1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月二十六日(金曜日)
午前十時四十九分開議
出席委員
委員長 稻葉 修君
理事 坂田 道太君 理事 塩崎 潤君
理事 西岡 武夫君 理事 松永 光君
理事 森 喜朗君 理事 木島喜兵衞君
理事 小林 信一君
有田 喜一君 上田 茂行君
片岡 清一君 小泉純一郎君
河野 洋平君 田中 正巳君
床次 徳二君 楢橋 進君
羽生田 進君 萩原 幸雄君
林 大幹君 深谷 隆司君
三塚 博君 宮崎 茂一君
山崎 拓君 嶋崎 譲君
長谷川正三君 山口 鶴男君
湯山 勇君 栗田 翠君
有島 重武君 高橋 繁君
安里積千代君
出席国務大臣
文 部 大 臣 奥野 誠亮君
出席政府委員
文部政務次官 藤波 孝生君
文部大臣官房長 井内慶次郎君
文部大臣官房審
議官 奥田 真丈君
文部省初等中等
教育局長 岩間英太郎君
文部省社会教育
局長 今村 武俊君
文部省体育局長 澁谷 敬三君
文部省管理局長 安嶋 彌君
委員外の出席者
衆議院法制局第
一部長 大竹 清一君
文部省社会教育
局青少年教育課
長 川崎 繁君
文教委員会調査
室長 石田 幸男君
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委員の異動
四月二十五日
辞任 補欠選任
山口 鶴男君 村山 富市君
安里積千代君 受田 新吉君
同日
辞任 補欠選任
村山 富市君 山口 鶴男君
受田 新吉君 安里積千代君
同月二十六日
辞任 補欠選任
有田 喜一君 萩原 幸雄君
上田 茂行君 片岡 清一君
久野 忠治君 宮崎 茂一君
羽生田 進君 小泉純一郎君
八木 昇君 湯山 勇君
同日
辞任 補欠選任
片岡 清一君 上田 茂行君
小泉純一郎君 羽生田 進君
萩原 幸雄君 有田 喜一君
宮崎 茂一君 久野 忠治君
湯山 勇君 八木 昇君
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本日の会議に付した案件
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律等の一部を改正する法律案
(内閣提出第四六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/0
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001・稻葉修
○稻葉委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗田翠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/1
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002・栗田翠
○栗田委員 私は、まずこの定数の標準法の中で、学級編制基準について、その第三条にかかわる問題で伺いたいと思います。
先日、馬場委員の御質問に対して大臣が、四十人にクラス編制を下げるということは検討課題であるというふうにおっしゃっていました。私などは、いままで四十五人を四十人にすることの教育上の効果ということについては、もうみんな意見が一致しているけれども、その他のいろいろな事情で、施設だとか教員養成だとかいろいろありますが、それでできないでいるのだろうとばかり理解しておりました。ただ、大臣は検討課題だとおっしゃっておりますが、教育上の効果についてもまだ検討課題が残っているのでしょうか。その点から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/2
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003・奥野誠亮
○奥野国務大臣 現在きめておりますのは、最高四十五人にいたしているわけであります。下げたほうが教育の配慮が児童一人一人に行き届くのじゃないか、こうは考えるわけであります。ただ、どこまで下げればいいのか。たとえばかりに四十人としますと、四十一人になれば二学級に割るわけであります。そうすると、二十人と二十一人の学級になるわけでありまして、二十人がいいのか、二十人では、それなら四十五人のほうがいいのか、そういう問題もあるのじゃないかと思うのであります。でございますので、そういう問題もあわせてわれわれは十分な検討を遂げておかなければいけないのじゃないだろうか、こういうことも考えまして馬場さんの御質問に対しお答えをしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/3
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004・栗田翠
○栗田委員 そうしますと、四十人にしたときたいへん減ってしまう場合が出てくるので、それが問題だというお話なんですね。私はたいへんこれを伺って驚いているのですが、実は、学級編制を四十人にするというお話は、ずいぶん以前から課題になっていたと思うのです。ざっくばらんに申し上げれば、一体何年間検討していらっしゃるのだろうかという気持ちなんですね、正直なところ。歴史的に見まして、四十人にしたらどうかという話が出て、それが提案されているのはいつごろからなんでしょうか。大臣、ちょっと伺いたいのですが、私はずいぶん以前からだと思いますが、その間どんなふうに検討されてきたのかということを含めまして、その歴史的な問題を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/4
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005・奥野誠亮
○奥野国務大臣 四十五人になりますまではだんだん引き下げてきたわけでございますけれども、今度の場合にも、第二次ベビーブームとかあるいは大都市への人口集中とかいうような問題がなければ、当然私は取り上げられてしかるべき課題だろう、こう思います。ただ、念には念を入れろというと問題があるかもしれませんけれども、もう調査は済んでいるのだというような安易な気持ちじゃなくて、社会情勢もいろいろ変わってくるわけでございますので、絶えず真剣にそういう問題を掘り下げて研究するという姿勢は、私はあくまでも続けていかなければならないのではないだろうか、こう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/5
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006・栗田翠
○栗田委員 真剣に掘り下げていらっしゃるわけですが、一体、何を基準にして真剣に掘り下げていくか。言ってみれば、子供たちに行き届いた教育をしていくという立場で、どれがよいかという立場で掘り下げるべき問題だと思うのです。そのことについては、いままでもかなりいろいろな資料が出されております。
まず、その前に歴史的な問題を申し上げますと、私が調べたところでは、昭和四十四年、それから昭和四十二年ごろから四十人という問題は出されておりまして、そのもっと前からそれが出ているわけですね。
〔委員長退席、森(喜)委員長代理着席〕
一番早くは昭和二十二年に、ですからこれは戦後すぐなんですが、全教協、全日本教職員協議会と当時の高橋文部大臣との間で覚え書きが取りかわされております。当時の全教協の委員長は、いま参議院にいらっしゃる岩間さん、岩間委員長なんですけれども、覚え書きがかわされているのですけれども、大臣、これは御存じでしょうか。その中に、クラス編制基準は四十人にするという覚え書きの協定の中身があります。御存じでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/6
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007・奥野誠亮
○奥野国務大臣 その協定は私は知りませんけれども、私はそんな単純な考え方でいいんだろうかなという気持ちがするのであります。人口も、きまっているのじゃなくて、今度は第二次ベビーブームということを申し上げましたけれども、かなりふえていくわけであります。これはやはり将来の姿を見定めながら考えていかなければならない、これも一つ大きな問題点だと思います。今後の人口増加の状況は固定しているわけではございませんで、ふえたりも減ったりもしている、これをよく見定めていかなければならないという問題が一つあると思います。それから、人口の移動状況、これもよく見定めていかなければならないと思います。そういうことを踏まえまして、施設をつくる、先生をふやす、私は、そういういろいろな条件から切り離して学級編制だけの問題を片づけるわけにはいかない。学級を割ったら一人一人の子供に対する配慮が行き届くじゃないか、そう思うわけでございますけれども、先生として十分な資質を持っていると言い切れない人まで先生に持ってこなければならないようなことになった場合には、私はかえってマイナスになる、こういう場合もあると思うのでございます。そういうようないろいろな条件をからみ合わせて考えた場合には、今回の場合、四十五人を押えるということは適当でないという判断をしたのだということを申し上げているわけでございます。
同時に、条件が許すのなら四十五人を四十人に下げたい。その場合には、四十人に下げるだけじゃなしに、一体どれくらいの人数が最適なのか、少なければ少ないほどいいのだというふうな結論にはならないと私は思うのでありまして、やはり子供さんたちが子供さん同士で遊び合っていく、チームの編成を考える、いろいろなことがあるわけでございますので、そういうことも、これまでも研究されているからそれでいいじゃないかということでなしに、なお、やはり掘り下げて研究していく必要がある、していったほうがベターだ、こう思っているわけでございまして、基本的な考え方は栗田さんとそう変わっていないのだと思うのですけれども、いまのようなお尋ねのされ方をされますと、私もあえてこんなことまで重ねて言わざるを得ない気持ちにかられるわけでございまして、この点は御理解をいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/7
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008・栗田翠
○栗田委員 私が最初申し上げましたように、教育効果についての検討は済んでいないのかということを伺っているわけです。最初言いましたように、教員養成だとかその他の人口問題だとかはあるでしょうから、そのことで四十五人を四十人にできないでいるのだとばかり思っていたら、効果についても研究課題であるとおっしゃったので——効果ということばはおっしゃいませんでしたが、四十人に減らすことはその他研究課題であるとおっしゃったので、その点で伺っているわけなんです。そして伺ったらば、大臣は四十五人が四十人になることはいいけれども、四十人の学級編制にすると、ときには学級を分けていったとき、二十人の学級もできる、二十人などになったらまたそこで問題もあるのじゃないかというお答えでしたから、私が、まだそんなことを検討していらっしゃらないのですかと申し上げたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/8
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009・奥野誠亮
○奥野国務大臣 従来からも検討されているわけでございましょうけれども、さらに掘り下げて検討したい。最高限を四十五人を四十人に下げる場合も、ただ下げるだけのことじゃなしに、もっと弾力的な運用を考えたらいいんじゃないだろうかな、こういう含みを持って申し上げておるわけでございます。形式的、画一的にきめるのではなしに、かりに二十人がいいのか、あるいは二十人になるような場合には、それを単純に二つに割らないで、どういうふうにしたらいいのか、いろいろなことがあるのではないかと思うのでございまして、やはり教育内容も次々に変わってきているわけでございますから、そういうふうな変化を踏まえてもう一ぺん考える、絶えず研究していく、こういう気持ちでお答えをしているわけであります。情勢が許すなら四十五人は四十人に下げたい、この気持ちは変わりはないわけであります。その場合でも、どのような学級編制のあり方が考えられるか、画一的でなしに、弾力的にくふうする余地があるのじゃないだろうか、その辺の問題をさらに掘り下げて検討しておく必要があるな、こういう気持ちで先日お答えをしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/9
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010・栗田翠
○栗田委員 もう一度重ねて伺いますが、もろもろの事情は別としまして、教育効果の点だけから見たなら、四十五人を四十人にいま学級編制を変えるほうがよいというふうに結論を出していらっしゃるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/10
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011・奥野誠亮
○奥野国務大臣 情勢が許す時期が来ましたら、最高限四十五人というのを四十人に下げたいという気持ちは変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/11
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012・栗田翠
○栗田委員 私もいままでいろいろ調べてみました。たとえば、ここに昭和四十六年に出ています全国教育研究所連盟の調査などがあります。これは都道府県教育委員会に設置されている教育研究所の連盟だというふうに聞いておりますけれども、こういうところから出されているいろいろなアンケートの調査でも、もちろん四十五人が多過ぎるという答えは圧倒的に多いんですね。七三・七%ぐらいあります。ところが、それでは何人ぐらいがよいかということで、一番多いのが二十一人から二十五人というクラス編制です。これが大体よいと感じているというふうに八九・二%の人が答えているわけでして、さっき大臣が二十人くらいになってしまうと少な過ぎるのではないかという問題についても、全国教育研究所連盟の回答でさえも、そのくらいで大体よいのではないかという言い方をしているのです。だから私が直ちにそれでは二十名にしろとか二十五名にしろと言っているわけでは決してないですが、そうじゃなくて、大臣がさっきそうおっしゃったのでそう申し上げておるのですが、こういう答えが出ているほどなのですね。ですから、検討がまだ済んでいない、教育効果について検討中であるというふうにおっしゃった点については、私たいへん疑問に思いましたので伺いましたが、いまのお答えですと、その他の事情は別として、大体教育効果ということだけでいえば減らしたほうがよいというふうにお考えのように伺いますので、そう理解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/12
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013・奥野誠亮
○奥野国務大臣 情勢が許せば四十五人を四十人に下げたい、四十人に下げた場合に学級編制のあり方がどういうのが一番好ましいのか、そういう個々の実態実態に応じた、地域の問題もからんでくると私は思うのです。いろいろな問題があると思うのですけれども、弾力的な措置がとれるようにしたほうがいいのじゃないだろうか、そういうこともあわせまして適当な機関に引き続いて調査をしてもらうという配慮が必要じゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/13
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014・栗田翠
○栗田委員 そこで、最初の問題に戻りますけれども、戦後、昭和二十二年に覚え書きがかわされているということを私申し上げました。これを見ますと、第一項から六項まで要求が出ておりまして、それがとにかく覚え書きという形で文部大臣と全教協とかわされて、つまり一致したからかわされているというそういう内容で出ております。どういう覚え書きの内容になっているかといいますと、「民主的な教育の確立並に労働条件の維持改善のための不可欠の要件」ということでありまして、まず第一が「一学校における教員数は最低二学級につき三名以上とする。」云々というのがあります。これは実現されております。それから第二項が、「一学級の収容人数は四〇名以内とする。」というふうになっております。第三項、「結核性疾患に関しては業務上疾病に準じて取扱うこと。」となっておりまして、これも解決されているわけです。第四項、「文部大臣は結核性疾患に関する療養所を各都道府県に一カ所以上速かに設置し、その療養費は賠償とする。」これも大体実現されているというふうに思います。それから第五が「女教師保護のため出産に関係ある実費制度を速かに確立する。」これも産前産後の休暇とそれから出産に関する実費ということで一応いまやられているわけです。まあ完全だとは言えませんけれども……。それから第六項、「組合員の休職中の給与は現職と同様に全額を支給する。」ということになっているわけですね。これはたいへん長く休職した場合はちょっと減ってきますけれども、大体これもやられている。こうなりますと、この六項目の中で第二項の「一学級の収容人数は四〇名以内とする。」ということだけがいまだに実現しておりませんで、昭和二十二年以来の課題だということなんですね。いま四十九年ですから、二十七年間かかって、徐々に減ってきましたけれども、昭和三十九年に標準四十五名がきめられて以来十年間はこれがやられていない。それが五カ年計画ですから、四十四年まで、あと五年間やられていなかったわけです。私たちは今度のこの定数法の改正にあたってたいへん大きな期待を持っていましたけれども、四十五名が一名も減らなかったという、こういう実態になっているわけです。検討中とおっしゃいますけれども、一体どんなふうに諸般の事情を検討してこられたのか、それを解決するためにどんなふうにしてこられたのかということを私はたいそう疑問に感じているわけでございます−
その点についてはあとでまた伺わせていただきますが、それではいま子供たちの実態がどうなっているかということです。これもいままでかなり質疑の中で出てまいりましたので、私くどく言うこともないと思いますけれども、子供の半数以上が授業についていけないといったようなことは、さっき言いました全国教育研究所連盟の調査にも出ています。半数以上どころか、ある指導主事などは、四分の三がついていけないというような答えもかなりの数の方が出している実態になっているわけですね。こういうふうな状態は一体どこから出てきているのかということを、ちょっと繰り返しにはなりますけれども、大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/14
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015・奥野誠亮
○奥野国務大臣 どの範囲までそのような実態になっているか私つまびらかではございませんけれども、よくそういう話を聞くわけでございます。そういう点からこのごろの教科書はたいへんむずかし過ぎる、小学校の学級担当、全教科担当、これも高学年になってくるとなかなかこなせる先生が少なくなってきたという話まで聞かされたりもいたします。そうしますと、教育内容にも一つの問題があるだろう、また先生の素質にも問題のあるところがあるだろう、いろいろな問題が複合しているんじゃないか、こういう気持ちもございまして、昨年来、教育課程審議会で、いま御指摘の点につきましても配意しながら御検討いただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/15
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016・栗田翠
○栗田委員 具体的ないろいろな事実、実態というのが新聞などにも報道されていますし、大臣も御存じかと思いますけれども、ほんとうに現場の先生は行き届いた教育をするためにたいへんな苦労をしています。たいへんな努力をしながら、それがやり切れないという悩みをかかえているのが実態です。
たとえばこんな話があります。特に小学校などで児童と先生との心の交流、それから特に児童が家庭でもどんな暮らしをしているのかということを一番よく知る方法は日記をつけさせることなんですね。日記帳を毎日先生が丁寧に読んでみれば、その子が悩んでいること、家庭の状態、学校でどういう友だちを持っているか、それがみんなわかるわけですから、日記をつけるという教育はたいへん大事です。ところが、いま小学校の先生のクラス担当している持ち時間というのは二十九時間、三十時間、中学校でもたいへん多いのですけれども、そういう状態になっているわけです。先生の中には良心的な方がありまして、つけた日記を一つ一つ丁寧に読んで赤ペンを入れるわけです。先生がほんとうに丁寧に赤ペンを入れて、子供の一番問題としているところ、子供が自分はこういうふうに新しく成長したと思っているところに先生が触れて、よくやったねというように書けば、子供はとても先生を信頼する状態になるので、こういう教育というのは実に大事です。ところがいまの実態ではこれをやりたくてもできないのだという悩みが出されております。たとえば日記帳を見るというのも時間がかかるものですから、全くあき時間のない状態でこれを見なければならない。全部うちへ持って帰って見るわけですけれども、一冊の日記帳を持って帰ったら、次の日子供が書けなくなるので、ある先生はくふうをして、二冊日記帳をつくって、一日おきに出させる、それで自分はうちへ帰ってそれを全部調べているという方もあるわけですね。ところがそれもまたやり切れない。いろいろさまざまな雑務の中でできないので、やむなく斜めに日記帳を読んでしまう。ちょっと赤ペンを入れるだけで済ます方もある。中にはとうとう見るだけでペンは入れない。しまいには日記を書かすのをやめるような人も出てくる。こういういろいろな場合があるわけなんですけれども、特に良心的にやろうとしている先生にとって、クラスの四十五人という非常に多い子供を全部丁寧に見るということが実にたいへんだという話です。これが二十人であり、三十人であり、また三十五人であったならば、どんなに行き届くだろうかというのが切実な声になっています。自殺する子供の問題なんかもこのごろ出ているけれども、先生と子供との心の交流ということを実現させていくためにも、いま一クラスの持ち人数、担任の数を減らして、一人一人に目が届くような教育をしていくということがどんなに大切であるか、またまじめな良心的な先生たちはそれを子供への愛情と責任という立場からどんなに願っているかということだと思います。こういう現場の声、ほんの一例ですけれども、大臣もよくお聞きくださって、人数を減らすための大きな努力をしていただく必要があると私は思います。
〔森(喜)委員長代理退席、松永委員長代理着
席〕
それからもう一つは、詰め込み教育の問題があります。この詰め込み教育で私はおもしろい例をこの間見ましたけれども、テレビをちょっとつけたらば、現役の大学生に有名中学の入試の試験を黒板でやらせていたのです。算数の試験問題で、たいへんむずかしいのです。これを二分間でやれと言われて、黒板に出ていって一人だけ女子学生が解いていましたけれども、あとみんな解けないんですね。私もちょっと二分間では解けません。アナウンサーが、自分も解けないだろうと言っていました。あとで考えて、私やっと解けましたけれども、かなりむずかしいんですね。こういうのが入試問題に出ています。そういうのをいまの中学を受験する子供がこなしているわけなんですね。ところが、それをやって通過してきた大学生、現役の大学生は、自分が大学生になってしまったら、かつては解けた問題が、すっかり解けなくなっている。受験のための勉強であって、基礎学力を身につけるものでないので、大学に受かったらすっかりお返ししてしまっているという状態なんかがありありと出ている。こういうことなども、子供たちがついていけなくなる大きな原因をつくっているだろうと私は思っております。その他教育課程の問題などさまざまありますけれども、これはいまちょっとおいておきます。
大臣、それでは、この間からのお答えの中で、ベビーブームが来るために、人口急増で先生の養成も間に合わないから、今度四十五人を減らすということが一つはできない原因になっているというふうにしきりにお答えになっていらっしゃったと思いますが、それは大きな一つの原因になっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/16
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017・奥野誠亮
○奥野国務大臣 第二次ベビーブームの問題と、都市に人口が急増している過疎と過密、特に児童生徒のふえるのは、ほんの九県でございましたか、そこに九七%が集中しているようでございますが、そういうような状態を踏まえて申し上げているわけでございます。養成が間に合わないというようなことを私は申し上げたつもりはございません。これは人口の状況というものを把握して対応していくわけでございます。
ただ、どういう順序で教職員の定数を改善していったらいいのか、この順序が私は大切だ、こう思うわけでございます。今回の場合には、先生方の事務的な負担をできる限り軽くしていきたい、また養護の問題についても配慮していきたい。事務職員や養護教諭の改善には特に努力をしているわけであります。同時にまた、複式学級、こういう点については、四十五人を四十人に下げるよりも先に改善の手を伸べるべきところだろう、こう考えて、三個学年複式学級を廃止しましたり、あるいは二個学年複式学級につきましても、学級編制の基準を下げたり、いろいろなことをやっているわけでございます。いろいろな情勢に対応する順序の問題だろう、こう考えているわけでございます。
同時にまた、ついていけないのも、どういうところで一番ついていけない状況が起こっているのか、地域的にも見ていかなければなりませんし、あるいは学級編制の姿についても見ていかなければならないでしょう。ただ一クラスの人数の多いところがそうだというふうには私は考えないわけでございます。
もう一つ、やっぱり先生の問題が非常に大切だなという感じがするのです。数日前にも、私は友人からこんな話を聞かされたんです。自分の子供、
このごろ非常に明るくなって勉強するようになったんだ。それは先生がかわったんだ。その先生は手書きで宿題も出してくる、テストの問題も出してくる、その先生の真剣さ、熱心さに子供さんがつられて勉強するようになったということらしいのです。というと、前の先生はそれほど熱心でなかったということになるのだろうと思うのでして、やっぱり先生のあり方というものは私は子供に一番大きな影響を与える。だから何といっても、先生の人数をふやすことも大切だが、それ以上に先生方に教育に情熱を燃やしていただけるような環境をつくっていかなければならない。またりっぱな方々が身を投じてくれるような教育界にしていかなければならない。私は何よりもこれが一番大切なことだ、こんな気持ちを持っているわけでございます。
学級編制の基準を下げることをおろそかにしているわけじゃありませんけれども、それはそれなりにどういう地域で、基準を下げた場合に、教室をどんどん建てていかなければならない、先生をふやしていかなければならないかという問題、また総人数がどうなるかという問題、あわせて考えていかなければならないと存じておるわけでございますので、並行的にこの点につきましても、栗田さんと同じような気持ちで努力はしていくつもりでございます。ただ、総合的な判断、配慮が必要だということだけは、繰り返し申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/17
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018・栗田翠
○栗田委員 大臣がそういうお答えをなさいますので、私また質問に時間がかかっちゃうのですけれども、さっき教育効果について、人数を下げたほうがいいということで大体一致したと思っていました。そうしましたらまた先生の質の問題ということをおっしゃるわけですね。それは同じ四十五人でも、熱心な先生と熱心でない先生だったら、熱心な先生のほうが効果があがるのはあたりまえなんです。だけれども、それはそこのところだけでおっしゃってますと、ではよほど能力の高い、スーパーマンのような体力もある先生がたくさんいらっしゃれば、四十五人でも済むということも出てきますけれども、そういうことでなくて、ほんとうに全体を見渡して討議をしていただきたいと私思っているんです。
さっき何のために日記帳の話をしたかといえば、熱心な先生であっても、子供に大きな教育の愛情を持っていても、四十五人という子供だと丁寧に日記を見ることができない。一人一人の子供の日記を丁寧に読んで、その子が何を悩んでいるか。この間もおかあさんがなくなって自殺した子供の話が出ておりましたけれども、私もあれはたいへん印象に残っていた問題なんですけれども、そういう問題だって、ほんとうに丁寧に見ることができれば、殺さないで、自殺を防いで指導することもできるけれども、それができないのだというのが先生の悩みなんですね。数が多いために指導しきれない、一人一人に心を通わせることがやりきれないので、何とか自分が満足できるようにしたいために減らしてほしいというのが切実な願いになっているのでして、そこのところでまた質の問題ということが出てまいりますと、これは話がちょっと変わってくるんです。先生の質がよいということ、どれを質がよいというかということも、いろいろ議論がありますけれども、愛情を持って教育熱心であるほうが、同じ四十五人でも行き届いた教育ができるのはあたりまえなことです。しかし、そうでなくて、やはりいまほんとうに適切な指導のできる人数はどのくらいであるかという、そこのところで大臣のお考えと私の考えとを一致させたいと思って討議しておりますので、そういうことをおっしゃられると、また話が食い違ってまいりますけれども、さきの問題に戻って、大臣、その点ではどうお考えなんですか。私、さっきは一致していると思ったんですけど、そうでないような感じがします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/18
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019・奥野誠亮
○奥野国務大臣 養成が間に合わないからかというようなことをお尋ねになりますから、私もああいう御返事をしなければならないのです。学級編制の基準だけを切り離して御議論いただきますならば、四十五人よりも四十人に下げるほうがベターだ、私たちは状況が許すなら、ぜひそういうふうに努力をしたいと思っているのです、こう申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/19
