1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十九年三月十二日(火曜日)
—————————————
議事日程 第十四号
昭和四十九年三月十二日
午後二時開議
第一 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案
(社会労働委員長提出)
第二 奄美群島振興特別措置法及び小笠原諸島
復興特別措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
第三 学校教育法の一部を改正する法律案(第
七十一回国会、内閣提出)
第四 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を
改正する法律案(内閣提出)
第五 公共用飛行場周辺における航空機騒音に
よる障害の防止等に関する法律の一部を
改正する法律案(第七十一回国会、内閣
提出)
第六 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並び
にその生息環境の保護に関する日本国政
府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府
との間の条約の締結について承認を求め
るの件
第七 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並び
にその環境の保護に関する日本国政府と
オーストラリア政府との間の協定の締結
について承認を求めるの件
—————————————
○本日の会議に付した案件
昭和四十九年度一般会計予算
昭和四十九年度特別会計予算
昭和四十九年度政府関係機関予算
発電用施設周辺地域整備法案(第七十一回国会、
内閣提出)中修正の件
午後六時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/0
-
001・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
————◇—————
昭和四十九年度一般会計予算
昭和四十九年度特別会計予算
昭和四十九年度政府関係機関予算発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/1
-
002・森喜朗
○森喜朗君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、昭和四十九年度一般会計予算、昭和四十九年度特別会計予算、昭和四十九年度政府関係機関予算、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/2
-
003・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/3
-
004・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
昭和四十九年度一般会計予算、昭和四十九年度特別会計予算、昭和四十九年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。
—————————————
昭和四十九年度一般会計予算
昭和四十九年度特別会計予算
昭和四十九年度政府関係機関予算
〔本号(二)に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/4
-
005・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 委員長の報告を求めます。予算委員長荒舩清十郎君。
—————————————
〔報告書は本号(二)に掲載〕
—————————————
〔荒舩清十郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/5
-
006・荒舩清十郎
○荒舩清十郎君 ただいま議題となりました昭和四十九年度一般会計予算外二案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
この予算三案は、去る一月二十一日に予算委員会に付託され、同月二十六日、政府から提案理由の説明があり、二十八日より質疑に入り、その後、公聴会、分科会を合わせ二十七日間審議を行ない、本日、討論採決をいたしたものであります。
まず、予算の規模等について簡単に申し上げます。
一般会計の予算額は、歳入、歳出とも十七兆九百九十四億円で、四十八年度当初予算額に比べ一九・七%の増加となっており、歳入のうち公債金収入は二兆一千六百億円で、歳入総額の一二・六%を占めております。また、特別会計は、今回新たに設けられる電源開発促進対策特別会計を含め、その数は四十二と相なっており、政府関係機関の数は、四十八年度と同様、十五であります。
次に、質疑の概要について申し上げます。
第一は、物価問題であります。すなわち、本問題については質疑が最も集中いたし、国民生活を守るという観点に立って、あらゆる角度から詳細かつ具体的に質疑が行なわれました。
まず、物価上昇の原因について、「物価の大幅な上昇をもたらしたのは、これまでの政府の財政金融政策の失敗により、国民の間にインフレマインドを定着させたこと、原油の輸入について、業界の情報に基づき石油危機と物不足をあおったこと、また、生活必需物資の買い占め、売り惜しみ、便乗値上げに対し、さきに制定された買占め売惜しみ防止法第五条の立ち入り調査も行なわず、行政の対応がはなはだしくおくれたことによるものではないか」との趣旨の質疑が行なわれました。
また、当面の対策について、「石油危機に乗じて不当な値上げをした石油製品、石油化学製品、その他生活必需物資等の価格は、高値安定とならないようにこれを引き下げさせるとともに、今後理由なく値上げしないように原価を公表すべきである。また、便乗値上げ等で得た多額の超過利得を国民に還元する措置を講ずるほか、公正取引委員会が価格の引き下げ命令をなし得るように、独占禁止法を改正してはどうか」との趣旨の質疑が行なわれました。
これに対しまして、政府より、「ここ二、三年来の経過を顧みるとき、引き締めるべき時期のおくれたことについては謙虚にこれを認める。石油の輸入量について予測の狂ったことは遺憾であるが、故意に物不足をあおった事実は全くない。原油の供給については、今後、政府の義務として、月別の輸入量とその価格を情報として国民に提供したい。生活必需物資等の買い占め等については、あらゆる法律を駆使し、立ち入り調査等もびしびし行ない、国民のために誠意をもって対処したい。石油製品の値上げには便乗的な面もあるので、その分の利益を吐き出させるようにするため、本年一月からの原油価格の値上がり分を製品価格に転嫁させないで、当分現行価格を据え置かせ、赤字経営を続けさせておるのである。その他の物資については、値上げの適否を検討し、不当なものは値下げさせるよう指導している。製品原価については公表することはできない。企業の超過利得の吸収方法については、政府において検討中であるが、できれば超党派による議員立法が望ましい。公正取引委員会の価格引き下げ命令は、ある程度の範囲内で行ない得るよう、独占禁止法の改正について現在検討しておる」との趣旨の答弁がありました。
物価問題については、以上のほか、物価安定の時期と、その際の物価水準、公共料金の取り扱い、行政指導による価格の改定と独占禁止法の問題、公正取引委員会の陣容の強化策等についても質疑が行なわれました。
特に、石油危機に乗じた商社の悪質な便乗値上げや、一部大手商社の海外法人等の利用による輸入価格のつり上げや脱税行為が指摘せられ、商社活動の反社会性が問題となりまして、政府に対し、「これら商社の悪徳商法に対し急速に規制措置を講ずるべきであり、また、商社に対する多額の銀行融資や商社の株式保有を制限すべきではないか」との趣旨の質疑が行なわれました。
これに対し、政府より、「商社の不当な行為に対しては、責任を明らかにし、厳重に取り締まっていく。また、脱税のないよう税の捕捉については万全を尽くしているし、悪質なものがあれば、法に基づき仮借なく公正に処置する。なお、商社に対する金融は、現在、特別のワクを設けて抑制しているが、最近、商社は金融的性格が強大となり過ぎ、弊害も生じておる。株式も借り入れ金で保有しているものが多く、行き過ぎと思われるので、制限する方向で検討しておる」との趣旨の答弁が行なわれたのであります。
次に、審議の過程で、売り惜しみ、便乗値上げ等について委員より具体的に指摘された問題等について、その実態を明らかにするため、企業の代表を招き集中審議を行なうこととして、理事会で意見の一致を見たのでありますが、その際、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の野党四党は、出席を求める者を証人として喚問すべきであるというのに対し、自由民主党は、まず参考人として陳述を聞くべきであるとして、与野党間の意見が相違し、理事会において連日協議をいたし、その間一週間に及んでもなお意見の一致が見られず、予算委員長としては、理事会における、「本問題について早急に決着をつけ審議に入るべし」との多数意見をも考慮いたしまして、二月十五日、公聴会終了後、委員会を開会いたしましたが、自由民主党より、「企業代表を参考人として招き、意見を聴取されたい」旨の動議が提出され、採決の結果、動議は多数をもって可決されたのであります。これに対し、野党から予算委員長の解任決議案が提案され、十九日の本会議で否決されたことは、皆さまの御承知のとおりであります。(拍手)
集中審議は、以上の経緯をたどりまして、二月二十五日より二十七日まで三日間、大手商社、銀行、石油元売り、石油化学、家庭電器、合成洗剤、製紙業等の各社社長並びに業界代表ら二十三名を参考人として出席を求めて行なわれました。この結果、参考人より、「便乗値上げ、やみカルテル等の行為のあったことはある程度事実として認める。なお、これらの反社会的行為はまことに遺憾であり、これまでの超過利得は何らかの方法で消費者に還元したい。今後製品の値上げはしないよう極力努力するとともに、企業の社会的責任を自覚し、不法、不当な行為は再び繰り返さないよう社内及び業界に徹底させ、体質改善につとめていきたい」との趣旨の陳述がありました。
なお、この集中審議の結果にかんがみ、野党四党より、参考人のうち数名を証人として喚問したいとの強い意向が表明され、特に内閣総理大臣に対し、「過般の集中審議における参考人の陳述によって、物不足、便乗値上げ、行政と企業との癒着関係、企業代表者の社会的責任の欠除等が明らかとなったので、この際、参考人のうち、政府の答弁と食い違って陳述を行なった者、また、陳述に誠意の認めがたいと判断される者を証人として喚問し、事態の真相を究明したいが、所見いかん」との趣旨の質疑が行なわれ、これに対し、田中内閣総理大臣より、「公聴会以外の方法による異例の集中審議に対し、政府は深い関心を持って見守っていたが、大いなる成果があったと思う。特に、企業が社会的責任に目ざめた発言等は、政府としても、今後の行政運営上、幾多の指針を教えられた。参考人の陳述と政府の答弁との食い違いについて、政府には何ら違法行為はない。また、行政と業界の癒着は絶対にない。国政調査権の大きさについて企業も国民も評価したと思うが、参考人に出席を求める場合、あらかじめ質問事項を示し、事実を十分に述べられるよう配慮すべきではないかと感じられた。また、証人喚問等国会運営の問題は、国会自体できめるべきものと思う」との趣旨の表明がありました。
