1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年三月二十八日(木曜日)
午前十時二十四分開会
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委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
神沢 浄君 中村 波男君
三月二十七日
辞任 補欠選任
田中 茂穂君 高橋雄之助君
片山 正英君 久次米健太郎君
中村 波男君 神沢 浄君
三月二十八日
辞任 補欠選任
佐藤 隆君 高田 浩運君
塩出 啓典君 山田 徹一君
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出席者は左のとおり。
委員長 初村滝一郎君
理 事
梶木 又三君
高橋雄之助君
鶴園 哲夫君
塩出 啓典君
委 員
河口 陽一君
佐藤 隆君
田口長治郎君
棚辺 四郎君
温水 三郎君
平泉 渉君
堀本 宜実君
神沢 浄君
塚田 大願君
国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
政府委員
農林政務次官 山本茂一郎君
林野庁長官 福田 省一君
林野庁林政部長 平松甲子雄君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
説明員
行政管理庁行政
管理局管理官 吉村 友祐君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正す
る法律案(第七十一回国会内閣提出、第七十二
回国会衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/0
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001・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
理事の補欠選任についておはかりいたします。
委員の異動によりまして理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/1
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002・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に高村雄之助君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/2
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003・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/3
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004・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 五点ほど伺いたいと思っております。
一つは、林野の、まあ林業政策について簡単に一つは伺って、それから民有林行政についてお伺いして、それから森林計画制度について、それからもう一つは、開発規制をされるわけですが、その開発規制の問題について伺って、それからもう一つは、林野の問題といいますと、いつも私は、農林水産委員会でも、内閣委員会でも取り上げてきたんですが、定員の管理の問題についてお伺いしたいと思います。こういう諸点についてお伺いをしたいわけです。
どちらから先にやってもいいんですが、まず定員の管理の問題につきましてお伺いをしたいと思っております。これは、昨年の、四十八年の六月に農林省設置法が内閣委員会にかかりましたときに、私、内閣委員会におったものですから、この問題についてだいぶ論議をしたわけです。しかし、その後、事態は全然解決をしていない。そのときの農林大臣の櫻内農林大臣、いまの福田林野庁長官、行政管理庁の平井管理局長は、それぞれ努力をするというお約束をなさったんですけれども、全然進んでいないという関係もありまして重ねて、私の長い間の問題としておる一つでありますので、お伺いをしたいと思っております。ただ、きょうは行政管理局長が病気で欠席してまずいんですが、まあ吉村管理官がみえていますが、いずれこの問題は、続いて保安林もかかりますし、この法案のあとにすぐ農用地開発公団法が来ておりますので、その農用地開発公団法の中で、またこの職員の管理の問題について論議しなきゃならぬ問題が大きなものとしてあります。ですから、そこのところでまた行政管理局長も出席願って論議をしてもいいというふうに思っております。
そこでまず第一に、林野庁長官にお尋ねをしたいわけです。これは、長官にお伺いすると言いますのは、長年の問題でありますし、御承知でありますからお伺いするわけですが、その前に少しばかり私がちょっと説明をいたします。国家公務員は、これはもう御存じのように、常勤職員と非常勤職員と二つに分かれております。それで、この二つに分かれていることが処遇に上に非常に大きな関係を持っておるわけです。そこで、国家公務員は常勤職員と非常勤職員と二つに分かれるわけですけども、もっとも——ちょっと注釈を加えますと、この常勤職員の中に、もういまはほとんどいないと思いますけれども、一部、一代限りの常勤職員がおりました。定員になっていない常勤職員がおりましたけれども、ほとんどいなくなっていると思います。当時も数は非常に微々たるものでしたから。ですから、言うならば常勤職員と非常勤職員。常勤職員というのはこれは定員で、非常勤職員は臨時雇用という形になるわけですね。そこで、いま林野庁の雇用形態は御承知のとおりに常用作業員。定員法はもちろんです、定員法によって常用作業員、定期作業員、さらにまあ月雇い者といった人がいるんですね、の形、名前のつけているものもあるわけですね。その中で常用作業員というもの、これは一体非常勤職員だというふうに考えていらっしゃるのかどうかという点ですね。それで非常勤職員の定義ははっきりしておるわけですね。これは日々雇用で、そして臨時的なごく補助的なといいますか、そういうものであって、しかも、これは昭和三十六年の二月に常勤職員防止に関する閣議決定が行なわれております。閣議決定行なわれておるわけですよ。そういう関係で見ました場合に、一体この常用作業員は非常勤職員なのかどうかということをお尋ねしたいわけです。これは林野庁長官に伺うのがいいのか、あるいは人事院なりその他の出席願って聞いたほうがいいのか、ちょっとわかりませんが、長年の問題ですから御存じだろうと思うんです。そこでもう一つ注釈を加えたいんですが、常用作業員というのはこれは林野庁で定義を明らかにしていらっしゃるわけです。過去一年引き続いて勤務をし、これからも引き続いて勤務をする必要がある者、転勤の可能な者、そして林野の国有林野にいろいろ遂行上の基幹要員である、こういう定義があるわけです。
そうしますとですね、これは一体非常勤職員なのか、日々雇用の補助的な、臨時的な補助的な仕事をしているということになるのかどうか。非常勤職員というものはそういうものなんですか。たとえば総理府の庭の手入れをする人があったとしまして、それは非常勤職員ですよ。日々雇用であって、しかもこれは補助的なそして臨時的な仕事をするわけですからね。ですけれど、林野の場合にあっては、これは林野庁にあっては、そうじゃないでしょう。造林をするにしても、木を切るにしても、何をするにしても、これは林野の国有林野事業遂行上これは基幹職員ですよ。決して臨時的な、あるいは補助的な、しかもこの点でもう一つ私はさっき言ったように、昭和三十六年の二月の閣議決定、常勤化防止の閣議決定が行なわれておるんですよね。ですから、私が説明したようなことになるんですけれども、要するに、いまの国家公務員の中で常用作業員という形に類するものは林野庁しかない、林野庁しかいないですよ。ですから、これはたいへん私は、奇妙な、いま公務員の分類から言うと非常に奇妙なものになっていると思うんですよ。そこでまあ昭和四十六年ですね、四十六年の四月ですか、政府統一見解というような妙なものが出たんだと思うんですよ。あれ見ますとですね、これは非常勤職員だというふうに全然言っていないですよ。これはできないですよ。あとで統一見解をもう一ぺん問題にしますけれどもね。ですから、まあ林野庁長官にお尋ねすれば、まあ統一見解のごときでございます、という答弁だろうと思うんだ。まあぼくが答弁をしたようなもんだけれど、これで。どうですか林野庁長官、そういう答弁ですか。それはそれでまたいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/4
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005・福田省一
○政府委員(福田省一君) 定員外にいま位置づけられております、先生御指摘の常用作業員約一万六千名あるわけでございますが、これは一応法のもとでは日々雇用される非常勤職員であるということになっておるわけでございます。ただ先生御指摘のように、この一万六千名の常用作業員というものは、実際問題としましては、国有林におきまして伐採事業あるいは造林事業に主として従事して、おるわけでございますけれども、実態としましては先生御承知のとおり、二カ月ごとに更新されまして、そして継続して毎年出ておるという、そういう実態の非常勤の作業員であるわけでございます。最近の統計を見ますというと、この中で十年以上勤務しております者は六千二百二十二人おりまして、約三七%を占めておる。そういう長期に勤務しているというそういう実態でございます。平均の勤務年数は九・三年となっておるのでございます。そういう点は非常に定員内の常勤職員と類似しているということがまあ実態であると思います。で、これと同じような仕事をしておる定員内の職員も実は相当数あるのでございます。機械作業その他いわゆる技能職に分類されております定員内職員が、やはり似たようなものが約五千人ぐらいおるわけでございます。そしてそれらの人が、定員内の職員と定員外のいま申し上げたような作業員とが現場におきまして、組で同一の、たとえば集材作業であるとかいうふうなことを実施しておるというところに一つの問題があるわけでございます。
いま先生御指摘のように、四十六年に政府の統一見解が出まして、非常にその実態が似ているので問題があるが、これについてはいろいろとその制度に関連する問題でもあるので、慎重に検討してまいりたいという統一見解が出ているわけでございまして、林野庁におきましても関係する政府、まあ労働省、大蔵省、行政管理庁、人事院その他いろいろ関係する面がございますので、あの統一見解が出ましてからたびたび私のほうからも打ち合わせをお願いしておるところでございます。そういう職員でございますので、この定員内にそのまま直ちに繰り入れるということは非常にむずかしい問題ではございます。先ほど先生御指摘ございましたように、三十六年の閣議決定の線もあります。でございますので、ただ、この中心になって仕事をしておるこういう常用作業員の処遇につきましては、制度改正を含めまして私たちもいま現在林政審議会の労働小委員会においても御検討願っておりますが、できるだけ早く林野庁としての一つの案を持ちまして、いま申し上げた関係各省にお願いをし、この結論を早期に出していただきたいというふうに考えて努力している段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/5
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006・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま長官から答弁がありましたように、この常用作業員が二カ月更新と言いながら、一年間継続をし、そして平均して九・三年という——これはもうたいへんなもんですね、九年つとめている。しかもいまの定員内の中に、常勤作業員と同じようなという、全く同じ仕事をしている者が約五千名おるという話ですが、同じものですよ、常用作業員というものとそれから定員内に入っている五千名というものは同じものだ。違ったものじゃ全然ない。長官のおっしゃるとおり同じものです。
そこで私は、去年の六月にも指摘しましたように、これは当時の林野庁長官は重大な誤りですよ。だからこういうことになっちゃった。同じものが一方は定員内で、一方は常用作業員でおるという事態になったのは当時の林野庁長官、昭和三十五年、六年、七年当時の林野庁長官、これの失敗ではなくて誤り、私はそう考えておる、誤りであると。誤りを直せばいいんだけれども、しかし長官もおっしゃるように、三十七年一月に定員化は終わったという宣言を政府は行なった——それまでに入れろと言ってぼくは一生懸命やったのですけれども、林野庁は何かそれを待っておったような感じがぼくはしておったんです当時。いまの長官じゃないですがね、そのときの長官は。まあ終わったと、こう宣言されちゃっているわけですから、なかなかこれはむずかしい問題になっちゃったんです。誤りであるということを私ははっきり指摘しておく。はっきりしている、証拠は。同じものが定員内におって、一方は常勤作業員でおるんですから、これは常勤職員というのは政府の統一見解があるといま長官はおっしゃったけれども、あのときの統一見解というのは妙ちきりんなやつだけれども、妙ちくりんなもんだけれども、衆知を集めてあれを考えてみたところが、もうそういうふうに解釈せざるを得ないということになったのですよ。
そこで、私はこういうふうに思っているのですけれどもね、この三十六年の二月に出た常勤化防止の閣議決定があるのですよ。これから常勤化を防止するという閣議決定があるでしょう。それとの関係でいったらいまある常用作業員というのは一体どういうものなのか。常勤化ですよ、常勤ですよ。常勤化はこれから防止しますということで閣議決定行なわれている。三十六年に行なったんだ。その関係でいったら、この常用作業員は私は完全に宙に浮いちまうというふうに思っておるんです。ですが、この論議をあまりやりますと問題をこじらかしますから、この問題はひとつせっかく統一見解というところまで政府の考えというのは進んでおりますから、これ以上これはやりませんですけれども、私はそう考えているのです。
たいへん重要な問題だと、こう思っておりますが、そこで、次に伺いたいんですけれども、この常用作業員についていろんな論議が繰り返されたわけです、昭和三十六年、三十七年と昭和三十九年までですね。たいへんな論議が行なわれまして、結局常用作業員を行政管理庁が調査することになったのですね。三十八年の十月一日の時点で三十九年に調査をすることになったわけです。その調査をするときに、主として灰色の部分という言い方をして、これは行政管理庁それから林野庁もそうですが、主として灰色の部分を調査するという言い方をしてこの常用作業員を調査したんだけれども、——実際はその中の一部のものを調査したわけです。これは当時の林野庁長官じゃないから御存じないわけだけれども、そのときに私は、行政管理庁に林野庁は頼み込んだと、こういう推定をしている。非常に不明朗だったという感じをいまだに持っております。それは当時常用作業員は一万二千名ぐらいおりますが、一万二、三千名という常用作業員を、これを定員化するというようなことはたいへんなことになる。行政管理庁としてはもうすでに定員化は終わったという宣言を行なっている。にもかかわらず、常勤職員と思われる者がおる。林野庁も常勤職員だというふうに認めざるを得ないというふうな結果、当時の行政管理庁長官であった山村さんが、私に言わせますと、行政管理庁の苦しみと林野庁の苦しみの中にあって踏み切った、そうして調査をやったわけですね。いままで常勤職員の調査なんかしたことないのを各省がやった。このときには、行政管理庁がみずから全国の常用作業員の実態を調査をした。そして、要するに、この灰色の部分と当時いわれた、主として灰色を調査するといった、その主として、という灰色、いわゆる機械作業員、機械要員というものを、二千七百二十三名というものをピックアップした——二千七百二十三名のいわゆるトラックあるいは乗用車、ブルドーザーあるいは集材機、こういったような、林野庁が山で使っている機械を操作をしているそういう常用作業員について調査した、主としてこれを調査した。そうしていま言ったように、二千七百二十三名というものがこれは常勤職員だというふうに認定をしたんですね、そうしてこれらを定員化するということになった。ところが、定員化を終わったという宣言を政府はいたしておりますから、そこでこれを定員化するわけにいかない。で、欠員があった場合にそれを繰り入れていくという方法をとらざるを得なかった。欠員があった場合にそれを繰り入れていくという措置をとらざるを得なくて、昭和四十二年から四十六年まで五年かかって、この二千七百二十三名という人がた五年かかって定員に入ったわけです。これは林野庁長官御承知のとおり、林野庁御承知のとおりです。
ただ、これは私が前から申し上げているように、定員化を終わったという宣言をしない前であれば、即刻これは定員になった人たちです、即刻定員になった。当時は政府はどんどん三万名、四万名という定員化をやったんですから、総計して十二万名という定員化をはかったわけですから、だから、三十七年の前にこういうものが明らかになれば即刻これはそのときに定員化されたはずなんです。ところが、これが先ほどから申し上げているように、林野庁が誤った。したがって、定員化すべき二千七百二十三名というのは四十二年から四十六年まで五年かかって入れたわけですよ。この人たちはそういう意味でいえば十年余にわたって苦しんだんです。長い者は十数年、短い者でも七年、八年という間非常に苦悩だったんです。その責任は一体どこにあるのか。繰り返し申し上げますように、その当時の林野庁長官の誤りからこういうことにしている。失敗ではない。これは誤りである。
そこでお伺いしたいんですが、この常用作業員の中で機械を取り扱っている者、これは常勤職員だというように引っぱり出した——私に言わせますれば、常用作業員というものは全部これは常勤職員。にかかわらず、その中から二千七百二十三名というものだけを引っぱり出したその根拠を聞きたいわけなんです、なぜ引っ張り出したか。私は、そこに当時の林野庁の当局が行政管理庁にひたすら頼み込んだと見ている。それはそういう疑いを持っているという証拠を出してもいいです。あまく見た。まあ行政管理庁としましては終わったと思ったところが、宣言をやってしまったところが、まだあったという、何とかしなきゃならぬというものもあったんでしょう。そこで林野庁と行政管理庁との間の話というのがまとまって、そこで常用作業員の中から機械を取り扱っている者だけをピックアップするということになったんでしょう。私はそう推定をしている。だから、いま林野庁長官にこの常用作業員の中から機械作業員だけをピックアップした理由は何かというふうに聞いてみても、まあいまから長官が推定をしてみてむずかしいでしょう。何で機械要員だけピックアップしたのか——お答えがあるならばお答えを聞いてもいいんですけれども、説明つかないんじゃないですか、なぜピックアップしたか。これも当時の林野庁長官の誤りですよ。まあ時間の関係もありますから、特にここで長官の説明は求めないですが、ありますか何か。選んだという理由は。聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/6
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007・福田省一
