1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月二十一日(火曜日)
午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 安倍晋太郎君
理事 浜田 幸一君 理事 松本 十郎君
理事 村山 達雄君 理事 山本 幸雄君
理事 阿部 助哉君 理事 山田 耻目君
理事 増本 一彦君
伊藤宗一郎君 大西 正男君
奥田 敬和君 金子 一平君
鴨田 宗一君 小泉純一郎君
三枝 三郎君 塩谷 一夫君
野田 毅君 萩原 幸雄君
坊 秀男君 村岡 兼造君
山下 元利君 高沢 寅男君
塚田 庄平君 広瀬 秀吉君
松浦 利尚君 村山 喜一君
荒木 宏君 広沢 直樹君
内海 清君 竹本 孫一君
出席政府委員
科学技術庁原子
力局次長 生田 豊朗君
大蔵政務次官 中川 一郎君
大蔵大臣官房審
議官 大倉 眞隆君
大蔵省主計局次
長 辻 敬一君
大蔵省主計局次
長 田中 敬君
大蔵省主税局長 高木 文雄君
通商産業政務次
官 森下 元晴君
資源エネルギー
庁公益事業部長 岸田 文武君
自治大臣官房審
議官 山下 稔君
委員外の出席者
資源エネルギー
庁公益事業部開
発課長 小野 雅文君
大蔵委員会調査
室長 末松 経正君
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本日の会議に付した案件
電源開発促進税法案(内閣提出第六七号)
電源開発促進対策特別会計法案(内閣提出第六
八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/0
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001・安倍晋太郎
○安倍委員長 これより会議を開きます。
電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の両案を一括議題とし、質疑を続行いたします。広沢直樹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/1
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002・広沢直樹
○広沢委員 まず大蔵省当局にお伺いしたいと思いますが、この電源開発促進税法案、これは言うまでもなく、いま商工委員会で審議されております発電用施設周辺地域整備法案とは表裏一体の法案になっております。したがって、内容的には条文は非常に短いわけですけれども、今後の日本のエネルギー供給の基礎をなす法案でありますから、非常に重要な法案には違いありません。そこで、先日来非常に問題になっております法案の取り扱いの問題から、まず先にお伺いしておきたいと思います。
この母体になっております発電用施設周辺地域整備法案は、七十一国会に提案されているわけであります。それも、政府から提出されたのは四十八年の四月四日ですから、ちょうど約一年前になるわけですが、なぜ当時はいまこのように表裏一体だとして出しておられる電源開発促進税法案というものを出さなかったのか。現在は表裏一体のものであると言われながら、当時はこれを出しておりません。その関係について、まずお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/2
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003・森下元晴
○森下政府委員 御指摘のように、継続をいたしまして修正をした、そしてまた財源を電源税に求めた、そのとおりでございます。その間にいわゆる特別会計法で昨年末の予算に片一方は入れながら、促進税法のほうは三月になって国会に上程した。そこらの事情は、この負担を、電力会社の負担金、それと各省にわたるそれぞれの補助金等でまかなうというのが前の法案の趣旨でございましたけれども、やはり時代の要請に応じまして、すなわち昨年秋からの石油事情の逼迫、また特に非常におくれております電源地域の開発、そういうような異常事態、また緊急事態に応じまして、財源というものは税金という形において権威あるものにしなければいけない。いわゆる義務づけるために電源税という目的税にそれを求めたわけでございます。
それと、今後の行き方といたしましては、エネルギー開発のためには国がかなり責任を持たなければいけない。政府が前面に出てエネルギー対策に取り組んでいこう。そういう趣旨のもとに、いろいろ先生御指摘のように、不審の点もあるかもわかりませんけれども、いわゆる事態の急変、また緊急度が増大してきた、そういうことで負担金を税負担という形で目的税の電源税に求めた、そういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/3
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004・広沢直樹
○広沢委員 いろいろ説明がありましたのですが、電源開発の立地というものが非常に困難な状況にある、予定どおり進まない。こういうことは昨年来のことではなく、もう数年来いろいろな事情、あとからその問題に触れてまいりますが、そういった問題があっておくれてきたわけでありまして、昨年に提出された周辺整備法は、そういう事情を勘案して、何とか財政的に地方公共団体の負担増になっておる分をカバーしなければならない、こういういきさつがあったようであります。ならば、そのときにおいても、当然もう一歩突っ込んでこういうことを考えていくという体制でなければならなかったのじゃないか。
ところが、先日来問題になっておりますのは、新税として今度新しく今国会に提出されたのですが、その手続上からいうと、いわゆる税制調査会の審議を経ていない。政府は一方的に緊急だということを先日来説明しておりますけれども、そういう理由で出してきておるわけであります。
さらに、もう一歩突っ込んで言うならば、四十八年四月四日に国会に周辺整備法として提出されておりますが、一度も審議されておりません。一年間全然審議をしないで、急にまたこういう形で出してきた。審議されていった中で、これでは十分な手当てはできないではないか、ですからもう少しこれはこうすべきではないかというのであれば、また話もわからぬではないわけでありますが、内容には全然触れていない。それを引っ込めて、また急にいま言うように抱き合わせて出してくる。それで、緊急だと称して税調は通っていない、こういうことでは、非常につじつまが合わないじゃないか、こう思うわけですね。
主税局長にお伺いするわけでありますけれども、緊急にどうしてもこの法案というものを通していかなければならないという背景には、私は別に問題があるのじゃないかというふうに、ひねくっているかもしれませんが、考えざるを得ないのです。というのは、今度各社から電気料金の大幅な値上げを申請しております。その値上げの中には、先日も主税局長お答えのように、すでに各電力会社は、この新税分はコストとして値上げの中に含めて申請しているわけですね。ですから、かりにこの新税の法案というものが通らなかった場合においては そこに一つの大きな矛盾が出てまいります。すでに政府は、きょうの新聞を見ますと、電力料金の値上げは認可するのじゃないか、この問題もあとから触れますけれども、そういう意向が出ているわけですね。したがって、緊急だと称して税調の審議にもかけないという一つの理由は、そういった背景があるのじゃないかというふうに、どうしても疑いたくなるのですね。
これは冒頭に申し上げましたように、非常に重要な法案です。法案の内容は、周辺整備法において整備計画を出して、それに対する財源としての促進税を課するというようなことですから、それ自体は非常に簡単なのかもしれません。しかし、これからのエネルギー供給の基礎となっていく基盤をつくろう、それを促進しようということでありますから、これは非常に重要な法案です。ですから、非常に単純——単純といったらおかしいのですが、そういうかっこうで出してこられること自体に問題があるのじゃないか、こう思うのですが、主税局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/4
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005・高木文雄
○高木(文)政府委員 先般委員会でのお尋ねにお答え申し上げましたように、本来ならば、このような税が新たに設けられるというにあたりましては、税制調査会に諮問してその意見を求めるのが当然でございます。私どもその手続を欠きました点につきましては、これは特例的なものである、異例なものであるということでお許し願いたいと考えているとお答えしたとおりでございます。
ただ、事実関係を申し上げさせていただきますと、昨年の十一月から十二月の段階にかけまして石油危機の問題が起こり、そしていろいろの国民生活に関連ある物資の需給ないし価格の問題が起こってまいりました。その際に、国会の委員会の討議におきましても、衆参の予算委員会等におきまして、将来のエネルギーはどういうふうに扱っていくのか、またそれに関連いたしまして、一向進行しない原子力等の新規発電施設の整備についてどのように考えるのかというようなお尋ねがございました。政府部内においても、何らかの対策を講じなければならないということが痛感されるに至ったわけでございます。
ただいま御指摘の、昨年の四月に提出されました整備法ではやはり不十分である、何とかもう一段飛躍的に対策を講ずる必要があるというふうに考えられるに至りました。急遽、関係官庁から私どものほうに、何か特別手当てをしてほしいという御要請をいただいたわけでありますが、その時点においては、私どもは従来からのスケジュールでございました所得税や法人税の問題をかかえておりましたから、まずそれを片づけるのに精一ぱいでございました。十二月二十日過ぎの段階からこの問題に取り組んだような次第でございます。
そこで、その段階で税制調査会に意見を求めるべきかどうかということを考えたわけでございますが、きわめて短時間の間にこのように案を組み立ててまいりました関係もございまして、事前に御相談をするという時間的な余裕がなく、事後に御相談をするということは、どうも従来からの税制調査会の考え方として困るということもございましたものですから、そこで、政府の責任において処理をするということの形式に至ったわけでございます。
先ほどお尋ねの中で、電気料金との関係、特にこの新税がコストになります関係で料金に織り込まれるという関係があるので、何らかの意味でそういうことを配慮して税制調査会にもかけなかったのではないかという疑問を提起されましたが、その問題は、実はまだ油の値段の問題が日程にのぼっておりませんでしたし、それからよってもって電気料金の問題もまだ具体化しておりませんでしたので、別にそういうことがあったから税制調査会におはかりすることをしなかったということではございませんので、その点はひとつそういう事実でございますから、御了解いただきたいというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/5
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006・広沢直樹
○広沢委員 それでは、もう一つ疑問の点をお伺いする前に、ちょっと確認しておきたいのですが、先ほど私が申し上げましたように、九電力がすでにこれをコストに組み込んでおりますね。各九電力がどれぐらいこれを組み込んでおるのか、数字でひとつ説明していただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/6
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007・岸田文武
○岸田政府委員 今回の九電力会社からの料金改定申請におきましては、電源開発促進税に必要な分としまして、百七十二億円が計上されております。これは一部の会社におきまして、いわば平年度化した姿を申請の中に織り込んだことによるものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/7
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008・広沢直樹
○広沢委員 もう少し具体的に、いまのは総計でございましょう、各電力会社ごとにちょっと言っていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/8
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009・岸田文武
○岸田政府委員 北海道電力で三億九千四百万円、それから東北電力で十一億二千三百万円、東京電力で四十五億二千七百万円、中部電力で十九億二千百万円、北陸電力で六億三千五百万円、関西電力で五十九億八千三百万円、中国電力で十一億円、四国電力で四億九千百万円、九州電力で九億八千四百万円、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/9
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010・広沢直樹
○広沢委員 この中で、関電は五十九億ですね。これは四十九年度の上期と下期に分けて、どういうようになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/10
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011・岸田文武
○岸田政府委員 申請には上期下期の区分はたしか入っていなかったと思います。内容を調べますと、これはいずれにせよ十二カ月分が計上されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/11
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012・広沢直樹
○広沢委員 先ほど私が冒頭に疑問だと申し上げたのは、もうこの法案が通る、この新税ができるということで、各電力会社はすでに申請の中にこれを組み込んで値上げ申請をしてきているわけですね。ところが、この法案は、商工においてもいま周辺整備法は審議中である、また当委員会において促進税法もまだ審議中ですよ。そしてきょうは電力料金の値上げを認可するというのが出ていますね。おそらくこのとおりになるのでしょう。こういうことになれば、法律ができる前に、これをもうすでに政府当局が通るのだというふうに認めている。これは審議中ですからどうなるかわからないでしょう。もしも通らなかったらどうなるのです。この電力料金値上げの関係とどういう関係になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/12
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013・岸田文武
○岸田政府委員 電力会社の申請におきましては、すでに政府側から法案の提案がなされておるということで、いわば原価計算期間内における予想される支出として、先ほど申し上げました金額をそれぞれ申請に盛り込んだわけでございます。私どもといたしましては、法案の提出をし、成立をお願いしておる立場からいたしまして、これを査定減にするということは、数字はともかくといたしまして、立場上むずかしい事情にございます。
ただし、いまお尋ねがございましたが、かりにこれが通らなかったというようなときには、これに見合う金額につきましては別途特別に区分をいたしまして、公害対策費あるいは保安工事等消費者の利益に資するような支出について責任をもって指導いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/13
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014・広沢直樹
○広沢委員 もう一ぺんそれでは確認しますが、九電力の値上げは新聞に出ているわけですが、今晩おそらく物価問題の閣僚協議会ですか、それを通過すれば認可になる。これはそうなるのですか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/14
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015・森下元晴
○森下政府委員 部長への質問の内容について、初めにお答えしたいと思います。
新しい電気の料金体系にもうすでに電源開発促進税が入っておる、そのとおりでございます。ただ、料金改定の認可が新聞等ではきょうなるように書いてございますし、新聞の中ではもうすでにきまったような数字まで書いてございます。まことに不見識なことでございまして、こういう数字がどこから出たのか、まだ審議会でも審議されておらないうちからこういうような状況になるのは、まことに遺憾だと思います。私は物特でも、この問題ではやはり十分納得のいく審議をして、そして料金体系はきめるべきである、あまり六月一日にこだわらぬほうがよろしいということを、実は発言したことがございます。
そういうことでございまして、料金問題とこの促進税の関係は、もちろん深い関係がございますけれども、一応電気の料金を算定する場合に促進税を入れること自身は、われわれがやはりこの法案を自信を持って審議していただいて通していただくべく全力をあげているわけでございますから、これが通らぬということは考えておりません。そういうことで、ただ、これを半年分にするか、一年分にするか、四カ月分にするかは、これはいろいろチェックの判断によるわけでございますけれども、これが万一通らぬ場合はどうするかと言われることにつきましては、政府といたしましては、全力をあげてこれを通すべくやっているのだという自信を持たないと法案が出せないと思いますので、よく先生の御趣旨もわかりますけれども、われわれは自信を持って出させてもらっておる。だから、コストの要因に入っておるわけでございます。ただ、いかなる部分を入れるかということについては、これは審議会とか、また料金がきまるまでに十分検討すべき事項である、そのような観点に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/15
