1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月五日(金曜日)
午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 伊能繁次郎君
理事 小山 省二君 理事 高鳥 修君
理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君
理事 村田敬次郎君 理事 佐藤 敬治君
理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君
大野 市郎君 片岡 清一君
亀山 孝一君 島田 安夫君
井岡 大治君 岩垂寿喜男君
細谷 治嘉君 小濱 新次君
折小野良一君
出席国務大臣
自 治 大 臣 町村 金五君
出席政府委員
警察庁交通局長 渡部 正郎君
自治大臣官房審
議官 森岡 敞君
自治省財政局長 松浦 功君
委員外の出席者
議 員 山本弥之助君
大蔵省主計局主
計官 名本 公洲君
文部省管理局教
育施設部助成課
長 西崎 清久君
厚生省児童家庭
局母子福祉課長 岩佐キクイ君
建設省都市局都
市再開発課長 後藤 国臣君
建設省都市局下
水道部長 久保 赳君
建設省住宅局市
街地建築課長 救仁郷 斉君
地方行政委員会
調査室長 日原 正雄君
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○本日の会議に付した案件
消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第七
七号)
地方公営企業法の一部を改正する法律案(井岡
大治君外六名提出、衆法第一八号)
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/0
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001・伊能繁次郎
○伊能委員長 これより会議を開きます。
まず、内閣提出にかかる消防法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。町村自治大臣。
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消防法の一部を改正する法律案(本号末尾に掲
載)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/1
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002・町村金五
○町村国務大臣 ただいま議題となりました消防法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
最近における産業経済の発展及び科学技術の進歩に伴い、火災の原因及び態様は、ますます複雑多様化してまいっております。特に、新しい建築構造、建築材料、生活用品等の出現により、火災発生時における消火及び避難を困難とする事例が増大しており、また、最近において、百貨店、旅館、病院等の火災による人身事故が頻発していることも御承知のとおりであります。
こうした事態に対処するため、今回消防法を改正し、火災時における人命の安全を確保するため、百貨店、地下街、複合用途防火対象物、旅館、病院等多数の者が出入する防火対象物については、既存のものについてもスプリンクラー設備その他の消防用設備等の設置を義務づけるとともに、消防用設備等の維持管理及び防火管理体制の強化をはかることとし、あわせてパイプライン施設等の規制につき所要の措置を講じようとするものであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。
次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、消防用設備等の規制に関し次の三点について強化をはかろうとするものであります。
第一点は、既存の防火対象物における消防用設備等の規制の強化であります。今回百貨店、地下街、複合用途防火対象物等の特定防火対象物における消防用設備等については、常に新しい基準に適合するように設置され、維持されなければならないこととし、別途建築基準法の改正による防火、避難に関する規制の強化と相まって、特定防火対象物における人命の安全をはかってまいりたいと存じます。なお、この改正規定は、特定防火対象物のうち、特に百貨店、地下街及び複合用途防火対象物については昭和五十二年四月一日から、その他の特定防火対象物については昭和五十四年四月一日から施行することとしております。
第二点は、消防用設備等の検査に関する規定の新設であります。防火対象物の所有者等が消防用設備等を設置したときは、消防機関が行なう検査を受けなければならないこととして、消防機関が当該設備等の適正な設置を確認することにいたしました。
第三点は、消防用設備等についての点検及び報告に関する規定の新設であります。今回防火対象物の所有者等が消防用設備等につき定期に点検をし、その結果を消防機関に報告するよう義務づけることといたしました。なお、多数の者が出入する防火対象物のうち規模の大きいものについての点検は、消防設備士等に行なわせなければならないこととしております。
第二は、防火管理制度の強化についてであります。
従来防火管理者が行なうべき防火管理が適正に行なわれていない事例が見受けられることにかんがみ、このような場合には、消防機関が防火対象物の管理について権原を有する所有者等に対し、防火管理を適正に行なうよう命ずることができるようにしようとするものであります。
第三は、パイプライン施設等につい三次の二点について所要の措置を講じようどするものであります。
第一点は、パイプライン施設の許可権限者の区分についてであります。現在、危険物施設を設置しようとする場合は、消防法に基づく市町村長または都道府県知事の許可が必要なことになっておりますが、パイプライン施設の特殊性にかんがみ、二以上の市町村の区域にわたって設置されるパイプライン施設のうち、二以上の都道府県にわたるものの許可については自治大臣の、その他のものの許可については都道府県知事の権限に属するものとするとともに、関係規定の整備をはかることとしております。
第二点は、パイプライン施設その他の危険物施設の保安規制の強化についてであります。保安規制強化の一環として、パイプライン施設その他の危険物施設については、新たに緊急時の措置として市町村長等が施設の使用停止を命ずること並びに所有者等が事故発生時に応急措置を講ずる義務及び関係機関への通報義務についての規定を設けることとするとともに、一定規模以上のパイプライン施設については、所有者等は事故時の応急措置について、あらかじめ関係市町村長と協議しておくこととするほか、市町村長等の行なう定期の保安検査を受けることを義務づけることといたしました。
そのほか、罰則の強化その他規定の整備をはかることとしております。
以上が、消防法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/2
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003・伊能繁次郎
○伊能委員長 以上で本案の提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/3
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004・伊能繁次郎
○伊能委員長 次に、井岡大治君外六名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。山本弥之助君。
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地方公営企業法の一部を改正する法律案(本号末尾に掲載)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/4
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005・山本弥之助
○山本(弥)議員 ただいま議題となりました地方公営企業法の一部を改正する法律案に関し、日本社会党を代表いたしまして提案理由の概要を御説明申し上げます。
地方公営企業の経営状態は、昭和四十七年度末において三千七百五十八億円もの累積赤字を出し、とりわけ、病院、交通、水道の三事業は、これらの累積赤字の実に八九・一%を占め、住民福祉の向上に寄与するにはほど遠い財政状態といわねばなりません。
地方公営企業の財政悪化の原因は、歴代自民党政府と田中内閣の高度成長政策とインフレ政策によるものであり、産業の過度の集中は、インフレ政策と相まって地方自治体の行政需要の中でも地方公営企業にばく大な先行投資を余儀なくせしめております。
こうした実態に対し、田中内閣は、適切な措置を講ずることなく、昨年の交通事業に引き続き、本年には病院事業に対しても、旧態依然の赤字たな上げを繰り返し、抜本的改革を講じようとはしておりません。高い料金負担を住民に強制し、労働者に合理化を押しつけ、勤労国民の犠牲の上に、地方公営企業の再建をはかろうとする田中内閣の責任は、まことに重大といわねばなりません。
社会党は、地方公営企業の抜本的改革をはかるためには、現行の独立採算制を撤廃し、基本的行政施設として位置づけ、国及び地方自治体が平等に財政負担をはかるとともに、地方自治体に対し、自主財源を付与し、行政的、財政的保障を行なうべきであると主張してまいりました。
このような立場から、地方公営企業に対する国の責任を明らかにし、住民福祉の向上とそれに従事する労働者の労働条件の向上をはかるため、地方公営企業法の抜本的改正等を提案した次第であります。
次に、法案の概要を御説明申し上げます。
第一に、法適用事業の範囲等につきましては、第一の種類といたしまして、住民生活に直結する性格の水道、軌道、自動車運送、地方鉄道及びガス事業を法定いたしております。第二の種類といたしまして、住民生活に直接つながらないで、他の営利企業を通じて間接的に住民生活につながる性格の工業用水道及び電気事業を法定いたしまして、現行法における法定事業をその性格により二つに区分いたしたのであります。
なお、病院事業については、条例による法適用の場合でも第一種といたしております。
第二に、企業会計の原則については、第一の種類の事業はその性格から独立採算制によらないこととし、第二の種類は、独立採算制を採用することといたした次第であります。
第三に、第一の種類の事業の建設改良費については、国及び地方はそれぞれ二分の一ずつ負担することとし、地下鉄事業の建設改良費にあっては、国は四分の三を負担することといたしております。
第四に、地方公営企業の建設及び経常経費に関し、地方公共団体の一般会計から公営企業特別会計に繰り入れる繰り入れ金については、地方債の発行を認め、その元利償還費の六割を地方交付税で措置することといたしております。
第五に、料金の決定につきましては、第一種の事業は原価を基礎といたしますが、「住民の負担能力その他経済事情を勘案し、公共の福祉の増進についても適切な考慮を払った妥当なもの」と規定いたしまして、第二の種頭の企業の料金原則と区分いたしたのであります。
第六に、給与決定の原則は、現行法では生計費等よりもその企業の経営状態を中心として決定しておりますが、「職員の発揮した能率及び経営の状況を考慮して、及び類似の職種」という条文を削除し、地方公務員等と同様の給与決定原則によるものといたしております。
第七に、企業債の発行は、現行法では許可制とされておりますが、これを改正して、財政再建団体以外の団体においては、企業債の発行を自由化することといたしております。
以上が、地方公営企業法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/5
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006・伊能繁次郎
○伊能委員長 以上で本案の提案理由の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/6
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007・伊能繁次郎
○伊能委員長 次に、内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。三谷秀治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/7
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008・三谷秀治
○三谷委員 交付税についてお尋ねします。
この地方交付税の審議をしておりますと、実にむなしい感じがします。単位費用を検討しましても、補正係数によりましてその実態が全然変質してくる。きのうも質問がありました大阪府の例を見ましても、道路橋梁費というのは補正によりまして二・五倍になっております。商工行政費は三倍になります。港湾費は七倍にふえますし、河川費は八・三倍にふえてきます。その反面、衛生費は四三%減、社会福祉費は三五%減となっております。単価を若干改定しましても、補正によりまして実態が大きく変わってくる。これでは単価をとやかく言いましても、本質的な問題の論議になってこないわけなんです。また国庫支出金の関係で言いますと、国庫補助率が上がれば基準財政額がふえたとして交付税交付金が減額されております。補助単価を引き上げますと交付税の算定単価も上がりますが、しかしこれは総ワクで押えておりますから、上がった分だけ事業費が薄まってくる、こういう状態になっております。交付税総額も、政府が景気刺激政策をとりますと借り入れによりまして増額をする。総需要抑制といえばほしいままに削減をする。何とも融通自在な運用がなされております。
これを見ておりますと、法定事項とはいかなるものか、全くその実態不明な状況になっております。こういう実態では何を議論しても始まらないという感じを避けがたいわけです。すべてが政府の恣意的な操作によりまして動いております。そうして交付税率の改定も回避する処置がとられてくる。ですから、こういう状態でいきますと、地方交付税がその本来の機能であります、あるべき姿の財源保障の責めを果たし得ない。政府の経済政策によりましてほしいままに左右されますことは、地方自治の本旨の実現も地方団体の独自性の強化も全く空文化されてしまう、こういう状態になっておりますが、こういうことではたしていいだろうかという疑問を率直に持たざるを得ないわけであります。これについて御見解をお聞きしたいと思う。大臣の所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/8
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009・松浦功
○松浦政府委員 お許しをいただきまして……。
御指摘のような見方が出てくるような一面があることは私どももわかりますけれども、交付税制度というものがきわめて技術的な要素をたくさん含んでおりまして、きのうも細谷委員の御質問にお答え申し上げましたように、公平性という点からだんだんこまかくなってきて、微に入り細に入った形になって、非常にわかりにくくなりつつあることは御指摘のとおりでございます。これらの問題については、お答えを申し上げましたように、公平性と簡素化というものとの接点をどこに求めるかという問題であろうかと思いますけれども、やはり、ある程度はこまかくなっておりましても、公平性は保っていかなければならないと思います。その原則を前提に置きつつ、これから努力をしてまいりたいと思います。
ただ、先生御指摘をいただきましたように、補正係数でいろいろと数字が変わってくるじゃないかという御指摘、きのうも細谷先生からございましたが、先生御指摘いただきました中で一つ例をとって申し上げますと、大阪府の場合に衛生費が四三%に補正の結果下がっておるということでございます。これは御承知と思いますが、一般の府県では保健所行政というものはすべて県がやることになっております。ところが政令市につきましては、保健所についての権能は政令市に委譲されておりますために、大阪府につきましては、大阪市内及び保健所を設けなければならない市については数値から除かなければなりません。それを補正でやっておるためでございますので、こういう補正までいろいろおっしゃられますと、これはますます別に単位費用をつくらなければならなくなりますのでかえって複雑になる要素があるわけでございます。そういう意味で、年々行政の結果変わってまいります形を補正としてつかまえております。その点は十分御理解をいただきたいと思いますし、またそういった事情を反映して、法律で、自治省令でこれを定めるということをお認めをいただいておるわけでございますので、省令でわれわれが何か間違ったことをやっておるんでございましたら御指摘をいただきたいと思いますが、われわれとしてはもうどこを突かれても理屈がつけられるような形、むしろ公平性の確保という観点からやっておりますので、補正の問題は外部へ出していない問題ではございません、全部出しておるわけでございますので、ひとつ御検討いただきまして、あるいは逆になるかもしれませんが、四十八年度の配り方でこういう点がおかしいじゃないかというところがございましたら遠慮なく御指摘をいただきまして、私どもとしては次の年度から、誤っておるところがあれば直していく、こういう態度で臨みたいと思います。どうかひとつ御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/9
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010・町村金五
○町村国務大臣 ただいま三谷委員から、最近の地方財政というものを見ておると、依然として経済的開発事業というようなものは非常に伸びておるけれども、逆に教育、衛生、民生といったようないわゆる生活関連の整備はむしろ逆に非常に減っておると申しましょうか、きわめて軽視されておるような地方財政の状況だ、こういう御指摘でございますが、昭和四十九年度の地方財政計画を私ども策定いたします場合におきましても、何と申しましても総需要抑制という要請を十分に重視をするという立場をとりながらも、一方、産業基盤関連の事業費というようなものは御承知のようにこれを据え置くという方針をとったわけであり、他面、住民福祉のための施設の整備といったようなものについては、物価の高騰という問題もございますので、内容的にはいろいろ御指摘を受けなければならぬところがございますけれども、少なくともこれについてはやはり相当に整備を促進するという方針を堅持しながら財政計画の策定に当たったようなわけでございまして、ただいま御指摘のような考え方で私どもは地方財政に取り組んでおるわけではございませんので、この点は特にひとつ御了解を願わなければならない、こう考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/10
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011・三谷秀治
○三谷委員 お尋ねしましたことが全体としてよく御理解にならなかったようです。私が申し上げましたのは、交付税そのものの構造的な問題といいますか、その矛盾について二、三の例をあげたわけでありまして、間違ったことをやっておるということは一言も言ってはおりません。むなしいと言っているわけなんです。このむなしさというのは、さっき言いましたように交付税の単位費用をあれこれいらってみましても、結局それは全体のワクの中でいらうものであって、どこをどうふやしたといったところで、ふやした分だけは事業量が減るか、他を減らすかという、要するにコップの中の争いになってしまっている。ここのところに問題があるわけであって、そういう状態がいろいろな交付税制度の中にあるということが問題ではないかということを指摘したわけであります。
こういう状態でいきますと、あるべき行政水準とは一体何なのかという疑問にもぶち当たってくるわけであります。いろいろ言いましても、全部一定のワクの中の操作に終わっている。つまり、逆に言いますと、国税三税の三二%の中で基準財政需要額というものが算定をされる、自治体の実態の要求というものを土台にするものではない、こういうところに交付税の制度の問題点がありはしないか。ですから、単価を現実の姿に合わせようとしますと事業量が削減をされてしまう。補助率がふえたと思うと、これは基準財政収入額がふえたとして交付金が削減されてしまう。あるいは国庫補助額を改定しますと、基準財政需要額もその国庫補助単価を基準にして算定をしますから、交付税もふえてくる。ふえますけれども、そのふえた分は総額に反映しませんから、結局事業量が薄まってしまう、こういう状態になってきておる。こういう状態で、一体あるべき行政水準の財源保障なんということができるのかどうか。ここのところに私は一番大きな疑問点を持っておるわけであります。
結局、単価や率の改定というものが総額に反映をする処置、はね返る処置というものがどうしても必要である。そうしない限りは、どこをどうつついたところで、結果としては同じ状況しか生まれないというところ、ここをどのようにお考えになっているか、お尋ねをしたわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/11
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012・町村金五
○町村国務大臣 御承知のように、現在の地方財政というのは、私が申し上げるまでもなく、それぞれ地方税の収入なりあるいは国庫補助金なりあるいは交付税といったようなものが、地方財政の収入の大宗をなしておるものであることは言うまでもございませんので、地方財政の運営もやはりそういったワク内でどうしても操作をせざるを得ないということは言うまでもないのであります。
そこで、先ほどもだんだん御指摘がございましたが、たとえば補助率をふやすということになれば、今度は事業量が減ってしまって、地方の需要に十分に応じ切れないような一面があるという御指摘でございました。地方自治体にしてみれば、歳入というものは多々ますます弁ずる、こういうお考えのことも私どもよく理解ができるわけでございますけれども、しかし何と申しましても、やはり入るをはかって出ずるのをある程度制せざるを得ないということも、これまた当然の事柄であるわけでございます。ことに、御承知のとおり本年度は総需要抑制で公共事業等をかなり圧縮せざるを得ない。このことについても、地方団体にしてはぜひこういう仕事はこの際自分のところではやらなきゃならぬ、それをいわば政府のほうで大局的な立場から圧縮をする、前年より伸ばすことはまかりならぬ、こういうことで、地方自治体としてはそういった計画をされたことを予定どおりに進めることができないというような嘆きを持たれる方も私は確かにある、こう思うのであります。しかし一面、今日われわれとして考えますと、物価を安定をさせるということは何よりも大事なことなので、ここ半年になりますか一年になりますか知りませんけれども、やはりひとつごしんぼうを願うということも、これは私は地方自治体にお願いをしなければならぬことではないか、こう考えるわけでございます。
