1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年二月二十七日(水曜日)
午後一時四分開議
出席委員
委員長代理理事 小宮山重四郎君
理事 加藤 陽三君 理事 中山 正暉君
理事 服部 安司君 理事 大出 俊君
理事 中路 雅弘君
大石 千八君 笠岡 喬君
近藤 鉄雄君 藤尾 正行君
三塚 博君 吉永 治市君
吉田 法晴君 鬼木 勝利君
鈴切 康雄君 受田 新吉君
出席国務大臣
通商産業大臣 中曽根康弘君
出席政府委員
公正取引委員会
事務局長 吉田 文剛君
中小企業庁長官 外山 弘君
中小企業庁計画
部長 吉川 佐吉君
中小企業庁指導
部長 栗林 隆一君
委員外の出席者
内閣委員会調査
室長 本田 敬信君
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委員の異動
二月二十七日
辞任 補欠選任
受田 新吉君 安里積千代君
同日
辞任 補欠選任
安里積千代君 受田 新吉君
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二月二十六日
靖国神社の国家管理反対に関する請願(野間友
一君紹介)(第二四五七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
中小企業庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/0
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001・小宮山重四郎
○小宮山委員長代理 これより会議を開きます。
本日は、委員長が所用のため出席できませんので、指名により私が委員長の職務を行ないます。
中小企業庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/1
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002・鬼木勝利
○鬼木委員 中小企業庁設置法の一部改正、本法律案につきまして、少々お尋ねいたしたいのでございますが、まず、この法案そのものについて二、三お尋ねをいたしたいと思います。
中小企業庁に小規模企業部を設置する、いわゆる従来の二部制を三部制にする、計画部、指導部、それに加えて小規模企業部で、次のような事務を所掌をする、このように法案の説明があるようでございますが、従来、二部制でどういう点に不自由な点があったのか、まずかったのか。まず、この法律を改正して、中小企業庁の内容を変える、今回、これを変えて二部制を三部制にするのは、従来、こういう点で非常に事務上支障を来たしたからだというような顕著なところがあれば、具体的に御説明願いたいと思います。大臣でなければ、長官のほうでも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/2
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003・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 従来からも、中小企業庁におきまして、諸般の対策をやってまいりましたが、最近、中小企業問題の中で、特に重要な問題になってきたのは、零細企業の問題でございます。昨年は、小売商業振興法という法律もつくっていただきまして、零細小売り関係の援助、強化につとめてまいりました。
それから、最近の経済情勢等を見ますと、昨年の水銀の問題あるいはさらにドル・ショックの問題、今度のオイル・ショックの問題でやはり一番打撃を受け、また手当てを必要とするのは、むしろ零細企業にある情勢でございます。特に流通過程におきましては、いろいろ問題があるようでございます。そういう面から行き届いた対策をやるために、どうしても専門に小規模関係の部局を設けて、専門にそのめんどうを見させていただくという人的、機構的充実をやる必要が非常に痛感されたところでございます。
中小企業と申しましても、実際われわれが特に念入りに必要とするものは、零細企業の関係であると心得ております。それで、これらは、いままで商工会議所あるいは商工会あるいは実業組合、そういうような系統を通じていろいろ施策をしてきたところでございますが、昨年は三百億、ことしは千二百億のいわゆる経営改善資金というものを、商工会議所あるいは商工会を通じて流すようにいたしましたり、あるいはそのほかの経営改善指導員の増員等もやり、この際、それらの経済諸団体を通じて、きめこまかい指導を、さらに徹底して零細業者に対して行なう、そういう非常に重要な仕事といたしまして、特別の部局を設けてめんどうを見させていただく、そういうことにきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/3
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004・鬼木勝利
○鬼木委員 大臣の御説明は、よくわかりました。よくわかりましたが、目的は、零細企業を救済することが目的である、まことにごもっともで、私は、そうあるべきだと思うのでございますが、それでは、いままではどういう点に目的、観点を置いてやったのか。いままでは、零細企業を救済するための中小企業庁ではなかったのか。中小企業庁というものの本質的ないままでの仕事は、どういうことをやっておったのか。いま、にわかに零細企業が大事だという大臣の方向づけは、これは、私はけっこうだと思う。それは妥当だと思う。その点は間違いない。大いに中曽根大臣と同感でございます。じゃ、いままでは、中小企業庁は、一体何をやっておったのだ、それを的確に説明していただきたいと思うのです。どうです、長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/4
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005・外山弘
○外山政府委員 現在、小規模企業対策が非常に重要性を帯びてまいりましたという点は、ただいま大臣がお話のとおりでございますが、しかし、これは、さりとて、いままで小規模企業対策を何ら顧みなかったということではございません。中小企業庁が発足して、もう二十五年になりますが、その間、いろいろな中小企業の業種、業態に応じて多極多様の行政施策を講じながら、中小企業のいろいろな問題点をつかんで施策に反映させること、あるいは中小企業政策に、その多種多様な内容を織り入んで、中小企業庁みずからが政策を営むこと、両面にわたっていろいろな配慮をしてまいりましたし、実行もしてまいったつもりでございます。
ただ、最近は、小規模企業対策という面で、いろいろ施策上の強化をしなければならない面が多々出てきている。中小企業というのは、多種多様でございますけれども、その小規模企業の面で、施策上の強化が必要になってきているということ、これは、ここ数年来、非常に強くいわれてきたことでございますし、それを反映して、いろいろな施策の強化をしてまいりました。
これは、いままでの計画部、指導部の仕事の中で、いろいろな配慮をしてまいっているわけでございますが、ただ、だんだんとその位置づけが高くなってきているということ、したがって、この際、そういった小規模企業施策を一部に集中するということが、よりよいやり方ではないだろうかということが一つでございます。
もう一つは、先ほどPCBのお話やなんかが出ましたけれども、小企業の実情の把握あるいはその人たちの利益の擁護、こういった点になりますと、各省の行政なり私どもの課の配置なりを見ますと、ともすればウエートの置き方に乏しいきらいがありがちである。やはり小規模企業というものを常に念頭に置いた機構というものをつくることが、いまのような背景となる考え方に対応する機構上の措置ではないだろうか、こういうふうに考えたわけでございまして、もともと各課で小規模企業への配慮をいろいろ考えておったのを、ひとつ小規模企業のことだけを考える組織をつくり出しまして、その人たちが、常に問題点をとらえ、そしていろいろな施策に注文をつけるということも大事な時期になったのではないか。
この二つの要請から見まして、今回、小規模企業部をつくることによりまして、一段と小規模企業施策の集中強化をはかり、かつ、よき相談相手となる機構上の配慮をしよう、こういうことでございます。
したがいまして、従来からやっておりましたことに加えまして、さらにそういった面を加えた機構上の配慮をしようということでございまして、従来やっていることを、さらに強化しようということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/5
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006・鬼木勝利
○鬼木委員 一応、理論的には、あなた方のおっしゃることは成立するかもしれないが、実際問題として、これは今日のこうした経済情勢が、石油の削減という問題からにわかにインフレ、物価高というような経済界の大変動、物はなくなる、したがって金融引き締めをやってくる、中小企業はますます圧迫される、そういうことで、にわかにあなた方が、零細企業に対して見直さなければいかぬぞ、従来は、やっておったとおっしゃるけれども、あなた方の通ってこられた足跡を見た場合に、小企業の融資の制度におきましても、去年の九月に出発したんでしょうが、実際は、十月十一日に出発している。
まさに石油によって大混乱を来たしたときに、あわててあなた方は、小規模企業を何とかしてやらなければなるまい。なおまた、本年に入って、なおさらきびしくなったので、貸し出しを、百万を二百万にしよう。また、先ほど大臣が御説明になったように、去年は三百億であったのを、ことしは千二百億にしました。ほんとうに小企業、零細企業の気の毒な状態に対するあなた方のあたたかい考えではなくして、時代の経済の流れに押し流されて、やむを得ずこうやらなければなるまいというようなことで、あわてふためいてやったところの形跡が、はっきりここに出ているじゃないか。
従来からやっている、従来から零細企業をそれほど大事にしておるならば、何もうろたえる必要はない。だから、これは悪いとは言わぬですよ。何ぼおそくても、どろなわでも、どろぼうを見てなわをなっておっても、なわないよりいいからいいけれども、そういうことでは——いま予算委員会でも盛んに大手がやられておる。あなた方自体も、そういう中小、ことに零細企業などというものを、まず第一番に救済しなければならぬという観念が薄い。中曽根大臣も、現内閣の実力者として、なかなか手腕力量といい、私、敬服しておりますが、御同様、大臣御自体も、大企業優先という、そういうお気持ちがおありじゃないか。
あなた方が、何ぼそんなことをおりしゃっても、ここに資料が出ているんですよ。あとでまたずっとお話しますが、倒産状態も、ことし急になったというわけじゃないんですよ。三年も四年も倒産はずっと続いておる。ことに、また倒産問題については、あとでゆっくりきょうは御相談いたしますが、私らに言わせれば、これは大いにおそきに失している。後手後手だ。とんでもない。まるでノミの飛んだあとを押えていくようなものだ。それじゃ話にならぬ。
あとで資料で、私はずっと計数的に申し上げますけれども、それは、いまにわかにあわてふためいて——やらぬよりかいい、やらぬよりかやったがいい。しかし、そういうことでは、ほんとうにわが経済界の健全なる立ち直りというものはできません。その点、中曽根大臣の御見解を、これは長官もひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/6
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007・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 確かに、御指摘のとおり、小規模事業に対する施策は、おくれていたと思います。中小企業庁というものができたときに、この小規模企業というものに正面から取り組んで、商工会議所なり商工会の指導を、草の根を分けてもやるべきだということが筋ではなかったかと思います。そういう点について、大いに反省をいたしまして、末端、毛細管のところを強化しよう、そういうことで、今後さらに積極的に進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/7
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008・外山弘
○外山政府委員 御指摘のように、小企業経営改善資金融資制度は、発足が全く最近のことでございまして、こういった有効な制度の出発がおくれたということは、御指摘のとおりだと思います。
ただ、小企業対策としては、たとえば国民金融公庫の制度なり設備近代化助成として無利子の融資制度なり、あるいは保険の特別小口といったような零細企業対策上の配慮は行なわれておりましたし、それから商工会、商工会議所法等の施行によりまして、小企業の経営改善指導というのも十年前に発足はしておるわけでございます。
ただ、実情を考えますと、さらに、こういった無担保、無保証制度が有効な役割りをするという意味で、小企業対策の重要性を痛感すると同時に、こういった施策上の強化を、今回あらためてやったという点からいいますと、確かに御指摘のように、私どもも反省をしなければならない点があると思います。今後は、やはりこういった制度の充実にさらに心がけてまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/8
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009・鬼木勝利
○鬼木委員 さすがに中曽根大臣、そのように御答弁いただけば、私は何にも言うことはないんですよ。これは鬼木の言うとおり、確かにおそきに失している、もっと早くやるべきであった、こういうようにおっしゃれば、まことにおれと同じ考えだ、さすがに名大臣だ、敬服しますけれども、外山長官は、あと口の悪い、何かぐじゃぐじゃ言っているけれども、何か文句があるんだったら、もう一ぺんはっきり言いなさいよ。
あとのほうで、確かにそうおっしゃられますればそうだと思います、だがしかし——バット、何でもバット、もう一ぺん、はっきり明快に。大臣は、そのように私の言うのを認めて答えたんだ。それだのに中小企業庁長官は、何だ、なまいきな。何言っている。そういうことでは、おれはこの法案の審議はやりませんよ。そんな零細企業を忘れた、ほんとうに気の毒な、一番底辺の気の毒な方に、何という考えを持っているのですか。いま一度答弁をしてもらおう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/9
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010・外山弘
○外山政府委員 小企業経営改善資金融資制度を、もっと早くやればよかったという点は全く同じでございます。
ただ、おことばを返すようでございますが、小企業対策は何らいままでやってなかったのではないかというふうなお考えだとすれば、私どもとしては、それなりの配慮は従来してまいりましたということだけを申し上げたわけでございまして、特に大臣と違ったことを申し上げたつもりは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/10
