1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十九年二月二十日(水曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 安倍晋太郎君
理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君
理事 山本 幸雄君 理事 山田 耻目君
理事 増本 一彦君
伊藤宗一郎君 宇野 宗佑君
越智 伊平君 大石 千八君
大西 正男君 奥田 敬和君
金子 一平君 鴨田 宗一君
小泉純一郎君 小宮山重四郎君
三枝 三郎君 塩谷 一夫君
地崎宇三郎君 野田 毅君
羽田 孜君 萩原 幸雄君
坊 秀男君 村岡 兼造君
毛利 松平君 佐藤 観樹君
塚田 庄平君 広瀬 秀吉君
松浦 利尚君 山中 吾郎君
荒木 宏君 小林 政子君
田中 昭二君 内海 清君
竹本 孫一君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
出席政府委員
大蔵政務次官 中川 一郎君
大蔵大臣官房審
議官 大倉 眞隆君
大蔵省主税局長 高木 文雄君
委員外の出席者
大蔵省主税局税
制第二課長 福田 幸弘君
大蔵委員会調査
室長 末松 経正君
—————————————
委員の異動
二月二十日
辞任 補欠選任
鴨田 宗一君 羽田 孜君
栗原 祐幸君 越智 伊平君
小泉純一郎君 地崎宇三郎君
山下 元利君 大石 千八君
同日
辞任 補欠選任
越智 伊平君 栗原 祐幸君
大石 千八君 山下 元利君
地崎宇三郎君 小泉純一郎君
羽田 孜君 鴨田 宗一君
本日の会議に付した案件
印紙税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/0
-
001・安倍晋太郎
○安倍委員長 これより会議を開きます。
印紙税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。塚田庄平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/1
-
002・塚田庄平
○塚田委員 きのうの局長の答弁で、印紙税というのは文書税だという答弁があったのですが、この文書の背後には、何べんも言うとおり、軽度ではありますけれども、経済力あるいは担税力があるということを予想して、補完的に税金をかける、だからこそ段階的なかけ方もできるのだろうと思うのですね。そこで、私どもは、そういう意味においてはこれは流通税の一種だ、流通税に属する、こう考えるのですが、どうでしょうか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/2
-
003・高木文雄
○高木(文)政府委員 おっしゃるとおり、流通税だということで間違いないと思います。文書税と申し上げましたのは、流通税ではありますが、非常な特色として文書がつくられる。そのつくられた文書を一つの基準として課税されるという意味で文書税と申し上げましたが、おっしゃるとおり流通税でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/3
-
004・塚田庄平
○塚田委員 これはまあ流通税という概念、たいへんむずかしいのですけれども、いずれにせよ、この流通の過程で支出をするもの、あるいは収入をするもの、結局、税の負担というのはそこまで現実的には下がってくるわけですが、一般消費者が支出するということならこれはもう消費税の形をとりますし、あるいは流通の他の相手方となりますと収得税ということになりますか、いずれそういう形になっていくと思うのです。
そこで、この種の流通税というのは、何べんも言うようですが、転嫁の傾向が非常に強い。そういうことで、この印紙税も消費側に転嫁する可能性が非常に強いものだ、また従来そういう傾向も見えたということにつきましては、局長はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/4
-
005・高木文雄
○高木(文)政府委員 やはり間接税の一種でございますから、何らかの意味において転嫁をしていく可能性を十分持っておりますし、おっしゃるように、その場合に、転嫁の理論というのは非常むずかしいわけではございますが、消費者といいますか、そこに転嫁していく可能性を持った税であるということは御指摘のとおりだと思います。
ただ、いろいろの消費税の中で酒税とか物品税とかいうような流通税と対比して、いわゆる消費税といわれるものに比べますと、その転嫁の形態はまた少しく違っているのではないかと思いますが、私もその辺のところは十分勉強いたしておりません。また、昨日も申しましたように、何ぶん税率が一万分の一とか一万分の二とかいう程度の率でございますので、そこらがどういう形で転嫁していくのかというようなことについても、一般的に十分研究が行なわれているわけでもございません。ただ、おっしゃるとおり、理論的には、またこの税の性格と申しますか、そういう点からいって、転嫁の可能性のあるものであるという点については、御指摘のとおりであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/5
-
006・塚田庄平
○塚田委員 局長は口を開けば一万分の一、一万分の二と言っていますが、しかし、財源としては五千億をこえる。この種の流通税の特徴というのは、一%上げても五千億や六千億あがってくるというのが特徴なんですよ。だから、財源としてつかむには最もつかみやすい財源で、しかし、いま言ったとおり、つかみやすい反面、非常に大衆に転嫁するという可能性の強いものだ、しかも非常に逆進性が強い。
きのう大臣の答弁でも、所得税では減税したのだから、何とかその財源捻出、ということばは使いませんでしたが、間接税強化によって財源の埋め合わせをやる、こういうような答弁をしておりましたが、所得税というのは累進税の体制をとっております。これが逆に逆進性の強い間接税に移行するということになれば、私はいまの経済情勢の中で及ぼす影響というのは、万分の一と言っておりますけれども、そう軽々しく見るべきではない、こう思うのですがどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/6
-
007・高木文雄
○高木(文)政府委員 確かに程度の差こそあれそういう問題があることは、御指摘のとおりであると思います。しかし、何といいましても、物品税のように五%から二〇、二五というような税率のものと比べますならば、転嫁の価格に及ぼす影響力というものは、ありましたとしましても、やはり総体的にはさほど大きくないといわざるを得ないのではないかと思うわけでございます。
それから、所得税が累進的であるのに対して間接税が逆進的であるという御指摘でございますが、その点は確かにそういう論議がある。また、学者の間におきましても、そういう論議が非常に盛んに行なわれたことがあることは事実でございます。特に、直接税体系を可とする学者の間においては、そういう論議が過去において非常に強く主張されたことがございます。ただ、最近の傾向といたしましては、やはり直接税と間接税とが総体的にどういう体系になっておるか、逆進的であるかどうかという問題についても、単に各税日ごとにそれを論議すべきではなくて、税体系全体としてどういうふうになっているかということを見るべきであるという考え方が、むしろ一般的になっているように私は理解をいたしておるわけでございます。
昨日も申し上げましたが、四十八年度の当初の直接税のウエートは六九・六%でございましたし、それから今回の御審議願っております四十九年度予算の中におきます直接税の比率は、六九・九%でございます。かなり所得税の減税にウエートを置いて直接税の減税をいたしました。また、御指摘のように、間接税の拡充をはかりましても、なおかつ昨年の六九・六から六九・九というような状態で、直間の関係は、昨年とことしがほぼ同じということになっております。もし本年度の改正をいたしませんということを前提にいたしまして、つまり、減税もなし増税もなしというようなことでかりに試算をいたしてみますと、直接税の割合は、これは私どもの試算でございまして、いままで公表していない数字でございますが、大体七四くらいになるところでございます。
そういうことを考えますと、直接税を減税し、間接税について若干の整備をはかるということを通じて、大体、直間比率が維持できるということは、直間総合的に累進的であるか逆進的であるかということを見る立場からするならば四十九年度と四十八年度は、大体同じ姿であるということがいえるというふうに思うわけでございます。これは立場立場でございますが、また必ずしも決定的な理論ではないと思いますけれども、いろいろの見方があるわけでございますけれども、そういう見地に立ちますならば、間接税の整備、今回の自動車関係諸税なりあるいは印紙税の整備というものが、それほど日本の税体系を累進から逆進ということに変えていくという性格のものではないというふうに確信を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/7
-
008・塚田庄平
○塚田委員 局長は、直接税の比率というものは、こういった改正があるにもかかわらず非常に高い、おそらくこれは諸外国、特にアメリカを除いた諸外国との比較の中では非常に直接税の比率が高い、こういうことを指摘したいのだろうと思うのです。
しかし、その際やはり考えなければならぬのは、それじゃ税金の公平化といいますか、そういった面、あるいは特に重要なのは、国民の社会福祉の面ですよ。これは諸外国に比べて、まだまだ相当劣るということは、いろんな点を取り上げても指摘されることなので、私は、そういう総体的な国民の福祉あるいは税の公平という面から間接税と直接税との比率というものを考えるべきであって、単なる機械的なパーセンテージで押えられるべきじゃないと思う。
端的に言うと、日本はそういう面で非常に劣っているのだ、だから、間接税にウエートを置くべきではない。これは学者の一致した見方で、もし間接税を増税することによって、その財源が、直ちに、しかも急速に、国民の社会福祉に向けられるということであるならば、これは検討してもいいという学者も、直接税主義者の中にもおるわけですよ。ところが、現実にそうなっていないところに今回の問題があると思うのですが、この点はどうでしょうか。政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/8
-
009・中川一郎
○中川政府委員 実は私も三年くらい前ですか、付加価値税のことについて諸外国を見てまいりまして、いま塚田先生御指摘のように、間接税の国が大体多い。言ってみるならば、富の再配分といいますか、公平を期すのには、吸収する面と配分する面、両面がございます。外国では吸収の面は一律にして、配分の際差をつける、すなわち社会保障のほうに重点を持っていくというやり方が先進国の共通したやり方でありまして、わが国も、先日大蔵大臣がお答えしたように、直間の比率を変えていく方法の一つとして付加価値税を検討しておくべきだ、しかし、いまは物価の問題があるから採用できないと言っておりますが、いま御指摘のように、これから福祉というものを最重点にやる方向とあわせて、やはり間接税を重く見ていくというやり方がいいんじゃないか、長期的にはそういう感じがいたします。
しかし、いまの段階では、それほど間接税をふやせる状況にはない。何といっても、間接税は物価に転嫁をいたしますから、それほどできない。しかし、その傾向はやはりにらんでおく必要があり、特に最近は、直接税のほうが多くなるという傾向はやはり押えていかなければいかぬというところから、かなりの所得税減税をやり、若干の間接税について強化をはかるという程度は、現段階においては許される方向ではないのか。将来の展望あるいは現状から考えて、この程度のいじくりといいますか、このままで置いておきますと、直接税がどんどんふえ、間接税が減ってきまずから、その傾向をアジャストしていくという意味での今度の印紙税は、許される範囲内ではないか、こういうふうに見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/9
-
010・塚田庄平
○塚田委員 きのう大臣は答弁の中で、直接税は減らす、つまり、所得税については減税をやるのだから、間接税、まあこの種の増税については、これは当然認められていいんじゃないか、つまり、財源補てんというか、財源確保という面からの答弁があったのですが、いま次官が言われた答弁の趣旨も、バランスというけれども、こっちで減らすんだから、こっちで少し上げなければ、全体の国の財源というのは確保できないんじゃないか、そういう財源の確保という観点からの答弁と見ていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/10
-
011・中川一郎
○中川政府委員 そういう面から見ても許されるのではないかということであり、印紙税を設けたのはそれなりのまた別の理由もありますが、両面からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/11
-
012・塚田庄平
○塚田委員 その一面ですけれども、財源確保だったら、法人税をうんと上げたらどうですか。そのほうがはるかに十分な確保と、しかも公正、公平の原理に即すると私は思うのですが、次官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/12
-
013・中川一郎
○中川政府委員 その点も配慮しましたので、若干ではございますが——若干というか、かなりの税率の引き上げもやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/13
-
014・塚田庄平
○塚田委員 そこで、私は、法人税については今後提案を待って議論を進めていきたいと思いますけれども、局長、きのうの大臣の答弁で、つまり個別の商品の価格と全般の物価という問題とを分けながら大臣は答弁されましたね。私もその議論はわからぬわけではないのです。個別については、今度の税制改正では、自動車関係の諸税の引き上げをやっておりますね。この点は、つまり自動車の使用をできるだけ制限する。まあ石油のこういう危機の情勢でもありますから、全般的な改策として検討された案じゃないかと思います。これはこれからいろいろと議論していかなければなりませんが、しかし、そういう議論は別として、今度の印紙税では、定額から段階定額に移る、そうして比例が最も望ましいということになれば、これは何べんも繰り返すとおり、転嫁性というものを非常に強度に発揮するというような事態になるんじゃないか、こう思うのですが、その辺にやはり一番危険な考え方がひそんでいるのじゃないか。つまり、付加価値税の一つの礎石としてこの印紙税を上げる こういう考え方があるんじゃないかと思うんだが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/14
-
015・高木文雄
○高木(文)政府委員 印紙税の今回お願いしてあります整備と付加価値税とは、全く違うものでございます。この付加価値税というのは、これはあくまで売り上げ税とか取引高税というように、取引に直に着目をいたしまして、取引がありましたならば、取引について一律に課税するものでございます。
印紙税というのは、確かに取引がなければ課税原因になりませんけれども、しかし、そこに文書の作成ということがなければ、また課税という問題が起こらないわけでございます。物の売買があり、金銭の授受がありましても、そこに領収書なりあるいは手形なりという形で何らか取引について文書化が行なわれない限りは、印紙税とは無縁でございます。売り上げ税なり取引高税という場合には、文書化が行なわれるか行なわれないかということに関係なく、取引があれば、やはりそれが何らかの意味において課税と結びついてくるというところに非常に大きな違いがあるわけでございます。
確かに、片一方において、現在長期の課題としてではございますけれども、付加価値税の問題が私どもの研究課題になっておることは事実でございますが、今回の印紙税の改正と付加価値税論とは、その意味においては別でございます。
しこうして、今回の印紙税の改正は、昨日も申しておりますとおり、定額税というものが、経済が大くなりますれば間接税のウエートが落ちていく一つの原因になっているというところから、多少とも手直しをしてはどうかということの見地に立ちまして、そういう意味で、定額税的性格を持っている部分に特に重点を置いて改正をお願いするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/15
-
016・塚田庄平
○塚田委員 これは政務次官に聞きますが、大蔵大臣が、これは前に大里やっていたころですが、昭和四十五年の一月に実は記者会見をやっておるわけです。そのときに、大蔵大臣はこういうことを記者会見の中で言っております。
それは、基本的には間接税体系への移行は検討すべきであるが、消費者物価が年五%以上も上がる現状では、経済の基調にも大きな影響を与えるので困難だ——いいですか、困難だ、こう述べております。はっきりいいますと、四十五年一月の二十一日、記者会見、朝日新聞から私はいま拾ってきたのですが、こう言っております。
と同時に、国会では、自動車の使用を押えるための間接税など、部分的な間接税強化については考えてもよい。さらに、直接税負担を軽減し、財政需要に応ずるという二つの面から、間接税を増税したい、こういう答弁を、これは参議院の大蔵委員会で実はやっておるわけですよ。
そこで、間接税体系への移行は検討すべきであるが、消費者物価が年五%以上も上がる現状では、困難だ。いいですか。ところが、消費者物価の上昇はいま幾らですか。二〇%でしょう。卸売り物価に至ってはもう三〇%に近づこうとしておる。五%のときに大蔵大臣はこう言っているのですから、まして、いまのようなこういう二〇%あるいはそれをこえるような消費者物価の情勢の中では、困難はますますひどくなってきている、ますます困難だという理論に当然なってこなければならぬと思うのですけれども、次官、どう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/16
-
017・中川一郎
○中川政府委員 当時、私も大蔵政務次官をしておりましたので、事情はよく承知いたしております。当時議論になりましたのは、もっともっと間接税を強化すべきだ。直間比率が当時たしか六六%ぐらいで、三分の一が間接税、三分の二が直接税、これは諸外国にもないので、これを逆転までいかないにしても、半々ぐらいに持っていくのが理想だ、そういうことは理想であるけれども、物価が五%以上高いときにはそういう方向には持っていけないという基本的思想であります。
今日もその考え方は一つも変っわておりませんで、したがって、若干の手直しはしましたけれども、間接税が強化をされる比率になっていないことは、先ほど主税局長が御説明申し上げたとおりでございまして、私ども、現在は間接税を強化する段階には物価事情からしてない、せいぜい昨年ぐらいの直間比率に持っていく程度の配慮はしていく必要があるのではないかという意味で、物価高でありますから、間接税を強化できない情勢にある。ただ、昨年程度の直間比率の手直し程度は物価高の今日においてもお許しをいただけるのではないか、こういう気持ちでございますので、四十五年の大蔵大臣答弁の思想と、今日やっております税制の扱い方の考え方は全く変わっておらない、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/17
-
018・塚田庄平
○塚田委員 全く変わってないじゃないでしょう。五%のときでも、これは影響が大きいからだめだ、こう言っているのですよ。そして個別商品、つまり自動車なんかの使用を抑制するためのそういうものについてはこれから検討してみよう。検討の結果、自動車諸税の引き上げということになったんだろうと思います。そういう思想からいえば、これは印紙税といえども、わずか万分の一ですけれども、これは物価高騰のおりから当然押えてかからなければならぬものじゃないか、こう思うのですがどうでしょうか、再度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/18
-
019・中川一郎
○中川政府委員 間接税の比率が昨年より上回るようなやり方をすれば、御指摘のようなことになろうかと存じますけれども、そこまでは行っていない。昨年よりはふえておらない間接税の比率であるならば、これを強化したとは言えないのではないか。もしこれが、直間比率が昨年の税制よりは変わるようなところまで持っていったならば、これは違うぞとおしかりをこうむってけっこうだと思いますが、物価高の事情もありますので、昨年程度に押えたというふうに御理解をいただきたいと存じます。
四十五年のときにも、そういう思想はありましたが、物価高であるのでできない。しかし、自動車重量税のようなものについては、抑制というようなこと、あるいは間接税の比率をあまりに小さくしてもいけないという観点から、ああいう程度の手直しはしたということと、今日またこういう手直しをしたというのは同じ考え方ではないか、こういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/19
-
020・塚田庄平
○塚田委員 あとは答弁要りません。
大体、局長の考え方は万分の一という思想なんですが、二十円が五十円になった、五十円なんかいまごろたいした支出じゃないんじゃないかという基本的な思想に貫かれておるし、いまの次官の答弁を聞きますと、強化したほどじゃないんだ。この辺に、私は、物価問題、経済問題に取り組む大蔵省あるいは大臣の考え方の甘さというものがあると思うのです。インフレというのは、これは相当心理的なものが働くんで、かりに二十円が五十円になったとしても二倍半、そこに私は大きな悪作用を及ぼす原因があるんじゃないかと思うのです。
その点、私は重大な警告をすると同時に、そういったおそれのあるこの印紙税の引き上げについては絶対に反対であるということを表明して、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/20
-
021・安倍晋太郎
○安倍委員長 増本一彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/21
-
022・増本一彦
○増本委員 昨日来、印紙税法の改正案をめぐりまして、売り上げ税とか、取引高税とかあるいは付加価値税、こういう議論がずっと出ているわけです。
まず、私は、政府の御認識を伺いたいんですが、売り上げ税とか取引高税あるいは付加価値税というものはどういう税制なのか、どういうようにその内容を理解していらっしゃるのか、この辺のところからまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/22
-
023・大倉眞隆
○大倉政府委員 たいへん広範な範囲にわたる御質問でございますが、御指摘になりました各税目について順次申し上げるといたしますれば、売り上げ税と俗称されておりますものには、非常にいろいろなタイプがございます。一括いたしまして、税の性格としては、これは消費税として分類されるというのが普通であろうと思います。その意味でまた、間接税に分類されると思います。
付加価値税にもまたいろいろなタイプがございますが、おそらく増本委員御質問の付加価値税は、現在EC諸国が行なっておりますような型の付加価値税のことであろうかと思います。このタイプの付加価値税は、やはり性格といたしましては一般消費税、したがってまた、間接税に分類されるものということになろうかと思います。
それから、取引高税という名前で呼ばれておりますものもまたいろいろございますが、単段階の取引高税は通常は売り上げ税というものと同じように分類されておると思います。多段階の累積型の取引高税、これはやはり性格としては消費税に分類されることが多いと思います。場合によりましては、これを流通税と考える方もあるようでございますが、やはり消費税と考えるほうがすなおではないかというふうに思います。またその意味で、いずれにいたしましても間接税の分類に入ってくると思われる、一応そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/23
