1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月十七日(水曜日)
午前十一時四分開議
出席委員
委員長 稻葉 修君
理事 坂田 道太君 理事 塩崎 潤君
理事 西岡 武夫君 理事 松永 光君
理事 森 喜朗君
有田 喜一君 片岡 清一君
河野 洋平君 三枝 三郎君
志賀 節君 島田 安夫君
田中 正巳君 羽生田 進君
林 大幹君 深谷 隆司君
三塚 博君 山崎 拓君
出席国務大臣
文 部 大 臣 奥野 誠亮君
出席政府委員
警察庁警備局長 山本 鎮彦君
文部政務次官 藤波 孝生君
文部大臣官房長 井内慶次郎君
文部省初等中等
教育局長 岩間英太郎君
文部省体育局長 澁谷 敬三君
委員外の出席者
警察庁警備局警
備課長 山田 英雄君
文教委員会調査
室長 石田 幸男君
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委員の異動
四月十七日
辞任 補欠選任
有田 喜一君 三枝 三郎君
久野 忠治君 島田 安夫君
床次 徳二君 志賀 節君
楢橋 進君 片岡 清一君
同日
辞任 補欠選任
片岡 清一君 楢橋 進君
三枝 三郎君 有田 喜一君
志賀 節君 床次 徳二君
島田 安夫君 久野 忠治君
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四月十六日
私学に対する公費助成増額等に関する請願外三
件(大柴滋夫君紹介)(第四二九九号)
同(大久保直彦君紹介)(第四三〇〇号)
同外二件(小川省吾君紹介)(第四三〇一号)
同(田邊誠君紹介)(第四三〇二号)
同(土井たか子君紹介)(第四三〇三号)
同外二件(中村重光君紹介)(第四三〇四号)
同外十六件(森井忠良君紹介)(第四三〇五
号)
同外一件(八木一男君紹介)(第四三〇六号)
同外四件(山田芳治君紹介)(第四三〇七号)
同外三件(渡辺三郎君紹介)(第四三〇八号)
同外二件(安宅常彦君紹介)(第四三七九号)
同外一件(石橋政嗣君紹介)(第四三八〇号)
同外二件(大柴滋夫君紹介)(第四三入一号)
同(勝間田清一君紹介)(第四三八二号)
同外二件(木島喜兵衞君紹介)(第四三八三
号)
同外十一件(上坂昇君紹介)(第四三八四号)
同外九件(小林信一君紹介)(第四三八五号)
同(佐藤観樹君紹介)(第四三八六号)
同(佐野憲治君紹介)(第四三八七号)
同外六件(島田琢郎君紹介)(第四三八八号)
同(島本虎三君紹介)(第四三八九号)
同外二件(田邊誠君紹介)(第四三九〇号)
同外十三件(多賀谷真稔君紹介)(第四三九一
号)
同(楯兼次郎君紹介)(第四三九二号)
同(中村重光君紹介)(第四三九三号)
同外三件(成田知巳君紹介)(第四三九四号)
同外一件(楢崎弥之助君紹介)(第四三九五
号)
同外二件(野坂浩賢君紹介)(第四三九六号)
同外二件(長谷川正三君紹介)(第四三九七
号)
同(馬場昇君紹介)(第四三九八号)
同外一件(平林剛君紹介)(第四三九九号)
同外二件(藤田高敏君紹介)(第四四〇〇号)
同外二件(細谷治嘉君紹介)(第四四〇一号)
同外五件(村山喜一君紹介)(第四四〇二号)
同外一件(武藤山治君紹介)(第四四〇三号)
同外一件(八木一男君紹介)(第四四〇四号)
同外一件(山田芳治君紹介)(第四四〇五号)
同外一件(湯山勇君紹介)(第四四〇六号)
同外一件(渡辺三郎君紹介)(第四四〇七号)
同(柴田睦夫君紹介)(第四四〇八号)
同(田中美智子君紹介)(第四四〇九号)
奈良市史跡大安寺旧境内地の管理計画策定等に
関する請願外三件(八木一男君紹介)(第四三
七七号)
青梅市に国連大学本部誘致に関する請願外一件
(大野潔君紹介)(第四三七八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律等の一部を改正する法律案
(内閣提出第四六号)
文教行政の基本施策に関する件(四月十一日の
日本教職員組合の争議行為等に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/0
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001・稻葉修
○稻葉委員長 これより会議を開きます。
この際、一言申し上げます。先刻来、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の委員に対し、定例日でもありますので出席を願いたい旨要請いたしましたが、いまだに御出席がありませんので、この際、やむを得ず委員会を開会いたします。
文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松永光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/1
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002・松永光
○松永委員 去る四月の十二日に、埼玉県教職員組合の書記次長が証拠隠滅罪容疑で逮捕されたということでございます。いやしくも教育者と名のつく者が証拠隠滅の罪を犯すということはまことに遺憾千万なことでありまして、私たちは教職員組合の書記次長が証拠隠滅罪で逮捕されたということを新聞を通じて知りまして、ほんとうに驚き入ったわけなんでありますが、書記次長の証拠隠滅罪の容疑内容、教師を逮捕するわけでありますから、相当慎重に考えられた上での逮捕であったと思うのでありますが、逮捕せざるを得なかったという事情、そこらの点について許される範囲内で警察庁の担当者からひとつお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/2
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003・山田英雄
○山田説明員 お答えいたします。ただいま御指摘の事件は、捜査中でございますので、詳細お答えいたしかねる点もございますけれども、事実関係は、埼玉県教組につきまして、地方公務員法違反事件で四月十一日夕刻捜索を本部に対してしたわけでございまするが、必ずしも物件の押収捜索が完全に行なわれたということはございませんでした。したがって、いろいろな書類につきまして捜索を免れるために別の場所に移しておるという心証も高かったわけでございまして、その後埼玉県警察におきまして捜査をいたしておりましたところ、証拠物件につきまして転々と移動しておる状況というものがつかめたわけでございます。その捜査中におきまして、乗用車に段ボール箱六個を積載いたしまして移動しておる書記次長を発見いたしまして、現場において職務質問を実施し、証拠物件を差し押えを免れるために移動中であったという確証を得まして、現行犯逮捕に踏み切ったわけでございます。その後、現場において押収いたしました物件の中で、本地方公務員法違反事件に関係のある物件を押収いたしております。
その他本件に関係のない物件につきましては仮還付もしておりますが、身柄につきましては当日夜身分特定を得まして釈放しておりますが、事件自体は引き続き捜査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/3
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004・松永光
○松永委員 逮捕された被疑者は黙秘権を行使したということも聞いておるのですが、みずから犯した証拠隠滅罪に該当すると思われる自己の行為について認めたのかどうか。黙秘権を行使したりあるいは否認したりしたのじゃなかろうか、こう思われる節もあるのですが、もしみずから認めないで、黙秘権を行使したりあるいは否認をしたりしておるとするならば、直ちに釈放をしたということばあまりにも寛大過ぎるのじゃなかろうか、こう思われる節もあるのですが、警察では、その日の晩釈放しても、証拠隠滅罪に該当すると思われる行為について十分な証拠が得られたのかどうか。新聞等によると、外部の人たちが警察に対して相当圧力を加えて早期釈放に踏み切らざるを得なかったような、そういうことが考えられないわけでもないのですが、そこらの点、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/4
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005・山本鎮彦
○山本(鎮)政府委員 外部からの圧力によってそれを釈放した、こういう事実は全くございません。取り調べの内容並びに押収した証拠物件その他から犯罪の容疑は間違いないという確証を得ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/5
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006・松永光
○松永委員 文部大臣にお尋ねしたいのですが、今回の日教組のストについて、その日教組の責任者を含めて幹部の連中は、自分たちのストは違法じゃない、処罰の対象にはならない、こういったことを言っておるわけですね。そういう信念に基づいてストをやったとするならば、自分たちのストをやるについてのいろんな資料、証拠物件などを隠し回ったりすることは非常に矛盾すると思うのです。自分たちの行なったストが法律違反じゃないのだ、処罰の対象にはならないのだ、こう言っておりながら、自分たちのしたストに関連する書類を隠し回るということはまことに矛盾したことだというふうにいわざるを得ません。結局は、自分たちのしたことが法律に違反し処罰の対象になる、そこで隠し回った、こういうふうに思わざるを得ないのですが、であるにかかわらず、口では、自分たちのストは法律には違反しない、処罰の対象にならない、したがって処罰の対象になることを前提とした警察の捜索、差し押え、これは政治的な弾圧である、こう言っておるわけでありまして、まことに矛盾しておる、こういわざるを得ません。教育者ならば、自分のなしたことについて、正しいと思ってやったならば、あくまでも逃げたり隠れたりあるいは証拠を隠したりすることは必要ないのでありまして、そういうことをするということは、自分のなしたことについて責任をとらない、逃げ回る、そういう人間的にひきょうな行動といわざるを得ません。そういう行動をする人は教育者としてまことに不適格である、こういうふうに私は思うのでありますが、大臣はどういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/6
