1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月二十二日(水曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 濱野 清吾君
理事 稻村佐近四郎君 理事 左藤 恵君
理事 塩川正十郎君 理事 田中 六助君
理事 武藤 嘉文君 理事 板川 正吾君
理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君
天野 公義君 稲村 利幸君
浦野 幸男君 江藤 隆美君
小川 平二君 越智 通雄君
粕谷 茂君 片岡 清一君
木部 佳昭君 小山 省二君
近藤 鉄雄君 塩崎 潤君
島村 一郎君 田中 榮一君
竹中 修一君 楢橋 進君
丹羽喬四郎君 野田 毅君
橋口 隆君 八田 貞義君
前田治一郎君 松永 光君
宮崎 茂一君 山崎 拓君
岡田 哲児君 加藤 清政君
加藤 清二君 上坂 昇君
佐野 進君 島本 虎三君
広瀬 秀吉君 渡辺 三郎君
野間 友一君 米原 昶君
近江巳記夫君 松尾 信人君
玉置 一徳君 宮田 早苗君
出席国務大臣
通商産業大臣 中曽根康弘君
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 森山 欽司君
出席政府委員
経済企画政務次
官 竹内 黎一君
経済企画庁物価
局長 小島 英敏君
経済企画庁総合
計画局長 宮崎 仁君
科学技術政務次
官 長屋 茂君
科学技術庁原子
力局長 牟田口道夫君
科学技術庁原子
力局次長 伊原 義徳君
科学技術庁原子
力局次長 生田 豊朗君
通商産業政務次
官 森下 元晴君
通商産業大臣官
房審議官 矢野俊比古君
資源エネルギー
庁長官 山形 栄治君
資源エネルギー
庁公益事業部長 岸田 文武君
委員外の出席者
経済企画庁総合
計画局電源開発
官 伊藤 謙一君
科学技術庁原子
力局原子炉規制
課長 中村 守孝君
環境庁大気保全
局大気規制課長 石田 齋君
外務省国際連合
局外務参事官 野田英二郎君
通商産業省基礎
産業局非鉄金属
課長 奥田 義一君
資源エネルギー
庁長官官房審議
官 井上 力君
資源エネルギー
庁公益事業部業
務課長 中井 富男君
資源エネルギー
庁公益事業部開
発課長 小野 雅文君
資源エネルギー
庁公益事業部火
力課長 伊藤 栄一君
参 考 人
(東京大学名誉
教授) 有澤 廣巳君
参 考 人
(東京大学教
授) 内田 秀雄君
参 考 人
(東京大学教
授) 小野 周君
参 考 人
(大阪大学講
師) 久米三四郎君
参 考 人
(京都府立大学
助教授) 広原 盛明君
参 考 人
(東京大学教
授) 向坊 隆君
商工委員会調査
室長 藤沼 六郎君
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委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
天野 公義君 楢橋 進君
稲村 利幸君 江藤 隆美君
小川 平二君 宮崎 茂一君
小山 省二君 片岡 清一君
近藤 鉄雄君 竹中 修一君
塩崎 潤君 山崎 拓君
島村 一郎君 野田 毅君
竹村 幸雄君 島本 虎三君
山崎 始男君 広瀬 秀吉君
同日
辞任 補欠選任
江藤 隆美君 稲村 利幸君
片岡 清一君 小山 省二君
竹中 修一君 近藤 鉄雄君
楢橋 進君 天野 公義君
野田 毅君 島村 一郎君
宮崎 茂一君 小川 平二君
山崎 拓君 塩崎 潤君
島本 虎三君 竹村 幸雄君
広瀬 秀吉君 山崎 始男君
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本日の会議に付した案件
発電用施設周辺地域整備法案(内閣提出、第
七十一回国会閣法第一一七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/0
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001・濱野清吾
○濱野委員長 これより会議を開きます。
第七十一回国会内閣提出、発電用施設周辺地域整備法案を議題といたします。
本日は、参考人として、東京大学名誉教授有澤廣巳君、東京大学教授内田秀雄君、東京大学教授小野周君、大阪大学講師久米三四郎君、京都府立大学助教授広原盛明君及び東京大学教授向坊隆君、以上六名の方々に御出席を願っております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。
本委員会におきましては、発電用施設周辺地域整備法案について審査を行なっておりますが、本日は、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。
なお、議事の順序でございますが、有澤参考人は、所用のために正午に退席いたしたいとの申し出がありますので、初めに有澤参考人から御意見を二十分以内に取りまとめてお述べいただいた後、同参考人に対する質疑があればこれを行ない、その後、それぞれの参考人から御意見を二十分以内に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、発言する際は、委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。
それでは、まず有澤参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/1
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002・有澤廣巳
○有澤参考人 私の考えをこれからお述べいたしたいと存じます。
昨年以来のいわゆる石油危機によりまして、日本の経済がエネルギー問題の面からたいへんもろい、しかもそれが他の先進工業国に比べまして最も脆弱であるということが判明いたしたと思います。外国方面におきましても、そういう論評が行なわれておるようであります。これはもう皆さん御承知のとおりでございます。こういうことになりますのは、第一に日本の一次エネルギー供給の七五%が石油であり、その石油の八〇%が中東地域からの輸入であるということによっております。しかもその上、日本への石油の供給の八〇%がいわゆるメジャーによって行なわれているのでありまして、OAPECの供給削減が緩和されたといたしましても、メジャーの石油配分政策のいかんによりましては、日本に対する供給量は減る、必ずしもふえないという結果を招くことになるのであります。
最近の新聞が伝えているところによりますれば、最大のメジャーであるエクソンは、日本のノンアフィリエイトに対しては、いわゆる民族系石油精製会社に対しましては、供給契約の更新は今後できないかもしれぬ、こういう申し入れさえあることは新聞紙上で御承知のとおりでございます。こういうことから見まして石油供給というものがきわめて不安定であり、この石油供給の不安定なことによりまして、日本経済がいつでもほんろうされる危険にあることははっきりいたしました。
また、石油の価格の驚くべき高騰は、日本におけるエネルギーコストを大幅に上昇させ、またわが国の国際収支に対する大きな赤字の要因となっているということが言えると思います。そういうふうな、たいへん概略的に石油危機の日本経済に対するインフレを述べたのでありますが、こういうことから考えますと、もう日本といたしましては豊富で安いエネルギー供給を当てにした経済運営はやっていけないという結論が出てくるだろうと思います。
こういう関係は、私は特に電力の供給に関して重大な影響を持っていると思います。といいますのは、日本の発電量、これはキロワットアワーで申しておりますが、発電量でいきますと、そのうちの九〇%が石油火力であります。イギリスが約三〇%、ドイツが二〇%であります。発電量のうち石油火力の部分がわが国は九〇%ですが、イギリスや西ドイツは二、三〇%である。こういう点から比べまして、日本の電力、発電量というものがいかに石油に多く依存しているかがはっきりすると思います。ですから、この石油の不安定なことと石油価格の高騰というものが、日本の電力生産にもろに影響してくることは当然のことであります。
電力は、言うまでもなく、わが国では輸入はできません。どうしてもわが国内で一次エネルギーを使って生産しなければならないエネルギーでございます。ところで、その電力の需要でございますが、電力需要は、わが国の産業構造がエネルギー多消費型また電力多消費型であるということは否定できません。しかし、最近電力の民生用消費が急増しているということも事実であります。国民所得増加に対する電力消費の弾性値は一・一であるばかりでなく、それは非常に根強いものがあります。これを抑制することはきわめて困難であります。この点は都市におけるマンション生活者の家庭の電化、マンション生活におきましては、クリーンで利用の便利な電力というものがほとんど唯一のエネルギーになっております。そういう点から見ましても、そしてまたこのマンション生活者がだんだんふえていくという点から申しましても、この電力消費の一・一以上の弾性値がなかなか根強い性格を持っておると考えなければなりません。ですから、電力消費の工業用の割合が日本においては大きいことも事実でありますが、それを押えて民生用に回せば、電力供給問題はそうシリアスにはならないという議論もあります。しかし、実際に電力消費の最終段階においてこれをとらえますと、民生用には四五%あるいはそれ以上のものが使われているという計算も一方では行なわれております。最終段階でございますから、民生用の物資の生産に要する電力も民生用と考えざるを得ません。たとえばトイレットペーパーにしましても、洗剤にしましても、電力を使ってこれを生産するのでありますが、普通の分け方では、電力消費の部門別としましては、これらはいずれも産業用に入っております。しかし、民生の立場からいえば、こういう物資の生産に要する電力は民生用の電力と考えるべきではないか、そういう観点から計算をいたしますと、いま申しましたように、民生用の電力消費の割合は四五%あるいはそれ以上にのぼるという結果が出てくるわけであります。
そういうわけで、石油エネルギー自身の問題と、それからもう一つはいま申しました電力の問題、電力もエネルギーには違いありませんけれども、特に電力は一次エネルギーを使って発電したものでございますから、特殊な事情もそこにあるわけでございます。このことは、日本は最も石油危機の影響がひどかった国でございますけれども、ほかの工業先進国、つまり石油消費国におきましても、やや似たような現象がむろんあらわれております。したがって、この石油危機以後、各国におきましては、それぞれ新しいエネルギー政策が打ち出されております。そのエネルギー政策の基本になっておる点は、一つはエネルギーというものを節約しなければならぬ、エネルギー節約政策であります。これはむろんわが国で申しましても当然のことで、電力やエネルギーの多消費型から少消費型に産業構造を転換するという問題も、この節約の中に当然含まれてまいります。
そのエネルギーの節約が一つと、もう一つは、石油にかわる代替エネルギーの開発、この二つの点がいずれも石油危機以降の各石油消費国の打ち出しておる政策の根幹になっておると思います。アメリカのプロジェクトインディペンデンス、これはエネルギーの自給政策でございますが、これはさておきまして、この石油危機以来それが特に顕著にあらわれておりますフランスにおきましては、もう火力発電はやめる、そのかわりに原子力発電を遂行する。四十七年に火力発電所を三カ所でしたか、建設する予定でありましたけれども、これはもう一切とりやめました。そして一九七四年、七五年、原子力発電所を七カ所つくる予定のものを十二カ所にふやして、一九七五年以降はもう一切発電は原子力による、こういうふうな方針を打ち出しているようであります。西ドイツにおきましても、西ドイツは目下第四次の原子力計画が進行中でありますが、目標といたしましては一九八五年に発電設備の二五%を原子力発電により、一九九〇年には発電設備の約五〇%、半分を原子力設備による、こういうふうな考え方になっておるようであります。
わが国といたしましても、当面開発のできる大量のエネルギーといたしましては、私の見るところ原子力しかないように思います。むろんわが国は地熱発電も可能であります。水力をもっとふらずことも可能でありますけれども、いずれも大量のエネルギー供給という面におきましては十分ではありません。大量の代替エネルギーといたしましては、私は原子力発電によることが適当であろうと思います。将来におきましては太陽熱の利用であるとか、核融合の開発というようなことも当然考えられますが、しかしこれらはいずれも今後二十年、三十年後の実用が期待されるものでります。それですから、ここ十年、十五年の間のことを考えますと、むろんその間石油火力の増加も避けることはできないと思いますが、しかしそれにかまうことなく、一そうの力点を原子力発電に置く開発を進めるべきである、こういうふうに私は考えます。
このことは経済的な観点から申しましてもきわめて妥当でありまして、第一に、発電コストは、今日の石油価格から申しますと、原子力発電におきましては、発電コストとしては半分以下でありましょう。ですから、最近電力料金が上がったのでありますが、もし今後まだ石油価格が上がるということになりますれば、その石油価格の上昇がそのまま電力料金にはね返ってくるということにならざるを得ない。けれども、ここに原子力発電があれば、電力生産が半分のコストで済むのでありますから、石油の価格が上がっても、そのまま発電コストにかぶっていくということを避けることは十分できると思います。
それからもう一つは、原子力発電の場合には燃料もある程度輸入しなければなりません。石油もむろん輸入しなければなりませんが、したがっていずれも外貨を必要といたしますけれども、その外貨の所要量は、火力に対しまして原子力の場合はおそらく八分の一で済むでありましょう。ですから、以上の観点から考えますと、石油の供給が不安定で、場合によっては政治的武器にさえ使われるという経験を今日持ったわれわれ、しかも、その石油の価格がバーレル当たり十ドルをこえるほどの高値となった今日、そしてその石油の高値がわが国の国際収支に重大な圧迫要因になっているということを考えますならば、日本のエネルギーの安定供給の基礎を固める上からいって、原子力発電の開発に大きく傾斜をかけねばならないと私は考えます。国のエネルギー政策は、この石油供給の不安と高値との新しい世界的情勢に対応いたしまして、新しい積極的方針を打ち出さなければならないと思います。
今回のいわゆる電源三法の意義は、こういう観点から理解さるべきであろうと私は考えます。発電用施設周辺地域整備法案は、国の政策の基本方針に協力する地方に対して、政府がその地方の住民の生活向上に対する寄与をもってこたえようとするものであると私は理解いたしております。国の政策的方針に協力する地域に対する政府のベネフィットの供与は、何もこの周辺地域整備法案ばかりでなく、その他の場合にもいろいろ行なわれてきたのであります。たとえば新産都市建設のための国の財政上の特別措置に関する法律というがごときはその一例であります。国の発電促進という要請につきまして、国と地方との協力関係を財政的措置をもって具体化しようとする政策、いままでこの点において国の政策的志向が立ちおくれているということを私は痛感しておりましたが、今回ここに大きく前進への一歩を踏み出したことを私は喜ぶものであります。
私は、さらにこの法律が地方の格差の是正に大きく役立つことに留意いたしたいと思います。地方格差の是正のためには、従来工場誘致が考えられてきました。しかし発電所は、たとえば機械工場のように地元の雇用も所得もそれによって増大することが見込まれません。交通の不便な過疎地域に工場を誘致するということは望むべくもありません。発電所、特に原子力発電所は、まさに工場の進出できない地域において立地可能であります。発電所の建設によって電源開発促進税の交付を受けて、こういった地域も生活向上の基盤や施設を建設できることになるのであります。都市の市民はクリーンで便利な電気をふんだんに利用できます。その恩恵に対して報償を原子力発電税として発電地元の住民に返すのは公平の原則上当然のことであると私は従来主張してまいりました。これは原子力発電税を設けろという主張でありまして、形は幾らか変わったものでありますが、その主張の一部が今回実現の運びになったように私には考えられます。
最後に、特に申し述べておきたいことは、この法案と発電所の安全性の問題、公害の問題とは全く切り離して考えなければならないということであります。安全でないものの設置が国より支給されるベネフィットによって許容されるというようなことは、常識を持った人にとりましてはあり得ないことでありますし、またあってはならないことであります。コスト・ベネフィット・アナリシスという考え方がありますが、そのコストが人々の生命、健康に関するものでありますればコストとしてははかり知れないほど大きな値となり、たいがいのベネフィットをもってはとうてい相殺されるはずはありません。安全性の問題は、それ自体として別に十分に検討され、確認され、そして安全性の研究を通じてより一そうの安全が確保されることが必要であることは言うまでもありません。
なお、この法案の内容につきましては、私きょうはお述べする時間がありませんが、その運用につきましては、この法案の趣旨が十分生かされるような運用規定並びに運用そのものが確保されることを特に期待して、ここに私の陳述を終わります。
どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/2
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003・濱野清吾
○濱野委員長 以上で有澤参考人の意見の開陳は終わりました。
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004・濱野清吾
○濱野委員長 これより有澤参考人に対する質疑を行ないます。
質疑の申し出がございますので、順次これを許します。板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/4
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005・板川正吾
○板川委員 有澤先生に簡単に質問いたしたいと思います。
先生の前段に言われました電力の需要は民生用が非常に急増しておる、したがって、電力の需要を確保することは民生の安定の上にも必要じゃないか、こういう論理があったかと思います。これはたいした議論じゃございませんが、確かに四十一年から四十七年の間一この七年間は民生用、電灯の使用量が一二・八%であり、全体の伸び率が一一・二%ですから、その意味では若干ふえております。しかし、四十七年から五十三年の五年間の想定では、電灯が九・二%であり、全体の伸びが八・九であろう、四十七年度以降にはたいへん接近しておって、全体の伸び率とそう違わない、こういう資料が日本電力調査委員会第四十四回需要想定、四十九年三月に行なわれておりますので、その点では民需用が非常に急増しておるという点は、今後はそれほどじゃないんじゃないかという感じがするので、その点についての先生の御意見をお伺いいたします。
それから石油の供給がほとんど大半をアラブに依存しておる。しかもアラブでは、今回の削減措置があったように、政情不安であり、いつまた同様な趣旨の行動をとられるかわからない、そういう意味では石油が不安定である、こうおっしゃっておられます。私、専門家じゃないですが、いま日本で開発されつつ、使用されつつあります軽水炉原発は濃縮ウランを燃料とされております。しかしその濃縮ウランは一〇〇%アメリカから購入——まあ一〇〇%と言っちゃ言い過ぎかもしれませんが、ほとんどアメリカから供給をされる。そうしますと、アラブがとられた石油を武器とすることと同じように、濃縮ウランを武器とするということが将来あり得ないとも限らない。こういう点について先生の御見解はどうなんでしょうかというのが第二点です。
それから先生のお話は、依然として電力多消費型産業構造あるいは経済成長という従来の日本の経済構造がそのまま延長されていくことを一種の前提に持たれているのではないだろうか。御承知のように、ローマクラブの提言にありますように、資源を節約し有効利用をはかって、そのためにあるいは公害を防止するためにゼロ成長という議論さえ提言されておるわけでありまして、いままでのように資源多消費型、経済成長型、公害多発型、こういう産業構造に対して、国民は成長を落としても、電力に多少生活上不便があっても、やはり公害のない社会を欲する、こういう選択を国民が求めるんじゃないだろうかと私は思いますので、その辺の先生のお考えを伺いたいと思います。
最後に、先生は電源三法と安全性とは全く切り離すべきであるというお説でございます。学説としては切り離せるかもしれませんが、どうも政治判断としますと、私どもは将来電力が全然伸びなくてもいいんだという意味じゃございませんが、電源三法をわれわれが認めることは、結局政府の意図、この法案の意図は、原子力発電をどんどんふやしていこうということでありますから、安全性と切り離して政治判断ができない、こういう考え方に立っておるわけであります。安全性というものは一〇〇%ないのだから、少なくともいまの段階ではあまりせっかちに急いでいくべきじゃない、それよりも国内においてまだ未開発の循環エネルギーがあるじゃないか、たとえば水力発電でありますが、水力発電はまだ二千五百万キロワットぐらいの開発可能の地域があるといわれておりますし、また現在の揚水発電、夜間の余力を有効に使って揚水発電をするならば、私の計算では約千五百万キロワット開発可能という資料もあるわけでありまして、そういう循環エネルギー、クリーンエネルギー、しかも国内開発、そういうところに重点をまず置いてやる。原子力発電の価値というのを全く否定するわけではありませんけれども、安全性の問題に不安があるものですから、せっかちに開発を急ぐべきではない、安全性の確保に最重点を置くべきだ、こういう考え方を持つのでありますが、先生の御意見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/5
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006・有澤廣巳
○有澤参考人 御質問に対しましてお答えいたします。
第一は民生用の電力消費の割合でございますが、先ほど申しましたように、民生用という場合には、電力会社の発表している民需用というのは非常に狭い家庭用の電力にほとんど限っているけれども、病院だとか、その他福祉施設だとか、いろいろな施設の電力もやはり民生用と考えるべきじゃないかと思うのです。それから運輸用というか、運輸交通用の電力の中にも、私は民生用として一いい悪いはともかくとしてマイカーに使っているガソリンといったものは民生用であると思います。それから、先ほどお話し申し上げましたような産業用においても、民生物質をつくっておるものは、産業用の区分にはなっておりますけれども、ほんとうは民生用じゃないか。そういうエネルギーを使う最終段階においてエネルギーを区分いたしますと、民生用、産業用、あるいは交通用と区別しますと、民生用の割合というものはかなり大きなものがある。日本において民生用として統計に出ている数字、電力会社のつかまえている数字はなるほど御指摘のように低いのですが、私はその計算だけでやっておりますと、エネルギーあるいは電力を制限する、抑制する措置の場合に非常に大きな混乱を来たすおそれがあると思うわけでございます。そういう観点から見ますと、民生用というものはなかなか大きな割合を占めていて、そしてそれの弾性値というものが、これを一・〇以下に下げたいと思うのですけれども、なかなか下がらないということを申し上げたわけでございます。
第二は、核燃料は石油と同じように輸入する燃料である、ことに濃縮ウランはいまのところアメリカに全部をおんぶしている、それはそのとおりでございます。しかし、核燃料につきましても供給先の分散化ということを考えておりまして、今度はフランスからも一九八一年からは一千トンのSWUですが、セパレートが入ってくることになっております。それからアメリカにおきましても、日本の会社とアメリカの会社で合同した濃縮ウラン工場をつくろうという企画がいま進行中でございます。アメリカ政府からも供給を受けると思いますが、そういうふうな状況でございまして、いずれも相手国が先進国でございます。先進国と先進国との間の国際的な取りきめは、従来においても比較的守られてきていると思います。ですから、一方的にこれを政治的武器に使うというようなことは、交戦状態になればともかくも、そうでない時期におきましてはそういう問題はほとんど予想されない、政治的武器に使うということは予想されないと私は考えております。
ただ、濃縮ウランをつくるそのもとのウラン鉱石といいますか、ウラン金属といいますか、これは確かにヨーロッパの先進国にもありますけれども、低開発国にかなりその資源があります。そういう資源につきまして日本が供給を受けるという点におきましては確かに一つの問題がありますが、しかしわが国としては——わが国ばかりではないのですが、このウラン鉱石につきましてはかなりこれを貯蔵することができるわけです。そうスペースが要らなくて、そして長い間の貯蔵が可能であります。そういう配慮をしなければならぬということはむろんのことでございますが、ウラン濃縮につきましては、石油の供給とは安定供給の上において非常に大きな相違があるということは言えると思います。
さらに、後にはいわゆるプルトニウムのサーマルユースといいますか、たとえば軽水炉にプルトニウムを利用することも可能なのであります。そういう点で石油と核燃料の場合には非常に違った性質があるということを私は考えております。
それから、第三の経済成長とエネルギー需要の増加でありますが、むろんいままでは日本の経済成長が一〇%だ、一二%だというのですから、したがって弾性値が一・〇以上でございますから、エネルギーの需要の伸びというものは経済成長よりもざらに大きいというふうなことであります。今後はこの経済成長はそうはいかないと思います。おそらくせいぜい五%前後じゃないかと私は考えておりますが、しかし、五%前後だといたしましてもエネルギーの需要の伸びはやはり六%、七%ということになります。そうすると、今日三億キロリットルの石油を入れているとすれば、その七%ですから二千百万キロリットルの石油を今後よけい入れなければならぬ、こういうことになります。ゼロになったならば、いまの三億キロリットルの輸入をずっと続けていきさえすればそれで足りるように思いますけれども、しかし、エネルギー需要の増加というものはやはりあるわけです。経済成長がかりにいまのとおりでゼロだといたしましても、家庭用の電力は必ずふえると思います。そういう意味で、高度成長期のことはもう考えることはむろんありませんが、しかし比較的安定的な成長という時期になりましても、エネルギー需要の増加というものはかなり大きいと考えざるを得ないということであります。
それから第四番目は、安全性とこの三法との関係で、私は、これを切り離して考えるべきだ、こういうことを主張いたしました。実際切り離して考えるべきことでありまして、三法がかりに通ったといたしましても、これはそれによって、地元にはあるベネフィットが来る道が開かれるわけですが、それじゃ安全性のものはどうでもいいかといったら、地元の人は、そんなばかなことはできるか、安全性についてまず検討しなければいかぬ、こういうと思います。それだけに私は、安全性の検討というものがかえって非常に真剣に具体的になってくると思います。いいかげんな、感情的に動かされたり、そういったことはなくなって、むしろ真剣に安全性の問題を検討することになると思います。むろん急速に日本の原子力発電を促進するということになりますれば、それに伴った安全性の研究開発、安全性の確保、その点については一そうの問題といいますか、研究を進め、安全性の確保に努力しなければならぬことは、これはもう言うまでもないことだと思います。そういうふうに私は考えております。
それから最後に、日本の国内のエネルギー源の開発、いま一つの例としまして揚水発電を取り上げられました。確かに、揚水発電は今後非常にまだ可能性が多いと思います。おそらく揚水発電で一千万キロから一千五百万キロは発電ができると思います。しかしこれにつきましても、御承知のように揚水のエネルギー、発電が要りますね。その点で私、最も有利な揚水発電を行なうためには、原子力発電といまの揚水発電とを直結した形のものが一等合理的であろう、とこういうふうに考えております。御承知のように、夜間は電力消費が落ちます。けれども原子力発電はロードをコンスタントにしておくほど有利なんでございます。ロードをコンスタントにして、夜間の消費が落ちた、その余剰電力をもって揚水を行なう、これはいま電源開発が邦須の奥で、福島の原子力発電と揚水発電とを結びつけてやっておるわけです。たいへん私はいいアイデアだと思って感心しているわけでございますが、そういう意味におきまして、むろん私も揚水発電を大いにやるべきだと考えております。揚水発電ばかりでなく、石炭のもっと有利な使い方、それから日本の周辺地帯のいわゆる大陸だなの石油の開発、そういったものは、むろん国産のエネルギーというものを大いに開発しなければならぬと思いますが、しかし先ほど申しましたように、大量のエネルギーの供給をそれに期待するということはなかなか困難であろう、こういう意味でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/6
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007・板川正吾
○板川委員 私が揚水発電千五百万キロワット可能というのは、現在夜間使われない火力発電が二千二百万ほどあります。そしてそれを、一・四対一の割合だそうでありまして、揚水に転換するためには七〇%ほど有効になるという計算から、現在のままでも千五百万キロワットの可能性があるじゃないかということを申し上げていたんで、将来火力、原子力を含めた火力がふえればその割合でさらにその可能性が広がるということになりますが、当面そういう現在のものの中で有効に利用すべきじゃないかというのが私の意見でございます。
最後に先生、現在この原子力の安全性の問題で学者間の、たとえば学術会議なりあるいは政府の科学技術庁の内部における論争等もございますが、安全性の問題はやっぱり国民の理解を受けなくちゃならないと思うのです。公聴会という制度は、いま法律的にも位置づけがなされていない。公聴会というと一方的に聞くだけだ。あるいは学者先生なりの研究発表の機会は、大衆の前で発表する機会は少ない。それは学者同士でひとつやってほしい、こっちは一般のしろうとだけにという公聴会のあり方について、先生のお考えを承りたい。将来安全性について国民の理解を求める上からいって、現在日本における公聴会のあり方というものについてどういうお考えを持っておられますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/7
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008・有澤廣巳
○有澤参考人 原子力発電に関する公聴会でございますが、これは最近公聴会をやるような方針で、この前福島では一回やったようでございますね。これは私が原子力委員をやっていた時分に、やっぱり公聴会は開くべきだというので、だんだんその方向で開かれた。しかし、そこでのやりとりは、公聴会の反対派、賛成派がそれぞれ意見を述べて、その意見を委員会のほうで聞かれて、その最後のときに反対派、賛成派に対するそれぞれの委員会としての意見を述べることになるわけですが、しかしその場で一問一答の形で原子力委員が述べることがはたしてできるかどうか、これは非常に疑問に思います。しかし、あとでもいいですから、公聴会においての反対の意見、賛成の意見について、委員会としては、これは合議制でいろいろ検討されるわけですから、個々の委員の意見ではなくて、合議制の委員会の意見というものはちゃんと文書で、関係者はむろんのこと、一般に公表すべきじゃないかと思います。これは私まだ見ておりませんけれども、福島の公聴会に際して、公聴会で聞いた意見に対して、あわせて何か委員会のほうで意見を述べたということを聞いておりますけれども、そういうことはなかったかしら、どうも、そうだと思います。アメリカはその場でやるようなこともあるようでございますが、その場でやっても差しつかえはないと思いますけれども、しかし、個々の委員の意見だけじゃちょっと委員会の意見ということにはならぬと思います。ですから、公聴会で聞いたいろいろな意見について委員会としてこれをどう受け取るか、どう理解するか、その問題は委員会として十分検討した上で発表すべきじゃないか、私はいま原子力委員会の委員じゃありませんからわかりませんけれども、私としてはそういうふうな考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/8
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009・板川正吾
○板川委員 ありがとうございました。
時間の関係がありますから、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/9
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010・濱野清吾
○濱野委員長 松尾信人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/10
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011・松尾信人
○松尾委員 有澤先生にお尋ねするわけでありますが、最初に、現在の日本の発電、そういう関係は、石油の供給の不安定もあるし、値段も大いに一上がっておる、ですから切りかえていくべきである、その方向としては、原子力を大いに活用していくべきである、こういうような御意見の開陳があったわけであります。
そこで、関連して聞くわけでありますけれども、このウランの供給に不安はないかということであります。石油にたよっておれよ、今回のいろいろアラブ諸国の生産制限、また供給制限というような不安があるわけでありますし、今度それをいよいよ大きく原子力に転換していくと、そこにやはりこのウランというものについての同じような不安はないか、いつまでも安全であるかどうか。ウランの算出国におきましても、供給制限と申しますか、いろいろそのような資源の自国保有という傾向が顕著でありまして、今後ともにうまくそういう保証があるであろうかというのが一点であります。また、もう一つは関連でありますけれども、ウランの埋蔵量といいますか、採掘可能量というものが百万トンしかない、そういう政府の回答があったわけでありますが、やはりそういうウランの資源の量にも制限があるんだし、産出国でのいろいろな動きがあるんだし、採来ともに不安がないかどうかというのが一点であります。
それから第二点は、この方向といたしまして、原子力発電をやる場合に、いまの発電主力である軽水炉、これが熱効率の面から申しまして、さらに何かいいものがないかどうか。熱効率の比較というものが正確になされるものであるならば承りたいのでありますけれども、現在の軽水炉の関係とこの高温ガス炉の問題、これもすでにアメリカのほうではある程度製造されて輸出しておる、日本のほうにもこれが大いに進出を希望しておるというようなこともいわれておるわけでありますが、日本として、今後かりに原子炉というものを推進していくという立場をとるならば、どのような型の原子炉というものに主力を置いていくか、当面やはり軽水炉でいくのか、いまから熱効率の少ない、むだの多いといえば多い、そういうものを早く日本も技術革新をして、優秀なる外国の子のような技術を導入して、熱効率の高い、また、温排水の問題のない、それから製鉄または海水淡水化等が可能である、多目的に使えるというような高温ガス炉というものの方向をとっていくべきであるかどうか、このような点についてあわせてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/11
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012・有澤廣巳
○有澤参考人 ウラン資源に関する不安がありはしないかということでございますが、むろんウラン資源につきましても、資源保有国におきましてはナショナリスティックな動きがあることは事由でございます。
ウランの埋蔵量は、いままではポンド十ドル毎度のところを限界にして、可採埋蔵量といいますか、掘り出し得る埋蔵量として計算をしたものは八十数万トンでございますが、しかし今日では、もう石油が四倍も上がったのですから、ウランの埋蔵量はもっと大きくなってきている。ポンド二十ドルにしてもちっとも石油に対抗できないわけじゃない。あるいはそれでもなお安いというふうな状態でございますから、埋蔵量の点は私はあまり心配はないと思います。
ただ、いわゆる資源ナショナリスティックな傾向、これは相当重大な問題だと思います。これにつきましては、前から国会でも皆さん方から、ウランについては日本は国内では少ししかないのだから、早くウランの供給の手当てをしておくべきじゃないかという御意見がたいへん強かったのでございます。それで、私どもというか、原子力委員会におきましても、その方針で、いま大体ウランの長期契約とかあるいは合弁事業とか、そういうふうな形で確保しておるウランは約十二、一三万トン、あるいは十五万トンくらいまでいっておるかもしれませんが、まあ十三万トンある。一九八五年、六千万キロワット程度の発電ならば、それで十分まかなえる程度のものがあります。
なお、ウラン鉱石の確保につきましては、今後とも合弁その他の方法で獲得しなければならぬと思います。ウランにつきましては、ナショナリスティックな傾向があるといいましても、その地元ではこれは何とも使えない資源でございます。ですから私は、ちゃんとした方法でやればウランの入手は可能であろうと思います。
たとえばニジェールで日仏でウランの鉱石の開発をやっております。あそこでは、御承知のように先般軍事的クーデターがありまして、政府がかわりましたけれども、このニジェールのウラン鉱石の開発、これはニジェール政府も参加しておりますが、それにつきましては何の影響もないということになっておると報道が入っております。そういうわけでありますから、私は、石油ほどナショナリスティックな影響はもろに政策の中にあらわれてくるというふうには考えておりません。
そのほかに、いまの軽水炉にいたしましても、将来はプルトウムをサーマルユースとして使っていく、ウランを節約していくことが可能だと思います。
それから第二の原子炉のタイプ、まあ軽水炉がいま世界において大体主流をなしております。けれども、御指摘のように、軽水炉というのはウラン燃料の効率の点からいいますと、たいへん効率の悪い使い方の炉だと思います。それですから、これをもっと効率をよくする方法はないかという研究も始まっておりますが、炉型を軽水炉でなくて、他の炉型に転換したらどうだという御指摘もございました。たとえば高温ガス炉はどうだということでございます。
これは、私のほうのいまやっております原子力産業会議におきまして、どういう炉型をどうとれば一番ウラン燃料を節約できて、そして発電量その他をふやすことができるかという観点から、炉型戦略としまして、どういう形の炉を採用し、それで軽水炉と、高温ガスとかあるいは日本で開発しておりますATRあるいはカナダの重水炉というふうなものもあわせて、どう取り組んだならばウラン燃料が最も少なくて所要の発電量あるいはより多くの発電量を獲得できるかという観点から、いまそれを検討しております。いま御指摘になりましたが、ATRは各国でかなり注目を浴びておる非常にすぐれた炉であるということは疑いありません。ことに、安全性の観点からいうと、非常に安全性が確保されておる炉だと私は思います。
ただ、あれは御承知のように、燃料をウラニナイトで包んで積み上げてありますね。そこに日本のような地震国においてはどうかという大きな不安が残っておると私自身は思っておる。ですから、あれを採用することになれば、よほどそういう点は日本の安全研究によって確かめた上でなければいけないんじゃないか、こういうふうに考えております。
大体お答えいたしたと思いますが以上のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/12
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013・松尾信人
○松尾委員 これで最後でありますが、この安全性の問題でございます。先生は法案とは切り離して考えていくべきであろう、このような意見の開陳があったわけでありますが、現在電源立地が行き悩んでおるその主たる原因は、一つは安全性の問題であります。もう一つは、環境破壊の問題でございます。でありますから、何としても地域の人々は、その地域の利益というものもさることながら、やはり国民的な関心というものは、公害をなくして、そしてこの原子力の安全性というものが国民に納得できるかどうか、これが何といっても重要な点であろう、私はこのように思うわけであります。でありますから、ただいまも質疑が出たわけでありますけれども、どうも原子力委員の方々だとか政府の人々の言う安全性というものでは国民の理解を得にくいんじゃないか。この安全性の問題についてはいろいろ議論もございましょうが、やはり国民にすべて訴えて、そして現状を教えて、そしてこのような問題はこのようになるんだというような深い理解を考えるべきであります。いまは一方的な安全性というものの折しっけじゃないかというような感じが強いわけであります。これでは、なかなか重大な問題が解決されないままに周辺地域の開発ということだけが前面に飛び出してきてどうもバランスがとれぬじゃないか、私はこのように考えて政府にも質疑を重ねておるわけであります。先生はより以上、この安全性の問題は法案から離れてでもがっちりやっていかなくちゃいけないという御意見のように承っております。であるならば、そういう面を国民の納得のできるように、いま公聴会の話も出ましたが、あらゆる点検を含めましてこれはしっかりやっていかないと、この整備法案だけでは、またお金をばらまくことだけでは深い理解はなかなか得られないんじゃないか、こう思うのでありますが、この安全性の問題についてだいじょうぶならだいじょうぶということをどこまでどのように打ち出して、そして納得させるか、こういう点について御意見があれば聞いておきたい、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/13
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014・有澤廣巳
○有澤参考人 安全性の問題につきましては、きょうは参考人がその方面の専門家も御出席のようでございますから、技術的な問題は私まだ事実よくわからぬところもあろうと思いますので十分お答えできないのですが、しかし安全性が重要であるということは幾ら力説しても足りない問題だと私は思います。政府がこの電源三法をつくって発電を促進するというその熱意と同様な熱意を持って、安全性の確保について——これをどういうふうにすべきかということはいろいろ問題があろうと思います。たとえば審査体制にしても監視体制にしても、監視体制の中でもクオリティアシュアランスの確保の問題にしてもいろいろな面があろうと思います。それでいまやっておることはやっております。しかし、これがまだ十分じゃないんじゃないかという批判もあるわけであります。そういうかなり広い領域にわたって、安全性の確保につきまして政府がこの電源三法、つまり発電を促進するというその熱意と同様の熱意を持って安全性の確保に取り組まなければならない、こう私は考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/14
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015・濱野清吾
○濱野委員長 玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/15
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016・玉置一徳
○玉置委員 ほかの先生方にお待たせしてたいへん申しわけないのですが、一言だけ、有澤先生がわが国のエネルギー問題に非常に関係をお持ちになっておりますので、先生でなければというとこれだけ簡単に御答弁いただければけっこうです。
いろいろ御議論がございますように、いまや地熱発電、その他水力発電等いろいろございますけれども、主とした柱として当面は原子力に依存せざるを得ないことは事実であります。何もわが国だけがトップを切ってそういうことをしておるんじゃなしに、安全性の問題は別にしまして、これは世界じゅうの大勢であります。
そこで問題は、ごみ焼却その他にいたしましても、全体としてはぜひ供給しろ、確保しろ、しかしながら自分の府県では、自分の町村ではかなわぬのだ、これが現在の風潮でもあると思います。そういう意味では、こういう法案もさることながら、なお私はできましたら、電気そのものを、何か遠いところからすうっと持ってくるんですから相当な送電線の費用もしくはロス、こういうことを考えますと、将来コスト主義はある程度加味していいんじゃないだろうか。つまり、昔は大都会は便利でありましたけれども、それだけに、そこで居住するのには相当な費用が要るんですよ、高いんですよということになっていいんじゃないだろうか。だから発電をするところが一番安いんだ、そこから遠くなるとだんだん高くなりますよという政策を取り入れていく。こういう周辺地域の問題をどうするというだけじゃなしに、できたもの自体でもそういうことがあってしかるべきじゃないだろうか。これからはごみ焼却でもすべてのものに同じことが言い得るんじゃないだろうか、こういう感じがします。今度の電気料金にはさしあたり間に合いませんけれども、将来そういうことを検討すべきかどうか、先生はどういうふうにお考えになるか、一点だけお伺いして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/16
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017・有澤廣巳
○有澤参考人 電力の発電の地元と消費地の電力消費者との間には電力料金に差別をつけろ、つけたらどうかという御意見のようでございます。現在も九ブロックに分かれておりますけれども、九ブロックの間においても多少の違いがありますね。ですから、お考えとしては、電力様式なんかも違うということは公平の上からいって私は妥当だと思いますが、ただ電力というのは、メーターではとらえられますけれども、なかなかとらえにくい点がございます。ですから、私はやはり発電税というもので一ぺん消費者から取って、地元にはそれがまた返ってくる。つまり、簡単に言えばそれだけ電気料金が安くなっているんだ、そういう意味において調整をはかったほうが調整をしやすい、こういう考え方です。ですから私自身は、原子力には特に原子力発電税をかけて、それで原子力発電税の部分を地元に還元する。地元の方がそれをどういうふうにお使いになるかはその地元の、たとえば市町村だったら市議会だとか村会で十分みんなの意見を総合した決定をしてお使いになったがいいじゃないか、まあこういう考え方ですが、そういう直接還元の上からいいますと、この三法では必ずしもそこまではいっていない点があろうかと思います。それはありますが、しかしとにかく地元に還元をする、その思想はここに入っているという点において、私はこれは一歩前進である、こういうふうにお話し申し上げた点でございます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/17
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018・玉置一徳
○玉置委員 重ねて簡単に申し上げますが、水力電気の場合はそれぞれ日本の山岳の尾根地帯を利用せざるを得なかったわけですが、火力、原子力になりますと別に立地について奥まで行く必要はございません。府県ごとにみずからのものをある程度生産しなければいかぬというふうにしてもいいんではないだろうかという感じもするのです。でないと、いまのようなかってなことだけの言い合いになるのじゃないだろうかということを感じますが、こういうことについてもひとつ御検討いただきたい、こう思います。
委員長が時間を非常にせいておるような顔をしてにらみますので、この辺で終わりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/18
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019・濱野清吾
○濱野委員長 以上で有澤参考人に対する質疑は終了いたしました。
有澤参考人には貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。
引き続きそれぞれの参考人から御意見をお述べいただきたいと存じます。
内田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/19
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020・内田秀雄
○内田参考人 ただいま御紹介にあずかりました東京大学の機械科に所属しております内田でございます。原子力発電の安全につきまして、特に立地との関連の問題について陳述したいと思います。
原子力発電の安全は原子炉の中に放射能が潜在することに基づきます危険性に対する安全の問題でありまして、その基本的な考え方は国際放射線防護委員会の勧告に基づいております。この国際放射線防護委員会、ICRPの勧告の要点は、一般公衆に対する放射線被曝の線量限度を五百ミリレム・パー・年にすることであります。このミリレムといいますのは、放射線の人体に対する影響をあらわす単位でございます。この五百ミリレム・パー・年を線量限度にしておりますけれども、さらに無用な放射線による被曝は避けるべきである。また、放射線の影響は、合理的に達成し得る限りなるべく低く設計並びに運転の目標とするいわゆるアズ・ロー・アズ・プラクチカブルの精神によることとされております。もともとわれわれ人間は天然の放射線を常に受けておるわけでありまして、日本人の記録によりますと、人と場所と高度などによって違いますが、五十二ないし百十八ミリレム・毎年、日本人を平均いたしますと八十三ミリレム・毎年の天然の放射線を受けております。世界的にいいますと、まず百ないし百二十ミリレム・パー・年と考えればよいと思われます。もっともインドの高地とかでは一・三レム、すなわち千三百ミリレム、あるいはブラジルの火山地帯では千六百ミリレムというような大きな放射線を天然から受けているところもございます。
こういうような天然の放射線に比較いたしますと、ICRPの線量限度は最高五百、ミリレム・パー・年でありますが、アズ・ロー・アズの精神の実際上の適用は次のようにしております。すなわち、ある一つの敷地のすべての軽水型動力炉からの年間放出量は、制限地域外のいかなる個人の全身並びに臓器に対しても年五ミリレムをこえないこと、すなわち天然の放射線の約五%とすることになっております。すなわち、放射線の影響は一つのサイト主義でございますが、わが国では近接する敷地がありましたときには、その総合の影響を評価いたしてこの方針を満たすようにしております。すなわち、全国に原子力発電所が数多くできましても、どの日本人個人に対しましても年間五ミリレム・パー・年をこえないように設計、運転、管理をすることになっておりまして、すでに現在運転中のものはこの目標限度を十分に満足しております。天然の放射線の影響といいますのは百ないし百二十ミリレムと申し上げましたけれども、毎日におきましても、また場所によりましても変動しておるわけであります。その変動に比べまして原子力発電所からの影響を五ミリレムに押えるということは、その天然の放射線の変動幅以内に押えるということでありまして、実質的には放射線の影響がないようにしているということといってよいと思います。
こういうような次元の高い安全確認の方針といいますのは、たとえば亜硫酸ガスとかあるいはNOxの濃度基準を見てみますと、そのようなものの濃度基準は、天然自然のレベルをもとにしているのではなくて、医学的に影響があらわれるかもしれないという限度をもとにしまして濃度規制をしておるわけでございます。放射線の問題は、医学的な影響の出るレベルをはるか下回ります天然のレベルをもとにして、その変動幅以内に押えるというのが原子力発電の開発の基本的な方針でありまして、特に軽水型動力炉ではその実現がされているわけでございます。
本来この放射線の影響という制限は、開発によって得られます利益と被曝による危険度とのかね合い、いわゆるコスト・アンド・ベネフィットの関係によって当該社会がきめるべきであるということがICRPの勧告にも載っておりますが、この五ミリレム・パー・年の値は十分にこの精神に従っており、実質的な放射線影響を与えないものといってよいということは国際的にも認められていることでございます。
平常時の問題は以上でありますが、しからば万々一の事故があったらどうかという、いわゆる事故時の安全対策について申し上げたいと思います。
事故の安全と一口に申しますのは、技術的見地からは起こるとは思えないような大きな事故の発生を想定したときでも、一般公衆には放射線障害や災害を与えないことはもちろん、技術的に可能な限りできるだけ放射線の影響を少なくすることが事故想定時の安全の目標でございます。この安全目標が確保されるよう設計、製造、建設、運転がされているわけであります。したがって、こういう大きな想定事故を設計基本事故といっております。現在各国で開発されております軽水型原子炉では、原子炉冷却系配管の瞬時破断、ギロチン破断といっておりますが、この瞬時破断を仮定した一連の事故を冷却材喪失事故といっております。この冷却材喪失事故を想定して安全対策を行なうことが国際的な安全の理念として行なわれている共通の方針でございます。
わが国では、特にこの冷却材喪失事故のような大きな想定事故につきましては二種類の規模を仮定して安全評価し、立地の条件との関連により一般公衆との離隔の評価を行なっております。これが原子力委員会が定めております原子炉立地審査指針を中心にした立地評価の方針でございます。
原子炉安全の設計の要点は、時間がございませんので要点だけ申し上げたいと思いますが、潜在的放射能の危険性のあります核分裂生成物は燃料被覆管の中に入っておりまして、その燃料棒が原子炉冷却材バウンダリーの中に入っておる。さらにそれが格納容器の中に入っておるという、この多重の障壁を持っているということでございます。
次に、工学的安全施設あるいは安全保護系設計の要点は、多重化であること、それから自動化であること、さらに信頼性の高い設計と品質保証がされていることであります。また、事故の評価に対しましては、非常にきびしい仮定を用いた事故の解析とその結果の評価を行なうことであります。また、工学的安全施設を含めまして、安全上重要な機器の設計から建設、運転に至る各段階でのクオリティアシュアランス、品質保証の制度でございます。わが国の原子力発電の敷地の広さは、場所によって違いますが六百ないし千メートルをとっておりますので、こういう安全目標に対して行なわれます設計基本事故がかりにあったといたしました場合でも、敷地の外の一般の人には実質上の放射線影響を与えないといってよいと思います。また、そういうことが確認されて初めて設置の許可が出されるわけでございます。世界の原子力発電はすでに二十年の経験を持っておりますが、その間数百リアクターイヤーの運転経験を持っておりますが、いま申し上げましたような一般の人に放射線の影響を与えるような事故はまだ起きておりません。
このように原子力発電所は、平常時はもちろん、ありそうもない大きな事故を想定したときでも、一般公衆の安全を確保されるようになっておりますが、このことを原子炉の建設、運転の前に、事前に第三者的機関で審査することが、わが国はもちろん各国でも行なわれております。わが国でのこの事前審査は、原子力委員会の原子炉安全専門審査会で行なっております。しかし、原子炉の安全の確保は設置許可におきますこの安全審査だけではなく、設置許可後の建設中の工事計画認可段階並びに運転開始後の保安管理等が適切に行なわれることが必要でありまして、この設置から運転を含めました全使用期間にわたる安全確保が関係省庁による一貫した安全行政と安全専門審査会あるいは通産省の原子力発電技術顧問会などによります専門家による第三者的機関による安全検討評価による確認、これがきめこまかく行なわれることが大切であります。今後原子力発電の開発が急速に進められることが要望されておりますが、このことに対し、一そう確実に、順調に実施されますよう、これら安全評価の体制と機関が質的、量的に充実されることを特に希望したいと思います。また、安全対策の技術的信頼性を一そう向上するための安全研究を組織的に推進することを強力に進められることを特に希望いたしたいと思います。
原子力発電の安全確保の要点は以上のようなことでございますが、そのためには、原子力発電開発によって得られます全国的並びに現地に得られます直接間接の利益と、これによって影響を受ける現地の社会的、生活的、自然的環境の影響の比較検討について、国民の理解を得られる適切な評価が行なわれることと、それによって建設される現地の人々と当該地方自治体の協力と理解が十分に深められることが必要であると思います。このために周辺地域整備法が有効に運用されることを希望して私の陳述を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/20
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021・濱野清吾
○濱野委員長 次に、小野参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/21
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022・小野周
○小野参考人 私はただいま御紹介がありました東京大学の小野でございます。
私の専門は物理学でありますが、最近私といたしましては、原子力の問題については国民的に非常に重要な問題であるということでいろいろと勉強しております。
本日は発電用施設周辺地域整備法案に関する問題でございますけれども、この法案に関しましてはいろいろ御審議になっていると思いますが、この法案を拝見いたしますと、先ほど有澤参考人が言われましたとおり、またこの法案にも書いてありますとおり、発電所の設置される周辺地域住民の福祉の向上ということと、それからそういうものに必要な公共の施設を整備するということが目的になっているようであります。この法案の趣旨の説明にもありますけれども、発電用施設の設置にあたって、やはり一番大きな問題は環境の保全であり、また住民の健康の確保でありますし、特に原子力に関係しまして最も必要なことは、住民の安全と健康の問題であることは明らかであります。このことについてはどなたも御異論はない。先ほど有澤参考人が、この法案と安全の問題とは別であるということを言われたわけでありますが、やはりこの法案について一番問題になりますことは、確かに論理的には一応別になっておりますが、現在原子力発電の推進をされているいろいろな一般情勢を考えると、決してこれは無関係であるとは考えられませんし、この点が私は一番重要な点ではないかと思います。でありますから、安全性の確保であるとか環境の保全ということについて、一体現在策が講ぜられておるかといいますと、これについては万全の策が講ぜられているとは考えられないわけであります。そうしますと、そういうものが万全の措置を論ぜられないまま、地域の整備をいまの形で行なわれますと、結果においてはかえって環境の保全とか安全性の確保ということがむしろ犠牲にされて、それと引きかえに地域の振興あるいは発電所の設置というふうなことが行なわれる結果になるということは、現在の客観情勢を見ますとむしろ当然の成り行きではないかというふうに考えられるわけです。
そこで問題になりますのは、環境の保全あるいは安全の確保ということがどのようになっているかということについて考えますと、それは私はきわめて不十分であるという意見を持つわけであります。それからもう一つついでに申しますと、この法案では水力、火力、原子力という三つのものが一緒になっております。これはそれぞれ安全性とか地域への影響というのがかなり違うわけでありますけれども、こういうものを全部一緒にして電源三法というようなことで推進されることには、これまた一つの問題があるのではないかと考えるわけでございます。
環境につきましてはいろいろと問題がございますが、まず、これは当然問題になりますのは、原子力だけではございませんけれども、火力、それから原子力発電から出る温排水という問題があります。これを特に私がここでお話いたしますのは、これに対する対策は全然考えられないでいて、一方ではこういうふうな周辺整備というふうな形の問題だけが取り上げられているところに問題があると思いますが、このことについては御存じだと思いますけれども、先ほど有澤参考人も言われましたが、実は現在の火力発電所もあるいは原子力発電所も、これはいずれも蒸気機関を使いまして、専門的に申しますとこれはランキン・サイクルという蒸気のサイクルを使いまして発電をするわけでありますが、これはあまり効率がよいものではございません。ただ、火力発電所の場合には、現在蒸気の温度を非常に上げまして、効率をかなり高くするということが行なわれておりますが、まあ原子力発電所の場合は、現在の軽水炉を使う限り、効率はよくいって三三%くらいにとどまる。それから火力発電の場合には、現在四〇%といわれておりますけれども、あるいは超臨界の蒸気機関を使えばもう少しよくなる可能性もおそらく残されているであろうと思われるわけです。ですから、効率が悪いということは、一つには、火力発電所で言いますと石油の消費がむだになるということでございますし、原子力発電所ではウランの消費がむだになるという話ですが、それよりさらに問題になりますのは、そのむだになったエネルギーは全部あたたかい水になって発電所の外に排出される。その量がどのくらいかと申しますと、電気出力が百万キロワットの火力発電所の場合には一秒間に四十五トン、原子力発電所では六十トン、五十八度だけ高い水といたしますと、そのくらいの量のものが発電所から外に放出されるわけであります。そこで、大体この量はどのくらいかと申しますと、現在の利根川の一年間についての平均流量が一秒間二百八十トンということになっておりますので、四百五十万キロワットの原子力発電所から出され冷温排水の量は、まあほほ利根川の水量に匹敵をするということになるわけであります。
ところで、原子力委員会の長期計画によりますと、昭和六十年には二億三千六百四十三万キロワットで、そのうちの原子力によるものは六千万キロワットということがいわれておりますし、さらに六十五年には三億一千万キロワット余り、そのうちの一億キロワットは原子力によるということにされておるのでありますが、これは全部海に放出されるわけです。これがどれほど大きな影響を持つかということについて少し例を申させていただきますと、いまの計算でいきますと、昭和六十年には一年間に三千億トンの温排水が出されることになりますし、昭和六十五年になりますと四千億トンに達するという計算になります。もちろんこれは原子力につきましてはすべて軽水炉を使ったということで計算をしております。もちろんこの計算の中にはいろいろ問題がありまして、発電所の稼働率がどうであるという問題もございますが、実はこの計算の中にはいわゆる自家用の発電のものは入っておりませんので、両方のプラスマイナスがあろうかと思います。四千億トンという量は一体どういう量であるかと申しますと、これは一年間に日本の陸地の上に降ります雨量が全部で六千億トンということが計算をされておりますので、その約三分の二に当たる。ですから荒い計算でいきましてもそのくらいになるわけです。このことが実は非常に大きな問題であることは明らかだというのは、これは私だけの意見じゃございませんで、先日、新聞に出ておりました東京大学の地球物理の竹内教授の書かれましたものにつきましても、あるいは名古屋大学の島津教授の書かれましたものにつきましても、こういうものが地球物理学的な規模、つまり自然現象と同じ規模になったときには、これは環境に非常に大きな影響を及ぼすであろうということは非常に明らかである。私もそう思います。
