1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月二十二日(金曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 稻葉 修君
理事 坂田 道太君 理事 塩崎 潤君
理事 西岡 武夫君 理事 松永 光君
理事 森 喜朗君 理事 木島喜兵衞君
理事 小林 信一君 理事 山原健二郎君
上田 茂行君 久野 忠治君
河野 洋平君 田中 正巳君
深谷 隆司君 山崎 拓君
勝澤 芳雄君 嶋崎 譲君
長谷川正三君 山口 鶴男君
栗田 翠君 有島 重武君
高橋 繁君 安里積千代君
出席国務大臣
文 部 大 臣 奥野 誠亮君
出席政府委員
文部政務次官 藤波 孝生君
文部大臣官房長 井内慶次郎君
文部省大学学術
局長 木田 宏君
文部省管理局長 安嶋 彌君
委員外の出席者
人事院事務総局
給与局次長 長橋 進君
文部省管理局教
育施設部長 菅野 誠君
文教委員会調査
室長 石田 幸男君
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三月十八日
私学に対する公費助成増額等に関する請願(諫
山博君紹介)(第二七二二号)
同外一件(枝村要作君紹介)(第二七二三号)
同外一件(小沢貞孝君紹介)(第二七二四号)
同(加藤清政君紹介)(第二七二五号)
同(勝間田清一君紹介)(第二七二六号)
同外一件(金瀬俊雄君紹介)(第二七二七号)
同外一件(神田大作君紹介)(第二七二八号)
同(木下元二君紹介)(第二七二九号)
同外一件(北山愛郎君紹介)(第二七三〇号)
同外一件(小林信一君紹介)(第二七三一号)
同外一件(神門至馬夫君紹介)(第二七三二
号)
同外一件(坂本恭一君紹介)(第二七三三号)
同(庄司幸助君紹介)(第二七三四号)
同外三件(松尾信人君紹介)(第二七三五号)
同外一件(村山喜一君紹介)(第二七三六号)
同外一件(八木昇君紹介)(第二七三七号)
同(山本政弘君紹介)(第二七三八号)
同(山本弥之助君紹介)(第二七三九号)
同(吉田法晴君紹介)(第二七四〇号)
同(青柳盛雄君紹介)(第二七七〇号)
同(阿部昭吾君紹介)(第二七七一号)
同(新井彬之君紹介)(第二七七二号)
同(枝村要作君紹介)(第二七七三号)
同(小沢貞孝君紹介)(第二七七四号)
同外三件(神田大作君紹介)(第二七七五号)
同(小林信一君紹介)(第二七七六号)
同(小宮武喜君紹介)(第二七七七号)
同(神門至馬夫君紹介)(第二七七八号)
同(佐藤敬治君紹介)(第二七七九号)
同(鈴切康雄君紹介)(第二七八〇号)
同(下平正一君紹介)(第二七八一号)
同(中澤茂一君紹介)(第二七八二号)
同(成田知巳君紹介)(第二七八三号)
同(野間友一君紹介)(第二七八四号)
同(日野吉夫君紹介)(第二七八五号)
同(藤田高敏君紹介)(第二七八六号)
同(村山喜一君紹介)(第二七八七号)
同(八木昇君紹介)(第二七八八号)
同(山田耻目君紹介)(第二七八九号)
同(米内山義一郎君紹介)(第二七九〇号)
同(渡辺三郎君紹介)(第二七九一号)
同(金瀬俊雄君紹介)(第二八〇三号)
同(久保田鶴松君紹介)(第二八〇四号)
同外一件(小林信一君紹介)(第二八〇五号)
同(神門至馬夫君紹介)(第二八〇六号)
同(成田知巳君紹介)(第二八〇七号)
同外一件(野坂浩賢君紹介)(第二八〇八号)
同(八百板正君紹介)(第二八〇九号)
同(渡辺三郎君紹介)(第二八一〇号)
同(諫山博君紹介)(第二八三五号)
同外三件(木下元二君紹介)(第二八三六号)
同(紺野与次郎君紹介)(第二八三七号)
同(神門至馬夫君紹介)(第二八三八号)
同(庄司幸助君紹介)(第二八三九号)
同(田代文久君紹介)(第二八四〇号)
同外一件(成田知巳君紹介)(第二八四一号)
同(山原健二郎君紹介)(第二八四二号)
同(湯山勇君紹介)(第二八四三号)
同(諫山博君紹介)(第二八八六号)
同(梅田勝君紹介)(第二八八七号)
同(上原康助君紹介)(第二八八八号)
同外一件(江田三郎君紹介)(第二八八九号)
同(鬼木勝利君紹介)(第二八九〇号)
同外八件(折小野良一君紹介)(第二八九一
号)
同外一件(久保田鶴松君紹介)(第二八九二
号)
同外一件(小林信一君紹介)(第二八九三号)
同外一件(佐藤観樹君紹介)(第二八九四号)
同(庄司幸助君紹介)(第二八九五号)
同(田代文久君紹介)(第二八九六号)
同(竹内猛君紹介)(第二八九七号)
同(津金佑近君紹介)(第二八九八号)
同(塚田庄平君紹介)(第二八九九号)
同(松本忠助君紹介)(第二九〇〇号)
同(三宅正一君紹介)(第二九〇一号)
同(村山富市君紹介)(第二九〇二号)
同外二件(山中吾郎君紹介)(第二九〇三号)
同外二件(山原健二郎君紹介)(第二九〇四
号)
同(渡辺三郎君紹介)(第二九〇五号)
私立幼稚園教育振興に関する請願(小坂徳三郎
君紹介)(第二八〇一号)
同(谷川和穗君紹介)(第二八〇二号)
私立小・中・高等学校振興法制定に関する請願
(野坂浩賢君紹介)(第二八一一号)
同外六件(箕輪登君紹介)(第二八一二号)
同(梅田勝君紹介)(第二九〇六号)
学校給食費の国庫負担増額に関する請願(土橋
一吉君紹介)(第二八四四号)
東京大学医学部付属看護学校及び助産婦学校の
新校舎建設費増額に関する請願(安里積千代君
紹介)(第二九〇七号)
同月二十日
東京大学医学部付属病院精神神経科小児部の診
療制度確立に関する請願(山原健二郎君紹介)
(第二九七〇号)
私学に対する公費助成増額等に関する請願(諫
山博君紹介)(第二九七一号)
同外一件(稲葉誠一君紹介)(第二九七二号)
同(梅田勝君紹介)(第二九七三号)
同(岡田哲児君紹介)(第二九七四号)
同外一件(北山愛郎君紹介)(第二九七五号)
同外一件(兒玉末男君紹介)(第二九七六号)
同(坂本恭一君紹介)(第二九七七号)
同外一件(佐藤観樹君紹介)(第二九七八号)
同(庄司幸助君紹介)(第二九七九号)
同(瀬野栄次郎君紹介)(第二九八〇号)
同(中村茂君紹介)(第二九八一号)
同外一件(細谷治嘉君紹介)(第二九八二号)
同外一件(松本忠助君紹介)(第二九八三号)
同外一件(八木一男君紹介)(第二九八四号)
同(山原健二郎君紹介)(第二九八五号)
同(和田貞夫君紹介)(第二九八六号)
同(阿部助哉君紹介)(第三〇二四号)
同(諫山博君紹介)(第三〇二五号)
同(川崎寛治君紹介)(第三〇二六号)
同外一件(木島喜兵衞君紹介)(第三〇二七
号)
同(兒玉末男君紹介)(第三〇二八号)
同外一件(佐野進君紹介)(第三〇二九号)
同外三件(松本忠助君紹介)(第三〇三〇号)
同(山原健二郎君紹介)(第三〇三一号)
同(木島喜兵衞君紹介)(第三〇六七号)
同(小林進君紹介)(第三〇六八号)
同(清水徳松君紹介)(第三〇六九号)
同(長谷川正三君紹介)(第三〇七〇号)
同(増本一彦君紹介)(第三〇七一号)
同(松本忠助君紹介)(第三〇七二号)
同(山原健二郎君紹介)(第三〇七三号)
同(米原昶君紹介)(第三〇七四号)
同(木島喜兵衞君紹介)(第三一一〇号)
同(長谷川正三君紹介)(第三一一一号)
同(山本幸一君紹介)(第三一一二号)
同(山原健二郎君紹介)(第三一一三号)
同(米原昶君紹介)(第三一一四号)
同(石田幸四郎君紹介)(第三一三九号)
同(受田新吉君紹介)(第三一四〇号)
同(北側義一君紹介)(第三一四一号)
同外一件(兒玉末男君紹介)(第三一四二号)
同外一件(佐藤観樹君紹介)(第三一四三号)
同(竹本孫一君紹介)(第三一四四号)
同(長谷川正三君紹介)(第三一四五号)
同外一件(平林剛君紹介)(第三一四六号)
同外一件(松本忠助君紹介)(第三一四七号)
同(米原昶君紹介)(第三一四八号)
東京大学医学部付属看護学校及び助産婦学校の
新校舎建設費増額に関する請願(木島喜兵衞君
紹介)(第三〇三二号)
同(山原健二郎君紹介)(第三〇三三号)
私立幼稚園教育振興に関する請願(小沢辰男君
紹介)(第三〇六六号)
私立小・中・高等学校振興法制定に関する請願
(箕輪登君紹介)(第三〇七五号)
学費凍結法制定等に関する請願(有島重武君紹
介)(第三一四九号)
同(北側義一君紹介)(第三一五〇号)
同外二件(矢野絢也君紹介)(第三一五一号)
横浜市港北ニュータウン建設予定地の埋蔵文化
財保存等に関する請願(長谷川正三君紹介)
(第三一五二号)
は本委員会に付託された。
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三月十八日
義務教育管理下における児童生徒の学業災害補
償法制定に関する陳情書
(第二五四号)
学級編成基準及び教職員の配置基準改善に関す
る陳情書(第二五
五号)
公立義務教育の教職員定数増員に関する陳情書
外一件(第
二五六号)
養護教諭、事務職員の全校配置等に関する陳情
書外四件
(第二五七号)
高等学校の新増設費助成に関する陳情書
(第二五八号)
私学に対する公費助成増額等に関する陳情書外
二件
(第二五九号)
人口急増地域の教育施設建設費助成に関する陳
情書外二十八件
(第二六〇号)
文化財の保護に関する陳情書
(第二六一号)
交通遺児の進学援助等に関する陳情書
(第二六二号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/0
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001・稻葉修
○稻葉委員長 これより会議を開きます。
国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安里積千代君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/1
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002・安里積千代
○安里委員 無医大県をなくするというのが基本的な方針とされて、今回の医大の設置も考えられておることだ、こう思いますが、大学のない県がないようにする、その根本的なねらいというものはどこにございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/2
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003・木田宏
○木田政府委員 医科大学があることによりまして、その地域の医療、診療体制にもかなり大きな差異が生じておるところでございますから、地域の診療体制の整備ということも念頭に置き、また医師の養成増ということも念頭に置きながら、無医大県の解消ということを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/3
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004・安里積千代
○安里委員 国全体としての医師の養成それから地域の問題というのが双方考慮されまして、このことがなされておると思います。
そこで、国全体として見まして、詳しいことはあまり必要ございませんけれども、全体的に見まして、医師の不足、医師の多い少ないは、地域的に見まして大体どのような状況になっておりましょうか。平均的にいっておるものか、それとも地域によって非常に差があるというような実情でございますか。その事情について、ほんの概括的でけっこうでございまするから、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/4
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005・木田宏
○木田政府委員 昭和四十八年で医師の数は十三万九千人というふうに承知をいたしておりますが、人口十万人に対しまして百二十八人というのが、現在の全国をとった場合の姿でございます。それに対しまして人口十万人当たり医師数の非常に多いところを一、二あげてみますと、たとえば石川県は、金沢大学の医学部あるいは金沢医科等あるわけでございますが、十万人に対して百五十五人という数が出ております。東京は百四十四人というような状況でございますし、最近医科大学はできましたけれども一番低いほうの一つといたしまして埼玉六十七人、そしてこれは特別の事情もございますが、沖繩は人口十万人に対しまして四十一人、四十一・八というふうにきわめて低い状態にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/5
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006・安里積千代
○安里委員 地域によって相当の差がありますが、いまのねらいからしますと、医科大学があれば、やはりその地域によって医師の充足が促進されると申しますか、そういうような傾向にございましょうか。それとも大学は設置しても、必ずしも設置によってその地域の医師の数というものをふやすということに役立たないのか。医大を置くことによって、その地域の医師の数というのがふえる、そういったような状況にあるかどうか。必ずしも大学の存在とその地域の医師の数とは関係ないか、あるいは関係があるか。たいへん素朴な質問でございまするけれども、その傾向はどんなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/6
