1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月二十三日(火曜日)
午後一時十五分開会
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委員の異動
四月四日
辞任 補欠選任
寺下 岩蔵君 郡 祐一君
四月五日
辞任 補欠選任
郡 祐一君 寺下 岩蔵君
四月十日
辞任 補欠選任
高山 恒雄君 萩原幽香子君
四月十一日
辞任 補欠選任
寺下 岩蔵君 今 春聴君
四月十二日
辞任 補欠選任
萩原幽香子君 高山 恒雄君
四月二十二日
辞任 補欠選任
今 春聴君 寺下 岩蔵君
高山 恒雄君 藤井 恒男君
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出席者は左のとおり。
委員長 野々山一三君
理 事
大森 久司君
中村 禎二君
前川 旦君
委 員
寺下 岩蔵君
山内 一郎君
米田 正文君
沢田 政治君
田中 一君
二宮 文造君
春日 正一君
国務大臣
建 設 大 臣
国 務 大 臣
(近畿圏整備長
官)
(中部圏開発整
備長官)
(首都圏整備委
員会委員長) 亀岡 高夫君
政府委員
林野庁林政部長 平松甲子雄君
建設大臣官房長 高橋 弘篤君
建設省計画局長 大塩洋一郎君
建設省都市局長 吉田 泰夫君
建設省河川局長 松村 賢吉君
建設省道路局長 菊池 三男君
建設省住宅局長 沢田 光英君
事務局側
常任委員会専門
員 村田 育二君
説明員
建設省道路局路
政課長 新野喜一郎君
参考人
日本道路公団総
裁 前田 光嘉君
日本道路公団理
事 吉兼 三郎君
日本道路公団理
事 三野 定君
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本日の会議に付した案件
○建設事業並びに建設諸計画に関する調査
(建設行政の基本施策並びに建設省関係予算に
関する件)
○日本道路公団法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/0
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001・野々山一三
○委員長(野々山一三君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題とし、建設行政の基本施策並びに建設省関係予算について質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/1
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002・沢田政治
○沢田政治君 先般、亀岡大臣から四十九年度の建設行政における施策の所信表明があったわけでありますが、私は、例年のことでありますから、大臣がこういう所信を表明して、こういう表現を使ったから、その表現がどうとか、意味がどうとか、そういう応酬はしたくないと思います。いずれの年度においても、非常に文章では格調の高いことばを言っておりますので、問題は、具体的な行政が今日的な要請にこたえておるのかどうか、また、今日的な要請と矛盾があるのかどうか、こういう立場からきょうはお聞きしたいと、こういうように考えるわけであります。
まず第一に、私は、本四の三ルートにおけるあの架橋をどうするのかということであります。最近の経済情勢に基づいて、去年、起工式ですか、招待状を発して、総需要抑制という観点から一応中止しておるわけでありますが、その後、新聞等でもいろいろ報じられておりますが、一体これはどうするのかということであります。いろいろ新聞あるいは雑誌等で伝えられておりますし、その後の世論も非常にいろいろな角度から掘り下げて議論しておるやに私は見たり聞いたりしておるわけであります。一方、また、担当者である公団のほうで、一体どうなるのか、こういう先行きに対する不安といいますか、そういう行政の態度はいかにあるべきかと、こういうような不安も一部にはあるようであります。そういうことでありますから、価値観というものも最近は非常に変わってきておるわけであります。もとは何でも物を早く運べばいい、道路を多くつくればいい、物理的な利便、こういうものに大きな価値観の傾斜があったようでありますが、石油危機と、それに基づく最近のインフレ状況からいって、自然との調和、こういういろいろな角度からこれは議論に供されております。
以下、私の述べることは、決して私どもの党のサイドの問題ではありません。これは私の一個人の見解ということになるわけでありますが、やはり三本つくるという方向が決定されておるわけでありますが、その後の経済的な変化あるいは価値観の変化、こういう角度からいって、一たん決定したことなんだから、これは何でもかんでもやっちゃう、こういうことなのか、新たなる次元からこれを見詰め直すのか、この付近はいかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/2
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003・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 実は私といたしましては、この本四の三ルートの問題につきましては、この三ルートが決定されましたいろいろな経緯というものも十分検討をいたしました。また、東京にいて、いろいろいま仰せのような情勢の変転ということも承知をし、しかし、何といってもやはり四国の島民の方々、県民の方々の話も直接聞いてみる必要があるんじゃないかということで、四国にも行きまして、いろいろの方々の意見も聴取いたしました結果、私としては、既定方針どおり、三ルートの架橋は必要であるということを確認をいたし、ただ、御承知のような情勢でございますために、総需要の抑制という大方針のもとに着工の時期を見合わせておるという措置を実は講じさしていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/3
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004・沢田政治
○沢田政治君 具体的には、じゃ、どうなるのですか。目下この具体的な見通しがつかぬことは、これはわかりますが、三ルートのうち、今年度はどれ、来年度はどれと、これはある程度の展望がなければ、よしあしは別として、これに対する議論が、やっぱり価値観の変換という角度からいって、行政水準の平等という角度からいって、油の問題も含めて、自然景観を含めていろいろな議論が巻き起こっていることは事実でありますから、しかし、利益を受けるかどうか私はわかりませんが、少なくとも橋が三本かかるぞと、こういうやはり四国各県の県民の期待も相当なものがあると思います。そういうことでありますから、これは該地域の都市計画等にも影響があるだろうし、したがって、ある程度の見通しを持っておらなければ、いま総需要抑制だから一時ダウンだと、こういうことでありますが、とりあえずどこを先にやるのか、何年かかろうが財政事情が許す限り三本同時に着工するのか。優先的にここだけやって次はここ、ここと、財政が許せばこれは三本同時と、こういうことなのか、その付近はどうなるわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/4
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005・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘の点でございますが、それぞれ三橋とも地域的な特性もございまするし、また経済効果というような面があるわけでございます。したがいまして、全部が貫通しなければ何らの利益を発揮しないというようなやり方はとるべきではない。やはり一つの橋ができて、幾つかの橋がかかるわけでございますが、三橋とも幾つかの橋がかかるわけでございますが、その、橋ができることによって、いままで二つの島であったのが一つになるという利便等も考えられるわけでございますので、そのような地域の特性、経済効果等を考慮して着工する場合には着工していくべきであるという考え方を持っておるわけでございまして、したがいまして、Aルートにつきましては大鳴門橋、Bルートにつきましては南北備讃瀬戸大橋、Cルートにつきましては因島大橋及び大三島橋、この辺から着工をしていく準備を実は進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/5
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006・沢田政治
○沢田政治君 この点については、私見ですからこれ以上立ち入ったことを聞くのはどうかと思いますので、私なりの意見を持っていますが、これは個人的な意見じゃあまり失礼なので、これ以上触れません。
そこで、都市計画法の線引き、これが始まってから今年の六月で五年を迎えるわけでありますが、巷間、新聞等で伝えられるところによりますと、何か線引きの手直しをすると、こういう点が一部に報道されておるわけであります。したがって、私も、この線引き、都市計画法の法律制定の際に審議に参画した一人でありますが、市街化区域と市街化調整区域、また農業振興区域とか、ずっとこうなっておるわけでありますが、当初、政府が原案をつくる際には、私の記憶では、調整区域じゃない抑制区域ということで議論したことも記憶しております。したがって、本法の目的とするところは、無秩序な、何といいますか、虫食い状態のような都市形成ですね、スプロール防止と計画的な秩序ある都市の建設と、こういう点がこれは立法の目的であるわけでありますが、今日といえども、その目的は全然、何といいますか、要らぬと、こういうわけじゃない。これは当然秩序あるスプロール防止はしなくちゃならぬと、こういうことでありますが、大体この市街化区域の線引きの状況がどうなっているのか、その後、何市町村ぐらい線引きを完了しておるのか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/6
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007・吉田泰夫
○政府委員(吉田泰夫君) 市町村の数で言いますと、全国で線引き対象都市の数が八百六十七あるわけですが、そのうちの七百八十三、九一%は完了しておりまして、なお八十四残っておりますが、そのうち、昨年三月に線引き対象都市に新たに追加指定した都市が七十四ありまして、その相当部分がこの未線引きの中に入っているという状況でございまして、当初設定した線引き対象区域の九五%ぐらいはすでに達成しているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/7
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008・沢田政治
○沢田政治君 面積にして約百十六万ヘクタールですか、若干その後ふえておるようでありますが、調整区域が三百二万ヘクタールですか、もともとこの市街化区域の線引きをする際に、向こう十年の都市の構造といいますか、状況というものを判断してこれは線引きをされたわけですね。その際に、向こう十年ですから、ことしの六月で五年ですから、ことしの六月で五年になる間においても、最終的には地方自治体の長がこれ認定するわけでありますから、ものさしが同じだとしても、それぞれのばらつきがあることは事実であります。これは私も認めます。と同時に、また民間デベロッパーですね、宅建業者ですね。もう少し線引きを直してくれとかどうとかという業者サイドからいく一つの要請もあったことも私は承知しております。少なくとも行政で向こう十年間の都市構造を想定して線引きをすると、こういうことでありますから、五年をまだ満たないときにこの線引きをし直す、これはおかしいと思うのですよね。みずからをしてみずからが不明を恥じなくちゃならぬと思いますね。それと同時に、また行政サイドで線引きを直してくれと、あそこにも宅地造成をしたいと、こういう要請もありますので、私は、これをどういう意味、目的を持って線引きをし直すことにしても、やはり行政の権威というものは失墜すると思うのですね。やはり多くの国民から見ますならば、行政サイドからの要請によってこれが線引きし直されると、こういう懸念、疑問、疑惑、こういうものは当然起こってくると思いますね。また、ある地方自治体では、これ以上都市集中されて行政負担が重くなるのは、ともかくこれはたえられぬと、これ以上線引きし直すというのは、これは縮小することじゃない、拡大することであるから、これはもう地方自治体としても財政上たえられぬと、こういう自治体もあるやに私は理解しておるわけでありますから、前提として、私は、これを軽々に線引きし直すべきじゃないと思います。これは歴代の建設大臣もこういう場面に逢着したことは何回もありますが、これは断固はねつけておるわけですね、朝令暮改のようなことをやっちゃいかぬと。業者サイドの利益に奉仕したというか、都市計画法というものは大体業者サイドのものであると、それをきらったのかどうかわかりませんが、これを一つのタブーにしてやはり避けてきたと思うのですね。でありますから、亀岡大臣、これは新聞等によりますと、田中さんの日本列島改造論に軌を一にしておるかどうかわかりませんが、まあ田中総理と直結をしているあなたがあそらくこれは線引きし直すのじゃないかと、こういうような疑惑ね——これはあくまでも疑惑ですよ。私もほんとうにそう思っているわけじゃありませんが、これはやはり慎重を期してもらいたいと思うのですね。これはどうするつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/8
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009・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘のように、新都市計画法に基づいて線引きがなされたわけでございまして、各自治体並びに各県のなみなみならぬ協力によって初めてでき上がった市街化地域、調整地域、農業振興地域という措置でございます。これを法律の精神に反して、いろいろな都合だけによって線引きをし直すというようなことは、私は就任以来、非常に慎重に発言をし、考えてもいる次第でございまして、御指摘のとおり、民間デベロッパー等にそういう考え方をやれば、せっかく落ちついている地価問題にまた火をつけるということ等もございますために、私は、やはり法律の精神をそのまま行政の面で実行していかなければならないと、こういうことを申し上げてきておる次第でございます。
ただ、この際、やはりあの法律を見ますと、五年ごとに見直しと申しますか、何か自治体ごとに考え直す、見直してみるという法律の条項があるわけでございます。しかし、これにつきましては、建設省としては、積極的にこれを改善をするような方向で処置しなさいというようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/9
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010・沢田政治
○沢田政治君 軽軽にこれを少なくとも業者サイドの要請によって変更すべきじゃないと、こう言われておりますので、私はこの言を信ずるわけですが、ただ、考えられることは、最近は公団住宅をつくる場合に用地難から建設の度合いというものは非常にブレーキがかかってますね、宅地難からですね。これはたいへんだと思っています、私も。でありますから、これは最悪の場合、線引きにある程度の変更を加えなければならぬ客観的な必然性というか、必要性というか、こういう場合には、やはり公的な住宅を公が企画してつくる場合にはどうしてもそれにかわる代替地がない、だから、ここならここをちょっと線引き書きを直して、しかも、それは公共福祉に合致しているのだから、これは利潤追求のためじゃないという場合には変更というものもあり得ると思うのですね。これはやっぱり世論としても、なるほどこれはもうやむを得ないと、こういうことになると思いますが、そうでなくて、地価に対する思惑、また、デベロッパーの利害に関する思惑で、全く朝令暮改のように、何といいますか、線引きが変わるということになると、この法律の持つ意味というもの、権威というもの、これは非常に失墜すると思うのですね。でありますから、私は、全部この線引きというものは十年間たたなければ、未来永劫——十年間ですから未来永劫じゃありませんが、絶対動かしちゃいかぬという主張じゃないんですよ。そういう公が計画をし公的な住宅をつくる場合には、やはり公的にまた都市機能というものをもっと充実さしたいという場合に限りある程度の計画変更というものがあり得ると、こういう最小限度の歯どめというものと限度というものを持ってほしいものだと思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/10
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011・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) たいへん示唆に富んだ、私も申し上げたいと思っておった気持ちを御指摘いただいたわけでございます。特にこの三大都市圏という特別の地域におきましては、御承知のように、勤労者の住宅問題というものが非常に難関に逢着をしてきておる。この問題を片づけますために、何といっても土地問題が基本であることは申すまでもございません。そういう際には、どうしても、ただいま御指摘ありましたような公的な面の場合には、特別のケースとして調整地域を市街化地域に編入することも、都市計画の変更によって編入することもあり得るということは当然であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/11
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012・沢田政治
○沢田政治君 次に、今年の予算ですべての総需要抑制と物価安定と、これ以上インフレを高進させないと、そういう具体的な政策がすみずみまで行なわれたとは私は考えませんが、そういう目標で進んだことは、これは認めてもいいんじゃないかと思います。これは建設省の予算の中でも、若干これは繰り延べ等を考えますと、はたして掛け値どおり総需要抑制に一〇〇%予算機能というものを発揮したのかどうかという問題については若干の議論が残りますが、大筋において、そういう意欲というものはこれは認めるにやぶさかじゃないわけです。
そこで、私、非常に奇異に考えるのは、官庁営繕ですね。官庁営繕もある程度セーブしたと、こういう努力のあとは見受けられますが、ただ筑波学園ですね、この予算は前年比相当膨張をしておるわけですね。たとえば昭和四十八年度の予算においては、筑波学園の関係予算が六百七十四億円に対して、四十九年の今年度は千六十八億円。この伸びというものは約五八%くらいに増額されておると思うのであります。同時にまた、国庫債務負担行為として三百億円がこれは出されておるわけです。これは総需要抑制でありますから、やっぱり先憂後楽で、少なくともこの官庁営繕というものは、これはやっぱり政府自身の総需要抑制の姿勢の最先端をいくものだと思うのですね。だから、まずみずからの官庁営繕はこれはセーブするというのが当然のことだと思います。そういう観点からいくと、何か、この目的と具体的な施策というものがどうも奇異に感ずると、こういう感じを私はいなめないわけであります。そういう感じを受けるわけであります。
もちろん、私は、筑波学園でも——筑波大学には私ども反対でありますが、しかし、実際にそこに入試を受けようという方もおるし、もう入試を受けておる方もあるし、そういう事実ができた以上は、それを全部削っちゃえということは言えませんね。それとまた、好むと好まざるとにかかわらず、公務員も相当移動する、そういう場合に、宿舎がない、こういうことでも、よしあしは別として、これは困ると思います。そういうものに対するある程度の増額はやむを得ないと思いますが、たくさんありますね、何だか研究機関とか、何を研究しているのかわかりませんが、私は、あまりこの効果は認めておりませんが、これは将来効果が出てくるかもわかりませんが、こういうものはやはり大幅に、これは廃止ということは言いませんよ。やはりさっき言った政府みずからが総需要抑制というこの大目標を掲げている以上は、先憂後楽というたてまえからいっても、ある程度これをセーブすべきじゃなかったかという感じを持つわけであります。私のそういう観点からいくと、どうもこれはもう先憂後楽は、この面に関する限りは、実際的な行政としてはなされておらぬと、こういう感じを受けるわけでありますが、これは大臣の答弁でなくてもいいから、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/12
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013・高橋弘篤
○政府委員(高橋弘篤君) 先生の御趣旨、私もごもっともであると思います。官庁営繕はこういうときにはいち早くやっぱり控えて、そうしてその他の重点事項に予算を注ぎ込むということがほんとうだろうと思います。したがいまして、先生も御承知のように、一般の官庁営繕事業につきましては、大体前年度の八割、しかも、中央官庁のような大規模なものは一切予算計上しないということになっておる次第でございます。
ただ、御指摘の筑波学園のことしの営繕事業につきましては、先生のおそらくいまの御指摘の数字は、ちょっと私ども持ちませんが、全体のかと思います。建設省の関係している予算だけにつきまして申し上げますと、全体計画で千五百億、これは去年の単価によるものでございます。四十七年までの施行済み額が三十億、四十八年度予算額が百八十九億、それから四十九年度予算が三百二十一億ということになっておりまして、合計しますと五百四十億になるわけでございまして、最初の全体計画から言いますと非常に少ないものでございます。したがいまして、確かに四十九年度は四十八年度よりも多少はふえてはおりますけれども、当初予算、御承知のように、五十年度末にはこれは概成するということになっておる次第でございます。
この四十九年の予算のつき方を見ますと、私どもは、これはそういうようなかっこうにはついてない、したがって、非常に抑制された、押えられて計上されているというふうに考えておる次第でございまして、そういうような予算的な措置でございますが、同時に、一般官庁営繕と違いまして、この筑波学園都市計画というものは、御承知のように、首都圏の、特に東京におきますところの過密を解消して、そうしてあと地を有効に利用していこうというような、単に役所の施設営繕ということ以外に、そういうようないろんな目的がある次第でございます。そこのところも御理解いただきまして、仕事の性質上、全くこれでそれじゃ中止するとかということは、なかなかこれはむずがしい問題で、一つの大きな目的もございますから、先生のおっしゃったように、現在におきましては、相当抑制をしながら、予算計上も差し控えながら、やはり当初の目的を遂行していくということが必要であろうかと思います。ただ、先生のおっしゃったような趣旨に従いまして、四十九年度予算も、先ほど申し上げましたように、五十年概成というのもなかなかこれは実はむずかしいような予算の計上のしかたでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/13
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014・沢田政治
○沢田政治君 昭和五十年度末に完成という大前提の目的かあったとしても——それはわかりますよ。それと行政目的ですね、やはり都市の過密状態を幾分でも緩和するという一つの行政目的があるという目的もわかります。目的の手段方法がいいかどうかまで入りませんが、そういう行政目的があることもわかりますが、しかし、五十年度末まで解決しなくちゃならぬから予算をつけなくちゃならぬということは、これは理屈としては通るとしても、これはやっぱり何というか、そういう一面のみがこれは正論ではないと思うのですね。これは、住宅問題にあとに入りますが、第二期住宅五カ年計画は、はたして計画どおりいくかどうか。国全体の行政が大きな経済変動によって重大な段階に乗り上げておるんでありますから、行政としては何が先かというやはり優先順位というものは、時代の要請と世論によって相当出たり入ったりすることはこの際やむを得ないと思いますね。そういうことでありますから、特にこの一般官庁営繕は、もしいまのインフレがこのままの進行速度でいくか、多少鈍化したとしてもさらに総需要抑制しなくちゃならぬという場合には、やはり行政の態度としては、さっき言った先憂後楽という関係から、みずからが国民に対し呼びかけているんだから、みずからがこれは不便をしのぐというようなやっぱり態度がなければならぬと思いますよ。ことしのこの予算をひっくり返せといったって、これはできないでしょうが、やはり国民は敏感に見ていますからね、こういうところを。でありますから、大臣、やはり行政態度としてはみずからが締めるものを締めて国民に協力を求める、きわめてこれは抽象的ですが、そういう姿勢が非常に重要だと思うのですね、国民に呼びかける以上は。そういうことだから、来年度の予算においては十分そういう点を配慮に入れるべきだと、こういうように考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/14
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015・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 気持ちとしては御指摘のとおりであると私も考えます。したがいまして、四十九年度予算を編成をいたします際にも、実は官房長から申し上げましたように、非常に要求の強い部門であったわけでございます。しかし、総需要の抑制ということで、ほかの予算項目から見ますと非常に抑制のしかたが少なかったじゃないかという御指摘でございますが、当初要求の度合いというものから見ました際には、私どもとしても、精一ぱいの抑制をやったと、こう思っておるわけでございますけれども、しかし、やはりこの姿勢というもの、抑制はあくまでも強力に実行していかなければならないということで、国会で御承認をいただいた予算の中でも、この予算の執行に当たってはきびしい抑制を加えようということで先般の閣議決定もいたしたような次第でございますので、建設省といたしましても、これを今後経済情勢の安定の度合いに従って、この予算執行を御指摘のような線に沿うようにできないものかどうかということを事務担当のほうに検討をやらせたいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/15