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011・鬼木勝利
○鬼木委員 では、大臣の答弁と食い違いはないんだな。確認しますよ。いいですな。——では、その次に進みましょう。
今回、中央に二十二名増員する、それから地方に二十八名、これは新規増員だと思うのですが、この二十二名と二十八名、これは全部新規ですか。振りかえがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/11
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012・外山弘
○外山政府委員 全部新規でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/12
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013・鬼木勝利
○鬼木委員 全部新規だということになれば、これは定員法との関係はどういうふうになっていますか、行管との。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/13
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014・外山弘
○外山政府委員 行管の了承している考え方でございますから、定員法上の措置はとられていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/14
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015・鬼木勝利
○鬼木委員 とられていると思いますでは、困るじゃないか。長官が、そんなあいまいなことでは……。はっきりしたことを言いなさいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/15
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016・外山弘
○外山政府委員 定員法のほうは、また通産省全体としてどういうふうなプラス・マイナスがあるかとか、いろいろな点を含めて、行管のほうに通産省から話がいっていると思いますので、そういうふうに申し上げたわけでございますが、この中央、地方合わせまして五十名の増員につきましては、行管も了承しておりますので、定員法の措置がとられているというふうに申し上げていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/16
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017・鬼木勝利
○鬼木委員 では、行管が了承している、こういうことですね。
それでは、中央に参事官を一名置く、それから指導官を五名置く、これは、どういう仕事をやるのですか。参事官が一名で、それで指導官を五名置く、そうすると、従来の計画部とか指導部にも参事官が一名、そして指導官が五名というふうな、そういう体系になっておりますか。これは、どういうことをやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/17
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018・外山弘
○外山政府委員 参事官一名、指導官五名は、今回新設しようとしております小規模企業部に固有の制度でございまして、現在の計画部、指導部には、そういった参事官や指導官はございません。
それから、参事官、指導官の仕事でございますが、小規模企業に対する対策の重要性と同時に、小規模企業の実態をよくつかみ、かつ、小規模企業の問題点をとらえて、これを施策に反映させる、その施策は、中小企業庁の施策に限らず、各省の施策にもなると思います。
そこで、小規模企業の参事官が指導官を統轄いたしまして、そして小規模企業を業種別に分類いたしまして、そして五人の指導官が、それぞれの分担を具体的にいたしまして、そしていろいろな小規模企業者からの相談あるいは苦情といったようなものについては、これの処理とかあるいは必要な対策の要請とか、そういったことをやってまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/18
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019・鬼木勝利
○鬼木委員 そうすると、他の二部、指導部とか計画部、これには参事官もいなければ指導官というようなものに相当する者もいないというわけだな。だったら、今度、参事官を一名置き、指導官を五名置く、それは、どういう特別の仕事というか、どういう任務があるのか。この法案の理由には、そういう説明が何にも詳しく載っていないのです。これは、資料を要求しますからね。中小企業庁の機構、組織一覧を——今度、三部にして、どのようになる、人員がどうだ、機構組織を、事務分掌を、ひとつはっきり出してもらいたい。何もそういう説明がない。
先日、あなたのところから、専門の係官も来てもらったし、政府委員もよんで聞いてみたけれども、何もそういう説明はしないんだ。法案でも、われわれに審議してもらうというならば、材料をそろえて、われわれが研究が十分できるように、そのように親切にやるのがほんとうじゃないかなあ。いやしくも、われわれは、国民を代表している、そして国会は審議の場ですから、それになるべくわかってもらう、あなた方がいま企画しておることをよくわかってもらう、そのように細心の注意を払って、資料でもはっきり出して、こういうわけでございますといって出すべきですね。言われなければ出さない、これでは、なんぼ賢明な卓越した大臣でも困りますよ。
あなた方の補佐の任務が全うできないと思うのだけれども、これはひとつ、資料を要求しますから、はっきり出してください。委員長、ひとつ資料を出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/19
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020・小宮山重四郎
○小宮山委員長代理 資料提出については、次回の理事会ではかりまして、提出を要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/20
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021・鬼木勝利
○鬼木委員 それでは、続けて質問をいたします。
地方の通産局に二十八名を配置する、地方の通産局といいますと八カ所あると思いますが、間違っておったらあとで訂正してもらいたい、私の記憶違いであったら。全国に八カ所通産局はあると思うが、そこへ二十八名の人員を張りつける。そして指導官が十六名おる。そうすると、二名ないし三名、こういうことになると思うのです。そして通産局の中小企業課にこれを置く。
そうすると、通産局の中小企業課で、本人は中小企業庁の者、一体これはどうなるのですか。派遣ということになるのですか。通商産業局の、地方の局の職員になる。大きくいえば、通産省の職員ということでございましょうが……。ところが、指示は中小企業庁の長官の指示を受ける。そこのところがどうなるのか。通産局の中小企業課長の配下にあたって、課長の指示によって動くのか、本庁の中小企業庁長官の指示によって仕事をやるのか、そういう点がちょっとあいまいなんだな。
身分は、通産省の職員かもしれないが、実際は自分は中小企業庁の職員である、そして実際は、通産局の中小企業課の課員である、どうもその辺のところがはっきりせぬようです。通産局の職員であり、通産省の職員で本庁の中小企業庁からの職員。二重国籍を持っておるようでもあるし、何か派遣されておるようでもあるし、その辺のところが、いささかあいまいですが、的確な説明がなかった。これは外山長官、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/21
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022・外山弘
○外山政府委員 今回の、地方に置きまする二十八名は、通産局の職員として配置されるわけでございます。したがいまして、通産省の支分部局としての地方通産局、そこに配置されるわけでございますから、全く他の通産局の部局の仕事と同じような組織上の機能を持つわけでございます。
したがいまして、中小企業庁が直接その人たちを指揮監督するのではなくて、やはりその指導官は、通産局の中小企業課に属するわけでございますから、中小企業課長の指揮のもとに入るわけでございますし、中小企業課長は、通産局長の指揮下にあるわけでございますし、私どもは、通産局に対して、いろいろお願いをしたりするときには、通産局長に私のほうからお願いするというふうなかっこうになるわけでございますので、普通の地方支分部局の扱い、そこに属する職員の扱いと全く同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/22
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023・鬼木勝利
○鬼木委員 そうすると、非常にこれはややこしいな。外山長官の指示を通産局の局長に流す、たとえば福岡なら福岡の通産局の局長に流す、そうすると通産局長が課長に、こういうふうに外山さんから言ってきておるぞ、そして、その課長が二人ないし三人おるそれに流す。同じ通産局の課員で、同じ通産局の中小企業課でありながら、これは、よそから来ておる者のようだな。何か派遣されておるような、一切通産局の局長名で、局長のもとで仕事をするなら、これははっきりしているんだけれども、そのところがちょっと……。
これは、大臣命によって、あるいは次官通牒だというようなことで、各局長なんかに言うてきた場合、それはみんなに流れる。ところが、これは通産局の中小企業課の二人あるいは三人だけに流れる仕事だからな。たとえば福岡の通産局に全部流れる仕事ではなくして、しかも中小企業課に流れることじゃなくして、二人に流すことだ。ちょっとそこのところが、どうもあいまいなようだな。どうです。
本人たちも、二人なら二人が、課なら課のすみのほうにおって——ぼくがすみのほうと言ったところが、だれか来て、いや、それはまん中にでんと置きますと言うんだが、何を言っているのだ、まん中に置こうが、すみのほうに置こうが、そんなことを言っているのじゃない。あの人たち二人は、中小企業庁の仕事をするんだ、長官から流れてきたことをやっているのだ、ほかの者は、全部通産局の直接の仕事をやっているのだ、どうもそういうところが、ちょっとはっきりしないんじゃないかな。これは文句を言っているんじゃない。これで、だいじょうぶ、スムーズにいけばけっこうですよ。私の杞憂にすぎない、老婆心にすぎないけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/23
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024・外山弘
○外山政府委員 現在の通産局の中小企業課の職員は、中小企業課長の指導のもとに中小企業行政を、地方通産局としてやっているわけでございます。その職員が、こういった機能を持って充実される、つまり増員されるというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
したがいまして、中小企業庁が、今度ふえる人に対して、いままでの人とは違って、特別に直接の指示をするわけではございません。従来の通産局と中小企業庁との関係、あるいは中小企業行政における通産局の位置づけ、これは何ら変らないわけでございます。その職員は、したがいまして他の中小企業課の職員と同じような立場で仕事をするわけでございますから、身分上の別の扱いは何らございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/24
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025・鬼木勝利
○鬼木委員 そうすると、通産局の人員増だとかあるいは人員減だとか、そういうことをやるのは、そういう人事のことは、ふやすとか減らすとか、どうするとかああするとか、横へやるとかやらぬとか、配置転換するとかは、中小企業庁長官、あなたがやっていいわけか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/25
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026・外山弘
○外山政府委員 私の立場は、中小企業行政を中央でやる場合にはこうであり、地方でやる場合にはこうであるというふうな立場で要請をするわけでございます。
その場合に、中小企業庁は、もちろん通産省の一つの部局でございますから、通産本宿の要求の中身に入れられて要求をしていくわけでございますし、通産省の中身のふえ方として、中小企業庁に幾ら増員するということがきまってくるわけでございます。通産局につきましても、その通産局の人員の増とか減ということは、通産省の大臣官房が、各通産局のそういった仕事をまとめているわけでございます。
私どもは、仕事の内容から見まして、通産局の中小企業行政について、こういう増員をしてほしい、こういう増員をすべきであるということのお願いをするわけでございまして、それが通産本省を通じて行政管理庁との間で了解されますと、それがまず案として実現の運びになる、こういうことでございます。
したがいまして、私が一々左右する、全部できるというような性質のものではございませんで、通産省の仕事の一端としてやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/26
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027・鬼木勝利
○鬼木委員 そうしますと、これは定員法によって、二十八名もあなたのところでふやす、そうしますと、通産局としましては、ほかにふやしたいものがあってもふやされない、〇・五の削減という定員法に縛られて。通産局自体として、ほかの課で今度ふやしたいとか、やめる人もむろんおるでしょうから、それを差し引きしてこれだけこうしたいとかいうような場合に、あなたのところで、二十八名も中小企業庁が通産局のほうの職員をかってにとってしまう、それは官房で話し合ったでしょうが。そうすると、全国に八カ所ある地方通産局は、中小企業庁の増員だけで、自分たちがふやしたいと思うようなことができないようになってしまうが、そういうふうな点も、了承ができていて、はっきりしておるのか。二十八名というのは、ごまかしがありはせぬかと私は思っておる。定員法をごまかすんじゃないかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/27
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028・外山弘