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007・木田宏
○木田政府委員 医科大学がありますと、医科大学及びその付属病院自体に相当多数の臨床医を要することになります。そういう関係から、県全体のデータをとってみました場合に、医科大学のある県に医師数が多くなるということは確かに指摘できる面があろうかと思います。また、その大学の卒業生の地域分布をとってみました場合に、私立の医科大学の場合にはかなり全国各地に散っていくという傾向はございます。これは、私立の医科大学が東京あるいは関西の特定の地域に集中しておるということの関係もございますが、しかし卒業生は、国公立を中心にして考えますと、また岩手にありますような医科大学をとってみましても、卒業生は比較的その出身大学の所在県あるいはその隣接県において開業するという傾向がデータの上からはうかがわれると思うのでございます。したがいまして、医科大学を設置することによりまして、養成された医師がその出身大学の近くで開業するということは、データの上からも指摘できると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/7
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008・安里積千代
○安里委員 政府の無医大県をなくするということは、もちろん私立の大学のあるいは県立その他の公立の医大の存在にかかわらず、それとは無関係に政府としては無医大県をなくする、こういう考えでございますね、私大とか公立の医大とは関係なく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/8
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009・木田宏
○木田政府委員 医科大学のない県をなくするという場合に、国公私立を含めて医科大学があるようにしたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/9
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010・安里積千代
○安里委員 と申しますのは、私立の大学がある、あるいは公立の大学がある、こういうところにはあえて国立の医大を置かなくてもいい、こういうような考えに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/10
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011・木田宏
○木田政府委員 現在の段階ではそのように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/11
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012・安里積千代
○安里委員 これは念のためはっきりしたいことでございますけれども、私立の大学もない、公立の大学もないというところが、この間も明らかにされたと思いまするけれども、どの県どの県でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/12
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013・木田宏
○木田政府委員 現在、十二県ほど医科大学のない県がございます。関東の地域から申し上げますと山梨県でございますし、今回御提案申し上げておりますのが静岡県でございます。それから関西地域に参りまして、滋賀県に現在まだございません。それから北陸へ参りまして、福井、富山の両県にまだございません。それから中国では島根県、四国では香川県と高知県、九州では現在のところ大分、佐賀、宮崎の三県、それに沖繩でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/13
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014・安里積千代
○安里委員 いま県立の医大を持っておるところは何県ございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/14
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015・木田宏
○木田政府委員 県立は四県でございます。ほかに市立が四つございまして、公立が八校ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/15
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016・安里積千代
○安里委員 実情をお伺いしたいのですが、たとえば県立などの医大、ここには、主体は当然その地域の県になると思いますけれども、他の地域からも県立などの大学に入る学生が非常に多いと思うのです。いま各県、県立あるいは公立などの医大は、その設置しておりまするところの県出身者を収容する、あるいは県外からも来る、そういう実情だと思いますけれども、実際の状況、ある県が持っておりまする県立の大学に学ぶ者、これが他の地域からそこに学ぶという事態もあると思うのでございますが、その実態、割合でもけっこうでございます。どれだけ設置した県以外の地域からその大学に学んでおるという実情にございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/16
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017・木田宏
○木田政府委員 公立大学によりまして非常にばらつきがございます。これは所在地域の関係もございますが、その所在地域からの入学者の一番多い大学は北海道立の札幌医科大学でございまして、過去三年間大体八〇%程度が道内の関係者でございます。所在県からの入学の一番少ないのが奈良県立とそれから横浜市立でございまして、二〇%に達しておりません。奈良県立医大の場合には一四%前後という状況でございます。しかしながら卒業生という点から見てまいりますと、実は県立大学の卒業生が一番その所在地域に定着率が高いということが言えるのでございまして、県立大学、公立大学を含めまして卒業生がその所在県に定着をいたしますのは六五%ほどでございます。私立は四八%でございまして、国立が平均で五八%という数になってございます。もちろんこれは国公立あるいは私立の全平均でございますから、国立をとりましても公立をとりましても、その間にいろいろばらつきのあるということは否定できるところではございません。しかし、たとえば先ほどの奈良県立のように、他県からたくさん入ってまいりましても、約半分は奈良県にとどまる、奈良県で開業する、こういうような流れになっておるのでございまして、定着率の一番高いのが公立大学、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/17
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018・安里積千代
○安里委員 地方自治体において、あるいは県、公立の学校において経費を持ちながら、そこの大学で学ぶ場合においても、他の地域からの者が相当多い、そして定着率というものが非常に少ないということになりますと問題があろうと思いますけれども、大挙の経営そのものよりも、その大学を出てその地域に定着する方が多いということであれば相当の意義があろうか、こう思っております。
そこで、医科大学の問題を申し上げたのでございますが、歯科医師の状況はどんなでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/18
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019・木田宏
○木田政府委員 現在までのところ、四十六年度末の歯科医師の数が三万九千人でございまして、人口十万人に対して三十七人でございます。大体、歯科医師の数は、いままでの流れでございますと、医師数の三分の一、こういうふうに考えておるところでございます。その養成その他は、いま申し上げました三分の一という数字が示しておりますように、現在までのところ医師養成の状況とはかなり違っておりまして、医師養成につきましては、比較的国立もたくさん医学部を持って養成してまいりましたが、歯科医師につきましては、歴史的に見て、私立が主体で発達をしてきた、こういうことが養成面からの特徴として言えようかと考えております。しかし、昭和四十年代から国立につきましても歯学部の設置等をつとめてまいりまして、現在、国立の歯科大学、歯学部が七校であり、公立が一校であり、私立が十五校でございまして、二十三校で二千百八十人の定員をもって歯科医師の養成ということは行なわれておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/19
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020・安里積千代
○安里委員 いま四十六年の数をおっしゃったのでございますけれども、もっと新しいデータはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/20
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021・木田宏
○木田政府委員 歯科医師の届け出数が四十六年末でございました。私いま申し上げました学校数、入学定員の数は、四十八年及び四十九年も同じでございまして、先ほど申し上げました二十三校、二千百八十人の入学定員の数は一番新しい今日の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/21
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022・安里積千代
○安里委員 三十六年で三万九千とお聞きいたしましたが、どうも古いので、もう少し新しいその全体の数というものはどんなものでございましょう。いま学校の数、入学者の数はわかりましたけれども、全体の数はいかがでしょう。
それと、もう一つ、これも医師と同じように、その多い少ないというような、地域によって相当違った点もあろうかと思いますが、それらもおわかりでありましたらお知らせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/22
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023・木田宏
○木田政府委員 三万九千人と申しましたのは四十六年末のデータでございますから、三十六年ではございません。四十六年度末でございます。現在もこれとあまり違いがないかと思っております。
全国的な状況は、先ほど申し上げましたように十万人に対して三十七人でございます。これも地域によりまして多い少ないがございまして、一番高いと思われますものが東京の六十四人という数字から、これまた一番低いと思われますものが沖繩でございまして十一人というばらつきがございます。しかし多くのところは三十、四十という人数になっておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/23
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024・安里積千代
○安里委員 同じ医療関係に立つわけでございますけれども、いま全国的に見て、歯科医師の不足あるいはこれに対する要求というのが相当求められておる、私はこう思うのでございますが、政府とされましては歯学部をなお設けられるというところのお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/24
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025・木田宏
○木田政府委員 四十九年度の予算におきましては、徳島大学に歯学部の創設の準備をするという予算を御審議いただいた次第でございます。医師数の増大に対応いたしまして歯科医師につきましてもやはり若干の増をはかる必要があろうか、こういうことで、文部省に四十八年度設けました医科大学等設置調査会の中に歯科大学の設置調査の部会を設けまして御検討いただき、先ほどのような予算措置をさしていただきました。今後状況を考えながら、またそれから先のことは検討したい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/25
