1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年二月七日(木曜日)
午後零時十三分開会
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委員の異動
二月七日
辞任 補欠選任
岩本 政一君 棚辺 四郎君
三木 忠雄君 矢追 秀彦君
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出席者は左のとおり。
委員長 宮崎 正雄君
理 事
黒住 忠行君
杉山善太郎君
委 員
木村 睦男君
橘 直治君
棚辺 四郎君
松平 勇雄君
渡辺一太郎君
森中 守義君
矢追 秀彦君
国務大臣
運 輸 大 臣 徳永 正利君
政府委員
運輸政務次官 増岡 博之君
運輸大臣官房長 内村 信行君
運輸大臣官房会
計課長 杉浦 喬也君
運輸省鉄道監督
局長 秋富 公正君
事務局側
常任委員会専門
員 池部 幸雄君
説明員
日本国有鉄道総
裁 藤井松太郎君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○運輸事情等に関する調査
(運輸行政の基本方針に関する件)
(昭和四十九年度運輸省及び日本国有鉄道関係
予算に関する件)
(シンガポール石油基地襲撃犯に対する日航機
の手配に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/0
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001・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、岩本政一君及び三木忠雄君が委員を辞任され、その補欠として棚辺四郎君及び矢追秀彦君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/1
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002・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) まず、理事の辞任許可に関する件についておはかりいたします。
小柳勇君から、文書をもって、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/2
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003・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/3
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004・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に杉山善太郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/4
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005・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
まず、運輸行政の基本方針に関し、運輸大臣から所信を聴取いたします。徳永運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/5
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006・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) お許しを得まして、第七十二回国会にあたり、当面の運輸行政の諸問題に関し所信の一端を申し述べ各位の御理解と御支援をお願い申し上げます。
わが国経済は、戦後大きな成長発展を見ましたが、この偉大な経済発展とうらはらをなすように、異常な物価上昇、公害、過密過疎、社会資本の立ちおくれ、エネルギーの供給不足などの諸問題が発生し、一刻も早く解決をはかる必要に迫られております。
私は、これらの課題に対処し、運輸行政の面におきましても、まず第一に国民生活の安定をはかり健全な生活環境をつくり上げるための対策に取り組んでまいる決意であります。
このため、私は、国民の足を確保し生活必需物資の円滑な輸送をはかるべく特段の努力を払う所存であります。
すなわち、国鉄在来線の整備増強を進めるほか、都市高速鉄道の整備、大規模な宅地開発と一体となった鉄道建設、新住宅地関連バスの補助強化を行ない、大都市における交通体系の整備をはかるとともに、中小私鉄、地方バス路線の維持改善、離島航路、離島空港への助成強化を推進し、過疎地域における日常生活に必要な交通サービスの確保につとめてまいる所存であります。
同時に物的流通の効率化をはかるためフレートライナー、物流ターミナル施設を充実させるとともに、原油をはじめとする輸入物資の安定輸送を維持するため、タンカーなど外航船舶の建造を引き続き推進してまいりたいと考えております。また、新幹線網の形成、空港、港湾の整備については、総需要の抑制の見地から現下の経済情勢に対応するよう配慮しつつ進めてまいる所存であります。
以上の施策に加えて、私は、国民の社会経済活動が円滑に行なわれるよう公共輸送機関などの使用する石油、電力について、その優先的な確保をはかるとともに、特定の地域において生活関連物資等の供給が不足することのないよう輸送の面からも特段の配慮をしてまいりたいと思います。