-
024・増本一彦
○増本委員 そこで、こういう売り上げ税とか取引高税あるいは付加価値税、こういう税制はよい税制と考えているのか、それとも欠陥のある悪い税制なのか、これらの税制についてどうお考えになっているか。
それから、これらの税制には、どこにどういう欠陥があるというようにお考えなのか。その辺はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/24
-
025・大倉眞隆
○大倉政府委員 これまた、よいか悪いかという御質問になりますと、それぞれのお立場によりまて価値判断はいろいろであろうと思います。ただ、税の体系の中でそれをどう位置づけるかということになりますと、単一の租税でなくて複数の租税で体系を組み合わすほうがベターではないかという考え方のほうが、どちらかといえば多いように思きます。
従来の税制調査会の答申も、やはり複数の税目を用いた税体系がベターであり、その中で、所得に直接負担を求めるタイプの税と、それ以外のタイプの税の組み合わせが適当に行なわれ、全体としての累進度を保つという税体系のあり方が望ましいのではないかというのが、多数意見であるように思います。したがいまして、問題は、どの程度のウェートでそういう税を組み込んでいくかというところに帰着するのであろうと思います。
御質問の第二は、それぞれの税にどういう欠点があり長所があるかという御質問だと思いますが、これも毎回の御承知の長期答申では、それぞれ触れておられるわけでございます。一般的に間接税のメリットのほうとしてあげられますのは、負担感が少ない、徴税費が相対的に安い、直接税を補完する立場として適当な税であるというようなことがいわれますし、逆にデメリットといたしましては、負担感が少ないだけに、かえって、その税負担の適正な配分という意味で納税者の意識が薄らぐ危険があるということがいわれますし、価格への転嫁を通じて物価情勢への影響が、やり方により、時期により、あり得るという意味でのデメリットが指摘されることもございます。同時にまた、転嫁し得ない場合にどうするかという意味で、中小企業問題が生じ得るとういことも指摘されております。
それからはいずれも、一般的に間接税について指摘されておるいわば長短両面であろうと思いまけれども、消費税のタイプの中で、特に消費税同士を比べまして欠点が指摘されますのは、やはり多段階型の取引高税が経済取引に対さて阻害し、あるいは税があるがために垂直的な企業集中を間接的に促進するというデメリットがあり得るので、一般的消費税のタイプとしては、いつ採用するかとか、どの程度とかいう問題を一応全く抜きにいたしまして、税のタイプといたしましては現在行なわれておりますようなEC型の付加価値税が最も進んだ一般消費税ではないか、そのように考えられておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/25
-
026・増本一彦
○増本委員 そこで、ひとつ今度の印紙税に、たとえば新たに受け取り書に階級定額方式を採用した。それから、それ以前から不動産譲渡の契約書や請負の契約書等々について階級定額方式がとられている。この課税の仕組みとしての階級定額方式と、いま御説明をいただいた取引高税とかあるいは売り上げ税というような税での方式との間にどういう共通点があるというように考えておられるか、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/26
-
027・大倉眞隆
○大倉政府委員 次々にむずかしい御質問を受けますが、一般的には消費税の場合に、やはり比例税が採用されることが通常でございますし、それが最もいいのではなかろうかと思います。その意味では、印紙税の歴史の中では、当初は比例税という思想が非常に強く出ておった時代がございました。
取引高税にいたしましても、売り上げ税にいたしましても、付加価値税にいたしましても、これはすべて大体一月分、場合によっては違う例もございますが、取引をまとめまして、その金額について計算をいたして納付していただくというシステムをとりますので、こういう場合には比例税が最も適当であろうし、また技術的に可能であるということだと思います。
印紙税のように、主税局長がたびたび御答弁申し上げておりますように、文書をつくったとき初めて課税されるし、文書をつくるつど自分で印紙を張っていただくという場合には、比例税という思想を貫徹しようといたしますと、個別の取引には非常に端数がございます。納税者の実務上の便宜ということからいうと、非常に不便である。やはりある程度荒い刻みをつくりまして、ここからここまでの範囲の金額の間であればこの印紙ということで、自分で印紙を張っていただくということにならざるを得ないのではないか。
したがいまして、現行の印紙税法の体系の中で比例税率をとっている課税文書というのは一種類しかございません。この一種類は物品切手でございます。もっと俗に申せば、商品券でございます。商品券というのは事柄の性質上、何十何円というような端数がないものでございますから、これは比例税で計算しても、印紙を張っていただくときにやっかいな問題がない。ところが、契約書とかなんとかいうのは、これはもう原則としてはむしろ端数があるほうが普通なものでございますから、なかなか比例税になりません。
したがって、比例的な負担を求めるほうが適当であると思いながら、実務的に完全な比例税にすることに無理があるというタイプの文書について、いわゆる階級定額課税を行なっておる。手形しかり、契約書しかり、今回の御提案申し上げております領収書しかり、こういうことであろとう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/27
-
028・増本一彦
○増本委員 先ほど、取引高税でも、この多段階型のやつはいろいろデメリットのほうが多いという御指摘でございましたね。この多段階型のやり方と、それから今度のこの階級定額税方式ですねこれは非常に近似している面があるというように思うのですが……。
それからもう一つは、端数がいろいろ取引の実態として出てくる。そのときには比例税率よりも階級定額のほうがいいのだ、こういうお話ですね私は、一律の税率なり、あるいはずばりその定額の金額をすべての取引の際に徴収するということが、最も簡便で便宜である。そういう意味では、いまおっしゃった端数が出てくるから定額階級税方式が合理的だということにはいかないのじゃないかというように思うのですが、そこの辺のところをもう少し詳しく説明していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/28
-
029・大倉眞隆
○大倉政府委員 ちょっと私の先ほどの答弁が舌足らずであったようでございますが、まず第一の点で、多段階型と申し上げましたのは、取引の各段階においてそれぞれ課税するというつもりで申し上げたわけでございまして、税率が段階ごとに違うという意味ではございません。したがいまして、税率がたとえば千分の一とか、場合によって百分の一とか、あるいはいまの付加価値税の場合のように、一〇%近いとかいうかなり高い比例税率で、製造から大卸へ、大卸から小卸へ、小卸から小売りへ、小売りから消費者へという各段階に立てられますと、高い税率が重なり合いますと、全体の負担が非常に高くなるというデメリットがあるということでございます。それを消したのがいまの付加価値税の全段階税額控除ではなかろうか。
その次の問題といたしまして、比例税率と階級定額税率といずれを適当とするかという点につきましては、個別の取引に端数がございましても、これを月まとめにいたしまして千分の一とか万分の一とかいう率をかけるということにいたしますれば、一ぺんで済むわけでございます。
ところが、文書をつくりますたびに、手形で申し上げると一番おわかりいただけると思いますが手形のほうに百円、場合によっては十円くらいの端数まである。それを一々比例税率のしかも、万分の一という比率で計算いたしまして、端数を切るとか、切り上げるとかいうことをやりまして、しかも印紙のほうもまた一円単位になってしまうとかというふうな問題がどうしてもございますので、その取引のつど、端数のある取引を行なうつど、自分で印紙を選び出し、張って消し印をしていただくというこの税におきましては、やはりある範囲の金額であればこの印紙というふうに、定型的にきまっておるほうが、いいのではなかろうか、そういう意味で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/29
-
030・増本一彦
○増本委員 そこで、受け取り書に階級定額方式を採用した理由ですね、これは一体なぜか、ここのところを少し説明をいただきたいのですが、一つは、この文書の作成の裏側にある実体取引、これにある担税力に着目をするという問題が一つありますね。
それからもう一つは、いろいろ取引がひんぱんに行なわれている、しかも、今日のように物価が高くなってきますと、取引の金額自身がたいへん大きくなる。だから、一律の定額でやるだけでは少ない、やはりもっと取れるのじゃないか。一そう担税力がある意味では強まってきているし、そういうところにも着目をしようというようなことが考えられるのですが、政府としては、なぜ領収書にこういう階級定額方式を採用したのか。
結局、受け取り書とか領収書というのは、一番取引の最後の段階ですね。中間で金をもらってももちろんあれだけれども、その取引自体から見れば、最後の決済の文書の交換にすぎませんね。そうすると、担税力そのものから見ると、もっと前の、たとえば契約書の作成の段階でこれはそれなりの担税力を、あとからの取引関係を見ればずばり言えるけれども、単に現金や有価証券が入ってくるということで、そこだけに着目をするということだけでは、これは最終の決済の段階だけだから、これにまで階級定額の課税方式を採用するという明確な根拠というものがはっきりしないように思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/30
-
031・大倉眞隆
○大倉政府委員 それは先ほど来、たとえば塚田委員の御質問でも再々問題として提起された点のように思いますけれども、取引そのものについて課税をするという考え方をとるか、その場合にはある程度高い税率で一度限り取るという考え方になりましょうし、取引の各段階において作成される文書というものに着目して、きわめて低い税率で負担を求めるかという考え方の差が、一つ基本にあるように思います。
したがいまして、印紙税というワクの中で、一般的に、ここにございます課税文書とされておりますような文書が作成される行為があって、その行為に伴って文書が作成されたという事実をつかまえまして、非常に軽い補完的な負担を求めるという場合には、契約書の作成段階でも、手形の振り出し段階でも、金銭の領収段階でも、それぞれ文書が作成されればきわめて軽い負担はしていただく。それによって、印紙収入を非常に補完的な手段として調達するという考え方ででき上がっているのがこの印紙税であると私どもは思うわけでございます。
その意味では、今回の売り上げ代金の領収書につきまして、階級定額税率を導入いたしたいという御提案を申し上げております趣旨は、いわば非常に簡単な考え方でございまして、十万円の受け取りでも一億円の受け取りでも同じ印紙ということではなくて、やはり大きな金額の受け取りなら金額が大きいなりに多少は大きい金額の印紙を張っていただきたいということに尽きるわけでございます。
その場合に、比例税率を導入するか、階級定額税率によるかということにつきましては、先ほど申し上げたような、むしろ納税者の便宜という角度で階級定額税率によっておる、さように申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/31
-
032・増本一彦
○増本委員 いままでは定額課税だったわけでしょう。それを階級定額の方式に切りかえたわけですね。だから、この切りかえた理由は、一億円をもらった人にはそれなりの重いものをということだと、結局、受け取り書の作成の背後の担税力の違いに着目したという一つに尽きるのですか。
それ以上に、定額課税だと物価水準に追いつかないので、負担の低下をもたらす危険が実際にあるわけでしょう。だから、そういうところも見て、これは階級定額で段階に応じて取っていくというやり方のほうがより税収の上からも実効性がある、こういうことにもなると思うのですよ。
私は、この二つが階級定額の方式を採用した理由であるというように思うのですが、いかがですか。もう一度確認を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/32
-
033・大倉眞隆
○大倉政府委員 確かに大きな金額の受け取りには、それなりに大きい印紙を張っていただいていいのではないかというものの考え方の背後には、ただいま増本委員が御指摘になりましたように、昔からよくいわれます間接税体系の中での従量税、定額税部分は、経済規模の拡大に対しておくれるという問題意識がございます。
そのおくれを取り返すことにはある程度努力すべきであろうということは、税制調査会でも何回かにわたって御答申をいただいておるわけでございます。ある時期には、これを意図せざる減税というふうな表現をとられたこともございます。最近ではそういうことばは使っておられませんけれども、いずれにしても、経済規模の拡大、経済の成長に対して、間接税の中の従量税、定額税をとっている部分というのはおくれが出るから、それを適当な期間を置いて調整するということが必要であろうし、さらに踏み込んでいえば、現在、従量税あるいは定額税になっているものでも、個別にしさいに検討した上で、これを従価税、それが比例税によるか階級定額税によるかは技術的な問題といたしまして、従価税的な方向に切りかえることに努力すべきであろうという答申をいただいております。
その意味で、現在の印紙税体系の中で、いわば従価税的な階級定額課税に切りかえ得るものは何かという角度を加えまして今回の改正を御提案しておるということは、もう御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/33
-
034・増本一彦
○増本委員 経済の拡大、経済の成長に対して、この定額課税はおくれがある。これをもっとわかりやすく言いますと、結局、インフレや物価高によって取引金額も当然大きくなる。だから、この背後の取引の担税力に着目をして、文書税についてもそれ相応の税負担をしてもらおう、そういうことになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/34
-
035・大倉眞隆
○大倉政府委員 私のお答え申し上げましたことばの中で、経済規模の拡大、経済の成長というふうに申し上げました。それが単に名目的な成長にとどまる場合と、実質的な成長を伴う場合と、それは時期によっていろいろであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/35
-
036・増本一彦
○増本委員 いま歴史的には、この時点で印紙税の改正案を出していらっしゃるわけでしょう。それは現在の時点の経済の拡大あるいは取引金額の増大、個々の一件一件の取引についても金額が多くなっている。この背後にある担税力そのものに着目して、ここからの税収をより有効的に確保しよう、こういうこところに目的があるのだというように理解していいのでしょうか。
抽象的一般論ではなくて、いまこの時点で、これだけ物価が上がり、インフレが拡大している。まさにこのときに、当然、取引金額も大きくなるはずですね。だから、受け取り書についても階級定額方式をとって、そうすれば、一件当たりの税収もいままでの二十円から比べたら相当大きなものが入る。これによって税収を確保しよう、こういうことになるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/36
-
037・大倉眞隆
○大倉政府委員 増本委員のおことばをそのまま使わしていただけば、いまが非常にインフレであるから、この機会にやらなくてはならぬと考えたのかという御質問であるとすれば、それはそうではございません。やはり個別に品目を拾い、課税対象を拾い、従来の従量税ないしは定額税から、従価税ないしは比例税に切りかえ得るものを逐次拾い上げていこうという、一つの流れの中の一環でございます。
ただし、御質問のように、非常にこれによって大きな税収が出てくるかということになれば、あるいは御指摘のような点が出てくるのかもしれませんが、再々局長から御答弁申し上げておりますように、税収の規模としてはそんなに大きなものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/37
-
038・増本一彦
○増本委員 この税制そのものをいろいろ整理統合して、より合理的でいいものにしていこうということ、これは当然おやりになっているわけですね。しかし、いまこの時期に、この受け取り書について階級定額方式をこの国会に提案をされる。そのときの実体経済の状態はどうなのかというとこれはもう政府も憂慮しているような事態になっているわけでしょう。そして、そこでの実体取引でも当然金額も高くなっているはずだし、卸売り物価一つとっても三〇%とか、前月対比で見ても五%、七%というわけですから、当然その分は領収書に書く金額にも反映するはずですね。
だから、そういう状態のときに階級定額方式を採用したというのは、やはりその背後にある、大きくなったというか、これが実質価値から見て、名目的で形式的な実体のないそういう取引であるかどうかは別にして、現在の経済の実態に相応する受け取り書の背後にある担税力というものを見ていて、そしてそれから有効に税額を確保しようという、ここのところが政策目的になっているのじゃないですか。たまたまその時期とぶつかったなんという、そういうように拘束的な、このときに提案しなければ、税体系から見て大きな狂いが生ずるというほどの問題ではないわけでしょう。現在というこの歴史的な時点を選択して、こういう提案をされたというからには、いまの経済の実態ということを見た上で、その上に立って税収の確保ということも考えて提案をされたんだ、こういうことになると思うのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/38
-
039・大倉眞隆
○大倉政府委員 またあまりに一般論から始めるというおしかりを受けるかもしれませんが、私が先ほどお答えいたしましたおくれるという問題が何を意味するかということになりますと、実質的な成長があるか、名目的な成長があるかという問題を一応抜きにいたしまして、名目的な課税標準が増加いたしましたときに、比例税でありますれば、負担関係は変わらないという考え方でございます。累進税であれば、名目的に重くなり過ぎるという考えであります。定額税でありますれば、実質的に下がってしまうという考え方でございます。比例的な税にいたしたいというのは、少なくとも実質的に変わらない、そういうように御理解いただいていいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/39
-
040・増本一彦
○増本委員 それでは、少し角度を変えて御質問します。
課税文書の中で、受け取り書の作成通数の占める割合というのは、大体どのくらいなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/40
-
041・大倉眞隆
○大倉政府委員 昨年の夏に行ないました実態調査の結果で申し上げますと、課税文書の作成総数を一〇〇といたしました場合に、受け取り書は七〇・九%という結果が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/41
-
042・増本一彦
○増本委員 その七〇・九%もの受け取り書に、今度は階級定額方式が採用されて、その記載金額に応じて負担する税金が違ってくるわけですね。確かに、比率からしますと、一億円をこえるような場合には、そこへ二万円張るというだけですから、これは万分の一ぐらいですね。しかし、もっと低くしていくと、たとえば百万円とか五百万円というような金額の場合には、五十円を張る印紙の差額というのはかなり大きくなりますね。開きが出てくる。だから、作成通数の割合が非常に多いしかもいまの実体経済の状態を見れば、そこに着目して、一律の定額課税ではなくて階級定額課税に変えたということになると、いまの経済の実態インフレや物価高というこの経済の実態に着目して、そこから有効な税収をはかろうということははっきりしているんじゃないですかね。ただ、皆さんもそうお考えになっておるのだけれども、それを公式にお認めになりにくいというだけの話じゃないですか。全然実体経済も何も考慮しないで、そして政策的な提起をするなんということであれば、なおさら私は無責任だと思うのですよ。そこはいかがなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/42
-
043・大倉眞隆
○大倉政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、私どものほんとうに正直な気持ちというのは、間接税全般を洗い直して、おくれる部分はできるだけおくれないように調整をしよう、実質的な負担を高めるという前に、まずそういう問題意識がある。その作業の結果、今回御提案いたしておるのがこの印紙税の改正であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/43
-
044・増本一彦
○増本委員 受け取り書の背後にある取引を見て、そこに担税力を見ているのだ、この点はいいわけですね。それを現実の世界に引き戻せば、いまの経済の実態というのもはっきりしている。この現在の経済の実態の担税力を見ているのだ、ここのところはお認めになっていいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/44
-
045・大倉眞隆
○大倉政府委員 それは階級定額税率によっておりますから、必ずしも正確には表現できないのでございますけれども、受け取り金額に対しておおむね万分の一から万分の二程度の負担をしていただくということは妥当であるという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/45
-
046・増本一彦
○増本委員 質問をはぐらかして答弁されるのでは、幾ら時間があっても、これは全然かみ合わないじゃないですか。
はっきり言うと、こういういまの背後の取引の担税力に着目をして、そして階級定額に変えた。いまの取引の実態は、インフレや物価高で金額自身もかさんできている。それに乗っかって、受け取り書に今度はだんだんと金額に応じて重い税金をかけていくというやり方になるわけですからね。そうでしょう。いままで二十円一枚張ればよかったものを、金額に応じて違うものを張っていくわけでしょう。だから、いまの実体経済から見たら、これは便乗値上げと同じじゃないですか。税金の便乗値上げですよ。実体経済がふくらんで高くなってきている。それに応じて取引金額も上がるから、そこで今度は重い税金をかけていこう、こういう税金の便乗値上げというのは、政策のプログラムの中に入っていていいのかという問題だと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/46
-
047・大倉眞隆
○大倉政府委員 金額が大きくなればそれなりに大きいということを申し上げておるわけでございますが、これが比例的に大きくなるわけでございまして、従来の制度でございますと、幾ら大きくなっても五十円でございますから、ある意味では逆進的なわけです。通常はそういうのはあまり逆進的というふうに表現いたしませんけれども、金額が大きくなれば負担率が下がるというシステムであったわけであります。
今回のシステムは、負担率をほぼ同じにしたいという思想でございます。したがって、おことばではございますが、私どもは便乗だとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/47
-
048・増本一彦
