1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月四日(木曜日)
午前十時九分開会
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委員の異動
四月三日
辞任 補欠選任
村尾 重雄君 田渕 哲也君
四月四日
辞任 補欠選任
渡辺一太郎君 稲嶺 一郎君
岩本 政一君 八木 一郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 宮崎 正雄君
理 事
黒住 忠行君
菅野 儀作君
杉山善太郎君
委 員
稲嶺 一郎君
木村 睦男君
橘 直治君
八木 一郎君
小柳 勇君
阿部 憲一君
三木 忠雄君
山田 勇君
国務大臣
運 輸 大 臣 徳永 正利君
政府委員
運輸省大臣官房
審議官 原田昇左右君
運輸省海運局長 薗村 泰彦君
運輸省船舶局長 内田 守君
運輸省船員局長 住田 俊一君
運輸省港湾局長 竹内 良夫君
事務局側
常任委員会専門
員 池部 幸雄君
説明員
労働省労働基準
局監督課長 岸 良明君
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本日の会議に付した案件
○臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/0
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001・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
村尾重雄君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/1
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002・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/2
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003・杉山善太郎
○杉山善太郎君 まず最初に、運輸大臣のほうからひとつお尋ねいたしますから、こっちを向いてひとつ姿勢を正していただきたいと思います。実は、御承知だと思いますけれども、去る四月の一日に田中首相が、まあその内容の評価はどうあろうとも、アメリカの有名雑誌ブリタニカのイヤーブックというのがあるわけですが、それへ「日本の進むべき道」という論文を出しておられるわけです。言うならばこれは「日本列島改造論」の姉妹版だと思う。田中総理が新潟県出身の立場か、あるいは各紙もそうかと思いましたけれども、私ちょうど新潟へ帰っておりまして、新潟日報は社説でそれなりの評価を下しておるわけでありますが、それはそれといたしまして、私はこの辺で、たとえば日本は、日本丸という船に仮定をいたすといたしますれば、日本丸の進路は、ずばりと言って、もうこの辺から資源消費型のいわゆる資本主義的な高度経済至上主義の、言うならば面かじのとりっぱなしではなくて、国民主権の立場から、国民の福祉経済重点に今度は取りかじをとるべき、そういう発想の原点に立って、たとえば外交の専門家であるとかないとかは度外視して、外交、貿易、それから海運、造船、港湾等を一環として、発想の転換をやらなきゃならぬ時期に来ているんじゃないかというふうに考えておるわけでありますが、大臣の見解でも識見でもけっこうでありますが、これは大事なことだと思いますので、この取り組んでおる臨調法はきわめて簡潔のような法案でありまするけれども、やはりいま申し上げたように、田中総理は「新しい日本の進むべき道」というかっこうに言っておりますけれども、私のいま申し上げたような形で、もうこの辺で資源消費至上主義の高度経済成長主義論から、ひとつ転換をしていく必要があるんだと、そういう対象目標はやっぱり外交という方向に目を向け、中身はこの法案の審議とかみ合う、たとえば貿易の問題であるとか、あるいは海運であるとか、造船であるとか、受け入れの港湾というようなものは一貫性があるんだというふうに理解をいたしておりまするので、それなりにひとつ大臣の識見なり見解を、この際伺っておきたいと、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/3
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004・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 田中総理がブリタニカにどういう論文を出されたか、実は私、多忙をきわめておりまして、まだ内容を拝見しておりませんけれども、大体の新聞等の報道によりますと、いまおっしゃったように、やはり日本の何と申しますか、格差の是正をうたいあげておられるんじゃないかと思うわけでございます。この格差是正政策というものは、いろんなやり方があると思いますけれども、私は田中総理のブリタニカの論文を論評するわけじゃございませんが、いまおっしゃったように、日本経済が今度は福祉優先の安定成長を目ざしていかなきゃならぬということは、これはもう異論のないことであると思います。
先生のいまおっしゃいましたのは、いままでは高度成長政策を面かじ一ぱいとってきたが、そろそろ取りかじに転換する時期じゃないかというお話でございますが、私も福祉優先、安定成長を目ざす海運政策——海運政策ばかりじゃなくて、すべての政策がそういう方向に向かう時期であろうというふうに思うわけでございます。
この海運だけとってそれにつけ加えて申しますならば、資源に恵まれない日本におきましては、年間大体五億トンにのぼる原材料を輸入して、しかも十分の一に当たる五千万トンを加工し輸出する。これで日本の、まあ極端に言えば、加工貿易、貿易立国の中心がそういうところにあるんではないだろうかと思うわけでございます。したがいまして、輸出入の物資にいたしましても、これが安定的な輸送を確保していかなければならないと思います。そういう面からも、造船にいたしましても、あるいは海運にいたしましても、あるいはまたこれに伴う船員の養成にいたしましても、原則というものはやはりそういう方向にいかなければならぬのじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。
いままでの過去を振り返りまして、いろいろなひずみが出てまいっております。公害にいたしましてもその一つでございますが、そういうものを今度はじみちに克服して、いわゆる福祉優先の安定成長、これがためには、私は成長がとまったりすることはよくないことでございます。あくまでも安定成長の線に、まあ取りかじに持っていくか、あるいはかじを戻すかということであろうと思いますが、そういう方向に進むべきである、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/4
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005・杉山善太郎
○杉山善太郎君 ついででありますが、大臣にまたひとつぜひ、これは心がまえと意欲があればできることであります。御承知のように、わが国は毎年七月の二十日に海の記念日というのをやっておりますね。これのマンネリ化を阻止しながら、これを十分活用すべきだと、そういうふうに考えるわけであります。
たとえば、これは運輸省広報の「トランスポート」四十八年の七月号を見て感じたわけでありますが、やはり七月の二十日には毎年行なわれるわけでありますけれども、たとえば運輸省から政務次官、日本船主協会からは副会長、日本造船工業会からは副会長、全日本海員組合からは組合長、日本港湾協会からは理事が出ておられますが、題目は「これからの日本海運」ということに一つのスポットライトを当てて、いろいろとそれなりに語り合っているわけでありますが、これは従来やってきたしきたりだろうと思いまするけれども、もうこの辺でやはり、これに総理府であるとか、あるいは経企庁であるとか、あるいは港湾の体制からいきますと、港湾の労使関係では、海上部面では全日本海員組合という産業別単一組織がありまするけれども、これが出ておりまするけれども、こういうものを加えた、できるならば、この外務部門も加えて、これからの日本の海運といったようなものを語り合う。記念日であるから、一つの行事であるからという感覚ではなくて、ここを拠点として、やはり外交、貿易、海運、造船、港湾、労使関係に伴うところの海員組合であるとか、あるいは全日本の港湾労働組合協議会とかいったもののいわゆる首脳部が集まって、一つの題目を設定して、全体として島国日本の海運の、前段私が申し上げたような、やっぱり資源の消費経済至上主義から国民福祉の方向へ転換をしていくというような一つの語りの場として、これがずっとそういう方面にいくといったようなぐあいに、この海の記念日をひとつ格づけをしてほしい、これを強化してほしい。
やがて参議院選挙が済めば七月がやってまいりますので、大臣、ひとつ海の記念日のあり方というものと、それからこれからの日本海運の進路について十分適当に運輸省を主管としてテーマを出して、コクのあるものにひとつやってもらいたい、そういう強い意欲と願望を持っておるのですが、これに対して大臣のひとつ所信と見解を聞かしていただきたい、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/5