○政府委員(福田省一君) 機械の作業員だけ抜き出してどうして定員内に繰り入れたか、その理由を知っているかというお尋ねでございますが、ただいまのところ、私正直申し上げまして、その理由を正確に調べてはいないのでございますけれども、ただ、こういうことがあるんじゃないかと思います。
相当前の話でございます。その当時は非常に国有林の伐採、造林、特に伐採事業というのは危険な作業でございまして、先生御承知のように、雪ぞりとか、木馬とか、それから機械といいましても、せいぜい森林鉄道を敷設してやっておったことで、ようやく集材機を使い始めたころから戦後は事業が始まっておるのでございます。そこで機械化が非常に進展する段階にあったというまだその程度のものでございます。
そこで現在では、たとえば昭和三十六年ごろといまとをちょっと比較してみますというと、山泊形態のが約半分以上を占めている、五七%を占めている。いまは一二%しかございません。それから作業の方法にしましても、いま申し上げたように、人力とか畜力とかあるいは個人作業を主体にして、一種の請け負いでしょうが、そういう功程払いという形が主力をなしておったんでありますが、最近では、チェーンソーはじめ、集材機、トラクター、そういうふうな機械が入ってきております。そして作業の形態も共同作業の形態になっておりまして、そこの点で常勤職員と非常に混在しているという形にだんだんとなってきたんであって、突然なったわけではないわけでございます。そういう実態を見ながら、機械作業の者を中心に定員に繰り入れたものではなかろうかというふうに思います。もう一つ、そのだいぶ前には、働く人たち自体が、やはり、日給制とか、月給制になるよりは功程払いのほうが得なんだという意欲を、意思を持っておった人も——いまはないんでございますけれども、そういう人があったということもやっぱり、それを順調に持っていけなかった理由でもあるというふうに聞いております。ということでございまして、確かにその当時は、いま考えれば何でこうはっきりできなかったとおっしゃいますけれども、その当時なりの、まだ進んでいない状態の中で、判断が、その当時の状態に応じてなされたものであると。いまから見るならば、少しその判断が適正でなかったんじゃないかというふう思う点もございますけれども、原因について私考えてみまして、そんな点も影響しておったんじゃないかというふうに考えられるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/7
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008・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この問題は、そんなに時間とりたくないし、前回も——昨年の六月にもやりましたから……。ただ、いま長官のおっしゃったように、昭和二十五年の九月の十二日に人事院が人夫・作業員についての通達を出しているんですよ。この人夫それから作業員についての取り扱い、という通達を出して、そのときに、林野庁はまた人事院といろいろ協議をされて、相談をされて、それで、林野庁の場合は、作業員、常用作業員については引来高払いが相当あるから、それは土俵からはずしてくれという話をされたわけですわ。それでこれをはずしたわけですよ。出来高払いが相当にあるという点を理由にしてはずしたんですね。確かにそのときは、出来高払いは、昭和二十五年ですから、林野庁と人事院と相談の結果、これはひとつはずしてもらう——人事院は、はっきり、人夫作業員について、常勤職員というものはちゃんと定義しているんです。この定義に合った者はその後全部定員内に入ったわけですよ。で、そのときはずした。ところが、はずしたはいいが、さてその後情勢が変わってきた。
そのときに、その当時の人事院と林野庁は出来高払いの俸給を考えればよかったんです。それを一般の公務員にないからこれははずしてくれと、こういうことなんです。山は山だから、こういう形態なんだからそれに合ったことを考えればよかったが、それをしなかった。初めからしない。それでこれはもうはずしてくれと、こういうことになってきた。これは、そもそものここで誤りと言うか失敗をおかしたわけですよ。しかし、その後情勢は、長官のおっしゃるように、三十五、六年になりますとこれはずっと変わってくるわけです。当時、機械作業員を、機械の取り扱いを常用作業員——これの調査が始まる前は私は山歩きましたがね。そうすると、林野庁のほうから通達みたいなものが出てきておって、機械作業員も出来高にどんどん回しておったですよ。出来高に回せば定員なしだってもいいという頭があるんです。事実、そうずっと回ったんです。昭和三十九年に山を回りました。八年にも回ったですな。山回ってみたら、機械作業員というのはもう出来高じゃなくなっているんだけれども、一応、出来高に切りかえるような努力を林野庁はやったんですわ。まあひどいもんだ、それは。ひどいもんだと言うけれども、やっぱり困ったんでしょう。それはわかる点もあるんですがね。あるんですけれども、そういうこともなさったわけです。ですけれども、いずれにしても情勢は変わっちゃっているんですな。だから、それはもう常勤職員として扱わなきゃいけないんです。その昭和二十五年の人事院の通達は生きていると言うんですから——この間も聞いたね、あれ。去年聞いたら生きておることだから、生きておるならこれはもうはっきりしている。常勤です。常勤職員です。
そこで次にお伺いしたいのは、いまの、この問題について、四十六年の四月一日に統一見解——先ほど私が申し上げました、また長官もいま先ほどお話しになった常勤作業員についての政府の統一見解というのが出ましたね。私は、この統一見解というのは奇妙なものだと思っております。これはほんとうに奇妙なものだと。たいへん苦しんで何とかかんとかかっこうをつけたような形になっておるんですよ。ですが、この統一見解が出て、四十六年の四月一日からもうちょうど三年になるわけですね。そこでそれについてどういうことをやってきたかということについていま長官お話しになりましたが、もう少し具体的に——もう三年たっているわけですよ。しかもこれは実際にそこで仕事をしておるんですよ、この人たちは。もっと具体的に、どうなんだということを明らかにしてもらいたい。
これは私は、行管のほうにも意見を聞きました、大蔵省のほうにも意見を聞いた、人事院にも意見を聞きました。問題は、雇用者である林野庁長官がどういう判断をするかということだと思うんですよ。長官がこうだと、いまこうだという判断をなさればそれでまとまっていく性質のもんなんです。任命権者のこれは権利ですよ、権限ですよ。ですから、もう少し具体的に、三年たっているんだから、どうなふうにする考えなのか。先ほど何か委員会みたいなものをつくってどうだ、こうだというお話があったが、この問題を、いまごろそんなまごまごされたんじゃ困ったもんだと思うんです。いままでたいへんにおこってもめた問題であるから、そういう学識経験者等に検討してもらっているというのもいいですわ。いいですが、どうなさるお考えですか、長官は。任命権者の、これは責任ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/8
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009・福田省一
○政府委員(福田省一君) 実は三年間に、何年の何月何日にどういう人が集まって、どういう内容のことを検討したかという資料も、まああることはありますけれども——いま持っておりませんが、その内容を御説明しましても——実は正直申し上げて、話は実はしております。しておりますけれども、そう具体的な決定版というのは出ていないのでございます。
最近何回かにわたりまして、別の委員会等でもその点に関して私のほうの農林大臣、関係するところの大臣等に対しましてもやはりいろいろと御質問があったのでございます。三年間何をしておったかと、いまどういうことを考えておるか、という問題について、それぞれ各大臣からお答えの中で、林野庁、いわゆる農林省のほうから具体的な案が出るならば、それを真剣に検討してまいりたいというお答えがあったのも私は承知いたしております。
そこでここではまだ具体的な内容について御説明する段階にまだ至っておりませんけれども、先ほど申し上げました林政審議会の中に労働小委員会を設けまして——昨年設けたんでありますが、数回にわたって相当こまかい内容の検討を願っております。このメンバーにつきましては、いろいろとこんなメンバーでいいのか、というふうな実は御指摘なんかを受ける場合もございますけれども、私は、やはり林業の問題に相当経験のある人と、あるいは林業についてはそう経験がなくとも共通する問題として、そういう労働問題についてのいろんな見識を持っておられる専門家の方々に一いまそういう専門家の方々を主に集まっていただいて検討にあたっているわけでございます。できるだけ早くその結論をいただいて、それを参考にして私のほうの態度をきめて各省にお願いしたいと思っております。それが済むまで各省との折衝はしないというわけにもいきませんので、各省間との話し合いもいたしております。基本的には私は大きい分岐点の一つは、定員内にそのままずばりと組み入れる方法でいくのか、あるいは定員外に置いたままで常勤制を付与する方法でいくのか、一つの大きな分かれ目はそこにあります。
お前はどう考えるかという先生の御指摘でございますので、私なりだけの考えを申し上げれば、定員内に入れてくれ、定員内に入れてくれという強い要望は、定員内に処遇が劣っているからそういうことになるわけでございますが、私はほかの民間の事業の事例とか、外国の事例なんかを見ますというと、定員内のいわゆる定員内職員というのは、端的に申し上げますと、ホワイトカラー主体でございます。そういったような事務職よりも定員外で現場の作業を主体に働いている人たちの処遇がいい場合が相当あると思います。たとえば特に技能の必要とする機械を扱う仕事、その他技術的な仕事を行なっておる職員は、事務をとっている職員より、全部ではございませんが、そういう特殊なものについては、相当高い処遇を受けておるものがあるわけでございます。むしろそういったものが出てまいりますというと、——これ私、申し上げているのは、いま林野庁にございます常用作業員全部という意味じゃございません。そういう林業労働に欠くべからざる特殊な技能を持った人については、これは定員内職員よりずっと処遇がいい、たとえば三倍も四倍もといった例が外国にあるわけでございますから、そういうのがあっていいんじゃないかと思います。
そうすると、やっぱり定員内の事務をとっておる人たちは、わしはそういうものになりたいということで、一生懸命勉強してなることもあろうと思いますが、私は、基本的にはそういう制度の確立のほうが望ましいと思うのでございます。一挙にそこまでなかなかならないことは、日本の実情を考えますというとむずかしいかもしれませんが、特に国家公務員である限りにおいては。そういう点を配慮しながらできるだけ早い機会に——ひとついま申し上げた林政審議会の各省関係との折衝をいたしまして、できるだけ早い機会にそういう制度の確立をしておきめいただきたいというふうに考えて、いま、ただいま熱心に検討しておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/9
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010・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま長官がおっしゃったのですけれども、定員内というのはホワイトカラーだという考え方ですね、というような感じの考え方を持っていらっしゃるのですね。それが歴代の長官の間違いですね。これは先ほどから私は、人事院通達からいきまして、人事院通達の作業員それから肉体労働者、機械をやっている労働者、それについて通達も出ている。だから林野庁はいつもそういう考え方を持ってきたわけですよ、いままで。つまり生産に直接従事している者とそうでない者と差別してきたわけですよ。いわゆるホワイトカラーとブルーカラーと差別をしてきたわけです。まあ昔は工場にあっても、会社にあっても、ホワイトカラーとブルーカラーを分けて、工員と社員というような形で分けたわけです。しかしいまはみな社員ですよ、分けてないのです。林野庁長官、そういう依然として、何か定員内というのはホワイトカラーだというような考え方はだめですよ。いまあなたの、公務員の常勤職員、非常勤職員の分け方からいったって、そんな定義はどこにもないのですよ。ホワイトカラーが常勤職員だという定義はどこにもない。そういう考え方が、歴代の長官の中にあった、というよりも、山に仕事をしているその管理者の間にもそういう考え方が非常に強くあった。それがまだ、長官も古いものだからしみ込んでるのです。そういう考え方は直さなければいけないですよ。
ただ、いま長官のおっしゃったように、処遇問題というところから、林野庁としても、常勤職員の処遇というものを、定員内の常勤職員と類似するようなところへ年々努力をしてきておるということについては、私も承知をしておるし、その点は認めております。ただ問題は、常勤職員にならなければ解決できない面があるわけです。それは常勤職員と非常勤職員と、はっきり割ってありますから、そこからくる法律による制限というのがあるわけです。そこのところのその法律の制限そのものも取り払っちゃうということであれば、それはいいですよ。私は、しかしそれでも承知をしない。私はやはり定員にすべきだ、常勤職員にすべきだという考え方なんです。ですから、まあ林野庁としては、大きな方向としてはその二つのことを考えていらっしゃるというふうに思うし——長官の考えは古いですよ、言っておきますけれども、歴代の長官と似たようなところがあるのですよ。ちょっと口がすべったのかもしれぬですけれどもね。外国の例を持ち出したから。
そこで今度は問題を移しますよ。この問題はしかしさっき言ったように、私は林野庁のたび重なる誤まりでここにきていると思っておりますから、解決するまで、これは機会あるごとにやらなければいかぬと思っております。そこで次に二千七百二十三名、これを昭和四十二年から四十六年の五年間かかってあき定員ができたときに入れていって、そして二千七百二十三名というのが四十六年に全部定員に入った。その入った時点で三百七十四名という者が残ったということなんですね。この三百七十四名という者が残った、これは林野庁としても当時の林野庁長官が確認をした。そこでこの三百七十四名というのは、これは定員に入るべき人ですな。林野庁の立場から言ったって、これは定員に入れる人——機械作業員ですから、機械を扱っている常用作業員ですから定員に入るべき性質のものなんだけれども、これが今日に至るまで、四十六年から何年たっていますか——ちょうど三年ですな、ちょうど三年たって一人も入らないんですよ。これは一体どういうわけか。昨年の六月、たびたび言いますように、六月のときに論議したときには、当時の農林大臣も、それからいまの福田林野庁長官も、行政管理局長も定員に繰り入れるために努力します、積極的に努力します、ということを、そういう答弁をなさった。ところが、四十八年もゼロ。いまだにこれはゼロ。何も動かない。これは一体だれの責任か。これは長い間の経緯があるから責任は私は林野庁長官にあると思う。これはなぜ入らないんですか。四十六年からこの三百七十四名というのが、定員に入るべき人が、だれが考えたって、林野庁長官だって考えている、行政管理庁だって考えている、これが定員に一名も入らぬというのはどういう理由か、これを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/10
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011・福田省一
○政府委員(福田省一君) 昨年の内閣委員会でも、その点御指摘を受けましてお答えしたことがあるわけですが、二千七百余名の繰り入れがありました時点では全部完了しておったのでございますけれども、その後仕事の組み合わせの関係で発生したものがいま御指摘のございます三百七十四名でございます。同じ欠員補充方式によりまして、これを定員内に繰り入れるように努力してまいったところでございますが、その前提といたしまして、特に老齢者の退職の促進をはかってまいったところでございます。現在でも線を——全くこの点につきましては先生からも、またいろいろおしかりを受けるかもしれませんが、私たちのところの考えとしましては六十歳で線を引いて、定員内の職員におきましては、それに近くなったところで勧奨退職しているわけでございますけれども、いまのところ、職員全部の中で約六百五十人ぐらい六十歳以上の職員がございます。これらの人を主体に若い人と入れかわっていただくように勧奨退職しているわけでございますけれども、この退職の促進によりまして欠員補充の方式で三百七十四名の繰り入れをはかってきたのでございますが、御承知のように、五%定員削減の計画もございまして、現在の四十八年度末では三百六十五人の欠員は出ますけれども、四十九年度の四月一日には三百三十二人のむしろ定員が不足するという状態になるわけでございます。
そこで、これを打開する方策といたしまして、半年の間に定員を返すというふうな調整定員の方法がございますので、この調整定員を一時借りまして、その中でできるだけ繰り入れをし、いま申し上げました退職を促進した上でこれを返すという方策をとりたいと思うわけでございます。
たいへんいまおしかりを受けまして、私もさきにお話しましたいきさつから見てつらいのでございますけれども、近いうちに、この三百七十四名のうち、四十九年度当初に、いま申し上げたような考え方で幾らかでも繰り入れを実施して、そして全体としてはできるだけ早い機会にこれを完了したいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/11
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012・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま長官のお話を伺っておりますと、従来やってきた欠員補充方式でと。その場合には、問題は勧奨退職の問題が一つと、それからもう一つは、三年間に五%の定員削減と、この二つの壁があってどうだこうだというお話でしたな。ただ一方のほうは、調整定員という形で若干の余裕を見つけ出したいということと、それから勧奨退職の線で若干のものを見つけ出したいという話なんですね。私は、公務員の定年は満六十五歳だという考え方なんですよ。もうだいぶ前になりますけれども、国会につとめている国家公務員の定年制の問題が論議になったことがあります。私は、予算の分科会に出て、そして国会当局とこの点については論議をいたしました。イギリス、フランス、ドイツあるいはアメリカ等は公務員の定年というのは六十五歳です。それで、御承知のとおり、国家公務員というのは定年制はなし。法律じゃなしです。そしてこれは、公務員の立場は終身ということになっている、ただ便宜上勧奨退職はしていますけれども。ですが、私は六十五歳だという考え方を持っておる。したがって、そのときの論議で、いまの国会職員は全部定年は六十五歳になっております。あたりまえなんです、六十五歳というのは。定年はあります、六十五歳。そこで、いま定年制の延長の問題が出ている。日本だってこれはやっぱり六十五歳というところまですみやかに持っていかなきゃならぬと私は思っておる。