○増本委員 どうおっしゃろうと、これは逆進的であるというところから、さらに非常に問題があると思うのですよ。いままでは、たとえば百万以下の領収書の場合でも、二十円で済んだわけですね。それが今度、百万円以下だと百円になるわけでしょう。それから中小企業の皆さんのしょっちゅう使う領収書は、親会社に対してもどこに対しても出すのだけれども、二百万円以下だと二百円だ。今度高い金額のほうになっていくと、これは逆に負担率から見ると、ずっと低減してくるわけですね。そうすると、下にきびしく上には非常に負担率が楽になるようなやり方で、便乗値上げ的な税制を取り入れている。いまやっている、大企業はたくさんもうけて、それには手がつかないで、中小企業はきりきり舞いしている。これと同じような発想、考え方を、今度は税制の上でもそのまま確立して、すっぽり入れてきているというやり方になっているわけですね。
私は、これは考え方の問題として言っているわけです。いまのこの時期に、そういう便乗値上げ的な税のやり方をやり、しかも、それが逆進的になっている。ここのところを一体——いまの実体経済や物価安定というようなことを政府自身も努力するということを国民に約束している時期に、たかが印紙税だということで、その中にそういう発想、そういう政策のプログラムにある思想を取り入れてやるということが、政策的にも正しいのか。全体の物価とか、あるいは国民の負担の公平とか、そして経済的な弱者を守っていかなければならぬといっている政府の全体の政策姿勢から見て、こういうことがはたして正しいのか、ものの考え方の問題としてどうなのかということです。
いままでの議論については、政務次官もお聞きになっていたと思うのですが、そういう政策の前提になる発想ですね、これは一体これでいいのかという、ここのところにしぼって、ひとつ政務次官の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/48
-
049・大倉眞隆
○大倉政府委員 ちょっと技術的な点だけ……。
おっしゃるように、改正後におきましても、階級の中では万分の二から万分の一に向かって下がっていく、それは御指摘のとおりでございます。それは比例税率によらずに階級定額によったために、結果としてそういうことに相なります。やはりそれは、納税者の便宜とそういう負担とをかみ合わせて、どちらをとるかという問題であろうと思います。
先ほど来の御議論の中で私が申し上げましたのは、いままでのままほうっておけば、一そうおっしゃる意味での逆進度は強いわけでございますから、今回の改正のほうがそこははるかに是正されているのではなかろうか、より比例に近い負担に改正されているのではなかろうか、これは私はそう思います。階級の中での逆進性が出てくるという点は、これはある意味では、階級定額税率という仕組みの一つの宿命であろう、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/49
-
050・中川一郎
○中川政府委員 先ほど来審議官が答弁しておりますように、定額税率でありますと、経済の成長についていけない、国の必要な財源がおくれていくという非常なマイナスがありますので、経済成長に見合った税収が確保されるということはどうしても必要なことである。その場合、経済成長の中身が名目成長であって、物価高のときにやれば、物価高の中から吸収するだけではないかという御指摘でございますが、そのとおりでございます。しかし、考え方としては、名目成長であろうと実質成長であろうと、経済成長に見合った税金をいただかないと、国家財政はもちませんので、そういうシステムはどちらの場合であっても必要なことでございます。
ただ、政治的には、名目成長でないように、実質成長に行くように、政策の重点をそこに振り向けなければならない。たまたま現在は、確かに物価高の中ですから、制度の改正が物価高だけに吸収されるのではないかという結果にはなりますが、それに着目してやったものではない。
先ほど来申し上げますように、経済成長のときには定額制は合わない。そこで、合った形にしようというすなおな発想でやっております。
そこで、物価高については、別の政策手段を講じて極力これを定着させる。特に、これが実施をいたしますのは四月以降、五月から税金を納めていただきますので、大蔵省、財政当局としては、ことしの四、五月、七月には物価高は押えたいという気持ちでおりまして、この税金をいただくころになおかつ物価高を招いておいて、ほうっておいて、こういう制度をつくったのであっては、確かに御指摘のとおりでございますが、物価高はなくしよう、しかも、最終的には七月ぐらいにはどうしても押えたいということでございますので、これが実行される段階においては、物価高はやや消えておるのじゃないかということもひとつ横にらみに見ていただいて、われわれの気持ちを理解していただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/50
-
051・増本一彦
○増本委員 いまの政務次官の御答弁は、半分は私の言うことをお認めいただいたと思うのですね。たいへんすなおな御答弁で、いまのこのインフレでふくらんでいる経済を吸収するためにも税収を確保する。ですから、そういういまの時点にこの政策が実行されれば、これを階級定額方式に変えたというその目的自身が、私が指摘したとおりだということであると思うのです。
もう一点、この印紙税の改正法が施行されるころには、一応物価も鎮静化しているだろうというお話がありましたけれども、ではお伺いしますけれども、もしその時期に今日と同じような事態であったら、この法律の施行は一時ストップされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/51
-
052・中川一郎
○中川政府委員 でありますから、先ほど申し上げたように、名目成長であろうと実質成長であろうと、理論的には必要な財源はいただくということであって、物価高を押えることに中心を置くようにし、かりにこれが物価高が押えられなくても、国家財政をまかなっていく上においては、経済成長のあったところからは税金を求めなければならない結果になりますから、かりに物価が下がらなくても、この制度をやめるという理論にはならないことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/52
-
053・増本一彦
○増本委員 いまのインフレ利益を吸収するということは、これは税制の上でも、私たちはやらなくちゃならぬことだと思うのです。だけれども、その対象は、いま一番インフレでぶくぶくの水ぶくれの利益を持っているところに向けてやらなくちゃならぬわけですよ。
ところが、印紙税というのは一律でしょう。そういうことには全然関係ないわけですね、文書の作成というそのことに着目するわけですから。だから、受け取り書についても、もしおやりになるのだったら、何千万という取引の領収書あるいは何億という領収書、そこのところを見ればいいじゃないですか。それを、中小企業の皆さんや一般のサラリーマンも領収書を払う、そういう金額が、今度は免税点が三万円未満に上がったけれども、しかし、領収書を作成するというあれで見ますと、大蔵省のサンプル調査で見ましても、十万円未満というのが一〇・六%ですよ、構成比で見て。これが一番多い。それから、二十万、三十万、五十万、百万というように、こういう一般庶民、国民、中小企業の皆さんが発行する、そういうもののところが実は逆進性で負担率がきつくなってきているわけでしょう。もっと何億というところ、あるいは何千万という、そこのところに着目するのだったら、おやりになったらいいですよ。もしおやりになるとすればですよ。インフレ利益を吸収するといっても、インフレで痛めつけられている階層の多いところに、なおさらそういうものがきつくいくような、それは結果としては個々の負担率は小さいものかもしれない、五十円とか百円とかあるいは何百円というものだから。あるいはせいぜいいっても何千円というものだから。
しかし、ものの考え方として、政策の出発点というのは、やはりこういう印紙税の場合でも、厳密に、原則的に、そこにまで行き届くような発想でなければならぬのじゃないかというように思うのですよ。だから、そういう意味で、私は、このものの考え方、政策の発想として、この問題は非常に重視をしたいというように考えてお尋ねをしてきたのです。
時間がございませんので、あとの質問に移りますけれども、いわば担税力の差に着目をして、そうしてそれぞれ金額に応じて違った税を負担してもらうという考えですね、こういう点から見ると、これは受け取り書あるいは契約書については、もうすでにそういう考え方が取り入れられているわけですけれども、その文書税のジャンルでは、やはり、売り上げ税とか取引高税とかいう考え方と同じ考え方が、部分的には導入されてきているというように見られるのですが、その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/53
-
054・大倉眞隆
○大倉政府委員 文書が作成されました場合、契約なり手形なりあるいは受け取り書につきまして比例的な負担を求めるといたしますと、その限りにおきましては、これはある意味での取引に応ずる比例的税負担を求めているということになりまするので、取引高税ないし売り上げ税にきわめて近い性格を持ち得る、その点は御指摘のとおりであろうと思います。
しかし、印紙税の改正がすなわち売り上げ税を導入したことになるかとなりますと、それは違う。その点は局長が何べんもお答えいたしておると思いますが、それはやはりそこにおのずから文書税としての限界がございます。したがって、またそれであるがゆえに、文書税としてやります場合には、せいぜいこの程度の税率でないと、逆の問題が出てくるということであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/54
-
055・増本一彦
○増本委員 ですから、私は、気違いと天才は紙一重といいますけれども、結局、印紙税というこのジャンルでは、取引高税なり売り上げ税というのと同じ考え方が部分的に導入されてきている。そうですね。いまお認めになったとおり、もうそれは領収書とか受け取り書というこの紙一枚、紙一重の差のところまでに実は来ている、そういう危惧を非常に持つのですね。
そこで、そうなると、これはもうたいへんあぶない税制だといわざるを得ないのです。これはもう皆さんも御承知のように、付加価値税とか取引高税、売り上げ税、こういうようなものは採用しないでくれ、こういう世論も非常にあるし、大蔵省にも幾つかの団体が陳情にも見えているはずですね。しかし、ここまで忍び寄ってきておるとすれば、これはやはり国民として安心できない。ですから、この取引高税とか売り上げ税、付加価値税などというものは、実体取引には絶対に採用しない、こういうように私は明言すべきであるというように思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/55
-
056・大倉眞隆
○大倉政府委員 昨日大蔵大臣がお答えいたしたことを繰り返すことになると思います。付加価値税の問題は、将来の問題としてやはり検討は続けたいと思っておりますが、四十九年度に提案しておらないということはもう事実でございますし、現在のような情勢で直ちにその導入に踏み切るという考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/56
-
057・増本一彦
○増本委員 そこで、これはあとで大臣にお伺いしたほうが適切かもしれませんけれども、皆さんのお考えは、今日のような物価高の経済状態のもとでは、こういうものを採用すると、これは非常に大きな影響を与える、だから、こういうドラスチックな税制はいまの時点では採用できない、こういうお考えですね。先ほど塚田委員の指摘にもありましたけれども、五%の状態でも採用は非常に問題があるというお話もありました。事実、そういうように大蔵大臣がかつて答弁をされていたことがあるわけですね。
将来の問題としては検討したいということになると、皆さん方がこの税制を経済政策なり経済の実態とのからみ合いで、では、たとえば物価の上昇率の目安から見て、どのくらいの状態になったら、こういう税制を採用しても物価やその他に波及しないとお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/57
-
058・大倉眞隆
○大倉政府委員 その点は、確定的な数字でもってどういう場合にということは非常に申し上げにくい問題だと思いますけれども、やはり付加価値税の問題につきまして常に指摘され、私どももそこに焦点を当てて勉強を続けております問題は三つございます。一つは物価水準に対する影響、一つは中小企業の負担の問題でございます。
いずれにつきましても、かなり綿密な調査を現実問題として私どもは続けておりますが、物価との関連で問題になります最大のポイントは、これは導入の時点においては、物価水準を押し上げるということは否定できない。特に、付加価値税なり取引高税を考えます場合には、ある程度、相当中身のある税率のものが考えられることになりましょうから、万分の一とか万分の二という税率と、百分の一とか場合によって百分の五というような税率は、これはもう質的に違うと私は思います。質的にかなりの意味を持ち得る一般消費税を導入する場合には、それは一度限りではございますが、物価水準を押し上げる。したがって、物価の騰勢が続いておる、非常な売り手市場になっておるという場合に導入することにはかなりのデメリットがあるので、きわめて慎重であるべきであろう。物価が全く上がらないという状態でしか導入できないかというと、それは一般論としてはそうではないように思います。やはりそのときの経済情勢によるものであろう。
もう一つの問題としましては、かなり大型の税を予定いたします場合には、やはりその裏側になります財政需要というものが何であるかということとあわせて考えることになるのであろう。非常に大規模な社会保障財源を必要とする。その場合に、所得税を増税してでもそれをやるのか、あるいは所得税は減税しながら、何か財源を求めるのかというような非常に多角的な判断を加えた上で導入の是非を議論していく、そういうことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/58
-
059・増本一彦
○増本委員 時間が来ましたので、そろそろ切り上げますけれども、私は、安直に、福祉財源を得るためということであっても、その中で直間比率の是正をはかっていく、そして財源を確保していく、そういうことであっても、海外のインフレも非常に高進している、その中でわが国がきわ立ってインフレーションの高進が激しい、こういう状態のもとで、こういう取引高税とか売り上げ税、付加価値税というような税制を採用すべきではないというように思うのですね。むしろ、形式的に直間比率のバランスを保つということよりも、いま直接税の中でも、取らなければならないところから十分に取り切っていないという問題が、まだ残っていると思うのですね。
その一つは租税特別措置などでありますけれども、これももっと改廃その他の検討をしなければならぬ。昨年九月の決算を見ましても、たとえば新日本製鉄一社をとっても、内部留保が半期の間に六百億円も積み増しになって、その上、不動産の保有高が一千億円をこえているという、こういう実態がある。この内部留保の積み増しが、大企業を中心にしていま非常に行なわれている。そのてこが、それぞれの租税特別諸措置であるわけです。こういうところの内部留保というものは、とりもなおさず手元流動資金としてあばれ回ることにもなるのだし、これがインフレや物価つり上げの元凶でもあるわけですね。このことは大蔵大臣も率直にお認めになっている。こういうところから税をもっと取らなければならぬという問題があると思うのです。そういう大企業法人に対する課税の強化ということとあわせてこの問題を考えていかないと、むしろそちらにこそ私は、いまの時点では、もっともっと大蔵省当局は力を入れるべきではないかというように考えているわけです。
そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/59
-
060・安倍晋太郎
○安倍委員長 午後三時再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後零時二分休憩
————◇—————
午後三時八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/60
-
061・安倍晋太郎
○安倍委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/61
-
062・田中昭二
○田中(昭)委員 印紙税法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を承ったわけでございますが、その最初に、「最近における経済取引の推移等に顧み」と、こうございます。そこで、これは抽象的なあらわし方でございますが、こういう間接税の一部であります印紙税を改正するということが、この経済取引の推移ということによって考えられるとするならば、その経済取引の推移というのは、どのような推移を見て印紙税の改正をなさるおつもりですか、それをまずお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/62
-
063・高木文雄
○高木(文)政府委員 経済取引の推移というのは、主として国民経済が全体に大きくなってきておる、それに伴って経済取引の総量が全体として広がってきておる。しかし、昨日来御説明申し上げておりますように、現行印紙税は、定額的要素の部分と定率的要素、比例的要素の部分と組み合わせからできておりますために、経済的な取引が拡大してまいりましても、それについていかれないといいますか、いわば税収としてはおくれぎみである。そこで、何年かに一回は手直しをしなければならぬという一種の宿命みたいなものを持っておる。そういうような実情を踏まえまして、提案理由説明の中で、経済の推移にかんがみというような表現を用いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/63
-
064・田中昭二
○田中(昭)委員 確かに国民経済が大きくなっておるということはわかるのですけれども、それがただ大きくなればいつでもやっていいかという疑問も残るわけです。
前回の改正が四十二年でございます。四十二年から経済が拡大したことによって、この印紙税の税収がつり合いがとれなくなったというようなことのように承りますが、そうしますと、四十二年の前はいつ改正したか。聞くところによりますと、二十九年に改正していますね。二十九年から四十二年まで、こういうふうに経済が拡大してきた。そして四十二年から四十九年まで、このように経済が拡大した。どの時点をつかまえて印紙税が改正されなければならないかという、そのことをはっきりしておかなければ、今後四十九年からどういう経済の規模が拡大したときに印紙税をまた改正しなければならないかという問題が起こってくるし、そこまで想定しながらやっていかなければ、たいへんこれは大蔵当局の一方的な、自分たちの都合のいいときに印紙税を増徴するという感じがしてならないのです。
そのいわゆる限界といいますか、経済の拡大する限界というと当たらないかもしれませんが、私が言っておることは、二十九年から四十二年に改正した、十三年ですか。今度は四十二年から四十九年に改正する、大体七年。年数だけでいきますと大体半分。これは大蔵省の方たちは頭がいいんだから、そういう単純な私の推定でいくかどうか、今度四十九年からまた半分で三年目に改正するのかどうか、そういう簡単なことで表現して、ほんとうに国民から貴重な税金をいただくということについて、私はもう少しはっきりした御答弁をいただかなければ納得できないのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/64
-
065・高木文雄
○高木(文)政府委員 何年かに一ぺんは、定額税というようなもの、あるいは税全体はそうでなくても、いろいろな税の中における、たとえば基礎控除であるとか免税点であるとかいうふうなもので定額できまっておるものについては、手直しをしなければならぬということが起こってまいります。たとえば、四十八年度の税制改正の際に、相続税の改正をやらせていただきました。また物品税の改正をやらせていただきました。これはやはり四十二年ごろから、前回の改正から六年ないし七年たって改正をさしていただいた。
なぜそういう必要が起こってきたかと申しますと、相続税について申しますと、やはりもろもろの基礎控除の額というものをあまり長いことおいておきますと、実情にそぐわなくなってくるということでございましょうし、物品税等につきましても、いろいろ免税点その他の定額的にきまっている問題について、手直しをする必要が起こってくるということであったと思います。
それで、何年たったら手直しをしたらよろしいかということは、御指摘のとおり、何らかの目安があることは望ましいかもしれませんが、現実問題といたしまして、その間において経済がどのように動いてくるかという状態にもよりますし、また財政のほうの都合ということもございます。率直に申しまして、財政の都合だけでいろいろ動かされては国民のほうは困るよという御指摘でございますが、それは確かにそのとおりでございまして、その点よほど配慮しなければならぬわけでございますが、同時に、やはり税というものは、第一目的は何といっても財源調達という使命が最大使命になっております関係から申しますと、やはり何年間かの推移を通じまして財政の姿がどういうふうに変わってくるかという状況もまた、そういう必要が起こる原因の一つをなすものと思うわけでございます。
それで、必ずしもそれを意識して手直しをしたわけではございませんが、私いま考えてみますと、たまたま昨年物品税について改正をお願いし、また相続税についてお願いをした。今回印紙税についてお願いすることになりましたのも、その間において国民所得なり租税収入なりが大体三倍ないし三倍半くらいの形で規模が動いてきております関係上、それを意識するとせざるとにかかわらず、やはり定額部分をある程度直していかなければならないことのあらわれといいますか、結果としてそういう必要を感ずるようになったのではないかと思うわけでございます。
では今後、もし次に直すことがありとせば何年くらい後だろうかという御指摘でございましょうが、その点は、いまから今後の五年なり七年なり先の経済の推移というものはなかなか予測がつきませんので、しかとは申し上げかねます。また昨年は、相続税につきましても、物品税につきましても、非常に税制改正の間隔が間遠ではないかということで、この委員会でたいへんおしかりを受けました。相続税につきましても、物品税につきましても、もう少しときおり直してはどうかというお話もございました。これは減税についてでございますし、今回の場合は増税についての御質問でございますから、それは必ずしも同じように考えるわけにはいかないことは申すまでもございませんが、やはりそういう定額的なものにつきましては、まあ三、四年ないし五、六年の間隔をおいて直すということが、今日までのような状態での経済の変化が続きますならば、やはり必要になってこようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/65
-
066・田中昭二
○田中(昭)委員 時間も制約されておるわけですから、簡単にお願いしたいと思います。
いま最後の、五、六年くらいを見てまた考えなければならぬということですが、政務次官、経済の取引の推移というのは、いまどういうふうにつかまれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/66
-
067・中川一郎
○中川政府委員 ただいま主税局長が申し上げましたように、ここ数年来、経済成長も非常に高うございます。経済取引も多く、多様化していろし、一件当たりも大きい。こういう四十二年当時とは変わった経済状態の推移、こういうふうに見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/67
-
068・田中昭二
○田中(昭)委員 全然納得できません。やはり政治家であれば、現在の経済がこういうふうに推移してきた、今後もこういうふうな推移をするだろう、その中で、それぞれの税目についてはこういうふうな方法を考えておるということは、税調等でいろいろ審議される前に、当局がちゃんと一つの目標をきめるべきである、こういうことを申し上げておきます。
