1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月二十三日(火曜日)
午後一時十七分開会
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委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
寺下 岩蔵君 今 春聴君
横川 正市君 鈴木 強君
四月二十三日
辞任 補欠選任
星野 重次君 西村 尚治君
岩間 正男君 星野 力君
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出席者は左のとおり。
委員長 寺本 広作君
理 事
岩動 道行君
岡本 悟君
鈴木 力君
委 員
楠 正俊君
長屋 茂君
西村 尚治君
戸叶 武君
中村 波男君
宮崎 正義君
星野 力君
国務大臣
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 山中 貞則君
政府委員
行政管理庁行政
監察局長 大田 宗利君
防衛庁参事官 大西誠一郎君
防衛庁参事官 長坂 強君
防衛庁参事官 岡太 直君
防衛庁長官官房
長 丸山 昂君
防衛庁防衛局長 久保 卓也君
防衛庁人事教育
局長 高瀬 忠雄君
防衛庁衛生局長 鈴木 一男君
防衛庁経理局長 小田村四郎君
防衛庁装備局長 山口 衛一君
防衛施設庁総務
部長 安斉 正邦君
外務省アメリカ
局長 大河原良雄君
運輸省自動車局
長 中村 大造君
事務局側
常任委員会専門
員 相原 桂次君
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本日の会議に付した案件
○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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001・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨二十二日、寺下岩蔵君、横川正市君が委員を辞任され、その補欠として今春聴君、鈴木強君が選任されました。また、本日、岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として星野力君が選任されました。
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002・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) 次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/2
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003・中村波男
○中村波男君 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の今回の改正内容のうち、任期制自衛官の退職手当について特に優遇措置をとっていられるのでありますが、まずその理由を明確にしていただきたいし、また二任期隊員に対する手当を倍額にしております。すなわちこの二百日分及び三任期隊員の退職手当百五十日分の根拠は何によるのか、明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/3
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004・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 一般公務員の給与体系にございません任期制の隊員についての特別退職手当については、昭和二十九年から全く計算方式としては現在までの百日分、百日分という姿で来ております。しかしながら、やはり計算方法としてもすでに二十年を経過しようといたしておりますので、その方式をそのままで置いていいかどうかの検討をしたこと。それによって改正すべきであると考えたことが第一点であります。
第二点は、自衛隊の募集難は皆さんからも数々御指摘も受けておりますし、将来の展望必ずしも明るいとも言えませんが、なお私どもが努力するにいたしましても、自衛隊に入りました者が途中でやめ、もしくは一任期で自衛隊を去っていく率が非常に高い。四十七年からは、年間トータルでまいりますと、新規募集隊員よりトータルにおいてはやめていく者のほうの数が上回ってきつつあるということ等を勘案いたしまして、金銭的なものが必ずしもそういうものを食いとめると申しますか、魅力あるものにするだけではなかろうと思いますが、しかし、第一点で申し上げましたように、二十年も検討しないままほうっておいたこと、そのことが与えておる影響というものは無視できないだろう。したがって、今回は、二任期制が最も必要な隊員でございますので、これへの継続をなるべく能力のある者、適した者について、自分の意思で進みたい者があるならば若干の貢献でもしやしないかというそういう気持ちもあることも事実でございます。三任期制については、逐次曹の高い位のほうへ進んでまいりますので、二任期制ほどの優遇は必要ないであろうということで五十日分のプラスということにいたしたのが大要でございますが、具体的な計算方式等については人教局長より答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/4
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005・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) ちょっとこまかくなるのでございますけれども御説明申し上げます。
退職手当は、従前昭和二十八年に二〇%アップ、それから三十四年に二五%アップになりまして現在になっております。特例の退職手当につきましては、かつて二〇%アップになった時代がございましたが、その後財政上の理由によりまして、また百二十日分から百日分に減額されたというような過去の事例がございます。
次に、算出のしかたでございますけれども、特例の退職手当の増加日数の算出にあたりまして、先ほど申しました昭和三十一年に財政上の理由から百日に減ぜられる前の、その前の百二十日をひとつ出しまして、二五%アップとした場合には百五十日、それから百日を基礎とした場合におきましては百二十五日ということになります。両者の平均値をとりますと、こまかいのでございますが、百三十七・五日となりまして、三十七日分の増ということになります。
それで、次まあ計算のしかたでございますが、こまかいのでございますが、特例の退職手当の額を第一任期から第三任期までの各任期とも、それぞれ三十七日分増加した場合の改善所要額指数を求めるわけでございますが、これを求めますと、増加日数に、任期満了人員指数とそれから退職手当の基礎となる俸給日額の指数を乗じますと、三任期を通じた改善所要額指数というものが出るわけでございます。この数字は省略いたしますが、この改善総所要指数を第二任期または第三任期に配分するにあたりまして、第二任期への継続任用率——第二任期にどの程度継続して任用されるかという継続任用率が平均約五〇%ございます。それから第三任期への継続任用率、これは平均約二五%でございます。こういった事情でございますので、いま大臣からお話がありましたように、これらの継続任用率を引き上げようと、こういうことをはかるということで、それぞれの任期中における平均中途退職率、これはそれぞれ八%または三%でございますが、これの改善効果をもあわせ考えまして、第二任期と第三任期の増加日数の割合を、継続任用等の引き上げ期待値の割合である二対一ということにした。非常にこまかい計算のしかたでございますが、細部申し上げますと以上のようなことで二任期を百日、三任期を五十日、二対一というような割合にしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/5
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006・中村波男
○中村波男君 ただいま山中長官の御答弁にもあったのでありますが、今回の退職手当の改正というものは、任期制自衛官の二任期、三任期への継続任用の奨励という、言いかえますならば、不足している自衛官の確保というところに大きなねらいがあるというふうに私は見ておるのであります。したがいまして、自衛官の充足率は以前よりその低下が問題になっておりまして、そこでこの機会にお聞きいたしたいのは、現在の充足率はどの程度になっておるのか、特に任期制自衛官、すなわち士の階級の充足率はどのようでありますかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/6
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007・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 本年の二月末現在で申し上げますと、自衛官全体の充足率は八七・一%でございます。これは陸海空の総合計のパーセンテージでございます。いま先生が申されました士の階級につきましては七四・四%というのが充足率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/7
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008・中村波男
○中村波男君 続いて一任期を終えて二任期に継続任用される自衛官の割合、さらに三任期に継続を希望する割合はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/8
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009・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 第一任期を終わりまして第二任期に継続任用するものは、当初入ったときのあれを一〇〇といたしました場合に、五〇%が第二任期に継続任用いたします。それで第二任期を過ぎまして、そうして第三任期に継続任用いたします数は、当初の一〇〇に対しまして二五%が第三任期に継続になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/9
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010・中村波男
○中村波男君 いまの御答弁の数字でも大体を予測することができるわけでありますが、したがって、任期を終えずに中途で退職していく者の数というのは五〇%以上にのぼるのではないかというふうに思うわけであります。その数字と、さらに中途退職していきます士の原因別といいますか、理由別と申しますか、なぜ退職がそんなに多いのかということを明らかにまずされる必要があるんじゃないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/10
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011・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 先ほど申し上げましたのは、一任期から二任期、二任期から三任期への継続任用のことでございますが、士の任期満了をいたしませんで退職する者の数を四十八年の——四十八年は年度が一ぱいになりませんから、四十七年で申し上げますと、士隊員は四十七年では二万六千百四十名退職なされまして、それでその中で中途退職をしました数は一万三千七百三十、約半分というのが中途退職の数でございます。
もう一つ中途退職の理由でございますが、大部分が性格が自衛隊に向かないというような理由で、いわゆる性格の不適合といいますか、そういう事情によるもの、あるいは家庭の事情によるもの、それから他にあらためて再就職をしたい、就職をしたいというもの、そういったものが大部分でございます。その他、進学をする、あるいは健康状態というようなのがございますけれども、大体は性格不適合、性格に合わないとか、あるいは家庭の事情とか、就学とかというようなものが大きな比率を占めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/11
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012・中村波男
○中村波男君 性格の不適合とか、家庭の事情でやめる者が多いということでありますが、そのパーセントですね、そういうものを自衛隊としては調査されたことがあるわけですか、調査した資料がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/12
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013・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) これはことしの二月の時点での調査でございますが、性格不適合が三四%、それから家庭の事情というのが約二八%、それから就学が約二四%というようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/13
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014・中村波男
○中村波男君 そこで、長官にお尋ねいたしたいんでありますが、中途退職というのは、一年たたないうちに退職する者と、大ざっぱに言ってそうでないかと思うわけでありますが、一年もたたないうちにこれだけの半数以上の人たちがやめていくと、そういうことは、いま理由づけをされましたけれども、それ以外に、問題は、募集の面で問題があるのではないか、こういうふうに私は考えるのでありますが、そこまで踏み込んだ分析といいますか、その理由、原因等について防衛庁として調査をされたことがあるのかどうか明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/14
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015・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) これは今日の日本の社会の中における青年諸君の、ある意味ではきわめて自由奔放な生活が楽しめる社会の中で、最終的には自己の意思によってきめた志願の立場にあったとしても、隊に入りましてやはり集団居住、上下服従、規律、あるいは服装、たとえばロングヘアにしたいとかというような普通の青年の持つ欲望が相当制肘される、そういう点でやはりがまんしきれないという者が大部分いると思います。しかしながら、いまお話しのありましたような募集の際にいま少しく考える点はないのか、この点はもうつとに考えておりまして、募集のあり方等について、たとえば今日まで数多く入隊せしめた者について表彰状等を贈るような形をとっておったようであります。しかし、私は、数多きがゆえにとうとからず、その手段、方法等も含めて、悪く言うと、ただかき集めるという感じで送り込むだけではいかぬと。しかも送り込んだあとも、自分が去年の何月どこで募集して、それに応じたあの青年は、一年たった今日一体どこにつとめているか、はたして自分が募集したことがよかったのか、青年から見て、自分でそれでいいと思っているのかというようなフォローと申しますか、やはり人間同士のつながりをあとまで持つというような点等が配慮されているかという点等を突っ込んでいまやっておるわけでありますが、そこらのところがやや不足でありますし、今後は多く集めた者をもって表彰することはしない。
要するに、送り込んだ者の質というものが実績によって証明されていくような、しかも募集のしかた等についても世間からいろいろと言われないような正常な形の募集のもとにおいて質が高められていったようなものについて、必要ならば表彰等をしてよろしいという方針に変えております。もう具体的にいろんなケースがありまして私も頭を悩ましているところでありますし、長期展望から見ても、よほど私どもがこの募集のあり方について、もう少しみずから反省し、顧みて、新しい考え方のもとに新しい方法をとりませんと、いよいよ充足率は離隊率を下回っていくおそれがある。その点はまさに御指摘のとおり心配いたしまして、その対策も逐次具体的に立てておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/15
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016・中村波男
○中村波男君 そこで、少し方向を変えてお尋ねしたいんでありますが、国会で自衛官募集の行き過ぎが指摘されたのは、私の承知しておる限りにおいても相当な回数にのぼっておると思うわけであります。したがって、自衛隊発足以来、国会で募集の問題について指摘を受けたのはどれぐらいあるか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/16
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017・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 募集の問題で、確かに国会で取り上げられた例は数多くございますが、実際の数、幾つかということを私いま直ちに承知しておりませんが、私が人事教育局長として募集の事務を担当をいたしましてからでも、たしか四、五件御指摘があったという記憶を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/17
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018・中村波男
○中村波男君 そのつどそのつど議事録を全部は読んでおりませんが、四十六、七年から八年にかけての国会で指摘をいたしました議事録を一通り目を通しますと、その当時の長官というのは、行き過ぎを認めて、そういうことのないようにということを答弁をしていらっしゃるわけでありますが、しかし、依然として募集の行き過ぎ——私に言わしめれば行き過ぎなどというものではなくて、とにかく数さえ充足すればいいという——言い過ぎかもしれませんけれども、めちゃくちゃな方法で募集をしておる。あるいは中小企業者の、働いておる青年を引き抜いておるというような事例が岐阜県で、最近私の見聞したものだけでも数件にのぼっておるわけであります。このことはあとから具体的に指摘をして、その理非について明らかにしていただきたいと思っておりますが、国会でたびたび募集の行き過ぎについて指摘を受けておりまするけれども、そういうのがいま御答弁いただけないというその姿勢に問題があるのじゃないか。まず、そういうのをやはりたんねんに資料として整理をしておかれまして、その質問に答えるような対応というのがなされておらないところに依然としていま私が指摘をするような問題があとからあとから起きるのではないかというふうに考えるのであります。
私が調べたのを一通り申し上げてみますと、四十六年の十一月一日の読売新聞には、保護観察中の非行少年が六千人のうちに七十人おる、これは長崎市の陸上、海上自衛隊の事例であります。さらに、四十七年六月二十七日の朝日新聞でありますが、家出人も歓迎します、入隊までアルバイト——これは自衛隊と民間会社との握手という、こういうような新聞の表題で出ておるのであります。四十七年九月十四日、これは東京新聞だと思いますが、役場職員を使って高卒者名簿集め、青森地連。四十七年十一月二十八日、読売でありますが、職安内の自衛官勧誘。四十八年三月七日、ダイレクトメールで自衛官募集、これは衆議院で社会党の勝澤芳雄議員が追及をいたしておるのであります。このようにここ二、三年でもいろいろ国会なりあるいは新聞等で自衛官募集の行き過ぎが明らかにされておるわけでありますが、岐阜県におきましても、三月の岐阜の市会及び岐阜の県議会で自衛官募集の行き過ぎが指摘されまして、いろいろ追及がなされたのであります。
その事例を申し上げてみたいと思うのでありますが、その一つは、名前を正式に申し上げることを差し控えたいと思うんでありますが、岐阜の精薄施設であります第二恵光学園の卒業者でありますが、ここの卒業者を自衛隊にすすめまして入隊をさせた。したがいまして、知能指数は五五だそうであります。この人は三重県の久居市の陸上自衛隊の百十六教育大隊に入隊をしたのでありますが、在職期間はわずか四十日余り、実際には一週間程度で除隊したようであります。
もう一つは、同じく岐阜市の第二恵光学園の卒業者でありまして、二人とも長良フェルト有限会社、小見山増吉という人が代表取締役でありますが、ここにつとめていたわけであります。Kということにいたしておきますが、Kが、同じ職場で働いておる同じ学園の卒業者であります友人の妹が岐阜駅へ着くというので迎えに行きまして、そのときに、広報官の三和峯雄という二等陸曹だそうでありますが、呼びかけられて、それからいろいろと執拗にすすめられ試験を受けたようであります。そしてこれは明らかに私自身が確認をしておりませんけれども、岐阜市会で取り上げた人の話によりますと、一晩とめ置かれた。したがって、寮にも帰ってきませんので、心配をしてさがしておったところ、自衛隊から本人の家族に、自衛隊にいまおりますという連絡があって、驚いて朝連れに行き、いわゆる自衛隊に入隊は食いとめた。こういうことでありますが、この朝までいたかどうかということについては、もちろん私が確認をしたのではありませんから、はっきり申し上げるつもりはございません。いずれも自動車の免許が自衛隊へ行けば取れるぞと、こういうようなことを言いまして勧誘をしておる。しかし、これは反対をいたしましたので入隊までには至らなかったようであります。このKという青年は知能指数は五三であります。
そこで長官、知能指数と学力とは必ずしも一致するものではありませんし、知能指数が低いからといって、その人間はだめだというような、そういう私は人間としての価値づけをいたそうとするものでもありません。しかし、少なくとも入隊案内を見ますと、中学卒業程度の学力ということが書かれておるわけでありますが、そういう人たちがいわゆる試験を行ないまして合格するということに何か問題があるような感じがいたすわけであります。したがいまして、試験を一応されるわけでありましょうが、試験の問題というものは、どこでだれがつくるのか、そういう点はどうなっておるのかお聞きしたいところでありますし、できましたら、この二人の青年の試験結果等についても資料としてお出しいただけないだろうか、参考までに私は知っておきたいというふうに思うわけでありますが、まだあと三、四点いろいろな問題がありますが、とりあえず二つの例を指摘いたしまして、こういう募集が現実に行なわれておるわけでありますが、これをどうお考えになるのか、まず長官の御所見をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/18
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019・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) いま第二恵光学園の卒業者の二人のお話が出ました。おっしゃるとおり、一人の人は試験を受けまして合格いたしました。それで久居の部隊に入ったわけでありますが、十カ月後に本人がやめたいということで退職をいたしました。それからもう一人の、いま先生がKとおっしゃいました人は、この人は自衛隊に入りたいということに非常に積極的で熱心であったようでございますが、試験の結果、適当でないということで不合格ということにいたしました。
それで私どもは、試験のことでございますが、試験は学科試験とそれから身体検査とそれから適性検査というものを行ないます。それでこの学科試験は幕僚長がつくります、それから適性検査も幕僚長がつくるということを委任しておりますが、それをつくるにあたりましては、知能検査などにつきましては、数多くの入隊する隊員に一つ一つその知能検査をテストいたしまして、そしてその得る点数で、何点にすれば変な人が入らないか、あるいはいい人がそれに引きずられて落ちないかというようないろいろなテストをしまして、そしてある点数をきめて、そしてそれを合格点ということにします。そういうことで、問題は幕僚長がつくりますが、試験はそういった裏づけをされた問題で試験をしておるということでございます。
それから合格の問題につきましては、御本人の試験の内容を、どういう成績であったかということは、これは公表はしないというたてまえをとっておりますので、また個人の名誉のことにもかかわる問題でありますから、これは公表は御了承をさしていただきたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/19
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020・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、星野重次君が委員を辞任され、その補欠として西村尚治君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/20
