1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月十七日(金曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 伊能繁次郎君
理事 小山 省二君 理事 高鳥 修君
理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君
理事 村田敬次郎君 理事 佐藤 敬治君
理事 山本弥之助君
愛野興一郎君 片岡 清一君
瓦 力君 木村武千代君
島田 安夫君 渡辺 紘三君
岩垂寿喜男君 小川 省吾君
加藤 清政君 細谷 治嘉君
青柳 盛雄君 小林 政子君
多田 光雄君 林 百郎君
小川新一郎君 小濱 新次君
折小野良一君
出席国務大臣
自 治 大 臣 町村 金五君
出席政府委員
自治政務次官 古屋 亨君
自治省行政局長 林 忠雄君
自治省財政局長 松浦 功君
委員外の出席者
厚生省公衆衛生
局地域保健課長 山本 宣正君
自治省行政局行
政課長 砂子田 隆君
自治省行政局振
興課長 田中 和夫君
地方行政委員会
調査室長 日原 正雄君
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委員の異動
五月十七日
辞任 補欠選任
住 栄作君 瓦 力君
岩垂寿喜男君 加藤 清政君
多田 光雄君 青柳 盛雄君
同日
辞任 補欠選任
瓦 力君 住 栄作君
加藤 清政君 岩垂寿喜男君
青柳 盛雄君 小林 政子君
同日
辞任 補欠選任
小林 政子君 多田 光雄君
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五月十六日
航空機燃料譲与税の配分率引上げに関する陳情
書(第五六二
号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七一号)
地方自治法の一部を改正する法律案(三谷秀治
君外十名提出、衆法第二三号)
地方自治法等の一部を改正する法律案(井岡大
治君外六名提出、衆法第二四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/0
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001・伊能繁次郎
○伊能委員長 これより会議を開きます。
内閣提出にかかる地方自治法の一部を改正する法律案、井岡大治君外六名提出にかかる地方自治法等の一部を改正する法律案及び三谷秀治君外十名提出にかかる地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。青柳盛雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/1
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002・青柳盛雄
○青柳委員 私は、ただいま審議されております政府提出の地方自治法の一部を改正する法律案の中の東京都の特別区に関する改正部分についてお尋ねをいたしたいと思います。
要点だけ簡単に申し上げますが、この東京都の特別区の特例は非常に実情に沿わないものがありまして、民主主義の立場からすみやかに直さなければならないというのが一般の世論でございまして、また住民の強い要求でもございますので、すみやかに実現をはかるためにわれわれは協力しなければならぬ、かように考えておるわけでありますが、政府原案の中で多少問題になるものがあるわけでございますので、それを一つ二つ取り上げてみたいと思うのです。
第一番目は保健所の設置に関する問題でございます。これは十四次の答申でも、また十五次もそれを引き継いでいるわけでありますが、相当長い間懸案になっている問題でございまして、今度いよいよ都から特別区のほうに移管になるということがいわれているわけでありますし、それが条文の上では附則十九条に記されております。ただ、これは労働組合などが非常に問題にしているのでありますけれども、この十九条の中に「当分の間」という文字が入っておりますので、これが非常にあいまいであるし、なぜ「当分の間」というような字句を挿入したのかということについて疑問を出しております。したがって、なぜ「当分の間」という字を入れなければならないのかということ、及び「当分の間」というのはどのくらいの期間をさすのかというようなことについてお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/2
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003・林忠雄
○林(忠)政府委員 こちらに厚生省からもお見えになっていただいておるので、さらに詳しくあとで御説明をさせていただきたいと思いますが、特別区に事務を移すにつきましては、保健所ならば保健所法、それぞれの法律で、都であったものを特別区に移す改正をするわけでございますけれども、厚生省のほうで保健所の機能をこの際全部洗い直して、いずれ近い将来抜本的な改正を行ないたいという御意向があって、それまでは保健所法をいまいじるのに非常に進まないというお話がありました。そこで、厚生省と私どもとのお話で、保健所法ができますまでの間、私どものほうで附則に「当分の間」と書いた意味でございます。したがって、保健所法が改正されるときには、それがそのまま今度は保健所法の本則となりますから、ここにいっております「当分の間」というのは、しばらく渡しておいてまた吸い上げるという意味では全然ございませんで、移すという意思をはっきり表示している。ただ、法律をいじる時期の関係で、保健所の関係は自治法の附則のほうに入れます。附則のほうに入れる限りは経過措置の意味でございますので「当分の間」と書かざるを得ない。しかし、これは保健所法を改正されますときに、はっきりと恒久的に特別区に移すということは書かれる予定になっておりまして、その点では合意はできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/3
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004・山本宣正
○山本説明員 ただいま行政局長さんからお答えがございましたが、私のほうといたしましても、現在保健所の問題につきましていろいろと問題がございます。その問題をいろいろと整理していこうということで、省内等でも現在検討しておるわけでございます。そういう意味で、本法の附則の改正につきまして両省で合意いたしましてそのような文字を入れた、かようなことでございます。御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/4
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005・青柳盛雄
○青柳委員 いまお話しのように、保健所の施設を運営するについていろいろの問題があるということでございまして、それをすみやかに改正をしなければならない要請があるということでございますが、この保健所法の改正の内容、これはいろいろ寄り寄り協議しておるといいますか、懇談会のようなものを持ったりして、厚生省の内部で討議は進められていると思うのでありますが、その中身がどの方向を向いているものか、非常に具体的であればなおわれわれは検討をするに都合がいいわけでありますが、かりにあまり具体的ではないといたしましても、改正の方向といいますか、それだけは知りたいと思うわけでありまして、それはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/5
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006・山本宣正
○山本説明員 まだ検討中でございますので、詳細を御披露する段階まで来ておりませんけれども、現在の保健所の実情というものをながめてまいりますと、地域住民からいろいろと保健サービスについての要望がたいへん強いわけでございます。これに対応していく姿といたしましての問題点がございまして、住民に近いサイドにおいての住民に対する保健サービスというものを強化するということを考えてまいりたい、かように考えておる点が第一点でございます。
また、現在保健所の機能の中には、そのような保健サービスの機能のほかに、ある意味では集約的に、または高度の技術を必要とする側面がございますが、それにつきましても何らかの形をとっていきたい。
こういった点がおもなポイントでございまして、専門の先生方からの御意見といたしましてもそのようなものが出ておるわけでございますので、それに対応したいろいろな施策としてどういう形をとっていくかという具体的についても問題を現在検討しておる、かように申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/6
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007・青柳盛雄
○青柳委員 地域住民に直接的にサービスをするといいますか、要請されるものを、なるべく地域住民に密着している地方自治体、市町村、特別区などがそれに当たると思いますけれども、そういうものとしての保健所の機能を充実するということには私どもも大賛成でございますが、たとえば衛生とか環境とかいうような問題について厚生省が指導して監視、監督をするというようなことは、個々の保健所の仕事としては統一性がなくなるおそれがあるかもしれないから、これはまた別な機関において処理するというような考え方があるのかどうか、この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/7
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008・山本宣正
○山本説明員 特に環境衛生関係の仕事におきましては、行政的な指導監督のほかに、さらには検査等を行ないまして、最終的に知事権限による行政処分をするというようなものもあるわけでございまして、こういったものに関しましては行政の内容の均一性をとるという必要があるわけであります。そういったようなものにつきましての均一性を欠かないという配慮は何らかの形でしていかなければならないと思いますけれども、保健サービスの側面におきましても、たとえば成人病のいろいろな検診業務であるとか、あるいは母子衛生の指導等につきましても非常に高度な検査あるいは診断技術を必要とするようなものもございます。
これにつきまして、現在各県におきましてもあるいは成人病センターというようなものを保健所に高度な機能として設置をいたしまして、いわゆる地域住民に対するサービスをしていくというような方向もとっておるわけでございまして、やはり疾病構造、社会構造あるいは医療技術の向上といったことに即応した、従来の保健所よりも、ものによりましては高度なものはある程度集約できる、あるいは住民に近い側でサービスができるようなものにつきましては住民に近い側に立つ、こういった方向をとっていくべきではないだろうか、こういったぐあいに考えておるわけでございまして、いま冒頭に申し上げましたように、環境衛生につきましての行政的措置を講ずるようなものにつきましては、ある程度集約的な方法というのが考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/8
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009・青柳盛雄
○青柳委員 共通のことばでございますけれども、保健所の再編成というのがあるわけです。共通のことばというのは、労働組合その他でもそういうことばを使うし、また厚生省のほうでも保健所の再編成というようなことを言っております。これに加えて、労働組合などでは合理化というカッコつきの文字が入って、労働強化とかいろいろの問題が再編成という概念とくっついてくるわけでありますけれども、この保健所の再編成というのは一体具体的にいうとどういうことを意味するんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/9
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010・山本宣正
○山本説明員 私ども、現在再編成ということばはあまり好んで使ってはおりませんで、やはりいまこまかく御説明申し上げましたような、現在保健所というものが一つのセットになって保健サービスあるいは環境衛生関係の行政指導、検査業務、こういったことをやっておるわけでございますけれども、時代の移り変わりに従いまして、現在の保健所のセットよりももっと高度な機能を必要とするというような行政的側面がある。また住民サービスに直結するようなもの、たとえば一例をあげますと母子衛生のように、保健所には赤ちゃんをおぶったおかあさん方、またおなかの大きい妊婦の方々が訪れてまいりますけれども、こういったものはやはり住民に近いところにそういったサービスを持っていったほうがよろしい、こういう考え方でありまして、そういった意味での新しい方向を見出していこうというのがその考え方の内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/10
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011・青柳盛雄
○青柳委員 いま例にあげられたようなことはわかるのですが、結局そういうのを推し進めていくと、保健所の統廃合とか、あるいは従来やっていた業務が縮小されるとか分断されるとかいうようなことがあるのではなかろうかということが心配されているわけですね。そして十九条のただし書きによりますと、「政令で特別の定めをするものは、この限りでない。」という、この政令でもってどのような内容のことがきめられるのか。あるいは政令でもって特別区のほうに移管する業務がいろいろと切り刻まれるのじゃなかろうか、そういうおそれも考えられるわけですね。現在保健所法の一条の規定に基づく政令で定める市でもって扱っている程度のものがそっくり特別区のほうへ来るのかどうか。それともそれは全部はやれないということで、ただし書きの政令でもって除外するのか、こういう点もお尋ねしたいと思うのです。
〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/11
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012・山本宣正
○山本説明員 現在、自治省と私どもの間におきまして政令に定めるべき事項の詳細はまだ取りきめてございませんけれども、環境衛生関係の業務の一部につきましては、やはり東京都の情勢等をよく踏まえまして、一部は都に残しておくということも考えられるわけでございます。現在、これにつきましては実情も十分参酌した上で、両者によって取りきめてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/12
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013・林忠雄
○林(忠)政府委員 いまの件でございますが、いま厚生省から御説明したとおり、厚生省とこれからさらに詰めていくつもりでございますけれども、大体、ものの考え方といたしましては、保健所を特別区に移すので、特別区は保健所を設置する市と同じだけの仕事をやるのを一応原則と考えております。何を縮小するかといいますと、たとえば品川区に屠殺場がございますが、この屠殺場は各区に全部あるわけじゃなくて品川区だけにある。これが東京都民の食肉を大量に供給しておりまして、相当大規模なものでございます。こういうのを品川区の保健所でやるという必要はむしろあるまい、都のほうでやったらよかろう。あるいは狂犬病予防法に基づく犬の抑留所というようなものも、これは各区の保健所に一つ一つつくるよりも、どこかにまとめて一カ所につくったほうが合理的だ。いわば都というこれだけの大きな実態の中で、区でやるよりも都でやったほうが合理的であるというものを、よく厚生省と御協議をし、さらに都と区の御意見を十分伺った上で政令できめていく、こういうことを考えておる次第でございまして、やたらに特別区へおろすのを惜しむというような気持ちは毛頭ございません。原則としては保健所を特別区でやると考えた上で、いまの東京都の実態上、都でやったほうが合理的であるというようなものを、各方面の御意見を承った上で、政令で指定してまいる、こういう考え方をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/13
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014・青柳盛雄
○青柳委員 そういうような政令をきめるにあたって、都と区、あるいはそれに従事している労働者の団体、組合の人たち、もちろん住民の要望ということも参酌しなければなりません。法的にこれを制度化する、要するに一方的に政府が政令をきめて押しつけるということでなしに、広く世論を聞くといいますか、実情に沿った形をとっていくということが望ましいと思うわけであります。一般の意見を聞いてというようなお話でございますが、都と区の間の協議というようなことは全然考えてないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/14
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015・林忠雄
○林(忠)政府委員 当然、都と区とよく御相談していただくつもりでおります。それから、この中身になるのは、いま例にあげたようにだれが見てもそこで争いが起こるような問題はほとんどないのではないかと考えておりますので、都と区でよく御相談をしていただき、区にはあるいは職員の御意見もおありかもしれませんし、住民の御意見もおありかもしれませんし、こちらと厚生省のほうでもよく御相談をして、皆さんの意見の一致した線に従って政令で定める、そういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/15
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016・青柳盛雄
○青柳委員 これは時期の問題でございますが、一応来年の四月一日から施行される予定になっているのじゃないかと思いますが、その事務に従事している職員の身分の問題がありますので、混乱を起こすようなおそれがあってはいけない。これを混乱させないような方法としてどういうことを考えておられるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/16
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017・林忠雄
○林(忠)政府委員 そのために、実は特別区に対する改正法を一刻も早く通していただきたいということなのでございまして、相当な準備期間を必要とすると考えております。この法律が施行されますと、区におりる事務に従事する職員の身分が、都の職員から区の職員の身分に切りかわることになりますので、それ以前一年間と申しますか、現在これが成立しましても一年足らずになってしまうわけでございますけれども、その間に十分人事当局、職員その他でいろいろ御協議をしていただきまして、しかるべきポストにしかるべき人を配置する、そして切りかえ日に一斉に切りかえられる、そういう手続が要りますので、それも数が非常に多い職員でございますので、相当な準備期間が必要と思います。その間によく都と区と職員、そういう方々が協議をしていただきまして、できるだけ不満の少ないように、またできるだけ事務移譲後の事務がスムーズにいくような人事配置を完了していただく、このことがぜひ必要だと思っておりますので、そのために一刻も早くこの法律を成立させていただきたいと念願している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/17
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018・青柳盛雄
○青柳委員 関係の方面では、と申しますのは一番直接的な関係を持っている労働組合のほうですが、機械的に来年の四月一日移管というようなことでなしに、いろいろのことを考えて、多少時間をかけても十分に準備した上で実施したほうがよくはないか。そのためには、これを政令で定める日まで延期するといいますか、やや不確定ではありますけれども、何月何日というふうにはっきりはしないけれども、いずれは政令でそれをきめるということで余裕を持たしておいたほうが、摩擦やトラブルあるいは不合理なことなどがなくて済むんではないかというのですが、この点は最初から全然考慮の中になかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/18
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019・林忠雄
○林(忠)政府委員 職員の意見、都と区の意見を十分に協議してスムーズに持っていこうということのために準備期間が必要だということで、実はいまから申し上げてせんないことでございますが、昨年の国会でこれを成立させていただきたいという気持ちを強く持っておりましたけれども、今日になりましてもなおあと一年間近くございます。過去の、たとえば府県から政令市への事務の移管のような例もございまして、それらと比較すれば、この一年の期間があれば大過なくと申しますか、大体皆さんの必要最小限度の御満足はいくような準備は整えられる、こう考えております。
一方、いま先生お話しのように、政令で、話がつくまで移管の期間を延ばすということになりますと、区長は公選する、区の人事権、財産権は強化する、そして区の仕事も権限も強化する、その三つの柱を同時にやって、いわば新しい衣を着て一斉にスタートするというところに未確定のものが入りまして、それが場合によってはいつまでもきまらないという状態も考えられる。これは好ましくない。やはり新しく出発するときは全部体制は整えたい。そのためにできるだけ早くこの法律を改正していただいて、法律施行前の間に十分協議なり、各職員の希望なりを聞いていただき、準備を整えてまいりたい。そういうふうに考えて、こういう法律構成にさしていただくことをお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/19
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020・青柳盛雄
○青柳委員 これは、今度この法律の改正によって特別区のほうに移されるすべての事業に関係することでございまして、条文の上でもそのことに触れている財政措置の問題でございますね。これは要するに二百八十二条の規定ですかで財政措置を十分に保障するような一般論の規定がございますけれども、特別に保健所の運営ということになりますと、専門の技術者、職員を確保する問題とか、施設の増設というような問題とか、いろいろ金のかかることがあるわけでありますが、この点について政府として何か具体的に考えておられるかどうかですね。特に保健所の問題についてはそれがはなはだしいんじゃないか。需要は非常にふえていくばかりなんでありますけれども、それに見合うだけのものがあるかどうか。過密の都市では過密なりに、また過疎の地域では過疎なりに絶えず問題を起こしてくると思うのです。過疎地帯に専門の医師がなかなか確保できないというようなことも含めて、こういう点はどのようにいまのところ考えておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/20
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021・林忠雄
○林(忠)政府委員 財政措置に関しましては、ただいま御指摘ございましたように、二百八十二条の中に一つの守るべき規範として訓示規定と申しますか、「都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図り、並びに特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、」というのを入れて、そういう精神をもって今後都区財政調整制度は運用してもらいたいという願いを込めておりますし、そのために必要な指導、助言をやってまいりたいと思っております。
現実問題としては、保健所あるいは都市計画その他相当の事務が特別区におりますので、特別区の財政需要というのは従前に増してその分だけはふくらました計算をして都区財政調整制度を運用しなければならない。それに関しては都と区の間で十分協議をととのえていただく。そのためにも準備期間が必要だと考えておりますが、事、金の問題でもありますし、場合によっては両者の意見がなかなか一致しないということも予想されないではございませんので、そういう場合には私のほうの財政当局からも、行司と申しますか、中に立って、合理的な財源配分ができるよう助言、指導をさしていただきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/21
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022・青柳盛雄
○青柳委員 今度の改正では一応除外されるといいますか、確実に除外されるということでもありませんが、廃棄物の処理及び清掃の問題と下水道の問題があります。十四次の地方制度調査会の答申などを見ますと、これは裏から解釈するのですけれども、下水道の支線は区に移すべきであるとか、ごみ、屎尿の収集及び運搬はやはり移すべきだ、これは特別区内の収集及び運搬だというふうに解説されております。こういうような形で、下水道の本管の場合は別だけれども、支線は区でやるようにしたらどうかとか、それからいま言いましたごみの収集、運搬は区でやるようにしたらどうかということであります。今度の法律でそれが、行なうものとする。しかし協議というものがかかっておりまして、行なうといっても協議がととのわなければ行なわないわけでありますから、即時に必ず移るということではないのかもしれませんけれども、この辺のところ、やはり労働組合の人たちは、下水道関係の人も清掃関係の人も、区に機械的に移行することに対しては非常に抵抗を感じているようでありますので、政府の考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/22
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023・林忠雄
○林(忠)政府委員 地方制度調査会の答申でいいます場合に、住民の身近な、その生活に直結した事務はなるべく都から区へ移しなさいという全体の方針がございまして、それはまことにごもっともな御方針だと思い、大体それに即して今度の改正を考えてまいったわけでございますが、いまおあげになりました下水道の支線あるいは廃棄物の収集、運搬ということは、現在の都の実態を拝見し、労働組合の御意見も伺い、都側の御意見も十分伺って、法律施行後直ちにこのたてまえどおりするよりも、いろいろな準備が整い、そういう条件が醸成されたときに移すことがよかろうという配慮を加えまして、一応協議にかけたということでございます。ですから方向としては、そういう区民の身近な事務はなるべく区へという方向は維持しつつ、現在の実態を考えまして、直ちに移行する点には多少無理があろうというような意味もありましてこういう規定にさしていただいたつもりでございますので、将来条件が熟成し、労働側とも、あるいは都区の間の合意があります場合には、その本来の基本原則に従って区に移るというたてまえだけを今回貫く。現実に移るのは都区間の協議にかけるということにさしていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/23
