1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月十四日(火曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 濱野 清吾君
理事 稻村左近四郎君 理事 左藤 恵君
理事 田中 六助君 理事 武藤 嘉文君
理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君
天野 公義君 稲村 利幸君
浦野 幸男君 越智 通雄君
粕谷 茂君 近藤 鉄雄君
塩崎 潤君 島村 一郎君
丹羽喬四郎君 橋口 隆君
八田 貞義君 前田治一郎君
松永 光君 加藤 清二君
上坂 昇君 佐野 進君
山崎 始男君 渡辺 三郎君
米原 昶君 近江巳記夫君
松尾 信人君 玉置 一徳君
出席国務大臣
通商産業大臣 中曽根康弘君
出席政府委員
通商産業政務次
官 森下 元晴君
通商産業省貿易
局長 濃野 滋君
委員外の出席者
農林省農林経済
局国際部長 山田 嘉治君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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本日の会議に付した案件
輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二七号)
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001・濱野清吾
○濱野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がございますので、順次これを許します。渡辺三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/1
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002・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 まず最初に、現行法のもとにおける実績の二、三についてお聞きしたいと思います。
昭和四十五年以降の輸出の実績、それから保険金額、これは具体的に年度ごとの数字を全部述べられますと相当時間がかかると思いますから、こういう輸出の実績と保険の実績を見ながら、四十五年以降付保率がどういうふうに推移をしてきておるか、これを中心に最初説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/2
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003・濃野滋
○濃野政府委員 お答え申し上げます。
輸出保険は、先生御案内のように、昭和二十五年にできましてから何回かの改正を経まして、現在七種類の保険の運用をやっておりますが、まず輸出の実績でございますけれども、輸出の実績を申し上げますと、四十五年度は輸出が約二百億、四十六年が二百五十億、四十七年度が二百九十九億、約三百億ドルでございます。それから昨四十八年度は三百九十七億というような推移を示してきております。これに対しまして輸出保険は、四十五年度におきましては約三兆七千億円の引き受けでございます。四十六年度もほぼ同じ三兆七千億円、四十七年度はふえまして四兆七千億円、保険金額で数字を記録しております。なお、四十八年度につきましては十二月末までの数字がまとまっておりまして、年度で見ますと四分の三でございますが、四分の三で約三兆五千億ということになっております。
付保率につきましては、大まかに申し上げまして、総輸出の約四割がこの保険の対象になっておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/3
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004・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 そうしますと、最後に言われました付保率は、四十五年以降各年度ごとに大体金額に対してずっと四割になっている、したがって、率そのものはほとんど変動ない、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/4
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005・濃野滋
○濃野政府委員 付保率は毎年若干上昇いたしておりまして、四十五年度は二十数%でございますので、この四年間に二十数%から約四割まで上昇しておる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/5
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006・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 わかりました。四十五年以降四割程度ずつ伸びておる、こういうことですか。四割というのはちょっとおかしいと思うのですが、その辺もう一回……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/6
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007・濃野滋
○濃野政府委員 付保率でございますが、輸出実績と保険金額との関係の数字を申し上げますと、四十五年度は約三割、四十六年度も三割、四十七年度が三六%、それから四十八年度は、先ほど申しましたように年度全体では出ておりませんが、約四割程度ではないかと思っております。ただ、この輸出実績というのは輸出の総額でございまして、輸出は七種類の保険がいろいろ重複をいたしておりますので、この重複を除きますとこの数字より若干落ちた数字になっておるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/7
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008・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 それじゃ、次に輸出代金保険契約の状況でありますが、これについてはどういった国々が主要な対象になって、そして契約が行なわれておるか、これは一番新しい年度で答えていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/8
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009・濃野滋
○濃野政府委員 輸出代金保険の主要な仕向け国は次のようでございます。
実績といたしましては、四十七年度の引き受け実績で申し上げますと、まず船を含みますプラントを考えてみますと、順番といたしましてはリベリア・シンガポール、パナマ、ノルウエー、ブラジルというような順序になっております。これは、ただいま申し上げました国の中に、いわゆる船の輸出先としてのウエートの高い国がございますのでこのような順番になっておりますが、船を除きますと、シンガポール、ブラジル、ソ連、タイ、イギリス、中国、こういうふうな順番になっております。この中の大まかな概要を申し上げますと、シンガポールに対しましては、いわゆる機械類、それから自動車類が大きな割合を占めております。それからブラジルでも大体半分以上が機械類でございまして、電気通信機器類がその次の順番になっております。それからソ連につきましては、全体の八割以上が産業機械でございます。それからタイの場合も産業機械が非常に多うございますが、繊維機械とかあるいは自動車類等もかなりのパーセントになっております。最後にイギリスでございますが、イギリスは先進国ということもございまして対象範囲が非常に広くなっておりますけれども、やはり産業機械のウエートが多い。中国向けにつきましては、ほとんどがいわゆるプラント、産業機械でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/9
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010・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 いま仕向け国ごとに言われたわけですが、大体その内容もわかりましたけれども、そうしますと機械類あるいは自動車、電気機器、それから大型のものとしては産業機械、この中でいわゆる中小企業がどのぐらいのシェアを占めておるか、その点、できればいま言われた国ごとに大体わかっておれば教えてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/10
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011・濃野滋
○濃野政府委員 プラント類につきましては、国別の資料をただいまここに持ち合わせておりませんが、全体的に見ますと、昭和四十八年、昨年で、保険の要するに申し込み者となりました中小企業の比率は件数で約二割でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/11
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012・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 金額はわかりますか。金額で大体どのくらい占めておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/12
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013・濃野滋
○濃野政府委員 いわゆる中堅中小企業のものが金額で四・五%程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/13
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014・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 それではあと一点だけ実績の問題をまずお聞きしたいわけですが、次には海外投資保険でありますけれども、この引き受けの実績についてお伺いをしたいわけです。これもまた主要な国別の投資額、それから全体の投資額の中での保険金額の割合、大まかに主要なところだけでけっこうですけれども、これをひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/14
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015・濃野滋
○濃野政府委員 海外投資保険の引き受けにつきましては、昭和四十七年度は保険金額で約二百億円の引き受けでございます。全地域向けの海外投資の中で、これがどれくらいの割合になっているかと申しますと、全投資の約一割がこの保険の対象になっているというかっこうでございますが、いわゆるる発展途上国向けの投資につきましては、投資の約二割がこの保険の対象になっておる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/15
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016・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 もう少し具体的に、国別にわかりませんか。先進国あるいは発展途上国という大まかな分類だけではなくて、国別に、この海外投資保険の引き受けの実績状況について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/16
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017・濃野滋
○濃野政府委員 海外投資の保険引き受け投資額が十億円をこえております主要な引き受け国をあげてみますと、四十七年度で、インドネシアが保険金額で約九十五億円、続きまして韓国が約二十五億円、ブルジルも同様に約二十五億円、それからザイールが十二億七千万円、シンガポールが十一億三千万円。以上のようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/17
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018・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 これも先ほどと同じようなことになりますけれども、いまの海外投資保険の事業規模別の実績、大企業と中小企業に分けた場合のこの実績について、件数あるいは全体の何%をそれぞれ占めておるか、こういうふうな点についていま出ておればここで答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/18
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019・濃野滋
○濃野政府委員 事業規模別の詳細に分けました資料を手元に持ち合わせておりませんが、昭和四十七年度で見ますと、件数で見まして四百二件の投資の中で、いわゆる中堅中小企業が百三十五件、大企業が二百六十七件、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/19
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020・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 大体、現行制度下における大まかな内容はわかったわけでありますけれども、それで、今度の為替変動保険制度の内容について一、二、質問をいたしたいと思うのです。
この前、佐野委員が質問されたのに答えられて、いろいろ現在の国際通貨の不安定な状況、あるいはそれをどのような時期に固定化さしていく見通しがあるか、または、ことしの夏あたり、当面の通貨制度に対する国際的な対策というものが打ち出される、こういうふうな質疑がかわされたわけであります。
いずれにしましても、その論議を通じて、国際通貨の不安定な状況下で、この輸出業者が、たとえば二年以上でなくとも、一年ないし二年、こういったような短期の契約においても、今日の不安定な情勢下においては大きな為替差損をこうむる危険があるのではないか、こういう点が指摘をされておるわけであります。こういう点について、今度の改正案においてはこれでもって十分なのかどうかという点について、端的にわれわれ考えて若干疑問の点があるわけであります。そういう点をどのように認識をされ、かつ、対策を進められようとしておるのか、この点をひとつ局長からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/20
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021・濃野滋
○濃野政府委員 今回の輸出保険法の改正にあたりまして、いわゆる為替変動保険を新しくつくることになっておりますが、この保険制度の中でただいまの御質問に関連しまして第一の問題と申します点は、二年以下の輸出契約、これにつきましてこの保険制度の対象の外とするという点が問題ではないかと思います。
確かに、二年以下の輸出契約につきましても為替変動の危険があるということは全く同様でございますが、なぜ二年以下のものをこの保険制度の対象から除外したかという理由につきまして御説明申し上げます。
第一は、この保険は、諸外国の例にもございますように、大体諸外国とも、ある一定の年度以下のものは保険の対象外としております。その最大の理由は、為替変動と申しますものは、ある程度為替相場の先行きというのが予測されますので、危険なときにだけ保険に付保されますと、いわゆる保険として成立をしないということが第一の理由でございます。
それから第二は、その裏返しでございますが、二年以下の短期のものにつきましては、日本につきましてはまず六カ月以内の取引につきましては、いわゆる為替の先物予約制度というのがございまして、これによりまして為替の変動はカバーができるということになっております。半年と二年の間はどうかという問題がそこに残るわけでございますが、そこで繊維とか雑貨とか、現実の取引を見てみますと、輸出契約から船積みが終わりましてお金が外国から回収できるというものは、大体六カ月以内で、九〇%から九五%はそれでカバーできるかっこうになっております。したがいまして、形式的には半年から二年という間に一つ穴があくようでございますが、現実の輸出取引の実態から申しますと、九割ないし九割五分のものはカバーできるということになっております。
この二つの理由から、私どもとしましては、一応二年以下の輸出契約はこの保険制度の対象外にした、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/21
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022・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 諸外国の例もいまあげられたわけでありますけれども、私どもいただいておる資料によって見ますと、必ずしも二年というふうな区切りになっておらないのですね。もちろんそういうところもありますけれども、しかし、たとえばフランスあるいはオーストラリアあるいはスペイン、こういった国々の為替変動保険制度を見てみますと一年というふうなことになっておる。いま局長おっしゃいましたように、半年から二年までの問というのは、全体の中では非常に微々たるものだ、こういうふうに理解をするわけでありますけれども、しかし、そうだからといって、この間の変動による救済というものが捨てられてもいいんだというふうな形にはならないのじゃないか、こういうふうにも考えるわけであります。そしてまた、いま申し上げましたように、幾つかのこの制度を持っております諸外国においてはやはり一年というふうな形のところもあるわけでありますから、この点は当面はこれでやってみる、しかし、実情に応じてある程度考えなければならぬ時期といいますか、あるいは全体の情勢の推移があれば考える、こういうふうにお考えなのでしょうか。その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/22
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023・濃野滋
○濃野政府委員 ただいま渡辺先生御指摘のように、諸外国は西ドイツが二年でございますが、その他フランス、ベルギー等は一年というのをいわゆる免責期間にしておりまして、私どもも本制度の運用にあたりましてこの点をどうするかというのが一つの問題でございましたが、先ほど申し上げましたことのほかに、これは保険料率の算定とも問題がからんでまいりまして、いま先生御指摘のように、将来の方向といたしましては、この制度の運用を通じましてこの免責期間をどうするかという点は私どもとしても考えてみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/23
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024・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 それから保険料率の問題でありますけれども、これは全体的に私どもが見て、すでにこの制度を持っている諸外国の料率と比べますと、日本の場合には相当割り高になっておるんではないか、こういうふうに受け取れるわけでありますけれども、その実態を少しこまかに御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/24
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025・濃野滋
○濃野政府委員 本為替変動保険の保険料率をどうするかというのは、ただいま私どもの中でいろいろ試算をやっておりますが、諸外国の制度は大体〇・六から〇・七というのがこの保険制度の料率になっております。わが国におきましては、一つは日本の現在のプラント類の輸出等につきまして、いわゆる外貨建ての比率というのがヨーロッパ諸国に比べて非常に高うございますし、それから日本円の強さというものをどう判断するかということでございますが、私どもの現在の計算では〇・七を若干上回る〇・八前後の一応の前提のもとの数字ができておりまして、これも私どもといたしましては、この制度を動かしまして、その後の運用状況によってこの保険料率等も少し長期的な問題として考えてみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/25
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026・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 次に、この法案の第一条の関係をお聞きしてまいりたいと思います。これは定義の拡大、いわゆる付保対象の拡大、追加、この問題でありますけれども、これは先日の答弁の中で、一つの見通しとして、木材、それから綿花、羊毛、食肉、魚介類、こういうふうに答弁をされたわけであります。これはもちろん政令で今後定めようとするわけでありますけれども、いま申し上げたもののほかに、あるいはその中に大豆、ノリ、茶、それからウナギ、こういうふうなものも対象として考えられているのでしょうか。これは正式にはまだ政令はこれからですけれども、考え方の中にいま言ったようなものも大体含まれているのかどうか。その点、できればはっきり答えて
いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/26
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027・濃野滋
○濃野政府委員 ただいまのいわゆる海外投資保険の改正の中で、従来鉱物に限っておりました融資保険の対象の拡大の問題でございますが、先生御指摘のように、今回は鉱物資源だけではなしに「木材その他の政令で定める貨物」というかっこうにいたしました。私どもが考えておりますのは、ただいまお話のございましたような木材、綿花、羊毛、食肉等でございますが、先生御指摘の茶、ノリ等の問題につきましては、具体的に何をあげるかという問題は、今後実際にそういう投融資のケースが出ましたときに農林省とも相談をいたしまして、その結果この政令で指定をするものは指定したい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/27
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028・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 大豆は対象に考えていましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/28
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029・濃野滋
○濃野政府委員 大豆もただいま申し上げましたと同様に、将来そういうケースが具体的な問題として出てまいりました場合に農林当局と十分御相談の上、必要があればこの政令で対象とするということにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/29