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026・安里積千代
○安里委員 南九州におきます状況というのは相当数が少ない、こう思っておるわけでございます。歯科医師の不足ということが相当前から指摘をされておるところでございます。いま徳島大のお話がございましたけれども、九州地区におきます同じような問題について、政府とされまして考えられたことはないか、またその必要性ということについて調査を進められておるという事態にはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/26
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027・木田宏
○木田政府委員 南九州地区が他の平均から比べましてやや歯科医師の数が少なくなっておる、宮崎で二十八人、鹿児島で二十五人という状況でございますから、平均の三十七人と比べまして若干低くなっているという事情は承知をいたしております。しかし、医師数に比べまして、地域別には大学の有無に関係なく比較的バランスがとれておるというふうに私ども四十七県の状況を見ておる次第でございますが、いま御指摘がありましたように、九州地区には福岡県だけしか歯科大学がございませんので、今後やはり検討すべき地域であるというふうには考えておるのでございます。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、歯科大学の場合には、従来国立の歯学部が歴史的に古いのが二校しかございません。そういう関係から、また私立におきましても、歯科医の養成ということには長い伝統を持っていらっしゃるわけでございますが、歯科の研究教育者の養成という点では必ずしも十分な体制がとれておったと言えない面がございますので、昭和四十年以来国立で五校ほど設置を進めてまいったのでございますが、その教官の整備充足には若干の日時を要しておるのでございまして、歯科大学の大学院の整備、それに基づきます研究者の養成、こういう施策と相まちまして今後のことを考えていかなければならない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/27
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028・安里積千代
○安里委員 大学を設置されることによって、その地域の医師の格差と申しますか、これが大きく影響してくるということは先ほど御説明のあったところでございます。
そこで、先ほどの御指摘の数から申しましても、特殊な事情はあったかもしれませんけれども、医師の数においても、それから歯科医師の場合においても同じでございますけれども、みんな数字的に沖繩が一番低い状況にあるということははっきりしております。これは沖繩の医療関係において非常に大事な問題である、こう考えます。ことに地域的に離れておりまする関係から、本土の中におきます大学で学んだ者が沖繩の地域に戻っていくということはなかなかむずかしい現実の問題があると思うわけであります。としまするならば、公平な医師の数を確保するということのためには、こういった地域的な配慮というものが十分なされて、前から問題になっております琉大に医学部を設置するということは、いまのお話の数字から見ましても、また現実の状態から見ましても、他の地域以上に急がなければならぬ問題じゃないか、私はこう思うわけでございます。この点、もちろん調査の費用も組まれておりますけれども、調査に時を費やすような事態でないんじゃないか、急がなければならぬところの、優先してなさなければならぬ問題だ、こういうふうに思うわけでございます。復帰後の措置として、琉球大学が国立になった、これも大きな施策でございますけれども、大事な医学部というものが考慮されなければ、国立にしたところの意味というものは大半失うのじゃないか、実情に照らしましてそのように思うわけでございますが、当局とされまして、この点特に配慮されておるかどうか、また、設ける方向で積極的にどのように進められておるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/28
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029・木田宏
○木田政府委員 琉球大学の医学部設置問題は復帰以前からの課題でございまして、文部省は、復帰後琉球大学としての整備を担当するようになりましてからも、その課題を引き継いで検討をしておるところでございます。昭和四十八年度におきましては、文部省に医歯科大学等設置に関する調査の一環といたしまして琉球大学の小委員会を設けて検討いたしました。その結果、御指摘がありましたように、すみやかに、早い機会に沖繩県にも医学教育機関を設置することの必要を認めまして、四十九年度はさらに具体的な調査を現地において行なうことが適当であるということになり、四十九年度の予算におきましては、琉球大学に医学部の設置調査経費百七十五万円を計上いたしたところでございます。ただ、いままでの経緯がいろいろございまして、医師数も少のうございますが、また看護婦の数も極度に少のうございますし、地域の人たちの医療に対する体制も、他の府県と違った状態があるわけでございまして、それらを総合的に進めていかなければならない。そのために復帰前から沖繩の琉球大学には保健学部を設けて、その整備をはかっておるのでございまするが、人の問題はなかなか短時日に充足をはかるということが困難な事情等もございますので、いろいろな医療関係者の協力と努力、そして医師のみならず看護婦その他薬剤師等も含めました医療関係職員の養成ということと相まってこの施策を進めていかなければならない、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/29
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030・安里積千代
○安里委員 確かに、ただ医学部を設ければいいという問題ではなくして、これに伴いまするところのいろいろな問題の整備充実ということが相伴わなければならないと思います。けれども、医療、これは直接文部省の管轄でなくても、厚生省の関係とも相伴うのでありまするけれども、復帰後における沖繩の対策として、いろいろな経済面、開発面、相当力は入れておりまするし、極端に申しますと入れ過ぎた点もあろうかと思うのですけれども、目立たないけれども医療問題というものが県民の福祉につながる非常に重大なる問題だと私は思うのです。ややもすれば、はでなことにのみ施策が注がれて、目立たない、じみな点というものがおろそかになるようでございます。これらのすべての、看護婦の養成やその他もあわせまして、これはぜひ早急に、いろいろな隘路はありましょうけれども、実現をせられるように、私は特にお願いというよりは、これは当然の責任として要求しておきたい、こう思います。
そこでもう一つ、琉球大学に医学部を設けるということにつきまして考慮してもらいたいと思うことは——本土以上にこれはあたたかいところでございます。亜熱帯地域でございます。熱帯医学ということがときにいわれまするけれども、暑い地域におきましては暑い地域なりの、あるいは熱帯には熱帯独得のものもあろうかと思います。医学の立場からも、熱帯医学に対する研究、これは欠かすことのできない問題だと私は思います。戦争後、日本にとって失ったもののうちで、あまり目立ちませんけれども、たとえば台湾では、日本の統治時代において亜熱帯地域としてのいろいろな研究が、産業面でも衛生面でも政府の施策として行なわれておったと私は思うのです、熱帯農業、熱帯医学。ところが、台湾を失った今日におきましては、農業面におきましても熱帯農業に対する研究というものを失った。あるいは当時力を注いだそういう学者の方々も、場所を失うことによって、それ以後進んでいないのではないかと思います。同じような意味におきまして、日本においても、南方であるがゆえにやはりそれなりの特殊なものが、学問全体として、医学の立場からも検討すべき問題があるのじゃないか。これは単に地域の医療の問題じゃなくして、学問の上において貢献する大事な点が相当あるのじゃないかと思います。そういうような特殊なことも配慮に置いて琉球大学を考えるということは、日本の大学のうちにおける一つの地域的な特殊性を生かすという点において非常に大事な問題じゃないか。単にもうけさえすればいいというのじゃなくして、熱帯農業であれ、熱帯医学であれ、あるいは海洋問題であれ、こういう特殊な文化にも学問の上にも貢献し得る拠点としてこれを活用する、生かすということが大事じゃないか。そういう点においても医学部の設置については特殊な配慮がなされていいのではないか、こういうように思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/30
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031・藤波孝生
○藤波政府委員 先ほど来大学局長から御答弁申し上げておりますように、沖繩にぜひ医師養成の学部を設けたいということは、復帰以前からの文部省の大きな課題になっておるわけでございます。全国的に医師数の確保をはかると同時に、地域的な偏在を避ける、どういう地域にも国民の需要にこたえる、こういう体制を整えることが大事でありますことは、先ほど来の御答弁で申し上げておるとおりでございます。しかし、医師の養成につきましては、先生御高承のように、やはり教官の確保でありますとか、看護婦の確保でありますとか、りっぱな医師を養成するということもまた教育上責任があるわけでございまして、十分その体制を整えて医学部の新設ということに持っていかなければいかぬということで、いろいろ苦労を重ねてきておるところでございます。しかし、十分調査なども進めてまいっておりますので、先生御指摘のように、一日も早く沖繩に医師養成の学部が生まれますように、さらに文部省といたしまして最善の努力をさせていただきたい、そのように考えております。
同時に、これからはそれぞれの大学が、あるいはそれぞれの大学の中の学部が、新しい学問を築き上げていくという考え方がやはり大事だと思うのでありまして、そういう意味で地域地域がかかえております、気象条件を中心といたしますいろいろな、歴史的な、社会的な条件があるわけで、それらを踏まえて大学が個性を発揮していく、あるいは学部がその地域の特徴を大いに生かした新しい学問のあり方をつくり上げていく、こういう気がまえがやはり大切だと思うわけでございます。そういう意味では、先生の御指摘のように、沖繩には沖繩の特殊ないろいろな条件があるわけでございまして、それらを十分生かして新しい学問の向上に貢献できるようなものを考えていく、そういう方向で文部省としても検討を進めてまいりたい、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/31
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032・安里積千代
○安里委員 日本に海外からいろいろ留学生なども来られます。ことに今後東南アジアに対するいろいろな協力というような面も日本の国策として大事な点があると思います。これは目前の問題でなくして、将来に対する大きな目標、ビジョンであるかもしれませんけれども、私はいつもこう思うことがあります。なるほど、多くの留学生の方々も日本に受け入れておられます。これはもちろん中央が中心になって指導されるところの教官の方々あるいは施設なども整のうておられますので、そのような留学生なども受け入れるに非常に便利な地域であり、また研究、留学されるところの学生にとりましても、東京なら東京のほうがレベルの高いあるいはいろいろ便利な点があろうかと思います。しかし、もう一歩踏み込んで考えますと、こういった留学生の方々は必ず東京で受け入れなければならぬものであろうかというような感じが私はときどきするのであります。
なぜそういうことを申し上げるかといいますと、暑い地域から来られた南東アジアの方々が、寒い東京で勉学される、日本の一番いいところでやられていくのはけっこうでございましょうが、各大学が地方にみんな充実されてきますと、こういう方々の受け入れというものを、農業面でも工業面でも医学面でも、もっと南のほうの、たとえば沖繩の琉球大学がこれを受け入れる、現在の機構あるいは内容というような点で東京のほうが便利がいいかもしれませんけれども、東南アジアその他の方々を受け入れて、同じような亜熱帯地域におきます研究、勉強ができるというようなところまで発展すべきものじゃなかろうか。何でも東京で学ばなければならぬといったような考えじゃなくして、そういったことも配慮して、地方の大学、ことに沖繩という、ある意味において恵まれた国際的な接点にあります地域の大学というものが充実して、ここにいて東南アジアの学生を受け入れるという姿になることがいいのじゃないか。私は、こういうふうな考えも、たいへんしろうと的な考えかもしれませんけれども、観念的に思うのです。そういうふうなことも考慮して大学の充実ということが考えられてしかるべきじゃないか、私はこういうふうに思うのです。これは現実の目前の問題じゃございませんけれども、日本のアジアに置かれておる位置というようなことを考えた場合には、そういった配慮も当局としてはあっていいのじゃないか、こう思いますけれども、一つの意見といたしまして次官のお考えあるいは文部当局のお考えをお聞きしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/32
