1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月十日(水曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 濱野 清吾君
理事 稻村左近四郎君 理事 塩川正十郎君
理事 田中 六助君 理事 武藤 嘉文君
理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君
天野 公義君 稲村 利幸君
今井 勇君 浦野 幸男君
小川 平二君 越智 伊平君
粕谷 茂君 木部 佳昭君
小山 省二君 近藤 鉄雄君
塩崎 潤君 島村 一郎君
染谷 誠君 丹羽喬四郎君
橋口 隆君 八田 貞義君
松永 光君 保岡 興治君
岡田 哲児君 加藤 清政君
加藤 清二君 佐野 進君
渡辺 三郎君 野間 友一君
米原 昶君 近江巳記夫君
松尾 信人君 宮田 早苗君
出席国務大臣
通商産業大臣 中曽根康弘君
出席政府委員
環境庁水質保全
局長 森 整治君
通商産業政務次
官 森下 元晴君
通商産業省立地
公害局長 林 信太郎君
通商産業省機械
情報産業局長 齋藤 太一君
資源エネルギー
庁長官 山形 栄治君
中小企業庁次長 小山 実君
委員外の出席者
厚生省環境衛生
局食品衛生課長 三浦 大助君
厚生省環境衛生
局食品化学課長 宮沢 香君
農林省食品流通
局消費経済課長 堤 恒雄君
通商産業省機械
情報産業局計量
課長 姫野 瑛一君
工業技術院標準
部長 佐藤淳一郎君
資源エネルギー
庁長官官房鉱業
課長 斎藤 顕君
参 考 人
(金属鉱業事業
団理事長) 平塚 保明君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
越智 通雄君 保岡 興治君
橋口 隆君 今井 勇君
前田治一郎君 越智 伊平君
松永 光君 染谷 誠君
玉置 一徳君 神田 大作君
同日
辞任 補欠選任
今井 勇君 橋口 隆君
越智 伊平君 前田治一郎君
染谷 誠君 松永 光君
保岡 興治君 越智 通雄君
神田 大作君 玉置 一徳君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
計量法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
三号)(参議院送付)
金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/0
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001・濱野清吾
○濱野委員長 これより会議を開きます。
参議院から送付されました内閣提出計量法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がございますので、これを許します。佐野進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/1
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002・佐野進
○佐野(進)委員 計量法の一部を改正する法律案につきましては、すでに審議がだいぶ進んでおりますので、できるだけ重複を避けて質問したいと思います。あるいは重複している面もあるかもしれませんが、その点はひとつ適宜判断をして御答弁を願いたいと思います。
〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕
まず第一に、計量法の現状につきまして、現在までの法律改正の経過あるいは計量行政審議会における中間答申等々においていろいろな内容の改善等々が行なわれておるわけでございまするが、私はその中において、三点ばかり質問をしてみたいと思うわけであります。
その一つは、適正な計量取引の推進についてという中間答申が出されておるわけでありまするが、現在までの法律改正の経過と関連いたしまして、この適正な計量取引の推進についてというその中間答申の持つ意味が、今回の法律改正になってあらわれてきたと思うのでありまするが、私はいろいろな点から、この法律改正に至る経過の中で適正な計量取引の推進ということばの持つ意味が非常にまだ抽象的に取り扱われている、こういうように感ずる点が多々あるわけでございまするが、計量行政審議会における中間答申を踏まえて、との適正な計量取引の推進についてのこの項について法制化した経過の重点をひとつまず冒頭御説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/2
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003・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 昨年の八月から計量行政審議会に計量行政のあり方につきまして諮問いたしまして、そこの消費生活専門部会におきまして適正な計量取引の推進の問題につきまして検討を願ってきたわけでございますが、個々のいろいろな討議がございましたけれども、やはり最大の問題点は、いわゆるはかり売りをどういうふうに推進していくかという問題でございました。消費者が商品選択をしていきます上におきまして、そこの選択の基準といたしましてはかり売りが推進されることが消費者利益の保護になる、こういう観点におきまして、なるべく早くはかり売りを実施するように推進しなければならない、こういう議論が行なわれまして、特に消費者代表の側からはすみやかに体制整備をはかりまして、なるべく早く計量販売を実施すべきである、こういうことが強調されたわけでございます。ただ、小売り商の代表の側からは、趣旨としては望ましい方向であるといたしましても、計量販売を強制することは、商品によりましては、まだ計量販売に不向きなものもあるし、あるいはまだ熟していない、いわゆる規格化が進んでないような商品もございますし、はかりの整備その他体制の整備も進んでない面もあるし、あるいは小売り商の人手の問題、あるいはいろいろ計算が複雑になりますので、そういった面の労力なり費用なりの問題、こういうことも考えてみると、一律に直ちに規制を進めるということには非常に無理がある。そういう意味で、指導ということを加味しながら規制を進めていくようにすべきではないか、こういった御意見が出ました。特に生鮮食料品につきましては、鮮度の問題、それから産地による品質の違いの問題等もございまして、計量販売になじみにくい面もございますので慎重に対処すべきではないか、こういうふうな御意見がございまして、両者の意見を統合いたしたところで、今回の改正案におきましてはいわゆる訓示規定という形で、計量販売につとめなければならないという七十条の二という形で立法化をはかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/3
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004・佐野進
○佐野(進)委員 この改正法律案の提案理由の説明の中で、その要旨の第一として、いま申し上げました問題につきましてはこのように説明がされておるわけであります。その一番最後のほうに「特に政令で定める商品を容器、包装に密封して販売する者に対しては、その商品に正味量の表記を義務づけることとしております。」こういうように「義務づける」という形で提案理由の説明があり、法案の改正内容がそれぞれ指摘されておるわけであります。ところがいまのお話では、法律の内容については訓示規定である、訓示規定として七十条の二に入れるという説明がなされておるわけでありまするが、審議を進める冒頭、非常に重要なことでございますので、その点について、訓示規定なのか、政令において義務づけるということは単なる訓示規定としての意味でなくある強制力を持ったものとして考えられてくるわけでありまするが、この点の問題についてどのように考えておるか、聞いておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/4
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005・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 私の説明がやや不十分でございましたが、今回の改正は七十条の二と、それから七十五条とございます。七十条の二のほうは、一般的に小売り店で販売をします場合に、お客の目の前で目方をはかって売るようにつとめなければならないという意味での訓示規定でございます。それから七十五条の改正のほうは、政令で定める商品であって、それを容器に入れたりあるいは包装をいたしまして、いわゆる密封商品と私ども呼んでおりますけれども、この包装なり封紙を破かないと商品の内容が出てこない、こういうふうな商品でございまして政令で定めるものにつきまして建この法律が施行になりますと必ず内容量を表記することが義務づけられることになっております。つまり、一般的にお客の面前で商品の目方をはかって売る商品につきましては訓示規定を置きまして、目方売りをこれから行政指導で極力進めていく、それから密封した商品につきましては、そのうちの政令で定める商品につきましては内容量の表記を義務づける、こういうふうな二つの改正が今回の改正において行なわれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/5
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006・佐野進
○佐野(進)委員 いま局長の答弁にありましたとおり、計量行政審議会における中間答申の適正なる計量取引の推進ということの持つ意味は、七十条の二におけるところの訓示規定、七十五条におけるところの政令によって定める商品の義務づけ、こういうことになっておるわけでありまするが、この問題については参議院の審議の経過の中でもあまり深く触れられていないようでありますので、あとで十分審議をしてみたいと思うのであります。
そこで、今回法律改正をするにつきまして提案理由の説明の中で二つ目に述べられておりますことは、いわゆる環境計測の適正化という問題があるわけであります。この問題については参議院審議の中で十分審議がされておるようでございまして、私はあらためてこの点を深く審議するのはやめたいと思うのでございまするが、法律を改正するという重点にこの項があるわけでございますし、この環境計測の適正化ということが今日の時代の中においてきわめて重要な意味を持っているわけでございますので、あらためてその点について、今回改正をしたという趣旨について、全般的な意味においてひとつ御説明をお願いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/6
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007・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 公害問題がたいへん大きな社会問題になってまいりまして、その防止のために環境計測を適正に進めるということが今日非常に重要な問題となっております。
環境計測を適正にする方法といたしまして、一つはその計量器をきちんと検定をするという問題がございます、これは昭和四十七年の改正におきまして、公害計測器関係が検定の対象品目に加わってまいっております。
次に、計測の方法につきまして的確なる手段を確立するということが必要でございますが、これにつきましては、現在JIS化を進めていっておるところでございます。
次に、計測技術者の資質の向上、それから計測を行なう事業者につきまして、政府がもっと監督を加えまして正確な計量ができるような事業者を養成していく、こういう二つの面が現在のところ手薄のような印象があるわけでございます。したがいまして、まず環境計測を担当します技術者につきましては、高度な科学計測の知識や技能を有します技術者を確保するという観点で、いわゆる濃度計量士といったような制度を今回の法律の改正におきまして創設をすることとしたのでございます。
それから、最近非常にふえております民間の分析事業者の計測能力の向上と信頼性の確保という観点から、計量証明事業者の登録制度、これは従来からあった制度でございますが、その中に環境計測関係の計量証明事業者というものを登録制の対象に加えまして、府県知事の登録下に府県が監督をする、こういうふうにいたしまして、環境計測の適正化にさらに遺憾なきを期すようにいたしたいと考えたのが今回の改正の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/7
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008・佐野進
○佐野(進)委員 まあ計量法というのは専門的な分野にわたりまするから、質問をするについても各方面にわたってそれぞれ資料を調査し、あるいはその間における歴史的な経過というものも参考にしながら審議をしなきゃならぬわけでございますから、たいへん多方面にわたる問題について質問の焦点をしぼることもなかなかむずかしいわけであります。したがいまして、私も今時法律改正に対しましてどこに焦点をしぼって質問をし、今後の計量行政に誤りなきを期していくかということについていろいろ考えたのでありまするけれども、結論的に言うならば、計量行政審議会における中間答申、通産大臣が諮問いたしました事項を中心にして審議することが今日の状態において最も適切な方法ではないか、こう考えてそこに焦点をしぼることにいたしたわけでございます。
それにいたしましても、いま質問申し上げました原則的な面としての適正な計量取引の推進の問題にいたしましても、環境計測の適正化につきましても、すべて現在の情勢、それも現在の情勢のあとを追った形の中において法律改正をし、対処しよう、こういうような面では一定の評価は得られまするけれども、さていま起きつつある状況後の状態を予測しての計量行政ということになりますると、いろいろな障害なり、困難なりが発生いたしまするから、そのことが非常にむずかしい、こういうことになることも、この勉強の経過の中でよく理解されてきたわけであります。
そこで、先ほど申し上げましたとおり、環境計測の問題については、すでに多くの議論が行なわれておるようでございまするので、私は適正な計量取引の面に焦点をしぼって、これから質問をしてみたいと思うのであります。
そこで第一に、原則的な面における質問でございまするが、消費者行政における計量法、いわゆる消費者の利益を守るという意味における計量法というものの位置づけといいますか、いままでの経過の中における位置づけというものが、どのように発展し、どのようにあらねばならぬかということについて、局長から原則的な面、きわめて簡単でよろしゅうございますから、ひとつ見解を示していただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/8
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009・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 消費者の保護という観点ではいろいろな方策があろうかと存じますけれども、計量法から見ました場合の消費者の保護といたしましては、正確な計量を確保するということがその最大のポイントかと存じます。そのために、まず正確な計量器を供給をするためのメーカーの製造の登録制、計量器そのものの検定制度といったようなもの、あるいは町に、小売り店等で使われております計量器の定期的な検査を行なっておりますが、同時に、取引証明に使います計量の場合には、商品によりまして誤差を一定にきめておりまして、その誤差をこえた場合にはいろいろと罰則が適用になるようになっております。そういうことによりまして、消費者に、取引におきまして公正な形で行なわれる、こういう効果が期待できるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/9
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010・佐野進
○佐野(進)委員 それでは先ほどの話にもどりますが、消費者行政において計量法の持つ意味は、正確な計量器の供給、その計量器の検査、誤差によるところの限度をこえたものに対する罰則、こういうことになっておるわけでございまするが、今日のこの法律改正によりましても、第七十条の二を規定して、いわゆる訓示規定を設けた、こういうことが冒頭局長の答弁の中で明らかにされたわけでありまするが、そういたしますると、この訓示規定が効果をあらわすということの意味は、全くこれを取り扱う人たちの良識にかかっている、こういうこと以外にないわけであります。七十五条は別といたしまして、七十条の二はそういうことになるわけでございまするが、そういたしますると、これでは消費者行政の中において全く意味がないのではないか。では先ほど言いましたように、供給、検査、誤差による罰則、これらの面についての消費者行政に対して一定のメリットがないといった場合、どうしても消費者側からするところの強い要求、こういうものが出てくることが予想されるわけであります。先ほどの御説明では、審議会の経過の中でいろいろ意見があったので、調整してこのような訓示規定になったということで御説明があったわけでありまするが、そうすると、いまの御説明と私の見解を合わせますると、将来このような状況下で推移いたしますならば、勧告規定を加える、こういうような条件が当然あらわれてくるのではないか、そういうような条件というのは一体いついかなる状態の中で発生してくるのかという、この課題が当然現段階における行政当局の課題となっていなければならないと思うのであります。したがって、その点について勧告規定を加える構想があるのか、あるいはその構想が実現するというような状況は、いかなる条件が整ったときそういうようなことになるのか、この点についてひとつ見解を示していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/10
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011・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 計量法は正確な計量の確保ということを一つの目標といたしておりますが、そのために、いわゆる法定計量単位による販売を推進しておるわけでございますけれども、この現行法の中に、法定計量単位でする販売を推進する――訓示規定にいたしましても、根拠になる規定がどこにもなかったのでございますので、今回は七十条の二といたしまして、長さとか、質量、体積等、こういうものを計量して販売することが適する商品につきましては計量販売を進めるようにつとめなければならない、こういう規定を置くことによりまして、いわば目標を示したと申しますか、行政指導の強化の手がかりがこれによって与えられたというふうに考えておるわけでございます。この規定をもとにいたしまして、民間におきましては消費者団体が中心となりまして、量目明示の運動がさらに展開されることになろうかと存じます。またスーパー、百貨店等におきましては、最近こういった消費者の声にこたえて、はかり売りを普及しようという動きが非常に活発になってまいっております。私ども今回の改正を手がかりといたしまして、これから小売り業の業界に対しましても、いろいろ懇談会を開いたりいたしまして、このはかり売りを漸次普及するように努力をいたしてまいりたいと考えておりますが、まず何と申しましても、現実にいろいろ規格化が進む、あるいは小売り店にいろいろな電子ばかり等のはかりがだんだん普及してくるといったようなこと、その他小売り店にいろいろはかりの設備が整備されることが必要でございまして、そういった面の助成をいたしまして、そういったいわゆる実態が漸次前進するに応じまして、はかり売りの義務化なり、強制化という問題は、そういう時点でむしろ考えられるべき問題であろうというふうに考えるわけでございます。したがいまして、まず当面はこの訓示規定を手がかりに現実の事態が前進するようにいろいろ要請をし、指導あるいはPRを続けまして、現実の事態の前進と申しますか、環境の整備の度合いに応じて、こういった施策の成果を踏まえながら、この七十条の二の訓示規定を将来どういう方向に持っていくかは、そういった成果を見た上でさらに慎重に各方面の意見を聞きながら考えてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/11
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012・佐野進
○佐野(進)委員 いま法律の改正案を出しておる段階で、いつ、どうだということは言えないと思うのでありまするけれども、この点は一つの重要なポイントでありまするので、ひとつ心にとめて今後の行政に当っていただきたいと思います。
そこで、いま御答弁がありましたけれども、七十条の二に関連いたしまして、長さ、質量、体積をはかって販売する、こういうものについて訓示規定を設けた、こういうことになるわけでございまするが、長さ、質量、体積をはかって販売するのに適する商品はたいへんたくさんあると思うのであります。一体その対象としてはどの程度のものを想定しているのか、この際、これは外郭だけでもけっこうですからお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/12
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013・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 この計量販売に適する商品と申しますのは、計量が可能であることがまず前提になろうかと思います。それから購入者のほうが、主として量目に着目をして購入するような商品、それから社会通念上も計量販売が適当と思われるような商品というふうになりますが、具体的には、いろいろ商品の特殊性とか、あるいはその商品の品質が標準化が進んでおるかどうかとか、計量販売そのものが相当普及しておるかどうか、こういったことを総合的に考える必要があろうかと思うわけでございます。この七十条の二の適用につきましては、対象商品をたとえば指定をするといったようなことは考えておりませんので、現実に即して、要するにPRを進めていく、こういうふうなつもりでございます。一番問題になりますのは、やはり生鮮食品でございまして、これは品質が一律でないとか、鮮度の関係等もございますし、量目が時間によって変化をするといったような問題もございます。そういう意味で、生鮮食料品が一番実際にはむずかしかろうというふうに感じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/13
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014・佐野進
○佐野(進)委員 私もそういうように理解をいたしておりまして、これから質問をしてみたいと思っておったわけでございまするが、いわゆる食料品の中におきましても、加工食品と生鮮食品とはおのずとそこに差があらわれてくると思うのでありまするけれども、この生鮮食品と加工食品、あるいはその他の物品、そういうように、食品関係と食品以外のものとの分類等々、多方面に分類をされていくわけでございまするが、その順位を一体どういうぐあいに考えているのかということを実はお聞きしたかったわけです。たとえば食品関係は、消費者のサイドからするならば、八百屋さんで売っているもの、魚屋さんで売っているもの、あるいはその他お店屋さんで売っているものとかいう食品関係は、日常生活の中で最も密着した関係がありますから、非常に神経が敏感に反応すると思うのであります。しかし、他の一般消費者サイドにおける物品、長さ、質量、体積という表現の中で含まれるものになりますると、比較的鈍感といいまするか、そう神経を荒立てないで処置できると思うのであります。したがって、この計量行政を行なう際において、順位をもし定めるとするならば、どういうところにその順位の基準を置くのかということが一つの問題点になってこようと思うのであります。小売り段階における業者の反応ということは、野菜であるとか、魚であるとか、加工食品であるとか、そういうところに業者の反応があって、一般的な他の業界においては比較的反応がゆるやかではないか、こう考えてみたとき、その食品関係以外の業者に対する計量行政というものの指導が、この訓示規定という形の中においてはきわめて弱いのではないか、同時にまた、生鮮食品ないし加工食品関係においては、この及ぼす影響が非常にきびしく受け取られるのではないか、こういうような両面からこの改正案をながめることができると思うのであります。これらについて差をつけないのか、つけるのか、順序としては、どのような形の中でこれを行なわんとするのか、原則的な点でけっこうでございますから、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/14
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015・姫野瑛一
○姫野説明員 ただいまの佐野先生の御質問でございますが、私どもも、生鮮食品関係のはかり売りのむずかしさというものは十分認識しているところでございまして、加工食品のほうが、こういったはかり売りになじむものであるということもよく承知しておるつもりでございます。ただ、加工食品関係につきましては、どちらかといいますとすでに包装されておるというものが多いわけでございまして、それは七十条の二の問題でも確かにございますけれども、主として七十五条のほうの問題ではなかろうかというように考えておるわけでございます。したがいまして、私ども加工食品、生鮮食品のいずれにつきましても、はかり売りをできるだけ進めていきたいということにつきましては変わらないわけでございますが、そのむずかしさという観点からいたしますと、先生のおっしゃいますように、加工食品のほうが容易である。したがまして、どれから取りかかるかということになりますと、やはり当初は加工食品のほうからといったようなことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/15
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016・佐野進
○佐野(進)委員 なかなかむずかしい問題ですから明快な答弁はでき得ないと思うのでありますが、次に七十五条の問題に移りたいと思います。七十条の二と関連いたしてくるわけでございまするが、先ほど局長の答弁の中で、七十五条の問題についても若干の説明がございましたが、このことについて、いま一度ひとつお聞きをしておきたいと思うのであります。
まず第一に、どのような品物を予定しているのかということであります。これは政令で定める商品はということになっておりますので、その点についての問題点があろうかと思いますので、お聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/16
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017・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 七十五条によりまして、いわゆる密封商品として、内容量の表記を義務づける商品の選定の考え方でございますけれども、一つは、小売り段階におきまして、消費者が意識的に、無意識的に、量目につきまして一定のイメージを持って購入しておるような商品、そして密封して目方を表記して売ることに適する商品でございまして、日常ひんぱんにそういった取引が行なわれておるもの、それから量目表記がかなり普及しておりまして、むしろ無表記のほうが少ないような商品でございまして、しかもその量目の調節が販売技術の一つとして利用されやすいような商品、こういうものを選んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/17
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018・佐野進
○佐野(進)委員 いまのような御説明でありますると、結局包装食品と称するもの、これはすべていわゆるユニットプライシングされた品物でございまするから、結局店頭に展示をして販売をする、こういうような形になってまいりますると、いわゆる包装された全商品が対象になっていく、こういうように、将来政令が逐次あらゆる段階において指定品目を増加していくわけですから、そうしたときは、その指定品目の増加の度合いというものが非常に急激に進む場合もあるし、あるいはそれぞれの意見を聞くわけですから、停滞する場合もあるわけでございまするが、いま考えられている順位といいますか、そういうものがどういうような順位で政令で定めるようになるのかという点は原則的な問題ですから、ひとつこの際お聞かせを願いたいと思うのです。考えはあると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/18
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019・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 当面は、この量目の表記がかなり普及しております商品で、主としてメーカー段階で包装が行なわれる商品といったようなものから選んでまいりたいと考えておりますが、具体的の品目は、関係者と協議の上、さらに計量行政審議会にはかりまして決定をすることになりますけれども、たとえば加工食品といたしまして、ハム、ベーコン、バター、チーズ、即席めん類、それから化学調味料、砂糖、それから食品以外では、洗剤でございますとか、塗料でございますと一か、こういったものを当面の候補として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/19
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020・佐野進
