1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月五日(火曜日)
午前十一時十分開会
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委員の異動
三月一日
辞任 補欠選任
田中 茂穂君 堀本 宜実君
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出席者は左のとおり。
委員長 初村滝一郎君
理 事
梶木 又三君
高橋雄之助君
足鹿 覺君
鶴園 哲夫君
委 員
佐藤 隆君
温水 三郎君
堀本 宜実君
神沢 浄君
工藤 良平君
沢田 実君
塚田 大願君
衆議院議員
農林水産委員長
代理 坂村 吉正君
国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
政府委員
農林政務次官 山本茂一郎君
農林省農蚕園芸
局長 松元 威雄君
農林水産技術会
議事務局長 小山 義夫君
林野庁長官 福田 省一君
通商産業政務次
官 楠 正俊君
通商産業大臣官
房審議官 兵藤 節郎君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
説明員
通商産業省通商
政策局南アジア
東欧課長 山田 勝久君
日本国有鉄道貨
物局長 丸尾 和夫君
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本日の会議に付した案件
○森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正す
る法律案(七十一回国会内閣提出、第七十二回
国会衆議院送付)
○肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
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001・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/1
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002・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
わが国の国土の約七割を占める森林につきましては、古来、重要な住宅用資材たる木材の供給を通じ、また、急峻な地形のわが国では国土の保全の重要なにない手等として国民生活と深く結びついてきたことは御承知のとおりでありますが、近年、経済の高度成長、都市化の進展等の社会経済情勢の変化に伴い、森林の有する公益的機能の発揮に対する国民的要請が高まる一方、需要の増大に対応して木材の安定的な供給をはかることもまた大きな課題となっているのであります。
政府におきましては、このような事情にかんがみまして、森林の有する経済的機能と公益的機能とを総合的かつ高度に発揮させるため、森林の適正な利用と健全な林業活動を確保することを旨として、森林計画制度の改善、開発許可制度の導入、伐採届出制度の強化等をはかるとともに、森林組合制度の改善強化と森林組合の合併の推進とをはかることとし、この法律案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
まず第一に、森林計画制度の改善をはかったことでありまして、全国森林計画は、流域ごとに計画事項を明らかにすることを旨として定めるようにするとともに、地域森林計画は、自然的経済的社会的諸条件及び利用の動向からみて森林として利用することが相当と認められる民有林について樹立することといたしております。
また、全国森林計画及び地域森林計画の計画事項として、新たに、森林の整備に関する基本的な事項及び森林の土地の保全に関する事項を加えるほか、これらの計画は、森林の有する公益的機能の維持増進に適切な考慮を払って定めるべき旨を明定することといたしております。
第二に、森林の土地の適正な利用を確保するため、民有林における一定規模以上の開発行為についての都道府県知事による許可制を導入することといたしたことであります。
すなわち、地域森林計画の対象となっている民有林において、周辺地域に相当の影響を及ぼすおそれがあるような一定規模以上の土地の形質変更を行なおうとする場合には、都道府県知事の許可を要することといたしました。
この場合、都道府県知事は、その森林が現に有している土砂の流出等の災害の防止、水の確保及び環境の保全の機能を維持するという観点に立って許可するかどうかを判断することといたしております。
第三に、伐採の届出制度に関する規定を整備いたしたことであります。
すなわち、地域森林計画に従って適切な伐採が行なわれるよう、森林所有者等が届け出た伐採計画が地域森林計画に適合していない場合や、その届け出た伐採計画が地域森林計画に適合していても現実に行なっている伐採がその伐採計画に従っていない場合には、都道府県知事は、必要な命令をすることができることといたしております。
第四に、森林施業計画の認定制度に関する改正でありまして、小規模経営林家の共同施業の推進を助長するため、新たに、一定の基準に適合する森林の団地について共同して森林施業計画を樹立し、都道府県知事の認定を受けることができることといたしております。
第五に、森林組合制度の改善強化をはかったことであります。
その一は、森林組合制度の目的の整備でありまして、従来以上に森林所有者の地位の向上を重視する旨をその目的規定において明らかにすることといたしております。
その二は、事業範囲の拡大でありまして、施設森林組合につきましては、その事業として環境緑化木の販売等の事業、林地供給事業、保健休養の事業等を追加するとともに、森林の保続培養及び森林生産力の増進を期する観点から、みずから森林の経営を行なうことができる道を開くことといたしております。また、生産森林組合及び森林組合連合会につきましても、その事業の範囲を拡大することといたしております。
その三は、管理運営体制に関する規定の整備でありまして、森林組合及び森林組合連合会の業務の運営が円滑に行なわれるよう、総代会の権限の強化、参事及び会計主任に関する規定の新設等の措置を講ずることといたしております。
第六に、森林組合の広域的な合併を促進しその体質の強化をはかるため、森林組合合併助成法を改正し、合併に関する計画の認定制度につき、その適用期限を昭和五十三年三月三十一日までに延長することといたしております。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/2
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003・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 本案は衆議院において修正されておりますので、修正部分の説明を聴取いたします。衆議院農林水産委員長代理坂村吉正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/3
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004・坂村吉正
○衆議院議員(坂村吉正君) 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正の趣旨を簡単に御説明申し上げます。
修正の第一は開発行為の許可制について、その運用の厳正を期するため、開発行為の対象となる森林の機能を判断するにあたっては、森林の保続培養及び森林生産力の増進に留意しなければならないこととしたことであります。
第二は、森林組合制度について、その一そうの改善に資するため、附則において、政府は、森林組合の組織及び機能について検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他必要な措置を講ずべきこととしたのであります。
第三は、本案が提出されて、すでに一年近く経過しているので、全国森林計画にかかる計画事項の一部について、その施行期日を一年間延期し、昭和五十年四月一日としたことであります。
なお、この修正は各党一致による委員長提案であります。
何とぞ、全員の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/4
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005・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 次に補足説明を聴取いたします。福田林野庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/5
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006・福田省一
○政府委員(福田省一君) 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
本法律を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
第一に、森林計画制度の改善であります。
まず、全国森林計画につきましては、水源の酒養、土砂の流出または崩壊の防止等の森林の有する公益的機能と木材生産等の経済的機能とを総合的かつ高度に発揮し得るようにするためには流域的な観点から森林の整備をはかることが適切であることにかんがみ、流域ごとに計画事項を明らかにすることを旨としてこの計画を定めることといたしております。
また、全国森林計画の計画事項を追加いたしまして、この計画が森林政策の長期の指標であることにかんがみ、森林の整備の目標その他森林の整備に関する基本的な事項を明らかにすることとするとともに、急傾斜地が多いわが国の森林の現況から見て、土砂の流出または崩壊の防止、水源の涵養等の森林の有する公益的機能を一そう維持増進するためには、森林施業や森林の開発行為等にあたって地形、地質等の自然的条件と森林の樹根や表土の効用等とに十分配慮する必要がありますので、森林の土地の保全に関する事項を明らかにすることといたしております。
次に、地域森林計画につきましては、まず、この計画の対象とする森林を、自然的、経済的、社会的諸条件及び土地利用の動向から見て森林として利用することが相当と認められる民有林とすることといたしました。
また、全国森林計画の場合と同様、地域森林計画の計画事項を追加いたしまして、森林が有している諸機能に着目して森林のタイプ分けを行ない、このタイプ分けをした森林についてさらにその整備の目標その他森林の整備に関する基本的な事項を明らかにするとともに、先に述べましたような全国森林計画において定める森林の土地の保全に関する事項の趣旨に従って、樹根及び表土の保全その他森林の土地の保全に関する事項を明らかにすることといたしております。
このほか、森林の有する自然環境の保全等の公益的機能と木材生産等の経済的機能とを総合的かつ高度に発揮し得るよう、全国森林計画及び地域森林計画は、自然環境の保全及び形成その他森林の有する公益的機能の維持増進に適切な考慮を払うべき旨を法律上明確にすることといたしております。
第二に、民有林における大規模な開発行為についての都道府県知事の許可制の導入であります。
すなわち、地域森林計画の対象となっている民有林において、周辺の地域に相当の影響を及ぼすおそれがあるような大規模な開発行為をしようとするときは、国または地方公共団体が行なう場合、非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合等一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければならないことといたしました、この場合、都道府県知事は、その開発行為が現にその森林の有している機能から見て、土砂の流出その他の災害の防止、地域住民の水の確保及び地域の環境の保全という三つの点で支障を及ぼすおそれがないかどうかを基準としてその許可の是非を判断することといたしております。
なお、都道府県知事は、必要があると認めるときは、許可を受けないで開発行為をした者等に対し、その開発行為の中止を命じ、または期間を定めて必要な行為をすべき旨の命令をすることができることといたしております。
第三に、伐採の届出制度に関する規定を整備したことでありまして、都道府県知事は、森林所有者等が提出した立木の伐採の届出書に記載されている伐採面積、伐採方法または伐採齢に関する計画が地域森林計画に適合しない場合には、その者に対し、その伐採の計画を変更すべき旨を命ずることができることといたしております。また、伐採の届出書を提出した者の行なっている伐採が、その届出書に記載されている伐採面積、伐採方法または伐採齢に関する計画に従っていない場合には、その者に対し、その伐採の計画に従って伐採すべき旨を命ずることができることといたしております。
第四に、森林施業計画制度の改善を行なったことでありまして、森林施業の合理化をはかるため、森林所有者が共同して施業することを相当とするものとして政令で定める基準に適合する森林について、森林所有者は、その有する森林の全部を計画の対象としない場合であっても、これらの森林を対象として共同で森林施業計画を作成し、都道府県知事にこれが適当であるかどうかにつき認定を求めることができることといたしました。
第五に、森林組合制度の改善強化であります。
その一は、森林組合制度の目的規定を整備して、森林施業の合理化と森林生産力の増進をはかることのほか、森林所有者の経済的、社会的地位の向上をはかることも、森林組合及び森林組合連合会の直接的な目的とすることといたしました。
その二は、事業範囲の拡大であります。
まず、施設森林組合につきましては、林産物以外の森林の産物及び環境緑化木についても販売等の事業を行なうことができるようにするとともに、森林の施業及び経営を推進するために必要な林業労働力の組織的な確保に寄与するための事業、経営規模の拡大その他林業構造改善の推進に資するための組合員に対する林地の供給の事業、森林の保健休養機能の増進のための事業、組合員の労働力を利用して行なう林産物等の加工に関する事業を行なうことができるようにいたしております。
また、組合員に出資をさせる施設森林組合につきましては、このほか、森林の保続培養及び森林生産力の増進を期するためにはみずから経営することが相当と認められる森林であってその組合の地区内にあるもの等の経営を行なうことができるようにするとともに、組合員の委託を受けて、林業以外の目的に供されることが相当と認められる林地の売り渡し等の事業を行なうことができるようにいたしております。
次に、生産森林組合につきましては、新たに環境緑化木の生産や森林を利用した農業を行なうことができるようにし、森林組合連合会につきましては、施設森林組合に準じて必要な事業範囲の拡大を行なうことといたしております。
その三は、管理運営体制に関する規定の整備でありまして、まず、施設森林組合につきましては、森林所有者と同一の世帯に属する者で委託を受けて森林の経営を行なうものにも正組合員資格を与える等組合員資格の範囲の拡大を行なうとともに、総代会の権限の強化、参事及び会計主任に関する規定の新設、出資割り配当限度の引き上げ等を行なうことといたしております。また、生産森林組合につきましては、その組合員の組合事業への従事に関する規制を緩和することといたしており、森林組合連合会につきましては、施設森林組合に準じて所要の規定の整備を行なうことといたしております。
その四は、森林組合及び森林組合連合会の事業を通じて森林の有する公益的機能の維持増進がはかられるようにするため、国及び都道府県が、森林組合及び森林組合連合会の健全な運営と発達について助言、指導を行なう等必要な配慮をする旨の規定を新設することといたしております。
第六に、森林組合合併助成法の一部改正でありまして、森林組合制度の改正と相まって、森林組合の事業運営基盤を強化するため、合併しようとする森林組合が共同して合併計画及び合併後の事業経営計画を立て、その計画が適当であるかどうかにつき都道府県知事の認定を求めることができる期限を昭和五十三年三月三十一日までに延長し、これに伴う税制上の特別措置と相まって、森林組合の広域合併を促進することといたしております。
以上をもちまして森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/6
