1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月二十五日(木曜日)
午前十一時三十一分開会
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委員の異動
四月二十四日
辞任 補欠選任
高橋 邦雄君 中村 登美君
黒住 忠行君 若林 正武君
平島 敏夫君 志村 愛子君
今泉 正二君 二木 謙吾君
平泉 渉君 亀井 善彰君
渡辺 武君 加藤 進君
四月二十五日
辞任 補欠選任
亀井 善彰君 高橋 邦雄君
二木 謙吾君 黒住 忠行君
若林 正武君 高橋雄之助君
小野 明君 宮之原貞光君
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出席者は左のとおり。
委員長 世耕 政隆君
理 事
斎藤 十朗君
内藤誉三郎君
片岡 勝治君
小林 武君
委 員
梶木 又三君
金井 元彦君
黒住 忠行君
志村 愛子君
高橋 邦雄君
高橋雄之助君
中村 登美君
二木 謙吾君
鈴木美枝子君
宮之原貞光君
矢追 秀彦君
松下 正寿君
加藤 進君
発 議 者 加藤 進君
衆議院議員
修正案提出者 西岡 武夫君
修正案提出者 受田 新吉君
国務大臣
文 部 大 臣 奥野 誠亮君
政府委員
内閣法制局長官 吉國 一郎君
内閣法制局第一
部長 角田礼次郎君
警察庁警備局長 山本 鎮彦君
文部政務次官 藤波 孝生君
文部大臣官房長 井内慶次郎君
文部省初等中等
教育局長 岩間英太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
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本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
(当面の文教行政に関する件)
○学校教育法の一部を改正する法律案(第七十一
回国会内閣提出、第七十二回国会衆議院送付)
○義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇
に関する法律案(第七十一回国会安永英雄君外
三名発議)(継続案件)
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001・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
教育、文化及び学術に関する調査中、当面の文教行政に関する件を議題といたします。
本件について、質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/1
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002・片岡勝治
○片岡勝治君 きょうは、過般行なわれました春闘にかかる日教組に対する弾圧問題について若干質問を行ないたいと思います。
御承知のように、今回の日教組のストライキに関しましては、私は、いままでの状況とたいへん異なったものがあるのではないかと思う。つまり、春闘が国民春闘といわれるごとく、そして政府自身が狂乱物価時代と認めるごとく、国民大衆にとってはたいへんな時代を迎えておる。まさにやむにやまれぬ労働者、国民大衆の抵抗の姿が今回の国民春闘といわれたものであっただろうと思うのであります。したがって、そういう背景の中に行なわれた日教組のストライキについては、当然政府あるいは文部省あるいはこれを取り締まらんとする警察当局においても、そういう特異な背景について十分考慮し、配慮するということはこれは当然であろうと思います。こういう点について大臣は、そして警察はどのように考えておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/2
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003・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 今度の四月十一日の日教組のストライキにつきましては、昨年の群馬県の前橋におかれました大会において、四十九年の春闘の際には、まる一日のストライキをやるんだということを決定されているわけでございます。その際にも、多くの政治的な課題が掲げられておったわけでございまして、同時にまた、今回の春闘にあたりましてまる一日のストライキをやる、戦術会議等におきましても多くの政治課題が掲げられておったわけでございまして、私は、単に職員の勤務条件の維持改善をはかるための労働運動とは趣をかなり異にしたものじゃないだろうかというふうな感じを従来から持っておりまして、非常に政治的色彩の濃い運動だと。先生方は特に政治的な活動は慎しまなきゃならない職種でありますだけに、ぜひ、そういうような行動はやめてほしいということをいろいろな機会を通じまして、あらゆる方途を講じて、先生方に徹底するように努力してまいったわけでございます。しかし、遺憾ながらそういうことが行なわれ、また、警察の捜査というようなことにまで発展をいたしまして、たいへん残念だったと。私の力が及ばないで今日の事態を見るに至ったこと、たいへん残念だと、こんな気持ちを深くいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/3
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004・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 御承知のとおり、公務員は法律によって争議行為をすることが禁止されておるわけであります。これをあおる等の行為については、刑事罰が定められておることは御承知のとおりでございます。この法律の規定は、昨年の四月二十五日の最高裁の判例によって憲法に違反するものではないという判断も確立しておるわけでございます。したがって、公務員が争議行為をするということは、その目的のいかんを問わず許されないわけでございまして、日教組がかつてない大規模な争議行為を行ない、公立学校の業務が著しく阻害された、授業に多大の影響があったということは非常に残念なことであります。われわれとして、犯罪の容疑が認められている事案について、やはり必要な捜査を行なわざるを得ないわけであります。これは警察の責務であるというふうに考えて、これが捜査を行なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/4
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005・片岡勝治
○片岡勝治君 非常に抽象的なお答えですね。私の質問の焦点に合わせたぜひ答弁をお願いしたいと思います。
つまり、今次春闘の特徴は何か、どういう背景のもとに行なわれたのだ、こういうことなんです。一年前にストライキをきめたからといっても、率直に言わしてもらえるならば、ほんとうに労働組合が強いのならば、何も一年前にきめる必要はないのです。三日でも四日でも前に、よし、なら、ストライキをぶて、こういうことになると思うのです。遺憾ながら、日本の労働組合はそれまでまだ強くない。強力な組織、強力な運動というものが必ずしも万全ではない。したがって、事前に十分な体制を整えて、権力に対してあるいは使用者側に対して抵抗していくというのが日本の労働運動の実態です。これは大臣だってよく御存じであろうと思うのです、諸外国の労働組合と比べれば。したがって、この日教組が一年前にきめたということは、それだけまだ弱さがあるということなんです。それから従来日教組がさまざまな要求を掲げて、文部省なり政府に対して要求をしてきた。遺憾ながら、団体交渉さえ応じないということがしばしばあった。いや、しばしばどころではない、ほとんどそういう正当な要求に対して拒否をしていくというきわめて冷たい仕打ちが行なわれてきたことは、これは大臣も御存じだろうと思う。それやこれやずっと歴史的な積み重ねがあって、しかも、福田大蔵大臣の言明のごとく、狂乱物価時代だ、その中でどうして生活を守ろうとするのか、こういう今次春闘の特徴の中で、私は、いままでの状況とはたいへん違うのだということは、これは大臣として同情ある見方をすべきではないのかと思うわけなんです。そういう角度から焦点を合わせたお答えを願いたい。
同じような立場で、これは警察にも、同じような質問を繰り返してみたいと思う。あなたの答弁はもう教科書どおり。私も長く県会議員をやっておりました。しかし警察の捜査、そういうものについては、これはそのときの状況を十分配慮して通常やってきております。かりに違法行為があったとしても、しかし、それによってたいへん大きな被害があったという場合はいざ知らず、ほとんど実害がない、違法行為はあったけれども実害がない、あっても非常に少なかった、あるいは情状やむを得なかった、こういう場合には、ほとんど手入れをしてないということは、その例は一ぱいあるわけであります。今次春闘に対して警察側としても、いままでとは違ったのだと、違っているのだという認識はあってしかるべきだろうと思うのです。ほとんどそういう認識がなかったとすれば、これはもはや国民不在の警察行政と言われてもいたし方があるまい、そういう角度で、法律の条文を私は聞いているのじゃないのです。社会的な、あるいは経済的なそういう背景を一体警察当局はどうとらえていたのか、この点もう一度お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/5
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006・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 日本教職員組合は、私は、弱い組合じゃなくて、わが国における最強の組合の一つだと、こう判断をいたしております。だからこそ、その推薦する多くの国会議員を衆参両院に送っておられるのだと、こう思っておるわけでございます。これほど多くの推薦国会議員を衆参両院に送っておられる組合はほかには例を見ない、こう思っておるわけでございまして、かなり大きな見方の違いがあるということを感じさせられました。
第二には、組合は勤務条件の維持改善をはかることを目的とすると地方公務員法に明記されておるわけでございます。勤務条件の維持改善をはかるためであるならば、とことんまで話し合いをして、万やむを得ない場合に、ストライキに訴えるというのが労働基本権の本来の行使の姿だろうと、こう私は判断をいたしておるわけでございます。私は、日教組に会わないわけじゃございません。文部大臣になりましてからも何回も会っておるわけでございます。同時に、勤務条件の維持改善をはかるための戦いであるというならば、国会におきまして、いわゆる人材を教育界に導き入れるための法律も成立さしていただいたあとのことでございますので、いささか、国会の権威にかんがみまして、あのような行動が単に勤務条件の向上を目ざして行なわれたものだと受けとれるものだろうかということに大きな疑惑を持つものでございます。
第三には、また、かりに狂乱物価というような問題があるにいたしましても、それは国会において大いに論ぜられるべき事柄じゃないだろうか。国民が自分のかってな行動に終始してよいものではない。私は、わが国の国民主権というものは、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するということが憲法の前文にも明記されているところでございまして、それぞれの個人がかってに、国会において十分論議されなければならぬことを、自分たちなりに国会に対してストライキをもって強圧をするとかいう性格のものではない、もし、それであるならば、それは労働基本権の行使とかけ離れた政治運動だと断ぜざるを得ないのじゃないだろうか、こう考えるわけでございます。基本的には、ストライキが許されるものではございませんけれども、同時に、かりに許されるといたしましても、今度の場合は、私は、労働運動だとは考えられない、政治運動だと断ぜざるを得ないのじゃないだろうかという疑問を非常に深く持っておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/6
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007・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) やはりわれわれとしては、この争議がきわめて大規模なものである。しかも、いま御質問ありました実害がないのじゃないかというような御判断のようでございますが、われわれとしてはやはり、実害があり、著しくいろいろな業務が阻害されたという判断に立って捜査をしたわけでございまして、特に政治的、その他の意図を持ってやったわけでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/7
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008・片岡勝治
○片岡勝治君 私もかって教員をしておりましたし、日教組の一組合員であったことがあるわけでありますけれども、私は国民に選ばれて国会議員になった一人であります。この点の認識は大臣としても、十分認識を変えていただきたいと思うわけであります。日教組から推薦して国会議員になれる、そういうシステムにはなっておりませんから。
私が聞いておるのは、国会で何でもきめると、そういういろいろ御説明があったわけでありますが、もちろん、議会制民主主義というものは、日本の一つの政治システムとして確立をしなければならぬと思うのであります。しかし、いま大臣がおっしゃったように、何でも国会でということじゃないんです。つまり、憲法に認められた基本的な権利として、たとえば労働基本権というものについては、これは侵すべからざるものだ、つまり国会できめればそれでストライキ権というものを否定できるかというと、憲法はそういう点については幾つかの、ストライキ権だけではなくして、国会の機能そのものでも侵すべからざる基本的な利益というものは認めておるわけであります。オールマイティではないということなんです。あくまで憲法の定めた範囲内、その中で国会の機能というものを果たしていくわけですから、労働組合が賃金引き上げのために労働組合をつくり、あるいはストライキ権を行使して、みずからの生活を守るということは、これは侵すべかざる基本的な権利なんです。たまたま公務員の場合には、法律によってこれを禁止をしているという形にはなっておりますけれども、まあ、われわれが考えるならば、これは侵すべからざる一つの権利なんです。しかし、だからといって、公務員すべてが全く一般労働者のとおりにやっていいのかどうかということについては、それはいろいろ立場があるだろうけれども、基本的にはそういう考えに立つということが、これは民主主義の常道だろうと思うのです。そういうことからするならば、特にそれに加えて、今日の狂乱物価といわれる、まさに戦後の混乱した一時期を除けば、たいへんものすごいインフレ高物価時代に対して、労働者が立ち上がって、大規模なストライキをする。これは、通常の場合と違って、私は率直に言って相当同情すべき時期にある。その中における公務員のストライキについては、これはそういう背景というものが十分配慮されてしかるべきなんだということを主張しているのです。そういう配慮が全然ないところに、国民不在、労働者不在の警察行政、あるいは政府の政治姿勢があるのではないか、このように考えます。この点については、たいへん私はいまの両者の答弁を聞いておりまして、非常に冷たい政府の態度だな、もうちょっと同情ある態度の片りんでも見せてもらえればということを期待しておったのですが、たいへん冷たい。その冷たさを私を痛切に感じました。
第二番目として、今回の春闘は、相当一定の時期を設定をして、その主張を実現しようということで計画をされたわけでありますけれども、十一日のストライキの夜手入れをした、こういうことなんです。そもそもストライキというのは、一つの争いがあるわけですからね。ストライキをだれもが好むわけではありません。これは労働者だって何も好んでストライキをやるわけではない。われわれもまた、国民の一人として、教職員が、あるいは運輸交通関係者がストライキをできればやらないでほしい、これはだれだってそう考えておる。どしどしやってください、やったほうがいいんだということは、そんなことを考えている人はだれ一人もおらぬわけであります。しかし、なぜストライキが行なわれるか、これは民間といわず、公務員といわずストライキに一つの争点がある。かりに賃金の値上げの問題にしても、三万円上げてくれ、いや二万五千円だ、そこに主張の差があるわけですから、争いがあるわけです。しかも今次春闘のような、国民春闘といわれる国民全体の生活を高めるための春闘ということになれば、まず、この争いに対して政府が、これは文部大臣も、警察もその争いに対してすみやかに解決をしていくということが本筋ではないのか。しかるに、ストライキということが、その形だけをとらえて好ましくないからといって一斉に手入れをして、警察権力によってこのストライキを事実上やめさせようという、こういう態度については、これはわれわれとして理解ができない。これは私どもの社会党という立場だけではなくて、国民の中においても、あるいは率直に言ってそれは一つの世論を代表するものといわれておる新聞の社説においても、ちょっとひどいじゃないか、当日の夜いきなり大規模な手入れをするということは、明らかに春闘を押える、そういう機能を果たすことになるのではないか。それよりも争いが一体何なのか、そういう点について、まず文部大臣、その争点の打開のために東奔西走するということであれば、これはまあわかるわけです。そういうことをしないで、いきなり大規模な捜索を開始したというところに私は今回の非常に特徴的な意味がある。一体文部大臣は、今次春闘のこの争点についてどれだけこの時点で努力をされてきたのか、具体的にひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/8