○外山政府委員 中央、地方の増員が認められます場合は、どういう仕事に何人というふうに一々指摘されるわけでございます。したがいまして、今回の通産局の二十八名につきましても、こういう仕事でどこの局に何人というふうなことが、最終的には決定するわけでございまして、ただ人数がふえるというわけではないわけでございます。
それで、内容が一々個別的に指定されてくるわけでございまして、その指定される段階で、通産省の大臣官房は、通産局の意見もよく聞き、かつ通産本省内のいろんな意見も聞いて、通産局の人数のふやし方をきめるわけでございますから、通産局との意思の疎通も十分できた上での決定になるわけでございます。
ただ、その過程で、中小企業庁としましては、中小企業行政の地方における充実をこういうふうにはかってほしいというお願いはするわけでございまして、それを、官房が通産局の意向とあわせまして、それからまた、行政管理庁との間の人数の増加についての取りきめによりまして、それをあんばいするというかっこうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/28
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029・鬼木勝利
○鬼木委員 いや、そうなると、私は、どうしても八カ所の地方通産局の定員に対して、しわ寄せが来るんではないかと思うんですよ、あなたのところで二十八名とってしまうんだから。新規採用だから、新規増だからね。だから、私は、さっきお尋ねした、これは振りかえかと。いや、私どもは、新規採用だとおっしゃった。定員内においての振りかえではなくして、新規増ということをおっしゃっているから、そうしますと、八カ所の地方通産局は、定員がこれでもうぎっちりで、どうにもいかぬようになってしまう。
できたら、それじゃ八カ所の地方通産局の来年度の人員、機構、組織の一覧表、これをひとつ出してもらいたい。地方通産局に出せというのが、あなたの権限外でできぬというならば、ここに大臣が見えているから、その組織、人員の一覧表を出してもらいたい、絶対にごまかしがないように。大体、地方通産局の八カ所は、本年はほとんど新規増ということができないということになる、あなたのところで二十八名とってしまうんだから。大臣、その資料をどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/29
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030・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 資料を調製して提出をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/30
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031・鬼木勝利
○鬼木委員 それから、先ほど言いました中央の指導官、それから参事官の任務については、おおむねお話を承りましたが、地方の二十八名の指導官は、一体、どういうことをやるのか、その事務内容、職務内容を、ひとつ的確にお話し願いたいと思います。ここのところは、大事なところですからね。地方通産局の職員だから、地方通産局の一般的な仕事を何でもやるというのじゃなくして、中小企業庁のほうから来た仕事をやるんだ、こういうふうに話を聞いておりますから、それじゃ、どういうことをやるのか。
中小企業課におるんですからね、二人ないし三人。だが、通産局の中小企業課の課員だが、中小企業課の仕事をするのじゃなくして、あなたから、外山長官から指示が出たことをやるんだ。それを通産局長に、私からやります、そうすると、通産局長からそれが行って、本人たちは仕事をします、こういうことを言っているんですからね。先ほどから、あなたはそういうことをおっしゃっている。大体どういうことをやるのだ、そこのところをはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/31
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032・外山弘
○外山政府委員 通産局における指導官の役割りも、中央における指導官とまず全く同様の機能があるわけでございまして、小規模の企業者からさまざまな要望を受け付けるということ、あるいはその人たちに対して働きかけてその声を吸い上げる、そしてその相談に乗り、必要に応じてみずからも処理し、あるいは関係部局との協力のもとにあっせん等を行なうというふうなことが、まず大事な仕事と思います。
そして、特に地方の指導官におきましては、やはり地方だけで解決できない問題が多々あると思います。したがいまして、中央との橋渡し役という点が、また大事であろうと思いますし、一方中央から見ますと、地方の指導官は、その地域に特有の小規模企業者の声を吸い上げるということ、これが特に大事だろうと思います。そして、そういったことと両々相まちながら、地方の指導官と中央の指導官とが密接な連絡をとるということが非常に大事な役割りになってくる、こういうふうな運用をしてまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/32
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033・鬼木勝利
○鬼木委員 だから、そういうお話を聞けば、ますます——これは、通産省の職員ということには間違いない。中小企業庁からの駐在員とか地方通産局に対する駐在官とかあるいは派遣指導官とかいうような姿になるのじゃないですか。そこのところを、くどいようだけれども、私はお尋ねしているのです。どうも性格が、そういうふうな性格のように、いまの御説明でもそう私は思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/33
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034・外山弘
○外山政府委員 私は、機能面に重点を置いて、そういう御説明を申し上げました。したがって、特徴的に申しますと、いま鬼木先生のおっしゃるような感じをお受けになると思います。それは、実質的なお話は、そのとおりでございますが、形式的な面で申しますと、先ほど申しましたように、あくまでも通産局の職員でございますし、通産局長、通産局の中小企業課長の指揮監督のもとにあるわけでございます。
ただ、仕事の内容の特色という点で申し上げますと、先ほどのような指導官という名前を置く以上、そういったことに重点を置いた機能をしてもらいたい、また、そういうふうな機能を期待して置くわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/34
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035・鬼木勝利
○鬼木委員 だから、私は、そういう点が、そういう機能の面から、組織の面からいった場合、どうも釈然としない。御本人たちも、そういうお気持ちが出るんじゃないかと思うんです。また、地方通産局の職員も、そういう目で見るんじゃないか、あれは本庁からの駐在官だ、派遣官だと。
そうすると、結局、中小企業課の仕事なんかは、もう頼まれてもせぬ、そんなおれたちじゃねえぞと。何か通産局の職員でありながら、実はどうも仕事の内容がそうじゃない、機能的に。そういう点が、多少変わった感じがする、イメージがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/35
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036・外山弘
○外山政府委員 ただいま御説明いたしましたような通産局における指導官の仕事、機能、そういったものは、やはり通産局の中小企業行政としても、大事なことでございます。したがいまして、こういった指導官というものが置かれる機会に、通産局としても、その指導官を活用しながら、通産局の中小企業行政の充実が期せられるということでございまして、特に独立の行動をするとか、通産局の仕事と切り離して動くというふうなものではないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/36
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037・鬼木勝利
○鬼木委員 じゃ、通産局の中小企業課、その通産局の課に属する仕事は、全部やるというわけだな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/37
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038・外山弘
○外山政府委員 通産局の課の中の一員として機能するわけでございますが、今回の増員については、ただいまのような仕事を期待して増員するわけでございます。
ただ、実際に増員されて配置された方が、その通産局の中小企業課の中で、既存の仕事とどういう調和をとるかというふうな点は、これは、通産局の中小企業課長なり通産局長なりの判断で行なわれるだろうと思います。地域ごとに、小規模企業行政の中身は違ってくると思いますから、それなりの配慮を、通産局ごとにするであろうというふうに期待をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/38
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039・鬼木勝利
○鬼木委員 どうもぼくはすっきりせぬな、その点が。ほんとうにすっきりしない。
なおまた、各通産局から出る資料なんかとにらみ合わせて、いずれ——きょうは、私の質問は全部終わらぬから、また引き続きやりますから、そのときには、やかましゅうは言いませんから、どうぞひとつ……。
それでは、刻々時間が迫ってきますが、少々お尋ねしたいのは、先ほどの小企業経営改善資金融資制度、これについて、ちょっとお尋ねしたいと思います。
先ほど大臣が御説明になったように、四十九年度の新予算は、百四億八千四百万、四十八年度は三十億になっておりますが、予算書に載っているから間違いないでしょう。あなたのところから出ておる、四十九年度中小企業施策の重点として、四十九年度中小企業関係一般会計予算概要というところに、四十八年度予算は三十億と載っておる、ところが、四十九年度予算は百四億八千四百万、こう載っております。これは間違いないな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/39
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040・外山弘
○外山政府委員 小企業経営改善資金にかかわる一般会計ですが、一般会計の予算が四十八年度は三十億、四十九年度は百四億八千四百万でございます。これは一般会計が、この経営改善資金の資金コストとして充てている分でございまして、小企業経営改善資金のワクは、四十八年度は、この資料の別のところに書いてあると思いますが、三百億、四十九年度は千二百億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/40
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041・鬼木勝利
○鬼木委員 いわゆる事業規模は、四十八年度は三百億、四十九年度は千二百億、これは先ほど大臣が御説明になったとおり。そして今度貸し付け限度の引き上げを、百万を二百万にする、運転資金は五十万、これは変わりがない。貸し付け期限の延長を、二年以内を据え置きにして、百万円こえると設備資金については三年以内、ずっとこう説明してあるようでございます。
ところが、この法案の成立したのが去年の九月、実際に発足したのが十月でございますが、これは、あなたのところから資料をいただいておるので、それによってちょっと申し上げたい。貸し付けの状態でございますが、去年の十月十一日に発足して、十二月末日現在までの貸し付け状態、推薦ワク状況というプリントが来ておるが、それを見ますると、つまり十月からでございますので、第三・四半期分ですが、百八十億ですね。第三・四半期の推薦ワクが百八十億。ところが、実際申し込んだのは百六十一億五千五百万で、実際に今度貸し付けたのは百五十七億二千三百万、こうなっておる。これは、おたくのほうからいただいた資料です。
それで、これを考えてみますると、件数は二万九千八百六十七件、まあ結局、三万ということですね。そうしますと、件数からこれを割り出しますと、五十二万平均になるんですね。私は、ここで計算しておるので、計算が間違いかどうか知らぬが、約五十二万平均になる。
さあ、そうしますると、申し込みは非常に少なかった。百五十七億二千三百万。百八十億のワクがあって、さあ、これだけお貸しいたしますよ、ところが、実際は百五十七億しか借り手はなかった。しかも、借りたのは、五十万の口が大部分であった、あなたのこれを見ればわかるのです。五十万の口が多かった。借りた人間の数と総額が出ておるから、それで割れば五十二万になるんです。
そうすると、こういうばかな話はないじゃないですか。ここに「小企業融資の金庫のフタ がんじがらめの条件でしばる」と書いてある。簡単に借りられない。これはある指導員が言っておるんですよ。「私が指導している小企業を見回しても、有資格者は一人も見当たらない」と書いてある。
問題はここですよ。これは、逆に考えるならば、有資格者は一人も見当たらないと、こう指導員が言っているんですよ、あなた方が委嘱しておる指導員が。あなた方がお金を出して、それで商工会議所で雇っておる指導員が、内容を見ると有資格者は一人もおらぬと言っている。それに、いま言ったように百八十億のワクで、百五十七億二千三百万も貸したということは、あなた方こそ御存じないが、実際は、無資格者に全部これを貸したということになるんですよ、逆に私が言いますと。
あなた方が言っているところの条件を厳重に当てはめて、しさいに調査しますれば、指導員いわく、有資格者は一人もおらない。そうすると、一人もおらないのに、ワクは百八十億きめて、しかも百五十七億からの金を、資格者でない者に出したということになっておるんですよ、こういうことになりますね。あたら国の金を、国民の税金を、無資格者に貸したということになるじゃないですか。これは長官、十分考えなければならない。
だから、また、これを逆に考えますと、それほど零細企業の方ばかりだということなんです。指導員が調査すれば、ほとんど無資格者だということは、それほど零細企業の方がいらっしゃるということです。ですから、金を借りる力もない、保証人に立つ人もおらぬ、だから、無担保、無保証。だから、見て、この人は気の毒だ、哀れだと思えば、それは、すでに私は条件だと思う。それを、何ぞや、時間がないから、あまり言わぬけれども、もうこれは聞くにたえない。
非常に温情家をもって鳴る中曽根大臣、あなたは、どうしてこんなことをなさるのですか。ほんとうに人格高潔な、円満福徳の相を備えていらっしゃる、温情家をもって鳴る中曽根大臣……(「次期総理」と呼ぶ者あり)次期は必ず総理になられる中曽根大臣にして、こういうひどいことを書いておる。「六カ月以前から相談所の経営指導を受けていて」と、ふざけたことを言うんじゃありませんよ。お年寄りの、おじいさんとおばあさんとたった二人で家内工業のように細々とやっている零細企業、あるいは頭に霜をいただいたおじいさんが、孫娘を相手に細々と家庭工業のような企業を営んでおるというのに、六カ月前から指導を受けておらぬような者には貸すな……。