次に、「印紙税負担の適正化をはかるため、」このようになっておりますが、この適正化をはかるということの顕著な例を、一、二局長のほうから御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/68
-
069・高木文雄
○高木(文)政府委員 今回の改正の中身は、御存じのとおり、主として税率という点にあったわけでございます。その適正化ということの最大の点は、やはり四十二年当時と今日との間で貨幣価値も変わっておりますし、取引の量も変わっておりますから、それに応じまして、定額部分につきましても、あるいは階級定額の部分につきましても、税率の適正化、バランスをはかるということが最も焦点でございます。
具体的には、階級定額をとっております約束手形または為替手形の最低の税率は、従来二十円でございましたものが、今回の改正で五十円に直さしていただいておる。これは二・五倍に当たります。それから、同じ約束手形または為替手形で五千万円から上のものについては、従来三千円でございましたものを、一億円超という階級を一つふやしまして手直しをいたし、一番最高を従来の三千円から二万円にいたしましたというあたり、その税率の手直しということに一番端的にあらわれておると思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/69
-
070・田中昭二
○田中(昭)委員 先ほどのもう一つ前に戻りますが、税収の全体が大体三倍から四倍ぐらいになっておるというようなお話がちょっとありましたが、間接税が四十二年の改正前、いわゆる四十一年当時の間接税の収入と四十八年度の間接税の収入の割合と、それからその中で、印紙収入と印紙税収入ですね、印紙収入の中にはいろんな罰金とか手数料とか登録税なんか入っておるそうでございますから、それぞれの大体の倍率はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/70
-
071・高木文雄
○高木(文)政府委員 四十一年の直接税と間接税の割合は、間接税のほうが四〇・七%でございます。それから四十九年の予算は三〇・一%でございます。この間、間接税のウエートは四〇・七から三〇・一まで約一〇%変わっております。
それから第二の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/71
-
072・田中昭二
○田中(昭)委員 そうじゃなくて、間接税の税収が四十一年と四十八年はどうなっていますかということです。何倍というのはそういう意味でしょう。割合を言っているんじゃないでしょう。割合はここに出ているんだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/72
-
073・高木文雄
○高木(文)政府委員 四十一年度の間接税等の税収は一兆四千九百億、今度の予算が四兆三千五百億でございます。ですから、三倍弱になるわけでございます。それから国税収入のほうは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/73
-
074・田中昭二
○田中(昭)委員 それじゃなくて——いいです。これはここに数字が大体ありますからあれですが、いま四十一年の間接税の収入は一兆四千九百億ですね、大体切り上げて一兆五千億。これは改正前の年度ですから、四十九年度じゃなくて四十八年度で見れば三兆五千億大体二倍とちょっとですね。三倍までいっていませんね。そういうことでしょう。そうしますと、大体二・四倍くらいになると思うのです。その間接税の中での印紙収入というのを見てみますと、これが四十一年度が九百億で、四十八年度が約三千五百億ですか、四倍ですね。その中で今度は印紙税収入を見てみますと、大体三倍ですよ。そうすると、間接税の全体よりも印紙税のほうがよけいふえておるじゃないですか。何も必ずしも印紙税をふやす必要はない。間接税全体で二・五倍しかふえていないのに、印紙税収入であれば約三倍強です。そういう中でなぜ印紙税をふやさなければならないか、こういうことになるわけです。それはあとでまたお答え願いたいと思います。ですから、三倍、四倍になったから印紙税を上げるということはいかぬということですね。
次に、改正の第一点であります受け取り書の印紙税でございますが、これは免税点を上げて税率をまた上げたと、同じように書いてありますけれども、免税点を上げることと税率を上げることは全然相反することですからね。その辺の解釈はわかっておると思いますが……。
それで、受け取り書のほうでいきますと、現行の一万円の免税点を三万円に引き上げた。これは相当な免税点の引き上げに伴う減収があると思います。まず、受け取り書とかこういうのに該当します税収というのは、改正前、大体幾ら見てあったのですか。その中で、免税点の引き上げによって幾ら減収し、今度の階級定額によって幾ら増収になるのですか、御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/74
-
075・高木文雄
○高木(文)政府委員 お答え申し上げます。
印紙税の収入につきましては、昨日も他の委員にお答え申し上げましたとおり、実績そのものが必ずしも明確でないという問題がございます。と申しますのは、印紙税の場合には、納税者の方がその印紙をお使いになる。その印紙は印紙の売りさばき所で買われるわけです。しかし、印紙は必ずしも印紙税だけに使われているわけでございませんので、たとえば不動産登記のように登録免許税にも使われておりますし、罰金を納めたり手数料を納めたりする場合にも使われております。したがって、印紙の売り上げ総額と、いま御審議いただいております印紙税による収入との額が必ずしもつながらないという関係にございます。言ってみれば、印紙の売り上げ総額のうちから推定をいたしまして、一部はそれは登記、登録税に使われておるだろうというふうに考えます。一部は罰金、手数料の納付に使われているだろうと考えられます。そして、その残りといいますか、その余のものが印紙税に使われたものと考えられるわけでございます。
一応の推定をいたしまして、その推定に基づきまして私どもがいま考えておりますのは、現行法によりますところの四十九年度、つまり税制改正をいたしません場合の四十九年度の印紙税相当額が約千二百億と考えられるわけでございます。
それから今度は、今度の改正によります増収を見込むわけでございますが、いまの千二百億という現行法によります印紙税収入見込み額が、印紙税法の一号のものから二十五号のものまでにどういうふうに使われているであろうかというのは、これまたいろいろと一種の推定を行なう必要があるわけでございます。
そこで、今回の改正にあたりましては、その点を可能な限り正確に近い推定をする必要があるという見地から、抽出調査をいたしまして、現在印紙税がどのような文書にどのように納付されておるかということの調査をいたしました。その結果に基づきまして推計をいたしまして、その上で、改正後幾ら増収になるかということで見ましたのが千二十億であるわけでございます。
なお、免税点その他の問題につきましては、いま御質問の一万円から三万円に上げたことによる、免税点の引き上げによる減収額がどのぐらいになるかという点につきましては、そのときの調査を通じまして、一万円と三万円の間にありますところの受け取り書等の量から全体を推定いたしました結果、大体百億円というふうに見ておるわけでございます。その前に、受け取り書の改定による増収額は、それじゃ全体としてどのぐらい大見当で見ておるかということを申しますと、約四百二十億でございます。四百二十億が平年度における受け取り書の改定に伴う増収見込み額でございまして、その初年度分は約三百八十億ぐらいに見ております。ただいま申しました免税点引き上げによる減収分というのは、平年分で約百億という見当でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/75
-
076・田中昭二
○田中(昭)委員 わからないというが、あなたから説明がありましたからまず全体のことをもう一ぺん確認しておきますけれども、大蔵省の提出した資料、それから国税庁の統計の資料もございますね、そういうものにこれは出ていると思いますが、大体四十七年度決算で印紙税収入が切り上げて八百五十億ですね。これは間違いでございませんね。八百四十七億。その中に現金収入分が八十七億。間違いございませんね。これは大蔵省の提出資料だから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/76
-
077・高木文雄
○高木(文)政府委員 ただいまのは大蔵省の提出資料ではございませんで、衆議院大蔵委員会調査室からのお求めに応じて、どうなるだろうかということで、それは推計でないと出ませんというふうに申し上げまして、推計に基づいて出した数字でございます。明確でございますのは、三千二百六十九億という四十七年度の数字がございますが、それは決算上はっきりした数字でございます。そのうちの印紙税収入分の七百六十、八十七という数字は、いろいろあります手元の資料をベースにいたしまして推計をいたしましたものでございまして、決算上の数字ではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/77
-
078・田中昭二
○田中(昭)委員 そんなまどろっこしいことを言わぬでも、大蔵省が推定したものを調査室がつくったのだから、大蔵省が出したものじゃないなんて、そんなこと言う必要ないじゃないですか。
それで、三千二百六十九億は決算額で間違いない、それは間違いがあったらたいへんなことですよ。そこで、先ほど私が聞いたのは、受け取り書のことを聞いたのです。受け取り書のことははっきりわからぬから、全体から推定して言っておるわけですね。ですから、全体は大蔵省の推定によりますと、八百五十億近く印紙税収入というのがある。これは四十七年分ですから、いまあなたがおっしゃった四十九年分は、初年度で三百八十億を受け取り書の税収と推定したわけですね。全体は千二百億。これも大体いいでしょう。千二百億の印紙税収入の中に、受け取り書の分としましては初年度で三百八十億。そのほかに改正によって減収分があるから、百億円あったとするから、そうしますと、その免税点がそのままであれば初年度で約五百億近い税収。問題は今度の改正によってこれだけ増収分が含まれるのですから、現行法によりましては何ぼになりますか、こう私は聞いているわけですよ。
数字は、私も質問を通告しておりませんですから、いますぐと言ってもあれでしょうけれども、基本はわかってもらわなければ困りますよ。私が言わんとしておるところの意味をわかってもらわなければ、そんな数字だけで言っておれば、いつまでたっても問題が進展しませんから。
いまあなたがおっしゃった、かりに四十九年度に千二百億円の印紙税収入を見るとするならば、四十八年はある程度もう実績が出ておりますね。四十八年度の実績を見れば、大体千億か、千五十億、千百億までいかないでしょう。いいですか。改正前の印紙税収入が千億はこえるだろうという推定ができる。これは毎年、この四十七年度以前を見ましても、大体二割から三割、まあ二割ですね。印紙収入は三割ふえておるけれども、印紙税収入は二割から、ある年によっては一割しかふえていないときもある。これは推定だからしかたがないにしても、おかしいときもある。そうしますと、四十七年の決算で大体八百五十億が出ておれば、四十八年十二月末の印紙税の収入を見ましても、大体補正後予算の七割ぐらいいっている。そうしますと、大体四十八年は千百億いくかいかないか。わかりますか。そうすると、大体四十九年度が千二百億、あなたがおっしゃった千二百億だろう、こういうことですね。
そこで、政務次官よく聞いておってくださいよ。改正する前に千百億円ぐらいの印紙税収入が上がるものが、いろいろな免税もして、減収分もふえて、減収分がマイナスされて、純増として九百億円の増徴だ。簡単にこの千百億円に九百億円加えたら二千億じゃないですか。そういうものをどうして千二百億円と見積もらなければいけないのですか。問題は、それじゃこの印紙収入の中から除いた登録免許税、手数料、罰金、これが四十八年、四十七年幾らであったということがわかれば、それが急に減るわけわないのですから、当然その純増の九百億円ぐらいはふえなければおかしいのです。これは四十二年のときもそうなっているのです。四十二年のときは前の年の印紙税収入の約三割ふえている。九百五十億が千二百五十億、そのときの印紙税で増徴する分が幾らですか、百三十億ですか。そのくらいでしょう。百三十何億四十一年から四十二年にふえるだろうと予想しておったものが、実際は三百億ふえた。今度も、九百億純粋に四十八年度から、四十八年度千億でもいいですよ、少なく見積もって千億、それに九百億円増収するのですから、印紙税収入は千九百億ぐらい見るのがあたりまえじゃないですか。そのほかの三千何百億、四十九年は五千八百三十億ですか予算に計上してありますけれども、その中には登録免許税、罰金、手数料、これは四十八年よりもそう減るわけはないのですから、大体、四十八年も少し高く見て計上してあるわけです。それを五千八百億から引きますとどうなりますか。いまの千二百億円ということになるでしょう、印紙税収入。政務次官わかりますか。
もう一ぺん繰り返しますよ。印紙収入は四十九年で五千八百億円予算計上してある。端数は除きます。その中にはいわゆる印紙税収入が千二百億円ぐらい見てあるといういまの主税局長の御答弁——違う、違うとすれば、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/78
-
079・大倉眞隆
○大倉政府委員 先ほど局長が申し上げました約千二百億円と申しますのは、現行制度のもとで印紙税分だけを見積もるとどれぐらいであろうかということで千二百億と申し上げまして、それに増税が初年度分約九百億ございますから、改正後の四十九年度予算の歳入見積もりの中に含まれております印紙税相当分は約二千七十五億という推計をいたしております。その二千七十五億が印紙収入の五千八十億の中に含まれておる、そのように御理解いただきます。五千八十億の中には千二百億ではなくて二千七十億が含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/79
-
080・田中昭二
○田中(昭)委員 わかりました。五千八十億の中に二千七十億。そうしますと、大体千二百億くらいが改正前の現行法による税収である、こういうことですね。そうしますと、千二百億の中に受け取り書分としては初年度で三百八十億——違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/80
-
081・大倉眞隆
○大倉政府委員 そこは、現行法ベースの千二百億の中で受け取り書が幾らであろうかという推計をいたしますと、二百八十五億であろうという推計をしております。それがつまり一万円以上の受け取り書に二十円の印紙を張っていただくという場合の推計の税収でございます。
改正法によります税収を推計いたしますときには、まず一万円と三万円の間は、一万円当たり二十円は今度は張らなくてよろしゅうございますから、その分はまず減収として出てまいります。その部分が先ほど申し上げました約百億円と計算いたしております。そのほかに今度は五十万円以上のものは五十円ではなくてもっと高いものを張っていただく。それから三万円から五十万円の間も二十円ではなくて五十円を張っていただく。それによる増収がございます。その増収部分を、先ほど主税局長が申し上げました平年度約四百二十億、初年度で約三百八十億と見込んでおります。したがいまして、四十九年度の歳入の印紙収入の五千八十億の中の印紙税の見積もりの約二千億の中にございます受け取り書分は、私が申し上げました二百八十五億と三百八十億を足しまして約六百六十億入っておる、そのように御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/81
-
082・田中昭二
○田中(昭)委員 どうもこれは数字だけで扱っておりますと——私が求めておるのはちょっと違うのですがね。
それじゃ四十八年度分でいきましょう。もう一ぺん私が繰り返しますから、間違いであれば訂正してください。四十八年度分は四千三百億の印紙収入をあげてありますね。端数は切り捨てます。大体四千三百億ですね。それが十二月末現在で三千億入っていますね。その四千三百億の中での印紙税収入は幾らですか、おおよそ推定でいいから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/82
-
083・大倉眞隆
○大倉政府委員 千四十億程度と推計いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/83
-
084・田中昭二
○田中(昭)委員 千四十億ということは、その印紙収入の四千三百六十億の中から千四十億引きますと三千三百二十億ですね。それが登録免許税とか罰金とか手数料。それは四十九年は四十八年の三千三百億よりもまだ減りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/84
-
085・大倉眞隆
○大倉政府委員 先ほど申し上げました五千八百三十億の印紙収入の中に改正後の印紙税が約二千億あると申し上げましたので、差し引きいたしますと登録税その他は約三千七百五十億見込んでおる計算になりまして、四十八年度見込みよりはふえておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/85
-
086・田中昭二
○田中(昭)委員 そこが数字の魔術ですよ。その三千七百億と三千三百億との差額が四百億しかないでしょう。その前年はずっと二割から三割ふえてきておりますよね、印紙税も含めてですけれども。四百億といいますと一割じゃないですか。ずっと平均は三割ぐらいふえているでしょう。なぜ四十八年度の一割増しぐらいに罰金とか登録免許税を見られたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/86
-
087・大倉眞隆
○大倉政府委員 確かに過去の実例を見ますと、印紙収入全体としましては、伸び率が一般の経済の伸びよりも大きい年がございます。四十九年度の見込みをいたしますときに、これをどう見込むかということは非常にむずかしいわけでございますが、印紙収入全体といたしまして、今回の見積もりは名目成長率と同じ率を使って推計いたしてございます。したがいまして、印紙分が幾ら、登録分が幾らということをいたしませんで、両方同じようにいたしておるわけでございます。一三%と見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/87
-
088・田中昭二
○田中(昭)委員 これはあとでよく数字を、私が言ったことを整理してみてくださいよ。そんなことないですよ。四十七年度でも印紙税収入以外が大体二千四百億じゃないですか。それが四十八年度は、いまあなたがおっしゃったとおりにしてみても、三千三百億円。四十七年度と四十八年度でも九百億円伸びているのに、四十八年度と四十九年度が四百億円しか伸びないというのはどういうことですか。それは経済見通しが十何%、どうであろうともそんなことは絶対ありません。
今度、割増金付貯金ができます。これがかりに二兆円集まったとしましても、この預金証書に張ります印紙収入はどれだけふえますか。ボーナスは五兆円から集まったというのだから、五兆円集まればたいした金額になるでしょう。二兆円集まれば、今度の改正でいけば百億円の税収ですよ、割増金付貯金だけですよ。そうなるでしょう、一万分の一ですから。二兆円とすると割増金付貯金の証書に百億円の印紙が張られるのですよ。そうでしょう。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/88
-
089・大倉眞隆
○大倉政府委員 おそらく御質問の前提は二兆円が純増加になり、しかもそれは全部一口一万円という証書で売られるという御計算であろうかと思います。まあ口数が幾らになりますかという問題もございまして、二兆円が純増であるかどうか、これはずいぶん御議論があったようでございますが、そういう問題もございますので、私どものほうの印紙収入は全体として一三%、まあそれは大ざっぱであり過ぎるというおしかりを受けるかもしれませんが、全体として一三%という伸びを見込んでおるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/89
-
090・田中昭二
○田中(昭)委員 先ほどから伸びのことばかり言ったから、伸びのことにこだわっているけれども、そうじゃなくて割増金付貯金の証書に張られる印紙税は、かりに二兆円だとそうなるでしょうと言っているのですよ。それは一万円が五千円になればまたふえますよ。預金証書は一万円でも五千円でも同じ、今度五十円張るのでしょう。いままで二十円張っているのを今度は五十円張らなければいけない。一口五千円の預金証書であればその倍になるのですよ。いずれにしろ、それは定期預金が割増金付貯金になったとしましても、一万円一口で集めていくとしてみても、百億円の増収になる。そうすると、改正前から見れば、約六十億円の増収だ。改正前は二十円ですから、二十円が五十円になったわけですから、そうですね。それにまた階級定額で証書の増収は相当あるはずです。いまのは二十円が五十円になった分だけですから。また、いままで二十円のものが一万円になる部分もあるのですから、そういう面をしさいに検討していきますと、この増収の見積もりというのが私はどうしても納得がいかぬ。
ですから、受け取り書であろうと請負書であろうと何であろうと、やはり税収というものはその見積もりをはっきりしておかなければ、これはいままでの印紙税の収入にしましても、予算額と決算額は開きが相当ありますね。そうしますと、わが国の予算が歳出に見合う分だけの税収をあげるというたてまえで税制改正等も行なわれているとするならば、これは印紙税だけに限らず、そのほかの税目もそうでございますけれども、この印紙税の収入というのはたいへん見積もりがでたらめ、というとせっかくつくられたのですからあれでしょうけれども、いまの状態では、私も納得のいかない点がたくさんあるわけです。もう少しその辺のことをはっきりひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/90
-
091・大倉眞隆
○大倉政府委員 確かに当初見積もりに比べまして決算上若干の数字の変動があるわけでございますが、私どもが先ほど来繰り返し申し上げております名目GNPの伸びをこの税収の推定に使うと申しますのは、過去約十年ぐらいの経験を見まして、一番近い指数というのは、どうも税収はGNPの増加率に一番近くリンクしておるようである、そういう一種の経験に基づいて出しておるわけでございます。
確かに御指摘のように、四十七対四十八というのはGNPの伸びに比べまして印紙税収入の伸びがかなり大きかった。これは何であろうかということは、私どもの中でもだいぶ議論をいたしましたのですが、結論的にいま私どもが想定いたしておりますのは、やはり土地の登記の登録税の増加が、名目的なGNPの増加分を上回った分ではなかろうか。現在の土地の登録税の課税標準は、御承知のように、固定資産税の評価額によっております。でありますから、実際の実売取引ということとも必ずしもリンクいたしません。したがって、固定資産税の評価がぽんと上がりました年に、その年と次の年ぐらいにかけてそういうことが起こるようである、そういう推定をいたしておりますが、その意味では、四十八年から四十九年にかけましては、一応従来どおりの推定のやり方でいいのではなかろうか。登録免許税に四十七対四十八にあったような通常のGNP以上の伸びをさらに見込むという必然性は、どうもないのではなかろうかという判断をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/91
-
092・田中昭二
○田中(昭)委員 ひとつその辺はあとまたよく整理してください。