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024・青柳盛雄
○青柳委員 それは自主的に都と区の間で協議をして実施することを期待するという法律のたてまえでございますが、その実施を早めるために、その協議を、別に監視するという意味ではないけれども、指導するとかいうようなことはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/24
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025・林忠雄
○林(忠)政府委員 現在そのつもりはございません。現在の都の実態でいえば、都区あるいは労働組合の間に意思の乖離はないようでございます。しばらくはこのままでやっていくという体制のまま続くというふうに、現実的にはそうなると私たちは見ておりまして、それを無理に本来の原則に忠実になるようにこちらからすすめたり、あるいは関与したりするという考えは現在のところ全く持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/25
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026・青柳盛雄
○青柳委員 先ほど指摘されました二百八十二条関係の財政の調整に関する規定の運用でございますけれども、東京都の場合、いわゆる地方交付税の不交付団体にもなっており、また財源調整というようなことも行なわれておりますが、都と区との間の調整をはかるにいたしましても、もとがなければ、幾らアンバランスをなくするように努力をしたところで充実したことにはならないわけであります。東京都の地方交付税不交付団体ということ自体非常に問題があるわけですが、さらに財源を調整されて、当然入るべきものが何十億あるいは何百億も入らないということになったのでは、これはせっかく自治権が拡充するという形で東京都の特別区の人たちは喜びましても、現実には金の面では行き詰まるというようなことも起こり得ると思うのでありますが、この点は非常に大きな問題でありますけれども、どう考えておられるのでしょうか。
〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/26
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027・林忠雄
○林(忠)政府委員 昨日の御質問にもこれの趣旨と同じ趣旨のことがございましたわけでございますが、この大都市行政をどうするかというのは、まさに大都市の中を形成する個々の区の自主性、独立性の強化、これが民主主義につながるものでございます、その強化と、反面、これだけの社会的な一大都会である二十三区を通じた昔の東京市というべきもの、これらの大都市の行政の一体的な統一性の確保ということ、これの調和の上に常に立たなければならないわけでございます。
その意味では、今回の改正はその調和を考えつつ、区長を公選する、区の人事権を確立する、区の権能をふやすということでございますから、個々の部分の独立性の強化の方向であることは間違いございませんけれども、この方向に完全に突っ走ってしまいまして、市と、たとえば仙台市、広島市と同じことにするというところまでは踏み切っておらない。その意味では、大都市制度の一環として、独立性は従来よりも強めますけれども、また全体の総合性、都における統一性というものも考えていかなければいけない、そういう立場に立っておりますので、この財政調整問題につきましては、従来と同じように都と区を一体としてこれを考え、そして都と区の間の税源の配分を、これも事務の移醸に基づきましていずれは将来再検討する時期もまいると思いますが、今日の段階ではそういう従来の制度をそのまま存続し、都と区の財政調整制度の運用によって、今回新しく区に権限が移り、その仕事が移ったものの財政需要はこの財政調整制度の運用で見る、こういうたてまえに立っておる次第でございます。ですから、今日直ちに各特別区が市と同じであるということを交付税上とるという考え方はとっておりませんし、また現在の大都市制度としてはそこまでいくことは不合理であるというふうな判断に立っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/27
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028・青柳盛雄
○青柳委員 ですから、私は、ストレートに特別区に地方交付税をやれるかやれないかを検討するような制度、それが必要だと言っているわけではなくて、東京都自体の財政が豊富であることが望ましいわけでありますから、法人事業税とか都のたばこ消費税とか地方道路譲与税、入場税あるいは国有提供施設等所在市町村助成交付金といったようなものあるいは義務教育国庫負担金こういうようなものについて、東京都は他の道府県と違った扱いを受けているようでありますが、これを抜本的に洗い直していくというか、検討し直すというようなこと、これは東京都の財政を扱っている当局の者の切実な願いでもあり、また都民の要求でもあり、区民の要求でもあるわけですが、この点は繰り返してお尋ねしますけれども、政府としては何ら考慮の余地がないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/28
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029・林忠雄
○林(忠)政府委員 地方団体の財政制度というのは、社会実態の変化に応じまして常に合理性を追求し、その改善、実態への適応化を考えていかなければならない。そういう意味では、私のほうの財政当局も常にそれに対する検討は怠っておらないと思います。ただ、今回の特別区の制度の改正に伴ってどうするかという点につきまして、先ほど申しましたように、この交付税上の扱いあるいは都区財政調整制度というものはそのまま存続しよう。制度はそのまま存続になっておりましても、中における配分は、事務の移行に従って、それに伴う必要な経費は財政需要で当然区に見るという運用が確保されることはもちろんでございますけれども、長い将来にわたりまして、東京都なりあるいは他の大都市における財政制度をどうするかという検討につきましては、これは怠らずにずっと続けてまいるつもりでございます。いま直ちに都の交付税につきましてどうこうという改正案は考えてはおらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/29
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030・青柳盛雄
○青柳委員 最後に、先ほど保健所関係のことについてもお尋ねしたことですけれども、他の移管事務についていわゆる配属職員制度の廃止ということがあります。これは当然そういうことになるのが常識だと思いますけれども、これも機械的に来年の四月一日をもって自動的にといいますか、判断を必要とするものもあるわけでしょうけれども、その身分が変わっていく、こういうのが政府原案のようでありますが、これもやはりスムーズにいくことが大事ですし、ことに職員の職業選択の自由といいますか、そういうことにもかかわるわけでありまして、公務員である以上、その機構が変われば、いやならやめればいいのであって、いやでなかったら当然自動的にそっちへ移るのだと言ってしまえばそれまでかもしれませんけれども、こういう問題は都と区、それから職員の団体、そういうものがよく相談し合って、そして適当な時期に移行するというような、これも政令にその移行の時期、廃止の時期を、一般的な廃止は直ちにでもいいわけでありますけれども、要するに身分が変わる時期というものを政令にまかすということは考えられなかったかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/30
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031・林忠雄
○林(忠)政府委員 今回の改正の大きな柱、われわれはいわゆる三位一体と称しておりますが、区長の公選制度の採用と区長の人事権の確立、そしてその権能の拡張というのを三位一体、三本の柱として、これを新しい制度発足のときに同時にと申しますから新しい衣で出発していただきたい。そういう意味で、配属職員の廃止というのはまさに区長の人事権の確立でございますので、この柱の時期をあいまいにするわけにはいかないと一方では考えました。
またもう一方では、そのために、いま先生の御指摘になりました職員個々の職業選択の自由、その他に本人の意思によらない強制があってもまずい、それらをどうして避けるかということにつきましては、この法律の公布と施行の間に相当の期間をおきまして、その期間の間に十分希望の表明も伺い、都と区と協議して必要な配置転換を行ない、その日に備えて準備を整えるという期間が約一年近くございますので、その間に十分そういう点は配慮してほしい。
なお、さらにこれに加えましてもう一つの方法といたしまして、現在自治法の中に派遣職員という制度がございまして、都道府県の職員が都道府県の職員の身分を持ったまま市町村に勤務するという制度がございます。この派遣職員というような制度の運用によりましてある期間、その間はスムーズにつなげる。たとえばお医者さんとか特殊な技術者であれば、これは保健所長もやらなければいけないかわりに、またそれは、転任して都立病院の外科部長もやるというような必要も出てまいりますので、こういった派遣職員の制度を活用することによってその間の移行はスムーズにいける。そういう手段がございますので、その手段を通じて、いま先生の御指摘になりました新しい制度への移行、それに伴う職業選択の自由その他の保障は、御不満の最も少ないようにスムーズに行なえるという見通しを持ったわけであります。
それから、かつての過去の例といたしまして、たとえば政令指定都市に府県から事務が移行されるという何度かのケースもございました。これらについても、移行の日に身分を切りかえると一応法的にはきめておりまして、それまでの準備期間でそういう御相談をしてスムーズに移る、現に移ったという実例もございますので、その点は心配ないと考えた次第でございます。
反面、その期日を政令で未確定にします場合には、さっき申しました三位一体と申しますか、新しい制度の発足に裏があってはという配慮から、一方、運用上いまのような手段をとればスムーズにいくという自信のもとに、こういう案といたしまして御提案さしていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/31
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032・青柳盛雄
○青柳委員 最初にも申しましたように、東京都の特別区の持っている特殊性を尊重しつつ、なおかつ地方自治体としての機能を十二分に回復するという大事業がどうやら実りつつあるような状況でございまして、これは区民も非常に歓迎をしているところであると思いますので、これが制度的に法制化されたといたしましても運営というものが非常に重要でございますから、政府としてもその点について十分な配慮を講じていただきたい、これを申し上げて終わりにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/32
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033・伊能繁次郎
○伊能委員長 小濱新次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/33
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034・小濱新次
○小濱委員 私は、地方自治法の一部を改正する法律案について、これから自治大臣並びに林行政局長、自治省関係に御質問をしていきたい、こう思います。
まず、区長公選の実現はもう時代の趨勢で、当然賛成でありますが、まず区長公選後の都の二十三区の法的性格についてお伺いをしていきたい、こう思います。
現在、特別区は制限自治体であるとして特別地方公共団体とされております。区長が公選され、事務事業のごみ、上下水道などが都に残るとしても、普通地方公共団体とほぼ同様の事務を行なうことになっておるわけですが、これでは当然実質的には普通地方公共団体と何ら変わらないのではないか。また、将来、都の二十三区を普通地方公共団体にするのかどうか。それともこのまま都の制限自治体としての特別区のままでいくのか。一体どのように考えているのかということをまずお尋ねしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/34
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035・林忠雄
○林(忠)政府委員 ただいままでの諸委員の御質問にもお答えしたところとあるいは重複するかも存じませんが、今回の特別区に関する改革は、特別区の自主性を強化するという方向、いわば制限自治体の制限の範囲を狭め、一般の市町村に近づけるという方向であることは間違いございません。公選制を採用し、人事権を確立し、権能を拡張するというのは、個々の区の自主性、独立性の強化につながる改正でございます。
しかし、大都市制度をどうするかという問題で常に考えなければならないこととして、部分部分の独立性、自主性の強化、これも民主主義のたてまえ上必要でございますと同時に、今度は大都市の実態、現状にかんがみまして、大都市行政の統一性の確保に関する配慮を怠ってはならないと存じております。しかも、現在の大気汚染あるいは交通渋滞、こういった大都市特有の大都市問題というものは、一体性を確保する必要性が決して従来に比べて少なくなったわけではない。ものによってはますますその必要性も出てまいる。こういう状況のもとに、今回の改正案を考えますにつきまして、公選制を採用し、その他一連の自主性、自立性の強化という改革も一つの試みであると考えざるを得ないわけでございます。
そこで、将来はどうかということでございますが、なおこの大都市制度の全体としての合理性、いまいった自主性、独立性と全体の統一性との調和をどこに求めるかというのは、実は永遠の問題でもありましょうし、現実にそのときそのときの大都市の実情に応じて、それに対する対策を考えるべきものであると考えております。したがって、今回の改正の方向を将来もそのまま進め、できるだけ特別区を市に近づけるという、その一本やりとは申せませんので、常に全体との調和というのを考えて、どこが最も妥当な調和点であるかを見出す、そういう方向に努力してまいりたいと存じております。現在の段階では今回の改正が、この大きな東京におきましても、最も区民の要望に沿い、合理的な行政を行なうにはこの体制がいいという自信を持って出しておりますけれども、さらに社会情勢の変転その他によりまして、この方向をさらに進めるか、あるいは大都市の一体性の確保に対する手段を別に考えなければならないかという、そのときの事態に応じた改正方向というのを考えてまいる。これ以外に道はないのではないかと、存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/35
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036・小濱新次
○小濱委員 党を代表して質問いたしますので、重複する点も多いかと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
しからば、今回の区長公選に伴う事務の移管について、住民にとって区が一番身近な行政機関であることは間違いございません。住民生活に密着したものは当然特別区にこれは移管すべきである、このことも理の当然であります。そこで、たとえば建築規制については、エレベーター、駐車場のついた高層建築物の許可の権限は都にあるわけですね。これは区にはないのです。せめて建築基準法の中にある二十五万都市並みの許可権を区に与えるべきではないのか。事務移管について、住民の身近な問題としてこういうことも当然取り上げていかなくちゃならないと思うわけですが、御意見をひとつ聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/36
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037・砂子田隆
○砂子田説明員 ただいまの建築基準法の関係でございますが、それに関しましては、一般的に現在特別区で行なっている部分があるわけでございます。この部分に何を加えるかというのがこれからの問題になるわけですが、現在、いま先生おっしゃいましたような高層の建築物でありますとか駐車場を持ちます建築物につきましては、まだ建設省と折衝中でありまして、都の考え方、区の考え方を総合してみますと、おおむね都に残すほうが今後の運営上よろしいんじゃないかという考え方をとっております。これは政令をつくる段階まで、もう少し煮詰める問題として残されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/37
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038・小濱新次
○小濱委員 私ども、いろいろ住民の声を耳にするわけでございます。もう御存じであると思いますが、一般的な都と区の仕事の配分について、四十七年十一月に東京都中野区が行なった中野区政世論調査によりますと、「できるだけ区で扱うのが望ましい」と答えた人が過半数の五一・七%もあって、「できるだけ都で扱うのが望ましい」と答えた人は二〇・五%にとどまったのであります。こういう区政世論調査というものを各区ごとに行なっているわけですけれども、そういうものを拝見いたしますと、いまの都に残したいんだと言われるその内面が、はたして住民の意思がどこまで反映されているかということになるわけです。この区政世論調査の内容からは、地域に持ってこいというのが住民の強い要望になっているわけですね。こういうことですから、事務移管についてはもう一考していただくべきであると私ども考えるわけです。この点、局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/38
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039・林忠雄
○林(忠)政府委員 住民の声としてそういう数字が出てくることはもちろん十分予想されることでございますし、またそれはそれなりに地域の住民の意向として当然尊重さるべきものでございます。それはやはりできるだけ尊重すべきでございますし、いま先生お読みになったのも、できるだけ区に持ってこいという声だと存じますが、その「できるだけ」というのはどういう意味かと申しますと、技術的な問題その他から考えて可能なものはと、おそらくこういうことになるのではなかろうか。そうすると、たとえば現在はなお技術職員の数とか技術の程度その他からして、これは都がやったほうがより妥当な行政ができる、将来は区でそういうりっぱな技術職員が育って、区でも十分処理できるというようなものもおそらく多分にあるのではなかろうか。いま行政課長から答弁いたしましたものも、そういった住民の声を無視して都へ残していこうという意味ではございませんで、原則としてできるだけ身近なものは区へ移すという立場を踏まえながら、いま申しました技術の程度とか職員の数とかその他を考えて、今日の段階でなお都に残したほうが合理的であるものを都に残す。しかし、将来またそういうものが移せる時期になったときには移すという方向は堅持しておく、こういう考え方で対処していくことがやはり必要ではないかと思います。区民が区へ持ってこいと言う気持ちはよくわかりますが、その気持ちだけでもって、現在技術も職員の数もそろわぬものを区へ持っていったとすれば、かえって現在のそういう行政の混乱を起こし、区民に迷惑をかけかねないというものもあるいはあるだろうと思う。そこで、先生の御指摘のような立場に立ちながら、当面の事務配分、それから将来の方向というものを真剣に検討してまいりたい、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/39
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040・小濱新次
○小濱委員 関連して御質問をしていきますが、自治権の拡大のためには区長公選、区の権限強化とともに、財源も当然強化しなければならないわけですね。過去にありましたが、予算の伴わない事務移管、この問題については私どもはもう痛いほど熟知をしているわけです。そういう点で、現在都税となっている法人住民税、固定資産税、特別土地保有税、都市計画税など、一般の市町村並みにこれを区税とすることが地方自治育成の上からも重要である、こう私どもは思うわけですが、このような税源の区移管の問題についてはどのようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/40
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041・林忠雄
○林(忠)政府委員 今回の改正につきましては、先ほども青柳先生の御質問に御答弁したとおり、これらの税目の移管を直ちにやるということは現在考えておりませんし、御提案してございませせん。しかし、都と区の間の制度をどうするか。先ほども申しましたように、大都市行政というものが永遠に背負っておる宿命として、部分の独立性の強化と全体の統一性の確保という二つの、場合によれば相矛盾する原理をどこで調和させるかということでございますので、今回の改正が相当思い切って区の自主性強化の方向に向かっていることは間違いございませんし、これに伴って移譲される事務につきましてどういう財源が必要であるか、どのくらいの額が必要であるかということ、これは当然措置をしなければいけないわけでございますが、現在のところでは従来の都区財政調整制度の運用でもってこれは十分確保していけるという見通しがあります。
一方、特別区間の税源の偏在ということがございまして、たとえば千代田区は人口わずか八万でございますが、昼間人口は何と百万をこえる、そして固定資産税あるいは法人住民税というようなものの財源は、各会社の本社その他がありまして、千代田区の中にものすごく一ぱいある。これを区で徴収するといたしましても、また都との間での財政調整というものがたいへんな問題になってまいります。そこで、それらのことも踏まえまして、大都市の財政制度をどうするかにつきましては、私どものほうの財政局で絶え間なく合理性を追求して検討は続けておることと存じますが、今回の改正に伴いましては、これらの税源の再配分ということはさしあたり必要がないというか、むしろいま申しました税源の偏在というものから考えまして、現在の制度がなお合理性がある、こう考えて、今回はそちらの改正には手をつけなかったということが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/41
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042・小濱新次
○小濱委員 先ほども触れましたように、これは必ずあとでまた問題が再然されてくるであろう。私どもの過去のあの苦しみを再び繰り返すようないわゆる予算の伴わない事務移管という問題ですね、これは当然起こってくる問題であろうということで私はお尋ねするわけですから、ひとつこの点については、御答弁は御答弁として承りますが将来のために特に御一考してもらうように要望しておきます。
それでは、さらに、関連してお尋ねいたしますが、この改正案では、東京都は「都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図り、並びに特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保する」ようにしなければならない、こういっているわけですね。これは財政面から見れば、現行の都区財政調整制度を継続していく考えなのか。廃止するということなのか。これは財政面から非常に大事な問題でございますが、ひとつ行政局長にお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/42
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043・林忠雄
○林(忠)政府委員 御指摘のとおりでございまして、今回の改正に伴いまして区に権限が移る、それを施行するための財政需要が区に新たに生ずる。そこでこれをまかなうのにどうするかということで今回いろいろ検討いたしました結果、都区財政調整制度というのはなお従前のまま残す。しかしその運用につきまして一つの精神規定、よるべき義務というものを今度の改正で加えていただきまして、区の自主性をそこなわないようにということを入れるということは、せっかく与えられました権限を行使ができないような不十分な財政措置ではいけませんよ、与えられました権限を十分に行使できるだけの財政調整をしなさいということを法文上にも明確にする。これに基づいて、今度新しく配分される仕事の予想される必要経費を事前に都と区の間で十分協議をしていただきまして、財政調整制度を運用していただき、お金の問題ですから、その間の争いが決着がつかないということにでもなれば、場合によれば私のほうからも妥当な線と思われる助言もいたしまして、さっき先生のおっしゃいました、金の伴わない移管で苦しむということがないように配慮してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/43
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044・小濱新次
○小濱委員 さらに、将来この特別区を普通地方公共団体並みに扱う、そういうことになれば、交付税制度の都と区の合算規定について、おわかりだと思いますが、当然これは考えなくちゃならない問題になってまいりますね。東京都は不交付団体ですね。その二十三区の中には富裕区もあるわけです。いわゆる財政の乏しい、申し上げにくいけれども貧乏区というのもあるわけですね。いま局長からお答えのあったように、八万区民のところもある、あるいはその十倍のような区政のところもある。こういう点で、この合算規定というのは当然真剣に考えていかなくちゃならない問題であろう、こう考えるわけですが、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/44
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045・林忠雄
○林(忠)政府委員 ただいまも申しましたように、大都市制度の持っている宿命と申しますのがいまの一体性と独立性の調和の問題でございまして、今度の改正ではその独立性を強める体制にはございますけれども、いま先生のおっしゃった普通の市並みに扱うというところまではまだいかない。のみならず、都のいろいろな財政需要を考えます場合に、都全体で統一的に解決しなければならないようなものにもたいへんお金がかかるという現状を踏まえます場合に、交付税制度上、区を一般の市並みに考えるということにつきましてはまだその時期に来ていないのじゃないか。むしろ、都全体の調和とその中における財政需要、いま先生も御指摘になりましたように、区の中にも、区を独立した市と考えた場合に、たいへんな財源のアンバランスというものがある、そういった実態を考えます場合に、現在の交付税制度上、都と区を一緒にして扱う。そうして区の中で今度は都の持っております財政調整制度でその間のバランスをはかるというのが、今日の段階あるいはこの改正法が施行されました後の段階でもなお現実に最も妥当性があるのではないかという判断に立っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/45