もっとひどいのがある。その次は、こういうひどいことが書いてある。「相談所などが、経理内容を把握できる小企業主であること。」、何を言っているのかというんですよ。そんな零細企業の方が、何で経理の計算ができますか。居並ぶ諸君の御家庭だって、きちっと奥さんが家計簿でもつけているのはほとんどないと思う。ぼくのところもないから……。政府高官の奥さんですら、インテリの奥さんですら、家計簿もつけない、行き当たりばったり。おとうさん、お金がないからください、またか、もう物価はこんなに高くなっているんですよおとうさん、ああ、そうか。まあ、ぼくのところと思ってもらえばいいです。
それを、経理内容がはっきりしているところなんて、あまりふざけることもいいかげんにしてもらわぬと困るんですよ、実際の話が。だから、あなた方、ちゃんとここに書いてあるじゃないですか、記入のできないような者は記入してやれ、書いてやれと。そういうところは、中曽根大臣、やはりほんとうにこれは大臣のおやさしいところが確かに出ているな。記入のできない者は記入してあげることと書いてある。「小企業者がみずから記入が困難なときは、経営指導員その他の職員がこれを補助することとする」と書いてある。書いてやれと書いてある。
このようにやさしく書いてあるかと思うと、一方では、何もわからない零細企業に、あたかも高利貸しが何もかもひったくって持っていくように、経理内容を出せ、おまえのところは、半年前から何もおれのところの経営指導の相談を受けていないじゃないかと。だから、新聞に載っておるんですよ、がんじがらめという条件で縛っておると。ひどいんですよ、これは。ようございますか。「小企業主の会社がある場所の条件、取引き関係、金繰り、事業意欲、経営能力、」これは、新聞のあれだからよくわかりませんが、ともかく二十一項目。
ふざけるのもほどがあるよ。中小企業庁もよっぽどひまがあると見えるな。二十一項目ある。そしてそれを評価するんです。ようございますか、先生方よく聞いておいてくださいよ。これを評価してA、B、Cとつけるんですよ。
中曽根大臣、御承知と思うが、今日は、学校の採点評価でもやかましいんですよ。昔は、私らが中学時代は、甲、乙、丙、丁、戊、己とか、戊やら己やらとったら落第。それが、その後、五、四、三、二、一。それから優、良、可、不可というのがあった。今日は、全くこんなことは書かぬことになった。A、B、Cも書いちゃいかぬ。やかましいのですよ。
人の値打ちを、何だ、それをA、B、C、Dときめる。第一、A、B、Cにも何も、わずかに一人か二人。「二人以下」、「五人以下」と載っている、そんな零細企業でしょう。A、B、Cもくそもありゃしませんよ。だから、そんなことをいえば、全部無資格者だ、こう指導員は言っている。私は、そうだと思う。
それを、またA、B、C、Dとして、CとかDになったら、もうつまらぬ、半年前から指導受けておらにゃつまらぬ、経理内容がわからにゃつまらぬ、それじゃ、つまるのは何がつまるのか。——えらいみんな黙ってしもうたが、文句があるなら、ひとつ聞きましょう。はっきりきょうは対決しましょう。
いいですか、零細企業というものは、一体どういうのを零細企業というのか。物心ともに零細ですよ。それを、がんじがらめに縛り上げる。だから、指導員は、何回行っても同じで、だれも適格者、資格者いないと言う。
もうあと十五分ばかり時間がありますから、まだやりますが、ちょっと大臣、中間で大臣の御見解を……。大臣は、私の気持ちと一緒だと思いますけれども、ちょっと一言。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/41
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042・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 鬼木先生の御仁愛の精神には、いつも敬意を表しておるところでございますが、これは第一回の試みとして、こういう一つの社会制度として出発をし始めたものでありまして、大体、出発の精神が、商工会議所とかあるいは商工会で経営改善の指導をしている、その経営改善の指導について金融の裏づけが要る、そういう場合の該当部面としてこういう制度をつくったわけでございます。
そのほかの制度では、国民金融公庫とかいろいろそういう制度がございますが、この部面の中小企業関係のやり方というものは、そういう経営改善の指導をして、それに伴う金融、そういう面を考えてやったものでございますから、六カ月ぐらい指導を受けておる、そのほか若干の要件があるわけであります。しかし御指摘のように、ほんとうに零細で困っている人というようなものこそ、手を差し伸べなければならぬことでもあるのでありまして、この制度は、順次改革していかなければならぬ、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/42
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043・鬼木勝利
○鬼木委員 長官、あなたもひとつ。大臣だけおっしゃって、おれは知らぬ顔して。直接の責任者はあなたですから、大事なことは、みずから進んで答弁するくらいの意欲がなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/43
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044・外山弘
○外山政府委員 無担保、無保証という従来にない制度の発足でございました関係もありまして、御指摘のような点に触れるような縛り方がスタートにおいては必要であったと思いますが、しかし、何と申しましても、零細な企業者の方々が利用しやすいようにするということが、本来この制度の趣旨でございます。したがいまして、その条件が、御指摘のように、実情に対してたいへんきびしい内容になっているというふうなことだとすれば、その点の改善をしないと、制度本来のあり方も間違ってくるというふうにも考えられます。
ようやく発足したばかりでございますが、これからの事情をよく見きわめまして、制度の円滑な実施に私どももつとめてまいりたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/44
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045・鬼木勝利
○鬼木委員 私は、決して大臣にどうというわけじゃない。ほんとうに大臣の御答弁のようになれば、私は了承します。これは、まだ始めたばかりで、試みにやったので、これは抜本的に改正する必要があると思うから、その方面に向かって前向きで検討する、こうおっしゃっているんだから、それをどうだといって追い打ちかけるわけにはいかぬ。ですから、いま、うしろのほうからもお声があったように、ただ大臣としては、根本論をおっしゃったのですから、今度は、具体的にあなたたちが計画して、このように改革したい、このようにやりたい——条件をがんじがらめにこうしてやってある、ところが、それはがんじがらめじゃございません、決してそうじゃございませんなんというようなことを言ったら承知しませんよ。
大衆の声に耳を傾けないようなものなら、これは不要役人だ。だが、大臣は大衆の声をすなおにお聞きなさった。いやしくも新聞に載っておる。これは国民世論ですよ。その世論に耳を傾けない——大衆の声ほどおそろしいものはない。大衆ほどこわいものはない。だから、ただこの場限りで、鬼木がやかましゅう言うから、早うあれ帰ればいいなと思って、じゃ、そのとおりやります、それじゃ困る。
ですから、どういうふうに——確定的なことでなくてもいいから、こういう点は、こういうふうにひとつ研究したいと思います、こういう点は、こういうふうにやりたいと思いますとかいう、もう少し具体的な、あなた長官ならば責任者ですから、責任者から、そういう発言があってしかるべきだと思う。ですから、また、これはお尋ねしますから、再思三考してよく御研究を願いたい。長官よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/45
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046・外山弘
○外山政府委員 十分、実情に基づいた問題点を検討いたしまして、円滑な運用ができるように努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/46
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047・鬼木勝利
○鬼木委員 そこで、もう時間がありませんけれども、最後に、倒産の問題について、これは大臣にもお尋ねいたしたいのでございますが、この資料、これは私、要求しまして、おたくのほうからいただいたのでございますが、四十四年が八千五百二十三件倒産しております。四十五年が九千七百六十五件、四十六年が九千二百件、四十七年が七千百件、四十八年が八千二百二件、去年の十月が八百八十九件、十一月が八百五十七件、十二月は、さすがに年末で九百三十一件の倒産、ことし、四十九年の一月では八百二十一件の倒産、こうなっております。資本金五千万円以下、こういうことで、負債額いろいろ載っております。
そこで、私がお尋ねしたいのは、これは大臣にも御見解を承りたいのですが、十二月が九百三十一件という膨大な倒産件数でございますが、これは前年の同月比で八一%増になっております。こういうことを考えましたときに、今日の金融引き締め強化ということからいたしまして、中小企業の金融が一段と逼迫してきておることは、もう御承知のとおりでございます。
零細企業は、さっき言ったように、融資制度もできておりますので、これは、ぜひ早急にやってもらわぬと困る。この案内にも、なるべく早くやると書いてありました。国金に渡れば、十日前後で金が出ております。ところが、国金に渡る前が非常にひまがかかっておる。そんなにひまがかかれば、もう金は借りぬほうがいい。そのころは、もう零細企業はおしまい。病人でいえば、危篤状態の一歩手前だから、そのときに起死回生のブドウ糖を打つとかリンゲル注射をやるとか、注射をしてもらわなければならぬ。これを、ぐずぐずしていて、死んでしもうたあとから金を持ってきたって何にもならぬ。かえってないほうがいい。
そこで、物価はますます高くなる。中小企業の金融は、ますます不自由になる。資材はますます高くなる。資材不足、あるいは高騰する。どうしても、こうしても融資を仰がなければ運転資金も何もない、こういうことになりますと、今後、倒産はますます多くなるのじゃないか。ことに三月を一つの山として、金詰まりが深刻化するんじゃないか。
いま、去年の十月、十一月、十二月、一月という倒産の件数のあれを、あなた方からいただいた資料によって私は申し上げたのですが、この三月の決算期を山として倒産が非常に激増するんじゃないか。あるいはまた、一応三月は死守して、この山を乗り越えて、新年度になって倒産が多くなるんじゃないか。いろいろな見方があるようでございます。この三月の決算期にでも、中小企業救済のためには、融資の方法、財投でも出すとか、いろいろな方法もあるかと思いますが、ますます金詰まりということになるんじゃないか。
銀行が、ますます引き締めるということになると、これはたいへんなことになるのですが、そのほうの見通し、この方面のベテランである中曽根通産大臣の御見解を承りたいというよりも、教えていただきたいと思うのです。先生の教えを請いますので、どうぞひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/47
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048・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 とてもお教えするほどの力はございませんが、われわれが調べたところによりますと、十二月ごろから石油ショック等の影響もありまして、資材難、金融難の情勢で八百何件というふうに上昇してまいりました。一月はちょっと小康状態ですが、二月、三月は、また、ずっとふえるだろうと思っております。
これは、いま先生お示しの手形の返済期限とか税金の資金とか、それからさらに、総需要抑制のもとに仕事がなくなってきたというのが、最近顕著に出てきております。特に、われわれが心配しておるものは、零細関係の地方の建設業者と、それから自動車産業が非常に不振になりまして、二三%ほど生産、売れ行きが減ってきております。そのことが、結局は、下請関係に響いてまいりまして、それらが深刻にいろいろな関係の下請に響いてくる。それからさらに、石油問題等の情勢から見まして、いろいろ石油が将来価格を上げるというような問題が出てきた場合に、非常に経済にひずみが出てきます。痛いところはうんと痛くなるが、そうでもないところは軽いという非常な破行状態が出てきます。
そういう諸般の情勢を考えますと、三月以降は、われわれは警戒体制をとらなければならぬと思いまして、大蔵省とも、政府系三機関を中心にしまして、特別のワクをふやしてもらいまして、緊急出動できるように、いまいろいろ内交渉を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/48
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049・鬼木勝利
○鬼木委員 実は、この倒産問題、現下の経済情勢問題については、いささか私も愚見を持っておりますので、いろいろお尋ねしたいと思いますけれども、遺憾ながら時間が参りましたので、いずれまた、相まみえるということにいたしまして、きょうは、この程度でお別れいたしたいと思います。長官には、たいへん御無礼なことを申し上げましたけれども、あしからず。大臣、どうもありがとうございました。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/49
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050・小宮山重四郎
○小宮山委員長代理 受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/50
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051・受田新吉
○受田委員 中小企業庁設置法の一部改正案に対して、直接の質問を若干しまして、引き続き通産行政の基本に触れる大問題を二つ、三つ取り上げまして、大臣にお尋ねをいたします。
なお、公正取引委員長の出席もあわせていまお願いしてありますので、それに関連する質問はあと回しにして、通産大臣にまず伺いたいと思うことは、通産大臣、昨年、通産省の設置法の大改正をやったわけですが、私は、基本的な大改正の際に、特に指摘をいたしまして、この改正の中に、いま庶民の生活に直接つながる中小企業庁関係の改正点がさっぱり取り上げられていないがどうか、他の各局は、まさに全山春景色のような改正要求をしながら、なぜ国民に身近なところにある中小企業関係の機構に触れてくれていないのかと、こうお尋ねをいたしました。御記憶のとおりです。
