1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月二十四日(水曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 仮谷 忠男君
理事 坂村 吉正君 理事 湊 徹郎君
理事 安田 貴六君 理事 山崎平八郎君
理事 柴田 健治君 理事 芳賀 貢君
理事 津川 武一君
愛野興一郎君 伊東 正義君
今井 勇君 上田 茂行君
小沢 一郎君 金子 岩三君
熊谷 義雄君 島田 安夫君
白浜 仁吉君 染谷 誠君
本名 武君 粟山 ひで君
角屋堅次郎君 竹内 猛君
野坂 浩賢君 馬場 昇君
中川利三郎君 瀬野栄次郎君
林 孝矩君 稲富 稜人君
小沢 貞孝君
出席国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
出席政府委員
厚生省年金局長 横田 陽吉君
農林大臣官房長 大河原太一郎君
農林省農林経済
局長 岡安 誠君
農林省構造改善
局長 大山 一生君
委員外の出席者
大蔵省主税局税
制第三課長 西野 襄一君
厚生省年金局企
画課長 持永 和見君
農林省農蚕園芸
局普及部長 田中 基雄君
農林水産委員会
調査室長 尾崎 毅君
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委員の異動
四月二十四日
辞任 補欠選任
神田 大作君 小沢 貞孝君
同日
辞任 補欠選任
小沢 貞孝君 神田 大作君
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四月二十三日
農山漁村における有線放送電話の育成強化に関
する請願外一件(三枝三郎君紹介)(第六四〇三号)
同(中川一郎君紹介)(第六四〇四号)
同外四件(松浦周太郎君紹介)(第六四〇五号)
同(角屋堅次郎君紹介)(第六六六六号)
同(安田貴六君紹介)(第六六六七号)
捕鯨存続に関する請願(米内山義一郎君紹介)
(第六六六二号)
農業用資材の価格引下げ等に関する請願(瀬崎
博義君紹介)(第六六六三号)
農業用生産資材の確保等に関する請願(山田芳
治君紹介)(第六六六四号)
昭和四十九年度加工原料乳保証価格の改定等に
関する請願(芳賀貢君紹介)(第六六六五号)
は本委員会に付託された。
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四月二十三日
農政確立による農業従事者の所得向上に関する
陳情書
(第五〇五号)
国民の食糧確保等に関する陳情書外四件
(第五〇六号)
昭和四十九年産米価の早期決定に関する陳情書
外四件(第五〇七号)
麦作振興対策に関する陳情書
(第五〇八号)
休耕田の復元に関する陳情書
(
第五〇九号)
鹿児島県のさとうきび対策に関する陳情書
(第五一〇号)
農機具購入に関する陳情書外一件
(第五一一号)
昭和四十九年度基準糸価引上げに関する陳情書
(第五一二号)
蚕糸業安定に関する陳情書
(第五一三号)
土地改良事業に対する国庫補助引上げに関する
陳情書外二件
(第五一四号)
林業振興に関する陳情書
(第五一五号)
民有林野の分収造林等に関する制度的措置の法
制化に関する陳情書
(第五一六号)
漁業経営の危機救済に関する陳情書
(第五一七号)
いか資源の確保等に関する陳情書
(第五一八号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五二号)
農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出第七八号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/0
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001・仮谷忠男
○仮谷委員長 これより会議を開きます。
農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/1
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002・竹内猛
○竹内(猛)委員 農業者年金基金法の改正に関して質問をいたします。
まず、農林大臣にお尋ねしますが、この法案の改正の理由については説明がありますけれども、四十五年に法ができて、そうして現在まだ実施がされていない段階で、途中でこれを改正するという真意はどういうところにあるのか、まず、第一に、それをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/2
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003・倉石忠雄
○倉石国務大臣 今日のような時世になりまして、一般の公的年金につきましても、御存じのように修正を加えまして、なるべく時節に合うようにという考えでございました。同じような性質を持っております農業者年金につきましても、そういうものと平仄を合わせる必要がある。また、したがって、内容もそれで改善されるわけでありますので、そういう意味で御提案を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/3
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004・竹内猛
○竹内(猛)委員 この年金には三つの目的があったと思うのです。一つは、年寄りになった場合の保障の問題、それから規模の近代化をするための問題、それから移譲年金、こういう形になっております。
そこで、現在の日本の食料事情から言うと、たいへん食料が不足をして、自給度を高めなければならないという段階にあります。そのためには、優良な農地を確保し、生産の基盤を整え、水資源などの確保をして、若い農業労働力というものを農村にとどめなければならない。そして、そのためには農家の所得を保障するという一貫した政策がなければならないと思うのですが、そういう場合に、要するに働き手の問題ですが、若い労働力がこの法の改正によって農村に残り得るという保証があるかどうか。大臣、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/4
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005・倉石忠雄
○倉石国務大臣 保証ということはなかなかむずかしい問題でございますが、第一には、規模を拡大して安定した経営が営まれるようにするということが大事で、農業が他産業に比較して、産業として成り立つようにしていくということが後継者に対する魅力を与えることでもありますので、そういう考え方がまず基本的にあるわけであります。
それから、また、時代の変遷に伴って人々のいろいろな志向も変わるのでありますから、環境の整備ということがそれに伴ってもちろん大事なことである。同時に、また、将来の生活の安定ということはだれしも考えることでありますが、そういうようなことを並行的に行なってまいりますためには、農業者年金制度というふうなものも、規模を拡大したり、同時にまた後継者に将来の楽しみを持っていただくことにも益することではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/5
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006・竹内猛
○竹内(猛)委員 保証が約束されないということは、これは非常に問題なんです。この法を改正して、それによって、若い労働力が農村に残って農業経営を続けていこうという魅力があるものになるのでなければ法の改正の意味はないと思うのですけれども、その点をもう一度念を押します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/6
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007・倉石忠雄
○倉石国務大臣 あまり大きなことを言ってもどうかと思いますので、私のほうは遠慮をいたしましたが、保証ということになりますと、どこが保証だということになると、なかなか議論の多いところでありますが、先ほど来お答えいたしておりますように、後継者に魅力を持ってやっていただく、将来に安心感を持って農業を継承していただくということの大きな力になるものである、また、この内容を改善することによって老後の安心感も得られる、こういうふうに逐次改善をしていきたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/7
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008・竹内猛
○竹内(猛)委員 それでは、次に問題を続けていきますが、農林省の説明によると、本年金に加入する資格者は百八十万である。現在百六十五万を予算の中で計上しながら、実際は加入が百六万だと言われている。また、私のところの茨城県においては、九万余の資格者がありながら、現在四万三千の加入者であります。全国の段階では六六%、農業県と言われる茨城県においては四五%しか加入しておらない。したがって、この法律の改正によって未加入者が加入する可能性があるのか、あるいは、加入がいままでできていなかった原因はどこにあるのか、その辺を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/8
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009・大山一生
○大山政府委員 先生の御指摘の加入の状況でございますけれども、地域によりまして、また、地域の中においても、県間によりまして非常に差があるという事実は確かに御指摘のとおりでございます。ただ、大観して言えることは、北海道でありますとか、東北でありますとか、あるいは九州でありますとか、こういう農業地帯においては、加入率がきわめて高いという問題があるわけでございます。四十七年に「農業者年金被保険者調査」というものをいたしまして、当然加入資格者が入っていない理由というものを四十七年ベースで追って調べたわけでございますけれども、その結果といたしましては、当時は制度及び制度の内容を知らないというのが、きのうもこの点について御議論がございましたけれども、四五%を占めております。また、将来の農業に対する不安といったようなものも一割強ある。そういうような状態で、いろいろの事情が述べられておりますけれども、当時におきまして制度の普及が徹底していなかったということが「農業者年金被保険者調査」の結果として出ているわけでございます。したがいまして、現在のところ御指摘のように、当然加入資格者百三十万に対しまして加入が八十八万と、約六六%になっているわけでございますけれども、そういう制度がまだ十分にPRされていなかったという四十七年ベースの反省の上に立ちまして、われわれといたしましては、基金を通じましてあらゆる方面からPRを進めているような次第でございます。
なお、できました当時におきましては、農協なり市町村というものとの契約がまだ完全にはいっていなかったというようなこともあるわけでございますけれども、現段階におきましては、そういうふうな下部の体制といいますか、これも十分にとれたわけでございますし、また、東北で言うならば、青森の加入率が低いということの裏返しとして、出かせぎ者に対する問題があったろうと思います。この点につきましても、出かせぎ者に対する対策を講ずる、また、いわゆる五万円年金といいますか、給付水準も上げるというような措置を講ずることによりまして、今後加入率が高まってくるであろうことを期待し、また、加入を高めるような方向で努力しなければならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/9
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010・竹内猛
○竹内(猛)委員 そうすると、現在、これを改正していけば加入率は高まるという見通しだと思うのですけれども、実際日本の今日の農業者年金の対象になる農業年齢の構成を見ると、この農林省の資料に基づきますけれども、二十歳から二十四歳までが三千九百三十九人、これは〇・四%、女性はわずかに百三十人。二十五歳から二十九歳までが二万九百八十二名で、二・〇%、そのうち女が五百七十七人。四十五歳以上六十歳までが六一・八%、うち女性が七七・四%と、女性が多い。若いところには女性が少なくて、年をとったほうには女性が多いという状況です。男女の関係はそういう状態になっておって、非常に矛盾があります。こういうような年齢構成の状況というものが一体好ましい状況なのかどうなのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/10
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011・大山一生
○大山政府委員 この年金は、御存じのように、いわば経営移譲ということを支給要件として組み立てられている年金制度であるというようなことからいたしまして、現在のところ高齢層が多く加入している、これもまた現状としてやむを得ないことであろうというふうに考えるわけでございます。
なお、女子が全体として五%程度しか入っていないという、この問題につきましては、全体として経営主というものが男性である場合が大半であるということが一つの原因でありましょうし、また、任意加入の対象になります後継者というかっこうになりますと、やはり、むすこというかっこうにおいて加入してくる、こういう点が現実にあるわけでございまして、そういう関係から、男女の関係で言いますと五%程度が女性である、こういうふうなかっこうになろうと思っております。
なお、若い年齢というものが少ないことにつきましては、当然加入の中でも、それへの期待の高いところからだんだん入ってくるという事実は農民心理としても否定できませんし、われわれといたしましても、加入を促進する場合の重点は、やはり高年齢層から逐次若年齢層に及ばせるという方向をとらざるを得ないわけでございますので、発足して三年の現状においては、若年齢層が少ないのはやむを得ないというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/11
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012・竹内猛
○竹内(猛)委員 やむを得ないにしても、この矛盾というものも、この法の改正によって克服する可能性があるかどうか、そういう魅力があるものになっているかどうかということについては、自信はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/12
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013・大山一生
○大山政府委員 経営移譲というものが、過去における実績から申しますと、六十歳から六十五歳で経営移譲している実績が約三〇%あったわけでございますけれども、この法律によって五年早まるであろうという期待のもとに、御存じのように、経営移譲率をたしか三八・九%まで上げてものを見ているわけでございます。この見方につきましては、三〇%から三九%まで上がるかどうかという問題は、今後の移譲といいますか、実際に経営移譲年金が出る事態になってみないと明確な見通しは立てられないわけでございますけれども、そういう推定をしているわけでございます。
いずれにいたしましても、こういうかっこうによりまして経営移譲が促進され、若い年齢層が経営の主体としてより多く登場してくるという事態が出てくるとともに、こうしたいわゆる若年層への経営移譲の促進に基づく効果というようなことが若年層にとっても年金に対する魅力になってくる、こういうふうに考える次第でございまして、五十一年の一月ですか、この法律に基づきます支給が開始されるような事態になってまいりますと、若年層のこれに対する関心も非常に強まってくることと期待するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/13
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014・竹内猛
○竹内(猛)委員 年齢の問題については、これは世帯単位ですから、若い人が必ずしも多くないということは、一応その説明は理解ができますが、それならば、今度は面積から考えてみてお答え願いたいと思うのです。
北海道を除いて、八十四万二千三百六十六の加入があります。そのうち四四・四%が一ヘクタール以下である。一ヘクタールから二ヘクタールまでが四二・四%、二ヘクタールから三ヘクタールまでが八万四千八十九で、わずか一〇%、三ヘクタール以上は二万七千で、三・二%しかない、こういう農家構成の状態である。これは十年ちょっと前に農業基本法が志向した方向は——これは必ずしもわれわれは賛成しておりませんが、この農業基本法が志向した方向では、十年間に二町五反の自立経営農家を百万戸つくるということを天下に声明したはずです。それがこの状況から言えばできておらない。農業基本法がここでは完全に無視されており、実行不可能になっているという事実がここに出ているのだけれども、これに対する農林大臣の考え方ですが、これはどういうふうにお答えを願えるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/14
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015・倉石忠雄
○倉石国務大臣 お話しのございましたように、農基法が制定されましてから、わが国の諸般の経済事情等の発展の過程にさまざまな変化がありましたので、そういう関係もあって、農業労働力の大幅な減少が続く中で、農家戸数の減少が微弱のため、農家一戸当たりの経営規模の拡大が進んでおらないことは御指摘のとおりであります。しかし、農業がりっぱな産業として成り立つようにしむけていかなければ、農業それ自体も競争力を持つことができませんし、また、農基法が想定いたしておりますような成果もあげることができないわけでありますので、若干のおくれはありますけれども、その方向に向かって農政を進めていくべきであると私どもは考えておるのでありまして、たとえばいま御審議を願っております農業者年金というものと、あるいはその後行なっております構造改善等諸般の施策が同じような目標のもとに進められて、若干のズレはありましたけれども、その点において成果を求めてまいりたい、このように私どもは思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/15
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016・竹内猛
○竹内(猛)委員 法を守るべき政府が、十年も前につくって、農家に対して宣言をし、希望を持たせて構造改善事業をあれだけの金をかけてやりながら、その目的を達しておらないということについて責任を感じないということはおかしいですね。同時に、自民党の中でも、農業基本法なんかもうやめたほうがいいという意見がある。この前の新聞にもそういうことが出ていた。できないものだったらやめて、もっとましなものにしていかなければ、この法律はどうなるのですか。ただたなざらしになっているのじゃないですか。農家も、いまや農業所得だけではやっていけない。しかも、一定の所得があった場合に、農外所得のほうがはるかに上になってしまっている。こういう実態があるのに、ここに農業基本法の説明書がありますけれども、こういうものは全然役に立っていない。これはおやめになったらどうですか。そして、新しいものを出したらどうですか。農林大臣、どうですか。倉石農林大臣の一つの仕事として、この際これはやめて、新しい法律で行くのだ、食糧基本法でもつくって大いにがんばるのだというような決意はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/16
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017・倉石忠雄
○倉石国務大臣 私どもが一つの理想に向かって進むところに人生の意義があるのだと思うのでありますが、ことに農政なんというものは、長期の展望に立ってやっていかなければ実を結ばないものであることは御存じのとおりであります、
農基法が制定されました時代、あれからわが国は高度の経済成長を遂げてまいりました。その間において、農村の労働力等が他産業に非常に吸収された。しかし、反面において、私どもは食料を供給し、そして後顧の憂いなからしめて、他産業の伸展に非常な寄与をいたしておったので日本が経済大国などと言われるようなことになってまいったわけでありますが、そういうことを考えますと、農政というものは、単なる農業生産の計算的な問題よりも、非常に大きな力で日本経済の発展に寄与してきておると思うのであります。
しかし、われわれの期待いたしております農業の面におけるテンポが若干のおくれを見たということでございますが、現在の農基法は、われわれが制定いたしました十数年前の状況から判断をいたしましても、また、農基法の精神から言いましても矛盾はないと私は思っておりますけれども、われわれは、どういう法律であってもそれに固執して、どのように時代が変化してもこの法律は堅持しなければならぬといった頑迷不霊な考えは持っておりませんから、したがって、皆さんとともに時代の変遷に伴って研究を続けてまいることは必要なことではないかと思っております。そういうことでありますので、ただいま私どもがやっております農政も、農基法が指向いたしております方向を十分心得てやっておりますが並行しながら検討は続けてまいるという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/17
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018・竹内猛
○竹内(猛)委員 農林大臣の答弁を聞いていても、どうもしっくりいかないですね。自分のほうでは間違いがないと言っても、農民のほうでは農業基本法などというものは一つも期待をしてはいないではないですか。だから、米価にしても、畜産にしても、何にしても、ああいうふうに問題が起こるのであって、これはたいへんな問題でしょう。価格の決定にしても、ああいう価格の決定方式ではもうだめだと言っている。あれは直そうということになったでしょう。あるいは、四十七年を起点として五十七年を目標にした目標、農林省のメモにしても、もうすでに直さなければならないということになっているでしょう。政府がきめたものをどんどん直さなければならない状態になっているときに、十年一昔も過ぎたものがいまやどうにもならなくなっているのに、これに手をつけないでそのままほうっておいていくというのはどういうことですか。倉石農林大臣のような実力のある大臣は、むしろこの辺で農業基本法をやめて、食糧基本法のようなもっとしっかりしたものをつくって、価格体系にしても、金融にしても、何にしても、国内における食料の自給を確保するんだという基本的な出発点に立っていくべきじゃないか。そして、その一角に農業者年金というものが位置づけられるべきじゃないか。こういうふうにしていかなければ魅力がないですね。そういうような考え方はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/18
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019・倉石忠雄
○倉石国務大臣 私どもの農林省ではもちろんそれぞれ勉強いたしております。政府与党であります党でも、それぞれの専門部会がありまして、そういう点についていろいろ検討していただくわけでありますが、私ども農林省といたしましては、もちろん検討いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/19
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020・竹内猛
○竹内(猛)委員 この話は何ぼしても限りがないからこの辺でやめますけれども、大臣、これは実際思い切って政策の転換をしなければだめですよ。農村は変わっているんですからね。変わっていることは認めるでしょう。どうですか。もう一度念を押します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/20
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021・倉石忠雄
○倉石国務大臣 いま、農業基本法についてのお話しを申し上げて、そういうことも並行して研究しているということを申し上げたわけでありますが、現在までやってまいりました農政一般について、時代の変遷に伴って打つべき手はときどき変えていかなければならぬでありましょうが、方向としては、とにかく間違いなくやってきておると私は思っております。しかし、改善すべき点がたくさんあるわけでありますから、そういう点については皆さま方とも御相談をして、できるだけわれわれの所期の目的が達成されるような方向で農政を進めてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/21
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022・竹内猛
○竹内(猛)委員 この話はまた別な機会にじっくりやりますから、先に行きます。
そこで、四十五年から始まって、今日までに百六万の加入者があって、それに集まった金は、どれくらい集まって、どういう方向に使われているのか。その集まった金額と、どこへ使ったかという使途について明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/22
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023・大山一生
○大山政府委員 四十八年三月末までに保険料として積み立てられました額は百五十三億でございます。基金の積み立て金といたしましては、そのほかに国庫補助とかいうような問題もございまして、基金の持っております積み立て金総額は三百二十八億ということに相なるわけでございます。
そこで、それをどういうふうに使っているかという御質問でございますけれども、その三百二十八億の中で、農地の売買あるいは農地売買に関連する融資勘定への貸し付けが十八億でございます。それから、農林債券を主といたします有価証券が二百四十九億、貸付信託六十一億、こういうことに相なっておるわけでございます。
積み立て金の運用のしかたといたしましては、農民から拠出していただいた保険料の集積ということでございますので、安全かつ効率的に運用するという方針でやっているわけでございますけれども、この法律ができましたときにおける国会の決議もございますので、農業の近代化等のために十分還元するということ、それから、いま申し上げました買い入れ、売り渡しあるいは農地取得資金の融資といったようなものは年金勘定資金の二割以内にすること、あるいは余裕金の金利は五分五厘以上に運用すること、こういう具体的な運用方針のもとに、ただいま申し上げましたような運用をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/23
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024・竹内猛
○竹内(猛)委員 農民のためにという形で集めた金が、実際には農地の売買には十八億、あとは、債券なりいろいろな形で別なところにやられている。農民の金が農民のために、農業の施設のために使われていないということについては、これはたいへん遺憾なことであるけれども、もう少しその辺のことを説明をしてもらいたいと思う。債券や、そのあとの二つの問題について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/24
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025・大山一生
○大山政府委員 先ほど申し上げましたように、安全かつ効率的にという問題と、農業の近代化等のために十分還元するということ、この二つの与件に合うような運用をしなければならぬということでございまして、有価証券の二百四十九億と、先ほど申し上げました中での農林債券は百三十六億購入しているわけでございます。そこで、この農林債券につきましては、新規発行ものを買うということによりまして、資金がそれによって現実化する、こういうふうなかっこうの運用をいたしております。これが大体六割近くなるわけでございますが、残りの部分につきましては、やはり、効率的な運用ということもございますので、安全な債券の期近ものの運用というかっこうで利回りをよくしていく。この利回りをよくすることによります基金の益というものは、財政再計算期のときにおきます保険料のいわば軽減に寄与するわけでございますので、そういう意味において、有効な、なるべく有利なものに回すというかっこうで期近ものを買っているということでございますが、農林債券は、新規発行ものを買うことによって、この基金の金が農林中金を通じまして地元に近代化のために還元していく、こういうふうな運用をしているわけでございます。
そこで、もう一つの御質問の、農地の売り渡し業務等がなかなか進まぬではないかという御質問でございますけれども、現在におきます農地の売買というものが農業者相互間で直接行なわれるという傾向が非常に強いわけでございまして、基金がその仲介者というかっこうで機能する機会がわりに少ないということで、現在出ておりますのは、取得規模が大きくて自己資金だけではなかなか対処できないというような大面積の売買が行なわれるようなところ、具体的に言いますと、北海道といったようなところに集中しているわけでございます。経営移譲年金が支給が開始されます時期が参りますれば、この売買の一括取得というかっこうにおきますこの基金が仲介に入ったかっこうでの売買業務というものは相当ふえてくるであろうというふうに考えるわけでございますが、現段階におきましては、先ほど言いましたような現状のもとで、局部的なある地帯に集中しているということでございまして、買い入れ面積は、これは四十八年の十一月末現在でございますが、九百四十一ヘクタール、売り渡し面積が五百二十九ヘクタールというふうな現状になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/25
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026・竹内猛
○竹内(猛)委員 いま説明がありましたけれども、四十八年の十一月三十日の資料によると、農地などの買い入れが、たんぼが二十九ヘクタール、畑が七百五十ヘクタール、それから採草放牧地が百六十二ヘクタール、七十件で九百四十一ヘクタール、これに使った金が四億五千八百万円で、これに対して、売り渡しが五十三件で、田がゼロ、畑が四百四十四ヘクタール、採草放牧地が八十五ヘクタールで、計五百二十九ヘクタール、一億六千百万円、こういうようになっている。三年間にこの程度の動きしかないということは、法の三番目の目標である農業の近代化、合理化の方針に一体沿っているのかいないのか。理想的にいっているのかいないのかという問題からいけば、それはいっていないのじゃないですか。停滞というか、鈍重というか、こういう状態はほとんど理想じゃないのじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/26
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027・大山一生
○大山政府委員 農地の売買のしかたといたしまして、いわば取得資金を公庫から貸すという制度もございます。さらに、合理化法人によって買って、また適当な相手を見つけて売るという、農業委員会のあっせん等を仲介といたします方法もあるわけでございます。そうして、農業者年金基金が行ないます売買ということは、ともどもこの基金の被保険者というものの間において行なわれるものについてというかっこうに相なるわけでございます。
そこで、現実にはまだ経営移譲年金の支給が始まっていないというような事態の中において、まだそれほど出ているわけではないわけでございますけれども、農地の移動の現状ということを見てまいりますと、現在なお、最近一件当たりの売買規模というものはだんだん大きくなっているような傾向も内地においては見られるわけでございまして、そうした売買面積の拡大ということとともに、この基金によります売買ということがより現実化してまいるだろう、こういうふうに思うわけでございます。
現在の段階においては、先ほど申し上げましたように、両当事者間において売買される機会が多いということ、そして、この基金の場合においては、ともども被保険者でなければならぬという中において、加入率が、先ほど申し上げましたように、当然加入で言うならば、まだ六六%程度にすぎぬということ、こういったようないろいろな問題から、現在のところはまだ十分に機能していないというふうに考えておるわけでございますが、この問題については、今後相当大きくなるであろうことを期待し、また、そういうことになるであろう方向に他の諸施策も向けていかねばならぬだろう、と、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/27
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028・竹内猛
○竹内(猛)委員 今後に期待をするのだと言うけれども、現状の問題がこういう状態ではあまり期待もできないけれども、一応先のほうへいきましょう。
そこで、この年金制度というものは、私どもが地方を回って聞いてみると、あまりよく知っていない。先ほどもちょっと報告がありましたけれども、一体どういう形で加入すべき農家に対して農林省としては伝達をして、ほんとうにこういう制度があるのだ、これはいいものだからひとつ加入してほしいというようなことを言っているのか、どういう方法でやっているのか、そのためにはどのような機関に対してどういうような委託をし、どの程度の予算をそこに見積もってやっているのか、何人ぐらいこれに対しては従事をしているのか、この辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/28
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029・大山一生
○大山政府委員 農業者年金基金の末端業務ということにつきましては、農協でありますとか、あるいは市町村とか、あるいは農業委員会に委託しているわけでございます。
そして、現実の問題といたしましては、農協につきましては、被保険者の加入届けの受理でありますとか、あるいは被保険者証の交付でありますとか、あるいは保険料の徴収、領収書の交付といったような金銭関係の業務を制度当初から委託しているわけでございます。それから、死亡脱退の一時金の支給開始とともに、そういう末端業務も追加しておりまして、五十一年一月からは、いわば経営移譲年金の支給というようなことを委託するわけでございます。
農業委員会につきましては、加入資格の認定でありますとか、あるいは死亡脱退一時金にかかります認定業務でありますとか、それから、五十一年一月以降になりますと、経営移譲年金給付に対する認定業務といったような業務が出てまいるわけでございます。
農業者年金基金といたしましては、こういう末端業務をこれら農協なり農業委員会に委託する中におきまして、末端におきますこの基金のPRというようなことをやっていただいているわけでございます。また、基金自身におきましても、あらゆる機会を通じてこの年金の趣旨の徹底をはかっているような次第でございます。
そこで、先生御指摘の委託費はどうなんだということでございますが、この点につきましては、当初委託費を計算するときにおきまして、他の委託業務というようなことについての実績というようなことを参考にいたします。そして、また、こちら自身の問題といたしまして、農業者年金というものが、農地の所有関係というものの確認といったような、農業者年金独特のこともあるというようなことを加味いたしまして、そして委託費を計算して出しているような次第でございます。
他の制度と比較してみてどちらが少ないのか、多いのかというふうなことも参考のためにやってみたわけでございますけれども、四十八年度予算で、単純に被保険者数というかっこうで事務費を比較してみますと、被保険者一人について農業者年金は五百七十六円、国民年金の場合は五百二十五円ということで、国年なんかよりはよいかっこうで委託費を出しているというふうなことでございます。
委託費総額といたしましては、このところ毎年二割程度の増額をし、そして、農業委員会のほうにつきましても、これは地方自治体の持ち出しにならぬような、予算措置について万全の配慮を講ずるようにしている次第でございまして、本年度の場合においても、農業団体からは、まあまあ委託費をよくつけてくれたというふうな礼をいただいておるわけでございます。