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030・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 いまの御答弁でありますと、今後慎重に農林当局とも相談をしてと、こういうふうになるわけでありますけれども、しかし、この第一条の定義の拡大を法改正でもってやらなければならぬというのは、やはり日本の経済の現状がいまそのことを必要としておればこそこの定義の拡大をやる、このようなかっこうになるわけでありますから、正式には今後政令で定める内容としてどうするかということに当然なりましょうけれども、いま局長が答弁になったようなものについては一応今日の段階で対象に考える、こういうふうに理解してもよろしいんじゃないかと思うのです。
そこで、それを前提として、新たに付保の対象になろうとしております二、三の問題について少し具体的にお聞きをしていきたいと思うのです。
これは農林省にお聞きをするわけですけれども、特に日本の食糧、こういうものを中心として自給率を高めるための振興体制に今後相当力を入れていかなければならない。これが今日の段階における政府の態度であろうと思いますし、農林省もそのためにいろいろ具体的な施策について検討しておられると思うのです。その現状なりあるいは基本的な考え方、それから長期の指針、当面の対策、こういうものについて幾つかお伺いをしてまいりたいと思います。
最初に木材関係をお聞きしますが、これは四十八年度であれば一番よろしいのですけれども、もしなければ四十七年度の木材の総需要量に対する外材の占めている率、いわゆる外国から木材、木製品を輸入しておる状況について最初に御答弁をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/30
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031・山田嘉治
○山田説明員 木材の輸入依存率についての御質問でございますが、ただいままで農林省が公表している数字について申し上げますと、ちょっと古くて恐縮でございますが、昭和四十六年の数字で外材の輸入が五五%、国産が四五%という比率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/31
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032・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 それならば、これは四十六年度ですからいまから二年前になるわけでありまして、その前の四十六年以前の状況と、それからこれは推定になりましょうけれども、四十七あるいは四十八、こういうふうな状況を通観してみますと、この外材の依存率というものは率としてふえているのか、あるいは減っておるのか、この点はどうですか。それからもう一つは、四十六年度の木材の総需要、立米でけっこうでありますけれども、その数字をあわせてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/32
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033・山田嘉治
○山田説明員 木材の自給率の推移でございますが、傾向として申しますと、国内の資源に制約がある、他方、住宅建築をはじめといたしまして木材に対する需要が年々急速に伸びておるというような状況から、輸入依存率がだんだんふえてきておるという状況にございます。少し過去の数字から申し上げますと、昭和四十一年には木材の自給率は六七%でございました。それが逐次自給率が減ってまいりまして、昭和四十三年には五三%、それから四十五年、四十六年も同様でございまして、この二年は四五%ということになっております。それから四十七年の数字はまだ公表されておりませんが、この四五%より若干下がる見通しでございます。
それからさらに将来についてどうであるかということでございますが、林野庁のほうで五十六年度の見通しというものを一応持っておりますが、これによりますと、五十六年に木材の自給率は三七%程度になるというように見込んでおります。
なお、後段のお尋ねの立米数でございますが、ちょっと手元に資料を持っておりませんので、取り寄せたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/33
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034・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 そうしますと、いま木材で見てまいりますと、四十一年以降ずっと一貫して外材の依存率というものが高まっている。逆に自給率というものが低くなってきている。そして五十六年ですか、昭和五十六年度では三七%まで自給率が落ち込むというふうに見られるわけです。これはあとでその他この付保の対象になるであろうと思われるものとも関連をするわけでありますけれども、こういうかっこうで次第に自給率というものが低まっていく。これに対して農林省としても一定の考え方を持っておられるのではないかと思うのですけれども、これはだんだんそういうかっこうで、もうすべての——すべての品目といっては語弊がありますが、対象になろうとしている主要な幾つかの品目はこういうかっこうで推移するのはもうやむを得ないのだ、こういうお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/34
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035・山田嘉治
○山田説明員 ただいま木材についての数字を申し上げまして、将来相当自給率が下がる見通しを申し上げたのでございますが、木材につきましては、これは先生御承知のように、戦時中の日本の森林の乱伐、荒廃を戦後新しく植林をいたしまして立て直しをはかっておりますが、その植林されました木がまだ非常に未成熟な段階にございます。他方、木材に対する需要が非常に強いということで、自給率が下がっていくということはどうもここしばらくはやむを得ないんじゃないだろうかというように思っておりますが、農産物全般について考えますと、これは先ほど先生からも御指摘ございましたように、特に食糧につきましては、これは国民の安全の問題にもかかわってくるものでございますので、農林省といたしましては、国内で生産できるものは極力自給率を高めていくということを政策の根底に置いておるわけでございまして、自給率が下がるのにまかせておいてよいというようなことは毛頭考えておりません。自給率の維持、向上をはかるという観点に立って各般の施策を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/35
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036・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 食糧についてはあとで時間があれば少しお聞きしたいと思っておりますけれども、この木材関係では、材種別に輸入量を見てまいりますと、一番多くを占めておるのがいわゆる南洋材、それから米材、ソ連材、こういうふうな形になると思いますけれども、私どもが認識する限りにおいては、この南洋材にいたしましても、たとえばインドネシアあるいはフィリピン、こういったところでは、それぞれいま申し上げた国が諸外国に輸出をする木材、特に丸太の場合、輸出規制をどうしてもやらざるを得ないというふうな国内の情勢になってきておるのではないか、こういうふうに認識をするわけであります。もちろんわが国としては絶対不足があるわけでありますから、これらの国との協調を強めながら安定輸入というものをはかっていかなければならないわけでありますけれども、実態としては、インドネシアの場合を見ても、あるいはフィリピンの場合を見ても、相当きびしくそれぞれの国の規制というものが強まってきておるのではないか、こういうふうに認識をするわけであります。あるいはまた米材の問題についても同じようなことが言えるのではないか。アメリカ合衆国あるいはカナダ、こういうところでも同じような動向がどうも強く出始めてきておる。さらにまたソ連の場合にも一般材の価格の不安定もありますし、それから現に第二次のKSプロジェクトの交渉は、事実上中断のような模様になっておる。こういうふうな点から考えますと、わが国が依存しておる外材については、その主要な国々の場合において必ずしも安定供給を安易に考えることができないというふうに私どもは認識をするわけです。
そういう点から言うならば、単に食糧のみならず木材の場合にもわが国の需要が拡大をしていって、そしてわが国の木材の現状から、それはだんだんと外材に依存する率を高めざるを得ないんだというふうなことだけでは乗り切れないというふうな状況が早晩来るのではないか、こういうふうに考えざるを得ないわけです。その辺はどのように認識をなさっておるのか、その点お聞きしておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/36
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037・山田嘉治
○山田説明員 外材への依存率がだんだん高まっていく中で、外国のほうが輸出の規制でございますとか、あるいは丸太、原木のままで輸出することを次第に制限してまいるという傾向があって、この輸入については必ずしも楽観できないのではないかというお尋ねでございましたけれども、私どももさように認識しております。したがいまして、私どもといたしましては、外材の安定的な輸入を確保するために、これまたいろいろなくふうをこらしていかなければならない。一つには、やはり先方の希望しておりますようなある程度加工した形でこれを輸入するということ、そのために、たとえば南洋材等でございますれば、現地の要望に応じて加工に関する施設につきまして援助その他の方法を通じまして投資をしていくということも必要であるかと思います。
それから先ほど申し上げましたように、国内の木材の供給を強化するという観点で引き続き植林その他を進めていきまして、国内の自給度につきましても極力努力をしていく。これは先ほど申し上げましたように、何せ木のことでございますので非常に年数がかかりますけれども、やはり国内の資源というものもこれは力を入れていく必要があるというように考えておるわけでございます。
それから、先ほどございませんでした数字でございますが、四十七年の数字で、これはまだ推定値でございますが、ちょっと申し上げますと、国内産の材木が四千五百二十四万四千立米、比率にいたしまして四一・七%、それから輸入材が六千三百三十五万四千立米、五八・三%というような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/37
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038・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 そこで次に食糧関係でありますけれども、これは直接当面おそらくはこの付保対象の拡大に伴って対象品目になろう、こういうふうに思われます大豆だけにしぼって申し上げたいと思いますけれども、この大豆の自給率は、去年あれほどの騒ぎがあったわけでありますからこまかい数字のやりとりはいたしませんけれども、まあ四%内外の自給率、こういうふうなことで、ほとんどすべてを外国に依存せざるを得ないというふうな状況になろうかと思います。これに対する農林省の長期対策あるいは当面の対策があれば、それを具体的にお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/38
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039・山田嘉治
○山田説明員 大豆につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、国内生産はわずかに四%足らずというような状況に、これは四十七年の数字を申しますとそういうことになっておりまして、圧倒的に輸入に依存しておる。しかも、先生御存じのように、これがほとんどアメリカ一国に大部分を依存しておるというような非常に特異な状況を呈しておるわけでございます。
昨年、御承知のような、アメリカ政府によりまして大豆の輸出規制という措置がとられまして、そのために非常に日本としては大きな衝撃を受けたという苦い教訓がございますので、それにかんがみまして、農林省といたしましても、一つは、大豆を国内でまかなうと申しましても、非常に日本の狭小な国土の状況から申しまして不可能でございますので、やはり相当程度は輸入に依存せざるを得ませんけれども、ある程度、やはり大豆につきましても、片一方で米の生産調整というようなこともやっておりますので、大豆の国内産を少しふやしていこうという政策を本年度からとっております。これは現在再検討中でございますけれども、農林省の持っております昭和五十七年度を見通した「農産物需給の展望と生産目標の試案」というものがございますが、これによりますと、現在四%程度の大豆の自給率を約一〇%程度まで上げていきたい、増産をしてまいりたいというように考えております。
それで、そのねらいは、先生御存じのように、大豆は約八割が食用油をしぼります製油用でございますが、日本の伝統的な食品でございますところのみそとか、とうふとか、しょうゆとか、伝統的な食品用の需要が約二割ございます。これにつきましては、やはり日本固有の大豆が品質的にも望ましいということがございまして、この食用大豆につきましてもう少し増産をしてまいりたいということで、本年度から農林省は大豆につきまして生産奨励金を予算計上いたしまして、大豆の生産を増強してまいりたいというように考えております。
それから、輸入につきましてもアメリカ一国に非常に依存が片寄っておりますので、もう少し輸入先の多角化というようなことも考えていく必要があるというように考えておりまして、そのために、アメリカ以外の地域で適当な地域があれば、これは日本の資金的、技術的な援助等を伴いまして、開発輸入というような方向も考えていく必要があるのではないか、これは今後検討していくことでございますけれども、そういう構想を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/39
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040・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 今後相当意欲的に生産の拡大をはかっていかなければならないというのは、全くそのとおりだと思うのです。たとえば、いまのところは四%前後だ、こういうふうになっておっても、昭和三十五年の資料を見ますと、大豆の自給率は二八%を保っておるわけです。昭和二十五、六年ごろの状況を見ますと、食用油以外のみそ、しょうゆ、あるいはとうふ、こういった食品用の大豆は、ほぼ国内産の大豆でもって自給しております。こういうふうな状況でありますから、その後今日までの間に急速にこの自給率が落ちてきた、そうしてほとんど外国にたよらなければならない、こういうふうな状況になってきたと思う。このことは単に大豆だけではなく、その他の穀物を考えてみましても、やはり同じような傾向でずっと推移してきていると思うのです。たとえば食肉の問題でも、これは牛とか豚とか鶏とか、直接そういったものを外国から輸入する、あるいはその国内自給率はどのぐらいか、こういうものを見る場合でも、これは専門家でいらっしゃいますから別に私から申し上げる必要もないのですけれども、これはどうしてもコウリャンとかトウモロコシとか、そういったものの自給率というものがほとんどない現状の中においては、今後日本の食糧事情というものを考えてみた場合にたいへんな問題ではないか、こういうふうに思うわけです。
そうしてまた、いま奨励金の問題が出ましたけれども、昭和四十七年から四十八年の末を見ても、大豆の場合には作付面積がさらに相当大幅に減る、こういうふうな数字になっているように私は理解をするわけです。いま、今年度この奨励金として一俵当たりたとえば二千五百円なら二千五百円、こういうものを出すにいたしましても、われわれがこういうことを議論しておる四十七年から四十八年度にかけて、あるいは今年度、四十九年度どうなりますか、こういうふうな状況の中で、さらに作付面積が減っていく、こういう現実の情勢下にあるわけでありまして、その点の認識が数字の上で違うのでしょうか、あるいはどういうふうなお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/40
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041・山田嘉治
○山田説明員 ちょっと私いま的確な数字を持っておりませんが、生産奨励金につきましては、本年度から大豆だけでなしに飼料穀物、それから麦につきまして生産奨励金を出すという施策をとっておるわけでございますが、私どもの承知しておりますところでは、麦につきましては、その刺激的な効果があらわれたためと思いますが、若干の面積がふえているようでございます。大豆につきましては、実はちょっと数字を現在持っておりませんが、あるいは先生御指摘のようになお若干減っているように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/41
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042・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 私が特に農林省に対して具体的にお伺いをしたのは、要するに今度定義の拡大で、いま申し上げましたような木材であるとかあるいは大豆であるとか、こういうふうなものが付保の対象になっている。当面、いわゆるわが国の絶対量が不足をしておるこれらのものについて安定供給の計画をしていくためには、今度の付保対象の拡大というものが私は必要だと思うのです。必要だと思いますけれども、しかし国内ではどうしても自給ができないから、まあ外国から依存をしてそれを入れる、そのためには、取引をやるための危険性というものをカバーするために、今度の法改正によるいわゆる付保対象の拡大によってこれが保険制度でカバーをされる、こういうふうに安易になってしまうと、これはほんとうに長期的な意味での大計を誤る危険をわれわれ自身おかすことになってしまう、こういうふうに思うのです。ですから、当面はこの定義の拡大をしながら、当面の対策としては、いま言ったようにこの保険制度でカバーをしながら安定供給をしていかなければなりませんけれども、しかし、長期に見た場合には、それに依存しっぱなしになるのではなくて、農林省自体が国の基本的な政策として、自給率を高められるものについては積極的に高めていく、これがどうしても必要だ、こういうふうに考えますので、少しこまかいところまで御質問を申し上げたわけであります。
それで、これは農林省に対する質問のまとめとしてお聞きしますから、そういう意味でお答えをいただきたいわけでありますけれども、この食糧をはじめとする主要な農産物あるいは木材を含めて長期の生産拡大といいますか生産振興、その方針を具体的にお立てになったのかどうか。それから当面は、奨励金の問題なんかはいまお聞きしました。これは長期にわたってどういう基本方針をもって臨んでおられるのか。この法案との非常に重要なかかわり合いが出てくると思いますから、それをまとめてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/42
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043・山田嘉治
○山田説明員 農林水産物の自給度の問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、特に食糧等を中心にいたしまして、これは国民の生活の基本にかかわるものでございますので、私どもといたしましては、そう安易に単なる比較生産性と申しますか、外国とのコストの比較というようなことだけに基づいて安易に外国に依存する政策をとるべきでないというように考えておりますことは、これは基本的にはさようでございます。ただ、自給度の維持向上をはかるということを申し上げましたが、先ほど申し上げましたように、農林省が一つの試案といたしまして、昭和五十七年を見通しました国内の自給度をどの辺まで持っていくかという試案を持っておりますけれども、これは最近の経済情勢の変動等から実はもう一ぺん再検討をしてみる必要があるということで現在省内で再検討中でございますので、この数字を新しく改定いたしまして、はっきり改定した目標に基づきまして施策を進めていくというように考えておる次第でございます。
念のために申し上げますと、現在持っておりますこの試案によりますと、昭和五十七年度におきましては、四十七年の食用農産物の総合自給度が七三%でございますが、これを七三%を維持し、それ以上に上げていく、七三ないし七七%というような数字を一応立てておりますけれども、ただいま申し上げましたようにこれを改定いたしまして、新しい数字に基づいて施策を立ててまいりたいというように考えているわけでございますけれども、基本的な考え方は、先ほど申しましたように、国内の自給度の維持向上が国のナショナルセキュリティーと申しますか、そういう観点からも必要であるという認識に立って考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/43
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044・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 それでは大臣にお伺いをしたいわけでありますが、いま農業の問題を中心にずっとお聞きしたわけですが、つい最近になって新聞にも出ておりますが、国際化に対応した農業問題懇談会、ここが十日の日に総理に対して、いわゆる安易な国際分業という考え方を改めていかなければならないのではないか、こういう中間的な提言をしておるようであります。このことは、いわゆる現下の国際情勢の中で特に資源問題が相当やかましくいわれておる、さらにはまた発展途上国におけるナショナリズム、そういうふうな問題とも関連をして、やはりできるものについてはできるだけ自給度を高めていく、しかし当面は、現実に日本がその他の資源をたくさん外国から入れなければどうにもならないというふうな状況の中で、今回の法改正となってあらわれたそういう当面の対策をせざるを得ない、こういうふうな事情があろうかと思いますけれども、国際分業の問題についてどのように基本的にお考えになっておられますか、その点大臣からお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/44
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045・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 農業におきましては、ただいまの御答弁にもありましたようにナショナルセキュリティーという問題は非常に緊要であると考えます。したがいまして、国策として八〇%なら八〇%という自給度の目標をつくって、そして鋭意努力するということが非常に重要であり、また物資によっては備蓄ということも非常に重要であると思います。そういう基礎の上に立って国際分業というものも考えらるべきである、国際分業を優先して、そして自給度を忘れた政策というものは亡国政策である、そう私は思います。現在農林省がそういう自給度の向上ということを目ざして努力を力強くやっておるということはまことに妥当な政策であり、われわれも非常に共鳴している、できる限り自給度を上げるように今後ともいろいろな面で努力していかなければならぬ、そういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/45