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009・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 一つは、議会制民主政治のことについての御意見がございました。私も議会制民主政治のワクから一歩もはずれて民意の反映をはかることがいけないという気持ちはさらさら持っておりません。しかし、ストライキというのは、労使が平等に話し合える態勢をつくるために、労働側には団結権、スト権が与えられ、また、使用者側にはロックアウトの権限が与えられ、そして対等の立場を保障しているんだと、こう考えているわけでございます。表現の自由というものは、国民に保障されておるわけでございますので、大いに民意を反映させる努力あってしかるべきだと思いますが、それはやはり勤務時間の外でやっていただかなきゃ国民が迷惑をするんじゃないかと、こういう判断をしているわけでございます。公務員は、憲法で全体の奉仕者だときめられておるわけでございまして、全体の奉仕者ということは、全体の利益をより伸ばすために努力をすべき性格のものだと、こう思うんでございまして、一般私人といえども、公共の利益を害しないようにしなきゃならないわけでありますが、公務員はより以上に公共の利益をもっと伸ばしていかなきゃならない私は使命を帯びているんだと、こう思うんでございますが、ストライキに訴えて児童生徒をほうりっぱなしにしてしまう、公共にたいへんな損害を与えてしまうことでございますので、それはやはり表現の自由とかけ離れた行動ではないだろうかと、こんな気持ちを持ってお答えをさせていただいたわけでございます。
第二番目に、日教組の考え方を大いに聞いて話し合えるものなら話したらいいじゃないか、話し合ったらいいじゃないかということは、私もそのとおりだと思います。決してそういう話し合いを拒否したことはございません。ございませんが、ただ、よく御承知だと思うんでございますけれども、昨年の前橋大会に出されております運動方針等を見ましても、われわれは階級闘争の立場に立つ大衆組織なんだと、資本家階級の政府を打倒するんだと、われわれに対して政治活動の制限をきめておるのはよくないことなんだと、この制限を一つ一つ空文化する戦いを強めていくんだと、こういうことを述べておられるわけでございまして、そういう一連の考え方のもとに、昨年の半日ストライキは一昨年おきめになっているわけでございまして、ことしの一日ストライキは昨年きめておられるわけでございます。団結を強める、団体行動を強化していくというようなことでございますが、それが政治運動につながっているところに私はたいへん心配をしておるわけでございます。そういうこともございまして、一人一人の先生にまで自覚を求めたい、そういうことで、文部広報にこの問題を取り上げまして、そして全部の先生方にお読みいただくというような手配もしたわけでございまして、今日のような事態を招かないように私としてはこいねがってまいったわけでございます。不幸にして、こういうことになったわけでございますけれども、今後といえども健全な組合にぜひなってもらいたい、組合員一人一人に自覚をぜひ強めていただきたいという希望を持ち続けておるわけでございます。今後もそういう面につきまして最善の努力を続けていきたい、かように存じております。
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010・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) この際、委員の異動について御報告いたします。
ただいま亀井善彰君が委員を辞任され、その補欠として高橋邦雄君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/10
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011・片岡勝治
○片岡勝治君 公務員が全体の奉仕者であるという、そういう考えについて私は否定するわけじゃないのです。しかしだからといって、それでは、公務員が労働者としての権利をすべて否認することができるかどうかというのはまた別な問題なんです。だから公務員にかりにストライキ権が与えられたことによって、全体の奉仕者としての任務というか、そういう性格が全くほごになるか。ほごというのは守るということじゃなくて、だめになるかというと、そういうことではないと。これは諸外国の例を見ても同じようなことがいえるということでありますが、諸外国においては公務員の争議権を認めておる、先進国はむしろそういうほうが多いわけであります。それと公共の利益を守るということとは別の問題である。しかしなおかつ、そういうことを国民ががまんをして、みんなががまんすることによって、それぞれ人間としての、個人としての権利というものが守られていくんだと、そういうことだろうと思うわけなんです。もし、文部大臣のこの考え方によれば、これを広くやっていけば、公労協のストライキについても全く否定されるような考えになるわけですね。しかし、これはいままでの裁判の結果を見ても、御承知のように、公務員でも違法性の少ないストライキについては、憲法はこれを許容しているんだという判決も出ておるわけです。これは大臣の考え方はたいへんおくれている。必ずしも憲法の趣旨に沿っていないというふうにいえると思うのです。私がいま聞いたのは、この春闘の山場といわれている交通ゼネスト直前にして、あるいはゼネストに入ったときに、政府関係者は非常に努力をしておりました、官房長官にしても、担当の副長官にいたしましても。しかし——官房長官や関係担当大臣は私はたいへん努力したと思うのです。総評の幹部に会い、あっちに会い、たいへん飛び歩いていた。春闘の担当の大臣ですから、これは前面に立つのが当然だろうと思うのです。少なくとも、日教組があれだけの要求をして春闘の一環として戦っていくならば、私は、文部大臣も朝から晩まで東奔西走して、この争点、先ほど申し上げました春闘の争点の打開のためにもっと——全然努力をしていなかったとは私は思いませんけれども。もっと前面に立って、政府と日教組の間に立つなり、あるいは何なりして、争点の打開のために東奔西走する、全的な努力を傾注する、そういう姿があってしかるべきだと思う。しかし新聞、テレビ等の私どもの得る情報からはあんまりそういうことが見られなかったのはたいへん残念だ。そして、そのあげくの果てに強行捜査ということになれば、これはどうもちょっとひどいじゃないか。つまり先ほど申し上げました春闘の背景、あるいはいま言ったようなことを考えると、通常ストライキというものについて批判的な人も、今度のやり方はひどい、確かにひどいということが言われると思うのです。そういう点について、もう少し私は政府関係者の御努力というものがあってしかるべきだろうと思うのです。
それから先ほど警察の警備局長は、昨年の判決というものを一つ取り出して、公務員のスト権というものについて、一定の解釈を示しましたけれども、御承知のように、四十一年の全逓中郵事件の判決、あるいは四十四年の都教組判決というものによって、公務員のスト権、まあ内容によれば多少幅があるわけでありますけれども、スト権が認められた、そういう判決が出たのは御承知だろうと思う。私たちはこの判決で、ああなるほど公務員にもスト権があるんだ、そういう認識を公共企業体の職員もあるいは公務員も持つということはこれは常識だろうと思うんですよ。そういう判決が出たということについて、それをすなおに受けとめる感じというものが出てくるのは当然だろうと思う。なるほど、その後それを否定するような判決が出たけれども、しかし、かつてそういうストライキを認めた判決が出れば、これは労働者の感情としてそういうストライキが必ずしも全面的に否定されているものではないという認識に立つのは常識でしょう。そういう歴史的な経過を何ら踏まえずに、いきなり強制捜査に突入をしたということは、そのことからすれば、これは政治弾圧だといわれてもいたし方がないではありませんか。しかも、憲法に基本的に労働基本権が認められているという、そういう考え方からすれば、むしろ、積極的に権利が認められるんだという期待感からすれば、労働者が、公務員といえどもストライキというのは認められているんだという認識に立ってストに突入をした、これは常識的に考えられるわけであります。それが全く否定されるということになれば、これは政治的な意図があったといわれてもいたし方がないと思う。この辺のからみはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/11
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012・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 日教組とのお話し合いにつきましては、私は決してこれを拒むような考え方は持っておりません。
また、ストライキの前にも、教職員定数の改善等について事務当局にお話があったようでございました。それを聞きましたときに、それはやはり正確にお答えをしなさいよということを事務当局に申しました。事務当局から書いたメモをお渡しをしたということもあるわけでございます。
いずれにいたしましても、いろいろな議論はありましても、わが国の国法の上では教育公務員はストライキをしてはならないという明文の規定が置かれているわけでございますし、また、教育基本法にもそういう趣旨の規定が置かれているわけでございます。労働基本権をどこまで認めていくかということは公共の福祉とのかね合いで立法政策に属することじゃないか、こう考えるわけでございます。あくまでも国会の場において十分論議が尽くされて決定をしていかなきゃならない、その決定された法律に従っていかなきゃならない、かように考えているわけでございます。
私は、いろいろ論議はありますけれども、裁判の判例の中におきましても、認めることは一切いけないんだという式の判例を私知らないんですけれども、やはり少なくとも法治国家でございますだけに、法律上もこれは公務員は特に尊重していかなければならない性格のものではなかろうか、かように存じておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/12
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013・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) ただいま最高裁の判決について御質問ございましたけれども、われわれ警察といたしましては、四・二判決によって、このスト権の問題について限定解釈がなされて、一定の条件を満たさなければそれは違法行為として問擬できないんだというような、大ざっぱにいえばそういうような判決であり、それに従ってわれわれとしては捜査はしておった。やはりスト権は場合によっては違法になるというたてまえであったことは当然だと思うわけです。ただ、昨年の四・二五判決によって今度はそういう限定的な制限が取り払われたということで、そういう形でまた捜査を始めるということであって、われわれとしては四・二判決にも十分従いますし、今度改正といいますか、それがくつがえされて四・二五判決にも従う。われわれとしては、やはり民主主義国家において違憲立法審査権を持っておる最高裁の判例というものに忠実に従ってただ捜査を進めていくだけであるという、そういう立場に立ってわれわれの責務を全うしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/13
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014・片岡勝治
○片岡勝治君 つまり、組合員、労働者の側に立った認識の問題として私は聞いているんです。少なくとも、中郵事件あるいは都教組事件の最高裁の判決は、なるほど全面スト認定ということにはなっておりません。一定の条件というものがありますけれども。少なくとも、最高裁の判決によってスト権というものが限定的であれ容認されたということは、これは厳然たる事実なんですね。だから、いま文部大臣が言うような理解ですと、これはたいへん間違っていると思うんです。同時に、組合員あるいは公務員の側に立って見れば、少なくとも、ああいう判決が出たことについて、ストライキが全く否定されているんだという認識には立っていないんです。一部認められたんだという認識に立っていることは間違いですか。間違いと私思いませんよ、そういう判決が出た以上。しかし、いま文部大臣の答弁や警察側の答弁によると全くそれを否定するがごときことでは、これは前進にはならないんじゃないか。何か見解があれば聞きたいんです。私の言っていること間違いじゃないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/14
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015・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) おそらく、都教組事件の判決、四十四年でございましたでしょうか、そのことを基本にして御意見をお述べになったんじゃないかと思うんですが、もしそれだとしますならば、刑事事件に問う場合には、ストライキによって起こした影響、それとのかね合いで判断、適用すべきだという趣旨の論旨だったと思うのでございます。それが昨年の判決におきまして、そういう影響のいかんを問わず、法が禁止しておること、それはそのとおり認めるべきだという趣旨であったように理解をしているわけでございます。したがいまして、ストライキが許されているんだというようなことで組合員が行動されたとするならば、それは誤解もはなはだしいんじゃないか。それぐらいのことは組合員は御承知あってしかるべき性格のものじゃないだろうかな、かように思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/15
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016・片岡勝治
○片岡勝治君 少なくとも、最高裁がそういう判決を出した以上、すべてそういった争議権というものが否定されてはいないんだという認識を持つことが、これは大臣誤りですか。最高裁がそういうことを出した以上、全くスト権あるいは争議権、そういう労働基本権というものが否定されているんだという認識だけに立つということはどうなんですか。いいでしょう、それは多少そういう感情を持ったって。私はそれを聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/16
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017・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 片岡さんの御意見に賛成できなくて恐縮なんですけれども、私はそういう判断はおかしいんじゃないか。昨年の四月二十五日の最高裁の判決、これはもう明らかに否定しているわけでございます。同時にまた、公務員につきましても、職種によりまして団結権も認められていない職種もある、団結権と交渉権の認められている職種もある、あるいはまた、民間の組合でありましても、電力事業のように電力の供給に支障を起こすような同盟罷業は許さないというような立法も講ぜられているわけでございまして、それぞれによって労働基本権を保障していくそのしかたが区々であること、これはもうよく御理解いただけると思うのであります。
そうしますと、教育公務員でございますだけに、ストライキやることが、これはもう否定されているわけじゃないんだというようなことを考えておられる方は、私はいらっしゃらないんじゃないだろうかなあ、もしいらっしゃるとすれば、一体先生たるに値する資質を備えておられると言えるかどうか疑問に思うなという感じを私起こさざるを得ないわけでございます。たいへん恐縮でございますけれども、ちょっと片岡さんの御理解と私の判断との間に食い違いがあるように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/17
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018・片岡勝治
○片岡勝治君 いまこの教育関係法や公務員法の私は解釈から言っているのじゃなくて、少なくとも、かつて最高裁からそういう判決が出たという事実は否定するわけにはいきませんね。そうなりますと、全く公務員といえどもストライキが——これはいま警察答弁しておられましたよね。両方の要素を十分考えているんだ、すべてが否定されているんじゃないということは答弁にありましたね。しかし、文部大臣は全くそれは否定されているんだということになれば、これはちょっとおかしいんじゃないか。私は、そういう意味では文部大臣、それは意見に賛成するわけにはいかないんです。全く否定されているんじゃないということの証左として判決があるんです。いや、あんな判決はでたらめなんだと、そんなものはなかったんだということならば別ですよ。少なくともあの判決が出た、そういう判決があったということは、それは一〇〇%と私は言っているわけじゃない。あの判決内容自体も一定の条件のもとにおいて、という趣旨の判決ですから、そういうことからすれば、全く一〇〇%禁止されているんじゃないということを私は言っているんです。大臣が一〇〇%ということになれば、これはたいへんな問題ですよ。この辺は硬直化した警察のほうがゆるやかな理解をしていますよね。いま両方の要素があるんだ、こういうことを言っているんですから。山梨県警へ私はこの問題で調査に行きました。本部長にも会いました。いや、半日ならいいと言うんです、半日ならば、といっているんですからね。だから半日のところは一斉手入れはしません、その程度のことは、これは許されていいんだ、そういうことなんです。だから、じゃなぜあなた山梨で一斉捜査に入ったのかと言ったら、半日か一日かさだかでない。それは山梨の事情はちょっと違いますよ、ストライキの様相が。つまり半日とも考えられるし、しかしそうでもない、一日という理解もできるのだ、だから山梨は一斉捜査に入ったのだと、こういうことです。これはわれわれ国会議員が大ぜい行って本部長といろいろ話し合ったときの最後の話はそうです。そうすると、やっぱりこの警察本部長の見解も全くストは否定されているわけじゃない、そのときにも言いました。これは小野さんがおとといですか質問をしたように、他の公務員だってやったじゃないか、なぜ手入れを教職員だけやるのかと言ったら、いや、それほど大きな被害があるわけじゃないんだ、一日のストライキということになると被害がある、あの程度のことは認められているのだと、公務員といえどもそういう理解です。ですから手入れはしないのだと、捜査はしないのだと、こういうことですから、この点はひとつ文部大臣、むしろ私の意見に賛成なされたほうが、なるほど文部大臣も理解があると、進歩的な大臣だと、こういうことになろうと思うんです。この点はひとつ見解を改めていただきたいと思うんです。