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020・栗田翠
○栗田委員 それでは一つ伺います。
何しろ二十七年間懸案になっていた四十人の問題で、大臣もいま弾力的にというふうにおっしゃっているわけです。四十九年から小学校はベビーブームで人数がふえます。ところが中学校はまだふえておりません。六年後ですね。中学だけなぜ四十人または四十五人以下にお下げにならなかったのでしょうか。そこらを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/20
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021・岩間英太郎
○岩間政府委員 やはり小学校、中学校というのは、いま高等学校もそうでございますけれども、同一歩調で進めていく、それが適当であると考えているからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/21
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022・栗田翠
○栗田委員 同一歩調とおっしゃいますけれども、弾力的にというお答えがさっきから出ているわけです。一ぺんに減らすことはできないという事情はあるでしょう。しかもベビーブームの子供たちが中学にだんだんに上がってくる。先生たちを多くしておかなければなりませんし、いろいろな先の見通しを持った施策というのがいま必要だと思うのです。で、教育効果上、事情が許すならば減らすほうがよいということを言っていらっしゃる以上、まだベビーブームが来ない中学校、六年後に、これから来るのに備えなければならない中学校、しかもクラスの半分以上、または四分の三以上がついていけないということがかなりいわれているいまの義務教育の実態で、減らすことが急務だということになりましたら、中学だけでも、何も四十人にすぐしなくたっていいです。四十三人、四十四人に減らすということでも、それは努力のあらわれだと思いますが、私は四十人ぐらいにしてもいいと思っているのですけれども、そういうことはできるはずです。別にそこで同一歩調ということを強調なさる理由が私にはわかりません。なぜ同一でなければいけないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/22
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023・岩間英太郎
○岩間政府委員 小・中・高等学校は同一歩調でやってきたということでございまして、その一部一部につきましては、私もどこを下げたらいいかというような意見はございますけれども、それはいまは申し上げません。
それから、小学校で子供がふえてまいりますと、当然中学校に波及するわけでございます。六年あるいは七年後にはふえていく、そうなりました場合に、現在と同じような状態で、大臣がおっしゃいましたように、過密九県に九七%の、そういう現象があらわれてくるということになりますと、いま四十五人を四十人に下げるというだけで三万四千学級ふやさなければいかぬ。その建物のことを考えました場合に、たとえば東京のまん中でございました場合には、小学校を二つつくらなければいかぬ、中学校を二つつくらなければいかぬというふうな事態になるわけでございます。これは俗な表現で申しますと、物理的に不可能なことでございまして、そういうことが予想されているにもかかわらず、現在中学校の学級編制を下げる、そのときになってまた上げるというふうなことは、全体として好ましくないというふうな判断でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/23
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024・栗田翠
○栗田委員 別にいま減らしてあとで上げてほしいというわけではありません。ですけれども、ベビーブームになるから、それも大きな問題だということをおっしゃった。中学はそうでないんだから、六年後なんだから、いまやっておかなければ、またあとでますますできなくなるのではないだろうかというのが私の考えてございます。六年後にいずれまたふえるだろうからだめだというふうに言っていたら、これはいつまでたったって四十五人は四十人にならないのじゃありませんか。私、一体文部省はそういう点で減らすことに本気で努力していらっしゃるのかどうか、たいへん疑問に思うのです。中学だけ減らすということは、ほんとうにできないことでしょうか。大臣、その点どうお考えになりますか。いまの同一歩調との関係でございます。大臣の御見解を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/24
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025・奥野誠亮
○奥野国務大臣 中学の生徒も、人口が急増している地域におきまして激増しているわけでございます。また過疎の地方におきましては、先生の新規採用をしにくい状況でございますけれども、こういう過密の地域におきましては、新規の採用、足りなくて困っている、こういう状況もあるわけでございます。ある程度平均的に先生を採用していきませんと、あるときにどっと採用する、あるときに全然採用しない、これではやはり先生方の編成の上にも支障があるのじゃないかな、こう思うわけであります。無理にたくさんの人を採用しますと、必ずしもいい先生が採れないのです。また年齢構成の問題もある。あるときになって一ぺんにやめてしまうというようなこともあったりするわけでございます。いい先生を十分に採用できるということであるなら、それほど心配をする必要はないかもしれません。そういう問題と施設の問題と両方あるわけでございまして、日本全部をながめられまして、平均的な数字でお考えになりますと、あるいはそれはできぬこともないじゃないかというふうに思われるかもしれませんけれども、いろいろな変化は平均的に起こっておるわけじゃございませんで、先ほど九県と言いましたが、九県について、特段に中学の生徒数がふえてくる、だからいまでも過密の学校、これを分けなければならないけれども、新しい校地がなかなか手に入らない、プレハブ教室で苦しんだりしているわけでございますし、あるいは現に間仕切りでとにかく済ましているというようなところも都市にはずいぶんあるのでございまして、そういうことを考えますと、やはりこの段階では無理だ、だからほかの点について、教職員の定数の改善をはかろう、総数としてはかなりの改善をはかっているわけであります。これはもうぜひ御理解をいただきたいのであります。第四次の改善、一次から三次までは全部児童生徒数が減るときの改善でございます。今度はふえる際に、自然増もあるにかかわらずなお改善をしている、その努力を私はぜひ買っていただきたい、こう思うのでございます。いまのような児童生徒の偏在状況等から考えまして、今回はやはり無理だ、こう判断をいたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/25
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026・栗田翠
○栗田委員 私の質問にお答えくださってないような気がします。自然増の多いときに改正するのだから無理だとおっしゃるから、中学校は自然増にまだなっていないから、その間に五カ年計画なりで先におやりになったらどうでしょうか、小学校の免許を持っている先生と中学の免許を持っている先生と多少違う方もありますから、中学校だけでもおやりになったらどうでしょうか、それがなぜできないのですかということを伺っているのですね。ぜひお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/26
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027・奥野誠亮
○奥野国務大臣 第二次ベビーブームのほかに、人口の移動、社会増、過密地域に児童生徒数が急増しているのだということも、学級編制の基準を下げられない事情なんですということは申し上げているわけでございます。もし中学校について学級編制の基準を下げますと、いまでも大都市におきまして、一つの中学校がはち切れそうになっている。分けて、校地を見つけて校舎を建てたいのだけれども、それができないのです。講堂の間仕切りまでして行なわれている。あるいはときによってはプレハブ校舎で間に合わせている。それが一そう学級をふやすわけでございますので、教室を建てなければならない、こういう問題に必ずなるわけでございます。それが施設の面でたいへん困ることだ。もう一つは、大都市におきましては新しい先生を採用する、たくさんな先生を毎年毎年採用してまいるわけでございますので、これがさらに拍車をかけられる。はたして質のいい先生方ばかりを確保できるだろうかということになると疑問だ。そうすると、自然増で先生をふやさなければならぬので精一ぱいなのに、加えてまた学級編制の基準を改正することによって、また先生をふやさなければならない。そうすると、一そう先生の質を確保していくということについて問題が起こってきはせぬだろうか、こういう心配もあるのです。こんなことを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/27
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028・栗田翠
○栗田委員 それでは、ベビーブームがその大きな原因だというだけでなくて、その他にあるということで、中学もベビーブームではないけれども、できないというお話なのですね。そうしますと、条件が整ったときとおっしゃいますけれども、いまのような条件が並んでいるのですと、いつになったら学級編制は改善できるのでしょうね。いまのような人口急増の問題、それから過疎地での先生採用がむずかしい問題、いまの養成の状態のままで一ぺんに先生をたくさん採用すると質が落ちるという問題、これはいつまでたっても続く問題じゃありませんか、いまのままでしたら。それを断ち切って、どこでそれでは好転させていくか。とにかく大臣も、条件が許すならば四十五人の学級編制は減らしていったほうがよいのだとお答えいただいているわけですから、それを実現する条件というのはどういうふうにつくろうとしていらっしゃるのでしょうか、その抜本的な文部省の施策を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/28
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029・岩間英太郎
○岩間政府委員 これから子供がふえてまいりますのは、十年間ぐらい続くのじゃないかと思っております。もちろんこの標準法の改正は、五年後にまた行なうということになろうと思いますので、その際に検討するということにもなると思いますが、いまの子供のふえ方、あるいは社会増の推移、そういうものを考えますと、私の考えとしては、十年間はできないのじゃないか、十年後になりますと、小学校、中学校の児童生徒が下がってまいりますから、そういう機会に改善を考えるということではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/29
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030・栗田翠
○栗田委員 十年後に下がるという確証があるのかどうか私たいへん疑問ですけれども、十年後だと、まだ生まれてない子供たちが一年生になるのですからね。いまそうおっしゃいますけれども、それだってどうかなというふうに思うのです。そのときまたふえてきたら、またそういう問題が出てくる。これは、こういうさまざまな困難な事情を並べられましたけれども、もしほんとうに子供たちに行き届いた教育を、日本の将来をになう子供の教育に真剣な配慮をするのだったら、そういう悪循環を断ち切るだけのもっと積極的な予算措置なり、教員養成なり、それから過密地帯では、用地の確保をして学校を建てられるように国自身がもっと抜本的にやるとか、こういう施策なしには、いつまでたっても、あれがあるから、これがあるから、この事情があるから四十五人が一向に下がらないということになるんじゃないかと、いまのお話を伺っていて私思うのですけれども、そういう抜本的な施策というのをどうしても立てていただかなければならないというふうに私は思います。それについてお答えいただいても、いまと同じようなお答えが出てくるような気がしますから、あえて二度伺いませんけれども、いまの状態では、ほんとうに人口がますます過疎過密がひどくなる日本の現状、それから子供だってこれからだってふえるかもしれません。そういう状況で、先生の養成が実際に足りないのなら、それをどうふやしていくか、ここのところをやっていかない限り、半分以上の子供がついていけないなんということが何年も続くということになって、日本のこれからの将来に実に重大な問題が起こってくると私は思います。特に世界的に見ましても、日本の四十五人というのは実に高いのです。その辺の世界の水準について、もし資料をお持ちでしたらお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/30
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031・奥田真丈
○奥田政府委員 外国の学級編制の基準でございますが、基準を明確に規則とか法規で定めております例といたしましてはイギリスがございました。イギリスは一九五九年に学校規則で編制基準を国が定めたのでございますが、一九六九年にはこれを廃止しております。五九年に定めました基準によりますと、義務教育学校一学級当たりは、児童生徒数は四十人をこえない、こういうような規定がございます。それからなおフランスにおきましては、六五年に文部省の通達が出ておりまして、義務教育学校の最大規模は四十人、こういうような定めがございます。西ドイツの例でございますが、ドイツは連邦国家でございまして、各州ごとに基準が定められておりますが、ノルトライン・ウェストファーレンという州の基準を見てみますと、大体一学年から四学年までの基礎学校、あるいは五学年から七学年までの実科学校、こういうところでは四十人を基準とする、こういう定めがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/31
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032・栗田翠
○栗田委員 いまもお聞きくだすったように、世界のいろいろな水準から見ても、日本の四十五人は非常に高いというふうに思います。
それからまた分布にしましても、これは私の調べましたもので、昭和三十九年の資料でたいへん古いのですけれども、三十人以下の児童生徒が何%いるかというと、日本は一九・一%しかいませんが、アメリカが五六・七%、イギリスが三六・八%もいるわけです。それから三十人から四十人になりますと、米英が四一・三、四八・八というふうになって、西ドイツも四二・八と、ここが一番多いのですが、日本はまだ二五・二しかないのですね。四十一人から五十人のところで日本が圧倒的に多く、四五・九%。ところが他国になると、もうこれ以上のところというのは非常に例外的な数になってます。そういう意味でも、国際的ないろいろな水準から見ても、日本のクラス編制基準というか、クラスの定数が非常に多いところに分布しているということは、これは事実だと思います。やはりこういうことも考え合わせながら、特に現場からの、人数が多過ぎて、良心的にやろうと思っても、どんなに子供に愛情を持っていてもやり切れないのだという声を、これはどうしても真剣に考えていただいて、抜本的な施策を立てていただく必要があると思います。
ところで、次に伺いますが、四十人にしたら先生が何人現在必要か、そしてまたどれだけの予算が必要かということ、試算なさったことがありましたら数を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/32
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033・岩間英太郎
○岩間政府委員 これも前にお答えしておりますように、三万四千学級増加をしなければならない、これに対する教員の増加が約四万三千人でございます。その予算は、人件費だけで千四十億程度、建物等のことを考えますと、これは推定でございますが、千三百六十五億という予算が必要なわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/33
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034・栗田翠
○栗田委員 いま三万四千学級、予算で千四十億というふうにおっしゃいました。まあ施設とあわせても二千三百数十億ぐらいなものでして、これはさほど金額として多いものではないと私は思うのです。文教予算というのが、全予算額の中で年々率が減っているということをたいへん私は憂えております。国民所得に対する教育費も、日本は四・八%、先進国は六%という例も以前から出されております。これをたった一%日本でふやしただけでも、いま言いましたぐらいの予算というのは十分にまかなっておつりがくるだけのものがある。どうしてもこれは予算もふやし、抜本的な対策を立てていただかなければならないことだと思います。
続きまして、これに関連して伺いますが、大臣は四十五人はナショナルミニマムであるということをしょっちゅうおっしゃっていて、これが最高標準であって、これ以上にしてはならない、これ以下なら幾らでもいいのだというふうに言っていらっしゃるわけです。ところで伺いますが、日本の全国で、いまこの最高水準四十五人以上の、つまり四十六人以上の学級はどのくらいあるでしょうか。またそこにいる児童生徒の数はどのくらいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/34
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035・岩間英太郎
○岩間政府委員 現在、四十六人以上の学級数は全体の〇・六%でございます。学級の数にいたしまして二千五百三十五学級、収容されている子供の数は十一万七千六百六人という、これは四十八年の五月一日現在の調べでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/35
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036・栗田翠
○栗田委員 大臣、こんなにたくさんの学級が四十六人以上だったのを御存じでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/36
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037・奥野誠亮
○奥野国務大臣 おそらく大都市地域で、次々に年度の途中にも生徒が転入してきたりするというようなことも大きな原因になっているのじゃないだろうか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/37
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038・栗田翠
○栗田委員 最高の標準、四十五人を上回る学級があるということは、これは望ましいことではないと思うのですが、こういうものをなくしていくための努力は惜しまれないと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/38
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039・奥野誠亮
○奥野国務大臣 法律には四十五人を標準とすると書いている、そうして先ほど国としてはナショナルミニマムを保障していくのだという私のお話をお取り上げいただきました。四十五人をこえた場合には二つの学級に割る、それだけの先生方を採用してほしい、その費用については国は半額を負担していきます、こういう態度をとっているわけであります。それを、事情やむを得ず四十五人をこえて学級を編制せざるを得ない場合もあろうかと思います。好ましいことじゃございませんけれども、物理的に余儀なくされる場合もあろうかと思います。反面また地方団体が、都道府県と市町村がともに合意していかなければいけませんけれども、四十五人にしないで、四十人をこえたら二つの学級に割る、そういう団体があっても何も差しつかえございません。そのかわり、それによって起こる、先生をふやさなければならないその経費は、地方団体が全額負担しなければならないということになるだけのことでございます。地方分権のたてまえをとっておるわけでございますので、国としてはナショナルミニマムは保障していきますよ、だから少なくともここまではやってくださいよ、こうお願いしていますけれども、物理的にできない事情の起こる地域があり得る、それが四十六人、四十七人の学級だと思います。また積極的な意欲を持って、四十五人であればむしろ二つの学級にしようとする地域が起こってきても、これは何ら批判すべきことじゃない、それはそれぞれの地方自治のたてまえでごくふうになってしかるべきだ、しかしその経費はそのかわり国は負担しませんよ、単独で全額をそれぞれの地方団体が負担していただかなければいけませんよ、こういうことでございます。あくまでもナショナルミニマムを国としては保障する、それは少なくともここまでなければならぬ、そうはいっても、地域によっては不可能なことになる場合もあり得る、それはやはりやむを得ないことじゃないだろうか、好ましくはないけれども、やむを得ないことじゃないだろうか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/39
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040・栗田翠
○栗田委員 私が伺っているのは、こういう四十六人以上のところで勉強している子供たち、四十五人でさえ多いといわれているのに、実際には四十六人、四十七人、中には五十三人なんという学級があるのですね。そういう子供たちが非常に行き届いた教育を受けるという点で恵まれない状態に置かれているということについて、これをなくしていくための大臣の御決意を伺ったのです。最高標準は四十五人だけれども、やむなくそれ以上になっている場合もあるだろう、これは自然現象じゃないのでして、やはり政治の貧困といいますか、文教行政の不足からくる問題だと私は思っています。それは、人口急増地で土地がなくて、施設不足ということがどうも一番大きな原因のようではありますけれども、では、それをなくすために文部省としては、特に最高責任者でいらっしゃる大臣としてどういう御決意があるのか、今後どういう態度でそれをなくすために臨んでいらっしゃるのかということを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/40
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041・奥野誠亮
○奥野国務大臣 文部省といたしましても心配なものでございますので、そういう人口急増地域につきましては、校地を購入する場合にもそういう地域に限って国から補助金を支出いたしましょう、四十九年度はその補助金の金額の算定におきましても、従来は土地の二分の一を補助対象にしておったのを、十分の六を補助対象にしましょうというように改めさしていただきました。また、昨年は、こういう地域について小学校や中学校を建てる場合には、他の地域は二分の一の国庫負担しかしないけれども、そういう地域については三分の二の国庫負担をさしていただきましょう、こう申し上げたわけでございまして、そういう地域につきましてできる限り校舎を新増築しやすいように努力をしておるわけでございます。おそらく当該団体の議会においてたいへん真剣な論議が繰り返され、また真剣な努力が尽くされていることだと思うわけでございます。努力をしてもなおかつやむを得ない事態がそういう地域においては起こっているのじゃないだろうか、かように思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/41
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042・栗田翠
○栗田委員 私は、自治体、当該団体の責任を言っているのではなくて、国としての責任を伺っているわけなんですね。こういうふうに四十六人以上になっているのが非常に苦しい状態の中で出てきているということは、私わかります。地方自治体はそのために非常に努力をして苦労をしています。それについて、施設や用地費その他配慮がされているといっても、なおこういうクラスが二千五百も出ているということですね。子供の数にして十一万七千六百人。十一万七千人といいますと、ちょっとした中都市ぐらいの人口じゃありませんか。相当な数なんです。それだけの子供がそういう教育条件のもとに置かれているということを一日も早く解消しなければならない。これが国の責任だと思います。首をかしげていらっしゃるのですけれども、やむなく出てきているけれども、しかしそれはやむないということで済ませられる問題ではない。ほんとうにクラスの数を多くして先生をふやしたいと思っていても、教室不足のためにできない。そのためにクラス定数が四十六人から五十人、五十三人というふうになっている。これに対して特別の配慮をしていくだけの真剣な努力がないと、これは先生の質の問題なんかではとても解決できない問題だと思います。そういう点の御決意を伺っていたわけでございます。もう一度伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/42
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043・奥野誠亮
○奥野国務大臣 どうも栗田さんのお話を聞いていると、教育を中央集権化しろとおっしゃっているのじゃないかという疑問がわいてきます。小学校も中学校も国立学校にしろとおっしゃるなら、国の責任だとおっしゃっても私はわからないわけじゃないのでございます。小学校も中学校も市町村立でございます。同時にまた、先生方の配慮は都道府県教育委員会が行なっていくことにしているわけでございます。市町村という自治体も、都道府県という自治体も、無意味に置いているわけじゃないと思うのです。責任を分担し合っているのです。私は、国としてこれだけの配慮をしておりますということを先ほど申し上げたにかかわらず、四十五人をこえる学級が出ていることは国の責任だと、こうきめつけられますと、教育行政を中央集権化しろとおっしゃっているように私には聞こえるのでございまして、やはり責任をそれぞれ分担し合っていく、同時にまた土地の入手がしやすいように土地の制度についても国として十分配慮していかなければならないわけでございましょうけれども、地域地域におきましてもやはりまず優先的に校地の確保には協力するというような姿勢もなければならないと考えるわけでございます。国は何らの責任はないと私は申し上げているつもりじゃございませんけれども、やはり国として努力する点については限界があるのじゃないだろうか。これらの問題は少しも金の問題で起こっているのではないことだけは御理解いただきたいのでございます。人口がどんどんふえてきている、土地の入手はなかなか困難だ、学校は建ちにくい、こういうふうな事情が中心になっていることをぜひ御理解を得ておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/43
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044・栗田翠
○栗田委員 それはたいへん問題なお答えでして、行き届いた教育環境を保障していくということ、そのために努力を惜しまないということは、何も中央集権化に通ずることじゃないと思うのですね。それはやはり国としても大きな責任を持って、子供たちに行き届いた教育を保障するための、そういう立場で努力をしていかなければいけないということで申し上げたのです。
次に私は、それでは実際の状態について申し上げます。
たとえば、静岡県を私は調べました。全国でさっきのような数字が出ていますけれども、静岡県でも十一校、十三学年にわたって三十四学級が四十六人以上になっておりました。理由は、全部教室不足ということでした。やはりこれは人口急増地で施設が間に合わないということが最大の原因であることは確かです。ところで、そういう中で、しかし四十六人以上を解消していくためにまだまだやれる努力、予算の問題だけではなくて、できる努力というのがずいぶんあるのじゃないかと私は思っているのです。たとえば、この五月一日現在で四十六人になっているのは教室不足なんですが、その後こういう問題が出ています。七月以降三月まで、これは毎月学校での児童生徒の数の変動というのが報告されて、それがクラスを一つふやせる数だったときには先生が配当されるようになっていると思うのですが、そうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/44
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045・岩間英太郎
○岩間政府委員 年度の途中でございましても、四十五人をこえるという場合にはそれ相応の措置ができるように配慮をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/45
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046・栗田翠
○栗田委員 この場合、減った場合にはどうなるのでしょうか。先生の配当は減らしますか。予算的に減らしていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/46
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047・岩間英太郎
○岩間政府委員 私どもは、県が認可した学級の数を基準にして財政上の措置をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/47
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048・栗田翠
○栗田委員 ちょっと私わからないのですが、県が認可した数、そうすると七月以後については実員実額でやっていらっしゃるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/48