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007・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
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008・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 次に、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は前回聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/8
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009・足鹿覺
○足鹿覺君 最近のきびしい農業情勢と肥料政策と申しますか、農業生産資材政策とでも申しますか、こういった問題について、総括的に、最初に大臣にお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/9
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010・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 肥料その他農業生産資材は農業生産のために必要欠くべからざるものでございまして、その供給の確保それから価格の安定をはかりますことは、農政にとりましてきわめて重要な問題であると考えております。
そこで、農業生産資材は、その大部分が工業製品でございますので、当該工業の合理化を通じてできるだけ低価格で農業者に一律に供給できるようにいたさなければなりませんことは申すまでもございませんが、農林省といたしましては、従来から肥料その他の資材問題に取り組んでまいりましたが、特に最近の石油事情によります資材問題に対しましては、全力をあげて解決につとめておるところでありますが、こういう点で関係省庁と十分な協力を得まして、農業生産資材の安定供給に遺憾なきを期してまいる所存でございます。その原料となりますおもなものの中で、当面石油問題がなかなか重要でございます。こういう点につきましては、私どもは、通商産業省との間に緊密な連絡をはかりながら、いま申し上げましたように、農政に必要な資材の供給については、安定した価格で供給のできるように鋭意努力を払っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/10
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011・足鹿覺
○足鹿覺君 農業情勢一般についてお尋ねすることはこの際差し控えまして、私がいま大臣に伺っておるのは、肥料情勢というものがだいぶ——本法制定当時とは大きく変わっておると思うんです。それに即応して、もう少し新たな視点から、肥料政策というものにのみ限定しないで、農業生産資材を、重要農業生産資材を総括して、その生産、流通、価格にわたって新しい対策を迫られておるのではないか。こういう意味でお尋ねをしたつもりでありますが、そういう必要を農林、通産両省の首脳としてどのように受けとめられますか。それを聞いておるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/11
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012・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) いま申し上げましたように、私どものほうで農業を営みます者の必要資材、これはもうもちろん非常に種類の多いものでありますが、たとえば、石油、電力、これなどは直接に用います大きなものでございますが、そのほかにまた、この電力、石油を用いまして製造された機材をわれわれが使わなければならないものがたくさんございます。それからまた、これからいよいよ春耕が始まってまいりますというと、機械その他が必要になってまいります。そのいずれを見ましても、やはりさっき申しましたように、工業関係の製品が多いわけでございますが、直接、油を使いますもの、間接に使いますもの、肥料はもちろん重要な製品でございます。そこで、そういうものについての供給いたしますコストにつきまして、先ほどお答えいたしましたように、私どもといたしましては、通産物資についての価格の安定的供給について、いま申し上げましたように、必要なる資材の供給と必要なるものの生産に対するコストダウンについて、その必要な施策を両省で相談をしながら努力をいたしておると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/12
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013・楠正俊
○政府委員(楠正俊君) ただいま農林大臣が申されましたとおり、肥料をはじめといたします農業用生産資材は、国民生活に必要な食糧生産に重要な役割りを果たしております物資でございますので、通産省といたしましては、これらの安定的な供給につとめてきたところでございますが、特に最近におきます石油供給削減に当たりまして、石油、電力の特配、それからそういった措置を講じてまいりまして、農業用生産資材の供給をはかってまいったところでございます。また特に、通産省といたしまして、今後とも食糧生産の自給率の維持向上施策の推進に対処しながら、農業用生産資材の適正な供給をはかるよう関係業界を指導してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/13
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014・足鹿覺
○足鹿覺君 具体的に言いますとね、農家は、原料高の販売安という、そういう状態にあると思うのですよ。これをどう解消するかということなんです。いま両省で検討しておられるということでありますから、こういう面に実効のあがる対策を具体的に考えておられるならば、それをお示しを願いたい。
つまりこの農業生産に欠かせない生産資材というもののいまの実情は、本年の一月の農村物価指数では、前年同月比で三一・八%アップしておるのですね。農産物価格は二五・一%で、前月比にしましても〇・九%——二五・一%の内訳の一つです。要するに、二五・一%の上昇ということでこの差がひどいんですね。で、大きい目で見ますと、この最近の物価の狂乱状態なりあるいは日本列島の都市化というようなことで、だんだんだんだん農家が追い詰められて、農業の国民経済における地位というものは、農業農家の社会勘定の政府資料によっても、四十七年度は就業人口で一三・三%、農業総生産では三・六%を占めるにすぎないような状態になってしまったのですね。ですから、一般の消費者からは、非常にこの野菜が高いとか、いろいろな批判が集中しておるけれども、これは農民自体の責任ではない。季節性の問題もあるし、生産資材との逆ざやといいますか、いま申しましたように、資材は上がっても農産物価格は農民の立場からは上がっておらぬ。上がり方がきわめて低い。ここに一つの大きな問題があるところへもってきて、物価狂乱に便乗して、ハウス園芸でいえば石油が不足して困る。そのうちにビニールも値上がりをし、これの占める農業団体の取り扱いシェアなんか少ないものですから、肥料はともかくとしてまことに困っておる。あげくの果ては、農機具のやみカルテルが暴露するというような状態なんですね。こういう生産原料高の販売安という、これを解消するための本法ですね、われわれがいま審議しておる肥料価格安定臨時措置法というものは、確かに一つの役割りを果たしたと思うんです。
だから、私がさっき冒頭に農林大臣に申し上げたように、こういった考え方に基づいて生産資材を総括した一つの対策、言うならば立法措置でも、暫定的にでもとる必要があるのではないか。そうしなければ地力の減退等も相まって、台湾や中国から野菜を買わにゃならないというような状態が最近起きておるんですよ。ですから、これは私はたいへんな問題だと思うんですね。
肥料面においては、この法律が大きな歯どめになっておることはわれわれも評価いたします。だから、この例を他の生産資材というものに、飼料を含んだ何らかの打開策というものが具体的に講じられなければならないのではないか。そうしなければ、これは今後困った状態が起きると思うんです。
たとえば、いま飼料の問題が出ましたから、飼料大豆油のかすの話を申し上げますと、前年対比で六九・九上がっているんです。ビニールは六〇・七上がっておる。重油は六二・四上がっておる。こういう状態の中で、政府の対応が私はにぶいんじゃないか。いろいろと御尽力になっておられるそうですから、いま私がお尋ねをしておるようなことを含めて御検討いただいておるのかどうか、検討の項目はどういうようなことをお考えになっておるか。これを伺っておるつもりなんですけれどもね、大臣どうでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/14
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015・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもが一番心配をいたしておる問題を御指摘になったわけでありまして、一口に申せば、私どもは、現在の生産から見まして、農業用資材、肥料を含めまして、量においては心配いたしておりません。しかし、価格においては、ただいま御指摘のようになかなか問題がございます。御存じのように、原料ナフサの高騰によって硫安、尿素等に、その他の肥料にも響いてまいっておりますけれども、肥料以外の農業用資材について、それからまたいま飼料のお話がございましたが、飼料等も、外国から入ってまいります原料価格がすでに高騰してまいるものでありますから、そういう高い原料を使って生産される品物が、製品のコストに響かないはずはないのでございまして、私どもが苦慮いたしておりますのは、今度は製品の個々別々の場合には、それぞれ違ったケースが出てくるかもしれません。けれども、要するに原料高でございますので、その値上がりいたしました原料を用いてつくられた製品のコストをどのように合理化して、できるだけ高騰を防ぐことができるかということ。その根源をさかのぼってまいりますれば、やはり日本経済全体に対する対処策であると思いますけれども、新聞にも出ておりましたように、とにかく二月の半ばでの調査によれば、卸売り物価のアップ率が大体〇%になってきたというふうに報道されておりますが、そういうふうな経済政策がもちろん基本になることは当然なことでありますが、しかしながら、個々の製品、ことに品目の多い農林物資等に対する影響を判断いたしますというと、やはり対外為替で若干円安、ドル高、それからフレートの上昇、原材料のたとえば飼料、穀物等の輸入原価が非常に高騰している。そういうようなことを考えてみますというと、その結果として、わが国の農産物価格に影響することは当然なことでございますが、国民生活に最も密着しておる重要な食糧でありますので、量において確保することはもちろんのことでありますが、この消費者に対する、それからまた農作業を営む人々に対する供給を、いかにして高騰を防ぐかという、それが実は農政を担当いたしております者の現状の最大の悩みでございます。
それをいま御指摘いただいたわけでありますが、これは私どもだけでなくて、政府全体の立場から掘り下げた検討、方針をきめなければなりませんけれども、私どもといたしましては、たとえば乳価にしても豚価にしても、法律に基づいて三月一ぱいにきめなければなりません。そういう場合には、もちろん法律も示しておりますように、「再生産を確保することを旨」とすると、これは当然なことでありまして、再生産の楽しみがなければ幾ら一生懸命でやってくれといったって、やってくださるはずはないのでありますから、そういうむずかしい段階に際会いたしておるわけであります。が、私どもといたしましては、その原料価格をできるだけ押えるということに努力は当然いたすわけでありますけれども、やむを得ざる価格のものを使ってつくりました産物について、これは再生産の確保ができるようなそういう価格政策が出てくることはやむを得ないことではないか。そういうふうに考えておるわけでありますが、まあ個々別々の品物によってそれぞれ対応策が若干の相違はあるかもしれませんが、ただいま私が申し上げましたような考え方で基本的に、できるだけコストダウンをするようにつとめながら、再生産の確保のできるように施策を進めてまいりたいと、このように考えておるわけであります。たいへんむずかしいことは率直に申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/15
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016・足鹿覺
○足鹿覺君 それはむずかしいでしょうな。むずかしいけれどもそれを解決してもらわないといかぬ。いい手本がここに一つあるんです、この肥料法というのがね。これは確かに昭和二十九年に肥料二法ができて、三十九年にこの肥料安定法に切りかえた。で、私は肥料二法当時に肥料審議会の委員もやっておりまして勉強もいたしましたが、ここのところ、この肥料安定法になってから審議会もなくなりますし、コストそのものもわれわれは知るすべもない。若干はまあ知っておりますけれども、肥料審議会があったときのような資料の提出その他がはかばかしくいかない。
うまくいっているのかどうかというと、大体今度の狂乱物価までは、四十八年の七−十二まではプラス・マイナス・ゼロで値上がりもないし値下がりもない。四十七年には前年対比十九円下がっていますね。まあ年によって若干違いますが、三十年には二十四円七十六銭、これが最高ですね。安定法になってから四十二年に二十二円下がっております。つまり、こういう商品ですから、これに対して、この法律が内需優先の原則から低位安定供給の精神が貫かれておるのは四十七年までで、これからどうなるのかといいますと、今度の値上げで四十八年の一−六からこれは値上げになっているんです。引き下げではなしに値上げになる。わずかですけれどもね、値上げになる。六百二十四円のものが七百二十六円七十一銭ということになって、百二円ほど上がるんです。こういう情勢がきますと、われわれとしても狂乱物価が、基本的な食糧を生産しておる米、野菜、果樹その他にも原料高の販売安ということになって困る。そこで何かこの際むずかしくあっても対策を立てるべきだ、総合的な対策を立てるべきだと思うんです。
聞けば、農林省に肥料対策調査会というものを設けられ、経企庁には化学工業部会というものの結論が出ておるというんですが、それはどういうものか私は知りません。が、肥料対策調査会というものはどんな分野でどんな検討をなさったのか。どうも単純延長に踏み切られた意図は、まあ別に他意あるとは私は思いません。いまの置かれておる状況からみて、了承の合意ということでこの程度であったと思う。ですけれども、この狂乱物価が国民食糧の基本につながる——あってもなくてもいい、ぜいたくなものなら別ですけれども、基本につながるものですから、その影響を遮断するための農業生産資材の総合的対策というものがあってしかるべきだと思う。その首位を占めるのは、いまのところ、えさやなどのほうが大きい。これは外国へ依存しておるわけです。肥料の場合は外国へ日本は輸出しておるわけです。大臣も御承知だろうと思うんですが、輸出価格のほうが常に安くて国内価格のほうが肥料は高いんですよ、この状態の中で。そういう面からも、すでに四十八の一−六には百二円上がっておるんですね。それならそれは上げ幅がそこまでに落ちついたんだとおっしゃるのかもしれませんが、そうすると何かそこに穴が一つあいてきたんじゃないか。これをあなた方が農林省の中で肥料対策調査会というようなものを設けてやられたわけですが、もっと本腰を入れて設置目的を明らかにし、私がいま述べたような肥料その他を中心とする基本的生産資材に対する統一的総合的対策を検討するための本格的な取り組みぐらいはあってもいいじゃないか。この調査会の結論はどういう結論が出たんですか。単純延長ということだけで結論が出たんですか。通産省もそれぐらいなことはお考えにならなければならぬ。昭和二十九年からこの肥料二法ができてからの設備近代化のために、われわれは相互に有利でなければならぬ。メーカーだけ痛めて赤字を出させて肥料の価格を下げるということは、これはできない、現行の経済体制の中では。ですから、便宜をはかるべき点はずいぶんはかったのが今日までの経過です。その結果、物価狂乱の中であってずっと下がってきたんです。それがすべりどめがきかなくなって四十八年一−六から百二円上がり、これからもこの七−一二にはどういうふうになるのか心配ですね。