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033・藤波孝生
○藤波政府委員 全国の大学がそれぞれ個性を発揮をして、いずれも高いレベルの大学に持っていくということが理想でございまして、そういう意味では、どこの大学がレベルが高い、あるいは地方の大学がレベルが低いというふうに従来考えられてまいりました考え方は打破するように努力をしていかなければならぬ、こんなふうに考えておるわけでございます。ただ、いま先生から御指摘のありましたように、それぞれの大学がそれぞれ個性を発揮していくということが、これから多様化した教育体系をつくり上げていき、高等教育拡充への意欲に燃えた青少年を受け入れていくというためにも大事なので、そういう意味で地方の大学をもっと大事に、もっとレベルの高いものに持っていくようにさらに努力をしていきたい、このように考えておるわけでございます。その一環として当然沖繩の大学につきましても十分な配慮をしてまいりたいと思っております。
また留学生の受け入れの問題につきましては、従来も戦後ずっと長い年月の間に留学生問題がいろいろな形で論じられてまいりましたが、東京の大学で受け入れるのがいいと、必ずしもそんなふうに固まっておるわけではありませんけれども、便宜上何かそんな場合が多いように従来なってきておるわけでございます。しかし、これなども、いま私が申し上げましたように、日本のりっぱないい大学が地方にどんどんできる、沖繩にもそういうりっぱな大学がある、こういうふうに考えて、特に留学生が日本に来ていただきます場合に、いま先生のお話にありましたように、国際的に浮かび上がった沖繩という土地、その土地柄あるいは気象条件や社会条件が東南アジアの国々などと非常に近しい感じになるというようなことが一つの特徴として発揮をせられますならば、留学生にとっても非常に学びやすい、いい大学として浮かび上がらせることができるのではあるまいか、こんなふうに考えるわけでございまして、先生の御指導の面など十分配慮させていただきまして、生きた大学、そして留学生の受け入れ体制などももっと、形だけではなしに、真心のこもった、生きたものに持っていくように、そういう意味では沖繩への迎え入れなども十分配慮しながら進ませていただきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/33
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034・安里積千代
○安里委員 どうも沖繩というところが、ある場合において軍事基地の問題だ何だかんだで非常に問題が多いものだから、政府としていつでも荷やっかいのような感じをどこかに持っておられる面もあろうかと思うのですけれども、もっと積極的な観念を持ちますならば、これほど国の発展のためにも役立つところの地域的な条件というものを備えておるところはないと思うのであります。問題がいつでもあるものだから、沖繩というのがいつでもやっかいな問題ばかり起こっておるというようなことでございまするけれども、これはもちろん基地がありまするために、小中学校の問題から校舎の敷地の問題から、いろいろございます。きょうはその問題に触れませんが、いろいろな陳情も参っておりましょう。いろいろなややこしい問題もたくさんあるし、本土にない配慮をしなければならない。校舎の建築であれ、戦災の復興であれ、いろいろな問題がございますけれども、これは私がここで申し上げませんでも、当局は御存じでありまするから私は申し上げませんが、もっと高い立場と申しますか、教育の面から沖繩ということを活用すると言ってはおかしゅうございまするけれども、力を注いでいただく面があるのじゃないか。いまあまりに基地問題何だかんだというものにとらわれまするけれども、教育こそほんとうの意味における平和、ほんとうの意味における国際的に貢献し得る人間をつくる、こういう立場から考えますならば、今日の沖繩の実態というものに対して、大きく教育の面からも配慮すべきじゃないか、こう思っております。
そこで、五十年に開かれまする海洋博の問題でも、私は一つの不満と申しますか、足りない点というものが非常にあると思って前から主張しておりますけれども、なかなか実現をしません。それは、沖繩開発ということの一環として、復帰の記念事業として海洋博が持たれます。非常な力を入れております。破壊に通ずるとかいろいろな問題もございます。私が当初から非常に希望いたしましたのは、「海−その望ましい将来」、こういうようなことでございまするけれども、単に海洋博というものが一つの見せものの行事に終わったのでは意味をなさないので、あとに何が残るのだということをいつも思うのです。あとにはレジャーあるいは観光施設が残るのだ、これはちっとも意味をなさないと思うのです。私は、この機会に、海洋というものをほんとうに生かすというのが海洋博の意義ならば、この記念事業としてあそこに永久的に残る、あるいは世界にもあまりないでありましょう海洋研究所というものを設ける、これは大学の一部としてもよろしいし、独立したものでもよろしい、大学の付属機関の一部としてもけっこうでございますけれども、海洋研究所という学問的な、将来に向かっての世界の海洋学の研究のために、海洋開発のために役立つ機関、これがああってしかるべきじゃなかったか、そうしまするならば、海洋博というのも永久に意義あるところのものになり、国際的にも今後長く貢献し得るものになる、それはまた、日本の持つところの海洋に対する学問の場としてのいい位置を占める、こういうことも言ったのでございまするけれども、なかなかそこまで実現をしておりません。が、将来の問題として、海洋に関する専門的な研究をする、そういったことも大学の場において、教育の場において考えるべきじゃないか、このような気持ちもするわけでございます。いずれもまだ現実に即した問題じゃないかもしれませんけれども、将来、教育の面から見た場合においては、そこまで文教当局が頭を置いて、単なる経済的な、産業的な開発というばかりではなくして、当局とされまして、そういう面でひとつ積極的に働きかけるということが必要じゃないか、私はこういうふうに思うわけでございますが、これに対しましても御意見がありましたらばいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/34
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035・藤波孝生
○藤波政府委員 それぞれの土地の正しい発展をはかる、あるいはそれぞれの土地の住民の真のしあわせをはかってまいりますためには、やはりりっぱな教育がその土地で芽ばえていく、発展していくということが最も大事なことだ、このように考えております。そういう意味で、沖繩の復帰以前から、文部省といたしましては、沖繩県における教育の振興のためには鋭意努力を重ねてきておるところでございます。同時に、その土地のいろいろ教育の形と申しますか、大学の学部なども、それを新設することによって、その地域の特徴を生かしながら、住民の真のしあわせを築いていくという面と非常に関係が深いということも従来よく考えてきておりまして、いま先生から沖繩に海洋を中心とする学部あるいは研究所といったものを置くことを考えたらどうかという御指摘を初めて伺ったわけでございますが、今後の一つの構想といたしまして、文部省としても十分検討させていただきたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/35
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036・安里積千代
○安里委員 私、いまこのことを申し上げるのは、海洋博の起こります発端となったものだと思っておりますが、ある大学の先生が、学者的な良心的な立場から御調査なさいまして、そもそもの発端はこの海洋に対する研究、最もすぐれた位置ということがスタートになった。これにいろいろなものが加わりましてあのような大きなことになっておると私は見ておりますけれども、その学者の先生が私に一番初めにおっしゃったことがこの海洋研究所ということでございました。学者の良心的な見識といたしまして私は非常に敬服いたしたのでございます。いまのうちに考えませんと、いまのような沖繩の乱開発のような状況になりますと、もはやこういった文化的、研究的な施設をするという公的な場所も失われていくというような感じもいたします。現在の立場でありますならば、私はいまでも私自身の心の中に、この地域なら、この場所ならという考えを持っております。問題は、直ちにお医者をふやすために大学をつくるという問題とはつながらぬかもしれませんけれども、目の前の利害、目の前の要求という問題ではなくして、もっと高い立場からこういった問題について御配慮を願い、また政策的に考えていただきたい、こう思います。
そこで、先ほど医大の増設に伴うところの看護婦の云々、確かにそうだと思います。看護婦不足ということがたいへん大きな問題であり、医師の数だけふやしましても、これが伴わないならば十分なる医療対策にもなってこない、こう思っております。そこで、政府とされましても、看護婦の養成につきまして、施設の整理なんということもお考えだと思いますけれども、現在、看護婦養成に対します基本的な考えあるいは施設、これに対して当局としてどういう手を打っておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/36
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037・木田宏
○木田政府委員 日本全体の問題についてのお尋ねかと考えるのでございますが、現在、看護婦の養成につきましては、正規の学校教育、高等学校あるいは大学、短期大学等で養成をしておりますものと、それからいわゆる各種学校として養成をしておりますものと二通りの種類がございます。各種学校の中には、大学あるいは大学病院との関連で文部省の所管しております各種学校と、それから直接厚生省が知事を通じて指導しております各種学校とがあるわけでございますが、今日までのところ、看護婦の養成は主としてこの正規の学校教育以外の看護婦養成学校としての養成課程が七、八割あるいはもう少し多くを占めてまいりまして、最近これらを学校教育の課程の中で考えるべきであるという意向も強まってまいりましたので、約十数年間になるかと思いますけれども、高等学校に看護課程を設置をいたしまして、今日それが百十数校を数えるところまで高まってまいりまして、約六千人の入学定員をもって准看護婦の養成を高等学校レベルで行なっております。さらに、看護婦のための短期大学等を設けるべきであるという機運も高まってきておりまして、国立大学におきましても、この国会に御提案申し上げておりますように、新潟と信州大学には医療技術短期大学部という短期大学をお願いを申し上げておる次第でござます。
いずれにいたしましても、今後、看護婦のみならず、エックス線技師その他パラメディカルのスタッフの養成という点を学校教育の課題の中で取り組みたいというふうにも考えております。また特に、先ほども触れたことでございますが、沖繩につきましては、琉球大学に復帰以前から看護学部というのが設けられまして、パラメディカルのスタッフの養成に意を尽くしておられるのでございます。地域の問題といたしましては、国立大学で初めての保健学部でございますが、これを整備するようにしてまいりたいというふうに考えますし、これは将来の琉大の医学部とのあり方でも大事に考えていくべき種であるというふうに思っております。
また、四十九年度は、この正規の看護課程を大学レベルで維持いたしますための教育研究者の養成ということを、ややおそまきではありますけれども、国立大学でも考えたいというふうに思いまして、千葉大学に看護学部の創設準備の調査費を計上させていただいておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/37
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038・安里積千代
