1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月二日(火曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 伊能繁次郎君
理事 小山 省二君 理事 高鳥 修君
理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君
理事 村田敬次郎君 理事 佐藤 敬治君
理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君
愛野興一郎君 片岡 清一君
亀山 孝一君 木村武千代君
島田 安夫君 武藤 嘉文君
保岡 興治君 井岡 大治君
岩垂寿喜男君 小川 省吾君
細谷 治嘉君 和田 貞夫君
多田 光雄君 林 百郎君
小川新一郎君 小濱 新次君
折小野良一君
出席国務大臣
自 治 大 臣 町村 金五君
出席政府委員
自治大臣官房長 山本 悟君
自治大臣官房審
議官 森岡 敞君
自治省行政局公
務員部長 植弘 親民君
自治省財政局長 松浦 功君
委員外の出席者
人事院事務総局
任用局企画課長 白戸 厚君
人事院事務総局
給与局研究課長 浦中冨士夫君
総理府人事局参
事官 吉田 哲朗君
文部省体育局ス
ポーツ課長 望月 健一君
厚生省環境衛生
局水道課長 国川 建二君
建設省都市局下
水道部長 久保 赳君
地方行政委員会
調査室長 日原 正雄君
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委員の異動
四月二日
辞任 補欠選任
山田 芳治君 和田 貞夫君
同日
辞任 補欠選任
和田 貞夫君 山田 芳治君
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/0
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001・伊能繁次郎
○伊能委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。折小野良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/1
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002・折小野良一
○折小野委員 地方交付税法の改正案に関連をいたしまして、また地方財政、こういう問題にも関連をいたしまして、少し的をしぼって御質問いたしたいと考えております。
それは主として人件費でございますが、人件費の財政の中に占める比重、これは地方財政の中におきましても相当大きな比重を占めておるわけでございます。四十九年度の地方財政計画の中におきましても約三〇%に近い比率を占めておりますし、今後のベースアップその他を考えますと、やはり相当な比重を占める、こういうことがいわれるわけでございます。しかも、この人件費、いわゆる給与関係経費といいますのは、その大部分は義務的な経費でございますので、地方財政を運営する立場におきましては、これが大きくなるということは、結果的に地方財政の硬直化につながってまいります。そういう面からいろいろな問題も出てくるわけでございます。そしてまた現実の行政は、端的にいって人が執行するわけでございますので、いわゆる人件費の効率化というのは、行政の効果をあげる上にこれまたきわめて重大な問題だ、こういうふうに申さねばならないわけでございます。そういう意味からいきまして、私ども、人件費に対してもっともっと関心を払うということは非常に大切なことじゃなかろうか、かように考えております。
ところで、現在の人件費の動向、これにつきましてはいろいろな面で関心が持たれておるわけでございますし、また自治省といたしましても、そういう面でいろいろと関心をお持ちになっておられることだと考えますが、最近における人件費の動向と、それについての自治省としてのお考え、その基本的なものをまずお伺いいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/2
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003・町村金五
○町村国務大臣 御承知のように、最近地方財政におきましても、人件費は年々相当に増加の傾向にあったわけでございます。ただ最近までは、御承知のとおり、地方財政におきましてはいわゆる投資的経費と称するものも相当の増額をいたしておりましたので、人件費の占める割合がそれほど増加するということにはなっていなかったのではないか。ところが、御承知のように昭和四十九年度におきましては、投資的経費、ことに公共事業等におきましてかなりこれを圧縮することに相なりましたために、歳出規模は必ずしも大きくならない。いわゆる投資的経費はそれほど大きくはならない。しかし人件費は、御承知のように昭和四十八年度はかなり高率の給与改定が行なわれましたので、それが平年度化されるといったこともございますし、教員や看護婦等については特に処遇の改善が行なわれる。また教職員、警察官等の定員増加も昭和四十九年度には相当に計上されるということに相なりましたことが、いわゆる給与関係経費の増加原因と相なっておるのでございまして、したがって、四十九年度におきましては人件費の占める割合は、前年等に比べますとおそらくかなり伸びることになるのではないかと見ておるわけでございます。
しかし、この点は、御指摘にもございましたように、人件費が非常に伸びるということは、地方財政の硬直化を来たすという懸念もございます。自治省といたしましては各地方団体に対しまして、これはいつも申していることではございますけれども、特に給与水準が適正に保たれること、さらにはまた、できるだけ事務、事業の合理化をはかることによりまして、職員数の増加が抑制されるようにということを今後とも強く指導をしてまいりたい、かように考えまして、人件費が著しく伸びることによって地方財政の硬直化を来たすということは極力避けることのできるようにつとめてまいりたい、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/3
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004・折小野良一
○折小野委員 人件費がだんだん伸びてまいりますことにつきましては、いろいろな理由があろうかと思います。特に世の中がいろいろ複雑多様化してまいりますと、これに伴いまして行政需要も非常に高まってくる、これを処理するための人員も必要になってくる、こういう数的な問題もあろうと思います。また一面におきましては、最近のように諸物価が非常に高くなってくる、職員の生活費も上がってくるというような面からの考慮というものも当然払われなければならない、こういうところにも原因があろうかというふうに考えるわけでございます。
私どもが自治省のほうでつくっていただきました資料を拝見いたしますと、人件費総額の歳出総額の中に占める比率は、最近、と申しましても四十七年度までですが、少しずつ下がってきつつあるようにうかがえます。しかし、それをさらに分析をいたしますと、一般財源支弁の人件費の一般財源に占める比率というのはむしろ毎年だんだん高くなってきつつある、こういうような数字が出ておるわけでございます。私どもはこういうような傾向にも関心を持たなければならないというふうに思います。
と同時に、地方の実態といたしまして、特に過疎地域あるいは小さな市や町村、こういうようなところにおきましては、現実に税収で人件費をまかなえない、人件費のほうが税収を上回っておるというようなところが非常に多いわけでございます。そういうような市町村におきましては、ほとんどの財源を交付税に全面的に期待せざるを得ないというような状態にあるわけでございまして、特にそういうような地域における人件費の財政上の圧迫という面も非常に大きいわけでございます。こういうような傾向に対しまして、自治省としてはどのようにお考えになり、また、今後の対策としてどうすべきか、こういう点についてのお考えがございましたら、お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/4
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005・松浦功
○松浦政府委員 景気の上昇ということとからんで、地方の財政全体の規模が大きくなっておりますときには、大臣がお答え申し上げましたように、比較的給与費の問題というのはもぐった形で、わからないわけでございますが、今年度のように規模があまり伸びないときには、人件費というものが非常に目立ってくるというような実態になりつつあるようでございます。なかんずく、先生御指摘のように、一般財源に占める給与費の一般財源所要額の割合というものが高まってくるということは、財政の硬直化を意味しているわけでございまして、非常に好ましからざる傾向であるというふうに考えております。特に小さな町村におきましては、こういった経済の荒波にもまれて所要の施策をするために、やはりある程度の給与費の増高は避けられないということになっております。これらの実情をよく踏まえまして、交付税の補正係数等において、そういった弱小あるいは過疎町村が、実際の行政レベルアップのために必要な人件費に困らないように、できるだけ検討をし、配慮を加えていくということは、いままでの方針をより強めていくということになろうかと思いますが、その方向で努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/5
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006・折小野良一
○折小野委員 さっき申し上げましたような数字につきましてはいろいろな解釈、いろいろな分析もできようかと思いますが、私なりに考えまして、こういう傾向というのは、一つは県等における、すなわち学校の先生方を中心にいたしました国庫補助のある給与ですか、そういうような面がだんだん伸びてきておる。相対的に多くなってきておる。したがって、そういう面のない市町村における人件費の比重というのが逆に上がってきておる、こういうふうに考えていいんじゃなかろうかというふうに考えております。
そういう面からいたしますと、財源的な面からいたしましても、やはり市町村に対する財源配分というものを考慮していかなければならないと思います。特に今回の交付税におきましてはそういう面の一部の配慮、あるいは先般の税法におきましてもそういう面の一部の配慮というものがなされておるわけでございますが、このような動向を見てまいりますと、やはり市町村の財源に対する制度的な配慮というものは今後も十分やっていかなければならない。そうしませんと、現実に地方住民と接触をしております市町村の行政が硬直化し、麻痺していくようなことになってまいるんじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。そういう点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/6
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007・松浦功
○松浦政府委員 ただいまの御指摘につきましては、当省といたしましても全く同じ理解に立っております。その方向で今後も努力していくということは当然のことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/7
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008・折小野良一
○折小野委員 人件費は全体といたしまして、財政的な面からいきましてもあるいは行政運営の面からいたしましても、お互いに十分関心を持たなければならない問題だと思います。もちろん今日緊縮すべき点は大いに緊縮すべきでございましょうし、合理化すべき点は大いに合理化をして、地方自治の伸展をはかるべきであることはもとよりだというふうに考えます。その人件費の中におきまして、実は私、この間の予算委員会の分科会におきまして少し御質問をいたしたのでございますが、時間が十分ございませんでした。また、その関係もありまして、私といたしましても納得のできる御回答をいただいたというふうには考えておりませんので、特に退職手当の問題について少し突っ込んで御質問をいたしたいと考えております。
地方職員の給与につきましては、自治法等の規定がございまして、これは条例できめるということになっております。その条例の多くは、自治省が示しました条例準則に基づくわけでございますし、そしてまた、その条例準則は当然に国家公務員の給与等との均衡を考えて指導をされておるものだ、こういうふうに考えるわけでございます。
退職手当の問題につきましても、そのような形で現在制度が運用をされておるわけでございます。そういう点につきましては、制度そのものが国家公務員と均衡を失しない形で行なわれておることは当然でございますが、その制度の運用もまた均衡を失しないように、それがやはり制度の趣旨であろうというふうに考えるのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/8
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009・植弘親民
○植弘政府委員 退職手当につきましても、いま先生からるるお話しのございましたように、一般の給与と同じように国家公務員との均衡原則を持っておりますし、当然国家公務員の退職手当法に準じまして条例準則を作成し、地方団体を指導いたしております。地方団体におきましても大部分が準則に従って条例をつくっておりますが、中には若干の違いのあるのもございます。運用も基本的にはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/9
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010・折小野良一
○折小野委員 実は、この退職手当の問題に私が少し関心を持ちましたのは、昨年東京都におきまして三人の局長さんがほとんど同時におやめになった。その退職金が非常に大きいと申しますか、そういうようなことで新聞に報道されたことがございます。
その問題について少し検討してみますと、これらの方々がいわゆる五割増しの退職金を支給されておやめになったんだということでございます。従来、公務員の給与は安いんだというふうに考えられております。したがって公務員の退職手当というものも安いんだというのが一般の通念でございます。しかし、それからいたしますと、わりあい公務員の給与というのもあるいは退職金というのも相当な額になるのだな、こういうような見方でその報道を私自身も見ましたし、そういう見方をした読者も多かったんじゃなかろうかというふうに考えます。私ども、五割増しということは、いわゆる整理退職の際にそういうような支給がなされるというふうに了解をしておるわけですが、東京都における三人の局長さんは、いわば功成り名遂げて退職をされたわけでございますので整理とか勧奨とか、こういうようなことがあったはずはございません。その辺、私ども外部から見ておりましてどうも納得いかない、こういうような感じがいたしたわけでございます。
ところで、こういうようなことになっておるのにつきましては、どうも国家公務員がそういうように運用をされておるので東京都もそういうような運用をいたしておるんだ、こういうようなことでございます。したがって、国家公務員はそれならどういうことになっておるんだろうかというふうに考えてみますと、これも昨年からことしにかけまして、私どもが外部から知るのは新聞報道等によるわけですが、やはり退職手当の問題がいろいろな問題にからんで新聞に報道をされてまいりました。そういう面についていろいろ気をつけてみますと、私どもも外から見てどうも納得がいかない、こういうような面がいろいろとございますので、そういう点についてお伺いをいたしたいと考えておるわけでございます。
ところで、問題をわりあいはっきりさせるために具体的な例についてお伺いをいたしたいと思うのでございますが、ただ、具体的な例ということになりますと、それはある特定の人を類推させるということになってまいりますから、私は何もここでそれぞれの特定の人についてとやかく申し上げるという意思は全然持っておりません。ただ制度運営について、その具体的な例として申し上げますので、その辺はひとつ十分お考えの上、御答弁をいただいたらと、そういうふうに考えます。
ところで、これも新聞に出たことなんですが、先般科学技術庁の某局長が退職をされました。その退職手当が新聞紙上でもいろいろ出ておりました。それは五割増し支給であるか、普通退職の、五割増しでない退職手当であるかということがいろいろと問題になっておるということでございます。その新聞記事によりますと、事務当局といたしましては従前からの均衡を考慮して五割増し支給にすべきである、こういうような意見がある。これに対して一部では、おやめになるいろいろな事情があるので、これは普通退職の退職手当を支給すべきだ。時間もかかったようでございますが、結局は普通退職の退職手当が支給されたということになっておりますが、その辺の実態を具体的にお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/10
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011・吉田哲朗
○吉田説明員 お答え申し上げます。
現在の退職手当法上、職員が二十年以上の期間勤続し、その者の非違によることなく勧奨を受けて退職した場合には、退職手当法第四条を適用しております。また二十五年以上の場合には第五条の規定を適用するということになっておりまして、いま御質問の次官、局長という方々につきましても、その本人の非違によることなく勧奨を受けて退職したという要件に合致する場合には、退職手当法四条、五条の規定による割り増し退職手当を支給する、こういうことになっております。
その場合に、勧奨するかどうか、これは任命権者の判断によることでありまして、いまの退職手当法においてはそういう任命権者の裁量の範囲が相当広くなっておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/11
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012・折小野良一
○折小野委員 それじゃもう少し具体的にお伺いをいたします。
この方の場合に、これは新聞報道です、私が承知したのは——本人から退職願、辞表が出されたというふうに発表をされております。辞表を出されたということは、勧奨でなしに、自分の意思によって退職されたはずだと思います。それから、「非違によることなく」ということになっておりますが、その「非違」というものはどういうふうに解釈をされたのか、あるいはどういうふうな適用をされたのか。そして結果的にはどういう形で退職をされたことになるのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/12
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013・吉田哲朗
○吉田説明員 本人の「非違によることなく」という点につきましては、その退職の原因が本人の落ち度によらないというような意味と解釈いたしております。したがいまして、たとえば懲戒処分を受けたというようなことだけをもって非違によるものである、そうでない場合にはそうでないというような運用はいたしておりません。その本人の落ち度が退職の一つの原因になっておる、こういった場合に、非違によることなくという要件に合致しないというふうに理解しております。
それから、いまお尋ねの科学技術庁の某局長でございますが、退職手当法は私どものほうで所管しておる法律でございますが、その運用につきましては、先ほども申しましたように任命権者でなければ判断できないような要素が非常に多い。かたがた、総理府のほうにおきましては、各省から報告を求めるとかあるいはいろいろな措置について意見を申し上げるとか、そういった権限はございませんので、いまの某局長の退職の件につきまして、私どもが相談にあずかって、事前に連絡を受けて意見を求められたという事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/13
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014・折小野良一
○折小野委員 いろいろ問題がございますし、その問題についてはあとでまたお伺いをいたしますが、結果的には普通退職ということで退職をされたんだということですね。そういうことで退職手当が支給されたということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/14
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015・吉田哲朗
○吉田説明員 いまの科学技術庁の某局長につきましては、普通退職ということで処理されたというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/15
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016・折小野良一
○折小野委員 その点につきましてもいろいろ問題が残ろうかと思いますが、これはまたあとでお伺いをいたします。
それから、先ごろ外務省の某次官が退職をされました。これにつきましても、背後の政治的な問題がございまして、これもいろいろと新聞種になったわけでございます。この方につきましてはどのような退職手当が支給されましたか。すなわち、いわゆる勧奨退職であったか普通退職であったかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/16
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017・吉田哲朗
○吉田説明員 御質問の外務省の前次官につきましては、退職手当法第五条の規定によるところの勧奨退職が適用されたというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/17
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018・折小野良一
○折小野委員 この場合も本人から辞表が提出されたはずでございます。しかも、外部にありますいろいろな政治的な問題を考慮してということだったと思います。退職手当法上は確かに勧奨退職ということになっておろうかと思いますが、その辺も事実と必ずしも合致していないように私どもは考えます。
それから次には、先般自治省の某次官が退職をされました。この方につきましてはどういう退職手当が支給をされたか。勧奨退職ということでございますか普通退職ということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/18
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019・山本悟
○山本(悟)政府委員 自治省のさきに退職されました前次官の場合には、勤続年数が短うございますので、勧奨退職の扱いはいたしておりません。普通退職でございます。前々次官の場合には勧奨退職の取り扱いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/19
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020・折小野良一
○折小野委員 それからさらに、これも最近でございますが、大蔵省の某次官が退職をされました。この方についてはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/20
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021・吉田哲朗
○吉田説明員 いま御質問の前次官につきましては、退職手当法第五条の、二十五年永年勤続した場合の勧奨退職を適用しておるというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/21
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022・折小野良一
○折小野委員 この方の場合も、その前に申し上げた方の場合も、これらは選挙に出るために退職されたんだというのは世間周知の事実でございます。そうした場合に、勧奨退職という扱いがはたして正しいのかどうか、この辺、私ども大きな疑問を持ちます。
それから、先般人事院がいわゆる天下り官僚についての発表をされました。数が多いのでこの一々については申し上げませんが、その方々は大体どういうような形で退職手当が支給をされておりますか。すなわち、勧奨退職ということになっている方がどれだけで、それから普通退職になっている方がどれだけ、その程度のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/22
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023・吉田哲朗
○吉田説明員 先ほども申し上げましたけれども、職員が退職する場合に、その退職の時点において本人の非違によらず、かつ勧奨を受けて退職するという要件を満たしておる場合には、大体勧奨退職の扱いをしておると推測しております。ただ、正確な計数につきましては、私ども現在準備いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/23
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024・折小野良一
○折小野委員 はっきりした御答弁ではございませんが、趣旨はそういうことだと思います。したがって、私のほうで、その大部分はいわゆる勧奨退職ということで処理されておるのだ、こういうふうに判断してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/24
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025・吉田哲朗