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006・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) たいへん適切な御提言でございまして、やり方等についていままでのことを踏襲するということでなくて、いま御発言になったようなこと等もひとつ検討の材料に加えまして、おっしゃいました御趣旨は私はきわめて賛成でございます。やり方等についてはいろいろあろうと思いますが、何と申しましても、日本は四面海に囲まれた海洋の国でございますし、また海をないがしろにしてわれわれの生活は片時もないわけでございますから、海の認識と申しますか、海洋国日本の国民の心がまえをどういうふうに持つかというようなことはたいへん大切なことであろうと思います。その点につきましては、御趣旨は私はもう全く賛成でございまして、十分検討いたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/6
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007・杉山善太郎
○杉山善太郎君 大体の見解と識見を承りましたが、たとえば昨年のあれではこういうようなこともうたわれまして、非常に私は参考になるし、今後これを中心として勉強していけば一つの成果がある。たとえば海運会社の実態というものを一応位置づけてとらえながら経営の内容を見ると、実際は投資をしている面では赤字であるが、仕組み船であるとか、あるいはチャーターバックというような、そういう一つのこれは苦肉の策という評価はどうかと思いまするけれども、ともかくも正常な姿ではないのでありますが、これのバランスをとっておって、とにかくこれは本来の姿じゃないんだ、しかしながら、やりくり算段で一応お茶を濁しておるというような、そういう点についてこれも掘り下げて、これも過程の段階としてはやむを得ざる処置ではあるが、これは漸次姿勢を転換をしていく必要性があるんだというふうにも考えられますし、また討論の中では、船員問題については、安い賃金の第三国人、主として韓国人であるとか香港であるとか、その他の人たちを使っておるような、そういう点もふえてきておるわけでありますが、これは当然チャーターバック等に関連をして、あるいはまたいろんな関係からそういうものがあり得るわけでありますが、これは日本の正常な海運なり港湾なりの労使関係というものの足並みをやはり正常な側面からとらえて、決して、正常な方向へ、プラスにはならない、マイナスにはなってもプラスにはならないんだというかっこうで姿勢を正していく必要があるんだと。
港湾の問題についても港湾の汚染であるとか、前回港湾法の一部改正になって廃棄物の処理であるとか、環境の整備というものがなっておりまするけれども、港湾の多様化がコンテナ船であるとか、ラッシュ船なんかによって非常に荷役作業の関係が変化してきておるんだ、これによってILO関係の労働条約の問題に関連する荷役作業の関係も入ってきておる。それからまた海外の協力の問題は、これは外交の問題とも関連があるわけでありまするけれども、こういうような問題について、海運の協定という問題、たとえばいま日中の国交が回復されても、実務協定の最たる海運協定というものはいまだしであるんだというような、そういう点もありますし、計画造船についても、やはりそれなりに在来のものであっても、手直しをしたり、一〇〇%の自信で効率のある造船計画というものが正常な軌道に乗っていないといったような姿もあり得るので、これはただ一省だけではなかなかこなし切れないと思いまするから、先ほど前段の場で申し上げたように、可能性があり得るならば、外務それから経企庁ですね、それからその他の関係省庁も含めて、ひとつ一日のことでできるわけですから、コクのある——ことしの七月にはまだ間があるのでありますから、従来の海の記念日の行事というものの中の、運輸省が主軸となっておやりになった海の記念日というものをこの辺から発想の転換で、コクのある技術的な一つの方向へ位置づけてもらいたいということを、これは強く願望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/7
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008・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 貴重な御提言でございまして、私どももその趣旨においては全く賛成でございます。したがいまして、そういうもろもろのことをひとつ基調にいたしまして、海の記念日を記念ある記念日にするようにひとつ検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/8
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009・杉山善太郎
○杉山善太郎君 もうこれは、急ぐ必要があるが、そう急いでもらいたくない、慎重審議をしてもらいたい法案でありまするけれども、大体、もうすでに火、木の原則をとらまえてみて、火曜日でも相当に論議があったと思いますし、きょうは私ばかり時間をとるのではなくて、阿部先生もおられまするので、時間の程度も配慮しながら、急いで質問をしておきまするけれども、これはわからぬからお聞きすると、そういう意味にシビアに受けとめて、これは大臣でなくてもけっこうでありまするけれども、最近における海運、造船業の現状と今後の展望について、あらましでいいんですが、大筋を、私も今後勉強する一つの柱として、どなたからでも、関係局長でけっこうですから、どうぞひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/9
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010・内田守
○政府委員(内田守君) 私からごく簡単に、造船業の現状とこれからの見通しを申し上げます。
私どものほうの造船業は、昭和三十一年から、御承知のように、その建造量はずっと世界の首位を占めておりまして、特に最近は、世界の造船業の約五〇%をわが国で建造しておるということでございます。その理由は、世界に先がけまして、特に造船技術が優秀であること、それからそれに対応する造船施設の整備、それから忠実な納期の励行というような点がそのおもな理由になるわけでございます。現在日本では、これは小さい造船所も入れまして約千三百造船所がございます。いわゆる五百トン以上の船を建造し得る造船所はそのうちの約百八十工場でございます。それから造船の従業員は、下請企業等を含めまして二十六万人といわれております。なお造船に関連いたしまして、たとえばエンジンであるとか、そういう関連製品に従事する従業員は約十五万人でございます。
それで現在、先ほど申し上げましたように、建造量は世界の約半分でございますが、最近特に需要が旺盛でございまして、これは特に外国船主からの需要が旺盛でございまして、現在の主要な造船所の手持ち工事量は約四千万トン持っておるわけでございます。これは従来の年間の建造実績から見ますと、約三年分の手持ち工事量を持っておるということでございます。特にそういう手持ち工事量の量的な問題だけではなくて、特に最近はそれに対応する船型が非常に多様化しております。たとえばコンテナ船であるとか、あるいはプロダクトキャリアであるとか、そういう船型が非常に多様化しておるというのが実情でございます。
それから今後の見通しでございますけれども、昨年の石油危機等に関連いたしまして、これからどういうふうになるかというようなことについては、さしあたりの目標はなかなかつけがたいのでございますけれども、引き合いの状況は依然として活発でございます。長い目で見ますれば、今後とも造船の需要というのは増大をするでありましょうし、またその船型は先ほど申しましたように新しいいろいろな種類の船舶がいろいろ出てくるんではなかろうかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/10
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011・杉山善太郎
○杉山善太郎君 もう少し中身に入って詳しく質問したいと思うのでありますけれども、まあ次へ進んだほうがいいようでありますから進めますが、次は七〇年代の言うならば国際的な問題は、さきの石油危機を見るまでもないことでありますが、要するに資源問題の中身は石油問題だというふうに私なりに理解をし、解釈をしてるわけでありますが、ここで資源と流通と輸送とに限って質問をするわけでありますが、現在でもすでに世界一の資源輸入国であり、かつ多元消費型の産業構造であるわが国は、今後海外の依存度はますます高くなるんじゃないかと、物理的に、そういうふうにとらえておるわけであります。
したがって、これらの資源を輸送するところの必要船腹量は一体どのくらいな数を押えておられるか、輸入型体制といいますか、要するに船はどうしても大型化の方向へ進んでいくというのでありますが、しかし石油だけにしぼってみても、中東地域に依存する石油は大体二十万トンタンカーで運ぶのが一つの常識だと思いまするけれども、昭和六十年から八億キロリットルとすれば、ペルシャ湾から東京間に、約四十キロの間に一隻が常に動いておるという形になるわけでありまして、傾向としましてはこれを四十万トンから五十万トンベースであるとか、さらに政府は、四十五年の七月でありますけれども、百万トンタンカーを建造したらどうかという方向へ動いておるわけでありますが、しかし、これは私ども船員の立場あるいは現在のタンカーを操作する運航技術者——船長だとかそれらの操作員から聞いても、やはりこの輸送効率に対して、般型の問題について、資源を急ぐから時間を短縮するために速度を出すと、そして量的に多く運ぶためには船の容積を大きくして速度を出すということについて、二十万トン、四十万トン、五十万トンの間がもう最善最高であって、百万トンタンカーというようなものが技術的に可能であったとしても、そういうことが言うところの資源消費型の経済成長主義には見合っても、これが安全度を高めた国民主権のそういう立場からいって、全体として一体この百万トンタンカーなどというものの安全性が保障されるかどうかと、そういったような傾向について大筋をどういうふうにとらえておられるか。これはまだ検討中なら検討中、目下それを洗い直しておるのだというのなら、そういう回答でもいいと思いますけれども、どういうふうにとらえておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/11