○安里委員 東京大学の医学部の附属看護学校の施設整備のために、四十八年度の予算で改築と申しますか施設をつくられたわけでございますが、今度の物価高、石油ショック以後のいろいろな物資の値上がりで、とうてい当初の予定されておったような施設というものができない状況にあるというふうに承っておりますが、これはどういう状況になっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/38
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039・菅野誠
○菅野説明員 施設部長でございます。
東大の医学部の附属看護学校、助産婦学校校舎の新築工事の現況並びに今後の工事遅延及び資材高騰に対する対策という御質問でございます。
まず進捗状況でございますが、これは御案内のとおりの物価高騰による資材入手難等の理由によりまして、年度内の完成が非常にむずかしくなっております。それで、財政法四十三条によりますところの明許繰り越しの手続をいたしまして、工期を四十九年六月十五日までに延期をいたしておるわけでございます。
なお、この物価高騰による影響につきましては、ただいまも関連して申し上げましたように、また先生御指摘のように、この建物は四十八年の後期に着工しておるものですから、物価高の実情を勘案いたしまして、当初予定単価の一一%増では配当したのでございますが、さらにその後の物価上昇がなお著しいものがありましたので、やむを得ず工事の一部を取りやめまして、実勢単価による契約をいたしております。これらの取りやめた工事につきましては、この建物の完成が四十九年度に繰り越されるものでありますので、四十九年度の予算におきまして、その取りやめた工事につきましてもさらに追加発注をいたしまして、所期のとおりの工事を完成させたい、かような気持ちで工事を促進進行させておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/39
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040・安里積千代
○安里委員 一応四十八年度の予算内容でできないので、繰り越したことは当然でございましょうが、工事の一部取りやめを行なった、その取りやめたのに対しては、四十九年度において当初の予定どおり追加されて、それらのものは四十九年度中には完成する、こういうふうに承ってよろしゅうございますか。
ついでに、四十九年度において、前に取りやめたところの工事に対して当初の予定どおり完成するというところの金額、予算はどの程度でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/40
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041・菅野誠
○菅野説明員 ただいまの工事を取りやめた内容並びにそれを執行するとすればどのくらいの予算額になるであろうかという御質問でございますが、取りやめた工事のおもなものは、御案内のように、最近ビニール系統のものが非常に入手難であり、また単価が高騰しておるという状況もありまして、工事の進捗状況とも関連いたしまして、大体において、仕上げ工事の一部を取りやめて四十九年度に追加工事をいたすというつもりでございます。
現在のところ、取りやめた工事のおもなものは、外装のタイルでありますとか、床、天井の一部、屋根防水、照明器具の一部、揚水設備、ラジエーターの一部というようなものがございます。
この予算単価、積算で幾らになるかという御質問でございますが、この一部の資材につきまして、まだ物価が必ずしも安定していない状況もございますので、詳しく積算いたしますことにつきましては、なお東大の施設部とも相談いたすことにいたしておりますが、概算で約四千万円と私どもは承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/41
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042・安里積千代
○安里委員 これは十分配慮されておられると思いますけれども、私が受けましたところの、学んでおる人々からの申し分によりますと、資材が上がったために、四十八年度契約するにいたしましても、結局必要な施設というものを削除しての契約、その取りやめたのが内装、床や壁、天井の塗装も行なわない、防音のための二重窓をする予定のものもやらない、トイレ、階段にもタイルを張らず未完成のまま、暖房は配管のみで放熱器も一部だけ、その他諸設備についても、現在使用しているもの、最低限のものとするなど、不十分なままに処理されようとしておる、だから現在校舎の隣にある動物実験棟よりもずっとひどい倉庫のような新校舎ができる状況だというような趣旨のことが述べられておりまして、これでは大学の中におきまする看護学校あるいは助産婦学校といたしまして、たいへんなところで教育が行なわれておるものだという感じを受けたわけでございまするけれども、いまの御答弁で、これらのものを、これは物価高からきた結果でございまするので、二、三千万円かけても四千万円かけても当初の計画どおりこれは完成するということの御答弁でございましたし、現在の状況は経済状況から来ておることでございますので、別に当局が怠ったわけじゃなくして、そういう特殊な事情だということで私は理解をいたします。
大学を幾らつくりましても、大事な看護婦の養成というものがまま子扱いと申しますか、十分なる施設も設けられないということであったのでは、たいへんまずいことだと思います。物価高の影響にはいろいろなものがありましょうけれども、これは教育の場における大事な問題といたしまして、ことに医療関係における看護婦の養成といたしまして大事なあれだと思いますので、最後までぜひ予定どおり完成をさせていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。
私の質問は以上で終わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/42
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043・稻葉修
○稻葉委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
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午後四時五十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/43
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044・稻葉修
○稻葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。有島重武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/44
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045・有島重武
○有島委員 国立学校設置法の一部改正法律案審議に、一番最初に医学の問題を少し伺ってまいりたいと思います。
最初に、国立学校におきます医学部、歯学部の教官の定員、それから実際にはどのくらいになっておるか、その実員といいますか、及び不足状況、全国にわたって御報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/45
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046・木田宏
○木田政府委員 国立大学の医学部、歯学部におきます教官の充足状況でございますが、最近の抽出調査の結果によりますと、医学部につきましては、定員総数に対する現員の充足率が九〇%、これは抽出した四大学でございますが、九〇%でございます。歯の学部につきましては、三大学で抽出調査をいたしましたが、その充足率は九一%でございます。
専攻分野によりまして欠員の状況は違うようでございますが、基礎系の教員につきましては欠員の多いものがございます。昭和四十七年度で調べた数字でございますと、欠員率が全体で四・六%になっておるわけでございますが、法医学では一五%、解剖学では一二%というように、専門分野によりまして若干欠員の高いのが目立つところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/46
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047・有島重武
○有島委員 全国にわたっての正確な数字はわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/47
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048・木田宏
○木田政府委員 全国でとりましたものは基礎系についてでございますが、昭和四十七年現在で基礎系の欠員率が四・六%でございます。先ほど法医、解剖と申し上げましたのも、基礎系についての四十七年度の全国調査の結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/48
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049・有島重武
○有島委員 私、伺っておりますのは、定員が全国で何名になるのか、現在は何名になるのか、欠員は何名になるのか、そういうことを伺っていたわけであります。このことについては、いまわかっていらっしゃらないらしい。四十七年度のパーセンテージだけしかわからない。しかも、その基礎系しかわからない。あとのことは、調べて資料としていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/49
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050・木田宏
○木田政府委員 臨床につきましては、いま手元に資料がございませんので、あとで調べてお答え申します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/50
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051・有島重武
○有島委員 あとでというのは、もうきょうじゅうぐらいに手に入るのですか。それとも少し時間がかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/51
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052・木田宏
○木田政府委員 ちょっとしばらく、臨床の状況につきましては時間をかしていただきたいと思いますが、きょうじゅうには間に合うかどうか、私、ちょっと心もとない点がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/52
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053・有島重武
○有島委員 文部大臣、こういうありさまであります。新しい大学をおつくりになる、けっこうなことだと思います。現状はどうであるか。現状はすでに教員の数が非常に足りない。足りておらぬ。こうした状況の中で新しい大学をどんどんおつくりになる。これは一種の水増しみたいになるのじゃないですか。大臣、どうお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/53
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054・奥野誠亮
○奥野国務大臣 欠員の皆無であることが望ましいことは言うまでもないわけでございます。ただ、基礎系について四・六%という欠員状況でございますけれども、国立大学各学部、やはり五%程度の欠員はあるのだそうでございます。望ましい後継者ということでなかなか苦労しておられると思うのでございますが、その間は他の講師等で代用されているのじゃないかと思います。国立に関します限りは、特に医学部が大量の欠員を出しているということではないようでございます。しかし、いずれにしましても、そのことは好ましいことではございませんので、できる限り欠員のないように私たちとしても努力を続けていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/54
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055・有島重武