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046・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 それでは重ねて大臣からもう一つお伺いをしたいわけですが、実は海外投資のあり方について、これは過日の石油開発公団の法案を審議した際に、あるいはまた金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案の審議の際にも、いろいろ大臣の基本的な考えはお伺いをしたわけでありますけれども、特にいま海外投資については原則的には自動許可制だ、こういうふうな状況だと思うのです。もちろん例外的な個別審査の対象になるものはありますけれども、原則的には日銀の窓口における書類審査だけで自動許可制になっておる、こういうふうに思うわけであります。こういうふうに今回の法改正で法対象が拡大をされる、そのような状況の中から当然発展途上国とのいろいろな問題が新たに多くなっている、こういうふうに認識をされるわけでありまして、単に、この前も議論しましたが、経済五団体の「発展途上国に対する投資行動の指針」だけではなくして、政府自体もこれに対して何らかの考え方を明確に打ち出してはどうか、打ち出す必要があるのではないか、こういうふうに理解をするわけでありますけれども、その点については、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/46
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047・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 この点につきましては、海外投資政策というものを政府としても検討して出発をし直すべきであると思います。われわれはそういう意味において、いわゆるGGベース、政府間ベースのものを非常に重要視いたしまして、イラクやその他の場合におきましてはすでにこれを実施しておるところでございます。このGGベースの場合においては、単に経済協力のみならずインフラストラクチュアに対する協力、教育や福祉施設に対する協力ということも含めて、そういう方面で努力していくべきであると思います。今回、国際協力事業団法案を提案いたしましたのも、そういう発想に基づいてGGベース等に基づくインフラストラクチュアという面を非常に重要視しておるわけであります。
それから第二に、民間による場合につきましては、投資活動の指針というものがございますけれども、これをいかに有効に実行させるかということが非常に重要でございます。先般、日本貿易会等を中心にして、われわれもジェトロやあるいは在外公館に訓令を発して、それを実行するように、監視するように指示しておるところでございますが、最近、通産省の指導に基づきまして、メーカーとかあるいは商社とかトレーダーとか、そういうものが全般的に一つのアソシエーションをつくって、そうしてメーカーもあるいは商社もすべて一丸となって、そういう点について相互に研修を行なうとか、相互監視を行なうとか、あるいは相互抑制を行なうとか、そういう機構をいまつくらしておりまして、新日鉄の平井さんがたぶん会長になると思いますが、そういうことでさらに自粛活動を強めよう、そういう形でいま前進し始めておるところでございます。それらの情勢を踏まえまして、もし将来立法的措置を必要とする事態が出てくるかどうか、そういうこともよく検討してまいりたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/47
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048・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 それでは時間でありますから、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/48
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049・濱野清吾
○濱野委員長 板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/49
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050・板川正吾
○板川委員 輸出保険法の改正について若干質疑をいたしたいと思います。
今度の法律改正の要点は、海外投資保険制度の対象品目を拡大する、それから為替変動保険制度の創設という二つの改正点であります。われわれはこの改正点に賛成する立場で若干質疑をいたしたいと思うわけでありますが、この海外投資保険制度の保険の対象となる品目ですね。
〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕
従来は「政令で定める鉱物の開発」とあるのを「鉱物、木材その他の政令で定める貨物の生産」ということに拡大されるわけでありますが、鉱物、木材はわかりますが、「その他の政令で定める貨物の生産」という「その他の政令で定める貨物」の範囲、これはどういう範囲を予想しておられるのか。今後必要があればあらゆる物資をこの政令で定めていこう、こういうふうにお考えなのか。ある種の重要物資とか生活物資とか限定で考えておられるのか。その点について事務当局でけっこうですから御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/50
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051・濃野滋
○濃野政府委員 お答えいたします。
この「政令で定める貨物」と申しますのは、国民生活あるいは国民経済にとりまして非常に重要だと考えられるものを対象にいたしたいと考えております。具体的に申し上げますと、先ほどの御質疑にもございましたように、鉱物、木材のほか、たとえば綿花、羊毛というような繊維原料あるいは食肉、魚介類あるいは先ほども御質問ございましたような大豆といったようないわゆる国民生活に非常に結びついた物資でございまして、具体的には今後そういう融資のケースがたくさん出てまいりましたときに、農林当局等とも相談の上、政令で具体的に指定をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/51
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052・板川正吾
○板川委員 それでは国民経済あるいは国民生活に不可欠な物資を将来必要があれば拡大していく、こういうことのようでありますが、一応エネルギーあるいは重要物資についての海外依存度といいますか、そういう点について説明をいただきたいと思うのです。エネルギーについてはしばしば論議をされておりますからわかっておりますが、食糧の対外依存度、特に小麦とか大豆とか飼料とか、こういったものの海外依存度というのと、それから綿、毛、化繊、絹、人絹、麻、こういった衣料の原料の海外依存度、さらに住宅用資材、これは木材なりがあろうと思いますが、・先ほどもちょっと話があったようですが、一応ひとつ御答弁願いたい。
次は工業用原料の鉄鉱石、銅、鉛、亜鉛、こういった資源の海外依存度というのはどういう比率をなしておられるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/52
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053・濃野滋
○濃野政府委員 四十七年ないし四十七年度の統計に基づきましてはじき出しました海外依存度を御説明申し上げます。
まず第一に食糧関係でございまして、小麦でございますが、小麦は九四・七、それから飼料関係でございますが、トウモロコシ、コウリャン等でございますけれども、トウモロコシは九九・六、
コウリャンはほぼ一〇〇%でございます。大豆は九六・四%、それから食糧関係であと粗糖がございますが、粗糖が九一・四というような関係になっています。
続いて、繊維原料の関係でございますが、綿花、羊毛ともほぼ一〇〇%というのが海外依存度になっております。
次に、鉄鉱石等のいわゆる鉱物原料でございますが、鉄鉱石は九八・三、原料炭が八一・四、銅鉱石が八五・四というようになっております。
それから工業原料の中でパルプでございますが、パルプは七・九%となっております。
それから地金類でございまして、アルミ、銅、すず等の地金類は、アルミが二二・七、銅の地金が一八・一、すずの地金は九六・八というようなかっこうになっております。
なお、先生のただいま御質問ございました繊維原料につきましては、ここに数字を持ち合わせておりません。
それから木材につきましては、チップ、パルプ等も含めまして五九%、約六割が輸入に依存をしている、こういう関係になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/53
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054・板川正吾
○板川委員 そうした輸入の物資は、数量的に年間どのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/54
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055・濃野滋
○濃野政府委員 わが国の輸入の総規模の中でいわゆる原燃料というのは約七割の比率を占めております。
若干内容にわたって御説明申し上げますと、まず小麦でございますが、小麦は全体の輸入額におきまして四十八年度に約八億ドル、七億九千万ドルでございました。全体の構成といたしましては約二%でございます。繊維原料は四十八年度に約二十二億七千万ドル、羊毛、綿花を含めまして二十二億七千万ドル入っておりまして、全体の構成率としては五・一%になっております。それから金属原料、鉄鉱石、鉄鋼くず、あるいは非鉄の金属鉱等含めまして約四十五億ドルでございまして、構成比としては全体の約一割になっております。それからその他の原料でございます大豆、木材等が四十八年度には約六十六億五千万ドル入っておりまして、これの構成比が約一五%でございます。一番大きいのが鉱物性の燃料、石炭、原油でございまして、四十八年度には約百十六億ドルの輸入がございまして、全体の約四分の一を占めておるというようなかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/55
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056・板川正吾
○板川委員長 私が聞いたのは、輸入物資の総重量、総トンでどのくらい、日本では輸入物資というのがどのくらいの数量を占めているか、それを聞いているのです。たとえば石油が三億トン、鉄鉱石が一億一千万トン、そのほか全部合わせたら一体どのくらいの数量が日本に到着をしておるのか、輸入されておるのか、これを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/56
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057・濃野滋
○濃野政府委員 日本に入っております輸入の原料を全部重さに換算いたしました数字はちょっとここで私記憶しておりません。さっそく調べまして御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/57
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058・板川正吾
○板川委員 私の調べによりますと、総トン数で約五億トンだそうであります。輸入総貨物のトン数五億トン。それを概算しますと、原油が約三億トン、鉄鉱石一億二千万トンですか、その他の小麦、大豆、そういったもの一切を合わせますと五億トンという概算になるそうであります。最近は若干ふえておるかもしれませんが、それを輸送してくる船舶というのはどのくらいあるかおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/58
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059・濃野滋
○濃野政府委員 ただいまの御質問もまことに申しわけございませんが、私ここに記憶がございませんので、至急に調べて御返事を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/59
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060・板川正吾
○板川委員 大臣は元防衛庁長官という肩書きもありますし、海軍の経歴もあるということですから、中曽根大臣に伺いますが、五億トンの貨物が年々輸入をされて国民生活を維持しておるわけでありますが、これの輸送船舶というのはどのくらいあるのかと調べてみましたならば、わが国の船が三千万トン、チャーターを合わせて約五千万トン。支配しておる船舶の数量というのは、いまや日本がアメリカをしのいで世界第一位だそうであります。世界第一位の貨物船舶を日本が支配し、これによって国民生活が今日維持できておる、国民経済というのもこれによって維持されておるということになると思います。最近よく、靖国神社法ではありませんが、武力をもって国を守る、こういう思想がまだまだ国民の間に残っておる、憲法の精神を無視してやはり昔のように武力でなければいざというときは守れないという思想がありますが、五千万トンの船舶、これは三千トン以上の船が約二千隻あるそうであります。これが絶えず出入りして貨物を日本に運んでいるわけでありますが、こういう膨大な輸送船、いざ戦時状態になったならば、おそらくこれを防衛し得るということはいかなる大海軍をもってしても、空軍力をもってしてもできないんじゃなかろうかと思うのです。ですから、戦争を前提に国の安全を守るという思想は、私はいわば時代錯誤の思想じゃないかという感じがするわけであります。防衛庁長官もつとめ、海軍士官の経歴を持つ中曽根通産大臣として、これに対する考え方はどうですか。要するに、いざというときにそれでも武力をもって国を守り得るというふうにお考えでありますか、伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/60
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061・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 最近は、戦争とか防衛についてはハードウエアよりもソフトウエアが非常に重要になってきていると思います。そういう意味において、外交政策あるいはふだんにおける諸般の友好親善政策というものが非常に重要な使命を帯びてまいりまして、ハードウエアの占める位置というものは非常に低下してきつつあるように私も認識しております。ただしかし、世界の現勢から考えてみますと、もし万一侵略があった場合に撃退するという措置は講じておかなければなりません。そういう意味において、日本はある程度最小限の自力は持ちますけれども、大部分は日米安保条約というものによって抑止力としてそういう侵略事態を引き起こさせないという措置を講じておるのは妥当ではないかと思います。しかし、これもある意味においてはソフトウエアの一種でもあります。ともかく世界情勢は非常に変化しつつありまして、軍備というハードウエアよりも、これを運用する、あるいは日常の外交戦略という面から見るソフトウエアが非常に重要性を持ってきた、そういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/61
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062・板川正吾
○板川委員 私は昔、「孫子の兵法」という本を出したことがあるのですが、戦って勝つは善の善なる者ではない、こう言っているわけですね。まして、いまの国民生活を維持するためには五億トンの貨物を外国から輸入しなければならないという状態、それから数千隻の輸送船、こういった事態を考えた場合は、きょうの法律に特別に関係した問題じゃないのですが、たまたま貨物の数量が思い浮かんだわけですが、私はやはり日本の安全というのは、いま大臣が言ったように、外交をもって国の安全をはかるという方向に行かなければ、まだ何か武力をもって守り得るような、要するに戦争状態を前提に安全を守ろうという考え方は不可能であるという感じがしたものですから一言伺ったわけであります。
これが本論の趣旨じゃありませんからまた別の機会にして、次に伺いますが、この海外投資で、田中総理が東南アジア諸国を訪問した場合に、地域の住民から非常に反発を受けた、それは結局日本があまりにも経済至上主義ということで、いわば精神的な、お互いがアジア人であるというつながりを無視した経済至上主義というのが大きな反発を受けてきたと思いますが、本法の海外投資保険制度を運用して、そうした経済第一主義といわれるようなものをチェックする機能はございませんか。そういうことは可能ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/62
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063・濃野滋
○濃野政府委員 海外投資につきまして、最近、発展途上国の一部から、日本の出てまいりました企業のビヘービア、実際の行動というものについてとかくの批判があるということは私どもたいへん残念に思っておりますが、海外投資保険が、そういう海外投資企業の行動について規制すると申しますか、セーブをする一つの政策手段になるかどうかということにつきましては、私どもは海外投資保険の申し込みがございましたときに、まず海外投資につきましては、第一に相手国にいろいろな法令がございますが、この投資案件がそういう法令にほんとうに従っているのかどうかというような点、たとえば海外で森林の開発、伐採をやる事業につきましてはそのあと始末をどうするかというような点、あるいは製造工場でございまして向こうに行って公害問題を起こす心配があるかどうかというような点につきましては、本来この投資保険の引き受けにあたりまして、保険という立場から見ますれば若干出過ぎたものがあるかもしれませんが、窓口におきましてそういう点についてのチェックをし、必要な指導をするということを現に私ども実際に行なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/63
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064・板川正吾
○板川委員 そういうチェックをすることは法律としての直接の目的ではないが、運用によってそういう点をひとつ今後も考慮をしていく、こういうことが私は可能な限り必要じゃないかと思います。そのような運用を願いたいと思います。
それから、繊維の法律のときにも議論になったのでありますが、海外に投資をした、それが国内の市場を撹乱して今日の繊維不況というのを起こしておる、こういう批判が繊維法の審議の際にあったわけでありますが、繊維企業者の海外に投資された金額というものはどのくらいあるのか、ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/64
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065・濃野滋
○濃野政府委員 日本の製造業の海外投資の実績から見ますと、これは四十八年、昨年の九月までの合計でございますが、繊維の部門は合計いたしまして約五億五千万ドルの実績がございます。製造業部門の中で約二三%程度を占めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/65
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066・板川正吾
○板川委員 繊維企業が海外に投資をして、そしてその製品が国内に乱入をして不況を起こすというような場合に、その投資を外国貿易管理法によって規制することが可能じゃないですか。この場合に、国内産業に重大な影響を及ぼすような海外投資は外国貿易管理法によって規制が可能ではないかと思いますが、この点はどう運用されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/66
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067・濃野滋
○濃野政府委員 日本からの海外投資につきましては、ただいま先生の御指摘にございましたように、たてまえは、特定の業種を除きまして日銀の自動許可制になっておりますが、その中で、日本の経済に重大な影響のある場合にはこれを事前にチェックをするというシステムをとっております。したがいまして、その投資が日本の経済、具体的にはその場合には日本の繊維産業かもしれませんが、それに非常に大きな影響を与え得るというようなものにつきましては、その現在の制度の運用によりましてチェックをする道は可能である、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/67
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068・板川正吾
○板川委員 現在繊維不況で、非常に海外、特に近隣の諸国からの輸入製品が年間三〇%も急増して、国内市場に重大な影響を及ぼしております。この外国貿易管理法で規制できる状態でありますが、現状においてそれはどういう運用をされておりますか。従来どおり、別に管理法の発動しておる状態ではないのですか。現状をどう見ておるかということ、あるいは将来どうしようというのか、この点についてひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/68
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069・濃野滋
○濃野政府委員 先生のただいまの御質問が繊維という業種に限った問題であるという前提でお答え申し上げますが、私の記憶しておりますところでは、海外投資につきまして、日銀に申請書が出て、それについて、それを不許可と申しますか、ストップをしたというケースは現在までのところないのではないかと思います。と申しますのは、先ほど御説明申し上げましたように、事前に日銀の自動許可制に待ったをかける、そういうシステムはできておりますが、具体的なケースになりますと、海外投資をする、そしてその企業が、できました製品を向こうの国内の需要充足に充てるのか、あるいは第三国への輸出に充てるのか、あるいはできたものを日本に持ってくるのが主目的なのか、いろいろ個々のケースで違うと思いますが、その辺の具体的な内容のチェックをいたした結果やる、そういうかっこうになっておると思いますが、現在までのところは、日銀の申請をストップしたケースはないのではないかと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/69
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070・板川正吾