なお、過般の集中審議において出席した参考人のうち、十一名を証人として喚問するか、参考人として出席を求めるかについて、理事会で協議が整わなかったので、三月十一日の委員会で各党の意見を聴取した上、採決に付しましたところ、証人として喚問しないことに決定した後、石油連盟会長外二名を同日の予算委員会に参考人として出席を求め、石油の価格協定と通産省の行政指導、石油製品の値上げ等について事態の究明につとめたことを申し添えておきます。
第二は、社会保障についてであります。
「物価の著しい高騰によって深刻な影響を受けている生活保護世帯、年金生活者、心身障害者等の生活を守るため、政府はすみやかに対処すべきであるとし、生活扶助基準や福祉年金を大幅に引き上げるとともに、厚生年金、国民年金の物価スライドを、一年ごとではなく、物価の急激な上昇に見合うよう、少なくとも三カ月ごとにスライドさせる措置を講ずべきではないか」との趣旨の質疑が行なわれ、政府より、「生活扶助基準については明年度二〇%の引き上げを行なうこととしたが、総需要抑制という緊縮予算の中で精一ぱい努力したものであり、老齢福祉年金の五〇%引き上げも、これとの関連で措置した聾障害福祉年金、母子福祉年金の引き上げとあわせ考えるならば、相当の配慮をしたものといえる。また、年金のスライド制については、厚生年金、国民年金の受給者は、現在、合計約三百七十万人もあり、特に、厚生年金については、人により受給額がそれぞれ異なっておるため、改定の作業に約五カ月をも要するので、スライド制の期間短縮は事務的にきわめて困難であるが、なお検討してみたい」との趣旨の答弁がありました。
社会保障については、以上のほかに、一時金の支給、年金の通算、生活保護法の改正、医療基本法の制定等についても質疑が行なわれました。
第三は、放射能測定についてであります。
すなわち、アメリカの原子力潜水艦入港に伴う放射能の測定を、政府は財団法人日本分析化学研究所に委託しているのでありますが、その測定がでたらめで、分析結果が捏造されている事実があるとして、政府の責任が鋭く追及されたのであります。
これに対し、科学技術庁長官より、「昭和四十七年度における原子力軍艦寄港時の放射能調査につき、本年一月二十九日及び三十日の両日にわたり立ち入り検査を行なった結果、原子力軍艦寄港地で採取された試料の機器分析は、実際の試料を測定しないで既存の波形図をコピーしていたものが約三〇%、化学分析についても、最終報告値をつくり上げたものが少なくとも四〇%あることが明らかとなり、放射能監視体制の信頼性について国民に多大の疑惑を抱かしめたことはまことに遺憾であり、今後かかる事態が二度と再び生ずることのないよう万全の体制をとることとしている」旨の発言があったのであります。
総予算に関連しては、以上のほか、経済見通しと予算の修正、銀行法の改正、インフレと預貯金の目減り対策、企業会計のやり方と課税問題、国際収支、農産物の需給問題、エネルギー政策、中小企業対策、土地対策、国有林野の常用作業員の処遇、雇用保険、自衛隊の精神教育、海外経済協力、日韓大陸だな協定、地方財政等、その他国政の各般にわたってきわめて熱心に質疑が行なわれましたが、詳細は会議録により御承知を願いたいと存じます。
本日、質疑終了後、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の四党共同提案による、予算三案を撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、趣旨説明が行なわれたあと、予算三案及び四党共同の動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党は政府原案に賛成、四党共同提案の動議に反対、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党は、四党共同提案の動議に賛成、政府原案に反対の討論を行ない、採決の結果、四党共同提案の動議は否決され、予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/6
-
007・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 昭和四十九年度一般会計予算外二件に対しては、堀昌雄君外二十五名から、三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/7
-
008・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) この際、その趣旨弁明を許します。堀昌雄君。
〔堀昌雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/8
-
009・堀昌雄
○堀昌雄君 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党が共同提案いたしております昭和四十九年度一般会計予算、昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議につき、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。(拍手)
まず、動議の主文を朗読いたします。
昭和四十九年度一般会計予算、昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算については、政府はこれを撤回し、少なくとも左記の点を含めて速やかに組替えをなし、再提出することを要求する。
右の動議を提出する。
まず最初に、昭和四十九年度予算の編成替えを求める理由を申し上げます。
その第一は、この予算が見せかけのインフレ対策予算であるということであります。
今日の異常な物価高騰、インフレの高進は、国民生活をかつてないほどの深刻な危機におとしいれておりますが、こうした事態は、政府・自民党の大企業中心の高度経済成長政策と対米追従の外交政策によってもたらされたものであり、とりわけ、日本列島改造計画に基づく経済、財政政策の破綻を示すものであるといわざるを得ません。しかるに、昭和四十九年度予算は、依然として、日本列島改造計画を撤回せず、消費者米価、国鉄運賃などの公共料金の据え置きもわずか半年間にしかすぎないなど、インフレを促進する予算となっているばかりでなく、総需要抑制といいながら、巨額な国債発行を行ない、相変わらず高い水準の産業基盤投資を続け、加えて、防衛費を一兆円の大台に乗せているのであります。
一方、予算圧縮を理由として、地方財政に対しては大きな圧迫を加えております。さらに、石油危機を口実とした大企業の便乗値上げを野放しにし、大企業代表の国会証人喚問すら拒否するなど、政府の物価安定短期決戦のかけ声にもかかわらず、この予算は、物価安定とはほど遠いものとなっているのであります。
第二の理由は、この予算が弱者切り捨ての福祉軽視予算であるということであります。政府の福祉重点のかけ声にもかかわらず、生活保護基準も福祉施設入所者の措置費も二〇%の引き上げにとどまり、老齢福祉年金はこの十月以降やっと月額七千五百円となるにすぎません。これでは、年率二〇%をこえる消費者物価の上昇のもとでは、全く焼け石に水であり、福祉の一そうの低下が目に見えております。
しかも、健保家族と国保加入者の患者負担がふやされ、保険料率の引き上げも予定されております。これらは、とりわけ老齢者、生活困窮者、障害児者、難病患者などの生活を塗炭の苦しみに追いやるものであり、さらに、公共住宅建設戸数を四万五千戸削減するなどは、まさに弱者切り捨て、福祉軽視の予算であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
組み替えを求める第三の理由は、不公平と格差の拡大につながる予算であるという点にあります。
いわゆる二兆円減税も、インフレ、物価高に苦しむ勤労大衆の救済を内容とするものではなく、給与所得控除の上限撤廃、高額所得層の税率軽減など、減税の重点を高額所得層に置いております。この政府案は、すでに、総合累進課税体系が崩壊し、高額所得層ほど税負担が低下している逆累進の傾向をますます助長し、税の不公平を一そう拡大するものであります。
農業予算についても、食糧自給度の向上と農業再建に対する抜本対策を放置し、また、総需要抑制による引き締めと、石油危機を口実とした大企業の横暴のもとで、中小零細企業の経営の困難が一そう深まり、倒産がふえているにもかかわらず、中小企業予算は、相変わらず予算の〇・六%にすぎないという事実を指摘しなければなりません。
第四の理由は、この予算は地方財政を圧迫し、地方自治を侵害するものであるという点にあります。
国の予算規模縮小のための操作として、四十九年度地方交付税のうち千六百八十億円の削減を強制したことは、物価高の中で超過負担と福祉財源に苦しむ地方財政を一そう圧迫し、地方自治を明らかに侵害するものであります。さらに、昭和四十四年度予算編成の際に、今後、政府は、地方交付税の借り上げ措置は避けると約束したことをも破る、きわめて不当な措置であるといわねばなりません。
その第五の理由として、四次防推進の予算である点に触れねばなりません。
防衛関係費が前年度に比べて千五百七十六億円もふやされ、ついに一兆円の大台をこえ、引き続き四次防の強行がはかられていることはきわめて重大であります。これは平和を願う国民のとうてい承認できないものであり、インフレ対策にも完全に逆行するものであります。
また、さきの総理が東南アジアを訪問された際の諸国でのわが国の経済侵略反対の反日デモにも見られるように、自民党政府の東南アジア政策に対する批判がますます強くなっているにもかかわらず、政府は、これに根本的な反省を加えないばかりか、資源外交強化に名をかりて、経済協力費を大幅にふやしているのは問題であるといわざるを得ません。
以上のような、明らかに国民生活を軽視し、当面の緊急課題にも対処し得ていない予算を、私たちは容認することはできません。政府予算、財政投融資計画を根本的に再検討し、国民の生活と福祉優先の予算に編成し直し、国民の期待にこたえるべきであります。(拍手)
次に、編成替えに関する要求について、歳入歳出それぞれの立場から、具体的に提案するものであります。
予算は、国の内外政策の全体にかかわる問題であり、その編成については、各党それぞれに見解を持っているところでありますが、国民生活擁護の緊急問題について、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党は、ここに共同して、政府が昭和四十九年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算を撤回し、少なくとも次の点を含めて編成替えをすることを要求するものであります。
まず、歳入の関係については、第一に、大衆減税と税の公平化をはかる点にあります。
その一つは、物価高の中で勤労者の税負担の緊急大幅減税を行ない、また、生活費非課税の原則を貫くため、所得税は、四人家族で年収二百十五万円まで無税とするよう、世帯構成に応じた税額控除を行ない、低所得層中心の減税を行なうこと。住民税についてもこれに準じて大幅に減税を行なうこと。
その二として、中小零細事業者に対しては、法人税率の引き下げなど大幅な税の軽減を行なうこと。
その三は、印紙税の引き上げ、自動車関係諸税の引き上げ、電源開発促進税の創設は取りやめること。
その四は、大企業の法人税率を四二%以上に引き上げ、法人受け取り配当の益金不算入、支払い配当税率軽減措置は廃止すること。
