1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年二月十四日(木曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 徳安 實藏君
理事 加藤 陽三君 理事 小宮山重四郎君
理事 中山 正暉君 理事 野呂 恭一君
理事 服部 安司君 理事 上原 康助君
理事 大出 俊君 理事 中路 雅弘君
大石 千八君 近藤 鉄雄君
旗野 進一君 藤尾 正行君
吉永 治市君 木原 実君
横路 孝弘君 吉田 法晴君
和田 貞夫君 木下 元二君
鬼木 勝利君 鈴切 康雄君
受田 新吉君
出席国務大臣
法 務 大 臣 中村 梅吉君
通商産業大臣 中曽根康弘君
運 輸 大 臣 徳永 正利君
国 務 大 臣
(総理府総務長
官) 小坂徳三郎君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 山中 貞則君
出席政府委員
内閣官房内閣審
議室長兼内閣総
理大臣官房審議
室長 亘理 彰君
内閣総理大臣官
房総務審議官 佐々 成美君
総理府恩給局長
事務代理 菅野 弘夫君
宮内庁次長 瓜生 順良君
皇室経済主管 野本 松彦君
防衛庁長官官房
長 丸山 昂君
防衛庁人事教育
局長 高瀬 忠雄君
法務大臣官房長 香川 保一君
中小企業庁長官 外山 弘君
運輸大臣官房長 内村 信行君
委員外の出席者
内閣委員会調査
室長 本田 敬信君
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委員の異動
一月二十一日
辞任 補欠選任
正木 良明君 鬼木 勝利君
二月七日
辞任 補欠選任
和田 貞夫君 辻原 弘市君
瀬長亀次郎君 不破 哲三君
同日
辞任 補欠選任
辻原 弘市君 和田 貞夫君
同月九日
辞任 補欠選任
不破 哲三君 瀬長亀次郎君
同月十三日
辞任 補欠選任
奥田 敬和君 服部 安司君
箕輪 登君 地崎宇三郎君
同月十四日
理事奥田敬和君同月十三日委員辞任につき、そ
の補欠として服部安司君が理事に当選した。
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一月二十三日
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第七号)
環境庁設置法及び行政管理庁設置法の一部を改
正する法律案(内閣提出第八号)
中小企業庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第九号)
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇号)
同月二十六日
皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一二号)
同月三十一日
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一六号)
法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一七号)
二月六日
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三〇号)
同月十二日
在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三八号)
恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
四四号)
一月二十三日
旧満州国政府職員在職期間の恩給通算に関する
請願(鯨岡兵輔君紹介)(第九〇〇号)
非核三原則の立法化等に関する請願(北山愛郎
君紹介)(第九〇一号)
同(岡本富夫君紹介)(第一〇四二号)
同(多田光雄君紹介)(第一〇四三号)
同月三十日
金鵄勲章受章者の処遇に関する請願(河野洋平
君紹介)(第一二八七号)
二月二日
人事院勧告における宿日直手当の実施時期に関
する請願(横山利秋君紹介)(第一三九七号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
二月十三日
旧軍人恩給等の改善に関する陳情書
(第九八号)
調整手当支給地域の拡大等に関する陳情書
(第九九号)
靖国神社国家護持の法律制定に関する陳情書
(第一
〇〇号)
看護職公務員の給与改善に関する陳情書外二件
(第一〇
一号)
非核三原則の立法化等に関する陳情書外一件
(第一〇二号)
中小企業省の設置に関する陳情書
(第一〇三号)
自衛官募集事務中止に関する陳情書外一件
(第一〇四号)
同和対策事業予算の増額等に関する陳情書
(第一〇五号)
国務大臣等の給与凍結に関する陳情書
(第一〇六号)
青少年の健全育成に関する陳情書
(第一〇七号)
営林局、署の統廃合反対に関する陳情書
(第一七一号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇号)
法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一七号)
防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出第三〇号)
中小企業庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第九号)
皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一二号)
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一六号)
恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
四四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/0
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001・徳安實藏
○徳安委員長 これより会議を開きます。
理事の補欠選任に関する件についておはかりいたします。
理事奥田敬和君が、昨十三日委員を辞任されましたことに伴いまして、現在理事が一名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/1
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002・徳安實藏
○徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に服部安司君を指名いたします。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/2
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003・徳安實藏
○徳安委員長 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案、法務省設置法の一部を改正する法律案、中小企業庁設置法の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、総理府設置法の一部を改正する法律案及び恩給法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/3
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004・徳安實藏
○徳安委員長 順次趣旨の説明を求めます。徳永運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/4
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005・徳永正利
○徳永国務大臣 ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
今回の改正の要点の第一は、運輸省の付属機関として、愛媛県越智郡波方町に波方海員学校を設置することであります。
運輸省におきましては、全国で十二校の海員学校におきまして、海員の養成を行なっておりますが、特に、最近の内航海運における海員の不足の状況にかんがみ、その養成体制の強化をはかるため、現在、波方町にある粟島海員学校の波方分校の生徒数を八十名から百六十名に倍増し、同分校を海員学校に昇格させることといたしました。
改正の第二の点は、運輸省の地方支分部局として、沖繩県那覇市に、那覇航空交通管制部を設置することであります。
現在、運輸省におきましては、航空交通管制業務を札幌、東京及び福岡の各航空交通管制部において行なわせております。沖繩の空域につきましては、現在、アメリカ合衆国政府が、一部を除き、航空交通管制業務を行なっておりますが、昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会における日米間の合意により、本年五月十五日よりおそくない時期に日本国政府が行なうことになっております。このため、政府は、所要の施設の整備、要員の訓練等を進めてまいりましたが、近くこれらの準備が整うことに対応いたしまして、当該航空交通管制業務を行なわせるため、那覇航空交通管制部を新設することといたしました。
以上が、この法律案を提出する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようにお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/5
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006・徳安實藏
○徳安委員長 中村法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/6
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007・中村梅吉
○中村国務大臣 法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案の改正点の第一は、東京法務局に、民事行政部にかえて民事行政第一部及び民事行政第二部を設置しようとするものであります。
法務局の民事行政部では、登記、戸籍、国籍、供託等の事務を所掌しておりますが、近時の社会経済情勢を反映して、登記事務をはじめこれらの事務は増大し、かつ、複雑多様化しております。これに対処し、事務処理体制を整備するため、特にこの傾向の著しい東京法務局について、民事行政部の事務を二つの部に分割して所掌させようとするものであります。
なお、民事行政第一部においては、登記等の事務を、民事行政第二部においては、戸籍、国籍及び供託の事務を所掌させることといたしております。
改正点の第二は、入国管理事務所の出張所の名称及び位置を法務省令で定めることとしようとするものであります。
入国管理事務所の出張所は、出入国港等に置かれ、主として外国人に対する出入国審査の事務を行なっておりますが、その約七割は職員が二人ないし三人程度の小規模庁であります。ところで、出入国港の事務は、内外諸情勢の推移、貿易の消長、出入国船舶の増減等の影響を受けて、繁閑を生ぜざるを得ないのでありますが、これに対処して、限られた予算と人員を有効適切に利用して出入国港における事務の円滑化をはかるためには、出張所の新設、廃止、位置の変更等を臨機に行なうようにすることが強く要請されております。そこで、同じく港関係の行政機関である税関の支署、出張所等の場合と同様、出張所の名称及び位置を省令で定めることとするものであります。
なお、この改正に関連して、附則におきまして、地方自治法第百五十六条第七項について所要の改正を行なうことといたしております。
改正点の第三は、北海道亀田市の函館市への編入に伴い、函館地方法務局の管轄区域の表示を改めようとするものであります。
以上が法務省設置法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようにお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/7
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008・徳安實藏
○徳安委員長 山中防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/8
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009・山中貞則
○山中国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、航空手当等の最高支給割合を改めるとともに、任用期間を定めて任用されている自衛官に対する退職手当を増額するものであります。
すなわち、第一点は、航空手当等の最高支給割合を、現行の百分の六十五から百分の七十五に改正するものであり、第二点は、任用期間を定めて任用されている自衛官に対する退職手当について、自衛隊法第三十六条第四項の規定により一回または二回任用され、その任用期間を満了して退職する場合等の額を、現行の百日分からそれぞれ二百日分または百五十日分に引き上げることとするものであります。
この法律案の規定は、昭和四十九年七月一日から施行することとしておりますが、航空手当等の最高支給割合の改正規定については、同年四月一日から施行することとしております。
このほか、附則において、退職手当に関する所要の経過措置を定めております。
何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/9
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010・徳安實藏
○徳安委員長 中曽根通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/10
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011・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 中小企業庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
御承知のとおり、中小企業の大多数は小規模企業でありますが、これらの小規模企業は、概して資金面、情報面等で多くの格差を負っており、きめのこまかい施策を必要としております。このような観点から、小規模企業対策につきましては、従来から各種の中小企業施策の中でも格段に配慮を払ってきたところであり、四十九年度予算案におきましても、大幅な施策の拡充強化をはかることといたしております。
本法案は、このような施策の拡充強化と相まって行政機構の強化をはかり、小規模企業者に対する行政を強力に進めることを主たる目的とするものであります。
次に、本法案の内容につきまして、御説明申し上げます。
改正の第一点は、中小企業庁に小規模企業部を設置することであります。中小企業庁の現在の組織は、長官官房のほか、計画部及び指導部の二部によって構成されておりますが、以上申し述べましたような小規模企業対策強化の観点から、新たに小規模企業部を設置し、小規模企業対策に関する事務を行なうこととしております。
小規模企業部の所掌事務といたしましては、まず小規模企業に対する経営改善普及事業をはじめとする各種の小規模企業施策につきまして、その立案、実施に当たることといたしております。また、中小小売り商業及び中小サービス業は、その大多数が小規模企業でありますので、これら中小小売り商業及び中小サービス業に関する中小企業施策につきましても、小規模企業部において、他の小規模企業施策とあわせて一元的に所掌することといたしております。
改正の第二点は、従来ややもすれば不十分になりがちであった中小企業者からの相談、苦情の処理、あっせん等の業務を充実させることであります。すなわち、これらの業務を規定上明らかにするとともに、なかんずくその必要性が強く要請されていた小規模企業者、中小小売り商業者及び中小サービス業者につきまして、そのなまの声をくみ取り、親身な窓口となって、その声を的確に行政に反映させていくこととし、これらの業務を小規模企業部において所掌させることといたしております。
改正の第三点は、中小企業施策に関して漏れのない体制をとるよう万全を期するため、中小企業庁の所掌事務の整備をはかることとするとともに、以上のような小規模企業部の設置と関連いたしまして、現行の長官官房、計画部及び指導部の事務配分の若干の変更な行なうこととしております。
以上が本法案の提案理由及び要旨でございます。
何とぞ意のあるところを御賢察いただき、慎重御審議の上、御賛同くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/11
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012・徳安實藏
○徳安委員長 小坂総理府総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/12
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013・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 ただいま議題となりました皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
改正点は、内廷費及び皇族費の定額を改定することであります。内廷費及び皇族費の定額は、皇室経済法施行法第七条及び第八条の規定により、現在、それぞれ一億千二百万円及び千万円となっております。これらは、昭和四十七年四月に改定されたものでありますが、その後の経済情勢、なかんずく物価の趨勢及び二回にわたる国家公務員給与の引き上げ等にかんがみ、内廷費の定額を一億三千四百万円、皇族費算出の基礎となる定額を千二百十万円にいたしたいと存じます。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
次に、総理府設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
改正点の第一は、総理府本府の付属機関として、新たに迎賓館を設置することとしたことであります。
近時、わが国と諸外国との国際関係の緊密化に伴い、外国の賓客の来日がひんぱんとなっておりますが、これらの賓客については、国際儀礼に従い、その地位身分にふさわしい十分な接遇を行なう必要があります。諸外国におきましては、国が外国の賓客を迎えるにふさわしい宿泊施設を設けている例が多いのでありますが、わが国には、このような施設がないため、かねてからその設置の必要性が痛感されておりました。
政府は、昭和三十八年五月七日の閣議決定に基づき、旧赤坂離宮を国賓等を接遇するための迎賓施設として改修する工事を進めてまいりましたが、本年三月末に完成する運びとなりましたので、このたび、これを総理府本府の付属機関とし、館長以下所要の職員を置き、国賓及びこれに準ずる賓客の宿泊、招宴等に関する接遇を行なわせることとするものであります。
改正点の第二は、総理府の付属機関のうち同和対策協議会の設置期限を、昭和五十四年三月三十一日まで五年間延長することとしたことであります。
同和対策協議会は、同和対策として推進すべき施策で関係行政機関相互の緊密な連絡を要するものに関する基本的事項を調査審議することを目的として、さる昭和四十一年四月一日に、総理府の付属機関として設けられたものでありますが、その後、昭和四十三年及び昭和四十五年の二度にわたり設置期限が延長され、現在、その設置期限は、昭和四十九年三月三十一日までとされております。
しかしながら、今後とも同和対策事業の効果的な推進をはかるためには、同和対策協議会の積極的な活動が必要であり、また、昭和四十四年に制定された同和対策事業特別措置法は、昭和五十四年三月三十一日まで有効とされておりますので、同協議会の設置期限をさらに五年間延長し、昭和五十四年三月三十一日までとすることが必要であります。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
次に、恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。これは、昭和四十八年度における国家公務員の給与改善率による一五・三%の増額と、恩給と公務員給与との水準差を二年計画で補てんするための七・三五%の増額をあわせて行ない、恩給の年額を、原則として二三・八%増額しようとするものであります。
その第二点は、普通恩給等の最低保障制度の改善であります。これは、長期在職者の普通恩給または扶助料の最低保障額を二倍以上に引き上げるとともに、従来、最低保障制度がなかった旧軍人を中心とする短期在職者の普通恩給または扶助料で、六十五歳以上の老齢者または妻子に支給するものについても、最低保障制度を設けようとするものであります。
その第三点は、老齢者等の恩給の算出率の特例であります。これは、七十歳以上の老齢者、妻子または傷病者に支給する普通恩給または扶助料の年額を計算する場合には、実在職年の年数が普通恩給の最短年限をこえる一年ごとに、基礎俸給の三百分の一に相当する額を普通恩給年額に加えることによって、その年額を改善しようとするものであります。
その第四点は、旧軍人に対する一時恩給等の支給条件の緩和であります。引き続く勤務年数が三年以上七年未満の下士官以上の旧軍人またはその遺族に対する一時恩給または一時扶助料の支給については、下士官以上として一年以上在職することが支給条件となっておりますが、この条件を緩和し、下士官以上としての在職期間が六カ月以上であれば、一時恩給または一時扶助料を支給しようとするものであります。
その第五点は、普通恩給と併給される傷病年金等の減額率の緩和であります。普通恩給と併給される傷病年金の年額については、その二割五分が減額されておりますが、これを一割五分の減額に緩和し、あわせて第七項症の増加恩給の年額につき所要の調整をしようとするものであります。
その第六点は、扶養加給額の引き上げであります。これは、傷病恩給及び公務関係扶助料にかかる扶養加給額を、現職公務員の扶養手当相当額に引き上げようとするものであります。
以上のほか、教育関係職員の勤続加給の支給条件並びに外国政府等の職員期間及び恩給法施行前の異種公務員等としての在職期間の通算条件を緩和し、戦後の罪による軍法会議処刑者で恩赦を受けたものに対する恩給権を回復するとともに、元琉球大学教職員に対して恩給法を適用する等、所要の改善を行なうこととしております。
なお、以上述べました措置は、昭和四十九年十月一日から実施することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/13
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014・徳安實藏
○徳安委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/14
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015・徳安實藏
○徳安委員長 ただいま議題となっております各案中、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/15
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016・木原実
○木原委員 初めに宮内庁の瓜生次長に伺いたいのですが、国会の審議に通常長官はお出ましにならないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/16