○板川委員 次に、為替変動保険の新設について伺いますが、この新設の制度というのはこういうことになりますか。保険契約をしたときより二年以上たって代金の支払いを受けるときに、決済を受けるときに、為替相場が変動しておって円高となったという場合、たとえば契約をしたときは三百円である、決済をするときは二百五十円である、こういう場合には、三百円かける三%の九円を引いて二百九十一円となり、これから二百五十円を差し引いて四十一円の損失になる、この四十一円を補てんをします。それからまた逆に、今度は、契約をしたときには二百五十円である、決済したときに円安になって三百円ということになった場合に、二百五十円かける三%、七円五十銭、二百五十円にその七円五十銭を足して三百円から差し引いた残り四十二円五十銭を国庫に納入をする、こういうことになるのですか。この例をひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/70
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071・濃野滋
○濃野政府委員 ただいま先生のお話しのような計算をすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/71
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072・板川正吾
○板川委員 この免責期間が二年、先ほど渡辺委員からも質問があったんですが、国際収支を計算する場合には、資本勘定の場合には、長期勘定というものは一年なんですね。この場合には、ことばは同じでも直接それとは関係ないかもしれませんが、さっき渡辺君にも答弁があったように、免責期間を二年としておる。しかし最近、御承知のようにドルが交換性を放棄してから、いわば各国の通貨価値が変動して、ポンドが弱くなればフランも関係をいたしますし、イタリアのリラが変われば、これまたヨーロッパのポンドもフランもマルクも変わる。
〔稻村(佐)委員長代理退席、委員長着席〕
マルクは強いからどうかわかりませんが、とにかくそういうように国際間の為替の変動というのが予測しない状態で変わることもあると思うのですね。それは、普通の状態であれば、さっき答弁があったように、一年以内ぐらいは自分で判断をしてやるべきだ、その辺は検討しておくべきだということになりますが、二年も先というのはわからぬじゃないかと思うのですね。これを免責期間を二年ととったのは、そういう意味でどうも十分でないという感じがするわけですが、この点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/72
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073・濃野滋
○濃野政府委員 ただいまの点は、先ほど渡辺先生からも御指摘のあった点でございまして、私どもとしては、先ほども御答弁申し上げましたように、長期的な問題としてはこれは再検討をしてみなければならぬ問題の一つではないかと考えております。
ただ、さしあたり、制度発足について二年といたしました理由は幾つかございますが、一つは、日本のただいまのプラント輸出を中心にいわゆる中長期の延べ払い輸出では、外貨建ての割合がほかの諸外国に比べて非常に高うございまして、そうしてしかも、これは人によって見方は違うかもわかりませんが、円というものは、私どもといたしましては、なお国際的にはかなり強い通貨である、こういう考え方を持っております。そういたしますと、これは保険料率の問題ともからんでまいりますが、ある免責期間を若干長い期間で定めて一応発足をするということにせざるを得ないのではないか、こういう考え方で一応二年というものを制度発足のときの免責期間にしたいという考え方でおるわけでございます。
第二には、先ほども若干御説明申し上げましたように、二年以下の取引のうち、形式的には先物予約でカバーをいたします六カ月と二年の間の穴があいたかっこうになりますが、いわゆる現実の取引を見てみますと、繊維、雑貨等、通常の輸出取引は、輸出契約ができましてから代金決済までの期間が九〇%ないし九五%のものは六カ月以内でカバーができることになっておりますので、現実の問題といたしましては、そこに穴があきましてもさほど大きな影響はないのではないかというのが第二でございます。
なお、諸外国でも西独を除きましてはほぼ一年の免責期間にいたしておりますが、フランス等も、制度発足のときは二年で発足をいたしまして、その後これを一年ということに短縮をいたしておりますので、私どももこの発足後、付保の状況等を見まして、この点は少し長期的に考え直してみる問題点ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/73
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074・板川正吾
○板川委員 それからちょっとお伺いいたしますが、いま為替変動制は世界的な一つのシステムになったわけですが、固定制に復帰する国際通貨の情勢の見通しといいますか、そういう点についてどう考えられておりますか。そういうことは当分ないとか、あるいはあり得るとか、こういう点についての情報なり、見解なりを聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/74
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075・濃野滋
○濃野政府委員 国際的な通貨改革の問題は非常に大きな問題でございまして、先生御案内のように、昨年以来、世界各国の主要国の通貨当局の間で重ねて議論が行なわれてまいっております。ただ、昨年の秋以降のいわゆる石油危機を中心に、先進諸国がすべて経常収支で赤字というような状況になりまして、国際的な経済の体制が当初予想していたとは非常に違った姿になりました。したがって、今年の七月を目標に進められておりました通貨改革の中の一つの柱でございました現在のフロート制から、いわゆる固定相場ではあるが、アジャスタブルな安定をした新しい固定相場を一応目標としておりました通貨改革は、率直に申し上げまして若干延びるのではないかと思いまして、ここしばらくは現在のフロート制度が続くのではないかと私考えております。しかし、やはり通貨制度改革の根元には、調整可能ではありますが、固定相場というものを相変わらず目ざしておるのでないかという考え方を持っております。
なお、フロートにつきましても、過日行なわれました二十カ国蔵相代理会議におきましても、フロートについての各国の介入あるいは運用のいわばルールを考えよう、それは新しい通貨制度のあり方までのつなぎの経過的措置かもしれませんが、ルールをつくって、各国がむだな為替切り下げ競争はしないようにしようというのが非常に大きな一つのポリシーになっているように私どもは理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/75
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076・板川正吾
○板川委員 この制度は、円建て輸出ならば関係ないわけですね。円建て輸出というのは、総輸出の中の一体どのくらいを占めておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/76
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077・濃野滋
○濃野政府委員 日本の円建て輸出は、総輸出でとりますと数%、たしか七、八%程度ではなかったかと思います。これをプラント輸出にとりますと、最近は非常にこれが上がってまいりまして、約五割、半分近いものが円建て輸出になっておるというふうに記憶をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/77
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078・板川正吾
○板川委員 西欧ではすでに三年前にこの為替変動保険というのが採用されておったのですが、わが国でこの採用が今日三年間もおくれたという理由はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/78
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079・濃野滋
○濃野政府委員 私どももなるべくこういう為替変動を担保する制度を早くつくりたいということで、私ども通産省内部におきましても早くから研究に着手しておったわけでございますが、残念ながらおくれました理由は幾つかございますが、一つは、一番早く発足しました西独等のヨーロッパ先進国を例にとりますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、それらの国におきましては、いわゆる長期延べ払い輸出のうちで自国通貨建ての比率が非常に高い。つまり外貨建ての取引が少ないために、起こりました将来予想される為替変動のリスクというものも相対的には非常に小そうございます。しかし日本は外貨建ての取引が非常に多うございますので、もしこれが事故が起きますと非常に大きなリスクを保険特別会計として負わなければならない。そういうところから、この制度の仕組みの問題につきましても検討を要する点が非常にございました。そのために若干成立までに時間がかかった、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/79
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080・板川正吾
○板川委員 大臣、十二時半でお帰りのようですから一言伺っておきますが、ことしの経済見通しの場合に、石油の輸入を二億七千万キロリットルだ、そのための外貨の支払い総額は百五十億ドルという予定がございましたが、最近の輸出状況を見ますと、この間、通産省も見通しについて改定を行なったようでありますが、石油の輸入数量が、どうも私はいままでの国際収支の面からある種の制限を当然加えられるだろうと思っておったのですが、予想外にこの輸出貿易が伸びておるようでございます。この石油の輸入見通し、それに対する外貨の支払い額等から見まして、今年度の予想というのはどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/80
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081・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 本年度は、総需要の抑制が非常にきいておりまして、この二、三月を見返りましても、割り当ての一割ぐらいが余っている。電力においても、あるいは石油においても、その見当が使われないで備蓄のほうに回っている。そういう状態で、これはよほど総需要抑制というものがきいてきておる一これが生産の縮少ないしは滞貨という方向に動いてきておるわけでございます。
こういう情勢で総需要抑制が進められていきますと、六月ぐらいにはかなり備蓄も回復いたしまして、四十九日分ぐらいまでに下がってきたのが五十七日分ぐらいにあるいは回復するかもしれぬ。九月の石油危機が起こるときが五十九・七日でございましたから、かなりいい線まで回復する可能性がございます。われわれは、九月の石油危機の起こるまでのあの数字にできるだけ早く帰りたい、そうすればある程度安心感が生まれるし、国民の皆さまも安心感が生まれる、そういう考えに立って政策を進めていきたいと思っております。
それで、大体外貨払いが石油では百七十億ドルから百八十億ドルぐらいになるのではないかと予想しておりますが、その点は、これからの入着がどういうふうになるかということにもよります。それでやはりある程度石油を節減し、消費を規制し、省資源、省エネルギーのほうへ向かわなければなりませんから、総需要抑制という形はずっと続けざるを得ないし、そういう点から使用量は自然に減ってくる。そういう形で政策を今後も進めていきたいと思っておるところでございます。しかし石油の値は、最近は追徴金等もありまして、短期的にはそう急に下がるという様相もございませんから、一応やはり百五十億ドル以上の外貨払いが必要ではないか、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/81
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082・板川正吾
○板川委員 備蓄の点ですが、これはそう急に備蓄をふやすということはなかなかむずかしいと思いますが、昨年の九月、大臣は、われに七十九日の備蓄ありと大ラッパを吹いたわけですね。実際調べてみたら、その七十九日というのは途中、船で輸送中のものまで計算して、われに七十九日の備蓄ありという声明を発したようでありますが、この備蓄の数量というのは各ヨーロッパ諸国でも大体九十日ぐらいを目途にしておりますから、将来これはその程度に目標を置くのが妥当ではないか。五十九日まで来たらもうそれでいいんだということにいくべきではないだろう、もっとふやすべきではないか、こう思います。これもいずれまた議論としてあとで論議をいたしたいと思いますから、それはそれといたします。
そこで、これは事務当局でいいのですが、今年度の輸出見込みが改定をされて五百十九億ドルという計算になったようであります。この五百十九億ドル、約五百二十億ドルの中で機械類というのが二百八十億ドル、五四%を占めておりますね。そうして船舶が五十億ドル、これが一〇%、機械類と船舶合わせて三分の二、六四%を占めておるわけでありますが、この機械類と船舶合わせての中で輸出保険にかかっておる率はどのくらいでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/82
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083・濃野滋
○濃野政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生の御指摘のありました四十九年度の輸出見通しの改定でございますが、実は五百十九億ドルという数字はまだ通産省として改定をしておる数字ではございませんで、私どもといたしましてはいま商品別の積み上げ作業をやっておりまして、大体六月一ぱいぐらいで数字をつくり上げたい、かように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、ただいま先生の御質問のありました機械類でございますが、代金保険の対象となっておりますのは、いわゆる政令で指定しておりまして、機械類全部をカバーしておるわけではございませんけれども、いわゆるプラント類に当たります機械はほとんど全部が延べ払いであります以上、代金保険の対象になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/83
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084・板川正吾
○板川委員 従来、船舶と機械類が輸出の中の三分の二近くのシェアを持っているわけでありますが、この中で延べ払い制度に乗っているのはどのくらいの割合になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/84
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085・濃野滋
○濃野政府委員 ちょっとここにこまかい数字を持ち合わせませんが、機械の中で船舶はすべて延べ払いでございまして、一年超の延べ払いになっております。それから機械類の中で電気機器等は、これは延べ払いでないものがだいぶございますので、この点は至急に調べましてあとで御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/85
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086・板川正吾
○板川委員 まあ賛成の法案ですからあまりくどく聞いてもどうかと思いますので、とりあえず若干質問をしましたが、時間も来ましたから、以上のとおりで終わりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/86
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087・濱野清吾
○濱野委員長 米原昶君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/87
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088・米原昶
○米原委員 輸出保険の運営実績を見ますと、昭和四十二年、四十三年、四十四年と、支払い保険金が保険料を上回っております。その限りでは赤字になって不健全経営だ、こういうふうにいえると思うのですが、このような場合に赤字は何によって埋めることになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/88
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089・濃野滋
○濃野政府委員 お答え申し上げます。
私ども現在の輸出保険は、輸出保険特別会計という特別会計を持っておりまして、その特別会計の運用で収入、支出の処理をやっております。したがいまして、一時的な赤字は出ましても、たとえば四十八年十二月末現在では約三百八十億の現金及び預金を持っておりますので、年度ごとに若干の赤字が出ましても、その持っております準備金から支払いをして運用が可能だということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/89
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090・米原昶
○米原委員 たまたまこれを見ますと回収金があって、それが穴埋めをしている形になっておりますが、それがなかったら完全な赤字になっており、大体回収金で収支じりが合うというようなことでは問題ではないかと私は思うのです。輸出保険法の第一条の四で、保険料率は「政府の保険事業の収入が支出を償うように、」と定められておるはずであります。そういう輸出保険法第一条の四の条文にも反することになるのではないか、この点を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/90
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091・濃野滋
○濃野政府委員 お答え申し上げます。
ただいま米原先生御指摘のように、もし収入として保険料、支出として保険金の支払いだけを充てますと御指摘のような点があると思いますが、私どもの保険特別会計では、保険料とただいま先生のお話にございました回収金、これも収入の一つになっておりますので、保険法の規定には違反はしていないのではないかと考えております。ちなみに、制度発足の昭和二十五年から四十七年度末までの累積の数字を取り上げてみますと、収入の大部分を占めております保険料と回収金、それと支払い保険金との関係は、収入がその二つで約八百八十億円、保険金の支払いが六百五十七億円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/91
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092・米原昶
○米原委員 昭和四十二年度に政府出資三十億円を仰いでおりますが、その理由はどのようなものだったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/92
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093・濃野滋
○濃野政府委員 保険特別会計は、創設当初に十億円出資を一般会計からいたしまして、その後二回十億ずつ出しまして三十億の出資を持っておりましたが、ただいま米原先生御指摘のように、昭和四十二年度には、ちょうど四十年から数年にわたりましてインドネシアで非常に多額の保険事故が起こりまして、そのほかアラブ連合、それからガーナ関係等でかなり大規模な保険事故が出ましたために、支払い資金に問題が生ずるおそれがございましたために、四十二年度に補正予算で三十億円の一般会計からの出資を仰いだ、こういう経緯になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/93
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094・米原昶
○米原委員 いまのお話を聞きましても、海外投資に発生しやすい焦げつき債権など大企業の危険損害を政府がしりぬぐいしてやっている結果になっているのじゃないかと思うのです。このようにして過去に六十億円もの政府出資が支出されております。このような決定的なときに赤字になり、国民の税収が大企業の損害のために支出されるということでは、輸出保険という本来互助的な性格からはずれることになるのではないか、このような危険は今回の改正案ではさらにふえるのではないかというふうに考えるのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/94
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095・濃野滋
○濃野政府委員 お答え申し上げます。
現在私どもが運営をしております輸出保険は七種類の保険があるわけでございますが、先生御指摘のように、従来の輸出代金保険等につきましては、結果といたしまして、その保険の申し込み、保険によって将来のリスクをカバーできる対象になったものが、対象貨物がプラント輸出という非常に大きなものでありますがゆえに、いわゆる大企業が非常に中心になっておることは事実でございますが、ただプラント輸出というのは、たまたま保険の申し込み人が大企業でございましても、非常に大きなプラントになりますと、たくさんの中堅中小企業が一緒に参与しておりまして、実質的には中堅中小企業もそういう意味での恩恵を代金保険では受けておるというふうに私どもは考えております。特に普通輸出保険、これは繊維、雑貨等も含めましたいわゆる日本の一般の輸出商品でございまして、普通輸出保険でございますとか、あるいは輸出の手形保険、これはDP、DAというような手形決済をカバーしておる保険でございますが、こういうものの対象貨物は、むしろただいま申し上げましたような一般的な輸出商品が非常にございますので、必ずしもこの保険制度がいわば大企業の利益を擁護するだけのものというふうには私どもは観念をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/95
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096・米原昶
○米原委員 ではちょっと聞きますが、なぜ政府出資という形をとって出資して、借入金の形をとらなかったのか。六十億円にものぼるこのような政府負担金は返済さるべきである、こう考えます。それともこの輸出保険には本来政府出資を必要とする性格があるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/96
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097・濃野滋
○濃野政府委員 輸出保険制度の運用につきましては、これは世界各国、かなり広い数多い国が同様な保険制度を持っておりまして、それぞれの国によりまして、その保険の運用のために政府の肩入れの程度というのはいろいろ違っております。