いま先生がもう一つ御指摘になりましたところの、何人が従事しているかという点につきましては、具体的な調査をまだやっておりませんので、その点については御答弁いたしかねるわけでございますけれども、この基金の発足当時の委託費の計算のベースとして考えましたものといたしましては、農協の委託費の手数料として考えた場合に、連絡協力員の数といたしましては、四十九年度予算では十七人、それから事務委託といたしましては六十二人、予算的にはこういうふうなことで計算いたしまして計上しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/29
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030・竹内猛
○竹内(猛)委員 これはたいへん心細い話ですね。実際に事務的にはこれだけの重要なものであるならば、そういう心細いことではなくて、もう少し大胆にやらなくちゃならないということをまず一つ申し上げたい。
それから、もう一つ、私どもが調べたところによると、農業委員会の場合には一人について八十一円、農協の場合には三百五十円というふうに聞いているのですけれども、いまの話とは違うのだけれども、どういうわけでこれは違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/30
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031・大山一生
○大山政府委員 先生のいま言われました一人当たり幾らという金額は 県におきます配分のしかたによって、場所によって異なってくると思いますけれども、私たちのほうで、農業者年金につきまして、農協、農業委員会に対する委託費総額というものを被保険者数で割ってまいりました数字は、先ほど申し上げましたような五百七十六円ということになっているわけでございまして、同じような考え方を国民年金で見ますと、五百二十五円というふうなかっこうで、約一割程度高い、こういうふうに計算しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/31
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032・竹内猛
○竹内(猛)委員 いままでのいろいろな説明を求めてみて、これだけの重要な、日本の農業に従事するところの農民の三つの目的を満たすためにやるべき仕事としてはたいへん末端のほうが心細いし、これのために仕事をする人の数も非常に少ない。こういうことでは、農家の皆さんに魅力のある、ほんとうにりっぱなものになるとは思えない。こういう点については、これは私の意見として申し上げるけれども、今後これは直してもらわなければとうてい目的を達することはできないだろうと思う。
そこで、今度改定する問題に関連をして質問をしますが、最初に、前回の審議のときには私は議員ではなかったからよくわかりませんが、出発点である掛け金の七百五十円というものは、何を基準にして割り出したのか、七百五十円の基礎は何かということ、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/32
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033・大山一生
○大山政府委員 七百五十円という農家負担を出しました根拠でございますけれども、これは所要財源といたしまして、当時におきまして必要であるという財源が千二百九十八円だったわけでございます。それに対しまして拠出時の国庫負担金と給付時の国庫負担金ということ、その結果といたします平準保険料というものが出てまいるわけでございますけれども、所要財源から国庫負担を差し引きました残額が農家負担ということになっておりまして、それが七百五十円というふうに計算されたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/33
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034・竹内猛
○竹内(猛)委員 これは財源から主として割り出したものである。要するに 農家が満足する給付のほうから割り出したものではなく、財源が基礎になっているということが明確になりましたね。そういうふうに理解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/34
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035・大山一生
○大山政府委員 七百五十円という根拠は、先ほど申し上げました給付の見込み、見合いとの関係、そして国庫補助との関係において七百五十円というのをきめたわけでございますが、七百五十円の負担、逆に申し上げますと、それに国民年金というものを入れた二千円というものが農家負担というかっこうでは適切であるということを当然前提としては考えながら七百五十円という保険料をきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/35
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036・竹内猛
○竹内(猛)委員 今度七百五十円を二・二倍にして千六百五十円とした場合に、年金の加入条件として、国民年金との関係があり、夫婦が国民年金に加入し、夫が農業者年金に加入している場合には一カ月に四千二百五十円——現在は二千円程度のものですが、こういう支出になります。これは農家の負担としてはたいへん過重なものである。なぜなら、年金をかけるのは二・二倍に上がったけれども、もらうのはかなり先のほうであるし、いま農家が販売するところの農畜産物の価格というものはとうてい二・二倍なんかに上がってはいない。こういう矛盾をどのように説明をされるか、また、これを過重とは思わないかどうか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/36
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037・大山一生
○大山政府委員 先生の御指摘の前に、要するに給付水準を二・二倍に上げた問題とのからみがあるわけでございますけれども、給付水準をきめます際におきまして、過去の農業所得というものをベースにいたしまして、いろいろの手法を用いまして、最も最近時の推定さるべき年次といたしまして、四十九年の農業所得というものを推計しているわけでございます。それにつきましては、直線回帰式でありますとか、三次曲線回帰式でありますとか、あるいは生産調整前五カ年の平均の伸びであるとか、また、あるいは最近の伸びであるとか、こういったいろいろな角度から計算いたしまして、そこで出てまいります月額農業所得というものをベースにいたしまして、厚生年金に加入するとすれば幾らの年金がもらえるかということを現在の水準と比較してみたところ、一・七倍から二・三倍程度になる、こういうふうな結論が出てきたわけでございます。そこで、厚生年金の伸び率と今度の改定の伸び率ということを総合勘案いたしまして、給付水準として二・二倍ということにいたしたわけでございます。
そこで、そういうふうな給付水準の引き上げということとの関連におきまして農家の負担金というものをきめるわけでございますが、先生の御指摘のように、農家というかっこうで見ました場合は、現在の二千円が四千二百五十円になるわけでございます。
そこで、本人の負担ということからまず考えてまいりますと、農業者年金の保険料が千六百五十円、それに国民年金の定額分及び付加給付分を入れますと三千百五十円、こういうふうになるわけでございますが、三千百五十円という新しい本人負担というものを、先ほど申しました四十九年の農業所得と対比する方法もあるわけでございますけれども、むしろ、現実的なものとして出ております四十七年の農業所得の月額、これが七万四千円になるわけでございますが、これと比較してみますと四・二%に相なるわけでございます。御存じのように、四十七年から四十八年、四十九年とその所得は伸びているようなわけでございますので、この四・二%という率は下がるはずでございます。
それで、一方、ほかの公的年金というものの本人負担保険料率というものを見てみますと、三・八%から四・九%という中になっているわけでございます。そういう点から見ますならば、これよりも少なくなるであろう四・二%というのは、他の公的年金の本人負担分ということで見るならば、決して高いものではなくて、十分負担し得るものではないだろうか、こういうふうに思っているわけでございます。
それで、妻の国民年金も含めました農家としての保険料負担というかっこうで四千二百五十円ということになっておりますが、これを同じく四十七年の農家所得に——これが十五万五千円になりますが、その十五万五千円に対して何%を占めているかというかっこうを見てまいりますと、二・七%というようなことに相なるわけでございますので、これもまた十分に負担にたえ得るものではないかというようなことから現在の負担金を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/37
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038・竹内猛
○竹内(猛)委員 きのうも私の仲間の野坂委員からこのことについてはかなり質問があったはずだから、もうこれ以上は言いませんが、いまの説明も、どうも怪しいものですね。
時間もありませんから先へ行きますが、原案では、保険料は昭和五十年度は千六百五十円となっているが、現行の完全積み立て方式に立つ限り、二千百円になるまでは毎年段階的に引き上げられることになるし、また、スライド制の導入も、したことはけっこうだけれども、これも完全積み立て方式にすれば、再計算を待たずに毎年この保険料が増大をしていく。これを考えるときに、いまでさえも加入者が予定に達していない段階なのに、なおさらこれはむずかしいことになる。そのために、五年後の再計算までは、初年度の保険料の据え置きが適当だと考えます。したがって、この保険財政方式を修正をする、そうして当分は値上げをしないということについて、農林大臣、これは農林大臣の責任だから、農林大臣から答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/38
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039・大山一生
○大山政府委員 大臣から後ほど総括的に御答弁いただくことといたしまして、私からお答えしますが、平準保険料ということにつきましては、現在の二・二倍に給付水準を上げるというかっこうをとりました場合には、過去の積み不足ということもございますので二・七倍に上げなければならない、こういうふうなわけでございます。
ただ、二・七倍に上げるということを直ちにやるということはなかなか——農家の負担というようなこともございますので、保険料につきましても一応千六百五十円という、二・二倍上げるところからスタートする、こういうふうな考え方をとっているわけでございますけれども、農業者年金というものが、将来はだんだん加入者が減ってまいるというような構成に相なっているわけでございます。そこで、将来の後代負担という問題を考えますと、修正積み立てではなくて完全積み立て方式にしておいたほうが後代負担とのバランスはとれるのではないだろうかというふうに考えるようなわけでございます。
この法律が制定されまして三年という中で、他の年金との均衡をとるとか、あるいは三年間に起こりましたところの、たとえば出かせぎ等に対する手続の不備といったような点を直すということを目的といたしました法律改正でございますので、根本的なものの考え方は、やはり当初の考え方を貫くべきではないだろうか、こういうふうに考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/39
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040・竹内猛
○竹内(猛)委員 では、この原案をどうしても貫くというわけだね。原案を直すという意思はないのですか。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/40
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041・倉石忠雄
○倉石国務大臣 竹内さんの御意見は私どももよく理解できます。しかし、政府委員がいま御説明申し上げましたようなことをただいまは考えているわけでありまして、御承知のように、どんな年金でもそうでありますが、健全な年金財政を保持していくということも大事なことで、そのために、今回、給付金を考慮する反面において掛け金も二・二倍ということにいたしたわけでありますが、私どもは、この考え方がただいまきわめて穏当ではないかと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/41
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042・竹内猛
○竹内(猛)委員 これは、当分の間千六百五十円というものを据え置きをしろという要求をしている。これに対してどういう答えをするかということが重要な問題になるのですが、その点をもう一度答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/42
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043・倉石忠雄
○倉石国務大臣 いま政府委員からお答えいたさせましたとおりでありますが、まあ、いまのところではそれが妥当なところではないか、こういうふうに考えてはおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/43
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044・竹内猛
○竹内(猛)委員 この問題は、まだ最後にわれわれの仲間から詰めた質問がありますし、私は時間がありませんから、先に行きます。
最近、三十アール未満のものが、たいへんいろいろな資本投下をした集約的な農業をやっている、こういうものを加入させるということはできないかどうか、こういうふうに改めることはできないか、その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/44
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045・大山一生
○大山政府委員 この制度が、農家らしい農家ということで、当然加入の限界を、内地で申しますと五十アールという線に引いたわけでございまして、三十アールとの間につきましては、任意加入の道を開いているような次第でございます。
先生御指摘のように、園芸でありますとか畜産といったようなものにつきましても、三十アール未満でも当然加入者に匹敵する所得をあげている経営があることは確かに事実だと思います。ただ、一方、これはセンサスで出てまいっておる数字でございますけれども、三十アール未満の九割以上が販売収入二十万円以下であるという事実もまた一つあるわけでございまして、そういうふうな事態の中におきまして、三十アール以下のベースについてかりに加入を認めるということにつきましては、非常に問題があるのではないだろうかと実は考えているような次第でございます。
この制度というものが、本来的に、農地保有の合理化といったような農政上の要請から、特に土地を生産の基盤といたします農業者を対象として創設された経緯、あるいは本制度のねらいから見まして、やはり、あまり小面積の農業経営を対象にするということはむずかしいのではないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/45
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046・竹内猛
○竹内(猛)委員 これは先へ進みますけれども、この辺にも議論があるところですが、最近、農地を拡大することについてはストップしてしまった。いまや兼業と一緒になって生活をやっていくという段階で、それがふえているときに、そのほうもだめだというようなことでは、現状に対する認識というものとどうも違う。だから、それはまた別な機会に議論をします。
その次の問題は、年金受給者及び三年未満の保険料の納付者に対しては、死亡、脱退一時金が支給されておらない。掛け捨てになるということですが、この一時金を支給するという処置はとれないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/46
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047・大山一生
○大山政府委員 納付済み期間が三年未満というものについての一時金を支給できないかという御質問でございますけれども、やはり、他の公的年金制度との均衡という問題もあるわけでございます。そして、死亡一時金の支給につきましても、公的年金の他の制度といいますか、各制度といいますか、そういう仕組みを考えまして、三年未満のものは支給しないというふうな体制をとっているわけでございます。何と申しましても、他の公的年金というものとの均衡ということからいたしますと、先生御指摘の点にはなかなか応じかねるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/47
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048・竹内猛
○竹内(猛)委員 それは、他のものが悪かったら直せばいいじゃないですか。何も掛け捨てをさせないで、他のものを直すようにリードしていかなければよくない。他のものが悪いところは、悪いところへ追従していくというのはよくないですよ。だから、そういう点ではまだわれわれは意見がある。意見があるけれども、時間がないから先のほうへ行きます。
そこで、今度は、災害があった場合、たとえば天災融資法を受けたとか農災法を受けたとかという、そういう収入が著しく減じた場合において、これに対する特別処置はとれないか。納付に対する特別処置はとれないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/48
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049・大山一生
○大山政府委員 農業者年金というものが、農家らしい農家を対象にしているということから、所得水準もある程度以上あるということでございます。この制度におきましては、保険料の納付の猶予期間が二年というふうにあるわけでございますので、一時的な災害については、これにおいて対処してもらおうということを考えているようなわけでございます。国民年金の場合におきましては、生活保護者なり身体障害者といったような、保険料の支払い能力が困難な場合につきましてだけは減免の措置というものを認められているわけでございますけれども、やはり、他とのバランスということではありません。しかしながら、いま申し上げましたように、農家らしい農家ということで、ある程度の所得というものがある人を対象にしているわけであり、しかも、二年間の猶予期間というものがあるわけでございますので、それによって災害時の問題には対処してもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/49
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050・竹内猛
○竹内(猛)委員 最後に、税制との関係について質問しますが、これももうすでに質問されていると思いますけれども、なおもう一ぺん確認をします。
農業者年金の場合においては、加入は三十アール、それから国民年金に入っていることと、年間七百時間を耕作する者が対象になっているわけですが、それが今度はいよいよ税制の面にいくと、これは農業者としては認めないという形になっている。同じ政府のもとで、法律にこういう矛盾があるということはよくない。この矛盾を直すということが必要だ。同時に、農業者年金の経営移譲の年金が支給が開始されるとともに、年金法とこの特別措置法との適切なる調整をはかると同時に、これを恒久立法とするようにしたらどうか。してほしい。また、恒久立法にできないという理由があるかどうか。こういう点について、もうすでに答弁があったと思いますけれども、もう一度、そのあとのほうにウエートをかけた答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/50
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051・西野襄一
○西野説明員 農地等の生前一括贈与にかかわります贈与税の特例制度についてお尋ねでございますが、この制度は、わが国の農業の実情等にかんがみまして、農業後継者の育成確保と農地の細分化防止の見地から農業について特に認められた制度でございます。したがいまして、この制度の適用者と申しますのは農業経営者であるということが必須の要件でございます。
ところで、この農業経営者につきまして、税法では、その規模等について法定いたしておりませんが、従来、この制度の趣旨にかんがみまして、その後継者は、他に職業や主たる事業を有している場合には該当しない。言いかえますと、主として農業に従事している場合に限って認めるということで扱ってきているわけでございます。しかし、農業経営につきまして、機械化等により省力化が一段と進められていく、今後ともこの傾向が一そう強まるというふうに考えられますので、他に職業を有する場合におきましても、農業経営を行なっているという限りにおきましてはこの制度を適用する方向で検討したいということを昨日もお答えしていたわけでございます。したがいまして、農業経営の規模につきましては、これに応じましておのずから定まってくるのではないかというふうに考えております。
それから、特別措置にしている点につきまして、恒久的な規定にできないかという御質問でございますが、この制度は、先ほど申し上げましたような政策目的から設けられているものでございまして、税本来の目的とは違った、他の目的のための制度でございますので、やはり特別措置として規定するのが妥当ではないかというふうに考えております。
なお、この特別措置のあり方につきましては、政府の税制調査会でもたびたび指摘されているところでございますけれども、その政策目的とその効果については十分に検討するようにというふうに指摘されておりまして、それについては常に心がけているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/51
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052・竹内猛
○竹内(猛)委員 これで終わりますけれども、いまの質問を通じて御答弁いただきましたが、農業の認識といい、内容といい、まだまだ不十分だということをしみじみ感じているわけです。こういうことでは、まず、近々のうちに予定の者が加入するという見通しはない、やはりこれは抜本的に改正をしなければならないというふうに私はしみじみ感じておるわけでありまして、そういうことをつけ加えて意見として述べて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/52
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053・仮谷忠男
○仮谷委員長 瀬野栄次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/53
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054・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案について、農林大臣並びに関係当局にお尋ねをいたします。
農業年金の加入状況についてまずお尋ねしますけれども、政府の調査によりますと、四十七年度末現在の加入資格者を約二百二十万人と見込まれまして、さらに現在農業者年金への加入予定者を二百万人程度見込んでおられるということが答弁でも明らかになったわけでありますが、四十六年の一月一日に本事業が開始されましてからの加入状況を見てみますと、四十八年度末は、加入対象者数が百八十一万三千人、現存被保険者数が百五万五千人、予算措置としては百八十五万人ということになっておりまして、加入率が五八・二%、半分よりもちょっと多い程度でございます。こういったことから見ましたときに、まことに実績というものが低い。この低い実績はどういうところに原因があるか、どういうふうに当局は分析しておられるか、この点を冒頭に御答弁をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/54
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055・大山一生
○大山政府委員 四十七年に私たちのほうで調査いたしました結果で、いわば当然加入資格者で加入していない理由というものを詰めてみたわけでございますけれども、そのときに一番大きな要素として出てまいりましたのは、約四五%を占めましたのは、制度あるいは制度の内容を知らないというふうなことがあったわけでございます。確かに、当初におきましては、これができましたあと、末端組織が整備されていなかったということもその一端であろうというふうに考えるわけでございますが、現段階におきましては、そういった末端組織というものも十分に整備されたわけでございます。そして、また、給付水準も、この際いわゆる五万円年金というものが実現しているという事態の中において、大体それと均衡するような給付水準に直す、あるいはスライド制を導入する、あるいは出かせぎ者等におきまして、出かせぎに出ることによって国民年金資格を失うということが、逆にこの農年に参加できなくなるというようなことに対する、出かせぎ者に対する措置がなかったといったような点につきましての修正をいたすことによりまして、現在の加入率というものを今後はさらに高めるというような方向に進み得るであろうし、また、進めねばならぬというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/55
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056・瀬野栄次郎
○瀬野委員 四十九年度末の年金の加入者を、政府は予算措置として百六十五万人とされておりますけれども、四十八年末は百八十五万人であったわけですけれども、これはわれわれの考えでいきますと、例年これが減少していくという心配をするわけですけれども、この百六十五万人とされた四十九年度末の算定基礎というものはどういうところから出されておりますか。その点を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/56
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057・大山一生
○大山政府委員 当初約二百二十万ほどの、二百万程度の加入者が期待できるということで、当面百八十五万ということを見たわけでございますけれども、その後農業者の年金の被保険者調査というものを実施いたしまして、いわば農家というものの面積要件、それから年齢要件、それから国民年金要件、こういったようなことを調査いたしました結果、当然加入をすべき者が百三十二万人いるということが一つわかったわけでございます。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
それから、任意加入をすべき者が五十三万七千人おるわけでございます。そして、また、その結果といたしまして、とりあえず当然加入をすべき者は全部加入させなければならぬし、また加入してもらわねばならぬということがあるわけであります。
それから、また、後継者につきましてもさらに努力するといたしましても、当面はやはり三十三万程度であろうということから、百六十五万というふうに見たわけでございます。ただ、そういうことで発足いたしまして三年たち、各種調査の結果というものが明確になってまいりましたので、とりあえず百六十五万ということで四十九年度予算はつくっているわけでございます。
ただ、この百六十五万ということをベースにしておりますけれども、百六十五万あればいいんだというふうにはわれわれは考えておらないわけでございまして、将来といたしましては、さらに任意加入者の増加ということも当然努力してまいる。その結果は、百六十五万ということが上限ではなくなるようにしたい、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/57
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058・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣に、いま答弁があったことについてお尋ねしますけれども、この農業者年金は当初と違いまして、私たちとしても、当然、今後のこの年金の発展と、ますます農家にとって期待の持てる制度に改善をしていかねばならぬということは言うまでもありませんが、実際問題として、私たちもいろいろ検討してみますときに、いまの加入状況等から見ましたときに、将来だんだん本制度がぐらついてくるような感じがしてならない。そこで、今回てこ入れをして改正もしようということでもありますけれども、実際この年金の底流に流れておるものを私もいろいろ当たってみましたところ、PR不足とかいろいろなこともあったにせよ、いずれは離農をしていくというようなことを考えている農家の人が現在なおかなりおる。先行き農業が不安である、さらには、出かせぎで給付がいただけない、今回一部改正にはなっておりますけれども、そういった不安がある。また、保険料がなかなか納付できないとか、経営移譲できないとか、こういった問題等いろいろ原因がございまして、今後本制度はよほど強力なてこ入れをしていかなければ心配であると、かように私は思っております。すなわち、魅力がないということがよく言われているわけですけれども、こういったことに対しての、大臣としての、本制度に対する意欲的な考えを冒頭承っておきたい。
あとは逐次細部にわたって質問をいたしますが、その辺の決意をこの辺で大臣からお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/58
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059・倉石忠雄
○倉石国務大臣 農業者年金制度は、先日来御審議の途中でいろいろ質疑がございまして、そこでももう明らかにされておりますが、いわゆる政策的な考えが中で重要な意味を持っておることは申し上げるまでもありませんが、私どもといたしましては、規模を拡大して安定した営農ができるようにするということが農政の基本の考えでありますので、そういうことにあわせて農業者年金制度というふうなものを考え出し、国会でも御決定を願ったわけであります。
今回の改正は、もちろん、他の公的年金が時代の変遷に伴って改定されますので、農業者年金制度もやはり改善する必要があるということと、そのついでに、いまお話しのありましたように、中間で農業を離れて出かせぎにおいでになるような方も、やはりその間の継続をするべきではないかといったような改善策を講じておるところでありますが、第一には、農業団体も、それから基金等も、われわれのほうももう少し積極的に理解を求めまして、なるべく加入者を多くしていくことが保険財政の堅実性をはかるためにも必要でありますから、そういう点にも力を入れますが、とにかく財政等も考慮いたさなければなりませんけれども、内容の充実につきましては逐次改善をいたすようにしてまいりたい。そして、離農される方、それからまた後継者が、将来を楽しみにして安心して営農ができるように仕向けてまいるということが必要である。もともとこの年金制度を考え出しました基本がいま申しましたようなところでありますので、なおその内容を充実してまいることには今後とも努力をしてまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/59
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060・瀬野栄次郎
○瀬野委員 今回の改正で、年金額の引き上げだとか、出かせぎ者等の加入特例等の改善措置が種々行なわれておることも一応承知しておりますし、大臣も十分御存じのところでありますが、経営移譲をした者には年金が出るけれども、都合によって経営移譲ができなかった人には、農業者老齢年金はつくけれども経営移譲のための年金はつかないということになっておるし、当初農民が期待した年金とだいぶん違ってきておるわけです。私は、これは老後の安定につながるようにすべきだということを先年も申したところでありますが、いまのような物価高騰のおり、われわれが見ましても、運用金の利息が、先ほど答弁がございましたように五分五厘、銀行に預けてもいま七、八分であります。そうしたことから、こういったことよりも、もう不動産でも買っておいたほうがいいのだ、そのほうが利子以上によっぽど利益を得ることができるのだというような考えが農家自体にもある。まあ、佐藤前首相が「農業者にも恩給を」ということを言って農家をずいぶん喜ばせていただいたことは御存じのとおりでありますが、ところが、ふたをあけてみたところ、老後保障の老齢年金はおざなりになってしまっておる。自分がかけた掛け金に利息がついて返ってくるだけではもう魅力がないわけです。
そこで、いまもいろいろ理由を申されたように、だんだん年金加入者が減退をしていく。そして、経営移譲ができない人は、入りたくても魅力がないので入らぬということをわれわれが農家を回るとよく言われるわけですが、私は、こういったことが最大の原因になっておるのじゃないかと思うわけです。だから、老後の安定に力を入れるべきであり、老齢年金にも力を入れていくことは当然のことでありまして、現在は国の政策によって農民が踊らされていると言っても過言ではないわけです。そういったことをいろいろ見ましたときに、今回の年金の改正等を見ましても、制度の仕組みに何ら改善が加えられていないようなこういう状態で、はたして今後どのような加入促進をしていかれるのか、具体的にどういうふうな加入促進の計画をお持ちであるか、この点も明らかにしていただいて、今後の年金の発展に政府も大いに力を入れていただきたいと思うのですが、その点を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/60
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061・倉石忠雄
○倉石国務大臣 この年金の年金水準は、国民年金の年金額を考慮いたしまして、これと農業者年金制度によりまして厚生年金並みの水準が得られるように設定されておるわけでありますが、この場合、経営移譲をしなくて農業者老齢年金だけを受給する者が持ち出しとなることのないように、農業者老齢年金の水準については配慮いたしておるわけであります。
そこで、今回の農業者老齢年金の水準の設定につきましては、これらの考え方を踏まえまして、従来のバランスをくずすことのないように経営移譲年金の引き上げ率と同率の引き上げを行なうことといたしたものでございまして、このバランスをくずすことは適切ではないと私どもは考えてこのような措置を講じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/61
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062・瀬野栄次郎
○瀬野委員 いま私はいろいろお尋ねしたのですけれども、今後の加入促進についての具体的な措置について、政府は、そのPRの足らぬところはどういうふうにPRをするつもりなのか。また、どこにネックがあるからどういうふうにするとか、具体的にはどういうふうに考えて臨もうとしておられますか。これは事務局でいいですから、お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/62
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063・大山一生