○有島委員 欠員のないように努力を重ねてまいりますとおっしゃった。それから、これは好ましいことじゃないということをおっしゃった。では現在、昭和四十八年度においてどのくらい欠員があって、欠員があるということは、すでに医学教育に関しての教授、助教授、講師、そうした人材の絶対数が足りないということをあらわしているのじゃないですか。そこに持っていってまた新しい大学をつくっていこう、そういうことになるわけですね。それでは、そういうことについて、全国的にはどういう状況になっておるのか、そういうことがきちんと把握されているならばまだ話はわかる。把握されてないのですよ。私は数日前から文部省にお願いして、その実情を教えてくださいと言ったのだけれども、文部省でわかっていないのです。わかっているならばきょうも電話でも何でも教えていただけるはずでございますけれども、わかってもいない。そうして努力しておりますと大臣がおっしゃっても、それはちょっとそのとおり受けられないじゃないですか。このことはやはり文部省の失政といいますか、あるいは大臣がほんとうにいい大学を、医学大学をつくっていくということの熱意はおありになるかもしれないけれども、それがから回りしてらっしゃる、そういうことになるのじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/55
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056・奥野誠亮
○奥野国務大臣 今回医科大学を御提案申し上げていることに関連して御心配いただいているのだ、こう思うわけでございます。そういう意味合いでお答えをさしていただいたわけでございまして、大学全体について五%くらいの欠員がある、私たちは医学部あるいは医科大学をつくります場合に、基礎系の教官が不足している、こう申し上げてまいってきているわけでございます。また現実に、四十七年度の数字でございますけれども、五%近い欠員を持っているわけでございます。いずれにいたしましても、大学をつくりますときには、教授陣営の顔ぶれをそろえまして、国立大学でありましても、大学設置審議会に報告をいたしまして御協議をいただくという態度をとっているわけでございます。したがいまして、また、そろわないのに大学をつくるということはないわけでございまして、それなりに一応教授陣営はそろえているわけでございます。今後も新しいスタッフが毎年毎年出てくるわけでございますので、もちろんそういう員数と見合って大学の設置を進めていかなければならない、こう考えておるわけでございます。国会に御提案します場合には、そういうスタッフを予定して御提案申し上げておることも御了解を賜わっておきたい、かように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/56
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057・有島重武
○有島委員 いま言われましたのは、医科大学の設置に伴う年次計画について、四十七年の五月三十一日、この教員組織については進学課程の教員は開設時に全員就任していることを要する、それから専門課程の教員については、各講座の教授は開設時に就任していることを要する、その他の教員についてはおそくとも、第三年次の始まるまでに就任することを要する、こういうことでございますね。これは実は改正になったのが昭和四十七年五月三十一日で、こうした設置の審議基準ができたのは四十三年九月であった。それが一ぺん四十四年の五月に改正されて、それで四十七年にそうなった。いま大臣がおっしゃったのも、今度の大学については、出発当時からきちんとそろっていなければいけない、おそらく当然していらっしゃるでしょう。いま問題にしておりますのは、従来の医学部、歯学部、そういうところに欠員が大体どのくらいあるのか、これをどう処置していったらいいのか、そういうことについての数字すら正確に把握しておらぬということは、これは文部省としての失態ではないですか、そう言っているのです。それでいいとおっしゃるのですか。大臣に伺っているのです。それでいいと言い張りになるのか、それはまずいことだ、さっそく調べますとおっしゃるのか、その辺を聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/57
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058・奥野誠亮
○奥野国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、既存の大学の教授の欠員状況が、正確に申し上げますと五・五%になっているのだそうでございます。教授会にゆだねているわけでございますけれども、私は、この欠員状況はよくない、こう思います。しかし教授会としては、適材を確保したいために、若干欠員を生じてもまたよい人を得るために時を待つのだ、こういう気持ちであられるのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。医学部の場合に教官の不足しているのは基礎医学の先生でございまして、臨床のほうは基礎医学ほどは得にくくはない。そんなに欠員はない。その基礎医学のほうが四・六%になっているようでございます。
御提案申し上げております浜松、宮崎につきましては、教授陣営は全部そろえまして御提案させていただいているわけでございます。同時にまた、こういう状況でもございますので、今後大学をつくるにあたりましては二年計画で進めていこうというようなことでございまして、今回、創設準備費をつけた大学につきましても、準備整った段階で二年後に学生を迎え入れられるようにしたい、こういうことでございます。これらの点は、有島さんが御心配になっていただいていることを私たちも心配をして、そういうことの生じないように充実させた上で大学を発足させる見通しを得なければ発足させない、こういう考え方に立っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/58
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059・有島重武
○有島委員 私の伺っているのは——今後の新しい学校のことは、いま一生懸命やっていらっしゃることは私は聞いております。従来の、その定員が不足になっておる。それは定員不足にもいろいろな事情があります。ありますけれども、詰めていけば結局、人材が足りないということですよ。人材の絶対数が現在足りないのだということについて深刻な認識をお持ちになるべきだ。そしてそれはいま大ざっぱに、基礎だけだ、五・五%だけだとおっしゃったけれども、ほんとうにそうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/59
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060・奥野誠亮
○奥野国務大臣 文部省では月報はとっているのだそうですけれども、こまかい専門学科別の報告はとっていないものですから、いますぐ御返事できないということのようでございます。五・五%、これは四十八年十二月の数字だそうでございます。同時にまた、欠員がある半面にオーバードクターの問題もあるわけでございます。委員会でもたびたび御議論になっておりますから御承知いただいていると思います。だから絶対数が不足じゃなくて、各大学の教授会がぜひこういう人をほしいと思う教授が不足しているのだということであることも御理解いただきたいと思うのでございます。量的に不足しているのではなくて、質的に、各大学がぜひこの人と——やはりいい人はどこも放さない。物色もされているんだろうと思うのです。私も人事の経験がございますが、そう右から左へ回せばいいというわけのものじゃございません。やはり責任を持って大学を運営しようとしますと、いい人をあちこちから集めたい。いい人は各研究所にしましてもその他のところにしましても放しにくいというようなこともあるのだろう。これは理解してあげなければならないんじゃないだろうか、こう思います。しかしいま御指摘いただいたので、今後欠員の問題につきましては、各大学が補充につとめて、スタッフをあいたままにしないように注意を一そう喚起していきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/60
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061・有島重武
○有島委員 本法案について、最初に医科大学の問題が出ておりますので、私は現状認識として、全国の定員そして欠員、現在数、そういったことを聞いたわけでございますけれども、そういった基礎的な数字についての認識なしでもって、ただパーセンテージや何かでもって言われるということは、私は非常に不本意に思います。
これは委員長にお願い申し上げますけれども、この資料を文部省のほうから正確なものを出さしていただくようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/61
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062・稻葉修
○稻葉委員長 質問者の御要求はごもっともでございますから、文部省はなるべくすみやかに調べて、正確な数字を出すことを委員長からも要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/62
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063・有島重武
○有島委員 私の手元には、これは限られた調査力でございますので、全般的なことはわかりませんけれども、たとえば広島大学の歯学部の場合ですと、歯学部の学部開設は昭和四十年ですから、もう八年過ぎているわけであります。八年過ぎているにかかわらず、教授が二名、助教授が六名欠員という報告があります。この点については、大学局長、間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/63
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064・木田宏
○木田政府委員 広島大学の歯学部につきましては、御指摘のように教授二、助教授六の欠員がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/64
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065・有島重武
○有島委員 ここにいただいた資料の中では、口腔解剖学、歯科保存学、口腔外科学、歯科矯正学、こうあります。この口腔外科学で助教授が一名、教授が一名足りないということになっておる。それから歯科矯正学では助教授が一名足りないということになっておる。これは基礎なんですか、それとも現場にすぐ必要な学問であるか、どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/65
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066・木田宏
○木田政府委員 口腔外科は臨床でございます。口腔外科の第二講座は教援、助教授ともまだ埋まっておりませんが、これは四十八年度に設置した講座でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/66
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067・有島重武
○有島委員 文部大臣、こういうわけです。それからまだある。これは文部省から幾つかサンプルとおっしゃったものを伺って、調べたわけです。ところが、これは昭和四十八年五月一日の資料ですが、この私たちの調べによりますと、広島大学の歯学部ではさらに助教授三、ですから合計十一名ですな。そういう実態がある。これはどういうことになりますか。木田さんにもう一ぺん伺いましょう。
もう一つは、この資料の中にはいま言った口腔外科学のほかに口腔解剖学、これは基礎です。ここでもって助教授が二名、それから歯科保存学、ここでもって助教授一名、教授一名、あわせて先ほど言った口腔外科学の助教授二名、教授一名、それから歯科矯正学、助教授一名。八名ということに御報告いただきましたけれども、私どもの四十八年の十月の調べによりますと、助教授があと三名欠落している。歯科薬理学一名、それから歯科補綴学と口腔外科学第二のほうでは、教授が一名欠落しておる。こういった事実は御存じの上でもって私どもに五月の資料をいただいたのですか。広島大学は十一名欠なんですよ、四十八年十月で。御存じなんですか。御存じないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/67
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068・木田宏
○木田政府委員 先ほど御指摘になりましたのは昨年四十八年の五月現在の姿でございまして、教授、助教授につきましては、先ほど御指摘がございましたように、教授二、助教授六名の欠になっておる次第でございます。これはそれぞれの講座につきまして教官の一人一人を当たって確認した数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/68