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016・沢田政治
○沢田政治君 次に、第二期の住宅政策ですね、五カ年計画ですね。沢田さん、これはどうですか、当初掲げたように、計画どおり完成できますか。たいへんこれは難儀な段階に差しかかっていると思います。その事情というのはよくわかりますが、一体、これは計画はこうであったけれどもできなかったということで済むのかどうか、これをやっぱり再検討する必要があるのかどうか。大体、現在の趨勢はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/16
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017・沢田光英
○政府委員(沢田光英君) 御指摘のように、住宅の問題は非常に重大な局面に遭遇しております。五カ年計画の進捗状況は、四十九年度の予算まで入れまして、総体の九百六十万戸、そのうち四割は公的、こういうふうな中で、全体につきましては七九%前後というのが現在四十九年度を含めました進捗状況でございます。これを第一期の同じ四年目に比べてみますと、前のときには七六・四%でございました。これはこの数字からだけ申し上げますと、建った度合いというものは第一期よりも進んでおるというふうに見えますけれども、実はその中身が非常に問題でございまして、この九百五十万戸の中の公的なもの、民間のもの、この二つの分野についてみますと、民間のものがかなり第一期よりも進んでおります。第一期が四年目までに七九%でございますのに、今回は四年目で八七%ということでございます。これは四十七年ごろの金融緩和等も大いに響いているわけでございますが、民間はかなり伸びておった。しかし、公的はどうかと申しますと、第一期のときには、現在まで七二・四%でございましたものが、今回の四年目までの計画まで入れまして七六%前後というところに来るのではないか、こういうふうに考えております。
すなわち、そこでかなりのダウンをしておる、これが問題でございます。一体これで計画は達成できるかどうかということでございますが、これはこういうふうになった原因が何かということに関係があろうかと思います。こういうふうに落ち込んでおりますものは、全国的に見まして、大都市を含めました大都市周辺、これは特に三大都市でございますが、そこで、公的住宅、公営住宅、公団住宅が大幅に進みが悪くなっておったというのが現状でございます。こういうふうになりましたのは、四十六年度までは、実は第一年目は順調に経由したのでございますが、第二年目の四十七年度からは、いわゆる下ものに関連いたします土地の値上がり、あるいは団地お断わり、そういうふうなものが出てまいりまして、四十七、四十八とこれが落ちております。ただし、四十七年度よりは四十八年度のほうがややかま首をもたげております。四十七年度が最悪だったと思います。ただ、四十八年度の後半に至りましてまた石油ショックがございまして、下ものだけではなしに、上ものの建築費の問題もある、そういうことで非常にむずかしい問題がありますが、基本的にはやはり下ものの問題が非常に大きゅうございまして、いわゆる地価問題あるいは土地の大量供給問題、こういう基本的な制度というふうなものを確立をいたしまして対処しなければならぬ問題もございますが、緊急のそれでは間に合いませんで、緊急の対策といたしましても、各種の要素を四十九年度の予算に盛り込みまして、このおくれた分を三大都市圏の大都市圏で取り返そうというふうな意気込みでやっております。しかし、なかなかむずかしい問題でございますが、私どもは、第一期と比べまして、おくれの程度を考えますと、まだまだ私どもは望みを十分託しまして、今回の施策に十分打ち込みたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/17
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018・沢田政治
○沢田政治君 いま言われましたように、もう四十八年度の建設計画と四十九年度の建設計画は、これは公営住宅はもちろんのこと、公庫住宅、さらに公団住宅ですね。これはたいへんな激減ですね。激減ということばはいいかどうかわかりませんが、比較しますと、非常にこれは減っていますね。それで、これは何といっても計画どおり実施するように努力願いたいと思うんです。
そこで、私、どうも解しかねるのは、第二期住宅建設五カ年計画の総戸数ですね、九百五十万戸ですか、この中の民間の占める率ですね、計画の中のまた計画で、五百七十万戸がこれは民間の自力建設する住宅でしょう。なぜ、この何というか、第二期でも——これは第三期は絶対民間を入れちゃいかぬと思いますよ。民間は政府の指導によって、政府の要請によって家をつくってるんじゃないんですよ、自分が必要だから個人の住宅をつくったり、また、この木賃アパートつくる人は、もうかるからやっているだけの問題だと思いますね。行政というものはこの面まで手を伸べてないんですよ。それをあたかも五カ年間に九百五十万戸政府が家をつくるんだというような錯覚を起こしているわけだよ、みんなはね。これはやっぱり不当広告取り締まりの法律あるけれども、これは中身がなくて、戸数だけばあっと出して、こういう行政実績がありますって、これは不当公示ですよ、これは。そうでしょう。みずからが責任をもってみずからが計画したものはこれだけだということを出すべきであって、行政が全然手を加えぬものをこれがおれの計画ですなんだって、これはちょっと不当広告に類すると思いますね。そうでしょう。民間住宅に対してどういう行政をしていますか。それは住宅金融公庫とか、幾らか融資はありますが、それ以外の行政というものは何もないでしょう。民間が自力で建てているわけですよ、これはね。でありますから、さっき言ったように、これは公営住宅が落ち込んでいるけれども民間のほうが非常に調子がいいなんて、あたかも沢田さんが自分の努力のようなことを言っていますが、わかっている人が言ったら、そらぞらしいですよ。何も何戸建てたじゃない、政府の努力によってどれだけ住宅を公的にやっているかというのが政府に対する評価なわけだ。でありますから、これは第三期においては分けべきだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/18
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019・沢田光英
○政府委員(沢田光英君) 五カ年計画は、住宅建設計画法、これに基づきましてつくっております。その法律の中で、やはり国全体で一体どういうふうに住宅を建てていくか、供給していくか、こういう計画をつくることになっております。その中で、もちろんやり方といたしますれば、みずからの負担で適正な水準をもてる方は御自分で建てる、それができない方には公共の援助の手を差し伸べる、こう二つの部分がございまして、それぞれについて地域ごとの建築費あるいはその地域に分布する人々の所得、負担能力、こういうものを勘案して組み合わせまして、その結果、みずから自力でできるものは何割あるいは公共のものは何割、こういうことを積み上げまして全体の戸数が出ているわけでございます。それが九百五十万のうち四割が全体的には公共の何らかの援助が要る、それから六割はおおむねそういうものがなしに水準が確保できる、こういうことでございまして、おっしゃいますように、私どもが一番大きな仕事としてやっておりますのは政府の公的施策によります住宅供給でございまして、それが進まないということはたいへんな問題でございますが、しかし、民間のほうも、やはりみずからの力によってみずからのいい水準の住宅を建てるというふうなことも大事なことでございます。したがいまして、計画の中には二つの部面がございますけれども、しかし、私どもが政策的に重点を置いてやっておりますのは、もちろん公共的なものでございます。さらに民間につきましても、税制とか、あるいは金融、住宅ローンの総ワクを広げるとか、あるいは金利を押えるとか、そういうふうなことを大蔵省とともにやっております。そういうことはどこに響くかといいますと、住宅の水準に響くわけでございまして、何にもいたしませんと、民間の住宅でも水準が落ちてくるということになります。そういうところに関しましては、いささかの政策はやっておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、重点は公営、公団、ことに公営住宅等を中心といたします政策の完全遂行ということにあることは論を待たないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/19
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020・沢田政治
○沢田政治君 この統計のとり方も非常にむずかしいと思いますが、いま日本に、世帯数にして、住宅難と言いますか、住宅を渇望している人ですね。公的な住宅に入っている方は別として、これは民間に入っておるから住宅が満ち足りているということじゃないんです、これ。どっかに入らざるを得ないから入っているわけです。そういう意味で、住宅難と称される世帯数は一体どれだけありますか。一千万戸とか、一千二百万戸とか、いろいろな数字を見ることがありますが、政府自体では、どれだけの住宅——一人一部屋かどうかは別としても、その問題はまた議論があるとしても、住宅難世帯というものはどれだけあるというように把握していますか、いま現在で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/20
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021・沢田光英
○政府委員(沢田光英君) 住宅難世帯、住宅困窮世帯、私ども、二つ言い分けておりますけれども、自分で住宅に困っておるという意識を持っている方々は、半数以上あるように意識調査で出ております。私どもが客観的に住宅難の世帯と申しますのは、いわゆる小世帯で九畳、普通世帯で十二畳以上、こういうふうな基準以下の世帯。家にいたしますれば、三十平米以下のような家に住んでおるというものを住宅難世帯としている。それで五カ年計画の計画のもとにして住宅難世帯をはじいておるわけでございまして、それが始まります五カ年計画の出発の四十六年度時点におきましては、おおむね三百万世帯の住宅難世帯があるということでございまして、それが逐年減っております。現在では二百万に近づいておるというのが現実だと思います。動いておりますので、正確な数字はわかりませんが、二百万程度ということが現在の状態だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/21
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022・沢田政治
○沢田政治君 住宅難と住宅困窮と分けているようですが、小世帯の場合は九畳ですか、大世帯の場合は十二畳と、こういうように分けているのですが、これは理解が浅いと思いますね、私は。これは狭い広い、文化的でないという一つのものさしもわかりますよ。それで困窮か、難か分けることも、意味としてわかりますよ。しからば、これは十三畳とか、小世帯で十二畳に住んでおっても、これは住宅難、住宅困窮から解放されたかといえば、そうじゃないんですよ。問題は、どれだけ住宅というものに対して負担が大きいかと、生活に占める度合いが大きいかという一つのものさしもなければ、ほんとうの意味の私はやっぱり住宅政策とは言えないというように考えますね。そこで、私は、やはり民間の自力建設まであたかも政府が計画して政府が努力したようにするのは、これは不当公示じゃないかと言ったのは、民間の家賃については野放しなんですよ。これはもう一家総動員で、広いところへ住んでいる人もあるかもわかりません。こういう人は一日も早く公的な住宅を渇望しているわけですよ。それを畳数だけで、難とか、困窮とかはかることは、やはり住宅政策の琴線に触れておらぬと私は思います。そうでしょう。これは役人的な発想で、畳数とか、戸数とか、そういって統計的にはそれはけっこうだと思いますが、住宅政策というものは、そうじゃないと思います。衣食住でありますから、生活の三大要素、生存の三大要素ですから、野原に寝ておるわけにはまいりませんから、毛皮を着ているけものじゃありませんからね。でありますから、経済負担も考えて、やはりどれだけの人が住宅困窮であり、住宅難であるかということをもう一回把握し直すべきだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/22
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023・沢田光英
○政府委員(沢田光英君) 私が申し上げましたのは、いわゆる住宅難世帯がどのくらいあるかということでございまして、物理的では現在で二百万ぐらいあるであろう。計画時点におきますれば、四十三年の住調によりまして計画を始めまして、そして四十六年からの分を取っておるわけでございますが、この物理的に困っておる人、その時点では、四十三年では三百六十万ぐらいございました。この人たちをどう処理するかというときには、この人たちの所得の階層分布を見ております。そして、この人たちの中でも、わずかな人たちは自力でできるでしょう。それから少し下がったところの方々はやはり住宅金融あるいは公庫、そういうふうなもので、あるいは公団で処理できるかもしれない。一番所得分布の低い、一、二分位につきましては公営住宅、こういうもので処理しなきゃいけない。かようなことで政策の筋を立てまして、五カ年計画の中に政府の施策の住宅はどういう種類のものを幾ら建てるかということをきわめたわけでございます。仰せのとおり、負担の問題をよく考えなきゃいけない。ただ、九畳、十二畳以上にも問題がございまして、やはり収入、所得が少しずつでも上がってまいりますれば、皆さんのいわゆる住に対する願望というものは上がってまいります。したがいまして、次の五カ年計画におきましては、この九畳、十二畳でいいのか、もっといい水準をねらうべきだというふうに私は思いますが、そういうふうに水準が移動しております。今回の五カ年計画では九畳、十二畳というものをとりまして、負担とかね合わせて政策をきめていったということでございます。具体に住宅難の一番大きな現象は大都市地域におきます木賃住宅にあらわされておると思います。これがやはり二百万以上ございます。もちろん単身者が住んでもおりますが、しかし、そういうものの存在が住宅難のまさにあらわれた一番の面だと。私どもは、こういうものをいかになくすために公共的な施策を打っていくかということが、いまから、あるいは今後の大きな筋だというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/23
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024・沢田政治
○沢田政治君 低所得者に対する住宅政策の解決の抜本的な方策は、これは低所得者ですから、自力建設を望めない人ですから、まずその解決策は公的な住宅を充実していくと、これが大目的ですね。第一のとるべき手段です。しかし、それは一気にできないわけですから、そうなるならば、低所得者で公的な住宅にも恵まれぬと、しかも、相当家計費の占める負担が大きいと、これのめんどうを見ていくというものは、それを含めて私は住宅政策だと思いますね。その公的な住宅の線から漏れた人は、これは国の行政の及ぶところじゃないということで放置するならば、ほんとうの意味の住宅政策じゃないという私は気がしてならぬわけですよ。その漏れてる人はたいへんあるわけですね。私も選挙される身でありますから、何も宅建業者を知っているわけじゃありませんが、いなかからぽっと出て、ここで就職して結婚したと、東京の地図かわからぬからと——この町の宅建業者は何か前に紙を張ってますね、貸し家がありますなんて。思わざる私も小使い役を引き受けることがありますが、ほとんど売り手市場、貸し手市場ですね。しかも、あそこに行くと、どこでも二十戸ぐらいの貸し家が準備されておるように掲示はされてますな、掲示。ところが、あれはおとりなんですよね。店の景気をつけるためにこれだけ商品がありますよと張ってあるだけで、中身は一つもないところもあるわけだ。いや、これは売れましたとか、きのう売れましたとか、おととい売れましたとかで、これは条件が合わないから、こう言っているかもわかりませんが、そういう状況。しかも、そこに入ったとしても、これは全部の業者、全部の家主と言うわけじゃないですが、毎年、市街化区域の固定資産評価が上がったとか下がったとか、どうとかこうとかいって、税金に比例して上げてもらわなきゃ困る、上げなければ次は更改をしないと、こういうことでどんどん値上げされているんですよ、無制限に。いまこれを取り締まる法律がないわけです。昭和二十五年以前に建てた住宅であるならば、家賃地代統制令、借地借家法の適用になるわけでありますが、それ以後建設をされたものはやはり民法上の私契約でありますから、どうでもこれはできるわけです。したがって、公的な住宅に入っておられる方はまだしあわせな部類だと思います、私は。それに入っておられない民間の木賃アパート等に入っている方は、これは踏んだりけったりだと思うんです。これの救済なくては住宅政策とは言えないと思うんですよ。ただ建てるばかりじゃなくて、現に困っておる者を、公的な住宅は建てられないけれども、法律的に行政的にどう保護するかということでありますから、どうですか、これに対する救済策はありませんか。これは目に余るものがあると思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/24
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025・沢田光英
○政府委員(沢田光英君) 仰せのとおり、住宅行政の目的は適正な水準の住宅に適正な負担でお入りになれるような状態を現出するということでございます。一番下の階層について言いますれば、公営住宅なり公団住宅なり、それが十分間に合うように供給されるということが理想でございます。それが先ほど来の御議論のように、建物を供給するということ自体に大きなネックが出てきております。そういうネックが反映いたしまして木賃住宅が減らない、こういう現象がございます。一番大きく見ますと、この四十八年におきます住宅統計調査の結果、これが出てきておりますが、世帯の数を住宅数が上回っておりますから、大都市地域においては木賃がそういうものに加わって上回っておるという状態でございます。こういうものが実は大きな問題でございますが、やはり木賃あたりを目ざしますには、木賃がある間はその中にどんどん入ってまいりますから、こういうものは都市計画的にも都市環境的にも、住宅政策上もよろしくないから、これをいいものに変えていくということが一番大事なことだろうと思います。木賃は都市の中にございまして、いわゆる低所得者には便利な位置にございます。郊外の団地から通えないような方々が入るわけでございます。そういう意味で、私どもは、やはり都市改造にもつながるという意味で、心なしに都市の中に公共住宅を供給する一つの方策といたしまして、基本は再開発でございますが、それのもっと簡便なもの、空き地がありますれば公共住宅を建てて、そこに木賃の人を収容して木賃をこわしていく。こういうふうな話が本来の筋だと思います。しかし、いま現に困っておる者にどうするかという問題も現実にございます。これにつきましては、いわゆる家賃補助の思想とか、こういうものがございまして、審議会にいま諮問をいたしまして、この夏ぐらいまでには中間報告が出てくる。そういうことによって住宅政策の点検ということをやっておりますが、その辺の問題につきましても、悪い住宅に住んでおるということが問題として残りますので、やはり最初の議論のように、いい住宅を供給して悪い住宅をなくしていく、町をよくしていくということが基本にあろうと思います。しかし、基本的には、先ほど申しましたギャップを埋める政策、負担力に合うように埋める政策というものが今後審議会の答申を得まして、私ども制度の中に組み入れていくべき方向だというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/25
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026・沢田政治
○沢田政治君 最近公的な住宅も量から質と、全面的に量から質に転換できないですね、絶対戸数が少ないわけで。あわせて質の面も考慮していこうという姿勢に最近ややなってきたわけで、これは喜ばしいことだと思いますが、ただ、木賃に関する限りは、これは全然質の向上じゃない、粗製乱造ですね。入れて早く家賃を取る、やっぱり採算を早くとりたい、減価償却を早くやりたい、これは民間はなりわいとしてやっているんだから、そういう傾向にいくのは悪いと言ったってそういう方向にいくわけですから、大体都市近傍の分譲じゃない賃貸住宅を見ても、そういう傾向は非常に強くなっていますですね。ただ、大きいマンションつくるとか一戸建てをつくるならば、隣にまた別の所有者がおるならば、日照権というブレーキがかかるから、そう密集したスラムの再生産はできないわけですが、ある一定規模のところに一ヘクタールなら一ヘクタールを一つの業者が持っておって家をつくる場合は、これはだれも支障ないわけだ、文句言うやつはないからね、自分の建物に自分の賃貸住宅を建てるんだから。しかし、とても消防自動車なんかもぐれるようなところじゃありませんですよね、全く軒と軒が連なっているような状況を呈しておるわけですね。でありますから、私は、この住宅政策に民間の自力建設を含めて計画しておる、あたかも政府がやったようにしておるということは、これはやっぱり看板に偽りありと言ったのは、家賃に差別があることに、もう一つやはり住環境も悪いんですよ。これに対してチェックできない。そういうことで六〇%も民間の気ままに建設されながらこれを計画に入れるということは、行政の手の届いておらぬものを計画に入れるのは、これはいかぬと、こういう感を一そう深くするわけですね。でありますから、やはり将来住環境を言うならば、民間がやるのはしようがなくて、これは公的なほうだけは質の向上をさせるということじゃなく、やはり建築基準法等も考えて、やはり民間で自立する賃貸アパートとか、そういうものも住環境を質量、特に質をよくしていくようにこれは当然指導していく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/26
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027・沢田光英
○政府委員(沢田光英君) 住宅の問題は、あらゆる社会的な条件がずっと積み上げられまして初めていい状態になるというふうなことだと思います。仰せのように、日照の問題一つとりましても、木賃住宅ではおそらく日の当たるところは少ない。この点に関しましては、日照問題の激化に伴いまして、現在基準法の改正、日照基準を制定する問題を出しております。さらには日照だけではございませんで、都市環境の問題だと思います。これは緑の問題から各種の公共施設の問題まで含めまして、いい町の中にいい住宅がなきゃいけないというふうなかっこうで住宅が供給されなきゃいけないということは、もう論を待たないことでございまして、そういう際に、仰せの木賃住宅というものはほんとうに悪い状態だと思います、負担からいいましても、環境からいいましても。しかし、仰せのように、ちょっとこの木賃住宅を供給している方々は、どちらかというと、大企業ではございませんで、庭先を利用してそこに建てておるという、いわゆる市民一般とあまり違わない方々がやっておるような状態でございまして、したがって、土地の値段も家賃にあまりはね返していないということで、それと質の悪いということで手ごろな家賃にしておるというのが現状でございます。それだけに非常に根強いことでございまして、町づくりの中におきまして大きな問題でございます。当然将来の再開発につながるわけでございますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、都会のあいたところに公共住宅を建てて、そして木賃を買い取っていく、そしてこれに補助金なり何なりをつけていくという制度を四十九年度から生み出しまして、さらに発展いたしますれば再開発につながるということでございます。また、片や、土地を持っておる方が賃貸住宅をやる場合には、銀行金利に対して公庫金利程度まで金利を下げてくる利子補給をするという制度も私ども昨年から持っております。こういうものがまだまだ始まったばかりでございまして、十分にはいきませんが、こういう方向を延長して一つ一つ小さな地主さんの木賃建設というものをいい方向に導いていくということが大切なことだろうと思います。最終的には再開発でございますが、そういうふうな小さな地主でございますので、そういう手法に沿って、私どもは、いい町の中にいい住宅があるようにというふうに考えておる次第でございます。土地持ちの賃貸住宅の利子補給につきましては、したがいまして、援助をしますので、家賃もある程度適正なものに押えるというふうな方向で本年度からぼつぼつ計画が出始めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/27
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028・沢田政治