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007・奥野誠亮
○奥野国務大臣 新聞の伝えているところを見ますと、逮捕されました書記次長は専従職員のようでございますから、れっきとした中学校の教諭でございます。職務専念義務が免除されているだけのことでありまして、れっきとした先生でございます。先生が自分のやっておることについて違法を免れないと考えて書類を事前に隠された。しかもそういう組合の関係者がおっしゃいますように、ストライキは適法なんだからしっかりやれとしりをたたいておられる。まことに矛盾したことでございまして、教育のことを担当いたします私といたしまして非常に重い責任を感ずるわけでございます。こういうことでどうして正しい国民を育てあげていくことができるだろうか、まことに教育界が混乱し切っているという感じを持つわけでございます。今後とも正しい教育が行なわれますためには、先生方一人一人がみずからの行為を正しいものにしていただかなければならない、こう考えるわけでございまして、国民の皆さん方にも御理解を得て、その協力を得て、いまの教育界を正しい姿に戻していく、そのために全力を尽くしていきたいものだ、かように存じておるとこるでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/7
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008・松永光
○松永委員 警察庁の方に質問いたしますが、前回四月十二日に私が質問したときに、警察庁の方は、四月十一日夕刻からの捜索、差し押え等によって、地方公務員法三十七条、同法六十一条違反の容疑事実を立証する物的な証拠は相当集まった、差し押えができたというふうな趣旨の答弁がございました。ところが、地公法違反の、あおり行為に該当する行為をした容疑者らを含めて日教組の幹部の諸君は、捜索、差し押え等について、政治的な弾圧である、こういう全く理由のない言いがかりをつけておるようであります。そういう容疑者と思われる人たちの言動等からして、物的な証拠はある程度集まったとしても、しかし被疑者たちは相互に通報し合ったり、あるいはまた自分の罪を免れるためのいろんな画策をしたり、そういったことをしておるのじゃなかろうか、こういうように思われる節があります。聞くところによると、容疑者の中で、任意出頭などの通知を受けたのに対して、これを無視して出頭しない、そういった例もあるやに聞いております。私はそういうことはなかろうと思うのですけれども、一個人の犯した犯罪については、犯罪である以上は、警察として的確に捜査をして、そして適正な処置をする、これは比較的厳格になされておるようでありますけれども、最近の風潮からして、多人数が集団的に行なった犯罪、そしてまたその背後にいろんな支援団体などがついておるような場合においては、警察では、被疑者の逮捕等をやると、多人数で警察を取り囲んで、わいわい騒いだり、あるいは外部からの圧力等があったりすることも間々ありまして、どうもやっかいでしようがない、騒がれるのがわずらわしい、こういったこともあって、ややともすればこの迅速な捜査、なかんずく強制力を使っての迅速な捜査について、最近の風潮は、どうも手ぬるいような感じを受けるものも少なしとしないわけであります。私は、そういうことがあっては、これは法の適正な運用にはならぬ、集団で行なった犯罪、しかも計画的な犯罪についてはむしろきびしく捜査をやる、しかも迅速にやる、こういったことが必要であると思うのです。けだし仲間同士が通謀し合ったりあるいはまた打ち合わせをしたりなどして、自分たちの容疑事実をできるだけ隠していこう、証拠が集まらぬようにしていこう、こういったことをするおそれがあります。
そこで、警察庁にひとつお尋ねをしたいのですが、被疑者または重要参考人等で、警察のほうで任意出頭を要請したのに、これに応じないという、そういう例が実際にあったかどうか。今回のストによる地公法違反の容疑事実に関して、今回の事件に関連して、任意出頭の要請に応じないで、そして捜査の進展を妨げておるという事例があったかどうかお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/8
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009・山本鎮彦
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。現在、先般の捜索によって約四万点近い物件を押収しておりますので、それの検討を通じて物的な証拠をしっかり固めていきたいという捜査と同時に、参考人の出頭を求めていろいろな事情を聞いております。いまお話しの、容疑者として任意出頭を求める、まだこういう段階にはなっておりませんので、そういうことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/9
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010・松永光
○松永委員 参考人の出頭要請に対しては、参考人は捜査に協力的ですか、どうですかその点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/10
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011・山本鎮彦
○山本(鎮)政府委員 それは非常に協力的な方もおるし、いろいろな都合を言って非協力的な方もおりますけれども、われわれとしては強制力を使うわけにいきませんが、なるべく理解と協力を求めるということで、いろいろな角度から参考人の出頭をこれからも続けていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/11
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012・松永光
○松永委員 この種の捜査はたいへん関係者の数も多いし、おそらく被疑者の数も多いでしょうし、事実の真相を正確に把握してそして捜査の目的を遂げるということはたいへん難儀な仕事だというふうに私も思います。しかし同時に、こういう事件については迅速にやるということが非常に大切だと私は思うのです。期間を置きますと、いろいろな工作や事前準備等がなされまして、そして証拠が十分にはそろわない、そのために適正な処置ができないということがあり得ると思いますので、迅速になすと同時に、捜索、差し押えはされたわけなんですが、被疑者、容疑者等についても逮捕、勾留等の強制捜査を決してちゅうちょしてはならぬ、厳正にやっていただかなければ法治国家としての秩序は保たれない、こう私は思っております。警察庁でもそういう考え方でやっていらっしゃるとは思うのでありますけれども、迅速に、そして強制捜査をすることにちゅうちょすることなくやってもらいたい、こう思うのでありますが、警察庁のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/12
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013・山本鎮彦
○山本(鎮)政府委員 われわれとしては、物的な証拠、人的ないろいろな証拠というか供述、こういうものをそろえて、最も厳正公平に、適正な捜査をいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/13
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014・松永光
○松永委員 去る四月十一日のストに参加した人員は、前回の四月十二日に私どもが質問した時点では二十七万名、あるいは東京都などについての調査がまだ十分でないがために実際の数字はそれからさらに四、五万人ふえるのではなかろうか、こう思われるような、ここ十年近くの間で、時間もまる一日、参加人員も一番多い、こういう大がかりなストであったわけでありますが、しかしストに参加した個々の先生についていえば、中には、教師は学校に行って自分の教え子に接して、そして教育をするのが自分の使命であって、教師は学校を捨てるべきでないという考え方を持っておる先生も少なくないのですが、そういう先生方は、ストには参加したくない、ストをすべきでない、こういう考え方を持っていらっしゃっても、ストに参加しないと、組合員からあとでつるし上げを食ったり、あるいはまた村八分的な仕打ちを受けて非常につらい、そういうことのためにしぶしぶといいますか心ならずもストに参加する、こういう人もいるやに聞いております。現にそういう例もいろいろな資料に出てきております。したがって私は、この種の違法なストに関連して、ストに参加しなかった、そのために組合員等から多人数で囲まれて、あとでこづき回されたり、あるいはまた脅迫を受けたり、そういった不祥事件が起こった場合には、そういう違法行為をした人に対してきびしい処置がなされなければならぬと思うのです。そういうことの処置が十分でない、なかなか当局が助けてくれないということのために、あとがこわいから、いやいやながら参加するという教員も少なくない、あとを断たないということでありますので、どうかひとつ、警察庁にお願いしておきたいのですが、このストに参加をしなかったということ——参加をしなかったということは適正な行為をしたということなんでありますが、正しい行為をしたがために、正しい行動をとったがために、あとで組合員その他の者からいじめられたり脅迫をされたり、そういったことが万一あるならば、あったとするならば、これはきびしくそういう間違ったことをする者に対しての処置をしてもらわなければならぬ、こう思うのです。その点について警察庁でどう考えていらっしゃるか、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/14