○大山政府委員 現在の年金の加入状況を見てまいりますと、地域別に非常に差があるわけでございます。たとえば北海道でありますとか、東北でありますとか、あるいは九州であるとかいったような農業地帯は、他の都市近郊に比べますと、相対的には加入率が高いというふうな実態があるわけでございます。いわば、農業地帯においてまず関心が出てきた、そして、それが逐次そうでない地帯といいますか、いわば都市に近いところに及んでくるという傾向をいま示しておるわけでありますが、何といたしましても、過去における調査の結果としても、やはりPRが不足していたという事実を踏まえまして、四十八年以降、これが末端体制の強化とともに急速に各種の施策を講じているわけでございます。たとえばテレビ等によってこれを宣伝するというようなこともいたしているわけでございますけれども、そういう施策と相まちまして、こういう法律の改正によって実質的に給付水準を上げるとか、あるいは出かせぎ者に対する対策を講ずるとか、あるいは先生の御指摘のように、インフレといいますか、物価騰貴ということに対応する意味におきまして、スライド条項を入れるというようなことによって実質価値を維持させるとか、こういうような制度改正をし、また、それを農民に徹底する中でこの加入促進はさらに一段と強化してまいりたい、こういうふうに考え、基金を通じ、あるいは末端の取り扱いをやってもらいます農業委員会あるいは農協等を通じまして、あるいはテレビ等を通じて、これの趣旨徹底をはかってまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/63
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064・瀬野栄次郎
○瀬野委員 年金の加入促進については、ただいま局長から答弁がございましたけれども、この問題については、根本には、いろいろ指摘もされておるとおり、農業に対するいろいろな今後の先行き不安とか、また、農政の将来ということを考えた場合、農家にとってもいろいろ懸念される点が多い。そういった根本的な問題もあるにせよ、せっかく発足当時から「農業者にも恩給を」と言ってきたこの制度が、正直なところ、いまいろいろ答弁しておられるけれども、皆さん方の心の中にも、将来これはどうだろうか、先行きこのまま制度が持続できるだろうかというような心配等を多分に持っておられるだろうと思う。しかし、そういったことは公開の席では答弁することも困難かと思いますけれども、事実、われわれ委員の仲間でも、懇談する際には、こういったことをいろいろ心配しております。そういった意味で十分検討されておると思いますけれども、さらに、本事業の推進または強化策については、今後とも十分対処していただきたいということを重ね重ね強く要望しておく次第であります。
そこで、経営移譲年金のことでありますけれども、経営移譲年金の額が厚生年金の額よりも下回っているこの原因というものは、当局はどういうふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/64
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065・大山一生
○大山政府委員 私たちといたしましては、下回っているといいますか、この農業者年金ができました当時におきまして、農業者年金というものは厚生年金程度の水準でなければ効果はあがらないというふうな国年審の答申もあるということを踏まえているような次第でございまして、具体的に申しますならば、当然加入の対象になっておる農業経営者の農業所得というのを基礎といたしまして、その所得をもって厚生年金に加入をしたらどうなるであろうかというようなところから、厚生年金自身の給付水準のアップということも含めまして、総合いたしまして現在二・二倍という水準のアップをしたわけでございます。
そこで、厚生年金でいわゆる五万円年金と言われているわけでございますけれども、その五万円年金と言われておりますのは、二十年以上加入する男子の標準的な年金額に妻の加算も入れまして、いわば再評価後の平均標準報酬を八万四千六百円というふうに見て、平均加入年数を二十七年と見た場合に五万二千二百四十二円、したがいまして、妻を除きますと四万九千八百四十二円、これはあくまでも平均でございます。平均でございますから、それを上回るものもあれば、下回るものもある、こういうふうなことになるわけでございまして、一方、農業者年金を、この二十七年、千七百六十円というベースで考えますならば四万七千五百二十円ということに相なるわけでございまして、厚生年金並みの給付水準というものは十分確保されているものというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/65
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066・瀬野栄次郎
○瀬野委員 厚生年金並みの確保は十分できておるとおっしゃるけれども、推定農業所得月額というものが算定されておりますけれども、これは昭和四十九年度の算定はどういうふうな方法で算定されたかということが一つと、もう一点は、現在のような農業所得を基礎として年金水準を定めていくということは、将来厚生年金とますますギャップを大きくするということで、本来の政策目的である経営移譲という、こういった効果を十分発揮できないということになっていく。現在ですらそういう状態でありまして、将来ますますそういったことが大きくなっていくんじゃないかという心配をいたしておりますけれども、その辺は当局はどういうふうに検討をされておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/66
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067・大山一生
○大山政府委員 四十九年の農業所得の推定のしかたからまず御説明いたしますと、当然加入者の農業所得を最近におきます農業所得の実績というものから推定してみるわけでございます。四十九年の所得の推定のしかたといたしましては、直線回帰式でありますとか、三次曲線回帰でありますとか、あるいは米価の据え置き前の五カ年間の平均の伸びでありますとか、あるいは最近におきます平均の伸びでありますとか、それにつきましても、たとえば生産調整前を使う場合においても、生産調整奨励補助金というものの分は加味するというようなことをいたしまして、そういった諸般の推計値によりまして、過去の所得から四十九年度の農業所得というものをはじいてまいりまして、それに対しまして、毎勤統計で見ますと、ボーナスというようなものもございますので、月額というかっこうでするならば十五・七で割るというかっこうになりますので、いま申し上げました直線回帰、三次曲線といったものの伸びから見る農業所得の加入者の推計される所得を月額にしてまいりますと、大体五万七千円から八万三千円程度、こういうふうなことに相なるわけでございます。そういうふうな所得をもちまして厚生年金に加入したとすればどの程度の年金がもらえるか、こういうふうなことをやってまいりますと、現在の二十五年加入の場合でいたしまして、現在の水準から見て一・七倍ないし二・三倍というようなことになるわけでございます。そこで、こういった水準と、それから厚生年金の引き上げ率というようなことを総合勘案いたしまして二・二倍の引き上げ、こういうふうにいたしたわけでございます。
先生が御指摘になりました第二の点は、端的に申し上げますならば、農家所得と、都市の賃金といいますか、そういうもののギャップというものが将来出てきやせぬかという点での御指摘であろうと思うわけでございますけれども、四十五、六という、いわば農業所得が非常に低迷した時期があるわけでございますが、四十七、八というようなときには相当の伸びが出てきているわけでございます。そういうような傾向を加味いたしております四十九年度の農業所得の推計というものにつきましては、これは十分に都市勤労者の伸びということを考慮いたしましても、決してギャップがあるものではないというふうに考える次第でございます。
さらに、いまの先生の御質問を詰めるならば、これはやはり階層別に所得を見なければならない問題に相なってこようかというふうに考えるわけでございます。しかしながら、所得の問題、農業所得といいますか、階層制をこの際取り入れるという問題につきましては、これは農年の審議会、小委員会等におきましてもいろいろ御検討をいただいたわけでございますが、非常に技術的にむずかしい問題もある、階層の流動性もあるといったような非常にむずかしい問題がありますので、この際においては結論を得るに至らなかったわけでございます。しかし、階層制の問題につきましては今後とも検討を続けていかなければならぬ問題であろうし、その階層制というものとのからみにおきまして、いわば農業所得という問題と都市労働賃金というもののギャップの問題の将来の問題に対する対応のしかたのきめ手になる問題ではないだろうかというふうにも考えますので、今後とも階層制の問題については検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/67
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068・瀬野栄次郎
○瀬野委員 階層制の問題が出ましたので、ここで大臣にもお聞きしておきますけれども、もう御承知のように、四アールの人も、また六ヘクタール持っている人も結局同じことだ。同じ率になっておりますからね。ですから、当然階層制を国民年金と同じようにとっていくべきじゃないかというふうにわれわれは考えているわけですけれども、やはり、農業協同組合の陣容とか、体制とか、組合側もなかなか事務的にたいへんだ。あるいはどの線で階層制をしくかという、その判定がなかなかむずかしいという困難性もあると思いますけれども、実際には、今後年金を発展させていくということになっていくならば、いま局長からもたまたま答弁がございましたが、やはり、この階層制の問題と真剣に取り組まなければならぬと思うのです。今後検討を続けていくということでありますけれども、あの答弁の歯切れでは、一応答弁だけしておいて、すぐにこれを強力に検討するというかっこうではないというふうに私は思うのです。いろいろな団体の問題点もあろうかと思いますけれども、将来早い機会にこういったことは結論を出すべきだと私は思うのですけれども、年金の発展の上から、この点について大臣はどのように当局を激励していかれるものか、また考えておられるのか、その点について大臣のお考えをお聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/68
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069・倉石忠雄
○倉石国務大臣 この年金を合理的に運営してまいりますためには、農村の農業経営の階層制というふうなものが研究の対象になるということは当然出てくる問題だと思います。しかし、反面において考えてみますと、同じ農村で階層的な取り扱いをするというようなことは、ほかのほうの心理的な問題にどんな影響があるだろうというふうないろいろな問題はあるわけであります。しかし、たてまえとしてこれは大事な問題でありますので、引き続いて私どものほうとしては研究してまいりたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/69
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070・瀬野栄次郎
○瀬野委員 階層制の問題については大臣も十分認識しておられるようでありますので、今後年金の発展のためにも精力的に検討を進めていかれるようにさらにお願いしておきます。
次に、本法の中でも大きな問題が四つ、五つあるわけですけれども、その中の一番重要な問題と私は言いたいわけですが、国庫助成措置の問題を大臣にぜひひとつ努力していただきたいという意味から申し上げたいと思います。
現行の農業者年金は完全積み立て方式を採用しておるわけでありまして、将来必要なものについては数理保険料は一切くずさないというふうになっておりますが、このため、今回の年金額の二・二倍の引き上げは、保険料を約二・七倍にまで引き上げねばならないということは先ほど答弁されたとおりであります。それで、政府はこの保険料の引き上げを段階的に行なうということで、昭和五十年一月から十二月までは現行保険料の二・二倍に当たる一月千六百五十円といたして、法律にも明記されております。その後は政令で順次引き上げの改定措置を講ずるというようになっておりますが、五十一年一月から十二月までがおおよそ千九百円程度、五十二年以降が二千百円ということでありますけれども、農業者年金発足当初と改定後の保険料負担額について、国民年金の負担額を加算し、これを比較してみますと、改定後は結局四千二百五十円、すなわち農業者年金保険料が千六百五十円、国民年金保険料が二千六百円ということで四千二百五十円、こんなに掛け金が高くなっていくということになります。もちろん制度発足当初の四十六年の農業者年金保険料は七百五十円で、国民年金保険料は千二百五十円ですから、約二千円だったのが倍以上の掛け金ということで、これは十分御承知のとおりでございます。
そこで、この改定後と現行の関係の率を見ましても、国庫助成は、改正したといっても、改定後が四二・九%で、現行が四二・二%ですから、〇・七%上がったわけであります。だから、もう言うまでもなく、国庫助成を多くすれば掛け金率はもっと下がるわけでございますが、こんなわずかな国庫助成では、これはもうどうにもならぬということで、私たちは、五〇%のいわゆる改定をしていただきたい、こういうふうな強い要望を持っておるわけです。これについては大臣もぜひひとつ努力をしていただきたいと思うわけです。
それで、今回の大幅な保険料引き上げに対して、どれだけ農家がその負担増に対してたえられるかということですが、これはもうたいへんな負担になるわけでございまして、これは制度自体をぐらつかせるといいますか、左右するような根本的な問題になっておりまして、この国庫負担の助成については最大の努力をやっていただきたいと思うわけです。そうしなければこの農業者年金を崩壊に導くとまで私は申し上げたいわけです。保険料が年々ふえていきますと、これはもう言うまでもなく、農業者は払えなくなるということは当然考えられるわけでございまして、国庫助成ということに対する大臣の思い切った精力的な努力を願いたいということと、今後、負担増についても、ぜひとも最大の努力を払っていただくように検討をしていただきたいと思うわけですが、大臣はこれについてはどういうふうに考えておられるか、ぜひ農民の期待にこたえるような御答弁をいただきたい、かように思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/70
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071・倉石忠雄
○倉石国務大臣 農業者の負担の軽減をはかるために保険料をできるだけ低額にしたほうがいいではないかという御意見でありますが、保険料をあまり不当に低いことにいたしますと、保険全体から見て、後々の人たちに過重な負担をかけるようなことになるわけでありまして、そういうことになりますことは、世代の間に著しい負担の不公平を生ぜしめることにもなるわけであります。こういう事態を避けますためには、給付水準の改定にあたりましては、やはり、保険料率についても適正な増額をはかる必要があると考えておるわけであります。
それから、また、農業者年金制度では、本制度の持ちます政策的な要請も考慮しなければなりません。そこで、他の公的年金制度に比べましてかなり高率な国庫助成を行なって、農業者の負担の軽減をはかっておる次第でありますが、今回の改正にあたりましても、標準的な保険料納付済み期間を満たすことができない期間短縮者に対する経営移譲年金の加算分につきましては、給付費用の四分の一を新たに国庫負担することといたしまして、これによって加算分にかかる給付、それから費用の国庫負担割合を従来の三分の一から二分の一に引き上げることといたしておりますが、期間短縮者が被保険者の七〇%を占めております農業者年金の場合には、この助成強化の効果は大きいものではないだろうか、このように理解いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/71
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072・瀬野栄次郎
○瀬野委員 大臣もいま答弁されましたが、実際にはこのことについてはもっと国庫助成をすべきだということは、主管大臣として当然お考えであるということは十分察知できます。しかし、いまにわかにこれをどうということにはまいらぬと思いますけれども、農業者年金のいわゆる政策目的から言って、また、今後のことをずっと思いましたときに、加入者が漸減していくというような状状況も思いますと、そういった点については大蔵当局とも十分に対処して折衝していただいて、これに対する精力的な御努力を今後していただきたいことを重ねてお願いしておきたいと思うのです。本法の審議にあたっては、この問題は一番大事な問題であるというふうに私は思っておるわけでありますので、そういった意味でさらに大臣の御努力をお願いしておきます。
それから、次は、保険料等の算定にあたりまして、完全積み立て方式をとっておりますけれども、私たちはこれをいろいろ検討してみましたときに、政府は、将来被保険者がだんだん少なくなってくるということを予測して、そういった不安から、めんどうを見きれなくなるとたいへんだということで完全積み立て方式をとっておるというふうにわれわれは理解をしておるのですけれども、この点は、私の質問に対して当局はどういうふうに反論されますか。また、どういうふうに検討しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/72
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073・大山一生
○大山政府委員 われわれといたしましては、だんだん農民がこの年金に加入しなくなるであろうというようなことを心配して、後代負担を心配しておるわけではございません。われわれがこの年金制度に対処していくにあたりましては、やはり、何といたしましても 財政の運営ということについては将来とも健全な運営ができるように十分配慮していかなければならぬわけであります。そこで、農家というものが逐次減少してくるということの結果といたしまして、当然加入すべき人間も減ってまいるというようなことがあるわけでございまして、将来加入者数がそういう意味において減ってまいるということと、加入者に対します受給者の割合が大幅に増加するということが当然なこととして見込まれるわけでございます。加入者の年齢構成というものも、他の公的年金に比べれば、高齢者の割合が高くなっておるようなわけでございます。そういう点からいたしまして、後代負担というようなことについての公平さといいますか、世代間の負担の不公平をもたらさないようにするというようなこと、さらに言うならば、年金財政を健全に運用していくというたてまえから言いますと、やはり完全積み立てのたてまえを維持する必要がある、こういうふうに考えているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/73
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074・瀬野栄次郎
○瀬野委員 そこで、厚生省の持永企画課長がきょうおいでだと思いますが、厚生省から御答弁いただきたいことは、国民年金にかりに完全積み立て方式があったとすれば、実際払わなければならない保険料は昭和四十九年一月一日現在で幾らぐらいになるか、厚生省のほうから御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/74
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075・持永和見
○持永説明員 国民年金でございますけれども、国民年金につきまして、かりに完全積み立て方式をとったという仮定をいたしますれば、昨年の国会で御審議いただきました改正法が施行された時点におきまして、加入者が負担すべき保険料の額は、月額にいたしますと約二千六百六十円に達するというふうに見込まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/75
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076・瀬野栄次郎
○瀬野委員 月額二千六百六十円、大臣もよく記憶しておいてもらいたいと思いますが、それでは、実際に現在払っているのは幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/76
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077・持永和見
○持永説明員 現実の保険料は、昨年の改正法が施行されました本年の一月から月額九百円になっておりますが、さらに この九百円につきましては、来年の一月から千百円に上げていただくよう、現在必要な法案を国会で御審議いただいている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/77
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078・瀬野栄次郎
○瀬野委員 大山局長、いま厚生省が答弁された月額二千六百六十円、実際に払っているのは現在九百円、これは十分わかっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/78
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079・大山一生
○大山政府委員 そういう事実であることは十分わかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/79
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080・瀬野栄次郎
○瀬野委員 なぜ私はこれを言うかといいますと、きょうは厚生省にも出席をいただいて、あえてお答えをいただいたわけでありますけれども、国民年金に比べて、いわゆる農業者年金がいかに率が違うかということを指摘したいからでございます。いまの答弁にありますように、厚生年金についても必要な保険料の三分の二ぐらい払っているのが実情でございまして、これは将来つぶれちゃったら国が何とかするというふうなことが考えられるのじゃないか、こういうふうにも思いますけれども、農業者年金のほうは、必要なものは全部取っておるわけです。ここに問題があるわけです。完全積み立て方式になっておりまして、どうしてこんなに格差がつけられておるか。これはいろいろ理由があるにせよ、われわれ農業サイドから見ましたときに、残念でならない。当局の努力をもっとやっていただきたい、と、かように申し上げたいわけです。農業者年金のみが完全積み立て方式を継続しなければならないという、いま私が指摘をした理由を、こういったことからどういうふうに考えておられるか。さらに、局長から、これに対する明快なる答弁をお願いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/80
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081・大山一生
○大山政府委員 農家人口の減少という問題、これを先ほど申し上げたわけでございます。したがいまして、現在、われわれといたしましては百六十五万というベースで考えているわけでございますけれども、いまの傾向値で将来の被保険者数がどうなっていくかというような推定をいたしてまいりますと、昭和八十五年ごろには九十万ぐらいになるはずでございます。この点につきましては、今後のいろいろの趨勢というようなものやいろいろの事情が出てまいりますので、これはあくまでも数理計算上の数値でございますけれども、一応九十万程度というふうに考えられるわけでございます。
これに対して国年のほうで申しますならば、現在の加入者数が将来においてあまり大きな変化をしないという問題が一つあるわけでございます。われわれが農業者年金という問題をとりますときに、これが国年の一種の付加年金であるということから、農林、厚生ともども仕事をやっているわけでございますけれども、国年を所管しております厚生省が、また一部におきましてはこの農年も所管している、こういうわけでございます。その限りにおいては、どの年金に対する姿勢も厚生省の立場においては統一されているということが言えるわけでございますけれども、先ほど申しましたような後代負担ということが、先ほど言いましたような被保険者層の推移ということを前提とする限りにおいて、それぞれの年金というものが一応健全に運営されるということから言う場合には、国年に比ぶれば、農業者年金というものについては、より慎重な姿勢が世代間における負担の公平という角度から要請されるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
しかしながら、さればといって、この負担の問題につきましては、そのほかに国庫補助という問題もあるわけでございまして、こういうふうな長期に運用される年金制度の中におきまして、補助率というものは、たとえ低いものであっても、これを通算されてまいりますと、かなりの高率になってまいるわけでございます。それにいたしましても、他の各種年金におきます補助率に比べますと、農業者年金は、今後とも各種与件の推移に応じましてわれわれは慎重に検討してまいり、また、努力してまいらねばならぬことだと思っておりますけれども、この四十九年度時点におきましても、農業者年金についての四二・九%は、他の年金、たとえば私学その他のものが一二%とかあるいは一五%というような補助率であるというようなことと対比いたしましても、そういう意味において、いわばうちの年金の特殊性という問題が国庫補助率にもまたはね返っている、こういうふうなわけでございます。
要するに、先生の例にあげられました国年とうちの農年というものを見た場合には、そういう国庫補助についての姿勢も含めまして、世代間の均衡をとっていくというようなことから、より厳密な完全積み立て方式が要望されるということでございます。国庫補助率につきましては、厚生年金が二〇%、あるいは国家公務員共済組合、公共企業体職員等共済組合、地方公務員等共済組合が一五%、それから、私学あるいは農林漁業団体職員共済組合一八%というようなものに対比いたしまして、あるいは国民年金の定額が三分の一、付加分が二五%というものに対比いたしまして、私たちのほうが四二・九%というのも、そういうことへの一つのあれであるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/81
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082・瀬野栄次郎
○瀬野委員 いま局長から答弁がありましたが、農林大臣、厚生省からも、国年のほうの完全積み立て方式とした場合の月額二千六百六十円、実際に払っているのは現在九百円ということで、いろいろ先ほど答弁をいただいたわけですが、ここらがまた一つの大きな問題点なんですけれども、この農業者年金のみが完全積み立て方式になっている。そこで、厚生省所管の関係の保険は半分ぐらいであるのに、わがほうの農業者年金は、負担能力の弱い農家を被保険者として、そして全部を取るということはけしからぬと私は言いたい。さらに、農業者年金は、こういったことがいろいろと災いして漸増する傾向にある。こういったことから見まして、先ほどからいろいろ質問をしてまいりましたように、この農業者年金のほうも将来は負担を二分の一くらいにするというような決意で臨んでもらいたいと私は強く言いたいわけでありますが、農業関係の農林年金と国民年金のほうと比べたときに、えらい差がある。そして、しかも、いずれも厚生省が一応は所管をしておるといいながら、こんなまま子扱いみたいなやり方というものは、法案作成にあたっての、また、金の検討にあたっての、農林大臣や当局のこういったことに対する努力が足らないのじゃないか、もっと強力に厚生省との折衝に当たるべきであると思うわけで、こういうことで、農林年金をしっかり守ってもらいたい、将来は負担を半分に減らしてもらいたい、こういうふうに私は思うわけですが、この辺は大臣はどういう決意でおられるのか。いま厚生省からもいろいろ答弁があったわけですが、お考えを承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/82
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083・倉石忠雄
○倉石国務大臣 先ほどもここでお話しがございましたように、農業者年金という制度は一つの政策年金でありまして、終戦以来わが国でいろいろな保険制度ができてまいりましたが、それぞれの沿革を持ち、それぞれの目的を持ってやっております。したがって、そういう角度から考えますと、必ずしも他の公的年金と全部同様でなければならないという議論にはならないと私は思いますが、内容を改善していくことについては大切なことでありますので、この点については引き続き研究をいたしてまいりたいと思っております。
ただ、農業者年金制度というものは、創設いたしましてからまだ日も浅いことであります。徹底もしておりませんので、当然加入資格のある者のうち、先ほどお話しのありましたように、まだ四十何%かがなお参加しておらないというふうな情勢でありますので、この点については鋭意努力をして改善する必要はあると思っております。したがって、いま御指摘のございましたような事柄につきましても十分検討はいたしますけれども、これはほかのものと違っておりまして、特殊な年金であるということも私どもとしては考えて、そういう考えに立って運営をしていく必要がある。ただ、そのために保険経済の健全性が——それからまた期待しておる加入者が加入できないようなことでは、せっかくつくりました制度も意味がないわけでありますから、それらの点については十分勘案してやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/83
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084・瀬野栄次郎
○瀬野委員 この点については十分勘案して検討していくということでございますが、この機会にこの問題について指摘をしておきますので、政府当局においても、農業者年金を今後発展さすためにも、農業者の被保険者の負担を軽くするためにも、いろいろな困難な問題があろうかと思いますけれども、ぜひ努力をしていただきたいということを重ねてお願いしておきます。
次に、これまた大臣にお伺いしたいのですが、今回、保険料については、昭和五十一年以降政令で定めるということになっておりますけれども、この保険料を上げるという問題は、当然、国民の前で、すなわち国会の公開の場ではっきりさせてから上げるべきである。こういった重要な問題を政令にゆだねるということ、いわば内々にきめるというようなことはけしからぬことじゃないか、これは当然修正すべきだというふうに私は思うのです。こういったことについてはどういうように検討されたかわかりませんが、当然、公開の場で、国会の場ではっきりきめるべきであり、政令にゆだねるなんということは問題であると思う。その点は、本法を提案するにあたって、検討段階においてはどういうふうに検討しておられたのですか。また、今後これに対してどういうふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/84
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085・倉石忠雄
○倉石国務大臣 保険料につきましては、厚生年金や国民年金のような国が管掌いたしております制度では法律で定めておりますが、国家公務員共済組合または農林漁業団体職員共済組合等のような共済組合関係では、組合の定款によりまして定められております。農業者年金におきましても、その実施主体が農業者年金基金でございますので、当面の保険料の額は別といたしまして、政令によってこの保険料の額を定めることとしておるものであります。
なお、給付水準、国庫負担の割合、収支均衡の原則等、保険料の額を定めますにあたっての基準は法律上明らかにされておりますので、そういう点で政令によって保険料を定めることとしておりまして、その決定が政令でやることになっておるから適正を欠くということにはならないのではないかというふうに考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/85
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086・瀬野栄次郎
○瀬野委員 この件をいまにわかに変えるということは困難かと思いますけれども、実際保険料が制度運営の基礎になっておるということから考えますときに、こういう重要な問題を、保険料算定方法について政令にゆだねるということは問題だと私は思うのです。今回これが修正できないにしても、将来こういうことは改めてもらわなければ困ると思って、実はこの問題は私たちの関係の部会においても重要視して論議したわけでありますが、いまにわかにこれをどうということにはまいらぬにしても、こういうことは本法提案にあたって十分検討していただきたかったと返す返すも残念に思うことであります。指摘をしておきますので、今後もさらに注意をしていただきたいと思う。
それから、これまた本法の大事な問題ですけれども、附則の第五条の「保険料の額の特例」に、「昭和五十年一月から同年十二月までの月分の保険料の額は、」云々とありまして、保険料の額の特例が設けられておりますが、これに対してもいろいろと論議をされておるのであります。この月千六百五十円の額については、当然据え置いてもらいたい、これはぜひ与野党一致で修正すべきだということで、私たちも昨日来理事会でいろいろ検討しておりますが、この「五十年一月から同年十二月までの月分」というところを削除して、「第五項の規定にかかわらず、」という次に、「当分の間」という字句をぜひ入れてやっていただきたい。そうすると、次の改定まで当分の間、と、こういうことになろうかと思いますけれども、われわれも強い修正の要求をする決意でおりますので、大臣としてもそれに応ずるようにいろいろ検討してもらいたいと思いますが、大臣に検討の用意があるかどうか、その点をお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/86
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087・倉石忠雄
○倉石国務大臣 今回の改正案では、給付水準を二・二倍に引き上げることといたしておりますが、改正前の保険料納付済み期間につきましても給付水準の引き上げがなされましたために、いわゆる過去勤務債務が生じますために、本来必要とされる保険料の額は単に現行の二・二倍にとどまらないで、月額二千三十円となります。しかしながら、農家の負担能力等から見まして、一挙に本来必要とされる額まで引き上げることは困難でございますので、当初一年間の保険料の額を現行の二・二倍、すなわち千六百五十円にとどめることといたしまして、不足分につきましては、今後保険料の必要な引き上げをはかることによりまして措置することにいたしておりますが、これは年金財政の健全性を確保してまいるために必要な措置であると考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/87
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088・瀬野栄次郎
○瀬野委員 法案提案者としてそれ以上の答弁は無理かもしれませんが、十分大臣も含んでおられると思いますので、本件については、与野党一致してぜひこれは「当分の間」に修正をしたい、かように思っております。そういったことで、当局の今後の善処方をお願いしておきます。
次は、はしょって若干のことを質問しておきますが、年金額に対するスライド制の問題であります。
今回、消費者物価が上がったから、農業者年金も翌年一月からスライドをさせようということでありますけれども、五十一年からは実際に給付が始まるわけでございまして、直接関係はないと言えますけれども、年金額のスライドについて、今回、国民年金でも、厚生大臣は今年限りと言って、実際は九月に早めたといういきさつがあります。農業者年金については、実際は五十一年からの給付ということになりますが、先々のことでありますけれども、この国民年金で九月に早められたという経緯から見まして、将来、農林年金の給付の時期が来たならば、農業者年金も早めるというようなことをやってもらいたいというように思うのです。そういうようなことは、先のことではありますけれども、十分検討していただきたいので、この機会に要望を兼ねて政府の御見解を承るという意味で、お考えをただしておくわけでありますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/88