また、物価抑制の緊急対策の一環として、さきの国会で御審議いただきました国鉄運賃の改定につきましては、予定されていた時期よりさらに六カ月間延期するよう今国会において御審議をお願いするとともに、その他の公共交通機関の運賃料金の改定につきましても、国民生活への影響及び各事業の実体を十分勘案の上、極力抑制する方針で対処する決意であります。
第二に取り組むべき問題は、交通の安全確保であります。
私は、交通の安全確保のため陸海空すべての分野において人命尊重の基本理念に立脚し、事故の絶滅を期してまいる所存であります。いかに機械が進歩しようとも交通機関を動かすものは最終的には人間であります。このため、交通機関従事者にその使命の重大性を認識させるとともに、教育訓練の徹底、資格制度の拡充には特に意を用い、また、交通関係事業者を指導して安全管理の徹底をはかってまいりたいと思います。さらに輸送機器などの検査体制の強化、保安施設の整備を引き続き推進するほか、交通管制システムの拡充、航空機運航方法に関する法規制の強化、ハイジャック防止体制の整備、小型船舶に関する保険制度の拡充などの具体的施策を強力に推進してまいる所存であります。
第三は、交通公害の防止であります。
私は、健全な生活環境と美しい自然環境の維持をはかるため、公害の防止につきましても全力をあげてまいる決意であります。
このため、まず、騒音対策としましては、航空機騒音については、空港周辺地域の総合的な土地利用計画を策定し、関係地方公共団体とも協力して、騒音の影響を受けない倉庫、緑地などを整備する一方、民家の移転促進、防音工事の助成などの措置を講ずるとともに、昨年末決定された環境基準を達成するため特段の努力をする所存であります。新幹線騒音については、防音壁の設置、鉄けたの改良などの防音対策を促進すると同時に、より効果的な騒音防止技術の開発につとめることといたします。
次に、海洋を汚染から守るため、国際的な連携をはかりながら一そうの規制の強化、監視取り締まり体制の充実をはかるとともに、汚染海域の清掃、港湾における汚泥のしゅんせつ、廃棄物の処理などの環境保全対策を積極的に推進する所存であります。
さらに、自動車排出ガスについては、先般、昭和五十年から各国に先がけ抜本的に規制強化を実施することを決定し、関係法令を整備いたしました。
また、将来の低公害交通機関の開発にも力を入れたいと考えており、浮上方式による鉄道、低公害ミニバスなどの研究を進めることといたしております。
最後に、今回のエネルギー危機は、わが国が国際社会において、世界各国と緊密なる協力体制を常に維持していくことがいかに重要であるかをあらためて明らかにいたしました。
私は、かねてから開発途上国に対して、港湾、鉄道など社会基盤施設の整備を通じてそれぞれの国づくりに協力することの重要性を痛感していたところでありますが、今後とも運輸部門における技術及び資金協力を積極的に推進してまいる所存であります。また、海運、造船、航空、気象、海洋開発などあらゆる分野において、各国との協調を進めてまいりたいと考えております。
以上、運輸行政の当面の施策の概略を述べましたが、これらは言うまでもなく委員各位の御理解と絶大なる御支援を必要とする問題ばかりであります。この機会に一そうの御指導と御鞭撻を心からお願い申し上げる次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/6
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007・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 次に、昭和四十九年度運輸省及び日本国有鉄道関係予算について、運輸政務次官から説明を聴取いたします。増岡運輸政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/7
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008・増岡博之
○政府委員(増岡博之君) 昭和四十九年度の運輸省関係の予算の大綱につきまして御説明申し上げます。
初めに予算の規模について申し上げます。
まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は八億九千九百五十五万円、歳出予算総額は、他省所管計上分四百三十二億四千百十五万円を含み六千三百五十七億二千四百五十六万三千円でありまして、この歳出予算総額を前年度予算額と比較いたしますと七百十二億四百九十一万四千円の増加となっており、一二・六%の増加率を示しております。
この内訳を見ますと、行政費では七百四十二億三千百九十七万八千円の増加、公共事業費では三十億二千七百六万四千円の減少となっております。
次に、特別会計について申し上げます。
まず、木船再保険特別会計の歳入歳出予算額は三億四千四百六十六万三千円であり、前年度に比較して九千四百五十八万五千円の減少となっております。
自動車損害賠償責任再保険特別会計の歳入歳出予算額は七千百四十三億九千百六十八万六千円であり、前年度に比較して一千三百五十八億四千九百七十七万六千円の増加となっております。
港湾整備特別会計の歳入歳出予算額は一千八百六十三億五千二百六十五万七千円であり、前年度に比較して十一億六千三百四十三万三千円の増加となっております。
自動車検査登録特別会計の歳入歳出予算額は百十四億八千九百二十九万八千円であり、前年度に比較して二十五億四千四十三万四千円の増加となっております。
空港整備特別会計の歳入歳出予算額は六百九十九億三千四百五十万円であり、前年度に比較して二十三億一千五百四万九千円の増加となっております。