○吉田説明員 職員の退職の実態につきましては、人事院等でもいろいろ御調査になっておるわけでございますけれども、大体私ども承知している限りでは、二十年ないし二十五年以上勤続して退職した職員につきましては、およそ七、八割程度の者が勧奨退職の適用を受けている、こういうふうに一応理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/25
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026・折小野良一
○折小野委員 ただいま申し上げましたのは、最近いろいろと報道されたものの具体的な例をいろいろお伺いをいたしました。そのほとんどは勧奨退職という形をとりまして、五割増し、すなわち退職手当法の第五条に基づく退職ということになっております。その実態は必ずしもそのような扱いと一致いたしておりませんし、また、そういうような扱いが外部から、すなわち国民の目から見ますと、どうしてもある種の疑惑を禁じ得ないというような実態にあろうかと思っております。
全般的に見まして、それなら、四十七年度ぐらいでけっこうだと思いますが、最近のわかっておる年度について、年度初めの実人員、それからその年度内の退職者、それから逆にその年度内の新規採用者、そしてその年度の末にはどれだけになってきたか。年度の末でなくてもいいです。次の年度の初めでもいいわけなんですが、すなわち、一年間の最初と、その中間において退職された方、それから新規採用された人、これで差し引きが出るはずでございますが、それによって次の実人員が幾らになったか、その数字がわかっておりましたらひとつお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/26
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027・白戸厚
○白戸説明員 ただいまのお尋ねでございますが、まず、昭和四十七年度の一般職国家公務員の採用者総数は三万五千四百九十五人というようになっております。それから離職者総数が三万七千五百二十五人。それから、ちょうど一年前の四十七年三月三十一日現在——三月三十一日と申しましても、厳密に申しますとこの日に退職したものは除きます。これを除きました総数が八十四万九千五百四十二名というようになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/27
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028・折小野良一
○折小野委員 そうしますと、この差額というのはいわゆる五%の行政整理、あの数字とは大体合致しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/28
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029・白戸厚
○白戸説明員 ただいまの差は五%の削減とは直接の数では一致いたしておりません。ただいま申し上げましたのは、差は二千三十の減ということになっておるわけでございますが、五%削減による四十七年度中の退職者数は約一万四千というように聞いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/29
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030・折小野良一
○折小野委員 私はこの問題を特別申し上げるわけじゃございませんので、その辺はこまかに御質問はいたしません。しかし、いずれにいたしましても、行政整理というのは退職者、それから新規採用者、その関係において行なわれていかなきゃなりませんし、そしてまた、それぞれの情勢に応じて新しい事務がふえる、こういう面もあろうかと思っております。しかし、実態はいまおっしゃったようなことでございますが、その退職者を、自然退職者といいますか、普通退職者、これと整理退職者、勧奨退職者、これをひとつ数字を分けてお示しいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/30
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031・白戸厚
○白戸説明員 ただいまの勧奨退職者、退職手当法の特別措置を受けて退職した者について申しますと、私どもは五十五歳以上の者だけを調査して承知いたしておりますが、全数については承知をいたしておりません。そこで、五十五歳以上の者だけについて申し上げますと、四十七年度中の勧奨退職者数は八千六百五十八人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/31
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032・折小野良一
○折小野委員 大体の見当はつきませんか。あるいはその比率なり、五十五歳以上の人たちの比率というのが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/32
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033・白戸厚
○白戸説明員 この五十五歳以上の全退職者は一万八百二十八人。それでこの八千六百五十八人はちょうど八〇%に当たるわけでございます。しかし、五十五歳未満につきましての勧奨退職者、これは全く調査いたしておりませんので、これ以上ちょっと何とも申し上げかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/33
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034・折小野良一
○折小野委員 その数字が出ないと困るのですが、しかし、五十五歳以上で八〇%が勧奨退職だ。全体的に見ますと何%くらいが勧奨退職だということは、皆さん方、ふだん仕事をやっておられて、大体の見当はおつきになっておるはずだと思います。大まけにまけて五〇%くらいと見たらどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/34
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035・白戸厚
○白戸説明員 先ほど人事局よりのお答えでも、勤続二十年以上での該当者は七、八割ではないかというように申し上げておりますし、またここに出ております五十五歳以上では八〇%ということでございます。しかし、五十五歳未満というとずっと数が減ってまいりますので、かりに五十五歳未満がないとした場合には全退職者の二三%が該当者ということでございますので、この点を考慮いたしますと、高くても全退職者数の三割にはならないのじゃないかというように考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/35
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036・折小野良一
○折小野委員 数字をはっきりお示しいただけないので数字的に詰めるわけにはまいりませんが、大体推定でけっこうでございます。
そういう推定で見まして、この勧奨退職者の数は、先ほど申し上げました年度内の退職者の全体数と、それから新規採用者の差、これとの関係はどの程度になりますか。まあ、全部じゃありませんけれども、勧奨退職をやるというのはいわば行政整理をやることなんですよね。もちろんそれがそっくりそのままじゃありませんでしょう。といたしますと、勧奨退職者の数というのと、それから年間の整理した人の数というのはほぼ一致しておるというのが普通なんじゃありませんでしょうか。もちろん裁判官みたいな、定年で五条適用というものもございましょう。そういうようなものは一応別といたしまして、一般職の場合にほぼ一致する、こういうふうに見ていいのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/36
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037・白戸厚
○白戸説明員 これをお答えするのはむしろ人事局のほうかとも存じますが、この数字で申しますと、先ほど申し上げましたとおり、五十五歳以上の勧奨退職者は八千六百五十八、それから定員削減による四十七年度中の退職者は約一万四千というように聞いておるわけでございますので、この五十五歳未満の勧奨退職者数合わせましてもその一万四千に達するかどうか、ちょっと問題があるのじゃないかというようにも考えられるわけでございます。定員削減の場合、主として欠員補充的な考え方で埋めておるというように私ども承知しておるわけでございますので、普通退職の中でもあとを埋めないで落としていく、あるいは勧奨退職の場合でも必要によってはそのあとを埋めていく、こういう措置がとられているわけでございますので、直接の関連は出てこないというように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/37
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038・折小野良一
○折小野委員 数字的にはっきりいたしませんので、その辺は何ともこれ以上詰めるわけにまいりませんが、しかし勧奨退職という制度、先ほどからの具体的な例から申しますと、これは特別に高級公務員についてだけでしょうか。必ずしもそうでもないと思いますが、わりあい乱用をされておるのじゃないかというような気がいたすわけでございますが、その辺はどうなんですか、厳密に解釈をしてやっておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/38
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039・吉田哲朗
○吉田説明員 現在の勧奨退職に関する退職手当法の規定というものは比較的簡潔でございまして、また勧奨の運用につきましては任命権者でなければわからないような面もございます。そういったようなことで、私どもも詳細に各省の実態は承知しておりません。ただ、一部に言われるように、ともかく何でもかんでも勧奨なんだ、そういったような慣習はないというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/39
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040・折小野良一
○折小野委員 しかし、私が具体的に先ほどお聞きした例からいきますと、この制度というのはわりあい乱用されておるように考えられます。ただ、私が申し上げましたのは新聞種になるような高級官僚の方々でございますから、そういう方々だけにそういうような措置がなされておるということでありますならば、これは非常な不公平だというふうにいわざるを得ません。
そういう点から、少し運用のもとになりますことばの解釈という面をちょっとお伺いをいたしますが、この退職手当法の運用につきまして政令がきめられております。その政令におきまして「非違によることなく」ということがございます。その「非違」というのはどういうふうに解釈をしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/40
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041・吉田哲朗
○吉田説明員 「その者の非違によることなく」の解釈でございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、一応政府の解釈としましては、昭和二十九年に、当時退職手当法を所管しておりました大蔵省から、「当該退職の原因が本人の落度によらないという意味である。退職時に近い期間内において徴戒処分を受けてないということをもって直ちに非違によらないということは言えない。」こういったような解釈が示されております。ただ、この解釈によりましても、その落ち度の範囲をどのように見るか、これはなかなか幅のある問題でございまして、そういった非違があるかどうかという点は各省庁のそれぞれの任命権者の判断にゆだねられているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/41
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042・折小野良一
○折小野委員 先ほどの科学技術庁の某局長の場合におきましては、結果的には普通退職ということになったわけでございますので、これは任命権者のほうで非違によるということに判定をされたんだ、そういうふうに考えますが、それでよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/42
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043・吉田哲朗
○吉田説明員 先ほども申し上げましたように、科学技術庁の某局長の退職金の件につきましては、私ども事前に相談ないしは連絡を受けたケースではございません。科学技術庁が御判断になったことでございます。ただ、私どもが後に聞き及んでおりますのは、むしろ非違の解釈ではなくて、任命権者が勧奨をしなかった。勧奨をするかどうかは、これは任命権者の判断でございますけれども、いまお尋ねのケースの場合には、勧奨をしなかったということでもって、五条の適用がなかったというふうに聞き及んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/43
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044・折小野良一
○折小野委員 それはおかしいんじゃありませんか。さっきも申し上げましたように、御本人から辞表が出されておるわけです。辞表が出されておるものをどうして勧奨する必要がありますか。したがって、私どもは、私どもの聞く範囲におきまして、これについて内部でいろいろな問題があったということは、結局非違とするかどうか、そこに問題があったのだというふうに考えます。結果はそういうような結果になったわけでございますので、別にその結果についてとやかくは申し上げません。
それから次に勧奨でございますが、これはやはり一定の必要があってなされるはずだというふうに考えます。勧奨というのはどういうような手続を経て、どういうような目的のために行なわれるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/44
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045・吉田哲朗
○吉田説明員 勧奨と申しますのは、文字どおり、すすめでございまして、退職したらどうかといったようなことをすすめる格別の要式行為ではございません。勧奨の目的は、これはやはり国家公務員の場合、定年制がないというような事情もございまして、職員の新陳代謝をはかって組織を若返らせる、そういったところに基本的な目的がある、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/45
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046・折小野良一
○折小野委員 公務員が一生かけてその職場で働いて、そうして功成り名遂げて退職するという場合に、通常これを勇退と称し、あるいは後進に道を譲る、こういうふうに申します。こういうような実態というのは、これは退職手当法の適用についてはどういうふうに処置すべき問題でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/46
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047・吉田哲朗
○吉田説明員 ただいまのようなケースでございますと、これは任命権者が勧奨をやれば勧奨退職の対象となります。また、そういうふうに扱われているケースが多いようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/47
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048・折小野良一
○折小野委員 私はそういう扱いがどうも常識的でないというふうに考えるわけなんです。中には、それから新しく民間企業にいわゆる天下りする方もありますでしょうし、あるいは選挙に出る方もありますでしょう。そういうような方に対しましてどうして勧奨をする必要があるのでしょうか。そういう方々は退職後の新しい人生というものをすでに目ざしておるわけであります。勧奨されなくとも自分の意思でその道に進もうという意思が決定しているわけです。それを勧奨という手続をとって、そして五条の特殊な適用をするということはおかしいんじゃありませんか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/48
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049・吉田哲朗
○吉田説明員 職員が退職いたしまして、次のポストあるいはコースへ進むといった場合に、その勧奨の適用をするのが妥当かどうかという御質問でございますが、率直に申しまして、私ども、いわゆる退職者の個々の退職に至るまでの経緯、あるいは次にどういうようなところへ進むかといったような判断の要素というものを承知いたしておりません。ただ、退職手当法につきましては、昨年改正を国会にお願いいたしまして、長期勤続者の優遇措置を行なったわけでございますけれども、その当時人事院にもいろいろな面で調査を依頼いたしました。第五条の問題につきましても、一応これは官民比較というものを基礎にいたしまして改正をやったわけでございます。私ども承知しておるところでは、民間の場合にもやはりそういった定年退職といったようなものは優遇いたしておりますし、あるいは定年でやめるあるいは定年前でやめて、そしてその系列会社にいくといったような場合にもやはり優遇されておる、そういったような事情があったというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/49
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050・折小野良一
○折小野委員 長い間つとめた方々を優遇する、これはけっこうなことです。ですから、二十年以上勤続した方々に対して一定の割り増しをかける、あるいは二十五年以上たった人に対して一定の割り増しをつける、これはけっこうです。そしてそれはやはりいわゆる普通退職です。しかし、そうでなくて、わざわざ勧奨という形をとって特別な措置をするということがおかしいんじゃないか、私はそう思うのです。
経過的に申しましても、退職金というのは、いまでいういわゆる普通退職の退職金で制度はずっときたはずなんです。ところが、戦後になりまして人員整理の必要がありまして、その人員整理を進めるためにいわゆる勧奨退職制度というものをつくった。その際はそういう目的のために特別立法をつくっていたはずです。そうしてやがてそれを一本にして、いまのような形になった。地方においてもそうです。やはり普通の退職手当の条例がありまして、その後人員整理の必要があって、それに関する特別の条例というものをつくるようになって、そして五割増しをしますからやめてください、これで退職をすすめてきたわけです。やがてそれを一本にして、いまのような一つの条例の中に普通退職と勧奨退職というようなものを規定で分けるというようなことになったわけです。そういう経過からいたしましても、やはり普通退職というものと勧奨退職というものはおのずから違うわけなんでして、それを混同するということはよろしくないと思いますし、ただいまのような具体的な例にあげましたような、乱用というふうに見られる、あるいは外部から見ましておかしいなと思われるような、そういう運営はおかしいんじゃないか、こういうふうに私は感ずるわけです。その点、いかがでございますか。この点についてはひとつ国務大臣として自治大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/50
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051・町村金五
○町村国務大臣 いまだんだん御質疑を伺っておったところでありますが、確かに、勧奨退職制度というのは、官公庁におきまして人事の刷新をはかるために、特に退職手当に割り増し金を与えて、そうして容易に退職のできるようにしようということでこの勧奨退職制度というものが始まったものではないかと、こう理解をいたしておるのでございますが、その後における運用というものは、いま折小野委員が御指摘になりまするようにかなり乱用されておる、と言っては私は言い過ぎかもしれませんけれども、これがややルーズに扱われてきておるのではないかというような感じが私はいたすのでございまして、この点は、この扱いをさらに厳格に行なうということが非常に必要なのではないかというように私は感ずるのでございます。先ほども某省のことについてちょっとお話がございましたが、まあ、極端な場合には、当人が相当な非違をあえてして、場合によりますと検察庁ではどうしてもこれを告発しなければならぬ、起訴しなければならぬ、しかしやめるのならば、といったようなことも現実にはあるようでありまして、そういう場合にさえ勧奨退職の優遇措置を受けておる者がときにあったというふうなことを私ども耳にいたしましたので、これは非常な行き過ぎではないかというように私は思うのであります。この点は私も十分検討いたしたととがございませんので、どうも確たるお答えはいたしかねますけれども、どうもややルーズに扱われてきておるのではないかという感じがいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/51
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052・折小野良一
○折小野委員 これは私がそういうふうに感ずるだけじゃございませんのです。実は科学技術庁のその問題に関連をいたしまして、いろいろな新聞にいろいろな意見なりその他が載っていたわけでございますが、その一つにこういうことが書いてございます。「五割増しの退職金が当たり前で、普通退職金が例外の扱いになる慣行のほうが、部外者の目にはおかしく映る。」まあ、いろいろ私の知る範囲内におきましても、やはり何かおかしいという感じがするわけなのです。国民の目にはそういうふうに映るのは、これは当然じゃないかと思います。
私は、こういう点につきましては、いまの大臣のおことばもございましたが、もっともっと厳密に解釈をすべきじゃないかと思うのです。第一に公務員は法律の執行については最も厳格でなければならない。国民に対していろいろな義務を押しつけておきながら、公務員みずからが法の執行においてでたらめな執行をするということは、これは許されないことだと思います。こういう面から国民の公務員に対する不信感というものもつのってまいりますでしょう。そういう点を考えますと、国政の面におきましても、こういう制度の運用につきましては十分配慮していただかなければなりませんし、制度的に改めるものがあったらこれは当然改めていただくべきである、こういうふうに考えます。
ただ、私は、退職手当が安いか高いか、こういう問題は別だと考えます。昨今のように諸物価の非常に値上がりしておる時期でございまして、そういうような社会情勢から考えますと、退職手当の額というものにつきましては十分な配慮がなされなければならない、こういうふうに考えます。それは公に、いわば普通退職の場合の退職手当の額を是正すべきであって、変な運用をすべきだということではない、かように考えます。
その退職手当についてでございますが、そういう面については人事院のほうでかねていろいろ検討をしておいでになるはずでございますが、国家公務員の退職手当は高いのか安いのか、特に民間と比較してどうなのか、そういう検討をもとにしまして、現在の国家公務員の退職手当の制度につきまして、何らか人事院として勧告するような御意思、そういうものがあるのかどうか、そういう点がありましたらひとつ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/52
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053・浦中冨士夫
○浦中説明員 退職手当の官民均衡をはかる趣旨において、民間の退職手当が公務員に比べてどうなっておるかということの調査でございますけれども、これは総理府からの依頼もございまして、四十六年度及び四十七年度に人事院が調査したことがございます。
で、その際の調査結果を結論的に申し上げますと、通常支給される退職金については特に公務員が民間に比べて劣るということはなかったわけでございますけれども、ただ、民間の場合には長期勤続者あるいは定年退職者、それから特に功績のあった者につきましては弾力的な規定がございまして、いわば加算をやっておるわけでございます。これが、私どもが四十七年度にさらに追跡調査をしたところによりますと、かなりこの弾力規定を活用いたしまして、退職者の長期勤続者とか、そういうものに該当する者にはかなり普遍的に適用しておるというような状況がわかりまして、その加算の額を加えて比較いたしますと、公務員の場合に、長期勤続者につきましてはおおむね二割程度劣るのではないかというような数値が判明いたしましたので、この点を総理府に連絡いたしまして、総理府から昨年国会に長期勤続者についての退職手当の二割改善ということをお願いして法律が成立した、かような経緯になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/53
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054・折小野良一
○折小野委員 ただいまの人事院の御検討あるいはお話、これは普通退職という場合の退職手当についてであろうと思います。勧奨退職というのは別途の目的を持っておるわけですから、これは別個だろうと思いますが、まあそういう法の運用ですね、先ほど来お聞きになっておられると思いますし、また私が申し上げるまでもなくそういう面は皆さん御存じだと思いますが、そういう法の運用の面につきましては、人事院としては何らか勧告とかなんとかをする権限とか御意思とか、そういうものはございませんのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/54