私どもの日本の輸出保険につきましても、基本的な運用の方針といたしましては、法律にも書いてございますように、主として保険を利用する人からの保険料を収入として、そして事故が起こったときに保険金で支払ってこの収支を合わしていくというのが保険のたてまえでございますが、保険の運用上短期の借り入れをするケースが一つあると思います。ところが、ちょうどこの四十二年当時におきましては、この短期借り入れでは運用しきれない問題もございまして、また政府が保険の特別会計を持って運用しておるということから見ましても、たとえば保険の運用上必要な範囲で一般会計からの出資をお願いし、それによって長い目で見ましてこの特別会計全体のバランスをとっていくことは、私どもとしては許されるところではないか、かように理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/97
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098・米原昶
○米原委員 為替変動保険では、円高が円安を相殺するように変化するとは限らないわけです。他の輸出保険と違って為替変動保険の場合は、プラントの輸出産業全体が、たとえば円高のために差損が出るということになりますが、そうなった場合、この収支相償うという保障がなくなるのではないか。その点を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/98
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099・濃野滋
○濃野政府委員 先生御指摘のように、為替変動保険と申しますものは、ほかの保険と違いまして、一時に事故が起こりまして、しかもそれが相当大きな額になるということは、私どもおっしゃるとおりだと思います。ただ、一時に事故が起こりますが、対象になります貨物が長期の延べ払いでございますので、一年間で起こるということではございません。もし延べ払いの平均がたとえば七年、八年あるいは十年というものでございますと、分割して起こってくるわけでございます。そのために思ったより毎年度起こる金額は小さくなるのではないかと思います。しかし、それでも短期的に見ますと保険金の支払い等に問題が起こり得る可能性もございますので、今度の法律改正では、附則におきまして輸出保険特別会計法の改正をいたしまして、第十一条の二として借入金の規定を設けまして、ただいま申し上げましたような理由によりまして、短期的に見てどうしても保険会計の運用ができないというときには、この借入金を運用いたしまして保険金の支払いに充てたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/99
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100・米原昶
○米原委員 その点なんですが、日本の国際競争力を考えた場合に、現在はともかくとして、短期的でなく長期的に見れば、列島改造などということもあるわけで、高度成長の結果、円高の傾向が続く場合のほうがむしろ十分考えられる。そうなると、保険料または差益納付金をもって差損をまかなうというわけにはいかず、ほかの輸出保険制度の会計にしわが寄るか、または借入金がふえる、あるいは先ほど問題にしたように一般会計からの出資がふえるということになります。そうなると、またこの為替変動保険の性格も互助的なものというより、結局大企業の輸出代金の受け取りにおける差損を政府がみずから負担してやるということになります。このように為替変動保険には保険制度になじみにくい面があるのではないか。この点はどのように考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/100
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101・濃野滋
○濃野政府委員 ただいま先生御指摘のように、この為替変動保険というのはたいへんむずかしい保険であろうと思います。為替が一体将来にわたって強くなるのか、弱くなるのか、あるいは変動するのかというのを見通すのはたいへんむずかしいことでございますが、ここ一、二年の経緯を見てみましても、スミソニアン体制で三百八円といういわば円安で始まった日本の為替相場も、昨年のフロートに移りますときは二百六十円台という非常に円高になりました。それがまた一年をたたずしてことしの初めには二百九十円台の円安、そしてまたいまは二百八十円を若干上回る円高傾向というように、わずかここ二年ばかりをとりましても変動しておりまして、日本の経済の力あるいは国際経済の動向による相対的な力のバランスというものはなかなか見通しはつけにくい感じがいたします。しかしいずれにいたしましても、長期的に見てこれからの日本の輸出の中で相当力を入れなければならないプラント類の輸出というものを円滑に一そう伸ばしていくためには、どうしてもこういう保険が必要ではないかということで今回踏み切ったわけでございますが、先生の御指摘のような点もございますので、前回及び今回の御質疑にもございましたように、われわれとしては、むしろ非常にシビアな制度で発足をして、この制度の運用の実態、これからの推移を見てみたいという考え方を持っております。
具体的に申し上げれば諸外国、西独が二年というすそ切りをやっておりますが、日本もいわばその一番シビアな二年ということで発足をする。それから三%という変動幅のすそ切り、あるいは頭打ちもある程度考えたいと思いまして、大体二割以上為替相場が変動したときにはそれ以上の変動は保険の対象にしないというような、むしろ各国の制度から見ますれば若干シビアな運用をすることでまずこの制度を発足して将来の推移を見てみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/101
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102・米原昶
○米原委員 いまおっしゃったところを聞いておりましても、民間の保険事業でこういうことをやろうとすればとうていできないことをやっておられるわけであります。こういうきわめてリスキーな保険事業を行なうことは普通では不可能であります。だから、政府がかわってやっているということになるのだろうと思いますが、そうすると、この制度の目的は、あくまでも事業収益というよりも、保険をかけているもの、大部分は大企業の利益を守るという点にあって、為替変動保険のような民間では考えられないようなものが保険として成り立つという結果になるのじゃないかと思わざるを得ないのです。プラント等以外のもの、たとえば中小企業などの輸出品である雑貨品などや、二年以内の短期の為替変動における差損をどのように補償するのか、聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/102
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103・濃野滋
○濃野政府委員 雑貨、繊維等のいわゆる二年以内の短期の取引でございますが、先ほど渡辺先生の御質問にもお答え申し上げましたように、私ども、この短期取引は現在普通輸出保険の対象になっておりまして、通常の輸出取引から生ずる損害はこれでカバーをしておりますが、為替変動という問題はもちろん短期のものについてもあるわけでございますけれども、繊維、雑貨等につきまして現在普通輸出保険の付保実績等から取引の実態を調べてみますと、大体九割から九割五分のものは、輸出契約ができましてから代金回収が行なわれるまでの期間が通常四カ月程度でございまして、これは先生御案内の先物予約制度、これが六カ月先物までカバーをいたしますので、これによって十分カバーが可能ではないか、こういうふうに考えております。
なお、先生御案内のことと思いますが、スミソニアン体制発足の当時、この中小企業者が特に先物の予約がむずかしいということがございましたために、この中小企業者用の先物予約のために特別のワクをつくりまして外貨の預託をいたしました。その後、最近になりまして、むしろ円の先安の傾向が現在の相場には出ておりますために、現在はこれは動いておりませんが、再び前と同じようなことがあれば中小企業者のために特に先物予約、がスムーズにいくようなシステムを同様に考えていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/103
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104・米原昶
○米原委員 いまお話しの先物予約制度があるということでありますが、結局、輸出コストにはね返って、それだけ輸出競争力に響くことになるのじゃないか、現にドル・ショックの場合は、そのような制度があったにもかかわらず、中小の輸出産業は大打撃を受けたではないかと思う。プラントの輸出においては、一部、中小企業関連のものはあるとはいえ、大部分は大企業の輸出品です。プラント以外のものや短期の為替変動のリスクを補償する制度こそいまもっと考えられなければならないのに、その方面が軽視されているのではないか、こういう感じがするわけであります。この点についてさらに聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/104
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105・濃野滋
○濃野政府委員 お答え申し上げます。
私ども、この制度は、先ほども申し上げましたように、為替変動というのは、一つは、ほかの事故と違いましてある程度経済的な予見が可能でございまして、非常に短期なものを変動保険の対象にいたしますと、いわゆる保険で申します逆選択が起こりまして、悪いもの、悪いケース、つまり心配なケースだけを保険にかけるということが可能になるわけでございまして、こうなりますと保険としての運用は全く不可能になるわけでございまして、その意味から、ある程度短期のものはこの保険制度の対象から除外せざるを得ないという事実が一つございます。諸外国の制度も、この短期というものを一年とするか二年とするかということで若干の違いはございますが、同じような考え方から短期の取引はすべて先物予約というようなほかの制度に為替リスクのカバーをまかしておるのではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、繰り返しになりますが、短期の取引につきましては、現実の取引の大部分が先物予約制度でカバーができる。したがって、今後の方向といたしましては、現在の六カ月ぐらいの先物の予約制度をさらに拡大をし、先に延ばす努力をするというのが一つの政策の方向ではないかと考えておりますし、また、中小企業者が先物予約制度の運用が非常にむずかしいという場合には、先ほど申し上げたように特別のワクをつくるというようなことも考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/105
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106・米原昶
○米原委員 それでは、海外投資保険制度における対象の拡大についてさらに聞きます。
鉱物以外の一次産品、資源についても保険の対象にするということですが、それにはどのような種類のものがありますか。また、農産物といいますが、その中身はどのようなものか聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/106
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107・濃野滋
○濃野政府委員 海外投資保険の中の融資保険は、従来はいわゆる鉱物資源のみを対象にしておりましたが、今回の改正で木材その他政令で定めるものを追加することにいたしました。内容といたしましては、木材でございますとか綿花、羊毛等の繊維原料あるいは食肉、魚というような国民生活あるいは国民経済に非常に重要なものについて将来具体的なケースが考えられるというような場合に、関係省とも相談の上、指定をして対象にしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/107
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108・米原昶
○米原委員 新たな対象としていまお話しになったうちで、メキシコの食肉とかアフリカの水産物その他の農産物が予定されているという話でありますが、世界的に食糧の自給率が問題になっており、その中で、本来国内で自給しなければならないようなものまで、農業、畜産の切り捨て政策によって海外依存度が高まっております。石油の二の舞いにならないうちに、国民生活の土台である食糧の自給度を高めておくべきで、安易な国際分業論は間違いである、こう考えます。すでに牛肉や豚肉などの熱量をその生産に必要な飼料の熱量に換算するオリジナルカロリー方式による食糧自給率は五三%にとどまり、半分近くを海外からの輸入に依存しているという事実があります。わが国は先進諸国中の最低の水準であります。この食糧などの自給率の低下をそのままにして海外の資源に依存する政策を進めていけば、資源略奪として、戦前の朝鮮における米の供出の問題と同じように資源産出国の非難を浴びるだろうと思うのでありますが、今回の海外投資保険制度の対象の拡大は、そのような方向を促進する役割りをになっておるのではないか、この点について聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/108
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109・濃野滋
○濃野政府委員 今回の政正はそういう意図はございません。先ほど農林省のほう、あるいは大臣から御答弁ございましたように、やはり国民生活の最低ラインの確保と申しますか安定ということから、食糧の自給度の向上ということは今後農林当局等で十分お詰めになっていく問題だろうと思いますが、私どもといたしましては、そうは申しましても、特定の物資につきましてはそういう全体の大きな需給の見通し、あるいは新しいあり方の中でどうしても出てくる問題だと思います。その場合に、それを開発輸入方式で、融資方式でやる場合に、これが安全に安定した取引ができるということでこの保険はいわば補完的に運用していく、こういうことになるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/109
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110・米原昶
○米原委員 この点、私非常に心配している点でありまして、何よりも国内における自給率の向上という立場を忘れてはたいへんなことになると考えるものであります。
それから海外投資保険に加えられた融資買鉱についても、平等互恵の貿易関係の発展という立場から見るなら多分に問題があるのではないか、融資というのは一種の経営参加であって単純な買鉱とは性格を異にしている、そのような形で資源の略奪を行なう危険はないか、この点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/110
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111・濃野滋
○濃野政府委員 最近は資源保有国もすべていわゆる資源ナショナリズムと申しますか、それぞれの国の立場というものを非常にはっきりさせてまいりまして、そういうことからも十分私どもは注意しなければならぬと思いますが、何も融資買鉱であるからそれが資源略奪だということにはならぬと私は思うのでありまして、それはあくまでも資源を買うときの心がまえなり、そのときの現実の行動の問題ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/111
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112・米原昶
○米原委員 その問題については現在の事実をあげて話しますが、この海外投資保険がかかっているブラジルの鉄の場合など、年産一千万トンのうち、日本側の引き取りが七百万トンであって、あるいはインドネシアのニッケルの場合は、年産一万四千トンを全量日本が引き取っております。このようにして特に発展途上国への融資買鉱の場合、日本側が生産される資源の大部分を自由にするという資源略奪となっております。発展途上国は単なる資源提供国となって、その工業化などは押えられた形になっております。これが問題じゃないかと私は思うのであります。この点について具体的に答えてもらいたいのです。実際に資源略奪になっているのじゃないか、その国の工業化に一体どれだけ貢献しているのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/112
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113・濃野滋
○濃野政府委員 ただいま先生の御指摘のございました鉄鉱石その他鉱物資源の輸入につきましては、やはり日本は主要原材料の大部分を海外に依存しておりまして、これをいわゆる短期の品物の売買だけで済ますには日本経済の運営上非常な不安があるわけでございまして、そういう意味で、できるだけ長期の安定した取引をはかっていく、さらに進んでできれば開発輸入方式によって資源の確保をはかるということが必要ではないかと思います。もちろんそのときに、相手方がそれが資源の収奪だというような意識を持ち、それに反発を持つようではこれはたいへんでございまして、将来資源保有国がいろいろなことを考えてやった場合には、よく互恵平等という立場に立って相談をし、向こうの希望も入れ、その向こうの希望に沿い、こちらの要望、要求にも沿った形で資源の確保をはかっていくということが必要ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/113
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114・米原昶
○米原委員 もう一つ、南ベトナムの問題です。南ベトナムへの投資保険業務を再開したという話を聞きましたが、アメリカですらまだ検討中であります。日本以外にそのような国はまだないわけであります。どのような見通しに基づいて保険業務の再開をされたか、この点聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/114
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115・濃野滋
○濃野政府委員 南ベトナムに投資保険を再開したではないかというお話でございますが、先生御指摘のとおり、今年の一月から南ベトナムに対する海外投資保険の引き受けを再開をいたしました。この保険再開にあたりましては、私どもやはりこの東南アジアに対する民間投資というのが非常に大きな流れとしてございますし、先方も民間ベースでの協力というのを非常に要望しておりました。私どもは役所から専門の調査員も派遣をいたしましたし、アメリカでもやっていないではないかという御指摘でございましたが、主要先進国との横の話し合いもある程度しながら一月に再開をした、こういう経緯になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/115
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116・米原昶
○米原委員 すでに南ベトナムに対しては、政府はもとの宗主国フランスを上回る百三十三億円の経済援助に調印しております。これはアメリカの援助の肩がわりとして南ベトナム政府へのてこ入れであり、臨時革命政府の存在に反対するものとして解放戦線側は非難しておる実情であります。事実上の戦争がまだ実際は終結していない、これは新聞報道も伝えておるとおりでありますが、アメリカが軍事的にも依然として介入を続けている南ベトナムのかいらい政権にこのような経済援助をやり、そして海外投資保険業務が再開されている。これらは軌を一つにした経済的な内政干渉である。海外投資保険業務の再開によって日本の企業進出は容易になり、アメリカに従属して引き続き南ベトナムを新植民地主義的進出の足場に引きとめようとしている。ベトナム問題へのこのような介入は直ちにやめるべきだ、そう考えるわけであります。海外投資保険業務が再開されてから早くも日本の漁業会社と商社が企業進出をしておる。南ベトナムでとれるエビをねらったものでありますが、これは新植民地主義的な資源略奪ではないか、この点について聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/116
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117・濃野滋
○濃野政府委員 南ベトナムに対します投資保険を再開はいたしましたが、投資を全面的に引き受けるように私どもは考えておりません。地域も非常に限定をいたしまして、つまり投資をして出ていく地域も限定をする、業種もいろいろ制限をする、あるいは金額等にも十分チェックをするということで非常に制限的に運用していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/117
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118・米原昶
○米原委員 最近の南ベトナムにおける軍事的な紛糾がさらに拡大しそうな状況から見ても、将来のインドシナに対する日本の対策というものを誤ることになるのじゃないか、これは非常に重大問題であります。単なる経済援助のベースだけで考えていたらたいへんなことになる、この点は十分反省して措置をとってもらいたい、これを要望して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/118
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119・濱野清吾
○濱野委員長 午後四時に委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後一時九分休憩
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午後四時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/119
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120・濱野清吾
○濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。松尾信人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/120
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121・松尾信人
○松尾委員 大臣の出席が非常におくれるようでありますので、大臣に質疑する分もあわせて一緒に質問しますので、政務次官なり、または局長のほうから返答願いたいと思います。