しかも、御承知のように、もちろん物価の高騰ということがございますから、かりに地方税収入もふえる、あるいは補助金もふえる、交付税もワクが相当にふえるということにはなりますけれども、現実にははたして、物価高騰と相殺をいたしました場合どの程度これが増額になっているかということになりますれば、いろいろ今後の物価動向というものにも深い関連を持ってくることは申し上げるまでもございませんけれども、私は本年の場合、いま御指摘のございましたように、できるだけ地方財政に対して補助金、補助率等を上げるということによっても総体がふえることが十分できない場合には、確かに事業量がそれだけ圧縮をされるという事態の起こるということは、これは私は本年の地方財政の場合におきましてはどうも一面やむを得ざることではないかというように考えるのでございますが、こういった情勢が今後私は必ずしも長く続くとは思いません。今後、日本経済というものが再び正常な状態に戻ってまいりますならば、こういった今日のようないわば非常時的な緊急措置というものがいつまでも続くはずのものではございませんので、そうなりましたら地方財政もまたいまとはかなり違った姿において、地方団体の方々がもっといま以上に自由な施策を講じていただくことができるということに相なるのではないか、こう私は考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/12
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013・三谷秀治
○三谷委員 総需要抑制の問題につきましての議論はおいておきますが、地方自治体の事業の中では抑制し切れないものがあります。たとえば義務教育施設への入学とかというような問題にしましてもそうですし、あるいは今日の物価高の中で共かせぎが増加しつつあることは言うまでもありませんが、その子供たちを措置する施設もこれは抑制しがたい要素のものであります。そういう住民関連の事業につきましては一律に抑制ができない。むしろ今日のインフレ、物価高、生活破壊の状況の中におきましては一そう拡張しなければならない、そういう要素のものが地方自治体行政の中には大きな部分を占めておるということは言うまでもないわけでありまして、ですから、総需要抑制というものを一律にどこでもかしこでもやればいいんだというような考え方でいきますと、これは全く無為無策といいならざるを得ないわけであります。
いまおっしゃいました話を聞きまして、依然として私納得しませんのは、たとえば補助額を上げるというものは一つの改善処置なんですね。そういう改善処置を一方でとって、そして行政上の改善処置としてうたわれているわけです。ところが、これは実際におきましては、地方交付税におきましてはどんなに改善をしましても、ワクが変わらぬことには同じワクの中の操作になりますから、改善した分が事業量の減少になってくる。そういうことでは、あるべき行政水準とは一体どういうことなのか。政府の財政政策の中における一定水準ということなのか、あるいは地方住民の実際の生活要求、生活事情等に基づく行政需要のことなのか、わからなくなってしまうのですね。
それで、いま予算には限度があるというふうなことをおっしゃいましたけれども、もちろんそのことはよくわかっております。わかっておりますが、しかし、少なくとも補助率を改定したり補助額の改定をしましたときには、それがすぐに地方財政にストレートに反映をするということでなければ、それが交付税におきまして事業量の縮減になりましたり、あるいは交付税算定の単位の切り捨てになってしまいますと意味がなくなってしまうのですよ。マスターベ−ションになってしまう。ここのところはやはり改善してもらわなければならないというのが私の考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/13
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014・松浦功
○松浦政府委員 どうもちょっと先生の御指摘、わかりにくいところがあるのでございますが、私どもの考え方を申し上げますれば、交付税というものは、これはあくまで財政計画という一つの、地方団体総体の収支というものを前提にいたしまして、それを投影しておるものが交付税でございます。財政計画を抜きにして交付税が先に走るという制度にはなっておりません。したがって、国庫補助率が上がったあるいは単価が上がったということは、財政計画の中に全部反映をされます。そうして財政計画をもとにして、交付税が、先生おっしゃられるようにこれはワクがあるわけでございます。交付税の需要というものは、税金の一定割合と交付税を足したもの、これが財政需要のワクになってまいります。その中で操作されておるということは、これは事実でございます。したがって、財政計画のつくり方によって交付税というものは変わってくるというふうにまずお考えをいただかなければいけないと思うのでございます。交付税が先に出てまいりますとどうしても議論がこんがらかってまいるのではないかと私は思います。
それから、ただいま、補助率が引き上げられましてもそれがちっとも反映してこないじゃないか、こういうお説でございますが、今回の、たとえば下水の補助率の引き上げで地方負担の減少は五百五十億あるわけです。五百五十億の金は地方財政計画のどこかへ、補助率が上がりましたために配られておるわけです。そういうふうにお考えいただきますと、その財政計画で配られておる五百五十億は今度は交付税に影を落としていく、こういう循環をしていくことになると思うのでございます。ただ下水につきましては、補助率が上がりますれば、裏負担を見ておる交付税としては、補助率が上がれば当然下水の事業量が減ってくるのはあたりまえだ、そのかわりそれはほかのほうへ回ってくる、こういう仕組みになっておりますので、補助率が上がりますれば裏負担が減る、裏負担が減ればその部分だけ、地方財政の一般財源が同一であるとすればほかのほうに余裕を持って回せる、補助単価が上がれば事業量がふえる、まあ、先生の御指摘いただいている超過負担が実質的に減ってくるという意味で実質的な財政効果が出てくる、われわれとしてはそういう考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/14
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015・三谷秀治
○三谷委員 いまおっしゃいました話ですけれども、ワクがあるとおっしゃっているのですね。そのワクの中でいろいろな操作をしている。そのワクから出ることはできない、そこに問題があると言っているのですよ。ですから、いま三二%という率がワクになっている、このワクの改定をしてほしいという要求があるわけです。私はワクの改定よりも、そういう実勢を基礎にした交付税というものを組むべきだという考え方なんです。ですから、あなたおっしゃいましたように、いまの補助率の面でいきますと、補助率が上がりますとそれによりまして地方自治体の裏負担が削られる、それが全体としては交付税の中のどこかで生きてくる、これは確かにそのとおりなんです。もう一つ前提にありますのは、その国庫補助や交付税によりまして、ものごとが全部終っておるか。下水道などにおきましては税外負担という問題もある。そういうことがあるということを前提にして考えていかなくちゃ、ものごとよくわからない。そういう状態になってきている。
ですから、補助率が上がりました場合には、税外負担が減るとか地元負担が減るとか、そういう処置になってこなければ実際の行政の恩典とは言えないということを言っているわけなんですよ。補助額の場合ですと、補助額が上がりますとこれは交付税額も上がってくる。しかしそれはワクを押えておりますから、上がった分はどこかで削っていかなくちゃしかたがないから事業量が薄まってしまう、こういう状態になってきている。ですから、これはあるべき姿の行政水準というものを真に守っていく、保障していくという態度ではない。
要するに、いま国がきめました財政政策の範囲の中で、あるべき行政水準というものがダウンもすればアップもするという、実に伸縮自在な状況になってきている。そういう状況の中で、あるべき行政水準ということを交付税はうたっているわけでありますけれども、その理想というものは一体どこで生かされていくのかという疑問が起きてくるのは当然でありまして、それがあなたよくわかりませんか、質問が。わからなくちゃもっと詳しく言いますけれども、わかっておるはずだと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/15
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016・松浦功
○松浦政府委員 先生がおっしゃっておられるのは、すぐに交付税の単位費用の問題と結びつけて、あるいは補正の問題と結びつけて御指摘をいただいておるようでございますが、交付税が三二%と定められているのは、国、地方との財源の配分関係、国会の御議決で三二%と定められた。これはあくまで財政計画の収入の一つとしての地方交付税の額でございます。財政計画というものが交付税計算のすべての基礎になっておるということを申し上げておるわけであります。この点は御理解をいただきませんと、直ちに単位費用に問題を結びつけていただきますと、これは非常に問題があろうかと思うのでございます。
ただ、先生御指摘いただきましたように、現実の姿に近づけろ、それからあるべき姿とはたして言えるかということでございますが、私どもは、現実の姿に全部地方財政措置を合わせていくという考え方は持ち合わせておりません。これはあくまで国、地方を通ずる財政の中で、できるだけ地方における仕事はやりいいように、地方団体の理想的な行政がやり得るように努力をしていくということは当然でございますが、各地方公共団体がやっているものにすっぱりこちらを合わせるということは、私どもとしては考えておらないわけであります。
そこで、それじゃあるべき姿にいまなっているかどうか、財政計画があるべき姿を示しているかどうかということになりますと、これについてはいろいろ考え方があろうかと思います。決して私どもがどうこうでいまあるべき姿だということを無理やりにどなたにも押しつけていくというつもりはありません。ただ、われわれとしては、現在の国、地方を通ずる財政の中では、この程度が標準的なあるべき姿ではなかろうかというものをお示ししておるわけでございまして、社会情勢の変転に伴って、国、地方の財政関係の変遷に伴って当然にこれは前向きに向上させていくということは、われわれ常々念願をいたしております。しかし、現在の時点においてはこれが標準的なあるべき姿だろうということを地方団体にお示しをしているものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/16
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017・三谷秀治
○三谷委員 国、地方の財政計画の中において交付税額も決定されている、それはわかっていますよ。そうしますと、国、地方を通じての財政計画そのものについてここで議論をしたり質問したりする余地はないわけですか。そのことを含めて私どもは議論しているのですよ。国、地方の財政計画がはたして妥当なのか、そして現在の地方自治の本旨を守りあるいは地方の財源の自主性を高めていくという課題からして、それがどういう位置を占めておるのかという観点に立って議論しておるのであって、国、地方の財政計画に基づいてこれは出ておる、こんなことはわかったことなんです。それを無視して出るわけはない。その国、地方の財政計画を通じて、いま施行されております地方交付税そのものに問題があるのだ。その問題というのは、具体的には単位費用から問題を進めて検討していく。これが最も具体的であるし、これが最も地方の実情というものを反映するものである。そういう観点でものを言っているのであって、私の質問というものが、あなたがおっしゃいますように、国、地方の財政計画によるものであるからそれ以上のことは考えていない、そういう答えでは、私どものこの交付税の審議についての説明にはなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/17
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018・松浦功
○松浦政府委員 私が申し上げておりますのは、交付税の単位費用なり補正なりというものをいきなり問題にしていただいて、現実の姿と合ってないじゃないかという御議論をしていただくことは、それはけっこうでございます。しかし、それより前に、国、地方を通ずる財政問題を御論議をいただいて、そちらできまりましたものを交付税に影を投げておるわけでございますから、もとのほうを御議論をいただきませんと私どもはなかなかお答えが申し上げにくい、こういうことを申し上げているわけでございます。御了承いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/18
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019・三谷秀治
○三谷委員 国、地方の財政計画というものはどこでその適否を判断をするのか。そういうことになってきますと、地方財政の場合におきましては、地方自治体の実際の行政の姿といいますか事情といいますか、そこから判断する、それが最も科学的で的確な方法なんです。だから私どもは、国、地方の財政計画というものをさか立ちして観念的に議論をするのでなしに、いま地方自治体の住民が置かれておる状況から判断をしていくのだ、そこから議論をしていくのだ、そういう立場をとっているわけだ。その議論をどこから発展させようと、それについてあなたからとやかく言われる必要はないわけだ。
とにかく、この交付税というものがいまのあるべき行政水準を保障する状況になっておるかどうかということを問題にしているわけであって、それがどうかとお尋ねしている。それは国、地方の財政計画でどうこうでなしに、それはそれとして議論をして、それが国、地方の財政計画を変える必要があるものであるならば、これは改革をしていくということでなければ問題の前進は全然なくなってしまう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/19
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020・松浦功
○松浦政府委員 現在の時点におきまして、われわれとしてはあるべき行政水準をお示しをしているものと確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/20
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021・三谷秀治
○三谷委員 それはたいへん抽象的ですが、あるべき行政水準とは何です。たとえば公営住宅が本年度におきまして何戸建つのか、前年度と比べて幾らになるのか、あるいは保育所はどうなるのか、あるいは義務教育施設はどうなるのか。それらが、具体的にいえば事業量が薄められてしまって、どんどんこれが減少しつつある。その減少しつつある状態があるべき行政水準であって、以前の、それよりも高い水準のものはあるべき行政水準ではないとおっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/21
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022・松浦功
○松浦政府委員 ちょっとことばが足りませんでしたが、地方財政計画というものをきめておるわけです。これは……(三谷委員「それをいま審議しておる」と呼ぶ)そうです。国会で御審議をいただいているところでございます。私どもとしてはそれに基づいて交付税を算定するということで、単位費用もきめております。私どもとしては、現在の時点ではそれがあるべき姿だと申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/22
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023・三谷秀治
○三谷委員 いま国会で地方財政計画の審議をいただいております——いまやっているのじゃないか、これを。どこかで何か審議が終わってきて、それをここに持ってきているのであって、それについてはわれわれ発言の権利がないんだというふうな考え方じゃだめですよ。いまの地方財政計画、ここで審議しているのじゃないか。その地方財政計画というものの基礎になっております、それの一部を占めておる交付税の運営について、こういう問題はどうかということを聞いておるのであって、それはいま審議過程にあるものじゃないか。それをあなた、何か地方財政計画がきまったものであって、国会の審議をいただいたものであります、あるいは地方交付税法、もうきまったものであります、そういうような口吻を弄しておるのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/23
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024・松浦功
○松浦政府委員 そういうことは申し上げておりません。われわれのほうで、自治省といたしまして地方財政計画もきめ、交付税法案なるものも作成いたしまして御提案申し上げている。われわれは現在の時点では、自信を持って御提案申し上げているということを申し上げておるだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/24
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025・三谷秀治
○三谷委員 言い方を変えちゃだめだよ。さっきの答弁を聞いておると、速記録を見ればわかるが、まるでそのことについてはここでは触れることのできないタブーであるかのような発言をしたじゃないか。地方財政計画あるいは国と地方とを通ずる財政計画、それをいま審議しているのじゃないか。審議をしているから質問しているのじゃないか。その質問に対して、もうあたかも地方財政計画が決定したものである、そういうような答弁が通用するものじゃない。
そこで、これがいま自信を持っているという話だけれども、一体、あるべき行政水準というのはどういうことなんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/25
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026・松浦功
○松浦政府委員 あるべき行政水準というのは、あくまで現実の財政、現実の財政状況に基づいて、こういう行政を行なっていただくのが一つの標準じゃないかという意味でございまして、いわゆる理想的なあるべきということばではないと私は思います。理想的なあるべきというものに向かって、前向きに進むということは当然でございまするが、現実には財政に縛られておるわけでございますから、その範囲においてこういうところが標準的な行政のあり方だろうというものを交付税の中で投影していく、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/26
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027・三谷秀治
○三谷委員 そうしますと、お尋ねしますけれども、あるべき行政水準の保障ということは、要するに、いまの交付税あるいは国庫補助金の不十分さを改善をして、そして一そう高い水準の地方行政というものを確立していくのだというものでなしに、あなた方がお立てになりましたこの範囲の中におきまして適当な操作をやりながら、その範囲でものごとの水準というものをきめていくということなんですか。つまり、目ざすべき目標というふうなものはないものであって、とにかくいまのこのきめました三二%の中において、あるいはきめました補助率、補助額あるいは交付税の中において全部操作されるものだ、そういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/27
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028・松浦功
○松浦政府委員 繰り返してお答え申し上げますが、あるべき姿ということばは、ただいま先生から御指摘をいただきましたような理想的なものの響きも入っておるようでございます。したがって、われわれとしては、それぞれの年度において示されるわれわれの言っておるあるべき姿というものを引き上げていく。そして、よりよい地方行財政が展開されるようにという努力はしてまいりますけれども、現実の問題といたしましては、やはりこういった種類のものは財政に束縛されるとういことは御理解をいただけると思うのであります。その範囲において標準的なものをお示ししておる。
特に交付税におきましては、御承知のようにいろいろ捕捉しにくい要素もございますので、県では八〇%、市町村では七五%という率を用いて収入を算定をいたしております。そういう形からいたしましても、標準的なものがいきなりそう高いものになるとは思わないわけでございます。二〇%なり二五%なりで各地方公共団体におかれて創意くふうを生かされて、どこにウエートを置かれるか、どこをどう引き上げていかれるかということによって現実の財政を運営していただく、これが現在のたてまえになっておると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/28
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029・三谷秀治
○三谷委員 あるべき行政水準というものが今後指向すべき一定の水準というものを示しておるということなんです。それを実現するためにどうするか、その議論をいまやっているわけなんです。そのためには超過負担の問題もあるし交付税額の問題もある、その議論をいまやっているわけだ。あなたの議論を聞いておりますと、それにはもう問題はない。この交付税で十分だし、あるいは自信があると、こういうわけだ。それから国庫補助にしましても、当然交付税に自信があれば国庫補助金についても自信がある、これは全く問題はないものだ。そういう態度であなた、地方自治や地方財政の問題を担当できますかいな。問題はあり過ぎるんだ。あり過ぎるものをどこでどう調節をするのか、あるいはこの地方財政に対する国と地方との関係を基礎にします一つの判断といいますか、これについてどう改善を加えていくのかという議論をわれわれやる必要があるし、それは自治省とわれわれが共同してでもこの方向というものは強化しなければいかぬところなんです。ところがあなたの答弁を聞いておりますと、自信があります。まるであるべき行政水準というものがほぼここに達成ができたかのような答弁をなさっている。そういう牽強付会の議論というものは成り立つもんじゃない。
そこで一つ聞きますけれども、たとえば本年度の交付税、地方財政計画ですけれども、最も伸び率の高いのが住宅になっている。これが二〇・七%伸びている。ところがこれによります公営住宅の建設戸数は幾らなのか。建設省お越しでしたらお尋ねしたい。九万五千戸と聞いておりますが、そうでしょうか。前年度の当初におきましては十二万四千戸でありましたから、前年比二万九千戸減少する。改良住宅にしますと八千戸の計画と聞いておりますが、間違いありませんか。前年度一万四千戸でありましたから、六千戸の減になっている。公営住宅で三〇%減、改良住宅で四三%減、この実態が、あるべき行政水準にこたえ得る努力した状況といえるかどうか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/29