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017・瓜生順良
○瓜生政府委員 従来から、宮内庁の事務についての政府委員は、宮内庁次長、それから皇室経済主管と二人になっておりまして、宮内庁長官は、政府委員ではないのでございます。それは陛下の側近にありまして、いろいろ御用があるから、そのほうを主としてやったほうがよかろう、しかし、特に長官が出なきゃいけない、しかも長官のほうも、都合がいいという場合には、従来も出ておるわけであります。そのかわり、説明員ということになりますけれども、出ないというわけじゃありません。しかし、政府委員というような義務的なものではなくて、説明員として、都合のつく場合には出るというふうになっているのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/17
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018・木原実
○木原委員 きょう私が、これから質問を申し上げることは、実は、次長さんでたいへんけっこうなんです。宮内庁の事実上の、諸般の事務を掌握されておりまして、諸般のことに精通されておりますから、決して私は不足というわけじゃございませんけれども、ただ、別の観点からしますと、そういう慣例になっておられることは、承知はいたしておったわけですけれども、やはり国会と宮内庁の関係、もしくは国会と皇室との関係は、ほかにめったに機会がないわけですね。せっかくの機会ですから、こういう問題が審議をされるときに、やはり陛下の一番側近におられる長官がお出ましになってきて、われわれと対話をかわされるということの中に、広い意味の政治的な意味があるように私は感ずるわけなんです。決して次長がわれわれの相手として不足だというわけではありません。
ですから、これは冒頭から少しあれですけれども、ぜひ機会がありましたら、お考えおきをいただきたいと思うわけなんです。きょう私が長官をお招きをすると、こういうことは申し上げませんけれども、しかし、よく御勘案をいただきまして、格別に格式を重んずる宮内庁でもありますが、われわれもまた、国会というものとそれから宮内庁を通じて、いろいろな問題について、何と言いましょうか、フランクな議論をしてみたい、こういう感じを持っているわけなんです。そういうことですから、このことはひとつ、今後の問題としてぜひお考えおきを願いたいと思います。
それから、委員長にもお願いがございますけれども、毎度、宮内庁の御出席は、次長ということでいままできておるわけです。お話がございましたように、特別の場合に、宮内庁長官をわれわれから呼ぶ、こういうかっこうになっているのですが、私は、やはり国会と宮内庁の関係というものを、いろいろな意味で豊かにしていくためにも、長官がおいでになるのが至当ではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。
いま、総務長官から趣旨の説明がございました。しかし、この法律にいたしましても、実際の執行の任に当たるのは、宮内庁であるし、総理府関係の他の外局も、それぞれの最高の責任者が国会には出てくる、こういうことになっておりますから、これは理事会等におきましても、ぜひひとつ、御相談を願いたいことだと思いますので、委員長にひとつお願いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/18
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019・徳安實藏
○徳安委員長 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/19
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020・木原実
○木原委員 それで、続いて次長にお伺いをしたいわけですが、いま説明を聞きました内廷費の増額の問題、それからまた、皇族費の増額の問題が改正案の中身でございますけれども、これは率直に申し上げまして、私ども何らのデータも持ってないわけなんです。
内廷費におきまして、約二千二百万円ほど増額をなさる。説明によりますと、最近の経済情勢等の推移にかんがみと、こういう御説明なんで、おそらく物価が上がった、こういう理由ではないかと思うのですが、しかし、その前提としまして、それでは、その内廷費で皇室がどういう御生活をなさっていらっしゃるのか、どういうことになっておるのかという前提が、実はさっぱりわからないわけなんです。したがって、なるほど物価も上がったから、この程度かなと腰だめで判断をする以外にはないような感じがするわけです。
そこで、伺いたいのですが、内廷費の増額をなさいました積算の根拠のようなものがありましたら、お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/20
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021・瓜生順良
○瓜生政府委員 内廷費の増額の積算の基礎は、内廷費の中に、物件費と人件費と、大きく分けると二つのことになります。物件費は全体の約七割、人件費は三割ぐらいで、物件費のほうが多いわけでありますが、その物件費につきまして、この現在の内廷費の金額のきまりましたのは、昭和四十七年度からで、ちょうど二年前になるものですから、この二年間に消費者物価指数が上がった、その金額を調べまして――その調べた時点は、昨年の十一月まででございます。といいますのは、皇室経済会議が十二月に開かれるので、それまでの、いわゆるきょう時点からすると、ちょっと古いかもしれませんが、十一月までで調べまして、その二年間の増加率が消費者物価指数で一六・五%でございます。その率を、その七割占めるところへ掛けます。
それから、人件費の関係は、この三年間に国家公務員のベースアップが二回ありますが、その二回分を合わせますと二七・七%になります。消費者物価指数よりも高いわけでありますが、二七・七%でございます。それを人件費の部分に掛けます。そうして、その金額を出しますが、全体につきますと一九・六%の増ということになります。物件費の増と人件費の増と違うものですから、全体をならしますと一九・六%、そういうパーセンテージになりますので、それを、いままでの内廷費のところへ加えまして、その金額を出しましたのが、この一億三千四百万――端数がございます。正確に言いますと、一億三千四百五十九万ということになりますが、五十九万の端数を切りまして、一億三千四百万というふうにすることが適当であるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/21
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022・木原実
○木原委員 積算の根拠は、何かわかったような気がいたします。
問題は、その前提になっておる、物件費と人件費とおっしゃいましたが、実は、この運用の中身というものが、不敏にいたしましてわからないわけなんです。ですから、このもとになる――物価や人件費が、これだけ上がったから、これだけふやしたいという理由は、いまお尋ねしまして、そのことはわかりました。しかし、その前提になっている物件費や人件費、つまり内廷費を運用される前提になっているものが、適正であるのかどうかということを判断することがなかなかむずかしいわけです。
どういう物件費が要って、どういう人件費が要るのか、このことについて、実は、私どもデータがないわけなんです。御説明願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/22
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023・瓜生順良
○瓜生政府委員 物件費に当たりますものとして考えられますのは、御服装の経費とかお食事の経費、それから、いろいろ御研究になる御研究の経費ですとか、御交際がありますから、私的な内廷としての御交際費、それから内廷として物を賜わったりすることがあります、人に物をおあげになる……。それから御旅行の経費、これは公的でなく、私的な御用邸あたりの御旅行なんか入りますが、御旅行費、それに御神事、宮中三殿でいろいろお祭りがありますが、これは私的なことになっております。その御神事の経費、そういうようなものにお充てすることになります。
それから人件費の関係は、現在、内廷の職員、つまり国家公務員でなくて、天皇陛下が私的に使用しておられる、そういう内廷の職員というのが、定員で二十五人であります。ちょっと欠けている場合もありますけれども、二十五人。そのおもなものは、掌典などであります。つまり、神事に携わる職員。専心神事に携わる職員は、現在のたてまえ上、内廷の私的な職員。それから、生物学御研究所でお手伝いをする職員がございますが、これも私的な御趣味の面のお手伝いというので、内廷費でまかなっております。それからなお、一部ずっと下のほうの働きの、いわゆる女中の中の一部分ですけれども、特に掌典関係とか、そういうところに女中がおりますけれども、これは神事関係なものですから、そういうのは内廷費で、それで二十五人というのがあるわけでありますが、そういう人の人件費。
なお、この人件費の中には、そのほかに非常勤で、いろいろおりに触れて人を頼んで、その場合に謝金を出されたりする場合があります。それは二十五人以外でありますけれども、そういうものも人件費という計算の中に入れております。さような事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/23
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024・木原実
○木原委員 皇室の収入は、内廷費以外にはないわけですか。たとえば雑収入に類するようなもの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/24
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025・瓜生順良
○瓜生政府委員 いまの御質問は、皇室の私的な収入、私経済への収入だと思いますが、私経済の関係で、内廷費のほかに、陛下が御木なんかをお書きになりますが、そういう印税なんかが入ったりする場合もあります。これは、そう多くはありませんけれども、それには税金もかかっておるわけでございます。
そのほか、内廷費のうちで、時によると不時に備えて預金をしたり、有価証券を買ったりしておられますが、それの利息とか配当とかいうものがございます。これも、やはり税金はかかっております。そういうものは、ほかにもありますが、ごく一部分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/25
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026・木原実
○木原委員 そうしますと、内廷費の運用みたいなことは、なさるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/26
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027・瓜生順良
○瓜生政府委員 不時に備えて預金をしたり、有価証券を買ったりということはされております。たぶん、そのことかと思いますけれども、そういうことはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/27
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028・木原実
○木原委員 いろいろと収入についても、法律上の制約があるわけです。たとえば献上につきましては、一定のワクがあるわけですけれども、これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/28
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029・瓜生順良
○瓜生政府委員 現在、献上につきましては、法律で内廷は年額三百三十万までは国会の議決が要らない、それをこす場合には国会の議決が要る、こうなっております。憲法第八条からきていることでございまして、その規則ができる前は、終戦直後の場合ですと、小さいものも一々国会に出されたこともあるようですけれども、非常に煩瑣だというので、年額三百三十万までは、一々国会の議決が要らないということになっております。
それで、この三百三十万といいますのは、内廷ですから、天皇、皇后両陛下から皇太子、同妃殿下、それから東宮さんのほうの三皇子さんというものを含んだものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/29
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030・木原実
○木原委員 プライバシーにわたることですから控えたいと思いますけれども、御下賜金につきましては、これは何かお出しになる基準というものがあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/30
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031・瓜生順良
○瓜生政府委員 御下賜金、これも皇室経済法で、年額九百九十万までは国会の議決が要らないというのがあります。その範囲内でのことでありますが、いろいろな災害があった場合のお見舞い金、これも一応前例を基準にしながら、前例がこうだからこうだというふうに……。しかし、情勢が変わりますと、また変えたりもするというようなことで、きちっとしたものではございません。前例が大体基準の一つということであります。
そのほか、学士院のほうの恩賜賞ですとか、芸術院の恩賜賞なんかも、そうですけれども、これも大体、前例によりながら、しかし、だんだん少しずつ上げたりしております。そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/31
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032・木原実
○木原委員 社会施設等に御下賜金をお出しになる、こういう場合は、何か申請に基づくのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/32
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033・瓜生順良
○瓜生政府委員 これは、必ずしも申請に基づくというわけではございませんで、皇室のほうから、何も申請がなくてもお出しになる場合がありますけれども、たとえば天皇誕生日あたりに、まとめて優良社会事業施設なんかに賜わる場合ですと、厚生省ですとか、団体によりますと、法務省のほうもありますけれども、そういうところから、こういうところへというので書面をいただいたりいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/33
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034・木原実
○木原委員 これは、仄聞ですから、聞き流していただいても、けっこうだと思うのですけれども、御下賜金につきまして、ある種の運動が行なわれて、御下賜金をいただいたということで、さらに寄付等を募って施設をふやした、こういうような話を仄聞したことがあります。そうなりますと、そこに御下賜金をもらう運動のようなものが背景にあったり何かすると、少しおかしくなるのではないかという事例を仄聞したことがございます。そういうことはございませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/34
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035・瓜生順良
○瓜生政府委員 宮内庁に対して、そういうふうな働きを受けたことは、いまのところございません。各省のほうから、御推薦のある場合にあれするとか、お願いにいかれたということはあるかもしれませんけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/35
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036・木原実
○木原委員 そうしますと、県なりあるいは関係省庁なり、そういうところから、たとえば非常に優良な施設であるというような推薦のようなことはあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/36
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037・瓜生順良
○瓜生政府委員 推薦はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/37
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038・木原実
○木原委員 たいへん物価が高くなりまして、われわれの家庭の中でも、いろいろと難渋しておる面が出てきておるわけですけれども、陛下は、物価の問題について御関心をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/38
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039・瓜生順良
○瓜生政府委員 国民生活に大きな影響のある物価問題、これは相当御関心をお持ちでございます。ですから、時によると、そういう面の御進講をお聞きになって、御勉強になって、実情を御承知になろうというふうに努力もなさっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/39
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040・木原実
○木原委員 たいへん質素な生活をなさっておるという話を、いつかの機会に私ども聞いたことがございます。特に、物価の問題だとかあるいは物資の不足だとか、ここのところ、社会的にも急激に大きな問題になっておるわけでありまして、天皇が御自分の御生活の中からも、あるいはまた新聞やテレビ等もごらんになり、御進講なども聞いて、いろいろと御関心をお持ちじゃないか、こういうふうに私どもは想像をするわけですけれども、それらについては、何かおことばのようなことがございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/40
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041・瓜生順良
○瓜生政府委員 特別のおことばというようなことは、私も聞いておりませんですけれども、御進講を受けられる際に、いろいろ心配した意味の御質問は、そういう人にされておりますから、いろいろ御心配にはなっておられることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/41
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042・木原実
○木原委員 今度出されております増額の問題につきまして、基準になっておるのは、物価高と人件費の上がったこと、こういうことが理由になっておるわけで、その限りにおいては、私どもも了承ができるわけでございます。
ただ、前提になっておる前々年度まで一億一千万円であったというその基準が、はたしてそれでいいのか。つまり一般でも生活様式が変わってきておりますし、それからまた、内廷においても、どう言ったらいいのでしょうか、やはりいろいろと諸式が変わっていく過程の中で、今度の増額は、積算をされる前提になっているものが、適正であるかどうかということについて、私ども、なかなか客観的に判断することができにくいわけなんです。
いま、お話がございましたように、こういう方面に費用がかかるんだということで、物件費の項目だけは承りましたけれども、はたして、それが適正なものであるかどうかということについては、御説明だけでは、なかなか私どもも理解できない側面がございます。やはり宮中の生活も、時代につれて変わっていくわけですから、そうなりますと、出費の面におきましても、それぞれ変わっていかなければならない。そういう、つまり新しい要素というものは、今度の分の中には入っておりませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/42
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043・瓜生順良
○瓜生政府委員 今度のは、先ほど御説明申しましたように、消費者物価指数を物件費にかけ、公務員ベースアップ率を人件費にかけるというわけですから、この内容の実質的な改善というようなものはなくて、以前の形でそれが無理なくいくようにというだけであります。
これは、ときどき、この問題を議論する方の中で、人によりますと、普通の給与のほうでいきますと、消費者物価指数のそれよりもプラスアルファして待遇改善なんかもあるんだから、あるいは情勢によって、もっとふやしたらどうかというような御意見を言われる方も、ときにはあると聞きますけれども、しかし、皇室としては、質素を旨としてずっときておられまして、いろいろやはりやりくりをしてやっていくのがよかろうというふうなお気持ちでおられるように拝察しておりますものですから、特別に、さらに新規に、こういうことがありますからふやしていただきたいというようなことを、いまは提案いたしておりません。
ただ、将来、内廷のいろいろ模様が変わりまして、実際問題として、やはりこういうような、どちらかというと、形式的な計算だけではいけないというような事情がありまして、しかも、それが皆さまの御納得のいくような事情であれば、こういう方式以外のことも考えていただいて――場合によっては、あるいはあるかもしれません。それは、ちょっと予測はできませんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/43
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044・木原実
○木原委員 この機会に、次長にお願いしたいのですが、内廷費の収支といいますか、そういうものについて、何か資料としてお出しいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/44
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045・瓜生順良
○瓜生政府委員 内廷費は、それは私経済的なもので、皇室経済法にも、内廷費はお手元金とし、宮内庁の扱う公金としないということで、まあ、私経済的なものですから、全くプライバシー的なものですから、これは、やはり御遠慮をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/45
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046・木原実
○木原委員 その辺、確かにお手元金ということになっております。しかし、われわれは、いつも審議をするたびに、私も、これで三回目か四回目審議に加わったのですが、つまり、宮内庁のほうから出してこられます、たとえば増額あるいはその前提になっておるお手元金のワク、そういうものが、客観的に見て、つまり、われわれから見て、適正であるかどうかということについての判断の基準というのが、実はなかなか出ないわけなんです。