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055・浦中冨士夫
○浦中説明員 法の適正な運用ということにつきましては、所管庁としての総理府が実施することでございまして、運用についてまで人事院がかれこれ申し上げるのはいかがかと思いますが、先ほど総理府の参事官が御説明申し上げましたように、私どもも制度並びに運用ということで調査したわけでございますけれども、民間の場合は御存じのように定年制があるわけでございますけれども、その定年以前に、やはり人事計画の必要がございまして、一部の職員につきましていわば間引くわけでございますが、これを関連会社に転出させるというような例が多々ございます。この際の扱いを見てまいりますと、大体においてそれは定年扱いということで、最も有利な運用をしているというような実情があるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/55
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056・折小野良一
○折小野委員 まあ、いろいろな実態がございますので、その実態に合わせて制度をつくるということがいいことだろうと思います。したがって、それはやはり公明正大に運用さるべきでございまして、少なくも、多くの公務員の方々は前半生をその仕事に傾注をしてこられたわけでございます。そうして、結局、ほんとうの意味の、まあ自分の一生というものをいい思い出を残してやめていこう、こういうことであろうと思うのでございます。おそらくは、それらの方々にとってはそれまでの人生というのは生きがいのある人生であったでございましょう。としますと、やはりやめるときには胸を張ってやめていきたいというのが普通の人の率直な気持ちであろうと思うのです。
ところがそれらの方々が、現在の退職手当の運用を考えますと、何かしらうしろめたいような気持ちでやめていかなければならない、何かしらうしろめたいような気持ちで退職手当を受け取らなければならないということは決していい運用だというふうには私ども考えません。そういうような面につきましては、特に公務員なるがゆえにはっきりさしていただきたい。そしてまた国民といたしましては、当然に支給すべき退職手当はそんな変な運用をしなくともこれは当然に差し上げるべきだ、そういう気持ちは多くの国民の良識の中にあるんだというふうに考えます。そういうような点をひとつ今後のために十分御配慮いただきたいと思うのであります。
それはただ単に国家公務員の問題だけに関係をするわけじゃございません。それが、最初申し上げましたように、地方公務員の場合、国家公務員と均衡をとるという制度のもとにおきまして、結局地方公務員にも波及をしてくるということになっております。一番最初に申し上げました東京都の例からいたしますと、国家公務員においてもそういうような運用がなされておるんだから、東京都でも当然そういうような運用が許されるんだ、こういうことになってまいっております。そしてそれはだんだん今後地方公務員全体に波及をしてくるでありましょう。この前私がこの問題について少し質問をいたしました場合に、自治省のほうで、約六割くらいは、地方公務員の場合は普通退職になっておるから、まあまあそれほどの心配はいまのところないというようなお話がございました。しかし、こういう問題は、水が低いほうに流れるように、当然高いほうに右へならえしていくのが普通の実態だというふうに考えなければなりません。そういたしますと、これはやがてそういうような運用というものが地方公務員一般に広がっていく、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。
こういうような点につきましては、これは今後自治省における指導の問題でございますが、しかし自治省における指導も、政府の態度がはっきりしませんと地方を指導するということはできないということになってまいろうかと思いますが、自治省としてそういう問題について今後に対処する態度として、どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/56
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057・植弘親民
○植弘政府委員 先ほど大臣からお答えいたしましたように、勧奨退職制度を乱用するということは厳に慎まなければいけないと思います。もちろん生活の問題もございますから、退職手当が適正な額でなければならないということも先生御指摘のとおりでありますが、何ぶんにも、やはり地方公務員も国家公務員との均衡原則がございますので、国家公務員法の制度なり運用というものは当然に準用しなければなりません。したがいまして、先ほど来御説のございましたように、国家公務員のサイドと合わせまして十分検討さしていただきたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/57
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058・折小野良一
○折小野委員 退職手当全体の額は、地方財政計画の中におきましてもそう大きな比率を現在のところ占めておるわけではございません。しかしながら個々の自治体にとってみますと、それはやはり予想しない出費でございますので、特に弱小市町村におきましてはその運営には非常に苦慮するわけでございます。自治省としてもそれにこたえて、いわゆる退職債というようなものを認めるというようなこと、それからまた交付税上の措置とか、いろいろな配慮をしていただいておるわけでございますが、こういうような面にも関連をしてくるわけでございます。したがって、こういう面につきましては、国から地方を通じましてひとつしっかりした制度の運用というものを確立をいたしまして、それに基づく適切な財政運営というものがなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。
こういう点につきまして、ひとつ最後に自治大臣の御決意をお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/58
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059・町村金五
○町村国務大臣 地方自治体といたしましては、御承知のように現在定年制というものがございません。したがって、人事の停滞を防ぎ、若い方に次第に昇進の道を開いていかなければならぬというような人事行政の必要上、御承知のような退職手当の運用をいま行なっておるもの、こう思うのでございます。
これは、先ほども公務員部長からお答え申し上げましたとおり、やはり地方公務員の退職手当につきましてはたてまえが国家公務員に準ずるということに相なっておりまするので、当然退職金についても同様の措置を講じていかなければならない。ただ、いま折小野議員もちょっとお触れになりましたように、こういうものはどうしても水が低きにつくがごとく、今度は逆に高きにつくという傾向にあることは、これは当然のことでございますので、あまり極端なことを行われるものが出てまいりまして、それに右へならえをさせられるということになりますると、国家公務員をはるかに上回るというような例も出てこないとも限りませんので、この点は私どもといたしましては、地方団体としては常に国家公務員の退職手当に準ずるような扱い方をもって今後も対処していっていただくことが適当であろうという考えで、地方団体に対する指導につとめていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/59
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060・折小野良一
○折小野委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/60
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061・伊能繁次郎
○伊能委員長 この際、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
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午後一時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/61
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062・伊能繁次郎
○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/62
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063・岩垂寿喜男
○岩垂委員 現在公共下水道事業を行なっている都市で、受益者負担金を徴収している都市の数や負担の金額あるいは負担者の数を実は承りたいと思うのです。
この問題は、いま全国でたいへん問題になっておることでありまして、とりわけ行政訴訟などの問題が各地で提起されている問題でありますので、私はこの機会に、この問題に限ってひとつ質問をしていきたいと思います。したがって、最初に都市の数、負担の金額と総額、それから負担者の数などについてお願いできますれば、要約でけっこうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/63
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064・久保赳
○久保説明員 昭和四十九年二月現在の資料で申し上げます。
公共下水道事業を実施している都市が三百六十四ございますが、そのうち受益者負担金制度を持っておる都市が二百五十都市でございます。負担金額でございますが、負担の金額は一平方メートル当たり百円ないし二百五十円程度でございます。それからその総額でございますが、これは四十七年度の決算の数字で申し上げますと、総計で八十五億円でございます。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/64
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065・岩垂寿喜男
○岩垂委員 負担者の数、概数。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/65
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066・久保赳
○久保説明員 ただいま申し上げました数字は、都市数が二百五十、受益者負担金制度を持っておる都市でございますが、そのうち、現在まだ徴収に入っておらない都市がございますので、実際に徴収しております都市は百七十六団体でございまして、百七十六団体の負担総数はただいま資料の持ち合わせございません。毎年毎年変わって、一度だけ払えばそれでしまいということになりますので、数字の実数はただいま持っておりませんが、年ごとにかなりな数字になると思います。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/66
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067・岩垂寿喜男
○岩垂委員 概数でいいのですけれども、昭和四十七年度の八十五億の見当で、大体何人になるか教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/67
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068・久保赳
○久保説明員 ただいま申し上げましたように負担者の総数は——負担の金額が一平方メートル当たり幾らということはわかりますけれども、概数の数字はいまつかんでおりませんので、後ほど調べた上で資料を御提出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/68
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069・岩垂寿喜男
○岩垂委員 国民一人一人に対する負担、つまり金額の大小にかかわらず負担を強制している問題でありますので、建設省が正確な数字をぜひお示しをいただきたい、こんなふうに思います。
次に、受益者負担金を徴収していない都市、たとえば横浜であるとか東京の区部などでその徴収をしていない理由、いわば歴史的経過もこれはあると思うのですけれども、その点について承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/69
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070・久保赳
○久保説明員 下水道の受益者負担金制度をとっておらない都市に大体二通りございまして、一つは、たとえば先生いま御指摘の東京その他の大都市でございますが、これは戦前に同じく、根拠法は都市計画法に基づきまして、受益者負担金の制度を持っておったわけでございます。その制度によって受益者の方々に負担をしていただいて、戦前の下水道事業を実施しておったわけでございますが、不幸なことに戦争で事業が途中でストップをする、あるいは戦災によってその受益者負担金関係の資料が焼けてしまいまして、一部負担をしてもらったという方も明らかでありますが、どこからどこまでを負担をしたというようなことが書類上不明確になったまま、戦災、終戦ということになりまして、戦後それらの整理がつかないまま、受益者負担金制度を再開できなかったということでこの制度をとっておらない、こういうものが主として大都市、戦前の下水道事業実施都市にございます。
それからもう一つのグループは、最近に見られます新しい市街地開発、まあ団地でございますが、それを実施をする場合に、団地開発に先行して、あるいは同時に下水道事業を実施をする、こういう形態がございますが、その場合には、最終的に土地の価格の中にそれらの受益者負担金制度に見合うお金が入り込んでしまっておりますので、それらの都市では実際上受益者負担金制度を実施する必要がございませんためにそういう制度を採用しておらないという、二つのグループがございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/70
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071・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これは自治省に伺いたいのですが、昭和四十年の十月二十五日に建設省との合同通達で、「公共下水道事業の実施に伴う受益者負担金制度の採用について」という通達が出ていることは御存じのとおりであります。これは財政局長と連名であります。「受益者負担金制度の採用にあたっては、受益者負担金の総額を建設事業費の五分の一以上三分の一以下とすべきである。おって、受益者負担金制度を採用している都市にあっては、負担金徴収の基礎となる事業計画どおりに下水道の整備を図ることが必要であるため、これらの都市に対しては国費の補助及び起債の許可を優先的に考慮する方針である」ということが指摘をされております。この受益者負担金を採用させることによって国費の補助、起債の許可を優先するという考え方には幾つかの議論があるわけであります。こういう考え方というのは、ある意味で差別の考え方とも言えるのではないだろうかと思うんですけれども、その辺についての見解は今日なお生きておるのかどうか。当時の状況から考えて、当時の状況、そういうものを出した経過その他を含めて、今日の状況についても一つの見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/71
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072・松浦功
○松浦政府委員 受益者負担金を求めるという考え方が是か非かという問題、これはいろいろ御議論もあろうかと思います。これは基本的に差しおくといたしまして、そういう制度をとったところに国費の補助あるいは起債を優先的に配慮をするという考え方は、当時のいろいろ財政的な困難性の中でそういうものまで取って苦労をしておるところに金を流したほうが、何と申しますか、格安というとおかしゅうございますが、一般財源の持ち出しをしないで下水道の整備がどんどん進む、そういう観点から建設省及び自治省で御相談になられて出したものと思っております。
現在の段階におきましても、これは基本的に受益者負担金制度の根本に及ぶ問題でございますが、やはり下水道が整備されることによって個人所有の土地の価格、値打ちというものが上がっていくという観点から、ある程度のものを応分の負担として出してもらうことは、私どもとしては適切な処置であろうかと考えております。したがって、あまり露骨に、分担金を取ってないから補助金をやらない、起債を認めないということはいかがかと思いますけれども、そこまで努力をしているところについてはできる限り配慮をしていくということについては、現在の段階でも考え方としては生きておるのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/72
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073・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いま、値打ちが上がってということばが財政局長からありました。
これは建設省に伺いたいのですけれども、受益を客観的に決定することがたいへん困難だろうと私は思うのであります。特にその範囲及び因果関係が明確にならないという点については、かねてから各方面でも意見が出されている点であります。これは第一次の下水道財政研究委員会の答申を含めて、答申というか、提言を含めて、三分の一あるいは五分の一というものがきまっているわけでありますが、この三分の一あるいは五分の一というのは、受益の測定によるものではないと思うのであります、このときの経過をよく調べてみますと。なぜ三分の一とか五分の一という数字が生まれてきたのかという点について見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/73
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074・久保赳
○久保説明員 ただいま先生の御意見の中にもございましたが、第一次の下水道財政研究委員会というのがたしか昭和三十六年に提言を発表されたと思うのでございますが、その中に、下水道が整備された区域というのは整備されない区域に比較をいたしますと、その区域の中で著しく受益があるというふうに指摘をされまして、その区域のそういう受益というのは公の費用で受益が出てくるわけでございますから、その費用を一部社会に還元するのが適当であって、その範囲は総事業費の三分の一ないし五分の一の間ではなかろうか、こういう提言があったかと思うわけでございます。
それの根拠の問題でございますが、やはり最大の条件としましては、下水道整備をすることによって、整備された区域内では、雨水の排除はもちろんのこと、汚水の排除処理、あるいは水洗便所ができる、そういう設備がないところに比べましては著しく受益があるわけでございますが、その受益というのは投下した資本額によって受益が出てくる、こういうふうに一応考えられますので、投下した資本額を上回ることはあり得ないにいたしましても、その範囲内であろう。
その中で、三分の一ないし五分の一という数字——幾らであるかということはいろいろ議論がございましたが、戦前等、長い間受益者負担金制度を実施していく過程の中で、三分の一ないし五分の一を、土地の広さに比べまして坪当たり何円、あるいは戦前は何銭ということで出した数字が、その区域の皆さんの合意を経て実施をされてきている。こういう姿から逆に受益の範囲というのは一般的に多くの皆さんに承認をしていただけるそのぐらいが受益だ、こういう範囲が三分の一ないし五分の一だったということから、受益の範囲というのは一般的にいいますと総事業費の三分の一、五分の一という数字として提言されたように聞いておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/74
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075・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いま下水道部長から、地域の皆さんの合意ということが言われました。どういう形の合意があったのかということを実はお聞かせいただきたいと思うのです。というのは、御承知のとおりに、私が言うまでもないのですけれども、投下した資本が大きいわりに受益がたいへん大きい場合もありましょうし、投下した資本が少ないけれども受益が多かったというケースもあるわけでありますが、そういうものを一律に、しかも整備区域内ということで線を引いて、そして機械的に資産価値の増加という形できめつけているわけですが、もう一ぺん、その区域の合意というのは、どういう手続でコンセンサスが得られたものなのかということについての見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/75
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076・久保赳
○久保説明員 まず、地域の特定の問題につきましては、下水道が整備された区域とそうでない区域というものが非常に明確に出てまいります。と申しますのは、下水道法によりまして、下水道が整備されまして下水道が使える、使用が可能になる、そういう時期におきましては、公共下水道の管理者がその区域を公示しなければならないことになっております。したがいまして、下水道ができて使える区域というのは何丁目何番地のどこからどこまで、しかもはっきり線を引いて、ここからここまではできる、使用が可能であるということを明示いたしますので、下水道が使える区域と使えない区域が非常に明確になるということでございます。
その区域の中で、皆さんが三分の一ないし五分の一が受益の範囲であろうというような合意を得る得方は、現行法では市会の議決を経て条例を制定いたしますので、条例を制定する議論の中でもちろん市民の皆さんの意見も聞きますし、条例制定までの諸手続がとられる中で市民の合意が得られるというふうに考えられます。
それからなお、先ほど私が、戦前からの歴史の中で受益の範囲ということを申し上げましたが、戦前における、あるいは現在の都市計画法以前の旧法におきましては、市会の議決という手続ではございませんでしたが、実質上市会の全員協議会等を開いてその市の意見を上申していただきまして、それに基づいて都市計画法による政令、こういう手続をとっておりましたので、法律に基づく市会の議決ではございませんけれども、実質上住民の方々の合意が得られた段階で政令をきめておりましたので、皆さんの意見が一致したということはそこで確認できたというふうに判断をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/76
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077・岩垂寿喜男
○岩垂委員 たいへんあいまいなきめ方だと私は思うのですが、たとえばそれを一つの前提としてみて考えても、現実に各市でつくられた条例というのは、受益の額ということよりも、事業に要する費用の何分の一という形で負担金の額がきめられていることは御存じですね。そういう考え方についてどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/77
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078・久保赳
○久保説明員 確かに計算の根拠に事業の総額がございますが、これを画一的に三分の一というふうにきめているのではなくて、三分の一ないし五分の一というように、幅を持った一つの判断要素がそこにございますので、その判断の中で、ある都市は三分の一というふうにきめている都市もございますが、ある都市は四分の一とかあるいは五分の一というふうに、その条例をきめる段階で市会の議論を経て数字がきまりますので、頭から画一的に幾らというようなことできまっているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/78
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079・岩垂寿喜男
○岩垂委員 第三次下水道財政研究委員会、昭和四十八年六月十二日、の提言によれば、この金額についてあらためて三分の一とか五分の一とかという言い方をしないで、そういう言い方ではなくて、多くの都市で大体きめられた金額でひとついこう。正確にいえば「受益の範囲内で事業費の一部を負担するという原則に立脚しつつ、現在負担金制度を採用している各都市の負担の水準を勘案して、」妥当な金額、こういうふうにいっているわけですが、この各都市の負担の水準を勘案して妥当な金額というのは、おっしゃるところの三分の一ないし五分の一とどのように違うのか、その点を承っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/79
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080・久保赳
○久保説明員 ただいまの第三次の下水道財政研究委員会の提言の中における受益者負担金制度の考え方も、これもその時点での提言として出ておるわけでございますが、この中では、明らかに、受益者負担金の金額をきめるにあたりましては事業費の一部を負担をする、こういう原則に立ちながら、一体受益というものはどのぐらいであろうかということをまた別の見方で、現在、先ほど御説明いたしましたように、二百五十の都市で受益者負担金制度が実施をされておるわけでございますから、類似都市、いろいろな条件が似ている都市の受益の測定、あるいはその地域の市民の方々が賛成している受益の額、そういうものをも参考にいたしまして金額を明示したほうがよくはないか、幾らという金額を条例の中に書いたほうがいいのではないかという提言というふうに聞いております。したがいまして、その受益の金額を明示する段階で、総事業費に対して一体三分の一なのか五分の一なのか、その辺のところは、当然計算の基礎が比較照合されまして受益者負担金の金額が出てくる、こういうふうに理解をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/80
