1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月三日(水曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 小平 久雄君
理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君
理事 谷川 和穗君 理事 羽田野忠文君
理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君
理事 青柳 盛雄君
井出一太郎君 河本 敏夫君
塩谷 一夫君 中垣 國男君
野呂 恭一君 羽田 孜君
林 大幹君 松澤 雄藏君
保岡 興治君 吉永 治市君
早稻田柳右エ門君 日野 吉夫君
正森 成二君 沖本 泰幸君
安里積千代君
出席国務大臣
法 務 大 臣 中村 梅吉君
出席政府委員
法務大臣官房長 香川 保一君
法務大臣官房司
法法制調査部長 勝見 嘉美君
法務省民事局長 川島 一郎君
法務省保護局長 古川健次郎君
委員外の出席者
最高裁判所事務
総長 安村 和雄君
最高裁判所事務
総局総務局長 田宮 重男君
最高裁判所事務
総局経理局長 大内 恒夫君
最高裁判所事務
総局民事局長 西村 宏一君
最高裁判所事務
総局刑事局長 千葉 和郎君
最高裁判所事務
総局家庭局長 裾分 一立君
法務委員会調査
室長 松本 卓矣君
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委員の異動
四月三日
辞任 補欠選任
江崎 真澄君 吉永 治市君
千葉 三郎君 林 大幹君
中垣 國男君 羽田 孜君
佐々木良作君 安里積千代君
同日
辞任 補欠選任
羽田 孜君 中垣 國男君
林 大幹君 千葉 三郎君
吉永 治市君 江崎 真澄君
安里積千代君 佐々木良作君
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四月二日
熊本地方法務局免田出張所存置に関する請願
(瀬野栄次郎君紹介)(第三三五七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/0
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001・小平久雄
○小平委員長 これより会議を開きます。
民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/1
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002・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 この法案について最終的な質問をいたすわけでございますが、まず、現在の調停委員が日当をもらったときに、その日当の中から何か一〇%をいわゆる天引きをされておるということも聞くのですが、この点の事実関係はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/2
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003・西村宏一
○西村最高裁判所長官代理者 各地の実情に応じて多少違いがあると存じます。一〇%を引いている地方あるいは五%を引いている地方、それぞれ各地によって違うようでございますが、それぞれ各地の地方裁判所あるいは家庭裁判所の調停委員の方々がつくっております調停協会の基金に、またその一部はその上位団体であります日本弁護士連合会の基金に納められているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/3
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004・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 それは裁判所で会計のほうで代行しているのでしょうか、これが一点。
それからもう一つ。そういうふうなことをやる理由、悪いと言うのじゃないですけれども。いま日本弁護士連合会が上部団体と言われたのは間違いです。そこで、調停協会連合会に対して最高裁判所などから基金的な援助といいますか、それは現在はどういうふうになっておるのか、将来それを増額する気持ちはないのか、調停協会連合会というのはどういう働きをしているのか、こういう点もあわせて質問をいたします。時間がないものですから、ぴしぴしと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/4
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005・西村宏一
○西村最高裁判所長官代理者 天引きの関係につきましては、多くの庁におきましては調停協会が事務員等を雇っておりまして、そこで事務をとっておりますけれども、小さい庁等におきまして裁判所がお手伝いするところもあるやに伺っております。
それから、日本調停協会連合会の事業は、財団法人の寄付行為におきましてこのように規定されております。「調停制度および調停法規の調査、研究ならびにその普及宣伝弘報活動をし、もって調停制度の改善発達を期することを目的とする。」この趣旨に従いまして、各地の調停協会と緊密な連絡をとりながら、調停委員の執務上役に立つ参考資料の配付その他の事業を行なっておられるようでございます。
それから、日本調停協会連合会に対する国側の補助の問題でございますが、一時、補助金という形で約五百万円の金額が提供されておりましたが、国の補助金の整理の政策の一環といたしまして、この援助金は打ち切りになりました。そのかわりといたしまして、現在は日本調停協会が主宰いたしております調停相談の委託費として約七十万円余りを提供しているだけでございますが、その他は調停委員と裁判所との間の協議会等に参加するための調停委員の旅費の一部を裁判所の予算として入れております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/5
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006・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 今度手当になりますと、それに対して税金がどういうふうにかかってくるのですか。それから、調停協会の一〇%か何%か、それのほかに税金がかかってくるのか、こういうふうなことが一つ。