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012・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 日本の貿易が世界のうちに占めているシェアを申し上げますと、輸入全体では世界の荷動きのうちのわが国の荷動きが一九・九%、それから鉄鉱石で申しますと世界の荷動きのうちの日本の鉄鉱石の輸入量が四六・一%、石炭で申しますと世界の石炭の荷動き量に対しまして日本の石炭の輸入量が四九・三%、石油で申しますと石油の世界の海上の荷動き量に対しまして日本の石油の輸入量が一七・一%と、たいへん大きな数字を占めております。
そこで、現在二千トン以上の日本の船舶の保有量を申し上げますと三千二百万グロストンでございまして、世界の中で第二位を占めている。第一位はリベリアという便宜置籍の国でありまして、実質的に単独の国としては世界一位であるということになっております。
で、今後どういうふうにしてこういった大きな原材料の輸入物量に対しまして船腹をつくっていくかということは、絶えず国の経済計画にマッチして海運政策として考えていかなければならない点でございまして、現在、実は四十八年二月にできました経済社会基本計画に基づいて私ども去年の秋から五十年度以降の船腹の整備計画を立てるべく作業に取りかかっておったのでございますが、その後、去年の秋から御承知のとおりの石油問題になりまして、私どももそのままの国の計画であるところの経済成長率その他、必要な輸出輸入の物量というものを基礎にして船腹の整備計画を五十年度以降についてはじくということは困難な状態になりました。しかしながら、現在私ども海運造船合理化審議会にもお願いをして、その仕事は極力やっていきたいと思っております。私ども、やはり日本船で安定的な輸送をはかろうということでございまして、現在のところ積み取り比率の目標としては、先ほど申し上げましたような主要の輸入物資につきましては、鉄鉱石は五五%、石炭は五〇%、油類は六五%を日本船で運びたいということを目標としております。
そういったことで、油につきましてもペルシャ湾から運んでくる船型は、現在一番大きい船がデッドウエートで申しまして四十八万トンということになっております。できるだけ大きい船で運ぶほうが合理化につながるという時代もございましたけれども、いろんな国際的な規制の問題もございますし、先生御指摘の安全性の問題もございます。その辺は船舶局のほうでいろいろ検討をしておるということでございますので、私どもの説明はその程度にさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/12
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013・内田守
○政府委員(内田守君) 先ほど先生御指摘の百万トン型タンカーの建造についての方策というお話がございましたが、これは四十八年、昨年の十一月に運輸技術審議会から運輸大臣あての答申のことだと存じます。で、いま海運局長から説明ございましたように、現在四十八万トンのタンカーがすでに就航しておるわけでございますが、この私どもの考え方といたしましては、この答申の中身もそうでございますが、百万トンのタンカーを野放しに大型化するということではなくて、世界の趨勢から見て、いずれは相当大型な船になるであろう。その場合に当然安全性の問題ということが一そう重要な意味を持ってくる。したがって、そういう安全性についていろいろ検討し解決する、そういう方策をやらなければ、大型船をむやみにすべきではないという見地から、その答申の中身も、ほとんどこういう百万トンのタンカーの今後の計画に対して解決すべき安全上の問題点を御答申いただいているわけでございます。具体的には船の強度の問題であるとか、あるいは大型化に伴う運航性能を確保する問題であるとか、あるいは波の中でのそういう大型船の航海装置などの問題であるとか、あるいは一たん衝突し、座礁等が起こった場合の海洋汚染防止等、公害対策上の問題、また港湾等地形周辺環境に関する問題等、そういうほとんど安全公害の見地から解決すべき問題点を御答弁いただいておるわけでございまして、具体的には私どもこの答申をいれて三年計画程度でこれらの安全問題を解決しつつ船の大型化というものにどう対処するかということを今後解決していきたい、こういう態度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/13
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014・杉山善太郎
○杉山善太郎君 若干次元は違いますけれども、過去の問題として、ぼりばあ丸事件あるいはかりふおるにあ丸事件もありましたので、大体いまの局長の答弁はそれで了としますけれども、これは傾向として大型化しても過去のぼりばあ丸事件にしてもかりふおるにあ丸事件にいたしましても、やはりすべては人間関係と物と資金、資材の関係でやはり輸送業務が行なわれることには間違いないので、やはり人命だとか危険度だとか、その大型の程度という問題についても、審議会においてもそれは十分頭脳が動員されて審議されるのでありましょうけれども、実際面として、やはり私どもは、最大多数の最大幸福を願望とする国民の安全性の問題であるとか、あるいは福祉の増進であるといった問題は、これは無視してはならないものだと思いますので、行政ルートにおいても十分これは大所高所から配慮していただきたい。特に所管大臣である運輸大臣も十分そういう点を留意をしていただきたいと、こう思うんです。これは大臣から答弁をいただかなくてもいいです。
それで、これは別々に、一つお尋ね、一つ聞くといいのでありますけれども、時間もありませんから四つ並べてお尋ねいたしておきますけれども、水路の問題ですね。マラッカ海峡は大体二十五万トンタンカー、あるいはそれ以上になるというと通過ができないでしょう。実際は下に岩盤や斜面があって非常な危険な状態があるんですよ。ですから、どうしても迂回をしなきゃならぬので、結局こういう水路問題についても、タンカーのマラッカ海峡のあり方というものとやはり船型というものとか、そういったような問題について検討されておるかどうかということが一点。それから輸送の硬直性ですね、輸送経路が限定をされてくると思うんです。マラッカ海峡を通れぬ、しからばどこを迂回をしていくかという問題について、大体産油国は中近東ということに、それは将来は別として、現状はそういうような方向にあるわけであります。それから港湾の受け入れ態勢であります。大体二十万トンで水深は最低十九メートルから二十メートルなければならぬのですよ。世界では大体十九メートル以上の水深を持つ港はたくさんあると思いまするけれども、今後の整備計画との関係について、やはり資源消費型といっても、どうしても石油を抜きにするわけにはまいりませんので、しからばその積んで来た石油をどういうような形で安全度を高めながら石油コンビナートを位置づけていくか、あるいはこの石油の貯蔵施設というものを、どういうようなふうに立地的に考えていくかといったような、大体四つのポイントを一括お尋ねいたしますが、そういう点について、万遺憾なきを期しておると言い切ることができるかどうかというような問題も含めて、ひとつどなたかから御回答をいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/14
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015・原田昇左右
○政府委員(原田昇左右君) お答え申し上げます。
まずマラッカ海峡の問題でございますが、現在沿岸三カ国と共同いたしまして、わが国は水路の測量をいたしております。これにつきましては、大体現在のところ、完了はいたしておりませんが、大体の見当が出てきておりまして、水深二十三メートルまでは通航可能な水路がとれるという見通しでございます。そういたしますと、大体、これに若干のアローアンスを考えますと、水深ドラフトで二十から二十一メートルくらいのドラフトのタンカーというものは通航可能になるわけであります。で、それは大体デッドウエートトンに換算いたしますと二十万トンから二十五、六万トンくらいまでは通航可能ではないかと考えられるわけであります。なおそれ以上の大きい船につきましては、どうしてもマラッカ海峡を通るのは非常に危険でございますので、ロンボク海峡経由マカッサル海峡というところを通って日本に来るということになろうかと思います。現に四十万トンクラスのタンカーはそういう経路で日本に参ります。この場合、ペルシャ湾に参ります場合にはドラフトを軽くできますからマラッカ海峡を通れますけれども、満タンにしてペルシャ湾から日本に参ります場合にはロンボク、マカッサル海峡経由ということになります。しかしながら、これは航海日数で二、三日違うことになりますけれども、大型化のメリットで、コスト的にはロンボク海峡経由で十分輸送コストはマラッカ海峡経由と変わらないところまで行き得るということで、そういう船型が出てまいっておるというように了解しております。
いずれにいたしましても、マラッカ海峡の航行安全問題はきわめてわが国としても、また沿岸国にとっても非常に重要なことでございますので、航行安全対策について、わが国は十分な協力をいたしておりまして、灯台の整備あるいはブイの整備あるいはいまの水深の測量といったようなことについて、沿岸三国と密接な協力をいたしておる次第でございます。
それから、なおロンボク海峡の水路測量あるいは安全航行についてもインドネシアがこの事業を実施いたしますのに協力するという方針で現在いろいろインドネシアとお話し合いをいたしておる次第でございます。