ところが、現在は原子力発電所にいたしましても、それから火力発電所にいたしましても、この温排水の効果を減らすという措置はほとんど講ぜられていないというままで進行しているわけです。これは実は温排水の効果を減らす方法が現在ないかといいますと、決してないわけではなくて、いろいろな方策がとられ得るわけでありますけれども、現在はこれだけの温度差のものを海に流し込むという形で処理をされてしまっている。実はこれは私も、きょう時間がございませんし、私の専門でございませんので詳しくはこれ以上あまり申せませんが、これだけのものが入ったときに、一体生物その他にどれだけの影響を及ぼすかという問題は、これは正確には調べられておりませんし、原子力発電所についても、現在まだ不明の点が多いということは原子力委員会の公式見解であると思いますけれども、書かれているわけです。そういう状態でございますが、いまの温排水の問題にいたしましても、現在どのようにされておるかと申しますと、多くの場合は漁業補償というふうな形でもって問題が処理をされてしまっている。このことは、問題がお金で解決をされてしまうというふうな形でありまして、現在の原子力政策の一つの進め方として、地域に対しては漁業補償というふうな金銭でもって環境の問題を置きかえるというふうな形で進められているという一つの例であろうかと考えられるわけであります。実はこの問題は、今回の周辺整備法案と重ね合わせて考えますと非常に重要な点であるということを私は痛感するわけでございます。
それから先ほどいろいろ軽水炉につきましての安全性の問題が出ましたが、実はこれはすべての技術でそうでございますけれども、すべての技術についてどういうことが起こるかということについての予測というのは非常にむずかしい。特に歴史の浅い工学については非常にそれがむずかしいということでございます。これはつまり予想しないような事故というのが非常に起こる、こういう例はもう幾つかございます。原子力に関係しないところでもございますのは、だいぶ前に火力発電所でございますけれども、関西電力の海南発電所の発電機が軸受けのところからたいへんな爆発みたいな事件があった。これは原因はわかっておるらしいのですが、あります。それから船が太平洋のまん中で二つに折れたということもあります。この場合には、説明によりますと予想外の大波が来たというのでありますが、予想外のものというのはむしろ来ると考えるべきではないかというふうなことを考えるわけであります。原子炉につきましても実は予想をしなかったと思われる事故が生じております。これはいままでいろいろな方から御説明がありましたように、人身事故、人命に関することはまだもちろん起こっていない。人身事故がないといいますとこれは間違いでございますが、人命に関することは起こっていないといわれております。しかし、ちょっと私も正確なことを忘れましたけれども、ある一般事故の統計によりますと、大体三百件ぐらいの事故が起こると一回ぐらい人身事故が起こる、あるいは生命に関する事故があるということになっておりますが、現在生命に関する事故がないといって、事柄を簡単に見過ごすことはできないわけです。
わが国の原子炉につきまして予想もしなかったような事故が起こったというむしろ事故例をここでお話をいたしまして、こういうことになるということをあとの時間少し話すことをお許し願いたいと思います。
この事故は、よくいわれておりますけれども、現在関西電力で働いております一号炉というのがあります。ちょっと申し忘れましたけれども、現在の軽水炉の中には、御承知のように沸騰水型と加圧水型というのがありまして、加圧水型の原子炉については、直接原子炉から出ました熱い水がそのまま沸騰して蒸気がタービンに行くのではございませんで、美浜の場合には三百二十二度でかなりの圧力をかけて、これを蒸気発生器の中を通して、蒸気発生器で別の水を蒸気にしてタービンを回す、こういうことでございます。それでタービンに行くほうが二次冷却水、原子炉から出るほうが一次冷却水ということであります。二次冷却水を一次冷却水で沸騰させます蒸気発生器というのがありますが、この蒸気発生器はどういうことになっておるかと申しますと、一次冷却水のほうが、温度の高いほうが蒸気が小さな管の中を通りまして、それでまわりの水をあたためるという形になっているわけであります。
それで、どういうことが実際に起こったかと申しますと、実は美浜の原子炉の場合には、いま申しました一次冷却水が通る小さなパイプが全部で八千八百五十二本あるわけです。ところが、だいぶ前のことでありますけれども、昭和四十七年の六月十三日に突然排気筒から異常な放射能のレベルが発見された。実は二次冷却水にはそれほど高いレベルのものが入っているわけではありませんのですが、これは一次冷却水が二次冷却水の中に蒸気発生器の細管を通して漏れたということを示しているわけです。私はこの場合も安全に対する配慮がかなり欠けていたと思いますのは、すぐに停止しませんで、しばらくたちまして停止した上で調べたところ、実はいまの細管に穴があいていた。この細管というのは、非常にニッケルの成分が高い、普通耐熱、耐食性の合金といわれているインコネルの六〇〇というものでありますけれども、これが腐食をされたということがわかったわけです。それで実はそのときのある方の見解によりますと、八千八百五十二本の管があれば、一本や二本はこういうことが起こってもやむを得ない、そういうものはせんをして使えばたいしたことはないというふうな見解があったわけです。その後、実はそうこうしている間にかなりの時間がたちまして、十二月九日に運転を開始したわけでありますが、昭和四十八年の三月に定期検査をしたところが、どういうことがわかったかと申しますと、実はもっと多くの細管にたくさんの損傷が見つかったということであります。これは三十四万キロワットの発電機でありますけれども、実は出力をダウンして運転していた。出力をダウンしますということは、これは一般に温度を低くすることでありますから、そういう腐食の影響を少なくするということがむしろ考えられるわけでありますけれども、実はやはり多くの細管が損傷をしていたということが見つかったわけです。
それから先ほどちょっと申し忘れましたけれども、どういう損傷かと申しますと、管のまわりがだんだん薄くなりまして、減肉という現象で、中には厚さ七割ぐらいが減って三割ぐらいの厚さになって損傷しているところもあったということになります。結局そういうことがありましたので、これは構造上の問題もございますけれども、損傷のおそれがあると思われるところまで含めまして、実は千八百九十九本だけ新しくせんをして、合計二千本というものについては細管が使えないような形でもってこれを運転をした。そうしますと、実は三十四万キロワットの定格出力を出すためにはすでに設計上の伝熱面積を欠いているものに近い状態になっているわけでありますけれども、それを二十万キロワットで運転していましたところ——実はそのときに私が聞いた話では、今度はたいしたことはないという話は聞かなかったのですが、これであぶないところはほほ全部せんをしたというふうに伺っていたわけです。ところが、ことしの二月の定期検査のときに、さらにまた四本の細管に損傷が発見されたということであります。このことは実はだれも知らなかったといえば、確かにだれも知らなかったわけですけれども、こういう予想をしたことが原子炉では現在まだ起こっているということで、しかも運転経験は、昭和四十五年からいままでといいますと、そんなにたっていないわけです。原子炉は二十五年間使うといわれていますが、やはりかなり強い放射線を出しますものにつきましては、これは相当な経年的な変化をするわけでありますから、初めからいろんなことが起こり得るということはあるわけですけれども、むしろこういうことが発見されてきたということは、やはり非常に重要なことであると考えるわけであります。実はまだ現在、たいへんな計画でもって軽水炉を次々に敷設していくというほど軽水炉は実証されていない。
それから、先ほど安くできるというお話でございましたけれども、美浜の一号炉のようにはるかに低い出力で運転し、かなりの時間停止しますと、これは決して安くはっかないわけです。そういうことが一つございます。
それからもう一つ忘れましたけれども、蒸気発生器の事故につきましては現在でも原因はわかっていないように私は伺っているのです。原因がわかっていないものは、続けてやりますとまた同じような損傷が起こるというふうに考えたほうがむしろ自然ではないかというふうに思います。それで、これにつきましてはいろいろな予想が違ってきたということでございますけれども、このほかに、これは蒸気発生器の事故でございますが、実は原子炉そのものにつきましても美浜の二号炉では事故が起こっておりましてnこれは燃料棒が曲がりまして、ほとんど上方が接触するというふうな状態のことが起こっている。こういうことがすでに発見をされている。こういうふうにこまかいことにつきまして、現在われわれが想像もしなかったようないろんな事故が起こったような問題があるとか、そういうことにつきまして全部ここでお話をしますとたいへん時間をとりますので、いまのようなことが現実に起こっているということを考えた上で、現在まだ軽水炉というものが経済的にも技術的にも必ずしも実証されていないという段階にあるということを考えて、先ほどの問題全部を考えていかなければならないと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/22
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023・濱野清吾
○濱野委員長 次に、向坊参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/23
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024・向坊隆
○向坊参考人 東京大学の工学部工業化学科におります向坊でございます。私、法律には全くしろうとでございますし、あるいは見当違いのことを申し上げるかもしれませんが、御了承願いたいと思います。
有澤先生をはじめ、いろいろな参考人の方からいろいろ詳しい御意見がございましたので、私はごく簡単にこの法律について感じましたことを申し上げてみたいと思います。
発電所とその地域の開発という関連につきましては、昔といまと非常に違ってきているような気がいたします。私どもの学生時分には、発電所ができるとその地域が、工場ができたり都市が発展したりして非常に潤ったということがあったわけですけれども、最近では僻地に発電所ができて、できた電力は非常に遠いところの都市なり工業地帯で使われるということで、地元では不利益だけ受けて何ら利益するところがないという不満が起こるのは当然の状態になってきたわけでございます。そういう意味合いにおきまして、今度の立法措置に対しましては原則的には賛成申し上げたいと思うのでございます。
ただ、そこに二つの問題があると思われます。
第一の問題は、発電所の建設というのは国の要請でできるわけでございますけれども、これはやはり非常に長期的な国の発展というものと関連しているわけでございます。それに対して、この法律によって補助される地域開発というものが短期的な見方でなされたのではいけないのではないかという点が一つでございます。地域開発と申しましても、その地域の特殊事情によりまして、農村なり漁村なりのままで地域を整備していくということを望まれる場所もあるでしょうし、あるいはそこに都市を建設していくという形での将来の発展を望んでおられるところもあるかと思います。そういう地域の特徴とその長期的な発展計画をよくにらんだ上でこの法律による援助というものがなされなければならないじゃないか、そういうふうに感ずるのでございます。法律そのものがそうなっているかどうか、私にはよくわかりませんので、この法律の運用の段階でぜひそういう形での地域援助がなされてほしい、そう思うのが第一点でございます。
それから第二点は、先ほどから問題になっております、そこにできます施設の安全の確保あるいはそこから出てくる汚染の防止の問題でございます。これが法律と切り離すべきであるか、あるいは一体に考えるべきであるかということが御議論になっておりますけれども、私に言わせていただきますならば、安全が確保され汚染が防止されるということが確認されたものからこの施設というものは建設が認められていくわけでございますから、別途に安全確保なり汚染防止なりの対策を国が十分にとっておくということが必然的にこの法律に相伴ってくる措置ではないか、そういうふうに考えるのでございます。
特にこの原子力施設の安全性が問題になっているわけでございますが、原子力施設の安全性につきましては、二つの問題があると思うのでございます。一つは、その設備そのものの安全性、機械的、物理的な安全性の問題でありまして、もう一つは、それに対する信頼度の問題でございます。先ほどからの内田参考人と小野参考人の御意見を伺っておりますと、内田参考人の御意見でいけば、施設に非常に重大な事故を想定してもなお周辺の住民に危害を与えない、そういう場合にはこれは建設を認めてもよろしいということを言っておられるわけです。それに対して小野参考人は、この燃料の破損事故とか熱交換器におけるパイプの破損事故とか、そういうものを問題にされまして、技術的にまだ確立しておらないと言っておられるわけです。小野参考人の意見は、要するに現在の安全確保の体制に対する信頼度に対する疑惑を述べておられるのだと思うのであります。小野参考人の御意見のような事故は、内田参考人に言わせればおそらくこれは原子炉の事故のうちには入らない、安全審査済みのものであると言われるに相違ないので、これは平行線をたどるわけでありまして、要するに信頼度の問題だと思うのであります。その信頼度に関連して安全研究とか、その他のものが重要になるわけでございますが、それについてまた二つの問題があると思われるわけです。
一つは、施設の安全性そのものの向上のための安全研究でございます。これに努力しなければならぬということと、もう一つは、安全を確保するための体制を整備しなければならぬという問題でございます。内田先生の審査会が万全の審査をされるといたしましても、あまりたくさんの、現在の体制のままで次から次へと原子炉の申請が出てまいりましたら、内田先生の審査会といえども万全を期するかどうかわからないわけです。いまのような速度だから自信を持ってああいう御説明ができるわけですけれども、これから原子力をもし一増強していこうとするならば、安全審査体制をはじめとする安全確保の体制を十分拡充強化していくということが前提条件になるんじゃないかと思うわけです。それは現在すでにその動きが政府等でも出ておると思いますけれども、ぜひその方面をしっかりやっていただきたいと思うわけでございます。
第二の、信頼性を向上させるための安全研究というものには非常に多岐にわたるものが含まれますが、私なりにそれを幾つかに分類してみますと次のようなものがあるわけであります。
第一は、現在日本で安全だといっておる根拠の
一部には、外国のデータを信用しているというものがあるわけです。残念ながら日本は原子力の後発国でございますので、外国から技術を入れる機会が非常に多いので、その入れた技術につきましては、外国で経験を積んでおり、実験をやっておれば、そのデータは信用して安全性を確認するわけでございます。これからは国産の度合いがだんだんふえてまいりますし、それから結論に対する信頼性という意味から申しますと、外国で得られたデータといえども、それをもう一度日本で実験して再確認するという手続が必要と思われるわけです。そういう意味で、外国のデータの再確認という意味での安全研究が一つの分野としてあるわけでございます。
第二の分野は、設計余裕の再確認と呼ばれている分野でございます。これは安全設計については、メーカーのほうでは十分の余裕度を持って、たとえば十の強さの設計の場合に、十二の強さを持っておるから十が確保できる、そういった余裕を持って設計というのが行なわれるわけでございますが、その十の強さのところを十二持っているという、その二の設計余裕というものがほんとうにあるものかどうかという設計余裕を確認するための実験、こういうものが必要でございます。これも信頼度の向上のために非常に重要な分野でございます。
第三は、安全審査に関連した安全研究というものがございます。これは内田先生御苦労なさっているわけでございますけれども、いろいろな機器が出てまいりましたときに、それの安全基準というものがまだ整っておらないわけでございます。安全基準が整っておりませんから、安全審査会では、個々の場合について議論されまして、自分らで安全基準というものを設定し、それよりもじょうぶであるということで安全性を認めておられるわけでございますが、これからは、審査の回数もふえてまいりますし、装置も複雑になってまいりますので、装置を標準化したり、あるいは標準化できないまでもいろいろな重要な部分につきましては安全基準を確立しておくということが非常に審査の効率と信頼性を増す上に重要でございます。そのための研究というものが必要でございます。
それから第四は、先ほど小野先生も指摘されましたような、いろいろこまかい事故が原子炉の中で起こり得るわけでございます。そういう事故が起こるということが原子炉全体の安全性の信頼度・に非常に重要な影響を与えていることは小野先生のお話のとおりでございます。したがって、そういう事故も起らないように、小さい事故といえども起らないようにする、そのための安全研究というものがこれからは重要になってまいるわけです。たとえば燃料の破損のような場合にも、現在燃料が破損いたしますと、それを取りかえるという手続をして、その取りかえによってこれは安全になったというそういう手続をしているわけでございますが、故障が起こった燃料を直ちに取り出しまして、いわば緊急病院のような、病人が出た場合に病人をすぐ緊急病院に収容して診断できるような、核燃料の救急病院のようなそういう施設がありますと、その事故の原因なり状況なりを的確に把握いたしまして、より安心のできる対策を講ずることができるわけでございます。そういう施設は、そういう診療病院のようなものでも、核燃料となりますと非常に取り扱いがめんどうでございますから何十億円という施設が必要でございます。しかし、幾らお金がかかりましても、そういった施設をこれから整えていって、そしてその安全性に対する信頼度の向上に努力するということがぜひ必要だろうと思うわけでございます。このように、安全体制の整備と、それから機器の安全の信頼度の向上のための安全研究を積み重ねていくということによって、地域の方々も安心して原子炉を受け入れることができる、それに対して地帯整備法が、補助的な役割りと思いますけれども、地帯の発展のために貢献する、そういうことになれば非常によろしいじゃないか、そういうふうに考えている次第でございます。
簡単でございますが、私の意見陳述を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/24
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025・濱野清吾
○濱野委員長 次に、久米参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/25
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026・久米三四郎
○久米参考人 私は大阪大学の久米でございますが、私はもう二十年近く放射能の基礎的な研究と教育に従事してきております一介の教員にすぎませんが、ここ五、六年前から、現在非常に反対運動が激化しております各地の原発周辺住民の皆さん方といろいろひざを突き合わせて話をしてまいりました。きょうは非常にりっぱな先生方にまじって私をこの委員会がお呼びいただいたのも、おそらくそういう立場からだろうと思いますので、私がいままでかかわってきました経験の中から幾らかのことをお話しして、皆さんの審議の参考にしていただきたいというふうに思います。
それで、現在のわが国の原発開発問題というのは全く行き詰まっておるということは、これは明らかな事実であります。その原因が周辺住民の非常に強力な反対にあるということも事実であります。ただ、それがどうしてそういう反対が起こるのかという点で、私たち住民の側から見ておりますと、大体上のほうから打ち出されてくる対策というのは、安全性については大きな問題はない、少々小さなことは、それはどんな工業でも起こるかもしれないけれども、大きな安全性についての問題はないのである、ただ宣伝がいままでは非常にまずかった、だからそれにもっと力を入れてやるべきである、それからきょう審査の対象になっておりますような、貧乏なところが多いので財政的な優遇策が不足しておった、そういうことから、先ほど有澤先生も、何か感情的な反対をしておるようなふうにおっしゃいましたが、そういった対策をもしもおとりになるとすると非常にこれは大きな誤りでありまして、たぶん当てごとははずれてくると思います。それはどうしてかといいますと、住民の反対というのは、先ほどからるる委員の皆さんも言っておられるように、決して感情的なそういうものではございませんで、原発の安全性、あるいは危険性といったほうがいいと思いますが、そういう原発の危険性が解決されていない、そういうことを多くの具体的な事実を通じて住民の人たちは学びとっているわけです。それを核アレルギーであるとか、原発と原爆を混同して反対しておるとか、そういうふうにもしも国会の皆さんもとられておられるとたいへんな間違いになると思います。それで、現につい先月も、原子力委員会の中で安全性について私たちから見て最も信頼できる方が、現在の原子力発電の安全審査に関しては責任が持てない、そういうことでおやめになっておるわけでございまして、それをどうして住民がそういう状況のもとで安全性を信じることができるのでしょうか。その辺を本末転倒されずにぜひ考えていただきたいと思います。
それで、以下、時間が許します限り、いろいろ住民の皆さんの中で話し合われていることをこういう機会にお話ししたいと思いますが、時間の制限がございますので、時間のあります限り、どうして周辺地域の住民の方がそういう反対の決意を固めていかれたか、どういう具体的な事実なり問答なりを通じてそういう過程を歩かれておるかということを私からかわって報告したいと思います。
まず第一点は、原子炉の工学的安全性ということでございまして、先ほどから内田先生、小野先生のほうから言われておる問題でございますが、それについて二つほど具体的に問題提起をしたいと思います。
まず第一は、一九七〇年に、これは皆さんもよく御存じだと思いますが、アメリカから非常にショッキングなニュースが伝わってきました。これは先ほど内田先生が言われました万一の事故のときに現在の原子炉を保障しておる緊急炉心冷却装置というのがあります。これは非常に単純な装置でございまして、水がくんであって、下がからだきをしたときに数十秒以内にその水を炉内に注入するという最もシンプルな装置であります。こんなものは当然働くというふうに予想されておったところが、これは小さな形での模擬実験ではございましたが、それが予想したように働かないということがわかって、世界じゅうに非常に大きな波紋を投げかけたことは皆さんも記憶に新しいと思います。
それから四年ほどたっておるのでございますが、事態は一向に解決していないわけであります。それで、米国内を中心にいたしまして非常に激しい賛否の両論が沸騰いたしたわけでございます。公聴会も二年近くにわたって延々と続けられたわけでございますが、ついに昨年の十二月、アメリカの原子力委員会は討論を強引に打ち切ってしまいました。それで、原子力委員会のほうから用意した暫定指針、これで内田先生その他も現在審査をやっておられるわけでございますが、そういう暫定指針というのを最終案としてアメリカでは制定されたわけでございます。
しかし、一向に問題は解決していないのでございます。それで、詳しい内容は省略いたしますが、先日福島の公聴会の回答と称して原子力委員会から非常に分厚い文書が出ました。それをぜひごらんになっていただきたいのですが、それには炉心冷却装置のことについての見解が二つございまして、第一点は、あれは模型であったから働かないのであって、本物ではどうかわからないというこれが一つの根拠であります。第二は、たとえそれが働かなくとも、また第二、第三と安全装置があるからそれでだいじょうぶということであります。これを住民の側から見るとどういうことになるかというと、住民が要求しているのはそういうことじゃなしに、必要であるからつけた安全装置でありますから、それが実際の原子炉で確実に働くということをこの目の前で見せてほしい、こういう最も単純で本質的な問題提起であります。それには全くこたえられていないわけでありまして、そういう単なる予想で、それからコンピューターによる計算によって住民の皆さんの安全を保障しておるというようなことを幾らりっぱな先生方が現地で説明されても、おそらくそれは無理だと思います。
第二の問題は燃料棒の事故であります。先ほど蒸気細管については小野先生のほうから問題提起がございましたので、私は同じく美浜で起こっております燃料棒の事故についてこれも具体的に指摘したいと思います。これは一号の横にございます美浜の二号で五十万キロワットでございますが、そこで起こりまして、昨年の九月、定期検査をやっておる最中に見つかったのでありますが、全く予期しなかったことに燃料棒が曲がっておったわけです。燃料棒というのは、詳細は省略いたしますが、太さが一センチぐらいで長さが四メートルの非常に細長いひょろひょろしたものでございます。それが非常に激しい熱運動と、それから水流の運動をいたしております炉の心臓部にあるわけでございまして、これは非常な過酷な条件に置かれておる。現在の水炉の最も技術的な弱点はむしろここにあるというふうにされておる問題でございますが、その燃料棒が曲がっておるということが見つかった。それで、それが全く予期されなかったことでありますから、そういう原因と、それから安全性の再評価、そういうことが起こらないということで現在の安全審査をされているわけでございますから、そういう安全審査のやり直しをやるべきである。これは私たちを中心にいたしまして問題提起をいたしました。ある雑誌にも載せてありますから読んでいただいたらいいと思いますが、その内容を公開で発表する、そしてみんなでそれを討論しようではないか、そういう呼びかけをやったのでございますが、それに全くこたえられずに、ことしの一月の末になりまして、その曲がった分を取りかえただけで運転を再開されてしまったわけであります。原因についても、若干の説明はありますが、私たちがもう非常に苦労をして入手したデータからはその説明を信じることができません。
ただ、ここで皆さんにお話ししたいのは、その燃料棒の曲がりの安全性についてどういうことが起こったかと申しますと、まず福井県に技術顧問というのが置かれておりまして、これは県民の生命と安全を守るというための技術顧問でございます。これは京大のある教授でございますが、その方が発表された見解では、これは関西電力の炉でございますから、関西電力の見解をほとんど一〇〇%受け入れられまして、最悪の場合を想定しても、すなわち曲がってお互いがくっつくというそういう最悪の場合を想定いたしましても運転上支障を生ずるとは考えられない、その根拠はアメリカのコロンビア大学というところでりっぱな実験がある、こういうことでございます。私たちがそのコロンビア大学の実験を発表してくれというと、これは企業秘密であって発表できない、そういうことでこれは押し切られたわけでございます。
この三月、参議院で、これは議事録がございますからぜひ見ていただきたいのですが、辻社会党議員の追及によって通産省はどういうことを言っておられるかというと、ここにおられる内田先生を長とする原子力発電技術顧問会というのがございます。ここは原発が動き出したら安全性についてはもっぱらその評価をされるところでございますが、そこが前後三回の会議を開かれたにかかわらず、次のような見解を打ち出されたとのことです。関西電力からの資料は技術的検討にたえないし、コロンビア大学の実験内容は、ウエスチングハウス社、これは美浜の原子炉、加圧水型の輸出元でございますが、その本国でございますがアメリカのウエスチングハウス社が出しているから、企業、メーカーサイドのものであって、そういうデータには自信が持てないとして、最後まで曲がっても安全であるという見解を打ち出されなかったということであります。こういうことで、この二つの機関というのは、ともにこれは所属は違いますけれども、住民に対して責任を持つ、まさに設置者側を代表される方々の意見——そう言うと語弊があるからあえて中立と申しておきましょう。審査の立場にある方と申しておきましょう。そういう方々の意見がこれだけ食い違っておるわけです。私たちは、そういうことがあるであろうから、それを公開審査すべきであるということを再開前に問題提起しているにかかわらず、それには一切こたえようとされないのであります。こういうことで、どうして住民が安全の保障をされるでしょうか。この問題が起こってからぜひ皆さんは関西のこの加圧水型がいく各地を訪れてほしいが、非常な不信が高まっておりまして、絶対あのタイプの炉は自分のところに置かないという決意が非常に固いのであります。
その次は、工学的安全性についてもまだ幾つがございますが、許容量の問題でございます。これについても、時間がございませんので、先ほど内田先生は、放射線の許容量は自然を基準にしておるのでほかのものに比べものにならないと言っておられますが、これは詳細は省略いたしますが、私から見ればそういう事実はないと思います。自然の放射線であってもいかに人体に影響を与えるかということについての警告はしばしば発せられておるのでありまして、それを基準にしておるから安全であるというのは、これは最近特に日本の原子力委員会が何か打ち出されてきておる見解でありまして、私たちはこういうのは全く許せないと思います。そのことについては、もう詳しい報告がアメリカの、これは賛成派でも反対派でもありません、最も権威のある医学者とそれから遺伝学者、生物学者が寄ったBEIRの報告書というのがおととしの秋に出版されております。残念ながら翻訳になっておりませんが、ぜひごらんになっていただきたいのですが、そこではアメリカの国民に対しては一年間に数ミリレム——いいですか、数ミリレムです。先ほど内田先生は五ミリレムで非常に安全だと言われましたが、国民全般についてはそれは数ミリレムに押えるべきである。現在アメリカはその値は百七十ミリレムでございますが、それを百分の一に切り下げるということでありまして、タンブリン氏が四年前に問題提起をいたしましたその結論を追認するということが起こっております。これもぜひ研究していただきたい。
ここでは述べたい許容量の問題は、それよりもっとショッキングな報告でございまして、ことしの二月、またこれはタンブリン博士によって問題提起がされました。これは新聞にもほとんど扱われておりませんが、そのうちに非常に大きな問題になると思いますが、これはプルトニウムでございます。このプルトニウムは原爆の材料として長崎型の原爆に使われた、今度のインドのもこのプルトニウムでございますが、もちろん軍事利用についても非常に問題はございますが、その毒性につきましては、この地上で人類が経験しておる中では猛毒の一つになっておるといわれておるものでございます。それを扱い込んで肺にくっつきますと、非常に高い確率で肺ガンが発生するということはいままでもしばしば指摘されておったわけでございますが、それの許容量については非常に不確かな面がございました。その点をこの十数年間、犬に対する非常にじみな肺ガンの発生の実験をいたしまして、これはタンブリンがやったわけではございませんが、タンブリンはその実験を引用いたしまして、現在許容量と信じられている量の十一万分の一に下げるべきであるという非常に爆弾的な提案をことしの二月に出した論文で指摘しております。
それで、このことの内容についてはさっそくアメリカあたりでいま討論が始まっております。わが国でもたぶん始まると思いますが、もしもこの前提が正しいといたしますと、プルトニウムの利用というのは、先ほど有澤先生も何か将来はプルトニウムができるので燃料問題は解決するかのようにおっしゃいましたが、このプルトニウムを利用しなければ原子力の平和利用を進めていけないというのが最大のガンでございまして、そのプルトニウムがかくも危険なものであるということが認識されたといたしますと、原子力の平和利用そのものを再検討しなければならないのではないか、私はそういうふうに思います。
ちなみに、現在はどうなっておるかといいますと、原子力発電所の事故に際してはアメリカがそういう規則をとっておるからと、これはタンブリンがはっきり書いてございますが、日本の審査においても、プルトニウムがどれだけ住民のところへ来るかという審査はやらなくてもいいということになっておるのであります。ただ、再処理工場については、火災の事故の際に周辺に飛び散る可能性が非常にあるので、これは日本の安全審査もやっておられまして、これはずいぶん前に許可されたものでありますので、私も最近それをもう一ぺんひもときますと、火災によってプルトニウムの微粒子が飛び出してくる。その量は、このタンブリンが打ち出した許容量でいきますと、何と数兆人分に相当するのであります。
それからもう一つは、アメリカでついこの間新聞に出ておりましたように、将来の夢の原子炉といわれておりまして、非常に危険性が大きいので各国とも手をこまねいておりますが、高速増殖炉という炉がございます。これができなければ原子力の平和利用というものは行き詰まるというふうにまでいわれておる炉でございますが、それについて原子力委員会は安全であるという膨大なレポートを出したのでありますが、アメリカの環境庁が、特にプルトニウムの評価について非常に甘いというので、それに対して反対意見を出しておるというのが新聞に出ておりました。現在この原本を取り寄せて私たちも検討を始めておりますので、その点はぜひ国会あたりでも討論していただきたいと思います。
それから最後は、原子力発電の安全性について皆さんがよく御存じの再処理と最終廃棄物の行くえ、これが全く未定であるという、これも安全性の一つの面として非常に前から議論になっておりますが、何ら解決されておりません。再処理については、昭和五十二年以降は日本の再処理施設では満ぱいになるということは科学的な事実であります。それに対して福島の公聴会の答弁書は何と答えておるかというと、そこが一ぱいになったならば海外に持っていくというようなことをいっておられます。しかし、この点はぜひ国会の皆さんは考えていただきたいのですが、日本で危険なものを海外が引き受けるわけはございませんで、現にアメリカでは、日本の再処理を引き受けるのではないかという非常に強い反対が原子力委員会に殺到しております。この福島の公聴会の答えにも、それを意識してかヨーロッパとわざわざ断わってございますが、アメリカがきらったものをヨーロッパが引き受けるというような理由は全くないと思います。
それから廃棄物の処分、特に高放射性の大量の再処理工場から出る最終廃棄物でございますが、これの海洋投棄、日本にとって最も期待しておった海洋投棄は、昨年の国際会議で全く禁止されてしまいました。それから陸上処分のうちで世界じゅう最も有望だと見られておりました岩塩層への埋没、岩塩というのは水けのないところでできるという常識になっておりましたので、その岩塩を取ったあとはたぶん地下水が来ないであろう、だからそこへ最終的な廃棄物を埋没すれば安全であるというので、ドイツ、アメリカ等で熱心にその対案が考えられておったのでありますが、一年有余の検討の結果やはりその岩塩層からも水が漏れるということがわかりまして、この計画が昨年度おじゃんになってしまいました。
それで、いまのところ、これはアメリカのほうでもっぱら議論されておりますが、可能な対策は二つなんです。一つはロケットで太陽に打ち込むということです。それからもう一つは、南極に永久氷がございます。これは現在の調査ではどうやら数万年は氷であったということがわかっておるので、そこにこれをいけ込む。この二つしかないといわれておるわけです。しかし、この二つとも技術的には全く未解決でございますので、もしもその二つしかないとするならば、これが開発をきれるまではそれを生み出す原子力発電を停止すべきであるというのが、現在アメリカの批判派の学者が一斉に主張している点でございまして、この点もぜひ参考にしていただきたいと思います。
最後に、住民の方の御意見といたしまして一つの文書を紹介いたしまして、終わりたいと思いすす。
兵庫県の鳥取との境に浜坂というところがございまして、ここに関西電力がやはり火力発電を持ってこようとして住民が非常に強く反対しておるところでございますが、そこの町民協議会というのがございまして、そこが「生存をおびやかす原子力発電所」というパンフレットを出しておられます。これは内容が非常に高度でございまして、いかに住民が感情的でなしに理知的に反対しておるかということを勉強していただく非常にいい参考書になると思いますが、そこに次のような文章がございます。「原子力発電所がかれらのいうようにそんなに安全なものなら、大都会の近くに建設できるはずです。その方が電力会社にとってはトクでしょう。過疎地の自治体の弱みにつけこんで、多額の「地域協力費」や発電施設周辺地域整備法案による「福祉型原発」などをエサに、原子力発電所を強引に押し付けようとしているのは、それが安全でない証拠です。原子力発電所によって浜坂町が発展することは決してありません。」以下省略いたします。
これが私が回りました各地の住民に共通した意見であるということを最後に申し添えて、私の陳述を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/26
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027・濱野清吾
○濱野委員長 次に、広原参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/27
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028・広原盛明
○広原参考人 御紹介いただきました京都府立大学の広原でございます。
私は、これまで京都大学及び京都府立大学におきまして地域のマスタープラン策定にかかわる研究、いわゆる地域開発計画に関する研究を約十年ばかりやってまいりました。地域開発計画に関する研究は、大きく分けまして生産機能を中心とするたとえば工業立地計画でありますとか交通計画でありますとか、そういったものと、それから生活機能を扱う居住環境計画やあるいは公園緑地計画といったものがございますけれども、私は主として後者の居住環境計画の研究をやってまいりました。平たいことばで申しますと、住民にとって非常に暮らしやすい、住みよい環境というものをどういうふうにしてつくっていくのかということに関する研究であります。
私はまた、ここ十年近くにわたりまして、主として関西、近畿地方でありますけれども、そこで起こりましたさまざまな火力発電所や原子力発電所の建設に反対する住民運動に、他の専門分野の研究者たちとともに積極的に参加してまいりました。たとえば日本三景の一つであります京都の天の橋立の近くに建設が予定されておりました関西電力の新宮津火力発電所の反対運動でありますとか、また、先ほど久米先生のおことばに出てまいりましたけれども、山陰海岸の国定公園のまっただ中にあります、マツバガニの産地で非常に有名な香住町の原子力発電所あるいはその両側にあります佐津、浜坂の火力発電所の反対運動、また三重県の尾鷲市、和歌山県の海南市、大阪府の岬町、兵庫県の赤穂市といったところでの火力発電所の増設反対運動にも取り組んでまいりました。私はこのような自分の専門分野の研究を通しまして、また、発電所のさまざまな公害に反対する住民運動への参加を通しまして得ました知見を、今国会に上程されました発電用施設周辺地域整備法案に関する参考意見としてここに申し述べたいと思います。
一般的に申しまして、私たちがある地域の地域開発計画、いわゆるマスタープランをつくりますときの第一原則は、その地域の産業を発展させて地域住民の就労条件を拡大して、そのことによって住民の生活の安定をはかり、生活を向上させるということであります。つまり、ある産業を振興する、あるいは導入する、そのことがこれまでその地域にありました地場産業でありますとか関連産業に対して非常に大きな刺激を与える、そしてそのことを通して住民がいろいろな職業につけることになって所得が向上する。このことが最も大きな眼目であったわけであります。ところが、この点に関しまして発電用施設の場合を考えてみますと、この法案の参考資料みずからが述べておりますように、従来の発電所立地による雇用機会というのは少なかった、また地元の振興に対する寄与が他産業に比べて非常に少なかったということを認めておりますけれども、最近の発電所自身はほとんどオートメ化されておりますから、地元の住民がその発電所に就職する機会というのはほとんどといっていいほどないわけであります。たとえば三重県の尾鷲市の場合を例にとりますと、市長が、発電所が来れば地元の人もふえるし職場もふえるんだということを一時非常に声を大にして宣伝をした時期がありましたけれども、実際建ってみますと、その発電所に雇われたのは、たとえば門番でありますとか守衛さん、それから雑草取り、あるいは発電所内の掃除、いわゆる雑役関係についた人たちがわずか二十人前後にすぎなかったということであります。もちろんこれでは地場産業、関連産業に対する波及効果というのはあるはずもありませんし、そういう意味で、地元住民にとって発電所といいますのは地域開発にほんとうに役立つ施設という点では全くの期待はずれであったわけであります。
次に、地域開発計画を立てますときの第二の原則といたしまして、新しい産業あるいは施設の導入というものがその地域の自然環境を絶対に破壊するものであってはいけないということであります。この自然破壊の保全といいますことは、・単に人命、人間の生存条件を確保するという観点だけではなくて、これまで自然と結合して発展してまいりましたさまざまな産業、たとえば農業、林業、漁業、そういったものを確保していくという点できわめて重大な意義を持つものと私は考えます。たとえば大量の冷却水を必要とする火力発電所やあるいは原子力発電所は、特に周辺を海で囲まれておりますわが国におきましては、例外なく海岸線に立地してまいりました。このことは、沿岸漁業でありますとか、あるいはその周辺の農業、林業に対して多大の影響を与えずにおかないわけであります。事実、現在全国各地で起こっておりますさまざまな発電所の反対運動の中で漁民が最も強力な運動を展開しているということは周知の事実であると思います。たとえば私がタッチしてまいりました京都の新宮津火力発電所の建設反対運動のときのことですけれども、設置者であります関西電力は、漁民に向かって次のように申しました。
温排水によって確かに海の温度は若干上がるかもしれない、しかし決してそれで魚が死ぬようなことはないから安心してほしい、かえってあたたかい水があればそれを好む魚が寄ってくるんだ、こういったことを言ったわけであります。これを聞いた漁民はたいへんおこりました。たとえばタイをつっております一本釣りの漁民は、タイをつるには非常に生きのいいエビが要るわけであります。それでエビでタイをつるということばができたそうでありますけれども、このエビは毎朝とらないと死んでしまうような非常に水温の変化に敏感なエビでありまして、漁師さんたちは毎朝そのエビをとりに出かけていく、そしてそのとったエビでその日のタイをつるわけであります。ですから、少しでも潮流が変わるともうそのエビはそこにいない。ですから、この温排水によりまして多少なりとも温度が変化しますと、いままでの漁場の経験というのは全く通用しなくなってしまうということを非常に強く言われました。また、ブリ網を張っている漁民がおります。このブリ網はブリがずっと回ってくるところに網を張って待ち状せするわけでありますけれども、この温排水が出ますとプランクトンの生態ががらりと変わってしまう。プランクトンの生態が変わりますと、それを食べておりました小さな魚がそのえさを食べに来れなくなる。したがって、その小さな魚をえさにしておりました中ぐらいの魚が来なくなって、そして最終的にはその中ぐらいの魚を食べておりましたブリがやってこなくなる。言ってみれば、いままでのブリ網が全部だめになってしまう、そういったことを漁師の人たちは長年の経験で知っているわけであります。これは水産学の先生方に聞きますと食物連鎖というそうでありまして、結局食う、食われるの関係を通して自然が非常に密接につながっておる。そのメカニズムというものを明らかにしないで破壊するようなインパクトを加えると、それが究極的には自然と結合した産業、すなわち漁業でありますとか農業、林業といったものを破壊してしまうんだということになるわけであります。
これが、先ほどからさまざまな先生方の御意見にも出ておりますように、原子力発電所の場合になりますと、放射能汚染というファクターが入ってまいりますので事態は一そう深刻化するというふうに思われます。食物連鎖の最終的に行き着く先は人間でありまして、その人間がたとえば水銀中毒によります水俣病の場合にどういう悲惨な結果になったかということはあまりにも明らかでありますけれども、そこに至るまでの段階において、すでに原発銀座といわれております福井県の原子力発電所が集中しております沿岸では、さまざまな問題が発生してきております。
〔委員長退席、稻村(佐)委員長代理着席〕
たとえば一昨年に引き続きまして昨年の夏にも原発からの放射能漏れの事件がございました。いま福井県では、相次ぐ発電所の立地によりましてほとんど沿岸漁業らしい漁業は姿を消しつつありますけれども、そのことによって沿岸住民は、いまや夏の水泳客を当てにした民宿に依拠せざるを得ない、そういうところに追い込まれてきているわけであります。ところが、この放射能漏れの事件が報道されますと、その時期には水泳客が一時減りました。これは、私ども思うわけでありますが、だれもが放射能の漏れているような海では泳ぎたくない。太平洋沿岸がことごとく石油コンビナートから出る工場廃液によってよごされているから、きれいな日本海へ泳ぎに行きたい。その最後に残った日本海がいま原発でよごされようとしている。これは単に現地の人だけではなくて、やはり私たち大都市に住む住民にとっても非常に心配なことだといわねばならないと思います。
以上のような事例をたどってみますと、発電所がほんとうに地域の産業や関連産業を発展させるどころか、自然の破壊を通して、いままでその自然と結合してきた産業の基盤を切りくずしてきている、崩壊に導いてきたといっても過言ではないと思います。
去る四月二十五日に、日本学術会議が日本列島を開発による荒廃から守るために国土環境宣言の素案を発表いたしました。この第一の原則といたしまして、国土環境は国民全体のものである、豊かな国民生活は、自然の資源、文化遺産の誤りない継承の上に保障されるもので、これを脅かすような国土生活環境の変化をもたらすような開発は許されないといったことを中間報告しておりますが、これをほんとうに銘記しなければならないと考えております。
地域開発に出てきます第三の原則といたしましては、地域住民の生活に必要な種々の生活関連施設を充実させるということがあります。かつて私が知っている例だけで申しましても、たとえば兵庫県の浜坂や佐津では、発電所誘致派の議員さんたちが、発電所が来ればばく大な固定資産税が入る、そうしてそのお金で学校も病院もそれから公園も、公民館も建てられるというふうに盛んに申しておったことを記憶しております。しかしながら、私の友人の財政学者にこの収支決算をやっていただいわけでありますが、なるほど固定資産税は確かにふえることはふえますけれども、その分だけ交付金が減らされてくる。それに発電所施設の減価償却期間がべらぼうに早いということで税金をかけられる期間がそれほど長期間にわたらない。そのくせ公害対策費がウナギ登りにふえるだろうといったような見通しが出たわけであります。事実発電所を誘致したところの財政収支というものを調べてみますと、生活のための諸施設が発電所誘致によって完備されたということは見たことがないわけであります。そのことは、今回のこの法案がわざわざ周辺施設の整備をうたい文句として出されたこと自体が、やはりいままでの生活環境施設がよくなるということがほんとうにから文句であったということを物語っていると考えております。
最後に、地域開発の第四の原則といたしまして、地域づくりの主体というものは地域住民であり、計画の策定といいますのはあくまでも地域住民の合意に基づく、そういう民主主義の原則に基づくべきものであるということであります。これまでも、また現在もそうでありますが、発電所の建設につきましては、地元住民はもとより、地方自治体の長であります知事や市町村長にも許可権限はない。国が住民や地方自治体の頭を飛び越えてどんどん事を進めていくといったような形でこの建設を進めてまいりました。このような非常に中央集権的で非民主的なやり方が地域住民の非常に激しい反発を買って、事態の発展的な解決を一そう困難なものにしたということはいなめない事実であると思います。先ほどの日本学術会議の素案の第二の原則といたしまして、「生活環境は、地域住民の共有財産であり、環境変化を必ず伴う開発には、住民の合意が必要」であることがうたわれております。事実日本一きびしい公害防止条例を持つといわれております京都府におきましては、公害と戦う住民運動への援助規定をその中に盛り込んでおりますし、また、新宮津火力発電所の建設問題に対しましては、住民の合意を得ない段階ではその発電所というものに対して推進することができないという態度を一貫してとりました。直接的に許認可権はないわけでありますけれども、たとえば海岸の砂防林の指定を解除する権限でありますとか、あるいは埋め立てに関する権限といったそういった関連するさまざまな小さな権限を駆使いたしまして、そして最終的にはついに関西電力を計画断念にまでも追い込んだ、そして現在ではほんとうにこの地域住民の衆望をになった、育てる漁業の中心的なセンターとしての海洋センターが着工されようとしているわけであります。
以上、私が地域開発計画の基本原則として述べてまいりました四つの項目に照らして、今回の法案は次のようなきわめて重大な問題点を持っておることを指摘したいと思います。
第一は、この法案の基本的性格に関するものでありますが、周辺地域の整備法という名が示しますように、現在地域住民の最も大きい関心の的である原子力発電所の安全性の問題や、あるいはすでに環境破壊を引き起こしております火力発電所の公害対策の問題に何ら触れられていないことであります。そしてその周辺地域の整備についてのみ語られております。周辺地域の整備は、この中心施設である発電所の安全対策、公害対策と一体となったときに初めてその周辺地域の整備が生きるわけでありまして、この部分を抜きました周辺地域の整備といいますのは、ある意味では黄身のない卵である。もう少し関西流のえげつないことばで言いますと、毒薬を甘いオブラートで包んだものではないかといったような感じさえするわけであります。
第二は、法案の目的に関するものでありますが、地域住民の福祉にとって必要不可欠な公共施設の整備というものは、発電用施設をこれからつくるということだけに限定されていいものかどうか〉いうことであります。すでに憲法第二十五条で相定されておりますように、国民はひとしく健康で文化的な生活を営む権利を持っておりあす。そして国や地方自治体はその権利を保障する義務を課せられております。そういう意味で、本来この地域住民福祉に役立つ公共施設といいますものは、政府が地方自治体に抜本的な財政援助をいたしまして、そして地域住民の生活に直接の責任を持つ地方自治体が地域住民のニードにこたえて行なっていくというのが本来の筋であります。ところが今回の法案では、それがこれから新しくつくろうとする地域だけに限定されておりますし、また、すでに発電所がつくられたところに対しては一切触れていない。そういう意味で、この周辺地域の整備といいますのは、いわゆる地域格差を是正するどころか、ますますその格差というものを拡大するおそれがあるというふうに考えます。
第三は、計画の決定のしかた、整備計画の策定の問題でありますけれども、整備計画の地点指定でありますとか決定権は、主務大臣がこれを承知するというふうになっております。そして都道府県知事は与えられたワク内でこの整備計画の立案をするにすぎない。まして地域住民の合意に関しましては、全く制度的な保障がありません。地域開発にとりましてある地域をどのような用途に使うのかということは、その地域開発のかなめであります。このかなめが国の大臣によって決定されるということは、地方自治あるいは住民自治の原則というものに対する非常か軽視であり、無視であるというふうに思います。また、計画の内容につきましても、公共施設整備計画は発電所の施設計画にあわせて行なうという条項がありますように、この相対的な独自性を持って住民福祉のための施設が建設できるのかという点でも疑問が残ります。
以上三点にわたって基本的な問題点を申し上げましたが、これで私の参考意見にいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/28
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029・稻村佐近四郎
○稻村(佐)委員長代理 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
この際、三十分間休憩いたします。
午後一時十五分休憩
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午後一時五十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/29
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030・濱野清吾
○濱野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
こりより参考人に対する質疑を行ないます。
質疑の申し出がございますので、順次これを許します。板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/30
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031・板川正吾
○板川委員 各参考人にお伺いをいたします。
まず内田参考人にお伺いをいたします。内田参考人は、御承知のように原子力委員会のメンバーでありまして、そして原子炉安全専門審査会長という役職にあると思います。
〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕
したがって、原子炉の安全に対しては非常に重要な位置にあるわけでありまして、先生が安全性というものについてどういうお考えを持っているかという点を実は伺いたいのであります。
「原子力工業」という雑誌の第十九巻第九号に先生の論文が載っておられますが、その論文をちょっと読んでみますと、「原子炉事故に対する安全」というところで、「あるものが安全である、あるいは危険であるということは、どういうことであるか。原子炉施設のような一般に施設を設置し、利用する場合、事故に対して安全にするということは、あらゆる事故に対しても絶対に安全であるように計画・設置することではないし、またそうすることが必ずしも有意義であるとは考えられない。施設を設置し、利用するということは、それ自身大きな利益、恩恵が得られることを期待することであるが、同時に人間環境、社会などへゼロでない何らかの影響、害を与えることはある程度容認されるということである。
それでは容認できるレベルは何であるかということは、すなわち害と恩恵との比較の上できめられるべきであり、その上に施設がどの位安全であるか、安全の信頼性はどの位かという問題が提起されなければならない。」こういう意味の文章が論文の一節にありますが、ここだけで私ども見ますと、原子力の安全に対する考え方は、社会に対するプラスの面とまたマイナスの面とを考慮して、そしてプラスの面が多ければある程度しかたがないじゃないか、こういうふうに読まれないとも限らないと思います。許容するかいなかということがこういう利害関係に基本を置かれるということは、結局いまの社会では、企業の利益を代表する政党が政権をとっている、こういうことになり、利害得失ということになりますと、どうしても得をする利益のほうだけが過大に評価をされ、損をする害を受けるほうが過小に評価されるきらいがあると思います。たとえば従来公害の問題に対しましても、当委員会でも十何年来公害問題を論議いたしてまいりました。こういう場合に、やはり許容限度をこえなければある程度しかたがない、こういう論理で実はこの公害の問題が放置されてきて、今日の環境破壊をもたらしたわけでありまして、こういう理念で価値判断されるということは、結果的に企業に有利ということになる、したがって安全性が確保しがたい、実はこういう心配を持つわけであります。この点に関しまして先生の御意見を承りたいと思います。
それから、質問の時間が三十分見当ということですから、あわせて各参考人にそのほかのことも一緒に伺っておきますが、一つは、ECCSの安全性についてであります。これは内田さん、久米さん、小野さん三人にお伺いをいたしますが、先ほども参考人の御意見がありましたように、アメリカで模擬実験をしたところが、実は作動しなかった。そして冷却材が燃料棒を冷却せずに、炉心を素通りして外へ流出してしまった。全く予想もしない結果であった。しかも、この事実が一年以上AEC内で秘密にされておったというお話も聞いておるのでありますが、その後この緊急冷却装置が改良されたという話を聞いておるわけであります。改良されたそのものがはたして安全なのか、そうでないのか、もし安全なのならどういう改造をされたために安全なのか、その点を各先生に御意見を承りたいと思います。
それから、全く私どもしろうとなのでありますが、二、三の文献を読んでみますと、原子力発電の場合に廃棄物の処理というのが一番人体に危険をもたらすおそれがあるということがいわれておるわけであります。この廃棄物処理について、きのうも通産大臣、科学技術庁長官に伺いましたところが、心配は全くないんだ、政府は厳密な計画を立てて監督していくから心配ない、こう言われております。そして五十三年以降はどうするんだと言ったらば、海洋投棄を考えておると言われておるわけでありますが、先ほどもお話がありましたように、海洋投棄については、一昨年の八月ストックホルムで開かれました第一回国連人間環境会議で、海洋投棄を禁止するという条約ができ、わが国も昨年の六月これに署名した。この海洋投棄禁止の条項はハイレベルの廃棄物だけでありまして、低レベルのものはかまわないということなのかどうか、実はこの点についても伺いたいと思います。昭和五十三年になりますと四十万本というドラムかんに低レベルの廃棄物が蓄積をされる。それを何か日本海あたりに埋めるというようなこともいわれておるのでありまして、この点で御意見を承りたいと思うのです。
それから、最近「福島第二原子力発電所原子炉の設置に係る公聴会陳述意見に対する検討結果説明書」というのを見ますと、この廃棄物処理、使用済み燃料の処理についてこう書いてあります。「国内再処理施設の処理能力が過渡的には不足することもあるので、国内の処理能力を超えるものについては、ヨーロッパ等海外の再処理施設において再処理することとしている。」とこの中でいわれております。これは内田先生がまとめられた意見書だと思いますが、これに対して先ほど参考人から、ヨーロッパでも引き受けるはずはないだろう、あるいはアメリカではそういう問題について非常に危惧を抱いている、こういうような意見の開陳がありましたから、久米先生、小野先生、内田先生から、これに対しても心配ないというのかどうかという点について御議論をいただきたいと思います。とりあえずその点について各参考人からの御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/31
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032・内田秀雄
○内田参考人 お答え申し上げたいと思いますが、最初の御質問はいわゆるコスト・アンド・ベネフィットのアナリシスの問題だと思いますが、たとえば、平常時における放射線のレベルを五ミリレム・パー・年を一つの目標にするということは、この五ミリレム・パー・年という放射線の影響が人体に対して全く影響がないというものではないことはよく存じております。ただ五ミリレム・パー・年に制限することで、十分その施設から得られます利益に対してバランスがとり得る範囲であるということをICRPが認め、またわが国でもそれを認める方向にある、そういうことだろうと思います。したがいまして、事故の問題もそうでございまして、一般に施設から得られます利益と、それから加えられます損失といっておりますが、そういうものとのかね合いをどのように評価するかということは、その手法については私意見を直接持っておるわけではございませんで、国民的な共通のコンセンサスを得る努力をむしろ国会の先生方にお願いしたいと思うわけでございます。
次は、ECCSの問題でありますけれども、一九七〇年にECCSに関する小規模な実験がアメリカのアイダホで行なわれましたことから端を発したわけでありますけれども、このECCSに関係する実験研究が決してそのとき初めて行なわれたわけではございませんで、わが国におきましても、たしか昭和三十七、八年ごろから公の立場で研究をしておりまして、その実験結果などが各国、アメリカにおいてすらすでに採用されているような結果を得ているわけでございます。ただし、一九七〇年にアイダホの実験を契機といたしまして、さらに詳細な検討を必要とするということで、ECCS等に関する研究実験並びにその解析評価の手法が非常に詳細をきわめております。
ECCSと一口に申しますけれども、たとえば加圧水型の炉に対しますと、蓄圧注入系、高圧注水系、低圧注水系がそれぞれ二系統ずつございまして、安全施設は一般に二重性を持つということは午前中も申し上げましたが、そのうちの一系統だけ働けば十分に目的を達せられるわけでございますが、さらにECCSに対しましては、蓄圧注入系の性能が十分発揮できないという過程を経ましてすら、事故の解析の結果が安全を確保することができるという評価を現在得ておるわけでございます。その解析の手法はそれぞれパート、パートに分かれました実験と理論との組み合わせから集合されたシステムとしての検討でございまして、現在ECCSの評価、安全の確保の信頼性は決して少ないものとは思っておりませんで、十分安全が確保できる設計ができると思っております。
次に、廃棄物処分の問題でございますが、これは私、直接担当といいますか、責任を持ったお答えをする知識を持っておりませんが、いま御質問のあります低レベルの廃棄物を海中にいわゆる投棄することの可否ということでありますけれども、私のただ耳学問からいたしますと、低レベルのものは、数千メートルの海中にドラムかんに詰めて投入いたしたとしましても、そのドラムかんの破損があり得ないようなものに設計し、しかも海中に投入した以降破損したと考えましても、フードチェーン等について人間に影響がないことはもちろんでありますし、また、投入後もそのことを十分管理するということを聞いておりますが、詳細は私、責任を持った御説明はできません。
次に、福島第二発電所の公聴会の記録でございますが、これは原子力委員会と科学技術庁でつくりました報告書でございまして、私がその全部を直接責任を持ってつくっているということではございません。もちろん相談には一部乗っております。特に御質問のありました廃棄物とそれから再処理の問題につきましては、私全く関係のないことでございますので、何ら御説明することができませんので、あしからず御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/32
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033・小野周
○小野参考人 ただいまの御質問の中で、ECCSの問題について御質問になりましたけれども、私、実はECCS問題についてはそれほど深く検討したわけではございませんけれども、やはり現在でも問題になっているようでありまして、これは詳しいことはわかりませんけれども、一九七三年のニュークレオニクス・ウイークにやはりバイパスをしたということが簡単に出ておりまして、私はやはりこれについていろいろな研究をされておりますけれども、フルスケールの実験を日本でやってみない限りはほんとうは何とも言えないんではないかと思いますが、それ以上のことはちょっと私の知識では何とも申せません。
ただ問題は、二重、三重ということがよく問題になりますけれども、安全装置というのは二重にしておけば安全であるかというと、非常にレアイベントな場合には、むしろ二重というものは必ずしも独立性を確保しているとは限らないので、そういう意味で、二重、三重になっているから必ずしも安全だということにはならないということがあります。