それからもう一つは、たとえばこれは現在はどういうふうなんですか。現行法ではやはり任命ということになるわけですか。現行法では候補者を任命、そして今度は、そのときの調停委員を指定するという形になっているのですか。今度は、改正案では最高裁が任命するということになるわけですね。保護司などの場合は、委嘱という形をとっているわけでしょう。委嘱というのと任命というのとは、当事者の公務員法上の地位というか、そういうふうなものは何か具体的に違いがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/6
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007・勝見嘉美
○勝見政府委員 私どもの担当している分についてだけ申し上げます。
まず、手当になりました場合の税金の問題でございますけれども、このたび改正法を通していただけますと、前々申し上げておりますとおり、手当は給与の一種でございますので、所得税法上給与所得になります。したがいまして、当然課税の対象になるわけでございますが、現在所得税の課税標準となります総所得金額の算定の基礎であります給与所得の金額は、その年の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とされております。この給与所得控除額は、四十八年度におきましては、その年のうちの給与等の収入金額が十六万一千三百円未満であればその全額、それから四十九年度におきましては、これが飛躍的に高められまして、その年中の給与等の収入金額が四十三万八千五百円未満、それから五十年度からは五十万一千円未満であればその金額となるようでございます。したがいまして、給与所得の金額といたしましては、五十年度を例にとりますと、五十万一千円まででありますればゼロということになるわけでございます。この五十万一千円という金額は、調停委員の場合にあてはめて考えますと年間約七十七日ということになりますので、七十七日未満の勤務日数でございますれば、給与所得に関する所得税はかからないということになろうかと思います。
ただいま申し上げましたのは、給与所得者以外の方が調停委員になった場合でございます。したがいまして、たとえば弁護士の方ですと事業所得でございますが、事業所得と給与所得は別建てになりますので、具体的に弁護士さんが七十七回未満一年間調停に来ていただきましても、給与所得としての税金はかからないということに相なろうかと思います。
それから、委嘱と任命の違いでございますが、結論といたしましては、法令上の用語としては変わらないというふうに考えております。いきさつを見てみますと、ある委員会なり審議会で民間の方にお願いする場合、あるいはほかの官庁の方をお願いする場合に、やや敬意を表しまして委嘱という文言を使っておったこともあるそうでございます。国家公務員法が制定されまして、その種の委員の方も国家公務員であるということで、それ以来の立法令としては任命というふうに統一されているようでございますが、中には例外的に委嘱ということばを用いているのもあるようでございます。法律的には同一であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/7
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008・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 ただ、任命ということばがいかにも上から下へと命ずるような形を受けて、しかも最高裁が任命するんだということだといかにも下部組織というような感じを受けるので、そういう点でどうもコントロールを目的としているんじゃないかというふうにとられるんじゃないか、こう思うのですが、国選弁護人の場合は、日当と報酬とを分けるわけでしょう。調停委員の場合でも、厳密にいうと、今度の手当の中に実費弁償的な日当も入ってくるわけでしょう。そう考えてみると、金額が小さいから違うかもわかりませんが、いわゆる実費弁償的な日当とその他のものとを分けて、国選弁護人のような場合と同じようにやるということは考えられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/8
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009・勝見嘉美
○勝見政府委員 すでに御承知のとおり、改正法案におきましては、手当のほかに日当が支給されることになります。この日当の支給につきましては、最高裁が定めることに相なるわけでございますけれども、たとえば東京の事件を大阪で現地調停をやります場合に、前の日に大阪に出かけていきまして、次の日に調停をやります。またその次の日に帰ります。その場合に、前後の旅行日の日当は支給されるわけでございます。したがいまして、その場合の税法上の措置といたしましては、実費である日当にはもちろん税金はかからないということに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/9
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010・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 そうすると、この十億円の算出の根拠を大ざっぱにお伺いをいたしたいのですが、これは手当だけで現実に日当というものは入ってないようですが、これが一つですね。
それからもう一つは、東京の裁判所で東京の人が調停委員になる場合にも、いろいろなものがかかるわけですね。それは別に日当としてはその土地の場合には支給しない、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/10
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011・西村宏一
○西村最高裁判所長官代理者 調停委員の方が通常執務する裁判所で調停事務を行なう限りにおいては、日当は支払いがないということになるわけでございます。これは、手当が公務員としての手当になりますので、一般の公務員の場合におきまして出勤する場合に旅費日当が出ないと同じように、日当は出ないわけでございます。しかし、別のところへ行って執務する場合には、それに伴って旅費日当、宿泊料が全部出ることになります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/11
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012・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 いま、あとから経理局長から十億円の根拠の説明、概算願いたいと思うのですが、じゃ、国選弁護人の場合でも、同じ裁判所にいてその裁判所に出てやるわけでしょう。そうすると、日当が出てくるのじゃないですか。国選弁護人の地位と調停委員の地位とは法律的にはどういうふうに違うわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/12