そういう点を考えますと、やはりここらでひとつ本格的な再検討をなさる時期が来ておるのではないか。あまりほかのものじゃなしに、生活の、食べるものをつくる大事なもとですから、そういう点で特別の配慮なり、いろいろ行政的御努力になった点は、今度の石油にしてみても、電力の配分にしてみても、私は理解できる。それだけでは今後が乗り切れるかどうか。せっかく地についたマルチ農法などというようなものはビニールの不足でだめですね——これはもうだめです。施設園芸も省資源型の施設園芸に対して農業技術会議がいろいろやっておるようですが、あとから追っかけておるようですけれども、だめですね。ですから、せめて季節季節のタマネギとか、バレイショとか、キャベツとか、大根、ニンジンというような、何も促成栽培しなくても、国民に季節季節のものを安定低位供給できるための生産資材対策というものが一つ要るのじゃないか。現にもう台湾から買い、中国から買っているのですから。野菜まで買うような情けない日本の農業を私どもは考えたくありません。いまのうちにこれに対する対策を講ずべきではないか。進んで飼料あるいは食物用原料等もできる限り国内で自給すべきではないか。これには私は農林大臣も、通産省といえども御反対なかろうと思う。何をなさったか大臣は御存じあるかもしれませんが、大臣就任前のことかもしれませんが、肥料対策調査会というものが果たした役割り、今後もっと本格的にやるかやらぬか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/16
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017・松元威雄
○政府委員(松元威雄君) ただいま足鹿先生御指摘の問題は広範にわたるわけでございますが、そのうちまず事務的に申し上げまして、肥料対策調査会と申しますのは、特別に今度の法律を対象としまして、いわばこれをどう扱うかということを主体にしたわけではございませんので、もっと幅広く肥料対策一般につきまして、たとえば環境対策等から見まして、化学肥料と有機肥料の関連をどう考えるかとか、あるいは肥料の今後の需要予測をどう考えるかとか、そういう問題を広くやっておりまして、特段別にこの法律をどう扱うということを直結さした検討ではございませんで、そういう広い見地から今後の肥料の対策というものをやってまいりたいと、こういう趣旨だったわけでございます。
それはそうでございますが、ただいま先生の御指摘は、ちょっと私事務的に整理して考えてみた場合には、農業生産資材、これはいろんなものがあるわけでございます。大きく分ければ、肥料、農薬、農機具、それからビニール、ポリエチレン、それからまた別途飼料、その他広範にいろいろございます。それにつきまして供給の確保と価格の安定をはかる必要があると、これは先ほど大臣が答弁申したとおりでございます。が、問題は、その場合の手段、方法にあるのでございまして、その場合、肥料につきましては、従来はいわゆる肥料二法があって、いわばかなり厳格にきちっと需給の安定、価格の安定をはかってまいった。さらに事情が変わりまして、三十九年から今回延長を御審議願っておりまするこの法案に移ったわけでございますが、そういう肥料につきましてはいわば法律があって立法措置で需給の安定と価格の安定をはかってきた。それに対しまして、ほかの資材のほうは特段そういった直接の法律はございませんで、いわば行政措置と申しますか、あるいは全体の需給事情がいわばゆったりと申しますか、そういうことから特別の立法措置はなくして、いわば供給の確保と価格の安定に結果的に働いてきたと、こういうことだったろうと思うわけでございます。それにつきまして、それではたしていいんだろうか。肥料の場合はこうやってきたと、ほかのやつは、いわば野放しといっても、結果的に需給は安定しておった、価格も安定しておった。しかし、いまやこういった時世になりますと、特に資源問題が非常に切迫しますと、野放しでいいんだろうかと、そういうことを含めて根本的に検討すべしと、こういう御指摘かと存じます。
私もその御指摘の多くはまさにそのとおりと思うわけでございますが、おっしゃるとおり、物、物によりまして目下の需給事情、価格状況のいわば原因が違うわけでございます。えさになりますと主として海外の問題、それからまた、肥料はこの法律がございますからけっこうでございますが、その他の先ほどのポリエチレンの問題でございますとか、農機具の問題でございますとか、これらはいわば石油問題に端を発して価格が上がったわけでございます。それまではむしろ供給は豊富であった。価格もそれほど心配はなかった。石油問題に端を発していわば価格が非常に上昇した。そこで私たちは、とりあえずこれに対応しますために、石油あるいは電力というエネルギー源をこれらの農業生産資材の供給に確保する。それからまた、こういったものをつくる原料はこれは主として工業品でございますから、そういうものを農業生産資材のほうに優先配分する。こういう措置を講じまして、とりあえず物の確保をはかると同時に、価格の安定もはかりたいわけでございます。が、何せ原料が上がっておりますから、ある程度上がるのはやむを得ないということで個別に対応したわけでございますが、そういう物、物に即しました供給確保、価格安定の対策それをさらにもっと統一して考えるべきではなかろうかと。確かに御指摘のとおりいままで比較的物が豊富でございましたから、あまり行政もフォローしていなかったわけでございますが、この時代になって見直しまして、さらにとりあえずは目下の緊急措置としましてそういった供給確保、価格安定をはかっているわけでございますが、さらに広範に、もっと広く資材一般を考えましてあるいは検討を今後しなきゃならぬかと、そういうことにつきましてさらに具体的に検討を進めてまいりたい、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/17
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018・足鹿覺
○足鹿覺君 通産省に伺いますが、私が例示した四十七年肥料年度までは前年対比で十九円下がった。四十八年の七−十二、四十八年の一−六。七−十二は前年に対比してまあゼロ、上がりもせず、下がりもせず、一−六になって百二円も上がってきた。今後新肥料年度を迎えてこういう状態が出てきますと、先ほど農林大臣が冒頭におっしゃった基本姿勢に沿わないことになると私は思うのです。だから、あくまでもこの農林大臣の基本姿勢に沿うような対策が私はあってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/18
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019・楠正俊
○政府委員(楠正俊君) 先生の御指摘どおりでございまして、石油の暴騰をきっかけにいたしまして、先生が御指摘のような、価格が今後高くなってくるということにつきましては、極力、それによって影響する農林生産資材の値上がり幅を押えていくという指導を、続けていたしていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/19
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020・足鹿覺
○足鹿覺君 どうもね、一番勘どころになると何もないような気がするんですが、最初、農林大臣が言われたように、基本姿勢を貫くための具体的措置といかないまでも、今後講じようとする施策の方向、そういったようなものぐらいは明らかにしてもらわないと、単純延長ですからね、一部には恒久化の要望も強いんですよ。だけれども、これはなかなか他の機関との関係もあって、直ちにはあなた方もなかなかむずかしかったろうと思う。だけれども、今後については、たとえば投機防止法や、買い占め売り惜しみ防止法や、あるいは価格の面については、物統令の適用で暴騰を押える。——これは上がってから押えるのであってあまり効果がない。この肥料安定法というのは上がらないようにして、今日の物価高の時代に、今日まで実績を上げておるのですから、これぐらいは守ってもらわなければ、私は、から約束になってしまうと思う、物価政策の上から言っても。
それは、最初に農林大臣の基本姿勢で承ったわけですから、その点は、さっきの松元局長の話もわかりますが、まあ肥料対策調査会なんていうものがあったことも私どもも知らんかったが、少し聞いてみたらそういうものがあったというのですが、メンバーがどういうメンバーであったのか、何回、会を開いて、何を検討したのか説明もなさらぬ。あったのか、なかったのかわからぬような、そういう部内の機関でお茶を濁すというようなことではなしに、やはりこれは、新しい情勢に備えて、生産資材対策、特に国民食糧につながる問題については、自給度が心配されておるときでもあり、世界の食糧危機が言われておるときでもあるので、新しい視野からこれを検討しなければならぬと私は思う。この点について農林大臣に、重ねて最初の姿勢を貫くとともに今後の御所信を承りたい。あまりこの問題で時間ばかり食ってもしようがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/20
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021・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 肥料の価格安定でございますが、私どもの念願するところは、先ほど申し上げましたとおりでございますが、やはり肥料価格安定等臨時措置法の適切な運用と申しますか、その価格の低位を、いままで御説明いただきましたように、安定してまいりましたが、今回の石油供給削減、それから価格が上昇いたしましたために一月からやむを得ず一六%の値上げを余儀なくされたわけでありますけれども、その価格取りきめ交渉等にあたりましては、事前にナフサ、重油等の原料費や、包装資材以外の値上げ要因は認められないというふうなことを、関係業界に強力に指導いたしまして、その値上がりを抑制いたしたわけでありますが、今後さらに石油がどうなりますか、まあわかりませんけれども、傾向としては値上がりの傾向のようでありますが、肥料価格に及ぼします影響もしたがって懸念されておるわけでございます。先ほど申しましたように、春耕期になりますので、こういう時期に必要とする機材、それからまた出荷の途中の価格改定、そういう末端流通を混乱させるようなこと、そういったようなことを私どもも実は心配いたしておるのでありまして、少なくとも四十九年六月末までは、まあいろんな事情はあったでございましょうけれども、値上げは極力抑制してまいりたいと、こういう方針で対処いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/21
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022・足鹿覺
○足鹿覺君 単純延長ですから、いまこういう大きく世の中が変動しておるときに、まあ恒久化していくというようなことは、私はなかなか言うべくして困難が伴う。この延長が成立した場合に、五カ年間ぐらいには、ある一つの落ち着くところへ世の中もある程度落ち着かさなければならぬ。それまでのまあ暫定的な措置、まあ各両方が合意しなければできないことですから、特に公取等と合意の問題でありますから。しかし、たとえばこれから具体的に入っていきますから、大臣にもよくひとつ考えていただきたいと思うんですが、輸出価格と国内価格を対比しますと、国内価格のほうが高いんですよ。確かに量目は安定して供給してまいるわけですけれども、高い。これは私は再検討なさる必要があると思うんです。
それから内需優先の実効的な措置として、一つ問題があるんですが、最初はこれは大臣、硫安だけであった、対象品目が。それも私どもやかましく言いまして——昭和二十九年にこの法律が出たときには、臨時硫安需給調整法というような名目だった。それはおかしいと、肥料需給の法律にすべきだと、総括的に肥料を対象とすべきだということで、当時の改進党の金子与重郎君やわれわれで法律の題名、中身も修正をしまして、その効果が後日になってあらわれまして、尿素化成肥料を対象にしなさいと言っておったんですが、尿素は解決がついた。問題はア系窒素の四〇%を占めると言われる化成肥料の政令指定をやるべきではないか、こういうふうに思うんです。で、いろいろと聞いてみますと、登録銘柄は一万もあるけれども、実動しておるのは、その半分か三分の一ぐらいだろうと。農業団体が七〇%の肥料の取り扱いのシェアを持っておりますが、これはなるべく今後も圧縮していかなきゃならぬ、こういう考え方のようですが、これはやっぱりコストアップの原因になるんですね。
これは日本農業新聞の三月二日のあれですが、大臣これね、「微量要素入り複合肥料」、しかもこれに「1号、2号、3号、5号」とある。それから「有機入り微量要素複合肥料ハイヒロン1号、水溶性微量要素混合肥料ネオグリーンM1号」、何のことだかさっぱりわからぬ。こんなのが何百あるんです。で、これを、まあ微量要素を入れれば生きた土になるとか、ここへ効能書きを書いていますけれども、はたして効果があるものかどうかね、これね。人の商品にけちをつける了見は毛頭ございませんが、まあこの手のものが一ぱいある、これはどうもいただけぬですね。
そこで、私は、農林省、通産省へ登録なさっているのが一万もあるという話なんですが、これは現在どの程度まで圧縮しましたか、またこういうものを登録するときの肥料取締法上の処置は一体実効を確めていますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/22
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023・松元威雄
○政府委員(松元威雄君) ただいま化成肥料の問題で御指摘があったわけでございますが、御指摘のとおり登録の銘柄約一万六千ございます。これは複合肥料全体でございます。これは化成肥料以外に配合肥料もございまして、あわせまして複合肥料と申しますが、一万六千あるわけでございます。ただ、そのうち実際に売られておりますのは約半分でございます。約八千ということでございます。それからそのうち、この八千のうち化成肥料が約三千三百、それから配合肥料約四千七百、その他が約二百と、こういう内訳になっているわけでございます。そういたしますと、化成肥料の生産量、これが約四百万トンでございますから、この化成肥料の銘柄が約三千三百でございますから、一銘柄当たりの平均生産量は千二百トン、こういう数になります。そういたしますと、量が少なければコストが上がるということございますから、なるべくならば、こういった銘柄は少ないほうが生産コストという面から好ましいわけでございます。ただまあ、このように銘柄がふえてまいりました背景、これいろいろございまして、これ先生もう十分御承知と存じますが、作物栽培方法の多様化あるいは土壌診断技術の進歩ということもございまして、いろいろ肥料成分がふえまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/23
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024・足鹿覺
○足鹿覺君 知らないよ、そんなことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/24
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025・松元威雄
○政府委員(松元威雄君) ちょっと私、失礼申し上げました。言い方がまずかったんでございますが、成分の組み合わせがございまして、販売政策と両方相まちまして——農家の要望、それが確かに売らんかなと申しますか、販売施策、両方がございまして、確かにふえたわけでございます。しかし、このようにふえますと、確かにその生産コストという面からいたしますと、これはどうも好ましくないというので、私たちも銘柄は整理してまいりたいと、こう思っているわけでございます。