その五は、大企業、資産所得、高額所得者に対する負担を強化し、各種の特権的な減免税措置は廃止すること。また、大企業の交際費課税の強化、広告費課税の新設、さらに有価証券の取引、譲渡所得に対する課税を強化すること。
その六は、土地税制を改革し、法人所有の土地譲渡所得の完全分離、高率課税及び大法人所有の土地の適正な評価等による土地課税の強化をはかること。
その七として、大企業に対し、臨時の法人利得課税を行なうこと。
以上の諸点を取り入れて大衆減税を行ない、税の公平化をはかることを提案するとともに、あわせて、この際、国債発行を大幅に圧縮し、減額することを強く求めるものであります。
次は、歳出に関係する組み替え要求であります。
その第一は、インフレ、物価高を抑制するため、まず、消費者米価、国鉄運賃、家庭用電気料金、小口電力料金など公共料金の値上げをストップし、消費者米価の物統令適用を復活すべきであります。また、大企業の便乗値上げを押え、生活必需物資の優先確保、価格及び需給安定のため、買占め売惜しみ規制法の運用の強化、専任価格調査官の増強をはかり、権限委任に伴う地方自治体への国庫負担を大幅に増額すべきであります。さらには、大企業の管理価格に対する規制と監視機構の強化とともに、公正取引委員会の強化、充実をはかること。生鮮食料品の生産増強、流通対策費を大幅に増額すること。消費者保護行政の強化、生活協同組合への助成などの措置を講ずること。
以上の諸点をあわせて強く要求するものであります。
第二は、社会保障と福祉の拡充に関する要求であります。
現下の緊急課題は、各種社会保障給付の賃金、物価自動スライド制を創設することであります。そのため、各年度の各種社会保障給付額の引き上げは、年間平均賃金の上昇率に見合って引き上げること。また、短期的には緊急物価スライド制を採用し、物価上昇率に見合って給付額を引き上げることであります。あわせて、老齢福祉年金、障害、母子、準母子年金を大幅に増額するとともに、厚生年金、国民年金については、従来の積み立て方式を賦課方式に改め、同時に、支給額の大幅な引き上げを行なうため、制度の抜本的改革を行なう必要があります。
次に、生活保護費、老人福祉費、児童手当、心身障害児者対策、難病対策等の社会福祉関係費については、これを大幅に増額し、公費医療制度を拡大することによって、すべての難病者、六十五歳以上の老齢者、三歳以下の乳幼児の医療費を無料にすべきであります。さらに、健康保険料の引き上げをやめ、医療保険に対する大幅な国庫補助を行なうこと。保育所、老人施設、心身障害児者施設等の社会福祉施設及び医療施設の緊急整備をはかること。福祉施設の措置費を増額し、社会福祉従事者、各福祉施設職員、医療従事者の増員と待遇改善をはかること。加えて、被爆者援護法を制定し、医療の無料化、被爆者年金と遺族年金の新設、介護料等の大幅な引き上げをはかることが緊要であります。
以上の諸点を含む社会保障と福祉の拡充をはかるため、早急に社会保障長期計画を立て、財政対策を確立するよう重ねて要求するものであります。
第三は、土地と住宅並びに環境保全対策についてであります。
従来の産業基盤整備を重点とした投資のあり方を全面的に転換し、公共投資、財政投融資とも、住宅、環境衛生、社会福祉施設、病院、学校などの整備を優先して集中投資を行なうことが最も肝要であります。同時に、公共賃貸住宅を大幅にふやし、民間自力建設依存の住宅政策を転換するとともに、地価を抑制し、生活関連、公共用地を確保するため、大企業、大地主の買い占め土地の放出、地価の凍結、土地税制の改革等土地緊急対策を強力に実施すべきであり、あわせて、公害防止、環境保全の対策の強化を求めるものであります。
第四は、労働者、農業、中小企業対策に関する要求であります。
労働者の実質賃金の引き上げ、週休二日、週四十時間労働制などの労働条件の改善、雇用の安定、失業対策の充実をはかり、失業保険の改悪は行なわないことを強く求めるものであります。
農業に関しては、特に、おもな農畜産物の自給率の向上と備蓄制度の確立、価格補償制度の改善充実をはかること。農地三十万ヘクタールの転用をやめて、休耕地の復元、主要農畜産物の生産奨励対策の拡充等を強化することを求めるものであります。
また、中小零細企業の資材と資金の確保をはかり、経営の安定のための予算を増額するとともに、金融面では、政府関係金融機関の貸し出しワクの増大、融資方法の改善をはかることを強く求めます。
第五は、資源、エネルギー政策を確立することにあります。
資源、エネルギーの安定的供給を確保するため、石油のメジャー依存の供給体制を改め、自主的エネルギー政策を確立し、炭鉱の一方的閉山を中止して、石炭対策と新エネルギー源の開発政策の強化及び資源浪費型産業構造の転換を求めるものであります。
第六は、教育予算の充実についてであります。
義務教育の完全無償化を進め、教職員の定数改善、小中高校等の学校教育施設の国庫負担の増額と超過負担の解消をはかり、幼稚園、保育所の大幅増設と施設費公費負担の増額、高校入学希望者全員入学の保障、私学への財政補助の拡充をはかるよう要求いたします。
第七は、地方財政の拡充を求めるものであります。
地方財政充実のため、シビルミニマムを保障するに足る自主財源を付与し、超過負担の完全解消をはかるべきであり、地方交付税千六百八十億円の削減は取りやめること。地方債の起債ワクを拡大し、財政資金の割合を高めるべきであります。
次に、列島改造計画の撤回を求めます。
日本列島改造計画、新全総、経済社会基本計画を中止し、大企業中心の産業基盤整備のための公共投資を縮減すること。これに伴い、新幹線、高速道路などの大型プロジェクトを凍結または大幅縮小し、新たな大規模工業開発を再検討すること。国総法はこれを直ちに撤回することを要求いたします。(拍手)
いま一つは、防衛費の削減であります。
四次防をとりやめ、兵器装備などの防衛費を削減して、これを生活福祉関係費に回すことを要求します。
最後に、財政投融資計画が国民本位に運用されることを求めます。
財政投融資計画は、資金配分のあり方を根本的に改め、大企業への低利融資や産業基盤投資を削減し、大蔵省資金運用部資金をはじめ、開銀、輸銀等の資金運用の詳細を国会に報告させ、審議することとし、もって国民生活の向上に役立つよう、抜本的に再検討することを要求いたします。
以上、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党が共同して提案いたしました昭和四十九年度政府予算につき撤回のうえ、編成替えを求めるの動議の理由及びその概要を申し上げました。
これらは、野党四党が一致して提案する要求であり、同時に、国民の期待する、国民の立場に立った要求であります。政府は、いさぎよく今回の予算を撤回し、すみやかに組み替えを行ない、再提出されるよう強く要求いたしまして、趣旨弁明を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/9
-
010・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) これより、予算三件に対する討論と、動議に対する討論とを一括して行ないます。順次、これを許します。澁谷直藏君。
〔澁谷直藏君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/10
-
011・澁谷直藏
○澁谷直藏君 私は、自由民主党を代表して、昭和四十九年度予算三案に関し、政府原案に賛成し、四党共同提案の組み替え動議に反対の討論を行なうものであります。(拍手)
一九七四年は、日本にとってきわめてきびしい試練の年であります。異常な物価の上昇は、世界的規模で荒れ狂い、中東戦争に端を発した石油の問題は、世界の経済秩序を大きな混乱におとしいれました。また、ローマクラブの警告にも明らかなように、人口の爆発的増加と世界的な食糧需給の逼迫は、穀物相場の暴騰という新しい脅威をもって人類を襲いつつあります。
これらの徴候は、いずれも深刻な要素をはらんだ世界史的な変化を示すものであり、まさに世界はいまや激動と混乱のときを迎えたといわなければなりません。
われわれは、このような世界的な展望の中で、冷静にみずからの進路を探究し開拓しなければならない重大な選択のときに立っているということであります。
政治の任務は、言うまでもなく、与えられた条件の中で一定の方向づけを行なうことにあります。激動と混乱の時代にとって最も重要なことは、この政治による正しい方向づけが行なわれるということであり、この正しい方向づけという政治の本来の機能が正しく適切に行なわれるかいなかによって、一国の運命は大きく左右されるのであります。この意味において、今日、政治に課された責任はまさに重大であります。
言うまでもなく、一国の予算は、当該年度における一切の諸問題に対する政府の総括的、集中的解答であります。政府が、いかなる問題意識を持ち、いかなる政治姿勢でこの問題と取り組んだかが問われなければなりません。
しからば、一九七〇年代を通じて日本が直面している最も重要な問題は何でありましょうか。
私は、第一に物価、第二に石油を中心とするエネルギー資源問題、第三に食糧、第四に公害問題であると考えます。これらの諸問題は、いまや世界的規模で人類の前に立ちふさがり、その解決を迫っているのであり、この解決なしに人類の安定と平和を確保することは不可能であります。
特に、わが国は重要な資源の大部分を外国に依存しており、また、高度に発達した工業国家として、以上申し上げた諸問題の解決は一そう緊要なものがあることは言うをまちません。いまこそわれわれは、われわれの前進をはばむこれらの諸問題に挑戦し、これを解決することによって、確固たる基盤の上に立つ新しい日本をつくり上げなければならないのであります。(拍手)
昭和四十九年は、その意味において、安定した基盤の上に立つ高度福祉国家の建設を目ざす新しい出発の年としなければならないというのが、われわれの認識と決意であります。(拍手)
以下、私は、予算を通じ、政府がこれらの重要課題を解決するためにどのような対策を用意したかを明らかにしながら、私の見解を表明したいと存じます。
まず第一は、物価の問題であります。
引き続く異常な物価高に加えて、石油問題はさらに火の手を注ぎ、わが国の物価上昇はまことに憂慮すべき状態にあることは言うまでもありません。物価の安定こそは、わが国が当面する緊急最大の課題であります。この緊急課題に対し、政府は総需要の抑制を基本として予算を編成し、財政、金融施策の運営にあたっても、その眼目をこの一点にしぼる態度を明確にしておりますことは、適切な対策として心から賛意を表するものであります。(拍手)
すなわち、一般会計の規模は、前年度に比べて一九・七%の増加に押えております。これは前年度の二四・六%、前々年度の二一・八%に比べ、その増加率は非常に低いのであります。
また、財政投融資計画の伸びは一四・四%でありまして、前年度の二八・三%、前々年度の三一・六%に比べ、その半分または半分以下の数字であります。
次に、国債の発行額も前年度より減らし、これにより公債依存度を前年度当初の一四・四%から一二・六%に低下させております。また、物価対策上の配慮から、すでにきまっていた消費者米価と国鉄運賃の引き上げを半年間延期することにいたしたことも、政治的大英断として高く評価するものであります。(拍手)
さらに、これらの施策と並行して、いわゆる売惜しみ防止法、国民生活緊急措置法、石油需給適正化法等の適切果敢な運用が進められております。これらの施策の総合により、私は物価騰貴は漸次鎮静するものと期待しており、現に、最近物価頭打ちの芽が見え出してきていることも事実であります。