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021・中村波男
○中村波男君 まあ、募集要項によりますと、試験科目として筆記試験、口述試験、身体検査、適性検査等々があげられておりまして、筆記試験は中学卒業程度の国語(作文を含む)、数学、社会、こうなっておるわけですね。この試験問題はだれがどこでつくって、どのように出すのかということはいま御答弁ありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/21
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022・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/22
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023・中村波男
○中村波男君 ありましたか。ちょっと私聞き落としましたので、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/23
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024・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 陸上幕僚長が作成するということで、幕僚長に委任をいたしております。しかし、その裏づけとしての試験の問題あるいは知能検査の適性の問題につきましては、先ほど申しましたように入念な裏づけの検査といいますか、あれをしまして、そして試験問題をつくるということをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/24
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025・中村波男
○中村波男君 すると、実際いま私が指摘した二人の青年が受かる程度の学力ということになりますれば、中学卒業程度といっても低い学力で入れるんだと、こういうことですね。実際には試験というのは全くやさしいものなんだということですか。いま私が資料として請求しました、この青年の受けた成績表については出せないということはわかります。しかし、過去に出されました試験問題は資料としてお出しいただくことはできるでしょう、いまお使いになっておらない分については。それ、出していただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/25
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026・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 現在使っておりませんものでございましたならば提出することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/26
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027・中村波男
○中村波男君 そこで、長官にもぜひひとつ聞いておいていただきたいと思うんでありますが、岐阜の市長に長良フェルト有限会社の代表取締役小見山増吉さんから嘆願書が出ておるわけであります。参考までに読み上げますのでお聞き届けを願いたいと思うんであります。
まあ、こういう嘆願書が出されておるわけであります。
続きまして、もう二、三の例を申し上げてみたいと思うのでありますが、岐阜県の関市というのは刃物工業の都市でありますが、これらの刃物工場の従業員が陸上自衛隊の引き抜きと見られる勧誘を受けて、工場に無断で入隊、自衛隊側からは何の連絡もなかったことがわかりまして、地元の日本輸出刃物工業組合では悪質な引き抜きだと防止策の検討に入ったと、こういう新聞記事の見出しで出ておるわけであります。
この問題につきまして、私工業組合へ参りましてその実情を聞いたのでありますが、ほとんど内容には新聞記事と相違がなかったわけであります。具体的にその内容を申し上げますと、工場主の知らぬ間に自衛隊に入隊いたしましたのは、関市の川間町藤原兼房利器製作所に四年前から働いておりました仕組み工のA君が、ことしの一月八日夜、入隊を勧誘していた自衛隊員二人と一緒に工場を出たまま音信不通になった。したがって、同製作所では自衛隊岐阜地方連絡部に照会をいたしたわけでありますが、はっきりしたことが言われない。やむを得ず市の工業課と相談した上で、同君のいわゆる本籍地であります福島県郡山市の実家に問い合わせたところ、A君は三重県久居市にある陸上自衛隊百十六教育大隊にいることがわかった。これは母親の話でありますが、A君は一月十日に入隊した、これは二月初めに同大隊から連絡があって初めて知ったと、こういう内容であります。
したがって、同製作所の加藤千江取締役に聞きますと、自衛隊員がしょっちゅうAさんに電話をかけてきたと、Aさんの実家から入隊させないようにと頼まれておりましたので断わったのでありますが、責任を持って必ず帰すと言っては連れ出した。Aさんは大型免許がただ取れると、だからまあ入隊したいんだということを言っておったということであります。したがって、同製作所が加盟しております日本輸出刃物工業組合では、このほかにもこういう事案がありますので、御承知のように関市内で約千三百の中小企業の刃物、金属関係の工場があるわけでありますから、これらの従業員を引き抜かれてはたいへんだと恐慌におちいりまして、その引き抜きをいかにして防止したらいいかという対策を立てておる、これが現在の状況だと、こういうことであります。
そのほか、県会でも問題になったのでありますが、岐阜市鍵屋西町の和田板金につとめておりますT君、二十二歳、これは加茂郡白川町の出身でありますが、一月二十九日に職場から姿を消して三十一日に入隊をしてしまったのであります。勧誘の——言い方は悪いのでありますか、手口は、入隊すれば自動車の免許がただ取れると、こういう持ちかけが、なかなか自動車の免許が取れない青年にとってはたいへんな魅力であるわけであります。そういうことから入隊を決意する。しかし、それは全く無断で欠勤をするとか、あるいは入ってしまってからわかったというようなことがほかにもいろいろ例があるわけであります。
もう一つの例を申し上げてみますと、これも岐阜県の加茂郡白川町の出身のY君でありますが、これは羽島郡の岐南町八剣にあります丸三ステンレス工業——林昇一社長——につとめて二年くらいまじめに働いておるのでありますが、同会社の寮に住み込んでおりまして勤務成績もよかった。自動車学校に通いましたけれども、二、三回試験を受けたけれども免許がなかなか取れなくて本人はくさっておった。そのY君が自衛隊と最初の接触を持ったのははっきりしておりませんけれども、入隊をすすめられまして、勤務時間内にも親戚の者だと言って広報官が本人に接触をしておった。そうして自衛隊に入ればただで大型の免許が取れるということを盛んに言っておった。したがいまして、一月二十九日の夜、自衛隊側から勧誘を続けておりました職員が上司と二人でトラックを持ってまいりまして、林社長が何の用事ですかと言いますと、Y君は突然、やめさせてくれと、実家へ帰って手伝うと言いまして、荷物をトラックに積んで、自衛隊の二人がもちろん荷物を手伝って運び去った。こういう事例があるわけであります。
このように全く人手不足の中の中小企業をねらい撃ちにするあくどいやり方であるというふうに言わざるを得ません。自動車に乗りたいという青年の気持ちを逆手にとって、えさに誘うというのは常套手段と言われておるのでありますが、私が見聞した事例を見ましても、そう言われてもやむを得ないような内容があるのではないかというふうにも思うわけであります。したがって、こういう人買いまがいのやり方が、結果として若者の人生をめちゃめちゃにするというようなことにもつながるのでありますから、したがいまして、こういう自衛官の募集のやり方というのを根本的に防衛庁として改める意思があるのかないのか、こういう点については一片の反省というものはないのかあるのか。その点ひとつ長官から明らかにしていただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/27
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028・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) ただいま募集のあり方につきましていろいろ御指摘がございました。実は同じような御指摘がこの前ございまして、で、企業に対しましては、その企業側が知らないうちに隊員を採用するというようなことはしないで、本人が志望する、志願をするという非常に熱意がありました場合でも、会社側と話をして、円満に退職をして、そして自衛隊に試験を受けて入るものは入るというようなことにしなけりゃいかぬというようなことで、この前御指摘を受けまして、そのような指導をいたしておるわけでございまして、いま三点をあげて御批判ございましたけれども、今後はさようなことのないように募集のあり方について自戒をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/28
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029・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 具体的な問題をあげての御質問でありまして、重々ごもっともであり、その事柄に関してはきわめて遺憾のことばかりであると私も思います。将来の展望としての高校進学率あるいは大学進学率、そして残る者の求人倍率、そして失業率その他をいろいろ勘案してみますと、なかなか適齢、適格者人口の中で自衛隊にみずから進んで来てくれる、志願兵制度でありますから自分の意思によって誘われずとも入隊するという者が私は最低五〇%はいなきゃならぬと思うんですけれども、それが一〇%台に落ち込んでおりまして、縁故募集等が逆に五〇%ぐらいになり、そして俗に街頭勧誘じゃないかといわれておりますそのような募集のしかた等の比率も次第にふえつつあります。このことはやはり一定の充足率を保って充足していきたいというように願う願望のあらわれでありますけれども、しかし、いまお話しのありましたように、一人の青年にとって、自衛隊への自分の生涯の道を選ぶか、あるいは一般社会のいろいろの業種の中で人生の進路を定めるかについては、ことにその年齢層においては重大な人生の岐路であると私も思うんです。そこで、やはり説明するにあたっては十分にそれらの点を話をして、そしてみずからが得心をした場合でなければなりませんし、またその企業、ことに中小企業の絶えず掌握をされておる人数の中で、いつの間にかいなくなって、あとで自衛隊に入っておることがわかったというようなことがないようにしたいというのは増原前長官も答弁しておられます。
このことは当然のことでありますし、一たん本人がつとめておりますところ——ことに先ほどの長良フェルトでございますか、その社長さんは私はりっぱな方だと思いました、その市長さんへの陳情書を見て。そういう、まあ申し上げては恐縮ですが、知能指数等において問題の若干あるそういう者たちを進んで自分の企業に受け入れておられる方である、それを、技術を身につけさして、たとえ若干の知能指数の一般社会人としての問題があっても、自分の会社においてりっぱな人間にしてやろうというお気持ちの社長さんにそんな嘆願書を書かしたということについては、これはまことに申し開きのできないことだと思うんです。私は知能指数の問題もあると思いますが、前科者を差別するというつもりは、これはあってはなりませんし、してはなりませんが、しかし、自衛隊員として適格かという場合においては、少なくとも窃盗とか暴行傷害というような前科等については、これは差別ではなくして累犯するおそれがあります、必ず。窃盗は癖がやはり行なわしめるものであって、きわめて不幸なことでありますが、そういう事件が私の手元に上がってまいりますと、その入隊前にそのような前科がなかったかと調べて、あるかということで追跡しますと、やはり窃盗前科歴ありというようなことがわかってまいりまして、私も全国に実人員で三十三万をこす自衛官をかかえておりまして、その点は日常毎日一件残らず事故を私の手元に上げさしておりますけれども、そういう点に基づく事故がなお散発をするということについては非常に自衛隊としても問題でありますし、また一般社会における、日本国家社会における自衛隊の存在として、志願兵制度のたてまえであるとはいえ、そのようなことでもって一青年の人生を不幸にしてしまう、進路を狂わせるというようなことのないようにしなければならぬ。
そのためには具体的にどうしたらいいのか。それはもちろんその企業主等に頭越しではやらないということは、これはもうすぐできることでありますから、実行はさせておるつもりでありますが、本人たちに勧誘をする場合に、ただ、自衛隊というものは自動車の運転免許を取るところであるというような、ただで自動車教習所のかわりをしてやるような錯覚を抱かせるようなことをもし言うたがために、何べん試験を受けても落ちたから、じゃ向こうに行って免許を取るかというような気持ちの青年であったとするならば、免許を取ったと同時にやっぱりやめてしまうだろうと思うのですね。だから本質的にそれは間違いである。やはりこれは各党によって違いますが、自衛官たるべき者は何のために、どのような目的、使命を持って働かなければならない場所であるかを十分説明もしておかなければならぬ。それがやはり無原則な離隊率というものを少しでも食いとめる最善の策ではないかということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/29
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030・中村波男
○中村波男君 長官、そういう不正はお認めになった上で、そういうことがあってはならぬという御答弁をいただいたわけですが、私はなはだ残念遺憾に思いますのは、すでに四十八年の三月七日の衆議院の予算分科会で、勝澤芳雄議員が「ダイレクト・メールで自衛隊員募集」の問題をとらえましたときも、増原防衛庁長官は、事情をよく調べるが、経営者の頭越しに直接従業員に働きかけるのは適当ではないのでさっそくやめさせると、こういう答弁をしていらっしゃるわけですね。それから同じく四十八年四月六日でありますが、本院で須原昭二君が予算委員会の第二分科会の審議の際に質問をいたしておるわけでありますが、そのおりにも高瀬政府委員は、「いま御指摘になったようなことがございましてはいけないということで、従前から陸上幕僚監部、それから方面隊、それから地連というようなことで、いろいろと注意をいたしておりまして、その後、ただいま最後に御指摘になりました職安におけるその募集などにつきましても、十分注意をいたしまして、さような誤解を受けることがないようにということで努力をしております。それから先ほどの、その両親あるいは身元引き受け人などに無断でやるというようなことは非常にまずいことでございます。で、できますならば、やはりその本人が会社につとめている場合でありますならば、その会社の責任者と十分話し合いを遂げて、そうして退職をして、そうしてりっぱに自衛隊へ入ってくるというような姿勢でいかなくちゃいかぬというようなことで、そのつど姿勢を正すように、私どもといたしましてはいろいろ指導をいたしておりますけれども、たまたま御指摘のようにいろいろな問題が……」と、こういうふうに答えておられるわけであります。
したがって、こういうその答弁をなすっているのでありますから、これを具体的に下部へどのように徹底をさせていらっしゃるのか。その後もこういう問題が起きておるわけでありますから、徹底しておらぬのじゃないか、ノルマがあるということもいわれておりますが、そういうことは私はないといたしましても、とにかく数さえ集めればいいと、こういういわゆる地連等の自衛官募集の係官の態度、姿勢というものが全然直っておらない、改まっておらない、こういうところにどんどんとこういう問題が起きるのではないかと、こういうふうに思うわけであります。国会で答弁をなさったことを下部へどのように徹底をし、教育をし、再びこういうことのないような措置をおとりになったのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/30
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031・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 昨年そういうようなお話がありまして、それでその後事務次官から募集の当面の担当の最高責任者である陸上幕僚長に対しまして「自衛官の募集の実施について」ということで通達を出しております。それでそれを見ますと、「最近国会の審議及び新聞報道等を通じ、中小企業の従業員に対する募集等自衛官の募集方法について指摘された事例が多くみられるので、募集の実施にあたっては慎重に留意するとともに、良識ある行動をとることにより、なお一層国民の理解と信頼を深めるよう指導されたい。」というのを出しております。それでこれを受けまして、陸上幕僚長からさらにふえんして、具体的な事例をあげまして、たとえば寮の管理者に無断で中小企業への立ち入り勧誘したとか、あるいはダイレクトメールを中小企業の寮へ送付さした、あるいは志願者が年齢不足であるにもかかわらず外部から家出人ということで抗議されるまで適切な措置をしなかった。これは、ただいま申し上げましたのは国会で指摘された一例をあげたわけでございますけれども、そのほかいろいろな事例をあげまして、そして具体的に幕僚長から方面総監に指導をさしております。
それからなお私ども、募集については実際には地連でやっておりますが、この地連部長の人選といいますか、これは非常に大事なことだと思いまして、この地連部長の人選には最もその適任で、しかも優秀な者を得ると。それからその中で、さらにその下にいます補佐である募集課長でありますが、これにつきましても優秀な者を、たとえて言いますと、防大の出身者で新進気鋭の優秀な者を入れるとか、そういうことをいろいろやりまして、そして国民と自衛隊との関係におきまして国民の理解を得る、そしてりっぱな募集ができるというような体制をつくっていきたいというふうに実は考えていろいろな施策をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/31
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032・中村波男
○中村波男君 先刻も指摘をいたしましたように、四十八年四月六日の参議院の予算委員会の第二分科会でわが党の須原君が頭越しの、いわゆる中小企業者の従業員を頭越しに募集することについて、具体的な例をあげて防衛庁の姿勢をただしたのに答えて、さらに増原防衛庁長官は、「いま申されました具体的問題などは、もう言語道断でございまするが、広く申されまするように、中小企業へ頭越しに募集に出かけるというふうなことは、厳重にやらさないように示達をし、励行につとめます。これに反したものについては、適切な措置、処分をいたします。」、こういうふうに全く明快な防衛庁としての姿勢を示しておられるわけですね。それがその後もあとを断たないということに私は問題があると思うのです。したがって、きょう私がこういう問題を指摘いたしますと、長官をはじめ明快な御答弁がなされますが、これを下部へどのように徹底されるか。いままでのやり方では実効があがっておらぬわけでありますから、そういう点についてももう一度長官から決意のほどをお示しいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/32
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033・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 私、冒頭に申し上げたんでありますが、いままでは数多く集めた者が、結果表彰を受ける順の序列になるというようなことはこれは間違いである。先ほど申しましたので繰り返しませんが、そのような表彰は今後やらない。したがって、もちろん目標は、それぞれ全体の目標あるいは各地連ごとの目標というものは一応割り振りますけれども、それを達成しなかったからいけないとかなんとかというようなことは、今後ノルマ的な考え方は一切持たない。したがって、よりよき質の者をできれば多くですね。しかし、多くということを求めて質を忘れるということがあってはならないということは就任以来の訓示であり指示であり、具体的なそのような会合その他を通じて私の口から直接いつも話をしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/33
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034・中村波男
○中村波男君 次に、行政管理庁にこの機会にお伺いをしておきたいと思うのでありますが、行管は昭和二十七年以降、防衛庁のどのような業務についてどのような監察を行なっておられるのか、また勧告を行なってきておられるのかどうか、その内容、実績について説明を受けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/34
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035・大田宗利
○政府委員(大田宗利君) 自衛隊の業務を中心とした監察につきましては、三十二年に陸上自衛隊の補給処の業務監察、それから同じく陸上自衛隊駐とん地部隊の業務監察、それから同じく三十二年でございますが、海上自衛隊の地方総監部の業務監察、それから防衛庁所管自衛隊病院等の行政監察、それから三十三年に入りまして航空自衛隊の業務監察、それから三十四年に防衛庁中央調達業務の監察、以上六つの監察を実施しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/35
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036・中村波男
○中村波男君 先刻から私が質問をいたした問題についてはお聞き及びいただいたと思うんでありますが、私が考えますのに、防衛庁の行なっております隊員の募集業務については、種々まあ不当なあるいは行き過ぎがあるというふうに断言をしてはばからないわけであります。この問題は過去においてもしばしば国会で質疑が行なわれ、そのつど防衛庁自体もその改善について答弁をしてこられたところであります。しかし、依然としてこれに対する問題があとを断たない状態にあることにあることにかんがみまして、防衛庁としても隊員確保のこれに必要な人員をぜがひでも募集、入隊させなければならぬという防衛庁としての事情はわかるわけであります。しかし、その方法についてはおのずから適正な規制、規律に基づかなければならぬと私は考えるわけであります。いわゆる手段を選ばない募集の方法は許されない。この点、行管はどのようにお考えになっておるのかどうか、所見を伺うものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/36
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037・大田宗利
○政府委員(大田宗利君) 私は、ただいま申し上げました監察につきましては当時担当しておりまして、ほとんどの部隊に参りまして監察を実施いたしておりましたんですが、防衛庁はほかの行政機関に比べまして、やはり中央の指示というものにつきましては非常に下部に徹底するところでございます。したがいまして、ただいまお聞きしている内容は、究極のところ、今後行き過ぎをいかにして防ぐか、いかに末端に徹底するかということにあろうかと思います。ただいま防衛庁からもお話がございましたように、四十八年の四月には事務次官通達を出されまして、そして勧誘方法について改善措置がとられております。ただ、その方法につきましては非常にむずかしい問題があろうかと思いますけれども、通達の内容につきましては、どういうことが行き過ぎかということをもう少し具体的に出されましたらなお徹底するんじゃないかと思います。したがいまして、当庁の行政監察というものを待つまでもありませんので、防衛庁自体でもこの問題に御研究いただけばある程度改善できると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/37
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038・中村波男
○中村波男君 いまの答弁は私聞こえないと思うのでありますが、何度も何度も国会で指摘をされておりまするけれども、行き過ぎというのはあとを断たないと。行き過ぎであることは山中長官もお認めになっておるでしょう。そういう実態の上に立ちますならば、行管としての本来の仕事として、当然この辺にも監察をなさることが必要ではなかったか。それをやらないというのは、私が考えますには怠慢し過ぎではなかったか、こういうふうに思うのでありますが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/38
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039・大田宗利
