1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月九日(木曜日)
午前十時四十一分開会
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委員の異動
五月七日
辞任 補欠選任
片山 正英君 源田 実君
高橋 邦雄君 今 春聴君
五月八日
辞任 補欠選任
源田 実君 片山 正英君
今 春聴君 高橋 邦雄君
斎藤 寿夫君 古賀雷四郎君
永野 鎮雄君 寺下 岩蔵君
五月九日
辞任 補欠選任
安井 謙君 西村 尚治君
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出席者は左のとおり。
委員長 久保田藤麿君
理 事
高橋 邦雄君
原 文兵衛君
占部 秀男君
河田 賢治君
委 員
片山 正英君
古賀雷四郎君
柴立 芳文君
寺下 岩蔵君
鍋島 直紹君
西村 尚治君
加瀬 完君
松永 忠二君
上林繁次郎君
村尾 重雄君
国務大臣
自 治 大 臣 町村 金五君
政府委員
自治大臣官房審
議官 山下 稔君
自治省財政局長 松浦 功君
消防庁長官 佐々木喜久治君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 保君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○消防法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/0
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001・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨五月八日、永野鎮雄君及び斎藤寿夫君が委員を辞任され、その補欠として寺下岩蔵君及び古賀雷四郎君が選任されました。
本日、安井謙君が委員を辞任され、その補欠として西村尚治君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/1
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002・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 理事の補欠選任についておはかりいたします。
高橋邦雄君の委員異動に伴い、理事に欠員が生じておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願。たしと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/2
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003・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に高橋邦雄君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/3
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004・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/4
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005・占部秀男
○占部秀男君 前回の委員会で、同僚の松永さんから相当詳しく質問されておりますので、私は簡単に——というわけにはいかぬけれども、簡単にひとつ質問したい。
そこで、この一点だけはひとつ大臣に御答弁を願い、あとは、ひとつ局長なり、また大臣がやってくださればそれでもけっこう、こういうことにしたいと思いますが。
最初の一点は、今度の改正案の附則の問題、つまり、千六百七十九億六千万円の、いわばわれわれのほうから言えばたな上げ、自治省のほうから言えば、五十二年度から五十五年度にかけてこれを加算して給付する、こういう問題です。この内容については、この前の大臣の所信表明のときにも、それから例の地方税法のときにもある程度聞きましたので、こまかい点については私はきょうは省略をしたいと思うんですが、ただ一言だけ念を入れてひとつ大臣の言明をいただきたい。それは、今度のこのいわゆる繰り越し的な問題は、単に今度のだけではなくて、過去にも一、二回ということで繰り返されていると思うんですよ。私は、今回は私たちはもちろん反対ですが、かりにこれが、この法律の改正がこのまま通ったとしても、今度、将来のそれぞれの年に、いつも金が余っているからというごとに、繰り延べというか、交付税の給付を延ばされるということになれば、結局、これは形式的な言い方かもしれませんが、半永久的にこの千六百七十九億程度の金は次から次へと繰り延べられる、こういうことにも——こんなことはないと思うんですけれども、また、でき得るわけです。したがって、この委員会としては、おそらく社会党だけではないと思うんですが、国の一方的な都合だけによって地方交付税の法定額というものを減額するような措置は好ましくないんだと、こういう考え方は、おそらく自民党さんでも、他の各会派でも同じだと思うんであります。
そこでひとつ大臣に、こういうことはもう繰り返さずに、地方財政の充実の面を中心にこれからも考えていくんだという点をぼくははっきりさせてもらいたいと思うんです。特に、今回は政府の一枚看板である公共事業の抑制の問題がありますから、それと関連をしてのこの問題という考え方もありますから、われわれは反対でありますけれども、これ以上は追及はしませんが、しかし、そういうようなことのないときに、金が、少し地方税がよけいたまったから、よけい取れるからといって繰り延べをされるようなことになると、それでなくたって今日地方の行政水準はそう高いものではないわけですから、特に福祉関係はやらなければならぬ仕事がたくさんある。そういう中でそういう形が繰り返されるということになると、自治体として、非常に住民の要求と政府の一方的なやり方との間にはさまって苦労をするのは知事、市町村長である。したがって、この点については、もう少し自治省としても将来的な見通しの上に立って、特に大きな問題がない限りはこういうことはしないようにしてもらいたい、これが私の大臣に対するお願いというか、要求ですが、この点、大臣の見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/5
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006・町村金五
○国務大臣(町村金五君) このたびの地方交付税の減額措置のことにつきましては、今日までたびたび御指摘をいただいてきたことは私も重々承知をいたしておるところでございます。実は、このたびのこの減額措置に、私が昨年末の予算編成にあたりましてこれに応諾をいたしたということにつきましては、当時、大蔵大臣と私との間、あるいは自治省と大蔵省との間には、さきに大蔵大臣と自治大臣との間に、将来こういうことはできるだけ避けるようにするというような申し合わせ等もあった次第でございまするので、私どもとしては、できるだけこういう措置は避けるべきだという基本的な考えを持っておったことは申し上げるまでもございません。ただ、御承知のように、本年の予算編成の最大の眼目とするところは、言うまでもなく、今日のインフレをいかにしてすみやかに鎮静をさせるかということが今回の予算編成の最大の眼目であったことは申し上げるまでもございません。したがって、そういうような角度から、本年は御承知のように総需要の抑制というものをまず予算編成の一番大きな柱としてこれに当たるということになっておったわけでございます。そういうような事情で、かなりの物価水準の高騰によりまして、地方財政はそういった面からたいへんな苦しい一面があることは私どもも重々承知はいたしておったところではございますけれども、他面、総需要抑制の見地から、かなり地方財政におきましても公共事業等をできるだけ圧縮していただく、そうしてこの急場をいかにして切り抜けるかというような基本的な考えで今回の予算が編成されたわけでございます。したがって、地方の財政状況というものを私どもはあくまでも見ながらよくこれを守っていかなければならぬという自治省の立場からいたしますれば、いま御指摘もございましたように、必ずしも地方財政、私もそんなに潤沢であり、ゆとりがあるとは考えません。むしろ、かなり苦しい一面のあるということも承知はいたしておるわけでございますけれども、いま申し上げたような、重大な高物価抑制、インフレ抑制というためには相当思い切ったことをやらなければならぬという場合にあったことは申し上げるまでもございません。そういうようなことから、一種の緊急状態における緊急措置というようなことで、私どもは大蔵大臣からのこの減額の要請というものに応諾をいたしたというのが実情でございます。したがって、私どもはこういったことが今後恒常的に行なわれてしかるべきものだというふうには全く考えておりません。できるだけ将来ともこういうことはひとつ避けていくというのが自治省の根本的な態度であることは申し上げるまでもないのでございまして、この点は、今後わが国の財政経済情勢がどういうふうに推移してまいるかというようなことは、なかなか私には予見のできる事柄ではございませんので、そういった将来にわたったことまで確たることを申し上げるということはできませんけれども、少なくとも自治省といたしましては、今日必ずしも潤沢でない地方財政を守っていく、地方財政の運営ができるだけ円滑に行なわれるために、こういった措置は今後極力避けるというような態度で臨んでまいらなければならないし、またそういう考えであるということをひとつ申し上げておきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/6
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007・占部秀男
○占部秀男君 そこで、今回の改正案の十二条関係、測定の単位と、単位費用の問題ですが、これいろいろと問題点はあるのですが、共通した問題点として私は大きく考えなければならないと思うのは、たとえば経費の種類の測定単位を簡素化する、こういうふうに局長の説明の中には入っておるのですが、どうも簡素化だけではないような感じがしてならない。というのは、確かにたとえば道府県分のその他の土木費も、経常経費の単位を、測定単位を一本にしたり、学校関係の教育費の問題でも、今度は教職員数だけにするわけですね。そういったことで、測定単位そのものは簡素化されておりますが、じゃ簡素化した後に単位費用の点についてはどうかというと、これはこの次の改正、別表の改正を見ていただけばわかるように、その他の土木費の海岸の保全、経常経費の場合にも、あるいは教育の小学校費、中学校費の場合にも、単位費用は結局一本化されて、その二つなり三つなりあったファクトを一本化したやつを算術計算的にふやしたにすぎないのじゃないか。あんまりこれは伸びていないのですね。ぼくはどうも、たとえば教育費の場合でも、二十円しか伸びていないのですね、この二つを合わせると——二十円じゃない、幾らだったかな——そういうように、むしろ簡素化するということで、いまの県市町村の財政需要の強いやつを、強いのに、申しわけ的に簡素化したことを中心に、ふやすやつをふやさないでそこに隠れみのを求めたんじゃないかというような感じがどうも率直に言ってしてならないのですが、こういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/7
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008・松浦功
○政府委員(松浦功君) 一、二、具体的な例をとりながら御説明申し上げますと、たとえば小学校、中学校の学校数を測定単位から落としておるわけでございます。これはこれまでの経緯から、だんだんだんだんそこで見るべきものは減ってまいりまして、現在では宿日直経費しか見ておらないわけです。こういうものを測定単位で残しておくことは非常におかしいので、学校のほうに統合するという形をとったわけでございまして、もちろん宿日直経費でございますから、ベースアップ分に伴って比例してふえる分は当然にふやしていい。決して数値をどうこうとか、測定単位を統合することによって単位費用のふやし方を押える、そういうような気持ちは毛頭ございません。このような測定単位をある程度減らすことによっても、ほとんど地方公共団体に対する財政需要の算定には微差しか出てこないということを自信を得ましたので改めたということでございます。御了解いただきたいと思います。(「微差というのは、ふえたのか、減ったのか。」と呼ぶ者あり)