また、昭和四十九年度財政投融資計画中には、当省関係分として一兆六千四百九十八億円が予定されております。
昭和四十九年度予算におきましては、当省は、総需要抑制の方針にのっとり、鉄道、港湾、空港整備等の長期計画の進度の調整をはかるとともに、公共輸送力確保対策、物流対策、安全公害対策等の諸施策に重点を置いて運輸行政を推進いたしたいと考えております。
第一に、全国新幹線鉄道等の幹線鉄道網の整備、港湾整備五カ年計画及び空港整備五カ年計画は、進度を調整し、事業の重点的な推進をはかることとしております。
第二に、国民の日常生活の足である公共輸送機関の輸送力を確保するため、地下鉄の整備、ニュータウン鉄道の建設等、大都市交通対策を強力に推進するとともに、地方バス路線、中小私鉄の維持確保等、地方交通対策を格段に強化するほか、主要交通拠点における物流施設の整備等、物流対策の推進につとめることといたしております。
第三に、交通機関の最も重要な使命である安全の確保をはかるために、自動車事故対策センターの助成、旅客船安全対策の強化、海上保安業務の充実強化、航空保安施設の整備等、陸海空各般にわたり、交通安全対策を強力に推進することといたしております。
第四に、公害の防止と環境の保全をはかるとともに、台風、地震等の自然災害による被害を最小限にとどめるため、航空機騒音対策、自動車、鉄道公害対策、港湾環境改善対策、海上公害対策等について強力に推進するとともに、海岸事業五カ年計画の推進、静止気象衛星業務の整備、地震、火山対策の強化等をはかることといたしております。
以上のほか、海運、船員、造船対策、観光レクリエーション対策等の推進をはかる所存であります。
次に、日本国有鉄道について申し上げます。新財政再建計画の第二年度目である昭和四十九年度は、再建計画に従って工事費補助金等の財政措置を予定どおり行なうとともに、物価安定のための緊急対策の一環として運賃改定の実施を六カ月延期することとし、これに対しましては、国の財政措置を強化し、もって、財政再建計画の円滑な遂行に支障のないよう予算を編成しております。
まず、損益勘定におきましては、日本国有鉄道工事費補助金九百五億円、財政再建債利子補給金三百六億円、特別利子補給金二百四十億円を含め、収入支出予算一兆八千五百七十六億円を計上しております。資本勘定におきましては、一般会計からの出資六百五十億円、財政投融資八千四百九十五億円を含め、収入支出予算一兆三千七十七億円を計上しております。工事勘定におきましては、収入支出予算七千三百四十八億円を計上いたしまして、山陽新幹線及び東北新幹線等の建設、大都市通勤輸送の改善、主要幹線の輸送力増強、保安及び公害対策の強化、諸設備の合理化、近代化等を推進してまいりたいと考えております。
また、一般会計に日本国有鉄道合理化促進特別交付金五億円を計上いたしまして、日本国有鉄道の合理化施策の促進をはかることといたしております。
なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十九年度運輸省予算の説明及び昭和四十九年度日本国有鉄道予算の説明によりまして御承知願いたいと存じます。
以上をもちまして、昭和四十九年度の運輸省関係の予算についての御説明を終わります。
なおこの際、過日シンガポールにおきましてのゲリラ、また昨日からクウェートにおきまして日本大使館が占拠されたことにつきまして、運輸省がとりました措置について御報告を申し上げたいと思います。
シンガポールのことは先刻御承知のとおりでございます。昨日クウェートの日本大使館が占拠せられまして、シンガポールのゲリラを日本の飛行機でクウェートまで運んでこいという要求があったわけでございます。その連絡が外務省から公式にございましたのが昨日の午後七時半ごろでございます。直ちに運輸省といたしましては日航に飛行機の派遣方を要請いたしました。八時ごろにはその承諾をいただいたわけでございます。
その間、外務省におかれましても日航機だけ、乗務員だけ行かせるわけにいかないということで、中近東アフリカ局長、参事官、通訳としての事務官、三人を同乗させようということでございました。また運輸省といたしましても、このような事柄でございますので、ただ単に日航に行ってもらうということだけでは責任も果たせませんので、航空局の次長の後藤茂也君を同乗させることといたしました。
準備がだんだん整いまして、夜十時ごろになりますと、五時間後には飛行機が飛べるということの連絡がございました。その予定どおり進みまして、今朝夫明三時五分ごろに羽田空港を出発いたしまして、日本時間のけさの九時五十八分にシンガポール空港に到着いたしたわけでございまして、予定どおりのコースを飛んでおるわけでございますけれども、伝えるところによりますと、シンガポール政府は、シンガポールのゲリラはまだ北鮮に亡命をしたがっておるので、北鮮側の返答待ちだというようなことを言っておられるそうでございます。
また、クウェートの政府は日航機が着陸することを拒否をしておられるようでございます。ゲリラは依然として、できるだけ早い時間にシンガポールにおけるゲリラを積んでクウェートに着陸をしろという要求を続けております。現地におきましてそういういろんな情勢を判断をして、臨機応変に処置を行なうということでございますけれども、この主体はやはり外務省の判断に基づいて、私どもは航空機の運航その他の措置をやってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/8
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009・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 以上で説明の聴取は終りました。森中君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/9