○政府委員(大田宗利君) 監察を実施いたします場合には、問題がばく然としておるとか、あるいは全然問題がない場合に実施する場合もございます。ただ、この問題につきましては、問題の所在というものが非常にはっきりしておるわけです。したがいまして、いかに徹底させるかということが大きい問題だろうと思います。
そこで、ただいま申し上げましたように、通達の内容というものがやはり徹底させる一つのキーポイントではないかと思います。したがいまして、通達の内容そのものをもう少しわかりやすく、何が行き過ぎであるかということを具体的にお示しになって通達を出されれば、まだこの行き過ぎという問題は改善できるんじゃないかと思います。したがいまして、もう少しこれを御検討いただきまして、もう一度通達を出されて改善措置をとっていただきたいという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/39
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040・中村波男
○中村波男君 そうしますと、行政管理庁設置法二条十一号による行管の所掌事務として、「各行政機関の業務の実施状況を監察し、必要な勧告を行うこと。」が掲げられておることは私が指摘するまでもないところでありますが、この行政監察の対象は政府の統制のもとにあるすべての業務に及ぶものであるというふうに考えるのであります。したがって、防衛庁のすべての業務も当然監察の対象となると思うのでありますが、いま局長の御答弁によりますと、監察の対象にはなるけれども、その必要はないということなのか、対象にすべき事項でないという御見解なのか、その点どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/40
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041・大田宗利
○政府委員(大田宗利君) 人事権に関することは対象にはなりません。ただ、自衛隊員の募集そのものの業務につきましてはこれは行政の実施状況というものに入ろうかと思います。したがいまして対象になると思います。ただ、私が申し上げておりますのは、監察を実施いたしませんということを言っておるわけじゃございません。ただ、いろいろ募集方法その他検討をいただくことが多いかと思います。
それからただいま申し上げましたように、通達の内容そのものも御検討いただきたいということでございます。したがいまして、もう一度その改善方法をお考えいただいて、そしてどうしてもこれは改善できないという場合には、行政管理庁といたしましても、どこがネックになっておるかということにつきまして監察を実施したいと思いますけれども、ただ、いますぐ、こうであるから監察を実施するということではないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/41
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042・中村波男
○中村波男君 大田行政監察局長さん、これは昭和二十七年以来何度も何度も指摘されていまして、改善の実効があがっておらない。このことは大体の経過から見てお認めいただくことだろうと思うのですね。だから、行監として監察をされて勧告すべき事項が出てくるならば勧告をされるべきではないですか。私はこれはただ募集事務の技術的な問題だけではないと思うのですよ。本質的にはいまの募集のやり方自体に問題があるのじゃないか。私たちの意見から言うならば、大体街頭で勧誘するなどということはやめるべきではないか。それをやめない限りはこの行き過ぎというのは是正されないのじゃないか。こういう意見を持っておるわけでありますが、それは簡単に軽々に言うべきではないと思うわけです。したがって、いろいろな角度から総合的に自衛官といういわゆる政府・自民党の政策として出てきております——私たちは自衛隊そのものを否定しておるのでありますが、それはそれとして、それを維持、定員を確保しなければならぬという立場にあって、いまのやり方というのは無理がある。それを今度は防衛庁を離れた行監としていわゆる監察をされて、どうあるべきかというのを出してもらいたい、こういうことを申し上げておるのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/42
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043・大田宗利
○政府委員(大田宗利君) 監察の対象にいたします場合には二つがあろうかと思います。一つはただいま申し上げましたように通達の徹底状況でございます。それからもう一つは募集方法ということになろうかと思います。それで行政管理庁といたしましては、たとえばこういう問題がいろいろ出るということでその問題を深く掘り下げるということは権限上なかなかむずかしい問題がございます。したがいまして、行政機関を対象といたしますので、通達の徹底状況といいますか、その辺が調査の、監察の対象になろうかというふうに思っております。
したがいまして、いろいろ防衛庁でおとりになりました改善措置を見たわけでございますけれども、私の知る限りでは四十八年の四月が改善措置の第一でございます。したがいまして、もう一度改善措置をとられて、もう一度徹底していただいて、それでその上に、もし必要ならば実施したいという考えでございますので、昔からいろいろ出たかもわかりませんけれども、改善措置は昨年四十八年の四月でございます。したがって、もう一度改善措置をとっていただきたいという考え方でございます。決して監察を実施しないということを言っておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/43
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044・中村波男
○中村波男君 要するに、もう一度、いま長官も答弁で約束をしていただいたわけでありますが、改善措置をとられるのでありますから、その結果を見て、その結果によっては行政管理庁が出動すると、もうしばらく時間をかせという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/44
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045・大田宗利
○政府委員(大田宗利君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/45
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046・中村波男
○中村波男君 わかりました。
続いて御質問いたしますが、一年に約三万人ぐらいずつ募集になっておるわけでありますが、この学歴別ですね、学歴というのは中学、高校、大学に大きく分けていただいてけっこうでありますが、これのパーセンテージ、数字をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/46
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047・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 四十七年度について申し上げます。中学卒が五四・四%、それから高校卒が四四・六%、短大と大学卒が一%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/47
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048・中村波男
○中村波男君 今回の給与の改正案の目的の中に、いわゆる隊員の待遇を改善することによって退職を食いとめる、あるいは自衛隊の入隊を促進すると、こういう目的があることは明らかでありますが、そこで、さらに防衛庁としては、待遇改善で自衛官の足どめをはかるために、昭和五十年度予算で自衛隊員の大幅欠員を充足するため、ことし八月までに自衛官の待遇改善をまとめて五十年度予算で具体化する方針を固めておられるということが新聞に報道されておるわけでありますが、その内容ですね、まだ具体的な内容がきまらなければ構想でもいいわけでありますが、できるだけ内容について具体的なものをお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/48
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049・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 処遇改善につきましてはいろんなことをやっておりますが、いま先生御指摘のは給与面における給与改定の問題かと存じますので、その点について申し上げますが、この自衛隊の給与制度というのは警察予備隊以来ずっと大体基本的には変わらない形で現在に至っております。その後まあ御承知のように自衛隊の任務や組織などが変わりまして、社会環境等も著しい変化をいたしました。それに対応するために、自衛隊というもののあり方から見て、自衛隊に対する給与は従前のままでいいだろうかというような観点からただいま検討を加えております。そのために給与制度研究調査会、こういう会を設けまして、学識経験者などに依嘱いたしまして、そしてそういう人の意見を聞いておりまして、これは去年の五月から始めまして、ただいま十三回ぐらいの審議をいたしております。
それで内容的にはいろいろございます。たとえば給与制度そのものの本質論から、それから現在、営外手当というようなものの手当制度がございますし、これは営内におる者につきましては食事を支給しておりますが、営外に行った者には営外手当を出すとか、そういう営外手当の問題とかその他いろんな諸手当の問題がありますし、それから自衛隊の隊員は任期制でございますので、その任期制の短任期というものに着目をした給与制度、これは給与制度、特殊な部面でございますが、そういったものとか、それから年金の問題につきましても、これは定年制との関係で五十五歳になりませんと年金が満額出ませんけれども、五十歳定年というものもございますから、そういった定年と年金制度の問題あるいは公務災害補償制度の問題とか各般の問題がございますが、とりあえず本年度、中間的には給与、それから学生手当、そういったものにつきまして重点的に御論議をいただきまして、そしてその答申を得たいというようなところでいま鋭意勉強をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/49
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050・中村波男
○中村波男君 昭和四十六年をピークにして、適齢人口といいますか、それがどんどん減っていく中で、数だけはどんどんふやしてこられたわけでありますから、これを充足するということはたいへんだというふうにも思うわけでありますが、そういう実態の中で私たちが考えてみますとき、募集難という時代は変わらない、むしろ悪化すると見るべきであろうと思うわけであります。そこで、自衛隊退職者の数をいかに減らすかということが充足率を高めることの近道だというふうに判断をしておられる。その結果として今回の給与改正案が出されたのではないかというふうにも思うわけでありますが、したがって、今回の改正によって継続任用の奨励、中退者の減少等にどれだけ効果を期待しておられるのか、また引き続き昭和五十年にも給与改定の計画がいま検討されておるようでありますが、それらの点をあわせて見解をこの機会に承っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/50
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051・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 確かに募集の状況は非常にきびしいと思います。それでこの中途退職者を少なくするということは単に充足率を向上させるということばかりじゃございませんで、やはり一任期で教育訓練をされた者が二任期に残ると、それでそれが将来に曹になり自衛隊の中心になって働くわけでありますから、そういった二任期の者は教育期間を要しないというような非常に経済的な面もございますし、それから二任期は非常に曹というか、曹のソースになるわけで、非常にそういった意味ではたいへんなことでございますので、なるべく優秀な人には残ってもらいたいというようなもちろんその気持ちもございます。この退職手当の改正によりまして、どの程度効果を期待するかということでございますが、これは部内でアンケートをいたしました。で、そのアンケートの結果によりますと、大体三〇%ぐらいの者は、私どもはわれわれの提案しているような二任期二百日、三任期百五十日というようなことになれば残るというふうなことを言っております。まあそういうことでございますので、ほぼそういう程度の効果は期待し得るのじゃないかということを考えております。
それからもう一つ、給与改定との関係でございますが、給与改定の問題につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、これはまあ短任期制の処遇改善点ということで、また給与の面で考えますが、これは退職手当の面での考慮ということに相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/51
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052・中村波男
○中村波男君 まだ質問を予定しておったのがたいへん残っておりまするけれども、割り当ての時間、予定の時間が参りましたので、もう一問だけ申し上げて交代をさしていただきます。
募集経費なんですね、四十八年度が六億五千五百万円、四十九年度は七億四千九百万円だと、私は調べて、思っておるのでありますが、そのうち都道府県委託費が四十八年度は一億二千五百万であったのが四十九年度は一億一千九百万、わずかでありますが減っておる。これは減らされたのはどういう理由によるのか、この機会にお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/52
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053・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 確かに御指摘のように募集経費減っておりますが、これは当初から節約率をかけられて、それが数字にあらわれておりますので減っておる形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/53
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054・宮崎正義
○宮崎正義君 今回の防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の提案理由の中で、ちょっとここのところを読んでみますと、「この法律案は、航空手当等の最高支給割合を改めるとともに、任用期間を定めて任用されている自衛官に対する退職手当を増額するものであります。すなわち、第一点は、航空手当等の最高支給割合を現行の百分の六十五から百分の七十五に改正するものであり、第二点は、任用期間を定めて任用されている自衛官に対する退職手当について、自衛隊法第三十六条第四項の規定により一回または二回任用され、その任用期間を満了して退職する場合等の額を、現行の百日分からそれぞれ二百日分または百五十日分に引き上げることとするものであります。」と、そのほかこう書いてありますが、提案理由の説明がございましたけれども、この理由として、何といいますか、現在の世相から、長官、考えまして、悪性インフレだとか、あるいは狂乱物価とかいわれているこの社会情勢の中において、そういうものを一切含めて、これは提案理由の中には何もうたっておりませんけれども、そういったようなことも含まれているわけでございますね、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/54
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055・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) まあ、百日分を二百日分といえば、単純に言うと倍なんですけれども、しかし、百日分という算定方式がとられておりますのはもう二十年くらい前からの方式そのままであります。途中若干の改変があったとしても、実際はそのままに実態はなっておるわけでありますので、やはりいまおっしゃったような点は当然念頭に置いて、この百日分が据え置かれておることに疑問を感じないほうがおかしいと、これは隊員のほうは当然疑問を感じているはずだということで、今回は大蔵側の了承も得て、ただいまおっしゃったような背景も当然説明としていたしまして、自衛官だけがひとり百日分を二十年近く据え置く理由がないということで、先ほど申しました一応複雑な計算はいたしましたが、結果としては単純に二倍、一・五倍ということにようやくできたという経緯でございまして、提案理由説明の中にはそこまでこまかくは書いてございませんが、おっしゃるとおりの背景があることは間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/55
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056・宮崎正義
○宮崎正義君 そこで、この提案理由の説明の中に、先ほど申し上げましたように「航空手当等の最高支給割合を改めるとともに、」と、こうなっておるわけです。そうしますと、この「航空手当等」というこれに限定——航空手当だけなのか、これらについては航空手当もありますし、それから落下傘手当もございます。じゃ、いま長官が御答弁なさったこれに含まれてないものはどうなんですか、情勢は関係ないということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/56
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057・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) まず「航空手当等」の「等」については、単に最高限度額というものを一〇%上げるということで、航空手当が最高でありますから、それをとって例示しておるだけでありまして、その他も全般的に御懸念されますような改正は一応いたしております。なお、この二百日分、百五十日分のみをもって、私たちは自衛隊のあり方についてそれで足れりといたしておるわけではありませんで、その他にも、生涯の生きがいを自衛隊に求めて今日の若者が納得するか、自分自身に対して合点がいくかという問題にもこたえなければなりませんので、その他にも法律案を提案するに至らないものとして、要しないものとして、四十三歳定年、四十五歳定年の解消ということで曹の定員ワクの拡大を予算で実現いたしております。
さらに、二曹、三曹の号俸について一号俸ずつ上限を高めてその待遇をはかっておりますし、さらに試験を受ける気はないし、あるいは試験を受けたら通らない、しかし、五年間准尉で終わらせるにはきわめて特定の部門に優秀な能力のある者がおります。それらの者は三年の実績を見た後、選考という手続を経て、すなわち試験を行なうことなく残りの二年間は三尉の職責を行なわせるための措置もいたしております。これらの生涯にわたっての展望というものが、青年諸君に、自衛隊でじっくりと腰を落ちつけて、自分の仕事として、国家防衛、国の独立と安全のための一翼となろうという気持ちを持ってくれれば幸いであるという気持ちでその他の施策も講じておりますが、法律を要するものはこの二点だけでございますので、これだけを提案申し上げたということでございます。
あとこまかな手当の説明をさせましょうか、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/57
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058・宮崎正義
○宮崎正義君 これが本論じゃないんですから、常識的にお伺いしているわけですから……。
航空手当は百分の六十五、御説明ございました。それから乗り組み手当、落下傘隊員の手当が百分の二十七・五ですか、この比率の問題ですが、こういう比率についてはどんなふうにお考えの上でこんなふうにされているのか。同じようにいくのがほんとうじゃないかと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/58
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059・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 航空手当につきましては、これは一般職の航空手当に見合って改正をすると、こういうことでございます。それから落下傘手当の場合につきましては、これは直接航空手当のあれとは関係なく考えてよろしいんじゃないかと思いますが、で、落下傘手当の立て方と航空手当の立て方は違っておりまして、落下傘隊員手当のほかに落下傘の隊員には降下手当というのが一回ごとに幾らというのがございますので、それと合わせて落下傘隊員は支給されるというようなことで立て方が違っておりますので、一がいに比較をするというのは少しむずかしい問題でございまして、で、今回の改正は一般職の航空手当が改善される、それと歩調を合わせるということで、こちらも変えていただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/59
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060・宮崎正義
○宮崎正義君 ですから、上昇率はどうなのかということを言っているわけですよ。その落下傘部隊と乗り組み手当のですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/60
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061・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 今回は落下傘手当につきましての改正はいたしておりません。これはいずれ、先ほど申しましたけれども、いわゆる手当の間のいろんな問題につきましても先ほど申し上げましたが、給与制度研究調査会の一つのテーマになっておりまして、諸手当の関係、それから一般職の手当の立て方との問題、いろいろありまして、そこでこの率その他につきましても検討をしようということで一つのテーマといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/61
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062・宮崎正義
○宮崎正義君 ですから、その物価高騰というものは変わらないわけですよ。それから悪性インフレに当たっているのは変わらないわけですよ。ですから、その点はいつの時点でどういうふうに上昇率を同じようにしていく考えなのかということを含めて質問をしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/62
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063・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) これはそういったこの物価の上昇との関連の問題は、むしろ本俸のほうでいろいろ考えをいただいておる方向のものです。ですから、本俸が上がれば一定の率で計算いたしますから、この落下傘隊員手当のほうも上がるというようなことで、特にまあ物価が上がるから手当もということには直ちにつながらないのじゃないかと思いますけれども、その辺のそのつながりぐあい、全体としての、たとえば航空手当をもらう人の収入の全体と、それから落下傘隊員手当をもらい、それから降下手当を一回幾らでもらった場合の手当、その総額との額がバランスがとれているかどうかというようなことですね。これは詳細な検討をしていただきませんとなかなか簡単に言えない問題だと思いますけれども、そういうようなことで諸手当の関連性、横の関係というようなことは研究会の問題というふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/63
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064・宮崎正義
○宮崎正義君 どうも私の思っていることと答弁とが少しずれているようでありますが、まあその論議をやってもしようがありません。いずれにしましても、その手当というのもやはり諸情勢によってすべての手当が変革され法律化してきているわけです。ですから、同じ日本の国に住んでいる者は、同じようにすべての社会的な現象の影響というのは受けるわけですから、そういうふうな観点の上から、法改正というものを全体の立場の上から見ていかなきゃいけないのじゃないかということを私は言うわけなんです。