物価問題は、世界各国共通の難問題であり、特に、資源のないわが国は、石油をはじめ、食糧、繊維、木材等の重要物資を大量に外国に依存しており、しかも、これらの物資の輸入価格が、わずか一、二年の間に二倍あるいは二倍以上に暴騰しておるのでありまして、いわゆる輸入インフレは日本列島を直撃しておるわけであります。これがわが国の異常な物価騰貴の最大の元凶となっていることも明らかな事実であります。さらにまた、近く行なわれる石油製品の大幅引き上げ等を考えるとき、物価問題解決の道は依然としてきびしいものがあることを自覚しないわけにはまいりません。
このようなきびしい環境の中で、物価対策のためにあらゆる施策を総合的に推し進めている政府に、さらに一そうの御努力を願うと同時に、これら政府施策の根幹となっている総需要抑制という予算の考え方に全面的に賛意を表するものであります。
以上が、私の政府原案に賛成する第一の理由であります。
第二は、石油を中心とするエネルギーの問題であります。
産業及び国民生活にとって決定的重要性を持つ石油の九七%を外国に依存しなければならないところに、わが国の運命的ともいうべき弱点があるわけであります。しかも、外国の石油の産出量も有限であることを考えるとき、われわれは、在来資源の活用に加えて、いまこそ石油にかわる新しいエネルギーの開発に全力を傾けなければなりません。その対策としては、一、石炭の見直し、二、水力電気の開発、三、原子力発電の開発、四、地熱発電、五、太陽熱を利用するサンシャイン計画、最後に、人類永遠のエネルギーといわれる核融合の開発がこれであります。これらの研究開発が今後成功するかいなかにわが国の命運がかかっているといっても過言ではありません。私は、政府がこのような認識に立って、日本の卓越した頭脳を動員し、必要な研究費を惜しみなく投入することによって、この問題の解決をはかられることを強く要望するものでありますが、幸いに、政府はいち早く本問題の重要性を認識され、四十九年度予算において、新規を含む約七百億円の予算を計上して、この問題解決への確固たる方針を明示しておるわけであります。(拍手)
以上が、私の政府予算に賛成する第二の理由であります。
第三に、食糧問題であります。
世界の人口はいまや三十八億人に達し、これに対応する食糧の供給力から見ると、すでに地球の定員はオーバーしているとすらいわれております。人口と食糧の問題は、今後人類の生否にかかわる最重要な問題であります。
このような世界的環境の中にあって日本の食糧体制を考えるとき、われわれはいまさらのごとく事の重要性にりつ然とする思いを禁じ得ません。主食である米だけは自給できますが、小麦、大豆、飼料等については、その大半を外国に依存しているのが現状であります。このような不安定の体制から脱却して、国民の生存をささえる最低の食糧を自給する体制を整備することは、まさに緊急焦眉の課題であるといわなければなりません。政府はこの点に着目され、昭和四十九年度予算において、小麦、大豆、飼料作物に対する新しい補助金を含む約四千二十億円の予算を計上して、新しい食糧自給体制の確立を目ざして出発することにいたしております。
以上が、私の政府予算に賛成する第三の理由であります。
第四に、公害についても、政府は総額三千四百二十億円の予算を計上して、国民生存の脅威である公害の防止、絶滅に懸命の努力を傾けております。
これが、私の政府予算に賛成する第四の理由であります。
さらに、初年度一兆四千五百億円に及ぶ画期的な所得税の減税の断行、緊縮予算の限られたワク内で、恵まれない人々に対する社会保障関係費の大幅な増額は、いずれも時宜に適した施策として賛意を表するものであります。(拍手)
これが、私が政府原案に賛成する第五の理由であります。
以上、私は、予算を通じ、政府が一九七〇年代の最大の課題である物価、資源、食糧、公害問題の解決のため、断固たる決意をもって取り組んでおられることを確認いたしました。私は、この政府の決意と施策を高く評価し、さらに一そうの努力を傾注されることを要望して、政府予算案に全面的に賛意を表するものであります。
次に、私は、野党四党提案の編成替え要求の動議について申し上げます。
提案の内容を見ますると、世間受けをねらった安易な人気取りに終始し、政策的な深い省察を欠いているのみならず、第一、肝心の金額の明示がありません。予算は、言うまでもなく金額の積み上げであります。これでは、まじめな予算論議の対象とはなり得ないのであります。この種の重大な提案に際しては、従来からの野党各党の伝統的なずさんな態度を脱却して、いま少しく実現可能性のある具体的なものに改められることが望ましいと考えるのであります。(拍手)この点、野党四党の真剣な反省を切に要望します。
右の理由により、野党四党の提案については賛同することができません。
以上をもって、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/11
-
012・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 安宅常彦君。
〔安宅常彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/12
-
013・安宅常彦
○安宅常彦君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました昭和四十九年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算案に反対し、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の四党が共同提出いたしております昭和四十九年度予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に賛成の討論を行ないます。(拍手)
昭和四十九年度予算編成にあたっての最大の課題は、インフレの抑制、終息にあることは言うまでもありません。今日の物価の暴騰は、福田蔵相みずから狂乱物価といわざるを得ないほどのすさまじさであり、国民生活はかつてない破局的な危機にさらされているのであります。
とりわけ生活必需品の値上がりは、五〇、六〇%はざらであり、入学期を前にした学用品までを含め、物によっては二倍ないし三倍に上がったものもあるなど、政府統計のごまかしをからだで知った国民は、消費者物価平均二三%値上がりなどとうそを言うな、田中内閣はやめてもらいたいという怨嗟の声が、全国津々浦々に満ち満ちているのであります。(拍手)
言うまでもなく、今日の重大な事態を招いたのは、何よりも、政府が、計画的なインフレ政策による大企業中心の高度成長政策をとり続け、独占資本の利潤の増大をはかり、日本列島改造計画を背景として、みずからインフレと投機をあおってきたからであります。つまり、今日の悪性インフレは、政治インフレであり、角榮インフレであります。(拍手)
これに対し、田中内閣は、周章ろうばいし、動揺しながらも、異常な物価の暴騰を招いたみずからの失政を何ら反省することなく、安易な総需要抑制策を通じて、勤労国民の消費を抑圧し、官僚統制と結びついた所得政策の導入すら進めようとしており、断じて許すことができません。
しかも、政府は、物価上昇の原因を、海外物資の高騰や、みずからあおったはずの国内需要の増加、さらには労働者の賃上げにあるとして、その責任をこれらになすりつけ、さらに加えて、独占価格の形成、混乱した流通機構を極度に悪用した商品の買い占め、売り惜しみ、いわゆる石油危機を口実とした、独占みずから広言をしている千載一遇の好機とばかりの便乗値上げを放置するどころか、マッチポンプばりの高値安定政策でこれを支持し、彼らの膨大な政治献金を背景とする癒着関係からとしか考えられないようなやり方、すなわち、わが党をはじめとする野党各党の憲法、国会法等に基づいた、道理にかなった大企業代表の国会証人喚問すら拒否して、その利潤拡大に奉仕しているのであります。
わが党の楢崎議員によって追及された石油連盟密田会長らの国会内外の言動、あわてふためいた通産省の態度、先ほども話がありましたが、適用しているなどと言っていましたが、いわゆる物価安定法等の適用の意思などさらさらないという政府の態度は、これらのことを余すところなく暴露しているではありませんか。公共料金の値上げストップも、消費者米価の値上げ延期も、参議院選挙をおもんばかったゼスチュアだけの、わずか半年間にすぎません。(拍手)
つまり、もともと四十九年度予算案は、経済見通しも立たないままでっち上げた砂上の楼閣、単なる腰だめによる計算数字の羅列にすぎない、古今未曽有の、合理性も権威もないごまかし予算といっても過言ではありません。(拍手)
まず第一に、日本列島改造計画を下敷きにした昭和四十八年度超大型インフレ予算が、とどまるところを知らないインフレの急進展と、土地問題や資材不足がからんで完全に消化不良におちいっているということであります。しかも、二けたに及ぶ卸売り物価の暴騰によって暗礁に乗り上げ、末期的症状の中で、田中総理は、沈没しかけた日本列島改造計画と、それを裏づけるための国総法にいまなお固執し、何らの反省もないということであります。福田大蔵大臣も酷評し、明らかに閣内不一致の列島改造計画の撤回を明確にし、真に経済財政政策の根本転換をはかることなしには、引き続きインフレ路線を進むことは明らかであります。(拍手)
予算規模を一九・七%増に押えたといっても、内容は、地方交付税交付金を一千六百八十億円削減し、地方財政の圧迫と地方自治侵害によって、かろうじて二〇%ラインを割ったにすぎず、一九・七%という予算規模増は、高度成長過程における予算の伸びと比較しても、最高の水準を示すものであります。
第二に、国債発行は、四十八年度補正後発行予定額一兆八千百億円を上回る、二兆一千六百億円もの巨額の発行を予定し、国債依存率も、前年補正後予算の国債依存率一一・八%を上回る、一二・六%となっているのであります。まさにインフレ刺激的な措置といわなければなりません。(拍手)
第三に、税制面については、インフレによって生活の危機に直面している勤労国民のための大衆減税を行なわなければならないのでありますが、他方で、インフレ抑制策として、大資本に対する積極的な増税政策を組み合わせる必要があります。このたび、法人税率は若干の引き上げを予定はいたしておりますが、悪名高い租税特別措置をはじめ、法人税の仕組みそのものが大法人に有利になっており、大法人の実際の税率は、表面税率の半分以下にしかなっておりません。わが党が主張する法人税付加税や広告費の課税、交際費の課税強化など、とるべきものは幾らでもあるのであります。
第四に、一般公共事業費も、昨年に比べ削減されたわけではありません。災害復旧事業費が昨年の災害額の減少によって減ったものであり、緊縮予算というならば、まっ先に削減されるべき防衛費がついに一兆円の大台をこえ、聖域扱いとなっていることは、国民の世論を無視した暴挙であるだけでなく、まさにインフレ対策に逆行するものといわなければなりません。しかも、膨大な財政投融資計画の弾力条項によって、さらに五〇%までの規模拡大がはかられるのであり、この財投の内容を明らかにすることにより、この予算こそ、実質的にはインフレ予算であることが暴露されるしかけになっているのであります。
昭和四十九年度予算のもう一つの大きな課題は、インフレの進行に伴う社会的不公正の拡大を是正し、今日、命と暮らしが危険にさらされている弱い立場の人々を救済することであります。
異常な物価の高騰の害悪は、勤労大衆の実質賃金と実質消費を切り下げ、零細な預貯金を減価させ、生活を圧迫し、とりわけお年寄り、いたいけな子供を含む心身障害者、難病を持っている人々、生活保護者、母子世常など、弱い立場の人たちの生活を決定的に破壊していることであります。このことは重大なことであります。