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089・大山一生
○大山政府委員 五十一年一月以降支給を始める後において、今度かりにスライド制が国会の御承認をいただくということになってまいりますと、その消費者物価指数というのが結果が出ますのは、翌年の夏になるわけでございます。したがいまして、その翌年の一月からスライドさせるという原則は、これは国民年金等においてもそういう制度をとっておりますので、そういう制度で進めてまいる、こういうことに相なるかと思います。
ただ、異常な物価高というような問題が将来発生いたしまして、厚生年金あるいは国民年金等においてそういうふうな措置が講ぜられるというような事態が出てまいりました場合においては、わがほうとしても、いろいろ諸般の事情を考慮していかねばならぬ事態が将来はあるいは出てくるかもしれないというふうに考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、将来そういう事態が出た場合にできる限り慎重に検討して、できるものであればやってまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/89
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090・瀬野栄次郎
○瀬野委員 そこで、この年金額の改定方法についてですけれども、国家公務員は賃金スライド制をとっておる。また、農林年金は物価スライドということでありますけれども、この農林年金の場合、物価スライドをとったという理由ですね、これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/90
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091・大山一生
○大山政府委員 農業者年金というものは、農業者に厚生年金並みの水準の年金を給付するという趣旨から設けられているわけでございます。そういうことから、物価スライドというかっこうで、厚生年金におきましても、年金の実質価値の維持という観点から物価スライド制を導入したということでございますので、われわれのほうといたしましても、その物価スライド制をとることによって実質価値を維持してまいる、こういうふうな考え方をとっているわけでございます。
なお、厚生年金におきましては、財政再計算の際に、賃金なり生活水準といったような動向を勘案しながら年金額の水準を引き上げることとしているわけでございますが、農業者年金におきましても、これと同様に給付水準の改定を行なうこととしておりますので、物価スライドと相まつことによりまして、生活水準の向上に見合った給付水準が維持されるものというふうに考えているような次第でございます。したがいまして、公務員のような、公務員給与の引き上げ率によってやっておりますような共済組合と違いまして、われわれのほうとしては、厚生年金並みという思想のもとで、それと同様の物価スライドによってやってまいる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/91
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092・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林年金は五年ごとに一応見直すということにはなっておりますけれども、物価スライドではこれは低くなるわけでございますので、現在の物価水準、生活水準等を見ましても、ずいぶん過去から上がっているわけです。そういったことから、これは当然賃金スライド制を採用すべきじゃないかというふうに思っているのです。いま局長からいろいろ答弁がございましたが、こういったことについても今後の検討課題として十分検討していただきたいと思うわけであります。
次に、六十三回国会のときに、本法の審議過程においていろいろと検討された中で、現行制度においては、昭和四十六年一月一日当時五十五歳をこえる者についての問題が指摘されておるところでありますけれども、他の年金加入要件が備わっている場合にも、年齢要件によって加入の道を閉ざされるとともに、年金制度の補完措置として設けられている離農給付金の交付についても、第三者に経営移譲した者のみ対象としております。これらの人たちは、たとえ後継者に経営移譲行為を行なった場合にも何ら恩恵に浴しないということが指摘されておるわけでありますけれども、御存じのように、こういった人たちは、戦前戦後を通じてたいへん苦労された方です。当時三十代の人が、終戦後二十九年経過しまして、もう六十歳代になっているということで、実際問題として、年金給付の恩恵に浴していない。こういったことは十分当局も御存じなわけでありますが、それに対してはどういうふうに検討されてきましたか。この機会に明らかにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/92
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093・大山一生
○大山政府委員 制度発足時に五十五歳以上の方の取り扱いについては、この点はこの前いろいろと御議論をいただいたわけでございます。
そこで、高齢のために農業者年金の対象とならない方に対して、その者が第三者に農地を所有権移転したという場合に、離農給付金を交付することにしておりますが、今度、第三者に対します使用収益権の設定ということに対しましても同様に支給できるように改善をはかったというわけでございます。
なお、後継者に経営移譲したというために離農給付金の対象にならない方に対しましては、その経営移譲が六十五歳までに行なわれました場合には、名前はなかなかもっともらしい名前になっておりますが、老齢経営主経営移譲促進事業という名前でございますけれども、農林大臣から感謝状と銀盃を贈呈するというようなことを四十七年から実施しているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/93
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094・瀬野栄次郎
○瀬野委員 時間がなくなってまいりましたのではしょってお伺いしますけれども、兼業農家の妻とか、または直系卑属の配偶者についても加入の道を開くべきだというふうにわれわれは強い要望をしておるわけですけれども、これについてはどういうふうに政府は考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/94
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095・大山一生
○大山政府委員 御存じのように、この制度が、経営移譲の促進あるいは農業経営の近代化、あるいは農地保有の合理化という政策目的を達成する見地からいたしまして、土地及びその土地の処分権原に着目いたしまして、農業経営主でありますか、あるいは将来農業経営主となるということが予定される者を対象として仕組んでいるようなわけでございます。
そこで、兼業農家の妻でありますとか、あるいは直系卑属の配偶者とか、こういうことだけである方につきましては、加入対象とすることは困難な面があるわけでございます。特に、直系卑属の配偶者の場合につきましては、そういう方を加入させることによって将来相続上の問題も惹起するおそれがあるようなこともございますし、また、将来土地を譲り受けまして農業経営主になるかどうかということもきわめて不安定な位置にあるといったような問題があるわけでございます。しかしながら、直系卑属の配偶者につきましては、その者が将来の農地の処分権者である農業経営主となる可能性がある場合におきましては、一つの方法として考えられますのは、養子縁組みによって直系卑属になるということによって農業者年金に加入することは可能であろう、こういうふうに考えているような次第でございます。
それから、兼業農家の妻というかっこうにつきましては、今回の制度改正を機会にいたしまして、実質的に妻に経営を主宰させる、そういう見地から夫から使用収益権を設定させる、こういうことによりまして加入することができるように措置してまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
ただ、経営移譲との関係で夫に返せばいいんだということに将来なるかどうかという問題は、制度の趣旨から言って非常に検討を要することでございますので、その点につきましては、農業委員会等がこの法律の趣旨に合うようなあっせんをできるだけしてまいる、できれば、夫に返すのではなくて、それが経営移譲という成果を持つようなかっこうで経営移譲がなされるように誘導してまいりたい、こういうふうなことを考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/95
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096・瀬野栄次郎
○瀬野委員 この問題については、農林大臣も実情はよく御承知だと思いますけれども、現在主人が出かせぎに行ったりしているという家では、留守を守っているのは、兼業農家等においてもほとんど妻がやっているという実情で、実際農業に従事しているのはそういう配偶者の場合が多いわけです。これはいろいろと検討されておるようですけれども、これらもぜひ加入の道を開くように、今後さらに一そう対処していただきたいと思います。
もう一つは、三十アール未満の者についても年金加入の道を開いていただきたいということを強くお願いしたいわけですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/96
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097・大山一生
○大山政府委員 七〇年の農林業センサスで見てまいりますと、〇・三ヘクタール未満の農家で販売金額ゼロあるいは五万円未満という方が八割を占めているというような事態もございます。さらに、販売金額が二十万円以下ということでとってまいりますと九六・四%というふうな結果が出ている次第でございます。そこで、三十アール未満という農家の方の中におきましても、施設園芸というようなかっこうで相当の所得をあげておられる方があることも確かでございますけれども、この法律の制度というものが、農家らしい農家を対象といたしまして、しかも、土地に着目して、その土地の経営移譲ということを一つの支給要件として仕組んでいる年金であるというようなことから考えますと、一般的には、任意加入の限界は三十アールというような制度にすべきことではないだろうかというふうに考えるわけでございます。ただ、その三十アールという問題につきまして、現在、内地におきましては、一律三十アールというふうになっているわけでございます。この点を府県別にさらに細分化して区分してはどうかという御意見も、当初の法律制定の際にも議論されておったわけでございますけれども、そういうことも踏まえまして、現在は、三十アールということを下限にしているようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/97
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098・瀬野栄次郎
○瀬野委員 次に、本制度に、他の年金と同様に障害年金とか遺族年金というようなことについても設けるべきじゃないかという意見を持っておるわけですけれども、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/98
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099・大山一生
○大山政府委員 障害年金といいますか、障害なり死亡という問題につきましては、一般制度としての国民年金制度上で措置されているわけでございますので、農業者年金制度におきましては、経営主の障害あるいは死亡について、年金によって補償を行なうというようなことは現在考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/99
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100・瀬野栄次郎
○瀬野委員 これはぜひ年金加入の道を開いてもらいたい。われわれとしては、これを強くお願いをするわけです。
そこで、出かせぎ者の問題で、今回出かせぎ者問題については一歩前進の対策がとられて、おそらく当局はこれは本法の目玉だというふうに感じておられるのじゃないかと思いますけれども、時間がないので一点だけお伺いしますが、年間を通して半年間の出かせぎを継続しておる者は、年金受給額が、通常の半額となるということなどから、出かせぎ者が、年金加入誘導措置としてのこれに今後はたしてこたえるかどうか。いわゆる保険料も、また、実際問題として、給付を受ける額も措置はされたというものの、半分の年金を受けるということになりますと、今回の改正で一歩前進とは言いながらも、誘導措置としての効果はあまりあがらぬのじゃないかという懸念を私は持っておりますけれども、この出かせぎ者の加入見通しは、これで十分こたえられるというふうに見ておられるのかどうか。私は、出かせぎ者は必ずしも喜んでいないと思うし、この程度では加入の促進にはならぬのじゃないかというふうにも思うわけです。当局は、今回のこの問題については、相当前向きの前進した政策であるというふうにおそらく感じておられると思いますけれども、実際はそういうふうにはまいらぬと思うのですが、その点は、見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/100
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101・大山一生
○大山政府委員 現に出かせぎをしながら農業者年金に加入しておる方がどれくらいあるかという問題は、四十七年の八月現在でございますけれども、農業者年金被保険者調査というものを実施いたしました中におきましては七万四千人であります。そのときに、加入資格がございますけれどもまだ加入していないという方の中で、出かせぎをしているという方を見てみますと、約五万人あるわけでございまして、こういうことから見ますならば、十万人程度は出かせぎ等によるこの改善措置の適用を受けることになるのであろうというふうに実は考えておるわけでございます。われわれは、各地方の加入率の問題について地方における事情をいろいろ聞く機会があるわけでございますけれども、たとえば青森が加入率が低いということの一つの原因に、青森の出かせぎということに対する年金の対応のしかたという問題が指摘されていることも事実でございまして、出かせぎ者のこういうかっこうによって、資格として通算するということができてまいりますれば、そういったところにおいての加入率の向上に非常に寄与するのではないだろうかと実は考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/101
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102・瀬野栄次郎
○瀬野委員 最後に簡単なことを二点伺います。
加入期間が三年未満の者に対する死亡一時金及び脱退一時金の給付をぜひ行なうようにしていただきたいということと、災害時の保険料の減免措置を検討していただきたいということ、この二点についてお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/102
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103・大山一生
○大山政府委員 御指摘の第一点は、加入期間三年未満の方に対する死亡一時金なり脱退一時金という問題でございますけれども、農業者年金といえども、他の公的年金との均衡ということを考えねばならぬわけでございまして、死亡一時金につきましては、公的年金制度の仕組みということを考慮いたしまして、三年未満の者には支給しないということを、横並びと言って先ほどしかられたわけでございますけれども、そういうことで対処しているわけでございます。
それから、災害時の保険料の減免の問題でございますけれども、国民年金等におきまして、生活保護者でありますとかあるいは身体障害者といったような場合で、保険料の支払い能力が困難な場合については保険料の減免措置があるわけでございますけれども、農業者年金というものは農家らしい農家を対象としておりますし、その結果といたしまして、その所得水準もある程度以上であるというようなことがあります。また、一方、保険料につきましては、二年間の猶予期間というようなこともありますので、そういった災害に対します対応としては、猶予期間が二年あるというようなことによって対処できるものというふうに実は考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/103
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104・瀬野栄次郎
○瀬野委員 農林大臣、最後に申し上げますが、本法案もきょういよいよ審議が終わったあとで採決ということになるわけであります。私もいろいろ指摘してまいりましたが、限られた時間で、若干はしょりまして、十分な論議ができない点もありましたけれども、いずれにしても、当初からいろいろ大臣にも伺いましたように、農業者年金法は今後に残した問題がたくさんございますので、こういったものを踏まえて、今後加入が増加するように、また、農業者年金の今後の発展のために、本法の問題について私が指摘をした事項等を精力的に検討していただいて、今後ぜひ十分に対処していただくように強く要望するわけです。
その点についての大臣の決意を最後にお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/104
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105・倉石忠雄
○倉石国務大臣 たいへん御好意のあるおことばをいただきまして、私どもも、これの改善になおさらに努力を続けてまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/105
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106・瀬野栄次郎
○瀬野委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/106
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107・山崎平八郎
○山崎(平)委員長代理 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
午後一時十三分休憩
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午後二時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/107
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108・仮谷忠男
○仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小沢貞孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/108
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109・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 時間の関係もあったり、いま理事会でちょっと発言をしてまいりましたが、その時効完成者に対する救済措置の問題から先に質問をいたしたいと思います。
いまの制度では、年金受給資格を得るためには、保険料納付済み期間が最低五カ年以上必要となっておって、また、保険料の納付については、二年間の経過をもって時効が完成することとなっています。そこで、このために本制度発足当時——昭和四十六年の一月一日から発足したわけでありますが、そのときに五十三歳から五十五歳までの者で、現在農業者年金に加入していない者の中には、保険料納付の時効完成により年金受給の資格が失われておる者がいるわけであります。そこで、今度の改正にあたっては、これら時効完成者に対して、時効により保険料納付資格が消滅した期間についても、保険料納付の特例を設けることによって年金受給資格の回復をはかろうということで、これはたいへんありがたいことであります。もう時効になっている者を、特例によって、納入すれば年金受給資格の回復をはかろうということで、これはたいへんいいわけでありますが、ところが、時効により消滅した間の保険料については、当時の保険料ではなくて——いままでの保険料は、改正前は一月七百五十円で済んだわけですが、それをこれから改定して、これから法律ができて、一月一千六百五十円を納めなければいけないということでは、こっちのほうには仏をつくったけれどもこっちのほうでは魂を入れないみたいな、こういう矛盾したことが起こっているわけであります。したがって、過去の人を救済するというならば、過去に同じ者が七百五十円納めていたのですから、七百五十円を、一括だか分納だか知りませんが、納めることによって救済措置をとるということが仏をつくって魂を入れたということになろうかと私は思いますが、局長、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/109
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110・大山一生
○大山政府委員 時効救済の附則第六条の問題でございますけれども、本人が保険料を納付しないでおったという理由が、はたして本人がそういうものを知らなかったことによるものなりや、あるいは本人自身の理由によるものなりや、そこの判断がきわめてむずかしい問題であるというふうに考えるわけでございます。そういうことが一つあることと、それから、国民年金等におきましても、昨年の改正の際に時効期間の救済措置を講じたわけでございますけれども、この場合におきましても、その期間については、新保険料を納めさせるというふうな制度になっているような次第でございます。一般的にはそういうこともございまして、未加入者については、理由については、いろいろそれぞれ判明しにくいこともありますし、また、未納保険料を納付すれば、今度の改正後の年金給付が受けられることにもなるわけでございます。そして、また、それに見合う必要保険料も判明している。そういうことからいきますと、やはり、この措置を利用する方の納付金額というものは一律に新保険料たらざるを得ないというふうに考えましてこの規定を入れたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/110
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111・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 一つは、国民年金も同じような措置でやっておりますから、これが一つの理由で、もう一つは、本人が知っていてやらなかったのか、その周知徹底ができなくてうっかりしていてやらなかったのか、この辺が一つの理由だ、と、こういうようにいま局長が申されておるわけであります。それでは私はお尋ねをするが、その周知徹底のために、これは法二十条だと思いますが、委託をしてやっているわけですね。だから、委託がどういうようにどういうような年次で契約が進んだか。これは七千件だか、八千件だか——九千件も農協その他と委託をしているわけなんですね。この業務がおくれたのは、農林省自体の責任ではないですか。どういうように法二十条でいろいろの業務を委託をしてやってきたか、その契約の進行の状況を聞かせていただきたい。何件あって、どういう年次でやってきたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/111
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112・大山一生
○大山政府委員 後ほど数字で申し上げたいと思いますけれども、われわれのほうの事務手続がおくれたことも確かに事実であるわけでございますが、しかしながら、市町村の農業委員会なり、農協等につきまして、大体四十七年度中にはすべてその制度が完了しているというふうにわれわれは見ているわけでございます。そこで、その段階において加入された方も、既存の二年間の猶予期間ということを活用されまして、現在加入者数を把握する場合におきまして、百五万人の中の約九十八万人が初年度から加入された資格を持っておられるという事実があるわけでございます。したがいまして、国が多少おくれたということはあるにいたしましても、ほとんどの方が過去にさかのぼって料金を納められて、当初からの加入資格というかっこうをとっておられるという事実があるわけでございまして、そういうことを考えますと、やはり、他の制度と並びのかっこうでいくのがいいのではないだろうかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/112
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113・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 私は、農林省の手続がそんなにスムーズにいったとは思えません。いま、局長は、四十七年末までには大体と、こういうようにおっしゃっておるわけでありますが、そういうように農林省が自信があるならば、なぜ、この時効効果の発生したものを過去にさかのぼってまで救済しようとしたか。やはりいろいろの不備なところがあった、まだ周知徹底できなかったものがあったという、そういう理由があったからこそ初めて今回の改正にあたって、過去のものにまでさかのぼって一回に納めるのか。また、この納め方も聞かなければなりませんが、そういう救済をしようとしたわけです。救済をするからには、同じ年齢の者がその当時気がついて入っておったならば七百五十円であったものを、いまになったならば千六百五十円納めろということは筋が通らないと私は思うわけです。これから法律を改正して二・二倍になって、その料金を過去忘れていた者に対してまでさかのぼってとるということは、どう考えても筋が通らぬと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/113
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114・大山一生
○大山政府委員 先ほど数字を申し上げなかったわけでございますけれども、四十八年九月現在百五万人の加入者がいるわけでございます。そこで、四十五年度に資格を取得した人が九十八万四千人でございます。率にいたしまして九三・七%、それから四十六年に百万五千、率にいたしまして九五・七%、こういうふうにほとんどの方が二年間の例の猶予期間というものを活用して、さかのぼって入っておられる、こういうことがあるわけでございまして、われわれといたしましては、PRを進め、いろいろとやったわけでございますけれども、なおこれでは全部の方がそうであったとは必ずしも言えないのではないかということから、他のそういう救済措置も講ぜられているという先例も横に見ながら、この規定を入れたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/114
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115・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 局長の答弁は、私の質問に答えていないわけです。
それでは事務的にお尋ねしますが、救済をする場合に、過去未納であったものの納め方はどうやるわけですか。一括一時金で納めるのか、また、これから分納で納めるのか、どうするわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/115
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116・大山一生
○大山政府委員 本人の自由意思によりまして、一括でも分割でもけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/116
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117・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 その場合に、本人を説得するのに、過去の人だったならば七百五十円で済んだのに、いまごろになって気がついたものだから二・二倍になったぞ、千六百五十円になりましたぞ、と、こういうことで説得が一体できると思いますか。一括納めろ、あるいは分納にしろと言うにしても、これは常識で考えてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/117
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118・大山一生
○大山政府委員 われわれといたしましては、他の制度との関係等から見ても、先生の言われたように、その納めるべき立場の人から言うと非常に不合理性を感ぜられることだろうと思います。ただ、この問題は、現にそういうふうな要望がありまして、その要望に従って出したというようなことで、その要望された方については、それは過去にさかのぼって、その分についてはそれはやむを得ないということもあるけれども、とにもかくにもさかのぼってほしいというふうな要望も踏まえまして、他に制度もあったからやった、こういうことであるわけでございます。
確かに先生の言われるような御意見もあると思いますけれども、われわれといたしましては、農業年金なるがゆえに他の制度と異なって、ということはいたしかねるというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/118
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119・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 ここで数字的につまびらかにするわけにはいかないが、国民年金が市町村役場等を通じて末端まで周知徹底する期間、そのスピード、組織力というものと農業者年金の場合とは、農林省の事務手続がおくれたのか、また、PRがぐあい悪かったのか、そこには差があるわけです。私は差があると思う。そういう宣伝だか、PRだか、勧誘だか、あるいは末端の扱い機関との契約だか、そういうことがおくれているということは農林省の責任もあると私は思う。それが一つであります。
それから、いま、要望がありましたから時効になった者も救済すると言うが、その要望した人は、救済してくれるのに、一時金を納めろとか、今度はおくれてしまったから懲罰的に二・二倍取るぞというようなことがまさかされるとは思わなかったと思います。それが第二点であります。
第三点は、これは事務的なことをお尋ねしますが、この予算的な措置その他から言って、該当者は一体幾人であるか。最初、農林省は、二百万なり百六十万なり、そのくらいのものが農業者年金に加入するであろうと思っていたが、ところが、事志と違って、いま百五万くらいしか加入しておらない。こういうことの基本は、やはり、百姓というのは現金支出がいやだという点もあるわけです。そういうことを考えると、これは懲罰的に、おまえ知らないでいたから、おくれたのだから、二・二倍でも千六百五十円納めなければもらえないぞ、ということが一体言えるのか。
この三つのことについて、明確に答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/119
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120・大山一生
○大山政府委員 これの対象になると基金のほうで判断しております人間は、約五万というふうに私は理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/120
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121・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 その五万は、この一時的な救済によって、基金としては何億の金が要るわけですか。要するに、五万の人を救済して千七百六十円、ところが、私の提案は、過去みんな同じ年齢の人は七百五十円でよかった、だから、五万の人を対象にいま想定をするならば、その予算は幾ら要りますかと言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/121
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122・大山一生
○大山政府委員 五万人に対する計算はいまさせますけれども、たいした金額ではないと思います。ただ、ものの考え方といたしまして、農業者年金というものが国民年金の上に乗っているという立場から言いますならば、国民年金の場合においてそういった措置がとられているということを前提として、なおかつそういうふうな農民の要望があった、こういうふうに理解せざるを得ないわけでございます。
いずれにいたしましても、われわれといたしましては、せっかくの先生の御指摘ではございますけれども、懲罰的ということではなくて、やむを得ずして、というふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/122
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123・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 これは押し問答をいつまで繰り返していてもしかたがないのですが、大臣、いまの局長と私の問答を聞いておって、私の言うことが無理だと思われたかどうか。大体、一つの理由は、農民というものは現金を出したくないからという、その要素もあったと思います。もう一つは、国民年金や何かと違って、末端のこの年金に取り組む組織というものが必ずしも順調に確立したとは私には思えません。それは国民年金と違って、制度がなかなかむずかしいので、農林省も、その組織をつくり上げてやっていくのにたいへん困難だったと思います。もう一つは、いろいろのPRを忘れてしまっていた。去年までは七百五十円でよかったが、新しい法律ができて、時効になったものまで救済しようというのに二・二倍の懲罰的な一時金を納めるというようなことでは、五万人の救済はとてもではないができないと私は思います。だから、これは大臣から政治的な判断を下していただくよりほかに方法はないと思います。いまも理事会で提案をしてきたばかりでありますが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/123
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124・倉石忠雄
○倉石国務大臣 この問題は、御承知のように、いま最初にお話しにありました五十三歳から五十五歳の人を——この法律制度を制定いたしますときも、これらの人々をどうするかということはかなり問題になったのでありますが、六十歳以上の者は御存じのように農業者年金で、それから国民年金が六十五歳になれば自動的に入っていくという制度を採用するときに、暫定的にいまの問題があったわけでありますが、結局、そういう方も今回の法改正によって何らかの措置を講ずる必要があるということで今回の措置を講じた。ただ、七百五十円でやるべきか、千六百五十円という新しい二・二倍のものを掛け金として取るかということでありますが、やはり、今度は、掛け金をかけてその制度に均てんする場合には新しくなりました年金をもらうという形になるわけでありまして、まあ、両方ともいろいろ考え方はあるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、この基金財政から考えてみましても、現在の経済状況等を勘案いたしまして、新しく二・二倍にいたしましてその年金を受ける資格を持つわけでありますので、やはり、掛け金は新しい掛け金にしていただくということでなければならないのではないだろうか、こういうふうに思いまして、御提案の中にはそういうふうにしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/124