○沢田政治君 この問題だけで長くかかっているわけにはいきませんが、結論として、いままで当委員会で問題になりましたのは、やはり公的な住宅の家賃の問題がたくさん議論されています。が、しかしながら、一方同じ住宅困窮者であり、住宅難世帯でありながら、同じ国民でありながら、同じ平等な行政を受けべき資格のある人が民間に入っておるために発言の機会もない、不満というものの解消方法もない、こういうのはやはり住宅政策としては欠陥があると思いますね。そういうことでありますから、昭和二十五年以後につくった民間住宅であっても、やはり家賃というものの指標というものをやはり何らか考える必要があるんじゃないかと思います、これは民間の場合でもですね。少なくとも公的な資金を利用してつくる場合には、これは全く自力になったものまでやってもらいたいわけだけれども、やっぱり公的な資金をある程度、融資なり金融を受けてやる場合には、一つのめどをつくる必要があるんじゃないかと私は考えますね。これはむずかしい問題ですよ。となると、一方においては家賃を押えると建設欲がこれは減退してくるんで、非常にハムレット、両刃の剣になるんで、私はそういうことも知っております。知っておるけれども、公的に入る人だけある程度恩典に浴する、そうでないものは行政に漏れたものはこれは全然どっちでもいい、これは民間の契約だということにはならぬと思います。根本的には家賃地代統制令に全部適用させろ、私は、こう言いたいわけだけれども、私の主張はそうですよ。だけれども、そこまでいかぬ、もう少しもう一歩下がった実効ある方法はすべからく講じてほしいと思いますね。それと公的な住宅の場合でも、非常に縦割り行政で、建設省内部でもこれは縦割り行政になっているわけですね。道路は道路、川は川、公園は公園とばらばらじゃいけません。家はできたけれども水道が来ないなんていうところがあるでしょう。そういう団地ありましたね、公団住宅で。これはまさに縦割り行政、官庁内の縦割り行政の一人歩きの大欠陥ですね。こういうものはやっぱり総合的に、住宅でも河川でも、道路でも公園でも一セットして横の調整をとるということが私は必要だと思いますね。私は、具体的な個所をあげてこれは指摘すればいいわけですが、そこまでこまかく言ってもこれはしようがありませんが、大臣、そういう点は考えなければいけませんね。住宅は住宅、道路は道路、水道のほうは水道ということじゃいけませんよ。ああいう恥かしい状態を現出させないように、横の連係をとるような官庁内の機構というものを、運営というものを考えてほしいと思います。これに対する大臣の見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/28
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029・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) もう仰せのとおりでございます。私自身、その点身をもって感じておる次第でございまして、同じ建設省の中におりながら、道路と住宅の面の横の連係、連絡というものが非常に十分でないという面を私自身も就任以来何回か体験をいたしているわけであります。住民運動等が起きておる個所なんかはやはりそういう面で反省しなければならぬ点が多々あるわけでございまして、その点につきましては、実は建設省におきましても、一つの住宅団地の建設が公団なり何なりによって、各自治体によって行なわれるということが連絡されてきた場合には、やはり担当課長なり担当局長なりが一歩高い立場に立って、その申請書を見て判こを押すときは、自分が体験してきたいろいろな行政体験をその上に生かすような、そうして判断をして判こを押せ、こういうことをやかましく実は言っているわけであります。そのために幹部になる方々はいろいろなポストを経験するわけでありますから、そういうことができるようにということで人事等の異動等も実は行なわれておるわけであるはずなのに、案外そのポストについちゃうと、もういままで自分が体験したこと全部忘れちゃったような判この押し方をするということは、これはもう公務員としてかたわだ、こう言っても差しつかえないわけでございますので、そういう点につきましては、就任以来、横の連絡をよくとるようにということをやかましく実は要請をしてきておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/29
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030・沢田政治
○沢田政治君 大臣の所信に対する質問、これで終わりますが、もう一つだけ最後にお聞きしておきたいのは、公的な住宅も非常に憂慮すべき段階にあると、これは土地の入手難、地価の高騰、さらには建設資材の高騰、非常に悪条件が周囲に満ちておるわけです。そういう事情はわかりますが、住宅ということになると一何といっても、その主たる建設資材は木材なわけですね、日本の住宅の場合は。
そこで、木材は、これは卸売り価格は若干低下していますね。ところが、実際の小売り値段というのは、高値安定のような——若干下がって、微減しておりますが、高値安定的な要素を示しておると。そこで、問題なのは——問題というか、多くの国民が疑問に思っておるのは、国には国有林野があるわけですね。これは昭和三十五年以来赤字続きでした。しかし、昭和二十二年から三十五年までは、これは黒字であったわけです。赤字、黒字をここで私はクローズアップさせるつもりはありませんが、需給状況の急変によって、これは商社の投機もあったわけですが、たいへん木材価格が去年の十二月をピークにして値上がりしたと、それで昭和四十八年度の国有林の黒字が六百十三億円になったと、だろうと、こう言われていますね。
そこで、これは林野には独立採算という制度があって、林野も苦労していると思います。いままでの赤字もあったし、かてて加えて今度は人件費が高騰するわけですから、はたしてこの黒字の六百十三億円がいつまで維持できるかという一つの問題もあります。ありますが、ただ、素朴な国民から考えるならば、国が国有林というものを一方においてやっておると、しかも、売る値段というのは、これは無理なわけですけれども、価格の鎮静といいますか、少なくとも騰貴をあおるというものに水をぶっかけるぐらいの作用ぐらいはしてもいいじゃないかと、国がやっている事業でありますから。それをもう時価の趨勢につれてごぼっと六百十三億円もこれはもうかったと、いま現在で見ればですね。これは民間会社であるならば、これは超過利得税の対象になるわけですね。だけれども、これは国の事業であるから超過利得税も取られぬと。もう少し行政的に、何らかの面で国民に、しかも国の国土の二〇%が国有林野でありますから、しかも、国が経営しているんだから、もう少し行政的に貢献する道はないのかと、こういう素朴な疑問を国民は持っていると思います。しかしながら、国有林野の立場に立つと、会計法、財政法によって、払い下げ、売り渡すときは時価によらなければならぬという法律もありますから、決して私は脱法行為で国有林野がもうかったとは考えていません。しかも、まだ価格を鎮静させるほどのシェアを持っておらぬと思いますね。外材と国内材の比率も、外材のほうが多いし、シェアに占める国有林野の材木というものは一三%しかないし、この一三%が日本の、何といいますか、価格構造を変えるということは、犬がしっぽを振るのか、しっぽが犬を振るのかというこの原理と同じで、私は、やっぱりこの価格構造を変えるほどの影響力は持っておらぬと思いますが、しかし、一方においては、物品の無償貸付及び譲与等に関する法律という法律があって、異常な水害が起こったとか、異常な震災、火事が起こったという場合は、格別安い値段で国のそういうものを払い下げたり、貸付してもいいということもあるわけです。しかし、国全体に及ぶインフレという大異常状態、この全般的な状態の前においてこういう部分的な法律が適用になるかどうか、法律解釈はむずかしいと思いますが、大臣、これは材木が高騰した場合、国有林野の関係を閣議でやっぱり話し合われたと思うんだけれども、話し合いになられましたかとうか。これはまあ大蔵省か来て——私は、大蔵省には意見がありますが、いまの国有林野というのは独立採算でいいのかどうか。国有林野の行政におけるこの目的というものはもっと公共的なものじゃないかと、国が切って売って、もうかるとか損するとかというものじゃないんじゃないかと思いますが、いずれにしても、今日の黒字というのは何を意味しているのか。これはどこを処分せよということは私は言いませんが、もう少し国有林野とこの木材の需給を緩和するという面だけでもいいから、行政的に作用さしてもらいたいと思います。価格を鎮静させるということは、これはシェアの関係からいってできないと思いますが、そういうことで、林野では、備蓄政策といいますか、日本の木材の需要が四千万立方ですか、国有林野全部で千七百万立方出していますか、今度は将来は三十万立方ぐらい備蓄したいと言っていますが、三十万ぐらいじゃこれはどうにもならぬですね、需給にも。少なくとも百万ぐらいまで伸ばして、しかし、これは変に備蓄をしたならば、また需給のアンバランスを、そのこと自体が価格の騰勢を呼ぶことになるから、非常にこの需給もある程度緩和されているし、値段というものも、何といいますか、下降ぎみだというこの機を見て林野には努力してもらいたいと思いますね、そういう想定に立って。
それと、やっぱり国有林野と建設省の関係ですね。私は、建設省というのに疑問持ってるんですよ、正直に言えば。これは発注官庁じゃないかと思っているんですけれどもね。予算をとる、あとはこれを請け負いさせる、そういうことで、あとは何にも行政持っておらぬわけですね。たとえば技術者が足りないと言ったって、技術者をどう養成するかというと、みんなこれはもう労働省だと、ほら木材が足りないと言ったら農林省だと、ほらまた建設資材がと言ったら通産省だと、自分は何にもしないで、ただ予算をとってどっかに請け負いさせるということだけじゃいかぬと思いますから、もう少しやはり担当範囲を広げて、行政をやるためにはこういう手法が必要だと、手段も必要だというふうに、行政に対して厚みを持ってもらいたい、これはやっぱり将来の検討課題として。自分じゃ、もう住宅建設でも、他の要因によって振り回されてどうにもできぬということじゃなく、ある程度自分がそれを緩和するぐらいの行政手段を持つほどの建設省にならなければ、ほんとうの意味の建設省の存在価値がないと思います。これは抽象的な聞き方ですが、大臣御答弁願いたいと思います。あわせて林野庁も御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/30
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031・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) もう私が身にしみて感じておりますことを御指摘いただいた感じがいたすわけでございます。特に、昨年の石油ショック以来、建設資材の暴騰という経験を経たわけでございますけれども、建設省は切歯扼腕をしながら通産省に強く要請をすると、また、木材等については何べんか農林省に対して、先ほど御指摘のありましたような、暴騰に水をかける作用でもできないかということで、ただお願いをして回るというのが建設大臣の仕事という現在の機構という問題については、十分今後考えていかなければならないと、こう思っておるわけでございます。しかし、だんだんと国会のほうにおかれましても、土地問題等を通じて、そういう機運が開けておりますので、私どもといたしましても、積極的にその方向に向かって体制をとり得るように、省をあげて努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
それとともに、先ほど住宅問題についてたいへんいろいろと御示唆をいただいていたわけでありますが、私、感じておりますのは、独身者、それから中小企業に就職して住宅までめんどうを見てもらえないという方々に対する、いわゆる公的住宅の提供のしかたというものがこのままでいいだろうかという感じ、考え方を持っておりまして、この点について先ほど御指摘をいただきましたので、来年度の予算編成の際にあたりましては、十分その点を考慮して住宅政策の中に取り入れていくようにしたいものだと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/31
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032・平松甲子雄
○政府委員(平松甲子雄君) ただいま先生から国有林野事業についてお尋ねがあったわけでございますが、国有林野事業につきましては、国土保全という見地、また木材の安定的な供給という見地から、国有林野事業を独立採算で、特別会計で運営をするというたてまえをとっておるわけでございます。現在の独立採算制をとりますに至りましたゆえんといたしましては、戦争前は一般会計で処理をしておったわけでございますけれども、一般会計で処理をした過程においては、歳入の六割程度が国有林野事業の支出に充てられるというようなことで、林野の収入を林野外に持ち出すというようなことになっておるということから、一応林野内の蓄積を多くするという意味において独立採算制をとったというふうに承知いたしておるわけでございますが、その後、先生おっしゃいますように、国有林野事業には損益の経過があったわけでございますが、主といたしまして、戦後の復興期に国有林材を切り出して国土の復興に資してまいったということは、御承知のとおりでございます。現在伐採期にあります木材につきましては、戦争前後がちょうどその時期に当たるものでございますから、植栽が相当少なかったということもございまして、現在伐採の適齢期にある木材が少ないということもございまして、国有林自体といたしましては、現在のところ、自然保護その他との関連もございまして伐採量を減らしてきておるというような実情にございまして、また需要のほうはどんどんふえてまいっておりますから、先生御指摘のように、わが国の木材の需要量の一三%程度を供給をするにすぎないというような状況でございます。しかも、その一三%の中には、木曽ヒノキであるとか、秋田杉であるとか、特殊の用途に向けられるものというものも相当ございますから、そういう意味からいたしますと、国有林材の一般の住宅用材に占めるウエートというものは非常に低くなっておるわけでございますし、また国有林材で現在販売いたしておりますのは立木あるいは素材で販売をいたすということでございまして、その間に素材にする過程あるいは製材する過程、そういうふうなものがございますから、かりに国有林材を特殊な価格で売るということにいたしましたとしても、それが流通過程の中で吸収されてしまうというようなことで、先生御指摘のような形での流通過程で価格を支配するということはなかなかむずかしいというような問題がございます。先生御指摘のように、災害の際に、その災害の罹災者という形でございますと、これは被災者が特定いたしておるということでございますので、そういう方々に特定して売り渡す。これは特定価格で売り渡すことがその目的とする方々に利益を及ぼし得るということでございますから、そういうふうなやり方をやっておるわけでございますけれども、一般的に申しますと、国有林材がかりに安く売られたといたしましても、流通過程で吸収されてしまうというふうな実情にあるということが懸念されるものでございますから、現在のところは、法令のきめるところに従って一般価格で売るというふうなことをやっておるわけでございます。
四十八年の決算見込みにつきましては、先生御指摘のとおり、六百億をこすような、損益勘定では利益を生むということでございますけれども、四十六、七年には材価が低迷いたしておったということから、両年度で約五百億程度の赤字だというようなことでございますし、また、四十九年度になりますと、先般のベースアップで四百億程度の金が出ていくというようなこともござ…まして、現在の国有林の四十八年度の利益見込みというもので、それを一般的に、先生おっしゃるような形でそのまますぐ使えるかどうかという点については、国有林野事業の独立採算として特別会計が設置されておるという趣旨からいたしまして、早急にそういうような結論が出せるかどうかという問題があろうかと思います。ただ、国有林野事業特別会計につきましては、制度といたしまして、剰余金が出た場合に、その剰余金の中の一定割合は特別積み立て金というものにいたしまして、その特別積み立て金については、それを一般会計のほうへ入れまして、林業振興その他の経費に充てることができるということになっておりますので、四十八年度の利益につきましては、その中の一定の比率が五十年度予算の際に林業振興その他の経費に充てるために一般会計へ繰り入れられる。そういうようなことでございますと、先生御指摘のような形で木材の備蓄というふうな形の経費を四十九年度の予算で要求いたしておるわけでございますけれども、五十年度以降につきましても、そういう関係の経費にその特別積み立て金から繰り入れた金額を使うことができるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/32
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033・野々山一三
○委員長(野々山一三君) 他に御発言もなければ、本件についての質疑は終了いたします。
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034・野々山一三
○委員長(野々山一三君) 次に、日本道路公団法の一部を改正する法律案を議題とし、本案の質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/34
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035・沢田政治
○沢田政治君 道路公団法の改正ですね、法律の改正の内容はたいしたことないと言っちゃ、これは矮小化すようで悪いわけですが、端的に言って今度の改正点は、せんじ詰めて一口で言えばどういうところですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/35
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036・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) 一口で申しますと、道路公団がインターチェンジ周辺に関連施設としてターミナルというようなものをつくりたい。その理由は、高速道路の利用の便宜をはかる、あるいは交通事故の減少をはかるというような、いろいろございますけれども、そういうようなターミナルをやれるようにしたいという事業の内容の変更が第一でございます。それから第二点が、そういう場合に道路公団もみずからやれるけれども、それを、道路公団が出資をして第三セクターをつくり、そこにやってもらうというような形にしたいというのが第二点でございます。それからあとは、公団法改正に伴いまして、従来、監事という職がございまして、監事が必要ある場合に意見書を建設大臣あるいは道路公団総裁に出せるというようなことが昔の法律には入っておりません、最近は全部入っておりますが。これは行管からの勧告もございまして、公団法の改正のつどそれを直していくべきであるということでございますので、それを直すことと、それからあと、余裕金の運用を少し幅広くやりたいということ、その四点がおもな内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/36
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037・沢田政治
○沢田政治君 従来は、道路公団は道路をつくることに専念しておったわけですが、付属事業として道路の運営上やはりトラックターミナル等をつくる。そういう場合は公団でやる場合もあるし第三セクターでやる場合もある。そういう場合の、これは運輸行政との関連もありますし、たとえば第三セクターということになると、民間との共同出資のこともあり得るわけですね。そういう場合に、土地の買収はどうなるのかということです。たとえば、公団がストレートでやる場合には、道路としてやる場合には、土地収用令ですね、ああいうものの発動も、これは好ましいことじゃないけれども、あり得るわけですね。そうなると、民間資金が入って、民間も入る。民間が入るというのは、これは公共事業じゃないから、これはやっぱりある程度の利潤行為というものもその中に、損したものに出資しませんですから、やっぱり利潤行為というものを一面においては追求をする。そういう場合の土地買収と土地収用法との関係がどうなりますか、そういう場合。公団が、何というか、専門にそれをやるということになればこれは趣が違いますが、道路の一環として、これはどういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/37
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038・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) たてまえは道路公団がみずからやることにしております。したがいまして、用地の取得等につきましても、これはインターチェンジを手当ていたしますときに、同時に手当てをするほうが非常に有利であり、また計画的にできますので道路公団が手当てをするわけでございます。それで、そのまま、本来の姿は、道路公団がみずからターミナル等の運営をやることが一番望ましいわけでありますけれども、現在のところ、道路公団はまだ七千六百キロという高速道路の完成の目標がございますし、また、年々高速道路ができてまいりまして、それに対する維持あるいは管理というものが年々ふえてまいりますと、いまの道路公団の陣容ではとてもそこまで手が回りませんので、公団が出資をした会社にそれの経営をやってもらうということになりますので、土地はあくまで道路公団のものであって、そのターミナルそのものをその第三セクターにやらす、したがって、その場合、道路公団はその第三セクターに土地の賃貸ということで使用料をもらうという形に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/38
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039・沢田政治
○沢田政治君 高速道路も、最近は、これはすべてそうですが、価値観の転換といいますかね、時代の趨勢が、一つのものがよろしいというものは、これよりこっちのほうが価値があるじゃないかというような価値観の転換といいますか、新たな問い直しを道路公団自体も、縦貫道路自体もやはり相当問い直されておる現況じゃないかと思っています。
そういうことで、以前は高速道路が通るということになりますと、非常に利便だと、東京に非常に至近距離になると、これは都市中心ですね。すべての道路はローマに通ずるじゃない、東京に通ずるということでですね、ある程度の期待感も持ったわけですが、しかし、実際に高速道路ができた結果、はたして高速道路というものは国民の生活とどういう関係にあるのかと、はたして価値あるものかどうかという新しい意味の問い直しが現在されておる。しかも、エネルギーというものは無限じゃない、有限だと、もう半世紀持つか持たないか、こういうとき、国自体が膨大な投資をして、半世紀後には万里の長城のように無用な長物になるものにはたして今日的な行政が全部銭金をあげていいのかどうかと。第七次道路五カ年計画によりますと、十九兆五千億円ですか、こういう金があったならば別に振り向けたらいいじゃないかと、そういう疑問は別としても、おれの生活と高速道路は一体どういう関係にあるのかと、こういうことで随所から環境の変化やら地価の高騰やら、そういう角度から問い直しがきておると思います。そういう意味で、やはりつくることが行政としての功労なんだと、効果なんだと、最優先なんだという行政姿勢というものを根本的にやっぱり見詰め直す段階にきているんじゃないかと思うんだけれども、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/39
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040・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘の点も十分理解できるわけでございます。しかし、私、全国歩いてみまして、特に北陸、九州、四国、東北等、やはりこの高速道路に期待する面、非常に多いわけであります。この一例でございますが、私、たまたま北陸に参りまして、その県内だけの高速道路が貫通していると、隣県にはまだ続いておらないと、もうそれだけでもその県内の県政伸展計画に大きな利便をもたらしておると、一口に言って人口がふえ出しましたと、いままで人口が毎年減っていたのにもうここ両年中に県民の人口がふえてきましたと、こういう話を実は知事さんからお聞きして、それにつけても、やはり一日も早く富山なり福井なりの高速道路をつないでほしいという非常に熾烈な御要望もございました。また、九州に参りましても、四国に参りましても、そういう住民の声も実は耳にいたしてきておるわけでございます。したがいまして、確かに生活本意と申しますか、公害防止、環境整備という面を考慮した道路政策も十分考慮していかなければならない時代には入ってきたものの、高速道路についてはやはり計画どおり設置してまいることが国民の生活に直接結びついていくものと、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/40
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041・沢田政治
○沢田政治君 高速道路と住民の裨益の度合いですね、そのはかりで価値観というものを住民がはかって、それで反対運動とか、こういうものも出てくるわけですね、よしあしは別としてですね。このことは環境の変化と同時に利点もあるけれども、やはり何と言いますか、欠点も出てくるわけですね。私、こうちょっと資料見たわけですが、道路がよくなればなるほど交通事故が起こらぬだろうというように私はしろうととして考えておったわけですね。ところが、道路種別交通事故発生状況という調査を見ますと、元一級国道ですね。元二級国道であるわけですが、これは一キロ当たりで、元一級国道は十一・一、二級国道は三・七、市町村道、これは飛ばせないんだからな、スピードが出ないんだから〇・三というように、結局、道路というのはよくなればなるほどそのままはいかぬだろうと思いますが、事故の拡大再生産と、公害をまき散らすと、こういう一つの裏のデメリットもあると、こういうことを痛感せざるを得ないんです。
これはさておいて、時間がありませんから私お聞きするわけですが、公団と道路局長にお聞きするわけですが、北海道から東京まで来る道路、九州から東京まで来る道路、これはまあみなつながるわけですが、その間においてインターチェンジのない住民が、遠くから産業の荷物を運ぶために、人を運ぶために、おれがなぜこんなにも騒音をまき散らされて、おれとどういう関係があるという、これは素朴な疑問と反発が出ることは事実です。そういうことでありますから、やはり従来の道路構造はもちろんのこと、インターチェンジのこの間隔等も十二分に地元の意向を聞いて、何キロなければいかぬということじゃなく、デメリットばかりじゃない、メリットもあるんだと、こういう点にやっぱり観点を私は変えてもらいたいと思うんです。そうなれば、これはやっぱり地元の反対運動というものも、全部これは絶無になるというわけじゃないけれども、相当解消できるんじゃないかと。関係のないやつに迷惑だけよけいかけられると、こういう被害意識というものは強いわけですから、これはやっぱり変えるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/41