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046・小濱新次
○小濱委員 松浦財政局長、たいへん突然で申しわけありませんが、お入りになりましたので、ちょっと関連してお尋ねしていきたいのですが、よく御存知のとおり、財政の伴わない事務移管という問題については、今度の当委員会で繰り返し繰り返し、財源をつけるべきである。こういうやりとりが続けられてきたわけです。今度区長公選ということになって、ただいまの質問の内容は都と区との財政調整制度、これはいまの局長の御答弁ですと残すということなんですね、これはそれでいいのですが、しからば、富裕区と、財源の伴わないようなそういう貧乏区があるわけですが、こういうアンバランスを市町村の交付税制度のような、そういう形で措置すべきではないのかという私どもは当然そこに考えが走るわけですが、どうかひとつ財政局長の立場から説明が足らないかしれませんが、内容についてお答えをいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/46
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047・松浦功
○松浦政府委員 御承知のように、東京都と特別区というのは一般の自治体のような形にはなっておりません。事務の配分のしかたも一般の府県、市町村とは異なっているわけでございます。これにつきましてはそういう経緯がございまして、都と区というものを一体的にながめた形で財源を保障するという形をとっております。その制度は今回も存続をすべきであると考えておりますが、一体的に措置をした財源の配分につきましては、自治法の規定によりまして、都と区の間で吸い上げ交付、両方のプラスマイナスの形で各機関の財源の調整をしていくということを制度づけてこれまでもやっておりましたように、それぞれ事務の所属が変わりましても、その数字に基づいてそれぞれ都と区の間で財源配分が十分行なわれ得るというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/47
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048・小濱新次
○小濱委員 財政局長、これは私も詳しくは知りませんが、この財政調整制度、この都の設けられている財政調整制度というものの中身は、区に入る税金が減るわけですね、都のほうに行ってしまうから。その見返りとして都から財源がもらえるわけですね。それから区には交付税が来ないわけです。国の交付税制度はどういう形になるかというと、これは釈迦に説法ですが、区に入る税金がふえるわけでしょう。そして都からの財源は今度来なくなっちゃうわけですね、交付税は来るわけです。不交付団体、交付団体がありますけれども、そういう形で、当然の交付団体であるいわゆる財源の少ないそういう区にはこういう形で見るというと、区の立場から見れば、交付税制度というものがいいのか、あるいはまた財政調整制度というものがいいのか、どちらをとったらいいのかということで、これはやはり区の立場になれば真剣に考えるだろうと思いますよ。先ほども話が出ましたように、財源の伴わない事務移管ということでその愚を繰り返さないようにしていくためにも、この問題については真剣に考えていただかなくちゃなりませんし早々にこれは実現をはかってもらわなくちゃならない、こういう立場ですが、財政局長、これはどちらのほうが有利だと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/48
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049・松浦功
○松浦政府委員 先ほども申し上げましたように、都と区の行政配分というのは県と市町村との関係とは相当違っております。たとえば消防はすべて都が行なうとか、そういう現実の行政の実態にあわせて制度が違うておりますので私どもといたしましては都と区、これを一体に財政的にはながめまして交付税制度の上では考えていく。しかしながら、都と区を一体的にながめた場合には、収入が多いために都に交付税は行かないということです。そういう形の中で、今度は都と区の中の財源配分ということを内部で法律の規定に基づいてやっていただいております。区は税金を市町村並みに取れない一面はございますけれども、逆に必要な財源は都から調整交付金という形で金をもらっておる。それから税金が非常にたくさん取れて、財源的に余裕のあるところは都のほうに財源を吸い上げる。いわゆる交付税制度よりはもっと強い逆交付税制度まで取り入れた形での財源調整をやっておりますので全体を通じて都と区の財源が不足になるという事態になれば私どもとしては考えざるを得ないと思いますけれども、現在のごとく都と区とを通じて財源に相当巨額の余裕がある限りにおいては、現在の制度で十分やっていけるというふうに私どもとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/49
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050・小濱新次
○小濱委員 財政局長、これは私の考え方を少し述べてみたいと思うのですが、区長公選で今度選ばれるわけですね。そういう形になりますと、今度は区長という立場に立ってこれからの行政あるいは財政全般を見ていく場合に、もっとやりやすいように、励みの持てるような、そういう考え方で対処してあげなければならないのじゃないか、そういう立場からお尋ねしたいわけですが、ひとつこの点については、御質問ではございませんので、また今後御努力を願いたいということで要望にとどめます。
さらに、現在、特別区間の施設水準の格差是正という観点から一件算定方式がとられております。これは都の関与を招くとともに特別区の自主性をそこねるきらいがあり、区側からは、この一件算定方式は廃止すべきであるという声が強いのですね。これは区会議員にお会いしていろいろと御意見を聞きますというとこういうことになるわけですが、将来の方向づけについてどういうふうにお考えになっておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/50
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051・林忠雄
○林(忠)政府委員 御承知だと思いますが、都区財政調整制度の運用のうち、交付税のように一定の指数でもってその積算をしまして単価をかけたものを積み上げますと同時に、それらには乗らない、いま先生のおっしゃいました区の間の公共施設の水準の統一というようなもののために、具体的に一つ一つの事業を洗って、この事業を練馬区でするのはけっこうだ、この事業を世田谷区でするのはまだ他区に比べて早いというようなことで、一件一件事業を積み上げまして交付金、納付金の計算の基礎にする、このやり方が一件算定でございます。
その一件算定というのはそれなりの合理性はもちろんございます。各区の間に公共施設の水準がアンバランスであれば、それは都民としての公平な行政を受けるということができないわけでございますので、それなりの合理性はございますが、ただ、この運用いかんによっては相当な自治の干渉になりかねない。こちらの区でこういう事業をしたいと思っても都がうんと言わなければできないというようなこと、あるいはこちらの区で学校を建てたいと思っても、おまえのほうは学校よりもなお公園のほうがおくれているからそっちをやれというような、ひもつきみたいなかっこうで積み上げられるということになりますと自治の関与になりかねない、そのおそれが多分にあるものでございます。
そこで今回の改正では、都区財正調整の制度は残しますけれども、それの運用のための一つの指針として、区の自主性をそこなわないようにしなければいけないということを訓示規定としてつけ加えるわけでございます。これはだてにお説教するだけではなくて、今後この方法に従って一件算定方式というのを完全に廃止することはあるいは無理かとも存じますし、あるいは各区間の公共施設の水準のバランスをとることはやはり必要性が残ると思いますけれども、その運用が自治の干渉には当たらないように、よく区の要望なり意見を尊重し、都のほうで独断的にきめないように運用することを都のほうにも指導し、お願いもし、この一件算定方式のとられる項目の整理をして、なるべく一般のものさしでやる、普通交付税のような方法でやるほうにたくさん入れる。最小限残った一件算定についても、その運用については自治の干渉には当たらないようにするという配慮を都にしていただくという考え方でおる次第でございます。
〔委員長退席、村田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/51
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052・小濱新次
○小濱委員 いまの問題についてはいろいろと意見はあるのです。しかしきょうは時間の制約を受けておりますので申し上げませんが、廃止しろという声は強いということをどうかひとつこれからの参考にしていただきたいと思います。
現在特別区に勤務する職員の合計は六万四千四百九十七人、こういう内訳になっているようですね。都の配属職員はそのうち三万七百十九人で四七・八%もいる、こういわれている。これらの配属職員の身分はどうなるのか。いろいろと私も御本人からの御意見も伺いました。これからの方向づけというものが大事になるわけですが、どういうふうにお考えになっておられるのかということです。心ならずも、今回の法改正によって都ないし特別区に職員の身分が移管されることになるということですが、そういうことでいろいろと御本人の意見をわれわれは思い起こすわけです。こういうことで、職員の士気を高める上からいって、不満を解消するための何らかの措置というものが考えられないかどうか。いろいろありましょうけれども、御意見を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/52
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053・林忠雄
○林(忠)政府委員 いまおっしゃいましたように、配属職員の数が非常にたくさんにのぼっております。だんだん減ってはまいりましたし、また都も区も減らすことに努力をしてまいりまして、いまおっしゃたような数字に今日到達いたしておりますけれども、かっては配属職員が九十何%という時代もあったわけでございます。
配属職員ということは、端的に申しますと区長さんに任命権がないということでございまして、配属職員を廃止するときに、区長さんの意見は聞かれるけれども、結局は発令は都知事がして、都が一方的に転勤させてきたり引き上げたりしてきた。これは区が人事権がないというのと同様でございます。しかも、配属職員はいま数にしてやっと半数を割りましたけれども、現実には部長、課長というような責任のある地位の者はほとんど九割以上まだ配属職員が占めております。こういう状態では、区長公選をしまして、せっかく公選された区長さんが区役所においでになりましても、職員の人事権一つないというところで一体自主性が発揮できるかということが大きな問題でございまして、今回はとにかくこの区長公選制を採用する、権能を強化するとともに、配属職員を廃止するというのが三本柱の一つでございます。これは区の自主性を強化する以上絶対に必要だ、これはもう譲れないということで、この配属職員の廃止を同時に提案してございます。
そこで問題は、いま先生御指摘のように、今度は職員個人のお気持ち、わたしは都の行政のために、都全体のためにひとつ一生をかけようと思って都へ入ったのに、自分の意思にかかわらず区の職員にされるのは困るというようなお気持ち、これは当然ある場合があると思います。これらに対する対策はどうかということが御質問の要旨だと思いますけれども、配属職員を廃止するということはまず絶対に譲れない、必要だとして、それを前提としまして、そういう不満をできるだけ少なくする、やわらげる、その方途として、実はこの法律の制定から施行までの期間をなるべく長くとりたい。長くとった上で、いまおっしゃいましたように三万をこえる配属職員がおられますから、一人一人の意見を一通り聞くだけでもずいぶん時間がかかると思いますが、都の人事課長が一任で聞くわけじゃございませんで、それぞれ区の聞く人も相当の数に上がると思いますが、それらのいろいろな御希望とか要請とかいうのを聞きながら、この法律が施行をされるまでに必要な配置転換を全部終える。自分はいまは港区につとめておるけれども、うちは杉並区にあって、区の職員になるなら杉並に行きたいという方もおられるかもしれませんし、それから、いまの仕事には生きがいを感じているから、区の職員になるならいまのままでかまわないという方もおられるかもしれませんし、どうしても都に残りたいという方もおられるかもしれない。それらが、需要と供給、要望とそれから必要なポストとがうまく合うとは限りませんけれども、できるだけそれを合わせて、そういう不満を少なくするような準備を事前に全部してしまう。そして切りかえ日を迎えて一斉に切りかえる、その方法が一つ。
それからさらにこれに加えまして、たとえばお医者さんのような技術の職員、これは数の確保もたいへんでございますし、それからお医者さんともなりますと、これは保健所長が現在お医者さんでございますが、同時に都立病院の外科部長、内科部長というのもお医者さんである。これらは保健所長に一生すわり込むことは御本人もお好みにならないでございましょうが、都からの必要性を考えましても、やはり保健所長から外科部長、内科部長という転任、ぐるぐる回し、人事の交代が必要でございまして、たとえばそういう職種につきましては、今回配属職員の制度はやめましても、自治法の本来の中に派遣職員という制度がございまして、都道府県の職員の身分を持ったまま市町村に行って一定期間勤務する、その任命につきましては都道府県と市町村の長が協議してきめる、東京都であれば都と特別区が協議して決める、それをしかるべく運用することによりましてある範囲は、救い得る者もある。それからの手段もあわせてございますので、この準備の期間を十分に活用していただき、さらに施行後も派遣職員の制度を運用していただくということで、いま先生の御指摘になりました不満なり意気の喪失と申しますか、それを防いで、勤務意欲を向上させるという手段は十分に間に合うという見通しのもとに、思い切って配属職員を廃止するということを考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/53
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054・小濱新次
○小濱委員 これは数はたくさんないと思いますが、私の知人で奥湯河原の高松さんという方が東京都の職員であって、毎日往復通っておられるわけです。片道三時間。ぼくは会っていませんよ。まだ四十ちょっとの方ですが、東京都に職員ということで毎日通っておられるわけです。いまたとえばこの方が区役所に配属になっていたとします。そうなって、今度の制度が適用になった場合に、さてはたしてどうなんだろうかなという疑念がわいてくるわけですね。そういう点で士気の鼓舞ということがいろいろこれはまた懸念される問題であって、どうかひとつ、この職員の身分問題については、三万七百余名ということでございますが、十分に意見を聞き、そして善処をしてやっていただきたいと私どもはお願いするわけです。一刀両断でばっとやるようなことはないと思いますが、ぜひひとつ、そういう事情の方も中には相当いるんじゃないか、こう思いますので、一考していただきたい、こう思います。
区長公選については以上で終わります。
さらに、一部事務組合の問題点についてお尋ねをしていきたい、こう思います。
広域市町村圏構想及びこれに伴う今回の複合的
一部事務組合は、当初政府が奨励していた市町村合併がもはや限界にきたのではないか、そこで事実上の合併ともいうべきこの広域市町村圏を推進しようとするものではないかという、いろいろ問題点の中から考え方が浮かんでくるわけでございます。この点について局長の御答弁をひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/54
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055・林忠雄
○林(忠)政府委員 これはいままでの御質問でもるる答弁したことのあるいは繰り返しになるかもしれませんが、重複をいとわず、させていただきますと、社会経済の発展と申しますか、特にわが国の経済の伸びは戦後著しいものがございまして、それに伴いまして住民の生活水準もたいへん向上してまいりました。そして住民の求めております教養、娯楽というようなものも、たとえば旧来の農村だけで完結していたような社会から、同じ農村で現在農業を営んでおられます方も、その子弟は高等の教育を受けられ、さらに都会的な教養、娯楽も求められるということになりまして、生活水準の向上とともに住民の生活圏域というものは広くなってまいる。生活圏域が広くなると同時に、また従来は必要がなかった新しい行政需要が次々と発生してまいりまして、これらの行政需要というのも、国民の生活の水準の広がりとともにどうしてもある程度広い区域を単位として考えなければならない。これは市町村行政の持っている必然的な方向であると存じます。
そこで、戦後の相当な著しいそういう生活圏域の拡大及び広域行政の必要性ということに対しまして、昭和二十年代の終わりから昭和三十年代の初めまでに行なわれました全国的な町村合併というものがある程度そういう需要にこたえ、それに対する新しい広域行政に対処する体制づくりに役立ったということは、いろいろな見方もございましょうけれども、多く異論のないところではあろうと存じます。
そこで、あのときにやはり一万近い町村が三千くらい、平均三つが一つになり、大体の町村が、人口でいえばそれぞれ八千以上の規模で再編成を終えた次第でございますけれども、その後の社会経済情勢の発展、これもとどまるところを知りませんし、国民生活の水準もさらにどんどんと高まってまいり、新しい行政も三十年代に入りまして次々とあらわれてまいる。その行政の内容も質が高度になり、経費もかかるが、高等な技術も必要になってくる。この勢いはやはりとどまらない。
そこで、この新しい、そういう需要に対してさらに広域行政の単位を確保するために、ではここで第二次合併を考えるかという考え方がまず一つ出てまいりますが、これにつきましては政府はとらない。とらない理由は、まず第二次合併をいまやるのはいかにも時期尚早である。早過ぎる。前の町村合併で三つが一つになったとしましても、明治以来三つの村であったのが一つの村になった場合に、それが一つとしての一体性を取得するまでにやはり十年、十五年の年月が必要でございますし、昭和二十年代の終わりから三十年代にかけて行なわれた合併によってできました新しい町村は、今日ようやく一つの町村としてのまとまりができかけたところである。
〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
これをさらに合併ということで静穏を乱すのは、これは実際実情には適さない。
またもう一つの理由としましては、新しい広域行政の需要ができてまいりましたことは先ほど申し上げたとおりでございますが、同時に、現在の町村が独自に単独に処理することが合理的であり、住民の身近で処理することがより住民自治にも連なるというような仕事がまだ実にたくさん残っておる。小中学校、保育所というようなものは何も広域で共同処理する必要はない。それぞれの現在の町村が処理すればいい。そういう仕事がまだたくさん残っている以上、今日第二次合併をするということはむしろ適当でない。
しかし、一方においてそういった広域行政の要請、それに併いましてある程度の広い区域を単位として共同処理をしなければならないという需要はもうどんどんふえてまいります。そこでこれに対処するために、第二次合併を行なわないで、現在あります市町村は独自にその自主性、独立性を保ちながら、広域に処理することが合理的な仕事に限って一定区域で共同処理をしよう。その共同処理をする機構を整備し、お互い協力をして共同処理をして、その広域行政の必要性に対処しようとして実施されました施策がこの広域市町村圏の整備の施策であります。したがって、この広域市町村圏は、次の合併を予期し、そちらへ進めようという施策ではございません。いま言ったような情勢に対処して、それぞれの町村の自主性、独立性を保ちながら、必要なもののみについて共同処理をする。それによって住民の要請にこたえよう、そういう趣旨のものでございます。
以上を御理解いただきました上で、今回御提案させていただきました法律は、そういった広域行政を共同処理するについて、比較的簡素、効率的な一つの組織を制度として考えて自治法の中に加えよう。そこでその組織ができました場合にこれを使うか使わないか。従来どおりのやり方でやっていくか、この新しい組織に一部分を乗せて新しい行政の展開を来たすか。これらはすべて関係市町村の自主的な御判断にまとう、そういう趣旨のものでございますことを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/55
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056・小濱新次
○小濱委員 今日、交通通信手段の発達やモータリゼーションの進行及び住民の生活圏域の拡大などによって、広域市町村圏の中核となる都市を中心に、周辺の市町村を一体とした住民の日常生活圏が形成しつつあるといわれておりますが、広域行政の必要性は今日ではもはや否定することはできない段階に来ているわけであります。しかし、広域行政推進にあたって、あくまでもこの住民本位の行政でなければならないことは当然であります。今回の複合的一部事務組合は能率的、経済的には考えられているが、反面、住民の声が反映しにくくなっている、住民自治が侵害されるおそれがある。私どもはいろいろな角度から自分の住まいの周辺地域の状況を勘案をして、どうしてもそういうふうに思えてならないわけです。この点についてどういうお考えをお持ちになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/56
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057・林忠雄
○林(忠)政府委員 この法律に関する御批判の意見として、御同様な意見は各委員からもたびたび承ったわけでございますが、提案いたしております私のほうといたしましては、もちろん運用の適否にはよりますけれども、この運用を誤らなければその御懸念はないという確信を持っております。
その理由の一つとしては、これは従来の一部事務組合制度にやや改良を加える。従来の一部事務組合制度は、たとえば十カ町村でも十五カ町村でも、ものによっては県下の全町村が加入している一部事務組合というものもございますが、この従来の一部事務組合におきましては、加入した全町村の全部の共通した事務だけをやるということになっておりましたのを、たとえば広域行政圏その他で全体の圏域の整備をやるという場合に、全部に共通した事務しか共同処理できないというところに不便があろうということで、一部分は異なった種類の仕事もそこで共同処理できるようにしようというだけの改正でございます。
そこで従来の一部事務組合制度に一つの新しいことをつけ加えたわけでございますけれども、一部事務組合たる本質は変わっておらない。その本質は何かと言いますと、一部事務組合というのはあくまでも関係者全部の合意の上に基礎を持っておる。つくるときも全員が入りますと言わなければできない。それからできたあとでも、その一部事務組合自体が、たとえば課税権を持ったり自分の財産権を持ったりして独自に動くという余地はなくて、関係市町村の分担金によってその財政的基礎を持ち、一部事務組合でどういう仕事をどういう規模にするかというものも、すべて関係市町村から代表が出ました議会なり、あるいは今度の改正では理事会というものも考えておりますが、要するに関係者の全部の合意の上に初めて動くことができる組織でございますので、その意味では、一部事務組合が個々の構成市町村の住民の意思から離れて独走するという懸念はまずない。従来、明治以来一部事務組合制度というものはずっと続いておりますが、従来の一部事務組合におきましても、いろいろな紛争なり問題が皆無とは申しませんけれども、住民から非常に隔たったことによって住民の意向が反映しないという批判、それは運営の悪いところでそういう批判があるケースはあるといたしましても、全体的に見まして、そういう関係者の合意の上に基礎を持つものにつきましてはいまのような御心配はなく、従来の運営でも比較的スムーズにやってきたという実積にも立っておりまして、この新しい制度がおっしゃるような懸念を来たすことは、もちろん運用の適否によりますが、全体としては少ない。十分合理的な運営が確保していけるという確信を持って御提案申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/57
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058・小濱新次
○小濱委員 非常に懸念される問題でありますので、今後の行政指導というものをよろしくお願いしたい、こう思います。
御存じのとおり、自治省は広域市町村圏構想を発表して、四十五年度の第一次圏域指定から四十七年、最終の年次まで、全国の市町村を三百二十九圏域に再編成し、行政指導の名のもとに着々と強化してきたわけであります。これから本論に入ってまいりますが、大都市及びこれと一体性を有すると認められる地域について設定が行なわれていないわけですね。その理由は一体何かということなんです。これは局長の御答弁も聞いておりましたが、どうも何回伺ってもあの答弁以上の飛躍が見られないわけですね。あそこでとまっちゃう。きょうは、当然私はいろいろ調べてみました。東京周辺あるいは愛知、大阪、京都、あるいは北九州、この残った地域についていろいろと調べてみましたけれども、これはどうしてもその必要性というものが感じられるわけです。きのうまでの局長の答弁ならば私はお伺いする必要はないわけですが、その設定が行なわれていない理由は一体どこにあるのかということでもう一度御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/58
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059・林忠雄
○林(忠)政府委員 きのうも御答弁申しあげましたとおり、一般の地域の広域市町村圏と違いまして、大都市周辺の市町村というのは、非常に複雑な交通体系を持ちながら、かつ一般にないいろいろな問題をかかえておりまして、一律にこの広域市町村圏の考え方を当てはめるわけにはいかないということで、ここ三年間ぐらい引き続いて予算をもらいまして、大都市周辺の市町村は一体何を必要としておるか、住民の生活圏域の広がりその他につきましてはよその地域と同じようにあるのでございますけれども、この広域市町村圏という同じ手法はそのままはとても適用できないということで、現在研究を続けておる次第でございます。そこで、その研究を担当しております課のほうから出席しておりますので、現在の状況について二、三御説明をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/59
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060・田中和夫