それから次に、警察のほうのいままでの答弁によると、今回の強制捜査について適正な判断、適正な捜査ということを繰り返しお答えになっておるわけですが、しかし、これは率直に申し上げまして警察側の主観です。適正な捜査、適正な判断、これは私がもし立場を変えてその席に行って質問を受けた場合にきっとそういう答弁をするでしょう。しかし、これはあくまでも主観であって、そこに裏返せばいろんな問題が出てくるのは当然です。警察といえども神ではない、未熟な点もあるだろうし、若干のあやまちをおかすこともあるだろう。これは人間のやることですからこれはいたしかたのないことであります。そこで自分としては適正な判断としてやった、誤りない捜査をやっているんだ、そう自負されておっても、しかし、絶えず謙虚に耳を傾けることが必要であろうと私は思うんです。その場合に、あなた方は一体どういう基準というか、状況をもとにして、みずからやっておる捜査のいわゆる適正であるか、適正でないか、そういう反省の材料になされますか。率直にもっと具体的に申し上げるならば、たとえば新聞の社説についても、今回のやり方はひでいじゃないかと、こういうことがありましたね。これは私は、警察に対して、警察側は適正な捜査をやっているんだ、そういう主観に立った考え方に立つのはあるいは当然かもしらぬけれども、こういった世論に対してどういうふうに反省をなされるのか。もし見解があれば承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/18
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019・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 今度の日教組の事件についての捜索、差し押えの問題について何か反省する点はないかというようなお話だと思いますけれども、われわれとしては、先ほど申し上げましたように、無法状態をほうっておくわけにはいかない。しかもその規模、態様、影響から見てまさに地公法違反の容疑に該当するということで厳正な捜査を続けて、法律に基づいた適正な手続で、しかもその法律は昨年の四・二五判決によって憲法に違反しないという最高裁の判断が下されている、その判断に従った運用をもって進めてきたことについて、これはまさに民主主義の原則に基づいて進めてきた手続に全く遺漏はないという信念を持ってわれわれは仕事をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/19
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020・片岡勝治
○片岡勝治君 だから警察側として絶えず自分のやっていることは適正だと、誤りがない、そういう自信を持つのはけっこうです。しかし、それはあくまでも主観であって、やることなすことがすべて正しいんだということは私は独善だと思うんですよ。たとえばいま言ったように、新聞の社説において、その警察の行動について批判があった場合には、ああ、そうかということで、いままでの捜査方針を変える、変えないは別問題として、そういう世論に対して謙虚に反省をしていく、あるいは振り返ってみる、そういう態度が必要だと思うんです。あなたの答弁を聞いてみると、さらさらそういう意見がないというのは私はたいへん残念に思います。これは地方の警察というのはもっと謙虚ですよ、そういう点について。直接民衆とつき合っていますからね。いろんな問題で警察に言っていった場合に、ああ、そうかと、それは警察が悪かったと、それは謙虚に改める、そういう声があった場合には。だから国会において私どもがこうした意見を出すことも一つのそういう意味では振り返ってみるという機会にもなるだろうし、新聞の論調もそうだろうし、あるいは春闘共闘委員会が警察のほうに文句を言っていった、こういうあらゆる機会を通じて、しかしすなおに反省をしていく、こういう態度は私はあっていいと思うんですが、どうですか。迷惑かけそうですか、そういうことについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/20
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021・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) もちろん、私はいま私どもの立場を原則的に申し上げたわけでございまして、われわれの仕事に対する、やり方に対する批判、意見、そういうものはわれわれとしてはもちろん当然そういうものを十分われわれの何といいますか、内省の資料として考えていきたいと思うわけでございますが、それら個々についてもまた、われわれとしても、それに対するまた意見もあるわけでございまして、そういうもの全体を通じて現在の心境からいえば、われわれのこれにとった措置というものは公正妥当であるというふうに考えているわけでございますが、もちろん先生のおっしゃる、あるいはさらに具体的なこまかい点について末端において具体的にこの捜索、差し押えが行なわれたというような問題になりますと、それはいろいろな状況によっていろいろな問題が起きている、あるいは起きるおそれもある、そういう点はやはり万全ではない、人間のすることでありますからいろいろあると思いますが、そういうものは個々の状況に応じて、あるいは間違いがあればそれを是正をするにはやぶさかでないという気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/21
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022・片岡勝治
○片岡勝治君 次に、今回の問題につきましてはたいへん大きな問題であるということは、捜査の対象が教職員であるということですね。したがって、かりに警察が強制捜査に乗り出すという方針を——まあ事実きめたわけてありますか、それに対する批判は別として、捜査をする場合に教育的な配慮というものがあってしかるべきだ。しかし、これは警察側はあまりそういうことを配慮していくと、警察の方針が必ずしも十分に達成できないということで、本来そういうものを配慮しないのが原則だろうと思う。しかし、たまたまここに文部大臣と同席をしているから、私はそういう面では文部大臣のほう、つまり教育行政機関のほうが警察に対して強くそういうことを求めるという態度があってしかるべきだろう。これは山梨の例でありますけれども、山梨県の教育委員会あるいは教育長さんは、そういう面ではたいへん努力をされております。事前に、もしそういうことが起こったにしても、教育的な配慮、児童生徒に与える影響、教職員に対する心理的な影響、そういうものについて警察は十分配慮してくれ、これはもう再三再四話し合っておったようであります。私はたいへんこれは感銘を深くいたしました。なるほど地方の現場にいる教育行政機関というものはそうあってしかるべきだろう。かりに公務員法違反で一斉捜査に乗り出す、そして全国何千人の先生に対して一斉に家宅捜索をする、あるいは学校に乗り込む、また参考人に対して、まあ山梨の例ですと、全部の教職員の数が約四千人強ですか、それに対して三百人か四百人の参考人の呼び出し状をかけておる。こういうやり方について、はたしてこれが教育的配慮があったのかどうかと思うと、たいへん私は大きな疑問を感ずるわけであります。この間の答弁によると、文部大臣は、警察の良識をというか、そういう配慮は十分してくれると思うから何も言わなかったというんですが、これは文部大臣として私はたいへん大きな手落ちだったろうと思う。すでにこの教組に対して手入れが行なわれるということは数日前から漏れておった。これは警察内でもたいへん論議があったようであります。論議があって、良識的な一部の警察官は、そんなこと言ったって無理だろう、いややるべきだといういろいろな意見の対立なり論議があったために、今度は手入れがあるらしいということがもう二、三日前から漏れておりましたね。これは私は率直に言って警察内部のそういった論議があった一つの証左だろうと思う。しかし、文部大臣は、そういうことを知ってか知らずか全く沈黙をしておった。なぜ一言警察側に対して、できればやらないでほしい、もしやるんならばそういう教育的な配慮を十分やってもらいたいと、こういうことを言うべきではなかったかと思うわけであります、現実にふたを開いたときの捜査の状況を見れば。これから具体的に申し上げますけれども。この間は何にも警察には言わなかったというんですが、これはあとの祭りになりますが、いまでもそうお思いですか。教育的な配慮をもって捜査に当たれと、そういうことを言うべきではなかったのかということです。地方ではみんなやっていますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/22
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023・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 片岡さんのように、捜査以前にこの問題について何も知りませんでした。この間もお答えをしましたように、夕刊で初めて事件を知りました。しかし、私が文部大臣になりまして以来、こういう事態にならないように、あらゆる努力を傾けてきたことは、これは、私は御承知いただけるんじゃないか、こう思います。ぜひ今後、先生方が法秩序を守るように、御努力をいただけぬもんだろうかという期待を持っているわけでございます。それぞれ、担当分野ごとに責任を負っておるわけでございますので、あまり干渉がましい態度は避けたほうがいいんじゃないか、こういうことは基本的に思っております。今後もし、教育界が警察の捜査その他で長く混乱をさせられるというようなことになりますと、あるいは私からお願いをしなきゃならないような事態が生ずるかもしれませんけれども、また、私は、おそらくそんなことはないだろうと思うし、警察は警察として、教育の世界にあまり混乱を起こさせないようにという配慮は当然持っていただいていると思います。したがいまして、この段階で私からいろいろな注文がましいことを言うことは避けるべきだろう、おのおのが責任を持っておるわけでございますので、その責任をお互いに果たしていかなきゃならない、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/23
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024・片岡勝治
○片岡勝治君 文部大臣がこの件について何も知らなかった——たいへんうかつなことだろうと思うんです。私たちはいろんな情報からある程度知っておりましたからね。文部大臣たろうものが、この大規模な警察の捜査について、何も御存じなかった。はたしてそれて——これが交通関係のストライキの拠点に捜査の手入れをするのと違うんですよ。文部大臣、言うなれば、教育行政の、あなた、最高責任者ですからね。その現場に、そして働いている学校の先生の家宅に、何千人の警察官が乗り込んで捜査をする、このことを察知できないということは、私は、いまの政府のこれはやっぱり欠陥じゃないですか。おそらく部下の者は相当知っていたと思うのですが、そのことも大臣の耳に入れない。たいへん残念に思います。
それよりもまして、私は警察庁の態度というもの、これはもう許せないですね。少なくとも、学校や教職員の手入れをする場合に、一言、なぜ文部大臣の耳に入れなかったのか。実は、こういうことで警察としては手入れをせざるを得ない、できるだけ教育的な配慮をするけれども、まあお知らせしておきますぐらいのことはあってしかるべきだろうと思う。ここに今日の日本の警察の仕打ちの冷たさというものを私は感じますね。文部大臣にいまのことを耳に入れることによって、捜査に大きな支障があるとは私は思いません、いまの文部大臣の態度ならば。そうして文部大臣も、その声に、まあしかしあまりひでいことをやるな、やってくれるなというふうなことは一言あるでしょう。そのことによって警察が大きな圧力を受けて捜査に支障を来たすということはないだろうと思う。つまり、それは、もう警察行政、教育行政以前の問題じゃないですか、その程度のことが行なわれるということは。今日たいへん教育が精神的に荒廃をしているというのは、その辺にもありますね。私は率直に、感じます。どうですか、警察として。——一言もないでしょう、これには。
さて、具体的に、もう一、二点聞きたいと思いますけれども、つまり、教育的配慮がなかったという事実は、いまさらここで述べるまでもなく、この間、小野さんからもるる訴えがございました。たいへん大規模な家宅捜索を行なった。つまり、学校の先生の自宅に警察が乗り込んでいって、大きな捜査を開始いたしました。この捜査のやり方について、一部においてたいへん行き過ぎがあったということは、この間も指摘をされたわけであります。これほど膨大な家宅捜索が一体必要なのかどうか、たいへん私は疑問でありますけれども、率直に申し上げましょう。これは、何か戦前のこの種の捜査のことに関して、こういうことをだれか言ったことがある。これは元警察官であります。この種の捜査というものは、証拠物件をあげることが目的ではないんだ、大量の家宅捜索、ここに意味があるんだと述懐をされた戦前の人がおったわけであります。漏れ承ると、文部大臣もかつてそういう警察行政をやられた経験があるから、これは十分理解がいく点だろうと思います。つまり、大ぜいの学校の先生あるいはたくさんの学校に対して乗り込んでいって調べる、そのこと自体に意義があるんだと、いみじくも言いましたけれども、私は今回の捜査の状況を見たときに、ちょっとそれに似通ったことがあるのではないか。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/24
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025・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) この種の地方公務員法違反事件の捜査、これは組織を背景とする犯罪に対する捜査でございますので、その経緯とか態様、きわめて複雑であり、関係者も非常に多数である。しかも、あおり行為というようなことを立証するには組合の末端組織にまで捜索を実施しなければ具体的なことはわからないし、あるいは参考人等についてもかなり多数の方々からいろいろと事情を聞かなければそういう行為の立証というものはむずかしいという、全く法律に基づく捜査の技術的な問題でこのように多数の個所を捜索する、あるいは多数の人からいろいろと事情を聞かざるを得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/25
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026・片岡勝治
○片岡勝治君 つまり、文部大臣は警察側の良識を期待をしたと、期待をしているというようなお話でありましたけれども、結果を見れば、常識的に考える以上の多くの先生方の家宅捜索をやっている。しかも夜の大体八時から十一時、すでにこれは眠る時間です。暴力団の手入れだって通常朝やるわけです。夜の夜中に学校の先生の自宅に押しかけていって、中には子供部屋あるいはたんすの奥さんの下着のところまで全部引っかき回してさがし回す。こういう行動はどうもこれはわれわれとして理解できない。やはり戦前の警察がやった家宅捜索というのは、証拠が目的ではないんだ、捜査そのものが、しかも大量やることに意義があるんだ、こういうふうなことが現実の問題として出てきているような気がする。さらに私は、たいへん大量な参考人を呼んでおりますね。これは全国で数万人になるんじゃないですか。しかし、たいへんこれもいま私が指摘をしたごとく、参考人を呼んで尋ねることに意義があるんだというような気持ちが率直に言ってするんです。何々の用件についてお尋ねしたいことがありますから、次の日時、場所においてください——何も書いてないのがあるんですよ。空白の用件について、そういうのが大量にあるんです。地公法違反ともあるいは槙枝委員長のあおり行為とか何とか、そういう法律の内容も書いてないで、大量に呼び出しをかけている。そういうようなことがありますし、まあ、捜査の個々の具体的なことを持ち出せばこれは限りがありません。先ほど警察あるいは文部大臣は、つまり今回のストライキによって被害があった、法律違反によって被害があった。なるほどストライキによって子供の教育を受ける機会を失った、これは事実であります。そのことを私は否定をいたしません。しかし、十一日の場合には、全部が全部教師のストライキによってその教育を受ける機会を失ったわけではありません。これは交通ストライキがありましたからね。ストライキに突入をしなかった学校においても授業ができなかったというところはたくさんあるわけであります。それはさておいて、しかしそれによって被害を受けた、教育を受ける機会を失った。なるほど公益を侵害されたということになるかもしれませんけれども、しかし、その後、この警察のやり方、冷たい仕打ち、膨大な数に及ぶ家宅捜索こういうことによっていま教職員は大きな心理的ないろんなものを感じておるわけであります。学校の先生が、何千人の先生が警察本部の前に集まって不当弾圧反対、そういう集会をやる。シュプレヒコールをやる。まさに、私はこれはたいへんな問題だろうと思うんです。そういうことによって受ける教育に対する影響というものははかり知れないものがある。かりに二時間、三時間の授業がカットされたとしても、これを挽回することは可能であります。私も教師の経験があります。いろいろな事故で授業ができなかった。それは年間通して取り返すように学校の先生はほんとうにがんばるんです。しかし、いま言ったように、四千人の山梨県の教職員の一割にも及ぶ先生を呼び出しをかける、あるいは数百人の先生の家宅を捜索する、このことによって与える影響というものはたいへん甚大であります。一体、そういう影響力を警察は考えたことがあるのか。どういう影響があるのか、おそらく考えなかったんじゃないかと。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/26
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027・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) その点は、捜査の結果いろいろな影響があったということは、これまでも日教組についても捜査は何回も過去において行なっておりますので、いろいろな影響があるということは十分承知いたしておりますけれども、そういう影響があるにしろないにしろ、われわれとしては、この純粋に警察に与えられた今度の違法ストに対する捜査というものは、厳正な立場に立ち返って、——そういういろいろな影響があるかもしれないが、やはり法律を守るという立場、これを厳守して捜査しなければならないということで、われわれは捜査に踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/27