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081・岩垂寿喜男
○岩垂委員 類似の都市とか、それから賛成をしている住民の気持ちとか、そういうものはどういう形ではかっていくのですか。非常にあいまいな形だと思うのですけれども、その点についての見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/81
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082・久保赳
○久保説明員 先ほど申し上げましたように、受益の総額というのは投下したお金を越えることはあり得ないわけでございまして、それを限度として、経済的に金銭で計算いたしますとそれ以下になるだろうということは当然だろうと思いますが、その中で下水道の計画を進めていく計画の内容が、地形の要因であるとかあるいは都市の規模であるとか、あるいはその都市が立地している場所等によりまして、類似の都市というのは当然考えられるわけでございますから、下水道の計画内容あるいは事業費——計画内容に基づいて事業費が出てまいります。それらを比較する意味で類似の都市を選ぶということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/82
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083・岩垂寿喜男
○岩垂委員 それじゃちょっとお伺いしますが、下水道施設というのはもう今日では、これは久保さん、専門家なんですけれども、国民生活にとってある意味でのナショナルミニマムであるというふうに考えてようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/83
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084・久保赳
○久保説明員 第三次の下水道財政研究委員会でも、下水道施設というものをナショナルミニマムということで考えるべきであるという提言がございます。下水道施設の性格はそのようなものであると思いますが、現状を見ますと、御承知のように東京都の二十三区ですら約半分ぐらいしか下水道設備がない、日本全国から見ますと約二〇%ぐらいしか現状では普及されていないという状況でございますから、ナショナルミニマムであるという施設まで、そのレベルまで到達するにはまだかなりの年数があろうかと思います。施設の性格的には先生が御指摘のとおりであろうかと思いますが、現状は必ずしもそこまでいっておらない、こういう状況であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/84
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085・岩垂寿喜男
○岩垂委員 第三次の研究委員会の提言によっても、「下水道によるサービスはいわゆる公共財として公的主体が責任をもつて供給すべきことが原則であり、」こういうふうに書いてあります。「したがつて、これに要する経費は、汚染者負担を除き、その相当部分は公費をもつて負担することが適当」だというふうに言い切っているわけであります。いま部長からもお話しになりましたように、自然保護や水資源の保全について不可欠な施設であるという、下水道が持っている性格、つまり下水道というのは都市地域だけの施設じゃなくて、同時に、特定の個人が利益を受けるような施設ではなくて、一般的な公共財である、そういう認識がもう一定のコンセンサスを得ていると思うのであります。
そういう意味から、これは受益者負担という手続ではなくて、いわゆる一般的な税負担をもって当たるべきではないだろうか、この考え方が非常に強くなってきていると思うのですけれども、その辺について、いまの時点で受益者負担という考え方についての見解を承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/85
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086・久保赳
○久保説明員 第三次の下水道財政研究委員会の提言は、ただいま先生が御指摘になったとおりで提言されておりますし、原則として公共財、公の費用でもって、税金でもって施設をすべきであるというところはそのとおりであろうかと思います。いわゆるPPPに基づく汚染者の費用負担の部分を除きまして、そのとおりであろうかと思います。
ただし、同じ提言の中に、そういう原則を述べながら、そういう公共のお金でもって整備することによって利益を受ける者は、その利益の一部を公共のために、社会のために還元すべきである、それを受益者負担という形で還元すべきであるということも書かれておるわけでございまして、現状、下水道整備の実情を見ますと、整備された区域の中に土地に関する権利を持っておられる方は、土地に関する権利を持たない方と比較をしてみれば明らかなとおり、あるいはまた、整備された区域内に土地を持っている人は、整備されない区域に土地を持っている人と比較をいたしましても、明らかに公共的な投資によって利益を受けているということはいえるのではないかと思うわけでございまして、その利益の一部を社会に還元するというのは、やはり公平の原則からいきまして適当なることではなかろうかというふうに判断をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/86
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087・岩垂寿喜男
○岩垂委員 確かに第三次下水道財政研究委員会の答申によれば、特定の者に生じた利益を社会に還元するというふうに書いてあります。これは、たとえば利益を得た者といわれるもの、それからその次に書いてある、例のキャピタルゲインの吸収の問題、これを考えてみれば、公平の観点という点から見るならば、土地の所有者のみに帰属する利益というふうに私どもは理解するわけであります。そうであるとするならば、それはむしろ受益者負担ということよりも、税で、たとえば固定資産税その他の形で捕捉をしていくというたてまえのほうがより公平を期すことになりはしないだろうか、こういうふうに思いますけれども、その点の見解を承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/87
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088・久保赳
○久保説明員 先生御指摘の、公平の原則からいって固定資産税その他で税金としてまかなうということが適当でないか。いろいろ御議論があろうかと思いますが、受益者負担金が、明らかにそういう系統の税制、税金と違うという点が実はございます。国もしくは地方公共団体の一般の経費をまかなうために、税金という形で私人の能力に合わせて徴収をするというのが税金であろうと思いますが、受益者負担金はそういう一般ではなくて、特定の事業によって特定の人が利益を受けた範囲内で負担をするという点でも明らかに違いますし、もう一つ非常に異なる点は、下水道が整備された区域の中の土地の所有者は、国有地であれば国、県有地であれば県、市の所有地であれば市というふうに、一般の私人のみならず、そういう国、公共団体の土地の所有者も受益者負担金を払うわけでございますから、そういうように運営もされておりますし、そういうように予算措置もされておりますから、その点から見ましても明らかに一般の税制とは異なる点がございます。現状から見ますると、そういう著しい受益というものに負担の公平を求める制度といたしましては、受益者負担金という制度が現状では適当ではないだろうかというふうに判断をしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/88
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089・岩垂寿喜男
○岩垂委員 それではその次に、受益者負担金というのは、実は、そうは言いながらも、いま部長おっしゃいましたけれども、ある意味で租税の賦課と同じようなものになっているのではないだろうか。これは、たとえば負担金というのが、現実に公共下水道事業によって受益するといなとにかかわりなく、線を引かれた一定の賦課対象区域内に存する土地の所有者には、一律に土地の面積に応じて賦課されるわけですね。しかも大切なことは、これを納めないときには例の国税滞納処分の例によって、国税徴収法によって強制徴収されるということになっているわけです。その意味では、租税と違うという議論というのは、現実のそういう手続の面で区別することができないようになっていると思われるのですけれども、その点はどんなふうにお考えになってますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/89
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090・久保赳
○久保説明員 御指摘のように、徴収の方法等は税金ときわめて似ているといいますか、同じようなところが多いかと思いますが、受益者負担金というのは、先ほどから申し上げておりますように、公の費用でつくって著しく利益を受けた人から、利益の範囲内で社会に還元してもらう仕組みでございますから、これは固定資産税のように毎年徴収を受けるということではなくて、一回限りでございます。もちろん、その一回納めるお金を三年年賦とかあるいは割賦で納める仕組みで運用されておりますけれども、原則として一回限りでございます。したがいまして、徴収のしかたその他については似ているところがもちろんございますけれども、中身はかなり違う。それから、先ほど申し上げましたように、国有地からも、国の財産である土地からも徴収をするわけでございますから、これは明らかに違うというふうに判断していいんじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/90
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091・岩垂寿喜男
○岩垂委員 徴収の方法は似ているんじゃなくて、徴収の方法は税金と全くそっくりですね。そのことは認めますね。
それから、いま私が申し上げましたように、それからさっき部長がお答えになったように、受益というのをはかってその限度内で賦課しているわけじゃなくて、さっき条例を制定する場合の基準で言ったように、事業に要する費用の何分の一という形で負担金がきまっているわけであります。その意味では、これは受益者負担金という本来のものよりも、一種の事業の分担金、見方によっては特別の目的税というようにさえ見る見方が成り立つのではなかろうか、私どもはこんなふうに思いますけれども、その点の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/91
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092・久保赳
○久保説明員 まあいろいろな見方があろうかと思いますが、やはり下水道の受益というのは非常に明確にその区域がきまるということ、その区域の中で、個別の土地の態様によって受益者負担金額というものを、かりに受益があるとすれば、受益の測定をするということが事実上現実問題として適当かどうか、こういうこともございます。したがいまして、ある一つの地域それ全体が下水道が整備をされまして、その地域全体がいわゆる雨水を含めまして下水、それらの心配が一切ない良好なる環境になる、こういうふうに判断いたしますると、その区域全体を一つのマクロにとらえまして、その区域全体の受益というものが、三分の一か五分の一かという議論はございますけれども、それは当該自治体の判断できまったとかりにいたしますと、その三分の一なり五分の一というものがその区域全体の受益であるというふうに考えることは私は可能だと思いますし、またそういうことが条例を制定する段階で議論をされてきまってきておることでございますから、もちろん議論の過程で全員賛成であるかどうかわかりませんが、多数の方々が賛成してきまっておることでございますから、そういうものをもって受益というふうに考えてもいいんじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/92
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093・岩垂寿喜男
○岩垂委員 それは議会で一致を見るからということなんですけれども、それだからいいんだということだけれども、実際問題としては、さっき私が申しましたように、受益者負担制度というものを採用するというところに対して国費の補助や起債の許可というものを優先させるということをやっているわけです。言ってしまえば、あめとむちだろうと私は思うのであります。そういう政策をやっていて、そしてしかし、にもかかわらず、議会では自由な意思できまったんだからそれでいいじゃないかという論理は、必ずしも一貫した論理ではないように実は私は思うのであります。やはり徴収義務みたいなものを押しつけているというふうに言われてもやむを得ないのではないだろうかと思うのであります。
それはさておいて、いま部長言われたとおりに、排水の区域内の住民は事実上その使用を強制されるわけです。私のところだけはそれは関係ありませんというわけには実はいかぬわけであります。そういうものだから、下水道というのは、地方公共団体だけに許されたいわば公益的な、正確なことばじゃないのですけれども、非営利的な事業というふうにされているんだろうと思うのでありますが、そういうものであればあるほど、とりわけ、私がさっき言ったように、今日では国民が健康で文化的な生活を営むということ、それから、これは第三次答申や第一次、二次を通していわれていることでありますが、自然保護や水資源の保全にとって不可欠なものだから、住民の福祉の増進につとめるべき地方公共団体の当然の義務だと、こういうふうに実は規定されているわけであります。
それやこれやのことを含めてみて、やはり公共下水道の費用というのは原則として公費で、これはもちろんいろいろな方法があると思うのですけれども、租税による方法や公債による方法はあると思うのですが、原則として公費でまかなわれていくということが筋道ではないだろうか、こんなふうに思いますけれども、見解をあらためて承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/93
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094・久保赳
○久保説明員 原則として公費ということについては、これは第三次下水道財政研究委員会の提言のとおりかと思いますが、その公費によって利益を受ける人があって、その利益の範囲内で社会に還元するということもまた、公平からいえば適当なことであろうと思います。現状では、その制度の採用を条例等をきめる段階でいろいろ議論された結果、その制度が運用され、しかもなお受益者負担金の徴収率というのは非常に高い、九十数%というのが普通でございますが、非常に高いということは、やはり多くの方々がその制度の受益者負担金等を通じて利益の一部を社会に還元するという趣旨に賛同されている結果だろうと思いまするし、そういう実態等から判断いたしましても、原則は公費でつくるということを前提にしながら、一部そういう負担制度が残るというのは公平であろうというふうに考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/94
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095・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これは、受益者負担の賦課をしてもよいという実体法上の根拠というのは公共下水道事業にはないわけですね。たとえば道路法とか港湾法とか河川法とか土地区画整理事業法などの規定は、それ自身として受益者負担の制度が法律の中に生かされているわけですが、公共下水道事業の場合にはそういう規定はないわけですけれども、この点についてどのようにお考えになっているか。つまり、もっと正確に言えば、都市計画法で公共下水道のほうの受益者負担というものを取っている、そういうやり方についてどのように考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/95
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096・久保赳
○久保説明員 先生御指摘のように、道路法、河川法あるいは砂防法、海岸法等では、その法律の中に受益者負担金に関する条文がございますが、下水道法にはそれがございません。しかし実際上、戦前から都市計画法に基づく下水道事業の受益者負担金制度が運用されておりますし、現在下水道が整備をされるべき区域というのは、ほぼ都市計画法を適用すべき都市が下水道事業を実施しておるわけでございまして、これから先になりますと都市計画法を適用し得ないような、先生先ほど御指摘の、山の中の自然保護のための下水道とか、都市というものがないようなところの下水道というものはあり得ると思いますし、また必要だろうと思うのですが、そういうところにはこの制度は及ばない。ただし、都市としての形態を持った密集地域等については、都市計画法で十分この制度の運用ができるということから下水道法にはないわけでございまして、別に下水道法にないからそういう制度が動かないという実際上の支障がございませんでしたので、下水道法改正の場合にもその議論はしなかったというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/96
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097・岩垂寿喜男
○岩垂委員 都市計画法七十五条の「著しく利益を受ける者があるときは、」というところ、それから「その利益を受ける限度において、」というところ、そして「当該事業に要する費用の一部を当該利益を受ける者に負担させる」という三つの点が問題にされていると思うのであります。御理解をいただいているとおりに、著しい受益というものが下水道事業を進めたことによってもたらされるだろうか。これは、たとえば大土地の所有者あるいは大地主、こういう人たちがいわゆるその開発の利益を受けるということとは違って、一般市民が受ける生活上の便益というものは必ずしも著しいものだとは考えられない。かりにその事業によって地価の上昇があったとしても、それは、地主ではない一般の市民、たとえばそこに一人が住んでいれば、その住んでいる人はそれを売らなければ利益という形に見積もることはできないと思うのでありますが、そういう点について著しい利益というふうにはたして受けとめられるかどうか、この辺についても一ぺん見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/97
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098・久保赳
○久保説明員 都市計画法七十五条に基づく著しい受益というものの解釈の問題であろうかと思いますが、この辺はあるいは意見が分かれるところかもしれませんが、私ども下水道事業を実施している立場から、あるいはその実施されたあとの状態等を全国の都市等について見ますと、下水道が整備されておる区域とされてない区域というものを比較いたしますと、されておる区域は、たとえば相当な雨が降りましても、その地域に下水道が整備されているがゆえに雨水の排除が十分行なわれて、水がたまったりあるいはあふれたりということがございません。さらにまた汚水の問題一つ見ましても、各家庭なりあるいは町の中から出てきます汚水が下水道に収容されることによって、その付近にたまって蚊の温床になったりあるいはハエがわいたりすることがない、こういうような生活環境から見ますと、そうでない地域に比べて著しく環境がいいというふうに判断されますし、それから各家庭で水洗便所を一つ見ましても、便所の水が下水道に収容されて、その付近にはバキューム車も入ってこない、こういう環境になりますと、そういう面から見ましても著しく改善された土地であるということは言えると思いますので、都市計画法七十五条に基づく著しい受益がある、こういうふうに判断してもいいのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/98
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099・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いまの水洗便所その他のことを考えてみますと、生活はこれだけ社会化してしまっているわけです。社会化したというのは、そこに住んでいる人たちがもちろん求めている要素もあるわけですけれども、いまのようにバキュームカーも来ない、くみ取りに来なければ、水洗にせざるを得ない。生活ができないわけです。つまりまわりの社会化された生活に個人の生活がいわば従属をするというか、そのワク組みの中に規定されてしまっているという生活の状況というのが今日の特徴だろうと思う。それは何も下水道の関係だけじゃなくて、一般的にもそのことは言えると思うのであります。そういう場合に、つまり個人にとってみれば、まわりのそういう社会化された生活環境の中に、好むと好まざるとにかかわらず組み込まれなければならないという状況がいまの時代、とすれば、そのことによってもたらされた結果というものを著しいというふうに判断をするのは、これはあまりにも一方的であり、下水道がぜいたくな施設だといわれた時代とはちょっと違って、今日の条件の中では著しいという判断の基準にいささか問題が起きてくるのではないだろうか、こんなふうに思いますけれども、その点の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/99
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100・久保赳
○久保説明員 どうも議論が平行線のようでございますが、先生おっしゃいますように、社会の環境は明らかに変わってきておりますが、東京の都内はもちろんのこと、横浜、名古屋、大阪等の町の中を見ましても、町の中心部こそ非常にきれいになっておりますが、ちょっとそれをはずれますと、東京都でいいますと世田谷とかあるいはずっと東の江戸川区とか、そういうところに参りますと、確かに人口密集市街地、密集地域でいわゆる一見都市的な形態をとっておりながら、その裏にはどぶ、みぞがあり非常に環境が悪いという実態が多く見られるわけでございます。それらの地域に下水道が整備されますと、少なくともそういうものがなくなって、その排水という面から見ますと非常に快適な環境になるわけでございまして、著しいというふうに判断せざるを得ないというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/100
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101・岩垂寿喜男
○岩垂委員 著しいか著しくないかという論争をしていても、ある意味では量の問題でありますから平行線かもしれません。
それでは伺いますが、一体利益を受ける者、つまり受益者というものが必ずしも明確でないケースが多いのであります。私の地域、鎌倉でございますけれども、鎌倉の場合は、下水道問題の発端というのは、海水浴場で汚染問題が起きまして、そして地域的にそれを急ごうということに実はなったわけです。ほんとうの受益者というのは、それは零細な企業なんですけれども、観光業者、交通やあるいは旅館の海水浴に関係のある業者がある意味で一番受益者、表面の受益者になるわけですね。これはちょっと例としてあまり正確じゃないのですけれども、そういうケースを考えられる反面、実はこの条例によると、地上権者、賃借人というような人たちにまで受益を迫っているわけです。そうなりますと、家賃が上がるとか地代が上がるとかいうことの、金額はともかくとしても、そういう形ではね返る可能性というのは十分あるのであります。だから、一体何が受益者なのかという、受益者のいわば定義みたいなものがさだかでない。これは何も鎌倉のケースだけでなしに、全般的にそういうケースが多いと思うのであります。これは実は、小さい議論をしているようなんですが、現実にこの都市計画法七十五条で公共下水道の受益者負担をきめているたてまえについて議論をしておりますので、その点を御理解を願っておきたいと思うのですが、受益者というものがさだかでないという点について、一ぺんこれは承っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/101
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102・久保赳
○久保説明員 下水道施設がされたことによる受益者という御意見だと思いますが、確かに受益者ということばがいいかどうかわかりませんが、下水道の施設をされたがゆえに、たとえば鎌倉なら鎌倉の下水道の整備がされたがゆえに七里ケ浜がきれいになった。こういうふうにいたしますと、そこの観光あるいは七里ケ浜のきれいな水であるいは利益を受ける人がかりにおるとしますと、その方も受益者であるというふうにあるいは言えるのかもしれませんが、それは別な法律、別な環境対策の上から、きたないものを出して公の水がよごれるあるいはある一定の水質の基準を上回らないようにするというのは、排出者の責任できれいにしてから出せ、こういうふうになっておりますので、御議論の御趣旨はわかりますけれども、その鎌倉の観光業者が受益者であるというふうにきめつけてしまうことについては若干議論が残るのではないだろうかと思います。