しかし、一方では、インフレによって笑いのとまらぬ者がいるのであります。大企業の借り入れ金は、物価の上昇によってなしくずしに減らされ、五十兆円の借り入れ金ならば、二〇%の物価上昇で十兆円の借金棒引きとなり、返済負担が大きく軽減されることになります。それだけでなく、勤労大衆は物価値上げで苦しんでいるというのに、大企業は物価値上げを製品価格の値上げに便乗転嫁し、ますます太っておるのであります。
今日の政治の急務は、この格差と社会的不公正を排除し、不当な利得を得た者の負担でインフレの被害者を救うことでなければならないのであります。しかるに、昭和四十九年度政府予算の基本的性格は、明らかに弱者の犠牲によって政治、経済の危機を切り抜けようとする弱者切り捨て、不公正拡大予算であるということであります。(拍手)
第一に、福祉充実のごまかしであります。
政府は、立ちおくれた社会保障費を増額したと言っていますが、その中身は、年金予算で老齢福祉年金が月額七千五百円に引き上げられたのでありますが、これは物価値上がりを四%台と見込み、五十年には一万円年金にするということが昨年の二月から約束されており、新たな施策ではありません。しかも、十月実施で、支給も三カ月後一括あと払いという、よくもまあ福祉年金などとよく言えたものだというしろもので、国のために働き抜いたお年寄りをなめ切った、世界に恥をさらす涙年金とでもいうべきものでありましょう。(拍手)
生活保護費なども二〇%アップとなりましたが、今日の異常な物価高騰のもとで、実質減額となることは必至であり、厚生年金、国民年金の緊急スライドはついに見送られてしまっております。
予算増額の大部分が福祉予算総額の六割以上を占める社会保険費の当然増であり、つまり、昨年の医療費一九%引き上げを含む医療費の上昇をカバーすることに使われているのが、偽らざる中身であります。
昨年、わが党の要求にこたえて約束した一人暮らし老人の電話設置費用は、わずか四千二百万円つけられたにすぎず、何が福祉かという怒りが全国民の間にほうはいとしてわき上がるのも当然のことであります。
第二に、いわゆる二兆円減税のごまかしであります。
初年度一兆四千五百億円に削られたなどとけちなことは申しませんが、その実態は、インフレ、物価高に苦しむ勤労大衆の救済を内容とするものではなく、給与所得控除の最高制限の撤廃、高額所得層の税率軽減など、明らかにインフレ便乗の重役減税であり、金持ち減税だということであります。
第三に、住宅予算についても、公営、公団住宅の建設予定戸数は四万五千戸減少し、これも土地をはじめ諸物価高騰で計画達成の保証もないわけでありますが、しかも相変わらず公共事業費の三八・六%は道路整備費が占めているのであります。
農業予算についても、食糧の自給度の向上と農業再建に対する対策を欠き、逆に世界の食糧事情から見て、かえって高くつき、しかも、できもしない海外食糧依存の体制を強め、依然として減反政策を継続し、農業予算の伸びが予算全体の伸びを下回っていることでもわかりますように、国家百年の大計を誤る農業荒廃促進予算であり、特に農用地確保の名目で農用地開発公団を設置することとしてみたり、他方で三十万ヘクタールの農地の転用を強行しようとしたり、ネコの目農政どころか、盲のネコの顔に紙袋をかぶせたような、見通しのつかない、民族の将来にとってゆゆしい事態を招く亡国農業予算といわなければなりません。(拍手)
また、引き締めと金融難、雇用問題の深刻化の中で、中小零細企業は重大な危機に直面しております。しかも、いわゆる石油不足や原材料の暴騰に見舞われ、二重、三重の打撃を受け、昨年の暮れからは倒産も激増して、自殺者も多く出ている状態であります。
これに対する中小企業予算は、きわめて貧弱であり、全予算の〇・六%以下の、スズメの涙、二階から目薬のたとえそのままであり、大資本の要請にこたえた中小企業切り捨て政策が進められていることを如実に物語っております。(拍手)
これに対し、防衛費は一兆円の大台をこえ、緊縮予算だなどといいながら、軍事予算の伸び率は世界でもトップクラスであり、四次防は、さらに物価暴騰と相まって、その総額が膨張しつつあります。これらは、四次防の修正を許さないとする制服組やいわゆるタカ派の暴走を、軍事産業と結びついた政府が押え切れない状態を見るとき、日本軍国主義の完成、ファシズムへの道をたどるきわめて危険な側面を浮き彫りにしているといわなければなりません。(拍手)
しかも、この問題とからんで、資源問題の深刻化に対応して、資源外交を強化するという名目で海外経済協力費も大幅に増額し、インドシナ復興計画援助や石油資源確保などを中心に、従来からの、なりふりかまわぬ対韓援助等の強化を含め、日本独占資本の多国籍企業化、帝国主義的経済侵略の水先案内の役割りを果たそうとしていることは、きわめて危険なことであります。資源小国としての日本帝国主義が、その膨張のために石油や原材料の安定供給を確保するためには、開発途上国を中心とする海外に依存するしかないという発想に立って、日本独占資本と国家のジョイントベンチャーがより組織的につくられつつあることは、まさに重大な問題であり、紙、パルプ、化学、鉄鋼、繊維など、広範な分野で資源略奪のための動きが見られるのであります。
しかし、田中総理の東南アジア訪問の先々で日本の経済侵略反対のデモや暴動に直面したことでもわかるように、新植民地主義的進出に対する各国人民の反感は根強いものがあり、日米安保条約体制のワク組みの中で、アメリカ帝国主義からあれこれの指図を受けながら、その肩がわりとしてのわが国のいわゆる援助に警戒の念をさらに深くするであろうことは明らかであります。根本的な改革を強く要求いたします。
最後に、地方交付税の国への借り上げ強制措置をとったことであります。
福田蔵相は、四十四年当時、今後は政府の借り上げ措置は避けると、自治省と覚え書きをかわした張本人であります。またしてもこれが破られたことは、福田財政の常套手段とはいえ、物価の暴騰で苦しむ地方財政を一そう圧迫し、地方自治を侵害するものであり、断じて容認できません。
以上、私は、政府案反対の理由を述べてまいりました。
先ほど、わが党の堀議員から詳しく説明されました日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党、民社党の共同提案になる昭和四十九年度予算の編成替えを求めるの動議の具体的施策の内容こそが、今日の悪性インフレから国民生活を守り、真の社会福祉を実現し、日本の政治、経済を正しく発展させるための緊急、最低必須のものでありますことは、すでに賢明な皆さんの御理解を得たと存ずるのであります。(拍手) 全議員の賛成を要請しながら、これに述べ、政府案が予算の名に値しないほどの矛盾をはらんでいることはいまや明らかでありますので、私は、政治不信と生活の困窮にいらいらしながら政治の革新を求める広範な国民とともに、この国民不在の政府予算三案に断固として反対し、政府が昭和四十九年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算を撤回し、直ちに編成替えをすることを要求して、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/13
-
014・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 諫山博君。
〔諫山博君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/14
-
015・諫山博
○諫山博君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の昭和四十九年度予算三案に反対し、日本社会党、日本共産党、公明党及び民社党共同提案にかかる、政府原案を撤回し編成替えを求める動議に賛成の討論を行ないます。(拍手)
現在、異常なインフレと物価高の中で、国民は言い知れぬ不安のうちに毎日を送っています。このような時期の予算は、何よりもまずインフレ抑制、国民生活防衛を最優先させ、大企業の利益をきびしく抑制するものでなければなりません。
ところが、政府の予算は、このような事態を招いた政府・自民党の責任をいささかも反省せず、幾らかの手直しはしたものの、依然として対米従属、大企業優先の路線を取り続けています。しかも、危機打開の名のもとに、国民にいまより以上の犠牲をさえしいようとしているのであります。
第一に、この予算では、物価定安、インフレ抑制を期待することは全くできません。
ことし二月の卸売り物価は、東京で前年同月比三七%の上昇、消費者物価は二四%の上昇を示しました。中小企業は、原燃料、資材不足と金融引き締めのダブルパンチで、倒産が急増しています。電力削減、公共事業削減を口実とした大企業の合理化攻撃で、失業、半失業の脅威が広がっています。しかも、間もなく石油の再値上げが行われるというので、国民生活は一そう深刻な打撃にさらされています。
一方、アメリカ石油十社の昨年の利益は、前年を五一%上回って、七十八億ドルに達しています。日本の大企業も、石油危機を誇大に宣伝して、反国民的な荒かせぎをしました。石油精製、元売り企業が便乗値上げによって手にした超過利潤は、一日十億円にも達しています。
政府は、総需要抑制などといって、いかにも大企業本位の高度成長政策の手直しをするかのように宣伝しています。しかし、実際は、総需要抑制の名のもとに、国民に総がまんを押しつけています。国民生活に一そうの犠牲を強要することによって、大企業への犠牲をいかにして少なくするかに、なみなみならぬ苦心を払っているのであります。
現に総理は、日本列島改造計画を放棄するとは言いませんでした。そのための国総法の成立をいまなおあきらめておりません。高速自動車道路には五千億円という前年並みの資金を、国鉄投資額の半ばを占める新幹線建設には三千六百億円もの巨費をつぎ込もうとしています。防衛関係費を一六・八%も伸ばし、産業基盤中心の公共事業費は、四十八年度の繰り延べ分を合わせると、三兆円に近い巨額になっています。そしてさらに、二兆一千六百億円もの赤字公債を発行するのであります。こうしたことは、大企業の買い占め、売り惜しみ、物価つり上げの野放しと相まって、このたびの予算が、物価安定とはほど遠いものであることを示しているのであります。
第二に、この予算は、福祉重点を唱えながら、実際には、国民生活向上どころか、逆に国民の負担を強め、生活破壊を促進するものになっています。政府は、社会保障関係費三六・七%増を盛んに宣伝しています。しかし、これではわが国の社会保障の劣悪な内容は依然として改善されません。生活に困る人々や老人、子供、障害者など、社会保障の充実を切実に求める人たちの要求にこたえる内容とはほど遠いのであります。老齢福祉年金は、引き上げられたとはいえ、月額わずかに七千五百円です。しかもその実施は十月以降に引き延ばされています。国民年金の受けられない七十歳前の、いわゆる谷間の老人に対する老齢特別給付金は、月額四千円から五千円に引き上げられるにすぎません。これでは、どうひいき目に見ても、お年寄りを大事にする予算とはいえないのであります。(拍手)
日本共産党・革新共同は、老齢福祉年金をさしあたり月額一万五千円に引き上げ、厚生年金は月額最低四万円、夫婦で六万円、国民年金は三万円に引き上げることを主張します。生活保護基準も、昨年十月の五%アップを含めて、わずかに二〇%の引き上げにすぎません。インスタントラーメンさえ一袋四十円から六十円に値上がりしたという現在、一食百円にも満たない食費で、一体どうして生活していけというのでしょうか。これでは、文字どおり焼け石に水というほかはないのであります。生活保護基準は直ちに五割引き上げるべきであります。