次に、午前中から話が出ておりましたけれども、この九百億円の増収ということが——私は頭があまりよくないから、こういう簡単な方法でいいかどうかわかりませんが、九百億といいますと日に大体二億五千万ですね。月に大体八十億。そうしますと、これは印紙税だけでたいへんな増税です。私たちの目につかないところで税金が納められておりますから感じないわけですけれども、毎日二億五千万ですよ、この印紙税だけで税金がふえていくということ。そしてここの御案内にもありますように、かりに受け取り書をとってみれば、免税点引き上げにおいて、九〇何%のいままで印紙税を払った人が払わなくてよくなってしまうというのです。九八%とか何とか出ていますね。いままで百人の人が印紙税を払ったのが、九十八人の人は全部印紙税を払わなくてよくなってしまう、受け取り書では。その残った何%かの人が、その二億五千万ふえる分を負担していくわけですね。これは総体的な話ですから、こまかくはわかりませんけれども。
そこで、午前中にも話がありましたように、経済が拡大する、その経済が拡大するところには文書の作成においても担税力があると見込んでそこに税金をかける、いままで二十円だったのが一万円にもなり二千円にもなるというような定額階級に変わっていく。だから便乗値上げじゃないかという話があった。そういう意見と、いまの日に二億五千万を増徴するということは、私はこれは全然物価に影響がないとは思えない。五月から施行されるとすれば、五月までに物価が安定するどころか、一月以降に高い値段で入ってきた石油がいま卸売り物価をさらに押し上げていこうというこの段階に、そしてこの法律が施行されるころには卸売り物価も相当強気の上昇を示しておるときに、印紙税だけで二億五千万も一日に増税されるということは、どうしてもこれは、物価の問題に取り組む政府の姿勢としては、たいへん片手落ちであるといわざるを得ないわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/92
-
093・大倉眞隆
○大倉政府委員 ただいまの田中委員の御指摘の中でどう考えるのかなという点が一つございますのは、従来から一万円までの領収書というのは印紙を張っていただいておりません。それですでに八割四分はいわば落ちておったわけでございます。今度三万円という区切りの実態調査をいたしておりませんものですから、ここはもう大ざっぱにしか申し上げられないですが、おそらく九割くらいは落ちましょうと、こう申し上げておるわけで、したがいまして、改正によりまして張らないでよくなる部分というのは、八割四分と九割の間である。改正によって一挙に九割がということではなかろうかという気はいたします。
ただ、いずれにいたしましても、御指摘のように百人のうち十人ということではないかもしれませんが、百枚つくりましたうちの十枚分で負担していただく。それからまた、売り上げ代金の領収書分の初年度増収は、先ほど申し上げましたように、約三百八十億でありますから、いわば一日当たり一億強の印紙税負担がふえていく、その点は御指摘のとおりだと思います。
ただ、しいて申し上げれば、それはやはり約四百兆あるといわれております取引が、年間一割伸びるとすれば四十兆円ふえるわけでございまして、その一日当たりの取引がふえておるわけでございますから、それとの対比でお考えいただくという問題ではなかろうか、さように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/93
-
094・田中昭二
○田中(昭)委員 私がいま指摘しました点は、結局、今度の増徴部分は直感的に零細な取引をする人は確かに免税点で税金がかからなくなるでしょうけれども、そういえば大きな法人とか大きな取引をした人が税金を納めるわけですから、そういう面については当然だろうと思います。しかし、階級区分のきざみにおいては、先ほどから話がありますように、逆進的なこともある。受け取り書にしてみれば、取引が大きい人のほうが負担率は下がっていくという問題もありますが、かえって小さい金額の人のほうが負担率が高い印紙税を納めなければならない。
この印紙税の実態を大蔵省で去年の八月ですか調査したといいますけれども、その調査はどうも都合のいいことだけここに書いたような気分がしてならないのですが、大体どういう調査をされたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/94
-
095・福田幸弘
○福田説明員 昨年八月から九月にかけまして税務署において実態調査を行ないましたが、調査対象者は、給与所得について源泉徴収を行なっている事業所のうち、一つの抽出率を設けまして、たとえば資本金十億円以上の法人の場合には一〇%とか、そういう抽出率によりまして、無差別に調査対象者を約一万二千抽出しております。調査事項は、印紙税を課される文書の作成通数とその印紙税額、発行した領収書の記載金高別枚数等でございます。調査期間は八月十日から九月三十日までの間における調査対象者が選択しました一カ月分でございます。実際に提出がございました事業所数は、九千二百ほどでございましたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/95
-
096・田中昭二
○田中(昭)委員 大蔵省がやるにしては、えらい知恵がなさ過ぎますね。二百二十万もある源泉徴収義務者の中で、二万二千の源泉徴収義務者に当たって、回答が九千来たというのですね。〇・四%。問題は、調査項目をなぜ全部これに——いまの話で言われましたけれども、せっかくそれだけの九千カ所について調査するのであれば、先ほどから言いますように、受け取り書によっては幾らの印紙税収入があったとか、その金額によって、四十八年までの現行法による税収がどういうふうにあがったと、そういうことまで調査ができておるはずなのですよ。それをなぜあらわしていけないのですか、そういうものがせっかく調査されるのであれば、全体の源泉徴収義務者の〇・四%ですからね。これももちろん数も少ないでしょうけれども、全国には五百何ぼの税務署があるのです。調べようと思えばすぐ調べることはできますよ。どういう方法で抽出調査されたかですね。全国に五百からある税務署でたった一人が一日調査しても、そのくらいのことはできますよ。主税局が一人で書類照会か何かされたのでしょうけれども、ここに出てきているような文書の種類による作成通数、そういうものが印紙税収入の見積もりの基礎になっておるとするならば、なおさら私はその積算の基礎をはっきりしなければわからなくなってくるのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/96
-
097・大倉眞隆
○大倉政府委員 調査方法につきましては、ただいま概略を税制二課長から御説明申し上げたとおりでございます。その調査の結果出てまいりました構成比、それは課税文書の数としての構成比、また現に納めていただいておる印紙税額としての構成比というものは、調査室のほうでおつくりいただいておるこの一三ページに出ておる、こういう結果になっております。先ほど来総額として千億であろう、あるいは千二百億であろうという推計をし、その中で受け取り書が大体どのくらいあろうかという推計をいたしますのに、この構成割合を使っております。
したがいまして、たびたび主税局長から御答弁申し上げておるようでございますが、くどくて恐縮でございますけれども、印紙が売られましたときに、それを買っていった方が、一体どの目的でどういう文書にお張りになるかということは実はわからないわけでございまして、私どもとしては、一番新しい時点でのこの調査が、いわば唯一の税収見積もり上の手がかりでございます。
調査方法の精粗につきましては、御批判の余地も十分あろうかと思いますけれども、これもまたあえて申し上げますれば、税務署員がその事業所に参りまして、一日すわり込んで、領収書の枚数とか、張ってある内容を調べるという方式はとっておりません。こういう事業所の協力を求めまして、一月分をまとめて、できるだけ正確にデータを出してほしいということをお願いしてでき上がった集計でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/97
-
098・田中昭二
○田中(昭)委員 もう時間も来てしまいましたからあれですが、たいへんこの印紙税が、前回四十二年の改正のときから今度の改正までの流れを見ましても、国民がこの印紙税の改正が当然そういう状況でたいへん必要であるし、その印紙税の収入をふやさなければ国民へのいわゆる行政サービスができないと納得するようなことに結びつかない。いわゆる国民が全然知らないところで税金が徴収され、その見積もりにおいては、積算の基礎もはなはだ明確にできないというような増税については、私はどうしても賛成できないのです。
政務次官、今後の印紙税その他の税目についても、こういういままで議論しましたことも踏まえて、増税をなさる場合にはもう少ししっかりした基礎を持って、また将来の展望を持って、そしてその必要性もはっきりしてやらなければならないと思いますが、そういう点について今後どのようになさるのかお尋ねして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/98
-
099・中川一郎
○中川政府委員 さすが田中委員は大蔵省御出身でございまして、いろいろと見識の深い御指摘もいただきまして、非常に参考になった次第でございます。
ただ、ことしの場合は、御承知のように、一兆四千五百億というかつてない所得税減税をいたしてございます。まあ物価の問題もこれあり、そういう面では相当思い切った措置を講じたつもりでおります。しかし、一方では財源確保という問題もありまして、御承知のように法人税、それから自動車重量税、揮発油税、それと印紙税において約九百億、全体では四千七百九十億ほどの増税分があるわけでございます。差し引きましても一兆円以上の減税をやっておるという姿になっておりまして、確かに、印紙税につきまして上げる根拠なり、あるいは上げ方等について御指摘はありましたが、財源確保の面からいって、この程度のものはまあがまんしていただけるのではないか。確かに一日二億五千万の税収でございますから、印紙税を納めていただく方には負担になることは事実でございますが、全体としては、そういうふうに税の負担については軽減をするというふうになっております。
なお、印紙税は税制の中でも特殊な地位にありまして、非常にむずかしい問題でありますので、今後とも慎重に、この印紙税の扱いについては十分御意見も聞いて、万遺憾なきを期してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/99
-
100・田中昭二
○田中(昭)委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/100
-
101・安倍晋太郎
○安倍委員長 竹本孫一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/101
-
102・竹本孫一
○竹本委員 最初に、初歩的なところからお伺いいたしますが、印紙税というものは、取引税とどういうふうな違いがあるのか。それから、印紙税の本質とはどんなものかという点について、局長からひとつ——。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/102
-
103・高木文雄
○高木(文)政府委員 印紙税のまず税の中における地位でございますけれども、まあ学者によっていろいろ分類がございますが、よく一般に使われております分類の一つに、収得税、財産税、流通税、消費税というような分け方がございます。その中で、印紙税はいわゆる流通税に属するものでございます。その他流通税の例としてはほかに登録税とか、有価証券取引税というのが流通税の例としてよくあげられる例でございます。それから消費税のほうの例としてあげられますのが、物品税、酒税、入場税、通行税、これなどは消費税の例としてあげられるものでございます。
ただいま印紙税と取引高税の関係とおっしゃいましたが、取引高税とか売り上げ税というようなものは、消費税に属するものであるというふうに一般にいわれております。これはつまり、入場税にしましても、通行税にしましても、酒税、物品税にいたしましても、いずれも最終的負担を消費者に求めるということがかなり明らかになっている性格のものであろうかと思います。それに対して印紙税は、登録税と同様に、いずれはやはり最終的消費者に帰属するのかもしれませんが、印紙税でいえば文書作成者、登録税でいえば登記、登録をする方が第一次的に負担されるのであって、それが一体最終的に消費者負担に帰属していくのかどうかということが必ずしも明快でないというところから、こういう分類が行なわれているというふうに思われます。
そこでもう一つの、取引高税、売り上げ税と印紙税の違いは、昨日からここで御説明いたしましたが、印紙税の最大の特色は文書税であるということでございまして、取引がありましたならば課税されるということでなくて、取引に伴って文書が作成された、その作成された文書を課税物件としておる。したがいまして、売買——売買というのは取引でございますが、売買がありましても、たとえば現金払いで全く領収書も何も交換されていないという場合、取引高税、売り上げ税の場合には、取引があれば何らかの形を通じて課税になるという問題になりますし、印紙税の場合には、売買にあたって領収書なり何なりということで文書がかわされたという事実がなければ、課税ということは起こってこない。そこらに、流通税の一つであります印紙税のまた大きな特色があるのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/103
-
104・竹本孫一
○竹本委員 いま御説明がありましたように、取引があって文書を作成した場合に、その文書を作成したいという時点で税をかける。ではその場合に、文書を作成しない場合は全然課税がないだろう。また、文書を作成しても、印紙を張らないでおってもなかなかわからないという場合はそのままであるという点から見て、印紙税というのは本質的に不完全というか、あるいは不公平というか、そういうきらいはないか。また、そういう問題があるとすれば、それに対してはどういう措置を考えておられるか。この二点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/104
-
105・高木文雄
○高木(文)政府委員 その点が印紙税の一番問題な点でございまして、取引がある場合に、ある種の文書が交換されます。しかし、その交換されますということが、その地域なり国なりの間において非常に一般化しておる、それが常識になっておるということでなければならないわけでございます。それと同時に、その印紙税の制度がありました場合に、文書に印紙を張るという慣習が相当程度、相当広範囲に実行されることが担保されるような環境になければならぬということでございます。
わが国の場合には、取引がありました場合に、もろもろの取引の場合にそれを文書化しなければならないという法律上の拘束とか何かその他の拘束というものはないのでございます、現行法の上では。したがって、いろいろ取引がある場合に、必ず文書化しなければならないということはないのでございます。しかしながら、印紙税法に掲げてございますもろもろの課税要件、たとえば物品の領収書であるとか手形であるとかいろいろ課税対象の物件の名称があがっておりますが、わが国の経済取引の上においては、常識的に考えて、そういうものが作成されることがきわめて一般的であると思われるものを課税物件として掲げているわけであり、そうして幸いにしてそれは、その文書化が法令的には義務づけられておらないにかかわらず——一つには税率の関係もございましょうかと思われますが、にもかかわらず、なおかつそういう商取引上の慣行が一般化しておりまして、印紙税があるがゆえに、印紙税を納めるのは税負担があるからということで、そういう慣習がだんだんなくなっていくということもないようでございます。
いまのところは、理論的にはそういう問題がございまして、印紙税があればそういう文書をつくらなくなるではないか、その文書をつくらなくなるおそれが出るということがいいことか悪いことかという問題と、課税が不公平になるではないか、それがいいことか悪いことかという問題がございますが、現行の、最近少なくとも十年、昭和四十二年の改正以来今日までの状況では、特にそういう慣行が減ってきたとか、あるいは慣行はあるが印紙を張るという明治時代の慣行が減ってきたということは、どうもないようでございます。
したがって、今回の改正にあたりましても、どの程度の引き上げならば許容されるかということを考えます場合に、あまり大きな引き上げ幅になりますと、そういう慣習そのものをこわす危険がございますし、また慣習は残るが税を納めないという風習が広がるという危険もございますので、その点は配慮いたしたつもりでございます。昭和四十二年の前回の改正以来、全体の経済の伸びが大体二・五倍とか三倍とか、その辺のところにありますところから、上げ幅をその辺にとどめましたのも、そういう阻害要因を今回の増税がもたらしてはならないという気持ちからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/105
-
106・竹本孫一
○竹本委員 まあ貼付するのが社会の一般的な慣習だということになると、それが普遍化して守られていくということであれば一応いいということも言えますが、何としても、社会慣習とか慣行にすぎないというところにやはり一つの限界があるという点はどうかということが一つ。
もう一つは、あとでいろいろお伺いしますけれども、とにかく上がるものは相当上がっておるということになれば、その税を回避するために、書類をつくらぬとか、つくっても張らないとかいうような問題が出てくる。したがって、今回は九百億なら九百億の増収をはかるというかまえであるならば、それをバックアップするように、そうした法的な裏づけというものが、あるいは法的裏づけでなくても、何か担保力をもう少し増強するくふうがあってしかるべきではないかと思いますが、その点についてもう一回お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/106
-
107・高木文雄
○高木(文)政府委員 その点ももちろん検討の課題ではあったわけでございます。しかしながら、たとえば一定の文書について文書を作成することを義務づけるということになりますと、先般来いろいろ御議論があります取引高税なりあるいは売り上げ税というものにかなり性格的に接近してくるという問題がございます。
そこで、私どもといたしましては、そういう取引段階への課税ということにつきましては、つまり一般消費税の導入という問題につながる問題でございますので、長期的課題の問題としては慎重に検討はいたしておりますが、現段階においてそういう式の税制をわが国間接税体系に持ち込むことについては、なおなお検討すべき課題もたくさんございますし、なお慎重を要する点が多いと考えられている段階でございますので、多少とも現行印紙税から少し性格を変えまして、取引高税なり売り上げ税なりに近づいていくという方向でものを考えることは適当でないのじゃないかということで、おっしゃるような難点があることを十分承知しながら、つまり、その印紙を貼付するという慣行が担保できるかどうかという点についての危惧を持ちながら、あえて制度を変えることなしに、現行制度のままで、税率の改定だけでやらしていただこうというふうな結論に到達をして、審議をお願いをしている次第でございます。
その点は、非常にデリケートな問題でございますが、今回の場合には、税率の引き上げ幅もそういう点を考慮して、この現行制度が改定されました当時の負担幅程度にとどめるということとも関連して、制度は変えないということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/107
-
108・竹本孫一
○竹本委員 危惧を持ちながらということでございましたから、これ以上ここで議論をいたしませんが、その危惧の点が問題だということをぼくは指摘しておきたいということであります。
次に参りまして、九百億円の増収になるということだと思いますが、それは一体、号別で一から二十五まで、別紙というか別表というかあるわけですけれども、どういうふうに九百億の増収になるのかということについての内訳がありますかということが一つ。
あわせて伺いますが、その増収をはかるのに、ここに別紙を見ると、二十円が五十円になったり、いろいろ書いてある。ちょっと感じを端的に申しますと、いわゆる事務的にペンで書いたような感じもするんだけれども、これの増税というか増収をはかる意味において、いかなるプリンシプルがあったのかということをついでに伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/108
-
109・高木文雄
○高木(文)政府委員 まず第一に、増収の見込み額の問題でございますが、これは他の委員の御質問にもお答えをいたしましたが、印紙税収というのは、現行の租税収入中、一番見積もりなりまた決算のほうも非常に明確でない特殊な税でございます。と申しますのは、印紙税の収入というのは、結局、印紙の売上げ額、それがすなわち印紙収入となるわけでございますけれども、では、印紙は印紙税のみに使われておるかというと、そうではなくて、印紙税よりもむしろ登記、登録のほうの登録免許税のほうによけい使われております。不動産登記であるとか法人登記であるとかいう登記のときに印紙の貼付を求めるわけですが、印紙総売り上げの中では、印紙税のほうに充てられる分よりも登録免許税のほうに充てられる税のほうが、使われている程度が大きいわけでございます。
それから、罰金を納めたり手数料を納めたりする場合に、印紙が使われます。したがって、一年の間の印紙の売りさばき所から売り上げられます総売り上げ中、印紙税のほうに充てられた分が大体このぐらいであろうという見当はつきますが、正確に、印紙税による印紙として貼付された額が幾らであるかというのは、見当でしかわからない。現在のところでは、大体四十七年度の数字で八百億円弱の印紙が印紙税として使われた分であろうというふうに、私どもの手元の資料をいろいろ縦横にやってみまして、見ておるわけでございます。そのほかに、印紙税で現金収入のものがあるわけでございます。それを合わせまして、四十八年度では約八百六十億円の印紙税収入を見ております。
いまのは四十八年度の当初の見込みでございますけれども、四十八年度の実行過程におきまして、たいへん経済が大きくなってまいりました、また物価も上がってきたということの関係もありまして、御存じのように、先般の四十八年度補正予算の際に、若干追加して見込んでおります。そしてその結果が四十八年度で、さっき八百六十億ほどと申しましたのが千七十億ぐらいを見ておるわけでございます。
この千七十億が、法律を改正しませんならばどのぐらいに見込めるかということを見ますというと、先ほど田中先生の御質問のときに大倉審議官からお答え申しましたように、一三%の伸び率で見ておりまして、千二百億ということでございます。この千二百億をベースにして、今度の改正を行ないますと、増収額が初年度で大体九百億強というふうに見ております。
九百億のうちでどの部分が一番多いかというと、この改正のうちの二十二号の「金銭又は有価証券の受取書」による分、これが約、三百八十億で、最も増収のうちで多いものでございます。次に多いのが約束手形、為替手形でございまして、これが大体二百二、三十億ではないかというふうに思われます。
なぜ二十二号の「金銭又は有価証券の受取書」の増収が多いかということは、従来この種のものは二十円の定額税率でございましたものを今度は階級定額に改めまして、最高一億円超の受け取り書であれば二万円までというふうに階級定額に心しました。それから最低の額を、二十円から五十円に直しました結果、ここの部分の増収が多いということでございます。
その次に、約束手形、為替手形の部分が多いと申しましたが、これはこの表で申しますと三号の課税物件のものでございます。第三号、約束手形、為替手形。これはどういうふうに面したかと申しますと、一つは最低のところが二十円から五十円に上がっておるというのが一つ。それから最高が三千円でとまっておりましたのが、途中は据え置きましたけれども、上のほうの階段を少し上げまして、二万円まで上げましたということの関係上、ここの部分がふえておるわけでございます。
このことでおわかりいただけますように、今回の改正点の焦点はどこにあるかと申しますと、一つは物品、金銭または有価証券の受け取り書等につきまして、従来の定額、しかも一律二十円でありましたものを、売り上げ代金の受け取り書に限りまして、かつその売り上げ代金の記載のあるものだけに限りましてではありますけれども、その受け取り金額の大きさに応じまして階級定額に直したということが一つでございます。