というのは、われわれが宮中のことについて、非常にふだんからうとい、あるいはまた知ろうとしても知れない。しかし、現実には、一億円余りの費用というものを支出してほしい、こういって法案が出てくる。それについて、私たちが賛否を決する、適正かどうか、こういうことについて、判断をする前提になるものというのが、いつもないわけなんです。
私は、いままで、こういう形での質問は、実はしたことがないわけなんですけれども、今度出されまして、お手元金であるし、プライバシーにわたる面もある、御遠慮しなくてはならぬという面が確かにあるということは、承知なんですけれども、しかし、それにしても、審議に加わっている者として、これでいいのか、多いのか少ないのかという判断ができない。腰だめで、物価も上がったんだから、この程度上がるのはやむを得ない、しかし、その前提になっている、いままで一億一千万円ではたしてよかったのか悪かったのか、こういうことについての判断がなかなかしにくい。そこが問題なんです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/46
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047・瓜生順良
○瓜生政府委員 これも、なかなかむずかしい点でございまして、内容については、実は宮内庁で、経済主官が内廷会計主官というので実際いろいろお手伝いしていますから、ある程度承知はいたしておりますけれども、しかし、やはり私経済の内訳を一々出すというのも、どうもたてまえ上感心しないということで従来からまいっておりまして、実情を申しますと、ほんとうは手一ぱい、場合によると、足らない場合は、前にたくわえておられた中から出しておられるというような事情でございまして、われわれとしても、この程度のことは、やはり御承認をいただくことが適正だろう、こう思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/47
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048・木原実
○木原委員 その辺が、われわれは、審議をする立場なものですから……。おそらく国民の中には何だ、これほどの費用でお過ごしになっておるのか、こういう感じを持つ方もいらっしゃるし、あるいはやはり多いじゃないかという判断をする方も当然おるわけなんですが、しかし、いずれにいたしましても、その判断をする根拠というものがないものですから、腰だめの議論しかできない。われわれも腰だめの議論しかできない。こういうことなんです。そうしますと、審議をする立場からすると、たいへんどうも歯がゆい思いをするわけなんです。
ですから、もし、むずかしいということですと、あれですが、いま、次長おあげになりました、物件費の中の大ワクの項目についてのお金の動きというようなものでもけっこうだと思うのですが、むずかしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/48
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049・瓜生順良
○瓜生政府委員 こまかい一々の内訳を、従来から御遠慮願っているわけですが、先ほど申し上げた物件費的なものの計算をもう少し言いますと、物件費なものでいきますと約七割と申しましたが、計算をする場合には、こういう計算をしておるということを申し上げます。
改定の際には、実際上御必要なものが、従来の実績でわかりますから、それで計算して、まず物件費は、いままでのところの一億一千二百万円のときですと七千三百万円であったわけですが、それが一六・五%上がりますと八千五百万円くらいになります。それから人件費のほうですと、従来のですと二千九百万円ばかり、それが三千七百万円に上がる。
そのほかに、不時の支出がよくあるのですが、いままでのを基礎にして計算して見ておりましても、また不時の支出、特に、私経済的な面は、国家予算の場合と違って、不時の支出があるものですから、その金額に予備費というのを一割かけております。そうすると、従来の支出に一割かけますと約一千万。今度ですと、一千二百万というのが、予備費的なもので加わっております。その総計額を出しまして、それが従来一億一千二百万円で、今度は一億三千四百万円。
それで、その予備費的なものを支出するために組んでおる関係もありまして、内廷費の改定につきまして、増額を必要とするパーセンテージが一〇%に満たない場合は、その改定の提案をしないという、これは皇室経済に関する懇談会というのが開かれておりまして、そういう方針がきめられております。ですから、昨年は、改定の提案はなかったわけです。今度のですと、先ほど申しましたように定額では一九・六%も上げないといかない情勢になっておるものですから、それで改定をお願いするというようなことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/49
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050・木原実
○木原委員 大蔵省に予算を要求されるときも、そうしますと項目別のものはお出しにならないわけですか。増額分についての積算の基礎はお出しになりましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/50
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051・瓜生順良
○瓜生政府委員 大蔵省のほうへも、物件費のずっと内訳のこまかいものは出してはおりません。大ワクの、いま申したようなことは出してあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/51
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052・木原実
○木原委員 これは、何といいますか、会計検査院も立ち入りができない。それから、何といいましょうか、ひっくるめてお手元金として国民から差し上げる、こういう形になっているわけなんですが、しかし、繰り返すようですけれども、審議をする立場としましては、いつも皇室経済法が出てくるたびに、私どもも歯がゆい思いをするわけなんですが、わからないわけなんです。これが適正なのかどうなのかということの、少なくともわれわれが判断できる、基準になるようなものを、何か適当な機会にお示しいただきたい、こういうふうに思うわけです。願わくは、われわれが判断のできるような形のものをやはり資料としてお願いをしたい。しかし、それがむずかしいというのならば、何らかの形で、私どもがああそうかと判断のできるようなものを、口頭ででもお示しを願う、こういうことはむずかしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/52
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053・瓜生順良
○瓜生政府委員 従来の考え方からいいますと、皇室経済の点で一々出すというのは、むずかしいという点があるわけでございます。なお、研究をいたしてみますけれども、これは現在、ちょっとむずかしいというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/53
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054・木原実
○木原委員 私は、決してプライバシーの中に立ち入るつもりはございませんし、それから一定の限界があることも承知をいたしておるわけであります。
ただ、皇室のことについて、国会というところは、昔と違って、もっとフランクにいろいろな問題について議論をする、そういう意味では、この国会を通じて、皇室と国民との関係というものが親密になっていくということを願う立場なんです。
ですから、こまかく立ち入ってどうこうしようという思いはございません。ただ、おそらく国民の中には、そうか、皇室の広い意味の御生活費というものが一億一千万か、それでは少ないじゃないかと考える人もいるだろうし、多過ぎると考える人もいるだろう。しかし、そのいずれも、判断の基準になるものが、審議に参加するわれわれにもわからない。これでは、ちょっと私どもの職責も尽くせないような感じがするわけです。
ですから、くどいから申し上げませんけれども、何か私どもが公正に判断のできるような、そういう資料なり、材料なりというものを、何らかの機会にお示しを願いたい。これは、もう要望を申し上げておきます。
何回か、この審議に参加をいたしまして、いつも、そういう感じを抱いておりましたので、これは、ひとつお願いを申し上げ、また委員長のほうでも、何か私どもの気持ちをくんでいただきまして、理事会等でおはかりをいただきたいと思います。
それから、いま一つ、次長さんにお伺いしますけれども、三里塚から宇都宮のほうは御料牧場が移りましたですね。宇都宮のほうは、かなりうまくいっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/54
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055・瓜生順良
○瓜生政府委員 宇都宮の郊外の高根沢の御料牧場でございますが、あそこに移りましてから、非常に順調に、どっちかといいますと、三里塚の場合よりもいい面が出ておるぐらいに順調に進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/55
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056・木原実
○木原委員 そこでは、おもにどういうものを、やはり牧畜関係、それから蔬菜、そういうものをやっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/56
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057・瓜生順良
○瓜生政府委員 あそこでは、乗馬、競馬の飼育、それらは皇室の用に供しますものですから……それと乳牛がおります。それから豚、これは食用になります。それから羊、これも主として食用でありまして、よく園遊会やなんかのときのジンギスカンなべなんかは、あれを持ってきているわけです。それから鶏、鶏の肉も食べる場合があります。それから卵というのが主で、そのほか野菜の関係は、一部やっておりますけれども、三里塚の場合に比較いたしますと、ずっと範囲を狭めております。大体、必要とされる範囲。
それから特に、これは、野菜と違いますが、動物の飼料で、その一部分について、ぜひあそこでやったほうがいいというものは、あそこでやって、そのほかは、ほかの飼料を購入して、それぞれやっております。ですから、三里塚の場合に比較して、そういうものの購入量はふえておりますけれども、そういう点が違いますが、全体としては順調にいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/57
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058・木原実
○木原委員 三里塚のほうには、もう何にも残っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/58
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059・瓜生順良
○瓜生政府委員 三里塚のほうには、いま何にも残っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/59
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060・木原実
○木原委員 宮内庁関係の建物なども、あれは買収に応じられたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/60
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061・瓜生順良
○瓜生政府委員 あそこにありました建物も、全部開放いたしました。あの事務所なんかのあったあたりは、公園のようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/61
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062・木原実
○木原委員 地元の農民諸君は、たいへん瓜生次長を尊敬をすると同時に、もう一ふんばりふんばってくれればよかったということを、いまだに言っておりますから、そのことを申し伝えておきます。
何と申しますか、昔からの由緒ある牧が飛行場につぶされてしまった、われわれは、やせても枯れても、皇室の直系の農民だ、こういって、いまは反対運動の先頭に立っておる闘士といわれるような諸君が、明治天皇の御製を奉唱して、世が世なれば友納のごとき、佐藤のごときとこういって恨んでおります。ただ、頼みとしたのは、瓜生さんが農民諸君の陳情をあたたかく受けてくれて、宮内庁は、やはりわれわれ農民の味方である、われわれの牧は、天皇家とともに絶えることがない、こういって喜んだのもつかの間でして、あと一年ばかりしますと――宮内庁のほうも買収に応じられたものですから、いまはコンクリートの、たいへんひどい荒れ地になってしまいました。残されました、特に年を取った農民諸君は、瓜生さんがもう少しがんばってくれればと、こういうことを盛んに申しておりました。これは、ひとつこの機会に申し添えておきます。
どうも一番大事な、今度の皇室経済法の中での判断をする根拠というものが明白ではございませんから、私どもとしましては、これが、はたして適切であるかどうか、腰だめによって判断をする以外にはないというのが、私の結論でございますので、次長に対する質問は、この辺で終わりたいと思います。
続いて、総務長官にお伺いしたいのですが、実は、元号の問題なんです。何かことしになりまして、一、二の新聞紙上その他で、元号について国民の人たちの意見があるのを散見いたしました。
お尋ねしておきたいことは、元号の問題について存続をする、あるいは廃止をする、いろんな考え方が、この委員会でも過去に論議はございました。しかし問題は、いずれにせよ手続ですね、手続については明確にしておく必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけなんです。したがって、それらの手続の問題について、何かお考えがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/62
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063・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 ただいまの元号の問題でございますが、これは明文にないことは、御承知のとおりでございまして、また、この手続を明確化するというか、あるいはどうするかという問題につきましては、ずっといろいろな面で検討を続けておるという程度でございまして、まだ明確な方針を打ち出すということになっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/63
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064・木原実
○木原委員 何か自民党の与党筋の中でも、元号の問題について、意見を取りまとめられるような動きがあるやに聞いております。現在「昭和」という年号が使われておりまして、これが元号でございますけれども、これを制定されたときといまは、事態が非常に変わっているわけですね。そうしますと、われわれ一番心配いたしますことは、どういったらいいのでしょうか、つまり事前の何か計らいなしに、従来のしきたりを踏襲されるようなかっこうで、突如として政府の、たとえば政令その他できまっていく、こういうようなことになると、これは、たいへん大きな問題でございますから、問題ではなかろうか。
それならば、もう戦後でも、何回か元号問題というのは論議の対象になったことがありますから、せめて元号を廃止するにせよ、あるいはまた制定をするにせよ、存続をするにせよ、それらのことについて決定をしていく手続、たとえば国会を通すのか通さないのか、政府の行政措置でやられるのか、大ワクぐらいのことについても何か考える時期に来ているのではないか、こう思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/64
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065・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 党のほうでも、いろいろと元号問題についての小委員会を設けられてやっていらっしゃることも聞いておりますが、政府といたしましては、いまのお話は、非常に重要かつ厳粛なことではないかと思っておりまして、なお、引き続き検討するということを申し上げる程度だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/65
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066・木原実
○木原委員 なかなか慎重ですけれども、どこで御検討なさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/66
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067・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 検討をしているということは、御承知のように公式制度連絡調査会議というものがございまして、そこでいろいろと過去においても検討してまいっておったわけですが、しかし、ただいまのような今日の「昭和」という元号は、御承知のように、国民的に、慣習、習慣と申しますか、なじんでおることでもあるし、法律的に明文はないといたしましても、慣習としては、いま成立していると思いますが、同時に、ただいまのような御質問は、きわめて重要であると同時に、厳粛な問題でございますので、さらに各方面の御意見を伺いながら、慎重に検討していくという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/67
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068・木原実
○木原委員 国民にとりましては、もちろん厳粛な問題であると同時に、これは歴史的にも、それからまた、社会生活の上からも、たいへん重要な問題だと思うのです。そして、現に、おりに触れて国民の関心があるわけです。中には、西暦に統一をしたらどうだ、こういう意見があるのも御案内のとおりです。それからまた、やはり古来からの風習を継承したらどうか、こういう意見のあるのも御案内のとおりです。それからまた、昭和限りでやめるのが、たとえば天皇制というものの変遷から見ても、至当ではなかろうかという意見のあるのも御承知のとおりなんですね。
しかし、いずれにしましても、国民の側から見ますと、厳粛であると同時に、これは、日常の日本人の人生の中に深くかかわってくる問題である。そういうことを考えますと、御検討なさり、調査研究をなさる、こういうことであれば、少なくとも、それらを決定していく方法等については、お考えになっていく時期が来ているのではないのか、こういう考えを持つわけなんですが、重ねて伺いますけれども、そういう措置に出られるお考え方があるかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/68
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069・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 木原委員のただいまの御主張は、私、個人としましては、よく意味がわかるわけでございますが、どうも同じことを繰り返して、たいへん申しわけございませんが、現時点において、政府としては、きわめて重要かつ厳粛な問題だということで考えておって、さらに慎重に検討をしていくという――どちらの方向に検討していくかということよりも、引き続いてこの問題を、ただいまの御意見等もよく拝聴いたしておりますから、そうしたことも含めながらも、さらに検討していくという姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/69
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070・木原実
○木原委員 私も同じことを申し上げますけれども、心配いたしますのは、少なくとも元号の問題について、この委員会の中でも意見が分かれると思うのです。現に、「昭和」という年号、たとえば官庁の文書等でも、外務省は、やはり西暦を使っていると思うんです。それからまた、公式には「昭和」ということが使われる、しかし研究家あるいはまた国民一般の生活の中でも、もう西暦と「昭和」という年号が、相互に入り乱れて使用されているという問題がある。それからさらに、深刻に考える人たちは、やはり天皇をめぐる制度の変遷に伴って、もう元号の時代というのは、昭和一代で終わりではないのか、それが至当ではないのか、国際的な社会の中で生きていく日本としては固執すべきではないのではないかという意見もある。そうしますと、私が一番おそれますことは、そういうふうに意見が現に分かれておると私は、判断しておるわけなんですけれども、国民の意見が分かれている際に、ただ、政府が慎重に検討をする、しかし、ある日突然、政府の政令でたとえば元号が新しく制定をされる、あるいはその逆であるとか、こういうことであっていいのかどうかと、こういうことなんです。ですから、慎重に政府の部内で検討されるのは、けっこうなんですけれども、しかし、事が事であるだけに、少なくとも、たとえば国会を通すとか、あるいはまた、しかるべき機関をつくるとか、あるいはまた異なった意見を持つ国民の、それぞれの意見を集約する場をつくるとか、そういう手続上の制度なり、機関なり、措置なり、そういうものについて、それこそ慎重に措置をすべき段階に来ているのではないのか、こういうことを申し上げているのです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/70
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071・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 木原委員の御意見は、十分拝聴いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/71
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072・木原実
○木原委員 私の意見を拝聴されたばかりでは困るのですけれども、厳粛な問題だけに、私どもが、なかなか申し上げにくいこともあるわけなんですが、しかし、少なくとも政府は、この問題について、従来よりも一そう慎重に検討を始める、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/72