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016・広沢直樹
○広沢委員 森下政務次官のせっかくのお答えですけれども、自信を持って通すとおっしゃいますが、それならば四十八年四月四日に国会に提出された周辺整備法は、七十一国会では継続になり、そしていま本国会、七十二国会で審議されておりますね。自信を持って政府が提出された法案については必ず通すのだといまおっしゃることは、この法条の性格から考えてみても、いままでの過程から考えてみましてもおかしい。
ですから、国会で法案を審議するということは、それは政府はそういうようにしてもらいたいという自信を持って出された、その意味はわかりますよ。しかし、いまいうような一つの例をとらえてみても、経過においては継続になる場合もあれば、あるいは審議未了になる場合もあれば、廃案になる場合もあるわけですね。政府みずからが、こういうふうにやはり考え直してみるともう少し促進したいからと、わざわざ審議をしないで、一年間法律案を置いたままで継続にしていこうというかっこうをとる場合もあるわけです。だから、ずっと検討してみなければ、その行く末はどうなるかわからない。そのために国会は法案について審議をやっているわけですから。
そうすると、その審議がまだ終わらない中でこういうふうに値上げをされる。そして先ほど確認申し上げたとおり、その中にはもう明らかに百七十二億、その分だけコストとして組み込んで申請されている。それを含めて今度認可するということは、すでに国会審議の必要はないということと同じことではありませんか。それは国会審議を無視している。いまこのように審議中であるのに、先もって政府は認めてしまっているということは、われわれがこうやって問題点を指摘して審議する必要がありません。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/16
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017・森下元晴
○森下政府委員 御指摘の趣旨は、私もよくわかります。ただ、新聞等で見ても、きょうの夕方きまるような内容でございますし、そういう前提で言われておると思いますけれども、この点はいろいろ手続等もございまして、最後まできょうきまるかどうかということは、われわれはここで申し上げることもできないし、やはり先般私が物価対策特別委員会で申し上げましたように、六月一日に合わすために事を急ぐことはよくないということで、慎重審議、これをやるべきだと思うのですよ。
しかし、一つの大きな流れ方として、その方向にいっていることは事実でございまして、この点、私は遺憾だと思います。だから、料金に占める電源税の割合ですね、これは大体四兆キロワットアワーに対して百七十二億とか、いろいろ先ほど部長から数字が出ておりまして、パーセントは少のうございますけれども、かなりの金額になります。だから、そういう問題——万一これが通らぬ場合、電気料金にすでに組み込んでどうするのだということですね。それはやはり理由の通るように電気料金で改定すべき問題もあるかもわかりません。また、同時に、その金額を何か新しい公害対策用に使わしめる、強力な行政指導によってやはりこれを吐き出させるような方向も考えなくてはいけない、こういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/17
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018・広沢直樹
○広沢委員 いま次官は、この電気料金——私、新聞を取り上げて申し上げたのですが、これはまだきまったものではない。けれども、きまったような前提であなたは話している、こういう話なんですね。そうすると、いま言った矛盾の点から考えまして、それでは、あなたは副大臣ですから、きょう電気料金はきまらないですか。大体、やはりここに出ておるように、流れとしてはすでに六月一日から値上げされるのだ。国民の負担がそれだけふえてくるわけですから、これは重大な問題なんですよ。だから、このコストの問題をどうするのか。
電気料金の値上げの幅がどれくらいがいいのかということは、今日まで何カ月もかけて問題になってきたわけですから、やはりいま言ったような一つの矛盾点を考えていくならば、いま、今晩電気料金の値上げの認可をするのだという時点に立って私が質問した。では、それはそうではないとおっしゃるのだったら、この電気料金の値上げはやはり先へ延ばすべきではありませんか。もう少し具体的に検討すべきではありませんか。その点は確認しておきます。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/18
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019・森下元晴
○森下政府委員 いろいろ手続等の問題でもうすでに作業は進んでおりますし、それぞれの機関を通じて決定の方向に進んでおることは事実でございます。ただ、まだ通産省としては、十分チェック、査定をして、それを経済企画庁と相談いたしたり、最終はやはり閣僚協議会できまる、その間に審議会にもお伺いする、こういう手順を経るわけでございまして、最終きょうきまるということを私が申し上げるわけにいきません。
ただ、先生がおっしゃるように、考え方として、法案はまだきまっておらないのにそれを組み込んできめることはけしからぬ、私もそれはそのとおりだと思うのです。といって、法案が通ってからその料金をきめなければいけないということについての、私自身も非常な悩みもあります。しかしながら、万一そういうことでいった場合に、電気料金の中でかりに電源税が万一通らない場合には吐き出すような方法を考えなくてはいけない、こういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/19
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020・阿部助哉
○阿部(助)委員 関連でお伺いしますけれども、次官のさっきの御答弁は、私はたいへん重大だと思うのです。
一つは、国会を何とお考えになっておるのか。政府が自信を持って出せば、もう国会は通過しようとしまいと政府の意のままに何をやってもいい、こういうふうに受け取れるのです。自信を持って出したのだから、法案は審議中だけれども織り込んで税金を取るという。こんなことをやったら、私は野党だけの問題じゃない、国会議員全体として、政府にあらゆる白紙委任を与えたということになるのです。政府が自信を持たないで出した法案というのはあるのですか。政府が法案さえ出せば、それは通過しようとしまいともう政府は何をやってもいい、こういうことにこれはならざるを得ない。私はことばのあげ足を取るんじゃなしに、そういう態度をおとりになるならば、国会というものはもうないにひとしい、全く飾りものだということになる。あなたは国会を無視されるのですか。これが第一点。
もう一点は、いまもお話が出ましたように、万が一通らなかった場合には、それ相応の金を吐き出させると、こうおっしゃる。政府の予算というものは、そう簡単に費目流用してはいかぬのです。そのためにあれだけの審議を経て、予算委員会、本会議で通るのであって、厚生省の予算を建設省の予算に持っていったり、建設省の予算を防衛庁の予算に持っていったり、かってにすることは許されないのです。そんないいかげんに税金を取るなんということは、われわれにとってはたいへん重大問題なんです。そんなに税金を皆さんのかってな形で取ったら、一体どうなるのです。
税制には税制の長い間の歴史があるのです。殿様の時代から、こればかり問題になってきた。住民は苛斂誅求を受けてきた。そういう中で人類の英知としてこの議会制が起き、そしてこれは租税法定主義という、今日どこの国もとられておる制度が行なわれておるのです。それを、もしこの税法が通らなかったらそれだけの分は吐き出させる、一体だれがどういう権限でそれを吐き出させるのですか。そんなことできるわけないでしょう。そんないいかげんなことで、この新しい新税をここに持ち込もうなんということは、私はこんな態度では、この法案の審議をすることは不可能だと思う。これは野党の連中だけじゃなしに、与党の先生方も、議会制民主主義を云々するならばこれは真剣に考えるべきであって、次官が全面的な謝罪をし、この訂正をするか、それでなければ、私はこの委員会を継続することはナンセンスだと思う。
私は暴言だと思うのです。おことばの話ぶりはやわらかいけれども、中に含んでおる意味は議会無視、たいへん重要なことであります。私たちの存在を否定することであります。私はとてもいまの発言はそのままでは許せない。もしあれならば、この法律が通ったあとで料金に織り込むならば織り込む、それで初めて料金を算定すべきであって、いまの事態で、法条の審議のさなかに、通るという前提に立って料金算定をするなどということは断じて許されないことであります。
委員長、これは理事会かなんか開いてもらって、それで見解をきちんとしてもらわぬと、これは国会無視なんですから、与野党の問題じゃないんです。国会議員全体の問題であります。私はそういう点で、休憩して理事会を開いてもらいたいと思います。重大発言であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/20
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021・森下元晴
○森下政府委員 誤解を招いたようですから、釈明したいと思います。
決して私は国会軽視をする意思もございませんし、そういうつもりで言ったわけでございません。ただ政府として法案を出す以上、政府は自信を持って出すわけでございまして、ただ、その審議の過程におきまして修正するとか、またいろいろ附帯決議をつける、それはやはり国会の権威に基づいて行なわれるべきであって、その決定には従わなければいけない。その気持ちは変わりございません。それを冒頭に申し上げて、私のことば足らず、またよく説明を申し上げなかった点をおわび申し上げたいと思います。
それから、後段の問題でございますけれども、費目の流用はできない——それも私そういうつもりじゃなしに、促進税を料金に織り込んで、そして万々一法案が廃案になった場合、いわゆる料金体系にすでに組み込まれて、それを徴収して、その金をどうするのだ。これはやはり料金という形で電力会社が徴収するわけでございますから、この点電力会社自体がその分について吐き出すような施策、特に公害等のそういうことに通産省としては指導するように持っていくという万々が一のことを実は申し上げたわけでございまして、この点も誤解をいただいたかもわかりませんけれども別に税金を流用したりというような気持ちは一切ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/21
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022・阿部助哉
○阿部(助)委員 私はいまの御答弁も納得ができないのです。法案が通らなかったら電力会社がそれだけ金を出せばいいじゃないか。万々が一で、おそらくないのだとおっしゃるけれども、それはわからないことです。
しかし、そういうことではなしに、民主主義というのはやはりプロセスが大事なんです。電気会社が百億なら百億の金を税金で取られようと寄付で出そうと、結論として出るのは同じことだなんということで、そんな態度で皆さん税法をお考えになっておるのですか。私は通産省の政務次官というよりも、一政治家として、国会議員として、税法を一体どのように認識しておられるか、私はあなたの認識の度合いを実は疑わざるを得ないのであります。
そういう点で、私は、この法案は自信を持って出したとこうおっしゃる、自信をもって出さない法案があったらお示し願いたいのであります。政府はみんな十分審議をしていただいて通していただきたいということで提案しているに違いないのであって、これは自信を持って出したときには、国会の審議がどうであろうと政府はかってにやれるということに裏返せばなる。いずれにせよ、あなたの御答弁は国会を無視した、否定したやり方である。全くこれは独裁的な感覚が腹の底におありだとしか受け取れない。そういう態度、法案の審議の途中であろうと法案をもう通ったものとしておやりになるという政府の態度であるならば、もう審議の必要がないのでありますから、委員会の審議を継続することが間違いだと思う。これはもう一ぺん理事会を開いて相談する機会を与えていただきたい。これは委員長に対するお願いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/22
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023・広沢直樹
○広沢委員 いま関連質問でありましたが、私もそのように思うのですが、実際に今回この税法が提案されて、それ以前にすでに各電力会社からは料金値上げの申請が通産省に出ておったわけですね。ですから、この法案が提出されるかされないころ、あるいは全然審議もしていないときに、すでにこれはできるものとして料金値上げの中に組み込んである。ですから、今回の電力料金の大幅値上げというものが、現在の狂乱物価の中で国民の負担にどういう影響を与えてくるか、という認識の問題も、これはえらい大きな違いがあるのじゃないかと私は思わざるを得ないのです。したがって、私は法案の取り扱いのあり方ということで質問申し上げましたけれども、国会で審議中にそれをすでにもう組み込んでしまう、あとから、もしもそれが通らなかった場合には技術的には返すようにすればいいだろうというようなやり方で、すべての法案の審議が行なわれるということははなはだ遺憾だし、あるいは税法の取り扱いについても、そういう形で今後の税法の取り扱いを見ていっていいものかどうかということは大きな問題だと思うので、ひとつ理事会において、十分これは協議していただきたい。委員長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/23
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024・安倍晋太郎
○安倍委員長 それでは、いまの問題について理事会を開いていろいろと協議をしたいと思いますが、質問は続けていただいて、一応昼までのあれが終わって、それから休憩の段階に入ったときにやったらどうでしょうか。(「質疑をやっても意味をなさぬじゃないか」と呼ぶ者あり)これはなかなか時間もかかると思うのです。その問題は保留してもらって、ほかのほうの質疑をやっていただいて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/24
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025・広沢直樹
○広沢委員 それでは、時間が来るまで質問いたします。昼になったら、ひとつ具体的にあとやっていただきますが、いまのそういう感覚で今度の電気料金値上げというものを考えておるということになれば、重大な問題であると私は思うのです。したがって、ちょっと予定外ですけれども、電気料金値上げについて、ここで少し質問してみたいと思います。
このような異常な物価高騰が続いている中で、国民生活が重大な危機に直面しているということは、当局もこれは十分認識されているわけでしょう。したがって、今度の大幅な値上げというものが一そうそういう危機感を増すということも、これは容易に予想できるわけです。したがって、当局は、今度の電気料金の値上げがどれほどの影響を与えるものであるかという考え方があるのか、その認識の度合いをひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/25
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026・岸田文武
○岸田政府委員 電気料金のコストに占める比率は、工業用の場合、統計によりますと、全体で約一%ちょっとでございます。また、家庭の消費支出に占める割合は、一・八%というふうに報告されております。全体としてはそれほど大きな影響を及ぼさないわけでございますが、ただ業種によりましては、かなり電力量の比率の高い業種がございます。私どもは、これらの業種につきまして便乗値上げが起こらないようにという点については、十分個別に対処してまいりたい。また、一般的に電力値上げの影響という点については、総需要抑制等の措置も講ぜられておりますが、産業の立場から十分指導を行なっていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/26
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027・広沢直樹
○広沢委員 やはりこういうふうに大きく国民負担を求める前に、企業努力というものをしていかなければならないと思うのですね。したがって、各電力会社が今度の値上げ申請に至る前、すでに申請されて認可の段階に来ているわけですから、当局もその企業努力の内容は検討されただろうと思うのですが、どういう具体的な努力をなさったのか。確かに申請の平均は六二・八九%、これは電力会社の値上げ申請の平均ですね。しかし、決定でありませんが、この予想によりますと、九社の平均が五六・八二%ということになるのですから、六・〇七%申請よりも削っておることはわかります。しかし、われわれから考えていけば、まだ疑問がこの中にはたくさんあるわけですよ。