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125・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 これは新しい制度で二・二倍の年金をもらうのはみんな同じなんです。今度の法律の改正によって同じなんです。それを過去の人を救済しようという親心を出したのだから——しかも、今度は、一時金か何かでそれだけのものを納めなければならないという負担もあるわけです。だから、せっかく救済しようというからには、仏をつくってくれたのだから、魂を入れるからには、一時金で過去何年分か納めなければならないということになって、いまから改正をされる二・二倍の保険料を一時に取るということは酷だと思います。そして、しかも、当時五十三歳から五十五歳というと、いまで言えば五十六歳から六十歳前後だ。これらの人は戦中、戦後の農業の混乱期に非常に苦労した人です。農業者年金といって、大臣もそうだったと思うが、われわれもさんざん宣伝した。そういう人もみんな救済してやるぞと言ったのは、実は、そういう過去に苦労した人のために報いるためで、この農業者年金というのはそういう政策的なものがあったと私は思うわけです。だからそういう意味から、いまも理事会で提案をして、今後検討されるということになっておりますが、これはぜひそうしてやらなければ、こんな社会的な不公平なことはないと思います。これにかかわっていると次の質問ができませんので、これはひとつ大臣に強く要望をして、次に進みたいと思います。
農地法でいう農地保有合理化法人、これは、長野県であるなら、たとえば農業開発公社というようなぐあいに公社ができて、末端組織ができて、全国を調べてみると、四十六都道府県の中で四十府県に農業公社みたいなものができている。そして、末端の組織が十分できて、扱っている件数を比較するとはるかに件数も多くて、こういうぐあいにやっているわけであります。先ほどの質問とも関連するが、法十九条だか二十条だかによれば、この基金の業務というものを、町村だか、農業委員会だか、農協へ委託することができる。こういうようなことになって委託を進めてきているはずだが、いま年次別に何件の契約ができて、どういうようになっているか、この事務的なことからお尋ねをしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/125
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126・大山一生
○大山政府委員 買い入れ事業といたしましては、これは四十八年十一月末現在でございますけれども、面積で申し上げますと、四十六年が五百三十、それから四十七年が三百九十一、それから四十八年が二十ということで、九百四十一ヘクタールでございます。
中身といたしましては、田が二十九、畑が七百五十、それから採草放牧地が百六十二ということに相なっております。
それから、売り渡ししました面積は、これは四十七年度まででございますけれども、五百二十九ヘクタールで、うち畑が四百四十四ヘクタール、採草放牧地が八十五ヘクタール、こういうことに相なっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/126
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127・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 それは農地の買い入れ、売り渡しだけのことで、いま数字をお聞きしたわけですが、たとえばいまの長野県の公社等、農地法上でいう保有合理化事業というもので見るならば、買い入れが、四十六年は二千八百五十二ヘクタール、四十七年が四千二百二十五ヘクタール、売り渡しもそれなりにやっているわけです。だから、農地の買い入れ、売り渡しという似たような制度をこの基金でもやり、農地法上でいう農地の流動化のための農地保有合理化法人もやっているわけですが、農地法の合理化法人のほうがはるかに件数、面積等が多い。ところが、この農業者年金に基づく農地の買い入れ、売り渡しの業務のほうは、いま数字を提示してもらったが、たいへん少ない。これはこういう結果が出ているわけです。
これは大臣にもお尋ねしたいが、取り組む末端の姿勢、組織というものの差が出てきているのではないか。これは原因の分析でありますが、差が出てきているのではないかと思う。もう一つは、逆に、したがってこのような似たようなことをやるのだったならば、せっかく農地法上の農地保有合理化法人事業があるのだから、農地の買い上げ、売り渡し業務については、末端組織を一本にして、合理化していったほうが体制がよく整うのではないか。この二点です。
もう一回申し上げます。農地保有合理化法人のほうは、私たち長野県には長野県農業開発公社みたいなものを末端でつくってある。全国にもそういうものはできていて、取り組む体制もできている。だから、この何十倍だかというほどの件数、面積を扱っている。ところが、農業者年金基金の農地の買い入れ、売り渡し業務というものは末端組織ができていない。これはさっきも言った宣伝とも同じ関連があるわけであります。できていない。そして、取り組む体制が十分でない。こういう地方組織の差が出ているのではないかということが一つ。これは原因の分析です。
もう一つは、だから、農林省でやっているこの農地法上でいう合理化法人と、この農業者年金基金でいう買い入れ、売り渡しとは同じような業務だから、わずかなこの精神上の差があるだけで、農地の流動化や規模を拡大しろという目的はもう同じなんだから、この末端組織を合併してやっていったらどうかという政策的なこと。この二つの問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/127
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128・大山一生
○大山政府委員 事務的なことも含んでおりますので、私からとりあえず御答弁いたさせていただきますけれども、確かに、農地保有合理化法人と農業者年金基金が、ともに、農地保有の合理化をはかり、農業の近代化をはかるという政策目的において何ら変わらないことは御指摘のとおりでございます。
農地保有合理化法人の買い入れというものと農業者年金基金の買い入れというものの間におきまして、実績において相当の差があるではないかということの原因でございますけれども、農地合理化法人の買い入れというものが、農用地区域内の農地あるいは開発適地というものを一般的に対象にしているということに対しまして、農業者年金の行ないます買い入れというものにつきましては、その年金の被保険者が経営移譲する、年金との関係もあって離農しようという場合におきまして、それを援助する、こういうふうなことで、いわば、その年金の場合におきましては、対象が非常にしぼられているということが大きな原因になっているわけでございます。そこで、現実には大きな離農というようなかっこうに基づいて一括して農地を売買するという場合におきまして、普通の場合でございますと、当事者間において、たとえば農地取得資金を借りるといったようなかっこうで済むわけでございますけれども、年金等に依存するということになってまいりますと、それが非常に大規模化した場合である、こういうふうに考えられるわけでございます。現に、基金の行なっております農地の買い売りが北海道において集中しているという事実は、大規模な移動というものを背景としてこれが行なわれている現状にあるということでございます。
それで、農業者年金の場合におきまして、経営移譲というものが、年金の支給というかっこうが具体化するとともに、この基金の活用という問題がふえてくるであろうというふうに考えるわけでございますが、この合理化法人と農業者年金基金との関係は、当初この法律が成立いたしました当時から非常に問題になっておりますけれども、そのときから、両者の関係につきましては、一般制度としての農地保有合理化法人の買い入れを運用上優先させるというふうに方針としてなっているわけでございます。
それから、もう一つ、農業者年金基金のこれに要する資金を農地保有合理化法人に活用してはどうかという御意見もあるわけでございますけれども、あの基金の一つの大きな目的といたしまして、その年金の被保険者のそういう土地の売買ということを一つの目的としているからには、やはり、それは独自の組織としてやるべきであろうというふうに考えるわけでございます。
なお、合理化法人の行ないます末端の組織ということ、つまり、出先機関といいますかのあり方につきましては、各県によって非常にばらばらでございます。それで、こちらのほうの場合におきましても、農業委員会というようなものがあっせんという問題をやって、これを背景にしているわけでございますし、多くの県におきます合理化法人のこの種の土地の売買ということも、農業委員会のあっせんということに背景を持っているとするならば、その意味においては、両者ともそれぞれ末端組織としては変わらない県が多いのではないだろうかと、実はそういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/128
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129・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 そこで、大臣、これは制度の問題で、末端の取り扱い機関ですから、ここでいろいろ論争しても直ちに結論は出ないと思いますが、末端の農業委員会が農地法上でいう農地保有合理化法人のほうの末端もやっている。そして、農業年金基金のほうの農地の買い入れ、売り渡しというようなものの審査だとかいうこともまた末端の農業委員会がやっている。こういうことになれば、県の段階とかその他の段階において一本にしてやっていったほうが、事務能率も上がったり、仕事の合理化もできていくのではないかというふうに私は考えるわけです。これは一つの要望ですが、大臣、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/129
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130・倉石忠雄
○倉石国務大臣 合理化法人のほうは、規模を拡大して、生産性の高い農業を維持するという考え方の必要性のために、それを主たる目的としてやっているわけでありますが、年金のほうは、ほかに目的があって、年金基金というものができて、しかもそれには、やはり同じような農政の目的に合致することでありますので、まあ、年金の基金を原資としてやっておるわけであります。
なるほど、小沢委員のおっしゃるように、いずれも農業委員会が中に入りまして、同じようなことをやっておることは確かであります。そして、事務能率をあげるのに何か考え方はないかというお話しですが、これはごもっともだと思いますし、なおそういう点は研究する必要があると思いますけれども、いまの年金の関係でやっておる農地の買い入れ等が一方に比して少ないではないかというお話しは、いま私が冒頭に申し上げましたような事柄、沿革からそういうふうになっていると思うのでありまして、能率をあげるために何かいい方法があり、また、事務が混乱、錯綜しない方法があれば、これは検討に値することではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/130
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131・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 ひとつ前向きにぜひ御検討をいただきたいと思います。
これはいまの理事会でも大体修正の方向がきまったので、要望にとどめておきたいと思いますが、保険料を二・二倍に上げて、それから支給も二・二倍に上げる——これはよろしい。ただし、保険料は初年度だけだぞ、来年度からは政令でもっと上げるぞというのは、これはいただけない話ですから、いまも修正の方向で舞台裏は動いているようですから……。もらうものも二・二倍に上げたならば保険料も二・二倍ということで、次の法律の改正するまではそのままに据え置くみたいなこれは、どうも修正案になりそうですから、そういうぐあいに強く要望をしておきたいと思うわけであります。
ところでこれは政策的な大臣の方針ですが、完全積み立て方式というものにこだわっているわけであります。つまり、自分のかけたやつを将来まで積み立てておいて、二十年後なり三十年後は自分で積み立てたものをいただこう、一部国庫の補助を入れていただこうという、この完全積み立て方式というものは、物価なり何なりがもっと安定をしたときには、自分が一生懸命働いたときに積み立てておいて、そして老後に十分働けなくなったときにもらおうということでいいと思うし、インフレ時代でなければ、完全積み立て方式というものは、神通力というか、人を説得する力というか、農民に将来のために積み立てておけやという話はできると思います。ところが、この狂乱と言われるインフレ時代においては、この完全積み立て方式というものの見方というものは根本から瓦解してきているわけであります。そういうことならば、ものの考え方を根本的に改めて賦課方式で——要するに、いま働いている若い者が、いま年金をもらおうとしている者に集めてやって分けてやろうということで、こういうことになると、過去の積み立てではなくて、賦課方式でやるほうがインフレに対してははるかに強いのではないかというように考えます。
そして、また、こんなよけいなことをここで言わぬでもいいことかもしれませんが、いま若い者が一生懸命働けるときに、六十、六十五になって年寄りで働けなくなった者に金を出しましょうという、こういう精神は一つの忘れられた親孝行だか何だか知らないが、美徳にもなろうかと私は思います。
その二つの理由によって、こういう農業者年金等は積み立て方式から賦課方式への修正——言うならば、冒頭に私が申し上げたように、七百五十円、千六百五十円にも関係するわけですけれども、そういうようにものの考え方を変えていかなければならない段階ではないかというように考えるわけです。
これはいずれ次回の財政再計算期にはそういう問題等が討議されると思いますけれども、このインフレ時代、それから、いまの若い者が年とって農業から離脱していく者の年金をやる、いまの若い者が出すという賦課方式、こういうものへものの見方を変えていかなければいけないと私は思いますが、どうでしょうか。これは大臣から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/131
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132・倉石忠雄
○倉石国務大臣 年金制度につきましては、いままで大体積み立て方式でやっておりますが、私は、政府におります一人の閣僚としては、あまり個人的な意見をほかに波及するようなことは避けるべきだと思いますが、私は、社会労働委員会で、門前の小僧で、長い間この年金等と取り組んでやってまいりましたが、賦課方式というものは将来はうんと負担が多くなることをやはり覚悟をしなければならないものであります。これは何か世間で少し誤解があるようでありますが、そこで、これは厚生省の関係でございますので、あえて私は自分の感触をいま一言申し上げただけでありますが、先ほども竹内さんにも申し上げたのでありますが、いろいろな年金がございますけれども、この年金は申すまでもなく、一つの政策を目標とした年金、それからまたほかの国民年金その他の厚生年金等それぞれの発足当時から歴史的な沿革があるわけであります。
そういうものでありますので、この農業者年金というもののおい立ちから申しますというと、現在やっておるようなやり方がやはりきわめて妥当なものではないかと私どもは思っておりますが、こういうことにつきまして、将来にわたってはなお十分研究して、その改善をはかっていくということは必要であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/132
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133・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 これは財政再計算期という、そのときになって、またあらためて見直す時期にそういう問題については御検討いただきたい、こういう要望だけ申し上げておきたいと思います。
私の時間の都合でもう時間がないので、最後にお聞きしますが、この農業者年金基金法の中の年金と、それから農地の買い入れ、売り渡しと、もう一つは福祉事業ができるようになっていると思いますが、この福祉事業の調査研究のために、ことしも予算をたしか何千万かとってあるのではないかと思いますが、これは一体どういうようにこの余裕金を運用してやっていこうとするのか。この予算をとったからには、その方針というものを聞きたいわけであります。
そこで、それについて申しますと、たとえば郵政省の簡易保険かなんかというのは、これは福祉事業団をつくってやって、あっちへ保養地をつくるとか、こっちへ温泉の何とかをつくるというようなことをやっている。それから労働省は労働省でやはり何かつくるみたいなことをやっているのだが、労働省もまたそのまねをして、どことかの温泉地へ何とかの保養所をつくって、保険者がそこへ行ったら休養できるみたいなことをやっている。こういうことを各省ともまねをしてやっていたのでは意味がないのではないかと私は思います。農業者年金の余裕金で福祉事業団式のものをつくるからには、それらしい、ほかの省で扱っているのとは違う、農業を主体とした何らかの方法を講じなければならない。たいへん抽象的な言い方ですが、そういうように考えるわけでありますが、事務的には一体どういうことをやろうとしているのか、先に局長から伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/133
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134・大山一生
○大山政府委員 基金の仕事の一つといたしまして、福祉事業というものがあるわけでございます。しからばどういうことをやるのだというお話しで、先生からいろいろ御指摘になりましたが、まことにそのとおりだと私たち思っておりまして、われわれはことしから福祉事業調査研究費というものを百五十万ほどつけているわけでございますけれども、この趣旨は、四十九年から学識経験者なり地域別の被保険者代表等からなります検討委員会をつくりまして、先生の御指摘のような問題点をこれから詰めてまいりたいということを本年度においては考えているわけでございます。
もう少し申し上げますならば、現在の農業者に対します福祉事業がどうなっているかということから、福祉事業というものに対する長期的な見通し、あるいは農業者年金基金がやるべき福祉事業のあり方というようなもの、たとえば具体的にはどんな施設やどんな種類のものが必要であるか、どんな規模のものでどんな管理運営のもとでやるべきであるかというようなこと、さらには、そういう福祉施設設置に必要な財源はどうやって調達するかとか、それから、そういったようないろいろと基金としてやるべき福祉事業としてふさわしいものは何であるかということ、こういうようなことを本年度から検討したいということが実はことしの予算の内容になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/134
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135・小沢貞孝
○小沢(貞)委員 まだ質問がありますが、時間なので、私はこれでやめさせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/135
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136・仮谷忠男
○仮谷委員長 柴田健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/136
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137・柴田健治
○柴田(健)委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対して御質問を申し上げたいと思いますが、その前に大臣に一つお尋ねしたいのですが、何か、日中航空協定に関連をして農林政務次官がやめるとかやめないとかいうことで新聞をにぎわしておるわけですが、事実かどうかわかりませんが、いまのような重要な段階を迎えておる日本の農業問題であり、そして農政全般であり、そしてまたわれわれがこうして具体的に法案の審議をやっておるときでございますから、そういう重要なときに、外務省の政務次官ならいざ知らず、農林省の政務次官が辞表を出すとか出さぬとかいうのは、われわれ農林水産委員としてはどうも納得ができかねる。そういう気持ちを持っておりますので、こういう重要な農政のときに、大臣はそういうことをどのように受けとめておるのか、どう理解をしておるのか、お考えを聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/137
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138・倉石忠雄
○倉石国務大臣 政務次官も代議士でありまして、代議士が政治家としてあらゆる問題について見識をお持ちになることは当然なことだと思いますが、辞表云々のことはまだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/138
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139・柴田健治
○柴田(健)委員 大臣もおとぼけがうまいからそう言っておられるが、これは本論とは違いますから、一応見解を聞いておくにとどめます。
まず、この法案の審議に入る前にちょっとお尋ねしたいのですが、何としても、これは政策的にこしらえておる年金基金法であることは間違いない。日本の食料政策を考え、そして、国際的な食料自給の見通しというものを考えて、日本の農業をどうするかということを踏まえて、農民の生産意欲を向上させていき、反面、また、老後の保障というものを考える。こういうことを関連的に考えてまいりますと、国際的な食料事情というものを踏まえていくのが国政レベルにおける審議の方法だと私は思うわけでありまして、今日、国際的な食料の事情というものをどう踏まえておるのかということと、同時に、また、世界各国の中での自国内の食料自給の度合い、そしてまた自国で完全に自給しておる国の数、要するに、カロリー計算から言うと、二千五百カロリー以上の摂取量をもって自国で完全に生産体制をしいて、そしてなおかつ余力のある国々が幾つあるのかということ。大臣、知っておられたらこれをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/139
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140・倉石忠雄
○倉石国務大臣 農林省の調査している資料がございます。農産物の主要輸出国の一人一日当たりのカロリーを調べたものでありますが、年次はそれぞれ統計の都合で若干違いますが、アメリカは一九七一年で三千三百四十五、カナダが同じく一九七一年で三千百九十七、オーストラリアが、これは一九六三年から一九六五年の統計でありますが、三千百六十、フランスが同じく一九七一年で三千二百二、アルゼンチンが、一九六九年でありますが、三千百六十、ニュージーランドが一九七一年で三千二百十二、これはOECDの調査であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/140
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141・柴田健治
○柴田(健)委員 大体そういう数字になろうかと思いますが、そういうことを考えたときに、アジアでは、自国で完全自給という国はほとんどない。国際的に見ても数が少ない。六つほどだ。六つほどの国が完全に自給をしておる。あとはほとんど足らないという。そして、一方では人口増がある。日本の場合はいま一・一%の伸び率で、アジア全体から言うと二%をこす。こういう人口増を考えたときに、今後の食料問題というものは、年を追うごとにだんだんたいへんな問題になってくるんではなかろうかという気持ちがするわけですが、そういうものを理解した上で日本の国内生産体制をどうするか、自給率をどう高めていくかということを考えることがいまの当面の政治課題だと思うわけです。
先般、大臣も出席されて話をされたと思うのですが、アメリカの農務長官のバッツさんが見えた。石油問題を契機として、国民の中で、次は食料だ、食料問題は重要な問題で、国民合意のもとに食料政策を思い切って転換をしなきゃならぬ、と、そういうムードが出ておるさなかにアメリカの農務長官がやってきて、聞くところによれば、アメリカの農産物を安定的に供給してやるからと言ったということだが、いま、日本が、食料問題と真剣に取り組んでいこう、発想の転換をはかろう、思い切って政策転換をやろうというときに、またアメリカがやってきて茶々を入れて、日本の国内の食料政策に水をかけるような発言をしたんではなかろうかという奇異感を一方に持っているわけですが、そういう事実があるのかないのか、大臣はどう判断しておられるのか、聞いておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/141
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142・倉石忠雄
○倉石国務大臣 わが国で、今日の状況で、全力をあげて自給度を維持拡大しようということは政府の決定いたしておる方針であります。先般、東京でローマクラブの会合がございました。ああいうものの勉強をしておる人たちの話を聞きましても、将来の世界の人口の増殖に伴って食料がどうなるかというふうなことを、彼らは彼らなりの研究の経過を公表しております。これはひとり日本だけではありませんで、世界的な立場に立っても、食料問題と人口問題というものは、将来の政策にとって一番大きな難物であろうと思っておりますが、そういう紀元二千年のころまでのことはとりあえずおくといたしましても、いまお話しのございましたように、わが国の現在の人口に要する食料を考えましたときに、われわれはできるだけ国内生産を高めるということの必要性を感じ、それからまた、国内でまかなえないものにつきましては、できるだけ安定的な輸入を計画しなければならない。こういう立場でありますが、それにしても、飼料穀物等については、できるだけ国内生産をやるために、四十九年度予算ではそれぞれの助成策を講じておりますことは御承知のとおりでありますが、日本国内では、いま私が申し上げましたようなことがほとんど国民全体のコンセンサスを得られる結論ではないかと思うのでありますが、そういうやさきにお話しのように米国の農務長官が来たのでありますが、話のポイントとしましては、昨年大手が急にアメリカに非常な大きな買い付けをして、そういうことのために長年のストックが非常に底をついてきた、そこで、アメリカの政府は大豆等の海外輸出禁止の制度を扱ったが、これはたいへんな間違いである、自分は初めから反対しておったんだが、まあ一時ああいうことになったが、間もなく解除した、これからはああいう間違った政策はさせない、したがって、なるべく安定的にアメリカからも買ってもらいたい、と、こういうことであります。
私のほうは私のほうで、先ほど申しましたように、自給度の維持向上の農政の基本的な考え方を述べたわけでありますが、新聞等によりますと、両国の農林大臣の間では意見の食い違いがあったというふうに書いてございますが、あえて食い違いというわけではありませんで、先方はなるべく安定的によその国に売りたい、わがほうは、必要なものはお願いするけれども、できるだけ自給度を高める方針には変わりはない、こういうことのお話し合いをいたした、と、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/142
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143・柴田健治
○柴田(健)委員 大臣、あなたは、この国会の席で、終始、国内の自給度を高めるために予算措置もしたし、そういう構想と発想で最善の努力をしていく、こういう気持ちはいささかも変わりはないと言っておられるが、ただ、外国から安定的供給をしてやろうといっても、将来の展望、人口増その他のいろいろな総合的諸問題を踏まえて判断をした場合には、国内の自給度を下げてはならない、上げていくという方向の気持ちはいささかも狂っていないという、こういうお考えでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/143
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144・倉石忠雄
○倉石国務大臣 大体そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/144
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145・柴田健治
○柴田(健)委員 大体ということばがどうもようわからぬ。そこが解釈のしかたにおいては非常に問題になるところであります。
大体ということばの論議はあとにいたしまして、そういう心がまえで日本の農業政策を進めていくという中で、今度の農業者年金の問題については、農民の生産意欲、そして老後の保障ということ——この年金制度ができるときには、これは首切り年金だ、これはどうも百姓をつぶす年金制度に発展する可能性があるという心配が私たちにはあったわけですが、いまだにその心配はあるわけであります。この離農年金というのがどうも理解のできない点であります。いまの日本の農民の労働力、農村の労働力というものを考えたときに、これでいいのかという心配が何としてもある。後継者はない。だんだん老齢化していく。農林省の方針は、六十歳未満、五十九歳が中核的農家という押え方をしておられますが、五十九歳であろうと、六十歳であろうと、いま農村はほとんど老齢化している。もう四、五年だと私は思うが、もう四、五年したら働き手がまたうんと減ってくるという気持ちがするわけでありますが、何としてもこの制度の内容を充実させていかねばならぬ。後継者の問題を考えなければならぬし、農業の労働力を拡大していくという考え方かないとこの制度もうまくいかぬのではなかろうかという気がいたしますが、大臣としての見解を聞きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/145
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146・倉石忠雄
○倉石国務大臣 お話しのとおりだと思います。私どもとしては、ことし発表いたしました農業白書等におきましても特段に後継者の問題について力を入れておりますのも、御指摘のように、現状は、今日までちゃんとやってきたが、これからさらに農業の基盤をしっかりさせねばならぬ、そして、自給度の維持向上を目ざしていくためには、何といってもしっかりした後継者が必要であるということから考えまして、将来を若い人たちに安心していただけるような農業者年金制度というような考え方もその一つとして大切なことであろう、と、こういうことで考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/146
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147・柴田健治
○柴田(健)委員 それから、大臣、日本の農業をここまで追い込んできた最大の原因は何かということをお互いに考えてみなければならぬ。昭和三十五年に池田内閣発足以来、高度経済成長政策という、どちらかといえばインフレ的な通貨の膨張政策をとってきたことが今日だんだん追い込まれてきた最大の原因だとわれわれは受けとめておるわけですが、それが、石油危機という、つくり出された石油問題から、悪性インフレということでにわかに国民の批判を受けた。このインフレ政策を続ける限り、どんなにきめのこまかい農業政策を出そうとも成功しないと私は思う。このインフレ政策、要するに通貨の膨張政策をやめて、通貨の安定政策を一日も早くはからない限り日本の農業というものは発展しないと私は思うのですが、大臣、この問題についてどう思っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/147
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148・倉石忠雄
○倉石国務大臣 インフレはもちろん好ましからざる傾向でありますので、これをどう思うかとおっしゃられれば、インフレは全力をあげて阻止しなければならないということでありまして、四十九年度予算で、政府が総需要抑制という決意でこの予算に対処いたしましたのも、物価を安定し、インフレ的ムードを阻止するという考え方でありますので、そういう点はいまのお話しと御同感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/148
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149・柴田健治
○柴田(健)委員 田中さんは、今回の悪性インフレの原因は、輸入インフレが四〇%で、あとは国民の買い占め、買いだめというものが六〇%だと言われたのですが、それを逆に考えた場合には、ドル一辺倒の日本の国内通貨、国際通貨という面から、アメリカと日本が共同で世界各国にインフレをまき散らしておるのではないかという気がどうもするわけです。四〇%の外国から入ってきたインフレでなくして、日本が種をまいたのではなかろうかという気がする。日本のこのインフレ政策をどう抑制していくかということは、国際的においてももっと責任を感じなければならぬ。いま原油が八ドル十五セントというようなことになっておりますけれども、日本のこのインフレがまた続いていくとするならば、原油国であるアラブ諸国もまた原油を上げなければならぬという悪循環を繰り返していくのではなかろうか。これは国際的においてもよくない。原油がまた上がるとするなら、また日本の国内の物価が上がる。日本の資源の蓄積というか、保有量から言うと、あるのは人間さまだけで、資源はもうほとんどない。外国から買ってこなければならぬ。よその資源を値上げさせるために日本のインフレは助長していくようになる。ですから、日本のインフレ政策をどう押えるかということが、国際的においても、国内的においても重要なことだと私は思う。それと同時に、農業においてもそういうことが言えるわけであって、何としてもインフレを押えなければならぬ。農林大臣としてあなたはやられておるけれども、農政だけではなしに、田中内閣の重要な閣僚として力を持っておられるのですから、このインフレ政策をどう押えるかということに全力をあげて、一方では農業政策をどうするんだということを考えてもらわなければいかぬのではなかろうか。こういうことを考えたときに、農林大臣としては、農政も大事だが、インフレを押えるために重要な任務を持っておるとわれわれは言いたいのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/149
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150・倉石忠雄
○倉石国務大臣 政府全体としては、一体になって、物価の安定とインフレムードの抑止に全力をあげておるわけであります。先般、OECDの総会で各国の経済状況について報告したものがありますが、あれは日本のみならず、世界のほとんどおもな国々がインフレで悩んでおる状況を数字をあげて説明をしておりましたが、その中で、日本がその傾向が一番強いと報道しておったことは御存じのとおりであります。私どもは、いまおっしゃいましたように、日本がその元凶であるとは思っておりませんけれども、その点があなたと少し違うかもしれませんが、日本もやはり影響するところ大きいのでありますから、世界の経済安定のためには日本も全力をあげて、いまやっておりますような施策でインフレムードを抑止するということに全力をあげなければならない。したがって、すべての施策をそういうことに歩調を合わせてやっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/150
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151・柴田健治