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030・救仁郷斉
○救仁郷説明員 御指摘の建設戸数計画につきましては、御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/30
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031・三谷秀治
○三谷委員 自治省の場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/31
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032・松浦功
○松浦政府委員 現実の問題といたしまして、予算を組みましても、一部四十八年度においても執行できないというようなものが、いろいろの事情からあったようでございます。われわれといたしまして、この住宅がどれだけどうあったらいいかということは、これはやはり建設省で御判断をいただくべき問題だと思います。私どもといたしましては、建設省が努力されました結果を地方財政の上でフォローしていくという態度をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/32
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033・三谷秀治
○三谷委員 そういうごまかしはいけませんで。あるべき行政水準、理想的な行政水準に近づけるということは、建設戸数を減らしたりすることじゃない、さらに増加することなんだ。その減らしたものは、これは建設省が打ち出したもんだからわれわれは関知しない。しかも自治省におきましてはあるべき行政水準を保障するための交付税の審議をやっている。そういう、要求するに乖離した態度といいますかをおとりになっちゃだめですよ。
保育所はどうでしょうか。保育所は、これは四十七年度におきまして六百八十件でありましたが、四十八年度におきまして五百五十件になっている。本年は幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/33
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034・岩佐キクイ
○岩佐説明員 四十九年度におきましては、現在予算案を御審議いただいておるところでございまして、これがきまりました上で、実施計画の段階におきまして個所数を定めてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/34
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035・三谷秀治
○三谷委員 いま予算が審議されております。予算は衆議院は通りましたけれども、この積算の基礎からいいますとどうなっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/35
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036・岩佐キクイ
○岩佐説明員 積算の基礎につきましては、単価の問題も、ただいま申し上げましたように実施計画の段階において定めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/36
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037・三谷秀治
○三谷委員 実施計画の段階とおっしゃいますけれども、そうしますと積算基礎はないわけですか。積み上げはしていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/37
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038・岩佐キクイ
○岩佐説明員 積算の基礎におきましては、保育所の定員に基準面積をかけまして、それからさらに構造別の基準単価をかけまして、それに補助率をかけたものを国庫補助といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/38
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039・三谷秀治
○三谷委員 そのことは、昨年度からそういう基準別、定員別の補助算定方法をおとりになったことはよく承知しておりますが、それをおやりになりますと、昨年度の同規模のものに対して本年度におきましてはどういうような増加率になってくるのか、そうして予算総額全体を割りつけましてほぼ何件の補助対象がここで見込まれるのか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/39
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040・岩佐キクイ
○岩佐説明員 ただいま検討中でございまして、まだ申し上げる段階に至っておりませんので、御了承賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/40
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041・三谷秀治
○三谷委員 大臣、いずれにしましても、一昨年、昨年、本年と事業量がかなり大幅に減少してきている。さっきも申しましたように、住宅におきましては四〇%からの減少率になってきておる。こうして、いま住民が切実に求めております施策、しかも政府も福祉優先というアドバルーンを上げまして、政策転換をやるんだとおっしゃっている。そういう中におきましてこういう行政水準の低下という状態が現実に出てきている。その中におきまして、それをどのようにして改善するのかというのが、われわれがここで議論をしております最大の課題なんです。
その面からいきますと、交付税上の欠陥もある、国庫補助金における不十分さもあるわけなんです。あるものについて質問をしますと、何かあるべき行政水準というふうなものは財源の中で考えるべきものであるとか、あるいはいまの段階におきましてはこれで十分に自信があるものである、そういうことをおっしゃっている。そういう姿勢で地方行財政の問題というものが前進的に解決できるでしょうか。いまの財政局長の答弁なんというものは、実に私は言語道断だと思っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/41
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042・町村金五
○町村国務大臣 いろいろ御質疑がかわされておるわけでありますが、先ほど来だんだんお話がございました。私どもも、今日地方行政におけるあるべき姿というものは一体どういうことなのかという御質疑に関連をして、私どもの考えておりますことは、やはり何といいましても、時代とともに行政水準を今後とも上げていかなければならぬということは、これは申し上げるまでもございません。少なくともある程度の理想的な姿を目ざし、これに向かって今後とも逐次水準を上げていくという努力をしていくととは当然であります。
ただ、しからば一体本年の予算をどうするんだということになりますれば、当然財源の制約というものが一面においてあるわけでありますから、その範囲内においてできるだけあるべき姿に向かって努力をしてまいるというのが、私は、地方財政計画を打ち立てていく場合に自治省として深く心した重点である、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/42
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043・三谷秀治
○三谷委員 昨年度の補正予算、昨年度の当初予算におきましても、この委員会でも附帯決議を付している。その附帯決議の中には、地方財源の拡充、交付税率の引き上げ、こういう問題が指摘されている。そのことがあるべき行政水準を保障するためには不可欠の課題なんだという点につきましては、与野党とも一致している問題だ。この問題はなお追求していくべき問題でありますけれども、あなた方は、それを追求すべき立場にあるにかかわらず、それを肯定しながら、自信があるというふうなことをおっしゃっておる。これは少し食言が過ぎておる。自信の持てるものじゃないけれども、いまの財政政策の中でやむを得なかったのだというのでありますなら、これはまた話がわかる。そうじゃない。
たとえば財政調整資金を新設されました。この財政調整資金というのは、インフレ、資材高騰に対して年度途中で対応できるというたてまえに立ってつくられた制度であります。あるいは高校や幼稚園の教職員の給与改定費も見込んでおる、こう言っておる。この財政調整資金とか土地開発基金というのは、インフレ対策的な要素を十分に持っている。しかし、これとても交付税のうちから区分けしたものであって、既定の交付税を分けてこういう名称をつけたというだけにすぎない。結局、これは結果的に見ますと、現行交付税を削減をして物価高騰分に充てようというものだ。これでは、狂乱物価といわれます異常な自治体の負担増に対して何らの対策を持たないことを示している。この異常物価対策というものが、在来の交付税の一部を財政調整資金と称して区分けするだけにとどまったのでは、現実の事態に即する対策としては無為無策と言う以外に表現のしかたがない。しかも、交付税は一般的な財源でありますから、そしてあるべき地方行政水準を保障するたてまえのものでありますから、その中に調整資金だとか土地開発基金という特定財源的な性格の区分けを設けて、使途を特定しないまでも牽制するということは、交付税のたてまえに反している。
この異常事態に対する対策は、現行交付税のワク以外の特別対策を必要としている。だれが考えてもこれは同じことだ。これは交付税の引き上げという処置もあります。あるいはまた会社臨時特別税というものが不当利得の社会還元、インフレ損失の社会的補償という性格からしますならば、これを住民福祉に密着した地方財源に還元するという処置もある。あるいは千六百数十億の削減をとりやめるという処置もあり得るわけだ。今日の異常な状況に対してそれらが活用されるのは当然なことなんです。ところが、交付税は削減をするわ、率は全然ほったらかしにするわ、特定な財源については考えない、ただ従来どおりの交付税の中からインフレ対策費を区分けをする、そして特定的な使途に充てる目的があると見なくちゃいけませんけれども、そういう処置がとられている。こういう状態で、いまの異常事態に対処する地方財政政策として妥当なものと言えるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/43
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044・松浦功
○松浦政府委員 現在の経済情勢がどのような形で四十九年度中に動いていくか、私どもはさだかではございませんけれども、いずれにいたしましても、予算編成の時点においては、補助単価の問題にいたしましても四五%引き上げるというような形で、物価の影響の及ぶ範囲のものは国の予算で編成をされていると思っております。それを前提にいたしまして裏負担その他を全部計上しております。一応、経済に対処する形の地方財政計画になっているかと存じます。もちろん、今後どういう推移が起こるかわかりません。その時点で非常に地方財政の運営にいろいろな影響が出てくるような大きな問題が出てくれば、それに対する手直しという形で国庫当局といろいろの交渉があり得ることは当然でございます。
たとえば一例を申し上げますれば、ベースアップ、これにつきましてどういう勧告が出ますか現在の段階ではわかりませんけれども、少なくとも八%しか保留財源はとっておりませんので、それをこえた部分については財源が財政計画上不足になってまいります。そういった問題については、その時点においてどれだけの所要額があるかを算定をいたしました上、国庫当局とよく折衝をいたしまして、地方団体の運営が困らないように努力していくということは当然であろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/44
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045・三谷秀治
○三谷委員 この予算が編成されました当時の物価状況というものが反映をしておるとおっしゃっておりますが、そうでないことは、十二月における交付税の削減の処置の際の質疑におきまして明らかになっている。たとえば義務教育施設の建設単価にしましても、改定しまして六万一千七百円、しかし実際には十万から十五万している。先般文部省が比較的安い地域の実例を幾つか持ってきてくれました。調べてみますと、全部小規模学校であって、便所がないとか、あるいは地面が非常に条件がよくてパイプラインを通す必要がないとか、いろいろな条件があって、異例なものだといっている。その異例なものを持ってきて、義務教育施設に対する国庫補助単価の質問に対して抗弁する材料としようとしておりますけれども、特殊な事情がそれぞれある。実際におきましてはいま十万以下では建設ができないという状態になってきている。それを六万一千七百円で補助単価をきめている。その六万一千七百円で裏負担分の交付税もきめている。こういう状態で地方の事業というものが実行できないことは当然のことなんです。先ほど留保財源の話がありましたけれども、これは留保財源をつぎ込みましても足りない。結局は、いま行なわれておりますのは、事業を中止してみたり、あるいは赤字ころがしをやっていくという以外には方法がない。
地方財政がどういう状況になっているかということの幾つかの例がありますけれども、たとえば本年度の松山市の予算書を見てみますと、この中で国保財源におきまして国庫補助金というものが九億七千四百万円見込まれている。昨年度の国庫補助金は九千万円でした。それが一躍九億七千四百万円にふえている、ふえるという計算で予算を組んでいる。そういう予算の組み方をしなければつじつまが合わない状態になってきているんだ。これは単に松山だけではない。大阪府下におきましても先般そういう事態が議会で問題になった。新聞だねにもなりました。そういう偽装的な処置をとりまして、財政欠陥を明らかに予測しながら予算を計上するというようなことが一般的に行なわれつつある状態になってきている。
こういう状態に対して一体自治省としてはこれをどう援助するのか、この不況というものをどう打開をするのかという立場に立たなくちゃならぬ。ところがその観点が全然ない。こういうような実情に対して、自信がありますとは一体どういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/45
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046・松浦功
○松浦政府委員 私が申し上げておりますのは、あくまで、地方財政計画というものを政府として策定をし、交付税法という法案を策定し、そしてその中であるべき姿というものをはじいております、ということを申し上げておるわけであります。それについてはきちんとした、自信を持った作業を進めておりますということを申し上げております。
先生にもお答え申し上げましたように、現実の地方財政と財政計画というものは必ずしも一致をしないわけでございます。地方公共団体がそれぞれ地方財政計画の基本的な方向にのっとって運営をしていただいてなおかつ、地方公共団体自体に責めがない形でいろいろと財政上の問題が出てくるような事態が起こりますれば、これはわれわれとしては個々の財政として御相談を賜わり、そしてそれに対する適当な指針なり措置なり援助なり、そういうことをすることにやぶさかではもちろんございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/46
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047・三谷秀治
○三谷委員 私どもは、個々の市町村の一つ一つの問題を一つ一つとして解決するというのでなしに、制度的な問題としてこれを改善していくべきだという立場を主張している。いま地方自治体におきまして、そういう財政上の困難に直面をしておるのは特殊な自治体だけではない、一般的な状況だ。その一般的な状況に対して、個別の相談で解決をしましょうというふうな、こそくな態度で問題を処置するというふうなことで済むべきものではないし、またこれは行政でありますから、一つの制度として全体としての法制化をはかっていくという性質のもの、そういう観点で私どもは議論をしているわけであります。
そして、まだお答えがありませんけれども、たとえば、いま例をあげましたのは義務教育費の建設単価の問題でありますけれども、これではなかなか建ちそうにないということは、あなた自身が十二月の委員会で明言されたことなんです。建ちそうにないことをみずから認めながら、しかも、それは政府の補助金制度がそうなっているのだから交付税におきましてはそれ以上の処置はとれないんだ、こうおっしゃっている。つまり、現実の自治体の実態には合わないんだということを認めながら、国の計画がこうだからしかたがないということでは、これは私どもは納得できるものではありません。実態に合わなければ国の制度を変えてもらう、あるいは交付税の制度の改善も進めていくという姿勢に立って答えてもらわなければ、これは私どもは納得するわけにいきません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/47
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048・松浦功
○松浦政府委員 補助単価の問題、これは自治省で決定できないことは御承知のとおりでございますが、きのうも大蔵大臣からもお答えがございましたように、もし現在の姿と合わない場合には見直しをするということを言っておられましたのを私も拝聴いたしております。したがって、実施段階において現実と著しくかけ離れるというようなことになっては困りますので、関係各省にそれぞれ実態に合うようにお願いをし、国庫当局において補助単価の補正を行なうように、そういう事態が起こりますればお願いをしていくということは当然であると思います。それを直しますれば交付税の内容も、どういう形でするか、これは技術的にいろいろ問題がありますが、直したいと思いますし、起債の単価についても改めていくということは、これまでどおりきちんとやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/48
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049・三谷秀治
○三谷委員 私が申し上げておりますのは、その手直しをするという一般的な、いつでもおっしゃっていることでなしに、ことしの計画自体が実態に合っていないものだというところに問題があるという指摘をしているわけなんで、おっしゃいますように、今後この実施を通じまして実態に合わなければ手直しをするのだということでありますならば、交付税法などについてやかましく言って審議する必要はない、いずれこれはそのとき直しますのだということが一般化したのでは、これはたまったものではない。そういう議論を私どもはそのままちょうだいするわけにいかない。いまある計画はすでに不十分ではないか。その不十分なものを、なぜ、是正して審議にたえるものとしてこれを提案しないのかというところに、私どもがこの問題について問題意識を持っているゆえんがあるわけです。
そこで、土地開発基金というものも昨年の暮れに続きまして設定されております。これも、今日の交付税を区分けしまして配分のしかたを若干変えるだけのことだ。もともと交付税が特定財源でないことは言うまでもないわけでありまして、一般財源である限り、どんな区分けをしてみたところで、自治体は緊急に切迫した事業に予算を使っていくということは避けがたいことなんです。財政調整資金にしましても、国庫補助金を改定した場合の裏負担分を保留するという意味があるようでありますけれども、いま差し迫って超過負担や当然増経費の補てんに迫られておる。ただこういう区分けをしましたところで、これは全くナンセンスなことなんです。ただ、自治省としては、土地にも手が打ってある、インフレ対策も配慮してあるという弁解の道具にはなる。別のことばで言いますと、責任を回避するだけにすぎない。一般財源として当然地方自治体が収納すべき交付税を、いろんな色分けをしてみるというだけのことなんです。そのこと自体が地方にとりましてはたいした意味がないどころか、あたかも一般財源が特定財源かのような束縛を受ける可能性を持っておるわけなんです。今日の深刻なインフレ対策や用地対策がこれによりまして完了したように見せかけられたのでは、自治体こそいいつらの皮なんです。特定財源的な、使途を特定する区分を行なうなら、別個の特定財源を措置するのが当然である。これがインフレ対策であり用地対策であります。当然自治体がもらうべき権利を持っておる従来の交付税のワクの中から特定財源的なものを区分けをするというふうなことは、交付税のたてまえからしましても正しいことじゃない。これは改定してもらう必要があると私は考えておる。大臣の御意見をお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/49
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050・松浦功
○松浦政府委員 御提案を申し上げておりますので、いま改定する気はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/50
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051・三谷秀治
○三谷委員 何ですか。どんなにおっしゃったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/51
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052・松浦功
○松浦政府委員 御提案を申し上げている案件でございますので、現在の段階で改定するつもりはございませんと申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/52
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053・三谷秀治
○三谷委員 論議というものは道理に基づいて、道理に合ったやり方というもので処置していくということでなければならぬ。提案したものだから道理に合わなくてもそれはしかたがないのだ、そういう態度をおとりになりますと、議会の審議というものが全く空洞化してしまう。あなた方のお考えがおありでしょう。私どもの考えがある。それは議論をしてみて、いずれが道理にかなっているのか、どれが道理にかなわないのか、そこを基準にしてものごとを考えていかなければ、議会制民主主義なんていうものは全く無意味になってしまう。