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015・山本鎮彦
○山本(鎮)政府委員 いま御質問にありましたように、ストに参加したためにいろいろ脅迫なり威迫を受けるというような事実があれば、法に照らして厳正に処置をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/15
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016・松永光
○松永委員 ストに参加しなかったがために、すなわち組合の指令に服さずに自分みずから正しい行動をしたがために、今度は組合のほうから圧力をかけられて、こづき回されたり、多人数で脅迫をされたり、そういった事例が過去にあっておるわけですね。そういうことについても十分な目を光らせておいていただきたい、こう思うのでお尋ねしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/16
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017・山本鎮彦
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。ストに参加しなかったということで、あとでいろいろといやがらせなり脅迫をされるという事案について、もちろんそういうことが起これば、われわれとしては厳正な処置をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/17
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018・松永光
○松永委員 日教組は、四月十一日のまる一日の大がかりなストをした上に、さらに翌々日の四月十三日に抗議ストというのですか、警察当局が地公法違反の疑いありということで捜査をしたそのことに対して抗議するという、純然たる政治目的といいますか、そういう目的のストをやったようであります。そのストの参加者も二十数万、こういうことなんでありますが、違法なストをして、違法なるがゆえに警察の捜査がなされた。そうしたらさらにまた違法なストをする、まことにおそれ入った話であります。しかもその参加者が二十万をこえる、こういうことはまことに遺憾千万、何と言っていいか、非難することばもないぐらいの遺憾なことなんでありますが、この点について大臣はどう考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/18
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019・奥野誠亮
○奥野国務大臣 私は、日教組の指導方針につきましては、これら一連の運動方針なりあるいはスケジュール闘争なりをながめますと、全くの政治運動としか理解できないのでございます。しかしながら、多くの先生方はそういう気持ちはお持ちにならないと思います。お持ちにならないと思うのですけれども、現実にスト指令が行なわれますと、たいへんにたくさんな先生方が参加しておられる。ということは、私は、参加するよりも、正しいことではあるが参加しないほうがたいへんに勇気の要る教育界になってしまっているということだと思います。
先日も女の先生から手紙をいただきました。私は日教組のあり方については非常に疑問を持っている、同時にストライキには参加したくないのだ、しかし、組合から抜けようとする、あるいはストライキに参加しないと、あとでたいへんな目にあわされるのです、目にあわされても管理者は見て見ぬふりをするのです、しかし自分はこれから勇気を持って正しいと判断する行動をとっていきたい、だからそういうものをひとつぜひ守ってくださいよという、たいへん長い手紙を何通かいただきました。
日教組にいたしましても先生方にいたしましても、憲法及び教育基本法を自分たちは守るのだ、こう言っておられるわけでございます。ところが、現実の行動は反憲法的、反教育基本法的な言動でございます。ことに、運動方針の中に、自分たちの政治活動の制限を行なうのは間違っているのだ、だから、これらの法律の一つ一つを空文化する戦いを強めていくのだ、こう述べているわけであります。全く政治運動に挺身していくのだということでございますので、私はそういう方々はほんとに先生をやめていただきたい、そんなに好きならほんとに政治の社会でお働きになったらいいじゃないか、ほんとに心からそう願っているわけでございます。自分の好きな方向で御努力いただいたらいいのであって、日本の教育界は将来の日本を背負う人たちを育てていくところでございますから、ある意味においては反国家的行為だと私は言いたいのでございます。そういう方々にはもう教育界におっていただきたくない、ほんとに教育界を去っていただきたい、こんな気持ちで一ぱいでございます。またそういう現状につきましても、先生一人一人がほんとに自分なりの判断をしっかり持っていただいて、そしてまた自主的に行動するだけの勇気を持っていただかなければならない、勇気ある先生方の正しい行動を国民みんなが助けるような態勢をもっともっと強めていけないものだろうかな、こう考えているわけでございます。(拍手)国民の多くの方々の現状に対する御理解をさらに深めていただくように、心から期待をいたしておるところでございまして、そういう努力も続けさしていただきたい、かように思っております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/19
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020・松永光
○松永委員 この違法なスト参加者があとを断たない、まことに残念なことでありますが、その一つの理由として、自分の職務を放棄して——特に法治国家でありますから、子供に対して法律を守るように教えるということは、教育の一番の始まりだ、基本だというふうに私は思うのです。ところが違法なストに参加するということは、参加した教員は、自分で法律を破ることを教える結果になるわけで、まことに遺憾なことなんでありますが、そういう遺憾なことをした教員と、それから正しく勇気を持って行動をした教員と、その後の処置があまり差がない。すなわち、ストに参加した、あるいはストを計画し実行した教員に対する行政処分が正しくなされていない。なるほど昨年四月二十七日のストに関連して、形の上では十何万名か行政処分がなされたようでありますけれども、もうその中身を見ますというと、実質的な処分がなされたところは十県にも満たないでしょう。実質的な処分とは、処分ではありましょうけれども、痛くもかゆくもないような文書訓告ですか、そういうものでお茶を濁しているという県があまりにも多過ぎる。しかも行政処分をするのがあまりにもおそ過ぎる。教員が、自分の教え子が何か間違ったことをした場合、直ちに注意する、直ちに妥当な措置をすることによって効果があがるわけなんであって、間違ったことをしてから、忘れてしまったころの一年もたってから処分をしましても、はたして処分の効果があるかどうか、これも私は多少問題だろうと思うのです。昨年の四月二十七日のストに関連した処分がいつごろなされたかというと、早いので七カ月か八カ月たってから、おそいのは一年近くたってから初めて行政処分がなされておる、こういう状態であります。もちろん、行政処分でありますから、いろいろ個人個人について処分の誤りがないように調べるのに多少の時間はかかるでしょう。しかしそれにしても、違法な行為がなされた、その後八カ月も九カ月もたって初めて処分がなされるというのは、あまりにも間が抜けちゃいないだろうか、こういう感じを私は強くいたします。
この点について、今度のストに関連してはそういう間延びした措置じゃなくて、やはりもっと近い時期に処分の実質上の効果があがるような、その時間内にやってもらわなければならぬ、こう思いますし、また、文書訓告などという、処分と言えるのか言えないのかわからぬようなことでお茶を濁すような、そういういいころかげんな教育行政というものがなされている都道府県もあるのですけれども、そういうところははなはだ無責任といわざるを得ないので、その点についての大臣の考え方、この二点をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/20
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021・奥野誠亮