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042・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) これも名神の当初の建設の際には、このインターチェンジが相当な距離で建設されたと心得ております。しかし、やはり沢田先生から御指摘のありましたとおり、地域住民の利便という二とで、東北縦貫道の際には、実は私どももそういう点を地域の住民から強く要請を受けまして、やはり十キロごとくらいに上がりおりできるところをつくってほしいということを政府に当時要望したわけでございますが、ただいまでは大体いま申し上げたような距離にインターチェンジを置くということで進めておる次第でございますが、これ以上やはりよけいつくったほうがいいものかどうかというのは、私、実は専門家じゃございませんので、道路局長のほうからお答えさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/42
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043・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) ただいま大臣からお話申し上げましたとおり、当初は名神、東名のころは大体平均二十キロぐらいを考えておったわけでございます。その後間隔をずっと縮めまして、ただいまでは平均十三・六キロでございます。そういうことで、これはこの道路が無料の道路ですと料金徴収等の問題がございませんので、ドイツのアウトバーンみたいに八キロとかあるいは八キロ半というような平均間隔ができるわけでありますけれども、やはり有料道路事業でございますので、インターチェンジはできるだけたくさんつくって利用をしていただきたいということと同時に、やはりあまり利用の分散されまして少ない数になりますと、それに対する管理費が非常にかかりますので、有料であるがためにそこら辺のバランスを考えて、いまの大体平均十三・六キロということになっておるわけでございます。
そこで、一昨年もインターチェンジの追加をしてほしいという御要望がたくさんございまして、その中から約二十カ所ほど整備計画の際に追加をいたしまして、その後必要となったところには、また非常に間隔も長いというところには、追加をしたこともございます。また、今後これからできますところは、比較的交通量の少ない地方の施工がこれからどんどん出てまいりますので、そういう地点ではできるだけインターチェンジをつくって利用していただきたいと同時に、ただいま申し上げたような問題もございますので、やはり料金徴収等の簡素化というものをはかり、あるいはインターチェンジの簡易なものというようなことで、建設費も管理費も安くするような方法で考えられないかというようなことも、あわせてただいま検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/43
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044・沢田政治
○沢田政治君 無料じゃないから、有料ですからね、これは料金徴収施設とか人員ね、そういうものもある程度考慮に入れなくちゃならぬと思いますが、やはりある程度の交通量があって、やはりそこの住民が非常に協力したと、無理があったけれども協力したという場合は、やはりそれは一人りっぱな男を置くか、そこの自治体に委任して、やはりお年寄りでも料金は徴収できますから、そういう便法とか、安く上がるというか、人を安く使うということは私好みませんが、何かの方法で地域住民の要望を生かしてやるようなことを研究課題として考えてもらいたいと思います。
それと同時に、私は、法案審議の際に自分の選挙区のことをあまり引き合いに出したくない性格ですが、これは一般に通ずることだと思いますから、一つの例として申し上げるわけでありますが、去年当院の当委員会で前国会において請願書を受理をいたしたわけであります。それは秋田県の小坂町という町内の路線変更をしてもらいたい、これは与党、野党、県会全部あげて、町が両断される、非常に狭小な地帯の谷間の町がさらに東西に二分される、こういうことではたいへん迷惑だと。でありますから、用地は、ちょっとなだらかな山になりますが、山があるので、そこが町有地とか町の管理の山もあるので、ちょっと西のほうに寄せてくれという非常に穏健な路線変更の要請があって、請願があって本委員会で採択されたわけです。その当時の記録には載っておりませんが、道路局長のほうは、いや、西に五十メートルとか百メートルとかいって地点まで指定された場合技術的に非常に困難だと採択の際にクレームがついたわけであります。しかし、ここの委員会は委員会が採択する委員会でありますから、政府の言うことを聞いて採択するわけじゃありませんから、その点はわれわれもこの請願を採択するにあたって、この地点でなくちゃいかぬ、もっと百メートル向こうでなけりゃならぬということは言わぬから、ともかく町民の意向というものをこの際請願の趣旨として生かすべきじゃないかということで、与野党満場一致でここで請願を採択したわけであります。これは国会の採択でありますから、国権の最高機関でありますから、皆さんが参考に資する程度だというわけにいかぬ。やっぱり行政に可能な限り生かす義務があると思いますが、その後、地元から私が聞いておるわけでありますが、一向に調査したようにも見えないし、その結論というものも出ておらぬ。町自体、あそこの鹿角市自体が非常に都市計画に困っておる。一体どこを通るのか、新しく誕生した市でありますので、さっぱりできないと、都市計画も。こういう苦情が出ておるわけであります。でありますから、早急にこれを解決してもらいたい、こういうように考えておるわけでありますが、去年の請願採択後どういうことになっているのか。どういう経過でどういう今日的な状況を迎えてどういう展望があるのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
聞くところによると、日本道路公団殿か様かわかりませんが、ともかくいままでの例としては五十メートル以上は移動させたことはない、これはもう一つのパターンである、これ以上動かしたならばこけんにかかわるか信義にかかわるか、こういう風説もあるわけであります。これはやはり産業優先、そして生活軽視ということになると思います。私は、技術的にできないのはこれはやむを得ないとしても、銭金で済むものはやっぱり生活優先というたてまえを貫くべきである、それが今日のやっぱり世論だと私は思いますですね。そういうことだから、きちんときまったことでなくてもいいから、どうなっているのか。これは随所にあると思いますから、局長と公団の理事のほうでいままでの現状を報告してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/44
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045・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) ただいまの東北縦貫道の小坂町の問題につきましては、昨年の七月の本委員会におきまして、沢田先生から御指摘されたわけでございます。また、同時に請願が採択になったわけでございます。それで、そのときに私御答弁申し上げたんですけれども、その小坂の中の現在の公団がきめましたルートにつきましては、いろいろ問題点はあるけれども、それに至るまでには、これは四十三年に施行命令が出ておりまして、四十七年に路線発表したわけで、その間三年ないし四年十分な検討をいたしてルートをきめたものであって、数本のいろんなルートについての比較を行なった結果きまったものである、しかも、その比較の段階におきましては、これは単にお金だけの問題ばかりではなくて、地質の問題やら、あるいは勾配の問題やら、いろいろな角度から考えましてこれが最善であろうということできめたものであるというふうに申し上げたわけでございます。
しかし、さらにそれを検討すべきであるというお話でございまして、その後、そのすでに検討したルートについてはもうわかっておりますが、それよりもう少し大きく小坂川の西岸、その西岸にはなだらかな山がありますけれども、そこは地すべり地帯でもございますし、その地すべり地帯をトンネルで抜くか、あるいは裏側へ大きく回して従来よりさらに北のほうでは、坂梨峠という峠がございます。その手前で従来の考え方は取りついておりましたけれども、坂梨峠もひっくるめて大きなバイパスというものが引けるかどうかというようなことを実はいま五千分の図面を引きながら検討しているわけでございます。現場ではまだ雪がございまして、また、そういう引きました路線についてさらに地質の調査もしなければなりませんし、さらに地すべりの問題、それから山のほうへ上がりますので、どうしても勾配が強くなります。そうすると、そういう勾配に対する雪のすべりの問題、凍結によるすべりの問題等、いろいろ路線を検討いたしますと問題点がございますので、そういう点は、雪が消えましたら現地調査もできますので、雪が消えてからさらに現地調査をやって、大体夏か夏過ぎぐらいまでには大まかな線をきめたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/45
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046・三野定
○参考人(三野定君) ただいま道路局長から詳しく申し上げましたとおりでございまして、そろそろ雪も解けましたので、間もなく現地に入りましてボーリング調査を含めた地質調査と現地の調査を進めまして、特に局長からも、夏ごろまでにはひとつ何とかあらましの結論を出せよということを伺っております。私どもも鋭意そういう方向で進める所存でございますので、よろしくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/46
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047・沢田政治
○沢田政治君 一体、いつどうなるのかということを非常に心配しておるわけですよ。その後ナシのつぶてだ。こういうことで、私は、請願が採択される前にも調査案件でここで質問して大臣が答弁しているわけですよ。事、金で済むことであるならば要望を満たしますと、要約して言いますと、こういうことを言っているわけだ。金がかかるからできぬと、こういうことは言いません、こういうことを言っておるわけですから、やはり関係自治体に対しても、いま積雪時期であるからできないけれども、夏ごろまでに調査して結論を出したいなら出したいということを、つどつどやっぱり公団のほうでも情勢を報告すべきだと思います。どうなったどうなったと一週間に一回ぐらい私聞かれても、私が企画しておるわけじゃないからわかるはずがないものだからね。でありますから、そういうことを考えても、あまり行政と密着しておらぬように私は考えられてなりません。そうじゃないのかもしれませんけれども。でありますから、夏ごろまで結論を出すなら出すということを自治体のほうに親切に、自分の行動の予定というものを接触して説明すべきだと思いますね。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/47
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048・三野定
○参考人(三野定君) 至らぬところがあるようでございますが、十分気をつけまして連絡を密にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/48
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049・田中一
○田中一君 十九兆五千億の新五カ年計画が策定されております。財源はむろん揮発油税の値上げからくるところの倍額という大幅な税の徴収増によってまかなわれていくということになっておりますが、これに対する新五カ年計画の内容を説明していただきたいんです。それから、その内容も、との程度に——前年度、前々年度から比較してどの程度に仕事のほうの伸び、あるいは縮まっているかどうか、これらの問題を詳細に御報告をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/49
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050・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) 最初の財源のことから申し上げます。
財源につきましては、実は一昨年の閣議了解におきまして、道路整備五カ年計画の財源は昭和四十九年度予算決定時までにきめるというふうになっておりました。そこで、四十九年度におきましては、特定財源のアップ等をひっくるめましていろいろ検討したわけでございますが、今回、ガソリン税の二割アンプあるいはとん税の——これはこまかく申し上げますと、いろいろございますけれども、おおむね二倍、それから自動車取得税の三%から五%への引き上げというような形できまったわけでございます。それによりますと、実は、従来の道路整備五カ年計画、すなわち第六次の五カ年計画のときには、全体に対します財源構成は特定財源が約八二%。これはそのほかに実はとん税がございます。とん税は一般財源ということになっておりますので、しかし、実際はその大半が道路整備に来ておりますので、一応八割ぐらいが道路整備に来ておるというふうに計算いたしますと、全体の九〇%が、第六次五カ年計画のときには九〇%ぐらいが特定財源だったわけでございます。それが今度の第七次になりますと五七%、とん税を入れましても六〇%ちょっとにしかならないということでございますので、今度の税金のアップということがそれによって少し緩和されることになったわけでございます。ただ、御承知のように、今度の税率アップが四十九年度と五十年度と二年間の暫定措置でございます。これは石油事情等によります資源の節約というようなこともひっくるめましてのアップでありますので、五十年度を終わった以後はもう一回検討するということになっておりますので、五十一年、五十二年につきましては、現在のところ確定していないということになるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、そういうふうなことで、財源のほうにつきましては何とか手当てができたというふうに考えております。
それから、整備のほうがどのくらいいっておるかということでございます。これは四十八年度当初におきましては、いま事業量でどのくらいかという御質問でございましたけれども、ちょっとこれは事業量ではなくて、お金でたいへん恐縮でございますけれども、たとえば四十八年度で一般が一五%の進捗でございます。それから有料が一四・三%、それから地方単独が一三・二%ということでございまして、全体が一四%ぐらいの進捗でございます。これは四十八年度でございます。それから四十九年度は、前年とほぼ同額ということでございますので、それが終わった時点を見ますと、全体の二七・六%が四十九年度末で進捗するということになるわけでございます。お金でたいへん恐縮でございますけれども、ちょっと事業量をここに持ち合わせてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/50
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051・田中一
○田中一君 何かというと、国民からの税金あるいは公共料金等の徴収によって糊塗しようというような考え方が、田中内閣ができて以来、ずうっとそれが一つの財源確保の道になっております。私は先般も本会議で質問したと思うのでありますが、一体、この石油の問題から、日本政府が海外を歩き回って、やったかどうか知りませんが、まだ詳細に国民には報告をしておりませんが、相当たくさんな金をやってきております。贈与したのか何をしたのか、ケース・バイ・ケースでいろいろなものがあるようです。まるでばくち打ちがふところから金をつかみ出して物をくれてやるというような、そうした形の金のやり方をしておる。小野田少尉が見つかりました。何の根拠があってどこからどうしたか知りませんが、三億の金をもって、これをありがとうございましたといってやろうとした、断わられました。りっぱな態度です。断わったほうがりっぱな態度なんです。国民からは遠慮会釈もなくガソリン税の増徴をしようとする。そうして、いま伺ってみると、菊池君、金のことは当然わかっている、比較すれば出るのですから。国民が求めておるのは事業の伸び、事業の量であります。たとえば、いま沢田君のようなりっぱな国会議員は、自分の地元のことを言いたくない、がしかしというただし書きで言っております。国民が求めているのは自分の地域における道路整備ということ、これは一体どうなるのであろうか、そこに中心的な課題があるわけなんです。
したがって、即刻、事業計画を、全国土のうち全部のこまかい地方道まで含めた計画をお出し願いたいのです。それは直ちにお出し願いたいのです。ないはずがありません。それを出さないで、ただおれにまかせろと、十九兆五千億の金でやるからまかせろじゃ済まないのであります。一体、こんなものは、ガソリン税など取るのはおやめなさい。別に財源を求むべきです。そういう意味で、いまのこれから行なうという道路整備の事業の規模というもの、日本列島全部における、どこにどうなるのだということの明記を願いたいのであります。伝えられるところによりますと、四国、中国の三つの長大橋は同時に着工するんだなんということがちらちらと見えておりますが、国会を無視して、いわゆる国民の目をめくらにして、そうしてかって気ままに金の使い方をするということは許されないのであります。私は、わが建設大臣が非常に良心的な方だと思うのであります。官僚の諸君が、かりにそうした事業の規模というものが、なるほど暫定措置の予算でありますから、二年間は一応二年として見てもよろしいが、五カ年計画を策定している以上、事業量というものは五カ年分の事業量を示すのが当然であります。しかし、それが見込みが立たぬから二カ年の量を出しましょうというのならいざ知らず、それなら暫定二カ年計画としてお出しなさい。どうお考えになるか。そうしてそれに対するところの即刻の対策というものをお出し願えなければ、もはやこれに対する審議はできないことになります。伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/51
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052・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) 第一番の事業量の問題でございます。これは五カ年計画につきましては、国道あるいは地方道につきましては、事業量で改良が何キロ、舗装が何キロやるというように五カ年計画はきまっております。ただ、日本道路公団はじめ、有料道路につきましては、建設のでき上がるのが五年あるいは七年かかるもので、毎年の量であらわすことが非常におかしいと、ある七年目に突然でき上がったものが出てくるということから、従来から五カ年計画はお金で何億ということでやっておるわけでございます。そこで、先ほどの御質問で、四十八年度あるいは四十九年度の市町村道なり県道なりがどのぐらいできるのかという事業量を示せということでございますが、ちょっと各年度ごとの事業量はここに持ち合わせておりませんけれども、これは当然どれだけやるということがわかっておりますので、これは資料としてお出しすることはできるわけでございます。
それから、たまたま、ここには四十八年度の末ではどのぐらい改良なり舗装が整備できたかということは、各国道あるいは県道、市町村道として数字がございます。それから四十九年度末でどうなるかということもございますので、その差が結局四十九年度の事業になるということになるわけでございますけれども、これはここで計算するとちょっとたいへんでございますので、また後ほど資料を出させていただきたいと思います。
それから第二点の財源の問題でございます。このガソリン税アップというものが暫定措置であるんだから、それに伴った二カ年計画か、そういうものにしたらどうかというお話でございます。先ほども五カ年計画につきましては四十九年度までに財源措置をするということになっておりますのに、二年分しかきまってないということでありますので、その点五十一年度と五十二年度につきましてはさまっていないということで、たいへん恐縮でございますけれども、またそのときにあらためて経済情勢あるいは財源、あるいは交通の状態というようなものを勘案してきめるということになっておりますので、これはそういうことで御理解いただきたいと思うわけでございます。ただ、そういうガソリン税アップというようなものはもうやめて、一般財源なり、そういうものでやるべきだというお話もございましたが、当初御説明申し上げましたように、従来の第六次の五カ年計画のときのそういう特定財源の比率から比べますと、今度の第七次の場合は、たとえ五十年、五十一年にいまのままの税率アップがかりに続くといたしましても、なお三〇%以上の一般財源を入れないと達成できないということにもなっております。第六次の場合の一般財源は約一〇%足せば達成できたということから、相当大幅な一般財源を投入するということにもなるわけでございますので、税金アップをおよしなさいと言われましたけれども、やはり今度の場合の資源の節約、総需要の抑制というようなことからの暫定措置というものは、私どもは、本来もう少し特定財源がふえてもいいんじゃないかと思っていたぐらいでございますが、そういうことで、この五カ年は何とかとにかく達成しなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/52
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053・田中一
○田中一君 いまの答弁、菊池君からそういう答弁を聞きたくないんです。君は、政治的にきまった財源措置というものは、政府できまったからそれを言っているんであります。もっとほしいの少ないのというようなことを言うべきじゃないんです。あなたは単なる行政官です。いまの公団のもの、それから本四公団の三つの長大橋等も含めて予算措置については大臣から答弁するのが当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/53
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054・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 道路局長が自分の道路行政に熱意のあまり御注意をいただくような発言をいたしましたのは、それはやはり取り消さしていただきます。
と同時に、もう大先輩の田中先生御承知のとおり、日本の道路整備の状態というものは、先進国に比べたら非常におくれておるわけでございます。私の選挙区のことを申し上げて恐縮でございますが、私の選挙区なんかも舗装されたほうがぽつりぽつりであって、自動車で歩くと、ほこりだらけになるというのが実は日本の地方の実情であるわけでございます。百万キロに近い相当長大な延長を持ちます町村道等の整備を考えますときに、一日も早く道路の五カ年計画は達成をして、さらに新たな道路整備の態勢をとらなければいけないのではないかとすら私思っておる次第でございまして、そういう意味におきまして、確かにガソリンそのものは、アメリカ等に比べると、はるかに高い負担を国民はいたしておるわけでございますが、しかし、何と申しましても、社会資本のおくれておる日本でございますので、ガソリン税関係の徴収をやめるというようなことは、私どもとしては考えてないところでございます。
と同時に、本四架橋の問題でございますが、これも先生御承知のとおりのような経緯で決定をされてきておるわけでございます。私も東京におけるいろいろな考え方等を十分承知した上で四国に渡りまして、四国の方々とも実はいろいろ懇談をいたしてまいりましたが、四国の方々がもうほんとうに待望をしておられる気持ちも十分実は私感じたわけでございますので、三橋は計画どおり完成させなければならないなどいう強い決意をいたしておる次第でございます。ただ、御承知のように、石油ショックという問題でこのようなきびしい情勢になっておりますために、総需要抑制という態勢をとっておりますために着工を見合わせておるというのが実情でございまして、この狂騰物価問題が一応の落ちつきを見せるめどがつき次第に着工の方向へ持ってまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/54
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055・田中一
○田中一君 御承知のように、大工さんがだいぶ自殺をしておるんです。これは仕事がないから。これもいまあなたが言っているように、仕事をさせるという方途を何もとらないで、金さえ出さなければ物価が上らぬであろう、需要が減るであろう、いわゆるこれは所得政策なんです。そういうもので物価を安定させようとか、田中内閣のいままでの責任というものを、国民を自殺に追いやってそれを糊塗しようとか考えることはたいへんな間違いです。もう少し、コンピューターもあることでありますから、あらゆるデータを駆使して、そうして、いつごろどういう形で日本の経済は営々と働く者が働けるという条件がとれるんだというようなことを考えなきゃならぬです。できます。ところが、いまのように、所得政策に触れた将来の経済の安定というものを考え、また、一面、事業量の抑制ということを考え、そうして、その中に乗っかって、どちらかで自分の責任はのがれるんだというような考え方でなくして、現在、四十七年、四十八年、ことに四十八年などは、おそらく仕事は相当計画よりもダウンしているはずです。なるほど、金さえ出しゃいいんだという考え方を持っておらぬでありましょうが、実際の事業量というものは減っているはずです。また四十九年の事業量も減るはずであります。そういう意味で、亀岡さんにはっきり伺いたいのは、ほんとうに早期に三つの長大橋は着工するつもりでありますか、これを一つお伺いします。