最初に、海外投資の審査の現状でありますが、これは大蔵省のほうは自動許可制でありまするので日銀の窓口で見るだけ、それから過去において海外投資についてのこのような資本の出ていくことについては不許可になった例はないというようなことであります。いろいろこの海外投資というものが問題になっておる。国際協力事業団法案の外務委員会との連合審査におきましてもいろいろ指摘されたわけでありまして、日本にやはり海外経済協力というものの基本姿勢が確立されて、いまこそその基本姿勢というものを内外に鮮明にすべきときである。これは通産大臣も外務大臣も、そのとおりである、早く日本の基本姿勢というものを確立して内外にこの際鮮明にしたい、こういうことでありました。それは事務当局の皆さんにおいてもそういうことを頭に入れて、そして日本一の互恵平等、相手の主権の尊重というものを基本にした日本政府の基本姿勢というものを明確にして打ち出す、これは事務当局においても、大いに一そういうことを促進してもらいたいと私は思うのです。でありますから、現在の民間の海外投資の審査の現状でありますけれども、日銀の窓口規制だけ、それからそれも不許可になった例はないというような実態から申しますると、やはり日本政府としても、通産省としては、海外投資につきましては、日銀、大蔵省だけにまかせるのじゃなくて、そのような一つの日本政府の基本姿勢というものを踏まえた上の審査というものにタッチしていかなくちゃいけないと思うのですが、その点における考え方、これは局長でも次官でもいずれでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/121
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122・森下元晴
○森下政府委員 経済援助、また開発の基本姿勢につきましては、先生の御指摘のとおりでございまして、外交にも国の基本的な考えがございますように、経済問題についても当然基本的な考え方または姿勢が確立されておらなくてはなりません。特に最近におきましては、やはり互恵平等、また相手の主権の尊重そういう中から経済の関係は発生すべきである、またそれによって永久に経済援助、また開発、いわゆる資源の購入等も十分できるわけでございまして、やはり国策として、また基本的な姿勢として、互恵平等、相手の主権尊重、そういう基本的な姿勢の上に立って海外貿易はすべきである、また開発すべきである、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/122
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123・濃野滋
○濃野政府委員 ただいま政務次官の御答弁にございましたように、基本的には私どもただいまの御答弁のようなラインで考えておりますが、若干具体的に事務的な御説明を申し上げますと、海外投資問題は日銀の窓口で特定の例外を除いて自動許可制になっておりますが、そういう法律上の問題は別といたしまして、非常に大きな重要な案件につきましては、実際的に通産省のほうにいろいろ相談がございますし、私どもそれを日本の国内経済との関係、あるいは将来の日本の産業別の国際的な展開の関係、そういうものを踏まえまして、個別ケースについて実際にはいろいろな指導をやっておるというのが実情でございます。
それからさらに、先ほど御答弁申し上げましたように、付保率は低うございますけれども、海外投資保険の引き受けにあたりまして、その引き受けと申し込み、これを機会に個別的な指導も行ないまして、非常に相手国に喜ばれ、受け入れられるような正しい海外投資の方向をとるように事務的にも努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/123
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124・松尾信人
○松尾委員 現状においては、通産省は、この海外投資についていろいろ保険に入ってくる。そのときに具体的な事例としてタッチする、またさらに自動許可制のワク外と申しますか、例外と言いますか、経済協力の上で問題のある投資、または外交上問題のある投資、こういうものは、それぞれ特別案件として関連の各省で審査されるわけでございますけれども、それは当然であります。でありますから、現在のように、ただ海外投資がされる、その中で保険に付される、その分をある程度見ておりますということではなくて、総体的にこの海外保険というものを見ていく、そういう基本的なものをまず事務当局が固めていくかどうか、この点でありますが、もう一回はっきりとしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/124
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125・濃野滋
○濃野政府委員 海外投資問題は、先生御案内のように、国際的にもOECDの自由化コードという一つのコードがございまして、国際的には、投資につきましては出すほうも受け入れるほうもだんだん自由化をするというのが一つの方向でございます。しかし、いま先生御指摘のように、やはり海外投資問題というのは、国内の経済あるいはこれからの日本の産業がだんだん国内だけではむずかしいわけでございまして、いろいろ海外に出ていかなければならない。そのときにどういう基準で、どういうあり方で出ていくかという点は、法律の問題は別にいたしましても、私どもとしては、通産行政の立場から事務的にも必要な指導をし、必要な規制をし、チェックをするということは続けていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/125
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126・松尾信人
○松尾委員 海外投資でありますけれども、まあ毎年海外投資が相当大幅に行なわれておる、それと、この保険に海外投資の分でどのくらいかけられるかという問題でありますが、まず輸出代金保険が一番大きいのかどうか、海外投資はいかなる保険に入ってくるか、そしてその保険というものは海外投資の大体どのくらいの見当でみんなが入ってくるか、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/126
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127・濃野滋
○濃野政府委員 輸出保険にいわゆるプラント輸出がどのくらいかかるか、あるいは海外投資が輸出保険でどのくらい対象になっておるかということでございますが、まず海外投資につきましては、全地域を見ますと全海外投資の約一割ぐらいが付保対象になっております。ただ、地域的にかなりのばらつきがございまして、発展途上国、つまりいろいろな危険を予知されるところにつきましては、おしなべて二割程度が保険の対象になっております。それが実情でございます。
なお、プラント輸出につきましては、大体昭和四十八年度に二十二億ドル程度のプラント輸出がございます。このほかに船舶がほぼ同額ぐらい輸出がございますが、プラント輸出につきましては、個別的な保険を引き受けますほかに、機械輸出組合をはじめ四つの組合がプラント輸出についての包括保険を実施しておりまして、この組合にはおもな機械メーカーあるいは輸出者がほとんど入っておりますので、プラント輸出につきましては輸出のほとんどが代金保険の対象になっておる、これが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/127
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128・松尾信人
○松尾委員 ただいまから質問することについては主として政務次官にお答え願いたいと思うのでありますが、これは輸出貿易の中のいろいろの問題点であります。
まず三月の輸出認証統計によりますと、輸出認証額は四十六億四十七万六千ドル、円ベースで一兆三千六百十六億三百万、これが前年同月に比べまして五〇・六%とふえておる。金額、伸び率ともに史上最高というものを記録したわけであります。その原因でありますけれども、これはやはり世界的なインフレ傾向で、物不足の現象、輸出価格は高騰してきた、そういうことでありまして、この三月は八割が価格高騰の原因によって輸出が伸びた、このようなことがいわれているわけであります。他方、輸入面でも価格の要因が非常に多い。輸入貿易が非常にふえたと言いますけれども、これは価格が上がっておる。数量じゃなくてね。原油等四倍から五倍、金属鉱物、石炭、食糧等の原材料値上がりも相当なものであります。四十九年の貿易の中で、この価格要因というものを輸出入につきどのように見ていらっしゃるかという問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/128
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129・森下元晴
○森下政府委員 御指摘のように、輸入、輸出ともふえておりますけれども、その内部的な要因はやはり価格の高騰でございます。たとえば輸入につきましては、食糧の問題では、肥料関係でも二倍、三倍の高騰をしており、食糧関係だけでも百億ドル、従来以上の輸入額があったわけでありますけれども、そういう点で非常に輸入額が食糧一つ考えても上がっておるし、またこれからいよいよ石油の決済期が参ります。これが三倍ないし四倍という非常に大きな値上がりによる輸出代金の支払いということで、全般的には四十八年度の見通しに比べて三割から三割五分くらいの上昇、輸入で四百七十億ドルくらいというような一応見込みはつけております。しかしながら、国際価格の高騰もまだかなり流動しておりますので、決定的な数字についてはまだ私は見通しが立っておらないように実は思っております。
詳細につきましては貿易局長からお答えさせますけれども、先生御指摘のように、やはり輸入、輸出ともふえておるけれども、そのふえた要因はいわゆる値上がりであるというような内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/129
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130・松尾信人
○松尾委員 この価格要因以外の輸出の急増もあるわけです。それは何といっても国内の総需要抑制政策が続いて内需が落ち込んでおる、国内の売れ行きが不振だ、どうしてもそれを輸出で伸ばしていこうという——やはり政府は主導的に輸出ドライブはかけようとは思わぬといいますけれども、民間のほうでは、自動的にそのように内需で売れ行きが不振であるので、どうしても生産するものは、その価格の高騰の要因もあるものですから、やはりそのような輸出の伸びでカバーしていこうということで一種の輸出ドライブがかかるわけであります。この点はよく注目してまいりませんと、昭和四十年の不況時分もこのような形でこの輸出の圧力がうんと加わりました。そしていろいろ問題を起こして、そして日本の円というものが大きくドルのショックに見舞われたわけであります。
この三月上、中旬の実績、品目別の動向でありますけれども、前年同期比で鉄鋼が九九%ふえておる。自動車が八四%、テレビが七〇%とふえておりまして、いずれもこれは完全に重化学工業の製品なんですね。でありますから、どうもこのままで見過ごしておきますると、また重化学工業中心の日本の輸出はドライブがかかってきて、またいろいろな問題を世界にまき散らかして、そのあげくにはいろいろな問題をまた政府としてかかえ込んでいかなくちゃならないんじゃないか、このように思うわけであります。
前回もニクソン・ショックでいろいろはね返りが参りまして、重化学工業製品を中心とする輸出から知識集約型へ、福祉型へ、このような転換をしていこうということでありました。でありますけれども、どうも現在の状態は、やっとそのような基本姿勢というものが改まって漸次そのほうに向くかと思っておったところが、また国際収支等の問題からいまの輸出ドライブというものを内心政府は喜んでおるんじゃないか、そして知識集約化、省資源型、そういう方向への貿易の転換というものも忘れておられるんじゃないかというような感じがするわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/130
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131・濃野滋
○濃野政府委員 最近の輸出の動向の中で、ただいま先生御指摘のように、鉄鋼、自動車あるいは一部の電気機器等が大きな伸びを示しておるのは事実でございまして、先生御指摘のように、こういう商品があまり無秩序に出ていくことには確かに問題はございます。しかし、この非常に大きな伸びの中で、やはり大きなウエートを占めますのは価格要素がかなりの部分を占めておりますことが第一でございまして、特に鉄鋼あるいは化学原料の一部、肥料というようなものにつきましては、発展途上国等で非常に要望がされておる品目でございまして、そういう意味では市場撹乱という問題はそれほど起こさないのじゃないかと私ども考えております。
やや長期的に見ますと、先生御指摘のように、日本の輸出構造もだんだんいわゆる知識集約型にしていかなければならないということがいわれておりますし、私どももそういう方向で具体的に何をそのときの、ことばは悪うございますが戦略商品と申しますか、中心になる商品とすべきかということについていろいろ検討をやっておりますが、これは日本の今後の産業構造の問題とからんで非常に大きな問題でございまして、まだ具体的にこの商品が将来輸出の中核であるべきだという結論までは得るに至っておりませんが、考え方といたしましては、省資源あるいは省エネルギー型、知識集約型の産業、商品にだんだん日本の輸出商品の構造を変えていかなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/131
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132・松尾信人
○松尾委員 もう一つは、輸出の関係と国内物価でありますけれども、どうも輸出価格は高いが売れる、国内のほうは需要抑制で不振だということになりますと、どうしてももうかるほうに出るわけであります。ですから、いま言ったように、そのようなものがどんどん出ていくわけでありますが、これではどうしても輸出価格以下では国内で売りたくない。ですから、高いほうに流れる。国内で売らなくなるということは、それだけ国内の物価というものが上がってくる。国内でも要るわけです。鉄鋼は要らぬというわけじゃない。そういうわけでありますから、それだけ物価を上げてくるということは、これは指摘できると思うのです。それで、輸出が急に伸びていけばいくほど国内に対する供給というものはそれだけ減っていくわけでありまして、国内がむしろ物不足になり物価がつり上げられる。ですから、輸出というものがふえたからといって喜ぶという要因も確かにありますけれども、それだけじゃいけない。大いに国内の物価というものを考えてみると、やはりいま局長が答えられたとおりに、そのような面で伸びていくのじゃなくて、省資源一知識集約型ということで、輸入も減らしながら、輸出も重化学というものをだんだん減らしながら、日本のあるべき姿に戻ってやっていく。これは具体的に何とは言えないけれどもいま研究しておる、こういうことであります。大いにこれは促進して、きちっとした日本の産業構造を立てていく、そういうことについて簡単でいいですから、政務次官お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/132
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133・森下元晴
○森下政府委員 やはりこのバランスが一番大事でございまして、特に貿易立国であるわが国としては、国際協調を維持しつつ基本的には均衡ある貿易の発展を目ざすべきと考えております。特に現在のように輸入が著しく増しておる状況下においては、バランス上、現在程度の輸出の伸びは問題でないと考えております。
なお、この特定の商品の輸出急増が特定の国において貿易の摩擦を生ずるようなケースが起きました場合には、個別に対策を考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/133
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134・松尾信人
○松尾委員 では輸出の問題はそのくらいにとどめますけれども、しっかり対策を考えていただきたいと思います。
四十六年八月のドル・ショック以来、わが国の対外経済活動にいろいろの問題があり、混乱も来たしたわけであります。為替レートの不安定、これは貿易にも大きく影響するわけでありますが、今回の輸出保険法の改正で為替変動保険を導入していく、創設する、こういうことでございますが、今後の国際通貨情勢と申しますか、大体どのような見通しを持っていらっしゃるか、これも簡単でけっこうでありますが、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/134
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135・森下元晴
○森下政府委員 国際通貨の情勢の動向ということでございますけれども、戦後二十五年余にわたりまして維持されましたIMF体制は、ドルの信認低下と過剰ドルの発生により崩壊いたしております。そうして七三年の三月以降、世界の主要国は一斉にフロート制を採用するに至っております。その後、昨年秋の石油危機の発生に伴いましてドルの再評価と、それから国際流動性の産油国集中という新たな事態を迎えたわけでございます。そして国際通貨情勢は依然として流動的でございます。今後いかなる方向で新通貨体制が形成されていくか、予測するにはきわめて困難な状況でございます。かかる事態を反映いたしまして、金ドル本位制度からSDRを中心とする通貨システムをいかにつくっていくかという従来の通貨政策作業も順調な発展を期待し得ないような情勢にございます。六月中旬の二十カ国蔵相会議におきまして合意が見られるのは、SDRの価額のきめ方とか、それからフロート下のガイドラインとか、それからIMFの機構改革等の限られた事項になると思われますけれども、そういうような情勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/135
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136・松尾信人
○松尾委員 この為替変動保険、これは現在、この変動相場の中でとられるわけでありますが、固定相場制または変動相場制というものとこの為替変動保険というもののつながり、それはどのように考えていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/136
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137・濃野滋
○濃野政府委員 為替変動保険は、いわゆる為替が変動した場合のリスクを保険するという制度でございますので、国際的に見まして為替の変動がない、つまり各国が固定相場をずっと維持しておる限りはこの制度の動く余地はないわけでございますが、現在はフロート制でございます。したがって、フロート制のときには非常に意義のあると申しますか、制度であるわけでございます。しかし、固定相場と申しましても、戦後長いこと、いわゆるニクソン・ショック、新スミソニアン体制のときまではいわゆる相場の変動は全般的に見ますとございませんでしたが、それでもポンドの危機問題あるいはドイツのマルクの切り上げというような事態がございまして、固定相場のもとでもそういう為替相場の変動というのはあり得るわけでございます。特に先ほど政務次官の御答弁の中にございましたように、新通貨体制の見通しはなかなか困難でございますけれども、IMFの目ざしておりました今後の新通貨体制は、安定的ではあるけれども、アジャスタブルな、調整可能な固定相場ということで、あまり一つのラインに固執をした固定相場ではなくて、むしろ世界の通貨の情勢に応じて変動し得る、変え得る相場ということを予定していたわけでございまして、結論的には、固定相場でございましてもフロート制でございましても、この保険制度の活用をする余地は十分あるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/137
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138・松尾信人
○松尾委員 プラントの輸出でありますが、大体海外へプラントを輸出する、これは技術提携等にもよるわけでありましょうけれども、この一般的な取引条件はどのようなものであるか、お教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/138
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139・濃野滋
○濃野政府委員 プラント輸出は、金額、そのプラントの規模によりましていろいろと取引条件に差がございます。先ほども申し上げましたように、四十八年度には、船を除きまして約二十二億ドル程度の輸出がございます。このうちのほぼ七割に近い数字の十五億ドル前後のもの、これが延べ払い輸出になっております。一年をこえる決済であります。延べ払い輸出の条件といたしましてはいろいろございますけれども、大体頭金は一割から二割程度、それから延べ払い期間は、非常に大型のものでございますと七年ないし十年というようなものが非常に多いというのが過去の実績でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/139
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140・松尾信人
○松尾委員 それからこの為替変動保険の保険料の問題をどのくらいにするのかということですね。それと輸出代金保険の保険料と比べてみて、そこに何か相違があるかどうか、この両方を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/140
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141・濃野滋
○濃野政府委員 為替変動保険の保険料率は政令で定めるということにこの法律案ではなっております。この保険料率をどの程度の規模の水準にするかについてはいろいろ試算をやっております。これはただいま御説明申し上げました、ある一定の延べ払い期間、典型的な延べ払い期間をとりまして、その期間内に為替が幾ら変動するかとかいろいろな前提を立てて計算しておりますが、一つの目安になりますのは、ヨーロッパ各国が大体〇・六ないし〇・七%というのがこの保険の運用しております保険料率でございます。現在、私どもの計算では、若干これよりは高い〇・八%程度の保険料率でこの保険をさしあたり運用したらどうかというふうに現在考えております。
それから、輸出代金保険の料率でございますが、個別の保険は一年間で〇・四五四%、それから先ほど御説明しました四つの輸出組合でやっております包括保険は〇・〇九%と、国際的に見ましてはもう非常に安い料率で運用しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/141
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142・松尾信人
○松尾委員 輸出代金保険のほうは安い、為替変動保険のほうはそれだけ危険、リスクが高いと見ているわけですかね。まあそういうことでありましょうが、これは今後の実施の状況を見ませんと、私は何とも判断はできない。ですから、輸出代金保険で本体のプラントが出ていく、そうして、今度はそれをまた為替変動をある程度見てやろうというので、この変動保険というものを創設するわけでありますが、あまり保険料が高ければ、入ろうか入るまいかといういろいろな選択が起こってくるということにもなるわけであります。これは、ただそこには慎重な配慮をなされるべきであるということを私は申し添えておきましょう。
それから次には、輸出保険特別会計の収支でありますが、年々によりまして保険料収入よりも事故による支払いが多いということでございます。この事故というものはどういう保険に多いのかということですね。そして大体現状は、この支払い準備率等を見ましてどうかということでありますが、この点についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/142