○奥野国務大臣 昨年の四月二十七日のストのあとで、教育委員長さんや教育長さんの全国の会議を持ったわけでございまして、その席上で私が、やはり秩序を守っていくためには、秩序を破った人に対してそれなりの処分をするのでなければ秩序は維持できるものではないと思います、こういうことを申し上げました。皆さん同感していただいたようでございまして、その結果、松永さんからはたいへん不徹底だとおしかりを受けているわけでございますけれども、この数年行なわれなかった処分がやっと行なわれたわけでございます。したがいまして、不徹底ではございますけれども、一応前進を見たということは言えるのじゃないだろうか、こう考えるわけでございます。なぜそんなにおくれたかということになりますと、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の三十八条に「都道府県委員会は、市町村委員会の内申をまって、県費負担教職員の任免その他の進退を行うものとする。」と書いてあるわけであります。組合は、市町村の教育委員会に対しまして圧力をかけ、そして先生方の行状についての内申を出させない、こういう姿が続いたわけでございます。この「内申をまって」という表現は、内申がなければ処分ができないのかという疑問があるわけでございまして、従来どうもそういうような解釈が行なわれておったようでございます。私は、「内申をまって」でございますので、内申が待っても来なかったら、府県の教育委員会の責任で処分を行なうべきだ、こう考えておるわけでございます。また、そういう考え方で法制局長官にもただしまして、私の考えに賛成だ、こう言っていただいております。でありますので、この「内申をまって」ということばの解釈、内申が来なければ処分ができないのか、内申を待ったけれども来なかった場合には、府県の責任でやってよろしいのかということについての考え方をもっと府県の教育委員会に徹底をさせるべきだ、こう考えておるわけでございます。そういうことを通じて、御指摘のようになるたけ早く処分は済ませるべきだ、こう思っておるところでございます。しかし、ストライキをやる、処分をする、ストライキをやる、処分をするというようなことで悪循環を重ねるだけでは問題の前進を見ないわけでございます。何といいましても、先生方でございますから、他のだれよりも法律を守る姿勢を貫いていただかなければならぬ、子供さんたちは、先生の手ぶり足ぶりを見習って育っていくとまでいわれておるわけでございますだけに、まず先生方が正しい姿勢に立ち戻っていただかなければならない、こう考え、またそういう努力を最優先的に行なうべきだ、こういう決意もいたしておるわけでございます。しかし、不幸にして秩序違反が行なわれました場合には、なるたけ早くそれなりの処分をするということは大切なことだ、かように考えておるわけでございます。今後もそういう考え方で努力をさせていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/21
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022・松永光
○松永委員 違法なストをした者に対する処分の問題、違法行為をした人に対する制裁と同時に、いま一つは、まじめな教員は、不まじめに、違法なことをした人に対する処分が適切になされないということによって、教育に対する情熱を失いかける。自分は一生懸命やっておる、しかしほかの多人数はおかしなことばかりしておる、おかしなことをしておる連中に対して適切な処分がなされない、いや気がさす、こういうことを言うまじめな先生も少なくありません。その人たちに、教育に対する情熱をさらに燃やして、いい、しっかりした教育をしてもらうためにも、教育界における違法な行為、不まじめな行為に対しては、適切な制裁をする、そして一方においては、まじめによくやった人に対してはそれなりの報償をする、信賞必罰、これが秩序維持の基本であり、秩序が維持されてこそ、初めて教育はその効果を発揮する。こう思いますので、適切な処分を、先ほど言ったように、敏速にやるように努力をしていただきたいことをお願いすると同時に、いま一つは、先ほども申し上げましたけれども、あまり意味のないような、その場だけのお茶を濁す程度のものじゃなくして、実質的に意味のある行政処分でなければならぬ、この点も十分な指導をしていただきたい。これをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/22
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023・稻葉修
○稻葉委員長 内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。塩崎潤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/23
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024・塩崎潤
○塩崎委員 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部改正法律案につきまして、先般の上田委員の質問に続きまして、私から若干の質問を申し上げたいと思います。
質問の要旨は、三点ばかりしたいと思うのでございますが、一つは、第三条の学級編制基準の問題、第二は小規模中学校における免許外教科担当教員の解消の問題、第三は事務職員の問題、九条でございます。私は、この法案は過疎地域の定数に重点を置き、さらにまた事務職員と養護教員に重点を置いた改正といたしまして大きな進歩だと思うわけでございますが、しかしまだまだ不十分だと思うわけであります。そして、もう少し本質的な、中核的な点をついていただかなければならない点が非常に多いと思うわけでございますので、ひとつ大臣を中心として、これらの基本的な問題についてお答えをいただきたいと思うのです。
まず第三条の学級編制基準の問題でございます。
いま大臣、どうでしょうか。私は、父兄そして生徒は、ほんとうに先生方から親身のこもった、ほんとうにはだに触れた、理解のできる教育を希望しているんじゃないでしょうか。実は、去年の五月九日、大臣は御出席にならなかったのですけれども、野党提案のこのいわゆる定数法案について質疑応答があった中で、山原委員もこんなことを言っておりました。私は、野党の言ったことだからといって、これを軽視するのはよくないと思うのですけれども、いまの学校の授業では半数の人たちがわからない。これは指導主事の先生方のアンケートの結果であるというようなことも言われておったのですが、それはともかくとして、先般上田委員からも、なぜ学級編制基準の四十五人を四十人にしないのかという御質問があったようでございます。私は、四十人にしろというのじゃないのです。しかし、少なくともいま非常に忙し過ぎる教育の職場、文部省の基準では週二十六時間の授業が、実は学校の先生方は、これは日教連の先生方がつくっておられる研究集録を見ましても、三十時間ばかりになって、とても忙し過ぎてだめなんだ、ほんとうに愛情のこもった教育ができないとなげいておられる。私は、何らかの形で、これは諸外国と比べてみても私は納得できると思うのですが、学校の先生方の定数をふやさなければいかぬ、こういうふうに思うのです。基準的なものをですよ。そこで私は、このふやさなければならぬ理由を三つばかりの観点から大臣に申し上げますが、この三つばかりの理由について大臣がどう思われるか。まず大臣であれば当然これは日教組のもたらした教育の荒廃から来たことだと言われるかもしれない。そういう点もあると思うのです、私もそうだと思うのです。それだけではない。いま塾が非常にいんしんをきわめておる。これは幼稚園から小学校まで及んでおる。このことは、いまの教師による学校における教育について父兄の方々が満足していないということではないでしょうか。一ぺんこれらの塾について、文部省に実態を調べていただきたい。どんなような調べがあるかどうかも伺いたいのです。
朝日新聞の社会部の記者がレポートいたしました、御承知の「いま学校で」の中にこんなことが書いてある。午前五時二十分勉強開始。午前五時二十分ですよ大臣。そしていきなり質問が始まるわけでございますが、茂吉の出生地は。小学校の生徒は山形と答える。茂吉は何派か。アララギ派と、こう言う。この派の人はほかにだれがいるか。伊藤左千夫、こんなような塾が午前五時二十分から開かれておるという実態。これはどうなんでしょう。
それだけではありません。小学校の生徒に対する塾のほかに、いま幼稚園も塾が横行して幼稚園へ行かないというようなことが、これはもう大臣お読みになったと思うのですが、四月号の文芸春秋に「ある教育ママのわが闘争(マイン・カンプ)」という題でたいへんおもしろい表現で書いてありましたが、こんなことが書いてあります。うちの六歳の角平は名門の応仁小学校にみごとに合格した。「私は幼稚園のママ達より、Oさんのような塾のメンバーと親しくなっていた。」ここら辺がちょっと表現が品がないように思うのですが、これは原文にそう書いてあるのですからそのまま読みますと、「本妻をほうり出して妾宅に入りびたりとなるトノサマの如く、我々は幼稚園を御無沙汰して、せっせと塾に通っていたのである。表向きは、塾のお世話になることは固く禁じられているのだが、恐らく合格者の全員が、何らかの塾に通っていたのであろう。」こんなことが文芸春秋に載っておりまして、たいへん評判になった。大臣は、ほんとうに教育問題が物価問題以上に大事な問題である、争点であるということをいつも強調されておる大臣ですから、これらの塾のいんしんをきわめておることに対してどう思われるか。まさしく学校の教育の荒廃を日教組がもたらしたというだけじゃなくして、やはり定数法に関係があるのじゃないでしょうか。大臣どう思われますか、こういう事態。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/24
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025・奥野誠亮
