1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月九日(木曜日)
午前十時三十八分開会
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委員の異動
五月八日
辞任 補欠選任
星野 重次君 小枝 一雄君
長屋 茂君 木島 義夫君
片山 正英君 源田 実君
高橋 邦雄君 今 春聴君
五月九日
辞任 補欠選任
小枝 一雄君 星野 重次君
木島 義夫君 長屋 茂君
郡 祐一君 高橋 邦雄君
戸叶 武君 村田 秀三君
鈴木 強君 森 勝治君
上田 哲君 横川 正市君
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出席者は左のとおり。
委員長 寺本 広作君
理 事
岩動 道行君
岡本 悟君
鈴木 力君
委 員
上原 正吉君
楠 正俊君
高橋 邦雄君
長屋 茂君
星野 重次君
中村 波男君
村田 秀三君
森 勝治君
横川 正市君
宮崎 正義君
中村 利次君
国務大臣
通商産業大臣 中曽根康弘君
運 輸 大 臣 徳永 正利君
政府委員
資源エネルギー
庁石油部長 熊谷 善二君
資源エネルギー
庁公益事業部長 岸田 文武君
中小企業庁長官 外山 弘君
中小企業庁次長 小山 実君
中小企業庁指導
部長 河村 捷郎君
運輸大臣官房長 内村 信行君
運輸大臣官房審
議官 原田昇左右君
運輸省海運局長 薗村 泰彦君
運輸省船員局長 住田 俊一君
運輸省鉄道監督
局長 秋富 公正君
運輸省自動車局
長 中村 大造君
運輸省航空局次
長 後藤 茂也君
事務局側
常任委員会専門
員 相原 桂次君
説明員
警察庁交通局参
事官 寺尾 繁君
運輸省航空局飛
行場部長 隅 健三君
労働省労働基準
局監督課長 岸 良明君
日本国有鉄道貨
物局長 丸尾 和夫君
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本日の会議に付した案件
○運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○中小企業庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/0
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001・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨八日、高橋邦雄君、片山正英君が委員を辞任され、その補欠として今春聴君、源田実君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/1
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002・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といまします。
前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/2
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003・中村波男
○中村波男君 運輸省設置法の一部を改正する法律案については、先回の当委員会におきまして、かなり突っ込んだ質疑が行なわれておりますので、まず私は最初に、運輸省の自動車行政一般について若干お尋ねをいたしたいと思うわけであります。
まず最初にお聞きいたしたいと思いますのは、自動車によります事故発生の原因について、運輸省なりあるいは警察庁として統計がとられておると思いますし、発生状況あるいは原因別に数字をお持ちになっておると思いますので、業種別といいましても大別でけっこうでありますが、バス、トラック、ハイヤー・タクシー、この三つぐらいに分けまして、事故の発生の割合等について、まずお伺いいたしたい、こういうふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/3
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004・寺尾繁
○説明員(寺尾繁君) 四十八年度の統計に基づきましてお答え申し上げたいと思います。
総計では五十二万四千二百三十四件でございます。そのうち、乗用につきましては二十八万五千六百二十四件、その内訳は、バスが六千三十九件、マイクロバス二千四百二十五件、普通乗用二十三万八千五百七十三件、軽四輪が三万八千五百八十七件ということでございます。貨物につきましては、特定大型が一万一千九百二十一件、大型貨物が一万八百七十四件、普通トラックが十三万三千八十八件、三輪トラックが七百七十件、軽四輪が三万一千百八十六件、軽三輪九十八件、貨物の合計が十八万七千九百三十七件、そのほか二輪が全部加えまして四万九千五百五十七件、農耕用の、作業用の車などの特殊自動車によりますものが千百十六件でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/4
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005・中村波男
○中村波男君 私がただしておきたいと思いますのは、特にトラックの事故が、いわゆる一たび事故が起きますと、人命等の被害が、他のハイヤー、タクシー、バス等に比べて高いのではないか、したがって、その被害が高いということは原因がどこにあるのか、そういう点について、警察庁として、どのように分析をし、実態調査をされた結果が出ておるのか、お尋ねをいたしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/5
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006・寺尾繁
○説明員(寺尾繁君) トラック、特に大型トラックにつきましては、非常に事故に特色があろうと思うのでございます。一つは、その大型自動車の運転手がなくなるということは、まずほとんどないということなんで、九割近くがその相手方、弱い道路の利用者の方々を殺しておるということでございます。
それから原因として考えますときに、大型でありますために、特に東京は顕著でございますけれども、町並みが多いために顕著なんでございますが、左折時に、内輪差と俗に申しておりますが、左のうしろが見にくいために、左折をするときに、うしろのほうの車輪でひいてしまう、自転車、歩行者がその被害者になるといったようなこと、同様にまた右折時の場合にも、事実かなり高うございます。それからさらに、過積みといいますか、荷物を積みましたときに、その積んだ車が、荷物が落ちるとか、あるいは積み荷の重さによって、左折のときに横転をして、そのそばにおった人がなくなるとか、あるいは積み荷がくずれたために、なくなるとかいったような点が顕著でございます。
総じて見まして、まあ関東管区内の最近の事故も、かなり大きな事故が起こっておりますので、全国的に見ても、相当、いま申し上げたような点の特徴が顕著な大事故が起こっているのではないかと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/6
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007・中村波男
○中村波男君 私の手元にある資料は、昭和四十六年度の事業種類別重大事故発生状況でありますが、これを見て言えますことは、事故発生の状況は件数におきましては、タクシー、トラック、バスの順序になっておりますが、トラックは三分の一以上の件数を占めておる。ところが死亡事故となると、トラックは他の二業種を大きく引き離しまして、が然一位にのし上がってきておる。このことは、事故が起きますと、トラックの事故というのはいかに死亡事故につながっていくかということを数字が示しておるというふうに思うわけであります。したがって、一回の事故発生に対する死亡者数を見ますと、トラックは事故件数二、三回に一人の割合で命を奪っておるという、このおそるべき事実が出ておるわけであります。したがって、これが、けがをした人ということになると、数字はがらって変わってきまして、一回の事故件数に対するけがをした人は、バスが三・五人と一番高いわけでありますが、トラックはその半数にも満たない一・四三人ということになってはおりますが、トラックの事故は死亡者事故に必ず結びついているということが言える。したがって、なぜ、このような死亡事故につながるような大事故が起きるかということは、いわゆるトラックという、構造的なものにも原因があると思いまするけれども、とにかく事故が起きれば大被害につながる、この点を十分認識をして、その対策を考える必要があるんじゃないかと、こういう観点から、いろいろお尋ねをいたしたわけであります。
そこで、自動車、特にトラックの事故を少なくするためにどうしたらいいのかということになれば、まず、私は、過労運転というところに大きな原因がある、二番目は、過積みによる大事故が引き起こされておると、こういうふうに考えるのでありますが、この分析といいますか、こういう見方について、警察庁並びに運輸省として、どうお考えになっておるか、それを確めた上で次の質問に移りたいと、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/7
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008・中村大造
○政府委員(中村大造君) 確かに、事故の中でも、いわゆるトラックによる事故というものが必ず悲惨な死亡事故につながるというケースが多いということは、先生御指摘のとおりでございます。トラックの中でも、やはり大型のトラックというものが、その影響力が大きいわけでございます。特にダンプ等につきましては御指摘のような過積みという事態が発生する、それから長距離トラック等につきましては、やはり運転者のいわゆる継続してのハンドル時間というものとの関係もございます。無理な運転をして過労のために事故を起こす、こういうケースも原因の中では重要な要素であるというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/8
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009・寺尾繁
○説明員(寺尾繁君) いま自動車局長から申し上げたこととあまり大差ないのでございますけれども、特に過労運転については数字がございますが、四十八年中に過労運転が原因になって交通事故を起こしたというのが六千二百二十一件ございます。またそのうちで、過労を命じたといいますか、経営者なりが過労をさすような運行計画をしたというのが、一応その数字でございますが、五十五件含まれておるといったような点を補充したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/9
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010・中村波男
○中村波男君 これから私が申し上げます実例は、岐阜県で起きた四十七年十一月の事例でありますが、この問題に直接関係をしたこともありまして特に記憶をいたしておりますので、具体的にその例を申し上げて、いかに無理な運行が特にトラックの長距離輸送に公然と行なわれ、今日もそのような実態というのは私は改善されておらないんじゃないか、こう考えますので申し上げてみたいと思うわけであります。
これから申し上げます事故は、昭和四十七年の十一月の十三日に、自宅から自家用車を運転して会社に着きましたのが午前七時ごろ、そして会社に着きまして、前日大阪から運んできた積み置きの荷物を岐阜県の可児町まで運びまして、ここで別な荷物を積んで愛知県の高浜へ輸送をする。空車で可児町に午後六時ごろ戻りました。ここから仙台行きの荷物があるという連絡を受けて、少し無理だとは本人は思ったようでありまするけれども、少しでもかせごうということで、荷物を積んで午後の八時ごろ出発をいたしたわけであります。その経路は詳しく申し上げませんけれども、群馬県から栃木県の小山市を経まして仙台へ向かったわけでありますが、福島県でいわゆる居眠り運転で事故を起こしまして、信号停止中のライトバンに追突をして、一名が死亡、二名が重傷を負った、こういう事故内容であります。そこで、会社を出発してから交通事故を起こしますまでに三十時間三十分の時間が経過いたしておるわけであります。その三十時間三十分の中で、車中仮眠が二時間三十分、食事休憩が三時間、給油休憩が三十分の六時間しかとっておりません。したがって、休憩時間以外は積み込みと連続運転をしたのでありまして、栃木県内で二度ばかり眠くなったけれども、早く仙台へ着きたいというので、がまんをして運転をして事故を引き起こした、こういうのが事故の概略の経過であります。
ここで問題になりますのは、こういう長期の運転をしいられておる、これは、問題は、いわゆる収入の問題が一つありますのと、それからやはり、それを命ずる、運行をやらせる会社にも問題があるというふうに思うわけであります。したがって、これらは、道路交通法からいいましても、あるいは道路運送法からいいましても、明らかに違反を犯しておるわけでありますが、こういう事例というのは、ただ単に岐阜県で起きた事例だけではないのであって、日常茶飯事に行なわれておる自動車の運行状況ではないか、こういうふうに思うわけでありますが、これらの実態をどう運輸省はお考えになっておるのか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/10
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011・中村大造
○政府委員(中村大造君) 先生御指摘の岐阜県の四十七年に起きました具体的なケースにつきましては、私まだ詳しく報告を聞いておりませんけれども、いずれにいたしましても、事故防止のためにはいろいろな車両の構造上なり、あるいは運転者に対するいろいろな規制等について総合的な施策が必要であるわけでございますけれども、特に運転手の過労防止、こういうことに着目いたしましては、運輸規則の中にいろいろ勤務時間あるいは乗務時間をきめることとか、あるいは適切な休憩施設をつくるというふうなことを規定いたしておりますし、また、長時間運転する場合には交代の運転手をつけると、こういうふうな規定を規則の中に置きまして、事業者にそれを励行させるように日ごろから陸運局、陸運事務所を通じて指導いたしておるわけでございますし、また警察庁、労働省等関係省庁ともいろいろ御連絡を密にいたしまして、違反の取り締まり等についてもできる限りこれをやってきておると、こういうことでございます。ただ、体制等についてまだ十分ではございませんので、必ずしもそういう違反の取り締まりについて一〇〇%の目的を達しておるかどうかということになりますと、さらにわれわれといたしましても努力を重ねなければならないというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/11
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012・中村波男
○中村波男君 そこで、警察庁の寺尾参事官にお尋ねしたいと思うわけでありますが、道交法六十六条によりますれば、「何人も、前条第一項に規定する場合のほか、」——酒気帯び運転、「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」と、過労運転禁止が明確にされておるわけであります。
また、第七十四条で、雇用者の義務が明確に規定されておりまして、七十五条は、安全運転管理者の義務の中でも同様に、過労運転の下命、容認を禁止しております。しかしながら、このような禁止条文が明確に定められておりますにもかかわらず、実態はその法律を無視しておる。強いことばを使いますならば死文化をさせておる。こういうようなことが常識とされておるわけであります。一方では、これらの条文の中で、第六十六条のみが事故を引き起こした際の罰則適用のために使われておるといっても過言ではないわけであります。したがって、過労運転に個人差があることは私もわかります。また、運転時間そのものよりも、その前日の生活態度にも問題がある、関係があるということも言えると思うのであります。しかし、具体的には何時間の連続運転が過労運転につながるのかという点については全く触れようとはいたしておりません。これらの点について明確な行政指導の方針というものを私は知らないわけであります。
こういう点について、過労運転とはどういう実態なのかということについて、やはり基準といいますか、定義と申しますか、そういうものが示されるべきではないかというふうにも思うわけでありますが、イギリスの運輸法を調べてみますと、第九十五条で「旅客及び貨物の道路輸送に従事する者の適正な労働時間の遵守を確保し、もって車両の運転者の疲労により発生する事故から公衆を保護する目的をもつものとする。」と規定をいたしておりまして、そうして第四編では、「運転者は、一作業日あたり十時間をこえる運転をしてはいけない。勤務時間は十一時間をこえてはならない。」と、こういう規定が設けられておるのであります。これらから考えましても、全く道交法は抜け穴だらけではないかという感じを私は持つのでありますが、それらの点についての御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/12