まあ、それはそれとしまして、今回の改正にも災害補償に関する改正というものがまだ考えられてないようですけれども、この問題はまああとにいたしまして、長官、NHKの朝の八時十五分ですか、「鳩子の海」というドラマをごらんになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/64
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065・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 私は午前中テレビは見ないことにしております。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/65
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066・宮崎正義
○宮崎正義君 教育局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/66
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067・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 私は見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/67
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068・宮崎正義
○宮崎正義君 なぜ私こういうことを聞くかと言いますと、あのテーマの一番最初が脱走兵から始まっているわけです。ですから、長官、いま午前中のテレビはごらんにならないとおっしゃいますけど、あれは再映やっているわけです、再放送。あれは十二時四十五分ぐらいから一時までの間やっているはずです、たしか。朝やったやつをたしか昼間もやっているわけです。まあ一度ごらんに——そうですね、時期はずれたらだめですね。この脱走兵の人が名のないかわいらしいお嬢さんを救ったわけです。それから始まるという……私もところどころしか見ませんけれども。この今日の自衛隊の中で、いわゆる自衛隊の任期期間の中に入って、その任期満了しない間に離隊している人たちが、無断離隊隊員といいますか、どういうふうな今日までこの情勢を続けてきているか。これはいま私は、その戦争の末期のときの脱走兵という意味で言っているわけじゃございませんけれども、無断離隊隊員で、いまだに在籍があっても復帰していないという人がおる。これはいろいろな形があるのです。これはまあこまかくこれから質問もし、御検討も願いながら御答弁を願うわけですが、まず、いま申し上げましたように、無断離隊隊員の現況といいますか、それをひとつ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/68
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069・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 無断離隊の隊員で二十日以上所在不明になった者の数でございますが、これは四十七年度で四百二十五名ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/69
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070・宮崎正義
○宮崎正義君 それでおしまいですか。——四十七年だけぼっつり、おしまいですか。私は資料をいただいたんです。この資料をいま見ているんですが、一番最初にいただいた資料は、二十日以上の離隊者が四十五年が五百十三名、これは発生件数となっている。四十六年が四百七十五件、四十七年が五百二十五件となっています。いま教育局長の答弁だと四百二十五件、こう言われておりますが、私いただいた資料で百件違っているんですがね、これはどっちがほんとうなのか。御答弁が正しいのか、前にいただいた——これは四月の四日にいただいたものと、四月の十二日にいただいたものと違うわけなんです。この点どうですか、まずその辺から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/70
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071・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) ただいま百人多い資料を出しましたものは計算の間違いがございまして、四百二十五名というのが正しい数字だそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/71
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072・宮崎正義
○宮崎正義君 わかりました。
それで、それは二十日以上ですね。だが、十九日まで行くえ不明になった者、十九日までを、じゃ、どれだけあるかということを、私は時間の関係でいただいた資料に基づいて言ったほうが早いですから申し上げますと、御答弁待っているよりこっちのほうが早い。そこで、この資料の中に件数と員数と出ているのですがね。これもおかしいんです。四月十五日にいただいた資料は、行くえ不明隊員のうち二十日未満の無断離隊隊員の員数となっています。ですから、先ほどのは件数ということになるわけですが、そうしますと、かりに私が員数と件数とを足してみたわけです。これは件数と員数とは違うだろうと思うんですけれども、確かに件数からいくと、発生件数が四十七年で、これはまだもらっていないのですが、四十七年の二十日未満の者が九百六十一人ですね、これは。そうしますと、先ほどの件数でいくと四百二十五件というふうになりますね。これは件数を人と計算していいんですか。それともまた人数は違うんでしょうか、二十日以上の無断離隊をしている人は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/72
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073・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) たいへん申しわけございませんわけでありますが、資料の出し方が、ある場合には件と言い、ある場合には人と言ったものですから、たいへんあれいたしましたけれども、実はみんな人数ということで計算をお考え願えばよろしいわけです。ですから、四十七年で申しますと二十日以上が四百二十五人、それから十九日以下のあれが九百六十一人というのが正しい数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/73
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074・宮崎正義
○宮崎正義君 わかりました。これは資料をいただくときにちょっと注意をすればよかったんですが、私いなかったものですから。
そうしますと、二十日未満の無断離隊員と二十日以上の隊員を合計しますと、四十五年が千五百七十三名、四十六年が千四百二十八名、四十七年が千三百八十六人、四千三百八十七名、こういうふうになるわけです。そうしますと、先ほどのドラマじゃございませんけれども、途中で離隊をしてわからないで、どんなふうな思いをしながら、日本のどこかにいる人がいるとすれば、非常なドラマが展開されるのじゃなかろうかと思んですが、それは別としまして、私のお伺いしたいのは、採用者数と離隊者数とのパーセンテージもあらためて出してみたんです。これは御参考に長官聞いておいていただきたいんです。
四十三年が採用者数が三万五千六百三十三、離隊者数が千二百三十三、三・五%。四十四年が三万四千七百七十六、離隊者数が千七百十七、四・九%。四十五年が三万三千六百七十一、千五百七十三、四・七。四十六年が二万九千二百十七、千四百二十八、四・九。四十七年が二万九千五百七十八に対して千三百八十六、五・〇と、こういうふうな率になっているわけであります。ですから、その中でさらに私の心配しているのは、この資料を送っていただきました中で、在籍者の在籍のまままだ行くえ不明になっている人がいるわけです。この分を、この資料を見ますと四十六年が四名で、四十七年が九人ということになっている。これを考えますと、この方々がどんなふうな今日思いをして復帰しないのかということ、これは想像にかたくないと思う。いずれにしましても、この方々についてどんなふうな手を打たれようとしているのか、打っておられるのか、この点をひとつお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/74
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075・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) これは実は経緯があったようでありまして、最初は二十日経過いたしますと懲戒免職にいたしておったようであります。ところが国会で、そういう措置をとっていたがために、実は本人の所在が確かめられないまま懲戒免にしていたところが、その人は死体となって発見された。あまりにも自衛隊のやり方は酷ではないかという問答と申しますか、質疑応答がございまして、そこで自衛隊としても、やはりそういう人道上の問題を惹起するおそれありということで、逆に行き過ぎましてですね、今度は二十日以上経過したものでありましても、本人の意思が確かめられないというものについては、任期制隊員ならば任期満了まで、あるいは定年制のある者は定年の日の来るまでという措置に実は切りかえておったようであります。とすると、おかしな現象として、昭和三十三年ごろにいなくなった三等空曹が昭和五十何年にならないと、なお在籍しておるという状態が一面指摘をされるような顕著な例が起こってくる可能性がありました。
そこで、検討いたしました結果それを改めまして、二十日を過ぎてもなお本人の意思が確認できず——確認されればこれは除隊を認めるわけでありますが、確認できず、それが日にちが経過する場合は、二十日目に御両親、保護者のもとに、なお今後自衛隊としては、六カ月間は自衛隊としてももし万一のことがあったらいけませんので捜索もいたします、しかしながら、今回のあらためて規定を改めたことによって、六カ月たってなおかつ見つからない場合は、任期制もしくは定年制の者であっても懲戒免職処分にいたしますからということを家族に申し上げて、その措置をとることにいたしました。私としてはその措置がはたして妥当かどうか、そういう点に若干のまだ割り切れないものも感じておりますけれども、ということは、父兄の方々が、二十日を過ぎたら本人の意思も確認しないで、自衛隊はそれ以上さがしもしないで懲戒免の処分をとるということについては、やはり大切なお子さまでありますから抵抗があるそうであります。手を尽くしてさがしてほしい、自分たちもさがすと、こういうようなことがありまして、やはり六カ月間は期間を置かなくてはいかぬだろうということで六カ月といたしました。
ただ、今度は逆にこういう例もあるのです。入りまして、任期制隊員で行くえ不明になりまして、もとのやり方でいきますと、その任期切れ寸前になってまた戻ってきまして、そして特別退職手当だけよこせという、なかなかちゃっかりした者もおるそうでありまして、そういうことも考えて、一応六カ月で切らざるを得ないだろう。したがって、六カ月ということになったから、じゃ、無断離隊して五カ月どこかでかアルバイトでもして、六カ月になる一カ月ぐらい前に、五カ月ぐらいたったら帰ってきて、そして任期満了の退職金をもらおうかという者が出てくるかもしれませんが、それらはもうこの際いたしかたないんじゃないかという気持ちでその措置をとりました。もうしばらくこの措置でもって模様を見ていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/75
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076・宮崎正義
○宮崎正義君 それは法的根拠はありますか。自衛隊法とか政令によるとか、いま御答弁になったのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/76
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077・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) いまの、基準はあるかというお話でございますけれども、これは、隊員には職務に専念するという義務がございまして、そういう意味では、きびしくいえば一時間でも二時間でも部隊をかってに離れるということはできないわけでございまして、そういう場合におきましては懲戒処分——いわゆる職務専念の義務に反する、あるいはまた、さようなことをする者は、事情にもよりましょうけれども、隊員としてふさわしくない行為であるということで、一方は法律の規定に違反する、それから一方では隊員としてふさわしくないというふうなことで処分もなし得るということで、さような措置を考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/77
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078・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 宮崎さん、お手元に法律を持っておられますか。自衛隊法の第四十二条。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/78
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079・宮崎正義
○宮崎正義君 いま見ています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/79
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080・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) そこのところですね。これは表から言ってあるわけです。「隊員は、懲戒処分による場合及び次の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、降任され、又は免職されることがない。」という言い方をして、「一勤務成績がよくない場合 二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合 三 前二号に規定する場合のほか、その職務に必要な適格性を欠く場合 四 組織、編成若しくは定員の改廃又は予算の減少により、廃職又は過員を生じた場合」と、これはまあ、この場合を除いては免職、降任をされないということでありますが、さらに飛んで第四十六条の「(懲戒処分)」のところで、先ほどの職務専念の義務というものを受けての四十六条がございます。「隊員が次の各号の一に該当する場合には、これに対し懲戒処分として、免職、降任、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」——この義務は職務専念の義務も一含まれます。「二 隊員たるにふさわしくない行為のあった場合 三 その他この法律又はこの法律に基く命令に違反した場合」でありますから、広範な法律命令違反というものも含まれるということで、ここに根拠を求めることができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/80
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081・宮崎正義
○宮崎正義君 ですから、先ほど長官が六カ月とおっしゃった、その六カ月というものもこれは問題が——長官自身もおっしゃっておられましたね、六カ月というのも問題があると。これは何にも書いてないのですよ。年数も書いてない。月も書いてない。それで私は聞いたのです。知っているのです、いまお読みになったことは、もう全部勉強して。ですから、六カ月というのはどこから出たのかというので、あらためて伺ったわけなんです。実際はないのです、これは。ですから、ここに私は、長官自身も認められている、六カ月でいいかどうかと、まだ多少疑義があるということをおっしゃっておられる。これを早急にきめられていくという、六カ月できめていくという方法というのは、これはまだまだ問題が一ぱいあると思うのです。ですから、この点はもう一歩突っ込んでの研究が必要じゃなかろうかと、こう思うわけです。
そこで、いただいた資料の中に「免職者」というのがあります。これはずっと毎年免職者がございます。その前にもらった資料の中に「その他の退職」というので、ずっと四十七年までの資料をいただいておりますが、「その他の退職は、依願退職と、免職等を言う。」ということになっております。この免職退職というものがかなりの数でございます。資料によりますと、古いのは別としても、四十三年あたりから見てみますと、四十三年が三百六十九名、四十四年が六百九、四十五年が四百八十一、四十六年が四百十五、四十七年が三百六十四と、このように免職をさせているといいますか、この点について、この方々はもちろんでありますが、先ほどの御答弁にありました現在の隊員の充足率といいますか、充足率というのは満ぱいしたときの予算というものを、給与法による給与の予算というものを計上して予算措置をするわけでありますね。そうじゃないのですか。そうして、まあそれは別としても、その免職者の、たとえば四十七年の三百六十四名というものは、四十七年の間ですから何月かはこれは詳細はわかりません。わかりませんけれども、かりに初任給を四万三千五百円とした場合、三百六十四人だと千五百八十三万四千円というふうに、ざっと計算すると、なるわけです。これはそのほかの諸手当がいろいろあるわけですけれども、それは含んでいない、ただ俸給面だけでいま初任給の四万三千五百円にぶっ掛けてみただけなんですが、諸手当を入れればこれはかなり大きな額になると思うのです。これは年度の途中になっていると思うのです。ですから、そういう、今度は、余るか残余になってくるものは当然繰り越されると思うわけですがね。こういう繰り越してくるものに対する予算の流用というようなことをどんなふうにしているのか。給与は給与だけだということなのか、他に流用しているのか、この点について伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/81
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082・小田村四郎
○政府委員(小田村四郎君) 年度の予算を編成いたしますときは、翌年度の採用人員それから退職人員等を予想いたしまして、各月の現員を推定いたします。それに基づきまして給与を積み上げまして予算額をはじき出すわけでありますけれども、実際の充足率等が予想より狂ってくる場合が非常に多いわけでございます。そこで、その場合の措置といたしましては、まず第一に、給与改定等に伴いまして秋に補正予算を編成する場合が多いわけでございますけれども、補正編成の時期にその現時点におきます現員をつかまえ、その後の採用、退職等の人員を推定いたしまして計算いたします。したがって、そのときにベースアップで増加いたします額と、現員が予想よりももし少なかった場合には、その差額を差し引きまして、そうして補正予算を編成するわけでございます。したがいまして、補正を編成いたしました段階におきましてはかなり現実に近い数字になっております。しかし、それでもやはり年度末までの間にこの現員が推定されました予算の数字と違う場合が多うございまして、その差額は、繰り越しということでなくして、不用額に立てます。
ただいま先生から御指摘ございました四十七年度で申し上げますと、補正後の予算額が、これは職員基本給、つまり職員俸給と扶養手当と調整手当、これを合計したものでございますが、目、職員基本給で申し上げますと、補正後の予算額が二千百七十億五千八百万円でございます。これに対しまして支出いたしました総額が二千百六十六億七千八百万円、差し引き三億八千万円は不用額といたしまして国庫に返納しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/82
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083・宮崎正義
○宮崎正義君 これはもうたいへんなことだと思うんですね。先ほど充足率についての予算との関係性はないというふうにおっしゃられてましたから、これは私、まあ了解いたします。
なぜこういうふうに——基本的な考え方を今度は伺うわけですが、入隊した隊員の行くえ不明の状態というものが毎年非常に続いているかということは、先ほど質問がございました。この募集のときにも大きな問題があると思うんです、一つにはかかっていると思いますよ。隊員の教育期間を通じて、教育期間の中に外出したまま帰ってこないという者が一番多いというように聞いておりますが、その内容は私はわかりませんけれども。いずれにしましても、いかなる理由でこれだけの五%とか、あるいは四・九%とかという、その採用数に対して行くえ不明者を出しているような自衛隊の中なんだろうか、こう思うわけなんですがね。そういう理由の御説明をひとつしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/83
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084・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 離隊者、無断で離隊する者の状況でありますけれども、これは遺憾ながら、毎年先ほどのような数字が出ますが、その傾向を見てみますと、新入隊員に多いようでございます。新入隊員は隊内の集団生活になれない、それで出ていくというようなことで、集団生活になれますと定着するんでありますけれども、集団生活になれないで、もう自衛隊はいやだというようなことで出ていくのが最も多いように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/84
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085・宮崎正義
○宮崎正義君 どうも薄ぼんやりした御回答なんですけれども、どうも採用、募集するときと同じような関係であってはならないと思うんですが、もう少しはっきりした面がわかりませんですか。たとえば、何%はこういう関係であるとか、また、こういう問題で何%を占めているとかいう具体的なものをお示し願いたいんです。その具体的なものが出て初めて、今度はどうしなきゃならないのかということが論議されてこなきゃならぬと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/85
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086・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) これもはっきりした調査ではありませんけれども、無断離隊隊員の原因別の調査、一応の調査をしたものがございますが、それで数の多いものから申し上げてみますと、これは四十七年度でございますが、隊務倦怠、隊務にあきたというのか、疲れたというのか、そういう者、これが一番多うございます。これが数字で申しますと百をこえております。それから次が、これはどうもあれなんですが、借財といいますか、借金をして逃げている。たいへんどうもぐあいが悪いんでありますが、借財をしたというのがその次、これは三十三。それからあと、異性の関係。それから落ちつきがないといいますか、離隊癖といいますか、離隊癖というのはおかしいんですが、何となく落ちつかないで、どこか出ていきたがるというようなのが十六、異性関係が十六というような数字で、その他不明というのは、実はぼんやりのものがかなりあるんでありますが、その他はまあ原因がつかめない、わからないというのがかなりの数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/86
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087・宮崎正義
○宮崎正義君 こういう点が、長官、私ははっきりしていけば、善後策、また教育のあり方ということもわかっていくんじゃないかと思うんです。こういう点から分析をしていかなきゃならないということは、募集と同時に私は行なわなきゃならないと思う。ですから、この点をひとつ十二分に今後のお考えとしてお持ちにならなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/87