第二の改正点は、従来から階級定額でございました約束手形または為替手形につきまして、貨幣価値の変動、経済の大きさの変わり方等にかんがみまして、階級定額の刻みを上げたということが第二点でございます。
あとは、請負に関する契約書その他につきまして、もう一つ不動産譲渡の契約書等につきましても、先ほどの約束手形や為替手形と同じように、税率の見直しを行なっております。
三番目に、一律の定額になっておりますものがございます。そういうものにつきまして、この表で申しますと九番から二十一番までが一律に二十円ということになっておりますが、これを二十円から五十円に上げた、これが三番目のねらいでございます。
税率を直しましたおもなるねらいは、いまの三点、つまり新たに受け取り書について従来の一律定額から階級定額に変えたということと、階級定額において税率の見直しをしたということと、三番目に、一律定額のものについてその定額税率を直した、この三点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/109
-
110・竹本孫一
○竹本委員 一応御説明はわかりますが、改正のプリンシプルというほどのものではない。ただ、事務的に数字を直したというような感じを受けるのですが、その問題も見解の相違ということになるかもしれませんので、このぐらいでやめておきますが、階級定額税率を従来も一部には導入しておった。今回は受け取り書等について入れた、こういうことですけれども、これが一つのプリンシプル的なものとして正しいということであるならば、なぜいままでにそれを導入しなかったか、いまごろそれを考えついたのはどういうわけだ、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/110
-
111・高木文雄
○高木(文)政府委員 関接税につきましては、しばしば当委員会において御説明を申し上げておりますように、私どもは、直接税との関係から見ましても、どうも漸次間接税のウエートが下がっていくということがたいへん気になっておるわけでございます。必ずしも間接税のウエートを高めなければならぬというところまでは考えておりませんけれども、どうも租税の中で間接税のウエートが下がってきておる。しかも、それが非常にステディーに毎年毎年下がっていくというところが問題に思われるわけでございます。
なぜ下がるかという原因はいろいろございますけれども、一つは課税対象が限定的である。物品税において最も典型的にあらわれておりますように、個別掲名物品についてだけ課税されるということがありまして、課税対象が限定的であるということが一つの理由でございます。しかし、それに負けずに、現在の間接税の中で定額税率のものがかなりウエートがあるということが問題でございます。定額税率で典型的なものは酒税でございます。酒税も一部定率のものを入れておりますけれども、たとえば一升で幾らというふうになっておりますから、お酒の値段が上がりましても、税金の部分は固定しておるということでおわかりいただけるように、非常に固定的でございます。ガソリン税の場合も同様でございます。印紙税の場合も、定額部分についてはそのような傾向を持っておるわけでございます。
そこで、税制調査会での検討でもそうでございますが、間接税の中の定額部分をでき得るならばば、可能な限り定率部分に置きかえていくことがよろしいのではないか。必ずしも間接税を特に増強しようという気持ちはないにいたしましても、極度にそのウエートが落ちていくということを防ぐためにも、定額制度を定率制度に変えていくことが望ましいのではないか。そういう頭で考えますと、二十円の定額というようなものでございますと、経済取引が大きくなりましても、二十円はいつまでも二十円ということになりますので、でき得るならば、可能な限りにおいては一種の定率に持っていったほうがよろしいのではないか。それを印紙税に当てはめますと、取引の額に応じて比例税率をとることが望ましいわけでございますが、これは一回ごとに印紙を張らなければならぬという関係がありますので、そのごとに違う印紙を張るということになりますと、御商売をなさっておられる方々は、いろいろな種類の印紙を買いだめしておかなければならぬということになりますので、非常な迷惑になるということから、印紙税の場合には完全比例はとうていとり得ないということで、ある額に応じて上がっていくカーブを階段状に直した階級別定額のところがせいぜいであるということになるわけでございます。
ところが、階級別定額の場合には、単純比例税率の場合のように、たとえば百円につき一%とかなんとかいうふうにいきませんで、幾らから幾らまでは階段の高さを幾らというふうにきめなければいけませんですから、どうしてもやはり階級定額の場合には比例税率ほどには経済の発展についていかないということになるわけでございます。そういう印紙税の宿命からいたしまして、昭和四十二年に改正以来六年ないし七年たっておりますので、この際に、経済の大きさ、成長との関係をにらみ合わせながら、定額しかやりようのないものは定額のままで変えさせていただく。それから階級定額のものも階級定額の刻みを若干変えさせていただく、こういうことでございます。それが先ほど申しました三つのウエートを置いた改正の基本となった考え方であり、そのもう一つうしろには、間接税についての当面あるべき改訂の方向ということを考えてのことであるということで御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/111
-
112・竹本孫一
○竹本委員 今度は個人が、銀行からでもいいが、金を借りるというと、この号別では何号で、それはどのくらいふえますか。
それから、会社が、特に商社なら商社が金を借りてやるという場合には、これでいえば号別の何に該当して、どのくらいふえるか。またその辺のバランスがとれておるのかいないのか、その辺をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/112
-
113・大倉眞隆
○大倉政府委員 金銭の借り入れに関しましては、借り手が個人であるか法人であるかを問わずに、契約書として課税をいたしますので、号別で申し上げますと、第一号文書の中の(3)でございます。「消費貸借に関する契約書」、これは従来から階級定額税率になっておりますので、今回の改正では、契約金額が五百万円をこえます場合、それより大きい場合につきまして、所要の調整を行ないたいというのが提案の趣旨でございまして、具体的には、契約金額が五百万円をこえ一千万までのところは、従来の一契約当たり二千円を三千円に千円の増、一千万円から五千万円までは、五千円が一万円に五千円の増、五千万円から一億までは一万円が二万円に、その上は二万円が五万円に、なお一番下の部分は、ほかの定額税率の調整と合わせまして——失礼いたしました。この分はもともと五十円でございますから、その点は変更ございません。上のほうだけ直っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/113
-
114・竹本孫一
○竹本委員 会社の場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/114
-
115・大倉眞隆
○大倉政府委員 会社の場合も、要するに、買い手が個人であるか法人であるかを問わず、消費貸借契約書として課税されることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/115
-
116・竹本孫一
○竹本委員 次に、先ほどの第二十二号ですね。これは二十円が最高二万円になるわけですね。千倍になるわけだ。いままでの増税で千倍の増税の例があるかという点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/116
-
117・高木文雄
○高木(文)政府委員 正確にはなんでございますが、どうも千倍という上げ幅はないかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/117
-
118・竹本孫一
○竹本委員 だから、最初にプリンシプルは何かと聞いたのだけれども、たまたま千倍になったということだけなのか。あるいは今後はそれ以上の場合もあり得る。原則はこういう立場だというものがなくて、たまたま二万円くらいが見当だという腰だめで二万円になった。したがって、それは結果から見れば千倍だった。またこの次には一万倍になる場合もあるのだ。
〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕
こういうふうに税の負担というものが一ぺんにふえる——もっとふやさなければならぬ場合もありますよ。私はふえたからいかぬとは言わないのだが、いずれにしても何かものさしというか、原則がなければ、お筆先で二万円になった、結果として千倍になったというのでは、説明が理論的にははなはだ不十分である。何かそこに原則なり意味なりがあるのですか、こう聞いているわけだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/118
-
119・大倉眞隆
○大倉政府委員 確かに定額税率から階級定額税率に移ります場合には、竹本委員御指摘のとおり、階級定額税率の最高の部分と従来の定額税率とを比べますと、倍率で非常に大きな負担の増になるというケースが出てまいります。その点は私ども改正案を用意いたしますときには、いろいろ議論はいたしたわけでございますが、今回の領収書の階級定額の刻み方につきましては、税務側ではなく、企業側の実務者の意見も十分聞いてみまして、手形の税率と受け取り書の税率というのは違ってもいいかどうか、受け取り書のほうが新しく入ってくる、手形はもともとなっておる、どうであろうかという点をかなり聞いてみましたのですが、やはり手形と受け取り書というのはかなり作成の頻度が多いので、その両者について違う税率になっておるというのは覚えにくいし、間違ってしまうかもしれないので、かえってぐあいが悪い、やはりそろえてほしいという納税者側からの声が圧倒的でございました。
その意味で、今回の最高二万円と申しますのは、改正後の手形の最高と合わせた、それが結果的に、御指摘のように、いまの二十円に比べますと千倍になってしまったけれども、全くほかとのバランスも何もなしにきまってしまったということではないわけでございます。
〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/119
-
120・竹本孫一
○竹本委員 これは局長、いまいろいろ議論があったけれどもということで終わったような感じだけれども、もう少し具体的に議論の結果があらわれるべきではないかと思いますが、局長の意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/120
-
121・高木文雄
○高木(文)政府委員 実はこの印紙税の問題というのは、率直に申しまして、私どももしょっちゅう議論している問題ではございません。印紙税のことを、非常に恐縮なんでございますが、一番詳しいのは、むしろ印紙税を現実に納税していらっしゃる納税者の方々が、ある意味で非常によく知悉していらっしゃるような形になっております。そこは他の税と性格がだいぶ違っております。
そこで、今回の改正につきましても、何か税率の刻みの改正等をいたす場合に、どういう方の意見を聞いて研究したらいいかということにつきましては、ほかの税にも増して、現実にその仕事に従事しておられる方々の意見を十分に参酌しなければならぬという感じで、いろいろと議論をかわしたわけでございます。その際に、やはり経済が全体として大きくなってきたのならば、それに相応して上がっていくというのであれば、増税は好ましいことではないけれども、経済の大きさ、あるいは貨幣価値の変動に応じて税負担の伸びを見ていくというのはやむを得ないのではないか、最小限そこまではがまんできるのではないかという感触が一つ。
それからもう一つは、何としても覚えやすいようにしておいてほしい、こういうものは、ほかの税と違って必ずしも経理担当者が扱うわけではなくて、現実に契約をしたり売買をしたりという営業マンのほうの方が知っていなければならないものですから、それをあまり複雑なものにしてほしくない。それぞれ扱っていらっしゃる商品が違いますから、自分の商品のところのこの部分だけ覚えていればいいという簡素なものにしてほしいという二つのあれがありました。
そこで、従来の定額でございました受け取り書につきまして、売り上げ代金に限ってではございますが、定額から階級定額に切りかえるのであれば、現に他にある階級定額のものとある程度酷似をした形にしておいていただくことが、一番実務的には納税者として負担が少なくて済む。それからまた、いろいろな種類の印紙をもともと買って用意しておかなければならぬいうのでは、要するにその負担がなかなかたいへんだから、したがって、たとえば刻みをあまりどんどんふやすと、きめこまかくして階段を多くするというようなことになりますと、また違った印紙をもともと買っていわば引き出しの中に入れておかなければならぬということになりますので、そういうことをしてもらうことはぐあいが悪いというような声が非常に強かったのでございます。
それらの点を考えまして、一つは、受け取り書について階級定額に切りかえることの是非というような問題は、先ほど来御説明いたしましたような形でのむしろ制度論でございますけれども、さてこの刻みをどういうふうにいたしますかにつきましては、どちらかといいますと、実務的な便宜を最大限入れて、そうしてなるべく複雑にならないようにということに心を使ったつもりでございます。
いまおっしゃったような点が出てまいります点は、確かに非常に気になった点なのでございますけれども、私どももそう大ぜいの方に伺ったわけではありませんから、別の感覚をお持ちの方もおありかもしれませんが、私どもの聞きました範囲内では、まあまあ手形とこれと同じ形にするならば何とかやっていけるでしょうという方が非常に多かったということで、この二十二号の改定について三号と同じ形にさせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/121
-
122・竹本孫一
○竹本委員 次に、いまの刻みの問題ですが、多くなれば複雑になり、めんどうになり、たいへんだという局長の御説明はよくわかりますが、それならば、刻みというものを下のほうにだけたくさん刻んでいるけれども、上のほうは、たとえば号別の一の不動産といったようなものの譲渡に関する契約書、これは改正案では、一億円超五万円、こうなっておる。それから二号の請負に関する契約書は、これまた下のほうは百万円未満、百万円以上二百万円以下、二百万円超三百万円以下とえらい親切に刻んであるが、終わりのほうは一億円超五万円、要するに五万円打ち切りで、一億円超ということでそれだけで打ち切ってある。
そこで問題は、むしろこれは逆ではないかという意味でお伺いするわけですけれども、今日の不動産等の譲渡に関する契約書というものは、一億円超のほうが多いのじゃないか。しかも、一億円超を一億円で打ち切るのはあまりにも乱暴で、あるいは五億円あるいは十億円といったように、少しその辺の刻みをこまかくやるほうが、下のほうをこまかくやるよりももっと適切ではないか。あるいは税収の上からいっても多くなりはせぬか。
こういう意味で、一億円超五万円と、一号も二号もその辺で打ち切ってあるが、われわれから言えば、それから上のほうをより厳密に刻んでいくべきではないか。もちろんあまりこまかくすればたいへんになりますから大ざっぱでもいいけれども、一億円超が普通になっているときに五万円で打ち切っちゃうということになれば、十億も百億もみんな五万円ということになって、それこそ社会的な公正ということからいえばむしろ非常におかしいと思いますが、一億円超というところでぽつんと切ってしまった理由は何か、その辺をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/122
-
123・高木文雄
○高木(文)政府委員 まず、この税率を刻みましたときの考え方は、そもそも倍率を現行に比べてどのくらい上げることがよろしいか、あまり上げ過ぎますと、冒頭に御注意がございましたように、義務化しておりませんから文書をつくらなくなる、あるいは文書をつくっても貼付しなくなる、こういう問題がございます。そこで、また上げ幅があまり小さいと、いうことになりますと、いわばときおり改定をしなければならない、こういうかっこうになってまいります。
そこで、その間をとってどの辺にしたらよろしいかということがむずかしいわけでございますが、が、結局、経済の伸びといいますか、国民所得の伸びといいますか、そういうものをにらみまして、て、大体前回の改定期と今回までの経済活動の成長といいますか、大きくなりました程度をあらわします指標をいろいろ並べてみますと、二・二倍とか三倍とかいうものから三・何倍というものになりますので、そこをにらみまして二・五倍にしてみたわけでございます。
もう一つは、現行の二十円を上げます刻みといたしまして、四十円というような考え方もございますし、六十円というような考え方もございましょうが、まあわれわれ日常生活の便宜からいいますと、五十円というのが一つのあれではないかということもありまして、二十円を五十円に上げるというのが一つの見当として出てくるわけでございます。
それでは、今度、上をどうするかということでございますが、公正論、公平論という点からいいますと、おっしゃるとおり、階段をよけいつくって上のほうの倍率を大きくするということが望ましいわけでございますが、今度は守られなくなる危険という点からいいますと、上のほうほど危険があるわけでございます。そういう点を考えまして、たとえば、上のほうはもう一段階置いて、二・五倍でなしに五倍にするようなランクをつくるかつくらぬかということの議論になるわけでございますが、なかなかきめ手がございません。そこで、せっかく先ほど御心配いただきましたが、まあまあ何とか文書をつくる慣習も残っており、印紙を貼付する慣習も決して以前に比べて減ってきたということにはなっていないということから考えますと、あまりそこで無理をして、そういう習慣なり慣行なり、また特に印紙を貼付しないで脱税みたいなものにつながるようなことの誘因に今回の措置がなっては非常に困るということを、心配いたしました。一番下の二十円から五十円にする、その二・五倍という率、それを頭に置きまして、二・五倍で二万円を五万円にするというあたりのところを、一番上の税率の引き上げ幅として考えてはどうかというふうに考えたわけでございます。
その場合に、もう一つは、では五万円は幾らから五万円にするのか。いまお示しいただきました例では一億円ということになっておりますが、それがよろしいかどうかというあたりは、これはまたいろいろ議論のあるところでございますが、下からの刻みの階段の関連から申しまして、まずこの辺が妥当なところではなかろうかということで判断をいたしたわけでございます。
今後の問題といたしましては、先ほど印紙税というものの性格論との関連で御指摘がありましたように、どうやってこの慣習が守られるというふうに担保をしていくかということと関連しながら、ら、検討いたすべき問題であると存じます。しかし、この印紙税の問題というのは実態がなかなかわからない。つまり、受け取り書に張る義務を負っているのは文書の作成者でございまして、その文書を持っているのは取引の相手方のほうなものですから、どなたかがたとえば一部の書類について印紙を張ってないというようなことがあったとしても、相手方の話になりますので、税務署、国税局におきます調査などというものも、普通の税の場合とだいぶ違うという関係もございまして、そこらのこともにらみ合わせての上でございますが、今後の検討課題にさしていただきたい。
そういう意味で、一番下も二倍半、上も二倍半というきわめて単純でございますが、そこであまり体系を変えないで、そういう意味では体系を変えないでやらしていただいたということで御提案申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/123
-
124・竹本孫一
○竹本委員 私が、担保するものは社会慣行だけだというのでは弱いと一番最初に指摘したのもその点で、いま局長からもまた御答弁がありましたけれども、そういう面を強化しながら、一億円超打ち切り五万円ということについてやはり再検討するのがほんとうじゃないかと私は思いますが、一般的に見て、これは大蔵省などがわかるわけですが、個人個人の件数とかなんとかということでなくて、よく問題を起こしました大企業とか商社とかいうようなものが不動産の譲渡に関する契約書をつくるというような場合には、ここに書いてあるように、一億円超が多いのだろうと思うが、一体どのぐらい、いまの一号と二号に関して、請負に関する契約書、それから不動産の譲渡に関する契約書なんというものの平均的な相場はどの辺ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/124
-
125・高木文雄
○高木(文)政府委員 まことに恐縮でございますが、先ほど御披露いたしました実態調査、それは二十二号の金銭または有価証券の受け取り書、また手形等につきましては、ケースがたくさんございます。その関係である程度いろいろな資料が出てきておりますけれども、不動産の取引については、事業所を調べましただけでは——事業所を抽出いたしまして、その事業所が印紙を二十五号までのどれに一番使っておられるのかなということを最重点にいたしましたものですから、なかなか調査対象のところで不動産をちょうど取引したという例に当たる頻度が非常に小さいものですから、それはいい結果が得られないだろうということもありまして、最初調査書をつくりますときに、その点は要調査項目に入れておりませんものですから、ただいま御指摘の点は、今回の調査ではつかむことができませんでした。したがって、不動産契約書の状態について、どういうふうに分布しているかというふうなことは、あるいは登録税のほうの資料から別途推計をする方法があるかもしれませんが、直接印紙税のほうの資料としてはいまちょっと手持ちがございませんので、申しわけございませんが、その点お尋ねの相場はどのくらいかというのには、ちょっとお答えできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/125
-
126・竹本孫一
○竹本委員 いまの御答弁ですけれども、たとえば税金をかけるという普通の場合に、土地投機とかなんとかというような場合がいろいろある。そういう場合においては、一億円超で押えるのが妥当であるか、あるいは一億円超を一億円以上五億までとか、五億から十億までとか、十億から二十億までとかいったようなところで押えるほうが妥当なような実際の動きではないか、それは課税の面から大蔵省が一通りとられておられるではないか、こういうふうにぼくは思うわけです。
そういう意味で、私が言うのは、とにかく一億円超で打ち切るということ自体に非常に矛盾があるということを言うのです。おそらく問題を起こした商社や大企業の土地投機なんといったようなものから考えてみて、いまごろ一億円超で切ってしまうのはあまりにも低過ぎる、それはめんどうくさいし、刻みが多くなれば困るという問題もありますけれども、とにかくそれにしても、一億円超、それから上は幾らでも五万円で打ち切りだというところに問題があるのじゃないか。現実の実態と照らし合わせてみて、ここで打ち切るのがいいのか、もう二つ三つ上に段をつくるのがいいのかというところが問題ではないか、こういう点をぼくはいま指摘しているわけです。政務次官、どうですか。政治的判断でいいのですよ。
私が言う結論は、この改正案で見れば、一番下からいうと、十万円以下、十万円超五十万円以下、今度は五十から百、百から五百、五百から千、千万から五千万、五千万から一億、この辺は親切に刻んであるわけだ。しかし、それならば、少なくともそれから上は少し大ざっぱでもけっこうだけれども、一億円超は全部五万円、こういうふうに大まけにまけたような打ち切り方をしないで、もう少しきめこまかく課税することのほうが、現実の取引に照らし合わせて社会的な公正に沿うゆえんではないか。これは政治判断の問題ですよ。その点どうも、これは大きな取引は全部五万円で済むのだ、こういう約束をしているようなもので、それこそ大企業に傾いたような結論のような感じがする。請負契約についても同じであります。どうもその点、私まだ納得ができない。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/126
