1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月二十日(水曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 濱野 清吾君
理事 稻村左近四郎君 理事 左藤 恵君
理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君
理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君
理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君
浦野 幸男君 小川 平二君
越智 伊平君 越智 通雄君
粕谷 茂君 片岡 清一君
木部 佳昭君 小山 省二君
近藤 鉄雄君 塩崎 潤君
島村 一郎君 丹羽喬四郎君
橋口 隆君 旗野 進一君
八田 貞義君 前田治一郎君
松永 光君 岡田 哲児君
加藤 清政君 加藤 清二君
上坂 昇君 佐野 進君
渡辺 三郎君 近江巳記夫君
松尾 信人君 宮田 早苗君
出席政府委員
大蔵大臣官房審
議官 岩瀬 義郎君
通商産業政務次
官 森下 元晴君
中小企業庁長官 外山 弘君
中小企業庁次長 小山 実君
中小企業庁計画
部長 吉川 佐吉君
中小企業庁指導
部長 栗林 隆一君
労働省労働基準
局賃金福祉部長 大坪健一郎君
委員外の出席者
大蔵省主計局主
計官 禿河 徹映君
大蔵省銀行局総
務課長 米山 武政君
厚生省環境衛生
局食品衛生課長 三浦 大助君
中小企業庁計画
部金融課長 若杉 和夫君
中小企業庁計画
部下請企業課長 真木 祐造君
建設省計画局建
設振興課長 高比良和雄君
中小企業信用保
険公庫総裁 近藤 止文君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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委員の異動
三月二十日
辞任 補欠選任
越智 伊平君 片岡 清一君
越智 通雄君 旗野 進一君
田中 榮一君 丹羽喬四郎君
保岡 興治君 前田治一郎君
同日
辞任 補欠選任
片岡 清一君 越智 伊平君
丹羽喬四郎君 田中 榮一君
旗野 進一君 越智 通雄君
前田治一郎君 保岡 興治君
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三月十八日
伝統的工芸品産業の振興に関する法律案に関す
る請願(瀬長亀次郎君紹介)(第二七五〇号)
同(瀬長亀次郎君紹介)(第二七九六号)
合成洗剤の安全対策に関する請願(田中美智子
君紹介)(第二七五一号)
中小企業の経営安定に関する請願外一件(鈴切
康雄君紹介)(第二七九五号)
同(松尾信人君紹介)(第二九五二号)
京葉ガス料金の値上げ反対に関する請願(神崎
敏雄君紹介)(第二九五三号)
同(小林政子君紹介)(第二九五四号)
同(柴田睦夫君紹介)(第二九五五号)
同(平田藤吉君紹介)(第二九五六号)
同(米原昶君紹介)(第二九五七号)
は本委員会に付託された。
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三月十八日
農漁業用石油及び生産資材の優先確保に関する
陳情書外十一件
(第三〇
二号)
石油の安定供給に関する陳情書外一件
(第三〇三号)
ハイヤー等のLPガス確保に関する陳情書
(第三〇四号)
バス等の燃料確保等に関する陳情書
(第三〇五号)
公衆浴場の燃料確保等に関する陳情書
(第三〇六号)
中小企業の金融対策に関する陳情書外三件
(第三〇七号)
中小企業高度化事業に対する特別措置等に関す
る陳情書
(第三〇八号)
鉱業政策の強化充実に関する陳情書
(第三〇九号)
伝統的工芸品産業の振興に関する法律案に関す
る陳情書(第三
一〇号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第六二号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/0
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001・濱野清吾
○濱野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上坂昇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/1
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002・上坂昇
○上坂委員 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の内容についてお伺いをしたいと思います。
この法律案は、倒産関連中小企業者の項に入っておるわけでありますが、前二号につけ加えて新しい三号を設けることになるわけであります。「その業種に属する事業について主要な原材料等の供給の著しい減少、需要の著しい減少その他通商産業大臣が定める事由が生じていることにより」とありますが、「その他通商産業大臣が定める事由」というのはどういう事由であるか、これをまず初めに明らかにしていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/2
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003・外山弘
○外山政府委員 ある業種に属しまする中小企業者の相当部分の事業活動に著しい支障を生ぜしめるような事由としては、いま御指摘のように、法文上例示として掲げられている「主要な原材料等の供給の著しい減少、」あるいは「需要の著しい減少」が主たるものと考えられますが、そのほか通産大臣が定める事由といたしましては、たとえば主要な原材料等の価格の著しい高騰あるいは製品の供給過剰、こういったようなことがこの事由として考えられるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/3
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004・上坂昇
○上坂委員 その下に、その業種の中で「通商産業大臣が指定するものに属する事業」というのは、この信用保険法の各該当になっている中小企業あるいは小企業者、そうしたものをさすのかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/4
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005・外山弘
○外山政府委員 御質問の御趣旨がちょっとはっきりいたしませんでしたけれども、ここにございますように「中小企業者の相当部分の事業活動に著しい支障を生じている」業種ということでございまして、特にどういう業種はいかぬとかいうことではなく、中小企業が属する業種はすべて対象にしてその範囲は考えたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/5
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006・上坂昇
○上坂委員 そうしますと、特にここでは指定をするということではなくて、こうした事由が生じてくればあらゆる中小企業の分野に対してそれを対象としていく、こういうふうに解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/6
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007・外山弘
○外山政府委員 指定の対象としてはどういうものがいかぬということではございませんで、指定の対象としてはあらゆる業種につきまして考慮の対象になりますが、ここでの具体的な法律の運用といたしましては業種を指定するわけでございます。何々業という指定をいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/7
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008・上坂昇
○上坂委員 業種を指定するという場合には、その指定の範囲というのは業種はいろいろあると思いますが、たとえば繊維なら繊維という形で大きくくくってしまう、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/8
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009・外山弘
○外山政府委員 どういうくくり方が適当であるかということは、そのときの原因なり業種の状態なりによって判断すべきだと思います。ある場合には大きくくくったほうが便宜かと思いますし、ある場合には著しい減少によって、その特定の業種の中の再分類ということもあり得るかと思います。したがいましてケース・バイ・ケースに判断すべきだろうと思います。
それからもう一つ、先ほどの御指摘で私ちょっと言い足りなかったのかも存じませんが、あらゆる業種が考慮の対象になるということでございまして、先生の御質問の趣旨が、たとえば保険公庫法の政令指定業種というのがございますが、こういうふうな業種指定をあらかじめやるのか、こういう御趣旨かと存じますが、これはあらかじめやるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/9
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010・上坂昇
○上坂委員 そうすると、その場合には、たとえば前にあげた供給の減少であるとか、それからまた需要の問題であるとか、それから原材料価格等の問題、そうした問題が生じたときには、その業種に全体的に非常に影響がある、こう判断をして、そしてその業種を指定していく、こういう順序になっていくわけですね。そして指定した場合にはこの法の適用下に入る、こういうふうに解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/10
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011・外山弘
○外山政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/11
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012・上坂昇
○上坂委員 そのずっと下のほうの終わりのほうに「かつ、当該事業に係る取引の数量の減少その他通商産業大臣が定める事由」こういうふうにありますが、この場合の「その他通商産業大臣が定める事由が生じているため」のこの「事由」というのはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/12
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013・外山弘
○外山政府委員 取引数量が減少している場合以外の場合がこの「事由」の対象になるかと思いますが、取引数量は減少していないけれども取引価格の切り下げのために売り上げ額あるいは受注額が減少している場合というふうな場合もございましょう。あるいはコストの増大分を取引価格へ転嫁できないというふうな場合も考えられるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/13
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014・上坂昇
○上坂委員 そうすると、そうしたいろいろな事由が出てくる、あるいは支障が出てきているという場合に、支障を生じていると認めるのは一体どこで認めることになるのですか。これは通産省がやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/14
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015・外山弘
○外山政府委員 業種の指定の判断は通産省が行ないますが、いま御指摘の経営の安定に支障を生じているかどうかの判断をさらにその業種内でするという場合は、現在の倒産関連保険がそうでございますように、市町村長が認定することになると思います。その場合にはあらかじめ認定基準というものをきめていくわけでございますが、具体的にその業種に属する個々の企業の認定になるわけでございますので、市町村長が認定することになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/15
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016・上坂昇
○上坂委員 地域的に限られている場合、市町村長の認定ということが出てくるかもしれませんが、今度のいわゆる狂乱物価のような状態の中で全国的にその業種に影響を及ぼす、こういう判断をなさる場合にはどこでやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/16
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017・外山弘
○外山政府委員 判断の基準となることは通産省が全国的にきめることになると思います。たとえばその業種としての特殊性が出てくると思いますが、どのくらい売り上げ高が減少する場合とか、どの程度価格が高騰して売れなくなっている場合とか、いろいろなことを判断しまして一つの基準をその際にきめると思います。その基準を機械的に適用して、その業種に属する個々の企業者の認定を行なう、こういうことになるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/17
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018・上坂昇
○上坂委員 相当部分の事業に著しい支障を来たしているということを認める場合、往々にしてそうした判断をするような時期には、もうすでにおそいような状況が従来の例だったんではないかというふうに考えられるわけですね。そのころにはもうすでに倒産がどんどん進行してしまっている。そういうような状態がきておって、どうにもならないような状況があるんではないかというふうに思うのであります。したがって、問題はそうした見通しの上に立って倒産が起こらないようにしなければならない、これが一番大切ではないかというふうに思うわけです。倒産しちゃってからではもうおそいので、倒産寸前でもおそらく金融機関はなかなか金融措置をとってくれない、金を貸してくれないという例のほうが多いわけです。もうあぶなくなった企業は大体これは投げてしまうというのが金融ベースの通例でありますから、そういうことを考えると、問題は、これを効果あらしめるためには、通産省がよほど前に、こうした大きな変動なり何なりというものの見通しをつけていかなければならないと思うんですね。そういうことについて一番大切なのは何であるかというふうにお考えになっておるか、お伺いをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/18
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019・外山弘
○外山政府委員 御指摘のとおりでございまして、せっかく法的根拠ができましても運用が迅速でございませんと効果のほうが半減するということも十分あり得る場合があると思います。私どももこれを機会に、つまりこういうふうな倒産関連保険の定義が拡大する機会に、やはり中小企業の業種別所管の担当部局、たとえば建設業だったら建設省、そういうふうな業種別の所管部局が今度の法律の制定を機会に、やはり自分の所管業種がどういう影響を受けているかということを常時よくつかむことが一つ大事だと思います。私どもも、これを機会に業種別の実態、つまりこういうふうな事由によって中小企業が業種別にどのような影響を受けているかということの情報を的確につかんで、そして判断が迅速に行なわれるように平素からやはり見ていくということ、この二つが両々相まって指定が適切に行なわれるというふうに考えます。したがいまして、今回の法律制定を機会に、そういった業種別の実態、業種別の情報というようなものを的確につかむように担当部局とも十分連絡をとりながら、平素からその問題のありそうな場合には、特に念入りに状況をつかんでおくということが大事だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/19
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020・上坂昇
○上坂委員 認定をする場合に、市町村が一応その業種の認定をしまして、全国から上がってくると思うのですが、その場合には、県を通じて上げてくるわけですか、直接に通産省のほうへ上げてきていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/20
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021・外山弘
○外山政府委員 業種の認定は中央で行ないます。したがいまして、業種の認定そのものには市町村は関係ございませんが、認定された業種に属するということと、それからその経営の安定に支障を来たしているということの判断を個々の企業ごとに市町村がやるわけでございます。個々の企業ごとに市町村がやる判断は、市町村長にもわかりやすいように、売り上げ高がどの程度減少したというようなことをはっきり出しまして、そして調べやすいように私どもは通達をするといいますか、インフォーメーションを提供すると申しましょうか、そういうことは十分やりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/21
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022・上坂昇
○上坂委員 手続としてはどういうふうにしていくのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/22
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023・外山弘
○外山政府委員 手続といたしましては、やはり業種指定が行なわれましたときに、こういう認定が市町村長で行なわれる、こういう書類を出して即刻認定していただきなさいというふうな指導をその業種団体に行なうというふうなことになると思います。したがいまして、それを受けてすぐ個々の地域に属する企業が認定の申請をすれば、すぐにも認定ができる、そして信用保証協会の窓口につながるというふうに手配をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/23
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024・上坂昇
○上坂委員 そうすると、特に通産省のほうで一応業種を早く指定する、そういたしますと、それの指定された一般的な経済情勢を見て、この業種が非常にあぶないという場合にはその業種を指定する、その指定された業種について、それに属している個々の企業に対して、市町村がその企業が非常に不安定な状態にあるということを個々に判断をしてそれを認定をするわけですか。そして信用保証協会なり、金融機関にこれを連絡をする、こういう形になれば、直ちに、直ちにということは、いろいろ事情があるでしょうけれども、保証協会なりがそれを認定をして、そして金融機関と協議の上で金融の措置をとっていく、こういう形になるわけですか。そこには別に県知事のところへ持っていったり、県の商工部等を通さなくてもいい、こういう形になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/24
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025・外山弘
○外山政府委員 そのとおりでございます。現在の倒産関連保険の一号、二号の運用もそのようにやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/25
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026・上坂昇
○上坂委員 この法の適用は非常に重要だと思いますが、早急にやらなければならない問題でもあると思いますが、業種全体として苦境におちいる場合の中には、いろいろな外的な要因があると思うのですね。大体、他律的ないろいろな要因、事由というものによるものがありますね。そのほかに、世の中の経済情勢の混乱とか低迷、そういうことの中で需要の見通しなどがつかないというような場合があったり、それから各企業において見通しの判断を業界全体としても誤る、そういうようなこともあるのではないかというふうに思うのです。言ってみれば、自分たちの責任の中でそうした判断が誤って、全体的に苦境におちいる、こういう場合があって、その全体的な苦境の中で個々の企業が不安定な状態に置かれる、こういう状態があった場合、その業種の中で相当数が経営不安におちいっている場合にも、何らかこれを適用していく方法はないか、こういうふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/26
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027・外山弘
○外山政府委員 その業種に属する企業の相当部分が事業活動に支障を来たしておるということで業種指定をするというふうになっておりますので、まさに御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/27
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028・上坂昇
○上坂委員 そうすると、いま非常に経済情勢の混乱で需給の見通しがつかないとか、それから業界全体として判断を誤るというような場合にも、この法律が適用されて対象になっていく、こういうふうなお答えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/28
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029・外山弘
○外山政府委員 確かに企業経営者の中にいろいろあって、的確にやってさえすればそういうことにならないのに、放漫経営をやったためにそうなったというふうなケースが企業間にはあるのだろうと思います。ただ、ここで規定してございますように、その業種に属する企業者の相当部分が事業活動の縮小に至っているということは、個々の経営者の判断がまずかったというよりも、やはりその業種に属する人としては、通常の知識をもってしては防ぎ得なかったマイナスであったというふうに判断すべきだろうと思います。したがいまして、先ほどのような事由であっても、やはり相当部分が影響を受けているという点が大事でございます。その点から逆に見まして、それは個々の企業者の責任というよりも、やはり業種に属していたがゆえに大部分の人がかぶる問題なんだから、それは業種指定をしてもいいのではないか、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/29
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030・上坂昇
○上坂委員 法案については大体わかりましたが、次に、きのう全国信用金庫連合会、いわゆる全信連が、中小零細企業あるいは個人に対して融資をする際、信用保証機関を設立する、そして五十年度から業務を開始する、こういうことを報じておるわけですが、このことについて通産省としてはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/30
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031・外山弘
○外山政府委員 私もまだ新聞で拝見しただけでございます。ただ、信用保証業務の多様性にかんがみまして、今回報ぜられるような内容の信用保証業務が新たに加わるということは、それ自体たいへんけっこうなことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/31
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032・上坂昇
○上坂委員 こうした問題が出てくる場合には、何か金融機関がそうしたものについて、かってにと言ってはいけませんが、自由に方針を立てるという形は、いままでもやっているわけですか。その場合に、通産省のほうにたいてい連絡があるとか、そういうことはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/32
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033・外山弘
○外山政府委員 個人の住宅金融等を含めましていろいろな信用保証業務が行なわれておるわけでございまして、その一つ一つについて通産省に別に届け出をするというふうなことにはなっていないようでございます。ただ、中小企業に関係の深いことでございますと、これについては私どもも報告を求めたり、あるいは内容についての問い合わせをするというようなことは十分あり得るわけでございまして、今回の件は業界ベースで考えているので、通産省にまだ正式な報告は来ていないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/33
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034・上坂昇
○上坂委員 こういうようなものが行なわれる場合、信用保証協会の場合には、こうした中小企業信用保険法というような法律でできるわけですね。こういうふうな自主的にやる場合には、そうした法的な根拠であるとか何かというものは必要がないものでしょうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/34
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035・外山弘
○外山政府委員 公益法人の認可を受けるという範囲でやっているわけでございまして、公益法人の内容としてふさわしい保証業務ということで、十分存在の理由があるというふうに了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/35
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036・上坂昇
○上坂委員 時間が参りましたので、最後にお聞きしたいのは、最近中小企業の倒産が著しくなってきているわけでありますが、特に今度の四月一日からガソリンが百円になる。いま九十四円二十銭ですか、そうしたいわゆる石油の値上がりによって新しい一つの要因というものがふえてくるのではないかというふうに考えられるわけです。今度の石油の値上がりがどういうふうに中小企業の経営に影響をしていくか。この点について見通しをひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/36
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037・外山弘
○外山政府委員 いま直ちに的確な見通しを申し上げるにしては、まだ状況が十分につかめておりません。と申しますのは、石油製品の値上がりに伴う石油関連製品のほうの値上げは極力抑制するということが一つうたわれております。これが流通段階も含めまして中小企業者の原材料購入という面でさしたる影響のないようなかっこうでまいりますと、これはそう影響がないということになるかと存じますが、やはり流通段階を経た上でいろいろ値上がり現象が出てくるということになりますと、加工部門に働いている中小企業が多い状況でございますから、やはり影響を受けてくるだろう。また、製品の価格の上でそれが吸収できる場合はよろしゅうございますが、できない場合もあり得るかもしれない。その場合には非常なピンチになるというふうなことが考えられます。いまそういった状況、つまり石油製品並びに石油関連製品の価格なり入手の円滑化状況がいままでと違ってどういうふうな姿になるかということをもう少し見きわめまして、そして中小企業者に対する影響もどういうような面に心配をし、どういう面にまた問題がないというふうなことをつかんでいかなければいけない。いまそのかまえを私どもとしては勉強しているところでございまして、もう少し事態が発展いたしましたら、先ほどのような問題意識で、つまりどっちの面が出てくるだろうかということをよく見ながら、影響についても十分把握してまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/37
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038・上坂昇
○上坂委員 石油製品の値上げによっていろいろな関連物資が上がってき、原材料の値上げが生じてくるということは、もうだれが見ても明らかだと思うのですね。その場合一番影響を受けるのは、何といっても資産のない、あるいは資力のない、金融力、信用度、そういうものの不足をしている中小企業に非常に大きくしわ寄せがくるというふうに思うのですね。そこへもってきて、中小企業のつくっている品物は大体生活関連物資であるという形になりますと、今度はそれの価格、頭を押えるという方針がとられてくると、これは二重の桎梏といいますか、そういう中で苦しんでいかなくちゃならない。そういう中では倒産というものが加速されるおそれが多分にあるんじゃないかというふうな感じがいたします。そういう意味で、金融措置というのは何といっても一番たいへんな問題だろうというふうに思うのです。特に金融措置の中で、いま総需要抑制とかいろいろな政策が行なわれていて、特に設備投資についてはなるべく控えるというような状況がありますけれども、困ってくるのは何といっても運転資金だと思うのですね。その運転資金の件については、いま各金融機関では、いままで借し出しのワクを設定してその範囲内でまた半分くらいは預金をさせられるというような状況があったわけですね。しかし、預金をした場合あるいは三倍くらいの金融というのがワクとして認められておる。ところが、最近は全然そのワクを、いままでの従来のものをはずしてしまって、そして自分たちの積んでいる預金を取りくずしてしまえ、そして取りくずしてしまって、それでとにかく間に合わせなさい、こういう傾向が一般地方銀行においては非常に強いわけですね。それをとって使ってしまいますと、今度は貸し出しのワクがなくなってしまうんです。今度は全然融資ができない、金が借りられない、こういう状況が実際に出てきておるわけです。こういう状況をどういうふうに防いで対策を立てていったらいいのかということが非常に悩みなわけです。この点についてひとつ御意見をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/38
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039・外山弘
○外山政府委員 実際問題といたしまして、金融引き締めの堅持というふうなことが続いているうちは、そういう市中銀行ベース、地方銀行ベースの問題についての解決策というのはなかなかむずかしいと思うのです。ただ、大蔵省のほうでも、銀行の指導にあたりまして、健全な中小企業が影響を受けることのないようにという指導はしているわけでございますけれども、実際問題として、御指摘のような金融需給事情というものが健全な企業にも影響する場合があるかもしれない。それを抜本的に解決するとなりますと、やはり金融緩和ムードが必要になってくると思います。ただ、そこまではなかなか行き得ないとすれば、その間できるだけ両者の交渉で打開をしてもらうと同時に、私どもとしましては、そういったことの結果健全な中小企業が少しでも助かるように、政府系三機関の窓口の強化というふうなことも今後もつとめてまいりたいと思います。したがいまして、最近でも確かに普通の銀行から政府系三機関へシフトしてくる金融需要がずいぶんございます。その中でもやはりやむを得ないというケースもずいぶんあると思います。そういった救済も過渡的には必要な状況がまだ続くのではないだろうか、こう思います。大蔵省にも適切な指導をしてもらうことを要望すると同時に、私どもも政府系三機関の資金の充実ということで、できるだけ健全な中小企業金融が脅かされないようにつとめてまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/39