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073・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 元号問題につきましては、非常に厳粛な問題でございますというもちろん前提でございますが、それなりに、ただほうってあったわけではないので、一応の世論調査を三十六年にやり、また四十七年にも世論調査をやっております。そうしたような世論の動向等も、一応参考として考えておること、あるいは小、中学校の、あるいは高校の教科書の中にも、年号と西暦とを併用するというふうなこともきめておるとか、いろいろなことをやってはおるわけでございます。
私は、やはり一定の、何と申しますか、日本人社会において定着しておるということも、これは、やはり政府としては重要な問題だと考えておりまして、それを踏まえて検討をしていくというふうに申し上げるしかないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/73
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074・木原実
○木原委員 それでは、もう少し長官の御意見を二、三聞いておきたいと思うのですが、一つは、元号についての考え方なんです。確かに世論調査など、私も拝見いたしました。それから、さまざまに国民の意見が最終的には分かれているという判断を私はしたわけなんですが、それらについて、集約をしていく、あるいはまた、政府としてまとめていく、これについては、ただ、いままで国民の声を、いろいろな機会に聞いてきたというだけで、それ以上には出ていないのですか、それとも積極的に、やはり大事な問題であるだけに、専門家の意見もさらに徴するとか、あるいはまた、必要な各省の方々に何かを委嘱して調べるとか、そういう面での措置は進んでいるのですか、いないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/74
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075・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 この問題につきましては、ここ一、二年は、あまり積極的な取り組み方がなされておらなかったわけであります。
しかし、繰り返して申し上げますが、きわめて厳粛なことでございますので、先走ってそういうふうなことをやることがいかがかというような気持ちもあって、非常に率直に申し上げれば、ちょっと手を出し得ないというような雰囲気もあるということは、御承知いただけると思います。しかし世論が非常に大きなものになるならば、またさらに、元号というものを制度化する手続について、もっと明確化しろというような御議論が、いままでよりもはるかに大規模に、かつ深刻に論ぜられる場合には、当然、それは一つの国民の声として、政府は動いていく用意はあります。
しかし、何もそうしたことを拡大して進めてほしいということは、率直に申し上げてないわけでございます。いままで、この数年、この問題については、あまり手を出してないという事実は認めますが、今後、また当委員会のいろいろな御質疑を通じましてお話があれば、もう少し世論調査をしたり、あるいはまた、そうした問題について、さらに広い視野から、いろいろな方に御意見を承るということは、いいことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/75
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076・木原実
○木原委員 たとえば、国会が提案をするというようなことについてはどうですか。政府のほうでおやりになるお気持ちなのか。われわれとしては、いまは、何ら手続についてのあれがないわけですから、この種の問題――従来の慣例、やり方はございますが、しかし、それになじまないでやるということになれば、私どもも手段、方法については考慮するところがあるわけですが、ただ繰り返すようですけれども、政府がいろいろ研究した結果だといって政令その他でお出しになる、その結果をおそれるわけです。たとえば、国会が提案をするというようなことについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/76
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077・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 現段階では、そうしたところまで政府部内の考え方は進んでおりませんので、また……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/77
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078・木原実
○木原委員 終わりますけれども、元号の問題につきましては、キリスト教国でない国々でも西暦を使ったり、いろいろと国によって、歴史や社会的な慣習の違いがありますけれども、国際的な社会、地球は狭くなった、交流がひんぱんになってきている、こういう状況のもとでは、やはり西暦が世界的には普遍的な要素になってきている、そういう印象を私は受けるわけです。
そしてまた、元号ということになりますと、日本の古来の風習だ、国民の中にもなじんでいる、そういう側面が確かにあることも認めますけれども、しかしながら、源流をさかのぼっていくと、やはり天皇という制度の一つの変遷ということについても、深く思いをいたさなくてはならない、こんなようなことをいろいろ考えますと、いずれにしましても、大きな英断の要る問題ではないかと思います。
したがいまして、すみやかに元号問題等について調査をし、それから決定に至る手続その他について考え方を明らかにするように、これはひとつ、要望をして私の質問を終わりたいと思います。
最後に、感想がありましたら、ひとつ承りまして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/78
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079・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 御要望は承りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/79
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080・木原実
○木原委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/80
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081・徳安實藏
○徳安委員長 鬼木勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/81
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082・鬼木勝利
○鬼木委員 瓜生次長さんにお尋ねします。
久々に瓜生さんに拝眉の栄に接しまして、まことに光栄に存じます。ますます御発展で慶賀のきわみであります。
皇室経済法施行法の一部改正の審議でございますが、これを拝見させていただいて、一億千二百万の内廷費を一億三千四百万に改定する。一九・六%のアップだ。これは施行法の第七条の改正だと承知いたしておりますが、これは、たいへんけっこうだと思いますし、なお、皇族費算出の基礎の定額一千万円を一千二百十万円に改定する、これは八条の改正だ、こういうふうに説明してありますが、二一%のアップだ。
そこで、いろいろ説明をお聞きしたのでございますが、今回の内廷費及び皇族費の定額を改定されたその根拠、それが少々はっきりしないようで――変更の沿革は、一応ここへプリントをいただいております。これも、ちょっと私、疑問があるのですが、どういう点を算定の基礎とされたのか、そういう点を瓜生次長さんから、少しお話を承りたいと思うわけであります。
いま、木原先生からも、内容についてお尋ねがあっておるようでございましたが、少し私おくれてまいりましたので、二重になれば、たいへん恐縮ですが、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/82
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083・瓜生順良
○瓜生政府委員 この算定の基礎は、内廷費のうちで物件費に当たる部分がありますが、その部分に、この前改定になりました昭和四十七年度からですか、二カ年たっておりますが、二年間に消費者物価指数の上がりました率が二八・五%ですから、その一六・五%をかけ、人件費に当たる分について、二カ年間に公務員の給与のベースアップが二回ありまして、その増加率が二七・七%ですから、それをかけて、その金額を出す、なお、そのほかに従来改定の機会には、予備費というのを一割見ておりますが、その部分が加わっております。そしてその加えた金額が、一億三千四百五十九万くらいになりますので、一億三千四百万ということでお願いをしようということで、その増加率が先ほどおっしゃいましたように一九・六%ということであります。
皇族費につきましても、その算定のしかたは同じですけれども、皇族費の場合は、物件費と人件費の割合が、内廷費の場合とは違いまして、物件費と人件費が大体半々ぐらい、人件費のパーセンテージが高いわけであります。したがって、人件費の増加率が消費者物価指数よりも高いものですから、そこで、そのトータルとして定額の二一%、内廷費よりも増加率が高いものになるわけでございます。それをお願いをするというような計算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/83
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084・鬼木勝利
○鬼木委員 そういうことは、大体、私も説明を聞いたのでございますが、人件費と物件費が、物件費が私の計算では七百万円のようですが、人件費が六百六十万。東京都の物価指数は、ここに出ておるようでございますが……。ところが、物価とにらみ合わせて、国家公務員の給与改定をも参酌して、二年に一回こうして皇室費を上げておるのだ、そのところが、私、どうもはっきり納得できないのでございます。国家公務員のアップは、毎年やっておる、ところが、皇室に限って二年に一度だ、どうも、そこのところの算定基準が、私、どうしてもはっきりしないのです。
毎年上げていらっしゃれば、これは、はっきりしますけれどもね。公務員の二年間の給与のアップの実情を見て、そして、それをやったと、あなたはこうおっしゃっている。二年間の時期的な期間の問題もありますからね。ただ上がっただけを二年おくれでアップする、どうもそこのところがどうですか、次長さん、私、はっきりしないのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/84
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085・瓜生順良
○瓜生政府委員 この内廷費、皇族費の定額を改定する際の計算の方法として、先ほども一割の予備費というものを、不意の支出のために認めるということも申し上げたのですが、ある程度のゆとりをつけてあるということであります。
一方、皇室経済に関する懇談会で、この内廷費なり皇族費を上げる場合は、どういう場合に上げるかという基準を、やはりつくったほうがいいじゃないかということで、基準をつくったら、いつでも――実は、この内閣委員会で、議員さんからも提案されて、それから皇室経済に関する懇談会で相談の上、結局、一割以上上げる必要がある場合には――一応予備費に一割だけ見てある。まあ、一割以上上げる必要があるような場合には、改定をするというような方針をここで示されました。
そこで、この一割に満たない場合には、改定をお願いしてない、一割をこす場合には、お願いするというようなことになっておりまして、最近の物価指数の上がりで見ますと、今度は、二年目で、さっき申したように、一割をこしておるわけです。一年目の、ちょうど去年のこの国会の前あたりの計算ですと、まだ一割に満たなかったのであります。ところが、その後、また変わってきまして、いま申しましたように、一九・六%、二一%も上げなければいけない。そうしないと、実際は、内容は実質ダウンになるから、それではやっていけないという意味で、御無理のないようにというので変えております。
ですから、これは二年に一ぺんと限ったわけではなくて、物価の値上がりも、そんなになくなる、それに伴うて一般の公務員のベースアップも率が低くなる、そういうようなのでずっと安定すれば、これが四年も五年も十年も、そのままでいいということも考えられる。そして、この定額というのは、法律でも定額というようになっておりまして、定額というのは、むやみに動かさぬという意味で定額になっているのだと思います。そうなれば、ずっと十年も動かさなくてもいいという場合もあります。一方、急激に物価が上がってくる、そのため一年たったら、もう一〇%をこす増加が必要であるという場合には、来年また、すぐ次の年に改定をお願いしなければいかぬということで、二年に一ぺんと限っているわけじゃないのでありまして、定額でありますので、必要に迫られなければ、ずっとそのまま置いておく、しかし必要があれば、毎年でも上げることをお願いしようということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/85
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086・鬼木勝利
○鬼木委員 私、不肖にして、その点のところのあれがよくわかりませんけれども、瓜生次長のお考えとは見解が違う。毎年これを上げるとはきまっていない、あるいは二年ごとに上げるとは決定したことではない、決定事項じゃない、当然でしょう。国家公務員の給与アップも、必ず毎年やるとはさまっていない、そうじゃないのです。民間企業と比較した場合に、五%以上民間が上がった場合は、これは人事院が勧告しなければならぬ、こうなっている。ところが、あなたのおっしゃるように、民間企業がずっとおくれていれば、それは上がりゃしませんよ。毎年アップはしません。ところが、最近は、物価上昇が激しいし、毎年民間企業のほうが高く上がっている。ですから、毎年ベースアップをやっている。だから、あなたのおっしゃることは、子供に説明することであって、私どもにそういうことをおっしゃっていただかぬでも、私のほうから教えてあげましょう。
じゃ、民間の物価は毎年上がるが、皇室関係は、二年に一度しか物価は上がらない、こういうわけですか。どうも、あなたのおっしゃることは、私ははっきりしない。宮内庁に長くおつとめのあなたのような人格高潔な、しかも、りっぱな、何をやっても、あなた一人でしょっておられるのだから、私、そういうことを申し上げるわけじゃないけれども、また、私は、皇室の予算に対して、どうだこうだ言っているのじゃないが、これは、一昨年も私は、ここであなたに御質問申し上げた。速記録を見ていただけばわかる。陛下がお困りにならないように、十分予算をとって差し上げなさい、こういうふうに申し上げておる。
ですから、これは、民間は毎年ベースアップをやっている、毎年上げるとはさまっていないぞ、あたりまえでしょう。物価が上がらぬのにどんどん上げる必要はない。ベースアップをする必要はない。ところが、今日の上昇は、そうじゃないでしょう。物価高で、しかも、こうした非常にインフレの激しいときで、先ほども、あなたがおっしゃっているように、陛下は、今日の物価高に対しては、十分御関心をお持ちでございますという御答弁であります。天皇は、物価が高くなろうが、生活が苦しくなろうが、何にも御存じない、雲の上の方というふうにはわれわれは解釈していません。
ところが、おれのことはあとでいい、国民のことを先にしろ、こうした先憂後楽ということ、あなた方は、そういうことばに甘えて、陛下は二年に一度でよろしい、何ぼ物価が毎年上がろうが、二年に一回でいい、陛下が先憂後楽と仰せになっている、こういうお考えでおやりになったのですか。その点、次長ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/86
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087・瓜生順良
○瓜生政府委員 先ほども申し上げましたが、定額という概念から、あまりたびたび変えないのがよかろうというようなこともあったりして、それで、この皇室経済に関する懇談会においては、一割以上上げる必要のある場合に改定したらいいだろう。一般の公務員の場合ですと、先生がおっしゃいますように、民間ベースとの差が五%以上の場合には、人事院勧告をするとかいう――これも皇室経済会議の皆さんの御意見にもよるわけで、これが今後、五%以上の差がある場合には、改定すべきであるというような御方針になれば、これは、ときによると、いまのような情勢でしたら、毎年になるかと思います。
その基本方針は、先ほど申しましたように、一応改定の際に、一〇%程度の、不時の支出に充てる予備費を見ている、だから、一〇%以上上げる必要の生じた場合に改定するのがよかろうと、皇室経済会議のメンバーの方の御意見があって、そういうふうになった、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/87
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088・鬼木勝利
○鬼木委員 しかし、それは皇室経済懇談会――閣僚懇談会か何か知らぬが、とにかくあることは、知っております。メンバーも載っておりました。しかし、一般公務員の給与改定は、基準はそういうふうになっている。ところが、皇室だけ一〇%以上である。どういうわけで、そういうことに差別がしてあるのですか。
公務員の方もたくさんおられるわけですね、宮内庁に。そうすると、公務員はみな上がった、宮内庁の公務員もベースアップで上がった、天皇の御一家、皇室だけは上げない、一〇%以上上がらなければ上げない。ところが昨年、一昨年、ことしから、ずっと一〇%以上みな上がっておりますよ。そういうところは、瓜生次長さん、どういう――だから、何か理由があるのじゃないですか。そうしなければ、私は、この予算では陛下は御不足でお困りになっておると思う。足るわけがないと思う。何かほかに理由があるのじゃないですか。少ないように見せかける、これは、たいへんことばが悪いですが、おしかりをこうむれば取り消します。だが、何かそういう気持ちがするじゃないですか、これは。
皇室は、一〇%でなければ上げないぞ、しかも、一般公務員は、一年ごとに上がっておるが、皇室は二年だ。先憂後楽で、おれのことはあとでいい、国民のことを先にしろ、こう仰せになっておるから、だから、このような予算をつくったのであるぞ、こういうのじゃないですかね。私は、そんな気持ちがしてならぬですよ。瓜生次長さん、どうですか。そこのところを、ひとつ明快にやってください。私は、けちをつけているのじゃありませんよ。事実、皇室がお困りになるような予算じゃいかぬじゃないか、こういうことなんですよね。私の申し上げておることは、おわかりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/88
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089・瓜生順良
○瓜生政府委員 鬼木先生のおっしゃいますことは、よくわかります。ただ、何度も申し上げますが、ある程度実情は、お手伝いしておりますものですから、わかるわけですけれども、手一ぱいという場合も多いわけでありますが、なお、先生おっしゃいましたように、皇室では、質素を旨としておられるとか、また、いまおっしゃったように、先憂後楽というようなお気持ちであらせられるということもありますが、そこで、あまり余分にこの増額は考えないほうがいいのじゃないかということで、一〇%というのは、最初の改定の際に、予備費的なものがあるから、一〇%見てありますから、それをこすような場合には改定をお願いする、それをこさない場合には、そのままでということで、先生のおっしゃいます気持ちは、よくわかるので、おっしゃいますような趣旨も底には流れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/89
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090・鬼木勝利
○鬼木委員 先ほど、こういうことをお聞きしたのです。毎年改定をしない、二年に一度やっている、最近は、ほとんど二年に一度です。これを見れば、そうですね。前回が四十七年で、その前が四十五年、その前が四十三年です。だから、この近くは全部ずっと二年だ。必ずしもそうじゃないとおっしゃるけれども、資料はそうなっている。ずっと昔は違いますよ。この近くは、ほとんど、改正が四十七年、その前が四十五年、その前が四十三年。その前が四十年、これは三年、こうなっているのです。
そこで、陛下が御不自由になって、足らない分は、私は、あなた方は、そういう点を認めてあるのだと思うのですが、その分は、予備費的に、一割余分に予算を増しておる。千二百万ですか、一割余分に増してある。これは、私は、ますます奇怪千万だと思う。要るものだったら、なぜ堂々と――あるいは予備費として予算に計上していらっしゃれば、私はけっこうだと思う。それを文句を言っているのじゃない。もっと予備費も増してあげなさい、私は、こういうことの考えであって、それを、予備費的お金を増してありますというのじゃわからない。それは予算のほうからも、私はおかしいと思うのですよ。
次長さん、これは、私、ことばが悪ければあやまりますよ。何か隠し財源みたような、含み財源みたような、足らないときには、ちゃんとこれを使ってもらうように予備費的に別にとってあります――それが予算に予備費としてぴしゃっと出ておれば、それは、はっきりしています。文句を言うことはありません、堂々たるものです。どうも、その点が、ちょっと私は少し疑問に思うのですが、そういう点を、予備費としてきちっと、何がしかぴしゃっととっていただいておれば、これは、私はけっこうだと思う。予算の論議をする場合に、予備費は少ないのじゃないか、こう私は申し上げたい。だから、そこのところは、どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/90
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091・瓜生順良
○瓜生政府委員 これは、何度も申し上げましたが、要するに、内廷費の定額は幾らがいいかという場合に、ある程度実情をわかった上で計算していって、その場合に物件費、人件費というものも、予測されるものを一応組んでいってみまして、しかしながら、私経済ですから、公経済の場合と違って、不時の支出とか予想されないようなものが、公経済以上に普通あるものですから、そこで予備費というのを、一割ぐらい見る、それが計算の基礎でありまして、ある程度、最初に予想されないものがあっても、それでまかなえるというために一割程度見ている。
公の予算ですと、予備費は全体の予算の一割もない、もっと小さいものでございますけれども、まあ、私経済だからというので、計算の基礎としてそれだけを一応計算して、そうして金額を割り出している。金額を割り出す一つの計算方法でございます。でございますから、その性質は、おわかりをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/91
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092・鬼木勝利