○田中説明員 いま局長から御説明申し上げましたように、広域市町村圏というのは、都市と農村を一体化した日常生活圏域というものがあるということで、それを広域市町村圏ということで考えておるわけですが、東京、大阪、名古屋を中心といたします大都市周辺の場合には、そういった意味での中心都市、また中心都市と農村を一体とした日常生活圏域といったようなものは一般的には考えられないということで、しかし、そうは言っても、大都市地域は最近の傾向を見ますと人口は停滞しておりますが、大都市周辺部は非常な勢いで人口が増加したり、社会経済情勢が非常に変化しつつある。そういう中で、一体大都市周辺の市町村はどうやって住民のためにその事務の処理をはかっていったらいいのかというようなことにつきまして、やはり、広域市町村圏といったような形ではなくとも、何かそういった市町村が協力し合う仕組みというものが必要じゃないか。それが一体どういうような形で、どのような機能を働かすものとして、どういうやり方で考えていったらいいんだろうかというようなことで、昭和四十七年から四十八年、四十九年度まで、一応本年度まで研究を続けるという形で、東京、大阪、名古屋の周辺につきまして現在研究を続けておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/60
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061・小濱新次
○小濱委員 これはまず局長から御答弁を願い、最後に大臣からもお答えをいただきたいと思いますが、「広域市町村圏設定図」これを見ますると、まことに大事な地域がはずれている、設定を受けてない。で、この急増対策だけではもう弱いわけですね。これはいまも課長さんから御答弁がありましたけれども、設定については一般的には考えられていないが、人口急増であるとか社会情勢の変化であるとか、そういう点からはということで、必ずあとにこういう問題が続いて出てくるわけですから、したがって、設定されていない地域については現在混乱状態で困り切っているという、こういう実態になっているわけです。
ですから、局長の御答弁のように、研究を続けておりますとか、検討中でありますとかいう御意見はきのうまで伺っているわけですが、四十五年に始まってそして四十七年に終わっているわけですね。そうすると四十七年から何年だっているかということになるわけだ。まだ検討中ですか、研究中ですか。ということで、この混乱状態はどうしてもこれはすみやかに解決するための努力、何らかの方法で考えていかなくちゃならないと思うわけですが、もう少し飛躍した御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/61
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062・林忠雄
○林(忠)政府委員 まことにわれわれの力が足らざるを恥じておる次第でございますが、ほんとうにこの大都市周辺の問題というのは、もう何か手を打たなければならない時期にさしかかっていると私たちも自覚しております。
ただ、広域市町村圏のほうは、ああいう施策をやりますにつきましても両三年の研究を積み、いろいろの学識経験者の御努力によって一つの理論ができ上がって、それを実施してまいったわけでございますが、通常の広域市町村圏を考えますと、たとえば、典型的な例の場合に、まん中に市がある。県の地方事務所の存在するような市、郡の中心になるような市がありまして、それを取り囲んで放射状に道がつながっておりまして、周辺の農村部なり漁村なりがある。そういった農村なり漁村なりの住民の方々が、従前は自分の村の中だけで大体生活の圏域が済んでおったのが、いまはもうほとんど、いろいろ都会的な教養なり娯楽なり、あるいは生活水準の向上に伴いましてその中心の市を中心とした全体の圏域が一つの生活圏域になっている。その生活圏域に合わせて一つの広域行政圏としての整備をはかるということで、これは比較的単純な形で新しい方式を獲得といいますか、発見し得たわけでございます。
しかし、大都市周辺の市町村ということになりますと、これがそういう姿で全然ないわけでございまして、たとえば手近な例で東村山、保谷、田無、あの辺の都市を考えてみます場合、これらの住民というのは、相当たくさんの方が二十三区内、千代田区とかそういったところに職場を持っておられまして、その通勤圏というのは、保谷、田無、あの辺のどこかの市を中心としてどころではない、二十三区までずっと足が伸びておる。これが放射状にまとまっているのではなくて、大体二十三区にまで直線状につながっておるわけでございまして、中央線なら中央線の周辺がある意味では一つの生活圏域をなしているともいえる。ところがそれぞれの核心になるべき市というものもない。反面、住民の生活の広域化、それに伴う行政需要とというのは同じように他の大都市周辺でも高まっておりますが、さらに農村部その他にない問題として、これらの地区のいわゆるスプロールと申しますか、ほうっておけば無秩序に家屋が続いて建ち並ぶという状態。現在二十三区は人口の増加は全体としてはとまっております。練馬あたりはなお人口の増加を続けておりますけれども、都心に近い山手線内というのはむしろ人口が減少を来たしておる。したがって、二十三区内の家屋の稠密さがこれ以上ひどくなることはあまりない。反面、今度は周辺のそういった田無とか保谷などを考えますと、それはものすごい勢いで人口が増加し、マッチ箱のような小さな家が無秩序に建っていく。これをいまにして手を打たなければ、ほんとうにこの二十三区の過密状態をそのまま周辺に広げることになるという、一日もほうっておけないような状態、大都市周辺の都市にはそういう問題点を包蔵しております。つまり、一般の広域市町村圏に比して非常に複雑な、しかもほうっておけない問題に差し迫られておるのが実は大都市周辺の問題であります。
ですから、この地域のそういった、もうほうっておけば限りなく進むスプロールをどうやって食いとめるか、どうやって秩序ある将来の都市づくりを築くかということは、もう考えてみますれば、広域市町村圏以上に緊急な課題なんでございますけれども、反面、広域市町村圏ではとても割り切れ幸いいまのような複雑な問題が山積しておりまして、これをどう合理的に解決するかについて、まさにまだ研究が及んでいないというのが全くの実情でございます。
しかしこれをほったらかしにして、研究をおろそかにしているのではなくて、もう三年度にわたりまして予算をいただき、各種の学識経験者にもお集まりいただいて、何べんも会合を重ね、そうして、広域市町村圏ではないけれども、一つの圏域の引き方を実地に当てはめるというのを東京周辺、名古屋周辺、大阪周辺、それぞれの地域で、そういう先生方あるいは県庁の役人も加わって委員会もつくって、地図の上に線を落としてみる。それで区域の割り方につきまして一つの成案ができて、今度は割った区域でどういう仕事を共同処理するかについて一つの案をつくる。そういった努力を現在重ねておりますが、まだ結論に達していないというのが実情でございまして、いま先生のおっしゃるように、その意味で最も急がなければならない問題をなおざりというか、あとにされている。それはわれわれの力のまだ及ばぬ点もございますし、恥じてもおりますが、早急に、その大都市周辺のあり方、そういった、ほっとけば進む急激なスプロールに対する防止の施策その他を確立していかなければならない。その努力をさらに精力的に続けてまいりたいと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/62
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063・小濱新次
○小濱委員 広域市町村圏の第一次の着手が四十五年、以来もう五年たっているわけでしょう。その最終年度が四十七年だったわけですね。それからもう七、八、九と、三年たっている。まあ、前向きで検討するという御意見はわかりますが、どうしてもこれは、酷なようだけれども、局長に対しては怠慢のそしりを免れないであろう、私はこう思うわけですね。
そこで、大都市周辺地域についても、将来でもけっこうでありますが、この複合的一部事務組合の設定というものを考えているのかどうか。具体的になりますが、この問題についてはいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/63
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064・林忠雄
○林(忠)政府委員 制度といたしましては、この組合の制度ができますと、大都市周辺の市町村が御相談をなすって、この機構を使って共同処理をしようということは十分可能でございますし、考えられます。ただ現実に大都市周辺がどういうあり方でやるかというその成案を得ておりません以上、広域市町村圏においてこれがこう動くだろろうというような具体的な想定が大都市周辺にはまだできません。ですから、こちらの研究を待たずに、田無、保谷、武蔵野が三つ一緒になって何かやろうという御相談ができて、たとえば水道を、共同処理する、あるいは水道と交通網の整備をあわせてやる、そういうようなことは制度としての可能性はございますけれども、大都市周辺にどういう形で当てはめたらこれがいい運用ができるだろうかというところについての、まだ指導原理を持っておらないというのが事実であります。精力的にこの問題は進めて、大都市周辺はどうあるべきかという方針をぜひ一日も早く立てたい。その方針の中で、この新しい制度の運用にあるいは実態に適した運用が手さぐりで見つけられ得るかもしれないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/64
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065・小濱新次
○小濱委員 行政局長の御意見はわかりますが、関係地域ではもう混乱状態で困り切っているという、そういう実態でありますのでいろいろと申し上げるわけです。たとえば東京といっても、東京都下も入れて全部でしょう。神奈川県は小田原、津久井のほうだけが二つの広域市町村圏で、あとは全部まだ設定されていないでしょう。あと埼玉県です。千葉県の東京寄りに一部でしょう。こういう状態、ここを見てどういう状態かということがもう想定され、頭に浮かんでくるであろうと思うわけです。この混乱状態にどう対処するのかとということが、これは行政局長としても手腕を問われるところであろうと思うわけですが、そういう点ではひとつ今後一そう御努力をしていただきたいと思います。
現在の広域市町村圏は、広域市町村圏振興整備措置要綱に基づいて設定されてきたわけでありますが、初めから除いているというふうに理解できるわけです。その要綱の中では、広域市町村圏の設定についてははっきりと、「大都市およびこれと一体性を有すると認められる周辺地域を除く。」と、こう規定されておるわけですね。この規定を削除することを含めて、要綱というものを変える考え方はどうか。この点についてひとつ局長からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/65
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066・林忠雄
○林(忠)政府委員 大都市及びこれと一体性を有する部分を除くというのは、この部分については、先ほど繰り返して申し上げましたように、いまの広域市町村圏の手法をそのまま当てはめることができないと考えておるからでございます。中心都市を中心にした周辺に農村部、漁村を控えたいわゆるいまの広域市町村圏のようなパターンが、大都市の周辺ではおそらくそのままじゃいかぬだろう。そこの部分は自信がない。同じような形で広域市町村圏を設定することではうまくいくまいということで、意識的に初めから除いてございますので、この広域市町村圏と同じ手法で大都市周辺の共同の整備ができろという自信を得れば、いつでもこれはいまの文句を削除しまして、大都市周辺にも広域市町村圏を設定するという作業にかかることができますが、おそらく、大都市周辺の持っている問題その他から考えましてこの手法では実情に合うまい。それじゃ合う方法はどうかというと、それが、先ほどおしかりを受けましたけれども、問題があまりにも複雑でございましてまだ結論が出ていないという段階でございますが、おそらく、この一定の結論を得ますれば、今度は大都市周辺市町村整備要綱という別の手法をきめた別の指導原理をつくりまして、それによって処置していくということになるのではないかと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/66
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067・小濱新次
○小濱委員 自治大臣、御出席をいただいておりながら、局長とのやりとりばかりやっていましてたいへん申しわけないと思っておりますが、いろいろと事情をお聞きになっておわかりになっていただいていると思います。そういう点で今後の大臣に寄せる期待というものは大きいわけでございます。
そこでいまの問題でございますが、この大都市及びこれと一体性を有すると認められる地域について設定が行なわれていない、こういう大都市及びその周辺については今後どういうふうにお考えをお持ちになっておられるか。これはまた今後将来の方向づけでありますから、大臣から確たる御答弁をひとついただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/67
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068・町村金五
○町村国務大臣 先ほど来、広域市町村圏の問題について、特に大都市並びにその周辺地域を当初からこの構想から除いてあるという御指摘でございました。確かに、いまもだんだん御質疑がございましたが、結局現在の広域市町村構想というものは、何と申しましても、地方の中核都市と申しましょうか、それに準ずるようなものと周辺町村との間におきましてはこういった構想というものがわりあいに円滑に結成され得るし、またそれがそれなりに十分の効果があったのじゃないか。したがって、御指摘のように比較的短い三年間の間に、大都市並びにその周辺地域を除いたところはほぼそれができ上がった。ところが、いま御説明のございました大都市並びにその周辺地区についてはいまだ構想がまとまるに至っていないということでございます。
私が申し上げるまでもなく、その地域におきます行政の状況にしても、あるいは地域住民の生活にいたしましても、あるいは産業にいたしましても、現在広域市町村圏が設定されておるところと、大都市並びにその周辺地域というものは事情が非常に違っております。したがって、同じようなものさしと申しましょうか、同じような構想をこれに当てはめていくということができないという実情にあると私は思うのであります。その要綱を設定する当初から除くということをきめておりましたのは、これが非常に困難であろう。しかしとにかく大都市並びにその周辺地域を除いた他の地域についてはやはりこういった構想を推し進めることが必要であろう。したがって、除いた地域については別途検討をして、これに適用するような対策を将来講じよう。この広域市町村圏というものの構想をまとめ、これを実行に移す当時の自治省当局の考え方というものはそこに存在をいたしたのだろうと私は思います。
しかし、いま御指摘もございましたように、現実の問題としては、大都市並びにその周辺地域には人口がますます急増いたしておるというような事情からいたしまして、多くの困難な問題をかかえておることはあらためて申し上げるまでもございませんので、これにはこれに対処する自治省としての対策があってしかるべきだということは私どもも同様に考えておるのでございますけれども、御承知のように事情は非常に複雑であり、いまだ成案を得るに至っていない、こういうのが現状でございます。
そこで、いま行政局長もお答えを申し上げましたが、これらを、われわれとしては手の施しようのないところだといって、将来何らかの対策を行なうことをあきらめるというつもりは全くございません。非常に複雑でむずかしいところではございますけれども、それはそれなりにその対策というものが当然あってしかるべきでございますし、それは考え方によって、検討を重ねてまいりますならばまたいままでの広域市町村圏とは違ったような構想というものがそこに生まれてくるのではないか。いまだそれが生まれてこないということについて、行政局長ははたいへんおしかりをいただいたわけでございますけれども、しかし自治省当局といたしましてはこういった問題を鋭意検討をいたしておるところでございます。私どもも成案を得るに従ってこれを実行に移してまいろうという考えでございまして、いま特にこういった構想があるということを私から御披露申し上げるだけの用意がないということはたいへん残念でございますけれども、さようにお答えを申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/68
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069・小濱新次
○小濱委員 設定されてない地域の実情というものはもうよくおわかりのとおりでございますので、どうかひとつこれを機会に、できるだけ早い時期にその方向づけというものを示すように努力をしてくれますことを心から要望して、この問題についての質問を終わります。
さらに、林行政局長にお尋ねをしていきたいと思います。
広域市町村圏振興整備措置要綱の広域市町村圏の設定には、「都道府県知事は、関係のある市町村と協議のうえ、広域市町村圏を設定するものとする。この場合においては、あらかじめ自治大臣と協議するものとする。」とあるわけですね。政府は住民の意向を体して行なうというが、このように広域市町村圏の設定についても、住民の意向というよりも上からの押しつけによって、政府の都合のよい広域市町村しか認められない制度になっているのではないか。これは例があるわけです。ですから、「あらかじめ自治大臣と協議するものとする。」というところに、住民のあるいは地域の意思というものがどこまで反映されているであろうかなという懸念が起こってくるわけですが、この点についての御答弁をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/69
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070・林忠雄
○林(忠)政府委員 御承知のとおり、広域市町村圏は、何にも法律その他をつくらず、全く行政指導といいますか、行政指導というのは強制力を伴わないものでございますので、その運用でもって設定し、その育成につとめてまいった次第でございます。
そこでこの要綱も、あらかじめ協議すること、かりに法文になれば、それは協議が完全に義務づけられ、非常にやかましいことになりますが、これは要綱でございまして、ひとつ広域市町村圏をきめるには自治省のほうにも相談してくれという程度に、比較的軽いつもりで実は私たち書いたわけでございますが、それにしましても、実はこの運用の当初におきましては、いろいろ研究を重ねました結果、こういうものが広域市町村圏だという大体のイメージを私たちがつくりまして、そういうイメージに合ったようなものでひとつ市町村の整備をはかったらと思ったわけでございまして、まだその実例というのが全国にもほとんどございません時代です。そこでそのときに、あくまでも基礎は、関係市町村と知事さんとが意思が一致して広域市町村圏を設定なさることが基礎でございますけれども、最初にそれが非常に規模においてばらばらになったり区域において合理性がなかったりする。そうして最初私たちが考えたイメージと違うものができてしまうと、それを育成する上の合理性に問題があるということで、相談してくれ、こう最初に出たものであると思います。現実に運用もそうでございます。
しかし、ある程度広域市町村圏が設定されまして、それに従って整備が各地で行なわれてまいりますと、それぞれの地域でつくる広域市町村圏につきましても、もう周辺に前例があったり、それから整備の手法もだいぶわかってまいります。そうなりました場合に、二年度目、三年度目の広域市町村圏の設定というのは、もうほとんど自治省へのあらかじめの協議の意味がなくなってくる。それぞれの自主性に基づいてそれぞれおきめになったところが合理的な姿をとっているようになっております。
そこで、実際の協議の運用といたしましては、私はまだ着任する前ではございましたけれども、当初についてはだいぶいろいろ意見を言い、こういう区域がいいのじゃないかということも、悪いことばでいえば介入したということになりますが、いいことばでいえば意見として参考意見を申し上げたということでございますが、相当詰めたと思います。しかし、二年目、三年目に至れば、ほとんど県なり市町村なりがこうしたいとおきめになったことはそのままけっこうじゃないかということで、こちらは意見を差しはさまずにその設定に賛成した、そういう実際の運用になっておりますので、今日の段階では設定も一とおり終わりましたし、上から押しつけるというようなもう懸念もございませんし、また当初からそういう考え方でやってきたわけでもございませんので、おっしゃるような官製の、天下りといいますか、頭からの押しつけではない。現にその整備はそれぞれ自主的にやっていただいておりますし、こちらのほうも、やれ補助金をやるとかいっていろいろ事業に文句をつけたりということは一切なしに、補助金にしましても、地元が選ばれた事業について一とおりの大蔵省その他の、補助の趣旨に合っているかどうかの検討はありましたとしましても、そうほかのお役所が補助金をお出しになるときのような注文も出さすにやりましたし、交付税措置につきましても、その財政をどういう事業に使われるかは全く地元に自主的におまかせしまして、道路整備費の上に上積みをしているというかっこうで自主的な整備をはかっていただいておりますので、その辺、御了察をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/70
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071・小濱新次
○小濱委員 私のほうの地域の状況を検討してみていまのような疑念が出てくるわけですね。今後いろいろとまた設定されてない地域についても努力を重ねてもらうわけですが、そういう点で、いまの「自治大臣と協議するものとする。」というところにどうも問題点があるように思うので、地域の意見をまとめたものが自治大臣のどころにくるのじゃなくして、事前に自治大臣の認可ということになっていくと地域性というものは無視されていくのではないか、そういう点がいろいろと設定図に出てくるような姿になり、非常に問題が残ってくるように考えられるわけですね。その点についてはひとつ強く要望しておきます。
〔委員長退席、村田委員長代理着席〕
これは一つの例でありますが、現行の一部事務組合においても、たとえば、広域行政を進める以前は市議会に消防署長を呼んで問題点を改善し解決した、こういう例があったというのですね。しかし一部事務組合になって、消防問題を市議会で取り上げようとしたが、消防署長は議会に出る義務もないし出るわけにもいかない事情にあった。そこでやむを得ず市の執行部に問いただしたところ、事例があり、私もいろいろ相談されたが方法がない。何とか市町村や住民の声が直接組合に反映する方法はないのかどうかという、こういう事例から一つの問題点が出ているわけですが、消防署長は呼ばれれば構成団体の議会に自発的に行くことはできるのかどうかですね。私は非常にこまかくわかりませんが、この辺の事例があって問題が残っているのだが、こういう点はどうか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/71
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072・林忠雄
○林(忠)政府委員 一部事務組合は、確かに現在の自治法上では構成団体とは別の法人格を持っておりますので、形式的には確かに他の地方公共団体と別の公共団体になります。そこで、ある市町村の議会が、自分の市町村の市町村長ないしは職員を議会へ出てこいというのと同じかっこうで出てくるのを強制させることは、確かに法律上はできません。そこにそういう問題が発生したのだと存じますけれども、現実には、一部事務組合というのはそういった自治法上で別法人であり、別の公共団体ではございますものの、実際には構成団体の事務の共同処理機構でございますから、構成団体あっての一部事務組合でございます。そこで、その構成団体の合意の上に設置され、運用されている一部事務組合の事務の運用につきまして、関係団体の議会がいろいろ実情を聞いたり調べたりしたいという事態は確かに起こることと思いますが、それについてはおそらく地元で何か特に感情的対立でもあって、わしは出席する義務がないとでもがんばれば問題は起きるかもしれませんけれども、それは議会へ来てくれといえば議会へ行って実例を説明するということをしていただいて何らかまわないし、現実に実際にはそういうふうに運用しておられるところがほとんどだと思います。また、そういう運用が一部事務組合の性格としては正しいことだと思いますので、何か感情的対立でもあってけんかが起きたとした場合に、ぎりぎり詰めていくと他の地方公共団体といわざるを得ないということはその事例の示すとおりでございますけれども、その点は関係者の方々の理解ある運用でもって十分カバーしていける、そういう性質のものが一部事務組合だ。皆さんの合意の上に立って一緒に事務を共同処理する、そういうものだというふうに考えてもおり、そうも指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/72
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073・小濱新次
○小濱委員 現行の一部事務組合でも、住民の要望、意向は組合の議員を通じて行なう以外にはないということになっているわけです。現在は組合ごとに議員が選ばれ、複合的一部事務組合に比べれば住民の意見が反映する可能性が多いが、複合的一部事務組合にすればますます反映しにくいという、おわかりになりましょうか、これについてはどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/73
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074・林忠雄
○林(忠)政府委員 提案いたした者としては実はそうは考えませんので、複合的な一部事務組合であろうとも、やはり構成団体からは全部議員がお出になるに違いございませんし、さらにこの複合的一部事務組合にはその議会のほかに理事会も設けられる規定も置いてございまして、理事会は大体関係構成団体の市町村長さん、あるいはそれにかわる、議会の議決を経て指名された者、たとえば助役さんとか総務部長さんとか総務課長さんという方で構成されると思いますが、そこの道を通じてでも関係団体の意向を反映する道は確保されておりますし、従来の一部事務組合以上にそういった関係団体の意向を確保するか途もきめてもございますので、おっしゃるように複合的になったから議員が出せないということには全然なりませんし、意思の反映がいままでの一部事務組合よりも希薄になるとは実際問題として考えられないという自信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/74
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075・小濱新次
○小濱委員 それではこういう例はどうでしょうか。一部事務組合、及び複合的一部事務組合も同様であるが、組合が住民の意向と反する方向に行った場合、また競馬、競輪など金を扱う組合の場合は特に問題が起きやすいように考えられるわけですね、この場合、議会のチェック、監査委員などの制度がありますが、組合の議会は構成団体や住民に報告する義務はないわけですね。住民の監視のもとで住民の納得のいく行政の推進をするためにはどうすればいいのか、こういうことが当然起こってくるわけですが、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/75