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040・濱野清吾
○濱野委員長 上坂さん、いま大蔵省から来ていますから……。歩積み両建ての問題でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/40
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041・米山武政
○米山説明員 お尋ねのように、こういうふうにだんだん金融が詰まってきますと、いつもの例ですと、やはり歩積み両建てというような問題が特に問題になります。私どもも、やはりその点につきましてはいつも以上に関心を持っておりまして、銀行検査等の場合には必ず特定店舗は歩積み両建てだけを特に検査するというふうなことをいたしております。その結果、非常に残念ながら私どもが報告を得ておりますより相当多くの歩積み両建ての実態がある。こういう場合には歩積み両建ての整理のための担当重役というものをきめておりまして、こういう者を至急呼びまして、この整理を至急はかるようにということは注意することにしておりまして、また今回、もしそうした注意にもかかわらず依然としてこういう実態を繰り返すならば、最高首脳部の処分まで含めた厳重な行政措置をとる、こういうようなことをきめておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/41
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042・上坂昇
○上坂委員 いまのような問題で、この前も歩積み両建てのことについてお伺いしたのですが、いままで行政措置をとったという例はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/42
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043・米山武政
○米山説明員 現在、特定の店舗を検査した結果、違反がありますと、その店については全部の店舗につきまして自主的に再調査させ直します。その結果、全部の店舗に当たって相当数出てきます。現在のところ、これは重役を呼びまして厳重に警告を発する、こういうことにしておりますが、すでに従来の通達によりましても、そういう場合には、非常に悪質なものについては最高首脳の責任あるいはその他の行政措置をとるということはうたってはおりますが、この際あらためて警告を発しまして、今後そういう事態がありましたら、必ずそれを実行するというふうなことにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/43
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044・上坂昇
○上坂委員 時間が参りましたから、最後に、保証協会のほうがどうもやはり金融機関の意向を全部受けて保証していくという例が非常に多い。保証協会独自で実際に調査研究検査をして判断をしていくということよりも、金融機関からの要請で金融機関に全部おんぶをしてしまうというケースのほうが多いように、どうも個々に当たってみますと思われますね。そういうことについてひとつ十分注意をして、中小企業のほんとうの苦しみというものを救っていくような方向に行政を進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/44
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045・濱野清吾
○濱野委員長 神崎敏雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/45
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046・神崎敏雄
○神崎委員 通産大臣が参議院のほうに行っておられるので、主として大臣に対する質問は残して関係責任者に伺いたいと思いますが、今回の改正案では倒産関連中小企業の範囲の拡大をうたっておりますが、この具体的な措置をまず聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/46
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047・外山弘
○外山政府委員 現在の規定では一号、二号というふうに規定がございまして、中小企業者の取引先であります企業が倒産をした場合とか、あるいは事業活動を縮小した場合とか、そのためにその取引をしている中小企業者が大きな影響を受ける、つまり取引先の個別的な事情というものを倒産関連保険の対象にしているわけでございます。今回はさらにそれに加えまして、そういった取引先の事情とは別に原材料の著しい供給の減少とか、あるいは需要の著しい減退とか、そういったようなことが原因で、その業種として事業活動が非常に停滞する、そしてその企業者がその業種に属している者としてたいへん経営の不安定な状態になる、こういう場合でも同じように倒産関連保険の中に入れまして、同じように倍額の保険ができる、信用補完の機能が果たせるというふうにしたいということで、今回三号の追加ということをお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/47
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048・神崎敏雄
○神崎委員 この法案の中で「主要な原材料等の供給の著しい減少、」「需要の著しい減少」「相当部分の事業活動に著しい支障」とか、やたらに「著しい」という表現が出てくるのですが、これはどういうことなのか、ひとつ解明をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/48
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049・外山弘
○外山政府委員 「著しい」と書いておりますのは通常のケースでないという場合でございます。通常のケースでないということはやはり程度がひどいということでございまして、ただこれを数字的に画一的にきめることはなかなかむずかしいと思いますけれども、「著しい」と書いていることは、要するに通常あり得るような動きとば違って供給が非常に減るとか、製品の需要が非常に停滞するということをいっているわけでございまして、「著しい」というのは程度がひどいということでございますが、どの程度ひどいかという点はやはり業種、業態、あるいはそのときの事情というもので判断をすべきだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/49
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050・神崎敏雄
○神崎委員 そのときの事情で判断をせなきゃならぬだろうということは、判断されたからこういうことをお書きになって出してこられたのじゃないのか、こういう反論が出てくるわけですね。だから、ここで「供給の著しい減少、」「需要の著しい減少」「相当部分の事業活動に著しい支障」というふうにずっとあげてこられておる中身は一体何なのか、そういうことが急遽こういう形で著しい減少が出てくるというようなことは、それではいままではどういう形できておったのか、この関係をひとつ聞きたいというのは中身の解明をしてもらいたいということなのです。今後そういうことが起こるというような形でいま言われたように聞いたのですが、そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/50
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051・外山弘
○外山政府委員 日本の景気変動の歴史の中で中小企業がいつもいろいろな影響を受けるということは一番ありがちなことでございますし、私どももいつもそういう点についての気のつけ方をしているわけでございますが、いま御指摘のように、たとえば過去の例で見てこの法文があったら指定したような場合とはどんな場合だろうか、こういうふうな御指摘でございますが、ごく最近で申しますと、たとえばネオン製造業者が今回の電力制限措置で非常な影響を受けました。つまり需要面が、ほとんどもう発注する人がなくなってしまうというふうな時期が急速に来たというようなことがございました。この辺は明らかなる需要の減少というふうにこの際の問題としては言えると思いますし、それからネオンの製造業者の相当部分がやはりそういった面で影響を受けて商売がうんと減ってしまったというふうなことが言えるかと思います。したがいまして、あの時点でこの法文があれば指定をすることは十分可能であったというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/51
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052・神崎敏雄
○神崎委員 それでは次に、この付保限度額の引き上げがいわれておりますけれども、今日のような政策的な金融引き締めのこの時期において、付保限度額の引き上げに見合った資金の供給は保証されますかということです。これを具体的に保証されるというならば、その保証の内容を保証していただきたい、こういうことなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/52
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053・外山弘
○外山政府委員 せっかく信用保証の限度を拡大しても金がついてこなければ何にもならないことはもちろんそのとおりでございますけれども、金融の引き締めあるいはそれに対する指導の方針、つまりたとえば健全な中小企業が影響を受けるような引き締めはいたしません、しかし引き締めの基調は堅持するのですというふうなかっこうできているわけでございまして、中小企業金融というものが影響を受けていることは間違いございませんが、やはり必要な金融は受けられる、また今後もそれを確保していかなければいけない、こう考えておるわけでございます。
一方、信用補完のほうの限度の問題は、やはり経済情勢の中で中小企業者の信用保証需要と信用補完需要というものがだんだんと大口化している。借り入れ残高という点を見ましても、それから中小零細業者の借り入れ残高の比較を見ましてても、逐年上がっておりまして、今回のような保険限度の拡大をすることがそうした中小企業者の資金需要に対する適切な限度の引き上げであるというふうに判断しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/53
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054・神崎敏雄
○神崎委員 きわめて具体的でない答弁ですが、その額やその他の裏づけについてはまたあとでこちらから伺うことにして、先般の中小企業庁の説明によりましたら、いまの時点で指定しようと考えているのは先ほどおっしゃったネオン業者、これだけだということを聞きました。これだけがいわゆる範囲の拡大ということなのか、次にはどこまで拡大をしようとされておるのか、この法律の基準と運用をどのように拡大していこうというふうに考えておられるのか、この点も明確にしていただきたい。たまたまネオンの問題がいま長官からお話がありましたが、先般私が伺ったときもネオンだけのことでありました。そうしたら範囲の拡大ということはそのネオンの業界だけにとどまるものか、あえて法律をつくって拡大をされるというなら、さらにそのカテゴリーなるものは拡大をしなきゃならない、こういうふうに思いますが、そういう見通しだとか、具体的方針はお持ちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/54
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055・外山弘
○外山政府委員 私は、先ほど、たとえばということと、ごく最近起こった現象としてということで申し上げたわけでございまして、これは例示でございます。先般もここでお答えしたこともあったかと存じますが、やはりこの条文が実現いたしますと、今後の金融引き締めあるいは原材料の動向といったものに対応する中小企業の資金需要にはたいへん役立つのではないかというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、今後やはり中小企業にとっては相当きびしい金融環境が来るのではないか、こう考えるわけでございます。その際に、金融環境だけではなくて、ここにございますような需要の停滞とか原材料の高騰とか、そういったようなことが原因となって影響を受ける場合が多々出てくるのではないか。その際、いまでも一応予想ができるのは建設業でございまして、建設業あたりはやはり現在かなり需要の減退に悩んでおりますし、今後もそういった問題がさらにひどくなってくるおそれは十分にあるのではないか。そうなることが望ましいことではございませんけれども、建設業については、やはりこういった措置をとることが必要な業種としていまから考えられるのではないだろうか。もちろん法律の通った時点で十分いろいろな点を勉強しておかなければいけませんけれども、いまから予想できるものとしては建設業などはあげられるというふうなことをここで申したかと思いますが、そういう意味で、この条文の拡大によりまして、今後の事態がどのようになるかわかりませんが、それに対してはかなり対応する範囲が出てくるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/55
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056・神崎敏雄
○神崎委員 そこへは入って行こうと思ってなかったのですが、いま長官の答弁の中で申し上げておかなきゃならないというのは、この前聞いたときはネオンだけだったのですが、ネオン以外にいま建設業という話が出た。もちろん建設業もそうだと思います。これはやはり現在の情勢というものが判断をされなきやならない。御承知のように、土地の買い占め、それから物不足、こういう資材の不足等から、建築業はあなたのいま言われたようないわゆる需要の減退は著しいものだ。当面は好転するような傾向もない。特に地方自治体などが請け負わしても、それを着工しようと思ったときには資材がどんどん上がってしまっている、そういうようなことからお互いが困っているような状態が、いまいわゆる基礎的な現象としてある。そういう形のいまの政府の基本政策、この問題等の関連もありますが、そういうものもこの法律でどんどんと補足していくのか、また補足できるような、いわゆる質の高い、幅の広い、深みのあるような法案になるのか、主として中小企業に限定されておるものか、こういうことをいまの長官の答弁から考えるのですが、それはどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/56
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057・外山弘
○外山政府委員 中小建設業が現実問題として大きな影響を受けるような事態になるだろう、その際にこの法文の関係はどうなるだろうかという点で申しますと、先ほど申しましたようなことでいいわけでございますが、問題は、建設業を救済するといいますか、建設業をあるべき方向に指導すると申しますか、そういった点のための措置は、決してこの信用補完の仕事だけではないと思います。いろいろな受注上の問題もございましょうし、原材料の確保に対するもっと手厚い配慮もございましょうし、いろいろなことがあると思います。ただ、私どもの中小企業信用保険法の立場で見ますと、先ほどのような信用補完の拡大ということで建設業のしかるべき部分に応援をするということが可能になるということでございまして、建設業自体の救済策がこれで十分であるとか、あるいはどういうことをやることの関連でしかこれを考えないとか、そういうふうなことを必ずしもこれでいっているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/57
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058・神崎敏雄
○神崎委員 全くそのとおりだと思います。こういうようなものをただ保証するというだけでは根本的な問題の解決にならない。だから、あくまでこれは保証のワクを広げていく。これは中身が必要になるのですが、ただワクだけでも——中身も必要だが、ワクもない、そのワクを広げておいてやるというだけにとどまっておるんだと、先ほどのようなことになれば、これはもう経済問題、現在の経済情勢全体から考えて、もっと違った時点の問題の討議をしなければならないと思いますが、いまそうおっしゃるのなら、それで私はとめていいと思うのです。
そこで、三月五日の日銀の統計局発表によりますと、主要企業、中小企業の短期経済観測では、第一に、「金融機関の貸出態度を「きびしい」とみる企業は一段と増加し、二月時点におけるきびしさの度合いは調査開始以来の最高」であった。これが第一です。それから第二は「「資金不足」が引続き上昇を続けるなど引締め期の影響がかなりはっきり現われるに至った。」こういうふうに報告をされている。しかもこの調査は、中小企業の中でも、従業員が五十人から二百九十九人、いわば中部分に対して行なわれたものですが、それ以下の小企業はさらに深刻な状態であると思うのです。それがこの調査の結果に明らかになったのでありますが、そこで私は伺いたいのは、現在国民金融公庫における資金需要に対する充足率、また、申し込みしてから貸し出しされる期日、これはどのくらいになったら解決されておるかということを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/58
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059・若杉和夫
○若杉説明員 国民金融公庫に対する申し込みは非常に多くなっていまして、国民金融公庫のほうは手持ち日数、先着順でやっていきますので、手持ち日数ということがわりとあれですが、三十日強ぐらいにいま現在なっていると思います。それで通常ですと、通常というのはなかなかむずかしいんですけれども、過去平均、五、六年を見てみますと、二十二、三日というのが、これは普通といいますか、あたりまえだという感じでございます。それが三十日をこえると多いんじゃないかということでございまして、いま三十日をこえなんとしておる状況でございまして、何とかその辺に持っていきたいというのがいまの状況でございます。
充足率というのは、御質問でございますと、たとえば百万円申し込みがありますと、その場合に、平均的に八〇%に当たる八十万円を貸したのか、六十万円貸したのか、そうすると六割になりますが、そういう御観点だと思いますが、大体七〇%前後になっていると思います。だから、はっきり申しまして平常よりややしぼっています。それは、需要が非常に多いものですから、みんなに均てんさせるという意味で、平常より二、三%ややしぼりぎみであることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/59
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060・神崎敏雄
○神崎委員 それに関連して伺いますが、国民金融公庫の二月二十日現在における申し込みの件数、金額は、前年度対比でどういう数字になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/60
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061・若杉和夫
○若杉説明員 二月二十日現在という統計はございませんけれども、現在第四・四半期、つまり一月から三月、もう三月も半ばでございますが、大体推定ができるわけでございます。その推定も織り込んで、前年対比一六五、つまり、六五%アッブぐらいを予想しておるわけでございます。
〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/61
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062・神崎敏雄
○神崎委員 二月二十日現在の申し込み件数、金額の前年対比を聞いたのですが、六五%アップですね。
私が最近調査いたしました実例を二、三言いますと、東京支店では、件数で、一七二・九%、金額では二四四・四%、大阪支店では、件数では一五八・二%、金額では一八七%、秋田支店では、件数で一八一・九%、金額では二九〇・二%と非常に大幅に増加しておりますね。それに対して、いわゆる可決率は、同じ二月二十日現在で、東京支店では、件数が七三%、金額で五一%、大阪支店では、件数で八三%、金額で六七%、秋田支店では、件数で五五%、金額で六三%、全国平均でも、件数で六八%、金額で五三%、こういうふうに可決率が非常に極端に悪くなっている。
去る三月五日には中小企業三金融機関に五百億円の追加がされました。そのうち二百五十億円が国金に回るわけですが、国金内部では、これでは約一週間分だという評価をしているのですね。そうすると、法限度額の引き上げもけっこうだが、それに見合った資金供給がなければまさに仏つくって魂入れずといいますか、こういうことになっているのですね。中小企業庁では以前、三千億円の追加をする、こういう方向で検討されている、こういうことが当時、宣伝もされたのですが、この件は一体どうなっているのか。この三千億の分はもはやたな上げになってしまったのか、あるいはいまのこういうような状態、実情から見て、この法案をつくってもやはり見せかけといいますか、安心だけ与えてそれを充足することができない、こういう結果になると思うのですが、次官もお越しになっているので、これはひとつ事務的な問題でなしに、政策上、中小企業対策上、こういうことがやられたあと、現在こういうことになっている現状をどういうふうにお考えになって、これをどういうふうに補足されようとお考えになっているのか、これをひとつ考え方を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/62
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063・外山弘
○外山政府委員 まず第一点の保険限度を引き上げても政府系三機関へのワクが少ないのはバランスがとれないのではないかという御指摘かと存じますが、御承知のように、信用保証と申しますか、保証協会の保証を受けて行なわれまする金融は、大部分がむしろ三機関以外のところからの貸し出しに対する措置でございまして、これは必ずしも直接関係のある数字ではございません。
それから第二番目の三千億の問題は、あのときも、ととしの四十九年度の上半期も含めてそのくらいの増加をする必要があるのではないかという検討をしたわけでございます。先般五百億を追加する際にも、これは年度内に五百億を追加するということでございまして、四月以降も状況の判断を的確に行ない、適時適切な資金ワクの増加をやりたいというふうに同時に述べておるわけでございます。したがいまして、新年度におきましても引き続きこういった三月におけると同じような事情が生じますれば三機関のワクを追加するということが可能でございますし、また必要でございます。そのことを含めますと、三千億という数字がそのままになるかどうかはわかりませんけれども、三千億との関係ははっきり出てくるわけでございまして、私どもとしましては五百億というのはこの三月限りのものである、四月以降もさらに状況によっては考える、それを含めて三千億とのつながりを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/63
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064・森下元晴
○森下政府委員 物価の値上がり、また品不足、そういう事態から、最近では金がない、また銀行でも貸してくれないというような事態になっておりまして、中小零細企業に対する金融の問題が非常に大きな問題になっております。いま長官からも発言がございましたが、いわゆる保証による貸し付け、それとこの三金庫で貸し出しをしております三月末までに五百億、沖繩を含めまして五百五億というような貸し出しもございますけれども、いわゆる四十九年度の新しい予算におきましては三千億、また、その緊急度合いによりましてはそれ以上考えなければいけないと思っておるわけでございますけれども、信用保証協会を通じての貸し出しプラス三金庫による貸し出し、そういうものを合わせてやはり中小零細企業に対する緊急の融資をしなければ、こういう事態でかなりの倒産も出ておるし、一刻を争わなければいけないような非常な危機の事態であることをわれわれもよく承知しておりまして、しゃくし定木にとらわれないように弾力的に、また緊急的に金融措置をしていきたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/64
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065・神崎敏雄
○神崎委員 考えたり思ったりされることはいつもいいことばかりなんですが、問題は、考えたり思ったりすることじゃなしに、実施しなければならないということなんですね。
そこで、これは一月三十一日の報道などですが、「モノ不足、資材の高騰などの問題をかかえて倒産が懸念される中小企業対策として政府系金融機関を通じて約三千億円の緊急融資を実施する」考えるじゃなしに「実施する」ですよ。「一方、中小企業対策としては電力の消費規制によって大きな打撃を受けているネオンサイン業者、公共事業の抑制措置などから倒産がふえつつある建設業者などを対象に、中小企業金融公庫、商工中金、国民金融公庫の政府三機関を通じて約三千億円にのぼる緊急融資を実施する」そこで大蔵省といま通産省は話し合いをしておる、二月初めに閣議決定したい、これが一月三十一日です。こういうことは、いまの二百五十億とか五百億とかではなしに、すでに一月三十一日の、あの一番パニックのひどい石油問題から派生したネオンサイン業者、先ほど長官も言われた建設業者を対象にしてこういうことをいち早く発表されたのですが、逆に、先ほどからもあげているように金融はどんどんと引き締められて、先ほどの質問にもあったように現状は非常にきびしいものである、また内部報告でもそうなっておる、充足率も非常に低い、こういうふうな状態の中ですから、これは緊急に実施をしてもらわなければならぬと思うのですが、閣議決定後これは一体どうなったのですか、次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/65
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066・森下元晴
○森下政府委員 中小零細企業に対する貸し出しは、保証協会の保証による以外に、いま申し上げましたように、三金庫を通じて無担保無保証等を含めての貸し出し、四十八年度は一兆七千億のワクだったと思いますが、それに弾力条項で財投のほうからそれの半分、それが中小零細企業に緊急の場合に貸し出しできるワクでございまして、それ以上になる場合には暫定予算を組まなければいけない、こういうようになっているように私承知しております。すでにそれが昨年末におきまして三千数百億出て、あとに残っておるのが大体六百億ぐらいであった。その中から五百億をネオン業者とかまたタクシー、特に個人タクシーは昨年末に非常にプロパンが少なくなりまして稼働ができなかったが、そういう方々にお貸ししたり、また繊維業界なんかにも一部お貸しする、そういうことを合わせて五百億、沖繩を含めまして五百五億、こういう数字が出ました。それ以外にも、中小建設業界等にいたしましても非常に資金繰りに困っておるというようなことでかなり申し込みが殺到しております。その分につきましては、参議院でいま予算を審議していただいておりますけれども、それが早急に審議され議決されて、四十九年度の予算が執行できる段階になりました場合には、四十九年度の三金庫を通じての貸し出しの二兆円というワクがさっそく施行できるわけなんです。その第一・四半期の分で約三千億を貸し出しできる。いろいろ手続き上きょういってあす借りるわけにいきませんので、いまからでございましたら書類さえちゃんとつくっておけば、四月で予算が執行できればすぐ出せる体制にしておこう、こういうことなんです。だから三千億をいま貸しますということは、これは四十八年度の予算ではできません。四十九年度がもうすぐ目の前に来ておるものですから、いろいろな手続等を早くして予算が執行になればすぐに出せるように、万全の体制をとるように指導をしておるわけなんで、三千億は緊急を要する場合には、なおその額をふやすこともできるはずでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/66
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067・神崎敏雄
○神崎委員 そうすると次官、予算が通過したら三千億の緊急融資はすぐ実施する、そして三千億でも足らなければなお増額をしていく、こういうふうにいまの答弁は理解していいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/67
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068・森下元晴
○森下政府委員 そういう心づもりでございます。やるつもりでございますけれども、なお、いろいろ貸し出しの条件等が満たされることも前提でございます。ただ、通産省としては、可能な限りそれが早く出せるように強力に指導していきたい。三千億きっちり出せるかどうか、まあ一つのめどでございまして、可能な限り早く出すように指導していきたい。従来でございますと、どうしても金融手続がおそくなりがちなんです。だからもうすぐ目の前ですから、しかも一週間、十日を争うような現在の金融の逼迫情勢でございますので、できるだけ手続を早くする、できるだけその事態に応じてワクをふやすように指導していく、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/68
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069・外山弘
○外山政府委員 いま政務次官から三千億との関係の御説明がございましたのでちょっと補足させていただきますが、要するに、新年度になりますと普通の貸し出し規模でも二兆円をこえる貸し出しが可能になってくるわけでございますし、それに対してさらに弾力条項がございますから、ふやすことも可能になるわけでございます。
それで、いまの三千億というようなかっこうで通常の貸し出しに対してさらにプラスするということは可能でございます。可能でございますが、それはやはり状況判断によりまして、つまり四月以降の状況によりましてその可能なことを実行するかどうか、つまり通常のベースで済むかどうか、通常のベースのほかに繰り上げてその三千億にひとしい額の融資ワクを実現するほうがいいかどうか、その辺は今後の状況判断でございますが、要するに、政務次官おっしゃいましたように、新年度になりますとそういったことも可能な状態になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/69
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070・神崎敏雄