○鬼木委員 わかりませんね。予備費としてとあなたはいまおっしゃったが、予備費としてじゃない。予算書にも予備費とは載っておりません。
じゃ、一般会計の予算も、全部、表面に出ているところの金額から隠して、これは幾らオーバーしてある、これには幾らこうしてある、そういう予算の組み方をいたしますか。
総務長官にお聞きしましょう。そういう予算の組み方がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/92
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093・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 ただいま鬼木委員から御指摘の点は、私も事前に報告を受けておりますものですから、多少これでだいじょうぶかというようなことを聞いたわけなんですが、宮内庁側としては、たいへん遠慮をしている、それが長い習慣になってきている、だから、これでひとつ予算を出してくれというような話がございました。
私、二年に一ぺんずつというそういうしきたりが、ずっと前から皇室の経済会議の進め方の中ですでにきまって、定着をしていると思いましたので、特段に、その点については、直せという指示はいたしませんでしたが、やはり予備費という名前は使っていないが、一応の慣例として、一割ぐらい全体の経費をふくらまして物価騰貴に備えているという慣例が、長い前からあったと私は了解して、今度の予算も了承したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/93
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094・鬼木勝利
○鬼木委員 いや、そういうことが許されるならば、ほかの一般会計を全部そうしてもらいたい。総務長官に、これははっきりしてもらいましょう。
だったら、ほかの一般の会計も、各省、もし足らぬ場合には、こういうのを使えといって――予備費じゃないんですよ。予備費じゃないんだから、全然。足らぬ分の場合に、アルファをずっとそれに加えていく、表面には出ていない、そういう予算の組み方が許されるならば、各省の予算も、全部そういうことが可能であると私は思うんですが、どうですか、総務長官。
だから、私は、この皇室経済の予算にけちをつけているんじゃありませんよ、これは予備費としてきちっととっていただきたい。それで足りなければ、予備費はもっと増してもらいたい。
ところが、ようございますか、これは、私が言い過ぎであれば、なにしますが、皇室経済は毎年上げぬで、二年に一ぺんしか上げてない、しかも、もう一割以上上がらなければやらない、このように皇室はごしんぼう願っておる、陛下の先憂後楽という御趣旨に沿って、お心に沿ってこうやっている、たいへん、これはいいですね。非常に見かけはいい。だが、しかし、心配は要らない、足らない場合には、ちゃんと一割の隠し財源があるんだ、もし、こういうことを考える人がおったならば、これじゃ、私は非常に遺憾だと思う。まことに残念だと思う、せっかく知恵者の瓜生さん方がお考えになったことが。どうですか、総務長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/94
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095・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 私は、一般の予算に、そういうことがあってはならぬと思っておりますし、他の予算については、そういうことはございません。含み的な、予備費的なものを隠すなんということは、絶対にございませんが、この皇室経済会議の決定された予算案につきましては、二年に一ぺんであるという長い慣行の中で、しかも、一〇%以上になった場合に、人件費並びに物価が上がった場合にのみ、それを国会にはかって修正をするという習慣になっているということで、私は、そうした慣行が従来からもとられておったのかということで、この予算を国会に提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/95
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096・鬼木勝利
○鬼木委員 総務長官、あなた奇怪千万な答弁をされますね。あなたは、国の予算には、そういうことはあってならないと思う、じゃ、皇室経済、この予算は、国の予算じゃないのですか。これは、どこの予算ですか。ふざけたことを言うんじゃないよ、総務長官。何を言っているんだ。ふざけちゃ困るよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/96
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097・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 ただいま、私のことばが足りませんでした。訂正いたします。
〔鬼木委員「どう訂正するんだ」と呼ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/97
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098・瓜生順良
○瓜生政府委員 内廷費のこの額の問題は、総額を定額として、その定額を法律で定めて、毎年支出するというふうにございまして、その総額を定額できめるわけであります、必要な金額を。
ですから、国の予算で、その内訳を一款、二款、三款としてずっと組んでいくのじゃなくて、総額を定額として法律できめるというふうになっておりまして、それが内廷費そのものでございまして、まあ、ちょっと性質は違いますけれども、歳費とか俸給のような場合でも、そこにある程度のゆとりがあるのが普通でございまして、そうしないと、私経済なんかやりにくいものですから、それにちょっと似たところがある。その場合も、その中に予備費が、いわば不意のものに備えるのに、幾らというふうには一々きめないが、ある程度考えて、最初からこうきめているんじゃなかろうかというふうに思いますが、それに似ているものかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/98
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099・鬼木勝利
○鬼木委員 いや、ますますそういう牽強付会な御答弁をあなた方はなさるが、先ほど、瓜生次長がはっきりおっしゃったでしょう。一割の予備費的予算をとっておりますから、だから、二年に一度でもいい、毎年公務員はやっているけれども、ここは二年に一度でも、あるいは一〇%以上というても決して窮屈じゃない、一割の予備的経費を持っておる、これは、あなた方、はっきりおっしゃったらいいじゃないですか。
だから、予備費ならいいですよ。私は、何もそこを文句言っているんじゃないんだもの。内容やお金を文句言っているのじゃない。そういう予算編成が許されるならば、全部それでやったら、これは、もうほんとうに私は助かると思う。だれでもみんな助かる。そういうところが、どうもあいまいもことして、かすみがかかったような予算ですものね。
もっと明快な、これが幾ら、これが何ぼ、予備費は何ぼ、それでこうなっている、これは二年に一度しか上げていない、なるほど、これは毎年上げるのがほんとうだと思います、このようにお願いしましょうと私は考えております、こうあなたがおっしゃれば、私は、何も言わないんです。
だが、皇室経済のこの予算は、いささかも御心配要りませんというあなたの御答弁ですよ。それは、いささかも御心配ないかもしれぬ、なければけっこう、けっこうだが、それは一割の隠し財源を持っているから心配無用じゃ、それじゃちょっとおかしいじゃないか。それを言うておる。どうもはっきりせぬね。
総務長官に至っては、言語道断だ。国の予算は、そんなことはまかりならぬけれども、皇室経済予算ならそれでいいというような、そういう――それは、おれが言い違いであったといまおっしゃったけれども、感覚がおかしい。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/99
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100・瓜生順良
○瓜生政府委員 おわかりいただけないのは、非常に残念ですが、要するに、内廷費なり皇族費は、定額としてぽんときめるわけです。たとえば、宮廷費ですと、宮廷費は国の予算ですから、これは款項目があって、ずっといくわけですけれども、内廷費、皇族費の場合は、一年間にお要りだろうというものを見込んで、定額できめるわけです。きめる際に、公経済と違って、私経済の場合は、不時の支出もありましょうし、そういうこともあろうからというので、計算の際に、一割くらい一応予備的に加えていくということで、いわゆる国家予算でいう予備費というのとぴったり同じものではないのです。ですから、ほんとうは予備費的といったほうがいいのですが、要するに不時に備えるものということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/100
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101・鬼木勝利
○鬼木委員 その予備費の説明を聞いているのじゃありませんよ。それは、まさかの場合とかあるいは足らない、どうしても困った場合とか――国家予算の予備費だってそうです。平常きまっているのだったら、一般予算の経常費でけっこうなんですよね。だけど、災害があるとかいろいろ突発的なことがあってという場合に予備費を使う、それはわかります。それは皇室だって、何か特にお金が要り用になったとか急激に物が上がってお困りになったとかいうような場合に、すぐ予備費としてこれがあるというのなら、理屈はわかると私は言っているんです。
だけど、予備費でも何でもない金を、ただ、ばく然として一割を増してある、御心配要らない、それは、どうしても納得できませんね、私は。だから、そういうことが許されるなら、一般会計予算もそういう予備費じゃなくして、全部アルファで増してもらいたい、それが可能であるならば。
だから、私が言っているのは、陛下がお困りにならないように、先憂後楽とありがたいおことばをいただいておるから、そのおことばに甘えるんじゃない、陛下がお困りにならないように、十分陛下の御生活がお困りにならないように、予備費を堂々と計上しておこう、そして二年に一ぺんしか上げぬのを、毎年公務員と同じように上げる、基準も同じにするというようなふうに、そういうことならわかるんですよ。
何回も、くどいことを申し上げて、まことに恐縮ですけれども、一方では、公務員と違って一〇%上がらなければ上げない、あるいは毎年上げない、二年に一度だ、これは、非常にいいと私は思うんです。ところが事実は、そうしなくても、それは関係ない、ちゃんとここへ金を持っている、ことばが悪くて、おそれ入りますけれども、ちょっとだまされたような気持ちがするんですよ。そのようにお考えになりませんか、瓜生次長さん。くどいことを、私は何回もお聞きして恐縮ですけれども、これは、はっきりしないと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/101
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102・瓜生順良
○瓜生政府委員 これは何度も申し上げるようで、恐縮ではございますけれども、要するに、改定をする際に、やはり私経済ですから、あらかじめ予測されないようなことが、実際上あとから考えてもそういうことがよくあります。ですから、そういう場合に備えて、ある程度やはりゆとりを見ておこう。鬼木先生が言われるように、あまり初めから手一ぱいにしておきますと、もう年度の途中で動けなくなるというようなことにもなります、というようなことがあるものですから、そこにゆとりを設けるというので、ある程度のゆとりが見てある、計算の際に。そういうふうにお考えいただいたらいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/102
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103・鬼木勝利
○鬼木委員 それは、国家予算であろうが、地方自治体予算であろうが、何の予算であろうが、同じことじゃないですか。予算を筒一ぱい包んだ場合には、足らない場合は困るからというので予備費というものがある。だったら、私がいま言うように、これは何回言っても同じだけれども、そういう御説明では納得できませんよ、ほんとうに。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/103
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104・瓜生順良
○瓜生政府委員 こういうふうにお話ししたら、あるいはおわかりになるかどうかと思うのですが、要するに国家予算ですと、全体の総額がありまして、その中に予備費という項目もあります。内廷費というのは、小さいですけれども、国家予算全体のように、皇室の私の家の要するに経費で、それが全体として――しかも皇室では、全体の定額をきめるとなっております。ですから、そこである程度ゆとりをつけるものも、その中に含んでおりますけれども、国家予算のようにずっとそれがすぐ出てこないのは、国家予算全体のそれにあたるものが、定額ということになるのですけれども……。そういうふうにお考えいただくと、おわかりになるのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/104
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105・鬼木勝利
○鬼木委員 そういうことをお考えになるとおわかりになる――おわかりになりませんね。これは、ひとつはっきりしてもらわぬと困るな。
ちょっと委員長に御相談しますがね、私は、皆さん方に御協力して、私の持ち時間もずっと少なくなりましたけれども、本会議前に質問を打ち切るようにお話を申し上げましたが、これじゃ、まだ質問が――全然話にならぬ。ですから、本会議後でも、引き続き、まだ、ほかに問題も持っておりますので、続けさしていただきたい。そして、この問題は、保留していただきたい。やがてもう本会議でございますので、その前に、国対の委員会なんかもどこもおありだと思いますので、ここらで一応打ち切っていただいて、この問題は、保留にしていただいて、なお、本会議終了後、継続質問をさしていただきたい、かように委員長に要請いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/105
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106・徳安實藏
○徳安委員長 ちょっとお待ちください。――それでは、いまお申し出もございますから、午後一時二十分から委員会を再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。
午後零時三十九分休憩
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午後一時二十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/106
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107・徳安實藏
○徳安委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。鬼木勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/107
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108・鬼木勝利
○鬼木委員 午前中、私のためにたいへん御迷惑をおかけしましたが、午前中の御説明に、いささか私、疑念がございましたので、その点を、私に納得のいくように御説明を願いたいと実は申し上げて、それで午前中は、結論が出ないで終わったわけでございますが、瓜生次長さんのほうで、私の提唱に対して御検討いただいたと思いますが、何らかのお考えがございますれば、御答弁を願いたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/108
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109・瓜生順良
○瓜生政府委員 この内廷費増額改定のやり方は、従来は、先ほど申したとおりでございますけれども、これに対しまして、鬼木先生からの御意見もございましたので、宮内庁としても、なお検討し、将来、皇室経済に関する懇談会などの機会に十分相談してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/109
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110・鬼木勝利
○鬼木委員 いま、ここで右、左をはっきりしろと、そういうことを、私、申し上げておるのではございませんので、前向きに、これの処理に対しては検討する、研究するといういまの次長のお話でございますので、私も了承いたします。
そこで、引き続きお尋ねいたしたいと思いますが、公害問題でございます。
最近、あるいは新聞紙上等で報道されておるようにも思いますが、皇居外苑のお堀の水が汚染されておるというようなことを、いわゆる漏れ承りました。そういうことがもしあるならば、どのようになさっておるのか。酸素が足らなくて魚もだいぶ死んでおったというようなお話もちらほら聞いたのでありますが、そういう事実がございましたか、あるいは何かそういうことでもお耳になさったか、その辺の事情を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/110
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111・瓜生順良
○瓜生政府委員 皇居の外まわりのお堀の水が、最近よごれが目立つという点は事実でありまして、いま、先生がおっしゃいましたように、魚が何か死んだような事故もございます。で、それにつきましては、その部分は、実は、皇室用財産としての宮内庁の所管の部分ではなくて、厚生省の所管する公園の部分でありまして、厚生省とも打ち合わせをして、厚生省のほうでも、水をきれいにするようなつもりで、何かある程度、従来よりは力を入れていかれるというふうになっているように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/111
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112・鬼木勝利
○鬼木委員 それは、厚生省なんかも、水質検査なんかあるいはやるかもしれぬし、あるいはまた、そういう公害問題は、環境庁の所管でもあるというふうに思うのですが、それは、厚生省もむろんそうかもしれませんが、大体、私は、環境庁ではないかと思うのですが、これは外苑というと、あの土手あたりは、ほんとうに都民のいこいの場所でもありますし、ことに一朝、災害があるとか事変があるとかいうような場合には、私は、お堀の水も大事な、緊急の飲料水にも利用されるようなことがないとも限らないと思うのです。これは私、非常に重大な、大事な問題だと思うのです、この公害というものは。あんなきれいなお堀がきたなくなって、魚が死ぬというようなことは。
これは、あなたがおっしゃるわけじゃないが、一部では、その魚が死んだのは、いわゆるライギョ、通称台湾ドジョウ、こういうライギョがおるから、ライギョが食ったのじゃないか、そういう――これは、どなたということは言いません。そういうようなお話もちらっと聞いたのですが、ライギョがどこから入ってきたか、あるいは入ってきたかもしれぬが、いずれにしても、そういう揣摩憶測で、ライギョが食ったから死んだのじゃなかろうかというような簡単なことではなくして、あなたがおっしゃっておるわけじゃないけれども、環境庁あたりも、実は、委員会というようなものでもつくって、調査したらどうかというような話もちらちら聞いたのです。
ところが、宮内庁の瓜生次長さんが、厚生省がやっておるらしいとか、死んだようだとか、そういうことでは、私は、まことに御無礼千万だけれども、あまりにうかつ過ぎやせぬかと思うのです。それは次長さんお一人で、お堀をお回りなさるということは、むろんできないけれども、いやしくも、陛下がお住まいになっておるところなんですから、もう少し、これに対しては敏感にお考えいただかなければならぬと思うのです。
午前中も、たいへん瓜生次長さんにお気に召さないことばかり申し上げて恐縮でございますが、そういうふうな点で、次長さんがおわかりにならなければ、どなたか、公害に関して係の方が見えておるはずですから、いかがですか、何かおやりになっておるはずだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/112
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113・瓜生順良
○瓜生政府委員 先ほど、厚生省と言いましたのは、環境庁の誤りで、昔の古い厚生省時代に話したことが頭にあって、うっかり厚生省と申したのですが、いまは環境庁でございます。訂正いたします。
なお、いま先生がおっしゃいますように、宮内庁の所管ではなくても、皇居外苑は、陛下のお住まいになっておる宮殿のある、その皇居の前を占める部分で、大事なところでございますので、環境庁並びにあそこに皇居外苑保存協会という協会がありますが、そういうところとも常に密接に連絡をとりながら、どうかと思う際には、こちらからも意見を言って、きれいにしてもらうようにつとめております。
なお、宮内庁自体の所管しているお堀の部分につきましては、いろいろ水質の検査もして、従来以上にきれいにするようにつとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/113
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114・鬼木勝利
○鬼木委員 外のお堀の水が汚染されて、悪臭でも放ってくるというようなことになると、これは、もう私は、たいへんだと思うのですが、皇居のほうに二十四カ所ですか、それから東宮御所のほうに二十カ所公害の、亜硫酸ガスなんかの測定の場所、測定所ですか、そういうようなものをつくってあるというようなことも承っております。承っておりますが、これは所管が環境庁であるということは、むろんそうでしょうが、宮内庁自体も、もっと能動的に、公害の防止ということに対しては格段の御留意、御処置をなさらなければならないのじゃないかと私は思います。
もう少し具体的に、どういうことをやっている、最近、こういう測定の結果こういうデーターが出ている、あるいは亜硫酸ガスとかばいじんとか、そういう何か測定をなさったとか、あるいはそういう具体的な処置を何かなさったとか――先ほど申しましたように、皇居はたしか二十四カ所だったと思う、それから東宮御所が二十カ所、いわゆる赤坂離宮。どうですか、何か過去に、そういうところの御調査をなさった実績がございますか。環境庁から出している基準はありますね。だけれども、環境庁の仕事だから、われわれはどうだこうだというのじゃなくして、少なくとも、環境庁が示した基準はどの程度だ、皇居内で測定した結果はこうなっておるということは、何かおわかりにならぬのでしょうか。これは瓜生次長さんばかり、お一人に申し上げても無理だと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/114