もう一つ、他の道路も社会資本の立ちおくれから非常に名地方とも格差がある。だから、これは何とかして一日も早く道路の事業費というものは出して、拡大して支出するんだという考え方なのか。とにかくきめられている問題が十九兆五千億というものは、これは明らかになっているんです。金の問題は、まるきり紙くずになったような金なんでありますから、日本の貨幣価値というものは相当落ちていることは、あなた、御存じでしょう。でありますから、われわれがほしいのは事業の実態、あらわれたところの道路整備という形がどのくらいの規模になるのかということを五カ年の年次で伺いたいと思うんです。御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/55
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056・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど実は答弁申し上げるべき問題でございますが、この事業五カ年計画、道路のみならず、役所では金額をもって進捗率を出しておるわけであります。私も建設大臣をやりまして、実は五カ年計画を聞いておりますと、金で何%何%、冗談じゃないと。金でやるよりも、どこの町とどこの町と県道が何キロある、そのあれは何年間で舗装になるのか、改良になるのか、そういうような説明をしてくれないと、おれは建設行政はしろうとなんでわからないから、そういう説明の資料をつくってくれと、こういうことを実は申したわけでございまして、この点、ただいま先生から御指摘いただいて、ほんとうに事務当局を御激励いただいて感謝いたします。やはり国民にわかりやすい行政というものを中心にしていかなければならぬ次第でございますので、こういう点につきましても、今後、建設省といたしましては、金額だけではなく、一目見れば一般国道、県に委託しておる二級国道、県道、町村道、さらには街路、都市計画の整備の状態、有料道路、そういうものを、いろいろ理屈をくっつけておりますけれども、とにかく現実は目に見えてあるわけでありますから、それは表現できないことはないはずであります。そういうように事務当局を鞭撻して、国民にわかりやすい行政をしていくように指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
それから本四の着工の時期についてお尋ねがあったわけでありますが、私の気持ちといたしましては、地域住民の方々のことを考えますと、できるだけ早く着工の決心をしなければならぬなと、こういうふうには思いますものの、さりとてこの問題は、もう率直に申し上げまして、総需要の一つのシンボルという感じもいたすわけであります。せっかくいままで歯を食いしばって物価退治をしようということでやってまいりました政府のシンボルであるこの本四橋というものの着工が大きな影響を、悪影響を与えてはならないという一面の気持ちも実は持っておるわけでございますので、もうしばらく日時をかしていただいて、日本の経済情勢が一応着工に踏み切ってもそう大きな影響を与えないという時期を見ていきたい、こう実は考えておる次第でございますので、この点、御了承を賜りたいと思う次第でございます。
と同時に、やはり金を中心にして考えちゃいかんという御意見、私もそのような感じがいたすわけでございます。昨年以来、異常なる物価の狂騰によりまして、月々二百数十件から三百件に近い建設関係の倒産を出しておるということは、私、身を切られるような感じで実はおる次第でございます。したがいまして、スライド条項の適用でございますとか、あるいはできるだけ資材の値上がりを防ぐように、政府、通産並びに農林等に密接な強いまた要請もいたしまして、とにかく犠牲者の一人でも少なくなるようにという気持ちを持ちながら今日まで来ておる次第でございます。特に私がやかましく申しましたのは、四十九年度予算を編成するにあたりまして、その予算単価というもの、これをいわゆる机上の推論で単価をきめるようなことがあってはいけない、やはりある程度の仕事をしたものがそのした仕事に対して赤字を出さないというくらいの自信のある予算を組まなければ、特に公営住宅なんかはもう県や市町村から相手にされなくなるぞということをきびしく言うてきておるわけでございまして、いささか、四十九年度予算につきましては、そういう点の御理解がいただけるものと思いまするし、また契約に当たりましては、実勢単価というものを中心にいたしましてやるように、さらに労務費等につきましても、予算要求の際には、実はいろいろ地域的にもいろいろな差のあるようなことを前提の上に大蔵に要求していたうらみがあるわけであります。たとえば福島単価、秋田単価といったようなことが知事会あたりで強く実は要請されておったわけでございますので、やはりそういう点もこの過密を来たしておる一つの大きな理由ではないかなという感じもいたしまして、四十九年度予算編成に当たりましては、実はそういう面も大蔵に対して考え方を改めてほしいというようなことも対処いたしまして、とにかく建設関係の業界の方々にけが人が出たり、犠牲者が出たりすることが少しでも少なくなるようにということを念じつつ実はやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/56
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057・田中一
○田中一君 この高速道路の建設計画をこのまま推し進めていっていいかどうかという問題は、当面、先ほど沢田君もそういう話をしておりましたが、実際に検討すべき時期が来ているのではないかと思うのです。というのは、三十年近く続いたあなた方の内閣の官僚政治の総決算をこの辺でしなければならないのじゃないかと思います。高度成長政策に対して真っしぐらに進んできたという今日までのこの三十年近い歳月というものを振り返って、やはり人生尊重、それから地域社会におけるしあわせというものはどうあるべきか。過密過疎なんということばを一挙に解決するなんという日本改造論なぞというものは、そこに追い込んできてこれをこうするのだ、ああするのだということであって、自然というものはそれぞれの地域におきまして、美しく静ひつな、そうして安住の地域であったはずであります。一番大きな問題は高速道路です。しかし、ある時期の日本経済あるいはわれわれの生活というものは、それから受けたところの喜びもまた忘れてはならぬと思いますが、今日の段階では、もう一歩踏み込んで、この計画に対するところの反省と将来に対する見通しのもとに、よりよいものを求めようという行動が要求されているんではないかと思うんです。これは亀岡建設大臣、あなた福島ですが、いい町です。いい地方です。これはもう高速道路なんかないほうがどのくらい安らかな地域であるかということは、あなたが一番よく知っていると思うんです。私の国の弘前の津軽なんというものは、これは全くもうまだ鉄道が単線であります。そうして道なんというものはない国道があるんです。浜辺の砂地を通っている国道もあるわけなんです。したがって、私は、それに対して地域の諸君がどうしてもこうしてくれ、ああしてくれという要求も、これはあるでありましょうけれども、全体の日本の国土というものを見直すことが必要な時期が来たというように考えておりますけれども、大臣の考え方、どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/57
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058・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) この人命尊重、静ひつなる社会環境のもと、自然の恵みに感謝のできるような国民生活というものをつくり上げていかなければならないということは、これはもう日本国憲法の示すところでございます。もう仰せのとおりでございます。そういう面におきましても、道路計画等におきましては、やはり密集地を通る、通らなければならないような道路につきましては、その対策を十分考慮をし、かつ交通安全、騒音、そういうものの公害を来たさないように配慮をするという考え方等も取り入れておるわけでございます。
と同時に、実は私もいろいろ考えるわけでございますが、私の福島県を例にとって恐縮でございますけれども、福島県は、かつて二百十万の人口があったわけでありますが、いま百九十数万ということで、年に一万ぐらいずつ減ってきておるわけでございます。これにつきましては、たまたま先ほどもお話申し上げたわけでありますが、石川県に参りましたら、石川県の人口減はストップして、人口がふえてきておるという話も知事がしておったわけであります。それは、結局、自分としては県内の道路整備というものに非常に力を入れたつもりであると、道路を整備したら働く場所が相当ふえてまいったということで人口がふえてきたと。この話をお聞きしまして以来、実は道路整備ということも、これはもう確かに人命尊重という点を十分取り入れながらの道路整備ということでなければならぬことは申すまでもありませんが、やはりある段階までは道路整備をはかっていかなければならないという感じを強く持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/58
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059・田中一
○田中一君 いまあなたが言っているのは道路整備、これはもう当然しなければなりません。高速道路に対する考え方をチェックすべき段階じゃなかろうかと、こう言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/59
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060・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) その点につきましては、やはり高速道路は日本の交通の中核という意義を持つということは、今日まで使用をいたしております高速道路が国民の立場から非常に活用をされておるということを見てきましても、一応認定いたしております高速道路につきましては計画どおりに進めていくべきであると、こういう考えを持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/60
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061・田中一
○田中一君 高速道路で早く走ったからといって何の得があるのです。さっき沢田君も言っておったように、人命殺戮、人殺しの横行、凶器ということになるのです。それにはむろん国民がまだ高速道路を通行するという訓練と、それから自覚がないところに問題もあろうかと思いますけれども、構造令を含めてもう検討すべき段階が来ているのではないかと私は思うのです。大臣も御承知のように、道路をつくるには道路構造令というものがありまして、これによってつくっていくのです。私は、毎日首都高速道路公団の道路を利用して通っておりますが、これまた長い間通ってみますと、構造的に当然手直しをしなければならぬような個所がたくさんあります。何といっても五キロも十キロも渋滞するというような事態を考えずにつくられたものであります。一番初めにつくったところの、吉田さんが大磯から通うのに不便だといってつくったワンマン道路、これはカーブの構造が悪いために四十メーターも下にジープが何台か飛び込んで落っこちて死んでいる、これはアメリカの兵隊であります。したがって、全面的に、構造の面から見ても、社会的な一つの使命の面から見ても、検討すべき段階が来ているのではないかということを申し上げているわけなんです。建設大臣は、いや、そうじゃないのだ、どこへ行ったって非常にいいと言われている、石川県はそのために過密がなくなった、過疎がなくなったなんていうことは一面の一面を言っているに過ぎません。亀岡さん、あなた、官僚諸君の進講を受けて、それをうのみにしてはいかぬのです。私は、二十何年間、ずっと道路なんていうものは歩き続けているのです。どれがどんないい道路か、どれがどうあるべきかということは、しろうとながらわかってくるものなんです。ただ、田中内閣としてあなたが建設大臣である限り、何とかしてこの際この高速道路に対するいろいろな面、社会性から見ても、技術性から見ても、経済性から見ても、そういう面から再検討する時機が来ているのじゃないかと、私はそう思うのです。あなた、道路公団にしても、菊池道路局長にしても、これはつくり屋さんでありますから、つくればいいんです、金もらってつくればいいんです。しかし、政治家はそうじゃないのです。せめてそのくらいな意気込みと展望を持つ愛すべき建設大臣であってほしいと思うから、あえて申し上げているわけです。はっきりと言ってごらんなさい。閣議でそれを発言なさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/61
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062・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) たいへん御激励をいただいて恐縮でございますが、実は、私も就任以来、役所の諸君の言うことばかり聞いておるわけではございません。この高速道路の基本的な考え方につきましては、先ほど来申し上げてきたところでございます。確かに技術面におきまして、あるいは住民の立場からする公害除去の問題につきまして、さらに首都高速道路等についての渋滞をどうしてなくしてまいるかというような問題につきまして、検討をしなければならぬところは私も気がついておりまして、実は道路公団のほうにも指示をいたしておるわけでございます。これはほんの一例でございますけれども、首都高速なんかは出口と入り口が回し数しかないと、こういうのはやっぱり役所の諸君の技術者の考えるところではないか。もう私ども歩いてみましても、自動車でおりて、おり口というものはもう少しつくっていけるんではないか、そうすることによって、はけがよくなるという感じ、こういう点の検討等は事務当局にも命じてあるわけでございまするし、そういう意味におきまして、確かに高速道路のインターチェンジの問題、先ほど沢田先生からも御注意いただいたわけでありますが、そういう面についての、いわゆる住民側に立っての利益をどう高速道路の線に結びつけていくかというような面についての検討はしていかなければならないと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/62
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063・田中一
○田中一君 じゃ、福島県のことで伺いますが、米づくりをもうほどほどにしてやめてくれえという要求が政府から出て今日になっております。また、米づくりをしなければ日本の資源というものはないというようなことも言われております。新しい農村づくりが、どうしてもこれからわが国に健康的で将来のある、希望のある産業として新農村社会が生まれなければならぬ段階に来ている。福島県なんかことにそうです。その際に高速道路との関連というものをどう受けとめたらいいか。むろん、これは単なる通行車、大型のトラックがぶんぶん飛んでいく。北海道の魚がその日のうちに大阪に来るのがいいんだということだけではないんであります。これも先ほど沢田君が言っておるように、地域住民というよりも新しい産業としてどうしてもしなければならぬというこの農業政策、新農村計画、これと高速道路は何の関係がありますか。通過交通だけでありまして、何の恩恵があるか。となると、これはもうその面から考えなければならぬことなんです。昨年、御承知のように、西アフリカでは二百万人の人間が、餓死しております。パキスタンでもしかり、インドでもしかり、サウジアラビアでもしかり、東南ニューギニアでもって二十万の人間が餓死しております。日本の農業政策は水田をこわせと、それで宅地にしろ、そうすればおまえのほうに補助金を幾らかやると——補助金か何てしたか、やると。いまではそれを熟田にするには一体どうなるか。それと高速道路とは何の関係がありますか。あるようにしなきゃならないんです。何か出っぱるとぽんとたたく、全く妙な日雇い的立場の政治を行なってちゃいけないんであります。私はもう一ぺん言います。そういう意味で、今日の高速道路というもの、これに対してはもう一ぺん検討すべき段階が来ている。根本的に道路審議会なり何なり、あなたのほうだって何か審議会持っているでしょう。それにまともに立ち向かって検討するという諮問をするくらいな亀岡さんになることを私は希望するわけです。あなたは、こだわってなかなか言わないんです。そういう方向でひとついってみようと、これがほんとうに道路を国民のものにする。道路は道路公団のものでもなければ政府のものでもございません。国民全部のものなんです。もう一ぺんおっしゃい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/63
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064・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 確かに米の問題につきましては、私どもも反省をいたしておるわけであります。官僚の言うことだけを聞いたわけでもないわけでありますけれども、あのような政策、ほんとうに反省をいたしておるわけでございます。
しかし、福島県におきましてこの高速道路が待望非常に強いわけでありますが、先生御承知のとおり、福島は果樹、養蚕、野菜の産地ということでございまして、この高速道路による出荷ということを非常に農村の青少年諸君が待望をいたしておるわけでございます。そういう面について、実は利用しやすい高速道路にしなければならないということで、実は私も、路線決定の当時、政府に対して強く要請を続けた次第でありますことは、先ほども沢田委員に申し上げたとおりでございますが、しかし、私どもといたしましても、先生からたびたび、おまえだめじゃないかと、役人の言うことなんかにばかりこだわらずにもつとやれと、こう御激励をちょうだいいたしたわけでございますけれども、やはり私一人だけで行政ができるものでもございません。やっぱり三万一千人という建設省の諸君が、国会でおきめいただいた法律に基づいて、あらゆる知恵を出し能力を発揮をして働いていただいてこそ行政効果もあがる次第でございますので、そういう面につきましては、高速道路の問題につきましても、確かに人命尊重、交通安全、公害防止という面につきましても、この前の第七次五カ年計画をつくります際には一応十分考えておるわけでもございますので、ほんとうに御期待に沿える答弁せずに申しわけありませんけれども、いままで申し上げたような基本的な姿勢でやってまいりたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/64
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065・田中一
○田中一君 もうそのことについては言いません。どうぞ御自由に……。
それじゃ、道路局長、菊池君のほうに伺います。
今度のトラックのターミナルとして先行取得したところの土地、これはもう明らかになっているように、前もってこの方向でいくのだと準備しておるんでありますから、買ったんでありますが、先行取得できたという根拠はどういう法的な裏づけのもとに買い入れられたか、道路公団がですよ、これは。どういう根拠のもとにやったか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/65
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066・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) ただいまお話しのように、すでに用地の取得の終わっているところがございます。これは四十七年度に五億、それから四十八年度に十億ほど予算がつきまして取得しております。これは買っておりますのは、道路公団の駐車場という形で買っております。と申しますのは、今度の関連施設の整備のうちに、これはトラックターミナルというようなタイプのものと、それからドッキングヤード式の——高速道路を東から走ってきた車と西から走ってきた車がトレーラーの荷物を相互に交換する、あるいはつけかえるというような形で、またもとのところへ帰るというような、そういうドッキングヤードという、広い駐車場が要りますので、そういう点をあわせまして駐車場という形で取得しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/66
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067・田中一
○田中一君 そうすると、それを人に貸すということは、事業計画として予算つけたときからきまっておらなかったわけですね、それを人に貸すんだということ。名目はですよ、公団が全部それを何というか、ドッキングヤードを経営するんだということになっておったと思うんです。今度はそれを貸すんだということになったのは、新しくきめられたものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/67
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068・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) ただいまではそういう駐車場という形で道路公団が土地を取得するということでありましたけれども、今度ここにお願いしております法律がもし通れば、今度はそういうターミナルという形、先ほど申し上げましたドッキングヤードのほかに、ターミナルというような機能もあわせてこれを利用したい。そして、それをもし公団がやればそのまま自分で自分の事業としてやるだけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、自分のそれだけの組織と、それからまだそれだけの十分な財政的な余裕もありませんので、これは民間の資金も利用し、そしてまた流通業務は、御承知のように、地元の利用でございますので、地元の府県なり、あるいは地元の地場産業なりというものが参加した形でやるのがよかろうと。そうなりますと、その取得した用地を一応貸すという形で、これはまたいつかその会社が軌道に乗りまして成績があがっていけば、あるいはそれをまた年賦で買い取るというようなことがあるいは出るかもわかりませんけれども、当初はそういうことまでは考えておらずに貸そうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/68
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069・田中一
○田中一君 菊池君、君は何を言っているんだよ。君は局長としてここに永久に、十年もいるのかい。そんなつまらぬことを想定して、国会の議決というものを君は無視している発言じゃないか、そいつは。じゃ、これをこの次には買いたいときには売ってやってもいいんだと、そういう処分権まで与えると言うのか。君のことばは、法律がなったら何でもできるんだということじゃないか。ことばが多過ぎます。トラックの用地を取得したということ、それがいつの間にか変貌して、他人に貸してやるんだ、場合によればこれを払い下げてやるんだと。何ということばを言うんだ、君は。そんなことがあり得ますか。私は建設大臣に要求します。道路公団が持っている資金の運営のしかた、公団のやりますところの公債を取得しようというこの金のあり方、どこにどういう土地を先行取得して持っているか、その処分をいままでしたことがあったかどうか。この一切、公団が出発して以来の全部の財産の処分、そうしたものに対する調査をしっかりやっていただきたい。そんなことは不当であります。ああいう発言は不当であります。これは約束できますか、建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/69
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070・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) いま御指摘のございました資料は、詳細に作成をいたしまして提出をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/70
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071・田中一
○田中一君 いまの菊池道路局長の発言というものは妥当なるものでありますと、あなた、お考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/71
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072・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) ただいま御審議をいただいております法律によりますと、確かに御指摘のように、道路局長の答弁についてはちょっと行き過ぎた点があったのではないかと、私も詳しく聞いておりませんでしたが、そんな感じがいたすわけでございますので、もう一度道路局長から正確に答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/72
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073・田中一
○田中一君 ちょっと待ってくれ。それはちょっと口がすべっちゃったのか、それとも、意図は、これが通ったら今度はこれはよそにまた払い下げてやるんだ、年賦で払い下げるんだというかすかな気持ちを持っているのかい。とんでもない発言なんだよ、君、これは。言いたいことがあるの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/73