ところが、現在のところ、中小企業の関係は、一応何とかおさまっておるという趣旨の御答弁でございましたが、このたび中小企業庁設置法の一部改正としてお取り上げになられた、いわゆる小規模企業者の保護行政のこの一点は、去年までは大事でなかったが、ことしは急に大事になったというような趣旨のものではないと私は思うのです。
特に、零細な商行為をなさっておられる方々、こういう皆さんの擁護の立場からは、通産省自身が、その機構の上において、皆さんのよいサービス行政をいたしますよという愛情がこもっていなければならないのでございます。小売り商業などを営む方々は、すでにその対象となる比率が八〇%というような、非常に高率の比率を持っておる状態の中で、いま、去年の大改正におくれて一年、突如としてこの案をお出しになった理由を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/51
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052・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 受田先生から、昨年、確かにそういう御質問がございました。
二つ理由がございまして、一つは、去年は、非常に大きな大改正をやって、中小企業の関係までもやるという——多少必要は感じておりましたけれども、ほかの大きな大改正に伴いまして、定員増まで持ってくるというと、なかなか行政管理庁や大蔵省が言うことを聞いてくれない、率直に内輪を申し上げますと、そういう心配がありました。そこで、これは少し将来に時期をずらそうという気持ちが、実は一つあったのでございます。
それからもう一つは、十月から例の零細関係の経営改善資金の貸し付けを始めまして、いろいろ実態を経験いたしまして、これは、もう経営改善指導員を全面的にふやして、中小企業庁の足腰を強くしなければだめだ、特に、商工会議所や商工会の充実強化、それから経営改善指導事業の徹底化、草の根を分けても、こちらから出ていって経営改善に協力する、そういう積極的な体系がないとこれはだめだ、そういうことを非常に痛感いたしまして、ことしは、特に、そっちの方面を重点を入れて改革しようというので、ここにありますように、小規模企業部という新しい部局の設置に踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/52
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053・受田新吉
○受田委員 そうした年次計画的なもので処理されたという御説明でありますが、私は、定員増というようなものが、行管等でチェックされる危険があるという問題とは話が違うと思うのです。これは筋の通ることであるならば、一括処理をして、その軽重の差を実施の時期にずれ込ませるようなことのないようにすべきものである。基本的な問題として、その問題は大臣自身が反省の資に供してもらうことにしましょう。
次に、この小規模企業部の設置ということに関係してお尋ねをしてみたいのでございますが、これにあわせて問題になるのは、従業員の福利厚生問題です。従業員五人以下の小さな企業に対しては、政府管掌の健康保険にも、任意加入の制度はあるけれども、強制加入はできない。失業保険も、五人以下は任意加入になっている。非常に大きなハンディキャップがあるわけなんで、中小の、いや小規模の企業に属するこれらの関係者は、まさにはなはだしく不安定な問題にぶつかっておるわけです。
さなきだに倒産の運命等がひんぱんに起こってくるような状態の中で、しかも、個人個人は、国家のそうした福利厚生機関の恩典に十分浴することもできないというような哀れな状態に放置してある。これらの問題は、この法改正とあわせて、どう処理されようとするか、御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/53
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054・外山弘
○外山政府委員 本件につきましては、主管省でございます労働省あるいは厚生省からお答えすべき問題かと存じますが、私どもの立場で申しますと、御指摘のとおり、中小企業を、従業員にとって魅力のある職場とするためにも、各種の社会保険制度の適用ということがきわめて必要であるということは、もう御指摘のとおりだと思います。いままでも、いろいろな御要請は申し上げてきているわけでございますが、なかなかはかどっておりません。
失業保険につきましては、現在、従業員五人未満の商業、サービス業が任意適用になっております。労働省では、現在、国会に御提出申し上げている雇用保険法、これで強制適用にするようなことにしたいということで、いま、その案が検討されていると承知しております。
また、健康保険あるいは厚生年金保険につきましては、五人未満の事業所は任意適用となっているということは、御指摘のとおりでございまして、これにかわるものとして、国民健康保険とか国民年金の制度がございまして、失業保険とは必ずしも同じ事情にあるわけではございませんけれども、御指摘の点は、私どもも肝に銘じまして、関係の省庁と十分今後も相談をしてまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/54
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055・受田新吉
○受田委員 中小企業、特に小型の企業というものは、倒産のうき目を見ることも、ひんぱんに起こっておりまして、いま、鬼木委員から指摘されたので重複を避けますが、大企業の倒産というのはきわめてまれである。しかし、中小企業、特に小企業などは、もう、あしたにあって夕べになきがごとき、浮き草のような状態に置かれているわけです。この現象が同じ通産省の指導のもとに、営々と国民のために尽くしておる企業の中に存在しておるということは、はなはだ残念です。
なぜ、大企業に倒産がほとんどなくて、これらの小さな企業に倒産が頻発して、不安、動揺を与えているか、おわかりでございましょうか。原因をひとつ説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/55
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056・外山弘
○外山政府委員 小企業は、やはり何と申しましても、体質という点で申しますと、非常に弱い点が多いと思います。それが、また金融の面とかいろいろな取引の面におきまして、大きな変動に対応する力を持たないというふうなことになりがちでございまして、日本の経済情勢というものが、常に平静であればよろしいわけでございますが、変動が非常に大きいということは、それだけそういった弱い体質の面に影響が出やすいわけでございます。その辺が、小企業にとって、大企業と比べて非常に抵抗力の少ないことが、いろいろいまの倒産を大きくしてくる事情の基本的な要素だろうと思います。
したがいまして、もちろん体質の強化と申しましても、いろいろな点はございますけれども、いろいろな面から見まして、その体質という点が、大企業に比べてどうしても弱いということが、御指摘の点の問題点であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/56
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057・受田新吉
○受田委員 その体質の弱さを守る対策に事を欠いておる。したがって、一向にこの倒産の防止が実現されない。最近においては、こうした経済界の緊迫情勢の中で、一そうそれに拍車をかけているという情勢をどうお受けとめになっておられるのか。これのために体質改善にどうして積極的に取り組もうとするか。
特に、小規模企業部という新部を設置して、中小企業対策に積極的に取り組もうとする現時点において、何かそれに対する——こういう役所で、少数の責任者の数をふやす程度のものでなくして、根本的な体質改善の方策はあると思うのです。それを承りたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/57
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058・外山弘
○外山政府委員 御指摘のとおり、たいへん基本的に、また困難の多い問題だと思いますが、私どもといたしましては、施策の充実という面で、たとえば小企業経営改善資金融資制度というような制度を新たに発足させることに加えまして、いろいろな施策の強化をやってまいりたいし、また、今回の機構の改革によりまして、小企業の問題点、小規模企業の実情というものを、いままで以上によくつかみまして、そして、それらの人たちの持つ問題点を施策に反映させるということが大事だろうと思います。
そして、先ほどおっしゃいましたような従業員の問題を含めた社会保険上の措置、こういった点につきましても、私ども、これからの課題があるのではないかと思います。
いずれにしましても、問題は、きわめて長期的かつ基本的なところに触れる点が多々あると思います。これを機会に、私どもとしては、体質強化ということにねらいを定めたいろいろな施策の強化をやってまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/58
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059・受田新吉
○受田委員 大企業に人集めが成功し、小規模の企業に人集めが困難である、これは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/59
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060・外山弘
○外山政府委員 一般的に申しますと、御指摘のとおりだと思います。もちろん、中小企業あるいは小規模企業には、それなりの職場上のよさということがうたわれている点もございますけれども、やはり一般的に申しますと、賃金の点あるいは社会福祉の点、福利厚生施策の点、いろいろな点から考えまして、大企業がどうしても人を集めやすい環境になっているというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/60
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061・受田新吉
○受田委員 家族及び一、二名の従業員をかかえて四苦八苦して、ついに自殺に追い込まれた事件を、私は昨年指摘しました。その後においても、同様の事件が決してあとを断っていない、かわいそうです。みずからの家の使命を考え、奥さんや子供と一緒に、一人か二人かの従業員をかかえて、何らかの形で国家、社会に奉仕したいと、みずから小規模企業の経営に乗り出した家庭に、大きな制約を受けるのは金融上の制約、金を貸してくれない、信用度が低い、どこへ行っても窓口で追っ払われてくる、親戚をたずねても協力を得られない、死を待つのみです。
そういう悲惨な家庭が、この文明国家、経済成長大国の日本にある。自由主義経済政策の欠陥が露骨にあらわれておるんだが、これは中曽根先生、あなたは、いま非常に重い使命を持ち、また、御自身でも苦悩されておられると思う。いま、日本の高物価政策をどう抑止するか、社会の不安をどう防止するか、国務大臣として、通産行政を担当しながら、しかも、自民党の中の次期総理を目ざすお一人でもあるわけでございますが、私は、自由主義経済政策の中に、何らかの形でもっと強烈な計画性を織り込んで、従来の自民党の政治方式を国民のための方式、つまり、大企業を中核にする方策でなくして、小規模の経営者の、倒産相次ぐこの悲惨な状態に眼を振り向けて、国民のすみずみにまであたたかい愛の政治を送る大転換をはかるときが来ておると私は思うのです。
一握りの、全国の銀行協会の会合には、総理以下がずらりとお並びになって御出席になる。しかし、切実な問題に触れて集まったある小規模の経営者の組織体に、国務大臣のだれが出席して激励していただいているでしょう。陳情、請願等が行なわれておっても、大きな資金的な援助のあるところへは心よく眼を振り向け、小さなすみずみに苦悩している、しかも、その数においては、小売り、サービス業者などというのは八〇%を占めている、そういう人々には眼をおおって顧みないというこの政治現象に対して、次期総理を目ざされるあなたに、一言、政治信念を吐露していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/61
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062・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 昨年春以来の物資不足、水銀騒動あるいはオイル・ショック、こういういろんな過程をまのあたりに実感いたしまして、私は、昨年九月の式年遷宮のときに、伊勢でわれわれの同志に対して新自由主義ということを訴えたわけでございます。
日本のようなこういう国柄においては、自由の乱用は許せない、みんなの自由を守るために、国が介入して一部の自由を抑制するということもやむを得ない。ただし、それは自由のためにやるのであって、社会的均衡と進歩的保障ということ、が、その手段として行なわれなければならない、そういうことを私、申したことがありますが、この石油ショックを、その後さらに経験してみまして、国の大まかな経済の基本、特にエネルギーのような非常に重要な産業の生命、国民生活の生命ともいうべきものについて、いままでのような体制でそのままやっておいていいかという反省と検討を、実は内心加えておるところであります。
特に、国際情勢も非常に変動しつつあるときに、アラブその他から新しい勢力が台頭して、世界経済の条件が変わりつつあるという、そういうことを考えながら、この基本的課題について、自分ながら取っ組んで日夜考えておるところでございます。
それと同時に、狂乱怒濤の、昨年の秋以来の経済界の動きを見まして、この中でほんろうされておる市民及び零細企業者、そういうものを、いかにして安泰にしていくかということが、政治の厳粛な課題であるというふうに私は考案いたしまして、この問題についても、いままでの既成の制度を離れていろいろ考えなければならぬ、そう思って日夜検討しているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/62
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063・受田新吉
○受田委員 自由経済体制の中に、行政の介入の限界はどの点まであるか、自由民主党政府の責任者としても、いろいろと苦悩されておると思います。しかし、現在は、自由経済体制を野放しにしてきた弊害が、露骨に出てきているだけに、勇気を持ってそうした行政介入を行なう時期が来ておると思います。その行政介入は、国民のための介入であって、一部の特権階級のためのものであってはならない。
私は、その意味において、中曽根さん、この高物価政策——高物価政策というよりは高物価状態、引きも切らぬ消費者物価指数の大幅な引き上げから、卸売り物価までこれが波及しておるような状態、これを抑止するのに、従来のような自由経済体制を根幹にして、行政介入の限界に頭を費やす時期ではない。十分計画性を織り込んで、国民のための新体制に切りかえる時期が来ておる。