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013・西村宏一
○西村最高裁判所長官代理者 国選弁護人の場合は、国選弁護を担当いたしましても公務員としての地位を取得するわけではございませんので、そこが違ってくるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/13
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014・大内恒夫
○大内最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。
予算に計上しております調停委員の手当十億二千万の算出の基礎でございますが、これは年間に処理いたします総事件を年間何期日、つまり総延べ日数をまず出しまして、それに今度の予算で計上しております六千五百円をかけまして、それにさらに十月一日施行でございますので十二分の六をかける、こういう計算で十億二千万、こういう金額を計上いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/14
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015・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 これは、六千五百円という数字を先に出して逆算したように私にはとれるのですが、たとえば民事の場合に、事件数かける平均審理回数を三回と見ていますね。家事の場合を二・五に見ているわけでしょう。こんなことで済んでないのじゃないですか。家事の場合だって二・五で済んでるわけないと思いますよ。それから民事だって三回じゃ済まないんじゃないかと思いますがね。まあ六千五百円先に出してあとから計算したのじゃないかとぼくは思うのですが、最初の案は八千三百円でしょう。八千三百円のときと六千五百円のときと、どこがどういうふうに数字が違ってくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/15
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016・大内恒夫
○大内最高裁判所長官代理者 仰せのとおり、予算で最初要求いたしました金額は、一日の執務につきまして手当八千三百円でございます。それで総金額が二十七億というふうになっておりますが、その計算の算式は先ほど御説明申し上げたことと全く違っていないわけでございます。どこが違うかと申しますと、一番大きく違っておりますのが、その単価の六千五百円と八千三百円の差でございます。それからもう一つは、要求段階では七月一日施行ということで九カ月分要求しておりましたが、予算で計上しておりますのは十月一日施行で半年分でございます。そこが一番大きい違いでございますが、なおこまかい点で申しますと、私どもが予算で要求しました際に算出の基礎にしておりました事件数、これは相当まあ多目に見まして要求してございますが、妥結の段階におきまして実情に沿うように直したというふうな事情もございまして、さような結果に相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/16
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017・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 この数字のこまかい点について聞くというのも、いろいろな計算上の問題なんかもあって聞いているので、ほんとうなら大蔵省を呼んできて一緒に聞くのが筋かもわかりませんが、それはそれとしてあれしますが、そこで、六千五百円というものを具体的にはどういうふうに支給することになるわけですか。ということは、午前中一件、午後一件というふうなことを考えているらしいのですけれども、いままでは同一の人が午前一件、午後一件やるというのはほとんどないのじゃないかと思うのです。ありますけれども、しかも、特定の調停委員に限ってそういうことがあるので、一般にはあまりないのじゃないかと思うので、具体的にどういうふうにして金銭を払うというふうなことを考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/17
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018・西村宏一
○西村最高裁判所長官代理者 従前の調停の運営の実態から見まして、おおむね一件一期目の時間が二時間ないし三時間ということでございますので、調停に要する時間といたしましては、おおむね午前中は十時から十二時前まで、午後は一時から三時か四時ごろまでというのが実態ではないだろうかと存じますし、また今後も、調停委員の方々の都合していただける時間によるわけでございますけれども、従前と同様に、多くの方はやはり午前だけとかあるいは午後だけということを予定して事件を受けられることになるのではないかというふうに考えるわけでございますが、そういう実態に即しまして、午前中一件を担当された方、午後に一件を担当された方については、おおむね六千五百円の半額という形でお支払いする場合が多くなるのではないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/18
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019・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 そこで、調停委員を今後任命するということについて、地方裁判所なり家庭裁判所でいままで選んでおったわけですが、今度最高裁で任命するということのようですが、具体的にはどういうふうにして最高裁で任命をするという形になるわけですか。そのプロセスはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/19
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020・西村宏一
○西村最高裁判所長官代理者 最高裁判所で任命すると申しましても、全国二万の調停委員の方々についてその実態を把握するということは不可能でございますので、実質的には地方裁判所、家庭裁判所においてそれぞれ選考していただきました上で、高等裁判所を経由して最高裁判所へ上申していただく、その上申名簿に基づいて最高裁判所で任命する、こういう手続になるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/20