○奥野国務大臣 たいへん基本的な問題について御指摘をいただきまして、私も全く同じような心配を持っているのです。昨年の十一月に小中高一貫の教育課程審議会を発足させていただきました。その発足さした一つの私なりの考えもそこにあったわけであります。何問か教育課程審議会に対して御注文申し上げているわけでございますけれども、その中で、小学校はいろいろなことを覚えるところだと思いません、基本的なことを身につけるところだと考えているのです、だから思い切って教育内容を精選してくれませんか、こんなお願いもいたしました。少し小学校から教科が盛りだくさん過ぎるのじゃないだろうか。これはもう全く個人的な考え方でございますけれども、小学校一年から社会や理科を教える必要があるのだろうかどうだろうかということについても私なりの疑問を持っているわけでございます。同時に、学習指導要領は必ずしもそこまで詳しいことを要求していないのですけれども、教科書がまたかなり詳しいものになっているようでございます、盛りだくさんになってきているようでございます。そういうこともございまして、御指摘になったように、ついていけない子供さんがある、あるいはまた十分にこなせない先生がある、両方私は問題があるように思います。
いずれにしましても、世の父母は、自分の子供さんたちを何が何でも有名校へ入学させていきたいと子供さんのしりをたたいている。これはもう笑えない話ですけれども、おかあさんが学校の先生に対して、知育は私がやりますから、しつけは先生しっかり頼みますよ、これはほんとうにあった話でございます。知育というのは、おっしゃいますように、塾に通わせたり家庭教師をつけたりするということのようでございます。これはやはり問題が多岐にわたっているのじゃないだろうか。
簡単に問題の一つ一つをここで拾い上げさせていただきますと、一つは学歴偏重の社会。学歴を正しく評価することは私はけっこうなことだと思うのですけれども、特定の有名校を卒業していますと、社会はこれを無条件に受け入れて、受け入れたばかりじゃなしに、すっすすっすと栄進の道をたどっていく、こういう社会。幾ら有名校であっても一割や二割欠陥人間もいるものじゃないか、こう私は言いたいわけでありますけれども、学歴偏重の社会。私は偏重ということばを強調しておきたいのですけれども、学歴を正しく評価することは何ら私は不当なことだと思いません。しかし偏重しているじゃないか。また学歴のない方にもりっぱな方々がいるのに、これを重視する社会の目が欠けているじゃないか、こんなことを一つ言いたいと思います。
それから、日本の有名校でありましてもすべてそうですが、入学試験をパスすればすうっとあとは卒業できる。だから入学試験に合格するということは社会へのパスポートをもらったと同じことでございますから、非常に値打ちのあるものでございます。日本の有名大学に合格するということは非常に値打ちのあることでございまして、私は過大な値打ちを与え過ぎている、こう思っているわけでございますけれども、これにも一つ問題がある。
さらにまた、入学試験のあり方にも問題があると思っております。難問奇問を出す、そういうようなひねくれた問題も解けるようにふだんから勉強しておかなければならない、そうするとやはり塾にも通わなければならない、こういう姿にも問題があろうと思います。
同時にまた、教育課程のあり方についても、当初に申し上げましたように問題がある、こう考えるべきだと思います。また世の父母も、子供の能力、適性を考えないで、ただ何が何でも有名校へかり立てている姿にも問題があると思います。やはり教育というものはそれぞれの持っている能力、適性を引き伸ばしていく、またそれに合ったような進路を助言していくべきだ、こう考えるわけでございますけれども、どうもそういう形が行なわれませんで、ただいちずに有名校へかり立てている姿が多分にあるように思うわけでございます。
でございますので、こういう問題につきましては多角的に解決をはかっていかなければならないんじゃないだろうか、こう思っているところでございます。社会の学歴偏重の姿、これも改めてもらわなければならないし、父母が子供の能力、適性を考えないで、ただ有名校へかり立てる姿も考えてもらわなければならないし、教育課程につきましても、やはり私は、小学校は徳性を養うところだ、覚え込むところじゃないのだ、基本的なことをしっかり身につければいいのだ、こういうような体制に切りかえられぬものだろうかなと、こうも思います。
また入学試験のあり方、これも根本的に変えていかなければならないんじゃないか、まあ多角的に考えていかなければならない。先生にもりっぱな方を招き入れなければならないと思います。私は、こういう問題は日教組のせいだとはひとつも考えておりません。総合的に解決をはかっていかなければならない。もちろん御指摘のように、学級編制のあり方についても将来時期を得れば改善をはかっていくべきことも重要な要素であろう、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/25
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026・塩崎潤
○塩崎委員 十八歳で選別される学歴社会のひずみ、この問題をいま言われたのですが、きょうはいわゆる定数法の審議でございますので、できる限り哲学的な問題よりも定数法に関連してお答えを願いたいと思う。
大臣は、おそらく多角的な解決の中でいまの四十五人の定数に満足されていないというお顔に私は拝察したわけですが、そこで、もう一つこの問題を心配されておられるのは、何も父兄だけじゃないのです。定数の問題を心配されておるのは、これは先生方がまた心配されておる。日本教職員連盟の先生方の研究集録を読んでみますと、大臣、ほんとうに悲痛な叫びがあるわけです。愛媛で開かれた教育研究大会には大臣が出られて、これを見ますと、大臣は研究集録をつぶさに読んだと書いてある。読んだわりに、大臣、法律の中にそのことが実現されておらぬじゃありませんか。読まれたら、これはどういうふうに考えられるか、一ぺんお答えを願いたいと思うのです。つまり学校の先生方はほんとうに忙し過ぎて、いま申し上げましたように、三十時間の授業でもうアップアップいっておる。したがってほんとうにはだ身の触れた教育ができないから塾へ逃げられてしまうような要素があるということを私はいま申し上げておる。どうなんですか、いま。補教ができるのは五九%で、ちょっと休むと大部分自習になってしまう。自習というような形で学校の先生の休暇あるいは研修出張などを補てんするのがいいのかどうか。いま四割は自習になっておるのですよ、大臣。それにはやはり定数を何か考えなければ、過疎地域とかあるいは養護教員だけじゃ足らぬじゃありませんか。事務職員も若干の貢献はありましょう。しかしやはり根本的な学級の定数四十五人をどのように考えるかということにくるんじゃないでしょうか。いまの東京でどの程度自習が行なわれておるのか、ひとつ岩間局長にお答え願いたい。補教ができておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/26
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027・奥野誠亮
○奥野国務大臣 御指摘のように、学級編制最高限四十五人を私はぜひ早く四十人にしたいのです。したいのですけれども、今回は第二次ベビーブームが始まり、児童が三十万人内外ずつふえていくのです。自然増も相当なものでございます。戦後、五カ年計画をつくってきて、今回は第四次目の教職員定数改善計画でございます。一次も二次も三次も、児童数が減っていくさなか、教職員定数が減っていくさなかで改善計画が行なわれたのですけれども、今回は自然増になるさなかにおいて改善計画をあえて行なうわけでございます。学級編制は一般的には四十五人そのままになっておるわけでございますけれども、たとえば三個学年複式学級を廃止する、これもやりました。また二個学年複式学級につきましても、二十二人以上というのを二十人に改めたばかりじゃなしに、一年生を含む場合には十二人をこえたら二学級にするのです。そういうところでいろいろ改善をはかっておるわけでございまして、四十五人を下げますとたいへんなことが起こってしまうわけでございます。困ってしまいますのは人口のどんどんふえている地域なんです。人口のふえている地域につきましては、いまプレハブ校舎あるいはすし詰め校舎、これを解決したくてもなかなかしにくい。土地の確保などがまずたいへんなことのようでございます。学級編制を四十五人を四十人にしますと、それだけで一ぺんに相当教室をふやしていかなければならないわけでございまして、いまでも困り抜いておるわけでございまして、そこへ一そう困るような原因が加わってくるわけであります。それと、やはり先生はただ人数をふやしたらいいのじゃなくて、先生の養成と並行的にやっていかなければならない。やはり素質を十分持った方々を教育界に入れていく。現在、小学校の場合には、教職員免許状を取られる方が一万八千人です。従来も一万六千人ぐらい採用しているわけであります。大体二万二、三千人になる、こういわれておるわけであります。それなりに免許法も改正いたしまして、資格試験なども行なうようにしたわけでございますし、いろいろなことをやっておるわけでございますけれども、やはり先生たるに値する内容を十分備えた人たちを教育界に迎え入れていかなければ将来に禍根を残す、私たちはこんな心配を持っておるわけでございます。もちろん今日の第二次ベビーブームを頭に置きまして、昭和四十五年から大学の教育学部の小学校教員養成課程の採用員数をふやし続けてもきているわけでございます。それらもやってきているわけでございますけれども、何と申しましてもいま申し上げるような事情がございますので、今回の教職員定数改善のやり方が精一ぱいじゃないか。四十五人を四十人に下げたら何人要るのかということは、あとから事務当局のほうで答えてもらいたいと思いますけれども、先生の員数ばかりじゃなしに、施設の問題でも混乱をしてしまう。こういうことだから、やりたいのをやむを得ず思いとどまっているわけであります。時期を見て当然なるたけ早くやるべきだ。それにしましても、戦後六十人だったのが今日四十五人まできているわけでございますので、かなり努力のあとは見られる。しかし、これをさらに四十五人を下げていくことは、御指摘のとおり私もきわめて大切なことだ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/27