中曽根大臣は、所得政策というものは、いまなお、日本の国で採用すべきではないとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/63
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064・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 所得政策となると、これは一経済政策の分野ではなくして、非常に広い分野に影響を持つ、社会的広がりを持つ問題でありまして、所得政策に入るということは、日本の現段階から見れば、不適当であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/64
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065・受田新吉
○受田委員 政府は、今回の石油問題にかこつけて、それぞれの石油業界に対して、自粛の意味で減配指導等をされるような方針があるやに承っておるのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/65
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066・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 石油は、昨年の十一月以来、便乗値上げをやったことも明らかでありますし、その上、新しい石油が入ってきて、油の値段を上げるということは、国民感情がなかなか許さぬと思うし、われわれもそう思います。
そういう意味において、便乗値上げの部分は、全部吐き出させるし、また、石油企業も、国民と一緒に苦労するという誠意を見せなければならぬ、こういう意味において、内部留保も吐き出すし、減配も辞せず、そういう国民と苦労をともにするという誠意を見せなければならぬ、私は、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/66
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067・受田新吉
○受田委員 減配指導という形でなくて、値上げを抑止していく、それの結果が、自然に減配になってくるという意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/67
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068・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/68
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069・受田新吉
○受田委員 そこで、ひとつ、お話を国策のほうに、基本的な問題を振り向けていきたいのでございますが、大臣、あなたは、昨年以来、外国へもしばしば、特に石油生産国も訪問されたわけです。イランの国も訪問された。いろいろ国会で、論議もされたけれども、私は、あの問題は、大臣のことばじりをとなえて、とやかく騒ぐべき問題ではないという判断に立ってまいった一人でありますが、ちょっと横道のお尋ねをしますけれども、あなたが歩かれた国々に、開発途上国援助資金として、大臣の胸の中で、つかみ金をおきめになってお約束をして帰られたですね。あれは、何を根拠にされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/69
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070・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 つかみ金ではありません。あれは長い間、いろいろなプロジェクトの話が進んでおりまして、民間の過程から政府の過程へ上がってきて、みんな小一年くらいかかっておるもので、ものによっては二年以上かかっております。それが成熟してきて、そして出発前に、閣僚協の関係閣僚の承認を経て、その権限を私は委任されて、現地へ行って話してきたのでございます。
私がやった具体的なことは、ブルガリアへ行きまして、あそこへホテルを建てる、そのための基金千五百万ドル——ブルガリアは、東欧圏のショーウインドーになる可能性がありまして、黒川紀章さんが非常に熱心にホテルのプロジェクトを進めておったわけでございます。これは非常に喜ばれました。それから、あそこで民間の借款、それはたしか二年間に一億ドルであったと思いますが、その話をして——これは民間ベースのもののことであります。
それから、イラクへ参りまして、そうして種々樽爼折衝の結果、十億ドルの政府並びに民間ローンを与えて、そのかわりに一億六千万トン以上の油を日本に安定供給する、そういう約束にサインして帰ってきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/70
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071・受田新吉
○受田委員 けげんな質問ですが、現地でその金額もすかっと発表して、さも現地で恩恵をきせたごとくに報道されるこの芸当というものは、どういうところから発生しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/71
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072・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは、行く前に、大蔵大臣や外務大臣や総理大臣とも相談していって、そうして話がきまりましたから、新聞記者団に聞かれて話したということで、別に変わった話ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/72
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073・受田新吉
○受田委員 さも現地で、つかみ金を恩恵を与えるごとくに、これを発表されるというお芝居じみた感じがするのです。むしろ、そういうことは、あそこの国へ行く前に——向こうが好意を持てば渡す、好意を持たなければ黙って始末するというような印象を与えるわけなんです。子供に甘えさせて渡すような感じを、少なくとも外交上与えてはならないと私は思うのです。当然、この国に対する基本的な援助計画というものは、日本の内部で発表して、そうして向こうへ行って正式にお話しの上で、これを約束されるというようなものでしかるべきじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/73
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074・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 日本の内部で発表したら、足元を見られてしまって、まとまる話もまとまらなくなるし、外国に乗ぜられてしまいます。やはり手のうちは見せないで——みんな国々は、自分の国家的利益を追求して、なかなかしぶとい交渉者で、国家の代表でありますから、やはり話をまとめるためには、夜中も寝ないで樽爼折衝したわけであります。それは、あそこに行った大使の諸君や同行の人は、よく知っておるところでありますが、一時は、これは決裂するかと思ったことがありますが、先方の革命協議会の副議長と私と直談判をして、そうしてようやくまとまった。これは、やはりみんな自分たちのナショナルインタレストを追求しておりますから、なかなか激しい折衝をして、少しでもいい条件を獲得しようということで、最後までつばぜり合いをやってようやくまとまった、そういうことなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/74
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075・受田新吉
○受田委員 そうしますと、これはちょっと話は横道なんですけれども、向こうで話がまとまらなければ、約束の金は発表しないで帰ってくるという、いわゆる外交努力の成果の隠し玉として用意されるものがこれらの金額である、また、都合によれば十億ドルという約束を、五億ドルにするとか三億ドルにするとか、現地の交渉で大臣に、それがこちらの首脳部との間で一応幅を持たされておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/75
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076・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 そうです。十億ドル以内、そういうことになります。また、十億ドルというものは、ある程度用意しておっても、イランのような場合に、話が合わないから要らぬと言えば、そのまま帰る、そういうことがあるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/76
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077・受田新吉
○受田委員 私、これは、かけ引きの種としては、妙味があるようでございますが、正直な外交を進めていくときは、こういう気持ちがあるならば、石油事件が勃発する前に、その愛情を示しておけばよかったと思うのです。
事件が勃発して、日本が苦境におちいった、さあ、たいへんというので、三木さんをはじめ、あなたや、それから小坂さんのような方までも出て、にわかに騒ぎ立てるというこの政治姿勢に問題がある。それだけの用意がしてあるなら、いち早く事件発生の前に、これを片づけておくべきであったと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/77
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078・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 イランの場合は、これは長い間の交渉した最後のまとめと思って行ったわけです。特に、イランの場合は、オイル危機に際しても、日本に安定供給してくれた国でありまして、こういうものは、できるだけ早期にまとめたほうが、お互いの親善関係を増進するという意味で行ったのでありますが、先方のスケールが二倍以上に、膨大なものになっておって、とてもその場で話をきめることができなくなったからやめました。
イラクの場合は、これは石油の国有化をやりまして、いろいろ国際緊張を呼んでおったところであります。ところが、最近、フランスが間に入って、国有化の問題は一応解決した、あとは補償の問題に移った、そういうことで、関係各国、つまり、国有化されたほうの国々も、その油を買ったり、経済協力をやることについて、文句のいえない状態がようやく現出してきた、その時期を待って行ったというわけでありまして、もし紛争の最中に、ああいうことをやるというと、こっちがまた、その飛ばっちりを食うという危険性がありまして、火が落ちついて安静化したというときに、なるだけ早目に行った、そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/78
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079・受田新吉
○受田委員 その時点が非常に大事なんです、タイミングが。私は、練達の士である中曽根さんに、そこを閣議などでリードをしていただいて、あなたがイランに行かれたあの時点で、アラブの各国などとも一緒に解決する努力をしてもらいたかったのです。おくれたらいかぬです。もっと前からやるべきだった。火がついた、火消しに行くときに、あめ玉を持っていくというような印象を与える。これは、だれが見ても手の内を見られます。
夜を徹して熱烈な交渉をしたことは、現地の大使も御存じだということですが、その前の基本の問題として、日本外交の欠陥を私は指摘せざるを得ない。特に、経済外交の根源である通産大臣として、私は、もっとそういう経済外交の認識というものをお持ちにならなければいかぬと思うのです。日本が大国意識を持つというところに大きな欠陥があるのですから、経済外交も、やはり主権平等の原則で、各国と対等の立場で交渉していただきたい。もう過ぎたことを、いま、かれこれ言う時期でありませんから、お話を進めます。
私は、そうした立場で減配の指導をしたいということ、それは消費者の保護の立場でもあり、国民に利益を還元するという立場でもあるということ、それから、いま内部留保のことも言われましたけれども、内部留保だけでなくて、資産を売るような問題もあるでしょうし、それから石油の元売り業界のように、企業の形態そのものが、いろいろと変わっておるというようなものの対策も、一律では片づかぬ問題等もあろう、そういうものについて、何か基本的な対策はあるのか。
それは、いわば所得政策の一環のような印象を与える懸念があると思いますが、その説明は、全面的な所得政策でなければ所得政策というのではない、賃金、物価、そういうものが全部含まれて、そして物価安定のための広範な施策のときにのみ所得政策というのであって、そうした部分的な問題であれば、これは実質的な所得政策ではないとおっしゃるのか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/79
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080・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 石油に対する問題は、これは石油に独特の問題が起こりまして、そういう面から見ても、また、物価安定に協力させるという意味からも、石油価格をきめるという時点において、副次的にそういう現象を起こさせるという考えで、配当を減らそうということを主目的にしてやっているわけではございません。
それから、所得政策というようなことになると、統制経済に必然的になるわけでありますが、私は、統制経済というものは、益なきものと見て、統制経済をやる意思はございません。したがって、いわゆるアメリカやイギリスがやっているような所得政策というようなものを、私たちは考えておりません。
したがって、所得政策というものについて、いろいろ御関心があることはわかりますが、いまの、田中総理大臣が、国会でいつも明言しておりますような、ああいう考え方に立って、われわれ閣僚も一致してやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/80
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081・受田新吉
○受田委員 そうしますと、アメリカやイギリスがやった賃金その他の凍結政策というのは、あれは統制経済であったと大臣は判断するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/81