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021・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 いままではいわゆる徳望家ということで選んでいた。今度はある程度法律的な専門家や何かを選ぶということになるのじゃないか、こう思いますが、そこで、従来の調停委員の選び方は、市町村に頼んで推薦してもらったり何かしている場合もあったようですが、率直に言って、いわゆる徳望家という名前であったためかもしれませんが、非常にお年寄りが多い。単にお年寄りだけでなくて、考え方がいわゆる憲法的な感覚にそぐわない。特に借地調停なんかやったときによくわかるのですが、借りたものは返すのがあたりまえだ、借家の場合でも借りたものを返すのがあたりまえなんだから、最初から何年たったら返せ。借家の場合と借地の場合と権限が違いますけれども、そういう形でやってくるという人が相当あるのですね、私どもは実際に体験してみても。しかも、たいへん失礼な言い方かもわかりませんが、それがどうもいままでは政党的に片寄った人が多いわけですね。政党の党員である場合もありまするし、それからそういうふうな方の大御所である場合も多いのですが、名望家となるとそういうことになるのかもわかりませんが、どの政党かは別として実際に多いわけですね。われわれの陣営というとことばが悪いのですが、いわゆる革新というかそういうようなところからは全くとらないですね。全くというとことばが悪いのですが、ほとんどとらない。それで、どういうふうに言ったらいいのかな、おわかり願えると思いますが、とにかくそういうふうな保守層というかそういうところからばかりとっていますね、これ、九割以上。東京の場合、ちょっと違うかもわかりませんが、地方はほとんどそういう形をとっている。一党一派に非常に偏しておるというふうにぼくらは見ておるわけですね。そこで今後調停委員を任命するときに、そういうふうな一党一派に偏することのないようにこれを選ばなくてはいけない、こう私は思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/21
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022・西村宏一
○西村最高裁判所長官代理者 御要望の趣旨に沿いましてできる限り広く、各界各層から適任者を選考できるようにいたしたいと努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/22
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023・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 いままでを見てみますと、この法案全体の成立過程なんかでも、どうも日本弁護士連合会との連絡が十分でないように考えられる。これはもちろん東弁、一弁、二弁の会長の人たちが諮問委員に出ているわけですから、それが内容を一々報告して日弁連へ出しておけば問題がなかったのかもわかりません。その連絡のしかたが悪かったのかもしれませんけれども、どうも法案のでき上がる前に急に日弁連へ行って説明をするとか、こういうふうな形でありますと、やはり法曹三者のおのおのの立場の尊重ということが足りないんじゃないかということがありますから、今後いろんな問題について日本弁護士連合会との連絡を密にしてやっていく、こういうことについて、これは法務大臣のお考えと最高裁側、これは簡略にお伺いをしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/23
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024・中村梅吉
○中村国務大臣 今回の場合でも、臨時調停制度審議会をつくるにあたりまして、弁護士会の日弁連に依頼をされて、委員の方々及び幹事になる方々、日弁連からの御推薦でやったようでございますが、あるいはこれについても人数等その他十分でない点があったかもしれません。今後につきましては法曹三者の連絡を緊密にするようにわれわれも最善の努力をしてつとめてまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/24
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025・安村和雄
○安村最高裁判所長官代理者 前にも国会で附帯決議がありまして、法曹三者は十分連絡をとるようにという決議がございました。その線に乗りまして三者の連絡協議会をつくるための努力を重ねてきたのでございますけれども、大もとのところではよろしいのでございますけれども、方法、趣旨等につきましてなかなか意見の一致が見られないために、法曹三者の常設的な協議会というものがつくられておりません。しかし今後努力を重ねまして、法曹三者の連絡が十分できるようなものができるように努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/25
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026・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 調停というのは、やはり裁判が長くかかる、金がかかる、こういうようなことで調停に行こうという人もおるわけで、だから調停がふえるということは、一面訴訟に対する不信感というものも理由になっている場合があるわけです、すべてがそうじゃありませんが、そういうことも考えられる。そこで、それと同時に、調停をやった人に聞きますと、当然裁判官が出てきてくれるものと思ったのに、裁判官が出てこない、何かがっかりしたような感じで、どうして裁判官出てこないのですかと私ら代理になって聞かれる場合がよくあるわけなんです。そこで調停担当裁判官というものの確保、これは臨調審にも出ていると思いますが、これは簡裁の判事の場合、民事で多いわけですから、そうそう確保がむずかしいことではないんじゃないか、こう思うのです。簡裁の場合は全く違うのかもわかりませんが、いずれにいたしましても今後調停担当裁判官というものの相当欠員もあるのですから、確保ということについてどういうふうにお考えになるか、このことをちょっと御説明願いたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/26
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027・西村宏一