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115・瓜生順良
○瓜生政府委員 いま、お尋ねの亜硫酸ガス、降下ばいじんの調査、これはやっております。
なお、この皇居、東宮御所のまわりのほう、それから中のほうと、いろいろ場所を変えまして、検査をいたしておるわけでございまして、そのうちの亜硫酸ガスの関係で申しますと、四十八年、昨年の実績は皇居で平均して、PPMで申しますと〇・〇二四PPM、赤坂御所では〇・〇一七PPMでございます。これは環境庁で、それ以上は注意を要するというふうに示しております環境基準、それは〇・〇五PPMでございますので、その環境庁が、注意を要するというふうにいっております基準の半分以下ではございます。
それから、降下ばいじんのほうの関係、これも調査をいたしておりますが、昭和四十八年でありますとこれが七・七八九トンということでございます。これは、東京都内の最高の悪いところのほぼ二分の一ということでございます。きわめて良好ともいえませんが、それほど悪くはないということでございます。
なお、これは、大事なのは皇居内をきれいにするだけではいけませんので、東京都の中心に皇居がございますから、東京都内全般の空気がきれいになることが望ましいので、なお東京都でも、いろいろ努力しておられるようでございますが、われわれのほうも、それはお願いしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/115
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116・鬼木勝利
○鬼木委員 皇居内の二十四カ所、それから赤坂離宮に二十カ所、亜硫酸ガスとかあるいは降下ばいじん、そういう測定所がつくってある、そこのデータは、毎年出しておられるのですか。あるいは毎月でもずっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/116
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117・瓜生順良
○瓜生政府委員 それは、毎月出ております。したがって、毎年の分がございまして、前のと比較したりいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/117
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118・鬼木勝利
○鬼木委員 それには、害はない、心配ないということですね。ところが、お堀の水は、汚染してしまっておる。魚は死んでおる。どうも、そういうふうなところが、はっきりしないんですがね。
これは、陛下も御散歩なさるようなことがないこともないと思う。そうすると、お堀は汚染されて、悪臭はやってきて、悪臭ふんぷんとして鼻をつく、そこまでいかぬかもしれないけれども、魚は腹を見せて浮かんでいる。ところが、東京都の汚染度合いの半分だ。環境庁の基準は〇・〇五だから、なるほどそれの半分かもしれないが、事実はそういう状態ですね。そういう話を聞いた。
あるいは陛下のおつくりになっておる農作物、これは農薬、DDTとかBHCなんというのは、いまお使いになっていないと思う。これは禁止になっておるから、使っていないと思います。化学肥料ばかりしかお使いになっておらぬと思うが、お米やら野菜もおつくりになっておるそうですね。陛下は、なかなか御趣味が広いから、大根、菜っぱ、ニンジン、トマト、キュウリをおつくりになっておるという話を聞いたのですが、そういう地質検査をなさったか。あるいはそういう作物に公害の必配はないか。
お米は二畝おつくりになっておる、こういうふうに聞いておりますが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/118
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119・瓜生順良
○瓜生政府委員 お尋ねの点だけを申しますと、お米は三畝ですから、約百坪でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/119
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120・鬼木勝利
○鬼木委員 そうすると、少なく見積もっても二俵ぐらいできますね。反当平均八俵として、その三分の一として、やはり二俵以上はできるはずだが、陛下のおつくりになるものだから、それはわからぬけれども。そうすると、これは相当の量ですね。最初は、賢所にお上げになると思うのですが、これは間違っておるかどうかわからぬですが、お供えになるんだと思いますね、賢所へ。そしてあとは、お召し上がりになる。あるいは皆さんに分けてやっておられるのじゃないかと思う。
これは私、重大問題だと思うのです、こういうのに、もしも公害を含んでおったということになれば。そういうふうなところの検査はなさっておるのでしょうかね、蔬菜類でも。今日、公害が非常にやかましい。しかも、お堀は汚染されてしまっておるというようなときだから、これは大事なことだと私は思うのです。これは、万遺漏のないように検査なさってしかるべきだと思うのですが、それはどうなさっておるか、ちょっとそこのところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/120
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121・瓜生順良
○瓜生政府委員 またまた訂正で申しわけないのですが、三畝と申しましたが、たんぼは三畝あるのですが、実際、いまお植えになっておるのは、二畝だそうでございます。三畝あるが、一畝はお植えになっていないということであります。
それからなお、衛生検査の点は、あそこに宮内庁の管理部管理課があり、その下に衛生監というのがありまして、いろいろ検査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/121
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122・鬼木勝利
○鬼木委員 宮内庁の管理部の管理課で、これはいつ検査したのか、あるいは毎年やっておるのか、あるいは作物の収穫期にいつもやっておるのか、そういうふうなところはおわかりないでしょうか。案外、公害のほうは簡単に考えていらっしゃるようだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/122
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123・瓜生順良
○瓜生政府委員 いま、お尋ねの点は、正確なことは聞いておりませんので、ちょっとわかりかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/123
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124・鬼木勝利
○鬼木委員 それは、瓜生次長さんがおわかりにならなくても、実際万遺憾のないようにやっていただいておれば、私、もうけっこうだと思います。宮内庁から見えておる、居並ぶ面々の方々は、どなたも御存じありませんか――寂として声なし、どなたも御存じない。そういうことを等閑に付しておくということは、いけないと私は思うんですよ。
それは、人命は尊重しなければならぬ。陛下であるから特別どうだ、だれだから特別どうだ、そんなことはない。一様に人命はとうとい。どなたも大事にしなければならぬ。ことに宮中は、公害ということに対しては、皆さん方格段の配慮をしていただきたいと思う。そういうことをやっておられればいいけれども……。
総務長官、御存じないですか、環境庁が、委員会か何かつくって、皇居のほうを調査するとかいう話を。これも私、正確じゃない、ちらっと聞いたような、聞かぬような、だから、ちょっとお尋ねをしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/124
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125・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 いま、御指摘のようなことは、私も、まだはっきり耳にしておりませんが、ただいま鬼木委員から仰せられました皇居内の公害の問題については、たいへんいい御注意をいただいたと思っております。環境庁長官にも話しまして、また宮内庁のほうからも、積極的に環境庁にお話しをして、ほんとうにいい御注意だと思いますので、動いてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/125
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126・鬼木勝利
○鬼木委員 さすがに総務長官、まことに明快な御答弁をいただきました。よく横の連絡もとって、万全を期したいというお話でございます。どうぞ、瓜生次長さんも、その点はお心していただきたいと思います。これは大事なことですから、公害問題は。
ことに陛下は、生物学の御研究に御造詣のお深い方でございますので、いろいろなことを御研究なさっておると思いますから、陛下御自身も、特に公害ということにはお気をつかっていらっしゃるのじゃないかと思う。お堀の水が汚染されておるということをちらっと聞きましたので、ころばぬ先のつえで、これは、公害なんというようなものは、起きてどうだ、こうだ、ああだ、こうだといったって、今日のような状態で、どうもこうもしかたがない。だから、まだ公害というものが発生しない、未然にこういうことは私は処置をすべきだと思う。どうぞその点を、瓜生次長さんに特にお願いを申し上げておくのですが、御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/126
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127・瓜生順良
○瓜生政府委員 御貴重な御意見で、われわれとしても、皇居にいまの公害の関係があってはいけないわけでありますので、一そう今後努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/127
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128・鬼木勝利
○鬼木委員 思わず時間をとり過ぎまして、まことに相すみませんでしたが、私の質問を、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。たいへんどうもお世話になりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/128
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129・徳安實藏
○徳安委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/129
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130・受田新吉
○受田委員 総務長官は、総務長官として宮内庁との関係は、いかなる立場に立っておられるのか、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/130
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131・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 宮内庁の業務監督等をやることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/131
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132・受田新吉
○受田委員 規定をひとつ読んでいただきます、あなたは非常に大事な仕事をお持ちなんで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/132
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133・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 「総務長官は、内閣総理大臣を助け、府務を整理し、並びに総理府(法律で国務大臣をもつてその長に充てることと定められている機関を除く。)所管の事項について、政策及び企画に参画し、政務を処理し、各部局及び機関の事務を監督する。」、この中に宮内庁が含まれております。十七条には、外局として宮内庁が入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/133
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134・受田新吉
○受田委員 国家行政組織法の第三条第二項の規定に基づいて、総理府の置かれる外局はいま御指摘のとおりです。そうしますと、その宮内庁を含む外局に対して、長官、いま監督権があるわけですか。国務大臣を置く庁と置かないところと区別して御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/134
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135・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 十九条の三項にございますように、「所管の事項について、政策及び企画に参画し、政務を処理し、各部局及び機関の事務を監督する。」とあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/135
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136・受田新吉
○受田委員 ちょっとその前とうしろのつながりを明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/136
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137・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 十七条に「総理府に置かれる外局は、」芝あって「公正取引委員会、国家公安委員会、公害等調整委員会、首都圏整備委員会、宮内庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖繩開発庁」、これで宮内庁までを、一応私が機関の事務を監督することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/137
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138・受田新吉
○受田委員 国務大臣をもって充てる外局の庁も監督できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/138
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139・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 それは、できません。組織には一応外局として入っておりますが、国務大臣を充てるところは除かれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/139
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140・受田新吉
○受田委員 その関係を明確にすると、宮内庁と他の庁とは、ちょっと性格が違うわけです、国務大臣を長に充てているところとは。
そこで、総務長官としてお仕事をなさるのに、「政務を処理し、各部局及び機関の事務を監督する。」という御自身でやれるところと、それから総理府の外局ではあるが、監督はできないところとあるわけです。総理府の外局となっている、しかし、何かそこであなたの権限がないとかっこうがとれぬ、外局と法律にうたってあるのですから、国務大臣を長に充てるところも。長官御就任以来、何か不便を感ずることはなかったでしょうか。すでに二カ月以上の日月がけみせられておるのですが、総理大臣の直近の、一番近いところにいらっしゃる国務大臣として、総理府をあずかる国務大臣として不便を感じられることはないか。三カ月近い日月を顧みての御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/140
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141・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 問題によっては、多少隔靴掻痒の感があります。しかし、組織といたしましては、毎週外局の責任者に集まってもらって、庁議を開催して、そこの場で常時連絡をとってもらっておりますし、また、そうした庁議という公的な会合以外にも、常時私のところに、それらの委員会なら委員会の事務局長が、あるいはまた次長が連絡に参っております。大体のことは、掌握しておりますし、また、そのときに、私の考えを指示することもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/141
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142・受田新吉
○受田委員 宮内庁長官は、総理府総務長官の指揮監督を受けますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/142
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143・瓜生順良
○瓜生政府委員 やはり受けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/143
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144・受田新吉
○受田委員 その指揮監督権のもとにおいて、皇居のあり方、皇室のあり方というものを政治的にどう処理するかということは、今度は総務長官のお仕事でございますね。そう了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/144
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145・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 政治的とおっしゃる意味がはっきりわかりませんが、私は、ともかく総理大臣を補佐して、担当業務を遂行するということに考えております。
たとえば、先ほどのような皇室経済会議等には、メンバーではございませんが、そうした内容については、宮内庁が私に連絡をしてくれるというふうに運営しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/145
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146・受田新吉
○受田委員 これは、政治的な処理、政務の処理という解釈が政治的なものを含んでくるわけでございますから、そこで私、むしろいまから御質問申し上げようとするのは、国務大臣をもって充てない外局、宮内庁の政治的処理責任は、総務長官にあるという意味で、総務長官にポイントを置きながら、宮内庁次長にもお尋ねするという形をとりたいと思います。
室というのは、一体どういう解釈を申し上げたらいいのか、御答弁をお願いいたします。これは、宮内庁次長から御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/146
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147・瓜生順良
○瓜生政府委員 皇室の用語は、これは、天皇を頂点とされて、各皇族の方がおられますが、そういう方全体のお集まりのそういうことが皇室というふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/147
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148・受田新吉
○受田委員 そうすると、皇室財産といいますると、どういうことになりますか。皇室財産は、国有か私有かということです。私有を含むかということです。国有であるか、あるいは私有との関係は、どうなるかということをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/148
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149・瓜生順良
○瓜生政府委員 現在、皇室財産というのは、ごくわずかでありますが、以前、旧憲法のころには、皇室の財産というのは相当ございました。皇室としての、一つの家と考えられて、その持っておられる財産でしたが、その皇室財産は、すべて国有とするという憲法の条文によって――新憲法下では、その前の観念の皇室財産はありませんですけれども、しかし、身の回りの財産というような、要するに、いろいろな日常用品のようなものは、これはお持ちでありますから、ですから、そういう意味で私有のものもございます。そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/149
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150・受田新吉
○受田委員 憲法に、皇室財産は国に属するという規定はないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/150
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151・瓜生順良
○瓜生政府委員 憲法の第八十八条をごらんいただきますと、「すべて皇室財産は、国に属する。」という条文があります。ただし、これの解釈につきましては、いろいろとありますけれども、これは、あとからお尋ねがあればお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/151
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152・受田新吉
○受田委員 一応、憲法には、そういう規定があります。ありますというと、いま次長の答弁で疑義があるのです。国に属するのが原則です、しかし、個人の財産もあるということですから、私有財産も。どういう場合が私有財産ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/152
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153・瓜生順良