その場合に、登録の場合は、これは銘柄成分がございますので、これは登録いたしますわけでございまして、確かにおっしゃるとおり薬の効能書きじゃございませんが、ほんとにきくかと言われました場合に、じかに使って作物の成育まで確認するというわけじゃございませんので、言ったとおりの成分が入っているかどうか、これは登録チェックいたします。しかし、いわば、しかも能書きどおりうまく収量があがるかということになりますと、これは使い方の問題でございます。登録のチェックは成分があるかどうかということでチェックをいたします。もちろん一部栽培試験やって、確かめはございます。が、これはいわば栽培試験というかっこうでございますから、そういう試験をやって肥効は確かめております。それから、成分を確かめることと栽培試験ということをいたしております。しかし、その場合に、いま申しましたとおり、確かに銘柄が多いのはあまり好ましくない。
しかも、そのうち見てまいりますと、たくさんの銘柄を扱っているのはどういう絡路が扱っているのかと見ますると、いわばこの系統には全農系統と商人系統とございますが、全農系統は従来から銘柄数はそう多くございませんで、従来も約六百四十二銘柄でございました。これを、化成肥料の銘柄を、昨今二百九銘柄に集約するというふうに導導いたしまして、そういうふうに進んでおります。そうすると、問題は残りましたものは大部分はいわば商人系統のもの、さらにまた、全農を通じない末端の単協でございますとか、あるいは経済連が地域、地域で小さな銘柄を扱う事情がございますもんでございますから、大宗をなします全農を法で整理を進めていけば、漸次整理されるんじゃなかろうかということで整理の方向に進んでまいりたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/25
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026・足鹿覺
○足鹿覺君 それはけっこうですが、外国にこんな銘柄なんかありゃしませんよ、外国を調べてごらんなさい。——通産省何か意見がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/26
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027・兵藤節郎
○政府委員(兵藤節郎君) ただいま先生から御指摘のありました国内価格と輸出価格の差についてでございますが、これは先生御承知のように、二十九年に肥料二法が発足しまして、輸出価格が国内価格を上回ったのは三十年のとき一度ございました。それ以降ずっと国内価格のほうが輸出価格を上回っていると。一番ひどいのは昭和四十六年でございまして、四十六年においては硫安の輸出価格が国内価格の約半分と、こういう激落を示した時期があったわけでございまして、これを受けましてメーカー側としましても、肥料をつくることからやめようと、こういった一種の脱肥料というような動きが出てきたことは事実でございます。しかし問題は、こういうような輸出価格が国内価格に比べて低いということから、国内価格に転化することを防がねばならぬということからしまして、肥料二法自体も価格は政府がマル公できめる、最高販売価格をきめるということをやり、また、三十九年以降の現在の肥料価格安定等臨時措置法によりまして、それを防止するという意味も含めまして、メーカー側とそれから需要者側であるところの全農との間で肥料価格を取りきめる。こういうふうな仕組みをやっておるわけでございまして、輸出価格の赤字が国内価格に転化したその間に遮断すると、こういうような制度でもって今日まで至っておるわけでございます。しかし、昨今の石油危機以来、国内価格も上がりましたが、輸出価格も上がっております。たとえば硫安、尿素等について見ますと、東南アジア向けの輸出価格は約三〇%値上がりを示しておるわけでございます。また、硫安、尿素の輸出の大宗を占めておる中国につきましても、輸出価格について調整を見たというふうな情勢が入っておるわけでございまして、今後輸出価格と国内価格とは、ほぼ同水準あるいはことしあたりは輸出価格のほうが国内価格を上回るであろうと、こういうふうな見通しが持たれていると、こういう現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/27
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028・足鹿覺
○足鹿覺君 松元局長ね、あなた肝心なことを、人が聞いておるのに答えていないですよ。化成肥料の普及が今日ア系窒素の中で四〇%も占めるような状態になっておるんだから、特定肥料として政令指定を検討されたかどうか、今後どうされるかということを聞いておるんですよ。メモなどしといてちゃんと答えてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/28
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029・松元威雄
○政府委員(松元威雄君) それは第二段と思っていたわけでございます。前段をまずお答えいたしてからのつもりであったわけでございますが……。
おっしゃるとおりそれが本体でございます。そこで御指摘のとおり一この法律の対象は硫安、尿素、御指摘のとおりでございます。これを硫安、尿素といたしております理由は二つございまして、一つは、この法律は、価格のほかに例の輸出の調整の問題がございまして、したがって、輸出の調整と合わせて価格の安定ということでございますものでございますから、そういたしますと、輸出のウエートの高いのは硫安、尿素ということで従来硫安、尿素を対象としたわけでございます。ただその場合に、輸出問題はなくても、ほかの肥料も価格問題があるはないかと。輸出調整の問題それはあまりないかもしれぬが、価格の安定は自由ではないか、これは御指摘のとおりでございます。
そこでほかの肥料、まず化成肥料に入ります前に、その原因たる原因料と申しますか、というのはア系の窒素とそれから燐酸肥料とカリ肥料、三要素があるわけでございまして、その三要素をいわば混合いたしまして、まあ化成肥料でございますので、まずその根っこの価格、燐酸肥料とそれからカリ肥料、この価格について、これをこのごろ対象にすべきだという御議論がまたあろうと思うわけでございます。それについて申し上げますと、もちろんこれらの肥料のウエートは大きゅうございますから、価格安定が自由でございまして、したがいまして、これにつきましては全農が需要者の代表といたしまして各メーカーと取りきめをいたしまして価格をきめている、これが基準になっているわけでございます。その場合、しからばその価格取りきめにつきまして、この法律のようなやり方、きちっとしたやり方がいいではないかという御議論もございますが、中身を見てまいりますと、一つには燐酸肥料、カリ肥料ともこれは輸入原料のウエートが非常に高うございます。燐酸肥料でございますれば、原料費のウエート、燐鉱石のウエートは約四割ある。それからカリ肥料の場合は約八割が輸入のカリの原料価格でございます。したがいまして、原料価格いかんが価格動向を左右すると、またその価格動向をつかまえれば大体原価もつかまるというのが、第一の理由があるわけでございます。それから第二の理由といたしますと、そういたしますとこの法律の対象にするという問題もさることながら、いかにして原料を低廉に入れるか、確実に入れるかということが大事ではなかろうか。そのために燐鉱石の原料につきまして、現在は地域が限定されておりますが、それをもっと幅広く求める、あるいは専用の運搬船を設けるとか、そういう方法で原料を確実、低廉に入れるということが実質的ではなかろうかと、こういう問題があるわけでございます。さらにまたこの原料輸入につきまして、これは全農がかなりタッチをいたしておりまして、燐鉱石の場合でございますと原料費の約半分を全農が入れている。それからまたカリでございますと六割は全農が入れる。いわば需要者たる全農が同時に原料供給者、あるいはまた原料輸入、こういう役割りも果たしているわけでございます。そういう実態から考えますれば、この法律の対象にするということには必ずしもなじみにくいのではなかろうか。むしろいま言った実態を踏まえて全農、各メーカーがやったほうが実際的ではなかろうかと、こういうように考えまして従来対象にいたしていなかったわけでございます。
そういたしまして、化成肥料につきますと、いま三つの混合でございますから、尿素の価格、あるいは硫安の価格を安定させる、それからまた燐酸肥料、カリ肥料、これをいま言ったように全農がそういう役割りを果たしていますから、価格安定からしますと、そういたしますと、基本的にはその組み合わせによって化成肥料の価格を安定できるのではないか。もちろんその場合、配合のしかた、あるいは微量要素の添加のしかたで価格がいわば、ちょっとことばが悪うございますが、ごまかして上がるというおそれがあるではないかという御指摘がございましょうが、根っこを押えますれば大体はだいじょうぶではなかろうか。そういうつもりで本法の対象に従来からいたしておりませんし、それからまた御指摘のように非常に種類は多うございます。なかなか技術的にもこれを——さっき銘柄数で三千と申し上げましたが、しからばその場合、技術的にどれを対象にするのか、特に微量要素による添加を問題にしますれば、これは全部しなければならない。これは技術的にきわめて困難でございまして、まず根っこの三要素の肥料価格安定というのが基本ではなかろうかと思いまして、この法律の対象にいたしていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/29
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030・足鹿覺
○足鹿覺君 どうもあなたの言っていることは理由にならぬと思うな。まあここで水かけ論ずる意思はないが、ますますこれは普及するのじゃないか。メーカーとしては一番うまみもあるのじゃないかとぼく思うんだよ。ちょうど牛乳メーカーが、コーヒー牛乳だとか、果汁とまぜたジュース牛乳だとかというような、あれはわりあい——いつか衆議院時代に参考人に呼んだら、これがドル箱でございますよ、と言って、協会代表が意見を述べたことがありますからね。案外これはドル箱かもしれぬよ。まあまともなもので、商行為で利益をあげられることをとやかく私は言うわけがないが、肥料取締法の立場から、こんなものを効果があるか、ないかということをあなた方どうして判定しますか。やはり全農のように、二百台に落としていくと、もっとしぼっていくと、こういう方向に君たちがやられれば……。そんなあなた一つの微量要素入りの複合肥料に一、二、三、五号をこしらえてみたり——この効能書きを読んでみるとおもしろいこと書いているよ。「有機と複合肥料を組み合わせた私の会社の発売以来非常に受けておる。作物の葉緑素の増強、商品価値の向上、病虫害抵抗力を付与する。」と、そこでここで本音がちょっぴり出て、「マンガン、マグネシウムなどその他完全水溶態ネオグリーンM一号の開発をした。」云々なんて言っている。いま土地がやせて酸性化して、生産性が低下しておることは、これは公の問題で、われわれは、あとで質問しようと思っておりますけれども、非常に心配しておる問題ですよ。
あんたのところは農業技術会議というものがあるでしょう。それから肥料の権威もおられるでしょう。一体こういうものをやることによって、有機と複合肥料の組み合わせによって何か健全な土壌が生まれるような錯覚をすら覚えますが、最も健全なことなら私はとやかく言いませんが、結局マンガンとマグネシウムで——昔から言われておることなんです、マンガンと微量要素を添加すれば作物にいいだろう。だれもそれをほんとうに測定した者はないですよ。そういう論文がありますか。まあ事ほどさように問題がありますが、これが価格交渉の対象に資するということになりますと、なかなか生産コストの調査その他精度の向上というようなことでむずかしいでしょうから、あなた方だけの責任ではなしに、こういうものに迷うような農民自身もやっぱり問題がある。農民の啓発指導にやはりわれわれも農業団体等と一緒になって、健全な肥料が普及するように——これが不健全だとは言いませんよ、少なくともだれにでもよくわかるようなものにするのが本来のやり方じゃないかと思う。まあ強くこれはあなた方の常識において短期間に圧縮することを御言明になれば、私はこれ以上言うのはやめますが、どうでしょうね。やりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/30
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031・松元威雄
○政府委員(松元威雄君) 御指摘のように、大宗たる全農は扱いの銘柄数を減らしておるわけでございまして、さらにこの方向を進めてまいりたいというふうに考えておりますし、さらに、いわば集約化されました銘柄の化成肥料、それをうまく有効に使うように、これは技術指導、普及員等を通じまして、的確な技術指導をして進めてまいりたい、そういう方向で進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/31
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032・足鹿覺
○足鹿覺君 この法律の一番中心は内需優先ということなんですが、実際は、先ほど申し上げておるように、われわれが肥料臨時二法をつくったときにはナイトレックスとの競争だったのですね、向こうの大きなカルテルにどう太刀打ちするかということが海外進出の一つの課題であった。しかし、このごろはナイトレックスもアジア進出を企てておるのかどうか私どもはつまびらかにいたしませんが、大体まあアメリカは中南米、ナイトレックスはヨーロッパあるいは中近東、で、日本がアジアということに大体こう分野がきまってきたようだね。そういう中にあって一番需要の高いのはアジアですね。で、中国との——大量輸入国である中国は輸出高の半分以上を占めておるんですからね。既契約価格の再引き上げに応じたという話も聞いておりますが、まあいずれにしましても、需給計画が守られていかないと私は内需優先の原則が乱れを生ずると思う。で、いまの日本の肥料工場の分布というようなものは二十九年当時とはだいぶん違って、コストの高い合成硫安時代の会社はもうほとんどやめられて、回収硫安が主ですから、原価が何ぼについておるかということはなかなかわからない、これは。それからまあ尿素でいかれておるそうですから尿素でいかれれば一番いいと思いますが、やはりそれに行なわれるということになると妥当であるかどうかということの判断がつきません。まあいずれにせよ大臣にも御善処願いたいのは、輸出価格よりも国内価格が上がるようなことがあっては困りますので、この法律の精神にもとりますので、それはぜひ御配慮いただきたい、そういう決意を承っておきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/32
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033・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもも同じような考えで安定のために最大の努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/33
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034・足鹿覺
○足鹿覺君 私どもは、資源に限度のある燐鉱石だとか、カリだとか、これはまあ人工でつくるものでありませんから、これらの値上がりだとかというようなことについては、これはある程度容認せざるを得ない、合成がきかないものですから。ですから、これも新しい——いま松元さん答弁されたように新しい産地を開発することに政府みずからももっと力をかして、なるべく……。今後の燐酸質肥料の需要というものは私は高まっても、減らぬと思う、肥料の性質からいって。むしろそのほうが好ましい。なぜこういうことを私が申し上げるかと申しますと、現在の日本の肥料需給計画の基礎をなしておるのは、施設がもう一めぐりして、特に公害産業のために立地がなかなかむずかしい、そこで増設がなかなかできない、特に千トン級以上のものが大部分を占めるような近代化が進んだので小回りがきかない。ですから、五百トン工場を二つぐらい需給調整用——需給の硬直化を避ける意味において、立地でなかなかむずかしいと思いますが、外需の増大に伴って供給が枯渇をし、国内価格にそれが反応しないようにするためには、そういう調整保留が一カ月分しかないというふうな状態ですから、硬直性というものを改めていくためにはやっぱり、これは大体全農さんあたりが一工場ぐらい持つことも私はいいと思うんだけどね。