微差と申しますのは、ある団体にとっては若干減る、ある団体にとっては若干ふえる、そういう意味のでこぼこの微差という意味でございます。これはもうほとんど計数的に問題になるほどの数字にはならないという意味で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/8
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009・占部秀男
○占部秀男君 そこで、一本化するような、簡素化した理由はわかるのですが、今度の交付税の法案の改正によって教育水準の引き上げを云々という説明があるわけですが、さっき言いましたように、ページ二〇ですか、単位費用は一本化されても、結局たいしてふえていないわけですわな。二〇ページのあれを見ても、わずかに小学校あるいは中学で、一人につきの分と一校分とをこう合わせますと、これで教育の向上云々のために改善したというようなことが言えるのですかな。その点をひとつ。絶対額ではどのくらいふえることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/9
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010・松浦功
○政府委員(松浦功君) 二〇ページのところをごらんいただきますとおわかりいただけますように、小学校の教員一人について百十五万が百四十三万という形でございますから、約三十万ふえているわけでございます。したがって、二割六、七分伸びているわけでございます。しかも、教員数一人につきでございますから、今度は数値のほうが、標準定数法の改正その他によってふえてまいりますから、その意味でのふえ方になりますと、実質的には、たとえば小学校費という計算でございましたら、学級数のほうを全部含めましても、三割をこえる伸びになるのではなかろうかというふうに見ております。総体では、いま需要はちょっと計算をいたしておりますから。——県分で、小学校費では千三百六十億、それから中学校費で七百十億、大体この程度私どもとしては見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/10
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011・占部秀男
○占部秀男君 次に、十二条の中の下水道費の問題ですが、今度下水道のこの単位費用、測定単位を、人口集中地区の人口ですか、これ一本にしたわけですね。そういうことですね。そうなって、さらにこれに伴う下水道関係の単位費用の点を、これをざっと見ると、何か減ってきているような感じがするんですが、その点はいかがですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/11
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012・松浦功
○政府委員(松浦功君) 下水道につきましては、下水道のいわゆる建設、いわゆる投資的経費でございます。これはゼロにいたしております。と申しますのは、御承知のように、新しく下水道事業に対する補助率が大幅に弘き上げになりました。起債の充当率も引き上げました。したがって、受益者負担金を一部取ると、もはや需要はないという形になりますので、ゼロにいたしました。むしろ、いままで地方公共団体からいろいろ問題がありました、でき上がった下水の維持管理経費の見方が、独立採算というよりも、下水道使用料というようなことでカバーできるというような見方が少し強過ぎて、入れ方が足りないという意見もございましたので、経常経費のほうは大幅に伸ばす、こういう形をとったわけでございまして、これからの下水道建設に理論的には何ら乖離はない。御承知のように、いままで四割でございましたものの補助率は六割に上がる、さらに起債については四分の三に上がるという形でございますので、この点につきましては、きちんとした計算をいたしました上で、もはや交付税の中で見るものはないということで落としたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/12
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013・占部秀男
○占部秀男君 どうもそこのところが、局長の説明どおりにすなおに聞けないんですがね。というのは、いま特に公共事業関係で、学校の建設の場合でもそうですが、超過負担の問題が相当各自治体が苦労しておりますわな。それで、やっぱり国の計画以上に出る金というものはますますふえているような状態にある中で、これはむしろ直接関連がない、あるは別にして、こうした交付税の費目というものを減らせること自体に私は問題があるんじゃないかと。それは確かに補助率が高くなったことは高くなったんでしょうが、それはそれとして置いておくべきじゃないか。そういうような下水道を普及させる時代からいっても、そういうふうに手厚くすべき方向をとる段階じゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/13
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014・松浦功
○政府委員(松浦功君) 地方公共団体で、いろいろこれまでも御希望なり御要望なり御意見なりがあったわけでございますが、補助率が新しくきめられまして、補助事業と単独事業の割合も一応きまっておるわけでございます。それによりまして、受益者負担金、これが一割程度取れるという従来のルールを踏襲いたしますと、費目、ものによりましては一〇〇%を越えてしまうようなものも出てくるわけでございます。総体をひっくるめまして一〇〇%になりますので落としたわけでございます。これにつきましては、先生御指摘のように、政策的にあるいは費目を残すべきだという御意見もあろうかと思いますけれども、ゼロに近い数字の測定単位を残すということもいかがかと、しかも需要がそこでそれだけ食われないということになりますと、ほかの経費に回せるわけでございます。そういう形でほかの経費の充実をはかっていくべきだというのが当省の意見でございますので、そういう形をとらしていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/14
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015・加瀬完
○加瀬完君 ちょっと関連。
もし私の指摘が間違っておったら訂正をいただきますけれども、国なりの対象にされる下水道はほとんど幹線で、その幹線にまで家庭から持っていく、一定の地域地域をまとめたところから幹線への下水道というものは対象外でしょう。そうすると、受益者負担といったって、その地域住民にとりましては、幹線以外の下水道というものの負担は受益者負担だけではどうにもならない問題が起こっているんではありませんか。その点、それじゃ今度は補助金で全部家庭からの支派線まで対象にされておるかどうか。私はされておらないと思いますが、その点の御確認をいただきます。かりに私の指摘のようにされておらないとすれば、その負担は受益者負担という形だけでやるべき性質のものではない。なぜならば、負担をしなければならない地域の住民は、ほとんど人口急増地域のところが多いわけです。いままでは、人口急増地域でなかったならばそれほど下水道の負担をしなくても済むところが、新しい都市形態になったために、旧来の住民までも負担をしなければならないという矛盾もあるわけですよ。だから、都市計画として下水道を完備するというなら、それが地方税の、地方にとっての固有財源だという交付税の単位費用にそれらの費用が計算をされないということはおかしいと思うんです。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/15
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016・松浦功
○政府委員(松浦功君) 加瀬先生御承知のように、下水道の事業につきましては、大都市の場合はちょっと少し公共事業採択率が少なくなりますが、一般の都市におきましては五七%を公共事業、四三%を単独事業、こういう振り分けになっております。単独事業は、各家庭から公道に出るまではこれは個人負担の問題でございますが、公道までの問題は、支派線は全部単独事業で行なうということになります。しかも、この四三%につきましては、実施額の十分の九の起債を認めるという方針でございますので、いわゆる受益者負担、これは工事をやるためというんではございませんで、地域がよくなって、土地の形相も、価格も上がるだろうという、いわゆる下水道による受益者負担でございます。これが全国平均で見まして、大体一割程度やっておるところ、その計算をいたしますれば、基準財政需要額に見る残余はなくなると、こういう形になってまいります。しかも、建築問題とは違いまして、下水はいわゆる単価の値上がり等も量で処理をいたしておりますので、そういう意味での、建築物等についていわれておるような超過負担は生じてまいりません。そういう意味では、これで十分できるという算定になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/16
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017・加瀬完
○加瀬完君 その支派線が起債という財源でまかなわれるにしても、これは地方それぞれの負担において行なわれなければならないことになりますわね。しかし、地方の環境整備なり都市計画上、支派線を当然地方としてやらなきゃならないものなら、これは新しい財政需要額ですよね。そういうものを、起債というのは借金でしょう。いつか払わなければならない。起債でまかなえばいいということにならないでしょう。この起債が、元利とも将来交付税で計算されるというなら別ですけれども、何もかにもみんな起債に肩がわりさしておいて、あと帳じりは将来に延ばすというような形になれば、これは交付税の、それだけその場合先食いをされた形になるんですから、交付税そのものの地方の固有性というのは少なくなるわけですよ。新しい需要がふえたなら、交付税は当然供給額をふやさなければならないというのが交付税法のたてまえでしょう。それを起債で時期的に糊塗しておるというのは、交付税法の精神にはずれますよ。くどいようですが、申し上げますが、三二%というもので十分見合うということで、現在三二%で率がきまっているんですよ。三二%で見合わない新しい需要額ができた場合は、この三二%というものは変えなきゃならないという仕組みでしょう、交付税法は。そういう交付税法の運用のたてまえそのものをくずして、支派線であろうと何であろうと、地方の新規需要というものが必要であるならば、交付税の単位費用で計算して、交付税の中にこれは入れるべきものを起債で肩がわりをさせるというのは、筋からいって違いますよ、これ。どう考えたって、交付税法そう読み取れないでしょう。交付税でまかなうべきものを、交付税を、一つの単位費用を、あったものを削るような形にして減らして、そして起債という形で肩がわりさせるということは、筋道からいえば交付税法の違反ですよ、これは。少なくも運用の妥当を欠くものですよ。そう断ぜざるを得ない。この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/17
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018・松浦功
○政府委員(松浦功君) 支派線がことしから新たに下水道事業として生じたわけではございませんで、もう過去から支派線は財政計画の中に入れ、交付税計算の中に入れておったわけです。それをことしは、補助率が非常に大幅に上がりました。そのために、起債の充当率を少し上げると一般財源の継ぎ足しということはなくなります。したがって、交付税の測定単位から落としましたということでございまして、交付税率を上げるという論拠に私はこれはなるべき筋合いのものではないと思います。