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049・岩間英太郎
○岩間政府委員 県が認可いたしました学級を基準にいたしまして教員の定数がはじかれる、その定員がはじかれました場合には、その定員を基準にして国の財政措置を講ずる、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/49
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050・栗田翠
○栗田委員 義務教育費国庫負担法第二条但書に基く限度政令というのが出ていますね。あれを見ますと、理論学級数で学級は出すことになっていて、四十五人を理論学級数とする。実際にはもっと少なくてもそれで計算をしていると思います。そうしますと、ふえたときはいまわかりましたが、児童生徒数が途中で減ったときですね、たとえば三人減っても一クラス減る計算になるような場合がありますね、すれすれのときに。こういうときに、そういう申請がされれば減らすけれども、されなければ先生の数はそのまま配当して、予算的にもそのまま保障しているのでしょうか。そこらを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/50
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051・岩間英太郎
○岩間政府委員 一時、産炭地等で十五学級ぐらいの学級が三学級とか五学級に減った場合がございます。そういった場合には県のほうで認可学級の変更があったと思いますけれども、通常の場合、多少人数が減りましても認可は変更しないのが通例であろうと思います。私どもは、そういう場合には県の認可というものを尊重するという立場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/51
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052・栗田翠
○栗田委員 私は静岡県教委で調べましたところが、非常に多くふえた場合、それから非常に減った場合、これは別問題なんですけれども、多少の増減については県段階で相殺してしまって、報告していないのだと言ったのですね。それで驚いて、ふえた場合、一クラスがふえるような場合には、当然先生の数というのがふえる計算になってきますから、それが相殺されますと、先生の数もふえない、実際に、子供も途中から入ってきたために一クラス四十六人とか四十七人とかになっていくのですけれども、それもそのままにされるということが起こっているのですね。五月一日現在で、さっきお話しのあったような数が四十六人以上なんですが、これが七月以後になりますと、四十六人以上という学級はもっとふえているんですよ。それはおわかりになると思います。途中からどんどん転入してまいりますから、そのままクラスがえしなければふえるのですね。ですから、現実には四十六人以上で勉強している子供の数というのは学期の途中ではもっと多いという事実が起こっておりました。ただ、実際に学年の途中で一々クラスの編制がえをやったら、これは教育ができませんから、おそらく七月以後、まあ普通五月一日以後は多少ふえてもクラス編制がえというのはしていないと思います。しかし、そうであっても、先生は余分に配当される、必要な数だけ理論学級数で配当されるということがあれば、それだけでも多少目が届くという実態になっていくだろうと私、思うのですね。減ったほうについて申請しないかわりに、ふえたほうについてしないということが事実やられているというふうに聞きましたので、これは、減ったほうを申請して先生の配当が減らされては困りますから、ふえたほうと相殺しているのだろうなと思ったのですが、そうではないということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/52
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053・岩間英太郎
○岩間政府委員 学級編制をどういうふうにしていくかということにつきましては、これは都道府県の教育委員会におまかせをしているわけでございます。でございますから、子供がどんどんふえる、その場合に、どうしても学級を分けなければいけないという事態がございました場合には、これは県の教育委員会が御判断なさると思います。しかしながら、四十五名を多少こえたからといって学級編制をかえるということは、これは教育上好ましいことではないという御判断もございましょうし、子供たちも同じ学級でせっかく同じ友だちができたところへまた学級をかえるというふうなことは、これは非常に大きな抵抗があるのじゃないかということで、そういうふうな教育的な配慮で四十五名以上の学級を認めておられるという場合には、その認めておられる学級を基準にして私どももいろいろな措置を講ずるということになるわけでございます。県のほうでこれは二つの学級にしたほうがよろしいということで二つの学級に分ければ、当然その事実をもとにいたしまして私どもは財政措置を講ずるということで、あくまでも都道府県の教育委員会の御判断というものを尊重して私どものほうではその手当てをしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/53
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054・栗田翠
○栗田委員 私、ちょっとよくわからないのですが、そうしますと、ふえたほうについて申請されれば理論学級数で割ってクラスが事実ふえる、その分は先生の配当を予算的にもちゃんと保障する、たとえ何人か減って、クラスが一つ減る場合でも、一々学級編制をかえるわけにはいきませんから、そのままでやっていく、それについては実際の実情に応じて、国としても予算的に減らすような措置はとっていらっしゃらないということですね。それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/54
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055・岩間英太郎
○岩間政府委員 都道府県の教育委員会の御判断に学級編制につきましてはおまかせする、それを基準にいたしまして、私どもは必要な財政措置を講ずるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/55
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056・栗田翠
○栗田委員 すると、七月以後は実員実額でやっていらっしゃるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/56
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057・岩間英太郎
○岩間政府委員 実員実額ということではないわけでございまして、その学級編制は都道府県の御判断できまってくる、それに対する教員の配当等につきましては、これは法律の基準に基づきまして算定をする、その算定をいたしました教員数につきまして国のほうで手当てをする、そういう仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/57
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058・栗田翠
○栗田委員 そうしますと、実際には一クラスふえるような場合でも、五十人なり五十三人なりにしてしまってふやさないでいたら、クラスの数でしか先生の配当はないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/58
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059・岩間英太郎
○岩間政府委員 先ほどから申し上げておりますように学級編制をどうするかという点は、これは弾力的に都道府県のほうで御判断をいただいても差しつかえないようなことにいたしておるわけでございます。でございますから、子供が学年の途中で減ってくるという場合にも、教育上の配慮から、学級編制をにわかにかえるということは、これは通常あり得ないことでございます。また、多少ふえましても、学級編制を急におかえになるというふうなことはないわけでございまして、そういうふうな都道府県の御判断を基準にいたしまして、認可された学級に基づいて私どものほうは手当てをするということでございまして、それが一番実情に即した方法ではなかろうかということで、その点は法律にも具体的に書かしていただいておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/59
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060・栗田翠
○栗田委員 そうしますと、理論学級数との関係はどうなるのですか。さっきの限度政令でこうきめられているわけですね。市町村立の小学校及び中学校について、標準法に規定する学級編制の標準により算定した学級数に基づき同法第六条に定めるところにより算定した数を、まあ教諭などを配当するということになっているのですけれどね。いまのお話ですと、人数がふえても、実際にあるクラスの数、申請されているクラスの数で配当するのだというふうにおっしゃっているのですね。まあ減った場合も同じですけれども。しかしこれによりますと、標準法に規定する学級編制の標準により算定した学級数に基づきですから、実際には学級数がどうであろうとも、標準法のこの四十五人で割った理論学級数で算定した学級数で教員の配当はしていると私は理解していましたけれども、いまのお答えと矛盾しますけれども、この限度政令はそこで適用されていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/60
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061・岩間英太郎
○岩間政府委員 標準法に定める学級編制の基準に基づいて各都道府県は各学校の学級編制の認可をしているわけでございます。そういう場合に、先ほどから先生御指摘になっておりますように、年度途中でいろいろな変動が起こってくるというふうな場合が、これは例外的に起きてくると思いますけれども、それを一がいに無視してやるということはいかがかということで、標準法の五条にも規定がございますように、学級編制の認可というものは都道府県の教育委員会がやっていただく、私どもはそれを基礎にいたしまして国のほうの手当てをするということでございます。したがいまして、その標準法の学級編制の基準をもう完全に無視してしまって、都道府県がかってにやって認可をしているようなものまでも私どもが手当てをするということではございません。各都道府県とも学級編制の基準に基づきまして認可をしておられるはずでございますから、その多少の出入りにつきましては、これは都道府県の教育委員会の御判断を尊重するということが実態に即しておりますし、また適当であろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/61
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062・栗田翠
○栗田委員 話がだいぶこまかくなって申しわけないのですけれども、そうしますと、実際には五クラスしかない、その五クラスは四十七人なり四十八人なり子供たちが入っちゃっている、これはほんとうだったら六クラスにすべきところだけれども、年度途中だからまあ五クラスでそのまま変動しないでいるという場合ですね、こういう場合には六クラス分、これだけふえましたからとくれば、実際には五クラスしかなくても六クラスあるものとして教員は配当されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/62
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063・岩間英太郎
○岩間政府委員 都道府県の教育委員会が五クラスのものを六クラスに編制をされました場合には、私どものほうはそれに対する手当てをするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/63
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064・栗田翠
○栗田委員 わかりました。それで、くどいようですけれども、そうすると、その逆の場合ですね、減る場合が起きるわけですね。いままで六クラスで編制していたところが、何人か減ったために理論学級数でいうと五クラスになってしまう、しかしそれは編制がえするわけにいかないから六クラスでやりますね。そういう場合には、理論学級数で計算すれば教員配当は減らさなければならないけれども、実際にはそういうような事情の場合には減らさないという措置がとられているということですね。そういうふうに都道府県が申請している場合は、理論学級数で厳密にいえば数が一クラス違うけれども、しかしそれはあるがままに教員配当もし、予算的な措置もしていらっしゃるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/64
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065・岩間英太郎
○岩間政府委員 合理的な基準のもとに教育的な配慮でそういうことが起こった場合には、私どもはそれは県の御判断を正しいものとして処置をするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/65
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066・栗田翠
○栗田委員 いまの点はよくわかりました。減った場合に、減らされることを心配してふえたほうを申請していない県があるようですが、大きく減ったりふえたりしたら話は別でして、そんな場合に黙っているなんというのはおかしいのですが、教育効果から考えてあまり変動させるべきでない、しかし四十六人、四十七人の学級ができる、これに対しては何か教員の数をふやして行き届いた配慮もできるような措置をしたい、そういうふうなところについてはできるということですね。たいへん安心いたしました。それでよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/66
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067・岩間英太郎
○岩間政府委員 それはそのとおりでございますけれども、やはり教育的な配慮その他を考えますと、学年の途中で学級編制をかえるということは実際問題としてはあまりしていないようでございます。また、それは教育的な配慮のもとに行なわれていることでございますから、適当な措置であろうというふうに私は考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/67
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068・栗田翠
○栗田委員 私も学年の途中で学級をかえるのはいいとは思っていませんし、そのことをさっきから一度も申し上げていません。
次に、五月一日に学年の編制がえをする問題があるのですね。これはよくあります。四月に子供が入学して、先生も全部担任がきまって、班をきめて班長さんを選出して、いよいよやりましょうということで一カ月やった。ところが五月一日になって人数が変わって、一クラスふやすというので全部編制がえする場合があるのですね。これも非常に大きな問題で、わかっているならなぜ初めから一つふやさないのだなんということが父兄の声としてあります。ところが、現実になぜこうなっているかということなんですが、これはさっき言った限度政令があるために、ふえる見込みがあるけれども、はたしてそれがあと一クラスふえるところまで人数がふえるかどうかわからないというすれすれの場合に、クラスをぎりぎりに編制してしまうために、たまたま何人か余分に入ってきて、余分というのはおかしいけれども、オーバーして、そのために編制がえをすることがあるのですね。こういう事態はなくしていかなければならないと私は思います。どのくらいまでふえるかわからないけれども、ある程度ふえる見込みがあるという場合ですね。それから七月以後でも、このままでいったならばいわゆる最高標準であるべき四十五人を上回る可能性があるという場合に、弾力的にクラス編制ができるような配慮を国としてしておく必要があるのではないだろうかというふうに私は思っております。その点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/68
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069・岩間英太郎
○岩間政府委員 算定の基準を五月一日に現在はしているわけでございますけれども、これを五月一日にすべきか四月一日にすべきか、いろいろな意見があったわけでございますけれども、四月一日でございますと、その後の変動等がございまして、転勤その他が三月の終わりあるいは四月の初めに人事が行なわれるというふうなことがございまして、いかにも安定をしないということで五月一日をとっているわけでございます。これは技術上のそういうふうな問題で、実際にただいま先生御指摘になったようなこともあることは承知をいたしておりますが、これはまだ学年の初めのことでもございますし、年度の途中で組みかえをするというふうなことをできるだけ避けることも考慮をいたしながらやっていることでございますから、多少のそういうふうな場合がありましても、現在のところはやむを得ないと申しますか、今後そういう点につきましてはさらに検討していきたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/69
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070・栗田翠
○栗田委員 私はその四月一日か五月一日かという問題を申し上げているのではなくて、学級の編制をある程度都道府県の判断で弾力的にできるようにするべきだということを言っているわけです。そう言いますと、大臣おっしゃると思うのですね。それは都道府県の判断にまかせてあるではないか、そういうふうにちゃんと法令上書かれているではないか、こうおっしゃいます。ところが、障害になっているのは何かといいますと、それがさつきのいわゆる限度政令です。予算的に教員の配当その他クラス編制の基準は四十五人を理論学級数とするという限度政令が出されているために都道府県が弾力的な判断をしようと思っても予算との関係でできないという事態がいま出ております。さっき言った五月一日に編制がえしなければならないというのだって、ひょっとするとこれは一クラスふやすことになるかなぐらいの想像はたいていつくのですね。つくけれども、たまたまぎりぎりのところでわからないから、これをふやしてしまった場合あとでどういうことになるか、予算的にも教員の配当もあぶないんじゃないかと思うからやっておりませんし、それから以後でも、人口急増地だったら七月でも八月でも九月でもどんどん子供が入ってくる。これはたぶんずいぶん大きくなるだろうなと思っても、五月一日の数で編制しなければなりませんから、弾力を持たせて学級を一つ余分にふやしておくことができないという中からこれが出てきています。
それは都道府県が予算をつけてやったらいいじゃないか、別にそれは差しつかえないですよとおっしゃいますけれども、実際に地方の自治体にとって、いろいろな意味で予算が逼迫している中で国から二分の一国庫負担され、そして交付税が出ていると思いますが、その対象外の人数の教員をふやしていくということは、予算的に縛られて非常にたいへんなんですね。そこでできません。三十九年にこの限度政令ができたと思いますが、それ以前は実員実額ということでやられておりましたけれども、いま限度政令を撤廃して実員実額の以前に戻すということはできないのでしょうか。実際にこういう弊害が出ている以上、都道府県の良識にまかせて、ほんとうに教育的な配慮からクラスの編制、教員の数を判断していると思いますので、そういうことができないだろうか。私はすべきではないかと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/70
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071・岩間英太郎
○岩間政府委員 いまの国庫負担法は実績負担というふうなたてまえをとっているわけでございますけれども、一応定数の基準がある程度教育の水準を維持するに足るものになったときに標準法を基準にして国庫負担をするというふうなことにいたしたわけでございます。
これは一つには、そういうふうなたてまえにしておりますと、今後も学級編制だとか教職員定数の基準を改善をしていくという努力がされる余地が非常に大きくなるわけでございます。それからまた都道府県でも財政力に相違がございますから、財政力のあるところは、国から半分もらえるのだからということで幾らでも教員がふやせる。ところが財政力の弱いところはそういう措置ができにくいというふうなことがございまして、全国的に教育の水準をある程度平等にしていくような責任がございます私どもの立場といたしましては、標準法を改善しながら、それによって財政的な裏づけをしていくほうが望ましいというふうに考えたわけでございまして、これが何もかも全部よろしいというわけではございませんで、両方を比較いたしましてこちらのほうがよろしいというふうなことで進んでいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/71
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072・栗田翠
○栗田委員 標準法を改善しながらとおっしゃいますが、さっきのお話ですと、改善できるのはどうも十年後ぐらいになりそうでして、それもわからないまことに心もとない状態なんですね。しかも大臣は、弾力的にやっていくべきだということを幾度かおっしゃっております。
それで、いま大きな障害になっているのは、さっきも言ったように、人口急増地で施設が足りないために、ふやしたくてもふやせないし、実際子供がそれ以上いても一クラスの数が多くなっているという例があるわけです。ところが地域によっては、いま都道府県で標準を四十人ぐらいに減らして、子供たちをそういう状態にしていくことを、いろいろな教員の採用問題や何か全部からめても可能なところもあるわけなんですね。で、そういうことが弾力的にできるところから減らしていくということをさせたほうが、一ぺんにばっと減らすよりも実現可能だし、子供たちの行き届いた教育を保障するのにいいのではないだろうか。具体的にどうやったらクラスの編制の標準をだんだんに下げていけるかということを私自身も真剣に考えましてね。一ぺんに四十五人を四十人にするということになると、まあ計算すると何人が足りないのどうなのとこう出てきます。できるところから減らしていく努力ができるような弾力性を持たせていくためにこの限度政令を撤廃して、そういう努力をしている都道府県に対しては予算的な措置はして、四十二人なり四十人なりに標準を下げていけるように援助すべきではないだろうかというふうに思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/72
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073・岩間英太郎
○岩間政府委員 私どもは、全国同じような規模、同じような水準の教育を保障するということでいまいろいろな基準をつくっておるわけでございますけれども、学級編制につきましては、大臣からもたびたび申し上げておりますように、これは最高でございます。標準でございましたら、先生がおっしゃいますように、四十人が望ましいということは、これは諸外国の場合でもあるわけでございますけれども、諸外国の場合は標準でございましょうから、四十人以上の学級もかなりある、五十人以上のものもわが国より多くあるというふうなことで、標準を定めますならば、私どもは四十人という標準を定めるということは少しも差しつかえないのでございますけれども、義務教育の場合は、子供さんがおれば必ず教育をしなければいけないということで、最高を四十五人というふうな定め方をしております。これは諸外国とはその点が違うわけでございます。そうなりますと非常に小さな学級もできる。したがいまして、小学校の場合は平均三十二・八でございますか、中学校の場合は三十六・七でございますか、そういうふうな平均になっておるわけでございます。これは一つの基準をきめまして全国一律にやりますとそういうふうになるわけでございまして、標準でございましたら先生の御意見も伺いますけれども、東京でも非常に小さな規模の学級がございます。それから過疎県でも大きな学級のものもございます。そういうものを今後どういうふうに改めていくか、技術的にその最高を定めたということは非常にむずかしいことでございますので、これを今後どういうふうな方法で改めていくか、私どもいまいろいろ考えておるところでございますが、またいい御意見がございましたら、私ども聞かしていただきたいというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/73
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074・栗田翠
○栗田委員 四十五人が最高であって標準ではない、まさにそうだと思います。私が言っているのもそうで、問題は、標準ではない最高に限度政令によってしばりつけられているから問題だと言っているのですね。ですから、もっと下げたいと思っても、財政的な裏づけとの関係で四十五人という最高にしばりつけられて学級編制をしなければならないところに問題があるというふうに私も言っているのです。限度政令を撤廃すれば、都道府県の考えによって、可能な条件のあるところからその学級の編制基準を下げていくことはできるはずなんです。ところが、財政的な裏づけがないためにそれができないということですね。そう申し上げています。だから撤廃をしたほうがむしろ益が多くて害が少ないのではないだろうか、こう言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/74
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075・岩間英太郎
○岩間政府委員 私どもは全くそういうふうには考えておらないわけでございまして、これは限度政令の問題だけではございません。先ほど申し上げましたように、都道府県の財政力の違い、それから教育水準の全国的な維持というふうな点から考えまして、私どもはこちらのほうがベターだというふうに考えておるわけでございまして、この点は先生の御意見とは全く違うわけでございます。限度政令だけの罪ではもちろんないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/75
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076・栗田翠
○栗田委員 まことに申しわけありません。ちょっといまお答えを聞き漏らしました。もう一度お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/76
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077・岩間英太郎
○岩間政府委員 これは限度政令を直したからすべてうまくいくのじゃないかというようなお話は、私どもはそういうふうには考えてないということを申し上げたわけでございます。実員実額というふうにいたしますと、先ほど申し上げましたように、その府県間の財政力のアンバランス、それから私どもが考えております全国的な教育水準の維持ということと矛盾してまいる実態が出てくるわけでございまして、現在のような方法が一番いいということで私どもはそういう方法をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/77
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078・栗田翠
○栗田委員 そこに私はたいへん異論があるのですね。まず、幾ら財政力があっても、その学級編制基準を非常に下げてしまうことは都道府県でできないと思います。それはさっきも言いましたように、財政だけの問題ではない、これはいろいろな条件で編制基準を下げられないわけですからね。財政力のあるようなところは人口急増地であったりして、施設の問題、土地の問題が出てくるでしょうし、教員の数が足りないなんということも出てまいりますから、そうやたらに下げることは実際問題としてできないと思うのです。しかし、できる範囲の可能なところから徐々に下げていくということを、もし限度政令が撤廃されてもやっていくことに実際としてはなると思います。むしろそれをそういうふうに保障して、できるところからやっていったほうが、今後国の標準編制の基準、それを下げていくのに非常に役に立つ、やりよい方法だろうと私は思うのです。
それからもう一つは、県ごとに格差が出てくるだろう、そうすると平等でなくなるだろう、機会が均等でないだろうというふうにおっしゃいますけれども、いま四十五人ときめてあっても、平均三十何人とおっしゃったように、そこの学校の人数によってクラスを分けますから、たまたまちょっと端数が出たためにクラスが一つふえたようなところは三十何人になっておりますし、ちょうど四十五で割り切れちゃったところは四十五人のクラス編制なんですね。これは学校間でも現在すでにずいぶんクラスの数というのは差がついているのですね。ですから、都道府県が標準編制基準をちょっと下げたから各県ごとに差がつくだろうなんておっしゃるように実際としてはあまり実害が出ないと私は思うのです。むしろそうでなくて、ほんとうにクラスの編制基準を今後下げていくために努力をしていく、行き届いた教育という立場で、とにかく四十五人というのは実際多いのだけれども、もろもろの事情でできないので苦しいのだということであれば、できるところから都道府県がクラスの編制基準を下げていけるような措置、援助を国として財政的にやるべきではないだろうかと私言っているのです。そのためには限度政令を撤廃したほうがよほどいいのではないか。限度政令があって出てくる害と撤廃して出てくる害とどっちが大きいか、あるほうがよっぽど実害が大きいと私は思うのです。その点について具体的にもう一度お考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/78