それからなお、現在受益者負担金制度が運用されております中で、下水道が整備された区域の中に土地を持っている人あるいは土地に関する権利を持っている人が受益者であるというふうに一応考えております。それは、それ以外にもあるいは受益者というのがあるかもしれませんけれども、それらの土地を持っている方が土地を持っていない人に比べますと利益を受けるということは、ほぼ言っていいのではないかと思う次第でございまして、それ以外の者がかりにありとすれば、そういうものの捕捉といいますか、受益者の定義というものを明らかにしていく努力は別途しなければならない思いますけれども、土地を持っている人が受益者ではない、こういうことも言えないと思いますので、現行法の運用は現実的にはまあまあその辺ではないだろうかと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/102
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103・岩垂寿喜男
○岩垂委員 鎌倉のケースでいえば、実は全市下水道計画というのを持っているわけですね。それがある部分だけ受益者負担が課せられているわけですね。全市に広げていくということは、ある意味でそれは市の方針として、それから国の政治とのかかわりを含めてやっていくわけですね。そうした場合に、その一部分の地域の受益者といわれる方々だけに負担を強制するという考え方、これはやはり私は問題があろうと思うのです。それから、いま言われたように、たとえば観光業者なんかは受益者とは必ずしも言いがたい。しかし現実に一番利益を受けている人たちはやはりその人たちだと思うのであります。だからその受益者というもののきめ方が非常にあいまいにならざるを得ない、現実問題としてこの適用の場合。その点についてはお認めになっていらっしゃると思うのです。私は、建設省自身もその辺の線の引き方というのはむずかしいということを承知していると思うのですけれども、その点についていままで議論をしたことがあるかどうか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/103
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104・久保赳
○久保説明員 問題、二つございましたが、一つは、たとえば鎌倉に限って申し上げますと、鎌倉は将来鎌倉市内全部下水道計画がある、こういう御指摘でございますが、これはそれでけっこうだと思いますが、そういう中で、ごく限られた区域の方にだけ受益者負担金制度を適用するということではないと思います。と申しますのは、受益者負担金制度は、受益が実際に出てくる時点で、たとえばパイプが入って、下水道が使えて、その土地が良好な環境になる、こういう時点で賦課が始まるということを原則として運用されていると思います。若干その時期がずれるところがあろうかと思いますけれども、そういう原則で運用されておりますので、鎌倉市の下水道整備が進行するに合わせて、現在は負担をしておらない地域にも負担をしていただくということで、全市が公平に負担をするということで制度が運用されるものと思う次第でございます。
それからその次の、七里ケ浜かどうか、あの辺の観光業者の問題でございますが、これは下水道のみに限らず、一般の公害対策全般がそれらの問題をはらんでいると思います。それらの地域の方々は受益者なのかあるいは被害者なのか、この辺はなかなかわからないと思うわけでございまして、私どももずいぶん広い立場からそれらの受益者とは何かということを議論をしたことはございますが、観光業者の方々は、あれは観光業者かどうかわかりませんが、昔は非常にきれいな水で、魚をとったりあるいはいろいろなことをしておられた方が、最近の都市化現象あるいは最近のいろいろな公害対策の手おくれ等によりまして被害を実は受けておるわけでございまして、被害を受けておるという実態そのものがこれは適切でない実態で、それが対策によってもとの姿に返ったというのは、それを受益者だというふうにきめてしまうことについてはこれは議論もあると思いますし、適当ではないんじゃないかという議論をした結果、一応土地の所有者、整備される区域内の土地の所有者が受益者であるというふうにすることが現実的な一つの考え方、解釈じゃないかということを議論をしたことはございます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/104
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105・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いまお答えをいただいた中の前のほうですが、特定の者のみが著しい利益を受けるという、このいまの七十五条の考え方から発想する利益というのは、昭和十六年の九月二十七日の行政裁判所の判決によれば、「経済的利益ニシテ金銭ニ見積リ得ルモノノミ」というふうに実は指摘されているわけであります。いま議論のやりとりを聞いてみて、実はいまの「金銭ニ見積リ得ルモノノミ」というこの判決に関係して一体どういう形で積算をし、どういう形で金銭に換価しているかということがやはりあいまいなんです。やはりどっちかといえば、受益者の利益ということよりも工事費の負担というところにウエートをかけて、そしてその何分の一という銭を捻出しろといわれる形で条例がつくられているという経過的なものを感ぜざるを得ないのであります。その点については私はにわかにいまの部長の御答弁に賛成するわけにはいかないわけであります。この点については、受益者負担金制度それ自体にかかわってこの下水道事業の議論を一ぺんなさっていただきたいと思うのですが、その点について見解があるならばお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/105
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106・久保赳
○久保説明員 確かに受益の測定というのは非常に容易なことではないと思いますが、現在私どもがやっております試算、受益の経済的な数字であらわすやり方の根拠として、下水道の投資額あるいは総事業費、そういうものを使っておるわけでございますが、見積もりのしかたとして、総事業費を投入することによって良好な土地になる、整備された土地になるということはこれは事実でございますし、それをベースに計算を進めるということは一つの方法ではなかろうかと思うわけでございます。そのことだけをとらまえますと、いかにも工事費の分担金を課すというふうに御指摘になりましたし、またそういうふうにお考えになりやすいと思いますけれども、また別な見方をしますと、その投資額によって環境が整備される。そうすると、投資額を計算の基礎に使うということもこれまた適当な方法ではないかと思いますので、今後いろいろ検討、研究も進めるつもりではおりますけれども、根本から誤っておるというふうには考えておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/106
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107・岩垂寿喜男
○岩垂委員 私は、この受益者分担金制度というのは、やはりある意味で二重課税の性格を強く持っているということをいわざるを得ないと思うのであります。特に金額の大小ではなくて、都市計画税なりその他さまざまな租税負担があって、それにプラスして受益者負担金を出している、こういう制度というのは、ほんとうは租税法律主義の立場からいえばあるべき姿ではない。事実上、しかも徴収方法が税金と同じ形で徴収をしているわけでありますから、そういう点で税の二重払いというか、二重負担だということを強調をせざるを得ないと思うわけでありますが、この受益者負担について一そうこれを推し進めていくという考え方がいろいろなところに出されているところであります。
私が心配なのは、この受益者負担という制度が、単に下水道だけじゃなくて、いろいろなところにそういう思想が、あるいはそういう考え方が拡大解釈をされて広がってきている、この傾向を否定することはできないと思うのであります。たとえば、これも財政研究委員会の提言の中にありますが、汚染者負担の原則、たとえば特定の排水、そういうものについて業種別、地域別の実情を配慮して定めることはどうかという提言があるわけでありますが、こういう考え方について、その後建設省はどのような検討をなさっていらっしゃるか、これについて承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/107
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108・久保赳
○久保説明員 汚染者負担の原則をどういう形で実施をするか、こういう方法の問題かと思いますが、建設省では第三次下水道財政研究委員会の提言を受けまして、汚染者負担の負担のしかたを、下水道使用料という形の中で、実際に排出するある工場なら工場、事業所なら事業所から下水道に排出される下水の量並びにその質、両方を考えました下水道使用料制度を確立いたしまして、その中で汚染者負担の適切なる費用負担をしてもらうのがよかろう、こういうふうに考えて、その使用料制度に対する検討を実施いたしております。
なお、その制度はまだ全国の下水道事業を実施している府県全部には採択をされておりませんが、きわめて最近に下水道使用料条例を変えるような都市につきましては、水質使用料制度を加味した下水道使用料制度をとることをおすすめいたしております。また、そういう制度をとる場合のいろいろ技術上の問題等につきましては、一応試案のような形をもって指導をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/108
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109・岩垂寿喜男
○岩垂委員 受益者分担金制度というものが、いろいろな問題があることはもうすでに御存じのとおりでありますが、東京都のこの下水道問題の委員会の答申の中に、たとえば、できるだけ住民に強制しない形での電話債券みたいなものに受益者負担制度というものを変えていく、そういう考え方が望ましいんじゃないだろうかという提言が実はあるわけであります。これはまだ個人の意見の段階でありますけれども、これらの問題について建設省は耳を傾けることがあり得るのかどうか、承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/109
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110・久保赳
○久保説明員 ただいま先生御指摘の、東京都の下水道財政に対する研究会であろうと思いますが、そこの提案の中に、下水道の建設の財源の一部として、電話債券のような利用債の御提言がございます。これは昭和四十七年だったか四十六年か、ちょっと忘れましたが、都市計画中央審議会の下水道部会で全く同じことが議論をされまして、下水道利用債の制度をつくったらどうか、こういう提言がございました。その提言を受けましていろいろ検討をしたわけでございますが、しからばそういう利用債というものをだれが引き受けるかとか、あるいは電話をつける人にそういう利用債を買ってもらうとか、そういう仕組みを下水道の場合に採用することはきわめて困難であるということから、その検討をその後いたしておりませんが、過去においてそういうことをかなり詰めた検討をしたことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/110
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111・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いま、受益者負担金制度について、鎌倉、北九州、広島、芦屋、大和郡山、行田などで、御存じのとおりに行政訴訟が行なわれています。特にこれは鎌倉の場合でありますが、去年初めに建設省のほうから、全国で同じような訴訟が起きていて、統一見解をまとめるために横浜国大の成田教授に鑑定書を依頼している、それまで待とうということであったわけですが、実は鑑定書が断わられたわけです。政府のほうとしては、鑑定書を断わられたまま、これで政府のほうの主張が終わるということに締めくくっているわけでありますが、ある意味で、依頼をした鑑定書が断わられるというような事態というのは、政府の側の、つまり被告の側の理論的な根拠に多くの無理があるのではないだろうかということに私どもは理解をしますし、そのように判断ができると思うのですけれども、これらの裁判の動向について建設省はどのようにお考えになっており、どのように対処なさるつもりか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/111
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112・久保赳
○久保説明員 鎌倉市の公共下水道受益者負担金問題について裁判が進行中であることも承知いたしておりますが、私どもが聞いておりますのは、横浜国立大学の先生に依頼したわけでございますが、非常にお忙しい方で、時間的な余裕がなくてそれにおこたえすることができないということが理由でお断わりになったというふうに聞いております。
なお、鎌倉市以外にも幾つかの都市でそういう裁判が進行いたしておりますし、現に北九州市の裁判におきましては私も証人として喚問をされまして、第一回の証人尋問がございまして、いろいろ質問に答えております。原告側の事情から次回がおくれておりますが、次には原告側の反対尋問があろうかと思いますので、その際に私どもの考えている、私どもがいままで実施している問題点等についてお答えをしてまいりたいというふうに考えております。
なお、ほかの都市も大体同じ趣旨のことでございますので、北九州市等によるそれらの裁判の進行等によって明らかになってくると思いまするし、何しろ裁判所で係争中の問題でございますから、ただいまいろいろな意見を申し上げることも適切ではなく、裁判の結果を待つという形にしてまいりたいと思いますが、行政担当者として言えますことは、やはり従来からの何度かの下水道財政研究委員会の提言やら、あるいは下水道受益者負担金制度を実施しておった実態等から見まして、受益者負担金制度が、公平の原則から見て、この制度は十分実際適用して支障がないというふうに判断せざるを得ないわけでございます。繰り返して申しますと、受益者負担金制度の一番の根本は負担の公平ということでございますので、その趣旨からいいますと適切ではないかというふうに判断をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/112
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113・岩垂寿喜男
○岩垂委員 今度公共事業に対して、特に公共下水道の事業に対する国の補助率が引き上げられたわけです。そして市町村の負担部分がかなり削減をされるという状態になるわけであります。そのこと自体はたいへんいいことだと私は思いますし、ぜひそうしてほしいと思いますが、そのことと、受益者負担というものをいまおっしゃられたようにこれからも続けていく、もっと積極的に、たとえばこの経済社会基本計画などに見られる姿を見れば、受益者負担というものをかなり広範に進めていくという考え方さえ実はあるようであります。この受益者負担金のあり方、情勢から見ても、それから、私はつたない法律論をやったわけですけれども、理論的な面でも、同時に、実際的に住民が受けている感情から見ても、率直にいって受益者負担金制度というものが再検討をされるべき時期ではないだろうかというふうに私は思うのです。とりわけそれは公共下水道の事業に関連してでありますけれども、これらの問題について、建設省としてはどのようにこれから扱っていかれるつもりか、その点を最後に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/113
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114・久保赳
○久保説明員 きわめて最近に、第三次の下水道財政研究委員会でもこの問題については触れて、公平の見地からこの制度の適用は適当である、こういう提言になっておりますし、やはり公の費用で施設をされたものによって利益を受ける人があれば、その利益の一部を還元するということは第三次の下水道財政研究委員会の提言のとおりであろうと思っております。したがって、その見地から、引き続いてその適用をはかるべきであるというふうに思いますけれども、これは地方自治体の判断いかんによるわけでございまして、地方自治体が条例をきめてそういうことを解決していこう、こういう状況になっている以上はその活用は続くもの、こういうふうに判断せざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/114
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115・岩垂寿喜男
○岩垂委員 地方自治体がやっていく気持ちがある以上、そう言いながら、現実にはさっき言ったように起債やら補助金やらの面で優先扱いをするわけなんですから、これは自主的に考えろというのじゃなくて、ちょうどあめとむちみたいなものですよ。ですから、こういう世論がいろいろな意味であらわれているときですから、ぜひこれらの問題、これらの制度について検討をいただきたい、このように思います。
同時に、裁判自身の動向というふうなものを私なりに見ても、政府の側に必ずしも有利だという状況だけではないような感じがします。そういう意味では、やはり政府が、そういう結論が出る前にどう対応していくかという、柔軟な政治姿勢といわれるものがいまこそ必要ではないだろうか、こんなふうに思いますが、その問題は以上で終わりたいと思います。
引き続いて、これは特に総需要抑制という観点から地方財政がいま問題になっているときなんでありますが、国体の問題について少し承っておきたいと思うのであります。最初に、文部省おられますか。——佐賀県で労働組合を中心にして、県評であるとか自治労であるとか教組であるとかというところを中心にして、国体のあり方について提言がありました。
それは、一つは自治体の財政を圧迫するという問題点であります。二つは、たとえば教育現場やあるいは自治体の労働者に対して、いろいろな意味でしわ寄せがいっているということであります。三番目は、国体自身が記録本位のものになっておるだけでなくて、非常にマンネリで、特に県民参加といわれるものが保証されていない。したがって、その運営に対して、県民の代表を入れて議論をしていくべきだということが早くから提示をされておったことを文部省として知っているか、承知しているかどうか、その点を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/115
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116・望月健一
○望月説明員 三つのことで、一つは地方の財政を圧迫しないか、それから教職員あるいはその他の職員の方々の勤務が非常に激しくならないか、あるいは記録本位になって、マンネリ化して、一般の市民スポーツとのつながりはどうか、こういうことは大体の傾向として聞いておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/116
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117・岩垂寿喜男
○岩垂委員 傾向として聞いていては困るのであります。そういう問題点というのは毎年の国体のたびに問題とされてきていることであります。特に地方財政の圧迫という問題点はゆゆしい問題になっているのであります。ある意味で国体というものがセレモニーになっているわけであります。そして、国民の体位向上という美名はありますけれども、現実には地方財政に多くの圧迫をもたらしておるということはいなめない事実だと思うのでありますが、ちょうど大臣おられますし、北海道の知事をなさっておられたわけですから、この点についてどのように大臣はお考えになっておるか、この際、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/117
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118・町村金五
○町村国務大臣 最近、国体のあり方がかなり大げさになると申しましょうか、施設その他が地方にとりましてはやや規模が大き過ぎて、そのために、あとになりましてから地方の競技施設としては十分活用ができないというようなことがだんだん起こっておるということを私どもも耳にいたしておるわけでございます。ただ、御承知のとおり、日本は中央、地方全体を通じまして、そういった競技場の施設が必ずしも十分でないということは言えるわけでございますので、やはり東京とか大阪だけに片寄らないで、全国的にそういう施設ができるだけ分布されるということはたいへん望ましいことだというようには思いますけれども、しかし現実には、最近だんだん規模も壮大を競うというようなことからいたしまして、その結果が地方財政にかなりの圧迫を与えておるということも事実のようでございます。これからは、この施設のつくり方等につきましては、できるだけ将来活用のできるというような程度にしてもらって、したがって、地方財政に対する圧迫というものがあまり起こらないような形で開催されることが望ましいのではないか、私はこう存じておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/118
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119・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いま大臣言われましたように、国体というものが記録重点にどうしてもなってしまっておるわけです。その意味で、既存の競技施設というものは間に合わなくなってしまっていまして、つくりかえなければいかぬ。つくりかえてみたところがあとはもう使えない。またつくりかえるというようなことを実は繰り返しているわけで、それは単に新しくつくる施設だけでなくて、いろいろな意味で地方財政を圧迫しておると思うのであります。
文部省に伺いますけれども、いま大臣の御指摘をいただいたように、国体のあり方について常々問題になっておるわけでありますから、承っておりますとか聞いておりますというようなことではなしに、何か対応なすったことがあるのかどうか。そしてその対応がどのように保証されてきているのか、その点について承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/119
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120・望月健一
○望月説明員 先ほどことば足らずで申しわけございませんが、そういうことを踏まえまして、ここ二年半ほどかかりまして、従来の経緯から、体育団体である日本体育協会を軸にしまして、それから参加する側及び開催する側及び文部省も入りまして、国民体育大会開催基準要項というものを変えてまいりまして、四十八年の七月にいままでのものからずいぶん前進した形で変えたわけでございます。
おもな点を簡単に拾ってみますと、いま御指摘のありました、大会の性格が一部のエリートのものになっては困るということで、社会体育の国民全般を対象にしたようなものにしたいということが第一点でございます。
それから第二番目は、過去ずっと前、地方財政が苦しかったときには、四国四県あるいは東北三県等合同してやったときもございますけれども、その後だんだん、いま大臣からお話がありましたように大きくなってまいりまして、単独開催などについても、これからは二つ以上の県が、了解するならば同時にやってもいいというような基本線も出しております。
それから大会の諸施設につきましても、スポーツ振興の普及に役立つ、地域住民が生活の中でスポーツができるような施設にしてくれ、大会用の施設にはしないでくれというようなことも入れました。
それから、規模が大きくなるということの原因は、やはりだんだん参加選手がふえていくということもありまして、今回のものは、その開催地の状況に応じて人員をある程度、三段階にきめてございます。
それから五番目は、種目を、実施する県がある程度選択できるようにする。それから競技種目については、社会体育である、一般国民のスポーツであるということを明示いたしましたので、高校の部とかそういうものはやめて、年齢で区切っていくというふうにしました。
そういうようなことで、国体の開催基準要項は四十八年七月十日からやりまして、早いのは来年、再来年の三重国体から実施していこう。いますぐ、変えてすぐ、もうすでに準備したことしの茨城はとてもそれをやれといってもたいへんだと思いますので、その次の三重から順にやっていこうということできめておったわけでございますが、その後なお文部省のほうとしましても、その開催基準要項が従来のものとは違ってずいぶん弾力的に運営できるようになっていても、これは開催する市町村及び参加する側が納得してくれないとなかなかやりにくい問題があるということの意味と、それから石油その他の事情もあっていろいろな物価暴騰のときでございますので、特に三月の十二日に開催県及び参加各県全部に対しまして、教育委員会と知事に対して次の四点を特に強調して通達を出して、もう一回国民体育大会を考えていただきたいというふうにしたわけでございます。
一つは、国民体育大会は、各都道府県ごとに選出された選手が参加して行なわれるスポーツの祭典であると同時に競技の祭典である。競技だ。それから競技にふさわしいような質実なものであってほしいということが一つと、祭典としての明るさ、楽しさをかもし出されるようにしてもらいたいけれども、これはそれぞれの開催県の実情をよく考えて、そしてその判断をしていただくということを入れたわけでございます。第一点がそれでございます。と申しますのは、前回の開催県あるいは前々回等を見習いまして、どうしても次の開催県がそれをまねしたがるということがありますので、まずその開催県の実情、特性というものに基づく方針のもとに準備をしていただきたい、これが一点でございます。
第二点は、競技施設は既存のものをできるだけ活用することとして、新しく施設する場合には、先ほどの大臣のお話もございましたが、地域住民が利用しやすい公共体育スポーツ施設として、大会後における県民、地域住民のスポーツ活動の振興に十分役立つようなものにしてもらいたい。具体的に申すと、あまり大きな観客席なんかよりも、フロアをしっかりとってもらいたいというようなことでございます。もちろん、この施設については、先ほど申し上げました日本体育協会がつくった開催基準要項では施設基準なども書いてございますけれども、それよりももっと弾力を持たせまして、日本体育協会がつくった要項の中で最低基準を満足することをまず当面の目標にしていただきたい。なお、それにもなかなか困難があるということであれば、関係者と協議して、これは競技団体あるいは地元の関係もございますが、それと協議の上、大会の競技施設として使用できるものというふうに考えていただきたい、こういうことを言っております。と申しますのは、えてして競技団体はすぐ世界の競技水準の云々というようなことを言いたいもので、そういうこと。