それからもう一つは、むしろ私は論理的な回路でつくられたものということについては必ずしも十分な信頼性が現在置けないというふうな問題がもう一つありますので、この点においても問題にすべきことが非常に多いので、これにたよるということについては私は問題だと思います。
それから先ほどの廃棄物の問題についての御質問につきまして、私も実は廃棄物の海洋投棄でどういうことが問題になるかということはちょっとわかりませんけれども、ただ全体として、現在のところ、原子力については燃料から原子炉、それから廃棄物というふうな全体のシステムというものがちゃんとできていないということを私は考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/33
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034・久米三四郎
○久米参考人 御質問の第一の、ECCSの改良でございますが、先ほどの内田先生のお答えにもはっきりありますように、ECCSの改良型ができたというような事実はございませんので、ただ事故が起こったときの安全解析の手法が進んだ、これは非常にむずかしい言い方でございますけれども、私たちはこれは計算の方法が改良されたのであって、ECCSという工学的な経緯が改良されたという話は、少なくとも私は一回も聞いておりませんし、いまの内田先生のお話でもそのようでありますから、間違いないと思います。
それに関連して、アメリカでも昨年の十二月に問題が解決したというようなことが日本の原子力委員会筋あたりから流されておりますが、これも確かに先ほど申しましたような形の解決でございまして、二年間にわたって公聴会で抵抗し続けてきた科学者のグループは決してあきらめておりませんで、公聴会という限りのあるところでの論争ではもはや限界に来た、新しい方法で現在の原子力発電の無謀な開発に抵抗していく、そういう決議をいたしておりますので、形態が変わっただけでありまして、事の本質が解決したわけではありません。ただ、向こうでも多数の方は内田先生と同じように十分それでやっていけるであろうと信じておられるわけでして、実験では証明されておりません。
それから廃棄物の海洋投棄の点に関しましては、廃棄物及びその他の物質の投棄による海洋汚染の防止に僕する条約という 非常に長ったらしい条約が、いま御質問されましたように昨年の六月、日本の閣議でも了承されてそれに加盟しております。これは、先ほどの御質問にありましたように、非常に濃度の濃いといいますか、専門用語では高放射性といいますが、高放射性の廃棄物については一切厳禁であります。ですから、その適用例は、再処理工場から出てくる最終廃棄物、これは一切禁止であります。それで特例といたしまして、事前の特別許可を必要として、それを得れば捨てられる。その特別許可にいろいろな条件がございまして、それに該当しておるものについては捨てることができるというその中に、ある一定程度以下の放射性のものを含んでおります。これをきめるのは、ウィーンにございますIAEA、国際原子力機関というところが一応委託を受けて、その量をどの程度まで許すかとか、あるいは捨て方の方法をどうするか、それから安全管理、モニター、そういうものをどういうふうにするかしいう詳細について各国と相談してきめてから実行する、そういうことになっております。
ただこの問題は、従来からずっと国際的な問題がございますので、そういう廃棄物投棄をするときには隣国の了解を求めるということが、低放射性の廃棄物については明示はございませんけれども、そういう意味のことが条約の至るところに書いてございますので、当然そういう措置がとられるものだろうと思います。
それから再処理に関しましては、これはもう先ほど私が申しましたとおりでございまして、しばらくは満ぱいにならぬであろうというようなことを原子力委員会のあれには書いてございますが、そうではなしに、現在の東海村、これも住民の反対運動が強くてどうなるかまだよくわかりませんが、一応予定では、間もなく試運転を開始いたしまして、来年度から運転を開始するようになっておりますが、それだけしか計画がございませんで、これだけでは五十二年にすでに満ぱいになります。それ以後はもうすべての再処理はたまる一方であります。
それから今後の問題でございますが、これはぜひ議員の皆さん方は知っておいていただきたいと思いますが、再処理工場というのはたいへんな施設でございますから、計画をいたしましてから運転に入るまで順調にいって約十年かかるというふうにいわれております。ですから、本日ただいまその計画が発表されたといたしましても、それが運転をするのは昭和五十九年という非常な先でございまして、御存じのとおり、昭和六十年に六千万キロワットになるという膨大な計画が実現化しているときにやっと二号のものが間に合ってくる、そういうことでございますので、決して一年、二年の間何かちょっと不足するといった、そういうなまやさしいものではないということを知っておいていただきたいと思います。
それから海外の余剰能力の問題でございますが、これも現在原子力産業会議が委員会をつくっていろいろ調査をいたしておりまして、政府の責任ある調査結果は出ておりません。それによりましても、決して海外の剰余も十分ではございませんで、非常に甘く見てもそれこそ昭和五十七、八年ごろからやはり不足してくる、そういう状況になっております。そこへ先ほども申しましたように海外の環境保護者の反対運動は当然高まると思いますので、そういう政治的な要素がからんできまして一そう困難がふえるだろう、私はそういうふうに予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/34
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035・板川正吾
○板川委員 廃棄物の処理問題に対してどこでやるんだというと、政府は民間でやると言っておるし、民間のほうはまだそういった計画がいまのところないようであります。そこで、これは原子力委員会の委員をやっておられる内田先生に伺いますが、この原子力発電所の安全を審査する場合に、許可するかしないかということはもちろん原子炉自体の工学的な安全性もありますが、同時に廃棄物あるいは使用済み燃料の再処理、こういったものの処理計画というものを考えずに、いいだろう、いいだろう、こういうふうに許可していくんでしょうか。われわれのほうで悪口を言うときには、トイレのないマンションみたいなものだと言っておるのですが、共同便所みたいなもので、外へ行って、外国へ行ってたれ流してこいということになるのかもしれませんけれども、そういうものの処理計画、食べるほうも捨てるほうも一つの生活の中での一貫的な装置がなければ、どんどんつくったのはいいけれども、再処理についてはまあ何とかなるだろうというのでは実際無責任ということになるわけでありまして、審査にあたってそういうことを当然念頭に入れておられると思いますが、この点に関して内田先生の御意見を承りたいと思います。
それからもう一つ、向坊先生からお話がありました外国のデータにあまりにもたより過ぎている、だから信頼性というものが高まらないんだ、日本で実証する必要がある、こう向坊先生も言われて帰ったわけでありますが、その際に、たとえば燃料棒が曲がったような場合には、原子炉の緊急病院といいますか、緊急病院的なものをつくっておいて、そうしてすぐその原因の診断をして対策を講ずる必要がある、どうも日本の場合には審査体制が不十分だ、こういう御意見が開陳されたわけでありますが、これに対しての先生の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/35
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036・内田秀雄
○内田参考人 お答え申し上げます。
一つは、先生あるいは誤解されていらっしゃるのかと思いますけれども、私は原子力委員会の委員ではございません。原子力委員会の中にあります原子炉安全専門審査会の会長はしております。
それから原子炉安全専門審査会で行なっております審査は、午前中にも申し上げましたが、設置許可の時点で検討すべき放射能に関する原子炉安全の確保についての問題でございまして、廃棄物の処理とか再処理ということは原子炉安全専門審査会の担当外でございます。
それから外国のデータ等の問題でございますけれども、現在日本で開発し、あるいは最近はフランスでも英国でも軽水炉を導入することになっているようでございますが、この軽水型原子力発電所あるいは原子炉は、本来アメリカのメーカーがばく大な資本を投下して研究開発しているものでございますので、それに基づくデータを日本が参考にし検討するのは当然のことだと思います。しかし、そのデータを十分検討しないで、十分理解しないで採用しているとは私たち思っておりませんので、要はその外国のデータを十分批判できる体制をつくることが大切ではないかと思います。ただ、日本のメーカーもアメリカのメーカーからの協力を得まして生産に入りますし、また日本は日本なりの原子炉の安全の考え方がありましてアメリカと多少違っている点もございますので、そういう日本の特殊性から必然的に出てきます安全の研究は日本が独自でやる必要があると思います。しかし、全く同じデータを得るためにアメリカと同じものを日本が実験をしなければならないとは私は思っておりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/36
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037・板川正吾
○板川委員 もう一つ、これはどなたでもけっこうですが、どうも政府に聞きますと、とにかく日本の原子力発電というのは世界一安全性が高いんだ、こう言われておるんです。それで、原子炉の安全性というものはたくさんの問題があるわけでありまして、どこか一つがよそより特別すぐれているといっても原子炉そのものが完全に安全だというわけはないと思うのでありますが、特に地震との関係についてですね。まあアメリカなんかは、カリフォルニア地域は地震の多発地帯だというので発電用原子炉を置かない。日本は全体が地震の多発地帯ですから、こういう点における安全性というのはどうお考えなんですか。どなたかこれに対してお答えできればしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/37
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038・内田秀雄
○内田参考人 では原子力発電所の耐震設計の要点を御説明申し上げたいと思います。
確かに日本が地震の多発国であることは申すまでもございませんが、原子力発電の立地の大きな技術的な要点といたしまして、よい地盤を得るということをまず考えております。できれば岩盤に設置することが望まれているわけでありますが、これも耐震設計の一つの要点でございます。
また、耐震設計をするときにどういう大きな地震があったことを仮定してそれについて設計をし建設をするかという、いわゆる設計の基本となります地震の想定でありますが、これは敷地の周辺におきます過去の地震歴あるいは地質の状態等を詳細に調査いたしまして、たとえば活断層がかりに近くにありましたならば、その活断層が将来どういつだ効果を持つか、あるいはかりにそれから地震が誘発されたとしても、いま原子炉をつくるという場所にどのような地震動を与えるかというようなことを詳細に検討して、将来もうここまで考えておけば十分であるという大きな地震動を考えて設計しているわけでございます。たとえば、日本では場所によって非常に違いますけれども、原子炉施設を置きます地盤のところで三百ガル、すなわち約〇・三gの水平加速度を与えるような大きな地震を仮定しているわけでございます。通常それをわかりやすく、普通の建築で考えております地震の三倍の強さと申しておりますけれども、それは必ずしも正確な表現ではありませんが、そのような非常にきびしい地震を仮定しまして耐震設計をしているわけでございますので、そのサイトの周辺にかりに大きな地震がありましても、原子炉の安全がそのために危険を持つということはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/38
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039・板川正吾
○板川委員 小野先生、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/39
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040・小野周
○小野参考人 地震の問題につきましては、私は地震の専門家ではございませんけれども、非常に大きな問題がありますのは、地震多発地帯というお話がありましたけれども、浜岡の発電所があります御前崎というのは現在観測強化地域になりまして、人によってはマグニチュード八以上のものが起こるのではないかというふうなことがいわれているわけであります。
それから、先ほど三倍という話が——よく三倍程度という話が出ますけれども、実はマグニチュードに直しますと、マグニチュード一違いますとあれは三十倍ぐらい違うわけでございますから、三倍大きいというのは地震のマグニチュードでいえばそれほど大きな違いにはならないということをこれは特に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/40
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041・板川正吾
○板川委員 もう一つ。これは私もうろ覚えなんですが、ある本で、地震の本を読んだときにマグニチュード六と七という関係は、マグニチュード一違うと十倍違う。この地震のエネルギーとしては三十一・六倍、こんなふつにいわれておるのです。
三倍ぐらいのものは耐震性を考えておるといま内田先生が言われたわけですが、三倍というのはどういうのか。たとえばマグニチュードは大震災の場合が七・九であります。いまの私の理解ですと、マグニチュード一が十倍で〇・一が倍になりますから、三倍というと八・二か三ぐらいになる。しかし、すでに日本の近海で八・五という確認を得て、マグニチュード八・五という地震が数回起こっておるわけでありますから、その三倍の安全度というのは科学的に一体どういうことなんですか、どうもその点がわかりませんが、教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/41
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042・内田秀雄
○内田参考人 先ほど私の御説明のところに、通称三倍といわれている、これは正確ではないと申し上げましたのをもう少し表現を正確に申し上げますと、普通の建物で建築基準法にいっております水平加速度の設計の基準がございます。それの三倍の数値を使って原子炉の構築物についてはまず静的な評価をする、これが通称三倍ということでございます。それからそれにとどまらず、たとえば三百ガルの水平加速度を与えるということは、それをもとにした動的な解折をさらにするわけでございます。その動的な解折と建築基準法の加速度の三倍をもとにした静的な解折との両方の大きいほうをもとにしまして設計することでございます。それが通称三倍ということでございます。
それから動的の解折といいますのは、単に水平加速度三百ガルということではなくて、そこにどのような地震波を入れるかということの問題でございます。その地震波を加えます種類が少なくとも三つの種類の波を加味する、そしてそれを崩落する加速度の応答を解折して動的な検討をしておるということでございまして、いま小野参考人が申されましたような意味の三倍では決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/42
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043・板川正吾
○板川委員 久米参考人、何か御意見ありませんか、あったらひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/43
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044・久米三四郎
○久米参考人 地震の問題に関しましては、私たちがいま住民の皆さんの相談役になってやっております伊方の原子力発電所、そこでいま法廷でだんだん争われておりますので、その結果がやがて出ていくだろうと思いますが、あそこも地震の巣でございまして、西南日本では三大地震の巣の一つでございます。それでこの間、南伊豆にあったようなああいう浅発地震の起こりでございまして、あれでもおわかりになりますように、浅発地震ではマグニチュードということを幾ら言ってもだめなんでございまして、その地点と地震の震源地の距離、この前の南伊豆の場合は二十キロという非常に至近距離でございますから、そういうところでは六・八でもあれだけすさまじいことになります。しかも、あれの教訓的なことは、あのくずれた山が住民の避難するところであって、これまで古老がずっとあそこは一番地盤がかたいところであるというふうにいわれておった地点がああいう惨害をもたらしておるわけでございまして、いかに地震というものはわれわれのあさはかな評価でははかりきれないものかということでございます。しかし、いまの原子力委員会の内田先生が主宰しておられるその審査会では、一方において目安というものがございまして、なるべくそういう大きな事故が起こるおそれのあるところは避けようということが出ておりまして、当然私たちが読めば地震地帯は避けなければならないということになっておるにかかわらず、耐震設計がいけるようになったからということで、そういう地震の中に据えにきておられるわけです。そういう目安というのを一体どういうふうに審査の段階で生かすべきかということについてわれわれはいま裁判で争おうとしておりますけれども、立法府でもぜひその点を一度検討していただきたいと思います。
それで、常識で言えば、アメリカの地図を広げていただいたら一ぺんにわかりますが、東海岸はまつ黒になるほど、ゴマつぶのように原子力発電所がございますが、西のほうのカリフォルニアの側にはほとんどないわけでございまして、それがおそらくいまの常識を示しているのではないか。現状のままでいきますと、私はどこかで非常に痛ましい実験結果が起こるのではないかというふうに案じております。ただ、どれだけの波が来たらだいじょうぶであるとかいうのは——耐震設計というのは、私が知り得た建築家の意見では、非常にその点ではいまのところまだ自信が持てないというようなことでございまして、地震学者それから建築の人の一致した意見は、そういう起こるおそれのあるところは避けるという以外にしょうがない、しかし日本ではそんなことを言っておったら建てるところがない、こういうのが結論のようでございます。したがって、原子力委員会としては、やむを得ず耐震設計というところにあれを持たして建てておられるのであろう、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/44
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045・塩川正十郎
○塩川委員長代理 神崎敏雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/45
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046・神崎敏雄
○神崎委員 参考人の皆さんには非常に御苦労さまでございます。
私は五つの問題点をあげましてお伺いいたしますが、時間が、お答えいただくのと私が尋ねるのと往復できめられておりますので、私の持ち時間は三十分でございます。したがいまして、一問一答式ではなくて、五つの問題を並べて一括してお尋ねいたしますので、ひとつ先生方にはよろしくお願いをいたします。
そこで第一にお尋ねしたいのは、法案に関連いたしまして地域開発のあり方について御意見をお伺いいたします。
今回の法律案第一条の目的において、発電所の立地を促進するために公共施設を整備することとなっておりますが、公共施設の整備は、本来発電所の設置いかんにかかわらず当然行なわれなければならないと思います。特に過疎地域などにおける公共施設の整備、生活基盤の整備は切実なものであります。こういう課題だと私たちは思うのですが、それだけに公共施設の整備を発電所の立地促進の手段に使うことは非常に問題がある、こういうように思います。この点について広原さんから御意見をお伺いいたしたいと思います。
第二は、整備計画の立て方について伺いたいと思います。
地域開発計画は、日本学術会議が開発制御に関する七原則の中でも述べておられるように、「生活環境は、地域住民の共有財産であり、環境変化を必ず伴う開発には、住民の合意が必要」である、こういうふうに思います。このような立場から考えるなら、整備計画についても当然地方自治体の権限を強化し、住民の意見を最大に尊重しなければならないし、またそのことが反映されることが必要である、かように思いますので、この点については小野さんからの御意見を伺いたいと思います。
第三は、整備計画の内容について伺います。
この法律によりますと、「発電用施設の関連施設と併せて整備することが必要と認められるもの」となっておりますけれども、その整備計画の内容は、その地域において必要な公共施設であるべきであって、電力会社の計画に合わせるということは、地方自治体や地域住民の要求を押えていくことにつながる危険性がきわめてあると思うのです。この点について広原さんから御意見を伺いたいと思います。
第四は、交付金の問題について伺います。
御存じのように、通産省の考えている交付要領によりますと、原子力、火力、水力と交付金の額に格差があるのです。発電施設の種類によって公共施設の整備の必要度がそんなに変わるものなのか、この点についても広原さんから御意見を伺いたいと思います。
第五に、開発には、科学的な、先ほどからお話がありましたような、安全の検証が必要である。この安全が疑わしいときは進めないことが原則でなければならないという日本学術会議の提案は、地域住民の利益を守り発展させる上で、地域開発の立場からも最も尊重しなければならないと思いますけれども、この点につきましては、各参考人の皆さんから、それぞれの立場の御意見を伺いたいと思います。
以上、五点一括してお尋ねいたしますので、よろしくお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/46
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047・広原盛明
○広原参考人 それでは、私に関する質問といたしまして、第一の地域開発のあり方について、この法案の持っている問題点ということと、第三の、特に計画の内容についてのことと、それから交付金の問題を一括してお答えいたしたいと思います。
この前の参考意見にも申し上げましたけれども、この法案を私、詳しく拝読いたしまして、かなり地域に格差を持ち込んでくる意味で非常に問題があるというふうに感じております。
まず第一の格差の問題は、発電施設をつくろうとする地域とそれ以外の地域が、公共施設の整備という点で差別をされているということであります。
第二は、同じ発電施設を持ちながら、すでにつくられた地域の周辺の公共施設についての整備については何ら触れられていない。したがって、発電所を今後持つところについてはつくってくれるかもしれないけれども、すでにつくられてしまったところは、たとえ整備がされてなくても整備をする金が出てこないという意味での差別の問題があります。
第三は、交付金の問題でありますけれども、水力がキロワット当たり百二十円、ところが、火力と原子力につきましては三百円、火力の場合は若干過疎地域とそれ以外の地域で違いがありますけれども、発電所の種類によって、同じ発電施設の周辺地域でありながらこの交付金に差がある。このあたりは、本来の地域を豊かにしていくために公共施設を整備していくという点からいたしますと、まず基本といたしましては、このナショナルミニマムという形で、どうしても必要なものには、国が責任を持って地方自治体に援助して整備をする。しかしながら、それだけでは、やはり地域による独自の要求が出てまいりますから、その要求の違い、その要求の切実さ、つまり地域住民のニードの質、量の差に従って、この交付金の額でありますとか、整備計画の内容というものが変わるというのが本来の開発のあり方だと思います。ところが、この法案の持っております整備計画の思想というのは、要するに発電所建設側からの発想でありまして、特に交付金のところにも非常にあらわれておりますように、原子力発電所をつくるところと、それから水力発電所をつくるところと、地域住民にとっては別に公共施設整備に対して要求の違いがあるわけではない。ひとしく求められている。それが差があるということは、暗に、原発のほうは公害がたくさん出る、水力は比較的少ない、したがって公害が出るのだから住民に迷惑料的な考えとしてたくさん出すというような、言ってみれば、ほんとにこの地域住民の福祉というものがさしみのつまになっているような感じを私は受けたわけであります。
それから、計画の内容についてですけれども、特に発電用施設の関連——関連してくるという意味は、かなり重大な問題点を含んでいると思います。たとえば道路一つとりましても、これまでのように産業用の道路と、それから生活用の道路というものを一緒くたにつくって、そうしてそのことによって非常に交通事故が起こる、あるいは道路公害が起こるといったようなことがすでに各都市や地域で起こっているわけであります。でありますから、道路一つにいたしましても、やはりほんとうに地域住民の福祉に役立つ道路といいますのは、産業道路、工事用道路というものは全く独立してつくらなければならない。特にこういった発電用施設との関連で考えますと、もちろん絶対安全ということが第一でありますけれども、あくまでもその前提の上に立って、しかしながら万が一のことを考えて、できるだけそういった施設と独立した形での公共施設の整備というものが行なわれていく必要があると思います。ところが、この法案の条文だけでありますとよくわからない点がありますけれども、「併せて」ということが、非常にこの計画の施設の連続性といいますか、あるいはその関連してというのが、かなり発電用施設と既存の集落の生活施設とを一緒にと、むしろその一緒にしてというところに非常にウェートがかかっておりますので、相対的に独立させなくてはならないというその計画内容からしても、やはり非常に問題があるのではないかというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/47
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048・小野周
○小野参考人 時間がございませんので、特にいまの広原参考人のおっしゃったことに加えることはございませんけれども、ただ、先ほど住民の意思の反映ということをおっしゃいましたが、現在の原子力発電所の設置の問題から考えてみますと、こういう問題に対する住民の意見の反映ということがあまりなされていない。特に本法案の場合、発電用施設を設置する者の意見を聞いてというようなことがございまして、住民の意見を聞くというふうな形でこの整備が行なわれるというふうな形になっていないので、この点ははなはだ不満であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/48
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049・内田秀雄
○内田参考人 安全の問題でございますが、原子力発電所が、原子炉の安全が確保できることを確認しないで設置されたり、あるいは運転されることについては反対するのが当然でございまして、私ももちろん異議ございません。
しかし、原子炉安全専門審査会が設置許可時において、あるいは通産省の原子力発電技術顧問会が公認の段階においてなすっております仕事は、その原子炉の安全が確保できることを確認することであることも申し添えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/49
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050・久米三四郎
○久米参考人 安全というのはどういうのを安全というかによって変わってくると思いますが、私は先ほどの浜坂の住民の文書で見ましたように、現在の原子力発電所というのは、一つは大都会にやはり接近して置けない。これは日本もそうですし、それからアメリカでも何べんか努力はやられるのですけれども、やはりつい昨年も拒否されておりますから、その程度の安全性です。それから保健のことも今度出ました原発の恐怖という本に非常に詳しく書いてありますが、保険屋が全額対象にできないほどのそれほどのしろものです。日本でも六十億円という限度をきめて、あとは政府が保障するという、その程度の安全性であります。それを安全だと言われるのでしたらあれでしょうけれども、住民はおそらくそのレベルでは納得されないと思いますので、この辺はどういう立場で安全と見るか。私はあるところである大学の方と討論をいたしましたが、一万人ぐらい死んでも、電気がなくなって平均寿命が半分になれば五千万人死ぬことになる、それに比べれば、たとえ一万人ぐらい多少どうにかなってもしんぼうすべきである、こういうことでしたが、こういう論ですと、おそらくそういう方々にとっては、現在でもその安全性は満たされている、そういうことになると思いますので、この辺は、先ほど内田先生も言われましたように、むしろ国会あたりで、一体どういうところにその安全性の基準を置くべきかということについては御議論願いたい、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/50
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051・神崎敏雄
○神崎委員 大体先ほどから安全性の問題が中心に朝からそこにしぼられたような形になっておりますが、私どもも、この法律をつくるに際してはやはりそのことが一番大切だと思うのです。ところが、もうお帰りになりましたけれども、お帰りになった先生は、安全性のこととは別に扱うんだ、こういうような論議がありました。いま先生も保険会社の例をあげて言われたのですが、私は、またもう一巡各先生方に御意見を聞きたいのですが、これはさきに言うた別個の立場ではなしに、われわれが法律をつくるという立法府側の立場から見て、この法案をこれから審議していきます過程においての全く文字どおり参考として意見をひとつ大胆に出していただいたらけっこうですが、学者という立場から見て、この法案はできたほうが今後のわが国の人民にとってしあわせをもたらすのか、それともこれはできないほうがいいのか、これはあくまでも学者の立場としての、場席などをお考えにならないで、一言ずつでけっこうですが、確信のあるところをひとつ教えていただきたい、こう思うのですが、どうぞよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/51
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052・小野周
○小野参考人 たいへんお答えにくいことでございますけれども、私の個人的な——現在のいろいろな情勢を考えてみますと、現段階でこの法案だけできまして、安全、その他環境等の問題が置き去りにされますと、はなはだ私の望まないような状態になるのではないかということを私としては危惧しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/52
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053・広原盛明
○広原参考人 私ども学問をしております立場としまして、いわゆる科学のための科学であってはならない、やはりそれが科学の平和的な利用と地域住民の福祉の向上発展に寄与するような、そういう形での学問をしなければならないというのが日本学術会議の思想であり、私の思想でもあるわけです。そういう意味で、私がいままで長年にわたってこの地域住民の方々と接してきたその経験の中で、この法案が出てまいりましたときに地域住民の方が言っておられたことは、こういう法律ができればたいへん困ったことになる、それはしゃぶったときは非常に甘いんだけれども、そのうちだんだん毒が回ってきて、そしてからだが身動きできなくなってしまうような気がするということを言われた。私自身もそういうことを非常に懸念しておるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/53
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054・内田秀雄
○内田参考人 私はこの法案について申し上げる専門を持った学者ではございませんので、全くしろうととして意見を申し上げさせていただきたいと思いますが、エネルギー危機を解決する一つの手段として原子力発電所なり、あるいは他の発電所の建設が円滑にいかなければならないことは当然だろうと思いますが、その建設が円滑にいくために有効な法律をつくっておられるのだと思いますので、大いにけっこうではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/54
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055・久米三四郎
○久米参考人 何か言えということでございますので、学問的と言われましたが、有澤先生が初めに言われた法律とあれとは別であるというのは、そういうことは学問的にあり得ない、どなたかの理論上はそうだと言われましたが、私は理論上はそうではないので、現に有澤先生自身この法案が出れば感情的な反対でなしに真剣なあれが出ると、これは関連しておるということを認めておられるのであって、この世の中の事物は関連のないものはないのですが、同じ発電所をつくるのに安全性とこれとは関係ないというのはそれこそ空理空論ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/55
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056・塩川正十郎
○塩川委員長代理 松尾信人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/56
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057・松尾信人
○松尾委員 私に与えられました質問の時間がわずか九分であります。先ほど少しやり過ぎたということで、しまったと思っておるわけでありますけれども、そういうような中で、ほんとうに皆さま方の御意見を承り、非常に私は参考になりました。特にこの限られた時間の中で小野先生にお尋ねするわけでありますが、またいまも二、三のほかの参考人もおっしゃいましたとおりに、いまこの電源開発というものが行き悩んでおるのは、環境保全の問題であり、安全性の問題であるが、これが法案の中にあらわれるどころか影をひそめてしまっておる。この環境保全の問題と安全性というのは国民全般の問題でありまして、一地域の住民の方々だけの問題ではありません。ですから、むしろ電源開発をするならば、電源開発基本法的な発想を立てて、そしていま行き悩んでいる問題をまず取り上げてこれを解決する、それは安全性の問題であり、環境保全の問題、そういうものを推進するための一助として、今回の法案のような周辺地域の整備というものもあげられてもいいかと思いますけれども、主体とあれがすりかわりまして、周辺地域だけを取り上げてあるということはいかにも心細いものである。この点につきましては、私は参考人の方々の御意見の開陳で非常にわれわれの意見と同じだということで意を強くしたわけでございます。特に小野先生は、いろいろ学問上のデータその他から温排水の問題を取り上げられまして、われわれにも問題を投げかけたし、また政府に対しても大きな解決すべき問題点を出されたというように私は思うのであります。でありますが、いかに大きい問題であるかという提案だけでなくて、この温排水の処理の問題について真剣に取り組んでいくということは当然でありますけれども、どのような方法で、どのようにしてやっていくかというようなことで何かお考えがあれば承っておきたい、このように思うわけです。
それと同時に、私の時間に余裕がございますならば、ほかの二、三の参考人のお方にも、あわせてこの温排水の処理の問題についてこのような方法でいくべきであるということお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/57
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058・小野周
○小野参考人 ただいまの温排水の問題について私問題を出しただけでなく、これについての解決する方法についてもし意見があれば述べろということでございましたが、温排水の問題については各国非常に頭を痛めておりまして、いろいろなことをやっておりますが、やはり発生する熱量を少なくすることはできないのであります。これが海の中にたまるということは水の比熱が非常に大きいというのと、熱い水が表面に浮かぶためになかなか散らばらない、少なくとも大気中に逃がせば現在よりはよくなるのではないかというふうなことが考えられると思うのです。それでどうしたらいいかということでございますけれども、これは全くたとえばの話でございますが、温排水の出る口のところをある程度仕切りまして、そこにとにかく一たんためて、ある程度冷却したものが出るということをしただけでも、これはかなりの効果があるのではないかという意見は、私だけでなくて、何人かの人が持っております。それ以外にもアメリカなどでは乾式の冷却塔というものをつくっておりますけれども、これは非常に大きなノイズが出るということで現在また問題になっているわけですが、そういうことをむしろ積極的にわが国でも——これをつくりますと、かなりの金かかかるわけです。それからあるいは冷却塔の場合には、日本では不適当かもしれませんが、電力“相当食うということもございますし、それから海の中にいろいろな施設をつくればやはり金がかかるのですが、これは現在普通やられております漁業補償の額よりは、いずれにしてもかなり上回るようなことになると思うので、そういうものを積極的に考えていく姿勢というものをむしろやっていくべきではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/58
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059・内田秀雄
○内田参考人 では、温排水について一言二言説明さしていただきたいと思います。
原子力発電所なり火力発電所が熱機関の発電所である以上、かなりの量の排熱をしなければならないのはやむを得ないのでございまして、その排熱を海における希釈、拡散によってやるということは、日本におきましてやはり最善の方法だろうと思います。欧米などは川とか湖畔に設置するためにドライ・クリーニング・タワーあるいはウェット・クリーニング・タワーを設置することを提案しておりますけれども、これによりますと、同じ電気出力を生ずるために排熱する熱量がさらにふえることが一つでございます。
それから、空気中に熱なりあるいは水蒸気を発散するための近郊の気象関係あるいは環境に与える影響というものをやはり海に排出する場合と比較検討しなければならないと思います。でありますから、海に熱を捨てる場合に、ある温度の影響範囲が海中にできることはやむを得ないことだと思います。その温度による影響範囲をどの程度までに押えるかということを設置者と現地の人との間で相談していただいて、その温度影響範囲がきまりましたならば、それに従った排熱の処理の方法を技術的に検討すればよいのだろうと思います。
それから、温排水についてとかく川の水の量と比較して問題にする方がおられるのですけれども、温排水というのは排水する水の量が問題なのではなくて、熱量が問題になるのでございます。たとえば百万キロワットの発電所について、六十トン・パー・秒の水が出るというのは、この水が海の中に加わるのではないのでありまして、熱が海に入って、それが拡散されるわけです。川の水というのは、川の水がマスとして海に入るのであります。全く違います。それから川の水は淡水であります。淡水が海水の中にまざるのと、温度差のある海水がまざるのとは非常に違いまして、同じ温度差を与えた場合にも海水同士のほうがよくまざるわけであります。これは技術的にも証明できて、実験でも認められているわけであります。要は温度影響範囲をどのようにして考え、それについてきまりましたならば、どのようにして技術対策をするかということが大切ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/59
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060・塩川正十郎
○塩川委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/60
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061・塩川正十郎
○塩川委員長代理 引き続き政府に対する質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一徳君。
それでは、この際、中曽根通産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/61
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062・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 九電力会社の料金改定を昨夜の関係閣僚会議で決定いたしましたので、御報告を申し上げます。
電力料金につきましては、北海道電力のように昭和二十九年以来据え置いているものもあり、その他のものも含めまして概して八年ないし十年程度、比較的長期間にわたりまして安定してまいりました。しかるに、昨年秋以降における産油国の原油価格の高騰は、資源エネルギーを諸外国に依存する度合いの大きいわが国経済に強烈な衝撃を与えたのであります。なかんずく電気事業においては、火力発電の占める比率が七〇%をこえ、かつそのほとんどが原重油に依存している状況であります。コストに占める燃料費のウエートも、従来の二〇%前後から四十九年度は四〇%前後に上昇してまいりました。このため、九電力会社の経理は昨秋以来急速な悪化を示し、償却方法を定率から定額に変更する等の措置をとった上、なお繰り越し利益、諸準備金等、取りくずし可能な内部留保のほとんど、約一千五百億円をこえる実質赤字を調整するため取りくずさざるを得ない状況となりました。また、九電力会社におきましては、このような内部留保の取りくずしにもかかわらずなお巨額にのぼる赤字に対処するため、いずれも配当率を年率一〇%から六ないし八%に引き下げることを余儀なくされた状況であります。したがって、電気料金をこのまま放置すれば四十九年度におきましては一日約四十億円に近い赤字が累積する結果となり、電力の安定供給を阻害し、ひいては国民生活の不安定化を招来する等の事態は必至であり、今回の電気料金の改定認可はまことにやむを得ざる措置と申し上げなければならないと思います。
しかしながら、政府といたしましては、電気料金改定申請を査定するにあたり、値上げ幅を極力圧縮することにつとめ、きわめて厳正な査定を行なうことといたしました。この結果、九電力会社平均で電灯二八・五九%、電力七三・九五%、合計五六・八二%の値上げを六月一日から認めることといたしました。料金体系のうち電灯と電力料金の比率は、これまでの二・一から一・五六に低め、電灯料金をできるだけ低位に押えました。
ただこの際、最近の物価情勢、国民福祉充実の要請等にかんがみ、電気料金についても省エネルギー高福祉型への転換をはかることといたしました。そして家庭用電灯料金につきましてはナショナルミニマムの考え方を導入し、従来世界的にも例のない三段階料金制度を導入いたした次第であります。また、弱者保護の点にも十分留意し、生活保護世帯及び母子寮、老人ホーム、重度心身障害者の施設等の福祉施設については、来年三月三十一日まで従来の料金を据え置くことといたしました。
今後の電気事業は、実施時期が二カ月ずれ込んだこと等による赤字の累積によってきわめてきびしい事態に置かれており、退職給与引当金の有税積み立ても取りくずすことが必至の状況となっておりますが、政府としては、電力が国民生活及び産業活動の根幹であることにかんがみまして、電気事業者に対して一そうの経営合理化を求めるとともに、安定供給のため電源開発の促進、原子力発電の安全性確保等について万全を期する覚悟であります。
また、今回の料金水準を今後できるだけ長期にわたって維持するようつとめるとともに、その他の物価水準への波及防止については細心の注意を払い、いやしくも便乗値上げ等を許さないよう、きびしい監視を続けてまいる所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/62
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063・塩川正十郎
○塩川委員長代理 玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/63
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064・玉置一徳
○玉置委員 電源開発促進のための法案の審議にあたりまして、いろいろな問題を提起されてきたのでありますが、私は電力の安定的供給はどうすればいいかというような問題について二、三お伺いをしてみたいと思います。
そこで、毎年一〇%程度電力需要が伸びてまいります。省エネルギー局福祉型の産業構造に変えるということを言いましても、これにはやはり相当な年月を要するのではないだろうか。明日直ちにアルミが外国へ出ていくというわけにはまいらぬわけであります。そういうような意味では、消費と申しますよりも、GNPの増高のないような産業政策をよく言われる方があるわけでありますけれども、そういう場合を考えたときはおそろしい問題があちこちに出てくるのではないだろうか、こう思います。
そこで、まず大臣にお伺いしたいのですが、ここ二十年来こういうような成長を遂げてまいりました日本の産業で直ちにゼロ成長というようなことを行ない得るかどうか、しかも、それが行ない得た場合はどのような現象が経済界に起こり、社会にどういう現象を与えていくか、このことを理解をしてものを言わないと、私はつい簡単に、皆高成長社会を考えておるからいかぬのだという発言がかなり多いのだろうと思います。ゼロ成長を考えたときはそらおそろしいいろいろな社会現象が起こってくるのではないだろうか、それに対処しようと思ったって不可能に近いほどむずかしい問題が起こってくるように思うのですが、このことの理解がもう一つ足らないような感じがしてならないのであります。かすに長い年月を要してこそ、初めて産業構造の改善も、いろいろな問題が行なわれるわけでありますが、今度の電力料金では、いろいろな多消費のものはそれだけ高くつくのだということも長い目で見て一つの対案にはなりますけれども、直截簡明にそのことが消費そのものを完全に押えてしまうというわけにはいかないのであります。したがいまして、この伸びていく電力に対処するために、安定的に供給するためにはどのような措置を講じなければいかぬか、まずこれからひとつ質問の入り口としたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/64
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065・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 国民経済を考えてみますと、福祉をさらに増大する、あるいは安定雇用を期する、そういう面からいたしますと、人口もふえ、国民の欲望も増大していくわけでありますから、それに見合うだけの成長力を確保しておかなければマイナス成長になります。しかし、問題はその出てきた成長力というものをどういうふうに分配するか、福祉のほうに相当部分を分配し、それから再生産過程の留保に分配し、将来の拡大再生産のための準備にこれを分配する、そしてその結果成長がゼロになる、そういうあんばいのやり方ならば、これも一つのやり方でございますけれども、将来をおもんばからないで現状維持のみを考えてやりますというと、これは人口もふえるし、新しい家庭も出てくる、そういうことを考えてみますと、マイナス成長になる危険性がございます。そういう意味において、この得てきたプロダクトの分配の問題というものが非常に重要になってくるのではないかと思います。
それから、現在の国民経済の状況から見ますと、われわれは総需要の抑制を現状においては持続せざるを得ないと思いますけれども、ある段階に参りましたらば、やはり中期の日本の成長力ということも考えてみなければならない。そういう意味において、重要な、これは必要であるという部分については、公害とか、あるいは技術の開発とか、あるいは拡大再生産、将来の需要というものに見合うだけの基幹的物資の供給というものを保障することもまた今日われわれが心がけておかなければならないことでありまして、目前のことのみにとらわれないで将来の日本の福祉や成長ということも考えて、中期的なあんばいをしなければならぬ部分もある。それはしかし、いまの総需要抑制の過程において、それが適切な時期に来たらそういう行為に出るということを申し上げてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/65
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066・玉置一徳
○玉置委員 資源エネルギー庁長官にひとつお伺いします。
昨年だったですか一昨年でしたか、電力の審議会を通りましたものすら一〇%ぐらいしか着工できなかったのじゃないかと思いますが、これの後遺症は何年後にどういう形であらわれていくのか、これが一点。
第二点として、このようなことを二、三年続けておりますと、何年ぐらい後にどのぐらい電力、皆さんの需要をカットせざるを得ないのか、端的に数字で御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/66
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067・山形栄治
○山形政府委員 お答え申し上げます。
電源開発調整審議会におきまして目標とされました数字が達成、未達成いろいろとあるわけでございますが、その達成率で申し上げますと、四十六年度が八七%、四十七年度が三二%、四十八年度が四四%となっておるわけでございます。さらに電調審におきまして着手が決定になりましたにもかかわりませず、いまだこれが着工できないものが五カ地点、三百五十万キロワットになっているわけでございます。
これからあとどういうことになるかということでございますが、いまの供給力を電調審の決定分だけでこれを考えまして、今後の成長を大体八%ぐらいの成長で考えますと、供給予備力は五十一年度で四・九%、五十二年度で〇・七%、五十三年度になりますとマイナスの二・八%ということになるわけでございます。ちなみに、適正供給予備力といわれておりますのは八ないし九ということでございますので、この五十一、二年、三年には、このままでおりますと非常に問題が起こるということが言えると思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/67
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068・玉置一徳
○玉置委員 同じことをもう一度お伺いしたいのですが、水力も同じでしょうが、火力で三年、原子力その他で五年、これは着工時から考えての話でありますので、このごろのような非常に困難な事態でありますと、どこどこでやろうということがきまりましてからでも、なおやはりかすに二年を足さなければいかぬといたしまして、五年ないし七年もかかるというようなことでは、いまからあわててみても、五十一年、五十二年、五十三年ごろは思い切った抑制策を講じなければ動きがとれなくなるということは現実だと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/68
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069・山形栄治
○山形政府委員 ただいま私が申し上げました数字は、一応電調審の決定分のみを供給力といたしておるわけでございます。ただし、先生のおっしゃいますように、非常に建設期間がかかるわけでございますが、これは地熱、水力、火力全部を含めてこれから増強をしなければいかぬ問題だと思うわけでございます。そんなことからいいまして、われわれといたしまして、今後それをますます進めるわけでございますが、一方日本の経済構造がやはりエネルギー多消費になっておりますことも御高承のとおりでございますので、節約運動に加えまして、産業構造そのものをエネルギー多消費からもっと省力省エネルギーというようなかっこうに持っていくように、現在通産省といたしましても全省をあげまして作業中でございまして、六月中には大体成案のスケルトンが得られる段階にもなっております。要は需要面、供給面の両方からこれを適正な姿に持っていきまして、日本経済それから国民生活の実質的な充実、高度化というものをはかる段階に来ておるのではないかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/69
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070・玉置一徳
○玉置委員 重ねて長官にお伺いしたいのですが、調整審議会の数字ではありますけれども、大体やはり需要の限界をついておるんじゃないだろうかと思われますから、そういう意味では、いまのお話のこの五十一年、五十二年、五十三年を突破するためには相当思い切った皆さんの節約に訴えざるを得ないが、たとえば、どういうことを考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/70
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071・山形栄治
○山形政府委員 電力に即して申しますと、節約の方法といたしましては受電認可というものと、それから消費の節約を訴えるという二つだと思うわけでございますが、われわれがいまこれから期待しておりますのは、いまたまたま行なっております国民全体の段階におきます節約運動、これをぜひとも定着いたすべきであると思うのが一つでございます。現在の節約運動は思いのほか定着をしたかっこうになっておりまして、これは国民生活及び産業面を通じまして、産業面でいいますと、約一割の節約をしましても生産活動は何とか保持できるということが立証されておるような段階でございます。裏からいいますと、従来産業は相当むだづかいをしておったということもいえると思うわけでございますが、こういう形のものを今後産業、国民生活、それから自動車の走行距離、走行速度、その他も含めまして節約運動がますます定着するのが一つの大きな方向だと思うわけでございます。
もう一つは、先ほども言いましたように、産業の構造を変化させる、そのために、先ほど言いました受電認可制等も併用いたしまして、短時間の間にできる限り効率的な構造変化を達成する、こういうことが考えられておるわけでございまして、大まかに言いますと、その二つの方法で、その組み合わせによりまして需要面の効率的な使用をはかってまいりたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/71
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072・玉置一徳
○玉置委員 そこで、わが国が水力電気に主としてたよっておりました時分は、良質、安価、低廉な電力の供給が確保できまして、その点がわが国産業の強みの一つでもあったわけでありますが、主として火力、しかも石油にたよっておる今日では、石油危機以来そのちょうど逆のぐあいになってきたわけであります。これを将来とも安定して供給しようという、せめて確保なり安定供給なりを考えたときに、何を一番いま考えなければならないのか。私は決定的なこれならばいいというものはないと思うのですが、柱としていろんなぐあいのものを、柱はどれであって、その他あらゆるものを総合していかなければいかぬことは事実でありますが、一番安定的供給について政府が考えなければいけない施策というのは何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/72
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073・山形栄治
○山形政府委員 需要面の問題にりきましては先ほど申し上げましたが、供給面の安定供給のポイントでございますが、これはここ当分はやはり石油が重要な供給のソースだと思うわけでございまして、これにつきましては、従来中近東に非常に偏在、集中しておりました体質をもっと分散化するという形で考えるべきであろうと思います。
たまたま中東紛争以来、産油国のナショナリズムとのつながりも伴いまして、いわゆる直接取引の動向も非常に出ておるわけでございますので、われわれといたしましては、そういう産油国の動きにも即応いたしまして、太い柱を創設すべきではないか。これは分散化という点では若干食い違うところもありますけれども、要するに、メジャーを通じないで多極的な供給源を開発するという一つの方向でございます。
それから、先ほど言いました分散化につきましては、中国も含めまして東南アジア、南米等に広く分散化をはかっていくというのが政策の大きな方向だと思います。できる限り日本のいわゆる自主開発原油というものを確保するというのが方向だと思います。
その次には、いわゆる石油系でないエネルギー、特に国内の地熱、水力等の開発を急速に進めるというような二つの方向だと思います。
もう一つ大きな問題は、いわゆる新エネルギーを国際協調のもとでこれを進めるということがいえるのではないか。ほかにもあろうと思いますが、そういう供給源の分散化と、それからその中におきます新しい産油国とのつながりの探究、それから国内エネルギーの開発、そうして新エネルギーの開発、大きくいいますと、そういう三つのものがこれからの供給源の基本原則であると思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/73
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074・玉置一徳
○玉置委員 そこで、いまのお話のように、国内の資源があるじゃないか、これを利用しないというばかはない、それから後に原子力だというような論法、こういうたわいのないものの考え方が私はあると思う。そういうような意味では、原子力は世界じゅういま日本だけじゃなしに全力をみなあげ出したものでありますので、これはいずれが主でも従でもないのだけれども、やはりどれもこれもに分散しておくことが安定的供給になり、しかも価格の低廉というようなところになってくるのじゃないだろうか。こういう意味で、いまの御答弁でいいと思うのです。
そこで、エネルギー庁長官にもう一度お伺いします。
電源開発調整審議会のほうででき得なかった困難な理由は何と何と何であったか。
〔塩川委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/74
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075・山形栄治
○山形政府委員 電源開発が促進されません、またとんざしております原因は、大きくいいまして二つでございまして、一つは、地元住民の中に環境保全、それから原子力についての安全性等の確保に根強い不安感が存在することでございます。
第二には、電源立地が必ずしも地元経済の発展と地元住民の福祉向上に直接的につながらないということに原因いたします地元の不満の声が非常に高まっておるのが二番目の原因でございまして、この両者はともに両方からんだ問題になっております。
御質問の電源開発調整審議会できまりましてもそれが着手できないのは、やはり両方の原因がからんでおるわけでございますが、特に原子力及び火力にっきます温排水の問題、漁民との調整の問題、その辺が未解決であるのが現在の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/75
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076・玉置一徳
○玉置委員 科学技術庁長官がほかで呼ばれておいでになるらしいので、この問題は先に質問したいと思います。
原子力の不安につきましては、きょうも午前中学者各位に来ていただきましていろいろとお伺いをしたわけでございますが、反対の学者、賛成の学者半々来ていただいたわけです。したがって、片一方の先生方から聞けば、この法案は不安だと言うし、この法案だけではどうともならぬ、片一方の先生方はやりなさい、まるで政党の立ち合い演説会のような感もなきにしもあらずですが、そこで、原子力の不安ということは、一体住民感情は何と何とであって、あなたのほうで十分でないのはこれであって、十分なのはこれだと自信を持って言い得ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/76
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077・森山欽司
○森山国務大臣 今回の法律は、すでに通産大臣から御説明があったと思いますが、原子力発電のみならず、火力、水力、新たに開発した発電の開発利益、この開発利益は、まずもってこれを使用する側の町場の工場や、あるいはそこに住んでいる人たちのところにいくわけでありますが、そういった開発利益がやはり地元にも戻ってこなければいかぬという意味で、開発利益の還元という意味で今回の法律はできておるわけでございます。したがって、そういう意味におきましては、たとえば原子力発電の場合におけるところの安全性の問題とはかかわりはございません。したがって、原子力発電に何か危険があるから、それで心配している人のほっぺたを札っぴらでひっぱたくというような趣旨のものでは全くないということは御理解願えると思いますが、さは言え、原子力発電の場合につきましては、その安全性というものは、この法律のいわば前段、前提ともなるべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
それで、これにつきましては、どうも原子力発電があぶない、安全性に危惧の念があるように言う人がありますが、私どもはそういう考え方はもう間違っておると実は思っておるのであります。今日、わが国においてこれは通例になっております軽水炉発電におきましては、私はその安全性にもう一〇〇%の自信を持っておるわけでございます。と申しますことは、原子力の利用というものは、御承知のとおり、軍事利用から始まって平和利用に移り、そしてその平和利用が原子力発電というような形における実用段階に入りましてからまだ二十年足らずでございますが、そういった科学技術あるいは産業としての歴史が若いだけに新しい技術の手法が入っておるわけであります。