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082・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 物価凍結、賃金凍結というようなものは、一種の統制経済だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/82
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083・受田新吉
○受田委員 あなたの政党が、先輩として仰ぐアメリカ、イギリスにおいてすら、自由経済体制の中に統制経済を加味しておる。しかし、わが国は、断じて統制経済はやらないと御言明ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/83
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084・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 そういう方針で進んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/84
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085・受田新吉
○受田委員 わかりました。
そこで、さらにお話を戻しますが、きのうあたりの予算委員会の参考人の意見を聞いておると、石油の価格というものを、近く政府が決定されようということだが、生産者と、そして今度原油を国内へ持ってきて、国内で消費する製造業者との間の問題ですが、原油を買って、国内でこれを製造する過程で値上げする状態は、どういうふうな形で見ていけばいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/85
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086・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは、元売り仕切り価格の問題になると思いますが、原油価格プラス精製費、関税、販売経費、利子、そういうものが入って、元売り仕切り価格ができるものでありますが、これらは、経理内容をよく精査して、妥当であるかどうか、われわれは検討しておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/86
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087・受田新吉
○受田委員 きのうもお話が出て、昨年の値上げで、便乗的に利益をあげた分は吐き出すという参考人の意見も伺っておるのでございますが、輸入原油が、当初二ドル程度であったのが、いまどんどん上がって、五ドルになり九ドルまできた。特に、一月二十日ごろから、そういう形になってきたようですが、生産価格というものを、輸入価格というものを見越して、これはきっと高くなるであろうというので、その値上げをやった場合に、それを完全に吐き出さすまでは、価格の引き上げをさせない、三月でなくて四月でも五月でも、つまり、便乗値上げを全部吐き出さすまでは、値上げをしないというお考えがあるのかどうかを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/87
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088・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/88
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089・受田新吉
○受田委員 そこで、公取事務局長にちょっと。あなたのほうでは、石油連盟及び石油大企業に対して、今回、告発を勇気をふるってやられたのですが、私の敬愛する中曽根さんのやってこられた行政指導の中から、やみカルテルが自然に発生するようになったのだというような——やみカルテル、それは横の線で、縦の通産省の指導の中から自然に横のカルテルが構成されたのだ、このやみカルテルの構成は、さもさも通産省の行政指導のごとき発言をしておられるように聞いておるのですが、これは、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/89
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090・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 私は、通産省が横のカルテルまで指導されたというふうには考えておりません。また、業界のほうも、そういうふうには言っておりません。私どもの審査の過程におきましては、そういうことは聞いてないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/90
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091・受田新吉
○受田委員 いや、通産省は縦の指導でやってきた、しかし、そこからカルテルが横で、構成されるのでございますから、やみカルテルの構成は、通産省の指導でやったということ、結果においては、私の言うようなことになるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/91
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092・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 ただ、通産省の指導が、具体的にどういうものであるかということは、私、いまはっきりいたしませんけれども、まさか法律に基づかないで、横のカルテルまでやれ、そういう指導はなかったというふうに確信をしております。
ただ、行政指導として監督官庁が、価格、数量等をきめた場合に、その価格、いわゆる指導価格に従いましょうという横の協定をやれば、それは独禁法に触れてくるというふうにわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/92
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093・受田新吉
○受田委員 いま、現実にカルテルを構成したというので、提訴されたのでしょう。そういうことになれば、石油業界も通産省も一緒になって、石油の需給調整を考えながら今日を招いたわけですから、つまり、通産省も石油業界も一体となって、今日の状態を構成したという形に、公取では見られませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/93
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094・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 まだ、そこまでは確認をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/94
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095・受田新吉
○受田委員 確認をしていないと言っても、現実に石油業界と通産省が一体でなければ、石油の需給調整などということはできないわけです。だから、行政指導の中に、石油業界も一緒に踊ってきて今日を招いた。そして野放しにしていた関係で、値段もどんどん上がってきたというようなことで、いま、さあ、これをどうするかというような体制になっておるのでございますから、自然発生的に、公取が告発したような状態が生まれた、それに対して、公取が通産省とも意見調整等を十分はかるような努力をして、公取が告発するに至る前に、通産省に誤りをさせないような意見の連絡調整というものを、公取としては法律の上ではやる任務がないと思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/95
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096・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 法律上は、そういう根拠はございませんけれども、これは、むしろ、そういう指導をされた監督官庁のほうから、具体的にこういう指導をしましたが、どうでしょうかというふうに聞いてくるのが筋ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/96
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097・受田新吉
○受田委員 それは、公取の立場で、公取は、いまの通産省のやったことは、横のカルテル構成を企図してやったんではないという御答弁でございましたが、結果は、そうなっておるということになると、大臣、これは、あなたの行政指導として、石油業界と一丸となって、石油を確保するための需給調整等に対する配慮から、今日のような、自然にやみカルテルが構成されたと、こう判断するのか、また、大臣自身は、現在の石油業界は、やみカルテルではないとまだ判断されておるのか、御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/97
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098・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 少し時間をいただいて、御説明申し上げたいと思うのですが、石油業法によって、通産省には権限が与えられておるのです。それは、年次の需給計画をきめるということ、そうして上半期、下半期のあれに基づいて、全体的な石油の需給計画をきめる、その石油の大きな需給計画に基づいて、石油業者は、自分の個々の計画というものをつくり、そうして、それを通産省に届け出る、通産省は、個々の会社ごとに、それを見て、もし必要ある場合には、これに勧告して変更を命ずることができる、そういう石油業法の仕組みになっているわけです。
で、そういうことはやってきたわけです。これは石油業法の命ずるところであって、やみカルテルでもなければ、逸脱したことでもない、むしろ、日本のようなこういう国において、資源を有効に活用するためには、必要な行為でもあるわけです。
それで、十月初めに、数量カルテルとして公取から告発を受けた、この問題については、通産省は何ら関与しておりません。こういうふうに、数量を、お互いに分け合ってやれとかなんとかいうようなことは言っていないのです。したがって、これが告発を受けて、石油連盟のほうが受諾したということは、自分で認めたということでありますから、そういうことをやっておったのかもしれません。これは、新聞でわれわれが見、情報を聞いた範囲では、そう判断せざるを得ない。
ところが、通産省が緊急事態の発動で、今回のようないろんな石油政策を始めたのは、十一月の十六日からであります。そして石油の問題が勃発したというのは、十月六日の戦争。数量カルテルというのは、十月の初めです。だから、それは、こういう問題が起こる前にやっておるわけです。だから、これはもう論外である。それから、十月の十七日、OAPECから数量制限の通告が、五%と最初にやってきたわけです。
そこで、それからわれわれは、十一月十六日にこの需給安定緊急措置に入ったわけです、内閣できめて。そして、それを発動して、いわゆる行政指導価格というものをやるについて、これは公取のほうにも、いろいろ意見を聞いて、われわれは、こういうことをやるが、どうですかということで、われわれの次官と公取の委員長との間で、こういうことをやることは、独禁法には関係のないことであるという覚書がかわされたわけです。
そして、われわれは、独禁法に触れないように、以上のような権限に基づいて、個別的に業者に対して指導した。たとえば灯油は、これだけ増産しなさい。おたくの会社は何ぼつくれ。灯油を冬場に向けて確保するということは、当時の緊急の、至上命令であったわけです。LPGについても同様です。そういうことをやらなければ、もっとひどいパニックが起きて、不公平が起きたわけであります。
ですから、そういうような個別的指導をやって、そして、この需給関係、国全体のバランスを計画的に進めようと思ってやったことなのであって、価格を幾らにせよとか、あるいは業界と一体になって生産数量を減らせとか、何%にしろとか、業界に対して言ったというようなことはありません。つまり、横断的な連係とか指示というものはないわけです。みんな個別的に、みんな各会社のレポートをとって、そして個別的指導をやったということなのであって、独禁法には何ら関係しない、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/98
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099・受田新吉
○受田委員 結果において、石油業界は独禁法違反をやっておるということになりまして、しかも、勧告を受諾したところを見ると、カルテルを認めたという形になる。これは、公取のほうでは、カルテルを認めたという形で受諾したと判断しておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/99
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100・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 勧告を向こうが応諾いたしましたので、それは形から見ますと——それは、向こうの真意はわかりません。しかし、これは勧告書に書いてある法の適用とか、勧告主文というのがございますが、それを認めなければ応諾はしない、もし、それを認めないとすれば審判で争う、こういうのが趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/100
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101・受田新吉
○受田委員 通産大臣としては、公取の告発を受諾したということになると、カルテルを構成しておると判断しておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/101
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102・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 これは、勧告の内容を、私、まだ精査しておりませんし、当事者がどういう意図で受諾したか、これも精査してみないと、その点は、まだ明答できないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/102
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103・受田新吉
