田達
○石母田委員 私の質問を終わりますけれども、時間が非常に足りなくて、婦人教師の場合、そのほか保育所の問題とかあるいは住宅の問題とか、これは教師全体ですけれも、いろいろあります。そういう点で、ぜひとも文部省のほうでも、この教師の教育活動に専念できるような、保障できるような方向でぜひ解決していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/331
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332・斉藤滋与史
○斉藤(滋)委員長代理 次回は、明二十二日水曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204410X02719740521/332
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