その点について、これから逐一お伺いしてみたいと思うのですが、最初に、具体的に、企業の申請内容、企業努力がどうはかられたかということについて、当局としてはどういうふうにそれを審査されたのか、その点簡単に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/27
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028・岸田文武
○岸田政府委員 電気事業者が公共事業として電力を供給する立場から、最大限の能率を求めるべく努力をすることは当然でございます。過去の実績をいろいろ見てみましても、たとえば送電ロス率の推移あるいは発電所における熱効率の推移、これらの数字は逐年合理化されているという姿を示しております。おそらく世界各国の電力事業と比較いたしましても、第一級のところにすでに来ておるという感じがいたします。また、別の資料で、従業員一人当たりの販売電力量を見ましても、まず他の国ではほとんど例を見ない水準まで達しておるところでございます。
このように努力をしながら、なおかつ昨年の秋以来、原油の値上がりを中心とする大幅なコスト上界によりまして、各電力会社の経営が極端に悪化しておる。これを何とか切り抜けるべく、各電力会社とも特に下期以降苦心を払った、そういう状況にあると思っております。ただ、それにもかかわらず、下期におきましては相当の内部留保の取りくずし及び各社における減配などによって、ようやく切り抜けたという状況に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/28
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029・広沢直樹
○広沢委員 今度の値上げの一つの大きな柱は、何といっても燃料費の高騰であると、先日来答弁されておりますね。私もそのとおりだと思うのです。
そこで、具体的な資料がありますので、これに基づいてお伺いしますからお答えいただきたいと思うのですが、これは東京電力の場合の四十九年度の総括原価を四十七年度の実績と比較したものが出ております。これによりますと、燃料費の値上げというものは、増額が四十七年度の実績に比べて約四倍、こういうふうになっております。収入も大体二倍になっておりますけれども、東電の場合の統一燃料を発生カロリーを基準にしてC重油に換算すると、表が出ておりますが、四十九年度の推定で重油の換算消費量が二千万キロリットル、燃料費が五千三百七十二億円、それから燃料の単価がリットル当たり二十六円九十銭。これは電気事業便覧に基づく換算ですが、したがって、東電の四十九年度のC重油の単価というのは、一キロ当たり二万六千九百円、こういうことになるわけですね。
通産省は三月十六日にC重油の最高限度価格というものをきめております。一万九千四百円。したがって、東電が燃料費高騰を理由にして換算したものによりますと、政府の最高限度価格から七千五百円も高いC重油を使用する、こういうことを前提として総括原価というものを組み立てておる、こういうことになるわけですね。値が変動していくから、先取りして将来もこれぐらい上がるだろうということを組み込んでいるのかもしれませんけれども、やはり原価計算というのは現時点を基礎にして行なうべきであるという原則から考えていくならば、明らかにそういうことを勘案してやっていくということはやはり先取りじゃないか、こういった面の具体的な検討というものはどういうふうになされているのか、そういった点をひとつ具体的にお答えいただきたいわけですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/29
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030・岸田文武
○岸田政府委員 一般的な油の値上がり状況につきましては、たとえば電力会社で重点的に使っておりますミナスの油を例にとってみますと、ミナス原油の一バーレル当たりFOBの価格は、四十八年一月の段階で三ドル三十セントでございましたが、昨年の秋以降急激に上がってまいりまして、四十九年一月で十ドル八十、四月一日から十一ドル七十というような水準でございます。この間三倍ないし四倍の値上がりをいたしております。これと併用いたします中近東等の油も、やはりこの間約四倍の値上がりをいたしておるという状況でございます。
具体的に東京電力の例についてお話がございましたが、私どもは、査定にあたりましては、御指摘のような点を特に気をつけて査定に当たったところでございます。いわばこれからの一律間における油の見通しにおきまして、一体為替レートはどうなるであろうか、また価格自体がどう変動するであろうか、政府の指導価格に変動があるかどうか、これを電力会社なりに一応の想定を立てて申請が行なわれた。ただ、私どもとしては私どもなりの見方がございます。したがいまして、私どもの想定いたします需給計画あるいは使用目標S分、そういったものを頭に置きながら、いかに合理的に燃料を買うか、こういった要素も織り込んで査定を行なった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/30
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031・広沢直樹
○広沢委員 いま資料の関係で東電を取り上げたのですけれども、政府が三月十六日に決定した重油の最高限度価格が一万九千四百円。そうすると、いまの東電の場合をとりますと、政府はこの限度額を今度は上げるのだということをすでに見越して、それまで組み込んでいるみたいな計算をしていることになりますね。やはり原価計算は、現時点を基礎とするということを原則にしていかなきゃならないと思うのですよ。
確かに将来のことを考えていけば、先ほどお話があったように、原油の価格が非常に流動的である、値上がりぎみである、そういう心配はあることは事実だろうと思うのですが、しかし、そういうことまで考えて先取りして上げていく、そういう考え方が、先ほども問題にしました、この新税をすでにもうコストに含めて申請してくる、こういうような非常に矛盾した値上げの基礎の計算のしかたになってきているのではないかと思わざるを得ないのですね。やはり政府が責任を持って、重油の限度額をこれだときめたら、そのきめた限度において燃料費の計算は計算をしてくるというふうにやっていかなければならないと思うのですよ。そうじゃないのですか。これじゃ何のために限度額をいまきめているのか、意味がなくなってくるじゃありませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/31
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032・岸田文武
○岸田政府委員 お話の中にございました政府のC重油の指導価格一万九千四百円、この数字は、当時の発表にもございますように、S分一・六%の油の標準価格として定められたものでございます。重油は硫黄含有量が低ければ低いほどいま貴重なものでございまして、これに対してかなりの幅で高くなってきておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、一体どういう油を使うのか、それが必要であるかどうかということを吟味した上で、査定を行なうということにしておるわけでございます。基本的な考え方といたしましては、なるべく新しい現実の動きの価格、これを参考にすべきである、こういう御意見は、私どもとしてもごもっともと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/32
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033・広沢直樹
○広沢委員 それから、原油の購入費の為替レートを、申請によれば一ドル三百円、こうして計上してきていますね。これも確定じゃありませんから、新聞を見てお伺いするわけですけれども、政府は今度は輸入原油の為替レートを二百八十円、こういうふうに査定を変えたようですけれども、そうなっているかどうかということが一点と、そうなった場合においては、大体、原油代金、燃料代はそういう換算できておりますから、何%ぐらい安く申請の中で考えられるのか、申請との違いです。その点はどう考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/33
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034・岸田文武
○岸田政府委員 まだ認可になりますまでは、具体的に幾らということを公式には申し上げられませんが、私どもは、やはり新しい最近のレートというものが査定の中で一番大きなウエートを持つというような基本的な考え方でございます。これは一つの試算でございますから、もう少し詰めてみなければわかりませんが、為替レートが十円動きますと、燃料費が大体二百五、六十億円ぐらい違ってくるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/34
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035・広沢直樹
○広沢委員 ただ、私がお伺いしたのは、九社の電力料金値上げの平均が六二・八九%であったのが、一応政府ではこれを押えて五六・八二、いわゆる六・〇七%平均で下げるということがすでに出ておるわけですね。ですから、そうなりますと、大体それは何を申請の中で検討して下げたのかということをお伺いしたいのです。だから、いまの為替レート三百円を二百八十円ないしは七十円にしたとしても、現実はそれで安定しているわけですから、そういう現実に合わしたとしても、大体六、七%はこの分でも申請よりも原油代金は下がるだろうとわれわれは考えているわけです。そのほかにも、まだまだ減価償却の問題だとかあるいは引き当て金の問題だとか、いろいろ検討するべき事項はたくさんあるわけですよ。考え方によっては、それによってまだまだ検討される余地があるのではないか、こう思います。
それで、いま私がお伺いしているのは、その原油の為替レートを変えるということが出ておるわけですから、これはわれわれがいままで主張し要求してきたとおりなんです、現実に合わしなさい、それに合わそうということじゃ、大体意向が出ています。ですから、それはけっこうですが、それによってどれだけいまの値上げ幅が変わってくるのか、われわれは大体七、八%変わるのじゃないかと思っているのですが、その点いかがか、お伺いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/35
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036・岸田文武
○岸田政府委員 先ほどかりに十円為替レートが違うと、燃料費に二百五、六十億円影響を及ぼすということを申し上げました。したがいまして、いまの九社合計の現行ベースによります収入予想が二兆五千億円でございますから、大変ラフな試算でございますが、一%ぐらい影響を及ぼすということに比率上はなろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/36
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037・広沢直樹
○広沢委員 それで、いまのこの申請と当局がいまから認めようとしているその内容の違いというものは、どの点をどういうふうに検討されたのか、簡単に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/37
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038・岸田文武
○岸田政府委員 具体的内容について詳細にお答えするのは御遠慮さしていただきますが、基本的な考え方について若干申し述べさしていただきたいと思います。
私どもとしましては、一番大きな要因である燃料費につきまして、先ほど来いろいろ御指摘をちょうだいいたしましたような問題、まさにその面の問題につきましていろいろ削減方について検討をしてまいったわけでございます。
また、次の要素でございます人件費につきましては、実は先般中労委の裁定がございまして、四十九年度における電気事業の基準賃金について一つの答えが出てきております。これを一方で頭に置きながら、他方で人員の増加については極力合理化を織り込むというような点に配慮をしてまいっております。
さらに、第三の要素でございます資本費の関係では、電気事業の遂行のために必要な真実かつ有効な資産の範囲はどうかというような点につきまして、それぞれの電力会社の事情に立ち入って検討を行ない、また原価償却費の内容等も検討いたし、またその他の一般管理費関係、これにつきましては特に合理化を強く要請するという立場で内容の吟味をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/38
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039・広沢直樹
○広沢委員 次に、今回の値上げにあたっては、料金体系を一部変更して電灯料金と電力料金の格差を縮めたり、あるいは逓増料金制度やあるいは家庭用電灯料金においてナショナルミニマムを導入する、こういったことで、高福祉、省エネルギー型、こういうふうにいわれているのです。その中で家庭用電灯料金を三段階にしておりますけれども、その第一段階の百キロワットアワーまでをナショナルミニマムと称してやっているわけですが、この点については、公聴会を開いた場合においても、いろいろな機会においても、これは何を基準にしてそういうことになったのかということには非常に異論がございまして、ナショナルミニマムをきめるのであれば、現実の問題を十分に参酌して考えていかなければならないと思うのですが、この点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/39
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040・岸田文武
○岸田政府委員 いまお話のございましたナショナルミニマムといいますのは、今回の電気料金制度の改正で一つの焦点でございます。国民として必要な最小限度の電灯使用量につきましては、平均コストよりも安い料金を適用するという考え方でございます。この安い料金を適用する限度をどこに線を引くかということにつきましては、審議会でもいろいろ議論がございました。百キロワットアワーという線を引きました背景は、四人家族、二DKの家庭を頭に置きまして、そこにいろいろの家庭電化器具が置いてある。これらの家庭電化器具のうち全国の普及度が八〇%以上のもの、これらのものの使用電力量を積み上げてまいりますと、約百キロワットアワーになるということを一つの目安として生み出されたものでございます。
参考までに、百キロワットアワー以下で済ましておられる需要家、これが需要家の数で大体三五%程度。また電力量で申しますと、これはいまの第一段料金は、たとえ百五十キロワットアワー使う人でも、最初の百キロワットアワーは第一段料金がかかるわけでございますから、もっと範囲が広くなってまいります。大体想定では、六〇%程度が第一段料金の適用を受けるということが前提にございました。以上が百キロワットアワーがきまるまでの経緯でございます。
実はその後公聴会におきまして、率直に申しまして、賛成の側の方あるいは反対の側の方、いずれの立場からも、この百キロワットアワーの限度をもう少し上げたらよかろうという御意見がたくさん出ておりました。大臣も先般国会におきまして、これを引き上げるという方向で検討しようという旨をお話しになっておられます。以上のような考え方に基づきまして、私どもは一つの目安として、百二十キロワットアワーということにしたらどうなるかということでいろいろの作業もいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/40
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041・広沢直樹
○広沢委員 このナショナルミニマムは、やはり一つの文化水準を示していると私は思います。そういうことで、家庭用電灯料の平均使用量はだんだんに、九電力で見ますと百キロワットアワーではなくて、実際に計算してみますと百三十八キロワットアワー、現実の問題はこういうことにもなっているわけです。ですから、福祉ということを頭に置きながらこの電力料金の値上げを検討しているということであるならば、もう少し現実に即したあり方というものに変えていかなくては、中途半ぱのやり方をやっていくということはどうしても納得できないと思うのです。したがって、これについては当局としては検討する余地があるのかどうか。これは申請ではそうなっているわけですけれども、現実はどうなんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/41
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042・岸田文武
○岸田政府委員 申請では百キロワットアワーというものを第一段料金の適用対象として考えるわけです。なお、先ほど申しましたように、それについてどう扱うかという点は、私ども検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/42
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043・広沢直樹
○広沢委員 どちらにしましても、この内容を一つ一つやっておると相当時間がかかりますが、やはり先ほどの基本的な問題を含めて、今回の電力料金値上げの問題についてはまだ多くの疑問点がありますし、もっともっと検討していけば、現実に即して考えていくならば、また企業努力をより一そう払っていくならば、申請よりももっともっと現実に近いものに変えていくことができるのじゃないかと思うのですね。