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143・濃野滋
○濃野政府委員 私ども現在七種類の輸出保険を運用いたしておりますが、この中で事故の多いのはどの種の保険かと申しますと、四十五年から四十七年まで三カ年の実績から判断いたしますと、輸出手形保険、DP、DAの手形の保険でございまして、これが六十九億七千万、支払い保険金が約七十億になっております。それからその次に多いのが輸出代金保険、いわゆるプラント輸出に対する保険でございまして約六十四億支払っておりますが、ただ、この支払いました金額の保険金額に対する比率を見てみますと、代金保険のほうが高うございまして一・六%程度になっております。手形保険は丁三%程度ということになっております。
事故件数で申しますと、手形保険が最高でございまして約二千七百件、輸出代金保険は、これは一件が大型でございますが、件数といたしましては三百二十五件ということになっております。それから、船積み前の危険を担保しております普通輸出保険、これの支払い保険金は、保険をかけました保険金額に対する割合が〇・〇〇七ということで非常に低うございますし、一番事故の少ないのは海外投資保険ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/143
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144・松尾信人
○松尾委員 輸出代金保険でありますけれども、四十七年度で保険料の収入二億九千四百万、他方支払い保険金が十六億になっておるわけですね。保険料収入と保険金の支払いには相当大きな差がある。事故が多い。また四十八年度、これは四月から十二月までの累計でのことでありますけれども、保険料収入が一億九千七百万、他方支払い保険金というものが二十億五千六百万、このようにその保険料収入と保険金の支払いというのは、最近輸出代金保険では大きく赤字を繰り返しておるというのが実情でありますが、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/144
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145・濃野滋
○濃野政府委員 四十七年、八年のバランスが非常に悪いのは、一つは保険料の徴収事務、これは先ほど御説明しましたように、個別保険のほかに包括保険をかけておるのがだいぶございます。これが非常におくれておるというのが一つの大きな原因でございます。そのほかには支払い保険金の大きな原因といたしましては、その前に起きましたいろいろの事故の年度別の支払い保険金の額がちょうどそこにたまってきておりまして、大きなかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/145
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146・松尾信人
○松尾委員 保険料の収入がおくれておるということでありますけれども、そういうことはやはりないようにしなくてはいかぬと思うのですね。ですから、そういう経理の内容を見てみますと、どうも支払い準備、そういうものにもいろいろしわ寄せがくるわけでありまするので、結局保険料を引き上げていこう、または保険の引き受けを厳格にするというような方向に行くんじゃないかという疑いもあるのでありますが、今後はどのような方針でこの保険を運営していかれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/146
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147・濃野滋
○濃野政府委員 まず支払い準備でございますが、支払い準備は四十八年の十二月末現在で約三百八十億でございまして、支払い準備率としましては〇・四九と、まあ率直に申し上げまして非常に低い準備率になっております。しかし、現在の保険金の支払いと、それから収入でございます保険料あるいは回収金については、若干長い目で見てみますと、発足以来四十七年度末までにいわゆる収入としては八百八十億、保険金の支払いは六百五十七億ということでございまして、長期的に見ますとまだバランスはそれほどくずれておりませんし、過去何回か大きな事故もございましたけれども、保険会計の運営という面ではそれほど支障なく参っております。もちろん方向といたしましては、なるべく準備率を高めまして安定をした保険の運営ができることが私どもとしては非常によろしいわけでございますが、しかしただいま先生のお話のございましたように、輸出者のほうから見ますれば保険料をいまのようなバランスで引き上げるというのはたいへんむずかしいことでございますので、保険料を引き上げるということは私どもとしては現在考えておりません。
問題は、為普変動保険という、もし事故が起きますと一度に支払いが起こるという心配もございますので、一つには特別会計を改正いたしまして借入金ができる規定を設けまして、年度年度の支払いにもし不足がある場合にはこの借入金の規定を運用いたしまして支払いに充てていきたい、かように考えておるわけでございます。
なお、先ほど保険料収入が非常に遅延しておりましたと申し上げましたのは、一つには、代金保険につきましては四十七年からこれを電算機化いたしましてソフトウェアの開発を行ないました。そのために電算機化の対象となりまして具体的な収入の入手がおくれておるというのが現状でございまして、もうこれが片づきましたので、このようなことは今後ないように運用していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/147
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148・松尾信人
○松尾委員 次には中小企業製品の輸出ですが、中小企業製品の輸出というものはおもにどのような保険に入っておるかということ、輸出代金保険なんかにあるかどうかという点と、今回の為替変動の保険でありますが、中小企業の輸出品のそういうものがやはり為替変動保険でカバーできるようなものがあるかどうか。それから、何か保険に入っておいて為替変動保険に入るのか、全然ほかの保険に入らないで為替変動保険だけ付保できるのかどうか、あわせて聞きたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/148
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149・濃野滋
○濃野政府委員 現在七つの保険がございますが、いわゆる中堅、中小企業の方が非常に利用しておられますのはいわゆる普通輸出保険、これは船積み前の危険を担保いたします普通輸出保険、繊維、雑貨等主として包括保険ということで組合別の保険加入をいたしております。もう一つが輸出手形保険、これは中南米等DP、DAの手形によりまして輸出を行なっております。これも一般のそういう商品の多い輸出でございまして、中小企業、中堅企業の方の利用度が非常に高い保険でございます。代金保険につきましては、確かに保険の申し込み者になる方は主としてプラント輸出、輸出の性格がプラントという特別のものでございますので、いわゆる大企業の利用率が高いことになっております。しかし件数で申しますと、いわゆる中堅、中小企業の利用率は代金保険全体の約二割でございまして、金額で申しますと五%ちょっとというかっこうになっております。
次に、今回の為替変動保険、これは二年をこえます延べ払い輸出を対象とするということになっておりますので、中堅、中小企業の方でも二年超の延べ払い輸出を行なう限りは大企業、中小企業の区別なくこの為替変動保険の対象になれる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/149
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150・松尾信人
○松尾委員 プラント類の輸出額ですが、それに対するこの保険をつけておる状況、これは大体どのくらいになるかということであります。輸出額の中で保険に入っておるのはどのくらいあるか、これが一つ。
それからこの輸出代金保険、その中から為替変動保険にたぶん付保するであろう、これをどのくらいと見ておるか、この問題でありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/150
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151・濃野滋
○濃野政府委員 プラント輸出は、先ほど申し上げましたように、四十八年度の実績で約二十二億ございます。このほかに船の輸出が約二十二億ございますが、この輸出の中で代金保険にかかっている比率は、ほとんどのものが代金保険にかかっておるというように私どもは考えております。
第二に、この代金保険と為替変動保険との関係でございますが、代金保険にかけた人たちの中で、まず円建て輸出をしておるものが幾らかございます。プラント輸出の全体から見ますと約半分程度が円建て輸出でございます。円建て輸出の方、これは為替変動の危険がございませんので、代金保険をかけないということは当然でございます。したがって、大ざっぱに申し上げますと、将来の見通しいかんによりますが、代金保険にかかったものの中から大体半分程度が今回の為替変動保険の付保の対象になり得るというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/151
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152・松尾信人
○松尾委員 今度の保険の拡充の点でありますが、従来付保の対象の物資が鉱物のみで、これも政令で指定されておるわけでありますが、鉱物以外の主要物資、その開発のための融資等というものが新たに付保の対象となるわけであります。この主要物資というものをやはり明確にしておく必要があるであろう。
それからこの開発のための融資等とありますが、その開発等の相手国、そういうものはどのように考えておるか、また制限するとすればどのようなことを考えておるか、あわせてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/152
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153・濃野滋
○濃野政府委員 今回の海外投資保険の改正で、つまり開発融資の付保対象の拡大でございますが、従来の鉱物に加えまして、法律に名前を出しております木材その他繊維原料としての綿花、羊毛、それから食肉、魚等、一言で申し上げまして、国民生活ないしは国民経済にとりまして非常に重要な不可欠なものというようなものを対象に取り上げたいと思いますが、具体的にはそういうようなものに対しますこの融資開発、その具体例に沿いまして、主として先生御案内のように、農林物資が中心になりますので、農林省とも十分協議をいたしまして政令で指定したい、かように考えております。
その場合に対象国でございますが、現在のところ、私どもとしては対象国を縛る意図はございません。全世界一応オープンに、原則として差別なく適用していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/153
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154・松尾信人
○松尾委員 縛る考えはなくても、いろいろ危険の多いところ、国有化が進行しているところ等はやはり配慮しなくてはいかぬと思うのです。それはその点でとどめておきますが、水産物の開発輸入ということもいまお答えがありましたけれども、具体的に私のほうから質問いたしますけれども、日本でいまウナギの値段が非常に高くなって、ウナギどんぶりも非常に高い。大衆の食品というものから離れがちであります。でありますから、このシラスの養殖をやりたいということであります。
もう一つはべっこうの材料となりますタイマイ、べっこうガメ、これも地域としては大西洋、太平洋、この中でいままでよくとれておったのは太平洋岸だと思いますけれども、これが資源保存のために漁獲を禁止する、このような国際的な条約も結ばれておるわけでありまして、関係の業界としては原材料の手当てに非常に苦慮しておる。でありますから、中南米に行ってこのタイマイを育て上げて、そして養殖したい、開発輸入したい、またはそこで育て上げたものを放流して、それがそのような中南米からどのようなコースをたどって日本沿岸に来るか、それでそういうものをちゃんとしるしをつけておいて、そして漁獲してみてうまくいくならば放流をして大きくさせながらこれをとるような計画も持っておる。これは資源保護の意味においても非常に大事なことでありまするし、水産物の開発輸入という意味からも適切なものであろう、物価安定にもやはり役に立つ、こう私は思うのでありますけれども、いま私が申し上げたような二つの例について、これは海外投資の中のどれに当たるのか、今回の拡充によってそういうものがはたしてうまくいくかどうかということが一点であります。特にこれは中小企業の関係でありまするので、そのような海外開発をするだけの資金がない、国にも大いに助成してくれ、これは伝統工芸の振興のときにも、このような伝統工芸のべっこう関係のほうからも強い要望があっております。そういうわけでありますので、これは明確なお答えを聞いておきたい。開発資金の点もどのようにしたらこれが手に入るか、また政府としてもどのくらいこのようなものに力を入れていこうとするかという点、いろいろ三点も四点も聞きましたが、わかりやすく、また詳しく御説明願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/154
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155・濃野滋
○濃野政府委員 ただいま松尾先生から具体的にシラスとタイマイの品目について、これの海外における開発について保険あるいは融資の関係でどうなるかという御質問がございました。
率直に申し上げまして、私どもこの具体的な品目についていかがすべきかという検討はいままでやっておりませんので、至急に農林省その他関係省と相談をいたしますが、ここで申し上げられますことは、いずれの品目にいたしましても、海外での開発のしかたでございまして、一つは、こちらから投資をいたしまして合弁の形で仕事をなさるという場合には、この事業は現在の海外投資保険の対象になります。
それから第二に、そういう投資はしない、長期のお金を貸して開発をするというのは、まさに今回の改正のその他政令で定める品目になるかどうかという問題でございまして、先ほども申し上げましたように、私ども具体的にはこのシラス、べっこうということは頭にございません。至急に、この法律案がもし御審議の結果成立をいたしましたときには、農林当局とも十分相談いたしますが、先ほど申し上げましたように、国民生活あるいは国民経済に非常に重要な物資であって、政令で指定するものということになっておりますので、関係各省の間で合意が得られれば当然この対象になる、こういうふうに考えております。
第二に、融資の関係でございますが、融資の関係につきましては、主として水産業関係は、御案内の海外経済協力基金の融資対象になり得るのが一つと、それから最近輸出入銀行におきましても漁業等海産物の海外投資あるいは融資も対象にしております。したがって、この両者が輸銀及び基金の融資の対象になるかどうかということは、具体的なお話のフィージビリティー、その計画の内容というものの考慮の上でケース・バイ・ケースで融資機関で判断されるというかっこうになるのではないかと私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/155
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156・松尾信人
○松尾委員 いまの両方の水産物の開発輸入の問題でありますが、これは合弁事業を起こすのでもなくて、日本の中小企業が独自で、そこでそのような事業をやって、そして現地の人々を技術的に指導しまして、それを開発輸入する、こういうものであります。独自でやる、こういうものでありますが、これはやはり今回の政令指定の中で当然指定されるものと思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/156
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157・濃野滋
○濃野政府委員 ただいま先生の御質問の中小企業の方が独自でやるというお話でございますが、その独自でという形が合弁事業ではない、しかし向こうへ行ってやはり何か現地でのある組織をつくっておやりになるのか、あるいは技術指導のようなかっこうだけをなさるのか、これによっても違ってくると思いますが、もし現地で何か活動の母体をつくるということになれば、それは先ほど申し上げた——合弁ではございません、一〇〇%かりにお金を出しまして、何か向こうでの活動の母体をつくる、企業をつくるということでございますれば、もちろん海外投資保険の対象になると思います。
それから、お金だけを貸してやるか、あるいは技術だけを貸すかによりまして、今回の改正の新しい対象品目になるかどうかというのは、具体的な内容を伺った上でないとちょっと判断がつかないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/157
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158・濱野清吾
○濱野委員長 玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/158
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159・玉置一徳
○玉置委員 質問が少々重複するかもわかりませんが、ひとつお許しをいただきまして、まず輸出保険の種類ごとの料率をひとつ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/159
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160・濃野滋
○濃野政府委員 若干こまかくなりますが御説明申し上げます。
まず普通輸出保険でございますが、普通輸出保険につきましては個別保険と包括保険がございます。個別保険は一年の場合に〇・四八一%、これが輸出保険の一つの例でございます。それから包括保険、これは組合がまとめてやっているものでございまして、若干対象によりまして差がございますが、たとえば包括保険のうちで鉄鋼等のものは、一年の場合に〇・〇六二六%というふうになっておりますし、設備等の包括保険、プラントの包括保険は〇・〇四二%となっております。
次に、輸出代金保険でございますが、輸出代金保険につきましては、個別保険は一年の場合に〇・四五四%、それから組合がやっております包括保険の場合には〇・〇九%となっております。
それから海外投資保険でございますが、海外投資保険は、いわゆる株式その他持ち分の取得、現地へ出まして株その他の持ち分を取る、いわゆる海外投資につきましては、一件について〇・五五%でございますが、今回の改正の対象になっております鉱物等の開発輸入のための融資というケースは、一年につき〇・七%となっております。
それから手形保険は、これは手形の種類によってあるいは手形の期日によりまして保険の金額にもいろいろ差がございますが、一例といたしましてDP手形で確定利払いの百八十日の手形というのをとりますと〇・六〇八%になっておりまして、ほばその〇・六%を中心にいたしまして保険料率を定めております。
それから輸出金融保険は二カ月につきまして〇・二一六%、委託販売保険というのは期間に関係なく一・八%、それから海外広告保険、これは三・八七%というのが標準的な保険料率になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/160
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161・玉置一徳
○玉置委員 それからもう一つは先進国並びに開発途上国別の料率というものは変わっているのですか、変わってないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/161
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162・濃野滋
○濃野政府委員 地域別の保険料率の差は、各保険について若干ございます。約五段階ぐらいに分けまして地域別の差をつけておりますが、率直に申し上げまして、この地域別の差は一応表には出さないというかっこうにしておりますので、できますれば御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/162
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163・玉置一徳
○玉置委員 そこでお伺いしたいのは、先ほどの業種ごとといいますか、普通輸出保険とか、代金保険とか、手形保険とか、海外投資保険等々による事故率のあれはどのくらいあるのか、それからいま申しましたように、地域別の先進国だとか、開発途上国というようなので事故率はどういうふうになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/163
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164・濃野滋
○濃野政府委員 輸出保険別の事故率につきましては、ただいま手元に持ち合わせの資料がございません。地域別に見ますと、これは保険の種類によって違いますが、発足以来の大きな事故を拾ってみますと、主としていわゆる開発途上国の事故が非常に多くなっております。なお手形保険は先生御案内のように、主として中南米向けの手形が多いわけでございます。したがいまして、この手形保険の事故というのは、中南米におきます事故が非常に多いというかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/164
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165・玉置一徳
○玉置委員 きょうまでの事故率と、まだ発足間もないやつもありましょうから、今後事故率の想定し得る、ことに投資保険なんというものはそういうものだと思いますが、そういうものの料率が、きょうまでの実績もしくは今後想定される、予想される事故率との比率において、いまのでいいかどうか、もう少し差をつけるべきかどうかというようなことで、お感じになることがございましたら伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/165
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166・濃野滋
○濃野政府委員 輸出保険別の事故率は、先ほど申し上げましたように、申しわけございませんが、ここに数字を持っておりませんが、発足以来この保険特別会計の全体のバランスを見ますと、先ほども御説明いたしましたように、収入保険料、それからその後での回収金、これが発足から四十七年度末までで八百八十億円、それに対しまして支払った保険金が六百五十七億円、こういうかっこうになっておりまして、保険特別会計全体の運用から見ますと、現在の事故率を個別の保険ごとに見ますといろいろ問題があるかもしれませんが、保険特別会計の運用全体としては、一応、たとえば保険料を引き下げたり、あるいは引き上げたりする状況にはないのではないかというのが全体の感触でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/166