それからもう一つ、起債は借金で、あとで返さなきゃならないんだから、それじゃいけないんで、一般財源で見ろと、こういうお説でございますが、それは一つの私は考え方であり、そうあり得れば非常にけっこうだと思いますが、御承知のように、基準財政需要額を算定いたしますのは、やはり地方財政計画の影を映すと、投影するという形で作業を進めるわけでございまして、地方財政計画の中に、一般会計分として一兆円ばかりの起債が見てございます。それは当然落とさなければならないわけでございます。それは特定財源として落とす。そのかわり、ことし借りました一般会計の一兆何がしかの起債償還費というのは、年々、償還額として今後の地方財政計画にはみんな歳出にのってくるわけでございます。それをすべてまた各年度ごとに交付税の需要の中に投影をしていくわけでございますから、その点では、全体といたしまして、起債でございましても、償還費として今度は今後返す時期に歳出に上がってまいりますから、それは何らかの形で基準財政需要額の中に入っていくと、こう御理解をいただきませんと、いつまでたっても問題が片づかない形になるのではないかと思います。
特に御指摘を申し上げておきたいと思いますが、下水につきましては、一般財源で、将来見ましたもので償還をするという形でなくて、こういう形で起こしました起債の、いままで四五%は毎年現実の償還額を基準財政需要額に入れておりました。それを本年度からはさらに五%上げまして、五〇%は基準財政需要額に現実の償還額を見込んでいくということによって、下水道の普及ができるだけ進むようにという配慮を自治省としてはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/18
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019・加瀬完
○加瀬完君 関連ですからこれで終わりますけれども、その考え方がおかしいですよ、議論になって恐縮ですけれども。地方財政計画というものが決算額と近似値になったことないでしょう。それだけ地方財政計画というのは無理をしている。いまの下水の問題でも、当然財源として確保すべきものを、それを起債というものに肩がわりをさせて、そしてつじつまを合わせて、その起債は確かに償還額で返していきますよ。しかし、このごろの、ずっとここ十数年の地方財政計画見てごらんなさい。償還額がぐんぐんふえて、公債費というものが非常に大幅になって、公債費を償還するために起債をしなけりゃならないという傾向すら生じているんじゃないんですか。これが健全な財政とは言われない。健全な財政とは言われないというのは、交付税法はそういうような形で進むべきじゃないということが規定されているのに、交付税法の趣旨というものが守られないことに原因があるわけです。それから、いままでは下水道計画というものはそれほど地方自治体の大きな問題にはならなかったけれども、どうにもならなくなってしまって、公害等の問題も合わせて生じて、もう都市計画上、下水道計画というものを主軸に置かなければならないようになってしまった。大きな新規の事業ですよ、これは最近の。それなら、大きな新規の事業に対しては確固たる財源を与えるということも当然筋じゃありませんか。起債も財源ですよ。しかし、起債——下水道事業などを起こしているところでは、新しい人口急増に伴うもろもろの仕事があるんですよ。学校が多くなる。福祉施設つくらなければならない。道路も要る。それみんな起債だ。こういう起債というものだけを財源にやっていったら、起債の償還のために何年かの後には事業をストップしなければならないという人口急増地域が当然出てきますよ。どんなに財源があったって、一年に百億以上の学校建設費をかけなければならないというのは、この近所なり、二十万なり三十万の都市にもありますよ。そこは下水もやらなければならない。上水道の拡張もしなければならない。道路もやらなければならない。社会保障施設もやらなければならない。それが全部起債だ。こんな不健全な財政計画というものがありますか。ですから、これは財政計画のときに論ずべきことですけれども、財政計画そのものが完全な財源を与えるという立場を濃厚には打ち出していないところに問題があるわけです。議論になりますからやめますが、したがって、少なくもこの下水道計画——さっき占部委員が指摘した学校の単位費用なんかについてもそうですよ。幾ら幾らになりましたということはわかっているけれども、前と比べて今度の新しい改正がこれだけの財源のプラスになりましたという御説明はないわけです。私は何も財政局長を責めるわけじゃありませんが、これはもう自治省は、大蔵省その他各関係の政府機関に対しては、交付税法というのがあるわけですから、交付税法が変えられない限りは、交付税法の趣旨というものを突っぱってもらわなければこれは話にならないと思うんです。国の財政計画に見合って、さっき大臣が御説明になりましたが、伸びたり縮んだりするような交付税法であっては、交付税法の趣旨に反しますよ。これは感想なり意見なり申し上げて恐縮ですが、どうも私は御説明には承服できません。議論になりますから以上でやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/19
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020・松浦功
○政府委員(松浦功君) ただいま現実の決算とそれから地方財政計画との乖離の問題の御指摘がございました。その点につきましては、松永先生の御質問にもお答え申し上げましたが、四十七年度、最も近い年次での乖離が二億程度ございますが、ほとんどが貸し付け金等の償還金、そういったものを財源にしております特殊なものと、給与費等が大きな乖離になっておるわけでございまして、私どもといたしましては、財政計画を地方公共団体が現実に行なっておる財政にできるだけ近づけるという方向での今後の努力はいたしますが、直ちに全部解消するということはなかなか困難だろうと思います。
それからもう一つは、起債はあくまで借金だからというお説でございます。私も全く同感でございます。できる限り地方債というのを地方財政計画にあげずに、地方団体に起債などを認めずに、交付税と税金で一切をまかなっていただけるという形になるのが理想であろうかと思いますけれども、現在の状況では、国、地方を通ずる財源配分の問題といたしまして、国でもある程度国債を起こしております。そういう意味で、ある程度地方債は現在の段階ではやむを得ないかと思いますし、またさらに、地方債の持っておる性格と申しますか、ある特定の団体で、五十億の規模のところで何か大きな事業をやらなければならないようなときには、年々なしくずしていくという意味での地方債の効果があるわけであります。そういう意味の地方債は将来残さなければならないかと思いますが、財源としての付与という形の起債ということはできるだけ減少させて、交付税をふやす、あるいは税源を強化するという形で努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/20
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021・占部秀男
○占部秀男君 最後に附則関係で、別表のこの改正の問題について二点だけひとつ伺いたい。
この大臣の提案理由の説明の中にも、今度は普通交付税の算定方法については、児童福祉、老人福祉対策等、社会福祉施策の充実その他社会福祉の向上を期するほかに、教育の改善あるいは過疎、過密対策その他にもつけたと、こういうことが提案理由の説明の中に入っておるわけですね。
そこで伺いたいんですが、まず、老人や児童等の福祉対策の問題、これはおそらく都道府県分も、市町村分も、当然厚生省なんかが中心だと思うんですけれども、そのうちで生活保護費と社会福祉費、これは府県の分も市町村の分も、この二つの費用について、今回の改正と前回の改正のこの改正した率というものが出ておりませんか。たとえば今回は、府県分については、生活保護費の場合については、人口一人について千三百六十三円が千六百四十円になっていますね。この率がもし出ていたらちょっと教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/21
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022・松浦功
○政府委員(松浦功君) 社会福祉に例をとって申し上げますと、消費的経費の部分では、県分で二八・二%、それから市町村分で二一・六%、それから投資的経費に関しましては、県、市町村共通でございまして四六・四%、こういう数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/22
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023・占部秀男
○占部秀男君 最後に、過疎、過密の対策の問題は、この項目のどこら辺を中心にして改正されておるわけですか。
これでおしまいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/23
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024・松浦功
○政府委員(松浦功君) 非常に技術的な問題で、全体について御説明を申し上げることはたいへんでございますが、人口を測定単位に——人口系統ですね、これを測定単位に使っているものについて、人口急増補正と人口急減補正という形で、それぞれ補正で入れていくつもりでございます。
したがって、この法律を御可決をいただきますと、私ども直ちに補正の作業に入りまして、総体の需要と収入とのバランスをとる作業に入るわけでございます。その際に、十分手落ちのないように見ていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/24
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025・占部秀男
○占部秀男君 すみません、ちょっともう一つ。
それから、忘れていましたが、同じような形で、これはまあ単に財政だけの問題じゃない問題ですけれども、大臣の今度の改正の提案理由の中にも、消費行政に要する経費を充実をしたということが出ているんです、消費行政——いまの物価問題その他のですね。ところが、これは具体的な例ですが、山口県では、これはとてもじゃないけれども職員が足りないというんで、主要な市の職員を兼務さしているんですね。これは石川県もそうだというんです。そういうような、各県でそういう情勢がふえているわけですよ。そこで、まあこれはもうきょうは答弁要りませんが、注文だけしておきますけれども、やはりおそらく消費行政に対する職員というものはどこでも少ないんじゃないか、これは充実しなけりゃならぬじゃないかと、こういう情勢がもうやむにやまれず出てくると思うんですから、これはあとでまた調査のときに行政局長には聞きますけれども、財政のほうも、行政と見合って消費行政に力を入れるように、ひとつ人件費その他の問題も、あとで処理できるものならば処理をしてもらいたい、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/25
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026・松浦功
○政府委員(松浦功君) いまの問題はちょっと問題が違っているんじゃないかと思うんでございますが、消費行政というのは、御承知のように、県なり市町村なりがそれぞれ自分の職員で行なうものでございます。これにつきましては、さらに強化をする必要があるということで、財政計画の中でも人数を、消費行政に携わる職員の増を、今度は、この回の地方財政計画の中で計上いたしております。そういうふうに私どもは重点を置いておりますが、ただいま御指摘をいただきました兼務の問題は、例の二法——物価二法です、あれの関係なもんですから、やはり情報を入れるために、どうしても市の職員を兼務させておきませんと情報が入らないからということでやった問題であろうかと存じます。決して本来の消費行政、先生の言っておられる消費行政と関連のある問題ではないと思いますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/26
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027・占部秀男
○占部秀男君 はい、じゃこれはまああとで行政局長に聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/27
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028・上林繁次郎