○神崎委員 どうも話が、初めえらく期待を持たすように言っておってどんどんと後退していくんですね。その総ワクについては私も知っています。しかし、三千億というのは緊急融資だ。文字どおり品不足やあるいは商品不足、そういうようなところから打ってきたいわゆる緊急融資なんですね。それが二百五十億とか五百億とかいう形の中で三千億出すということを言われたわけですから、考えたり思ったりじゃなしに実施をしてもらいたい。閣議もそういうことを了承したというように報道されているがどうだ、こういうことになったら、四十九年度の予算が通ればすぐ実施する、それだけじゃなしに額もまだふやしていい、こういう非常に前向きな次官の答弁をいただいた。それで、緊急融資のワクというものは非常に前向きになるなあというふうに理解をしようとしたのです。そして、していいかというだめを押したあとは何か少し抽象化されてしまって、いわゆる状況判断してということにずんずんと後退してきたのですが、状況は、一月三十一日の時点から見たらいまはもっと悪いんですね。好転していない。その上に政策的な金融引き締めがあって、あとで倒産の例も出しますが、倒産はどんどんとふえている。もちろん予算通過は待たなきゃなりませんが、緊急融資の対策としては、三千億や五千億ではなかなか現在の中小企業は金融面からでも救っていくわけにはいかない。こういう現状でありますから、現状をよく見た上で、消極的になるような印象を与えるような答弁じゃなしに、このワクを積極的な形でさらに広げていく、こういう形で積極的な姿勢を当局は示されるべきだ。逆に一月三十一日よりも後退する印象を与えるようなニュアンス的な答弁では、さらに深刻化している中では動揺が来る。ほんとうに中小企業をこの中で守ろうというような姿勢にあるのかどうかということがここで疑問になってくるのですね。いま一度重ねて次官に決意ある方針を示していただきたい、方向を示していただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/70
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071・森下元晴
○森下政府委員 緊急融資三千億はいわゆる前向きの発言でもございましたし、またかたい決意で言われたと思います。これは私の発言ではございませんけれども、なお、私は数字にこだわる必要はございませんけれども、いま先生おっしゃったように、一月の事態から現在の事態はより深刻であるということも承知しております。ただ、あの発表をした時期には、三月三十一日の四十八年度で三千億が出せるというような印象を与えられたかもわかりませんけれども、その点は四十八年度の三金庫から出せる一兆八千億だ。この数字は私は責任持てませんけれども、まあ一兆七、八千億、それに弾力条項のそれの半分というようなことで、年末にもかなり出してあと五百五億の額を出せばたくさん残らない、こういうことは実は承知しておるわけなんです。だから四十九年度の予算を一日も早く上げていただいて、いわゆる二兆プラスその二兆の半分の一兆、まあ三兆という金が弾力条項を適用すれば予算の範囲内で出せるわけですから、これを四半期に割ることなしに一番必要なときに緊急に出す、これは当然なことでございます。だからその判断は、現状も認識するし、また今後半月後、一カ月後という段階的な判断ももちろん要ります。だから考え方として、また決意としては、先生のおっしゃったように、集中的に出すべき時期には出さなくては、また緊急でない方法で出すということではせっかくの金が生きない。現在中小企業、零細企業の方々は資金繰りに非常に困っておるし、一番必要なのは安い金利の融資である。これにたよっていることは承知しておりまして、別に私は三千億という数字にこだわる必要もないし、三月三十一日までに三千億を出すと言われますと、手続も非常にむずかしいし、また暫定予算を組まなければこれはとうてい不可能でございます。だからもうすぐ新しい予算を執行できる体制にあるということを認識すると同時に、その予算の執行について弾力的に緊急的にやらなければいけないし、また書類の提出、それぞれの金庫、機関を通じての処理をできるだけ早く、中小零細企業の倒産を防ぐためにも手続等も早くやるように指導をしていく、そういう決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/71
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072・神崎敏雄
○神崎委員 いま次官から金額についての裏づけのワク、こういうものが積極的に示された。これは非常に歓迎すべき答弁だと思います。先ほどからも手続の問題もいろいろ言われているのですが、やはりその辺にも大きな問題があると思うのです。
そこで、資金需要に対する充足率とともに、中小企業の切実な要求は、まず第一はできるだけ早く貸してほしいということなんですね。もう一つは、その申し込み手続を非常に簡素化してほしい。これがもう非常に素朴な要求の二つの柱です。そこで、先ほど申し込んでから何日ぐらいになったら貸していただけるのかと伺ったら、普通は二十二日ぐらいだけれども、今日では三十日ぐらいになる、こういう御答弁でありましたね。そうですね。三十日ぐらいですね。
そこで、これまた先般私が調査したのですが、これは東京都の支店の実例です。千住ですが、これは申し込んでから貸し出しを受けるのに今日大体三十日から三十七日です。これは緊急の用に合わぬのですね、三十七日もかかっておったら。これは、三十七日とか三十日とかかかるのは一体どこに問題があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/72
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073・若杉和夫
○若杉説明員 いまおっしゃったのはまず平均でございまして、設備資金と運転資金とその中に内訳がございます。それで、われわれの指導としましては、設備資金のほうは、まあ内容にもよりますけれども、若干待たせてもさして迷惑にならぬものはできるだけ待たしていただいて、それで運転資金のほうをできるだけ優先的に、緊急だからやるように、こういう指導をしておるわけでございます。ですから、結果的にやや長くなる、設備資金を待たせるのがカウントされるという面はございます。
それから第二は、やはり先着順といいますか、公平を保つために先着順が原則になっておるわけでございます。そうしますと、先ほど申しましたように、申し込みが多い、そして資金量は全部それを充足がなかなかできないということになりますので、最近若干ずつおくれつつあって二十二、三日のものが三十日を若干こえておる、こういうことでございます。特に手間ひまで非常におそく迅速さを欠いているという現象よりはそっちのような現象が起こっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/73
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074・神崎敏雄
○神崎委員 いま課長さんですか、お答えになったのですが、ちょっと矛盾を感じたのは、先着順だ、それはいいと思うのですよ。ところが先着順だということの前に、待たしていいものは待たすんだ、待たしていいものはあとへやっておいて先着順というたら、どれが先着順になるやらわかりません。待たしてもらってもよいようなものは緊急融資にかけ込んだりしませんから、問題はそういうところじゃなしに、一つは先ほど来言っておりますように、資金の量もありますけれども、もう一つの問題はやはり事務量なんです。
そこで、特にその事務量を調べてみたら、前年度からことしは大体二倍近く申し込みがふえている。公庫の労働者の数はそれに見合っただけ保障されていない。増員もされていない。したがって、事務が停滞するのは当然なんです。いま金融公庫などで働いておられる労働者は、この事務処理をするために仕事を自宅に持ち帰っているのです。そして深夜まで働いているのです。このような現状を長官は知っておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/74
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075・外山弘
○外山政府委員 融資量のふえ方に比べまして事務職員のふえ方がバランスがとれていないというふうな傾向は毎年ございまして、それがだんだんと大きくなってまいりますと、御指摘のような事態が起こってくるわけでございます。確かにそういう傾向がありはしないかという点が私どもも懸念されたわけでございまして、今回はいつになく事務職員の増員ということを大蔵省にもお願いいたしまして、予算上の措置もいつもよりは多目にとられているというふうに聞いております。ただ、先ほどのような傾向があるということは私も承知しておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/75
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076・神崎敏雄
○神崎委員 もう一ぺん言いましょう。長官、そういう傾向にあるというのではなく、現実問題としてこういうことになっているんだ、それを認めますかどうかということを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/76
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077・外山弘
○外山政府委員 先ほど申し上げましたように、事務量がふえているわりあいに、つまり資金量がふえているわりあいに人数がふえておりませんので、そういうこともありがちであろうというふうな感じは持っておりましたけれども、現実に徹夜をしているとか、あるいは仕事の持ち帰りがほとんど全部の人にわたっているとかいうふうな事態については承知しておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/77
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078・神崎敏雄
○神崎委員 課長は知っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/78
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079・若杉和夫
○若杉説明員 正確に個別には聞いておりませんが、全体として仕事が忙しくなっておる、自宅へ持って帰るケースも間々あるということは金融公庫の事務当局のほうから聞いていますが、非常に大きな深刻な労働問題になっているというふうな報告は、公庫のほうからは私たちは受けてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/79
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080・神崎敏雄
○神崎委員 そういうことでは、ひとつ長官、具体的に現場を調査してもらって——上のほうへ言いにくいから下では押えているかもわからない。そのことが労働者に対して大きなしわ寄せになっている。これは労働条件の問題だけではないのです。この事務の停滞から起こる倒産の問題を提起したいと私は思うのです。たとえば二十日に支払うために、もし二十日に金融公庫から金が入っておれば、そして事業が持続でき得るというとき、それが労働条件のいわゆる悪化からきた事務の停滞から、いろいろ申し込みがふえている、あらゆるものが関連して二十日に間に合わなかった、そして二十二日に金がきた、そういうようなときに、私はそのことと関連して、これは信用保証協会にも共通する問題ですけれども、先ほど言ったように、手続はできるだけ簡素化してもらいたい、申し込みをしたらできるだけ早く貸してほしい、だめならだめで早く返事をいただきたい、それで、また次の手を考えなければならない、そういうようなことから、中小企業が非常に困って、そのことから倒産をしていく、措置が適切であれば倒産しなくても済むようなものまで倒産に追い込んでいる、こういうような事例がたくさんあるわけですね。そういうものから見ても、単なる三十億のワクだとか、あるいは手続さえよければすぐ出してやるとか、いろいろ保証は先ほどからいただきましたが、ワクだけじゃなしに、その手続がおくれるために、あるいは現在の状況がこういう状態ですとますますふえていくと思うのですね。それを依然としてこの人員、この機構の中でやっていこうと思えば、その矛盾はさらに激化されていく。そうすると、せっかくそういうワクを盛ったり、用意をしておってもそれが生きてこない。そうしてその手段、処置は生きてこなくて、企業は死んでいく、こういうことになるから、やはりそのことをどう解決されるのか。ワクと同時に、そういう問題について、そういうことは聞いておるとか、まだ言ってきておりませんのでというような現状ではない。だから、そういうことを認めますかということを聞いているのです。その問題点をこれから解決するような積極的な措置を直ちにとっていただけるかどうか、これをひとつ聞きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/80
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081・外山弘
○外山政府委員 先ほども申し上げましたように、今回はいつになく国民金融公庫の増員ということについての予算上の措置をいたしました。たしか百人ぐらいふえることを現在計画しておりますし、そういう案でいまいるわけでございます。
もう一つは事務の機械化と申しますか、合理化と申しますか、コンピューターを導入いたしまして、少しでも事務の合理化を進めるようにということをお願いしているわけでございます。
いずれにいたしましても、これは大蔵省ともよくお打ち合わせいたしまして、先ほど御指摘のようなことがないように、事務能率の上でも迅速に、あるいは手続の上でも迅速にやることを今後とも指導の指針にして努力してまいりたい、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/81
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082・神崎敏雄
○神崎委員 もう長官も御承知だと思いますが、現在の中小企業の倒産原因ですが、この原因の表を見てもおわかりのように、四十七年の七千百三十九から、四十八年は八千二百二、おそらく四十九年度はもっと伸びていく、非常に嘆かわしい伸び方になっていくわけですが、これをどうしても少なくしていって、守っていこうということになれば、中小企業庁の責任は非常に大きいと思うのですね。だから、いま百人ぐらい人員もふえるだろうから事務の停滞もある程度コンピューターその他で解消していくだろう、こういうふうに言われるのですが、全国で百人ですか、東京だけで百人ですか。一体現在何人のうち百人ふえるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/82
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083・米山武政
○米山説明員 お答え申し上げます。
現在、四十八年度の定員は四千三百五十六人でございますが、これに定員増加は百二名増加することになっております。
なお、ちなみに他の政府関係金融機関では、いずれも定員の増は一けた、十名以内でございますが、国民金融公庫につきましては三けたになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/83
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084・神崎敏雄
○神崎委員 総務課長ですか、いまおっしゃったのは。(米山説明員「はい、そうです」と呼ぶ)四千三百五十六人現在おる、そこに百二名ふえる、こういうことですね。違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/84
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085・米山武政
○米山説明員 定員が四千三百五十六人に対しまして、プラス百二ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/85
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086・神崎敏雄
○神崎委員 申し込み件数が倍になっていて、そして四千三百五十六人のうちに、その上百二名ぐらい足して、現在の停滞した事務手続がどれだけ解消されていくだろうかということが一つと、新しく四店舗を今度ふやされるんですね。おつくりになるんでしょう。四カ所の店舗がふえたら、百二名ですと一つの店舗で二十五名ずつしか割り当てがないわけです。そうしたら、一般のところには一人もふやさなくても、一店舗で二十五名平均になるのですが、その新しくふえる店舗に対する人員保障はどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/86
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087・米山武政
○米山説明員 確かに四店舗ふえることになってはおりますが、これは非常に大きくなった業務地域を分割というふうなことになりますので、その店舗がふえた分が完全に純増になるということではございませんで、いまの店舗の中から一部そちらにさく、それから新規の定員増もそれを一部割り振る、こういうことになっておりまして、その定員増が全部、新規の店舗増の人員のためにふやしたということではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/87
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088・神崎敏雄
○神崎委員 いよいよ心細くなってくるのですが、この四千三百五十六人というのは何カ所に分散されているのですか。たとえば店舗でいえば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/88
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089・米山武政
○米山説明員 四十八年度におきましては国民金融公庫の支店は百十五でございます。
なお、先ほど増加四店舗と申しましたが、五店舗でございます。したがいまして、四十九年度は、全部完成いたしますと百二十店舗になることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/89
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090・神崎敏雄
○神崎委員 いろいろ人事院だとかあるいは大蔵省との関係で人員の増加については問題があろうかと思いますけれども、もっとこういうところには人をふやしてもらって、そうして中小企業の要請にこたえるという体制にしていただかぬとだめだと思うんですね、次官。たとえば緊急融資が三千億だ、いやもっと前向きで解決するというようなことのアドバルーンが上がりますと、困っている人は、まさによけいその申し込みはふえる。そしていま店舗は四店だと思ったら五店だということになる。ところが、人間は百人ぐらいしかふえない。ますますこれは渋滞に渋滞を重ねていくような悪循環になって、先ほどからあげているようなことがさらに繰り返されることになるんですね。同時に、現在働いておられる方々の労働条件というものは非常に悪化しております。そういう形から見ても長続きもしない。だから、こういう問題については、いま働いておられる人たちの労働条件を改善すると同時に、中小企業一般の要求にこたえるという体制にしていただかぬと、自然成長的な形で百人くらいはふえる。ところが、五店舗もふえたら一店舗二十人くらいしか算数的にいっても配分できないということになる。いかに守備範囲を分割するということになっても、結局は申し込みの量がふえたら仕事の量はふえるのですから、それをやはり解消しようと思えば人はふやさなければ解消できない、こういうふうに思いますので、その点をひとつやっていただけるように積極的に私は要求したいのですが、次官やっていただけますか。
〔稻村(佐)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/90
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091・森下元晴
○森下政府委員 こういう事態でございますので、国保金融公庫をはじめ三金庫に対する申し込みが殺到しております。現在の事務をやられておる方も、家に持って帰ってでも仕事をしなくてはいけない、その事実は私は正しいと思っております。いろいろ機械化の問題とか事務能率をあげるための努力もしなければいけないし、特に私は金を借りたい方々の気持ちとしては、もちろん早く出ることもそうでございますけれども、いつごろ確実に出るというめどが立つことがやはり債権者に対するいろいろな交渉においても必要である、三日後と言ったのが十日後になったために非常にお互いの不信感のために結局は倒産のうき目にあうという実例も知っております。だからほんとうの親切心は、いろいろ事務の問題もあって、それを短縮するには限度があると思いますから、いつごろに必ず出るのだ、どの程度出るんだというそういう親切心、それによって倒産が少しでも防げる、そういう決意で、こういう平時と違った緊急事態ですからやらなければいけないし、また、通産省としても強力に指導する、人員の定員増の問題はいろいろそれぞれ縛られておる点もございますけれども、やはり中小零細企業の金融を扱う公庫等については十分な人材を確保して、万遺憾なきを期するようにしていくべきである、そういう決意でもおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/91
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092・神崎敏雄
○神崎委員 ではそればそのくらいにして、次に民間金融機関の問題について大蔵省に伺いますが、民間金融機関に対する選別融資規制は中小企業についてはどういうふうな扱いをされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/92
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093・米山武政
○米山説明員 御承知のように、金融引き締め政策が長期にわたりまして、引き締めの効果というのは相当浸透してきておりますが、現在私ども考えますのに、やはり非常に資金の偏在と申しますか、金融政策の浸透にばらつきが非常に見られるという認識が私どもの基本的な姿勢でございます。したがいまして、やはりこうしたときに、一般的に引き締めをしますと、非常に現在でも苦しいところにこれ以上負担をかけるということは適当でないので、やはり選別的に、資金の偏在がありそうなところ、あるいは不要不急と思われるようなところに対してできるだけ資金的に圧力をかけていくというために、昨年の十二月に銀行局長通達によりまして資金の重点的な運用をはかるために出すべきものには出す、それから押えるべきものは押える、こういうことをしたわけでございます。その中で、押えるべき、全体に問題がある場合でも、健全な中小企業については優先的に取り扱えというふうに中小企業金融につきましては他のものとは違うように通達の中では指示しているわけでございます。
なお、念のために申しますと、通達の中に「石油又は電力の節減により顕著な影響を蒙ることになった中小企業が、その経営の維持のために緊急に必要とする資金。」というものは優先的に取り扱うように、こういうふうに指示いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/93
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094・神崎敏雄
○神崎委員 その指導どおり実施されておりますか。それを掌握されておりますか。たとえばいま都市銀行が二千億円の中小企業向け融資というものを盛んに宣伝をしておりますが、それは実際どのように運用されておるか、その実態も掌握されておりますか。掌握されておったらその中身を説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/94
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095・米山武政
○米山説明員 いま申しました通達は、特に抑制すべきものにつきましては毎月報告をとることにしておりますが、いま先生おっしゃられました都市銀行等が非常に石油ショック等で困難な事態に至ったときには、これを通常のコマーシャルベースによらずして緊急に救済融資を行なう、こういう申し合わせをしておるわけでございますが、これにつきましては、ちょうど二月でございますか、例のネオン業界が非常に苦しんでおるということで、政府機関も特別融資を行なう、こういう事態に合わせまして、民間の金融機関もこれに対して救済融資を発動するということにして、現在業務を実施中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/95
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096・神崎敏雄
○神崎委員 何かこう具体的にまだ掌握されておらないような感じを受けるのです。一般論的に御答弁いただいておるのですけれども、たとえばこれは関西系の都市銀行の例でありますけれども、従来その銀行では信用保証つきの融資は一般貸し出しとは別ワクで設定されていた。ところが、最近のいわゆる総需要抑制、こういう金融引き締めのもとでは、別ワクはくずれて、一般貸し出しと同一の扱いがされるようになったのですね。これはそこの貸付係に働く労働者の話を聞いたのですけれども、つまり選別融資規制が中小企業への差別になっておるのだ、こういうことですが、これは大蔵省のいま言われている指導内容とだいぶ違うのですね。だから、先ほどから言うように、いつでも弱い者はいじめられるということになるのですが、こういう形で特に金融が政策上引き締められるということになれば、大きな商社や大企業にはどんどんと金が行って、こういう現象を起こすようなことの根源にまでなっておりますけれども、そのあおりを食った中小企業は、金を借りようと思えば、いろいろな形から抑圧やしわ寄せがくる。私はよく言うのですが、景気がよくなったときは一番あとからその景気の余波を受けるのは中小企業で、景気が悪くなったら一番先にその余波を受けるのは中小企業だ、いつの場合でもやられるのは中小零細企業、まして金融引き締め、総需要抑制などというような状態になったときには、一方では、それを守るという形で三千億貸すとか、緊急対策をとるとかいうことは、活字やあるいは声としては聞きますけれども、実際巷間ではその逆の形が非常に加速度的に加わってくる。そういうような形から、今日、先ほどあげるような形の状態から、大蔵省がおっしゃっているのとは逆のように下ではなっているのですね。これはどうしても改善をしなければならないと思うのですが、何か改善される方策がありますかどうか。一般論でなしに、具体的にこうやる、中小企業は安心せよ、こういうような決意ある御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/96
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097・米山武政
○米山説明員 こういう時期になりますと、先生おっしゃるように、中小企業に負担がかかる、特に健全な中小企業に非常に資金的に他のもの以上にそのしわ寄せが集まることは避けなければならぬということは、御指摘のとおりでございます。ただ、きわめてきびしい引き締めが行なわれておるわけでございますので、やはりその範囲で多少の引き締めのきびしさが中小企業にもある程度及ぶということは、私どももこれは避けたいと思いますが、引き締めの性格上なかなか避けられないことじゃないかと思います。ただその中でも、やはり引き締めのしわができるだけ強い大きいほうに寄るように、中小企業に対するしわ寄せはできるだけ少なくするように、こういう指導をしておるわけでございます。
それで、たとえば全国銀行の企業向け貸し出しを大企業と中小企業別に見ましても、企業向け全体の十二月末残高で見ますと、六十五兆八千億の全貸し付けの中で中小企業は二十四兆四千億、三七%になっています。これはその前から比べてむしろ比率は上がっております。比率は上がったと申しますのは、もちろん額の伸びが非常に多くなったということではございませんで、大企業より中小企業のほうがそのしわが寄るのが少ない。相対的な問題ではございますが、できるだけそういうふうに留意しております。
それから金利等で見ますと、私ども大企業と中小企業の金利の上昇幅等を見ましても、やはり大企業のほうがここへ来まして急激に金利負担が多くなっております。中小企業はもともと水準が高いという点はございますが、上げ幅ははるかに小さくなっておりまして、現在では大企業と中小企業の金利水準というものはほぼ同じくらいになっている。これは従来一%、二%くらいの差が大企業と中小企業はあるわけでございますが、現在ほぼ水準でも同じくらいになっておりまして、金利の上げ幅も大企業には大きく、中小企業にはより少なくというふうな形になっております。個々の具体的な案件で私どもが注意しているとおりになっているという自信もございませんが、しかし全体としてはそういう形で推移しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/97
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098・神崎敏雄
○神崎委員 これは三月五日の通産省から発表された「緊急中小企業金融対策について」という通達なんですが、これを見ますと、「民間金融機関においても、緊急に必要な中小企業向け運転資金の貸出しについて、より一層円滑化を図るよう要請したい。」という要請が通産省から出ているのですね。これについて、当局は具体的にどのようなことを実施されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/98
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099・米山武政
○米山説明員 その通知はきょうなされるようでございますが、事前に通産省からも私どものところへ相談に参っております。通産省は、中小企業全体の立場から金融についても民間金融機関に中小企業金融の円滑を欠くことのないように協力要請するということで、私どももこれは非常にけっこうでございますので、私どもも常々そういう通達は出しておるわけでございますが、これは何回出しても悪いことではございませんし、その必要もあると思いますので、その連絡を受けた金融機関について大蔵省としても同様な指導をしてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/99
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100・神崎敏雄
○神崎委員 課長、いかにあなたが下のことを心配しておらないかということがいま露呈されたのですね。きょうそのことは出るのじゃないのです。これは三月五日なんです。きょうは三月何日ですか。三月五日に通産省から出ている。そして金融三機関についてはこうやれ、それから民間金融機関についてはこうやってほしい、こういう通達なんです。何か間違いがあれば訂正されたらいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/100
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101・外山弘
○外山政府委員 通産省の文書とおっしゃるのは、三月五日に政府系金融機関に対する五百億の追加に際しての大臣の談話が出ているのだろうと思います。その際に、そういう要請もしたいということをあわせておっしゃっているわけでございまして、それの具体化が、いま米山総務課長が言われましたように、大蔵省とも御相談をいたしまして通達を出そうということでございます。つまりそういう通達を出して要請するということの方針をその三月五日の追加の際に述べたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/101
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102・神崎敏雄