この申請の中を一つ見てみましても、先ほどの為替レートの問題にしても、それからいわゆる新税をコストに組み込んできた問題にしても、こういったように、申請内容というものは、検討してみると非常にずさんなんです。ですから、一体、現在の狂乱物価、国民の生活体系というものを、確かに電力も燃料費が上がってたいへんなのかもしれませんが、どういうふうに考えているのかと言いたくなるわけですね。ですから、これはもう一ぺん具体的な再検討をすべきじゃないかというふうに強く申し上げておきたいと思うのです。
そこで、先ほどの話から値上げの問題のほうに入ってしまいましたけれども、またもとへ戻しまして、これは大蔵省にお伺いしたいのです。
繰り返すようでありますけれども、今回の、どうしても緊急として税調を通さずにやってほしいという中には、やはりこのコストが組み込まれている。ですから、先ほど政務次官のお答えのように、これが通らなければ何らかの形で返すという、非常に矛盾したやり方というものがここに生まれてくる。何としてもこれはやってもらわなければならない。ですから、いま引っ込めて、通常のというか、税調で審議をしてそれから国会に上程してくるという手続は何としてもとれない。時間的余裕がない、緊急である、こういうような言い方をとっておるようなんですが、その点はどうあっても納得ができないわけですよ。
電力会社については、財政的にも、あるいは金融的にも、あるいは税制的にも、それぞれの優遇措置なりいろんな措置を加えてあります。ですから、単に、いまの周辺整備をするからそれだけの新しい財源を見出すために新税、目的税をつくればいいんだということではなくて、やはりこれは値上げにも関係してきていることでありますし、財政的にも金融的にも税制的にも優遇措置を与えていることは、主税局長も御存じのとおりです。税制審議のときにも、今回の法人税引き上げで、基礎の法人税率が上がった場合に配当軽課においても当然それにつれて三〇%に上げるべきを、一挙にそれだけ上げることは配当性向の高い、特に公益事業をやっている電力会社等に相当な影響を与えるという答弁もなさっているわけです。したがって、それよりもう一ランク低い二八%の配当軽課税率にとどめたということもあるわけですね。そういうような優遇措置もとられているわけですから、この問題とはやはり切り離して考えていくわけにはいかぬ、総体的にやはり検討してみる必要があるんじゃないでしょうかね。
もう一点、総体的に検討する必要があるのじゃないかという点で申し上げておきたいのは、電気税の問題もあるわけです。この法案が周辺整備のためという目的に限定されている。これはわかりますけれども、電力会社を通じて新たに税として国民に負担を求めるわけでしょう。それを財源として地方公共団体に交付される、こういうことになっておりますね。ですから、従来から問題として取り上げられております電気税の問題につきましても、これは家庭用の電気税を撤廃しろという要求も出ているわけですし、そしてまた、少なくとも省資源の立場から考えましても、今日までほとんど非課税になってきました電力多消費型産業ですか、いわゆる鉄鋼だとか石油化学だとかアルミだとか、そういったものの優遇措置を改める必要があるのじゃないか、こういったこともやはり総体的に考えていかなければいけない。確かに電気税は地方公共団体の自主財源です。しかし、今回の値上げによっても相当電気税が増収になるわけでありますから、そういう点も含めて考えていかなければいけない。
そういうことを考えていきますと、やはりこれは、税調等でも広範に地方税も含めて慎重に検討されるわけでありますから、そこで十分検討して、そして出してくる。新税の創設をするならばそうすべきであるというふうに考えるわけでありますが、その点をもう一考するお考はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/43
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044・高木文雄
○高木(文)政府委員 二段に分けてお答えをいたしたいと思いますが、昨年の十二月の段階では政府がこの税の創設をきめます前に税制調査会におはかりをすべきではなかったかという点が第一段階でございます。この点につきましては、原則としてこのような税を新設いたしますというときには、おはかりをするのが当然のことでございます。なぜおはかりしなかったかといいますと、それは先般来御説明申し上げておりますように、事態が急にこういうことをしようではないかということがあり、しかも、この税は特別会計をつくってそこの歳入に入れるということになります。そういう構想でございますので、その特別会計は四十九年度予算全体の一環としてまた政府部内で手続を進めなければならぬということもございました。その間において、税制調査会に審議を求めますだけの時間的余裕がなかったという一点でございます。それ以外何ら理由はございません。もしそれをどうしても手続を経ることが非常に重要であるからということになりますれば、四十九年度にこのような制度を設けますことは見送らざるを得ないかもしれないというようなところに追い込まれましたものですから、どちらをとるべきかということで、事態の緊急性ということを考慮いたしまして、非常に異例、特例でございますが、手続を略したということでございます。
それから、第二段階におきまして、それはそれなりにあるとしても、その後の時点においてでも、何らかの点において意見を求むべきかどうかという問題がございます。この春の段階では、必ずしも電気料金の改定という問題は確定的な日程にはのぼっていなかったわけでございまして、その意味で、この電源開発促進税部分が料金にどういうふうにはね返っていくのかということは具体的にきまっておりませんでしたけれども、それにしても、税制調査会に御相談をするという手続をとるべきであったかもしれないというふうに考えます。
しかし、従来の税制調査会の御意見では、政府がきめたものを相談に持ってくるのはやめてほしいというか、ごめんであるというか、そういうことがございました。われわれに相談をするのなら白紙で相談をしなさいというのが税制調査会の従来からの大体のお考えでございますので、政府の方針をきめましたあとで、税制調査会にこのような案はいかがなものでございましょうかということをおはかりすることについては、御遠慮したといいますか、ちゅうちょしたということでございます。このようなことを今後いたしませんように、先例といたしませんように、ひとつ努力しなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/44
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045・広沢直樹
○広沢委員 時間的余裕がないとしきりにおっしゃいますけれども、御存じのように、この法律が施行されるのは十月の一日ですね。ですから、時間的余裕がないということは理由にならないと思います。白紙で税調へはかるということがたてまえなのに、こちらで緊急に考えたからはかれないのだというような言い分ですが、これも非常におかしな議論だろうと思うのですね。どちらにしても、こういうことはもう先例にもしないし、十分これから正常なやり方をやっていくということですから、了解とまではいきませんけれども、十分これは今後はこういうことのないように考えていっていただきたい。やはり所要の手続というものはきちっと踏んで、特に新しい税制をつくるという場合においては問題が非常に多いわけでありますから、いま申し上げたように、単に周辺整備のための財源をつくればいいのだというような単純な問題じゃなくて、あらゆる面に影響をしてくるという問題でありますから、当然所要の機関には十分かけて審議をしていく、そういう姿勢でなければならないと思います。
それでは、少し法案の内容に入ってまいりますけれども、母体になっております発電用施設周辺地域整備法案においては、交付金の交付方法、それから使途、こういうことをきめることになっていますね。これは具体的にはこういうようにするということはこの法律に載っておりません。したがって、政令で定められることになろうと思うのですが、発電所所在市町村への交付金の配分のめどというものはどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/45
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046・岸田文武
○岸田政府委員 具体的内容は、発電用施設周辺地域整備法第七条の政令によって定められることになっておりますが、私ども、その内容として大体次のようなことを考えております。施設所在市町村の交付金額は、そこに設けられます施設の出力に当該施設の種類ごとに既定の単価をかけまして、それによってきめられる額をものさしにしたい、ただし、それにつきましては別の頭打ちを用意する、こういった考え方で準備をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/46
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047・広沢直樹
○広沢委員 発電所の所在市町村への交付金のめどというのはそういうことなんでしょうが、しかし、それ以外の周辺市町村への配分の方法というのはどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/47
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048・岸田文武
○岸田政府委員 周辺の市町村につきましては、施設の所在市町村にかかわる交付金の額を限度といたしまして主務大臣がきめるということでございます。個々にどの市町村に幾らというようなことは、整備計画をつくります段階でそれぞれの地域の実情を勘案しながら決定をしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/48
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049・広沢直樹
○広沢委員 この法律を読んでいると非常にそういったところがあいまいなんですが、たとえば第四条の整備計画によれば、「周辺地域に隣接する市町村の区域に係る整備計画を含めて一の整備計画を作成」していく、こういうふうになっていますね。ですから、どこまでを周辺地域にするのか、こういう問題になりますと、この点は非常に明確じゃない。ところが、これが一番この法律では問題になるところじゃないかと思うのです。整備計画を立てる、どこまでが周辺地域なのか、これだけの法律をお出しになるのであれば、当然そういった基本的な考えの上に組み立ったものでなければ、大まかにきめておいてあとから何とか——この法律を読むと、周辺地域整備法については政令にゆだねられる面が非常に多いわけですよ。ですから、そのあとがどうなるかということは、われわれによくわからない。その点は明確に説明していただかぬと、それはあとからきめるのですということだけでは納得できないのですね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/49
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050・岸田文武
○岸田政府委員 まず範囲の問題につきましては、たてまえといたしまして、発電所の所在する市町村とそれに直接隣接する市町村の範囲というのが基本的なルールでございます。ただし、地形の状況等によりまして、その一般的ルールによりますとあまりにもアンバランスが生ずるというときに、例外的に隣接の隣接も加え得るという形になっておるわけてございます。私どもは立地の予定されておる地点につきまして、それぞれの実情を別途調査をいたしております。
また、交付基準につきましては、あまりにも抽象的であるというお話でございましたが、私ども自体も目下検討中でございますが、たとえば出力当たりの単価といたしまして、水力で百二十円、火力について二百円ないし三百円、原子力について三百円、これらを一キロワットアワー当たり一年の支出限度とする、こういったことをいま検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/50
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051・広沢直樹
○広沢委員 それは配分金のめどはそうなんですが、私がお伺いしているのは周辺地域の問題、それから隣接していなくても公害などで影響を受ける市町村は対象になるのかどうか。そういったことは具体的にこの法律ではわからないわけですが、どういうふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/51
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052・岸田文武
○岸田政府委員 先ほど隣接の隣接まで加えるというのは、ごく例外的な場合に用意をするのだということを申し上げました。実は先ほど申し上げましたような調査をいろいろ進めております過程で具体的な地点を見てみますと、たまたま接していないというだけで、発電所に非常に近い隣接の隣接市町村というのが具体的事例として二、三出てまいりました。これらはやはり拾ったほうが全体のバランスがいいであろうということで、線の引き方を現実にきめますときには、そういう配慮を加えてまいりたいと思っております。
いまのお話の中で公害の問題が出ましたが、私どもは、公害の問題はやはり環境基準、排出基準その他公害の一般的ルールに従って、公害を出さないということで処理をするというのが基本的なたてまえであろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/52
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053・広沢直樹
○広沢委員 それから、その交付金の使途についてでございますけれども、道路とか保育所などのうち、国の補助金がつかず、市町村が単独で進める事業を対象とするのか、それとも補助事業の地元負担分に充当することも認めるのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/53
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054・岸田文武
○岸田政府委員 私どもは、市町村の単独の事業を対象としてこの交付金を使いたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/54
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055・広沢直樹
○広沢委員 その場合に、第九条に、国は「財政上及び金融上の援助を与えるものとする。」とありますが、これは具体的にはどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/55
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056・小野雅文
○小野説明員 一応第九条で予定しております国の援助と申しますのは、一つは交付金の対象になりません事業、たとえば、道路や何かにつきましても、国の今回の交付金の対象として整備することもできますし、それから国の一般予算のほうからの補助金を使って道路を整備することもできるわけでございます。両方の金を使うということはできませんけれども、事業を分けた場合には、そういうようなことで国の一般の予算のほうからの補助金ももらえる、あるいは地方債の発行等についても国は助成をするといったよなことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/56
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057・広沢直樹
○広沢委員 それから整備計画の中で、指定された地点が属する市町村の「道路、港湾、漁港、都市公園、水道その他政令で定める公共用の施設」ということになっているのですが、具体的にはこれはどういうことをさすのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/57
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058・小野雅文
○小野説明員 具体的には現在各省と折衝中でございますので確定はしておりませんけれども、一応考えられておりますのは、たとえば、公民館ですとか病院ですとか学校ですとか、あるいは農道みたいなものですとか、それから養殖漁業の施設ですとか、そういったようなものを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/58
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059・広沢直樹
○広沢委員 いずれにしましても、原子力発電あるいは火力、水力、こういった施設の立地を積極的に進めようということでありますけれども、どれだけの効果があがってくるのか。やはり法律をつくる以上は効果を想定していかなければなりませんし、あとからお伺いしますけれども、具体的な今後の電力需給だとか電源開発計画とかいうものがあろうと思うのです。それに具体的な効果というものを合わしてこなければどうにもなりません。その点はどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/59
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060・小野雅文