三番目は、二つ以上の県が一致して大会の開催を希望する場合には、そういうことができることが要項に書いてあるので、それにも着目していただきたい。
第四番目は、石油の危機等による経済事情、財政事情の急変のような特別の事情が生じ、大会の開催基準に基づく実施計画に支障を来たすような事態があった場合には、関係者と、日本体育協会、文部省、開催県協議の上、計画を多少変更することができますよというような意味合いの通知をし、県の実情、特性を大いに生かして、そして開催を準備並びに運営をしていただくと同時に、参加側もその気持ちでお願いしたい、こういうことをしたばかりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/120
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121・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これは佐賀県の例なんですけれども、実情を調べてみますと、県民参加ということを言ってきたにもかかわらず、事実上、企画段階から国体推進委員会がどんどんとスケジュールを組んでやっちゃっておる。県民参加なんということばが全く保証されておらぬ。あるいは現実に教育現場で見れば、体育関係のクラブ活動というようなものは制約をされたり、教師にオーバーワークが押しつけられるというケースもあり、自治体関係の労働者にもしわ寄せがあるということは現実に予想されるわけであります。あるいはまた財政の面でいえば、やはり福祉関係を置き去りにしていくというプログラムというものは、やむを得ざる事情としてそれは現実に予想されているわけなんであります。そういう事情があるから、その三つの条件を含めて、最初は条件付きで、このことが生かされるならばということで賛成をしてきたのだけれども、やはりこういう条件が満たされない。満たされないのみならず、事実上そういう条件を裏切る形で事態が進行しているということについて、労働者を中心にして国体返上運動が起こっているわけであります。
いま御指摘いただきましたが、この運動に反対をする人々と、文部省、日本体育協会あるいは県等、これは一つの組織になっていますから、協議会になっていますから、ぜひ話をし合っていただく。そうしてそれらの要求を受けとめてもらう努力を、いまからでもおそくはないと思うので、やっていただく用意があるかどうか。これは責任をもってやっていただきたいと思う。その点をお答えいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/121
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122・望月健一
○望月説明員 主催が、日本体育協会、文部省及び開催県でございます。そして、開催県から現在のところそういう話につきまして、もちろん情報は入っておりますが、まだ具体的な相談は受けておりませんので、いまの、佐賀県のお話でございますから、佐賀県の意見もあろうと思いますが、一応主催者はそういう考え方でおりまして、いま直ちにその関係者とすぐ話をするという考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/122
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123・岩垂寿喜男
○岩垂委員 話をする考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/123
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124・望月健一
○望月説明員 いや、県を通じてまずお話をして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/124
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125・岩垂寿喜男
○岩垂委員 だから、国会で議論になったわけですから、県とよく文部省が話をして、そうして、あらかじめそういう主張をしている人々と話し合うように御努力をいただきたい。そのように努力なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/125
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126・望月健一
○望月説明員 県を通じてそういう話を、十分この通達の趣旨も、それから先ほど先生御指摘もございましたが、教育現場を乱すとか、いろいろな問題につきましては十分話して、県を通じて指導していきたい、こういうことは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/126
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127・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これで終わりますが、国体自身がほんとうに国民のスポーツの祭典というか、体位の向上という筋道に沿うものになっていない。いろいろな形で弊害が起こっているわけであります。そういう意味では、基本的にこの問題を見直していただく、開催のあり方について基本的な検討を加えていただく、そのことを要求をいたしまして、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/127
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128・伊能繁次郎
○伊能委員長 和田貞夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/128
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129・和田貞夫
○和田(貞)委員 私、この機会にまず教えてほしいのですが、いわゆる団体委任事務というのと機関委任事務というのを、自治省としてはこれをどういうように区別をされておるか、明確にひとつ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/129
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130・松浦功
○松浦政府委員 機関委任事務というのは、おそらく御承知でございましょうと思いますが、本来国が行なうべきことを地方公共団体に、国の出先機関じゃございませんが、国の機関として仕事を執行することをお願いをしているその事務が機関委任事務。団体事務と申しますのは、県なり市町村なり、本来の地方公共団体が、自分自身で、憲法、法律のもとで行なうべきものとされている事務、こういうふうに、一般的に平たく申し上げれば御理解をいただいてけっこうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/130
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131・和田貞夫
○和田(貞)委員 そうすると、本来国の固有事務として、国の出先機関として仕事を委任をしておる、こういうことでありましたならば、これは原則としてその費用一切は国が負担する、こういう考え方に立たなければならないと思うのですが、そういう考え方でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/131
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132・松浦功
○松浦政府委員 地方財政法に九条という規定がございまして、「地方公共団体又は地方公共団体の機関の事務を行うために要する経費については、当該地方公共団体が全額これを負担する。但し、次条から第十条の四までに規定する事務を行うために要する経費については、この限りでない。」ということで、十条から十条の四までに特例が書いてありますものは国が別に費用を見ます。書いていないものについては、機関委任事務でありましても地方公共団体が負担する。これは経費の負担のやり方の問題でございますから、地方財政法がそういう定め方をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/132
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133・和田貞夫
○和田(貞)委員 たとえば、具体的に申し上げて戸籍事務の場合はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/133
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134・松浦功
○松浦政府委員 戸籍事務は古くから、これは当然機関委任事務だということになっておりますが、十条から十条の四の間には戸籍事務のことについては規定をしてございません。したがいまして、財政負担としては地方公共団体の負担になる、こういうたてまえになっております。したがって、地方交付税の算定の中で戸籍事務については全部見ておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/134
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135・和田貞夫
○和田(貞)委員 いま市町村の事務量の中で、概して一番大きなのはやはり戸籍、住民台帳事務それから国民健康保険事務、これはもうかなり大きな事務量のウエートを占めておると思うのです。私はこの間法務大臣に、戸籍事務は本来地方自治体としての事務なのか、国の事務なのかというようにお尋ねしますと、これは本来国の事務である、市町村にお願いをしておるのだ、こういうことです。そうすると、いま財政局長のほうから、地方財政法の中で明記されておらないので地方自治体としてこの財政を負担さすべきだということですが、本来国の事務である以上は国が経費を負担する、こういうことについて、いま自治体が負担しているということはよくないことか、いいことか、こういう質問をいたしましたら、法務大臣のほうは、これはよくないことだ、したがって検討しなければいかぬ、こういうことで、過日の法務省設置法が内閣委員会で論議されましたときに質問いたしまして、法務大臣が検討するという、こういう約束をしておるわけなんです。いまの自治省の考え方と、財政負担の点について食い違いがあるのですが、その点もう一度、法務大臣の考え方が間違いなのかどうか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/135
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136・松浦功
○松浦政府委員 大臣の御見解をとやかく申す立場にはございませんが、私どもといたしましては、地方団体が機関委任事務と固有事務とを円滑に行なえるような財源措置があればよろしいというのが基本的な立場でございます。戸籍事務等については本来国費ということで、国の負担金で委託費でやるということになりますると、膨大な経費がかかるはずでございます。そういうものは当然財源配分の際に交付税率あるいは税源配分、そういうもので計算が済んでおると思っております。したがって、誤りであるとか誤りでないとかいう問題ではなくて、財政措置の方法論の問題だけではないかと私どもは考えておりますので、大臣の御意見に対する批判は私ども持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/136
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137・和田貞夫
○和田(貞)委員 そうすると地方税の中にその経費は入っておるのですか、あるいは地方交付税の中に包含されているのか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/137
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138・松浦功
○松浦政府委員 いまの制度では、交付税と地方税とは交付税制度で直結しております。したがって、どちらに入っておるということを申し上げることはあるいは正確を欠くのかもしれません。要するに地方に対する一般財源として、それらのものが行なえるだけの経費が見込んであるというふうに申し上げるのが正しいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/138
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139・和田貞夫
○和田(貞)委員 これは交付税にも入っておるということになりますと、一つは、不交付団体にはそれらの経費が財源として見られておらないということになりゃしないか、こう思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/139
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140・松浦功
○松浦政府委員 私が申し上げましたのは、交付税に入っておるとは申し上げておりません。交付税に入っているとも地方税に入っているとも申し上げないほうが正確なのではなかろうかということを申し上げているわけでございます。と申しますのは、御承知のように基準財政需要額の中に入っておるわけでございます。そして税金が多いところについては交付税はまいりません。それから税金の少ないところについては、交付税に入っているか税に入っているかわからぬような形で行っておるわけでございます。そういう意味では税と交付税は一緒だ。一般財源という観点で措置をしておるというふうにお考えをいただくのが正確だろうと申し上げたのはそういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/140
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141・和田貞夫
○和田(貞)委員 そうすると、これは人口比例でこれらの費用というものが要ってくるはずなんですね。そうすると、人口比例に応じて地方財源が、全体の財政規模の何%がどの自治体にも保障できておる、こういうことであればそのことは言えると思うわけなんです。一自治体では地方財源が大体その三割あるいは二割のところもある、一割のところもある、あるいは一割に満たない町村もある。こういう中では、それらの事務は画一的に各自治体に財源配分の中で保障できておるのだということは言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/141
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142・松浦功
○松浦政府委員 財政需要は、ただいま先生が御指摘くださいましたように、各種の補正係数は用いまするが、やはり単位費用、特に戸籍でございましたならば人口というものを主体に算定をいたしております。したがって、交付税をもらっておらない不交付団体である市におきましても、基準財政需要額としては当然計算をされておるわけでございます。それより税収入が多いから交付税が行かないというだけでございまして、そういう団体については、かりに、観念的な議論になりますけれども、お考えをいただくならば、これは税金で見られているとお考えいただいてけっこうでございます。別に、税収入の非常に少ない団体がある、それについても同じように基準財政需要額の中では戸籍の費用は見ております。
ところが、これは仮定の問題でございますが、税金が戸籍に要する基準財政需要額より少ない団体があったといたしますれば、税金だけでは当然戸籍事務にも足りないということになります。これは財源調整制度としての交付税制度があるわけでございますから、基準財政需要額から収入を差し引いた不足分については、全部交付税で補てんをいたしておるわけでございます。その意味では、戸籍に要する経費は完全に各地方公共団体に算入されておる、財源措置をしておるということを申し上げて差しつかえないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/142
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143・和田貞夫
○和田(貞)委員 最近非常に国の委任事務が増加する一途をたどっているわけですね。したがってそのことがやはり論議されることになってくるわけですが、先ほども申し上げましたように、団体委任事務としての国民健康保険の事務、それから戸籍事務というのはかなり膨大なんです。人件費といい、事務費といい、たいへんなことなんです。非常に大きなウエートがかかっておるわけなんですが、本来国の事務ということであれば、地方財源はそれぞれアンバランスがあるわけですから、どうしても国の地方機関とみなして仕事をさせていくということになりましたならば、これは地方税やあるいは交付税と別ワクに国の負担金として補助していく、交付していくという本来の姿に、従来の財政計画の中で固定するのじゃなくて、そういう考え方にやはり改めていく必要があるんじゃないか、こういうように思うのですが、そういうお考え、ないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/143
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144・松浦功
○松浦政府委員 国から負担金あるいは交付金という形で措置をするということの考え方、これは一つの考え方だと思います。ただ実際問題としては、そういう形で相当大きな金額を国のほうの予算に計上いたしますと、その部分だけは交付税の率を下げなければならないという問題が出てくる。それがどの程度になるかということが、大蔵省、国庫当局と自治省の間で非常に問題が起こるのみならず、配分につきましても非常にいろいろな問題が起こる可能性もあると思います。したがって、当省としては、直ちに戸籍事務に要する経費を国が別途で支給すべきだという考え方には、いまの段階で踏み切るだけの元気はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/144
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145・和田貞夫
○和田(貞)委員 片方の国民健康保険事務は、これは団体委任事務でございますが、当然国のほうで事務費を中心とした補助がなされているわけですね。だから、この補助が不十分であっても、国のほうから補助を受けておるという印象は自治体のほうではあるわけなんです。しかし、自治体の不満といたしましては、本来国の事務でありながら自治体にやらされて、それに見合うところの経費が直接国のほうから来ない。かなりの経費がかかる。支出が増大する。特に人口が急増していく市町村については、市民税は年度当初を算定の時期にしておりますが、途中でばかっと一万人を収容するような団地ができたとか、あるいは三千人を収容するような住宅ができたというようなことになってくると、いま言われたように、地方財源の中に入っておるとはいっても、年度途中で人口が増加いたしますと、住民基本台帳の事務というのは全くその年度に見合う措置がなされておらない、こういう結果が生じてくるわけです。だからその点については、地方財政法や過去のいきさつにこだわらないで——いま市町村は苦しいからこれに対する不満というのは非常にあります。苦しくなければそうじゃない。片方の超過負担も解決できない。先ほど来より論議されておった税外負担、住民の受益者負担というような形で、いろいろな行政に超過負担以前の問題として住民負担が課せられておる。そういう中でなお、本来国に負担してもらわなくちゃならない事務が画一的に処理されて、その裏づけが見られておらないという不満があるわけです。ここらあたりで、この点については法務大臣の見解のように、これは検討するという方向のほうが私は正しいと思うのですが、自治省自身、やはり自治体の財政を心配されておる主務省でありますから、他の実務各省がそういうふうにいっておられるのに、肝心の自治省が、そうかということでみこしを上げてくれないと困るわけであります。
この機会にもう一度お尋ねいたしますが、そういう考え方で再検討の必要があるというふうに私は思いますが、そういう観点に立ってひとつ努力してもらえるかどうか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/145
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146・松浦功
○松浦政府委員 ただいま国保の問題で御指摘がございましたが、国保は機関委任事務としそ市町村にお願いをしておるものでございますが、国からの補助金と、保険料あるいは保険税収入でまかなうというたてまえでございます。保険料はなかなか上げにくいという問題もからみまして、いろいろ財政的な問題が起こっておることはよく承知をいたしております。いずれにいたしましてもこれは機関委任事務でございますから、当省では地方財政計画の中にも入れておりませんし、交付税計算の中にも入れておりません。したがって、われわれとしては、自治体が現実に困っている実情を見て、厚生省にもっと補助金をたくさん出すようにということを毎回お願いいたし、本年度も、去年五十億ばかりでございましたものを三百億ふやして、調整特別交付金を三百五十億にしてもらったというような経緯があるわけでございます。
その問題は別にいたしましても、基本的にこういったものについて全部国に処置をさせるという方向で検討する意思はないかということでございますが、これだけにとどまらず、地方財政全般の問題ということになってまいりますので、いまその方向で検討するとお答えを申し上げることはやすいのでございますけれども、はたしてそういう必要があるのかないのか、あるいはそういうことをすることのほうが地方団体にとって得なのか損なのか、そういった基本的な問題がまだ基礎にございます。それらの問題について検討させていただきました上で、私どもとしては方向をきめてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/146
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147・和田貞夫
○和田(貞)委員 自治体のほうは、先ほど申し上げましたように、国の委任事務が非常に増大してきておるのだから、現状の財政の配分については不満だ、こういうお気持ちなんです。だから、たまさか戸籍事務の問題を私は取り上げましたけれども、超過負担の問題でもやかましく言うようになり、税外負担の問題でもやかましく言うようになって、自治体が財政需要に非常に困っておるわけですから、この機会に全体の問題として、税の再配分ということについて、自治省としては自治体の実態というものをもう少しつまびらかに把握をしていただいて、ひとつ検討課題にのせていただきたい、こういうことを強く要望しておきたいと思うわけであります。
それから、いまちょっと私は触れましたが、先ほどの下水道の負担金の問題もそうでありますが、これは超過負担以前の問題です。
一つ私が例をとりますと、大阪に能勢町というのがあります。この能勢町というのは町でありますが、千早赤阪村という村がもう一カ所、村としての存在があるわけなんですが、その村を含めて、大阪府下では一番財政事情の悪い町であります。ここで年間の財源が大体十二、三億、四十九年度の予算を見てまいりますと、大体年間予算が十三億二千五百万円という財政規模であります。そしてこの財政の自主財源、町民税、固定資産税をみな含めまして、町税が一一・七%、大体一〇%、それから交付税が大体二九・四%から三二%ぐらいです。そういう自主財源の町でありますが、この町は山間でありまして、従来、水問題につきましては地下の井戸水を使用いたしましたり、あるいは山間を流れております数本の渓流を飲み水に利用してきたところであります。ところで、最近は非常に水質が汚濁しつつありまして、住民の飲料水の確保のためにはどうしても水道事業が必要である、こういうことになってまいりました。ところが、大阪府のほうでは府営水道が原水の供給事業として行なわれておるわけなんですが、何しろ山間部でありますので、その恩恵もこうむらない、こういうところであります。
したがいまして、もともとこの能勢町は四カ村の合併をした町でありまして、旧村単位に小学校区になっておりますが、その一校区単位に漸次簡易水道事業を起こしていく、そして昭和五十年には大体五〇%の水確保、昭和六十年を目途に全家庭に簡易水道が普及する、こういう総合計画を立てまして、その第一期工事として、四十七年度、四十八年度、二カ年にわたりまして能勢町東郷簡易水道事業というものを計画いたしました。ところで、当初は、その計画の財源につきましては国庫補助金、府補助金、それから起債、地元分担金、それに町費、締めて一億四千五百万円で総事業費を予算化いたしまして、そうしてこの事業に入ったわけであります。
その中でも、いま話しましたように地元分担金二千五百四十五万円、一億四千五百万円の総事業費の中で二千五百四十五万円が、税外負担としてその地域の住民から負担金を取らなければこの簡易水道工事はできない、そういう事情にあったわけであります。そして初年度の四十七年度はその中の約四一%だったと思いますが、四一%に相当する事業、工事が行なわれました。四十八年になりましてあとの五八%ないし五九%の工事を行なって、ことしの四月一日に給水予定ということで次年度の事業に入ったわけでございますが、御案内のとおり非常に資材が急騰した、こういうことで、一たん業者に工事の落札をしたわけでありますが、その工事ができないというような事情になりまして、そこで補正をやったわけでありますが、国庫補助金というのは補正はされたものの、資材の急騰に伴うところの補正が全くなされなかった。そこでいたし方なく、大阪府のほうからの借金と、起債のワクの拡大ということで予算補正を行なったのであります。そういうようにいたしましても、四十八年度の次年度の工事というのが遅遅として進まないで、年度末には四十八年度の、いわゆる次年度の工事量が四〇%でとまってしまう、こういうことになったわけであります。