鳴りもの入りで宣伝された二兆円減税も、実際には初年度で一兆四千五百億円にすぎません。しかもその内容たるや、高額所得者への税率の緩和、給与所得控除の上限の撤廃など、高額所得者優遇の、いわゆる重役減税となっているのであります。このような上厚下薄でなく、勤労者には大幅減税、大企業、大資本には厳正な課税をしなければなりません。四人家族の所得税課税最低限は二百万円に引き上げるべきであります。法人税率を累進制にし、十億円以上の所得については、税率を四三%まで引き上げるべきであります。中小零細法人の税率は五%引き下げることを主張します。
住宅、下水道、環境衛生、公園など、生活関連施設の整備費は二一%ふやされています。しかし、資材費が高騰していますから、工事量の大幅ダウンとなることは避けられないのであります。公共住宅の建設戸数は、前年度より四万五千戸削減されました。しかも、家賃と分譲価格の大幅引き上げさえやられようとしています。住宅難は、解決するどころか、ますます激しくならざるを得ないのであります。
地方財政の危機を打開し、住民の暮らしを守ることも、緊急な課題になっています。
政府は、超過負担解消に特段の努力を払ったなどといっています。しかし、地方自治体の実態はなまやさしいものではありません。政府の補助単価をはるかに上回る自治体の設計単価によってさえ容易に落札しないという深刻な事態が各地で生まれています。われわれは、超過負担を解消するため、社会福祉施設、学校、住宅、下水道など、生活基盤整備については、直ちに補助単価を実勢単価に見合ったものに引き上げることを主張します。地方交付税交付金の削減をやめ、地方交付税率を現行の三二%から四〇%に引き上げるべきであります。
第三に、政府が日米軍事同盟を堅持し、軍国主義の復活、強化をはかっているという問題であります。
横須賀は、空母ミッドウエーの母港となり、第七艦隊の重要な根拠地とされました。ミッドウエーのトンキン湾への出動や、中東戦争に際しての在日米軍のアラブ諸国への露骨な軍事脅迫は、日米安保条約がアメリカの全世界における侵略と軍事挑発に奉仕するものであることを白日のもとにさらしました。
総理の東南アジア訪問のとき、インドネシアなどの諸国で総理に対する爆発的な抗議が起こったことは、アメリカと一体となった新植民地主義的経済進出に対するきびしい批判であります。
政府がこれらについて何の反省も示さず、国民生活がこれほど深刻な破綻に追い込まれているというのに、対米従属、憲法違反の自衛隊の侵略的強化を目ざす経費や、独占資本の新植民地主義的海外進出をはかる経費を大幅にふやしているのは、きわめて重大であります。
防衛関係予算は、 ついに一兆円を突破しました。前年度に比べても、実に千五百七十六億円もの増加であります。これこそが不急不要予算の最たるものといわなければなりません。(拍手)
これがいかにとほうもないものであるかを示す一例をあげましょう。
三菱重工など軍需独占資本につぎ込まれる軍事研究開発費が、百二十二億円も計上されています。これは、何と、日本の基礎科学の研究をささえている文部省の科学研究補助金百四十億円とほぼ匹敵する金額であります。軍事研究費が単独で基礎科学の研究費と同額に迫るということは、この予算の侵略的、反動的性格を最も端的に証明するものであります。(拍手)
対外進出費は、一般会計の経済協力費六百五十九億円と、財政投融資、特別会計などを含めると、まさに総額一兆円規模のものであります。この膨大な予算を使って、東南アジアなどで、政府と独占資本が、現地の支配層や政府との癒着を強め、アメリカ帝国主義とも新しい形で結合していくなら、抑圧されている現地国民との対立を一そう深める結果になっていくことは当然であります。
昭和四十九年度の予算審議にあたって、日本共産党・革新共同は、何よりも国民の利益を守る立場から、事実に基づき問題点を積極的に解明して、建設的な方向を打ち出してきました。予算審議を通じて、この激しいインフレ、高物価の原因が、政府・自民党の大企業本位の政治にあることがいよいよ明白になってきました。大企業が、国民の苦しみをよそに、石油危機を千載一遇のチャンスとして、とほうもない荒かせぎをしていることも裏づけられました。そして、今日の異常な物価高騰の最大の元凶が、これら大企業と、これと癒着した政府・自民党であったということが、動かすことのできない事実として明らかになったのであります。(拍手)
しかし、わが党をはじめとする国民多数の声を無視し、徹頭徹尾証人喚問に反対した自民党のために、大企業の常軌を逸した不当行為をこれ以上追及することが大きくはばまれました。これは自民党と大企業の癒着がいかに根深いものであるかを、あらためて国民の前に暴露したものであります。(拍手)
また、予算審議において、国民福祉、社会保障、教育施設の拡充強化、地方財政の逼迫など、国民生活の全般にわたって積極的な提案と要求が出されたにもかかわらず、政府・自民党はこれに耳をかそうとせず、あくまでも国民に冷酷きわまる予算をそのまま押し通そうとしています。これこそまさに反国民的な立場以外の何ものでもないのであります。
さらに、審議の過程でもう一つ明らかになったのは、分析化学研究所の問題であります。国民の命と健康に重大な影響を及ぼす問題でのでたらめな報告が、長期にわたって放置されてきました。このことは、自民党政府が、アメリカの侵略的軍事政策に協力するためには、国民の命や健康を全く軽視していることをまのあたりに示したものであります。(拍手)
これら一連の事実は、田中内閣にはもはや適正な予算の策定も執行も期待できないということをあらためて証明したものであります。
以上のように、本予算は、その内容においても、審議過程にあらわれた政治姿勢から見ても、とうてい賛成することのできないものであることはきわめて明らかであります。
日本共産党・革新共同は、以上のような国民生活破壊の予算を、文字どおり物価の安定と異常なインフレからの国民生活防衛を最大の柱にし、四次防の中止、軍事費の大幅削減、列島改造計画の中止、公共投資の産業基盤中心から生活基盤中心への転換、福祉の向上、農漁業、中小企業への積極的な援助、自主的エネルギー政策の確立、対米追随と新植民地主義的外交政策の転換など、経済、外交政策の根本的転換への第一歩を踏み出す予算とするよう、強く要求するものであります。(拍手)
以上の立場から、日本共産党・革新共同は、四党共同提案の四十九年度政府予算の撤回、編成替えを求める動議に賛成するとともに、政府提出の四十九年度予算に断固として反対することを明らかにして、私の討論を終わります。(拍手)
なお、最初に日本共産党と発言したのは、日本共産党・革新共同の誤りでありますから、訂正いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/15
-
016・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 山田太郎君。
〔山田太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/16
-
017・山田太郎
○山田太郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十九年度予算政府三案に反対し、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党が共同提出した予算組み替え動議に賛成の討論を行ないます。(拍手)
最初に、私は、予算案を編成する政府の基本的な姿勢について申し上げたいのであります。
狂乱ともいうべき物価の上昇は、すべての国民の生活に重圧を加え、庶民の苦悩と怨嗟の声はちまたに満ちあふれております。この物価狂乱の真の原因は、自民党長期政権の政策の誤りや失敗によるものであり、高度経済成長路線によって恒常化されたインフレ政策にさらに輪をかけたのが田中内閣の経済政策の失敗であるといえます。
すなわち、田中内閣は、発足以来、物価の抑制と福祉の充実をこいねがう国民の声を無視し、その中核的政策としている日本列島改造計画に固執して、四十七年度には公共投資の追加を軸とした大型補正予算を組み、四十八年度には、さらに前年度比二四・六%という記録破りの大型積極予算を組んだ財政政策の失敗は、いまやだれの目にも明らかであります。
さらに、財政政策の失敗と並んで、為替政策の失敗と、それに伴う金融緩和政策は、大企業の手元流動性を高め、土地、株式及び木材その他生活必需物資への投機を激発させたのであります。
このような一昨年来の政策の失敗によって物価の騰勢が加速されていたやさきに、石油危機が追い打ちをかけたのであり、物価狂乱はすでに石油危機以前にその素地を持っていたというべきであります。
しかもこの石油危機なるものの実態が、昨年十二月末における輸入量から見ても、政府や業界が宣伝したようなものではなく、つくられた石油危機であったということであります。その中で、大企業のほしいままの便乗値上げによって、一般消費者は、物質的にも精神的にも甚大な損失を受けてきたのであります。それらは、予算委員会の審議において、大商社あるいは大企業が、塗炭の苦しみにあえいでいる国民の生活を無視して、悪らつな商法によって巨額の利得を得た上、しかもその利得を隠匿しようとしてきた事実等をもって、国民の前に明らかにされたのであります。
さらに、つけ加えねばならないことは、このような不当利得をほしいままにする業界から、政府・自民党が巨額の政治資金を受け取っているということであります。次々に明らかにされたこれらの実態から、もはや、政府・自民党に物価の安定を求めることは、百年河清を待つにひとしいといわなければなりません。(拍手)
したがって、四十九年度予算編成にあたって、政府は、政府・自民党と業界との癒着を断ち切り、敢然として大企業の横暴を押えることはもちろんのこと、今日までの歴代自民党政権、なかんずく田中内閣は、みずからの政策の誤りをはっきりと認め、その前提に立って予算編成に当たるべきであったのであります。しかし、残念ながら、今日までの予算委員会の審議を通して、その決意と実践を見ることができないのであります。
以下、政府三案に反対するおもな具体的理由を申し述べます。
第一には、政府案は、見せかけだけのインフレ、物価対策しか講じていないことであります。
政府は、物価安定を目ざし、総需要抑制のために予算規模を圧縮したと宣伝しておりますが、それは不当表示以外の何ものでもありません。予算規模の伸び率が前年対比で二〇%を切ったことは地方交付税の操作によるものであり、内容的に見ても、公共事業費の伸び率低下は災害復旧事業費が著しく減少したことなどに負うもので、異常な高い伸び率であった四十七年度、四十八年度と事実上同水準の巨額な額になっていること、公債を二兆一千六百億円も発行していること、さらに、防衛費が一兆円台に乗せたことなどから見て、決して政府のいうような総需要抑制型予算になっていないのであります。
しかも、消費者米価、国鉄運賃などの公共料金の据え置きもわずかに半年間にすぎず、大企業のやみ価格協定や管理価格を排除するために国民が期待している公正取引委員会の予算も、わずか一六・六%の伸びにすぎないのであります。これでは、国民が望む物価安定の実現は期しがたいと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
第二には、当面の事態に対処するために政府に要求されているのは、インフレ、物価高の被害を最も受ける社会的に弱い立場に置かれた人々の生活を守るという至上課題であり、あるいは進んで国民福祉の向上をはかることでありますが、政府案はそれにこたえていないということであります。