○小野説明員 いまの効果の点を数字で御説明するのはちょっとむずかしいわけでございますけれども、現在発電所の立地をかかえております市町村等からは、今回の措置につきまして非常な期待が寄せられておりますので、私どもとしては、公害、安全等の解決と相まって今回の措置を講ずれば、電源立地はかなり進むのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/60
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061・広沢直樹
○広沢委員 それは効果がなければやってもしようがありませんからそのつもりになっているのでしょうが、たとえばその整備計画が隣接市町村も含めて広範囲にできたとしますね。そうした場合に、あるいは道路をつくる、あるいは保育所をつくる、あるいは公民館を建てる、こういった問題が具体的に出てまいりますと、一つだけというわけにいかない。こっちの町村につくれば、こっちの町村にも要るのだということになってまいりまして、財源的に非常に多く要る結果が出てくるんじゃないかと思うのですよ。ですから、そういうふうになった場合に、これだけのいまの計画で十分対応できるのかどうか。
先ほどあなたがおっしゃっておられましたように、これは国の補助がつかない、市町村の単独事業に交付するということになっていますね。ところが、そういう広域になってきた場合においては非常に需要が、こちらにこう建てるのだったらこうしてくれというのが多いのです。たいがい補償問題が起こってきた場合においては、向こうに橋をつけたらこっちにもつけてくれという問題がありますし、こちらに公民館を建てたら、こちらの地域にも公民館が要るのだと。そうでなくても非常に需要が多いわけですから、いわんや、こういった問題が出てきた場合に財源的にだいじょうぶなのかどうかということも一つ問題になってくるわけですね。そういったことを考えていくと、はたしてどれだけの効果があるかということになってこようかと思うのです。
それから、もう一つ大きな問題点は、地元がいま立地難になっている問題というのが、一つは経済的なメリットがないということ、これもあるでしょうけれども、それだけじゃありませんね。一番問題になっているのは、やはり健康上、人命の問題とそれから公害、いわゆる環境保全の問題、これが一番のネックになっているわけでございましょう。ですから、いまの経済的メリットよりも、環境保全、いわゆる公害がなくなっていくということが具体的にそこにはかられていかなければ、公民館を建てる、あるいは保育所ができる、あるいは道路がりっぱなのができる、公園がそこにできるということだけでそれがはかられるということは、どうも考えられないわけなんですね。その点いかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/61
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062・岸田文武
○岸田政府委員 ただいま小野課長の御答弁の中で、地元からも非常に期待が強いということを申し上げました。私どものところにもいろいろな構想なり計画が持ち込まれております。実は私どもも、発電所ができましてその周辺の地域を整備する何かモデルのようなものはないかということでいろいろの研究会をつくりまして、発電所を中心とした地帯づくり等の構想について勉強を進めておるところでございまして、後段お話がございましたが、公害防止の問題、私どもも、これから電気事業が円満に発展をしていくということのためには何よりも公害防止について万全の体制をとる、こういった意味での努力を真剣に続けていくことが一番基本的に大事な課題であろうと思っております。
それで、従来から、使用いたします燃料の硫黄分を減らしていくとかあるいは排煙脱硫装置をつけていく、また温排水対策を進める。これらにつきましていろいろの投資もし、また努力も払ってまいりました。これと並行いたしまして、新しい技術開発についても電力会社それぞれ努力をしておるところでございます。私どもも、こういった努力についてできるだけの支援を払ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/62
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063・広沢直樹
○広沢委員 それでは、具体的に今後の電力需給状況、これは予定になるでしょうが、それと電源開発の計画、これを一ぺんお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/63
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064・岸田文武
○岸田政府委員 従来の実績を見ますと、大体電力の需要は毎年約一割程度ずつ伸びてまいりました。今後の見通しは、従来よりはやはり若干低下いたしますが、おそらくは家庭用需要も相当程度伸びるでございましょうし、また産業界においても国民生活を維持するに必要な産業活動、こういった面でやはりかなりの程度の伸びが見込まれるわけでございます。これらの伸びを頭に置きながら、毎年電源開発のための長期計画を組んでおりまして、大体毎年千三百万キロワットから千六、七百万キロワットぐらいの長期計画を組み、それを何とか円滑に達成をしたいという努力を続けております。
ただ、現実の姿としましては、過般来、お話の中にも出ておりましたように、この計画は必ずしも達成状況よろしくないわけでございます。特にここ一、二年の達成率の低下が、私どもとしては非常に大きな問題であろうと思っております。
将来の見通しといたしまして、私どもは一つのものさしとして、供給予備率がどのくらいになるかということを使っております。通常の場合ですと、事故であるとかあるいは予期しない事態に備えまして、大体供給予備率は八%ないし一〇%が必要である、こう考えておるわけでございますが、現在までに電源開発調整審議会で決定されている電源のみでまかなっていったらどうなるだろうかということを別途試算いたしますと、このままでまいりますと、五十二年で〇・七%程度に下がってしまう、こういう試算もあるわけでございます。特にまた、地域別にもいろいろ事情が違っておりまして、中地域における需給の逼迫がかなりきつい、こういう感想を持っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/64
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065・広沢直樹
○広沢委員 電力需給状況はわかりましたけれども、電源開発の計画はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/65
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066・小野雅文
○小野説明員 電源開発の計画につきましては、正式には経済企画庁が所管しております電源開発調整審議会で、各年度ごとに電源開発基本計画というのをつくることになっております。今年度も一応六月に電調審が開かれることになっておりますので、その際に正式には決定されることになろうかと思います。
現在私どもが持っておりますのは、そういう意味で政府が正式に決定したものではございませんで、九電力会社のほうが希望といったような感じで出してきた計画でございますが、それによりますと、今年度は二千二百万キロワットくらいの新たな電源に着手したいというふうな希望をいってきております。ただ、私どもは、どうもそれはちょっと実際には過大ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/66
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067・広沢直樹
○広沢委員 そこで、これからの時代の要請で、現在、石油危機という問題から原子力発電、世界的な趨勢もそういったことにウエートが置かれているわけですが、その方向について、将来の具体的な——いただいている資料によりますと、昭和六十年までに、現在の供給の中に占める原子力の割合の三%程度が二五%と、供給力の約四分の一は原子力でまかなうのだという計画を立ているようでありますが、その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/67
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068・生田豊朗
○生田政府委員 原子力発電の長期計画といたしましては、一昨年、昭和四十七年に、原子力委員会が長期計画をつくりまして、その数字がただいま先生がお示しになりました数字であろうかと思います。すなわち昭和五十五年度に三千二百万キロワット、昭和六十年度に六千万キロワットが目標になっておりまして、昭和六十年度の六千万キロワットの場合、全体の二五%が原子力発電ということでございます。ただ、この長期計画につきましては、その前提となりました諸条件が、最近の経済情勢の変化によって変わってきておりますので、今後改定する予定でございますが、その前提といたしまして、原子力委員会の委員の稲葉先生が、稲葉私案という形で私案を発表しておられます。
それによりますと、昭和五十五年度は、これは実は三つの案が出ておりますので、案によって異なりますが、三千万キロワット前後、昭和六十年度は六千万キロワット程度でございますが、全体として電力の需要量を前の長期計画よりも低く押えておられますので、比率は昭和六十年度で約三分の一に上がるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/68
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069・広沢直樹
○広沢委員 その稲葉私案というのは、もちろんこれは原子力委員長、科学技術庁長官が要請したし、科学技術庁や通産省やそれぞれの各省庁で練られた案ですから、一応政府の今後の政策の方向と受け取ってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/69
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070・生田豊朗
○生田政府委員 ただいまも申し上げましたように、経済情勢が変わっておりますので、この原子力開発利用の長期計画を最終的にきめますには、経済審議会の長期経済計画でございますとか、エネルギー調査会のエネルギー需給の見通しでございますとか、そういうものがそろいませんと実はできないわけでございます。若干の時間がかかると思われますので、とりあえず、ある程度の腰だめでございますけれども、稲葉先生の私案という形で、一応のめどをつけますためにおつくりいただいたものでございます。
ただ、そういうことでございますが、最近の情勢を反映したものといたしましてはほかに現在のところ案がございませんので、私どもの委員会でございます科学技術振興対策特別委員会におきまして稲葉先生から御説明を願いまして、そのあと発表したということでございますので、私案でございますけれども、一応科学技術庁あるいは原子力委員会といたしまして、現在のところこれをめどにしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/70
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071・広沢直樹
○広沢委員 この資料によりますと、先ほどお話がありました原子力委員会が四十七年に立てた長期計画とこの私案とは、大体六十年時点では同じようなもの——三つの案がありますけれども、一番妥当だ、可能だといわれるものが、原子力委員会が立てた長期計画と、六十年度で六千万キロワットということですから、大体同じだと考えてもいいのじゃないかと思うのです。稲葉私案、いわゆる政府の基礎的な資料になるこの案が、石油問題が起こってから立てられたということでありましても、それまでに、四十七年に原子力委員会が方向を決定したのと比べてみまして、別にその中に石油問題が盛り込まれた、石油事情が変わったから計画をやり直したというふうには受け取れないのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/71
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072・生田豊朗
○生田政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、たまたま昭和六十年度の開発目標が、四十七年度の長期計画と稲葉私案と六千万キロワットというので一致いたしましたので、ただいまのようなお考えになったかと思いますが、実は基礎的な考え方は全く違うものでございまして、この稲葉私案の基本的な考え方は、エネルギーの供給サイドに従来は限界がないという前提で計算しておりましたのを、限界があるという最近の情勢を反映いたしまして、それに基づいて三つの私案を計算したというのが一番違う点でございます。
それで、その限界が非常にきついという考え方をとってまいりますと、経済成長率が相当制約されてくる、つまりスタグフレーションの危険があるのではないかという感じがいたしますし、従来とあまり変わらないような高い成長率をとろうとしますと、その限界についてかなり甘い想定をしなければいけないということでございますので、限界があることを認めながら、今後努力をしていけば大体この程度のエネルギーの供給は確保できるのではないかというようなことが、実現可能な努力目標としましていわゆる第三案でございます。これがただいま御指摘のように、六十年度六千万キロワットということで四十七年度の長期計画と一致したわけでございますので、結論は同じでございますけれども、出発点は従来と全く逆の方向から出発したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/72
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073・広沢直樹
○広沢委員 この案は日本の経済成長が約六%の成長を今後続けていくだろうということを想定して、それに必要なエネルギー量、こういう観点で考えられたとありますね。ですから、経済成長のあり方というものについてはまたいろいろな論議が別にあろうかと思いますけれども、どちらにしましても、そういうことにしてこれからの第二次エネルギーの供給というものは原子力に相当ウエートをかけていかなければならない、これは事実だろうと思うのですけれども、はたしてこの計画どおり進んでいくのかどうかということが問題になるのですね。
いま四十八年度までに計画されたものについてもすでに問題が相当起こってきておりますし、特に四十八年度の原発は、着工目標がそのとおりいっておりませんし、あるいは建設の申請はゼロであった。だんだん進捗率も落ちてきているわけですね。ですから、そういうことを考えていくと、計画は計画であるけれども、具体的にそこまで進んでいくかどうかということに大きな疑問があるのですね。そこに加えて今度の促進しましょうという法律を出してきたわけですから、その法律とこの計画とは大いに関係を持っていると思わなければならないし、また、それに対して促進していくという法律であるならば、やはりこの計画とにらみ合わして促進できる方向に持っていかなければならない。そうでないと意味がないわけです。
結論的には、この促進税法案というのは、この法文では電力会社の負担になっておりますけれども、一般電気業者の販売量によってかけていくのですから、これは国民の負担なんですね。簡単にいえば、電力会社はコストに算入したわけですから、電力会社をトンネルにして国民が負担するということになるということと一緒です。そのことを考えていくなら、現在の進捗率というものから考えてみまして、具体的にそれだけの計画どおり進んでいくという自信がおありなのかどうか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/73
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074・生田豊朗
○生田政府委員 ただいま先生がおっしゃったとおりの問題がございます。現在、原子力発電所といたしまして建設中のものがかなりございます。それから、先般許認可をいたしまして、これから建設にかかるもの、合計いたしますと、現在運転中のものも入れまして、昭和五十四年度ごろにはそれが全部完成いたしますと千六、七百万キロワットの出力になるわけでございます。ただ、昭和五十五年度の目標が、先ほども申し上げましたように、長期計画では三千二百万キロワット、稲葉私案の第三案をとりましても二千八百万キロワットでございますので、差し引き千二百万キロワットあるいは千四、五百万キロワットは不足するわけでございます。
昭和五十五年度の目標を達成しようと思いますと、今後、それに相当します原子力発電所の建設をなるべく早い時期に着工いたしませんと、目標が達成できないわけでございますので、これから一、二年の間にそれに相当する原子力発電所の着工が行なわれますように、私どもといたしましてもその促進をはかってまいりたいということでございまして、そういう観点からただいまいわゆる電源三法を御審議いただいておるわけでございますけれども、その促進に非常に大きな効果があるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/74
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075・広沢直樹
○広沢委員 計画どおりに進むかどうかということは、私は二通り問題点があると思うのです。