○神崎委員 それは長官もいただけない答弁ですね。これは中曽根さんの談話じゃないのです。「緊急中小企業金融対策について 四十九年三月五日 通商産業省」となっているのです。これを談話だとおっしゃるなら、簡単ですから読みます。「経済運営の基本的方向としては、当面なお金融引締めを堅持することが必要と考えるが、金融引締め下にあって原燃材料事情等経済変動の影響が、健全な経営を行う中小企業者の資金面に不当にしわ寄せされることのないよう十分配慮する必要がある。」これが一です。二は「このため、今後とも中小企業をとりまく経済環境の変化に応じて、政府関係中小企業金融三機関の貸出しについて機動的、弾力的に必要な対策を講ずることとするが、当面とりあえず四十八年度末において、緊急に必要な運転資金の貸出しの円滑化を図るため、三機関の貸出枠を五百億円追加することとした。また、特に経営状況が著しく悪化している中小企業者に対しては、実情に応じ三機関の既往債務の償還猶予について配慮することとする。」これが二です。三は、これがいま問題にしたところです。「なお、民間金融機関においても、緊急に必要な中小企業向け運転資金の貸出しについて、より一層円滑化を図るよう要請したい。」これが三月五日の通産省の要請なんですね。そして追加ワクの内訳まで書いてある。「国民金融公庫二百五十億円、中小企業金融公庫五十億円、商工組合中央金庫二百億円、三機関計五百億円、沖繩振興開発金融公庫五億円、三機関等計五百五億円」これが談話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/102
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103・外山弘
○外山政府委員 三月五日に閣議に御報告されたあとの記者会見でこの資料を配ってお話をなさったわけでございます。したがいまして、大臣が発表なさるときの文書でございまして、私、便宜大臣談話と申し上げましたけれども、性格は全くそういう種類のものでございます。したがいまして、これを受けて三機関にも通達いたしますし、また民間金融機関に対しても依頼をする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/103
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104・神崎敏雄
○神崎委員 新聞記者会見で言った談話——口で言うのだから談話でしょうね。しかし、それが通産大臣のことになったら省の方針になって、そしてこういう文書になっておろしていくのでしょう。言っておるから——これは大臣がかってに言っておることですか。そういう受け取り方の答弁では問題にしなければならぬ。通産大臣はかってに何でも言うておれということになるのですか。これは通産省の方針じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/104
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105・外山弘
○外山政府委員 通産省としての方針を大臣が配布資料でお話しになった、こういうことでございます。したがいまして、さらにこれを具体的に実施するために通達を三機関に出したり、それから民間金融機関に対しても要請をするという具体的な手続がそれに続いて出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/105
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106・神崎敏雄
○神崎委員 もう少し発言は慎重にやられたほうがいいと思う。
この要請に基づいて大蔵当局はどうされたかということを最初に聞いたのです。わかっていますね。それについて中身を掌握されているかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/106
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107・米山武政
○米山説明員 先ほど申し上げましたように、企業庁長官名をもちまして民間金融機関に協力要請が出されるわけでございます。それがきょうかあるいは——私はきょうと聞いておりましたのですが、それが出された場合には、私どもといたしましても、大蔵省サイドからも、その趣旨は常々申しておることでございますので、十分その趣旨をくんで協力するように、こういうふうに関係機関等に連絡するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/107
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108・神崎敏雄
○神崎委員 協力するようにということをおっしゃるのは当然だが、ぼくの言うているのは、その結果が、現状あなたのほうに指導された、あるいは要請されたことが、どのような形でいま生きておるかということを握ってもらっておれば、その中身を報告してほしい、こういうのが私の質問の趣旨なんです。だから、通産省からそういうことが出たら大蔵省はその線に沿ってやられるのは当然ですね。しかし、その言いっぱなしやら、あるいは通達の複写を下へおろすだけでなしに、その結果がどのように運営されているか、あるいは現実上どのような成果になっているかということをもう少し詳しく握っておらなければならないということを言っているのです。それで、もし握っておれば報告してくれ、現状は下はもっと深刻なんだということの実例をあげて言っているわけです。
だいぶ時間もたちましたのであとの二問で終わりますから、ひとつ明快にしてほしい。というのは、都市銀行では現在どのような金融のやり方をやっておるかといえば、あなたが言われたように中小企業には多少の貸し出しをしております。それはすべて銀行が一方的に判断をして、その企業が将来性がある、あるいは大企業の系列的な企業であるかどうか、これが優先をきめる基準になっている。それで金利はプライムレートの九・二五%から九・五%で貸している。しかし、資金においても、いわゆる特定先として別ワクを用意する。ところが、緊急の運転資金を貸してほしいという中小企業には、経営が弱い、弱体であるといろいろな条件をつけて、その条件に従うものには若干の融資はするけれども、そうでない企業には別に金利を一一%から一一・五%も取っておる、こういう実態があるのですね。先ほどからの要請に私がこだわっているのはそこなんだ。こういう実態を大蔵省はつかんでおるのかどうか。一方ではワクがきまった、手続さえ早くやればこうなる、手続上では人間が足らない、それではどれだけふやしたらスムーズにいくかといえば百人ぐらいしかふえない、実際には早く手続を簡単にしてもらって貸してほしい——次官もおっしゃったように、大体めどが二十日なら二十日、十五日なら十五日だということになれば非常に企業家も助かるのだがというようなこともるるあげられますけれども、実際行なっておる中では金利の中でもこういうふうに差別をされる。選別とはこういう形でやられているのですね。だから、いかにいい要請書がおりても、中小企業が歓迎するような方針が出されても、下ではうらはらな実態がある。こういうふうなことを大蔵省もよく知っておられるのかどうか。もし現在そういうことを握っておらなかったらすみやかにこれを握ってもらって、こういう形で中小企業を倒産させたり泣かしたりしないような措置をすみやかに私はとってほしいと思うのです。この点について決意のある答弁をひとついただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/108
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109・米山武政
○米山説明員 さいぜんから申し上げましたとおり、中小企業金融、特に引き締め下における中小企業金融につきましては、私ども重大な関心を持っているわけでございます。今後、先生のおっしゃるとおり十分現状の把握に一そうつとめてまいりたいと思います。
なお、財務局ごとに中小企業金融懇談会というものを設けまして、財務局長、それから地元の通産局長、日本銀行の支店長その他金融機関等と毎月定期的に中小企業金融の情勢につきまして意見交換をいたしまして、その現状を私どものところへ報告をしてきております。その辺のことにつきましても十分詳細に現状をさらに一そう把握して、中小企業金融が、こういう際でございますので疎通を欠くことのないように、一そう留意していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/109
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110・神崎敏雄
○神崎委員 最後に次官に伺いますが、政府は、いわゆる過剰流動性の吸収あるいは総需要抑制、いろいろ金融の引き締めなどと言うておりまして、先ほどからるるあげているように、そのしわ寄せが中小企業に著しく転嫁されてきている。そこで現在中小企業を守る——それは本法案に関連してこの範囲だけの私の質問なんですからこの範囲だけにとどめますが、金融政策上どうしてもやはり考えてもらわなければならないのは、大企業がほんとうに、この間からの集中審議等から見てもわかるように、大量の資金を持って買い占めをしたり、いろいろな便乗値上げの操作に使ったりしておりますね。一方ではそういうことが起こって、それで経済情勢が狂乱をする。そうしたら、インフレをとめるために総需要抑制だ、金融引き締めだというのです。それを資材の面でも金融対策上三千億のアドバルーンをあげなければいかぬような状態の中で苦しめられているものが、今度はまた総需要抑制だとか金融引き締めの政策の矢面に立たされている。しかも、その中では選別だとの名によって、弱体だとか、いろいろな形から、それからもはずされていく。だからどんどんと倒産をしている。そこでいよいよ情勢は悪化していくのですね。そういう形から見て、よく強力に、これはきょうは大臣がおられませんから、後日大臣にも私は最終的に聞きたいと思うのですけれども、ほんとうに政府がこうした通産省から通達を出したり、いろいろなことをあげられているなら、大企業に向かっての融資のワクを縮めても、先ほどの答弁には幾らかありますけれども、中小企業にそのワクをどんどん拡大すると同時に、いわゆる低金利で、そして早急に貸していって、それで中小企業を守る、そういうような方針にひとつ転換をしていただきたい。そうでなかったら、中小企業庁としても、その任務遂行の上からいっても大事なことだと思うのですね。そういう方向に向かってやっていただけるかどうか。最終的には大臣に聞きますが、今日の段階でひとつ次官の決意ある方針を示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/110
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111・森下元晴
○森下政府委員 中小零細企業対策は、一般の金融政策でなしにやはり政策的な金融でございます。むしろ社会政策的な金融である。特に小零細についてはそういうことが断言できると思います。
先ほどから先生御指摘のように、ただいまは非常に金融が逼迫して、いわゆる総需要抑制、オーバーキル的な政策が中小零細企業にしわ寄せがきている、そのとおりだと受けとめております。それで、私も先ほどから申し上げましたように、この三金庫を通じて、また保証協会を通じていろいろ貸し出しが行なわれておりますけれども、従来と違った意味で緊急である、しかも事務等においても簡素化すると同時に、いつ貸せるのだという従来にない親切心を発揮して万支障なきを期さなければいけない、そういう決意でおりますと同時に、内容的に見た場合に、中小企業に貸した金がはたして中小企業を一〇〇%潤わしておるかどうか、たとえばこの金がすぐに町のやみ金融、いわゆる高利金融にそのまま流れてしまうようなケースもあると思いますし、また直ちに大企業に待っていましたとばかりに吸収されてしまって何のための中小企業金融かわからない、そういうことも間々あると思うのです。だからこの提出しております法案そのものが一〇〇%これによって実行されて、中小零細企業の金融政策は万全であると私は思っておりません。商社法等をいろいろ出すというような御意見もございますように、やはり商社自身の商行為のワクまでもある程度規制しなければ、大商社がやはりダミーの形で中小企業という形をとっておる場合も実はあるように思っております。だからそういうことも将来の問題としてあわせ考えなければ、完全に中小企業、零細企業金融対策はできない。こういうことも踏まえて、現段階におきましては、御指摘のように通産省としても最大の努力をして、倒産がふえないように、また倒産者が出ないように決意をするとともに、各下部機関を通じましての徹底をはかっていきたい、そういう決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/111
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112・神崎敏雄
○神崎委員 最終的なことはまた後日にして、きょうは一応これで質問をとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/112
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113・濱野清吾
○濱野委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後零時四十一分休憩
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午後一時四十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/113
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114・田中六助
○田中(六)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。宮田早苗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/114
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115・宮田早苗
○宮田委員 中小企業信用保険法の一部改正案と、これに関連する中小企業施策についてただいまから質問をいたします。
まず第一に、第七十一国会での中小企業信用保険法の改正にあたって付しました決議が今回の改正案に生かされていることについて賛意を表するものでありますが、現下の総需要抑制政策によって中小企業がこうむっている実態は実に憂慮すべき事態かと思います。各地の信用保証協会に対する中小企業者の保証申し込み増あるいは協会の金融機関に対する代位弁済の増加などからも明らかであります。
この際、中小企業庁長官から、最近の傾向と今後ますます悪化するであろう中小企業者政策の展望をまずお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/115
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116・外山弘
○外山政府委員 最近の状況は、昨今の原材料不足あるいは金融引き締めといった問題のしわ寄せがだんだんときつくなってくる、物の関係は一時小康を得ておりますけれども、ますます今後きびしい環境を迎えるのではないだろうか、こういうふうな感じがいたします。当面、いろいろ倒産の状況の推移とか求人倍率の推移とか、こういった点を見きわめながら中小企業の動向を金融機関の窓口等も通じていろいろ状況把握をしながら対策を打たなければならない、こう考えておるわけでございまして、先般も三月末を目標に政府系三機関の融資ワクの増加をはかるということをいたしました。また今後も、四月以降も状況の変化、特に注意されますのは、需要の停滞ということからくる中小企業への影響が一番懸念されるわけでございまして、そうした状況がどのような影響を与えるかということを注視してまいりたい、こう考えます。
同時に、現在おはかりしておりまする中小企業信用保険法の改正は、そういった意味におきましてもともと借り入れの大口化傾向を反映した措置ではございますけれども、同時に、倒産関連保険の拡大等によりまして今後起こるべき事態に対して中小企業者の信用補完需要に対する適切な対策が打てるのではないかというふうな期待もしているわけでございます。
なお、そういった点を政府系機関の窓口で見ますと、先ほども五百億の追加をいたしたと申し上げましたけれども、やはりいつに倍する申し込み状況でございまして、二割ないし三割ぐらいの例年に比べてのふえ方がございます。そうして信用保証のほうも順調なふえ方をしておりますが、今後やはりどういうふうな推移を示すかということもこれからの関心事でございますし、またそれが代位弁済等がいままでのところではそれほどふえてないという感じでございますけれども、これも今後の状況をよく見きわめる必要がある。いろいろな状況から見まして代位弁済等についても変化のきざしが出てくる可能性がある、こういうふうにも考えるわけでございまして、今後の状況をよく見きわめてまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/116
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117・宮田早苗
○宮田委員 次に、各種保険の限度額の引き上げに関しましてお伺いをいたします。
ちょうど一年前、当委員会で中小企業者の範囲拡大を審議した際、無担保保険での保証人の問題が提起されたわけであります。中小企業庁長官は、信用保険法第三条の二の「保証人の保証を除く。」というかっこ書きの法解釈として、保証人を積極的にとらなければならないという規定ではないと述べるとともに、保証人の問題を法律上どう扱うかという問題は慎重に検討したい旨答弁しておられましたが、この検討の成果をここでお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/117
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118・外山弘
○外山政府委員 保証協会の財政基盤あるいは地域的な特性、こういったことが保証協会ごとに違いますから、無担保無保証人の保証限度が必ずしも全国一律ではないということは言えるかと思いますが、現在五十二協会中四十五協会の保証限度が百五十万円以下となっておりまして、七協会が百五十万円をこえる保証をやっているわけでございます。
そもそも特別小口保険というのが無担保無保証人ということであるだけに、全国的な状況を見まして慎重に配慮しなければならないと考えられますが、今回の引き上げにあたりましては、国民金融公庫における小企業者に対する四十九年度の一件当たり平均貸し出し額が推計では百三十四万円である。これが一つ。また保険公庫における小企業者の四十九年度一件当たり平均付保額、これも推計でございますが百三十八万円ということ等を勘案いたしまして、現下の状況では百五十万円が適当であると考えたわけでございます。
先ほど御指摘の、確かにこえているものが無担保保険を適用するというかっこうにいくことは、法の読み方としては違法ではございません。しかし、確かにまた、実際の需要があるから、冒頭にも申しましたように、そういう限度超の制度があるんだろうと思います。しかし、それが無方針にまた無秩序に行なわれるようでは、やはり国のたてまえから見ましても、それから中小企業者の平等という点から見ましても問題なしとしないという感じもございます。今後保証協会のそういう動向に対する指導をもう少し綿密にいたしまして、そしてさらに検討するということについて現在必ずしも明確な答えができませんけれども、なお引き続き問題点を踏まえて検討さしていただきたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/118
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119・宮田早苗
○宮田委員 私が質問をいたしましたのは、現在無担保保険については保証人をとっている協会ととっていない協会があるわけでありますから、まずとっている協会と、とっていない協会の内訳がわかっておりましたらちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/119
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120・若杉和夫
○若杉説明員 無担保保険で保証人をとってない協会ととっている協会がどうなっているかという御質問でございますが、無担保保険で保証人をとっていない場合は、実は都道府県別の協会におきまして小口融資制度というような制度融資をやっているところで、それが国のほうの保険制度のほうの、現在は百万円でございますが、百万円の小口保険制度をオーバーしてやりたいという協会があるわけでございまして、その協会が結局無担保制度を利用しまして無保証人にして事実上無担保無保証という小口保証制度になっているわけでございます。そういうオーバーしている協会は、これは全部読み上げますとあれですが、現在たしか十五協会ぐらいございます。資料的にはあとでどういう協会か差し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/120
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121・宮田早苗
○宮田委員 そこで、さらに無担保保険の代位弁済状況についてお聞きいたします。保証人をとっていない協会の代位弁済が、保証人をとっている場合に比べて多いといわれておるわけでございます。保証人を必要とする、しないは中小企業者の保証受益の平等に関する問題でございまして、また、保証人の有無によって代位弁済に差があるということは協会の無担保保険の収支悪化に結びつく問題でもあります。一方、中小企業者にとってはめんどうな手続が省けるわけでございますから、保証人は要らないほうがいいことは申すまでもございませんが、ただいま私が申し上げましたことについて長官どういうお考えを持っておられますか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/121
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122・外山弘
○外山政府委員 一般的に申しまして、無保証人の場合のほうが有保証人の場合より代位弁済率が高いわけでございますが、無保証人の場合でも従来から保証協会と密接な取引関係があるため保証人を必要としないという場合もあります。これらについてはほとんど代位弁済につながらないというふうなことになるわけでございます。保証人を必要としない場合がこのようにございますので、すべて有保証人でなければならないとすると、かえって制度の利用が繁雑になるという面もございましょう。したがいまして、一律に規制しないで各保証協会において実情に応じた適切な運営が行なわれるよう指導することが一番大切だと思いますが、確かに御指摘のように両面あるわけでございまして、中小企業者サイドから見る場合と、それからそれの全国的な公平さの問題もございましょう。それから信用保証協会側のまた実力の差という問題もございましょう。いずれにしましても、あまりばらばらな制度が拡大するようでは困ると思います。ただ、地域の実情に応じた配慮があってもこれはやむを得ないと思います。その辺よく勘案いたしまして、適切な運営が保証協会ごとに行なわれますよう、先ほど申しましたように、今後も指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/122
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123・宮田早苗
○宮田委員 全国の信用保証協会の代位弁済額は、ここ数年間で見ますと年間二百五十億円前後にのぼっておると思います。中小企業に対する信用補完制度は社会政策の一つであるべきだという考えに立つものでございますが、無担保保険で保証人のあるなしが代位弁済率の高低にあらわれているように見られますが、その実態はどうかということと、無担保保険で弁済率が最も高いのは京都府のようでございます。その弁済率はどうなっておるか、四十七年度末でけっこうですので、この点についてもお伺いをいたします。
引き続いて申し上げますが、京都の弁済率は他の都道府県に比較して確かに高うございます。あとから数字を簡単にお伺いしたいと思いますが、各年度ごとの弁済率を調べてみますと、京都に続く二位との差が非常に大きいわけでありますが、この実態を政府はどうとらえておいでになるか、日常の行政指導をどうしているか、この点についての答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/123
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124・若杉和夫
○若杉説明員 お答え申し上げます。
無担保保険を利用して保人証をとらないことをわりと多くやっている協会が代位弁済率が多いのではないか、こういうことなんですが、確かに一般論として無担保無保証のほうがやや多い状況にありますが、ただ全国各都道府県別に保証協会の代位弁済率その他の資料がございますが、全体として見ますと、そういう性格がかえって全体で薄れちゃいまして、必ずしも保証人をとらないで無担保制度を利用している協会が多いという数字も出てきません。たとえばそうでない、いなかの県で、わりと代位弁済率が高いところもあります。ですから、結局土地の事情、その保証協会の運営方針のほうがより多く代位弁済に出ちゃったということだと思います。しかし、一般的に今度は統計から離れまして申し上げれば、おっしゃったような傾向がある程度うかがえると思いますが、そういう事情でございます。
それから京都の場合でございますが、先生おっしゃったように大体全国で二百五十億くらい代位弁済の金額が最近あるわけですが、京都の場合、年間十五億前後にのぼっておりまして、全体に占める比率はかなり高いというのが率直に言って特徴でございました。このような状況は過去ある程度続いております。したがって、問題なしとしないということは認識しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/124
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125・宮田早苗
○宮田委員 中小企業に対する金融措置では申し込みから融資決定まで迅速を要することは申すまでもございません。いま申し上げました京都の場合、他の保証協会と比較してどのくらいの日数がかかっておるか、迅速性を重んずるあまりに、金融機関でふだん行なわれる審査が手薄にされて、代位弁済率が高くなるようなことになれば、結果的には公庫の資金が特定の協会に片寄ることにもなりかねないと思われますので、この点をお伺いするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/125
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126・若杉和夫
○若杉説明員 日数でございますが、全国的には大体担保をとっているのが一カ月くらい、担保をとらない場合に七日前後というのが全国的な標準でございます。
それで、京都の場合にどれくらいかかっているかということですが、この間、京都の協会のほうに聞いたところでは、通常とそんなに変わってないということで、私たちのほうはまだ正確には把握しておりませんが、非常に京都が代弁率が高い、したがって審査がずさんで早いというようなことは特にわれわれのほうは感じてはいないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/126
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127・宮田早苗
○宮田委員 これは要望も多分に含まれるわけでありますが、無担保保険につきましては、保証人がいなくとも適用を受けております現実がいま指摘いたしましたようにあるわけでございますので、この際、全国一律に保証人の要らないような法改正ということはできないものかどうか、この点お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/127
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128・外山弘
○外山政府委員 御指摘のようなケースがあることは事実でございますし、確かに法的な問題ではなくて運用上の問題としては問題があるというふうに先ほど申し上げたわけでございますが、そのパーセンテージはまだそれほど大きくはなってないと思います。一挙に保証人の要らない保険に切りかえてしまう、つまり逆にいえば特別小口制度をもっと拡大するということになるかと存じますが、これはなかなかそういったことだけをとらえての改善ということではむずかしい措置だろうと思います。当分の間は、やはり無担保保険という制度と特別小口保険との併用がよろしいのではないかというふうに私は考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/128
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129・宮田早苗
○宮田委員 次に、信用保証協会と中小企業者との保証料率でございますが、中小企業者と接触してみますとまだまだ高いという声を聞くのであります。最近の推移をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/129
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130・外山弘
○外山政府委員 四十八年度におきまして保険料の引き下げとか保証協会の自己努力等によりまして平均基本料率で四十七年度の一・三五%から一・二八%と〇・〇七%の引き下げが行なわれております。それから四十九年度におきましても、引き続き保険料の八%台への引き下げ、あるいは融資資金の低利融資等によりまして一そう引き下げに努力をしたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/130
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131・宮田早苗
○宮田委員 いまおっしゃったように、保証料率は下がっているということでございますが、先ほど申し上げましたように、中小企業者のなまの声を聞いてみますと、もっと下げろという希望が非常に強いわけであります。ただいま数字を伺ったわけでございますが、保証協会間のばらつき、これは出されております資料等を見ますとたいへん大きいわけでございます。四十八年度は、保証料率を下げるために公庫の融資基金からたしか四十億円くらいを充当することになっていたと思いますが、四十九年度についての計画はどうなっておるか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/131
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132・外山弘
○外山政府委員 確かに五十二の協会ごとにたいへんばらつきがございますが、大体一・二一から一・三五くらいの間にある協会が多いわけでございます。先ほども御指摘のように、何と申しましても貸し出し金利のほかに払う保証料でございますから、できるだけ安くするのが望ましいわけでございまして、私どもも毎年毎年これを引き下げて、早く一%くらいまでに持っていきたいというふうに考えているわけでございます。そのための努力を保険料の引き下げとか、融資基金の低利の大ワクの融資というふうなこと、あるいは地方自治体の応援というふうなことで実現をはかってまいりたいと思っておるわけでございまして、四十九年度はその融資基金につきましても百四十五億を確保しているわけでございまして、これの低利融資ということを進めたいと思っておりますし、保険料につきましても八%ぐらいの引き下げをするということで大蔵省とも御相談をしているわけでございまして、いろいろな角度からいま申しました一%への引き下げを早く実現したい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/132
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133・宮田早苗