-
127・中川一郎
○中川政府委員 私も御指摘のとおりと思います。もう少し上に階段をつくったほうがよかったのではないか。特に経済が大きくなってきておりますから、上の部分がふえてきておるということも勘案すれば、そのとおりだと思いますが、今回は階段のほうはいじくらないようにという配慮を採用したということでございまして、今後この印紙税については、御指摘の点を十分配慮して、取り入れるような方向で研究を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/127
-
128・竹本孫一
○竹本委員 いまの点、主税局長どうですか。一億円超五万円打ち切りということは、どうもぼくは、その前のほうはこんなにこまかくやっておきながら、ここで打ち切って、あとは五万円だというのは少し案が乱暴で、私が一番最初にプリンシプルは何かと聞いたのもその意味なんですね。ただペン先でょっちょっと数字を入れてみたというような感じしか受けないですね。増収目的だけでやるにしても、もっとほかの考え方と結論があってしかるべきではないかと思うのだけれども、もう一度その点を主税局長に伺ってまいりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/128
-
129・大倉眞隆
○大倉政府委員 先ほど主税局長からお答え申し上げましたとおり、昨年夏の調査では、実は不動産売買、請負等の契約書につきましては、実際の作成書類の階級別を調査いたしておりませんので、確たることを申し上げられないのでございますが、全作成数とそれに対する現行法の税額は出るようにいたしてございます。それを見ますと、請負に関する契約書の平均税額が四百二十三円ということになっておりまして、これは現行法でございますから、二百円と五百円の間で、かなり五百円に近いほうというのが平均であるようでございます。といいますのは、結局、百万円から三百万円までの間で、三百万円にかなり近いほうというのが請負の平均的な契約金額であるという推定が、この調べました事業所につきましては一応できるかと思います。
それから、消費貸借でございますが、これを同様に平均いたしますと、三百四十七円になります。やはり現行法でその金額を見ますと、大体十万円から百万円の間のまん中よりちょっと上、六、七十万円という感じでこの数字は出てまいります。
それから、不動産売買でございますが、不動産売買は平均が二千四百九十八円と出ておりますので、同様に現行法で見ますと、五百万円から五千万円の間でかなり一千万円に近いところ、千万円から千五百万円ぐらいが平均だという一応の推定はできるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/129
-
130・高木文雄
○高木(文)政府委員 将来の問題としては、御指摘の点を十分検討いたさなければならぬと思います。
ただ問題は、たとえば、現在、一号文書についても一億円超のところで切っておりますし、二号の請負も一億円超で切っておりますし、三号の約束手形、為替手形も一億円超で切っております。それから二十二号の新設の受け取り書のところも、一億円超で切っております。これをさらに上の階級をつくります場合に、公平論からいえば当然そうであるべきだということになろうかと思いますが、先ほど申しましたような、文書をつくらなくなったり、印紙が張られなくなったりする心配というのは、各号別に、場合によりましたら各号の中のいろいろな契約書なら契約書の種類別に、そういう文書がつくられなくなったり、あるいはまた印紙が張られなくなったりするおそれの程度は非常に違うと思います。したがって、将来これを直します場合には、そういう点にどういう影響がありそうかということをひとつ頭に置きながらやっていかなければならないと思います。しかし、まさに御指摘のような問題はあろうかと思います。今回は若干税率のところを直させていただくということだけに焦点をいわば引っぱられ過ぎたという御批判だろうと思いますが、その点は反省してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/130
-
131・竹本孫一
○竹本委員 先ほど平均的な数字についての御説明がございましたけれども、これは普通の庶民の間の取引だから、件数その他平均をしてしまえば、請負契約にしても、不動産にしても、その辺になるということは大体想像がつきます。
しかし、問題は、最近問題を起こしているような土地の投機やら大企業のあり方から見て、そういうものには五万円打ち切りでなくて、もっと税金をかけたらいいではないか、こういう意味で、大蔵省のために弁じておるのです。社会公正の立場からいっても、当然考えるべきではないかということでございます。この点は、将来本格的に検討すると政務次官も主税局長も言っておられるんだから、ぜひ検討のときにはこの問題点を十分に取り上げてもらいたいという要望にとどめておきます。
ただ、大会社の場合には、いろいろなインチキをやるかもしれませんけれども、書類をつくらぬということはないんじゃないか、あるいは書類をつくった場合に、印紙を張らないということは大体においてないのではないかとぼくは思いますから、逃げられるために、それが心配だから引き上げることができないということも、ぼくはあまり根拠にならないだろう、こういうふうに思います。しかしながら、この辺はひとつさらに検討を願うということにして、最後にもう一つだけお伺いいたしたい。
それは直接税、間接税の問題というようなこと、ここでもうすでにいろいろ御議論があったようですが、それと付加価値税の問題についてでございます。
まず第一は、直接税の比率が七割になるとか六五%をこえるとかよくいわれることでございますけれども、いろいろの事情を主体的な条件について十分考慮することもできる、また累進をかけることもできるという意味からいえば、所得税というものは内部的にそれぞれ個々の矛盾があるとか、欠点があるとか、あるいは不公正があるとかいう問題は一応別にすれば、全体の体系からいえば、一つの非常にいい税金だ。いい税金ということばが悪いけれども、むしろ近代的な税制だ。したがって、所得税の比率がふえるということは、いま大蔵省で心配しておられるほど心配し、悩まなければならぬ問題ではない。むしろ近代的に、累進すべきものは累進をかけていく。所得税の比重が多くなるということは、日本の税制なり日本の社会がそれほど近代化するという意味においてむしる歓迎すべきことで、あわてて間接税をふやさなければならぬという結論にはにわかにならぬのではないかと思いますが、まず、その所得税と間接税との比率の関係における所得税中心主義というものについて、主税局長のお考えをあらためて伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/131
-
132・高木文雄
○高木(文)政府委員 私も必ずしも直接税、特に所得税のウェートが上がりますこと自体について非常に問題があるというようには、単純には考えないわけでございます。ただ、先ほども他の委員の御質問にお答えいたしましたが、もう一度申し上げますけれども、四十八年度の当初予算におきまして、直接税の割合が六九・六でございます。ところが、四十八年度は、私どもの見込みよりは経済が膨張いたしまして、膨張の結果として、直接税と間接税の割合が変わってまいりまして、補正予算を組みましたあとでは、直接税の割合が七一・二に上がっております。これは、やはり経済が伸びました場合に、伸びました結果ふえるいわば自然増収が、所得税、法人税のほうが多いから自然そうなるということであろうかと思います。
次に、四十九年度でございますが、四十九年度に四十八年度と税制を全く変えない場合に、そこのところがどうなるかということをかりに試算をいたしてみますと、今度はそれが七四に一ぺんに飛び上がります。今度所得税の減税をかなり大きくやらしていただく。それが一兆四千五百億である。しかし、直接税であります法人税の増税をはかる。差し引きで直接税の減は約一兆二千億前後になるわけでございますが、間接税が増税で二千億ふえるという税制改正の結果、直接税と間接税の割合が六九・九になるというのがいまの予算上の数字でございます。
そのことでおわかりいただけますように、絶対的に直接税が多くなることは困るとかなんとかいうことはないわけでございますけれども、このままでいきますと、非常に急激なスピードでそういうふうになっていく危険がある。それで、直接税はやはり所得再分配機能その他から見ましたら非常にいいと思いますけれども、しかし、残念ながらいろんな意味で、たとえば土地の場合であるとかあるいは株の譲渡の場合であるとか、税制上の制度として本来課税されるべきものが特例的に課税になっていない場合があるということをひとつ頭に置かなければなりませんし、それから、その可処分所得を消費に回した場合と、次に貯蓄に回した場合とで何らかの税制上の差があってもいいではないかということになれば、間接税にはそれなりに意味があるというふうなことを考えますならば、これは最後にどこに行き着くのがよろしいかということは、なかなか私どもにはいまの段階ではわかりませんけれども、しかし、あまりえらいスピードで直接税のウエートがどんどん上がっていくというのは、やはりどうしてもぐあいが悪いのではないか。
個人のことを申し上げて恐縮でございますが、特に私どものように現場で仕事をしてきた者の感じから申しますと、直接税というのは、理論的にはよろしいのでございましょうけれども、いろんな意味で、よきにつけあしきにつけ、つまり脱税なり節税なりの力というものがそこに加わっていくという程度が間接税の場合よりは大きいという要素も、どうしても否定できないという事実もございますので、やはりある程度のバランスが必要ではないかというのが私自身の考え方でございます。
それと、しばしば御質疑がございます付加価値税を導入したらどうかというような問題とは一応別の問題といたしましても、直接税と間接税の割合があまりどんどん直接税に寄るということについては、やはり相当問題があるのではないか。徐々に変わっていくというのであれば、直接税についての日本全体としての納税思想も長期的にはだんだんよくなっていくわけでございますから、いいほうにいいほうに向いているわけでございますから、それで追いついていけると思いますが、あまり急激にウエートが変わっていくということは、私はどうも疑問を持つわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/132
-
133・竹本孫一
○竹本委員 七対三、さらにこのままいけば所得税のほうは急激に伸びる心配があるんだ、こういう御説明だと思います。
そこで、逆にお伺いをいたしますと、七対三というものを、前は五対五であったり、六対四であったり、また逆な七対三であったりしたわけでありますから、どの辺に持っていけば一応のバランスがとれた形になるというお考えであるか。まず第一は、そのバランスをどの辺に持っていくか、あるいは目標をどの辺に置いておられるのかという点をひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/133
-
134・高木文雄
○高木(文)政府委員 将来の財政の姿が変わって
まいりまして、たとえば福祉の予算が非常に急激にふえなければならない、その場合に、現在の直接税体系だけではなかなかまかない切れないというような事態でも起こりますれば別でございますが、そういうことを別にして、ここ当分現在の姿で、私どもは何とか現在の七対三ぐらいの割合で毎年いけることができるぐらいのところが、これは私個人の考え方でございますけれども、まずまずのところではなかろうか。
しかし、この七対三を維持するためには、やはり毎年直接税については相当減税が行なわれなければならず、間接税については多少とも増税がなければ七対三にならない。いまの税制のままでは、ほうっておけばほうっておくほど毎年相当な、四十八年度から四十九年度へかけての傾向でおわかりのように、一%以上の率で直接税のウエートが上がり、間接税のウエートが下がっていくという傾向は今後とも続くことになるのではないかと思われますので、そういう傾向で行くことについては問題があるから、まあまあ現行の程度ぐらいでずっと進んでいくことが望ましいのではないか。多少直接税がふえてもよろしいけれども、あまりそれがどんどんふえるのは困るというような感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/134
-
135・竹本孫一
○竹本委員 七対三を維持するためにも、直接税のほうがどんどん伸びる——間接税のほうも自然に伸びていく面もあるでしょう。しかしながら、間接税体系としてあらためて検討し、あるいは拡充しなければならぬというような問題も出てくるだろうと思いますが、七対三なら七対三を維持するためには、間接税の体系についてはどういう構想を持っておられるか、この辺をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/135
-
136・高木文雄
○高木(文)政府委員 これはかなり前の税制調査会の御指摘でもあるのでございますが、一つ問題がありますのは、やはり酒、たばこの税金でございます。
酒、たばこというものは、総体として消費の量が経済の伸びほどは伸びない。国民生活が豊かになりましても、どんどん酒を飲むとか、どんどんたばこを吸うとかいうことはなくて、消費の形態は他に変わってまいりますから、したがって、かりに従価的な制度をとっておりましても、酒、たばこの税のウエートというのは、時間とともに落ちていくわけでございます。
その上に、酒につきましては、現在九割九分まで定額税でございまして、ごく特殊な特級酒、ウイスキーの特級等について従価になっておりますけれども、従量になっております。その関係で、酒の税のウエートというものは、かなり早いスピードで落ちていっております。
たばこにつきましても、現在は御存じのように、収支差額の納付金制度になっております関係で、それから御存じのように、たばこの値段というものは久しく固定をいたしております。一度上げましたけれども、また下げたというようなこともございまして、固定をいたしております。
そういうことで、酒、たばこに典型的に見られますように、やはり定額税というものが一つ問題であろうかと思います。今回若干の手直しはお願いいたしておりますが、ガソリン税なんかの場合も定額でございます。それがこのほうは消費の伸びはここ十年ぐらいは毎年かなりの伸びでございましたけれども、それでもしかし、やはりだんだんウエートが落ちていっております。
その次に問題になりますのは、課税対象の問題であろうかと思います。昨年、四十八年度の税制改正で物品税の改正をお願いいたしました際に、非常に熱心な御議論を先生方からいただきましたけれども、この物品税を見ておりましても、過去において課税対象としてかなりウエートが高かったもので、時代とともにいまやウエートが下がってくるものもあり、現在課税対象になっていないものでだんだん消費のふえるものもありというようようなことで、そういう課税対象品目の洗いがえの問題というのが、定額制度から定率制度への切りかえの問題と並んで問題であろうかと思います。個別物品税方式、個別消費税方式をやめて、一般消費税方式にしたらどうか、その一つの形態として付加価値税制度にしたらどうかという大問題がございますけれども、そういう大問題を別にいたしましても、いま申しました、定額から定率ないし比例への切りかえと課税対象の洗いがえということが、なお今後の課題として私どもに課せられているように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/136
-
137・竹本孫一
○竹本委員 いまの二つの問題以外に、間接税増強のための独自の、あるいは新しい構想というものはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/137
-
138・高木文雄
○高木(文)政府委員 課税対象の問題というのがいろいろ問題があるわけでございます。定額から定率への切りかえの問題というのは、いまの酒とかなんとかである程度おわかりいただけると思いますが、物品税でいえば、品物の対象を広げていくかどうかというような問題でございます。
そのほかに、現在しばしばこれまた御議論になっております執行上の理由で課税になっていないもの、その典型的なものは高級織物といったようなものでございます。これは当然従来からも何らかの形で問題にすべきであるということは理論的に言えるわけでございますけれども、どうも糸の段階から完成品の段階までいろいろな段階がございまして、どの段階の課税がよろしいかというような問題のあるものでございます。また、かって課税対象であり、今日課税対象ではございません書画骨とうのように、これまた執行との関連において非常にむずかしい問題になっているものがあるわけでございます。
こういうものを考えますならば、やはり何らかの意味において、そういう問題はありますけれども、いずれにいたしましても、少し広い範囲での課税対象の問題というものがあろうかと思います。いま私どもの頭の中にありますのは、大体そういう点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/138
-
139・竹本孫一
○竹本委員 もう一つ、今度は、一番最初に伺いましたが、流通税の体系、これは先ほど御説明のあったような税の種類、これについてさらに広げる意思があるのか、構想があるのか。
それから、もう一つは、流通税というものを全体の税体系の中でどの程度に位置づけをしようというお考えであるか、この二つの点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/139
-
140・高木文雄
○高木(文)政府委員 流通税は、先ほどの例であげましたように、本来非常にウエートが低いわけでございます。いわば補完的なものでございます。いま、こういう流通税を起こしてはどうかということで議論が出ておるものは、具体的にはまずございません。そういう意味では、流通税が今後ウエートが高まっていくということは、まずまずそうないのではないか。
ただ、たとえば今回は印紙収入の中の印紙税だけの部分についてお願いをいたしておりますが、いまあります流通税は、もう一つ、かなりウエートの高いものとしては、例の登録税がございます。これは不動産登記等の登録税でございます。こういうものについてどう考えるかというような問題もございまするし、これは流通税といえるかどうか、むしろ消費税のほうに近いかもわかりませんが、海外渡航、特に観光渡航等に関連をいたしまして、旅券税といいますか、あるいは出国税といいますか、そういう制度が諸外国にありますので、何かそういうものを考えたらどうかというような議論がかって議題になったことはございますけれども、いろいろな事情もあり、具体的なものにはなかなかなっていないわけでございます。おそらく、流通税が将来ともそう高い地位を占めるような大きな税目のものになっていく、何かそういう対象をさがしていくということにはならないのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/140
-
141・竹本孫一
○竹本委員 私は、経済がここまで発展してくると、いわゆる流通経済というものが非常にウエートを持つ。したがって、それをどうとらえるかのとらえ方についてはいろいろな問題がありますけれども、流通税というものにウエートがかかってくるのがむしろ普通のあり方ではないか。そこで、いま御答弁がありましたけれども、流通税というものを体系の上で、租税体系の中でどの程度に位置づけるか、どの程度にウエートを置くかという問題について、もう少し突っ込んだ御説明をいただきたい。
それから、もう一つは、出国税の問題でございますが、私はこれは前から、かけたらいいじゃないかという意見であった。農協さんが外国に行き過ぎておるという問題もあるんだけれども、いずれにしても、出国税というものをいままで大蔵省が取り上げない理由は何であるか、これもついでに伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/141
-
142・高木文雄
○高木(文)政府委員 流通税の位置づけにつきましては、実は冒頭にも申し上げましたが、流通税というものの性格、どこまでが流通税かということが必ずしも明確でないわけでございます。いま例として申し上げました出国税というようなものも、消費税なのか流通税なのかということははっきりいたしません。
それから、今回審議をお願いすることになっております電源開発促進税なんかの場合も、これは流通税というよりは、消費税のほうに近い性格のものではないかと思います。
それから、間々議論がございます広告費課税の問題の中で、広告主のほうに課税をするということでなしに、広告媒体に課税をするという形態をとった場合に、これは一体流通税なのか消費税なのかといえば、その中間的なようなものではないかと思います。
そのほかに、たとえばギャンブル税というようなことがよく議論されますが、そういうものは一体同税なのか、流通税、消費税あたりの同税のところに入ってくるのかというあたりは、しいて分類をすればどっちへ入るのかというあたりがややっこしいところであると思います。
最後に、御質疑の出国税の問題でございますが、これは大臣からも、前に大臣をしておられるときにも、そういうものを考えたらどうかということのサゼスチョンがあったわけでございますが、それは現在のように二百万もの人が海外に出かけるというほどの時代ではなかったせいもございますが、何といいますか、国際的にやはり観光、交流を自由にしようではないかというムードが一つありまして、国から外へ出す、出国を何か制限をするというような意図が入ってくるのであればそれは好ましくないというような空気が、どこでどういう議論だったか、私いま正確に記憶いたしておりませんが、OECDあたりで議論されたことがございます。いろいろ国際的な自由化を進めるべきだという議論の中に、人間の交流の自由化も進めるべきだという議論があったことから、そういう議論がありました。必ずしも、それを税の対象にすることがいいかどうかは、そういう意味で疑問がございますし、また軽度のものであれば、少しぐらいの税金なら観光に行く人は行ってしまうでしょうし、重い税になるとあまり制限的になるというあたりで、一つ問題があるわけでございます。
お答えにちょっとなりかねたかと思いますが、以上のような程度でお許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/142
-
143・竹本孫一
○竹本委員 私は出国税についてはOECDの考え方もよくわかりますけれども、世界じゅうが全部やめておるとかやめるというならば話がわかるけれども、われわれが行っても各地でとられておるのだから、やはり考えてみたらどうかというふうに思います。
最後に、もうこれで終わりますが、いろいろきょうは税の体系を話したわけですけれども、一つの税を増税するというような形で、一種のつまみ食い的に税をかけてみたり、あるいは上げてみたりするということでなくて、これからの福祉国家建設についての日本の租税体系はいかにあるべきかという全体的な展望の上に立った税制にこれからは取り組まなければならぬと思いますので、そういう全体系の総合的な検討ということをあらためてそれこそ見直す必要がありはしないかと思います。その辺の努力も強く要望いたしておきまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/143
-
144・安倍晋太郎
○安倍委員長 増本一彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/144
-
145・増本一彦
○増本委員 午前中政府委員の皆さんにこまかいことはお伺いしましたので、大臣に、この印紙税を通してのこれからの税のあり万の問題についてと、それから、こういう問題についての発想方法といいますか、そういう一般的な問題にできるだけ限りまして、御意見を伺いたいと思います。