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088・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) いまの人教局長の答弁、ぼんやりしていたようでありますが、それは実はぼんやりせざるを得ないんで、ぼんやりした答弁ならざるを得ないんで、とにかく出ていってしまって帰ってこない者に、どうして出ていったのかということは聞けないわけですから、そこらのところが統計としてはなかなか出にくい。しかし十九日以内でまた帰ってくる者もおりますしね。そういう者になぜそんなことをしたんだというようなことで推測をしていくと、おおむねいま局長が申しましたような傾向値が出るというようなこうにお受け取りいただきたいと思うのです。
やはり私は、いまの問題を踏まえて考えますときに、初めから承知はして入ってくるのでありましょうが、厳重な隊舎共同生活というものがいまの若者たちには第一になじみませんし、それに規律ある起床、就寝、あるいはその間の訓練、そういうもの等が、自分たちの一般社会におる友だち、一般会社に比べてきついとか、あるいは訓練の度合いが激しくて肉体的につらいとか、そういう問題、あるいはまた、やはり友だち関係、上下関係、——私はよく言うんですが、演習のときの指揮官であった者は、演習が終わったならば自分たちは営外の自分のうちに帰る。しかし、昼間くたくたにしごかれた者たちは隊内に残って食事をし、テレビを見ているだろう、やっぱりそこに一ぺん立ち寄って、きょうはきつかったか、おれのやり方はまずいかなあとか、ときに悩んでいることはないかとか、やっぱりそういう問題を自分が親身になって聞いてやる気持ちがなければならない。そういうようなことも具体的には申しておりますが、やはり一般社会と隔絶された中において、食事も自分が希望するようなものを食べられないで、きまったものを、出されたものしか食えないというようなこと等もいろいろありまして、なかなかむずかしいことである。しかし、これは募集に血道を上げるよりも、やはり入った者たちがなぜ出ていってしまうのかということを、原因があるならばそれを突きとめて、それに対して対処し得るものがあるならば、これに全力をあげて努力する必要がある、そういうことを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/88
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089・宮崎正義
○宮崎正義君 先ほど来の数字というのは、帰隊した人だと私は承知している。そうしますと、かなりの人数なんです。一たん出たけれども帰隊している。その中を今度は分析をするのですから、ぼんやりじゃなくて、はっきりわかるわけです。分析ができるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/89
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090・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 帰ってこないのがいるんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/90
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091・宮崎正義
○宮崎正義君 帰ってこないのは、これはどうにもなりません。これは帰ってこないのは四人と九人ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/91
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092・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 違うのですよ、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/92
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093・宮崎正義
○宮崎正義君 それじゃ、これは帰ってこないのが全部出ているのですか。その点ひとつ御説明を願いたい。これはたいへんなことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/93
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094・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 実は、前言うのを忘れましたが、いまの数字というのは二十日以上不明の隊員でございます。この二十日以上不明というのは、帰ってきませんで、そのまま懲戒処分、懲戒免職の対象になる、そういう者の数の中においで先ほど申しましたような傾向を示しております、かようなことでございまして、帰ってきた者につきましての調査じゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/94
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095・宮崎正義
○宮崎正義君 それはわかりました。私は、もうこれは一たん出たけれども、みんな帰隊したのかと思ったのです。これは期待はずれでした。(笑声)これはまことにおそろしいことだと思うのです。それならばなるほどと思う。これは問題だと思うのです。だからぼんやりしているんだといって、ぼんやりしておられない問題だと私は思うのです。
そうしますと、この方々が家族のところにそれじゃ復帰しているのかどうなのか。復帰したあと、どんなふうに調査をしているのかどうなのか。その調査の方法をどう進めていって、原因は何だったのかということまでいかなかったら、これはいつまでたったって、毎年毎年何千という人が離れて行っちゃうわけなんですから、これは将来ゆゆしき問題だと私は思うのですがね。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/95
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096・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 二十日以上過ぎました者で、はっきりその原因が何であるか、理由が何であるかというのがわかる者もおりますが、その二十日以上過ぎて帰ってこない者につきまして、まさに隊員同士の、前から彼は離隊をすると言っていたというような、そういう意思表示とか、あるいは隊内に残した手紙とか、あるいは何かそういうもので類推して整理をする部分がかなり数がございまして、わかる者もありますけれども、わからない者もかなりあるということで、私どもは、ほんとうはしっかりした数をつかめれば対策もできると思うのですけれども、それはむずかしい点があるわけであります。なお、親兄弟等の連絡は十分とりまして、もちろん当初からの親兄弟に対する連絡、それからおよそ行くであろうと考えられるような場所に対する協力依頼、あるいは捜索といいますか、そういったことを十分やりますけれども、わからない者もかなりあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/96
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097・宮崎正義
○宮崎正義君 その離隊していった人は、長官の話ですと、大体六カ月を限度にして懲戒処分にするとか、また本人が来たときには依願退職にするとかいうような方法を講じられると思いますけれども、ともあれ、方面別によって、やはり国民性といいますか、あると思うのですが、たとえば北方方面とかというような、方面別の資料を私はいただいておりませんけれども、方面別にもやはり特質がそれぞれあるんじゃないかと思うのです。それによって今度は対策も考えていくことができるんじゃなかろうかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/97
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098・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 方面別につきまして申し上げます。
陸上自衛隊では、北部方面隊では七十五、東北方面隊で二十八、東部方面隊が百五、それから中部方面隊は七十八、それから西部方面隊は四十二、その他、方面隊以外の長官直轄部隊でありますが、それが三十、合計で三百五十八という数字になっております。これは四十六年の数字を申し上げましたので、四十七年もついでに申し上げたいと思いますが、北部が九十九、東北方が二十三、東方が九十五、中方が六十三、西方二十七、長官直轄部隊が十八……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/98
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099・宮崎正義
○宮崎正義君 何、最後のところは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/99
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100・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 長官直轄部隊——方面隊に属しない部隊で離隊した者が十八、合計で三百二十五。これは陸だけでさような数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/100
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101・宮崎正義
○宮崎正義君 時間の関係がございますから、これはあとで資料をひとつお願いしたいのです、陸海空と。
そうしますと、大体方面別の国民性というものも考え合わして将来考えていけるのじゃないかというふうにも、一つの、心理学的と言ったらおかしいのですけれども、心理的な問題からいろいろな角度で研究していかなきゃならないと思うのです。
それは別としまして、先ほどの御答弁の中にも、異性の関係とか、あるいは何だかんだとございますけれども、ここに新聞報道であるのですけれども、ストリップショーを隊内の演芸会でやらせた隊長を処分すべきかどうか、この問題をめぐって自衛隊で抗命事件が起きているなんていう報道があるのですが、これはどういうことですか。「千歳市の陸上自衛隊北千歳駐とん地の第一特科群は創隊二十一周年記念日の演芸会を隊員食堂で行い、札幌の演芸社に頼んで手品、歌謡曲などを演じた。この幕あいに「洋舞」を見せたが、これが金髪ストリップ。」——まあいずれにしろ、このようなことで、いろいろ各方面からの批評が、それぞれ賛成、不賛成みたいな評が出ておりますが、これはどんなふうなお考えなんですか。このことについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/101
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102・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) いま御指摘の点につきましては、隊の記念日、日曜日でございますが、記念日で、その催しものの中の一つに、いまおっしゃいましたようなことがございました。で、この問題につきましてはいろいろ意見がありました。部隊長の中にも、わしならやらないとか、やってもいいじゃないかとか、いろいろございますが、で、新聞種になるというようなことで、そういうことになること自体ちょっと自衛隊としてはどうかというふうな気はいたすわけでございますけれども、だからといって、現代の世相から見ましてどうするかということもなかなかむずかしい点があるということで、しかしまあ、自衛隊の中で世間からいろいろ風評を受けるようなことがあってはいかぬというふうに私どもは考えておりまして、部隊の関係者と、自粛自戒といいますか、そういった気持ちで対処しようという態度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/102
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103・宮崎正義
○宮崎正義君 私は、このことを結論づけて、こうしなさい、ああしなさいということを、要望も何も言うわけじゃございませんけれども、こういうふうなことが、いろいろ将来考えていかなきゃならない一つの問題点ともなるのじゃなかろうかと思います。その点なんかも、何といいますか、いまの時代だからやむを得ないという、そういう見方もあるでありましょうし、また、いま御答弁がありましたように、あるべきではないという考え方もあるのだというふうな、どっちつかずの御答弁ですけれども、これは将来の課題として当然研究されていかなきゃならない点だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/103
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104・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) この問題については、私のほうで事務次官通達を出させました。そして各幕僚長からそれぞれさらに通達を出させました。その大要は、創立記念日等の諸行事については、各駐とん地、基地司令等にゆだねられているところであるが、その行事を行なうにあたっては、社会通念上許容されるべき範囲にあることはもちろんのこと、一般社会通念上許容される範囲内のものであっても、自衛隊として行なうにあたっては、それに慎重な検討を加え、いやしくも国民のための自衛隊としての品位を傷つけることのないよう措置されたい、こう申し上げているんです。私自身が書いたということです、この文章を。そういう文章で通達をいたしました。これは単に一部隊のみの問題ではありませんで、全自衛隊というものが国民から見てどのような姿でなければならないのか、また自衛隊が国民から——かりに甘えてみても、どこまでが許されるような存在であるのか、そのようなことについての存在であるのか、こういうことについては十分その通達の、一般社会の通常の概念と、許容さるべき概念と、また概念の中であっても自衛隊が行なうについてはさらに慎重な検討をしろ、品位を傷つけるようなことをするなということを陸海空全部にそれを通達をいたしましたので、その問題について今後そのようなことは起こらないだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/104
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105・宮崎正義
○宮崎正義君 それで私も安心しました。
次は、これもやはり自衛隊員の処遇といいますか、自衛隊員を守っていくという関係で、私九月のあれは二十日ですか、当委員会におきまして自賠法の問題で長官に質問をいたしましたことがありますが、これはまだ結論が出ていないわけです。あらためて私は、これ、はっきりしなきゃいけないんじゃないかと思います。あの当時の長官の御答弁をここでもう一回確認をしてみますと、これは申すまでもなく、工藤さんという人が自動車の修理をやっているうちに、トラックで、自衛隊の同じ隊の車でひかれてなくなった事件でございます。これに対して、私はその当時の新聞を見て——高等裁判ですか、裁判が終了したときに、新聞に、人の命八十万というような記事で見出しがあって出ていた。それでこの質問を私はしたわけであります。そういうことがありまして、その道路運送車両法の適用の問題、自賠法の問題ですね。この問題を自衛隊ではどう考えていくのかということで御質問をしたわけです。そのときに、ちょうどこのパカーンとする前でございましたものですから、長官が特に局長さんをお呼びになりまして、この問題については十分研究すると、こういうふうにおっしゃってくださいましたので、私は非常に意を強くしていたわけです。そういうことを思い浮かべながらこの問題をどうしていくかという点をお伺いしてみたいわけですが、そのときに大臣はこんなふうにおっしゃっています。「私もその点を心配いたしまして、賞じゅつ金を現行自賠責法の死亡五百万、後遺症最高限度五百万でありますので、それに合わせるべく来年度予算に要求をいたしております。ところが、困ったことに、自賠責保険特会の経理の関係もありましょうが——まだ確認いたしておりませんし、最終的には予算ができるわけでありますけれども、運輸省のほうの予算要求は、その限度額をさらに三百万以上引き上げるようなことも聞いておりまして、私たちが自賠責保険の限度額と一緒になって結局的にはいかなければならぬと思いますが、それを向こうがふやすから、いまの五百万の要求を直ちに当該年度から同じように自衛隊も要求していくという姿勢はこの際差し控えよう。さしあたり現行の限度額五百万というものを賞じゅつ金の限度額にしようということで予算要求をしている次第であります。」と、このように御答弁ございますんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/105
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106・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) まず、問題点が二つございますが、さしあたりは、その賞じゅつ金の問題については、その当時よりさらに自賠責特会の経理の関係で限度額がふえまして一千万になりました。自衛隊、警察、その他の公安職、いずれも横並びで同じ限度額の一千万が今回予算化されておるわけであります。その点はしたがって解決をいたしました。
いま一つの点の、自衛隊の車両、まあ隊務に使う車両であります、これを自賠責法に加盟させて掛け金を納めて、もし最悪の事故があった場合には払うという仕組みに、一般の仕組みどおりにするかどうかの問題も大蔵と相談をしてみたのでありますが、大体自衛隊の所有いたしております乗用車以外の隊務に使う車両というようなもので掛け金が大体十一億を越えます。しかしながら、その支払い対象となるものは年間わずか二、三名と思われます。まあその点は、これは何も差し引き計算、損得計算するわけじゃありませんが、そういうやり方がいいのか、むしろ大蔵としても、まあわれわれもいま検討中でありますが、加盟していたならば払われるであろう金額、これをやはりお支払いをする、賠償金の支払いということのほうかかえっていいんじゃなかろうかということで、いまのところどちらとも結論を得ておりませんが、いずれにしても、そのような事態に不幸な人が出た場合においては、どなたでしたか、たしか冗談を言われて、六本木の檜町のその当時の分とん地、現在の駐とん地でありますが、あの中で自動車にひかれるぐらいならば外に飛び出して六本木の通りでひかれたほうがよっぽどその人は同じ死ぬならば得だと、こういうことをどなたかが言われまして、私もたいへん胸を痛くしたのでありますが、そういうことが現実に解消されるように、何らかの手段をいま発見しようとして努力しておるということであります。若干の前進は見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/106
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107・宮崎正義
○宮崎正義君 私、この四十八年度の防衛実務小六法というのをいただいておりますが、この賞じゅつ金のほうを見ますと三百万円になっております。ですから、五百万というふうにおっしゃって答弁されておりましたが、これはいきなり一千万に今度なったということですね。これは四十九年度版では一千万というふうになるんだろうと思いますけれども、いずれにしましても問題なのは、この間の全日空と自衛隊機の接触事件が起きる、乗客、遺族への補償についてというこの資料を私いただいたわけですが、最高補償額が、これは四千九百二十三万六千円ですね。一人当たりが千二百十一万円、一人当たり平均ですね。と、先ほど私のお話ししました自衛隊の人が八十万円なんですよ。これ、金でもってとやかく言うのじゃございませんけれども、これは裁判中なんです、いま。最高裁に訴えていくとかいうふうなお話もその新聞にたしか出たと思うわけです。まあそういう一つの事例、まだまだ訴訟中になっているものは一ぱいあるわけです。時間の関係で一つ一つのことは取り上げませんけれども、御答弁によりますと、その賞じゅつ金でこの自賠法のそれに充てていこうという、この賞じゅつ金というものに関する訓令の精神ということから、これはどういうことになるのかということなんですがね。はっきりもう、わずかの人しか、そういう事故がかりにあったとしてもこうだからというふうに私には受け取れたんですけれども、掛け金との関係性を見ていくとこうだああだというふうに長官おっしゃられましたけれども、これは「賞じゆつ金に関する訓令」というその内容が私はそれで埋めていける問題じゃなかろうと思うんですがね、この点どうなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/107
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108・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 私は二つに区分して申し上げたのは、賞じゅつ金は別な意味であって、その賞じゅつ金を支給する対象の場合であってもなお交通事故の死亡者、しかもひき逃げで最終的に犯人がわからない場合には国家がかわって支払うものも、今回は一千万になる。——去年までは五百万でありますね。それよりか少ないというのはいかにもおかしいじゃないかということの意味で賞じゅつ金の金額は議論したわけであります。いま、今度は自賠責に加盟している車と対人事故のあった場合の死亡、後遺症の最高限度というものの関係は、先ほど申しましたこと等もあって、いろいろ検討いたしておりますが、実質それと同じ金額は受けられるような賠償というような形で処理できるであろう、こういうことを申し上げたわけで、賞じゅつ金とはこれは別に分けて申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/108
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109・宮崎正義
○宮崎正義君 それは了解しました。
で、今度は賞じゅつ金のほうの質問に入りますとちょっと脱線しますので、運輸省の人にお伺いしたいんですが、中村自動車局長さんですか、道路運送車両法の適用除外されているという、この問題についてひとつ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/109
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110・中村大造
○政府委員(中村大造君) お答え申し上げます。
道路運送車両法によりまして、自動車の所有者、使用者はその自動車を使用する場合には一定の期間を置きまして車両検査を受けなければならないという規定がございます。それから、いわゆる保安基準というものを省令によって定めておりまして、安全ないしは公害についての基準に適合させてそれを運用の用に供する、こういう趣旨の規定でございます。で、自衛隊の車両につきましては、この点につきましてはすべて自衛隊において安全上の基準その他に、特殊な車でございますから、これを定めて運用する、こういう趣旨から適用除外したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/110
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111・宮崎正義
○宮崎正義君 特殊な自動車と言いますけどね、通常ジープなんか走ってますね、道路法による道路を。それからトラックも走ってますね。これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/111
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112・中村大造
○政府委員(中村大造君) 確かに、自衛隊の所有いたしております車の中には普通の道路上を走る場合の多い車もございますし、また、形態上からいきましても、他の所有いたしております車とよく似た車もあるわけでございますけれども、総体的に申し上げまして、自衛隊の車両というものはその使用目的が特殊な目的に使用されるわけでございますし、また、主として使用される場所もやはり限定されておる、総体的に申し上げれば限定されておるということでございまして、そういう車については、一般の自動車と違いました特殊な基準、特殊な整備というものをやはり行なったほうがベターではないか、こういう趣旨でございます。また、そういうものについて自衛隊としては十分な能力を持っておると、こういうふうに期待できるわけでございまして、そういう意味から除外いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/112