○西村最高裁判所長官代理者 裁判官不在の調停という批判が非常に強いわけでございます。その点は私どもとしても十分承知いたしているわけでございますが、裁判官不在の調停の原因は、必ずしも裁判官が不足であるということだけによるものではないようでございます。やはり裁判官の調停に対する執務姿勢というものにも大きな原因があったように自覚いたしておるわけでございます。その点については各裁判官の方々も非常に自覚を強められまして、今後調停事件に対してできるだけ積極的に運営していくという姿勢を示されつつございます。そういった情勢を踏まえましてなおかつどうしても裁判官が不足であってそのために調停について十分な関与ができないという現象が出てまいりましたときには、それに応じまして増員その他の措置をできる限り努力して確保してまいりたい、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/27
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028・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 これは調停委員になる方は今度はどういうふうにするのですか。新しい方が多いようにもとれるのですが、従来調停委員の研修は、裁判所が自分の費用でやっている場合と、調停委員が調停協会ですか、の主催で、自分たちの出した金でやっている場合とがございますね。今後研修はどういうふうにやっていくのか、このことをちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/28
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029・西村宏一
○西村最高裁判所長官代理者 仰せのとおり裁判所が予算を一部持ちまして研修を行なっている場合もございますし、調停委員の方々が自発的に集まられて研修会、研究会、講習会等を実施されていることもあるわけでございまして、その方向自体は今後も続くことになろうかと思いますが、今度は裁判所のほうも積極的に研修を充実すべきであるという方針のもとに予算要求をいたしまして、相当額の予算も入っておりますので、研修については今後とも裁判所側も充実強化を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/29
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030・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 最後に、今度は調停委員のは非常に上がったわけですが、私も保護司をやっているので保護司の集まりに行ったときに話が出たのですが、大体一割ちょっと兼務している人がおると思います。そういう人たちは、調停委員だけ上がっちゃって——上がったのはけっこうなんですよ。保護司のほうは一件千七百円が一千九百円になったのですか、さっぱり上がらないじゃないか、何だというようなことを言っているわけですね。ぼくも困ってしまったから、調停委員が上がったのはけっこうなことだし、それに準じてうんと大幅に上がるんだというようなことを説明しているわけですね。保護司、人権擁護委員、これは法務大臣の関係ですね、法務大臣は上げることにうんと努力してくれるということを当然約束するはずだろうというようなことを説明して、それも実現するだろうと説明していますが、法務大臣はこの点どうなのかということが一つ。
それから司法委員と参与委員、これは現実にあまりやってはいないと思います。ことに参与委員というのはあまりやってないですね、司法委員というのは多少あるかもわかりませんが。司法委員も調停委員を兼ねているのがほとんどです。このほうは裁判所ですね。国選弁護人もそうです。国選弁護人もだいぶ上がりましたけれども、そういうようなことも含めて、これは裁判所のほうから、調停委員がこれだけ上がったのに準じて、約五倍に上がったわけですから、これに準じて、これらの方々の報酬の一そうの増額についてどういうふうにお考えなのか、大臣と最高裁にお伺いしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/30
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031・中村梅吉
○中村国務大臣 保護司につきましても、保護行政の重要性にかんがみましてできるだけ改善の措置をとるべきであり、われわれも最善の努力を尽くしてまいりたいと思いますが、ただ問題は、保護司の場合には奉仕の観念というものを基礎にして、ほんとうに心から奉仕の観念でやっていただくことが本質的に必要ではないかというようなことが考えられますので、まずさしあたり実費弁償の充実をして、とにかく御損はかけないというようなことと、それから保護司会等の横の連絡あるいは大会等の費用、こういうようなものを何とか予算の上でもっと充実して確保していきたいというようにさしあたり考えておる次第でございますが、いずれにいたしましても、改善につきましては大いに努力を続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/31
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032・大内恒夫
○大内最高裁判所長官代理者 司法委員、参与員並びに国選弁護人の待遇改善の関係でございますが、まず司法委員、参与員につきまして、これは非常に大事な職務でございます。私どもといたしましても、今回は、調停委員につきましては制度の改正に伴いましてこうした手当ということで御審議をいただいているわけでございます。司法委員、参与員につきましても、最高裁内部におきましてどういうふうにあり方その他待遇を検討したらよろしいか、考えたらいいかということを十分研究してまいりまして、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
なお、国選弁護人でございますが、国選弁護人については本年度はかなり例年に比較して改善されたわけでございますけれども、やはりこれも大切な仕事でございますので、引き続きまして努力をいたしたいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/32
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033・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 いろいろほかにも質問したいこともあるのですけれども、時間の関係等がございますので、質問はこの程度で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/33
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034・小平久雄
○小平委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