まあそれは余談として、とにかくいまのままで、中国との商談も進行しておるということでなかなか複雑微妙な段階だそうですから、それをほじくり返す気は毛頭ありませんが、中国との友好関係が促進していく上において、ぜひそれの成功を私は期待しておる者でありますが、ことほどさように輸出が非常に多くないところへ持ってきて、田中さんが東南アジアを回られましたね。あのときに、——これは朝日新聞の報道ですから、間違っておればその報道そのもののやっぱりあれですが、私どもほかに資料がありませんから一例をあげますと、フィリピンで新規輸出を一−六で二万トン、七−十二で八万五千トンの尿素を約束したと伝えられておる。これは、つまり内需と供給力との関係、需給計画の関係になってくると思いますね。東南アジアとの、中国を含めた各国との友好親善をやり、資源略奪型のいままでの開発方式を改めて、新しい友好精神にのっとって、現地の人々から感謝されるような方向が期待されますが、一たん約束したら、それを一方的にやめるということは、国際信義の上からいっても許されるはずはありません。いわんや一国の総理が、一−六で二万トン、七−十二で八万五千トンの尿素を約束したと、新規輸出ですよ。こういうことが事実だといたしますと、何ぼこれは田中さんの御命令でも、生産に限度があり、需給計画を乱すことになる。その結果は内需を圧迫するか、あるいはどこかの国のやつを削っていくかというようなことになってくる。インドネシアでは情報がまだわかりません。訪問諸国での、通産省はついていったと思うが、真相はどういうことか。解明ができなければ総理大臣の出席を求めます。求めなければならぬと思いますが、別な機会にやってもよろしいが、他の方法でも、この真相は明らかにしておかなければならぬと思う。今後のアジアの肥料倉庫というような立場に立っておるいまの日本の肥料工業というものに対するアジアの期待は大きい。その辺の真相はどうですか。内需と供給力との関係、需給計画との関係、それをどう考えますか。これは、通産省の責任のある人から具体的に答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/34
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035・山田勝久
○説明員(山田勝久君) 今回の総理東南アジア五カ国の訪問に際しまして、先方から各種原材料の円滑なる供給の要請がございました。その中で、特に肥料につきましては、既契約の履行という形、あるいはその供給について特別の配慮をお願いしたいという形などございますが、化学肥料の供給について要請がございました。
総理のお答えの大体の方針でございますが、肥料は農業資材として重要でございます。したがいまして、わが国といたしましても、可能な限りその供給につとめるべき立場にあるという点、しかし、先ほど先生御指摘のございましたように、硫安につきましては、その生産形態が回収あるいは副産というものが多くございまして、一般的に石油危機の影響を受けておりますので、なかなか供給がむずかしいということ。しかし、尿素につきましては、内需の優先確保をはかりながら石油等の供給を考えまして、生産をできるだけ維持していきまして、既契約分の履行に努力するという点、そういった基本的な方針を踏まえまして、特にことしの一−六月船積みの既契約分につきまして次のようなお答えをいたしております。
昨年の積み残し分も含めまして既契約でことしの一−六月分につきまして、インドネシアに対しましては硫安が二万一千トンございます。それから尿素が十一万五千トンございます。フィリピンに対しましては硫安が六千トン、それから尿素が三万九千トン残がございまして、その供給をできるだけ努力するということを申しました。それからマレーシアにつきましては硫安が二千トン残っております。それの履行につきましてやはり努力をする旨述べたわけでございます。
その先の話でございますが、なかなか先生御指摘のように需給関係がまだ出そろっておりませんので、全般的には四月あるいは五月という段階で先方の当事者と私どものほうの輸出の当事者とがお話し合いを始めることになろう、その段階でアプローチをされるようにというのが一般的なお答えでございました。ただ、フィリピンにつきましては、いま先生御指摘のような数字でございますけれども、これはちょうど昨年の七月から十二月、つまり七三肥料年度の上期でございますが、その輸出実績が八万五千トンの尿素でございます。したがいまして基本的には四月、五月のときに需給関係を踏まえてきめていくわけでございますが、昨年度の同期の実績程度の契約ができるように努力をいたしましょうと、こういうお答えをした経緯がございます。そのことを意味しているのかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/35
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036・兵藤節郎
○政府委員(兵藤節郎君) いまの、既契約分を年度内に出すというふうなことで東南アジア諸国と話を進めているわけでございますが、もともとこの肥料の需給につきましては、先生御承知のように、この法律の第八条によりまして農林大臣と通産大臣とが年度当初におきまして需給見通しを硫安、尿素についてつくると、こういうことになっております。これはその年の生産を見通しましてその生産の中から内需用にずま確保しましてそこから出てきたものを、余ったものを輸出に回すと、こういうような形で進めているわけでございまして、輸出につきまして四十八肥年は、たとえば硫安につきますと九十三万トン出すとか、あるいは尿素は二百二十七万トン出すとか、塩安が六十四万トン出すと、こういうふうな需給見通しになっておるわけでございまして、この需給見通しの中の数字を田中総理が努力するという形で約束されてきているわけでございまして、いま申し上げた数字は完全に需給見通しの中のものであるということをつけ加えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/36
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037・足鹿覺
○足鹿覺君 この朝日新聞、これは四十九年、ことしの一月十日の記事ですが、「肥料追加を比国に約す田中首相同行筋語る」とある。じゃこの記事読みましたか。これは大臣の時間が一時までだそうですから保留しておきますが、既契約分の中だと言い張りますか。それでおさまりますか。事は外交に関することですよ。あなた方がここで切り抜けようと思ってうまいことを言ったって、事は外交に関することで、一国の首相の約束したということを天下の大新聞が報道しているのです。それを、いまのような答弁で切り抜けたら、先で困りはしませんか。——まあいいよ。こういうことはもっとよく、大臣にも来てもらってから聞くよ。もう君たちと事務的な話し合いなんか聞いたってだめだ。
倉石大臣ね、私どもの受けとめ方は、どうもこれはインドネシアは、さっき南アジア東欧課長が言ったとおりのように聞いておる。だけどこれだけはちょっとケースが違う。具体的に書いてある。『マルコス大統領は「さっそく承諾いただいて」と感謝の意を表した。』とあるんだよ。だからこれはやはり、事国際的な問題ですから、これは他の適当な場で適当な人にまたやらざるを得ません、まあ楠さんもいらっしゃいますけれども。国鉄がいらっしゃるので、大臣の都合もあるし、これを聞いておいてもらいたいのです。
国鉄に対する質問を、一番ビリっけつにしておいて、いままでたなざらしにしておいて申しわけありません。ほんとうに簡単なんですよ。質問を繰り上げまして、もうケリをつけますから………。
この肥料輸送が国鉄に依存しておることは言うまでもない。一番大口なんだ、半分以上。それが、国鉄貨物駅の集約化が四十三年度から進められて、二千八百が四十七年度末で二千に減少した。今後、約千二百駅ぐらいを目標にしておるということなんですが、将来は一県にこれでいくと一駅ないし二駅というようなことになると思うんです。現実になっておるところもありますよ。そうしますと、消費地駅渡しというのが取引のたてまえですから、その以後の引き取り荷役、小運送、保管、このことがみな、だれがやっても最終的には消費にツケがくるんです。かてて加えて——まあ私も従来一生懸命がんばって政策運賃や特例なんかをいままでやってもらってきたんですけれども、とうとう押し切られてしまって、総トン制もなければもう割引も何もないんですね。かさばるものについては、これは肥料だけじゃありませんけれども、これは私は物価政策の上からも残しておいてほしかったと思うんですが、かてて加えて、これ千二百にし、まあ事情を聞いてみると、そのうちの五百は設備を拡大してりっぱなものにするんだというんだけれども、りっぱなものができたら今度はまたばっさりいかれるんじゃないかと、こういう想定もつくんですね。
で、運送費の高騰につながって、そのツケがみな消費者へいくんではないか、農民に。これは、石油危機から農業生産財が上がった、肥料の場合でも、ポリの値上がりやいろんなものの値上がりで、いままでかせいだ。この肥料法でかせいだものが全部その容器その他の値上がりで吸収されてしまって、赤になるんですね。十数年の長きにわたって、あるいは臨時立法からいけば、二法時代からいえば約二十年、それで大体一八%ぐらい下がったでしょうか。——正確にはちょっと。それが今度で、さっきもお聞き取り願ったようにパアになっちまったですね。硫安そのものも、この肥料二法の歯どめがあるにもかかわらず下がらない。ずいぶん強硬な交渉が行なわれたと聞いておりますし、合理的な結論が出されたと思いますけれども、今度国鉄さんのこれを強行されることによって流通コストがまた上がってくると。これではね、一方に手当てをしても、また一方でそれをぶちこわす。何か総合一貫体制というようなものがないんじゃないか。つまり、食糧の重要性というようなものを考えるならば、これは、大臣にもお聞き取り願いたいのだが、もっと一連の総合された施策というものがなけらねば、私はどこかで糸が切れたのでは政策効果があがらない。そういう点を心配するんですが、これが一つ。
それから、あなた方の集約の基準は一体何ですか。いわゆる工場を中心の基準をされては困るんですよ。国民に食ってもらう生鮮食料品をはじめ、米、すべてのものを生産する農業の、農畜産物の集散地というものを重視してもらわなければ困る。あまり何でもかんでも鉱工業が盛んになったところへ集約なさるというようなことがもしあるとするならば、これは一大事でありまして、そういう点を慎重に配慮をされておりますか。国鉄の御答弁によっては、大臣ね、こういう問題があるということをひとつお考えおき願いたい。政策効果が途中でみんな抹殺されてしまう。そういう点を心配しています。御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/37
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038・丸尾和夫
○説明員(丸尾和夫君) 国鉄の立場から一応御答弁さしていただきます。
先生御承知のように、国内貨物総流動のうち、かつて国鉄の貨物輸送のシェアは五〇%でございました。現在は一七、八%に落ちております。で私どもといたしましても、荷主の要望調査というのをいろんな形で従来実施しておりますが、その一番多いものが到着日時の明確化と、それから速達——速く届ける、スピードという二つでございます。たとえば鮮魚、くだもの、野菜あるいは引っ越し荷物、それからえさ——飼料でございます、こういった荷主さん方からは非常に従来そういう要望がお強いわけでございます。まあそれなりの手は打っておるのでございますが、先ほどお話しのように現在貨物駅が大体全国で千八百ございますが、千八百の貨物駅から出まして千八百の貨物駅へ着くというのは、これは組み合わせでやりますと数十万通りの輸送経路がある。したがいまして、途中に百以上の、ヤードと申しておりますが操車場を設けまして、ここで十分に貨車の入れかえをしていく、そのために到着日時が不明確になる、あるいはスピードもおくれるというようなことでございます。そこで、できるだけ駅の数が少なければ、直行の貨車がふえてまいって到着日時がはっきりしまたスピードもつくと。ちなみに、現在着から発までの平均の総輸送時間を時速に直しますと、十キロちょっとぐらいになっておりますが、これは、途中の操車場で待ち合わせる時間が非常に多い、入れかえの時間が多いというようなことになっておるわけであります。一方、エネルギー問題もございまして、国鉄は省エネルギー機関である、また、自動車のような排気ガスのような公害もないということで、長距離は鉄道輸送、集約は、近距離は自動車ということで、共同一貫輸送体系というようなことが言われてきております。これを踏まえまして、国鉄は、先生おっしゃいましたような貨物集約をやっておるわけでございますが、しかしながら、実際は、地方その駅々で特殊な事情がそれぞれございます。それを踏まえまして、地方の管理局で地元の要望を組み入れて、また、お話し合いの上で、一つ一つ具体的な問題を解決しながら実施しているのが現状でございます。
それから、先生が二番目におっしゃっておりました工業優先じゃないか、農業も基地があるのかというお話でございますが、この点につきましては、たとえばえさにつきましては、着基地を設けまして、サイロをつくって到着時間の明確化をしたり、あるいは早い輸送をして、一定の配給をいたしております。それから、鮮魚につきましては、御承知のように、東京なり大阪市場と、長崎あるいは釧路、八戸というようなところに鮮魚の特急列車を走らせまして、これ両方に基地を持ってやっております。まあいろいろなあと輸送形態がございますけれども、できるだけの国鉄の配慮は農産物についてもいたしておるということでございます。要は、地元によりましていろいろ具体的には事情が違いますので、地元の荷主さんとよくお話し合いの上で貨物輸送を行なっていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/38
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039・足鹿覺
○足鹿覺君 専門的なことで地元は地元でみな事情が違うことは私もわかります。やはり要請が出ないと国鉄さんはどんどん合理化をなさる、そういうくせがある。で、強い要請があると少し耳を傾けられるというのでね、何も近代化、合理化合理化と言ってね、貨物駅の集約化をあなた方がむちゃくちゃにやられておるとは思いませんが、いかにトラック輸送が盛んになってきたとはいうものの、国鉄の利用度というものはやっぱり相当のものですから、大量に確実に事故なしに着くのはやはり国鉄ですから、われわれはそういう意味でむちゃな工業中心にならないように、それからまた千二百をまた五百にするというようなことがないように善処願いたい、約束してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/39
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040・丸尾和夫
○説明員(丸尾和夫君) 従来も地元とよくお話し合いの上でやってまいりましたのですが、さらに今後よく地元の要望を聞き入れて、無理のないようによく折衝してということを地方の管理局でやっておりますので、重ねて地方の管理局を指導していきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/40
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041・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 暫時休憩いたします。
午後一時四分休憩
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午後二時三十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/41
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042・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案審査のため、必要な場合は、参考人の出席を求めることとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/42