さて、林野庁が盛んに推奨をしておりますところの森林組合にありますところの労務班ですかな、いろいろふえてきておりますね。非常に今度もまた法律の中に出てくるわけですが、この林務班の退職金の共済規程がどんどんできておるんですね。見てみますと、定年は七十歳です。七十歳でやめたときに退職金とか年金とか出すというようなものをつくりおるですね。やはりこれは実態でしょう。私は、いまの問題は、これは六十歳の勧奨退職の問題とからめる理由はない。もっと大きな立場から考えれば、高い立場から考えれば、私の言ったようなことでいろいろ考えるべきじゃないかと思うんですけれどもね。
そこで林野庁は、いま申し上げたような長い間の経緯があった末に、結局この三百七十四名というのが残ったと、一方においては五%の削減というのがきていると、これは国家公務員の各省庁同じであります。農林省はこれを一年延期してもらうということもやっております。——これは農林省だけじゃありません。どうしてもできないから、だからということで延期をさしてもらっている。前回もそうでした。今回もそうです。私は一いまの林野庁の苦境の立場からいって、特殊な事情からいって、行政管理庁もよく承知しているはずです。だから、四十九年に削減すべき予定の六百五十何名を、これを五十年に回してもらうという、延期してもらうという、そういうかまえでいくべきだと思うんですよ。
ただ、行政管理庁として見ますれば、これはたび重なる林野庁の定員管理についての誤り、不信といいますか、そういうものからくれば、ここで五%削減の四十九年度分を五十年に繰り延べてやるという措置はとりにくいでしょうが——わかります、それは。とりにくいと思うのですけれども、いわく因縁は、行政管理庁も、私に言わせればやってきた経緯があるわけですから、ここで林野庁が積極的にそれを主張し、それで行政管理庁としてもこの特殊性を認めて、やむを得ない特殊性というのを認めて一年延期すればいいんです。農林省のほかの三省庁もやっているはずです。農林省本省のほうは定員管理について信用があるのかもしれない、あやまちをしてこなかったから。ほかの省もそうかもしれない。
林野庁は、私がいまずっと述べたように昭和三十五年以来あやまちの連続だった。この三百七十四名についてもこれは問題がある。そういう点からいえば行政管理庁としてはこれはなかなか不信感が強いかもしれない。定員管理について問題があるという考え方を持っているかもしれない。ですけれども、これは先ほど私が言うように、両方の責任、一半は行政管理庁も責任がある。だから、延ばしたらどうだ、五十年に延ばしたらどうだ。しかし、四十九年度の予算がもうきまっちゃってる。そういうふうになってないということでしょう。でしょうが、何かそういう便法を考えられないですかね。いつまでにやるんですか、これ。そこで長官とそれから行政管理庁の吉村管理官のほうにお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/12
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013・福田省一
○政府委員(福田省一君) 昨年内閣委員会では、先生から、もうこの問題は三年以内に片づけろというふうに強い御指示を受けたわけでございますが、それに対して、私もできるだけ努力するとお答え申し上げているわけでございますが、やはりいま申し上げた事情でございます。当時すでに二千七百名を繰り入れるならばあとはございません、ということで出発したいきさつもございますが、いろいろその後に発生した事情もございますので、行政管理庁等ともよく折衝いたしまして、できるだけ早期に片づけるようにことしも努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/13
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014・吉村友祐
○説明員(吉村友祐君) 行政管理庁といたしましても、まず林野庁で、期待要員の問題について今後こういうふうに解決したいということで、具体的な案をおつくりになって御相談があれば、十分誠意のある検討をいたしたい、できるだけ協力したいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/14
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015・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そこで農林大臣ですね、いま林野庁長官にいろいろ伺ってきたわけですけれども、これは私は昨年の六月にやったときに——こういう解決の方法があるじゃないか、四十九年度に削減ということでいわれているその六百五十名ぐらいの者も、こんな特殊な事情なんだから来年にひとつ回してもらう、五十年に回してもらうということを積極的にやるべきだったと思うんです。積極的にこれこそ勇断をもってやるべきだったと思うんです。行政管理庁としてもいろんな不信感もあるかもしれない。ですけれども、これは当時管理局長も努力をするという約束をしたんですから。それが何にもその約束が行なわれていないんですよ。私は、林野庁も積極的な努力が足らない、行政管理庁もそれを受けての積極的な努力が足らないと思うんです。ほんとうに困っちゃうんですよ、こういう問題は。
四十九年度で終わるわけですが、三年間に五%の削減という第二次の削減が。五十年度からは第三次は始まらぬだろうと思っているんです——これは週休二日制の問題も始まります。五十年度からは第三次は始まらぬだろうと思っておるんですけれども、これはまだ未確定でどうかわからない。ですから、削減すべきものを、定員を繰り延べて本省のほうは、農林省はやっておられるんですから、繰り延べてやるという政策をとったらどうかと思うんですよ。ことしはできませんかね、これ、四十九年度で。これはちょっと技術的な問題ですから私にもわからぬ点がある。大臣はもちろ高い立場ですからなかなか技術的な問題すぐおわかりにならぬと思いますが、何かそういう繰り延べるということでもやりませんと何年かかるかわからないですよ。三年間放置されたんですからね。困っちゃうんだ、こういう問題は。大臣ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/15
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016・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 鶴園さんのおっしゃること御趣旨はよくわかります。なるほどなと感じますが、林野庁長官のお答え申し上げていることを聞いておりますと、ごもっともだ、こういう感じを受けますが、その間に、要するに私どもは、従業員の処遇の改善をするということはこれは必要なことだろうと、原則的にはそう思っております。
林野庁はやはり国の機関の一つでありますので、先ほど来お話のあります統一見解、こういうものには尊重して服従いたさなければなりません。もう一つはやっぱり、現在は木材も高騰いたしてきておりますので経理内容も安定の傾向でございますが、私ども長い目でいろいろ見ますというと、石油の問題をはじめ食糧関係にいたしましても、何と申しますか、従来のやってまいりましたことについていろいろな点で見直さなければならないということも考えられます。林野の行政についてもそうだと思います。したがって、そういう中で林野庁というもののあり方——私ども与党のほうにも林政調査会というのがございまして、そこではいろいろな意見が研究の間に出ております。そういう間に処して従業員の処遇等についてもいろいろな意見があります。たとえば、三公社五現業にいま公労法を適用いたしておりますが、それらのことについても始終いろんな意見が出ております。現業のものは、むしろ公務員というよりも一般の労働三法を適用するということのほうが正確ではないんだろうかというような意見も出ており、私どもはにわかにそれを賛成するわけにはいきませんけれども、要するに、林政というものをどういうふうにやっていくか、林野庁の運営をどうやっていくかということが基本になるんだろうと思います。
なかなかむずかしい問題でありますが、今日はそういうことは別のことといたしまして 林野庁でも、先ほど来お答えいたしておりますように、定員の中で退職される者がありますので、とりあえずはそういうことの補充の場合に、なるべく定員に繰り入れていこう、こういうことで苦労をいたしておるという実情はよく鶴園さんも御理解いただけることだろうと思っております。
きょう初めてそういう御意見をお出しいただいたわけでありませんで、前から承っておりますので、林野庁といたしましても十分心得ておりまして、処遇の改善については私どももともに努力はしてまいりたい。こういうことでございますので、短兵急にお責めいただかなくても最善の努力をしていることをひとつおくみ取りいただきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/16
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017・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 大臣が衆議院のほうの関係があってどうしても席をおはずしになるということですからもう一つだけ。これは大臣に答弁いただかなくてもいいですが、ちょっと大臣に聞いておってもらいたいと思うんですけれども、これは任命権が林野庁長官にあるわけです。ですから、林野庁長官が、この三百七十四名についてこうするという決断をして、それについては行政管理庁も協力をすると言っているんですからやったらどうですか。決断は簡単ですよ。私に言わせれば、四十九年度のものを削減すべきものを延ばすと。それは農林本省でもやっておるじゃありませんかと、北海道開発庁でもやっておるじゃありませんかと、ほかでもやっておりますよ、と言うのです。ですから、われわれにも、そうですが、とお出しになったらどうですか、行政管理庁は努力すると言っているので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/17
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018・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) そういうようなことを含めて、実はただいま毎日、私自身も林野庁長官も予算委員会あるいは衆参両院の委員会等に忙殺されておりますので、なかなか相談をする時間もないわけでありますが、そういう一つのことを運ぶにいたしましても、いろいろ政府部内の都合もございますので、やはり十分検討して話し合った上で対処してまいりたいと、こう思っておりますので、役所側の立場もひとつ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/18
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019・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この問題の締めくくりとしまして、これ私はまだ問題を残しておりまして不満でありますし、先ほども冒頭申し上げましたように、ぜひ行管のほうの管理局長も来てもらってそして——保安林の問題も法案が残っておりますし、それからまあ続いてすぐ農用地開発公団がきますからそのときに、農用地公団の臨時職員の問題、それからそうでない職員の問題がありますし、どうせこれやらなきゃいかぬですから、その際にもう一ぺんきちっとさしたいんです。これ三年間で片づけると約束したんですからね、行政管理庁も。約束したんですが、やらないんだから。しかしひどいもんだよ。どこにあれがあるのかしらぬですけれどもね。まあ、ですから、これはこれで終わりまして、次に言いたいのは——大臣がいなくなりましたので、もう一つ第二段の問題として、次に森林計画についてちょっと伺います。
この森林計画につきまして全国森林計画、十五年を一期として五年ごとに農林大臣が作成をする、それから地域森林計画、これは十年を一期として五年ごとに都道府県知事が作成する。具体的な森林所有者、これは個々の森林所有者は自発性をもって森林施業計画をつくる。こういうことになっているんですね。
そこで森林計画というのですが、この森林計画というのは林野庁で出しております「林野時報」というのがありますね、あれを見ますと、林野庁の考え方というのは私と似たような考え方なんだけれども、森林計画というのは国民経済の中で非常に何というか、存在が薄いという見方をしていますよ。私も非常に薄いと言いたいのだけれども、存在は薄い。それから個々の森林所有者あるいは林業関係者の間でも関心が薄いということを言っています。私もそうなんですよ。関心薄いんですよ。それ以上に関心が薄いわけだ。森林計画、森林計画といって年じゅう見るんだけれども、関心が薄い。そこで、この問題について伺いたいんですけれども、この都道府県知事がつくる地域森林計画というのと、それから個々の森林所有者が自発的にそれに基づいてといいますか、それに即応してつくるこの森林施業計画というかかわり合いを聞きたいわけなんですよ。このかかわり合いが非常に薄いんじゃないですか。このかかわり合いを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/19
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020・福田省一
○政府委員(福田省一君) 知事がつくりますところの地域森林計画、これは大臣がつくります全国森林計画に基づいて約二百五十六の地域に分割して作成されるものでございますけれども、そのもとは、御承知のように五十年の計画を持っております森林の基本計画があるわけでございますが、昨年閣議決定していただきました。そういう体系の中で知事のつくります具体的な地域森林計画がございます。いま御指摘のございました個々の人がつくります森林施業計画、これは自発的につくるものでございますが、自発的につくった場合にはいろいろと補助なりあるいは融資なり税制なりという面でめんどうみてあげるという考え方になっておるわけでございます。この地域施業計画というのはやはり知事のつくりましたその地域森林計画に基づきまして個々人がつくります森林施業計画、できるだけみんなでその計画をつくってそうして計画的に施業していくということでございまして、自主的にやってもらうことを趣旨にしておるわけでございますが、実際問題といたしまして、非常に経営面積の大きい人のつくる度合いが大きゅうございます。それと公有林は大体つくっております。零細な森林所有者の人たちは割合いにそのつくる度合いが低いのでございます。そこに一つ問題があるわけでございます。
御承知のように、日本森林全面積の、特に民有林を取り上げてみますというと、五町歩未満というのは、もと九五%ぐらいでございまして、最近は少しよくなりまして、経営規模が拡大されて九〇%ぐらいになっております。しかし、やはり依然として五町歩未満という人が多いのでございます。個々の人たちが計画を適宜施業していくことを私たちは望んでいるわけでございます。そこで、森林法の中で、属人的に数人、数人といっても二人以上でございますが、まとまって計画をつくった場合には、いろいろと優遇する税制上あるいは金融上の補助——金融上のそういったような制度がございます。今度は新しく、今度の改正案では属人的ではなくて属地的なそういう計画制度を盛り込んでおりまして、数人共同してこの自分の持っている山の一部を提供して、そうしてまとまった単位になった場合には、そうしてその知事の認可を受けた場合には、上申して認可を受けた場合には、いろいろと助成措置を講ずるという考え方をさらに追加したのでございます。その趣旨は、やはり一つの形態として、私たちは三十町歩ぐらいを考えておるのでございます。その三十町歩ぐらいまとまりますというと、大体、年々安定した経営ができる、家族単位で経営ができるというふうに考えております。一応、目標は三十町歩以上ということで、この数人が共同して、そしてそれぞれの持ち分を出して共同する。こうしますというと、たくさんの土地を持っている人たちと同じように、その計画をする度合いというのは強まってくるということを私たちは期待しているのでございます。そういう意味で、知事がつくります地域森林計画、その方針に基づいて各人がつくることになっております地域森林計画の作成が促進されるということを期待して今度の森林法の改正案の中にその考え方を織り込んでいるものでございます。こういうことで御説明になりましたかどうか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/20
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021・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま長官のほうから説明がありましたですけれども、私は、個々の森林所有者と非常にかかわり合いが薄いというよりも、ないといったような状態じゃないか。ないといったほうがいいというふうに思うわけなんですけれども、それは、いま長官から説明がありました、また、私の手元にも林野庁のほうから数字がきております。それによりますと、私有林の場合——林野庁は民有林と私有林と分けちゃっているから困っちゃうんです、これ。民有林の中に県有林も市町村有林も入るんですか。こんなの改めたほうがいいですね。おかしな定義のしかただと思うんだ。民有林の中にあなた——民といったら民が持っているんだと思ったら、県も持っておりゃ、市町村のやつも入っておるというんですな。これ、やめたほうがいいですよ、こんなものは。これは古い考え方です——それはまあ別ですが、私有林の中で三十町歩——三十ヘクタール未満というのは、四十三年に認定制度ができたわけですね。——林野庁からいただいた資料ですよ。黙っておって持ってきてもらった資料です。その私有林の三十町歩——三十ヘクタール未満について認定制度が四十三年にできて、四十六年まで四年間の数字が出ていますね。その合計も出ているわけですよ。これは五年一期ですから、もうそろそろ、結論が出たようなものです。それを見ますと、三十ヘクタール未満の私有林の所有者というのは四%しか出していないんです。認定を受けていないわけですよ。四%では、これはゼロにひとしいですよ。それから三十町歩−三十ヘクタールから五百へタタールの間、これは二一%が受けて、それで五百ヘクタール以上というのが九〇%ですよ。これはほとんど行なわれている。しかし、五百ヘクタール以上の土地を持っているという人は——二百五十六万あるんですね、林地の所有者というのは。おたくの統計によりますと、その中の二百七十人ぐらいですよ。これは県に行ったらまれで、四、五人しかいないです、これ。五人ぐらいおるのかね、県でいえば。その上、県に五人ぐらいのものはこの森林施業計画というのをつくっているけれども、あとは無関心ということなんです、この数字から見ますと。ですから、これはもうどうにも——施業計画というのはどういうしろものだと、しかも、民有林の対策としては非常にこれは大きな背骨になるわけでしょう。だから森林法の中にもああいう規定をしてがっちりやっていらっしゃるだろうと思いますけれども。認定制度をつくってやってみたところが、私有林は全体として二三%の達成率ですよ、これは大失敗ですよ、官庁として見れば。大失敗です、認定率二三%というのは。