一つは、いわゆるウランの確保をどうするかという問題です。これはいま「ウラン資源の展望」と題した一つの解説があるわけでありますが、これによりましても、一九八〇年ですから、これから五年先ぐらいには、その需要、販売量から全部勘案しまして、いまの買い手市場が売り手市場に転ずるのではないか。これも有限のものですからね。先ほどの稲葉私案が有限のものであるということで立て直したということですから、そういうことから考えてみますと、実際にそれが確保できるのかどうか。これから相当大きなウエートをかけていかなければならぬわけですが、いままでのやり方が、石炭にかわるものは石油であるということで、石油に相当ウエートをかけて、七〇%、八〇%の供給を考えてやってきたわけです。ところが、それがいま言うように、原子力にかえていくということになれば、ほとんど一〇〇%近く海外に資源を依存しているわけですから、同じ結果が出てくるのじゃないか。確かに現在はコストが安いのかもしらぬ。原油の値上がりによって非常に問題になって、原子力のほうヘウエートをかけてきたということになるのでしょうが、そこに一つの大きな問題点がある。
もう一つは、一番問題になっております安全性といわゆる環境の保全、こういったことが一番問題になるのではないか。そのことから考えていきますと、実際にいま予定しております原子力発電にウエートを置いた計画どおりに進むかどうかということははなはだ疑問である。したがって、今度の経済的メリットを加えたこういう法律をおつくりになったとしても、一番の問題が経済的メリットにウエートを置いたのではなく——市町村では財政難に苦しんでおりますから、ないよりましですから、もろ手をあげて喜ぶでしょうけれども、地域住民の側から考えていきますと、経済的メリットよりも安全性といわゆる公害の問題、環境保全の問題、これが一番の問題ですね。その点から考えていきますと、どうも計画どおり進むということは考えられないのじゃないか。もう少し現実の問題に目を移して計画を立て直す必要があるのではないだろうか。四十七年六月に原子力委員会が長期計画を立てたと同じような計画を、石油問題が起こったあと、稲葉私案として、政府の方向は大体この計画でいきたいのだ、こういうふうにお立てになったとしても、それはそのとおり進まないのではないだろうかと私は思わざるを得ないのです。ですから、いまあなたは効果があると思うと言うけれども、その点、私ははなはだ疑問なんです。
したがって、ウランの確保の問題と安全性と環境保全の問題について、これはこの計画を進めようとなさる上においては不可欠な問題ですから、どういうふうに取り組んでいこうと考えていらっしゃるのか、それをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/75
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076・生田豊朗
○生田政府委員 まず第一点の天然ウランの問題でございますけれども、これは先生の御指摘のように、非常に重要な問題でございます。ただ、わが国の電力会社といたしましても天然ウランの確保に従来から非常に努力をしておりまして、大体十万トン程度の長期契約はしておりますので、これを国内での需要量に置きかえてまいりますと、昭和六十年度六千万キロワットといたしまして、ほぼそれに見合う累積需要量は、現在のところ手当て済みでございます。ただ、そのあとの問題もございますし、それから天然ウランと申しますのは、何と申しましても日本にはほとんど産出されない、ほとんどすべてを輸入に依存するようなものでございますので、石油と同じような問題が絶対に起きないという保障もございませんので、今後ともさらに確実な手当てをするようにしてまいりたい。あるいは必要があれば、備蓄その他も検討しなければならないのではないかということでございますので、通産省と協力いたしまして、天然ウランの確保につきましては今後とも引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。
第二点の安全問題でございますけれども、従来、私どもの原子力の安全性につきましてのPRと申しますか、国民の全般の方、あるいは特にその地元の住民の方に対しまして安全性につきましての御理解を得るための努力が、ともすれば不十分であったということは反省しておりますので、今後その点に大いに努力を払ってまいりたいというふうに考えているわけでございますが、そのPRの努力だけではございませんで、いわゆる安全性そのものにつきましても、四十九年度の予算編成におきまして特に予算の追加要求がございまして、安全審査の人員の増強、あるいは安全研究の予算の増加、その他安全関係全般につきましても、すでに画期的な予算の増額確保をしていただきましたので、今後ともその方向で努力をしてまいりたいと思いますし、安全につきましてさらに完ぺきを期してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/76
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077・広沢直樹
○広沢委員 その一番ネックになっております安全性の問題と環境保全の問題につきましては、原子力発電所を設置するということに対してはすでに訴訟問題まで起こして、地元住民というものは非常に不安を持って反対しているわけですね。ですから、いま言うように、経済的メリットが少々あろうとなかろうと、それがこれを推進する大きな役割りを果たすとは私には思われないわけです。一番努力してもらわなければならない問題は、結局、いま確かに原子力委員会の安全審査というものは、いわゆる工学的といいますか、原子炉は安全だ、決して放射能は外へは出ないのだよというような問題とか、放射能に対して安全だというような問題を一生懸命PRはしているのですね。しかし、一番問題になっております、原子力発電所を設置することによって自然的といいますか社会的といいますか、そういう環境の変化、あるいはそれに伴う住民の健康上の問題、生活上の不安といった問題、こういった点が明確にならないと、それはなかなか解決しないと思うのです。
たとえば、安全性の問題とか環境の問題でも、いわゆる温排水の問題でも、今度の税法が通れば、その中から安全対策としてこれから研究しましょうという段階になってくるわけですし、あるいは核燃料の再処理の問題についても、あるいはその後の廃棄物の問題についても、具体的にいまこうするという完全なる対策というものが立てられていない。まだこれから立てていかなければならないということですし、あるいは今日まで具体的に推進されてきた、原子力発電所ができて十年もたったからというようなこともありますけれども、しかし、その間に非常に事故が起きておりますし、その事故の問題については当該委員会で、それぞれ科学技術だとかあるいは商工委員会で取り上げられておりますけれども、そういった問題が続発してきている。あるいは技術や原子炉にしてもアメリカから輸入しているわけですが その本家であるアメリカにおいても問題が起きてきている。ですから、それに対する環境基準も非常にきびしくした。ところが、日本の場合は、それもまだ検討しようという段階ですね。
そういうようなことを考えていきますと、具体的な安全や環境保全という対策を先んじてやっていく形にしなければ、これからの原子力発電にしても、まだまだ進んでいかないわけですね。私はその点に非常に疑問があるわけです。ですから、促進税法と銘打ってこれをやっていくことが緊急不可欠のものである、だから、すべての手順を踏まずに一方的に政府が早くやってくれというようなやり方でやってくることに対して、非常に疑問があるのです。
それと、もう一つ意見を申し述べておきますと、いわゆる地域住民の基本的な心配の点というのは、いままで地域開発だということで経済的なメリットにウエートを置いて、各過疎地域についても、それぞれの地域についても、開発が行なわれてきたわけですね。その結果が今日、ああいういわゆる石油公害といいますか、大気汚染の問題についても、あるいは水質汚濁の問題についても、数々の問題を起こしたわけなんです。繁栄の陰に、いま言ういろいろな問題を残してしまっておる。そして、いまからその処理をどうするかという問題、人間の命をかけて訴訟も行なわれているしという問題になってきた。今日までの政策のかじのとり方が問題になってきた。
しかも、これから脚光を浴びようという原子力、その発電についても、平和利用の問題についても、そういった点が明らかにならないで、ただ供給が足らないからどうしてもつくらなければならないのだ、こういうような形でそれを押し込んでいこう、安全対策や環境保全の問題についてはこれからまだ研究するのだというような態度であるから、これは決して計画どおり進むわけがない。この形でいくならば、住民が納得するわけは絶対ないのです。ですから、この法案が通ったから、今日まで停滞してきたその地域の問題が急に促進されるようになったというような効果は、私はあらわれてこないと考えざるを得ないのです。
そういう面から、ただ一部分だけをとらえて、これだけを推進すればいいのだというような形ではいけない。やはりここにもう少し広範囲にそういった影響力を考えていくならば、これは再検討すべきではないか。この税法の問題も含め、あるいは周辺整備法の問題も含めて、やはりもう少し基本的な問題から掘り起こして考えていかなければ、これは進んでいかない。だから私は、やはりこの法案については再検討すべきじゃないか、いまここで認めるわけにはいかない、こういうふうに考えるわけですが、これは基本的な問題ですから、政府当局に答弁を願って、先ほど問題になりましたことがありますので、私の質問はあと若干コスト問題に関連したものが残っておりますけれども、一応質問を保留して、これは理事会が終わって、その動向によってまた進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/77
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078・森下元晴
○森下政府委員 電力の需給につきましては、国民生活に非常に大きな影響を及ぼしますし、特に昨年の石油の削減問題等によりまして、従来の電力事情、それから電力確保のための計画にかなりの変更を来たさざるを得ない。そういうような環境のもとで、国民の需要に応ずるためのいわゆる長期計画を含めて、やはりこの法案というものが非常に大切な法案であるということで、私どもはこれを御審議いただいて、この法案が通過するように努力はしていきたいと思います。
ただ、現在、地域住民の方々の安全の問題とか、また周辺のいわゆる環境保全の問題、そういうようなことについていろいろな不安を与え、また不満を与えるような要因がたくさんあることは知っておりますし、またこれが、ただ物とか金だけですべてが解決できるとは思っておりません。しかしながら、一〇〇%完全でないかもしれませんけれども、いろいろなエネルギーの国際情勢また国内におきます将来の経済成長に伴う需要事情を考えました場合に、早急に提出して御審議願って、この案を通すことがより国民のためになり得るそういう気持ちで出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/78
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079・安倍晋太郎
○安倍委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後零時三十分休憩
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午後三時五十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/79
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080・安倍晋太郎
○安倍委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。竹本孫一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/80
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081・竹本孫一
○竹本委員 再開に臨みまして、先ほど来の、ある意味においては生産性がないが、しかし実際は議会政治の基本的な問題に関連をする問題でございましたので、一口申し上げておきたいと思います。
要するに、民主主義というものは手続が一番大事だと思うのですね。国家国民のために、あるいは人民大衆のためにということはどんな独裁者でも言っているので、問題は、庶民のためにということでレールを敷いてルールができておる。それを機関を無視したり、手続を省いたりすることが一番大きな問題であろうというふうに私は思います。そういう意味において、今回の問題が、あるいは税調にかけるべくしてかけなかったとか、あるいはすでに法律が成立したというような事実がないのに、その成立を前提にして——これは考えてみますと、衆議院を通るか、参議院を通るか、この二つの法案についてもそういう問題がありますが、母法のほうについても、はたして商工を通るか、衆議院を通るか、参議院を通るか、前提条件が幾つもあるわけです。それらをみんな通るものだという前提に立つということは、それこそ議会軽視ということになりますし、先ほど来御指摘のありましたように、われわれの審議というものが無視され、軽視されておるというような感じになります。そういう意味で、これはまた後ほどにも論議を尽くさなければならぬと思いますが、非常に遺憾であって、やはりかりそめにも民主主義政治家をもって任ずる人がそういう基本原則を踏み違えたり、軽視したりすることのないようにお願いを申し上げておきます。
次に、促進税並びに特別会計法についてでございますけれども、私どもは、基本的には周辺整備そのものには反対ではない。ただ、この税、この特別会計というものについて異論を持っているわけであります。そういう立場から二、三の点をお伺いしたいと思うのです。
政府は目的税というものを安易につくり過ぎるではないか、あるいは少なくとも安易に考えておるではないかということについて、まずひとつお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/81
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082・高木文雄
○高木(文)政府委員 御指摘のように、今回の税につきまして税制調査会の意見を聞くということをいたしておりません点は、非常に申しわけないと思っております。そういう意味におきまして、今回、若干何がしかの意味において慎重さを欠いたということを認めざるを得ないわけでございます。
ただ、目的税につきましては、基本的には私どもは必ずしも賛成でないわけでございます。よほど特殊、特別な場合に限って、初めて創設があってしかるべきものというふうに考えております。先般の委員会でもお答え申し上げましたが、かつて揮発油税等につきまして、これを目的税的に充てておるということの可否を税制調査会において論議されたことがございます。その論議においても、特別な、限定的な場合に限ってのみ目的税は認めらるべしという結論になっております。今回の場合には、受益者といいますか、納税者と受益者とが非常に明確に結びついておりますという関係がございますので、その意味におきましては、目的税としてふさわしいものであるというふうに考えているわけでございます。一般論として、目的税をみだりに設けるということは望ましくないという考え方には変わりがないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/82
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083・竹本孫一
○竹本委員 税の体制の近代化あるいは財政の硬直化という意味で、私自身は目的税に原則的に賛成をしておりません。しかし、これは見解の相違ということもありますが、政府はこの上さらに、近くほかにも目的税を考える予定がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/83
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084・高木文雄
○高木(文)政府委員 ただいまのところ、特にそういうものを考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/84
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085・竹本孫一
○竹本委員 電気料金の問題並びに本税との関連でございますが、地方の電気税についてはどういう取り組みなんですか、御予定を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/85
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086・岸田文武
○岸田政府委員 いま電気税の徴収額約千億余でございます。かりに今回の料金改定が申請どおり認可されたという場合にどのくらいの増収額になるか、これも一応試算をいたしましたが、約五、六百億見当と報告をされております。
〔委員長退席、山本(幸雄)委員長代理着席〕
私どもは、料金が改定された場合に、結果として自然増収の形で電気税の増収になるという部分については、これはやはり需要家の方へ還元をするというのが本筋ではないか、こういう気持ちを持っておるところでございます。したがいまして、現在審査中の料金改定について一つの答えが出ましたならば、早急に自治省と打ち合わせまして、電気税引き下げの方向で検討を重ねたい、こう思っておるところでございます。
なお、このような引き下げに関する要望は、各地の公聴会においても出ておりますし、また、先般行なわれました物価安定政策会議特別部会でも、特に要望が出されております。このような経緯になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/86
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087・竹本孫一