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午後零時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/34
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035・小平久雄
○小平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、本案に対し、青柳盛雄君から修正案が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/35
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036・小平久雄
○小平委員長 提出者から修正案について趣旨の説明を求めます。青柳盛雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/36
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037・青柳盛雄
○青柳委員 ただいま議題となっております民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案に対しまして、修正の動議を提出いたします。
修正の内容は、お手元に配付されております文書によりましてごらんをいただきたいと思いますので、その朗読は省略さしていただきます。
修正を動議する理由につきまして簡単に趣旨を御説明申し上げます。
第一は、調停委員の名称を民事調停委員及び家事調停委員と改める改正部分のすべてを消除して、調停委員の名称を現行法どおり残そうとする修正の理由でございます。
現在の調停委員を民事調停委員と家事調停委員に分けて、それぞれ専門化しなければならない合理的な理由が見出せません。臨時調停制度審議会の答申の中にも全く含まれていないこのような制度上の変更を行なうことは、調停委員の中に無用な差別を設けるだけでありますから、これは避けるべきであると考えます。
第二番目に、調停委員の選任及び職務等に関する改正部分を修正案のように修正する理由について申し上げます。
調停委員の選任方法を最高裁判所の定める規則に委任し、最高裁判所が現行法の定める選任方法を全面的に改廃し得る道を開き、また調停委員の職務として定着した本来の任務のほかに、自己の担当していない他の調停事件に関与し得る職務権限を新設しようとする改正案は、調停委員の身分を事実上常勤の裁判所職員と同様、一種の専門職化し、国民が広く司法手続に参与、協力するという調停制度の大衆的な、また民主的な性格をそこない、官僚化するおそれがあります。よって、現行法に修正案のような改良を加え、これを残すことにするのが必要だと考えます。こうして現行法の持つ民主的性格を維持し、さらに発展すること、また現行法の運用上あらわれている弊害を除去することも可能となると考えます。
また、調停手続における共助体制は、常勤の裁判所職員をもってこれに当たらせるべきであって、非常勤の調停委員にそのような任務を課すのは民事手続制度に混乱を持ち込む結果となります。また、特定の事件において専門的な知識、経験に基づく意見が求められる場合には、鑑定を命ずるか、または専門的な知識、経験を持つ調停委員をその事件の調停委員会に加えるべきであります。
第三番目に、調停委員の身分及び給与等に関する修正の理由について申し上げます。
調停委員が非常勤職員であり、手当を支給さるべき立場にあることは、現行法の解釈上何らの疑義を差しはさむ余地がありません。したがって、この点に関する民事調停法の改正案第八条第二項及び同第九条、家事審判法第二十二条第二項及び同第二十二条の二のような規定は全く不要であって、これは削除すべきであります。しかし、現行法の実際の運用では、調停委員を事実上名誉職扱いとしておりますので、このような運用のしかたを改めるためにあえて修正案のようにすべきだと考えます。
以上をもちまして、修正の理由の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/37
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038・小平久雄
○小平委員長 これにて青柳盛雄君提出の修正案の趣旨説明は終わりました。
この際、委員各位と十分協議の上、私の手元で起草いたしました本案に対する修正案を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/38
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039・小平久雄
○小平委員長 修正案はお手元に配付してあるとおりでございます。その案文の朗読は省略して、修正の趣旨について簡単に申し上げます。
原案は、商事及び鉱害調停事件の特則として認められている現行の調停委員会の定める調停条項の制度を民事調停事件全般に適用しようとするものでありますが、この制度を通則化することは必ずしも適当でないと考えられるので、この規定を削除し、現行どおりとしようとするものであります。
以上が本修正案の趣旨であります。何とぞ御賛同あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/39
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040・小平久雄
○小平委員長 両修正案について別段御発言もないようでありますので、原案及び両修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/40
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041・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案になっております民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案の二つの修正案と原案に対し、修正案二つについては賛成、原案については反対の立場から簡潔に討論をいたしたいと思います。
本来、調停制度は、訴訟で迅速にしかも低廉に解決ができないというもののいわば補完的な意義を持つものであろうか、こういうふうに思うのでございますが、それが今度の場合においては、臨調審の答申等におきましても裁判官の適正数の確保、こういうようなことを要求されておりますのに、これに対して十分こたえておらないのでございまして、こういう点については、私は残念に思う次第でございます。
内容につきまして、二つの修正案、これは十六条の二の削除については五党の一致でございまして、申し上げることもございません。修正が妥当であることは言うまでもないのでございますが、青柳委員提出の他の部分につきましては、内容的には私ども賛成をいたしますが、その手続等について若干の混乱があったということについては、これは遺憾に思うところでございます。内容において当然ながら賛成をいたすものでございます。
