1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十八年十二月十日(月曜日)
午後八時十四分開議
出席委員
委員長 平林 剛君
理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君
理事 倉成 正君 理事 坂村 吉正君
理事 橋口 隆君 理事 井岡 大治君
理事 松浦 利尚君 理事 野間 友一君
加藤 紘一君 羽生田 進君
三塚 博君 山崎 拓君
山本 幸雄君 吉永 治市君
綿貫 民輔君 山中 吾郎君
増本 一彦君 有島 重武君
和田 耕作君
出席国務大臣
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 内田 常雄君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 高橋 俊英君
公正取引委員会
事務局経済部長 三代川敏三郎君
経済企画政務次
官 竹内 黎一君
経済企画庁調整
局長 青木 慎三君
経済企画庁物価
局長 小島 英敏君
農林省食品流通
局長 池田 正範君
通商産業政務次
官 森下 元晴君
資源エネルギー
庁石油部長 熊谷 善二君
建設大臣官房会
計課長 森田 松仁君
建設省住宅局長 沢田 光英君
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委員の異動
十二月十日
辞任 補欠選任
宮澤 喜一君 粟山 ひで君
山中 吾郎君 渡辺 三郎君
同日
辞任 補欠選任
渡辺 三郎君 山中 吾郎君
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本日の会議に付した案件
国民生活安定緊急措置法案(内閣提出第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/0
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001・平林剛
○平林委員長 これより会議を開きます。
国民生活安定緊急措置法案を議題とし、審査を進めます。
これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。橋口隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/1
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002・橋口隆
○橋口委員 このたび国会に上程をされました国民生活安定緊急措置法案について、若干の質問を試みたいと思います。時間が限られておりますので、要点だけを質問いたしますので、簡潔にお答えいただきたいと存じます。
昨年の秋ごろからのぼり始めました物価は、最近になりましてからいよいよ急上昇をきわめておりまして、最近では卸売り物価については、十月はすでに二〇%をこえ、消費者物価は一五%になんなんとしておる状態でございます。おそらく十一月はさらに大幅の上昇が予想されるのでございます。このようなところに、十月初めに勃発しました中東戦争の影響によって、大幅な石油の供給削減が実施されまして、わが国の国民経済また国民生活の将来というのは非常に憂慮されるものがあるのでございます。特にこの物価と石油危機というダブルパンチでございますが、これを前にして国民は非常に深刻な憂慮感にさいなまれているのでございます。つきましては、この際政府においても楽観的な見通しだけでなくて、事態の真相を深刻に国民に訴えて、そして協力を求めることが肝要ではないかと思います。
そういう意味におきまして、まずお伺いしたいと思いますのは、当初四十八年度の経済見通しについては政府は成長率一〇・七%、消費者物価は五・五%、卸売り物価は二%というふうに想定をしておりましたが、いまやそれは非常に大きくくずれておりますが、これについての見通しをまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/2
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003・内田常雄
○内田国務大臣 御質問の冒頭に立たれた橋口さんは、御承知のようについ先日まで私がこのたび就任をいたしました経済企画庁の政務次官をおつとめでいらっしゃいましたので、何もかも御承知でございます。そこで私のお答えは、おれの考えておるとおりだ、こういうふうにおぼしめしいただきますように、ごく要点だけを申し上げます。
橋口さんのおっしゃったように卸売り物価もまた消費者物価も、ことしの春ごろから異常な上昇をいたしてまいりましたので、このまま放置をいたしますことは国民に非常に不安を与えることでもございましょうけれども、さればといってことしの当初につくりました、かような事態になる前の経済見通しをそのまま来年度まで持ちこたえますことは私どもの良心が許しませんので、いま申しましたような物価の状況を織り込みました経済見通しの改定の試算を先般発表いたしたとおりであります。それによりますと、卸売り物価は当初の見通し二形の対前年上昇を年率にいたしまして一七%くらいの上昇に見ますので、つまり国民総生産の名目価値に対するデフレーターがそれだけ大きくなりますので、今年度のGNPの実質見通しというものは、当初見通しが一〇・七でございましたか、それよりかなり低くなりまして、私どもは年間六%台くらいの経済成長まで低くなっていくであろう、こういう見通しを発表いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/3
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004・橋口隆
○橋口委員 それにつきまして、四十九年度につきましては、先般新聞の発表するところによりますと成長率は二、三%に落ちる、また物価は大体七、八%というふうに想定されておりますが、経企庁ではそういうふうにごらんになっておりますか、簡単に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/4