それから運ばれてきた油を日本に持ってまいりまして、港湾のコンビナートに供給する場合にどういう考え方かということでございますが、原則的な考え方といたしましては、直接港湾に入れる立地のコンビナートにつきましては、大体シーバースをつくりまして、水深二十とか二十五メーターぐらいのところへシーバースを出しまして、そこへ直接タンカーを入れるというほうが経済的には非常に好ましいわけでございます。したがって、そういうタンカーのアクセスできる環境にあるところは、できるだけそういう形でやる。そのかわり、環境対策を十分講ずるという方針でございます。しかしながら、環境条件あるいはその地形の条件からそういうことが不可能なことも考えられますので、そういう場合にはどこかに適切な場所、たとえば現在鹿児島県の喜入にございますが、こういったところに大型タンカーを入れまして、そこへ貯蔵すると。そこで、 セントラル・ターミナル・ステーションといいますか、CTSと申しますが、そこへ貯油タンク群を置きまして、そこへ一たん貯蔵して、そこからディストリビューションをする、二次輸送をするという形にいたします。
その場合は、船型はずっと小さい船型で、十分そのコンビナートに直接供給できるような船型を選びまして二次輸送が行なわれるということでございます。現在までのところ、このCTSはいろいろな構想がございますけれども、なかなかその適地がございません。また地元と折り合いがなかなかつかないという状況で、現在のところ喜入のCTSが代表的なものでございますが、ほかには二、三候補地はありますけれども、まだ具体化いたしておらない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/15
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016・杉山善太郎
○杉山善太郎君 先へ進みますが、石油がともあれ資源のやはり中核であるという点からいって、これはまた輸送の過程においてもまた貯蔵の過程の中でも、公害というものが伴ってくると思うんであります。これは、たとえば昨年でしたか一昨年でしたか、しけでもありましたけれども、リベリアのジュリアナ号というタンカーが新潟の港域において、大きな船がまっ二つに折れてああいうような災害が起きたわけでありますが、したがいまして、大型化すれば大型化するほど、航海中もさることながら、やはり母港近くなって それがコンビナートであっても、それから一つの指定された大きな貯蔵タンクの地域においても、沿岸に近づけば近づくなりにそれなりの危険、またそれなりの公害というものを十分配慮しなければならぬ問題だと、そういうふうに考えるわけであります。
したがって大型タンカーの事故による海水の汚濁だとか公害という問題は、今日国連の海事機構においても、やはりタンカー容量であるとか、一定の容積以下にまあ規制措置をすべきだという動きが出てきておるわけであります。少なくともわが国の周辺の海洋における、油に対する公害の実態調査とか、造船計画は進めなければならないわけでありますが、そういったような問題についても、これは所管は運輸省であろうと思うんでありますが、とりあえず港湾の整備計画であるとか精油、貯蔵施設の完全な対策、立地的には地域住民の公害に対して、安全に対してのいろいろなやっぱり要求なり、あるいは一つの市民運動的なものが出てむずかしいのでありましょうけれども、そういう条件も踏まえながら、必要なものは必要なものとして、公害という問題、海水の汚濁という問題等々も含めて、やはり十分配慮されなければならぬ問題だというふうに考えておるわけでありますが、そういう問題についていまどういうような対策を持っておられるか。目下検討中であるか。そういう点についても、審議官でけっこうですが、ひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/16
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017・原田昇左右
○政府委員(原田昇左右君) 御質問の御趣旨が海洋汚染防止のためにどういう施策をとっておるかということであろうと思いますが、そういう線に沿いましてお答えを申し上げたいと思います。
まず海洋汚染に対します規制でございますが、これは四十七年六月に海洋汚染防止法が全面施行されまして格段に強化されたわけでございます。たとえば沿岸におきまして、廃油処理施設が未整備である港に向かって走っておる船舶については適用除外がございましたけれども、この全面施行に伴いましてそういう適用除外は全部なくなったということでございます。したがって現在の規制は、国際的に見ましても、まだ一九六九年条約が施行されておりませんので、日本が一番シビアな規制を課しておるということであろうかと思います。
問題はそれが実行されるかどうかということでございまして、これには監視取り締まり体制の充実強化が重要でございます。われわれといたしましては四十九年度におきましても引き続いて海上保安庁の組織、人員の充実、巡視船艇、航空機の増強、監視用機器の整備を行なっております。また油が流れ出た場合の防除体制の整備につきましても、きわめて重要な問題でございますので、前回の港湾法の一部改正で御審議願いましたとおり、油の防除のためのオイルフェンスの義務づけ等を通じまして、この防除体制の整備をはかっております。また海上保安庁におきまして、油が流出した場合、油を吸着する船を整備するとか、あるいはオイルフェンスを整備するとかいうことによりまして防除体制の整備をいたしております。なお民間と海上保安庁との間でも、いざというとき出動できるような体制も常時連絡をとりつつ訓練を強化いたしております。なお汚染防止技術についてはまだまだ未熟な点がございますので、この開発も進めることにいたしております。
それからこの規制取り締まりの前提となります海洋の汚染の調査につきましても、引き続き海上保安庁及び気象庁において実施いたすことにいたしております。
それから廃油処理施設につきましては、先ほど申し上げましたように、適用除外がなくなったということは全国的にもう廃油処理施設が油の積み出し港についてはほとんど全部整備されたといってよい状況でございます。で、これにつきましては、なお現在やっておりますのは、ビルジ等の発生する港、小さい港についての廃油処理施設の整備をさらに進めておる次第でございます。以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/17
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018・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
渡辺一太郎君、岩本政一君が委員を辞任され、その補欠として稲嶺一郎君、八木一郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/18
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019・杉山善太郎
○杉山善太郎君 ちょっと資料要求しておきます。これはきょうでなくてもいいんですが、昭和四十八年、四十九年の各一月一日付現在、四十八年、四十九年はことしでありますが、この各一月一日の現在で、いわゆる中核六社の会社別、それから船の種類別、言うならばコンテナ、タンカー、専用船、貨物船、特殊船、トン数別、それから隻数別の一覧表というものを表にして、あとでひとつ資料としてお出しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/19
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020・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/20
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021・杉山善太郎
○杉山善太郎君 関連してお尋ねいたしますが、海運の助成について特に中核六社を中心として手厚い保護がとられてきましたし、将来もとられるだろうことを予測するのでありますが、しかし最近の海運企業の動向を見ると、たとえば計画造船に対して、私の手持ちの資料が間違っておるかもわかりませんけれども、ともかく四十四年度の計画は、二百五十万トンに対して実績は二百四十七万トンということになっております。そのほか自己資金による建造が六十万トンに対して百二十五万トン、それから四十五年には計画二百六十万トンに対して二百六十二万トン、自己資金による建造は六十万トンに対して百十一万トンであると、これは違っておるならば違っておると言われてもいいんでありますが、要するに計画造船それ自体の見直しが実は迫られてきているんじゃないか、そういうことと、いまの臨調法というものと何か直接にせよ間接にせよ関連があるのかないのか、そういったような点について、明確であるないは別として、ひとつお答えをいただきたいと、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/21
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022・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 私ども五十年度以降の所要の船腹の整備計画につきまして海運造船合理化審議会にもお願いをして、極力そういった計画を立てていきたいと思います。ちょっといま自己資金船などのお話ございました。私ちょっとチェックするひまがございませんでしたので、あるいはまた補足して先生のところへ後ほどまた御説明をさせていただくかもしれません。いずれにいたしましても、そういった整備計画を立てまして、私どもやはり邦船の船腹拡充ということを日本の貿易物資の安定輸送のためにぜひやっていきたいものでございますので、御審議をお願いしております臨調法によりまして、ぜひ日本の邦船の建造がスムーズに行なわれるように、輸出船の船台確保に対しまして、日本の邦船の船台確保がおくれることのないように造船のほうでやってもらいたいということを、私どもも期待しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/22