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167・玉置一徳
○玉置委員 それではお伺いしますが、これはみな任意の保険ですから、そういう意味では先ほどの各保険ごとの付保率は一体どのぐらいになっておるか。想定でもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/167
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168・濃野滋
○濃野政府委員 輸出保険の付保率でございますが、輸出保険全体で見ますと、大体現在の輸出総額の四割程度がこの保険の対象になっておると考えております。
なお、各種の保険別に申し上げますと、普通輸出保険、品物によって若干のばらつきはございますけれども、輸出組合を中心に包括保険をやっているものが多うございまして、この輸出組合に入っておる組合員の取り扱いの数量等から推定をいたしまして、大体付保率は三割から五割の程度ではないか。なお、鉄道車両とか機械とか船舶というものは、この付保率がもっと高くて、大体総輸出の八割前後はかかっているのではないかと思います。
それから輸出代金保険につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、総輸出の大体九割ないしは九割以上がこの保険の対象になっているのではないか、かように考えております。
それから海外投資保険につきましては、全地域で見ますと約一割、発展途上国だけを取り上げてみますと約二割というものが付保率として私どもが想定をしておる率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/168
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169・玉置一徳
○玉置委員 海外投資保険というものの事故率の多く想定されるものが、発展途上国においてすら付保率が二〇%であるという数字を見ますと、どこかになお保険になじまない何かがあり得るのじゃないだろうか。そういう点はどこにそういうものがあるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/169
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170・濃野滋
○濃野政府委員 海外投資保険の付保率が全体的に見まして非常に低い、しかも発展途上国向けの投資についても非常に低いというのはまことに残念でございますが、どうも私どものPR不足が第一の原因ではないか。と申しますのは、特に最近、海外投資は、御案内のように製造業部門では中堅中小企業の比率が非常に多くなってまいりまして、こういう方たちに対する保険制度のPRが非常に不足しておるのではないかということで非常に反省をしておりまして、それが第一の原因ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/170
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171・玉置一徳
○玉置委員 PRも一生懸命やっていただかなければならぬけれども、海外投資なんというのは、ある一面では非常に投機性のある仕事であります。そういう意味ではPRも必要ですけれども、それが非常に好ましいということになれば私はもっと付保率が上がらなければおかしいと思うのです。そこで、三%を足切りにいたしまして、それでうまくいった場合はこっちは吸い上げる、損したときだけをやってやろうということになったら、これはみんなが出てくるのではないだろうか。もうけたときは逆に取るぞ、こうなっておるところに——そうならば、私はそれで皆保険に近いほど付保率が上がらないといかぬのではないだろうかという感じがするのです。あるいは強制保険にひとしいものになるぐらいな形にならないと、いまのやり方は、相場の変動によってもうけたときは三%は目をふさぐけれども、あとは吸収しますぞということですね、今度のやつは。まあそうでもしなければ成り立たぬことは事実でありますが、付保率が一〇%や二〇%では、もう一つ私はくふうを要すべきところがあるのじゃないだろうかというような感じがするのですがね。
そこで、中小企業向けにはなお安くしてあげる、先ほどきょうまでの保険会計の実績を見れば、やや黒字であり、まあまあ当を得たものではないかと思うというお話ですけれども、その保険ごとの内容、あるいはいま申しますような実態に入っていくともう少し問題がある。ある部門では大赤字が出ておりまして、ある部門ではほんとうは大黒字が出ておるというような、しかもまだそう長く年数がかかってない問題であり、国際環境がぐるぐる変化するのですから、きょうまでの実績をもって云々することは早計かもわかりませんけれども、私は、あるものにはやはり国の若干の責任——責任とはいいませんけれども、持ち分を持ってきていいんではないだろうか。
そこでお伺いするのは、初めどのくらいの輸出入の場合にどれだけの基金でもって出発したのか、いまはどのくらいの輸出入になっておって、基金はどれだけ——基金と申しますか政府の出資金ですね、それはどのくらいになったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/171
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172・濃野滋
○濃野政府委員 この制度の運用にあたりましては、先生御案内のように、現在のところ政府からの出資が六十億になっております。
この経緯を見てみますと、昭和二十五年にこの制度が発足いたしまして、そのときに、最初十億円の一般会計からの出資が行なわれております。二十五年に日本の輸出規模が幾らであったか、ちょっと私失念をいたしましたが、おそらく八億ないし九億ドルぐらいの規模ではなかったかと思っております。その後二回、十億円ずつ追加をいたしまして、昭和四十二年に三十億の出資の追加をいたしまして現在に至っております。したがって、現在国からの出資は六十億でございます。ただ、現在の準備金は、先ほどのようなバランスから三百八十億円になっております。
ただ、輸出規模は現在すでに五百億ドル、おそらく五十倍以上に大きいわけでございまして、その輸出規模から見ますと、現在の準備率というのは非常に過小であるというのが事実でございます。〇・五程度の非常に低い準備率になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/172
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173・玉置一徳
○玉置委員 私は、準備金というものも一緒に中へ入れて計算してもいいんだとは思いますけれども、出資金というものは、国もある程度見てあげる、中小企業の分野にだけは少し保険料を安くしようとかいうようなことを考えるようなときは出資金だと思うのですが、一体出資金は、どういう根拠に基づいて、付保金額全部の何%ぐらいを持たなければいかぬのか。したがって、現在ではどのくらいがあるべき姿かというようなことを検討されたことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/173
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174・濃野滋
○濃野政府委員 政府からの出資金はそのときの輸出特別会計の運用自身の中におきましてどの程度の規模が妥当であり、どのくらい持つべきであるかという検討は、率直に申し上げて私どもやっておりません。この輸出保険特別会計は、法律にもございますように、基本的な考え方は収入と支出が償うように保険料率を定めて運用しろということになっておりまして、そういう意味での独立採算と申しますか、それがたてまえになっております。ただ一方、輸出保険は、要するに一般の保険ではカバーできない保険を政府がやるということで、そこで一歩政府が踏み込んでおるわけでございますので、従来の考え方からいたしましても、やはり政府がある程度の肩入れはするということが一つの限界ではないだろうかということを考えておりまして、計算上幾らの出資金を持つべきだという、私どもそういう意味での見方はいままでやったことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/174
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175・玉置一徳
○玉置委員 意地悪い質問をするのじゃないけれども、一体出資金というのは何に充てるための出資金であるか、したがって、それはどのくらいを持たなければいかぬとお思いになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/175
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176・濃野滋
○濃野政府委員 出資金は、特に当初動き出しますとき十億の出資、これはおそらく輸出特別会計というものを持ちまして、輸出特別会計のもとにこの保険の特別会計を運用していく役人の事務費等を見ますにも、やはり最初は保険料収入がございませんのでそういう意味があったかと思います。
〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
しかし、その後の動きの中では、やはり出資と申しますものは、この保険特別会計を、法律で定められております収入の一番根幹になります保険料を中心に、一ぺん払った保険金の戻ってまいります回収金で運用していくわけでございますが、これではあぶない、支払いに問題があるというようなときに、政府が必要な範囲でのてこ入れをするという意味での意味を持っておったのではないかと思います。
なお、今回の為替変動保険の創設に伴いまして、この保険はほかの保険と違いまして、事故が起こるといたしますと非常に広い範囲に一ぺんに起こってくるわけでございます。もちろんこれは延べ払いの債権でございますから、事故が起こりましても、それが何年かに分かれて実際の保険金の支払いになるわけでございますが、それにしても、支払いに支障があるということを前提といたしまして保険特別会計の改正をいたしまして、借入金ができるという規定も置きました。これを使って保険金の支払い等にも充てていこう、こういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/176
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177・玉置一徳
○玉置委員 だから、二、三年前に相場の変動がありましたときに、たとえば船体の輸出等々の為替の差損に対処するために、税の面でずいぶんいろんなめんどうを見ざるを得なかったわけですが、そういうのはこういうものがちゃんとできておればずいぶん違った形になったのじゃないだろうかという感じがいたします。したがって、ああいう対処のしかたじゃなしに、こういう面でものが運んでいくようにやれば、国民の合意を取りつけるのに非常にやりやすいのじゃないだろうか。国が大企業に思い切ってそんな差損を補てんするのだというようなことがなしに、長い保険会計でまかなっておるのだ。御存じかと思いますが、農業共済というものがございます。日本の農民には、あまりにも経営単位が乏しいものですからなじまないんだけれども、一つの風水害等があれば直接国の財政支出からするよりは、そこにてこ入れをすることによってという形にワンクッション置いた形になっております。こういう意味では、今後とも、相場というものが昔のように固定したきちんとした形に戻るのはここ数年間見込みがやや暗いんじゃないだろうかということを考えましても、なお開発途上国に思い切った海外投資をしていかざるを得ないような現状から見ましても、より拡充をしていかなければいかぬ。したがって、付保率も七、八〇%程度にならなければいかぬのじゃないだろうか。それが一〇%、二〇%でとどまっておるというところに、ただにPRの不足というだけではなしに、この保険設計そのものに何かのまだ行き届かないところがあるんじゃないだろうかという反省をするのですが、そういう意味で、出資金というものと支払い準備金とはおのずから性格が違うのじゃないだろうかということも、こういうことについて私はあまりわからないほうでございますが、勘ではそういう感がいたします。そういう意味では、準備金があまりたまり過ぎるようなことがあれば料率を下げればいいことでありますし、そういう点から考えても、出資金というものを今後拡充していくためには、出資金というもののあるべき姿というものはどの程度か、こういうものは専門屋を入れて審議をさせないと、お互いにしろうとでございますのでわかりにくうございますが、やはりそういう見通しをおつけになるようになすっていただいたほうが好ましいのじゃないだろうかというように感ずるのですが、どのようにお感じになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/177
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178・濃野滋
○濃野政府委員 ただいま玉置先生御指摘の出資金の性格等につきましては、率直に申し上げまして私ども現在までのところいかにあるべきかというようなことにつきまして詰めた議論をしたことはございません。ただいまの御指摘もあることでございますし、私ども保険のための審議会等も持っておりますし、その他いろいろ勉強グループも持っておりますので、これを機会にひとつそういう意味の勉強もしてみたいと思います。ただ、出資金と申しますと、どうしても一般会計からの出資になりまして、国民の税金であります一般会計からの出資を非常に大幅にこの特別会計に出すということは、そういう意味での財政面での問題等もございますので、長期的な問題としては、私どもやはり保険会計の運営の基礎が固まるということはわれわれの最も望むところでございますけれども、長期的な問題としてただいま先生の御指摘の出資金の性格というような問題につきまして今後ひとつ検討してみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/178
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179・玉置一徳
○玉置委員 そこで、政務次官に一ぺんお伺いしておかぬと申しわけないから政務次官にお伺いします。
石油問題を契機にいたしまして、わが国の今後の、石油だけではなしに非鉄金属その他の資源確保ということが非常にやかましくなってまいっております。第一次産品、農林水産物資においても同じだと思います。そこで、これの安定的供給というものを確保するためには、森林といい農産物といい、思い切った開発輸入をせざるを得ないわけでありますが、発展途上国においては、ある程度技術の習得をしますと、間々国有化をしていきたいという念願も、あるいはやむを得ざることじゃないだろうか、少なくともそういうことは間々起こるものと見なければいかぬと思います。私に言わしむれば、極言をいたしますと、それだけの資源、資材が世界じゅうに回ればいいじゃないか、それだけ農産物供給の危機というようなものも薄まっていくんじゃないだろうか、非鉄金属においても何においても同じじゃないだろうかというぐらい思い切った考え方で、われわれはものを取り運んでいかなければならないような感じがいたします。そういう意味においても、どしどしそういう開発が行なわれるようにしようと思うと、やはりこういう保険がますます必要になってくるんじゃないですか。いま局長からのお話で、財政的な国民の税金なり財政支出でございますのでとおっしゃいましたけれども、私は日本がよってもって立つ基礎でございますので、それに財政支出を相当部分投入することはやむを得ぬことであり、いささかもちゅうちょする必要がないんじゃないだろうか、対大蔵関係で通産省がそういう弱腰でおるようなことでは国民のためにもぼくはまことに遺憾だと思う。そういう意味で、ことに石油の関税の収入が相当ばく大なものもあるのでありますし、そういう意味では今後これを拡充していっていいんじゃないだろうか、いかなければならぬのじゃないだろうか、その一環として出資金というもののあるべき姿というものをひとつ確立してもらいたい、こういうことをお願いをしておるような次第であります。幾らでも使っていいという意味ではございませんけれども、これは保険設計の一つの基礎でございますので、保険設計というものはゆるんではいかぬ、常にやはり体制は科学的な分析のもとにものを解明していかなければいかぬのじゃないだろうかという意味で申し上げておるのでございますので、ひとつ今後ともそういった保険設計上あるべき姿というものを御検討いただいて、それに対しては大蔵省に堂々と主張すべきものを主張されることが望ましいと思うのですが、政務次官からひとつ通産省としてのお考えを御解明、御答弁をいただいておきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/179
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180・森下元晴
○森下政府委員 御指摘のようにわが国は貿易立国でございまして、貿易によって国の経済が成り立っておる。しかしながら、いわゆる海外からの資源を輸入するいわゆる国際分業制度に基づいて、従来のような経済一本的な考え方、いわゆるエコノミック的な考え方では、昨年末からことしにかけてのOAPEC等の資源に対する考え方がかなり変化しておる、石油製品でなく金属資源にいたしましても、また食糧資源にいたしましても、すべてがOAPEC的な考え方になってきておる、そこに自立経済とか自給自足という原則も同時にまた生まれてきております。今後の貿易につきまして、やはりバランスというものも考えなければいけないし、いわゆる開発輸入とか、また新しい構想で今回やりますいわゆるインフラストラクチュア、やはり相手の立場になって、相手の主権をよく尊重しながら資源を輸入する、またそれを加工したものを海外に向かって輸出する、そういうようにかなり考え方が変わってきたように私は思っております。しかしながら、しょせんは日本という貿易立国の国としては貿易によらなければいけないし、また輸出の振興ということもはからなければいけない。したがって、輸出を振興するためには安全保障のためにいわゆる輸出保険というものの確立をしなければとうてい輸出振興は望めないということで、出資金の問題も先生御指摘のようにまことに微々たるものでございます。通産省から強力に大蔵省に申し込んで、やはり安定した出資金、輸出する業者が安心して保険にかけて、そして自信をもって海外に輸出ができるように、そういうような基本的な考えでこれからの通産省の貿易政策というものは考えていかなければいけない、そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/180
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181・玉置一徳
○玉置委員 それがためにも局長、ひとつもう一度検討していただきたいのは、基準から三%前後しまして損をしたときは保険でまかなう。しかし、これは保険ですから、政府の出資金でまかなうのではありませんから、だからもうかったときも得したときも三%はそっちに渡しておくけれども、残りはもらいますぞ、ここにもうちょっとくふうがあってしかるべきではないだろうかという感じもしますね。うまくいったときはせめて六%あげるとか何か、まるっきり損得は全部一緒だぞ、国家管理だというような気持ち一みなが神さまみたいな気持ちになれば、損してもいいし、得しても、得した分は残りをよこしなさいよというのもわからないことはないけれども、付保率の非常に低いところを見てみると、若干何か海外投資等々には考えられる点があるのではないだろうかという感じがしてならないのです。
そこでもう一つは、五年くらいが多いのでしょうか。この延べ払いもしくはその他違う形で出ても、同じような意味で何年くらいが一番多いのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/181
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182・濃野滋
○濃野政府委員 いわゆるプラント輸出の延べ払いの期間は、プラントの規模によっても違いはございますが、・大体平均いたしますと六、七年程度というのが一番多いのではないかと思います。長いものでも商業ベースものでは十年、一番長いものでも十二年というところでございまして、平均は六、七年というところではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/182
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183・玉置一徳
○玉置委員 商売のことだからわれわれが心配する必要はないだろうと思いますけれども、相場だけの問題じゃなしに、海外的にもほとんどの国々が一二、三%のインフレになっているように思います。したがって、ちょうど五年、七年ということになると倍になるということになります。あるいはもらう金額はしまいごろは半分だということも言い得るわけで、これはインフレ保険というわけにはいかぬわけでしょうから、そこまでは言いませんけれども、それだけに料率をなるべく低くしてあげるようなくふうというものは常に必要じゃないか。これといま申しますこととは別な話だろうと思いますけれども、国鉄が三兆七千億円の借金をしながら出資金はわずかに八十九億円のままずっと来ているというところに今日の国鉄の経営の非常に放漫なあれがあったのではないだろうか。これだって親方日の丸というような感覚をもってやれば、私はまたどこかに、いつか保険料をうんと高くせなければいかぬようなことがあり得るのではないか。保険という考え方だけじゃなしに、日本の国がよってもって立つ一つの輸出というもの、あるいは開発途上国の生活の向上、開発のためにわれわれは尽くすことが日本の置かれておる今後の使命であるというような感覚からすれば、やはり出資金をある程度堅実に増し、自余の問題は経済ベースで、いわゆる保険料の設計の上でまかなっていく、しかし、保険料設計の中で国が責任をある程度分担しても私はしかるべき問題もあり得ると思います。そういうような意味で、やはり手形保険や何やらというのはほとんどの人が入ると思いますけれども、海外投資等々についても今度初めてできた問題でありましょうけれども、別にPR不足というような、これだけ海外投資するものがこんなのを知らないというようなことは、PRして言わなければわからないのだというようなこともないと思います。そういうような意味では、現在のせっかくやっておる保険制度のあるべき姿を学者その他等々専門屋にひとつよく見さすとともに、利用者の意見を聞いてあげるというようなこともやっていただくことによって今後一そうの機能を発揮すること、それがまたわが国の輸出、輸入等に非常に大きな貢献をすると思いますので、十分な御検討をいただきたい。
きょうは大臣もお見えにならぬように思いますので、まことに中途はんぱな形になってしまいましたけれども、この程度のことで私の時間をふさいでおきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/183
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184・武藤嘉文
○武藤(嘉)委員長代理 次回は、明十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03419740514/184
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