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028・片岡勝治
○片岡勝治君 まさに語るに落ちたという感を深くするわけであります。つまり、警察としては、そういう影響というものはあってもやむを得ないんだと。だから、大臣私は言っているんです。警察はそういうことは考慮しないんです。山梨県ではいろいろな事例がありましたけれども、これも同じであります。しかし、若干考慮した点も私は認めた点がありますけれども。しかし、警察は、いまの答弁のようにきわめて冷酷無比です。教育効果のことなんかは二の次なんです。だから、一たんこういうことが起こった、それに対して捜査を行なう上に、教育的ないろいろな悪影響というものを最小限度に食いとめる努力というものを教育行政の立場にある大臣が関係者として当然やるべきではなかったのか。これが行なわれなかったということについて私はたいへん大きな不満を感ずるわけなんです。この点は文部大臣どうですか、いまのああいう警察の側の態度に対して。——お答えがないようですから、もう一、二の問題について伺います。
これは教師と、つまり、教育の影響だけではなくて、教育と警察官との関係にたいへん重大な要素をかもし出しております。警察官はみんな学校に子供を送っておるわけであります。しかし、いま率直に言って、教師の警察に対する感情というものはよくありませんね。これは当然だと思います。あまりにもひどいじゃないかという、そういう感情がみなぎっていることは、これは教職員といえども人間ですからやむを得ないと思います。山梨県の話を聞くと、それまでは学校の先生もおまわりさんも一緒に協力して子供の交通事故をなくそう、あるいはいろんな事故をなくそうということでたいへん手をつないでしっかりやってきた、お互いに理解し合いながらやってきた。しかし、その一斉手入れの結果、そういった非常に好ましい関係というのがぷっつり切れて口もきかない、なるほど警察は違法事件があったから捜査をするんだ、それは警察の立場はあるかもしらぬけれども、われわれからするならば、なぜもっと事こまかな配慮というものができ得ないのか。そして、なぜ教育委員会なり文部大臣なりがそういう点について配慮をするような措置をとれないのか。これは政府の責任だろうと思うわけです。文部大臣だけじゃなくて。この点はひとつ十分肝に銘じていただきたいと思うわけであります。もし、このままの関係が続くとするならば、私は、たいへんな問題に派生しかねないと思う。この際、文部大臣は、こうした問題がここで論議をされた結果からしても、警察に対して私は一言あってしかるべきだと思いますよ、率直に申し上げまして。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/28
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029・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど片岡さんは、児童生徒の授業ができない、一日だけのことじゃないか、あとでまた取り返しがつくじゃないかという式の御発言がございました。その点につきましては、私と片岡さんとの間に大きな開きがあるわけでございます。私はやはり、将来の国家社会をになう国民を育てていくわけでございますので、やはり、国家社会の秩序というものを守る国民が育ってこなければ健全な国家社会をつくり上げることはできない、こう思っているわけでございます。その児童・生徒が見習っていこうという先生が平気で法秩序をお破りになる。これは私は精神的に非常に大きな悪い影響を児童生徒に与えた、取り返しのつかないような大きな悪い影響を与えている、こう思っているわけでございまして、そこにお互いの認識の間に大きな違いがあると思います。私は、将来ぜひ、先生方には法秩序を守る先生方として御努力いただきたいものだと、こう念願をしているわけでございまして、不当弾圧などといって抗議される前に、ぜひ、将来いかにあるべきかということを教師の皆さん方でまず考えた上で次の行動を御検討いただきたいものだと、こう念願をしているわけでございます。
警察の活動の問題につきましては、私の立場上いろいろ申し上げることは避けさしていただきたいと思います。私といたしましては、あくまでも先生方には法秩序を守る先生方として情熱を教育の上にささげてもらいたいものだと、また、法秩序を守るような児童生徒を育てあげていただきたいものだと、そのために今後もあらゆる努力を払っていきたい決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/29
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030・片岡勝治
○片岡勝治君 そのいま基本的な問題を私は言っているんじゃないんです。ストが行なわれた。そのストのよしあしとか何とか先ほどいろいろ論議をしたものですから。それはさておいて、今日の警察のそういったやり方について、直接間接いろんな意味の影響が出てきているじゃないか。事実、ストライキが行なわれたというその結果のもとに、そういう事後、教育に対するいろいろな影響力というものを最小限度に食いとめるという配慮があってしかるべきじゃないのかと、こう言っているんです。つまり、私がなぜ言うかというと、警察のほうじゃそんなことはいいんだと、そういう教育的な配慮というものは考えられないんだというんだから、それじゃ困るじゃないか、ストライキの賛否の意見については、私は文部大臣がどういう見解を持っているかよく知っております。このことを聞いているんじゃない。事後の派生しているいろんな問題について、教育的な影響というものを最小限度に食いとめる努力は、これは当然あってしかるべきではないか。しかし、教職員がストライキをやったのはもってのほかだ、そんな配慮までする必要はないんだというんなら、それはまた問題は別です。
最後に、これは後ほど小林委員のほうから御質問されると思いますので、こまかい点はそのときに譲りたいと思いますが、例のこの間、問題になった内申の問題について最初に事務的にこのことだけ質問しておきます。
内申というのは一体何か、意見とは違うわけですね。内申とは一体具体的に何をさすのか。それから任免その他の進退について内申権があるということですけれども、「任免その他の進退」というのは、具体的にどういうものをさしているのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/30
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031・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 人事権の行使だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/31
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032・片岡勝治
○片岡勝治君 つまり、内申というのは、具体的に何かと言えば人事権の行使ですね。
それからもう一つは、任免その他の進退というのは、つまりその他の進退というのは何かということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/32
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033・岩間英太郎
○政府委員(岩間英太郎君) 人事の場合にあらかじめ意見を言うようなことを普通内申といっております。人事というのは、これはある意味では秘密に属することでございます。これは内々で意見を述べるということであろうと思います。そういう意味で内申ということばを使っておるわけでございますが、任免その他の進退につきましては、これは転勤、転配、それから給与の関係で昇級昇格、それから減給等の懲戒の関係、そういうふうなものがすべて含まれる。大臣からもおっしゃいましたように、人事に関する事項が一応すべて任命権者である都道府県の教育委員会、それから身分の属しております市町村の教育委員会との間の協働の、そうして円滑に実施されますような措置が講じられるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/33
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034・片岡勝治
○片岡勝治君 あまり政治的に受け取らないで具体的にお答えいただきたいんですが、内申というのは意見とは違うんですよ。そうでしょう。もし、意見でよければ意見を聞かなければならない、あるいは意見を聞くものとするということばを使うだろうと思う。そのことばを使わずに内申としたということについて非常に意味があるんです、これは。地教委と都道府県教委との関係、単なる意見聴取ではない、そのために内申ということばを使っている。これは文部省の解釈でもそういうものは文書に載っておりますよ、それを意見というふうに解釈していいんですか。文部省から出した本の解釈を読み上げましょうか、あなたあまりとぼけて答弁しているとこっちから言いますよ。つまりこういうことでしょう、任免その他の進退ですから、任用だとか免職とかあるいは休職とか復職、昇格、懲戒、待命こういうものですよ。任免その他の進退、その具体的な事実に対して内申をするわけでしょう。Aという先生をBという学校に転勤をさせるとか、あるいはBという校長をあっちにやるとか、やめさせるとか、そういう具体的な事実を内申するわけでしょう。具体的な事実を申し出をするのが内申でしょう、単なる意見なんですか、これは。ちょっとその辺を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/34
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035・岩間英太郎
○政府委員(岩間英太郎君) 広い意味で意見を言うということでございます。具体的にこれこれの先生をどこそこの学校の何に任命するというふうな内容になると思います。そういうふうな意見を申し出るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/35
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036・片岡勝治
○片岡勝治君 そういうのは意見の中の部分ですね、内申というのは。そういうことでしょう、具体的な。だから、文部大臣からこの間答弁があったように、内申がなかった内申ということは論理的にあり得ないんですよ。内申というのは、いま言ったように、具体的な事実ですからね。転勤とか、いま言ったように退職とか、昇格とか、待命とか、そういうものを地教委が内申をするわけです。内申がなかった内申なんというのはこれはへ理屈なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/36
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037・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 内申をしないと言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/37
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038・片岡勝治
○片岡勝治君 そんなのはね、内申しないなんというそれはもう違う。内申というのは具体的な事実なんですからね。あなたいろいろ考えて、奥の手を考えたんじゃないかといわれているんだけれども、これは重大な誤りがあるんですよ、これは。それは間違った奥の手ですからね、この辺の解釈は、後ほど小林先生が質問します。
では、具体的でない内申というのは、例を出してもらいたいんですがね。白紙の内申というのはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/38
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039・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) この間ずいぶん長い時間をかけて御論議していただいたわけでございますので、その域を出るわけじゃございませんけれども、内申を待って都道府県が人事権を行使するわけでございます。
〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
都道府県の教育委員会と市町村の教育委員会とが、人事権の行使にあたりまして十分な連絡をとり合っていくという趣旨で、そのような規定が設けられているものだと思います。そのような規定が設けられていると思いますが、都道府県の人事権が行使できないようなことは、私は法は考えていないと思うのであります。人事権が都道府県に属しています以上は、都道府県が人事権を行使し得ることは、これは保障していかなきゃならないんじゃないか、こう考えるわけでございます。同時にまた、内申がありましても、その内申には拘束されないんだと、違った人事権の行使のしかたをしてもかまわないんだということも御理解いただいておったわけでございます。そうしますと、正当な期間を経ましてもどうしても内申が出てこない。そこで重ねて督促をする。そうしてもなおかつ、出てこなかった場合にどうするんだろうか。かりにほかの問題について意見を聞いてどうこうするという場合には、それは意見が出てこないから、それじゃそれらの行為ができないかというと、それはできるという法解釈にこれまでなっているのじゃないか。そうすると「まつて」という表現についても、どうしても待ったけれども出てこない場合には、それじゃ処分ができないのか。そうはとらなくてもいいんじゃないでしょうかと、こういう意味で申し上げたわけであります。
その場合に、しいてつじつまを合わせるのなら、内申をしないという内申があったものとして処理するという理屈もつくじゃないかと、かように申し上げているわけであります。しかし、そんなことは純理的な法解釈の問題であって、あくまでも両者が一体になってやるのだ、内申が行なわれるように督促もする、それを待って処分するように持っていかなければならないのだ、その姿勢はくずしてはいけないと思います。こうも答えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/39
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040・片岡勝治
○片岡勝治君 だから、そういうすなおに法律を解釈していけば問題はないと思うのです。異常な事態になった場合にどうするかという道は、それは小野さんも言っているんですから、それは別に道があるじゃないか。さっき奥の手ということを申し上げましたけれども、大臣がときどきぽんと出すもんですから、これはちょっとおかしいじゃないか。そんなに法律をねじ曲げておいて文部大臣自身が、それで現場にちょっと法律違反したからもってのほかだということじゃ、これは通じません。今後ひとつ十分ラッパを吹く場合にはみんなが喜ぶラッパを吹いてもらいたい、ああ、いい文部大臣だと。どうもしかし、奥野さんの手はちょっとこういう問題を起こし過ぎるのじゃないかということで、老婆心ながら御注意を申し上げて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/40
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041・内藤誉三郎
○理事(内藤誉三郎君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時四十五分開会することとして、暫時休憩いたします。
午後零時五十五分休憩
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午後二時九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/41
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042・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
この際、委員の異動について御報告いたします。
ただいま、二木謙吾君及び小野明君が委員を辞任され、その補欠として黒住忠行君及び宮之原貞光君が選任されました。
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043・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査中、当面の文教行政に関する件を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/43
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044・小林武
○小林武君 警察庁にお尋ねいたしますけれども、警察庁長官だと思いましたが、何かちょっと異様な私は談話発表だと、こう新聞で見たような気がするんですけれども、今度のこの日教組強制捜査については、これは政府と何ら関係がないというような意味のあれは出ませんでしたか、そういう談話が出たような気がするんです。私はちょっとそれをさがしたんですけれども、新聞に出たのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/44
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045・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) おそらく大分県へ長官が出張されたとき、現地の記者の質問に答えてそのような趣旨のことをお話しになったんじゃないか、そういうふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/45
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046・小林武
○小林武君 これはどういう意味ですか、政府と関係ないというようなことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/46