○宮田委員 そういう前向きに検討していただくということはけっこうでございますが、公庫の融資基金を重点配分することによって四十九年度末の平均料率をどこまで実は下げられるものか、この点お考えがありましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/133
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134・外山弘
○外山政府委員 重点配分をいまいろいろ検討しているところでございますが、まあどこまで下げられるかちょっとまだ自信がございませんが、現行の保証料に対してせめて一割くらいの引き下げを四十九年度についてやりたい、こう考えておるわけでございます。それを若干でも上回りたいと思いますし、なるべくそれを下げたくない、こんな感じでいまめどを持っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/134
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135・宮田早苗
○宮田委員 中小企業者は、御存じのように五十万円、百万円の運転資金あるいは設備資金の手当てに非常に苦しんでおる今日でございますだけに、できるだけ前向きに取り組んでこの希望が満たされるように要望をしておきます。
最後でございますが、これは自治省の管轄になろうかと思いますが、各地にあります信用保証協会に対する地方自治体の出捐補助金、これが新年度予算の圧縮ということから従来のように出せなくなるという事態が予想されるわけでございますが、この点についてどうお考えか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/135
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136・外山弘
○外山政府委員 地方交付税交付金でございますが、四十八年度に比べまして四十九年度は一七・四%増額されるというふうに私ども自治省の財政課から承知しておるところでございます。四十九年度における地方公共団体からの保証協会に対する出捐予定は約十八億円、四十八年度が十三億円でございますから、若干の増額が予定されておりまして、特に心配はないものというふうに私どもは考えておりますが、なお一そう府県の協力が得られますよう努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/136
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137・宮田早苗
○宮田委員 これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/137
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138・田中六助
○田中(六)委員長代理 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/138
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139・中村重光
○中村(重)委員 外山中小企業庁長官に、中小小売商業振興法による特定高度化資金の融資ワクはどの程度になっていますか、それから四十八年度、本年度の実績がどうなっているのか、その点伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/139
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140・外山弘
○外山政府委員 いま手元に数字の資料を持っておりませんので、後刻申し上げたいと思います。それから実績につきましてはそのとき同時にお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/140
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141・中村重光
○中村(重)委員 それでは外山長官、あとでけっこうです。
金融引き締め、あるいは石油ショック等々から一般中小企業は非常に苦境におちいっているわけです。なかんずく、下請企業が支払い手形は、前回の委員会でも申し上げたと思いますが、非常に短くなって、それから受け取り手形というのはこれもまたたいへん期間を縮めるというので、非常に苦しい、しかも深刻な状態におちいっていると思うのですが、いま下請が置かれている現状認識というものをどのようにお考えになっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/141
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142・外山弘
○外山政府委員 御指摘のような傾向が進みつつあるのではないかという問題意識のもとにいろいろな聞き込みや調査をしているわけでございますが、さきにサンプル調査でございますけれども、中小企業庁が実施いたしました下請企業の経営動向調査によりますと、四十九年一月までの状況でございますが、手形サイト、現金比率、収益動向等がすべて悪化傾向にございます。今後やはりいろいろ金融引き締めが強化されていく、それから製品需要のほうが停滞してくる、原材料も高騰する気配が強い、こういうことになりますと、下請へのしわ寄せが今後も引き続き深化していくのではないか、ひどくなっていくのではないかという心配がございます。今後も状況調査をよくしてまいり、適時適切なる措置がとれるように、親事業者に対してもいろいろ注文をつけるということも引き続きやってまいりたいし、いろいろ下請代金支払遅延等防止法の運用につきましてもできるだけの努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/142
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143・中村重光
○中村(重)委員 いまのような抽象的な答弁ではなくて、具体的にどの程度いま下請が痛めつけられているのかということなんですよ。それに対して中小企業庁は、対策としてどのような手をお打ちになったのか、その手を打たれたことによって下請は、俗なことばで申し上げると幾らか息がつけるような状態になったのか、総合的な政策を講じたことによって、そうした幾らかでも下請の立場がよくなるというようなことがあなた方の確信として持てるのかどうか、そこらあたりもう少し詳しくお聞かせいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/143
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144・外山弘
○外山政府委員 私どもが数字的につかんでいる短期動向調査によりますと、手形サイトが四十八年の十月が百十七・九日であったのが、ことしの一月では百十九・三日というふうに延びておる、それから現金比率も四六・四%が四五・五%に変わってきている、収益動向は一三・八%の収益でありましたのが、逆に二二%ダウンしておるというふうなサンプル調査の結果がございます。ただ、これはまだ一月でございますし、今後の状態が非常に心配でございますし、こういう傾向が進むのではないかという認識のもとに、先般年度末の金融対策として五百五億円手当てをいたしましたが、その際にも政府系三機関に対しましては、下請に対する金融について特別な配慮を行なうように指示をいたしております。そして実態に合わせてできるだけ三機関が窓口で配慮するように望んでおりますし、また民間金融機関に対しても同様の趣旨の要請をしようとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/144
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145・中村重光
○中村(重)委員 役所が一番反省しなければならぬことは、何か通達を出したということ、あるいは金融機関に要請をしたということで事足れりというような態度が見受けられるということですよ。追跡調査を少しもなさらない。それでは私がお尋ねをしたように、あなた方のほうで通達をした、あるいは金融機関にも要請をしたということは、それは施策を講じたというように確信をお持ちだろうか。それではほんとうの、ただそうやったというだけで、気休めにすぎないのです。そのことがどうはね返ってきているのか、追跡調査をすることにおいて、やはり不十分であるなら、なお手当てをするということです。それをおやりにならなければいけないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/145
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146・外山弘
○外山政府委員 通達という面では、先ほどの金融機関への指示もございますが、同時に親事業者あてにも昨年の秋から下請企業に対して圧迫を加えないように、正常な取引を進めるようにという指導をたびたびしているわけでございますし、中小企業者の下請団体に対しても、こういう通達を出しているからよく親に対してもいろいろ交渉するようにということをいっているわけでございます。確かにその結果についてのフォローをしないということになりますと問題でございます。先般これはごく最近でございますけれども、親事業者に対しまして再度要請をいたしますと同時に、先般の要請なり今回の要請なりに基づいてどういうことを措置したか、また、こういう点についての状況はどうであるかということの報告をいま求めているところでございます。この辺の状況の集まり方によりまして、さらに実際上の問題をつかむように努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/146
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147・中村重光
○中村(重)委員 三、四日前も、全部の通産局長をお呼びになったのかどうか知らないのだけれども、九州通産局のほうへ私は土曜の日に行った。局長はいない。どこに行ったのだ、上京いたしました——やはりこうした委員会が開かれているわけなのだから、あなたのほうでは特に通産局長等をお呼びになって実態を調査する、報告を求める、それによって、さらにまた手を打っていくというようなことをおやりになれば、私の質問に対しては、私だけではなくて、同僚諸君の質問に対しては、もう少し確信を持った迫力のある答弁というものがなされるであろうというように期待をしているわけです。しかし、あなたのほうで積極的に取り組んでおられるという事実は認めますが、不十分であることもまたお認めにならなければいけない。その点はひとつ十分今後はさらに決意を新たにして取り組んでもらいたいということを強く求めておきます。
それから下請振興計画というのは、いま何件になっているのか。なかなか遅々として振興計画が進まない原因はどこにあるのか、その点、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/147
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148・外山弘
○外山政府委員 まだ実績は六件でございます。確かに私も予期したように行なわれていないという印象を持ちます。これがどういう事情であるかにつきましてはもう少し勉強したいと思いますけれども、なかなか宣伝と申しますか、施策に対するPRが行き届いていないというふうな問題もあるかと思いますし、また、下請と親の関係をどういうふうに正常化するかにあたっての施策として私どもの考えていることがまだぴたりといかない点が、振興策の面とかあるいは法規制の面とか行政指導の面とかに何かあるのかもしれない。これは私ももう少し勉強したいと思いますが、ともかくもまだ六件しかできておりませんので、これからもそういった問題点を頭に置いてよく実情を見きわめてみたい、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/148
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149・中村重光
○中村(重)委員 二年間くらいたって二件、それが相当長く続いたのですね。いまようやく六件になっている。そこで、どこに原因があるのか、これから勉強してみたい、こうおっしゃる。それならばどうして伸びないのだろうか、原因はどこにあるのだろうかということをお考えになったはずなんだから——下請振興計画は実施しましてたしかもう四年くらいたったのがありますね。ことし四年目というのがあるわけでしょう。そうした実施した六件がどの程度下請の条件がよくなったのか、下請の地位の向上、具体的な実績というものをどのように把握していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/149
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150・外山弘
○外山政府委員 もう三年たったものがあるようでございます。
それから、それにつきましては、その計画を結んだときにそういうことをいっているわけでございますが、実績のフォローをするということになっておりまして、それのヒヤリングを毎年下請企業課のほうでやっているわけでございます。そのヒヤリングの内容につきましては、漸次よくなっているというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/150
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151・中村重光
○中村(重)委員 漸次よくなっていると言われても、やはり具体的に、こういうことがこうなったのだというのが幾つかでも言えるんじゃありませんか。それは時間の関係もありますから、あとの答弁の中でひとつお答えをいただきたい。
そこで、下請振興協会というものができて、この協会の中で、役員の構成であるとか、あるいは協会の運営というものが、経理の問題を含めてどうなっているのか。これの補助額は私なりに調査いたしておりますが、国や県の補助金はどうなっているか。実際この下請振興協会の運営の中身といったようなものが私は相当な役割り——この下請振興協会が伸びるか伸びないか、魅力を持たせるか持たせないかという点について深い関係を持つであろう、こう思いますから、それらの点についてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/151
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152・真木祐造
○真木説明員 下請振興協会の実情でございますが、四十八年度補助対象は二十六協会でございます。それから補助金総額は約一億円でございます。
四十九年度は五協会増加いたしまして三十一協会、補助金総額は約一億五千三百万円になることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/152
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153・中村重光
○中村(重)委員 一県だけでいいから具体的におっしゃってください。たとえば長崎県の例をおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/153
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154・真木祐造
○真木説明員 一つの活動といたしまして、下請企業に対する受注のあっせんというのをやっております。このために受注を希望する企業の登録を協会で行なっております。その登録企業数でございますが、四十八年度現在まで全国で二万八千五百企業の登録を行なっております。長崎県におきましては三百六十五企業が登録されておるわけでございます。例といたしましてはそういうのがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/154
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155・中村重光
○中村(重)委員 登録は簡単にするんですよ。お答えのように長崎の場合は四百事業に対して三百五十の数が登録はしているんだ。しかし、登録をしたというだけなんだね。私どもがこの下請振興協会、振興計画といったようなことについて継続審議までやって、そして、ここでせっかく法律をつくるんだから、運用の面において十分やってもらうということとあわせて、これによって下請の地位が向上する、親企業と、対立ではないけれども、対等の立場に立つということを期待したわけです。具体的に私どもは相当大幅な修正も実はこれではやった。したがって、中小企業庁の指導と相まって、あるいは公正取引委員会のいろいろこれに対処する点と相まって、ほんとうに下請がこれによってよくなるであろう、こう期待をしたということです。ところが、現実には下請振興計画についてもわずかに六件にすぎないということです。端的に申し上げると、よくなっていない。むしろ下請振興協会ができたり下請振興計画というものによって守られたものはだれなんだ、だれが一番得をしたのかといえば、私は親企業だと端的に申し上げだい。私の知るある団地で中小企業振興事業団から金を借りて、そうして非常に近代的な設備をやった。その近代的な設備をやったことにおいて生産の能率というものも非常に高くなった。それによって下請が恵まれたのか、下請が潤ったのかというとそうではない。それによって潤ったのは大企業だということです。これでは下請振興協会を何ぼつくっていっても、あるいは下請振興計画をつくってもどうにもならないのだ。だから役員構成の問題にしても、あるいは補助金の問題についても、いろいろこの法律案を審議する際に私どもが指摘した問題は逐一あなた方のほうでも参考にされて、そうしてやはり指導していく、そういうことをやってもらわなければならない。
長崎の場合で申し上げますと、役員構成は十九人おります。その中に県市が四名、親会社が五名、金融機関が二名、下請が七名、中央会一名という役員構成になっているのです。また、評議員会の構成になってまいりますと、三十一名中県市が九名、親企業が五名に対して下請がわずかに十名なんです。金融機関が七名。こういう役員構成でどうして下請の発言力というものがそこで反映をしていくでしょうか。反映しません。四百事業者ある。登録をしているのは三百五十を上回っている。その中でこの下請振興協会の役員構成が圧倒的に親企業であるとか、あるいは県市の役人であるとか、あるいは金融機関によって占められているというこの事実です。こういうところに象徴的にあらわれているということです。
補助金の問題にいたしましても、長崎県の場合は出資金が七百三十二万、県が二百万、八市で百二十万、金融機関が百二十万、大手の五つの企業で百八十万、下請団体が百二十万、こうした出資金によって、運用益において、この下請協会が運営されているということです。こういうことでは、この下請振興協会というものが自分のものだというような実感を下請業者は持つことができません。
現に私どもが中に入っていろいろと問題点を聞いてみると、名称も業務もばらばらだということです。これは財団法人ですか、これでやっている関係もあるのでしょうが、名称もばらばら、業務もばらばらです。少しもあなたのほうの指導というものは徹底をしていないのです。中で働いているところの職員は嘆いている。各県に振興協会をつくってもらって、そうしてお互いに交流をして、問題点をお互いに出し合って、あるいは受注についても十分お互いの長所を生かして受注をするということをやってもらわなければどうにもなりません、こう言っています。だから、いまのお答えを伺ってみましても、あれほど国会で慎重に真剣に私どもが継続審査までやって大幅に修正をやって、あなたのほうに今度は行政の面がこれを十分生かしていただきたいということを要請をいたしましたが、生かされていないということです。下請の置かれている現状は非常にきびしい。であるだけに、いまからでもおそくはない。ひとつ全精力を傾けて、関係各省とも連絡をとりながらひとつ下請の振興、発展のために努力をしていただきたいということを要請をいたしておきたいと思います。
建設省がいまお入りになりましたようですが、最近地方の中小建設業者というものは非常に資材の値上がり、それから公共工事というものが繰り延べになっているといったようなことから、全体の倒産の中でも——私は時間の関係から申し上げますが、全産業の倒産件数八百九件に対して建設業は三五・八%、全国の建設業の件数は二百九十件、九州全体の業者が九十七件倒産をしているのに対して、建設業がその半ば近くを占めて四十二件、こういう状態にあります。したがって、地方の中小建設業者の窮状打開のために建設省はどのような施策を講じようとお考えになっていらっしゃるのか、伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/155
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156・高比良和雄
○高比良説明員 お答えいたします。
中小建設業者のまず運転資金の不足対策といたしまして、政府といたしまして建設業を含む中小企業向け年度末融資としまして、去る三月五日、政府関係中小企業金融三機関からの貸し出しのワクといたしまして五百億円の追加を決定しておりますが、これらの資金の十分な活用をはかることが第一でございます。
それから第二としまして、中小建設業者の信用力を補完するための信用保証協会による債務保証の積極的な活用をはかるようつとめております。
さらに、一般市中金融機関に対しましても特別の融資が行なわれるように要望をいたしております。
それから発注面におきましての施策でございますが、公共工事の請負契約につきまして、まず第一に物価変動条項の適用をいたしております。第二に、発注単価の適正化をはかっております。三番目としまして、前金払いの制度の積極的な活用、これらの施策につとめております。
さらに、公共工事の繰り延べ等によります中小建設業者の受ける影響をできる限り緩和するために、まず大型の公共工事を極力押えながら、公共工事への依存度が高い地域に対しましてはできる限り事業量の確保につとめるとともに、工事の実際の発注にあたりまして極力中小企業のワクを確保するようにつとめておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/156
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157・中村重光
○中村(重)委員 四十九年度の公共工事の発注については、どのように対処しようとお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/157
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158・高比良和雄
○高比良説明員 四十九年度の発注の基本的態度といたしましては、先ほど最後の部分におきまして申し上げましたように、中小建設業者の受ける影響というものをできる限り緩和いたすという観点から、大型の公共工事を極力押えながら、主として公共工事への依存度が高い地域に対しまして、できるだけその事業量の確保につとめていく、そういうふうな基本方針に基づきまして発注を行なうという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/158
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159・中村重光
○中村(重)委員 私が聞き落としたために二回もお尋ねをいたしましたが、できるだけ早く発注しようという方針は持っておられるわけですね。いかがですか。これは都道府県に対する指導の問題等を含めてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/159
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160・高比良和雄
○高比良説明員 総需要抑制下でございますので、全体といたしましては早期発注という時期ではないわけでございますが、特に中小工事と申しますか、中小企業者向けのものにつきましてきめこまかい配慮をしていく、そういうような態度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/160
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161・中村重光
○中村(重)委員 総需要抑制ということはわかりますよ。わかりますが、そういう総需要抑制下の中において中小企業であるとか、あるいは農漁業であるとか、谷間に放置されているところのこうした弱い企業、そういうものに対しては私どもも石油需給適正化法案の審議の際にも修正等もして、これらの企業に対しては特別な配慮をすべきであるというようなこと等もやったわけですから、総需要抑制は抑制としてでも、やはりこれら窮状を打開をしてやらなければならない地方の中小企業、まああなたのほうは建設業を所管されるわけですから、それにはやはり特別な配慮をやる。そうしなければ、何とかしなければならないということはお考えになっておりましても、総需要抑制というような大方針のもとにこれを押えられてくるということになってくるとどうにもならないのです。
先ほど倒産件数の比率を私か申し上げましたように、これはもうますます苦しくなってまいります。金融引き締めでますます苦しくなるのです。中小企業というものに対しては、金融面においては、日銀の方針としても政府の方針としても何とかしなければならないというようなことを言っているのだけれども、特別な配慮をすると言っているけれども、実際の金融機関の窓口に行ってみると、やはり信用力も弱いからどうしても選別融資ということによってしわ寄せされるのは中小企業なんだから、この現実というものに目をつぶるわけにはまいらない。だから具体的にどうするのかということをひとつ端的にお答えをいただかなければならないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/161
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162・高比良和雄
○高比良説明員 発注の面におきましては先ほどお答えいたしましたとおりでございますが、金融関係の措置につきましては、これもやはり総需要抑制下ではございますけれども、先ほど最初にお答えしましたように、中小企業向けのいわゆる政府関係の三機関でございますが、そこからの特別の融資といたしまして、これは三月の段階でございますけれども五百億円の上のせがなされまして、さらにそれにつきまして中小企業庁長官それから大蔵省の銀行局長からの共同の通達が出ておりまして、その中にはかの業種、たとえばガス事業とか繊維業なんかと並びまして建設業も優先業種の一つとして取り入れられまして、その旨の通達がなされておりますので、そういうものをもとにいたしまして、金融面の措置につきましても中小建設業者のほうに手当てがなされますように努力をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/162
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163・中村重光
○中村(重)委員 総需要抑制というけれども、新幹線なんかにしても、なるほど四十九年度の予算というものは圧縮された。四十八年度の予算はあるんです。実際の着工というものについて少しも影響されていない。総需要抑制というものは、新幹線であるとか、あるいは四国の架橋であるとか、あるいは高速道路であるとか、そういったようなところにこそ抑制の焦点を向けなければならないのであって、やはり地方の非常に弱いこういう中小企業というものには何とか考えてやらなければ、むしろ救済ということで考えていかなければならない。いまあなたがお答えになったような金融の問題だけでは解決できるものじゃないのです。どうすることもできない。働いているところの労働者が、工事が繰り延べになった、そうするともうそれはほかへ行ってしまう、またそれを雇い入れることはできないのです。もう実際深刻な状態の中にある。だから金の問題では解決できない、そういう状態にあるのだということをお考えにならなければ、金融面において手を打ったからそれで何とかなるであろう、そういう甘いお考え方をお持ちになっては対策にならないということをはっきり申し上げたい。
それから関係各省と十分連携をおとりにならなければいけないということです。建設業に関する限りは、中小企業庁との関係はあなたのほうはない。しかし、縦の線だけではどうにもならない問題があるのですよ。一体化のように横の連絡をやはり緊密にやっていく。意見交換、対策の共通性、いろんなことをおやりになる必要があるということを私は申し上げておきたいと思います。なまなましい具体的な事例を数多く私は頭の中にたくわえながらお尋ねをし、そのことも指摘をいたしたいわけですけれども、時間の関係がありますから省略をいたしますが、ともかく十二分に対策を実施していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に長官、中央会の関係についてお尋ねいたしますが、この協同組合の一人一票制ということについてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。あわせてお答えいただきたいことは、この協同組合から脱退をいたします場合においての出資の払い戻しはどうあるべきか。出資をした幾口という口数を持っている。ところが、どんどん物価上昇で貨幣価値は下がる。そうすると、その脱退をしたという場合に、当初これに加入をいたしました際の出資金額を払い戻すということでよろしいのかどうか。あるいは時価相場によってその協同組合等が持っている財産を十分評価をして払い戻しをするということになるのか。これは混乱もしている問題でもございましょうから、ひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/163
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164・外山弘
○外山政府委員 協同組合の本来のたてまえから申しますと、これは相互扶助組織ということで中小企業の組織化として重要な機能を持っておる組織でございます。その民主的な運営と申しますか、そういった点が基本的に大事でございますから、一人一票制というのは、私は非常に大事な基本的な考え方の一つに入るものだろうと思います。
ただ問題は、最近のように中小企業の組織化に対する、社会のあるいは経済の多様な動きの中で、いろいろ変わった機能が求められているというふうな点がございます。たとえば構造改善事業というふうなことのにない手としての協同組合あるいは高度化事業、つまり団地形成の際におけるにない手としての協同組合、そういうふうな新たな課題をかかえた協同組合になりますと、どうしてもその民主的な運営だけを尊重するのではうまくいかない面が出てきがちである。そういった際にそういった問題をどう考えて協同組合の組織のあり方をどう変えていくかというふうな問題点が起こっていることも事実だと思います。基本的な組織論として非常に大事な問題でございますから、ただ当面のいろいろな動きの中でこの本来的な組織論をどう改正するかというのは、非常に重大な点を含みますのでなかなか結論が出しにくい問題だと思いますけれども、一人一票制を含めまして協同組合法自体のあり方というものを検討すべき時期が近づいているような感じが私はするわけでございます。そういう中の一環として一人一票制ということについての評価も考えていきたい、こう考える次第でございます。