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010・森中守義
○森中守義君 いまの日本航空の問題ね、政務次官。こういう緊急の場合ですから特段な意見ということもどうかと思いますが、出したあとでどういう事態が予測されるのか、非常にむずかしい。もともと理屈からいうならば、航空法とかそういうものにはこういうのがないんですよ。全くこれは一つの判断にすぎないんですね。それで、いまのお話だと、七時半に外務省から出してくれって話があった、直ちに日本航空に要請をして、八時には返事があったと、こういうきわめて短時間に事を運んだようですが、出したあと一体どういうことになるのか、また日本航空とは何なのかという、そういうことは運輸省では考えていないんですか。そういう議論の経過とかですね。言われたからやったという、それだけのことにしか聞こえないんですが、もう少し背景的なものをちょっと言われないと、問題がどういうように発展するのかわかりませんしね、非常に重大な問題ですよ。
民間航空事業を、こういう場合に軽々に国がその意思として政治的な判断に基づいて手を打っていいのかどうなのか、かなり問題がありますね。ですから、これを要請を受けて出すに至った経緯あるいはこれからの判断、そういうものが当然運輸当局にあってしかるべきだと私は思う。そういう背景は全然説明がございませんけれど、重ねてちょっと聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/10
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011・増岡博之
○政府委員(増岡博之君) もちろん、こういうことをいたしましたにつきましては、人命尊重が第一であるということでございまして、外務省におかれましても、私どもにおきましても、そういう立場から、きのうの時点では航空機を出すことによるしか方法がないであろうと、また航空機並びに航空機の乗員の安全確保、人命尊重という立場も十分考えていかなくてはならないということはもちろんでございます。それにつきまして、現地シンガポールにおきましてどのような措置がなされるか。もちろん私どもは武装を解除された姿で乗っていただくということが望ましいわけでございますが、それが円滑にといいますか、人命の損害あるいは負傷というようなことがなくして行ない得るかどうか、いろいろ相談もいたしておったわけでございますけれども、結論といたしましては、ゲリラの要求する事態を、航空機を飛ばさないことには、まず大使館における人命が守られないであろうというような判断から今回のことを指示いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/11
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012・森中守義
○森中守義君 まあこの件は、いずれもう少し深く掘り下げた議論をしませんと、どうしても航空関係を見るべき運輸関係者としては承服できない。むしろ感じからしますと、外交官だから、大使だから特別の措置がとられたという、そういう感じが非常に濃厚なんです。そうでなくて、それじゃ一般の民間人でも、こういうような場合、やはり政府はこういう手を打つのかどうなのか。むろん外交特権を持った人たちですから、ある意味では国家権力を行使する立場なので、ことさらに重視されたという意味合いはわかるけれども、しかし時間的にもう全然こういう議論の余地も何にもしなくて、事態が事態だからさあ出てくれ、出しましょうというわけで飛び出したという感じしかないんですね。これはやっぱり民間航空というものは一体何なのか、日本航空法に定められている日本航空とは一体何なのかという、まあこういうことなどももう少し考えてみませんとまずいんじゃないですか。どういうように局面が開けていくのかわからぬけれども、おそらく非常にまずいような局面が出てきますと、ある意味ではこれは重大な責任問題というものが発生するんじゃないですか。
もちろん、いま法的根拠は何かと聞いても、法的根拠はないんですよ、これは。だいぶ詳しく見てみましたがね。こういう緊急な場合に日本航空は出さねばならぬという論拠はどこにもない。まあそうなると、単にこれは政府の責任においてやったということ以外にない。結果どういうことになるのか、まあこれからちょっと見てみなければわかりませんがね。これは、いま言われる程度のことはきわめて常識的な話で、ちっとも答弁にも何にもなりませんね。官房長、何かあったらおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/12
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013・内村信行
○政府委員(内村信行君) ただいまの政務次官の御説明に若干補足して申し上げます。
確かに法律的に考えますと、先生御指摘のように命令権というものはございません。したがいまして、私どもは外務省から依頼を受けました際、これは非常に緊急を要すると、いま外務省とそれから現地のクウェートの大使館の間に電話がついてて、そこでもういますぐ出さなきゃ、即刻、二十分以内に回答しなければ殺すぞと言っておると、こういう緊急状態であるということを聞いたわけでございます。そこで、私どもといたしましては、人命は何よりも大事である。これは何も海外公館につとめる人だからではございません。あらゆる人命については、これが外交官であろうとなかろうと同じウエートを持っております。したがいまして、その意味では大使館員であるから出するという意味ではございません。