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079・岩間英太郎
○岩間政府委員 これは限度政令とはあまり関係のないことだと私どもは考えるわけでございます。
それからもう一つ、特定の県につきまして、できるところから学級編制を引き下げていけばいいじゃないかというお考えに対しましては、これは義務教育が憲法上の義務であり、他面、権利であるわけでございますから、そういうものは公平にしていく、一定の基準で、すべての国民に公平な基準で保障していくということが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。高等学校の場合でございましたら、それは一学級の人数を学校のほうで制限をするということが可能なわけでございますけれども、義務教育の場合には、お子さんがおられれば必ず教育はしなければいけないというところに学級編制のむずかしさがあるわけでございます。これから学級編制を改善いたしてまいります場合に、それがもっと中心に近づくようなくふうが何かできないものかということもあわせて考えてまいりたいというふうに考えておりますけれども、現在のところは、お子さんがおれば必ず教育をしなければいけないというふうな立場から、義務教育の場合には学級編制が意のままにいかないということでございます。ただ、これは国民の権利でございますから、その権利というものは公正に、公平に保障していくという考え方でまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/79
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080・栗田翠
○栗田委員 はたして限度政令を撤廃したほうが不公平になるかということなんです。私さっきから申し上げておりますが、ならないんじゃないかと思います。
では、ちょっと観点を変えて伺いますが、定数法の第四条で学級編制を「都道府県の教育委員会が定めた基準に従い、」というふうにきめているその精神ですね、それはどういうところにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/80
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081・岩間英太郎
○岩間政府委員 国が定めました基準のワク内で合理的な基礎があれば、それを弾力的に実態に即するように運用できるという点を、多少幅を持たしたということでございまして、全国民に保障しております基準というものを、そう軽々に都道府県の判断でもってやっていくというところまでは許容しているというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/81
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082・栗田翠
○栗田委員 つまり、弾力性を持たせて、都道府県の合理的な判断というのをある程度尊重するということだと思います。実際の国の定めた基準を、幾度も繰り返しになるので私もあまり言いたくないのですが、たとえ限度政令を取り払っても、都道府県が国の定めた基準を大幅に下回るようなとっぴな学級編制基準をつくりはしないだろうと私は思います。できないと思います。さっきからお話があったとおりでして、減らしたくても教員が足りないし、土地がないし、施設がないし、ベビーブームになるしと、こうおっしゃるわけですから、これは何も国だけに起こっている問題じゃない、都道府県がそういう事情にさらされているわけなんですから、それをただ限度政令をはずしたからといって、いままでの四十五人を一ぺんに三十五人にするとか、これはできないと思います、実際上。ほんとにできる範囲で、それこそ常識の範囲で最大限の努力をして弾力的にやっていくということしか事実上できないだろうし、都道府県はそうしかしないだろうと私は思うのです。しかも、その限度政令があるために、それだけではないとおっしゃるかもしれませんが、ありますために、財政的な裏づけに縛られ、クラスの編制それから教員の定数が縛られてきますために、さっき言ったようなことが実際に起こっているわけですね。七月以後子供の数がふえるだろうとわかっていても、あらかじめ学級を一つ余分につくっておくということができない。そのために七月以後に大ぜい入ってくるような人口急増地で、子供が四十七人、八人、中に五十人、静岡県なんか五十三人なんというところが幾つかあるのですよ。こういうところで子供が学ばなければならない。むしろそのほうが私はよっぽど不公平だと思うのです。四十五人を最高だとおっしゃりながら、実際には最高をこえる人数にやむなくなっていくような状態、それが見通せながら、一つ余分に弾力を持たせてクラスをつくっておくことができない。つくればいいじゃないかとおっしゃるかもしれないけれども、それは財政的な裏づけがないために団体としてできない、地方自治体としてできないという実態に置かれている、このことですね。むしろそのほうが私は不公平だと思います。だから、限度政令を撤廃してもさしたる実害は出ないだろうとさつきから申し上げているのです。撤廃したほうが、いずれいつか学級編制基準を下げていこうと政府が本気で考えていらっしゃったら、むしろそのほうがやりよい方法だろうと私は思っております。一ぺんには減らせませんから、できるところから減らしていく、特にたいへんな人口急増地で施設などがないようなところについては、特別な配慮をして、ここは力をかしていくというやり方をしていった場合には、減らしていくだけの素地がつくれるのではないだろうかと私は思っているのです。そういうことで申し上げているのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/82
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083・岩間英太郎
○岩間政府委員 御意見はわからないことはございませんけれども、まれな例をお引きになって全般の制度を改めろというふうなことにも私どもには聞こえるわけでございまして、率直に申しまして、限度政令というのは関係がない、関係が薄いというふうな感じがするわけでございます。
なお、都道府県の間でまちまちになるようなことはおそらくないだろうというふうなお話でございますけれども、現在、八千人にのぼる県で独自の教員が置かれているわけでございます。それは財政力の豊かなところに集中をしているというふうな状態もございます。
それから、三十四年当時、各県でそれぞれの学級編制をきめておりましたけれども、五十四人のところから六十四人まで、非常にその幅が出てきたわけでございます。こういうものはやはり問題であろうということで、私どもは基準を定めまして、その基準に基づいて財政的な裏づけをするということで今日に至っているわけでございます。
知事さんも、決して疑うわけではないわけでございますけれども、やはり住民に対してのサービスの度合いが違ってくるということは予想されるわけでございまして、そのためにまちまちな全国的な現象が起こってくるということは、憲法上保障されております義務教育というものにつきましてはできるだけ避けたほうがよろしいのではないか、全国民に同じような水準の教育を保障するということが大事なことじゃないだろうか、そういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/83
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084・栗田翠
○栗田委員 まれな例とおっしゃいますが、さっきの十一万七千六百人の子供が五月一日現在でそういう状態になっている。しかも七月以後はもっとなっているでしょう。その辺の資料を文部省はお持ちじゃないと思うんですけれども、ぜひそれもお調べください。なっています。必ずたくさんなっています。それはまれな例と言えないし、ほんとうに教育の機会均等とか平等ということをおっしゃるのだったら、そういう状態に置かれていることについて、ほんとうに配慮すべきだと思います。まれだからいいだろうではないし、実際まれな例ではないです。私は他の県はちょっとわかりませんが、静岡県教委で聞いた場合に、最もひっかかっている問題は限度政令、それがあるために財政的に縛られているから弾力的なクラス編制ができないのであるということがいわれておりまして、事実そうだろう、その先生の人件費だけが県が出しているものではないですからね、あらゆるもので財政的に逼迫しているわけですから、その中で、国から出ない県単の教員をふやしたり、それから教室もそうですよね、国庫負担法で理論学級数で教室の数がきまっていますからね。これも余分に建てるとたいへんな支出になるわけです。こういうこともできないということがあらゆる形でくるのでできないんですよ。これはたいへんですよ。これはたいへん小さいことのようにおっしゃっていますけれども、実際には大きな支障になっていて、子供の教育を行き届いたようにしていこうと県教委、各自治体が考えていても、ほんとうだったらこういうふうにしたらもっと学級の子供の数を減らせるのに、それから、こういうふうにしたら人口急増地であとから大ぜいになってしまわないで済むのにとわかりながらできない、その一つの原因になっていると私は思います。御検討いただきたいと思います。御検討いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/84
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085・岩間英太郎
○岩間政府委員 どんな基準をつくりましても、必ずそれに伴うマイナス面というのは出てくるだろうと思います。私どものいまの考えは、こういうふうな基準を定めましてきちんとやっていくほうがそのマイナスが少ないという判断のもとにやっているわけでございます。したがいまして、マイナスがあるということはもちろん承知しておりますから、そういうマイナス面につきましては今後どういうふうに対処をするかということは検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/85
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086・栗田翠
○栗田委員 ほんとうに学級の編制基準を下げていく姿勢でいらっしゃるのかどうか、私、ちょっといまのお答えで疑わしい気持ちがします。本気で具体的に下げていくために、いろいろな事情を克服しても下げていく条件をつくっていくためにどうするかという立場で、ぜひお考えいただきたいと私は思います。
それでは、ちょっと区切りになりましたので、途中で休憩させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/86
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087・松永光
○松永委員長代理 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二十九分休憩
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午後一時五十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/87
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088・松永光
○松永委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員長所用のため、その指名により、私が委員長の職務を行ないます。
内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗田翠君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/88
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089・栗田翠
○栗田委員 それでは、午前中に続いて次の質問に移らしていただきます。
まず大臣に伺います。学校運営の基礎単位は一つ一つの学校だと私は思いますが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/89
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090・奥野誠亮
○奥野国務大臣 そのとおりに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/90
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091・栗田翠
○栗田委員 そこで、教員定数の算定の方法についてちょっと疑問があるのですけれども、これは定数法の第七条、教員定数の出し方が出ておりますね。これを見ますと、学校規模の一つのランクごとに県で合計をしまして、それに乗ずる数というのをかけて算定しております。しかし、いまもおっしゃったように学校運営の基礎単位が学校であるとしますならば、ほんとうはその学校ごとにこの乗ずる数をかけまして算定したものを、全県でまとめて運用するというのは別として、それはそれでいいと思うのですが、そういうふうにすべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/91
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092・岩間英太郎
○岩間政府委員 これはちょっと沿革がございまして、この定数法をつくりましたのは、毎年、教職員の定数につきまして、教育委員会とそれから知事の間で、何名にするか、三人ふやすか五人ふやすかというようなことで、予算折衝の最後までもみにもめるというふうなことがございまして、ほかの予算がある意味では犠牲になるというふうなことがあったわけでございます。そこで、各都道府県の教育委員会の強い要望によりまして、そういうふうな知事と教育委員会の間で定数上の争いがないような基準をつくってもらえないかというふうなお話がございまして、私どもこういう定数の標準をつくったわけでございます。それが一つの理由でございます。
もう一つは、義務教育の段階、小学校、中学校でございますと、高等学校のように定員何名ということでそれ以上は子供を入れないとか、そういうことができないわけでございます。おいでになった子供さんはみんな引き受けなければいけない。またどんなに少なくても学校を設置して教育を行なわなければならないというふうなことで、非常に各学校ごとの標準的な望ましい学校の姿、それから望ましい学級の姿、そういうものが設定しにくいというふうな事情もございます。そこで、この標準法は、各都道府県単位に教職員の数を算定いたしまして、そして教育委員会と知事の間の争いを防ぐ、同時にその教育の水準の維持向上をはかる、そういうふうなことでできた沿革がございます。一見ごらんになりまして、先生のような御疑問が出る、そのことはまたそのことで当然だと思いますけれども、そういうふうな沿革でできておりますことを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/92
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093・栗田翠
○栗田委員 沿革についてわかりましたが、そこで今度の場合、一般の教員の定数は改正されていないわけですね、小規模の場合それから事務職員その他はありますけれども。それで、いまのような計算のやり方と、学校ごとに計算をしまして、しかしその人数を全部その一つの学校に配当するということはしなくてもいいと思います。それはいろいろな事情があってふやす場合、そうでない場合、出てくると思うのですが、計算のしかたをやはり学校単位と考えて、学校ごとに乗ずる数をかけまして、端数の計算が変わってくるわけです。そうしてそれを全県でまとめて運用していくというふうに計算を直すならば、それだけで多少の定数増になる、こういうやり方はできないものだろうかという一つの提案でございます。私は、サンプルとしまして、静岡県について計算してみました。これはどこの県でも、ただ例としてやってみたわけです。これをやりますと、いままでのやり方に対して、学校ごとに計算して端数を出すと、それだけで三百六人教員の数がふえます。こういうふうなやり方はできないものだろうかということなんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/93
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094・岩間英太郎
○岩間政府委員 現在私どもはそういうふうになっているというふうに考えているわけでございますけれども、現在の算定のしかたも、学級編制につきましては基準を設けて具体的に何学級というのが出てまいるわけでございますが、その教員の算定のしかたにつきましては、学校の学級規模ごとに算定の数字がございまして、それによって端数が出てくる、その端数を各県でどういうふうに具体的に各学校に配置をするかということは、これは各都道府県の教育委員会におまかせをすると申しますか、私どものほうは算定の基準をつくって、それに対する財源的な措置を講ずるということでとどめておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/94
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095・栗田翠
○栗田委員 いま私が端数と言いましたのは、たとえば、改正前のでちょっと言いますと、六学級から十八学級までの学校を、一・一七をかけるわけですね。この場合に端数が出ますが、一つの学校単位でやればその端数が切り上げられるわけですね。つまりその一つの学校を運営単位として考えた場合、先生が何・何人ということはありませんから、ちゃんと端数を切り上げられた先生がそこに配置されるというように考えるべきだと思うのです。ところが、現在のやり方ですと、都道府県でまとめて乗ずる数をかけているために、数の差がかなり出てきているということを申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/95
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096・岩間英太郎
○岩間政府委員 これは、ただいま御指摘になりましたように、それぞれの段階ごとに線を引っぱりますと端数が出るわけでございますから、その端数を私どものほうは詳細に規定をしておるわけでございます。したがいまして、たとえば七学級なら七学級というふうな学校の数にそれをかけますと、そこで端数が出てくるということになるわけでございますから、その端数につきましては各県におまかせして運用をしていただくということになるわけでございます。各学校ごとの端数を切り上げてというふうなことにはならないわけでございますけれども、全体として私どものほうは定数をどうやってふやすかということでございまして、先生が御指摘になりましたようなことをやればもちろんふえるわけでございますが、そういうやり方でやるか、あるいはほかのやり方で、もう少し合理的な基準に従いましてやるか、これはまあふやし方の問題じゃないかというふうに考えるわけでございます。御提案の趣旨はよくわかります。また教員をできるだけふやして教育効果を高めたほうがいいんじゃないかというお考えも十分理解できますけれども、そのふやし方の技術的な問題につきましては、いろいろ御意見を承りながら私どものほうでも研究をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/96
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097・栗田翠
○栗田委員 いまのは一つの提案でして、そういう考え方もあるということで、学校単位に考えるべきじゃないだろうかということを申し上げたわけです。
ちょっと小さいことですが、私この学校基本調査を調べていまして、ミスプリントがあります。こういうものはやはり正確でなければならないと思いますし、これを基礎にいろいろなものが計算されてきますから、こういうミスプリントというのは厳重に正さなければいけないと思うのですが、これは四十七年度の基本調査報告書の六二ページなんですけれども、上から三行目、公立の学校の単式学級の計のところです。九百三十四万九千四百二十二人となっているのですが、これはどう計算しましても九百三十四万六千四百二十二人でないと正確でありません。こういうことのないようにしていただきたい。これはちょっと指摘しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/97
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098・岩間英太郎
○岩間政府委員 この前も山口先生から御指摘がございまして、私どものほうでおわびを申し上げたわけでございますけれども、官房のほうでずいぶん注意をしてやっているわけでございますが、そういう間違いがございます。これは正していかなければならないという御指摘で、まことにそのとおりに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/98
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099・栗田翠
○栗田委員 次に障害児の施設内学級の学級規模の問題でちょっと伺いますが、障害児学級、つまり特殊学級といわれていたところは、いままで十三人が一クラス、今度十二人になりました。ところが、養護学校の場合はもっと少ないわけですね。六人、今度五人ですか、重複がそうなったわけですね。ところが施設内学級は、いままでだと特殊学級並みのクラス規模になっていたと思うのですが、今度これは改正されるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/99
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100・岩間英太郎
○岩間政府委員 御承知のとおり特殊教育につきましては、いまあらゆる意味で整備をはかっておる、それから五年後には義務教育化したいということでやっておりますものですから、いろいろ先生御指摘のようなちぐはぐな点が出てまいっておることは事実でございます。いま施設内の心身障害児の学級編制につきましては、特殊学級として設置されておりますところはやはり特殊学級の基準でいく、それから養護学校の分校と申しますか、そういう形で設けられております場合には養護学校の基準でいくということでございます。そういうふうに運用をしているわけでございますけれども、確かに御指摘のような問題はあるようだということをいま感じておるような次第でございます。これは特殊学級、障害児の教育の整備に合わせまして、実態に即するように直していきたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/100
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101・栗田翠
○栗田委員 申し上げるまでもなく、施設内学級の場合、養護学校よりも重い子供たちが多いんですね。それが実際には学級規模が特殊学級並みになっているために、ただでさえ先生が足りないで十分な教育ができない上にまたできないという悩みが出ております。今度の改正でも決して十分だとは私は思っていませんけれども、特にこういうところについては、いまもいいお答えをいただきましたが、ぜひ早急に検討していただいて、できればその点は改正していただきたいというふうに思っております。
では、次の問題へ移らしていただきます。
小規模学校の教員の配当をふやした問題に関してですが、先日も免許外担任の教師をなくしていくために〇・七というのをふやした、こういうことでお答えがございました。そのときに私はたいへん気になったのですが、中学校の場合九教科ありますから、九人にすれば全部が免許外でなく教科の数だけ先生が置ける。しかし非常に小規模の場合そんなふうにすると、一人の先生がときには三時間ぐらいしか週に持たないようなこともあって問題があるのではないかというふうにもおっしゃったと思います。免許外の担当を減らすということについては大体において御賛成のようですけれども、しかしそういう疑問があるというふうなこともおっしゃっていたように思いました。
それで、私はここで、そういう小規模学校の実態がどんなになっているか、小さいところでたとえ九人の先生が配当されても、決してひまでしょうがないとかいうことは起こらないのだということについてちょっと申し上げさしていただきます。
実は私は去年の十月、長崎県の五島列島の調査に参りました。なぜ長崎を選んだかと申しますと、別に自民党の文教部会長の西岡先生がいらっしゃるところだからではございませんが、あそこは全面積の四割が離島になっています。離島の中の僻地というのは特に僻地の中でも困難なところなんです。それで実際つぶさに離島の中の僻地校を歩いて、いろいろその実情を聞いたり、現実に施設を見たりしてまいりました。
こうしてみますと、たいへんなことだなあということを私はつくづく思っているのです。一つは、先生の定数を加配していく、多くしていくというやり方で補っていく方法はありますけれども、たとえそれをやっても、先生になって行き手がないという問題で実に悩んでいるんですね。ですからこれは、ほんとうの意味で子供たちに行き届いた教育を平等にしていくためには、行き手のないような原因をつくっているその原因を取り払っていかなければならない。生活条件もあります。それから教育条件の問題もあります。そこらをあわせてやっていかなかったら、とうていこれはだめだということをつくづく思っております。
たとえば生活条件でどんな状態かというと、職員住宅がたいへんな状態でして、中にこんなのがあるんですね。上五島の中通島というところの仲知というところに学校があります。そこの職員住宅はすき間風がひどくて戸締まりができない。そうして外へ出て二メートル歩くと断崖だというところに住宅が建っているのですけれども、そこに入られた先生が言うのには、虫が出てくるのですね。何かアマメとかいう虫だそうで、足の長い、食いつく虫なんですね。それが夜中にぞろぞろ出てきて、朝起きてみたら百六十二匹つかまえて殺してあったというのですね。それで、もうこれじゃ教師が住宅に住んでいるんじゃなくて、アマメの住宅に教師が入っているようなものだ。そういうことまでいわれるような事態があるという話だとか、それから特に女教師なんかの場合は、女の先生が赴任していって一人で住宅に住むわけですが、ちゃんと戸締まりができないのですね。それで木刀を頭の上に置いて毎夜休んでいるという、実際これはほんとうの話なんですね。それで一人で寝かしておけないから女の先生が二人泊まるのですが、新任の先生に何にも言わずにいままでいた先生が木刀を置くので、一体どういうことかと言ったけれども、その先生は答えなかった。実際に夜中に踏み込まれたとか、いろいろな例が出てきている。それで情熱に燃えて赴任したけれども学校を去った方があるとか、生活条件だけでもたいへんな状態が出ております。
それから子弟の教育の問題なんかも出てまいります。子供が高校生になったりすると学校がないというような問題、それから別居の問題があるわけですね。
若い方がほとんど離島へ行っているわけです。それで教員組合が、離島へ行く先生、そこに赴任してくださる先生を説得したり励ましたりして、教育委員会と一緒になって先生を確保することをいま一生懸命やっているわけなんですね、内々でみんなで話し合いをして、新卒の人の場合、卒業して三年間離島のある学校にいる、そうしたら次に三年間もう一つの学校に行って、六年たったら本土へ帰してあげるという、大体こういうふうな約束で離島へ来てもらったりしているというのが実態です。だから先生の平均年齢が実に若くて三十歳以下、しかも千二百人ぐらいいる教師のうち一割ぐらいがその年の新卒で、長崎県でいえば、その年に採用された六〇%から八〇%の新卒の人が離島へ行くという、こういう実態になっておりまして、たいへんなんです。
そこで何が起こるかというと、本土へ帰る希望者が毎年多いわけですね。さっきも言ったような一つの約束があって、とにかく六年間だけはがまんしていてくださいよということで先生たちもそこでやられるわけですが、六年たつと、じゃ帰りたいという方が出てくるわけです。ところが本土のほうから行ってあげましょうという方はなかなかいない。そこで十人帰って、来る人は五人、こういうふうになるわけですね。こうなると、ただ定数はこういうふうにこれこれと計算しても、実際には僻地では先生が定数どおりさえ配置できない。結局県単なんかである先生というのは、十人本土へ戻って五人来る、そこの穴埋めに使われるというような状態が実際に出ているのだという切実な話も聞きました。
こういうことを考えていくにつけても、ほんとうに子供たちの学習権、教育権を保障していくために生活条件それから教育条件、もう全部充実させていかなければならないし、そのためには、免許外の担当なども完全になくしていくぐらいのたてまえで配当していってもまだ不十分なくらいじゃないかと私は思います。
免許外もひどい状態で、先日局長がおっしゃっていましたね。二つの免許を持っている方などを合理的に配置したらいいだろう。なかなかそんなふうにはいかないようです。行く方が大体少ないのですから、ちょうどいい教科の免許を持っている方がちょうど行ってくださるというふうにいかないのですね。だから一人で免許外を五教科持ったなんという人がありまして、これは実際の例なんですけれども、たいへんなものなんですね。技術・家庭、音楽、保健体育、美術、これだけ持ったそうです。しかもそれは中学ですから、三学年にわたって持っているというんですね。そうしますと保健体育は一つの教科と見て五教科、それを三学年にわたって持ちますと、毎回毎回十五種類の準備をしなければならないのですよ。学年ごとに教える中身が違いますから、教科が違い、学年が違うと、五つの教科を担任した先生は十五種類の準備が要るわけですね。これは実にたいへんなことだし、そういう中でほんとうにちゃんと準備をするんだったらたいへんな時間がかかるということも言われておりました。
それで、まあこういうものをなくしていこうとしていらっしゃるのでしょうけれども、僻地校、特に小規模であればあるほど先生の数は非常にたくさん必要だと思います。一人の子供が病気になる。そうすると、病院がありませんから、先生がその子を遠くの病院まで連れていくのですけれども、定期便に間に合わないから、自分で小舟を借りて櫓をこいで、病気になった子供を乗せて連れていくわけですね。行きだけで二時間かかる。それで、見てもらって、適当なしかるべき処置をして、帰ってくれば一日かかってしまうんですね。そうすると、その間担任のクラスは全部ほうり出されてしまう。そこで校長さんから教頭さんまで総がかりでそのあいたところを持つわけですけれども、校長先生だってそれなりの用事がおありですから、なかなかできない。ですから、クラスを担任していない方が何人か余分にいらしても、それがいろいろなところで非常に必要になってくるという実態があります。