もう一点、いまそれにも関連するわけでございますが、協同組合が団地をつくるという場合に、そのメンバーの一人が脱退するというふうなことはあり得ることでございます。その際に、やはり協同組合の本来のあり方から見まして時価の評価によってその脱退者がその価値を持って出ていくということが一つの基本的な考え方だと思いますが、同時に、組合を形成するに際して組合の決定によってそういう脱退の際の扱いはきめましょうというふうな定款も許されるわけでございます。したがいまして、具体的に個々のケースごとに判断をする必要があると思いますけれども、基本は時価による評価であり、かつ脱退が拘束されるということではない。しかし同時に、組合というものが政府の非常に有利な融資を受けて団地形成という一つの高度化事業、公益的な事業に参加するわけでございます。したがいまして、それからくる一つの制約が、脱退の際のやり方、つまりたとえばその支払い方法とか評価のしかたとかいうことに若干の注文がそういう組織論としてはあり得るかもしれません。ケース・バイ・ケースに判断しなければいけない問題だと思いますけれども、要は先ほど御指摘のように、脱退は拘束されるものではないし、原則として時価で判断すべきものであるし、同時に、脱退に際してのいろいろな制約が協同組合のルールとしてあり得ることはまた十分予想される、こういうふうなとらえ方でケース・バイ・ケースに判断してまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/164
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165・中村重光
○中村(重)委員 ケース・バイ・ケースで判断をしろという答弁をあなたがなさるのは、いま起こっている混乱をなくすることにはならないんですよ。だから、ケース・バイ・ケースは、いまあなたがそういう意味でおっしゃったならよろしいんですが、現場は組合と脱退する個人との間に話し合いをやれば、これはケース・バイ・ケースになるわけなんだね。基本としては、脱退者は組合が持っているところの財産というものを評価する。それが一つの権利となるわけだから。それによって脱退者が請求をされると支払うことが基本であるということなんですね。それはそのとおりになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/165
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166・外山弘
○外山政府委員 たしかその問題については最高裁の判例もございまして、原則的には御指摘のとおりだと思います。ただ、先ほど申しましたように、そういう考え方と、もう一つは定款の定めるところによって脱退することができるんだ、脱退してその際の評価、評価といいますか、そのときの脱退のしかたをきめることができるんだということも一つの協同組合のルールとしてあるわけでございます。それによって具体的にどういうふうな制約をその脱退者が受けているかということが私は一つの問題点だろうと思います。だから原則論と、そういう定款の定めるところと、そういったことをもかみ合わせながらケース・バイ・ケースにやらなければいけないだろう。基本は要するにその判例の考え方であり、かつ定款の定めるところに従うということであり、そういうことが基本であって、その基本に即して具体的にケース・バイ・ケースに判断されるべきであろう、こういうふうに申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/166
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167・中村重光
○中村(重)委員 時間もとりますから、この点はあとで十分研究をしていただくということにとどめておきますが、ケース・バイ・ケースでは、それはその当事者同士がやるんですよ。ところが、脱退する者が、自分は口数は幾口持っている、その出資口数によって財産なら財産を求めた、その財産を評価するとこれだけの価値があるんだから、当然自分の権利は、それを評価した一口の平均額をもらわなければならないんだから、支払いをしなさいといえば、財産を処分してでも、あるいは借金してでも払わなければならない、こういうことになるわけです。ところが、あなたのほうではそう言いたいんだろうけれども、影響するところたいへん大きいのでいろいろとあちこちからそういう点は配慮しながら答弁をしていらっしゃる。しかし、それでは問題は現場では解決しませんから、十分長官として協同組合を育成していく、また、個人の権利は権利として認めていくという立場から、円滑に協同組合の運営ができるように方針を確定をする、それを示す、こういうことをやっていただきたい。
それから、中央会等が支所とか出張所を持つわけですが、そのことがまた構成員に対するサービスという形にもなってくるわけですが、その場合の補助ですね、これは大蔵省が示しているのだろうと思うのですけれども、現在庁費ではなくて借室料に対する補助になっているということです。部屋を借りた、その家賃を補助している。庁費の補助になっていないわけです。ところが、中央会となってまいりますと、地方自治体の出先にいろいろな施設があるわけですね。その自治体の、公共団体の施設の一室を借りて中央会が業務をするということがある。その場合は借室料は払わないのです。ただです。しかし、通信費であるとか、あるいは印刷製本費であるとか、消耗品費であるとか、あるいは燃料であるとか——人件費は補助金の対象になっているわけですからまずこれはいいといたしまして、こうした庁費それは補助の対象になりませんから、一たん補助金だとして渡しておいて、そして借室料がただであると、それをまた返させている。これは現実的ではない。借室料ということに限定をしないで、庁費という形で補助することはできないのかどうか。これはひとつ大蔵省とそこでお話し合いになって、それによってまずお答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/167
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168・栗林隆一
○栗林政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。
中央会等が支部を設置する場合、私どもとしては、やはり独立の事務所を持つという方針で指導をいたしておりますが、もちろんその中には、先生のおっしゃるようにある官庁の一室を借りるという場合も現実にはあろうかと思いますが、私どもとしてはそういったことではなくて、できるだけ独立の事務所を持つことが望ましいということで指導をいたしております。
さらに補助の件でございますが、その支部に指導員を配置するという考え方でございまして、その指導員には、人件費のほかに事業費、つまり通信費ですとか、指導のための事務費、こういうものも補助の対象にいたしておりますから、そこへ指導員が配置されますと、その指導員につきました事務費、これが当然使われるということで運用をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/168
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169・中村重光
○中村(重)委員 指導部長、独立の事務所を持つということは望ましい、おっしゃるとおりです。しかし、独立の事務所といったら家賃もたいへん高い。権利金等も相当払わなければならない。独立の事務所ですから、やはりある程度の——別に豪華なものをとは言わないけれども、どこかの小屋みたいなものを借りてというわけにはまいらない。そして役所の部屋を借りておりましても、それが一階を借りるとかなんとかという形になってまいりますと、あるいは商工会議所の一室を借りるとかいうことになってくると、あなた方がお考えになるほどそう敷居は高くないのですよ。通産省の十一階や十二階に中小企業庁がおるようなものじゃない。そう敷居は高くないので、行きやすいわけだ。だからやはり部屋を借りるということになる。その借室料としてしか補助しないんだから、庁費ではないんだからといって、一たん補助したものを吸い上げてしまうのですね。いまあなたは、指導員に伴って事務費というものが補助されているんだからと言うんだけれども、私は自分の頭の中で考えて質問しているわけではないのであって、具体的なケースで質問しているわけです。申し上げたように、燃料費であるとか、あるいは消耗品費であるとか、印刷製本費であるとか、そういったものは補助の対象になっていないのです。それに充当するわけにはまいらない。だから返しているのです。だから、私が指摘をいたしましたそうした通信費であるとか、あるいは燃料費であるとか、あるいは印刷製本費であるとか、消耗品費、そういうものに使ってよろしいのかどうか。そういうことであれば問題は解決するわけです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/169
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170・栗林隆一
○栗林政府委員 先生のおっしゃるようなケースで、借室料を他の費目に使用するということは、現在のたてまえではできないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/170
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171・中村重光
○中村(重)委員 金を返さなければならないのだから、いまはたてまえはできないことはわかっている。だから、実際は、実情という点からいって、もう少し弾力的に考える必要があるのじゃないかというように私は思うのです。現在のことを聞こうというのではなくて、現在わかっているので、それを私が申し上げたような形にできないのかどうか、その点を聞いているわけです。
そこで、大蔵省の岩瀬審議官と禿河主計官もお見えなんだけれども、そこらで話し合って答弁していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/171
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172・禿河徹映
○禿河説明員 お答えいたします。
唐突なお尋ねでちょっと私ども結論をすぐ得るというわけにはまいらぬかと思いますけれども、私どものほうといたしましても、各種の指導事業につきましては、それに必要な事業費の補助ということでやっておりますので、その中でかなりのものはできるのではないか、かように考えております。
先ほどの借室料、この問題につきましては、ただいま栗林部長がお答えいたしましたとおり、他のほうにそれを流用するというわけにはまいらないかと思いますけれども、その辺のところは、またどれだけの事業費が要るのか、今後また実態を十分調査いたしまして、また中小企業庁のほうとも慎重に相談してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/172
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173・中村重光
○中村(重)委員 いまの禿河主計官の御答弁でけっこうです。部屋を借りていないのに借室料という名目で取って、それをほかに流用するなんということはよくないことですね。しかし、対象になっていない諸経費、そういうものを対象としてお考えになればよろしいわけです。それを補助の対象が非常にいま狭いので、もう少しそれを広げていくというようなことであれば問題は解決するはずなんですから、いまの御答弁の線でひとつ中小企業庁とも連絡をとって対処していただきたいということを要請しておきます。
それからこれも大蔵省にお答えいただきますが、商工中金に対する出資ですね、四十九年度、これは五十億という形になって大幅に出資をしたんだということだろうと思うのです。ところが、出資をいたしますと、所属組合の出資の問題が出てくるわけです。やはり所属組合がそれに均衡した金を出さなければならないということになってくる。それだけではなくて、別に預金であるとか、あるいは商工債券とかいうものをまた買わされるという形が出てくる。また、預金は他の二つの機関と比較をいたしますと高い。それで実質的には、申し上げたように、預金を要求される、それから商工債券を引き受けなければならない等々で、たいへん高い金利に実はなっていくということになるわけですが、その申し上げました所属組合の出資に伴うところの均衡の問題をどのようにお考えになっておられるのか。
それから、いまの商工中金の金利は、他の中小公庫あるいは国民金融公庫、これはいわゆる国の機関、一方は半官半民、そういう形式的な点からだけで金利の差をつけるべきではいのではないか。むしろ零細企業というようなものは、協同組合を組織いたしまして商工中金から金を借りる。中央会から金を借りるものよりも負担能力が低いものが商工中金から金を借りておるという実態を考えてみると、商工中金の金利というものは差をつけないでいくということのほうが現実的ではないかという感じがいたします。
以上の二点についてお答えをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/173
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174・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 お答えいたします。
出資組合につきまして、それがいろいろな債券を持たされるとか、あるいはまた特別に実質的には金利が高くなるのではないかという御指摘につきましては、私ども行政指導の面においてなるべくそういった特別の関係というものをなくするように指導いたしておりまして、改善の傾向にあると私は考えております。
それから第二点でございますが、国民公庫、中小公庫と、いわゆる中小三機関という場合に商工中金をあげておりますけれども、商工中金につきましては、御承知のように組合、団体に対する金融というものを主体といたしておりますだけでなくて、資金の調達の面で御承知のように商工債券を、金融債を発行いたしておりますので、そうした発行コスト等をやはり貸し付け金利の中に組み入れていかなければならぬという点が他の二公庫との間の違いでございます。
ただ、同じく中小金融を担当いたしておりますという関係から、できるだけその金利は低いことが望ましいことは御指摘のとおりでございまして、実は中小三機関とも、民間のプライムレートに大体準拠して基準金利というものをきめさせるようにいたしておりますけれども、最近のようにプライムレートが非常に高く上がっておりますので、それに対しましては中小三機関ともそれぞれその機関に応じて若干、たとえばプライムレートが九・四に対しましては、国民、中小については八・九というように、できるだけ下げさせるような努力はいたしておるわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/174
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175・中村重光
○中村(重)委員 おっしゃるように、商工債券を発行するというコストの面からはね返ってくるいわゆる原資というものが高くなるということになることはわかるわけですよ。だから、できるだけ国の出資というものをふやしていくということで、そこをカバーしてやらなければいけないのではないかというのが私の質問の論点になっているわけですね。そうなってくると、ふやしてもらうことはいいことなんだけれども、今度はこれだけ国の出資があったから、所属組合というものはそれに均衡するという点からまた出資をしなさい、そういう形になってくると、出資けっこうなんだが、一方においては負担が耐えられないという問題が起こってまいります。ですから、出資はひとつふやしていく、そしてその均衡という点をあまりきびしく指導をしないで、そこはひとつできるだけ安い金利で零細な中小企業者が商工中金の金が使える、こういう点を配慮して、十分対処していただきたいということを要請しておきたいと思います。
次に、商工会が中心になるわけですが、指導員の設置基準の問題ですね。長官、あなたからお答えをいただきますが、これは会員の数だけでおきめになっていらっしゃると思うが、それは現実的ではないと私は思う。離島であるとか、あるいは僻地は、会員の数は少ないけれども、指導員の果たす役割りというのか、労務というものはたいへんこれは過重なんだから、指導員の数を多く配置してやらなければならないという実態があるであろう。したがって、現在の指導基準の中ではそれができない。今度一千名かふやされるわけです。ところが、一千名おふやしになるのは大半が商工会議所でしょう。商工会なんというところは非常に少ないですね。少ないのは設置基準に制約があるからで、これは実態に対応して何とかして指導員を十分配置するようにしなければならない。そのためには指導基準、配置基準を変えなければならないと思いますが、その点はどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/175
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176・栗林隆一
○栗林政府委員 設置基準につきましては、現在一定の基準をもちまして配置をいたしておるところでございます。そこで、いま先生おっしゃいました根拠になっております数でございますが、商工会、商工会議所、それぞれの地域における小規模事業者数を対象にしておりまして、商工会あるいは商工会議所の会員の数で計算をいたしておるわけではございません。あくまでもそこの地域にいる小規模事業者数ということでございます。
そこで、現在御審議をお願いしております来年度予算案におきまして千名の増員ということに相なりまして、それに基づきまして、私どもとしては、先生御指摘のとおり、従来特に商工会議所地区が手薄でございますので、ここへ重点的に配分をいたしたいということで考えておるわけでございますが、当然、今回千名の増員ということでございますので、それに合わせた配置基準というものを現在検討をしておるところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/176
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177・中村重光
○中村(重)委員 それは会員の数で配置しているのではない、その地域における小規模事業の数によって配置しているのだ、こうおっしゃる。そのとおりです。ところが、商工会議所は少ないところは全体の中小企業の五%ぐらいしか入っていません。最高三〇%ぐらいですよ。ところが、町村の商工会の区域は、小規模企業者にして商工会に入っていない者は、皆無とは言いませんが、ほとんどおりません。極端に言うと、こういうところで言っていいのかどうかわかりませんが、大工さん、左官さん、こういうものも請負をやっているというような形で会員に入っている。そういう無理をしなければ商工会ができないし指導員ももらえない、こういう形になっておるので、もう町村の商工会に関する限りは小規模企業即会員なんです。だからあなたの答弁で——私の質問をはぐらかすつもりで御答弁になったんじゃないでしょうけれども、現実というものを十分頭に置きながら考えてもらわなければいかぬ。だから現在の配置基準は無理なんだ、数だけでいくことは。離島、僻地、そういう非常に面積は広いが会員が少ないというのは、指導員の労務はたいへんなんだ。連絡だけで実際指導員がやらなければならぬ業務なんというものをやれないという形だってあり得る。だから、そういったところは、その地域の実情を十分考えて指導員あるいは職員の配置等をする、そのためにはこの指導配置基準を変える、こうしなければならないではないか、こうお尋ねをしているのですから、そのことについてひとつお答えをいただきたい。これは長官、あなたからお答えになっていいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/177
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178・外山弘
○外山政府委員 確かに原則は一つなければならないと思いますし、そういう商工業者の配置というのが一つの重要な前提になることはあると思います。しかし、御指摘のように、確かに会員であるかないかの比率が地域によってうんと違うということもございましょう。それからそういった基準をしゃくし定木に当てはめますと、全く問題になり得ないようなところが多く出てくる、たとえばいまの離島の問題等がございましょう。そういうふうな特殊ケースにつきまして弾力的な基準がやはり必要なのではないかと私は考えます。今後、これはもちろん予算の執行面になりますから大蔵省とも御相談しなくちゃいけないと思いますが、中でよく検討いたしまして、そしてできるだけ実情に合った基準にして運用してまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/178
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179・中村重光
○中村(重)委員 これは委員会におけるおとなの論議ですから、別に問題にならないようなところに指導員を配置しなさいと私も言っているのじゃない。だから実情を無視しないで、あまり固執した考え方ではなくて、十分実態調査をされて、それに沿ってこの指導員の配置をされる必要がある。そうすると、いまの基準ではこれは動かしがたい形になっているのだから、配置基準をもっと弾力的に変える必要があるのではないかというのが私の指摘なんだから、私の言っていることが間違いならば、あまりたくさんお話しにならないで間違いですと、こうおっしゃればよろしい。なるほどとうなずかれる点があるとすれば、やはりそれに相当するお答えもいただきましょうし、その線に沿って大蔵省との折衝もやっていただかなければなりませんが、禿河主計官、いまの議論についてどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/179
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180・禿河徹映
○禿河説明員 承知いたしました。中小企業庁と十分相談をしてまいりたいと思います。
ただ一つお断わり申し上げたいと思いますのは、私ども予算の積算と申しますか、そういうことをいたします場合には、全国三千からあります商工会あるいは商工会議所の一つ一つを積み上げてというわけにはなかなかまいりかねますので、指導員の数を予算上見ます場合には、一応、できるだけ簡明な一つの基準ということで総体をはじいてみるということはやむを得ないかと考えますが、実態に即応した配置のやり方ということについては今後十分相談してまいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/180
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181・中村重光
○中村(重)委員 それからこれも大蔵省にお尋ねいたしますが、中小企業庁からの概算要求の中で、福利厚生費は退職金の引当金が入っておったはずですが、認められたのは健康保険、厚生年金保険、失業保険、労災保険、こうした保険関係だけが対象になって、退職金引当金は落とされている。これは私は納得できないところでございます。当然、退職金引当金も福利厚生費の対象にすべきではないか。もっと申し上げるならば、公的年金制度を確立する、それのほうが、いま横の面からいっても農林漁業等々の面からいっても私は一番妥当性があるというように考えるわけです。この点に対してはどのようにお考えになっているのか、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/181
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182・禿河徹映
○禿河説明員 経営指導員の退職給与引当金を補助対象にするかどうか、こういう問題でございますが、先生御指摘のとおり、四十九年度の予算要求にございました。私どもこの点につきましては、四十九年度の中小企業対策予算、特に小規模事業対策予算全体の中でその一環としてどうすべきか、種々検討いたしたわけでございます。結論で申し上げますと、先生の御要望にあるいは反したということになるかと思いますけれども、この退職給与引当金の問題につきましては、大体全国の商工会等の九割以上のところが現にもうすでに引当金の積み立てを実施いたしておるようでございますが、その中身がきわめて区々で、積み立てのしかた、率というものがかなり差異が認められるような状態でございまして、これについてどういう基準で補助をすべきかというふうな問題につきましては、もう少しその辺の実態、あるいはその基準というものを求めていきたいということで、実は四十九年度は見送りということで中小企業庁と最終的にセットいたしたような次第でございます。この問題につきましては御要望に応じられなかったわけでございますけれども、経営指導員の問題につきましては、給与の単価引き上げだとか、あるいは超勤手当の大幅なアップ、そういうことをいたしましたし、それ以外に新規のものといたしまして、先ほど御指摘がございました社会保険料を補助対象に入れるとか、あるいは海外の研修事業を補助対象にするとか、そういう新規の施策も講じたわけでございますので、全体の中でひとつ御了承いただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/182
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183・中村重光
○中村(重)委員 非常に複雑で各商工会が必ずしも同一の状態ではないというので、これを積算する面からいっても問題があったというようなお答えであり、そういったことから四十九年度はなお調整をしなければならない面もあるというのでお認めにならなかったということですから、その点はむしろ中小企業庁のほうが商工会を十分ひとつ指導して、補助の対象にする以上はやはり同一性のものでなければなかなか補助の対象になり得ないであろうというように考えますから、あなたのほうは四十九年度中に指導すべき面は十分指導し、調整できるところは調整をして、必ず四十九年度には退職給与引当金も補助の対象にする、こういうことでやってもらわなければいけないのだと思います。そこで、今後あなたのほうの指導方針をどう進めていこうとお考えになっているのか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/183
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184・外山弘
○外山政府委員 四十九年度に対しましてすでに要求もしておりますし、また従来からもたびたび要求をしてまいった多年の懸案事項でございます。御指摘のような問題点があることを私ども承知しておりますので、何とかこれが実現を見るように、いま御指摘の諸点は、実際上早くこれが補助の対象になり得るような基盤の醸成に私どもも指導をしてまいるようにつとめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/184
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185・中村重光
○中村(重)委員 それではこの点は必ず日の目を見るであろうということを期待をいたしておきたいと思います。
それから例の公的年金制度については、あなたはどのようにお考えになっておりますか。あなたのほうでは別にこの点については概算要求をしておられるわけではないのだが、あなたのほうからひとつ考え方を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/185
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186・外山弘
○外山政府委員 商工会の経営指導員等の中小企業団体の職員につきまして、厚生年金保険等の既存の社会保険制度によらない別個の公的年金制度、たとえば農林漁業団体にはございますが、そういったようなものの確立をはかるということにつきましては、その安定した経営基盤を確保するためにも、また商工会中央会等の中小企業団体の職員すべてを対象とする必要があるわけでございますが、先ほども問題になりましたように、各団体間の経費負担能力といったようなことも非常に違っておりますし、また、これらの団体あるいはその構成員の意見、希望等も必ずしも一致してないようでございます。したがいまして、一つの公的年金制度にまとめるにはなかなか問題が多いわけでございます。先ほども申しましたように、やはり当面厚生年金保険等、既存の制度の完全利用をはかることが手っとり早く身分の安定を強化するということになるかと思います。したがいまして、先ほどの線に沿って私どもも努力をしてまいり、そして早く厚生年金保険等の社会保険料の事業主負担分の補助を新たに措置するように努力をしてまいりたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/186
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187・中村重光
○中村(重)委員 私はこの問題はきょう初めて質問したのではない。歴代の中小企業庁長官に対していつも質問してきているのだが、答弁は一向に前進がない。しかし、答弁は否定的ではないわけなんです。答弁だけは前進的だけれども、これが実現しない。同じような答弁を三年も五年も繰り返されたんでは、これはお話になりません。ですから、この点は四十九年度中にこれもまた調整しなければならない点は調整をする。そして、農林漁業の場合と若干仕組みは違いますけれども、農林漁業の場合は公的年金制度を実施するのは当然であるが中小企業団体の場合はできないのだというまでの、そこまでの仕組みの違いはないと考えている。だから十分その点を対処されて、ぜひすみやかにこれも実施できるようにやってもらいたいということを申し上げておきます。
それから商工会、これは商工会だけではなくて中央会もすべてが対象になるわけですが、指導員の給与、職員の給与が地方公務員との差が非常に開いている。これは差別すべきではないと私は考える。その点に対してはどのようなお考えをもっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/187
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188・栗林隆一
○栗林政府委員 経営指導員の給与につきましては、先生御承知のとおり、当初国家公務員の五等級三号俸ということを基準にしてその給与額がはじかれたわけでございます。その後四十八年度、つまり本年度の予算におきまして、いわゆる一号俸の底上げをいたしました。その理由としましては、国家公務員につきましては、年度途中でベースアップが行なわれる。ところが経営指導員につきましては一年おくれで、つまり翌年度の予算でそのベースアップが認められるということでございます。したがいまして、経営指導員の給与が一年おくれで上げられるという事態がございましたので、四十八年にいわゆる一号俸の底上げということでベースアップを行なったわけでございます。したがいまして、現在におきましては、いわゆる国家公務員の給与ベース、これに合わせてベースアップが行なわれておるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/188
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189・中村重光
○中村(重)委員 ベースはそういうことであったにしても、国家公務員あるいは地方公務員の場合は人事院勧告に基づいて遡及するでしょう。経営指導員の場合はそうではないのです。予算が決定されたならば、これによってそのままの給与が支給されていく仕組みになっておる。私は長崎県のデータを持っているのですけれども、四十八年度県職員は九万三千八百円である。ところが、経営指導員は七万四千百円です。これはずっと表を持っていますけれども、時間の関係から省略をいたしますが、とにかく一方は遡及する、一方はしない。これでずっと差が開いていくということです。これではいけないだろう。だから国家公務員と同じにしなければならないということで同じにしたのだったら、そういう条件もみんな同じにしなければならない。そうしなければ開いてまいります。その点を直していきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/189
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190・栗林隆一
○栗林政府委員 先生のおっしゃいました七万四千円というのは予算上の平均の給与額でございます。私どもとしましては、指導方針としまして全体の中において三割の範囲内で傾斜配分を行なう。指導員といいましても本年採用された者、あるいは十年前に採用された者、あるいは五年前に採用された者、いろいろ条件が違うわけでございます。したがいまして、そういう中にありまして、それを基準として三割の範囲内において傾斜配分をしてもよろしいということで現在指導をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/190