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013・寺尾繁
○説明員(寺尾繁君) 先生おっしゃいますとおり、道交法の六十六条が、明確であるようであって、具体的になると非常に抽象的な規定であると、したがって交通事故の場合にしかほとんど適用した事例がないというのは、そのとおりでございます。そこで、私ども、前々からこれをもっと具体化しろという要望もございますし、いろいろ頭を悩ましておるところでございますが、先ほど自動車局長が運輸規則の問題を申し上げましたが、労働省の関係の二・九通達にも、いま先生がおっしゃいましたような趣旨の時間の制限などを設けてございます。これらはいずれも、ILOといいますか、条約なり、その関連した労働行政の中での規則、あるいは営業自動車の中での内部規則といったような規定でございまして、諸外国につきましても、おおむねそのような範疇できめられた規定がございます。道路交通法の体系の中で、諸外国では具体的に、いま先生がおっしゃったような形で規定したものが実はないわけでございます。
そこで、私どもは、その趣旨は非常によくわかるんでございますけれども、道交法で書くとしましたならば、いろいろ研究しておりますけれども、非常にむずかしい。そこで、せんだって、「交通の方法に関する教則」という運転者向けの、これさえ読んでおれば法律も見なくてよろしいという趣旨の、やさしい交通法規というものを出しておるわけでございますけれども、その中で、大体二時間以上ハンドルを握らないように、眠けがさしたならば表へ出るなり軽い体操をするなりして眠けをさませというのが、道路交通法の中での体系で書いている政令の線でございます。将来なお研究したいと思いますけれども、いま申し上げましたような事情で、もう一つ具体的には書き切れておらないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/13
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014・中村波男
○中村波男君 道交法の問題点は以上で指摘を終わりまして、道路運送法におきましても、過労運転禁止が明確にされておると思うわけであります。過労運転とは、ただいまも申し上げましたように、具体的にどの程度の運転時間なのか、ハンドルを持たない労働時間を含むのでありますが、どの程度の運転時間をさすのか、一回の連続時間と一日の最長時間を明らかにしてもらいたいと思うわけであります。同時に、運転に入る前における休憩、休息、睡眠時間の最小限度時間、並びに運転と運転との間における休憩、休息時間についても明らかになっておらないのではないかというふうに私は思うわけであります。道路運送法第三十条、輸送の安全等、並びに自動車運送事業等運輸規則第二十一条、過労防止、第三十三条、乗務員規定等々、一応規定はあるわけでありますが、実際には適用されておりませんし、取り締まりも行なわれておらないし、行政指導も全く行なわれておらないと言っていいんじゃないか。こういう点がはなはだ私は不満なわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/14
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015・中村大造
○政府委員(中村大造君) 先生御指摘の中で、いわゆる連続実ハンドル時間といいますか、そういうものについての基準といいますか、そういうものをきめるべきではないかというふうな御趣旨の御質問であったかと思いますけれども、確かに先生おっしゃいますように、現在の規定のしかたは、労働基準法、それから先ほど警察庁から御答弁がありましたいわゆる二・九通達、こういうもので運転者のいわゆる実作業時間というものが一般的にきめられておるわけでございます。で、確かに、何らかの基準をきめるということ、それ以上の基準をきめるということも非常に示唆に富んだ御指摘かと思いますけれども、これは非常に作業の態様が千差万別でございまして、なかなか一律にきめがたい。したがいまして、現在のやり方といたしましては、事業者に対しましてそういうふうな過労防止のためのいろいろなこまかい基準をつくるというふうに規定をいたしておるわけでございまして、事業者を通じまして、私どもは事業者の監督を通じまして、それが励行されるように指導を強化すると、こういうふうな考え方をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/15
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016・中村波男
○中村波男君 そこで、そういう過労運転を命じてはならぬという規則はあるわけでありますが、また、現実の問題としては、ほとんど過積み等につきましても、命ぜられるからやむを得ず積んで走るんだという、こういうことが実態調査の中からは出てきておるわけでありますね。しかし、下命者に対するいわゆる処分ですね、そういうものは実際に行なわれたことがあるんですか。いま局長は、いわゆる運送業者に注意を喚起しておるんだと、そういう事故が起きないように、過労運転にならないように指導するんだとおっしゃいまするけれども、実態としては、ほとんどそういうことは徹底しておらないし、また、システムそのものが過積みによらなければやっていけないというような問題が深く食い込んでおるといいますか、基本的な問題としてそこにメスを入れなければならぬとは思うわけでありますが、それはそれといたしまして、下命者に対するいわゆる行政処分等々が行なわれた事例があれば、この機会に御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/16
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017・中村大造
○政府委員(中村大造君) 過積みの問題でございますけれども、この過積みの取り締まりにつきましては、警察当局とも御協力いただきまして取り締まりをやっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、現在何件これについて事業者の処分をしたかという点については、件数はまだちょっと持ち合わしておりませんけれども、いわゆるそういうふうな過積み運転を運転手に命じて、いわゆる反復継続して常習的にそういうふうな過積み運転を行なっておる、こういうふうないわゆる悪質な事業者に対しましては、いわゆる車両停止、使用停止と、こういうふうな処分も従来から行なっておるわけでございます。ただ、何件をそれによって処分したかという数字は現在ちょっと持ち合わしておりませんので、後ほど調査いたしまして御提出さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/17
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018・中村波男
○中村波男君 過積みの問題についてさらにお聞きをしてみたいと思うわけでありますが、これも四十八年の十二月の十一日に岐阜市内で起きた事故でありますが、その概要を申し上げますと、大型トレーラーがコンクリート支柱を運搬中にワイヤが切れまして、積み荷のコンクリート支柱十六本が道路わき約二メーター下の岐阜突板会社にずれ落ちて、ブロックべいやスレート壁などをこわした。窓側で作業中の同社の従業員がブロックの破片で腰や足に一週間のけがをした。岐阜北署の調べによりますと、トレーラーはハンドルを右に切ったところ、積み荷の重さでワイヤが切れ、コンクリート支柱の後部がずれ落ち、同社に突っ込み、はずみでトレーラーとトラックをつないでいたポールのとめ金が折れて、トレーラーも同社に突っ込んだ、このコンクリート支柱は建設の基礎工事に使うもので、同市鏡島のコンクリート会社から工事現場へ運ぶ途中で、最大積載量二十・五トンの倍近い合計三十六・三トンの支柱を積んでいた、こういう過積みによる事故でありますが、全交運の労働組合等が名神高速道路等で調査した資料によりましても、過積みというのは相当な高い比率を占めておるわけであります。したがって、過積みの問題はここ二、三年来、ただ単に交運関係の労働者の要求運動だけではなくて、社会運動化してきておる、大問題になってきておるわけでありますが、そういう情勢の中で、これを受けとめられるほうの労働省の腰は依然として重くて、ほとんど手が打たれておらないのじゃないか、私はこういう感じを持つわけであります。具体的にまた追ってお尋ねをいたしますが、これらの実態について徳永運輸大臣はどうお考えになっておるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/18
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019・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) いままでいろいろ御指摘がございましたが、このトラック運送につきましては、それぞれ個人差もあるということは御意見のとおりでございますし、それにまた地域的な問題もいろいろあろうと思います。しかし、過積みというような問題になりますと、広範多岐にわたるもろもろの問題をかかえておるわけでございまして、この問題については、かねがね私どもも十分防止について対策を考えていたところでございます。まず、トラックに過積みにならぬような、一体どのぐらい積んでおるかということをはかるような、はかりを一つつけならどうだという御意見もかねがねあることは御承知のとおりでございまして、ところが、こいつが技術的になかなかむずかしいそうでございます。いろいろ研究はしているけれども、このトラックは、十トンのトラックなら十トン積んだら何かこうしるしが出て、もうこれ以上積めぬというようなことは、なかなかむずかしい。積むときに十トンのトラックに十トン積むというよりほかに、ちょっといまのところ技術的にこいつを押える方法はないじゃないだろうかと思うわけでございます。運輸省としましては、一つは運賃の問題がございます、間接的な問題としては。運賃のダンピングの場合に、荷主に対してトラック業者は経済的に弱い立場にありますから、そういうようなところから一つは生まれる——生まれると言っては語弊がございますが、問題がここに生じてくる、こいつをまずつぶしていかなければならぬと思います。具体的な積み荷対策としましては、従来から自重計、先ほど申しましたような自重計を各界の協力を得ていろいろやっているのでございますけれども、まあ目にも見えるようなうまいやつが出てこない。でございますから、重量だけの運賃を車両だけの運賃に改めて、過積みによる増収が期待できないようにしたらどうかということで、そういうこともやったわけでございます。
また、過積みに対する取り締まりにつきましては、道路交通法の違反、この面から警案当局にやっていただいておりますし、運輸省としましても、常習、悪質な積み荷の運転については、事業者に対しまして、輸送の安全規定に違反するものは車両の停止なんということも条文の上ではできるようになっておりますし、先ほどそういう件数があるかということについてお答えできなかったようですが、やった例はあるようでございますけれども、それは数字としてまた後ほど御提出いたしたいと思いますが、そういうもろもろのことを合わせて過積み問題というものを解決していかなきゃならぬだろうと、こういうふうに考えております。
なお、現実にそういう過積みの問題が起こって問題を起こしているということは十分認識しております。この点につきましては今後いろんな総合的な対策を進めていきたい。まあ、取り締まりの面の警察庁のほう、また建設省は、高速道路を走るのに道路がこわれちゃいかぬから、一ぺんはかるようなはかりもいろいろなところに計画しているようでございますけれども、もろもろのそういうような施策を合わせまして、御指摘のような点のないような努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/19
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020・中村波男
○中村波男君 全日本交通運輸労働組合が東名神高速道路で調査をしたのによりますと、過積みは七割に達しておったと、こういう実態調査が報告されておるわけでありますが、重ねて質問をいたしまするけれども、過積みにつきましても過労運転同様に、道交法、道路運送法等において禁止されておることは言うまでもありません。しかし、過積み運転は全く日常茶飯事に行なわれておる、それをやらなければ食べていけないという実態にほおかむりをして、これに目をつぶってこの問題を議論することは本末転倒かもしれません。それはいま運輸大臣が言われたとおりであります。
そこで、私がきょうここで特に問題にしたいと思いますのは、先刻も指摘をいたしたように、運転者みずからが過積みを求めていくという例はないとは言えませんけれども、少ないようであります。ほとんどが、いわゆる運送業者なり荷主が多く積んでくれと、それをまた積むことによって収入をふやしていくという関係にあると思うんであります。そういう実態の中で考えてみますときに、罰則規定はあるけれども下命者にはきわめて軽いものであって、なおかつその軽い罰則がほとんど適用されておらないんじゃないか、ここは私は行政の立場に立つ者として怠慢ではないか、こういうふうに考えるわけであります。したがって、過積み車が法令内制動距離に停止できないことが明らかになった現在、過積み運行による責任はむしろ業者、荷主にある、業者、荷主の罰則を強化する必要があるんじゃないか、そういう立場で法律改正ということを考えてみる必要があると思いますが、これに対する御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/20
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021・中村大造
○政府委員(中村大造君) 過積みの起こる原因は、運転者がみずから求めてやるということではなくて、事業者あるいは荷主の力によってそれをさせられる、こういうケースが非常に多いんではないかと、したがってそれに対する、特に荷主に対する罰則を立法論として考えたらどうかという議論は、確かに御議論としてあるわけでございまして、私どもも非常に重大な御指摘であるというふうに思っておるわけでございますけれども、やはりこれは立法論といたしましていろいろむずかしい問題もあるわけでございまして、私どもがいま考えておりますのは、たとえば車両の構造上そういう過積みができないようなふうにできないかというのが一つの検討課題でございまして、たとえば昨年ダンプカーにつきまして例の差しワクを禁止いたしました。まあ、あれは一つでございますけれども、あれによって相当、ダンプの過積みに対しての規制、車両面からの規制ができたんではないかというふうに思っております。また、さっき大臣が御説明申し上げましたような自重計、これについても、今度いわゆる運転者の方も入っていただきまして、これの開発のための委員会を発足させ、早急にこれの開発にとりかかる、こういうふうなこともやっているわけでございまして、やはり車両の構造上あるいは道路の上にいわゆる重量計を置くとか、物理的にそういう過積みがなかなかできないようにする、こういうことと、まあ荷主対事業者、事業者対運転手、この関係はいろいろ力関係がございますので、そういう点につきましては、立法論の罰則強化もさることながら、やはり荷主あるいは事業者の過積みというものについての関心を高める必要があるわけで、この点につきましては私は最近は非常にこの問題意識が高まってきておるというふうに思うわけでございますので、いろいろな施策を総合的に真剣に検討いたしまして、関係省庁とも十分御連絡をとりながら実効のあがる方法を講じてまいりたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/21
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022・中村波男
○中村波男君 いろいろ総合的に対策を立てる必要があるということは私も理解できるわけでありますが、とりあえず、先刻大臣からもお話がありました車両積載重量計あるいは過積み警告標示灯の設置等々、さらに具体的に前向きでひとつ検討をされる必要があるんじゃないかと思うわけであります。
それから、なお、フェリーヤードにおける取り扱いの中で、フェリーヤードに車両重量計測定装置を必ず設置する、重量違反車両についてはフェリーの航送を停止する等々、いろいろあると思いますし、さらに高速道路上における過積み通行禁止の措置、特に高速道路における過積み車による事故は運転者の運転操作のいかんにかかわらず、突然制動装置が故障破損し、通行他車を含めた重大事故につながっておりますから、そういう点で、特に高速道路上においては運行速度から考えて全く悲惨な事故を引き起こしますので、過積み通行禁止という点で特に重点的に対策を具体化されることを強く私は要求をいたしたいと思うわけであります。