○上林繁次郎君 私も何点かお尋ねをしてみたいと思いますが、まず最初に、現在の地方財政は、インフレだ、また高物価だということで、その財政需要はますます増大をしておると。これは間違いない事実です。そこで、そういう中で、各地方公共団体が事業執行の面で相当支障を来たしている面があるだろう、こういうふうに思うんですね。そこで、全国的に共通した問題、いま申し上げたような全国的に共通した問題があろうと思いますがね。そういった共通した問題について、ひとつお調べになった結果等をお聞かせ願えればと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/28
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029・松浦功
○政府委員(松浦功君) 先ほど大臣から趣旨を御説明申し上げましたように、地方財政計画自体としては、これまでやっておりましたような考え方で、財政計画自体は費用はそういうような面も含めております。しかし、現実の地方財政はなかなかいろいろ問題があろうかと思います。
全国的な傾向として申し上げられる問題は、まず一つの面においては、去年が非常に税収入が好況であった。で、それを思うようにいろいろの方面にお使いになられて財政の規模がふくらんでおるところに、案外税収入が伸びてこない、本年度は。そういうために、歳入面からの圧迫が一つ非常にあるということ。それからもう一つ、歳出面からながめますと、人件費がこういう状況でございますので増大をして、それが財政圧迫の要因になっておる。もう一つは、国が補助対象にしておりません、たとえば医療費の無料化でございますとか、そういった問題を地方公共団体が独自策としてお取り上げになっておられると、それに対する財源措置はないものでございますから、それが財政的な圧迫になってくる、こういった面が全国的な特徴ではなかろうかと思っております。
したがって、今年度の都道府県の予算編成の状況をながめてみますと、公共事業がまるまる当初予算では組み込めない、こういう形の出ておる県が多いようでございます。ただ、今後のベースアップがどうなってまいりますか、それに対する財源措置をどういうふうに措置するかという問題とからんで、ある程度、地方公共団体としてはあまり走り過ぎてあとへ戻れなくなってしまうことは困りますから、われわれとしても、慎重に運用するようにということを申し上げているので、ややそういう意味での姿勢はおとりになっておられるのではないかというふうに推測をいたしております。経済がどういう方向に向かいますか、いずれにいたしましても、九月の補正予算あるいは十二月の補正予算というものを通じて、四十九年度の地方財政の実態というものが、その段階でないとなかなか正確に捕捉できないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/29
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030・上林繁次郎
○上林繁次郎君 いまのお話を伺うと、これはやっぱり、まあいまのお話の中にも福祉行政面の話も出てまいりました。今後、人件費の問題等も出てくるわけですがね。そう考えますと、現時点で、地方財政はもう全く逼迫しておるということが言えるだろうと、こう思いますね。そういう中で、これは皆さんがお尋ねになっておりますけれども、いわゆる千六百八十億円の削減措置というものは、これはちょっとその考え方が、いわゆる国の考え方が誤っておるんじゃないか、こんな感じがするわけです。この千六百億円を削減することによってますます地方財政は苦しくなってくる、こういうことが言えると思いますね。ですから、もう、いまおっしゃったように、現時点で苦しいんだということがはっきりしているわけなんですから、そういう中で千六百八十億の削減ということは、どうしてもこれは納得できない問題ではないか。こういうふうに私は考えるわけですが、この点ひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/30
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031・松浦功
○政府委員(松浦功君) 理念的には、千六百八十億減額調整問題は、先ほど大臣が占部先生にお答え申し上げたとおりでございますが、計数的に申し上げますと、千六百八十億円というものは、確かに臨時の、こういう事態においての特別な措置であると考えておりまするけれども、これは昭和五十二年度以降において返済しなければならない地方団体全体の国に対する負債を返還するという意味で行なったものでございますし、さらに、この千六百八十億を大蔵大臣と大臣が御折衝なさるにあたりまして、大臣のほうから、これはもしどうしても物価対策等から、国の財政規模を縮小するためにこういう措置をおとりになることはわからぬではないけれども、この金はひとつ地方財政のために使ってくれ、こういうことを大蔵省に申し入れをいたしまして、たとえば下水道の補助率の引き上げあるいは単価の引き上げ、そのほか、地方公共団体のためになるような施策を幾つかこちらから提示をいたしまして、それについて事務的な取引——ということばが当たるかどうかわかりませんが、やりとりを行ないまして、そのあげくで、最後に千六百八十億は減額調整しようということを取りきめたわけでございます。したがって、そういう事務的な面からながめました場合には、借金を返した、その上に、なかなか普通の状況であれば行ない得ない補助率の引き上げ等も将来に向かってやってもらえたという意味で、事務的には私は損なやりとりではなかったんではないかという感じを持っておりますが、ただいま先生御指摘をいただきましたように、この千六百八十億があれば、なお地方団体は財政運営にいろいろの手が打てたであろうということは、私どもとしても否定するわけにはまいらない問題であります。ただ、現実の問題といたしましては、財政計画をごらんいただければおわかりいただけますように、千六百八十億を返しましても、去年よりさらに大きな交付税の伸びが見込めます。そういう事態でございましたので、先ほど、大臣から御説明ございましたように、緊急の措置ということで、国、地方を通ずる物価抑制策の一環ということでこういう措置をとったというふうに御理解をいただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/31
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032・上林繁次郎
○上林繁次郎君 まあ結局、いまのお話の中にもあるように、また、大臣も先ほどから申しているように、いわゆる総需要抑制という立場、緊急措置である、こういうことが絶えず言われているわけですけれども、そうすると、緊急措置であるということは、まあ総理も七月くらいまでにはインフレ、物価高を安定しようという、こういう意欲で取り組んでいるようですし、またそれをはっきり明言をしておる。で、全般的に見ても、御承知のように、卸売り物価は横ばい状態になってきておる。こういうような情勢の中で、だんだん鎮静化をしてきているという、こういう傾向もはっきり出てきているわけですね。そういう中で、たとえばあれですね——そういった鎮静状態が続く中で、金融引き締め等もこの秋ごろにはどれだけか緩和をしなければならぬではないかというような声も出てきておる。これは間違いない。そういう時点に立ち至った場合、いまあなた方が言っていることは緊急措置なんだということ、いわゆるインフレを抑制するための緊急措置なんだと、それがいわゆる鎮静化してきて、そして金融面においてもこの秋ごろにはどれだけか緩和をしなければならぬだろうという、そういう声も出てきておる。そういういわゆる事態が生じてきた場合に、たとえばこの千六百八十億といういわゆる留保した分については、これをまた交付するという、こういう考え方を持っているのかどうか。それがないとすれば、私はあまりにも一方的じゃないか、こんな感じがいたします。その点どういうふうに思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/32
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033・町村金五
○国務大臣(町村金五君) いま上林委員御指摘になりますように、これからのわが国の経済情勢がどういうふうに推移していくかはもとより私どもには予断のできないところでありますけれども、いま御指摘がございましたとおり、最近の物価情勢はやや鎮静ぎみの傾向にある、これは当初から政府が特にこのことを念願として努力を続けてきた結果であろう、こう思うのでございますけれども、御承知のように、最近におきまして電力料金、その他、そういったものの引き上げをどうしてもこれはやらざるを得ないであろうというような情勢等もございますので、はたして一体、そういうような物価がその後ずっと鎮静をしていくというようなことが期待できるかどうかということについては、なおわれわれとしては十分この点の警戒をしてかかっていかなければならぬのではないか。そこで、御指摘もございましたが、もし、相当に引き締めの緩和をしなければならぬ、金融上の緩和等もいたさなければならぬというようなことも私、情勢の推移いかんによってはそういうことがあり得るだろうと考えます。その場合、ただいまのお尋ねとしては、そういった千六百八十億円というようなものの減額をやめるというような措置を講ずるかどうかというお尋ねのようにいま伺ったのでございますが、これは、申し上げるまでもなく、政府全体といたしまして、予算措置をどういうふうに講じて、そういった経済状況がきわめて不振といいましょうか、不況におちいる、この不況をどういうふうにして打開をしなければならぬかということに相なってまいりますれば、これは、単に交付税をどうこうするという問題だけでなく、国全体の財政計画の中でどう対処するかという問題に当然なってくるであろうと思うのでございます。そういった場合に、いまのようなものを、減額措置をさらにやめていくというようなやり方をするのがしかるべきであるのか、さらに、もっと違った角度からいろいろの措置を講じていかなければならぬというようなことに相なりますか、これは、いま私から確たることを申し上げることはいたしかねるわけでございますけれども、むしろ全般的に、そういったこの不況問題をどう打開をしていくかという立場において私は種々の対策が当然講ぜられなければならぬ、講ずることになるであろう、そういう場合にこれをどうするかということは、その段階においてひとつ当然検討をさせていただくべき問題の一つとして私どももこれに対処してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/33
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034・上林繁次郎
○上林繁次郎君 大臣の言われることはわからないわけじゃありませんけれども、それで、もちろん私がいま申し上げたような状態がやってきた、そういう時点で、当然国が、地方交付税だけでなくて、全体観に立っていろいろ検討しなければならぬ、それは当然のことだと思います。で、私がお尋ねした点は、そういう事態が生じてきた。いままで大臣は、この総需要抑制の中でいわゆる緊急措置として千六百八十億円の留保をやったんだということなんですから、ですから、緩和されるような事態、そういう事態がやってきたときに、国全体の立場からどうするかということはもちろん考えられることであると同時に、私はそういう時点が来たときに、いわゆる自治大臣としてどういう考え方をお持ちなのか、いま私が申し上げたような考え方をお持ちなのかどうかということですね。それを、少なくともいまからやはり——ただ、いまは緊急やむを得ないからこういう措置をとらざるを得ないんだというならば、それじゃそれが緩和された時点ではどうすべきなんだという大臣としての確信がなければならぬと、こういうふうに私は思うんです。そういう意味でお尋ねをしているわけですから、その点、もう一回ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/34
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035・町村金五
○国務大臣(町村金五君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、いまの段階でどうこうするということは、ちょっとお答えをいたしかねるわけでございますが、今後、地方財政が非常に苦しい状態におちいって、なかなか運営が困難であるというような事態に相なりましたならば、国全体の中において地方団体の財政の緩和をはかるという意味において、私はそれぞれ適切な措置を講じていかなければならぬのではないか、かように考えておるのでございまして、その方法は、いま御指摘のございましたような、交付税の減額分をもう一度取り返してもらうというようなやり方でいくべきか、他の方法でまいるべきかということは、むしろ、その段階でひとつ十分検討をすべきことだと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/35