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005・内田常雄
○内田国務大臣 いまも申しますように、経済成長の実質的な価値が改定試算によりますと本年度六%くらいでございますから、石油の状況がシビアになります今日の事態をさらに来年度に延長いたしてまいると、私は六%よりよくなるという状況は現在の段階においては見込まれないと思います。しかし経済は生きものでありますし、しかも石油の供給が国際的事由に基づくものでございますから、それは必ずしも断定はできませんので、事態に応じまして今後弾力的に処理をすべきことであろうと思いますが、一応そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/5
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006・橋口隆
○橋口委員 政策目標としては、できるだけこの消費者物価、卸売り物価を抑制する方針が大事でございますので、その点どうか経企庁とされましてはひとつ十分な検討をされまして、今度こそはそれが実行できますように、御尽力をお願い申し上げます。
つきましては、こういうような物価上昇に際して一番大事なことは、政府が直接物価に介入する以前において総需要抑制政策を強力に断行することが必要だと思います。詳しいことは申し上げませんけれども、これから全力をあげて取り組むという決意がおありになりますかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/6
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007・内田常雄
○内田国務大臣 橋口さんのおっしゃるとおりでございます。総需要抑制政策は、国民にしいる前に、私は、まず政府自身が来年度予算の編成について十分その見地から考えなければならないと思いまするし、またいろいろの企業などにおける設備投資につきましても、この際カットできる分はカットするというようなことも含めまして、国民全体の協力を得て総需要を抑制してまいるという、金融政策なりその他の政策を今後さらに熱心に、この法律ばかりでなしに、そういう政策的基盤を強化し、堅持すべきであると私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/7
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008・橋口隆
○橋口委員 とのたびの国会には、国民生活の安定法案と並びまして石油需給の適正化法案が提出されているわけでございますが、この両法案の関係についてちょっとお伺いいたします。
石油需給法案の中では、価格についての規定は全然ないのでございますが、これはすべてこの安定法案の中で処理することになりますか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/8
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009・内田常雄
○内田国務大臣 そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/9
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010・橋口隆
○橋口委員 逆にまた、この安定法案の中には、物資の生産、輸入、保管、あるいは売り渡し使用制限等の規定はございますが、石油につきましては、これは石油需給適正化法案ですべてやることになっておりますか、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/10
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011・森下元晴
○森下政府委員 お答えいたします。
石油需給につきましては、いま先生御指摘のように、非常に供給が逼迫いたしまして、今回需給適正化法案を提出したわけでございますけれども、需給につきましては、いまおっしゃいましたように、この法案によって主として需給調整をはかりますけれども、生活安定法案、またさきに出されております買占め売惜しみの法案、また戦時中からございました物統令等、まあこういうもののいわゆる四本柱によって需給調整をしなければいけない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/11
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012・橋口隆
○橋口委員 時間がありませんので先を急ぎますが、この本法の内容についてお伺いいたします。
標準価格を一応決定することになっておりますが、これはもちろん石油は直ちにこれを実行されると思いますが、どの範囲までやられますか。通産大臣は、灯油については三百八十円という値段を絶対に堅持すると、こういう方針を言明されておりますが、直ちにこの法律を適用されることになりますか、それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/12
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013・森下元晴
○森下政府委員 通産大臣が言明いたしましたように、三百八十円、これは店頭渡しの小売りの民生用の価格でございまして、これを堅持いたします。他の石油製品の価格につきましても、状況を見ながら、早急に上限価格をきめるものもあるし、またいろいろ諸団体等の御意見も聞いて徐々にきめていくものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/13
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014・橋口隆
○橋口委員 灯油については、直ちにこの法律を適用されるということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/14