それから、また白トラの問題もあとにお尋ねしたいと考えておるわけでありますが、白トラがいまどんどんふえておりますわけでございますが、どうして採算をとっておるかということになりますと、結局過積みによって運送業者等々よりも運賃が安いということに尽きるんじゃないかというふうに思うわけであります。これは一つの具体的な例でありますが、自主流通米一俵をあるところからある地点に運びますのに、日通でありますと百五十円の規定である、営業トラックだと百二十円で運ぶ、白トラに積むと百円以下で運んでくれる、こういうようにたいへんな格差が運賃の上にあるわけですね。その運賃の格差は過積みによってカバーをしておる。こういうことを私たちは具体的な事例として幾つか調査をいたして明らかにいたしておるわけであります。そういう実態の上に立ちまして、労働省として過積みの実態調査というようなことをおやりになったことがあるのかどうか。ただ抽象的に、また世間からわんわんいわれておるからほっておけないぞというような認識の中で行政を進められようとしておるのではないかという感じがするわけでありますが、どのような実態調査をなされて、どういう結果が出て、その上にどういう認識が持たれておるかということをこの機会に具体的にお示しいただきたいと思うわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/22
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023・中村大造
○政府委員(中村大造君) 労働省というふうな御指名だったように思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/23
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024・中村波男
○中村波男君 いや、運輸省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/24
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025・中村大造
○政府委員(中村大造君) まあ、過積みの実態につきましては、先生御指摘のように全体的ないわゆる実態がどれだけあるか、その実態がどうかというそういうふうな調査というのはこれは実はなかなかむずかしい、取り締まりが現在まで一〇〇%実効があがっていないということも、なかなか取り締まりをしたそのときでしかわからないということで、実態がなかなかわかりにくいという点にもやっぱりあったと思うわけでございまして、したがいまして、全体的な姿ということをここでとらえてお示しするということはできないわけでございますけれども、しかし、過積みという事態が非常に多く、また事故が起こった場合に過積みが一つの原因になっておる、遠因になっておるという事例が非常に多いわけでございますので、そういう点から過積みの実態というものをわれわれは承知している、こういうことでございます。それからいま白トラ、いわゆる自家用車の問題がちょっと出たようでございますけれども、この自家用車と過積みと、こういう問題につきましても、これは道路交通の安全という面から申し上げれば、営業車であろうと自家用車であろうとこれは変わりないわけでございまして厳重な取り締まりをしなければいかぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/25
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026・中村波男
○中村波男君 まあ、過積みだけではないのでありますが、過労運転の問題でも、全日本の交通運輸労働組合等が相当な金をかけて、そうしていわゆる学者等も動員して調査をいたした、それがまあただ一つのいわゆる科学的な根拠を持つ報告になっておるわけでありますが、したがって運輸省としても、少なくとも五十年度の予算で調査費を計上されまして、まずそういう実態をつかむ、その中から法律改正が考えられると思いますし、それに対応する行政措置が出てくるのであって、政治に科学をということばがありますが、それらの調査をされないということは、これだけ大問題になっておる現在の状況からして私は手抜かりではないかと思うわけでありますが、大臣、この問題について実態調査をひとつ来年度はやるぐらいのいわゆる確約をこの席でしていただければたいへん私たちも前向きでさらに質問ができると思うわけでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/26
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027・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) これはまあ、すべてこれ運送の安全につながった問題でございまして、この点につきましては、私どももかねがね方針を披瀝しておりますように、そういう問題の起こらないように十分の対策を立ててまいらなければならないということで、この春闘を通じましてもいろんな方々からいろんな御意見やら参りました。私はこういう問題は春闘を境にして問題を言う、そういうものを言うのじゃなくて、平生からひとついい意見があればどんどん出してもらって、そういうようなものを積み重ねたりしていこうじゃないかということで話を進めておるわけでございますが、まあ自重計の問題にいたしましても、あるいは過労の防止のための仮眠所の設置等につきましても、今後大いにそういうようなものは私はふやしていかなきゃならぬと思っております。また、ふやしていこうと思っております。自重計の改良等についても、おまえたち一つもやってないじゃないかと言うから、やっているかやってないか、あんた方もひとつ参加してやってくれということで、委員会にも参加してもらいまして、大いに知恵も出してもらい、また推進もしてもらうというようなこともしたわけでございます。この御指摘の問題は、これは総理府に交通安全対策室というものがございまして、これを中心に取り締まりの面もやらにゃいけませんし、そういう改良の面もやらなければいけない、いろんな総合的な複数の積み重ねでそういうものを征伐していかなきゃならぬわけでございますから、御指摘のような点につきましては、総理府の交通安全対策室、その室を中心にするわけでもございませんが、総理府を中心にしまして警察庁あるいは建設省、私のところはもちろんのこと、ひとつ十分連絡をとって、そうしていま御指摘のような点につきましても、改善するものは改善し、また調査するものは調査しまして、今後努力をしてまいることをいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/27
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028・中村波男
○中村波男君 制度的には総理府の交通安全対策室が総括的に行なうことになろうかと思いますが、運輸行政の担当省として運輸省からもひとつ強くそういう点を合議されて、ぜひひとつ実態調査、さらにこれらの対策を積極的にお進めいただくように強く要望をいたしておきたいと思います。
労働省、おいでいただいておりますね。この機会にお聞きしておきたいと思うわけでありますが、労働基準法によって、路面運送における労働時間及び休憩時間の規律は、一九三九年ILO第六十七号条約をもって決定されておりますが、わが国においてはまだ批准が行なわれておらない、はなはだ私たちは残念だと考えております。しかし、昭和四十二年労働省より「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」といういわゆる二・九通達が出ておりますね。しかし、指導は出されておりまするけれども、実作業という労働時間の最高は押えられても、連続運転時間についての規制、並びに一日における最少休憩時間は明確にいたしておりません。したがって、まあ時間がありませんから、私たちとして法改正に望みます点を指摘をいたして質問をいたしたいと思うのでありますが、一般道路にあっては四時間、これはハンドルを持たない労働時間を含むわけであります。高速道路にありましては二時間。一日の最長運転時間は十時間。この程度の労働、トラックの運転労働者の労働時間というのは適切なものではないかというふうに考えておるわけでありますが、これらの点について御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/28
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029・岸良明
○説明員(岸良明君) ただいま御指摘になりましたILOの勧告、これはこの二・九通達を制定する際にも十分考慮をいたしております。ただ、わが国の実情からいたしまして、やはりILOで定めます六十七号条約の批准はなかなか一挙には到達ができないということで二・九通達にあるような規制をいたしておるわけでございます。御承知のとおり、この二・九通達に定めております準則は、基準法で定めます準則よりもそれを上回っておるものでございまして、この二・九通達の改善基準というものを何とか順守をさせるようにわれわれ行政の上では重点として非常に努力をしております。ただ、残念ながら、この二・九通達の改善基準ですらなかなか実現がしにくいという実情でございまして、特に本年度におきましては、従来の経過にかんがみまして、路面運送、道路運送事業については、重点としてさらに監督、指導を強化してまいりたいと、かように思っております。
なお、先生の御指摘になりました連続運転時間という問題については、これは過般の国会におきましても御質問がございましたし、また全交運のほうでもそういうような御要請もありまして、できるだけ早い機会、特に本年度中のできるだけ早い機会に実態を確かめまして、その上で何らか必要がありまするならば改善をしていきたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/29
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030・中村波男
○中村波男君 いま御説明があったように、この二・九通達すら実行されておらない。実行されておらないどころか、実態というのはこれにほど遠いものだという、こういうことを労働省みずからもお認めになったわけでありますが、そういう実態に立ちまして労働省、もちろん運輸省は申し上げますまでもなく、警察庁等で、いわゆる取り締まりの面あるいは行政指導の面でさらにトラック労働者等の労働条件が向上するように、また過労、過積み運転等によって事故を引き起こすのを最小限に防止できるような格段の措置をひとつ今後相携えておとりいただくことを強く御要望申し上げまして、まだまだお聞きしたいことがたくさんあったわけでありますが、時間等がないようでありますから、自動車に関する問題については一応質問をこれで終わって、次に一、二お尋ねをいたしておきたいと思うわけです。
徳永運輸大臣に特に要望したいと思うのでありますが、田中総理の功罪についていろいろ評価はあると思いますが、私一つだけ、赤路線を撤去するという問題が強く日程にのぼってきたわけでありますが、日本列島改造論とのかみ合わせにおいてこれが大体影をひそめた。基本方針は変わっておらないかもわかりませんけれども、具体的には動いておらない。このことは歓迎をしますし、赤字路線だから撤去するなどということは絶対にやめてもらいたいというふうに思うわけでありますが、それはそれとして、いわゆる石油危機を契機に省資源的な政策転換というのが強く求められておることはこれは与野党問わず一つだと思うわけであります。そういう面からいいましても、やはり鉄道が見直されてきましたし、また鉄道輸送というものに重点を移さなければならぬと、こういうふうに考えるわけであります。時間がありませんから、いろいろ私は私なりにお尋ねをしたいことがたくさんあったわけでありまするけれども、簡単に質問をいたしてみたいと思うわけでありますが、合理化の一つとして貨物駅の集約化がどんどん進められておるわけであります。ここに、これは岐阜県の越美南線と明知線について、農業団体あるいは地方公共団体等からたくさんな要請書が私のところへも送られてきておるわけであります。
そこで、具体的にお尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、越美南線については全部貨物駅を廃止する、いわゆる貨物集約化を行なうわけであります。したがって、農業用資材等、時期的に大量輸送を必要といたします物資については、昨今の石油事情から自動車輸送に限定依存することは、不測の事態に農業用生産資材の供給に支障を来たすので、ぜひひとつ貨物の集約化については、全部とは言いませんから、越美南線に例をとりますならば四カ所ぐらいは残してもらいたい、いままでどおり置いてもらいたい、こういう強い要望が出ておるわけであります。したがいまして、ぜひひとつこの実態を御調査いただきまして、運輸省としても御検討をいただけないだろうか。また、国鉄からも御出席をいただいておりますので、国鉄の方針は方針として進めていらっしゃるようでありまするけれども、再検討を願いたい、こういう意味で御質問を申し上げるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/30
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031・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 赤字路線の問題につきましては、四十七年度には相当の大規模なぶった切り計画を立てたわけでございますけれども、その後のいろんな情勢等の変化によりまして、これはやはり赤字だからといってすぐ廃止するというわけにはいかないと思います。地元の皆さん方とよく御相談し、それにかわってこの輸送機関というものが確立されなければ、これは軽々にやるべきではないということがただいまの方針でございまして、自動車等の代替輸送機関というものの整備を待って地元の皆さん方とも御理解の上でそういうふうな方法をとっているわけでございます。
それから鉄道の省エネルギー、省資源の輸送機関としての将来にになう分野でございますが、これもお説のとおりでございまして、一番効率的なものはもう鉄道でございます。中長距離それから都市における旅客の運送等につきましては鉄道等を十分利用していかなきゃなりませんし、これがためには、いままで公害の問題あるいは省エネルギーの問題等につきまして、やややはり考えをこれにつぎ込む力が薄かったんじゃないかと思われるわけでございます。経済企画庁におきましても、社会経済基本計画を一応見直そうというような動きもあるようでございます。私どもといたしましても、総合交通体系をこの際一ぺん見直してみたいということで、ただいま審議会に諮問をし、お願いをしているところでございます。この点につきましては全く同感で、今後もそういう面の開拓と申しますか、この分野の確立というものを急ぎたいと思っております。
それからいま具体的な問題で、それはそれとして、貨物駅の集約化をやっておるということでございますが、これは合理化の一環として実はやっているわけでございます。できるだけその推進をはかっていく考えではございますけれども、これはまた反対側に、利用者の利便の影響というものが裏側にあるわけでございまして、その実施にあたりましては、地元の関係者とも十分意思の疎通をはかって、強引にもう私のほうはこれでやめますというようなわけにはまいらぬと思います。その点は十分皆さん地元の利用者の方々の利便も考え、またお話し合いの上でそういう方向に進んでまいりたい、これが基本的なものの考え方でございます。
なお、具体的なことにつきましては事務当局からお答え申し上げさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/31
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032・丸尾和夫
○説明員(丸尾和夫君) 事務的なことにつきまして若干お答えさしていただきたいと思います。
越美南線は、四十二年当時の貨物輸送量は年間で十三万三千トンございまして、四十七年度三万五千トンになっておりまして、大体一日百トン程度を輸送しておるわけでございまして、現在、先生おっしゃいましたように越美南線で五駅の貨物扱いをやっております。それで道路状況は、先生御承知のように国道の百五十六号線が大体並行して走っておりまして、これは越美南線のほうは美濃太田のほうに曲がっておりまして、それから高山線と一緒になって岐阜駅へ入っておるわけでございますが、国道百五十六号のほうは直接岐阜のほうに入っておるということでございます。それで岐阜駅は、御承知のように東海道本線の主要駅でございますので、貨物の改良計画もございまして、現在でもコンテナの急行列車が一日上下三本、それから車扱いの地域間急行が三本停車して荷物を速達いたしております。
貨物集約いたしますと、近傍の駅から荷物が手軽に出ないということがございますが、一方東海道線の主要駅へ出しますと非常に早く着く、あるいは便利になる、本数も多い、高山線をぐるっと回っていくよりいいという便利な点もあるわけでございます。しかしながら、大臣も御答弁されましたように、いろいろ現地には現地の特別な事情がございますので、国鉄といたしましても、よく荷主、住民の方とお話し合いの上で御理解を得て実施していきたいと、こういうことで管理局を指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/32
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033・中村波男
○中村波男君 時間に協力をせよという理事からの要請がありますから、まだいろいろお聞きしたいことがたくさんあったわけですが、もう一点だけ御質問をし、私の考えておりますことを指摘して、質問を終わりたいと思います。