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036・上林繁次郎
○上林繁次郎君 もう一歩突っ込んでお答えをいただきたかったわけでございますが、まあその辺でとめておこうと思います。
そこで、地方交付税の額は、これは私が申し上げるまでもなく、国税三税の三二%と、こういうことでございますね、これを地方財源とするということですね。それが基本になっているわけですね、そういう考え方が。そうだとすると、今度の削減ということは、これはいわゆる法の趣旨に沿わないんじゃないかという、こういう感じがいたしますね、この点をどういうふうにお考えになっておるのか。(「違法だよ、違法。」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/36
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037・松浦功
○政府委員(松浦功君) お説のとおり、交付税法におきましては、国税三税の三二%と定められております。したがって、三二%が交付税であるべきでございます。しかしながら、先ほど来、大臣が御説明を申し上げているような事情から、千六百八十億を減額調整をしても、一応、地方団体の財政運営はできるであろうという視点に立ちまして、減額調整を事務的に大蔵大臣と自治大臣の間で詰めて、それを減額をしたものを四十九年度の交付税の額とするんだという法律を議会に御提案を申し上げておるわけでございます。その例外を議会でお認めをいただきたいというのがこの法案の趣旨でございますので、交付税法の特例だというふうに、今回の改正の中にそういう部分が含まれているというふうに御理解をいただくべきではなかろうかと、私としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/37
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038・上林繁次郎
○上林繁次郎君 それは理屈の上から言やあ、あれですよ、だから法律を提案をしているんだと、こういうことです。私は、それ以前の問題として、これは、いま加瀬委員からもお話があったように、これは違法性が強いんじゃないかという、こういうことなんです、それ以前の問題として。それを法律改正すれば、それは何でも、どうやってもいいんだというような考え方では、これは地方財政、地方行政の育成といいますか、こういったものは、いつまでたっても、国の都合でもって、いつでも、どうにでもされてしまうと、こういうことになるわけですよね。
そこで、いま、だから違法じゃないんだという、そういうお話だもんですから、私はいままでの経過といいますかね、これを一度踏まえてみたいと思うんですが、たとえば、昭和四十四年一月六日に、当時の福田大蔵大臣、それから野田自治大臣、この両者の間でもって覚え書きがある。これを読んでみましょうね、「当分の間、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしないこととするとともに、昭和四十三及び四十四年度においてとられた特別措置を今後は避けるようにすることとし、別途地方交付税の年度間調整の措置を検討する。」と、こうあるんですよ。
そこで私はお尋ねをしたいんだけれども、こういうふうに大蔵大臣と自治大臣が覚え書きまでをこう残しておる。そうしてこういった特例措置を今後は避けるようにすることとするというわけですからね。この両大臣がこういう覚え書きを残すということ、これは何を意味しているんだということ、何を、どういう考えのもとに、こういった覚え書きを残しておるのかということ、この点、どういうふうにお考えになっておりますか、これは大臣にお尋ねしたいと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/38
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039・町村金五
○国務大臣(町村金五君) この覚え書きのことについては、大蔵大臣も何らかの機会にお答えを申し上げておったように私も記憶をいたしておりますが、たまたま、いまの大蔵大臣が当時の大蔵大臣であったわけでございます。したがって、大蔵大臣としても、先ほど私が大体お答えを申し上げましたように、この覚え書きの趣旨は重々承知をしておる、しかし、本年のこの経済情勢から、この点はひとつ特別なやむを得ざる措置としてやったんだと、したがって、こういうことを通例の、あたりまえのこととしては全く考えていないということを大蔵大臣は言っておられたわけでございます。で、私ども自治省の立場といたしましても、この覚え書きの趣旨は、当然、いまも守られなければならないし、今後も守られていかなければならぬものだと、こう考えておるのでございますが、先ほど占部議員にもお答えを申し上げましたようなことで、全くの緊急の措置として、特に例外的な措置として、今度はこの減額に私どもとしては応じた、こういうことでございまして、この覚え書きの趣旨というものは、当然、私どもは考え方は生きておる、また、生かしていくつもりだというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/39
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040・上林繁次郎
○上林繁次郎君 お話わかりますよ。だけれども、私のお尋ねしていることは、この両大臣がこういう覚え書きを残してあるという、いわゆるその趣旨ですね。どういう考えのもとにこういったこの覚え書きを残したかということ。いま、前に私が聞いたことは、減額するという措置は、これは違法性が強いんではないかと、こういうお尋ねをしているわけですね。ですから、そういうものを含めてこういう覚え書きを残したと、私はこう解釈するわけですね。それでなけりゃ、今後も国が地方交付税の留保ということを、何かの都合でもっていつでもやれるというのだったら、こんな覚え書き残す必要ない。違法性が強いから、こういう覚え書きを私は残した、また残さざるを得なかった、こういうことが言えると思うんですね。その辺を大臣としてはどういうふうにお考えになっているのかということ、これをお尋ねしているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/40
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041・町村金五
○国務大臣(町村金五君) これが違法かどうかという問題については、先ほど財政局長からお答えを申し上げたのでございまして、確かに交付税は、国税三税の三二%が交付税として当然計上されなければならないということは、交付税法の本来のたてまえから申して当然のことでございます。しかし、本年はそれに対する若干の例外措置を講ずるということにいたしたわけでございますので、先ほども財政局長お答えを申し上げましたように、特例法を出して、そういったまあ違法事態にならないようにさせていただこうと、こういうことでございます。しかし、先ほど来、だんだん御指摘がございますように、こういった措置は、確かに私はまあ違法性はそれで阻却されるものだとは思いますけれども、法の精神といったようなたてまえから考えてみますると、いま御指摘のような問題があるということは当然でございますので、したがって、こういうことを、今後も、あたりまえのこととして継続をするというような考えはないというふうに申し上げておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/41
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042・上林繁次郎
○上林繁次郎君 いつも、こういう——この問題が昭和四十三年、四十四年、四十五年、続いているわけですよ。そのつど、その当時の大臣がやっぱり現大臣と同じようなことを言っているわけですよ。これはどういうことになっちゃうのかということですな。そこで、これをいつまでも詰めてみても結論が出ないようですから、もう一点、これは今後の問題としてお尋ねしておく必要があると、こう思いますのでお尋ねしますが、この中に、「別途地方交付税の年度間調整の措置を検討する。」と、こうあるわけです。これは昭和四十四年ですからね、少なくても五年たっておる。この五年間において、いわゆる年度間調整については、この措置を検討するという問題、これをどのように検討されてきたのかということですね。これは大きな問題ですよ、五年間。そしていま大臣は、こんなことは好ましくないから、今後はやめる方向でというような、こういう発言なんです。同じような発言でなくて、ここに覚え書きの内容ですね、これを踏まえて、この五年間どういうことが検討されてきたかということですね。いまのお話ですと、私、皮肉った言い方かもしれませんけれどもね、こういう緊急やむを得ないときにはまたやるさということが検討されてきたのかどうかという問題ですね。こう言いたくなるわけですよ。その辺を少しはっきりして、また、と同時に、大臣の今後の方針、確信、そういったものをはっきりとひとつ御披瀝を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/42
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043・松浦功
○政府委員(松浦功君) 覚え書きにございます年度間調整という問題、きわめてむずかしい問題でございまして、当省といたしましても、地方制度調査会等に何回となく諮問をいたしまして、いろいろ御検討を願ってまいりましたが、年度間調整の必要性を調査会としては答申をしてくだすっておるわけでございますが、地方交付税を特別会計に直入しろという自治省の意見、これに反対する大蔵省の意見、そういったもののほかに、年度間調整を行なう場合に、どれだけ必要な経費と認めて余すか、あるいはどれだけ必要な経費と見て足りない分を前年度から残したものを繰り上げていくかというような基準の定め方等についても、地方制度調査会においてもなかなか結論が出ませんで、なお検討すると、こういう形に現在の段階までなっておるような次第でございます。特に、年度間調整を地方団体の側で行なうのか、あるいは国の側で行なうか。国の側で行なう場合には、特別会計で行なうのか、あるいは一般会計で行なうのか、やり方等についても非常に千差万別のやり方がございまして、なかなか意見がまとまらないわけでございます。特に特別会計への直入の問題、御承知の問題だと思いますが、この問題につきましては、自治省と大蔵省と意見がまっこうから対立をいたしまして、なかなか押しても引いても問題が進まないというようなのが現在の実情でございます。しかし、御指摘をいただきましたように、きわめて重要な問題でございますので、国の財政の基本に関する問題をも含んでおりますので、関係各省とも、なお精力的に具体化につとめてまいりたいと現在の段階で考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/43
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044・上林繁次郎
○上林繁次郎君 どうも地方制度調査会においても結論が出ないということですが、少なくても、この覚え書きができてから五年経過しているわけですからね。ですから、やはりこの辺でもってはっきりした結論を、私、出すべきだと思います。それでなければ、大臣同士が覚え書きを残しておってそんなものは何の役にも立たないということじゃ、何を信用するのかということになりますからね、これは。やはり権威のあるものだという——それを権威あるものにしなければならぬと、こういうことがいえると思いますね。ですから、最も地方公共団体にとっては重要な問題でありますので、国の都合でもって年がら年じゅう右往左往しなければならないというようなことでなくて、やはり何らかのルールをつくるという必要があるだろうと思いますね。そういったことを私はもっと本気になって取り組むべきだということを強く主張をしておきたいと思います。