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023・杉山善太郎
○杉山善太郎君 次に、育成方法の問題でありますが、特に、先ほど海の記念日云々の中で申し上げたとおり、チャーターバックですね、売船がここ数年増加しておることも、これは争われない事実でありますが、不経済船を売ることについての可否はこれは別問題なんです。利潤のない、損をして商売は成り立たないわけでありますが、そのために船員の雇用が不安定になっておるということも、これはいなめない事実であります。今日予備員の全体の占めておるパーセンテージがこのことを統計によって物語っておるわけでありますが、さらに用船率の増加ですね、これは世界一の船腹量からして、労働条件の低下は必ず国際問題に発展して、各国の船員からボイコットされ、ひいてはわが国の経済に影響も与えかねない、そういう側面もあるんじゃないかと思うんです。
そういったような面について、チャーターバックであるとか、あるいは仕組み船であるとか、こういうような、私どもはたとえば定義づけてみて、チャーターバックとか仕組み船というようなものは、世界の海運の中で、あそこでもここでもあるから、海運ではもうこういう点は好ましくないけれども、どうも過程においてはやむを得ざる一つのしみの一点だというふうに位置づけておられるかどうか、そういう点について、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/23
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024・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 日本人の船員は優秀な技術を持っておりまして、国際的にも高い評価を受けているというのは皆さんお認めになるとおりでございます。そこで日本海運としても日本人の船員が乗り込んで優秀性を発揮していきたいということを私どもは考えております。したがって日本の海運の健全な発展をはかるという面から申しましても、日本の船員の職場を確保するということによりまして、雇用不安なく働けるようにすることが海運政策の中身でもあると思っております。そういった方向で、今後日本の船体の整備を進めるにあたっては船員の需給の状態をも考慮しながら、日本人の船員の職場を確保して、雇用の不安を生じないようにしていきたいと思っているわけでございます。
海外売船、チャーターバック船につきましてはどうしても日本船の国際競争力がこのところ諸経費が上がりまして、中、小型船でどうしても採算がとれない船を海外に売らなければならないという経済上の必要はございます。なおそういったことで、単に売りっぱなしてしまいますと外国船をその穴埋めに雇わなきゃならぬということになるのでございますが、やはり日本の物資の安定輸送を確保するために、日本の船社が引き続いてその船を再用船してくるということも必要なことではないかと考えておるのでございます。しかしながら、その面において船員の雇用安定上問題があるということは、私どももよく承知しております。したがって海外売船は二千トン以上の船につきましては許可制度になっておるものでございますから、私どもはその海外売船の許可をするにあたって、船員の雇用不安が生じないように船員対策についてどういう処置をとっているかということを船を売る会社から聞いて売船の許可を与えるということに私どもはしておるわけでございます。
それから仕組み船はいろんな形態がございますけれども、日本の船会社が日本の造船所の船台を外国人のためにあっせんをして、そうしてつくった船を日本の船会社が用船をするという形態が多いのでございますけれども、日本の船会社がどうしても日本の中で資金の調達その他について十分でない点がございまして、その外国人の資本力にたよらなければならぬということによってこういうかっこうになっておるのが多いのでございますけれども、日本の安定輸送をはかるための船としては、一番いいのは日本人が乗った日本の船であることに間違いはございませんので、私どもとしては仕組み船の建造についても、あくまでその邦船の建造ということをなおざりにすることのないように、十分指導していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/24
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025・杉山善太郎
○杉山善太郎君 まあ注文していただいておるこの資料、中核六社の仕組み船、チャーターバックの船の現状ですね、見るというと私どもがあるということは聞いておったけれども、この中核六社の中でこれだけの数の船があるかということについては、実は意外に多いわけです。いわんや中小船主の段階におるというと、大体船は輸送の道具だと、船舶というものは輸送施設の一つの道具であるというようなもののとらえ方ですね、あるいは船会社にして、船は一つの経営効率からいって商品だと、こういう考え方が日本の船主群、中核六社といえば、日本の海運を牛耳る一つの指導的な核だと思うんですよ。そういう思想と姿勢は今後やっぱり改めてもらうと、また船主自体も自己批判していただかなきゃならぬというふうに考える。
もちろん経済にしても波があるのでありまするから、やりくり算段という、ぶっつけ本番ではないにしても、こういうことが定着していくということには非常に問題があるんじゃないかと考えておりますので、とにかく大臣もこの辺については、十分勘どころとつぼを押えて、しっかりとひとつ今後助成あるいは指導について、中核六社だからだいじょうぶだと、国家の補助によってひとり歩きができるような状態になっておることは間違いないが、それだけに日本の海運を背負って立つ以上、この仕組み船であるとかチャーターバックがあるという実態、これに即バッテンをして、悪いからやめなさいということは、一つの既成の事実としてできがたい問題もありましょうけれども、傾向としては、これは船員の問題にしても、それから効率の問題にしても、日本の貿易、それから海運、それから造船、港湾——日本の国というものを船にたとえて日本丸としますれば、どうしても資源消費経済構造の中核であることには間違いないけれども、しかしこれが経営効率の面で資本主義的な、高度経済至上主義的なもののとらえ方をするというと、こういうような思想や方法が出てくるんじゃないか。いまある事実について、私は否定的な立場をとるわけでありませんけれども、船員の問題だとか諸外国とのバランスの問題についても、非常にこれは憂うべき一つの現象じゃないかというふうに判断をいたしますので、十分これは今後検討していただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/25
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026・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 戦争を境にいたしまして、日本の商船隊は全滅したわけでございます。その後これをどういうふうに復興するか、あるいはまたどういうふうな補償をするかということは、戦後いろんな角度から議論され検討されたわけでございますが、その補償というようなこともできないということで、計画造船とか特別融資とか利子補給とかいうような問題が出てまいりまして今日に至っているわけでございます。これには戦後のいろんなそういう面における歴史があるわけでございますが、戦前はいまおっしゃったように、船は道具とか、あるいは商品だというんじゃなくて、わが国の領土だと、こう言って、乗っている人も、また船主側も、そういうことで私は海国日本をささえてきたと思うんです。
それが今日すたれたとは申しませんけれども、高度の経済至上主義とも申しませんが、いろんな面から売船あるいはチャーターバック、あるいは仕組み船というような問題が、いまお手元にある資料によっても、いろいろとびっくりしたというぐらいの数が出てきたんじゃないかと思うわけでございますが、いずれにしましても、いまおっしゃいましたような点は、これから先、このいろんな助成あるいは利子補給、その他造船面におきましてもとっていかなければならぬと思いますが、十分心して、安易にそういう方向に流れないように指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/26
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027・杉山善太郎
○杉山善太郎君 まあ先へ進みますが、海運自由と、その船がその国を象徴する旗を立てておる、要するに旗国船主義なんですね。ことに南北問題が起きてきまするというと、当然この経済発展途上国の問題については、自国船の旗で自国の荷物を積むんだと、そういう傾向は過去日本にもあったが、発展途上国にはやはりわが旗の立つわが船はわが国の領土であると、したがってわが国の荷物はわが国の船で積むというようなことは、やはりどうしてもひとつ国際協調の立場で十分——相手に圧力をかけてまかり通るというような姿勢はよくないと思うんでありますが、そういうような資源の輸出の問題だとか輸入の問題だとかいうような問題について、海運自由と旗国船主義について、いま海運政策の一環としてどういうようなふうに位置づけてお考えになっておるか、これからの検討課題であるか、その段階について、ありのままをひとつずばりでお答えいただきたいと、こう思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/27