○佐野(進)委員 そういたしますると、食品の中では、主として加工食品が対象になるというような御答弁でありますが、将来の問題としては、それぞれ逐次指定が進められていくような形になるわけでありますが、生鮮食品は、そうすると当面は考えていないのか。たとえば根菜類等はどういうように考えているのか、この際ひとつお聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/20
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021・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 これは密封してそれを破らないと中身が取り出せない商品という形で、内容量を表記して販売する形のものでございますので、主としてメーカー段階で包装する場合が多いかと存じます。もちろんスーパー等で、流通段階におきましても、最近包装するケースがふえてまいっておりますけれども、そういう場合でも当面は生鮮食品は簡易包装はございますけれども、いわゆる密封商品という形で生鮮食料品を売っておる例は、ただいまのところあまり見かけませんので、当面は生鮮食料品は、包装表記義務商品には考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/21
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022・佐野進
○佐野(進)委員 それでは加工食品に重点がしぼられてくるわけでございますけれども、加工食品の中におきましても、たとえばグレープフルーツのように、これは加工食品でなくして天然食品、いわゆるくだもの類になりまするが、これは一定の重さと大きさというようなのを表示して輸入されて販売される、こういうような品種としての一定のあれをきめて販売される、こういうような点等もあるわけでありますが、それらの問題に関連いたしまして、いままでの答弁に加えてひとつ質問をしてみたいと思うのであります。
メーカー段階において作成したものといたしましても、時間の経過の中で量の変化をするものがあるわけであります。いわゆるメーカーで包装いたしましたそのときの重さが、ある一定の時間を経過する中で食品である限りにおいては量が変化する場合がございます。いわゆるお客が買って、表示された品物と表示された内容とが、品物の目方が変化しておるような状況があるわけでございまするが、そういうような場合においてはどのような処置をするのか、政令として指定された品目であるとするならば、明らかに違反になりますね。こういうのはいまは加工食品だけでございますが、将来発展して生鮮食品になりますれば、そういうことは当然相当程度出てくるわけです。たとえば魚屋さんが現地で魚を包装して買ってきた。これが冷凍食品である。そして東京へ持ってきてそれが売られる。あけてみたところが、氷が解けて水になって、水が流れて品物だけ残ったら、えらい目減りをしておった。しかしこれは包装食品であります限りにおいては、それは表示して売らなければならない義務がございまするから、そこに当然差が出てくるわけです。ハムにおきましてもその他におきましても当然だと思うのでございまするが、こういう場合における措置はどのようにされるお考えであるのか、この際お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/22
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023・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 この内容量の表記を義務づけます商品につきましては、計量販売をする意思があるという場合には、いわゆる量目公差が適用になりまして、その公差以上の誤差がございますと罰則が適用になることになっております。ただ、その場合の量目の考え方でございますけれども、メーカーが計量して包装して販売をいたしました場合には、販売される段階での計量ではございませんで、メーカーがやりました計量時において誤差内に納まっておることということがこの計量法の誤差の適用の考え方でございます。したがいまして、正味量表記を義務づけました場合の取り締まりといたしましては、メーカーの立ち入り検査という形で計量が正確に行なわれておるかどうかを政府としては取り締まるということになるわけでございます。ただ、そうは申しましても、せっかく内容量が表記してありながら、時間の変化によりまして非常に目方が減ってきて、消費者の手に入るときには目方が相当減っているというようなことは、せっかくの内容量表記の趣旨にも反することになりますので、やはりそういうふうに経時変化によって質量が減少するような商品は、この内容量表記を義務づける商品としては不向きではないかというふうに考えるわけでございまして、そういう意味合いからは経時変化の少ないものをこの七十五条の対象として義務づけの商品としては選んでまいりたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/23
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024・佐野進
○佐野(進)委員 そうなりますると説明で大体わかってまいりましたけれども、加工食品が当面の対象となっていくであろうということでありまして、生鮮食品は将来の課題として残されていく、これについても慎重な配慮のもとに対処していきたいということでございますが、それでは一番問題になりますのは、お店等にあってお客が、はたしてこれはどれだけの目方があってどういうものであるかわからない。そういうものを現実に置かれてあるという形の中で甲の店で買って乙の店に行ったら、同じ品物が同じような状況の中でたいへん安かったということで、損をしたのじゃないかというような感じ等にもなってくる場合がたくさんあるわけでございまするが、そこで計量販売というような問題も出てくるわけでございますけれども、くだものであるとか、その他天然ものの姿売りといいますか、そのままで売るもの、あるいは一個、一枚で取引されているような商品、こういうものに対して七十条の二は訓示規定としてそれぞれそうしなければならないということになっておるわけでございまするけれども、今日これらのものにつきましても、いわゆる高級品等の場合はある程度包装して販売している場合等もあるわけでございますが、これらについてはどのような取り扱いをする考えであるか、この際ひとつお聞かせ願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/24
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025・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 生鮮食品等におきましても、その流通段階におきまして包装して販売するケースはございますが、たいがいはいわゆる簡易包装でございまして、包装紙の透き通ったようなものをただ上にかぶせたといったようなたぐいのものが多うございまして、七十五条でいっておりますいわゆる密封包装ではないものが多いように思います。そういう意味合いでは、七十五条の適用にならない分野かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/25
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026・佐野進
○佐野(進)委員 それでは次にお尋ねしたいと思うのでありまするが、法律が通ります。そうすると政令に基づいて規定されるわけであります。その規制される対象の範囲等につきましては、先ほどの答弁でそれぞれの段階を経てということでございまするが、この段階というものについては、こういうぐあいに理解していいものかどうか、この際明らかにしていただきたいと思うのであります。これは審議会の答申でも段階的といわれておるわけでございまするから、その審議会の答申を経た形の中で段階的に取り上げる、こういうような意味で解釈していいのかどうかということなんです。
その次に、環境の整備状況を見てということになっておるわけでございまするが、これは環境が整備されたその状況を見て、その範囲を逐次拡大していくというようにいっておるのかどうか、そう考えていいのかどうか。これはたいへん具体的な問題になってくるわけでございまするけれども、いわゆる環境の整備状況を見てということは、審議会の答申における段階的ということの意味と、さらに局長の答弁の審議会等の意見を聞きながらという、それらを包括した形の中でこれらを定めるということなのかどうか、この点、この際明らかにしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/26
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027・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 この法律は、附則によりますと、公布の日から一年以内で政令で定める日から施行することになっておりまして、一応一年の余裕があるわけでございます。その間におきまして、私どもといたしましては、この七十五条の対象商品を選びます基準をつくりますために、関係省庁と連携をいたしまして、まず指定基準をつくりたいと考えます。その上で、その指定基準に即しまして、当面どういうものを選ぶかの候補を選びまして計量行政審議会におはかりをするということで、第一回目の対象商品群がきまることになろうかと存じますが、その場合に指定基準として考えますのは、ある程度そういった正味量表記が普及しておる商品というのがやはり選定の場合の一番大事なポイントになるのではないかというふうに考えられます。
〔稻村(佐)委員長代理退席、武藤(嘉)委員長
代理着席〕
それから段階的にと答申にございますけれども、これは年をふるごとに環境が整備されていけば、逐次追加をしていくようにという趣旨であろうというふうに私どもは了解をいたしておるわけでございます。環境の整備状況を見てという答申は、これからはかりの普及とか、包装設備の導入等々の面におきまして、いろいろ助成をいたしまして、そういうものの普及をはかりたいと考えておりますが、そういったいろいろな設備の普及状況等を考えながら、そういった条件が熟したものから対象商品を選んでいく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/27
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028・佐野進
○佐野(進)委員 そこで、いま局長の答弁に関連いたしまして、中小企業庁と農林省の方に来ていただいておりますので、この際お伺いをしておきたいと思うのであります。
いままで質問を続けてまいりまして、私の質問している趣旨がどこにあるかということはよくおわかりになったと思うのであります。したがいまして、私のこれからお聞きすることは、生鮮食品あるいは加工食品を問わず、包装して販売する品物に対しては、七十五条によって一定のその基準に基づいて、これを対象として加えていく、それを段階的な措置の中において実現していくのだというようなことが明らかにされたわけであります。
そこで、最初に農林省にお尋ねをいたしたいのでございまするが、この包装して食品を販売するということは、当面メーカー段階における品物であるといわれておりまするが、実際上におきまして、スーパー等におきましては、すでにそのような措置において販売が行なわれている場合もございまするし、スーパー等でなくして、主要なる商店等におきましても、すでにそのような販売形態をもって販売が行なわれておりまするし、計量法の精神からいいますれば、先ほど局長の答弁の中でも、こういうことを逐次実施していきたいのだという大局的な立場に立った将来展望も明らかにされておるわけであります。したがって、このことは、結果的に大商店から中商店あるいは小商店という段階的差はあるといたしましても、一般的にこの方法が普及していく、またそれが計量法的なたてまえからすれば明らかだと思うのでありまするが、農林当局として消費経済の立場から、このような方向についてどのように把握せられ、どのように対処せられようとするのか、この際見解を明らかにしておいていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/28
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029・堤恒雄
○堤説明員 食品等についての計量取引の進め方について、通産当局のほうからいろいろ御説明がありまして、私どもも基本的に同じような考え方で取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。したがいまして、当面加工食品を中心に消費者保護の観点も含め、計量取引の推進をはかってまいりたいということで、すでに私どもが担当しております、たとえば農林物資規格法その他の法律に基づきまして、内容量の表示の義務づけ等を進めておるわけでございまして、今後もこういうかっこうで進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
それから加工食品につきましても、たとえばとうふとか納豆とか、かなり品質そのものがバラエティーに富んでおるものがあるわけでございまして、こういうものについては、品質の基準化ということが計量取引のまた前提の一つでもあろうかと思いますので、その辺も逐次進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
それから生鮮食料品については、先ほどから通産省のほうからお答えのように、当面はかなりむずかしいというふうな判断は同じでございますので、先ほど環境整備という問題がありましたけれども、私ども生鮮食料品の生産者なり流通業者を指導する立場から、先ほど通産のほうから御説明がありましたような環境整備、すなわち計量器の設置とかあるいは包装器の設置とか、こういうものを進めまして、計量取引を推進するということで指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/29
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030・佐野進
○佐野(進)委員 農林省にもう一問だけお尋ねします。
私はいろいろ研究してみたのですが、結果的に生鮮食料品、加工食料品もそうですけれども、特に生鮮食料品の場合、いわゆる包装等の経費を加えることによって消費者の利益に反する、利便に反するとまでは言えないが、利便に反する場合もあるわけですね。あまり入れものばかり大きくなって、結果的に中身が少なくて持ち運びが不便で、あとの処理が困るという場合もあるわけですし、だから画一的に包装食品必ずしもすべてが善であるということにはなかなか言い切れない面がたくさんあると思うのです。したがって、計量行政を通じて消費者行政を展開したいという意欲はわかるにしても、そのことの持つ意味が、逆に消費者行政、消費者の利益にマイナスの点が出てくる。いわゆる価格に転嫁する、あるいは処理に困る、こういうような点等もたくさんあるわけですね。たとえば卵にしても、山積みにして売っていた場合、あるいは一個一個とって売っていた場合は、包装費に金がかかりませんからその金だけは安くなるとか、あるいは持ち運びは簡単でありまするけれども、家に行ったあとにおける処理の問題がたいへんやっかいだ、したがって、計量して販売することが即消費者の利益に合致する、そういうことにしなければならないのだということのみには、農林行政の立場からあながち一がいに言い切れない面もあるのではないかというような気も私はするわけであります。しかし、いまここでその内容を詰める段階ではございませんので、ただ関係省庁と連絡をとって、環境整備が行なわれた段階の中で逐次処置をしていくのだ、こういうことでございまするし、これはあとでこれから中小企業庁のほうにもお尋ねいたしまするが、このための設備というか資金というものにたいへん金がかかるわけであります。したがって、こういう点について消費経済課の立場で一がいにこうだとは言い切れないと思うのでありまするが、今後の生鮮食品、加工食品を含めたこれら包装販売ということについて、やはり慎重な配慮が必要ではないかと思うのでありますが、この点についての見解をこの際ひとつお聞かせいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/30
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031・堤恒雄
○堤説明員 生鮮食料品の販売形態の問題については、佐野先生御指摘のとおりだと思いまして、現在姿売りとか一山売りとか行なわれておるのは、やはり一面消費者の利便あるいはコストの面、こういういろいろの理由があって存続しているというふうに理解しているわけでございます。したがいまして、先ほどから話が出ておりますように、私ども生鮮食料品の流通を担当している農林省として、一気にこれを計量取引に進めるということはなかなか困難なのではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ基本的に、先生も御承知のように、小売り段階その他で、人手不足その他が進行しておりまして、対面販売というものがなかなか困難になってきているという傾向にございますので、そういうことになりますと、勢いプレパッケージと申しますか、そういう方向にいかざるを得ないという点は趨勢であろうかと思います。したがいまして、この辺やはり小売り業者について、先ほど申し上げましたようないろいろな機械器具の手当等を、たとえば金融措置その他を考えまして、逐次そういう方向に持っていかせるということを含めて段階的に指導していくということではなかろうかと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/31
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032・佐野進
○佐野(進)委員 農林省の関係者は、よろしゅうございます。
中小企業庁に聞きたいのですが、いままでの質問の経過でおわかりのように、結果的に消費者に安心して品物を供給する、そして消費者が喜んでその品物を消費する、こういう形において計量法の改正の持つ意味はきわめて重要だと思うのです。したがって、その方向で努力をするということについては私も賛成でありまするが、しかし、いままで議論したように、これが画一的に行なわれる、あるいは段階的に行なわれる、そういうような差はございまするけれども、結果的にこの計量法の実施に伴って、対象業種になる方々は、一定の設備をしなければならない段階になるわけです。たとえば計量器にいたしましても、一台百三十万円程度のものを購入しなければならない。最も安いものでも七十万あるいは六十万というものを購入しなければ、この法律の趣旨に合った包装された品物を供給することができ得ない。したがって、現段階においては、いわゆるメーカー品等の品物に限られるという先ほどの答弁があったのでございまするが、現在の趨勢といたしましては、それがスーパー段階は当然でありまするが、小売り段階に至りますまで非常に指導が進んでおりまして、この購入について頭を痛めておる商店等もたくさんあるわけであります。私どもがこの計量法の審議をすることになりました際、そういう一般零細規模企業の方々から、計量法が実施されるとわれわれの店はたいへんだというような心配が出てきておるわけでありまするが、これらについて、先ほど局長の答弁の中でも、助成等の方策を講じてというような答弁がなされておるわけでございまするが、中小企業庁は関係省庁と相談してという中に含まれておりまするし、特に小規模零細段階における商店についてこの問題が非常に大きな意味づけを持ってくると思うのでございますが、どのような態度をもって対処せられようとするのか、この際その御見解を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/32
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033・小山実
○小山(実)政府委員 先生御指摘のとおり、中小商店にとりまして、今回の計量法の改正はいろいろ影響がございます。しかし、中小小売り業といえども、その社会的責任という点から新しく計量された商品を消費者に供給するという観点からは、大勢としてこういう方向へ向かわざるを得ないだろうというふうに考えておるわけでございますが、ただ御指摘のございましたように、中小小売り業と申しましても、いろいろその販売する品目によって実態も異なりますし、また、その資金の負担力についての問題もございますので、機械情報産業局とは十分相談をいたしまして、また関係業界の実態もよく調査をいたしました上で、逐次この段階的な適用に協力をしてまいりたい。
なお、一番問題になりますのは、中小小売り業における包装計量の機械化の問題でございまして、機械の導入につきましても、いろいろ資金が要ります。これにつきましては、もう先生御高承のとおりでございますが、従来から国民金融公庫に生鮮食料品小売業近代化貸付制度というのがございまして、いろいろな自動ばかりとか、自動包装機械等につきまして、特利による貸し付けを行ない、また中小企業近代化資金助成法によります設備貸与制度、これは都道府県に設備貸与機関を設けまして、それに国と県の無利子の金を四分の一ずつ、それから中小企業金融公庫からの特利の金を半分、この金を使いまして、一企業当たり八百万円以下の機械につきまして貸与を行なっておるわけでございますが、これにおきましても、小売り業につきましては、従業員五人以下という小規模小売り業につきまして、自動計量包装機械とか、自動計量値つけ器というようなものを対象にしておるわけでございますが、なおそれ以外に、生鮮食料品以外の一般小売り業につきましても、中小公庫なり国民金融公庫の貸し付け制度において、必要があれば、将来こういう近代的な計量機械の導入について適用ということも十分考えてまいる、こういうような方法によりまして、逐次計量法の新しい制度を受け入れる環境を整備するように努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/33
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034・佐野進
○佐野(進)委員 それでは時間がきたようでございますので、締めくくりの質問をしてみたいと思います。
齋藤局長に先ほど来質問をしてきておるわけでございますが、結果的に計量法の改正は、今日の情勢の中で、この中間答申にも盛られておるように、非常に重要な意味を持ち、かつわれわれとしても、この内容が消費者あるいは関係者の協力のもとに推進されることを望むわけでございます。
そこで、先ほど来答弁をお聞きしながら、あるいはまた、いまの中小企業庁次長の答弁にもありましたような形の中において、これを実施する段階において、都道府県段階における協力というものがいま非常に必要になってくるわけであります。そこで私も、どういうような協力団体が都道府県団体にあり、あるいはまた中央とどのように結びついておるかということについて調査をしたのでありまするが、結果的には、計量協会という社団法人が存在して、この全国的な業務の一端をになっている、こういうように理解したわけでございまするけれども、これらの事業を推進するについて、いま持つ計量協会の力量、そしてこれから果たさなければならぬ役割り、こういう部面からするときわめて弱いのではないかという印象を受けたのでございまするが、これらの計量行政を推進する上について、必要な措置というものを局長はどのように考えておるかをひとつお聞きしたいと思うのです。
最後に政務次官、先ほど来ずっと話を聞いて、たいへん退屈をしておったのじゃないかと思うのでございますけれども、しかし計量行政というものの持つ意味について、一応私の考えておる点も明らかになったと思うのでございますが、結果的に言うならば、消費者の利益を守り、かつ関係者の立場も十分尊重して、混乱なく誤りない行政を進めていく、そこに今日のこの改正案の提出された意味があろうと思うのでございます。私も消費者の方々の意見等々も聞き、かつ関係者の意見をそれぞれ聞いたわけでございまするけれども、相当心配している部面等もあるわけでございます。しかし、それらについては、先ほど来局長答弁の中で解消された部面も多々あるわけでございまするが、責任者として、政務次官のこれらの面についての見解をお聞きして質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/34
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035・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 小売り店も非常に多数ございますし、はかり売りの推進というのは、政府としましても、非常にPR活動が大切なことであろうというふうに考えております。その一環を先生の御指摘のように日本計量協会にお願いをしておるわけでございますが、この協会は、明治四十四年につくられました社団法人でございまして、従来から計量思想の啓蒙普及に幅広く活動いたしておりまして、特にメートル法切りかえの際に、たいへん活躍をしていただいたのでございます。現在も、消費生活におきます計量の適正化のために、計量教室というのを開催して、この啓蒙に四十六府県で年四回開きましてPRをしていただいておるという状況でございます。また、家庭用の計量器につきましても、巡回検査をいたしましたり、消費者向けのパンフレットをつくってこれをお配りしたり、その他幅広い活動をしていただいておりまして、政府としましても、この機関に競輪資金等で助成をいたしまして、さらにこの活動を活発にしていただきたいと考えておるわけでございます。また、また、通産省自身でも、全国に千二百名の計量モニターを置きまして、たとえば県がここに計量器をお貸ししまして、そのモニターが買ってきましたものをちゃんと目方どおりあるかどうかはかっていただいてそれを報告していただく、あるいは計量に関する苦情を出していただくようにお願いをしてございます。またパブリック・スケール・セールと申しまして、大きなデパートでございますとか、あるいはスーパーの出入り口等に、計量協会が管理して公の計量器を置いておりまして、お客は、店で買ったものをすぐその出入口でもう一ぺん自分でこの計器を使ってはかって、店のはかりが正確かどうかをお客として自分で確かめることができる、こういうふうなものを現在全国に二百六十台、そういった計量器を据えつけております。そのほか町に出回っておるものを買い取りまして、ほんとうに目盛りが狂っていなかったかどうかといったようなことをやりましたり、いろいろ映画をつくったりテレビ放送もやっておりますし、一日計量士というようなことで知事さん、あるいは市長さんにお願いするとか、いろいろ啓蒙活動をやっておりますけれども、幾らやりましてもこれは十分ということはございませんので、さらに力を入れてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/35
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036・森下元晴
○森下政府委員 品物の取引は非常に多種多様でございます。そういう中で、この民主的な、また自由的な経済は、消費者本位の、いわゆる選択取引でなくてはいけないということは、納得が私は一番必要である、納得の手段として、やはり計量または計測というものが行なわれるので、計測とか計量が目的ではないと思います。いわゆる納得、満足、それが消費者側からしてその手段として使われる、そういうことで今回の法改正につきましても、消費者の商品選択の合理化に資することにしておる、こういうことでございまして、画一的にこの法案ができたらすべての商品についてはかり売りをするのだというようなことはできないと思います。包装品等は、やはりこれはメーカーサイドで包装いたしますから、ちゃんと量目等を記入すべきであると、これはまあ強く指導する必要があると思います。ただ、生鮮食料品のようなものは目減りもいたしますし、午前と午後によってかなり価格も違うべきであるし、また一山売りのほうが消費者にとって便利でもある、こういう角度から、やはりこの計量行政審議会等の意見も十分聞きまして、弾力的に行なっていくべきであると思っております。
なお、環境計測の問題は新しく出てきた問題でございます。しかし、これは非常にまた一般商品の計量と違いまして、環境問題は大事な問題でございますし、特に証明については、この証明の正確度によって人間の命まで影響するような問題もございます。だから権威を持たせなくてはいけない。権威を持たすためには規制もしなければいけないと同時に、かなりの保護もしなければいけない。非常に多い現在の民間の計量測定事業者がありますけれども、ある程度規制をして、権威を持たして、絶対に測定については誤りがない、それを基準にして安心して生活できる、こういう権威あるものにしていくのがこの法案の要旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/36
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037・佐野進
○佐野(進)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/37
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038・武藤嘉文
○武藤(嘉)委員長代理 近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/38
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039・近江巳記夫
○近江委員 まず初めにお聞きしたいことは、昭和四十年に計量行政審議会におきまして、消費者行政の強化拡充ということにつきましての答申が出されたわけでありますが、それ以来、政府として計量取引の推進についてどういう検討をなさってこられたか、これをひとつ簡潔にお伺いしたいと思います。