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191・中村重光
○中村(重)委員 議論よりも実態を十分調査をして、そして実態が国家公務員と変わらないようにしてもらえさえすればよろしいのです。ですから、私が指摘していることが間違いなのか、いまあなたが答弁していることが全く——それは勤務年限その他によって差があるのはわかるのです。しかし、同一の勤務年限等の条件下にある者は、これは全く同じであれば同じにならなければいけない。しかし、それがどんどん開いている。これが現実なんだから、その点は十分調査をされて、そうして差別がないようにしてもらいたい。それならばよろしいわけです。
次に、私は、金融税制あるいは記帳指導員の問題等々についてお尋ねしたいし、また従業員の退職金共済制度についてもお尋ねをしたいのですが、時間の関係がございますので省略をいたします。
労働省からお見えですし、前回も見えていただきましたが、この中小企業退職金共済制度、こんなに魅力のないものではお話にならない。三十六カ月以上五%、百二十カ月以上は一〇%、しかも四百円という頭打ちがある。これでは、加入者とかあるいは共済契約者、被共済者、これがわずかに——共済契約者で、いまは若干数字は違っておると思いますが、私が持っておるデータでは七・三%、被共済者では九・一%、こんなことでは話にならないと私は思う。こういったところに、中小企業には若年労働者が集まってこないという原因も一つあるであろう。もっと補助金をふやす、そうして退職金も中小企業に魅力があるように、ひとつ十分支給できるようにやらなければならないと思いますが、この点に対するお答えをいただきまして、あとは信用保険の質問に移りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/191
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192・大坪健一郎
○大坪政府委員 中小企業退職金共済の内容につきまして、いま先生から御指摘がございました。私どもも現状でいいとは毛頭存じておりませんで、現状をいま検討いたしております。御承知のように、中小企業退職金共済制度は、一般の中小企業の退職金共済制度のほかに、建設業の退職金共済制度と清酒製造業の退職金共済制度がございます。
中小企業の退職金共済制度について申し上げますと、実は昨年あたりから加入者の伸び率がふえてくるというような傾向もございます。それから一方では財産形成の新しい制度ができるという事情もございまして、内容について、先生の御指摘のような点も含めて、この際ぜひ再検討いたしたい。ちょうど昭和四十九年度は、五年ごとの掛け金及び退職金の検討の時期に当たっておりますので、私どもといたしましては、さっそく四十九年度に適切な内容の改善をはかるような検討をいたしたいと考えております。現在、中退共の審議会でも部会をつくりまして、その研究にかかっておられるところでございます。なお、若干の時間の余裕をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/192
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193・中村重光
○中村(重)委員 それでは、そういうことで、次の改正の際は、抜本的にひとつ改正をするということにしていただきます。
なお、厚生省の三浦食品衛生課長がお見えですが、この前お話を申し上げて了解をいたしておりますので、きょうはたいへんお待たせをいたしましたが、質問する必要もないのじゃないか、こう思っておりますから……。
長官、この普通保険と無担保、特別小口保険ですね、これの一件当たりの付保額は幾らになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/193
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194・外山弘
○外山政府委員 一件当たりの平均金額は、普通保険におきまして、四十七年度は三百五十七万円、それから無担保は百二十一万円、特別小口は五十六万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/194
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195・中村重光
○中村(重)委員 一件当たりの付保額というのはそんなに低い、これを三千五百万円から五千万円に上げなければならぬ理由というのが同僚諸君の質問にも出ておりましたが、何としても納得できない。いままで三千五百万円だったのですが、三千五百万円の限度一ぱいの付保件数というのは四十七年度の実績でもけっこうですが、どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/195
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196・若杉和夫
○若杉説明員 お答えします。
その正確な資料はないのですが、二千万円から三千万円の保証承諾の状況というのがございます。それは、たとえば四十七年度で申しますと千五百五件ございます。それから念のために申しますと、三千万円をこえておるものが約一千件ございます。これは付保にはかかっておりませんが、保証協会の自己リスクでやっているものが一部ございまして、それが約一千件ぐらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/196
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197・中村重光
○中村(重)委員 普通保険は、先ほどお答えになりましたように、一件当たりの平均が四十八年六月が四百八万円、七月が四百二十五万円、八月が四百二十九万円、九月が四百六十四万円、十月が四百三十五万円、そうすると、いまもお答えがございましたが、三千五百万円から五千万円の対象になるものはきわめて限られた件数である。ところが、件数自体は非常に少ないのだけれども、金額が大きいから信用保証協会のワクを食っていくという点については、これは大きな影響がある。
〔田中(六)委員長代理退席、左藤委員長代理着席〕
やはりそこに問題があるのです。金額をたくさん借りる人は、どちらかというと、中小企業としては中堅企業とは申しませんが、大きいほうですね。どうかすると、そういう人は、信用補完を受けなければ金が借りられないという状態のものではないかもしれない。しかしながら、そういう制度が開かれると、金融機関が信用保険をつけてきなさい、こう言うのです。この前——中小企業庁次長はお見えじゃないですが、あなたのかわりに次長に会ってもらった。三千万円金を借りております、ところが歩積みは五千万円しております、いいですか、五千万円、ところが手形の割引をするのに保証協会の保証をつけろと言うのです、こう言うのです。これは次官、お帰りになって、あなたが次長にお聞きになればわかるのですよ。繰り返しますと、三千万円金を借りておる、五千万円歩積みしておる、担保の割引に保証協会の保証をつけなさい、こんなむちゃな保証要求というものはないでしょう。ところが、保険限度額がそんなに大きくなってくれば、そういう傾向というものはさらに大きくなる。それだけ今度は、零細企業というものはしわ寄せを食ってくる、圧迫をされる、こういうことになる。だから、あなた方のほうの政策は、信用力のない零細企業に対するところの信用保険の制度であるけれども、これをゆがめていこうとする方向に政策を進めていこうということになる。だから、あなた方がほんとうに零細企業のことを考え、信用保険制度というものの強化拡充をはかっていく、有効にこの制度を活用していこうとするならば、特別小口保険の限度額を百五十万円だなんということではなくて二百万という形にこれを引き上げていく、それこそほんとうの政策なんですよ。それこそ零細企業の要求しているところなんです。この国会の中におきましても、普通保険の限度額を引き上げなさいといって質問した人は、これは自民党の諸君を含めていないはずなんだ。しかし、特別小口保険についてはこれはみんな強く強調してきている。それをちびっておいて、なぜにこういった普通保険なんというようなものを、実情はそれほど要求されていないにもかかわらず大幅な引き上げをしなければならなかったのか。なぜに特別小口保険というようなものを百五十万程度にとどめたのか、それらの点について納得のいく積極的な答弁をしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/197
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198・外山弘
○外山政府委員 まず第一に普通保険の限度を上げるようなことをいたしますと、協会の経理的な余裕から見てあるいはワクの状況から見て、他の零細企業者に対する保証業務が影響を受けないか、こういう御指摘でございますが、この点は協会には非常に余裕がございまして、現在二月でも一兆二千億という金額の余裕がございます。したがいまして、協会の問題として片っ方に引きずられる反面、片っ方のほうが影響を受けるということはまずあり得ない、こういうふうに考えます。
それから第二点の実際の平均の付保額が低いのになぜ三千五百万を五千万に上げるのかという御指摘でございますが、これは法人企業統計等で見ますと、資本金一億円未満の製造業あるいは資本金五千万円未満の卸売り業における一企業者当たりの平均借り入れ金残高が四十六年度ですでに製造業では三千八百万あるいは卸売り業で四千四百万ということで三千五百万をこえているわけでございます。したがいまして、四十四年度から四十六年度の平均伸長率で四十九年度を推定いたしますと、製造業でも五千百万、卸売り業では五千九百万円くらいになる。そういうことでございますので、この際やはりそういった借り入れの大口化傾向を反映いたしまして、五千万円まで上げることが適当ではないか、普通保険についてはそう判断したわけでございます。さらに無担保保険につきましても、無担保保険を借りている層、つまり資本金五百万円以下というところが無担保保険の八割から九割ぐらいの利用者になるわけでございますが、その人たちの借り入れの状況を見ますと、やはりこの際三百万から五百万に上げるのは適当である。それから特別小口につきましても、たとえば国民金融公庫の貸し出し層で見まして、従業員四人以下、これはたしか四人以下の統計だったと思いますが、この人たちの借り入れの平均額を見ますと、前回が百万円ちょっと割っておったわけでございますが、今回の計算によりますと百三十六万円ぐらいになるというふうな推定ができたわけでございます。したがいまして、やはりこの際、百万を百五十万まで上げるのが適当ではないか。この辺三百万を五百万あるいは百万を百五十万ということで、この程度にとどめてそれ以上にしなかった理由はいまのような点でございますし、同時に、まあ上げれば上げるほど中小企業者にとっては助かると思いますけれども、それなりにまた問題点が別にあるわけでございまして、やはり信用協会の財政的な事情とか、あるいは保険公庫の保険政策の観点とか、いろいろな点を考えまして、現在としては、それぞれの保険種別について今回の案のような限度引き上げで適切ではないだろうか、こう判断したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/198
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199・中村重光
○中村(重)委員 三千五百万を五千万に上げた、百万を百五十万に持っていった、こういうことなんです。ところが、一方が高いからといって、低いほう、いわゆる特別小口保険の保証ワクというものが押えられることにはならないというふうに聞こえたのだけれども、その点もう一度お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/199
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200・外山弘
○外山政府委員 信用保証協会の余裕から見まして、押えられることにはならないというふうに申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/200
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201・中村重光
○中村(重)委員 それはおかしい、長官。いいですか。大蔵省は保証ワクというものを四十二・八倍に押えているのですよ。どうしていまのような答えが返ってくるのですか。それ以上の保証はできないのだ。十億であるならば四十二・八倍だから四百二十八億までしか保証はできないのですよ。そうすると、大口の普通保険というものが三千五百万から五千万までというようなものが多く占めると、それだけ保証ワクを押えることになる。それだけ今度零細な保証というものが押えられてくることにつながるではありませんか。余裕があるからそんなことはないのだというお答えは私はいただけないのだ。私の言うのが間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/201
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202・外山弘
○外山政府委員 先ほど申しました一兆二千億と申しますのは、信用保証協会五十二協会の全部について実際の付保と付保すべき範囲との差額を申し上げたわけでございまして、これが一兆二千億余裕があるわけでございます。ただ、個別の協会ごとに、どういうふうな具体的事情でどういうふうに押えられているかという問題が、あるいは個々の協会ごとに保証限度というものを設けておりますから、そういうことがあるのかもしれませんが、私はその点はちょっと詳細に承知していないわけでございますが、個々の協会ごとの問題としては、いろいろ協会ごとに違った事情があるかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/202
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203・中村重光
○中村(重)委員 いまあなたのお答えは、中小企業庁にしても通産省にしても、反省しなければならない重要な問題点なんですよ。全体的にはこれだけの余裕があるのだ、だから影響がないのだというような考え方だから、ほんとうにきめこまかい施策というものは講じられない。泣く中小零細企業者というものがいつまでたっても絶えないというのはそういうところにあるのです。いまあなたの言うように余裕があるのだったら、大蔵省と折衝して四十二・八倍で保証ワクを押えているということはきびし過ぎる、もっと保証ワクを引き上げなさい、そういう大蔵省との折衝をどうしてなさらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/203
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204・外山弘
○外山政府委員 私が全体として余裕があるということは、その余裕の数字を説明するための説明材料でございまして、そういうことと同時に、個別の協会でもやはり御指摘のような事情があって、零細企業者の信用保証が脅かされるということではいかぬわけでございます。したがって、個々の協会ごとにどういうふうな事情にあるかということをよく見まして、そしてその保証限度をそれぞれに中小企業者から見て適切なように直していかなければならぬ、こう思うわけでございます。もちろん個々の保証協会ごとにいろいろ事情があると思うのでございます。たとえば出捐金の問題、出捐金をもっとふやしてもらえば、こういうことが可能だとか、あるいは定款倍率をもっと上げればこういうことができるのだけれども、その点についてはどうしようかとか、いろいろ協会自体が考えているケースもあるかと思います。ただ要は、全体として間に合っているということは、全体として間に合っていればいいという意味ではございませんで、やはり個々の協会ごとに中小企業者の真の適切な需要に応ずるような保証限度でなくてはならないと思いますから、そういった意味での個別の指導については、私どもも協会ごとに具体的な問題があれば指導してまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/204
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205・中村重光
○中村(重)委員 そうであれば、先ほどあなたは、普通保険を三千五百万から五千万円に上げました、特別小口保険を百五十万円に上げたということについてはそれなりの答弁はしましたけれども、一方が低いから一方を二百万なら二百万に上げなければならないという私の主張に対して、それができないといったようなことも、三千五百万を五千万円にするということとの関係も全く無関係ではないのだ。結局、大口保証という形に資金というもの、保証ワクというものをとられることは、やはり零細な保証というものにしわ寄せされてくるおそれがあるということに対して、そうではありません、そんな影響はないのですということをあなたが言い切ったことは、それはあなたが実情を御存じないから、ただ全体的な余裕資金というのか何か知らないけれども、一応数百億という金があるんだから、だからそれでだいじょうぶだなんというようなあなたの答弁は当たらないのですよ。それだけではないのです。大蔵省はあとでお答えいただきますが、収支差額をふやすように指導しているということですよ。いいですか。収支差額をふやすように指導するということは、こげつきをできるだけしないようにしなければならないということです。あなた方とか大蔵省の立場からは、前向きの方向としては、いまあなたがお答えになった出捐金の問題もあります。確かに私は出捐金というものはもっとふやさなければならぬと考える。ふやさなければならないと考えますが、これにも地方自治体の実情、また金融機関というようなものも、この出捐金を多く出すことにおいて、金融機関の言うことはすべて聞きなさい、金融機関が要求するところの保証はつけなさいという一方の圧力がかかってくるのです。金融機関に出捐金を多く出させるということは、そういうことになる。そこに問題もやはりあるんですよ。そういうことはお考えになっておられるのかどうか、それをどう指導しておられるのかわかりませんけれども、大蔵省が収支差額をふやせという指導をされる。そうして一方、保証ワクを四十二・八倍に押えるということ、このことは、保証協会が保証をつけてやらなければならないというように考えておる信用力のないところの零細企業に対しても目をつぶって、代弁を出さないためにできるだけ信用力のある方向へと保証をつけていくことにつながっていくではありませんか。それではこの信用補完制度というもののほんとうの精神、ほんとうの趣旨が生かされないということになっていくではありませんか。そういう点を私どもは指摘しているのです。信用補完制度というものは、その精神を踏み違えてはならない。この制度が出発をいたしました際に、当時の金で十億や十五億赤字になってもしかたがない、それでもこの信用補完制度は大切であるということでこれは発足したのですが、いまはそうではないのです。変貌しているんです。こげつきを出すな、代弁をしないようにしなさい、これ以上保証してはいけないんだという大蔵省の指導なんです。それをあなた方中小企業庁が真剣にお考えになっていらっしゃらないところに先ほどのような答弁が返ってくるんだと私は思う。大蔵省と中小企業庁からそれぞれ私の指摘に対してお答えをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/205
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206・外山弘
○外山政府委員 信用保証協会の経理的基礎が健全であることは大事でございますけれども、同時に、健全過ぎてしまって本来の目的に対して適切でない運用になっているということは、これも一つの問題でございます。したがいまして、たとえば御指摘の代位弁済率の問題にしてみましても、これがあまり多過ぎてもおかしいけれども、同時に、あまり少な過ぎるようなきつい運用ではこれもまた問題がありはしないかという推定を抱かせるわけでございます。問題は、具体的な事情に照らして、個々の協会がどのように中小企業者の需要にこたえているか、そうしてそのための信用保証協会の運用が適切であるかどうかということを先ほどの二点に照らして私どもとしては個別の保証協会の動向というものに十分注意を払ってまいりたい。そうして先ほど御指摘のような点をよく踏まえて保証協会が適切な運用にいけるように、私どももいろいろな面での応援もしたいし、また監督もしたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/206
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207・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 お答えいたします。
〔左藤委員長代理退席、田中(六)委員長代理
着席〕
各保証協会につきまして、特別に収支差額だけに着目してそれをふやせというような指導をいたしたことはございません。ただ、保証協会の基本財産というものを充実させるということは、結局それに基づく保証倍率というものが高くなるという結果になるわけでございますから、したがって基本財産をふやすという中に、都道府県の出捐金とか金融機関の負担金とか、そういうものが入っておるわけでございます。その中になお収支差額についてもやはりその基本財産を充実するためのものとして考慮するファクターとしては当然入ってくる。まあ先生御存じのようなことでございまして、収支差額をふやすためにきびしく指導しているということは毛頭ございませんで、保証料の引き下げなんかをやっておるわけでございますから、保証料の引き下げというようなことは収支差額の面から見れば逆にマイナスになるわけでございますが、そういう努力は一応しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/207
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208・中村重光
○中村(重)委員 岩瀬審議官も実情を知ってお答えになっていらっしゃるわけなんだけれども、おっしゃるとおり、基本財産をふやすということは、出捐金をふやすということもその中の重要な要素であるということはわかるのです。ところが、保証協会はそう希望してもなかなか出捐金というものが出ないのですね。弱小の県であるとか市町村なんというところは、なおさらなかなか出してくれない。金融機関も地方銀行というものはなかなか出し渋るのですが、出す場合は反対給付を求めてくるのですね。そうしてあたかも金融機関の出先のような形に保証協会が使われるという形になることは、これはたいへんなことだと私は思うのです。だからその点、あなたのほうの今後の指導は、やはり四十二・八倍に保証ワクを押えているこの実態はどうなのか、どこに大きな影響が出ているのかということ、基本財産をふやすという問題を含めて十分ひとつ実態を調査をしてもらいたい。やはり申し上げたように信用力のない保証を押えていくということにつながるのです。やはり代弁をするということは基本財産が減ることにつながってまいりますから、どうしても零細企業を敬遠されるという形になることは間違いないのです。
それから外山長官先ほどお答えになりましたが、これは私は事実かどうか承知しませんが、特別小口の保険制度が生まれました際、お貸しくだされと殺到したということを伺っております。そういうことは迷惑千万です。私どもは声をからして、卓をたたいて、無担保無保証特別小口保険の付保限度額を上げてもらいたいと要求しておるのは、善良なこの零細中小企業者を守っていきたい、そういう考え方からでございます。お貸しくだされで、無担保無保証だからだれも迷惑するものはないのじゃないかという形でこの保証を悪用されたんでは、これはお話にならない。いまあなたがおっしゃる意味がそういうものも含まれておるとするならば、そういう意味でむやみに代弁がふえることは困るとおっしゃるのならば、私も理解をするわけです。そういうことは困るのです。しかし、そういうことは保証協会が一番わかるのです。そこは窓口を信頼していただく。そしてできるだけいまの保証ワクを押えていることにおいて、ほんとうに保証を受けなければならない人が敬遠されないように、ほんとうに救済されるように、それが信用補完制度の真の精神であるということを理解をして対処をしてもらいたいと思うのです。この点については政務次官から、非常に重要な問題ですから、今後の基本方針としてお答えをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/208
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209・森下元晴
○森下政府委員 信用補完制度金融の目的は、安全がすべての目的ではない。いわゆる社会政策的に扱わなければならない。先生の御発言のとおりでございます。だから、その運用におきましては、善良な中小零細企業の育成強化ということに重点を置かなければいけないし、常時においても、下請業者とか中小零細企業は非常に弱い立場にございます。特にこういうような緊急事態の経済下におきましては、下請業者等の中小零細企業を早急に救済する意味でも、先生御発言のような趣旨にのっとりまして、万遺憾なきを期していきたい。常時と違うことをわれわれ認識して強力に指導していきたい、このような覚悟でやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/209
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210・中村重光
○中村(重)委員 岩瀬審議官、この特別小口保険に付保しておりますと、ほかの保険をつけることができない、ほかの保険をつけるときにはこれは移行するという形にいまはなっているわけですね。どうでしょうか、百五十万までこの特別小口保険がなったわけですが、今度はふえていくでしょうが、並行保険ということも認めてよろしいんじゃないでしょうか。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/210
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211・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 厳密には必ずしも先生のおっしゃるように完全に移行してはいかぬとは指導いたしておりません。行き過ぎのないようにということで、場合によってはその両方が認められるということもあり得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/211
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212・中村重光
○中村(重)委員 いや、移行していけないということじゃないのですよ。特別小口保険をつけておると、ほかの保険と併用ができないということです。ですから、二百万なら二百万以上の保険ということになってくると、もう特別小口保険は利用できないのですよ。ですから今度は、普通保険とか無担保保険とか、そういう保険に移行しなければならないのです。そういう仕組みになっている。だから私は、普通保険と無担保保険というのは併用していいわけだから、特別小口保険に関する限りはそれができないわけなんだから、これを併用してもいいんじゃないか、こう言っているわけですが、その点、長官からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/212
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213・外山弘
○外山政府委員 特別小口保険というのは、御承知のように、企業者としても特別の零細、しかも無担保無保証というかっこうでの保証でございますから、いろいろな意味で非常に優遇された制度である。したがって、他の無担保保険とか普通保険とか、そういったものの保証需要を持つ人たちとは違ったグループであろう、違った判断で処置してよかろうというのが従来の考え方でございましたし、また、特別小口制度というものを、そういう人たちのためだからこれだけ優遇していくんだということで、そのつどふやしてまいることについても努力をしてまいりましたが、これもそういうことの制約があるがゆえにふえ方があまり大幅ではなかったかもしれません。五十万から八十万、八十万から百万、その間もなかなか時間がかかったような経緯がございます。
そういうふうなことで、御指摘のように、特別小口保険を受ければ他の保険は受けられないというかっこうの区別をしているわけでございますが、世の中の情勢もいろいろ変わってまいりますし、これを百五十万までするということもございますし、それから小規模零細企業でもかなり大口の資金需要を持っておるというふうな実情も、私どもは統計的にもある程度つかんでおります。現在普通保険の対象者にもかなり零細な人たちが多いということもつかんでおります。これはひとつよく検討させていただきます。そして大蔵省とも御相談いたしまして、最近の情勢変化の中で考えてみるということをお約束させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/213
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214・中村重光
○中村(重)委員 それでは、そういうことで努力をしてください。
それから、もう時間が四時になりましたし、あとの質問者もいますのでこれで終わりますが、この融資保険の利率を少し下げてやらなければいけない。毎年上がりっぱなしなんですよ。これも基本財産との関係が実はあるわけです。この保証料率の四一%が保険料率になっていますからね。保険料率の点もひとつ十分配慮される必要があるであろうということを——これはまあ満足のいくお答えは返ってこないと思いますから、御答弁はけっこうですが、一方で保証協会をただ押えるということだけでなくて、先ほど何回も触れましたように、保証ワクはこれまでにしてはだめだぞ、あるいは基本財産をもっとふやさなければだめだぞ、そういうようなことでなくて、大蔵省が、召し上げるほうもできるだけ金利を安くする、保険料率も安くしてやるというような方向で対処されぬと、そういう条件だけきびしくしていく一方では困ると思うのです。
最後に、保険公庫の総裁がお見えでございますから、いままで質問をいたしました点について、何か御指摘をいただく点があれば御指摘をいただきたい、こう思います。いま私が申し上げました保険料率の問題、融資保険の利率の問題等については、あなたのほうの関係が中心であるわけですから、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/214
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215・近藤止文
○近藤説明員 お答えを申し上げます。
保険料率の問題につきましては、やはり実情に即しまして逐次これを引き下げてまいる必要があると存じておりまして、これは私どもの監督官庁でございます通産大臣、大蔵大臣にそのつど申し上げまして、おそらく四十九年度におきましてもある程度の保険料の引き下げが行なわれると期待いたしております。
なお、融資基金の金利の問題につきましては、今度百四十五億円の融資基金のワクを予算ではちょうだいいたす予定になっておりますが、そのうちの百億円につきましては、最低の三%という金利で融資することになっております。これは全体の金利がプライムレートその他から見まして非常に上がっておるときに、格安の資金が保証協会に参るということになるわけでございまして、これによりまして、同時に保険料の引き下げということにも一つの財源として考えられるというように思いますので、この最低金利の資金につきましては、これをできるだけ重点的に、実際にまじめにやっております保証協会というものに重点を置きまして配分を考えていきたい、かように存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/215