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043・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/43
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044・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) それでは、休憩前に引き続き質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/44
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045・工藤良平
○工藤良平君 私は、肥料問題を主として御質問いたしますけれども、その前に、先般大臣の所信表明に対するわが党の質問の中からごく一、二、肥料と直接関係のない分もありますけれども、せっかくの機会でありますから大臣に考え方をお聞きいたしたいと思うわけであります。
それは肥料をはじめといたしまして、農機具あるいは農業用ポリあるいはビニール、重油、ガソリンさらに配合飼料と、相次ぐ極端な値上げが行なわれてまいったわけでありますが、私、先日物価対策委員会におきましても、特にその中で農業用の機械の例を引きまして、たとえばライスセンターの乾燥機部門の値上がりにつきまして、大体一七〇%から二〇〇%程度上昇しているということを申し上げたわけでありますけれども、そういうことからいたしまして、特にこの肥料価格の上昇というものは、全体的な農業用資材の上昇を含めまして非常に重要な関心を示さざるを得ないという状態になってきたわけであります。が、その中で、先月の二月の二十八日に、一月の農村物価指数につきまして農林省が発表いたしておるようでありますが、それを見ますと、資材の指数が非常にいま上昇いたしておりまして、その割合に比較をいたしまして農業生産物の価格の傾向というものが比較的低位にある。こういうことから、さっき足鹿先生も指摘をしておりましたように、結局生産費高の生産物安と、こういうような状態が出てきておるわけでありますが、こういう問題をとらえてみた場合に、農林省として次に考えられますたとえば米の問題あるいは麦の問題、乳価の問題等について、これらがもちろん生産費の上昇という関係から価格の上昇ということについては当然これは基本的に考えられることでありますけれども、その点についてまず大臣の基本的なお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/45
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046・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) いまお話のございましたように、営農のための機材がそれぞれ石油事情等ありまして高騰してまいっておりますことはいまお話しのとおりであります。それで私どもといたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、極力その機材の生産に要するコスト要因を押えることに努力はするように指導いたしておるわけでありますが、しかし、それも大体限度のあることでありまして、したがって私どもといたしましては、まあ御存じのように、大体農作物についていろいろな行政が介入をして価格をきめておりますものが七割ぐらいございますので、そういう面におきましては、やっぱり再生産の確保ができますように考慮してまいることは当然なことだと思います。が、その間におきましても、やはり基盤整備その他生産性を上げ得るような努力は並行して続けてまいることは当然でありますが、極力この機材の値上がりについて防止するために、政府部内の関係省とも協力を願って努力をいたしてまいるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/46
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047・工藤良平
○工藤良平君 その点に関連をいたしまして、通産省として農業用資材に対する特別な御配慮について、今後どのような御計画があるか、お示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/47
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048・兵藤節郎
○政府委員(兵藤節郎君) 通産省といたしましては、この石油ショックから由来しました種々の問題をかかえておるわけでございますが、まず農業資材の中で最も重要な肥料というものにつきましては、この一月以降肥料の生産につきましては、これは優先業種であるということで、原燃料及び電力については五%の削減ということをやったわけでございます。一般のものは一五%でございました。それから三月以降はカットなしということで、計画どおり生産できるような体制を整えておるわけでございます。それからその他の農業用資材につきましては、ほとんど大部分のものが石油製品である、そこからの誘導品であると、こういうことからしまして、極力これらにつきましても原燃料あるいは電力の特配というような形で生産を続けていくと、こういうような方法をもちまして増産に励むよう業界を指導しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/48
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049・工藤良平
○工藤良平君 先日私は、農林省、通産省それぞれから内容について詳細にお伺いしましたので、きょうはあえてこの委員会では触れないつもりでありますけれども、ただ、問題になりますのは、非常に生産用資材が高騰している。ところが、製品のほうはどうかといいますと、たとえば乳価を一つとってみましても、近ごろ非常に、この前乳価を上げましてから今日の消費の状態を見ますと、ここ二、三カ月の間に連続的にやはり一四、五%程度の減少傾向が出ている。こういうことが言われておりますし、あるいはまた、二月の牛馬市場の価格の状態を見ますと、非常に下降線をたどっているという状態があるわけであります。非常に飼料や資材が上がっているにもかかわらずそういう状態が出てきている。一体これはどこに起因するのか。これは全体的な物価上昇の影響の中で、特に毎日食べるこのようなものに対してかなり大きな消費の抑制といわれるような傾向が出てきておる。これは農業一つ考える場合に、非常に重要な課題ではないかと思っているわけであります。
たとえば飼料等の問題につきましても、今回の予算を見ますと、飼料の特別会計の中に五百九十八億円というような財政的な措置をはじめとして、かなりの部分いろいろな措置はとられておるようでありますけれども、このような現象を見たときに一体どのような対策を講じたらいいのか。もちろん、価格にはね返すことのできる、たとえば米価とかあるいは麦価等につきましてはそういうことは可能でありましょうけれども、生鮮食料品やあるいは畜産物の現実のいまの問題を考えてみると、これ非常に重要な問題ではないだろうかというように私は思うわけでありまして、この点について一体どのような方法をとったらいいのか。あるいは畜産農家に直接言わせますと、何とかしてこの危機を乗り切りたいということでがんばってはおりますけれども、すでに大分県あたりでも百数十戸の畜産農家が農業を放棄をするというような状態が発生をしているわけです。
で、緊急的には飼料に対する対策とかいろいろ必要だと思いますが、特に制度金融あるいは系統金融の償還金利の問題について非常に深刻な要求が出ておりますが、この点について、たとえば据え置き——これから二年ないし三年間、一応安定するまで据え置きをするとか、あるいは利子補給を別途に考えるとか、そういうような方法を緊急にこの際考えないと、畜産農家にとりましては、全く放棄をせざるを得ない、農業から離れていく。こういう深刻な状態でありますので、この点についてはぜひひとつ大臣のほうとしても十分な検討が必要ではないかと、私はこのように思いますし、本題ではありませんけれども、非常に緊急な要請でありますから、肥料に入る前にその点を基本的に伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/49
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050・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) いま私どもいろいろ難問題をかかえております中の大きな難問題を御指摘いただいたわけでありますが、飼料につきましては、もう御存じのように、昨年来アメリカ輸入の小麦、トウモロコシ、なかんずく小麦等の上昇はたいへんなものでありまして、これを国際的に七二年の不作以来ソビエト・ロシヤとか中国大陸などが大幅に買い付けをいたしたりなどして、意外な外圧のために現にこう価格は高騰いたしておることは御存じのとおりであります。そういうようなものを輸入いたしまして飼育いたしております、豚、鶏、酪農もそうでありますが、当然——このことは酪農及び豚価にはね返ってくることは当然なことでございますけれども、昨年は御存じのように二百十一億円を飼料の基金関係に入れまして、同時にまた、四分という低利の融資をもいたしましたり、それからまた、食管でかかえております古米の七十万トン、これは帳簿価格十五万余りのものでありますけれども、一万円そこそこで放出をいたしたとか、まあ思い切ったことをいたしまして、飼料の値上げを防いできたのでありますが、いよいよ、さらに今回のような状況で……。そこで、全国の酪農家の方々もそういうことについてたいへん御心配になりまして、各地でいろんな生産者の大会なども開かれ、また、私どももそういう方々からよく事情を承っておるわけでありますが、そういうこともございましたので、毎年御存じのように三月三十一日に乳価等を決定いたしますわけでありますが、その前に諮問機関であります畜産振興審議会の先般懇談会を開いていただきまして、朝十時から夕方の七時過ぎまでたいへん委員各位御熱心に勉強していただきまして、御意見が——答申ではありませんけれどもそれぞれのお方の御意見を私も拝聴いたしまして、そこでなるべく早くひとつ審議会を開きたい。まあ例年でありますというと今月の末ごろになるわけでありますが、少し早く本当の審議会を開いていただいて十分御検討の上に御答申をいただいて、それをもとにして対処いたしたいと思っておるわけであります。が、その前に二月、三月どうするかという問題もございます。そういうようなことにつきまして、実は毎々申し上げることでありますが、再生産の意欲を失なわれてしまったのでは、元も子もないわけでありますので、再生産への楽しみを持っていただくためにはどうしたらいいかというようなことについて、二月、三月の問題もございますし、それから、三十一日に決定いたします来年の乳価等のこともございますので、ただいま財政当局ともそういう点について種々話をして協議を続けておるというのが現状であります。
私どもの気持ちといたしましては、物価を安定するということはもちろん優先的に考えなければなりませんけれども、さりとて、やはりコストアップになっておりますもの、そういうものがやっぱりそのまま放置しておくことはできないということは当然でございますので、その辺のところを審議会の先生方の御意見も参考にいたしましてきめてまいりたいと、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/50
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051・工藤良平
○工藤良平君 私は、後段に申し上げました特に、非常に緊急な事項は、やっぱり農家の皆さんが畜産をやめる、牛を手離す、こういう状態が発生をしていることですね。ですから、それに対して制度金融あるいは系統金融からの融資を受けている深刻な問題についての対策、これは、いま直ちに大臣から、そうしましょう、ということは不可能でありましょうけれども、ぜひひとつそういう形のものを御検討いただきたい。
きのうきょうの新聞によりますと、通産関係では、石油業界に対するこれは税金とか、そういう面の対策で、もし赤字が出て、値上げを引き延ばすということであれば、それは将来利益が出る過程の中で順次還元をしていくというような方法を考えるというようなことも出ておるようですけれども、農家の場合には、そういうことはきわめてむずかしいわけでありましょうけれども、たとえば金利に対する補償あるいは据え置き機関の繰り延べ、こういうようなことの措置というものがとられないかどうか。その点はひとつぜひ、困難な問題でありましょうけれども御検討をいただいて、何らかのここ当分の便宜的な措置というものが必要ではないかと私は考えますので、その点に対するひとつ御検討をお約束をしていただきたいと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/51
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052・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) そういう問題は大事な問題でございますので、そういうことにつきましても、ただいま政府部内でいろいろと協議を続けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/52
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053・堀本宜実
○堀本宜実君 これは関連質問でございますので一言だけでございますが、先ほど通産では、前に五%カットしておる、今度は三月からは石油もノーカットでいくであろう、したがって生産資材についても十分な配慮ができると思うというお話がございましたが、石油事情は御承知のようにそういうことじゃありませんね。これはほんとうにメジャーからの通知を受けて、三月には二五%減というような通告を受けておるわが国のことでございますので、私はそう簡単に、生産資材は御心配ございません、というような言い方では、少しまずいのではなかろうかということが一点。
それから農林大臣に、これは私の所見でございまするのでお聞き取りおきを願いたいと思いますが、金を貸してやろうという、いわゆる経営資金というものを貸そう、それはいろいろな意味で六百億という話もありますし、利子補給を四分ぐらいにして、という話も出ておるようでございます。これはまことにけっこうなことなんですが、私は農家が借金をして——常に私の主張はそうなんですが、農家が借金をした場合に、元金と金利を払っていかなければならない——いまの価格ですでに四回昨年度飼料が上がっている、原価はそのままに据え置いてある。そこで、まだ原価に対して修正をしよう、これは三月が近いから、どうせ三月の末日までにはやるのだからという御意見であろうと思うのですが、借金をこの上つくろうという、金を借りてやろうという意思はないようであります。それは貸そうといえば借りたいと思うのでしょう。がしかし、私は、百姓が金を借りてそして元金なり利子なりを払っていくような経営がどうしてできるのだろうかと思うのです。これはなかなか——いまの場合、金を貸してやるからというのでなくて、むしろはなはだ言いにくいことだけれども、価格で吸収をしてやる、でき得る限り価格で吸収をするということでなければ、数次にわたって借り金をして、そしてその借り金の利子さえたいへんな負担であるのに、なおまた金を貸してやろうという親心には感謝をいたしますが、農民自体のほうでは、金借りてやるということでは私は農業の経営というものはむずかしい、こういうふうな考えを持っております。
私は時間がございません。人の時間を借りて話をしておるので詳細申し上げることはできませんが、結局、飼料高の生産品が安くなっておるわけでございますから、これはいろいろな現象がもう出ております。そうして少し自暴自棄みたいなかっこうに畜産農家はなっております。酪農でも年々生産量は減ってきておる。こういうときに、どうして値段の改定というものをしてやらないのだろうか。私はこういうふうに思って、それが不思議に思うくらいでございますので、一言私の意見だけをこの機会に申し上げておきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/53