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028・塩崎潤
○塩崎委員 私は単純に四十五人を四十人にしろとは言っていないわけでございます。いろいろやり方があろうかと思うので、この点大臣が言われた理由は私は納得できないのですが、この問題はあとで御質問することにいたしまして、もう一つ何としてもこの定数問題を考えていただきたいのは、これは先生方の願望でございますところの勧奨退職年齢の延長の問題に関連するから、私は定数の問題について第三にもう少し大臣に考えていただきたい。ベビーブームなどというのは関係ないと思うのです。そして日教連の先生方の言われますように、すし詰め教室の解消というような見地からの定数改正じゃなくて、一人一人の子供の能力を伸ばすための定数を考えてくれということを申し上げておるわけでございますが、その退職勧奨年齢については、昨年、田中総理が施政方針演説で非常に迫力のあることを言われました。もう小学校の先生たちに退職後ちまたに職を求めさせるようなことはしないのだ、そのためには勧奨退職年齢を延長するのだ、こんなことを言われたのですが、私どもの愛媛県では現実にまだ五十九歳なんです。やっとことしから一部の校長先生について六十歳ということが認められるというような状況でございます。その理由はなぜかというと、定数に限界があって、新しい新卒の若い先生方が採用できないから、ほんとうは六十歳にしたいのだけれども五十九歳にせざるを得ないのだということが県当局の答弁なんです。しかし、どうなんですか。
もう一つは、聞きますと、東京とか神奈川とか、日教組の非常に力強いところはなかなかやめない。勧奨したってやめないから六十になっておる。わが愛媛県のように、あるいは香川県のように、栃木県のように、日教組の力のないところ、そういうところは五十九歳であり五十八歳であるというようなことを聞いておるのですが、これが教育に対する情熱を先生方に失わせてしまったらたいへんなことだと思うのですが、大臣はこれについてどう考えられますか。私はこういった観点から定数も考えていただきたい。僻地だけではありません。ほんとうに基本的な標準的な定数を考えていただきたい、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/28
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029・奥野誠亮
○奥野国務大臣 学級編制だけ言うているんじゃないのだということでございましたが、いま事務当局に聞きますと、四十五人を四十人に下げますと四万三千人先生が要るのだそうでございます。やはりちょっとたいへんな員数だな、こう思いますので、御参考に御披露させていただきます。
定年を延長する問題、きわめて大切なことだと私も考えておるわけでございまして、さしあたり六十歳、将来は六十五歳にしたい、こう呼びかけておるわけでございます。過疎県の場合には、定年を延ばしますと先生を新規に全然とれないというようなことになりますので、なかなか定年を延ばしにくい。定年を延ばすならそういう県に対してはさしあたり定数をふやしてあげましょうというような御協力も申し上げて定年を延ばしてもらっているところもございます。御指摘になりました人口のふえていますところ、東京でありますとか、神奈川でありますとか、埼玉でありますとか、大阪でありますとかというところは、先生にやめられては困るところでありますので、新規の先生方をよその県からもどんどん来てもらわなければとてもまかなえないわけでございます。したがいまして、過疎県からこういう人口急増地帯に中堅の先生にも何年間かかわってもらう、そういうことについて国からも補助金まで計上しているわけでございますけれども、過疎県の場合にはむしろ定数も減っていくわけでございます。だから九八・五%までは保障するという今度の法律規定もあるわけでございますけれども、先生の定数が減っていくものでございますので、やめる人をとどめておきにくい、こんな事情まであるわけでございます。そこで、定数をふやしてあげて、そして定年を延ばすことによって引きとめられやすいようにしよう、あるいはまた若干先生方に人口急増地帯に移ってもらって、それの応援もしてもらおう、そして過疎県の先生方の各年齢層を通じた配置の適正も期せられるように協力しよう、こういうことでやってきておるわけでございます。多くの県では男女差があるようでございます。おそらく愛媛県でも、女の先生の定年はもう一つ下じゃないかなと心配もするわけでございますけれども、やはりこれは将来男女とも同じように六十歳まで持っていくべきだ、こんな気持ちで私なりの努力をしているわけでございます。
愛媛県の場合は、どちらかというと過疎であって、そういうところで県当局が御苦労になっている。人口はあまりふえていないのではないかと思うのでございまして、そういうところに御苦労があるのではないかな、こう思います。くどいようでございますが、定年の延長につきましては、積極的にわれわれも努力をしたい。その一つの方法としては、そういう団体に対しましては、定年を延ばしてくれるときには若干定数をふやす御協力のしかたもしたい。同時にまた、人口急増地帯に対して先生方がある程度ある期間移っていくというようなことも考えていただいて、双方が便宜なような計らいができぬものだろうか、こういうこともくふうしていきたいというようなことで努力しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/29
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030・塩崎潤
○塩崎委員 大臣が言われましたのは、過密地帯は学校の先生がむしろ足りないくらいで、残ってもらいたいから定年が長いのだ、勧奨年齢が延長されているのだというお話でございますが、それはそういうふうに伝わっていないので、私はひとつ考えていただきたいのですが、日教組だから長いのだ、私どもの日教連なら短いのだというふうに伝わっているのは、文部省の不徳のいたすところか、何かあるに違いないと思うのですが、しかし、そこでいま大臣が言われましたが、過疎地域に対して、定年を延長するような際には特例を設けるというのは、それは法律のどこに書いてあるのですか。定数を特別に配分するというのはどこに書いてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/30
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031・岩間英太郎
○岩間政府委員 いま大臣からお話がございましたように、いわゆる定年制の延長につきましては私どももいろいろ配慮をしているわけでございますけれども、一つは、愛媛県に関して申し上げますと、九八・五%というふうな最低保障がある程度きいているわけでございます。それからまた特定の県で勧奨退職年齢の引き上げを行ないたいというふうな申し出がございました場合には、この御提案申し上げております法律案の附則で明らかにいたしておりますように、五年間で教職員を充足するというふうなたてまえになっておりますけれども、それを三年間に短縮をいたしまして充足をするということができるような特例を設けているという点が勧奨退職年齢の引き上げに関する具体的な措置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/31
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032・塩崎潤
○塩崎委員 岩間局長のおっしゃった勧奨退職年齢の延長という表現は附則のどこにも見当たらない。これは文部当局の指導かと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/32
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033・岩間英太郎
○岩間政府委員 具体的に勧奨退職年齢の引き上げというふうな文字は使っておりませんけれども、政令によりまして、勧奨退職年齢の年限の延長を行なう場合に、ただいま申し上げましたように、五年間で教職員の充足を行なうべきところを三年間で行なえるようにというふうな措置を講ずるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/33
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034・塩崎潤
○塩崎委員 私のこれから言わんとするところは、いま西岡部会長、松永先生、坂田先生が笑われたことでもうおわかりだと思いますが、このような大事なことが何ら法律の上で明らかにされてない。何か政令とか言われたけれども、私はどこに政令が書いてあるかも見当たらない。この法律構成は私は非常に疑問があると思いますし、この大事なことは堂々とひとつ法律の上に出していただいて、ほんとうに先生方を安心させていただきたい。ことに日教連の、日教組じゃないところの日教連の先生の多いところなんですから、こんなことは堂々と出して、何かかってに文部省の裁量でやるんだ、国会なんか関知せざるところだというようなやり方はまずいと思うので、私はこれは一言きょうはここだけでとめておきますけれども、ひとつ法律のあり方としても考えていただきたい。