そこで私は、これを見て非常に思うことは、とにかく三十町歩未満というのは全然問題にしていないんですよ、四%ですから。もっと小切ったら、十町歩未満は出していないんですよ。だから、三十町歩以上といわれる所有者は一体幾らあるんですか。二百五十万の中の百分の一ですよ。百分の一の人たちの中の三割が関心を持っておる。しかもその面積の大部分は五十町歩以上ですよ、妙ちくりんな制度だと思うんです。なぜこういうものが出てくるのかという点を私はこう思うんですけれども——あとは民有林の問題やりたい、それとの関連でやりたいけれども、民有林の取り扱いについて、林野庁はどうも国有林の感覚でいはしないか。何か五百町歩くらいなければ、あとの五町歩や十町歩や二十町歩の山なんというのは、これは林業対策にならないんだという頭があるんじゃないか。まあ今度改正することになりまして、おそきに失したけれども、いいことですよ。私はその考え方が抜けない以上、これはもうたいへん大きな問題じゃないかと思うんですけれどもね、国有林経営というものとそれから民有林の行政指導というものは共通している面があるけれども、はっきり違うものがあると思うんですよ。
ところが、従来、国有林でもっぱら育ったものが民有林行政をやるわけだから、どうしても国有林の感覚というものがある。だから二町歩や三町歩や、五町歩や十町歩なんというのは問題にしない、頭から問題にしていない。そうして言うならば、これは五百町歩以上、面積から言っても五百町歩以上の面積というものは私有林の中の半分です、認定面積の半分ですよ、五百町歩以上が。人数としては二百七十二人ですね、いや何を林野庁やっているんだと私は思うんですよ。ですから、その点を明らかにしていただきたいんです。一体、民有林の場合に非常に大きな比重を持って背骨をなしておるこの施業計画案というものがこんなていたらくで一体どうなるのか。今回これは改められるからいいことですけれども、いままでの考え方をひとつ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/21
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022・福田省一
○政府委員(福田省一君) 確かにいま先生御指摘ございました点は、私もまことに従来の民有林に対する林野庁としての考え方の基本的な面で問題があったという点は反省しなければならないと思っております。いま、先生御指摘を受けました数字、確かに三十町歩未満四%、三十町歩から五百町歩二一%それから五百町歩以上九〇%となっておりますが、弁解がましいようにお聞きになるかもしれませんが、その翌年の統計を見ますと、わずかではございますが、四%が八%、二一%が三〇、九〇%が一〇〇%、こうはなっております。なっておりますけれども、一けたである点には間違いないのでありまして、非常に多数の人たちがほとんど五町歩未満だということは先ほど申し上げました。そこでそういう点は、今回の法律案によりまして、属地的な施業計画をつくることを奨励してまいりたい、それに対する助成をしてまいりたいということは申し上げたとおりでございます。
で、民有林の指導につきましては、林野庁におきましては、指導部と林政部でこれを担当しておりますし、職員につきましては、業務部と職員部がこれを担当しておるのでございますけれども、従事しております職員は、ほとんどは確かに国有林に従事する職員でございます。最近また国有林の持っています予算の中で、民有林の関係の職員の経費等を負担したいきさつもございますけれども、それらの点を修正いたしたりしておりまして、民有林担当職員も本来の姿に戻っておりますが、まだその数についてはいろいろ今後検討していかなければならぬ問題があると思います。なお、地方におきます民有林担当についての行政組織でございますが、それぞれの都道府県に、林務部あるいは林務課、林政課というふうな組織もございますけれども、それだけではまだ十分でない点もあろうかと思います。林野行政全般の中でその組織問題につきましては、検討をしていかなければならぬ問題があると思いますので、国有林偏重という考え方でなしに、国有林と民有林とを一本にした一つの行政指導組織というものを確立する法律を急がなければならぬと考えております。
森林法の中におきまして、いまおっしゃいました計画制度の中の基本をなしております全国森林計画、この中の考え方を今度の法律で改めたのでございます。と申し上げますのは、いま先生御指摘ございました民有林の、知事がつくりますところの地域森林計画、これは民有林についてだけつくっておりまして、国有林については地域施業計画というものをそれぞれ営林局長がつくっておったのでございまして、その間について具体的な関連がなかったわけでございます。今度の法律案の中におきましては、この全国森林計画を国有林と民有林を一本にいたしまして、それで全国を七十ないし八十の地域にまとめまして、その中でそれぞれ目標とする森林の形、また、それに到達する施業のしかたというものを国、民一本にしてこれを定めるように法律の改正の案にいたしておるところでございます。いま先生御指摘の考え方に沿って今後ともそういった方向で対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/22
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023・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま林野庁長官が、四十七年度ができて——私のところに林野庁が持って来られたのは四十六年までであったんですが、四十七年も出て、これで認定制度が五年間というのがきちっとまとまって、それで五百町歩以上は一〇〇%だという話で、これはおめでたい話なんだけれども、さっき言うように、何といってもやっぱり林野庁は大きな所有者を相手にしてこの施業計画というのをやっている、民有林政策というのをやっているという印象は絶対抜けない。だから山というのは、私の経験では、大体連なっているものでしょう。ぽつんぽつんと、五町歩持っている者はどこか五町歩ぽつんとあったり、一町歩持っている者はぽつんと一町歩持っているんじゃなくて、山というのは連なっておるんですよ。その連なっておるものを、今日やっと属地主義というものをとられたんだけれども、属人主義というものをとってこられたというところに、私は国有林的な性格というものがあまりにも露骨過ぎるというように思うわけです。今回はこういうふうになるわけですから、ぜひ山は山として、全体を相手にしてやってもらわなければ、五百町歩以上だけは一〇〇%だと、あと三十町歩以下はいままで八%だと。もっと区分していけば、それは十町歩以下なんてゼロに近いでしょう。だから全体の山を相手にしてやるべきにかかわらず、今日までそういうものがとられてこなかったという点については、重大な反省をする必要があると私は思っております。これは林野庁というのが七百五十万町歩というたいへんな大地主だから、その感覚でものを見ればこんなことになるのかもしれませんよ。あやまちです。そこの反省をしないと、私はこの問題は、形は変わったけれども前進はしないという点を考えております。
そこで次に、いま若干長官が御説明になりましたですが、大体林野庁を、林野庁と言う人は少ないんじゃないですか。国有林庁という感じですよね。そりゃ民有林の取り扱いを見ればわかる。俗称国有林庁。そこで、この民有林に対する行政というのが、実態でも明かなように、非常に弱い、きわめて弱いという感じを受けるわけですね。そこで林野庁の中の定員内の職員、三万七千おりますね。三万七千の定員の中で、試験研究機関は別として、民有林の行政に従事している者はどの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/23
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024・福田省一
○政府委員(福田省一君) いま御質問ございました国有林と民有林とを分けて申し上げますと、林野庁の本庁の職員で民有林の行政に従事しておりますのは三百五十二名でございます。林野庁で国有林の仕事に従事しておりますのは四百十七名ということになっておりまして、いま御指摘ございました三万数千名のうち、いま申し上げた以外の者はすべて営林局ないし営林署に従事しておる国有林の職員でございます。したがいまして民有林の行政に従事しておりますのは、三百五十二名ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/24
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025・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 国有林が七百五十万町歩、そして民有林というやつ、これは私有林と県有林、公有林合わせまして民有林が千六百八十万ヘクタール、大体国有林の二・三倍ぐらいあるわけですね。そして最も荒廃していると言われているのはこの民有林ですね、千六百八十万町歩、民有林、御承知のとおりです。そういう中で国有林七百五十万町歩の経営を行なうわけですから、ですから、当然これはたいへんな人員が要ることはあたりまえの話。企業体として国有林を経営しておるわけですから。それにしても、この三百五十二名という数は、民有林を取り扱うにしてはきわめて弱体だと私は思いますね。非常に弱体じゃないですか。前はもっと少なかったんです。やっと三百五十二名に、ことしあたりからこういうふうになった。少ないですね、これ。そのことが私は民有林の行政にいろいろな問題を生じているというふうに直観しているんですけれども、あとほどいろいろ具体的に申し上げます。ですが、こういうことで一体いいのかどうか。森林組合というのが森林法のかさの中から離れられない一つの理由にはこれがあるんでしょう。また、このいま出ました森林施業計画の認定面積が小さいところほど非常に少ない。こういうところもさしあたって私は、民有林行政が浸透していないというふうに思うのですよ。手が出ないんですよ、これじゃ。五百町歩以上を相手にしたらいいですよ、二百七十人しかいないんだから。ですけれども、山は連なっているわけだし、二百五十万の所有者がいる。それでもって山はできているのだから、それで、その中の五百町歩以上だけをぽつんぽつん相手にしなければならないような民有林行政をやらなければならぬことになってくるんじゃないでしょうか。
だから、いま私は林業がいろいろな意味で、これは林業の生産機能というものを、経済機能というものを強くしていかなければいかぬ、あるいは公営機能というものを強化していかなければいかぬ。その場合のやっぱり中心はどうしても、一千六百万町歩をこす国有林の二・三倍もある民有林をどうするかという問題なんですね。ですから、そういう事態に直面して、いまこれから民有林の行政と組織、それから人員配置というものについてどういう考え方を持っていらっしゃるのか。あとで農林大臣にも直接聞きたいと思います。どう
いう考え方を持っていらっしゃるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/25
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026・福田省一
○政府委員(福田省一君) いま林野庁本庁におります民有林担当の職員の数を申し上げたのでござ
いますけれども、御承知かと思いますけれども、都道府県におきまして林務関係に従事しております職員は一万五千七百六十七名現在ございます。この都道府県の中で林務部を設置されでおるものが十二県ございます。それで、あとはたいがいの県には担当する課はございますけれども、しかし、これだけで十分だとは私も考えておりません。特に今度の森林法改正によりまして、森林組合の指導であるとか、特に乱開発の抑制を担当いたします職員の問題につきましては、現在ある職員ではきわめて不十分であると考えますので、そういったようなこと等を考えまして、民有林の行政については基本的にそういった組織のあり方を検討しなければならぬと思っております。先生も御承知のとおり、過去におきまして、現在の地方農政局に林務部を設置しようという考え方を出したことがございますが、いろいろの原因でこの案は成立を見なかったのでございますけれども、それらの問題も含めて民有林の指導行政についての組織の確立を急ぎたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/26
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027・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いまの問題は大臣のほうにもぜひ意見を伺って、この点についての機構の面について、あるいは定員の配置の問題について、あるいは民有林の林業関係一般予算の問題についてもう少し伺いたいと思っております。ですが、私は、民有林に対する行政というのは非常に大きな欠陥があるというふうに思っているんですよ。これはあと具体的に森林組合の問題も伺っていきますし、しますけれども、欠陥があるというふうに思いますね。もう少しこれ考えてもらいたいですね。県の職員の問題を私はいま言っているわけじゃなくて、林野庁として——政府としては、林野庁というのが日本の民有林を取り扱っているわけですし、同時に国有林の経営も直接担当しているわけですから、その中で民有林をどうするかという点については、もっともっと積極的な考え方というものを持たなければいけないというふうに思いますね。そればあとまた大臣が見えましたときにお伺いすることにしまして、次に開発規制について若干入りたいと思います。
私は、この開発規制について出されたことはたいへんけっこうなことだと思っておりますけれども、実際、開発規制というのは効果があるのかどうかという点について問題を持っております。言うならばもう開発というのは終わったんじゃないですか。終わったころ出てきたという感じですね。標準価格というのをきめましたけれども、あれよりもっとこれは露骨なものじゃないかと私は思っているんですけれども、それは効果があるのかどうかという点が一つ。もう一つは、開発規制というのはどういう立場からやっていくのか、林業の経済機能の立場からやっていくのか、あるいは林業の公益的機能の立場からやっていくのか、どの観点から規制をされようとしているのか。私は結論からいいますと、これは本来の林業の見地に立っていないというように思っております。大きく公益的機能のほうに片寄り過ぎている、これがもう一つの私の問題点です。それからもう一つは、各県によってそれぞれ規制が行なわれているわけです。林野庁より先にやっています、都道府県のほうが先に。それと今度法律として出る開発規制との間に問題がある。私はこの三つの問題をやりたいわけです。
そこで、まず一つだけ先に入りますと、私はもう開発は終わったというふうに見ているわけなんです。大商社、大企業がたいへんな土地の買い占めをやった、あるいはゴルフ場や、レジャー施設や、そういったものをどんどんつくったと、それがほぼ終わったという私は見方をしておるわけです。そこで伺いたいのですけれども、先般あれが出ましたですね、四十八年の八月現在だったかな、十月現在ですか、時事通信がゴルフ場の全国の建設状況を発表しましたですね。あれを見ますというと、建設が終わったもの、建設中のものが出ていますよ。あの数字はどうごらんになっていますか。あの中の九割以上は林地だといわれています、九割以上は林地だと。こういわれておる。そこで、日本全体のゴルフ場で、予定されているのが、二十五万ヘクタールという数字を出していますよ。それ以外のものは何も出ていないわけです。レジャー施設、あるいはその他の遊園地だとか、そんなものは相当できております、あっちこっちに。そういう四十六年、七年に始まった、八年に始まったのが、があっと出てきた、たいへんな勢いで林地に向かってきた開発というものは、どの程度あるのかという数字をつかんでいらっしゃるか。——時事通信は出したのですよ。それをまず伺いたい。わかっていないのじゃないか、林野庁。民有林貧弱だからだめなんです。わかっていますか、わかっておるとすれば伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/27
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028・平松甲子雄
○政府委員(平松甲子雄君) 私どもが、これは公式の調査ではございませんが、一応入手したゴルフ場の建設の状況というのを、四十八年の四月当初くらいの数字でございますが、ゴルフ場の建設が終わっておるものというもので面積が約六万ヘクございます。造成中のものが二万六千ヘクくらいでございますが、計画中のものが五万八千ヘクタールというふうな数字を一応把握いたしております。時事通信の数字につきましては、私どもちょっといま手元に持っておりませんので、いまの数字でかえさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/28
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029・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それでは今度で終わりますけれども、時事通信が四十八年のたしか八月一日現在だったと思いますが、出しておる数字は各県別に全部出ていますね。建設の終わったもの、建設中のもの、——申請中のものは出ていないですね。それで全体の面積は二十五万ヘクタール、それで、いまお話ですと、非常に少ない数字ですが、その後ゴルフ場以外にいろいろなものができておるわけですよ。いろいろなものがですね。だからそういう数字がわかっていないというところに、もう林野庁の民有林行政に対する熱意が足らぬのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/29
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030・福田省一
○政府委員(福田省一君) いま御指摘の点ちょっと補足して御説明いたしますけれども、四十六年、四十七年農林省におきまして、森林ばかりでなくて農地を含めて調査した中間報告を先般発表したこともございますけれども、約、森林が森林以外に転用された面積というのは四十六、七年非常に多くなっておりまして、二十五万町歩ぐらいと——失礼いたしました。転用を済んだものでなくて買い入れたものが二十五万ヘクタール、そのうち山林が約二十万となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/30
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031・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 暫時休憩いたします。
午後零時十一分休憩
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午後四時六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/31
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032・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/32