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015・森下元晴
○森下政府委員 この法律の内容につきましては、緊急事態になって適用するわけでございまして、まだその事態にまできておるかどうか、判断はできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/15
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016・橋口隆
○橋口委員 灯油はすでに、三百八十円と言いながら、全国的には四百五十円あるいは五百円というようなところもありますので、早急にこれが適用されるように御検討をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/16
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017・森下元晴
○森下政府委員 御指摘のように、各地の灯油の価格を調べましたところ、おっしゃるとおりでございます。残念ながら、三百八十円が守られているところもございますけれども、ところによりましては四百五十円から五百円というような価格、そういう地域もあるようでございます。これはいわゆる灯油の流通系統が非常に複雑でございまして、スタンド関係等では三百八十円は守られておりますけれども、昔、燃料関係、薪炭、それから米屋さん、こういう関係で売られておるものは必ずしも守られておらない例がかなりございます。また、従来はいわゆる配達によって、その上にかん代とか、また配達料が加わっておりますので、店頭価格になじめない点もございまして、いわゆる配達つきで幾ら、こういうような建て値になっておる関係で、その点がかなり誤解を招いておるし、また徹底していない点がございます。これは事実でございまして、適正な指導をして、店頭渡し三百八十円価格は守るように厳正に指導していきたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/17
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018・橋口隆
○橋口委員 この法案が制定をされるということで、いわばかけ込み便乗値上げが行なわれているようでございますが、そうなりますというと、この標準価格をいつの日かにさかのぼってやるということが必要じゃないかと思いますが、この点の運用はどういうふうになさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/18
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019・内田常雄
○内田国務大臣 標準価格をきめます場合には、この法律案によりますと、まず値上がりする危険が多い物資を指定物資といたしまして物を指定いたします。物を指定いたしますと、指定した後において遅滞なく標準価格をきめますので、物資の指定をする以前にさかのぼって標準価格をきめるということはありませんが、しかし、そのきめる価格の内容というものは、かけ込み値上げなどというようなものを基準にしないで、正しい原価、適正な取り扱い利潤というようなもの、それを計算をいたしまして、かけ込み値上げが標準価格の決定上、何ら影響を受けることがないようにきめるべきであると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/19
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020・橋口隆
○橋口委員 この標準価格制度につきましては、メーカーの販売価格と小売りの販売価格はきめられておりますが、卸売りについては規定がない。そうしますと、中間の卸売り業者がかってに値上げをしたり物を出さなかったりする危険があると思いますが、それに対してはどういうふうに対処されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/20
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021・内田常雄
○内田国務大臣 価格をきめるわけでありますから、これは御想像のとおり、非常にむずかしいわけであります。最終小売り価格というものは、これは消費者に密着しますから、標準価格をきめる以上は小売り価格をきめることがまず必要でありますが、状況によって生活者価格といいますか、輸入価格のようなものもきめますけれども、まん中の卸の段階はいろいろの複雑な段階があること、これも御承知のとおりでございますので、まず上と下とを両方から押え込んで、おのずから卸価格というものは形成される。しかし、その卸価格が標準価格として公示をされない場合どうするかというような問題につきましては、これはあとのほうに条文がございまして、卸の価格は上下の標準価格に対比して適当でない場合にはその引き下げの指示をするというようなことができるようにいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/21
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022・橋口隆
○橋口委員 この点については厳重に監視をしていただきたいと思います。
次に、特定標準価格の制度がございますが、この点でわれわれが非常に懸念をしておるところは、非常に高い値段できめた場合には、いままで低い値段でも十分利潤が得られたという企業が、その高い点まで値上げをする、あるいはまた逆に非常に低い値段できめた場合には零細な中小企業者が困るというような事態が起こると思います。そういう意味で、特定標準価格というのは課徴金の制度まで設けて、場合によっては裁判にも訴えられた、そこで争っても政府側としては決して負けることはないというような値段をきめなくてはならないと思います。そういう点においては非常に慎重なやり方が必要だと思いますが、この点につきましてはどういうふうにお考えになっているか、簡単にひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/22