それはいわゆる合理化の名によって国鉄がどんどんと無人化駅がいまふえつつあるわけであります。大臣も御存じだと思いますが、無人化駅になりますと、駅は管理が全くといってよいほどされておりませんから、ガラスは割れほうだい、便所等は全く衛生的にも付近の住民から非難を受けておるわけであります。また、火災等の上からも、あるいは治安の上からも、がらんとしたいわゆる駅の廃止になった建物が残骸をさらしておる。そういう上に立ちますと、何とかこれを十分管理することを考えるべきじゃないか。それから管理と同時に、せっかくの施設でありますから、これを遊休施設としてほっておくのでなくて、公共団体等に希望があれば貸す、そして活用する、あるいはその駅舎等を国鉄職員の住宅等に転用する。いろいろ私は知恵をしぼれば、いまのような全く残骸をさらけ出してほっておくような状況から、活用の方法は幾つかあると思うのでありますが、そういう点についてほとんど私は手が打たれておらないのじゃないかという感じがいたしますが、運輸省としてどういう指導をされておるのか、これは国鉄はどう対処をされようとしておるのか、この機会に承っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/33
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034・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 無人化駅なんというのは実はつくりたくないわけでございますし、また国鉄につとめていらっしゃる方も、やがては赤い帽子をかぶれるというのが一つの希望で、一ぺんかぶしてあげたいというのは、これはみんなの気持ちだと思うのですけれども、なかなか経営の面その他の面でやむなくこういうような状況をたどっているわけでございます。
無人化駅の管理につきましては、もよりの駅から行っていろいろやらしておりますけれども、御存じのようにガラスは割れほうだい、便所は詰まりはうだいというようなところも多いだろうと思います。しかしながら、地方に活用さしたらどうか、全く同感でございまして、何か活用の方法があれば、いろいろな使い方があるだろうと思います。そこで商売をやるということになりますと、これは家賃もちょうだいせなければいかぬようなことになるかもわかりませんけれども、公共の用に使うというようなことならば、これは私どもも大いに協力してお話し合いを進めていきたいと思っております。まあいろいろな使い方があろうと思いますから、この点については御指摘の点を十分受けまして今後もそういうお話し合いを進めてまいりたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/34
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035・中村利次
○中村利次君 この法案は、一つには、沖繩の復帰後日米両国で分担をしていた航空交通管制を今月の十五日午前零時からすべて日本でやるということになって、那覇航空交通管制部を置こうということでありますから、これは当然と言えば当然のことですが、まあまあけっこうなことだと思います。しかし、これは問題はまだいろいろあると思いますね。
まず、やはり運輸省としてこれはたいへん力を入れてもらわなければならないのは、いままでもたびたび指摘をされてまいりましたように、管制官の養成がどうも十分でないというのは、これはもう常識のようでありますけれども、管制官の養成についてどういう対策をしていくのか、これ、やっぱり一つの問題だと思う。あるいはまた、たとえば十八空港の完全な復帰ですか、そういう方向についての努力、計画というのも一つの大きな課題だという気がします。それからもう一つ、これは安全上からいいましても、管制業務が日本に全面的に移管をされた、けっこうでありますけれども、しかし、空港そのものの利用は米軍及び自衛隊、それから民間というぐあいに、まさに雑居の実情にありまして、中でもその民間は、たいへん土地も狭いし、格納庫の設置すらどうもなかなか困難であり、したがって、そういうぐあいですから航空施設にしても非常に貧弱にならざるを得ない。安全上についても、これはやっぱりどうするかといういろんな課題があると思うんですよ。ですから、私はこれは一つ一つ実はこまかくお尋ねをしたいと思うんですけれども、いろいろ時間の制約等もございますので、一括してそういう点についての運輸省の対策というものをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/35
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036・後藤茂也
○政府委員(後藤茂也君) お答えいたします。
御指摘のように、今回御審議をいただいております沖繩に新たに航空管制部を設け、従来米軍がやっておりました航空路管制業務を引き継ぐといたしましても、過去二年間に運輸省航空局といたしまして、いろいろとそのための準備をしてまいりましたし、また従来米軍にまかせきりであった沖繩地方の空港、それから航空保安のいろいろな設備、それからそれを運用するための人間というものにつきましては、今後とも運輸省といたしまして極力整備をはかっていかなければならない余地が多々あると存じております。御指摘の管制官の人的、質的な拡充という点でございますが、これは沖繩の今回新たに設置をお願い申し上げておりますセンターの要員につきましては、人数はもとより、それに必要なレーダーによる航空路管制の技術の習得につきまして、過去二年間米国政府の協力もありまして予定どおり着々と進みまして、ただいまのところ五月十五日にこれを米軍から引き継ぐにつきましては、十分な人数とそれから必要な資格というものを備えた人たちがそろえられるという状態にまで立ち至っております。
ただ、沖繩のみならず、日本全国に配置されます管制官全体といたしましては、今後とも私どもは必要な人数を確保し、かつ必要なさらに近代化された装備を各所に整備をいたしまして、それに応じた技量を習得した人たちを配置しなければならないと思っておりまして、すでに別の機会に御説明申し上げましたけれども、私どもは全国に八つのレーダーを置きまして、全幹線空路をレーダーでカバーをして、かつそれを電算機でつなぎまして、情報処理システムを導入した上での近代的な管制組織というものを沖繩を含む全国に整備をいたします計画を持っております。これを実現いたしますには、単に人数だけでなく、いまではまだ十分に習得しておりません技術を習得をしたいわば質的な管制官の向上ということが今後の課題になるのではないかと思っております。
問題をまた沖繩地区に戻しまして、空港あるいは保安設備について申し上げますならば、二年前に米国から返還をされました時点におきます沖繩の空港は、ICAOの標準あるいは日本の国内法というものに照らせば、大部分の空港が安全上の立場から見て十分な空港としての設備を有していないものでございまして、いわばもしそのような空港が新たに日本の国内のどこかに設置されるとすれば、たちまち航空法によって私どもが許可することができないような状態の空港が多々ございました。この二年間に運輸省航空局がいろいろ努力してまいりましたのは、それらの空港を、日本の基準、言いかえれば国際的な標準にのっとった、より安全ないわば世界的な水準に一応かなった空港にやり直すということでございまして、過去二年間の私どもの努力は主としてそのような方向に向けられてまいりました。また同時に、米軍からこの航空路管制業務を引き継ぎいたしまして、従来米軍が使っておりましたレーダーその他の施設はすべて——すべてとは申しませんが、大部分はそれは米軍が適当に処理することといたしまして、わがほうはわがほうの予算で、沖繩の航空保安、管制のための各種の施設というものを新たに設備をいたしました。これもまた物価の高騰、材料の不足、いろいろな条件がございましたけれども、幸いにして五月十五日には全部日本の航空局によって航空路管制を行なうについて必要なだけの設備が完成しております。今後とも沖繩のそれらの施設につきましては、全国的な整備の一環といたしましてさらに整備を進めてまいる必要があると存じております。
とりあえず先生の御質問に対して、きわめて全般的なお答えでございますが、以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/36
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037・中村利次
○中村利次君 たいへんに百点満点のお答えをいただいたんですけれども、私はやはり確かに大勢としてはそれはいろいろな努力が実って、このセンターの要員その他についてはこの二年間の準備が生かせるようになったんだという点については何ら疑いを差しはさみませんけれども、しかし安全上も、まあ空港の基準そのものにもいろいろ議論もありましょうけれども、十分であるかどうかという点についてはこれは大いに私は疑問があるのでして、那覇空港にしても、沖繩のその他の空港にしてもですね、やっぱりもうひとつ、今日以降管制業務も今度はりっぱにこちらでやるようになったわけですから、したがって今後の整備ですね、いろいろなものを含めたそういう点の計画、すべてが百点満点になっているのだというお答えで、納得できないものがあるのです。ですけれども、これはいいでしょう、まだ大事なことをだいぶ聞きたいことが一ぱいありますからね。そういう点は、やっぱり今後整備すべきこととして、私は大いに努力をしていただかなければならないと思うのです。
ところで、この沖繩の管制業務が全面的に日本に移管をされた。先ほど、これは新聞で報道されたところによりますと、南西航空が受け持っておるいわゆる航空路の問題ですね。日中航空協定とのからみでどうも通れない、飛べない航空路ができてきたという。南西航空は欠航だか定期便の廃止だか知らないけれども、そういう報道もありまして、これはまあ国会でも取り上げられたようですね。
そこで、これはまあ航空交通管制、沖繩の業務が日本に全面的に戻ってきたというけっこうな事態と、もう一つこれは台湾とも隣接したいろんな航空路その他の問題があるわけですけれども、私はやはり基本的には日中航空協定——これはほんとうはここへ外務大臣も御同席いただいて十分な質問をしたいところですけれども、きょうはまあ外務委員会もやられていますから遠慮しましたが、この日中の航空協定というのは、これはもう各党がこぞって賛成の立場をとっておりますし、国益上からいってもまことにけっこうだということになっておりますし、私どももこれは大歓迎です。ところが日台路線が、日台航空路というのがこれは廃止の羽目になったんです。これは私は自然の成り行きでそうなったというなら、これは政府もこれをどうするかという対策というのがそれなりに生まれてくるのでありましょうし、われわれにもまたわれわれの主張があるわけです。
ところが、まことに遺憾なことは、それも与党の中からこの外交交渉のまっ最中に国際的な日本の信用を失墜するような形で機密事項が暴露をされ、そのことが、私は知りませんけれども、新聞に報道されるところによりますと親台派だといわれる人たち。私はこれはどうも納得できないんですがね。親台派だったら台湾の少なくとも感情をさかなでするような、あるいは中国人というのは非常にメンツを重んずる民族性を私は持っていると思うんだけれども、このメンツをまさに全く踏みつぶすようなそういう形でああいう外交上の機密が暴露をされて、結果してこの台湾のメンツが全く立ち行かない形で、その結果が、これは政府の方針であったと思うんだが、この日中航空路線というのは政府間でやると、日台は民間協定によってやる、そういう少なくとも政府の方針もまさにこれは崩壊してしまったわけでありますけれども、これを国会で取り上げられた大平外務大臣は、これはもう党内のことなんだからということをおっしゃっているようですけれども、とんでもない話でありましてね、私に言わせると。断じてこれは一党間のことではありません。国威を失墜し、国の方針というか政策をおかし、国際的な国の信用を失墜し、それからやっぱりこれは問題があるのかないのか知らないけれども、台湾のメンツすらまるつぶしにして、それが党内のことでありますなんというのは私はこれは論外でありましてね、これはもう十分聞きたいところですけれども、これは運輸大臣に迷惑かけても——あなたには関係ないんだから……。
しかし、まあそういう実情になっていることはこれは疑いのない事実です。その上に立って、私はやっぱり日本の運輸行政、航空路線というものが、これは迷惑であろうと何であろうとまあそういう実態がここに起きてきた、その上にどうするかということがあると思うんですけれども、いかがですか、その航空路線についても、直接の被害なんていうものはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/37
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038・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 非常に機微な御質問で、いろいろ御批判をちょうだいしたわけでございますが、それに対しまして私からのこの御批判の取り上げ方というものにつきましては、この際まことに申しわけございませんが、ひとつ御遠慮させていただきたいと思いますけれども、この問題、この日中政府間の航空協定の締結によりまして南西航空の運航に支障が来たしているんじゃないかという点につきましては、今度米軍からこの沖繩FIRを引き継ぐにあたりまして、運輸省といたしましても台湾政府に対しまして、台湾側に対しましていろいろこのお話し合いを進めております。したがいまして、係官も、これは日中協定とは切り離しまして、純技術的な問題でございますから係官を二名台北に派遣いたしました。そして向こうの管制官との間に、いろいろなこちらの要望事項等も述べ、そうして今後そういう問題に支障のないようなひとつ運航をしたいということで話をしておるわけでございます。台湾側にいたしましても、この問題は政治的な問題じゃないということで十分理解を示してくれまして、私どもの考えといたしましては、今後不安のない安全なる航空ができるというふうに考えております。
なお、最終的な取りきめと申しますか、お互いがきちっとした取りきめ等につきましては、これは外務省を通じまして、いま鋭意その努力をしているところでございます。しかし、実際的な運航というものについては、いまのところ差しつかえはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/38
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039・中村利次
○中村利次君 これはもう一回私は確認をしておきたいと思うんですがね、大臣の御答弁の中にもございましたように、この那覇の航空交通管制部の役割りを完全に果たしていくためには、これは全く政治とは関係のない、隣接のやはり日本以外の管制部との、何といいますか、合意、航空路等についての合意その他が飛行機を飛ばすには必要ですね。そういう点については台湾側も、これは政治的とは全く関係ないという立場を明確にとって、そして今日以降も何ら支障はないと、こういうぐあいに受け取ってよろしいですか。もう一回確認をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/39
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040・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) なお、技術的な問題でございますし、詳細につきましては航空局の次長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/40
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041・後藤茂也
○政府委員(後藤茂也君) 御説明いたします。
まさに日本が引き継ぎます那覇のFIR、その隣に台北のFIRがございまして、この那覇のセンターと台北のセンターの間の緊密な連絡なしにはこの間を飛行する航空機の安全というものは保たれないわけでございます。また事実、ただいまの時点では台湾当局の四月の二十日の措置によりまして、台湾の航空機は日本のFIRに飛んでこないことにしておりますし、日本の航空機も、ただいま御説明申し上げた南西航空の与那国フライトは別といたしまして、香港、バンコクに飛んでいく飛行機は台北FIRに入らないことにしておりますから、それ以外の第三国の航空機がこの間で飛行を今後とも続けていくわけでございまして、その飛行機の安全について、航空の安全につきましては、新たに引き継ぎます日本の那覇のセンターの職員、台北のセンターを預かって運用しておる台湾の人たちとの間の緊密な連絡が必要であることは申すまでもございません。大臣から御説明申し上げましたように、すでにそのことにつきましては専門家同士の接触がなされておりまして、私どもが聞きます限りでは、わがほうも、また相手方の人たちも、そういった現在起こっておりますような政治的な特殊な環境というものとは全く別に、空の安全の問題をお互いにやっていく人たちの間の話として、そのような雰囲気のもとに話が進んでおるというふうに承知しております。私どもの感触といたしましても、五月十五日日本が引き継いわあとのその問題の境界線を、とりあえずは第三国の飛行機だけが飛ぶんでございましょうが、それらの航空機の航空の安全については心配する点はないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/41
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042・中村利次