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047・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) おそらくそれは質問があって、政治的な立場といいますか、政府の意図に基づいてこういう捜索をしたんじゃないかというような質問があったんじゃないかと思いますが、それについて、われわれ法の執行に当たる者としては、厳正公平な立場で、別に政治的な判断に基づいてやったのではないというような形で答えた、それが報道されたんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/47
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048・小林武
○小林武君 これは何の捜査でもということはないでしょうけれども、かなり大がかり、しかも国家公務員、地方公務員を含めた問題でありますが、こういうことで政府との連絡をしながらやるというものはどういうものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/48
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049・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) いや、私先ほどからお答えいたしておりますように、政府とは全く連絡あるいは政府の指示によるそういうようなものではないということで、警察がいわば独自にこの捜査を実施したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/49
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050・小林武
○小林武君 警察の独自性というのは、その場合どういうことになりますか、いつの場合でもそうだということだそうですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/50
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051・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) それは、いつの場合でもそうでございまして、国家公安委員会、あるいは地方なら都道府県の公安委員会、これの管理下において独自に判断して捜査を実施しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/51
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052・小林武
○小林武君 私は、あの記事、小さい記事でしたけれども、ちょっと異様に感じたんです。何でそんなこと、どんな質問か知らぬけれども、どうしてああいう答弁しなければならぬのかということです。私なら逆に読めば、政府と十分連絡してやったというよりなことをあの中ににおわしているような気もしますね。国家公務員、地方公務員というようなものが入っているから、あるいは文部大臣はその以前において、その点ではやるぞやるぞと気がまえを十分見せておりますからね、やらない前から盛んにやっていますよ。だから、どうも不明朗だという気がするんですがね。そういう点については、あなたは何にもお感じになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/52
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053・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) われわれとしては、常に法律に従って、いわば警察法の規定に基づいて、厳正中立な立場で法の執行に当たっていることであって、政府と一々こういう問題について連絡をして仕事をしているわけでございませんので、その点われわれとしては、別に今度の捜査について、そういう問題については、われわれの立場というものははっきりしているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/53
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054・小林武
○小林武君 文部大臣、これは文部大臣への質問じゃありませんが、文部大臣はこの日教組についてのいろいろな意見を述べられておりますが、私も、きのう、ちょっと読売の週刊誌「週刊読売」か、あれを見て、だいぶいろんなことを言っているのかと思って、ちょっと買って見たのです。あんまり本気になって読む気が途中でしなくなってやめましたけれども、あなたはかなり日教組に対して攻撃的な態度をとっているということは、これはもう明らかな事実なんでありますが、こういう態度というのは警察当局が知らないわけでもないわけだろう。といたしますというと、何といいますか、この問題について少なくとも警察に予断がなかったとは言われないのではないかという気がするんですけど、これは、私のようなもののひがみ根性ですか、どうです。
それともう一つお尋ねしておきたいのが、戦後の警察のやり方と戦前のやり方、特に治安維持法なんかの中におけるさまざまな警察当局の弾圧のやり方、特高警察の活躍というようなものから見れば、いま、あれですか、警察の独自性というものは十分発揮されてやるということは一面においてはたいへんりっぱなようだけれども、政府の意向も何にもなしに、どんどん自由にやるというようなことになれば、裏返しをすれば、この点は一面またこれはなかなかあぶないということにもなるわけです。だから、長官の意向というのは、この間の談話のあれはある程度連絡をとってやったというようなことをわれわれは考えるのも、どっちを喜んでいいのかわからぬです。いわゆる警察の首脳部に、われわれが信頼し得られるような体制というものは保たれているのかどうかということに対する不安は多少ないわけじゃない、大いにある。そういう点で、一体、戦前、戦後の違い、あるいは今度のことについて、全然そういうものの知識なしにあなたのほうが臨んだなんというふうなことは考えられないわけです。その点どうですか。全くあなたたちは神様のようなもので、何ら周囲のものに気を動かすことなくというふうなことになるわけですか、お尋ねしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/54
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055・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 今度の問題は、いわゆる犯罪の捜査でありまして、日教組の実施した争議行為が地公法違反になるというたてまえ、そういうことははっきりしておりますので、それに基づいて何らの予断を持ってしたわけじゃございませんので、純粋にそういう犯罪捜査という立場から法律に従った手続を踏んで捜査に踏み切ったわけでございます。
それから、警察の運営について御質問ございましたけれども、これは戦前とは違っておりまして、現在、警察法によって権限がきちっときめられております。それによって、公安委員会制度のもとにおいて、厳正・中立・公平な立場で法律に従った職務の遂行をいたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/55
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056・小林武
○小林武君 まあ、この問題については、いま、このあと一問でやめますけれども、この関係のことは。あなた、あれでしょう、今度のゼネストの話は、相当、国内的な大きな問題であったということだけは、これは、新聞、その他でもちろん見ていらっしゃるわけですね。そうして、参加する者が、どういうものが参加するというふうなことについても——ものというのは、これは各労働組合であればどういう単産が参加するか、官公労働者がどの程度やるかというようなことも、いろいろ調べておられると思うんです。その点では、日本の警察というのは、私は、へたな官庁なんかやあるいはその情報機関なんかよりかもずっと敏感にとらえていると思うんです。それは間違いないでしょう。十分な、その事態に対応する準備をされたと思うんですが、その際、どんな一体この対策を考えられたですか。特に、民間の場合には、これはあれですけれども、官公労働者等についてどういう対策を考えてやったんですか。何にもなしに、頭の中をとにかく澄み切らしておいて事が起こったら行くという態度なのか。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/56
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057・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 春闘全体に対しての警察の情報といいますか、これらに対する判断のようなものがいかがであるかというような御質問だと思いますが、春闘の規模なり態様、どの程度の規模で行なわれるか、そういうことについては、もちろん、公共の安全と秩序を維持するというわれわれの警察の責務からして、その態様を把握するということは当然の仕事であり、われわれとしては、たとえば国労問題ならば、一般市民、国民の足が奪われるということでいろいろな問題が起きる、あるいはトラブルが起きる。そういうことがないように十分な態勢をとっておったわけでございます。
もちろん、具体的にいまお話しのあったような日教組なりその他一般的に地方公務員、国家公務員のこの争議行為に対する違法事案について、これはそれぞれの各府県警察において十分その点も考慮して、その規模、態様、影響、そういうものを十分考えて具体的な捜査は進めるべきものであり、これは特に指示しなくても、あらゆる犯罪の捜査に対する基本でございますので、その線でこの春闘についても各府県でそれぞれの態勢をとったものと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/57
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058・小林武
○小林武君 やめようと思いましたけれども、何だかはっきりしませんから、この点またちょっと質問しますけれども。私は、あれだけの、何といいますか、単に日教組をあげれば、日教組の各都道府県においてやった捜査の状況を見ますと、十二県、この十二県の中の今度の捜査というのは、私も戦後のいろいろな警察の捜査については体験的なものは持っておりますから。しかし、これはなかなか今度の場合はあれでしたね、警察力の力を相当フルに使ったというところまではまだいかぬかもしれませんけれども、なかなか集中的な捜査の態勢をとった。とにかくまあ普通ならば考えられないようなところへ、そこにとにかく職を奉じているというような、執行委員でも何でもない者の家までやった。そういうのもこれは北海道の場合ありますね。
そういうやり方を見ますというと、件数その他から考えてみて、それは膨大なものだと思う。そういうものは、突如としてできるわけはないと私は思うのです、何ぼ警察でも。相当のこの準備を整えておいてやった。しかも、警察はそれを一体、しぼってやったというふうに感ずるわけです、事前において。そういうふうな私の感じ方というのは、それは間違いですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/58
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059・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 特にしぼってやったということは結論からいってございません。まあ、大規模な捜査であったということは事実でございますが、これは結局日教組がかつて見ないような大規模な争議行為を指示し実施したから、したがって、こちらの態勢としてもかなり大きなものにならざるを得なかったというだけでございまして、府県で実施された違法な争議行為の規模、態様、影響、こういうものをそれぞれ具体的に十分考えて、そして捜査を進めて、証拠をもとにしてこれなら問擬できるという段階に至ったのが、十二の都道県であって、その県が強制捜査に踏み切ったというだけでありまして、われわれのほうで具体的にこれをしぼるとか、こうしろとか、そういうようなことはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/59
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060・小林武
○小林武君 局長さん、もう少しいまのような答弁のための答弁みたいなことでなく答えていただきたいんですがね。それはもう、あなたどうおっしゃっても、今度の規模のことを考えると、日教組に対するですよ、その場合には、これは私は偏見でないと思うんですよ。これはやっぱりしぼってやっていると思う。
そこで、あなたどうですか。日教組は大規模なといいましたけれども、大規模というのは何か。私は日教組を離れてからもうだいぶ年数がたちますから、中のことはよくわかりません。わかりませんけれども、大規模というのは、たとえば人数がどうであるとか——今度は十二県ですね、あなたのほうが目をつけたのは。捜査をやるのは十二県でしょう。ところが、いままで参加するというのは、これは率からいったらずっと多いんですね、いままでのいわゆる日教組がそういう行動に出たことは。今度の規模がきわめて大きいというのは、一体これはどういう標準で規模が大きいというんですか。規模というのは、一体あなたのほうの場合は何でやるのか。人間でやるのか、何でやるのか。あるいは影響力でやるのか。その基準がはっきりしないというといかぬと思うんですよ。どんな基準で一体日教組のは最大の規模であったという、そういうあれはどこから出ているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/60
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061・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) これはやはり、いま十二という単位を申されましたけれども、われわれの捜査としては、今度実施されました三十四都道府県について捜査をそれぞれの都道府県でやっておったわけであります。それが捜査の過程で、いろいろな事情で結局捜索、差押許可状を請求できるだけの証拠が集まったのが十二であるということでございます。
それから大規模であるという意味は、結局、突入の率といいますか、その争議行為に入った地域並びにその人員、学校数、そういうもの、それから時間ですね、今度の十一日は二十四時間であり、さらに一日置いて十三日が二時間というような時間の問題もあるわけです。そういう全体的な規模を判断いたしまして大規模なものである、こういうふうに申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/61
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062・小林武
○小林武君 それだけですか、規模というのは。一体、ストの規模というのは、そういうことでやるわけですか。ストライキで、あなたのほうで犯罪行為としてやるわけでしょう、あなたのほうでやる場合は。犯罪行為としてやる場合に、これはもう犯罪行為だというようなことには私は感じないけれども、あなたのほうでは犯罪行為だと思って、刑事罰をかけるためにやるのでしょう。その目的で、規模というのはそういうことですか。それが警察のやるやり方ですか。いわゆる民主警察というものがやる方法なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/62
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063・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 結局、そのような規模の争議行為が行なわれ、それがあおり、そそのかされ、そして実際に争議行為に突入すると、そういう一連の経過によってその犯罪行為が立証されていくものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/63
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064・小林武
○小林武君 まあ、そこのところ、明敏なあなたがそういうあいまいなことを言わないで、すぱすぱと快刀乱麻を断つようなひとつ切り返しをやってくださいよ。私はしろうとでよくわからないのだから、この警察のことは。そういうあれでは私は納得いかぬです。どういう一体、これがどれだけ国民に犯罪として、犯罪が構成されるというようなことになったら、犯罪として見るということになったら、いかなる点がどうであって、ほかのほうと比較してどうであるかということ、あるいは日教組単独で考えた場合でも、前回、前回、前回と何べんかやっているいろいろな行動に対して、皆さんが今度の場合、特にそこを集中的に行なったということ、そのことをやっぱり明らかにしないということは私はいけないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/64
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065・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) その点についてはもう先生十分御存じのことだと思うわけでございますが、昨年の四・二五の最高裁の判決の内容を見ましても、「公務員の争議行為の禁止は、憲法に違反することはないのであるから、何人であっても、この禁止を侵す違法な争議行為をあおる等の行為をする者は、違法な争議行為に対する原動力を与える者として、単なる争議参加者にくらべて社会的責任が重いのであり、」云々というふうに書いてありますように、こういう違法な争議行為をあおり、そそのかすということになるから、この地公法の第六十一条の四号の違反であるという、こういう法律的なたてまえ、立場に立ってわれわれとしては問擬せざるを得ない。しかも、それぞれの各府県においてその違法行為、この争議の規模、態様、実態というものをしさいに検討して今度の強制捜査に踏み切ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/65