○受田委員 この石油の問題は、非常に複雑多岐でありますから、国民も疑惑をまだ持ったままになっておるのですが、政府自身が、石油の需給調整をやる、それにあわせて石油連盟が、各社の調整をやる、そういう行きがかりは、私もわかります。わかりますと同時に、メジャーというやっかいな存在があって、政府の思うようになかなかならない、さいの川原の嘆きを繰り返すような存在が一つあるが、このメジャーとの話は、一体どういうふうに——日本政府が、メジャーに対して、常に適切な注文をし、日本の石油政策に協力させるような、指導というのはむずかしいですが、要求をしておるのでございましょうか。あなたのほうだけ意見を聞かれたようですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/103
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104・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 それはやっております。
もう一つ、さっきのことで申し上げますと、独禁法の場合は、私的独占の禁止なのであって、これは、私の利益のために、業界が共同謀議をやって、共同行為をする、それが禁止されているので、公共の福祉のために公権力として介入してくる、それに各会社が従ってくる、これは独禁法に触れるものではありません。これは当然の行政指導で、行政権というものは、そういうことをやる機能を持っておる、そういうふうに私らは思っております。
それから第二に、メジャーの問題でございますが、メジャーに対しては、この間、石油危機が発生しましたとき、私は、日本の社長あるいは東京支社長を集めまして、日本に対して、イランとかインドネシアとか削減してない国の油を、ほかの国へ持っていかないように——アメリカあたりが削減され、あるいはオランダあたりが削減されておるわけですから、イランやインドネシアのような、OAPECでない国の油を持っていく可能性があるわけです。したがって、そういうへんぱな措置はしないようにということを、きつくメジャーに要請しまして、彼らも本社に伝える、そういう返答をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/104
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105・受田新吉
○受田委員 輸入される油の扱いをする会社が、半分以上外資が入っておるというようなやっかいな事情があるので、メジャーの扱いは、比叡山の僧兵のような存在である。それに対して、まず外交努力によって解決をはかるお骨折りがあることを、私はよく承知しております。これらが、やはりこの石油需給関係に非常な影響を与えるものであり、いろいろやっかいな問題をはらんで通産大臣が苦労されておることはわかるのですが、最後に、この問題の処理で、いま大臣は、便乗値上げをしたやつは、完全にその利益を吐き出すまでは値上げをとめておく、それが三月でなくて、四月になるか、五月になるかわからないが、とにかく国民の前に、各社の提出した資料、それを十分公表しながら、政府が、通産省が中心になって、国民の納得する時点で値上げに踏み切るというかっこうをおとりいただけるかどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/105
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106・中曽根康弘
○中曽根国務大臣 民族糸、メジャー系各会社の仮決算を、いま精査しておりますが、石油会社は、三月末まで一月原油を値上げしないと、約四千百億円の赤字になる、十一、十二の利益を全部吹っ飛ばしてそうなる、そういうことを言っておりますが、通産省が一応試算をして、調べ上げたところでは、三千三百億円程度の赤字であろう、したがって、三月いっぱいまで上げないとすると、三千三百億円の赤字がもうすでに出てきておるわけで、そう三月、四月、五月というような長い時期待つ問題ではないのです。いま、一日八十万キロリットル使っていますから、十二月と一月の石油の落差が一万円、だから、八十万キロリットルなら一日八十億円赤字が出ているわけです、もし上げないで新しい原油を使っておれば。そういうことですから、かりに五百億円くらいもうけたとしても、五、八、四十で五日で飛んでしまうわけです。
ですから、そういう計算をよくしながら、メジャー系及び民族糸の経理の内容をよく調べつつ、どの会社がどうだということを、原価計算みたいな、会社の経理内容を公開することは、これは会社の迷惑になるからできませんが、モデル的なものを、あるいは国民の皆さんにお示しして、事態はこのとおり、そう言って御理解を得ることは必要ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/106
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107・受田新吉
○受田委員 あと五分しか約束の時間が残らなくなりましたので、この機会に、公取事務局長に、公正取引委員会の機構——今回、国民の前に非常にクローズアップした役所でございますが、これは消費者保護の立場からも、非常に大事なお役所としての責任がある。私的独占を排除するという意味のことが、結局は、消費者に福祉をもたらすという大役を持っておいでなのですけれども、あなたの役所は、総理府の外局になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/107
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108・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/108
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109・受田新吉
○受田委員 そうすると、総理府の外局を統括する総務長官の指揮監督のもとに公取委員長は立っているのかどうかです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/109
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110・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 独禁法を施行するという仕事については、これは独立機関でございますので、指揮監督には立ちません。
ただ予算とか人間の面というか、人を任命するというような面では、総理府の管轄、内閣総理大臣の所轄のもとにあるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/110
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111・受田新吉
○受田委員 そうすると、総理府の外局の長として、公正取引委員会の委員長、委員、事務局長は監督を受けていない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/111
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112・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 独禁法本来の仕事を運用、施行する上では監督は受けておりませんが、やはり予算とか法案を提出するとか、そういう面では、当然われわれもその監督を受けるといいますか、その所轄のもとに属しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/112
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113・受田新吉
○受田委員 公取の職員は、総理府事務官になっておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/113
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114・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 事務局の職員は、そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/114
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115・受田新吉
○受田委員 そうしますと、総理府の職員であり、また総理府の外局の職員であるという立場からは、任務としてではなく、身分的には、私は、総理府の外局の長そのものは、総務長官の指揮監督を受ける立場だと思います。
そういうことで、これは、ひとつ総理府設置法もごらんいただいて、御判断を願いたいのですが、いま、こうしたたいへん大事な仕事を持っている公正取引委員会の職員の総数が、三百五十八人しかいない。これは、おととしですから、最近は五人ほどふえておるのですが、とにかく毎年少しずつ、氷山の一角のようにささやかながら、ふえておるのですけれども、特に、地方の事務所などのことを考えると、問題がたくさん発生する中で、これだけの、少数の職員でこの重荷にたえ得るかどうか。国民のための非常に大事な国家機関でありながら、そこに勤務する職員が少数のゆえをもって、見のがさなければならない、そこに大きな責任が残っていくのじゃないかというような感じが私はしておるのです。
大体、各省とも人間をふやさぬ方針の中で、公取だけささやかながらふやしておる理由は、そういうところにあると思うのですが、この際、地方の事務所を含めた全国的規模で、大阪あたりで二十人か三十人いるが、あと、そのほかはきわめて少数であるというこの体制を、ひとつ思い切って改善する方針を、事務局長は、勇気をもって当局からお出しになってみられたらいかがですか。われわれ大いに賛成しますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/115
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116・吉田文剛
○吉田(文)政府委員 確かに、先生おっしゃるとおり、いまの人員で十分であるというふうには思っておりません。これは最近少しずつ、大体、削減がございますので、名目上は九名程度ふえてきております。来年度の予算案におきましては、十一名増ということが認められておりますが、しかし、これも五名削減がございまして、純増六名という、これは予算案でございます。
ただ、現在、審査部の仕事が非常に増加しております。いわゆるやみカルテル事件で、非常にたくさんの申告がまいっておりまして、なかなか処理し切れないという状態にございますので、他の部から四十二名ほど応援を頼みまして、百名くらいの人員にしまして、いま全力をあげてやっておるところでございますが、しかし、今後とも、この機構、人員の拡充については、私どもとしては、できるだけ努力をいたしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/116
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117・受田新吉
○受田委員 大臣も、多忙な中を来てもらったので、あちらに退席することを認めたのでございますが、最後に、またこの法律に戻ります。
中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金等、これらの中小企業者に対する金融上の便益というものは、非常にきびしいワクで、審査も厳格であるという状態の中で、これらの大衆金融機関を政府が握っておるわけですが、これは、あなたの御所管ではないけれども、相提携する機関として、これらに対して中小企業庁として、どういう注文をつけておりますか。資金ワクの拡大、資金の貸し付けの簡素化、これらの問題をどう扱っておるか御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/117
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118・外山弘
○外山政府委員 いわゆる政府系三機関といたしまして、商工中金、中小企業金融公庫それから国民金融公庫の三つがございますが、私ども、これらの三機関に対しまして、いろいろな配慮をしながら、中小企業金融という中小企業政策上非常に重要な仕事の役割りをになってもらっているわけでございまして、いわゆる民間金融の補完機関として、これらの機関に非常な期待をしているわけでございます。
その内容は、一つは融資ワクの拡大ということでございまして、これは、特に国民金融公庫とか中小企業金融公庫、全部資金ベースが財政投融資でございますが、これの増加を毎年お願いしながら、資金ワクの拡大につとめているわけでございまして、そのほかに、商工中金は預金と債券でございますが、債券の引き受けに対しましても、財投のワクで引き受けてもらうということの余地をふやしながら、融資ワクの拡大につとめているわけでございます。
三機関の融資ワクも、年々一八%から二〇%くらいの割りで貸し出し規模の増加をしてまいりました。しかし、中小企業金融全体の中で占めるシェアは依然として八%程度でございまして、補完機関としての役割りがそれでいいかという問題が量的にはあるかと思いますが、私どもとしては、できるだけこのワクの拡大に努力してまいりたい、こう思っております。
それからもう一つ、簡素化の問題でございますが、国民金融公庫は、できるだけ簡素に零細企業相手に貸しております。それから中小企業金融公庫は、設備投資といったものに対する配慮がございまして、それからまた、平素の預金はございませんので、そんなことから、若干厳密かと思いますが、やはり中小企業に対する親切なる金融機関としてやるように指導をしているところでございます。それから商工中金は、御承知のように中小企業の基本的なやり方でございまする組合制度、それに対する組合金融ということを本旨としてスタートをしているわけでございまして、組合貸しあるいは組合員貸しというところで、業種別の対策あるいは地方の組織化対策、こういった点に、商工中金はできるだけの資金ワクの増加を考慮しながら運用さしているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/118
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119・受田新吉
○受田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/119
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120・小宮山重四郎
○小宮山委員長代理 次回は、来たる三月五日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107204889X00919740227/120
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