○竹本委員 今度のこの促進税の関係ですが、既設の発電所に対してはどういう取り扱いになるのか。交付の場合ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/87
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088・岸田文武
○岸田政府委員 今回の周辺地帯整備法及び電源開発促進税法、これはいわば今後の電源開発を円滑に行なうということが主眼点でございます。したがいまして、当面既設の発電所にこれを適用するということは考えておりません。ただ、既設の発電所につきましても、固定資産税の減免措置について、従来の減免を緩和する、あるいは大規模資産の特例につきまして従来の取り扱いを改めるとか、こういった税の面で既設の発電所の所在市町村を優遇するという措置をあわせて実施に移したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/88
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089・竹本孫一
○竹本委員 主税局長にお伺いしたいのですけれども、既設の発電所に交付する、しないという問題、それから交付期間が非常に限定されているという問題、その辺で非常に矛盾が出てきはしないかという問題が一つと、やはりそういう点から見ても、周辺整備は必要であるけれども、その財源は一般会計から出して、必要なものは三年とか五年とかいわないで、相当の期間において、そしてまた、今後できるものというふうに限定をしないで、全面的に必要なものは国が責任をもってやるというほうが筋が通ると思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/89
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090・高木文雄
○高木(文)政府委員 これはある種の新しい発電施設をつくるための周辺地域対策ということでございますから、その意味におきましては、税の形をとっておりますし、そしてそれがまたその地域に交付されるという形をとってはおりますが、両者をあわせて見ていただきますと、ある意味では新しい電源開発のためのコストと見ることができるのではないかというふうに考えられるわけでございます。そういう意味におきましては、既設の地域に及ぼすのは適当でないわけでございます。既設の地域の問題については、ただいま通産省のほうからお答えいたしましたように、固定資産税の問題として考えるのが妥当であろうかと思うわけでございまして、私は自治省のほうの所管の仕事である関係もございまして、細目は存じませんが、今回のこの新税の創設と同時に、既存地域には固定資産税がより多く課税され得るように、地方税法の運用上の手直し等を通じまして行なわれることになったということで、両者バランスがとれているのではないかというふうに考えるわけでございます。
それから、これを一般財源でやってはどうかということでございますが、それも確かに一つの考え方でございまして、昨年お出しをいたしておりました周辺整備法の考え方は、そのような考え方であったわけでございます。一般財源によりまして若干他の場合よりも、いろいろの補助金の補助率をかさ上げするというようなことを考えましたあの仕組みは、いま竹本委員御指摘の、一般財源で新設地帯の処理をするという考え方でございます。しかし、その後の経緯を見ますと、予定どおり発電設備、施設の新設が進みません。いろいろな理由があることは確かでございまして、決して金の面だけではないことは、先般来の御指摘のとおりでございますが、金の面もまたあるわけでございますので、そういう角度からすれば、昨年考えました周辺整備法の考え方よりは、はるかに手厚い助成措置を周辺地域にする必要があるというふうに判断するに至ったわけでございますが、そうなりますと、いろいろの補助金の配分その他との関連上、また補助対象の選択との関連上、いかに発電周辺地域が重要であるからといって、一般財源で処理をするということになりますと、やはりそれなりに他とのバランスの問題が非常に出てまいるわけでございます。
そこで、特別に手厚い措置をとろうということを前提にして考えます場合には、これはやはり特別だということにしないと、どうもうまく事が進まないわけでございまして、その辺が、この際思い切って目的税を設定して、そして言ってみれば、特別会計を通じて右から左に、周辺地域にそれを交付するという形式を通じて、他の場合とは全く違った意味での厚みを持った助成措置ができるというふうに考えたわけでございます。その意味で、金額的にはさほど大きなものではございませんから、そういう意味からいえば、一般財源でやってできないわけではないのでございますが、他の地域に比べまして、補助の率の点におきましても、事業の対象の点におきましても、言ってみれば、他よりはかなり優遇といいますか甘いといいますか、そういうような仕組みを考えるについては、やはりその特別な財源があるからということにするほうが、他とのバランスがうまくいくのではないかという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/90
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091・竹本孫一
○竹本委員 この辺は政治的に大きな立場で考えるか、あるいは事務的に取り組んでいくかという問題でございますから、これ以上あまり追及しませんけれども、しかし、考え方の根本からいえば、周辺整備ということが必要なのは、何もこれからできるものだけではない。全部について必要である。これからつくるものについてそれを考えなければうまくいかなくなったということは、裏からいえば、騒がなければなかなか考えないのかということになる。しかし、騒いでも騒がなくても、周辺整備ということは、やはり公の責任でまじめに考えなければならぬ問題じゃないか。
そういうふうに詰めてみますと、車なるコスト計算の問題ではなくて、周辺整備という問題にどういうふうに取り組むか。先ほどの局長の御答弁は、手厚い考え方で臨むのだということでございますけれども、それを新しいものにだけ限定するというのはどうも割り切れない。もう一度、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/91
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092・高木文雄
○高木(文)政府委員 やはり手厚いことをしなければならないということは、一方において新しくエネルギー資源を確保する、しかも石油との関係もございますので、この原子力等を中心にしてエネルギーを確保する、その緊急性があるということから起こってきているわけであろうかと思います。おっしゃるように、今後の新設の地域についてだけそういう措置をとるということになりますと、確かに過去の地域についても問題が起こってまいりますから、それで、それを若干緩和する意味も含めまして、自治省等と協議の上で、固定資産税等について、いろいろいままでよりは、より多くの固定資産税を所在市町村が徴収できるようにいたしました。そしてそのことは、発電会社といたしましても、従来より多くの固定資産税を納めましょうということになってきたわけでございまして、既設と新設との間では、対策の厚みにおいて差はございますけれども、やはり気持ちとしては、若干の傾斜をつけながら既存の設備についても配慮をしておるわけでございます。
これは電力会社としては、既存設備について従来よりも固定資産税をよけい納めなければならぬということは、これまた負担がふえるわけでございますけれども、しかし、やはり既存施設地域をほっておいて新設のほうだけ一生懸命やるということではよろしくない、バランスの問題もありますが、心がまえの問題でもあるということから、発電会社のほうも従来よりもふえる固定資産税を納めましょうということになってきておるわけでございますので、その厚みのバランスがとれているかとれていないかという点については、なかなか明快なお答えをいたしかねますけれども、気持ちとしては、新設というだけに集中しないで、既設についても、若干そういう違う形式でございますけれども、財政対策を立てておるのだということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/92
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093・竹本孫一
○竹本委員 既設のものには固定資産税でということだけれども、具体的にその裏づけの考えはあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/93
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094・山下稔
○山下政府委員 発電所所在の市町村の財政需要に対処いたしますために、固定資産税が従来建設後、最初の五年間を三分の一に軽減し、次の五年間は三分の二に軽減するという措置が講ぜられていたわけでございますが、地元の市町村に財源を十分与えるという意味におきまして、今回その措置を廃止いたしました。ただ、既設の分について若干の経過措置は講じておりますけれども、原則として廃止をいたしました措置を今回講じたわけでございます。
なお、別の制度といたしまして、一定の市町村にあまりに固定資産税が集中するということもいかがかということで、市町村の人口なり財政規模に応じまして、一定限度以上の固定資産税が課税される場合には、その一部を関係の府県が課税するという仕組みがございます。しかし、この制度につきましても、いまの発電所の固定資産税の軽減措置を廃止することと関連いたしまして、従来の制度のままにいたしておきますと、せっかく課税標準の特例を廃止して地元の市町村が多く課税できるようにしたにもかかわらず、その一部を県が課税するということになったのでは、特例の廃止の意味が薄れてまいりますので、固定資産税の特例廃止の措置とあわせまして、県が課税するという仕組みにつきまして、できるだけ地元の市町村でよけい課税できるような措置をあわせ講じました。
この二本立ての措置によりまして、発電所所在市町村の固定資産税に対する課税が厚くなったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/94
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095・竹本孫一
○竹本委員 次に、特別会計の問題ですけれども、これも特別会計をつくる理由が十分納得できないので、特に特別会計を必要とする理由、裏から申しますと、将来のエネルギー対策を考えて、エネルギーの全体的な社会化なら社会化をはかるということの前進の大きな構想があって、それで特別会計をつくるというならばまだ話がわかるのだけれども、この程度のことで特別会計をつくるという理由は了解に苦しむが、いかなる展望を持っているか、いかなる根拠に基づくか、この二つを伺いたいし、もう一つ、現在、特別会計は全部で幾つあるか、将来は数を簡単にふやしていくのかどうか、その辺に対する考え方もあわせてお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/95
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096・辻敬一
○辻政府委員 特別会計の新設はみだりに行なうべきでない、特別会計の新設につきましては慎重に取り扱うべきであるということにつきましては御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても従来からそういう考え方でございますし、今後ともそういう方針でまいりたいと考えておるわけでございます。
ただ、御承知のように、財政法第十三条の第二項の規定がございまして、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。」という規定があるわけでございます。したがいまして、特別会計の設置が、ただいま申し上げました規定に該当いたしまして、かつその経理を一般会計と区分して行なうことが特定の行政目的を達成するために必要であります場合には、むしろその設置が望ましい、その設置が必要であるという場合もあると考えているわけでございます。
今回の措置は、再三御説明申し上げておりますように、一方におきまして、目的税でございます電源開発促進税を創設させていただく。したがいまして、そのいわば受けざらといたしまして、電源開発促進対策の経理を明確にいたすために特別会計の設置をお願いしているわけでございます。先ほど申し上げました財政法の規定から申しますと、一番最後の、「特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」、これに該当するものと考えているところでございます。
なお、別途五十年度から木船再保険特別会計を廃止することといたしております。そこで、実質的に見ますと特別会計の数は現在と同様四十一でございまして、増減はないものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/96
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097・竹本孫一
○竹本委員 いまの「特定」という問題ですけれども、大体財政目的からいろいろ考えてみましても、これから政府がおやりになろうとする事業というものは、ある意味においてはみな特定なんですね。一般的というのは幾らもありやしない。みなそれぞれ特定の目的がある。したがって、その規定を乱用というか安易に解釈すれば、特別会計というものは幾らでもつくり得る法律的根拠があるというふうに思えますが、法の解釈はそういうふうに解釈してよろしいかどうか、もう一度そこをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/97
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098・辻敬一
○辻政府委員 特別会計の新設につきましての考え方は先ほど申し上げたとおりでございまして、みだりに行なうべきでない、新設については慎重にやるということは従来からそうでございますし、今後ともさような考え方でございます。ただ、法律的に申しますならば、先ほど申し上げました財政法十三条の規定がございまして、そこに特別会計の要件が定められている。そういう場合に限っては「法律を以て、特別会計を設置するものとする。」という規定がございますので、法律上は、そういう要件に該当し、また実質的に必要であれば特別会計の設置も可能である、かように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/98
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099・竹本孫一
○竹本委員 もう一度伺いますが、法律の解釈からいえば、財政法でこういう基礎がある。その場合には特定の目的、特定の資金、特定の財源でやるから特別会計をつくるのだ、こういう解釈だと、大臣の指示もあってということで慎重にやるというけれども、慎重にやるという裁量の余地がなくなってしまいはしないか。特定の目的に特定の金を使って特定の事業をやることのためには特別会計をつくるのだというように財政法を解釈していけば、法のとおりやればいいので、慎重にやるという余地はないじゃないか。慎重にやるということを言う、あるいは余地があるということは、その法の解釈あるいは読み方にもう少し幅があるのだ。どちらですか。幅がないで、私の言うように慎重にとかなんとか言わぬで、財政法に書いてあるとおりにやればいいということになるのか、さらに、慎重にやれということは、慎重にやらない場合もあるし慎重にやる場合もあるのだろうから、それだけの判断の自由がある。自由裁量の余地がある。すなわち、必ずしもこういう場合には常に特別会計をつくらなければならぬということではないという判断の余地があるのですか、ないのですかということを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/99
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100・辻敬一
○辻政府委員 もちろんその法律上の規定に該当いたしましても、特定の行政目的を達成するために必要であるかどうかということの実質的な判断はあろうかと思うのでございますが、いずれにいたしましても、再三お答え申し上げておりますように、特別会計の新設はみだりに行なうべきではない。したがいまして、既設の特別会計につきましても見直しをいたしまして、廃止すべきものは廃止をいたしておるわけでございます。先ほど触れましたように、木船再保険特別会計を廃止することといたしておりますのも、そういう観点からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/100
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101・竹本孫一
○竹本委員 この問題もまたあらためて論議をすることにいたしまして、時間がないようですからエネルギー庁のほうにお尋ねしたい。
一つは、エネルギーという問題が石油ショック以来非常に大きな問題になったんですけれども、エネルギーはまあ油なら油を輸入すればいいんだということだけれども、石油ショック以来大きな問題がある。あるいは代金の支払いにも問題があるということになると思うのですけれども、エネルギー庁の基本的な政策に対する態度として、経済の成長率というものが必要とするエネルギーというものは、そのまま何とかくめんをして確保することに努力するという体制でいままではきていると思うのだけれども、これからは、エネルギーの物的な基礎ということを中心に逆に成長率を制約する、あるいは成長率をコントロールするというように、視点を変えなければならぬという点について、エネルギー庁はどういう態度を基本的にとっておられるか、この点をちょっと聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/101