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076・林忠雄
○林(忠)政府委員 私は、一部事務組合としては、感情のもつれからいろんな紛争が一部事務組合をめぐって起こったことが皆無だとは申しません。それは一部事務組合でなくても、市町村行政一般にもあることでございますから、そういう紛争なり、うまくいかなかったという事例が皆無とは思いませんけれども、そもそも一部事務組合というのは、その設立につきましても完全に関係者の合意の上に立ち、かつその後の運用につきましても全く合意の上に、みんなで相談してきめたことしかやらないことでございますので、そういった意味で、一部事務組合だけが独走して、住民の意向と反したほうにどんどん進んでしまうという事例はまず起き得ないし、かりに何らかの感情のもつれその他で一時的に起きたとしましても、直ちにその関係団体がいろいろ集まって御相談なさることによって是正されるべきものだとも考えておる次第でございます。
一部事務組合の本質がそういう合意の上に基礎を置く以上、そして関係団体の意向というのは、それぞれの関係団体から一部事務組合の議員さんなり、今回はさらに議員さん以外に理事会を設ければ理事さんなりが出ていかれることでもあり、関係団体の意向によって一部事務組合の動きをチェックするといいますか、そういうことも十分可能でございますし、かつ、いままではさっき小濱先生の御指摘になったことに規定がございませんでしたが、今度の改正案では、複合組合も含めまして一部事務組合一般について、その議会で議決した重要な事項は関係団体に通知しろという通知義務を入れたこともございまして、運用上そう間違ったほうにいくという傾向は十分防げるのではないかという自信を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/76
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077・小濱新次
○小濱委員 だいぶ時間が過ぎましたので、少しはしょってまいります。
特別地方公共団体の性格についてでありますが、この複合事務組合または東京都の特別区にも関連ずることでありますが、複合的一部事務組合は、一、広域計画の作成、二、計画実施のため必要な連絡調整、三、これらの事務の共同処理の権限、こういうものがあるわけであります。これまでの通例だと、特別地方公共団体は単に普通地方公共団体の委託事務の一部を共同することのみが目的であったように考えられるわけでありますが、今回の改正では普通公共団体である市町村の指導的立場にあるといわざるを得ない。このような強力な権限を与えることは地方自治の本旨からも矛盾しているのではないかというふうにとれるわけです。こう思いますが、この点についてはどうお考えをお持ちになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/77
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078・林忠雄
○林(忠)政府委員 従来の一部事務組合と異なって非常に強力な権限を与えたものをここでつくろうとする、そういう意図はございませんし、法律的にもそういうことにはなっておりません。つまり、計画を共同してつくるという事務、それからお互いに連絡調整をするという事務、それからその一部を共同処理するという事務、これらは全部それぞれの地方公共団体の事務の一部でございますので、従来ありました一部事務組合でも規約にそういう共同処理する事務として計画の策定、連絡調整、それから一部分これこれの共同処理、こう書けば、従来の一部事務組合の制度を使っていま先生のおっしゃいましたような仕事を処理する組合も設定することが可能でございますし、現に広域市町村圏で三分の一ぐらいはそういう趣旨の組合を設定しております。そこで今度はそういう組合については、共同処理する事務が全部が共通でなくてもよろしいということだけをつけ加えようということでございまして、従来にはなかったような強力な権限を持つような組合をつくろうという意図ではございませんし、法文もそうなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/78
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079・小濱新次
○小濱委員 確信ある御答弁を伺っておるわけですが、ぜひひとつそういう方向で努力をしていただきたい、こう思います。
さらに、こういう例はどうかという、これは一つの提案をいたしますが、これに対するお答えをいただきたいと思います。
ある自治体が、人口、産業の増加などによって事業を自主的に行なったほうがよいと判断をした場合、独自でやれるような状態になってきた場合、一部事務組合に加入している残りの組合員のすべてがその自治体の脱退を認めた場合、この自治体は一部事務組合から脱退することができるかどうか。こういう状態はあり得ると思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/79
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080・林忠雄
○林(忠)政府委員 それは当然できます。問題はだれか一人が反対した場合にできないじゃないかという点にあるいは問題があるかもしれませんが、ある団体で、いままで一部事務組合で処理してきた事業を今度は自分だけ独自でやりたい、ほかの構成員もそれじゃあなたどうぞ自分でおやりくださいと言えば、そこで組合の加入市町村が一つ減る。その場合、規約の変更ということが心要でございまして、都道府県知事の認可が必要でございますけれども、関係者の話が全部そこに合意がある以上、都道府県知事がいなやを言うわけがないわけでございますので、いま先生のおっしゃったようなことは、現行の制度ないしは今度できます複合組合でも自由でございます。問題は、だれかが意地悪をして、おまえ抜けちゃいかぬといったときに一つ問題は起きますけれども、一部事務組合というのは皆さんの合意の上に立っているものでございますから、そういう、抜けちゃいかぬと言ってあとでものがうまくいくはずがない。必然的にそこは何らかの形で話がつくということが期待もされますし、従来もそういう例で、一部事務組合に入っておりながら今度は自分のところでやりますと言って抜けた例も多々あると存じますので、その点は御心配がないことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/80
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081・小濱新次
○小濱委員 そうしますと現行法では、残りの自治体がすべて同意したといたしまして、脱退するためには規約の変更が必要ということになってまいりますね。しかも自治大臣または知事の許可を受けなければならない、こういうことになっておるわけです。この知事の許可のページを削除する、こういう必要性についてはどうかという問題が将来のために起こってくるであろうということで、ひとつこの点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/81
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082・林忠雄
○林(忠)政府委員 それは、一部事務組合というのが自治法上は特別地方公共団体として独立の法人格を取得しますので、その設置の場合にはやはり知事の許可にかける。どこかの行政機関でそれをオーソライズするという必要性上、許可にかかっている。それが規約の変更につきましても、組合の共同処理する事務が変わったり、あるいは組合を構成する市町村に増減があった、ふえた、減ったということであれば、その独立の法人格の基礎が変わりますので同じく許可にかけているわけでございますが、この許可を、知事なりあるいは都道府県が入る組合の場合は自治大臣でございますけれども、その知事なり自治大臣が恣意的に運用するということは全く法律上も考えてもおりませんし、現実にもまず起こり得ないと思っております。
つまり、関係者が合意をしまして、今度はこの団体が自分でその事務を処理することになったから抜けます、あるいは従来この団体が自分で処理していたけれども、いろいろ経費もかかるし、一緒にやりたいから組合に加わりますと言って、関係者が全部同意したものについて、知事なりあるいは自治大臣がそれはまかりならぬと、何か特別の理由があれば別でございますけれども、それを恣意的に、許可をすべきところをしないなどという運用は全く考えてもおらないし、現実にもないと思いますので、その点、知事の許可ということがじゃまになる、あるいは自主的な地元の意思を押えつけてしまうという弊害、これがほんとうに出てきて目に余れば話は別でございますけれども、いまはそういう心配はないと思いますので、それを将来あるいは近い将来改正するという心要性も起きてこないのではないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/82
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083・小濱新次
○小濱委員 以上の問題については、今後いろいろと予想される問題がありますので、ひとつ努力をされますこと心から要望しておきます。
さらに、地方事務官制度の弊害という問題があるわけであります。この点について数点お尋ねしていきたいと思います。
まず第一は、都道府県知事は法令上は地方事務官の指揮監督権を有することになっておりますが、人事権及び予算が本省において処理されていることにもなっております。そうですね。実質的に知事の監督権は空文化しているというふうに思えてならないわけです。地域住民は、これら地域性の強い行政事務に関し、議会の審議を通じてはもちろん、知事の指揮監督権によって民意の反映ができない状態になっているわけです。よく御存じの問題であろうかと思いますが、まずこの点についてどのようなお考えをお持ちになっておられるか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/83
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084・林忠雄
○林(忠)政府委員 一般的に、地方事務官の制度が戦後の妥協の産物による変則的な制度であって、それに伴ういろいろな弊害があるといううちにいま先生が指摘されたようなことがしばしばあげられておりますし、私たちも、そういう実際の実態があり得るだろうということを予想もしておるわけでございます。
ただ、これも、実は制度というものは常に運用がいい場合は比較的スムーズに動くものでございまして、それぞれの地方事務官の事務の種類の異なりあるいは省別の異なりによっていろいろニュアンスの違いもございましょうし、各県においての事務の処理の事態によってこれはまちまちであろう。それで、確かに国家公務員として身分あるいは予算的統制を本省が握っておりますので、それらを越えて知事が適切に指揮監督できないというのは法制上はそのとおりでございますけれども、たとえば厚生省の例で申し上げますと、保険課長、年金課長というのは県の民生部の下にある。建物も県庁の中にありまして、県庁の一般の県の他の公務員と同居しております。そして民生部長の指揮を受けておるわけでございます。そこで民生部長と年金課長、保険課長との間の意思がよく交流をされて通じております場合には、これらを指揮する知事として何ら痛痒を感じておられない知事さんも一ぱいおられると思うのです。
運輸省の場合は、これは建物も別になっておりまして、まさに形は知事の権限でありながら、習慣として知事の判を、陸運事務所長が専決で、自分のところで持っておって、知事なり知事部局なりに何も相談しないでどんどん行政事務を執行するというケースもあるわけでございますので、いま一般的に先生が御指摘されましたような弊害はあり得ることでございますし、その弊害があるということを指摘するのはうそではございませんけれども、現実の事務の運営の実態は県によってまちまちでもございます。そういう弊害を非常に感じておられる知事さんもおられるかと思いますと、そのことについてはほとんどそういう支障を感じておられない知事さんもおられる、この辺が実は実情ではないかと思います。
いずれにせよ非常に変則的な制度でございますので、これをすっきりしたいのは長年のわれわれ関係者の念願でもございますし、現にそれを使っておられます知事さん方のお集まりの知事会、都道府県議長会ないしは現にそこで仕事をしている職員団体側もぜひこの廃止を要望しておるということであれば、何らか改善を加える心要のある制度であるというふうにわれわれ考えております。
〔村田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/84
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085・小濱新次
○小濱委員 さらに、地方事務官の所掌している事務のうちには、地域において他の行政と関連性が強く、総合的に判断して処理する必要性の強いものが多いわけですね。しかしながらこれらの事務処理に関して、都道府県が予算上の統制権、それから人事権を有しないことから知事の総合調整権が十分に発揮されていない、こういう問題があるわけです。いまの局長の御答弁のほうはまたこの次にお尋ねいたしますが、この人事権及び予算が本省において処理されているためという、この問題に対する例として、たとえばバスの路線の認可の場合の決定などは、これは住民の意思が十分考えられないで決定されている、こういう実情があるわけですね。こういうことからも、この知事の総合調整権が十分に発揮できていないという問題について、これは問題点の第二になるわけですが、非常に重要な問題と思いますのでお答えをいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/85
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086・林忠雄
○林(忠)政府委員 その点も確かに現在のこの中途はんぱな制度が持っております欠陥でございまして、これがまた四十六府県全部から文句が来ておるとは限りませんが、しばしばそういうことで本来、道路行政とかその他と密接に関連をして考えなければならない県民の足としてのバスの路線認可とか変更とかいうものが、比較的そういうものとの調整を考えずに行なわれるというケースが確かにあったと存じます。結局、これらすべては、やはりいまの制度が非常に不分明だといいますか、はっきりしていないというところからくるものでございまして、これを一日も早く何らかの形で解消する必要はわれわれも痛感しておりますし、むしろ県民の声ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/86
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087・小濱新次
○小濱委員 先ほど局長の御答弁の中で保険庁の問題も出ておりました。そこで、地方事務官が事務処理にあたっては、実際には知事ではなくして、国のブロック行政庁といいますか、本省の指示を受けて処理することが多いわけです。陸運事務所であるとか職業安定所、保険庁の関係などがあげられるわけですが、少しむずかしい問題については住民はそのつどブロック行政庁や本省に出向かなければならない、こういう実態にあるわけですね。やはりこうしたことで非常に住民が困惑しているという問題からして、これは問題点の第三になりますが、この点についてのお答えを局長からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/87
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088・林忠雄
○林(忠)政府委員 制度がこういう中途はんぱな関係になっております以上、えてしてそういう弊害が出やすいということは否定できないと思います。もちろん、国の役所でありましてもあるいは国の出先でありましても、住民のために事を悪く運ぼうと考えるはずはない。したがって、それぞれ起こった問題につきまして、ある場合にはあるいは適切に指示しておるかもしれません。そういう意味で、地方事務官のやっている仕事が一から十まで住民のためになっていないと考えればこれは行き過ぎかとは思いますが、えてして、そういう地元の実情に暗い本省あるいは本省のブロック出先機関の指示を受けてみたり、反面、県の職員であれば当然考えなければならない県のほかの行政との調和を考えないで、その本省の立場のみで処理してみたりという傾向が出やすい仕組みである。その意味での弊害は、おそらく御指摘のような弊害が間々あちらこちらで起こるのではなかろうかということを危惧しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/88
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089・小濱新次
○小濱委員 地方事務官相互の人事交流は概して不活発だ、こういう意見があります。地方公務員との間の人事交流はほとんど行なわれず、その昇任にも限度があるといわれておる。また同一業務を長期間担当している者が多い。このため士気が著しく低下している。また、同じ都道府県の組織の中に任命権、服務規律、給与などを異にする職員が勤務していることは相当に悪影響を及ぼし、合理的な人事管理行政の遂行を妨げている、こういう学者の意見等からしても、またその内容についてはしばしばこれは耳にする問題でありまして、こういうことをもう担当省庁はよく御存じのはずでありますが、この問題については何ら今日までその目安がついていないということについて、これはやはり重要な問題であるとわれわれは考えておるわけです。これからの方向づけというものを明確にしていかなければならない、そういう立場からお尋ねしているわけですが、この点についてのお考えを局長からまず承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/89
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090・林忠雄
○林(忠)政府委員 いま申されました人事異動の幅が狭い。年金なら年金、保険なら保険だけの中でかりに人事が動いてみましても、他の県の公務員でありさえすれば農林部にも行け土木部にも行け、いろいろ行なう仕事を変えるうちに最も自分に適した仕事を見つけるという励みもございますけれども、国家公務員という形で小さなワクの中に閉じ込められているがゆえにほかの部局との交流も思うがままにならないというような問題、それがまた士気を低下させるということは、これまたいなめないこの制度の欠陥であろうと思います。先ほど幾つもあげられました欠陥に比較しましても、これも相当重要なこの制度の改善を促す大きな理由であるというふうに存じます。したがって、これに関するこの制度の廃止と申しますか、これをすっきりさせる努力というのを実は長年にわたってやってまいりましたけれども、御承知のとおり、力及ばずと申しますか、政府部内の話がなかなかまとまらないので今日まできているという姿は、まことに申しわけのない姿でございます。なお、今後ともこれに関する努力を私たちもできる限り続けてまいりたい、一日も早くこの制度を廃止し、すっきりした形にしたいという気持ちを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/90
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091・小濱新次
○小濱委員 これは自治大臣、お聞きのとおりであります。御答弁の中にも、持っている欠陥ということば、あるいは変則的な行政、あるいは何らかの方法で解決策を求めている、そういうお答えがございました。この地方事務官制度の廃止について、これは大臣御存じのとおりだと思いますが、総理大臣は四十八年四月衆議院本会議で「できるだけすみやかに結論を得るよう」、また同じく七月の参議院本会議で「できるだけ早い機会に結論が得られるよう」、こういう答弁をしております。また江崎前自治大臣は四十八年五月、この衆議院地方行政委員会において「四十九年度中に成案を得るよう」、また六月の参議院地方行政委員会において、「四十九年中に目途をつけるよう」こういう発言をなさっておられるわけです。こういうことからして、先ほども申し上げました四点の理由からも、当然この地方事務官制度というものは廃止されるべきである、こう考えておるわけですが、この点についてひとつ大臣の確たる御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/91
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092・町村金五
○町村国務大臣 先ほど来いろいろ行政局長との間に御質疑がとり行なわれたわけでございますが、私が申し上げるまでもなく、この制度は変則的な制度であり、したがって暫定的な制度だというふうにうたっておりますのもそのためであるわけでございます。御承知のように、これはかなり長い間の問題でございまして、自治省としては関係省庁との間にずいぶん熱心に、精力的にこの問題の解決に努力をいたしてきておることは御理解のいただける点であると思うのでございます。
ただ、御承知のように、この地方事務官制度を維持しておりまする厚生省なり労働省なり運輸省という立場におきましては、やはりいま地方事務官によって処理をしておる行政というものは国として統一的な処理を行なう必要があるのだ。これがもし完全に地方自治体に委譲をされてしまう、また地方事務官という制度をやめるということになると、そういう点において国としての行政の統一性、一貫性をはかっていく上に重大な支障が起こる。もちろん今日国の行政で全部地方団体にまかせてあるものでございますが、あるいはそういったものについての感想からそういう意見が出てくるのかもしれませんけれども、要は、極端な言い方をするならば、地方団体に対する若干不信の気持ちというものがあって、いまだ関係省としてはわれわれの要望にこたえてこの問題を解決するということろに実は至っていないのでございます。先ほどのように前大臣あるいは総理からも、この問題についてはなるべくすみやかにめどをつけたいという答弁を国会においていたしておるのでございますけれども、実はいまだ、今回自治法を御審議願うために御提案をいたす段階におきましては、まことに残念でございましたけれども、そういった関係省との間の話し合いが十分つくことができなかったというために、実はこの問題については御提案をいたすことができなかったわけでございますが、われわれとしては、しばしばお答えも申し上げておりまするように、関係省におきまするこの問題についての考え方というものについても、今後各地方公共団体において十分配慮をしていってくれるならばそういった御心配というものも大体解決できる問題であろうというような観点から、この問題につきましては今後ともひとつ積極的に、なるべくすみやかに解決をするということで私どもも努力をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/92
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093・小濱新次
○小濱委員 自治大臣の御答弁はわかりますけれども、総理が本会議場で発言をしておられる内容について、あるいは自治大臣が当委員会で発言をしておられる、公の場でこうやって発言している内容について、こうやって記録をたどってみれば、「四十九年度中に成案を得るよう」「四十九年中に目途をつける」こういうはっきりとした発言をしておられるわけですから、幸いだだいま地方自治法の一部改正の法案審議中でありますので、この法案審議の過程でこれは当然法改正という、修正にこの問題を持ち込むべきであると私ども考えておるわけですね。この法改正についてどういうお考え方を持っておられるのか。これはすみやかに努力をするという自治大臣の御答弁でありますけれども、今国会で何とか法改正ができないものかどうか。私どもはたってこれを強調するわけでありますが、この点についての大臣からの御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/93
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094・町村金五
○町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたように、私どもはこの制度はなるべくすみやかに解消すると申しましょうか、廃止をしようという考えで今日までもこのことには努力をいたしてまいったのでございますが、この法案を提案するときまでは、実は各省との間の話し合いがつかなかったというために御提案を申し上げる運びに至らなかったわけでございます。国会でどういうふうな修正等のことをなさいますかは、これは国会の行なわれることでございますので私どもからとやかく申し上げるつもりは全くございません。ただ、江崎自治大臣が日限を限って「昭和四十九年度中」というような発言をしておられるようでございます。私どもも、そういった少なくとも関係大臣、責任大臣の言われたようなことについてはこれを尊重しながら、できるだけその方向に向かってひとつ努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/94
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095・小濱新次
○小濱委員 まあ、私どもも努力をしてまいりますが、政府としてもまた自民党の諸公方もたいへん御努力を願っておるようですが、大臣の意思がやはり確固たるものになっていかなければこの問題の修正というものはなかなか不可能であろうと考えております。したがって、私どもはどうしても法改正、修正というところへ持っていきたいわけですが、これは余談ですけれども、大臣はどういう考え方を持っておられるのかなということでお尋ねしておきたいと思うのですが、法改正まではいかなかったが、それにかわるところまでは努力をするという、そういうお考え方があるのかどうか。もうこの委員会の審議もあと幾ばくもございません。そういう点で、大臣の御努力というものがやはりこの問題解決のために大きくかかっているわけでございますが、大臣のひとつ腹蔵のない御意見を最後に承りたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/95
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096・町村金五
○町村国務大臣 ちょっと御質問の趣旨があるいは十分理解いたしかねたかと存じますけれども、実は私申し上げておることは何ら粉飾したこともございませんし、いま考えておりますことを率直にそのまま申し上げたところでございまして、それ以上にいまお答え申し上げるだけの実は状態にも相なっていないということでございますので、先ほど来局長も申し上げ、また私が申し上げたことでひとつきょうのところは御理解をいただきたい、こう存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/96
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097・小濱新次