それから次に、今回の改正にあたりまして、計量販売の実態調査や、消費者小売り店等に対するアンケート調査その他の調査を行なっておられると思うのでありますが、その結果につきまして簡潔にお伺いしたいと思います。
以上、二点お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/39
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040・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 昭和四十年の審議会の答申におきます消費者保護の観点からの計量法の改正問題につきましては、非常に幅広い答申をいただいておりますが、そのうち実施可能なものから逐次実施に移してまいっております。昭和四十一年度の改正におきまして、はかり売りをするものにつきましては、量目の明示につとめなければならないという義務規定を設けたのでございます。それから昭和四十七年の五月の改正におきまして、いわゆる家庭用計量器制度というものを導入いたしまして、寒暖計でございますとか、家庭用のヘルスメーターといったようなものは、取引用の証明用に使われておりませんので、従来は検定等もなかったのでございますけれども、これにつきまして技術上の基準を設けまして、メーカーは技術上の基準に合わせてつくらなければならない。そして商品には家庭用計量器である旨の表示をいたしまして、その表示のないものは販売業者は販売してはいけない、こういうふうな規制を加えたのでございます。これは四十七年の改正でございます。
さらに一番基本的な大きな問題は、はかり売りを義務づけろという点でございます。この点につきましては、今回の改正前の審議会におきましても非常に議論がございまして、消費者側からは、なるべくすみやかに、いわゆる法定計量単位による販売を義務づけるべきである、こういう主張がなされたわけでございますが、一面、小売り商側におきましては、商品の品質によっても、商品の特性によりましても、いろいろ問題があるし、また現在の人手不足の小売り業の状態、計量器の導入状況等々を考えて、現実に即して段階的に漸進的に進めるべきである、こういう意見がございまして、その意見等を参酌いたしまして、今回の改正におきましては、計量単位による販売につとめなければならないという訓示規定を置きましたのが一つと、それから包装、密封して販売される商品につきましては、その中の特定商品についてこの際内容量の表記を法律によって義務づけることにいたした次第でございます。
これまでの経緯と今回の改正点は、以上のようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/40
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041・近江巳記夫
○近江委員 計量の取引を普及させていくためには、販売業者に対して販売方法の合理化等につきまして強力な指導を行なう必要があると思うのですが、これを今後具体的にどういうように進めていかれるか。
それから、それに伴い、中小小売り業者等に対しては、経営の合理化あるいは設備の近代化等につきましても、やはり強力な指導あるいはまた援助が必要じゃないか、このように思うわけですが、この二点につきましてどのようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/41
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042・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 計量販売を推進するにつきましては、関係省庁、たとえば農林省等の関係省庁あるいは関係の民間団体と緊密な連絡をとりながら、小売り商業等の関係業界に与えます影響等につきましても十分配慮しつつ、まず実態調査を実施し、それから、これからの施策としましては、一つは品質の規格化を進めてまいりたい、いわゆる農林規格等によりまして規格化をさらに進める、それから最近出回っております電子はかりといったような非常に早く計量できます新しい計器類を極力小売り店等に導入していただく、そういう面についても助成を進めたい、また、一山売り等が従来行なわれております分野につきましても、極力はかり売りを進めるような商慣行をつくっていく、さらに計量思想の啓蒙普及につとめる、こういうふうなことを進めまして、計量販売の推進をはかってまいりたいと考えております。
それから販売業者に対する指導でございますけれども、小売り商業者等の流通業界の実態に十分配慮しながら地方公共団体が量目取り締まりをやっておりますので、その自治体を通じまして関係者に対して指導をしていただくということと、それから最近スーパー、百貨店を中心にしまして量目明示運動が活発になってまいっておりますので、これをさらに助長してまいりたい、また、この改正法が成立をいたしましたならば、すみやかにパンフレットをつくりましたり、説明会等を開催をいたしまして、今回の改正の趣旨、特に法定計量単位による販売につとめるということにつきましてPRを進めたいと考えますし、小売り商の関係業界団体等ともいろいろ懇談会を開いたりしまして、この趣旨をPRしてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/42
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043・近江巳記夫
○近江委員 小売り商も非常に膨大におるわけでありますし、これのきめこまかな助成あるいは徹底という点になりますと、こうやりたいと思っておっても効果というものはなかなかむずかしいわけですね。それはもう強力にやる必要があると思うのです。たとえばパンフレット等をつくって進めていくということをおっしゃっていますが、どのくらい予算を組んでいるのですか、これは何冊くらいつくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/43
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044・姫野瑛一
○姫野説明員 ただいまの、予算の金額としてはあまり十分ではないのでございますが、四十九年度に予定しております経費は五万五千円程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/44
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045・近江巳記夫
○近江委員 いま私言ったでしょう。答弁はかっこいいわけですよ。五万五千円でパンフレット何ぼできるのですか。どうやって指導を徹底し得るのですか。政府答弁にはこういう矛盾があるわけですよ。そのままで聞いておりますと――これは時間の関係で、あと聞きたいことが一ぱいあるわけですから、これだけにとるわけにいきませんけれども、いわゆるこういう実態なんですよ。政務次官、こういうことではPRできませんよ。局長さん、政務次官、一つの問題でも、これは全部に通ずる問題なんです。どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/45
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046・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 いろいろPR予算を組んでおりまして、まず全国で計量教室というものを開きまして、主婦を集めましてPRすることといたしておりますが、その関係が約五百四十万でございます。それから消費者向けのいろいろのパンフレット関係二百十万円、そのほかに計量モニターというものを全国に千二百名置いておりますが、これが百六十万、それからパブリックスケールと申しまして、各地に国の費用で計量器を置きまして、消費者が店から買ってきましたものを自由にもう一ぺん目方をはかってみる、こういうようなことができる仕組みをとっておりますが、この関係が約百三十万、それから商店の計量者を集めて研修をいたしておりますが、これの予算が三百七十万。それからユニットプライシングと申しまして、なるべく何グラム幾らというふうに単価と申しますか、目方単位当たりの価格を表示するようなことの普及をいたしておりますけれども、それの普及PRとして六百二十五万円等々、相当な額の予算を組みまして、PRにつとめるようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/46
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047・近江巳記夫
○近江委員 私はあとで消費者に対するPRの進め方についてどうかということを聞こうと思っているのですが、いま局長がお述べになったわけですね。そういうことをひっくるめていまおっしゃっているわけです。要するに、業者に対するパンフレットはどうか、五万五千円、だからそういうことでは、五万五千円のパンフレット代なんて、これは一カ所でやればしまいですよ。そういうふうに中身をもっと分析して――分析したところで、金のないところはしかたがないわけですよ。政府として少なくとも法改正をしてそれを徹底させなければ、法律だけ改正したってしかたがないわけですね。だから、もう一度よくこういう点について検討すべきですよ。政務次官、再検討をやるかどうか、ひとつお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/47
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048・森下元晴
○森下政府委員 計量行政につきましては、やはり売り手、買い手の納得の問題でございますし、特に売り手のほうにも十分PR費を予算に組みまして、いまお話しのように周知徹底をはかっていきたい。また消費者も同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/48
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049・近江巳記夫
○近江委員 それで、消費者に対するPR、いま局長が予算をお述べになったのですけれども、これだって少な過ぎますよ。一億一千万からおる日本の国民に対して二百十万であるとか、いろいろなことをおっしゃっていましたけれども、モニター等を含めましても少ないわけですよ。こういうところにこそ政府はもっと力を入れなければいかぬわけですよ。法律ばかり改正したって徹底したければ何にもならぬわけでしょう。局長、ひとつ消費者に対するそれについて今後どうしていきますか。これはこんな内容じゃできないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/49
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050・姫野瑛一
○姫野説明員 先ほど申し上げましたように、計量協会その他の各種の団体等もございます。そういうところに補助金を交付いたしましたり、国自身がPRをいたしましたり、各種のルートを通じましてPRを進めたいと考えております。その関係の予算は、たとえば全国で開きます計量教室が約七百万、それから商店の計量者を集めて行ないます研修費が三百七十万、それからユニットプライシングの普及費が六百二十万、計量モニターが百六十万、パブリックスケールが百三十万、試買テストに二百万、こういうふうにいろいろと多角的にPR活動をやるようにいたしておりますけれども、消費者の数も多うございますし、小売り店も数万ございますので、決してこれで十分ではございません。さらに予算の充実をはかりましてPRに遺憾なきを期したい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/50
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051・近江巳記夫
○近江委員 これはまあ台所の問題があろうかと思いますし、ひとつ特に強く要望しておきます。そうしないと、法律をつくったって徹底しなければ何にもならぬわけですね。これは強く要望しておきます。
その次にお伺いしたいのは、法七十五条におきます指定商品は、たとえばどういうものを予定されておられるか。それから、指定基準はどういうものであるか。生活必需物資ということが一つの基準になっておるのかどうか。この点につきましてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/51
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052・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 今度改正法の七十五条によりまして、密封商品で政令で指定をいたしました商品につきましては、内容量の表記を義務づけることにいたしたわけでございます。それのどういう商品を選定するかという基準でございますけれども、まずはかり売りに適する商品であることが必要でございます。同時に、小売り段階におきまして、消費者が意識的、無意識的に量目につきまして一定のイメージを持って購入しているような商品で、量目の表記がかなり普及をしておりまして無表記のもののほうが少ないような商品と、それから量目の調節をして目玉商品的に販売技術の一つとして利用されるおそれの大きいような商品、こういうものから指定をしてまいりたいというふうに考えております。
具体的な商品名で申し上げますと、これは予定でございまして、実際にはこれから関係省庁と相談をし、計量行政審議会におはかりをしまして最終的にはきまるわけでございますけれども、ハム、ベーコン、バター、チーズといった、あるいは即席めんといったような加工食品、それから洗剤、塗料といったような商品、化学調味料、砂糖、こういったものを当面考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/52
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053・近江巳記夫
○近江委員 大体生活必需物資ということで予定されておるようでございますし、それはけっこうだと思いますが、でき得る限りこれはやはり消費者の生活の面からよく考えていただいて拡大もしていただきたいと思うのです。
それから、この商品の指定にあたりましては、審議会で慎重な検討がなされると思うわけでありますが、通産省でも、この販売の実態の把握や消費者、販売業者の意見の聴取というものを十分行なう必要があると考えるわけでありますが、その体制は整っておるかどうか。それから販売形態の調査や消費者、小売り店の意見聴取はどういう方法で行なわれるのか。この二点につきましてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/53
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054・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 計量行政審議会におはかりいたしまして、そこで討議をしていただくわけでございますが、計量行政審議会の中に消費生活専門部会というものがございまして、この部会では、一つは消費者代表、一つは販売業者の代表が出ておられますので、両面から十分意見が聴取できるかと存じます。また一般の声等につきましては、アンケート調査等も実施をしまして、十分広く意見を伺いたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/54
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055・近江巳記夫
○近江委員 なぜ私がこれを申し上げたかと言いますと、審議会にそういう機関があるから審議会にまかせればいいのだということですが、それはお役所のいままでの行き方としてそういう形になることは往々にしてあるわけです。やはり政府はなまに意見を聞いていく、この努力を怠るところに変な法律をつくったり実情に合わないものができるわけです。ですから、やはり運用ということが一番大事なんですね。魂を入れることが大事なんです。それにはあなた方が実際に真実のそういう実態ということをよく把握しなければいかぬわけです。ですから、審議会ができているからという甘えた考えはいけませんよ。通産省みずからが努力していく、この姿勢が大事だと思うのです。今後そういうことをいたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/55
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056・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 昨年の十月に全国の一般消費者を対象に二千二百名からアンケート調査をいたしまして、計量法上の消費者保護に関しまして調査をしたわけでございますが、そこでは、たとえば一山売り、一皿売りといったような売り方は感心しない、よくないという答えが調査対象の七割から参っております。
それから包装された商品に内容量を表記すべきであるという内容量表記の必要性につきましては九八%の方が必要である、内容量の表記を義務づけることが必要である、こういう回答をいただいております。
なお、具体的な商品の選定等につきましても、さらにこういったアンケート調査を続けてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/56
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057・近江巳記夫
○近江委員 計量行政審議会の答申におきまして、「段階的に指定商品の範囲を拡大すること。」ということをうたってあるわけでありますが、どういう段階になりましたら追加指定が行なわれるものか、また、そのためにやらなければならない環境の整備というものはどういうものであるか、その具体的な方針をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/57
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058・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 いわゆる内容量の表記を義務づけます商品の選定の基準としまして、量目の表記が現実にかなり普及をいたしまして、無表記のほうがむしろ少ない、こういうような状態になったときに全体に対して義務づける、こういうふうなことが配慮される必要があろうかと存じますので、そういう意味で、現実の事態が進展する度合いに応じまして品目の追加をはかってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。そのための環境の整備といたしましては、なるべく量目表記が行なわれますように、そういったメーカーなり流通段階につきましてパッキング、自動包装機械の導入あるいは内容量を表記する自動ラベリングマシン、こういうものを導入するようにいろいろ指導をいたしまして、そういう設備類が普及するに応じまして品目をさらに追加をはかっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/58
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059・近江巳記夫
○近江委員 次にお聞きしたいのは、環境計測の適正化の問題でありますが、現在大気汚染あるいは水質汚濁等の公害関係法は、排出基準をオーバーして排出した場合に直罰の制度が導入されておるわけであります。この測定結果の正確さが強く要求されておるわけでありますが、公害の計測はごく微量の分析である上、現在のところ絶対的な測定方式というものが完全に確立されておるということは言いがたいと思うのです。したがって、計測手法の標準化を一そう促進しなければならぬと思うのです。公害物質につきましてはきわめて多種多様であるわけでありまして、すべてを網羅いたしますと数百種類に達するということが言われておるわけです。これらに対する測定機器の開発状況及びその標準化につきまして、どの程度進んでおるかということについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/59
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060・佐藤淳一郎
○佐藤説明員 日本工業規格の制定にあたりましては、ここ数年来、さらに今後におきましても、公害関係のJIS化に最大の力点を置いて進めてまいっておるわけでありますが、特にその計測用の機器の開発につきましては、その関連上われわれとしまして鋭意検討も進め、逐次開発を進め、あるいはJISの制定を進めてまいっておるわけであります。現在までに公害関係の問題といたしましては、まず公害の測定方法のJIS化を進めてまいっておりまして、これにつきましては大気汚染の関係あるいは水質汚濁の関係、両面につきまして、主要な物質につきましての測定方法についての制定は大部分見ておるわけでございますが、測定機器につきましてはむしろこれからの課題でございまして、いままで開発いたしましてさらに制定いたしておりますのは、ディーゼル自動車の排気の関係の制定を実績として持っておりますが、さらに四十九年度中に大気関係の連続分析機器の制定を予定いたしております。
〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕
これは総合管理システムの必要性が一段と高まってまいりまして、常時監視体制を進めるということからこの制定の必要性が出てまいっておるわけでございまして、まあ二酸化硫黄の問題、あるいはNOx等の主要な大気関係の有害物質についての連続測定機器の開発、制定を四十九年度に進めておりまして、さらに五十年度以降におきましても、大気中の主要な有害物質についての連続測定機器の制定を逐次進めてまいる考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/60
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061・近江巳記夫
○近江委員 測定方法のJIS化を進めておるが、しかしまだ全部はできていないわけでしょう、いまおっしゃったように大部分は完成しておるということでありますが。こういうような問題であるとか、測定機器のそういう開発問題、技術問題というものにつきましてはとにかく非常にむずかしい問題もあるわけでありますが、こういう目に見えないところに力を入れなければいかぬわけですよ。そうでしょう。方法であるとか、そういうことばかりよりも――それも大事ですが、機器の開発とか、そういうところに全力をあげなければいかぬわけです。ところが、そういう点が政府は非常に手ぬるいわけです。だから、肝心のところをゆるくするということはよくないと思うのですね。やっていないとは言いませんけれども、もっと力を入れてもらいたい。――それじゃ局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/61
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062・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 公害計測器でございますけれども、現在環境基準に指定されております物質についての計測器につきましては、おおむね実用化される機器が出ておりますけれども、対象物質によりましては、非常な微少測定ということ、あるいは連続測定という面になりますとまだしもという感の機種もあるわけでございます。そこで、公害関係計測器の開発を急ぎますために特定電子工業及び特定機械工業振興臨時措置法という法律がございますが、これに公害関係の計測器というものを試験研究機種として指定をいたしまして、幾つかの目標を定めまして目標年度までにこれを完成するということで業界に指針を与えまして、同時に研究補助金を相当額交付をいたしまして現在開発中でございます。
たとえば一、二の例を申し上げますと、測定の感度が百万分の〇・一以下のオキシダント計測器で連続計測ができるもの、それからレーザー光線を用いました大気汚染物質の広域連続監視装置で一キロメートルまでで百万分の〇・一以下の精度が出るものといったようなものを幾つかこの目標として機電法の対象に掲げまして、現在開発に国の補助金を交付しましてやらしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/62
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063・近江巳記夫
○近江委員 いま申し上げた連続分析機器あるいは総合監視システムですね、こういうものの開発普及ということについてはやはり全力をあげなければいかぬと思うのです。それにつきましても、測定方法や機器の構造、性能等の標準化等をやはりすみやかに確立しなければいかぬと思うのです。ですから、努力していることはわかるわけですが、一段とこういうところに力を入れてもらいたい、これを強く要望しておきます。
それから次にお聞きしたいのは、今回のこの制度の改正によりまして、計量証明事業者のレベルはほんとうにアップすると考えておられるかどうか、また、この法改正と並行してレベルアップをはかるためにどういうような指導をしていくのか、これにつきまして考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/63
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064・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 現在公害計測関係の業者につきましては、法律的な規制が全くなくて野放しの状態になっておるわけでございます。今回の改正法におきまして、こういうもののレベルアップと信頼性を確保するという観点から登録制をしくことにいたしたわけでございます。
登録の基準といたしましては、その行ないます事業に応じまして必要な計量器を備えておること、それから店舗があること、それから計量士なり国家試験に受かりました公害計測関係の計量士あるいはこれに準ずるような人がおること、こういうふうな基準を設けておりますので、それに合致しない業者につきましては、合致するようにいろいろと努力をしないと登録が受けられないわけでございます。そういう意味で、少なくとも登録の基準に合致すべく現在の事業者が努力をし、その場合に、たとえば従業員につきましていろいろ研修を行ないますとか、あるいは所要の計量器をさらに購入をいたしますとか、こういうことによりましてレベルアップがはかられていくんじゃないかというふうに考えます。また、登録後におきましては府県知事が常時立ち入り検査、報告等を受けまして監督をするということになりますので、そういう面からも信頼性の確保ということが現在以上に確保しやすくなるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/64
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065・近江巳記夫
○近江委員 科学技術特別委員会等でも非常に問題にしてきました日本分析化学の問題があるわけですね。あれだけの財団法人で政府の監督が一番行き届いているところでもああいうようなでたらめをやるわけですよ。だから、これは政府がこういう形でやらしていくわけですが、インチキなことになってきたらたいへんなことになるのですよ。逆にえらいことになる。ですから、これはあなた方の責任ですよ。ですから、そういう点につきまして厳重な監督をしなければいかぬ。この登録を受けた計量証明事業者に対する国や地方公共団体の監視体制の強化ということが、また指導ということが非常に大事な問題になってくる、これについてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/65
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066・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 計量証明事業者につきましては、今回の改正におきまして、従来なかった点でございますけれども、それぞれ事業規程というものを知事に届け出させることになっております。この事業規程の中におきまして、持っております計量器の内容、それからそれの保管、整備に関する事項、それから計量証明を行ないますための実施体制、人員、組織、計量のやり方、それから記録の保存の方法と事業活動の区域等々を書かせまして提出をさせまして、これに基づきまして知事が監督をする、こういうことになります。また、持っております計量器は年一回府県知事の検査を受けることになっております。さらに、この事業活動の状況につきまして常時必要に応じまして立ち入り検査を行ないますし、また報告の徴収も行なう、こういう形をとっておりまして、従来の野放しの場合と違いまして、今後は、登録後は府県知事によるこういった監督によりまして的確な計量の実施という面についてさらに遺憾なきを期してまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/66
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067・近江巳記夫
○近江委員 それで、全国にたいへんな業者がまたできるわけですね。これは全部通産省の、特に局長のところに集中するのですよ。私たちもこの実態はきびしく調査していきますし、チェックしていきます。でたらめがどんどん出てきたらえらいことになりますよ。それだけ腹をくくってやらないとたいへんなことになりますよ。それだけ申し上げておきます。