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102・岸田文武
○岸田政府委員 御指摘の問題は、昨年秋の石油ショック以来、私どもとしても特に勉強しておく必要のあるテーマである、こう考えておりまして、御指摘のように、従来は需要を積み上げてまいりまして、それに必要なエネルギー量はどうなるか、それをどうやって確保するか、こういう発想方法あるいは作業手順で各種の計画をまとめておりました。ただ、今後のエネルギー体制を見てみますると、供給自体についていろいろ考えておかなければならない要素があります。従来とは逆に、供給の見通しというものを立てまして、それと需要とをどうマッチさせるか、こういった観点もあわせて考慮する必要がある、こう考えております。
私どもは、いま申し上げましたような観点に立ちまして、目下総合エネルギー調査会でこれからのエネルギー供給需要体制はどうあるべきかということを勉強いたしておりまして、今年夏までに一つの答えを得たいと思っております。その際、議論をされておりますことは、従来のエネルギーの供給につきまして、単に量の問題ではなくて、多角化、分散化、こういった配慮を加える必要はないか、またエネルギー供給をクリーン化するといいますか、公害のないエネルギー供給体制、こういったものをどうやって打ち立てていくか、さらにまた、これからの産業なりあるいは家庭生活において省エネルギーというものをどう進めていくか、これらのこともあわせて議論されていることを御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/102
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103・竹本孫一
○竹本委員 多角化とか分散化とかクリーン化とかいうことは、御努力を大いに期待することにいたしますけれども、私はもう一度念を押して聞きたいのですけれども、財界の一部にも、物理的な供給可能力というものの限界を考えながら、三億キロリットルくらいの石油が入ると考えるべきか、あるいは二億五千万キロリットルと考えるべきか、あるいは二億キロリットルということを前提にして日本の経済成長というものをもう一ぺん考え直さなければならぬという意見も現にあるでしょう。そういう意味で、経済はこんなに伸びるだろう、したがって、これだけエネルギーが要るだろう、それをいかに多角的に分散的に確保するか、こういうような受け身だけでいくのか、あるいはそれを一つの制約条件として前提的に考えていくのかということについて、まあ夏までに結論が出るとかいうことでございますが、その結論を出すときの基本的な視点として、どういう立場をとっておられるかということをもう少し明確に聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/103
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104・岸田文武
○岸田政府委員 私どもは、エネルギーの供給力に一つの壁があって、その範囲内でいかにすべきかというような固定的な考え方はいまのところ持っておりません。むしろエネルギーの種別ごとに、石油の将来の供給の見通しはどうであるか、原子力開発はどう進めていくか、日本の包蔵水力をどう活用していくか、また石炭の可能性はどうか、これらにつきまして、いまの技術あるいは将来の技術を織り込みながら、どれだけの供給の伸びが可能であるかということを現実に積み上げていく、こういう作業をやってまいりたいと思っておるところでございます。
それと他面で、望ましい経済成長、この場合の産業活動の必要量あるいは国民生活の必要量、これを積み上げてまいりまして、両方をにらみ合わせながら一つの組み合わせ、もっと的確に申しますと、幾つかの組み合わせを考えてまいり、その中の選択をする。こういう作業が具体的な手順になろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/104
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105・竹本孫一
○竹本委員 これは多分に政治的な判断を要する問題でございますから、これ以上は申し上げません。しかし、結論からいえば、エネルギーの供給というものを受け身の立場に立って考えるということは、今日の国際情勢からも無理がある、困難性が多いということだけでなくて、いま一部にいわれている日本経済の安定成長とか、新しい一つの秩序というか新体系を考えようということになれば、従来の考え方の延長で受け身でいくということだけでは不十分ではないかと思っておりますが、これは政治論として、また別に展開をしなければならぬと思います。
そこで、事務的な面で聞きたいのですけれども、ことしの経済成長をどのくらいに見ておられるか。政府は政府なりに見ておられるけれども、エネルギーの供給の面、確保の面からいえば、七%の成長が可能なのかどうなのか。
もう一つは、これから後、一年を四半期別に分けて、エネルギーの面から見ればどの程度に経済の成長を見て、それに必要な供給ができるとか確保ができるとかいうことを考えておられるか、その辺の四半期別の考え方を聞いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/105
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106・岸田文武
○岸田政府委員 四十九年度につきましては、各種の経済情勢を分析をいたしまして、電気の立場からいたしますと、大体電気の供給量に直しまして五・一%程度の伸びを見込んでおります。
四半期別に見た数字はちょっと手元にございませんが、傾向といたしましては、土期はわりあい停滞的に推移し、下期で回復をする、こういう姿であったように記憶をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/106
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107・竹本孫一
○竹本委員 五・一%でしたね。そうすると、一般の経済成長率は第一・四半期は三%からせいぜい四%でしょう。第二・四半期はマイナスとさえいわれておるくらいだから、大体においてプラスは出ないと思いますね。そうすると、あとの後半でどのくらいにいって全体として五・一ということになるのか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/107
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108・岸田文武
○岸田政府委員 電気の需要は、一般的に申しますと、やはり下期のほうが強いわけでございます。上期は、確かに御指摘のとおり、供給及び需要の伸びはわりあいに停滞をいたしておりますが、下期全体を通じて見ますと、やはり五・数%というものは従来の経験からしますと到達するのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/108
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109・竹本孫一
○竹本委員 ついでにもう一つ、これに関連してですけれども、油の代金が十一ドルになったとかいうようなことも新聞に出ておりますけれども、全体としてことしは去年に比べて支払いが八十億ドルふえるのか、あるいは百億ドルふえるのか、そういう観点から見て、供給力の限界というものがそれこそ好むと好まざるとにかかわらずあると思うのだけれども、その辺はどういうふうに押えておられるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/109
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110・岸田文武
○岸田政府委員 私、石油の担当でございませんので、適確なお答えができるかどうか存じませんが、実は石油の担当のほうでは毎月ごとに石油の入着状況をチェックしまして、翌月の人君見込みを立てているわけでございます。ここ数カ月の実績といたしましては、いろいろ心配する要素もございましたが、まずまず当初計画した程度の数量が確保されておるようでございます。一時は価格が上がるのではないか、これを見込んで供給が減るのではないか、こういった点も心配はいたしましたが、いままでのところは、まず順調といってよいかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/110
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111・竹本孫一
○竹本委員 私が聞いておるのは、たとえば月に二千四百万とか二千三百万とかいうことは大体予定どおりいっていることは私も知っているのだけれども、代金の支払いの面から何億ドルぐらいふえるか、また代金支払いの面から見て、輸出との関係もありますけれども、またその他の輸入の関係もありますけれども、全体として石油の代金、エネルギーの代金として支払い得るドルの限界があるわけである。その限界の面からエネルギーの供給の限界が出てくる。そのまた制約のもとに、経済の成長率というものが制約をされなければならぬではないか。こういう意味で、そこをもう少し具体的に聞きたいのだけれども、全般としてもう一つほかの側からいいますと、一バーレル十ドルぐらいの代価なら何とか考え方があるが、十一ドルというようなことで十一ドルをこえて値段を上げてくるというような体制になれば、もちろんこれがいつまで続くかということについてもいろいろ議論がありますが、非常に困難が多い。そういう点について、価格の面と、数量の面と、それから物理的に供給し得るあるいは確保し得る量の面というようなものから、いろいろな制約があると思うのですね。それらの制約条件というものは従来の高度成長的な考え方からいって、何とかなるだろうでは済まされない問題が出てきておる。その点についての危機意識というか、あるいは問題意識というか、そういうものがちょっと足らないように思うのです。それで心配して聞いているわけですが、もう一度どうですかそこは。
〔山本(幸雄)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/111
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112・岸田文武
○岸田政府委員 御指摘の問題は、私どもいま進めております総合エネルギー調査会でもいろいろの議論がかわされておるところでございます。お話の中で、これからの石油価格の動向いかん、その価格の上昇が一体どういう波紋を日本経済に及ぼすか、これらは私どもにとっても基本的な問題の一つと考えております。従来の安い油を前提にした各種の産業活動及び産業構造、これが昨秋以来の価格の上昇によって、まず使い方の合理化という面でいろいろのくふうが行なわれまして、これが少し長期にわたりますと、産業構造自体がやがてそれに適応するように変わってまいらなければならないと思います。御指摘のように、これは問題の第一点でございます。
それと同時に、さらにお話のございました国際収支との関連の問題、これもエネルギーは輸入物資の中のいわば大宗でございます。その意味におきまして、全体の国際収支へのはね返りということもある程度いろいろの心づもりをつくっておかなければならない、こう私どもは考えております。私、手元に適確な資料がございませんが、帰りまして、その辺の担当者にまた御報告するように申し伝えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/112
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113・竹本孫一
○竹本委員 ちょっと角度を変えて、もう一つエネルギーの問題を聞いておきたいのですが、それは二月でありましたか、石炭対策の特別委員会において北大の磯部教授が述べた意見、大体日本人のエネルギー消費は、一人石炭一トンだということで、一億の人間だから一億トンだろう、そのうち五千万トンは石炭そのものでひとつカバーしていきたい、あと五千万トンについては水力電気でいけばいい、計算をしてみると、大体政府の計画は二千三百万キロくらいではないかと思うのだけれども、まあ二千五百万キロあれば大体対応ができる。二千三百万、二千五百万の問題は一応別の問題といたしまして、半分は石炭で半分は水力でと、こういうような考えで、極端な意見かもしらぬが、油の輸入というものに全然期待をしないでもやっていけるではないかという意見を発表したわけです。それがはたしてどこまで可能性があるか、また合理性があるかということについて、エネルギー庁ではどういう意見を持っておられるか、その辺をひとつ詳しくお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/113
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114・岸田文武
○岸田政府委員 いまお話のございました報告は、私どもの記憶では、過日の石炭対策特別委員会で北大の磯部教授がお話しになった、こう承っております。ただ、磯部教授のお話の前提は、国民の必要最小限度のエネルギー所要量、これを昭和十二年当時の生活水準あるいは産業活動をべースにして御試算になっておられるようでございます。私ども最近の数字に基づきまして、いわば最低限度という意味でどんな数字が出てくるのだろうかということを部内で議論をいたしまして、出てまいりました答え、大体当時の四倍は少なくとも必要ではないかという感じでございます。それなりにわが国の基礎的な必要量というものも、全体としての経済活動の増大に伴ってふくらんできておる。こういうベースに立ってまいりますと、現実の姿として、石炭に依存し、あるいは水力に依存するだけでこれがまかなえるということは、ちょっと信じにくいような気がするわけでございます。
現在のエネルギー確保は、御承知のとおり、石炭については約二千万トンの生産を行ない、これをさらにふやしていこうということで努力をいたしておりますが、これはにわかに増大はむずかしい状況にございます。水力につきましても、現在約二千万キロワットの水力発電量を活用しておりまして、これについては最近の情勢にかんがみまして、五百万キロワットの緊急の着工というようなことを考えております。これも現実の問題としてはなかなか時間もかかるし、ある程度の限界がある、こう感じておりまして、そういう前提に立ちますと、やはりしばらくの間は石油なりあるいは原子力に依存するということは避けがたいのではないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/114
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115・竹本孫一
○竹本委員 この問題は非常に重要な問題だから、またあとで少し詳しく聞きたいと思いますけれども、一応もう少し聞きますが、一人一トンといったようなことではもう問題にならぬ、したがって、日本全体からいえば石炭換算で一億トンというようなことでは問題にならぬ、あるいはその三倍要る。こういうことでありとしても、それではその三倍のうちの三分の一はこれでいくのか、あとの三分の二はどういうふうにそれぞれのウエートを置いて考えていくのか。そういう問題についてすでに計画はあるのですか、これから検討するのですか。これから考えるとすれば、どういう基本的なラインで考えようとしておるのか。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/115
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116・岸田文武
○岸田政府委員 将来の構造につきましては、先ほど申しましたエネルギー調査会において、大体昭和六十年を目標として各種の作業を続けておるわけでございます。
先ほどのお話の中で、基礎的最低必要量ということばがございました。私どもは、やはり一つの産業活動においてエネルギーを使う体制というものができますと、これを急に縮小するということは非常にいろいろ困難が伴う。このことは昨年秋の石油危機あるいは電力の供給削減のとき私ども広く経験も積み、教訓も得たところでございます。私どもは、将来の見通しにつきましては、この経験に即した合理化なり使用節減というものを頭に置きながら、やはりある程度の生活水準、産業活動を維持するために、必要最小限度の量というものを別途積み上げていく必要がある、こう感じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/116
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117・竹本孫一
○竹本委員 四時半になったのですが、返事が来るか来ないかというような問題もあるようなので、また相談もしたいということでありますので、一応私はこの辺で質問を終わります。あと残ったところは留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/117
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118・安倍晋太郎
○安倍委員長 暫時休憩します。
午後四時三十六分休憩
————◇—————
〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204629X03219740521/118
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