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066・小林武
○小林武君 答弁なら、しさいに検討したというなら、しさいに言わなければだめですよ、具体的に。人を刑罰で罰するというようなことをやる場合において、人を殺したなら殺したと、傷害やったなら傷害やったと、簡単なことを言えば。それは最高裁のことはあとでまた聞きます。
聞きますけれども、一体私があなたに言いたいのは、日教組というものにしぼってやったということだけは間違いない、警察当局は。それはあなたのほうではしぼらぬと言ったところで、私らは現象面にあらわれたことを言うわけです。これは日教組だけがストライキをやったというなら、私はこれはいまのことは、いまのような質問しませんよ。わが党の小野委員がその点は、ほかのほうをやらぬのはけしからぬといっているのではないのだよと何べんも断わりながらこの間質問しておったけれども、私もそういうことではない。日教組というものをしぼってやるというのは、まさか犯罪やるのにみせしめにやるということはないでしょう。ほかのやつのみせしめにこいつをたたいてやれというようなことじゃないでしょう、まさか。犯罪のあるところに差別をつけてみせしめにやっているということもないだろうし、それからあなたのほうにはまた、こいつはとにかく一ぺんやっておかなければならぬというような、何か初めから一つの悪感情を持ってやるというわけでもないのだろうと思うのだけれども、しかし、いまのようなあなたの説明から私が聞けば、どうもそういうところにだんだんいくのじゃないかという気がするのですよ、そうでしょう。私はたとえば、あなただって新聞毎日見ているだろうし、とにかく捜査面については敏腕のあなたですから、非常に検討しているだろうと思う。文部大臣が何言っておるか、平生。そういう、文部大臣なんかは極端なことを言っているが——ほんとうかうそか知らぬが、ほんとうだな、あれは文書を私はもらったから、文部省の資料として。革命教育やっておるというようなことを言っておる。革命教育とは何のことかよくわからぬけれども。そういうものもあなた、目を通されていると思うのです。だから、あなた、私に説明するならば、どうしてそこにしぼったかということをはっきりしなければだめなんですよ。
私はそれと、さっきお尋ねした警察庁長官が政府とは別に関係ございませんというようなことを麗々しく言う必要は、何がよそに行ってそんなことを言うことがある。大体、聞かれたって、そんなことは答える筋合いのものじゃないと私は思うのだ、警察庁の最高責任者が。そんなことを、政府からどうされたなんということを言う筋合いはないと思う。まあ、事実はされているのだろうと思うのですがね。だから、その点わからないから、あなた、もう少しわかるようにちょっと話してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/66
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067・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 日教組にしぼって今度の地公法を適用したのじゃないかという御質問でございますが、最初に申し上げましたとおり、われわれ別に予断を持ってこの捜査をしておるわけではないのでありまして、当然いま御指摘になりましたような地方公務員というたてまえからいけば、ほかの自治労その他の組合もあるわけでありまして、これらの組合で同様の違法な争議行為を行なったそれぞれの実態については、各都道府県の警察でやはりその争議の規模、態様、影響というようなものをしさいに検討して、捜査的に事件になるようにいわばいろいろと努力はしておると思うわけでございますが、現在までの段階で刑事罰に持っていくように足るだけの証拠が集まっていないという段階で、われわれのほうにはそういう報告が来ておらないということでございます。日教組については、たまたまそういう形で証拠が集まったということだけでございまして、決して意図的に日教組だけを目標にして捜査を進めておったということは絶対にございません。
それから警察庁長官の発言についてでございますが、これも先ほど申し上げましたように、地元において——大分県てございます、確かに。そこにおいてたまたま記者会見があって、その席で質問があったのでそう答えたということで、ほかの意図等は全くございませんし、われわれとしては、日ごろから先ほども申し上げましたような精神で警察法のたてまえに従って仕事をしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/67
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068・宮之原貞光
○宮之原貞光君 ちょっと関連をしてお聞きしますが、ただいままでのお話を聞いておると、きわめて今度の場合、日教組の場合は広範多岐であった、あるいは二十四時間のストライキであった、あるいはまた規模、態様等を考えて日教組だけになったのである、あるいは予断を持って云々と、こういうようなお話があったのですが、そうすると、今回の警察の強制捜索というのは、いわゆる最終的な結果によって規模、態様というものを考えてやられたのか、あるいはたぶんこうだろうというようなことでやられたのか、どっちなんですか、今度の場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/68
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069・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 私の最初の説明あるいは誤解があったようでございますが、日教組だけでなくて、ほかの自治労その他についても十分捜査を進めたのですが、現在まだ強制に至らないということを申し上げたわけでございます。
それから、影響だけを考えて捜査に踏み切るのかというお話でございますが、
〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
これはやはり法律によればあおり罪ということで、これはいわば独立罪でございますので、たとえ影響等が極端なことをいえばなくても、それは法律的には問擬できるものだと考えておりますけれども、しかし、われわれとしては、十分慎重にこの実態を考えて、そういう面まで判断に入れて捜査をしておるということで申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/69
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070・宮之原貞光
○宮之原貞光君 普通、常識的に考えると、ストライキならストライキをやった。やった結果こうこうで、こういうあれだったからわれわれとしては踏み切ったんだというその結果に対してやるというのが普通常識的な考えでしょう。したがって、私がいまお聞きしておるのは、その結果をきちんと調査をされて、あなた方、今回強制捜索に踏み切ったんですかどうですかと聞いておるのですよ。そこをきちんと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/70
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071・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) もちろん、どのような態様で実際にそういうことが行なわれたかということ、たとえば授業のできなかった学校とか、参加した教職員の数とか、そういう実行面においてもわれわれとしては十分その点も考慮に入れて捜査に着手したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/71
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072・宮之原貞光
○宮之原貞光君 考慮に入れてということはどういう意味ですか。それも一つの要素であるけれども、他の要素もあったという意味ですか、そこをきちんと答えてくださいよ。どうも幅を広げたようなものの言い方では困りますからね。そのことによってやったのならやったんだとはっきりいってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/72
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073・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) やはり地方公務員の、われわれの申し上げているのは、地方公務員法の違反である。この六十一条の「違法な行為の遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者」この条文に基づいて捜査に踏み切ったわけでございます。ただそういうどの程度行なわれたかという実態というものも、これもわれわれとしては実態を見る上の必要な事態でございますので、そういう問題についてももちろん調査はしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/73
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074・宮之原貞光
○宮之原貞光君 関連だから何回もできませんけれども、どうもあなたぼかしておるのですよ。もちろん、その実態も見てからやったと、こう言うのだけれども、ほんとうはたとえばストライキを機関で決議をしたと、あるいは朝入ったというようなことにウェートがあってやったんでしょうが。どっちにあなた重点を置いてやったんですかと、私は聞いておるのですよ。従来と違うから私は尋ねておるのですよ、きわめて重大なポイントがね。そこはどうなんですかと聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/74
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075・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) それは私、何回も申し上げておりますように、地方公務員法六十一条違反ということで、「違法な行為の遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者」この事実を踏まえて捜査に踏み切った、もちろん、これに基づいてやったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/75
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076・宮之原貞光
○宮之原貞光君 いやそうじゃない。あれでしょう、普通常識的に考えればあなたが言うところの共謀し、そそのかしたというのならば、はたしてそのとおり実行されたのかどうかという、それを調べなければやれぬわけでしょう。それをあなたの話を聞いておると、その計画をしたという段階の中、あるいは進行中の中で捜査に踏み切った、こういうことなのでしょうか。どっちなんですかと私は聞いておるのですよ、今回のやり方は。両方にまたがるはずはないでしょう。さっきは、あなたは二十四時間ストライキといっておるのだから、まだ二十四時間も終わってないのだから夜間の学校もあるのだから——あなた方どっちのほうを向いてやっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/76
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077・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) それはもちろんその「そそのかし、」「あおり」という、あるいはこれを「企てた」その段階、それをもちろんわれわれの捜査の基本としてやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/77
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078・宮之原貞光
○宮之原貞光君 そうすると、その実行の段階をきちんと調査してやったのじゃないのですね、今度の場合は。その以前の段階の問題をやったんですね。どっちなんですか、それは。もちろん、も、あわせてなんて言わないではっきり言ってくださ
い。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/78
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079・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) それはもう前の段階だけで犯罪捜査に踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/79
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080・宮之原貞光
○宮之原貞光君 これはきわめて私は重大だと思うのですよ。従来は、たとえばストライキ行為があって、それを警察は警察なりにきちんと調べてどこは突入率がどうであったかときちんと見て、普通、翌朝捜索をするというのが普通常識的な判断です。しかしながら、今度のやり方を見ておりますと、実行段階が、実行後の効果がどうあったかということじゃなくて、その前の計画をしたとかあるいは行動を始めたというところだけであなたは、すでに捜索令状を簡易裁判所からとっておるでしょう、その日の午後一時、二時の段階で。そういうことになるとするならば、今度のやり方はまさに予断を持ってやったといわれたってしかたがないでしょう。どうですか、その点は。ですからその従来と異なる点が、異なるなら異なると明確にその理由を言ってもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/80
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081・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) それは犯罪構成要件ということで、そういう「そそのかし」「あおり」という行為があれば、これについては、十分犯罪を構成するということになりますので、そのたてまえでもちろん捜査を進めたわけでございますが、もちろん実際に全く入らなかったということになれば、これはひとつ犯罪の情状の問題にも関係してまいりますので、その点は当日もやはりそれぞれの府県で強制捜査のための裁判所に対する捜索差押許可状の請求は、やはり午後になって大部分の県では請求をしているのは、そういう実態も見きわめた上でやったということになりますが、犯罪の構成要件からいえば、最初に申し上げましたとおりの立場に立って踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/81
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082・宮之原貞光
○宮之原貞光君 何時に、じゃ裁判所に大体その捜索令状の要求をしていますか。大体、警察庁は全国的に調整をやったわけなんです。そう各県警の本部長に言っているのですよ。何時にやっていますか。要請していますか。その時刻をはっきりおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/82
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083・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) その正確な時間はわれわれ存じませんが、大体において午後になってからです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/83
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084・宮之原貞光
○宮之原貞光君 牛後の何時かと聞いているのですよ。午後もピンからキリまであるでしょうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/84
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085・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 大体、午後の早い時期に、それぞれの府県で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/85
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086・宮之原貞光
○宮之原貞光君 早い時期というのは何時ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/86
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087・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 裁判所に手続を申請したわけでございます。それはわれわれのほうとしては別にそういう点について調整連絡をしたわけではないのであって、その上で許可状がとれたもの、令状がまさにとりつつあるというような形でわれわれのほうに連絡がきたのであって、事前に何時に許可状をとるべきであるというような形の調整は私どもはしておりませんので、時間については正確に何時何分というようなことはわれわれのほうとしては承知いたしておりませんが、大体において午後の早い時間であるというふうに了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/87
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088・内藤誉三郎
○理事(内藤誉三郎君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/88