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023・内田常雄
○内田国務大臣 特別標準価格、課徴金の徴収にかかるその特別標準価格につきましては、おっしゃるようなむずかしさがございます。そこで、特別標準価格をつけますところの品目は特定品目という名前をつけまして、指定物資の中からその特別標準価格がつけ得るような、そういうものをまず選ぶことを考えてまいるつもりでありますけれども、いずれにしても、いま橋口委員が御心配になるような、小さいものは苦しみ、また能率のいいものはそこにかなりのマージンがあるようなことにならないように、特定品目の選び方等につきましては配慮をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/23
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024・橋口隆
○橋口委員 この超過利得分は課徴金として徴収するということでございますが、業者にとっては値上げした分だけを召し上げられる。そうなれば、取られてもやはりもともとだというような感じであまりききめがないのではないかとの一般の定評でございます。また現に野党は修正案を出されて、三倍くらいの課徴金を取ったらどうか、こういう御意見でございますが、これは国民一般もそう思っておると思います。これについてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/24
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025・内田常雄
○内田国務大臣 標準価格というのは、それは標準価格であれ特定標準価格であれ、物価統制令における停止価格あるいはマル公価格とは法律的に違うわけでございまして、読んで字のごとく、標準的な停止価格のようなものになりますので、それに違反した場合にはもちろん指示もいたしますし公表もいたしまして、消費者を含める社会的批判の対象にさらすということがまず第一のねらいになります。しかりしこうして標準価格というものがそういう性質のものでございますために、物統令におけるように、標準価格を越えて売った現実の売り値との差額に対して、あたかも罰金と同じような二倍、三倍の加算金を取るということは——これはいずれまた機会がございましょうから、法制局長官等からも説明をしてもらいますけれども、法律のたてまえからはできません。ただし、その課徴金というものは特別標準価格を上回って高く売った金額につきまして国庫に徴収いたしますほか、その金は法人税の計算におきましても所得税の計算におきましても経費とは見ないという規定をこの法律の体系の中に織り込んでございますので、とどのつまりは、三倍にはなりませんけれども、少なくとも標準価格を越えて高く売った値段の一倍半ぐらい、それに地方税まで入れますともっと高いものを結局はき出さざるを得ない、こういう仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/25
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026・橋口隆
○橋口委員 次に、物資の需給のバランスをとるということが一番大事で、そのためにこの法律には生産、輸入、保管、あるいは一時的に地域的な需給の逼迫があった場合に売り渡し命令あるいは使用制限というようなことまで考えておられますが、これはどうも指示だけであって命令がない。したがって非常に弱いと考えられますが、これについてはいろいろと問題もあるかと思いますが、この点ひとつ御検討をお願いしたいと思います。これは御回答は要りません。その点要望を申し上げておきます。
次に、設備投資や建築規制等の問題が出ておりますが、現在行政指導でやっているこの建築の制限、あるいは設備投資の制限等は直ちにこの法案に切りかえられますか。この点についてはまず建設省から御答弁いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/26
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027・沢田光英
○沢田政府委員 いままだこの法案につきまして、これの主務大臣あるいはそれにつきましての手続、そのほか詳細にきまっておりません。ただ、現状では閣議決定に基づきますいわゆるビル抑制をやってございます。おそらくこういうものがそのまま続いていって、法律の成立とともにそれに移りかわるだろう、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/27
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028・橋口隆
○橋口委員 年度内のビル抑制は幾らと見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/28
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029・沢田光英
○沢田政府委員 現在のビル抑制は大体五千平米以上の不要不急のもの、かようなことになっております。四十七年度におきましては大体年間に二億五千万平米の建築がございまして、そのうち四千万平米弱が五千平米以上の建築でございます。それの何割かということでございますから、いまのビル抑制というものは総需要の中の一割ないしは一割強、かようなかっこうでございます。これのいかほど総需要を抑制するか、かような問題はさらに建築だけの問題でございませんで、今後おそらくきまっていってそのワクにはまる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/29
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030・橋口隆
○橋口委員 設備投資についても規定がございますが、これは通産省としては直ちに現在のやり方をこの法律に切りかえるという用意がございますか。また、この基準については、たとえばきょうの新聞あたりで発表されているようですが選別融資をやる、そのために基準を設けるというのでございますが、これとあわせて行なわれることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/30