○瓜生政府委員 たとえば、解釈の点で申し上げますと、これができた際の皇室財産というのは、宮家の財産は別だというふうに解釈されておりまして、したがって、高松宮家とかが持っておられる財産は、国に属していないわけですけれども、そうでない、いわゆる皇室の御本家に当たる、いわゆる内廷に属するような方の、その皇室の財産は、すべて国有に属するということで、当時皇室用の御料林だとか、それから皇居なんかも皇室の財産ですけれども、皇居も御用邸も、それからなお、ある程度有価証券なんかもお持ちでしたけれども、それも全部、一応国に移ったわけです。
しかし、解釈上、そういう財産が全然なくても、不時の場合、お困りだろうというので、当時占領下でありますが、協議の上と思いますが、有価証券とか、現金としてすぐに使えるものは千五百万だけ残った。それから身の回りのいろいろな品物も、やはり皇室のものとして残しておいていいということで残っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/153
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154・受田新吉
○受田委員 宮家の財産は、いまちょっとお話が出たのですが、これは、個人の私有財産か皇室財産かということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/154
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155・瓜生順良
○瓜生政府委員 解釈では、これは宮家の私有財産ということで解釈されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/155
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156・受田新吉
○受田委員 皇子でいらっしゃる常陸宮、まだ独立をされない前の宮である場合ですね、その場合は、私有財産じゃないですね。義宮さん時代の、御本人が持っておられた財産、そういうものは、皇室財産でありますね、独立していない場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/156
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157・瓜生順良
○瓜生政府委員 そういう場合に持っておられるものは、身の回りのものですから、普通は皇室財産というふうなものに入るものではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/157
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158・受田新吉
○受田委員 これは、非常に基本に属する問題でございますので、私は、あえてお尋ねしたのですが、皇室財産の中には二通りの見方がある。つまり天皇を中心にされた両陛下、それから直接のお子さま方と、それから秩父宮さまとか高松宮さまとか、こういう方々とは、ちょっと立場が違うのじゃないでしょうか、財産の解釈が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/158
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159・瓜生順良
○瓜生政府委員 違っております。多少違っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/159
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160・受田新吉
○受田委員 だから、宮家の財産という場合にも、二通りあると解釈していいのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/160
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161・瓜生順良
○瓜生政府委員 宮家の財産については――二通りといいますと、ずっと宮家の先祖から子孫に伝えていかれる財産あるいはそうでないものというお考えかもしれませんが、そういうものは、そうだと思いますけれども、その点を除きますと、やはり私有財産でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/161
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162・受田新吉
○受田委員 天皇御一家の財産という場合、これを皇室財産と一応称しておる。宮家を含まないと考えていいかどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/162
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163・瓜生順良
○瓜生政府委員 宮家は、含まないとお考えいただいていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/163
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164・受田新吉
○受田委員 宮家で独立して一家をなしておられる方と、まだ独立されない皇太子、義宮さん、まだお嫁さんにいらっしゃらない内親王さまのような場合、その宮さまとの関係はどうでございますか。義宮さんとか順宮さんとかいう場合の宮さん、それは、まだ宮家と称する段階でないから、天皇御一家の財産と称してよいかどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/164
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165・瓜生順良
○瓜生政府委員 いわゆる天皇家というふうにいわれておりますが、その中においでになる方のは、独立して財産をお持ちになるというようなことは実際はないものですから、宮家の場合とは違うと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/165
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166・受田新吉
○受田委員 私、皇室経済法に関係する問題に触れることになるのですが、その前提として、皇室財産というのは、一体、明確にはどういうことになるのか。私有財産は一切含まないとなれば、賢所、皇霊殿、それから神殿の宮中三殿のように、公的性格を持たない天皇御一家のいわゆる私的な立場に立つ財産というものは、表面的には皇室財産のようにも見えるし、しかし、宗教の自由の原則からいって、これを、昔の戦前の皇室財産と見ることはできないというような立場で見ていく形になっておると思うのですが、そういう場合に、これを修理したり、あるいは移転したりするというときの経費というのは、一体どこから出るのかなあという感じを持つのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/166
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167・瓜生順良
○瓜生政府委員 いま、宮中三殿のことをお尋ねになりましたが、この問題、この前の委員会でも申し上げたように、ちょっとはっきりしていない点があるままになっておりますが、もし、これは内廷に属する財産である、国有財産ではないとする場合、まあ、普通の簡単な修理の関係は内廷費でなさる、それから臨時的な大きなものについては、宮廷費でもできるというような解釈は聞いておりますが、まあ、臨時的な大きなそういう営繕のようなことは、ありませんものですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/167
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168・受田新吉
○受田委員 公的性格を持つと宮廷費、私的性格を持つと内廷費、こう理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/168
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169・瓜生順良
○瓜生政府委員 その見方ですが、たとえば、ごく私的な陛下の――吹上御所は、私的なお住まいの場所になります。それから御生物学研究所、これも私的な御趣味の場所でございますが、これは現在、皇室用の国有財産とはっきりなっております。
まあ、そういう関係上、宮中三殿についても、やはり皇室用の国有財産としてもいいじゃないかという説が相当強いのですが、宗教との関係もあるというようなことで、大事をとられておるというような現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/169
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170・受田新吉
○受田委員 そこで、宮中三殿などの修理あるいは移転というような大きな事業になってきて、たいへんな金がかかるというときは、どういう形でその財政措置をされるのでございますか。まだ、将来の問題ですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/170
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171・瓜生順良
○瓜生政府委員 将来の問題ですが、そういう場合には、法制局あたりとも、いろいろ相談もいたしておりますけれども、宮廷費でお願いする、予算でもお願いするというふうになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/171
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172・受田新吉
○受田委員 さっき、千二百万のお話も出ましたけれども、陛下が内廷費を少しでも節約して、これを貯金しておかれて、そしてお子さんがお嫁さんに行かれるときなどに、それをはなむけにされるという、つまり、内廷費を、節約によって陛下御自身の個人の貯蓄とすることが可能かどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/172
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173・瓜生順良
○瓜生政府委員 これは可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/173
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174・受田新吉
○受田委員 私は、実際そういうことがあってけっこうだと思うのですけれども、さっきからの御議論を承っておって、内廷費にちょっとあいまいもこなものがあるという感じを持つわけです。
特に、さっき指摘された、今度の増額措置で人件費が三割、物件費が七割、それを消費者物価指数をもとにして一方は計算され、一方は公務員の給与の二年分を合計してきめられた、こういうことでございますが、そういうことであれば、二年に一ぺんというのを待たれないで、毎年、大体、一〇%程度でございますから、内廷費の引き上げも一斉におやりになればいいんじゃないか。
私、次長さんに、かつて申し上げたことがありました。四年間たって、やっと内廷費の増額措置をされたことがありましたね。こんなに待たぬでも、今後は、毎年かあるいは二年に一ぺんかなさってはどうかという提案をしました。それで、その後、二年に一ぺんというかっこうになってきた。けれども、ここまでくれば、内廷費というものは、一般物価とバランスをとる上からも、公務員の給与とバランスをとる上からも、特に人件費の場合は、内廷費の中から人を使っておられると思うのですが、人を使っておられるその給料が上がるわけなんですから、これは二年間待つ必要はないのです。
給料というのは、公務員と同じに毎年上がっていっているのですから、三割の人件費部分だけでも上げてあげなければいかぬですね。それを二年間お待ちになることが間違いであると思うのです。毎年お上げになればいい。そして、そこを明確にして、物価上昇に伴い、公務員の賃金の上昇に伴って改定するということを毎年お出しになっていけばいい。あえて二年も三年もお待ちになる、過去においては四年もお待ちになっておったが、これは、おかしいじゃないか。むしろ、そのことが、内廷費は差し繰りがつくのじゃないかという疑義を与える危険もあると指摘したことがございましたが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/174
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175・瓜生順良
○瓜生政府委員 この問題については、先ほど鬼木先生からも同じような御意見がございまして、お答えしましたように、宮内庁としてもなお検討して、将来、十分相談を進めてまいりたい、こう思っております。
なお、誤解があるといけませんので、ちょっと申しますが、この内廷に使われておる方の人件費、給料などは、二年まで待つのじゃありませんで、国家公務員のほうが上がりますと、それと同じように上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/175
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176・受田新吉
○受田委員 だから、その部分は、三割分は待たないで上げておるということになれば、物件費のほうをどこかで差し繰っておられるわけなんですね。
それから、その中から、少しでも節約して、お子さんのお嫁に行くときなどにもサービスしてあげたいということになれば、陛下御自身のお心づもりも要る。陛下御自身が、あまりにも多くの貯蓄をされて残すようになられては、また大げさになられては、これは国民も困るわけですから、陛下御自身が、御節約の範をたれられて、御節約された部分を貯蓄されて、そしてお子さん方のはなむけにされるなどは、むしろ、道徳の根源としてうるわしいことだと私は思うのです。
そういうものが、ある程度国民に理解されるためには、筋を通すためには、毎年やられて、公務員の給与と一緒に人件費も上がるようならはっきりされたほうが、私はいいと思うのです。四年を二年にされた、さらに今度は、一年ごとにされていくということで、思い切って措置されてもいいんじゃないですか。来年から、そういう方針でやろうと検討されるならされるでけっこうでございますが、引き続き、二年に一ぺんでいいのだという御判断かどうかを御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/176
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177・瓜生順良
○瓜生政府委員 先ほども申しましたように、この問題については、御意見の次第もありますから、なおよく検討して、これは、ここだけで何ということをお答えすることは、ちょっとできかねる問題でございますので、皇室経済に関する懇談会とか、そういうことも将来ありましょうから、そういうところでよく相談してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/177
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178・受田新吉
○受田委員 皇室経済会議の構成メンバーなんというのは、形式的な人々であって、どっちを向いてもいいのですよ。宮内庁が原案をお出しになればいいのです。そういう人が出てこられるのだから、宮内庁が原案を出されれば、よろしいとなるわけなんです。あまりびくびくされないほうがいいということです。
そこで、長官、私、法律論を論議しません。しませんが、皇室でおつき合いをされている国々で、皇室と同じような立場の王室の方々が日本へ来られる場合、皇帝とか皇后とかいうのは陛下、それからその他の皇族は殿下という名称を公式の場で使っておられると承知しておりますが、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/178
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179・瓜生順良
○瓜生政府委員 さように心得ています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/179
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180・受田新吉
○受田委員 カンボジアという国がございまして、いまはロン政権でございますが、その前はシアヌーク殿下が国家元首であった。カンボジア王国連合政府といわれておって、日本の国もカンボジア国王、元首、殿下というような名称で、公式にこのことばを使っておられたのではないかと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/180
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181・瓜生順良
○瓜生政府委員 その具体的な例の場合に、ちょっと私も自信がございませんけれども、そういうような称号の問題につきましては、外務省のほうと相談しまして、やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/181
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182・受田新吉
○受田委員 まあ、思想が――あれは、どっちでしたか、共産党の先生はおられないけれども、カンボジアのシアヌーク殿下は、共産主義の人である――じゃなかったかな。なければ、まあいいけれども……。社会主義国家として、比較的進歩的な――比較的じゃない、非常に進歩的な解釈のできる国家に王制がしかれておる。カンボジア王国といわれている。こういうことから、国際用語は、共和国か王国か、王制か共和制かで去年もだいぶ議論をやったわけですが、私は、そういう問題は、別の機会に譲るとしまして、ことばの使い方によって、皇室のお立場が明確になってくるわけでございますので、ここで、私があえて指摘したいことがあるのです。
天皇というおことばは、他の国ではエンペラー、キング、王さま、皇帝、いろいろあるが、日本の天皇ということばは、一体どこから出たことばであるか。天皇さまのおそばにおられる瓜生次長さんとしては、どういうふうに――いままで日本だけが、こういう独特の名称を持って、われわれが大事に皇室を守ってきたということですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/182
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183・瓜生順良
○瓜生政府委員 その点は、古い日本の歴史をしるした日本書紀によりますと、小野妹子が遣隋使として持参した国書には、天皇というふうに記載されておるわけです。それから養老令を見ますと、ここには天皇というのと皇帝と両方の用例があります。それから古代には「すめらみこと」というのに漢字を当てる場合には、概して天皇を当てております。「おおきみ」というのに皇帝の漢字を当てたものもございまして、ずっと古代は天皇がおもですけれども、皇帝という字を当てたものもあるわけであります。
そのようなことでありますが、しかしながら、概してずっと天皇というふうに呼びならわしてきておりますので、それで日本では、天皇というふうに申されておるということだと思います。
外国の方については、皇帝という字を使っておりますが、ただ日本でも、たしか明治時代でも、何か外交文書に日本国皇帝と書かれたこともあったりして、少し混乱しているわけであります。しかしながら、憲法には、万世一系の天皇この日本を統治すというふうに、ちゃんと天皇という用語を使っておりますから、公式用語は、やはり明治時代も天皇だったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/183
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184・受田新吉
○受田委員 これは、日本書紀以来使われていることばでありますし、いま、これを変える必要はないと私は思うのですけれども、それにひっつくことばとして、ここに国務大臣がおられるのですが、大臣ということば、大きな臣、大御宝、あなたは大御宝でいらっしゃる。これは「おとど」の君は、大御宝でもあるのですが、大臣、あなたは臣である。大きな臣ということば、たとえ憲法の用語がそうなっていたとしても、日本の場合、いずれこのことばを直す必要があるとお考えか、将来、長くこのことばは使い残しておくべきである、大臣ということばを。個人の御感想を求めるのには、いささか唐突の感がございますけれども、これは、お考えをいただくことといたしまして、御答弁を保留させてもらいましょう。
もう一つ、あなたは、公式行事、そういうものをどうするか、これは、歴代の総理府総務長官が常に手がけてこられた大事な仕事であることは、御存じだと思うのです。元号、国の賓客の扱い、大きな葬儀、こういうような問題をどう処理したらいいかを、すでに十年以上も前から、藤枝総務長官時代から公式問題の調査機関を総理府につくって、調査していただくことになっておる。私からも、何回か、これは十年以上前からお尋ねしておる。ところが、いま、それがどうなっているのか。
自民党の内部に、最近、これを調査する機関ができたように聞いておるのですが、自民党に調査させて、総理府自身は、この問題はうるさいので、めんどうなので扱わないという態度になっておるのでしょうか。御答弁をください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/184
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185・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 御指摘のように、公式制度連絡調査会議というものがございまして、これは三十六年の七月に発足をいたしております。
それから四十年までの間に、先生すでに御承知のように、国事行為の委任の問題、国賓に関すること、国葬に関すること、国旗及び国歌、国名等について、審議をして、一部は法律といたし、あるいは一部は閣議決定等の中で処理をしてきておりますが、元号の問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、きわめて厳粛な問題であるということで、慎重に現在審議をしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/185
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186・受田新吉
○受田委員 私が元号の問題を取り上げたのは、昭和三十一年であったと思うのです。自来十八年間、慎重を続けてこられたのです。御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/186
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187・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 受田委員が質問をされました記録は、私もよく拝見いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/187