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113・宮崎正義
○宮崎正義君 山口装備局長、山口さんは私の質問に対して、「自衛隊法百十四条によりまして、特にその第一項によりまして、自衛隊が使用いたします車両につきましては、政令で定めるものにつきまして道路運送車両法の適用を除外されております。」と、いま運輸省の中村局長の御答弁のものですね、これは。「自賠法第十条におきまして、たとえば強制加入等につきます適用除外の項目がございますが、これは同法の施行令の一条におきまして、特にその第一号におきまして、自衛隊の使用いたす車両が、この適用除外を受けるその車両につきまして、自衛隊が本来行なう業務を行なっている際にこの適用地除外が行なわれる、このような趣旨の第一号の規定がございます。したがいまして、現状におきましては、自賠法の強制加入等につきまして、自衛隊の車両は大半のものが適用除外にされております。」——この、大半の除外されているものが何か、これを私ひとつ聞きたい。そのあと御答弁の中に、「ただし、その場合に、自衛隊法施行令の百三十三条におきまして規定がございます。たとえば大型特殊車両及びこれによって牽引される車両というのがございますが、このようなものが適用除外とされております。現状では、おもに、大型特殊車両といいますものはキャタピラをつけているものが大半でございます。戦車、装甲車その他のものでございます。またはこれに牽引される車両というのは、それに引っぱられていきます砲等の車両がございます。このようなものが適用除外とされているという実情でございます。」ということでございますが、私はいまの運輸省の人の御答弁はどうも納得できない面があるんですがね。また、自衛隊で使っているトラック、ジープ、自動車という——乗用車とも言えますがね、これらは特殊な適用除外とされるものであるかどうかということなんですよね。その点いかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/113
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114・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) ただいま運輸省のほうからの御答弁は、私は趣旨としましてはそのようなたてまえから除外されているのではないかと考えます。これは道路運送車両法の適用除外の管轄としまして運輸省の御見解かそうであると思いますが、実際にいいまして、現在自衛隊が持っております総車両が約四万二千台ぐらいございますが、そのうち約千台程度がこれは適用のむしろ対象にされておりまして、ですから約九七%程度の四万一千台近くのものが適用除外ということになっている実情でありますが、自衛隊の使っております戦車、装甲車あるいはトラック等は、実際に演習等に使いますために、その構造とか性能とか、あるいは使用の方法等も、一般の車両とはかなり異なったものを装備もしておりますし、また構造も実際にかなり違っている点がございます。したがいまして、道路運送車両法におきまして一般の車両に適用される保安基準というものをそのまま自衛隊のこういう特殊の場所で使われます特殊の形の車に適用するのは必ずしも適当ではないのではないかというようなたてまえから、自衛隊法の百十四条に基づきまして、先生ただいま御指摘のように、その第一項におきましては「政令で定めるもの」ということで、施行令の百三十三条というもので適用がきめられております。その内容は、ただいまこれも先生御指摘のとおり、一つは大型の特殊自動車、それと、これに牽引される被牽引車、二番目には、これら以外で長官の申し出によりまして運輸大臣が指定した車両というような規定が施行令の百三十三条で行なわれております。このような形でありますので、私どもは、道路運送車両法というたてまえから見るならば必ずしもこれはそのまま適用されるのは適当ではないのではないかというふうにやはり考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/114
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115・宮崎正義
○宮崎正義君 運輸省のほう、どうなんですか。いまの答弁の「長官の申出により運輸大臣が指定した自動車」、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/115
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116・中村大造
○政府委員(中村大造君) 防衛庁のほうから御答弁になりました趣旨と同じでございまして、要するに、自衛隊において使用されます自動車が特殊な構造を持ち、また特殊な用途に使用されるというものにつきまして、それをいわゆる車両法のワク内でその保安基準によってこれを律するのが適当か、あるいはこれは自衛隊のほうで独自の基準を設けてそれによって整理をするというふうなことがいいかという判断をいたしまして、むしろこれは適用除外にして自衛隊においておやりになるということが適切ではないかという判断をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/116
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117・宮崎正義
○宮崎正義君 長官、国家公務員の災害法の基準につきまして自衛隊員の場合もこれに準じていくというように私は承知しているんですけれどもね。別個に、先ほども申し上げましたように、災害補償のことにつきましては考えていかれるべきじゃないかと思うんですが、この点基本的な考え方をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/117
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118・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 考えていかなければならないということで昨年御指摘を受けましてからずっと検討いたしておりまして、幾ぶん具体的な構想等が明らかになりつつありますが、まだ最終結論を得るに至っていないというだけでございます。その方向で検討中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/118
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119・宮崎正義
○宮崎正義君 自衛隊の演習の途中に、道路法による道路を走っている場合に傷害事件を起こしているという事件があったと思うんですが、何件ぐらいございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/119
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120・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) ちょっと件数は急にはわからぬですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/120
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121・宮崎正義
○宮崎正義君 ああそうですか。これはあとでお調べ願えればいいですけれども、私の申し上げたいことは、外の人に対して傷害を与えた場合には、その賠償をされる、請求によってその支払いをしていく。自衛隊員の場合は、自衛隊の中で事故を起こした場合に、死亡事故等が起きた場合に、これは国家公務員災害補償法によってきめていくという、ものすごい違いがあるんですね。そういう点で、これは早急に考えていかなければならないんじゃないか。そういう意味合いで、いまのもし事件が——私、事件のあることはちゃんと知っておりますけれども、どれだけあるのか、その内容はどうなのかというふうなことを伺いながら質問しようと思ったんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/121
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122・小田村四郎
○政府委員(小田村四郎君) その事故の内容についてはちょっとわかりませんが、いま手元の資料で申し上げますと、四十七年度におきます車両事故の発生件数は三百四十七件でございます。そのうち二月一日までに処理が終わっておりますのが三百十六件ということでございます。で、この内容につきましてはいま資料がございませんけれども、大半は物損事故でございまして、傷害事故はきわめて少ないというふうに記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/122
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123・宮崎正義
○宮崎正義君 物害だけだというふうなお話がありますけれども、これは物害でもたいへんでございますよ、問題がね。で、人的な点もあるわけです。これからますますこういう事件は起きてくるわけです。ですから、民間に対する場合には、民間の人がもし自衛隊の方に事故を起こした場合には、これは対人、対物の自賠法によってやるかもわかりませんけれども、自衛隊の中では、これはもう国家公務員の災害補償法できめる以外にはないんだということで、それに自衛隊も準ずるのだと。それじゃいけないのじゃないかといって、私はこの前もこの問題にずいぶん触れたわけなんですけれども、それで賞じゅつ金というものが爼上に乗って御答弁があったと思うんです。この賞じゅつ金についても、じゃ今日までどんなような場合に支払われたのかと。この訓令の内容からいけば、訓令の内容にこう書いてありますからわかっておりますけれども、最近支払われた賞じゅつに対する事件、問題がどれだけあったのか、その内容等をまたお聞かせ願いたいのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/123
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124・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 四十五年あたりから申し上げましょうか。
四十五年で賞じゅつ金につきましては、SS2の事故一件、それからレインジャーによる事故二件、空挺降下訓練の事故一件、MU2の事故四件、L19の事故が二件、バートル107による事故が二件。それから四十六年は、F86Fの事故が一件、それからHU1Bによる事故が四件、P2V7による事故が十一、これは人数が十一——ただいま申し上げましたのは、たいへん失礼しました、件数ではございませんで、人数でございます。それからP2V7の事故が十一人、それから施設の防護ということによって生じた事故が一人、それからバートル107の事故が例の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/124
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125・宮崎正義
○宮崎正義君 途中ですけれども、委員長、時間がございませんので、あとで資料として出していただきたいと思います。で、またそれによってこの次質問をしますから、それは資料によって出してください。
私が前回取り上げましたトラックでひかれてなくなった人、この人に対しては全然賞じゅつ金に対することも何にもお考えになっていないということですね。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/125
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126・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) この「賞じゆつ金に関する訓令」というのがございまして、それではその賞じゅつ金を出す場合が限定されております。それで、隊員が「災害派遣により派遣される場合」、あるいは「自衛隊の所有し、又は使用する武器、弾薬、航空機、艦船その他防衛の用に供する物又は施設を防護するための職務に従事する場合」、それから「司法警察職員として職務に従事する場合」、この場合におきまして自己の一身の危険を顧みないで危険の中に飛び込んで職務を遂行する、そのために死亡しまたは不具廃疾となる、こういうのが一つのあれであります。
それからその次は、たとえば飛行機、航空機の操縦士、航空士と、それから航空業務に関する技能の修得をしている者がその職務に従事しております場合、あるいは空挺隊員とか空挺訓練、あるいは潜水艦に乗り組んでいる場合、機雷、不発弾その他の危険の状況、こういうそれぞれの職務に特有な事故によって死亡した、すなわち潜水艦乗りは潜水艦の事故によって死亡する、あるいは不具廃疾になったというときに賞じゅつ金を払うということになっておりまして、で、この前の御指摘の工藤さんの事故だと思いますが、この場合の事故はこれに該当いたしませんので賞じゅつ金を支払う対象にならないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/126
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127・宮崎正義
○宮崎正義君 御説明にありましたね。この「その他防衛の用に供する物又は施設を防護するための職務に従事する場合」、これはいろいろ解釈が私はできると思うのです。この第二条の「隊員が、次の各号に掲げる場合において、一身の危険を顧みることなく職務を遂行し、」、これはまさしくとり方によれば車の下に入って一生懸命その職務を果たしていたわけですね。これはもう私は考えられると思うんです。
それからあの九月二十日の日に質問をいたしました横須賀の機雷で、爆雷でなくなった人なんかは、明らかにこの「(4)機雷、不発弾その他危険物の除去若しくは処理を命ぜられた隊員、」というこの項目に出ているわけですが、あの方はどうなったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/127
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128・高瀬忠雄
○政府委員(高瀬忠雄君) 「きじ」の事故によりまして死亡しました隊員につきましても賞じゅつ金の対象にならないということでございます。というのは、ここでいっておりますのは「機雷、不発弾その他危険物の除去若しくは処理を命ぜられた隊員、」ということになります。あの場合には爆雷を発射をする。爆雷発射という特殊な場合は、大砲を撃つと同じようなことでございまして、まあこの賞じゅつ金の訓令の中ではそういうケースは考えておりません。ここの賞じゅつ金で考えるケースというのは危険の度合いが非常に起こる蓋然性が大きいということが前提になっております。たとえば飛行機の場合は、飛行機は落ちる危険が非常に多いとか、それから機雷の処理あるいは不発弾の処理というのは非常に危険が伴っておりますというような、そういったその危険が、まあいろんな事故が発成する蓋然性が非常に大きいということ。それで爆雷の場合、実はあの例が唯一でございます。ああいう発射は非常に不幸な事故であったわけでございますけれども、そういったことでございまして、まあ従来の考えからいきますと、賞じゅつ金の訓令の中にケースとして載せる事態ではないということで従来載っておらないわけでございまして、したがいまして、あの場合におきましても賞じゅつ金の対象にならない、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/128
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129・宮崎正義
○宮崎正義君 これは解釈のしかたでいろいろ私はあると思うんですがね。いま御答弁がありましたその専門的なものであり、突発的なものでないみたいな——突発的なものはだめだというみたいなことでもなかろうと思うのです。あの場合は不発だったんですね、不発だったからのぞきに行ったわけですよ。そうしたら飛び出しちゃったわけです、発火したわけですね。そうした場合には、これはもう身を挺して危険を顧みることなく事業に、訓練の中に入ってやっていたわけです。ですから、当然これなんかも、私は何がために賞じゅつ金に関する訓令というものを出したのかというその基本的な精神の考え方というものが問題になってくると思うんです。い、ずれにいたしましても^お約束した時間がもう来ちゃったんです。ですから、質問をこの程度できょうはやめますけれども、長官に、いま私が教育局長とやりとりやっておりました点につきまして、賞じゅつ金に関する訓令というものがこのまんまの、制定された当時の考え方のそのままでお考えになっていこうとされるのか、今日の時点に合わしてどういうふうに考えてこれからいこうとされるのか、この問題をひとつ御答弁願いたいと思うのです。
と同時に、なぜ私が離隊をした隊員のことを取り上げたり、また不慮にしてなくなった、公務災害を受けてなくなった自衛隊員の方々に対して、もう少しあたたかい処置を、自衛隊はこうやっているんだと。開かれた自衛隊——長官がよくおっしゃられる、その自衛隊はこういう点をこういうふうにやっているんだと。だから自衛隊は安心して、こういう点も安心だから応募をしてもいいと言えるような点を示していかなきゃならないし、またこのようにして守るんだというようなことも明確にしていかなければいけないんじゃないか。そうしなければ、いつまでたったって離隊とあるいは行くえ不明の者というような形がずうっと続いてきて、きょうも午後、私の前に立った中村委員が募集のことについてるる質問をされておりました。私も募集のことにつきましては先回も質問いたしました。ともあれ、そういったような問題が今後も残っていくわけでありますので、これらの法律を踏んまえられて、また先ほど申し上げました自動車損害賠償補償法による自衛隊としての考え方というものも明確にしていかなきゃならない。
これらの点について最後に長官から一括して御答弁を願って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/129
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130・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 自衛隊のあり方の賛否の問題を別にして、ある以上は、隊員に対してあるべき処遇をきちんとしなさいというおことば、たいへん感謝いたします。それについて、ただ自衛隊は国の自衛権の存在そのものでございますので、賞じゅつ金等を該当者として決定いたしまする場合も、ある程度きびしい立場でそれを判定する角度をとっておることは事実であります。ただ、どこで限界を引くかという問題は、一応訓令でございますが、訓令はさらにそのいろいろの事故の態様によって判断をしなければならないケースがございます。そのときにはなるべくあたたかい配慮をしたい。しかし、自衛隊が国の機関であるために、みずから判断をして、本来賞じゅつ金でないもの、対象でないようなもの、たとえば地方公務員たる警察官等の場合であったならばとても賞じゅつ金などをもらえなかったであろうものが自衛隊であるがためにもらえているというようなことも、また厳に戒めければならないところでございますので、その御意見、御高配を十分に胸に踏まえて、私もさらに一そう運用のあり方について検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/130
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131・宮崎正義
○宮崎正義君 自賠法。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/131
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132・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 自賠法はもうたびたび答弁いたしましたとおり、部外者はもちろんでありますが、部内の者であって、普通の交通事故等全く同じ態様において事故が発生した場合におけるその死亡もしくは負傷の度合い、後遺症の度合い等について、自賠責の加盟した車であったならばどれぐらいが受けられるかということの金額を、対象を参考にしながら、それらの問題が実質上解決できるような方法も含めて目下検討中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/132
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133・星野力
○星野力君 私は、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に関連しまして、日米相互防衛援助協定、いわゆるMSA協定との関連で自衛隊の実態について質問したいと思います。
初めに確認しておきたいんでありますが、自衛隊の装備でMSA協定に基づくものが昭和三十八年度以前では自衛隊全装備の約六五%にあたっております。航空機でいうと約一千機、艦船では二百七十隻、その戦車、砲など近代的な装備がほとんどMSA援助によっていたことは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/133
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134・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) 数量につきましては先生御指摘のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/134
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135・星野力
○星野力君 なお、二、三点確認いたしたいんでありますが、大規模なMSA援助の制度であるところのMAPが昭和三十八年六月末で打ち切られた後も、比較的規模の小さいものの援助ということでF4EJ、F104、あるいはナイキ、ホークなどのライセンス生産技術資料などをMSA協定に基づく無償供与という形で援助を受けていたことにも間違いございませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/135
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136・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) MAPの打ち切り後におきましても、御指摘のとおり小規模の金額の無償供貸与を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/136
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137・星野力
○星野力君 さらに、エリント基地の稚内電子情報システムや、また同軸海底ケーブル・ソーナーのセンサー、中継器などが無償貸与されていることも同じだろうと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/137
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138・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) 稚内の通信施設の通信機器につきましては無償供与を受けておりますし、海洋観測用の関連機器につきましては無償貸与を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/138
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139・星野力
○星野力君 さらに、MSA協定に基づく有償援助として昭和三十一年度から昭和四十七年度まで一千二百三十億円、そのおもなものとしてナイキ、ホーク、ターターミサイルシステム、沖縄の管制警戒システム、それからまた電子通信機器のすべての部品が入っていることも間違いないと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/139
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140・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) 有償援助の供与額については、三十一年度から始まりまして四十七年度までのところで先生御指摘の推移でありますし、その主要なものは御指摘のとおりおもにターター関係、ナイキ、ホークの関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/140