○小濱委員 前江崎自治大臣が「四十九年中に目途をつける」こうおっしゃっておられるわけなのであります。これを私どもはうそにしたくないわけですね。四十九年度中ということですからまだ期間は若干残っておりますが、ここでその政府の方針というものが当然示されてこなければならない。せっかくの総理やら自治大臣の発言というものを私どもは信じますし、尊重したいと思いますが、そういう点でのやはり実現をはかっていく御努力が、自治大臣はじめ自治省の方のこれは責務であろうと私は考えておるわけですね。
〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
ですからこの問題がいま当委員会でも重要問題になっているわけでして、ぜひひとつ、この問題に対する大臣の決意というものが必要になってきている立場からお尋ねをしておるわけでありまして、このことについていま一度御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/97
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098・町村金五
○町村国務大臣 繰り返し申し上げましたが、私どもといたしましては、ひとつこの問題の積極的な解決に鋭意努力をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/98
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099・小濱新次
○小濱委員 たいへん長時間、御清聴どうもありがとうございました。以上で私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/99
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100・高鳥修
○高鳥委員長代理 本会議終了後再開することと
し、この際、暫時休憩いたします。
午後一時二十八分休憩
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午後四時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/100
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101・伊能繁次郎
○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、暫時休憩いたします。
午後四時四分休憩
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午後四時五十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/101
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102・伊能繁次郎
○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山本弥之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/102
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103・山本弥之助
○山本(弥)委員 広域市町村圏の問題あるいは複合組合の問題につきましては、大臣が御就任直後の国会の冒頭におきまして御質問申し上げた経緯もあるわけでありますが、また地方自治法の一部改正法案の審議の過程におきまして同僚委員から十分質疑を尽くした問題であるわけでありますので、私は簡単に、大臣の所信をさらに重ねてお伺いするという意味におきまして御質問申し上げたい存じます。
まず、地方自治体に対します基本姿勢についてでございますが、私は、従来の一部事務組合にいたしましても、また今回自治法の改正によりまして新しい制度として設けられる複合組合にいたしましても、あくまで市町村を地方公共団体の基礎団体として、市町村が地域の住民のために、ただいま問題になっております生活圏の拡大というような問題にも対応しつつ、行財政全般にわたりまして市町村を強化、育成するという意味における役割りを複合組合が果たすのだ、あるいは一部組合が果たすのだ、そういうふうに、地方公共団体の基礎団体である市町村に重点を置く、またほんとうに市町村が仕事をやりやすいようにするという意味の一方法にすぎないというふうに理解をしておるわけでありますが、自治省はこの問題につきましてどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/103
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104・林忠雄
○林(忠)政府委員 おっしゃるとおり私たちも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/104
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105・山本弥之助
○山本(弥)委員 そういたしますと、これも大臣から直接何回も御答弁をいただいておる問題でありますが、野党の諸君が懸念をいたしております、たとえば経済成長あるいは開発に関連をいたしまして、地方公共団体の機能なりあるいはその区域なりを今後改革していこうというような考え方に基づくものではないのか。具体的に申し上げれば、広域市町村機構の強化だとかあるいは市町村合併の促進を強力に進めるとか、あるいは過去において問題になりました府県の廃止や府県の合併、このことがいわゆる道州制構想につながるという懸念が各委員から表明されたわけであります。この点も大臣から明確な答弁が一応あったように私は記憶いたしておるわけでありますが、最後に重ねて大臣の、こういった複合組合が、いわゆる地方公共団体の行政機構を、経済成長あるいは地域開発に関連いたしまして、それに便宜なように改革をしていく前提をなすものではないというふうな答弁がなされたと思うのでありますが、この点をもう一度明快に御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/105
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106・町村金五
○町村国務大臣 ただいまのお尋ねの点は、たびたび私もお答えを申し上げたわけでございまして、言うまでもなく市町村が今日わが国の地方公共団体の基礎的な団体であり、わが国の民主政治の発展のためにもこれを育成強化するということがきわめて重要な基本的な問題であることは申し上げるまでもございません。
このたび御審議をいただいておりまする複合事務組合にいたしましても、いま御指摘がございましたように、あるいは今日まで御質問等がございましたように、将来の市町村合併を大きく促進をしたり、あるいはまたさらにこれに基づいて府県合併等が行なわれるというようなものを底意に置きと申しましょうか、前提としておって、当面こういった問題を取り上げて御審議をいただくというようなつもりは全くない。いまも御指摘がございましたように、現在の生活圏というものが非常に広がってきておるのでございますから、そういった面に市町村が対処するために対応できるようにしたいというのがこの複合事務組合の基本的な考えでございまして、御懸念に相なりまするようなことは全く考えてもいませんし、またそういったような指導をさせるつもりもございません。また、それが動き出すと非常に予期せざるような結果が次第に出てくるのだというような御指摘等もございましたけれども、さようなことにならないように、十分私どもも指導上配意いたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/106
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107・山本弥之助
○山本(弥)委員 今日、全国におきまして広域市町村圏は三百二十九というふうに一応でき上がったわけであります。これは非常に地方自治体にとりましては大きな問題であったわけであります。これらの問題につきましていわば行政指導で行なってこられたわけでありますが、そのことは、あるいは地方の要望が一部にあるとは思いますけれども、いかに自治省が地方公共団体のために努力をしておる省であるかという認識が戦後やはりあると私は思っております。そのためには、あくまで地方自治体の自主的運営を育成強化するという方向に十分関心を持っていただかなければならないのではないか。いわば、今日財政的にも非常に苦しい地方公共団体にとりましては、地域住民の要望とは多少かけ離れても、財政の苦しさのあまり自治省の指導に従わなければならないというジレンマにおちいる場合もあろうかと私は思うのであります。しかし、この際やはりあくまで地域住民の要請にこたえるという姿勢で市町村の運営に意を用いていくということで、首長もあるいは議会の議員もそうでなければならない、こう考えるわけであります。その意味におきまして、従来の一部組合にいたしましても、複合組合にいたしましても、あくまで市町村が地域住民の要請に立って、それぞれの地域の実情に即応いたしまして自主的運営をすべきではないか。そのためには、共同処理機構等の問題につきましても、これを強化する方向で行政指導をしたり、あるいは財政措置によって拡大強化をはかるというようなことがあってはならない。あくまで地方の自主性に待ってその要請にこたえるという形で自治省は努力すべきではないか、かように思いますが、この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/107
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108・林忠雄
○林(忠)政府委員 全く御趣旨のとおりでございます。今後の指導方向につきましては、まさに地域住民の要請にこたえるよう、地域の自主的な判断を尊重して指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/108
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109・山本弥之助
○山本(弥)委員 そこで、多少疑問の点を解明願いたいと思うのであります。
この「広域市町村圏」という冊子は自治省の行政局で出されたわけでありまして、当時の課長の名前で刊行されておりますのですけれども、田中課長の時代の刊行物であろうかと思います。最近の広域市町村圏の冊子、何かまとまったものがないかというふうに要請いたしましたら、最近のものはこれだということで、一応当時私はこの点いろいろ検討も加えてみたわけでありますが、あらためて自治法の改正の審議にあたりましてさらに読み返してみたわけであります。
これによりますと、最近の地方制度調査会の連合方式というものをそのまま自治省の方針として取り入れたということであろうと思われることで一貫をしているわけですね。最近、連合法案から複合組合というふうに、いわゆる共同処理機構といいますか、広域行政圏機構といいますか、そういうものの位置づけが、従来の一部組合の変形というかっこうで運営をはかっていこうという考えに、まあ私どもからいうと多少前進を見たのではないかというふうに思われる節があるのでありますが、たとえばこれの一二ページを見ますと「広域市町村圏計画に基づく事業の実施は、広域行政機構である一部事務組合において総合的に処理することが望まれる。」という、わかりやすい表現になっておるわけですが、そうなりますと、いわば協議会方式というようなことで広域市町村圏の計画の協議をしあるいは相互調整をやるという場合でなくても、「広域行政機構である一部事務組合において総合的に処理することが望まれる。」ということで一貫して書かれてあるわけですね。これを受けてだろうと思うのですが、さらに、法令に基づかないで自治省で指導されました広域市町村圏振興整備措置要綱、これによりますと、これはもう明らかに、従来、計画の立案あるいは相互調整というもので設けておりました協議会方式、これも一部事務組合に変更すべきである、改組すべきである。これがはっきり、廃止をせい、一部事務組合に改組せいというふうにはっきり書いていますね。こうなりますと、いままで御答弁いただきました複合組合の構想というものがこれとは矛盾しておるというふうに思われますので、やはり最近の方針を取りまとめられた「広域市町村圏」という冊子というものはいまのお考えと違うのだ、これは四十五年ごろのお考えであって、いまは違うのだということを、はっきりそう理解してよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/109
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110・林忠雄
○林(忠)政府委員 広域市町村圏という施策を四十五年ごろから始めましたその時点では、法律一つつくるわけでなく、まさにこの要綱その他でやりました関係上、やや、その指導理念と申しますか、観念的に考えたこういうふうにしたらいいのだというようなことが強く出過ぎていたと、私もいま、最近それを読んで考えております。したがって、この連合と申しますか、この広域行政機構のための今度の改正につきましても、当初は地方制度調査会の答申をそのまま受けて、いろいろ特殊な規定も入れ、変わったものを考えておったそれが、過去何回かの国会の御審議の間に、その御審議の御意見も参照をいたしまして現在のような案に変わってまいりました。この案が変わってまいったということは、今後広域行政圏の行政機構について指導をしてまいりますにつきましての態度もおのずから変わらざるを得ない。
ですから、この法案の御審議の経過で累次何度も御答弁いたしましたように、どういう組織をどういうふうに活用されるかはまさに地元の自主的な御判断におまかせをする。当初のような、こうしたらいいだろうというようなことを今後強く指導するということは全く考えないことにいたしました。先ほどの御質問にもございました、地元の地域住民の要請に従った地元の自主的な判断というのをできるだけ尊重してまいる、こういうふうに今後ともいたしたいと思います。もしこの法律、成立させていただきました暁には、そういう趣旨のことも十分含めて指導をしてまいろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/110
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111・山本弥之助
○山本(弥)委員 そういたしますと、重ねてお尋ねいたしますが、現在の計画立案あるいは相互調整の広域行政機構といたしましては、協議会方式をとっておる広域市町村圏のほうが数が多いわけですね、ちょっと三分の二とは言えませんけれども、三分の二と一応言っていいと思うのであります。残りの三分の一が一部事務組合。そうしますと、今後、三分の二を占める協議会方式、これを一部事務組合に変えていくというような指導は一切なさらぬわけでありますね。
重ねてさらに、総合的な計画立案とかあるいは調整というような問題は、協議会方式であるならば首長が会議に参加して相談するのではないか。その結果は当然当該組合員である市町村の議会にも十分話し、あるいはそのことを一般地域住民にも徹底いたしまして、この村はこういう構想で将来の発展をはかるのだということで、私はいろいろな住民参加を求めるという方法をとるべきであろうかと思うのであります。そうしますと、そういう協議会方式がむしろ、いわゆる組合員の市町村長のほかに議会を持ってということよりも適当なあり方ではないかというふうに考えるわけですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/111
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112・林忠雄
○林(忠)政府委員 現在協議会方式をとっておられまして、今後もこの協議会方式をもって進めていくことがいいと地元が御判断なさる場合に、それはおかしいということは一切申すつもりもございませんので、まさに地元の自主的な御判断におまかせするということで参りたいと存じます。
その後段の、むしろ協議会方式がいいのではないかというのも、これは傾聴に値する御説だと思いますが、そういう考え方をとる地方団体はまさにそれでやっていただく。それから今度設けます複合組合の場合は、いまも協議会方式の場合は首長が参加してよく相談するからということで、それに当たるものとして理事会という制度も考えております。ですから、今度の複合組合の制度をお使われになるところでも、その理事会というところでいま先生のおっしゃったと同じような効果がここにあらわれるだろう。したがって、これによってやろうという御判断をなさったところがその制度をお使いになる、これも地元の御判断としてけっこうではないか。一切そういう意味では地元の御判断を最も優先的に考えるべきであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/112
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113・山本弥之助
○山本(弥)委員 次に、七十一国会に提案しました地方自治法の一部を改正する法律案には、二百八十七条の三の規定を設けまして、一部事務組合の条例の制定もしくは改廃あるいは事務の監査、組合の議会の解散または議会の議員、管理者等の解職について、第二編第五章——これは直接請求の規定でありますが——の規定を準用するというような規定を置いていたと思うのでありますが、この規定を削除しておるのはどういうことでございましょうか。
今日、一部組合を見てまいりますといろいろな事業をやっておる。その事業は現業が大きいと思うのですが、現業におきましては、過去におきましても、現在におきましても、いろいろ現業的な事務をやる場合に、機械の発注、施設ということで汚職が行なわれておる、あるいはことにギャンブルに関連する一部事務組合におきましては不正が行なわれましても、それが住民の目の届かないところに置かれて、いわゆる住民の直接要求によりまして地域住民に公表され明らかにされるという例が少ない。これが司直の手にかかるというようなときには別問題でありますが、いわばそういう事態に至らないうちに住民の直接請求によりまして事務の監査を行なうとか、あるいは解職の手続をとるとか、そういったことが当然必要ではなかろうか。
このことはある意味におきましては、私どもの懸念をいたしております、事務組合が市町村と府県の中間団体的な機構にふくれ上がる懸念があり、それが末端の市町村と同じような直接請求という制度を取り入れることによって、漸次全般的に制度的に強化されるという懸念がないわけではありません。しかし何らかの方法で、一部組合が当該組合員の市町村の手に負えないような大きな事業を共同処理しなければならないということが今後多くなるのではないか、そうなりますと、それにつきましては何としても事務監査、あるいは関係者が責任をもって処理に当たるという体制をとっておかないと、やはり不正、汚職の源になるような懸念があると思うのであります。どうしてこの規定を削除したかということにつきましてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/113
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114・林忠雄
○林(忠)政府委員 確かに、昨年御提案申し上げた法案の中にはそういう規定を挿入して御提案申し上げ、ことし出したときにはそれが落ちておるという、出したり引っ込めたり、定見がないじゃないかとおしかりを受けるのは実は覚悟の前でございましたのですが、それはいま先生が御質問の中でおっしゃいました理由が一つあって、直接請求というものの必要性が非常にあるというようなことを考えまして昨年は出しました。
ことしは昨年以来のいろいろな御議論の中にかんがみまして、これが第三団体として成長する、それの助けといいますか、そういう性格を強めるようなふうにとられてもまずいだろう、それに過去のいままであります一部事務組合にもそういうものがなかったということで、その点をおそれて今度はこれを出すことを見合わせました。これが一つの理由でございます。
もう一つは、出すことによりまして、あとの、技術的なあと始末と申しますか、進め方、たとえば住民の五十分の一というのを一つとってみましても、一町村の五十分の一であればこれは疑う余地もございませんけれども、規模の違う二つ、三つの市町村が構成している一部事務組合で、どこをとってどう五十分の一でいくのかというようなものにも理論的究明がもっともっと要るだろう。ややそういう技術的な自信が少し欠けている、検討を深めていくにつれてその欠けていることにも気がついてきたということが一つ。
さらに、最も大きい第三の理由といたしまして、社会情勢も自治法制定以後相当変わっておりますし、最近の住民の地方団体の行政に対する要求、発言、いわゆる住民参加の形態というのがいろいろな形で出てまいりまして、そこで自治法制定以来あります現在の直接請求制度を含めて、住民が地方行政に参加するという態様、それについてはもう一ぺん、これは市町村全般を含めて、府県も含めまして洗い直してみたい。そして、住民の直接参加の制度をいま以上にもっと広げる必要があるところは広げていく。それから考え直さなければならない手続とかその他についてもさらに再検討を深めたい。その場合に、いまこの段階で、いままでなかった一部事務組合に新たにと申しますか、そういう検討を経ないで直接請求制度を取り入れるというとこにちゅうちょを感じた。
これらの理由から今回は御提案を見合わせたわけでございます。したがって、今後できるだけ早い機会にこれらの全般の住民直接参加の制度を見直しまして、場合によれば地方制度調査会というようなところにも御諮問をし、それらの御意見も伺い、何らかの形でこれに関する整備と申しますか、あるいは住民参加の拡大と申しますか、何かそういうことでの制度の整備を考えたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/114
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115・山本弥之助
○山本(弥)委員 現在の普通地方公共団体につきましての直接請求につきましても前向きの姿勢で検討されるというふうに承ったわけでありますが、今日住民参加の問題だとかあるいは住民運動の問題は、今後の地方自治体のあり方にとりまして重要な問題であり、これはあくまで根本的、制度的にも検討を要する問題だと思うのです。その際考えておかなければなりませんことは、住民参加あるいは住民運動というような問題は、住民運動がエゴ的な運動からさらに正当な要求となってあらわれるという場合が多いと思うのであります。そのときに、住民参加とか直接請求の問題を再検討する場合に、ややもすればそういったエゴ的な運動を重視するあまり、制度が後退することがあってはならないんだと私は思うのです。あくまで前向きに検討すべきであると思いますが、この点は十分学識経験者等を交えまして、また今日地方制度調査会というような制度もございますので、早急に検討していただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/115
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116・林忠雄
○林(忠)政府委員 そのエゴ的なものから発したもの、あるいは主義主張にほんとうの根拠を置くもの、いろいろなものがあることは確かに事実でございますし、かりにこういうものがありとすれば、それをしも全部これを善なりとして真正面から認めていくということは、必ずしも制度の合理的な整備には当たらないのかもしれません。しかし、おっしゃいますとおり、そういうことをおそれるあまり全体に対する姿勢が消極的になってしまうということは、これはやはり厳に警戒をすべきである。それで、いろいろなそういう問題があることを十分配慮の上で、この住民参加ということについては極力前向きにものを考えるという態度は、これを検討していく場合には必要であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/116
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117・山本弥之助
○山本(弥)委員 この問題につきまして大臣にお伺いいたしますが、いま機能はとまっているとは思いますけれども、早急に地方制度調査会等の機構を整備されまして、この問題につきまして、いま行政局長がお話しになりました、積極的に直接請求の問題等について諮問をされて、具体的な政策を打ち出すということにつきまして早急にやるべきだと私は思うのでありますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/117
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118・町村金五
○町村国務大臣 御承知のとおり、いまの地方制度調査会は大体任期が切れまして一応現在におきましては動いていない。しかし依然として、御承知のとおり地方制度全般にわたりましては幾つかの多くの問題がある。ただいま御指摘になりましたようないわゆる住民参加の問題というようなものも、今後地方制度の上にどういうふうにこれを生かしていくかということについては実はいろいろむずかしい問題があるということは、御指摘をまつまでもなく私どもも承知をいたしておるところでございます。その他にも地方制度調査会に御審議を願うべき課題というものがかなりたくさんあるように存じますので、おそらく遠からず次の地方制度調査会を発足をさせる、そうなりました場合には、いま御指摘のような問題もぜひひとつ審議を願うようにいたそう、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/118
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119・山本弥之助
○山本(弥)委員 次にお伺いいたしますが、最近地方財政が、いろいろな意味におきまして財政的に苦しくなっておる。ことに最近は投資的経費が減って経常的な経費がふえていっておるというようなときに、これは前々から多少自治省と私ども意見を異にしておるわけでありますが、効率化、合理化ということを急ぐあまり、きわめて重要な、直接市町村なり公共団体が行なうべき問題を下請にしておるという問題が多くなっておるのです。これは私は、警備の問題だとかあるいはエレベーターガールというような問題は、あるいはそれぞれ下請にするというようなことが部分的には考えられないことでもないし、またそうすべき場合も多々あるだろうと思います。しかし、市町村が自分の能力を越えた範囲内で地域住民のためのごみの処理だとかあるいは屎尿処理というような問題に取っ組む場合には、できるだけ利権とも関連のしないような、せっかく金を出してりっぱな施設をつくりますので、それらは一応原則として直営でやるというようなたてまえをとらなければ一部事務組合のほんとうの効果はあがらないのではないか。一部事務組合をつくって、すぐ一部事務組合からさらに下請機関に下請に出すというような組合を安易につくってまいりますことによりまして、いわゆる一部事務組合で処理すべき共同事業がうまくいかなかったというようなことになり、あるいは下請業者の要請によりまして次々に負担がふえてまいるということがあってはならない。まあ、下請に出すときには効率化あるいは経済的に安上がりというようなことを考えることになろうかと思うのであります。それらの点につきまして、私はやはり、せっかく一部事務組合で事業をおやりになる場合には、その事業はあくまで一部事務組合の直営でやり、さらに下請に出すというようなことはむしろ避けるべきではなかろうか、かように考えますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/119