それから、環境計量証明事業者が近年非常に急激に増加しておるわけですが、その実態を把握されておりますか。四十九年度中に環境計量登録証明事業者はどの程度になると予想されておられますか。この二点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/67
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068・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 現在民間で公害計測業を業として営んでおりますものは三百社あるいは四百社ともいわれております。ことしの一月に一応私ども実態調査を総合的にいたしたのでございますが、百八十七社から回答がございました。それによりますと、一言で申しますとわりに零細なものが多いようでございます。
まず、事業の開始年度は、その回答者の七二%以上が四十六年以降でございまして、最近に開業したものが多いというのが特徴でございます。資本金で見ますと、一千万円以下のものが全体の八割をこえております。所属しております技術者の数は、約半分のものが十五名以下といったような状態でございます。また設備につきましては、非常に大きな業者と小さな業者とで落差が著しいようでございますが、平均いたしますと大体一千万円ぐらいの投資をいたしております。ただ、最近の新しい仕事でございますので、業務の実績は年を追うごとに急激にふえてまいっておりまして、四十六年に対して四十七年は五倍から六倍ぐらい、いわゆる水揚げ高が増加をいたしておりまして、四十八年度の総体の手数料収入と申しますか、委託料収入が五十一億円でございまして、一事業者平均約三千万円ぐらいの年間水揚げになっております。
それで、これが今度登録制をしきました場合にどれぐらい登録を受けることになるかという点でございますけれども、登録要件の、どういった計量機器を持っていなければならないとかいったような細目は、これから審議会等にはかりましてきめるつもりでございまして、本法の施行が一年以内ということになっております。また、経過規定によりまして、施行後も一年間は登録を受けないでも従来のまま事業ができることになっておりますので、猶予期間が現在時点から考えますと約二年あるわけでございますが、その間に登録基準に合致しないような業者につきましては、設備の増強あるいは従業員の研修等を行ないまして、現在営んでおります事業者につきましては、なるべくこの二年間の間に登録が受けられるように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/68
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069・近江巳記夫
○近江委員 こういう業務ということは非常にむずかしいわけですね。自分が委託を受けて調査する、悪い計数が出てくるとこれまた問題になってくる。やはり日本分析化学の問題もそういうような相関関係が一つはあったわけですよ。だから、ましてや基盤が浅いというようなところになってくると、そういう心配が非常にあるわけです。ですから、これはもう非常にそういうような心配のある中で仕事を進めていくことになるわけです。ですから、この点はわれわれとしてもこれからきびしくチェックしていきますよ。政府もよほど腹を据えてやらないと、第二、第三、続々と出てきますよ。これはそんな安易な気持ちでそういう取り組みをやってもらうと困るのです。これは特に申し上げておきます。
それから環境計量士の国家試験のレベルはどの程度になるか、また合格者が登録を受けるのにどの程度の実務経験が必要か、四十九年度中に何人ぐらいの環境計量士が誕生すると予想されておられますか、以上の点についてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/69
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070・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 濃度計量士の、これは仮称でございますが、国家試験は、本法が公布になりましたらなるべく早く実施をいたしたいと考えておりますが、その試験の合格のレベルでございますけれども、大体私ども一応考えております線は、理科系統の大学を卒業いたしまして、分析技術の実務に一年以上ぐらい従事した人が持っておるであろう化学の知識、化学の計測技術といったような程度のものを予定をいたしておりますので、水準としてはかなり高いものを考えております。
どれぐらい試験を受けて、どれぐらい合格するかというお話でございますが、これは見通しでございますのでなかなかむずかしいのでございますけれども、一応二千五百人ぐらいは受験生があるのではなかろうかというふうに考えております。計量士になりますには、この国家試験に合格をいたしましたあと、さらに省令で定める要件を満たすことが必要でございまして、今回は実務経験と申しますよりも、一定の講習を終了するということを条件に計量士としての資格を与えるというふうにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/70
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071・近江巳記夫
○近江委員 やはり受験する人の立場からいけば、何とか通りたい、それはわかるわけですが、やはりこういう基礎の計測ですから、これは一番信頼されなければならぬわけですよ。だから粗製乱造にならぬように、政府としてはこれはシビアにやってもらいたいと思うのです。時代の要請もあるし、非常にむずかしい問題でありますけれども、非常に大事ですよ。これだけを申し上げておきます。
それから、計量法体系の整備につきまして、計量法を消費者保護法とする観点から言いますと、この計量法の体系の中に計量単位関係が組み込まれておるわけでありますが、一般消費者にとりましてもこれはきわめて複雑かつ難解である、そういう難点があるわけでありますが、またこの専門の学会にとりましても、計量単位の設定というものが計量法の中に入っていることは、法手続上の手間がかかる等のデメリットという問題もあるわけです。この辺の法体系等の整備につきましていろいろお考えがあろうかと思うのですが、どういうようにお考えになっておられるか、その点について簡潔にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/71
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072・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 計量単位の統一をはかりますことは、適正な計量の実施という上では必須の条件でございます。そういう見地から、現行計量法におきましては、第十条で、法定計量単位というものは、取引上、証明上の場合にはこの使用を強制をいたしておりまして、その違反者に対しては罰則をもって臨んでおります。したがいまして、この単位をあらかじめ法律で明確に規定をしておくということは、この罰則との関係からも必要であろうというふうに考えられるわけでございまして、そういう意味で現行法のような体系をとっておるわけでございます。
ただ、御指摘のように、単位の定義が非常に専門的、また学術的でございまして、その詳細な部分まで法律事項としてきめる必要があるかどうかという点につきましては意見の分かれるところでございまして、またあまり取引証明に使われないで、もっぱら学術研究だけに使われるような計量単位も相当含まれておりますので、基本的な計量単位だけを計量法にきめまして、その他は政省令に譲ったらどうか、こういう意見もございます。こういった点につきましては、現在、計量行政審議会で昨年の八月から二年間の日程をもちまして、基本的な見直しの検討を現在進めておるところでございますので、そういった審議会におきまして、十分関係各方面の意見を聞きまして検討をなお続けてまいりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/72
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073・近江巳記夫
○近江委員 いま申し上げた理由から、前回の改正のときに、この当委員会におきます審議で、法体系の整備につきましてわれわれは指摘をしたわけでありますが、審議会ではこれについてどういうような議論が出ておるか、また政府としてはこれにどのように取っ組んでいかれるのか、この辺につきましてもう少しお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/73
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074・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 やはり審議会におきましては、慎重論とそれから簡素化論とございます。慎重論は、ただいま申しましたように法定計量単位ということで使用を強制をし、これ以外の計量単位を用いました場合には罰則がかかる、こういうふうな内容の計量単位でございますだけに、罪刑法定主義の立場から、ちゃんと法定計量単位というものは法律に規定すべきである、こういう意味で、これを政省令にゆだねるということは非常に問題がある、こういう御意見でございます。しかし、そうは申しましても非常に専門的、学術的過ぎるような単位もございますので、基本単位だけ法律で書いて、それからの誘導単位その他あまり使われないような単位は政省令に譲ったらどうかというような簡素化論もございまして、そこら辺、意見がまだ一本にまとまっていない状態でございまして、これから十分この審議会で時間をかけまして検討をお願いいたしたいというふうに私ども考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/74
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075・近江巳記夫
○近江委員 それで、時間の都合で、最後に森下次官にお伺いしたいと思いますが、政府あるいは地方公共団体におきます環境計測の実施体制の強化、これは非常に大事な問題であります。それとやはり公開の原則ということは、これはどうしても守らなければならぬ問題であります。今後こういう点を特にさせなければいかぬと思うのです。それから計量証明事業者による環境の計測が常にあやまちのないように行なわれるように、またその事業活動に対する政府及び地方公共団体の指導、助成、監督体制の強化、これは非常に大事なことになってきます。ほんとうですよ。これからこういう問題はどんどん出てきますよ。これは御注意申し上げておきますが、これの指導とか監督をなおざりにしますとえらい問題になります。それから環境計測に関する技術の向上をはかるために計測器の検定、計測諸表の標準化、技術者の研修等をさらに強化しなければいかぬと思いますし、計量士の資格、資質及び地位の向上等についてやはり配慮する必要があると思うのです。こういう点をまとめまして、最後に次官の強い決意またお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/75
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076・森下元晴
○森下政府委員 計量、計測はいわゆる安全の問題、また公正な取引の問題上非常に重要な問題でもございます。特に消費者保護、また特に環境計測におきましてはこれは絶対的な権威ある機関として存在すべきである。特に地方の公共機関に対しまして十分助成もしたり、また技術的な指導もして、そして権威を持たしめてこの行政の遺憾なきを期していきたい、このように思っておりますし、また、この計測士にしても同じように非常に権威ある存在でなくてはいけない。一つの公正なアンパイアでなくてはいけない。この資料によって国民生活の基準まで立つわけでございますから、慎重に、特にこのデータ等は公開の原則を専重していきたい、そういう所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/76
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077・近江巳記夫
○近江委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/77
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078・濱野清吾
○濱野委員長 中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/78
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079・中村重光
○中村(重)委員 齋藤局長に考え方をただしますが、同僚諸君の質疑に対する答弁等を伺っておりまして、私が率直に感じることは、消費者保護ということで何かやらなければならない、そういうことで審議会に諮問をして答申がきた、それで今回の改正案になったということのようですが、この法律改正案の内容そのものは問題はないと思います。しかし、この改正案に基づいて行政運営が十分やれるのかどうかということになってくると非常な不安が私はあるように感じるわけです。ただいまの近江委員の指摘、全く私もそのとおり感じているわけです。
そこで、この改正に基づいて国や地方公共団体が監視体制をどう強化をしていくのかということですね。その点に対しての確信はいかがですか。ただ文字に監視体制を強化すると書くことは簡単なんだ。しかし、実態がそれに伴っていくかどうかということです。その点に対する考え方というものは具体的にどういうものがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/79
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080・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 計量証明事業者、公害計測の計量証明事業者の登録は、府県知事に登録をすることになります。府県の現在の計量関係の取り締まりの要員は県が約千名、地方の市が、政令市でございますけれども約五百名、千五百名で計量行政を自治体は担当いたしております。大体三百社ないし四百社といわれておりますので、一府県当たり、これは平均にまいりませんけれども、大体十社ずつくらい、実際には都会地の府県にわりに集中するだろうと思います。そういうことになりますけれども、それにつきましては、ただいまの千名の職員の中の方が特にまた計量証明事業者の監督に当たっていくわけでございますけれども、これにつきましては非常に公害計測というのはむずかしい分野でございますので、府県の職員が十分取り締まりができますように、特に計量教習所に昨年から公害計測関係の特別の研修のコースを設けまして、昨年約七十名府県の職員の研修をいたしました。ことしも一応八十名研修をいたす予定にいたしておりまして、そういうことによりまして特別研修を受けさせまして、こういった公害計測関係の計量事業者の監督に当たらせたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/80
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081・中村重光
○中村(重)委員 地方自治体に権限を委譲していく、国も地方自治体も消費者保護ということについて十分な関心を持って対処していくということは私はけっこうなことだと思うのです。地方自治体が主としてこれを担当するということになってまいりましても、いまあなたから、千名の人員をもって監視体制を強化としていくのだ、研修等もやったんだというお話があるんですね。ところが、専門の監視員というのは実際いないのですね。ほとんど兼任でやっている。固有の事務ですから十分手が届かない。ましてや兼務でやるような仕事ということになってまいりますと、ただ形式だけで実態は伴っていかないということになる。今回の改正というものは相当重要な内容を実は持っているわけだが、したがってその監視体制について機構をどうするのか、陣容を特にどういうような配置をやるのか、それに対しては国は財政援助というものをどういう形でやるのかといったようなことについても十分これをこなしておかなければ、これはただ形式だけが整って実態が伴っていない、こういうことに終わるのではないか。それから出てくる弊害というものが私は心配になるわけなんです。その点に対してはどのように具体的にこなしているんですか、財政問題を含めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/81
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082・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 ただいまの千名と申しますのは、計量関係の専任の取り締まりをする職員でございます。このほかに、府県には公害関係の取り締まりの職員が四千五百名ばかりおりまして、その中で専任でやっておりますのが三千六百名おります。もし公害計測関係の手不足の場合には、こういった公害防止そのものの担当の職員、部局にも応援を頼むといたしまして、公害計測関係の取り締まりに万全を期すように当面はいたしまして、さらにこの関係の人員を増員をしていただくように府県に十分私どものほうから協力方をお願いをいたしたいと考えております。
それから予算面でございますけれども、計量取り締まり関係の予算は年々金額としては非常にふえてまいっておりまして、四十九年度が約八億五千七百万円計上されておりまして、昭和四十年が三億円でございましたので約二・五倍ぐらいにふえております。計量関係の取り締まりの予算は、明治以来度量衡法によりまして府県にゆだねられておったという関係もございまして、たてまえとしてこういった計量器の検定手数料、それからあとは地方交付税等でまかなうということになっておりまして、特別に通産省等から府県に補助金を出すといったようなことは従来やっておりません。現在、当面もそういう従来のやり方でこなしていけるのではないかと考えておりますけれども、なおその内容等、今後の推移を見まして不十分であれば対策を検討いたしたいというふうに考えます。
それから実際の公害の計測事業者につきましては、四十八年度におきまして競輪から四億六千八百万円の補助金を交付いたしまして公害計測関係の機器の整備をはからせております。これは今後もさらに続けてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/82
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083・中村重光
○中村(重)委員 特に私が監視体制を拡充して取り組まなければならないと考えるのは、いまあなたがお答えになった、この公害計測、すなわち環境計測を行なう計量事業というのを今度は登録制にしたわけですね。問題は、その登録を受けた後にきびしい監視体制を続けていくということが私は非常に重要だと思うのです。もし濃度測定等で重大なあやまちをやったということになってまいりますと、大きな社会問題を引き起こすことになってくると私は思う。この点はよほどその人的、いわゆる技術者というものを配置していかなければならないし、設備の問題についても十分な完全な設備というものを整えていくということでなければならない、また監視する者を監視するというようなことも必要になってくると私は思う。そのことに対して特に留意しなければならないと思うんだけれども、その点に対する考え方はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/83
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084・齋藤太一
○齋藤(太)政府委員 現在野放しでございますのが、今回登録制をしくことになりますと実態がまず明らかになってまいります。その上で立ち入り検査を行ないましたり報告徴収をとりましたり、そういう形で府県が監督を加えてまいるわけでございますが、同時にこの事業者につきましては事業規程というものを県に提出をさせるということにいたしておりまして、その中におきまして、いろいろ計量器の保守管理の方法でございますとか、計量の公害計測のやり方、そのほか記録の保存の方法、こういうものを記載させることにいたしておりますので、それに準じまして適宜立ち入り検査を行なっておりますれば、いろいろ不正な計測等の問題はある程度防止ができるのではないか、かように考えます。
またさらに、その計測結果の正確性を確認するためには、私はクロスチェックシステムが必要ではないかというように考えるわけでございますが、そのためには従来やられております方法としては、すでにデータのわかっておりますサンプルを試料の中にまぜまして、そのすでにわかっておるサンプルについての測定結果がどう出てくるかということを見てチェックをするという方法がございます。これはまあ依頼者が相手を選ぶ場合に使う方法でございますけれども、こういうことも、県の監督の場合にそういう試料を与えて計測をさせてみるというふうな監督が可能かどうか研究をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
なお、この計量証明事業者は主として自分で計測ができないような中小企業者等から依頼を受けまして計測をするわけでございますけれども、同時に国が行なう計測あるいは自治体が行なう計測は、こういう業者に依頼する面も場合によっては必要と思いますけれども、同時に、極力国なり府県自体が分析センターを拡充をいたしまして、国が必要とする分析は国がみずからやるというような体制の整備がこの計量業者の拡充とあわせて必要ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/84
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085・中村重光
○中村(重)委員 大臣がお見えになりまして、時間の関係等もあるようでございますから、また、この法律案については同僚委員諸君から十分審議もいたしておりますので、私はこれで終わりますが、計量販売を強化拡充するということで消費者保護をはかっていくということは私はいいことだと思うのです。問題は、販売する側の体制というものをまた考えていかなければならない。なかんずく中小企業というのは、資金力の上において、あるいは人的な点について、計量販売というものが思うようにいかないということになっていくであろうし、十分これに対する国の助成が必要になってくる。この点に対しては中小企業金融公庫から融資をするのだという答弁が先ほどあったようであります。融資もいいんです。しかし、はたして融資ワクというものがどうなるか、また金利というものも普通の中小企業金融公庫の利率のベースでは、これはたいへん無理があるのではないか。消費者保護という観点から、別に何と申しますか低利の融資をしていく、あるいは共同購入等をやる場合は無担保無保証というような制度も十分活用していくといったようなことで消費者保護というものが十二分に中身のある体制が整えられるように配慮される必要があるということを指摘をしておきたいと思います。
最後に大臣から、今回の計量法の一部を改正をして消費者保護をさらに強化をしていこうとするこの法律案を提案するにあたりまして、大臣の決意と申しますか、まだ内容を十分充実をしていかなければ、法律の中身はいいのですけれども、内容がこれに伴っていくかどうかという点に私ども若干の危惧を感じますので、大臣のこれからの対処についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/85
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086・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 計量制度は消費者保護のためにわれわれは的確に実行していかなければならぬと思いますが、一面において中小企業の資金力等等を考えてみますと、この運用面において、通産当局として周到な配慮をしなければ中小企業もやり切れない面が出てくると思います。この点については、行政指導の面において、特に金融制度やそのほかの設備の整備等の面につきまして、できる限りの配慮をしていきたいと思いますし、また、法の運用自体も、これは慎重に配慮しつつ行なう必要もあると思います。それらの点につきましては御趣旨を体してやるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/86
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087・濱野清吾
○濱野委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/87
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088・濱野清吾
○濱野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/88
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089・濱野清吾
○濱野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/89
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090・濱野清吾
○濱野委員長 本案に対し、武藤嘉文君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党五党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者より趣旨の説明を求めます。板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/90
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091・板川正吾
○板川委員 提出者を代表いたしまして、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
計量法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行にあたり、消費者利益の保護及び環境計測の適正な実施を図るため、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。
一 商品の計量販売を推進するため、中小小売商業者の計量設備等の近代化に関する指導助成策を拡充すること。
二 政府及び地方公共団体における環境計測の実施体制の強化を図るとともに、その測定資料を公開すること。
三 計量証明事業者による環境計測が常にあやまちなく行なわれるよう、その事業活動に対
する政府及び地方公共団体の指導、助成、監督体制の強化拡充を図ること。
四 環境計測に関する技術の向上を図るため、計測器の検定、計測手法の標準化、技術者の研修等を促進するとともに、計量士の資質及び地位の向上について配慮すること。
以上でございます。
決議案の各事項につきましては、委員会における質疑及び案文により十分御理解を願えるものと存じますので、個別の説明は省略させていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/91
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092・濱野清吾
○濱野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/92
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093・濱野清吾
○濱野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することと決しました。
この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/93
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094・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重して、この実施に万遺憾なきを期する次第でございます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/94
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095・濱野清吾
○濱野委員長 おはかりいたします。
本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/95
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096・濱野清吾
○濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/96
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097・濱野清吾
○濱野委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後零時五十一分休憩
――――◇―――――
午後二時九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/97
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098・濱野清吾
○濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出、金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がございますので、これを許します。塩川正十郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/98