そこで、大臣からだいぶいまの四十五人から四十人という問題をお話を承ったわけでございますが、大臣は昔から地方自治の大家で、私どももだいぶ大臣から地方自治とはいかにあるべきかを習ってきた門弟、弟子でございますので、ひとつ、しからば四十人ということはいまの地方自治のたてまえではできないものでしょうか。定数法を見ると、四十五人を標準とすると書いてある。したがって、四十三人でも四十人でもいいんでしょう。それだけじゃありません。私は学校教育法と定数法との法律関係がよくわからないのですが、学校教育法の施行規則の二十条を見ますと、小学校は「五十人以下を標準とする。」と書いてある。四十五人と五十人との関係もよくわかりませんが、学校教育法のほうが上のような気もしますが、施行規則となると省令ですから、定数法のほうが上で、この施行規則は無効みたいな気がするわけでございます。よくわからない。しかし大臣、どうなんですか、この両者の関係はともかくとして、地方がほんとうに地方自治の観点から、自分たちの住民の児童なんだから四十人ぐらいにするというようなことにしては、定数法違反でしょうか、どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/34
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035・奥野誠亮
○奥野国務大臣 御指摘になりましたように市町村、都道府県それぞれが、四十五人じゃなくて四十人を基礎として運用しようと、あるいは四十三人を基礎として運用しようと、それはもう任意でございます。問題は、一つは義務教育費国庫負担法で給与費の半分は文部省予算に計上して府県に交付するわけであります。その場合の給与の額は実額によっているわけであります。しかし人数はこの定数法の員数を使っているわけであります。したがいまして、人数をふやした場合にはその部分だけは府県が持ち出さなければならない、これは一つございます。それから、あとの半分は地方交付税法の基準財政需要額に算入されるわけでありますが、この基準財政需要額の算入のしかたは、員数は定数を使い、給与の額は標準的な単価を使っているわけであります。したがいまして、都道府県がこれを下回っている場合もあれば、上回っている場合もあるということでございます。いずれにいたしましても定数法の定員を使って実員を使っていない。だから、ふやした場合にはそれだけ府県のほうの持ち出しがふえる。ふやした場合には先生をよけい市町村に配置しなければならない。市町村は教室をよけいつくらなければならないばかりではなしに、府県のほうの負担がふえてくるものだから、府県のほうでもあまりよい顔はしないという問題はあるのじゃなかろうかな、こう思います。だから結果的にはほとんど全部四十五人が最高という形において運用されているのだ、こういうことじゃなかろうか、かように思うわけであります。しかし、四十五人を下げること、これは市町村なり府県なりの任意でございます。また現実に都道府県が定数以上に教員を配置している県もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/35
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036・塩崎潤
○塩崎委員 いま、地方自治のたてまえで学級編制基準は一つの標準で目安だ、こう言われましたが、実は私は聞いてみますと、定数法はもう少しやかましいので、やはり四十五人はびっしり押しつけるようなかっこうの指導が強い。法律解釈もそんなふうに流れておるのですが、それはともかくとして、大臣はいま、そうはやっても、義務教育費国庫負担法の観点から定数と実額、そこでチェックされて、結局間接的に財政面から定数に縛られることにはなるかもしれないというようなお話があった。しかし大臣、どうなんですか。私はこのようなことを考えてみると、ことに定数をふやすことが非常に大事なことだとすれば、昭和二十八年に国庫負担法ができたときには実員実額だった。いつの間にかこれは定数に直っておる。これは新法の方向に逆行するんじゃないでしょうか。奥野財政課長、財政局長のときには実員実額だった。このほうが教育上いいんじゃありませんか。大臣、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/36
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037・奥野誠亮
○奥野国務大臣 小中学校は義務教育なものでございますので、国が関与する場合にはナショナルミニマムを確保するのだという姿勢が必要じゃないだろうか。そうしますと、人数を少ししか配置していない団体について実員を使いますと、教育の水準が低下する。また財政が豊かで教員の配置が非常に多い、潤沢だ、それをそのまま国がめんどうを見ていく必要がどこまであるだろうかということにもなったりして、結局定数は保障する、しかしこれをどう運用していくかということはもう地方自治にゆだねますよということになったのではないか、かように考えるわけでございます。いま伺いますと、三十九年度から定員制を採用したようでございます。おっしゃるように三十八年までは実員実額でございます。地方自治に乗っかったおそらく府県間の差が非常に大きくなってきて文部省もこういうことに踏み切ったのじゃないだろうかな、私が政界に入ってから後のことでございますけれども、という気がいたします。それ以前はおっしゃるように実員実額。しかし現実問題として府県が単独で教員を配置しているところもあるわけであります。また四十五人が最高でございますけれども、最高に近く置いているところというのは、大体人口の非常にふえつつあるところが大多数。平均しますと三十二、三人でございますので、そういうところは教室の増設に困り抜いているわけだから、金はあってもとても四十五人を下げにくいということもあるのではないだろうかな、安定してまいりますと、御希望のような方向に行くのではないだろうかなと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/37
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038・塩崎潤
○塩崎委員 私は、国庫負担法の改正の経過は大臣の言われたことと違うと思うのですが、それはともかくとして、いま大臣が、どうしても定数についてまだまだ色よき返事をいただけないが、しかし、将来の研究問題だ、こう言っておるのです。大臣ができないという理由は、前の児童数の減少の時代と違って、ベビーブームの時代だから、自然増も多い時代だから、これはいまやるべきではないというお話があったのですが、大臣、どうなんですか。私は、その理由ではなかなか納得できない。自然増は、児童の自然増と同時に税の自然増収も相当ある時代なんだから、これをどんどん考えていいのではないかと第一に思います。
第二に、過密県には土地もないからというのは、やり方では、なおなお努力すればできるのではないかと思う。ですから、過密県でまさしく塾ばかりになる、こんなようなことではないでしょうか。プレハブで多数の児童生徒をわずかな先生が教えることによって、これではたまらないから、父兄は塾のほうに走らせる。塾の問題はきょうお答えがなかったのですが、全国にどれだけあるか、どこに多いか、調べて私のほうに資料として出していただきたいと思うのですが、私はどうも納得できない点があるのです。
聞くところによると、学校の先生も総定員法のワク内みたいなものなんだから、いま総定員法では増加というのはなかなかできない現状だから、学校の先生も遠慮するのだということも聞かれるわけです。そんな遠慮をする必要があるかどうか。これだけ大事な教育問題、大臣がほんとうに政治生命をかけられておる教育問題なら、総定員法なんか破るぐらいの気持ちで学校の先生の定数増加を考えられるべきじゃないかと思うのですが、たとえば今度の第四次五カ年計画ではたしか六万五千ふえるといわれておる。その中の四万三千は自然増なんですよ。大臣が努力しなくても、各府県の税の自然増収と見合って、自然に学校の先生がふえていく。今度僻地なんかで努力されたのは、わずか二万一千しかない。私は、これを逆にしていただいて、むしろ改善増のほうが四万三千、自然増が二万一千ぐらいに、逆にするぐらいの政策をぜひともとっていかなければ、塾などという問題は解消できないのではないだろうか、こんなふうに思いますので、大臣、ひとつぜひとも考えていただきたいということを希望として申し述べて、時間がなくなりましたので、その次の免許外教科担当教員の解消の問題についてお聞きしたいのです。
七条の三号に、小規模中学校だけに限る。私はここが問題だと思うのですが、免許外教科担当教員の解消をはかる、たいへんいいことなんですが、しかし、どうなんですか。小規模どころか、いまの中学校には免許外の教師の数が非常に多いということです。これは、前の免許法のときにだいぶ議論になりましたが、私の調べでは、これは「世界」という雑誌に出ておりましたが、数学の先生は三人に一人は資格を持っていない。中学校でですよ、大臣。これでは確かに塾がはやるはずだと思う。予備校がはやるはずだと思う。その数字を見ますと、いま大臣は過密県には教員の志望者が少ないと言われたが、数学なんか逆なんです。東京では九八・六%は免許を持っておる。わが愛媛県は、六〇%しか持っていない。青森県にいきますと三三%。これは一九六八年ということで数字がちょっと古いのですけれども、「世界」という雑誌に載っておるのですよ。大臣、どうなんでしょうか。小規模中学校だけでいいのですか。私は、この免許外先生の問題は、小規模中学校だけではだめだと思うのです。聞くところによると、数学のような先生はこの低い給与で学校の先生になる希望者が少ないのではないか、こんなふうにも聞くので、これは例の人確法の議論に返りますけれども、もう少し待遇とかいう問題を考え直さなければ解消はできぬのではないでしょうか。定数だけ直してもだめなんじゃないでしょうか。この原因は何と考えられるか、大臣、この問題についての御所見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/38