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120・林忠雄
○林(忠)政府委員 一部事務組合に限らず、市町村あるいは都道府県、地方公共団体の仕事を下請に出すことにつきまして、この委員会でも過去たびたび、これについてはいかがか、原則として直営であるべきじゃないかという御意見の開陳は行なわれておるところでございますし、特に一部事務組合ともなれば共同してやるような仕事でございますから、それは普通の場合よりもまた一段と直営するほうが合理的ではないか、あるいは均一妥当性があるのではないかという御意見がおありになること、これは十分察知されるところでございます。
ただ、下請に出すか出さぬかについて、私のほうの自治省としては、一律的に下請は好ましくない、直営がより好ましいという、何と申しますか、そういう考え方を持っておるわけではございませんで、やはり下請に出すことのほうが合理的なもの、たとえば下請に出すことによってサービスが低下したり住民福祉が後退するおそれがない、逆に、出すことによって、よりたとえば効率的になり、最終的には住民の福祉の向上に役に立つものであると、こうその地方団体が判断をなさって下請にお出しになることについては、これはすべきでないという理由もないだろうというふうに思っております。ただ、いま御指摘の、一部事務組合というのはこれは一緒にやらなければならないような仕事でございますので、そういう合理性のあるものが少ないんじゃないかということはあるいはあるかと存じますが、いずれにせよ、その地域でこれをどうされるかということで、首長、議会その他御相談になって、あるものは下請にされる、あるものは直営にする、下請に出しておったものも直営にするように努力する、こういう御努力はあってしかるべきであろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/120
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121・山本弥之助
○山本(弥)委員 どうぞそういうふうな監視あるいは指導を十分願って、次から次に下請にして、一部組合もどんどんつくり、下請にまかせるというような安易な行政に堕すことのないように、この点は十分私は御指導願いたいと考えております。
それから次に、これは各委員からも話がありましたし、あるいは先ほど午前中にも小濱委員から強く要請した問題でありますが、先ほどから理事懇談会等でも問題になっておる地方自治法附則第八条のいわゆる地方事務官制度の問題であります。これはぜひ私どもは今回の自治法の改正の中に盛り込んでもらいたい。自治省でおやりにならなければ、われわれはある程度のめどを今国会においてつけたいということを強く要請してまいった問題でありますが、これは町村自治大臣もみずから知事として体験をされておりますし、また従来これを廃止すべきであるということについては内閣全体といたしましても熱心に取り組んできておられて、各種調査会等におきましてもこれを実施すべきであるといっておる。いわゆる知事の傘下において地方行政の実をあげる。それが委任事務でありましても、総合的に知事の監督のもとに、あるいは知事の人事権のもとにやるべきであるということは、これは毎年のように知事会あたりの要望の中の重要な一つの問題なんですね。これがいまだに自治法制定以来実現を見ていないということはまことに私ども遺憾に存じておるわけでございます。
先ほど小濱委員の質問に対して、町村自治大臣は、性格的に非常に強いところがおありになるが、御答弁はいかにも冷静な御答弁をなさる方だと思うのでありまして、どうも私ども満足のいかないような、熱心がおありにならないのではないかというような答弁に承ったのでありますが、これはぜひ少なくとも今後二カ年間ぐらいの間に解決をつけるという、これは行政局長の答弁は要りませんから、大臣からこの問題は熱意を持って真剣に解決をつけますぞという私は決意を承りたいと思うのです。たびたび質問しておりますが、どうぞお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/121
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122・町村金五
○町村国務大臣 現在の地方事務官制度というものは、はなはだ現状においては変則的なものであり、しかも自治法の中にもこれは暫定のものだということが明確にされておるわけでございますので、これを早急に廃止をするということは、いま御指摘もございましたようにすでに各方面からも強い御要望もあり、また当委員会におきましてもそういった御意見をしばしばわれわれも承っておるところでございます。また政府としても、大体そういうことを基本的な方針としては話し合いをいたしたこともあるわけでございます。
実は、このたび地方自治法の提案に際しまして、われわれもでき得ればこれを改正案として御審議を願うということにいたそうと考えまして、関係省とかなり熱心に話し合いをいたしたわけでございますけれども、この法案を提出いたしまするときまでには遺憾ながら各省との間の話し合いが煮詰まらなかった。そのためやむなくこのことはこのたびの御審議を願う改正案の中には盛り込むことができなかったわけでございます。しかし、すでに各方面からの御意見もあり、また事実現在の府県の中におきましてこの制度はやはり、知事さんなどの御意見の中には、非常に困るという御意見と、あまりこれを重視されない方もございますけれども、とにかく一部にはやはりこういう制度はすみやかに廃止すべきだという強い御意見の方がおありになることも御指摘のとおりでございます。したがいまして、私といたしましてはこの問題はひとつ真剣にこの解決に当たってまいりたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/122
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123・山本弥之助
○山本(弥)委員 御決意を承りまして、これ以上は御質問いたしませんが、どうぞ十分その点は真剣に取り組んでいただきたいと思います。
次に、この機会に承っておきたいと思いますのは、一部組合もやはりある程度まで増加してまいると思うのでありますが、その場合の労使関係をうまくやるということが一部事務組合の運営にも非常に必要なことではないか、こう思っておるわけでありますが、今後労働組合の登録問題だとか、あるいは共済関係だとか、いろいろ現在の職員や労働組合の権利と活動を保障するという体制が欠けてくるのではないかという懸念があるわけであります。これらは従来の慣行その他十分尊重を願いまして、一部組合に従事する労働組合員の生活あるいは暮らしを守るという意味におきまして、組合の意見を十分尊重し、十分な配意をしていくというような御指導を願いたいと思いますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/123
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124・林忠雄
○林(忠)政府委員 一部事務組合の実態はいろいろ千差万別でございまして、比較的簡単なものは組合のプロパーの職員を持たずに、関係市町村からの職員を出向とか事務従事とか、あるいは技術、事務の委託とかいうことで処理している、そういうところではほとんどこの問題は起きてまいりません。一部事務組合の規模が大きくなりましてプロパーの職員を持つようになりますと、当然そこに労働問題というものが起こってまいると存じます。これに関しましては、特に一部事務組合になったからといってそういう職員の権利と申しますか、そういうものが停止される、あるいは不利をこうむるということは当然あってはならないことでございますし、それに関する配慮というものは当然払われるべきことであると存じます。私たちも公務員行政として全般を拝見をし、いろいろ助言その他をやってまいります上についても十分そういう点は配慮してまいろうと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/124
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125・山本弥之助
○山本(弥)委員 最後に、東京都の区長の公選制の採用につきましてお尋ねいたしますが、この区長公選制につきましては、戦後、法の改正がありまして以来、わが党といたしましては過去二回にわたりまして立法化に努力をしてまいったのでございますが、二回とも廃案といううき目にあっているのでございまして、
〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
今回の御提案によりまして区長公選制度が実現するということにつきましては、私ども双手をあげて賛成をするものでございます。
しかし、今後、この特別区の財政権にいたしましても、あるいは人事権だとか事務の配分等、東京都と特別区との間には、府県と市町村との間とは違いまして、非常に特殊性があると思うのであります。今後いろいろ問題が生ずると思われるのでございますが、東京都、特別区、ともにその特殊性に十分配意をしながら、住民自治の基本姿勢に立って住民のための行政を行なうべきであると私は考えておるわけであります。
ことに配属職員制度の廃止ということになっておるわけであります。現在二十三区の職員は六万四千五百人もいるわけでありますが、半分は固有の職員であり、残りの半数は配属職員等で占めておるわけであります。非常にこの処理は重要な問題だと思っておりますし、また、われわれの聞くところによりますと、保健所の移管等についてもいろいろ問題が、なお話し合う余地が残されておるように聞いておるわけでありますが、今後東京都と特別区との間の協議だとか、あるいは職員団体の意見の尊重とか、十分配慮すべき問題があると思うのでございます。
これらにつきまして、東京都、特別区あるいは職員団体等につきまして、自治省としては、完全な区長公選制の実現に伴いまして、十分事務の配分あるいは人事の問題等は円滑に解決つけるように努力を願わなければならぬと思うのであります。それらの点で政令に委任しておる事項等もあるわけでありますが、これらの政令の制定にあたりましても、十分関係団体と協議をして決定すべきであり、また短期間のうちに実現ができません場合には、その例外的取り扱い等につきましてもあらかじめ十分準備をしておかれるべきであろうかと思います。この点につきましての御答弁をいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/125
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126・林忠雄
○林(忠)政府委員 配属職員の廃止ということは、これは実に大きなと申しますか、たいへん重要な改革でございまして、先ほどの御質問にもお答えいたしましたが、区長公選を再び復活するにあたって、前の失敗を繰り返さないための、区の自主性の強化の大きな柱になるわけでございますので、この配属職員の制度の廃止をやること、及びこれをその新しい区制度の発足と同時にやること、これはやはり厳格に守ってまいりたい。したがって、その日が来ますれば法律的に配属職員の身分が切りかわるわけでございますので、その間にできるだけ長い日にちをおいて、準備期間を長く設けて、その間に職員の個々の希望その他も十分聞いて必要な配置がえその他準備を整えること、これは絶対必要であると存じますし、これについては現在都のほうも、あるいは組合、職員側もそれについての心がまえは十分でき、準備もできているように聞いております。その意味でも、この法律はできるだけ早く成立していただきたいと思っております。
それから保健所の事務の移管につきましては、一応原則的に保健所を設ける市と同じ列にと申しますか、それ並みの仕事をするというのをまず原則にいたしますが、どう考えてもやはり都で一括してまとめるほうがいい合理的な仕事というのはございまして、たとえば品川区一カ所にある屠殺場というものは品川区でやる必要はないので、従来の都の技術その他でやればよろしいし、あるいは、狂犬病予防の関係の事務で犬の捕獲管理所というのも必ず各区ごとに一つずつ置く必要もない。こういうようなものを政令で定めましてこれは都に保留するということを考えておりますが、その政令を定めるにあたって、まさにいま先生の御指摘のように都の意見、区の意見、これらの事務に従事する職員の意見というものも十分に伺いまして、できるだけ円滑に、スムーズに事務の移管ができますよう十分配慮してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/126
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127・山本弥之助
○山本(弥)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/127
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128・高鳥修
○高鳥委員長代理 林百郎君より質疑の申し出がありますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/128
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129・林百郎
○林(百)委員 私の主たる質問はすでに終っておりますが、念押しのために、二点ほどこの際質問をしておきたいわけです。
大臣並びに局長も御承知のとおり、この複合事務組合については、これが広域市町村圏の行政指導と結びつき、あるいは市町村連合の方向をも目ざして、地方自治がその自主権を侵されるのではないかということをわれわれとしては非常に心配しているわけであります。この点については、自民党の皆さんとわれわれとの間に評価が若干違っているわけなんです。
そこで、いま修正の案が与野党の間でいろいろと折衝されております。かりにこういう修正が成立するとして、これは仮定でございますが、この二百八十五条の市町村の共同処理しようとする事務が相互に関連する事務については他の市町村の共同処理しようとする事務と同一の種類のものでない場合においても、これを設けることを妨げるものではない。要するに「広域にわたる総合的な計画を共同して作成し、」というものを除き、それから「計画の実施のために必要な連絡調整を図りり、」というものを除いて、「相互に関連する事務」というのを入れる。これで複合事務組合のその根が断たれたわけではありませんけれども、しかし一定の歯どめをすることにはなると思いますが、この「相互に関連する事務について」というところに、かりにそういう修正になるにしても、そこにさらに、相互に密接に関連するということで、歯どめをもう一つ固めておく必要があるのではないか、こういう意見がわが党の意見なのです。かりにそういう歯どめが入るにしてもですね。この「相互に関連する事務について」という字句だけで、行政指導あるいは財政的な指導によってこれが事実上は地方自治体の自主権を侵害して、そして複合的な事務組合で事実上は地方自治体がやる仕事が肩がわりされてしまう、そして市町村の自治権が形骸化されるという、心配がないような指導を自治省としてはされるのであるかどうか。この点、わが党としては、「相互に関連する事務」の上にさらに密接に関連するということで、もう一つ歯どめを入れろ、こういう意見もあるわけですが、この辺のことについて、これは大事な点でありますので、大臣と局長と両方から答弁をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/129
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130・林忠雄
○林(忠)政府委員 いま御審議の過程でいろいろな修正の論議があることもかたわらで仄聞をしておりまして、相互に関連する事務というふうになるというお話も出ているようでございますが、一部事務組合の事務の実態は、まさにそれぞれの地域の実情によりまして千差万別でございます。したがって、何と何が相互に関連するかという問題につきましても、それはまさにその地域の実情に即した解釈で、地域の市町村が合意になったものについて行なわれるということになると思います。
そこで、関連するというか、相互に関連するということは程度問題になるわけでございますけれども、密接という字が入りますればまた、何が密接なのか、何が密接でないのかというところで、かえって地元で御判断なさるときの混乱を増すばかりではないか。関連がある、それは密接だといえば密接だといえるし、関連あるけれども薄いからというような、無用な議論を誘発することはむしろ適当でないのではないか。「相互に関連する」とさらりと書いていただきまして、地元で、これとこれがこういう意味で関連があるということで話がまとまれば、それによってやっていただくということでいいのではなかろうか。
かたがた、御質問の後半にございました、この複合組合の指導にあたっては、先ほど各委員の御心配になりました地元の市町村の自主性を失わせることにならないようにという指導は十分気をつけてまいりたいと存じております。修正のほうは「相互に関連する」ということで処理していただくことを私たちは切にお願いをしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/130
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131・林百郎
○林(百)委員 大臣が答弁する前に事務的なことは局長が答弁しましたので、基本的な方針を聞きたいと思うのですが、われわれ千二百万の東京都民が長年要望しておった区長公選については、これは一日も早く実現しなければならない。これが日本の民主化の重大な一つの根幹になるというように考えております。そういう意味で共産党は、複合事務組合の部分を除いた区長公選の部分だけを改正案として出して、それは各党が一致している点であるから、その点の採決を求めたわけです。各党のいろいろな事情がありますので、私たちの思うようには事は運ばなかったわけでありますが、この複合事務組合でわれわれが心配し、また現実に自治体で働いておる職員の諸君も心配しているのは、これによって地方の自治体の自主権が侵されるようなことがあってはならない。実質的に地方自治体がやることを総合的な事務組合が行なうようなことになり、そこでは何としても制限された議会になり、そしてそれを構成している各自治体の議会の意思が十分反映されるという機構にはなりませんので——それは一部議員が出ることによって、一町村から二人あるいは市では三名の議員が出ることによって反映が全然されないということはありませんけれども、反映のしかたが非常に希薄になる危険性を十分持っているわけでありますが、この総合的事務組合を行政的、財政的に指導することによっていま自治体関係者が心配しているような地方の自治体の自治権というか自主権を侵すことのないように、そういう立場を貫くということをここで大臣にはっきり答弁していただきたい、こういうように思うわけでありますけれども、その点どうでしょうか。
〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/131
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132・町村金五
○町村国務大臣 この点はたびたびお答えを申し上げておるところでございまして、このたびの複合事務組合をつくるということによって自主権が侵されてはならぬことは言うまでもございません。たびたびお管えを申し上げておりますように、最近における生活圏の非常な拡大に伴いまして、やはり複合事務組合のような組織で処理をするほうがそれぞれの自治体にとってもたいへん便利だといったようなものに限局をいたしまして当然こういうものが行なわれることは言うまでもございません。こういう組合をつくるかつくらないかということ自体が、言うまでもなくそれぞれの自治体が自主的にきめることなのでありまして、他からの強制によって、みずから好まざるところの組合に入るというようなことは本来あり得ないはずでございます。したがって、先ほどもお話が出ておりましたような、いわゆる非常に密接な関連云々というようなお話もございましたけれども、関連のないようなものに大体一部事務組合をつくって入るということが実際問題としては起こり得ないはずのものではないか。いずれにいたしましても、これによって自主性がそこなわれるということは万ないように、私どものほうの指導にも十分配慮してまいるべきことだ、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/132
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133・林百郎
○林(百)委員 じゃ大臣にもう一問、念のためにお聞きしておきますが、これは当委員会でも各委員からそれぞれの角度で質問されていることですけれども、そうすると大臣の方針としては、総合的、複合的な事務組合ができたので、こういう形態をとらなければ自治体の要望するような福利施設、文教施設あるいは消防施設等が進まないとか、あるいはそういう行政的、財政的な指導でそちらのほうへ意識的に持っていくというようなことを考えておるのではなくて、あくまでそれは自治体の自主的な判断と考えにまかせるんだ、こういうことを聞いておいていいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/133
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134・町村金五
○町村国務大臣 私はまさにそのとおりに御理解をいただいて間違いがない、かように考えるのでございまして、いま御指摘がございましたように、何か財政的にえさを与えて本来の自主性をそこなうようなことまで無理に誘導をするというような考えは全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/134
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135・林百郎
○林(百)委員 わかりました。
もう一問。これは事務的なことですから大臣でなくても事務当局でけっこうだと思いますが、政府提案の二百九十三条の二に「この法律に規定するもののほか、地方公共団体の組合の規約に関する事項その他本章の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」とあるわけですが、この本章は、御承知のとおり地方自治体の組合に関する規定がきめられているわけなんで、これは「本章」とだけあれば、その中にことに「地方公共団体の組合の規約に関する事項その他」を入れなくて十分じゃなかろうか。「この法律に規定するもののほか、本章の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」でいいのではないか。ここに「組合の規約」というものが出てきますと、何かこれをきっかけにして自治省の意識的な指導が入るのではないかということが杞憂されるわけなんです。杞憂で済めばいいと思いますが、それから、これは言うまでもなく地方自治法の附則の二十一条に、本法の適用について必要な事項については政令で定めると、これは包括的に全部あるわけなんです。ここで特に「地方公共団体の組合の規約に関する事項」を「本章の規定の適用に関し」以外に入れた理由がわれわれどうもわかりませんので、この点はどういうことなのか。そしてここで意図しているのはどういうことなのか、説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/135
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136・林忠雄
○林(忠)政府委員 まず、先生のおっしゃいました、これを根拠にして何かしようという下心は全くございませんから、これは御了承願います。
「規約に関する事項」と書きましたのは、私詳しくはその点、詰めてもおりませんでしたが、いまここで考えてみますと、一部事務組合の規約というのはいろいろな意味で、一部事務組合でこれがいいということでおきめになると、法律にかわるといいますか、その一部事務組合の憲法的なことでございまして、中には法律的な事項も、普通地方公共団体であれば法律できめられるようなことも規約できめることがしばしばございます。たとえば議員の選挙の方法とか執行機関の選任の方法など、普通の団体でいえばはっきり法律できまっていることを皆さんの御相談で規約できめる。そういう意味で、規約というものは相当重要な意味を持っておりますので、その規約が、他の法律にかえて次のことだけをきめろと書いただけではやや不安である、何か必要性が起こるということは当然考えられるんではないかということで、おそらく「規約に関する事項」さらに「その他必要な事項」と、こう重ねたんだという気がいたします。
現実に、現在この政令で定めなければならないものとしては、規約で定める事項、つまり規約に関する事項としては、一応理事会は規約で置くことになっておりますが、理事会というのはやはり一つの会議体でございますので、それをまとめる理事長というものが要るであろう、そういうものを定めたらどうであろうか。あるいは理事会の運営については政令でこまかく定めるのは実は適当でございませんので、運営については理事会で定めるところによるというような根拠を政令で与えておけば、それをバックにしまして理事会で御自身の運営の方法をおきめになる。そんなことがいまの段階では予定されていることでございます。
それからもう一つには、一般的な包括規定がいまおっしゃいましたように二十一条にございますけれども、特別地方公共団体についてはそれぞれ各章でやはりこれと同じセービングクローズ的な意味の条文がございます。それらを含めてこれを書くことにいたしましたわけでございます。
重ねて申し上げますが、これをもとにして何かあらぬ方向にという下心は全くございませんことを御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/136
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137・林百郎
○林(百)委員 実はわが党では、「地方公共団体の組合の規約に関する事項その他」は入れなくとも、「本章の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。」とあるからいいじゃないか。これを削除するように修正の提案をしろという意向もあるわけですけれども、いろいろの都合で修正ができないとすれば内容をはっきりさしておく必要があると思いまして、いま質問したわけです。
私のほうが自治省から得た回答では、いま局長の答弁したのがまとまってこういうようになっておりますが、これでいいのか。
「二百九十三条の二、本条で政令で定めることとしている理由は、次の通りである。
1特別地方公共団体について規定している各章にそれぞれ運営について政令で定めることとしていること。」これがあるのでこの章にもこれを入れるということ。それから
「2これに従い規約で定める事項としてア理事会に理事長を置くこと。イ理事会の運営は理事会で定めるところによること。
3本章で定める事項としては議決の結果を構成市町村に通知する期限を定めること。
以上が政令で定める事を必要としている理由である。」
こういうことが出ているわけですが、これだけと限るのも何でしょうけれども、いま自治省で考えておるおもな項目としてはこういうものである、こういうように聞いておいていいかどうか、その点を聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/137