年率二〇%をこす消費者物価の上昇のもとで、老齢福祉年金は、十月以降月額これまでの五千円から七千五百円に引き上げられるにすぎません。また、生活扶助基準も、福祉施設入所者の措置費も二〇%どまりという程度であります。しかも健保家族と国保加入者の患者負担がふえ、保険料率の引き上げも予定されるという状況であります。生活保護世帯、老人、身障者等の生活を守るためには、物価高騰を押えることとあわせ、生活権を保障するに足りる社会保障関係費の手当てがなされなければならないことは言うまでもありません。同時に、西欧先進国に比べ著しくおくれているわが国の社会保障を充実するために、早急に社会保障長期計画を立て、これを実施する必要があるのであります。
さらに、政府案は、住宅不足が五百万戸ないし八百万戸といわれているにもかかわらず、公共住宅建設戸数を四万五千戸削減したり、政府の政策の失敗によってとらざるを得なくなった総需要抑制による中小企業の倒産についても、積極的な対策をとっていないのであります。
第三には、政府の税制改正案についてであります。
政府は、四十九年度において、夫婦子二人の標準世帯で、所得税の課税最低限を百五十万円に引き上げようとしていますが、この程度の減税では、物価高騰にきびしい生活を余儀なくされている国民生活を安定させることはできません。また、今回の所得減税は、給与所得控除の上限をなくしたり、高額所得者の累進税率を緩和するなど、上厚下薄の減税となっており、国民の要請とは反するものであるといわざるを得ないのであります。(拍手)
さらに、大法人の税率はようやく四〇%に引き上げたにすぎず、その他、利子、配当所得に対する優遇措置、法人の受け取り配当に対する減免措置を温存してしまっているのであります。私は、このような不公平を拡大する税制改正に反対するものであります。
第四には、政府案は、地方財政の困窮に何ら配慮をしないどころか、地方交付税のうち、一千六百八十億円の削減をしていることであります。
地方財政の超過負担は、年を追うごとに深刻な問題になっており、国民生活と関連した社会福祉施設及び文教関係施設までも、実質的に不備、不足を増大する状態になってきております。国に交付税を貸し付けした措置については、四十四年の約束を破るものであると同時に、余裕のない地方財政を圧迫するものであり、断じて認めることはできないのであります。(拍手)
第五には、政府の軍事増強政策に反対する国民の意向を無視し、しかも、一方では総需要の抑制を強調しながら、防衛関係予算を一兆円台に乗せ、四次防を優先強行しようとしていることであります。現在、国民が強く要求していることは、政府が国民生活防衛を最優先しなければならないことであります。したがって、私は、政府に対し、防衛関係予算を大幅に削減し、国民生活を防衛するために財源を振り向けることを強く主張するものであります。(拍手)
以上、四十九年度予算政府三案に反対するおもな理由を申し上げましたが、政府・自民党は、国民経済の非常事態と国民生活の危機を逆用した大企業の反社会的な、利潤追求の悪どい企業活動と狂乱物価が、みずから過信した経済成長至上主義によるものであるとともに、大企業優先の高度経済成長の中で形成された日本経済の体質であるということをみずから認め、いまこそ国民生活の防衛を主軸とした経済政策へ転換することが緊要であることを認識すべきであり、四野党の共同組み替え動議にこたえ、みずから政府案を修正すべきであることを要求いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/17
-
018・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 折小野良一君。
〔折小野良一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/18
-
019・折小野良一
○折小野良一君 私は、民社党を代表し、ただいま議題となっております内閣提出の三予算案に対して反対するとともに、野党共同提出にかかる四十九年度予算案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議に賛成する立場において討論をいたします。(拍手)
田中内閣は、組閣以来、いわゆる日本列島改造構想を最大の目玉として国政を推進してまいりました。その構想が大企業優先、生産第一主義の高度成長を目ざすものである限り、地価の暴騰、諸物価の高騰は避けることができないのであります。
加えて、昨年末の石油危機を口実にした大企業の買い占め、売り惜しみ、ひいては悪徳便乗値上げの結果、国民生活は極度の混乱と不安におちいったのであります。このような大企業の反社会的な無責任な経営態度は断じて許しがたく、また、このような大企業の横暴を放任してきた政府の政治責任はきわめて重大であります。
野党各党が、それぞれ基本的な立場に違いがあるにかかわらず、共同して政府予算案の組み替え要求動議を提出した最大の理由は、インフレを追放し、国民生活の安定をはかるとともに、国民の福祉を向上させることこそが、今日、国民の最大の要求であると考えるからであります。(拍手)
以下、わが党の政府予算案に対する反対の理由を申し述べます。
反対の第一は、政府予算案は、なおインフレ促進の予算であるということであります。
インフレ対策といたしまして、総需要の抑制がはかられなければならないことは当然であります。政府もまたその立場から公共事業費の抑制につとめたと、このように申しております。しかしながら、実際は、四十八年度からの繰り延べ分が、一般会計において約一千五百億円、財政投融資で約八千五百億円、合計で約一兆円が四十九年度予算に上のせされるのであります。このことは、四十九年度の公共事業費は依然として抑制されておらず、政府予算案はなおきわめてインフレ促進的であるといわなければなりません。
また、政府はインフレ抑制の短期の決着を表明いたしておりますが、さらに、近く政府みずから、行政指導と称して、石油価格の再値上げを実施しようといたしております。石油価格の引き上げが直ちに諸物価に波及するであろうことは、火を見るよりも明らかであります。
今日、諸悪の根源はまさにインフレであります。より一そうの総需要の抑制、公共料金の三カ年据え置き、地価の凍結等思い切った諸施策を講じ、腰を据えてインフレ対策に取り組むべきであります。
第二の反対理由は、政府予算案が、福祉重点といいながら、その内容まことに貧困だということであります。ことに、最近の消費者物価の急騰や、建設諸資材の不足や暴騰による工事の施行難等を考えますと、四十八年度における福祉元年が一片の幻想にすぎなかったのと同様に、国民の期待を大きく裏切るものであることは明らかであります。
たとえば住宅政策一つをとってみましても、土地対策のまずさも手伝って、現に三百万世帯もの人々が住宅難に苦しんでいるといわれております。これらの世帯の大半は劣悪、狭小な木賃アパートの生活を余儀なくされているのであります。その願いは、せめて公営住宅にでも入居できたらと、こういうことでありますが、その公営住宅や公団等の公的住宅の建設戸数は、四十九年度において四十八年度よりも実に四万五千戸も削減されているのであります。四十八年度の住宅建設の実績は、昨今の用地費や工事費の値上がりによって、おそらくは計画を大幅に下回るでありましょう。四十九年度の見通しはさらに悲観的でございます。国民の期待はここでもまた大きく裏切られようとしております。インフレによって最も大きな痛手を受けている社会的弱者に対してできるだけの施策を講ずる、これは政府の当然の、そして最大の責務でなければなりません。
第三に指摘しなければならないのは、政府予算案は、国民の不公平をさらに拡大するものであるということであります。
いわゆる二兆円減税案は、当初、夫婦子二人の標準世帯について課税最低限を百七十万円に引き上げるということでありました。それが現実には百五十万円にまで後退をしてしまいました。今日のインフレ下におきましては、庶民生活にとって、まさに焼け石に水であります。しかも給与所得控除の上限撤廃や高額所得層の税率軽減など、減税の重点が高額所得者に置かれている等、所得の格差と分配の不公平をさらに拡大するものであります。
また、弱い立場にある農畜水産業の予算も、その近代化と食糧確保の使命にこたえる基本的な施策について、何ら意欲ある対策が見出せないばかりではなく、当面する危機的な状態に対応する姿勢もまたほとんど見られないのであります。
中小零細企業についても同様に、ふえつつある倒産に対して何らの配慮もなされていないのでございます。
第四には、地方財政を圧迫する予算であるということであります。
今日このような情勢のもとにおいて、四十九年度の地方交付税のうち一千六百八十億円の削減は、地方財政をますます窮地におとしいれ、地方自治を抑圧するものであります。諸物価の高騰や地価の暴騰によって、福祉、文教諸施設や生活関連公共事業の整備並びにその運営が大きく行き詰まっている現状において、それはまことにつれない仕打ちだといわなければなりません。今日、大都市とその周辺地域並びに過疎の地域においては、地方行政を通じてなすべき多くの問題が山積し、公営企業は増大する赤字に悩み、財源は超過負担に食われているというのが、地方行財政の実態であります。
このような実態の認識の上に、国の責務として、地方の自主財源の確保をはかり、積極的な協力を求めることこそが、地方自治の本旨に沿った国の施策でなければなりません。(拍手)
さらに、第五の反対理由として、防衛費の増大をあげなければなりません。
四十九年度の防衛費予算は、四次防の三年目を迎え、初めて一兆円をこえるに至りました。国民は、政府のとどまるところのない防衛力増強計画に対して深い危惧の念を抱いております。
わが党は、自主防衛の必要性を認める立場をとりながらも、国民的合意のないまま、防衛力増強計画だけが独走することは断じて許しがたいことと考えているのであります。(拍手)この際、わが国が率先して防衛費の削減をはかることこそが、アジアの緊張緩和を促進し、ひいてはわが国の安全と平和を確立するゆえんであると確信するものであります。
最後に、私は、政府が真にインフレを抑制して国民生活の安定をはかり、国民福祉優先への政治の転換をはかろうとするものであるならば、われわれの組み替えを求める動議の趣旨に沿って、国民的な立場において予算案の編成替えをされんことを切望するものであります。
以上をもって、政府予算案に対して反対、野党の共同組み替え動議に対して賛成の私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/19
-
020・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。
まず、堀昌雄君外二十五名提出、昭和四十九年度一般会計予算外二件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
堀昌雄君外二十五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/20
-
021・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 起立少数。よって、堀昌雄君外二十五名提出の動議は否決されました。
次に、昭和四十九年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。
この採決は記名投票をもって行ないます。三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。