私どもはそういう点からしますと、今回土地開発基金だとかあるいは財政調整資金だとか名目をつけて、当然自治体がもらうべき財源の中に特定的な要素を持たせようとしておる、そういう自治省の処置というものは大きな誤りである。これは改善すべきだと思いますが、大臣、御所見をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/53
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054・町村金五
○町村国務大臣 この土地開発基金というものは、御承知のとおりすでにだいぶ以前から交付税の中でそういうワク組みをつくっておるわけでありますし、財政調整資金というのは今度のいま御審議をいただいておる中で初めてこういったワク組みをつくったということはあらためて申し上げるまでもございません。
この措置について、三谷議員によれば、いわゆる一般財源を特定財源化するようなことをしておるものであり、一般財源が非常に不足なときにこういうワク組みをすることはどうもきわめて適切を欠いているのではないか、こういう趣旨の御発言のように私も伺ったのでございます。これは、もしいま御指摘がございましたように、一般の交付税が非常に窮屈になっておる、しかもこういうものを一種特定したような形で置くということであれば、私はいまの三谷議員の御指摘もまことにごもっともである、こう思うのでございますけれども、先ほど来だんだんお話が出ておりますようなぐあいで、今度の財政計画の中におきましては、御承知のような総需要抑制の立場からかなり歳出を抑制いたしておるという一面がございます。しかも一面におきましては、御承知のように土地というものの需要が非常にふえておるにかかわらず、土地の単価が非常に上がっておる、これにも対処いたさなければならない。また今日の物価の高騰というものに対しまして、政府としてはできるだけすみやかに短期のうちにこれを鎮静化しなければならぬということであらゆる努力をいたしておるわけでございまして、先ほども、たとえば文教施設の単価等についてもとうてい、昨年の暮れ、予算編成時にきめたような単価では問題にならぬではないかという御指摘もあったわけでございますけれども、政府といたしましては、少なくとも本年度はある程度物価を鎮静させるばかりでなく、何とかして若干の、物価をむしろ値下がりをするようなところまで持っていきたいという考えがあるわけでございますので、そういったことからいたしまして、その成果によりましては必ずしも御指摘のようなことにならない場合も、われわれはむしろそれを想定し、むしろそうありたいということでこういったことも実は編成されたという一面もあるわけでございます。
そこで財政調整資金につきましても、これまた先ほど来お答えを申し上げておりますが、とにかくやはり物価が相当に高騰するという場合には、政府の努力にかかわらずそういう事態に相なった場合には、やはりこういったものもこの交付税のワクの中につくっておくということは、今日の物価対策上きわめて適切であり必要な措置であるという考えに基づいて、私ども実はこういうものを今回つくった、御審議を願うということに相なったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/54
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055・伊能繁次郎
○伊能委員長 三谷君に申し上げますが、厚生省、建設省、なお御質問ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/55
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056・三谷秀治
○三谷委員 ええ、お尋ねさしてもらいましょう。
大臣のお答えは、どうも私の質問に対して本旨をよく御理解になってないような点がありますが、総需要抑制というのは政府の経済政策だ。一昨年までは景気刺激政策をとっておった。ですから、たとえば一昨年におきましては、四十七年十二月でありますけれども、景気刺激を目的にする需要の拡大の予算措置をとっている。国庫債務負担行為によりまして、たとえば義務教育施設におきましては、大阪府だけでも十二月段階におきまして百十三件の補助認定をする、あるいは危険校舎の整備補助金としましては九件を認証する、こういう処置をとられた。今度は一転しまして総需要抑制である。ですから、一昨年補助の認定によりまして着工しました工事、四十七年、四十八年、二カ年計画でありますから、四十八年の半ばにおきまして、まだ中途において工事がストップしてしまう、総需要抑制によってストップしてしまう、こういう無責任な事態が発生してきておる。
ですから、景気刺激政策でありましょうと総需要抑制政策でありましょうと、これは政府の経済政策なんです。政府の経済政策というものが、そのために法を無視する、法定事項を無視する処置によって遂行されるということがあってはならぬことは言うまでもないことなんです。この交付税というものが特定財源ではないということは自明のこと。しかしこの土地開発基金とかあるいは財政調整資金というものを見ますと、明らかに特定目的というものがここで裏書きされている。これは、こういう種類のものがいまの情勢におきましても必要であるということを否定するものではありません。こういう緊急事態におきましてはそういう対策、必要でありますけれども、それは新しい方法によって、別の財源によってまかなっていかなければ地方財政はたまったものじゃない。いまこの土地開発基金とかあるいは財政調整資金とかいうておるこの予算は、当然これは自治体がもらうべき金なんだ。従来からもらってきている額なんだ。当然増にこたえ得るだけの額なんだ。それをこのように特定をするということは、経済政策のいかんにかかわらず法的に疑義があるわけであります。そこのところは、総需要抑制のいかんにかかわらず、このような便宜的な処置をおとりになってはならぬと私は思っております。これはこれ以上あえて答えは求めませんけれども、十分に検討してもらう必要があるものだと私は思っております。
そこで、いま各省からお越しになっていただいておりますからお尋ねをさせていただきますが、文部省、建設省、厚生省ですね。
一体、ことしはこの単価の問題についてどうお考えなのか。建設でいきますと、公営住宅、一種、二種によって差がありますけれども、五万二、三千円程度、義務教育費におきましては六万二、三千円程度、この単価をもちまして、大蔵大臣がみずから名づけましたような狂乱物価のもとにおきまして、地方行政水準の低下をもたらさずに従来の既定事業が遂行できるのか、あるいは人口増にこたえる行政施設が完全に施行できるのか、これが実態に即したものかどうか、これについてお尋ねしたいと思う。
厚生省はまだ基準がきまっていないとおっしゃっておりますが、厚生省、ことしはどういうお考えになっているのか、これもあわせてお尋ねしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/56
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057・救仁郷斉
○救仁郷説明員 建設単価の問題につきましては、建設省が中心になりまして各省庁調整やっている関係で、私から先にお答えをさせていただきます。
従来、超過負担の問題がたびたび御指摘をいただきまして、四十七年度の公営住宅建設事業につきまして、大蔵省、自治省、建設省共同で実態の調査をいたしました。その結果八%の超過負担が工事費においてあるという結論を得ました。これを四十八年度、四十九年度の両年度で解消するという方針のもとに単価改定を行なってきたところでございます。ところが、御承知のように四十八年度に入りまして建設単価が急上昇を始めました。それに対応しまして、これは関係各省とも歩調をそろえまして、六月、十月、一月と三回にわたりまして単価の改定を行なってきたところでございます。それによりまして、四十八年度の当初予算に比べまして現在——現在と申しますか、四十八年度の最終の単価というものは三六%引き上げたわけでございます。さらに十二月の予算編成の段階におきましては、その後のいろんな物価の上昇を予測いたしまして、四十八年度の当初予算段階に比較いたしますと四五・七%の引き上げを行なっているところでございます。
これが四十九年度の実施についてどうかという御質問でございますが、御承知のように、建設単価は昨年の十二月から一月、二月の初めにかけまして非常に高騰をいたしました。ところが二月の末から三月に入りまして、建設単価だけはほかの物価とちょっと違いまして鎮静化のきざしを見せております。そして三月に入りまして実際に地方公共団体でいろいろな入札がどんどん動き始めたというような情勢を示しております。したがいまして、私ども、今後の予測はつきませんが、現時点では、少なくとも現在の予算単価の操作でもちまして十分にやっていけるというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/57
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058・西崎清久
○西崎説明員 先般、二月の本委員会で三谷先生から四十八年度の建築自体について単価の是正をはかるべきであるという御指摘があったわけでございます。その時点で、私は、現在各省で十分相談しておる、しばらく時間をかしていただきたいというお答えをしたわけでございますが、ただいま建設省からもお話がございましたように、三月十五日の時点で予備費を三十億計上いたしまして、四十八年度単価につきましては三回目の手直しをしたというふうな実態になっておるわけでございます。この際、御報告を申し上げたいと思うわけでございますが、先生御指摘の……(三谷委員「それはいつですか」と呼ぶ)三月十五日の閣議決定で三十億の予備費を計上いたしました。三回目の四十八年度の単価改定をしたわけでございます。
先生ただいまお尋ねの四十九年度の単価についてはどうかという点でございますが、先ほど自治省のほうからもお話ございましたが、予算設定の段階におきましては、私ども、物価、資材の今後の見通し等を過去の傾向その他から判断いたしまして、予算編成時点における最も直近の単価であります補正予算単価に、超過負担解消分を含めまして一八%の上のせをしたということは前回申し上げたわけでございます。その物価上昇分につきましては一四%が織り込まれておるわけでございますが、経済企画庁の考えておりました卸売り物価の一四%という点も大体見合うわけでございまして、私どもは四十九年度の物価の問題、特に建築資材の価格の問題を見通します場合に、ただいま建設省からお話ございましたように、特に三月期には鎮静化のきざしもあるというふうなことから考えまして、現時点ではまずこの単価で実施できることを期待しておるということでございますが、先ほど来お話ございますように、建築資材価格自体の推移につきましては十分注視してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/58
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059・岩佐キクイ
○岩佐説明員 保育所の建設単価につきましてでございますが、四十八年度におきましては、先ほど来建設省さんそれからまた文部省のほうからもお答えになられましたように、保育所につきましても、当初に比べて、物価の、特に石油危機を契機として見られました建設資材の高騰等を配慮いたしまして、十月一〇・八%、それからその後一月に九%の改善をはかったところでございます。
そこで四十九年度の単価につきましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、私どものほうでは、前にもお答えを申し上げたように、社会福祉施設一括計上さえておりますところでございまして、きまりました予算の中で、さらに個所数の問題あるいは単価の問題等を十分配慮してまいりたいというふうに考えておりますが、単価の引き上げについてはまだ率がはっきりきまっていないところでございまして、基本的には超過負担を解消いたしまして、なるべく実勢単価に近づけるように努力してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/59
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060・三谷秀治
○三谷委員 卸売り物価が若干下落傾向にあるのでこの単価で十分にまかなえそうだというふうにおっしゃっておりますが、それは少し実態というものから見ますと架空な判断です。卸売り物価は確かに若干下落ないし停滞傾向にあるのは私どもは承知しておりますけれども、それで請負単価がどう下がるのかという点になってきますと、卸売り物価そのまま請負単価の下落にはつながらない。上がるのはとまるかわかりません。ですからこれは、たとえば学校の建設費などは実勢と比べますと約六〇%程度の基準単価になっています。建設単価を見ますと、住宅の建設費を見ますと、これは実勢の八割程度、八〇%程度になっている。ですから、若干これが下がったとしましても、この計数では実行はできないということは明白です。太鼓判を押してもよろしい。いつでも各省の算定があと追いあと追いになっている。いつでも計算がはずれてしまう。いつでも無理な観測をして単価を押えていらっしゃる。これはもう少し実勢に即した改定をしなければ超過負担は解決しません。これがまた交付税単価にもなっていくわけでありますから、地方自治体が受けます被害というものは甚大なものがあります。これはもう少し検討してもらう必要があります。いま何といいましても出納閉鎖期に入っておりますからいまの実情は出せませんが、一月、二月の請負単価の実例は幾つか私どもも承知しておりますけれども、あなた方のおっしゃいますような単価では実際にはできていない。できておりますか。どこかでそういう実例を調べておりますか。ありましたら資料でもちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/60
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061・救仁郷斉
○救仁郷説明員 私どもは、卸売り物価指数によります建設資材、あるいは労務賃金の統計調査によります労務賃金を使いまして、いろいろなウエートをもちまして建築費の指数を出しております。ところが、これがほんとうに請負単価に反映するのかという先生の御指摘でございますが、これは非常にそのまま請負単価に反映しない点がございます。去年の暮れから一月ぐらいの状態でございますと、建設業者の手持ち工事量というものが非常にたくさんございました。そのために、需給の関係からむしろそういった指数よりも高くなっている。先生御指摘の一月、二月の実態というのは確かにそういう面がございました。ところが三月に入りますと、そういった請負工事量の需給の関係から、私どもが指数ではじいております以上にむしろ単価が下がっているというような実態もございます。そういった実態を踏まえまして先ほど私御答弁申し上げたわけでございますが、なお、非常にこの問題は流動的でございますので、今後の物価の推移を見ましてできるだけ、昨年も三回にわたってやったわけでございますので、すみやかに手を打って、地方財政の超過負担問題が起こらないように手を打ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/61
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062・西崎清久
○西崎説明員 契約単価、請負単価の問題でございますが、先生御指摘の点ではございますが、これは非常にむずかしい問題があるわけでございます。と申しますのは、やはり市町村が契約をいたします場合には、付帯工事以外に、設備であるとか、他のあわせた既設建物の事業とか、いろいろなものをワンセットで契約するという場合があるわけでございます。したがいまして、私ども市町村の契約単価というものをもらう場合があるわけでございますが、その契約単価自体については非常にこまかい分析をいたしませんと、補助単価との比較はなかなか困難でございまして、そういう意味では、先生御指摘のような一月、二月に補助単価そのものでできたものがあるかどうかという点については、私ども的確にお答えする資料は持ち合わせておりませんので、今後の問題といたしまして、四十八年度時点における契約の実態としてどういうふうな実態になっておるかという点につきましては、私どもも十分調べてまいる必要があろうかというふうなことを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/62
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063・三谷秀治
○三谷委員 いろいろおっしゃっておりますけれども、そのおっしゃっておることが、この実勢に合わない単価を何とか合理化するための答えにすぎませんから、もうひとつ明快な答えになってこない。平米当たり六万一千七百円なんていう単価があるわけないのだ。いま木造で民間住宅を建てましても、坪当たり二十万では建ちっこない。プレハブ住宅にしたってそうでしょう。そういう時期におきまして、鉄筋の校舎を建てるのに六万一千七百円だ、そんなことは、そろばんをはじいたりしなくたって、世間の常識というものがはっきり判断しているわけだ。こういうものはもう少し実勢に即した正確な価格をきめるということをやっていかなければいかぬと思います。これは政府部内のいろんな関係というものが私どもは推測はできますけれども、そのことで行政責任が免れるという性質のものじゃないわけでありますから、責任のある処置をとってもらいたいと思う。
もう一つ文部省のほうにお尋ねしておきますけれども、四十八年度におきまして、市町村開発公社、協会などにおかれまして先行建築しました小中学校に対する国庫補助金の繰り延べがなされました。大阪府下だけでいいましても八十校の繰り延べをしている。補助額にしまして四十億五千五百万円なんです。これが開発公社及び開発協会などの事業に大きな阻害になってきている。これは自治省のほうで説明を聞きますと、危険校舎の改築分だという説明を私は受けたが、実際に調べてみますとそうじゃない。ほとんどが新築校舎なんです。危険校舎というのは、文部省の方針なのか、説明なのか、どういういきさつのものか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/63
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064・西崎清久
○西崎説明員 まず、昨年度、政府の閣議決定に基づく各種事業の繰り延べということが行なわれたわけでございますが、その点、義務教育施設につきましては、小中学校その他の新増築については、児童生徒の収容が日がきまっておりますので、これは繰り延べるわけにいかぬということで、危険改築事業に限って繰り延べしたという実績がございます。その点がおそらく自治省のほうの御説明の点かと思うわけでございます。
いま先生御指摘の開発公社の点は、いま申し上げたこととは若干異なりまして、私どもとしては昨年、予算当初面積を四百四十万平米計上したわけでございますが、八月の執行時点で単価改定をする必要がある、予算計上の時期でもないということで、面積を組みかえまして単価改定をしたことがあるわけでございますが、その時点で実際に建築にかかっているものについて面積減をすることは非常に好ましくないというふうなことで、各都道府県、市町村と御相談したわけでございますが、実態的に申しまして、地方の建設公社が立てかえ施工的に行なわれている学校については私どもが買い取りの補助金をするわけでございますが、その点については実際に面積を翌年度に繰り延べても実害としてはないのではないかということで、これは公社自体の金繰りの問題には関係するわけでございますが、その点については四十九年度に措置しようというふうなお話し合いで実施をしたという事実がございます。
それから、さらに申し上げますと、開発公社が行ないました立てかえ施工に対する補助金の交付は一年据え置きで、あと二カ年で買収補助金を出すというふうなたてまえになっておるわけでございますが、大阪府でお考えになっておった中には、当該年度すぐ申請というふうなものも中に若干あったような記憶が私あるわけでございます。その点につきましては、府と十分相談をして、四十九年度以降の補助には十分考えるというふうな前提で昨年実施をしたというふうな経緯でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/64
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065・三谷秀治
○三谷委員 いまの説明では、私よく本質問題がわかりませんが、一府県下におきまして八十校もの繰り延べをするというようなことがなされていいことなんでしょうか。特に人口急増区域においてかなり無理な資金運用をしながら行なっている事業におきまして、四十億をこす繰り延べがなされている。これが実態なんです。それで、一体これにつきましては四十九年度においてはどういう処置をおとりになるおつもりなのか、あわせてお尋ねしておきたい。
それから、先ほどの建設省のお答えを聞いておりますと、この単価の範囲で処置したいとおっしゃっておりましたが、そのことは事業量の縮減を意味するものか。これは従来から引き続きなされておりますけれども、本年度もそういう御計画なのか、これも聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/65
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066・西崎清久
○西崎説明員 開発公社の存在自体が大阪府におきましては非常に多いということが特徴的な点でございます。埼玉県、神奈川県にも若干ございますが、そういう点が、先生御指摘のように大阪について若干件数が多くあがっているという点にもつながると思うわけでございますが、私どもとしては四十九年度において、四十八年度に繰り延べた分につきましては、先ほど申し上げましたような一年据え置き、二年買い取りというふうな要件に見合うようなものについては、できるだけ措置をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/66
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067・三谷秀治
○三谷委員 開発公社が多いのは、その必要があるから、公有地拡大法をつくって政府自身も奨励しているわけなんです。しかも、これが起債の認可を非常にきびしくするものですから、開発公社をつくりまして、政府の起債の制限のワクからのがれた民間資金の導入を行なってやる以外に方法がないということから生じたものであって、そのこと自体は問題じゃない。開発公社が多かろうと少なかろうと、それだけ人がふえてきて、必要があるから、需要があるからこそこういう建設がされているわけです。これに対して、四十九年度におきましては何校この補助金の認証をするのか、お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/67
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068・西崎清久