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074・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) はい。たいへんおしかりを受けて恐縮でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/74
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075・田中一
○田中一君 おしかりじゃない。あたりまえじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/75
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076・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) 私が申し上げましたのは、これはあくまで道路公団が取得して、道路公団がやるべき筋のものでございますので、つい間違ったことを申して、これは訂正さしていただき、つつしんでおわび申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/76
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077・田中一
○田中一君 ほかに目をつけておるものがあるのか。態本、郡山以外にどこか予定しているところあるの。もうつばをつけておるところあるの。かってに君のところはやるんだから、何でもできると思う。ことに、あとから質問するけれども、相当な、何億かの金を隠してあるそうだから……ああ、隠してないのか。明らかにしてあるのか。どっちでもいいや。(笑声)とにかく、そういう剰余金を持っておるということになると、これはまた問題なんです。道路公団は剰余金を持つということが法律上可能かなあ。それを割って、公債買って、利殖をするんだなんということも、これは可能かなあ、これからそういう問題が質問に出てきますから。
それで、どこかほかにこういうターミナルの候補地、いわゆる将来貸す土地、それからまた場合によったらば売る土地を持っておるかどうか。さっき言ったように、一大臣、言っておきますが、詳細に知らしていただきたい。そして、あるかないか、どっちなの、いま現在。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/77
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078・吉兼三郎
○参考人(吉兼三郎君) 先ほど道路局長からお答えありましたように、この高速道路関連施設の用地につきましては、四十六年から予算が認められまして、高速道路の建設費とは別項目としまして予算が認められまして、たしか四十六年は当初五億であったと思います。これの用地の取得の考え方は、当時は明確ではございませんで、大体この道路公団法の、今回御提案申し上げておりますような、こういう趣旨のものに将来これを活用していこうというふうな考え方で当時は予算が認められたものと承知いたしております。
何はさておき、こういうものは早く用地を、本線の買収とあわせまして、早く先行的に取得するということが一番大事なことであるというようなことからこういう予算が先行して認められたものと思います。
それからお尋ねの、ほかにどういうところを手当てしているかということでございますが、この関係の予算でもって現在私どもが取得いたしておりますのが石川県の金沢、北陸道の金沢の西インターの隣接したところ。それから九州道で申し上げますと熊本、鳥栖でございます。それから関越で申し上げますと藤岡というインターチェンジができますところ、そういうふうなところを用地の手当てをいたしております。それから本年度のそういう用地を買っていく予算は三十億でございます。これにつきましては、目下具体的な実施計画を検討いたしている段階でございます。
それから、最後にお尋ねのありました、道路公団が買った土地を払い下げたりしている土地があるかというお尋ねでございますが、申し上げるまでもなく、私どもは、高速道路の道路の建設に必要な用地を買っておるわけでございまして、そういう不要な土地は買っておりませんが、ただ、たとえば一般有料道路でもって、償還を終わりまして、有料から無料に開放するというふうな路線がございます。そういたしますと、いわゆる料金所、管理事務所、そういうふうな関係の用地が無料になりますと不要になります。そういうものは、いわゆる財産処分といたしまして関係のものにこれを内規に従いまして払い下げ処分をしているという例はございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/78
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079・田中一
○田中一君 これは亀岡さん、よく聞いてくださいよ。道路公団がインターチェンジの敷地を取得するとか、あるいはサービスエリアの土地を取得するとかというようなことは、これは当然先行取得してほしいんです。しかし、これは大きな利権につながることもあるんです。何といっても、そこに適地があって、自分の工場をつくってもよろしいし、一番近いんですから。それからそれに共通な施設をどんどんつくってもよろしい。したがって、この点のことにつきましては相当慎重にしなければならぬことは明らかなんだ。決していわゆる商業ベースに乗った考え方ではいけない。しかし、地域の開発というものに対する大きな役割りがある以上、何とかこれに対しては新しい考え方、基本的な理念というものをはっきりつくることです。これは地域開発にも相当な影響があることは知っていますね、こいつは、その地点というものが。だから、基本的な方針というものを立てるべきです。どうしても立てるべきです。だから、物を自分で買っているんだからいいんだということではなくて、地域との密着したところの開発計画というものは当然やるべきだと思う。その意味で、どうこれを持っていこうとするのか。また、道路公団が地域開発と一緒になって、それについていくなんということはできないことになっているはずだと思います。したがって、建設大臣はそれをどう持っていこうとするのか。道路局長でもいいよ、その関係をどう持っていくのか。そして、暗くない、妙なことの起こらないような形でもって地域の共通の発展を考えなければならぬと思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/79
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080・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) このインターチェンジにつきましては、実はたいへん地元に対して開発の拠点になるわけでございます。そこで、従来のようなスプロールされたことにならないように、これは十分な計画に基づいてこういうものがつくられてインターチェンジの周辺の開発が行なわれなければならないと思います。先生のおっしゃるとおりでございます。したがいまして、道路公団がこういう用地を取得します場合にも事前に十分な地元との打ち合わせをすることも必要でございますし、また、そういう計画に対して、そういうインターチェンジに対して、また地元も当然その開発計画というものもつくらなければなりませんし、そういう意味の開発計画にのっとった、調和のとれたところに物流施設をつくるというような形で進んでまいるべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/80
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081・田中一
○田中一君 あんまりもうけそうな気配があると欲を出すから、これは避けていただいて、基本的な方針というものを立つべきだと思うのです。道路公団に金だけやって、おまえのいいようにしろじゃなくて。もう一つ、都市部においては——農村は、これはできます、わりあいに。まだいいと思います。もう既設都市部においては、結局、流通センターとタイアップしてやるようになるんでしょう。結局、そういうことになると思うのですよ。そうすると、これもそうです。これも公共性ある施設として全体の計画を立てるのでありますから、どっかが指導力を持たなければならないと思うのですが、その点はどういう考え方を持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/81
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082・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) ただいまお話しのように、農村部についてはわりあいに単独でできますけれども、市街部におきましては流通センターの問題がございます。これは御承知のように、流通業務市街地の整備に関する法律というところでは、こういうターミナルのほかに卸売り市場とか、そういうほかのものもできるようになっておりますので、公団のほうはターミナル関連施設しかできませんので、そういう意味では、ただいまの流通センターというものの中の一環として位置づけがされるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/82
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083・田中一
○田中一君 それはうまくやると思うから、これ以上追及しませんがね。
この余裕金というものは、どこから生まれてくるの。そして、どれくらいの金額があるの。それを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/83
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084・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) 実は道路公団が通常毎月支払いをやりますときの支払い準備金は大体二十三億円ほどが必要であるというような考え方でおります。ところが、実際にはこれはいろいろな原因がございます。一つは、出資金の受け入れの時期あるいは債券の発行する時期というようなものの時期が、支払いのときと受け入れの時期のズレがございまして、そのまま若干の日数大きな金額が残るということがございます。それからまた年度末の未払い金に充てるための翌年度への持ち越し金というようなもの、そういうようなことで、実際には毎月大体七十億か八十億ぐらいになっているということでございます。たとえば四十五年度の平均残高が八十五億、四十六年度は六十二億、四十七年度は六十九億でございますので、そういうものと毎月の必要な二十三億というものの差が余裕金というような形になっておるわけでございます。現在のところは、それが国債あるいは郵便預金というようなことにしかやれないことになっておりますので、利ざやをかせぐと言われますとたいへん恐縮でございますけれども、もう少し有利な有価証券等にそれを充てることができないかということが今度の余裕金の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/84
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085・田中一
○田中一君 ずいぶんみみっちいことを考えるのだね。片方じゃやたらに金をあっちこっちくれてきてやっているけれども、しかし、現金持って定期にしたって、そのほうが金利がいいんじゃないのかな。ぼくにはちょっとあまり縁のないことだけれども、どうして公債とか何とか、有価証券を買っていれば値下がりもあるんでしょう。それよりも現金やったほうがいいんじゃないの、どうなの。やっぱり投機的なそういう投資をしたほうがもうかるという前提でやっているの。損しようと思っているのじゃないだろうね、その点はどうなの。これは亀岡さんに聞いてみましょう。あなた、有価証券買ったほうが余裕金がふえるのか、あるいは減るのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/85
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086・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 実は私もそういう方面の金勘定はあまり得意じゃありませんので、私、局長から聞いておりますと、結局、行管からいろいろ指摘もあったようでございます。したがいまして、それにこたえて、ただいま局長から答弁をしたような法的根拠を与えるということに相なったのではないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/86
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087・田中一
○田中一君 あなたもわからないの。じゃ、これはちょっと余談になるけれども、こっちの自民党の理事の方に聞いてみるけれども、どうなんだろう。現金持って預金して、何というの、そのほうが金利が高いのじゃないの、どうなんです。有価証券というやつはやっぱり値下がりがあるのでしょう。利回りはどうなの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/87
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088・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) それでは、もう少し詳しく利回りのことを申し上げます。実はいま道路公団が手配できます国債は、利回りが大体長期のもので七分ちょっとでございます。それから短期のもので五分でございますけれども、必ずしも長期のものがいつでも買えるわけでもない。それからもう一つ、これの受け入れております財投のお金が大体七分ぐらいでございます。それに対して、たとえば国債の短期が五分ということになりますと、その分だけ逆に高いものを借りて、安いものの預け入れしかできないということになるわけでございます。そこで、実は考えておりますのは、たとえば地方債あるいは電電債、それから鉄道債あるいは長期農林中央金庫のお金、それから商工中金というようなものをかりに借りますと、それは大体八分か八分ちょっとでございますので、その得をするということよりも、やはり受け入れておるお金はできるだけ有利な形で持っていたいということと、それからもう一つは、ほかの公団等を引き合いに出してたいへん恐縮でございますけれども、ほかの公団でも、みんな新しくできる公団はそういうものができることになっておりますので、まあ一つの横並びできるということも兼ねましてこれをやる。もし、これをかりにこういう形で預金すれば、どのくらいふえるだろうかというようなことを試算いたしますと、年間で七千万から一億ちょっとということでございますので、これはそういう金利の運営、金利のためにやるというよりは、やはり少しでも有利な形で持っていたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/88
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089・田中一
○田中一君 そんなこと言われたって、ぼくにはわからないので、これは大蔵委員会でもって一ぺんやってもらおう。こういった公共団体が金利の利ざやをかせぐために法律を改正して、先ほどは、ほかはやっているのだというけれども、法律を改正してもやらなければならぬということになると、ぼくには判断はできないから、これはあとでもってどこかでやってもらわなければしょうがない。これは委員長、そのように措置していただきたい、この問題については。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/89
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090・野々山一三
○委員長(野々山一三君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/90
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091・野々山一三
○委員長(野々山一三君) 速記を起こしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/91
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092・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) たいへんことばが足りませんで恐縮でございます。
実はこの問題につきましては、昭和四十一年に行政管理庁から、こういうような問題についてもっと幅広く運用できるようにすべきであるという、勧告をいただいております。したがいまして、それをすぐやるべきでありましたけれども、その後その法律改正のチャンスがございませんでしたので、そういう法律の改正のチャンスがあればそのようにしたいということを回答しております。したがいまして、今度のチャンスにそれをお願いしたいということと、それから実は余裕金の運用をいたします場合に 大蔵大臣に協議をするというようなことも今度の法律の一番最後に出ておりますので、どういうものに投資、有価証券を買うかというようなときには大蔵省の承認を得ることになっております。たいへん答弁に漏れがありまして恐縮でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/92
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093・田中一
○田中一君 監事の範囲が改正される、その解釈というか、内容がいままでと違っている形になっているから、これをもり一ぺん説明していただきたいと思います。監事の任務というものは、これはいまから何十年か前に——何十年じゃない、十年ぐらい前か、常に公団、公社ができた場合に、いつも問題になるんです。この監事というものの権限はどこにあるのか。われわれの通念——さっき前田君が来ていたね、総裁が。道路公団そのものに対する監査権というものがあるんだという見方、考え方ですね。いままで何べんも議論になった、この問題は。いままでの解釈と今度の解釈はどういうぐあいに受けとめたらいいのか、これを説明してほしい。これはだれがいいだろうな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/93
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094・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) この監事の職務の権限につきましては、従来は、監事は公団の業務を監査することという条項と、それから建設大臣に提出いたします財務諸表及び決算報告書に意見を付することというのだけが規定されておるわけでございます。ところが、これもやはり同じように行管のほうから指摘がございまして、そういう場合に監事が建設大臣あるいは道路公団に意見を申し述べることができるというようなことをつけるべきであるということで、これもその後新しくできました公団につきましては、それが全部初めから入っております。それから従来からありました公団につきましても、みんな入っておりませんでしたが、法律の改正のチャンスに逐次それを直してまいりまして、これも道路公団法がそのまま改正がございませんでしたので、いままで引き延ばされたというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/94
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095・田中一
○田中一君 いまの問題も、行管を今度お呼びになって、そうして明らかにしていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/95
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096・野々山一三
○委員長(野々山一三君) いま指摘されました二点については、次の委員会の際に、関係当局との間で協議をして、そうして統一した見解を説明をしてもらいたい。そうしてその上で判断をするということに私から特に申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/96
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097・二宮文造
○二宮文造君 私は、日本道路公団法の一部を改正する法律案についてお伺いしたいわけでありますが、法案の細部につきましては、同僚の田代委員も質問を準備をいたしております。したがって、大半そちらのほうへ譲ることにしまして、また、いま大臣も御出席なので、絶好の機会でありますので、道路行政の基本問題、これもお伺いしようというつもりでもありましたけれども、だいぶ時間も経過をしてまいりましたので、きょうは問題を一部整理をしまして、通告をしたのを前半、後半に分けまして、後半の部分を質問さしていただく、このようにしたいと思います。
まず、道路局長ないしは道路局の方、どなたでも、こまかい問題ですから、けっこうでございますが、国道の場合ですね、用地買収するに当たりまして、その手続等についてどういうやり方をするのか、お伺いしたいわけですが、たとえば土地なら土地の所有権者がおります。その所有権者の確認をどういうかっこうで確認をされるのか。あるいはまたその土地に地上権があります。借地権の場合もありましょうし、耕作権の場合もあります。このやはり確認をしなければ用地買収のときには非常にあとで問題を起こす。この確認の方法はどういうふうになさるのか。さらにまたそういう場合に、所有権については謄本等かありますから、——これ通告してないですよ、きょう道路局のほうには。ですから横で話をしていると、漏らされては困ります。土地の所有権の場合は謄本等を照合しますと実に簡単にわかりますが、そういう謄本等も用地買収に当たって照合されるのかどうか。さらには対象者がたくさんおります。たとえば国道の場合ですね、対象者がたくさんおります。そういうときにはやはり個々に話し合いをする周知会もお持ちになるのか。いわゆる建設省自体の係員が出て全体の周知会をやって事の次第をその付近の人に周知徹底をする、そういうふうな作業もなさるのかどうか。さらにはまた、そこに対象者がたくさんおりますと、個々に折衝するのもめんどうですから、代表者というのを選びますが、その人が代表者であるという確認の方法はどういうふうになさっているのか。それから、たとえばそういう場合に代表者に対して委任状を出します。あるいはその地上権を持っている人間が委任状を出す場合もありますし、それからまた、その代表者かだれかに売り渡しをしましたという証書を出す場合もあると思うのです。その委任状とか売り渡し証書とかいうものが正しいものであるか、あるいはそこに何かの意図を持って故意につくられたものであるか、そういう真偽をやはり判断されなければならぬと思うのですが、その真偽の確認というのはどういうふうになさるのか。一番いい例は印鑑証明というのがあるわけですから、印鑑証明をつけて、たとえば委任状なり売り渡し証書なりを確認される方式もあると思うんです。そういう作業を建設省の場合はおやりになるのかどうか。
さらにまた、今度は契約ができる、それは総括的につくるのか、あるいは個々につくるのか。もし総括的に契約書をつくるとすれば、今度は所有権者と地上権者との間の配分の問題が出てきますが、それは対象者相互にまかすのか、あるいは用地買収に当たった国のほうがこの配分についても個個に契約をする、あるいはそれを何て言うのですか、表現をする、そういうふうな用地買収をなさるのかどうか、この点についてちょっと国のあり方、建設省のあり方をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/97
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098・菊池三男
○政府委員(菊池三男君) 国の場合の用地の個々の問題につきましてはどういう契約のやり方があるかということにつきましては、実は私はその専門ではございませんので、あるいはお答えがはんぱになるかもわかりませんけれども、大体いままでのお話を伺いますと、建設省が直接やっております場合には、グループでやるということはほとんどございません。個々の地権者に対しては個個にやるわけでございます。ただ、その場合に、用地の基準価格あるいは基準価格に対する各土地の格差——先に格差をきめます。たとえばある地点を一〇〇に対してここは七〇である、ここは九〇であるというような格差をきめます。そうしてその格差に基づいて今度基準をきめます。基準値がきまりますと、各個々の用地の単価がきまるわけでございます。そういうその格差あるいは基準値をきめるような場合には、その地権者の全体の方と……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/98
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099・二宮文造
○二宮文造君 質問の趣旨が違うのです。そういう抽象論じゃなくて、私は、現実に所有権を持っているということをどうやって確認するんですかと、地上権を持っている人をどうやって確認するんですかと、あるいは契約に当たって、たとえば代表者ができたら、その代表者が間違いなく代表者であるという資格をどうやって確認するんですかと、委任状が出てくれば、その委任状が間違いない委任状であるかどうかどう確認するんですかと、こういう具体的な問題を一般論として伺っているわけです。だから局長でなくても事務局の方で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/99
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100・新野喜一郎