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028・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) このところ世界の発展途上国において、自分の国の貨物を自分の国の船によって輸送しようということで、いわゆる自国船優先主義ということで国旗差別を行なっているという国がかなりたくさん出ております。私どもとしては、やはり海運というものは、本来政府だとか国家が無用な干渉をすべきではなくて、自由に経済活動をするということが一番海運の能率的な活動ができるというふうに思っております。
しかし最近の傾向として、先ほどのように、かなりそういう傾向が出てきておることは事実でございます。私どもはしかし、発展途上国の自分の国のナショナルラインなどを増強したいという気持ちはよくわかりますので、その辺について発展途上国と協調関係を維持しながら海運活動の国際性あるいは開発途上国に対する支援ということを十分考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/28
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029・杉山善太郎
○杉山善太郎君 次に、日中の海運協定について、これは大臣からお答えをいただきたいと思います。時間がありませんから私見を申し上げまするけれども、やはり国交が回復されて、実務協定の中で、航空協定にしても貿易協定にしても、それから漁業協定にしても、その中でやはり重要な柱は日中海運協定で、常識的にやはり重視しなきゃならぬと思うんですよ。
そういう場合に、私は私なりにどうしても外交路線にしても、やはり関係の行政ルートの運輸省にしても、日中の関係については、中国との協定を結ぶためには平和五原則という原則を十分踏んまえた形で相手を説き法を説いていくと、そういう姿勢がないというと、なかなかおおような国のようであっても、なかなか神経のこまい、原則を鉄則としてとらえておるところの国でありまするから、この点がしっかりしてないというとなかなかうまく進まないじゃないか。で、タイミングから見れば、この海運協定はもうでき上がっていいんじゃないか。でき上がらないにしても、その前夜的な状態の中にもはや荒筋はできておるんだという状態があってタイミングとしていいんじゃないかというふうに考えておるわけであります。
したがって今後の貿易拡大の方針というものと輸送の関係は、どうしても善隣友好の原則と、隣の大国というものを対象として有無相通ずる原則について、やはり輸送効率というものを高めていくという、そういう条件というものを踏んまえる必要があると思います。ことに現在国交が回復しておりまするので、しばしば中国の船が入ってくるわけでありまするけれども、この入ってきた船員の待遇についてはこれは外務省であるとか入国管理局の関係もあるでしょうけれども、どのように処置されておるか、そういったような問題について、この三点というものを踏んまえてこの日中海運協定の調印を促進されなきゃならぬ事案の性質であると、そういうふうに考えておるわけですが、大臣の見解いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/29
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030・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) この海運協定は日中共同声明の第九項目の中に、いわゆる実務協定の一つとしてあるわけでございます。昭和四十七年といいますから、おととし事務当局が訪中いたしまして向こうの代表団と意見の交換をやっております。その後昨年の四月から五月にかけて若干の向こうからの照会等もございまして、協定草案を交換した事実がございます。これから交渉する段階でございますからどういうものを盛り込むかというようなこと等については、いまここで私がどうこうと言うわけじゃございませんけれども、海運でございますとか、あるいは海難救助等に関する実務的な事項を盛り込んだものになるんじゃないかと思いますけれども、この協定に関しましては、中国側でも鋭意検討しているようでございますし、わが国としては中国側の検討の推移を待ってなるたけ早い時期にいまおっしゃったような点も十分考慮の上、協定の締結に努力したいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/30
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031・杉山善太郎
○杉山善太郎君 これも船が造船台の上に乗って、それが進水をして、そして機能するようになれば、直接にも間接にも関係があるわけでありますが、海洋法の問題であるとか海洋の汚染防止対策といったような問題は、やはり関連して領海の問題であるとか海洋汚染であるとか航海自由と無害通航であるとかといったような問題について、やはりそれなりの対応性をわが国も持たなきゃならぬが、所管としてはこれは多岐多様にわたろうかと思いまするけれども、これは他日に一般質問という、そういう過程もあるわけでありまして、私も勉強してまたお尋ねしますけれども、こういう海洋法や海洋汚染対策について今年は日本で開かれるのじゃないかと思いますけれども、第三次の海洋会議というようなものが開かれるというふうに聞いておりますが、その辺について概略でもいいんですが、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/31
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032・原田昇左右
○政府委員(原田昇左右君) お答え申し上げます。
本年六月二十日から八月二十八日までの間にベネズエラのカラカスで国連の第三次海洋法会議が開催される予定になっております。この会議においては非常に重要な問題といたしまして、領海の幅員の問題、海狭の通航権の問題、領海外における沿岸国の資源管轄権の問題、海洋汚染の防止の問題、これは特に海洋汚染防止ゾーンの設定を沿岸国から提案がございますが、こういった問題あるいは深海の海底資源の開発等の問題、非常に複雑多岐にわたる問題が討議されることになっておりまして、伝統的な海洋国際法の再検討とともに新しい海の新秩序を確立することを目的としてこの会議が持たれるということでございますので、私どもといたしましても十分な事前の準備をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/32
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033・杉山善太郎
○杉山善太郎君 造船労働者の問題についてお伺いしますが、御承知のとおり、私も勉強していてびっくりしたわけでありますけれども、造船関係は大手、中手、小企業とありまするけれども、造船は構造的に下請がきわめて多種多様にわたって、労働条件、その他労働基準法等々にも関連してブロックシステムで、ちょうどホテルオータニの建築方式のように、ずっと積み上げていって、できたときにはもうかっこうがつくというようなことで、大きい船舶ができるにしても、それはやはり大手にしても中手にしても、木造船を主とする中小にしても、非常に下請関係というものが多種多様にわたっておると、こう思うんでありますが、大体現状のあらましというものについて、一応質問をして折り返し尋ねるという時間がありませんが、憂うべき現象だと思うんですよ。
この間、私は国鉄の上越新幹線の大清水トンネルの中で、これは日本鉄道建設公団がやっているわけですけれども、その地下の中で人柱で働いておる下請の労働者というものが死んだり、けがをしておる。そういうような問題についてどういうように扱いをされておるか。これは次元が違いまするけれども、やはり島国日本の日本丸というようなふうに位置づけてみても、その中の動脈である造船というもの、船をつくるという、そういう過程と工程の中で大手にしても中手にしても木造船を主とする小資本にしても、非常に多種多様に分かれて労働条件も劣悪である。そういうような問題について、これは一定の工程というもので請負契約が結ばれておるものがあるわけですよ。その他工程の時間、それから品質管理、あるいは本工の職制——全面的に依存しておるものもありますし、いろいろと労働の人員が親工場によって指定されて、本工職制の指揮下で働いておる。下請独自の作業班というものがないといったようなかっこうで、できた船はりっぱであるけれども、工程というものが人的に見ても非常に問題がある。要約して造船労働者の問題については下請会社の労働者あるいは社外工だとか、そういった労働者の実態という問題について、これは運輸省関係と労働省関係においてひとつありのままをお聞かせいただきたい。時間がありませんので、他にまた再質問の時間は譲りまするけれども、ひとつそういう点で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/33
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034・内田守
○政府委員(内田守君) 造船業は御承知のとおり、約二百近い関連産業をかかえる総合的な組み立て産業でございます。したがいまして、下請企業に依存する部分も非常に多岐にわたっておるわけでございまして、昭和四十七年末現在で造船業の下請依存度は約四〇%でございます。ただ最近、ここ数年はこの四〇%という下請依存度はほぼ横ばいの状況にございます。造船業の生産を高めて安全性を確保するためにはこういう下請企業の御指摘のような経営あるいは技術全般にわたる向上をはかることは、きわめて重要なことはもちろんでございます。私どもといたしましては昭和四十六年に造船業を下請中小企業振興法の指定業種に指定いたしますと同時に、これら下請企業の全国的な組織といたしまして、社団法人である日本造船協力事業者団体連合会を設立いたしまして、特に下請労働者に対する安全及び技術教育等をそこで行なわしめ、下請企業と親企業との適正なルールを締結させるよう指導監督を現在行なっておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/34