そこで、私どもは命令権がございませんので、外務省には、日航の社長に対して至急要請をいたしますという返事をいたし、直ちに日航の社長に対して要請をしたわけでございます。日航の社長といたしましても、これは全体をあずかる社長でございますし、それから万が一のことも、乗員のクルーの問題も考えなければならぬということで、これは相当慎重に苦慮しながら考えたことと思います。しかし結論といたしまして、これは人命は何よりも大事であるということで、承諾いたしましょうというふうな回答を得たわけでございます。そこで社長といたしましても、そのときはまた別に、一体どこの飛行機をよこすのかというふうなことを早く知らせたいと、それを早く知らせないとまた殺すぞというふうな脅迫がひんぴんとして入ってまいりました。しかし、それに対しまして、私どもも慎重に考えませんと、当時、途中バンコク経由シンガポール便というふうな便もございましたので、これを直ちにつけよというふうなことも言ってまいりました。しかし、これはよく飛行機の技術なり性能なりパイロットの問題なり、慎重に検討いたしませんと、かえって逆に危険を生ずるということもございますので、これはもう少し検討さしてくれということで、日航に検討させました結果、その当時飛んでおります飛行機につきましては、DCの61か62か、どちらか忘れましたが、足が短いほう。したがってシンガポールから場合によればクウェートへ飛び、あるいはまたさらにほかへ飛ばなきゃいかぬというふうな事態も予想される。そういった場合に、そういう機は不適当であるということと、それから乗員から見ても、そういった路線を飛んだことがない人である。またそういうふうな長期の飛行というものを考えますと、当然これに交代の要員なり、あるいはディスパッチャーなり、そういったようなものも入れなければいけない。したがいまして、日航におきましては、そういうような点をすみやかにではございますが、慎重に検討いたしました。
その結果、パイロットも交代要員も含めまして、それからディスパッチャーも含め、それから客室乗員も含め、さらに役員もたしか二人乗せまして、そういうふうなメンバーで編成いたしまして、それに対して外務省から三人、先ほど御説明のとおり、当方からも一人、当方からの一人というのは、やはりあくまでこれは人質になった方々の救助も大事でございますが、あくまで航空局といたしましては、そのクルーに万一のことがあってはいけないということから、クルーの安全性というものを何とかして最大に確保しなければならない、そういうことも含めまして、私のほうからも一名を乗せまして、そこで、あとはこういう問題でございますから、現地でそれぞれ機動的な解決をはからなければいかぬと思いますけれども、そういった場合にも、特にクルーの安全については万全を期してほしいということは、これは特に社長からも言われておりまして、私どもも全く同感でございまして、これを外務省のほうにも、大臣から外務大臣にも特に念を入れてお伝えいたしました。それで今回の飛行に相なったということでございます。
そこで、今度の飛行の性格は何であるか、かりに事故があった場合の賠償はどうするかというような問題は確かにございます。しかし、その問題については、日航当局といたしましては、まず飛ばして人を助けることが第一だと、そういった問題については後刻十分御相談する機会もあります、まず飛ばせますということでまいったと思います。したがって、そういった問題につきましては何もないことを私どもは祈るわけでございます。しかし、また飛ぶというような経費は、飛ぶだけでもかかるわけでございます。そういった点については、やはり政府において、しかるべく処置をいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/13
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014・森中守義
○森中守義君 機材は別としまして、新聞等では、田中とかいうアフリカ局長が乗り込んだとか、いま運輸省では後藤次長が行ったということのようですが、臨機応変の措置をとるということなので、それは外務省、運輸省と現場からの連係がとられているのでしょうが、機に乗り込んだその中の責任者はだれになっているのですか、だれが一切の権限を持って指揮するのですか、臨機応変の措置をとるという判断をする人は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/14
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015・内村信行
○政府委員(内村信行君) 航空の飛行方法その他については、当然会社なりキャプテンの責任でございますけれども、一回着いたあとどういうふうにするかというようなことは、田中中近東アフリカ局長が乗っておりますから、これが一番最高の人でございますから、その人が現地と連絡をするなり、現地の大使との連絡が不十分ならば、本省の外務省と打ち合わせをしてきめるということに相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X00319740207/15
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016・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十四分散会
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