○説明員(新野喜一郎君) まず道路の幅がきまりますと、幅の内の土地台帳をまず登記所に行きまして調べます。そして不動産登記簿に載っております所有者を当たります。あるいは地上権とか、そういう土地台帳に載る、不動産登記簿に載るような権利はそれでわかります。しかし、借地権とか、そういうものはわかりませんので、それは所有権者にそれぞれ聞きまして、そして実際借地しているのはどなたかとか、そういうことを一人一人聞きます。それで、先ほど先生のおっしゃったグループではやっておりませんで、各自、個人にそれぞれの権利を確認をいたしております。それと借地権と、さら地との割合は各当事者間で話し合いをしていただいております。これは借地したときの条件とか、その他いろいろあるものでございますので、それを踏まえまして当事者間にまかしているというふうな実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/100
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101・二宮文造
○二宮文造君 もう一点、確かに契約はわかりました。ところが代金授受の場合に、個人個人に渡さないで、お金ならお金をある代表者にまとめて渡す場合があるでしょう。契約は別々にやってて、代表者に渡す場合があるでしょう。そうすると、その代表者が間違いなくその受け渡しを受けるべき人たちの代表であるという、その認定する必要のある場合が出るでしょう。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/101
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102・新野喜一郎
○説明員(新野喜一郎君) いまの御質問でございますが、代表者がだれかという確認につきましては、原則といたしましては、くどいようですが、個人払いでしております。特に代表である場合は、それのグループの委任状をとりまして、それでもって代表者を確認して払っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/102
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103・二宮文造
○二宮文造君 その委任状です。その委任状が正しい委任状であるかどうかという場合は、印鑑証明でもつけると一番間違いないわけですが、そこまでの作業はやってますか、やってませんか、委任状の真偽を鑑定するやり方として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/103
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104・新野喜一郎
○説明員(新野喜一郎君) 厳密ではございませんが、われわれは確実性を重んじますので、できるだけ印鑑証明をいただきまして、そして当事者間のはっきりした委任があるという確認の上に払っているというような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/104
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105・二宮文造
○二宮文造君 同じ質問を道路公団にしたいんですが、実はこれから質問することは道路公団の業務の運営についてお伺いしたいんで、公団の場合はどういう用地の取得あるいはそれに関連したことについて、いま建設省のほうから答弁のあったやり方と同じでしたら、そのとおりでけっこうですと、こういう答弁でけっこうです。重複する必要らありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/105
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106・吉兼三郎
○参考人(吉兼三郎君) 基本的には、いま路政課長のお話のありましたような買収方法で私どもはやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/106
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107・二宮文造
○二宮文造君 吉兼さんとは旧知の間がらで、旧知にある人を窮地に追い込むのは非常に申しわけないんですが、具体的な質問をさせていただきたいし、きょうは法務省の方も、直接質問いたしませんが、事が重大でございますので御出席をいただいております。それからまた大臣も、金額は実に細かな問題なんです。ですが町の一つのできごとですから、これは今後にも関連してきますから、非常にお忙しいところ恐縮ですが、御清聴をお願いしたい。あとでまた御所見を伺いたいと、こう思います。
北陸自動車道の工事の施行に伴いまして富山県の小矢部市、そこにおきます藪波、戸久、安養寺地区の土砂採取契約のあり方をめぐりまして、いま現に紛争が起こっております。また訴訟問題にもなる、その後そのような経過をたどっておりますが、この経緯、現状を簡単に公団のほうから御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/107
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108・三野定
○参考人(三野定君) ただいま御質問のございました案件でございますが、富山県の小矢部市の地内におきまして北陸自動車道の砺中工事及び砺波西工事、この二つの工事のための道路の路体材及び路床材として必要な土を確保するために、ただいま先生のおっしゃっいました戸久及び安養寺を土取り場の候補地と選定いたしまして、昭和四十三年ごろから、地元の協力を得まして、土質調査、測量などを行ないまして、これはよろしかろうということで決定をいたしました。
また、もう一つの土取り場、藪波の土取り場につきましては、これは別の場所に別の工事の土取り場として宮森の土取り場というのがあったわけでございますけれども、そのほうが土が取れなくなりましたために新たに候補地として追加をいたしまして、昭和四十五年ごろから同じような調査をいたしまして土取り場として決定をしたものでございます。
これらの土取り場決定のために、数回にわたる単価交渉を重ねた結果、昭和四十六年の三月に覚え書きを交換をいたしました。同年の十二月に土砂採取契約の締結を行なったものでございます。なお、この土取り作業は、地元関係者の御協力を得まして、契約後土取りを開始いたしまして、土取りの作業は昭和四十七年の四月から昨年の十一月まで一年七カ月余りにわたりまして作業を行ないまして、地元とも問題なく、昨年末無事完了をした次第でございます。
おかげさまで北陸自動車道の建設も順調に進んでおりまして、関係の各位には深く感謝している次第でございますけれども、ごく最近に至りまして、この土砂の代金につきまして、土砂の採取の契約金の分配に関しまして関係の方の間で問題が起こりまして、私のほうとしてもちょっと驚いている次第でございますが、全体の契約しました金額のうち七割だけすでに支払いを行なっておりまして、残りの三割はまだ私どもで保留をしている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/108
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109・二宮文造
○二宮文造君 契約金額と、それからその内金の支払いの年月日をちょっとおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/109
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110・三野定
○参考人(三野定君) 契約書によりますというと、採取いたします土量は百十万立方メートル以上ということにしてございまして、代金といたしましては総計四千六百五十三万円と相なっております。契約をいたしました四十六年の十二月にその半額を——これは契約書の定めに従いまして半額の二千三百二十六万五千円を支払っております。それから第二回の支払いは、四十七年の十二月二十六日に第二回の支払いといたしまして、二〇%に相当いたします九百三十万六千円を支払っておりまして、残金一千三百九十五万九千円というのがまだ未払いで、私のほうで保留をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/110
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111・二宮文造
○二宮文造君 それでは、先ほどお話のありました昭和四十六年十二月二十日です。十二月二十日、契約書が調印されました。その契約書の末尾にございます「土地所有者及び土地表示」と、こういう一覧表がその契約書にくっついているはずです。それをちょっと御照合願いたいのですが、その上から杉本というのは二名、畑山、それから高田伊三郎、村上清治、こういう土地の所有者の——敬称略しますが、土地の所有者の方々の名前がありまして、一番最後に西尾金光という方の名前が冒頭に記載されて、そのあとに所在地、地番、それから現況地目、それから実測地積、摘要と、こういうふうに欄に書かれておりますが、この杉本さんがお二人、畑山、高田、村上さん、こういう方々の委任状が出ておりますが、その委任状を見て奇異の感を抱きませんか。ちょっと委任状をごらんいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/111
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112・三野定
○参考人(三野定君) 私ども通常土取り等をいたしておりますのは、こういう種類の委任状と大同小異かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/112
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113・二宮文造
○二宮文造君 先ほど建設省は用地の買収にあたりまして、たとえば所有権については不動産登記簿を照合し、確認をしますと、地上権については登記簿では確認できませんので、所有権者に一々当たって、その権利義務を確認をいたしますと、さらに代表を立てる場合には厳正を旨としますので、印鑑証明等を取ることにいたしておりますと、これがいわゆる国のほうの方針ですが、公団の場合、先ほど吉兼理事はおおむねそのとおりでございますと確認をされました。今度は具体的な質問について、あなたはこの委任状を見て奇異の感を抱きませんかと、こう申し上げたら、従来の分と変わりませんのでそう思いませんと、こういう答弁ですが、私、念のために、もう一ぺんあなたの答弁を要請します。
なお、もう一つ言いましょう。杉本弘さんという委任状がありましょう。開けてみてください。この杉本弘さんは、自分の地番を五十九と書いてまた別に五十八と消しているわけです。御本人が自分で委任状を書くのに、自分の地番間違えるでしょうか。そういう委任状をごらんになって奇異の感を抱きませんか。それからまた、杉本さんお二人、それから村上さん、この三枚の筆跡をごらんになって奇異の感を持ちませんか。次に畑山さんと高田伊三郎さんの委任状を見て、その筆跡等で奇異の感を持ちませんか。この点も説明をして答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/113
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114・三野定
○参考人(三野定君) 登記された権利でございませんので、必ずしも印鑑証明がどうしても必要だというふうには考えておりません。また筆跡が同一ということは、まあ数通の契約書や委任状の筆跡が同一であるというようなことは、たまにあり得ることだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/114
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115・二宮文造
○二宮文造君 そのために善良な二十数名の市民がいま訴訟問題を起こしているのです。何もわからないときにそういう答弁をいただくなら、私もまたすんなり受け取りますが、すでに公団に対して何回も陳情なり、あるいは内容証明、総裁あてにこういう事実がございますよと、内容証明まで現地の人が出して、そしてその公団の回答を求めているにもかかわらず、いま御答弁をいただいたような高姿勢のままいままで続いているわけです。現地の人は非常に困っているわけです。いま御答弁いただいたが、それでは、あなたがおっしゃるのは、委任状は代筆でも認めるんですか、公団は。その点をはっきり御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/115
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116・三野定
○参考人(三野定君) 代筆でも従来間々あることでございまして、差しつかえないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/116
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117・二宮文造
○二宮文造君 代筆でもかまわない、しかも印鑑証明も要らない、それじゃ偽造でもかまわぬわけですね、書類が出れば。この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/117
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118・三野定
○参考人(三野定君) 私どもは代表者であるところの西尾という人と契約をいたしたわけでございますが、この西尾という方が関係の方の委任状を持って代表されたわけでございます。この契約書にございますように、関係の方との問題は一切処理をするというふうにもなっておりますので、私どもは、それでよろしかろうと考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/118
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119・二宮文造
○二宮文造君 それでは、その西尾何がしという方が正当な代表者であるという、そういう判断はどこから出てきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/119
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120・三野定
○参考人(三野定君) この西尾という方を契約代表者として適当であると判断いたしましたのは、地元で結成をされました北陸自動車道藪波地区の対策委員会の委員長でございます吉岡さんという方と、同じく副委員長でございます安田さんという方並びにもう一つの土取り場でございます戸久地区の総代でございました米沢さんというこの三人の方などの一致した御推薦があったからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/120
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121・二宮文造
○二宮文造君 いまおっしゃった三人の方、米沢さんと安田さんですか、それから吉岡さんですか——この米沢さん、吉岡さんそれから安田さん、この三名はこの地権者ないしは所有権者に加わっておりますか。推進委員会の会長であり副会長であるこのいまおっしゃった三名の方がこの中に入っておりますか。入っているのは西尾さんだけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/121
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122・三野定
○参考人(三野定君) その辺はよく存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/122
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123・二宮文造
○二宮文造君 冗談じゃありません。どうしてわかんないんです。どうしてわからないんです。書類があるじゃありませんか、一件書類。二十四名の方の名簿、公団のこの土砂の採取によってこういう被害を受けた、こういう損害を受けましたと陳情をしている二十四名の中にもその名前はありませんし、また契約をした契約書の末尾に入っている西尾さんを除いての五名の中にもいまのお名前はありませんし、全然現地に関係のない人が適当な人であると認めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/123
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124・三野定
○参考人(三野定君) 失礼いたしました。権利者ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/124
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125・二宮文造
○二宮文造君 そこに一つの問題があります。
それから米沢さんという方は——公団は、先ほど四十六年の十二月に
〔委員長退席、理事前川旦君着席〕
二千三百二十六万五千円、五〇%支払いましたと、こうおっしゃっておられますが、この米沢さんという方は、四十四年の春から四十五年、六年、契約を締結するまでに着手金というようなかっこうでこの地権者の方に九万円程度、ほんとうにごくわずかな程度ですが、支払っております。渡してあります。しかも、そのときにこの米沢さんは公団のお使いである、西尾さんも公団のお使いであるということで、この地権者、所有権者並びにその地上権者、そういうところを回っておりますが、こういう事実は公団は御存じですか、御存じでないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/125
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126・三野定
○参考人(三野定君) 存じておりません。
〔理事前川旦君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/126
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127・二宮文造
○二宮文造君 ここに——では、ちょっと時間がかかりますけども、正確を期する意味で、まず、現地の方がこういうことを書いてきております。「調査資料提示について」、これは私どもにくれるのについて説明を、前書きをされたのだと思います。へたな私の説明よりも現地の人の声をもろに、なまに申し上げたほうがわかっていただけると思うんですから、聞いていただきたい。「今般北陸高速道路建設に伴い、富山県小矢部市戸久安養寺土取場該当土地所有者、又は占有する関係者は二十八名で、其の総面積は拾貳萬五阡平方メートル余であります、現在迄関係者に支払はれた補償金額は全部で一金六百七拾四万円也であります。」、先ほどは三千三百万程度お支払いになったそうですが、「現在迄関係者に支払はれた補償金額は全部で一金六百七拾四万円也であります。而し日本道路公団高速道路金沢建設局長「甲」、土地所有者代表者西尾金光「乙」との契約書は、其の内詳に於て委任状を偽造し、土地所有権まで眞実であるかの様に提示してあります。被疑者」——こうなっております。「被疑者西尾金光は該当土地は七百平方メートルしか所有していないのに八萬六千三百拾貮平方メートルも該当土地を所有している地権者の様に其の代理人である旨日本道路公団を信用させ、土砂採取契約を結び、同公団より昭和四十六年十二月頃一金貳阡参百貳拾六萬五阡円也、昭和四十七年十二月頃一金九百参拾萬六阡円合計参阡貳百五拾七萬壱阡円也を着服した、其の証として別紙の通り被疑事実明らかな書類を提示致します」、こういいまして、この一連の書類の中には、「一、昭和四十八年十月歎願書の写し 二、道路公団との契約書土地表示の写し三、印鑑盗用の委任状の写し 四、藪波戸久、安養寺土取場損害額明細書 五、催告書昭和四十九年二月二十七日付 六、北陸道土取場事件の経過、並に土取場位置図 七、検察審査会審査申立書写し 八、新聞記事の切り取り写し 以上」、こうされまして代表者が署名され、証人がここに載せられて、さらにまた「申立人目録」として名前が書かれております。
さらにまた歎願書を申し上げてみますと、これは昭和四十八年十月の歎願書であります。あなたは先ほど経過の説明の中で、現地の非常に円満な協力を得て無事に作業を終わりましたと、こうおっしゃっておりますが、作業を終わったのは十一月であります。すでに円満でない事態が十月に起こっております。その歎願書を読んでみますと、「今般、北陸高速道路建設に伴い、協力委員として最初の計画より用地買収、立木補償、土盛用土砂輸送道路の改修舗装、土砂採取補償料、其の他一切の事柄を担当し処理した米沢一正氏は当時、戸久総代の要職にあり、又薮波地区高速道路建設委員で、当校下市民の」——学校ですね、学校の校下です。「校下市民の信望高く、詳細の事は一任する事もある人材である。然るに先般来より土盛用土砂採取補償料に付き、不正の点をつぶさに聞き及び、米沢氏に其の旨を告げ、正否をたゞすに、何等やましき事なし、唯道路公団の使をした事なりと答う。然し、不信に思い事実を聞き調査したるに確かに不正の事態あり。昭和四十四年一月、米沢氏は道路公団の使なりとして土砂採取土地所有者に各々個人に辺り了解を求む。依て其の補償金額は全部で五百万円余りで、道路公団との契約金額は実に四千六百余万円、其の契約者は我等土地所有者に相談もなく西尾金光氏を地権代表名義として、立会人に」——これは公職にありますから、私、朗読するのにしのびません。Yという人と、それから先ほど言いました前戸久総代米沢一正氏の二名が立証して居る。「之は如何なる事柄か驚きの外ありません。唯々事柄の知らぬ我等をごまかし、公金を横取りし私腹を肥やした様に思え納得出来ません。この上は上司に御願いし、明白に事情を御検察下さる事をここに連名にて御願いする次第であります。」、二十何名がここに署名捺印をし、これは確かに自筆の署名捺印であります。この中に出ております杉本弘という人の自筆と、この委任状に出ている杉本さんの自筆とは違います。これは公団にも出ておりますから、照合されたら明らかにわかるはずであります。どうもこの辺が、公団が仕事を急ぐのあまりに、われわれとしては了解のできないようなやりとりがあります。無垢の市民がそのために非常に迷惑をしている。
なお、必要であれば同僚議員に御了解をいただいて、もっと状況を説明してみましょう。
この契約の末尾にありました、先ほどの土地所有者及び土地表示、これの西尾金光という人は、確かにここに書かれたように八万平米の土地の権利者であるかのごとくこの契約書には表示されております。しかし、その一部は本人の所有地があります。しかし、その本人の所有地は、ここに契約書にはあがっておりますけれども、土砂は全く取っておりません。その地番も明確であります。土砂は全く取っておりません。しかし、この契約書の末尾にはいかにも土砂を取る用地のように表示がされております。さらに今度は、一部についてはその所有者あるいは地権者から土砂の売り渡し証書を取ったかのごとくなっておりますが、公団からの説明によればそうなっておりますが、その売り渡し証書も、地権者や所有者はにせものであると言っております。しかも、その背後関係がもうほとんど西尾氏は公団の使いなりと称して現地を歩き、また、先ほど推進委員であった、会長であったとおっしゃった米沢さんという人も公団の使いであると、こう言って動き、その間の事情を公団が知らずに契約書を結び今日の事態を起こしたとすれば、そういう業務方法であったならば、今後に幾つも問題を起こします。
なお、まだもう一つ、この問題は刑事事件として、いわゆる私文書偽造、印鑑盗用ということで刑事事件として本人は、西尾さんは勾留されました。取り調べを受けました。不起訴になりました。ところが、不起訴になったのが納得ができないというので、いま検察審査会に提出をされております。私どもの同僚が富山地検に参りまして、不起訴になった事情を伺ってみますと、名前は伏せますけれども、ある検事さんが、われわれとしてもこの不起訴の問題につきては了解に苦しむ。したがって、検察審査会で取り上げて、もう一ぺんこれはそういう検察審査会の結論を待っている最中でありますと、こういう——これは余談のことですが、今後のことですからどうなるかわかりませんが、検察審査会では必ずこれは問題になる、そういう種類のものであるという見解を地検の一検事さんがお漏らしになっておりました。ですから、あなた方は、これが地検で不起訴になったから問題は終わりであると、こういうふうに理解されたらこれは大いに誤りであって、問題はいま出発点に立ったところだと、こういうことであります。
いままで私が申し上げたことで、異論がございましたり、あるいはまた反論すべきものがあったら、理事さんのほうから答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/127
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128・三野定
○参考人(三野定君) ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/128
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129・二宮文造
○二宮文造君 ここは裁判所じゃありませんので、私、切り返すつもりはありませんが、異論がないということは、私の説明をやや了とされる意図ですか。そういうこともあったかもしれないという反省も含めて異論がないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/129
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130・三野定
○参考人(三野定君) ただいま先生のおっしゃいました事実につきまして、私どもがいただいております、得ております情報と大体相違点がございませんので、その点で何も申し上げることはなかろうかと思うのでございます。そういう意味で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/130
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131・二宮文造