次に、電気税について一、二お尋ねをしてみたいと思いますけれども、御承知のように、電力会社が一斉に大幅の値上げ申請をしている。これによって、大体五〇か六〇%、この程度は値上げを許さなければならぬ、認可しなければならぬだろうというところまできているわけですわね。もし五、六〇%の値上げになった場合に、この増収分はどのくらいになるのか、この点ひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/44
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045・山下稔
○政府委員(山下稔君) いま御指摘がございましたように、ただいま通産省のほうで引き上げ幅をどのくらい認めるか査定中でございますので、増収見込みについても正確な数字をはじく段階ではございませんが、かりに申請額どおりの引き上げが行なわれたと仮定いたしました場合においての増収額は、平年度で約五百億ぐらいになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/45
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046・上林繁次郎
○上林繁次郎君 そうしますと、本年度の地方税改正案は、まあ御承知のようにすでに成立しているわけですよね。この目的は、免税点の引き上げが行なわれているわけですよ。その免税点が引き上げられて、千円が千二百円。その恩恵を受ける対象というのは相当あるわけですよね。何%ですかな——あるわけですな。そうすると、そういったことが、いわゆるもうすでに成立したこの地方税の改正、こいつが何の意味もなさなくなるのじゃないかと思いますね、その点をどういうふうに措置していくのかということ、この点、ひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/46
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047・町村金五
○国務大臣(町村金五君) いまも御指摘がございましたが、さきの地方税法の改正に際しまして、電気税の免税点の引き上げを行なったということは申し上げるまでもございません。そこで、今回の電気料金の値上げが認可されました場合において、これをこのままに、この間御議決をいただきました免税点のままにいたしておきますれば、当然免税点以下になるであろうというものが、そういった世帯がさらに新たに課税を受けるというような事態にもなるおそれがあるわけでございます。したがいまして、少なくともそういったことの起こらないようにすべきだ、こう私どもは考えておるわけでございまして、今後、料金認可の状況がどういうふうになるか。いま審議官からは、申請どおりの場合には五百億円程度の増収になるであろうということでございましたが、おそらくは申請どおりということにはならないであろう、ある程度引き上げ幅が小さくなるということに相なるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、そういった認可の状況が確定をいたしませんと、免税点をどの程度引き上げるべきかというようなことも検討をいたすことができませんのでまずそういった状態を私どもとしましては十分いま見ながら、いろいろな場合を想像して若干の検討を加えさせておるというのがいまの状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/47
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048・上林繁次郎
○上林繁次郎君 おっしゃるように、決定したわけじゃありませんので、どのくらいで押えられるかという、こういう問題があるわけですがね。当然どこで——たとえば五〇%程度ではないかというような見通しが非常に強くなってきているわけですけれども、そうなれば、当然さきにきめたいわゆる免税点の引き上げも全く意味がないと、こう極言はできないかもしれないけれども、相当範囲、いわゆるまたはみ出しちゃうのが出てくるということが言えるわけですからね。これはやっぱり確かに、そのときになってからでなければ正確なことは当然自治省として決定できないとしても、もしこの五〇%の値上げが実現した場合には、地方税法をあらためて改正をし、そして少なくても、当初の地方税法の改正案の中に盛られた千円から千二百円への免税アップ、これと少なくとも同じような状態ができるような改正をまたここでやらなきゃならぬと思うわけですね。その点について、そういう場合にはこれは直ちにやるんだと、こういう腹を持っておられるのかどうかということですね。これをひとつお聞かせ願いたいと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/48
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049・町村金五
○国務大臣(町村金五君) いま御指摘のございましたように、先般御可決をいただきました地方税法において、少なくともこの程度の方は免税にしたいというふうに考えまして、御承知のように、千円から千二百円に引き上げたわけでございます。したがって、私は同様のことは当然行なわなければならない、かように考えておりますので、そういった改正案を御提案を申し上げて、今後この問題に対処していきたい、かようにいまのところ考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/49
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050・加瀬完
○加瀬完君 時間の約束があるそうですから、どうも討論みたいになって恐縮ですが、数点だめ押しをしておきたいと思います。
今度の政府のやり方は、法律がありますのに、法律よりも政策を優先させたという結果になっておると思うのです。法律に違反をするような政策というものは打ち出すべきじゃない。これは議論的になって恐縮ですが、私はそういう前提に立って伺います。
そこで、交付税からすれば、財政需要額が数年にわたって満たされない場合は、交付税率も当然変わるべきだということになっておる。ところが最近は、国に貸したり、国から借りたり、こういうことが繰り返されておる。国に貸す理由はどこにもないわけです。今回のように、千六百八十億というものを国が留保をするという、そういう権限は交付税法どこ見たってない。それをあえてやっておる。で、さっき財政局長の御説明ですと、しかしながら、財政計画によれば十分交付税は満ちているという。しかし、起債が大幅にふえているんじゃないですか。起債があるということは、結局これはまだ財政需要が満たされないということなんです。交付税率を変えるような状態にはないということなんですから、数の多少によらず、国が留保する権限というのはどこにもないわけです。また、そういうことをしないということ、上林委員の御質問の中にありましたように、指摘をされておって、大蔵、自治で確認をされておって、それをあえてやる。これはおかしいですよ。しかも、当然申し合わせ事項について、地方自治団体の需要額がふえているんですから、交付税の需要額というのは、これは地方固有の財源ということにもう自治省は認めているのですから、地方の固有の財源が国から留保されるということがあったら、これは自治省は抵抗すべきである。その義務を怠っていると私は言わざるを得ないと思う。
といいますのは、地方税の構成比率を調べてみますと、このごろ自治省は財政計画で前年度との構成比率というものを出さなくなった。しかし、四十年、四十一年、四十二、四十三、四十四、四十五、四十六。構成比率は、地方税が四〇%を一、二%こえている。国庫支出は二四%程度ですね、四十六年は。それが四十八年になりますと、構成比率は、地方税が三八%になって、国庫支出が二七%になった。地方財源から見ると地方税が減っているわけです。減っているにもかかわらず、当然受け取るべき交付税の額を国に留保させる必要はどこにもない、こう思いますが、この点、お答えをいただきます。それが第一点。
第二点は、地方の財政構造の上で、さっきから起債ということをおっしゃっていますけれども、公共事業を国がやる場合、国は公債を発行します。しかし、それは国の税収というのは年々ふえてくるわけですから、これを税金で返すというめどがある。ところが、地方が同じように起債でまかなわせられた場合には、その起債を返還する財源というものはどこにもない。交付税で計算していて、その起債分を交付税の中に入れてくれるというなら別ですけれども、確固たるそういう法律はどこにもないわけですから、そうすると、今日財源として受けた起債を、将来これは新しい財政支出として地方は払っていかなければならないという財政構造になっておる、これは不健全ですよ。ですから、交付税率が減らされる理由はどこにもないわけです。そういう認識に立っておるかどうかというのが第二点。
それから第三点は、交付税というものの算定があいまいですよ。特に、特別交付税なんていうのはどういう基礎で算定しておりますか。特別交付税できめられたような内容で支給されておらないでしょう。政治的配慮で、法律できめられた内容と違ったような配賦が行なわれておりますよ。ないと言うなら幾らでも具体例をあげましょう。もう少し法律に準拠した地方財政の固め方というものをしてもらわなければ、私はどうにもならないと思う。こういう点で、今回のような措置が再び繰り返されないように私は自治省に猛省を促しますよ。
討論みたいなことになって恐縮ですけれども、どうにも納得ができない、今度の措置は。超過負担の問題が解決されない、占部委員の指摘のとおり、そういう状態にありながら。それから新規の、過疎は過疎の地域の、過密は過密の地域の新規需要というものが非常に増大しているにもかかわらず、それを裏づけようとする財源対策というものは何にも考えられておらない。その顕著な例が、みすみす留保権のない政府に、国の予算編成の便宜上、千六百八十億というものを地方からみれば削らせられている。こんなやり方を自治省が唯々諾々とするということは、地方自治体の財政を守るという、あるいは地方交付税のきめられている内容を自治省ががっちり守り抜くという性格がどこにもありませんよ。
以上、お答えがあればお答えをいただきます。お答えがなければけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/50
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051・松浦功
○政府委員(松浦功君) まず第一点の、地方税が減って構成比率が減っておるのに、千六百八十億を返すのはおかしいじゃないかという御指摘でございます。四十九年度は、四十七年、八年と、全体の歳入に占める割合が三〇%台であったものが、四一・四%、税収入が非常に上がる見通しでございまして、そういうものを前提に、全体の地方財政計画をながめて千六百八十億を返したということでございます。
二番目の、地方債で見ておると、これの償還財源がないではないかというお説でございます。国は税の伸びがあるからそれで返せばやれるんだがという御指摘のようであったように承りますが、御承知のように、地方財政計画の中においては、現実にその年度において返さなければならない地方債は全部歳出に立てておりますので、どれかの財源で裏打ちをされているという形になっておるはずでございます。しかも、特別に必要なものについては、基準財政需要額にある程度償還額を算入をしていくという方式をとっておりますので、償還財源が将来にわたって地方団体に枯渇をするというようなことはなかろうと思っております。
三番目は、交付税の算定があいまいだという御指摘でございますが、できるだけあいまいでないようにわれわれもつとめてまいってきております今後ともその方向で努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/51
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052・加瀬完
○加瀬完君 ちょっともう一ぺん、簡単に。
公債費というものを組んで払うからいいだろうと言うけどもね。公債費を組まないで、それがそのまま地方団体に入る財源ということならば、非常に現状の財源をふくらました財源として使えるわけですよ。入ってくるものの中から前の借金を払っていくと、それだけ財源が減ってくるでしょう。こういう繰り返しというものをどこでとめるのか。で、公債費がだんだんだんだん上がってきているでしょう。団体によっては、公債費の償還のためにまた起債をしなけりゃならないということを繰り返されているんですよ。これにどっかで歯どめをかけなけりゃどうにもならないという点だけを私は指摘をしておきます。答弁要りません事実はそのとおりですから。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/52