私、小学校の分校も見ましたけれども、これは福江市立本山小学校の雨通宿分校へ行ったときの話です。一年生が九人、二年生が五人、三年生が六人、四年生が八人ですか、いままでですと複式の二学級になるはずなんですが、長崎の場合一年と二年は国の改正よりも先に二つのクラスにして、三学級になっているわけです。一年生一クラス、二年生一クラス、三、四年の複式、それで三人の先生がいらっしゃるわけですね。ところが、私が行ったとき先生が一人しかいらっしゃらない。どうしたのですかと聞いたら、一人の先生が急病になられて、かなり重かったので、もう一人がついて町まで連れていっているわけですね。そうすると残りの先生が一人になってしまうんですね。一人の先生で一年生から四年生までの子供たちを全部見ている。まあその日は無事に帰っていらっしゃいましたけれども、こういうことも出てくる。そういう普通予測できないいろいろな困難がたいへん出ているわけです。教育条件が十分に満たされて思うような教育ができるといえば先生たちは情熱を燃やしてやられます。しかしそうでないわけですね。たとえば六学級しかない一つの学校ですと、特別教室一つしかありません。そこで家庭科から理科の実験から図工から音楽から全部やるわけですね。そのたった一つの特別教室に必要な器材がごちゃごちゃともう全部入っているわけですよ。こういう話がありました。危険な薬品を使って理科実験をやったあとで、同じ場所で家庭科のお料理をするというのですね。こういうことも起こらざるを得ない。そうして準備をするにしても、一つしかないから、前の時間に使っている、次にそれを片づけて別の準備をするわけですから、時間内に食い込んでしまうという問題だとか、とても行き届いた教育がやりたくてもできないのだ、そういう中でいろいろ理想に燃えている先生たちがだんだん意気消沈してこられるというような例も出てきているということが言われておりました。これは私は、もっともっと詳しいいろいろの事実があるのですけれども、それをざっとほんとうに特徴的なことだけ言ったのですが、たいへんな実態だと私は思っております。ですから、こういうところに免許外で担任しなくてもいいだけの先生の配置をするということは、決してこれは持ち時間が少なくなってほかと不平等ができるということは起こらないだろう、そのぐらいにしてやっとちょうどではないだろうかというふうに私は思っております。この間の御発言で気になりましたので、こういう事実を申し上げましたけれども、それについて一言御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/101
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102・岩間英太郎
○岩間政府委員 私どもも従来から僻地教育につきましては格別いろいろ努力をしてきたつもりでございますが、実態はただいま先生御指摘になったとおりであろうと思います。
先ほど馬場先生にお答え申し上げました中で、まあ九教科あるのだから九人の先生があればこれは完全なわけでございますけれども、中には週に三時間というふうな少ない先生も出てくる、そういう場合には、同じ敷地の中で小学校、中学校が併設されている、あるいは近くに、百メートル以内ぐらいに小学校と中学校があるというふうな場合には、そういう持ち時間の少ないような先生は、両方で音楽なら音楽を担当していただくということも考え得るのじゃないか、ともかく免許外の担当の先生というものはなくしていきたい、しかし、とりあえず半数の教員の充足をやって、これでもっていま申し上げましたような融通がつきましてそういうふうな免許外担当というものがなくなるかどうか、これは推移を見ましてから私どものほうでさらに改善を加えたい、ということを申し上げたわけでございます。免許外担当がいいということではもちろんございません。それをなくしていくという方向で努力をしたいということでございます。
なお、教員の配置等につきまして先生から御指摘ございましたが、一番僻地の先生を確保するのに必要なことは、やはり県全体としまして、人事配置と申しますか、人事のルールを確立していただくということが一番大事なことではないか。それと同時に、僻地に行かれました先生方はたいへん御苦労でございますので、僻地手当を設けましたり、あるいは僻地の特別昇給を設けましたり、それから教員の住宅につきましては、これは補助の制度もございますし、あるいは公立共済のほうでごめんどうを見るというふうなこともやっておるわけでございます。
いずれにいたしましても、ただいま御指摘になりましたように、総合的にいろいろ施策を講じまして、僻地の先生方に安心して教育に打ち込んでいただけるというふうな環境を整えること、これはぜひ必要なことであろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/102
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103・栗田翠
○栗田委員 いま定数法の審議でございますから、あまりいろいろな問題にわたってもと思いますが、僻地手当なんかも実に足りないというのですね。別居していられる方が多いですから、一週間に一回本土へ行かれるだけでもう給与の大半がなくなってしまう。特に離島の離れたところから飛行機なんか使わなければならない場合があるそうです。そういう問題なんかもたくさん出されておりましたので、こういうことは実際一番ひどいところに入っていただいて——だれかに連れていってもらうようないいところでなくて、ほんとうに一番たいへんなところに行って、そこの先生から直接お聞きになったり、ひどい教員住宅のありさまなどを一度ごらんになったりということもぜひなさっていただきたいものだと私は思います。そしていまのお答えで免許外担当はなくしていく方向だということをあらためてもう一度伺いましたから、それは持ち時間があまりに少なくなってどうかということをこの間ちょっとおっしゃっておりましたので私が申し上げましたが、そういうことはあまりないようなお答えでございますから、次の質問に移らせていただきます。
大臣に伺いますが、先日、五十一年ごろから教員も週五日制を考えたい、公務員がやられたならばその後考えたいというふうにおっしゃっておりました。いまの教員の定員で、定員増があまりなくて、これは実施できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/103
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104・奥野誠亮
○奥野国務大臣 いつから週休二日制を実施するとかいうお尋ねではなかったように思います。人事院で御検討いただいていると思うのですけれども、いずれは、早かれおそかれ公務員の週休二日制は、一挙ということじゃないだろうと思いますけれども、勧告が出ることになるのだろう、こう思っております。その場合には先生方も例外にしてはならない、こう思っておるわけでございます。それと週五日授業とか六日授業とは別途の問題である、こう申し上げてまいったわけでございます。いずれにいたしましても、そういう事態に備えていろいろな研究、検討は尽くしていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/104
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105・栗田翠
○栗田委員 子供を六日間教えて先生が五日制になる場合、決して先生の五日制に反対しているわけではありませんが、相当先生の数をふやさないとできないのではないかと思うのです。人事院の勧告は公務員についてそう遠い将来ではないというふうに聞いているのですけれども、そうしますと、いまの定数で、特に一般の先生方は今度増員もあまりないのですが、これで実現できるだろうかということを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/105
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106・奥野誠亮
○奥野国務大臣 結論を得ているわけではございませんけれども、かりに教育内容があえて週六日を要しない、週五日でよろしいのだということになりました場合に、あとの一日は社会教育なり、社会体育なりで受け持つ、こうなってきた場合には、別に週休二日になって先生にもそれを適用されても、先生方の増員という問題には直ちに結びつかない、こういう事態もあり得るわけでございまして、いろいろな場合を考えながら対処できるようにしたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/106
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107・栗田翠
○栗田委員 まだ子供の週五日という結論は出ているわけでないし、問題もかなりありますから、そうしますといまのお答えですと、ほとんどこれは具体化はされていないし、実際に一年や二年先にはできないことですね。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/107
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108・奥野誠亮
○奥野国務大臣 それぞれ検討中のことでございますので、あまり立ち入って申し上げるのもいかがか、こう思うわけでございます。この間もお答えをいたしましたように、昨年十一月に新しい小・中・高一貫の教育課程審議会を発足させたわけでございまして、この結論はおおむね二年を目途にして出していただきたい、こういうお願いもいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/108
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109・栗田翠
○栗田委員 きのうの毎日新聞の一面に大きくその問題が出て、五十一年ごろから実施かなんて大臣が答えられたというのが出ているのですね。それで、もしほんとうにおやりになるつもりならば、もういまからそれに沿った定員増というのをやらなかったならば、先生の数をふやさなかったらば、もし子供を六日制、先生五日制だったら、とてもこれは実施不可能だ、まだあまり具体的に検討されていないならば、されていないのだというたてまえで報道されないと、これは問題ではないだろうかというふうに思うわけです。先生が五日になられることに反対ではありませんけれども、それに見合うだけの対策というのは十分必要であろうというふうに思っております。
次の問題に移らしていただきます。
栄養職員の県費化の問題ですけれども、今度五カ年計画で県費化されるわけですが、現在定員を上回っているところがあると思います。今度きめられました定員を上回っているところはどこどこかということ、それから上回っている数はどのくらいかということをまず伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/109
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110・澁谷敬三
○澁谷政府委員 学校栄養職員の設置を促進する意味で従来国庫補助金を計上いたしてきたわけでございますが、昭和四十八年度の国庫補助対象人員は四千六十四人でございます。実際に小中学校共同調理場に置かれております栄養士の数は五千四百五十六人でございますが、そのうち、従来特殊教育諸学校は対象にしておりませんでしたので、五千三百人でございます。これを五カ年計画で六千六百二十二人にいたしたい、そういうことでございまして、各県たいへんアンバランスになっておりまして、非常に配置が少ない県がかなりございます。それから、国庫補助と全く見合って置かれていた県もございます。それから国庫補助対象以上に置かれておった県もあるわけでございますが、あまりにもアンバランスといいますか、むしろ国庫補助対象よりも下回っておる県が相当あるというようなことで、今度の措置をとらしていただきまして、法律の保障のもとに計画的に適正な配置を進めていきたい、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/110
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111・栗田翠
○栗田委員 私が伺いましたのは、県費化された意味ではありませんので、国庫補助対象の、今度県費化される定員ですね、それを上回ってもっと進んだ密度の高い配置をしていた県ですね、それはどことどこでしょうかということです。その人数はどのくらい上回るのでしょうかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/111
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112・澁谷敬三
○澁谷政府委員 十八県が今度の定数の保障を上回る県に該当いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/112
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113・栗田翠
○栗田委員 県名と人数を、人数は合計でけっこうですから伺わせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/113
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114・澁谷敬三
○澁谷政府委員 小中学校の単独校実施の分につきまして、上回る県が先ほどの十八県だけにつきまして九百二十六人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/114
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115・栗田翠
○栗田委員 県名は伺わせていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/115
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116・澁谷敬三
○澁谷政府委員 岩手県、宮城県、群馬県、埼玉県、ごく一人二人上回るところも申し上げます。それから千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、山梨県、長野県、静岡県、それから島根県、岡山県。愛媛県、高知県、この辺は一人でございます。熊本県でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/116
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117・栗田翠
○栗田委員 いまたいへん問題になっているのは、県費化されたときに、定員を上回っているところが、定員以上オーバーした人たちの扱いがどうなるかということが非常に不安になっております。この点ですね。この上回った方たちは、この五年間で全部県費職員になるような措置がとられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/117
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118・澁谷敬三
○澁谷政府委員 そういうわけでございまして、現在提案されております新しい標準定数法を上回っております県でも、従来補助対象になっておりました人員が、実際には今度の標準定数法より多い県はいま言ったような県になるわけでございますが、この補助対象にいたしておりました人員は、標準定数を上回りましても、保障をいたすことにいたしております。それから非常に上回っておる県が若干ございまして、五年後にはほとんど吸収されるわけでございますが、いまの計画でまいりますと、五年後にもまだ若干上回っておるという県が一県か二県くらい出ます。ただ、御承知のように、毎年完全給食をやります学校がふえております。それを、従来の実績で伸び率を考えておるわけでございますが、中学校はまだ五二%でございますので、中学校の伸び率その他によりまして、そういうところもあるいは吸収されるかもしれませんが、いまの見込みでございますと、二県ばかり五年後にもまだ標準定数を上回る県が残ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/118
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119・栗田翠
○栗田委員 それも保障されるというわけですね。
では次の問題ですが、県費化したために給与が下がるところが一部出てまいります。特に東京都下の市、それから大阪府下の市などでかなりダウンするところがあるようですが、その辺はどういうふうにお扱いになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/119
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120・澁谷敬三
○澁谷政府委員 今度こういう措置をとらせていただきたいというのも、実は全国的に学校栄養職員の給与が本来あるべき給与より非常に低いのが相当多いということもあったわけでございますが、ただいま御指摘のように、特に指定都市あるいは一部の市町村などにおきまして、その市町村自体の一般の職員の給与が一般的にかなり高くなっておる市町村がございまして、そういうところにおられました栄養士の職員はかなり高くなっております。大半は今度の措置によりましてむしろ給与が上がるわけでございますが、そういう市町村におられました学校栄養士の方は、切りかえによりまして、単純な給与の再計算でやりますと下がることになります。そこで、私どもかねがね自治省といろいろ話し合いをいたしまして、こういう国の法律制度として確立をしていただく、そのことに伴う切りかえでございますから、現在の給与制度で許される範囲の適切な運用をいたしまして、現給を保障するという措置をできる限りとるということで、そういう運用に万全の配慮をするような指導をいたしたい、そう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/120
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121・栗田翠
○栗田委員 よくわかりました。それで俸給表はどれをお使いになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/121
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122・澁谷敬三
○澁谷政府委員 従来市町村に置かれておりました学校栄養職員の実態は、あるいは技師と言い、あるいは技師補と言い、あるいは栄養士と言い、非常にまちまちでございました。私どもとしては、今度法律制度的に確立されました場合は、国の場合の国立学校の学校栄養職員に適用いたしております医療職(二)の俸給表を適用することを基準といたしまして、各府県ごとに条例でおきめいただきたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/122
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123・栗田翠
○栗田委員 それでは最後の問題に移らせていただきます。
いままでも、行き届いた教育を子供たちに保障していくために、そういう立場からいろいろ伺わせていただきましたが、最後に、いま子供たちが学校で教育を受けておりますが、放課後家へ帰ります。ところが、最近働く婦人も非常にふえたために、おかあさん、おとうさんが家庭に帰ってくるまで、一定時間保護者のいない状態になる子供たちというのがいます。いわゆるかぎっ子ですけれども、特に一年生ですと、入学したばかりのときは十一時ごろうちへ帰ってしまう。ところが、おかあさんは五時半か六時でなければ帰ってこない。その間ほんとうに責任を持った保護者がいない状態になる。これは以前からかなり問題になっておりました。ところで、いまそういう子供たちは大体全国で児童生徒の数でどのくらいいるかの実態をまず伺わせていただきたいと思います。実態を御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/123
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124・川崎繁
○川崎説明員 お答えいたします。ただいま先生御指摘のような、かぎっ子に特定をしましたデータは特にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/124
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125・栗田翠
○栗田委員 私、大臣のお考えを伺いたいのですけれども、特定のデータはないとおっしゃるのですが、このかぎっ子が問題になり始めたのは早ければもう十数年前からですね。特に最近ますます問題になっています。それは働くおかあさんがふえますから問題が大きくなっているわけです。これはたいへん重大な問題だと思うのですけれども、いま特定のデータは持ってないとおっしゃるのですね。しかし、実際に子供が、しかも特に学年の低い子供たちが学校が終わってから何時間も保護者がいない状態になっている。これを教育的に見て私は憂えておりますが、大臣はどんなふうに考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/125
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126・奥野誠亮
○奥野国務大臣 かぎっ子といわれている子供さんたちのことについても教育的な配慮が十分でなければならない、そう思います。どのくらいの員数にのぼりますのか、あるいは厚生省のほうでそういう調査をしておられるかもしれませんので、厚生省ともよく連絡をとっていきたいと思います。
学校につきましても、いわゆる校庭開放等で、学校が済みましてからでも適当な管理に当たる人をお願いをする、そしてできる限りみんなで遊べるような配慮をする、かぎっ子といわれる方々もそういう対象には含まれるわけでございますので、できる限りそういうような仕組みで教育の場面で配慮するとすればできるのじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。そういうような開放に要する経費については国のほうでも補助する仕組みをとっているわけでございますけれども、なお厚生省にもいろいろな考え方があろうかと思いますので、十分連絡をとらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/126
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127・栗田翠
○栗田委員 いま厚生省というふうにおっしゃったのですが、もちろんこれは児童福祉法の立場からいって厚生省も責任を持たなければならないと思います。しかし、児童生徒の問題で、これは放課後といえども社会教育の問題でもあるし、子供たちが健全に育っていくという立場からいったら文部省としても責任を持たなければならない重要な問題だと思います。実は、大臣も御存じないようですけれども、かぎっ子の数というのは実に多いのですね。一九七〇年五月五日の朝日新聞の写しがここにありますけれども、そのとき厚生省が調べた人数「カギっ子五百万人」というふうに書かれております。ですから、これは政府の調査でございます。それで、どなたかに伺いたいのですが、いま小学校、中学校の全児童生徒の数は一体何人くらいでしょうか。それでその中での五百万人がどのくらいに当たるかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/127
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128・川崎繁
○川崎説明員 小中学校児童生徒総数は約千四百万人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/128
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129・栗田翠
○栗田委員 大臣、いま小中で千四百万人なんです。このうち五百万がかぎっ子といいますと、これは三分の一以上です。——そんなにいないというふうにおっしゃっているのですか。だって資料をお持ちにならなかったじゃありませんか。大体何人だというふうにお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/129
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130・奥野誠亮
○奥野国務大臣 小中学校の児童生徒の中でかぎっ子に当たる人だけを選び出すのならそんなにならない、私はこういう気持ちでちょっと首を振らしていただいたわけであります。ゼロ歳からずっととっていくということになりますと相当の数にのぼるだろうと思うのであります。非常に荒っぽい話ですけれども、百万人くらいいるのじゃないだろうかとか、あるいはもっと多いのじゃないだろうかという話は聞いたことはございますけれども、五百万という数字を伺ったのはきょう初めてでございます。
なお学校教育の観点でかぎっ子の方々について配慮をするということでありますならば、やはり校庭開放等のような仕組みで学校で適当な時間までお預かりしてあげるという配慮じゃなかろうか、こういう立場で先ほどお答えをさせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/130
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131・栗田翠
○栗田委員 私もいまちょっと勘違いしておりました。確かに中学生以下全部で五百万人ですね。そうしますと、では学齢以下の子供たちを抜いた場合ですが、そうしましても五百万のうち学齢以下が六歳までですね、そして小中学校で九年間あるわけですから、しかしこの数というのは全体の率からいって相当高いものだと私は思うのです。三分の一ということはありませんね。五分の一くらいに当たるのではないですか。ですから非常に高い。ただ、一番問題なのは、私自身政府統計で知るよりほかないものですから、こういういろいろなものをやっと調べ出しまして数をつかみました。それからいろいろなものに書かれているのも大体こういう数になっているのですけれども、まず文部省としても、児童生徒の教育を十分にしていく、子供たちの放課後の安全とか教育上の配慮もしていくという立場からいって、しっかりとした調査をしていただく必要があると思うのですけれども、いかがでしょうか。かぎっ子の数、それからどのように過ごしているかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/131
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132・川崎繁
○川崎説明員 いま先生の御指摘のかぎっ子対策という観点だけで文部省は取り組んでおりません。広く少年一般の遊び場の開放を拡大する、あわせて交通事故の災害から守るという観点に立ちまして、現在かぎっ子を含めまして、御案内のとおり、校庭開放事業というものを拡充をしてまいっておるわけでございます。したがいまして、いま先生が御指摘になられましたような角度からの調査ということはいま特段に考えてはおらないわけでございますが、ちょうどこの問題につきまして青少年対策本部のほうで、厚生省並びに労働省それから文部省、関係各省が集まりまして、いろいろ前進的な施策その他の運用上の改善の問題について現在検討中でございますので、われわれもその場においていろいろとこれからも検討をしていきたい、このように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/132
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133・栗田翠
○栗田委員 いまのお答えを伺いますと、文部省の立場からいえば、かぎっ子だけを特に調査する必要はないお考えのように聞こえますが、そう考えていいのですか。いままでしていなかったということなのか、子供一般について考えればいいのだから、文部省としてはそんなことはする必要はないのだというお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/133
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134・川崎繁
○川崎説明員 ただいま申し上げましたように、対策本部のほうを中心にいたしまして、関係各省集まって、いろいろ検討しておりますので、その段階の検討を経て、いま先生御指摘のようないろいろな問題につきましては、どこがどのような形でそれを実施したほうがきわめて正確なデータが得られるかということについてもいろいろ検討の中身としてあるように私は解しておるものですから、お答えしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/134
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135・栗田翠
○栗田委員 どこで調査をされようとも、正確なデータが出ればいいわけですが、ただ、教育上の観点から、子供たちの放課後の教育、それは学校で授業するだけが教育ではないはずですから、そういう立場からやはり文部省としても責任を持つ必要があるのではないかと私は思います。だから幾重にも各省庁で調査なさったってそれはいいわけですし、協力なさって調査なさる、私はそれはけっこうだと思いますが、ただ私がいまひっかかるのは、文部省で考える場合には、子供一般の放課後の活動について考えればいいのであって、特に留守家庭児童ということを特別な対象にして考える必要がないと考えていらっしゃるのかどうかということを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/135
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136・川崎繁