○中村利次君 これはほかにもいろいろな問題がありましてね、この日台路線の廃止によって一番大被害を受けるのは、あれはチャイナエアラインと言うんですか、向こう側の、これは相当壊滅的打撃を受けているという話ですけれども、これはまあ外国のことですからね。しかし、少なくともその会社の日本人の従業員が日台路線の廃止によって解雇をされた、被害を受けたという事実もありますね。それからもう一つは日本側の、日航の、日台路線の廃止によってやはりこれは人の問題も出てくる。それから日航の営業売り上げに影響するのが百何十億とかいわれておるんですね。これはもちろんそのものが何も利益にそのままつながるわけじゃありませんから直截にこれをとるわけにはいかぬでしょうけれども、しかし、少なくともそういう私が冒頭申し上げたような経過で今日のそういう従業員等の被害があり、あるいは犠牲者が出、あるいは日本の航空行政にも影響があったという事実は否定できない。こういうものに対する対策をお考えになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/42
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043・後藤茂也
○政府委員(後藤茂也君) まず、問題を二つに分けて御説明申し上げます。
中華航空は四月の二十日の台湾当局の新しい措置に基づきまして日本に向けての運航を停止いたしました。また、同時に日本にございます事務所の閉鎖ということを決定した模様でございまして、その結果といたしまして、台湾の中華航空に日本で雇われておりました従業員の人、いわば本社採用でまた台北に帰るような身分の人は別といたしまして、百五十名あるいは百六十名とも聞いておりますが、これらの人はすでに雇用関係はなしというふうに通告を受けておるというふうに承知しております。また、逆の関係にございます日本航空の台湾におきます店舗なり従業員につきましても、台湾当局の話もありまして現在は営業活動を停止し、そして職員の大部分につきましてはすでに雇用関係を打ち切って、現地採用の人でただいまのところまだ三十九名だけ、なお残務整理のため雇用を継続しておる人が台湾におるようでございますが、いずれにいたしましても、日本航空の台湾における台湾の人の従業員、台湾の中華航空の日本における、日本という現地で採用した従業員の人たちの雇用問題というものはまさに断たれようとしているのが実情でございます。これらの人々につきましては、特に日本における台湾の中華航空に雇用されて、今度雇用関係が断たれそうになっている人たちにつきましては、私どももいろいろとお話を聞く機会を持ち、それぞれの人の立場というものをいろいろとただいま伺いながら、何とか気の毒な目にあっている人たちについての方策が立たないかということを私ども関係官庁とも相談しながらいろいろと検討中ではございます。
ただ、この日台路線につきましては、先ほどから先生もいろいろとお話がございましたけれども、私どもの悲願は、いろいろとむずかしい問題はございましょうけれども、日本と台湾の間に日本及び台湾の飛行機が再び飛ぶような事態を持ってくるということが実は最も望ましいというふうにひそかに考えているのは事実でございまして、そのような悲願を片方に持ちながら、そのために必要な人たちというものを結果的には散らしてしまうような結果になるような対策というものをもしとるとすれば、それは私どもとしては、いまこの段階ではそこまで踏み切れる境地に立っておりません。いろいろとこの人たちの将来の処遇につきましてはむずかしい問題がまだまだあると思いますけれども、私どもはいろいろと一人一人の、あるいは代表者の人の話を聞き、事情を聞きながら、どんなことができるかということを検討中であるということは御説明できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/43
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044・中村利次
○中村利次君 検討中ということはこれはけっこうですし、ぜひまた検討をしてもらわなければならぬですがね。たとえば、こういうことですよ。沖繩が日本に復帰をした、そこでやっぱり米軍基地に働いていた労働者の皆さんは失業をした、現実にそういうことがありましたね。いまだってやっぱりこの基地の縮小なんというものはこれは国民の願い。したがって、これが縮小されていくと失業者か出る。特に沖繩の場合は特殊な事情だということで手厚いか手薄いか知らないけれども、とにかくやっぱり離職者に対する特別の対策というものをやりましたよね。それから日ソ漁業交渉等でも、被害が出ると、その働く人たちに対してはそれなりのやっぱり対策というのをしておる。これは明らかに、どうも私が先ほど申し上げたように政府自体もまことに心外であったかもしれない。つまらないそういう暴露なんかやられて、何か政府の方針とどうも阻害されたわけですから。
しかし、事はどうあろうとも、やっぱりそういう一連の政治的なもの、行政的なものが、チャイナエアラインの日本人従業員が職を失ったという事態を生んだことは間違いない。あるいは日本航空の台湾従業員の人たちはやっぱり解雇されたことによって何か条件闘争をおやりになっておる、条件をお出しになっておるということを聞いておる。こういうのも、何というのですか、形は変わっても一つのやっぱり被害ですよ。そういうものに対する対応、対処というのが、対策というのが、検討はけっこうでありますけれども、やっぱり対処する姿勢として、いや、それはまあどうも行政の役割りではないから、いろんな何か対処をしますけれども、あくまでもこれはわれわれの責任ではありませんというような対処のしかたをされるのか。あるいは、そうじゃなくて、いま言うような沖繩の米軍の離職者に対しては、これは具体的に行政サイドでの金の裏づけのある対策というのが講じられた。ほかにもそういうものが一ぱいある。そういう基本的な姿勢がおありなのか。きょうはそういうあれについてのはっきりした答弁はむずかしいですか。その基本姿勢、これは大臣からひとつ基本姿勢をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/44
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045・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 基本的にはやはり労使間の問題だろうと思いますけれども、いまおっしゃったようなもろもろの問題がこれには複雑にからんでいるわけでございます。したがいまして、先ほども次長が申しましたように、将来の願望は願望といたしまして、関係のそれぞれの方とも十分連絡をとって、そういう方々の問題の要望解決のためには私どもも今後努力をしてまいりたいと、かように考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/45
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046・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、戸叶武君、鈴木強君、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として村田秀三君、森勝治君、横川正市君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/46
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047・中村利次
○中村利次君 どうも質問が半分も終わってないんで、何かまことに恐縮しちゃってぐあいが悪いんですが、できるだけ縮めてやりますけれども。
漏れ承るところによりますと、日台航空路線の廃止のあとも、たとえば日航は台北に営業所を置いておるでしょう。そして何というのですか、貨物あるいは旅客等をとって、そいつをたとえばキャセイ航空みたいなところにあっせんをするという、そういうことをおやりになっておるとか、あるいは、やるとかいうことを伺っておりますけれども、そういうことなのかどうか、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/47
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048・後藤茂也
○政府委員(後藤茂也君) いま先生がお述べになりましたような事実につきましては、私どもはただいま全く関知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/48
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049・中村利次
○中村利次君 それでは、それは関知しないということは、そういうことがあるかもしれないけれども、あっても別に運輸省の関知するところではないと、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/49
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050・後藤茂也
○政府委員(後藤茂也君) やはりこの日本と台湾の間でいま不幸にして断絶をしております航空サービスを、日本と台湾のそれぞれの飛行機が再び飛ぶように持っていくためには、これは非常に高い次元での台湾とわが国との間の関係を解きほぐすことから始めまして、ずっと苦労をしなければ事はならないことだと考えますし、やはりそういう微妙な段階でこまかい小手先細工のことを飛行機屋の部面でがたがたしてみたって、それはあまり基本的な将来の大局的な成功のためには益がないのではないかというのが、いま御指摘になりましたような問題についての航空局の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/50
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051・中村利次
○中村利次君 これは一歩進めますと、たとえばチャーター便の割合というのは非常に高くなっていますよね、これは全般的に言って。ですから、これは日台間でとらえられておることはですね、あくまでもこれは政府間というか、政治というか、国の政策というか、この政治的なものに関してよけいなことをする人がいてメンツをつぶされている。おそらく私は、そういう日本のこれは政府も当然そうですけれども、まぎれもなく中国は一つであるという立場をとっているわけですからね、
これはもう全然関係ない、そういうことになる。しかし、とにかくまあ日本と台湾の間にこの航空路線があったという事実はこれは厳然たるものでありましてね、そしてそれで台湾も日本もやっぱり利便があった。できればそういうものはどういう形にしろ——まあ政治的に政府間のものはだめである、それなら民間で、そういう路線というのは残しておこうという、こういうものがもっと高次元で考えられるとすると、いわゆるチャーター便が何かお互いそういう政治的なものは完全に離れた形でもしやられると仮定をしますと、そういうことに対しても、いまのお答えどおり、運輸省としてはそうそいつをいいとか悪いとか論ずるつもりはないというあれですか。しかし、これはまあ航空行政に無縁ではないわけですから、やっぱりそういう点のことも私は心がまえとしては伺っておかなければならぬと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/51
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052・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 台湾側から、自分のほうはそちらに飛ぶことを停止するから、日本側からの乗り入れもやめてくれと、こういうことにいま相なっているわけでございます。したがいまして、これから先どういうふうなこれが動き方をするかということは、私どもといたしましては、いままでよりも、より安定した形で民間の取りきめによってこれの運航をはかりたいというこの願望は終始変わらないものでございます。したがいまして、いまお話しになりましたような形というものがどういう機会にできあがるかということは、ちょっと私いまここでお答えする考えを持たないわけでございますが、いずれにしましても将来はやはり大きな需要、また経済的な大きな関連が残っているわけでございますし、中国側もこの点については異論のないことでございますから、民間取りきめによりまして安定した航空路の復活を努力したい、こういうことでございます。それ以上のこまかい具体的な問題になりますと、これはいまから先の道行きもございましょうし、いろいろな問題があると思います。このぐらいのお答えでひとつ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/52
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053・中村利次
○中村利次君 これはね、ぼくはほんとうはもっと聞きたいんですよ。ですけれども、きょうはまあ時間も協力せいということのようでありますから、ですから最後に、きわめて最近、私は石垣島の知人から、あそこへ、何というんですか、近くに下地島というんですか、あるんだそうですね。そこへ空港ができるのだと、そういうことを聞いたんですけれども、これも相当私は時間をかけてお伺いをしたいんですが、ほんとうはどういうようなものか、それからずっとこう伺っていきたいと思ったんですけれども、どうやらやっぱり、何というんですか、訓練用の空港だということであり、地元のほうでも、むしろムードとしては歓迎的なムード、これは将来どうなるかわかりませんよ、歓迎的なムードがあるように聞いたもんですから、どういういきさつで、どういうものをおつくりになり、それからそこへの人員配置等、そういう計画が現在おありになるかどうか。まあしかし、地元の人がそういうことを言っているぐらいですから相当これは具体化しているようですね。
それと、やはりもう一つは、何といっても離島対策なんというものはいろんな面でむずかしい。そういう離島対策の一環としてのそういうところへ人員配置をされる場合の処遇と、福利厚生等を含めた、これはそんなのがあっちこっち至るところで同一ケースのものが議論の対象になっておりますので、そういう点、ほんとうは相当時間をかけて質問をしたかったんですが、これは問題提起みたいなことになりますけれども、現在答えられる範囲内でひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/53
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054・隅健三
○説明員(隅健三君) 下地島の訓練飛行場につきましては、これは宮古島に近接いたします下地島でございます。これは四十二年の十二月に、航空会社の大型ジェットの訓練飛行が非常に地点が少なくなりまして、これをいろいろの地点で適当な地をさがしておりましたところ、やはり沖繩というところに最適な候補地がある。また一方では、沖繩の開発に資するところも多いということでございまして、四十四年に琉球政府の誘致の基本方針が決定いたしまして、最初は日本政府の援助金で四十六年から始めまして、現在土地の買収をほぼ終わりまして用地造成にかかっております。この空港は沖繩県の設置管理にかかわる空港でございまして、将来の運営形態、人員の配置につきましては、沖繩県がいろいろ御検討になってきめるわけでございますが、現在のところ航空局、沖繩県、航空会社からなります連絡会議を設けまして、空港の整備、訓練計画、運用の方針を検討いたしております。また、沖繩県といたしましては建設局を設置いたしまして、当方からも沖繩県に対しまして人員等の供出の協力もいたしまして、また整備費の予算も四十九年度は二億九千三百万を用意をいたしまして、現在整備中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/54
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055・中村利次
○中村利次君 これは後ほどまたいずれ伺うことにして、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/55
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056・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
運輸省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/56
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057・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/57
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058・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
午前から引き続きました審査はこの程度にとどめ、午後一時四十五分再開することとし、休憩いたします。
午後零時四十五分休憩