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053・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/53
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054・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/54
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055・占部秀男
○占部秀男君 私は、日本社会党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に反対の意見を表明するものであります。
その理由を簡潔に申し上げますと、今回のこの改正案は、特に石油ショック以来の社会情勢の変化、それに対応しようという政府側の説明が強調されておるわけであります。先ほど申しましたように、児童福祉の問題、老人福祉対策、あるいはまた過疎、過密、その他、相当な盛りだくさんの項目について充実をしたいと、こういうような提案の理由の説明がなされておるわけでありますが、内容に至っては、それに対応するものがきわめて不十分であります。特にこの算定方法の改正を中心として、各費目別に言いますとこまかくなりますから私は申し上げませんが、たとえば、単位費用の引き上げの問題等についても、きわめて不十分であることは、この絶対額を見れば明らかでありますし、それから、特に超過負担の問題についての解消の努力が見るべきものがなされていないというようなことは、この千六百億の問題と関連をして非常に問題であると思うんであります。
で、わけてわれわれが納得できないことは、千六百七十九億の減額の問題でありますが、前回の委員会におきまして、同僚松永議員からもこの点が指摘され、きょうも、加瀬委員や私からこの点についての指摘をしたわけでありますが、違法性の疑いがきわめて強い、少なくとも妥当ではない、法のたてまえを踏み越えたものである、こういう点はもう弁護の余地のないところであります。で、特に、この妥当性の問題については、前回の大蔵大臣と自治大臣の覚え書き、この問題もありまして、その覚え書き自体が、今度のこのやり方によって一片のほごに化したと同じ事態を引き起こしておるわけであります。で、いわば政府の地方自治行政に対する無責任きわまる処置がここに明らかに具現されておるのが、この千六百七十九億円の減額の問題であるとわれわれは考えます。
したがって、この点だけをとりましても、この法律案の今回の改正に対しては、日本社会党は絶対に反対であります。以上。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/55
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056・原文兵衛
○原文兵衛君 私は、自由民主党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に賛成するものであります。
本法律案は、昭和四十九年度の地方交付税総額について特例を設けること、基準財政需要額の算定において、公共事業費等の投資的経費を抑制する反面、福祉水準の向上、教育施設の充実等に要する経費に対しては重点的に財源の配分を行なうこと、物価の上昇等に対処するため所要の措置を講ずること等をおもな内容といたしております。
国の財政と地方財政とは、常に車の両輪にたとえられております。当面する経済的動揺を乗り越え、長期にわたる国民福祉の向上の基礎を確立するためには、国も、地方も、その財政運営は同一基調に立って万全を期することが必要であります。政府は、昭和四十九年度の財政政策の目標として、物価の鎮静を第一に掲げ、思い切った総需要抑制策の実施に踏み切りましたが、地方財政においても、国民的課題である物価鎮静に協力することは当然であります。
改正案の内容は、いずれも国の財政政策に協力しつつ、経費の効率的配分に留意したものであり、また、地方交付税総額の減額は、好ましい措置ではありませんが、その額は、従来交付税会計が国から借り入れている金額に相当する額にとどまっております。
したがいまして、本法律案は、きびしい経済環境を背景に、地方財政の円滑な運営をはかるために必要な措置を講じたものと考えざるを得ません。
以上、本法律案に対する賛成理由を述べ、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/56
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057・上林繁次郎
○上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行ないます。
反対の第一は、地方交付税制度における財源不足額予測資料の地方財政計画についてであります。
石油危機をめぐる経済社会の変動は、地方公共団体にも大きな影響を及ぼしており、これに対応するためには、地方行財政の全般にわたり、新たな視点に立った施策の展開が必要であります。しかるに、四十九年度地方財政計画は、国の施策に合わせ、総需要抑制の見地から、歳出を極力圧縮する方針のもとに必要経費まで削減しております
今日、地方自治体にとって必要なことは、単純な財政規模の縮小ではなく、インフレの激化によってもたらされた深刻な財政負担に対処するため、十分なる財源保障とその効率的な配分をはかることにあります。政府は、公共事業費の伸びに対し、単独事業費が上回っているから、総需要抑制下においても、生活関連、社会福祉施設等の整備には心配はないという趣旨の答弁を行なっております。しかし、インフレの高進により必然的に予想される大幅な人件費の増加や、超過負担の増大が、単独事業の財源を圧迫し、その結果、福祉水準は低下することが懸念されるのであります。このような内容を含む地方財政計画を認めるわけにはまいらないのであります。
反対の第二は、地方交付税の減額措置についてであります。
申し上げるまでもなく、当該年度に交付すべき地方交付税の額は、国税三税の三二%をもって地方団体の財源とすることが、地方交付税制度の基本となっております。しかも、四十四年度には、当時の福田大蔵大臣と野田自治大臣との間で、交付税の財源調整は行なわないとの覚え書きがかわされているにもかかわらず、今回、再び千六百八十億円という膨大な地方交付税財源を国に留保する措置をとったことは納得しかねるところであります。地方交付税は地方財政にとって有力な自主財源であります。
このような財源を、国の一方的な都合により調整することは、地方財政を制約し、地方自治を侵害するものであって、断じて容認できないところであります。年度間調整の必要があれば、地方団体みずからの手で実施すべき制度を考えるべきであります。また、地方交付税が地方の固有財源であることを明らかにするため、国税収納金整理資金から交付税特別会計への直接繰り入れが実現しなかったこともまことに遺憾であります。
反対の第三は、財政調整資金の新設についてであります。政府は四十九年度の特例として、予想される異常な物価高騰に備えて弾力的に財政運営ができるようにするためと称して、地方交付税の総額から、あらかじめ千三百億円を財源留保するよう地方団体に求めております。一体、インフレが進行する中で財源を留保するほど余裕のある地方団体があるのでありましょうか。インフレは国の経済政策の誤りから招かれたものであり、それが地方団体に多大の迷惑をかけ、不測の新しい財政需要をもたらすものであるならば、そのような財源は、地方交付税の総額から措置するのではなく、別途、国に財源措置を要求するのが筋であります。また、本来地方交付税制度は恒常的、普遍的な行政経費をまかなうための財源を保障する性格を有するものであり、今回のような臨時的な措置は交付税制度の性格上はなはだ疑問を抱かざるを得ません。
反対の第四は、自治体病院に対する財政措置についてであります。
今回、自治体病院の財政対策として、不良債務の一部たな上げのための特例債の発行や、利子補給の一部及び不採算地区病院の運営費の補助が行なわれることとなり、従来の政府の姿勢に比べれば一応一歩前進であると言えますが、その内容は必ずしも十分なものではなく、抜本的な対策とはなり得ないものであります。地域医療を確保するための自治体病院の役割りを考えるならば、独立採算制のワクを取り払い、不良債務についても全額特例債の発行を認めるべきであります。また、特例債の元利償還にあたっては、地方自治体の負担の軽減をはかるため、元利償還金の半分は国が負担する措置を講ずべきであります。さらに、不採算地区病院に対する運営費補助の基準については、今回のようにベッド数、入院患者数などによるものではなく、地域医療の中核としての役割りを果たしている自治体病院で、人口十万人未満の市町村に存在する病院はすべて対象とすべきであります。
最後に、四十九年度の地方財政を取り巻く環境はまことに困難かつ流動的であります。このようなとき、地方財政に寄せる住民の期待も大きく、それだけに、地方自治体の果たすべき役割りも重大といわなければなりません。政府の地方自治体に対する適切な配慮を特に要望して、私の反対の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/57
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058・村尾重雄
○村尾重雄君 私は、民社党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、反対の意を表するものであります。
反対の基本理由は、本法律案は国がおかした経済政策の失敗と混乱にいたずらに追随するだけで、危機に直面している住民生活を守るため、十分な配慮を払っていない点であります。
一昨年より、政府は経済の実勢を無視して、公共事業を超大型化し、放漫金融政策をとり、その結果、石油事情等もあって物価を狂乱させてきましたが、本年度になると、一転、物価鎮静のためと称して総需要の抑制をはかり、地方財政に対しても、画一的な抑制策を押しつけようとしております。このような政府の場当たり的な財政政策には、まことに憤りを感ぜざるを得ません。
高度経済成長のひずみを是正するため、生産優先から生活優先に政策の転換をはかり、かつ、計画的に福祉的行政を推進することが数年来の地方行政における重要な政策課題となっております。しかるに、昭和四十九年度の地方財政計画、それを前提とした本法案を詳細に検討すると、その内容はいたずらに政府施策の混迷に追随するだけで、住民の側に立ったものではないものであります。これが反対理由の第一点であります。
第二点は、本法案は地方自治体が現に必要とし、また、将来確実に必要となる経費を基準財政需要額に適切に算入していないことであります。これは画一的に国の総需要抑制策を地方財政に押しつけた当然な結果でもありますが、同時に、政府が従来から地方交付税制度の運用を根本的に誤っていることから生ずるものであります。公害対策行政、消費者対策行政の経費の例をとってみても、きわめておざなりな手直ししかしておらず、また、超過負担に対応する財源の算入不足はもとより、地方公務員の給与改善費なども、五千億円から七千億の算入不足が生ずることが予想されています。はなはだ残念なことであります。
第三点は、地方交付税財源は地方団体の固有財源であるということを無視し、国の予算編成の都合等により、財源の一部を国において留保するという措置をとったことであります。これは従来の政府の答弁と国会の意思に反するものであり、断じて容認できません。
以上、おもな反対理由を指摘し、政府の反省を求めて、本法案に対し反対するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/58
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059・河田賢治
○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法の一部改正案に反対する討論を行ないます。
本案に反対する第一の理由は、地方交付税を含む本年度地方財政対策が、政府の総需要抑制政策に全く従属し、物価狂乱のもとで行財政両面にわたり深刻な危機に直面し、切実に財源拡充を求めている地方自治体の要求を踏みにじっている点であります。