○川崎説明員 文部省といたしましては、いま先生がおっしゃいましたいわゆるかぎっ子につきまして全然関知しない、こういうような考え方ではございません。現在の生活条件がいろいろ変化してまいりましたために、お説のように母親の家庭外就労の問題やら、あるいは核家族化の問題やら、いろいろ条件が変わってきておりますので、私どものほうもそういう社会的な背景をもちろん認識をした上で、現在推進をしております校庭開放事業の中に含めてこれを今後とも大いに拡充をしていきたい、こういう意味でございまして、かぎっ子は全然念頭にないというふうなことは毛頭考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/136
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137・栗田翠
○栗田委員 子供一般についても確かにいま問題があります。遊び場がない、交通事故が多い。それから特に一人っ子や二人くらいの子供が多くて団地住まいをしている。昔は集団で、がき大将がいて、大ぜいで遊んでいたのに、いまはそういうことがなくて、ぽつんとテレビを見ている。いろいろな問題がさまざまにあります。だから子供が集団で遊べるような場所をつくっていくとか、特に戸外で健康に遊べるような条件を保障していくということは、これはこれで十分やっていかなければならないことだと思うのです。その施策もまだそれほど進んでいない。現実にはなかなかいっていないという問題があります。しかしそれでいいかということなんですね。私は、かぎっ子——かぎっ子ということばはあまりよくないのですけれども、留守家庭児童、親が働いていて放課後しばらく保護者のいないような子供たち、これに対してはやはり特別な配慮をする必要があるのではないだろうかというふうに考えています。結局、家へ帰って家庭というものがあるけれども、小学生も高学年くらいになれば、いつも親のそばで遊んでいるわけでは決してありません。しかし、私自身の子供のときの経験からいっても、ただいまと家へ帰って、お帰りなさいと言ってくれる人がいる。それで安心するわけですね。荷物を置いて遊びに出ますけれども、くたびれたり、おなかがすいたり、ときにお小づかいが必要になったりすれば、ちょっと家へ帰るわけです。自分のよりどころとして家庭というものがあって、そこを根拠地にしながらそのまわりを元気に遊んでいるという状態があったと思うのです。ところが、いまの留守家庭児童にはそれがないわけですね。ですから、放課後ただいまといって帰っても、だれもいないし、もし緊急の必要が出た場合に責任を持ってもらえる人たちがいないという実態です。途中でけがをしたとか、たいへんおなかがすいてしまった、外で遊んでいてちょっと休みたいと思っても、そこがない。校庭開放事業の欠陥というものはそこにあると思うのです。ほんとうに子供に一定期間責任を持つ人がいて、いつもついて歩いている必要は全くないと思いますけれども、そういう子供のよりどころになって子供を見守っていくという、まず最低最小限そういう場と指導員というのはどうしても必要ではないかと私は思っております。一般に家にだれかがいて、子供が放課後遊びに出ている場合と、そうでなくて、その間責任を持つ保護者がはっきりときまっていない場合とは違うのではないか。そういう場合にやはり配慮が必要じゃないかと私は思うのですけれども、大臣いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/137
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138・奥野誠亮
○奥野国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、学校教育の見地から留守家庭の児童生徒のめんどうを見ていくということになりますと、授業が済みましてからも学校の中でお預かりをするということではないのだろうか、こういう気持ちで申し上げているわけであります。しかしいずれにいたしましても、関係各方面が力を合わせて、それぞれの面で十分なめんどうを見る必要があるだろうと思います。市町村によりましては、児童館等を設けて、かぎっ子については特にそこを利用しやすいような配慮をしているところもあるわけでございまして、そういう問題になりますと、厚生省のほうでいろいろな配慮がなされているわけでございます。今後とも、いま青少年教育課長が申し上げましたように、青少年対策本部で関係者が集まってその対策を進めていこうとしているわけでございますので、その結論も待ちたいと思います。私としましては、ただいまのところは、学校でなお引き続いてお預かりできるような体制を整えていくということじゃなかろうか、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/138
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139・栗田翠
○栗田委員 以前、留守家庭児童会というのがありまして、文部省も補助金を出していらっしゃったと思います。あれをなくされた理由はどういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/139
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140・川崎繁
○川崎説明員 いま先生御指摘がございましたように、四十一年度に当時の中村文部大臣の指示によりまして、先生御指摘のようないわゆるかぎっ子だけを特定対象にいたしました、市町村教育委員会が行ないます事業でございますが、留守家庭児童会育成事業というものについて補助をいたしました。四十三年になりまして、広く少年一般の遊び場並びに災害から守るという観点に立った校庭開放事業を新たに補助をいたしたわけでございます。この両方の事業を進めていく過程におきまして、補助事業の内容につきまして、舞台になっておりますのが主として校庭でございましたし、それから補助の対象の経費につきましても同種のものがございましたりいたしました関係で、関係者からこれはむしろ統合したほうが成果があるのではないかというふうなこともありまして、四十六年から従来の留守家庭児童会育成事業を統合いたしました校庭開放事業の拡充ということで一本化したのがいままでの経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/140
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141・栗田翠
○栗田委員 いま全国に学童保育所をつくる運動というものがあって、学童保育所というのが方々にできておりますが、大臣御存じでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/141
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142・奥野誠亮
○奥野国務大臣 先ほど私は児童館と申し上げたわけでございますけれども、形はいろいろ変わっているでしょうけれども、そういうかぎっ子といわれている方々をお世話しようとする動きは各所にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/142
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143・栗田翠
○栗田委員 いまこの学童保育所は全国で千百七十くらいあります。これは学童保育所の運動を一生懸命苦労してそれぞれの市町村でやっていらっしゃる方たちが集まって、資料を集めて、ざっと、した数を出しております。今度労働省から出た婦人に関する諸問題の総合調査報告書の中にも学童保育所の項があって、そこに全国で運動している方たちの調査が載っておりますね。ですから、おそらく資料としてはこれしかないのだろうと思います。私はいま持っていますが、実際には、労働省にしても厚生省にしても文部省にしても、政府の側から調査をしたということはほとんどなくて、こういうものをいままでまとめられたものが初めてここへ載せられたのではないか。全く同じものが出ているからそう思ったのですが、そういうのがいまの実態ではないかと思います。実はそういうことから見ても、この対策はたいへんおくれていると私は思います。
それで、留守家庭児童会を校庭開放事業に、発展的解消ですか、統合させたとおっしゃっているのですけれども、しかしさっきも私が言いましたように、家へ帰ってだれか保護者がいるけれども外で遊んでいる、いわゆる放課後の活動、遊びをしている子供の場合と、そうでない場合、やはりこれは違う扱いをしなければいけない。決して差別をするということではありませんけれども、そういう特定の責任を持った保護者がいないという状態を補うことをやはりやっていかないと、いろいろな問題が出てくると思います。お小づかいなども、留守が多いから必要なときにもらえないからというのでたくさん持たせたとか、友だちと一緒にどこかへ遊びに行って何か適切でないものを買ったりしていても親はそれを知らないでいたとか、いろいろこまかい問題でいえばあるし、心のさみしさという問題なんかもあるし、こういうことはあるのですね。さっき大臣は引き続き放課後も学校で責任を持つようにすることも考えるというふうにおっしゃいましたが、ただこれも、先生方のいまの実態を見ますと、はたしてそれができるだろうか、放課後もいわゆるかぎっ子が学校に残って校庭で遊んで、先生方が責任を持たれるという状態がやっていけるかなということも私ちょっと思います。
それと、もう一つは、子供にとって、学校へ行って学校が終わった、それで家へ帰ったという区切りというものもありまして、ずっと同じ学校で夕方までいる、小さな一年生、二年生の低学年の児童が放課後も同じ教室で夕方までいるということが、はたして耐えられるだろうかどうかということもあるわけですね。いまの私が申し上げました学童保育所の運動の問題ですが、これは実は全国で十数年前から、親御さんたちが一緒になって、共同保育所という形で家を借りて、そこに指導員の方に自分たちで出資をして来ていただいて、ある時間子供たちが集団でそこで過ごせるようにするという場をつくったのですね。文部省で留守家庭児童会の事業をなさいました。あれで補助金が出ました。あれがいま廃止されているのですけれども、実はわずかな期間ですが、留守家庭児童会がつくられたということがたいへんあとに学童保育所をたくさんつくらせるよい結果を残したわけですね。いままで留守家庭児童会であったところがそのまま廃止されてはいずに、そこにいた指導員の方たちをまた地方の自治体が、市町村が補助金を出して、そのままいていただいたり、中にはその父兄が自分たちでお金を集めて、人件費というか謝礼というか、そういうものを出したりしていていただいて、引き続いて子供たちをそういうところに学童保育所として放課後行かせているという例がたいへん多いのです。ですから千百七十カ所になったと言いますけれども、これも留守家庭児童会が一度つくってなくなった、そのあと非常に多く残ったということなんでして、こういう実際の例を見ても、ただ校庭開放事業では解決できない保護者にかわる指導員がいて、そこで子供たちが一つのきょうだいのような集団をつくって集団行動をしていくということがたいへん必要だと私は思われるのです。せっかく文部省、いいことをいままでなさいまして、留守家庭児童会をおつくりになった。それが廃止されても成果として残っている。やっぱりこれはもっともっとこの観点でやっていくことが必要ではないかと私は考えております。
ちょっと長くなりますけれども、子供が一人で放置されているとどういうことになるかという一つの例があります。ある子供が学童保育所に通っていたのですけれども、何カ月か休んでしまったそうです。集団の中にいるのがいやだということで家へ帰ったのですね。ところが、その子供が二カ月ほどしてまた学童保育所に戻ってきたときに、会話ができなくなっていた。それは別に全然口がきけないということではないのですけれども、友だちの中でわいわいやり合うときに、思うように自分の意思を的確にすばやく伝えることができなくなっちゃっているのですね。一人で放課後家へ帰って、ずっとテレビを見て、ものを言いません。テレビが何か言っているのだけ聞いて過ごすというのが二月ほど続いた。ところが、大ぜいの仲間の中でわいわいけんかしたり、話したり、遊んだり、一緒に勉強したりしている子供というのは、ぽんぽんと会話ができる。すばやくけんかでも口でやるのが早いし、それから意思を伝えるのもたいへんスムーズにいくのだけれども、一人ぼっちでいた子供というのはそれがうまくできなくなっちゃった、後退しちゃったという例があるのですね。実際あるだろうと思うのです。その子はうまく自分の意思が伝えられないものだから、すぐ手を出してたたいたりするのがしばらく続いたという話ですが、こんなこともある。確かに黙って一人で家にいたらそういうことになるだろう、たとえ半日問学校にいても成長発達にとってたいへん大きな違いがあるだろうと私も思います。
それから、逆に、今度は保護者がいないということで親御さんたちが心配して子供を学童保育所に預けまして、そこで集団で子供たちが何時間か過ごすことになります。非常にいい結果が出ているのですね。これは預けた親御さんが期待していた、予想していたこと以上のよい結果が方々で生まれております。大臣もよくおっしゃいますが、縦の集団の中で子供たちが育つということはたいへんいい環境なんですね。
大体学童保育所というと、三十人から多くて四十人ぐらいの規模で運営されていますけれども、まず一年生が帰ってくる。一年生は早く帰ってきますから、指導員の先生のそばでまず宿題をやるわけですね。とにかく宿題だけは片づけて遊びなさい。そうすると少したって二年生が帰ってくるわけです。一年生が宿題がよくわからないで困っているので、二年生がおにいさんだというので教えてあげようと言う。自分で解けば解けるのだけれども、一年生の子供に教えようと思ったら教えられないで困っちゃっている。答えは出るけれども答えを出す過程がわからないで悩んでいる。そうすると今度三年生が帰ってきて、三年生の子は一年生にじょうずに教える。そうすると教える子供のほうも、ただ自分が学習しただけではなくて、低学年の子供に教えたということでたいへん理解が深まるし、教えられたほうの子供も、教室で勉強を覚えるのとまた違った覚え方ができる。二年生の子供は、三年生がじょうずに教えているのを聞いて、なるほどと思う。こういったような形で互いに成長していくというようないろいろな事例も出ているわけです。また集団の中での子供たちの成長していったありさまなんというのも、まだまだほんとうに数少ない学童保育所の実施の経験の中で幾つか出されております。
ここに「父母会だより」というのがありまして、これは赤塚の学童クラブの父母会というのが出しているのですけれども、子供たちが高学年になって——ここでは四年生まで保育をしているわけですが、高学年になって学童保育所を卒業しなければならないことになった。子供たちが、みんな学童保育所をやめるのがいやでふさぎ込んでいる。中には、ぼくは悲しいんだと言ってショックで熱を出した子供もいるというような話があるわけです。
こういうふうにあるのです。「息子はこの学童の中で」これは学童保育所のことですが、「この学童の中で実に貴重なものを得てきた。中でも私がつねに目をみはったのは、子供たちの集団であった。学童には、押しつけられた、叱られるから守らなければならない規則はない。「きまりは、みんなが楽しく過すために自分たちでつくるものだ。」これがみんなの気持の底にしっかと根づいているから、子どもたちの仲間への思いやりはことのほか深く、どんなにひどいけんかをしても、話し合いのあとでは、一人も悲しむ子がいないような結論をみちびきだす。」と言ったのはおかあさんの考え方ですね。「頭で民主主義を理解している私は、時には容赦ないきびしさをもち、時には友の成長を心からたたえることのできるこの集団に、何度も教えられる思いだった。息子を育ててくれたのは、ほかでもないこうした集団だったのである。」といったようなことが書かれてあったり、ほかにたいへんいろいろな具体的な例が出ておりますけれども、一つのけんかでもうんと成長している。だから子供を集団の中で預けて、その中で子供の目をみはるような成長があるということが言われております。
それで大臣、さっき校庭開放事業の問題が出たのですけれども、子供たちが伸び伸びと遊ぶ場所として全部の子供に校庭を開放する、これはいいことだと思います。しかし、さっきも申しましたように、その中で放課後保護者がある一定期間いない子供たちにとって、いままで過ごした学校にそのまま置くというのでなくて、ある三十人か四十人ぐらいの単位の、建物に指導者がちゃんといて、そこで大ぜいのきょうだいの集団ぐらいの子供たちが集団をつくって、自分たちで規律を守りながら、宿題をやったり、上の子が下の子を教えたりというような環境で子供たちをその間育て守っていくということは、たいへん大事だと思うのですが、いまの実践の例からいってもこういうよい結果が生まれているのですけれども、こういうことについてどうお考えになるでしょうか。校庭開放事業だけでは補い得ないものがここにあるし、一般の保護者のいる子供と、留守家庭児童の場合、特別な配慮が要ると思うのですけれども、その辺どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/143
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144・奥野誠亮
○奥野国務大臣 留守家庭の児童の問題は、幸い、先ほど青少年教育課長が申し上げましたように、青少年対策本部で労働省、厚生省、文部省と集まって討議を始めているようでございます。ただいまの御意見も参考にしながら、なるたけ早い機会によい結論が出るように持っていきたいものだ、こう思います。
同時に、これまで留守家庭児童会を育成してきたその結果、一般の家庭の子供さんたちとの間で差別感、対立感が生まれてきた、そういうところから今日の校庭開放事業への助成に一本化するという経過をたどってきているそうでございます。しかし、校庭開放事業もいまのままでいいのかどうか、もっとくふうしてしかるべきだということもあろうかと思います。そういう意味で学童保育所というようなことを例におとりになっているのだと思います。申し上げるまでもないことでございますが、また責任回避の意味で申し上げるわけではございませんが、児童福祉法に基づいて保育所が設けられている。保育所はゼロ歳から五歳まで、しかし特別な事情がある場合には十八歳までということになっておるわけでございます。保育にかける児童を保護者の委託によって保育するのだ、こういうたてまえになっておるわけでございまして、したがって、また学童につきましてもことさら学童保育所というような呼び名が生まれてきているのじゃないだろうか、こう思うわけでございます。また、学校の施設をそういう形において活用していくということも大切なことだと思います。できることなら一般の青少年の中に入って、そうして留守家庭の児童もめんどうを見られていく、留守家庭の児童について特別な配慮をする必要はあると思うのですけれども、これだけ切り離してどうこうというよりも、一般の子供さんたちの中で特に留守家庭の児童について持別な配慮を加えていくというような姿がいいのじゃないだろうかと思うわけでございまして、それが留守家庭児童会から校庭開放事業に移ってきた経過のようでございます。しかし、ただいまの貴重な御意見もいろいろあるわけでございますので、そういうことも踏まえて、関係者が集まってせっかく討議が始められているようでございますので、なるたけ早く具体的な結論を出せるようにしたいものだ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/144
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145・栗田翠
○栗田委員 学童保育所の実態をぜひお調べになったり、またときには実際に運動をしている方たちの代表から直接話もお聞きになってくださったらどうかと思います。学童保育所というのは、何もいまの幼児の保育所のように一カ所に集めてずっとそこにいるというものではなくて、指導員がいて、そこで宿題などもやったりするけれども、遊びに行くのには子供は広い場所が要りますが、いま民間でやられている共同保育所などはそんな庭を持っていませんから、結局一緒に運動場なんかに遊びに行っていますね。それはほかの子供たちと一緒に遊んでいるのですよ。ただ、よりどころとして、自分が帰ってきておやつを食べたり何か報告をしたりするよりどころとして保育所があるのでして、そこの中だけで狭いところでやっているわけでは決してありません。差別感ということもおっしゃいましたけれども、そういう事例があったかと思いますが、これは研究のしかただと思います。同じ学校の中で、ある子供たちは放課後帰るけれども、ある子供が残っているという形をとっている場合とか、そうでなくて、学校からみんな帰って別のところでそういうよりどころを持っている場合とか、いろいろ出てきますので、これはやり方によっては差別などということは当然出ない。出ないどころか、むしろ学童保育所がうらやましくて、入れてくれなんて言ってくる子供さえあるという、そういう例もあるわけなんですね。これもやり方だし、いまの非常な成果があがっている数少ない例ですけれども、こういうものもぜひよく御研究いただきたいというふうに思っております。まだこの学童保育所に入っている子供は全国で四万人しかおりません。その他の子供は実に多数そのままかぎっ子の形で放置されております。これが大きな問題だと私は思っております。
それで、大臣、検討しているというふうにおっしゃっているのですが、具体的にどこまで御検討が進んでいるかということを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/145
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146・奥野誠亮
○奥野国務大臣 その前にちょっと校庭開放事業について誤解があるのじゃないかと思いますので、お答えさしていただきますが、これは先生方にお世話をいただくということじゃございませんで、校庭開放事業は、PTAの役員の方とか、青少年の指導員の方とか、それなりに若干のお礼も差し上げてめんどうを見ていただくということにしているわけでございます。同様に、学童保育所という問題になってきますと、どこが主管するかということになると、どうも厚生省が中心になるのじゃないだろうかなという気がいたします。私は先ほど児童館のことを申し上げたのですけれども、公式には児童館が私はそういう役割りをしているのが多いんじゃないだろうか、こう思うのです。これは児童福祉法の施設なんです。しかし厚生省の所管だから文部省は知らないという気持ちはさらさらございませんで、そういうこともあって労働省、厚生省、文部省一緒になって青少年対策本部で留守家庭児童問題として討議が行なわれているわけでございます。いまの御意見も貴重な御意見としてそういう際の議論に供して、そうしてどういう方法が一番いいのか、早く結論を出していったらいいだろう、こう思います。いままで文部省がやってきたことが最善であり、これ以外にはないのだ、こう思っておるわけではございませんので、よく研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/146
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147・栗田翠
○栗田委員 指導員などについてやはりもっともっと国からも補助なりなんなりが出たならばと私思うのです。やはり地方自治体がやっているところもあれば民間でやっているところもありますけれども、人件費と経常費、これを集めるのに民間などの場合たいへんな苦労をしておりまして、当面そういうものが出されただけでも、最低そういう補助金が出されただけでも子供たちを守っていくというその運動が非常にやりよくなっていくわけなんです。ですから、その点をひとつ御考慮いただきたい。
それからもう一つは、資料はあまりお持ちでないようなのですが、文部省だけの問題ではありませんけれども、その調査のための調査費などが具体化されているかどうか、その辺を伺いたいと思います。
いまの二点についてお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/147
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148・川崎繁
○川崎説明員 いま先生御指摘の調査費の問題でございますが、現在そういったものは文部省は持っておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、対策本部ですでに一回労働、厚生、文部の主管課長が集められまして、現在これの対策について各省がとっておる実態を全部明確にしようということで話し合いを行ないまして、その結果どこが漏れているのかというような点についてさらに引き続いて次回以降において検討することにしております。現在、対策本部におきましても、先回やりました現在のこの問題にしぼった対策上の各省庁のやっておることを整理しておる段階だと思いますので、次回以降においていま先生御指摘のような問題がさらに具体的にあがって検討されることになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/148
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149・栗田翠
○栗田委員 早急に御検討いただきたい。子供のためにもぜひこれは早くやっていただきたいと思います。
最後に一言ですが、週刊現代十二月六日号に「文相に聞く今の教育これからの教育」というのが出ておりました。大臣、覚えていらっしゃらないような顔をしていらっしゃいますが、この中で「社会教育はその意味で実に重要な課題を背負っています。私は、小学校の通学区域を一単位に、そこに公民館、児童館、遊び場、体育施設などをワンセットで整備してはどうかと考えています。そして、子供たちは地域の大人の指導も受け、年齢の違う子供で構成したグループ活動やスポーツを行う——そんな生活環境を子供たちに提供したいものですね。」と言っていらっしゃるのです。たいへんけっこうな御構想だと思いますが、こういうことについては御検討が進んでいるのですか。ちょっとその辺の経過を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/149
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150・奥野誠亮
○奥野国務大臣 小学校の区域をコミュニティーの基礎にしていくというのが私の持論でもございます。また関係者の間でできる限り社会教育、社会体育の施設を整えていきたい、またスポーツ施設も整えていきたいということで文部省でも計画を進めておりますし、また自治省のほうでもそういう面については財源の特別配慮をするということで計画が進められております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/150
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151・栗田翠
○栗田委員 財源の特別な配慮、予算化などがもうかなり具体化しているのでしょうか。ちょっとそこを伺いたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/151
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152・奥野誠亮
○奥野国務大臣 文部省のほうでも、そういう施設の長期計画を立てまして補助金を支出しているわけでございます。同時に、自治省のほうでも、いま伺いますと、コミュニティースポーツ施設のための特別調査費というような名前をつけておるそうでございますけれども、ことしは二百億円そのために財源の予定を立てているそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/152
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153・栗田翠
○栗田委員 こういう計画はぜひ一刻も早く完成をしていただきたいし、それに見合っただけの補助金なり予算の支出を早急にやっていただきたいと思います。
では、これで私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/153
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154・松永光
○松永委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
午後三時二十一分休憩
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午後六時二十八分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/154
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155・稻葉修
○稻葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。湯山勇君。
〔発言する者、離席する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/155
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156・稻葉修
○稻葉委員長 湯山勇君。——西岡君、着席したまえ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/156
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157・湯山勇
○湯山委員 議題になっております公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律につきましては、実はこの法律ができる前の段階は、自治省は自治省で別に積算基礎を持って積算をしていきますし、文部省は五月一日の各年の指定統計をもとにして定数をはじいていくというようないきさつがありまして、結局、どこがほんとうのことを押えているかということが不明確でした。そういう関係で学級編制も相当まちまちになっておりますし、教職員の配置の状態も非常にまちまちになっておりましたので、そういう点を心配しましていろいろお尋ねしました結果、それは定数法が要る、こういう法律が要るということになってつくられたいきさつがございまして、私もこの法律には非常に関心を持っていますし、評価しております。それが今日まで数次の改正によって今日のような状態になっておりますし、今回提案になっている内容を見ましても、非常にこまかい問題のようですけれども、たとえば小学校の第一学年を含む複式についての配慮その他、私ども問題の大小よりも、そういう配慮に非常に共鳴を覚えますし、また敬意を表している点も多々ございます。おそらくこの法律を提案されるにあたりましては、学校の特殊性という点を配慮いたしまして、行政指導によって四月一日から大体これに合うような定数あるいは学級編制をするように御指導になっていると思いますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/157