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031・森下元晴
○森下政府委員 昭和四十七年から四十八年までの設備投資の実績及び計画表がございますけれども、全民間投資の二分の一が通産省所管で、そのうちの四分の一が十二業種、大きな企業でございますけれども、四十七年から四十八年までは二二二%、いわゆる三二%のアップ、それから四十七年の下半期から四十八年の上半期にかけましては一一〇・三%、いわゆる一〇・三%の増加、それから四十八年の上半期から四十八年の下半期、ただいまでございますけれども、それも一二三・三%、かなりの上昇率でございまして、これは十分チェックして、できるだけこれを押えていこう、こういう決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/31
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032・橋口隆
○橋口委員 それでは先を急ぎますが、この法案におきましては物価統制令の改正をこの附則できめております。これにつきまして念のため伺いますが、従来物統令はなるべく発動しない、こういう基本方針であったようでございますが、今回の改正でこれを全面的にゆさぶり起こして発動できるということになるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/32
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033・内田常雄
○内田国務大臣 物統令は生きておるわけでございます。その生きておりまする物統令で、もう他の方法で処置ないという場合にはこの法律から物統令に乗り移ることも最終的には考えざるを得ない場合がありますが、そのこれに乗り移らざるを得ない場合の規制を、つまり物統令の第四条というものを、この附則でごらん下さるように直してありまして、物統令は生きているけれども、それは確かである、直ちにそれに乗り移るわけではない、いろいろの手段を尽くして、やむを得ない場合に初めていわゆる統制に入る、こういう何段階かのたてまえをとっておりますことに御留意をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/33
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034・橋口隆
○橋口委員 そうなれば当然私は、この物統令の第一条の「終戦後ノ事態ニ対処」してというこの文句は、当初の原案どおり経済の緊急事態に対処してと、こう正々堂々と正面から改正すべきであったと思うのですが、どうしてこういうふうにそのままになったのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/34
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035・内田常雄
○内田国務大臣 簡単に結論だけを申し上げますと、橋口さんが政務次官をおやりになっておったころの、物統令第一条の目的を直すよりも、私が大臣に就任いたしまして、四条のほうに規制を置いたほうがいいだろうということに、私があなたより少し年が上なものだから考え直した、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/35
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036・橋口隆
○橋口委員 次に、投機防止法の改正案について伺いますが、これは大臣、せっかくこの七月に制定をされて現在五カ月間を経過したのに、たった一回しか発動されてない。これは私は、トイレットペーパーのように買いだめあるいは買い急ぎに大騒ぎになっている、ほかの砂糖なんかについても同様な事態が起こっている、そういう場合に適切な措置をとって立ち入り検査をするとかいうようなことが必要じゃなかったかと思いますが、これはもう少し活用されたらいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/36
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037・内田常雄
○内田国務大臣 いまの買い占め緊急措置法、これの発動のしかたには立ち入り検査もございましょうし、また、ある場合には引き渡し勧告というものもございますが、私が承知をいたしておりますところによりますと、この法律は必ずしも立ち入り検査だけが目的ではなしに、常時、この法律の対象になっておりまする物資につきまして、現在二十一物資でございますが、それらにつきまして価格の動向や、あるいは需給の状況を監視しておる、そうして必要の場合にはその監視をした材料に基づきまして緊急出荷なり、あるいは緊急輸送なり、あるいは緊急増産なり、そういうことを行政指導としてやるためにこの法律が実質的にはかなり生かされておる、こういう点に御留意いただければ幸いであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/37
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038・橋口隆
○橋口委員 いわば伝家の宝刀であって、抜かないだけでも効果がある、そういうふうにお考えになっているかもしれませんが、今後砂糖とか、あるいはその他の食料品についてもこういう問題がたびたび起きると思います。そういう意味で農林省でもひとつこの法案をうんと活用していただきたいと思いますが、局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/38
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039・池田正範