原案につきましては、なるほどいいところもございます。たとえば調停委員の待遇の改善をする、このことは当然過ぎるくらい当然のことでございますが、そのことからして日当を手当にしなければならないという理由もございませんし、同時にまた、さらに身分を当初から最高裁判所の任命制にし、非常勤の国家公務員にしなければならないという必然性もないといわなければならないのでございます。このことを考えますると、最高裁判所の任命という形を通じて中央集権化といいまするか、最高裁判所の統制、コントロールというか、そういうようなものが強まってくる危険性が本法案にあるのではないか。
このことを考えますると、一つは賛成がどうしてもできかねる、こういうことになってまいりますし、同時に調停委員の職務の内容についていろいろ付加をいたしておるのでありまするが、この付加をしなければならない合理性というものもまた十分ではないというふうに考えられるのでありまして、いたずらに権限を拡大をし、調停委員の官僚化というか優越化というかそういうふうなものを増大をさせる。現在でも調停委員が調停の成立をあせって、調停の成立の統計というものが最高裁判所に報告をされる。そのことによって調停委員の成績がいいとか悪いとかいうことはないのでありましょうけれども、えてしてそこで強圧的な調停が行なわれる。あるいは地主と借地人あるいは家主と借家人というような立場の場合に、ともすれば地主なり家主の立場に立つというきらいがあるわけでありまするが、それがさらに官僚化というか、こうした問題を通じて強まってくる危険性も十分考えられるということがいえる、こう思うのでありまして、その選任については片寄らないで十分公平な、厳正な立場から選任されるように期待をいたしておる次第でございます。
いろいろ申し上げたいこともございまするが、簡潔に申し上げまして、二つの修正案に賛成、原案についてはいま言った非常勤公務員化の問題、それから新職務内容の付加の問題、その他の点について納得が十分できない、危険性が逆にある、こういうことから反対をいたすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/41
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042・小平久雄
○小平委員長 正森成二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/42
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043・正森成二
○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案について、わが党提案の修正案及び委員長提案の修正案にそれぞれ賛成し、原案に反対する立場で討論を行ないます。
本法案は、第一に、調停委員を最高裁判所の任命制とし、従来と異なり、事件の指定を離れても調停委員を非常勤の国家公務員とするものであります。政府は、調停委員に手当を支給するためには右改正が必要であるというのでありますが、わが党が独自に提出した修正案でも明らかなように、調停委員の待遇改善は、政府案のごとく身分を任命制にし、公務員化しなくとも、第九条を改正するだけで十分可能なのであります。しかも本法案は、国民の国民による国民のための調停を行なう上で従来も一定の役割りを果たし、今後も活用さるべき当事者が合意で定める調停委員等の民主的規定を削除しています。それゆえ、本法案は、調停委員の待遇改善を名目に調停委員の官僚化を促進するものであるといわなければなりません。
第二に、本法案第八条では、民事調停委員に新たに種々の事務を負担させ、特に「その他調停事件を処理するために必要な最高裁判所の定める事務を行う。」と定めて、最高裁判所の規則で事務を拡大する余地を残しています。これらは、裁判所書記官の仕事の過重化、公証機関としての書記官の権限のあいまい化をもたらすだけでなく、調停委員の公務員化と相まって、一そうの官僚化につながるおそれがあります。
第三に、そもそも調停は、国民の司法参加の重要な部分として条理に導かれ、民主的に合意に達することがその中心目的であります。ところが原案では十六条の二に、調停とはある意味では異質の仲裁を持ち込んでいることに端的にあらわれているように、全体として職権的な性格を濃くしているのが特徴で、とうてい原案に賛成することはできません。わが党が委員長提案の修正案に賛成するゆえんであります。
第四に、本法案は手続的にも法制審議会の議を経ず、また第六十五国会の附帯決議の精神に反して、調停について最大の協力を得べき在野法曹、日弁連との十分な話し合いをなしておりません。このことは、日弁連の強い反対意見にも見られるように、調停が民主的に運営されることについても、一定の困難をもたらすものであります。調停制度の改善は、現在の裁判官不在庁、裁判官不在の調停を改めること、調停委員の選任を民主的に行なうこと、待遇をわが党独自の修正案のごとく抜本的に改善すること、かつ、第七条、第八条など従来の規定中、民主的部分をさらに活用すること等によって実現されるものであります。
以上、日本共産党・革新共同は、司法の民主化、調停制度の民主化を願う見地から、本法案に反対の意思を表明するものであります。
なお、次の二点を付加して表明いたします。
わが党は、原案中、交通公害事件の管轄やあるいは遠隔地の家事調停事件の配慮については、必ずしも反対ではございません。また、わが党が委員長提案の修正案に賛成するのは、原案の一部削除修正であって、修正部分を除く原案に反対することと何ら矛盾しないゆえであります。以上で私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/43
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044・小平久雄
○小平委員長 沖本泰幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/44
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045・沖本泰幸
○沖本委員 私は、公明党を代表して、民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案に対しまして、修正案に賛成、修正部分を除く原案に反対の討論をするものであります。
反対理由の第一点は、調停委員の身分についての改正であります。
改正案では、現行の調停委員候補者の制度を改め、当初から非常勤の裁判所職員として任命することとし、職務の内容の拡充等これに伴う一連の改正を行なっていますが、このことは、具体的な調停事件や調停委員会を離れて右のように調停委員の身分を公務員化することは、現行調停制度の特質である国民の司法参加の原則を後退させ、調停委員の専門化、官僚化を招くおそれがありますので、これについては、強く反対せざるを得ないのであります。