地方自治体の行政は、単に福祉・文教行政のみならず、いわばそのすべてが住民生活に直結する福祉行政であり、国の行政とは大きくその性格を異にしているのであります。
地方自治体は、いま、去年来の超インフレの直撃を最も深刻に受けている生活保護世帯など福祉関係住民の救済措置、倒産の危機にあえぐ中小零細企業対策の強化、さらには、大幅に繰り延べられた各種の生活関連公共事業の実施など、インフレからの住民生活防衛のための差し迫った財政需要の増大に直面しているのが実情であります。国と同一基調による総需要抑制を地方自治体に押しつけることは、まさに狂乱物価の被害者に追い打ちをかけるものといわねばなりません。
しかも、政府が、総需要抑制のために、地方自治体固有の自主財源である地方交付税を、交付税法、地方財政法に違反して、その総額から千六百八十億円を一方的に削減したことは、国と地方の財政秩序を乱すばかりか、地方自治体の財政自主権を踏みにじる暴挙であり、絶対に承認し得ないものであります。
第二の反対理由は、今回、交付税の基準財政需要額に財政調整資金一千三百億円を新たに計上し、これを予備費としてその使用を留保すべき、としている点であります。交付税総額のワク内で措置している財源について、いかなる理由によっても、その運用に国が一定のワクをはめることは、交付税を特定財源化するものであり、これまた、交付税法、地財法の基本精神をじゅうりんする不当な干渉であります。同時に、その使用を凍結させる意味で、事実上交付税の削減にひとしい措置といわねばなりません。
第三の理由は、単位費用の改定が依然実情から大きくかけ離れており、基準財政需要額が実際の財政需要額より著しく低く押えられていることであります。
超過負担解消に全力をあげるべき自治省が、みずから実態無視の単位費用を続けることは断じて許されないことであり、まして、このような不当な算定を基礎に、来年度地方財源は余裕があるなどと、交付税削減の口実にしていることは、まさに欺瞞的な行政姿勢といわざるを得ないものであります。
最後に、特別交付税についてであります。
特別交付税はいまや二千億円をこえる巨額に達しており、その配分は、積算根拠が自治体においてもつかみ得ない不明朗なものとなっており、いわば政治的つかみ金となっているのが実態であります。
しかも最近では、地方自治体が給与費のプラスアルファ支給を行なっていることに対して、特別交付税を削減するという報復措置を行なうなど、きわめて不当な運用が行なわれ、国の地方への介入、支配の手段とさえなっているのであります。
この際、特交の配分率を引き下げるとともに、その積算内容をガラス張りにすることを強く要求するものです。
以上、おもな反対理由を述べて、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/59
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060・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/60
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061・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
地方交付税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/61
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062・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/62
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063・高橋邦雄
○高橋邦雄君 私は、ただいま可決されました地方交付税法の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、各派共同による附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、地方交付税制度の本旨と地方財政の現状にかんがみ、左の諸点について善処すべきである。
一、国の都合により地方交付税の法定額を減額するような措置は、今後これをさけること。
二、基準財政需要額の算定方法等については、社会情勢の変化に伴う住民需要の動向に対処し、必要経費を十分算入することとし、人員配置・単価その他の数値の改善に努めること。
三、地方交付税率の引上げ等を含む一般財源の強化充実をはかるとともに地方道路目的財源の拡充に努めること。
四、生活関連公共施設の計画的整備をはかるため国の補助負担制度の強化をはかり、あわせて超過負担の解消について格段の努力をすること。
五、地方債について引き続き政府資金の構成比率を高め、起債条件の改善をはかること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/63
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064・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) ただいま高橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/64
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065・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 全会一致と認めます。よって、高橋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、町村自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。町村自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/65
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066・町村金五
○国務大臣(町村金五君) ただいま満場一致で御決議になりました附帯決議につきましては、御趣旨を尊重いたしまして善処をいたしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/66
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067・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/67
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068・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/68
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069・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 次に、消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。町村自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/69
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070・町村金五
○国務大臣(町村金五君) ただいま議題となりました消防法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
最近における産業経済の発展及び科学技術の進歩に伴い、火災の原因及び態様は、ますます複雑多様化してまいっております。特に、新しい建築構造、建築材料、生活用品等の出現により、火災発生時における消火及び避難を困難とする事例が増大しており、また、最近において、百貸店、旅館、病院等の火災による人身事故が頻発していることも御承知のとおりであります。
こうした事態に対処するため、今回、消防法を改正し、火災時における人命の安全を確保するため、百貨店、地下街、複合用途防火対象物、旅館病院等、多数の者が出入する防火対象物については、既存のものについてもスプリンクラー設備その他の消防用設備等の設置を義務づけるとともに消防用設備等の維持管理及び防火管理体制の強化をはかることとし、あわせてパイプライン施設等の規制につき所要の措置を講じようとするものであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。
次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、消防用設備等の規制に関し、次の三点について強化をはかろうとするものであります。
第一点は、既存の防火対象物における消防用設備等の規制の強化であります。今回、百貨店、地下街、複合用途防火対象物等の特定防火対象物における消防用設備等については、常に新しい基準に適合するように設置され、維持されなければならないこととし、別途建築基準法の改正による防火、避難に関する規制の強化と相まって、特定防火対象物における人命の安全をはかってまいりたいと存じます。なお、この改正規定は、特定防火対象物のうち、特に百貨店、地下街及び複合用途防火対象物については昭和五十二年四月一日からその他の特定防火対象物については昭和五十四年四月一日から施行することとしております。
第二点は、消防用設備等の検査に関する規定の新設であります。防火対象物の所有者等が消防用設備等を設置したときは、消防機関が行なう検査を受けなければならないこととして、消防機関が当該設備等の適正な設置を確認することにいたしました。
第三点は、消防用設備等についての点検及び報告に関する規定の新設であります。今回、防火対象物の所有者等が消防用設備等につき定期に点検をし、その結果を消防機関に報告するよう義務づけることといたしました。なお、多数の者が出入する防火対象物のうち規模の大きいものについての点検は、消防設備士等に行なわせなければならないこととしております。
第二は、防火管理制度の強化についてであります。
従来、防火管理者が行なうべき防火管理が適正に行なわれていない事例が見受けられることにかんがみ、このような場合には、消防機関が防火対象物の管理について権原を有する所有者等に対し、防火管理を適正に行なうよう命ずることができるようにしようとするものであります。
第三は、パイプライン施設等について、次の二点について所要の措置を講じようとするものであります。
第一点は、パイプライン施設の許可権限者の区分についてであります。現在、危険物施設を設置しようとする場合は、消防法に基づく市町村長または都道府県知事の許可が必要なことになっておりますが、パイプライン施設の特殊性にかんがみ、二以上の市町村の区域にわたって設置されるパイプライン施設のうち、二以上の都道府県にわたるものの許可については自治大臣の、その他のものの許可については都道府県知事の権限に属するものとするとともに、関係規定の整備をはかることとしております。
第二点は、パイプライン施設その他の危険物施設の保安規制の強化についてであります。保安規制強化の一環として、パイプライン施設その他の危険物施設については、新たに緊急時の措置として市町村長等が施設の使用停止を命ずること並びに所有者等が事故発生時に応急措置を講ずる義務及び関係機関への通報義務についての規定を設けることとするとともに、一定規模以上のパイプライン施設については、所有者等は事故時の応急措置について、あらかじめ関係市町村長と協議しておくこととするほか、市町村長等の行なう定期の保安検査を受けることを義務づけることといたしました。
そのほか、罰則の強化その他規定の整備をはかることとしております。
以上が、消防法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/70
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071・久保田藤麿
○委員長(久保田藤麿君) 本案に対する質疑は後日に譲り、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214720X01119740509/71
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