その新しい技術の手法とは何かと申しますと、放射能に対するテクノロジーアセスメントであります。これは火力発電と比べてみますと、一般の火力発電ですね、石油発電の場合を考えてみますと、やはり電力を出すのがねらいでございますから、重油あるいは原油を燃します。その中に多かれ少なかれ硫黄分が入っておるわけでございまして、最初は電力さえ出れば、硫黄が出て、亜硫酸ガスが幾ら出て、公害が出ようとかまわなかった時代があった。しかし今日、時勢が違いますから、逐次それについての公害防除ということが考えられてまいって、油に対する脱硫あるいは煙に対する排煙脱硫というような考え方がいまや時勢になりましたが、何と申しましても火力発電は公害のあと取り産業——石油発電の場合はあと取りであります。いま非常に改善されておりますことはもう今回の審議で明らかなとおりでございまするけれども、公害問題に対してはあと取りである。ところが原子力につきましては、放射能という公害の前取りをしておる。すなわち放射能に対するテクノロジーアセスメントの徹底した産業である。テクノロジーアセスメントという技術段階の手法というものが初めて全面的に用いられた産業であるわけでございます。したがって、放射能に対しては二重、三重の防護措置が講ぜられておりますし、御案内のとおり機械ですから故障はあります。人間ですからミス操作があるわけでございますが、そういう場合がありましても、もう二重、三重の防護措置がききましてかわりの装置が動くとか、あるいはまた機械がとまるわけです。とまると新聞はわあっと、何かあぶなそうな顔をして書くわけでありますが、あぶないのじゃない。とまったことが安全のしるしなんです。この辺のところは非常に重要なことでございますが、なかなか徹底いたしません。科学技術特別委員会なんかでは声をからして言っておりますが、前々からお考えのきまった方々でございまして、わかっていただくのになかなか時間がかかっているというような状況でございます。
また、これは火力発電や何か、みんなそうだと思いますが、十二カ月のうち二カ月半ぐらい政府が監督して定期検査をやります。定期検査をやりますから、燃料棒の鼻曲がりが発見される。あるいは蒸気発生器のこまかい穴がわかってくるのでありまして、これは燃料棒の鼻曲がりとか——鼻曲がりというのじゃありませんが、燃料棒の先がこう曲がっているものを鼻曲がりと私は俗称言うのでございますが、それから蒸気発生器の小さい穴があいているのは、それぞれ一つの処置を要しますが、そういうことがわかるということが、すなわち安全のしるしなのであります。にもかかわらず、あぶない、あぶないと言う。それで燃料棒の鼻曲がりにつきましては、前はアメリカがそのままでいいと言うからそのままでやっておった。しかしこのごろでは、アメリカはそのままでやったって日本は変えようじゃないかとか、いままで全部アメリカに送っておりましたが、四十九年度予算で大型ホットラボをつくりまして、日本でもってそれを試験できるというふうにいまや変わりつつあるわけでございまして、安全性の問題につきましては、もうすでにそういう科学技術産業の性格からして、そして今日、それだけの手法で相当年月を経ている段階でございますから、まず心配ない、だいじょうぶ、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。がしかし、前々からあぶない、あぶないと言っておられた方もありますし、何しろ科学技術庁というところは技術者の方がそろっておられて、プロレスで申しますと、そういうお考えの方のコーナーに持っていかれて、千分の一ミリの議論でたたかれるものでございますから、ほんとうの姿を科学技術庁としていままで十分説明をしておったかどうかについて、私は、必ずしも十分じゃない面もあったように思いますが、今日、軽水炉発電について安全性に疑念を差しはさむというのは、私は技術論より政治論だというふうに思っております。
ただ、問題の中に一つ、二つあります。たとえば一つの問題といたしまして、廃棄物の再処理または廃棄物の廃棄というような問題、そのほうにつきましては、まだまだ必ずしも十分な体制が現実に——考えはできておるわけでございますが、全部が全部出そろっておるわけではございません。たとえば再処理工場の問題は、ことしでき上がります。試運転に入ります。そして来年からこれが実際稼働するようになるわけでありますが、これにつきましては、あと、そうです、三、四年はもつわけでありますが、原子力発電が進んでまいりますと、足りなくなります。足りなくなったときどうするかということで、英国とかアメリカとか一時的にやらなければなりませんし、それに対して第二処理工場をつくらなければならない、あるいは海外に日本とタイアップする処理工場をつくらなければならぬというようないろいろな構想はありましても、これからやることがある。そういう意味では、これからやらなければならぬことが残っておることはもう事実でございます。
また、温排水の問題につきましても、これは原子力発電だけではございませんで、火力発電だって温排水の問題はあるのでありますが、火力発電のほうは上から煙が出て熱が抜けますが、原子力発電はよそへ出ませんから、もうよけい水が要るわけでございます。そして原子力発電だからといって放射能はもう入っておりません。それで自然放射能の〇・二%ぐらいしか放射能の問題はございませんで、ただ問題があるのは熱の問題、というのは量が多いということだけでございますが、これは御案内のとおり、川の水が海水にまざるのに七十倍ぐらいの水を要しますが、片方、海の水同士でございますから、これは七倍ぐらいで済むというようなことでございまして、まざりやすいのであります。でありますから、一定の距離のところへ参りますと、もうあまり影響がないというようなことで、いままで問題があまりいわれなかったわけでありますが、二年ほど前から温排水の問題がいわれ出したわけであります。そして、先ほど申し上げましたように、原子力発電がテクノロジーアセスメントで公害の前取りみたいになっております。在来発電というものは公害のあと取りでございますから気にもしなかったし、あまり弊害もなかった。片方は量もよけいにふえてきたというようなことで、これをどうするんだということでやってきたわけでございますが、今日までの段階ではあまり問題はございません。
そして今日、その一例といたしまして、その原子力発電所から出ました海水でもって養殖をやっております。これは原子力発電株式会社の東海発電所、昭和四十七年からマダイ、アワビ、クルマエビ、中部電力の浜岡原子力発電所でアワビ、アユ、マダイ、それから日本原子力発電敦賀原子力発電所でハマチとアユ。これは日本だけじゃありません。英国でもハンターストン原子力発電所でカレイとかヒラメを昭和四十年ぐらいからやっておりまして、もう原子力発電所から出た温排水でもって養殖ができるわけでございますから、したがってこれが多少様子が違ってくる面はございますけれども、決してそんな心配はないのでございます。がしかし、原子力発電所みたいな意味におけるアセスメントが十分かどうかということになるとまだ勉強しなければなりませんからそういう点はさらに勉強を進めてまいりたい、こういうことでございます。
いずれにいたしましても、安全性の問題は、今日原子力発電所の周辺におきまして五ミリレムです。自然放射能が百ミリレムでございますし、個人は五百ミリレムでありますから、一般の許容水準の百分の一、自然放射能の二十分の一でございまして、これでどうも安全性があぶないなんて言われることは、全くいわれのない批判でございます。
そうすると、よく言われますのは、再処理工場は多いじゃないかとか、再処理工場だって空気で三十二ミリレムでありますし、水で十幾つミリレムでございますからこれもわずかなものでございまして、自然放射能に比べますれば自然放射能の二分の一、それから規制されております放射能五百ミリレムに比べますればこの十分の一以下というようなことになっておりまして、その意味におきましても放射能を中心とする安全性については全く心配がないというふうに私は考えておるわけでございます。それを技術論のような顔をして政治論を言いまして、そしてあぶない、あぶないというような議論が横行しておりますが、そんな点はいささかも私どもは気にいたしておらないわけでございまして、どうかひとつ今日の時世、先ほどエネルギー庁長官からありましたように、どうしてもわが国のエネルギー事情からいえば原子力をやらなければたいへんなことになります。これは日本の国の歩みがストップしてしまうわけでございますから。そしてしかも、それがあぶないものなら何もわれわれやるつもりはございませんが、アメリカだってあるいはフランスだって、世界じゅうみんな本命は原子力発電ということに、今世紀中の新たなるエネルギー源としては原子力発電の占める割合が大きいわけでございますから、どうかひとつ原子力発電の推進のために格別のお力添えをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/77
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078・玉置一徳
○玉置委員 長官、何かどこかから呼ばれているらしいですから、どうぞお帰りください。あとの方には残っていただいて、若干温排水のことについて伺います。
そこでいまの温排水ですが、先ほど学者の参考人さんから承っておりますと、やがて四千億トン、六十五年ですか七十年でしたか、日本の降雨量の三分の二になりますぞと言われたときに、こちらもなるほどとぞっとしました。学者というものは一つの部門をつかまてえ、それを極限に伸ばしたときのことを研究をされるのが学者であります。ああいう言い方をされると、私も少し考え直さなければならぬかな、こう思っておったのですが、考えてみれば海水に行くのですから——あの揚子江の水は、入り口から、河口から一キロほどはどろに濁っておりますが、そこから向こうは全然なくなってしまうのですから、一年の降雨量、われわれの日本の川を通して海へ入る、あの海の水から考えれば、これとてもたいした意味じゃないんだなと、何も上から降ってくる水が全部三分の二あったこうなってから降ってくるんじゃないんだから、こう思ったりしておったんですが、温排水のことだけは、言われてみれば、まだ徹底的な解明ができてないことは事実なんであります。そういう意味で、科学技術庁の役割りか、公害のほうの問題か、環境のほうの問題か知りませんけれども、いうごろ大体どのような目安をつけ得られるか、いまはこの程度の目安がついておりますということが言い得るかどうか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/78
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079・井上力
○井上説明員 温排水の対策でございますが、通産省におきましては、電気事業法によりまして発電所の許認可をいたします際に、環境に対する対策の問題の一つといたしまして従来からいろいろ検討してきているところでございます。温排水の生物に対する影響というような問題につきましては、御指摘のように、厳密に申し上げればまだわからない点がいろいろございまして、そういった点につきましては、関係の研究機関その他におきましていろいろまだ検討されておるところでございます。また、温排水の排出の基準につきましては、これも環境庁を中心にいたしまして、どの程度までの排出許容量を認めるかというような点につきましては現在検討中でございます。こういう状況でございますが、通産省といたしましては、先ほど申し上げました電気事業法に基づきます許認可等にあたりましては、温排水に対する対策、そのほか環境に対する対策、全部ひっくるめましていろいろな関係の専門家の御意見を伺うべく、昨年来環境審査に関しまする専門の学者に顧問をお願いいたしまして、温排水問題の影響についてのアセスメントをお願いしているところでございます。具体的には、それぞれの発電所におきまして地域の実情に応じて取水方式あるいは排水方式等におきましてどのような措置がとられておるか、それから発電所から放水されます温排水の影響範囲につきましては、これは気象条件とか海象条件とかによりまして、それぞれの地点で異なるわけでございますが、そういったものの解明につきましては、やはりそれぞれの専門の先生方に計算あるいは実験その他によりましてアセスメントをやっていただく。さらに生物に対する影響につきましては、その場所場所におります生物に対しまして、やはり水産関係その他の専門の先生方に評価をお願いする、かようなことをやっている次第でございます。
なお、その温排水の拡散がどうなるかという予測の問題あるいは実際に温排水が拡散をしております実態の把握の問題等々につきましては、現在実測その他併用いたしましていろいろ検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/79
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080・玉置一徳
○玉置委員 原子力発電、その他火力発電をやってから相当の日数がたつんだから相当な予算でもってすみやかにこのことができるように措置せなければならないと私は思う。いまの答弁では、そういう意味では満足はいきませんけれども、なるべくすみやかに一歩ずつ解明をしていかれるようにお願いをしたい。少なくとも、先ほどの森山さんの御説明によりますと、各地で漁業、養殖をやられておるわけであります。したがって、私はそのことから始めるのも一つの方法じゃないだろうか。御案内のとおり、沿岸漁業にしかこれは影響がありませんから、沿岸漁業の諸君にそれだけの養殖——これから日本の水産資源は養殖漁業でなければだめだということも大体定説になっておるわけでありますから、そのことについて農林省、水産庁等に、向こうは向こうの予算を持っておりますから、それに加えて措置をされて、なるべくそういうことをやることが、また非常に安全性に対する安心感を持たすゆえんでもありますから、ひとつ本腰を入れていただくことを希望したいと思います。
そこで、環境庁のほうにお伺いいたします。
公害問題でありますが、これは火力の問題を主にしましようか。現在は脱硫装置その他がどんどんと進歩をいたしておりますので、大気汚染の問題は、いま基準と実際とがどの程度になっておるか、御報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/80
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081・石田齋
○石田説明員 お答え申し上げます。
昨年、二酸化硫黄につきまして環境基準が新しく改定強化されておりますが、それにのっとりまして昭和四十七年度の測定結果を見ますと、全国で常時測定局が六百八十五局ございます。この中で約三三%の二百二十八測定局が新しい基準に適合しておる、そういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/81
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082・玉置一徳
○玉置委員 そこで通産省にお伺いしたいのですが、近ごろ見ておりますと、中央の環境庁できめておりますいろいろな規制と、それから名古屋、大阪各地で府県知事が現地の発電施設の責任者と交渉されますやつが、だんだんと規制が、名古屋がここまでいったら大阪はここまでいかなければかっこうがつかぬというように、府県では強くしなければいかぬようになっております。そのことは非常にいいことだと思いますけれども、ミナス原油その他が入手が限られておる現状において、そういうものを繰り返していったらどこら辺で全般として考えざるを得ないようなことになるのか、あるいは通産省としてはミナス原油等の配分について、それは電力を優先しなさいというようなことをどこかである程度規制をしなければ動きがとれなくなるんじゃないだろうかというのうな懸念もいたしますが、そういうことはお考えになっておるかどうか、エネルギー庁長官の御答弁をひとついただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/82
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083・山形栄治
○山形政府委員 お話のとおり、世界じゅう通じまして輸入可能の低硫黄原油といいますとミナスが現時点におきましては唯一のものでございます。その他アフリカ等にも若干ございますが、日本の立場からいいますとミナスが主力であることは当然であるわけでございます。
そのミナス原油の入手につきましては、遠い将来のことはともかく、当面タイト化もすることが予想されるわけでございますが、現在きまっております環境基準、具体的にいいますと一時間値の一日平均値が〇・〇四PPM、一時間値が〇・一PPM以下というこの環境基準に到達するためには原油段階だけの努力では私は無理であろうと思うわけでございまして、原油の低硫黄化に並びまして、いわゆる脱硫装置の増強改良によります脱硫率の向上、それから重質油分解ガス化技術の開発、それからLNG等無公害燃料の導入促進、それから場合によりましてはナフサ等の軽質燃料のなまだきの採用、この辺が考えられるわけでございますが、この辺を全部込みにそれぞれを調整いたすことによりまして、五十二年度には、先ほど言いました新環境基準を充足するようにつとめたいと思っておるわけでございます。
そのため特に技術的に重大な問題でございますのは、重油脱硫との組み合わせによります重質油の分解ガス化が非常に大きな問題でございますので、その開発実用化に関する助成措置につきましても、国としていま積極的に推進をいたしておるわけでございます。
こういういろいろな施策を並行、総合的に行なうことによりまして、五十二年度の環境基準の目標はいまの私の感じでは段階的にこれを達成できるんではないか、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/83
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084・玉置一徳
○玉置委員 もう一度お伺いします。
この法律は、これから新しくこしらえるものを対象といたします、こういうことになっておりますが、既存のものであっても環境整備その他あったほうがいいものもありますし、その上、既存のところに増設するということのほうがいろんな意味では私はやりやすい問題が多いのじゃないだろうか、こういう感じがしますが、既存のものには一切しないのか、必要があれば必要な分だけはするのか、長官からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/84
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085・山形栄治
○山形政府委員 この法律のたてまえは、今後の電気の国民生活と経済活動におきます重要性及び発電所の設置の円滑化をはかるという二つの目的から、その緊急性に着目して特別の措置を講じようとするものでございます。したがいまして、既存のものとのバランスは後ほど申し上げますようにできる限りとるつもりでございますが、やはり法律のねらいが新増設でこれをつかんでおるわけでございます。いま御指摘のように既存の発電所にそこの部分を増設するというのは、これはやはり新しく促進する、増設で設備を拡充するということでございますので、本法の対象に相なるわけでございます。
なお、純粋の既存のものにつきましては、今回地方税法の改正によりまして、発電所にかかわる固定資産税の課税標準の軽減措置の廃止また縮小及び大規模償却資産、電力の場合には大体これに当たるわけでございますが、大規模償却資産にかかわる課税限度額の引き上げ、この二つのことによりまして固定資産税の収入の増加をはかる措置が今度とられておりますので、そういうことを前提に新増設と既存のものとのバランスはできる限りとるようにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/85
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086・玉置一徳
○玉置委員 これから新しいものに緊急を要するからということならば、普通は臨時措置法のような形でやるのが法のていさいとしては一番妥当じゃないだろうかという感じもしますが、それはさておき、きのう石炭火力の問題で三十五万キロワットですか、これもそういう制限の中へ入れるのだ、こういうお話でしたが、従来のやつでそういう大きな石炭火方はないように聞いております。今後そういう規制でやって、はたして全部を救い得るのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/86
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087・山形栄治
○山形政府委員 石炭は日本の純粋の国産エネルギーでございまして、原油価格との相対関係が非常に有利になってまいっておる関係もございまして、石炭火力を混焼または専焼でこれから建設していくというのが政策の方向だと思うわけでございます。いま具体的な話といたしましては北海道地区で計画がなされておりますが、これは三十五万キロワットでございます。ただし、この辺につきましては、先生のいま御指摘のとおり、これからの推移によりまして地元との関係、それからその辺の需要との関係等によりまして、必ずしも三十五万にならない場合も考えられると思うわけでございます。一方、日本の国土は非常に狭いわけですから、なるたけ大規模な、一技術水準が可能である限りは大規模なものをつくったほうがいい、この二つの要件の調整の問題だと思うわけでございますが、これから政令でその基準をつくるわけでございますけれども、できる限り三十五万にフィックスしないでケース・バイ・ケースで弾力的にこの辺は対応していきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/87
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088・玉置一徳
○玉置委員 質問をやりかけたところで、もうやめてくれ、やめてくれというあれがございますので、通産大臣にしようがないですから、締めくくりという意味ではなしに、かっこうをつける意味で、中途半ぱになりますから御質問を申し上げたいと思うのですが、一つは安定した電力の供給を確保する。しかも二十一日決定されました価格というものも、できるだけ長く据え置いていこうと思えば、この不安定な石油にのみたよることは非常に困難である、こういう事情から、世界的な風潮でございます原子力にかなり力を入れていかなければいかぬということも事実だと思います。そういうような意味で、火力の問題も同じですが、電源がきまりましてあっちこっち騒ぎが非常に多うございますが、この困難を克服していく意味では、先ほどの森山さんの御説明ではございませんけれども、ものがきまってからそこだけに安全性を説明しょうと思っても非常にむずかしいのじゃないか、そこにはいろんな混乱が起きまして、ためにする説明のように聞かれます。したがって、平生におきまして全国的にこのことを国民にわからすようなことを一般的にしょっちゅうやっておらないと、ある時点で大体ここで発電をしようと思うところへ行こうと思いましても、それは逆のほうのなにが出ますから、かえってためにする宣伝のような誤解を受けるおそれがあるのじゃないだろうか。大臣の直接の所管ではございませんけれども、電源立地の責任者でございます通産大臣としては、ひとつその点をよくお考えいただきまして、科学技術庁のほうによくお話をいただいて、平素からこのことについて国民のコンセンサスを得るような方法をどのようにしていくかということを十分御検討いただきたいということが第一点であります。
第二点は、ごみ焼却も同じでありますが、このごろ電気は全部よこせ、しかしおれのところは立地はかなわぬぞ、こういうような風潮が全国的に出てきております。端的にいえば、地域エゴだと思いますが、川崎市とか四日市とか、公害の集積された場所では非常に無理であっても、全然遠隔の地でそういうものが一切ないようなところであればというところもないことはないのですが、こういうものを国の行政として全般を見ていかなければならない立場の方として手っとり早くいけば府県ごことに必要な電力だけを設置してもらっていいわけですが、設置できぬところは、早いところ規制が無理だったらこうなりますぞということすら言ってもいいのじゃないか、こういうことすら思うような世の中であります。こういう世の中に処して電源開発の必要な促進をはかっていくためにはどのような心がまえが要るか。
三つ目は、きのう電力の価格決定をされました。それにつきましてなおまた税が要ることになります。電気ガス税というものをいつどのような方向で減免される方針か、この三点をお聞かせいただいて質問を終わらなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/88
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089・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 原子力発電等の開発を促進するためには、やはり政府に大きな責任があると思います。それはやはり安全性及び環境保護それから公害問題等に関する不安が国民の皆さま方にあるからでありまして、その点につきましては、政府側の努力の足りないところがまだ多々あると反省しておるのであります。しかし、科学的知識というものは一朝一夕にしてできるものではございませんから、原子力というものの性格をよく理詰めで、平易に国民の皆さま方に御理解願う、そしてある条件下においてはこれこれの安全性があるという科学的な正確な認識を国民に得ていただくということが大事であるだろうと思います。原子力は安全であるといっても、絶対に安全ということはないのであって、ある条件下における安全性というものであるだろうと思います。そういう点に対する啓蒙というものをもっと科学的にやる必要がある。われわれは政党人で、気が短いものですから、ややもすると何でもかんでも安全だというふうに言い切りたがるものでございますけれども、やはりそこのところは科学的に、科学というものは常に前提があるわけでございますから、前提をよく解明しつつ、これらの条件下では安全なんだ、そういう科学的な態度が必要ではないかと思います。
それから第二番目に、原子力発電等を推進していく上において、国家の体制の問題が私はあると思います。つまり、私企業の電力会社等のみが非常に力を入れて、出過ぎて、国が果たすべき責務を果たしていないというところに、やはり日本の資本主義がややもすれば誤解を受けている性格がありますから、住民の皆さんが不安を覚えられるということもあります。この点は、政府の出おくれ、あるいは政府の力の足らざるところが多々あると思うのでございます。やはり国家的責任において、こういう未知の科学技術については、政府がもっと乗り出してやるべき分野が非常にあると思うのであります。そういう点においてわれわれは反省を加えながら、さらに充実した政策をやっていきたいと思っております。
それからやはり電力開発の必要性という問題についても、もう少しわれわれがPRする必要がございます。イザヤ・ベンダサンじゃありませんけれども、水と安全保障はいつでも得られる、そういうふうに思っておったのが、石油問題でそうでないということが非常にわかりました。やはりエネルギーの安全保障ということを常時われわれは防衛と同じ以上に心がけて、みなの努力で蓄積していかなければならぬものであると思っております。軍事的安全保障以上に資源的安全保障とか、エネルギー的安全保障という考え方をもっと前面に出してやる必要があるように思います。いずれにせよ、この分野においては、政府の力の足らざるところや責任に帰すべきところも多々あると思いまして、そういう点についてはわれわれも大いに反省をして充実していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/89
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090・玉置一徳
○玉置委員 電気ガス税の問題は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/90
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091・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 失礼しました。
電気ガス税の問題につきましては、本日、自民党の政務調査会におきまして、今度の料金の値上げによって電気ガス税、特に電気税の増高分がある。これがある説では三百五十億といい、ある説では六百億といっておりますが、これらを国民に還元しなければならぬ。これは私もきのう御答弁申し上げたところでございますが、大体二千円に基礎控除を上げよう、それから一%下げよう、こういうことをきめて、次の臨時国会に至急出すという考え方に落着した由であります。私は適当な考え方であると思っております。これが早く実現されるように希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/91
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092・玉置一徳
○玉置委員 質問じゃありませんが、前段の発電あるいは原子力に対する大臣の答弁は、総理級のなかなかりっぱな、謙虚な答弁だった。そこで、日本人はまず科学に非常に弱いということ、それからまず原子爆弾で洗礼を受けて、原子力といえば、原子爆弾、したがって非常の事態には爆発するというようなことすら思っている。(発言する者あり)私も、もう一番弱いのです。板川さんのまだもうちょっと弱いぐらい弱いのですが、そこで科学に対する態度というのですか、これが全然お互いになっておらないので、ジャンボジェット機だって条件によれば落ちて三百人も死ぬことがあるのですが、あれが絶対落ちないようにしてからでないと飛ばしたらいかぬというような議論も間々行なわれておるように思うのです。原子力についても、だから一定の条件のもとには絶対だいじょうぶなんですという説明をせぬと、森山科学技術庁長官も、少しさっきのは点数がよくありませんでした。こういうような意味で、ひとつ十分なPRをしていただくようなことを心から期待をいたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/92
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093・田中六助
○田中(六)委員長代理 渡辺三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/93
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094・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 私は、まず最初に電調審の問題について若干お伺いをいたしたいと思います。
きわめて常識的、基礎的な問題でありますが、この電調審のいわゆる開発調整をやる、これはどことどのような形で調整をやられるのか。きわめて基本的な問題ですが、お伺いをしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/94
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095・伊藤謙一
○伊藤(謙)説明員 お答え申し上げます。
電源開発調整審議会におきましては、毎年度の電源開発基本計画を策定するということが主要な所掌事務でございます。毎年度の電源開発基本計画を策定するにあたりましては、私ども事務局のほうで原案を用意いたします。そして各省の幹事省庁が十一省庁ございますが、そことも十分な連絡をとりまして、幹事会において候補地点を決定した上で電源開発調整審議会におはかりすることにしておるわけでございます。その際に、最近におきます環境問題の重要性といった点を考えまして、あらかじめ地元の意向を徴するということで私どもの総合計画局長名で都道府県知事の意見をお伺いいたしまして、そういった地元の意向を十分踏まえた上でこれを電源開発調整審議会に御報告申し上げまして、そういう形で審議をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/95
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096・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 そうしますと、いま二つあるわけですが、一つは各関係省庁、この間でいろいろ調整をやりながら幹事会にはかってその原案を持ち寄って電調審にはかる。それからも一つは、地元の意向がどうであるか、この問題を十分に究明する。その際の地元の意向というのは都道府県であり、あるいは立地を予定される市ないしは町である、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/96
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097・伊藤謙一
○伊藤(謙)説明員 ただいまの先生の御質問では、地元の意向というものは都道府県知事のみならず、地元の市町村段階まで含めるのではないかという御質問かと思いますが、これにつきましては、私ども都道府県知事に意見を照会する際に、地元の意向を十分くまれた上で御回答いただきたい、そういう質問といいますか、意見照会をいたしておるわけでございます。したがいまして、県知事から寄せられた御意見の中には、当然地元の市町村の意向が含まれておる、そういうふうに理解しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/97
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098・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 これはあとで少し具体的にまたお聞きしたいと思います。
その次には、これはエネルギー庁にお聞きしたいわけですが、電調審ですでに決定をされておるけれども、まだ着工できない。これは私も、前のこの法案が本会議に提案をされた際に本会議で質問をした際に申し上げましたが、その際には三百五十万キロワットが決定済みであってまだ着工できないのだ、こういうふうに申し上げました。これは通産大臣もその点については本会議の答弁で確認をいただいたわけでありますけれども、その後状況はどのように進展しておるか。たとえばその後の電調審で決定をした、そしてすでに着工しておらなければならないのですけれどもいろいろの理由で着工できない、こういうふうな点が加わったかどうか。あるいはまた、質問をしたのは去年の五月の八日でありましたから、その当時は着工できなかったけれども、その後いろいろな地元との折り合いがついてすでに着工されておる、こういうふうな地点がもしあるとすれば、それはどの地点であって、それから出力はどのぐらいになっておるか、その点少し詳しくお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/98
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099・山形栄治
○山形政府委員 電調審で決定されたにもかかわらず、調整がとれませんで、まだ着工できない火力、原子力につきましては、いまお示しの三百五十万キロワットでございます。これは五カ地点でございます。
〔田中(六)委員長代理退席、稻村(佐)委員長代理着席〕
その後の推移でございますが、この五カ地点のみでございまして、完全に地元との調整がとれないで着工できないのはこれだけでございます。ただし、たとえば酒田の例のごとく、電調審の決定に条件がついておりまして、これが地元と調整をはかることということを前提にしたいろいろな条件がついておりますが、その条件が現在時点でまだ詰まってないために着工できないというのはあるわけでございますが、われわれのいま申し上げました三百五十万キロワットというのは、条件づきでなく、決定されたものが着工できない未着手のもの、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/99
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100・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 昭和四十五年十月の第五十三回の電調審において、「火力・原子力発電所の立地の円滑化について」という報告書がまとめられております。この報告書を詳しくいまここで申し上げようとは思いませんが、趣旨としては、当該年度の開発地点の決定については地元との調整ができている、こういうことが条件とならなければならないおいう趣旨のまとめであります。でありますから、この五十三回の決定を待つまでもなく、私は、実際に発電所を建設するという場合には地元との十分な話し合い、調整というものが前提になっておらなければならないと思いますし、そうでないところに三百五十万キロワットを決定をしたけれども実施できない、こういう状況になっているんだと思うのです。この点については、これは電調審の見方が非常に甘かったのではないか、こういうふうに考えられますし、それから通産当局としても、こういう問題が電調審にかけられる前提としては、地元の電力会社あるいは県、こういうところと当然十分な打ち合わせが事前になされておって、可能かどうかがチェックされておる、このように判断するわけですけれども、その原因は、現実にこれだけ着工されてないという原因、これはどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/100
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101・山形栄治
○山形政府委員 五カ地点三百五十万キロワットが未着手になっておりますが、これは決定後に周辺漁民及び住民の方々との間で安全、公害問題につきまして調整がつきませんで、特に温排水問題、それから原子力の場合におきます放射能に対する安全問題等につきましての地元の調整がつかなかったのがその原因でございます。
なお、先ほどちょっと私間違ったことを申し上げましたので御訂正いたしますが、酒田共同火力につきまして電調審で条件が付されておった、その条件は地元との調整をつけるということが条件であったと申し上げましたけれども、これはちょっと間違いでございまして、条件は今後のエネルギー情勢及びアルミ精錬に関する計画の具体化を見きわめて後処置を進めることという、エネルギー情勢とアルミ精錬の需給問題等を見きわめてということが条件でございましたので、御訂正申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/101
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102・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 いま長官からも言われましたし、それから先ほど経企庁の伊藤電源開発官からも出たわけでありますけれども、決定をしておりながら事実上着工できない。これはいま長官がその理由を幾つか並べられたわけですけれども、私はこれはあとで総括的に申し上げたいと思っておりますが、まず安全性、公害に対する不安、それから生業を奪われる——特に漁民なんかの場合、あるいは農地をつぶされるということも出てきましょうが、こうした生業を奪われる、転換しなければならない、こういうものに対する不安、抵抗があります。しかし、非常に重要なのは手続段階でもあるのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。先ほど、各市町村あるいは市町村を通して住民の電源立地に対する考え方というものを十分に吸い上げて、そして県は意見をまとめて出すんだ、こういうふうなお話がありました。これは当然そうならなければならぬと思うのですけれども、実際は都道府県段階でも必ずしもそうなっておらない、私はこういうふうに思うのです。これは幾つかの実例がありますから、それらの問題については時間があればあとで触れますけれども、今回の法案によりますと、いわゆるこの法案の審議が始まりましてから何回か指摘がありましたように、新たに交付金が出る、そういうふうな金に魅力を感じて都道府県は何としてでも無理を押し切ってでも立地をしたい、こういうふうな考え方があるということが指摘されておりますけれども、この問題とも連なる問題だというふうに私は思うのです。住民の意見が必ずしも十分に都道府県に集約されて、それが電調審に反映されておらない。ですから、何とか電調審だけを乗り切ればよろしい、そうしてしまえば着工できるんだ、こういう誤った考え方が地元の意見を代表すると称する県などに強くあらわれておった場合には、電調審の見通しそのものを誤る結果になりますし、たいへんな災いがしこりとしてあとに残る、こういうふうに考えるわけなんであります。そういう点はあとで少し詰めながら申し上げたいと思うのですが、次にいま長官のほうから酒田の問題が出ましたから、これに関連をして少し具体的な問題でお聞きをしてまいりたいと思います。
いま長官からお答えがありましたように、六十三回の電調審、十二月二十日だと思いますが、ここで新規着工計画をいたしまして、そして今年度から工事に入る、三十五万キロワット二基、こういうふうな状況になっております。この中で長官も述べられましたエネルギー情勢、それからアルミ精錬に関する計画の具体化、これを見きわめるというのが許可の一つの条件になっておるわけです。
〔稻村(佐)委員長代理退席、左藤委員長代理着席〕
この第一のエネルギーの見通し、これはアルミ精錬の場合には電気を非常に多く食う、こういうふうな点から出された一つの条件だと思うのですけれども、これと、それからアルミ精錬に関する計画の具体化を見きわめる、この二番目のほうは一体どういう意味なのか、それからだれが見きわめるのか、そして、いま見きわめがついたのかどうか、こういう点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/102
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103・山形栄治
○山形政府委員 エネルギーの全体の需給の問題につきましては、産業構造のあり方も含めましていま総合エネルギー調査会、産業構造審議会等で検討もいたしておるわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、日本全体としての必要な物資につきましてはこれを日本でまかない、適正なる輸入も含めて需要は充足しませんと、物価問題なり国民生活問題等が発生するわけでございます。したがいまして、本件の二つの条件におきましても、むしろアルミ精錬及びアルミニウムの需要の問題がやはりまず考えられるべき問題であろうかと考えるわけでございます。
過去十年間のわが国のアルミの需要を見ますと、年率平均二〇%という高い伸びを示しておるわけでございます。今後につきましてはかかる高い伸びは期待できないと思うわけでございますが、なおかなりの伸び率が必要であります。これはアルミというものの性質、特に住宅関係の需要、代替性のないアルミサッシ等非常に重要な問題も含んでおりますので、ある程度の伸びは確保しなければいかぬと私は思うわけでございます。しかしながら、これを全部日本の国内で立地し、日本国内だけで自給自足的に確保するという考え方は狭過ぎる考え方ではないか。そこで海外立地がアルミ業界ではいろいろと考えられておるわけでございますが、現時点におきましていろいろと個々の案件もあるやに聞いておりますけれども、いずれにしましても、この実現に相当長期間を要することが考えられておるわけでございます。したがいまして、私の感じ——所管局長でございませんので若干あれでございますが、この酒田のアルミ精錬というものは、アルミの需給問題から見ますと、それは一応前向きに考えざるを得ないのじゃないかという感じを持っておりますが、しかし、これを進めます場合に、第一の条件でありますエネルギー問題、それから地元との公害問題、安全問題等につきましてはもちろんのこと、これは調整をはかって指導しなければいかぬ、こう考えておるわけでございます。
それから、第二の御質問の、この条件を満たしたかどうかの確認ということでございますが、これは結論だけ申し上げますと、いま申し上げましたようないろいろな条件、おそらく条件がこういう意味で充足されたということにつきまして会社側からも正式の申請が出されると考えられますので、その段階で通産大臣が条件を満足しているかどうかということを確認いたしまして、それでチェックした上で処分を行なう、こういうことに相なろうかと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/103
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104・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 いまお答えいただいた最後の部分について重ねてお伺いをしたいわけですが、これは電調審の運営にかかわる問題だと思うわけです。たとえば具体的にいまの事例で申し上げますと、六十三回の電調審で、酒田の共同火力を設置するということは、電調審が認める段階では、いま質問し、お答えをいただきました二つの条件がある、この二つの条件について満たされたという判断は通産大臣がおやりになる、こういうふうなお答えでありました。電調審は環境庁も入り、通産省も入り、あるいはそれらをまとめて事務局を経企庁が担当される、こういうふうなことだろうと思うのですけれども、もう一度電調審に、その条件を満たしたかどうかということがはかられるのかどうか、そうではなくて、この問題は主管庁である通産省の問題であるから、通産省だけが判断すればいいんだ、こういうふうになるのか、他の場合の例もそういうふうになっているのか、これは重ねてちょっともう一度お答えいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/104
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105・山形栄治
○山形政府委員 先ほど通産大臣が確認をいたすということはちょっと言い過ぎでございまして訂正さしていただきたますが、この確認にあたりましては経済企画庁に御協議することに相なっております。今度電調審との関係につきましては、企画庁側から御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/105
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106・伊藤謙一
○伊藤(謙)説明員 お答え申し上げます。
ただいまの電源開発調整審議会におきまして付された条件でございますが、この後段の部分で、諸般の措置を進めるものとするということがあるわけでございますが、これにつきましては、具体的に電気事業法第三条によります事業の許可及び同じく電気事業法第四十一条に基づきます工事計画の認可に関する手続をさすということで、審議会で御了解いただいておるわけでございます。したがいまして、この条件の確認につきましては、通商産業省がお願いするというのが妥当ではないかというふうに考えておりますが、先ほど長官からも御返事がございましたように、私どものほうにも御連絡いただくということになっております。そういった状況を踏まえまして、その結果につきましては、その時点で開かれます電源開発調整審議会に御報告をいたしまして御了解いただきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/106
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107・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 あとで少し公害の問題を申し上げるわけですけれども、酒田の場合には、アルミ精錬にかかわる問題でありますだけに、非常に昨年の暮れの石油問題あるいは物価問題の連合審査の際にも議論になったわけでございます、つい最近になりまして、産構審に非鉄金属部会を新たに設けて、アルミなどについての今後の業界のあり方、施策、そういうものを検討する、こういう報道がなされております。これによりますと、部会は、とりあえずきわめて少人数で構成をしながら、六月中にも中間報告をまとめたい、それから先ほどちょっと長官が触れられました海外立地の促進の問題あるいは精錬から圧延、最終製品までの一貫体制を重視をしながら今後の施策を進めていく、このようにいわれておるわけでございますけれども、この部会の正式な発足といいますか、委員が任命をされ、構成をされて作業が始まっているのかどうか。それから報道されておりますように、アルミに関して私お聞きしたいのですけれども、六月中旬ごろまでにその施策の大綱というものができるのかどうか、この点をお伺いたします。
それから時間との関係がありきすから、ついでにこれにかかわってもう一つお尋ねをしますけれども、同じく産構審の、今度は産業資金部会、この小委員会が四月の二十三日に開かれて、四十九年度の設備投資の計画について審議をされておる。その中では、これもアルミでありますけれども、総需要抑制の観点から見て、投資計画が過大である、こういうふうな意見が強く出されたというふうに聞いております。これはアルミだけではもちろんありませんけれども、アルミもその中に入っていると思うのです。そういう点についてこの二つのそれぞれの部会、質問した趣旨に沿っての御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/107
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108・奥田義一
○奥田説明員 お答えいたします。
まず第一の点でございますが、産構審の中に非鉄金属部会を設けるということは、まだ決定しておりません。内部でも、そういう何らかの形で長期ビジョンというものを検討を始めているわけでございますけれども、どういう場でやるとか、どういう委員の方を選んでやるということも、全然決定するに至っておりません。
それから第二の点でございますが、設備投資の点が過大であったという御指摘でございますが、アルミ精錬、圧延を含みまして千六百五十二億円の会社側投資計画に対しまして、二百三十億円削減して決定しております。この場合、精錬につきましてはすべて継続工事でございまして、全く新規の精錬工場の着工というのは一つも入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/108
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109・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 重ねてお聞きをしますが、そうしますと、私二つに分けて御質問を申し上げましたが、最初のこの非鉄金属の部会については、まだ全然設置をしておらない、こういうふうなお話でありますが、設置するお考えがありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/109
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110・奥田義一
○奥田説明員 設置するという方向で検討を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/110
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111・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 いつごろ設置される大体のおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/111
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112・奥田義一
○奥田説明員 早ければ六月ごろ、ただし非鉄金属部会という形になるかどうかわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/112
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113・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 そうしますと、これは緊急を要する施策として六月中旬から末ごろまでには中間的なまとめを出したいというのではなくして、六月ごろに早ければ設置をしたい、そしてどのぐらいかかるかわからぬけれども、設置はともかく六月ごろだ、こういうふうなことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/113
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114・奥田義一
○奥田説明員 お答えいたします。
目的といたしますところは、短期的な政策ではございませんで、今後のアルミ産業のあり方、海外精錬を含めまして、アルミ産業のあり方という長期的なビジョンを得ることが目的でございます。したがって、六月に設定して直ちに短期的政策に間に合うような結論を出すという趣旨では考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/114
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115・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 またさっきにちょっと戻りますけれども、酒田の、計画によれば今年度から初まる三十五万キロワット二つ、この電源開発につきましては、ここに進出を予定されております住軽アルミ、これに使用される電力はどのぐらいの割合になるのですか。C井上説明員 東北電力と住軽アルミと半々でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/115
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116・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 それから、電調審で条件がつけられたわけですけれども、この酒田に二基計画されておるわけですけれども、これは県の計画によりますと、酒田北港の開発、この全計画の中の不可欠のものとして発電所の計画があるわけです。当初の計画が現状においては土地購入その他、これはもういままでも何回もここで議論されましたように、地元住民からの非常な強い抵抗があって、県段階では大幅にこれを変更しなければならなくなるかもしれない、これを正式に県議会の中で責任者の知事が発言をしておるわけであります。こういうふうな状況については一体どの程度現状をつかんでおられるのですか。それからまた、もしそういうふうになった場合に、電調審にかけられて決定をされました三十五万キロワット二基、この建設はどのような影響を受けていくことになるのか、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/116
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117・井上力
○井上説明員 土地造成、港湾建設等に関します計画の変更等によりまして、発電所の計画が変更を受けるような事態にあるということは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/117
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118・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 前段の問題について少し答えていただきたいのです。というのは、第一点は、当初の全体計画が相当大幅に縮小されざるを得なくなるのではないか、こういうふうな問題についてはどの程度つかんでおられますかということです。
第二点はいまあなたがお答えになったような内容でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/118
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119・井上力
○井上説明員 全体計画の変更の問題につきましても、私どものほうでは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/119
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120・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 次に、少しこまかい問題になってまいりますけれども、これは非鉄金属課長にお聞きすることになりますが、このアルミ一トン当たりの消費電力は一体どれくらいに見積もっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/120
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121・奥田義一
○奥田説明員 酒田の場合には最新設備を使いますので、精錬自体では一万四千キロワットアワーぐらいでございます。そのほか、圧延分を含めまして一万五千キロワットアワーをちょっと上回るという程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/121
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122・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 そうしますと、これは住軽の計画では最終的には年産十八万トンでやっていきたい、もちろん直ちにそこまで到達するわけではありませんけれども、そういうふうな形になるわけです。そうすると、この電力については三十五万キロ、これが二基というふうなかっこうになりますけれども、年産十八万トンというフル操業というふうになった場合は、いま計画されておりますところの三十五万キロワット、この二基、これで十分に対応できるのかどうか。それからまた、対応できるというふうなことになるとすれば、どのくらいの余力が出るのか、その辺の計算はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/122
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123・奥田義一
○奥田説明員 最終計画まで満たすだけの発電量になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/123
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124・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 なぜ私こういうことをお聞きするかといいますと、たとえば、原子力の場合にはもちろんでありますけれども、火力の場合でも新しく発電基地をつくるということについては非常に問題がある。あとで質問しますけれども、公害の上でも非常にまだ多くの問題が残されておる。そういうふうな場合に、アルミ精錬で三十五万キロワットの大型の発電所を二基つくって、しかも、そのほとんどがアルミ精錬に費される、こういうふうな状況についての大きな問題をやはり地元の住民としては持っているわけです。電力が足らぬ、電力が足らぬというふうにいわれておりますけれども、新規にアルミ精錬工場、圧延を含めてですよ、そういうものがつくられる。しかし、その苦労してつくられていく発電の基地、そこから出る電力、これがほとんどアルミ精錬に使われる、こういうふうな状況になることについて、住民側の非常に拒否反応があるわけです。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/124
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125・井上力
○井上説明員 先ほど御説明いたしましたように、アルミ向けに使われる電気は発生電力の二分の一でございまして、残りの半分につきましては、一般用の電力ということで東北電力の需要家に送電されるわけでございます。
また、公害防止の問題につきましては、これは地元の要求に応じまして、また、いろいろな基準を十分に満足いたすように十分な公害対策をとるよう指導しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/125
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126・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 地元の説明とだいぶ違うのですね。私ども単純に考えますと、このアルミの年産十八万トン、それは三十五万キロワット一基で間に合うのじゃないか、二基もつくる必要がないのじゃないか、これが当初地元側の言い分でありました。ところが当局の説明は、これは当然皆さんも御存じなわけでありますけれども、年に一カ月ないし二カ月の検査期間というものはどうしても必要だ、そうなると、二基でありますから二カ月ないし四カ月という空白期間ができる、その間工場を休ませるというわけにはいかない、ですから二基を必要とするんだ、非常に単純な説明をしますとこういうふうな説明になっているのです。いまおっしゃいました、半分は一般用に全部振り向けられるということは、一基三十五万キロワット、それを半分にしますと十七万五千キロワット、これで間に合うということなんですか。そこは説明はどうなんです。そういう計算ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/126
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127・井上力
○井上説明員 三十五万キロワット二基でございますので、三十五万キロワット一基分の電力はアルミ精錬のために必要であるというふうに聞いております。
それから先生御指摘の定期検査時の問題でございますが、これはどの火力発電所におきましても、保安並びに信頼性を維持するということのために、法律によりまして年に一ぺんの定期検査を行なうわけでございまして、この際、かりに一基だといたしますと、電力会社よりその分のその間におきます電力は受電するということになります。二基ありますとその辺相互に融通いたしまして、一基分につきましては、その間電力のほうに向けまして送電ができなくなるというようなことが起こるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/127
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128・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 この問題だけで時間をとるわけにまいりませんから、次に、環境庁来ておられると思いますけれども、このアルミ公害についてお伺いをしたいと思うわけです。
アルミ精錬工場の予想される公害、これは圧延工場も含めていろいろあるわけですけれども、その中で電解炉から出てきますところの弗素化合物、この大気汚染とその影響についてお伺いをしたいわけであります。
これはまず最初、全体的に聞きますけれども、この弗素化合物についての汚染防止対策は、今日もう完全になされておるかどうか、この点をまず最初にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/128
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129・石田齋
○石田説明員 お答え申し上げます。
アルミ工場から出てまいります弗素あるいは弗化水素、これに対しまして、大気汚染防止法上有害物質ということで政令指定いたしまして、それに関する施設から出てまいります排出の濃度を定めております。したがいまして、この濃度に適合するような施設をつけていただく、そういうようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/129