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141・星野力
○星野力君 それでわかりますように、自衛隊の装備の重要な部分というものがほとんどMSA協定に基づく援助という形で装備され、現在においてもその近代装備の電子通信機器などのいわば頭脳部分、あるいはF4E、F104Jなどの最新式の航空機のライセンス生産技術資料、それからナイキ、ホーク、ターターのミサイルシステムなどがMSA援助によるものである。こういうふうに主要な部分がほとんどMSA援助による、対米依存による装備であるという実態を長官はどのようにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/141
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142・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 立場が違いますから、そういう見方は、結論はおそらく食い違うだろうと思うのですが、私たちは日米安保条約を基調とするわが国の独立と安全を守っていくための必要最小限の自衛力の整備ということを考えておりますし、また国民の税金によって財源としてまかなわれる予算の中において、社会資本の充実あるいは教育、社会保障、こういうようなもの等に御迷惑をかけない、そういう配慮もしつつ、また国際的な兵器の近代化装備その他にもそうひどく、問題にならない古い装備をしていることはナンセンスでありますから、革新、更新もいたさなければなりません。そういう場合において、国産で開発して、しかも安価にかつ継続的に、部品その他も含めて国産調達のほうがより、いま申し上げましたようなことを踏まえて、有利であるものについては国産もいたしておりますが、しかし、アメリカにおいて量産され、そしてコストの面においても性能の面においてもわが国で生産をする高コストあるいはまた数量が少ないためにその供給も円滑にいかないような条件の中でやるよりも、むしろそのような面においては、米側との間において好意と信頼と善意をもって行なわれるものについては、われわれはそれを使用することは決しておかしなことではない。これはひとり日本のみではなくて、NATOにおいてもそのような姿勢をとって何ら議論は起こっておりません。また、ワルシャワ条約機構においても、ソ連の兵器そのもの、ソ連兵とともにそういうものが国内にいてもあまり議論がなされていないということを考えますときに、今日の世界の不安定ながらデタントの方向に進んでおる平和への過程の中において、やはり既存のワク組みの中において、私たちがそのような兵器等についても、なおアメリカの善意というものをわれわれがそれを受け取ることがおかしくないという気持ちでおりますので、諸条件を勘案して、私としてはその方針をなお正しいと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/142
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143・星野力
○星野力君 一九七四年度の自衛隊年鑑、これは防衛庁とは直接関係があるかないか、あるいはないのかもしれませんが、自衛隊年鑑を見ますと、「四十八年度の予想では有償援助その他の輸入は五%程度であり、この中にこれらどうしても国産ができないものが入っている。%は少ないが、内容的には考えさせられるものがある。」とか、あるいは「外国産の武器では隊員の士気もあがらない。」、こう書いてあります。有償援助その他五%程度といっても、先ほどもお確かめしたわけですが、艦船、航空機、戦車、それからホークなど、これら国産されているものでも、その技術資料や搭載兵器、またその重要部分の部品などはすべてMSA援助によるものでありますし、MSA援助とかかわりない自衛隊の近代装備というものはほとんどないというのが実態ではないかと思います。これで隊員の士気が上がるか上がらないかは別としまして、政府、防衛庁が常に口にする独立国の自衛隊という考え方も疑わしいではないかと、こう考えるわけです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/143
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144・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 私たちは決して独立国の軍備としておかしいとは思いません。アメリカ軍の指揮命令系統下に所属しているわけではありませんし、政治形態、またアメリカの指図なりなどを受けておるものでもありません。むしろ経済関係等においては、日米の間は経済的には合戦まで交えたわけでありますから、そういう意味においては、われわれは装備はそういうような方法をとっても、しかし、日本人の体格に合わない小銃等は、これは全部国産可能でありますから、アメリカのものを使うこと、そのことが日本の平均的な体格からすれば苦しいことでありますし、そういうことはすでに目標の大半を達しております。したがって、アメリカ製の兵器を使って、あるいはライセンス生産をやって、日本の国内で製造されたものを配置することが、性能においても価格においてもきわめて有利であるというものについては、わが国の一般的な独立、あるいは自主独立のための独立国家としての軍備、あるいは防衛力の整備——軍備ということばは取り消しますが、防衛力の整備という意味において問題点はないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/144
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145・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) ただいま防衛年鑑というふうにお話がございましたが、まだ私どもではアメリカの関係部局と四十八年度の有償援助額についての具体的な数字を十分詰めておりませんので、まだ数字が出ていない段階でございます。したがいまして、その年鑑に出ているという五%というのは、私は必ずしも正確ではないと思います。御参考までに、ただいま四十七年度までの全体の有償援助の比率は国内調達額に対しまして約三%程度でございます。四十七年度三%、四十六年度三・一%、三十一年以来ずっと平均しまして見ますと約三・三%程度になりますので、四十八年度だけが五%とかいう数字も必ずしも確かな数字ではないんじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/145
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146・星野力
○星野力君 防衛上の機密というものは存在しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/146
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147・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 存在します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/147
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148・星野力
○星野力君 そうしますと、装備上の機密ということも当然あると思うんでありますが、MSA協定第七条ではこうなっておりますね。「日本国政府は、アメリカ合衆国政府の職員で、この協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を日本国の領域において遂行し、且つ、この協定に基いてアメリカ合衆国政府が供与する援助の進ちよく状況を観察する便宜を与えられるものを接受することに同意する。」となっております。アメリカ合衆国政府の職員を受け入れるということであります。また、第八条は、「アメリカ合衆国政府が提供するすべての援助の効果的な利用を確保するための適当な措置を執るものとする。」と、こうなっております。こうなりますと、日本国政府、自衛隊がMSA援助によってアメリカの兵器、装備を受け取るだけでなしに、日本国政府はMSA援助の効果的利用のための措置を義務づけられたことになる。アメリカは、日本がそれら装備、兵器の効果的利用の措置をとっておるかどうか、それを監督し、指導し、点検する権利を持っていることを示すものだと思います。そうしますと、自衛隊の近代装備のほとんどはアメリカの監督、指導下に置かれることになるんではないかと思います。そうしますと、防衛機密といっても何かきわめておかしなことになると思うんでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/148
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149・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) ただいま御指摘の相互防衛援助協定第七条の点につきまして、進捗状況の観察というような規定がございます。これにつきましては、先ほど先生の御質疑にありましたように、自衛隊発足当初、特に一次防段階までは非常に大量の無償援助物資を受けておりました。このようなものは、当時の事情からいいまして、当然に自衛隊自体が維持、整備をする上に、その方法あるいはその円滑化をはかるために経験もございませんので、その当時はこのような使用状況につきまして、あくまでもMAPで供与されたものの維持、補給、整備の円滑化をはかりますために、過去におきまして、米側に対しまして、このような状態で現在運営しておるが、これでいいのかというような状態、つまり進捗状況でございますが、このような状態を、当時で言いますと在日米軍事顧問団でありますが、個々に観察を依頼したり、あるいはその運用状況につきまして報告を出したりというようなことをいたしましたが、その後三十八年にMAPが打ち切られまして、また国産兵器の、装備品の国産化もかなり進みまして、そのような状況から実際にはこの使用状況その他について観察を受ける必要がなくなってきております。また、四十四年には、この在日の米軍事顧問団は軍事援助事務所に変わりまして、人数も非常に少ないものでございますので、実態的にかなりいままで多くなっておるMAP品あるいはFMS対象品目というようなものにつきまして、使用状況を実際にすべて観察するというような能力的な状態でもないということでございまして、現在ではほとんど、この進捗状況の観察を受ける必要性ももうほとんどなくなっておるというような現在実態でございます。ただ、この協定が当時できました段階におきましては、ただいま御説明いたしましたとおり、実際にその円滑化のためにはこのような進捗状況というようなものの調査というものが必要だったというふうに考えられます。
それからまた八条でございますが、八条につきましては、私どもは実質的に何らこれにつきまして、メンテナンスを日本側が十分できるようになっておりますので、これにつきまして特別の措置というものもあえて現在実施しておる状況ではないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/149
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150・星野力
○星野力君 当初においては、アメリカの兵器、装備について、これでよろしいかということで、むしろこちらから依頼をしていろいろ点検などしてもらったけれども、その後事情が変化してきたのでそういう必要も非常に少なくなった、そうして機構としてもそういう体制は弱められてきておる、こういう意味の御答弁だと思いますが、この協定の第七条からすれば、日本として一定の義務を負っておると解釈せざるを得ないわけでありますし、現在の在日のアメリカ側機構がどうであれ、アメリカ側が要求すれば、そういうアメリカ側の点検職員を受け入れなければならぬということには変わりないと思うのであります。
そこで、防衛機密の問題に触れましたが、防衛機密というのは一体どういうものなんですか。これはだれに対して——機密というからには隠す、秘匿するということになると思いますが、だれに対してこれは秘匿するということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/150
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151・久保卓也
○政府委員(久保卓也君) 防衛機密は、いま御指摘のように、相互防衛援助協定の第三条第一項に基づいて、日本政府側として秘密を保持する措置をとるという約束をいたしております。これに基づきまして、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法というものが法律でできております、国会の御審議によりまして。私どもはそれに従ってやるわけでございますが、その中で、特定の項目について秘密を保全するという趣旨のことが書かれてあります。当然これはこの秘密保護にかかわる兵器の構造、使用法その他に直接タッチする者以外に対しまして秘密の保護を義務づけられておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/151
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152・星野力
○星野力君 いずれにしましても、自衛隊の重要な近代装備というものがアメリカに対してはいわばまる裸である。しかもその上に監督、指導、点検まで受けておるということにこれは制度の上からなっておると思うのであります。アメリカ局長おいでになりますが、このMSA協定第七条は、先ほど装備局長のほうからお話ありましたけれども、アメリカ側の「進ちよく状況を観察」、つまり監督、点検を受けるということになっていると思うんでありますが、それについての外務当局としての見解をお示し願いたいんです。アメリカ側の点検、監督、指導というようなものが、先ほど若干お話しありましたが、もう少し詳しく実態がどうなっておるか、それも御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/152
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153・大河原良雄
○政府委員(大河原良雄君) 第七条の規定にございます「援助の進ちよく状況を観察」という点につきましては、先ほど装備局長のほうから御答弁がありましたとおりでございまして、一九五四年のこの協定の締結以来の歴史的な経緯を踏まえまして、観察の実態というものも変わってきている、こういうことであろうと思います。したがいまして、当初の段階におきまして、米側から無償で援助を得ました品目につきまして、その維持、補修、整備、こういうふうな点につきまして米側の支援を必要とするという事態があった時代から、昭和三十八年以来無償援助が日本に関しましては有償軍事援助に切りかえられたと、こういう実態を踏まえまして、この観察の点につきましても、先ほど装備局長から御答弁がありましたような形で動いてきておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/153
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154・星野力
○星野力君 端的に言いまして、事態が変わったからこの第七条というもの、かもう空文になってしまったということではないんだろうと思うんです。いろいろ在日のアメリカ側の機構は縮小されましても、実際にアメリカ政府の職員が自衛隊の装備、その使用状況、そういうものについて点検し、監督し、指導しておるというような業務は行なわれておるんじゃないですか。その状態、どうなっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/154
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155・大河原良雄
○政府委員(大河原良雄君) これも先ほど装備局長から御答弁がありましたように、在日合衆国相互防衛援助事務所、これはきわめて限られた要員を持っておるのみでありまして、機能的にもただいま御指摘のございましたような指導、監督というふうな、あるいは点検というふうな事務を直接担当するだけの要員を持っておらないというふうに承知いたしております。したがいまして、実態的にそうでありますと同時に、事実上も現在米側が自発的に観察という業務を実施しているということはないというふうに承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/155
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156・星野力
○星野力君 昭和四十四年以来は実際に行なわれておらぬと、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/156
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157・大河原良雄
○政府委員(大河原良雄君) 私どもの承知しているところでは、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/157
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158・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) 相互防衛援助事務所につきましては、先ほどお話し申し上げましたとおり、現在十二人程度でございまして、大半の業務は、FMSの、価格でありますとか、その数量でありますとか、あるいは不要MAP品の返還業務でありますとか、このようなかなり大量の実務的な状態が続いておりまして、ここから直接的に私どもが進捗状況の観察を受けているということはないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/158
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159・星野力
○星野力君 いつからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/159
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160・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) 少なくとも援助事務所に変わりましてからは、私どもはそのような事態はないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/160
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161・星野力
○星野力君 しかし、この協定が存続する限り、アメリカ政府が必要と思うときは、いつでもこれはできるだろうと思うのであります。また、そういう要求があった場合に、それは向こうから人を派するという場合にはこれは受け入れざるを得ない、その仕組みは変わっておりませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/161
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162・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) 現在FMS等で購入いたしまして、きわめて新しいもので、その運用等につきましてわがほうに技術的な能力がない、あるいはそのいろいろなこまかいデータを得るというような場合には、やはりこれはFMSの金を払いまして、関係のアメリカの、おもに企業でございますが、これをつくった企業等の技術者を、FMSの金を払いまして日本に呼びまして指導を受けるというような事態はあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/162
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163・星野力
○星野力君 私のお聞きしているのはそういうことじゃありませんで、こちらから依頼して、製造元から人を派遣してもらうということじゃなしに、アメリカ政府の職員ですね、アメリカ政府が日本に対する援助装備について、兵器について、点検、観察したいと思うときは、これはそういう申し出があれば受け入れざるを得ない、その関係は変わっておりませんねと、こうお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/163
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164・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) この協定の条文からいえば、できるということに書いてありますので、そのように解釈できますが、現実にはこれまで私は少なくともそういう事実があるということを存じませんので、事実はいままではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/164
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165・星野力
○星野力君 それでよろしゅうございます。
ここに「在日米軍事援助顧問団に対するナイキ機器可動状況期報の通知について」という空幕の通達項目があります——ありますというよりもあるそうであります。ここにその項目あがっておるのでありますが、昭和四十一年ですね、「期報」の「期」というのは定期の期でございます。文書番号空幕整第四十二号、こうなっておりますが、これはつまりMSA援助物資について定期的にその可動状況を米軍軍事顧問団に報告したことを示しておると思うのであります。それからまた、「米国空軍軍人の航空自衛隊所属航空機の操縦および同乗に関する通達」空幕発教第百二十四号となっておりますが、こういうものが出されております。これは過去のことでありますが、山中長官、御存じでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/165
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166・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 存じておりませんが、こういう議論をもっとお続けになってもけっこうでありますが、私たちはいつも申しておりますように、仮想敵は持たないと言っておりますが、しかし、絶対に敵になり得ない国はどこだと言ったら、アメリカであるということを申しております。したがって、アメリカとの間には、あらゆる意味において、核のかさと俗にいわれる日本の持ち得ない今日の最高の威力を持つ兵器というもののもとにわれわれは依存して、もっぱら専守防衛の国土防衛の任に当たっておりますから、その他の分野についても攻撃的な、相手の領土、国民に脅威を与えるような兵器等についてもこれはわが国は持ち得ないのでありますから、アメリカ側に実際にはたよっているということになります。したがって、われわれとしては、アメリカ側がいま現在は日本のそのような態様、装備その他について点検等をいたしておらないにしても、そのことが困るんだ、あるいはそういうことがあってはいけないのだというふうに思っておりませんで、日米間は緊密であって、しかもオープンであって、そしてアメリカ側がわれわれにもつと情報なり、あるいはまた世界の進歩した兵器の状態なり等についての情報をもっと提供してほしい、そういう気持ちもありますし、したがって、その意味においては日本が一たん急迫不正の侵害を受けた場合に、われわれはわれわれで国土、民族というものを守る努力はいたします。しかし、それは限度のあることでありますから、それは最終的には、戦略的にいって米軍の支援を仰ぐということにおいて安保条約を締結しておりますから、それに最後はたよるんでありまして、したがって、日米間において秘密はお互いの間にはないのがあたりまえである、そういうふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/166
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167・星野力
○星野力君 私はいま二つの通達文書について長官に御存じであるかどうかお聞きしたのでございますが、長官は、それに関連しまして、現政府の対米認識についてお述べになりました。私、これからも質問いたしていきますが、同じような御趣旨の答弁、これからもなさるのではないかと思います。いかなる場合においても敵になることのないアメリカ、全面的にそのかさの下に日本の防衛を考えているのだ、こういうお話でございます。しかし、長官、永久に変わらないなどというものはございませんでしょう。日米安保条約によって組み立てられている日米関係というものが不変であるなどと考えて日本の自衛の問題を考えていかれたら、これは日本国の将来の運命を私は誤る、そう思うのであります。これはしかし、あなたと私の見解の違いでありますから、ここで詰めることはやめることにしますが、いま申しましたこの二つの文書、これは私は項目しか知らないのでありますが、過去のことではありますけれども、私たちなりにこれは重要視しておるのでありますが、日本の自衛隊がアメリカ側の点検、監督、指導を受けておる、そういう事実を示す資料ではなかろうかと思うのですが、この二つの資料をひとつ提出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/167