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089・内藤誉三郎
○理事(内藤誉三郎君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/89
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090・宮之原貞光
○宮之原貞光君 午後のきわめて早い時期——大体一時から二時ごろにみな要求してとっていますよ。そうしますと、あなた方の今度の強制捜索というのは、従来だったら二十四時間ストをやったから、半日ストライキをやったからといって、その結果、準備の段階から終わった段階の実行段階まで、みな、みなやってくるのだけれども、今度の場合は片一方では二十四時間ストライキだ、こう言いながら、従来の半日の段階で、もうすでに要求書をとって、請求書をやっているのですよ。こういう事実から見たって、いかにあなた方は頭から予断を持って日教組をやってやろうと、これしか考えられないということはこれは明白じゃありませんか。それはあなたが幾ら二十四時間ストでありました、こういっても、二十四時間ストだったら夜間の学校にもどういう影響を及ぼしたか。あるいは一体批准の中から実行段階でどれだけかということをきちんと調べてやるならば、それなら首尾一貫しているのです、あなた方のも。しかしながら、あなた方の今回のやり方は従来と違って、その日の午後一時か二時の段階でほとんどの県が裁判所の名で強制捜索の許可権を得て、それも五時のころから踏み切っているということは、これはまさしく一つの中央での政治的な意図を持ったところの予断を持って、いまに日教組がやったら日教組は必ずやらなければいけないのだ、これはけしからぬと、こういうことでやったといわれてもしかたがないじゃないですか。これをもってあなた方はほんとうに慎重にやったと、こう言えますか。したがって、ここに従来と違ったところの形態、態様という問題が非常に私は問題点があると思う。言うならば、計画をし、実行の途中の段階で、もうすでに警察権を発動しているのですよ、あなた方は。こういうふうに警察の方針は今度変わったのですね。これはいずれ法廷上の問題になりましょうけれども、きわめて従来と違った意図的なものだと言われたって、これはしかたないところなんです、この点。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/90
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091・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) こまかい点でございますし、まあ微妙な点でもあるので、申し上げられなかった点もあるわけでございますが、各府県において捜査を進めている過程でまあ今度のストに突入しつつあり、突入したという実態を把握するとともに、これはやはり二十四時間のストの指令のいわば実行であるということは間違いないという判断もあると思いますけれども、そのほか、まあ今回の捜査について、組合のほうでこれの証拠のいわば隠滅といいますか、そういう措置を講じつつあると、あるいは講ずる、そういうことを行なうおそれがあるというような判断がそれぞれの府県警察本部であって、そういう点も含めてやはり許可状の請求ということが行なわれたということもあわせてつけ加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/91
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092・宮之原貞光
○宮之原貞光君 いまのあなたの答弁を聞いても、いわゆる慎重を期してやりましたと、こういうこと、常識的に考えられないですよ。言うならば、証拠を隠滅のおそれがある云々ということだけ先頭に入って、実行段階の途中の中で二十四時間ストライキやったからとあなた言いながら、言うならば半日の段階で、もうすでに警察権を発動し始めているというところに今度の問題の問題点があるということだけは私は指摘しておきますよ。非常におかしいと言うんだ、これは。答弁はないでしょうけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/92
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093・小林武
○小林武君 まあいま関連質問ありましたように、私はやっぱりあなたのほうでいろいろなことを言うけれども、初めからひとつ的をしぼって、そして準備整えてやったということは、もうこれは明らかだと思うんですよ。私はそうでなかったら、これ日教組だけに来るはずがないことだと思うんだ、そうでしょう。考えてみなさいよ、どれも労働組合はそれぞれみんな自分のスケジュール発表してますよ、新聞にみな出ているわけだから。だからあなたのほうで新聞に出ているのをそのまま信頼してやるということになったら、とにかく幾らでも広げることできるだろうけれども、とにかく今度は、日教組をやろうということだけは間違いない、それを隠そうとするところに、私は警察というのはやっぱりいかぬと思います。警察が犯罪が起こったと思って、警察の態度でもって何かやるということについては、これはあなたたちあとの批判だとかいろいろな公判廷の問題とかのことを結果見なきゃわからぬことだから、失敗もあるだろうし、いろいろあるだろうと思う。しかし一番悪質なのは、私はあるものを特定にしぼって、そうして一番政府の攻撃の的にしているようなものにあなたたちが事実上、手をかしているということだ、大体、一国の総理大臣が物価の問題よりかも日教組のほうをやっつけなきゃならぬというようなことを考えるような世の中なんだ、これはうそでないでしょう、新聞そう出ているでないですか。争点を教育にということは、これ、日本じゅうの大新聞はみんな社説に書いたでないですか。あなたたち、社説読まないわけでもないでしょう。そういう中であなたたちのやったやり方、私はいまのような質問、私は明らかに予断持ってやったというようなこと、事実として日教組だけが大量にやられたというようなこと、しかも、いままでかつてないぐらいにこまかくやっている、関係のないところまでやっているというようなことね、これはもう私はどうしても納得いかないんだけれども、あなたのほうでさっきからいろいろなあれが出ても具体的なこと、みんな隠しているんだけれども、一体何つかんだんですか、何、あなたのほうで踏み切るときに。何をつかんだ、その踏み切るときのその決断をした一体証拠、あなたのほうが法的にそれをやりよるのは何でやったんですか、それを明らかにしなきゃだめですよ。何でやったかということ、人間だけ逮捕しておきゃいいなんというようなことじゃだめなんだ、一応逮捕だけしておきゃいいなんていって私も引っ張られる。公判にもかからぬからね、それは。そんなことでやられてたまりますか、一体。労働組合の活動を通して、何です、今度の場合は、何をつかんで「あふり」ということを断定したんですか。いまも言うように早めにだね、実態を全面的につかまないうちにやったということはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/93
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094・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 何回も繰り返すようで恐縮でございますが、地方公務員法第六十一条四号違反の疎明の資料、証拠が整ったために請求したわけであって、その内容については、捜査の秘密でございますので申し上げるわけにはまいりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/94
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095・小林武
○小林武君 いよいよ出てきたね、捜査の秘密というやつね。私は警察には、捜査の秘密というやつは、これはやっぱり秘密ここへ全部出せというわけにいかぬからね、それはやめておきましょう。しかし、捜査の秘密なんて逃げるところがもうすでに怪しいよね、それは、正直言って。ほんとのこと言ってこの種のものは人殺しや詐欺や、そんなものとは違うんです。本来ならば、これはぼくらの感覚というよりかも国際的な感覚から言ったら、大体こんなことで刑事罰に問われて捜査受けるなんてばかなことないんですよ。世界の持てる国と言われた日本でだけこれが横行しているというようなことはまことになさけないぐらいだ。そういう一体ものに捜査の秘密なんて何やるんですか。ストライキはストライキですよ。ストライキやるのに、個人の意向でやるわけにいかないわけだ。日教組の委員長が、おれはストライキやりたいからほかのやつ何と言ってもやってやろうなんてそんなことできるわけがないですよ、それは。警察よりかもっと民主的な方法で意思決定をやらなきゃならない。文部省よりかもっとみんなの意向というものが確かめられてやられなきゃいけない、こういうことだ。そういう一体たてまえのものに捜査の秘密なんというのは何のことですか。労働組合の捜査の秘密というのは何ですか、一体。——まあそれ聞いてもあんまり答えそうもないから、次に移りますが、私はまあしかしここで、特に、これは、とにかくいままでのことに関連していますけれども、これは宮之原委員からも私は聞いたことだし、新聞の切り抜きも見ましたが、日教組は最も悪質であるからということで、長崎県のこの何だ一番偉いのは、警察の大将が言ったそうだ。日教組が最も悪質であるということは、これはどういうことですか。かりに二十四時間ストライキをやれば日教組が悪質でということになりますか。最も悪質で、そのことについてもう一つ、時間の経済上もありますから聞きますが、県警だとか、その各県の県警ですね、の責任者に対して、あなたたちは強制捜査に踏み切れと、こういう指令が出るんだと思うんですが、その際は、いまのようなあれで、悪質なものは日教組である、的をここにしぼれというような指令を出しただろうと、私は想像するんですけれども、これはどうですか。あなたのほうで最も悪質というのはどういうことが悪質なんだ。日教組は隠してやってるわけじゃない。あの中には参加すると言っている、はっきり言っている。どうして悪質なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/95
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096・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 私のほうは、そういう捜査の中で日教組が悪質であるからこれを取り締まれなんということはこれまでも言っておりませんし、各府県のほうでもそういうことは考えておらないというふうに思います。どこまでも法律に従ってその捜査を進めていく過程で、日教組のこの地方公務員法六十一条四号違反を問擬するに足るだけの証拠が集まってきたのが日教組であって、いろいろとやったけれども、ほかのほうは現在の段階ではまだそれを問擬するだけの証拠が集まらなかったというだけであって、全く法律的な立場から純粋に考えて捜査はそれぞれの府県でやっておるということを御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/96
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097・小林武
○小林武君 県警の責任者に対するあなたのほうの一体命令指導というのはあれですか、各自かってにやんなさいというもんじゃないんでしょう。この指令も捜査の秘密になりますか。どういう指令を出したんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/97
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098・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 具体的な犯罪の一々の捜査について警察庁としては各都道府県警察を指揮命令するというわけにはいかないということは、警察法をお読みになれば御理解いただけると思うんですが、いわば連絡調整という形で、あるいは法律の解釈ですね、判例の解釈、そういうものについては、統一的に指導はいたす場合がございますけれども、犯罪捜査というものは、やはりそれぞれの本部長が独立して自主的に法律に基づいて判断をして着手するというたてまえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/98
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099・小林武
○小林武君 たてまえと本音と違うんでしょう。そんなこと言うたって、それは私は信頼しませんよ。あなたのほうぐらい全国にとにかく伝達のあれのしっかりできているところはないでしょう。文部省なんか遠く及ばぬでしょうな。まして日教組も全然だめでしょうな、それは。あなたのほうはもう至れり尽くせりできているんです。なかなか答弁もよくできています。これ何か、最も悪質な日教組というようなことを言ったときに、これは県警独自の何とかというようなことを調査に行った議員に言っている。こんなところの逃げ口上までちゃんと日ごろ訓練されているわけだが、これは一体責任者というのは、どのぐらいの経験持ったどういう人なんですか、その県警の責任者というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/99
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100・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 長崎県警のですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/100
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101・小林武
○小林武君 長崎ばかりでない。どこでもです、一般的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/101
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102・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) それは、それぞれの県によって違いますから一がいには言えませんけれども、大体少なくとも、二十年ぐらい警察の勤務をした人がなっておるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/102
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103・小林武
○小林武君 二十年というと、これはあれですか、採用の条件はどういうところから持ってきた人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/103
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104・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 一般的に言えば、国家公務員としていわゆる上級職試験、これを通った者の中から警察を志望してきた者、その中から選ぶというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/104
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105・小林武
○小林武君 それ見ればよくわかるんですね。上級職の試験を受かった者、その中からまあ二十年ぐらい、そのぐらいつとめるということになると、警察官としての幹部としての、いわゆる幹部としての表裏、すべてを知ったいわゆる熟練の人だということが言えると思います。そういう人たちが思わざる発言をして他を激怒させるなんていうことはあり得ないことですね。私は、これは一つの思い上がりだと思う。議員が来て何ぬかすというような態度だと、私は思うんです。こういう自信を警察はこのごろ持ってきたということは、これは喜んでいいのか悲しんでいいのかよくわからぬ。むしろ悲しむべき現象だと私は思うぐらいです。そういう一体あれが民衆の警察であり、主権在民の警察の行き方かという問題が一つあることと、今回のとにかく日教組にしぼったやり方というものは私はとても納得ができない、こう思うんですが、その点についてまず答弁をしてもらうと同時に、あなたは教育現場というものにこういう方針をもって臨んだ、それに対してどういう配慮をしたか。たとえばそのことをやることによってどういう事態が起こって、どういう影響があるかということ。これはただししぼってやったということと、それからどういう効果をねらったということ、これの計算のわからぬような警察庁ではないと思うから、その点ひとつ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/105
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106・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) ある本部長の発言によって議員の方が激怒されたというようなことでございますが、私一々どういうやりとりがあったか明細には承知いたしませんが、いずれにしろ、不用意あるいはことばが足らなくていろいろなそういう誤解を、あるいは不愉快な感じを与えたということになりますれば、この点二十年以上のキャリアを持った者としてはやはり戒しむべき点があったのじゃないかというふうに考えて、この点はわれわれとしても十分反省をしていきたいと思うわけでございます。