○柴田(健)委員 いまあなたはここで、インフレ抑制政策、総需要抑制といろいろ言われますけれども、しかし、現実の問題として、電力料金が上がるし、また、鉄鋼も上がるだろうし、公共料金も上がるだろう、どんどん上がる要素がある。結局、卸売り物価、消費者物価、それぞれのはじき出しにおいて多少の差はあったにしろ、まだまだ上がるということが予測されるわけですね。農民のほうからはいずれ生産米価の大幅値上げ運動が起きてくるだろうし、いろいろの形で農民団体は強い要求を出してくると思うのですが、そういうことを考えたときに、ほうっておくわけにはいかない。生産費・所得補償方式を完全にとるとするならば、やはり大幅な値上げをしなければならぬだろうということをわれわれは考えておるわけでありますが、そういうことを考えるときには、まだまだ通貨の膨張政策というものはとらざるを得ない。この調子でいくと、いま一万円札であるが、いずれ五万円札を出さなければならぬのではないか。それを許していいのかどうか。一方ではデノミを考えざるを得ないのではなかろうか。デノミネーションを考えたときに、またインフレであろうと、デノミであろうとデフレであろうと、どっちにいたしましても、長い歴史の中でいつもしわ寄せを食い、苦しんできたのは農民であります。だから、デノミをやることになる可能性があるのではなかろうかという気がするのですが、農林大臣としては、この問題についてはどういう見解を持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/151
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152・倉石忠雄
○倉石国務大臣 私は、インフレというのは多分に心理的なものが多いんじゃないかと思うのです。いまちょっとお話しがありましたように、柴田さんのような有力な国会議員が委員会で今度は五万円札だぞというふうなお話しがあったという、その一つだけをもし報道されれば、何も知らない人は、ああ今度は五万円札か、それはなるほどもう金の値打ちがなくなるんだなということで、これは一例で失礼でありますが、そういう心理作用というものがインフレには非常に大きいのであります。
今朝の八時からのNHKのテレビを私は出かける前にちょっと見ておりましたら、御婦人が大ぜい集まりまして、トイレットペーパーはなぜ買いだめしたかというふうな話をやっていましたが、あれを聞いておりますと、図解をしておりまして、「近所の人から紙はなくなるわよと言われたから急いで買いに行きました」「ふだんよりよけい買いました」というようなことを集まった奥さんたち話しておりました。いま柴田さんが御指摘になりましたような物不足とか物価騰貴とかインフレーションというものはやはり心理作用が非常に大きいもののように存じます。でありますから、私どもといたしましては慎重に政府の施策は対処いたしておるわけであります。
デノミネーションというのは前からいろいろな方からお話しが出ておりますけれども、これは内閣総理大臣と財政当局に一任しておくほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/152
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153・柴田健治
○柴田(健)委員 ぼちぼち本論に入りますが、この制度ができるときには、加入人員百八十万人ということで出発されて、いま百五万四千人、百六万人という加入率なんですが、三年経過したのになぜ加入率が目的まで達成できなかったか、それはどういう理由なのか、どこに矛盾があったのか、その点をお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/153
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154・大山一生
○大山政府委員 いま先生が御指摘のように、当然加入者で申し上げまして、確かに実績六六%という実績になっているわけでございます。そして、その原因いかんというお話しでございますけれども、一つは、当初におきましてはPR不足ということもやはりあったと思います。それから、出かせぎ等に出る方に対するいわば期間の通算というようなこともなかったということもあると思います。それから、できた当時におきましては、何ぶんにも新たな制度でございますので、金は出してもすぐに返ってこないという問題から、農民の関心も薄かったという点もあろうかと思っております。しかし、地域的に見た場合には、純農業地帯といいますか、農業地帯においてはよく入っているけれども、そうでないところにおいては比較的加入率が低いというふうなこと、それから、そういうふうな地域差があり、また、地域の中においても県間に差があるというふうなこと、こういうことをいろいろ考えてまいりますと、それぞれの県内事情とか地域の事情というようなことも左右したのではないだろうかというふうに、いろいろの理由が考えられるわけでございます。
いずれにいたしましても、われわれといたしましては、基金のほうがいま加入率の低い地方に重点的に加入の促進をする、これは当然加入資格者についてまず優先的に進めてまいる、こういう方向で精力的にあらゆる各種の努力をしているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/154
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155・柴田健治
○柴田(健)委員 これはだれの責任ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/155
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156・大山一生
○大山政府委員 だれの責任かと言われましても、強制加入と申しましても、強制加入の対象者に対して強制徴収ということをやるとするならば、それは確かに一つの方法であり、また、それをやっているという前提でなおかつ六六%ほどの実績であるということであるならば、これはやはりこれを主管している基金のすべての責任ということに相なるかと思います。しかしながら、当然加入者は極力自発的意思によって加入してもらうという姿勢である限りにおきましても最大の努力をしなければならぬし、それから、これに対しまして、末端でやっていただく農協なり農業委員会なりもまたやってもらわねばなりませんし、また、農民でまだ入っておらない方に対する啓蒙もしなければならぬということでございまして、先生の御指摘のように、端的にどこの責任だというふうに言われましても、これはどこというようになかなか断定しがたい要素を多分に持っているものというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/156
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157・柴田健治
○柴田(健)委員 局長、これは農林省の責任じゃないのか。すなおに私のほうの責任ですということが答えられないということはひきょうだと私は思うのです。この加入の成績の非常にいい市町村と悪い市町村の実態をあなたは知っていますか。加入の成績の悪い市町村はどういう現象が起こっておるか、いい市町村はどういう現象が起きているか、その実態をあなたは知っておられたら説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/157
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158・大山一生
○大山政府委員 若干の話は聞いておるわけでございますけれども、やはり、いろいろの原因があるわけでございます。この末端におきます指導者の性格的な問題、あるいはこれを推進する立場にお願いした人の熱意の問題、また、その地方の置かれている環境の問題等いろいろの事情があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/158
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159・柴田健治
○柴田(健)委員 加入者の低いところは土地の売買が非常に多いのですよ。それは経営移譲だとか離農ということでなしに、土地の売り渡しが多いのですよ。だから、結局、農林省は土地を他に売らしていこうというねらいがあったのではなかろうか。もう一つは、一方、農業者年金に入り、農業をやっていこうという意欲がある町村には、農道一本にしても構造改善にしてもそうだが、けちけち言うて採択をしない。加入者の低い町村には、そういう土地基盤整備事業でも補助をつけていく。農業者年金に入らないような農家地帯に、構造改善事業やそういう基盤整備事業の予算をなぜつけるのか。
〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
農業をやめるというところになぜそういうものをやるのか。もう明らかに離農年金に適用しているのか。——それもしていない。全然入っていない。局長、そういうことをあなたは知っているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/159
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160・大山一生
○大山政府委員 本年で、農振地域の地域計画は大体全国を網羅するはずでございます。そこで、先般も農振地域のメリット通達を出しまして、農用地区域を中心として、公共事業を中心といたし、その他の施策も含めまして集中的にそこに投資するというふうな考え方をとっているわけでございます。
先生の言われましたように、土地の移動の激しいところは加入率が低い。これは確かに、農業地帯と言われるところに多いと私が申し上げたこととうらはらの関係になるわけでございますけれども、また、そういうところはどちらかというと、市街化区域あるいはそれに近いところということに相なろうかと思いますが、そういうところに農林省の公共事業を集中しているというような考え方はさらさらないわけでございます。
先生の御指摘の点を今後の行政に反映させるとするならば、年金の加入率の低いところは公共事業の投資を減らすというふうなことになるわけでございますけれども、われわれといたしましては、農用地区域を中心といたしまして今後の農業施策をすべて集中するという考え方であるわけでございます。そういう考え方からいたしまして、農用地区域のあるところにおきまして農業者年金の加入の低いところ、こういうところは——先ほどは、全国的に加入の低いところをとにかく重点的にということを申し上げましたけれども、それにもう一つ、農用地区域を優先してという指導は、先生の御指摘もございますので、われわれとしては一つのサゼスチョンというふうに受け取って、今後、そういう角度も入れて年金の加入促進を進めてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/160
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161・柴田健治
○柴田(健)委員 なぜもう少し目標の加入率が達成できないのか。そういうことについて、末端の実態調査というものを現実にもっとよく調べないと、ただの号令だけや文書だけで成功すると思われること自体がぼくはおかしいと思うのですよ。その点については、具体的にこまかいことは知っておっても、私は申し上げる必要はないと思うから申し上げないけれども、あなたは局長として、直接の当事者だから、この調査研究、配慮、考慮というものはもっと十分考えるべきだと思う。やはり原則は、この制度は農業を前進させるためでしょう。どうですか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/161
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162・大山一生
○大山政府委員 構造政策、農業構造の改善をすることによって農業の振興をはかるということが本来的な目的であり、また、それのアプローチのしかたとして年金手法を使うというのがこの年金の制度であるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/162
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163・柴田健治
○柴田(健)委員 この制度の実際の加入については、農林省は幾らといまの戸数から言うと有資格者というものの戸数は大体統計的には出ておるのですか。見通しとしてはおおよそどの程度加入人口を最高限度押えておるのか。また、この目的達成について、年数にかけてはおよそいつまでの時期にそれを達成しようとしているのか。この年度内に、四十九年度じゅうに目標を達成するのか。もう二カ年かかるのか。加入人員の最高の見込みと、それに年数というものをお聞かせ願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/163
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164・大山一生
○大山政府委員 加入資格者といたしまして、農業者年金の被保険者調査等を活用いたしまして、面積要件、年齢要件、それから国民年金に加入しているか、有無の要件、こういうところから出してまいりますと、二百二十万ということが加入資格者というふうに現在把握しているわけでございます。その中で、当然加入をすべき人というのが百三十二万というふうに理解しておるわけでございます。それで当然加入の百三十二万の加入ということにまず重点を置きまして、そのために諸般の施策を用いまして、この加入の促進をはかってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
この当然加入者につきましては、強制加入ということばの文字どおり、強制加入させる方法もないわけではございません。しかしながら、われわれといたしましては、極力そういう強制をしないかっこうの中で御配慮を願うというふうな方針で進めておりますので、したがいまして、何年までにどうということは現在ないわけでございますが、極力早い機会におきまして当然加入者をまず重点的に投入したいというふうな考え方で、それも地域別の特殊性を十分に考慮したかっこうで進めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/164
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165・柴田健治
○柴田(健)委員 百三十二万ということなんですが、将来日本の農家というものは大体百三十二万戸ということに——この数字からいくと、そういう勘定にしてもいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/165
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166・大山一生
○大山政府委員 私がいま百三十二万と申し上げましたのは、七〇年農業センサスベースの全農家五百三十万、これを前提といたしまして、面積要件なり、年齢要件なり、国民年金の加入の要件というようなことから当然加入者を出してみると百三十二万である。それからあと任意加入者の中で、後継者等について、約五十三万ほどを目標として、とりあえずの目標といたしては、ここ四十九年というようなベースで、あるいは五十年というようなベースで考えるならば、当然加入の百三十二万、それから後継者等の任意加入者は約三十万ということを目標にして加入の促進をはかる、こういうことでございます。年金制度というかっこうで、長期の見通しということが必要になるわけでございますけれども、そういう角度で申し上げますならば、この年金の被保険者という計算を、長期の死亡率でありますとか、その他いろいろな条件を加味して数理計算をしてまいりますと八五年には約九十万の人間というものがこの保険の加入者になるというふうにはじいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/166
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167・柴田健治
○柴田(健)委員 結果的には、いまの五百三十万戸農家は年金の数字から見ると五分の一になるということになるわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/167
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168・大山一生
○大山政府委員 もう少し御説明いたしますと、五百三十万というのは、現在の、つまり、七〇年センサスベースの農家が五百三十万あるわけでございます。その中で、この年金に加入いたしますのは、任意加入も入れまして三反以上という面積要件がございます。したがって、五百三十万の人間の中で、三反以上という面積要件に該当するのが四百二十万あるわけでございます。そこで、今度は、その四百二十万の中で、年齢要件で五十五歳未満でなければならぬわけでございますので、その五十五歳未満というのを出してまいりますと二百七十五万で、その二百七十五万の中で国民年金に加入しているという要件が入りますので、その二百七十五万の中で国民年金に加入しているのが百六十六万ということでございます。その百六十六万という中の、つまり五反以上というのが百三十二万、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/168
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169・柴田健治
○柴田(健)委員 たとえば農業経営者ということになれば、主人が入ろうと、奥さんが入ろうと、農業を経営している間はどちらか農業者年金に入れるわけでしょう。おれは農業はやるけれども、農業者年金に入らない、国民年金のほうがいいから国民年金にみんな入る——一方、農業者年金も強制でしょう。どちらかは農業者年金に入るでしょう。御主人が農業者年金に入れば、奥さんは国民年金に入る、そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/169
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170・大山一生
○大山政府委員 農業者年金に加入する資格というのは、国民年金に加入しておる者に限られているわけでございます。したがって、国民年金要件というものを先ほど申し上げたわけで、五十五歳未満の二百七十五万の中で百六十六万というものが国民年金に加入しているというわけで、したがってこれは農業者年金に加入する資格がある、こういうことでございます。
そこで、農業者年金の加入でございますけれども、これは御存じのように、事実上の経営者であるだけではなくて、その土地を処分する権利を持っておるといいますか、所有権なり使用収益権によりまして、本人がその土地を処分し得る権限を持っている方が農業者年金の加入資格を持つということでございます。したがって、国民年金のほうで言えば、夫婦ともに入ることが普通でございますけれども、その中のかりに奥さんのほうが、そこの土地の所有権を持っておるということであるならば、それは奥さんがこの農業者年金の加入資格を持つということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/170
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171・柴田健治
○柴田(健)委員 それから、資格のある者は今後入れるというのか、そういう国民年金のほうへ入りたい者は入りなさい、農業者年金に入りたい者は入りなさいという指導をするから加入率が非常に低い町村が出るし、成績のいい町村も出るということになる。大体あなたのほうの指導が間違っておるのですよ。どちらでもとれるようなあいまいな指導をするから、おれは国民年金に入っているからいいのだ、農業者年金に入らぬでいいのだということになる。だから、農業者年金に当然入らなければならぬ、強制加入を受けるような資格を持っておる人でも入らないということになる。どちらか明確にする指導方針がなければならぬと私は思うのだが、それは今後どうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/171
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172・大山一生
○大山政府委員 私の御説明が十分でないのかもしれませんけれども、農業者年金に加入する資格のある者は、国民年金に加入しておることが前提でございます。したがいまして、国民年金に入るか、農業者年金に入るか、自由選択ということはないわけでございまして、農業者年金に入る以上は、前提として国民年金に入っていてもらわなければならないというふうになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/172
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173・柴田健治
○柴田(健)委員 あなたの説明がよくないのです。あなたの説明があいまいなことを言うから、末端では、国民年金に入っておればもう入らぬでもいいのだという受けとめ方をする人があるわけです。だから、農業者年金には入りなさいよ、農業をやる人は、と、こういうように明確に出せばいいのですよ。国民年金がどうだこうだと言わなくてもいい。局長、そうじゃないですか。農業を将来やられる人は農業者年金に入りなさいよと言うたほうが筋が通るのじゃないですか。国民年金との併用論を持っていくからややこしくなっちゃうのですよ。国民年金に入る資格のある人は農業者年金に入れるのですよというようなことを言うから、全部任意加入ということの錯覚を起こすのですよ。全部任意加入ということだから、入っても入らぬでもいいじゃないか、国民年金に入っておればそれでいいじゃないかということになるのです。その点を、指導する人はもう少し明確に指導しなければだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/173
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174・大山一生
○大山政府委員 国民皆年金制度といいますか、被用者年金か、さもなかりせば国民年金というものに国民は全部入らなければならぬわけでございます。ただ、現実には、国民年金に入っていない方もおるということでございます。そして、農業者年金制度の仕込み方は、国民年金というものの上に乗っかった制度というふうになっておるわけでございます。そういうことから、農業者年金に加入する資格者ということになりますと、国民年金に入っておることが前提になり、したがって、そういうふうなことで、資格者には、国民年金に加入している者、というふうに法律的になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/174
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175・柴田健治
○柴田(健)委員 この農業者年金というのは、社会保障的な意味もあるけれども、農業をやらせるのじゃないですか。政策的に農業という産業を発展をさせていくため、育成させていくため、農業を前進させるためにつくった制度でしょう。そうじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/175
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176・大山一生
○大山政府委員 農業者年金というのは、農家らしい農家というものを対象といたしまして、構造改善というものに資するためにつくったものであり、そして、それを構造政策の推進の一環といたしまして、経営上は、支給要件として、年金手法によって仕込んだというのが現在の農業者年金であるわけでございます。したがって、われわれの立場から言うならば、農業者年金の資格者という、先生の言われることと私の言っていることとのどこに食い違いがあるかということを考えてみますと、われわれの場合に、国民年金に入っているとか入っていないということを言う必要はないではないかという御指摘のように感ずるわけでございますが、われわれといたしましては、国民年金にあらざる被用者年金に入っている者は農業者年金の資格はないというたてまえになっておりますので、被用者年金に入っていない人全部の中で、免責要件なり年齢要件を満たしている人について入りなさいよということを言えば、その入る人について、もしも国民年金に入っていなければ、それはそれなりに入ってもらわねばなりませんということが事務的な問題として出るに過ぎない、こういうふうに理解をするならば、それも一つの方法であるというふうに考えるわけでございます。しかし、そういうふうに考えたほうが地方において理解がしやすいならば、そういうふうなことがあってもいいと思いますけれども、法律制度というかっこうで言いますならば、国民年金というものの上につけられた付加年金、こういうふうな組み立てになっていることも事実でございますので、そういう点から言うならば、われわれとしまして、当然加入すべき者の目標という場合には、国民年金に入っているという事実をつかまえねばならぬ。こういうことで、先ほど申しました二百二十万の中で、当然加入者は百三十二万ということを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/176
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177・柴田健治
○柴田(健)委員 積み立て方式をやめて賦課方式にしなければならぬということになってくると、この農業者年金というものは、移譲年金、離農年金という二つの任務を持っている。そして、一方では老後の保障ということになっている。国民年金を一方では考えながら、農業者年金も考えていくというのだから、それなら農業者年金は積み立て方式をやめて賦課方式にしたほうがいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/177
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178・大山一生
○大山政府委員 どういう財政的なやり方をするかということであるならば、これは本来的には完全積み立て方式が最も好ましいし、現実には、厚生年金等においては修正積み立て方式が行なわれているということでございます。
賦課方式という話は、これは先ほど大臣がお答えになりましたように、現に加入している者と、それから将来負担する者との均衡の問題において非常にむずかしい問題があるわけでございまして、賦課方式というものはまだ日本においてはとられていない、こういう現状にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/178
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179・柴田健治
○柴田(健)委員 あなたが両方を、併用論を言うからややこしゅうなるのですよ。一方では、農業団体のほうは国民年金の掛け金も上がる。農業者年金の掛け金も上がる。最終年度五十二年になると、両方合わせると、奥さんが農業者年金、御主人が国民年金、それで一軒の家で月に四千二百五十円も掛け金を払わなければならぬ。こういうことで、いまの農業所得から言うと、四千二百五十円を毎月払うのはたいへんだ、だから掛け金の引き上げは反対してくれ、こういう論理になってくる。併用論を言うとそういうことが出てくるのですが、局長はその点をどう理解しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/179
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180・大山一生
○大山政府委員 われわれが農業者年金の掛け金というものを考えます場合におきまして、それが国民年金における掛け金といいますか、保険金との合計においてものを考えるということでございます。したがって、先ほど来申し上げておりますように、本人負担ベースで考えますならば、三千百何がしという負担になるわけでございます。それから、妻ということを入れた考え方になれば四千二百五十円で、おっしゃるとおりの掛け金になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/180
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181・柴田健治
○柴田(健)委員 私がそういう対象なんですよ。私の家内が農業者年金に入っている。私は国民年金に入っている。だから、ほんとうの農業の経営者である家内が一生懸命農業をやっている。それから、農業者年金と国民年金との掛け金というものは毎年どんどん上がってくると、たいへんなことになる。これは各農家そういうことになる。あなたみたいな併用論を言って、国民年金に入っている人は農業者年金も入れますぞというようなことをすると、どっちか断わろうかということになる。だから、農業をする人は、男であろうと、女であろうと、農業者年金には絶対入らなければいけませんということに義務づけられて、強制加入ということになっているが、指導が悪いから加入率の低い町村が出てくるというのは、これはやはり農林省の責任だと私は思う。だから、責任はどこにあるかと言っているのであって、今後の指導方針をもう少しわかりやすく明確に指導しなければならぬと思うのですが、局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/181
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182・大山一生
○大山政府委員 農業者年金法の第二十二条に「被保険者の資格」というのがあるわけでございますけれども、ここにはっきり書いておりますように、「農地等につき耕作又は養畜の事業を行なう国民年金法の被保険者であつて、所有権又は使用収益権に基づいて」として、その一定以上の面積をその事業の用に供している者が農業者年金の被保険者である、と、こういうふうに法律上になっておりますので、私が先ほどから申し上げておりますように、国民年金との関係においてものは考えざるを得ないということを申し上げているわけでございます。
そこで、いま先生の言われましたところの、先生の奥さんが農業者年金に入っておられるということは、おそらく、先生の奥さんのお持ちの農地というものが一定面積に達しているということであってお入りになっているのだろうというふうに私は理解するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/182
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183・柴田健治
○柴田(健)委員 まあ、この問題は時間がかかるから、またいずれやることにしますが、指導方針をうまくしてもらいたいと思います。
次に、この年金制度で、いまの一律というのは、農業政策を発展させるという政策面から考えたらよくない、段階制をとるべきだ、こう思うのです。年間五百万以上の、たとえば一千万も、二千万も、三千万も、相当の借り入れ金をして資金投下をして規模拡大をして、生産単位をふやしている。それにも、掛け金も同じ、受給額も同じというのはおかしい。農業を発展させるという基本原則を考えたら一律というのはどうも矛盾がある。要するに、二ヘクタールつくっておる農家も十ヘクタールつくっておる農家も同じというのはおかしい。段階制をとるべきだと思うのですが、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/183
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184・大山一生
○大山政府委員 今度の法律改正を行なうにつきまして、農業者年金制度研究会を持ったわけでございますけれども、そこにおきましても、いわゆる階層制の導入という問題が非常にいろいろな角度から論議されたわけであります。われわれといたしましても、農家らしい農家というかっこうで、とにかく一本にしておくという点には確かにおかしさを感ずるわけでございますが、しかしながら、また一方では、農村内の一律制ということを非常に主張する向きもあるというようなことであり、また、その階層の指標というものを何に求めるかというような技術的な問題もございまして、結論を得ないままに、将来の問題ということで本回は結論を出すに至らなかったわけでございます。しかし、一つの大きな問題であり、また、一つの大きな今後の課題であるというふうには関係者すべてが理解しておりまして、今後ともこの問題についてはさらに検討し、詰めてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/184
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185・柴田健治
○柴田(健)委員 この問題は至急にやってもらいたいのですが、目途としては、どの程度の期間を置いて本問題を解決する考えがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/185
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186・大山一生
○大山政府委員 その研究会の中身を外部に漏らすわけにまいりませんけれども、ある種の団体においては、これに対して、いわば平等性ということで非常に反対しておられる向きもあるわけでございます。そういう有力な反対もあるということもありまして、いつまでにと言われましてもなかなかむずかしい問題であろうというふうに考えるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、なるべく近いうちには、この問題を入れるべきか入れざるべきかということも含め、そして、入れるという問題も含めまして、ある種の見通しはつけたいというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/186
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187・柴田健治
○柴田(健)委員 次に、今度の改正で、国庫補助率が四二・二から四二・九に、〇・七の補助アップですが、これは何が根拠ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/187
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188・大山一生
○大山政府委員 期間短縮者に対します補助の部分を四分の一上げるということにした結果〇・七ポイント上がった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/188
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189・柴田健治
○柴田(健)委員 局長、あなたはいまの補助率で満足しておられるのか。いいと思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/189
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190・大山一生
○大山政府委員 要するに、給付というものが、農民の出すべき金と国庫負担というものによって構成されているわけでございますので、われわれとしては、その間の配分をどうするかということになるわけでございます。先ほど来申し上げましたように、他の年金制度におきます補助率というものも既成事実としてあるわけでございまして、そちらの既成事実としてある他の年金制度についても、補助率の問題はいろいろ論議されているわけでございますけれども、そういう問題との均衡といいますか、そういうものと対比するということであるならば、現時点においては四二・九でやむを得ないのだろうと思って、ことしの予算においてはそういう結果になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/190
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191・柴田健治
○柴田(健)委員 あなたは他の年金制度と言われるが、他の年金制度と同じ意味を持っておると思われておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/191
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192・大山一生