私は、受け取り書に今度階級定額税方式を採用した、これは政府が便乗値上げ的な発想をしたのだというように午前中申し上げたのです。それはなぜかと申しますと、結局、今日のインフレや物価高で取引金額も非常に多くなって、そういうものが要するに受け取り書や領収書の金額に記載されるわけですね。そこへいままでの定額課税でなくて、金額に応じて段階的に税をふやしていくということになるわけですから、これはもう明らかに、そういういまのインフレーションで物価がどんどん上がっているという実態を無視した、そういう受け取り書などの文書の裏にあるそこの担税力に着目をするといいながら、実質的にはそれで増税をはかっていくのだ、そういうふうに考えますと、政府自身が印紙税の中で便乗値上げをやはりやっているというようにいわざるを得ないと考えるわけです。
こういう考え方というのは、私は、むしろインフレを押えなくちゃならない大蔵省が、逆にいまの経済の事態の中で、悪くいえばインフレに悪乗りをするという、そういうことになると思うのです。受け取り書だけじゃなくて、たとえばほかの契約書についても、いままで階級定額税方式を採用されておったのを、さらに税率を引き上げるという形で、やはり同じようなことをやっておられる。こういう政策についての発想のしかたでよいのか。これはもう私は非常に問題だというように思うのです。これは印紙税という小さいこまかい問題、あるいは税額も非常に少額かもしれない。しかし、そういうものにも、私は政府としてやはりいまどうあるべきかという原則を厳密に押し及ぼしていくということでないといかぬというように思うわけですが、その点での大臣のお考えをまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/145
-
146・福田赳夫
○福田国務大臣 印紙税の考え方は、受け取り書その他の文書に課税をするという税でございますが、その文書の裏に何がしかの経済行為がある。その経済行為に負担能力を認める、こういう考え方になっておるわけでありますので、したがって、その文書の金額の多寡、これがまたその裏にある経済行為の多寡をある程度表現するものではあるまいか。
そうしますと、やはり経済負担力に着目して課税をするものである以上、金額の多寡に応じて段階的に課税の額が違うというのは、私はすなおな考え方ではあるまいか、そういうふうに思うのです。これは決して取引高税を連想し、あるいはそれを想望いたしまして、それへの段階というような意味合いを持つものではないので、そのことはほんとうに率直に間違いでないことを申し上げたいのであります。
ちょうどこの税が四十二年以来初めての改正になる、そういういい機会であります。またその間、特にここ一年ばかりの間、物価の非常な変動がある。そういうような際でありますので、印紙税の増徴をするという考えになったわけですが、その際に、すなおに印紙税のその持つ性質というものを実現しておきたい、こういうことになったわけであります。
繰り返しますが、付加価値税とか、売り上げ税とか、さようなものとは何ら関係はない、こういうふうに御理解願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/146
-
147・増本一彦
○増本委員 大蔵省からいただいた資料を見ましても、国税収入全体の中に占める印紙税収入の割合が、四十五年以降、〇・九%ぐらいだったものが〇・八%と、〇・一%の差だけれども、しかしともかく落ちてきている。これはやはり実体の経済が名目的にしろ非常にふくらんできて、取引金額や何かも多くなってきている。ところが、印紙税の、たとえば課税文書のうち受け取り書の含む割合が七一%だというお話を、実は午前中伺ったわけです。この受け取り書に階級定額方式を採用して、やはり税収をより多く取ろう、そしてこの占める割合をもう一度元のところへ戻すなり、あるいはそれよりもさらにもう一歩、あと〇・一%ぐらい引き上げようという、こういうことが今度の改正案の中に盛り込まれているわけですね。
ですから、それはいまの実体経済を見てみますと、大臣もしょっちゅう言われるように、これはインフレの水ぶくれの実態というものがある。この水をかい出すのではなくて、それに直接向けられたものではなくて、逆にそういう取引に乗って、そしてそこから税収を確保しようとしていく、そういう意味での国庫主義的な考え方というものが非常に強いということで、私はここのところが非常に問題だというように思うわけです。
時間がありませんので、次に移りますけれども、いま大臣が、これは取引高税とか付加価値税とかいうものを直接目ざすものじゃない、こういうお話でしたけれども、しかし、印紙税というこの狭いジャンルの中ではあるけれども、そこに今度は受け取り書にも階級定額方式を採用したということになりますと、印紙税というこのジャンルの中では、一種の売り上げ税とか、取引高税と同じような方式なり考え方というもの、あるいはそういうものに共通したものが、いわば定着するわけですね。そういう面がこれははっきりあると思うのですよ。いまは印紙税というこのコップの中だけにそれがとどまっているけれども、これはそういう意味では、受け取り書とか契約書という紙に張られるものですから、この印紙税というコップは、これは紙のコップかもしれませんけれども、このコップがこわれて、外に流れ出て、実体の取引についてまでやはり同じような考え方の税制というものがとられてこないという保証は、まだまだない。きのう、そしていまいただいた大臣の御答弁からでは、そういう危惧というものが非常にあると私は思うわけです。
そこでひとつ、この取引高税とか売り上げ税、付加価値税というような実体取引にはこういうものは絶対に適用しないということを、はっきりとこの際国民に対しても明言をなさるべきだというように私は思うので、この点、いまお話がありましたけれども、もう一度確認をさせていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/147
-
148・福田赳夫
○福田国務大臣 この印紙税を階級的に定額区分をする、こういうことでございますが、これは率直に申し上げますが、いわゆる売り上げ税とか取引高税、これには思想的にも体系的にも全然関係ないのです。まあどちらかといえば、こういう物価の変動、そういうものを考えますと、間接税の中で従量税方式は、何というか、非常に硬直化しておりまして、弾力に欠ける。それを従価税的な思想に置きかえるというような考え方にも通ずるかと思うのです。そういうふうに御理解願えれば私どもの気持ちとそっくりだ、私はこういうふうに思いますが、いずれにいたしましても、この文書は、これは文書をつくることを強制するわけでも何でもないのです。任意につくられた文書、その背後にあるところの経済行為、それがまた税の負担力というものに何がしかのつながりがあろうというところに着目をしてかけておるわけでございますので、御懸念のようなことは一切考えておりませんから、これはよく御理解のほどをお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/148
-
149・増本一彦
○増本委員 この領収書や契約書という、ここでできたこのコップを絶対にこわすことはない、そういう趣旨でいまの御答弁は伺っておきたいと思います。
そこで、先日来直接税と間接税の比率の是正ということも、何がしかの意味をこの印紙税の今回の改正の中に盛り込んでおられる。それは大きなウエートを占めているという趣旨に私もとってはおりませんけれども、そういう方向の中の一歩であるということは、きのうの大臣のお話でもうかがい得るわけですけれども、しかし、直間比率の是正ということもさることながら、いま直接税の中でももっと取らなくてはならないものがやはりたくさんあるというように思うわけです。
それは、一つは、やはり大企業法人に対する課税の強化を積極的にもっともっとはかっていかなくちゃならぬという問題があると思うのです。大臣もしばしばおっしゃるように、いまの水ぶくれの、こういう状態の水を抜く、そしてインフレ利益を吸収していくという上では、この大企業法人に対する課税、これは主として直接税になりますけれども、今回法人税の四〇%への引き上げや、配当軽課についても二%ほど上げられるとかいうような若干の是正措置はありますけれども、もっとそういう面での税率の引き上げやあるいは租税特別措置についての再検討、見直しというものも、もう一歩積極的におやりになる必要があるのじゃないか。
たとえば、公正取引委員会がせんだって発表しましたけれども、あの六大商社一つ見ましても、昭和四十七年一年間で土地を六百億円もふやしたり、有価証券だけでも一千億円になっている。新日本製鉄一社とりましても、内部留保が何と、去年四十八年の上半期六カ月だけで、六百億円も積み増しになっているわけですね。これはみんな租税特別措置による引き当て金、準備金、特別償却、そういういろいろな手だてによってなされているわけですね。これが結局、手元流動資金になり、買い占めやいろんなものに使われる。そういうことが今日の物価の狂乱状態をつくっているわけですから、ここらのところも、もっともっと直接税による吸収などもはかっていく手だてというものを、むしろそちらのほうにさらに一そう努力をされる必要があるのじゃないかというように考えるのですが、この点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/149
-
150・福田赳夫
○福田国務大臣 法人課税を重課すべしという問題につきましては、これはそのとおりに考えておりまして、今国会にも法人重課の法案を御提案しておるのです。これは恒久法です。
しかしながら、今日は非常に異常な事態である。この異常の事態から異常の利益をあげた法人につきましてこれを吸収するという問題は、また別の問題として考えておるわけなんです。今回の異常事態の中で不当に超過利潤をあげた、そういう企業に対しまして何とか課税を強化する。これはプラスアルファとして強化するわけです。そういう方向につきましては、いろいろ考えてみるのですが、これは一利一短、なかなかまだ、これならば公正にして所期の目的を到達するという成案を得るに至らないのです。
そこで、各党にお願いいたしまして、何かいいお知恵はないものでありましょうかと、こういうことになってきておるわけなんです。その各党の案をいずれ各党持ち寄られまして相談が始まる、こういうふうに思いますが、何とか各党が最大公約数というかコンセンサスをつくりあげられまして、ただいまお話しのような事態に対処する、こういうことになることを私は期待しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/150
-
151・増本一彦
○増本委員 大臣もそこまでお考えでしたら、私は政府案もはっきりと超過利得税等についてはお出しになるべきだというように思うのですね。それを各党にまかせて、そこでまとまったところでというのは、いまの水ぶくれのこの状態を吸収しようという、そのためにどういう具体的な手だてをとるか、ここが私は大臣の大事な職責だというように思うのですよ。それをひとつ各党に考えてくれというのでは、ちょっと大臣がほんとうに具体的な、政治的な責任をお果たしになるということにはならないのではないか。この点は非常に遺憾なんですが、政府としても独自にお出しになるというお考えはないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/151
-
152・福田赳夫
○福田国務大臣 まだ政府といたしましても、自信を持ってこれをひとつ御審議願いますと、こういう成案ができないのです。そこでこれは、政府ばかり考えている、とこういうことじゃなくていいじゃないか、これは広く各党でお考え願うという行き方もあるじゃないか、そういうふうに考えまして、いま御協力をお願いしている、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/152
-
153・増本一彦
○増本委員 そうすると、政府としても検討されて、まとまればお出しになる、こういうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/153
-
154・福田赳夫
○福田国務大臣 政府といたしまして、これならばいかなる批判にもこたえ得るという案ができますれば、私はこれを政府提案としてお出しして御審議願うというふうに考えておりますが、それがなかなかできないのです。これはどの案を出しましても、皆さんからずいぶんああでもない、こうでもないという御議論が出るだろう、こういうことをおもんばかりまして、まあひとつ各党で持ち寄ってその成案ができないものかということを期待しておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/154
-
155・増本一彦
○増本委員 この点は、私のほうでも法案要綱を御提案していますし、そういうことでなしに、政府みずからがやはりきちっと責任をおとりになる、そのために積極的にお出しになる、そしてそれをやるというところまでいかなければならないというように思いますし、そのことを強く私は求めたいと思います。
時間が来ましたので、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/155
-
156・安倍晋太郎
○安倍委員長 田中昭二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/156
-
157・田中昭二
○田中(昭)委員 印紙税法の改正でございますが、私、先ほどからずっといろいろ当局にただしながら、また政務次官等の御意見も聞きましたが、簡単にいいまして、この印紙税の改正で、税率も上げるし、また税収もたくさん見ているという、そういう改正をなぜしなければならないのか。提案理由も読んでみまして、いろいろ質疑もいたしましたけれども、その中からどうしても改正しなければならぬという理由を見つけ出すことができないのですが、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/157
-
158・福田赳夫
○福田国務大臣 率直に申し上げますが、今回史上最大の所得税減税をやる、こういうことにいたしたわけであります。その財源をどうするかといとになりますと、公債を多額に出さなければならぬような状態のもとにおいて、その財源をさらに公債の増発に求めるということは妥当でない、こういうふうに考えまして、できる限りそれの見返りの財源を考えたいということが一つあるわけです。
そういう気持ちがあるところへ、印紙税が、いわば物価流動下においては非常に硬直した税である、しかも四十二年以来改正もまだされておらぬ、そういうようなことを考えまするときに、この印紙税について、従価税というか、そういうような思想で考えてみたらどうだろう。別に従価税にするというわけじゃございませんけれども、考え方としては、物価も変わってきた、取引の態様も変わってきた、それに対応した考え方をしてみてしかるべきじゃないか、そういうふうに考えて今回の改正をした。改正する際に、先ほど来申し上げておりますとおり、段階別、階級別の課税額という考え方を取り入れる、かようにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/158
-
159・田中昭二
○田中(昭)委員 財源を求めるためと、それから何か印紙税が硬直化したようなお話をなさいましたけれども、そういう硬直化なんということばを使って——ことばじりをとるわけではございませんけれども、国民はたいへん税制の上で重税感を感じておりますが、しかし、まだまだ取れるところから取らなければいけないという感じを持っているところはたくさんあると思うのです。いまの超過利得税でもそうでございます。
それはまた最後にお尋ねするとしまして、印紙税は間接税の部類の中に入っておる、私は間接税というふうなものは、少なければ少ないほうがいいという基本的な考え方を持っております。大臣にもう釈迦に説法でございますけれども、税金というのは収入がある人がその中の一部を納める、出す、そういうものでなければならない。しかし、この印紙税というような間接税は、収入がどういう人であろうとも、その課税対象となる文書を作成した場合に、印紙を張って税金を納めなければならないというものです。世間では間接税に対して大衆課税だということをよくいいますけれども、も、この大衆課税にも匹敵する間接税、その中でのいろいろな物品税をはじめ印紙税、これにつきまして今後政府は、間接税の大衆課税というそのことにつきましてはどのようなお考えを持っておられるのかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/159
-
160・福田赳夫
○福田国務大臣 ただいま御提案申し上げているような印紙税、これが大衆課税であるというふうな感触は私は持っておらないのです。この印紙税の対象となる文書、その背後には何がしかの経済行為があるということを想定いたしまして、その経済行為が行なわれる作用としてまた担税力というものが見出せられるであろう、こういう基本的な考え方に立脚いたしておるわけなんです。ですから、これは、米だ、みそだというようなものとはかなり違った性格のものである、こういうふうに私は考えておるわけなんです。
それから、直間比率につきまして、直接税重視だと言うが、私も直接税重視なんです。しかし、これがあまり直接税が多過ぎますと、直接税というのはその名の示すごとく、直撃的に個人のふところ、あるいは法人のふところをさがし回る、こういう性格の税です。また国民の感触からいいまして、これがあまり高いということはいかがであろうか。こういうので、適度に間接税というものを採用してしかるべきであるという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/160
-
161・田中昭二
○田中(昭)委員 一応直間比率の問題も論じたいわけでございますけれども、もう他の委員からも論じられましたから省きますが、私は、確かに補完的なものとして間接税があることは認めますけれども、基本的に直接税であります法人税とか所得税が公平に、いわゆる収入の多い人からその割合に応じて税金を納めておるかということについては、まだ疑問がある。いまの税法ではそのようになっていない。収入の多い人が大いに合法的に脱税ができるというふうな仕組みになっている。こういう段階で、間接税をふやしていくということは問題である、こう私は申し上げなければならないのです。
そこで、この印紙税でも、先ほどから論議してみますと、この増徴によりまして国民に納税の義務を負わせる、その納税の義務が一年間果たされた場合に、どのくらいの税収がどういう文書によって確保できるかというふうなことについては、たいへんあやふやであります。わからない。その推定なり積算の根拠というのは、いまいろいろな税金がございますけれども、この印紙税ぐらい当局としても実態を把握していないものはないということから考えますと、そういう段階でこれを増徴するということについては、どうしても賛成できないのです。
大臣がお見えになる前に、私、こういう議論をしてみました。昨年度の印紙収入として国の歳入に入ってきた金額が、端数を切り捨てますと約三千二百億、その中に印紙税収入というのが、これも十億以下を切り捨てますと八百億。そうしますと、差し引き二千四百億がその他の登録免許税や手数料、罰金等で入ってきた、こういう決算上の数字が一応出ておるわけなんです。
ところで、それじゃ四十八年度はどういうことになるか。これはまだ四十八年度は年度末を迎えておりませんけれども、予算にあげられました数字から見てみますと、印紙税収入が約千億、印紙収入が四千三百億。そうしますと、登録税等によって三千三百億が入ってくることになっておるようでございます。四十七年と四十八年を比較してみますと、いわゆる印紙税収入を除いた四十七年の二千四百億と四十八年の三千三百億を比較しますと、約九百億の増加であります。つまり、いままで四十七年、八年までは二割、三割とふえてきた。ところが、これに相当するものが、四十九年は一割しかふえていない。四百億か五百億しかふえない。私は四十七年、八年に九百億ふえるものが、四十八年対四十九年で四百億しかふえないということはあり得ないじゃないか、こういう議論をしたわけです。
こういうことから考えてみますと、この印紙税そのものの税収の見積もりもたいへん実態がわからない。ただ、昨年八月にその実態調査をしたということについてここに御案内がありますけれども、これも全国二百二十万カ所の源泉徴収義務者の中で九千の事業者の報告をもとにしてつくって推定した、こういうことで、緻密なことをやられる大蔵省にしてはあまりにも大ざっぱで、こういうことでは、私は国民に納税義務を負わせる税法の改正については——もしも税収の見積もりの面において間違っておるとしますと、現在審議しております四十九年度の予算にも重大な影響を及ぼす問題です。私は、四十九年においても、登録税とかそういうものがまあ四十七、四十八年にふえてきたようなことでふえるのがあたりまえだろうと思う。それをことさらに見積もりの場合に少なく見積もらなければならないということについての理由がはっきりしないということに、たいへん疑問を持っておるものでございます。
どうかそういうところを、これは予算審議にも重大な関係がございますから、ひとつおおよその感じでけっこうでございますから、大臣からはっきりしたお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/161
-
162・福田赳夫
○福田国務大臣 確かに印紙税収入、これは倍方になる。これは増税の関係を見ての話ですが、いま御指摘のやつは登録免許税、手数料、罰金等の収入についてのお話かと思いますが、この伸び方は御指摘のように非常に少ない。少ないのは、土地の取引が四十八年度ではかなりのものがあったが、経済情勢等を見ますと、土地の取引がかなり鈍化するのではあるまいか、そういうような要素があるとのことでございますが、なお詳細につきましては、税務当局のほうからお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/162
-
163・田中昭二
○田中(昭)委員 そういうことでは絶対私は納得できない。大蔵省の当局がこういう税収見積もりについて、常識的に考えて、それは登録税なり罰金なり手数料なり土地の売買が少なくなるために減るだろうというような、そんなことでは私は了解できません。国民がいわゆる同意をしてでもその文書をつくり、また流通をあらわす証拠書類をつくる場合に一律的に納税義務を負わされるこの印紙税法の改正は、たいへん時期的にも、先ほどもお話がありましたように、こういう物価安定を至上の命令とする政府が、こういう税法を五月から実行するというのはまずいのじゃないか。私はこの五月から実行するということも、まだいまから余裕がございますから、政府によくその反省を求めて、この実行の時期もほんとうは延ばすほうが政府が言っていることと合致するのではなかろうか、このように思います。
強い反対の意を表明いたしまして、質問を終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/163
-
164・安倍晋太郎
○安倍委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/164
-
165・安倍晋太郎
○安倍委員長 これより討論に入るのでありますが、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
印紙税法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/165
-
166・安倍晋太郎
○安倍委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
おはかりいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/166
-
167・安倍晋太郎
○安倍委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/167
-
168・安倍晋太郎
○安倍委員長 次回は、来たる二十二日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X00919740220/168
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。