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035・岸良明
○説明員(岸良明君) ただいま運輸省のほうからお答えになりましたような状態でございますが、ただ造船業全般についてみますと、労働条件あるいは賃金の面、労働時間の面、労働災害の面、それほど総体的には他産業に比べて大きな格差があるとは考えておりません。しかしながら、ただいま運輸省から御説明があり、また先生も御指摘のとおり、この業界におきましては社外工、いわゆる下請に依存する度合いが非常に多いわけでございます。特に元企業と下企業との間では労働条件あるいは災害の発生状況等にも格差があるわけでございます。その点、私どもとしては非常に注意をいたしまして、元企業を含めて特に災害防止の観点については昨年の二月に通牒を出しまして、総合的に安全管理をするように強く指導を進めておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/35
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036・杉山善太郎
○杉山善太郎君 この造船労働者の諸問題と、それから船員に対する対策という問題と、港湾並びに港湾労働者の対策という問題については、時間切れということにして、他日に一般の中でこれは深く聞きますけれども、非常に問題があることを指摘して私の質問を終わります。これはこれでもうやめたわけではないんでありますから、そういう点で委員長、理事もよろしくお願いします。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/36
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037・阿部憲一
○阿部憲一君 この本法の内容につきまして、二、三お尋ねしたいと思いますが、まず最初の本法の目的となっております「わが国の国際海運の健全な発展に資することを目的とする。」となっておりますが、これは一口でどういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/37
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038・内田守
○政府委員(内田守君) 日本船舶を質的、量的に確保するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/38
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039・阿部憲一
○阿部憲一君 何か大臣も御答弁願えるゼスチャーでありますから、ひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/39
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040・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) この法律の改正の目的は、一応ある程度の見通しがつくまでこれを延長しようと、こういうことがこの法律の改正の目的でございますけれども、この法案そのものはやはり海運における安定的な輸送、商船隊の確保というものを踏まえまして、量的にも質的にも今後いろいろ多様化するそういう問題に対処していこうと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/40
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041・阿部憲一
○阿部憲一君 その改正の目的でございますけれども、それじゃ国際海運の健全なる発展というのはいつごろ達成されるお見込みでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/41
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042・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) いままでこの法律ができましてから時限立法としていろいろ経過があったことは説明申し上げるまでもなく御承知のとおりでございます。そこでこのたび時限立法をはずして、臨時と名前をつけながらも、この問題が解決するまではこの法律を持っていきたいということになった、その辺は一体どうなんだということだろうと思うんでございます。
まあ長期的な安定ということはなかなかむずかしい見通しでございますけれども、そういう時点も一つのとらえ方でございましょうし、あるいはまたいま海造審で御検討願っております日本の商船隊の輸送シェアというものを一体どの辺に押えるかということで、昭和五十年度は前の計画では輸出五〇%、輸入五四・何%かだったかと思いますけれども、そういうところを、これがいま確実なそれが数字じゃないと思います。またいずれこの数字は海造審に答申しておりますから、いろいろ検討がなされて出てくると思いますが、そういうような一つの見通しをつかまえるというのも一つの見方であろうと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、この競争というのは、元来自由にまかせるべきが原則であろうと思いますけれども、当分の間そういうようなものをにらみつつ、わが国の経済情勢あるいはまた商船隊の整備というようなものを、そういうようなところからにらみ合わせて、このたびこの期限を付さない法律にお願いを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/42
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043・阿部憲一
○阿部憲一君 いまの運輸大臣の御答弁の中からうかがいますと、結局は当分の間これはやむを得ない措置なんだというようなお見通しのようでございまするが、ということになりますと、いままでたどってきた日本海運のあり方というものを見まして、また貿易状態、いわゆる海外からの輸出入物資というものの現状などを見ますると、これは当分の間ということは、これからもずうっと非常に長い期間になるというような可能性も考えられるわけですね。
そこで私も、いま大臣のおことばにもありましたけれども、臨時臨時と、初めからこれは臨時と書いてありますけれども、これはこういうふうになってきますと臨時という名称さえもちょっとちぐはぐな、実態を証明しないようにもとられますので、これなどは、むしろこのようなことでしたら臨時という字を削ったらいいんじゃないか、このようにさえ思うわけでございますが、この辺についてもう一度御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/43
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044・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 前からあったから便宜的に使ったというような安易なことでもないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、元来は自由にまかせるべきが原則であると、しかし一応の、先ほど申し上げましたように、長期的な安定の状態と、あるいはまた商船隊がになうべき輸送のシニアと、そういうようなものとか、それからまた一応のそういうようなものを踏まえながら商船隊が整備される期間というわけでございますから、これはちょっとそういう御質問に対しては言いわけがましくって説明しにくいわけでございますけれども、そういうものが永久にこれが当分の間というようなものではないというような、つかまえ方をいたしまして、臨時といういままでの名前を使わせていただいた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/44
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045・阿部憲一
○阿部憲一君 それじゃ当局の考え方はわかりましたけれども、しかし、このようなさらに延長するということは、やはりある意味において業界に規制を求めるということでございますので、業界方面の一体この延長についてどんなふうな考え方を持っておるか、当局のほうの御意見を伺いたいと思います。業界側がこの法律の延長に対しましてどのような、何と申しましょうか、非常に賛成なんだというふうに受け取っておるのか、それとも、いつまでも自由を拘束するような統制的なものは望ましくないと、このようにお考えになっておるかどうか、おわかりでしたらお返事願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/45
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046・内田守
○政府委員(内田守君) 造船業界といたしましては、ある程度輸出との競合の問題もございますので、ざっくばらんに申し上げまして、もろ手をあげて賛成というようなことでないのは事実でございますけれども、しかし造船業界といえども、日本船舶というものを確保していくという気持ちと、それからこれは数字的な問題ではございませんが、従来から船質の確保ということについては非常に効果があったわけでございます。