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138・林忠雄
○林(忠)政府委員 いままさに先生がお読みになりましたのを私はながめながら先ほど御答弁したわけでございます。現在の段階ではこれだけというふうに考えてけっこうでございます。自治体というものはいろいろ動くものでございまして、その後の何らかの必要性に基づいて政令で定める必要が出てくることはあるいは予想されるかもしれませんが、現在これ以外のことを何も考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/138
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139・林百郎
○林(百)委員 私の質問はこれで終わりました。けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/139
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140・伊能繁次郎
○伊能委員長 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/140
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141・細谷治嘉
○細谷委員 簡単にお聞きしたいと思います。
第一点は、今度の複合組合、こういうものができた場合に、これをてことして財政的なプラスの措置を講ずるつもりがあるかどうか、あるいは制度上の問題についてさらにプラスするような指導をするつもりがあるかどうか。当然、当分の間ということでしょうけれども、その辺を、これはいままでの質問を伺って心配がありますから、大臣にひとつはっきりと御答弁いただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/141
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142・林忠雄
○林(忠)政府委員 先に私から……………。
この機構をつくりましたのも、何度も繰り返し御答弁しておりますように、この機構を広域市町村圏の行政機構として強制をしたり誘導したりするつもりは毛頭ございません。したがって、いま先生の御質問の、この機構ができたことによって財政措置をするとか、つくらないから財政措置をしないとかいうことは全く考えておりませんのを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/142
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143・町村金五
○町村国務大臣 これはたびたびお答えを申し上げておるところでございまして、今回のこの複合組合をつくる、これをてことして何らかの財政的な誘導措置を講じて、むしろ地方自治団体の自主性が次第にそこなわれ、将来、いま予期せざるような方向に私どもが持っていこうというような考えは、事務当局も全く持っておりませんし、私どももさような考えは一切持っていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/143
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144・細谷治嘉
○細谷委員 それではこの点については、ここ当分の間、この問題についての法律上の措置、そういうものについては全く考えておらない、こういうふうに確認してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/144
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145・林忠雄
○林(忠)政府委員 この機構をつくる、つくらぬということによって差別を加えるなどということは、全く法律上も実際の指導上も一切考えませんので、御確認いただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/145
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146・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、そのとおりですね。
第二点は、今度の法律によりまして、区長の公選制という長い間の懸案事項が一応解決することになるわけでありますけれども、依然としてやはり区の行政というのが制限自治体的なものであることは間違いありません。これをやはり完全自治体の方向にすべきであると思うのです。こういう点について基本的な大臣の方針を伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/146
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147・町村金五
○町村国務大臣 このたびの特別区というものが、確かに一般の市町村に比べてみますれば制限的な自治体であるということは全く御指摘のとおりでございます。細谷委員によれば、これを完全な一般の普通の自治体と同じようにすべきではないかというただいまはお尋ねをいただいたように伺ったのでございますが、御承知のとおり、東京都という、きわめて小さな区域の中にきわめて膨大な人口が生活をいたしておる、そういうような特殊の状況にあるのでございまして、この区というものが、一般の府県の市といったようなものとはかなり状況がいろいろ違うわけでございます。したがってそこに、現在の東京都というものと区の存在というものが、ともにこれは区民のため、都民のためのものでなければならぬということは言うまでもございませんけれども、区民のため、都民のためということを考えまするときには、やはりこれは東京都というところで処理をしたほうが適当だというものと、あるいは、いままでは都にあったけれども今度は区に移譲したほうがよろしいというものとが、おのずから分かれてくるだろうと思うのでありまして、普通の市で取り扱っておりまする事柄でありましても、やはり東京都の場合には都でこれを処理することが適当であり、またそれが区民のため、都民のためになるといったようなこともございますので、したがって、いまの段階で完全に市と同じように区をするということは、必ずしも私は区民のため都民のため適当ではないのではないかというふうにいま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/147
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148・細谷治嘉
○細谷委員 もう一度伺いますけれども、都と二十三区あるいは三多摩、こういう問題があることは事実であります。少なくともやはり区長公選制になっても制限自治体というかっこうをとっておることは間違いありません。したがって、一体的なものでありますから、事務の配分等については一般の市とは違った運用がなされるにいたしましても、行政的にもあるいは財政的にも完全自治体への方向に育成していく、そういう方向を強めていく、こういうことは絶対に、公選制をとる以上はとらなければならぬことであると思うのであります。私は一気かせいにということを申し上げているわけじゃない。その方向を着実にやはり歩むべきである、こう思うのでありますけれども、もう一度ひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/148
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149・町村金五
○町村国務大臣 方向としては、私、いま細谷委員が言われましたような方向にやはり進んでいくべきものではないか。ただ、先ほど来申し上げましたように、現実の問題といたしましてはなかなかそうはいかない。
たとえば、いま財政権の問題でお話がございましたが、住民税法人税割の問題でございますとか固定資産税というものは、依然としてこれを都に留保するということでございまして、この点はかなり一般の市とは違うことは御承知のとおりでございますが、これについてもいろいろな御意見の存するところでございます。これは区で徴税をさせておいて、そしてかりに過不足がある場合には相対的に、あるいはその余剰と申してはおかしいのでありますけれども、そういう分は都にむしろ逆に上げたらどうかというような考え方も、もとより私は考えとしては存在し得ることだと思いますけれども、しかし、いまの東京都のきわめて複雑な状態、たとえば千代田区というものはおそらく、他の二十二区の全体の法人税から申しますと、この一番人口の少ないところが一番たくさん取っておるというような実情は、ちょっと一般の他の市には考えられないことでございます。
さようなことを考えてまいりますると、お話しのように、区長を公選で選ぶということに相なってまいったのでございますから、できるだけ自主権を拡充をしていくという方向は私は今後さらに進んでまいるものかと思いますけれども、しかし、こういった特殊の事情というものが存在をいたしておりまするので、いまにわかにと申しましょうか、急速にそういった方向に進むということにはまだまだ相当困難があるのではないかというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/149
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150・細谷治嘉
○細谷委員 行政上の問題あるいは人事上の問題、あるいは財政上の問題としては都区財政調整のあり方、あるいは交付税における都の特例の問題、あるいは現在の都と区との間の税の配分の問題等々、公選区長のもとにおける完全自治体への道ということは、時間の問題は別として、やはり保障していくべきである、これが私は基本であろうと思うのであります。この点だけを申し上げまして、最後に一点申し上げたいと思います。
この委員会の始まる冒頭に、長い間の懸案でありました附則八条、いわゆる地方事務官制度の問題については、大臣は、この会期中にはその問題を含めて委員の審議をわずらわしたいということを所信表明の中で述べられたのでありますけれども、いまだ具体的に解決のめどがつかない。まことに遺憾であります。与党のこの委員会の理事の皆さん方がいろいろと御苦労されたことについては、私もこれを評価するにやぶさかでありませんけれども、私が承知しておる現状も、大臣のあの所信表明における言明からいきますときわめて不満足なものであるといわざるを得ません。すでに昨年も、関係各省の間ですみやかに解決する、こういうことが申し合わされておるにかかわらず、今度の国会でもめどがつかない。あるいは附帯決議等予想されておるようでありますけれども、これについても、解釈いかんによっては「当分の間」と事実上変わらぬ、こういう可能性もあるわけでありまして、まことに残念であります。この点、大臣は重大な決意をもってこれに対処する必要があろうかと思うのですよ。最後にひとつ大臣の決意のほどをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/150
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151・町村金五
○町村国務大臣 先ほど来たびたびお答えを申し上げておるところでございます。自治省としてこのたびの改正案の中にこれを入れて御審議をいただくということができる運びに至らなかったということについては、われわれの努力の足らざるところもあったというふうに考えて、たいへん遺憾に存じておりますが、しかし、この問題は早急に解決をすべきものだという基本的な考え方に立ちまして、今後もこのことには、ひとつ全力をあげて解決に進みたい、かように存じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/151
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152・細谷治嘉
○細谷委員 不満足な答弁でありますけれども、関連質問でありますので、これで終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/152
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153・伊能繁次郎
○伊能委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/153
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154・伊能繁次郎
○伊能委員長 速記を始めて。
これにて内閣提出にかかる地方自治法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/154
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155・伊能繁次郎
○伊能委員長 ただいま質疑を終了いたしました本案に対して、自由民主党、日本社会党及び民社党の三党共同にかかる中山利生君外二名提出の修正案が提出されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/155
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156・伊能繁次郎
○伊能委員長 この際、本修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。中山利生君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/156
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157・中山利生
○中山(利)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、私は、自由民主党、日本社会党及び民社党の三党を代表いたしまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
今日、交通通信手段の目ざましい発達によって住民の日常社会生活上の行動圏域は非常に広くなり、市町村の行政区域を越えて住民の日常社会生活圏が形づくられるに至っております。
広域市町村圏構想は、このような地域社会の変貌に対処し、住民の日常生活の実態に合わせ、幾つかの市町村の共同計画によって行政施設の充実をはかろうとするものでありますが、都市化の波が至るところに押し寄せている現状から見ますならば、広域行政への要請は、いわば時代の趨勢ともいえるのであります。
しかしながら、市町村は住民にとって最も身近な基礎的地方公共団体であり、住民にとってかけがえのないものであります。
今回の政府案による一部事務組合制度の改正規定におきましては、市町村の事務等に関し、広域にわたる総合的な計画を共同して作成し、これらの事務の管理及び執行について必要な連絡調整をはかり、これらの事務の一部を共同処理するための市町村の一部事務組合について制度の改正を行なおうとするものでありますが、この法律案の規定は、基礎的地方公共団体としての市町村の事務処理について、常に広域行政的な視点に立ってのみこれを行なわなければならないとの趣旨に解されるおそれがあり、適当でないので、これを、相互に関連する事務について、と改めることにいたしました。すなわち、今回の改正制度による場合も、市町村の事務について、その組合で共同処理する事務とするかいなかは、市町村自体が自主的かつ合理的な判断に立ってきめるべきものであるとの趣旨を明確に規定したのであります。
次に、一部事務組合は、構成市町村の協議により設けられる独立した法人格でありますが、その処理する事務が、本来構成市町村が処理する事務であるところから構成市町村ときわめて密接な関連を持つものであるので、組合の議会で議決すべき事件のうち政令で定める重要なものについては、組合の議決があったときはもちろん、組合の議会の議決にかけようとするときもあらかじめこれを当該一部事務組合を組織する市町村の長に通知することに改めることとしております。
以上が、修正案の提案の趣旨及びその内容であります。
何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/157
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158・伊能繁次郎
○伊能委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本修正案について別に発言の申し出もありません。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/158
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159・伊能繁次郎
○伊能委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありますので、これを許します。小川新一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/159
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160・小川新一郎
○小川(新)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております内閣提出にかかわる地方自治法の一部を改正する法律案に賛成し、自民、社会、民社三党提出の修正案に賛成の立場から二、三意見を申し述べたいと思います。
まず、区長公選についてであります。
区長はもともと公選されていたものが、昭和二十七年の自治法改正によって、二十三区の一体性という名目のもとに区長は選任制となり、かつ区民生活に密着した事務の大部分は都に吸い上げられ、今日に至っております。これは、住民生活に密着した事務はできるだけ住民の身近なところで処理することが望ましいという地方自治の精神にもとるものであります。また、区長の選任制は、区民と区政とをますます遠ざける結果となっております。
このような、時代に逆行する矛盾した制度の改革を願って、区民がみずからの手で区長を選び出すという運動が起ってまいりました。その間、区長準公選など自治権の拡大運動はますます燃え上がってきたことは周知のとおりであります。今回の区長公選は、いわば下からの盛り上がりによって実現したものであり、区民の声が政治に反映した結果であり、まことに喜ばしいことであると考えるものであります。
この際、少しく言及するならば、今回の改正案によって、区長公選と同時に大部分の事務が区に移管され、普通地方公共団体並みの権限が与えられながらも、特別区は制限的自治体としての要素を残しておりますが、これは当然に普通地方公共団体とすべきものであると主張するものであります。
また、特別区の税財源についても、財源の大部分が都に集中しておりますが、これも普通地方公共団体と同様な措置をとるべきであると考えるものであります。
次に、複合的一部事務組合についてであります。
広域市町村圏内の多くの一部事務組合の機構を整備する目的で改正案が出されておりますが、この複合的一部事務組合は、四十六年の第六十五国会に提出された改正案に比べれば強大な事務局長の権限などが削られたとはいうものの、広域計画の作成、計画実施のための必要な連絡調整が盛り込まれており、複合的一部事務組合は構成市町村の上部に位する形をとり、その権限は実質的に何ら削減されておりません。
広域行政は時代の趨勢であり、否定するものではありませんが、このような複合的一部事務組合に強力な権限を持たせることは、市町村の自治権を侵害し、中央集権的傾向を強めるものであり、三党から提出された修正案のように修正することに賛意を表するものであります。
次に、多年問題となってきた地方事務官についてであります。
これまでも、地方事務官制度は地方自治を侵害するものとしてその廃止が強く叫ばれてまいりました。その弊害のおもなものをあげてみますと、まず、法令上都道府県知事は地方事務官の指揮監督権を有することにはなっておりますが、人事権及び予算が本省にあるため、実質的に知事の権限は空文化しております。そのため、地域住民は、これらの地域性の強い行政事務に対し、議会の審議や、知事の指揮監督権によっても民意が反映できない状況になっております。
また、地方事務官の所掌している事務は、地域において他の行政と関連性が強く、総合的に判断し処理する必要性の強いものが多くあります。しかし、これらの事務の処理に関して都道府県が予算上の統制権、人事権を有しないことから、知事の総合調整権が十分に発揮できないのであります。
また、地方事務官の事務処理は、実際には知事ではなく、国のブロック行政庁、本省の指示を受けて処理することが多いのであります。少しむずかしい問題は、そのつど住民はブロック行政庁や本省に出向かなければなりません。
さらに、地方事務官相互の人事交流は概して行なわれず、ましてや地方公務員との間の人事交流はほとんど行なわれておりません。その昇格、昇給にも限度があり、同一業務を長期間担当している者が多く、このため士気が著しく低下しております。
また同じ、都道府県の組織の中に、任命権、服務規律、給与等を異にする職員が勤務していることは、相互に悪影響を及ぼし、合理的な人事行政の遂行を妨げております。
こうした弊害を政府も認めて、田中総理大臣は四十八年四月の衆議院本会議、また同年七月の参議院本会議において、「できるだけすみやかに結論を出す」と答弁しております。また江崎前自治大臣も四十八年五月、本委員会、同年六月参議院地方行政委員会において、「四十九年度中に成果が得られるよう」と答弁しておるばかりでなく、六団体の総会等でも廃止を声高く主張されたのであります。
しかるに、政府は地方事務官制度の廃止に積極的に取り組む姿勢が全く見られません。本来の地方自治の健全な発展を阻害する地方事務官制度は、早急に廃止することを要求するものであります。
以上をもって私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/160
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161・伊能繁次郎
○伊能委員長 以上で討論は終局いたしました。
これより採決いたします。
まず、中山利生君外二名提出の修正案の採決をいたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/161
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162・伊能繁次郎
○伊能委員長 起立総員。よって、中山利生君外二名提出の修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案の採決をいたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/162
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163・伊能繁次郎
○伊能委員長 起立総員。よって、修正部分を除いて、原案は可決いたしました。
したがって本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/163
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164・伊能繁次郎
○伊能委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、村田敬次郎君、山本弥之助君、林百郎君及び折小野良一君から、四派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。村田敬次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/164
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165・村田敬次郎
○村田委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同及び民社党の四党を代表いたしまして、地方自治法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。
地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、地方自治の本旨にかんがみ、次の諸点について、善処すべきである。
一、複合的一部事務組合に対する行政的、財政的措置によって、当該一部事務組合を組織する市町村の自主性がそこなわれることのないようにすること。
二、地方自治法附則第八条の職員については、昨年十月、行管・運輸・厚生・労働・自治の五大臣において合意に達した「速やかに結着をつける」との内容に基づき、昭和五十一年三月三十一日を目途として地方公務員とするよう努めること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ、皆さま方の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/165
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166・伊能繁次郎
○伊能委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
本動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/166
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167・伊能繁次郎
○伊能委員長 起立総員。よって、村田敬次郎君外三名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。
この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/167
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168・町村金五
○町村国務大臣 ただいま御議決をいただきました決議につきましては、十分意を体して措置してまいりたいと存じます。
なお、地方事務官制度の問題につきましては、関係各省庁と十分問題を詰めて、御趣旨に沿えるよう鋭意努力をいたしてまいりたいと存じます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/168
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169・伊能繁次郎
○伊能委員長 おはかりいたします。
ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/169
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170・伊能繁次郎
○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/170
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171・伊能繁次郎
○伊能委員長 次回は、来たる二十一日火曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204720X03619740517/171
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