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099・塩川正十郎
○塩川委員 金属鉱業事業団法の一部改正につきまして、ちょっと二、三質問申し上げたいと思います。
まず最初にお聞きいたしたいと思いますのは、金属鉱業事業団法の第一条の目的でありますが、目的のうしろのほうに「もって国民の健康の保護及び生活環境の保全」こういうのがございますが、この事業団といたしまして今日までこの目的に沿ってやった事業はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/99
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100・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
金属鉱業事業団は健康及び生活環境の保持につきまして、その原因でございます鉱害の防止業務を昨年の七月一日から開始をしておるわけでございます。昨年の法律改正に従いまして鉱害防止業務を追加されたわけでございますが、それに基づきまして大別次のような仕事をやっております。
一つは融資業務でございまして、すでに使用を完了しております坑道、堆積場等の特定の施設に対しまして鉱害防止工事を行なう場合、その工事に必要な資金の一部を長期、低利で融資するという形のものでございまして、四十八年度の実績は五億七千五百万、二十五鉱山になっております。なお、この中には中小鉱山も入っております。
それから将来そういった必要が生じてまいりますのに対応いたしまして、使用前に所要の積み立て金を企業に積ませ、それをこの事業団が管理をいたしまして、必要が起きましたときに的確に資金的な手当てができるようにという仕事もやっております。現在積み立て中でございます。
第三番目は、鉱害防止工事の調査あるいは技術指導でございまして、これは現在原因者がない場合に、府県等が鉱害防止工事の責任者になっておりますが、その際に金属鉱業事業団が事前の調査あるいは技術的な指導に当たりまして、的確な指導、防除策を講じさせるということでございます。現在、事業団の中に学識経験者から構成されます鉱害防止技術委員会を設けまして、技術的な検討に完ぺきを期しておる状況でございます。四十八年度中には九つの地方公共団体から十二鉱山についてこういった調査、指導の依頼が来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/100
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101・塩川正十郎
○塩川委員 平塚さんおいででございますね。平塚さんにお聞きいたしたいのですが、おうちの事業団はこれから探鉱、開発、そういうような方面にも積極的に進みたい、こういう意向も私は十分よくわかるのでございますが、それはそれとして重要な事業でございますが、反面、今日まで非常に騒がれてまいりました公害問題、これが昨年の秋以降の石油ショックといいますか、社会のムードがこれで何か公害問題というものがおろそかになってきたような、こういうときにこそこういう公害問題、特に蓄積鉱害なんというようなものはこれから積極的に取り組まなければいかぬということで昨年も法改正したのでございますから、おうちの事業団のほうでは資源の確保ということと同時に、こういうあと始末というものに対して積極的にやっていこうという意図と計画、こういうようなものはあるのでしょうか。先ほど林局長さんの話を聞いておりますと、何かやる人があったらこれを応援していこうというのが国の姿勢のような、こういうような仕組みになっておるが、そうではなくして、金属鉱業事業団そのものがこれから蓄積鉱害に取り組んでいこうという意欲を持っておられるのかどうか。私がなぜこういうことをお聞きするかといいましたら、いまやどういうところの鉱山にいたしましても、これを採掘して積極的に利用していこうといたしましても、そういう鉱害問題というものがどこでも前提になっておるわけなんですね。でありますから、こういうことも鉱業事業団が責任を持ってあと始末をしてくれるんだ、だからそういうものに対する危惧というものは持たなくてもいいということをやはり態度で示していかなければ、国内にある資源の再開発ということも実際はできないんじゃないかと思うのですが、おうちの事業団としてどういうことを考えておるのでしょうか。先ほど局長の言った以外のことがあったら聞かしていただきたい。それだけのことでしたら、もう答弁はけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/101
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102・平塚保明
○平塚参考人 お答え申し上げます。
ただいまの塩川先生の御指摘の件、まことにごもっともと存じております。
ただ、私どもの事業団は、御案内のように、政府の指示を受けてやっておることでございますので、いまの御指摘のように、事業団として積極的にやるかというお話でございますが、私どものやる仕事は必ず役所とよく連絡をいたしまして了解を得てやってまいるつもりでございますが、今後とも積極的にいろいろと実際に即しまして案ができますれば、そのつどお役所のほうとも相談をいたして、ただいま先生のおっしゃっておりまする点について積極的に進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/102
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103・塩川正十郎
○塩川委員 それでは平塚さん、蓄積鉱害一つ例にとりましても、こういうところに蓄積鉱害があるというような調査はできておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/103
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104・平塚保明
○平塚参考人 お答え申し上げます。
私どものほうは、実は昨年の七月からこの仕事を、御用命を仰せつかっておるわけでございまして、したがいまして、現在の手元にはまだ積極的にそこまではいっておりません。さようなことで今後は年とともに余裕ができてまいると思いますので、ただいま御指摘のようないわゆる蓄積鉱害と申しますと、山の持っておる鉱害を起こすであろうと考えられる施設、その他の防止工事はどんどん進めてまいりますが、おそらくそれ以外のすでに流れていった先の鉱害のことを御指摘になられたことと存じまするが、これは現在のところ農林省、環境庁その他が調べておられることと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/104
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105・塩川正十郎
○塩川委員 それじゃ聞きますが、蓄積鉱害の調査というものは立地公害局でやっておるのですか。簡単に答えてください。あまり長い話は時間がないんでね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/105
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106・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
四十四年から実施いたしております。それから鉱業権者のない場合は府県を通じて調査を進めております。それで結果といたしまして約三千五百の鉱山に問題があるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/106
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107・塩川正十郎
○塩川委員 林さん、そういうような蓄積鉱害を実際に、何といいますか、清掃といったら語弊がございますが、鉱害を除去していく、あるいはそれを未然に防止していこうということになりましたならば、大体どのぐらいの計画といいますか、資金と年数がかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/107
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108・林信太郎
○林(信)政府委員 鉱業所の中におきます蓄積鉱害を除去するために約二百六十億、それから府県サイドで、要するに、鉱業権者がない分で府県が把握しております分のトータルで約九十億必要です。ただし、この中には農地汚染といったような事業所外の広範な蓄積公害は十分反映されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/108
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109・塩川正十郎
○塩川委員 年数は大体どのくらいかかったらその分は一応手当てはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/109
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110・林信太郎
○林(信)政府委員 ただいま申し上げました府県がやります約九十億につきましては五年をめどにいたしております。
それから中小を含めます企業が行ないます事業所内の蓄積公害の防除につきましては十年をめどに進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/110
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111・塩川正十郎
○塩川委員 よく財源問題がこういう問題には必ず出てくるのでありますが、昨年もこの事業団法改正をいたしましたときに、そういう公害対策費用に対する財源がないということで非常に消極的な答弁しか聞けなかったことを私は覚えておるのですが、そこで現在、鉱山にまつわる税金というもの、いわゆる鉱山からあがる税収というものは国税、地方税合わせて大体どういう種類でどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/111
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112・林信太郎
○林(信)政府委員 国税といたしまして、特に鉱山に限定された特別な税制はございません。
地方税といたしまして、鉱区税それから鉱産税の二つのものがございます。前者は府県、後者は市町村税という形になっております。これの全収入が四十七年度で二十七億一千百万円ということになっております。傾向といたしましては、国内の鉱山の減少に伴いまして漸減いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/112
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113・塩川正十郎
○塩川委員 それでは、本年度、四十九年度において蓄積鉱害で対策費を組んでおりますが、その総額と府県別の負担はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/113
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114・林信太郎
○林(信)政府委員 ただいま御指摘の府県の負担でございますが、これは鉱業権者のない分の鉱山の蓄積鉱害防除工事をやる場合に府県の負担になってくるわけでございます。この負担区分は、御案内のとおり事業主体は府県でございますが、費用の負担は三分の二が国という形で進められております。国が補助金として分担いたします分が四十八年が七億強でございます。四十九年度の内定案は十二億五千万円で、約七割強の増加ということになっております。これの半分が自治体が負担していく、こういう形になろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/114
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115・塩川正十郎
○塩川委員 そうすると大体、アバウトでいきまして昨年は七億の半分、三億五千万円程度が府県、いわゆる地方自治体負担ということですね。ことしは事業費総額は何割ふえたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/115
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116・林信太郎
○林(信)政府委員 補助金ベースで七割でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/116
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117・塩川正十郎
○塩川委員 七割ふえた。そうしたら約十四億ぐらいの事業費ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/117
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118・林信太郎
○林(信)政府委員 補助金ベースで十二億五千百万円でございます。これの半分ですから約六億強を……(塩川委員「六億が地方負担ですね」と呼ぶ)府県負担でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/118
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119・塩川正十郎
○塩川委員 そうですが。そういたしますとこういうことになると思うのですが、いわゆる鉱区税なり鉱産税、ほとんど鉱区税だろうと思うのですが、その分は実は鉱害防除対策費にはわずかしか回っておらない。本年度の見込みからいいましても四分の一も使われておらない、こういうふうになるのですが、数字からいったら大体そういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/119
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120・林信太郎
○林(信)政府委員 鉱区税、鉱産税を全部鉱害防除に充てるという前提で計算いたしますと、ただいま塩川先生の御指摘のような形になるわけでございます。ただし、府県といたしましては、公害防除のほかに、たとえば鉱山道路あるいは鉱山は大体特別な山奥で集落を形成いたしますので、そのために特別な公共施設というふうなこともやっておりますので、その辺の数字的な比較というものはなかなか的確に判断しかねております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/120
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121・塩川正十郎
○塩川委員 あと近藤委員が質問いたしますので、私は端的に聞きますから答えは簡単でけっこうでございます。
まあそうであろうと思います。けれども、そういうことをおっしゃるならば、鉱山道路とか、あるいはそういう公共事業というものを地方公共団体は具体的にどのくらい昨年度でやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/121
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122・林信太郎
○林(信)政府委員 国内鉱山が衰微いたしておりますので、鉱山道路の新たな開発は聞いておりません。ただし、秋田県におきますような山から日本海までパイプ流送というふうな形で、これは県も出資をいたしまして、特別な形の鉱害防除事業をやっております。これなんかは、先ほど対比されました数字外の秋田県限りの仕事でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/122
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123・塩川正十郎
○塩川委員 私はそういうようなのに使っているのはほとんど皆無だと思う。そういう事業は一般の公共事業としてやっておるのが多いのでありまして、あるいは一般債を借り入れてやっておる事業が多いのです。
そういたしますと林さん、こういうことをひとつ考えてもらいたいと思う。これは要望をかねましてぜひひとつ実現してもらいたいということなんですが、先ほどの話を聞いておりましても、まあ二十七、八億のそういう鉱区税があがってくる、それに相当するものとして考えるならば国の補助金は六十億くらいになる、そうして、合わせてやるならばまあ約百億足らずの、九十億といいますかその程度のいわゆる鉱害防止事業というものは理論的には可能なはずなんです。そういうことをやっていきますならば、私はその趨勢を見ていって、いまおっしゃった蓄積鉱害全部を除去しようといたしますならば、あなたの計算では約三百五、六十億あればできるということなんだが、まずこれを一回掃除をしてみるということです。私は大きく話を出したいんだけれども、日本の国内に堆積しておるそういう蓄積鉱害全部を一挙に対象にしろというのじゃない。そういういま休止をしておるところ、まあ活動しておる鉱山というものは当然その手でやらなければならぬのだが、休止しておる鉱山等についても、理由としては財源としてはそういうものがあるはずなんだから、これを活用して一回やってみる気はないのかどうか、一回役所の御意向を聞きたいのですが、政務次官、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/123
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124・森下元晴
○森下政府委員 石油の問題につきましてはいわゆる資源政策ということで現在の焦点になっております。それ以上にこの今回の法案の目的でございます金属鉱業の開発ということは非常に大切な問題でもございますし、ただいま先生から御指摘になったように、せっかく鉱区税であるとか鉱産税をいただきながらその四分の一も使っておらない、こういうようなところに姿勢的な多少検討すべき問題もございますし、やはり先取りして鉱害対策を先行することによって金属工業の発展があり得るのだ、こういう姿勢でいきたいと実は思っております。政府といたしましても御指摘のような方針で努力をしたい、こういうことをつけ加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/124
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125・塩川正十郎
○塩川委員 それともう一つ、鉱区税でそれだけあがりますし、さらに蓄積鉱害の除去事業として支出いたしました、あるいは起債を負担いたしましたものは地方交付税で裏づけられるんだ、これは先国会において相当問題になりましたけれども、公共事業に準ずる事業としての地方交付税の裏負担があるわけでありますから、地方自治体の財源としてはかなりの余裕がある。ですから、それに対する国の倍額の補助を見込むならばかなりのものはできるんだということの自信を持って、一回、そういう蓄積鉱害除去対策の計画を具体的に出してもらいたい、これは要望しておきます。
それから最後に、もう時間でございますので一つだけお聞きしたいと思うのですが、実はこれはエネルギー庁長官にお聞きしたいと思うのですが、最近、銅が余っておる、精銅が余っておるということで、これを輸出してもいいということで新聞に出ておりました。私は、その事情はよくわかっておるのですが、そこでお聞きしたい。こういう銅とかいうものは基本的な資源です。これはあと三十年だ、五十年だといって騒がれておる。特に、銅なんというのは三十年もつかもたぬかといわれておる。少し余ったらまた外国へ売る、足らなければキャーキャーキーキー言うて買い集める、そういうようなことでいいのだろうか。国のそういう基礎資源というものの、これは蓄積、備蓄といいますか、そういう調整というものはどこかでいまや考えざるを得ない時期じゃないかと思うのです。そういうようなものに対して、資源エネルギー庁として何か計画を持っておられるのかどうか。あるいはそういうことに対して、こういう責任を果たしていきたいというようなものがあるのかどうか、お聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/125
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126・山形栄治
○山形政府委員 いま御指摘のとおり、銅につきましては若干輸出が行なわれるような状況でございます。いま先生のお話のとおり、こういうものにつきまして備蓄をするというのは、私、方向としては全く正しい方向だと思うわけでございます。銅の備蓄問題につきましては、年来いろいろな案が考えられておるわけでございますけれども、特に石油に始まりました資源の問題を踏まえますと、銅に限らず、政府が相当強い形での備蓄をするというのがこれからの方向だと思いますので、鉱業審議会等の議をいま経ようとしておりますが、いろいろなむずかしい問題があろうと思いますけれども、方向といたしましては、何らかのかっこうでのそういう備蓄政策の推進につきまして前向きに取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/126
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127・塩川正十郎
○塩川委員 以上、申し上げましたように、一度、蓄積鉱害を大掃除するということと、それからそういう貴重な基礎資源というものは、一回国内に入りましたものはできるだけこれを大事に使って備蓄していくということ、これらをあわせて金属鉱業事業団と一回よく相談してみられて、もし必要なものがあるならば、それだけの法改正をもう一回整備するということで取り組んでもらいたいと思うのですが、最後に政務次官、こういうことをやってくれますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/127
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128・森下元晴
○森下政府委員 この法案の目的が大体先生の御趣旨のようなものでございまして、この法案を中心にいたしまして、まことに乏しい資源でございます金属鉱業の開発、また鉱害をできるだけなくする方向で資源開発また資源保護のために全力を尽くすことを申し上げて、私の答弁を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/128
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129・濱野清吾
○濱野委員長 近藤鉄雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/129
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130・近藤鉄雄
○近藤委員 ただいま塩川委員から金属鉱業事業団の蓄積鉱害に対するいろいろな措置についての質問があったわけでございますけれども、私も塩川委員と同じように、金属鉱業事業団がいまの最大の政治問題の一つでございます鉱害問題について、十分な措置をとられるようにいろいろ政策をお考えいただきたいと思うわけでございます。
これに関連いたしまして、蓄積鉱害についてはいまお話があったわけでございますが、私はさらに事業団としてお取り組みいただきたい問題が二点あると思うわけであります。
第一点は、いわゆる金属鉱害が発生した場合に、地域の住民に対するいろいろな補償の問題がございます。いわゆるPPPの原則ということで、こういう補償についても原因者が負担をしなければならない、こういうことでありますが、たとえば私の郷里であります山形県の南陽市におきましても、いわゆるカドミ米の問題が出ているわけでございますけれども、一PPM以上のカドミの入った米はもう食糧ではないということで、現在食糧庁でも買っていただけないような状態なわけでありますが、こういうことで、農民が受けるいろいろな負担についての、かりに原因者がはっきりしてそれが払うといたしましても、その会社が十分に払えるだけの能力がないような場合も十分考えられるわけであります。そういうことで、蓄積鉱害につきましては、いろいろいま塩川委員の御質問にもあったわけでございますが、県や国やまた事業団がいろいろやる、さらに融資もしよう、こういうことでありますけれども、そういう補償について、会社に対して事業団が融資をすることによって一応補償をしやすくする、そういうことを事業団の新しい政策として考えられないかどうかということが第一点。
それから第二点といたしまして、そういう汚染米が出るような地域の土地改良をしなければならないわけでありますけれども、これについても相当な金額がかかるようであります。南陽市なんかの場合を取り上げてみましても、あそこは昔から吉野川流域のデルタ地帯、堆積地帯でございますので、相当深く掘って土地を全部客土してかえなければだめだ、こういうことになりますと、反当たり百万もかかるとか、そういったことになっているわけでございますが、こういうこともやはり原因者が負担するということで、原因者がかりに確定をしておったといたしましても相当な金額になるわけであります。これに対して事業団が融資をして、そしてまず土地改良を早急にしやすくできるような措置をお考えなのかどうか。事業団の理事長、そして通産省のしかるべき責任者のお考えを承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/130
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131・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
ただいま近藤先生御指摘のような事態は、昨年の秋、特にひどく高濃度のカドミ米が山形、秋田あるいは石川等各地でかなり出たわけでございます。
これをどうするかということは、当然私どももきわめて重大な問題として四十九年度予算の政府原案をつくります段階で、可能な限り努力してまいったわけでございます。考え方といたしまして、原因企業、原因者が存在する場合にはその企業に持たせる。ただし御指摘のような、その企業に資力がないというふうな場合にどうするかということでございます。これは現在鉱害防止事業をやります際に、金属鉱業事業団が融資をするというふうな形をとっておりますので、こういうふうな形と同じような性質の問題だというような、一連の問題だという考え方をとれば、政策的な融資という形でそういうジレンマを解決する方法が一案かと考えられるわけでございます。ただし、その場合に、米というふうな物質について金属鉱業事業団という機関が適切であるかどうかというふうな別途の大きな問題がございますので、この辺のところは、環境庁を中心に、農林省、私どものほうも寄りまして、昨今もどうするかということで、特に五十年度予算編成までに間に合わすべく協議をしておる段階でございます。
それから休廃止鉱山の鉱害防除工事などにつきましても、これは原因者がないわけでございますが、その際、府県にそれだけの技術ストックあるいは資金的な余力がないという事態も考えられるわけでございますので、同様に通産省で金属鉱業蓄積公害対策会議を近く持つことにいたしておりますので、その場で環境庁、農林省、建設省等等、各省の御協力を得まして、来年度予算案を作成するまでに結論を得たいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/131
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132・平塚保明
○平塚参考人 お答え申し上げます。
ただいま林局長からお答え申し上げましたように、通産省で関係各省と十分に協議をされ、この措置について事業団でやるべしときめられた場合、たぶん法律改正が必要と存じておりますが、それができますれば、どこかがやらなければならない仕事でございますから、私ども喜んでお引き受けするつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/132
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133・近藤鉄雄
○近藤委員 ただいま林局長から、これは米の問題だから通産省がというようなお話がちょっとあったわけでありますけれども、米であれ何であれ、問題はいわゆる原因者が会社なんですよ。ですから、その会社がそういう負担能力があるかないかということが問題なんですから、したがってその原因が何であれ、その取り扱っている対象物が何であれ、問題は、会社としていわゆるPPPで支払え、こういわれているのですが、実際問題として支払う能力がない。したがって、会社をつぶすのは簡単でありますけれども、現実に会社がつぶれて農民に対して補償金が出ない、こういうことでは困るわけですね。ですから、私お願いいたしたいのは、まさに蓄積鉱害の場合に、いろいろの事業団が措置をお考えになっていらっしゃるのじゃないか。だったら、そういう補償金の支払いを原因者がしやすくするようにまず融資をしてやる。そして農民については十分な補償をまず払っておく。あとで会社から、政府なり事業団がしかるべき形で回収をすればいいわけであります。そういう補償につきましても、また土地改良についても、まず事業団なりでしかるべき形でやっていただかないと、ただ、これは会社の責任だから会社が払えばいいのだという形でつっぱねてしまっては、会社が困ることは――それは悪いことをしたのだからしかたがないことかもしれませんよ。しかし問題は、会社が払えないで土地改良もできない、補償金ももらえない、こういう農民がいるということについて、やはり政策として、政府としてお考えいただきたいということなんですが、もう一度局長の御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/133