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069・有島重武
○有島委員 御存じだったのか、それとも御存じないのか、十月時点のいまの私が申し上げたことを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/69
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070・木田宏
○木田政府委員 知っていたか知っていないかということの意味が正確に理解してないかもしれませんが、広島大学を調べました実情について御説明を申し上げたつもりでございまして、十月の時点で知っていたかどうかというお尋ねの意味がよくわかりません。五月一日現在の実情を調べて、お答えさせていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/70
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071・有島重武
○有島委員 十月の時点で知っていたかというのではなくて、いただいた広島大学八名の欠ということではなしに、現在では十一名になっているのですよ。そういうことを御承知なのかどうかというのです。御存じないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/71
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072・木田宏
○木田政府委員 私どもは八名の欠という状況だけ知っておるわけでございまして、今日の状況については承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/72
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073・有島重武
○有島委員 文部大臣、こういうわけです。どうお思いになりますか。ちょっと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/73
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074・奥野誠亮
○奥野国務大臣 文部省が報告を求めて統計数字を作成する、それはおそらく五月一日現在になっているのではないかと思うのでございまして、そういう意味でこまかい数字につきましてはそうなっておるものでございますので、五月一日現在で有島先生に御報告したのではないか、こう思うわけでございます。
先ほど申し上げましたように、医学部、歯学部の教官、特に基礎系の教官が得にくいということはそのとおりでございます。ただ、欠員の状況ということになってまいりますと、時期によってかなり違うのではないだろうかという感じがいたします。いま口腔外科のことをお話しになりましたが、四十八年度で初めて設けた講座であって、それが埋まっていない現状にあるようでございます。せっかく予算もついたことでございますので、できるだけ早くそういうものを埋めてもらわなければならぬなと、お話を伺いながら感じておったところでございます。ただ、いずれにいたしましても、教官が確保できないのに国立大学だけ発足させるということはあり得ませんので、そこはぜひ御信頼をいただきたいものだ、かように考えます。一般的な傾向は有島先生御指摘のとおりだと私たちも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/74
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075・有島重武
○有島委員 広島大学の場合にはもうすでに八年経過しているのに、なおこういうことがあるわけです。こういうことと申しますのは、八名の欠員があり、そして文部省が御存じない間に、さらに三名の欠員もあるわけです。だんだん充足していこうと努力していらっしゃるとおっしゃるけれども、現実にはこういうことが起こっておる。それだから、こういうことを御存じなしに先のことを進めていくということは、これは水増しになるおそれがあるのではないかと心配しているわけなんです。
それから、さっきこまかい数字はとおっしゃいました。こまかい数字、一とか二とか三とか、こまかいかもしれないけれども、それは教授であり助教授であるのですよ。さっき大臣は、人材が不足なわけではない、お医者さんはたくさんいる、だけれども、ほんとうに教授になってもらいたい、助教授に来てもらいたいという人物が足りない、こうおっしゃった。いま言っておるのは八とか十一とか、大臣にとってはこまかい数字かもしれませんが、それはそういう大切な人の人数なんですよ。こまかい数字のことはなんということは大臣間違いじゃないですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/75
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076・奥野誠亮
○奥野国務大臣 私がこまかいと言いましたのは、月報として大学から充足状況は報告を得ているわけでございます。それを細分化した数字になってまいりますと、五月一日現在で報告を求めて、それで統計資料を作成するのではないかと思います、こう申し上げているわけでございます。こまかいというのは、学部単位ではなくて、口腔外科の講座の充足状況をいま御指摘になっているわけでございます。そういう講座単位とかいうことになってまいりますと、一年に一定の時期に報告を求めて統計を作成するということではなかろうか、こう申し上げたわけでございます。こまかいというのはあくまでも小分類で申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/76
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077・有島重武
○有島委員 木田さんに伺います。
東北大学の医学部では、教授一、それから助教授四、計五の欠となって御報告いただいておりますけれども、これは医学部についてです。歯学部のほうはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/77
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078・木田宏
○木田政府委員 先ほど東北大学の医学部について欠員の状況を御指摘がございましたが、教授一、それから講師が四欠けております。
歯学部につきましては、東北大学の歯学部のデータをいま手元に持っておりませんので、後刻調べまして御返事を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/78
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079・有島重武
○有島委員 ここに文部省からいただいた資料を見ますと、「国立大学医・歯学部の講座別・職名別欠員調」とあって、それで東北大学が出ているわけですね。ここにも医学部と書いてあるけれども、歯学部のほうが抜けているわけです。御存じなかったら言ってもいいですが、東北大学におきましても、教授が二、それから助教授三が欠です。さっき私が助教授四欠というのは間違いで、講師四の欠でございました。東北大学の歯学部におきましては、教授二、それから助教授三、こうした欠員が出ておる。これは四十八年の十月の調べです。
さらに、国立大学の医学部についても同じことが言えるわけでありますけれども、千葉大学で八名、信州大学が八名、山口大学が六名。それから歯学部については、北海道大学が九名、新潟大学が十一名、大阪大学が二名、九州大学五名、間違いありませんね。そちらからいただいたデータのもあるし、そうでないのもあるし、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/79
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080・木田宏
○木田政府委員 私どもが抽出いたしましたもの以外の御指摘がございますので、その先生の御指摘になったお調べも間違いなかろうかと思いますが、私ども自身でいま確認できてない数字が若干含まれておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/80
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081・有島重武
○有島委員 こうしたことはたいへん遺憾なことであります。こうした欠員の状況が慢性的にあるということについて、これは一体どういうわけであるか、どうしたらいいのか、大臣どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/81
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082・奥野誠亮
○奥野国務大臣 大学の教授が後継者を選ぶ、このあり方が大学紛争の一つの問題点にもなっておったわけでございまして、同時にまた、教授あるいは教授会が責任をもってりっぱな後継者をつくりたいと考えられることは当然のことだと思います。その実態を誇っておられる大学ほど後継者選びには真剣になっておられて、その結果は若干欠員率が高いという姿を示しがちではなかろうか、こう私は思うわけでございます。同時に、医学部、歯学部につきましては、最近かなり多くの関係大学をつくってまいりましただけに、一そう人材を得がたくなっているのじゃないかと思います。しかし、この率があまりに大きくなりますことは教育に支障を来たすことにもなるわけでございますので、やはり大学当局に対しまして注意を喚起したほうがいいなという気持ちを、いまお話を伺いながらそういう感じを深めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/82
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083・有島重武
○有島委員 ちょっとまだ御認識が薄いというか、私は非常に残念に思うのですけれども、これは普通にいま分析されていることかと思います。私もここに持っているのですけれども、まず、私立大学のほうへ流れていく人材の方が相当多いということ、これは一つ考えなければならないことです。どうしてそうなるのか。
それから、特に基礎医学部門の教育研究費、こういったものが十分でなくなっているのじゃないかということです。それで、教官の待遇改善、このことをやはりこの際真剣に考えなくてはいけないのじゃないだろうか。大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/83
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084・奥野誠亮
○奥野国務大臣 国立大学の内容を充実する必要が大いにあろう、これはもう当然のことだと思います。ただ、御指摘になりましたように、国立大学の処遇が悪いから民間へ流れていくという傾向は私はないのじゃないだろうか、こう思います。やはりよい人を教授として任用していきたい、そのことが欠員をかなり出すような姿にさせているのじゃないだろうか、こう考えるわけでございます。その気持ちはとうといわけでございますけれども、その結果スタッフを欠いてきて、教育に支障が起こるということになりますと、これはまた問題でございますので、私は、御注意をいただいた機会に注意を喚起したい、こう申し上げさせていただいたわけでございます。しかし、同時に設備を充実させましたりあるいは教官の処遇を引き上げていったりすることは、これはもう大切なことでございますので、今後といえどもそういう点については最善を尽くしていきたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/84
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085・有島重武
○有島委員 人事院来ていらっしゃいますか。——伺っておきましょう。
国立病院の医療職とそれから大学病院の医療職とは本俸においても違いがあるのだというふうに聞いていますけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/85
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086・長橋進