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033・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 先ほどから開発規制の問題について伺っておったんですが、この開発の規制について基準が三つ掲げてあるんですが、その基準の三つを見ますと、一つは災害の観点、もう一つはこれも水源という形ですから保安林的な立場ですね、三つ目のものは環境の問題です。それで、この二号は「著しい」ということばを使っておりますですね、それから三号のほうも「著しく」ということばを使ってあるんですが、いずれも林業の経済的なというのかな、機能の観点からの規制というものは全然ないわけなんですよね。衆議院で修正されて、そういった形のものがちょっと入ったんですが、この三つの中に、そういう林業の機能の観点からの制限というものが全然ない。これは一体どういうことなのかということです。森林の経済的な機能は無視されているという点についてどうお考えなのか、これについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/33
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034・福田省一
○政府委員(福田省一君) 御指摘の点についてお答えいたしますが、今回の開発許可制は、普通林においても開発行為を行なうものに対して災害の防止とか、水源の涵養とか、環境の保全とか、こういう森林が現に持っておりますところの公益的機能を確保するという見地から、権利に内在する義務ということで、必要な限度においてこれを順守させるという趣旨で設けたものでございます。二千五百万ヘクタールのうち、国有林が御承知のように約八百万ヘクタール、残りの民有林のうち保安林等で規制されておるものを除きまして、何らの規制のない普通林というのは約一千万ヘクタールでございます。これが実際問題でございますので、これらの普通林に対して保安林ほどきびしい規制ではないが、行き過ぎた乱開発を規制しようという趣旨で、この開発規制を行なうものでございます。
で、林業の振興の観点を許可基準に盛り込むには、基本的にはこれと全く異なった政策体系、こういったものからの位置づけが必要と考えられるのでございますけれども、一つには、ゴルフ場それから別荘等を目的とする土地の投機的な取引なり開発行為は、一般的には旧新炭林などのいわゆる低位利用林を対象としているという実情にあることでございます。もう一点は、もしすぐれた優良林業地の確保を許可基準として盛り込むことにした場合には、その土地を林地として利用するのが適当か、あるいは農業地として利用するのが適当かということの判断を、だれもが納得するものとして一がいに決定するような基準は非常に見い出すのに困難であるということから、これを直ちに法制化することには非常に困難があるわけでございます。しかしながら、優良な森林資源の保続培養をはかっていくことは、森林の公益的な機能を確保する上からも重要なことと考えておりますし、このような観点から、先般、衆議院におきまして、開発許可の運用につきましては「森林の現に有する災害の防止」「水源のかん養」「環境の保全」の機能を判断するにあたりましては、森林の保続培養、それから森林生産力の増進に留意しなければならない、こういう旨の修正がなされております。この趣旨を受けまして、林業の振興に配慮して開発許可制の運用をはかってまいりたいとただいまのところ考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/34
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035・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 衆議院で修正がつけられて、ついているんですが、私は、この一、二、三の三号がいずれも林業の経済的機能の立場から規制をするというものが出なかったということは、この森林法の目的からいっておかしいじゃないかというふうに思うんです。森林法の目的を言うなら、当然規制の一つとして優良林地というものは解除しないとか、そういう経済的機能からの号というものが、一号はあってしかるべきじゃないか。それが姿を出さなかったというのは一体森林法の目的からいってどうだという疑念を非常に持っているわけなんです。その点はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。林地がどんどん荒らされていく、それはゴルフ場になろうと何であろうと林地が荒らされておることは事実です。そういう場合に森林法の目的からいって、ここでやはり何らかの規制をするというのが一つは入ってよさそうなものだ、それが全然入らないでおるということが目的からいってどういうことなのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/35
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036・平松甲子雄
○政府委員(平松甲子雄君) 確かに先生御指摘のような観点からの考え方もあり得るかと思います。ただ、私どもが立案いたしました際に、先ほど長官から御説明をいたしましたように、開発の実態が、旧薪炭林等について広く行なわれつつあるということが一つと、さらに優良林地を確保するというふうな観点の条件を許可条件にするということにいたしますと、前の条件と違いまして、土地利用計画上の衝突と申しますか、そういうふうな形のものを林地に使用することだけが唯一絶対の価値であるというふうな価値判断であるというふうな形になりますので、その点については土地利用計画上の調整、国が将励をして実施をするというふうな形のものについては、そのおのおのの間に土地利用計画上の判断というものがあり得るわけでございましょうから、そういう点については、そのことについて配慮をする、森林の生産力の増進といったような森林法の規定にあるような条項を配慮して開発行為について考えていくということのほうが妥当ではないか、というふうに考えられるわけでございまして、その点では衆議院で修正をいただきました点については、大体そういうような御趣旨ではなかろうかと思いますし、私どももそういうふうな形の運用をしてまいるべきではなかろうかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/36
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037・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 里山が乱開発といいますかそういうものの対象になっている。里山が、やっと林業構造改善事業、あるいは里山再開発事業、こういうものを通じて重点的に近年、この十年の間に非常に投資が行なわれたところなんです。そしてそのことが林業に対する町村民といいますかの関心を非常に呼んできている。従来からたいへん薄かったという民有林行政と市町村行政との間の関係についても、好転すべきものが見るべきものが出てきたという段階にあたって、そこの十年の間に重点的に投資をした、政策を行なったところ、そこが続々荒らされてしまう。そのことが林業に対する非常な疑問を抱かしておる、町村民の林業に対する考え方というものを変えてきておるということは御承知のとおり。ですから、里山がどうだこうだという問題は私は逆だと思うんです。むしろやはり森林法の本旨から照らして、森林法の中に規定するなら、森林法の目的に照らして一項目あってしかるべきだった、その表現のしかたは別にしまして、あってしかるべきだった。それが何も顔を出さなかったというのは、森林法の目的から言っておかしいんじゃないですか。別の法律をおつくりになればよろしい。私はそういう感じを強く持つものですから伺ったわけです。ただ、いま林政部長の話のように、衆議院で修正がついておるから何となく配慮ができそうな感じを持ちますから、おっしゃるとおりですから、いまさらどうだこうだと言う必要もなかろうと思うんですけれども、考え方にどうもあいまいな感じがするものですから一問、二問行なったわけです。
それで、続いてこの中身なんですけれども、一号と二号ですね、これは災害の関係、二番目は水源林の関係、これは林野庁としましても保安林行政を通じまして相当経験を持ってきていらっしゃるし、実績を持っていらっしゃるからこれはともかくとして、三番目の環境ですね。環境を著しくこわすという場合には許しちゃならぬというんですが、環境についての、林野と環境の問題についての実績というものは林野庁にあまりないんじゃないかと思うのです。これはどういうような運営にされるのか、こまかい問題なんですけれども気になるわけですよ。一、二はいいですよ。三ですよ。これはいままで国有林、林野行政の中にないわけですから、なかったと言っていいわけですから、これはどうですか、十分あるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/37
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038・平松甲子雄
○政府委員(平松甲子雄君) ただいま先生から御指摘のように、災害の防止なり水資源の涵養なりという点につきましては、従来保安林行政で相当な行政の蓄積を積んでおるわけでございますが、環境の保全という点につきましては、最近問題になってまいりました事項でございますので、行政蓄積はそれほどないということは先生御指摘のとおりであろうと思います。この点につきましては、私どもといたしましては、この運用にあたりましては、学識経験者の御意見も十分拝聴して運用してまいりたいと思いますけれども、現在のところ、私どもが考えております運用の具体的方針といたしましては、この規定の趣旨といたしましては、まあ「環境を著しく悪化させるおそれがある」ということについては、まず開発行為が行なわれる森林が現に有している環境の保全機能をできるだけ客観的に把握いたしまして、当該森林の所在する地域の実態、特に集落であるとかまたは市街地の状況であるとか、保健保安林とか公園緑地等のような生活環境保全のための社会資本の整備状況を十分勘案いたしまして、開発行為によって地域の環境を著しく悪化するおそれがある、しかもこの環境の悪化の程度が地域住民にとって受忍し得ない程度のものかどうかというようなものを判断をして運用をしてまいりたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/38
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039・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 次に、先ほど私が大臣がいらっしゃらぬときに問題にいたしました昨年の、四十八年のこれは十一月一日現在で、時事通信が全国のゴルフ場の建設状況を調査をして各県別に数字を出しておる。で、総計として二十五万ヘクタール——開発済み、造成中、計画中というふうに分えまして、ゴルフ場二千二百八十七と。そして面積として二十五万ヘクタールという数字を出しておるわけです。これは、まあゴルフ場だけなんですが、それ以外にいろんなレジャー施設というものがたいへんあちこちにいまつくられておるわけなんですね。そのつくられている以外に、土地の、林地の買い占め、投機的な買い占めというものがあって、目に余るものがあるわけですね。で、この法案を準備されるにあたって、私は、当然どのような荒廃状態になっているか、乱開発の状態になっているかという点についての、その調査が林野庁として当然あるべきだと思うのです。こういう法律を出されるのですから、当然そういうような調査をなさっているに違いないと思ったんですけれども、どうもその調査というのはあいまいなもののように私は受け取ったんですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/39
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040・福田省一
○政府委員(福田省一君) これは午前中にちょっと数字を申し上げましたんですが、もう一ぺん申し上げておきます。これは農林省構造改善局で調査しておりました中間報告の集計でございます。民間資本によります大規模な土地の取得の状態でございまして、五ヘクタール以上というものについて調査したものでございますが、その中で山林の売買は約二十万ヘクタールでございます。これは各都道府県が把握したものを報告さしたものでございます。これはすでに開発されてしまったかどうかということではございませんで、一応売買の対象になったものを調べた数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/40
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041・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 繰り返し申し上げますけれども、林地が戦後の開発行政というものによってたいへん荒地にされたということは御承知のとおりであります。で、四十五年から四十六年、七年、八年とかけまして、いま林業がそういう投機あるいは買い占めあるいはゴルフ場、レジャーセンターというような形でたいへんな激動を受けているわけですね。たいへんゆさぶられている。このことが林業にとっても非常に大きな影響を与えているわけですね。そういう中でこういう規制をされようというんですから、当然林野庁としてどのような買収が行なわれたか、どのような建設が行なわれているのかという調査があって、そしてその規制の考え方というものを出すのが私は筋だと思うのです。構造改善局というのは、これは農地を担当しているところでしょう。五ヘクタール以上というようなお話でありますけれども、これは大きな資本というのは、直接自分で買うこともありますけれども、小さな不動産に出資をいたしまして、金を出して、小さく買っているところだって一ぱいあるんですよ。私も鹿児島ですから、鹿児島でいろんな買い占めが行なわれていますがね、小さな不動産屋が小さく買っているんですよ。で、金はどこから出ているかというと、大部分は大きなところから出ているのです。いまおっしゃるように五ヘクタール以上なんというような数字じゃとてもつかめないものだと思うのですね。ですから、私は、どうもせっかくこういうような林業に非常に大きな、戦後最大の私は打撃を与えていると思うんですよ、いろいろな意味で。それを規制しようという法案を出すのに、林野庁自身がその具体的な調査をおやりになっていないというような感じを私は受けました。これは、先ほどから私が言っているように、民有林行政に対する林野庁の姿勢といいますかあるいは行政組織といいますか行政力といいますか、それの欠陥をこれは示しているものだというふうに私は思わざるを得ないですね。これ、答弁ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/41
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042・福田省一
○政府委員(福田省一君) 構造改善局でまとめたと申し上げましたんですけれども、これは山林等につきまして、もちろんそれ以外の農地とかいろいろな田畑その他の種目がございましたので、一応取りまとめの事務は構造改善局ということで申し上げたのでございまして、当然これは林野庁も入って調査いたしておることをつけ加えて申し上げます。これは、四十七年一月一日から四十八年十月三十一日までの間のものでございます。なお先生御指摘の点につきましては十分今後注意してまいりたいと思います。
なお、つけ加えて申し上げますけれども、林野庁でいろいろ森林の開発行為の状況について調査した結果について、一、二申し上げておきたいと思いますが、この態様別、規模別に件数、面積等調べたものでございますが、これは宅地造成、これが一町歩から十町歩とそれから十町歩以上と分けて調査しておりますけれども、その合計で申し上げますというと、件数で三二%、それから面積比率で二、一%、ゴルフ場につきましては合計しまして件数で二六%、面積で六一%、それから土石の採取が件数で二四%、面積ではわずかでございますが四%、こうなっておりまして、いま申し上げましたこの三つの点が一番問題になっていることでございます。こういったようなことが統計上明らかになりましたので、いま申し上げたような三つの基準を設けてこれを判断するというもとにもなったものでございます。
なお、問題が出たということを内容別に一応拾ったものもございます。そうしますというと、問題の内容は土砂の流出による農用地などに被害を与えたというふうなものは合計いたしますというと件数で六一%、面積で五八%になっております。それから土砂の崩壊による道路などへの被害を与えたというものが件数で四%、面積では二%でございますが、水の量が非常に減少したので問題になっているというのが件数にしますというと六%、面積にしまして一二%というふうになっておりまして、水の問題、水質汚濁の問題として問題が出ましたのは件数にしますというと四%、面積で九%、こういったような内容になっております。林野庁におきまして調査した結果で問題になっているところ、その開発の内容等について、その調査の結果を御参考までに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/42
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043・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 山梨の林業試験場の人が山梨のゴルフ場の開発状況について論文を書いていますけれども、それを見ますと、山梨でゴルフ場六十ヵ所、それで面積が六千ヘクタールで民有林のほぼ三%を占める、こういうようなことを言っていますね。ですから、山梨はいままでそういう意味の開発が少なかったところなんでしょうけれども、今度は中央道路のこともありましょうし、六十カ所というようなのを出していますね。それで、その人が書いているんですけれども、結論としていま申し上げた六十カ所六千ヘクタール、これは県としてもいろんな規制をしているというんですね。ところが結論でいうと、実際は規制にならないとこう言う。規制にならないというのですね。
私もこの間静岡の掛川の森林を見せてもらって、そうしてあそこのヤマハのたいへんでっかい遊園地も見ました。ああいうものを見まして感じますことは、たとえばこの一の土砂——一号の「災害を発生させるおそれがある」というやつですね。これは実際そういう大きな資本でありますと、小さな資本はできませんですが、大きな資本ですといろんなことをやりますわな、これは工事を。おそれがあるというんならちょこちょこ土どめやったり、それからちょっとしたダムをつくったり、小さな池をつくったりなんかして、これやれるわけです。それからまあ林地を幾らか残せと、こうなりますと、結局この山梨の試験場の人が言っていることは、林地で立ち木が占めている率がどうだとか、立ち木の量がどうだとかいう規制をするというと、一そう結果的には広い面積を買われるということに終わっている場合が多いと。それから三番目に出ております水の保全の問題ですね。「水の確保に著しい支障を及ぼす」場合という第二項の二号のやつがありますね。これも資本があるというと、何やかんややるというわけですね。結局設計基準というものを変えることができるというわけですよ。そうすれば、また何のことはない、大体その効果ないというようなことを書いてありますね。