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188・受田新吉
○受田委員 これは、このあたりで、もうすかっとした答えを出すべきであり、西暦紀元を用いるなら用いる、元号を用いるなら用いるというのを、一応の目標をさだかにしていい時期が来ておる。
私は、現天皇陛下が、御健康でかくしゃくとしておられることに、非常な喜びを感じているものでありますが、しかし、規定としては、陛下に万一のことがおありのときにどうするかという扱いは、ちゃんときめておかなければいかぬし、特に、憲法第一条に定められた国民統合の象徴でいらっしゃる天皇御一家のことについての規定は、いかなる場合も、厳正に、国家の機関において定めておくべきだと思うのです。
陛下が、ほんとうに考えたくないことですけれども、万一おかくれになるというようなときには、陛下の御葬儀はどういうことになるか。皇室典範には、これは「大喪の礼を行う。」と書いてあります。「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。」というように皇室典範の規定にあるが、どういう形で大喪の儀が行なわれるのか、斂葬の儀はどういう形になるのか、こういうことが一向書きとめてない。
陛下がおなくなりになられたときに、お墓が一体どこにいかれるのか。新しい陵をおつくり申し上げるとしても、いま土地がこれだけ高く、土地高騰であって、多摩の陵のような広大な地域を、いま東京周辺に求めようとしても、たいへんなことですが、陛下は、多摩の陵で、大正天皇のおそばにお墓をつくることになっているのか、あるいは他の地区を求めることになる、そういう場合に、陛下に万一のことがあったときに、急に陵墓をどうするかを議論して土地を取得しようとしたら、赤旗が立って反対反対というようなことになってもたいへんです。
そういうことからいうならば、陵墓の規定も、ちゃんといまのうちに定めておくのは、これは、りっぱな公式問題です。そういうことを、うかつにしておかれるということがあってはならない。多摩の陵の広さ、私は何回かお参りをしておりますが、非常に広大な地域で、森厳さが十分保たれておる。歴代の天皇のお休みになる場所としては、森厳さが十分保たれておるわけでございますが、陛下の今後の皇室の陵あるいはお墓、こういうことについて、一体、政府はどういう用意をしておるのか。急に、そういう必要が起こったときに、あわてふためくようなことになるのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/188
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189・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 ただいまの受田委員の御質問の趣旨は、私もよく理解できます。したがいまして、本日の受田委員の御質問の趣旨を、何らかの形で考えていくという方向で受けとめてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/189
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190・受田新吉
○受田委員 それが長期間になって、解決していないというようなことであれば――たとえば御葬儀のあり方は、大喪の礼を行なうという、その大喪は、国葬の一部かどうなのか。それから新帝が即位をされるというのは、従来は、京都で即位式と大嘗祭が行なわれた。今後は、一体、東京で行なわれるのかどうか。践祚ということが、いまはなくなってきた。しかし、従来の慣例を用いて、そういうものを、今後、即位式、大嘗祭というものを行なわれることは行なわれると思うのでございますが、何かの根拠規定を設けておかないと、その場で、時の政府の扱いが、にわか仕立てで、閣議でやられるということになると、ちょいちょいと横道にそれる危険があると思うのです。やはり国会などで十分討議して、そこから自然な形で答えが出るようにすべきだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/190
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191・瓜生順良
○瓜生政府委員 いまお尋ねの、大喪の儀をどうするかとか践祚の儀をどうするかというようなこと、これは、ちゃんとした規則がございませんでも、できるのじゃないかというふうには考え、宮内庁としては、先例などを研究しながら――先例どおりでもいけませんでしょうし、万一の場合には、こういうふうに考えればどうだろうというようなことは、内々では調査をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/191
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192・受田新吉
○受田委員 次長さん、答弁されたのですが、私は、陛下のお気持ちなども十分くみ取りながら、こういう問題は扱うべきであると思うのですが、陛下御自身は、そうした問題について、何ら御発言をあなた方にはされておらないと思いますけれども、あなた方のほうで伺っていく、たとえば将来の皇室の御陵墓は、どの辺がよろしゅうございますかぐらいは、私、失礼にはならぬと思うのです。陵の位置をどこらがいいかということぐらいは――お互い、皆さんだってそうでしょう。先祖の墳墓の地を、今度は東京へ移したいとかいろいろあると思うのです。そういうことに、全然、宮内庁としては、積極的に取っ組んだことはないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/192
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193・瓜生順良
○瓜生政府委員 宮内庁として、特に陛下に伺うとか、そういうようなことをしたことはございません、ちょっと伺うこともどうかと思いますから。しかしながら、内々では、こういうふうにしたらどうだろうというようなことは、調査はいたして、万が一の場合には、あわてないようにという準備はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/193
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194・受田新吉
○受田委員 日本列島改造の中から、陵の位置をどうするかというようなことも、一つの大きな構想として、いまから考えておかれるほうが、皇室に対しても、敬意を払うことになると思うのです。陵墓に失礼にならないような森厳さが保たれる、象徴天皇御一家のお立場が守られるような形で陵墓がきまるというような形でなければならぬと思うのです。
私、こんなことに触れたりするのは、失礼ですけれども、公式問題は、すべてお互いの英知をしぼって、そこから答えが出るべきで、私心をさしはさまないかっこうで、国家、国民のために結論を出すようにすべきだと思うのです。
長官、いまの自民党の内部に、この問題の調査を一任しておいて、総理府としては、その例の機関は、会合を開かないでおるのじゃないですか。最近、会をお持ちになったかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/194
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195・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 御指摘のように、四十年以来は、正式な会合は開いておりません。一方、自民党のほうとされても、元号問題についての小委員会を持たれて、御検討いただいておることは聞いておりますが、政府としては、もちろん、この公式制度連絡調査会議は、開いておりませんけれども、内々に、いろんな世論調査をいたしましたり、あるいはまた、元号についての調査並びに意見を、外部の方々からひそかに求めておるという活動は続けてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/195
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196・受田新吉
○受田委員 総務長官をされた委員長、あなたは、三十九年でおやめになったと思うのだが、あと四十年からさっぱりになっておるのです。あなたの御感想を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/196
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197・徳安實藏
○徳安委員長 それらは急速にやるべきだと私は考えております。そのつもりでやったのですが、やめてしまいましてからは、関係しておりませんで、よくわかりませんけれども、やるべきだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/197
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198・受田新吉
○受田委員 あなたは、総務長官の先輩として、現長官を叱咜激励すると同時に、何らかの答えを出すために、ひとつ大いにあっせんの労をとってもらいたいのです。あなたのときに、天皇の国事行為委任法が誕生したわけです。そういうふうなところから、総務長官の経歴を有する内閣委員長が、現にその職にいらっしゃる間に、自民党の内部でごそごそするようなことでなくして、総理府で、この問題の処理をはかるような熱意を――四十年以来、全く休火山だそうです。いまは、もうこの問題は、死火山になっているのじゃないですか。私は、あえて提言を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/198
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199・徳安實藏
○徳安委員長 まことにありがとうございました。御趣旨よくわかりますから、私も、できるだけ善処するように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/199
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200・受田新吉
○受田委員 委員長の答弁、一応了承します。
長官、まだ時間もあるわけでございますが、次の機会も残しておかなければいかぬけれども、総理府設置法の中に、国賓を迎える問題があるわけですから、これから何回かに分けてこの問題を扱うことにしますが、最後に、陛下のお立場が、あらひと神としての陛下から人間天皇に変わられた、陛下御自身の姿は、著しく変わられたけれども、その周辺を取り巻いている官僚機構は、一向に変わっていないじゃないかという世論があるわけなんです。
つまり、戦前の陛下も戦後の陛下も、陛下御自身の平和主義に徹せられている点においては、私は、一貫しておられると確信をしております。けれども、戦前の陛下を築き上げた官僚機構というものが、戦後の人間天皇になられた現在の陛下に対して、国民との間の融和をはかることを怠って、依然として天皇の独特の位置を、権威あらしめるほうへ力を入れられて、国民統合の象徴としての立場のほうを軽やかにされておる危険はないか。
陛下御自身は、われわれ何回もお目にかかって、ああして生物学の研究にも御熱心なお方だし、また非常に愛情の豊かな方であることもよくわかります。その陛下御自身が、国民と接触したい――物価の問題等についても、気にしておられると思うのです。
そういうときに、陛下御自身が、お買いものに出られるような行事をつくってあげる、つくられた行事になると思いますけれども、デパートなどを陛下御自身が、商品の並んである場所をながめて歩かれる、そして買いもの客にことばをかけられる――二十一代の雄略天皇、万葉集の古歌の第一巻にあります。「籠もよ み籠持ち ふくしもよ みぶくし持ち 此の岡に 菜採ます子 家告らせ 名告らさね そらみつ大和の國は おしなべて吾こそ居れ しきなべて吾こそ坐せ 吾にこそは告らめ 家をも名をも」かごを持ち、へらを持ってこの岡で菜をつんでいる娘さん、私は、日本を治める天皇よ、あなたの家はどこですか、あなたの名は何ですかと、雄略天皇が、野べで菜をつんでいる娘さんに呼びかけておられる風景などは、これは、上代の風景として、まことに目を見張るようなものがあるのです。
お嬢さんのお名前は、何といいますか、おうちはどこですか、こういう天皇になっていただく。私は、そういう機会を国民に与えていただくことによって、国民を、また憲法第一条を守る日本国としての立場が立つと思うのです。それを、いま、あばれ者がときにおって、飛びかかるような者がおれば、これに対して、われわれ十分の、国民的な規模での擁護を申し上げることにやぶさかではありませんが、何か一方で、警戒のことも大事でございますと同時に、そうした庶民の中へとけ込む陛下という立場、皇后さまも同様ですが、いかがでしょう。
こういうことについて、官僚機構が、戦前も戦後も、一貫して、天皇さまを中心に取り囲んでおいでになるというにおいを、時代が変わったのだという形に切りかえる努力を、瓜生さん御自身が、そのお地位にあられるわけですから――特に、いま、さっきから問題になっているが、宇佐美長官が、ここに御出席になっていない。十五年前までは、宇佐美長官みずからが、ずっとここへ出ておられた。都合の悪いときに、次長がおいでになっておられたのですが、その後、長官が貫禄を示してここへお出にならなくなったのです。これは、たいへんな古い時代に、宮内庁が後退しつつあるということが言えないことはないと思います。
美智子さまが皇太子妃になられるころには、宇佐美長官御自身が、ここへひんぱんに出ておられた。それで、たまに瓜生さんがおいでになっておられた、これは御記憶のとおりです。私は、長い間、この委員会に席を置いている関係で、今昔の感にたえない。宇佐美長官が原則で出られて、瓜生次長さんが代理でちょいちょい出られる、こういう形が、私は、ほんとうだと思うのですが、きょうも、何かおありかどうかですが、これは、もうどこかに、宮内庁自身があとすざりをしておるのじゃないかという印象を受けるのです。御答弁を願いたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/200
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201・瓜生順良
○瓜生政府委員 以前は、おもに宮内庁長官が、こちらのほうへ出ておったといまおっしゃいますが、実は、私、宮内庁へ入って二十年になるわけですけれども、入るなり、政府委員は私で、宮内庁長官は政府委員をしていなかったわけであります。したがって、私の出ておる回数のほうが多うございますけれども、しかし長官も、ぜひ長官という場合には、出ていたのでございます。きょうのような場合、実は、きょうは、陛下があした須崎からお帰りになるわけで、その前の日に、迎えに行かれるので、二時過ぎには出かけておられるわけです。そういう関係もありますし、御都合も悪いわけです。
なお、総務長官の制度ができまして、国務大臣として総務長官が、この宮内庁の事務を監督せられるというお立場で、いろいろまた委員会にお出を願っておるというようなことから、総務長官お出になる際には、その補佐で宮内庁次長が出るということもいいのじゃないかなというような考え方もあったりしておるわけでございます。そういうこともございます。
なお、いわゆる官僚機構が昔のままでということ、われわれも、その機構の中におる者ですから、反省しなければいけないので、常に、その点は反省しておるつもりですが、私は、戦前から宮内庁にいたのではありませんで、昭和二十八年暮れからでございます。宇佐美長官も戦前からじゃありません、二十五年からでございます。まあ、いろいろ昔のままではいけないという努力はしてきたつもりですが、しかしながら、至らぬ点の多い点は、まことに恥ずかしいことであります。今後とも努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/201
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202・受田新吉
○受田委員 宮内庁におつとめになる皆さんの職名等についても、相当改変されてこられてきておるわけですが、かつて女嬬あるいは雑仕、雑仕事をする、つまり下女に当たるような職種などがあって、女性ながら、ほんとうにはした女としての働きをする用語が、二十年前ごろまで残っておった。しかし、現に、内部では、そういうことばが使われておるというような状態であるということ、これは、もう職種の上、職名の上で完全に生まれ変わっていく――侍従ということばは、これは、もう国民の間にも親しまれておりますので、あえて式部官長とか侍従とかいうことばはそれとして、内舎人その他のことばなども、国民には理解しにくいことばである。
そういうのは、国民にわかりやすいことばに切りかえてもいいのじゃないか。一番根城の侍従とか式部官とかいうことばを残しておかれることによって、宮内庁の占い伝統が一つ残っておる。その他は、さらっと近代的な職名に切りかえていかれるというような配慮をされる必要はないか。つまり、官僚機構の中に斬新さを持たせて、開放された皇室であるというところを印象づける思い切った行政措置が必要なのではないか。
いま次長さんが、くしくも、総務長官も置かれるようになったので、総務長官の発言が非常に重大になってきて、宮内庁の長官とか、次長の影は、薄くなったようにと言われておるようでございますが、この件について、総務長官は、どういうふうに感じられるか、御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/202
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203・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 総務長官といたしまして、就任してまだ日も浅いことでございますので、過去の長い歴史の中でつちかわれたことを、一朝に、これをいい、悪いというふうに判断をすることも、いささかためらう気持ちがございます。
しかし、いま、受田委員の仰せられたように、やはりわれわれの天皇さまが、もっと大衆に近いものであってほしいということは、私は、切実に考えており、また、そうした仕組みをつくっていくことが非常に大事だと私は思います。
そういうような意味で、いま、受田委員が仰せられたいろいろなお気持ちは、ほんとうにわれわれがもっと早く、そうしたことをやっていったほうがよかったのじゃないかというような気持ちになっております。
同時に、また一方、御指摘のような官僚機構と申しますか、一つの長い伝統の中から仕組まれておる現在の組織体というものの変化、これは、やはりそう簡単には変化は起こせない場合もある。しかし同時に、このことは、われわれの総理府の長は、総理大臣でございますから、よく総理とも話をして、あなたのお考えも伝えてみたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/203
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204・受田新吉
○受田委員 私、宇佐美さんや瓜生さんのような人格高潔なお方が、その座におられることに、実は大いに感謝しておるわけです。だから、そのお人柄について申し上げるのではないので、そうした雰囲気を変える行き方をどうしたらいいかを、一緒にわれわれ国民とともに宮内庁も考えていただき、総理府総務長官も、一年か二年かで交代されながらも、常に美しい伝統を、そういうところに残していかれるように配慮してもらいたいと要望しておくわけです。
最後に、陛下の外国御旅行がひんぱんに行なわれる方向に進んできておるわけですが、去年、田中総理は、アメリカの大統領との共同声明において、大統領がことしの末までには日本へ来る、また天皇陛下もお迎えするというお話を声明の中に織り込んでおられるわけです。これは国務大臣として、宮内庁を担当しておられる小坂先生、十分心に入っておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/204
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205・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 田中・ニクソン共同声明は了承しております。そしてまた、雑なことばで申し上げますと、双方の都合のいいとき、そうした時期を選ぼうということになっておると了解しておりますが、いま、この問題は、総理が一番考えておる点ではないかと思います。
私は、共同声明の一番好もしい時期がいつかということについて、自分の考えもございますが、具体的にこの問題が進んでいるとは、いま聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/205
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206・受田新吉
○受田委員 日米の政治関係などで、いろいろ気苦労せにゃならぬ問題もひそむわけです。
同時に、陛下の御旅行については、海外に日系人の多い国がある。長官、御存じでしょう。南アメリカなどでは、人口六十万も日系人のおるブラジルなど、母国の天皇のおいでを非常にお待ちしておるという国民感情を私じかに聞いております。私も、海外日系人会の議長を毎回つとめておりますが、そういう国々から来る人たちは、常にそれを言っておる。アルゼンチン、チリなど政情がきびしくなっておりますけれども、ブラジルは、その点で非常に熱心な、親日日系人の国家です。それからカナダ、途中でハワイ、こういうところは、当然、陛下に御苦労いただくと、みんなに喜びを与えるところなので、喜びを与え、その地域との親善をはかっていくところに、政治的な意味のない、純粋な、陛下御苦労さまでしたという感情が流れてくるのです。
それをひとつ、総合的に考えながら、同時に、陛下の御健康状況と時間的なことも頭に入れながら、総務長官、宮内庁を担当され、陛下の御旅行等についても、十分心を配る立場の国務大臣として、いま、あなたの頭の中に私案があるということでしたが、それを、いまここで、あばき出すことはよしますが、私が提案したことを、一緒に検討するように要望します。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/206
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207・小坂徳三郎
○小坂国務大臣 ただいまの日系人の多い国に行くということも、非常なアイデアではないかと考えますが、また、この問題については、総理ともよく相談しないといけないと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/207
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208・受田新吉
○受田委員 これだけにしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/208
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209・徳安實藏
○徳安委員長 次回は、来たる十九日火曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00419740214/209
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