○西崎説明員 四十九年度事業につきましては、四十九年度予算がまだ成立していない現段階でございますので、私どもは正式に都道府県を経由して市町村からの申請を受理していないという段階でございます。市町村の計画自体は、私どももどういうものであるかという点については若干事務的な形で聞いてはおりますが、そういう現段階でございますので、大阪府にかかわる新しい四十九年度の事業申請というものについてはまだ的確に承知しておりません。それで、先生御指摘の、公社にかかるものについてどれだけ認証するかという点についてまだ十分お答えできかねるわけでございますが、四十八年度からの経緯にかんがみて、買収補助について資格要件を備えるものについてはできるだけ措置してまいりたいというふうな気持ちでおることは、先ほど申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/68
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069・三谷秀治
○三谷委員 四十九年度の新規事業じゃないのですよ。四十八年度に補助すべきものを繰り延べをした八十校にのぼる学校がある。これは当然四十八年度において補助金の支給があると自治体は考えておったのです。それが繰り延べされている。これはどうされるのか。予算はいま審議の過程でありますけれども、いずれ予算を編成しますときにはこういうことも考えた積み上げがなされておるに違いない。それについてはどのような方針なのかとお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/69
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070・西崎清久
○西崎説明員 私どもも、公社買収分が、四十八年度において措置すべきものが繰り延べられておるということは、先ほど来申し上げておりますように、四十九年度の事業執行にあたっては十分留意すべきものというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、公社買収分について四十八年度に申請があり、しかもそれについて措置されていないものが四十九年度に当然上がってくるわけでございますから、その点については先ほど申し上げましたように、資格要件のあるものについては十分留意して措置をしてまいるつもりでございます。そういう意味におきまして、先生御指摘のように、八十校自体を全部措置すべきかどうかという点についてお答えすべきかとも思いますが、その八十校自体の中身について、四十九年度にもう一度大阪府とも話し合うことももちろん必要であろうという意味におきまして、ただいまの席で何校ということについてお答え申し上げるのは、時期的に若干無理があるということを御理解いただければしあわせでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/70
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071・救仁郷斉
○救仁郷説明員 今後の物価の推移によって単価改定の必要が生じた場合に、事業量の縮小でやるのか、あるいは補正予算を組むのかという御質問でございます。
公営住宅の建設計画は、住宅建設五カ年計画に基づきまして計画を立てて執行いたしているわけでございますので、年度途中におきまして単価改定の必要があるという場合には、当然補正予算を組むべきものというように考えております。ただし、特に東京、大阪等の大都市におきまして公営住宅の建設事業が非常におくれを来たしていることは先生御承知のとおりでございます。そういったことから、これは単価改定の時期等にもよりますが、事業執行の見通しといったものをその時期におきまして判断をしながら、また別の判断を加えることもあるのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/71
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072・三谷秀治
○三谷委員 文部省のお答えですけれども、八十校繰り延べしたにつきましては、八十校の工事内容等についてはすでに検討が終わっているはずだ。ですから、それを四十九年度にどうするかということは、あらためて地元と協議しなくても一定の方針が出ているはずだ、出し得るはずだ。これについては四十八年度に支給すべきものを一年間延期しているわけだ。それを無際限に延期されたのでは、せっかく公有地拡大法等によりまして設置されました機関が全く麻痺状態になってしまう。事業の円滑な運転もできないということになるのは当然でありますから、これは早急に処置をしてもらいたいと思う。このお答えを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/72
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073・西崎清久
○西崎説明員 四十九年度の執行につきましては、五月以降都道府県との間でヒヤリングを実施することになっておるわけでございます。その中におきまして、ただいま先生御指摘の公社買収繰り延べに関する件は、当然われわれとしても措置について相談をすることになっておりますので、前向きに措置すべき点については、私ども先ほどから申し上げておりますように十分留意してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/73
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074・三谷秀治
○三谷委員 もう一度交付税についてお尋ねしますが、先ほどの文部省の答弁で、三月十四日に三十億ほど補助金改定の予算を組んだ。これは四十八年度の追加になると思うのですけれども、この裏負担分は、交付税上の処置はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/74
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075・松浦功
○松浦政府委員 時点がちょっとずれますが、そういう動きがあり、われわれとしてもそういう単価改定を望んでおったわけでございますので、特別交付税算定の際にそれぞれ算入いたして配分をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/75
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076・三谷秀治
○三谷委員 これは特別交付税で扱っておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/76
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077・松浦功
○松浦政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/77
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078・三谷秀治
○三谷委員 「地方公共団体における年度間の財源の調整」ということが地方財政法の第四条の三で規定されております。これは景気変動による地方財政運営の激変を防ぐ目的だ、こういうのです。要するに、景気に対応するための地方財政の調整というものは自治体自身が自主的に行なうというたてまえになっておる。このことはいまどのように指導されておるのか。国における恣意的な年度間調整でなしに、もしも景気対策上の必要で調整が必要でありますならば、これは地方公共団体にみずから自主的にやらしめるというのが法律のたてまえになっておりますけれども、これについてはどのようなお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/78
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079・松浦功
○松浦政府委員 これについてはいろいろの考え方があろうかと存じます。現在のたてまえは、国で財源調整をするという制度は法律上にもないわけで、先生御指摘のとおり、地方公共団体が独自に考えるべき問題だと思います。しかし一部には、地方公共団体に財源調整をおまかせしても、マクロで見たものとミクロで見たものとの違い、あるいは現実の政治情勢その他のことで、それがうまくいかないじゃないかという議論もございまして、きのうも大蔵大臣とのやりとりの中にもございましたように、何らかの形で国の段階で財源調整をできるような方途を考えるべきだという御意見も一方にはあるわけでございます。私どもとしては、どうやったらいいかということについて、さらに地方制度調査会等の意見を伺いながら、前向きにこの問題について取り組んでまいりたいと思っております。
現実の問題としては、現在の段階では地方公共団体がそれぞれ財源調整をやっておいでになるわけでございます。それについて技術的な御指導は申し上げておるつもりでございます。たとえば、本年度法人税が非常にたくさん収入があった。そうなりますと当然法律上精算という問題が起こってまいります。そうなりますと、その分だけは本年度で財源を留保しておかないと、来年減ったときにがたんと財政に影響がくる、こういう事態があり得るわけでございます。そういうものについては、これだけ法人の精算が来年は収入に加えられますよ、それだけの財源を留保しておかないと来年の財政運営が苦しくなりますよ、そういったような、個々の団体について御指導を申し上げるなり、あるいは向こうから指導を求められれば助言をするというようなことは、われわれとしてやっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/79
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080・三谷秀治
○三谷委員 これも法定されております事項でありますから、地方公共団体における年度間の財源の調整ができる処置といいますか、これはやはりとる必要があると思うのです。いまのような状態でいまのように超過負担に追われたり、赤字のころがしで累積赤字がどんどんふえるというような状況のもとにおきましては、これはなかなかできません。ですから、本年度千六百余億円の削減がなされました。これは年度間調整の一種でありますけれども、そういうことはむしろ自治体の自主的な調整にまかせるという指導を強化していくのが法のたてまえだというふうに私は思っております。
この点について一つお尋ねをしたいのと、もう一つは、昨日も大蔵大臣に聞きましたが、人件費が八%きり見込まれていない。かりに二〇%、三〇%の民間給与の上昇率というものが公務員にはね返ってきました場合に膨大な財源を必要としますが、これについてはどのような処置をお考えになっておるのか、これをお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/80
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081・松浦功
○松浦政府委員 財源調整問題についての御指摘、ごもっともでございます。ただ、地方公共団体に一切まかせることがいいかどうかという点については、各方面に非常にいろいろの意見がございます。それらも含めて前向きに財源調整制度について検討させていただきたいと存じます。
給与改定に対しましては、例年のとおり五%は給与費に、三%分に相当するものは行政費の中に一応織り込んだ形で財政計画を組み、交付税の算定をいたすことにいたしております。したがって、八%までの給与改定でございますれば、いまの財政計画、交付税でまかなえるというたてまえになっております。それをこえた場合につきましては、相当の資金量を必要とすることになるであろうということは容易に推測のつくところでございます。ただそれがどのくらいの額になるか、それによってもいろいろやり方が異なってまいるかと思いますが、たとえば昨年の例でございますれば、八%を上回りました約七・数%については国のほうでも財源が必要でございますので、補正予算をお組みいただきますときに三税を使えば交付税が出てくる、こういう手順を踏んでおるわけでございます。額によっていろいろ違うと思いますので、この場でどういう方法ということを申し上げることは非常に困難かと思いますが、いずれにいたしましても、どのような方法になるにせよ、地方公共団体の給与改定が国家公務員並みに行ない得るように、当省としても責任をもって措置をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/81
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082・三谷秀治
○三谷委員 昨日の大蔵大臣の答弁にもありましたけれども、地方交付税の年度間調整、これはことしは異例だと言っておる。実際ことしだけでなしにやっておるわけですけれども、異例である、みだりに行なうべきものではないということをおっしゃった。しかしこの調整の問題は四年間引き続き、まあ一年空白はありますけれども、行なわれておるという状態になっておりまして、大蔵大臣が言いました異例ということばはそのまま承認できるものじゃありませんが、今後につきましてはみだりにこういうことはしないということを明言しております。これは大蔵大臣もさることながら、自治大臣がこの点については明確な基本的な姿勢というものを貫く必要がある。これについての大臣の御所見をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/82
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083・町村金五
○町村国務大臣 この点は昨年の暮れ、本年度の予算編成に際しまして、大蔵大臣から、諸般の理由から本年はぜひ千六百八十億円の減額調整に協力をしてもらいたい、こういうお話であり、私どもも自治省部内におきましていろいろな角度から検討をいたしました結果、今日の場合これはやむを得ないことであろう、いわゆる例外の措置として、あるいは緊急の措置としてこれに応ずるということにいたしたのでありまして、これを常に常例として行なおうという考えでないということは、あらためて申し上げるまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/83
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084・三谷秀治
○三谷委員 最後にお尋ねをし、要望しておきますけれども、交付税の算定方法を改正しまして、社会福祉対策、教育振興対策、生活環境施設の整備など、生活関連事業について若干の単価改定をしたこと、そのこと自体はもちろん悪いことではありません。しかしこれはいずれもワクの中での計算のしかたを変えたというだけであって、これが一般財源である限り、結局どういうふうな色合いにしようとも緊急な事業や既定事業にこれが投入される、優先的に使われていくということは避けがたいわけです。ですから、同じお盆の中の金をあれこれ染めかえてみるということでは問題の根本的な解決になりません。ですから、国庫補助額を改定した場合、あるいは補助率を改定した場合、あるいは交付税の単位価格を改定しました場合、それがワクにはね返るという処置をとらないことには、どこをどう拾ったところで、とにかくあの孫悟空と一緒で、どんなに走ってもお釈迦さんの手から出られないという状態におきましては、地方行政水準の向上ということは考え得られないのです。ですから今後におきましては、少なくとも単位的な費用の改正がなされました場合は、全体のワクもそれにつれてふくらますという処置がリンクになっていかなければ全く無意味になってしまう。その点について今後の改善を私は特に強調しておきたいと思います。これについての見解を承りたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/84
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085・松浦功
○松浦政府委員 先ほど来繰り返して申し上げておりますので、またおしかりを受けるかもしれませんが、単位費用を改定したから別ワクで財源を取るのではなくて、財源がありますから単位費用を引き上げれることになるわけであります。そういう意味では、これはもう御論議をいただく必要はないと思うのでありますが、われわれとしては財源をできるだけ拡充する。それによって単位費用をできるだけ引き上げて、地方公共団体に一般財源が、行政の支障にならないように配分されるように努力をしてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/85
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086・三谷秀治
○三谷委員 またあなたごまかしを言い出した。単位費用を改定するのは、余裕があるからするのじゃないのです。費用を改定した分は事業量を薄めたりしておるわけなんだ。だから、そういうことになってきますと改定しても意味がない。何ぼ単位費用をふやしたところで、事業量を減らしたのでは地方自治体としては少しもありがたくないわけです。だから、改定がなされましたときには、当然事業量を減らさずに改定をする。そうしますとワクをふやす以外に方法がない。つまり、そういう個々の改定というものが全体の総額にはね返るという処置ですね、これが必要だ。このことを抜きにしては交付税問題というのは議論の余地がない。これはいわば今後における政治的な課題でありますから、大臣の所見を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/86
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087・町村金五
○町村国務大臣 確かに、単位費用を上げて、そのために当然行なわなければならない事業量を減らさなければならぬということになっては、せっかくの単位費用の改善ということは、一方においては実情に合うような措置ではございますけれども、他面におきましては必要の事業量をまかなうことができないということも起こり得るわけでございます。したがって、ただいまの点は私どもも今後十分考えていかなければならないところでありますが、あるいは私の理解が間違っておるかもしれませんけれども、先ほど財政局長からお答えを申し上げましたことは、ことしは御承知のように、特に物価が格別こういうような状態で、非常にはね上がるというような特殊の事態であったと思うのであります。おそらく、いままで交付税の算定をいたしていく場合におきまして、年々必要に応じましてあるいは単位費用の改善ということが加えられながらも、事業量が特にそのために減らされるというようなことは従前はあまりなかったのではないか。事業量もむしろ相当にふえるというのが今日までの地方財政の実情であったのではないか、こう私は見ておりまして、本年のように物価が特別に異常な高騰をするという状況における事態をもって今後のことを御判断いただくということは、私ども若干所見を異にする一面がございますが、いまの御指摘の点は、今後地方行政の水準を向上させるという点においては私は貴重な御意見として承っておきたい、こう存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/87
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088・三谷秀治
○三谷委員 時間ですから、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/88
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089・伊能繁次郎
○伊能委員長 本会議終了後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
午後零時四十五分休憩
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午後四時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/89
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090・伊能繁次郎
○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。井岡大治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/90
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091・井岡大治
○井岡委員 建設省に先に聞きたいと思います。
御承知のように、最近の都市の膨張あるいは産業の構造の発展によって、水資源というものが非常にやかましくいわれてきておるわけであります。そこで、きょうも法案の本会議の上程の中で出ておりましたけれども、私は、水資源をいま直ちに開発をするというかっこう、あるいはダムをやる、こういうことをやっていても、とうてい今日の産業構造から考えて足らなくなってきているのではないか、こういうように思うわけです。そこで新たな水資源の開発ということを考えていかなければいけない、こう思います。
いま大都市においては二次処理まではやっておりますけれども、三次処理をやっておらない。ここに大きな欠陥があると思うのですが、建設省のほうで三次処理問題について考えておいでになるのかどうか。あるいはもし考えておいでになるというのであれば、実用化するのはいつごろか。この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/91
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092・久保赳
○久保説明員 下水道の処理法のうち三次処理にかかわる問題の検討状況、こういうことかと思いますが、御指摘のように、現状の下水処理は二次処理までで実施をいたしております。ただ、処理の目標といいますか、処理程度をきめる一つの目標は、水質汚濁にかかわる環境基準、これが公害対策基本法によりまして、環境基準が川ごとに基準の類型がきまってきております。したがいまして、その川の目標の環境基準によっては現状の水処理では不十分だ、こういう事態が明らかになってきておりますので、建設省のほうとしましては、ただいまの五カ年計画の中で、主として実用化に至るまでの研究調査ということに重点を置いて、昭和四十六年度からすでに実施をしてきておりまして、そのためのかなり大型のパイロットプラントを全国二カ所、横須賀市の下水処理場の中と、もう一つは京都市の鳥羽下水処理場の中に設置をいたしまして、三次処理を設計する上の必要な諸元データを現在とっておるところでございます。それらのデータをベースにいたしまして、四十八年度、四十九年度と二カ年にわたりまして、東京都の多摩川の流域下水道処理場の一部として三次処理の施設を実施する予定にいたしております。ただし、これは大型の一つの試験でございまして、その試験によるデータをとった上で、来たるべき五カ年計画の改定の時期から三次処理の実用化を進めるべく準備をしているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/92