○池田政府委員 ただいま御指摘になりましたように、農林省の所管しております食品類は、この法律に書いてございます国民生活に不可欠なものが多いわけでございますので、私どもといたしましても物価の動向を勘案いたしまして、遅滞なくそれに対応できるように留意をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/39
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040・橋口隆
○橋口委員 そこで、カルテルの問題について伺います。
この法案を実施するに際しまして、経済企画庁と公正取引委員会では覚え書きを交換されたことが出ておるようでございます。ところでこの法案の作成の経過を見てみますと、これをやるにはどうしてもやはり民間の協力が必要だ、そうなると共同行為が必要である、そういうことで当初は独占禁止法の適用除外をしようという話であったのでございますが、今回の覚え書きによりますというと、これは取りやめて、そうして業者の実際的なそういうような共同行為を認める、こういうようなことになっている。そうなりますと、これは非常に重大な問題でありまして、自主的なカルテルは今後とも安易にもし行なわれるということになれば、この物価対策上競争維持政策というのを最も強力にとってきた政府としては非常に矛盾をしてくるのではないかと思います。そういう意味で、どうしてこういう覚え書きをかわされたのか、また法的にそれは問題がないのか、この点についてまず経済企画庁長官からお答えいただいて、次に公取の委員長から見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/40
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041・内田常雄
○内田国務大臣 いまお尋ねのような法律施行の過程において、たとえば標準価格をつくった場合に、それをすべての業者に守らせるとか、あるいはまた生産とか輸送とか出荷とかというようなことを関係の大臣から指示いたしました場合に、それを有効に実施するためには、そうした政府の指示に対する業者あるいは業者団体の協力というものがあることが運用上必要な場合が多いと考えるわけでございます。しかし、そうした業者の政府の政策に対する協力は、独禁法が禁止しているところのいわゆる価格安定カルテルでありますとか、生産カルテルでありますとか、そういうものとは本質的に違うのであるということ、これはこの法律の中に独禁法の排除規定を置くとかなんとかいう性質のものとは全く違うのだということを、念のために明らかにしておこうという趣旨で、この覚え書きを結んだわけでございまして、覚え書きによって独禁法の非常に肝心なところを殺してまいるというような意図では全くございません。これはひとつ公取の委員長のほうからも委員会で出ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/41
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042・高橋俊英
○高橋(俊)政府委員 とかく誤解を生んでおるもととなりますのは、カルテル条項を法案の作成段階で削除いたしました。それにかわって覚え書きが付せられたというこのいきさつに対して、だから実質的には覚え書きでカルテルを認めたのじゃないかという疑いなんです。私どもはそう考えておりませんで、カルテルを法律上認めて適用除外にするということは、その部面においてはまあいわばフリーにしてしまう、完全にカルテルそのものが大手を振ってまかり通るということになるわけで、私はこれは必要もないし好ましくない、そういうことで、これらに対して強く反対いたしまして、この条項を削っていただいたわけでございます。そして法案としては出ておりません。
しかしこの覚え書きの意図するところは、決してそういうカルテルを認めるものでない。この趣旨は注にも明らかにしておりますが、元来これは民間の業界がかってに需要と供給をつき合わせる。供給が不足でございまして需要のほうが多いという実態はまあ皆さま御存じでございますから、これはうまく合わないわけです。その間においてお互いにある程度詰めを行なうということは、これは必要であろうと思います。本来割り当て制度等に譲りました場合は、配給制度ならば、そのようなことはないわけでございます。一方的にこれは国がきめるのでございますが、そこへいく中間の措置を今回とっているわけでございます。最終的な措置でない中間措置をとる場合に、民間の協力ですね、求めることを絶対にいけないと私どもは言うべきじゃない。ただしこれは条件がみな入っておりまして、主務大臣、主務官庁がことごとにそこに介入する。民間の自由な話し合いを認めたものではない。これはくどいですから一括して通産大臣または主務大臣とかいうふうに上のほうに書いてあります。これはしかし、各項目全部にわたってやったものでありまして、それから価格の点については全く価格カルテルを認めるような条項はここにはございません。その点ははっきり申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/42
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043・橋口隆
○橋口委員 まだ掘り下げて質問したいのでございますが、時間切れとなりましたのでこれで終了いたしますが、この法案は戦後初めての最も強力でしかも事件の範囲が非常に大きい法案でございますから、適用につきましては非常に慎重を期せられますようにお願いいたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/43
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044・平林剛
○平林委員長 本日は、この程度にとどめ、次回は、明十一日火曜日午後五時三十分理事会、午後六時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205063X00319731210/44
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