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158・岩間英太郎
○岩間政府委員 法律案を国会に御提出申し上げました時点におきまして、各都道府県の教育委員会にその旨を周知をいたしました。同時に、各県では新年度の予算は三月中に成立を見るというのが通例でございますから、四月一日からのこの法律の実施につきましては、そういう点を考慮しながら、各都道府県において適切な処置を講ぜられるように私どものほうから指導いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/158
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159・湯山勇
○湯山委員 当然そういう御指導があってしかるべきだと思います。それで大体の実施状況、それは御掌握になっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/159
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160・岩間英太郎
○岩間政府委員 ただいままで各都道府県の様子を聞いておりますが、いずれも新しい法律が制定されることを予想いたしまして、そのような手当てをしておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/160
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161・湯山勇
○湯山委員 私もそれが当然であって、そしてこの法律は、提案されておりますように、四十九年四月一日から施行するということがそのまま実施される、これは過去においてもそういう事例がございまして、定数等に関してはあるいは学級編制等に関しては、いま申し上げましたように、新しい年度から実施する、それを期待して行政指導をしておられるわけですから、今日審議中ですけれども、当然この法律も四月一日にさかのぼって適用されるということを予想しておったわけです。ところが、法制局のほうの見解では、今回からはそういうことはできないのだというようなことをいわれておることを聞きまして、直接法制局にも会って確かめましたが、同様に今回からはそういうわけにはいかないのだという見解なんですが、文部省としては一体どういう見解を持っておられるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/161
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162・岩間英太郎
○岩間政府委員 この問題は、すでに政府としては法律案を国会に提出しておるという段階でございますので、これは院でおきめいただくことであろうというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/162
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163・湯山勇
○湯山委員 そこで、法制局のほうへお尋ねしたいと思いますが、法制局はどなたがお見えいただいておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/163
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164・大竹清一
○大竹法制局参事 第一部長の大竹でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/164
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165・湯山勇
○湯山委員 第一部長にお尋ねいたします。
なぜ四月一日にさかのぼって適用することは間違いだということを今回に限ってというか、従来は認められていたものを今回からはそれは認めないというのはどういうわけですか。それは法的な理由もありますし、それから従来は認めておったのを今回認めないというそのいきさつ、そういうものについてひとつ明確に御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/165
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166・大竹清一
○大竹法制局参事 お答えいたします。従来、昭和四十二年及び四十四年のこの同様の措置におきましては、附則で四月一日に遡及するということを書いておりましたが、今回は書いておりません。そこで最初に先生にお断わり申し上げておきたいことは、今回書かなかったことによって実質上、実体上変わるのかという点でございますが、それは全く変わらないということでございます。
そこで、しからばなぜ書かないかという点でございますが、これは主として立法技術上の問題から書くのはおかしいし、また実体上書かなくても所期の目的は達せられる、こういう角度から書かなかったわけでございます。
そこで、その立法技術的な面を申し上げますと、要するに、この法律案が審議されておりまする四月一日の時点におけるこの学級編制とか定数は、その当時の、要するに現在の法律が一つの標準として、各地方公共団体がそれに準処していろんな手を打っておった、こういうことにならざるを得ません。この新しい改正法案が成立すればこうなるであろうということは予想のうちには入っておりますが、そのときにおける現行法としての学級編制ないし定数というものは、四月一日にはそのときに生きておったといいますか、この改正前の法律である。そういう状態で四月一日を経過しまして、それでこの改正案がかりに五月一日に成立して施行されるとしますと、それを遡及適用するということはどういうことかという点を立法技術上考えてみますと、四月一日には旧定数ないし旧学級編制がそのときのスタンダードだということで編制ないし定数をきめておった。ところが五月一日になって、四月一日にさかのぼってこの改正法による学級編制、定数が四月一日の法律である、そう思え、こういわれましても、これは事実上不可能なんですね。物理的に不可能であるという角度から、これは遡及適用するということは法技術上できないものだ、こういう判断をしたわけであります。さて、そういう法技術上遡及適用できない、こういうことをした場合に、要するに国庫負担の関係で、せっかく今年度の予算に国庫負担を新しい学級編制と新しい定数で組んでおるにもかかわらず旧法でやられると、その予算が執行できないか、要するに地方公共団体には負担金がたくさん行かないのかという点が一番問題であろうかと思います。これは実体上の問題だと考えておるわけですが、その点について考えてみますと、国庫負担法におきましてはあのスタンダードは一応ある、そして地方公共団体が実施する額についてあるパーセントを負担しましょう、その場合において特別の事情があるときには政令で特別の定めができるのだ、こういう規定があって政令に授権されているわけであります。したがいまして、その政令を活用することによって要するに昭和四十九年度の当初予算に盛られている負担が実現できるということではないか。そうであるとするならば、要するに物理的に不可能だと考えられることをあえて法律に書いてまである種の犠牲をしなくてもよろしい、というのが私どもが今回四月一日に遡及適用するという規定を置かなかったいわば理由になるわけであります。その点を御了承願いまして、この遡及適用の規定を書かなかったから取り扱いがことしは変わるのだという点は一切ございませんので、一応御了解願いたいと思います。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/166
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167・湯山勇
○湯山委員 いまの御説明で了解できないです。(「明快明快」と呼ぶ者あり)ちっとも明快じゃない。それでは過去四十二年それから四十四年にいまのような遡及規定を法律の中に入れて遡及したということは、それは間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/167
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168・大竹清一
○大竹法制局参事 お答えいたします。結論的に申しますと、これはやはり誤りではなかったかと私思います。ただしかしながら、その当時私が担当しておりませんでしたけれども、過去のことをあげつらうよりも、やはりわれわれは神さまではございませんので、そのときそのときにおきましてはそれなりにいいと考えて書いたのだろうと思いますが、その後再検討し考え直すということはあり得ると思うのです。そこで、現在われわれが担当者として考えまして、やはりこのことは無理であろう、こういう判断のもとにわれわれは書かない、こういうように考えております。書かないということ、それが実体的には書かなくても所期の目的は達せられるという二点で問題ない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/168
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169・湯山勇
○湯山委員 あなたはちょっと——従来の二回の場合に遡及適用を条文に入れてそのとおりしたということに実体があるということをいま質問したわけで、現行法があるのだからといいますけれども、実体は現行法のスタンダードじゃなくて、予想されるものを行政指導でやっておるわけですよね。これはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/169
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170・大竹清一
○大竹法制局参事 事実上そういうものがあるということでありますれば、それはもう事実ですから認めざるを得ません。一言申し上げますと、そのこととそのときの法律の適用関係はどうであったかということは一応別のことであるという点は御理解願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/170
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171・湯山勇
○湯山委員 少しきびしい言い方をしますけれども、一回だけなら、さっきおっしゃったように誤り、あやまちということもあると思います、幾ら専門の法制局の方でも。しかしそうじゃなくて、二回にわたって同じようなことをやってこられた、そうしておいて、今度はいままでのは間違いだという言い方は私は受け取れないと思う。そういうことによってもし実体に影響が出るあるいは被害が出るという場合はだれが責任をとりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/171
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172・大竹清一
○大竹法制局参事 お答えいたします。責任の問題とおっしゃるのですが、私どもは立法技術屋として、こういう法律の持っている政策目的、その政策目的がこういうものであるという点を実現できるかできないか、その限りにおきましてある規定をどう書くべきかということなのでございまして、その場合に、それはいかなる場合においてもあやまちのないようにということは十分そういう努力をしておりますが、完全無欠でいつもあり得るか、これは人間のことでございますので、先生ごかんべん願いたいと思います。だから一度ならず二度までもある一つの方向で書いた、それはそれでいいと思っておった、またそれで問題が起こったわけじゃないが、さらに今度の修正案のときにわれわれは別の角度から検討してみよう、このことによってある種の技術も進んでいくのだろうと思っておりますが、その検討の結果、これは要らないものであるし、書くとむしろかえっておかしなものになるのではないか、おかしなものになるのであるというような判断のもとに書かなかったということで御了承をお願いしたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/172
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173・湯山勇
○湯山委員 いまの御答弁は、気持ちとしては了解いたします。ただ、それならそれで別な配慮が要ると思います。それは何かといいますと、一体そういう判断を下して見解を出されたのはいつですか。——もう一度言いましょうか。いまのような判断ですね、従来のやり方は間違っているんだ、これが正しいんだという判断、見解をおきめになったのはいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/173
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174・大竹清一
○大竹法制局参事 それは、この法案が審議されておりまして、三月中にはとても可決になりそうもないという状況が判明いたしまして、その後修正をどうするかという検討の過程においてこの問題は出てきたということでございます。したがいまして、政府原案どおり可決されるという状態でありますれば、あるいはこの問題については正直に申し上げますと私ども気がつかなかったかもしれません。ただ、修正をするという必要が出てまいりまして、しからば何をどのように修正するか、そこで何を書く必要があるかという検討の過程の中で出てきたというのが事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/174
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175・湯山勇
○湯山委員 それは何月何日というのははっきり言えないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/175
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176・大竹清一
○大竹法制局参事 その点はしかと記憶いたしておりません。四月以降になってからだというぐらいの記憶しかいまのところ私にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/176
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177・湯山勇
○湯山委員 その四月に入ってからというのは、すでに各学校は新しい定数を予想してスタートしております。だから、従来の例によって四月一日に遡及適用されることを予想して各県教委は対策を立てておったはずなんです。これはおわかりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/177
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178・大竹清一
○大竹法制局参事 そういうことがありますればそれは理解できるという程度においてわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/178
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179・湯山勇
○湯山委員 そこで、これがなくても実体は少しも変わらないのだということですけれども、実際に変わるんです。何が変わるかといいますと、このままでいきますと、文部省の指定統計は五月一日です。これはいまもそうですね。局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/179
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180・岩間英太郎
○岩間政府委員 指定統計は五月一日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/180
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181・湯山勇
○湯山委員 そうですね。そうすると、遡及適用にならなければ指定統計で出てくるものは何かというと、予想された法律に合わせたものが実体ですから、それが出てきます。ところが、五月一日にこの法律が施行されてないのですから、ずいぶんだくさん法律違反の学校が出てきておるわけです。よろしゅうございますか。いま言っていることおわかりでしょうか。いま審議中のこの法律がスタンダードでないのですから、したがって、これはそれまでに両方通過すれば別ですけれども、五月一日の指定統計というものは、きびしくいえばいま行政指導でやっておるものはみんな法律違反、そういうものが出てくるわけです。これは実害ないと言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/181
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182・大竹清一
○大竹法制局参事 この法律につきましての私の理解が間違っているのかもしれませんが、私の理解しているところを申し上げますと、この法律はあくまでも一つの標準でありまして、実体はこれ以上のところもあるし、これ以下のところもある。それはあげてそれぞれの地方公共団体の財政力その他のいろいろな判断の結果いろいろ出てくるであろう。しかし、あくまでこれはスタンダードであるぞよというのがこの法律だと私は理解しております。したがいまして、この法律の定数なら定数、学級編制なら学級編制そのものを越えておっても、あるいはそれ以下であっても、即これは通常いわゆる法律違反である、こういうようには私ちょっと理解できないのでございますが、その点、先生の法律違反とおっしゃった意味がちょっとわかりかねるのでございますが、以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/182
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183・湯山勇
○湯山委員 もとはおっしゃるようなことでよかったと思うのです。それは実員実額、つまり都道府県のほうで配置すれば、自動的に裏づけとして半額負担されるという制度であったのが以前です。しかし、いまはそうじゃなくて、定数というワク内にあるものがそれで補助されるというように変わったことは御存じだと思います。そうなってくれば、この定数というのはそんなに幅があるものじゃなくて、これによってやっておかなければ実際に財政的にも非常に困ってくる。持ち出ししなければならないというような実態になってくるのが今日の法律なんで、そうでなければ実際はこんな法律要りません、いまおっしゃるような方法でやれば。というのは、各都道府県が大体これぐらい来るということを予想してそれでやっておいて、とにかく入れておきさえすればあとは半額負担で来るということであれば、こんな法律要らないのです。したがって遡及適用の問題なんか起こらないのです。しかし、問題はそうじゃなくて、いまのは定員実額というのですか、そういう形になっておるからこの法律が重要なので、そういう点では、標準だからといってこれは幅があっていいんだということを簡単に言い切ることはできないと思います。これが問題点の一つ。
それから第二の問題点は、実害がないようにするためにはもう一つ手続が要る。それは政令によってカバーできるんだとおっしゃったけれども、これは国庫負担の分だけについてはあるいは政令でカバーできるかもしれません。しかし、定数の法律できめられたワクを越えているとか、それからそれが著しく離れていることについての責任というものは残るわけです。そうなってくると、法制局がこういうふうにあらためて解釈をしたということであれば、その責任というのは政令の中身まで持たなければほんとうじゃないと私は思うのです。従来は認めていたものを今度、しかも四月になってですから問題なんで、そうでなければ、もっと早くそういうことを通知しておけばあるいはそれなりの手だてができたと思います。それからまた四月になってきめるのなら、そういう解釈をとられるのなら、すでに法律は審議の段階に入っている。それなら、これは本来は適当でない、解釈はこうだ、しかし今回はしかたがないが今後注意してもらいたいというのなら私は納得します。そうじゃなくて、いきなりいま審議中のものを、しかも実体が発足しておるものを、四月になってそれはだめだ、あとは政令で処理せい。じゃ政令でどう処理するんですか。それについての保障はどこにあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/183
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184・大竹清一
○大竹法制局参事 いまの一番最後の点でございますが、法律的に申しますと、なるほど四月の時点あるいはそれ以前の三月の時点で改正法が成立するものという見込みのもとに、ある種の行政が、いろいろな準備とか実行が行なわれる、これはそれなりに理解できないことはないのですが、定数法なら定数法、学級編制なら学級編成制が、法律でかくあるべし、それは標準であるというものがきまるというのは、これは国会で法律が成立しないとそうだとはやはり言い切れないと思うのですね。成立する予想のもとにそういうことをおやりになっている、こういう事実があることはわかりますが、だからといって、まあ言ってみれば、国会の審議がそれに引きずられなければならぬというように考えるかどうかは別だと私は考えます。
そこで、いま先生がおっしゃったように、国会においても予算は成立している、それから四月一日から新しい定数法のもとにおける負担を実現するのに問題はない、それから、それは法律によりますと、政令で委任されているというような状態のときに事実上関係各省との話し合いがついておれば、法律で政令で担保されているということをはっきりしなくても、それは政令で内閣部内でやれるという前提のもとに、いわば書かずもがなな法律は書かないほうがいいのだ、このように私は考えておるのでございます。その点に考え方の違い、あるいは現在の学級編制、定数法の理解の違いというものがあるのかもしれませんが、ただ、定数法と申しますのは、あれはあくまでも国庫負担法の従属法じゃないというように私考えておりまして、国庫負担法はなるほど定数法の定数を利用はいたしておりますけれども、だからといって定数法が国庫負担法のためにのみ存在するのだというようにはどうも考えにくいので、たとえ標準であって、法律的にその法律違反をきびしくとやかくいう法律でなくても、学級編制とか定数の標準そのものを要するに全国的なスケールで考えてある種の標準を法律としてつくった、それはそれとしての意味を持っている、たまたま負担法でその定数基準を利用して負担額をきめようとしている、こういうように私考えたいと思いまして、だから負担法のほうにおきましてそのことがこなせるとするならば、定数法で法制技術上問題があるような規定をわざわざ置かなくても、というのが率直な私の気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/184
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185・湯山勇
○湯山委員 この問題でこんなに時間をかけるつもりはなかったのですけれども、やはりまだ残ります。それは書いても書かなくても同じだ、最初の御答弁は、別に書かなくてもちっとも変わらないからという前提でそういう解釈に立たれたということでした。しかし、いま承ってみますと、必ずしもそうでないということもおっしゃっておられる。これは本来ならば内閣法制局も呼ぶべきですけれども、内閣法制局よりは、われわれ国会で審議する場合にはやはり衆議院の法制局が大事ですからおいでいただいたわけで、そこで、もし修正で、従来のような遡及適用の修正を、もういま四月一日をこえていますから、本院でやったら、どうなんですか。それについては別に、院でおきめになることならばとやかくは申しませんというのですか。それでもいけないとおっしゃるのですか。それはどちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/185
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186・大竹清一
○大竹法制局参事 先生御承知のように、私どもは国会議員が国会で審議、決定されるための補助機関でありまして、この委員会でかりに遡及適用をどうしても書くのだとおっしゃる場合には、私ども法制的な面で補佐する者の意見としてはこうでございますと、この点ははっきりと申し上げたいと思います。しかし、それは一つの補佐機関の意見として、この委員会でどうするかは、それは独自に判断されてしかるべきだし、そうあるのだろうと私は考えておりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/186
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187・湯山勇
○湯山委員 では、文部省へお尋ねいたします。
文部省がいまのような遡及適用はぐあいが悪いということをお聞きになったのはいつごろですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/187
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188・岩間英太郎
○岩間政府委員 四月に入ってからだと思いますが、正確な日にちは記憶いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/188
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189・湯山勇
○湯山委員 その点について内閣の法制局なりあるいは衆議院の法制局、参議院の法制局へ文部省として従来のような扱いについて了解を得るためいろいろ説明なさったと思うのです。それはどこどこへなさいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/189
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190・岩間英太郎
○岩間政府委員 私どもの意見は衆議院の法制局にいたしましたけれども、あとの扱いは、これは先ほど申し上げましたように、院でおきめになることでございますから、いまもお答えになりましたように、その補助機関としての衆議院の法制局に対しましては私どもの考え方は申し上げましたが、どういうふうな判断でどういうふうに助言をされるかということは、これは衆議院の法制局のおきめになることであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/190
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191・湯山勇
○湯山委員 そこで、もう一つ法制局へお尋ねいたします。
政令へ委任するということですね、政令で処理する。これは、いまいらっしゃるかいらっしゃらないか、塩崎さんもこの間触れられたようですが、この政令というのは、はなはだ大ざっぱな、どんぶり勘定のような政令で、何でもこれで処理するような形になっている。むしろ法的にいえば、この政令でそういう問題も全部処理していくという、そのほうに問題があるんじゃないでしょうか。遡及適用の問題よりも、いまのような国庫負担をどれもこれもみんな政令で片づけていくという、そういう政令のあり方にむしろ問題があるのではないかと私どもも思いますが、法制局としてのそれに対する御判断はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/191
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192・大竹清一
○大竹法制局参事 法制局として統一見解を検討はいたしておりませんが、あえて私の私見を述べろ、こういうことでありますれば、先生の御見解に全く私も同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/192
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193・湯山勇
○湯山委員 したがって、政令でそういう問題を全部処理していくということにも問題がある、遡及適用にも問題があるということであれば、一方だけを強調して一方は目をつぶるというあり方、ここも問題があると思うのです。そこで、どうなんですか、法制局として、まあとにかく今回は遡及適用で処理してよろしい、しかし今後はこういうことをやらないようにしてほしいというようなことで、今回は何というか、目をつぶるというんですか、どっちにしても問題が残るわけですから、そういうことを認めるという立場には立てないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/193
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194・大竹清一
○大竹法制局参事 このケースにつきまして立法技術として四月一日にさかのぼって適用するという表現でそのことを書くという点につきましては、やはり今後もやってほしくないと私は考えております。
そこで、先ほど、現在の法律にある政令、あの政令がああいう規定のしかたをしておりますと、ある意味で政令はオールマイティーとして何でも書けるのじゃないか、しかし法律の授権をする以上は何らかの限定が必要である、そのことによって初めて内閣という執行機関も法律のもとに行政ができるじゃないか、その限りにおいてあの政令の規定を今後の立法問題として検討すべきであるし、この委員会で検討しようというようなことでありますれば、私どもも協力するにやぶさかではありません。ただ現行法を現にある姿のままの解釈として、あるものができるかできないかという点で判断いたしますと、先ほど私が申しましたように、四月一日に遡及して適用するという立法技術上問題のある規定を置くということをしなくてもこなせるのだということを優先させまして、今回からは書かない、こういうように考えたわけでございます。その間の事情を御了承願いたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/194