○大山政府委員 他の公的年金の国庫負担率でございますが、厚生年金が二〇%、国民年金の定額分が三分の一、付加分が二五%、国家公務員の共済組合が一五%、公共企業体の職員等共済組合あるいは地方公務員等共済組合も一五%、それから、農林漁業団体職員共済組合、私立学校教職員共済組合、これが一八%、こういうふうな現状にありまして、私が先ほど申し上げましたのは、こういうほかの負担率との対比を一つの参考にして申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/192
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193・柴田健治
○柴田(健)委員 ほかの年金制度よりは補助率が高いというのは、政策的な問題だということは初めからわかっておるし、農業を発展させるのだということもわかっておる。離農年金制度というものが入っておるからこういうことになっておる。離農移譲年金が入っておるからもう少し国の補助率を上げる。ぼくは五〇%に上げるべきだと思うのです。四二・九なんというのは五〇%にしたらどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/193
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194・大山一生
○大山政府委員 一つの御意見として承っておきたいと思うわけでございます。しかし、ものごとというのは、いわば負担の限界でありますとか、あるいは給付すべき最小限度の水準でありますとか、いろいろな諸般の事情のからみ合った中におきまして——そうして特に私のほうの農業者年金というのは、先生御指摘のような政策年金であるというようないろいろの事情を踏まえまして、今後の補助率のあり方については検討してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/194
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195・柴田健治
○柴田(健)委員 今度千六百五十円に、二・二倍上げる。百三十二万でたとえば二十七年間ということになると、どの程度農民の掛け金が入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/195
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196・大山一生
○大山政府委員 年間二百六十億ぐらいということで、十年で二千六百億、二十七年ですと七千億ぐらいになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/196
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197・柴田健治
○柴田(健)委員 それは金利加算するとどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/197
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198・大山一生
○大山政府委員 もう少し正確にやらぬといかぬと思いますけれども、大体倍ぐらいになると思います。したがって、一兆四千億から一兆五千億ぐらいになるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/198
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199・柴田健治
○柴田(健)委員 将来、この基金は、私たちが計算してみても膨大になってくる可能性がある。この資金運用、基金運用ということは、先ほど同僚委員から少し言われておりましたが、よほど考えていかなければならぬのではないか。農村の福祉ということも考えなければならぬだろうし、同時に、また、農民の健康管理というものをこの制度と併用して考えなければならぬのじゃないか。農民の健康管理と、この年金制度に障害年金というものを加える必要がある。先ほど局長は、障害年金はほかの年金の関係も、国民年金もありますと言うけれども、国民年金に入っておる人で農業をしておる人があるかもしれない。ところが、国民年金に入っていない農業をしておる人、農業従事者がけがをする——いま、農機具でけがをする人が多い。障害が多いですよ。だから、そういう農機具やその他で農作業中にけがをする人の救済制度をどうするのか。この年金制度で救済措置を考えるべきではなかろうかという気がするのです。この年金制度に障害年金を加えるということは直ちにやるべきではないか。局長、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/199
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200・大山一生
○大山政府委員 障害年金をこの制度に加えるべきではないかということでございますけれども、私たちといたしましては、一般論として言うならば、国民年金制度上で措置さるべきものではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
そこで、先ほど来申し上げましたように、この農業者年金の被保険者というのは、当然国民年金の加入者でございますし、また、入っていることが前提になっておりますので、そちらによって障害年金はもらえる、こういうことに相なるわけでございます。
そこで、先生の言われましたのは、いわば農業に雇用されている人ということになるわけでございますけれども、これは雇用年金との関連において、健康保険の問題になってまいるというふうに考えるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、今後のこの基金の福祉事業のあり方の問題の一環として、その種の農民の健康問題ということも一つの大きなテーマであろうと考えるわけでございますが、そちらのほうにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、今後研究会等において慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/200
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201・柴田健治
○柴田(健)委員 ほかの保険制度を使うこともあるけれども、趣旨から言うと、農業というものをやっておって農作業中にけがをした、傷害を受けたというのは、これは当然農業者年金制度で救済すべきだと思う。われわれは論理的にそう考えざるを得ない。それがほかの年金制度で使ったらいいじゃないかというのは、農業者年金制度としてあなたはどう理解しておるのだろうかと、私は疑問を持つのです。これがほかの病気や何かで、高血圧だとか一般の病気ならいざ知らず、農作業中に傷害を受けた事件はこの農業者年金で救済すべきではなかろうか。これは当然のことだと思うのですが、大臣にちょっと見解を聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/201
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202・倉石忠雄
○倉石国務大臣 これは先ほどもやや似たような御質疑がありましたけれども、この年金の制度ではむずかしいんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/202
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203・柴田健治
○柴田(健)委員 大臣はむずかしいと言われる。それなら、結局、離農年金という首切り年金に重点を置いておるんだという判断をとらざるを得ないのです。いま大型農機具が入っているのですが、この農機具の技術指導なり操作指導を農林省は一切やらない。みんな業者まかせにやっておる。協議会をつくって業者にやらせておる。そういう一方では、農機具の作業、技術指導は農林省は本気でやらない。けがをしたらほかの年金制度を使ったらよろしいということではちょっとおかしいと思うのだけれども、大臣、おかしいと思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/203
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204・倉石忠雄
○倉石国務大臣 どこの国でも、それぞれ保険制度というものはたいへんうまくできている国がたくさんあります。したがって、これは、国民年金がそういうものを救済する制度はありますけれども、やはり、農業者年金ではちょっと運用いたしかねるのではないかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/204
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205・柴田健治
○柴田(健)委員 この問題は、今後研究課題として考えてもらいたいと思うのです。
それで、何としても農業従事者の健康管理というものは万全を期さなければならぬのだが、農業従事者の健康管理について、具体的にどういう構想があるのか、それを聞かしてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/205
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206・田中基雄
○田中説明員 農産園芸局の普及部長でございます。構造改善局長にかわって答弁させていただきます。
生活改良普及員を中心にいたしまして、農山漁村の農業従事者のための健康管理あるいは労働の合理化、適正化につとめるために、四十年度からモデル的に健康管理特別事業というものをやっておりまして、本年度までに、地点にいたしまして二百地点やっております。今後も引き続き、この仕事につきましては、生活改良普及員を中心にいたしまして、保健所等との御協力もいただきながら進めてまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/206
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207・柴田健治
○柴田(健)委員 四十年から二百カ所やっておられる。それに対して成果もあるだろうし、また、矛盾、欠陥というものがあるだろうと思うのです。いま当面四十年から二百カ所モデル地域でやったが、生活改良普及員を中心として指導したが、どういう矛盾があるのか、何も矛盾を感じないのか、政策的に今後どうすべきか、そういう成果と欠陥というものがあれば聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/207
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208・田中基雄
○田中説明員 ごく一部の例でございますが、こういう例がございます。リンゴ地帯でございますが、そこで病害虫防除のための農薬の散布をいたしまして、その散布のための機械が散布をしておる作業者にかなり悪い影響を与えておるという結果が出てまいりまして、それをさっそくそのメーカーのほうに連絡いたしまして、オペレーターのほうに農薬の霧が舞い戻ってこないように若干の修正を加えて、それがうまくまいったというふうな例がございます。
それから、これをやりましたところが、これはお茶の地帯でございますけれども、やはり機械でつむ茶つみ機がございますが、それを使用いたしておりましたところ、先ほどから先生の御指摘がございますように外傷が出てまいりました。したがって、これについても、生活改良普及員としては、作業衣をもう少し改良したらいいだろうということで、作業衣の改良をいたしましたし、メーカーのほうにはもう少し安全に作業ができるように農機具の改良をしてもらいたいということで、かなり傷害を少なくしたというふうな実例がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/208
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209・柴田健治
○柴田(健)委員 局長、いま、農民の健康管理指導方針を普及担当の人から言われたのですが、農業改良普及員、生活改良普及員を含めて、農業者年金制度を一つも知らないのですよ。農業者年金制度を普及員の口から一切聞いたことがない。知らない。これは別な者がやるのですと言う。それから、農業者年金制度を守り、充実させるためには、加入者の農民の健康管理も並行して考えなければならない。われわれはそう判断するが、しかし、下ではそうなっていない。それはどこに欠陥があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/209
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210・大山一生
○大山政府委員 普及組織と、かつての就業改善課、これが年金をやっておるわけでございますが、これは同じ局にあったわけでございまして、そういう意味から言うならば、当然ほかの局にある以上の関心が同じ局にあることによって、あるはずであるというふうに考えるわけでございます。そういうことからいたしまして、この制度発足当時から普及員というかっこうを直接に使うかっこうでは、われわれ年金の被保険者に対する加入というようなことはやっておらなかったわけでございますし、また、普及制度というものから言って、そういうドライな行政目的に使うべきものではないというふうに考えるわけでございます。ただ、その問題と健康管理との関係の問題になってくるわけでございますけれども、何と申しましても、国民年金に加入している人は国民健康保険、それから被用者年金に入っておりますのはそれぞれの健康保険というかっこうで、各種年金が保険と結びついているわけでございまして、そういう中で、それぞれの職業のいかんを問わず、それらの健康保険の対象によって治療その他が行なわれる、こういうかっこうが国民全体の立場から言って最も好ましいかっこうではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
そこで、健康保険の対象にならぬような産業から生ずる災害があれば、それはその健康保険の対象にするといったような努力はしなければならぬと思いますけれども、農業者年金の福祉事業の一環としてそれを重点的に取り上げていくということについては、やはり一つ問題があるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。ただ、農民の福祉という問題は何であるかということについては、それは農民の健康ということも関連するという意味からいたしますならば、今後の福祉事業のあり方の問題として、先ほど来申し上げましたような機関によって今後さらに検討を進めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
ただ、先ほど来申し上げましたように、治療ということになりますると、やはり、国民年金と結びついた健康保険組合というかっこうで処理さるべきものではないだろうか、これが基本的な考え方ではないだろうか、こういうふうには考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/210
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211・柴田健治
○柴田(健)委員 あなたの答弁は、正直言うてわけがわからぬです。生活普及員でも、一般の農業改良普及員でも、農業を発展させるためにできておる制度じゃないのですか。違うのですか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/211
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212・大山一生
○大山政府委員 農業を発展させるための組織あるいは手段、これはいろいろあるわけでございますが、その手段によって行なわれていることがすべて農業者年金の福祉事業というかっこうに直接結びつくべきものであるかどうかということは、これはまた別の角度の問題ではないだろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/212
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213・柴田健治
○柴田(健)委員 われわれは、一つの制度をつくれば、農林省の影響下にある関係機関は総力をあげて、一体となって連帯感を高め、共同責任という立場でその政策を進めていかなければならぬと思う。それは別々です、ばらばらですという、そういう考え方や発想というものはおかしいと私は思う。
〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
農業者年金に入っておられる農業の従事者の健康管理というものは、農業改良普及事業の一環として関連を持たせるということ、そういうことを考えたらどうかと言っているのです。また、持つべきだろうと思うのです。局長の答弁は違うのです。こういう考え方なら、農業者年金の制度が強化されていくということはあり得ないと私は思う。もう少し発想の転換をしたらどうかと私は思うのですが、局長、いままでのような発想で進めていくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/213
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214・倉石忠雄
○倉石国務大臣 たいへん大事な問題を指摘されていると思うのですが、農林省も、それぞれの局でそれぞれの分担をやっておりますので、その間においてお話しのようなことを取り結ぶことがうまくいっていないかもしれませんが、農業を推進していくためにはいろいろな指導をしなければなりません。農林省にも生活環境の指導をしておる部面もございます。健康管理ということになりますと、どういうふうなものが健康管理かということになりまして、特別なそういうセンターを持っているわけではありませんが、いま御指摘のようなことについてもわれわれは念頭に置いて、これから農政を進めていく上において大事な問題であると存じますので、だんだんと検討してまいるべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/214
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215・柴田健治
○柴田(健)委員 最後に伺いますが、この年金制度を強化していくためには今後いろいろ研究してもらわなければならぬと思いますが、しかし、農林省がきばっても末端でなかなか前進しない面もある。そういう点はよく理解できるのですが、それを前進させるためにはどうしたらいいのかということになると、今日の経済情勢その他を考えて、もう少し——一人五百七十六円という事務費の積算の根拠についても、この五百七十六円が妥当かどうか、われわれ疑問がある。もう少し考えてやるべきではないか。この財政的な処置を検討すべきだと思うのですよ。この点を配慮して、この制度を完全なものにしていくという配慮がほしいと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/215
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216・大山一生
○大山政府委員 先ほど来申し上げておりますように、毎年約二割程度ずつ増加させてきているわけでございます。確かに、農業者年金基金の委託費として出しておりますところの、農業委員会なりあるいは農協に対します委託費の内容につきましても、いままでのところで行なっております内容が今後だんだん充実し、拡充してまいるということになってまいりますので、そういうふうな内容に応じたかっこうで今後の予算措置についても万全を期してまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/216
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217・仮谷忠男
○仮谷委員長 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/217
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218・芳賀貢
○芳賀委員 農林大臣にお尋ねいたします。
農業者年金基金法の一部改正については、当委員会においてすでに積極的な質疑が展開されておるわけでありますが、この際さらに重要と認められる諸点について、私から農林大臣に率直な質問を行ないたいと思います。
今回の改正の要旨は、まず、保険料について、あるいは年金の給付水準について、それぞれ現行の二・二倍の引き上げということが改正の骨子になっておるわけであります。
もう一つの問題は、改正にあたっての重大な点は、農業者年金基金の制度運用については、あくまでも完全積み立て方式をくずさないという硬直した方針の上に立っておるわけでありますが、これでは、農業政策的な意図を持った本年金制度というものを期待される方向に改善することは絶対にできないと思うわけであります。たとえば保険料の引き上げの問題にいたしましても、昭和五十年一月から一年間については、現行の七百五十円の二・二倍の千六百五十円ということに法文上も明確になっているわけでありますが、それ以降は政令を発動して毎年引き上げを行なう、そして昭和五十三年度には二・七倍の二千三十円にまで引き上げるという方針を立てておるわけでありますが、この点については、われわれといたしましては、保険料を二・二倍に引き上げること、そのこと自身に同意できないものがあるわけでございますが、まず、この保険料の今回の二・二倍の引き上げ、さらに政令に基づく累進的な引き上げということについてはいかなる考えで今後運用されるか、その点をまず明らかにしてもらいたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/218
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219・倉石忠雄
○倉石国務大臣 二・二倍につきましては、先ほど来種々お話しがございましたが、年金水準は国民年金額を考慮いたしまして、これと農業者年金制度によって、経営移譲年金、それから農業者老齢年金を支給するということで、厚生年金並みの水準が得られるようという考え方で設定をいたしたわけであります。この場合、経営移譲をしなくて、農業者老齢年金だけを受給する者が持ち出しとなることのないように、農業者老齢年金の水準については、先ほどもお答えしたように、その点は配慮いたしておるわけであります。
それから、今回の農業者老齢年金の水準の設定につきましては、これはいま申し上げましたような考え方を踏まえまして従来のバランスをくずすことのないように、経営移譲年金の引き上げ率と同率の引き上げを行なうことといたしたものでございまして、このバランスをくずすということは——これはくずさないほうがいいのではないかということを私どもは考えたわけでありますが、しかし、今後農業従事者の生産意欲の増強が絶対に必要でございますことは、ほかの機会にも私どもは常に強調してまいったのでありますが、そういう観点に立ちまして、農業者老齢年金制度の充実につきましては、これからなお十分に検討を続けてまいることは大事なことではないか、こういうふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/219
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220・芳賀貢
○芳賀委員 われわれが知るところによりますと、今回の改正によって月額千六百五十円に引き上げを行なう。その後は政令に基づいて、五十一年一月以降については千八百五十円、五十二年一月以降については二千百円というふうに、毎年一定率の引き上げを行なうということについては、これをあくまで強行するということになれば、これはこの法律を成立さして、その後附則の政令規定によってやるということになるのであって、これを国会の意思を尊重して行なわないということになれば、当然政府提案の改正案の一部修正が必要であるというふうに私は考えますが、その点の判断はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/220
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221・倉石忠雄
○倉石国務大臣 この点につきましては、いまお話しの後段のようなことはまだ考えておりませんで、政府提案のことで御了承願いたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/221
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222・芳賀貢
○芳賀委員 次の問題は、老齢者年金の給付について二・二倍の引き上げを行なうことになっておるわけであります。すなわち、現行制度によりますと、二百円を基準にして、それに対して保険料の払い込み済み期間というものを乗じた額をもって年額を設定して、その十二分の一がいわゆる給付される年金額ということになるわけです。ですから、今回の場合においても、二百円が四百四十円に引き上げになったということは承知しておりますが、これは幾ら上げても加入者が不利になるというようなことには絶対ならぬ規定でありますから、政府案によりますと、二十年間の満額払い込みを行なって、六十五歳に達して、受給権がそこで確保されて、給付開始という場合、これは月額にすると八千八百円の年金給付ということにしかならぬわけですね。その八千八百円が給付される時代はいつかというと、おそらくこれは二十数年先ということに当然なるわけです。そういうところを配慮した場合においては、その時代においてわずかに月額八千八百円の老齢年金しか受けることができないというようなことでは、いかに二・二倍に引き上げたといっても、加入対象者の農民としては、絶対にこれに魅力を感ずることはないと思うのですね。これは保険設計の関係等もあるので、この分だけを一挙に上げるということは少し飛躍するような議論になるかもしれぬが、われわれの考えとしては、方針といたしましては、五百円を基礎にして、政府案の四百四十円を少なくとも五百円に引き上げた計算を行なう。そうすると、二十年払い込みを行なって六十五歳で給付開始の場合には、月額にしてちょうど一万円年金ということになるわけです。こういう金額は、年金論から見れば論ずるに値しない金額でありますが、政府が今度の改正に熱意があるとすれば、少なくとも私が示したような水準までこれは引き上げを行なうべきでないかというふうに考えますが、大臣のお考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/222
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223・倉石忠雄
○倉石国務大臣 いまお話しの老齢年金の水準の設定につきましては、いまさっき申し上げましたような考え方でやっておるわけでありますが、私ども、この年金制度創設の当時、やはり一万円年金というものを実はみんなで考えておりました。これは私が在任当時創設されたものでありますので記憶が若干あるわけでありますが、経営移譲年金の引き上げ率と同率の引き上げを行なうということが今度の考え方にあったわけでありますが、これは、今回は、いまあなたのお話しのありましたようなことにはなりませんでしたので、これはこれからなお将来にわたって十分検討していくべき問題ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/223
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224・芳賀貢
○芳賀委員 この点については、昭和四十五年に本法が成立したわけでありますが、その当時、私ども日本社会党としては、独自の農民年金法案というものを提案いたしまして、当委員会において、政府提出の農業者年金基金法と、それから社会党の農民年金法を並行的に審議したことがあるわけです。もとより、名前は年金であっても、性格、目的が政府案と非常に違うわけであって、われわれが出した農民年金法というのは本物の年金制度であり、政府がお出しになったのは、現在においても、政府意図というものは、明らかに離農を促進させるというようなところにねらいがあって、老齢者年金制度については、法律には載っておりますけれども、これが非常に軽視された形で提案されたわけです。結果的には、委員会の論議あるいは理事会等の検討の結果、政府の原案百八十円を二百円に引き上げる委員会修正を行なったわけですね。それが現在四千円年金ということになっておるわけであります。ですから、発足の当時からこの点に論点が集中されたという経過もあるわけでありますから、今回の改正にあたっても、法律が生まれたときの国会論議等も当然十分に検討の材料にして、委員会等においても指摘されないような積極的な改正が必要であったというふうに考えるわけであります。
そこで大臣の御意思としては、今回はこのような改正を提案したが、今後農業者年金の運営については、一番軽視された農業者老齢年金——特に、農業に従事して、これから農業の基幹的な労働力として十分に日本の農業を推進できるようなその農業従事者、いわゆる農民に対しては、本老齢者年金制度の中にこれを積極的に十分包容するというようなお考えについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/224
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225・倉石忠雄
○倉石国務大臣 これは制度がいろいろに論ぜられておりますけれども、私どもといたしましても、一種の政策目標もあることは当然でありますが、内容につきましては、あとう限りその時代時代に即応して、よいところは取り入れて改正していくということについては、そうすべきであると思いますが、今日は、原案をつくりますときも、私ども部内においてずいぶんいろいろな状況を勘案して草案をつくったものでありまして、ただいまのところでは、私どもとしては、原案がきわめて妥当なところではないかと思っておりますが、将来にわたってはだんだんと検討して、改善すべきは改善してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/225
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226・芳賀貢
○芳賀委員 この点について、これは大山局長からでいいですが、従来の数理保険料、いわゆる保険現価の設計については、いわゆる保険料積み立て金については、五分五厘の運用ということで数理保険料というものは設計されておるわけです。ところが、最近の金利事情というものは、昨年来政府当局において、公定歩合の引き上げとの見合いといいますか、たとえば大衆の貯金である郵便貯金の中の定期貯金等については、一年ものについては大体六分二厘、三年定期については七分二厘というような、従来から見ると非常に高率な利回りというものが郵政の貯金事業の中において実行に入っておるわけです。そうなると運用利回り等については、積み立て金については当然効率的な運用をやらなければならぬということになっておる。何のために効率運用をやるのかというと、その運用の成果というものは、一つは、やはり、加入者である被保険者の掛け金負担をできるだけそれによって低減させる。もう一つは、いわゆる期待される年金の給付水準の引き上げを財源的に実現する。こういう二つの目的が積み立て金の効率的運用の目的になっておるわけです。そうなると、少なくとも年一割程度の高率運用というものは実際できるわけですからね。そういうものを基礎にして、二十年、五十年あるいは永久的の、そういう長期の数理保険料というものを設計する。五年ごとの再計算期にやるといたしましても、少なくとも一割程度の効率的な運用というものが可能であるというような長期見通しが持たれた場合においては、四百四十円をたとえば五百円にしても、二十数年の将来から開始される。二十年以上払い込みを行なって、そうして完全な老齢者年金の給付を受ける。その被保険者の時代というものは、ここで五百円にこれを修正しても何ら運用上支障があるということにはならぬと思うのですよ。支障があるとすれば、私の言った利回り計算等によってどうなるか、たとえばこれが二十年間の給付開始までにどれだけの保険料が納付されて、積み立て金の総額がどうなるか、それによる運用利回りがどうなるかという数字は持っておると思うので、そういうことが実際できないということであれば、反論としてその数字を示してもらいたいと思うのです。可能であるとすれば、そういうことが努力すればできますということを簡明に答えてもらえばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/226
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227・大山一生
○大山政府委員 御指摘の問題は、これは結局長期的に見て何分の運用が可能であるかという点に集約するわけでございまして、この制度が発足して三年という現段階におきましては、当初におきます考え方、五分五厘というものを前提にしているわけでございます。確かに、現在の基金の運用利回りが七分をこしていることは事実でございます。ただ、現在の七分をこしているという事実が今後とも続くであろうかという問題についての保証はないわけでございまして、われわれ両省の事務当局といたしましては、五分五厘という金利の計算を前提にしてものを考えざるを得ない、こういうふうな現状になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/227
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228・芳賀貢
○芳賀委員 それは事務当局としての答弁としてはまことに中身のない答弁ですよ。それぐらいの答弁なら、これは大臣みずから答弁されても十分できることで、担当局長として、中身のない答弁じゃおかしいじゃないですか。あなたが不十分であれば、これは厚生省の保険局長も来ておるが、これは農林、厚生共管の法律ですからね。われわれはしろうとでものを聞いているのじゃないのです。はっきりした数理上の根拠をもって、この点は今回の改正の中でまだ改善の余地があるではないかということを指摘しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/228
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229・横田陽吉
○横田政府委員 それでは、厚生省の側から御説明をいたします。
申し上げるまでもないことでございますけれども、拠出制年金の制度の設計をどうするかといった観点からものごとがきまるわけでございます。農業者年金につきましては、これは年金の基本構造といたしましては、いわゆる付加年金の制度になっております。したがって、そういった年金を設定いたします場合には、保険料率の設定が非常にむずかしいわけでございます。今回そういった制度のワク内でありながらスライド制の導入をするということになりますと、実は、数理的保険料では年金財政はまかなえないわけでございます。と申しますのは、農業者年金に過去においてお入りになった方の年金につきましても、現実に年金を給付いたします際には、スライドアップした年金の給付になることは当然でございます。したがって、そういったいわゆる過去勤務期間というものにつきましての対応するスライド財源に必要な保険料率も、その保険料率の上に上積みしなければならない、そういうようなことでございます。したがって、保険料率の設定といたしましては、数理的保険料というお話しがございましたが、数理的保険料では足らないので、いわゆる平準保険料というものを算出いたしまして、それによっての保険料を計算いたしております。
それで、給付財源といたしましては、申すまでもないことでございますが、そういった意味で計算をいたしました平準保険料と、それから国庫負担、それから積み立て金の利子収入、この三つによってまかなうわけでございますので、その利子収入をどの程度の高さに見るかということによって保険料率に影響のあることは当然でございますけれども、問題は、初めて導入いたしましたスライド制の実現ということも考え合わせますと、この保険料、それから国庫負担、そして利子収入、この三つにつきましてはできるだけ安全な計算をしておきませんと、実際に給付する場合に相当大きな穴があく、こういうことになっても困る、こういうことでございます。