だから、私はそういうのを見ておって静岡に行ったものですから、静岡に行ってあのヤマハの建設を見てみるというと、それはどう見ても——私はかってあそこで林業調査したことあるんですよ。あの小笠郡ですからね、掛川の向こう側。あそこに十日ぐらいおりまして、昭和二十三年ごろにあの辺の林業調査を、農村地帯をやったことあるんですよ。至るところに小ちゃなため池があったものです、小さな山でして、その山のふもとに。そういうのがみんなつぶれちゃいましたね。どうするんだろうと思うと、これはまた小ちゃな池をちょこっちょこっとつくっていますね。それからくずれそうなところには、何かセメントみたいなのを吹きつけてありますね。そういう措置をしますと、つまりその設計に合うような形、こういうものに該当しない形のがつくることができるわけですよ。だから規制にならぬという私は印象を非常に強く受けたですね。まあ書いたものを見て、実際ヤマハのやつを見てみて、これはとてもこんなものじゃないと。しかもそのヤマハのやつは、いよいよその面積が広がっちゃって、どえらく山から何からずうっと買っちゃったという開発になっていますね。だから私はこれを見ますというと、どうもその規制にならないのじゃないかという感じを非常に持つわけなんです。
しかも、先ほど私が申し上げたように、大体ブームはおさまっちゃったですね。もうゴルフ場もいまやそういうブームが去っちゃったですよ。それ以外のものについても大体去っちゃったですよ。もうそういうブームがなくなったころにこの規制が出てくるわけですね。まあ、昨年出たのが——一年衆議院でああなったからでもありますけれども、それにしても、ちょっと私は時期を失しているし、それから実際やってみても、そういう意味の大きな資本にかかってはこの三つとも歯どめにならない、押える力にはならないという印象を非常に強く受けているんですけれども、そうではないという説明をひとついただきたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/43
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044・福田省一
○政府委員(福田省一君) 先ほど申し上げましたように、その一千万ヘクタールの普通林に対する規制でございまして、行き過ぎた乱開発を規制しようという趣旨から出発したものでございます。きびしく規制しなきゃならぬ場合におきましては、当然これは保安林の制度を適用すべきものというふうにも考えるわけでございます。そういう趣旨で一、二、三号があるわけでございますが、特にいま御指摘ございました土砂崩壊の問題につきましては、これには「著しく」ということばは入っておりませんけれども、これは土砂の流出、土砂の崩壊そのものは災害そのものでございますので、そういう考えでございますし、水の問題につきましても、その与える影響というのは、伐採に伴う、伐採を少しでもいたしますればそれはやっぱり水にある程度の影響があるわけでございますから、その点を配慮して行き過ぎを是正するという意味で「著しく」ということばを入れたわけでございます。
この二つの問題は、先生おっしゃいますように、従来の保安林制度でいろいろと検討もしてきたことでございまして、ある程度これは科学的に基準を出す自信もあるわけでございますが、三番目の環境に関する基準は確かに御指摘ございますように問題はございますし、また最も慎重にこれに対処していかなきゃならぬところだと考えております。この問題につきましては一応内部でただいまいろいろこまかに検討いたしておりますが、次官通達の形でこれを全国に指示しまして、できるだけこれははっきりした基準をつくりたいんでございますけれども、先生御承知のように、北は北海道から南は沖繩まで、その森林の状態は、その地域によって非常に差があるわけでございます。そういうことも考えまして、これらの基準をつくるというのは、なかなか法律に入れるということは問題がございます。
特にいまお話ししたような次官通達の形にするわけでございますけれども、例をあげて申し上げますならば、レクリエーションの場としてその地域の人たちがその森林を利用しておったと、これは開発することによって、その森林がなくなるということによって非常な影響を受けるという場合には、何らかの規制をしなきゃならぬと思うわけでございますが、各都道府県で実施している実例を見ましても、森林率を使っている例が非常に多いわけでございます。たとえば三〇%であるとかあるいは五〇%、県によって違いますけれども、そういう残存森林率ということも一つの基準と考えたいと思っているわけでございます。先般ゴルフ場の問題につきましても、保安林解除の際にそういう考え方を導入して、通達でこれを規制いたしておりますが、少なくとも四〇%の森林を残すということを実は出しております。これは一例でございますけれども、できるだけ科学的に残存率その他の基準を設けまして、知事の判断しやすいような方向でこれを指導してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/44
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045・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私のいまいっている立場というものが、やっぱり林業の経済機能の立場からいっておるもんですからね。それから、書いている林業試験場関係の人たちが、山梨のものを書いたり、栃木を書いたり、熊本を書いたりしていますが、そういう人たちもやはり林業の関係から考えているんでしょうね。私もそうですわ。林業の経済的な機能というものを重視した立場から考えているもんだから、まあこのしかし法案のたてまえはそうじゃないですわな。林業の経済機能の立場から規制しようというんじゃなくて、どう使われようど、林業でなくたってどう使われようと環境を害さなきゃいいと、それから洪水とかあるいは土砂くずれがなけりゃいいと、あるいは水の水源林が著しくかれるようなことがなけりゃいいということなんですよね、長官の考えも。私はちょつとばかりその点が違っておったわけだ。
しかし私は先ほど申し上げた立場で考えているもんだから食い違いがありますけれども、そういうところから私の立場から言えば規制はできないと、これはどんどんできていくと。金がある大きな資本にかかっちゃそれは林地はどんどんつぶされていく。いやそれは林業の立場から言えばですよ、つぶされていく。規制にはならないということなんですね、結局ね。まあ立場が違っておるわけだ。ぼくのほうが林野庁長官みたいなもんだ、これ。いやしかし林野庁長官も、それは林野庁長官だけじゃなくていろんなことを考えなきゃいけませんからね。林野庁長官としてもこれは経済機能の問題も公益機能の問題も考えなきゃならぬわけですから、その意味じゃ私のほうが古いのかもしれない。まあ私はそういう感じをもったから言ったんですが、確かにそうですね。
そこで、いま静岡の例なんかも私ちょっと出したいんですが、静岡で聞いたところで——これは聞いたということですからはっきりはしないんですが、まあ静岡で市町村で言いますと、開発面積がその市町村の面積の二%以上をこすような場合には申請を受け付けぬとか、あるいは緑地係数というのを出しておりまして、緑地指数というようなものを出しておって、それが二〇%こすようであると許可しないとかというような行政指導をやっておるんですね。これは静岡の県の中にそういう審議会をつくって、そこで論議してもらってこういう指数をつくって、そしてその指導をしている。こういう県はこれはもう長官もおっしゃるようにたくさんの県にすでに行なわれているわけですね。そういうものと、いま林野庁がお出しになる三つの基準というものとの間に非常に矛盾が出てくると、林野庁のほうが低いというようなことになってはまずいわけなんですけれども、そういうような心配はなさっていらっしゃらないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/45
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046・福田省一
○政府委員(福田省一君) 確かに、先ほど申し上げましたと思いますが、各県ほとんど条例で何らかの形でそれぞれ規制しているわけでございます。その大部分を見ますというと、土地利用に関する条例を設けるなどいたしまして、その内容は行政指導、そのための届け出制、さらには勧告制というものが多いのでございます。ただ、一例でございますが、岡山県のようなかなりきびしい許可制をとっているのもございます。このように、各都道府県におきまして規制の方式が区々であることに加えまして、条例規制では私権の制限におのずから限度があることが本法の期待されているゆえんであるというふうに考えております。私から申し上げては釈迦に説法になるかもしれませんですけれども、現在の憲法では財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律をもって定めることとされておりまして、二十九条第二項にも、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」というふうになっておることは先生御承知のとおりでございます。そこで、このような観点から、この法律が施行されました場合には、条例はこの範囲内で制定されるべきものというふうに考えておるのでございます。
現在設けられております都道府県の基準の中には、たとえば静岡県のように、別荘地、ゴルフ場などの造成に関する審査基準、先生おっしゃいました審査基準などのように、そもそもは、これは行政指導でございまして、許可制によるものではないんでございますが、緑地指数のような形で環境保全の機能に関する基準を設けておるものも確かにございます。一方、森林法による基準は許可制としたものでございまして、規制としては強い性格を持っているものでございます。このうち、環境の保全の基準につきましては、今後環境をめぐるもろもろの研究の成果などを踏まえまして、具体的に定める必要があるのでございますが、これまでの環境は、開発者が他人の森林が周囲にあるので、だからそれでいいんじゃないかと、自分の土地を全部切ってもいいんじゃないかというふうな感じを持っていた傾向がなきにしもあらずだと思うわけでございます。
そこで、環境保全の機能は森林以外のものでこれは代替することはむずかしいことは先生先ほどおっしゃったとおりでございます。開発行為を行なうすべてのものが一定の割合の森林を残すようにするということも必要だと考えておるのでございます。このような森林の残存率、それからその配置につきましては、一つは、保全しようとします環境の種類であるとか、あるいは開発の目的とする方法であるとか、地域の土地利用の状況なんぞによりまして一定の基準を定めることといたしておりますので、都道府県におきます規制と比べて決して弱いものにはならないというふうに考えておるところでございます。少しくどいようでございましたけれども、重ねて御説明申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/46
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047・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 次に、大臣にちょっとお伺いをしたいんですけれども、ことしの、四十九年度の林業関係一般会計予算、これが昨年の四十八年度よりもちょっぴりしか伸びてない。御承知のように、国の一般会計予算というのが一九・七%昨年よりも伸びた。農林省の一般会計予算案につきましてもそれ少し差がありますが一九・二%ふえた。ところが林業関係の一般会計予算というのはわずか〇・五%ぐらいですか、その数字ははっきりしないんですけれども、ほとんど同じだという状態ですね。昨年の四十八年の場合は、林業の一般会計予算というのは三五・何%伸びまして、伸びたなという印象を受けたんですけれども、ことしはいま申し上げましたように、これは非常にふえないといってもいいぐらいのことになっている。それは一体どういうことなのか。まあ林業が今日ほど経済機能の面につきましても、公益機能の問題につきましても、問題になっているときはない。たいへんな大きな問題になっているにかかわらず、林業の一般会計予算というものが伸びなかったということは、これはどういうふうに考えていらっしゃるのか、私非常に不満に思っているところなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/47
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048・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 林道、造林等は公共関係でありますが、四十九年度予算編成の大きな方針といたしましては、いわゆる総需要抑制という立場で、そういう趣旨から公共関係にいわば大きな抑制を加えるというたてまえ、これは物価を安定し、インフレ・マインドを防止するという立場からやむを得ない措置であろうと、こういうふうに私ども考えて、それには協力するつもりであったわけでありますが、林野庁の予算の中で林道が四・八%、造林はあまり伸びておりませんが、災害対策費を除きまして一・五%の伸びでございます。そういうことでございまして、同じ公共でも住宅等は時節柄大体三.七%ぐらい伸びておりますが、私どもといたしましてもこの点は決して満足いたしておるわけではございませんが、それでも最後に留保いたしておりました財源を各省の必要な事項に取り上げる場合におきまして、配分をいたします場合におきましては、林道、造林に特段の配慮をいたしまして追加をいたしたと、こういう結果でございますが、全体としてはいま申し上げましたような事情で、公共関係は伸びが非常に少なかったということは否定できない結果であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/48
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049・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私は先ほど申し上げましたように、林野の一般会計は公共事業が大きな比重を占めておりますから、したがって総需要抑制という形で全体の中でこれを押えられる、したがって伸び率が一%を切ったという状態だと、それはわかります。ですが、公共事業の中でも住宅関係とか、生活環境関係については、たいへんな伸びをしているわけですね。三〇%をこすような伸びをしているわけです。ですから私は、環境の整備の問題です。これからの長年にわたる環境整備の問題でありますし、さらに木材問題についていえば、これはもう木材を、国内の財産を何とかしなきゃならぬという非常な気持ちのあるそういう時期に、これはやはり若干の生活環境みたいな形のものの一つとして扱って、公共事業の抑制だけれども——総需要抑制で公共事業は一律に押えるけれども、林業についてはそうじゃないのだというやはり基調があって、ある程度の伸びを示していくということを期待をし、考えておったわけです。その意味から、一%たらずの伸びでは、はなはな不満足という考え方を持っているわけなんです。大臣の考え方はわかりました。私はそういう考え方でおるものですから、不満足であると、こういう結論を申し上げておきたいと思います。
それから、林業の経済機能の中心的な指標と言われます造林とそれから伐採ですね。この二つが林業の経済機能の中心的な指標になるわけですが、「林野時報」という林野庁の行政の機関誌みたいなものですが、「林野時報」というのをちょっとめくってみますとね、造林も停滞の様相が濃いと、停滞の様相が濃いというような言い方なんですね。停滞の色が濃いなんというどころじゃないんじゃないですか。衰退の一途をたどっておるというふうに言うべきじゃないんですかね。どうもそこら辺の考え方が、何か、事実は事実なんですから、ですからもう少し——停滞というのは、とどまっているという意味でしょうが。停滞の傾向が濃厚であるなんという言い方じゃ、どうも私には納得できない。私の手元にありますこの林野の統計要覧を見ましても、それから「林野時報」に出ております統計資料なんか見ましても、造林面積というのは、これはどんどん減っておるじゃないですか。これは国有林も民有林も合わせまして、日本の林業全体として造林面積は、三十七年に六十五万ヘクタールというのが造林されておった。それが四十年にはすでに六十万台を割ってしまって、さらに四十五年には五十万台を割っちゃって、そして四十六年になりますと、もう四十九万、四十七年はもっと減っておるでしょう。ですから、非常に直線的に減っているんです。国有林と民有林と合わして日本全体林業として見て、造林面積というのは直線的に減っている。それを林野庁自体は、「林野時報」の中に、停滞の色が濃いと。何が停滞だ、衰退の一途でしょう。そういう点を私ははっきりすべきだと思うんですよ。何も林政を、おたくがやったことを擁護する必要ない、現実は直線的に、減少しておるわけですから。特に民有林の場合の減少はひどいですね。再造林なんかは、わずか四十年から四十七年の七年間に七〇%減っておるんですよ。切ったら切りっぱなしになっています。三〇%です、民有林の再造林の場合は。どんどん減っている。停滞どころの騒ぎじゃない。停滞はとどまっているという意味でしょう。どんどん減っている。そういうことを書かなければいかぬです。大臣も御存じない。そんなものを見ていらっしゃると、停滞の色が濃いか、うんそうか、とどまっているか、というような話じゃないかと思っている。だめじゃないですか。民有林の再造林の場合は、直線的です。三〇%になっている、七〇%減っているので。ですから、そういうふうに改めてもらいたい。停滞なんということばを使われたんじゃ、大臣の認識にならない。私はそう思いますがね。そこでその造林がこれだけ非常に減っておるんですけれども、どういうふうに考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/49
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050・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 全然予算がつかないということなら衰退の一路と言えるかもしれませんが、若干でも伸びて、対前年度比少なくとも同額よりは上昇しているわけでありまして、やっぱり仕事は継続するわけであります。したがって、停滞というところだろうと思いますが、私ども少し角度を変えて考えてみまして、森林の目的は、この法律にもいろいろ書いてございますように、国土保全、環境保全等大事な任務を持っておるのが森林でございますので、これは率直に申しまして、私は従来農林省の予算の中でも十分に林野の関係については予算が取れておったとは思っておりません。そういうところに若干のネックがあったということを率直に私どもは認めざるを得ないのでありますが、林野は周期的にやっぱり伐採してまいることが林野を保全する意味においても必要でありますし、また、木材供給という経済的目的にも合うわけでありますが、長い目で見ますというと、私は実はわが国の建築様式がどういうふうに変わるか知りませんけれども、おそらくいま六割程度外材に依存いたしておりますけれども、こういうことがはたして将来可能であるかどうかということを考えますと、非常に不安になってまいるわけであります。