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195・湯山勇
○湯山委員 お話、よくわかるんです。いま新しくできた問題であれば、おっしゃるとおりで、それはそうですと私も申し上げるのにやぶさかじゃありません。問題は、過去こういう学校の関係だから四月一日にはスタートしなければならないということは、これはだれが考えてもわかることであって、そういうことの配慮に立って過去二回にわたってこういうことがなされてきた。それを今度この法律の審議に入ってからあらためて見解が出される。提案するということには必ずしも年度内に成立するということが前提じゃありません。希望はそうであっても、国会のことですから、廃案になることもあります、継続審議になることもあります、あるいは予定したとおりに上がらないということもたくさんあるわけで、提案者はそのいかなる場合にも対応できるような体制で提案もするし、場合によっては行政指導もしている。だから、審議の途中で解釈が変わるとかあるいは取り扱いが変わるということは非常に行政当局は困るわけで、おそらくそういうことについてのお話はあったと思うのです。そういうことを考慮すれば、ここで石で指を詰めたように、この点だけは動かないんだということをいかに法制局といえども突っぱるのには、そのことに問題がありはしないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/195
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196・大竹清一
○大竹法制局参事 その点につきまして、今度は実体面についていろいろ関係各省とわれわれも事実上は話し合いをしておるわけです。だから、当初提案されたこの法律の内容的なねらいが四月一日以降に成立することによって狂うのか狂わないのかということです。かりにこのままの状態であれば、それは質の変わったものになる、あるものが実現できなくなる、こうであるならば、そこで修正でそれが変わらないようにするために何らかの修正規定を書こう、こういうことになるわけです。
そこで話がまた元へ戻りますが、四月一日に遡及適用するということを書くことによって、予想し、かつ期待されているある種の実体があるのだろうと考えられるわけです。それを突き詰めていきますと、先ほどちょっと申し上げましたが、やはりポイントは財政負担の問題ではないか、こういうように煮詰まってきたわけです。そこで、財政負担の問題については、現行法の解釈としては、あの政令で内閣限りで処理できるのだというようになったわけですから、要するに非常におかしいと立法技術上考えられる四月一日の遡及適用という規定を書かなくても当初の目的は達せられる、それならば書かぬに越したことはない、こういうように考えたわけでございます。その点を御了承願いたいと思います。
言ってみれば、その遡及適用を書くか書かないか。遡及適用を書かないとすれば、何か別の規定を書かないと、当初の原案の目的が達成されない。しかし、委員会においては、成立はおくれたけれども、四月一日から原案が予測している事実を実現さしてやりたい、こういうことでありますれば、そのことについてのそういうことが実現できるという規定を修正で何か書くということになるわけです。私どもは四月一日の遡及適用も書かないし、言ってみれば何も書いてないじゃないか、こうおっしゃるわけですが、何も書かなくても当初の所期の目的は実現できる、こういうように判断しているわけでございます。したがって書かない。その点を御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/196
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197・湯山勇
○湯山委員 まだ若干問題があると思います。それはいまおっしゃったような点から見て、一体この法律をそのままで直ちに政令へ持っていっていいかどうか、もう一つ間にクッションが要るんじゃないかというようなことも考えられると思います。それらを含めてまたあとでお尋ねいたしたいと思いますから、すみませんが、しばらくお待ちいただきたいと思います。
局長にお尋ねしますが、大体設置者負担で置いておる事務職員それから養護教員、あるいは今度新たに負担の対象になる学校栄養士、これらがずいぶんだくさんあります。私の出身の愛媛県で、この職員録で四十八年のをくってみますと、市町村負担の事務職員が百二十七名、それから市町村費負担の栄養士が二十二名、それから養護教師といいますか養護婦、そういう人たちが三十五名、それから司書に当たる者が十六名、それから保母、寮母が二十七名、これは相当な負担だと思うのです。さっき体育局長ですかの御答弁で、愛媛県なんかは基準よりも上回って置いておるということでしたが、二十二名なおかつ市町村費負担があります。今度の法律にかなり大きな期待を持っておったわけでして、それはそれなりの対策を講じておると思いますけれども、それでもまだ足りなくてPTA負担というのがあります。PTA負担の司書補ですか、司書に当たる者が全県で十九名、それからPTA負担の事務職員が二十五名、PTA負担の栄養士が三名あります。なおかつこういう状態なので、今年度の地方財政計画等から見て各自治体の財政というものは相当きびしいということは御存じのとおりです。
そこで、この法律がそういうことで適用にならなければ、これらのものの設置にも響いてくるのじゃないかということを心配しておるのですが、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/197
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198・岩間英太郎
○岩間政府委員 いま御指摘のように、現在、市町村が負担している事務補助員、それから学校図書館の事務員、養護教員、そういうものがかなりの数にのぼっておるということは、御指摘のとおりでございます。このたび事務職員をふやしましたのも、一つはそういうものの解消をはかるということではございますけれども、そのほかに現在、事務の補助をやる者等につきましては、これは地方交付税のほうで財源措置をいたしておりまして、その数は小中学校合計いたしまして二万八千人をこえておるということでございますから、現実には小中学校に置かれておりますそういう事務補助員をカバーして余りがあるようなことになっているわけでございます。しかしながら、事務職員それから養護教諭、そういうものにつきましては、これはできるだけ全校に必置をするという方向で進んでまいっておることは御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/198
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199・湯山勇
○湯山委員 このPTA負担の実態は把握しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/199
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200・岩間英太郎
○岩間政府委員 PTAの負担は、現在事務補助員につきまして千百二十人、学校の図書館に勤務しております者につきまして千百五十一名、それから養護職員につきまして七名、そういうふうな数字が出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/200
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201・湯山勇
○湯山委員 それについて、そういうものはまず解消しなければならない。義務教育段階ではPTAで置くというのはよくよくだと思います。高校等では、その他のことがありますから、ある程度理解できますけれども、義務教育の学校でPTA負担の事務職員あるいは司書ですか、こういうものを置くというのは、これはたいへんなことだと思うのです。またPTA本来の役目ともこれは違ったことなので、こういうものはまず解消しなければならないと思うのですが、解消しようと思っても、地方財政がなかなかきびしくて、できないということもあると思います。これらの点については一体どうやって解消していったらいいか、お考えがあれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/201
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202・岩間英太郎
○岩間政府委員 いま申し上げましたように、私どもとしましては、事務職員とか養護教諭とか、そういうものの増員をはかるという方向が一つでございます。
それからPTA等の父兄にそういうふうな職員の費用を負担させるということは避けなければいけないということで、私ども、地方交付税を通じまして自治省にもお願いをして、そういう必要な職員が公費でもって置けるように財源措置をする、それからまた市町村の教育委員会に対しましては、そういう職員を父兄に負担させることは地方財政法の趣旨から申しましてもいけないことであるということを周知徹底する、その二つの方法によりまして、いままでかなりの数の解消がはかられてきたと思います。しかしながら、まだそれだけの人数がおるということは、これはなお遺憾なことでございますので、さらに引き続きそういうことのないように指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/202
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203・湯山勇
○湯山委員 そこで、今度は定数の問題ですけれども、小学校三カ年の複式、俗にいう複々式の解消、それから小学校第一学年を含む複式、これは編制を二十二人から十二人にしたということは非常に画期的だと言ってもいいくらい、いいことだと思います。しかし問題は、これは大臣もしばしばおっしゃるように、ひょっとするとこういうふうにすれば、実体があるかないかは別として、小学校一年生が一人で一学級というような場合もありますね。たとえば十二名二年生がいて一年生が一人しか入らない、そこで十三名になったという場合には、これは一つにするわけにいきませんから、そうすると十二名の二年生の学級と一名の一年生の学級というものが理論的にはできる可能性がある。あるいは三個学年のができなければ、一年生が一名、二年生が一名、三年生が三名というような場合は、二年、一年が一名ずつになるという場合もないとは言えないと思います。非常に極端かもしれませんが、愛媛県の四十八年度のを見ますと、一番小さいのでは、二学級で児童数六名、それから先生が三名というのがあるのです。これなんかになると、全体集めても六名ですから、一学年一名というようなこともあり得るわけで、そういうことになると、今度は、教育という一つの社会生活、学校という社会生活の上からいって、さてどうかなと思うようなこともないではないと思うのです。
そこで、非常にいいことで、これはもう当然そうあるべきですけれども、私はこういうことも考えてみたわけです。これは一学級に先生が一人しか配置できないという考え方をもう一つ離れて、一学級に二名を配置するという場合もある。そうすると、一、二年で二十名なら二十名の限度にしていいと思いますが、そのかわりそれは二名は配置する。そうすると、競走をするとかなんとか集団的な遊戯をするときには一緒にやる、それから普通の授業で学級を分けてやるほうが適当な場合はそれは分けてやるということができるのであって、必ずしも一学級一名ということにこだわらないで、一学級二名というふうなことも、ここまで配慮されるならばそういう御配慮もあっていいんじゃないか、こう思いますけれども、そういう点はいかがでしょうか。そういう検討をなさったことがおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/203
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204・岩間英太郎
○岩間政府委員 率直に申しまして、いままでそういう検討をしたことはございません。しかしながら、ただいま先生のお話を承っておりまして、これから先、充足してまいるといたしますと、いろいろな新しい問題が出てくる。ただいま御指摘になりましたようなことも一つの考え方でございまして、いままでは私どもは、学級編制につきましては、全国どこへ参りましても同じような基準でやってもらいたい。ただ、授業の形態として、それは各学校におきましてそれぞれ運用をしていただくという面もございましょうけれども、学級編制としてそういうふうな考え方をとったことはございませんが、今後の検討の課題として承らしていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/204
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205・湯山勇
○湯山委員 そこで、法制局の部長さんにここでもう一度お尋ねいたします。
いま申し上げましたように、今度の定数というのは非常に画期的な部分がありまして、私どもも一日も早く成立させたい、そしてみんなに安心してやってもらいたいという気持ちで特にお尋ねもしておるし、おいでも願ったわけなんです。いま申し上げましたように、複々式、それも三つの学年が一緒になるなんということはしない、それから小学校一年生は特別な扱いができるようにする。私自身の経験から申しますと、私はたった一つ小学校の経験があるのですけれども、そこでは、やはり三年までは配慮して、早生まれとおそ生まれに分けて教育しておりました。四年になって一緒にしたわけです。ところが、もう全然度合いが違います。三年生まで早生まれおそ生まれで別々にやってきたのを四年で一緒にすると、もうそれはうんと能力が違うのです。だからそういうのを、一年の複式なんというのは全くむちゃと言ってもいいくらいで、そういうところの配慮もあって、ずいぶん思い切った、二十二人を十二人にするというのですから、もう半分です。そういうこともしておるので、こういうのが法的にはいまやっておるのはやみだという印象を与えるのは私はいかにも残念だと思うし、それは財政面から言えば、これもあとで申し上げますけれども、財政面から言えば解決の道はあると思いますが、いませっかくそうやってやってきたものが、とにかくそれは現在の標準から言えばやみだというようなことでいくということは、いかにも忍びないものがあります。これはひとつぜひ御了解いただきたいと思うことが一つ。
それから、この国庫負担は、いまのようなこの法律全体の遡及適用ができないということになって、国庫負担分は政令で処理できるのだということですが、それはできる可能性があるということだけでは困るので、政令というものがどういうものなのか、確かにこれならできるという政令の中身がわからなければ、はたしてあなたのおっしゃったようになっているかどうかわからないと思います。
そこで、その政令の内容については、私は法制局がタッチする問題ではないと思いますけれども、何らかの形でそういうことについて掌握しておられることがあるかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/205
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206・大竹清一
○大竹法制局参事 ただいま先生が、政令は内閣限りのものですから、法律が通っても、政令をちゃんと出してくれるかどうか、これに懸念を持っておられる、これは十分によくわかるわけです。私どもといたしましても、修正の法律案を書きますときに、これは政令でやろうと思えばできるからもういいんだ、こういうようなことで政令でよろしいと言っているつもりはないのでございます。なるほど、法律案を、修正案を書きますときにも、こういう法律で行政各部は執行ができるかどうかということをやはり一応当たりませんと、法律の規定がひとりよがりをやっているということになりかねませんので、その点につきましては行政各部とやはり話し合いをしながら、これはいける、これは書いておかなければいかぬ、こういうように分別して作業を進めておる次第でございます。したがいまして、そう責任を持って政令が出るのか出ないのか、こうおっしゃいましても、私どもとしてはイエスともノーとも言えませんが、ただ、一言申し上げておきたいことは、政令でできるということは、単に法律で政令に大幅な授権をしているからできるというだけのことではないのだというつもりでしゃべっているということを御了解願いたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/206
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207・湯山勇
○湯山委員 いまのは了解いたします。
そこで、局長にお尋ねしたいのは、その政令案ですね、これはもうできておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/207
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208・岩間英太郎
○岩間政府委員 この法律に基づく政令案はできておりますけれども、義務教育の負担法に基づく政令案というものはまだできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/208
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209・湯山勇
○湯山委員 これは非常に大事なもので、いまからなおそれについてお尋ねしたいと思ったのですけれども、その政令案をまた見せていただいて、なおかつそれで不安があれば法制局のほうへもお尋ねもするし、場合によっては、これは政令の関係、特に予算の関係ですから、自治省、大蔵省へもお尋ねしなければならないと思いますので、ひとつ連休明けぐらいまでに政令案の御提示を願いたいと思うのですが、お約束できますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/209
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210・岩間英太郎
○岩間政府委員 この法律による政令案というのは、当然御要望があれば出さなければいけないと思いますけれども、しかし、この法律以外のものの政令につきまして政府の間でいま話を詰めろと言われましても、ちょっと時間的に無理な点があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/210
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211・湯山勇
○湯山委員 私が御提示願いたいというのは、いまのこの法律をお出しになったときの情勢と、この法律のままならば、たぶんいまの遡及適用で処理できる部分があると思うのです。それができなくなったために政令が必要になるという、その政令の案でいいのです。それならよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/211
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212・岩間英太郎
○岩間政府委員 まだ五月一日までにはちょっと時間的な余裕もございますし、やはりこの法律が出ましてから、その内容によりましてどういうふうにするかということを相談するということになるわけでございまして、いま、まだこの法律がどういうふうな修正案になるのかということがはっきりしない段階で政府の間でいろいろ相談するということはちょっと困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/212
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213・湯山勇
○湯山委員 あまり窮屈にお考えにならなくていいと思うのです、その問題は。一番問題は、この遡及適用というのはできないということになれば、たとえば今度から新たに適用される学校栄養士、そういうものはそのつもりでやっておって、それで給与を出している。そうすると、その人たちの給与は一体どうなるか。あとで埋めてくれるのかくれないのか。それから、これだけ増員になると思ってやっておった、それの分が出ない。しかしあとで埋めてくれるのだというようなことについて、これは遡及適用できないとなると、それまで宙ぶらりんになるわけですね。実際には予算も通っておるし、もう交付税も行くことになっておるけれども、法律がそうならないために出せないということになると、それだけ市町村に穴があくわけで、それをどうしてくれるのかという問題があると思うのです。それは政令でこう処理するのだということの考え方がわかれば納得がいくと思うのですけれども、それがどうもどうなるかわからないじゃ……。法制局はそうなると思っていまのような見解を出した、こっちじゃそれはできないとなると、一番困るのは末端の自治体なので、そういうことは心配がないのだという政令が出るものと私は確信します、いまのお話からは。そこで、まあ大体こういうものだということをお示し願いたいと言うのですが、それなら出していただけるのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/213
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214・岩間英太郎
○岩間政府委員 これは、法律を御審議いただいております国会の御意思が明らかになれば、それに従って政府がその対策を立てるということが筋じゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/214
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215・湯山勇
○湯山委員 いま私自身もこれを国会の問題として取り上げておるのですから、局長の御答弁もよくわかります、言われる意味は。ただしかし、それじゃここでの御答弁は、政令ではいま言ったような、形はどういう形でもいいですが、そういうことはないように措置するのだということぐらいは言えるんじゃないでしょうか。それが出なかったら法制局の考えはとんでもない、それはそうなると私は法制局横暴だといわざるを得ないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/215
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216・奥野誠亮
○奥野国務大臣 いま私初めてこういう意見のあることを知ったわけでございます。法制局のおっしゃることもそのとおりだけれども、標準とはいいながら学級編制の標準をきめるものでございますので、これは何月何日からきめるというよりも、学年学年できめていっているのです。学年学年できめていっているわけですから、四月一日以後に学級編制されたものはこの新しい改正法に基づいて編制されたものとみなすぐらいの規定を置いておいてあげませんと、何も義務教育費国庫負担法だけではございませんで、いろいろな法律がみんなこれを引っぱってくる。引っぱってくるたびに、何月何日以後の改正法、標準法に基づいて計算するのだという断わり書きをみんなしなければならなくなってしまう、たいへんなことになってしまうなということを、私は話を聞きながら感じたわけでございます。まあこの辺の問題は趣味の問題でございますから、そうやかましく言わないで便宜な方法をとるべきじゃないだろうかな、こんな感じを持ちながら私は伺っていたところでございます。そういう気持ちもあるものだから、初中局長は、せっかくのお話でありますけれども仮定に基づいた政令を出せて言われても出しにくいなという気持ちであんなお答えをしておったんだ、こう思うわけでございます。私は、何も義務教育費国庫負担法だけではございませんで、地方交付税法上でもこれを引いてきているわけでございますが、その際にまた同じようにくどくど書かなければならない、そういう不安を持たせないような法律改正にしていただいたほうが私はありがたいなという気持ちを持ちながら、法制局の方に反論を言うようなことで恐縮な感じもして、黙っておりたいな、こう思っておったわけでございますけれども、たまりかねてとうとうこんなことを申し上げたわけでございます。これはやはりよく御検討いただいて、改正法文をお考えいただいたほうがいいんじゃないだろうか、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/216
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217・湯山勇
○湯山委員 大臣から非常に明快な御答弁がありましたので、この問題はそれでひとまず了承いたします。
そこで、あとちょっと大臣にだけお尋ねしたいことは、これで見ますと、あと五十三年、それからあともっといくと、昭和五十五年まで、これは「都道府県の小中学校教職員定数の標準については、昭和五十五年三月三十一日」、これは「政令で定める特別の事情のある」、これはありますね、五十五年までのが。そこで先般の御答弁の中で、教育課程審議会で小・中・高一体の教育体系の課程のを協議をしてもらっておるということですが、この法律の提案、定数法その他から見て、六・三制はやはり堅持していくということが前提になっているように私は受け取ったわけですが、その点大臣はどうお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/217
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218・奥野誠亮
○奥野国務大臣 いま六・三制に変更を加えようというような考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/218
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219・湯山勇
○湯山委員 それからもう一つ局長にお尋ねしたいのですが、小・中・高の就学率、これはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/219
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220・岩間英太郎
○岩間政府委員 御案内のように小中学校は九九・六%ぐらいまではいっているわけでございます。高等学校のほうは、昭和四十八年の五月一日でございますと八九・六%でございますか、その程度までいっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/220
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221・湯山勇
○湯山委員 中学には夜間のがありますね。これはパーセントにしてどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/221
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222・岩間英太郎
○岩間政府委員 夜間中学の場合は現在九七、八%だと思いましたが、これは学齢を越えた者が入っております。ですから学齢の者はわずかに六人というふうなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/222
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223・湯山勇
○湯山委員 小中で九九・六ということと、高校もこれは九〇%と言ってかまわないと思うのですが、そうなってくると、高校の義務制という問題、これは今後の教育課程の審議会等で高校も義務制にするというようなことを検討する余地が私はあると思うのですが、大臣はその点についてどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/223
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224・奥野誠亮
○奥野国務大臣 教育課程審議会は義務制にするしないを論ずる場ではない、こう思っております。いずれにいたしましても九〇%の方々が高等学校に進んでおられる、したがって高等学校は国民教育機関になっている、こう判断をしていいと思うわけでございます。そういう実態を踏まえて高等学校教育の内容をきめてください、こういうお願いをしているわけでございます。現在は中学校までが義務制、したがいまして、中学校を終える際には一通りのことは覚えていなければならないというたてまえで教育内容がきめられております。したがいまして、また高等学校で同じようなことを二度学ぶような姿にもなっておるわけでございます。そういう実態でございますので、国民教育機関に高等学校がなっているのだ、そういう前提で高等学校の教育内容をきめる、そして中学校、小学校、その間に重複のないような配慮をしてもらおうということをお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/224
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225・湯山勇
○湯山委員 では、なおいまの法制局との問題では若干確かめたい点がありますけれども、もう少し推移を見てということにいたしまして、いまの最後の問題は、大臣のおっしゃったように、一応中学は完成教育、高校も完成教育ということになっておりますけれども、いまおっしゃったとおりなので、そうなってくると小・中・高一貫したものといえば同じような、もうここまでくれば、義務制ということばがどうかわかりませんけれども、そういった考え方での検討が要るのじゃないかと思いましてお尋ねしたわけですし、大臣の御答弁はそれで了承いたしまして、きょうはこれで一応終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/225
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226・稻葉修
○稻葉委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後七時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205077X02419740426/226
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