それで、積み立て金の利子をどの程度の高さに見込むかという点につきましては、実は、農業者年金だけではございませんで、私どものほうで所管をいたしております厚生年金、それから農業者年金の母体になる国民年金につきましても、いずれも五分五厘でもって計算をいたしております。御承知のように、一昨年の夏ごろは、いわゆる低金利政策というようなことで非常に安い金利水準が設定され、それがまた最近では高金利の水準、そういったものにリンクいたしまして、積み立て金の利子も現実には回っておるというようなことがございますが、長期にわたっての給付財源の一つの柱でございます利子収入につきましては、可能な限り安全な、そういった金利水準の上がり下がりによって直接的に打撃を受けないような、そういった水準を設定して計算する必要がございますので、したがって、ただいま申し上げましたように、農業者年金のみならず、厚年、国年につきましても五分五厘で計算をして財政の設計をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/229
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230・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、老齢者年金の加入範囲の改善の問題でありますが、老齢者年金に加入する資格というのは、まず、農業経営主である場合には、これはもう当然加入、義務加入ということになるわけですね。それから、同一経営体の中で農業経営に従事している者については、これは直系卑属の中の一名を特認して任意加入の資格を与えておるということで、非常にこれは限定された任意加入の範囲ということになっておるわけです。ですから、この点についても、後継者と予定される直系卑属はもちろんでありますが、その後継者には、一定年齢に達すれば、当然これは配偶者というものが存在することになるわけですね。最近は特に配偶者のほうが農業の中心的な経営に当たっておるという実例が多いことは白書によっても明らかなことになっておるわけであります。さらにまた、直系卑属といっても、後継者一人だけというような場合もあるし、また、複数の場合もあるわけですね。ですから、真に農業に従事しておるいわゆる後継者あるいは青年農業従事者等については進んで加入の道を開くべきであるというふうに考えるわけです。そうしないと、いわゆる後代者負担のたてまえから見ても、後代者がどんどん激減しておる。たとえば新卒の農業従事者が昨年の三月末には一万八千人、十年前には九万人という、こういう大きな激減傾向を示しておるわけでありますからして、これは結局農業政策全体の根本的な立て直しをしなければ、単に農業者年金だけに魅力ある措置を講じても全面解決はできないとしても、これからの農民に対する社会保障、いわゆる農業者年金等については、後代の日本の農業を担当する後継者年代層に対してはむしろ進んで加入の道を開くということを制度的に講じないといけないではないかと私は考えるわけですけれども、この点については、農林大臣はいかように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/230
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231・倉石忠雄
○倉石国務大臣 この制度が経営移譲の促進、農業経営の近代化、それから農地保有合理化という政策目的を持っておりますことは御存じのとおりであります。そういう意味で、経営主体の方が農業者年金に加入していただくというたてまえであることは、あらためて申し上げるまでもないことでございます。
一般には国民年金に加入しておる。そこで、いまのようなお話しでございますが、たとえば配偶者のほうが経営主体であるというような実例がたくさんございます。これをどうするかということは一つの大きな研究課題だと思っておりますが、そういう場合に、経営主体を配偶者に移していただければ、その配偶者が当然加入者になってお入りになるわけです。ただいまのところでは、そういう程度がいままでこの制度をつくりました目的から見まして妥当ではないかと考えておるわけでありますが、兼業の農家の配偶者、それから直系卑属の配偶者につきまして、それだけの理由で加入対象とすることには、いま私が申し上げましたような趣旨でございますので、ただいまのところは妥当ではない、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/231
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232・芳賀貢
○芳賀委員 いま大臣の言われた御趣旨はわかりますが、それを実際に実施するということになれば、法律の内容を改正しなくても——現行制度のもとにおいての弾力的な運営で、はたして事実上の効果があがるかどうかという点についてはどうですか。これは局長からでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/232
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233・倉石忠雄
○倉石国務大臣 私どもも、実は、立案中にいろいろなことを論議し合いましたが、真実を申し上げますと、その前にちゃんと、農業をどういうふうにやって維持していくべきであるか、後継者をいかにして育成していくべきであるかという農政の基本に顧みて、農業者年金等についてもいろいろな考え方が出ているわけであります。しかし、諸般の事情を考えまして、今回は御提案申し上げましたようなことで決着をつけておるわけでありますが、農政の推進の途中におけるいろいろな状況等も展望いたしまして、いま御指摘のような問題については、いずれもさらに熱心に検討を続けていかなければならない課題である、と、このようには思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/233
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234・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、これに関連する問題ですが、昨日国税庁の担当課長が出席いたしまして、いわゆる租税特別措置法の中の農地等の生前一括贈与の問題については、今後事実認定方式の上に立って、実態に合致したような税制上の取り扱いをしますという、まことに明確な答弁を行なったわけです。ですから、これについてもぜひ改善を要するというふうにわれわれは考えておりましたが、この委員会の中でその点が明確になっておるので、問題は解決したというふうに受けとめておるわけであります。ですから、それに比較した場合、実際に農政担当の農林省において、任意加入の範囲拡大の問題についても、たとえば任意加入資格者の直系卑属の配偶者については、どうしても加入させるということになれば養子縁組みをしなければならぬとか、たとえば経営主の長男の嫁さん、配偶者だから、その嫁さんがまた経営主と養子縁組みをしなければ任意加入はできないということは、常識では考えられないのですよ。社会通念的に見て、そういうことを言っている役人の知性程度をわれわれは疑うわけですが、今後は事実認定の上に立って、たとえば当該市町村の農業委員会等において、直系卑属が複数であっても、直系卑属の配偶者が実際農業に対してどういう因果関係を持って仕事を行ない、あるいは生活しておるかという事実の判断の上に立って認定した場合には、そこで加入資格者としての認定ができるというぐらいの運用は当然できると思うのです。その点は、大臣としてそうやれと言えば、大山局長もしぶしぶやらなければならぬことになるわけですから、大臣の明快な御意思を示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/234
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235・倉石忠雄
○倉石国務大臣 昨日も、実は、本日こういう御審議がございますし、ただいまの芳賀さんの御指摘のような問題について、そのとおりの問題について、私ども部内においていろいろ論議を戦わして、研究した次第であります。率直に申し上げますが、そういうことであります。しかし、事務当局のほうでは、一つの法律を厳守していかなければならない任務を持っておりますし、事務当局として自己の分野に忠実であることは、当然そうあるべきでありますけれども、ただ、農政を推進していく上において、それをどういうふうに生かしていくかということでございます。
いま御質疑がありましたことばとほとんど同じような検討を、比較的長時間にわたって部内で論争いたしましたが、先ほどどなたかに私がお答えいたしましたように、わが国の保険制度にはそれぞれいろいろな沿革がございますことは御存じのとおりであります。ことに、厚生年金でもそうでありますし、国民年金でもそうでありますし、それぞれの使命を持った別な歴史を持っておるわけであります。したがって、農業者年金は農業者年金として、御存じのような沿革を持って生まれてきたものである。しかし、実際にやってまいりますと、いまの農業を受け持っておる一般の農家の家庭等の状況の推移から見まして、私どもはさらに研究してみなければならないような新しい問題がずいぶん出てきておりますので、こういう点についても十分検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/235
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236・芳賀貢
○芳賀委員 次に、農業者年金についても、この際他の年金と同様に——厚生年金においてもそうでありますし、また、一番関係の深い国民年金におきましても、いわゆる所得比例方式がすでに導入されておるわけです。農業者年金の場合は、法律制定の当時に、国民年金との関連の上に立って、国民年金の所得比例部分について強制加入させられておるわけですね。そういう事実もあるわけでございますが、農業者は他の労働者と違って、雇用関係の上に立って農業に従事しておるわけではないわけです。公務員等の給与所得者の場合は、保険料が毎月の給与からの払い込みということになっておるわけでありますから、所得比例というものをそう重く考える必要はないわけです。
ただ、農業者の場合は、たとえば今度の改正案によりましても、二十年払い込みをして、六十五歳になってようやく八千八百円の年金を給付されるにすぎないということでありますから、これでは老後の保障、安定ということにはならぬわけです。だから、この際、所得比例方式をこの年金制度にも導入するということを、即刻というわけにはいかぬとしても、積極的に検討して実現をはかることはどうしても必要なことだと思うわけです。場合によっては、国民年金に義務として加入させられておる所得比例部分を今度は農民年金そのものに所管させるということも不可能ではないと思います。いずれもこれは政府管掌の保険ですからね。そういうことについて、大臣としてはいままでどの程度検討されておるか、その必要性に対してはどのように考えておられるか、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/236
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237・倉石忠雄
○倉石国務大臣 加入対象となります農業者間にも経営規模の大小の差がございますが、農業者年金制度に、この農業経営規模等に応じましたところの、いわば階層制のようなものを導入することも考えられますし、そこで、今回の改正について御討議を願いました農業者年金制度研究会におきましても、ずいぶんこのことも検討された模様でございます。しかしながら、現在は、農業所得を基礎としても厚生年金並みの水準が大体得られるようになっておりますし、それから、これを導入いたしますと、農業者に経営規模の大小に応じた区別を生じさせるようなことになりまして、先ほども私はお答えいたしましたが、農村社会の円滑な運営上何となく好ましくないのではないか。階層別方式を取り入れますとそういうような問題もあるのではないかということもありますし、それからまた、階層の指標をどういうことに求めるかというような、いろいろ研究してみなければならない技術的な問題もございます。
それらのいろいろな問題がございますので、農業者年金制度研究会でも結論はついに得られませんでした。将来の課題として検討するよう指摘されておる次第でございますが、これにつきましては、私どものほうにおいても今後なお十分に検討してみる必要がある、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/237
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238・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、農業者の年金加入要件の一つといたしましての経営面積の規定ですが、これは政令で定めることになっておる。いま、問題の対象としては、たとえば北海道において経営面積一ヘクタール以上という限定があるわけです。あるいは、施設園芸等については三十アール以上ということになっておるわけでありますが、それが実態に合致しているかどうかということについて、すでに三年を経過しておるわけでありまして、北海道の場合においても、内地府県に比較すると、経営規模あるいは面積に対する所得水準というものはいささか相違はありますが、しかし、北海道においても、一町歩経営であっても相当高度な濃密経営をやっておる農業経営体もあるわけでございますから、この点については政府が政令によって改正することができるわけでありますから、十分な実態の検討を行なって、北海道の一ヘクタールを相当緩和する必要がある場合、あるいは施設園芸の三十アールを緩和する必要がある場合というものは、当然これは結論として出てくると思うわけです。それについて、政府としては、率直にこの要件の緩和を行なうということが行なわれてしかるべきであるというふうに考えますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/238
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239・倉石忠雄
○倉石国務大臣 ただいま御審議願っておりますこの制度が、農地保有の合理化等の農政上の要請から、特に、土地を生産の基盤といたします農業者を対象といたしまして創設されたという経緯もございますし、それから、この制度のねらいから見まして、加入要件を現行以下に引き下げることはなかなか問題があるとの御意見もございます。先ほど申し上げました農業者年金制度研究会等においてもずいぶんこれは論議されました。しかしながら、御指摘の北海道のようなところの面積要件が現行の一ヘクタールで適当であるかどうかという問題も含めまして、面積要件につきましては、これも十分検討しなければならない問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/239
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240・芳賀貢
○芳賀委員 最後になりますが、農業者年金制度における一番の欠点は、この死亡一時金の運用というもので、これはまことに当を欠いておるわけです。実例を申しますと、この死亡一時金の給付を遺族が受ける場合、たとえば老齢年金の場合には、二十年間継続払い込みをした場合においては老齢者年金の給付を受けることができるわけでして、それに到達する中途の期間において被保険者である農業者が死亡した場合においては、その別表の計算に基づいた死亡一時金が遺族に支給されるわけですね。ところが、二十年間の払い込みを完了して、そうして六十五歳になって老齢年金の給付が開始されて、最初の一回分の給付を受ける場合もありましょうし、三回分の給付を受ける場合も当然あるわけですが、その短期間給付を受けたという実績があれば、本人が死亡した場合には、遺族に対してはもう一時金は絶対支給されないということになるわけですね。だから、今度の改正案の、月額にして千六百五十円を二十年間というと、これは二百四十倍するわけですから、局長、これは金額はわかるわけですね。千六百五十円の二百四十倍の金額というものは、これが払い込み済みの保険料額ということになるわけです。それで、それに対して、たとえば一回といえば八千八百円ですから、そういう少額の給付を受けても、死亡したことによって、あとはこの三十万円あるいは三十五万円というものは利子ももらえないし、全部掛け捨てになるというような、こういう状態が起きておるわけです。これは、結局、老齢者年金制度に当然付随すべき遺族年金制というものはこれにはないわけですね。遺族年金制が他の公的年金のようにあれば、その被保険者が死亡した場合においては、その遺族がその給付額の二分の一の給付を遺族の生存中は継続的に支給されるということになっておるが、肝心の遺族年金制がないわけですから、結局、その死亡一時金でこれを運用するといっても実行できないということになるわけです。今後の問題としては、この遺族年金制というものを本法の老齢者年金制度の中にももう制定すべきであることは当然言うまでもありませんが、当面の取り扱いの問題として、掛け捨てにならないようにするためにはどうするかという点については、これは当然運用責任者である農林大臣において真剣に考えてもらわなければならぬことであります。そこで、この際、これに対してどういうような事実認識の上に立った改善策をお持ちであるか、明確にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/240
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241・倉石忠雄
○倉石国務大臣 農業者年金制度は、農業経営の近代化、それから合理化の促進等に資するために、それからまた農業者の老後生活の安定をはかるというために給付を行なうものでございますが、その仕組みといたしましては、加入者の相互連帯のもとに、一定の保険料収入を財源として、所定の給付事由が生じました場合に給付を行なうという保険のシステムによってこれを運営しておるのでありまして、加入者の死亡率や脱退率等の基礎率をあらかじめ見込んだ上で給付水準や保険料の額が定められておることは御存じのとおりであります。このために個々の被保険者によって受給期間に差異が生ずることは、こういう制度が保険制度として仕組まれております以上はやむを得ないところであると存じますが、御指摘のような点につきましては、農業者年金には加入者の死亡を事故とする遺族年金制が設けられておらないという事情もございますので、そういう点にかんがみまして、この点もさらに私どもとしては部内において検討してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/241
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242・芳賀貢
○芳賀委員 以上で私の質問を終わりますが、他に大きな問題が幾つもありますけれども、政府提案の改正案を審議するというたてまえに立った場合においては、ただいままで私が大臣にただした点は非常に重要な問題だと思うわけであります。
それで、端的に言えば、これはいずれも今回の改正の際に改正を行なって、法律を整備してお出しになるのが当然であったというふうに考えるわけでありますが、残念ながら、今回の改正内容というものはまことに「貧困」の二字に尽きるというふうに判断をされますので、委員会においても理事会を通じて鋭意検討をして、その方針に基づいた法案に対する取り組みをすることになっておりますが、とにかく後代者がどんどん激減をするということで、何年か後の将来はこの制度というものはもう廃止せざるを得ないというような消極的な撤退作戦的な考えを大臣がもし持っておられるとすれば、これは重大な問題であるし、そういう考えを持ちながら当面を糊塗するということはまことに許しがたいことになるのでありまして、今後、農業政策の新たな展開とあわせて、この年金制度というものを十分に前向きに改善して充実させるというお考えかどうか、この点を明らかにしてもらって質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/242
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243・倉石忠雄
○倉石国務大臣 農政の重要なことは申すまでもございません。そこで、農政を健全に推進してまいるためにも、御指摘のような後継者育成についてさらに力を入れなければなりません。そういう角度から考えてみますと、農業者年金制度という制度は、いま申し上げましたようなことに一番適切な施策であると考えておりますので、保険制度というものをちゃんと守りながら、この内容の改善についてはさらに努力をしてまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/243
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244・仮谷忠男
○仮谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/244
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245・仮谷忠男
○仮谷委員長 この際、理事会等における各派協議により、私の手元で起草いたしました本案に対する修正案を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/245
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246・仮谷忠男
○仮谷委員長 修正案はお手元に配付してあるとおりであります。
その案文の朗読は省略して、以下修正の趣旨を簡単に申し上げます。
本修正の趣旨は、保険料の額について、政府改正案が、昭和五十年一月から同年十二月まで一月千六百五十円とし、昭和五十一年以降は政令によって順次引き上げることとしているのを、修正案においては、昭和五十年一月以降一月千六百五十円とし、昭和五十一年以後、保険料を改定するにあたっては、農業者年金基法を改正する法律によってのみこれを行なうことができることとしようとするものであります。
本修正の趣旨は以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/246
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247・仮谷忠男
○仮谷委員長 修正案に対して別段御発言もないようでありますので、原案並びに修正案を一括して討論に入りたいと思います。
別に討論の申し出もありませんので、これより採決に入ります。
まず、委員長提出の修正案について採決いたします。
委員長提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/247
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248・仮谷忠男
○仮谷委員長 起立総員。よって委員長提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/248
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249・仮谷忠男
○仮谷委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/249
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250・仮谷忠男
○仮谷委員長 この際、本案に対し、芳賀貢君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/250
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251・芳賀貢
○芳賀委員 私は、ただいま修正議決されました農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につき、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
附帯決議案はお手元に配付いたしたとおりであります。
朗読を省略して、以下、附帯決議の趣旨を簡単に申し上げます。
第一の点は、農業者年金制度の中で特に今後重視すべき農業者老齢年金水準の引き上げの点でございますが、今回の改正案におきましては、年金水準の引き上げについては、保険料と並べて二・二倍の引き上げということになっておりますので、これを実行いたしました場合に、二十年間継続保険料を払い込みまして、六十五歳から老齢年金の給付が開始されるわけでありますが、二十数年後の年金額というものがわずかに八千八百円にすぎないわけであります。したがって、このような実態に全くほど遠い年金額の設定ではなくて、少なくても月額にして一万円以上の老齢年金が給付されるように内容の改善に一段とつとめる必要があるわけであります。
第二点の国庫の助成につきましては、農業の後継者が現状において激減する実態にかんがみました場合においても、この年金制度というものが将来長期継続的に農民に対する社会保障としての実をあげるためには、当然加入者である農業者の保険料負担を軽減することにつとめて、その軽減された分については当然国庫の助成を増額するという措置を講じなければ、完全な年金制度の実現は不可能であります。したがって、今回の改正におきましても若干の国庫助成の引き上げは行なわれておりますけれども、さらに今後の引き上げについても、最低五〇%以上、あるいはまた六〇%実現ということで、一段と政府としては実現に努力すべきであります。
第三の点といたしましては、老齢年金の任意加入の道が開かれておりますけれども、現在においては、運用上農業経営者の直系卑属の一名だけを特認して加入資格を与えておるわけでありますからして、その直系卑属の配偶者である妻が実際に農業に従事しておりましても加入対象にならぬというような問題、あるいは複数の直系卑属が実際に経営に従事している場合においても、限定された一名以外は加入ができないというような大きな矛盾が現存しておりますので、これらの点は、今後、農業の事実上の担当者として、激減する後継者を将来に希望を持って確保する上においても、特に、本制度の最大の欠陥である老齢年金制度軽視のそういう矛盾というものをすみやかに改めて、そうして、老齢年金加入範囲の拡大につとめるべきであります。
第四点につきましては、本年金制度においては、厚生年金のごとき、いわゆる所得比例方式の導入が行なわれておらないわけでありますが、実態論から見ますと、本制度が発足しました際に、法律の中に明らかに、農業者の年金加入者である経営者は必ず国年の所得比例部分に義務加入をしなければならぬということが強制されておるわけであります。この点から考えましても、今後の農業者年金制度の充実の趣旨からも、すみやかに、所得比例方式の導入について一段と政府としては善処すべきであります。
第五点といたしましては、農業者年金加入の要件の改善でありますが、そのうちの重要な問題としては、たとえば面積条件というものがありまして、北海道においては一ヘクタール以下の面積については加入資格を認めない、あるいは施設園芸等については、三十アール未満のものについては加入資格を認めないというような、そういう制約条件がありますので、この点については、その地域の農業事情あるいは経営の実態というものを十分に的確に検討を加えまして、加入要件の適正な改善については、政府として、これは政令の委任事項でありますから、ぜひ改善すべきであります。
第六点について、農業者年金制度の欠点として指摘される点でありますが、すなわち、老齢者年金の場合において、二十年間継続保険料を納付して、六十五歳から老齢年金の給付が始まるわけでありますが、第一には、二十年に達しない時点において加入者が死亡した場合においては、その遺族に死亡一時金が支給されることになっておるわけであります。ところが、二十年間満額の保険料の納付をしてようやく給付が開始されまして、一回ないし二回の給付を受けて死亡した場合においては、その遺族に対しては全く死亡一時金さえも支給されないという大きな欠点があるわけであります。今回の改正によりまして、月額千六百五十円の保険料を二十年間納付するということになれば、その金額はおおよそ四十万円に及ぶわけであります。そうして一回八千八百円の第一回の年金を受け取って、その直後に死亡するということも絶無とはこれは言えないわけです。その場合には遺族は全然一時金さえも受けることができない。これは、明らかに、本制度において、遺族年金制というものが実施されておらないところに原因があるわけであります。当然、今回の改正において、あるいは委員会の修正等を通じましてこの点は是正すべきでありますけれども、今回はその時期に到達しない残念な事情もありますので、この点については、政府において責任を持ってすみやかに検討を行なって、少なくても老齢年金における掛け捨ての事態が生じないように、まず行政的に行なわれる面については特段の措置を講ずべきであります。
以上六点にわたる附帯決議を委員会として付しまして、政府に対して、全面的な積極的な実現を期待するものでございます。
以上が本決議案の趣旨でございます。
何とぞ委員各位の全面的な御賛同をお願いいたしまして、説明を終わる次第でございます。(拍手)
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農業者年金基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本年金制度が農業者の老後の生活の安定と農業経営の近代化に果たす役割の重要性にかんがみ、加入の促進を図るとともに、本法の施行に当つては、左記事項に留意し、その速やかな実現に努めるべきである。
記
一 食糧自給度の向上の担い手として重要な使命をになつている農業者の老後生活の安定と後継者の確保に資するため、農業者老齢年金水準を更に引き上げるよう努めること。
二 国庫助成については、農業者の保険料負担能力の実情並びに本制度の政策年金としての性格にてらし、更にその引き上げを図るよう努めること。
三 兼業農家の妻で実質的な農業経営主であると考えられる者についての年金加入の途を開くとともに、農業経営主の直系卑属の配偶者等についても年金に加入できる途を講ずること。
四 農業者年金についても、厚生年金等と同様所得に応じた給付が行われるよういわゆる所得比例方式等の導入を図ること。
五 農業者年金加入要件たる下限面積について、実態に即するよう改善すること。
六 農業者年金制度における短期間の年金受給者の遺族について、掛け捨て防止的な観点から、特別の措置を講ずること。
右決議する。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/251
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252・仮谷忠男
○仮谷委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
本動議に対しては、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。
芳賀貢君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/252
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253・仮谷忠男
○仮谷委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。倉石農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/253
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254・倉石忠雄
○倉石国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するように努力してまいりたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/254
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255・仮谷忠男
○仮谷委員長 なお、ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/255
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256・仮谷忠男
○仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/256
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257・仮谷忠男
○仮谷委員長 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案については、去る四月三日、提案の趣旨説明を聴取いたしております。
この際、補足説明を聴取いたします。岡安農林経済局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/257
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258・岡安誠
○岡安政府委員 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。
まず、第一は、掛け金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。これは、当該標準給与の月額の下限を二万六千円から三万九千円に、上限を二十二万円から二十四万五千円にそれぞれ引き上げることといたしております。
第二は、平均標準給与の算定方法の改善であります。これは、給付の額の算定の基礎となる平均標準給与につきまして、現行では、退職等の給付事由発生時前三年間の標準給与を基礎として算定されておりますものを、退職等の給付事由発生時前一年間の標準給与を基礎として算定することといたしております。
第三は、低額の年金についての改善であります。これは、厚生年金保険の年金受給者との均衡等を考慮し、退職年金等の額の算定にあたっては、通算退職年金の額の算定方式に準ずる新たな算定方式を導入し、この算定方式により算定した額と現行の算定方式により算定した額と比較し、いずれか大きい額を年金額とすることといたしております。
第四は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、農林漁業団体職員共済組合法の規定に基づく退職年金、減額退職年金、障害年金及び遺族年金について、その年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、給付事由の発生時期に応じて一五・三%から二三・八%までの率で引き上げることにより、昭和四十九年十月分から年金額の引き上げを行なうとともに、通算退職年金についても、退職年金の引き上げに準じて昭和四十九年十一月分からその額を引き上げることとしております。
第五は、いわゆる絶対保障額の引き上げであります。これは、退職年金、障害年金及び遺族年金について、年齢及び組合員期間の区分を設け、その最低保障額を引き上げることといたしております。
なお、遺族年金につきましては、新たに扶養加算制度を創設し、遺族である子の数に応じて加算を行なうことといたしておりまして、その場合における加算額は、二人までは一人につき年額九千六百円、その他の子は一人につき年額四千八百円といたしております。
また、老齢者等の退職年金等の年金額の特例につきましては、旧法組合員期間を有する七十歳以上の者等に支給する年金について、その基礎となった組合員期間が二十年をこえる場合には、そのこえる年数に応じて加算する額に割り増しをして支給することとし、その改善をはかることといたしております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/258
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259・仮谷忠男
○仮谷委員長 以上で補足説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
次回は、明二十五日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205007X03319740424/259
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