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134・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
御指摘のように、原因企業自体に、自分の原因から生じた損害に対して十分土地改良あるいは汚染米の買い上げ等手当てができないという事態は、現実に十分予想されるところでございます。あるいはそういうことが原因になりまして、客観的には相当明らかであっても、結論について時日を延ばすということも耳にいたしております。したがいまして、そういう事態が起こらないように先手を打って体制を整えておくということは、私どもとしてきわめて大事な問題だと考えております。御指摘のように、そういう場合に、政策金融によってつなぐという方法も一案かと思われますが、同時にまた税法上の措置を講じまして、そういう不時の要請に常時準備をさせておくというふうなことも十分考えられますので、そういった積み立て金あるいは準備金制度あるいはその金の保管というふうなことにつきましても、あわせて先ほど申し上げました対策会議において総合的に検討いたしてまいりたい、特にいま御指摘のように、そういったことが原因になって事態が手おくれになってしまうというふうなことにつきましては、私どももきわめて残念なことだという認識を強くいたしておりまして、その場合に、話がつくまで待って、PPP原則に従いまして原因者の寄与率をはじいて、それからということでは間に合わない。そういう問題はやはり捨てておけない、何らかの措置を講じなければならないという認識は、私どものみならず環境庁、農林省、建設省等等、各省庁がみな持っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/134
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135・近藤鉄雄
○近藤委員 いま局長の御答弁もあったのですが、この金属鉱害に限らず、世間にいろいろな公害があるわけでありますけれども、これに対して公害でたいへん迷惑のかかった被害者の方々、農家の方々が、いわゆる原因者であるところの会社と直接交渉される、そういうことかもしれませんが、しかし私は、そのいわゆる原因者と被害者の直接交渉ということがはたして問題を公平に公正に解決する方法かどうかということに対しても、たいへん疑問を持っているわけであります。たとえばある会社はたいへん金があるから、したがって要求されるとおり、ある程度、全部のんで補償いたします。弁償もいたします。しかし、ある会社は全然金がないものだから、値切りに値切って非常にわずかな補償しかできない、こういうことが現実にあり得るんじゃないかと私は思うわけであります。同じような公害によって被害を受けた住民の方々が、そういう形で、たまたまある会社は金があるから、もうけているからたくさんの補償金を払った、ある会社は倒産寸前だから払えない、しかも会社としても限度一ぱいにやったのだということではたしていいものかという感じがするわけであります。やはり私は、国としてこういった事件が起こった場合には、同じような事件に対しては同じような補償を、少なくとも被害者が受け取れるだけの条件、体制というものを整備することが政治としての責任じゃないかと思います。たまたま偶然的な要素で、あるところは得がいった、あるところは損がいったということでは、私は公平な政治はなされないと思うわけでありますが、この点についてひとつ政務次官の御意見を承りたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/135
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136・森下元晴
○森下政府委員 お説のとおりでございます。この法律の精神は、いわゆる公害防止によって生活環境を保全するという公益の問題、それから少ない資源を開発するという、いわゆる金属鉱業の健全な発展、これは経済行為でございますけれども、これを両立させなければいけない、非常にむずかしい問題なんです。そのために、いま御発言になりましたように、土壌汚染等によって農民の方に非常に御迷惑をかけておる。しかも、その補償が会社の経営内容によって相違があるというようなことでは、やはり安心して農民の方も協力できないし、また金属鉱業の開発のためにも自信をもってできないという点もございます。こういう点はやはり国が責任をもって、そして相違のないように十分補償していくのだ、もちろん企業のことでございますから、能力以上のことはできない場合もございます。そういう点は、やはり国の手厚い施策によって絶対に被害者には御迷惑をかけないという強い意思がなければ資源の開発はできない、そういう決意でやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/136
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137・近藤鉄雄
○近藤委員 たまたま自動車事故で、保険がかかっていなかった自動車にひかれてけがしたとか、死んだとかいうような、そういうことが絶対ないように、これは大事な問題でございますので、通産省当局におかれましても、各省と十分お考えの上、ともかく公正な補償をしかも早急に被害者に対してなされる、そういう体制をぜひ整備をしていただきたい。それが事業団法の改正の形でなされるか、また別途の形でおやりになるか、それはいろいろお考えもおありだし、御研究もあると思いますけれども、ともかくもすみやかに、しかも公正な補償が日本のどこにおいても行なわれるのだということだけは、ぜひ実現をしていただきたいと思うわけであります。
そこで問題は、いまたまたま原因者がはっきりしておったという前提でいろいろお話し申し上げたわけでございますが、私は過日四月四日に公害環境対策特別委員会で環境庁長官にもいろいろ御質問をしたわけでございますけれども、どうもカドミウムがはたして人体にどれだけの影響を与えるかということについて私なりに勉強してまいったわけでありますが、なかなかどうもはっきりしていないところがございます。いわゆるカドミ問題が世間の関心を呼びましたのはいわゆるイタイイタイ病、神通川流域におけるカドミウム汚染と、どうもそれを食べておられる住民の方々に起こったイタイイタイ病が非常に関係があるんじゃないか、こういうことで当時厚生省がいわゆる厚生省見解なるものを出して、カドミウムイタイイタイ病というのは非常に関係があるんだということで、これはたいへんだということで全国的にカドミという問題が一斉に取り上げられたわけでございますが、その後そういうカドミとイタイイタイ病の関係が明らかだというような研究をされたような学者の方々がいろいろな研究をされてどうも必ずしもはっきりしない、むしろカドミウムとイタイイタイ病が直接関係あるん、だということを言う学者の方のほうが少数意見だというようなこともあるようであります。現実に当時の委員会でも環境庁の橋本審議官ですかのお話があったのでございますが、同じようなカドミウム汚染地域と称されるところで二万八千人の農家の方々の調査をしたら八人どうも怪しい人が出てきた、こういうことなんでありますが、大体日本の農村、たいへん貧しい生活をしていらっしゃる方々が多い、しかも五十歳以上の主婦の方々で、しかも子供さんをたくさん生んだ方々を二万八千も調べれば、数名どこかからだの異常のある人がいなければおかしいのです。ですから、私はどうもこのカドミウムとイタイイタイ病というものの関係について非常に深い疑義を感じておるものの一人でございますが、そういう観点に立って一体一PPM以上のカドミを含んだ米はこれはともかく食糧でないんだ、食品衛生法でそうなっているというようなことでありますけれども、一体そういう数字をどういう根拠でお出しになったのか、厚生省のほうの御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/137
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138・三浦大助
○三浦説明員 米のカドミウムの基準の一PPMという基準をきめた根拠いかんというお話でございますけれども、四十五年にきめた数字でございます。この根拠の資料となりましたのは、ミシガン大学のアンワーの実験で、犬に一キロ当たり千マイクログラムを四年間与えてみたけれども害はなかった、こういうことが基準になっておるわけでございますが、基準のきめ方といたしまして、私ども大動物を使った場合には十倍、中動物を使った場合には五十倍それから小動物を使った場合には百倍、これが国際的な常識になっておるわけでございまして、この安全率を見て体重一キロ当たり一三・三マイクログラムという基準値をつくりました。これは成人一人当たり六百六十五マイクログラムになるわけでございます。この六百六十五マイクログラムを米以外の食品に由来するものを実態調査で調べて、その最高値の百五十マイクログラムをとって、さらに水の十五マイクログラムをとって残りが五百マイクログラムということになるわけですが、これを米に割り当てたわけでございます。当時の国民栄養調査によりますと、日本人の平均の米摂取量が三百三十四グラムということになっておりますが、これを五百グラムとしてこの一PPMという数字を出してございますが、摂取量の多い人に対してもやはり私ども安全性を確保するという考え方に基づきまして五百グラムという数字を基準にして米の一PPMという基準値を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/138
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139・近藤鉄雄
○近藤委員 これはこういう問題でありますから、人間で実験なんかとてもできないわけですから、したがって、犬だとかウサギだとかハツカネズミを使って実験されたということ、これはあたりまえだと思うのですけれども、私がいろいろな研究データを調べてみましても、たとえばハツカネズミだとかウサギに三〇〇PPMとか五〇〇PPMとかというべらぼうな、まさに高濃度のカドミウムを毎日じゃんじゃん飲ませたり食わせたりして、これでもか、これでもかとやって、やっとちょっと胃がおかしくなったとか、じん臓がおかしくなったとかという形の実験をしてどうもあぶないということをいっておられるようなケースもあるわけでございますが、これはしろうとでありますけれども、やはり三〇〇とか五〇〇という、だあっとめちゃくちゃに浴びせるみたいに食べさせたり飲ませたりする場合と、一とか二とか三とかいう非常に微量のものをずっと長く摂取させる場合とでは、常識的に考えたってたいへん違ってくると思うのであります。これは酒だってたばこだって何でもかんでも飲めば悪くなってしまうわけでありますし、非常に悪いといわれた水銀だって微量だと薬になる場合だってあり得るわけでありますから、したがって、私はその実験のやり方に非常に疑義を感じておるわけでありますが、そういう問題はさておきまして、いま食品衛生課長からお話があったわけでありますが、犬を実験で使ってこれまではだいじょうぶなんだ、これ以上はだめだというのではないのですよ。少なくともこれまではだいじょうぶだったというものを前提にして、人間一日六百六十五マイクログラムまでは何とかなる。そこで、水だとか、その他副食物から入ってくるカドミを百六十五マイクログラムと考えれば、五百マイクログラムまでは米から入れてもいいということ、そこで大体日本人は五百グラム食うだろうからということで、五百マイクログラム、五百であれば約一PPMという数字が出てくるわけでございますけれども、こちらに農林省の方もいらっしゃるわけでありますが、どうも最近の日本人は米をあまり食べなくなりまして、五百グラムじゃなしに三百三、四十グラムぐらいしか平均して食べない、しかも傾向的に今後だんだんさらに米を食べていかなくなるだろう、こういうふうに考えますと、一日人間が五百グラムと考えれば一PPMである、しかし三百三十グラムだと考えれば一PPMという数字が一・五PPMまではいい、こういうふうにはね上がってしまうわけであります。繰り返し申しますが、そこから以上食べたらだめになるんじゃないのです。私いろいろ申しましたが、無理な実験をして、非常な安全度を見て、なおかつそれを前提にして五百グラムで一PPMという数字を出しているなら、私はその五百という数字を三百三十なり四十に変えて、そして計算をし直して、一・五PPMまでは少なくともだいじょうぶだ、こういう基準を厚生省でお出しになってもいいというふうに思うわけであります。ともかく私はあえて、これは政府の担当関係者の方々がたくさんいらっしゃいますけれども、どうもいわゆる公害問題、環境保全問題について、ただその基準をいたずらに下げる、二よりも一、五、一・五よりも一、一よりも〇・五、現実に実は食品衛生法では一PPMまではいいということのようでありますが、山形県の南陽市の場合には、食糧庁は一・〇から〇・四までも一応買い上げるけれども、しかしどうも汚染米だから食糧に供するなどは望ましくないということで、どう処分するか知りませんが、最終的にはのりにして処分してしまうような御意向のようでありますけれども、やはり農民が自分でつくった米が、よしんば食糧庁が買ってくれても、食糧に供せられないで、倉庫に眠っていて、目の前でのりになっていくのであるということを見れば気持ちがいいはずがないですよ。ですから、少なくとも一PPMまではよかったんだから、しからば一・五PPMならだいじょうぶなのか、二PPMならだいじょうぶなのか、三PPMならだいじょうぶなのか、そういう形で基準を上げていって実験をすることがやはり国民に安心を与えるために必要ではないかと私は思うわけであります。いたずらに下げることだけが環境政策だ、公害対策だというふうに私は思わない、むしろここまではだいじょうぶという幅をよけいに国民に示すことが――私たちがカドミウムだとか水銀だとかチクロだとか、そういった問題と全然関係なしに生活できるなら話は別なんです。しょせん人間は、いろいろなそういうものをとって生きているわけでありますから、だからどこまでの、範囲というものを小さくすることがいいのか大きくすることがいいのか、私はむしろある程度余裕を持たせて、そして国民に安心感を与えるのが正しい政治のあり方だと思うわけでありますけれども、あえてもう一回厚生省にお伺いいたします。そういう形でさらに一・一を一・五にし二にするという形の実験をおやりになったかどうか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/139
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140・三浦大助
○三浦説明員 私ども食品の安全対策といたしましては、もともと食品には有害物はあってはならぬのだ、こういう考え方に立っていろいろ基準をきめておるわけでございますが、先生の御指摘のとおり、四十五年当時の研究の段階におきましては千マイクログラム以上を与えた研究はなかったわけでございますが、当時として急遽基準作成の必要がある、こういうことで当時の科学技術に立脚した文献に基づいてこの基準値をきめたわけでございます。その後WHO等ではさらに基準をきびしくすべきじゃないかという国際的な意見が出てきておるわけでございまして、私ども厚生省といたしましては、なおカドミウムについて長期にわたります慢性毒性の研究を実施しておる段階でございまして、この成果によって必要があればさらに検討を続けてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/140
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141・近藤鉄雄
○近藤委員 食品に害が、そういうものがあってはいけないといっても、大体あらゆるものが先ほど言ったように程度の問題なんですよ。何でもよけい取得したらおかしくなっちゃうのでありますから、何もないような蒸留水を飲んでいるみたいな生活がほんとうに健全なからだを養うのかどうか問題があると私は思うのですよ。やはりいろいろなものがある中で人間が生きているわけでありますから、蒸留水しか飲まない、ほんとうに病院で食べるものしか食べないような、そういう人間がほんとうにいい人間かどうか、私はたいへん疑問なんです。ですから、この問題はひとつ十分お考えいただきたいわけであります。
そこで、私はあえて通産省に承りたいわけでありますが、たいへん恣意的なんです。一までは安全だけれども、一・五までも安全かもしれないし、二PPMでも安全かもしれない、三PPMでも安全かもしれない。そういうことをたまたま厚生省や環境庁のお役人さんが、何か一・五よりは一のほうが五なんて端数がつかないからいいという形でぱっとこう一ときめちゃうわけでしょう。そこで、農家の人が非常な負担をするわけですよ。また、会社も非常に負担をしなければならない。だから、それはともかく会社にツケを回せば会社が払えばいいんだという形でいいのかどうか。かりに一よりも一・五でも絶対だいじょうぶだったという結果が出た場合に、しからばそのために会社がいろいろ賠償を払った、補償金を払った、土地改良をしてしまったというその負担を一体会社はだれに向かって補償を要求することができるのか。先ほども申しましたまさに神通川流域のカドミウムの問題もそうだと思うのです。いわゆる厚生省の見解が出て、カドミウムとイタイイタイ病は関係がある、こう言った。そこで騒然となって会社は三十七億金を払ってしまったようでありますが、もしもかりにイタイイタイ病とカドミウムは関係がないということが明らかになった場合に、会社が払った三十七億は、一体会社はどこに請求したらいいんですか。そういうことについて通産省としてお考えになっていらっしゃるかどうか。お考えになっていらっしゃったら御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/141
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142・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
カドミの健康被害につきましては、ただいま御指摘のとおりいろいろ問題があることも伺っております。私どものほうとしましては、科学的、特に医学的に的確な治験のもとで正しい基準がつくられることを期待しておるわけでございます。現実の通産省の行政といたしましては、与えられました国の基準を前提にいたしまして、企業を指導監督していくという立場にあるわけでございます。カドミの基準がきめられます当時のことを調べてみますと、公害問題につきまして各役所とも試行錯誤の模索時代でございまして、お互いにフランクに協力し合うというようなことが十分でなかったかのように聞いております。ただし、現在は環境庁もできまして、関係各省が別に権限にこだわることなく、持っております治験をそこに持ち寄って、より公正な的確な基準をつくり出すように全面的に協力してやっておることを申し上げたいと思います。
問題は、先生が御指摘になられましたような事態が起きた場合に、一体その企業のすでに払った負担をどうするかという問題でございますが、こういった問題は、企業のみならず農民が買い取りを拒否された、あるいは拒否はされなかったけれども、減価されて買い取られたというふうな事態も理論的な問題としては考え得るわけでございます。あるいはそれを買い取りに当たられた府県が損害をこうむるというふうな事態も起きてまいります。したがいまして、農民の立場あるいは自治体の立場あるいは企業の立場で、それぞれに御指摘のような一つの仮定の理論問題として、その与えたあるいは受けた補償をどうするかという問題が起きてこようかと思います。御指摘のような問題を仮定的な理論問題として、私どものほうで通常持っております私どものほうの法律的な常識で判断いたしますと、企業が補償金を支払った場合、これは通常農民に対して返還を請求するというふうなことは不可能ではなかろうかと判断しております。それから国に対しまして民法上の不法行為の賠償を請求することができるかどうかという問題がございます。これはその基準が妥当でなかった、あるいは間違っておったということが通常の注意義務の範囲内での間違いであるならば、当、不当の問題になりますし、それを越えて、およそ通常の能力を持っておるものであればこういう間違いはめったにないというふうな性質のとんでもない間違いというふうなことになりますと、これは裁量を越えた違法問題にまで進むわけでございます。そういった御指摘のような間違いであったというふうな事態が違法に当たるのか、あるいは故意過失なのか、あるいは当、不当の問題かということによりまして、企業が国に対して賠償を要求するというふうな形になろうかと思います。ただし、一般的には、基準をきめるということは、国の法律に基づきます、それぞれ各省が行ないます裁量事項というのが通常でございますので、裁量事項の場合にはこういった問題が通常なかなか起きないかと思います。そういう場合には事実上の予算措置の問題としてどうあと始末をするかという問題に変わるわけでございます。土地改良の費用を企業が負担いたしまして、それを御指摘のようなケースの場合にどうあと始末をするかという問題につきましても、同様な考え方が援用できるのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/142
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143・近藤鉄雄
○近藤委員 故意じゃなくて善意でまじめにやっても、しかしそういうふうに一・五を一にまるめてしまうという形は、もうはっきり言って南陽市なんかの場合は、これは一を一・五にしてしまえばほとんどの米は助かるわけですよ。それをただ係官がちょっと〇・五をはずしただけで何億や何十億という負担を地元の農民が――だれかが払わなければならぬ。それは、私は繰り返し申しますが、たまたま国が払うから、会社にツケを回すからいいという問題でもないと思うのです。それは法人税法でいろいろこまかい規定をしながら、法人の税負担を議論しているときに、片方でばあっとコンマの一をはずすはずさないだけで何億と違ってくるわけでありますから、やはり公害の基準というものを政府がおきめになる場合には、相当いろいろなことを考えておやりにならなければならない。繰り返し申しますが、低ければ低いほどいいというものじゃないんで、厚生省とか環境庁はそういうことが専門ですから、できるだけ安全で、さっきの課長の話じゃないけれども、純粋培養みたいにして、蒸留水でなければだめだ、何でなければだめだ、ともかくそういうことじゃないのです。
私はあえて通産当局にお願いしたいわけでありますけれども、通産行政というのはそういう純粋培養みたいなことじゃなしに、現実の日本の経済というものをまさに責任をもって見ていらっしゃる通産省の方々が、これはもう厚生省がきめたことだから、これは環境庁がきめたことだからもうけっこうでございます、そのとおりにいたしますということじゃ、私はちょっと産業行政官庁としてはいささかたよりないのじゃないかという感じがいたすわけであります。やはり立場があるのですから、通産省の立場からこの問題についても十分にいろいろな識者の意見を集めて、またいろいろな社会的な負担――そういう負担のケースが環境行政なんというものは何もないのですよ。ただ悪い、悪い、悪いだけの話ですから。それが何十億、何百億という負担になっている。その基準のきめ方でも非常に違うのです。そういうことをぜひひとつ通産省としてはお考えをいただきたい、こういうふうに思うわけであります。
そこで、最後にお願いをしたいわけでありますが、先ほどの問題に返りますけれども、そういういろいろなことがあるから、先ほどはあえて事業団が融資をして会社が補償しやすくしなさい、事業団が融資をして会社が土地改良しやすくしなさい、こう言いましたけれども、むしろそういう基準でいま問題がある。しかし、現実に農民が不安だというときには、あえて国が代位弁済といいますか代位補償といいますか、立てかえてやる。そしてあと国と企業の間はいろいろな基準の議論をする。また何十年かかっていろいろ議論してもいいし、負担の割合を考える。何年かかってもいいと思うのです。少なくとも現実に、かりに一PPMの米がほんとうに悪くなくても、そういう問題で米を買ってもらえない農家がいるわけですから、それは国と農民が決済していく。そしていろいろな原因、責任、負担割合その他については国と会社の間で十分時間をかけて――まさに会社の権利もあるわけでありますから、そういうことを十分考えながら、時間をかけてゆっくり解決をしていく、そういう制度を私はおつくりになる必要があると思うのでありますが、局長と政務次官の御意見を最後に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/143
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144・森下元晴
○森下政府委員 通産行政といたしましては、やはり公害対策を考えない産業はあり得ないという観点からこの問題に取り組んでおりますし、特に先生御指摘の基準をきめる問題は慎重にやらなくてはいけない。安全度の高いほどいいと思いますけれども、やはりその負担というものは結局は商品の値上がりという形ではね返ってくるし、またそのために農民等に非常な御迷惑をおかけする場合も出てくる。いろいろ公害、特に金属鉱害の人体に対する感度、これは体質によって、また年齢によって、また性別によっていろいろあると思うのです。一様でない。そういうことで石橋をたたいて渡ることも大事であるけれども、あまり念を入れ過ぎて、羹にこりてなますを吹くようなたとえでも困ると思うのですね。そこらは厚生省、環境庁ともよく相談しながらどこに標準点を求めるかということを慎重にやらなければ、ただ安全、安全、安全だけでも、何か他の副作用のような形で返ってこないとも限らないということを私どもはよく肝に銘じまして、慎重の上にも緊急な問題として対処をしていきたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/144
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145・林信太郎
○林(信)政府委員 ただいま政務次官がお答え申し上げました点に若干補足をして申し上げたいと思います。
まず、基準をより的確にするために、通産省はもっと姿勢を正して、持っておる知見を反映するようにという御指摘でございます。私どものほうも、そういった方向につきましては全く同感でございます。特に基準の問題は、農民の方々に対するたいへんな負担という形ではね返っていることは御指摘のとおりでございます。同時に、現在の公害法規一般のあり方が、一PPMあるいは〇・〇一PPM違いましてもすぐ排出基準違反ということで直罰に直結しております。言いかえますと、罪人を出すというふうな形にまで直結した措置になっております。それだけに、きめます基準につきましては公正適切でなければならないというふうに考えております。
それから第二番目に御指摘になられました、そうはいいましても現実には割り切らざるを得ない。しかも現在持っております知見が、御指摘のようになお十分でないというふうな場合に、そのきめられた基準に従いまして事柄が進んでまいります場合におきます問題をどうやって負担しやすくするかということが私どもの次の仕事ではなかろうかと思います。企業が原因者であります場合あるいは原因者と想定されます場合に、負担しやすいような方法をとることによって、直接即時払いというふうな形であればなかなか負担できないものが長期の低利というふうな形でございますと負担し得るわけでございます。そういう措置も、御指摘のような方向できわめて現実的な適切な解決法かと考えております。
それから特に第三点として御指摘になられましたように、問題が起きたときにその原因者並びに原因者の寄与率が明らかでない、そういう場合に、国なり他の公共機関が一時立てかえ払いあるいは代位執行いたしまして、とりあえずその災害、損害状態を排除する、別途厳正な科学的な調査を進めまして原因者を追及する、あるいは寄与率をただしていく、そういう方法をとってはどうかという御指摘でございます。金属鉱山の場合には、長年かつ多数の鉱山が生死を繰り返しております。したがいまして、現在鉱業権の存在するというようなものも一部でございますし、しかも資力において乏しい、しかも多数存在しているとなりますと、寄与度がなかなか明らかでないということで、御指摘のような事態に全く適合した状態ではなかろうかと考えております。そういう意味で、先ほど申し上げました金属鉱業蓄積対策会議におきまして関係省庁の参加を得ながら、御指摘のような趣旨を十分わきまえながら、適切な対策を立ててまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/145
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146・近藤鉄雄
○近藤委員 そういうことでひとつぜひしかるべき措置をとっていただきたいのでありますが、政府のいろいろな施策の不備からカドミウム問題がこう問題になって、南陽市の農民も、また日本のあちこちでも、同じようなことでたいへん困っている人がたくさんいるわけでございますので、ぜひ勇断をもって国の責任において、この問題について適切な処置をしていただきますことを強く要望いたしまして、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/146
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147・濱野清吾
○濱野委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/147
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148・濱野清吾
○濱野委員長 速記を始めて。
佐野進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/148