そういう意味で、造船界の逆に技術的な向上であるとか、秩序であるとか、そういう面につきましても非常に効果が従来からございまして、そういう意味におきまして、この法案に対しては賛成の態度を表明してくれているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/46
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047・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 私、海運業界とは直接意見はどうかということを聞いてみたことではございませんけれども、私どもの海運側からこの法律に対しましては、遺憾ながらどうも外国の船主の発注に対して国内船主の発注がおくれるというのは経済力、資金力と申しますか、そういう点で事実でございますので、何とか日本海運の発展のために、国内船と輸出船の建造調整をはかっていただきたいというのが私どもの願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/47
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048・阿部憲一
○阿部憲一君 私、ただこの中でも懸念されるのは、結局当局がある程度干渉するといいましょうか、造船についてチェックするということが非常に公平に行なわれていれば問題ないと思いまするけれども、たとえば大手の企業をやはり重点を置いて、小さな造船所などは多少当局の行政指導と申しましょうか、この本法に基づく管理をする場合に、小さな造船所なんかに対しては不公平になりはしないかというふうなこともありはしないかということを実はあわせてお伺いしたかったんですが、その辺についてどういうふうにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/48
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049・内田守
○政府委員(内田守君) 御承知のとおりこの法案の特に対象となりますのは、外航船舶を建造するのが対象でございまして、輸出船と逆に競合しそれらを調整する度合いの強いのはむしろいまの御指摘の大手造船のほうでございます。もちろん中級造船所についても、最近は外航船舶を建造いたしておりますけれども、この建造の調整という面につきましては大手、中手ということについて特に差別があるということではございません。むしろもう一つの船質の確保という面から、この法律と並行にわれわれ従来からそういう中手の技術指導等を通じまして、質のいい船をつくらすという効果を持たせておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/49
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050・阿部憲一
○阿部憲一君 船舶局長に伺いますけれども、いただいた参考の表の中で、最近の手持ち工事量というので主要造船所三十六工場となっていますが、この輸出船が昨年の九月末でもって四百八十九隻、トン数でもって三千六百三十七万二千総グロストンとなっていますね。これは九月までですけれども、それ以後最近までこの数字はどのように変わっていますか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/50
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051・内田守
○政府委員(内田守君) まだ集計しきっておらないわけでございますけれども、いわゆる大手の九社だけのトータルでございますけれども、今年の二月末現在での手持ち工事量は四千四百五十九万トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/51
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052・阿部憲一
○阿部憲一君 まあ私、昨年の九月ごろを境として、それ以降というのはむしろ非常に受注が減っているというように聞いておりますが、この原因はやはりいまの為替の不安定だとか、あるいはまた物価騰貴などが大いに影響していると思いますけれども、この辺はどういうふうにお受けとめでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/52
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053・内田守
○政府委員(内田守君) 確かに今年に入りまして契約をしたという船はわりあい少なくなっております。しかし引き合いそのものは比較的旺盛でございまして、特に御承知のように、その引き合いと申しますか、そういう船が三、四年先納期のものでございますので、むしろ造船所サイドのほうがいま御指摘の建造コストの見積もりが困難であるとかというようなことから、受注をいま見合わせている。むしろいろいろな経済の見通しをここ数カ月見守って、それからその引き合いに応じようというのが一般的な状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/53
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054・阿部憲一
○阿部憲一君 ということは、受けるほうでもいまもう消極的な態度になっている、こういうようなわけでございますね。結局それは当然だと思いますけれども、このような時世におきましても、三年先、四年先と契約というものは確保しなければならないと思いますが、そのとき当然問題になってきますのは例の船価のスライドですね、スライド制を採用するということはおそらく相当造船会社もお考えだと思いますが、現実にそういうような交渉をしたり、あるいはスライド制をつけた契約というのができておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/54
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055・内田守
○政府委員(内田守君) 現在まではスライド制で契約した船はございません。ただ御指摘のように、こういうコストアップに対してスライド制を何とか採用したいということで造船各社もいろいろ検討しておりますし、その方法等はいろいろむずかしい問題もございますが、私どものほうといたしましても、そのスライド制の採用というのは非常にけっこうな話なんで、そういう方向でわれわれも一緒に勉強しているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/55
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056・阿部憲一
○阿部憲一君 最後にもう一つお伺いしたいのですが、いまの造船資金ですね、これは御承知のように開発銀行による財政資金でもってまかなっているのが非常に大きなウエートを占めておるわけでございますけれども、これは今後の問題としまして、やはりこのような資金でなくて、やはり民間金融を母体としたようないわゆる造船、海運のための金融機関というようなものをお設けになることについてのお考えがありますか。それとも、そのようなこと全然考えておられませんか。その辺についての当局の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/56
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057・薗村泰彦
○政府委員(薗村泰彦君) 先生お話のとおり、海運についてはかなり過去において開銀の融資額だけで一兆円をこえるような財政資金を投入してまいりました。私どもとしては、やはり今後ともこういった財政資金にたよっていきたいということでございまして、もちろん市中との協調融資にはなっております。したがって財政資金と結びついた市中ということはございますけれども、市中のみにたよるということはやはり不可能であろうと思います。また独自の金融機関と申しましても、なかなか船の返済基金だけで将来にわたって船舶の整備を続けていくための資金量を生み出すということは困難であろうと思いますので、私どもはやはり財政資金にたよって今後の船舶の整備計画を続けていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/57
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058・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認め、直ちに採決に入ります。
臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/58
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059・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/59
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060・宮崎正雄
○委員長(宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107213830X01419740404/60
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