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午後一時五十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/58
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059・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
中小企業庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/59
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060・中村利次
○中村利次君 提案理由の説明によりますと、中小企業庁の中に小規模企業部を設けて、きめのこまかい中小企業対策をやっていきたいと、こういう趣旨のようであります。
そこで、いろいろ問題はあると思いますけれども、まず、中小企業の定義ですね。これは、資本金の面から、あるいは従業員数の面から、いろいろのとりようがあるようですけれども、今度小規模企業部を設けようとされているわけですが、これが設置された場合どういう企業が対象になるのか、まずそれからお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/60
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061・外山弘
○政府委員(外山弘君) 中小企業の定義は、御承知のように、製造業につきましては資本金一億円と従業員三百人以下、それから卸売り業につきましては三千万、百人、それからその他の小売り業、サービス業につきましては一千万、五十人以下ということで定義が一応できておるわけでございます。これは、先般基本法の改正案を国会におはかりいたしまして、昨年の秋に通過いたしまして、そういう定義になっておるわけでございます。その中に小規模企業ということの定義が特に基本法にもございまして、従業員規模二十人以下、これは製造業についてでございますが、それについては小規模企業というふうなことが法文上載っております。これは商業、サービス業については五人以下ということが同じく書いてあるわけでございます。問題は、中小企業と一口に申しましても、中身は非常に多種多様でございますが、その中の、特に基本法でも定義がございまする小規模企業というものに焦点を当てた特別の政策というものも従来からあったことはあるわけでございますが、ただ、何と申しましても、光の当て方が、つまり小規模企業を特に意識した政策が十分であったかどうかということになりますと、必ずしも中小企業政策全般の中でその位置はむしろ最近になってようやく太くなってきた、こういう感じがするわけでございます。今回、いま御指摘のような御質問でございますが、私どもとしましては、小規模企業部を設けまして、特に従来中小企業政策の中でやっていたことではございますけれども、そこに特に意識を置いた政策を集中し、かつ小規模企業に対する配慮をきめこまかくやっていきたい、それには部の増設ということが適当ではないだろうか、こういうふうに判断したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/61
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062・中村利次
○中村利次君 中小企業の対策については、これはもう事あるごとに、政府与党たると野党たるとを問わず、やっぱり問題提起をし、あるいはその対策を求めることになっています。その点、やはり中小企業対策というのはきわめて重要であると思いますが、なかんずく、いまお答えになりましたいわゆる零細企業というもの、小規模企業の対策というものはきわめて重要であることは、これはもう申すまでもないと思います。
そこで、あらためて私はお伺いをしたいのは、日本の産業及び国民生活に中小企業の持つ役割りですね、日本の産業に中小企業がどういう役割りを果たしておるのか、あるいは国民生活にどういう役割りを果たしておるのか。なかんずく、小規模企業部を設けて特にそこに手厚い行政を施していきたいということでありますから、小規模企業部の対象となるきわめて零細な企業の日本の産業に占める役割り、あるいは国民生活に占める役割りという点について、あらためてここでお伺いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/62
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063・外山弘
○政府委員(外山弘君) 中小企業が国民生活あるいは国民経済にどのような面で貢献しているだろうかということでございますが、大きく分けまして、まず製造業の面で申しますと、機械工業等のいわゆる下請企業といいますか、部品産業の製造面の分野と申しますか、そういったところで非常に大きな役割りをしているわけでございまして、そういったものの集積が完成品としての機械工業の成果を高めるというふうなかっこうになっておりますし、また逆に、繊維とか鉄鋼におきましては、原料面は大企業のつくる面が多うございますが、それを加工していくという面で中小企業の役割りは非常に高いわけでございます。そして、そういった中小企業がその分野をになっている製造業の各業種の生産品が、国民経済におきましても、また国民生活におきましても、生産財資本財あるいは消費財を含めまして重要な商品になっているという点が一つ言えるかと思います。もう一つは、今度は流通面のにない手として、生産と消費を結びつけるにない手としまして、卸売り業、小売り業の面でやはり大きな役割りをしているというふうに言えると思います。一口に中小企業と申しましても、その範囲は非常に多種多様でございますけれども、大きく申しますと、そういう意味での役割りが強く指摘できるのではないだろうかと思うわけでございます。
そして、そういった中小企業の占めている分野の中で、御指摘の小規模企業というのは一体どのような地位になるだろうかということになるわけでございますが、これを数字でひとつ申し上げますと、小規模事業者数と申しますのは、一番新しい統計で昭和四十七年の事業者統計がございますが、これが約四百十万ある。つまり、全体中小企業の数が五百十万と言っておりますから、そのいま申しました中小企業の製造業の面で申しますと八一%、これが小規模事業者によって占められるということでございます。つまり、非一次産業の全事業者数という言い方でございまして、製造業ではございませんが、非一次産業の全事業者数五百十万の八一%、約四百十万が小規模事業者であるというふうに数の上では言えるわけでございます。それからさらに、製造業におきまする小規模事業者の付加価値額というのを、これは若干統計が古うございますが、昭和四十五年の工業統計表で見ますと、三兆七千七百億円。このほうは、数に比しますとだいぶウエートが落ちるわけでございますが、一五・三%のウエートを占めているわけでございます。それから、製造業以外の卸売り業あるいは小売り業、特に小売り業の面で申しますと、その数の八割は小規模事業者に属するわけでございまして、全体としまして、売り上げ額におきましても、また数の上におきましても、小売り業におきましては特に小規模事業者のウエートは非常に高い。したがって、先ほど申しました卸、小売り業のになっている国民経済、国民生活に占める役割りという面で申しますと、小規模事業者はその面ではまたたいへん大きな役割りをしている、こういうふうに言えるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/63
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064・中村利次
○中村利次君 おっしゃるとおり、日本の産業経済、国民生活に中小企業の持つ役割りというものは、きわめて私は重要なものがあると思いますよね。ところが、やはりこれはよくいわれますように、大企業がくしゃみをすると中小企業はまさに瀕死の重患になるといわれるように、あるいは、大企業が五%の操短をやると中小企業はまさにもう決定的打撃を受けるといわれるぐらい、どうもやっぱりたいへんに気の毒な立場に置かれていると思うんですよ。ですから、それに対する対策は、やはりそれほど国の産業、国民経済、国民生活に重要な役割りを持っているわけでありますから、したがって、当を得た対策が当然行なわれなければならないことは論をまちませんが、しかし、先ほども申し上げましたように、きわめてやっぱり脆弱な基盤に立っている。
具体的には、去年の十月からの石油危機なんかでは、これはもう容易ならざる事態になって、もう中小企業、特に小規模企業のおやじさんなんかは、あるいは担当者なんかは、操業を続けていくのが容易でなかったという実態がありますね。まず、原材料を手に入れることがもうたいへんなことであって、やっと手に入れたかと思うと、そいつがとても採算ベースに合わないようなたいへん高いものであり、それから将来に向けて受注をしても、受注をしていいんだか悪いんだか、原材料の価格の面と、あるいは確保できるかどうかという、そういう面から、はたして受注をしていいかどうかという、そういう実態すらありましたよね。加えて、石油危機による電力不足の問題が起きてまいりまして、電気事業法の発動による、公権方による削減はことしからでありましたけれども、しかし、去年の十一月からでしたかね、やっぱり五百キロワット以上——これは、五百キロワット以上といったら、もう例外なく中小企業です。この五百キロワット以上の契約の工場等に協力要請という形で電力の節約をしていただく。まさに原材料面と動力面でダブルパンチを食ったわけです。その協力をお願いする一〇%減の対象となる月が、これが十月でしたかね、九月でしたかね、であった。それを対象として、その一〇%減でひとつ御協力を願うということを、電力会社はもうずうっとそれは会社工場を回って協力要請をして歩いた。しかし、これは中小企業にとってはまさに死活の問題ですよね。こういう実態があるんです。
だから、そういう点について、行政の機構を充実をして十分の対策をしたいといいましても、具体的にそういうぐあいになってまいりますと、どういう対処のしかたがあるのか。これは、これから私は質問を続けますけれども、去年の十月以降の石油危機というものは、あのときは中東戦争のあおりを食った量の問題でしたけれども、いまやまさにこれは原油価格の問題になって、たいへんに深刻な問題になっているんですがね、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/64
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065・外山弘
○政府委員(外山弘君) 昨年の秋に入る直前から、若干の物資につきましては、やはり物不定という面で中小企業にかなりの影響が出ておりましたが、中東動乱に基づく石油の問題を契機に、一そうその不足感が、また問題感が強くなってまいりました。昨年の暮れぐらいまでは、もう全く御指摘のように、私どもとしてもいろいろの手を講じながら、何とか中小企業に適切な資材の入手ができるようにという配慮をいろいろ各物資担当局にお願いをいたしまして、努力をしたところでございます。ただ、幸いにも、年を越しました段階から、若干それ以前の状態に比べると緩和傾向が出てきたということから、原材料確保面に非常にウエートの高い中小企業にとっては、やや胸をなでおろしたような面がございました。ただしかし、それが同時に次の問題として価格の問題になってきたことは御指摘のとおりでございまして、その辺がまた今後にどういうふうな影響を与えるかという問題が現在起こりつつあるわけでございますし、今後もその辺をまたよく見きわめなければいけない、こう考えておるのでございます。もちろん、そのほかに、総需要の抑制という面から来る金融引き締め、あるいは需要の停滞、これがもう一つ中小企業に大きな影響を与えております。したがいまして、物の価格面の動向、それから需要の停滞がどういうふうに影響するかということ、この両面を私どもはこれから考えながら中小企業に対するきめのこまかい配慮をしていかなければいけない。まず第一が金融の問題であろう、こんなような立場から今後の状態を注視していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/65
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066・中村利次
○中村利次君 これは容易ならざる事態を、中小企業対策の面でも、そういう事態を迎えておるんです。原油高は、これはどうしてもやっぱり原材料高につながりますし、国民生活にとっては物価高につながるんです。ですから、いまそれは石油製品の値上げをはじめ、電力料金の値上げがもう間もなく行なわれようとし、原油高に見合ったいろんな物の値段が上がって、いわゆる政府の言う新価格体系の時代に入っていくと思いますがね。私は予算委員会でも指摘しましたけれども、国会でかっこうのいいことを言うのは、もう幾らでもできるんです、これは。もう値段を上げるなと。しかし、原油価格が四倍にもなっておるというこの事実ですね、これはもう、それがいい悪いじゃないんです。これは。事実ですから。その上に立って物の価格がどうあるべきかということを国民的に追求するのが政治ですからね。まるっきり木にのぼって魚を求めるような議論が国会でまかり通っているというのは、まことにこれは珍妙であって、そんなことをやっているから政治家はみんなうそつきだなんといって国民に政治不信を問われるんじゃないかと私は思いますけれども、しかしこれは、便乗その他反国民的なことが介在をするからこそ、いろんなひずみ、いろんな問題が起きてくると思います。
中小企業対策にしましても、私は先ほど、石油危機の問題から原材料と動力の面でダブルパンチを受けてひどい目にあったということを申し上げましたけれども、そういう事態は、これはあと二、三年たてばね、今度はもう抜き差しならない形で出てくるんですよ。いまは、たとえば原油高で原材料が高くなる。あるいは、将来どういう価格体系になるか知らぬけれども、その価格体系の定めようによっては、原材料がなかなか入手しにくいという問題も起きるでしょう。こういうものは、これはすべて中小企業にそのしわ寄せがいくことは間違いないんです。中小企業がおかしくなると国民生活がやっぱりきわめて重大な影響を受けることも、これは間違いないんです。ところが、いまのこのたとえばエネルギー不足なんというのは、——まあ原油高の問題はこれは価格の問題ですから、日本だけで解決のできる問題じゃない。これは資源外交を通じて、この間その面での国際会議が開かれておったようです、なかなか思うような解決は容易でないようですけれども、全力をあげてそういうものに期待をして、その中での日本の役割りというものを私は果たしていかなければならないと思いますけれども、しかし一方の、国内における動力源というか、エネルギー源というのか、そういう点については、いまもなおこれは、ある意味では総需要抑制の一環として石油あるいは電力の削減なんというのは現在も続いていますよね。しかし、たとえば電力を例にとりますと、いまは発電所の容量が、電気事業法二十七条の発動によって電力を削減しなければならないという状態ではないはずなんです。夏のピークカットの場合は、これは別にしましてね。まあ公益事業部長もきょうお見えになっている。ですから、たとえばそういう動力源の不足で重大なピンチになったと、もう生存すらもおぼつかないということになれば、油を回して発電所をたけばこれは解決するんです、そういう体制があれば。ところが、あと二、三年、少なくとも昭和五十二年以降については、今度は燃料を幾ら持ってきたって、発電所の容量が足りなくなっちゃうんですからね。私はよくこれは各委員会で具体的な引き合いに出しますけれども、その場合、どんなに中小企業対策に力を入れようとしても、小規模企業に対して手厚い行政上の措置を講じて国内の産業経済あるいは国民生活に貢献をしようとしてもどうにもならないという事態が来る可能性がきわめて強いと、私はこう憂えるんですが、そういう点についてはいかがでしょう。これは公益事業部長もいらしていますから、公益事業部長からもお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/66
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067・岸田文武
○政府委員(岸田文武君) いま先生の御指摘になりましたこれからの電気の需給の見通し、私どもとしては非常な心配を持っておるところでございます。これからの先行きの電力需給の想定は、いろいろの見方はございましょうが、国民生活の向上に応じまして、従来見られたような大体年率一〇%程度の電灯需要の伸び、これはやはり必要であろう、また、そういう国民生活の向上の裏づけとなる産業用の電力需要、これは、従来よりはある程度伸び率は下がってもやはり相当程度の伸びは期待せざるを得ない、こういった需要面の見通しに対して供給面がマッチできるかどうか、ここ数年の発電所の建設の状況を見ますと、御指摘のように幾多の心配な点がございます。現在までに電源開発調整審議会で承認を得た発電施設のみを前提として今後の需給想定を立ててみますと、大体五十一、三年ぐらいからもう予備力ゼロあるいはマイナスの状態になるであろう、私どもは正常な予備率といいますのはやはり八%ないし一〇%必要であろうということを従来の経験から考えておりますが、こういった適正な予備率を割ることはもちろん、むしろ逆にマイナスになるという懸念を持っておるところでございます。したがいまして、私どもとしては、ここ数年が電源開発の一番大きな山であるというふうに考えられます。と申しますのも、発電所の建設は火力の場合で三年、原子力の場合であれば五年、あるいは原料手当ての問題を考えればもっと先から準備が必要でございまして、こういったことを頭に入れながら、ここ数年電源開発の整備ということについては全力をあげて取り組まなければならない時期に来ておるように考えておるところでございます。今後の産業のあり方についても、一方ではやはり省エネルギーということを頭に置いた対応策というものが当然必要であることはもちろんでございますが、電気の側におきましても、従来守ってまいりました供給責任というものを今後円滑に果たしていくためには電源開発の整備について特段の力を入れる必要があろうと、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/67