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130・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 ちょっと聞き漏らした点があろうかと思いますけれども、この弗素化合物の中で、ガス状の弗化物、それから水溶性、難容性、通常いわゆる粒子状弗素というふうにいわれていると思いますが、この排出の割合は環境庁としてはどのくらいに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/130
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131・石田齋
○石田説明員 大気中の弗素の粒子状弗化物とガス状の弗化物、この割合は、都市あるいはアルミ工場の周辺、これによっていろいろ変わっております。一例としてアルミ工場の周辺でとりましだデータによりますと、粒子状可溶性の弗素量というものがかなり多くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/131
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132・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 これは必ずしも全部が当たっておるというふうに、私は専門家じゃありませんからわかりませんが、秋田大学の滝沢教授がずっと測定をされた内容を見てまいりますと、ガス状の弗化物と、それから水溶性プラス難溶性の粒子状弗素、この割合は一対十になる、こういうふうにいわれておるようです。したがって、この粒子状の弗化物というのが非常に割合が多い、このように認識できると思うのです。
そこでお伺いをするわけですが、ガス状の弗化物については、先ほどもちょっとお話があったと思いますけれども、継続的な観測の技術が相当進んで確立をされておる、このように認識をしておるわけですが、この粒子状弗化物の観測技術、これはまだきわめて不十分、まだ十分に確立されておらない、こういうふうにお聞きをしておるわけです。その毒性についてもまだ不明確な点がある、こういうふうにいわれておるわけでありますけれども、この点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/132
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133・石田齋
○石田説明員 現在、先生の御質問の中に二つあるかと思いますが、まず、環境中の弗化物の濃度測定方法につきましては、現在、環境庁におきまして粒子状の弗化物、それとガス状の弗化物、これを分けまして、これを採取し、あるいはそれを測定するというような分析方法等につきまして専門家の方々にお集まり願いまして検討中でございます。したが、いまして、現在は確立した技術はない、こう申せます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/133
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134・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 おっしゃるとおりだと思うんですね。そうしますと、そういう点での公害対策という面でもまだまだ研究不十分、目下検討中、こういうふうな状況があるのだと思うんですよ。そうした中で大規模のアルミ製錬工場がつくられる、そして先ほどのお話でありますと、正確には数字の上で半分というふうにはならないと思いますが、半分以上ですね。半分以上、そういう製錬工場のために電源立地される、こういうふうな性格がきわめて明確なんですよ。酒田の共同火力の問題についていえば、こういうふうな状況から私は考えてみますと、これは具体的な事例で申し上げたほうが一番よろしいと思ったからこれに時間をかけて詰めたのですけれども、やはり地元の住民が、今後人体にどのように影響があるだろうか。あるいは御承知のようにあの地方は、米はもちろんでありますけれども、その他のくだもの、そういう非常な肥沃な農地をたくさん持っておる庄内平野です。そういうふうな状況の中で、かりに弗化物の拡散の範囲というものは非常に限定されておるにしても、そういう点が十分に解明されていない、あるいは測定の手法、技術的な方法というものもまだ不十分である。そうしますと、そういう点が十分に解明されないままに火力発電所というものがどんどん設置をされていくということに対する地元の不安というものは、当然十分になくならないのだと私は思うのです。その点は一体どうでしょうか。これは長官にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/134
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135・山形栄治
○山形政府委員 アルミの製錬計画及びそれに関連する電源の問題でございますが、特にアルミの製錬計画につきましては、昭和四十七年の七月二十日に会社側、これは住軽アルミでございますが、この会社側と山形県酒田市との間で公害基本協定が締結されておるわけでございます。現在、その細目の協定につきまして、酒田市におきまして審議されておると聞いておるわけでございますが、この細目の締結が一日も早く円満に妥結することを願っておるわけでございます。
なお、土地造成、港湾建設等につきましては、それぞれ県または国におきまして計画どおり進んでおる模様でございますけれども現在のところ、まだ具体的な着工はいたしておりません。当然のことでございますが、先ほど言いました細目協定が円満に締結できません限りにおきましては、この具体的着工はすべきではない、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/135
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136・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 いま長官が言われましたように、細目協定が両者で合意をされて、そして円満にこれが解決されるということは、もとよりわれわれも強く望んできたのです。また現在でも強く望んでおるわけです。
それで、先ほど言われました公害防止協定、こういうふうな問題についても、これはつい最近ですが、五月十日に酒田市公害防止対策審議会、これは市の諮問機関であります。この公害防止対策審議会から県の知事あてに「基本計画の一部改訂方について」という文書が出されておる。その内容を言いますと、いま御質問した弗素の問題にかかわっているのです。「先般、市当局から貴県に照会した結果、「粒子状水溶性ふつ化物を含めて設定したものである。」」、こういうふうな説明がありますが、これだけでは不十分だから、この問題については明確に解明をしてもらいたい、こういう趣旨の文書が県あてに市から出されておるわけです。ところが、これに対する県の回答は、「当該物質に係る測定の方法が普遍化された時点で、」——したがってまだ普遍化されていないということですが、「普遍化された時点で、測定方法等とあわせて御要望の基本計画の一部を修正する」こういうふうな回答がなされておるわけですね。ですから、先ほど来、ずっとこまかく環境庁のほうにも御質問申し上げました内容については解明されていないということを県自体が認めざるを得ない状態になっている。特にいま弗素の問題を出しましたのは、アルミについて特有の問題として出てきておる、こういうふうな点から具体的に私はお聞きをしたわけです。ですから、長官が一般論としてお答えを願ったような点についてはわかりますけれども、現実にはこういう具体的なものの解明がまだ十分にできておらない。したがって、細目協定もまだできないままになっている、こういうふうな点であります。
それから、時間の関係がありますからちょっと先へ進ましていただきます。
次に、窒素酸化物の汚染の実態、この問題について、これも環境庁にお聞きをしてまいりたいわけですが、先ほども前者の質問に対してちょっと答弁があったようでありますけれども、現在、いわゆる工場のある地域の汚染度の実態、これはどのようになっているか。それから火力発電所周辺の汚染は現在どの程度であるか、これを最初にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/136
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137・石田齋
○石田説明員 お答え申し上げます。
二酸化窒素にかかわります環境基準は昨年の五月に新しく設定されたわけでございますが、これは一日二十四時間平均〇・〇二PPMということでございますけれども、これに昭和四十七年度の常時環境測定局の測定結果を見ますれば、全国で松江市の一局だけが適合しておるといった状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/137
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138・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 去年の七月二日に環境庁では窒素酸化物排出規制検討委員会、ここから中間報告が出されております。これを見ますと汚染地域以外の汚染度は平均〇・〇四PPMだ、それから汚染地域と考えられる地域の汚染度、これはおおむね〇・〇六PPMである、当時の現状としては大まかにこういうふうな状況になっているという中間報告が出されております。この去年の七月二日現在で出された検討は、いまでもそう大きく変わっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/138
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139・石田齋
○石田説明員 昨年の時点におきまして、先ほど先生からあげられました数字につきましては、たしか昭和四十六年度の実績かと思います。四十七年度においても同じ傾向だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/139
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140・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 そうしますと、先ほど課長からお答えいただきましたように、この環境の基準は〇・〇二PPMですから、二つに分けまして、汚染地域以外の現状としては基準からいいますとおおむね二倍であります。それから汚染地域と考えられているところは〇・〇六PPMでありますから、この基準からいえば約三倍であります。これをそれぞれ五年以内、それから八年以内に環境基準に合致をさせていかなければならない、こういうふうになるわけです。合致をさせていくためには一体どうなるのか、こういうことの計算でありますけれども、これは窒素酸化物三〇〇PPMを排出する施設の場合には、汚染地域以外の場合には九〇PPM、それから汚染地域の場合には四五PPM、こういうふうな排出濃度にしていかなければならないというようになってしまうと思うのですね。これは中間のまとめでもそういうふうになっておりますが、そのとおり確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/140
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141・石田齋
○石田説明員 昨年の中間報告書にはそういうような数字が出ております。ただし、これはたしか毎年燃料消費量がその地域におきまして一〇%の伸びという仮定がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/141
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142・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 そのとおりであります。一〇%ずつの伸び、こういうふうなことを前提としていま言ったような計算が出てくるわけです。その後の推移は若干の上下はありますけれども、いまの段階ではそういうふうな計算の基礎に沿ったような形での燃料消費、こういうふうに行なわれていくと見通されますから、その計算を前提とする限りにおいては、いま私が指摘をし、課長がお答えを願ったような内容になっていくだろう、こういうふうに思うのです。
それから次には、窒素酸化物による汚染について火力の比重ですね。これは非常に高いと思うのですけれども、資料がおありになればこの点についてもお聞きしたいと思います。
〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/142
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143・石田齋
○石田説明員 ただいま詳しい資料を手元に持ち合わせておりませんので、ちょっと後ほど御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/143
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144・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 残り時間が非常に少ないようでありまして、私の計算ですとあと十分あるはずなんですが、いまの連絡では五分しかないというふうなことなんです。
大体私どもの見方によりますと、大都市部において、それから地方都市においてはその内容は非常に違うと思います。内容は違うと思いますけれども、自動車を走らせてそこから出てくるもの、それから工場で火力を使ってそこから発散されるもの、こういうふうなものの割合は、当然東京などの場合と地方都市の場合とは非常に違うと思うのですが、地方の場合には火力発電所によるものがそのウェートが非常に高いと思う。こういう点で、窒素酸化物による汚染度というものは火力発電所の占めるウエートというものが非常に高い、こういうふうに思うのでありますけれども、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/144
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145・石田齋
○石田説明員 先生の御指摘のように、都市あるいはコンビナート地区によりまして、自動車から出てまいりますものと、工場から出てまいりますものと比率は変わっておりますが、たとえば東京においては自動車が七、工場等が三、あるいは大阪では自動車が六の工場が四、そういったような、各地によりまして違った形態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/145
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146・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 窒素酸化物の問題については非常に中途はんぱになってしまいましたが、これはあとで私どもの同僚の委員からさらに関連をして質問をさせていただくことにしまして、時間がありませんからこの問題については一応私からの質問としては終わります。
最後に、法案の問題についてお聞きをしたいわけなんです。昨年の七十一国会に提案をされました法案と、それから今回内閣修正による本法案の違いについては、本法案の審議が始まりましてから幾つか明確にされました。ただ私は、去年出された法案、それからことし内閣修正によって出されたものと、わずか一年でありますが、相当基本的な問題について修正があったというふうに私は私なりに認識をするわけであります。そうしますと、時間がありませんから申し上げるわけでありますけれども、去年出された法案というものは全く実情に沿わない、きわめてずさんなものであった、こういうふうな言い方もできないことはないわけであります。その点についてはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/146
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147・山形栄治
○山形政府委員 昨年の七十一国会に出しました法案でございますが、その後御存じのとおり、いわゆる石油危機が発生いたしまして、わが国のエネルギーを強化拡充しなければいかぬという要請が非常に強まったわけでございます。御存じのとおり、昨年の法案のときには水力発電設備等は対象になっておらなかったわけでございます。また、隣接市町村のまた隣接市町村というようなものも対象にならなかったわけでございます。なお、昨年の法案におきましては、補助金のかさ上げを主たる内容といたしたわけでございますが、いま申し上げましたような今後のエネルギーの強化ということを前提にいたしまして、電源開発促進税及びその特別会計を創設いたしまして、より一そう目的的にはっきりとしたかっこうで発電用施設周辺地域の整備をはかる必要があるということが根幹でございまして、ちょっと弁解がましいのですが、事態の推移に即応して今回内閣修正を行なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/147
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148・渡辺三郎
○渡辺(三)委員 最後に申し上げます。
いま長官からお話のありましたこの違いの内容については、十分に認識をした上で御質問申し上げているわけであります。去年五月八日に通産大臣から提案があって、私も本会議で質問を申し上げたわけでありますけれども、この中では、現在及びきわめて近い将来に、石油を中心とするエネルギー資源の必然的な制約が大きくのしかかってくる、これに対して、当然、開発もさることながら、一面において、この節約政策というものを積極的にとらなければならないという問題があるだろう、これは産業の構造転換にもつながっていく問題だ、これについては一体どう考えるのかということを総理に質問をした。総理のこれに対する答弁はきわめておざなりで、そしてきわめて抽象的な一般論で、この問題については答えておるわけです。料金の問題もしかりです。当時質問の中で、産業用と家庭用のあまりにもひどい格差、そしてその基礎をなしておる原価割り出し方式の不合理性、こういうものをお聞きをしました。しかし、これに対する大臣の答弁は、当面全く変えることを考えておらない、こういう答弁でありました。しかし、きのう決定を見ました内容は、こればいままでの考え方からいえば、大幅な転換をせざるを得なかった、こういうふうな事情にあろうかと思うのです。電調審のあり方についても私は質問を申し上げました。
それから、これもいま長官、言われましたけれども、地方公共団体に対する交付金の規定、これが新たに設けられて、そして去年出された国の負担率または補助率の特別、それから電気事業者の負担金の規定、これを今回は削られておるわけでありますけれども、このあり方についてもこういうふうに質問をしておるわけです。「公共用施設は、本来、自治体または政府の計画に基づき、また、その財源でもって建設すべきことが原則でなければなりません。特に本案のような地域住民の福祉にかかわる公共施設と企業の負担という関係においては、企業からの取るべきものははっきりと税金として徴収をし、必要ならば、その財源を建設資金に充てるなどの措置が正常な形ではないか。」こういう趣旨の質問を申し上げましたが、当時の江崎自治大臣は、全くそれを否定するような答弁に終始をしたわけであります。しかし、今度の内閣修正による法案では指摘をしたとおりの形になっている。ところが、きのう質疑の中で、わが党の細谷委員が明らかにしましたように、新税はすべて今回の電気料金の値上げ分に組み入れられておるわけです。消費者に全部かぶってきておるわけです。こういうふうなやり方がとられておるわけです。その点については、政府は、私どものこうした問題についての質問に対して、ただ野党の質問であれば否定をすればよろしい、こういうふうな考え方だけで問題を審議されたのでは非常に困るのではないか、こういうふうに私は思うのです。聞くべき問題は十分に聞いて、そしてそれを入れるべき問題については入れてもらわなければ、りっぱな審議というものはできない、こういうふうに考えるわけでありますけれども、最後にひとつ大臣の所見を賜わって、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/148
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149・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 江崎自治大臣が当時どういうお考えで答弁なすったか知りませんが、おっしゃるように、党派的な考えにとらわれずに、りっぱな御意見は謙虚に耳を傾けて、その考えを採用さしていただくという考えがいいと思います。
私も、きのうの電力の決定につきまして、弱者の保護、特に生活保護家庭やあるいは重度身体障害者、母子ホーム等々について現行料金据え置きということをやりましたのは、社会党の皆さんや野党の皆さんの御質問の中にそういうお考えもありまして採用させていただいた、こういうわけでありまして、こういうような考え方に立って実行していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/149
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150・濱野清吾
○濱野委員長 島本虎三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/150
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151・島本虎三
○島本委員 発電用施設周辺地域整備法案について、私はおもに原子力発電の安全性の問題、火力発電の公害防除の問題、この二つに重点を置いて、若干の質問をさしてもらいたいと思います。
まず、通産大臣にお伺いしたいと思いますが、この法案についての説明書です。この中に「近年発電所の立地は、地元住民の反対により難航することが多く、電気の供給力は、計画を大幅に下回っています。」とありまして、これは理由の第二にあげておるようであります。そうなりますと、やはりこの難航することが多い理由の中には、国民が公害をおそれ、同時に安全性の問題に対して危惧を持っている、こういうようなことに相なろうかと思います。
本法案について、いわゆる周辺整備法案、この法の実施、当然公益事業として電気の供給が下回る場合にはどうしてもそれは確保しなければならないが、その場合の公害対策並びに環境保全と発電用施設周辺地域整備法案とは、いずれを先行させる考えでしょうか、まずこの基本的な点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/151
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152・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 その点はやはり安全性の確保、公害並びに環境に対する配慮ということを優先して考うべきであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/152
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153・島本虎三
○島本委員 先ほど渡辺委員の質問に対しまして、酒田の三十五万キロワット二基の火力発電についていろいろ質疑を聞いてまいりました。私はその際、公害除去のために排煙脱硫装置をするのだ、こういうようなきっちりした答弁を承ったのであります。まことにけっこうであります。
そういたしますと、三十五万キロワット二基の火力発電、この公害除去のための排煙脱硫装置これは現在何万キロワットまで技術革新され、使用に耐えるような状態でございましょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/153
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154・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 火力発電所におきまする排煙脱硫につきましては、現在四基、約八十万キロが運転いたしております。五十二年度までに約一千万キロの容量になる、そのように計画いたしているわけでございますが、ユニット容量につきましては、現在一番大きなものが二十二万キロワットで実用運転をしております。近くこれらのものが二十五万、さらには三十五万クラスにスケールアップしていくもの、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/154
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155・島本虎三
○島本委員 排煙脱硫装置は、二十二万キロはできる装置がもう技術開発をされておる、または現在利用されておる、こういうような御答弁のようですが、そのようなことに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/155
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156・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 排煙脱硫につきましては、現在湿式と乾式とございます。乾式につきましては、現在最高容量が十五万キロで、東京電力の鹿島にございます。先ほど御説明申し上げました二十二万キロは湿式でございますが、これらのものは排煙から硫黄酸化物を取るということにおきまして同じでございますが、湿式ということからいろいろ排水処理がさらにそれに加わって必要である、そういうことから現在実証的にだんだんスケールアップしておる、先生御質問の二十二万キロにつきましてはほぼ実用化のめどがついたもの、そのように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/156
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157・島本虎三
○島本委員 その湿式二十二万キロもすでに実用化されておる、こういうようなことでありますが、私どもは三万キロ程度のものしか技術革新がされてないと理解しておるのであります。二十二万キロという、もうすでにこれが実用化されているというと、これはまことに技術の進歩の目ざましいものがある、これは間違いであるかないか、もし湿式で二十二万キロ、乾式で十五万キロの排煙脱硫装置が可能だとすると、それだけの面積は十分あってこれを実用化されているのですか。この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/157
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158・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 排煙脱硫の実施につきましては、大体ボイラー本体と同じ程度の面積が要るわけでございます。たとえば先ほど御説明しました十五万キロでは四千五百平方メートル程度と記憶いたしておりますが、相当大きな用地が要ります。そういうことから新設、既設のボイラー設備ごとにその態様は違いまして、既設設備ではきわめてむずかしい、新設につきましてはあらかじめ用地をとれば可能である、そのように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/158
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159・島本虎三
○島本委員 これは新設のものだけで既設のものは排煙脱硫装置はしなくてもいい、こういうような考え方で、既設のものはそのままにしておくという考え方で、新設のものだけ規制すると足りる、こういうような考えでこの法案を提出されておるのですか。これは少しおかしいのではございませんか。新設だけやっていいものではございません。既設のものも現在すでに焦点になっている問題が多いのであります。これについてはどういう考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/159
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160・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 失礼いたしました。私の説明が不足でございまして、実施上の問題点ということでおおよそ考えられる火力設備の場合、両方御説明申し上げましたが、既設の実施の問題は特にこの際問題でないと思いますので、省かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/160
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161・島本虎三
○島本委員 既設は問題でないということですか。では現在四日市やあの大分やそれから名古屋周辺、こういうようなものは全然問題ないのですか。通産省はそういう考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/161
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162・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 失礼いたしました。火力発電所の硫黄酸化物対策といたしましては、私ども基本に考えておりますのは燃料中の硫黄を減らすということを第一に考えておりまして、その対策といたしまして燃料の低硫黄化、それから高硫黄燃料につきましては排煙脱硫を実施する、そのように考えておる次第でございます。先ほどの既設云々につきましては誤った御説明を申し上げまして失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/162
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163・加藤清二
○加藤(清二)委員 関連して。質疑を承っておりますとどうも答弁があやふやではっきりしませんから関連させていただきます。
あなた、いま湿式は二十二万までスケールアップができたとおっしゃいましたが、それはどこの工場についておりますか。うそを言わないで、ほんとうのことを言わなければだめだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/163
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164・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 二十二万キロにつきましては中部電力の西名古屋火力でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/164
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165・加藤清二
○加藤(清二)委員 動いておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/165
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166・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 昨年秋から動いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/166
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167・加藤清二
○加藤(清二)委員 昨年の何月ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/167
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168・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 記憶が不確かでございますが、たしか九月であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/168
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169・加藤清二
○加藤(清二)委員 調べてあとで提出してください。ここであなたをやっつけようと思っていない。
次、鹿島十五万キロ乾式、これはいつから動き出したか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/169
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170・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 鹿島につきましては昨年三月であったと思いますが、約一年の運転経験を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/170
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171・加藤清二
○加藤(清二)委員 これもよく調べて提出し直してください。私は現地調査をしているのですから。その一部は動いている。将来スケールアップした場合にそういうことになり得る。今日それが動いておったら、あんな大気汚染、すなわちSO2の汚濁はあり得ない。したがって、あとでいいです。
もう一つ承る。その三十五万キロ二基、七十万キロですね、これには一体排煙脱硫装置、さっき万全を期するとおっしゃった。だからお尋ねする。何をどうつけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/171
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172・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 燃料S分を〇・七台にいたしまして、排煙脱硫装置を三十五万につきまして十二万五千容量のものを計画いたしておりまして、さらに地元の御要望等もございましてそれをスケールアップすることを検討いたしておる、そのように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/172
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173・加藤清二
○加藤(清二)委員 それは計画だけじゃだめなんですよ。どこの設備をどこに発注して、いつからつけていつから動き出すかということをはっきりしていただかないと、公害協定違反が行なわれて、そういうことの繰り返しがやがてその土地のトラブルの原因になっているのですから、それをよくわきまえてやってください。
次、低硫黄化をするとおっしゃる。どこの公害協定を見ても、油は何をたきますかと言うと、ミナス原油、こうくる。A重油、こうくる。しかし、マクロの立場から考えたら、それは不可能なことなんです。なぜ不可能かといえば、ミナス原油は三億キロのうちの一体何%輸入されておるか、通産省がよく御存じのはずだ。ミナス原油を全部火力発電にぶち込んだとしても、火力発電の需要には満たないのです。いま二千万キロ入っていますか。A重油は火力発電へ全部持っていったら、これは国際法違反になるのです。ほかに使わなければならぬところがたくさんある。持っていけるはずはない。ところが、電源の会社に話をつけると、必ず口をそろえてミナス原油、A重油、こうくる。ないのです。どこから買うかと言うと、答えが出てこない。だから、そういうお答えであればお尋ねする。この酒田の場合の七十万キロは、どこからどこの油をだれの手からお買いになりますか。そんな空論じゃだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/173
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174・小野雅文
○小野説明員 先生のいまのお尋ね、私どもまだはっきりと知っておりませんので、調べてお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/174
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175・加藤清二
○加藤(清二)委員 こういうことが繰り返されるから、芦原さんが腹を切らなければならぬことになったのですよ。木川田さんまでが責任を負わなければならぬことになったのですよ。そういういいかげんの、うそをうのみにして、値上げのときもうのみ、公害除去もうのみ、それじゃ国民はたまったものじゃない。よく調べて、あとでデータとして出してください。いまあなたたちをやっつけようとしておるのではない。私どもは行政当局とよく協力して、公害をより少なくしよう、健康を守ろう、環境を守ろう、こういうつもりでものを言っておるのですから、うそのデータをうのみにしておってもらっては困ります。
それから、現に実質稼働しているものであったとしても、既設の火力発電につけることは不可能だ。なぜか、それは面積がないからです。したがって、以後新しく設けられる場合には必ず面積をとるようにとかたい約束が行なわれておる。そこでお尋ねする。この酒田の場合、七十万キロの発電に対して排煙脱硫の面積は何ぼとってあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/175
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176・伊藤栄一
○伊蔵(栄)説明員 排煙脱硫の用地につきましては全量がとれるように指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/176
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177・加藤清二
○加藤(清二)委員 何ぼとってあるか、面積を聞く。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/177
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178・伊藤栄一
○伊藤(栄)説明員 手元に資料がなくて正確でございませんので恐縮でございますが、大体ボイラー本体と同じ面積でございますから、約五千平方メートルはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/178
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179・加藤清二
○加藤(清二)委員 そんな想定ではいけません。あなたは計画書を見て許可なさるのでしょう。計画書をごらんになっているでしょう。そうすれば面積が何ぼあるかぐらいのことはすぐわかるはずだ。それがいつでもずさんに行なわれるからどういう結果になっているかというと、五十万キロに対して三万キロ、七十万キロニ対してはせいさい五万キロの排煙脱硫しか行なわれていない。鹿島が動き出したとあなたはおっしゃったけれども、鹿島は公害が続々出て、その時点になってもなお排煙脱硫は動いていなかった。ようやくあとから追っかけてきた。だから最初に島本委員が聞いた。公害除去が優先なのか、産業用の発電が優先なのか、いずれであるかと言ったら、大臣は公害除去が優先であるとお答えになった。そうあってしかるべきだと思う。しかくさようでありとするならば、最初から公害の除去ができるような計画がなければならぬはずである。その計画は、過去においては地方との公害協定においてのみ行なわれて、具体的発電の場合には行なわれていなかった。しかし、いまや法律は変わった。企業優先ではなくなった。人間優先になったんです。法律が改正されたんです。だからその改正された法律に従って動いていただかなければならぬ。しかも、そのときの約束はこうなっておる。大気汚染、水質汚濁は電気、ガスに関する限りは除外例がつくってある。しかし、除外例は公害を出してもよろしいという除外例ではない。電気事業法、ガス事業法によって完全にこれをチェックし除去いたしますから除外してもらいたいと、時の通産大臣からの切なる願いであったので除外したけれども、なお新聞は何と書いたか。こそどろだけをつかまえて大どろぼうを逃がす法律であると書いた。そうなってしまうのです。だから大どろぼうは通産省の手によって、みずからの法律によって、これを規制するというかたい約束が行なわれているんだから、それは実行に移してもらわなければ、さっきの大臣の答弁が間違いだということになってくる。したがって、本日は回答はいただく必要はありません。書類でもってあとで御答弁いただきたい。決してぼくはこの法律案を妨害しようとは思っていないからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/179
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180・島本虎三
○島本委員 やはりこれは公害除去、環境保全、これを優先させる、こういうような大臣答弁でも、事務的にはやはりこの点がまだ企業優先の運営になりがちであるということがこれによって明らかになったわけであります。私どもは、この法律だけではございませんで、現在は環境保全と人命並びに公害防除、この方面の一段の規制のほうが当然これは優先するわけでありますから、今後やはり法の実施に際しても十分この点を考えなければならない、こういうような見地からの質問なんであります。ですから、大臣の答弁はそうであっても、事務当局のほうはうしろを向いている、このようなことがあっては困るのであります。
したがって私は、次の質問に入らせてもらいます。
「既設および新設の発電所の公害防止および安全性の確保については、万全の対策を講じており、地元住民に迷惑がかからないようにしています。」と、この説明書にはきちっと載っております。「また、原子力発電所の安全性の確保については、原子炉等規制法および電気事業法に基づき、厳重な審査、検査体制を確立しています。したがって、発電所が地元住民に迷惑をかけることはない」、このようにも断言しておられるわけであります。このような内容で間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/180
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181・生田豊朗
○生田政府委員 ただいま先生がお読みになりましたような内容で間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/181
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182・島本虎三
○島本委員 では、次に伺います。
原子力発電の問題です。今日まで科学技術庁並びにそれぞれの電力会社は、関東大震災の三倍の地震に耐えるように設計しているからこれらの原子力発電については安全だ、こういうように言っているわけです。科学技術庁長官も直接このことに触れ、このように言っているわけであります。関東大震災の三倍の地震とは、エネルギーで三倍のことですか。もしそうだとすれば、その地震の
マグニチュードは幾つになるというように計算してございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/182
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183・井上力
○井上説明員 関東大震災の三倍と申しますのは、地震の加速度の意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/183
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184・島本虎三
○島本委員 加速度で三倍ということですか。そうだとすると、関東大震災における最大の加速度は何ガルでございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/184
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185・井上力
○井上説明員 現在建築基準法で通常考えております二百ガルというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/185
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186・島本虎三
○島本委員 その測定は、どこで、どのような装置によって調べた数値ですか。その数値が関東大震災における最大値であったとする科学的な根拠ははっきりしてございましょうか。お示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/186
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187・井上力
○井上説明員 関東大震災の最大の加速度を参考といたしまして、建築基準法で通常の建物の設計の際に基準値としてとっておるということでございまして、原子力発電所の場合にはこれの三倍の加速度を適用いたしまして、各部にかかる応力のチェックをする。これは静的なチェックでございますが、さらに動的なチェックを別途いたしまして、両方を比較いたしまして大きいほうの力に耐えるというような検討をしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/187
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188・島本虎三
○島本委員 いま聞いているのは、どのような装置によってこの数値をはかったものか、関東大震災における最大値であったとするこの科学的な根拠はどうなのですかということを聞いているのです。あらゆる方法、また、それらを加味してやったのだ、これじゃちょっと理解しがたいのでありますが、この点、明確にお答え願いたいのでありまさ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/188
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189・井上力
○井上説明員 私どもにおきましては、関東大震災の際に、どこの場所で、どういう計器ではかったかということは確認いたしておりませんが、建築基準法で一般構造物に要求しております地震力というものはそういったことを参考にしてきめたというふうにいわれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/189
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190・島本虎三
○島本委員 建築基準法では、それじゃどういうふうな基準できめたのですか。関東大震災の最大値が二百ガルであるというようなことは、科学的な根拠はどうなんですかというのですよ。どうも、専門官がそれじゃ、われわれみたいなしろうとはちょっと理解できないのです。もっとわかるようにはっきり言ってくださいよ。安全性の問題で重大だから聞いているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/190
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191・井上力
○井上説明員 建築基準法におきます検討の詳細はわれわれ承知しておりませんので、どの場所におけるどのような測定ということはわれわれ承知しておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/191
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192・島本虎三
○島本委員 では、関東大震災における最大加速度は何ガルである、二百ガルである、この二百ガルであるということの根拠はわからない、こういうようなことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/192
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193・井上力
○井上説明員 関東大震災の経験を参考といたしまして、建築基準法で設計震度をきめておる、かように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/193
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194・島本虎三
○島本委員 答弁の焦点をそらして、茶わんの外ばかり回って歩くような答弁ではどうも困るのです。ですから、二百ガルというのはわかりました。関東大震災における最大加速度は二百ガルであるということはわかった。これはどういうような科学的な根拠があるんだ。そしてそれが最大値であるということをはかったんだ。何もわからないでばく然とこれは二百ガルである、これじゃ今後何も科学的な根拠にならぬじゃありませんか。科学的根拠を聞いているのですが、じゃ、ないわけですね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/194
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195・井上力
○井上説明員 お尋ねの点につきましては、私ども、ただいま、建築基準法のよって来たる点につきましては承知しておりませんので、建設省あるいは気象庁等に照会をいたしまして調査をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/195
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196・島本虎三
○島本委員 調査してそれが確定したものを根拠にして出すというのが安全性をはかるための根拠ではありませんか。これから補完的にまた調査する。やるものだけをやって、不足なものはあとから補完調査する。これがいままでの日本を公害列島にした原因なんですよ。また同じようなことをやる。これが公害防除を優先する、環境保全を優先する、こういうようなことの説明と一致しますか、通産大臣。これはどうなんですか、あなたの考え方と違うじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/196
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197・生田豊朗
○生田政府委員 安全審査の根拠となります資料といたしましては、これは当然ございます。ただいま手元にございませんので、至急調べまして御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/197
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198・島本虎三
○島本委員 ロサンゼルスの地震、これは世界的にもショックを受けた地震であります。これは千二百ガルの加速度が記録されたといっております。千二百ガルの加速度だとすると、関東大震災が二百ガルだとすると、その六倍ではありませんか。もうすでに六倍の地震が想定され、こういうようなものがあったということになるじゃありませんか。つまり関東大震災の加速度の六倍以上の地震が現実に起こっている。また起こる可能性もある。これがもうはっきりしているのに、三倍に計算して、原子炉が安全だということにどうしてなるでしょう。ロサンゼルスは関東大震災の六倍、ところがもう三倍だけだとしても六百ガルじゃありませんか。ロサンゼルスでは千二百ガルの加速度が記録された、こういっているのであります。これで原子炉が崩壊しない、安全だ、この根拠をはっきりさせてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/198
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199・中村守孝
○中村説明員 ただいまのロサンゼルスの地震でございますが、サンフェルナンド地震といわれるものではないかと思われますが、それで非常に大きな加速度が地表面において観測されたということではないかと思いますが、その件につきましては、地質的に、断層の上盤の突端にある部分におけるものでございまして、きわめて異常な状態にあったということ、それからその地震計の置かれた位置等から、そういう震動が一般的にあらわれるものかどうかということについてはいろいろ議論のあるところでございまして、特異な場所であるということでそういうような非常に高いものが出たというふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/199
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200・島本虎三
○島本委員 特異な場所であり、特異な現象だという。しかし、もうすでに起こった現象であります。今後これが起こらないという確信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/200
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201・中村守孝
○中村説明員 原子力発電所の立地を選定します場合に、その地域の地盤、地質、そういったものを事前に調査しておりまして、発電所の原子炉の敷地の中にそういうような断層があるというようなところはもちろんやりませんし、近くに断層があるというようなことで、発電所の位置において地震の際にそういう異常な現象の起こるようなところは避けるということにいたしております。そういうことで、きわめて堅牢な岩盤の上に原子炉を設置する、そういう方針で臨んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/201
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202・島本虎三
○島本委員 詭弁を弄しちゃいけません。断層は日本列島一ぱいにあるじゃありませんか。日本列島のどの辺に断層がないと、こういうふうに調べてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/202
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203・中村守孝
○中村説明員 敷地の中にはない、それから敷地のすぐ近くにもない、そういうことでございまして、距離を二百キロとか三百キロとか広げれば、その中には断層があるところも出てくるかと思いますが、そういうところは、原子炉の設置する近く、地震の影響のあるような範囲内においてはそういうものがないような地点を選んでおる、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/203
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204・島本虎三
○島本委員 じゃ、地震が起こらない場所、断層のない場所、これを科学的にどのようにして調査したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/204
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205・中村守孝
○中村説明員 地震が起こらないところと島本先生おっしゃいましたけれども、こういうところは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/205
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206・島本虎三
○島本委員 日本列島の中で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/206
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207・中村守孝
○中村説明員 日本列島の中で過去の地震歴を調べまして、実際のその地点においてどの程度の大きな地震が予想されるか、その予想されます地震によってその発電所の原子炉を設置する基礎岩盤がどの程度ゆれ動くかという調査を行ないます。その震度に基づきまして、先ほどちょっと御説明ありましたが、動的解析というものを行ないまして原子炉の安全性というものを確認しておるわけでございます。それから断層等につきましては、原子炉の炉の設置場所につきましては、調査工事といたしまして横坑を掘りまして、そしてその中に大きな異常な破砕帯等がないようなことを確認しております。それから近くの状況につきましては、現地の航空写真あるいは安全審査の専門の方が現地踏査をなされまして、近くにそういうものがないことを確認しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/207
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208・島本虎三
○島本委員 日本でも関東大地震より大きい地震が起こったこと、こういうようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/208
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209・中村守孝
○中村説明員 お答えいたします。
マグニチュード八程度、いわゆる関東大震災と同じように日本列島の太平洋沿岸におきますいわゆる地震のほうの最近の学問でプレートテクトニクスと称しておりますが、そういう学問が進みましていろいろ問題が明らかになっておりますが、そういう海洋性地震ということで、環太平洋地帯の海溝を震源地といたしますマグニチュード八久ラスの地震が日本列島の北から、十勝沖とか、それから遠州灘沖あるいは日向灘沖、そういったところに起こっております。したがいまして、そういう地震が予想されますようなところ、たとえば浜岡原子力発電所におきましては、マグニチュード八クラスの地震を考えまして、先ほど申しましたように、基礎岩盤の加速度を算定いたし、それに基づいて原子炉の安全設計をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/209
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210・島本虎三
○島本委員 安全性を十分はかっているかどうか、またその確認が第一である、このための設問なんであります。しかし、やはり私はそれだけでは十分納得できないのであります。太平洋側は地震が多い。なるほどそのとおりでしょう。その方面の断層も十分調べておる。それならば私は、一応その辺で安心だといえるかもしれません。愛媛県の伊方、鹿児島の川内の敷地内には大きな断層があるといわれておりますが、これを調査した結果、ないということでこれはおやりになったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/210
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211・中村守孝
○中村説明員 川内の地点につきましては、これからの問題でございますので、われわれが現実に調査はいたしておりませんが、文献等によりますと、いわゆる構造線と称するものが走っているという文献もございます。ただし、地震に関係いたします断層と申しますのは活断層と申しまして、断層はある長い年月の間地殻に蓄えられましたエネルギーによりましてその地殻が動く、そういうものが、人間の歴史じゃなくて地球の歴史という長いレンジで考えまして最近動いていると認められるものが活断層でございまして、全く動いていないものはそういう意味では活断層ではないわけでございまして、地震の上ではそれを問題にはいたしておりません。問題になるのは活断層でございます。
ただ、いま私が申します川内のことにつきましては、詳細は、まだ申請の出てきているものでもございませんので承知しておりません。それから伊方原子力発電所につきましてには、中央構造というものが四国の東部から松山の近傍を通りまして、それから海中に没して九州のほうへ抜ける断層があるということは承知いたしております。そういう断層があるということを前提にいたしまして、耐震設計上、その伊方の発電所にどのような影響があるかということも検討いたしておりまして、その断層は伊方の北方約八キロメートルぐらいのところにあるということを確認いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/211
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212・島本虎三
○島本委員 科学技術関係でありながら、どうもわれわれしろうとが聞いてもなかなか理解しにくいような、いろいろな間接表現をお使いになっている。鹿児島の川内の敷地内に大きい断層があるということは、もうすでにいわれておるでしょう。これから調べる、調べなければわからない、そういうような状態でありながら、これは安全なんだ、こういうところに無理があるわけです。
ことに、いまの問題、これで終わったわけじゃないのです。三陸沖地震、これはマグニチュード八・五であったはずですね。エネルギーでいえば関東地震の約八倍であるわけです。このような地震は、関東大地震の最大加速度の三倍以上の加速度をもたらすことは当然あり得るわけです。特に直下地震の場合には、伊豆の地震のように、マグニチュードは六・八であって、エネルギーでいえば関東大地震の四十五分の一でしかないにかかわらず、局部的にはあのように大きな加速度が生じ、大災害をもたらした、このことを皆さん、はっきりお認めになるだろうと思うのです。このような直下地震が原子炉の周辺で発生した場合、どれほど深刻な災害をもたらすのか、原子力委員会、安全専門審査会方面でこれを十分検討したことがございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/212
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213・中村守孝
○中村説明員 起こった地震のマグニチュードだけでその地点の振動の大きさというものはきまるわけではございませんで、その震源からの距離等できまる問題でございます。したがいまして、いま先生おっしゃったように、直下地震というようなことにつきましても、そういう意味では、震源が近くであれば、小さなマグニチュードであっても大きな振動をもたらすということは事実でございますが、安全審査にあたりましては、幸いなことにわが国には多くの地震の履歴がございますから、そういうものを古くさかのぼって調査いたしまして、その原子力発電所のサイトに最大の影響を与えるであろう地震を選定いたしまして、それを想定地震として設計をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/213