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168・久保卓也
○政府委員(久保卓也君) 前段の通達は存じませんが、後段のほうは米軍人の搭乗に関する達であったと思いますけれども、自衛隊機に搭乗する者は、自衛隊員以外には搭乗に関する訓令が長官から定められておりまして、それぞれのケースが書かれてあります。そしてそれぞれのケース以外については長官の指定する者というふうになっております。ところで、米軍人につきましては、おそらくこれをつくりました当時には、日米関係のいろいろの諸連絡がありまして、自衛隊機に乗る機会が多かったのではなかろうかと思います。今日ではそういった事態は私は耳にしておりませんけれども、したがいまして、これは援助協定とは無関係の達であると存じます。お出しできるかどうかは内容を検討して考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/168
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169・山口衛一
○政府委員(山口衛一君) 第一のほうの「在日米軍事援助顧問団に対するナイキ機器可動状況期報の通知について」という通達は、昭和四十一年の二月二日に空幕から通達として発せられております。これを発しました当時は、昭和三十六年、三十八年度、二年度にわたりまして、初めていわゆる無償援助でナイキが供与されました。自衛隊としましては全く初めての兵器で、装備品でございました。したがいまして、その普通の維持、整備すらもなかなかみずからできないという状況でございましたので、その可動状況を把握する必要があるためにこのような期報を発しましたが、昭和四十二年度以降ナイキが、特にミサイルでございますが、ミサイル部分は国産化いたしましたのでその必要がなくなりまして、昭和四十四年二月にこの通達を廃止しております。
以上のような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/169
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170・星野力
○星野力君 出すことについて御検討を願いたいと思います。
自衛隊がその初めマッカーサーの指示によってつくられ、その装備がアメリカ側からMSA援助でまかなわれて、いまなお自衛隊の近代的装備がMSAによってアメリカ側に監督、指導、点検される状態を私は言ってきたわけであります。長官は、別の見解を言われるかもしれませんが、私たちはこれは自衛隊装備の対米従属性を示す以外のものではないと思っております。しかもMSA援助では装備だけでなく教育や訓練についてもいわばひもつきの援助が行なわれておる、こう思うのであります。
そこで、まずお願いでありますが、陸海空各自衛隊のそれぞれの年度ごとのアメリカへの研修留学、それについて人数と所属部隊、氏名及び階級と研修課程、それから留学の種類というのがありますが、留学の種類別に留学の開始から四十八年度までの分を資料として提出していただけるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/170
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171・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 検討して、いままでも委員会を通じてでなくても資料を出しておりますから、お出しできるものは出すようにいたします。検討さしていただきます。
私の答弁封じられて、あなた、そう答えるであろうがとおっしゃるんですが、これは日本を破滅に導くとおっしゃるんですけれども、たとえば米ソ核不戦の土台にしても、既存の二国間もしくば米ソそれぞれ多国間のワク組みというものを踏まえて、その上で核不戦ということも締結されたようでありますし、また中国においても日本は当然軍備を持ってしかるべきだということも言っておられるようにも聞いております。もちろん中国の言っている軍備は、あなたのおっしゃっている対米従属のという意味ではないと思いますが、私たちは対米従属とは実は思っていませんで、対米と緊密かつ協調的な態度でもって、日本の手に負えない分野をカバーしてもらいつつ自分の手で自分の最大限の守れる分野を確定していくということで、私たちの考えとは違うということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/171
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172・星野力
○星野力君 ただいま要請しました資料をひとつお出し願いたいと思うんです。
ここに陸上自衛隊の公報をとじたのを、こういうのを三冊借りてきておるんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/172
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173・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) それ、そろそろ返してもらわにゃいかぬですな、ずいぶん長く貸していますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/173
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174・星野力
○星野力君 ここから抜き書き、拾い出してみたんですが、膨大ですよね、陸上自衛隊だけ、これ、三つあるんですが。三つというのは一部ここへ持ってきたのだけで三つあるんですが、そこから若干抜いてみたんですが、昭和四十一年から四十七年度までの陸上自衛隊のアメリカヘの研修留学の実態といいますか、それを示す資料になると思うんです。こういうやつをずっと拾ってみました。私たちがやったらこれはたいへんなことなんですが、あなた方がおやりになれば問題にならぬほどこれはたやすい作業だと思いますので、ひとつ資料をお願いするわけでございます。
これを見ますと、まあ幾つかあげてみますと、ありますね。「米国陸軍防空学校ホーク幹部資料課程研修のため昭和四十一年八月三十日から同年十一月十二日までの間アメリカ合衆国へ出張を命ずる——第一ロケット実験訓練隊一等陸尉〇〇〇〇」というのがありますし、さらに、「米国陸軍指揮幕僚課程等研修のため」云々、また、「米国陸軍化学学校における化学幹部上級課程研修のため」云々、さらに、「米国陸軍機甲学校機甲上級課程研修のため」、いろいろありますが、要するに、各分野にわたって自衛隊の幹部が大量にアメリカに研修留学しておるということであります。中には、「米国陸軍特殊戦学校特殊戦幕僚課程研修のため昭和四十一年四月五日から同年七月十六日までの間アメリカ合衆国に出張を命ずる。調査学校二等陸佐〇〇〇」というのもあります。この「特殊戦学校特殊戦幕僚課程研修のため」とありますが、これはどういうことを勉強に行くんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/174
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175・大西誠一郎
○政府委員(大西誠一郎君) 昭和三十二年ごろから四十年の初めぐらいの間に特殊戦課程に幹部を若干研修のために派遣いたしたことはございます。御承知のように自衛隊ではレンジャーという特技を持っておりますし、また近代戦においては心理作戦というような態様の戦闘もございますので、そういうものについて知識を深めるというような趣旨で派遣をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/175
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176・星野力
○星野力君 いま御答弁ございましたけれども、この特殊戦学校、特殊戦というのは、私、特殊作戦などとアメリカでいわれておることと関連しておると思うのでありますが、アメリカ空軍の場合の特殊作戦というのは、航空幕僚監部の訓練資料によりますと、空軍特殊作戦部隊の基本的役割りは、国家の建設及び治安維持に関して、現地国民を激励し、訓練し、必要な勧告を行なうことであるというようなことが書かれております。陸上の場合、どんな研修か、もう少し具体的に述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/176
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177・大西誠一郎
○政府委員(大西誠一郎君) 米空軍べーシックドクトリンにございますような意味合いでの特殊戦の教育というものについて、自衛隊から米国に派遣したことはございません。先ほど申し上げましたのは、陸上自衛隊から米国の陸軍に派遣をした事例でございまして、これは特殊戦の基礎的な問題、先ほど申し上げましたようにレンジャーとかあるいは心理戦、そういうようなものについての基礎的な知識というものを理解をするというような趣旨で派遣をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/177
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178・星野力
○星野力君 どうもよくわからないのですが、特殊戦というのは一体何ですか。いまレンジャー、心理戦ということを言われましたが、それだけじゃないんでしょう。特殊戦の目的、態様というのはどういうものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/178
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179・大西誠一郎
○政府委員(大西誠一郎君) 特殊戦というのは、ことばが、特殊という意味はいろんな意味において使われておりますので、これが特殊戦だということを規定することはたいへんむずかしいと思います。そこで、われわれは米空軍のベーシックドクトリンにある特殊戦は何かということはわかりますけれども、防衛庁で定義したものもございませんし、米陸軍で特殊戦とは何かということを定義したものもございませんので、いま私が申し上げました、自衛隊から米軍に派遣をしている、その先の特殊戦課程における特殊戦とは何かという定義を私はいま申し上げることはできないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/179
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180・星野力
○星野力君 これは、先ほど私、〇〇って氏名を申しましたけれども、調査学校二等陸佐近藤正という人の分を私読んだんでありますが、現にこの特殊戦学校というものに行って、アメリカ陸軍の。そしてそこで特殊戦の幕僚課程というのを研修して帰ってきておられる。報告も出されておると想像されますが、そうすると、アメリカ陸軍の特殊戦というものがどういうものか、何を一体勉強してきたか、もちろん人事教育局長はよく御存じのはずですが、もう少しずばりと、われわれのわかるようにひとつ御答弁願いたいと思うのです。
また、調査隊の幹部がどういう訓練を受けるという目的で送られたのか、調査学校と特殊戦というのとどういう関係があるのか、その辺も踏まえてひとつお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/180
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181・大西誠一郎
○政府委員(大西誠一郎君) 一般的に申しまして、特殊戦の教育の中では、先ほど申し上げましたようにレンジャーとかあるいは心理戦とか、それからゲリラ戦というようなものが取り上げられておるというふうに一般的には聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/181
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182・星野力
○星野力君 行ってきて勉強してきたのでしょう。何を勉強してきたのです。いま言われたようなことだろうといわれておるのですが、もう少しはっきり言ってくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/182
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183・大西誠一郎
○政府委員(大西誠一郎君) 何ぶんにも古いことでございますから、一人一人当たって私が確認をしておりません。陸幕の関係者に聞いたところでは、いま私が申し上げましたようにレンジャーとか、あるいは心理戦とか、あるいはそれに関連をしてゲリラ戦というようなものについての基本的な知識を修得をしてきたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/183
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184・星野力
○星野力君 それでは、「米国陸軍情報学校における上級情報課程研修のため昭和四十四年九月二日から同年十二月六日までの間アメリカ合衆国に出張を命ずる」と、陸幕二等陸佐、この人も二等陸佐でありますが、清水濶というのもありますが、これは一体何を研修に行ったのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/184
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185・大西誠一郎
○政府委員(大西誠一郎君) 先ほど先生が陸幕の公報でお読み上げになりましたように、自衛隊から相当数の幹部が米国に留学いたしておりますが、その目的は、大別いたしますと、第一は、職種とか職域についての最新の知識を導入すること。それから第二は、最新の戦術、指揮運用関係の思想を勉強する。第三番目は、ターターとか、あるいはナイキの要員の一部の教育関係で、わが国でやりますと非常に経費がかかって効率が悪いというようなものについての教育。第四番目は、一般大学の大学院への留学、この四つがございますが、ただいま御指摘のございました情報関係の教育につきましても、この最初の職種とか職域についての学校の一つでございまして、そこでそれぞれの職種について新しい知識を得るということで派遣をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/185
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186・星野力
○星野力君 これら数多くの研修留学というのが行なわれておりますが、これはMSA援助、有償か無償かはわかりませんが、それに基づくものだと思うのですが、そうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/186
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187・大西誠一郎
○政府委員(大西誠一郎君) MSAの援助は、昭和三十七年から教育に関しましては先細りになりまして、四十二年で教育に関する無償援助は打ち切られました。したがいまして、四十三年以降はすべて自前でございます。ただ形式は、FMSという形式にのっとりますが、授業料その他の経費はすべて、これは米国以外の国にも出しておりますけれども、それと同じような扱いで、わが国の全額負担というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/187
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188・星野力
○星野力君 どういうことを勉強しに行ったかということは、これはまたあらためてお聞きする機会はあろうと思いますが、陸海空幕、あるいは各部隊の幹部が大量に、しかも四十二年以後は有償ということでありますが、MSA援助ということでアメリカ軍の各分野の課程研修のために留学しておるわけであります。このことは、MSA協定の前文、あるいはさきに引用しました第七条などから考えますと、教育までアメリカの指導下に置かれておる、しかも日本国の領域において遂行することまでアメリカ側に点検されたり監督されておるということになると思うのであります。これはきわめて重大なことだと思います。山中長官は、それは当然なことだ、こうおっしゃるかもしれませんが、私たちはきわめて重大なことだと思います。まさに日本の自衛隊幹部というものがアメリカのひもつき援助で教育されている。その幹部の自衛隊内での任務遂行状況までアメリカにチェックされると、こういう仕組みになっている。これではアメリカの、そう言っちゃ悪いけれど、やはりかいらい軍、そういうことばを使わざるを得ないんではないかと思うんであります。対米従属性というものはきわめて明白であります。旧軍時代にも将校の外国留学ということはありました。しかし、特に一国だけに向けて、しかも大量に系統的に留学ということはなかっただろうと思うんであります。この点は自衛隊という日本の軍隊のきわ立った特徴だと思うんです。この留学について、若干の御説明ございましたが、日米両政府の間で行なう細目の取りきめというものがあるんではないかと思いますが、その点について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/188
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189・大西誠一郎
○政府委員(大西誠一郎君) MSA協定の第一条に書いてありますような細目取りきめというものは、教育についてはございません。個別に、そのつどアメリカ側と相談をして、留学あるいは研修を実施をするということをやってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/189
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190・星野力
○星野力君 以上、私が指摘しました実態というものは、まさに自衛隊が、その装備、訓練、教育にわたって、アメリカによって仕立てられた軍隊という性格のものであることを示しておると思うんであります。私たちは、現在の日本では軍隊を持つべきではないと、自衛隊は日本国憲法が禁止している軍隊であるという立場をとっております。また、国の自衛手段というものが即常備軍というふうには必ずしも考えていないのでありますが、国の固有の権利としての自衛権までも否定するものではございません。しかし、いま見てきましたように、アメリカ軍と自衛隊の関係というものは、旧日本軍とそのかいらい軍隊であり、補助軍隊であったところのかつての満州国軍との関係に酷似しておると思うんであります。これではいかなる意味でも独立国の防衛組織とは言いがたいと思うんであります。長官の明確なひとつ御見解を聞いた上で、きょうはこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/190
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191・山中貞則
○国務大臣(山中貞則君) 明確にお答え申し上げます。
私たちはそう思っておりませんし、この機会に日本共産党が持っておられる憲法改正、そして自衛軍の、あるいは人民軍でありますか、解放軍でありますか、そういうものはどういうものか、お聞きかせいただくと、私たちと比べて議論ができると思うんであります。私たちは現在の世界の——かつては冷戦構造でありましたけれども、それは先ほどの米ソ核不戦の中で、ワク組みとして、既存の二国間もしくは多国間を踏まえての両核超大国の合意であると、たいへんありがたいことでありますが、われわれはそういうことが逐次積み重ねられて、そして私たちの国土は永遠に、民族も永遠に平和であり、独立の、脅威がない国家でありたい。そのためには、私たちは、やはりアメリカというものがソ連との間においてのみ、この二国間においてのみが人類の、極端に言うと生命を左右し得る力を持っておるものであるということを考えますと、われわれはわれわれの立場として、アメリカとの安保条約の体制のもとにおいて、みずからの国の与えられた範囲のことをやっておる、みずからの国がなさなければならないことをやっておるということでありまして、これはアメリカ側においても、むしろ安保に対する懐疑論、核のかさのただ乗り論、あるいはまた片務条約論、アメリカのみが日本を守る義務があって日本はアメリカを守る義務を持たない不平等条約等々の議論等があることも考えますれば、われわれは、今日の環境において、この状態というものがりっぱにわれわれの目的に合致する状態である。しかもこれがアメリカ側からする安保廃棄もしくは安保改定というものが目下のところ国としての意思表示としてなされていない。そのもとにおいてわれわれは、アメリカの指揮を受けることなく、命令を受けることなく、系統に入ることなく、最悪の場合におけるアメリカの信頼のもとにおける核のかさの保障、あるいは攻撃力の保障というもののもとに、GNP対比にしても、予算に対するウエートにしても、きわめて安価な国防力をもって日本の安全が守られている姿が理想であると考えます。
先般、スウェーデンの外務大臣が私をたずねてこられまして、饒舌をもてあそぶようでありますが、たいへん重要なことでありまして、この外務大臣は昨年まで十六年間国防大臣を続けておられたそうであります。十六年にびっくりしましたら、いや、そうではない、自分のスウェーデンは百六十年の平和を保っておる。百六十年の十分の一にすぎないと言われました。そうして自分たちは、GNPの六%を投じ、国の安全と独立というものは安く手に入るものではないという教訓、そうしてその教訓は百六十年の歴史が証明をしておる。したがって、日本がGNPの一%を割る、〇・八%も割っているということについては信じられないということを述べておられましたけれども、そのことにおいてわれわれの国が平和であり、そうして今日のこの状態が続くならば、私たちは日本というものは決しておそるべき方向に進んでいるとは全然考えられないし、また、その道を不動のものとして進むべきであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/191
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192・星野力
○星野力君 私、自衛隊のあるべき姿といいますか、あるべからざる姿に対して質問の形で見解も述べたわけでありますが、日本国の防衛庁長官の同意を得られなかったことはまことに残念でございます。どちらの説が、意見が正しいかということは、こうなりますと国民に判断してもらう問題でございます。長官、われわれの共産党の人民解放軍の構想を示せと、こういうお話でございますが、私、先ほど申し上げましたように、私たちは独立国家の固有の権利としての自衛権というものは否定いたしません。が、同時に、申し上げましたように、防衛手段、自衛手段というものが即強大な自衛軍を持つ、常備軍を持つことであるということも、私たち必ずしもそういうふうには考えておらぬのであります。それならどういうことを考えておるのかというんでありますが、現在の日本において軍隊を持つべきではないということははっきりしております。人民解放軍という構想は現在われわれが構想すべきことじゃないということになっておりますんで、残念ながら長官の御要望にはこたえられませんが、また、いま私が質問しておるのであって、答える立場ではないんです。いずれ席が変わりましたら、そのときは申し上げます。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/192
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193・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/193
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194・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) 速記を起こしてください。
本案に対する本日の審査はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01419740423/194
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