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149・佐野進
○佐野(進)委員 私は、いま提案されている金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案について、エネルギー庁長官に主として質問をいたします。さらに、参考人として平塚理事長にも来ていただいておりますので、質問を続けてみたいと思います。
すでに本法案は審議が進められておるわけでございますが、この審議の経過を通じ、さらにまた、私、提案理由の説明なり関係資料をそれぞれ読ませていただく中でいろいろ感ずるところがあるわけであります。
そこでエネルギー庁長官と平塚理事長に聞いてみたいと思うのですが、今回で第五次の改正ですね。昭和三十八年に法律が制定されてから約十年、この間に五回の改正、しかもこま切れ的に改正がなされているわけであります。しかし、改正されるのはそれぞれの時の情勢に即応して改正されるわけですから、私はあえてこれが悪いという意味で言っているのじゃないのですが、あまりにも頻度の激しい改正ではないか。少なくとも情勢の変化を見ながら、この変化に対応して一定の年限、一年なり二年なりということでなくして、ある程度の長期的な展望というのが無理ならば中期的な展望に立って改正をするのが正しいのではないか。にもかかわらず、このような改正を続けてしているということについて、長官の見解を聞きたいと思うのです。
それから事業団のほうでは、このような改正が毎年毎年行なわれていたのでは御迷惑じゃないのか、実際上事業の体制について対応でき得ないのではないか、こういうような気がするわけですが、その点についての見解もこの際聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/149
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150・山形栄治
○山形政府委員 御指摘のとおりこの金属鉱物探鉱融資事業団、一番最初そういう名前であったわけでございますが、昭和三十八年に制定されたわけでございます。その後御指摘のとおり五回にわたって改正が行なわれておるわけでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、いまお話しのとおり、もうちょっと長期的な展望で踏まえたらどうかというお話でございますが、何ぶんにも日本の非鉄金属の海外開発というのは、二十年間やっておりますけれども、非常にある意味で出おくれております。
〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕
それから日本の金属山の経理も非常に苦しいということで、若干つけ焼き刃といいますか、そのつどそのつどのような形になっておりますが、しかしこの全体を流れている発想で見ますと、やはり石油じゃございませんけれども、非鉄におけるメジャーといいますか、大きな国際資本との戦いを通じながら、一歩一歩海外の精密調査、それから探鉱活動の振興等に地について進むというかっこうで進めてきたわけでございまして、この結果というと語弊がございますけれども、一応日本の山の国内生産、それから海外の生産もまだ非常に少ないわけでございますけれども、いま相当有望な山が発見、近く開発の段階にも入るわけでございまして、非常にくだくだ申し上げましたけれども、現実に即して毎回のように改正を行なったということでございます。
今後の方向といたしましては、鉱業審議会に御審議をいただきまして、もうちょっとこういう資源ナショナリズムの台頭している中で、日本の有力なる非鉄金属の入手をどうやったらいいのか、この辺の御審議も願いまして、いま先生の御指摘のとおり、将来はもう少し抜本的な幅の広い形で国全体の形としてこれを取り上げたい、こう思っておるわけでございます。過去を振り返りますと非常に年がら年じゅう変わっているようで恐縮でございますけれども、それぞれが一歩一歩の前進であるというように御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/150
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151・平塚保明
○平塚参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生の御指摘がございましたように、過去五回も変わっておりますが、最初は国内の鉱山の融資から始まり、さらに国の委託を受けて直接の仕事をやるということで、融資事業団から探鉱促進事業団に変わったのでございますが、大きくはその次に保安の問題が出てまいりました。さようなことで、毎回変わったことについて仕事がうまくいくかという御指摘でございますが、結果論から申しますと、かえってこま切れに改正されることによって仕事もふえ、またそれに応じて人もふえてまいりますので、したがいまして、事業団といたしましては、徐々にふえてまいりますので、そのつど消化ができて事業団が一本にまとまってきておるということが言えると存じますので、ただいま先生が御指摘になりましたようなしょっちゅう変わられては困るだろうということにつきましては、十分注意をいたしまして今後誤りのないようにいたしてまいるつもりでおりまするが、結果からいたしますと、ただいま申し上げたようなふうにかえっていいのではなかったかとも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/151
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152・佐野進
○佐野(進)委員 理事長は立場上わかったかわからないような答弁をされておるようでございますけれども、私は、時代の要請に基づいて変化してきている、したがって、それが改正となって出てきたということを否定しているのじゃないのですね。しかし、仕事をやるのにこうちょいちょい法律が変わって体制が変わって、まあ理事長は万能の人なんだかどうかわからぬけれども、しかし、だれがどう考えても、ある程度二年なり三年なりの長期的展望の中で具体的な対策を立てて取り組む、それができるように予算的にも措置がされている、こういう体制が望ましいと思うのですよ。
そこで長官に私、申し上げてみたいのですが、いま石油公団法の審議をやっているわけですね、過日私もやりましたが。この審議の経過を通じて私どもは、今日のエネルギー問題としての石油の持つ課題、そういうものをどうやって前向きに解決していくかということで各公団法の改正案に大きく期待したわけですね。出てきたものは何かというと、まるきりこの事業団――この事業団の持つ意味も石油と比較して決して少ないという意味ではございませんが、しかし世の中における今日の世論の中に占めるウエートからすればはるかに高いわけですね。しかし、ほとんど同じような条件の中でやられている。むしろこれより悪いのは――悪いということになるのかどうかわかりませんけれども、結果的に言えば、改正するという形の中で大蔵省の認可――協議といいますか、実質的には認可という形の中でたがをはめられて、かえって悪くなっているのじゃないか。われわれがいまこの法案について審議をストップしている意味もそういうところにあるわけです。ですから私は、こま切れ的にやらざるを得ないという背景はわかるけれども、今日のこの金属鉱業の持つ日本の資源問題の中で占める立場、ウエートといいますか、そういうものからするならば、この程度の、二つのいわゆる業務の追加の一つとしての資金の供給、まあ出資ですね、と同時に、外国法人と共同して金属鉱業を営むものに対する助成金の交付という形の中で今日のこの金属鉱業の問題の解決をはかるということは、実際上無理ではないかというような気がするわけであります。このことが「わが国非鉄企業の体質の脆弱さをカバーしつつ、」「発展途上諸国に対する経済協力の推進の観点からも」という二つの目的を同時に達成するなんということはおよそできないのじゃないかという気がするわけですが、この点ひとつ長官の見解を聞いておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/152
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153・山形栄治
○山形政府委員 石油の問題といい、非鉄の問題といい、先生の御指摘の意味は非常によくわかるのでございますけれども、何ぶんにも先ほどもちょっと触れましたように、いわゆるメジャーという非常に大きな力があるのが一つでございます。それからもう一つは、資源ナショナリズムの動きが出てまいりまして、従来のように、日本から金を出してそれで鉱物または石油を買うという時代は過ぎ去ったわけでございまして、石油につきましてもナショナルリザーブというようなかっこうで産油国が非常に自分の権利保有を強めておるのが現状でございます。したがいまして、これらに対応する行き方といたしましても相当くふうをこらさなければならないということで、石油開発公団のほうにおきましても、今回そういう観点からの開発、向こうの政府機構または政府系の会社と結んで開発まで金が出せるようにということにいたしたのは、おそらくこれからその形が自主開発の本命になろうということであったわけでございます。金属鉱山の問題につきましても、従来融資だけで来ておりましたのが、最近の動きは、それぞれの産出国から合弁事業で、しかも日本の事業団のような政府の意思が明確になった形での出資を要求する声が非常に強まっておるということでございます。そういう形への大きな一歩前進と考えておるわけでございまして、先生のお考えはどこにあるかわかりませんが、もっと大きないろいろなことを一ぺんにやったらどうかというお考えかもしれませんけれども、やはり実力相応に着実に進むというかっこう、一番大事なルートというものを開拓していくという着実性、現実性というものをわれわれ非常に重視しておるわけでございまして、この道が開かれますればその次にまた次の形を考えていく、そのための国内の企業体制も整えて次のステップに進むというかっこうで今後とも考えていくのがいいのじゃないかという、これは手前みそでございますけれども、私はそういう感じがいたしておるわけでございますので、そういうふうに御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/153
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154・佐野進
○佐野(進)委員 その考えを否定いたしません。そこで、そういう考えに質問のポイントを置いていきたいと思うのでありまするが、しかしそれなら実際上一歩前進だという意味において、いま言われたような融資に対してさらに出資をする、あるいは助成金を交付する、こういうような状態で法律の改正をいたすわけでありまするが、今日その出資をすることによってどの程度の企業がいわゆるリスク、危険性から救われるというか、解除されるような条件になるのか、あるいはそのことによってどの程度新しい効果が予見されるようになるのか。いわゆるどの程度、融資から出資になったということについて今日落ち込みつつある探鉱事業についての新しい条件を付加することができるのか、こういう点についてこの際お伺いをしておきたいと思うのです。
〔田中(六)委員長代理退席、武藤(嘉)委員長
代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/154
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155・山形栄治
○山形政府委員 先生御承知のとおり、金属鉱山というのは開発に七、八年、長いのは十年ぐらいかかるというものでございまして、本来非常にリスキーなものでございます。したがいまして、これからの日本の重要なこういう資源の確保という観点から見ますと、従来からもっと早く、もうちょっと政府がリスクをカバーしてやるという形をはっきり打ち出すのが一つの形ではなかったかと思うわけでございますが、最近、先ほど言いましたように、産出国自身からも合弁の話が出ております。たとえばペルー、それからパプア島、ニューギニア、メキシコ、コロンビアというようなところで、いま主として銅でございますけれども、相当大きな期待鉱量に対しまして、これは従来から日本の企業及び事業団の接触があったせいもございますけれども、これらの国が、西欧諸国ではなくて日本とむしろ組みたいという要求が方々から出てきておるわけでございます。ただ、この形はあくまで合弁でなければ困る、しかも信用の置ける形で日本から出資をしてくれということでございます。たとえばペルーのヤウリ鉱山なんかは銅の期待鉱量で四億ないしは五億トンという非常に大きな埋蔵量を持っている山でございますけれども、これは従来から事業団が接近をしておりましたところ、ぜひ日本とやりたいというようなことでございますので、これは出資をしませんと合弁が成り立ちませんで、世の中がそういう形でいま動いてきております。したがいまして、もしこの法案を通していただきましてそういう出資機能ができることに相なりますれば、日本の海外の鉱山の自主開発、共同開発ということは、非常に大きな進展をするのじゃないか、いままで政策が若干抜けておったところが、ここで大きく穴が埋められるのじゃないかというふうに私は感じておるわけでございます。
ちなみに、四十九年度出資額として八億円、自己資金一億円で計九億円をいま予定財源として考えておりますけれども、これは本制度が発足の年でございますので、もし非常にこれが大きくなるようでございますれば、その年度途中におきましても何か適切な措置を講じまして、この金額の増加等につきましても考えていきたい、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/155
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156・佐野進
○佐野(進)委員 ですから、私はそういう事情下にあって長官の言われるような条件に一つのポイントを置いていま質問をしてみたいということで申し上げたわけですが、そのことによって、たとえばいままでも継続した事業としてそれぞれ何百億かにわたる海外投資、探鉱事業として事業団を通じてのあるいは民間を通じてのそれぞれの融資、投資が行なわれているわけですね。そういう方面に対して、今回のこの融資を出資とするという形の中において、その救われる条件が存在するのか、あるいはそういうものは全然関係なくて、新しい探鉱事業についていま長官が言われたということのみにこの法律の持つ意味が適用されていくのかどうか、このことをお聞きしているわけです。これはこれからの質問に関係いたしますから……。課長からでもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/156
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157・斎藤顕
○斎藤説明員 ただいま長官がお答え申し上げましたように、非常にリスキーな仕事に対する一種のチャレンジでございますので、自己資金であるとかあるいは出資金であるとか、そういう利息のつかない金でなされるのが本来の姿であるわけでございます。制度がなかなか諸般の事情から認められないという問題がございまして、融資という利息のつく金で企業の海外探鉱を援助してまいったわけでございます。ところが、だんだん海外の資源につきましても、日本がそういう意味での後発国であるというふうなことから、なかなかいい鉱床が残っておらない。それから物理的条件、山が深くなるとか、海岸から遠ざかるとか、いろいろな問題が出てまいりました。また、今後の日本の基本的な金属資源の確保ということになりますと、やはり相当大きなものに対して探鉱活動をしなくてはならないという問題がございます。したがいまして、従来のような制度でノンリスクの金を投入するということにつきましては十分御理解いただけたかと思いますが、そのような条件の悪化に対しましても対処しなければならないという新たな事態、そして日本の企業が、諸外国の西欧、アメリカ等の先発国に比べまして、その不利な点も新たにカバーしなくちゃならないという積極性を持たせるために共同で投資する、探鉱活動に出資するというものに対して今回この制度を適用していきたいというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/157
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158・佐野進
○佐野(進)委員 そうすると、いままですでに行なってきたものに対してはこの制度は適用しない、新たにこれから行なわんとするものに対してこの制度を適用する、こういうように理解してよろしいかとも思うのですが、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/158
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159・斎藤顕
○斎藤説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/159
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160・佐野進
○佐野(進)委員 それでは次に質問を続けてまいりますが、その点についても若干ひっかかるところがあるのですけれども、いま時間的な余裕がございませんから、これはむしろあとで平塚さんのほうから、そういう点について、はたしてこの法適用後における処置といままでの処置との関連が矛盾を発生しないのかどうかということをあとでけっこうですから一緒にひとつ御答弁願いたいと思うわけです。
そこで、いま長官から御答弁がありましたように、チリなりあるいはペルーなり、そういう国におけるいわゆる銅の産出、あるいはその他の国々における産出状況が、しかもその産出状況の中に持ついろいろな面における脆弱性といいますか、欠陥、埋蔵量に対してそれを開発するにふさわしい条件の存在していないことを私もたびたび行っておりますのでよく聞かされておるわけですから知っておるわけでございますが、ただそうなりますと、先ほど来長官がたびたびお話しになっておるように、現地のほうに政府対政府のいわゆる資源開発協力の基礎調査を進めるといたしましても、今日の情勢の中においては、石油問題に見られるように非常に先鋭化したナショナリズムが存在している、こういうような関係からいって、特にそれぞれのいま対象にあがりつつある国は、政情がきわめて不安であるというような条件下にあると思うのであります。ペルーにおいても、近ごろ安定いたしておりますが、その政治的基礎というものはきわめて不安定な状態が存在するわけでありますし、いわゆる軍事政権下にあるという条件でございますし、チリにおいてはいまなおその条件は続いておるわけであります。したがって、これらの国の政情不安な状況の中にわれわれの海外投資がいわゆる金属鉱業事業団としての形の中で行なわれた際、より以上先鋭化した形の中で政治的な問題に巻き込まれていく、そういう可能性も、アメリカの前例を見るまでもなく危惧されるわけでありますが、この際、この公団の持つ性格が日本政府の直接的な代表としての形の中において考えられるわけでございますけれども、そういう事態の発生を予測した対策は立てられておるのかどうか、そういう点について、この際ひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/160
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161・山形栄治
○山形政府委員 これは御指摘の動きが確かにあるわけでございます。御存じのとおり、石油につきましてはOPECとOAPECが非常なる強い行動をしておるわけでございます。非鉄金属につきましては、銅におきましてCIPECという国際機構といいますか一つの団体があるわけでございまして、チリ、ペルー、ザンビア、ザイールがこれに加盟しておるわけでございますが、いまのところOAPECほどの結束でございませんで、どちらかというとわりあいにゆるやかな形で、むしろ先進の国の参加を仰いで自国の産業を興そうという動きになっております。ただ、いま先生の御指摘のとおり政治不安等の問題はつきまとっておるわけでございますけれども、何ぶんにもこのCIPEC加盟国で全世界の三割の銅を保有いたしておるわけでございまして、われわれとしては、この相手先が国、または国に準ずる機構でございますので、あくまでこのチリ、ペルー、ザンビア等の国とは、これからも日本は互恵平等といいますか、相互依存を深めて、ただ銅鉱山を開発するだけではなくて、関連したインフラストラクチュア等の建設も含め、その地域の経済、社会の発展、それと日本がその代償として銅をいただくというような密接な関係に入ることが大事だと思うわけでございまして、相手国政府でございますので、その辺をわれわれといたしましても十分配慮して、密接な、不可分な友好関係をつくり上げる。没収、国有化というようなことは理論的には考えられるわけでございますけれども、いまのところ、非鉄金属に関しましてはそういう石油のような動きもございません。今後、そういうことが起こり得ないような、相互の関係を密にする方向で進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/161
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162・平塚保明
○平塚参考人 お答え申し上げます。
いま佐野先生からの御指摘の件でございまするが、今回お願い申し上げている二つの問題は、全くいままでと関係はございません。私どものほうの融資は、実はいままで先進国に限るということになりまして、後進国に資源の開発の問題が多いわけでございまするが、私どものほうの制度では後進国の融資はできないことになっております。今回、ただいま長官からお話し申し上げましたペルーの件あるいはニューギニアの件あるいはメキシコの件、いずれも私のほうの融資の圏外にあるわけでございまして、したがいまして、今回出資をお認めいただきますと、これに対して出資の形で協力ができることになりまして、いままで後進国に対しましては他の、別の実は協力調査というのがございます。これは国の金でやっております。それから地質構造の調査、これは補助金の形で国から約六割出していただいておりますが、この二つはございまするが、直接的に企業にお手伝いをするということはできませんでした。今回これをお認めいただきますと、新しく、全然新しい対象が処理できることになりまして、さようなことで私どもはぜひこれをお願い申し上げたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/162
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163・佐野進
○佐野(進)委員 そこで長官にお尋ねしますが、いま理事長の御答弁とあなたの答弁で明らかになったと思うのでございますが、そうすると、この出資先は、全く新しい政府間政府ないしはそれに準ずる組織間における協定に基づいて出資をするんだというような御答弁でございますが、そうなりまするとこの運用というものがたいへん問題になってこようかと思うのでありまするが、具体的にどのような運用をするのか、たとえば、この出資を事業団にする、事業団はそれを特定の企業にする、その企業が相手方の政府と折衝して、相手方の政府を代表するような形の出先機関と話し合いをして、そこへ出資をするようになるのか、あるいはそれに対して特定のプロジェクトをつくってそこへ出資するようになるのか、これは非常に具体的な問題でありまするけれども、あなた方の御説明の線からいきますと、どうしてもこの点は問題が発生する可能性を持つだけに明らかにしておかなければならぬ点だと思うのですが、これは長官からその点についての見解をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/163
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164・山形栄治
○山形政府委員 私、先ほどの御答弁でちょっと誤解を受ける言い方をいたしたわけでございます。それは、これからの動きが向こうの政府または政府系の会社がいわゆる合弁形態をとっておるということ、これは事実でございますけれども、それを前提にしてGGベースで事業団が直接出資するというような誤解が生じたかと思いますけれども、ちょっと訂正申し上げたいと思いますが、今回のやり方は、相手側は政府系であろうと思いますけれども、非常に大きなプロジェクトで、日本が一社でなくて共同でこれに臨むぐらいの大きなプロジェクトを考えまして、その場合に、その案件に対して事業団が出資をすることができる、日本の企業または企業集団に対して出資をすることができるということでございます。その場合の事業団の出資比率は大体五割以下、五割を最高と考えております。したがいまして、出資の対象になります会社といいますのは日本法人でございまして、これは一つの会社の場合もありますけれども、大体共同を主にしておりますので、何かそういう形のプロジェクトのカンパニーができるのかとも思いますが、その会社に対しまして、その会社が外国政府と共同する場合に適用するという形をとるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/164
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165・佐野進
○佐野(進)委員 大体私もそういういま長官の言われたような点を頭に置きながら質問をしておるわけでありまするが、時間もだいぶたってまいりましたので、まだ聞きたいことがたくさんあるわけでありまするけれども、結論を急ぎながら質問を続けてみたいと思います。
私どもは、この法律に反対をしているわけではないわけです。したがって、この法律が持つ意味を正しく理解するために長官の見解を聞いておるわけですから、そういう意味において、長官もそう、いわゆる誤解を生じたなんということは考えなくとも私はいいと思うのであります。
そこで、それに関連いたしまして、いまのプロジェクトの考え方、それが企業集団だ。しかし、それは政府が出資をする金、まあ五割以内としても、出資をする金を基礎にして行なうわけでありまするから、相手方にとっては政府間交渉と同じような形の中で、相手方は政府の機関ということになるわけですから、これは当然そういうことになろうと思うのですが、そうなりますると、先ほど言ったとおり、政治的変動の中における起こり得べき状態を当然予想しながら対処しておかなければたいへんではないか、こういうことを申し上げてきたわけであります。
そこで、もう一点これに関連するわけですが、いわゆる共同地質構造調査ということに対して助成金を交付する、こういうことになっておりまして、今年度予算で新規に三千万円を計上されておるようでありまするけれども、この共同地質構造調査という形の中においていま大臣がプロジェクトに対して出資すると言った形とこの助成金の制度というものとの結びつきはどうなるのか。この助成金も相手方の国の機関と共同して調査をするわけですから、その相手方は国の機関であり、こちら側は事業団なら話がわかるわけでありまするけれども、プロジェクトだということになりますると、若干ここに問題点が発生するのではないか、こういうように考えるわけでございまするが、この運用を含めて、この点についての見解をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/165
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166・山形栄治
○山形政府委員 この共同地質構造調査は、先ほど来出ておりました出資の行為と二つの点で領域を異にいたしておりまして、一つは、共同地質構造調査はあくまで調査段階でございます。先ほどの出資その他は探鉱段階でございますので、むしろ探鉱の前段階という形でございます。それからもう一つの違いは、今回この海外共同調査というものをどうしても助成の対象にいたしたいと思っておりますのは、現在の事業団が行ないます融資とか調査につきましては、これは日本企業が探鉱権を大体取得しまして、その前段階として調査を行なうというような場合を対象にいたしております。ところが、世の中がだんだん変わってまいりまして、日本の法人が探鉱権を持っていなくても、非常に日本の探鉱技術というのは進んでおる点もございますので、外国法人が日本の企業に一緒に調査をやってくれないかということを願い出てきているケースが多くなってきておるわけです。これはあくまで調査段階でございますので、その調査がうまくいって、すぐ鉱石が日本にうまく入るかどうか、そこはまた別問題でございますけれども、大体においてそういう調査を行ないますれば、その次に探鉱段階が共同で行なわれるということに進むのが常例でございます。今回の問題は、日本の法人が探鉱権を持ってなくても、外国法人と共同してやる場合でも、この際、大事な鉱物の確保につながる問題だからそれを助成の対象にしよう、こういうことに踏み切ったわけでございまして、その点が探鉱段階とは違いますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/166
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167・佐野進
○佐野(進)委員 それでは最後にいたします。
そこで、たいへん先ほど来いろいろな面についての御説明があったわけでありまするが、この予算上の措置として、先ほど長官は九億、四十九年度は八億円と自己資金一億円で九億円、前年度融資規模六億円に対して今年度は出資金として九億円だ、こういうことでございまするけれども、いま長官が説明されたような全く新しいという問題に取り組む予算としては、特に事業団の理事長はたいへん喜ばしいことだというようなことを言っておりまするけれども、今日の非鉄金属のわが国が要求している需要量に対応するために、これはすぐはできませんけれども、しかしその時間的経過を見たとき非常に急を要してこれを開発しなければならない、こういう状況の中で、いろいろ予算の総額等についての伸び等もありまするが、時間の関係で省略いたしますが、八億円でこれらの事業をなし遂げるということについて十分だというぐあいに考えておられるのかどうか。たいへんおかしい、法律を改正して提案したわりには少な過ぎるのではないかという気がするわけでありまするが、この点についての長官の見解と理事長の見解をお尋ねして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/167