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214・島本虎三
○島本委員 想定地震として想像して、これをやっている。直下地震の場合には、原子炉周辺で発生した場合にはどれほど深刻な災害をもたらすのか、当然これを考えなくてはならないではありませんか。それを原子力委員会や安全専門審査会で十分検討したことがあるのですかどうですか。そしてこれは安全性が確実だ、安全だ、こういうふうにいうのでなければ、安全性は、これは全然想像じゃありませんか。直下地震であれば、断層地点でなくても大きな加速度が生ずるんでしょう。断層だけで論ずるのは、これはもちろん危険です。科学技術庁のとるべき態度ではないと思うのです。この点に対して解明を求めます。責任の問題がありますから、局長に答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/214
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215・生田豊朗
○生田政府委員 詳細につきましてはただいま担当課長から説明したとおりでございますが、地震の可能性につきましては、原子炉安全専門審査会が審査を行ないます場合に、地震の専門家の協力を得まして、先ほど来御説明申しましたように、断層だけではございませんで、あらゆる条件を考えまして、地震の可能性をすべて検討した上で安全審査をいたしまして、許可をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/215
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216・島本虎三
○島本委員 安全審査を考えてこれは許可をしている。いま言っているのは、現実に伊豆のあの直下地震の被害のなまなましさ、これは空想や想定じゃないのです。具体的なんです。したがって、直下地震が原子炉周辺で発生した場合の深刻な災害、こういうようなことに対しても、原子力委員会または安全専門審査会、これらの方面できちっとした対策があってこそ安全性は確立したと言えるのです。全部想定じゃありませんか。また、これからそれを調べる、こういうようなことじゃありませんか。では、これに対してはっきりしたデータはあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/216
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217・生田豊朗
○生田政府委員 先ほど御説明が不足でございましたので、先生、一点だけ誤解をしておられるように思うわけでございますが、鹿児島の川内につきましてこれから調べると申しましたのは、先生御承知のように、川内の原子力発電所につきましては、まだ電調審も通っておりませんし、原子炉設置の許可の申請もないわけでございますので、原子炉の設置の許可が行なわれまして、それを受け付けましたあとで安全専門審査会を開きまして、先ほど来御指摘の地震の問題も含めまして徹底的に安全審査を行なうという意味で、これから調べると申し上げたわけでございます。
伊方につきましては、もうすでに一号の原子炉はただいま建設中でございますので、その安全審査及び原子炉の設置の許可にあたりましては、先ほど来申し上げましたような各種の条件を十分に考えまして許可をした次第でございます。
それから直下地震の問題でございますけれども、私は地震の専門家ではございませんので、詳細には御説明いたしかねますけれども、直下地震であったらどうかということではございませんで、直下地震でありました場合は、その地震の起こる場所から考えまして、その地震そのものの規模と比較いたしまして、その真上にある地点での被害が直下地震以外の地震の場合よりも大きいということであろうかと思います。したがいまして、そういう状態も十分検討いたしまして、それからその地質学的あるいは構造的に直下地震が起こる可能性があるかどうかということも検討いたしまして、各種の条件を検討している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/217
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218・島本虎三
○島本委員 では、この原子力委員会安全専門審査会では、直下地震が原子炉周辺で発生した場合の検討はまだしておらない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/218
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219・中村守孝
○中村説明員 先ほどもちょっと御説明いたしましたが、原子力発電所のサイトの振動をいかなる数字をとるかということにつきましては、その周辺に起こりました地震の大きさ、マグニチュード、それから過去に起こっておりますものの震源の深さ、それからその伊方のサイトからの震源の距離、そういった過去の地震の分布を考えまして、サイトに最も大きな振動を与える地震を選定いたしております。したがって、直下地震ということでございますが、発電所の近傍においてそういう発生の可能性があるということであれば当然そういうことをいたしますけれども、現在までの審査におきましては、過去の地震歴等から見まして、むしろ発電所サイトよりも、サイトに一番大きな振動を与えた地震を選定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/219
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220・島本虎三
○島本委員 私はどうもよくわからないのですけれども、いままで認可されている、各地区ごとの安全審査における直下地震の検討の会議録、こういうようなものがありますか、ありませんか。あったらこれを提出してもらいたいのでありますが、この点、簡単に答えてください。
〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/220
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221・生田豊朗
○生田政府委員 先ほども御説明しましたように、直下地震が起こる可能性がある地区と、可能性のない地域とございます。これは地殻構造的にきまってくるわけでございますので、ただいまも担当課長から御説明申し上げましたように、直下地震の起こる可能性のある地点につきましては、直下地震を想定いたしまして安全審査を行なっております。地殻構造的に直下地震の起こる可能性のない地点につきましては、別の条件を想定して安全審査をやっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/221
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222・島本虎三
○島本委員 安全審査、ことに安全性の確立、これが原子力発電のもとでは一番国民が要請している点です。もちろんいろいろな廃棄物その他の問題等もあるのです。もちろん放射能の問題等があるのです。温排水の問題もあるのです。しかし、それらを含めて安全性の問題に集中しているのです。したがって、この安全性の問題がどうも不十分であるということ、これに対しては科学技術庁であるのだから、科学技術庁が、いかなる観点からしても関東大震災の三倍以上の震災にも耐えられるのだ、ことに、どのような状態であっても、いわば直下地震を含めてもこれに耐えられるのだ、この科学的データをぴちっとしてこそ、これが安全である、確実である、こういうようなことが言えるのではありませんですか。起こってみなければわからない、こういうふうな考え方だとすると、まさに私どもは科学技術庁としての権威にかかわると思っているのです。どうもいままでの答弁では、原子力委員会や安全専門審査会、こういうふうなところで、もう現に起こっている直下地震というふうなものに対してのデータ、こういうふうなものを十分把握しておらない。それで、安全である、安全である、こういうふうなことだけを叫んでいる。これだったらほんとうに不安全であって、科学技術庁としては非科学技術庁じゃないか、こうさえ思われてもやむを得ないような気もするんです。科学技術庁は、今度の伊豆の直下地震の生ずることを過去のデータから予測しましたか、しませんでしたか。していたとするならば、なぜあらかじめ警告しなかったのですか。この点、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/222
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223・生田豊朗
○生田政府委員 地震につきましては、一番初めに先生が御指摘になりましたように、関東大震災の三倍程度の地震があってもだいじょうぶということを私ども言っておりますが、これはただいまいろいろ御質問いただきまして、またお答えもいたしましたように、地震の問題と申しますのは、日本列島の中におきましても、その地点あるいは地域によりまして起こり得る形が千差万別でございます。したがいまして、一般論として申しまして、関東大震災の三倍程度という言い方をしているわけでございますけれども、実際に安全審査をいたします場合は、それぞれの地点につきましてその地殻構造その他を詳細に調べまして、起こり得る地震を十分に想定いたします。この想定と申しますのは、その地殻の構造で学術的に検討いたしまして、こういう種類の、あるいはこの程度の大きさの地震が起こる可能性があるということと、それから過去の地震歴、つまりあまり昔のものは詳細な記録はございませんけれども、何と申しますか、確保し得る限りの過去の地震の歴史につきましてのデータ、それを組み合わせまして、たとえば伊方であればこういう形のこの程度の大きさの地震が起こり得る、起こり得るとしてもこの程度までであろうということを前提にいたしまして、各地点ごとに詳細な条件を考慮いたしまして安全審査を行なっている次第でございまして、一がいに申しますと、初めに申し上げましたような関東大震災の三倍というあいまいな表現になりましたので、その点、説明が不十分でございましたことはおわび申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/223
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224・島本虎三
○島本委員 私は、おわびされても、その説明が十分であるというふうにまだ理解できないんです。やはり安全性の問題が大事なんですから、科学技術庁は、これはほんとうに安全だということをきちっとわれわれにわかるように示してもらいたいからなんです。この伊豆の直下地震が生じた、また生じ得る、こういうふうなことは過去のデータから予測したんですか、しなかったんですか。これは科学技術庁であるならばちゃんと予測できるじゃありませんか。できたならば、なぜこれを警告しなかったんですか。あの被害の状態をごらんなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/224
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225・生田豊朗
○生田政府委員 原子力委員会あるいは科学技術庁といたしましては、先ほども申し上げましたように、現実に原子力発電所あるいは原子炉が設置されますその地点につきまして詳細に調べているわけでございます。先般の伊豆半島の直下型地震につきましては、現在のところ、伊豆半島に原子力発電所を設置する計画がございませんので、伊豆半島の直下型地震につきまして、私どもはそれの調査あるいは予測はいたしておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/225
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226・島本虎三
○島本委員 ではお伺いいたしますが、福島沖、若狭湾、柏崎、こういうふうなところは大地震の起こり得るところじゃございませんか。百万キロワットの原子力発電所が一年稼働すればこれはどうなるんですか。広島に落とされた原子爆弾のばらまいた死の灰の一千発分の死の灰がもう内部に生じている、こう聞かされています。福島の双葉郡や柏崎のように一千万キロもの原子力発電所がつくられ稼働すると、一年間で広島の原爆一万発分の死の灰が生まれる、こういうようなことになるわけです。これが大地震によって外に出るようなことがあったらどんなことになるか。これを心配をするのは私だけじゃないでしょう。これに対して絶対安全なんだということを言っても安全性の確立にならぬじゃありませんか。福島沖、若狭湾並びに柏崎、これも大地震の起こり得る可能性のある土地です。それにもかかわらずもうすでに設置されているでしょう。原子力発電所の近くに地震が発生する場合には、大きさは関東大地震よりも小さい地震であっても、おそるべき放射能の大量漏れによる災害をもたらすおそれがある。まして三陸地震のあの規模の地震が起これば確実に大災害になる。日本のように大地震の多い国では、このような原子力発電所を設置するということはやはり重大なことじゃないかと思うのです。
いま言ったような状態からして、全国民の遺伝障害、白血病その他の各種のガン、これらを激増させるようなことがあってはなりませんし、そのようなことがあっては取り返しのつかないことになる。その危険性をつくることになるだけではなく、これは生命に及ぼすような危険もあるから心配なんだ、したがって、安全性をはっきりさしてもらいたいというのが、身をもって公害対策に当たってきた者の願いであり叫びなんであります。この点からして、原子力発電所の日本における建設はやはり十分考えないといけないんじゃありませんか。そうでなければ、われわれに突かれないほど完全な安全性を確立したデータをもっと出すべきじゃありませんか。その点が不足だ。したがって、私はこの問題に対しては十分考慮しなければならないんだ、これを言っているのであります。
大臣、いまお聞きのとおりなんでありますが、私の所論に間違いがございましょうか。私が危惧するところに対して、それはおまえの危惧であって絶対安全なんだという——私はこれがあってほしいのです。それを求めているのです。いま言ったことを十分お聞きだと思いますが、大臣の御所見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/226
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227・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 科学的資料の範囲内では絶対に起こらないということは言えないと思います。これはやはり確率論の範囲内において許容できるかどうかという問題であって、私は、おそらく地震学者はそういう確率論の範囲内において安全であると認定したものと想像いたします。特に直下地震というような場合については、その地殻の構造、脆弱性という面をよく調べてみておいて、そして地震の起こる係数と、それからその地殻の構造との対応というものを見ながら計算してきているんではないかと思います。
しかし、いずれにせよ地震対策というものはわが国にとっては一番重要な基本でありまして、それらについては、もし必要あらばいまの伊方の問題にせよ、その他の問題にせよ、その必要なデータをあとで提示して御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/227
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228・島本虎三
○島本委員 私は先ほどからいろいろ安全性の問題について聞いてまいったのですが、具体的な名前をあげました伊方、鹿児島の川内、こういうような状態を見ると、敷地内にも大きな断層があるんだということが実証されている。しかし、それがはたして許可して動き出す段階になるかどうかということはまだわからないんだということであります。私どもまた危惧することは、一たんこれが爼上にのぼりますとそのまま押せ押せで出されてしまって、住民の抵抗運動にささえられながらようやくこれを考える状態にまで来ていたのがいままでのやり方じゃございませんでしたか。あえて指摘されて、それから考えなければならないんだ、こういうふうなことであります。
その辺、原子力発電に対する安全性がはっきりしない以上、また、関東大震災の三倍程度以上の地震が来てもこれは絶対安全なんだ、直下地震にも耐えられるんだ、こういうふうなことを国民の前にきちっとしておいて初めて、これが科学技術庁の示すところの安全性なんだということを私は理解できるのであります。いままでのところでは、この点について理解できるような答弁はさっぱり得られませんでした。私はこの点まことに残念たんであります。したがって、過去のデータでは直下地震が起こらないと断定できない、これはもう明らかになりました。しかしながら、記録に残っているデータは過去のごく一部分でしかない。そして今日設定許可されている地域では予測を越える大きな加速度を生むような地需が起こる可能性がないんだということ、これだけをはっきりしてもらいたいのであります。そうでなければいますでやったことが何にもならぬじゃありませんか。私はそれもあわせて聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/228
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229・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは具体的な科学的なデータをもってお答えすべきものであると思いますが、私の手元にございませんので、後日あらためて正確な御答弁をするのが正しいと思いますが、おそらく科学的資料、科学的思惟の許容量のワク内においてそれは確実安全であるという判決が出てそういうことをやったんだと私は確信いたします。
原子力委員会において審査する場合には、地震の専門家の委員会がありまして、東大の武藤さん等も昔おったことがあります。私がいたときには委嘱をしておりました。そういうように専門家があらゆる科学的なデータを駆使して、その上で安全であるかないかということを調べたと思うのでございます。地震の問題は、日本の原子力委員会においてはもう当初から最重要視いたしまして、その強度に耐え得るだけの安全設計ということを至上命令としてやってきたいきさつがございます。そういう意味におきまして私は安全であると考えますが、しかし、やはりこういうことは具体的な確実なデータに基づいて御答弁するのが至当であると思いますから、それは御要望があれば後日あらためて申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/229
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230・島本虎三
○島本委員 せっかく発電用施設周辺地域整備法がいま提案され、そして審議されている。今後原子力発電に重点を置いて、そうして次代をになう
一つの有望なるエネルギー源としてこれを提案してきているわけです。大臣のほうでは、いままで環境保全と公害防除を先行させるんだ、こういうふうなことを言っているわけであります。私はそれを心から期待し、また信じたいのであります。しかし、いままでの科学技術庁との間のいろいろな受け答えの中では、仮定の問題というより現実に起きた地震に対しても、たとえば直下地震に対してもこれは具体的な対策が何一つない。そして過去のものを集めてやる、過去のデータを集めてやるといっても、直下地震に対しては起こらないと断定するような資料もない。そういうふうなことがらして、縦横無尽に断層が乱れているこの狭い日本列島の中で原子力発電所を近距離にたくさん集中させるようなやり方で、これは絶対安全なんだと国民のだれが思うでしょう。そこに企業優先、産業優先の姿がこの法案を通してあらわれるじゃありませんか。私はそうであってはならないと思うのです。科学技術庁はほんとにもつと科学的であってほしいのです。そうしてわれわれをいつでも納得させるような、こういうようなデータを整えておいてほしいのです。その上に立ってこの法案を提出してもらいたいのであります。私は、いま大臣が申されましたようなその件について十分なデータがほしゅうございます。したがいまして、その会議録というふうなものがございましたら私は要求しておきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/230
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231・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 絶対に安全ということは申されないと私は申し上げました。科学的に安全であると認定される、こういう判決であるだろうと思うのです。それは確率論等に基づいて科学的に思准される範囲内において許容量のワク内にある、こういうことであるだろうと思うのです。飛行機の事故にいたしましても、何万回か何十万回か発着しているうちに事故が起こる。安全であるかといえば、絶対に安全ではない。しかし確率論的には安全である、科学的に安全である、そういう判決でいまの飛行機は運航されていると思います。原子炉の場合にも、同じようなそういう確率論というものがあると思うのであります。したがいまして、御要望に沿いまして必要なデータをあとで整えて御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/231
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232・島本虎三
○島本委員 原子力基本法によりまして、自主、民主、公開、これが原則として確立されております。こういうようなデータはやはり公開すべきじゃないかと思うのですが、大臣の御所見をどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/232
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233・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 平和を目的とし、自主、民主、公開という原則は三原則として私も承知しております。したがいまして、そのようなデータは可能な限り公開して、皆さんの御理解を得るようにすることが適当と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/233
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234・島本虎三
○島本委員 したがって、私が要請いたしました会議録、これはやはり原子力基本法によって公開するというのがこれからの主導的な立場になるんじゃなかろうか、私はこういうように理解いたします。したがって大臣、積極的にこれは公開してほしいと私は思うのです。私は要求しておりました。ぜひそれはほしい。それは公開すべきじゃないかと思うのであります。これもぜひあわせて大臣から確認を得ておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/234
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235・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは研究の過程、論争の過程におけるものについては公開しかるべきものと公開しからざるものとがあると思います。これは発言者の意見を聞いてみないと、一方的に行政的に処置することが正しいかどうかは疑問であると思いますし、また何でも全部公開してしまうということが自由な発言を制約するという危険性も出ないとは限りません。したがいまして、可能な限りということで公開することがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/235
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236・島本虎三
○島本委員 公開しない場合には可能でないということになって、いままでと同じということになってしまうことは私残念なんです、大臣。やはりこれはあらゆる点で——特に発表した場合困るという場合は別、それ以外は原則として全部公開すべきである、これが基本法の精神だと思います。ぜひそうしてもらいたい、これを心から要請しておきます。
私の時間は来てしまったわけでありますが、二分間ありますから、最後にひとつ、この問題は大臣、ほんとうにデータを出してもらいたい、その点だけは念を押しておきたいと思うわけでありますけれども、この発電所地点周辺住民の反対のない、協力を得てやるんだ、盛んにこう言っておりますけれども、北海道の伊達火力の問題は大臣も知っているとおり、あれば血の惨事を生んだ着工の状態でありました。その後、長和地区の農民は、工事の過程でくみ出す量が一日に数十万トンに達している。したがって野菜の栽培ができなくなった。水が出なくなってしまった。四年生の子供が二キロほどの道のりを水をくむために働いておる。これはまさに言ったこととやったことと逆になったような可能性があります。一切公害はございません。迷惑かけることはない、これを断言し切ったはずであります。しかし、いまのようにして、長和の農民が肝心の野菜栽培に水が出なくなった、それも発電所の吸い上げる水のせいである、こういうようなことがわかっているわけであります。それで発電所立地地点周辺の井戸水が枯れてしまっているということはそのままにできないんですが、現実に伊達にはこういう問題がいま発生しているんです。これに対して通産省、どのような指導をしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/236
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237・井上力
○井上説明員 御指摘の長和地区の井戸水の問題でございますが、昨年十月ごろから同地区の一部におきまして井戸水の水位が低下いたしまして、その原因は伊達火力の建設工事における地下水のくみ上げだということで問題になっておることは、先生の御指摘のとおりでございます。地下水低下の原因としては、冬季の異常乾季だとかあるいは渇水、伊達火力建設工事による地下水のくみ上げ等いろいろな原因が考えられますけれども、伊達火力周辺以外についてもかなり広範囲にわたり地下水の水位低下現象が起こっておりまして、因果関係を的確に把握することは困難であるというふうに聞いております。しかし、北海道電力では、伊達火力建設工事におきます地下水くみ上げもある程度周辺の井戸枯れに影響を与えたものというふうに考えまして、需要家の井戸の掘り増しだとか、上水道への切りかえ等の対策を講じまして、これにより地元住民の了解が得られているというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/237
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238・島本虎三
○島本委員 それと同時に、認可してしまいました現在、今度は室蘭あるいは苫小牧、これらを運ぶ石油パイプラインについては何らこれはまだ示されておらない、保安上の点で住民は恐々としているのであります。一たん認可してしまったパイプラインはどうなるのか、これに対して取り締まりはどうなるのか、消防法一つなのか、こういうふうなことになりますと、もう公害については十分安全でありますからだいじょうぶですとか、安全性は確立しておりますとか、こう言っても、まだこのパイプラインを設置することについてどこを通るのか、それさえ発表されない、これでも安全だといえるんですか、これでも今後これらを強行しても住民は黙っていなければならないんですか、こういうような指導を一体しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/238
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239・井上力
○井上説明員 御指摘のパイプラインでございますが、伊達火力発電所で使用いたします燃料を東北電力の石炭埠頭から発電所まで輸送する計画でございますが、これは海上の汚濁防止のために地元民の要望に基づきまして、伊達市等との公害防止協定できめられたものであることは御高承のとおりでございます。室蘭から発電所までの経路はおよそ二十五キロメートルほどということでございますが、ルートにつきましては現在調査を鋭意進めている段階でございまして、通産省といたしましては、本調査が十分行なわれまして慎重にルートを決定するよう指導してまいるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/239
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240・島本虎三
○島本委員 安全性に対して多大なる疑惑を残しつつ、解明できないままに私の質問は終わるわけであります。
どうも委員長、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/240
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241・武藤嘉文
○武藤(嘉)委員長代理 広瀬秀吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/241
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242・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 今回、本委員会に提出されてます発電所周辺地域の整備に関する法律案に関連をしまして、若干質問をいたしたいと思います。
石油危機が昨年十月の中東戦争以来たいへんな問題になりました。石油資源はまさに有限だ、こういうことで、エネルギーの大部分を石油にたよってきた時代はそろそろ転換をしなければならないというような背景を持っている。そうして電力の七〇%が大体石油でまかなわれている、こういう時代を迎えておるわけであります。そういうところで、確かに今日、火力であれ、あるいは水力であれ、まして原子力発電というようなことになりますと、たいへんなこれは立地難におちいる。これが住民の生活権を守るといいますか、生活の安全を守る、環境の破壊から生命を守るというような角度において非常に反対運動が強まっているということもわれわれはわかるわけですが、今度の周辺整備法の最大のねらいは、何といっても、火力もさることながら、原子力発電所周辺の整備というようなことで、原子力発電に対する周辺地域の住民の反対運動を一種の、あめかニンジンかは知らないけれども、そういうものを与えて押えよう、こういう意図がどうしても働いておるのではないか、こういうように思うのです。
そういうようなところから、まず最初に外務省に伺いたいのですが、これからの発電の主力、本命は逐次原子力に移行する、こういうことになりますならば、その燃料であるウランが日本ではあまりない。そうすれば、濃縮された、発電炉に装置できる形になった濃縮ウランを輸入せざるを得ない。これについていま主力は何といっても日米協定における燃料ウランの確保、濃縮ウランの確保、こういうことだろうと思うのですが、この協定で満足すべき安定供給が得られるのかどうか。これは一ころは確かにアメリカでも濃縮ウランが非常に余っているという状況で、全世界どこへでも無制限に売るというような態度であった時代もありますが、逐次こういう方向に世界的に向かってくるというようなことになりますと、この協定だけで安定供給が得られるのかどうか、このことを私は伺いたいと思うのですが、最初にお答えをいただきたいと思います。
〔武藤(嘉)委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/242
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243・野田英二郎
○野田説明員 お答えいたします。
原子力の濃縮ウランの手当てに関しましては、昭和四十三年の協定というものに引き続きまして四十八年の議定書によりまして改正が行なわれまして、この改正の主たる点と申しますのは、前の協定におきましては二千万キロワットまでの量というものが約束されてあったわけでございますけれども、それが引き上げられまして六千万までは供給されるということが期待されるというような状況になっております。これが先ほど先生御指摘の濃縮ウランの手当ての第一の方法でございます。すなわち、日米原子力協定によりまして六千万キロワットまでに相当いたす分につきまして米国から供給を受けるということでございます。さらに、その濃縮ウランのあれにつきましては、その他の方法もございますけれども、現在のところは主としてこれによっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/243
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244・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 四十三年協定の際は十六万一千キログラムの濃縮ウランを輸入することになっておった。これを四十八年の協定では三十二万八千三百五十二キログラム、こういうものは昭和六十年に六千万キロワットの燃料として十分なものである、こう見ていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/244
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245・野田英二郎
○野田説明員 お答えいたします。
昭和六十年までに稼働いたします、現在見込まれておりますところでは、新しい三十三基につきましては、いままでのところの既契約分が二千万キロワット程度でございまして、それがさらに七十四年、ことしの六月ぐらいまでに大体三千五百万キロワットというものが契約の見込みであるわけでございますけれども、その分が三十三基ということでございまして、合わせまして大体六千万キロワットというものの手当てができる、そういうあれになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/245
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246・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 そこで、この原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書に関する交換公文というのが結ばれておりますが、ここで付表として日本国の濃縮ウラン動力利用原子炉計画というのが、建設完了分、建設中、計画中、
こういうように出ておるわけでありますが、これは通産省からも答えていただきたいと思いますが、ここに掲げてあります建設完了分が四、建設中が十五でございますか、さらに計画中のものが
六あるわけですが、この全部の原子炉をまかなう量というものが改正議定書における三十二万八千キログラム、こういうものと表裏をなすものなんですか。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/246
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247・野田英二郎
○野田説明員 お答えいたします。
この協定の付表に載っております分は既契約分でございまして、先ほど申し上げました昭和四十三年の旧協定の中ですでに約束されておるといういわゆる二千万キロワットの分でございまして、新しいものはこれに載っておらないわけでございます。今後のものにつきましては、新しく三十三基というのは、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、その三十三基と申しますのはこれに載っておらない分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/247
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248・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 通産大臣にお伺いをいたしますが、アメリカの原子力発電計画というのは、一九七二年の十二月で二十九基、千四百六十八万三千キロワット、建設中のものが四千七百七十五万五千キロワット、計画中のものが七十六基、九百九十九万九千キロワット、こういうようになっております。
それから一九八〇年になりますと、総発電設備容量六億六千五百万キロワット、そのうちで原子力発電が一億五千万キロワット、一九九〇年では総体で十二億六千万キロワット、原子力で四億七千五百万キロワット、この段階ではもう原子力のシェアが三八%を占める、こういうことになっておる。一九八〇年でこの所要の濃縮ウランが一万八千トンSWUということになる。こういうことになるわけですが、現在のところ、アメリカの三つの分離作業能力を持つこの濃縮ウラン生産工場といいますか、こういうものが一万七千トンぐらいのキャパシティしかない、こういうようなことであります。あとだいぶ時間がありますから一万八千トンの所要濃縮ウランということに追いつくような第四の工場をつくろうというようなこともあるようでありますが、だんだんアメリカの供給余力というようなものも、かって日本が石油がこんな状況になろうなどとはだれも何十年前に予想した者はない、こういうことで、長期の、少なくとも三十年、五十年というように展望をした場合に、アメリカからの輸入は、そのつどふえただけ協定していけば六千万キロワット分ぐらいまでは合意した協定によって確保できるということになっても、これはたかだか昭和六十年ぐらいまでのところだ、一九八五年ぐらいまでのところだといえば、それ以降、こういう点で安定供給という面から不安はないかどうか、こういう点についての見通し、さらにそういう段階というものが来るというようにやはり見ていかなければならないのではないか、それに対するわれわれの側の日本における対策というようなものがどのように準備をされておるのか、こういう点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/248
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249・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 その点は非常に重大なポイントを御指摘になったと思います。私の記憶によりますれば、一九八〇年までは六千万キロワット台として確保してありますけれども、それ以後は必ずしも安定しておらぬように記憶しております。
そこで、アメリカが第四工場を建設するについて、日本も協力して一緒にやったらどうかという発想をもちまして、日本側の機関をつくり、アメリカ側といろいろ打ち合わせをしてまいりました。ただ、アメリカ側におきましては、原子力の濃縮作業を民間に移譲すべきかどうかという点において議会でいろいろ論争がございました。そして、アメリカ側は日本側と交渉すべき相手を指名するということで、たしか三つばかりの会社が指名されたと思います。それらと日本の代表となるべき機関とがいろいろ話し合いを進めておる最中であると思います。
大体のスケジュールから申し上げますと、たしか八一年ごろ稼働するためには七六年から工事をしなければいかぬ、そうすると、ことしから来年にかけて大体話し合いを詰める必要がある、そういうスケジュールで進めて、それが可能であるかどうかということを確めながら進める必要があると思っています。
それが第一と、それからフランスから千トンばかり、一八〇年度のものとして、この間田中総理が行って確保したのが一つあったと思いますが、そのほかに、日本独自でやはりある程度考うべきである。それで、原子力委員会で、濃縮について、ディフュージョンでいくか、あるいはセントリフュージでいくかということをだいぶ長い間研究させて、大体セントリフュージ、遠心分離法でいくのがいいだろう、そういう方向に傾いてきまして、ドイツ及びオランダ、イギリスがやっておるいわゆるトロイカと連携をしながら、その技術導入の可能性、ジョイントベンチャーの可能性等について、いろいろ内々打診もしておるところであるだろうと思います。
最近の傾向から見ると、アメリカのエクソンというような石油会社がこの原子力の濃縮及びウエーストディスポーザルに非常に大きな興味を持って、ほとんどその主力をひっさげて原子力の分野にいま出ようとしておって、彼らがねらっておるのは遠心分離法であるように聞いております。遠心分離法が、電力の消費量の点において、それから必要とするサイトの広さにおいて非常に効率的であるという方向に少しずつ傾いてきたようであります。そういう点を考えますと、日本もいままで独自で開発してきたこの遠心分離法を具体的にいかにして展開して発展させるかという課題にいままさに遭遇しつつあるように思うのです。長い目で国家の前途を考えてみますと、独自に技術を相当高程度に開発して、その技術をある程度取引材料にしながら相手とジョイントベンチャーを組むなり技術導入をするということでないと、非常に劣勢な条件でやらざるを得ぬということになります。
そういう点からいたしましても、いま動燃事業団でやっておる遠心分離法をさらに拡充強化する必要があると思いますし、早晩、国家だけでなくして、民間団体において正式にそういう問題と取っ組んで、濃縮と再生処理に関してこれを前進させRアンドDをもっと進める、そういうようなことが必要ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/249
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250・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 田中総理大臣がニクソン大統領との間で共同声明を四十八年の八月一日に出しておりますが、いま大臣が触れられた「濃縮ウランの安定供給を確保するため両国政府が、所要の研究と開発についての協力を含め、緊密に協力することの重要性を確認した。両者は、両国政府が、右の目的のために、日米の合弁事業を満足のいく形で実現するよう最善の努力をはらうことに合意した。」こういうことになっておるわけでありますが、このことは、先ほどちょっと数字をあげましたように、現在の能力は一万七千トンSWUだ。一九八〇年でアメリカ自身の原子力発電に必要な濃縮ウランが一万八千トンSWUだ。この合弁事業ということを含む第四の工場がアメリカに建設されるということにならなければ逆転現象が起きるはずですね。一九八〇年といえばもうあと六年足らずであります。その間にこういう形のものが、しかももう大統領と総理大臣が合意したというようなものを合弁事業として第四の工場が稼働するのが五年、大国アメリカとはいえども五年や六年かかるのじゃなかろうか、こういうようにも思うのですけれども、こういう状況というものがいまどのように具体的に進みっつあるのか、そして日本はこれに対して、合弁というならばどのくらい出資をしていくのか、そういう見通しというものはいまはっきりしておる段階ですか、それともまだまだ全然具体性を持たないその後の推移であるのか、その辺のところはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/250
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251・生田豊朗
○生田政府委員 ただいま先生御指摘の点でございますが、まずアメリカの国内での能力でございます。ただいまお示しになりましたように現在一万七千トンでございますが、既存の三社につきましても増設計画を進めておりまして、一九八〇年以後、おそらく一九八一年ごろだと予想されておりますが、一万七千トンを二万八千トンに増設する計画が進んでおりますので、そこで現在よりも約一万一千トンの供給能力がふえるわけでございます。ただ、それでも今後の需要の増加に対応できるかどうか若干問題がございますので、先ほど来御議論いただいております第四工場につきまして、昨年の田中・ニクソン会談での、先ほどお読みになりましたジョイントコミュニケに基づきまして日米合弁事業で調査を進めております。昨年の田中・ニクソン会談の直後でございますが、八月三十一日に、日本側は電力中央研究所のウラン濃縮事業調査会が当事者でございまして、アメリカ側はUEA、ウラニウム・エンリッチメント・アソシエーションという機関でございますが、これはベクテル、ウエスチングハウス、ユニオンカーバイド、この三社で構成されておりますが、この日本側のウラン濃縮事業調査会とアメリカ側のUEAとの間で共同調査の契約が調印されまして、ただいま共同調査を進めております。本年じゅうには結論を出す予定でございます。
それから、その具体的な合弁事業の形態あるいは出資比率その他がどうかという問題につきましては、まだ具体的な計画まで調査が参っておりません。今後通産省とも協力いたしまして、また電力業界とも十分相談いたしまして、その辺の具体的な計画を煮詰めていく予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/251
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252・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 実は私がほんとうに聞きたいところは、先ほども申し上げまように長期にわたって三十年、五十年先、二十一世紀に入るわけでありますが、そういう段階に立って、なおかつ現在の日本にはほとんどウラン鉱というものは賦存がないといってもいいくらい、・岐阜あたりに幾らかありそうだという、あるいは幾らかとっているのかもしれないけれども、そういう状況なんだ。そうすると、やはりこれは石油と同じような状況にある。九九・何%というところまで外国に依存せざるを得ない。そういうようなものをこれからの発電用の燃料としていかなければならぬというようなことで、いまのところはアメリカがいままで蓄積し、貯蔵をしたというようなものがあり余っているというような状況の中で六千キロワットのところまでは何とかなるという協定にもなっているというわけですが、それから先もウラン燃料というもの、原子力発電用燃料というものが順調に確保することができるか、原子力のシェアをいまの一%から二%くらいのところから三〇%近くも上げていこうというような計画、そういうものにマッチして原子力発電がそこまで行ってしまった段階で、それから先燃料が得られないというような段階を迎えたら、もっと深刻な石油危機以上の深刻な事態にぶつかっていくのではないか、こういう気がするわけですね。その辺のところのナショナルセキュリティーを踏まえた安定供給というものがどうやって確保されるのかという点についての見通しについては、先ほど大臣の答弁は少し小さい技術問題になっていると思うのでありますが、ウラン鉱そのもの、それからそれを濃縮する技術体系、施設というようなものの自主開発というものを含めながら、そしてまた、その輸入というものがどこまで可能であるかというような点についての長期の展望をひとつ示しておいていただかなければ、これはかえって原子力、原子力ということで、燃料があるうちはいいけれども、それが絶えたときに、あるいはアメリカの需給が非常にタイトになって、いまOAPEC諸国から宣言をされるというようなことで、あれだけ大騒ぎを起こしたと同じような繰り返しが来るのではないかということをおそれるわけですね。そういう疑問に答えるには、これは非常に長期なことで、いかに賢明な大臣といえども、あるいは的確な答えを期待できないと思うのですけれども、しかし政策当局として原子力発電の方向に向かうのだという方針を出して、そのために周辺整備をやって住民の反対を押えようというからには、そういう長期の見通しというものもあってしかるべきだと思うのですが、その辺のところをもう一ぺん伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/252
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253・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 問題は幾つかの方途があると思います。まずとりあえずは第四工場建設の可能性が合理的に行なわれるかどうか、これを確実に目鼻をつけるということであると思います。それで、先ほど申し上げましたように、私の記憶では七六年から八〇年くらいまでに工事に着手をいたしますればということで、ことしから来年くらいの間に見当をつけなければならぬ、そういうことがまず一つございます。それに必要なウラン鉱の手当てというものがあります。いまのウランの問題は、ウラン鉱は出して、そして濃縮作業を受け持ってもらう、そういうことでございます。ウラン鉱の手当ては、いまのところはカナダとかあるいはオーストラリアあるいはアフリカ等でついております。今後も手当てはつくのではないかと私は思います。少し甘いかもしれませんが、そのかわりカナダあるいはオーストラリア等とは技術提携をして、向こうのウランとこっちの技術がある程度協力できるという体系をつくることが大事じゃないか。そういうある意味における政府間ベースの協定みたいなものが、ウランと技術の間にかわされる可能性が必要ではないかと思っています。これはカナダの大臣やオーストラリアの大臣と私が話した経験及び勘から見まして、そういう方向に紐帯を結ぶことが適当ではないか、そういうように思って、これが原料確保の上にとってわれわれが進むべき道であると思います。
それからもう一つ大事な点は、八一年以降の問題でありますが、いまやっているのは主としてアメリカの技術にたよった拡散法によるやり方です。しかし最近は、さっき申し上げましたように、イギリス、オランダ、ドイツ等を中心にする遠心分離法がかなり顕著な前進を示してきておりまして、それから日本におきましても動燃事業団でやっているのが相当カスケードを増して、これもある線まで前進してきております。それで、アメリカにおきましても、オークリッジ等を中心にして相当遠心分離法に対して注意をし始めてきておりますし、石油の世界一の大会社であるエクソンがその遠心分離法に全力投球をしかけてきたということは、非常にわれわれが注目すべき点ではないかと思います。遠心分離法の場合は、御存じのように電力がディフュージョンプラントに比べて十分の一ぐらいで済む、それからサイトの広さも数分の一で済む、そういう好条件がありますから、むしろ日本に向くというタイプのものでありますし、機械工学が非常に重要な部面——機械工学と材質の問題でありますが、そういう面において日本にかなり向いていることではないかと私らは思います。
そういう意味から遠心分離法という方向を目ざして、日本独自の技術を開発して、必要あらば外国と技術提携をして、対等で開発能力を持つというところまでぜひ進めなければいけないのであります。これがいつまでも外国の技術の世話になっているということになると、いつまでも顔色を見なければならぬというポジションに置かれるのでありまして、日本が開発しつつあるせっかく伸びてきている技術を自主的にさらに伸ばしていくということは、非常に大きな科学技術庁及び通産省の大使命であると実は考えております。
それと同時にもう一つ大事なことは、いま茨城県の工学センターでつくっております常陽というブリーダーでございます。これはほとんどもうできかかっておりまして、五万キロぐらいの熱出量の高速増殖炉ができて、大体外国と同じぐらいのスピードでいまやっております。アメリカ、ドイツと並んで、同じぐらいのスピードで来ております。これを早く臨界に達せさせる。このやり方が御存じのようにプルトニウムを使って、そして天然ウランを使いながら増殖していく、そういうやり方で、これは重水を使うというやり方でございますが、この技術が開発されてきますと、天然ウランを使って増殖過程に入って、濃縮ウランは非常に少なくて済む、プルトニウムを使える、そして燃料のリサイクルができる、こういう可能性も出てくるわけでございます。この常陽を早く臨界に達せさせて、日本の技術をその面で開発して、燃料のリサイクル、効率的運用という面で新しい分野を開拓していく。(「安全であればね」と呼ぶ者あり)もちろん安全を中心にしてやるべきことでございます。そういうような方向をわれわれは見詰めながら、大いに安全を中心にして政策を推進してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/253
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254・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 これは長期の問題をいま的確に予測をしろといってもなかなか無理なことですけれども、私はそういう方向というものもある程度考えていかなければならないと同時に、無公害のエネルギー源としてのサンシャイン計画であるとか、あるいは地熱発電であるとか、あるいは水力発電などももっと真剣になって考えれば、そういうものからの期待というものも得られるのではないか、こういう考えを持つわけであります。それと同時に、六十年なら六十年における電力の需給見通しというようなものも、いまのような惰性をそのままに、高度経済成長というようなことで資源多消費型から、最近ことばでは資源多消費型産業から省資源、知識集約的な付加価値性の高い産業への転換だ、産業構造の変革としてそういう方向にいくんだといわれておるけれども、そういうようなものなんかの進みぐあい、そういうものを勘案しながらいくならば、経済成長率が七%あるいはそれ以下くらいのところで、それの一・一くらいが弾性値というようなことならば、通産省筋といいますか、通産省自身が権威のあるそういう電力需給の十年先あるいは五年先の的確な見通しも比していないというようなことは非常に残念に思うわけなんです。これだけ重要な問題を審議する際にそういう準備がまだしっかりできてない、そしてこれからの進む方向は経済社会基本計画というような昨年二月の段階で出されたあの基本計画なんかでももう省資源型にいくんだ、こういうことを言いながら、それがどういうぐあいに進めていくか、日本のGNPの伸び率をどの程度に押えて安定成長をはかっていくか。いままでのような高度成長はもうだめなんだというようなところを関連させて、たとえば六十年においての電力需給の見通しというようなものがまだまだそういう点でただ大きく見積もって、足りなくなるんだ、足りなくなるんだ、もう五十二年になれば予備率というようなものはマイナス三%くらいになってしまうんだというような過大見積もり、それからいまのような経済政策を前提としたような形でそういうものが行なわれておるんじゃないかという、そしてそれで足りないんだからおまえさんたちはどんな不安があっても文句を言うなというそういうことがもう少し克明に国民に一そういう新しい産業構造の変換というようなことも踏まえて、日本のこれからの経済のあるべき姿、成長の姿、こういうようなものをどのように推し進めていくかというようなポイントが入っていないような数字ばかり並べてわれわれにおどかしといってはおかしいですけれども、こういうようになるぞということで脅かすというような心理的効果がねらわれておるんではないか、そういうふうに思えてならないわけですが、そういう省資源型、知識集約型産業への転換というのはどういうようにして行なわれるか、そういうところにももっともっと具体策を示して、そういうものとの見合いにおいで電力需給の見通しというようなものもやはりもっと早く確保されなければならぬだろうと思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/254
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255・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 昨年以来の石油危機というものが日本経済に非常に大きな影響を与えていると思います。そこで、昨年の秋に総合エネルギー調査会に諮問をいたしまして、こういう石油危機の時点に立って将来を展望して日本のエネルギーバランスをどうすべきであるか、石炭も含めその他も含めていま諮問しておりまして、これが六月ごろ答申が出てくる予定であります。それによりまして石炭、そのほかの分野をきめて、われわれとしては長期計画策定の一つの素材にしていきたいと思っております。もちろんその背景には経済社会基本計画というものの是正ということも必然的に出てくるだろうと思います。やはり五年、十年の長期計画をつくるについては非常に的確な資料をもってつくる必要があると思いまして、とりあえずエネルギーバランスということからスタートを切ろうと考えておるわけであります。最近の情勢を見ますと、石油危機で石油の需給調整をしておりますけれども、一五%ないし一〇%の石油、電気の節減を法的に強制してきておるわけですが、その割り当てられた節減の数量に対して約一〇%くらい使い残しがあるわけです。これはおそらく石油がこれだけ高くなったので、使えば損だというようなところからかなり節約に入ってきて、原単位の効率を高めてきているのではないか。工場の人たちに聞いてみると、石油危機以前はずいぶん浪費していたものだという声も聞きます。そういうような効果が石油危機を機に出てまいりますと同時に、今回は電力料の値上げによりまして使えば使うほど高くなるという料金体系にも変えましたから、こういう傾向がますます進むだろうと私は思います。一面において総需要カットをやっておるのがそれに非常に響いているとも思いますが、そういういろいろな面を加味しながら省資源、省エネルギーの方向に日本の産業体系を進めていく、そういう具体的なめどみたいな感じを最近われわれは得ておるわけでございます。そういうことを基点にして検討を加えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/255
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256・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 通産省も先ほど私が指摘したような、そういうものをもっと科学的に見通しを立てて、的確な需給見通しというものを示すことが
必要だろう、こういうように考えます。
次に、電源開発予定地域で、多くの場合、反対運動が起こる。特に原子力発電というような場合に最も深刻に起きる問題は、やはり安全性に対する危惧、おそれ、特に原爆、水爆の被爆国民であるという点で、もちろん必要以上の核アレルギーというようなものがあるかもわからない。しかし、それはもう人間の命にかかわること、健康にかかわることでありますから、これについて神経過敏、アレルギーになる。これは幾らあってもあり足りないということだろうと思うわけです。そういう場合に、電源開発税を取って、それによって当該市町村、所在地市町村あるいは周辺地域に道路もつくってやりましょう、公民館もつくってやりましょう、上下水道も完備しましょう、学校もよくしましょうというようなことをやった場合に、それでその反対運動がなくなるかということにはならぬと私は思うのです。今度の措置をやれば、なるほどいま地方自治体の町長さんや市長さんやあるいはそういうところの議会筋などからは、われわれのところにも周辺地域を整備したいのだから、われわれのところは立ちおくれておるのだからというようなことで、金がほしいという陳情が参ります。そうしますと、その所在地における地域住民は、それでもなおかつ原子力発電に対する放射能汚染というようなことから生命を大事にしたいという、そういう基本的な発想から、それについての不安というものが残っている限りにおいては、やはり反対運動はもう当然起こらざるを得ないだろうと思う。あるいは温排水の問題あるいは使用済み燃料の再処理の問題あるいはその輸送の問題、いろいろな問題に対して安全性というものが確保されていないということで、いつ放射能の危険に襲われるかわからない、こういうようなおそれというものが解消すれば反対運動がなくなるわけです。金をやることによってそのおそれがなくなるのではない、そういうように私は考えるわけです。そうしますと、当該市町村の役場関係、そういうところの責任を持っている人たちは、そういう福祉、公共施設を整備するということに非常に魅力を感じて賛成派に回る。住民は依然としてそういうものができても命にはかえられないぞという形で、村を二分するような形で、しかも村の執行部と住民との間に血で血を洗うような、賛成、反対というものがかえって深刻化するおそれがあるのではないかというようなことを私どもはおそれるわけですね。逆にその平和な村に、一方において金をもらいたいばかりに、そして公共施設を充実したいという目先の利害にとらわれるというか、そういう形の執行部側と、生命に不安を持つ住民がお互い同士争うというようなまことに不幸な事態、いままでの反対運動というものよりも、お互い同士が血で血を洗うような深刻な事態をかえって巻き起こす契機になりはせぬかというような危惧を実は抱くわけですよ。そういうことをお考えになったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/256
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257・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 その点は非常に重要な御指摘であると思います。そういうことが起こらないように、われわれも最善の努力をすべきであると思いますし、少なくともこの法案が村に亀裂を生ぜしめる原因になるようなことは絶対避けなければいかぬ、そういうふうに思います。
そこで、やはり何といっても原子力政策を推進する一番のポイントは安全性の確立ということ、それから公害並びに環境に対する配慮を十分行なって、住民の納得を得る、理知的協力を得るということが一番の基本であります。それは金にかえられない大事なことであるとわれわれも考えております。この法案は、住民に還元すべきものをいままで還元しなかった、その忘れられていたことをこれで取り返してあげるというような意味が私はあるのだろうと思います。住民の人が、あるいは水力の場合にはダム工事で立ちのきを命ぜられ、被害を受ける。あるいは火力においても公害の被害を受ける。しかし出た電気はみな東京や都会へ持っていって使われてしまう。還元がない。当然地元に還元すべきものであったのをようやくこれで取り返すという性格があるのだろうと思います。やはり進める基本は安全性とか公害とか環境というものが中心でなければならぬ、そういうように私は観念して進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/257
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258・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 いずれにしましても、やはり火力でもある程度同じでありますが、特に原子力発電に対する安全性というものに確信が持てない。今日なおわれわれも確信が持てない。そういうことについて若干お伺いしたいわけです。