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054・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 堀本さんのお話、よく私どももわかるわけでありますが、昨日も全中の宮脇会長ほかおも立った方々がおいでになりまして、とりあえずの二−三月分のものをどうするかということ、それから先行きのことについて等、詳細にいろいろお話を承りました。で、私どもといたしましては、そういうお話を基礎にいたしまして、それぞれ関係筋といま相談をいたしておるわけでありますが、生産者が、先ほど申し上げましたように、これを放棄してしまうような考えを持っていただくことはたいへんなことでありますので、そういうことについては皆さまの御意見を十分体して慎重に取り扱ってまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/54
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055・兵藤節郎
○政府委員(兵藤節郎君) いま堀本先生から御指摘のあった石油、電力等の供給でございますが、この石油危機が十二月から始まったわけでございますが、十二月とそれから一月の半ば、この間は石油事情が急激に変わったということと、それに対してどういう手を打つか。たとえば燃料用のLPGとか、あるいはタクシー用のLPGとか、そういうものを手当てする、いわば生活関連のほうが優先しまして、産業業種に対するところの手当てというのはややおくれたわけでございまして、確かに十二月あるいは一月半ばまでは、生産が前年対比にしましても、一〇%程度落ちていたということはいなめない事実だと思います。その後一月の半ばから、こういった産業業種につきましては、優先業種ということで、電力並びに石油を特配する。この三月からは、はっきり申しますと、肥料と農薬についてはノーカット、それから燐酸肥料とか、肥料用の硫酸とか、あるいは農業用フィルム、それから農薬原体、肥料包装用袋、こういうものについてはノーカットの上にさらに特配をする。これは、ただいま申し上げました十二月ないし一月の生産減をカバーすると、こういう意味で特配制度というものを設けて、この三月から実施しておるわけでございます。
数量的には、そういうことでほぼ確保し得ると思いますが、価格については、原燃料等が上がっておるという事情もございまして、なかなか思うようにはいってない。やはり原燃料の上がった分だけ上がっているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/55
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056・工藤良平
○工藤良平君 それでは肥料問題に入っていきたいと思います。
まず局長にお伺いしますが、いま私が申し上げました農業用資材の高騰ですね、これは特殊な現在の情勢でありますけれども、ここ数年の傾向として、この農産物価格に占める農業用資材、その中における肥料、これの傾向というのは、どういう傾向をたどっているか、その点をちょっと見てみたいと思います。そう申しますのは、今回のこの肥料の法律を延長するというその趣旨というものが、価格の安定、そして国内需給を確保するということ、そして肥料の輸出を促進をするという三つの目標があるわけでありますけれども、その中でいま言った点がどういう傾向をたどっているか、詳細な数字じゃなくてよろしゅうございますが、大体のカーブというものをひとつ御説明いただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/56
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057・松元威雄
○政府委員(松元威雄君) ただいまの御質問の趣旨を取り違えましたら恐縮でございますが、御趣旨は、いわば農業経営の中でいろいろな資材費、特に肥料費のいわばウエートと申しますか、その推移はどうかという御趣旨かと存じたわけでございますが、これは経営費の中で現物と現金と両方ございますが、農家の一戸当たりの現金支出がございましてその中のウエートの推移を見てまいりますと、肥料の場合は、四十年ごろは農業現金支出の中でウエートは約一七%ございましてが、ウエートとすれば、四十七年は一三・四%となっておる。と申しますことは、ほかの費目のウエートが高まっておりますので、絶対金額は、肥料の金額はふえておりますが、全体としましての農業現金支出はふえますし、さらにほかの費目のウエートが高まっておりますものですから、ウエートとしては若干減っておりますが、それでも現金支出の中で肥料のウエートは一三・四%を占めておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/57
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058・工藤良平
○工藤良平君 いまの御説明の中にもありますように、傾向としてはやはり肥料のこの法律があることによって、かなり有効的な効果をあげているということは私も認めるわけであります。
ただ問題は、現在の——それでは次の問題として、この肥料の需給の方向ですね、国内需給——全体的に生産されたものが国内でどの程度消費されて、輸出はどの程度いっているかという、そういう傾向をちょっとひとつ見たいと思うのですが、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/58
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059・松元威雄
○政府委員(松元威雄君) まず、肥料の中で直接この法律の対象になっておりまするアンモニア系窒素肥料についてまず御説明申し上げますと、全体の生産は年々増加の傾向にある。と申しますことは、たとえばこの法律が当初に制定されました三十九年、そのころは生産が、これは窒素換算でございますが、約百三十万トンございましたが、それに対しまして四十七肥料年度は約二百四十万トンというふうに生産がふえております。その中で内需のほうはいわば漸増ということでございまして、十年前の三十九年が、内需は、これは樹脂用等と工業用を含めてでございますが、約六十五万トンでございましたが、四十七肥料年度は九十三万トン。このうち工業用の数字の変動もございますが、肥料用についてみましてもいわば漸増の傾向にある。ただし、内需につきましては、途中波がございまして、一時ふえてまいりましたが、四十五年ごろから例の休耕問題という問題がございまして、四十五、四十六年とは減ってまいりましたが、四十七年は再びふえた。こういう波はございますが、十年間の傾向は見るとふえている。しかし、その間四十五、四十六年は減りまして、四十七年は前年に対しまして七%ふえたという傾向でございます。
さらに、それに対して生産の増はもっと大きいわけでございますから、そのギャップといたしましては、輸出が非常にふえておりまして、輸出は三十九年には約六十三万トンでございましたが、四十七肥料年度では輸出は百六十八万トンというふうになっておりまして、輸出の増加が顕著であるわけでございます。
したがって、もう一度論旨を簡単に整理して申し上げますと、生産はかなりふえました。それから内需のほうは、波がありましたけれども、漸増である。ただし、一時減ってまたふえたという傾向である。輸出の数量が非常にふえた。したがって、現在ではアンモニア系におきましては輸出のウエートが七割ぐらいになっている。こういう需給構造になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/59
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060・工藤良平
○工藤良平君 いま御説明のように、これは統計資料を見ましても、たとえば三十六年に若干落ち、そしてまた逐次増加をしていって四十四年、四十五年と非常に落ち込みがあるわけでありますけれども、これはやはりいまの農政の進め方の中で、たとえば三十六年というのは、農業基本法のできたときでありますけれども、この当時、御承知のようにやはり米が大体バランスがとれたいうことから、適地適産の新農村建設なんということで、かなり果樹、畜産、蔬菜という方向に向いていって、米に対するウエートが若干落ちた。四十四年、五年というのもこれまた、減反政策と軌を一にしてそういう傾向というのが出てきているわけであります。が、そういう相対的な面から見ると、でこぼこというのはありますけれども、趨勢としてはやはり増加している。
もちろんそれは作目の体系なり経営の体系というのは非常に多様化しておりますから、そういう意味もわかるんでありますけれども、たとえば一つの作目をとってみた場合に——同じ面積の、たとえば十アールなら十アールという面積で、同じ作目をとった場合に、飼料の消費の傾向というのはどういう傾向をたどっているか。これはやはりいまの農業の進め方において非常に重要な私は課題であろうと思いますから、そういう点についての傾向をひとつお知らせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/60
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061・松元威雄
○政府委員(松元威雄君) ちょっといま数字を調べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/61
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062・工藤良平
○工藤良平君 数字はまた後ほど何かの機会にお話しいただければけっこうですが、大体の傾向として、単位当たりの肥料の投下の状態というのはおそらくだんだんだんだんふえていっている傾向があるのではないか。もちろん経済的な条件は別といたしまして、大体そういう傾向をたどっているのではないかと私は判断をしているわけでありますが、これは違えば後ほど御指摘をいただきたいと思いますけれども、一体それはどういうところにあるのかということですね。これはさっき足鹿先生もちょっと触れておりましたけれども、この肥料の、特に化学肥料の有効性といいますか、あるいは吸収率といいますか、効率といいますか、そういう問題から判断をしていく場合に、いまの進めている日本の農業の形態からして非常に憂慮すべき問題が出てきている。それはやはり地力の問題なんです。生産は一時的に非常にあがってきたけれども、これは長い二千何百年という土壌の育成の中から、非常に有効的に肥料が作物に吸収されていくというメカニズムというものを最大限に利用することができたと。しかし、現在のような化学肥料の漸増傾向の中で、その地力というものが非常に大きな変化を来たしている。ある極端な学者に言わせると、これは土壌じゃなくて土ないしはいわゆる荒土という、肥料を作物に送っていくただ単なる媒介体にしかすぎないと。こういうような極論をはく学者も出ておるような状態なんで、私がやはり重要視したいのは、単位当たりの面積に投下する肥料というものはだんだんだんだん増加している。ところが、収穫というものは一定のところまでは急激に伸びますけれども、それから先は容易に生産が伸びていかないというこの状態があるのではないか。そうすると、ここら辺の解明をしながら全体的に化学肥料、いわゆる肥料の価格なり、あるいは需要供給関係を安定をさせるということだけではなくて、大きな意味でやはりこの地力の問題、あるいはこれからの営農形態あるいは技術形態の問題等について突っ込んだ議論というのがなされていかなけりゃならない時期にきているのではないか。そういうことを私はこの問題からいろいろ踏み込んでみたわけでありますけれども、非常に重要な問題が提起をされると思いますが、この点について、ひとつ、園芸局としてはどのようにお考えになっておるかお伺いをいたしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/62
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063・松元威雄
○政府委員(松元威雄君) ただいま先生の御指摘の前提になりまするいわば単位面積当たりの化学肥料の投下量はどうかということでございますが、これは作目別にしっかりフォローしておりませんが、一般的に申しますと、果樹でございますとか、蔬菜でございますとか、こういうのはふえる傾向にございますが、米について見ますと、これも途中に波がございますが、傾向で見ますと、やはり単位面積当たりの化学肥料投下量はふえている、こういう傾向になっておるわけでございます。したがいまして、私どもとしまして、これは肥料三要素、いずれもこれは必要なものでございますが、同時に、それだけでいいのだろうか。それがふえた——、波がございますが、傾向としてはふえておりますが、ふえたということと関連して、たとえば他の有機質肥料——堆厩肥等、こういうものの動向はどうなっておるか、そういうことをフォローいたしませんと、これは地力問題、いわば収量を支える基本なる地力問題に対して大きな問題になるということで、化学肥料投下量、同時に堆厩肥等のいわば有機性肥料、こういうもののやっぱり投下の状況というものもこれは行政でフォローしなければならぬというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/63
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064・工藤良平
○工藤良平君 私は、やっぱり肥料問題を見る場合に、さっきお話のように、全体的に農家支出の中でかつては一七%程度であった肥料の支出のウエートというものは二二%に落ちているのですね。もちろん金額そのものは、確かに価格は、ほとんど動かなくてきていますけれども、いま言うたくさん使うというようなことから、かなりやっぱりウエートは大きいのですけれども、しかし以前からすると少なくなっている。少なくなってきているということは、化学肥料を非常に使いやすくなってきた。ですから、たくさん使う。もちろんそれは非常に労力を削減できますし、あるいは近代化されたこの農業形態というものは堆厩肥なんというようなものを使うよりも、有機質のものを使うよりも、やはりこういう無機質の直接吸収されるようなものを使っていったほうが、一時的には非常に作物に対する影響というのはいいもんですから、そういうことになるのですが。しかし長い目で見ると、いま言う地力の減退、いわゆる土壌が土壌でなくなってしまっている。いわゆる微生物とかいろいろな細菌とか、そういうものがなくなってしまっていく傾向がある。で、それがやはり病害虫を発生をさせ、非常に複雑なメカニズムですから、そういうものが農薬を多量に使わなきゃならぬというかっこうになっていくし、私はそのことをいまやはりこれからの肥料問題を考える場合に私は根本的な問題として考えてみる必要があるのじゃないかと思うのです。
そこで、これは技術関係のほうからお伺いをしたいと思うのですが、農業水産技術会議の事務局長、見えているようですからお伺いしたいと思いますけれども、特に現在、化学肥料をいわゆる多量に消費していった場合に、特にこの地力の破壊ですね、いわゆる生態系の無視、いわゆる植物の生態系の無視、生態系のあるいは喪失、そういった根本的な問題について、私はこの際、技術関係としても相当深く検討してみる必要があるのではないかと思いますけれども、その点に対する御見解なりあるいは現在の取り組みについてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/64
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065・小山義夫
○政府委員(小山義夫君) 最近労働力の減少あるいは収穫の機械化というふうなことから、農地に有機質肥料が還元をされない傾向が非常に目立っております。そういう意味で、いま御指摘の地力の減粍を私どもも非常に憂慮をしているわけでございます。堆厩肥をはじめとします有機質の肥料は、土壌の中のカルシウム等の塩基類を溶脱をいたします酸性化を非常に促進をするとか、あるいは土壌の中の微生物の生育層を変えていくとかというふうないろいろ心配をされる事態があるわけです。そこで、私どもも、研究の分野でこれに取り組みます場合、たとえば堆肥の形で、できるだけ昔のような形で堆肥を入れるようにといっても、農業の経営の形が変わっておりますので、なかなか無理な点があるということで……。