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168・山形栄治
○山形政府委員 これは先ほども申し上げましたように初年度でございまして、八億と自己資金一億、合わせて九億でございます。ただ、われわれのほうとしまして、いまペルーのヤウリ鉱山、それからパプアのフナエダ鉱山等基本契約も大体締結ができておりまして、具体的な年次計画等もいま詰めに入っておるわけでございます。こういう大きな山でございまして、これから相当長いこと、これは合弁でやっていくことになると思いますけれども、少なくとも初年度におきましては大体この金額で、まあ十分と言うとちょっと言い過ぎでございますけれども、ほぼ目的を達成できるというのがわれわれ事務的に詰めた数字でございますので、再来年度以降ぜひこれをもとにしまして、もっと抜本的な大きな予算の獲得等にも努力したい、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/168
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169・平塚保明
○平塚参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生の御指摘のように、石油のほうに比べましてたいへん金額が少ない、私たちもそう考えておりまするが、ただいま長官から御回答申し上げましたように、今年度初めてのことでございまして、こういう制度ができたということになりますと、これを使ってやればある程度いけるじゃないかというプロジェクトが来年、再来年と次次出てくると思います。それに応じてお役所のほうはまた予算をふやしていただけるものと私は信じております。
さような意味で一例を申し上げてみますると、先ほど申し上げましたようにGGベースの相手国からの要望で、日本の国の費用でやっておりまする協力基礎調査の数字を申し上げてみますと、四十五年からこれがスタートいたしたのでございますが、四十五年は一件、四十六年は三件、四十七年は五件、その翌年は六件、今年度は八件のプロジェクトを取り上げていただいております。
また、金の面からいいますと、四十五年一億七千六百万円でスタートいたしましたのが、翌年は三億八千九百万円、その翌年は五億五千百万円、四十八年は七億二千七百万円、四十九年度の予算では九億三千九百万円をお認めいただいておる次第でございます。
かようなことで、私は年とともに通産省で大蔵省と十分に相談をしてワクをふやしていただけるものと信じておりますので、十分に効果があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/169
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170・武藤嘉文
○武藤(嘉)委員長代理 岡田哲児君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/170
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171・岡田哲児
○岡田(哲)委員 石油開発公団の質問を本会議でもしたわけでありますが、石油問題の本質は南北問題だ、そういう立場で申し上げたわけでありますが、この南北問題だという私の気持ちからいいますと、いままでの世界の関係というのは東西関係、しかも、これが軍事力による力の均衡ということで推移をしてきた。いま言う南北問題というのは、言うならば、資源を持っている発展途上国、それから工業を持っている先進工業国、こういう間における協調の上に平和を保ちながらお互いに協力していく、こういう関係だという発想の上に立っているわけであります。特にこういう立場の中からお尋ねをいたしたいと思うわけであります。
一九六二年と六六年に国連の総会が開かれまして、この中でいわれております資源保有国が恒久主権を持つ、こういう決議がされているわけであります。この保有国の気持ちというものは、いつかはなくなるであろうというこの資源、だからこそ生産価格の決定権を奪い返して、自国の長期にわたる経済建設をいまこそつくらなければならない、こういう意思と気持ちで考えておると思うのであります。中曽根通産大臣は、たびたびこの委員会でも、基本的には賛成である、ケース・バイ・ケースで対処する、こういうふうに答弁をされているわけでありますが、いま申し上げた発展途上国の考え方というものをそういうふうに私はくみ取っているわけでありますが、政府側の考えているそれについての見方、それからケース・バイ・ケースで基本的には賛成である、こう言ってきたのは、石油危機という最近の時期でもそういう態度には変わりがないかという点をまず最初にお尋ねしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/171
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172・森下元晴
○森下政府委員 南北問題でございますけれども、先進国と開発途上国、世界にそういうような経済成長、また文明の程度の差異があることは必然でございます。国際分業ということばもございまして、お互い世界は仲よく資源を分け合わなくてはいけない、また福祉も分け合わなくてはいけない、そういうような非常に美しいことばがございますけれども、実態は先生御指摘のように、開発途上国がこの有限の資源を先進国のために非常に安く輸出をしており、ますます格差が広がっておる、こういうことも実はいなめない事実でございます。また、同じ南北問題の南の中でも、資源を大量に保有する国とまたそうでない国の、南の中の南北問題が起こっており、非常に複雑でございます。
それで、この法案の趣旨でございますけれども、いわゆる海外援助は決して慈善事業でもないし、また海外投資、開発は冒険でもない、また一時的な気休めでもない。そこにやはり互恵互譲と申しますか、共存共栄の精神がなくては開発もできないし、また資源のある開発途上国から資源の融通も願えない。そういうところに、今回の改正の要点は、従来のような補助政策、また金融というような、多少打算が先行した考え方でなしに、やはり投資という形において運命をともにしていこう、責任と権利をともに持とうじゃないか、実はそういうような気持ちでございまして、そういうことがなければ、やはりこの資源ナショナリズムの旺盛な世界情勢の中で、略奪的なにおいのするような開発ではとうていなし得ない。そういうことで、先生御指摘のような考え方には同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/172
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173・岡田哲児
○岡田(哲)委員 同感ということでなしに、私の申し上げたのは、この資源保有国が考えている考え方、これは、いつかはなくなるであろうこの資源、だからこそ生産と価格の決定権をようやく握って、しかもこれを自国の長期にわたる経済建設に結びつけたい、いまこそそれをつくらなければならぬというふうに考えている、その考え方は政府も一緒かどうかという点と、通産大臣がたびたび言ってきたように、賛成である、しかしケース・バイ・ケースというのがついているわけでありますが、それは石油問題が去年起こる前と現在とを比べてみて、それも変わっていないか。この二点を聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/173
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174・山形栄治
○山形政府委員 先生御指摘のとおり、一九六二年に国連決議一八〇三号で、いわゆる資源保有国の権利が確認されたわけでございます。これに対しましては、わが国としましても賛成、恒久主権の原則の支持という方向を打ち出したわけでございます。しかし、その後、数次にわたる国連総会の決議が引き続いて行なわれまして、四回行なわれておりますが、このいわゆる恒久主権の原則の具体的適用につきましてまだ結論が出ておらない点が相当あるわけでございます。たとえば国有化の際の補償に関する係争が最終的にはすべて資源保有国の裁判所の判定にまつということ、または恒久主権の範囲が現在の国際法上まだ認められておりません領海外の大陸だなの上部水域、特に魚の関係が非常に大きいわけでございますが、この上部水域の資源が全部その主権の中に入るというような決議が一応行なわれておりまして、これに対しましては日本だけでございませんで、若干オーバーではないかというような意見で、まだこの辺が最終的な結論が出ておらないわけでございます。
私、大臣の真意を正確に申し上げられないとは思いますけれども、こういうような問題がございますので、基本的には先生のおっしゃいますように、有限の資源をそれぞれの保有しておる国が主権を宣言いたしまして、それをもとにして自国の発展をはかる、これはもう当然の一つの方向だということで、完全に賛成でございますけれども一、その具体的な適用及びケース・バイ・ケースの運用につきましては、それぞれのその主権国とわれわれ消費国との間でそれこそ互恵平等の話し合いが進められまして、一番いいかっこうで両方が納得できる線を見つけ出すというのがこれからの方向ではないか、こう私は考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/174
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175・岡田哲児
○岡田(哲)委員 問題は、先ほども言いましたように、石油問題が起こった以前を考えてみますと、やはり原則的には賛成ということを言っても、実際には実害がないんですね。いままでは実害がなかった。しかし石油危機以降、私どもが見ても、いろいろやはり現実の問題として取り組まなければならなくなってきた。ですから、以前と現在と変わっているように私は考えるので、いまでも変わりないのかという点と、もう一つ加えますと、きょうから開かれるわけですね、あの資源問題に関する国連特別総会、これに臨むわけでありますが、この総会に臨むわが国の態度というのは、やはりいままで言ってきたそういう立場であろうと思うのでありますが、その態度をここで明確にしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/175
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176・山形栄治
○山形政府委員 今回の国連特別総会に臨みますわが国の態度ということでございますが、わが国経済が発展途上国の健全な発展にも依存しているということを基本認識といたしまして、かつ発展途上国の開発への熱意ということが、これはわれわれとしても大いに理解するということで、今次総会の開催を心から支持するというのが基本的な立場でございます。わが国といたしましても、今次総会が、先生のお話に最初に出ましたように、南北間の対立をむしろ激化するということは絶対避けるべきである、また、持てる国と持たざる国の対立に至らないように配慮いたしながら、積極的に今次総会がいいかっこうでおさまるようにということを基本的な姿勢にいたしておるわけでございます。
なお、若干私、間違うかもしれませんが、石油危機が起こる前及び起こってからあとにおきましても、先ほど答弁申し上げましたように、現在の恒久主権の原則は尊重でございますが、具体的な適用につきましては、日本の漁業問題とかその他に非常に大きな問題が発生するおそれがございますので、やはり資源を保有しております国もおのずからの限度で、それぞれの国が一番妥当におさまるような話し合いを進めるというのが石油危機以前、以後を通じての変わらない方向だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/176
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177・岡田哲児
○岡田(哲)委員 いまのお話だと、この総会に臨むわが国の態度は、従来言ってきたことと何も変わらない、変わらない立場で、しかも積極的に調和を生み出すような方向に努力する、こういう立場で臨むというふうにお伺いをしておきます。
その次に、いま経済的に見ますと、ガットやIMFの体制が亀裂を生じ、しかも持っていた機能はなくなったというふうに私は見ておるわけです。また、最近ECは、御存じのようにフランスの大統領がなくなってしまったということから、これもまた同じようにもう機能がなくなっていく、形骸化してきている、こういうふうに見ているわけです。一方、資源的に見ますと、これまた先ほども触れたように、非常に南北問題の中で問題が起こってきている。こういう段階にあるときに、わが国の立場で見ますと、非常に多国籍企業が、両者にまたがりながら、しかも一番多消費国として立っている。そういう中間にあることを考えますと、調和をとらせるのに非常にいい立場に置かれている、また、そういうことをしなければならない立場にあるのではないか、こういうふうに感ずるわけでありますが、そこで問題は、わが国のそういう立場を十分見きわめながら、これからの方針を立てていかなければならぬ。これはもう二者択一、どちらにつくということではありませんが、そこら辺のわが国の今後の進み方というものについてお伺いをしておきたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/177
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178・山形栄治
○山形政府委員 非常にむずかしい、選択を迫られる問題でございますが、大綱は、先生のおっしゃいますとおりでございまして、日本は現在でもほぼアメリカと匹敵でございますが、石油の第一の輸入国でございます。当面問題になっておりました非鉄金属につきましても、輸入額では自由諸国で世界第一位でございます。非常に資源エネルギー多消費の国でございます。しかし、日本の中には、いわゆるメジャーみたいなものが全然存在しない国であることも確かでございます。いわゆる石油に即して申し上げますならば、メジャーとも仲よく、産油国とも仲よくしなければいかぬという非常にむずかしい問題があるわけでございます。先般、ワシントン会議が開かれまして、いわゆる産油国と対立しないかっこうで消費国の意見の調整をはかるという形で、その後引き続いて調整グループというのが累次にわたって会合が開かれております。早急に産油国と消費国との共通のテーブルにつく会合をつくろうというのがこの調整グループの意図する目的でございます。いま日本は、この中で主要なる小委員会の議長国もつとめるようなかっこうになっておりますが、いずれにしましても、一番大事なことは、いわゆる産油国及び資源保有国と消費国との間の対等の対話が早く実現するということだと思うわけでございます。
それからもう一つは、日本の資源の取得のしかたというのがあまり一つのところに片寄るというのは絶対避けるべきでございまして、世界じゅう広くいろいろな国といろいろなかっこうで日本は資源を獲得するようなことを考えるべきであると考えます。
それからもう一つは、日本の産業構造というのが何と申しましても非常にエネルギー及び資源を多消費する構造になっておりますので、これを全国民の力でいいかっこうに早急に変えるべきであるということが一つの大きな方向ではなかろうかと思います。
いずれにしましても、当面は日本の構造をそう急に変えるということもできませんけれども、その方向で国内の需要面、産業構造面を変え、供給面におきましてはこれを多様化し、かつ両陣営を対等の対話に日本が力を尽くして早く持っていくというかっこうで、世界経済全体の円満な発展もはかり得るような姿を日本がいま努力するちょうどそういうチャンスが到来したのじゃないか、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/178
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179・岡田哲児
○岡田(哲)委員 何にいたしましても、発展途上国などは多国籍企業のいままでの行動について相当強い反感意識がある。こういうことの中で、わが国は非常にそういうことがない立場もあるわけですから、長官が言われましたように千載一遇ではないのですが、ほんとうにいまこそ積極的に私はそういう立場で臨むべきであると思う。そういうふうに考えますと、石油でもそうでしょうが、今後相当政府ベースの取引が多くなってくるのではないか、こういうふうに思うわけであります。そういうふうに考えますと、この公団自体においていうならば政府間ベースの二国間取引というものがどのような形でいけるのか、いまからその受けざらをつくっておく必要があるんじゃないか、こういう気持ちがありますので、今後のそういう見通しと国内の取引体制というようなものについてのお考え方を聞いておきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/179
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180・山形栄治
○山形政府委員 石油につきましては、これもいまの国会で、石油公団が今度相手の政府ないし政府機構と非常に密接な関係ができますように、探鉱から開発まで公団自身が取り組めるような改正をいまお願いいたしておるわけでございます。これは一つには、非鉄金属と比較して申し上げますと、日本の石油の開発能力というのが非常に劣っておるわけでございまして、すべてメジャー依存でいままで来たわけでございます。これはその成長が強過ぎたせいもあるわけでございますけれども、そういうことであったわけでございますが、非鉄のほうは、何はともあれ日本の企業体というのが相当の潜在能力を持っておりまして、二十年以上海外においても探鉱活動を進めてきておるわけでございます。いま一番大事なことは、日本の企業の持っている技術開発力をわれわれが助成いたしまして、それから海外の事情の変化に即応した新しいルートを法律改正によってつくっていくというのが大事だと思うのでございますが、将来の方向といたしましては、まず日本の各企業の持っている力をもっと共同して使えるような形、一社一社がやるよりはみんなで力を合わせる共同体制というものをつくり上げるのが一つの方向であろうかと思います。
もっと将来のことを考えますと、GGベースももうちょっと進むと思いますので、石油公団で考えられましたような、国の力ももうちょっと前面に出るような形も将来必要かと思いますが、この辺の民間活動と政府活動とのバランスの問題につきましては、鉱業審議会等にいろいろと諮問いたしまして、その辺の御意見もお伺いしながら将来考えていきたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/180
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181・岡田哲児
○岡田(哲)委員 次は、海外探鉱開発の関係についてお伺いをいたしたいわけでありますが、昭和四十七年度の輸入形態別に見ますと、自主開発四万七千五百トン、融資買鉱二十三万三千三百トン、単純買鉱三十万二千九百トン、こういう形になっているようであります。この数字で見ましてもやはり自主開発というものが非常に少ないというふうに思うのですが、問題は、今後この三つの形態の中でどれが重点になっていくか、どれを中心に進めていこうとされるのか、その辺の方向を示していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/181
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182・山形栄治
○山形政府委員 過去はそういうかっこうになっておりますが、これは資源保有国の最近の動き等も含めまして、原則といたしまして自主開発を本命にすべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/182
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183・岡田哲児
○岡田(哲)委員 そうすると、いま申し上げた順番が自主開発から融資買鉱、単純買鉱というふうに、いままでと逆になろうという形で考えておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/183
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184・斎藤顕
○斎藤説明員 長官が御答弁申し上げましたように、今後の海外開発のあり方というものにつきましては、自主開発に積極的に力を投入していきたいという意味のことであったと思います。ただし現実の姿は、先生御指摘のとおり、過去の経緯から自主開発鉱というものはわずかしか輸入されておりません。ほとんどが融資買鉱であるとか、あるいは長期契約に基づく単純買鉱でございます。しかし、これはそういう姿から、そういうものであってはならないという意識の転換のための時点に差しかかったこの時点における一つの政策転換ということにつきまして、長官御答弁申し上げたとおりに、今後積極性の強い投資、そしてそれによる海外での探鉱活動というふうなものを進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/184
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185・岡田哲児
○岡田(哲)委員 いま触れられましたように、今後は自主開発、それから融資買鉱という方式がずっと進んでいく、こういうふうに見るわけでありますが、これが経済協力と有機的に結びついて現地から歓迎される形にしなければならぬ。先ほども公害の問題がいろいろ出ておったと思いますが、公害対策がきちんとしないと、これまたせっかくのものがあとで反日的な感情も起こってくるという心配がされるわけであります。そういうふうに考えますと、管理、監督、指導という面を一体どのようにされようとしているか。私は、これは石油公団でもそうでありますが、事業団が強力にこの面についての任務をしょう必要がある、こういう気持ちがするわけでありますが、その辺の事情についてお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/185
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186・林信太郎
○林(信)政府委員 お答え申し上げます。
本命と思われます資源の調達方式は、将来の政策的な意図といたしましては自主開発だという説明が先ほど長官からございましたが、そういたしますと、開発に伴います万般の責任が日本側に当然かかってくるわけでございます。したがいまして、問題のないような形であるのみならず、現地の発展に寄与するような形で海外開発を進めるという冒頭の岡田先生の御指摘を前提にいたしますと、どうしても危害の防止と鉱害の防除に万全の措置を講じながら海外鉱山開発を進めていかなければならぬわけでございます。先進国の場合には、大体安全あるいは鉱害に関します法規、体制が整備されておりますので、豪州、カナダ等におきます開発の場合にはそれに従うということかと思います。発展途上国の場合には、ごく一部を除きましてそういった関係の法規、体制がないか、あるいはございましても不備でございます。そこで発展途上国におきます資源開発の場合には、危害防止と鉱害防除につきまして格段の配慮を日本側において十全になされなければならないわけでございます。すでにこういう趣旨に従いまして昨年の六月、経済六団体が発展途上国におきます投資準則というものの合意を見て発表いたしております。その中に、現地の社会との融和あるいは環境の保全あるいは現地の福祉の増進といったような項目を重要な項目としてあげておるわけでございます。問題は、さらにそういった抽象的な合意、意思表明だけではたして担保されるのかということでございますので、私どもは現実に次のような方法をもって具体的な鉱山開発が安全、鉱害防除に的確に寄与するような形を担保してまいりたいというふうな考え方のもとにただいま内部で検討しておる段階でございます。
まず、国外のことでございまして、日本の法規を直接海外に及ぼすわけにはまいりません。したがいまして、日本側の親会社あるいは本社におきまして計画を立てる際に、日本の安全、鉱害に関する法規並びに先進各国の持っておりますそういったものを前提にして、妥当な安全あるいは鉱害防除の指導基準というふうなものを作成してまいりたい。通産省がやりますか、あるいは技術的なストックを十分持っております金属鉱業事業団がそういったものの作成に当たるかが具体的な問題かと思います。いずれにいたしましても、そういう形でできました一つの指導基準を前提にして、それに合格するような形の施業計画をつくりまして、それに基づいて現地で事業に着手する。それが建設あるいは操業の段階で十分守られているかどうかにつきましては金属鉱業事業団、大使館あるいはジェトロの資源アタッシェというふうな組織が海外になお不十分でございますがございますし、今後も充実される方向にあるわけでございますが、そういった第三者がそれをチェックあるいは指導する、それから随時日本側から専門家からなります調査団を現地の資源開発の現場に派遣いたしまして、当初の計画どおり現地で行なわれているかどうか、あるいはそれで現地で問題がないかどうかというふうな検証もやってもらう、問題があればそれを東京の事業団あるいは通産省が受けまして、本社を通じて改善指導していく、こういった方向が一つの考えられる具体的な担保の方法ではなかろうかというふうに考えておりまして、鉱業審議会等であるいは海外事業のあり方ということで一般問題が討議される機会があるようでございますので、そういう場で成案を急ぎたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/186
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187・岡田哲児
○岡田(哲)委員 私はいませっかく事業団にこれを持たしたらどうかという提起をしたわけです。ですから、いまのところは、その持たせるべきだという私の提起に対して一体どのようにお考えになるかというのは、結局これから相談をしてきめます、こういうふうに受け取るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/187
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188・林信太郎
○林(信)政府委員 ただいま私が申し上げました一つのシステムは、私どものほうの局限りで検討しております段階でございますので、まとまり次第、資源エネルギー庁のほうとも相談してまいりたい。その際には、技術的なストックあるいは現実の海外の体制というふうなことから判断いたしまして、既存の機関で見ますと金属鉱業事業団が私一番適切ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/188
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189・岡田哲児
○岡田(哲)委員 時間が来ましたので、最後にこの予算関係についてお伺いをしておきたいわけでありますが、海外の基礎調査が十四億九千五百万、先ほど佐野先生のほうから触れた投融資が八億、このほうについては御説明ございましたが、海外の調査費がどうも少ないのではないか、もっと多くすべきだというふうに、私はそういう立場でいま申し上げているわけでありますが、一体全体こういうような形の中で出資計画、それから事業概要というようなものをひとつここで御説明をいただきたい、こういうふうに思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/189
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190・山形栄治
○山形政府委員 海外地質構造調査につきましては四十三年から実施しておるわけでございますけれども、四十八年度までに十六地点、二十六億七千万円の調査を実施いたしております。これは金額がちょっと少ないようでございますが、非常に成功率がよくて、ザイールのシャバ鉱山、インドネシアのハルマヘラ鉱山、ブラジルのジャコビナ鉱山、それからペルー南部というふうに七地区で相当大きな鉱床の賦存が確認され、日本企業でいま開発が準備中でございます。
それから発展途上国からの要請にこたえまして資源開発の協力事業として基礎調査を行なう調査があるわけでございますが、これが四十五年から事業を開始いたしまして、四十八年までにインドネシア、ペルー等七カ国、全体で十八億円の技術協力的な調査を行なっておるわけでございます。この調査の結果によりましても、ペルーとフィリピンで有望地域が発見されておるわけでございます。今回の予算につきましては、過去の経緯からいいましてわれわれは少ないと思っておりませんで、これらの継続も含みまして相当積み上げた経費でございまして、十分な成果が期待できる予算になっておると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/190
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191・岡田哲児
○岡田(哲)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/191
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192・武藤嘉文
○武藤(嘉)委員長代理 次回は、明後十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X02719740410/192
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