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093・井岡大治
○井岡委員 私はさらにもっと急いでいただきたい、こう思うのです。よその都市のことを言いますと私は間違ってはいけませんから、私の住まいをいたしております大阪の問題を言いますと、昨年琵琶湖の再開発をきめていただきました。しかし、琵琶湖の再開発をきめていただいて、これによって水資源の開発をしようとしても、いまの趨勢からいきますと、五十六年か七年になりますと水資源が足りなくなってくるわけです。琵琶湖水系は足らなくなってくる。そうだとすると三次処理によって工場用水、こういうものをそこに振り向ける、こういうようにしない限りいけないのではないか。これがもしおくれるとすると、かりに蓬莱山系の水をとろうとしてもばく大な金がかかるわけです。パイプラインはたいへんな金になるわけです。こういうことを考えると、やはり三次処理をもっと急いでやらなければ、日本の産業、経済に大きな支障を来たす、私はこういうように思いますので、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/93
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094・久保赳
○久保説明員 水資源全般の問題につきましては、これは私ども下水道部所管外でございますが、いろいろ水資源全般に関する調査報告書がすでに建設省河川局のほうからも出されております。御指摘のように、わが国の一部の地域においては水資源が将来非常に逼迫するであろう、現状でも不十分であるということが調査報告書として出ております。
それの対策として、水の使い方そのものに対する反省もありましょうし、いろいろあろうかと思いますが、御指摘のように下水処理の程度を高めて、処理水の別途な利用形態を求めるということも非常に重要な一つの対策になると思いますので、御指摘のように、鋭意三次処理の実用化を急ぎたいというふうに考えております。ただ、三次処理をするのにはかなりお金がかかります。建設費もかかるし、それから建設したあとの処理費、施設を維持していくお金もかかります。それらの経費をできるだけ安くする、こういう一つの技術開発をした上でないとなかなか実用化という点に踏み切れませんので、この点を現在急いで調査実施をしているところでございます。御指摘のように急いでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/94
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095・井岡大治
○井岡委員 お金がかかるのは、ダムをつくったってお金がかかるわけですから、これは一緒なんです。ですから、有効利用をするためには、そしてそれを長期安定的なものにするためには、やはり三次処理をやって実用化して、そしてそれを有効に使う、こういうことを考えていかなければいかぬのではないか、こう思います。特に産業と大きな関連を持つものですから、この点をぜひお願いしたい、こう思います。
そこで、建設省の方々だけに先に簡単に聞いておきます。都市再開発課長さんお見えになっていますか。
都市改造ですが、三十六年に都市改造法案をつくって、これは再開発法案に変わりましたけれども、第一期として東京の新橋と大阪の大阪駅前はかかったわけですね。ところが新橋のほうはできましたけれども、大阪駅前は十二年たった今日、まだ第一棟しかできていないのです。そのために、あそこは商売をなさっておいでになる方々は全くお困りだし、同時に悪の巣になっているわけです。こういうことではいけないと思うのです。十二年もほっぽり出しておいて、これは大阪市も一生懸命やろうとしておるけれども、あなたのところのほうはなかなかうまいところ手をつけないわけですね。どうされるのですか。法律をつくっただけでほっぽり出すのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/95
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096・後藤国臣
○後藤説明員 お答えいたします。
ただいまの御質問は、旧市街地改造法による市街地改造事業の大阪駅前地区のお話でございます。一般に再開発がそうでございますけれども、密集市街地で施行いたします関係上、また新しいビルをつくりまして権利者をそこに入居させるという環境の変化、大きな変化を伴います関係上、どうしても関係権利者との意見の調整に手間どって、時間がかかるというのが実態でございます。
いろいろ対策がございまして、まず第一点にしなければならないのは関係権利者対策、特に等床確保という問題でございます。再開発の場合は、従前の資産の価額と同じ価額の床を与えるというたてまえでございますので、どうしても従後の床は従前の床に比べて狭くなりがちでございます。そこで関係権利者との話がなかなかつかないということがございます。やはり再開発を円滑に実施するためには、その地域の環境がよくなることに見合った行政上の支出が必要であろうということで、逐次補助金等の強化をいたしております。それから融資でございますが、再開発を機会に増し床をしたいという希望がたいへんございますので、それに対しても融資をしなければならぬということもございます。これにつきましても本年度予算がつきまして、強化することになっております。
梅田地区の場合、非常におくれておりますが、先生御承知のように、もう第一棟は完成いたしまして、第二棟は近く起工式になるわけでございます。第三棟、第四棟もほとんどクリアランスが終わっておりまして、再開発の場合は第一棟のできが全体の計画の成否を決しまして、第一棟が非常に喜ばれるいい事業であると、その後の事業は非常にやりやすくなるという事情がございますので、大阪の梅田地区の場合も、たいへん手間どっておりますけれども、第一棟ができたということで非常に促進のムードが出て、今後促進されるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/96
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097・井岡大治
○井岡委員 あなた、私が知らぬようなことを言っておるけれども、私は知り過ぎるほど知っておるのですよ。あそこの人たちは、なるほど法律が出た当初においてはいろいろ意見がありました。私は全部、協力をするようにまとめたのです。そして協力をする人ばかりが残っておいでになる。協力をされない人たちはみんなよそへ出ていってしまったわけです。ですから、その権利者との間における問題は、これは何ら、もうトラブルが起きるようなものではないわけですね。そうだとするとやはり早くやってやらなければ……。あの地区で売り上げがどのくらい落ちていると思いますか。もう半分以下になっているのですよ。これから先、まだいつ建つともわからない、こういうことであります。そうだとすると、御商売をなさっておる人たちは協力をすると言ったために全く踏んだりけったりになっているわけです。協力をしないということを言えば、これはもう十分立ちのき料をもらって出て行っているわけなんです。こういうつまらぬことをやったのでは、私は政治に対する不信というものが出てくるだろうと思うのです。なるほど、私は二棟が近く着工されることも知っております。知っておりますが、これはやはり急いでやってあげないとだんだん協力するようなことがなくなってくる、私はこういうように思うのです。ですからこの点は早急に市と話し合ってやっていただきたい。市のほうにも私は言いました、なぜ早くやらないんだと。まだなかなか建設省との打ち合わせがうまくできないものだからできないのだ。十二年もできないはずはないはずなんです。この点は早くあなたのほうからやれという督促をしてやらなければいかぬと思うのですが、そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/97
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098・後藤国臣
○後藤説明員 梅田地区の場合にたいへん事業がおくれておりますのは、私ども、権利者との調整が手間どっておると理解しておりましたので、それ以外に何か事業の進行を阻害するような要因がございましたら何とかしなければならないと思っております。いま申し上げたことだとばかり思っておりましたので、まことに申しわけありませんが、もしそういう阻害要因がございましたらすぐ処置したい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/98
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099・井岡大治
○井岡委員 ですから、あなた方、法律をつくって、それでまかすのではなくて、つくったら、その法律をあとから、やはりどのようになっているのだということを点検をする、そういうことでないといかぬと思うのですよ。つくったらそれでもういいのだというかっこうでは、ここは何か文書をつくるだけになってしまう、こう思うのです。ですから、十分あとで点検をして、かりにそれが実際十分成果をあげておらないとすると、どこに隘路があるかということを見きわめて、そしてやってもらいたい。そういうふうに今後やってもらいたい、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/99
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100・後藤国臣
○後藤説明員 ただいま御指摘のありましたとおりでございまして、事業にかかりますと関係権利者にたいへん迷惑をかけるわけであります。できる限りのことはしておるつもりでございますけれども、なお足りない分は一そうの努力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/100
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101・井岡大治
○井岡委員 建設省はいいです。
そこで、さきの国会で、公営交通事業の経営健全化法、いわゆる第二次再建法を通していただいて、かなり都市交通の諸君としては明るい気持ちになっておりますが、しかしこの法律でまだ十分に組み入れられていないもの、こういうことで衆参にわたって附帯決議がつけられておるわけですが、私は参議院のことを申し上げる必要はないと思いますけれども、衆議院の中で一つ、二つ聞いてみたい、こう思うわけです。
第一に、五の項に「いわゆる行政路線については、その認定基準を明確化するよう検討したうえ必要な行財政上の措置を講ずること。」こういうことになっておるわけですが、その後、この問題についてどのようにお取り組みになったか、まずお伺いしたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/101
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102・松浦功
○松浦政府委員 この問題につきましては、附帯決議もあり、われわれとしても公営交通の健全化という観点から一つの方途であろうということを考えまして検討をいたしておるのでございますが、なかなか結論が見出せません。たとえば現実にある地方公共団体に対して、一つの前提を置きながら、行政路線と見られるようなものはあなたのところではどれどれかというような聞き方をしますと、大きな都市でも九六%は行政路線でございますなどという回答が返ってまいります。ほとほと困り果てておるというのが実態でございます。しかしながら、幸いなことに、公営、民営を問わずバス問題がある程度国民の足ということで容観的に取り上げられて、これを担当しておられる運輸省でも真剣に検討を始められ、その結果、地方のバス路線の維持補修費の補助金、あるいは新しくつくられます団地バスに対する補助金、こういうような制度ができまして、次第にこれが拡大をされつつございます。
われわれとしては、先生の御質問でございますが、行政路線というものの見方について結論が何とか出せそうですということを申し上げられたらけっこうなんでございますが、私ども誠心誠意考えましてもなかなかむずかしい。そこで当分は運輸省のほうにこちらからもお願いし、こちらからもまたサポートを申し上げて、ほんとうに民営、公営を問わず、バス路線を維持しなければならない地域で採算のとれないようなものについては国からこの種の補助金を出していただく。そしてその裏負担については、もちろんその都道府県なり市町村から出してもらいますけれども、それについては自治省で財源措置をする、こういう形で当座をしのいでいきたい。もちろんその間において、いま御指摘がございましたようにいろいろな知恵を働かしてみますけれども、行政路線ということをあきらめるわけではございませんが、いま直ちに行政路線を私のほうで認定してこうだといっても、なかなかどうこうという結論が出てまいらないと思います。そういう方向で一歩一歩前向きに進んでいきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/102
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103・井岡大治
○井岡委員 私は、行政路線ということ自体が問題だろうと思うのであります。これは一つの認識の問題だと思うのですが、自治法の二条二項に「普通地方公共団体は、その公共事務及び法律又はこれに基く政令により普通地方公共団体に属するものの外、その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」こう書いてあるのですね。そうして3の三に「上水道その他の給水事業、下水道事業、電気事業、ガス事業、軌道事業、自動車運送事業、」こういうようにずっと並べてあるわけです。そうだとすると、交通企業というものは国の事務に属しない事務、こういうように理解していいんではないか。もちろん公営企業法があるからこれは独立して別なものだというように解釈されれば別ですけれども、私は少なくともここに依拠したらいいんじゃないかというように思うのですが、この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/103
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104・松浦功
○松浦政府委員 なかなかむずかしい問題のようでございますが、法令的には「その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないもの」ということになっておるわけです。それで例示にこういうことが書いてあるわけでございますが、全国の軌道とか自動車運送事業というようなたぐいのものが全部地方公共団体の責任であるということにはなかなかなりにくい、これは行政事務ではないんじゃないかというふうに、われわれとしてはこの条文だけ読むとそういう感じがするのでございますが、こういう自治法の御質問が出ると思いませんでしたので、このところはあまり深く勉強いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/104
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105・井岡大治
○井岡委員 これは行政事務じゃないというように言われる。じゃ、事務という問題が出てくるわけです。いわゆる行政の中に交通というものもあってもいい、こういうように理解していいと思うのですよ。だから、私は何も全国の都市に走っているバスが行政だなどとは言っておりませんけれども、少なくとも行政の一部だ。一部という表現が適切であるかどうかは別ですが、そういうように理解していいんじゃないか。
そこで問題は、地方公営企業法という法律をつくって、実際やっておる事業に対しては何らかの法の保護をしてやろう、こういうことに理解するほうが私はより適切じゃないかと思うのですが、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/105
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106・松浦功
○松浦政府委員 いまの問題でございますが、いま係の者から聞いてみますと、いままでの慣例では、いま先生から御指摘いただきましたものは公共事務という中に入るというふうに読んでまいっておるようでございますので、その点ちょっと触れさせていただきたいと思います。
やはりこれら全体の問題、特に交通、国民の足という問題になってくると、これは個々の地方公共団体の随意に全くまかせるという性格のものではないんじゃなかろうか。むしろ国というものがこれにからんでまいって、基本的な問題はある程度国が指針を示す、その中で必要があれば補助金も出す、こういうたてまえでいくのが私は筋道ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/106
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107・井岡大治
○井岡委員 私がなぜこのことをまずもって取り上げるかと申しますと、この間もちょっと申し上げましたように、私は、都市に走っておる民間バスといえども逐次赤字が出てきて、地方公共団経営しなければならぬような趨勢になってくると思うのです。
〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕
そういうことを言いますと民間企業者はおこりますから私は言いませんけれども、そういうようになってくる。そうだとすると、やはり行政としてものを判断して、いわゆる公共事業の固有の事業というように——いままで公害の問題とかそういう問題は別に何にも関係なかったわけですよね。ところがいろいろなかっこうで地方公共団体の分野が大きくなってきた。分野が大きくなると言ったら適切なことばでないかもわかりませんけれども、大きくなってきて、見方が違ってきたわけです。そうだとすると、単にこれは企業というかっこうで見るべきではない。そうであるなら、これはまあ消えておりますからあなたのほうはおっしゃらないのかもわかりませんけれども、四十九年の予算編成で、あなた方は行政路線の調査費として百六十二万円ばかり計上された。大蔵省はこれは認めなかったけれども、とにかく計上された。それはやはり地方公共団体の経営形態というか、行政形態が変わってきた、こういうように私は認識しているのですが、この点、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/107
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108・松浦功
○松浦政府委員 私どもは、やはり住民の足の確保を地方公共団体が行なう場合には、受益の範囲内で受益者が料金を負担するというたてまえは当然であろうかと思います。しかし、これがあまりにも現実離れをしてくるということになる場合には、各方面から検討をいたしまして、一般会計から当然助成すべきものは助成をする、あるいは国の視野から助成をしながらこの路線を維持しなければならないという理由が成り立つ場合には補助金を出す。そういった各種の対策をとりながら、料金で基本的な部分を、基本的な部分というとあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、受益者の受益の範囲での分担は当然していただくという前提をくずさずに維持していくべきではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/108
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109・井岡大治
○井岡委員 まあそこの問題ですが、でき得るならば私はいまおっしゃったような方法でいいと思うのですけれども、制約があるのですね。たとえば道路運送法の中で、運賃は適正な利潤を得るものでなければいけない、こう書いてあるのです。ところが、そのバス事業というものは適正な運賃ということにはならないわけなんです。いわゆる地方公共団体の住民の行政上から考えて適正な運賃などといっておったら、べらぼうな金を払わなければならぬことになる。毎年毎年ベースアップはある。そして自動車の単価はどんどん上がってきている。そういうようになってくると、適正な運賃というようなことをやっていたらこれはたいへんなことになる。そういう点から考えて、議会で運賃の問題を審議し、同時にまた運輸省においても料金の問題はこれを検討して、いわゆる適正な料金にきめるわけでしょう。そうするとそこに大きなギャップがあるのですよ。そういう意味で、いま局長が言われたように、大都市においても九十何%まで行政路線だ、こういう一つの根拠は私はないとは言えないのですよ。しかしそれが実際、すべてが国が負担すべきものかどうかということについてはこれは論議のあるところだと思うのです。けれども、いま申し上げたように、この点は一応そういうように考えていかないとあなたのほうもなかなか理屈がつかないのじゃないですか。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/109
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110・松浦功
○松浦政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私どもは、公営事業について一般からすべて繰り入れを認めないというわけでもございませんし、国庫補助金を忌避しているわけでもございません。要は、市民の望むところに従って市民の足が確保できることが地方自治体の使命であろうかと思います。その使命を達成できる方向で、経済情勢、交通情勢、その他の情勢を判断をしながら、われわれとしては弾力的に、頭の切りかえを行なうべきときには行なって、遺漏なきを期していきたいという気持ちでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/110
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111・井岡大治
○井岡委員 私はここで必ずしも私の言うように、局長に、よっしゃと、こう言わそうとは思いませんよ。思いませんが、いま局長が言われたように、従来の概念を変える時期が来たのじゃないか、こういうように思うのですが、この点、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/111
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112・松浦功
○松浦政府委員 この住民の足の問題につきましては、もうずいぶん考え方が変わっておると思うのでございます。地下鉄につきましては先生方の御努力でああいう制度ができました。モノレールにつきましても本年度から助成金もついたようでございます。交通機関の建設単価と料金というものの関連につきましては、考え方がずいぶん変わってきております。特に、先生御承知のように、バス等につきましては、いままでと違いまして車両の補助金まで、再建団体でございますが、出るようになっておりますし、それから一般会計からの繰り入れということも、相当私どもとしては法の適用範囲をゆるめるといいますか、弾力的に運用するという態度をとっております。その辺の認識については私も十分持っておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/112