〔議場閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/21
-
022・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 氏名点呼を命じます。
〔参事氏名を点呼〕
〔各員投票〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/22
-
023・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。——開鎖。
〔議場開鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/23
-
024・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 投票を計算いたさせます。
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/24
-
025・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
〔事務総長報告〕
投票総数 四百三十一
可とする者(白票) 二百五十三
〔拍手〕
否とする者(青票) 百七十八
〔拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/25
-
026・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 右の結果、昭和四十九年度一般会計予算外二件は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
—————————————
昭和四十九年度一般会計予算外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
安倍晋太郎君 足立 篤郎君
阿部 喜元君 愛野興一郎君
赤城 宗徳君 秋田 大助君
天野 公義君 天野 光晴君
荒舩清十郎君 有田 喜一君
井出一太郎君 井原 岸高君
伊東 正義君 伊藤宗一郎君
伊能繁次郎君 石井 一君
石田 博英君 石原慎太郎君
稻葉 修君 稻村佐近四郎君
稲村 利幸君 今井 勇君
宇都宮徳馬君 宇野 宗佑君
上田 茂行君 上村千一郎君
植木庚子郎君 臼井 莊一君
内田 常雄君 内海 英男君
浦野 幸男君 江崎 真澄君
江藤 隆美君 小川 平二君
小此木彦三郎君 小沢 一郎君
小澤 太郎君 小沢 辰男君
小渕 恵三君 越智 伊平君
越智 通雄君 大石 千八君
大石 武一君 大久保武雄君
大竹 太郎君 大西 正男君
大野 明君 大橋 武夫君
大平 正芳君 大村 襄治君
奥田 敬和君 奥野 誠亮君
加藤 紘一君 加藤常太郎君
加藤 六月君 加藤 陽三君
海部 俊樹君 笠岡 喬君
梶山 静六君 粕谷 茂君
片岡 清一君 金子 一平君
金子 岩三君 亀岡 高夫君
亀山 孝一君 鴨田 宗一君
唐沢俊二郎君 仮谷 忠男君
瓦 力君 菅野和太郎君
木野 晴夫君 木部 佳昭君
木村 武雄君 木村武千代君
木村 俊夫君 岸 信介君
北澤 直吉君 吉川 久衛君
久野 忠治君 久保田円次君
鯨岡 兵輔君 熊谷 義雄君
倉石 忠雄君 倉成 正君
栗原 祐幸君 黒金 泰美君
小泉純一郎君 小坂徳三郎君
小島 徹三君 小平 久雄君
小林 正巳君 小山 長規君
小山 省二君 河野 洋平君
河本 敏夫君 國場 幸昌君
近藤 鉄雄君 左藤 恵君
佐々木秀世君 佐々木義武君
佐藤 榮作君 佐藤 孝行君
佐藤 守良君 斉藤滋与史君
齋藤 邦吉君 三枝 三郎君
坂田 道太君 坂本三十次君
櫻内 義雄君 笹山茂太郎君
塩川正十郎君 塩崎 潤君
塩谷 一夫君 篠田 弘作君
澁谷 直藏君 島田 安夫君
島村 一郎君 正示啓次郎君
菅波 茂君 鈴木 善幸君
住 栄作君 瀬戸山三男君
關谷 勝利君 染谷 誠君
田川 誠一君 田澤 吉郎君
田中 榮一君 田中 角榮君
田中 覚君 田中 龍夫君
田中 正巳君 田中 六助君
田村 元君 高鳥 修君
竹内 黎一君 竹下 登君
竹中 修一君 谷川 和穗君
千葉 三郎君 地崎宇三郎君
塚原 俊郎君 坪川 信三君
戸井田三郎君 渡海元三郎君
登坂重次郎君 徳安 實藏君
床次 徳二君 中尾 栄一君
中尾 宏君 中垣 國男君
中川 一郎君 中曽根康弘君
中村 梅吉君 中村 弘海君
中村 拓道君 中村 寅太君
中山 利生君 中山 正暉君
灘尾 弘吉君 楢橋 進君
二階堂 進君 丹羽喬四郎君
丹羽 兵助君 西岡 武夫君
西村 英一君 西銘 順治君
根本龍太郎君 野田 卯一君
野田 毅君 野中 英二君
野原 正勝君 野呂 恭一君
羽田 孜君 羽田野忠文君
羽生 田進君 葉梨 信行君
萩原 幸雄君 橋口 隆君
橋本登美三郎君 橋本龍太郎君
長谷川四郎君 長谷川 峻君
旗野 進一君 八田 貞義君
服部 安司君 浜田 幸一君
濱野 清吾君 早川 崇君
林 大幹君 林 義郎君
原 健三郎君 原田 憲君
廣瀬 正雄君 深谷 隆司君
福田 赳夫君 福田 篤泰君
福田 一君 福永 健司君
藤井 勝志君 藤尾 正行君
藤波 孝生君 藤本 孝雄君
藤山愛一郎君 船田 中君
古屋 亨君 保利 茂君
坊 秀男君 細田 吉藏君
本名 武君 松岡 松平君
松永 光君 松野 幸泰君
松野 頼三君 松本 十郎君
三池 信君 三木 武夫君
三ツ林弥太郎君 三原 朝雄君
三塚 博君 箕輪 登君
水田三喜男君 水野 清君
湊 徹郎君 宮崎 茂一君
武藤 嘉文君 村岡 兼造君
村上 勇君 村田敬次郎君
村山 達雄君 毛利 松平君
粟山 ひで君 森 美秀君
森 喜朗君 森下 元晴君
森山 欽司君 安田 貴六君
保岡 興治君 山口 敏夫君
山崎 拓君 山崎平八郎君
山下 元利君 山下 徳夫君
山田 久就君 山中 貞則君
山村新治郎君 山本 幸雄君
吉永 治市君 早稻田柳右エ門君
綿貫 民輔君 渡部 恒三君
渡辺 栄一君 渡辺 紘三君
渡辺美智雄君
否とする議員の氏名
安宅 常彦君 阿部 昭吾君
阿部 助哉君 阿部未喜男君
赤松 勇君 井岡 大治君
井上 泉君 井上 普方君
石野 久男君 石橋 政嗣君
板川 正吾君 稲葉 誠一君
岩垂寿喜男君 上原 康助君
江田 三郎君 枝村 要作君
小川 省吾君 大出 俊君
大柴 滋夫君 大原 亨君
太田 一夫君 岡田 哲児君
岡田 春夫君 加藤 清政君
加藤 清二君 勝澤 芳雄君
勝間田清一君 角屋堅次郎君
金瀬 俊雄君 金丸 徳重君
金子 みつ君 川崎 寛治君
川俣健二郎君 河上 民雄君
木島喜兵衞君 北山 愛郎君
久保 等君 久保田鶴松君
小林 信一君 小林 進君
兒玉 末男君 上坂 昇君
神門至馬夫君 佐々木更三君
佐藤 敬治君 佐野 憲治君
佐野 進君 斉藤 正男君
坂本 恭一君 柴田 健治君
島田 琢郎君 島本 虎三君
嶋崎 譲君 清水 徳松君
下平 正一君 田口 一男君
田中 武夫君 田邊 誠君
多賀谷真稔君 高沢 寅男君
高田 富之君 竹内 猛君
楯 兼次郎君 塚田 庄平君
辻原 弘市君 土井たか子君
堂森 芳夫君 中澤 茂一君
中村 茂君 中村 重光君
楢崎弥之助君 成田 知巳君
芳賀 貢君 馬場 昇君
長谷川正三君 原 茂君
日野 吉夫君 平林 剛君
広瀬 秀吉君 藤田 高敏君
細谷 治嘉君 堀 昌雄君
松浦 利尚君 三宅 正一君
美濃 政市君 武藤 山治君
村山 喜一君 村山 富市君
森井 忠良君 八木 一男君
八木 昇君 安井 吉典君
山口 鶴男君 山崎 始男君
山田 耻目君 山中 吾郎君
山本 幸一君 山本 政弘君
山本弥之助君 湯山 勇君
横路 孝弘君 吉田 法晴君
和田 貞夫君 渡辺 三郎君
渡辺 惣蔵君 青柳 盛雄君
荒木 宏君 諫山 博君
梅田 勝君 浦井 洋君
金子 満広君 神崎 敏雄君
木下 元二君 栗田 翠君
小林 政子君 紺野与次郎君
柴田 睦夫君 庄司 幸助君
瀬長亀次郎君 田代 文久君
田中美智子君 多田 光雄君
津金 佑近君 津川 武一君
寺前 巖君 土橋 一吉君
中川利三郎君 中島 武敏君
野間 友一君 林 百郎君
東中 光雄君 平田 藤吉君
正森 成二君 増本 一彦君
松本 善明君 三谷 秀治君
山原健二郎君 米原 昶君
浅井 美幸君 新井 彬之君
有島 重武君 石田幸四郎君
小川新一郎君 大久保直彦君
大野 潔君 大橋 敏雄君
近江巳記夫君 岡本 富夫君
沖本 泰幸君 鬼木 勝利君
北側 義一君 小濱 新次君
坂井 弘一君 坂口 力君
鈴切 康雄君 瀬野栄次郎君
田中 昭二君 林 孝矩君
広沢 直樹君 松尾 信人君
松本 忠助君 矢野 絢也君
山田 太郎君 安里積千代君
池田 禎治君 稲富 稜人君
受田 新吉君 内海 清君
小沢 貞孝君 折小野良一君
春日 一幸君 小平 忠君
小宮 武喜君 竹本 孫一君
塚本 三郎君 宮田 早苗君
和田耕作君 渡辺 武三君
————◇—————
発電用施設周辺地域整備法案(第七十一回国会、内閣提出)中修正の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/26
-
027・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) おはかりいたします。
内閣から、発電用施設周辺地域整備法案中修正したいので、国会法第五十九条によって承諾を得たいとの申し出があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/27
-
028・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 本件を承諾するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/28
-
029・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、承諾するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/29
-
030・森喜朗
○森喜朗君 議事日程は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/30
-
031・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/31
-
032・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
本日は、これにて散会いたします。
午後八時五十三分散会
————◇—————
出席国務大臣
内閣総理大臣 田中 角榮君
法 務 大 臣 中村 梅吉君
外 務 大 臣 大平 正芳君
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
文 部 大 臣 奧野 誠亮君
厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
通商産業大臣 中曽根康弘君
郵 政 大 臣 原田 憲君
労 働 大 臣 長谷川 峻君
建 設 大 臣 亀岡 高夫君
自 治 大 臣 町村 金五君
国 務 大 臣 内田 常雄君
国 務 大 臣 小坂徳三郎君
国 務 大 臣 二階堂 進君
国 務 大 臣 保利 茂君
国 務 大 臣 三木 武夫君
国 務 大 臣 森山 欽司君
国 務 大 臣 山中 貞則君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107205254X01619740312/32
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。