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068・中村利次
○中村利次君 これは、部長おっしゃいましたように、技術的には火力発電の場合は三年、原子力の場合には五年、これは技術的にはそのとおりだと思うんです。ところが、この地点に火力をつくろう、あるいは原子力をつくろうといって想を起こしてからは、少なくとも火力の場合五、六年、あるいは原子力の場合は最短距離でいって八年かかるわけですよね。ですから、アメリカみたいに、たとえば電調審、それから原子力委員会——これは原子力に例をとりますとね。それから環境の基礎調査ですね、環境顧問会なんかでやる仕事、こういうものはアメリカみたいにできる、可能なんですから、パラでやればある一定期間は短縮できます。しかし、いまはこれはもうシリーズですからね、ずっと延ばしていけば、具体的に起こしてから八年ということになりまして、私はここではこう言っていますけれども、これは間に合わぬです。いま現在すでに、いまから国民の皆さんが、これはわれわれの必要とするエネルギーは確保しなきゃならないという立場に立っていそうして各地に必要とする発電所をつくろうということに、かりになったと仮定をしても、いまからではとっても間に合いませんから、したがって、少なくとも二、三年以降のきわめて深刻な電力不足なんというものは、これは想定の問題じゃなくて、現実の問題として起こることは避けられない。そのときになって中小企業対策を幾ら論じてみたって、とにかく首の根っこを動力源で押えられて、そうして幾ら投薬をしてみたって、これはもう何とも施すすべはないということになると思いますし、また、国民生活だってたいへんなこれは影響を受けざるを得ないと思いますね。一定期間のまことに短期間の石油危機がどれほど国民生活をパニック状態に追い込んだのか、これはもう全くまざまざとわれわれは記憶に新しいところがありますがね。そういう事態になった場合、これはまあ所管省として通産省のそういう点についての認識は、いまの部長のお答えによればたいへん正しい認識をしていらっしゃるようですけれども、それに対する対策はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/68
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069・岸田文武
○政府委員(岸田文武君) 私どもも昨年の暮れに、電力の不足ということがどんなに社会的にも、あるいは経済的にも大きな影響を及ぼすかということについて、しみじみと痛感させられた貴重な経験を持ったわけでございます。いま先生は、すでにもう間に合わないのだということをおっしゃいましたが、私自身は、まだいまなら間に合うという感じがいたしております。発電所の建設がここ数年停滞してまいりましたことの原因を反省をしてみますと、やはり基本的には地元の住民の方々の理解ということが基本的な問題でございまして、さらにその要因といたしましては、公害問題への懸念あるいは安全問題への懸念といったことが、かなり大きなやっぱり地位を占めておる。これと並びまして、発電所は、事の性質から申しまして、できた電気は遠く離れた都会地で消費されてしまう、地元の雇用効果あるいは関連産業吸収効果、こういったものも見るべきものがない、いわば心配の種だけしょい込んで、うまみがないではないかというような、こういった心情も、各地の実例を見てまいりますと、やはりかなり大きな要素を占めているのではないか、こんな感じで受けとめておるところでございます。したがいまして、一つには、公害問題についてここ数年電力会社としましても相当の力を入れて改善をはかってまいっておりますし、また、安全問題についても正しい安全に関する知識をより多くの人に持っていただくように、私たちもこの際努力をしていきたいと思っております。それと並びまして、地元への利益還元と申しますか、地元にも喜んでもらえるような発電所づくりという課題につきましても、目下法案の提出をし、御審議をお願いしたいと思っております一連の措置、これらを活用するということによりまして今後の発電所の建設が何とか円滑にいくようにしていきたい、私どもはこの際できるだけの努力を払っていきたい、こう思っておるところでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/69
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070・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、郡祐一男君が委員を辞任され、その補欠として高橋邦雄君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/70
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071・中村利次
○中村利次君 答弁としてはそういう答弁にならざるを得ないと思います。しかし、部長は行政官として中央にいらっしゃるわけですから、たまには外へお出かけのときもあるでしょうけれども、私は選出が全国区ですから、全国をずって回ります。まさに全国の実態なんてものは、もうそれは行政を担当する皆さんがとてもとても想像できないような状態にあるんですよ。何とかしなきゃならぬ、何とかなる、そんな状態じゃないんですよ。たとえば、この間の予算委員会で森山科技庁長官も、原子力問題に関して、原子力についてどうも安全上憂いを持たせるような動きもあるという発言をしたところが、これはけしからぬというんで釈明をさせられましたが、大臣答弁として軽率であったのかなかったのか、私はそういうことは関係ないけれども、こういうのがあるんですよ。いま高電圧化時代になっていますからね、二十七万の起高圧から五十万の超高圧というぐあいに、これはやっぱり銅損を少なくすることによって、ちゃちな発電所を建てるよりも効果があるわけですから、だから技術開発をしながら超高圧の方向にいっておる。ところが、送電線を引く用地係なんてものは、用地交渉に行くと、超高圧の配電線が通るとそこの下は燃えちゃって作物なんか全くできないんだと、こんなことが宣伝をされて、そして土地の所有者はもうほんとうにそれは信じ切って、幾ら交渉をしても全然聞く耳もない、これが実態ですよ。それから、広島、長崎のあの原爆の悲劇を再び繰り返すなというのが原子力発電の地元で、あなた、言われている、これも実態ですよ。御存じになっていますか、こういうこと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/71
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072・岸田文武
○政府委員(岸田文武君) いまお話ございました送電線の建設の問題は、私ども、ここ一年ぐらいの間に起こった一つの新しい動きではないかという感じがしております。統計を見てみましても、従来の各種の建設工事費の支出区分の中で最近の動きとして特徴時なことは、送電に関連をする経費というものはかなり上がっえきておるということが数字的にも明らかでございます。これは確かに、お話にもございましたように、電圧が高まっていき、それに従って大きな鉄塔を立てなければならないということも物理的には原因でございますが、そのほかに、その用地を手当てするために各種の経費が高まりつつある傾向にあることが一つの要因ではないかと私どもも感じておるところでございます。ただ、お話の中にございましたように、建設をすればそれでもって火事が起こるというようなことは幾ら考えても考えようのないことでございまして、この辺は、やはり建設の予定用地におられる方々に正しい理解をしていただくように、電力会社もつとめなければいけませんし、私どももつとめてまいる必要があろうと、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/72
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073・中村利次
○中村利次君 これはまあ一つの例にすぎないのですがね。そういう宣伝をされて、そいつを信じ切って、とんでもないと、もうそれは聞く耳持たないという状態を、やっぱりそうじゃございませんよという正しい認識を持っていただいて、そして交渉に入るためには、そういう超高圧送電線のあるところへお連れをして、このとおりそんな下に作物ができなくなるとか、あるいは焼けるとか、そういうことはございませんよという現場確認をした上で交渉をするというような必要がある。これが実態だということを私は申し上げているのです。ですから、とにかく容易じゃないということを言っているのですよ。ということは、それでは何を言おうとするのかといえば、電力不足に対して、いやまあこれからでも間に合うとおっしゃるけれども、私は間に合わないと、不足になって、中小企業にしたって動力源を削減をされて、どんな対策をしてもこれはもうどうしようもないというような事態になるであろうし、また国民生活も重大な支障を受ける、大きな社会問題になるという、こういうきわめて深刻なやはり心配があるのです。ですから、それに対する対策について、いやまあこれからでも間に合うと言うのだが、私はそうではありませんよと、全国の実態をよくごらんなさいという、そういう意味で申し上げているのですから、まあこれはお答えがなければそれでけっこうですけれども、そういう実態に対してどう対処をしていくのか、きわめて深刻だと思うのですが、どうですか、何か御答弁いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/73
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074・岸田文武
○政府委員(岸田文武君) 私自身も電気事業をお預かりしておる立場からしまして、やはり電気の将来の供給の安定をいかにして確保するかということは、いわば仕事の中で一番大事な仕事であると思っております。確かに、ほうっておけばたいへんなことになるであろうという点につきましては、私も先生と同じ認識を持っております。ただし、ほうっておいてはいけないので、やはりできるだけのことをやっていきたい、こういった気持ちでいま知恵をこらし、また努力もいたしておるところでございます。いま幾つかの対案を用意をいたしておりますが、何とかこういった対案がその効果をあげ、また電気の重要性について少しでも多くの人が理解をしていただく、これらが両々相まって発電所の建設が円滑にいきますように今後とも努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/74
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075・中村利次
○中村利次君 これはなかなかそれがそうはいかないですからね。実際問題として、しからばこの立地問題で解決のついたところが最近どことどこがあるか、電調審にかかっておるところがどことどことどこがあるか、四十八年度の実績で電調審で認可されたもので、なおかつ着工できないのがどれくらいあるか、そういうのを一つ一つ具体的にチェックをしてみますと、やっぱりお答えになるような実績ではないというところに問題があるのです。ですから、これは代替エネルギーをどこに求めていくかということはこれはまあ世界の人類の大きな課題ですけれども、なかんずく地下資源に全く恵まれないわが国では代替エネルギーをどこに求めていくかということは、きわめてこれは深刻にならざるを得ないと思うのですけれども、まあ通産省はサンシャイン計画等に相当の期待と意欲をお持ちのようでありますけれども、これはそれでけっこう、私は大賛成です。あるいはまた、議員立法で何とかしようじゃないかという地熱開発の計画もありますよ。これも賛成ですよ。けっこうです。しかし、中身をよく検討していくと、ちぐはぐなんですよ、現状と。やっぱり私はエネルぎー政策というのは、目先の対策、当面の対策と、それから中期的なもの、長期的なもの、そういうものがセットされて初めて納得のできる、それから効果のある政策、対策と言えると思うのでしてね。何か地熱開発をすると深刻な電力不足に相当の効果があるみたいな、こんなのはもう錯覚なんという問題じゃなくて、お粗末千万ですよ。いまもう開発の規模なんてのは百万キロ単位になっているのだけれども、しかし、地熱開発なんてのは、あんた、一地点で何万キロできますか。これはもう、そういう現状からすると、まことにわずかなものです。かといったって、そんなことやらなくていいというものではなくて、それは手でかかえられるような小さな、三百キロだとか、五百キロみたいな水力ですら見直さなければならぬという深刻なエネルギー事情ですから、けっこうですけれども、加えて、これにはやはり自然環境の問題、あるいはその排水の問題、技術開発を伴わなければならない課題がある。開発賛成的な立場に立っても、たとえば原子力のごとく、安全性については絶対追求しなきゃいかぬ、こういう課題がある。地熱開発についても、やっぱりいま言うような技術開発が伴わなければいかぬ。そうなりますと、何か忍術使ったり、最近超能力ばやりのようですけれども、超能力的にぱっと何か代替エネルギーがこの世に出現するような錯覚を受けて、それが国民の利益に重大な影響のある国会で騒ぎ回られたんじゃこれはどうしようもない話で、私が行政府の皆さんに求めるもの、あるいは皆さんにただしたいことは、そんなものじゃなくて、やっぱり当面、あるいは中期、長期、そういうものの対策といいますか、政策というか、これは基本的な問題ですから、大臣に御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/75
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076・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 電力の問題はわれわれとしても非常に大きな関心と憂いを持って対処しつつあるところでございます。大体いままで年間九%程度の増高のようでございましたが、四十七年度において約六千八十万キロワットアワーくらい。それが五十三年には一・八倍ぐらいの伸びがどうしても要請されておる。そうなりますと、一億千二百万キロワットぐらいの能力を必要とする。それと、いまお示しになりました電調審で通ったもので着工できないという数字を見てみますと、予備率の相当な低下ということが出て、予備率が赤になるという危険性があるわけでございます。そういう関係からして、やはり長期的に計画を立てて、いまお示しになったような一つ一つのケースについてシラミつぶしに原因を探求して、これを打開していくということを、単に電力会社だけにまかしておかないで、われわれも積極的に参加し、住民、地方公共団体にも御協力を願ってやる必要があると思います。特に一番われわれの期待すべき大宗は、お示しのとおり原子力発電でございまして、超能力のように、いろいろなものが出てくるということは全くこれは期待し得ないところでありますから、いままで証明された安全確実な発電施設としては、やはり原子力ということにならざるを得ないと思うのであります。そのほか、サンシャイン計画によるいろいろなものもありますけれども、これらはまだアイデアの域あるいはそれに毛のはえた程度のもので、やはり原子力にたよらざるを得ない。そういう考えに立って、やはり原子力の安全性に関する諸般の体制を整えると同時に、また国民の皆さま方にも御認識を願う必要がある、その努力を実は最大限にわれわれはやるべきときであると、そういうように感じております。
これらの法案あるいは予算というものが本議会通りましたら、その点につきましてはいずれ総合エネルギー調査会の答申も六月までには出ますし、それに基づきまして具体的な方策を樹立いたしまして、中・長期の計画をもって、うまずたゆまずそれを推進していくということを実践していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/76
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077・中村利次