日本の国はアメリカなんかと違って、非常に広大な砂漠同様の地域を持つというような国でもない。非常に狭隘な、しかも人口の稠密な国家であるし、先ほど島本委員がだいぶ問題にしておりましたが、地震の多発国である、たいへんな地震が起こりかねない、そういう宿命を持っているところであります。そういう中で人里離れて遠い砂漠のどこかでやっているという場合には、放射能の拡散ということもあるだろうし、全くその地域に関係者以外は、住民もほとんどいないというような立地はまず不可能なんですね。そうだとすれば、やはりそういうようなことが一つあって、しかも日本では許容量五百ミリレムというようなことで人体に対する影響の度合いでやっておりますけれども、こういうものも、いままでは中国で核実験があった、偏西風に乗って放射能汚染がある程度行なわれるということで観測などが行なわれました。日本に原子力発電というものが定着をしてどんどん拡大をされていく、六十年に六千万キロワット、さらにそれが五年ないし十年でまた倍増するというような方向というものが、いま皆さんが考えられている方向だと思うのです。そういうぐあいにしてどんどん原子力発電というものが主体になってシェアアップしていくというような場合に、これはもう徹底的な安全対策というようなものか、科学技術の発展とともにほんとうに——昨日も大臣は、念には念を入れ、慎重の上にも慎重ということばを使われておるわけですが、そういう点でこの蓄積の効果、放射能の許容量というようなものに間もなく加速度的に接近をしていくのではないか。こういうことが、蓄積効果といいますか、そういうものについて、われわれは非常にしろうとの不安でありまするけれども、そういう問題はどうなっているのか。これは科学技術庁から、そういう放射能の汚染というものが蓄積の効果を持つ、その蓄積をどのようにわれわれが安心できるように説明することができるのか。蓄積というようなものは、拡散のほうがむしろ早いというようなことだけれども、そういうことなのか。あるいは放射性物質のいわゆる半減期が五十年にも及ぶというようなことも伺っておる。そういうようなことを考えて蓄積の効果というものが悪影響を及ぼす、そういう段階に立ち至るのはそれほど長い期間ではないのではないかというようなことをわれわれしろうととして考えるのですが、その辺のところ、安心できる説明というものを伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/258
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259・生田豊朗
○生田政府委員 先生御指摘の蓄積の問題でございますが、まことにおそれ入りますが御質問の御趣旨がわかりかねる点がありますので、二通りお答えさしていただきたいと思います。
一つは人体の中における蓄積の問題であろうかと思います。これは放射能以外の物質の汚染の問題でも同様の問題がございますが、特に放射能の場合につきましては、蓄積の問題あるいは遺伝の問題が広く論議されております。そのような問題も含みまして放射能の影響につきましては、国際放射線防護委員会という国際機関がございまして、そこで一応の基準を出しております。この基準が一般人に対しましては年間〇・五レム、五百ミリレムであれば、その人体における蓄積を考慮いたしまして、人体に対する影響はないということでございます。わが国でもこの基準を受けまして、年間五百ミリレムという基準を採用しておりますが、実際問題といたしまして原子力発電所から外に出てまいります放射能は、それの百分の一あるいはそれ以下、年間五ミリレム、あるいは実際に測定いたしました値によりますと、一ミリレムあるいは二ミリレムというように非常に低い数値でございます。したがいまして、原子力発電所がふえましても、そこから出てまいります放射能によりまして、人体の蓄積効果と申しますか、蓄積の影響を考えましても、全く問題がないというように考えております。
もう一点は、原子力発電所の数がただいま御指摘のようにふえてまいりまして、しかもある地点ではかなりの集中が行なわれるということになりますと、その出てまいります放射能が累積してまいりましてかなり大きくなるのではないかというような御質問ではなかろうかと考えますが、その点につきましても、原子力発電所の立地につきましてはさまざまでございます。原子炉一基だけ設置されるものもございますし、非常に数多く七基、八基というように多くの原子炉が一地点に設置される場合もございますが、それぞれそのような集中されます場所につきましては、その集中を前提といたしまして、一台ずつ別々に審査いたしますので、足してみたら結果が違っていたということはございません。集中を前提といたしまして、集中いたしましてもその放射能の弊害、影響が全くないということを確認いたしまして安全審査をしておりますので、以上二点につきまして私どもは十分自信を持っておりますし、人体に対する影響はないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/259
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260・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 どうもよくわからないのだけれども、核燃料再処理工場から放射能放出をゼロにするよう努力するかどうかということが環境安全問題についてまじめに取り組んでいるかどうかの試金石だというようなことが、去年の科学技術特別委員会で原子力発電に対する安全性について参考人を招致をしてやられたときに中島篤之助さんがおっしゃったことばであります。そこで、再処理工場で気体廃棄物としてクリプトン八五が出ます。これを八千キュリー排出する、百万キロワットの沸騰水型の原子力発電では一日百五十キュリーである、こういうことですが、そうしますと、発電をするところから出るものよりも再処理の段階で約五十倍のキュリーにのぼる排出が行なわれる、こういうようなことになってくる。さらに液体廃棄物として、再処理工場では一日一キュリーだ、敦賀の原発では一年に〇・一七キュリー、東海原発では一年に一キュリーだ、この再処理工場で一日一キュリー出るんだ、こういうことになると一年分を一日で出す、こういう危険が出てくるのじゃないか。そういうところから、原子力発電所がどんどんできるということになってまいりますと、少なくとも二十一世紀を迎えるころには五千六百ピコキュリーの障害が全国民の皮膚に出るような状況に立ち至るであろうというようなことを警告をされておるわけです。先月号のエコノミストに載っているわけですが、こういうようにどんどん蓄積されて、そういう状況というものが使用済み核燃料の再処理の段階で出てくる、こういうことに対してこれはやはりおそるべきことことではないか、こういうように考えるわけですが、その辺のところはどういうようにわれわれは安心していいのか、納得のいくような御説明をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/260
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261・生田豊朗
○生田政府委員 ただいま動燃事業団が東海村に建設中の再処理工場でございますが、再処理工場が本格運転を開始いたしましたあと、そこから排出されますクリプトン八五、これはただいま先生の御指摘のように一日約八千キュリー、それから海洋中に放出されますルテニウム等、これが一日約〇・七キュリーでございます。ただ、私どもが計算しておりますのは、この排出されますものが周辺公衆に対してどれだけの影響を与えるかということを先ほど申し上げました原子力発電所の場合と同じように計算しております。これは原子力委員会の再処理施設安全審査専門部会におきまして検討したわけでございますが、その結果、まずクリプトン八五でございますが、それによります被曝は、これは煙突から出てまいりますので、風速等を考えまして最大被曝地点、これは煙突から約二キロ離れた地点と計算されるわけでございますが、そこで全身に対しまして年間三十二ミリレムでございます。これは先ほど申し上げました原子力発電所の場合と比べまして多いことは事実でございますが、先ほども御説明いたしました国際放射線防護委員会、ICRPの線量限度五百ミリレムと比べますと十五分の一ぐらいでございまして、十分国際的な基準以下に押えられているというように考えております。
もう一つ、海の中に出しますものでございますが、これは海産生物を食べましてその結果として出てまいります結果を想定したわけでございますが、これでも全身に対しまして十二ミリレムということでございますので、これもやはり昭和四十四年に放射線審議会が海洋放出による被曝の目安線量としては年間五十ミリレムが適当であるという答申を出しておりますが、それに比べまして約四分の一でございますので、原子力発電所の場合の数値よりは高いことは事実でございますが、再処理工場が本格運転いたしましても、その周辺の公衆に悪影響を与えることはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/261
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262・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 あなたがいまおっしゃられたそういう数値というものはどこが責任を持って国民が信頼し得るに足る数値として発表されているのですか。分析化学研究所じゃないでしょうね。そういう点にやはり国民の不安は非常にあるのでありまして、少なくとも良心的な学者等が真剣に数値の測定をされておるというようなことでなしに、ああいう問題があった以上なかなかこの疑惑を払拭するわけにいかぬ、あなた方の示される数値というものに対して全幅の信頼を置くわけにはまいらぬ、こういうことなのですが、そういうのはどういう機関がどういう測定をやって権威あるものとしてやられたのか、そういう点で先ほど私も参考人招致の議事録を見ながらそういう人がおっしゃっていることを危惧として一つ出したわけですけれども、それを反駁するのはどういう機関が、そしてどういう人がその構成員でその測定をしてそういう数値に心配ないということが出るのか、それらの根拠をひとつ明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/262
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263・生田豊朗
○生田政府委員 ただいま御説明申し上げました数値その他の検討でございますが、原子力委員会の下部機構といたしまして、安全専門審査会がございます。これは国内の専門の学者にお集まりいただきまして、その斯界の権威の衆知を集めまして検討した結果でございますので、分析化学研究所とは一切関係ございませんし、最終的には原子力委員会の責任で決定したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/263
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264・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 もう時間が経過したという御注意でございましてあれなのですが、この原子力発電に対しては何といってもこの安全性の問題、これはまだまだ質問しなければならぬ事項がたくさんあるのですが、時間を守りたいと思いますので……。
その安全の問題について、さらに画期的にこれだけのことをやった、だからもう心配ないのだというようなものをどうやってやるのか、そうしてそれがほんとうに権威のあるものとして国民に周知されるというようなことがあるならば、これは地域住民も、こんなあめをもらわなくても、ニンジンをもらわなくても喜んで受け入れることになるだろうと思うのです。これはやはり最近は民生用の電灯等の電力も非常にシェアが上がってきておるというようなこともあるわけですから、生活優先の電力の供給確保というようになれば、これは納得すればやはり反対なんということはなくなるわけですから、そういうものについていまあらためてこれだけこの安全性が問題にされている問題について、組織機構的にどういう担保があるか、そしてそこにどういう人たちを集めて現実にどれだけの測定をやるかというようなこと、これは今度の法案による特別会計を通じての候補の中にモニタリングというようなことはあるけれども、そういうモニタリングだけでそんなことはとうてい国民が安心できるまでにはなり得ない。やはり審査の基準、許容量、許容さるべき線量というようなものが権威あるものとして、しかも国民が信頼できるだけのものが、そういう線量基準というようなものが的確にやはり示される。そういうものを担保する考え、構想、組織、機構、それから人的配置、こういうようなものについてどういうお考えを持っておられるか、まずお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/264
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265・生田豊朗
○生田政府委員 現在の原子力発電所の安全問題につきまして、先生ただいま環境モニタリングだけでは不十分であるという御指摘がございましたけれども、私どもも同様に考えております。環境・モニタリングと申しますのは、いわば原子力発電所の安全性の確保につきまして、大きく分けまして三つの手段を講じておるわけでございますが、その三番目のものでございます。
第一は厳重な安全審査、先ほど申し上げました安全専門審査会におきまして専門の学者の知識を集めまして厳重な安全審査を設計段階でやっております。
それから運転に入りましたあとは、法令で定められております基準以下に排水口あるいは排気口から放射能が漏れていないかどうか、それを厳重に監視いたしまして、その基準以下に抑えるということを監視監督しております。
そのほかに、さらに先生が御指摘になりました環境モニタリング、つまり発電所の周辺の放射能を測定する装置をつけまして、これは主として地方自治体と電力会社との安全協定に基づいてやっておるわけでございますが、その三段がまえでやっておりますので、十分その点は確保されているというように考えている次第でございます。
あとその充実の問題につきましては、四十九年度の予算でかなり多くの予算をいただきました。たとえば安全研究でございますけれども百億、昨年が五十億でございますが、それが倍にふえまして百億の安全研究の予算をいただいております。安全審査関係の人員にいたしましても、原子力研究所その他外部の関係者も入れまして約三十七名の増員をいただいております。もちろんそれで十分だというわけではございませんので、今後そういう質的量的な面での充実の面も含めまして努力を続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/265
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266・広瀬秀吉
○広瀬(秀)委員 具体的に原子炉についての許容基準というか、こういうようなものも五ミリレムにしようとしているというようなことがあるわけですね。そして現に再処理工場ではもう三十二ミリレムにしようとしている。こういうような点は、原子炉から出る放射能だって再処理工場から出る放射能だって、これはやはり人体に及ぼす影響に差があるはずはないと思うのですね。そういうものについてやはりこういうことが現に行なわれているというようなことは、何かそういう許容基準、線量基準というようなものがいかにもあいまいだという印象をわれわれに与えるわけですね。そういうものについて、これはもっと完全な安全性を追求するという立場で、そういうところの許容基準というようなものをしっかりきびしいものにしていく姿勢をとってもらわなければ絶対に安心はできない、こういうように思うわけであります。
ほかにまたいろいろ聞きたい問題があったのですけれども、時間が幾らか超過をしたようですからこの辺で私の質問を終わりますが、とにかくこの法案は、電力が不足段階をそろそろ迎える、五十一、二年にはときどき停電が起こるというような状況、こういうようなものを非常に大きくクローズアップして宣伝をしながら、原子力発電に対する生命の安全を守ろうという立場で反対する・人たちの気持ちとうらはらに、ニンジンを与え、あめを与えてその運動を抑圧していこう、こういうようなことでありますから、それより先にやるべきことは、国民全体が、原子力発電に対する安全性というものがほんとうに国の言うことが信頼できる、そういうような点についての真剣な努力、このことがまずまつ先にとらるべきである。それがとられた段階で、いままで確かに足らざるところがあった、やはり何のメリットも地元にはなかったというようなことを反省した上で今度は出したと言うけれども、それはやはり順序をつければ何といっても安全性の確立、それが国民に信頼できる対策というものを真剣に講ずることがまず第一である。このことだけ最後に指摘しまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/266
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267・田中六助
○田中(六)委員長代理 野間友一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/267
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268・野間友一
○野間委員 最初に、電力料金の値上げ問題について通産大臣にお伺いしたいと思うのです。
あれだけ多くの国民が心の底から反対をしたわけですが、昨夜あのような大幅な形での電力料金の値上げが認可されました。私たちはたいへん遺憾に考えております。
そこで、この値上げの認可に関して大臣が記者会見をしていろいろと言われておりますが、その中で便乗値上げは厳重に監視するとともに、他の公共料金への波及も極力抑制する、こういうようなことを言われておると新聞の報道にございますけれども、この事実は、言われたことに間違いないかどうか、まず確認を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/268
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269・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 電力の値上げをきのうは閣僚協で決定いたしましたが、国民の皆さま方にはたいへんな御迷惑なことでありまして、まことに遺憾であります。しかし、これによって便乗値上げを起こさないように政府としては十全の措置をとって監視そのほか抑制措置を講じます。そういうように申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/269
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270・野間友一
○野間委員 公共料金を例にとりましても、もうすでに私鉄、それからガスあるいはバス、トラック、さらに十月には国鉄とそれから消費者米価、これらの値上げが予定されておるように、目白押しにこのような公共料金の値上げが現に予定されておる。しかも、この電力料金の値上げがその中で非常に大きなウェートを占める場合が多い。これが一斉にこれから値上げされる引き金になるのじゃないか、このように世間でも言われておりますし、私もそう思うわけです。そういう意味からいたしましても、たいへん残念に思うわけであります。
そこで、いまのお答えにもありましたけれども、他の公共料金への波及の極力抑制あるいはその便乗値上げ、これを厳重に監視する、こういうふうに言われておりますが、確かに電力料金の値上げによっていろいろと便乗値上げが、あるいは公共料金が具体的にもう出てきておりますし、また出てくる。これらをどのように歯どめしていくのか、歯どめをする保障をどこに求められるのか、このことについてひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/270
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271・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 公共料金については、引き続いて抑制するという方針を堅持して、たとえば私鉄あるいは国鉄等に対してこれによってすぐ値上げをするというようなことはやらないでできるだけ引き延ばしていく、そういう方針を堅持してまいります。
それから一般の物資につきましては、ある程度電力が上がれば原価が上がるというものもあります。これはこの間の春闘で賃金が上がったためにコストプッシュになるという要素もあると同じように、やはり多少は影響は出てくると思いますけれども、それを口実として値上げの率を高めたり時期を早めたり、そういうようなことはこちらは厳重に監視をして、そしてそういうふうにかりに電力代が相当上がったためにやむを得ず上げなくちゃならぬというものがあるにしてもこれは極力しぼる。また、かりにそういうものを上げざるを得ぬという場合が出てきても、時期をずらすとか、あるいは率をできるだけ圧縮するとか、あるいは率をできるだけ圧縮するとか、そういう努力によっていまの物価を安定するという方向に全力を尽くしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/271
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272・野間友一
○野間委員 そこで機構上の問題なんですが、たとえば買い占め防止法に基づいて価格調査官がこの予算委員会の中で専任価格調査官の設置というようなところまで来ておりますけれども、これは現実にどのような動きをしておるかということを調べてみますと、必ずしも専任価格調査官が十分に活動しておるとは言えないと思うのです。それはそれとしても、投機の防止に関してはこういう調査官制度が設けられておりますが、しかしながら便乗値上げについて同じような機構上の問題としてこれらをどのように監視していくかということですね。これについては国民が非常に大きな不安の目で見ておるわけですけれども、このような点についてどのようにお考えになっておるのか、お聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/272
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273・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 いろいろな物資についてその中における電力値段が占める比率等もわれわれのほうである程度計算がしてあります。したがいまして、個々の物資についてそういう傾向が出てくる場合に合理的なものであるかどうかという判定もして、それによってわれわれは、やむを得ないか、あるいは引き延ばせるか、あるいは上げざるを得ぬという場合に圧縮できるか、そういうふうに合理的に処理していきたいと思います。その間にあって便乗値上げと思われるものをなくなすために価格調査官等を大いに活用したいと思います。この間うちは物価が鎮静ぎみでございましたから価格調査官の活躍する余地はあまりございませんでしたが、われわれとしては、こういうような時期に価格調査官の機能をさらに活発にさせていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/273
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274・野間友一
○野間委員 いま価格調査官を使うという話がありましたけれども、あれは投機防止法に基づいて、買い占めあるいは売り惜しみに関しては法律的に活動できる権限を持っておるわけですが、このようないわゆる便乗値上げについての監視について価格調査官を使うことができる権限が一体あるのかないのか。これは法律上の権限はないと思うのですけれども、その点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/274
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275・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 便乗値上げをつくる素地が売り惜しみとか買い占めということで起こる危険性もあります。売り惜しみというときには出てくる危険性が大いにあります。つまり仮需要が起こる心理的なバックグラウンドがあるときにはそういう現象がありますから、十分に使えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/275
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276・野間友一
○野間委員 次に、この値上げの中で福祉の導入・というようにマスコミが呼んでおりますけれども、一つはナショナルミニマムの設置に関して、共同住宅あるいはアパートの場合、それぞれ独立した世帯が幾つかあるけれどもメーターは一個である、こういう場合に具体的にどのような処理をするのかということが現実にはたいへん問題になってくると思うのですね。具体的な例については省略はいたしますけれども、こういう場合に、わが党の小林議員が物特委員会で、電力会社にそれぞれの独立した世帯に対してメーターを設置することを要求すべきであり、政府としてもそのような形で処理するべきである、このように主張し、この点について経企庁の長官が、何かちょっと答弁の正確な内容は忘れましたけれども、しかるべく考えるような答弁があったと思うのです。これらについて具体的にどのように処置をされようとしておるのか。これもこのままでいきますと六月一日から値上げということですから、もう今日的な問題だと思うのです。これについてまず答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/276
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277・山形栄治
○山形政府委員 いわゆる集合住宅の場合には、御指摘のとおりメーターが一個で、実際の中の世、帯家族が数戸に分かれておるわけでございますので、ナショナルミニマムの適用にあたりましては、台所が別になっておれば、これを契約上別途のものとして取り扱う。したがいまして五軒が中に入っておりますれば、ナショナルミニマムは百二十の五倍ということで運用いたしたいと思います。そのメーターの取りつけにつきましては、そういうことをはっきりさせる観点から、メーターが別についておりますればこれが一番確実で、お互いに紛争がないわけでございますけれども、その辺につきましても弾力的に対処したいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/277
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278・野間友一
○野間委員 弾力的に対処ということはどういうことになるわけですか。私はこの種の場合には、電力会社がメーターを各戸別、独立した世帯の各戸につけるべきである、このように思うわけですけれども、いまの長官の答弁によりますと、メーターは一個で、それぞれが各世帯に入っておる。その場合に世帯の数で割って、百二十を基準にしてそれ解れが料金の算定をする、こういうふうに考えておられるようですけれども、私はやはり独自にメーターをつけなければ、たとえばある世帯では八十とか、あるいはある世帯では百二十をこえるとか、そういう場合にどうやってバランスをとっていくかということで、これはかなり紛糾することが予想されると思うのです。それらを避けるためには、やはりどうしても各独立世帯にメーターをそれぞれ設置するということがこれはもう当然要求されてくると思うのです。これらについて再度どのように考えておられるのか、ひとつお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/278
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279・中井富男
○中井説明員 お答え申し上げます。
私ども、先ほど長官が申しましたように個々の御世帯のいろいろな紛争等を避けますためにある程度メーターをつけることが望ましいという感じもいたしておりますが、ただ家屋の構造等々によりましてやはり戸別にメーターをつけることが配線上非常に困難がある場合もある。そういった場合も想定いたしまして、そういった場合に需要家の方々に不利にならないようにという趣旨で、先ほど長官が申し上げましたようなそういった今回の措置を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/279
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280・野間友一
○野間委員 こういった措置がよくわかりませんので、たとえば百二十以下と百二十以上が、これは各戸別々に出てくるでしょう。しかもメーターは一個しかない。それを頭数で単に割っていくという趣旨なのか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/280
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281・中井富男
○中井説明員 先ほどの御説明が若干簡略化し過ぎまして申しわけございませんでした。
いまのお尋ねの趣旨でございますが、たとえば五つの世帯が入っていらっしゃる集合住宅を考えますと、それぞれの方々、たとえば百までお使いにならない方あるいは百五十お使いになる方いろいろあろうかと思います。その場合に、私どもといたしましては、集合住宅の五世帯の方々にそれぞれナショナルミニマムといたしまして今回決定されました百二十でございますが、したがって六百キロワットアワーまではナショナルミニマムに相当するそういった料金で支払いをお願いする、それをこえた分につきましては第二段料金、かようなかっこうで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/281
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282・野間友一
○野間委員 具体的な処理についてメーターを戸別につけなければたいへん紛糾すると思うのです。もともとは私はこのような逓増制料金制度そのものに反対なんですが、こういうことで全部あとは基準をきめて各戸の共同住宅、あるいはこれは家主とかたな子という関係にもあろうかと思うし、あるいは管理人とそれぞれの居住者、形の上ではいろいろ出てくると思いますけれども、結局内部にいろいろそういう問題を残していくということですね。ごたごたがかなり出てくる。しかも、こういう住宅はかなり多いと思うのです。たとえばいま申し上げたメーターが一個で独立した世帯が住んでおる。それでは具体的に一体国内でどのくらいこういう世帯数はあるのか。どの程度把握しておるのか。そのこともひとつお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/282
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283・中井富男
○中井説明員 お答え申し上げます。
東京電力管内でそういった集合住宅の世帯数は大体八十万世帯ぐらいかと思われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/283
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284・野間友一
○野間委員 私は九電力の関係全部合わせてお聞きしたのですが、いま手持ちの資料がないとすれば、ひとつ全部資料をつくって提出をしていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/284
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285・中井富男
○中井説明員 概数でございますれば私どもで調査いたしまして後刻御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/285
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286・野間友一
○野間委員 それからこれまた一つ問題があるのは、たとえば生活保護世帯が中にある場合の処理ですね。これらはすべていま申し上げたような一つの集合住宅、共同住宅で全部処理をさせるわけでしょう。ごたごた、矛盾が出てくる。いま全国でどの程度の世帯数があるか調べると、おそらくかなりの数にのぼると思うのです。これは単にそのような集合世帯だけに全部をまかせていくということではまっとうな仕事はできない、このように私は思うのです。これについて具体的に、これはスムーズにいくと考えておるのか、あるいはまたいま申し上げたような形で個別にメーターをつけるとか、そういう方向で考えるのか。全くなくて、いま長官あるいは課長が言われたような方法だけで今後処理していこうとするのか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/286
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287・山形栄治
○山形政府委員 御指摘のとおり、集合住宅の中にまた生活保護世帯が入っておりますような場合は非常に紛糾が考えられるわけでございますので、考え方といたしましてはメーターを個別につけるのが一番いいと私は思います。ただ、いまちょっと課長のほうから申し上げましたように、非常に膨大な世帯数の関係もございますので、方向といたしましては、いま御指摘のとおり、メーター個別設置という方向で運用をいたしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/287
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288・野間友一
○野間委員 これは早急に検討して具体化して各電力会社に対して指導しなければ、もうあとわずかの日程しか残されておりませんのでね。
それからこの場合でも、いまの状態が続くとすれば、たとえば共同住宅の中で世帯が変動します。その場合に一体どうするかということです。特に生活保護世帯の場合にはどうなんでしょうか。電力会社に申請するとか、こういうことをしなければ実際わからないわけでしょう。そのような具体的な実務の処理をどのようにしようとしておるのか。この生活保護世帯は、たとえば母子ホームとが重度の身障者の場合とか施設、これとも関係してくると思います。具体的にどのようにこれを指導して、どのような形で、電力会社がいまきめられた三月までの料金の据え置きとかあるいは百二十といういまの認可された基準に従ってスムーズにいこうとすれば、いまの時点で具体的にきめなければもうおそい。こういうことは当然だと思うのですね。そこで、いま申し上げたように具体的な生活保護世帯の届け出の問題、それから一定の施設の基準、それらに関して電力会社との関係でどのような実務の手続なり処理を考えておるのか、具体的に聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/288
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289・中井富男
○中井説明員 お答え申し上げます。
生活保護世帯につきましては、電力会社でもなかなか調べ切れるものではございませんので、できるだけPRいたしまして徹底をはかりながらお申し出を待つというかっこうになろうかと思います。
それからいろいろな福祉施設の関係でございますが、この範疇につきましては、六月一日の実施までの間に私ども鋭意詰めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/289
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290・野間友一
○野間委員 申し出を待つということになりますと、知らない人はそのまま済んでしまうわけですね。そうでなくて、やはり国とか地方公共団体、これらがきちっと行政上の処理をして、そしてこのような方々に負担や迷惑をかけない、これは当然だと思うのです。こういう処理をぜひやるように行政指導をするべきだと思うのです。これは非常に大事な問題ですから、再度聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/290
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291・中井富男
○中井説明員 電力会社の場合に、厚生省等々のいろいろな資料を私企業の立場として見せていただけるかどうか、そういった問題、いろいろ個人の方々の秘密の問題等々もあろうかと思いますが、私どもひとつ厚生省と十分相談いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うような方向で考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/291
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292・野間友一
○野間委員 いまに至るもまだそういう具体的な案を持っていないということは、私はけしからぬことだと思う。早急にこれはしかるべく厚生省なりあるいは地方自治体と協議して、そして近いうちにきめるべく努力するように要求しておきます。
電気料金値上げに関連して経企庁に一言聞いておきますけれども、ある新聞によりますと、物価局長が記者会見をしていろいろ言っておる。これには、便乗はまずないはずであるとか、あるいはCPI〇・五六%とか、これを読みますと、値上げはたいしてわれわれの生活に影響がないというふうにしか読めないのです。一体そんなに軽々に考えておられるのかどうか。おそらくこの新聞の記事は読まれたと思うのです。〇・五六%ですね。それからこれらの波及効果あるいは便乗値上げ等々についても、すでに卸売り物価は値上げが済んでおるからほとんど影響ないだろう、こういう軽々な発言をされたという記事があるわけですけれども、これらについてひとつ釈明を求めておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/292
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293・小島英敏
○小島政府委員 ある新聞におっしゃるようなごとが出ておりましたが、私ども今回の電力値上げが家計に対して影響が非常に軽微であるというふうには決して認識しておりません。物価指数に対する直接の影響といたしましては、いまお話のございましたように、CPIにおきましては〇・五六%、卸売り物価指数に対しましては約一%、これは直接この指数の構成品目に電灯及び電力が入っておりますから当然それだけの影響が出るということがございます。
〔田中(六)委員長代理退席、左藤委員長代理着席〕
ただ私が申しましたのは、間接的な面は聞きに来られた記者の方が非常に大きいように言われますから、実は卸売り物価についてはすでに十二月、一月、二月と三カ月の間に一八%ぐらい上がっておりますか、非常に大幅な、これは輸入原料が上がるとかいうこともございますけれども、いろいろ計算してみますと、やはり相当大幅な先取り値上げがあの狂乱状想の中で行なわれたということは事実でございますので、卸売り物価の間接的影響は10表で計算いたしますと約一%弱くらいあることになりますけれども、これは今後それだけが新しくっけ加わるものではなくて、相当部分はすでに先取りで実現されているものである。したがって、間接的な影響はそれほど大きいとは考えていない。また大きくしないために、毎々言っておりますように、総需要抑制その他の便乗値上げの防止対策が必要であるということは重々感じている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/293
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294・野間友一
○野間委員 このCPIですね、〇・五六%、これは計算は間違いないのかどうかということが一つと、それから卸売り物価、これは、いま局長が言ったけれども、実際に電気料金が上がった、特に産業用がかなり上がっておるでしょう。そうすると、理屈の上ではあなたはそうおっしゃいまずけれども、とにかく電気代が上がったからということでオンしてくるというのは、今日までのいろいろな経過からして出てくることは必至だと私は思うのです。これらがほとんど出てこないということは、非常に安易な、私は、物価の番人としては非常に軽率だと思うのです。もしこれが出てきた場合に一体どうするのか、どういう歯どめをされるのか、いま通産大臣のほうでは価格調査官を使って云々ということがありましたけれども、これらについて、物価の番人経企庁ではどのように歯どめというか、きびしく監視を考えているのか、そのこともついでに伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/294
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295・小島英敏
○小島政府委員 先生にややこまかい数字をお渡ししてあるかと思いますけれども、私〇・五六%と申しましたのは、概数の計算でございまして、これはいままで公共料金等の影響について常にやっておる計算で、そのものの値上げ率かけるCPIにおけるそのもののウエートということで出したものがこの〇・五六%でございます。ところが、これは非常に技術的なことになって恐縮なんでございますけれども、CPIも卸売り物価もそうなんですけれども、算術平均指数なものですから、実は四十五年ベースであらゆる個別のものが一〇〇近所のところでいる場合にはいまのような計算で大体正しい数字が出るのですけれども、現実のいまの場合考えますと、電力の電灯の指数というものは、これは去年関電と四国が上がりましただけで、ほかのものは四十五年以来上がっておりませんので、非常に一〇〇に近いところで走っております。それに対して、CPI総合というものは大体一五〇ぐらいのところで走っておるわけでございまして、そうすると高いところで走っているものが実はそれだけ大きなウエートがかかってしまう、そういうことになるわけでございます。したがいまして、先ほど申しました〇・五六%というのは、いままでのきまった方式による概算の見通しでございまして、現実にこのCPIにどれだけ響くかといいますと、むしろそれを三分に二ぐらいにしたものしか実際のCPIには響かないということになるわけでございまして、これは算術平均指数の限界性でございますの一で、技術的にそういうことにならざるを得ないということでございます。
それからもう一つ、監視の点につきましては、結局卸売り物価といいますものは、従来の経験から申しましても、非常に需給情勢によってきまるということが基本的な性格でございます。したがいまして、コストが多少上がるものがあっても、そのものの製品の需給状況が非常にルーズで、需要のほうがむしろ弱くて、供給過剰ぎみであるようなものについてはなかなか価格に対する転嫁ができない、価格の引き上げができないということになるわけでございまして、そういう意味からも、先ほど申しましたように総需要抑制を堅持するということが非常に重要であると思うわけでございます。
それからもう一つは、やはり現在事前了承制品目ということで幾つかのものを、なお特に今回八つのものにつきまして解除したわけでございますけれども、電力値上げによってコストに影響するようなものについては依然としてあの制度のままに残しておるわけでございますので、これは、もしそういう値上げの申請がございました場合には、通産省、農林省において厳重にチェックをして、便乗値上げを防ぐ、十分の監視をしていく、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/295
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296・野間友一
○野間委員 この点については、あした物特がありますからそのときにまたお聞きすることにして質問を進めますが、電力危機の五十二年説ということを通産省あるいは電力会社等々で盛んにいまいっております。その原因は、特に民生用の需要の伸びの増加、特にクーラーを中心とするそういう伸び、こういうふうに指摘をしておるわけですね。そこで家庭用と工業用、こういうふうに二つに分類して、現在その比率がどうなっておるのか、国際的に見てこれがどのような位置にあるのかということを若干調べてみたわけですが、アメリカの場合には、一九六九年、これが家庭用は二六・七%、イギリスが六九年は家庭用は三五%、これは七〇年になりますと三六・一%に上がっておりますが、それから西ドイツが一九七〇年で二〇・九%、こういうことですね。これに対して日本は七二年で一七%、これは事実間違いないかどうかということをまず確認を求めるのと、これが間違いないとすれば、他の先進資本主義諸国と比べて家庭用が非常に低い、圧倒的に逆に大口の電力の使用が多い、こういうことが日本の場合いまの比較によって特徴的に出てくる、こういうように思うのですけれども、この点についてどうですか。
〔左藤委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/296
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297・山形栄治
○山形政府委員 家庭用というのが概念が若干不明確でございますが、電灯ということであれしますと、四十七年度で、日本の場合はいま先生のお話のとおりほぼ近いんですが、一六ぐらいでございます。ただ、われわれのほうは電灯ということだけでございませんで、電灯、業務用電力、農事用電力、小口というようなことで、いわゆる民生ということでこれをあれいたしますと、現在民生は四二・三%を占めておりまして、しかも前年度比におきましては産業用よりも相当高い伸び率を示しているのが最近の現状でございます。諸外国のことはちょっといま手元に資料がございませんので、比較を省略さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/297
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298・野間友一
○野間委員 民間その他で計算した結果こういう数字になって出ておるのですけれども、中小企業あるいは農事用含めて四二・三%でしょうか、大口を除いてそういう数字ですね。電灯用というのはいまいわれた一六%、これは私が申し上げた一七%とそんなに変わりがないと思いますけれども、そういう点から考えて、いずれにしても大口、特に鉱工業用ですね、これらが非常に大きなウェートを持っておるというふうに外国との比較で私はそのように認識をしておるわけです。それから、三十五年といいますと池田内閣が所得倍増政策を唱えたときですけれども、それ以降四十七年対比で、自家用も含めまして電灯とかあるいは電力の需要電力量はどれだけ伸びておるかということも少し数字で追ってみたんです。そうしますと、電灯については、これは三十五年を起点として四十七年までに総額にして五百二十億八千八百万キロワットアワー、これだけ伸びておる。電力の場合には、これが同じ三十五年を起点として四十七年まで、二千三百二十五億七千七百万キロワットアワー、確かに伸び率については、これは電力に比べてあるいは電灯のほうが若干上回っておるというようなことも聞いておりますけれども、この数字だけを見ますと、三十五年から今日までの消費量は電灯の約四倍になっておる、こういうふうに数字が出ておると思うのです。昭和三十五年に始まった高度経済成長政策、これらの結果がこのような数字になって出ておるというふうに私は理解しておりますけれども、この事実は間違いないのかどうか、ひとつお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/298
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299・山形栄治
○山形政府委員 ただいま御提示の数字は正しいものだと思います。若干の端数の違いがあるかもしれませんが、正しいわけだと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、最近の民生と産業の伸び率は非常に民生が高いわけでございまして、これは家庭用と商業、農業、学校、病院、鉄道というのをわれわれ民生用といっておりますが、そういうものの伸び率が非常に高いわけでございます。この電力が三十五年から四十七年までに非常に伸びておりますのは、先生御指摘のとおり日本の経済政策の一つのあらわれだと思うわけでございまして、その間、日本は非常に経済の高成長を遂げまして、全体のパイを大きくして、それで国民生活の向上につとめたわけでございますが、今後は、おそらくこの産業面におきます電力消費というものも、産業構造の転換をしながら、より付加価値の高い形にこれを省エネルギーのかっこうで持っていくというのが政策の目標になると思うわけでございまして、諸外国と同じように、今後ともおそらく民生用の比率というのが日本においても相当高まっていくのがこれからの状態であろうと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/299
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300・野間友一
○野間委員 いまのコメントはともかくとして、これだけ電灯に比べてその伸びが非常に特徴的に大きく出ておるということは認めたわけですね。
次に、この電力需要の伸びについて国際的に若干数字を追ってみたわけです。これはまた便覧で追ったわけですけれども、これによると、便覧では便宜上一九六三年から出ておるわけで、そこから数字を追ってみましたが、一九六三年と七二年、これを対比いたしますと、日本以外は七二年は想定の需要、これは便覧にもそのように出ております。そうですね。これは二二二ページに出ております。そこで対比を考えてみますと、伸びは、アメリカが一・九倍、西ドイツが一・八五倍、イギリスが一・五七倍、それから欧州の十八カ国の合計が一・八二倍、これに比較して日本が二・六七倍とはるかに国際的に見てもその需要の伸びが特徴的に出ておると私は思うわけですね。しかも、この中で特徴のあるのはいわゆる電力の多消費型産業、たとえば鉄鋼、これも同じ時期で比較してみますと、鉄鋼の場合には三十八年と四十七年対比が実に三倍になっておる。自動車の場合には四・三倍、それから電気機器、これは三倍、それから鉱工業全体でも二・六倍、このように急激に増加しておる。先ほど長官もいみじくも言われましたけれども、この高度経済成長に比例してこのように特に多消費型の産業、いま申し上げましたように三倍とか四・三倍、これらは西欧諸国あるいはアメリカをはるかに上回った伸びを示しておる、こういうことが数字の上で出てきております。
〔田中(六)委員長代理退席、稻村(佐)委員長代理着席〕
そこで、お尋ねをするわけですが、この三十五年、いま申し上げた池田さんが所得倍増政策を唱えた以降、四十九年の通産省の所管業種の設備投資の額の累計はどの程度の額になっておるのかということですが、数字がいま直ちになければ、こちらのほうから計算しておりますので申し上げますと、鉄鋼が六兆七千億、石油精製が三兆二千億、石油化学は一兆二千億、自動車が三兆七千億、それから電気、それから電子機器、これが二兆四千億、アルミが八千億、それから電力が十兆円。つまり通産省所管の業種の中での設備投資がいま申し上げた年度の中で申しますと約四十五兆円というものすごい大きな金額になってきております。これらがそれぞれ電力多消費型の産業であるわけですね。同じ十五年間でこれだけの四十五兆という伸びを設備投資で示しておるわけです。
それじゃ同じ十五年間の一体国家予算の合計は幾らであったかということも少し計算しますと、これは九十七兆七千億円ですから、十五年間の国家予算の約半分、これがこれらの多消費型の産業に対する設備投資として出ておる。そしてこのような産業の設備投資の伸びにこれまた比例して、とにかくエネルギー部門を受け持つ電力がいま申し上げた数字の上でも十兆円ということになっておるわけですね。
こういう点から考えますと、今日までの電力の需要の特徴あるいはその伸び、この設備投資等々を総合して考えますと、やはり大企業、特に電力を多く食うこういう産業が伸びて、しかもこれらが大きく電力を食っておるということが今日までのこの電力を中心とした産業との結びつきの特徴ではなかろうかというふうに私は理解するわけですが、これらについて長官でも大臣でもひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/300
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301・山形栄治
○山形政府委員 わが国は敗戦後非常に狭い国土で何も資源がございません。そこで何とかして成長しなければいかぬということで成長を遂げてきたわけでございます。この間、国際収支の壁も非常に高かったわけでございますので、加工貿易スタイルで経済運営をはかってきたことは御高承のとおりでございます。そういう観点から、いま御指摘のとおりエネルギー多消費産業のウエートが高まってきておりましたことも確かでございます。これはやはりある発展段階におきまして一つの非常に賢明な行き方であったという見方もできないことはないわけでございますが、今後におきましては、この辺は大いに反省を要する点であろうと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/301
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302・野間友一
○野間委員 そこで、五十二年の危機説との関連でこれをとらえてみますと、先ほど申し上げたように、通産省あるいは電力会社もこのクーラーを中心とする家庭用の需要の伸びということをその危機の中心的な問題としてとらえておられた、こういうように私は思うのですけれども、しかし、いま申し上げたような数字からいたしますと、電力多消費型産業、鉄鋼とか化学とかいうものですが、こういうもののエネルギー源として電源開発というものが続けられておる。そしてこれらが大きな公害をばらまき、そして非常に大きな問題となってきた、こういうことになるのじゃないかと思う。そういう意味から考えますと、やはりクーラーを中心とした云々ということよりも、これはやはり多消費型の産業の異常な伸び方に電力の需要と供給の関係のアンバランスというものを求むべきであって、いかにも家庭が豊かになって、そして家庭の中でたくさん電力を使うようになった、だから五十二年にその危機が来るのだという考え方は誤りであり、これはいただけない、私はこのように思うわけですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/302
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303・山形栄治
○山形政府委員 現在の電源開発の状態は、累次にわたって申し上げましたように、四十七年が達成率三二%、四十八年が四四%ということでございまして、このままで推移すると、電調審の決定済みのままでありましても、五十三年ごろに供給力がマイナスになるということでございます。私の個人的な見解も含めまして、クーラーとか家庭用の電気の需要というのが伸び、電化が進み、国民生活がより一そう豊かになるというのは、これは当然の要求だと思うわけでございます。ただし、その場合におきましても、こういう状態でございますので、節約は皆さんで、みんなでやる、これは国民といわず産業といわずみんなで節約をやるというのは、私はまたこれも一つの方向だと思いますが、いまの先生のお示しのように、われわれは五十二、三年の危機が、クーラーが非常に伸びるからしたがって危機であるというようなつかみ方はいたしておりませんで、これは国全体の電力の需給ということの観点及び現在の電源開発の進捗状況、それとの関係で申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/303
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304・野間友一
○野間委員 そこで次にお伺いするのは、四十九年度の設備投資計画についてでありますが、これについての産構審の答申によりますと、「省資源、省エネルギー型の中長期の産業構造のあり方と設備投資計画との関係については、引続き検討する」こういうふうにこの産構審の中ではいわれておりますけれども、これらの点について具体的にどのようにお考えになっておるのか、これは通産大臣の御所見をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/304
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305・山形栄治
○山形政府委員 産業構造の改革といいますか、改造の問題につきましては、相当前から通産省といたしまして検討を省全体で続けておったわけでございますけれども、特に昨年の暮れ以来の石油危機が起こりましてから、この産業構造の転換のポイントを二つにしぼっていま作業を進めておるわけでございます。一つは、当然のことながら省資源、省エネルギー、多消費型産業の抑圧ということが大きな点でございます。それからもう一つは、むしろ積極的に、より付加価値の高い、労働生産性の高い産業構造にどうこれを持っていくかということでございまして、この二点から現在省内で検討を続けておりまして、六月中にはその全体の構想のスケルトンの作成がおそらくできるのではないかというのが現状の段階でございます。いま先生のお示しの問題につきましては、そういう作業も進んでおりますので、その辺の作業ができ上がり次第、それとの関係で産構審の設備問題を調整するということであろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/305
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306・野間友一
○野間委員 これはやはり真剣に考えなければならぬ。電力ピンチということがよくいわれますけれども、これは決して国民に責任を転嫁してはならぬと思うのですね。先ほどこの電力の伸び、あるいは設備投資の伸びが国民の暮らしに潤いを与えたというような、そういう意味での答弁もあったと思うのですけれども、やはり基本的にはこのようなエネルギーをべらぼうに使う産業だけをどんどん伸ばしていく、それが今日のいろんな電気の諸問題を生み出しておるという点から、もっとすなおに、謙虚に、しかも深刻に反省をして、ここに指摘してあるような検討を早急に進めて、省資源、省エネルギーのそういう産業政策に転換しなければならないというふうに私も考えておるわけであります。
そこで具体的に聞くわけですが、四十九年度の通産省所管の業種の設備投資の修正計画、これについて伺いますと、この四十九年度のこれら設備投資の特徴——これは産業別の主要電力量の構成比で二七%を占める鉄鋼、これは対前年比で三四%の設備投資の増加、それから二〇%を占める化学で、これは石油化学が九〇%、それから合繊が五二%の設備投資の増加、それからこの使用電力量の構成比で一二%を占める非鉄金属、これらの対前年度比の設備投資の増加が二三%、つまりこのようにその産業用電力の六〇%を占める業種が軒並み三四とか九〇あるいは五二、二三というように大きな設備投資の増加が計画をされておる。こういうことは先ほど長官も言われましたけれども、また、この産構審の答申の中にもありますが、この産業構造のあり方と設備投資計画との関係についての検討、こういう点にもとるものじゃないか、私はこういうように思うのですけれども、この点についてどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/306
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307・山形栄治
○山形政府委員 構造の全体のあり方につきましては、先ほどいまの作業の進行状況を申し上げまして、それとの調整をはかるということを申し上げたわけでございますが、いま先生のお示しになりました鉄鋼の三六%、合繊の五二でございましたか、非鉄の二三というようなものは、それぞれ現段階におきます業種の需給を前提に考えておるわけでございます。当然のことながら、ほんとうをいいますれば海外からの輸入という問題も一つ考えられるわけでございます。それから海外に立地をいたしまして、そこで後進地域等と協調しながら一つの海外立地工場をつくっていくということも考えられるわけでございますが、私は全体を所管しておりませんので非常に不正確だと思いますが、鉄にしろ非鉄にしろ、それぞれ海外との立地計画が思いのほか進んでおりません。現実論として五十年ごろの輸入につながるようなかっこうでは、なかなかおのずから限界があるというようなことも踏まえまして五十年の成長、四十九年、五十年、五十一年という成長を見込みましたときのそれに見合う需要に即応する供給を考えますときには、一応こういう形での設備投資が妥当である、こういうふうに指定したものであると思うわけでございます。もちろん今後構造問題からの調整をはかることは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/307
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308・野間友一
○野間委員 こういう数字からいきますと、ここでは声を大きくして省資源あるいは省エネルギー云々と言われますけれども、しかし、この伸びを見た場合に、はたして慎重に検討してこれを見直しておるのかということについて考えますと、私は非常に疑問に思うわけですね。これは依然として今日までの多消費型のこういう産業、特に鉄鋼、化学あるいは非鉄というのはそうでありますが、こういうものについての異常な伸び、異常というと語弊がありますけれども、これらはちっともいままでと変わっていない。これらについて、私はやはりさらに再検討しなければならないのじゃないか、こういうように思うのです。
時間の関係で次に進みますが、私たちが考えてみますと、こういうふうに依然として電力をたくさん使う、そういう設備投資をふやして、そして需要をふやしていく、これに見合う形でまた電源開発、電源立地を求めて、それに合う形で、つまりこのような産業の伸びに合う形で電力の供給というようなことが叫ばれておるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。
この電力需要の伸びについて少し見てみますと、これは四十八年度以降五十三年度までの需要の見通し、これらについても時間がありませんからこちらのほうから申し上げますと、電灯は四十八年から五十三年まで三百七十八億一千万キロワットアワーですね。それから電力が二千六百二十五億五千三百万キロワットアワー。これらを考えてみますと、電力のほうが約七倍多い、こういうことになっておるわけです。このことは設備投資の大幅な増加、これと比例して使用電力量も、電力のほうで急速に伸びることが予想されておる。しかも伸び方が七倍ですね。これは三十五年から四十七年まで、高度経済成長ということでやってきた。中でも三十五年と四十七年、これを比べてみますと、電灯の約四倍ですね。ところが、四十八年から五十三年度までは約七倍というわけですから、いままでの超高度経済成長のとき以上に、電灯と電力との伸びの割合が大きくなっておる。こういうのが結果として出ておりますが、こういう点から考えて、一体これはどういうことなのか。このように、依然として多消費型の産業の設備投資をふやして、電力の需要をふやしていく。ところが立地難、つまり住民の反対にあって、これがなかなかうまくいかないということで、このような交付金の制度をつくって、そして地域住民の運動を押えていくというような役割りを持った法律を通したい、こういうふうな意図があるということが今日までのいろいろな数字から特徴的に出てきておる、私はこういうふうに思います。この点について、私の指摘したのは間違いなのかどうか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/308