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113・井岡大治
○井岡委員 十分認識を持っている、こういうことでございますから、私はさらにそれを進めてもらいたい、こう言っているのですよ。
なぜかというと、これはあなた方の場合、行政路線ということで判断をされるのに、その路線を運行することによって経費が、かなり負担がかかる、採算がとれない、こういうものを行政路線だというように考えてやろう、こういう考え方が根底にあると思うのですよ。それも当然ではありますけれども、たとえば市民税はみんな一緒に同じように払っているのですよね。ところが、中央の人は地下鉄もある、バスもある、こういうようにある。ところが周辺の地域になるとこれはもう何にもない。そこにひとつ線を引っぱってくれ、こういうように言うのはこれは地域住民としては当然の結果なんですよね。おれもやっぱり税金を払っている、市民税を払っているのだからな、こう言う。その立場になるのは当然なんです。だから私は、交通というものを単に一つの企業なり事業ということでなくて、新しい視点に立って問題を見ておる、そのとおりですから私はそれをあえて深く追及しようとは思いませんけれども、これをひとつはっきりしたかっこうに持っていく、こういうようにお互いが努力すべきじゃないか、こういうように思うのですが、この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/113
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114・松浦功
○松浦政府委員 私もどうも御指摘のように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/114
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115・井岡大治
○井岡委員 そこで問題は、そうだとすると、これは特に再建をめぐって論議がなされたわけですけれども、そうでなくて、いまなるほど黒字とか、どうにかこうやっていっている、あるいは自主再建をやっている、こういう人たちにもこれは一様にものを見てやる、こういうことにしなければいかぬのではないか、こう私は思うのですが、この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/115
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116・松浦功
○松浦政府委員 私は、住民の足を確保するという前提でございますれば、再建であろうがなかろうが考え方は当然同じにすべきであろう。再建の部分はまたそれにこぶがついている別の問題だと考えるべきだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/116
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117・井岡大治
○井岡委員 非常にはっきり御答弁をいただきましたので、私は、時間を縮めると、こういう約束ですからこれ以上申し上げませんけれども、少なくともこのバス企業あるいは地下鉄企業というものが、今後の大きな市の財政の一部を持つものになってくる、こういうように私は思うのです。ですから、そういう行政という立場から見ると、これは当然交付金の対象にすべきだ。いま直ちにとこういう意味じゃありませんよ。ありませんけれども、考え方としては対象にすべきだ、こういうように私は思うのですが、この点はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/117
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118・松浦功
○松浦政府委員 その点は非常に技術的にむずかしい問題があると思います。百万の都市でどれだけの交通の経費がかかるかということを抽象的に描いてそれを配分するという方法であれば、将来収入をあんまり当てにできないような状況になったときに一つの考え方かもしれません。たまたまバスを持っているところにはやるけれども、持っていないところにはやらない、こういう形になることは公平性が失われていくということになろうかと思います。その辺のところも将来の問題と含めて、われわれとしては十分検討しながら対処して
いかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/118
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119・井岡大治
○井岡委員 実際は、企業としてはなるほど四十近くですけれども、市町村で町営のバスあるいは村営のバスを持っているんですね。この間もちょっと私は申し上げましたが、高知県の県バスの枝のところは全部町営なり村営に切っていったわけです。そこの人たちはそれがないと通勤通学にどうにもならぬものですからやっておいでになる。企業としてはやっておらないけれども、そういうようにたくさんやっている。ですから先ほど申し上げましたように一つの交付金の対象として、やっているから、やってないからということでなくて、将来の流れというものがそういうふうになってくると思うのです。だからここでそういうように考えることが正しいのじゃないか、こういうように言っているのですが、この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/119
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120・松浦功
○松浦政府委員 抽象的な観点から地方公共団体におけるそれぞれの特色を捨象いたしまして、客観的に、この程度の経費は交通に使われて、足の確保のために使われてもしかたがない経費じゃないかというような形がとれますれば、先生のおっしゃるようなことができると思います。先ほど来繰り返して申し上げておりますように、現実の問題として、山本先生の顔も見えますが、岩手は非常に過疎だ。そうすると、町村で同じような町村がありながら、片一方の町村では五路線走らせている。片一方の町村はがまんして一路線しか走らせていない。そうなりましたものに、片一方へ五路線分の財政措置をして片一方は一路線分ということになりますと、これは非常に不公平になります。また、五路線やれば五路線もらえるんだということになれば、むやみやたらに路線をふやす、こういうことになります。その辺のけじめをどこでつけれるか、その辺の問題も十分研究する必要があると思いますけれども、将来の問題としてはおそらく、かりに交通に対する独立採算をとっても、一般会計からの繰り入れというものをある程度普通交付税で、何らか技術的な解決をはかった上で、つかまえなければならないような時点が来るのではないかという感じは、私もよくわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/120
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121・井岡大治
○井岡委員 そこで私は、そういうものをお考えになったから調査費をおつくりになったんだろうと思うのですけれども、いま言われたように、よけい走らせたらよけいもらえるんだ、こういうようなかっこうでなくて、ほんとうにここの都市ではこれが必要だ、こういうことを認定をする。そのためには、私はたとえば三者機関をつくればいいのじゃないかと思うのです。もちろん、三者機関をつくったからといって、直ちに自治省にこれがそのとおりにやれというのじゃないけれども、大阪市なら大阪市に一つの独立した三者機関をつくる。そしてその人たちによって、大阪市が住民福祉への貢献をするためにバスを走らせておるけれども、これはどうなんだ、こういうことで考えさす。こういうようにしていくことがより合理的ではないか、私はこう思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/121
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122・松浦功
○松浦政府委員 どうもその辺になりますと私もあまり確たる御返事ができないのでございますが、地方別にあるいは団体ごとにつくりますと、三者機関をつくりましても結論が違ってまいります。一番いい例が労使関係でございます。あるべき労使関係というものがあるのだろうと思いますが、団体ごとによってまるで結論が違ってくるということでございますので、やはり国がある程度、全体の国民の足を確保するということであれば、もうちょっと国の機関で検討をしてある程度の方向を見出した上で、皆さま方の御意見を伺って修正をするという形のほうがいいんじゃないかと思いますが、現在の段階ではまだそこまでいっておるかどうか、私はちょっと判断しかねる状況です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/122
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123・井岡大治
○井岡委員 ではこの問題は宿題として預けておきます。私は、なるほど国としてお考えになる一つのたたき台というか、その試案というものをお出しになる、これも一つの方法だと思うのです。しかしそういうようにいたしますと、運輸省が生活路線といって五人以上十五人までというような、およそ現実離れをした問題が出てくると思うのです。ですから、これらの問題についてはお互いにどういう方法がいいかということで研究をしよう、こういうことにしたいと思いますが、この点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/123
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124・松浦功
○松浦政府委員 五人から十人というお話が出ましたが、私どもは運輸省に、そういうものをもう少し現実に合うようにしていただくようにサポートをしていくという態度でおるわけでございまして、いまのままを是認をしておるわけではございません。ただ、地方のほうでおまとめいただいても、これを運輸省なり大蔵省なりが了解をしなければこれは全く絵にかいたもちであって、何の役にも立たないわけでございます。それよりは、やはり運輸省のお考えを現実に合わせるようにできるだけ御努力を願って、それに自治省もバックアップをして、大蔵省に御了承いただくという形のほうがより早道だという見方もあるいは成り立つかもしれないということを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/124
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125・井岡大治
○井岡委員 ですから、私はそのことを否定しているんじゃないのですよ。お互い住民の足を守ってやろう、あるいはそこの地域の産業をより発展するように努力をしよう、こういうことでございますから。なるほど現実的な問題としては、局長おっしゃったように、運輸省の足らないところを実情に合わすようにサポートするというか、プッシュするというか、とにかくそういうかっこうでやっていくことも一つであるけれども、自治省としては現実にかかえている問題ですから、お互いに研究するような機関をつくろうじゃないか、こういうことを申し上げているので、その機関がどういうものだということについては私はばく然としてまだわかりません。どれがいいかわかりません。ただ、国会としてそういうものを、たとえば都市交通の中で、これは自民党さんの方々にもお願いしなければいかないのですけれども、小委員会を設けて検討する、こういうような方法も一つだと思うのです。だから、そういうようなことをお考えになりませんか、こう申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/125
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126・松浦功
○松浦政府委員 いろいろなやり方があろうかと思います。いずれにしても私どもは、問題が問題でございます、真剣に取り組んでいくということだけでひとつきょうは御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/126
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127・井岡大治
○井岡委員 ではこの問題は一つの宿題として残す、こういうことで委員長のほうで御確認をいただきたいと思います。
そこで次の問題ですが、地下鉄の問題です。これにも七に、地下鉄事業債の問題、あるいは補助金の問題等々が出ておるわけですが、これは私たち運輸省といろいろ話をしてみますと、現在の三分の二は、キロ当たり大体百億円単位を考えて考え出したことだ。これがさらに百億円をこえるような場合は何らかの考え方をしなければいかぬのじゃないか、こういうように言っているわけです。自治省としてこの間やったことを、また直ちにこれが四分の三がいいのかどうかというようなことについてはかなりちゅうちょされることだろうと思いますけれども、とにかく最近の物価の値上がり等によって経営がかなり困難になってきている。ですからいまからそういう問題について十分運輸省と詰めておいていただきたい、こういうように思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/127
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128・松浦功
○松浦政府委員 自治省といたしましては、地下鉄事業債の貸し付け条件等の若干改善をするというようなことは本年度行なっておりますが、ついせんだって大幅な改正をやったばかりで、しかも去年はバスの問題に手をつけ、ことしは交通をさておき、病院の問題に手をつけておるわけでございますので、実はそこまでなかなか手が回っておりません。しかし基本的には、いまのような物価情勢、これがどうなるかの推移をある程度見きわめて、その上で今後の地下鉄の経営状況の推定を行なう、その推定の結果に基づいて右に動くか左に動くか、そういう態度をきめてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/128
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129・井岡大治
○井岡委員 いま公債の、起債の償還年限は何年ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/129
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130・松浦功
○松浦政府委員 政府債は三十年、それから公庫は二十五年ということになっております。
〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/130
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131・井岡大治
○井岡委員 地下鉄の償却年数は七十年といわれているわけです。世界的な常識になっているわけですね。政府債三十年ということでなくて、これを三十五年、四十年、こう延ばすことによってかなりその経営に対する負担というものが軽くなるのじゃないか。ですからこれを延長する意思があるかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/131
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132・松浦功
○松浦政府委員 現在の地方債の償還年限の最も長いものが三十年でございます。償却年限に比例するという考え方は必ずしもとられておらないわけでございまして、庁舎等の起債、これなんかも、庁舎の耐用年数というのは理論的には七十年、実際にも三十年から四十年、これは楽にもつはずでございます。それに比べて非常に短い期間でございます。こういうことで、むしろ償還年限というのは、もちろん償却期間も考えますけれども、やはり資金の扱いの問題という観点のほうにウエートが強いようでございます。したがって、直ちにこの場でどうこうするということをお答えできませんけれども、経営を改善していく一つの方策として、償還年限を延長することが役に立つということは十分理解をいたしております。諸般の情勢を判断しながら、必要と思いますればぜひ関係方面にそのこともお願いをしてみたい。特に公営企業金融公庫につきましては、政府債が三十年なのに二十五年ということになっておりますから、これは私はある程度お願いをする余地があろうかと思います。本年度も公営企業金融公庫については二十五年から二十八年にしていただいたものもございますので、明年度はそういう形で努力をいたしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/132
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133・井岡大治
○井岡委員 これもきょう私は、局長にこうしろ、こうします、こういうことを聞こうとは思いませんけれども、とにかく最近の物価の情勢等を考え、あるいはこれからますます地下鉄、これはある意味においては広域的ななにをやらなければいかぬと思うのです。ですから運輸省の都市交通審議会においては半径五十キロを中心にものを判断しておるわけですね。そういう点を考えるとかなり伸びていかなければいかぬ、こう思うのです。そういう点から考えて、いま直ちにはできないけれども、公庫のほうは何らか考える余地があるのではないか、こういうことでございますので、来年の予算編成にあたってはそこらのところを十分お考えいただきたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/133
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134・松浦功
○松浦政府委員 そのようにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/134
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135・井岡大治
○井岡委員 モノレールの問題については、私は都市モノレールという問題についてはかなり疑問を持っておるわけですけれども、モノレール法ができましてやっている。ただ、これをやる場合、特に自治省において気をつけていただきたいのは、よくモノレールを計画をされる、あるいは引き合いに出されるのは、羽田と浜松町の例をとって言われるのですよ。私はあれは大きな間違いだと思うのです。現に、これはもうお聞きになったかもわかりませんけれども、姫路の市のモノレールです。私はあれをつくるときに大反対をしたのです。石見市長に、十四億も十五億も金を使って、そんなものは何にもなりませんよ、こう言ったのですが、市長は、いやどうだと、こう言う。私は兵隊が姫路だったものですから、姫路の地形はすみからすみまで知っているのです。今度四月一日からやめるとかやめぬとかと言っていまやっております。ですから、都市がモノレールをやるという意向のある場合においては、十分そこらのところを考えて御指導いただきたいと思うのですが、この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/135
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136・松浦功
○松浦政府委員 先生が姫路をすみからすみまで御承知でございますならば、私も五年間北九州市におりまして、今度補助がつきましたモノレールはすべて私が計画をしてまいりました。地下鉄をと思いましたけれども、あの地勢では地下鉄は無理でございます。比較的価格が安くて、輸送力は落ちますけれども価格に比べれば割合のいいものということで考えてまいりました。そういう経験もございますので、役に立つかどうかわかりませんが、そういう経験も生かしながら、無理な計画をつくらないように指導いたしたいと思います。また、なるほどと思うところにはこれはどんどんつけて伸ばしてやる、そういう方向で考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/136
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137・井岡大治
○井岡委員 そこで再建の関係の問題ですが、これは再建であろうと再建でなかろうと、事業というものは労使の関係が非常に大事なことでございますから、どうしてもこの点について十分な上にも細心の注意を払っていくということでなければいかぬと思うのです。
当面起こってくる問題は、これは人事院の勧告がないとできませんけれども、やはり給与の引き上げの問題で出てくるのではないか。この点については、一般職との関係等もあって、おれのところは金を出しているんだからそう気ままかってはさせませんよというお気持ち、それは私は無理からぬことだ、こう思いますよ。思いますけれども、一面また人事の交流ということも考えなければいけないわけで、下の従業員はいいですけれども、上の従業員は人事の交流を考えなければ沈滞してしまってどうにもならぬわけですから、こういう点を考えて、一般職との関係を十分配慮しつつ行なう、こういうように理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/137
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138・松浦功
○松浦政府委員 なかなかお答えしにくい問題でございますが、いずれにいたしましても、一般の知事市長部局でございますか、これらの職員との権衡を勘案して所要の措置を講ずるようにということは、これは当然のことであろうかと思います。
なお書きがつくわけでございますが、ただ、あくまで現在の体制は企業でございますから、やはり効率化による財源の捻出あるいは企業収入の増大確保、こういった面の御努力とあわせてそういう方向でお願いをしますが、そちらのほうは忘れていただいて、片一方のほうだけ御主張いただくということになりますと、これは国が何のために利子補給をし、補助金を出しておるのか、こういう問題になりかねませんので、その辺のところは、先生よく御承知だろうと思いますが、御理解を賜わりたいと思います。