○二宮文造君 ちょっと待ってくださいよ。私がいま説明をしたその荒筋については公団のほうでも理解をしているので、その理解の程度と大した食い違いもないので異論がないと申し上げましたと、こういういまの御答弁ですが、とすれば、私の申し上げたことに反論がないとすれば、この公団がやった契約ないしは金額の支払いは、いわゆる国金の管理者としての善良な配慮に欠けているような契約のしかたであり、金銭の支払いのしかたであるということになりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/131
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132・三野定
○参考人(三野定君) その点はちょっと私どもそういうふうに考えておりませんで、私どもは適法に支払いをしたというふうに考えておるわけでございます。
ただいま先生からお話がございましたように、この一月に、この西尾という方でございますが、警察に、司直の取り調べを受けられたと、しかし、すでに不起訴処分となっているというふうに聞いております。それですべてが終わったというふうには私は思いませんけれども、事柄がやはりお互いの権利者の間の問題になっているということは理解をいたしておりますけれども、私どもの手続でいろんな、もう少しこうしたらよかったろうというような点は感ずるわけでございますけれども、適法でなかったというふうには私どもは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/132
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133・二宮文造
○二宮文造君 公団の方がただの一回でも現地に足を運んで、これらの地権者の人や、あるいはまた所有権を持っている人にただの一人でも公団の係の方が会った事実がありますか。全然ないんですよ。すべてそれは米沢何がしという人の仕事であり、西尾何がしという人の仕事であり、その人の口上が全部公団の使いという口上ですよ。およそ公団が契約——土砂にしても何にしても、これだけの契約をするのに、土地の所有者に、あるいは地上権者に公団の職員が一ぺんも周知会もしなければ、話し合いもしなければ、面接もしない。これは一体どういうことですか。そして、ただ、あなたのおっしゃった西尾さんというのが推進委員会の方の推薦を受けた人だから代表と認めました、形はあっても足がないんですよ。信頼すべき傍証がちっともないのに、あなた方の支払いが適法である、この契約が正しい契約であると認められますか。そういうことで国政が運営されたら一体どうなります。何のための登記の謄本ですか。また耕作権者というのは農地委員会だってちゃんとあるじゃないですか。どんなにしてでも地権を確認しようと思えばできる。また、少なくとも私の財産を公の機関が買い取るなり何なりするときには、それだけの作業をすべきじゃないでしょうか。もし公団がそれだけのことをやったという事実があったら説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/133
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134・三野定
○参考人(三野定君) 私どもは、方々で土取りをやってまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/134
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135・二宮文造
○二宮文造君 だから問題なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/135
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136・三野定
○参考人(三野定君) それで、ときたま高速道路の工事の初期におきましては、山の土をとって平らにしてもらうとかえって土地がよくなるというようなことで土代はなしで、感謝をされたというような時代もあるわけで、次第にせちがらくなりまして、土代を払うということが次第に定着してまいったわけでございます。そういうような歴史的な経過もございまして、多少こういう土砂の採取につきまして、何といいますか、安易な態度が現場にあったかど思いますが、しかし登記されたような権利につきましては、その辺十分に確かめてやっているはずでございまして、その場合は土地を買うわけでもなし、先ほども建設省、それから私のほうの一般の用地買収の慣行につきまして申し上げたときにも申し上げましたように、地上の権利につきましてはやはり本人に確かめなきゃならぬというような、本人同士の話し合いというようなことでございますので、本人同士と申しますか、要するに、地上の地上権者とそれから土地所有者との間の話し合いというようなことになっておるわけでございますので、そういう点で、本件のような土砂採取の問題につきましても、そういう関係で委任状によりまして契約を進めたということでございまして、私どももこれによりまして、結局、権利者の間の分配問題というふうな形になっておるのでございまして、実は契約書によりますというと、私ども残金一千四百万円弱の金を払わなければならぬわけでございますが、まだ、これは先ほどもお話がございました、どうしたらいいでしょうかという私どもの質問に対する検察庁のほうの検事さんのアドバイスもございまして、とにかく一応保留をして、権利者の間の話し合いをすみやかにまとめて、それからやるべきであるというような御指導もいただきましたが、その方向に私どもも努力をいたしまして、早くこの問題の解決をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/136
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137・二宮文造
○二宮文造君 全く事態の理解のしかたが違います。まず、私の質問について具体的な答弁がありません。公団の職員が所有権者なり、あるいは地権者なりに、ただの一回でも会った事実がありますかということに対する答弁はありませんでした。
それからもう一点、あなたの答弁で私理解できませんことは、事は金額の配分の問題ではありませんで、私文書偽造、印鑑盗用、こういう刑事事件が事の次第でありまして、要するに委任状がにせものである、また西尾氏の権利を主張する売り渡し証書がにせものである、そういうにせものの上に立って公団が契約を結んでいるという善良な配慮に欠けている、こういう点を私は指摘をしているわけです。この二点については、従来は土地取ってもらったら喜んでいたとか、それがこのごろはお金を払うようになったとか、余談なことを答弁されて肝心の点については答弁を避けられている。決してあなたの御答弁にあったように、金額の配分の内輪もめではありません。公団の契約の姿勢に間違いがあった。私はそれを問題にしているわけです。それをまた補う何の作業も公団はやっていない、こういうことを申し上げているわけです。総裁はだいぶうなずいていらっしゃいますが、まだ総裁には意見を伺うのは最終にしたいと、こういうこまかい問題ですし、現場の問題ですし、担当の理事で御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/137
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138・三野定
○参考人(三野定君) ほかの地権者に会ったかどうかということについては、私ども、はなはだ残念でございますけれども、存じません。
それから繰り返すようでございますけれども、代表者につきまして関係の有力者というところの強い推薦がございましたものですから、私どもとしては、これを信用したわけでございまして、その辺をどう考えるかということでございますけれども……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/138
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139・二宮文造
○二宮文造君 委任状は偽造であってもいいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/139
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140・三野定
○参考人(三野定君) それは偽造では困ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/140
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141・二宮文造
○二宮文造君 私、こういうことであまり時間かけたくないのです。あなたが自分の住所を、地番を書くのに間違えますか。五十八だったか五十九だったか、間違えますか。もう杉本弘さんの委任状見ただけで、これはもう明らかに代筆であり、そして今日の事件になってみれば誤りであると、偽造であるということはもう明瞭になっているわけです。本人がそう言っているのですから、杉本さん自体が。だから、そこらにそういうやり方を公団が今後もやっていくとすれば次々と問題は起きる。だから、将来の問題としては、やっぱり印鑑証明なり、あるいは周知会を開いたなり、そういうものを現地にちゃんと保存すべきだと思うのです。全然やっておりません、あなた存じませんということで逃げられたけれども。知らないということにはもう私も食いつく方法はありませんが、全然やってません。しかし、この問題の結末として残金がまだ渡してありませんので、その残金については検察庁の御意見も伺ってこういうふうにしてありますということだけではこの問題の処理はできないと思います。要するに、私、いま仮定を申し上げますが、おそらく検察審査会は、これは不起訴は妥当ではない、そういう結論になるはずです、これは。もし、そうなったら、そして私文書偽造、印鑑盗用という事件として起訴された場合、公団はこの契約書をどう見ますか。仮定の問題ですが、現実にそういう方向になっていますから、起訴になったらこの契約はどうなりますかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/141
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142・三野定
○参考人(三野定君) 先生のおっしゃるように、事柄がそういうことになっておりますならば、いずれ西尾さんの行為というものが、西尾さんという方のやられたことが正しかったかどうかということは明らかになるかと思いますが、もし悪い行為であるということになりますというと、私どもも被害者ということになるかと思います。その節はまたその節で、ひとつ私ども処置をいたさなければならぬと思います。
それから、冒頭におっしゃいましたように、こういうやり方をいつもやってたんじゃいかぬぞと、確かにおっしゃるとおりで、ごもっともでございます。こういうことが起こりませんように、今後十分に手続方法等をはっきり明示をいたしまして、現場体制に服膺させるようにいたしたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/142
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143・二宮文造
○二宮文造君 後段の答弁はまことに明快にわかりました、今後の問題は。しかし、前段は全くわかりません。西尾さんがそういうことになったら公団は被害者でございまして、そのときはそのときで考えなければいけませんというようなことでは国会答弁になりません。私の質問は、もしそういう私文書偽造、印鑑盗用というような刑事事件で起訴された場合は、この契約はどうなりますか、契約はどうなりますかと同時に、この二十四名の方々の、まだ別途公団と交渉された四名の方がほかにいますが、合わせて二十八名の方の損害はどうなりますか、公団はそれをどういう姿勢で解決に当たりますか、こういう意味も含めてどうなりますかと申し上げたわけです。契約は無効でしょう。また、しかも、公団はいわゆるその政府関係機関として善良な配慮に欠けた契約をやったわけでしょう。周知会もやらない、権利義務の確認もしない。あるいはまた委任状や売り渡し証書が正しいものであるかどうか、印鑑証明も添付させない、先ほど建設省がおっしゃった原則的な問題は何一つ履行されていない。したがって、こういう善良な配慮に欠けたがゆえにこういう問題が起こった。公団は被害者ではありませんで、何というのでしょう。未必の加害者みたい、被害者ではありません。被害者は二十八名の方が被害者です。その被害者に対して公団はどうなさるか、これをお伺いしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/143
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144・三野定
○参考人(三野定君) 私ども、一年半もの間、土を取らしていただきまして、その間何もございませんでしたので、その点でどうも私どもも何というか、その二十四名でございますか、二十八名の方でございますか、いずれにしましても、私どもの契約が非常に悪かったということがなかなかちょっと私ども釈然とせぬわけでございます。また金額が少なかったということではございますけれども、とにかくまあ金も受け取っておられたようでございますし、どうもその点で私どもの契約がほんとうに悪かったのだろうかという私ども疑問を持っております。司直の手によりましてまことが明らになってからどうするかというようなことも実はまだ考えておりません。私どもとしては、一応私どもの契約というものはそれで成り立っていたのであろうと、こういうふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/144
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145・二宮文造
○二宮文造君 全くわかりません。もうやっぱり総裁にお出ましを願わなければなりません。同じような質問を申し上げたいわけですが、私は、まあ法律的なことは全くしろうとですからわかりませんが、偽造の委任状、偽造の売り渡し証書、そういうものをもって本人が地権者であるかのごとく装ったという点が一点。
それからまた、全く関係のない、しかし推進委員会というものがあって、その推進委員会の中に、このいろいろな文書によりますと、一部利益を受けた人の奔走によって西尾さんという人がいかにも適当な代表者のごとく装われて、地権者や所有者には全く知らないうちにこういう契約が締結された。しかも、そこにはもう偽造の書類があったと、そしてお金が渡されたけれども、お金が本人のところに入って、それからどこへいったか知りませんが、それがいくべき人のところにはいっていない。しかも、これが刑事事件として起訴されたというようなことになりますと、法律の知識の弱い私の判断でも、先ほど言いました公団が確認する作業を何もやっていないわけですから、何にも確認する材料をやっていない、周知会もやっていないんですから、この契約は当初から無効であり、公団もそういう意味では西尾さんには被害にかかった、これは認めます。しかし、そのために地権者や所有権者には損害を与えたことになります。その面ではやっぱり加害者になります、公団は。したがって、この問題整理は、いままで支払った分については西尾さんに損害賠償を公団が要求をする。正当な権利者であるこの所有権者やあるいは地上権を持っている人には契約書のとおり支払いをする、こういうことでなければならないんでしょうか。それが正当な解決のしかたでないでしょうか。そのために損害請求というのを出してありますが、しかし、これについての公団の答弁はまことに木で鼻をくくったような答弁ですよ、内容証明についての公団の答弁は。ですから、この問題の結末をどういうふうに総裁としてはつけていただくのか、総裁の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/145
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146・前田光嘉
○参考人(前田光嘉君) 北陸自動車道の小矢部地区の土取りにつきまして、ただいま二宮先生から御指摘いただきましたような、現場の私のほうの職員が非常に事務に粗漏があったために関係の方々にたいへんな御迷惑をかけましたことは、まことに申しわけなく存じております。
具体的な御指摘で、あの西尾金光氏と私のほうとかわしました契約がそのもとになる委任状が偽造であるために無効であるかどうかという点につきましては、起訴の問題がまだペンディングであり、しかも、裁判の結果を待たなければ、この席上で明確に無効であると私から申し上げることは少し時期が早いかと存じますけれども、いずれにいたしましても、そういうふうな契約を結んで、それに基づいて関係者の方々に御迷惑をかけることは、これは許すべきことではございません。実は土取りにつきましては、従来はまあ仕事を急ぐのでかけ回ったのでございましょうし、また土取りそのものの性質が土砂を買うという形でございまして、土地を買うという、不動産を買うという形におけるほど厳密に処理をしていなかったためにこのようなことになったかと思います。しかしながら、問題の性質上、やはりどんな場合におきましても、権利者の方々には十分な納得のいく契約であり、またそれに対する代価の支払いであるべきでございまして、今後につきましては、いま御指摘いただきました点あるいはさらに反省すべき点を十分に反省いたしまして、こういうふうなことの起こらないようなことを未然に防止すべきでございまして、その点は十分注意をしたいと存じます。
また、この問題につきましても、いろいろ聞いてみますと、ただいま御指摘がございましたように、西尾それがしと関係の方々との間における関係が十分明確でなかった点、あるいはそれを詳細にすべき委任状そのものにつきましても十分な連携がなかったという点がございますが、一方で刑事事件でもございましょうけれども、一方でまたあるいは民事問題として発展するかもしれませんが、われわれのほうといたしましては、できる限り円満に話し合いがつきまして、関係の方々にも、せっかく提供していただきました土地の土砂、これに対する代金の支払いが納得めいける代金の支払いでありますように、関係の方々ともさらに話を円満につけるべく努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/146
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147・二宮文造
○二宮文造君 私、要望を言っておきます。いまの総裁の答弁を伺ってほぼ了解しました。了解しましたが、その了解に立って要望しておきますが、西尾氏との交渉は公団がやっていただきたい。それからまた、被害者との円満な話のしかたも、これも公団がやっていただきたい。公団が西尾氏と被害者——被害者というか、この場合、被害者と名前つけさせてもらいましょう。そういう方々と西尾氏とが話し合うことを公団が傍観をするということでは責任のがれになります。公団対契約者である西尾氏、しかも、その契約が無効であると、間違った事実の上に、書類の上に立たれたという立場をとっているこの被害者と公団と、こういうかっこうで問題の処理をやっていただけるかどうか、この点お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/147
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148・前田光嘉
○参考人(前田光嘉君) お話のとおり、関係の方々すべての方と話し合いをしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/148
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149・二宮文造
○二宮文造君 これは建設大臣の答弁を要求する何ものもないわけですが、ほんとうにこの問題は、私、先ほども三野理事ですか、おっしゃったのは、土地を一年半もとっていたのにその間何にもなかったと、だから何でもないんじゃないかという理解のしかたは、私は誤りだと思いますよ。というのは、やはりお上の仕事というのは、いまのいなかの人はやはり思います。相手が、町の業者が黙って取っていっているんだったら、それこそもうすぐ押しかけてわあわあ言いますよ。相手が公団でしょう、国でしょう、信用しますよ。そういうふうな、とにかく上からものを見おろすだけでこういう仕事はできません。これもひとつこれからの姿勢として改めていただきたい。やはり下から盛り上げていかなければ、こういういまの時代ですと、下から一つ一つ積み上げていきませんと行政というものはできないと思います。お役人さんは得てして上から見ますけれども、私ども、やはり下から見るべきだと思います。そういうことで、はしなくも今回の事件は、いままでの公団、国道の用地買収にもややこれに似たような、あるいは住宅公団の用地買収にも配分をめぐってややこれに似たような非常にややこしい問題を残してきました。最近は一人一人が権利を主張するようになりましたから、ややそれも影をひそめましたけれども、しかし、公団の仕事の中にこういう事件があったというのは私きわめて遺憾だと思う。したがって、やはり私権を尊重をする、それはもう協力もしてもらわなければなりません。協力もしてもらわなければなりませんが、政府並びに政府関係機関の仕事というのは、だれが見ても公正妥当な、しかも明朗な、そしてはっきりした条件の上に政府や政府関係機関の仕事は進められるべきだと思います。そういう意味で、今後、公団——各種公団がありますから、大臣のそういう面についてのきびしい指導を私は要望をし、また、この問題についてもメンツもありましょう、またその仕事をなすった方の責任問題もあるいは出てくるかもわかりません。しかし、私はそれは問いません。責任問題を問うのではありません。いま現に困っている二十四名及び別途話し合いをしている四名、合わせて二十八名の方の事実に基づいた申し立てに謙虚に耳を傾けるように公団を指導していただきたい、これを大臣にお願いしたいわけであります。よろしくお願いしたいと思います。
それから法務省の方も、私、ちょっと先ほど要らぬ口をすべらしまして、ある検事が不起訴相当にされた、しかし、また別の方がこれはちょっと客観情勢から見て検察審査会から出てくるのを期待されているような御発言がございました。したがいまして、これはもうすでに法の運用の問題ですから、私ども口を入れるわけではありませんが、どうやらこれは最初の不起訴相当がちょっと誤まっているんじゃないかという判断が現地で強いようでありますので、ひとつよろしく問題が上がってきたときには御検討いただきたい。よろしくお願いしたいと思います。答弁要りません、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/149
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150・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) 政府関係機関並びに政府の職員として与えられております権限の行使につきましては憲法に明示されておるわけであります。そこから生まれてくる事実は全国民のためにこれを行使をしなさいということで、常に国民が中心でなければならぬわけであります。したがいまして、与えられております諸権限というものは大小があってはなりませんし、厚薄があってはならぬわけであります、これは国民に対して。そういう面につきましては、やはり公団、政府職員において、往々にしてその十二分な理解を持たない者がいるやの行為に遭遇することが間々あるわけでございまして、これはたいへん残念なことでございます。御指摘をいただいた問題につきましても、担当職員がこの原則、原理を十分わきまえておれば、建設省のやっておりますとおりの処置が講じられたはずでございます。それが土取り、土だけ買うんだからと、買う行為、これも一つの法律によって与えられておる権限を行使する職員のこれは行政権でございますから、その際にはやはり一番確実な、だれからも疑惑を抱かれない措置を講ずるのがこれはもう当然の当然でございます。それをめんどうくさいからと、よく行政官ですと、なれているからそこまでやらなくともという、そういうところがやはりいろんな問題を起こす根源になろうかと思うわけでございます。
私も就任以来、そういう点を建設省の職員、公団の方々にも実はやかましく、一番先に就任したときから申し述べており、また要求をいたしておるところでもございます。今後も再びこういうことの起きませんように十二分に注意をしてまいるように指導していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/150
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151・二宮文造
○二宮文造君 関係者に処置するように、公団に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/151
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152・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) その点につきましては、先ほども二宮委員からお話のありましたとおり、この問題については、やはりその是非曲直を決定するということでたいへん大事な問題が残っておるような気がするわけであります。したがいまして、そういういわゆる法律上の手続というものが今後どういうふうにとられてまいりますか、いずれにいたしましても、ただいま道路公団総裁がお答え申し上げたような方向で処置するように指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/152
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153・野々山一三
○委員長(野々山一三君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214149X00719740423/153
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