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216・田中六助
○田中(六)委員長代理 塩川正十郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/216
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217・塩川正十郎
○塩川委員 たいへん時間がおそくなって恐縮でございますが、四つ、五つちょっとお聞きいたしたいと思いますので、簡単に返事をしていただきたいと思います。
いままで大蔵省なり中小企業庁がとってまいりました金融政策というのは、要するに金融の絶対量をふやそうということと、それから一件の貸し付け額をふやしていこうということで、これは確かに経済の成長に伴って企業の成長もあり、融資金額のそれなりの増しワク貸し付けということで効果はあると思うのです。ところで一方、金融の残高がふえていくに従って回転が非常に鈍ってきておるのです。つきましては、これはどちらのほうに聞くのがいいのか知りませんが、中小金融の資金の回転率が、中小金融機関を主といたしましてその実態が出てきておりますが、非常に落ちておる、これをもう少し回転をよくするということが、広範な金融、そしてタイムリーな金融ができる資金源を持つことにもなろうと思うのですが、いかがですか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/217
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218・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 お答えいたします。
資金の回転率というものはなかなか実態の実情がつかみにくいものでございます。私どもは、むしろ全体の金融引き締めをやっておりますと、たとえばだんだん手形のサイトが延びるとか、企業間の信用が延びるとかいうような現象があらわれてまいりますので、その点では回転率が悪くなるということになろうかと思いますけれども、実態がどのくらい落ちているかということにつきましては、手形のサイトの延び方とか企業間信用のあり方とかいうもので推しはかる以外には、なかなか的確な指標というものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/218
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219・塩川正十郎
○塩川委員 それでは債権ですが、岩瀬さん、分類債権の整理はどうですか。全然このごろ進んでいないんじゃないかな。それは土地の騰貴にささえられて、分類債権の整理というものを金融機関がみんな怠ってきておる。したがって、貸し付けたものが貸し付けたままでこげついておるものが非常に多い。けれども一方、金融機関にとっては何ら損が起こらない。それは土地が自然に高騰を来たしてくる。それにカバーされて、それに担保されていま貸し付けが残っておるのが非常に多い。一方、地価対策の面からいったって、担保の整理をするということが、要するに地価の高騰をささえておるその金融の根を切っていくことにもなるんだから、だからして、そういうものは積極的に進めることによって回転を早めることができるのだろうと思うのですが、金融機関の努力というものはどうだろうか。最近それをやっておるかどうか。あなたから一回実感としてお答え願いたいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/219
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220・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 金融機関が融資いたしております、たとえば不動産にいたしましても、あるいは金融機関の融資によって債券を買っておるとかいうような形のものがございましても、これは本来金融引き締めがきいてまいりますと、そういうものを売却する動きというのは当然出てくるはずでございます。したがいまして、金融機関の窓口における規制が進めば進むほど、企業において一番最初にあらわれてまいりますのは、法人でございますと、自分のところの資金を引き出すという形で資金の引き出しが行なわれます。次は、やはりそういう不動産等の処分という形で資金の回転が出てくる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/220
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221・塩川正十郎
○塩川委員 どうもピントがはずれておるじゃないか。分類債権の整理をやっておるかと聞いておるのだよ。やってないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/221
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222・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 わかりました。金融機関の検査の中における分類のことをおっしゃっていらっしゃるわけでございますね。これは検査のつど、われわれとしては金融機関の実態を把握しておりますので、分類は進んでおる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/222
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223・塩川正十郎
○塩川委員 岩瀬さん、これをもっと進めることによって、ほんとうに資金が十分回転をするのです。特に大企業、大口に貸しておるものの分類債権の整理が進んでおらぬ。都市銀行、地方銀行、こういうふうな金を掘り起こして、それを融資に回すという努力、これはぜひやってください。それが実は地価対策なんですよ。その点頭に入れて、ひとつよくやってください。
それから、これはどこの担当かわからないのだけれども、要するにサラリーマンローン、これに手形割引屋、質屋、こういうものの許可、認可はどこがやっておるのですか。これは免許ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/223
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224・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 お答えいたします。
サラリーマンローンは、これは貸金業ということで貸金業法に基づきます都道府県知事に対する届け出でございます。質屋につきましては質屋営業法というのがございまして、これは警察の取り締まりの管轄に入るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/224
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225・塩川正十郎
○塩川委員 これをつかんでいますか。岩瀬さん、これは純然たる知事の免許権というか認可権であるけれども、金融業として大蔵省で調査したことがありますか。実態をつかんだことがありますか。質屋はわりあいにつかんでいるけれども、割引屋だとかサラ金、これを調べたことがありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/225
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226・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 貸金業者に対する実態調査というのは、四十七年の三月、四十八年の三月の二回にわたって行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/226
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227・塩川正十郎
○塩川委員 それじゃサラ金屋は軒数でどのくらいあるのです。それと割引屋はどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/227
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228・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 サラ金というものの定義はたいへんむずかしゅうございますので、貸金業者ということでとらえてみました場合に、前回の四十七年三月の軒数では業者は九万七千三百四十九軒。それが四十八年の三月では十万五千五十軒、約七千軒くらいが休業というか、届け出をしておるけれども休業しておるというのがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/228
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229・塩川正十郎
○塩川委員 それは岩瀬さん、わからなかったらわからないで調べてください。ぼくも知らないのです。だから聞いているので、あなただってまだ十分つかんでおらないことがあると思ったら、ひとつ調べてもらったらいいと思うのです。
割引屋は確かに九万軒くらいあるらしい。割引残高といいますか、一年間の割引の取り扱い高、それと年度末くらいのある一定の時期の割引残高、これがわかるものがあればいいですし、なければ調べてもらってあとで報告してもらってもいいが、どのぐらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/229
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230・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 たいへん膨大な資料でございますし、これを一々読み上げますと時間がかかりますので簡単に言わしていただきますと、融資残高は、推定でございまするが、四十八年の三月で大体五千八百六十五億でございます。
ちなみに、これは御質問にございませんけれどもちょっと申し上げますと、全体の資金量、全国銀行から労金、相銀、信金、信組、貸金業まで入れまして、大体八十八兆一千五百二十五億というのが融資量でございます。そのうち貸金業に該当するものが四十八年の三月末では六千八百十八億でございます。全体から見まして約一・三二%くらいの量が貸金業者によって融資されておる、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/230
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231・塩川正十郎
○塩川委員 それは何かの団体が届け出た数字だろうと思うのです。そこで、これからでも一生懸命にひとつ実態調査をやってもらいたい。四十八年一月から十二月まで手形債権として銀行の手形交換所を回ってきた額は、小切手を除いて手形だけで大体三百十兆円です。そのうちに割引したと思われるものが、手形交換所等で推計いたしますと約六割、百八十兆。その割引したものの中で中小企業と思われるものが約二割、四十兆。そのうちのさらに二割、約七、八兆というものが貸金業者の手を通じて手形交換所で決済されておる。これは銀行界の一般の推計です。ですから、九万軒ある割引屋の取り扱い高は、年間約七、八兆になることはほぼ確実です。残高について五千幾らといっておりますけれども、それは手持ちの残高であって、割り引いて売っておるものがあります。それは残高として残っておらない。そう考えますと、庶民金融というのは、実は中小企業金融にたいへんなウエートを占めておる。この盲点に中小企業庁も大蔵省もスポットを当てて、この金融を国家の政策の中の一環として運用さすことを考えていかなければならぬと思うのですが、その前提は賛成できるかどうか、中小企業庁長官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/231
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232・外山弘
○外山政府委員 盲点を御指摘いただいたような感じがいたします。さっそく勉強したいと思いますけれども、十分その前提についての勉強の必要があるというふうに私は判断いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/232
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233・塩川正十郎
○塩川委員 大蔵省、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/233
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234・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 今後も引き続き努力をいたしますが、都道府県知事を通じての調査ということでございますので、私ども直接の調査に比べましてやや時間といろいろな問題もございますので、一生懸命努力はいたしてみますけれども、正確な数字をつかむにはなかなか困難な面もあるということはあらかじめ御了承いただきたいと思います。別に逃げておるわけではございません。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/234
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235・塩川正十郎
○塩川委員 これは単に都道府県知事の免許事業であるなどというような簡単なことで済ませられない状況になってきておる。これは政治とつながってきておるのです。そうして、この事実を一回見てごらんなさい。トラブルが起こってきておる件数が最近飛躍的に多くなってきておる。特にサラ金というようなああいう新しいスタイルの金融が流行してから、各所で家庭問題まで起こっておることも事実としてたくさん出てきておる。犯罪件数というか、それからトラブル、紛争件数というものは飛躍的に多いのです。これらが政府も何もしてくれない、法律がこれを保護してくれないということで、いわゆる不平、不満として出てくる。
ところでお聞きいたしますが、サラ金というサラリーマン金融、サラリーマンローンですが、よく立て看板が出ているでしょう。あれは何を担保にして貸しておると思いますか。研究したことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/235
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236・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 耳学問でございまして恐縮でございますが、月給を担保というような、要するに、その会社につとめているということを一つの信用として出しておるという場合が多いようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/236
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237・塩川正十郎
○塩川委員 そういう認識だからだめなんですよ。そういうのは三分の一くらいなんだ。というのは、借りるほうは、自分の月給を担保にいたしますというようなことを会社に言いません。そんな秘密のことを会社に堂々と言っていきません。それだったら会社で借ります。そうじゃない。クレジットカードがほとんどです。いいですか。クレジットカードは担保にとれるのかどうか、研究しましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/237
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238・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 不勉強でございますが、まだ勉強いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/238
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239・塩川正十郎
○塩川委員 これはひとつ研究して、クレジットカードは個人のプライバシーを守るものであり、しかも個人の非常な信用を担保としておって発行したものであるから、これを安易に金融のための担保に使うことの是非についてぜひ研究してもらいたい。これは制度的に禁止すべきだと思うのです。でないと、これを紛失した場合にも無断に使われるし、そういう危険性が多分にあるから、このクレジットカードについての法制的な問題はぜひ研究してもらいたい。これが担保となって、期日に返済されないとき、そのクレジットカードで品物を買って、ツケは所持している人に回って、その品物を処分することによって貸金を返済しておる、これが多いのですよ。ここにトラブルが起こってきておる。よろしいかな。しかも、その金額がかなり大きい額になってきておるから非常に問題が起こってきておる。これはぜひ研究しておいてもらいたい。これはサラリーマンローンといっておるけれども、実はサラリーマンじゃないところに問題がある。サラリーマンはそんなにたくさんカードを持っておりません。ほとんど自家営業のいわゆる零細企業者なんです。零細企業者がこれを使うんです。先ほど質問にございました特別小口金融融資、ああいう対象の人たちがこれを使うのです。
ところで、そういう特別小口金融を受ける方々の一件当たりの融資金額の必要額というものは大体どのくらいだろうか。経営改善資金の制度をつくるときに、あなた方が研究いたしましたね。これは中小企業庁ですか、一件大体七十何万円ですとか言っていましたが、ほんとうですか、どうですか。一ぺん確認のために聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/239
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240・外山弘
○外山政府委員 たしか五十六万円くらいだったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/240
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241・塩川正十郎
○塩川委員 そういたしますと、先ほど質問された方の御意見とこれと考えて、皆さん方のところで政策の問題もあろうと思う。一方においては、特別小口金融を引き上げろという問題がある。片一方において、あなたは五十何万円が平均だったとおっしゃる。この問題は、政策問題として私がとやかくいま申しませんが、考えていただきたい。まさにそのくらいの金額が一番困っておる。こういう人がいわゆるサラリーマンローンを使っておるという。だから、中小企業金融のときにこういう問題をきちっとしないで、銀行の融資がどうのこうの、これは恵まれた中小企業者なんですよ。そんなんじゃありません。もっともっとたくさんの人がそれすら利用できない安易な金融でやって、そしてトラブルを起こしておるという。だから、これを保護してやることをぜひひとつ考えてやってください。これは大蔵省の責任です。いいですね。
ところで、もう一つ割引屋というのがあります。これは大蔵省の税金の関係もあると思うので聞きたいと思うのだけれども、私もどうなっておるのか一回念のために聞いておきたいと思うのです。割引屋が手形を依頼人から割り引きますね。割った手形を今度売るのです。こういう事実を知っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/241
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242・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 知っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/242
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243・塩川正十郎
○塩川委員 聞いていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/243
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244・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/244
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245・塩川正十郎
○塩川委員 九万軒の割引屋のうち、あなたのおっしゃったように七万軒からいま営業しているらしい。これらは、自分の手持ち資金というものは限られたものです。割り引きします。割り引きしたものを売るのです。これは預金、貸金かの法律に抵触いたしませんから、銀行業務じゃない、売買ですから。そういたしますと、売買であるけれども、一定の金利というものを再割り引きした人は受け取りますね。これは税金がかかるのですか、かからないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/245
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246・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 主税局がおりませんので、一般的な知識として申し上げますが、所得の概念の中に入ってくるものであれば当然税金はかかるはずでございます。ただ、それが正確に捕捉できるかどうかということは別の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/246
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247・塩川正十郎
○塩川委員 おっしゃるとおり、捕捉できないから税金はかからないのです。いま土地でもうけた人は割引屋に金を回すのです。銀行に回さない。大体現在割引屋で手形を割引している平均レートなんかおそらく御存じないでしょう。だけれども、先ほど言ったように年間七、八兆。これは銀行協会が調べてそのくらいあるというのです。億じゃないですよ。七、八兆円からの金を割引して取り扱っておるということです。ことしになりましてから、これが非常にふえております。だから、割引屋はそういう遊休資金を集めるのに懸命の努力をしています。しかも、先ほど言ったように、割引つまり買い取って差額——これは金利です。それはわからない。だから自分の会社は、割引した会社は、経費として落とせる。それはなぜか。申し出の人に売ったんだから、申し出の人の調査は国税庁でやりなさい、こうなるわけです。
そうならばこの際に——これから質問なんですが、あなたにひとつぜひ考えてもらいたいと思うのは、もうはっきりと、そういう割引屋が割ったそのレート、お客さんに売ったレート、分離課税として取ったらどうでしょう。そうすればはっきりしてくるんだが、そういうことは考えられないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/247
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248・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 私のお答えの範囲を出ておろうかと思いますが、主税局に伝えまして研究をしてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/248
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249・塩川正十郎
○塩川委員 私は、前からもこういうことを何べんも実はお聞きしておるんだけれども、普通のいわゆるプライベートで聞いたんでは、いつまでたっても返事が来ないので、あえてこの委員会の場を借りてお聞きしておるので、私は初めから満足な答弁をもらえるとは思っていない。だけれども、これはひとつ研究して必ず返事をください。期待をしております。
そこで提案なんです。今度は中小企業庁と大蔵省銀行局、主税局、こういうところと相談していただいて、信用保証協会が手形を売ったらどうなんです。そして分離課税の制度ができたら、はっきりと手形を保証協会から再割りで買う。まあ百姓屋さんが買うといたしましょうか——としても、分離課税で根が切れておるから安心して買える。しかも、保証協会は資金が持てるものだから、相当数の割引ができるじゃないか。これは預金、貸金の業務に抵触しないのでしょう。そういうことを一回考えてみたらどうです。保証協会が現在保証いたします。その保証をもって銀行へ行って割引できる。割引手形のうち何割ぐらいこれをやっていると思う。とてもじゃない。いまの実情では、中小企業者、特に零細企業者が保証協会へ行って、この割引をしてくれといって保証をしてもらう手続なんて、とてもめんどうなものだし、額からいったってわずかなものです。しかも、銀行へ行きましたら、三割の歩積みだ、四割の歩積みだといわれておるから、けっこう高いものになってきておる。それだったら初めから保証協会——たとえばの話ですよ、三銭なら三銭だったら割ってあげます。これで割ってあげればいいじゃないか。そして保証協会もその資金を集めるために、今度二銭五厘で売ってあげますと売ったらいいじゃないの。そしてその二銭五厘の利息で買い取った人は、分離課税として利息の二割五分なら二割五分、三割でもいいから、分離課税で税金払いますとすれば、中小企業向けの資金が入ってくるんじゃないの。どうだろう。割引屋はそれをやっているんじゃないですか。その割引屋が高いものでやっているんじゃないの。しかも、割引屋に資金を回しておる人は、非常な不安を持ちながら、どうだろうかなと非常な不信感を持ちながらでも、そこへ金を回しておるということは、一つは自分の割り引いた金の金利が、税金でうまく隠れるということと、高率であるということでやっておるんじゃないのか。
そういう点を考えますと、私は、信用保証協会、公的な機関、公的な機関はそのぐらいなことをやってもかまわないのじゃないかと思うのだが、どうでしょう。これは研究してくれるだろうかどうか。そんなものは初めからあきまへんというのだったら、これはしようがないけどね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/249
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250・外山弘
○外山政府委員 まだ、いま伺ったばかりでございますので、十分的確な御返事はできませんが、もしも御指摘のようなことだとすると、割引業者の持つ不当なもうけを信用保証協会が正当につかんだらいいじゃないか、こういう御提案のようにもとれます。したがいまして、よく検討してみたい、検討に値する御議論ではないだろうか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/250
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251・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 よく研究いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/251
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252・塩川正十郎
○塩川委員 それでは、割引屋が再割引で売っておるこのやり方と、それから、保証協会がもしそれと同じような類似の行為をするとするならば、法律的にどういう制約があって、どういうところに問題点があるかということをあわせて返答をくれますか。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/252
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253・外山弘
○外山政府委員 もちろん法的な改正措置が要ると思います。信用保証協会の健全性ということが大事でございますが、反面、手形の中には融通手形のようなものも入ってくるようなことになると、これまた問題でございましょうし、その辺いろいろ実際にやるとなったら問題点が多いと思いますけれども、法的な面での改正がもちろん必要だろう、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/253
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254・塩川正十郎
○塩川委員 その不渡りを心配しておられることもわかるが、それでは中小企業庁にお伺いいたしたい。現在、全金融機関を通じて、中小企業者が割引をした手形の不渡り率は何%ぐらいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/254
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255・外山弘
○外山政府委員 承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/255
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256・塩川正十郎
○塩川委員 金融の実態をつかむといって、そういうこともつかんでないというのは、これは不勉強ですよ、ほんとのところいって。
それではお聞きしますが、中小企業金融の中で、手形貸し付け、担保のあります証書貸し付け、手形割引、この三つの大体分類によって銀行は貸し付けしておるのだ。どの貸し付けが一番多いと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/256
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257・田中六助
○田中(六)委員長代理 大蔵省はどうですか。——岩瀬審議官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/257
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258・岩瀬義郎
○岩瀬政府委員 いま資料をさがしておりますので、しばらくお待ちを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/258
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259・塩川正十郎
○塩川委員 あなた方、大体、手形を割り引くということが大きい金融だということを忘れてしまっているのじゃないかと思うので、これは私はあまり問いません。研究しておいてください。
割引手形の不渡り率は大体千分の六です。千分の六ぐらいです。そして割引屋が割り引いた中の不渡り率というのは大体千分の十、百分の一です。これは銀行協会が調べておる。ですから、外山さんが言うような、不渡り云々で、心配でと、そんな冗談なことを言っておったのではだめだ、こういうことです。
それでは、ひとつその点を提出してもらうことを約束をとりつけて、ちょうど三十分になりましたので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/259
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260・田中六助
○田中(六)委員長代理 割引手形のことについては十分御勉強願います。
次回は、来たる二十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X01819740320/260
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