なお、われわれとしては、できる限り、労使間でお取りきめになられたことは、国会でも附帯決議にもありますように、お守りをいただくということを前提に考えております。その場合に、あるいは必要でございますれば一般会計から繰り入れるということも一つの方法として、それぞれの相談に応じて是非を判断をしてまいりたいと思いますが、そこから先がまた非常に問題になるわけでございまして、ベースアップをするために、料金収入が確保できないから一般会計から繰り入れさしてくれ。それは一般会計ができるならよろしい。そういうことになるとそのあとで今度は、入れた一般会計を特別交付税で見てくれ。必ず手順がきまっておるわけでございます。一番最後のことをおっしゃっていただかないならば私どもとしては非常に気楽なのでございます。努力をしたところは特別交付税が行かない。わりあいのんびりおやりになったところへ特別交付税が行ってしまうでは、これは困るわけでございます。その辺の事情は個々の団体の努力なりそういったものを十分見ながら、公平を失しないように取り扱わせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/138
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139・井岡大治
○井岡委員 局長、私がかつて大阪市の交通局におったときに、本庁から、これははえ抜きの方ですが、局長がおいでになったのです。後に助役になった人ですが、ぼくは交通局をいままで見ておった目が違った、交通局というのはかってなことをすると思ったけれども、交通局の人間ほどよく金のことについて敏感なものはおらない、それは毎日金をもうけることを考えておるからだろうと思う、こういうことを述懐された局長さんを知っているわけです。したがって、効率化をはかる、こういうことについては、私は企業をやっている者は一般の人たちと違った感覚を持っている、こう思うのですよ。ですから、いま局長が御心配をされておるようなことは、これはつとめてそういうようにやるのではないか、私はこう思います。しかし、そうだからといって、そうして努力をしておるにかかわらず、問題が起こるような条件を自治省なりあるいは行政当局が考えるということは、私はこれは間違いだ、こう思うのです。だから、できるだけみんなが喜んで協力をし、努力をする、こういう条件をつくってやる、このことは大切だと私は思うのですが、この点、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/139
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140・松浦功
○松浦政府委員 御指摘のように、企業会計がそういうふうにすべて回っておるのでございましたらまことにけっこうでございます。私の経験では必ずしもそうでございませんでした。私どもとしては十分実態を拝見しながら、無理にわたらない限度においていまのような努力をお願いをするということは、繰り返してお願いをしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/140
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141・井岡大治
○井岡委員 局長は悪い経験をしてくるものだからなかなか疑い深い。私はそうではなくて、やはり人は善なりという条件をつくっていくべきだ、こう思うのであります。そこからものを判断して、悪いものはけしからぬ、こういうのならよろしいけれども、必ずしもそうでないから実態を見てと、こういうことは私はさかさまだと思う。だからこの点はひとつ改めていただきたいと思うのです。
そこで次に入りますが、バスの購入の問題なんですが、当初予算を組まれたときには三百八十万円、こういうことでございましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/141
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142・松浦功
○松浦政府委員 三百八十万で予算を編成をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/142
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143・井岡大治
○井岡委員 現実は御承知のとおり、六百二十五万から六百三十万ぐらいかかっているわけです。したがって、直ちにこれをどうこうということはございませんけれども、それだけ苦しくなるわけですから、これらの問題について、直ちに補給しろと言ってみてもこれは無理な話ですから、補正予算のある場合に考えられるのかどうか、この点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/143
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144・松浦功
○松浦政府委員 負担金のごとき性格のものでございますと、あるいは補正予算のときにというような考え方もあろうかと思いますが、これはあくまでも交通会計に対する、車というものに着目をした補助でございますので、私は補正予算でどうこうという問題は非常にむずかしいのではないかというふうに考えます。しかし昭和四十九年度にきめた単価が現実の単価と合っていないことはよく承知をいたしております。したがって、新しい年度で高い単価に組み直すようにお願いをしてまいるというのが一つの方法ではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/144
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145・井岡大治
○井岡委員 できれば補正予算を組まれるとき、これはベースアップがあるわけですから当然補正予算を組まないといかぬわけです。同時に再建の考え方にしても、これはまた手直しをしなければいかぬことはまた事実ですから当然考えていただかなければならぬと、こう思うのですけれども、それはさておいて、もしそれが不可能であるということであれば、何らかの起債を認めてやらないと、車は買った、償却年数がありますから買わなければいかぬから買った、金は払えないのだ、こういうようなことになろうかと思うのですが、この点、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/145
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146・松浦功
○松浦政府委員 補助金を差し引きました地方負担部分については、実勢単価に合わせたところで起債を認めてまいりたいという方向で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/146
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147・井岡大治
○井岡委員 実勢単価で認めていただける、こういうことでございますので、この点は非常に喜ぶだろうと思います。
そこで、警察の方、お見えになっていますか。——いわゆる交通環境をよくする、これは毎回言っておいでになるし、非常に御努力いただいておるわけですけれども、特に石油問題がやかましくなってきたこの機会に、さらにこれらの問題について大きく声をあげることが必要ではないか、こういうように私は考えますので、環境整備等についてどのようにお考えになり、またおやりになっているか、また今後やろうとされておるか、この点、ひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/147
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148・渡部正郎
○渡部政府委員 交通環境の整備につきましてはいろんな観点があるわけでございますが、最近特に警察で問題にしておりますのは都市部の交通状況についてでございまして、昨年、御承知かと思いますが全国的には死者が非常に減ったのでございますが、都市別に見ますと、むしろ三分の一くらいの都市はふえているという状況もございますし、また都市の中でも人口集中地区が非常にふえているというようなことで、全体で死者が減るというふうな情勢の中で都市交通問題というのはそれほど緩和されていないのではないか。それで、死者だけの問題ではございませんで、渋滞の問題もございますし、いわゆる騒音あるいは大気汚染等の公害の問題もございます。いろいろ検討しますと、やはりその都市の持っております交通許容量と申しますか、そういうものをオーバーして交通量がふえていく。ことにある時間帯、あるいはある特定の区域にそういう現象が起こっている。それで事故なり渋滞、大気汚染が複雑にからみ合って一体になって起こっているというような状況がございます。
それで、いろいろきめのこまかい施策もやりたいと思っておりますし、これまでもやってきたつもりでございますが、いま申し上げましたような状況に対しましては、自動車の交通量自体をやはり削減すると申しますか、そういうことをやっていかなければならないだろうという観点に立ちまして、昨年から特にバスの優先取り扱い、私ども考えておりますのは二つございまして、一つはバスレーンでございますが、同時に信号交差点におけるバスの優先通行処理ということを、システムをつくりましてやっていこうということが一つでございます。
それから、日本は非常にトラックの輸送量の多い国でございますけれども、トラックあるいは物を運んでいる車の交通量を減らすということはたいへんむずかしい問題でございますが、これは、たとえば東京の問屋街のあるところで、共同出資によりまして共同配送会社をつくりまして、警察の規制とかみ合った形で非常に成果をあげているというようなこともございます。これは民間の御努力でございますけれども、警察からもそういうことを呼びかけていきまして、本来的に不急不要というわけではございませんが、他の手段によって置きかえられるような交通量は思い切って減らしていって、その前提に立って、どうしても残されてくる交通量についてはその流れを管理するような形で、その都市のいろいろな条件に合ったような、一番その土地に適したような形の交通の流れをつくっていこうというような考え方に立ちましていろいろやっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/148
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149・井岡大治
○井岡委員 これは警察だけの問題でなくて、国の問題、特に運輸省の問題で、いま言われたようにその流通の機能を変えていかなければいかぬ。これは総合交通体系ということをいわれておりますけれども、そういう意味においてこれは早急にやらなければいかぬ問題だと思うのです。思うのですが、当面私たちが特に考えられることは、その渋滞によって運行がのろのろしている。現在の日本の道路事情で、大きく改善されているところはありますけれども、私たち最初言われたときには一日に三万台、こういうように言われて教えられてきたわけですけれども、今日では大都市における渋滞するところはもう十万台をこえていますね。ここらに問題があるんじゃないか。それがほとんど外から入ってくるところがそういうかっこうになっているものですから、渋滞が非常にひどい。ですから、これらの問題を改善するためにはどういう方法があるだろうか、これらについてひとつお聞かせをいただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/149
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150・渡部正郎
○渡部政府委員 たいへんむずかしい問題でございますが、一つは、いま申し上げましたように、やはり自動車の交通量自体を減らすような施策、これは警察だけではもちろんできませんが、それをできるだけ推し進めていくことが非常に大事だと思います。それからもう一つは、やはり交通配分と申しますか、これは路線別に、一カ所に集中しないように交通を分けて流していくという行き方、あるいは時間的な配分でございますが、ある時間帯を限ってある特殊の車を通らせるというような、種別によります交通量の時間配分というような方法もあるのではないだろうかということを考えているわけでございますが、私ども、都市総合規制ということで、いまのような都市の路線別あるいは時間別配分というようなことも今後積極的にやってみたいと思っている次第でございます。
現在までやっておりますことといたしましては、一つは駐車禁止によりまして、入らずに済むような車はなるべく入っていただかないというようなことをやっておりまして、これはそれなりに相当の成果をあげていると思います。
もう一つの問題は、信号機を系統化して、避け得る渋滞は起こさないようにするという技術的な処理をやっております。それが非常に高度に進んだ形のものといたしましては、先生先刻御承知のとおり、これは全部の都市ではございませんが、都市の信号機を全体としてコンピューターで処理いたしまして、待ち時間の全体を一番少なくする形で車を流しますとそれだけ渋滞が減るわけでございます。これはデータ的にもそういう実績が得られているわけでございます。この信号機のコンピューター制御というものを今後さらに拡大して、また質的にも改善する形でやっていきたいというようなことを考えているわけでございますが、何しろ私どもが非常に悩んでおりますのは、たとえば団地がたくさんできるとか、あるいは高層ビルがたくさんできるというようなことで次々と新しい交通需要が生み出されてまいります。そのわりあいには道路をはじめとする交通手段が追いついていきませんので、渋滞というのは、相当いろいろなことをやりましてもやはり非常にふえていくと申しますか、思ったほど状態は改善されないというのが実情でございまして、非常に悩みはあるわけでございますけれども、多角的な取り組みで今後もやっていきたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/150
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151・井岡大治
○井岡委員 そこで大臣、いま交通局長からお話しいただいたように、現在の交通量を何とか、これは削減するという表現もできませんけれども、考え方としてはかなり方法があるわけです。
一つには、これは大臣の所管ではありませんけれども、都市の高度の発展に伴って日本の流通機構の改善をはかるということが必要ではないか。そういうことでターミナルを逐次つくっていっているわけですが、これなどを積極的に推進をする。そのために、いままでと別に起債というか、こういうのをこしらえて、各都市に慫慂するというか勧奨するというかわかりませんけれども、とにかくそういうことが今後の都市の流通というものから考えて必要じゃないか、こう思うのです。ひいてはそれが公営企業の健全な経営にもつながってくる、こう思うのですが、この点、大臣、お考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/151
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152・町村金五
○町村国務大臣 先ほど来、都市の交通問題についていろいろな角度からきわめて適切な御質疑があったわけでございますが、いま私どもも、日本の大都市というものは、道路の状況とこれに運行いたしております車とがどうもアンバランスと申しましょうか、とうてい現在の道路ではこれを全部円滑にさばくということは非常にむずかしい状況になっておるのでありまして、どうも、交通渋滞をするというのはいわばあたりまえのことのようで、渋滞なしに通ることができればそれは特別の日であるといったようなことで、渋滞というものがほとんど日常のことになって慢性化してしまっているということでございますが、このためにせっかくの交通機関というものが十分な働きをしていない。
基本的に考えてみますれば、結局東京というものにあまりに人口、産業、その他のものが集中し過ぎて、道路はそれを処理するだけのものにとうてい改善が及ばないということが私は基本的な問題であろう、こう思うのであります。しかし、だからと申しまして、なかなかにわかに道路はそんなに改善されるわけのものではございません。したがって、やはりいまのような慢性的な渋滞をそのままにしておくということは、いかにも交通問題を考える場合に情ない話なのでありまして、何らかの方法を講じなければいかぬ。これには、いまも交通局長が申しておりましたが、やはり総量規制をやるということでないとほんとうの渋滞を処理することはできないであろう。しかし総量規制ということは言うべくして、実際問題になりますといろいろな障害が起きて、そう口で言うほど簡単にいけるものではございますまい。
最近、警察が主になってでございましょうが、例のバスレーンというようなものをずいぶんつくるということになってきておって、あれがもし円滑に行なわれるということになりますれば、バスによる利用者というものはいまのような激しい渋滞からかなり解放されるということで、たいへんけっこうなんでございますけれども、しかしバスレーンをつくって優先的にバスだけを通すということになりますれば、その道路を利用しておりました他の車を一体どうするかということになってしまい、結局その車の利用者はいままで以上に今度は交通ができなくなってしまうというような問題にも当然なってしまうわけでございます。かりにバスレーンをつくり優先的にバスを通すことにいたしまして、たとえば極端なことを申しますと、もう東京都内にはあまり自家用車を入れないようにするというようなことにでもなりますれば、バスなりあるいはトラックというものがいまよりも円滑に動くことになるのでございましょうけれども、それでは一体、いまの東京で、あるいはいまの日本で、いわゆる自家用車といったようなものをどうして制限をしていくか、これも実はなかなかむずかしい問題でございます。
しかし、いずれにいたしましても、そういった問題もこれはできないのだといってあきらめてしまうべきではないのではないか。早い話が、たとえば通勤時間のようなときにはバスを優先させてしまう。バスあるいはトラック以外のものは、その時間はそういったバスレーンを設置されておる道路には通さぬというようなことでもいたしますれば、通勤その他にはある程度支障がないということになりましょうけれども、しかし車で通っておる人は今度それではどうするかという問題も起こる。みんながバスを利用するということになれば問題解決はできないはずはございませんけれども、いまの日本ですぐそこまで踏み切ることができるかどうか。いずれにいたしましても、いまのような慢性的な都市の自動車渋滞の状態をこのままに放置しておくということは、われわれとしての責任を果たしていったということにならないのではないか。たいへん実はむずかしい問題でございます。しかし、私はこの問題は真剣に取り組むべき事柄ではないかと思うのであります。
なお、おっしゃいましたターミナルの問題というのは、ちょっとまだ私自身理解をいたしかねておるところがございますから、これについてのお答えはひとつ差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/152
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153・井岡大治
○井岡委員 最後に大臣にお願いなり要望を申し上げておきたいと思うのですが、先ほどからお聞きになられたように、各都市の公営企業、あるいは特に交通というのは非常に複雑な要素を持っておるし、同時に、しかもこれが住民とは切っても切れぬ関係にある。それだけに財政当局の方々もいろいろ苦労なさっておいでになると思うのですが、最初に申し上げましたように、単に企業という考え方だけでなしに、少なくとも都市の経営上における一つの事業、こういうように考えていくべきだ、こういうように私は理解しているわけです。また自治省当局もそういうように御理解いただいておるから、従来、おまえらは企業だからお金をもうけてかってにやりなさいというような態度でありましたけれども、いまでは、地下鉄の補助もしよう、あるいは行政路線ということで補助するものは補助してやらなければいかぬ、あるいは車両の購入についても考えてやらなければいかぬ、こういうようにお考えを変えていただいておることなのです。そういう点で、一段とこの問題について大臣のお力添えを要望して私の質問を終わりたいと思いますが、最後に大臣の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/153
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154・町村金五
○町村国務大臣 先ほども、いわゆる行政路線ということで御質疑をおかわしになっておるのを私も伺ったところでございますが、たいへん勉強させていただいたようなことになったわけでございます。
従来でございますれば、バス事業というものはいわゆる収益企業ということでそれぞれ今日まで至ったわけでございますけれども、御承知のようないろいろな事情の変化に伴って、なかなか企業としては経営ができないというようなことで、地域によりましてはバスがなくなってしまうということになり、そのために地域の人は足を奪われてしまうということになりますので、地方団体としてはどうしても最小限度必要なバスというものをみずから経営せざるを得ないというようなところが、だんだんふえつつあるのではないかというように私も観察をいたしておるところでございます。
先ほども、一体そういうことは地方団体の当然のつとめかどうかといったような問題等にもお触れになってのお話がございましたが、つとめであるかどうかはいろいろ議論のあるところでございましょうけれども、少なくともやはり地域住民の生活を守るという立場の地方団体としては、最小限度住民の足を確保するということは、どうも今日の場合を考えますときには当然のことになってきたと考える次第でございまして、したがって、そのためには、収益としては全く成り立たぬということをやらざるを得ないのでありますから、そういった点についての財政需要につきましては、自治省としても十分考えていくということを今後とも一そう配慮していかなければならぬのではないか、かように考えまして、これによりまして必要限度の最小のものだけはあくまで確保するということを今後つとめていくべきではなかろうか、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/154
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155・井岡大治
○井岡委員 私は、足でいいわけですけれども、なぜ私がこのことをやかましく言うかと申しますと、単に足というだけでなしに、やはり日本の産業、経済に重大な関係があるわけなんです。ですから、単にいままでのような概念の足ではなくて、そのことがわが国の産業、経済に重要な関係を持つ、こういう立場からこの問題をとらえていただきたい。このことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X02419740405/155
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156・伊能繁次郎
○伊能委員長 次回は、来たる九日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十二分散会
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