まあ稲わらは御承知のように、機械化でほとんどいま行なわれております。ただ、あの収穫の実態に合った形で稲わらをどのようにすき込んでいくかというふうなことが大事なことであるということで、その場合、問題になりますのは、気象条件によってどのくらいの稲わらをどの時期にどういうふうにすき込んだらいいかというデータがいままでなかったということで、最近若干おくればせでございますけれども、そういう問題に取り組んで、北海道ではどのくらい、あるいは本州の関東では、山間部ではどのくらい、平たん部ではどのくらい、それをまた秋にすき込んだほうがいいのか、春にすき込んだらいいのかというふうなことを、こまかくデータを全部試験研究の面で明らかにしておるわけでございます、いま申し上げたのは一例でございますが。
また、家畜ふん尿等につきましても、それぞれの作目ごとにふん尿を還元をします場合に、限界値がこれ非常に大事なところであります。よけいにやり過ぎて生育障害を起こしてもたいへんなことになりますので、そういう作目ごとに家畜のふん尿の必要の限界が幾らかというふうなことも研究室で取り組んでいる。
いま申し上げたのは一、二の例でございますけれども、そういう意味で堆厩肥等の有機肥料を土地に還元をすることが非常に少なくなっておりますので、いまの農業経営の実態に合った地力の維持のしかた、技術の開発ということに取り組んでいる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/65
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066・工藤良平
○工藤良平君 私は、これは何年前ですか、いまから四、五年ぐらい前だったと思いますが、山梨県——いま神沢さんいらっしゃいますけれども、山梨県にシイタケの種こまの問題で不良種こまが出たときに、私はあそこの秋山さんにお会いいたしまして、そのときに、かつてこれは営林署にいた人とそれから県の、山梨県の林業関係の仕事をしていらっしゃった課長さんですけれども、その方とだいぶん話したんですが、そのときに、たとえばということで出てきたのがこの問題であります。それは一時、山林に肥料をやるという、いわゆる窒素肥料をやるということがずいぶん流行いたしました。化学肥料をたいへん簡単にやれるようになりましたから、そういうことがずいぶん流行したものなんですが。そのときに、なぜ山林に窒素質の肥料をやらなきゃならぬのかということですね、これはもうずいぶん有機質肥料は累積しているわけですね。ですから、むしろこの分解を促進をしてやるようなたとえば石灰ですね、こういうようなものをやったほうがきわめて有効的なんだと。それでなお、たいへん窒素質の多い有機質のものがたくさん累積しているにもかかわらず、その上にさらに窒素質の肥料をやるというのは、むだではないかという議論が出まして、ずいぶんそこら辺で議論を戦わしたんです。が、そういうものが行政の中におりますと、そういう矛盾をわかっていても、やはり窒素質肥料をやりなさいというようなことでそれをやらせる。——むしろそれは分解作用を促進するようなものを施すべきなんだということを述懐しておりましたけれども。私は、そのときに非常に痛感したわけでありますけれども、いまのこの化学肥料を非常に奨励をしていくという、まあ足鹿先生もさっき例を出しておりましたけれども、これは本来的に土壌が持っている機能、これをしっかりとやはり踏まえてみる必要があるのではないか。だから土壌中にある微生物が有機物を分解して無機物に転化をするという非常にたいへんな役割りを持っている。病虫害をひとりでになくしていくという自然のメカニズムを持っている。そういうものを促進するような形のやはり土壌改良というものをいまやらなければ、化学肥料、化学肥料ということでやることも、当面、ただいま葉菜類とかそういうものには一時的にはいいかもわからぬけれども、しかし私は土壌という大きな観点に立つとたいへん大きな問題があるような実は気がするわけでありますから、こういう点についてはぜひひとつ技術会議としても根本的なやはり検討をこの際やっていく必要があるんじゃないか。一体その体制はあるのか。
私はよく県の試験場なんかに聞くんですけれどもね。土壌というものに対する認識といいますか、試験研究機関のウエートというのは非常に少ないんじゃないかっていう気がしているんですけれども、その点についてどのように把握していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/66
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067・小山義夫
○政府委員(小山義夫君) 非常に大事なところを御指摘をいただいておるわけでございますが、有機質の肥料はバランスのとれた養分を持っておるということが一つの大きな特徴だと思います。それならば、無機質の肥料をいろいろ午前中も御議論がございました、組み合わせればいいじゃないかという考え方はあるかと思いますけれども、やはり限界がある。さらにまた分解をしまして、これがゆるやかに植物の生長にきいていくというふうなことは化学肥料ではなかなか困難なことでございます。また、土壌の物理性、団粒構造というふうなことが言われますけれども、根が伸びやすく、また空気が入って、また水分の保持もしやすくなるというふうな点は、これは無機質の肥料ではとうてい望み得ないことでございます。
そういういろいろ有機質肥料の利点というものを考えますと、この面の研究というのは非常に大事なことでございますが、まあ従来ややもすれば無機質の化学肥料をたくさんやって、病虫害の発生は農薬で押えるといった傾向があったことはいなめない事実でございます。むしろそういう形のいままでの農業技術というものを全面的に見直しまして、これが農薬問題農薬の残留問題が私どもに反省をさせられた一つの直接の契機であったわけでありますけれども、いままでのいわゆる多肥料、多農薬を柱にした高生産農業というものに対して、全面的に技術の見直しをしようではないかということで、二年ばかり前から全研究機関をあげまして取り組んでおる途中でございます。さらにまた、これは農業経営に非常に密着した問題でございますので、県の研究体制が大事なことは御指摘のとおりであります。いま土壌肥料関係を専門にしております研究者が約六百名、国と県と合わせております。国立の研究機関で約二百六十名、残り三百五十名ばかりが四十七都道府県の試験場にいるわけでございますけれども、この研究者の陣容としては決して少ない陣容ではないと私は思います。ただこれがどういう研究の目標、課題を持ってやっておるかということが非常に大事な点でございます。
そういう意味で、御指摘のありました地力の維持という観点から、土壌肥料の研究者がもう一度研究方法あるいは研究目標というものをはっきり立て直していくという時期にきておるというふうに考えております。土壌肥料関係の研究者の数自体は必ずしも私は足りないという現状ではないと思いますが、そういう意味で、新しくこれからの研究方法というものを見定めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/67
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068・工藤良平
○工藤良平君 いま局長おっしゃったように、この問題は、ただ単に肥料とか、土壌とかいう問題だけではなくて、もちろんこの農業形態との問題、技術形態との問題も非常に関連をしてくるわけですけれども、私はいま農林省が進めている農業科学化あるいは機械化、装置化という問題、特にその中で、私は機械化、装置化という問題については問題がないではないけれども、ある程度これは是認をしたいと思っているのです。ただ科学化の問題については、さっき申し上げましたような基本的な問題を踏まえながらそれを考えていかないとたいへんな問題を起こすのではないか、こういうような実は気がしているわけです。
これは私、いままでソビエトなんかのいわゆる共産圏の農業をずいぶん見てきたのですけれども、いままで、共産圏の農業を見てきて何があそこで役に立つだろうかということをしみじみ思っておったのですが、近ごろこういう問題を考えてみると、たとえばソビエトへ参りますと、土壌研究所というものが非常に徹底して各地域にもあるし、いわゆる中心であるモスコーにもあるわけですね。全国各地の土壌の層を全部地域ごとに数万点集めて、どこの土地については、このような地相を持っている、この土地には、どのような肥料が必要なんだ、どのような農業経営形態が必要だ、技術形態が必要だ、こういうことがこまめに分析をされて、それに対する計画的な肥料の配分とかそういうものが行なわれているこの状態を、私は二、三日前からこの肥料の勉強をしながら思い出してきたわけですけれども、そういうことは、これは大臣にも聞いておいていただきたいと思うんですけれども、非常にやはり基礎的な問題なんですね。基礎的なことに対しては徹底的にやはり金を入れて研究する、こういうような仕組みというものが組み立てられているわけですね。ですから、やっぱり私はそういう意味からこの農業技術会議としてもぜひこの問題については真剣に取り組んでいただきたいと思うし、大臣としても、この点についてはひとつ思いを新たにしていただきまして、私はこの肥料と土壌の関係、これは非常に綿密な関係があるわけでありますから、この試験研究に対する徹底的なひとつ指導体制というものを確立をしていただきたい、こういうことを考えているわけです。
それから、これはあとでまた一括して大臣から御答弁をいただきたいと思いますが、もう一つは、私は、さっき事務局長一つの例を出しましたけれども、私もいま山の問題で一つの例を出しましたが、さらに先日、農林省が主催いたしました農業の青年の発表会がありましたですね、研究会が。あれを聞いても、いま農業で個別経営の中で成功しているという人は一体どういう人なのか、養鶏をやる、養鶏で出た鶏ふんをどのようにして土地に返してやるか、酪農をやる、酪農で出た堆厩肥をどういう形で土地に還元をしてやるか、個々の自分の経営で余った分は相互に連絡し合って不足しているところに供給をしてやる。こういう形で非常に巧みに土地から生産された有機物を還元をしてやるということで成功している、ほとんど全部それが成功している。ですから、これはやはりこの農業の経営方式、技術方式という点から、たとえば田畑輪換方式とか、あるいは水田酪農とか、あるいは畜産と水田との組み合わせをどうするか、そういうやはり農業経営形態、技術形態という有機的な結合、いわゆるドッキングが非常に大切になってきていると思うんですね。ですから、こういうことを部分的に切り離すのでなくて、全体的にそういうようないま農家の中にある知恵、あるいはいま農業技術者が勉強している、科学的に分析をしてきたそういう科学性というものを有機的にドッキングさしてこれからの農業というものを創造していく、そういうことが私はこの肥料の問題を通じても非常に痛切に感じられる。これは基本的な問題ですけれども、そういう点についてひとつ局長、大臣等から基本的な御見解をいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/68
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069・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) いまお話の問題たいへん大事な問題でありまして、農林省でも、土壌の研究につきましては私は特に関心を持っておりまして、先ほど事務局長お答えいたしましたように、地方にもかなり多くのそういう研究をいたしておる研究所がございますが、この点はひとつ十分やっていかなきゃなりません。
ただ、御承知のように、全体の日本経済がこういうふうになってきて、しかも稲などにつきましてだんだん労働時間が集約されてまいりまして、その余った余力を他の所得を得るほうに使われるというふうな傾向もございまして、農業の面から見ますというと、いまお話ございましたようなことで、複合経営と申しますか、私の郷里などではかなり進歩いたしました豚舎を持っておりまして、そこの排泄物は直ちにそれぞれ処理をいたしまして、そばに装置をつくっておりまして、それへバキュームで噴射のような形でやるといったようなことをやっております。そういうようなことは、これからのやはりいままで化学薬品で種々な弊害も生じてまいりましたものを調和する意味においても、たいへん大事なことであると思っております。農林省はそういうことにも大きな力を入れてさらに研究を進めてまいりたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/69
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070・工藤良平
○工藤良平君 私はこの食糧の自給体制というのは非常にいまやかましく論議をされておりますし、石油より以上に大切だということは従来からも私一貫して主張しているところで、この点についてはだれも異論はないと思っているわけですが、その食糧を自給をしていくための肥料ですね。もちろんこのアンモニア系肥料というのは、かなり化学生産によりましてできるわけでありますけれども、その他原材料をかなり輸入に仰がなければならぬという現在の日本のこの肥料事情というものを考えてみますと、やはり肥料自給体制ですね。こういうものは地力、さっきから私が申し上げておりますように、地力の維持増進のためにもきわめて重要な問題だと、このように考えておりますので、ぜひこの点については新しい技術の開発、そういうものを含めた営農方針というものを考えるべきではないのか。
ややもいたしますと、いままで日本の農業形態というものを見ますと、何かアメリカ的な非常に広大な百ヘクタールも、あるいは極端に言うと一千ヘクタールもというようなたいへん広大な農業、逆に言うと収奪農業と言われる、日本のように一つの土地を何回も使ってという集約的な農業ではなくて、収奪的な農業形態と同じようなことを歩もうとしても、これは無理なんであって、やはり日本に歴史的に今日まで積み上げられてきた集約的な農業、それにどのようにして近代化されたものを加えていくのかと、こういうことはやはり日本的な農業の創造であると私は思っているわけです。
そういう意味合いから、いま大臣がおっしゃったように、養豚なり、養鶏なり、あるいは酪農、肥育というような、そういうものをどのように組み合わして、さらにそれから有機質肥料をどのようにこれが機械化された、近代化された農業の中に組み入れられていくのかという、私は新しい技術の開発、営農形態の開発というものが必要ではないのか。それは地域を回って歩けば、かなりな地域の中に、いまあまり表には出ていないけれども、潜在的にあるということですね。これをぜひひとつくみ上げていただいて、それを全体のものにしていただく、それがやはり日本の農業の開発であり、あるいは食糧の確保ということに非常に有効に私は働いていくのではないか、こういうことを非常にこの肥料の問題を検討していく過程の中で感じましたので、特にこの席でその点を主張してまいりたいと、このように思います。
最後に、時間がちょうど四十分になりましたから、私これで約束の時間ですからやめますけれども、通産関係についても、通産省はこっちの第二次産業のほうばかり向かぬで、ひとつこういう農業の実態というものを踏まえながら農業資材をどう考えるか、あるいは結局農業の開発に対する通産省の認識というものをひとつ新たにしていただかなければいけないのじゃないか、このように思いますから、その点もひとつ最後につけ加え御見解をいただいて私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/70
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071・楠正俊
○政府委員(楠正俊君) 通産省といたしまして、今後とも食糧生産の自給率の維持向上と施策の推進に対処をしつつ、農業用生産資材の適正な需給をはかるよう、関係業界を指導していきたいと、かく念願しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X00919740305/71
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072・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
これにて散会いたします。
午後三時四十一分散会
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