○長橋説明員 お答えいたします。国立病院に勤務する医師につきましては医療職俸給表(一)が適用されておりまして、それから大学の教官につきましては教育職俸給表(一)が適用されております。これはもう御案内のとおりでございます。基本給におきましては若干の差がございますけれども、ほぼ似たような額でございますが、医療職俸給表(一)の適用を受けております国立病院の先生方につきましては、官民の給与格差が最近著しいということもございまして、かなり高い額の初任給調整手当、それを長期間にわたって支給しております。そういう関係もございまして、国立病院に勤務する医療職俸給表(一)の適用を受ける医師と教育職俸給表(一)の適用を受ける大学の教官との間におきましては、かなりの給与格差を生じておるということは御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/86
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087・有島重武
○有島委員 大臣、こうしたことで国立病院のほうに行きたがるという傾向もあるわけなんです。本俸がまず違う。その上に、国立病院の医師のほうは、手当につきましても、人事院のほうからいただいた資料によりますと、大体五万円から十一万円の手当がつくわけなんです。国立病院のほうはこうした手当がつく。これは地域的な手当でありまして、これは非常にもっともであろうかと私は思うのですけれども、欠員教官が国立大学にも年々増加していく傾向にある。大学病院の医師と国立病院の医師ではこんなに格差がどんどんついておる。それで、まあ、ただ後継者を選ぶのに非常に気むずかしくて時間がかかっておるのであろうとか、そんなことでは済まされない問題もあるわけです。実はお医者さんにまかせておけばいいほうの話と、それから今度は文部行政としてもっと考えなければならない問題と二つあるのじゃないですか。文部行政におけるこの医学部の問題ということを、特にこの教官の質的向上とともに、給与の改善ということについても、あるいは手当の改善、研究費の改善、こういったことについて、これは本気でもって検討していかなければ、将来たいへんなことになるのじゃないだろうか。どうですか。大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/87
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088・奥野誠亮
○奥野国務大臣 先ほど来私が御答弁申し上げましたときに、欠員の問題は、大学の各学部を通ずる全体の問題でお話しを申し上げたり、あるいは医学部、歯学部に限っての問題としてお話しを申し上げたりしているものですから、お互いの間に若干意思の疎通を欠いている面があるように思っておるところでございます。医学部、歯学部の問題につきましては、かなり基礎系の先生方が得にくい、同時にまた、処遇の問題につきましても、一般の開業医等との関係におきまして非常に大きな段差があったりするわけでございます。そういういろいろな事情がございますので、文部省といたしましても、人事院当局に対しまして、医師免許状を持っておられる先生方は、臨床系、基礎系を問わず、特別な処遇を考えてくださいとお願いをしておるところでございます。いずれ、人事院当局でもこの実態は御認識いただいておるわけでございますので、適切な勧告をいただけるものと期待をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/88
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089・有島重武
○有島委員 大臣、こういったことを御存じかどうか。大学病院の場合、大学病院の先生方というのは教育もする、研究もする。クリニックにも出る、臨床にも出るわけですね。そしてスケジュールのこなし方というのは、考えないと相当お忙しいわけです。ところが、最近ではお医者さんが足りないから、早くお医者さんをつくれということは、全部臨床医というふうに世間では思っています。文部大臣までがそう思っちゃ困るわけだ。さっき基礎医学の問題がございました。新しい人材を育てていく、助教授になり、教授になっていく人材を育てていく、そのことは、気むずかしい人選をしておるからおくれておるのだということじゃないのです。基礎医学のほうが軽視されており、臨床のほうにむしろみんな回っていってしまう、そういった傾向が大学病院の中に、大学の中に一般化している。そういったことに着目しなければならないと思うのですよ。御承知あるかどうか。
それからもう一つ、大学病院にどうしても入れてくれという人はかなり重症患者なんです。いろいろな患者がいらっしゃいますよ。これはどこの病院でもよくわからないから大学病院に頼みましょうという、ほんとうの重症患者が大体三〇%ぐらい、大学病院の中では。ほかの病院とまたコンディションが違うわけだ。そういうこともあるのですよ。
それから、これは大臣御存じでしょう。昔の門下生であったあるいは同じ教室であったという、そうした縁故のつながりのようなところから、町の開業医のほうからもしょっちゅう問い合わせがくるわけです。それは望ましいことであると思うのですね。それからさっき安里委員からの御質問の中でも木田大学局長が答えていらっしゃいましたけれども、地方の大学の卒業生がその地方に定着していく、その際に、一つの要件としては、自分が卒業した大学にしょっちゅう問い合わせもできるし、また自分の再教育もすることができるというような便宜、そういうことが非常に大きく働いて、それで各地方にもやや医師というものが定着していくという、これはたいへんいいことだと思うのですよ。それを裏から考えますと、それは大学の先生のほうがたいへんなんですよ。そういうようなことをやっている医学部というものは、ほかの学部とはだいぶわけが違うじゃないですか。違うコンディションのもとにあるのじゃないですか。法学部でも経済学部でも、一ぺん就職した人たちからどんどん問い合わせにくるようなことがあればたいへんめでたいけれども、あまりそういうことはないでしょう。それからその大学の先生が企業の診断にいかなければならない、法律の問題も解決しなければならない、そういったことも少ないでしょう。もっぱら教育と研究に打ち込むことができるわけですよ。ところが医学部の場合には、そうではない、いろいろなむずかしい条件が重なっておる。しかも文部大臣おっしゃったように、国立の厚生省関係の病院というものは、町の開業医のほうの診療値段というものですか、そういうものにどんどん引っぱり上げられていく傾向がある。大学のほうは、教職というところにその俸給を縛りつけられる方向にある。そういう中にあって、文部省としても四十九年度予算の中に十五億五千万ほどのこうした予算をおつけになっていることを聞いています。それをどういうふうにしていらっしゃるか。その前に、大臣、こういった医学部ということについての基礎的な認識が、正直に言ってやや欠けていたのじゃないかと御反省いただけますか。いや、私はよくわかっているんだ、そう言われると先がとても困るわけです。その調子で押しまくられると、またおかしくなるのじゃないかと心配なんですけれども、やや認識が欠けておったのじゃないか、さらに勉強していただきたいという意味で私は言うのですけれども、大臣いかがですか。どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/89
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090・奥野誠亮
○奥野国務大臣 たいへん浅学非才でございますので、いろいろお教えをいただきながら努力をしていきたいと思います。医科大学の問題につきましては、私は、年来、都道府県立の医科大学を持ちたいな、たくさんのものが国立移管になって残念なことだな、今後も府県立の医科大学をつくってくれればいいがなあと、こういう気持ちを非常に強く持っている人間でございます。理由はもう申し上げません。
同時にまた、いま処遇のことで話が出ましたように、医師免許状を持っておられる先生方については、臨床系を問わず基礎系を問わず、処遇の改善を人事院当局にお願いしているのです、こう申し上げましたことは、同じ病院に働きましても、厚生省所管の国立病院の場合と大学附属病院の場合と違った姿が出てきているわけでございます。特にまた開業医との問題もあるわけでございまして、そういうことから、ぜひ特に処遇の改善を医師免許状を持っておられる方々については早く実現をしたいな、こう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/90
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091・有島重武
○有島委員 具体的に言いまして、当面大体五万円から十万円くらいの手当の加算ということがしかるべきじゃないかと私は思いますけれども、いかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/91
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092・奥野誠亮
○奥野国務大臣 ぜひそういうふうに持っていきたいものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/92
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093・有島重武
○有島委員 人事院のほうではこの俸給の改善のことを考えていらっしゃるらしいですけれども、この勧告はいつごろお出しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/93
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094・長橋進
○長橋説明員 医系教官等の要員確保がなかなかむずかしい事情にあるということもわれわれも承知しておりまして、文部省はじめ関係者の方々からその給与上の給遇の改善につきまして強い御意見、御要望を承っております。私どもとしましては、医系教官等の処遇を改善します場合には、他の教官の方とのバランスということも考えなければなりませんので、目下その辺のところで慎重に検討しております。いずれにしましても、ぜひとも四月から実施したいという方向で検討しておるということで御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/94
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095・有島重武
○有島委員 ただいま文部大臣のほうから、最低五万から十万ぐらいの手当をつけたい、そういう意思であるというようなことを表明なさいましたから、人事院は十分含んで早く勧告していただきたいと思います。人事院のほうはけっこうです。
その次の問題にいきます。
国立大学の附属病院のベッド数なんですけれども、これは文部省からいただいた資料によりますと、二万二千四百七十六ベッドということであります。これが看護婦不足でもって稼働していないベッドはどのくらいあるのか、そのことを承りましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/95
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096・木田宏
○木田政府委員 病床の稼働率は、昭和四十年代に入りまして遺憾ながら若干紛争その他の経緯もありまして落ちてまいりましたのですが、現在七三%程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/96
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097・稻葉修
○稻葉委員長 ちょっと有島君お待ちください。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/97
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098・稻葉修
○稻葉委員長 速記を始めて。
有島重武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/98
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099・有島重武
○有島委員 それでは、自余の質問は留保さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/99
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100・稻葉修
○稻葉委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X01619740322/100
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