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309・岸田文武
○岸田政府委員 今後の用途別の電力需要の見通しでございますが、全体としては、先般立てました需要想定におきまして、五十三年までに年率大体八・九%の伸びで推移をするという想定を持っております。これは従来の実績から比べますと低い水準であるという感じがいたします。これは電灯と電力に分けて見ますと、電灯の場合は八・九を上回る九・二%の伸び、電力の場合はこれを下回るという形でございまして、伸び率から申しますと、やはり電灯のほうが高くなっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/309
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310・野間友一
○野間委員 伸び率からいきますと、確かにそのように言えると思うのですけれども、具体的に使う電力の量を電灯と電力で比較してみますと、いま申し上げたように、四倍から、今後五十三年までは七倍の伸びということです。だから、いままでよりもさらにこの産業用に使う電力量の伸びが多い。このように数字の上では出てきておるわけです。
そこで、経企庁にひとつお尋ねをいたしますが、石油危機を発端とするエネルギーの危機の中で経済社会基本計画、ここでは成長率が年平均実質九・四%というふうな指摘をされておるわけですが、この石油危機の中で、はたしてそれでいいのかどうか。これは当然見直すべきである。しかも、これらの見直しと同時に、基本計画を基礎とした電源開発の基本計画、これらも当然見直すべきである、このように考えますが、この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/310
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311・宮崎仁
○宮崎(仁)政府委員 御指摘の経済社会基本計画につきましては、フォローアップ作業ということを通じまして現在検討のし直しを進めておりますが、この全体の姿をどういうふうに今後描いていくかということは、まだ十分に根拠がある作業ができておらないという状況でございます。ただ、電力の問題につきましては、別途、電源開発促進法による基本計画というものを毎年度つくらなければなりませんので、現在われわれがつかみ得る情報をもとにいたしまして、最近の石油の問題、その他の事態を織り込んだ需要想定をいたしたいということで、実はことしの一月から電調審の中に部会をつくっていただきまして、いろいろの問題を検討していただいておりますが、その一環として、若干長期にわたる電力の需給の見通しという問題を議論していただくことにいたしております。その中で、いま御指摘のように、やはり相当需要が変わってまいりましたので、通産省からもお話がありましたように、・従来のような高い成長率、またそれを土台にした高い電力需要ということではなく、かなりモデレートな姿におさめざるを得ないのじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/311
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312・野間友一
○野間委員 この九・四というのを具体的に数字の上でどの程度見直されるのか、いまのところ考えておられる点についてひとつ教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/312
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313・宮崎仁
○宮崎(仁)政府委員 御承知のように、この経済計画におきまする成長率といいますのは、昭和三十年代の初めごろは、成長率を先決するいわゆる想定成長率法というやり方でやっておったわけでございますが、現在の経済計画ではそういうやり方ではございませんで、いろいろの世界の情勢あるいは国内においてやろうと思う政策的な目標、それに伴う資源の配分というようなものを想定いたしまして、そして望ましき姿はどの辺になるか。これはいろいろの形ができるわけでございますが、その結果、成長率が出るという形でございます。いま申し上げましたように、たとえば社会資本、社会保障その他の問題についていま検討を進めておる段階でございまして、どの辺が望ましいかということはまだできておらないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/313
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314・野間友一
○野間委員 この経済社会基本計画の中にも九・四%の成長率、これは欧米諸国の最近の成長率を大幅に上回るものである、こういうふうに述べてあるわけですね。しかも、先ほど申し上げたようなことを契機にして、これは当然見直さなければならない。これを見直し、そして電力の問題についてもさらに見直していく。これはやはり早急にやる必要があるのじゃないかというふうに私は考えておるわけです。
もう時間が経過したというメモが参っておりますので、あとずいぶんありますけれども……。やはりこのように今日までの多消費型のそういう産業構造を根本的に転換して、そして要するに、たくさん使う工場をたくさん建てるから電力が足らなくなる、したがって、発電所が必要だ、ところが反対運動が盛り上がって、そしてそれがうまいぐあいにいかない、こういうことの中でのこの法案の意味というものを私は見ておるわけですけれども、根本的には、そのような問題についての分析をし、それで再検討を加えるということを抜きにして、この電力の需要と供給の関係を論ずることはできないというふうに思うわけです。先ほどから、るる安全性の問題とか、いろいろな点からの指摘が各委員のほうからされましたけれども、この点について、私は特に検討されることを要求するわけですけれども、最後に、通産大臣の所見を聞いて質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/314
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315・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 民間設備投資とエネルギー消費の相関関係を論ぜられて、エネルギー過消費あるいは資源過消費という傾向に対して警告を発せられたと思われます。そういう方向については私も同感であります。産業構造審議会の答申におきましても、七〇年代の日本の産業構造についてそれと同方向の示唆が与えられておりますが、ただ、日本のいままでのいきさつ等から見ますと、一億の人口を養っていくためには、やはりいままでの状況からすれば、ある程度の重化学工業の基礎なくして一億の人口を養うことはできないという情勢にございます。なぜならば、たとえば知識集約産業といっても、そういうものが体系的に露呈しているわけではありません。部分的にこういうものになるであろう、コンピューターであるとか、ファッション産業であるとか、航空機であるとか、そういうものがべつ見されておるという程度でありまして、これを一つの次の時代の産業構造体系に組み立てて、そこに向かってばく進するという体制がまだ完全にできていないからであります。したがって、過渡的に輸出をささえ、また一億の人口を養っていくための社会福祉を増進する原資を得るという意味において、エネルギーというものを使って輸出、輸入を増進するということもやってきたと思います。しかし、今回の石油のこの事変というものは、われわれに対して決定的に方向変換を要求してきているものだと思いまして、そういう方向に沿ってわれわれは政策の修正をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/315
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316・野間友一
○野間委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/316
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317・稻村佐近四郎
○稻村(佐)委員長代理 近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/317
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318・近江巳記夫
○近江委員 本委員会におきまして、電力の値上げ問題につきまして、何回も、私どもは国民生活を守る立場において政府に反省を迫ってまいりました。しかし、わずかな圧縮幅におきまして決定になったということはまことに遺憾なことであります。
その質疑のときに、私は、安定会議から七項目の提言というものが出された、それに対してどのように受けられるかということをお聞きをいたしました。この七項目については、政府としては全面的に受け入れ、今後その趣旨に沿っていきますという御答弁があったわけであります。そういうことで、それに関連をしまして、その七項目の中に保安の問題があったわけであります。保安の確保につとめるということがあったのであります。
私は、ここで一つの痛ましい事実を申し上げたいと思うのです。これは中曽根大臣、そして森山大臣、そしてここにきょうは多くの委員がお集まりでございます。私は、私の言うことがむちゃであるのかどうか、お聞きいただきたいと思うわけであります。
事件は四月の二十日に起きたわけです。大阪の豊中市東豊中六丁目の公団住宅であります。そこに石田範一さんという三十二歳、奥さんが石田道子さん二十七歳、子供は三歳の女の子、一歳の男の子であります。そこで、子供たちにコイのぼりを立ててやろう、こういうことでポールを立てた瞬間感電をいたしました。六千六百ボルトの裸電線であります。奥さんと御主人がものすごい力で引っぱり込まれまして、奥さんは、とにかく吸い込まれるような強烈な力で引っぱられたのを覚えておるが、あとはもう意識不明で、まあ助かったわけです。御主人は子供たちの目の前でまつ黒になって死にました。奥さんは、あと一秒でもおそければ完全に死んでおったと思います。心臓の裏と足に大きな傷がつきました。十日間病院に入院して、退院したわけであります。
私は思うのでありますが、こういう団地のどまん中に六千六百ボルトの裸電線、そういうものが放置されておっていいかということです。この六法を見ましても、保安のところに、第四十八条におきましては「電気事業者は、電気事業の用に供する電気工作物を通商産業省令で定める技術水準に適合するように維持しなければならない。2前項の通商産業省令は、次に掲げるところによらなければならない。一 電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。」云々と、ずっと出ているわけです。五メートル十しかなかったのですよ。それは五メートル以上あるから、通産省のいうとおりやっておるじゃないか、こういっておるわけです。子供だって棒を振り回せば、五メートルくらいの棒は持ちますよ。このごろは金属のさおなんかも非常にたくさん出ているわけです。これに対して関西電力は、豊中営業所から五千円の香典と三国営業所から三千円の香典であります。葬式代を出すと言いながら出しておりません。しかも、この間は、奥さんがこの小さい子をどうして育てるか、地元のいろいろな人たちが心配して交渉し、呼ばれて営業所へ行きました。何とか就職の世話をしましょう、どうしてもあかぬ場合は、それでは関電ででも雇うようにしましよう——一歳と三歳の子を連れて働けますか。一体、通産省のこういう省令というものは、こういういいかげんなものですか。皆さん方の身になってもらいたい。皆さん方が感電して、妻と子供を残して、こういう冷たい仕打ちでこれでいいのですか。これは法的にも適合しておるのですか。しかも、こういうようなえげつない措置というものが社会的に許されますか。これは法律以前の問題ですよ。大臣でも部長でもどなたでもけっこうです。誠意ある答弁を一回聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/318
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319・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 まことに痛ましい事件でお気の毒にたえないと思います。事態を詳細に調べまして、もし関西電力側において落ち度があるのだとするならば、適当な処置をとらせるようにいたします。
公益事業部長のほうで若干調べておるようでありますから、御報告をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/319
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320・岸田文武
○岸田政府委員 いま御指摘の事実は、先般私も耳にいたしました。御遺族のお立場を考えますと、私としてもことばもない気持ちでございます。
御指摘のように、基準云々といいますよりは、やはり御遺族の立場に立って誠意ある解決をはかることがまず大事である、こう考えまして、私どもとしてもできるだけのことをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/320
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321・近江巳記夫
○近江委員 まあ非常に抽象的だと私は思うのですよ。ですから、ほんとうにその家族の身になって、親身になってやらすということをおっしゃっているわけですから、これはひとつほんとうに、ほんとうに親身になって考えてあげてほしいと私は思うのですよ。事件が起きてからもう何日になるのですか。ほんとうならば、関電の社長自体が家へ出向いてきて、畳に手をついてあやまって、関電としてはこういう誠意ある態度をとらせてもらいますと言うのがあたりまえですよ。私は別に役職を云々するのではありませんけれども、一出張所の支店長のところに呼びつけて、就職を世話しましょうと、そんなことはもうあたりまえもあたりまえ、よくそういうようなことが言えるなと私は思いますよ。若干の支度金は出しましょうと——これはほんとうにきびしく、一回関電を呼びつけてもらって、政府としてほんとうに人道的な処置をとってもらいたいと思うのです。これはいま大臣もそのようにおっしゃったわけですから、きょうは多くの委員の皆さんも聞いておられます。決して私の言っておることがむちゃなことを言っていないということはわかっていただけるはずです。これは今後の中曽根大臣はじめ政府のほんとうの、きょうのことばだけではない、そういう実行をさせる姿を私は見守っていきたいと思います。それも早い機会にやっていただきたいと思うのです。
それから、これは東豊中団地で起きた事件でありますが、全国に今日そういう団地がたくさんできております。そういう人家の密集した地域において、裸線の六千六百ボルトというような高圧電線を通しておいていいという現在のこういう通産省令というものについてどのように思われるか。少なくとも被覆線にするとか、短い線であれば、十メートル、二十メートルだったら、電線に結びつけてたこを上げている子供だって私は知っていますよ。これは第二、第三の犠牲がまた起きます。ですから、そういう住宅団地であるとか、密集地においては、そういう裸線を放置さしておくということは重大問題だと私は思うのです。この保安の問題についてどのように思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/321
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322・岸田文武
○岸田政府委員 送電線の絶縁化の問題につきましては、昭和四十七年にこれをなるべく早く実施するという方向で計画的に進めてまいっておるところでございます。目標年次としましては五十二年までの計画を持っているところでございますが、ただ、いま御指摘のようなケースが出てまいりますと、私どもとしては従来の計画があるということだけでは済まされないと思います。絶縁化の推進につきましては、さらに一そうその実をあげるべくもう一度計画の見直しをしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/322
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323・近江巳記夫
○近江委員 それは手品ではあるまいし、きょうあすでできるものじゃないということはわかるわけですよ。そうしますと、少なくとも人家の密集したそういう地域には第一優先でやらさなければいけない。ですから、スタートした時点において一年でできないなら、なぜ密集地域からこれをやらないか。なぜそれをやらさなかったか。端からやっていくのがそれは能率的かもしれぬけれども、安全ということから考えれば密集地域を第一にやるべきじゃないですか。そういう政府自体の計画だってずさんなんです。まずそういう危険を及ぼさないという観点から考えれば、当然そういう指示はできたはずなんです。なくなられた方はもう戻ってきません。しかし、これを一つの大きな反省として第二、第三の事故を起こしてはいけない。ですから、各電力社会にも命じ、政府自身も全国的な調査をして、そういう密集地域においては早急にそれを直させるように手を打ってもらいたい。それに対してどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/323
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324・岸田文武
○岸田政府委員 御趣旨を体しまして、私としてできるだけのことをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/324
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325・近江巳記夫
○近江委員 いま公益事業部長はそういうように答えました。大臣としても、これはほんとうに人命の問題でありますから、大臣からも強力にこういう点についてはひとつ指示をし、監督をしていただきたい。大臣に重ねてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/325
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326・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 危険予防のために御趣旨に沿って至急に措置をとらせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/326
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327・近江巳記夫
○近江委員 それでは、この問題につきましては非常に痛ましい事件でございますし、どうか第二、第三の事故を起こさないように通産省におかれましても真剣にこの問題に取っ組んでいただいて、またこういう事件だけじゃなく、まだほかにいろいろとそういう保安上の心配な点が多々あろうかと思いますが、何よりもそういう保安の問題に全力をあげていただきたいと思います。これを強く要望しまして、この問題は終わります。
それから今後は保安に関する問題でありますが、基本問題としまして本委員会におきましていろいろな質疑答弁が行なわれておるわけであります。政府としては、電力事情というものを考えると、年々増加する一方である、供給が追いつかない、それでピーク時に備えての予備力が非常に窮屈になってきておる、昭和五十三年におきましてはこれがマイナスになって停電騒ぎが起きる、だからこの法律が必要である、そういう御答弁があったと思うのであります。しかし、根拠になさっておられるこの電力需要の想定というものは、これは政府の責任のもとにおいて行なっておられるのではなくして、業界の手による、いわゆる民間機関の手によるものであります。そういう点におきまして、業界の資料をうのみにしてこのままでは停電になる、そういうことを言っておるのは、私は非常に無責任だと思うのです。この点についてはどのようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/327
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328・岸田文武
○岸田政府委員 電力に関する長期の需要想定といたしましては、経済企画庁を中心として取りまとめられます先ほどもお話の出ました長期計画がございます。別途その前作業といたしまして、三年間の中期計画を日本電力調査委員会を中心に取りまとめておるということでございます。この電力調査委員会の調査は、形は民間の組織でございますが、やっております作業の内容といたしましては、世界各国でほほ共通のルールに従いまして作業が行なわれ、しかも、そのメンバーには私どもも参加をしながらお互いに討議をして、今後の需要想定の最も正しい見通しは何かということで勉強して取りまとめるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/328
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329・近江巳記夫
○近江委員 答弁ではいろいろなことは言えますけれども、もっと政府自体がその辺は業界のそういう資料だけをうのみにせず、今後しっかり把握してもらいたいと思うのです。
それからその次に、この需要想定におきましては、今後における需要量の伸び率は年に約九%、八月最大電力の伸びは年率一〇%以上となっておるわけです。こういうことを見ますと、相も変わらぬいわゆる高度成長政策の延長じゃないかと思わざるを得ないわけです。この省資源あるいは省エネルギー政策とは逆行するものじゃないか、そういう感じがするわけです。こういう点についてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/329
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330・岸田文武
○岸田政府委員 先般取りまとめました今年度の電力需要想定によりますと、四十七年度から五十三年度の間における平均増加率は八・九%を示しております。ただこの数字は、過去の実績でございます四十一年度から四十七年度と比較いたしさすと、実績では一一・二%を示しておったわけでございまして、従来の傾向からいたしますとかなり低い伸び率を見込んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/330
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331・近江巳記夫
○近江委員 政府としては、省資源あるいは省エネルギーの問題はどのようにかみ合わしていくつもりですか。どのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/331
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332・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 電力にいたしましても、いままで一一%の伸びであったものを八%台に下げる、石油にいたしましても最盛期においては大体一二%くらいの伸びを最近までしておったわけでございますが、これも六%ないし八%、情勢によっては九%、同じくらいの率にやはり伸び率を削減していくということが適当ではないかと大体めのこ算用をしております。これらは総合エネルギー調査会にいま諮問しておりまして、いずれ六月に答申が出ると思いますから、それらを基準にして考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/332
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333・近江巳記夫
○近江委員 その答申がまだ出ておらないということは、やはり政府のこういう目標設定というものについてのまだまだ一致したものがないと私は思うのですよ。そういう軟弱な地盤の上に立って一応想定した、これは非常に不確かであると思うのです。こういう需要想定を基礎として火力発電所であるとか、あるいは原発であるとか、続々と新増設をしていく、こうなってきますと、ばい煙であるとか、温排水あるいは大気汚染、海洋汚染、原子力関係におきましては特にこういう環境汚染、安全性等の問題も入ってまいりますし、こういう点からいきますと、環境保全政策とも逆行してくるのじゃないかと思うわけです。これについてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/333
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334・森山欽司
○森山国務大臣 先ほど来電力の見通しの問題について御質疑がありまして、全体の問題は中曽根大臣からお話しになりましたが、原子力の問題につきまして先ほど御質疑がありました分につきましては、四十七年に原子力委員会で基本計画、すなわち昭和五十五年三千二百万キロワット、昭和六十年六千万キロワットの計画があったことは御承知のとおりでございまして、これは原子力委員会の長期計画によるものでございます。その計画の基本になりました経済情勢等が特に昨年の中東戦争に関連してのいわゆる石油危機以後非常に大きく変わったことは御案内のとおりでございますから、私ども原子力関係といたしましては、とにかく腰だめ的にも一つの目安をつけなければいかぬということで、稲葉秀三氏、この道の長年にわたっての経験と学識を持っておられる方でありますから、稲葉私案を作成いたしまして、腰だめ的の見通しをもちましてこれに対処いたしております。それの意見によりましても、これからの経済成長は前のように九%とか一〇%をこえるような大きなものではございません。ほんとうに国民経済の成長を内輪にとって、五、六%という程度のものにいたして電力の需給を見ましても、先ほど来お話しのように、来年の夏のピーク時には予備率八ないし一〇%要るというものに対して五%前後に相なり、非常に需給のゆとりが窮屈になってくる。そして昭和五十三年には供給が需要を下回り、いわゆる供給予備率はマイナスになってくるということでございます。したがって、いままでのような経済成長を考えてそういうことになっておるわけでございませんから、電力需給の問題は、経済成長を五、六%に低く見ましても、私は今日の時期容易ならざる状態になっていると思うのであります。これについてエネルギー調査会のほうで、私どものほうで、そういう稲葉私案という形で一つの目安を出しましたことも関係があったのだと思いますが、この六月ごろに中間的な、暫定的な報告を出そうということでいま鋭意急いでおるわけでございまして、結論につきましては通産省も科学技術庁もおおむね同じようなラインになると思います。その際、今後の経済成長をどのような目安に置くかといえば、五、六%程度でございまして、前のような高度成長を考えているわけではございませんから、どうかその点について、科学技術庁のみならず政府全体も、ただ昔からの計画を金科玉条にしてやっておるわけではない。現在の時勢に即応してそれぞれのやり方でやっておるということでございます。
それから原子力発電につきましては、放射能その他環境問題に特に留意してやらなければならないことはもとよりでございます。しかしながら、率直にいって今日の軽水炉発電は、そういう意味においては安全性の問題について心配ないというふうに私どもは考えておるわけでございます。現に原子炉の周辺の放射線量は五ミリレムでございまして、自然放射能が百ミリレムでございますからおよそその二十分の一でございます。さらに法律で規定されております規制線量は五百ミリレムでございますから、その規制されました線量のおよそ百分の一というぐあいにもうなっておるのでございまして、現在の原子炉の放射能の問題については、今日の段階において心配ないという段階でありますが、もちろん念には念を入れなければなりませんし、日進月歩でございますから、安全性の問題についてはなお気をつけてまいりたいと思います。放射能及び放射能の環境問題については私どもそのように考えております。これがまた核燃料の再処理工場の問題にいたしましても、これは原子力発電所みたいなわけにはまいりません。五ミリレムというわけにはまいりませんが、気体で三十二ミリレム、液体で十何ミリレムで、合わせて自然放射能の二十分の一以下でございますし、規制線量のおよそ十分の一ぐらいになっております。それは原子力発電所よりは再処理工場のほうがやや高いのでありまして、将来これを下げるべく、アズ・ロー・アズ・プラクチカブルにやっていくということはわれわれは異存はございませんけれども、レディリー・アチーバブルにやっていくことは私どもは異存はございませんけれども、それじゃ環境放射能の問題で心配かというと、私はそのようにも考えておらないわけでございます。今日の軽水炉発電及びこれをめぐる環境というものは、放射能に関する限りは御心配ないというような段階になっておる。繰り返すようでありますが、しかしなお日進月歩のこの時代であり、技術はどんどん進んでいくわけでございますから、念には念を入れてやっていく、そういうふうにひとつ御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/334
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335・近江巳記夫
○近江委員 政府は、この法律をお出しになるにあたって、関係市町村はこういう公共施設等に対してさらにいろいろと政府に対策をとってもらいたい、こういう意見が非常に強い、それがあたかも全住民が一番望んでおるような、それに近いような、そういう発言があるわけです。しかし、一番ここで大事なことは、住民感情というものを政府としてはどうお考えになっておるかということを一ぺん私はお聞きしたいと思うのです。港湾であるとか、道路であるとか、公民館であるとか、そういう公共施設は補助を手厚くしてもらう。それが充実する。そういうことと、この原発の場合、安全性であるとか、あるいは環境汚染の問題であるとか、これは依然として国民はみんな疑問に思い、不安に思っているわけですよ。そういう点から、きますと、そういう公共施設に手を加えてもらったということで納得するかどうかという問題なんです。その辺の住民意識については皆さんはどうお考えになっておるか。むしろいままでどおりの自然の、そういう安全性とか環境汚染の心配のない状態のほうがいい、住民はそう思っているのと違いますか。その辺についてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/335
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336・森山欽司
○森山国務大臣 原子力発電に関連してお話のようでございますから私からお答えいたしますが、この法律の目ざすゆえんのものは、電力をつくった地元には格別の利益はございません。電力が送られる先の町場の工場やあるいはそこの住民に役に立つ。そして従前でございますと、そういった開発の利益というものは使用者のほうにばかり参りまして、地元に対してはいささかもそういうものがなかったというところにやはり不満の一つがあるわけでございますから、開発利益の地元還元という考え方に立ってこの法律ができておるものだと私どもは理解をいたしております。したがって、その意味におきましては原子力発電における安全性の問題とは全く関係がないのであります。ただ、この法律の前提といたしまして、私が先ほどの答弁で申しましたように、原子力発電は安全性の問題はもう心配ないのであるが、日進月歩でありますから、念には念を入れてやっていかなければならぬ、こういう意味でそのことをやっていくわけでございますが、いろいろそれについては御意見があるわけでございます。そういうことについてどうも安心ならぬ、不満だというそういうものに対応するために、今回のこの法律が、お金を出すわけではございません。いわばそういうものに対する不信感を札びらでもってほっぺたをたたくような、そういう趣旨でこの法律はできておるわけではございません。開発利益の地元還元という考え方でございまして、そして安全性の問題についていろいろ御心配の向きは、私も主管大臣といたしまして、軽水炉の安全については念には念を入れなければならぬけれども、決して心配ないという確信を持っておるということをむしろ申し上げたいと思いますし、またそのことを実証し、かつそういうことが国民の間に広く広まるように努力するということにこれからの努力を傾けなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございますから、この法律の本旨というものが安全性の問題にからめて、それを金でもって片をつけるというようなそういう精神のものでは全くないということは、先生におかれましても先刻十分御承知のところでございますが、どうか御関係の向きにひとつ十分御徹底願えるように特にお願いをいたしたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/336
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337・近江巳記夫
○近江委員 森山大臣はいま御答弁になられたわけでありますが、念のために通産大臣にも同じ質問をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/337
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338・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 原子力政策を進める一番の根本は住民の不安をなくすことでありまして、それには安全性と公害環境問題を政府が責任を持って行なうということが大事であると思います。
本法案は、いままで原子力発電やあるいは火力発電等設置された場所に当然還元すべき利益を還元しなかった、おくればせながらそれらの地元の皆さま方に福祉をお分かちする、いままで足らざりしものをこれで補う、そういうような考え方も基本にありましてやったのでありまして、安全性の問題はこれらと離れて政府がまず第一義的に責任をしょっていかなければならぬ問題であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/338
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339・近江巳記夫
○近江委員 足らざるものを補うということを大臣おっしゃったわけですが、そうすると、すでに建設されて稼働しております発電所はこの法律の中に入っておりますか。それについてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/339
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340・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 電源開発促進という題名で示すように、将来の開発促進がございますけれども、既設のものについても固定資産税その他において特別の措置をいま講じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/340
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341・近江巳記夫
○近江委員 じゃ事務当局からひとつそれをさらにお聞きしたいと思うのですが、いま大臣がお答えになったわけですが、どういう固定資産税等のカムバックがあるのですか。いままでそういう既設のところにつきましては、発電所が来ると固定資産税が入ってくる。そうしますと、政府のほうでは地方交付税なんかはばさっとカットするわけですよ。何のためにできたのかわからない。そういうことで苦しんでいるわけですよ。いま大臣がお答えになったことを事務当局としてお答えいただきたいのです。どれだけ還元するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/341
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342・岸田文武
○岸田政府委員 発電所に関する固定資産税につきましては、従来は特別の減免措置が講ぜられておりまして、具体的には建設されましてから最初の五年間については当然入るべき固定資産税額の三合の一に減額をする、次の五年間については三分の二という形でやってまいったわけでございます。これは従来からこういった形のほうが発電所の建設を促進するだろうということから、だいぶ前にできた制度でございます。
ただし、最近の動きからいたしますと、地元の市町村としては固定資産税を確保したいという強い要望が私どもの耳にも聞こえてまいりました。そこで、今年度の税制改正におきまして、新設の発電所につきましてはこういった減免措置は取りやめるということにいたしました。また既設の発電所につきましては、従来の減免を半分にする、具体的には最初が三分の一、それから次が六分の一の減免、こういう形にしたわけでございます。別途固定資産税につきましては、大規模資産の特例であるとかその他の制度がございましたが、これも地元の市町村が潤うようにという形での修正を行なうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/342
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343・近江巳記夫
○近江委員 それは税制で補うということであって、大臣がおっしゃったように足らざるを償っていくんだ、そうなりますと、法律にそれを当然盛り込むべきなんですよ。そうすると、大臣がおっしゃったことは片手落ちだということになる。税制でちょこっといらうということだけになる。だいぶん違うわけですね。ことばと真心ある行為とちょっと違うわけです。まあ事務当局でもよろしい。
〔稻村(佐)委員長代理退席、田中(六)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/343
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344・岸田文武
○岸田政府委員 ただいまお話し申し上げました措置につきましては、今国会におきまして地方税法の改正を行ないまして、いま申し上げましたような措置が実現することになったわけでございます。
新設の発電所については、御提案申し上げております法律によりまして新しい措置を講ずる、別途地方税法によりまして既設の発電所に対する手当てを行なう、両々相まって発電所の地元の方々に喜んでいただけるような措置を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/344
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345・近江巳記夫
○近江委員 こういう税制で措置をした。しないよりかいいわけです。だけれども、現実にこの法案には既存のあれについては盛られておらない。そうしますと、これはあくまで開発促進法案であるといわれてもしかたがないと思うのですよ。いままでのことを反省して補うのだという、大臣のそれとは少し違うわけですよ。こういうことは何回言っても、税制でやっていますとお答えになると思いますから言いませんけれども、いずれにしても、ことばでは何と言おうと、森山大臣も、公共施設をやるから、そういうことで安全性やあるいは環境汚染ということについて心配しておられる点について今後政府としては一生懸命やる、決して政府の金で横つらを張るというような行き方じゃないということをおっしゃっておられるわけですね。しかし、両大臣のお話を聞きましても、結局はあめを出して協力しろ、いままでの反省を補うというなら、当然既存のものに対してもこれは入れるべきなんだ。これは非常によくないと思います。
それからこの原子力発電の安全性の問題でありますが、今年の四月末福島第二原子力発電所の建設に関しまして原子力委員会が発表した説明書では、安全審査に関連する資料すべてを公開することはよくない、このように述べられているわけです。一方、原研のそういう研究員等に聞きますと、アメリカでの安全審査の資料というものはマイクロフィルムで全部読むことができる。日本においては原研のものでも見られず、簡単な書類から推定するしかないということを言っているわけです。
そうしますと、公開の原則ということをはっきり定めておりますこの原子力基本法を持っております日本として、アメリカよりも公開がおくれておるということは問題だと思うのですね。この辺についてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/345
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346・森山欽司
○森山国務大臣 わが国の原子力基本法は自主、民主、公開の三原則によっております。これの期する最大の目的は軍事利用というようなことに走らないようにという担保のためでございますし、また、平和利用につきましても成果を極力公開するということは当然でございます。そういう意味におきまして、現在できる限りの資料を公表いたしておるわけでございますし、それが原子力基本法の精神に沿っておると思っておる次第でございます。
ただ、アメリカがこれだけやっておるから日本はどうだというお話がただいまございましたが、私どもはアメリカがやっておってもいいことは大いにアメリカのやり方を参考にしたいと思いますし、また必ずしもすべてがアメリカと同じゃり方をやる必要もない、こういうふうに考えておるのでございまして、成果の公開につきましては極力その方向に向けて現在も措置しておるわけでございますが、ただいまお話しのように、アメリカと同じような資料を出してないから、その意味で三原則上いかがかという御趣旨でもし御発言であったとするならば、その点には同意いたしがたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/346
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347・近江巳記夫
○近江委員 この点は、科学技術委員会等でも何回も問題にしておることでありまして、大臣としても、この点は公開の原則をうたってあるわけでありますから、今後もしっかりひとつ努力をしていただきたい。これを強く申し上げておきます。
それからその次は、いわゆる科学技術というものは国民に信頼されなければならないわけであります。特にこの原子力の平和利用が進められておる現在、特に国民の信頼ということが大事であります。ところが、最近この科学技術行政のたよりなさを示すそういう事件というものが続出いたしております。御承知のように日本分析研のああいうデータの捏造事件あるいはアイソトープは少しケースが違うとしても、日本非破壊検査会社のずさんな放射能管理の実態、あるいは美浜のああした燃料棒の事故。きょうは政府から資料が各委員の手元に届いております。これはわが党の松尾議員が五月十五日に本委員会において提出を求めたものであります。これを見ましても、事件の詳細が出ておりますが、四十七年から四十八年、四十九年のわずか三年間で、原子力発電所において十五件の事故が起きておる。こういうように、幾ら大臣が安全であるどうであるとおっしゃっても、いま基本的な信頼というものが失われておるわけです。しかも、政府のとる対策は非常に後手後手であります。こういうだらしのない今日の科学技術政策というものについて両大臣はどういう反省をなさっているか、率直な反省の答弁をひとつお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/347
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348・森山欽司
○森山国務大臣 先ほど来いろいろお述べになりましたが、分析研の問題につきましてはまことに遺憾しごくでございまして、本年一月末以来累次にわたって、予算委員会、一科学技術特別委員会等において、この問題につきまして遺憾の意を表し、かつこれに対する改善策を目下実施中でありますことは御存じのとおりでございます。
アイソトープの問題につきましては、近来新聞紙上いろいろ問題も提起されておりますばかりでなく、さきに行なわれました行管の抽出検査、百五、六十件でございますが、実に七八%が何らかの意味において法律に違反しておるという事実がわかりました以上は、三千三百の全部についてある程度そういう問題点があると私どもは考えまして、目下総点検を実施中でございます。
美浜の問題についてお話がございましたが、この問題は必ずしも私は所見を同じゅうするわけではございません。
一つ一つをとりますれば御説ごもっともの点もございますし、必ずしも納得しがたい問題もございます。特に先ほど十五件ほどの問題があったというお話でございますが、私どものほうで原子炉規制法に基づいて集計いたしました昭和三十七年から四十七、八年でございますか、約十一、二年間に、原子炉規制法上届け出られましたところの故障等の事件は全部で三十七件あったのであります。しかし、その内容を見ますと、人身に関係ある事故は事実上ない。実は三件ほど、オペレーターのミス操作によりまして問題がありましたが、これが受けました放射線量は許容量以下でございまして問題がございませんでしたから、三十七件ありましても、いずれもこれは故障であり、小事故でございまして、原子力発電の安全性の基本に関するような事件はただの一件もないというふうに私は考えておる次第でございます。
ただいま事務当局に聞きますと、先ほどの、最近三、四年間の十五件というのは通産省のほうから出た資料のようでございまして、突き合わせればほぼ同じようなものであろうかと思っております。それは私まだ突き合わしておりませんから、あとで突き合わせをいたしましてさらに検討を進めてまいりたいと思いますが、基本的には、ただいま近江委員が御指摘の点にはまことにごもっともな面があり、行政上十分に考慮しなければならない点がありますとともに、また、お話の中には私どもとして納得しがたい面もあり、これはやっぱり、黙ってさようでございますかと、法律を通したいためにあまり適当な措置をやることは適当じゃないと思いますので、この際はっきり申し上げておくわけであります。
時間がありますればもっといろいろ申し上げたいのでありますが、私もきょう午後一時からずっといままで連続して三つ四つ委員会をやっておりますので、これ以上おしゃべりは差し控えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/348
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349・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 事故といわれるものが起きましたことは遺憾でございますが、これらはいずれも想定された安全率の中における故障でありまして、これがあるがゆえに著しく危険であるということはないと思います。しかし、そういうことが起こること自体は感心しませんから大いにこれからも管理を厳重にして、そういう故障も起こさないようにしなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/349
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350・近江巳記夫
○近江委員 森山大臣も非常に極端なことを言われるのですがね。これは政府から出ておる資料ですよ。これには原子力発電所の事故一覧表とはっきりこうなっておるわけですよ。ですから、これが全然事故らしい事故じゃない、そういうことを言ってはいけないのですよ。小さな事故が連動してまた大事故につながるわけです。これはもうはっきりと資料として原子力発電所の事故一覧表となっておるのですから、今後信頼される行政をしてもらいたいということを言っておるわけでありますから、その点は大臣もひとつ謙虚に受けていただかないと、これは事故じゃないんだというような大臣の発想であれば、こういう事故は絶えませんよ。こういう小さな事故の積み重ねで大事故が発生するのですよ。ひとつこの問題につきましてもう一度御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/350
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351・森山欽司
○森山国務大臣 私の答弁申し上げましたのは中曽根大臣と同じ趣旨でございまして、安全性のワク内におけるところの故障であります。それを原子炉規制法上は事故ということばで呼んでおることも事実でございまするが、しかしそれは安全性について——機械でございますから故障もございますし、人間でございますから、ミス操作もございます。しかし、それは安全性の基本をゆるがすような問題ではないんだという点ははっきりしておきませんと——これはそういう意味において、正しく認識していただく意味で先ほど来申し上げたとおりでございまして、いずれもこれらの問題は安全性のワク内の問題であるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/351
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352・近江巳記夫
○近江委員 いずれにしても、これは政府としては原子力発電所の事故ということではっきりと規定しているわけですから、この点は国民の信頼を得るような、安全等について万全の対策をひとつ立てていただきたい、これを重ねて申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/352
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353・森山欽司
○森山国務大臣 万全の対策をとるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/353
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354・近江巳記夫
○近江委員 この安全性の問題につきましては、本委員会におきましても科学技術委員会におきましてもしょっちゅう申し上げておるわけであります。ところが、この法案におきましては、そういうことは全然盛られてないわけですね。それは法体系として盛ることはむずかしかったのかもしれない。だけれども、いままで公害法案が通過したときに、いわゆる原子力問題というものは、原子力基本法をはじめ原子炉規制法とかいろいろあるから、そちらのほうで押え込むからはずしていいんだ——ところが、これは少なくとも推進法案なんです。そうした場合、これは立法の技術としてそういう問題が政府がいうようにほんとうにむずかしかった、それをすなおに受けたとして、そうであるなら、この法案の提出と同時に、今後安全性について、環境汚染等について、これこれしかじかのめどをもって、対策をもってやります、そういう計画書を出したらどうですか。そうでしょう。それを何もお出しにならないで、答弁のときには今後力を入れます。これは片手落ちじゃないですか。ほんとうに政府が安全性なり環境汚染の問題を真剣にやるとおっしゃるなら、同時にお出しになるべきです。われわれにそれを示すべきですよ。それについてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/354
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355・森山欽司
○森山国務大臣 この法律自身は開発利益の地元還元という趣旨でございます。しかしながら、安全性の問題につきましては、この問題が論議されると同じときに、すなわち昭和四十九年度予算案において、安全性強化のために、昭和四十八年度債務負担行為をまぜまして七十億円の予算が一この昭和四十九年度の予算は非常にむずかしくて、総需要抑制の立場から、たとえば公共事業費のごときは、四十九年度は額において四十八年度と同額、そして内容は四十七年と同様というようなときに、従来の七十億円が百五十億円というように実に倍以上にこれをふやしたわけでございます。この予算につきましては賛否両論はございましょうけれども、すでに国会において御審議を願って現に実施中であるわけでございますから、予算案の提示をもって総括的説明にかえ、またこれにつきましては科学技術特別委員会におきまして、るる関係委員から御審議を願っておるわけでございますから、この際、これらの安全性確保の問題についてあらためてこれをお出しする必要はないものだと私は思っております。しかも、この問題は昭和四十九年度一年間だけではございません。少なくとも今後三年間ぐらいはこの調子で進むのだ。さらに、こういう時期でございますし、近江委員の御発言がございますから、あらためて決意を新たにして、この再検討もするにやぶさかではない、そういう考えでございますので、この問題は、この委員会は別でございますが、国会全体として予算審議を通じ、あるいは専門事項として科学技術委員会等の御審議を通じてすでにやっておるわけでございますから、予算案もすでに通って現に実施中であるということにかんがみまして、どうかひとつこの点に御理解を願えれば幸いに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/355
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356・近江巳記夫
○近江委員 安全性、安全性ということと、その研究を進めるということをおっしゃっているわけですが、たとえば原子力のそういう中心になっておる原研を見ましても、今後三年間に百億の金を投じる。ところが定員はたった四名ふえただけでしょう。安全性の研究は十二名回しておる。そうするとほかのセクションから全部引き抜きですよ。金だけ出せば研究できる、だれが研究するのです、これは。研究者がやる。そういう片手落ちがあるわけです。いきなりぼっと予算だけつけて、それで安全性の研究が進むというのは甘い考えです。スタッフから、あるいはどういうプロセスでそれを進めていくか、やはりみんなが、研究者も納得して進めていける体制をつくらなければだめなんです。いままでほとんど——ほとんどとは言いませんけれども、微々たる予算をつけておって、こういう法案が出る。さあエネルギー危機だ、原子力しか救いの神はないぞ、それを進めるためには安全性をいわれているから金をつけろ、金をつけたって研究する人間だって四名しかふえてない。研究を進めるということは、もっとすべての総力戦をしなければいけない。そうでしょう。政府のやっておることは、金だけつければそれで済むという、そういう考え方はよくありませんよ。私どもが言っておるのは、総合的に安全研究を進めていくためにはどういう計画を立て、どういう目標を持って、どういう中身で進めるのか、科学技術委員会においても、幾らお聞きしたって、われわれが納得するだけの、それだけの体制はありませんよ。それでは片手落ちですよ。この法案にも何も盛ってない。そういうずさんな法案を出すということは問題ですよ、これは。今度は一ぺん中曽根大臣にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/356
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357・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 安全性の問題は、原予炉規制法であるとか、あるいは電気事業法に基づく許可、認可の問題であるとか、あるいはECCSの管理の問題であるとか、あるいは再処理における諸般の注意事項の問題であるとか、あるいは廃棄物処理における注意であるとか、いろいろな面が重なっておるわけであります。それらはみんな各省設置法あるいは各省関係の法律、政令等で規定されておるところを厳格に守る、環境問題につきましても、それぞれの法規で厳格にきめられておるところであります。それを厳格に守るということが第一であって、これは行政官庁として責任を持って実行すべきことであります。それと同時に、さらに安全性あるいは環境保全を強化するための研究開発に対して力を入れる、これは将来に向かっての努力であります。そういう諸般の面を行なうことは非常に広範なところでございまして、これは内閣全体としていままで国会でわれわれがお約束しておることでありますので、とても一片の法律で盛り切れるというようなものでもございません。内閣の全員の責任において、この法律の前提として施行すべきものである、そのように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/357
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358・森山欽司
○森山国務大臣 原子力研究所の問題で例をあげられて、金はつけたが人が足りぬではないか、こういうお話でございますが、仕事の性質によっては、まず金をつける、仕事が本格的に始まってから人がつくという場合もあるわけでございまして、必ずしもそれは一緒に動くわけではございません。ただ私は原研の場合感じますことは、相当量の人をふやしたわけでありますが、政府並びに政府関係機関で一律五%の人員削減というのがございまして、だから、うんとふやしたわけだが、五%削減をしたものだから数名しかふえなかった。この予算編成上といいますか、定員配分上の従来のやり方に、若干キツネにつままれたような感じはございます。しかし、その点について、実際どのぐらいの障害になるのかは、近江委員の御質問でございますから真剣に検討いたします。が、金だけつければいいのだというような態度で政府が臨んでいる、そんなことはありませんよ。これはやはり真剣に安全性の確保のためには金もつけ、人もつけ、当面の重大事でございますから、この法案の前提として全力を尽している、そういうふうにぜひお考え願いたいと思います。これは前に何回も言っているのですけれどもこういうことをあらためて申し上げなければならない。どうかよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/358
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359・近江巳記夫
○近江委員 総定員法の関係もわかるわけですが、これだけ国民がみんな心配しているわけです。中曽根大臣、森山大臣は一番直轄なさっておられるわけですから、こういう研究所なりあるいは安全性の研究等に対しまして、総定員法からマイナス五%、わずかこれしか出なかった、それであれば、やはりスタッフにおいて研究を進める上において大きな片手落ちになるわけです。ですから、総定員法の問題は、各省大臣、お互いがやはり譲り合い、理解しなければいけない、そういう点におきましてこれは閣議におきましても、総定員法との問題があるわけでありますから、これは両大臣から閣議にはかってもらって、ことしはもう間に合わぬと思いますけれども、何らかの対策がとれるなら中間でもいいですし、基本的にその辺の理解を求めないと、来年になってまた同じことが続きますよ。これはひとつ両大臣に強く要望いたします。どちらか代表してひとつお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/359
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360・森山欽司
○森山国務大臣 これは中曽根大臣のような大ものが出ませんでも、御趣旨のほどを十分体しまして善処をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/360
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361・近江巳記夫
○近江委員 大体、原子力基本法という独自の法体系があるわけです。そうしますと、この原子力発電所の立地につきましては、火力なり水力と切り離して、安全確保対策を含めたそういう別個の立法を私はするべきだと思いのです。それを十ぱ一からげでこういうようにお出しになっているわけです。こういう一本でなく、別個に出すという意思はありませんか。これはひとつ中曽根大臣に——それでは森山大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/361
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362・森山欽司
○森山国務大臣 電力は最初水主火従でございましたが、火力のほうが多くなり、その火力の中身も石炭から石油に変わり、近来は原子力発電が逐次増加をしてまいりまして、昭和五十五年には総発電容量の一八%程度を期待し、昭和六十年には二五%程度を期待をいたしておるわけであります。五十五年の一八%は目下のところ若干困難であろうと思いますが、昭和六十年六千万キロワットについてはこれを確実に実現をいたしたいというふうに考えておるわけであります。それに電源につきましては水力、火力——火力も石炭から石油へ、原子力へというように大きく変化しておりますが、公益事業としての電気としては同じでございますから、そういう面において、特に地元対策の面で、それぞれの特殊性を生かしながらやっていくということは、私はやはりこの方法がいいのじゃないか。ただ、特に原子力のような場合につきましては、放射能という問題がございますから、この放射能といういわば一種の公害みたいなものでございますから、これについては遺憾なきを期する。その意味で、この放射能の問題を先取りしてテクノロジーアセスメントの新手法も用いて現在やっておりますのが原子力発電の科学であり、産業であるわけでございまして、その意味では、火力発電が石油を燃してその中に硫黄が入っておりましてもとにかく電力を出すのが先だということでやっているうちに公害が出てまいりまして、公害をあとから処理するという科学技術産業と原子力の場合は違うわけでございます。ですから、安全性の問題は確かにございますが、いままで世間でいわれたようなそういう問題でないと私は確信をいたしております。日進月歩でございますから念には念を入れなければなりません。しかしながら、だからといって安全性に問題があるなどと私はいささかも思っておりませんので、どうかその点について御理解を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/362
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363・近江巳記夫
○近江委員 念には念を入れておられるわけですが、非常に事故が多いということは大いにひとつ反省していただきたいと思うのです。
それで私はできれば五時間くらいやりたいと思っておるのですが、きょうは九時四十分までにしてほしいということで先ほど来言われておりますので、保留しまして、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/363
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364・田中六助
○田中(六)委員長代理 次回は、明後二十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後九時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204461X03819740522/364