厚生省来ておられると思いますが、そのような資材高騰の中で、いま実情を述べましたような町であるにもかかわらず、画一的な考え方で国庫補助というものをなぜ増額しなかったのか。それがために起債のワクが当初の計画より大かた倍になっておる、こういう中で事業が進められておるということを一体どういうように考えておられたのか。厚生省のほうからまずひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/147
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148・国川建二
○国川説明員 お答えいたします。
ただいまの簡易水道の事業と補助金の関連について申し上げますが、御承知のように、簡易水道を新設する場合には国庫補助を行なっております。その補助率は四分の一と三分の一と十分の四という三本立てに現在実はなっております。この内容は、当該市町村の財政力指数によって使い分けておるわけでございまして、特に、たとえば能勢町のような非常に建設条件が悪いところで、また財政力指数も〇・三を下回っておると思いますが、そういうような際には十分の四の補助率でもって補助金を執行いたしております。
ところで、四十八年度の事業につきましては、この事業は四十七年度からの継続事業でございますし、四十八年度完成ということで、四十八年度の予算につきましても、当初の事業推定額に相当する予算補助金を執行いたしたわけでございますが、昨年の秋以降、御承知のように急激な物価上昇等がございまして、これに対応いたすために、私どもといたしましては、予算の範囲内ではございますけれども、単価、特にパイプ類の標準単価のアップを認める等の措置を十一月一日以降の契約工事につきましては認めることにいたしました。
なお、先生いま御指摘のとおり、契約が難航するというような状況も、他の公共事業と同様に水道についてもございましたけれども、これにつきましては、それぞれの事業体の事業の内容いかんでかなり差がございますので、実態に応じて事業量の調整という形で対応していくべく、私どもは指導してまいったわけでございます。現在のところ、能勢町につきましてはそのような形で国庫補助金は交付いたしておりますが、なお、当該能勢町につきましては、府のほうからの補助あるいは起債等、できるだけ地元負担を少なくするように、関係省ともお話を進めながら措置してまいっておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/148
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149・和田貞夫
○和田(貞)委員 起債が地元負担にならぬというような考え方は、これは大きな誤りで、あなたのほうから補助をしてやるのならこれは地元負担をかけないことになるけれども、起債というのはやはり返していくのでしょう。利子も伴うのでしょう。当然その地元負担になっていくのじゃないですか。
それがために起こった問題といたしまして、先ほど申し上げましたように、四十七年度まではスムーズにいった、四十八年度の年度末になって、ぎりぎりになってもその工事が四〇%どまりだ、見通しがない。そして膨大な地元負担を住民にかけておる。しかも、四月一日から給水という約束をしておる。その四月一日給水という約束の上に立って、料金は地元分担金ということで、その当時は十立方たしか七百円だったと思いますが、七百円で約束をした。ところがこの国庫補助が手直しがないために起債が増大した。そこでどうもこうもならぬというような状態になりまして、一月十八日に前の担当の課長から新しい担当の課長にかわりまして、その課長が、見通しがつかない、予算を立てる人の見通しも立たない、工事を進捗していく人の見通しも立たない、住民の方にはどうしても申しわけないということで、とうとう一月二十三日に自殺をしておるじゃないですか。この人の自殺をした原因というのは、これはつまびらかでないわけなのですが、新聞等の報道によりますと、その日に、奥さんが共働きで保健所へつとめておる、その奥さんを保健所へ送り届けて、そして家へ帰りまして、そして自宅の納屋で首をつって死んでいるわけです。いつも奥さんにその水道工事のことを打ち明けておった。もうどうもこうもならぬということを、自分が課長になってから常に奥さんにも、あるいは同僚にも打ち明けておったということからいきましても、この問題を苦にして死んだというようにしか私はこれを受けとめられないわけです。
この点について、厚生省もさることながら、今日の自治体の中でこういうような問題が起こっておるのだということをひとつ聞いていただきましたならば、自治大臣どうですか、それはかってじゃというように考えておられるのか。こういうようなことを苦にして一つの生命を落とすような状態に自治体を追いやっておるということについて、どういうようにこの責任を感じておられるか、ひとつ自治大臣からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/149
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150・町村金五
○町村国務大臣 いま大阪府下の町における簡易水道の問題について、関係の課長が、特にこの事業の実施が思うようにいかないということを苦にして自殺までされたということは、実は初めて伺ったところでありまして、そういった挙に出ざるを得なかったことが、もしこの簡易水道が原因であるとするならば、まことにお気の毒なことだといわざるを得ません。
先ほど来、段々とこの簡易水道事業のことについてお話が出ておったわけでございますが、簡易水道というのは、私が申し上げるまでもなく、比較的人口の少ない地帯において、上水道をつくることができない、そのために簡易水道をもって水の供給をするという施設でございましょう。したがって、政府としては、御承知のように年々簡易水道の施設整備に対する補助金というものは漸次増額をいたしておる、また地方債につきましても、相当の水道事業債の計上をしておるように私は承知をいたしておるわけでございますし、さらに、聞くところによりますれば、最近は辺地、過疎地域につきましては辺地、過疎債もその上に上積みをするというような措置をいたしておりますが、御承知のとおり、やはりそういった施設をいたしましてもなおかつ、そういった地域の水道料金というものがかなり高くなるというようなところも実際にはあるようでございます。したがって、最近における施設費用が非常に上昇してまいってきておるというような現状に顧みまして、今後はこの補助金の問題あるいは地方債の増額ということをさらに進めることによりまして、簡易水道事業が今後も円滑に普及のできるように、自治省としてもできるだけその点は配慮をいたしてまいりたい、かように考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/150
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151・和田貞夫
○和田(貞)委員 いま私が話しましたように、まず水道料金がどうにもこうにもならぬわけなんです。当初の計画でさえも、十立方七百円という基本料金ということになりますと、この隣に池田市というのがあるのですが、この池田市は基本料金十立方当たり百三十円です。これと比べましても、当初の計画でも七百円と百三十円の違い、それでもやはり水が必要だということで、住民も税外負担を余儀なくしながらも協力をしてきた。それが、補助金が増額をされないために、先ほども申し上げましたように当初の起債が大かた倍増しておる。そうなってくると水道料金の計算基礎が異なってまいりまして、いかに起債の面であなたのほうで起債のワクをふやしてもらっても、補助金が固定しておるわけですから、水道料金を、最初に住民の方々に約束した料金よりもかなりの増額をしなくちゃならぬ。工事は困るわ、水道料金は困るわということで、この担当の課長は今度自殺をしておるわけです。
だから、いまの、大臣の言うように、起債の面でめんどうを見てやると言うたところでこれは解決しないわけなのです。料金が七百円ということで予定しておったのが、今度起債が増額されて、補助金がそのまま据え置かれるならば、おそらくいまの算定では大体千七百円から千八百円ぐらいの基本料金を取らざるを得ないという、こういうことになるわけです。そんな水道料金、どこをさがしてありますか。また、そうせざるを得ないという状況に追い込まれてのこれは自殺です。そういうことをひとつ考えていただきましたならば、先ほど厚生省のほうから補助金が最高の十分の四にしておるのだというようなことですが、この機会にふんばって、何らかの措置で補助金を増額をしていくということでなければこれは解決しない問題なのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/151
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152・国川建二
○国川説明員 先ほどもお話がございましたけれども、簡易水道の場合、確かに上水道と比べまして人口が少ない、あるいは立地条件が悪いというようなことで、建設費がずいぶん割り高になっている。特に水道の未普及地域と申しますか、残された地域がやはり過疎の地域と申しますか、そういうようなことで条件が悪くなってきております。したがいまして、私どもも従来から補助金の増額並びに率の改善等につきましても十分に努力を続けてまいったつもりでございまして、先ほども申し上げましたが、一応、建設条件の悪いところは現在ようやく十分の四というところまで持ってまいりまして財政措置をいたしておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、今後もさらに条件の悪いようなところも出てこようかと思いますが、それらにつきましては私どもも十分な対応策と申しますか、そういうことを特に今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/152
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153・和田貞夫
○和田(貞)委員 自治省どうですか、こういう実態を踏んまえて、特交あたりで何かめんどうを見てやろうというような親心はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/153
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154・松浦功
○松浦政府委員 すでに財政計画の中では、四十九年度分としては一般会計の繰り入れ、簡易水道について四十七億、これを繰り入れ金として見込んでおりまして、普通交付税で四十七億分だけは見るつもりでおります。
ただ、先生御指摘いただいておりますように、池田の百三十円というようなものは、これは全国的に非常に安いほうでございます。御承知のように五百円、六百円という水道料金を取っておるところもございますし、全国的には、水道であっても兵庫県の某町のごときは十立米千五百円というところもあるわけでございます。そういうことを頭に置きました場合に、能勢町を具体的な例として直ちに特別交付税で見るかどうか、その辺のところにはいろいろまだ考えさせられる問題が残っておるようでございます。
ただ、財政運営全体としてどういう形になっておるか、能勢町全体のお困りにならないような財政指導は、われわれは具体的に、お困りにならぬように進めていきたいと思いますけれども、直ちに、簡易水道の単価が高くなるからといってそういう措置をとるということははたして適当かどうか、なお検討する余地があろうかと思います。特に、能勢町の中でも十立米三百二十円とか二百五十円とかいうことで供給している地域もあるわけでございます。地域の地勢なり条件なりによって、非常に安くできるところと高くなるところとがあるわけでございますので、それらの問題もよほど慎重に検討いたしませんと——条件の悪いところは、ある程度住民がやはり飲み水のために少しよけいの料金をお払いいただくということは、現在の段階では、われわれとしてはやむを得ないんじゃなかろうかという気持ちを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/154
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155・和田貞夫
○和田(貞)委員 これは私は他府県はわかりませんけれども、確かに隣の大阪市だとか池田市というのは大阪府下で一番安いのです。これは百三十円。私の堺市では二百二十円。それから泉北ニュータウンというところ、別のところでは府が直接給水しているところで三百八十円。一番高いところで、和泉市というのがあるのですが、ここでは四百円です。同じ大阪府下の中の町でありますから大阪府下の中で比較するわけですね。この最高の四百円と比較いたしましても、七百円ということでありましたらば大かたその倍に近い基本料金であった。
私が言いたいのは、それでもなお、税外負担として地元住民に負担金をかけておらなかったら私はいまの財政局長のこういう答弁もあり得ると思うのですが、冒頭に申し上げましたように、従来井戸水と河川の水を飲料水に充てておったところが、水質の汚濁でどうしても水道事業が必要である、簡易水道事業を起こさなくてはならないという必要性に迫られた。そしてあなた方のほうで認めた事業じゃないですか。しかも、いま申し上げておりますように税外負担、住民の負担、一軒当たり六万円、六万五千円というような税外負担をもって起こした事業の中で、その住民負担をいただく中で水道料金が七百円という、こういう約束で事業が進められていった。ところが補助金をいらってもらわなければこの起債がどんどんふえていくだけ、ということになると、これは水道料金を上げざるを得ないじゃないですか。住民をだましたということになるのです。住民をだましたという結果、苦しみのあまり課長が死んでいっているのですよ。
そういう実態というものを把握して——一般的な議論じゃなくて具体例を出しておるわけですから、一命を失ってまでもその責任を感じて担当の課長がなくなっておるという、この現実の姿を見て、やはり自治省としても、あるいは厚生省としても、この機会にできるだけ住民の負担を増大させないで事業がスムーズに運営できるように何らかの手だてをとっていってやろう、こういう気持ちにならなければこれは行政じゃないですよ。そういう観点に立ってひとつもう一度自治省なり、あるいは厚生省なり、これにどういう対処をするかということを、これははっきり御答弁いただきたい。そうしないとこの死に報いることはできない。私はせっかく取り上げた以上は、この死に報いるためにあなた方のいい答弁がなければ、これは質問を終わることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/155
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156・松浦功
○松浦政府委員 簡易水道の取り扱いは厚生省でやっておるわけで、認可も厚生省でしておられるようでございます。私どもといたしましては、できるだけ国庫補助金の単価なり補助率なりを現実に合わせて上げていくように、お願いはこれからも繰り返してまいりたいと思います。そして裏負担についてはできるだけ手厚く、有利な起債で財源措置をする、そういうたてまえでまいるということは当然だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/156
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157・国川建二
○国川説明員 簡易水道事業の建設費に対し私どものほうで国庫補助金を支出しておるわけでございます。支出の方法等につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、事業の実態に応じて、建設費等かかったものにつきましては、当然でございますけれども、相当の額を補助してまいってきておりますが、さらに今後もそれの改善と申しますか、ということについては十分努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/157
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158・和田貞夫
○和田(貞)委員 これは将来にわたって検討するのじゃなくて、この事業についてあなたのほうで何とか処理をしてやろう、こういう気持ちになってもらってのいまの答弁でしょうな。これはこれで将来にわたってもっと検討するのじゃ、これは意味ないわけです。これを何とかしてやらなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/158
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159・国川建二
○国川説明員 能勢町の簡易水道事業につきましては、実は町のほうから、四十七年度、四十八年度の継続で一応建設が完了するということになっておるわけでございます、現在の段階では。したがいまして、町のほうからさらによく事情を聞きまして、四十九年度以降どういうことになるのか。もっぱら経営問題になってまいりますと、実は私どものほうといたしましては施設の建設費に対する国庫補助を扱っておりますので、建設が終わりました後のことにつきましては、現在の制度では実は対応が非常にむずかしいわけでございます。
で、私どもといたしましては、当面能勢町のこの簡易水道につきましてのお答えにならないかとも思いましてたいへん恐縮でございますが、簡易水道全般のあり方に立ちまして、たとえば町営の簡易水道としてほかにもたくさんございます。これらの事業等の経営管理費をできるだけ合理的な形でやれないものか、そういった角度から、私どもとしてできる範囲で十分指導と申しますか、対処していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/159
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160・和田貞夫
○和田(貞)委員 事業がまだ継続中なんです。事業が終わっておらないから救いの手がある。先ほど申し上げたように、年度末で次年度の計画の四割程度しかできなかった。だから予算補正をやって事業繰り越しをやっておる。次年度計画の約三分の一程度の事業を繰り越しておるのです。そして四十九年度で新たに、二カ年計画でありましたけれども、三カ年目の計画事業もわずかながらこの町議会で事業を起こしておるのです。そして次年度への繰り越し事業と合わせて、ことしの七月の末まで工事期間を延ばして事業を進めていく。こういうことなんですから、事業は終わっておらないんだから救いの道があるんだから、厚生省、この期間に何らかの手当てをとってやってほしい。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/160
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161・国川建二
○国川説明員 四十九年度まで事業が継続になってまいりますならば、当然ながら四十九年度におきまして所要の措置は十分講じていけると思いますので、その方向に向かって努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/161
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162・和田貞夫
○和田(貞)委員 それから財政局長、起債のほうで有利な条件でということもありがたいわけなんですが、やはりこれ以上起債のワクが増大すると、先ほど申し上げましたような財政事情の町ですからこれはたまったものじゃない。いま直ちにそういう答弁が出なくても、この機会に町の責任者を呼んで、ひとつ特交を含めて検討していただくというようにお願いしたいわけなんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/162
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163・松浦功
○松浦政府委員 簡易水道の問題と特交と結びつけて考えることは、私は適当でないと思っております。能勢町自体の財政の問題でございましたならば、地方課長から当然に私のほうに話があると思います。話がありました場合に、どういう指導をしていったらいいか、これはよく府庁と相談をいたしまして善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/163
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164・和田貞夫
○和田(貞)委員 ひとつ善処方をよろしくお願いしたいと思います。ちょうどこの機会に、担当課長が死んだいきさつというのは、私は私なりに、いま申し上げましたようにこれを苦にして死んだんだと思っておる。自治省のほうで、こういう事件が起こったんだということを耳にしたわけでありますから、この点につきましても、将来の地方財政の再建のために御考慮いただくためにも、町の責任者を呼んでいただいて、その間の事情を聞いて、できる限りの措置を自治省としてもとっていただきたい、このことを一つつけ加えてお願いを申し上げておきたいと思います。
それからその次は、先ほどもちょっと触れましたが、私の堺市というところがあるのです。この堺市というところは人口が七十万をちょっとこえたところでありますが、人口が非常に急激に増加していっているわけです。一年間に約四万人ふえていくのです。一年間に約四万人ふえていきますと、それに対応した市の行政ができないという事情です。従来から人口急増対策でいろいろと各省庁が対処していただいているところでありますが、いろいろな要求が出てきております。各省庁を通じての補助率を引き上げるような特別措置を講じてほしいとかという問題が出てきております。
この機会に自治省にお尋ねしたいのですが、このような急激に、年間四万も人口が増大するという中の市といたしまして、この交付税制度を次のように改善してもらえないかという要望が出てきておるのです。その点、私具体的に申し上げますのでお答え願いたい。
堺市の中に泉北ニュータウンというのが計画されておる。完成いたしましたら、その泉北ニュータウンだけで人口が二十五万という膨大なニュータウンである。そこで、泉北ニュータウン程度の大規模な団地ができてくれば、この大規模の一つの団地を独立した市のような形で交付税の算定をしてもらうというような特別措置というものを講じてもらえないであろうか、これを私のほうに言うてきているわけなんですが、そのような考え方に立っていただけるものかいただけないものか、ひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/164
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165・松浦功
○松浦政府委員 抽象的なお話としては理解できますが、制度の上では不可能だと思います。地方公共団体の間にどこで線を引いてそれぞれの団体とみなして行なうかということについては、どう考えても客観的な方法がございません。たとえば大阪市の場合でも、人口急増の区と人口の減っておる区があるわけでございます。区のような行政区画の中でも、別々に計算をいたしますと金の出入りが著しく変動してまいります。そういう点から、そういう計算方法は、先般ここでも御指摘があったのでございますが、まず不可能だろうということをお答え申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/165
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166・和田貞夫
○和田(貞)委員 そうすると、そのニュータウンを含めまして、いま人口七十万をこえましたけれども、まだ政令都市になっておらないのですが、政令都市並みの交付税の算定方法というのは不可能か。政令都市並みの交付税算定方法を適用していただいたとすると、いまの堺市に対する交付税よりも約三十八億程度増収の見込みなんですからね。そういうような方法はどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/166
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167・松浦功
○松浦政府委員 私、例を出しましたのは適当かどうか、政令市は行政区というはっきりした区画があっても、これを割って計算することは交付税法上問題で、できないと申し上げたのでございます。
それでは堺市を政令市並みに扱えないか、これはまた別の角度からの御質問と受け取っておりますが、政令市につきましては御承知のように普通の市と権能が違うわけでございます。したがって、堺市が政令市にならない限り、政令市としての計算はできない。これは法律上、どうあってもできないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/167
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168・和田貞夫
○和田(貞)委員 その点はできないといたしましても、いま大阪で困っておりますのは、この間も府議会が四回にわたって会期を延長しました。その一つの理由は、予算措置の中で知事が、年間一万戸の住宅を建設する、こういう計画を、本年度の予算で二千戸しか計上されておらない。これは非常な議会のふんまんと憤りの中で、予算を認められないということで四回にわたって会期が延長されておるわけです。府のほうで計画どおり一万戸建てようと思いましても、そのほとんどがいまお話をいたしております泉北ニュータウンに持ってこられるわけです。そこで、持ってこられたら今度は地元の市といたしましてはたまったものではない。それに伴うところの公共事業を起こしていかなければならぬ。学校が必要である、幼稚園が必要である、保育所が必要である、上水道が必要である。こういうことで、これはたまったものではない。