御承知のように、アメリカも、カナダも木材関係の輸出についてはかなりきびしくなってきております。それから南方その他でわれわれが頼まれて協力しようとしておる森林の計画もございますけれども、なかなかこれは何十年と要するものでありますので、しいて求めれば、ソ連材等がある程度役に立つかもしれませんが、そういうことを考えてみますと、私はやはり農林政策の中で、林業に特段の配慮をしなければならないと。いまにしてそういうことをしっかりやらなければいけないのだということにつきましては、林野庁も私どもも全く同じ考え方で進もうといたしておるわけでありますので、予算の場合などにおきましても、そういう考え方で努力してまいりました。一昨年もそうでありますし、昨年もそうでありましたが、今回四十九年度予算では、先ほど申し上げましたような事情で若干の停滞を見ましたけれども、これは長期の計画をわれわれは持っておりますので、多少この緩急の度合いは、そのときによってあるかもしれませんが、究極において私どもは、ただいま申し上げましたような国際情勢の中における森林政策を考えてみまして、われわれ、いまにしてこの土台をしっかりしなければいけないのだという考えはみな固く持って、そういうつもりで対処しようといたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/50
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051・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 林野庁長官ないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/51
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052・福田省一
○政府委員(福田省一君) いま大臣からお話ございましたので、特にございませんけれども、私からは原因等に触れてちょっと御説明申し上げたいと思います。
一つは、国有林と民有林と分けてございますけれども、国有林の場合は、おおむね伐採量を減少いたしました理由は、公益的な機能を考慮しまして、最盛期の伐採量からおよそ三割ぐらい減少いたしております。ということで、伐採量の減少によって、しかも大面積皆伐を少なくしたことによって造林量が減ったということはございますけれども、おおむね国有林の場合は計画的に伐採と造林をいたしております。
問題は民有林でございますけれども、民有林の場合の人工造林地については、停滞でなくて衰退だろうとおっしゃいますが、まさに民有林の場合には、確かに減ってまいっております。その原因は幾つかございますけれども、最近の一番大きな原因は、やはり数年前からの材価の低迷ということが一つあったのでございます。木材価格は、最近この結果についていろいろ批判もございますけれども、一昨年から非常に上がり過ぎたんじゃないか、というぐらいに上がった結果、ある程度民有林の伐採が進んだことは今回の白書にも出ておるのでございますけれども、一つの原因はそう一いった材価の低迷がございました。それからもう一つは、労働力の不足の問題があったのでございます。この労働力も、やはり主としてここ数年薪炭林において製炭に従事しておった人たちが急速に減少したということが労働力の減少の大きな原因でございます。で、昭和四十七年度にようやく少し——これが減少の形態の傾向が出まして、少しふえております。四十八年度の統計はまだ公表されておりませんけれども、これがまた少しふえるという傾向にはございます。内容としては、ある程度専業化し、長期化してはおりますけれども、やはり急激な減少の方向は、ある程度Uターン現象等もございまして、とどまっております。しかし、それで安心はできないのでございますけれども、そういったことで主として材価の低迷、それから労働力の減少ということについては、若干の明るい解決——明るいといっては適正なことばではないかもしれませんけれども、そういう傾向が出てまいっております。
これはまあ、そういった再造林につきましても、なお助成の方面におきましても、計画的に伐採し、計画的に造林したものについてはこれを補助するという優遇措置も講じてまいりまして、こういつた点についての今後の見通しはある程度明るくなるとは思いますけれども、ただ、いかんせん、やはり伐採に適する木の、造林木のそういった適齢期の木がいま非常に少ない。たとえば四十年生以上は一割ぐらいしかございません。そういったようなことの大きな原因はございます。
以上が人工造林地についての概略でございますが、もう一つは、天然林の中でも特に低質な天然といわれておった薪炭林でございます。これのいわゆる樹種をかえて針葉樹にかえていくという、こういう拡大造林と申しておりますが、これもやはり同じような原因で停滞の傾向があったのでございます。それで、これに対しましては、鋭意予算措置等、その他の助成措置を講じてまいりたいと思いまして、四十八年、四十九年度にまたがって、特にこの低質広葉樹林の伐採につきましては、これは売れないものが相当あるわけでございまして、そういったものについては地ごしらえとみるというふうな、そういう助成措置を講じたり、その他計画、制度の導入等によりまして、この計画的な伐採、計画的な造林ということを推進してまいるように努力しておるところでございます。
確かに先生御指摘ございましたように、この造林の停滞ということにつきましては、いろいろの原因があるのでございますけれども、それらの原因を究明いたしまして、助成措置あるいは予算措置を講じてまいるように今後とも努力してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/52
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053・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま長官がおっしゃるように、造林の関係が、どんどん面積が少なくなったと。それは、国有林が最盛期に比べて三割程度伐採が少なくなる。したがって、裏返せば造林が減るということになると思うんですが、民有林の場合も、もっと民有林は造林が減っておるわけですよね。非常な勢いで民有林の場合は減っている。先ほど私が申し上げたように、再造林の場合なんかも面積にして三割ぐらい減っているんですね。非常に減っている。それから今度造林、伐採の場合を見ましても、これはもう民有林と国有林を合わせてみまして、これもどんどん減ってきている。特に民有林の場合の伐採の減り方が多い。四十年から四十六年の間に七六%伐採率が下がっていますね。それから国有林と民有林を合わせてみて、やっぱり七六%か七%くらいの減り方なんですよ。ですから、林業の生産機能の中心的な指標である造林の関係がずっと減ってくると、さらにその裏返しでもありますが、伐採のほうも、こうずっと減ってくるということになります。そうすると、これは日本の一体林業は、国有林、民有林も含めて、どういうふうな状況にあるのか、これはだから衰退の一途をたどっているというふうに見なきゃならぬのじゃないかと私は思うわけですよ。国有林は三割伐採を減らしたとおっしゃるけれども、全体として見た場合に、日本の林業というのが経済機能としてはこれは衰退傾向にあるというふうに見なきゃならぬのじゃないか、こういうふうに見るわけですけれどもね。
そこで、先ほど大臣のおっしゃったようなお考えは私もそのとおりだと思います。大臣のおっしゃるとおりだと思います。一生懸命やっていただきたいと思うわけです。ただ問題は、こういう日本林業が全体として経済機能がどんどん落ちてきていると、しかしそれは、価格は上がっている。需要はものすごく増加しているんだけれども、価格も上がっているんだけれども、そういうものはだんだん減ってきている。それだけに、国内において林業の経済機能というものを見直そうと、何か国内でできるものはやってもらいたいんだという感じも非常に強いと思うんです。林家はそうじゃないと思いますよ。林家はおそらくそんな気持ちはないですよ、林業者は。至るところ乱開発が始まっておりまして、里山も買われております。ですから、そういう中で林業をやろうとは思わないですよ。それは農地以上に財産として保有しているでしょう。ですから、もう木なんか植える必要は何にもない、林業意欲なんてなくなっているでしょう。待っていればいいわけです、というぐらいの気持ちが多いのが一般的じゃないかと思いますよ。
ですが、林業政策として考えた場合に、何としてもここでやはり日本の林業というものを考えなきゃいけないというところにあたって、今度はもう一つ、いまお話しのような環境の関係から、つまり公益機能というものを非常に強く認識しなきゃならないと、その考え方がまた国民の間に非常に強まっている。二つのものが出てきているわけですね。その場合に、私は、どうも公益機能のほうが非常に前に出て、そうして林業というものはだんだん薄れてくるのじゃないかという心配をしているわけなんです。これは、林野庁としても私の考えと同じだと思うんですが、やはり両方の機能というものは、基本には林業が経済機能を円滑に発展さしていくという、その中で公益機能というものを十分果たしていくというものでなきゃならぬと思うんですよね。その場合に、二つこう出ている。日本の林業というのはだんだん衰退するのじゃないかというところに持ってきて、公益機能というものがぐんと出てくる。さっそく国有林は切りやめなきゃいけないと、切ることをやめなきゃいけないと、そういうことを減らさなきゃいけないということになってくるでしょう。こっちのほうが出てくるものですから、衰退一方の林業というものはますますいまの状況の中では衰退に追い込められるのじゃないかという私は心配をしておるわけなんです。それについて一体どういうふうにお考えになっているのか、長官のひとつ考え方を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/53
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054・福田省一
○政府委員(福田省一君) 私が先ほど伐採量の点だけを少し強調し過ぎたきらいがありますので、もう少し御説明申し上げたいと思いますが、むしろ内容の問題でございます。
先生御承知のように、昨年の二月閣議決定を見ました資源の基本計画におきましては、日本の二千五百万ヘクタールの森林の内容の問題でございますけれども、現在二十億立方メートルでございますが、さらに五十年先にはこれを約倍に近い三十六億立方に資源の内容を充実しようと、そうしてできるだけ自給率を高めてまいろうという、そういう一つは経済的な機能を高める意味での充実をしようという、そういう考え方も入っているわけでございます。一方、昨年の二月に閣議決定を見たと申し上げましたけれども、その理由の中には、その以前につくっておったのを実は変更したわけでございますが、これは、森林資源をもちろん公益的な機能を考えるということもございましたけれども、いわゆる木材ということを中心にしてこの自給率を高めるということに率常に重点を置いたということがあったので、昨年の二月に、公益性を重視した新しい施業法を取り入れまして、それで閣議決定をしていただいたというのが新しい資源基本計画でございます。
いずれにしましても、たとえば水源涵養保安林のような例をとりましても、この水源涵養機能は——非常に大きい森林というのはどういう森林かというと、必ずしも放置しておった禁伐林というものでございません。やはり若い生長力の旺盛な森林ほど水をためる、いわゆる腐植の層も厚くなりますし、あるいは土砂崩壊防止する森林の機能というものも、若い林ほど、生長力の旺盛な林ほど根も非常に深くて広いというふうなことも配慮して、そこで経済性というのと公益性というのは調和するということで、究極にいっては一致するという思想に似た考え方が、昨年の二月の衆議院の基本計画に一応入っているというふうに私は思うわけでございます。
そこで、そういう森林を造成するために、それは大きな一つの基本計画でございますけれども、国有については地域施業計画、民有におきましては地域森林計画、それぞれ県なり国なりつくります、それを一体とした計画を今度全国森林計画で流域ごとに定めようと、こういうふうに考えたわけでございます。そういう目標に向かって伐採をし、そしてそのあとを造林していくという活動でございます。ですから、伐採量が落ちますけれども、非常に超伐期になった森林を考えているということも一つの中身でございます。ですから、一番経済性を高度に発揮し、公益性を高度に発揮するということで調和さした考え方が実は基本計画にございますので、それをもとにしまして伐採行為をし、そのあとの造林行為をするということでございます。国有林が減ったと申し上げたのは、量的に申し上げるとそういうような内容を含んでおりますし、また民有につきましても、そういう考え方で指導してまいりたいと思うわけでございます。
そういうふうにして、内容を長期間にわたって充実し、足らぬところは外材にそれを仰ぐという考え方に立つものでございますけれども、いずれにしましても、計画的に伐採する。どうしたら計画的に伐採できるかということが常々私たちの頭にあるものでございまして、午前中に御指摘を受けました、非常にちっちゃい山持ちの人たちが、どうして計画的にこれを伐採し、造林するか、そういった施業をやっていただくかということは、やはり属地的な——先生からいまごろ気がついたかというおしかりを受けたわけでございますけれども、そういうことを森林法の中で強力に配慮してまいりたいと、こう考えておるところでございます。お答えになりましたかどうか、私見を、考え方を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/54
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055・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私は、まあ従来の長い間の森林の経済機能中心の考え方からいいますと、いまや公益機能と経済機能ですね、これは逆転したような感じを強く受けているわけなんです。——逆転したんじゃないかというぐらいに。それはいままであまりにも経済機能中心といううたい方が強かったですから、それに対して今度は急速に公益機能というものが出てまいりましたから。何となくその意味からいえば、従来の林業の生産力を高めていくという、生産力を増強していくという、そういう経済機能というものと公益機能というものは逆転したと、まさに逆転したという印象を非常に強く受けたわけです。それだけに、これからの林業政策というものは、ほんとうに先ほど大臣がおっしゃったように、きびしい態度で臨んでいってもらいたいというふうに思うわけです。
もう一つその観点で申し上げたいんですが、いままでは林業の生産力中心の考え方でしたから、ですから林業の林地の所有者あるいは林業を経営している者——それは森林は私的な資本であったわけですね。ところが、最近になって急速に公益機能というものが重要視されてくると、いまや国民みな森林の公益機能というものは知っておるようになってきているんです。そうしますと、森林というのは自分の所有のものだけれども、自分がつくっておるものなんだけれども、私的なものなんだけれども、同時にそれは公的な公的資本みたいなものが大きく上からおおいかぶさってきているという感じを非常に強く受けるんですね。そういう意味からいうと、林業経営者というものはいろんな意味のこれは制約を受けてくるというふうに言わなきゃならぬのじゃないでしょうか。そういうふうになると、これからの日本の林業というものを考える場合に、そういう立場に立って林業政策というものを再検討する必要があるんじゃないかというふうに思いますね。森林そのものを単にいままでみたいに、これは自分個人のもんだというだけで済まなくなっちゃったでしょう。緑はそれは置いといてもらいたい、これは水のために置いといてもらいたいんじゃなくて、これは観光客が置いてもらいたいとか、いろいろあるでしょう。国民の健康のために置いといてもらいたい、切らんでくれ、あるいはもっとよくやってもらいたいと、いろんな公的な公益機能の立場からの要請というのは非常に強くなっているわけです。それだけに森林所有者というものは自分の私的な財産に対し、いろんな意味の規制といいますか、というものを受けてくるわけだから、だから単なる従来の林業政策じゃなくて、もっと積極的にそう
いう意味を踏まえた林業政策というものを考える、再検討する必要があるじゃないかというふう
に私は思いますね。
この森林法の審議をしますときに、一番初めに片山さんのほうから出ましたですね、犠牲をこうむる面が出てきていると。したがって、そういう面について何らかの公的な負担といいますか、そういうものの必要があるんじゃないかと。観光道路をだれも見に来ているわけじゃなくて、道路室見にきているわけじゃなくて、やっぱりその森林を見たり、緑を見たり、静かな山を見るために来ているわけですからね。道路を見に来ているわけじゃないんだから。そうすると、そこのところはやっぱりそれだけの価値があるからですね、だからそういう意味でまた制約を受けてくる。そういう意味で私はもう少しもっと根本的に、林道にしても、あるいは造林にしても検討し直す必要があるんではないかというふうに考えるんですけれどもね。これはまあどうですか、長官どういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/55
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056・福田省一
○政府委員(福田省一君) その点につきましては、先生おっしゃいますように、私も全く同じように実は感するわけでございます。特に森林の機能の中にそういった公益性があることはいま急に始まったんではなくて、もともとあるわけでございますけれども、国民の皆さん初めて最近そういった点に気がついて非常に強い期待を森林に寄せられるということは、まことにけっこうなことだと私は思っているわけでございます。ですから、当然従来のように、森林は切ってそれで住宅、あるいは紙の原料になる木材さえ生産すればよろしいというものじゃなくて、森林そのものとしての価値を考えて保存すること、またそれの内容をよくしていくことを考えなければなりません。そうしますというと、やっぱり山を持っている人たちの権利を制限することになるわけでございますから、それに対するいろいろなやはり助成策というものを考えていく必要があると思うわけでございます。特にあと地の造林等につきましては、その補助制度であるとか、あるいは税制についてのいろいろな免除の措置であるとか、あるいは融資等についての措置、あるいはまた買い上げ制度と申しますか、いずれこの点につきましては保安林の整備臨時措置法の延長をお願いするわけでございますけれども、そういったいろいろのやはり助成策というものをさらに強化していくことが最近の情勢に対応することであろうというふうに私も痛感しておりますし、またその点に努力してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/56