第二点は、調停委員の職務権限の拡張の問題であります。
改正案では、調停委員会の構成員として調停事件に関与するにとどまらず、裁判所の命を受けて、他の調停事件についての意見の陳述、嘱託にかかわる事件の関係人の意見聴取、その他調停事件を処理するために必要な最高裁判所の定める事務を行うことになっていますが、このことは、調停委員の国民参加の本質、その職務のあり方につき根本的な変更を加えたものであり、賛成することはできないのであります。特に、その他調停事件を処理するために必要な最高裁判所の定める事務を行なうことができることは、調停委員の職務権限について、最高裁判所に白紙委任することでありまして、承認し得ないところであります。
以上のとおり反対の意見を表明するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/45
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046・小平久雄
○小平委員長 これにて討論を終了いたしました。
これより民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決に入ります。
まず、青柳盛雄君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/46
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047・小平久雄
○小平委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、委員長提出の修正案について採決いたします。
委員長提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/47
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048・小平久雄
○小平委員長 起立総員。よって、委員長提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/48
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049・小平久雄
○小平委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/49
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050・小平久雄
○小平委員長 次に、ただいま議決いたしました本法律案に対し、大竹太郎君外九名から自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、提出者から趣旨の説明を求めます。稲葉誠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/50
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051・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、附帯決議案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
一、調停制度は、民間の司法参与の下に、当事者の互譲によつて紛争を解決することを本質とする制度である。このような調停制度の本旨にかんがみ、調停制度の運用に当たつては、次の点について配慮すべきである。
(一) 調停委員の身分を当初から非常勤の公務員とするに当たり、調停委員の職業化を避ける等民間の司法参与の実を損なうことのないよう留意すべきである。
(二) 調停委員の任命については各方面の意見を聴取し、広い範囲から適任者を確保するよう努力すべきである。
(三) 裁判官の調停関与の実を挙げるため、今後一層調停担当裁判官の確保に努力すべきである。
二、政府及び最高裁判所は、この際調停委員の待遇との均衡を考慮し、保護司、人権擁護委員、司法委員及び参与員の待遇改善並びに国選弁護人の報酬の一層の増額について努力すべきである。
以上であります。
本案の趣旨については、委員会の質疑の過程ですでに明らかになっておりますので、省略いたします。
何とぞ、本附帯決議案に御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/51
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052・小平久雄
○小平委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/52
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053・小平久雄
○小平委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
ただいまの附帯決議について、中村法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中村法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/53
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054・中村梅吉
○中村国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、つとめてその御趣旨に沿いまするように、最善を尽くしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/54
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055・小平久雄
○小平委員長 おはかりいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/55
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056・小平久雄
○小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/56
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057・小平久雄
○小平委員長 次回は、来たる五日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205206X02419740403/57
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