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039・奥野誠亮
○奥野国務大臣 免許外の教科を担当している先生は、基本的にやはり小規模学校に多いわけでございます。ですから、東京の場合には非常に少なく、青森の場合には非常に多いということになっている。中学の場合には九教科あるわけでございますので、大体において九人以上の先生がなければ、それぞれ免許を持った先生に教科を担当してもらうことが困難だということになるわけでございます。そういうことでございますので、まず小規模校の先生をふやすことによって、免許外の教科を担当することのないようにしていきたい、こういう配慮でございます。将来ともできる限り先生の定員をふやしてまいりますと、免許外の教科を担当するようなことはなくなっていくということだと思います。
同時にまた、授業の時間数が少ない場合には、多少その辺で教育委員会などで配慮してもらうことによって防ぐ道もあるのではないだろうかな、こうも思うわけでございますが、そういうくふうは今後文部省としても検討していくべきだ、かように考えます。さしあたりは、いま申し上げましたような実情でございますので、小規模校に特に定員をふやすという方法をとらしていただいたわけでございます。
なお、学級編制の四十五人問題ですけれども、施設と先生の員数の二点で急にはできないのです、こう申し上げておりますので、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/39
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040・塩崎潤
○塩崎委員 第三の事務職員の問題を最後にちょっとお尋ねしたいのですけれども、九条の問題です。
岩間局長は、例の学校教育法の教頭法の改正の際に、今度は事務職員を五一%から七五%、四分の三にするんだからということをたいへんいばっておられたのですが、これはいばる理由があるのでしょうか。九条を見ると、確かに四分の三まで置くと書いてある。定数法ではそう書いてあるのです。これは進歩だと思う。いま五一%が四分の三に上がれば確かにそのとおりなんですが、しかし、どうなんですか。学校教育法の二十八条を見れば、事務職員は小学校でも必ず置かなければならぬと書いてある。これは前に申しましたね。ただし特別な事情がある場合には置かないことができると書いてある。
私は、この書き方はおかしいと思う。わが県などでは原則と例外が逆に運用されていると申し上げたのですが、四分の三というのはどういう意味ですか、岩間局長。全部置かなければならぬのに、四分の三を全部と見るのか、四分の一を特別の事情と見るのか、これはひどいじゃありませんか。法律上矛盾じゃないでしょうか。特別な事情というのは四分の一ということじゃないでしょう、大臣。特別な事情といったらよほどの事情ということで、質的に見てこういった小規模校はいいんだということで頭から四分の一置かぬでもいいというようなことは、これはどういうわけですか。特別な事情には該当せぬと思うのです。学校教育法の二十八条と定数法との関係は、憲法と法律との関係みたいなものなんですか。どっちが上なんですか。こんな乱暴な法律構成、法律の規定のしかたは初めて見たのですが、どっちかが要らぬのじゃないですか。定数法はむしろ学校教育法の施行法みたいなものじゃないか。私は、施行規則の二十条の問題も非常に不明確で、学校教育法と定数法との関係はよくわからないと申したのですが、この事務職員になると全く乱暴過ぎて、事務職員はがっかりすると思うのです。質的なものを量的な四分の一にする。これは堂々とやり直して、全部置くんだ、しかし、こういった小規模の学校については差しつかえないんだというふうにいくべきだと思うのですが、岩間局長どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/40
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041・岩間英太郎
○岩間政府委員 全く先生のおっしゃるとおりでございます。学校教育法の基本に近づくように、毎回の改善で努力してまいっているつもりでございます。
御案内のように、事務職員は三十三年の当初は二五%程度の学校にしか置かれておりません。このたび七五%ということにいたしましたのは、これはおおむね六学級以上の学校に配置ができるようにという配慮で改善をしたわけでございまして、もうこれでおしまいということではございません。この次の機会に一〇〇%に近づくように最善の努力をしたいと考えております。
なお七五%といたしましたのは、もう一つは養護教諭との関連がございます。御案内のように、学校教育法の中には、養護教諭はこれは必置の職員になっておりまして、附則で当分の間は置かないことができるという、事務職員よりも先に置かなければならない職員というふうな規定のしかたをいたしているわけでございます。ところが、養護教諭の養成の状況その他を勘案いたしますと、やはり同じように七五%程度の充足をすることが今度の五カ年計画では適当であろうということを考えたわけでございます。それとの均衡もございまして、事務職員のほうもこのたび七五%の配置にするということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/41
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042・塩崎潤
○塩崎委員 私は法律問題を質問しておったのですが、こういった適当であるというような政治的な御答弁で、岩間局長らしくないと思うのですがね。そういうことを聞いてなかったんですよ。こんなような法律構成は事務職員をがっかりせしめるだけじゃないか。学校教育法では全部置けと書いてあるじゃありませんか。そして、いまわずか置いておる各学校に一人ぐらいの小学校の事務職員、非常にさびしがっておられる。高等学校へ行けば、どこへでも置かなければならぬのでしょう。必置でしょう。しかも事務長という職制まである。これをひとつ今度法律化しろというような声もあるのですけれども、それに比べればがっかりするような規定のしかたで、これは事務職員の気持ちを考えていない規定のしかただと思うし、学校教育法違反。これは同じ横の系列の法律同士の間に衝突があるとは思わぬのですけれども、衝突だと思うので、これは考えていただきたい。法制局でもおれば伺いたいと思うのですがね。
そこで、これだけでない、事務職員については待遇まで改善されるという期待を与えておったのですが、先般出された人事院勧告、人確法に基づくところの人事院勧告では、待遇改善については事務職員について言われないで、単に配置について検討すべきであるというような勧告が出ておったのですが、あれは何のことですか、この定数法の改正をいっておるのですか、何をいっておるのです。岩間局長、ひとつお答え願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/42
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043・岩間英太郎
○岩間政府委員 人事院の御勧告でございますので、私が正確に申し上げることはむずかしいわけでございますが、たとえば小学校の小規模の事務職員から大規模の学校の事務職員に配置をする、あるいは高等学校の事務職員あるいは事務長に配置をするというふうな、逐次経験を積むに従って小規模の学校から大規模の学校へ、大規模の学校からさらに人数の多い学校の責任のある地位に、そういうふうな配置のしかたもあるのじゃないかということではないかというふうに考えるわけでございます。
しかしながら、事務職員の待遇改善につきましては、大臣もたびたび国会におきまして御答弁申し上げておりますように、今度の人確法とはこれは別ではございますが、まあ直接関係がないわけでございますので別の観点から考えなければいけないということでございましょうけれども、そういう点につきましては、大臣の御指示に従いまして、私どもも努力をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/43
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044・塩崎潤
○塩崎委員 岩間局長にはいつも政治的な答弁で、よく私もわからない点が多いのですが、きょうは時間がありませんので、この程度に質問をとめまして、またいずれあらためて御質問をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/44
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045・稻葉修
○稻葉委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、本日のところはこの程度にとどめ、次回は来たる十九日開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02119740417/45
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