○中村利次君 何といいましても、エネルギーは、いままさに日本は石油時代だと思いますね。これからこれをどういうぐあいに切りかえていくかということが課題だろうと思います。石油であろうと、電力であろうと、その他のエネルギーであろうと、やっぱり産業活動あるいは国民生活に必要なエネルギーをどう確保するかということは、これはもう決定的課題だと思うのですけれども、この油の問題は、これはもう何回言っても同じですけれども、原油価格から、その国際収支の上からいっても、使いたいだけを使えない時代を残念ながら日本は迎えておると思うのですね、残念なことだか、いいことだか知りませんけれども。そこで原油価格の見通しですけれども、これは毎回私は機会のあるたんびにただしているのですけれども、通産大臣はわりとこれはそう深刻な認識をなさっていらっしゃらないんじゃないかと思うのですがね。私はきわめて深刻ですがね。たとえば国際会議等を通じ——これは何も先進工業国だけではなくて、発展途上国なんかが、原油が今後も値上がり傾向にあるとすると、きわめて重大な影響を受けるのですけれども、したがって、そういうものを一切国際的ないろいろな条件をあわせて考えて、今後の原油価格の見通しですね、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/77
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078・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) これは国際政局に関係しておることでございますから、いま的確な予断をすることは非常にむずかしいと思います。この中近東の問題で国際政局のバランスがくずれたりいたしますと、また再燃したりすれば、またこの冬に石油危機あるいはそれに近いような事態が出ないとも限らない。この点はわれわれは必ずしも楽観してはいけない情勢に、まだ国際情勢はあるように思います。しかし、最近の情勢全般が、この情勢で平和になっていくと、かりに仮定いたしますれば、長期的に見ると私は石油の値段は下がっていく方向ではないか、長期的に見ますと。しかし短期的に見れば下がらない、いまの情勢でやはり低迷していくであろう、そういう感じがいたします。現在の値段は、大体まあミナス原油のような高級なものは別といたしまして、アラビアンライト程度のもので、バイバックあるいはDDオイルの場合になると十一ドル何十セント、高いものは十二ドル。それからメジャーが買っておる油、これらは九ドル五十セント程度、あるいはものによってはもっと安いとも言われております。そういうふうに非常にばらつきがいまあるわけであります。それから一説には、メジャーが売る場合に、メジャーの系の子会社に売る値段と、子会社でない民族系の独立のものに売る値段と、多少差をつくっているというような情報もあります。そういうようなことで、石油の値段が将来どういうふうに動いていくかということは、まだ予断を許しませんけれども、まず近い将来を予測いたしますと、それほど下がるということを期待することは危険ではないか、そういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/78
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079・中村利次
○中村利次君 これは電力問題が関連して出ましたが、いまのやっぱり資源問題にからんで、私は、これはたとえば今度の電気料金制度の中でも、シビルミニマムというんですか、ナショナルミニマムというんですか、要するに一般家庭の電気料金制度を段階制にして、三段階にして、そして一般的に家庭で最低限必要な限界線を引いて、それを今度の申請によると百キロワットアワーにしようと。ところが、これは世論のおそらくほとんどといっても間違いでないぐらい、低いという、こういう意向で、けさの新聞なんかを見ますと、通産省も大体第一段階料金の限界を百二十キロぐらいにしようという構想があると、こういうぐあいな報道がされておりますけれども、これはそういう構想があるんですか、ないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/79
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080・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 過去二日にわたりまして公聴会がありまして、公聴会で皆さんの賛成、反対の御意見をわれわれの係官も出席して傾聴してきたわけです。いまその取りまとめをやっておりますが、私が速報で情勢を聞きましたところでは、まあ百五十という主張もあるようです。あるいは百三十五というのもあるようですが、諸般の情勢全般を考えて、そしてバランス等も考えてみまして、私個人の感触では百二十前後ではないかと、それをシビルミニマムとして第一段階の一つの見当としてはどうかという感じを実は持っておるわけで、これは通産省としてまだきめたわけでも、エネルギー庁として内定したわけでもありません。構想として出てきているというところでもないんです、役所としては。ただ、私個人としていろいろ報告を聞いてみまして、この辺の見当が妥当ではないかなあと、とつおいつしているという情勢であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/80
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081・中村利次
○中村利次君 これは民主政治というのは世論を尊重しなきゃいけませんからね。そういう点では、実情、実態を幾らか差しつかえない程度に踏みはずしてでも、やっぱり世論を尊重するというのが民主政治の原則だと思います。ですから、そういう意味では私は、ここでそういう課題になってくれば、それは百二十キロワットというのは何ですか、百五十キロにしなさいとか、二百キロにしなさいと言えば、私のやっぱり国民大衆的な政治基盤なんというものは安定するかもしれませんがね。しかし、私は何キロにすべきであるということは、これは申し上げませんけれども、しかし筋目からいきますと、少なくとも全国平均で百四十キロワットアワーといいますね、家庭の平均消費量は。いまもう国をあげて省資源、省資源というのが合いことばですよ。国会でも、盛んに省資源時代にどうして入っていくか、これは国民的な課題として、あるいは産業の課題として省資源をどう達成していくか、政府も具体的な対策について追求をされていらっしゃるんだろうと思うんですよ、国会の中でも。それで国民総需要の抑制、これはまさににしきの御旗なんですよ。
ところが、かりに百四十キロか百四十何キロとすれば、国民総需要の抑制、あるいは省資源のたてまえからいえば、シビルミニマムを百五十キロだとか百六十キロということなんというものは、まさにこれは何かまともな正常な感覚の持ち主なら言えないことですよね。現在の生活水準の平均が百四十何キロである。そしていまのやっぱり国民生活のありよう、あるいは産業のありようというのは、これはエネルギーを食い過ぎるんだ。国民総需要を抑制して、そして省資源の方向に国民一億すべてがそういう方向にいかなきゃいけないし、政府もやっぱり行政の立場からそういう政策を出さなきゃいかぬ。こういうことを言っておいて、そしてシビルミニマムは上げろというのじゃ、まさにこれはまあ気違いざたみたいな議論でありまして、ですから、私は筋目からいったら、百四十何キロだったら大体国民総需要をどれくらい抑制する姿、いわゆるむだを排する国民生活、あるいは産業構造にしても、省資源の産業構造にするにはどういうやり方で、どれくらいの、何%ぐらいの省資源が達成できるのか、あるいは達成すべきか、こういうことを追求して、それに見合ったやっぱりシビルミニマムをきめるのだったら、筋目からいったらそういうきめ方をしなさいというのが、これは私は筋目の通ったわれわれの議論でなければいかぬと思うのですよ。しかし、それがどうも、そんなことをいうと、あいつはどうも国民世論を無視しているなんて言われるものだから、なかなかほんとうのことが言いにくくて、いろいろ政治的な発言をわれわれもする場合がありますけれども、しかし、まあ世論は無視できませんが、行政の責任者として、国民に対してあるいはエネルギー資源の行政に対して責任を持つ立場の大臣は、そういう点の私は取捨選択を誤られてはならないと思うのですよ。誤りますと、これはやっぱり将来に向かって必ずとがめや、ひずみが来るはずでありますけれども、いかがでしょう、そういう点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/81
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082・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘のとおり、工場においても、家庭においても、省資源・省エネルギーを実践していただかなければならない時代であると思います。家庭における問題も同じでございまして、やはりいままでだったら電灯をつけっぱなしにしておったのは消してもらう。われわれ子供のころは、余分な電灯はみんなパチンパチンと消させられたものであります。あるいはルームクーラーにしても、夏暑いときに一室の部屋ではやるが、二つも三つもやらない。そういうことをやった場合には高くつく。自然にそういう面からも抑制される。そういうようなやり方をもって家庭における節約ということもある程度間接的に実行していただくような体系も考えざるを得ない、そういうふうに思います。
ただ、百キロワット云々というポイントにつきましては、これはやはりいろいろな議論がございまして、あの中にトースターが入っているとかいないとか、家庭のやはり最小必要限というようなものの判定について、われわれとしてもいろいろな意見を聞いてみる必要があると思います。もちろん、東京における水準と、それから島根県における水準と、北海道における水準では非常に違います。それは公聴会の結果を聞いてみましてもかなり違うようです。北海道のような場合には、石炭で暖房をとっているところ、冬になるとほとんどタヌキストーブとかあるいはそのほか石炭その他で暖房をとっているところもございます。そういう意味でシビルミニマムというものは、たしか国、地方によってかなり差があるようです。だがしかし、シビルミニマムというときにはこれはナショナルミニマムのはずですから、地域によって差別をつけるということもいかがかと思う、やはりナショナルミニマムとして考えるべきものではないか。そういうところで全国の水準をどの程度で線を引いたらいいかということを、とつおいつしておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/82
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083・中村利次
○中村利次君 時間がもうなくなりましたから、最後に中小企業対策、小規模企業に対する対策、これは非常にむずかしい問題ではあっても、何としてもやはり誤りのない対策が行なわれませんと、日本の産業経済あるいは家庭生活まで重大な影響があると思いますから、その必要を特に私もまた強調したいと思いますけれども、たとえばこれは例はあまりよくないかもしれませんけれども、政策の上でそういうつもりじゃなかったんだが、結果してたいへんな被害者が出た、こういうことがありがちなんですね。いまやはりこれはいろいろ世論の上では非難の対象になっておることだろうと思いますけれども、たとえばこれなんぞはまさに小規模企業部の対象になるであろう小規模の不動産業者ですね。こういうのはここ二、三年前あたりはどういうんですか、名もない全く零細不動産、小規模不動産業者がそれこそ土地があればぱくっと買っている。たとえばマンション屋さんだとか、あるいは建て売り屋さんだとか、あるいは土地屋さんだとか、いろいろの専門専門があるそうですけれども、たとえば建て売り屋さんなんかは、ぱくっと買って、超金融緩和の時代ですから幾らでも金が借りられる、そして建て売りを建てて、土地価格は上がる、権利金はどんどんどんどん上がっていくんだが、これは庶民にとってはきわめて迷惑千万な話だけれども、業者にとっては売れるんですから、銀行の利子と利ざやをかせいで、どんどんどんどん回転をしていって相当の利益をあげている。これはマンション屋さんの話です。ところが、金融引き締めにまさに百八十度転換したわけですから、それこそにっちもさっちもいかなくなって、善良な国民の一人である業者ですら刑法上の問題まで引き起こすようにして倒産をしている。こういうのが全くそれはもうおびただしい数です。
これはやはりドルショック以来の——いまさら言ったってしようがないのですけれども、とにかく超金融緩和による政策に乗っかったとか、いいとか悪いとかいったって、乗っかっちゃって自分もそれは大いにもうけたかもしれないけれども、結果してやはり政策の転換によって重大な被害どころか、もう取り返しのつかない、そしてまあ億、十億単位あたりの借金をしてころがしていってたのが、金融が引き締まってここへ来たところが、これも億単位の負債を背負って——帳簿上は黒字倒産になるんだかどうだか知りませんけれども、とにかくもうはい上がれないような決定的ダメージを受けて倒産をしている。こういうのが枚挙にいとまがないぐらいあるのですが、これはまあ不動産という特異性がきわめて露骨にそういう実態をさらけ出したことですけれども、しかし、きわめて露骨でないまでも、同じようなことが大なり小なり希薄の差はあっても、一般の中小企業あるいは小規模企業なんかにはそういうことが通用する原理だと思うのですよ。こういう点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/83
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084・外山弘
○政府委員(外山弘君) いまお話しのような事例が、今回のように超金融緩和の時期から長い金融引き締めの時期へと大きな谷をつくって移ってくる、つまり波が非常に大きいということになりますと、とかく起こりがちでございます。つまり景気の波の変動があまり大きくないということが、やはり中小企業経営にとってはそれだけしわが寄らないで済むということで非常に大事な点でございますけれども、何と申しましても現実にはそういう景気変動の波がかなり大きく来る場合もございますし、そしてそういうふうな事例が起こることもありがちだろうと思います。ただ問題は、やはりそういった場合でも、いまも御指摘がございましたように不動産とか建設とかが確かにこの二、三年急激にふえております。その急激にふえた反動も、またほかの業種に比べると今回のような引き締まるときは大きいと思います。したがって、そういうふうな御指摘の点が出がちでございますけれども、やはり大事なことは、中小企業者もいいとき悪いときに対応できるような企業体質の強化ということが大事だと思います。そういう意味での平素の備えをするような経営態度というものが基本的には大事でございまして、いいときには放漫になり、悪いときには急に泣きつらをかくというふうなことでないように、やはり治にいて乱を忘れないような経営態度ということが基本的には大事なのだろうと思います。そういうことをやはり平素から経営指導の面でもあるいは資産構成の上でも、あるいは新しい仕事を始めるにあたっての態度においても、これはそういうことでやはり注目するような指導ということも大事な点ではないか、こう思います。しかし、何と申しましても景気変動の波が大きいということは一番大事でございますが、そっちの面についてもわれわれは努力をしなければいけない、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/84
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085・中村利次
○中村利次君 最後に。これはやはり企業のモラルということはいま盛んにいわれていることですからね、基本的にはやはりそういう企業活動のモラルというものが基調にならなければならないのは当然です。しかし、と同時に、やはりこの政策、何といってもこれも基本ですよ。それから行政もこれもやはり基本でなければいかぬと思いますね。そういうのが不動産でどんどんもうかったのだから、いいから、おまえさんたちはやったのだから、政策も変わったし、行政指導の面では誤っていないつもりだったが、とにかくもうかるからやってみたところが、いまは、すかたんを食って、それは首くくりになったって、そんなのはしようがないじゃないかということでは、私は行政の責任はやはり果たされないと思うのですよ。
ですから、この際小規模企業部というものが発足するにあたって、私は特にこれはもう政府に対しては、やはり政策のあやまち、誤りのない政策というものを強く求めなければなりませんし、いままで、何といっても、これは政府みずから認めておりますように、誤ったと、政府は見通しを誤ったものもあると言っていますが、私ども野党の立場からいえば重大なやはり責任がある、誤った。加えて、行政にしても、私はよほどあやまちを起こさせないような行政の主体性というか、行政のあり方というか、そういうものがたいへんに必要であると思うのです。そういうものが定まって、初めて私は企業活動の国民化といいますか、だれでも納得できるようなそういうモラルというものが定着をしていくのだろうけれども、自分たちの責任はどうでもいいから、モラルだけはしっかりせいというのでは、これは聞こえない話でありますから、特にそのことを強く要望をいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/85
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086・寺本廣作
○委員長(寺本広作君) 本日の審査はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107214889X01719740509/86
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