だから、いまお答えされましたように、交付税制度の改善というものが二つの面についても制度上どうしてもいけないのだということになりますと、財政の面からこれを受け入れることができないということで、地元の堺市といたしましては、府の住宅の建設計画を少しテンポをゆるめてほしい、これ以上どんどんと住宅を建ててくれたら困る、こういうことでお断わりをしているという現状であります。そういうことから、府としても住宅の建設計画が遅々として進まない、議会のほうからおしかりをこうむるというようなことになっておるわけなんですが、こういう二面的な窮状を打開していくための何らかの措置というものを考えられないかどうか。あわせてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/168
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169・松浦功
○松浦政府委員 人口急増地域につきましては、御承知のように四十七年、四十八年、学校の補助率を引き上げましたり、消防の補助率を引き上げたり、幼稚園の補助率を引き上げたり、あるいは校用地の補助の足切り率を引き下げたり、いろいろ手だてを講じてきておるほか、人口急増団体については、普通交付税の算定におきましても人口急増補正というような補正を行なって財源を配分する。さらにそれでもいろいろな特殊事情がある場合には特別交付税で見る。こういうような措置を講じておるところでございまして、現在、われわれとしては、考え得る方法についてはほとんどこれを取り上げておるという実情だと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/169
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170・和田貞夫
○和田(貞)委員 これは直接自治省の責任じゃありませんけれども、府が住宅を建てる、市は建ててもらったら困る、住民が住宅難で困っておる、どうしてもその処理ができない、こういう現実の事情を私は説明したわけなんですが、それでもやむを得ないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/170
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171・松浦功
○松浦政府委員 いろいろ財政の問題というのは深く入ってみませんとわからないのでございまして、あれもやりたい、これもやりたいというのは地方公共団体として当然の要望だと思うのでございます。しかし、やはり一定のワクの中で、特に重点を置くものはこういうふうに広げるけれどもその他のものはふやさないとか、そういうアクセントがつかないで、どれもこれもやれるように財源措置をしてやってほしいという御要望だと仮定をいたしますならば、私どもとしてはとてもそれに追いついていくだけの財源を持ち合わせていないということに、どうしてもならざるを得ないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/171
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172・和田貞夫
○和田(貞)委員 そうすると、こういう行政指導はできませんか。府のほうに議会から住宅を建てろというおしかりがあるのですね。建てようと思いましても、いま申し上げましたように、建てられた地元はたまたま財政力がない、こういうことですね。一年間に四万人も、一つの市ができていくぐらいに人口が伸びていくわけです、住宅がぱっぱっと建っていってですね。そこで、そういうような各種の公的住宅、公団あるいは供給公社あるいは県営住宅、府営住宅、そういうような住宅を建設するにあたって、学校であるとか幼稚園であるとか保育所であるとかあるいは上水道であるとか、こういう地元の当然負担をしなければならない公共事業費の負担を原因者によって負担をさしていく、こういうふうな行政指導はできないものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/172
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173・松浦功
○松浦政府委員 ちょっとお許し願いたいと思いますが、その場合の原因者というのは大阪府でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/173
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174・和田貞夫
○和田(貞)委員 府であるとか公団であるとか供給公社であるとか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/174
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175・松浦功
○松浦政府委員 これにつきましては、それぞれの事業主体と当該地方公共団体とが話し合いで行なっていくべきものでございまして、ほんとうに極端な開発者負担という制度は問題だと思いますけれども、一定限度、社会常識の許せる範囲での開発者負担制度というものは、先ほども申し上げましたように、当事者同士の話し合いということでけっこうだと思います。私どもといたしましては、それをどの程度どうやれということを直接御指導する立場にはないかと思います。自治体の御判断でお願いをいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/175
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176・和田貞夫
○和田(貞)委員 もう一つ、市民税の賦課時期ですね、これが一月一日ということになっておるでしょう。これは住宅の建設時期によって、四月にがさっと入ってきたり、八月にがさっと入ってきたり、十月にがさっと入ってきたり、年度途中でばっと入ってくるわけです。したがいまして、住民税の賦課の時期ですね、これは一月一日ということに固定しないで、年度途中にも賦課できるような、そういうことをひとつ再検討してもらえないか。何もかもできへんということだったら何もかもできへん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/176
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177・松浦功
○松浦政府委員 一月一日で算定をしておることは事実でございますけれども、そのかわり基準財政収入の中にはそれも入らないわけでございます。したがって、もし取っておればそれの七割五分が基準収入に入るから交付税が減ってくる、こういう計算になります。計算上は、一月一日ではなくて取れれば二割五分だけはもっと税金がよけい残ったはずだがという議論にはなろうかと思いますけれども、現在の制度ではこれ以上複雑にすることができないで、税制上そういうことになっているというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/177
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178・和田貞夫
○和田(貞)委員 そうすると何もかもみなだめだということになってくる。これはしかし、あなたのほうの立場ではやむを得ないと思いますが、一応の要望としては、こういうところからいま私が話しましたようなことが要望としておたくのほうにもいっておると思うのですが、あらためて私はここで申し上げさせていただいたわけなんです。ひとつ前向きにこのことも検討の爼上にのせてほしい、こういうように私は希望するわけなんですが、それもどうですか、だめですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/178
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179・松浦功
○松浦政府委員 この問題は大阪だけではございませんで、大都市周辺に基本的にある問題でございます。したがって、大都市周辺の問題として、われわれは常に研究を怠っておらないつもりでございます。また、地方公共団体から御要望がございまして、なるほど制度的にこれはできそうだと思うような点については実現をしております。たとえば四十八年度におきます消防の補助率の引き上げあるいは保健所の補助率の引き上げ、足切り率の引き下げ、こういった問題はいずれも当省が各省にお願いをして実現をしてもらった問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/179
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180・和田貞夫
○和田(貞)委員 さらにひとつ検討していただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
その次に私はお願いをしたい問題は、同和事業に伴う特別措置の問題です。
御案内のとおり、同対審答申がなされて、特別措置法が四十四年に施行されて以来、同和事業が各自治体で積極的に進められておる。今日、同和事業が国の責務である、国民の課題である、こういうようにうたわれておるわけなんですが、現実的には、国のほうは非常に消極的であって、自治体のほうが非常に積極的であって、それがためにそれぞれの自治体で同和事業に対するところの予算上のウエートが非常に高くなってまいりまして、同和事業を進めることによって逆差別意識がかり立てられておる、こういう向きもあるわけであります。
したがいまして、私がこれから質問いたしたいのは、これらに伴うところの特別措置であります。もちろん各省庁にわたりまして、補助率の高率化、あるいは補助対象の拡大であるとか、あるいは補助単価の実質単価への引き上げであるとかいうことについては努力をしてもらっておるところでありますが、特別措置法なりあるいは同対審答申から言わしていただきましたならば、ちょうど交付税制度と同じような趣旨で、たとえば交付税の場合には国のほうでこの保留をして、財源調整を含めて自治体の行政水準を同じように高めていく、これが交付税制度のあり方であるわけなんです。特別措置法につきましても、肝心なところが政府機関として忘れられておるところがある。それは、地方公共団体における各種同和対策の水準の統一です。これが同対審答申で明らかにされておりますし、それに基づいて特別措置法というのが施行されたわけです。だから、自治体が同和事業を同じような水準で高めていく、こういう考え方に立ってもらわないと、単に補助率を高率化していくだとか、あるいは補助の対象のワクを拡大していくだとか、あるいはその単価を引き上げていくということだけじゃ解決していかない問題が生じてきているわけであります。
おのずから財政規模も違いますし、あるいは自主財源の能力の問題にもアンバランスがありますし、それからさらに、同一規模の財政状態の地方自治体でありましても、ある自治体では未解放部落が一カ所であるというところと、ある自治体では未解放部落が三カ所あるというようなところ、そういうところはいま申し上げましたような特別措置では解決できていかない。部落の数が多い自治体ほど、同和事業に占めるところの予算規模というのはかなりウエートがかけられておるわけであります。それがひいては一般行政にしわ寄せされておる、同和事業はけしからぬ、同和事業を進める解放同盟はけしからぬというような議論にも発展していく過程があるわけです。
そういうふうなことを踏んまえて、いま申し上げておりますようなことをひとつ頭に入れていただいて、そのような全体的な立場に立って、同和事業が各自治体とも、行政能力の弱いところも強いところも、同じような水準で同和事業は進めていくような財政の措置というものはぜひとも必要だというように私は思うわけなんですが、そのような考え方にいままで自治省として立ってもらわれたことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/180
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181・松浦功
○松浦政府委員 自治省といたしましては、国庫補助を得て行ないました同和事業の裏負担分の八割を普通交付税に算入するということを一つの制度としてやっております。そのほかはなかなか、地区数につきましても人口にいたしましても、客観的に定型的に捕捉しがたい事情もございますので、特別交付税で相当の金額を配分をいたしておりますが、その中で、同和人口一人につき幾ら、それから地区数、一地区について、規模によって単価を違えておりますが、幾らという形で、先生の御指摘になられた方向に沿うような形になると私は思うのでございますが、そういう配分方法をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/181
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182・和田貞夫
○和田(貞)委員 私は大阪府下の例しかありませんので、これもまた大阪府下の例を一つとって申し上げたいと思いますが、大阪市というような財政規模の大きいところでは同和対策の費用が五%で済んでいるわけです。ところが、松原市というところになりますと全体の予算の三三・五%というウエートを占めておる。予算規模の非常に小さい泉南市というのがありますが、四万にも満たない人口のところです。ここでは二八・九%という同和事業の予算が比率として占められておるわけです。約二〇%に近い、部落をかかえた都市、あるいは一〇%程度の同対費用の率をかかえた都市、かなりあるわけです。大阪市のように五%というようなところはどこを見渡しましてもなく、それらの衛星都市ではかなりの率によって同和事業が進められておる。こういう実情を見ていただきましても、いま私が言いましたように、同じような水準で、一般行政にしわ寄せをしておるのだというような見方で住民のほうから見られないような姿で、同和事業が同じような水準で進められておるというような結果になっておらないことは、この数字を見ていただきましてもおわかりのことだと思うのです。
それに、何といいましても国全体の同和関係予算というのは非常に微々たるものであります。たとえば本年度の国全体の同和対策関係予算、これは同和地区のワク外を含めました予算が七百四十七億七千万円という程度です。ところが大阪だけを見ましても、大阪府と大阪市と各衛星都市、市町村を含めますと、この一年間にこれまた七百十五億の予算が四十九年度予算に組まれておる。ちょうど大阪府下全体の自治体で組まれておる同和対策事業の予算と、国全体がことし一年間に組まれておる予算の規模と全く同じだという、この程度しか国の同和対策関係予算というのは組まれておらない。しかし政府は、去年と比べて一七六%に率を高めておるのだ。いつも前年比をもって、同和対策事業は、総需要抑制の中でもこれだけのウエートを占めて同和関係予算を組んでおるのだ、こういうように言われるわけなんですが、地方自治体の占めておる予算と比較いたしましたならば、いま申し上げましたような内容であるわけです。
したがって、私は先ほど申し上げましたように、補助率だけを高めるというようなことではどうにもこうにもならない、あるいは自治省のほうで従来程度の特交程度でめんどうを見るというようなことではどうにもならないということが、この数字で示しておるわけであります。したがいまして、くどいようでありますが、各自治体が同じような水準で、部落を一つかかえておるところも、部落を三つかかえておるところも、同じような水準で同和事業が進められるような財源の裏づけについての特別措置というものを、これ以上にひとつ考えていただくというお考え方がないかどうか、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/182
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183・松浦功
○松浦政府委員 国の予算は七百億かもしれませんが、それに裏負担としての地方債あるいは交付税措置というものを含めればさらに大きな金額になるはずでございます。また大阪の七百億が全部一般財源あるいは国庫補助を使ってやる事業かどうか、貸し付け金等がございますと、そういうものは実質経費から差し落としていかなければなりません。したがって、いまお伺いした数字で全体が足りないか足りるかということを即断することはややどうかなという感じは持っております。しかし、いずれにいたしましても、同和対策事業というものは基本法があって、早急に、十年間に問題の決着をつけるべく制定された法律でございますから、その法律の趣旨にのっとって、われわれとしてはできるだけ地方団体が困らないように財源を措置していくということを今後も考えていきたいと思っております。
ただ、ただいま御指摘をいただきましたように、大阪は五%で泉南は二十何%だということになっております。大阪に二億円特別交付税を差し上げるのと泉南に一億円交付税を差し上げるのとでは、全然財政に対する響きが違うわけでございます。そういう意味ではやはり人口数あるいは世帯数、部落数、そういったものを基礎に置いて、ある程度客観的に配っていくということによって、先生御指摘のような面がカバーされるのじゃなかろうかという考え方を持っていることは従前のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/183
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184・和田貞夫
○和田(貞)委員 私は念を押してお尋ねいたしますが、部落数に応じて特交のめんどうなんかやはり認められておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/184
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185・松浦功
○松浦政府委員 地区ごとに、世帯が何世帯であるか、大きいか小さいかによっても違ってまいります。部落ごとに規模に応じて一定の単価をきめまして、それだけは積み上げていくという方式をとっております。したがって、同じ単価の規模のものであったとすれば、一カ所のところよりは二カ所のところが倍、特別交付税がいく、こういうふうにお考えいただいてけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/185
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186・和田貞夫
○和田(貞)委員 こういうことをひとつ考えてまいりたいのですが、一つの部落にもちろん同和事業として必ずやらなければならない集会所、隣保館、これを建てるということになりますね。そうすると、その一つの部落をかかえておる自治体は、これは一カ所の隣保館の建設費用でいいわけですね。あるいはその運営、維持の費用だけでいいわけですね。そうすると、もちろんそれに見合うところの各省庁の、厚生省の補助金というのがあります。あるいは周辺の整備に伴って建設省の予算があります。だから、その一カ所の経費というものの予算全体に占めるウエートというものは一でありますけれども、三カ所の部落のあるところは、財政規模が同じような自治体でありましたならば、これは三倍の経費のウエートを占めるわけですから、予算の面を見ましたら、非常に部落がよけいあればあるところほど、先ほど率で申しましたような結果のように、やはり一般予算に食い込まれておる。部落はけしからぬ、部落の運動をやっておる解放同盟はけしからぬという逆差別意識が高まってくるわけです。
そういうことのないようにするためには、私は、この一カ所の部落のところも三カ所の部落のところも、一般財源と同和関係予算とのウエートというものはやはり同じ程度のウエートになるように、より部落の数の多い自治体に対しましては、ただ人口によってとかあるいは部落の数によってということだけでなくて、財政全体をにらみ合わせて、そういうことにならないように、アンバランスが生じないように、一般財政に食い込んでいるというような印象を受けないような特別の財政措置というもの、これこそが特別措置法なりあるいは同対審の趣旨に沿った財源の裏づけであるというように私は思うわけなんですが、そういう点を私はお尋ねしているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/186
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187・松浦功
○松浦政府委員 ちょっと御趣旨がよくわからないのでございますが、一つの部落で隣保館なりあるいはそのほかの施設を運営していく経費が一部落分かかる。二つ部落があれば二つ分かかる。それについては、一つのところは一つ分だけ、二つのところは二つ分だけ、私どもとしては財政措置をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/187
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188・和田貞夫
○和田(貞)委員 そうすると、それに対しては確かにそのとおりでいいわけですが、かりに一カ所の部落に百万円ということにしますと、財政規模全体が十億円の市であれば十億分の百万円、三カ所あるところは十億分の三百万円ということになるわけでしょう。そうすると、その三カ所ある部落のほうは一カ所のところと比べたら、やはり同和予算のためにかなり一般行政に食い込まれておるという印象は予算面で与えることになるわけでしょう。そういうことにならないようにやはりやってもらわないと困る。たとえば、この間厚生省のほうで翁児童局長が新聞発表で、大阪のほうに保育所の予算がゼロだったけれども、ちゃんと部落を対象とした保育所には九カ所補助金を出しておるというような発言これあり、全く、翁局長の談話を見てみましたら、住民のほうとしては、部落のほうの保育所のために一般地域の保育所がゼロになったのだ、こういう印象を受けたわけなんです。
そういうことにならないように、私は、一カ所のところであろうが二カ所のところであろうが三カ所のところであろうが、同和事業が同じ水準のもとに進められていくような財政措置というものを講じていくということが必要じゃないかということを言っているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/188
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189・松浦功
○松浦政府委員 交付税の計算におきましては、同和の人口でございますとか部落数とかいうのは、普通の計算のほかにプラスでやっておるわけでございます。したがって、同和の人口が、十万のところにかりに一千人おったとすると、一千人分は普通の交付税が行っておるわけなんです。そのほかに一千人分の一人当たり幾らと、部落別に各単価を積み上げたものを特別交付税で差し上げているというわけですから、先生のおっしゃるとおりにわれわれはやっているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/189
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190・和田貞夫
○和田(貞)委員 時間もだいぶん経過しましたので進めたいと思いますけれども、なかなかこれ、受けとめていただけないのですが、特に最近同和事業を進められることによって、従来は部落が環境が悪かった、こういう意味で部落差別がある、ところがよくなってくると、部落のほうが一般地域よりもよくなった、こういうねたみ根性の中で逆差別の意識が高まってくる、こういうばかな結果が出ているわけです。けしからぬ話です。だから、そういうことのないためにも、やはり一般財源に食い込まれておるというような認識が住民に与えられないような財政措置というものを講じてもらわないと、これはもう部落解放運動を何ぼ進めてまいりましても、むしろ同和事業を進めることによって逆差別意識が高まっていく。単に物的な問題だけではなくて、精神的な面で差別をなくしていくというのが部落解放運動であり同和事業なんですから、だからそういうことのないように、私は一段の財政措置を自治省のほうでひとつ考えていただく、いま以上にひとつ考えていただくということを申し上げまして、部落問題についての熱意ある最後の所見を自治大臣のほうからお受けして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/190
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191・町村金五
○町村国務大臣 同和対策事業につきましては、御承知のような特別措置法ができまして、何とか、できるならばこの十年間の間にいまいろいろ起きておりまするような差別的な事態を解消しなければならないということで、御承知のとおりいろいろの措置がかなりきめこまかく最近は行なわれるようになった、さように私どもも承知をいたしておるところであります。ただ、いま和田委員も御指摘になりましたように、そのために今度はいわゆる逆差別だというふうな事態が起こりますることは、これまたこの法の意図をいたしておるところでないことは言うまでもございません。
要は、いま地域においてそういった差別的な事態というものを解消することによって、まことに長い間の伝統的なむずかしい問題をぜひ解決するための、これは重要な方策にしなければならぬということが、この措置法のできた最大の理由であろうと私ども承知をいたしておるわけでございますので、いま御指摘になりましたようなことは、今後さらにこの法の運用にあたりまして十分ひとつ念を入れ、注意深く対処していかなければならない、かように存じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/191
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192・和田貞夫
○和田(貞)委員 では、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/192
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193・伊能繁次郎
○伊能委員長 次回は、明三日水曜日、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02119740402/193
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