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057・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この間、運輸委員会と私がおります公害策特別委員会との合同審査がありまして、大阪の空港の騒音ですね、大阪の空港の騒音についていろんな犠牲者が出ている、それに対する補償問題等も出ておりまして、運輸大臣は受益者負担でと言う。飛行機に乗ってあそこに着く人から若干の金を取って、というようなことも言っておりましたですが、その方針のようですね、たいへん問題があると思いますけれどもね。ですから私はこの森林について、そういう公的機能、公益機能から利益を受ける、そういう受益者負担といいますか、利益を受けている者から負担をある程度取るということだって考えても何もおかしくないような気がしてしようがないのですけれどもね。まあそれは別にいたしまして、もっと積極的に、造林の問題にいたしましても、林業政策の問題にいたしましても、もっと積極的に補助率の単価を上げたっていいじゃないかと私は思うんです。もっと上げたっていいじゃないか、公的機能というのでたいへん果たしているのだから。まあ林野庁の計算ですというと、公益機能に十二兆円ですか、というのをはじかれましたですね。これはもっともだとうなずけますよ一十二兆ぐらいあるだろうと思う。林業の年間の所得というものは四千幾らです。二十数倍のものをつくり出しておるわけですね。その公的機能については何らの負担も森林所有者はないわけですよね。ですから、森林経営者、森林の所有者に対する、特に私はそういう意味を加えて補助単価なんかも引き上げていいんじゃないかというふうに思うのですよ。林道と農道と比べるというと補助単価は違うんだそうですね。農道のほうがいいんだそうです。林道が安いんだそうですよ。これも困ったものですね。私は林道は上げていいと思うのです。これは補助単価じゃなくて補助率と言うんですかな、低いんだそうですね。ですから、そういう面の林業の全体についてぜひ検討してもらいたい。
私は先ほど問題にいたしましたんですけれども、やはり民有林行政というものがどうしても弱体であるというふうに思います。先ほど大臣がいらっしゃらないときに、この問題を林野庁に伺ったんですけれども、林野庁はいま三万七千名の定員を持っております。これは国有林という七百五十万町歩の国有林を経営しておるわけですから三万七千名という定員を持っております。しかし同時に林野庁は、国有林を経営すると同時に、一千六百万町歩に及ぶ民有林の行政を行なっている。その民有林の行政を行なっている職員は何名おるのかと伺ったところが、この三万七千名の中の三百七十名ぐらいの者が民有林をやっているとおっしゃる。その三百七十名で民有林の行政をやっていらっしゃる。そういうことで、私は、いろいろな意味で今日民有林行政をブランクにしている面が多いと思っております。国有林の二倍——二・三倍ぐらいの広さを持っております民有林、最も荒れている、荒廃しておるのもまた民有林であります。それに対する民有林行政というものが非常に弱いという印象を非常に強く受けておるわけです。
具体的にいろいろな点をあげまして申し上げましたが、一つ重ねて申し上げておきますというと、いままでの民有林の一つの重要な背骨をなしております個々の林業者が、個々の森林所有者がつくりますところの林業施業計画、これが認定の実績というものが非常に低いのです。もう非常に低い。で、これもやはり私は、民有林行政というものに対する機構とそれから組織というものが弱いという点だと思います。最近保安林行政というものがたいへん問題になりまして、保安林の解除要請というものがたいへんきているんだそうですね。ものすごいんだそうですよ。そうして、いまや保安林行政と言う人はいなくなっちゃって、保安林行政じゃなくて解除行政だと。保安林を解除、解除ということで一生懸命林野庁がやっておるという話なんですが、まあそれは別にいたしまして、これはたいへんな数がくるわけです。そういうものを処理しなければいけない。また、これからこの属地主義の施業計画案というものをつくっていかなければならぬとなりますと、いまの民有林の対策というものは、民有林行政というものは非常に弱いというふうに思いますです。
この乱開発を防げなかった一つの理由として学者連中があげているのに、民有林行政というのが市町村の行政の中に入ってない、非常に薄いというのですね。そういうのを一つの例にあげております。もし市町村長が民有林行政というものに取り組んでおって、林業というものにもつともっと認識があったら防げたのだろうと、防げたのじゃないかということを言っておりますね。ですから私は、民有林行政というものは非常に弱体であるという点を、機構的に、人員的に、予算的に考える必要があるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、その点についての大臣のお考え方を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/57
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058・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) 民有林に対する助成、それから指導等、これは林野庁もいまは本気でやっておるわけであります。まあ私どもは山の中の生まれでありまして、わりあいに森林地帯が多いわけであります。私どもの関知しております範囲では、民有林でも若い後継者がかなり一生懸命でやってるものがあります。しかし、これはなるほど、いまお話承っておりまして、市町村がどれだけ力を入れておるかというふうなことについて私あんまり知識を持っておりませんが、これは民有林の面積のほうが国有林よりはるかに大きいんでありますし、また、そういう民有林が今度のこの法律によりましても開発計画等についても規制を受けるわけでありますので、そういう方面には特段の配慮をいたしまして、やっぱり民有林がしっかりしてもらわなければならないのでありますから、そういう点に力を入れてまいることは当然なことだと思っております。なおこれからも一段とそういうことに努力を傾けてまいるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/58
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059・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 最後に森林組合のことについてお伺いをしたいわけですが、森林組合が、まあ森林組合の系統といたしまして長年にわたりまして森林所有者を基盤にした協同組合のようなものにすべきであると、単独立法としてやりたいという希望を長年持っていらっしゃることは、これは林野庁長官はじめ農林大臣も御承知だと思うんです。で、今回せっかくの機会であったわけですけれども、この問題が単独立法という形にならなかったわけですが、ただ、森林組合の事業が拡大をいたしてまいっておりまして、いまの農協がやっている事業と同じようなものが森林組合がやれるという点が——大きく言いまして三点ほど事業を拡大をしてきている。その意味では山林——林地におきますところの総合的な組合としての機能を非常に濃いくしてるというふうに思いますし、また、森林組合の目的が今回改正になりまして——従来は御承知のようなことで森林を造成をしていく、それにつけ加えて、まあそのことによって森林所有者の経済的社会的な機能を高めるんだということで、まあ二の次の目標になっておったんですけれども、今度は改正が行なわれまして直接の——間接的な目標になっておったんですけれども、今回は直接の目標にもなると、その意味ではいまの農協あるいは漁協等に類似した協同組合の性格というものをより一そう強く持ってきてると、こういうふうにまあ考えております。で、これから——そういう意味で今後そういうような単独立法あるいは協同組合という方向へ向いてきてると思うんですが、これからそういう方向にさらに検討を進めていかれるのかどうか、その点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/59
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060・倉石忠雄
○国務大臣(倉石忠雄君) お話のございましたように、森林組合は森林所有者の協同組織でございまして、農協と同様の協同組合の性格を持っておることは申すまでもございませんが、それだけでなくて、森林法に基づきまして森林施業の合理化とそれから森林生産力の増進をはかるという、先ほどからお話のありました公益的役割りをもあわせ持っておる組織であると存じます。そこで、森林組合制度をこの森林法から分離いたしまして単独法といたしますことについては、この森林組合を単に経済的な協同組合に純化しなければならないというような法律制度的な問題がございますが、最近のきびしい森林——林業事情の変化を背景といたしまして、公益的機能と経済的機能とをあわせて持っておる森林組合の役割りに対する期待が一そう高まっておる次第であります。そういう状況の中でございますので、公益的役割りを希薄にするような性格の変更については、私どもはいまのところ適当であるとは考えておりませんが、しかし、この問題につきましてはさらに慎重な検討を要する問題ではないかと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/60
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061・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 悪口を言う人は、森林法というのは三つの柱でできている。一つは営林、もう一つは保安林、もう一つは森林組合、この三つの柱によってできておる。三本の柱の中の一本を取るというと困るんだという話もありますけれども、しかし、これは二本の柱と言ったって人間だって二本足で立っておるんですから、三本なくてもいい。あるいは、それを除くというと、森林法が何か、がらあきになるというような感じもあるようですけれども、そんなことはないわけで、これは森林法というのは、ますます営林の関係におきましても、保安林の関係においても重要な問題でありますから、どうということはない。ただ、私は森林組合が森林法のワクの中、かさの中といいますか、ワクの中にはまっておるということは、いつまでたってもこれは森林組合、そういう組合として伸びないというふうに思いますね。
民有林行政について、私は先ほど来民有林行政が林野庁においては非常に弱いと言ったが、もっと悪口を言いますと、いま林野庁なんて言う人は大体いないんじゃないんですか。これは国有林庁、言うならば、それは人間の数から言ったって三万七千の中の三百七十名ですからね、民有林なんかやっちゃいないというふうに言っていいんじゃないですか。営林局はありますけれども、これは民有林をやっておるわけじゃないし。ですから、そういう民有林行政の弱さといいますか、をそもそも森林組合が担当させられているという面があるんですね。沿革的にいって、森林組合というのが土地所有者によってできてるし、強制加入であったし、それから不平等な裁決権を持っておったし、というように、土地組合的な性格というものを強く持ってきた、その沿革は十分わかるわけですよ。いつまでもその沿革にとらわれているのはどうか、やっぱりひとり立ちさすべき時期に来ている。いや基盤が弱い弱いと、農村みたいに、農協みたいに基盤が弱い弱いという話があるんですけれども、それはそういう中に入れておったらいつまでたってもひとり立ちはできない。
しかし、森林組合でも十分活動しているところありますよ。私は先ほど申し上げました静岡の掛川林業に行きましたが、りっぱなものですね。十分経済基盤あります。信用業務もやっても、預貯金業務やったって、何やつたってけっこうです、これ。そういう力のある森林組合というのはあるわけです。相当あるわけなんですから、そういうところを見ていきますれば、私は単独立法として森林組合、協同組合みたいにする必要があるんじゃないかと、する必要があるというふうに考えているんですけれどもね。大臣は長年の伝統あるものですから、沿革あるものですから林野庁的な頭になっていらっしゃるかもしれないけど、私は林野庁とは関係ありませんから、全然関係ないものですから、林野庁の頭にはなってない。——いかぬですよ。手足にしちゃっている。古いです。昔の農業協同組合というのは、御承知のように、政府の手足になっておったですね。戦後あれを変えまして御承知のとおりです。——農会というのがございました。これは政府の別働隊だというふうに言われてきました。この森林組合も、そういう性格を負わされているんですね。
それがあるものだから、民有林行政というのは林野庁と県と森林組合でつくる。どうも民有林の行政というのは非常に弱いという感じを非常に強く私は持っているんですけれどもね。だから、これを単独立法で協同組合にするということが——森林組合がいろいろいま行なっております事業。共済事業もやっておりますし、その他の事業もやっておりますが、また、これからやらされようとする、法律の改正によって新しくいろんな仕事をやることはできますけれども、協同組合やることによって有利にこの仕事ができるんですし、そのことによって私はいまの、先ほど大臣がおっしゃった公益機能というものも十分果たしていけるというふうに思いますね。そういうふうに私は思っておるんですけれどもね。長官、どう思っていますか。大臣の話はわかりました。大体同じだろうけれども、もっと事務的に話をしてください。もっと事務的に、政治的でなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/61
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062・福田省一
○政府委員(福田省一君) これは、森林組合からの長年の強い要望でもございます。その点は私重々承知いたしております。毎年何回か大会その他で呼びつけられまして、いろいろな要望も受けておるわけでございます。私で足らぬところはもっとこまかに、事務的に林政部長にまた御説明してもらいますけれども、やはり農協と比較してだけ判断するのは先生おっしゃるように、それは早計かとおっしゃいますけれども、やはりいまのところでは、この事業の拡大その他いろいろと森林組合が活動できる基盤の育成、ということに重点を置いた改正でございますし、もう一つは合併の問題もございます。で、日本には、いま森林組合はだいぶ合併しまして約二千五百近くになっておりますけれども、たとえば外国のスウェーデンの例みたいに非常に、十台の数のところもあります。だんだんやっぱりそういった合併を強化いたしましてそれで力をつける、もうそろそろおっしゃるように、段階に来つつあると私は思っております。で、この信用事業の問題といまの合併の問題、共済の問題、非常に強い森林組合の要望などいずれもまだそれぞれ検討事項として残されておることは、私も非常に残念に思いますけれども、この法律を芽にしまして、まず力をつけて、できるだけ早い機会にこれをひとり立ちさせるようにしていきたいと、こう思っておるわけでございます。あまり事務的でなかったかもしれませんが、林政部長にひとつ補足させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/62
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063・平松甲子雄
○政府委員(平松甲子雄君) 私から事務的にお答えを申し上げたいと思いますが、森林組合の性格につきましては、先生御指摘のように森林所有者の共同組織であるということでございますが、純粋の経済団体に純化していくということになりますと、まあおおむね農山村ということでございますから、林家も農業をやっておるというようなことでございまして、森林組合の組合員がおおむね農協の組合員になる。そうしますと、同じような条件の経済団体が二つ併立するということになりますし、それから森林組合の性格として、先ほど長官からお話を申し上げましたように、森林の有する公益的な機能というものを森林組合が独特に持っておるがゆえに、森林所有者の共同組織ということになっておるわけでございますから、森林組合のそういうふうな公益的な機能というものを発揮さしていくというようなことからいたしますと、純粋の経済団体にすることがいいのかどうかという問題が一つあろうかと思います。たとえて申しますと、農村の場合は農協のほかに土地改良区であるとか、農業委員会とかいう性格のものがございますけれども、山村の場合は、森林に関する限りそういうものが森林組合で一元化されておるというようなことでございます。それから沿革的に申しますと、施業案の編成というのを森林組合が前やっておったわけでございますけれども、二十六年の改正の際に、それは森林組合から一応離されたということでございますけれども、先ほど来先生御指摘のように、森林施業計画というものを属地的に編成をしていくということが必要ではないかということで、今回の森林法の改正でそれを織り込んでまいるわけでございますが、その際その担当をする団体というのは何だということになりますと、おそらく森林組合以外にないんじゃないかというように考えられまして、森林法の中で森林の公益的機能と申しますか、森林の生産力の発揮という点について森林組合のになうべき責務は非常に大きいと、これはやっぱり森林の公益的機能の発揮というものと森林組合とは密接不可避であるというようなことも考えられますので、森林法の立場からも、また純粋に経済団体とした場合の先ほど申し上げましたような問題点、そういうようなものを勘案いたしまして、今回の改正の際は、やはりまだ森林法のワク内にとどめておくということにいたしまして、今後いろいろな問題を総合勘案してまいりたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/63
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064・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 若干、林野庁長官の考え方からだいぶ後退しちゃったですね。まあ、初めて林野庁に来て、初めて森林組合というのを勉強したものだから、どうも森林組合にとらわれ過ぎているですね。あるいは何というのか——初めてじゃないな、営林局長やりましたな。それにしては短いや。だもんだからいまだって何かあんまりとらわれた言い方ですな。それで、何もそんなにとらわれなくていいじゃないですか。教育ママもいいところですよ。ひどいな、これなあ。だめだなこれは、そういうことじゃ。
だから私は、そうじゃなくて、それは施業案だって、施業計画だって、いままでだってあんた、法律ではずしてたって、実際はつくっておったですよ、そうでしょう。実際は森林組合をつくっておったんです、いままでも。これからもやらにゃいかぬでしょう。今度はまあ法律の中に入れたとおっしゃるんですけれどもね。そんなものをつくったっていいじゃないですか。何も法律なかったって、つくったっていいじゃないですか。それがあるから、森林法の中に押し込めていかなければならぬという必要はないと思いますよ。やっぱり、自主的な団体として育ててきたんだけれども、明治以来ですね。だんだんおとなになって、その要求が出てきたんですから、ああだこうだとこう言っているんですよ、林野長官おっしゃるように。しょっちゅう問題になってきているんだから、いつまでも教育ママみたいに押えて置いておくなんというようなことはやらないで、やはりもうそろそろ時期にきているというところから、経済力もつけていかれるわけですから、改正になってですね。ですから、早い機会に、できるだけすみやかな機会に持っていかれるように、まず事務当局もはっきりしなきゃいかぬですから、林政部長に言っておきますよ。
大臣もそういうつもりでひとつ御検討のほどをお願いしておきます。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/64
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065・初村滝一郎
○委員長(初村滝一郎君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215007X01219740328/65
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