それから、今度の捜査にあたって教育というものをどのように考えておるのかということ、個々のこまかい点については、われわれとしてはもちろん教育上の配慮というものは十分いたしまして、たとえば学校を捜索するような場合でも、そういう授業時間でないような時間を選ぶとか、あるいは参考人に来ていただく場合もしかるべき場所あるいは授業時間をはずすとか、そういうこまかい点はいろいろと配慮をしている点は御納得いただけると思うのですが、全般的にこういう捜索をしてどういう影響があるかということになりますと、われわれとしては、なかなかそういう影響まで判断できかねる問題があるわけでございますが、われわれとしては、ただ、むしろいろんなことを考えないで、純粋に法治国としてその法律のたてまえを守っていくと、こういう公務員の違法な争議行為をあおり、そそのかした者に対しては、やはりこれの法律に従った刑事罰を問擬すべきであると、こういう筋を通すということがやはり正しい影響を及ぼすのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/106
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107・鈴木美枝子
○鈴木美枝子君 関連ですから一問だけさしていただきます。
警備局長さん、私、陳情を受けましたんですけれども、四月の十三日の土曜日、一時三十分に、荒川のことでございますけれども、都教組荒川支部、それから私が受けたのは普通のおかあさんでございますけれども、区労協関係者、区会議員の人からも受けましたのですけれど、弾圧に対する抗議に行きましたときに、二階のところから五、六人の警察官の人がピストルを向けたということでございます。ちらっと新聞に出ておりましたけれど、新聞に出る前に、すぐにおかあさんと区会議員の人が参りまして、機会があったらそのことを警察の人に言ってくれということでございましたので私はお伺いするんですけれど、その後どうなったんでしょうか。犯罪だからピストルを向けたんでしょうか。四、五人の人がかってに向けたんでしょうか。もしそのことをおそれないようなものがあったとしたらものすごい日本の将来の心配がありますね。これは全然共通な問題がありますけれども、公害の患者さんが東京におりますときに暴力団が入っても法律に関係ないと警察は何にもしないんでしょうか。恐しいことだと思うんです。ピストルを四、五人向けたという方たちに対してその後どういう処置というとことばが違いますけれども、どういう方法をお選びになりましたか、そのことを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/107
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108・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 各警察署においては毎朝点検を行なうわけでございます。勤務につく者について所持品の携帯の状況を調べ、その内容を点検するわけでございますが、その中で拳銃点検という項があり、拳銃を出せ、たまを抜けというような形で、拳銃の出し入れを一々上官が点検をして勤務につかせる、そういう意味でこの荒川署においても、その朝その時間にそういう訓練といいますか、行事を行なっておった。本来見えないような形で屋上でやっておったはずですが、たまたま何かすき間からそういうような形で見られた方がそのようにとられたんじゃないかと思いますけれども、これは聞きましたのでさっそく調査いたしましたところが、いま申し上げたとおりな事実でございまして、普通の行事として行なっていたわけで、外の人に対してピストルを向けたというような事実は全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/108
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109・鈴木美枝子
○鈴木美枝子君 関連質問ですから長い時間持てませんけれども、陳情に来た婦人その他がおそれてきたわけでございますから、それを見た事実と、あとから言って、それは朝の訓練だったと。一時三十分、朝ではございませんものね、一時三十分でございますから。それは、四、五人の人がピストルを向けた、威嚇したというふうなことでありましても、西部映画と違いますからね。このごろテレビでやっているギャングのものとは違いますからね。そういうことにおそれを感じるという威嚇のしかたに対しては、朝練習していたということにならない。一時三十分というこの時間に対して、それは間違ってたんだという思い方こそ民主主義なんですよ。それこそが警察の方たちを信頼することができるという、国民の警察であるという証左なんでね、時間の違い方を説明していただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/109
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110・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 私のことばが足りなくて、普通朝の点検が多いわけでございますが、最近は部制でもって、荒川署は四部制ということで、一日四回の交代勤務だそうで、そのたびに点検行事を行なっているということで、たまたま一時半ごろの交代の組で、その部隊の点検の行事が行なわれたということでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/110
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111・鈴木美枝子
○鈴木美枝子君 それがかりに婦人やそれから陳情、抗議の人たちに威嚇に感じさせるということに対しては、いまのようなことばを、朝が一時三十分になろうとも、一日四回訓練していようとも、そう見えた事実に対しては、見えないようなふうにするとか、ピストルを国民のほうへ向けるということはいけないということをちゃんとそこで言ってください。そう見えたということに対してです。いま訓練とおっしゃるなら、見えたということに対して、それから時間の間違いに対してね、間違いですから、いまの日本はそんな国じゃないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/111
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112・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 最初申し上げましたとおり、狭いものですから屋上でその署ではそういう点検の行事を行なっておったということでございます。時間は、そういうことでその日によって三回ないし四回交代のときに行なっているということ。まあ普通では外部の人に見えないという配慮は十分したいということでございますが、その日たまたまそういうことで来られた方の目に触れたというのは、そして、その人に畏怖の感を与えたということになれば、やはり警察としてはやや配意が欠けておったんじゃないかという批判もあろうかと思いますので、この点はそういうことのないように、いたずらに、そういう誤解を受けないような形で点検をやるように、この点は十分これから戒めていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/112
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113・小林武
○小林武君 私は、警察官をそんなにたくさんは知っておりませんけれども、第一線で働いている警察官の私の接触した範囲においてはなかなかいい人ばかりいると思う。そして案外恵まれないでね、そしているというふうに私は思っている。それでいまは定年幾つか知らぬけれども、私の知っているときは五十五歳ぐらいだったが、五十五歳でやめてその先どうなるかというようなことは聞かぬでも貧乏人のぼくにはぴんとこうくる。
〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
えらい幹部の人がまたどこかに行ってどこかの公団とか何とかというような回っていれば何回か回ってたいへん都合よくできているらしいけれども、警察官の人は、いわゆる第一線部隊の名を求めることもなくひたすらにとにかくきびしい勤務を続けてきたという人は、私はほんとうにみんなが大事にしてやらなければならぬなと常々思っておった、接触面があったからね。接触面と言ったけれども、何も教唆扇動したというわけじゃないですよ。いろいろなお世話にもなったり、いろいろな機会もあってそういう人に接してそう思っています。しかし私は、そういう人たちを一番苦しませるのは何かといったら、警察の縦の階級的ね、昔の軍隊までもいかないまでも、しかし、いまでもそれがある。規律の厳粛ということと人間の冷酷さというのがやっぱり混ざってきているんじゃないかという気がするんですよ。規律の厳粛の中にあたたかい気持ちというのが入っていれば、これは厳粛というものも私はある意味で美しく見えることもあるけれども、冷酷とそれから非常にきびしい階級的な上下関係があるということになると、これほどかわいそうなことはない。任務の性格、収入の問題、そういうようなことを考えるというと、これは私はいまの民衆に接してほんとうに民衆に感謝されるというようなことをするためには、大いに私は指導する側の反省が必要だと思うのですよ。私は警察のほうでどういうことをやってやるのか、ピストルを操作するのか知りませんけれども、しかしながら、少なくとも、そういう事態のときにそういうことをやらなきゃならぬということの中に、第一線の者がはなはだ不心得で、というような言い方は私は言うべきじゃない。それはとにかく上にある者が常にそういう配慮をするべきだと思うのですけれども、その点はどうですか。いまのわが党の鈴木委員の質問に対して非常に心がけてやるべきことだと思うんですよ。勤務は厳正にやらなければならぬというのはそれでよろしい。しかし、大衆に接するのにはピストルはそれほど必要じゃない。しかしながら、そういうものの訓練とか操作について必要ある程度の技術の修得というやつが課せられているとしてもやり方というものがおのずからあると思う。私は、何人かのたくさんの膨大の数の中で暴発事故を起こしたとかなんとかいうようなことを取り上げて、そうして何でもかんでもめちゃくちゃに抗議するというやり方よりかもむしろそういう立場からのあなたたちの指導というものがなければならぬと思うのですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/113
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114・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 警察官に対してあたたかいことばをいただいてたいへん恐縮に存じます。この点厚くお礼を申し上げます。
拳銃の操作ということについての御質問でございますけれども、これまでわれわれ警察の同僚において凶弾に倒れて死んだ者もおり、拳銃で防げば防げたものを逆に相手にやられたというような例もあるわけでございまして、われわれの職務執行上拳銃を持つということはやむを得ない必要な条件になっておるわけでございます。したがって、それを日ごろから適正に操作し、あるいはたまがあるかどうか、そういうものを点検して、異常なく正しい職務の遂行ができるように日ごろから保持していくというための点検が交代ごとに行なわれるということは、これはもうやむを得ないことであり、必要なことであるということはおわかりいただけると思いますが、たまたまそういうことが外部から来た方の目に触れて畏怖の念を起こしたということ、これは非常にいわば配意が足りなかった面もあるのじゃないかということで、別に下を責めるというようなつもりは全くございませんが、そういう面において、これの衝に当たった署長としては、そういうことについて、全然そういうことになるとは思っていなかった。要するに見えないと思っておったところが、見えてしまったということについては、これは残念であるということで、これからはそういうような誤解といいますか、不測のそういう影響を他の人に与えないように十分慎重に配意をしていくということでございましたので、再びそういうふうなことはないというふうに私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/114
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115・小林武
○小林武君 文部大臣にまだ質問ございますから、はなはだ申しわけございませんけれども、しばらくいてください。
文部大臣にお尋ねしますけれども、日教組だけが今度強制捜査を警察当局から重点的に受けることになって、日本の教育のためにこれはたいへんよかったと、こう思っていらっしゃると思うんだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/115
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116・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 私が文部大臣になりまして以来、先生方に対しまして、法秩序を守っていただくように、ストライキを行なわないようにお願いをし続けてきたわけでございます。しかしながら、不幸にしてこういう事態になりました。まことに残念だという気持ちを抱いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/116
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117・小林武
○小林武君 残念ですか。いや、またたいへん、かねがね、小づら憎いというか、日教組憎しという感情は相当露骨にお出しになる方だから、これでやっぱり本望を達したというような気持ちになったんじゃないかというようなことを考えたんだけれども、そうじゃないですかね。私はとにかく日教組に参ったのが二十八年ですから、それからの間に、現在までずっと見ていて、教員を刑事罰をもって罰しなきゃならぬというような、そういう法律を出そうかというようなことを言った人は二人だけ——それに執念を燃やした方が。それは内務官僚の大達茂雄氏と、それから文部大臣があなたのときにそういう刑事罰の話が出てきた。伝え聞くところによると、今度何か大学の前出た暫定法の改正にあたって、あれについて、いわゆる刑事罰を含むそういう法律を二つうまく組み合わして一本の法律に出そうかという検討もあったとか何とかという話も私らは聞いている。新聞等にもややそういうようなものが、一本にするか二本にするかは別として出ておった。私は、文部大臣の考えとして、刑事罰をもってやるべきだと言ったのは、大達さん以外にあとは出ないだろうと思っておったところが、今度はあなたの代になったら、あなたが言ったかどうかしらぬけれども、それが出てきた。大達さんうまいことを言ったですよ。学校から刑務所に通ずる道をつくるというのが刑事罰だと、こう言った。これはとにかく、戦前、治安維持法のもとにおいて教育を牛耳ってきた人の簡単に出ることばだと思うが、民主教育の門出をしてからすでに二十数年たっている。その今日において刑事罰を含むような法律のあれが必要だという、あなたお考えなんだから、これはやっぱり私は異常の考え方だと思う。法律を守れ、守れということの——あとこれは法制局長官もおられるし、警察庁の方もいらっしゃるからまたひとつあなた方にもお尋ねするけれども、この精神だけは、教育関係者の最も行政的には責任の重い立場にあるあなたの時代にそういうことが出てきたということ、それからあなたが最も信頼を受けている田中総理もまた、選挙の争点は教育問題だというようなことを言われているのだし、その教育問題の中にいまのようなことがいかにもあるかのごとき——あるかのごときというより、かなり現実味を帯びて出てきている。単なるうわさでも幽霊でもないようにわれわれは考えるのだけれども、この事実について、あなたはそういうふうにお考えになっているのですかな。たとえばもうそういう考えに立っているとすれば、いまの政府の中にそういう考え方があるとすれば、今度の警察庁のこの日教組捜査というやつは、きわめて適切にして、遠いこの将来を望んで日本の教育政策に大転換を行なおうとするこれは驚くべき役割りをする、こう思うのですが、これについて文部大臣は私の言っていることはいささか新聞の読み過ぎだとか、週刊誌は読んでいませんから、何かの読み過ぎじゃないかというようなことがあったら指摘もしていただいてけっこうですけれども、あなたの答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/117
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118・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 当委員会でもたびたび申し上げておりますが、教育の基本は教育のにない手である教師、その人にあるのだ。同時に、文部省なり教育委員会なりは、先生方が教育に情熱を燃やしていただけるような諸条件を整理していかなければならない。したがって、教師ないし教師の集団と文部省なり教育委員会とがほんとうに協力をし合えるような体制を確立しない限りにおいて、日本の教育の振興はあり得ないと申し上げてきておりますし、また、そのように真剣に考えているわけであります。そういうような体制を早くつくり上げていきたいものだ、こう思っております。
臨時大学運営措置法のお話が出たわけでございますが、御承知のように八月十六日で五年の期限が来るわけであります。五年以内に廃止するものとするという訓示規定が入っているわけであります。しかし今日なお、大学のキャンパスの中で殺人行為まで行なわれたりしている状況でございますので、廃止のしっぱなしはできない。これをあとどう持っていったらいいのだろうかということで苦慮している最中でございます。いろいろな方の御意見も与野党含めましてお伺いをしている段階でございます。その場合におきましても、私たちは大学の教育環境を守る学校当局の努力をどう助けていくかということ以外に何にも考えておりませんで、いまだかつてこういうあと始末の中に、刑事罰を持ち込もうなんというような考え方は一ぺんも議論もしたこともございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/118
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119・小林武
○小林武君 ちょっと私も驚いたのですね、いまの御答弁にね。なかなか御執心だという話を聞いておったわけです。と申しますのは、これは大学法案は日限をとにかくはっきり切ったわけです。それから私が一番初めにびっくりさせられた、昭和二十九年の、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法、このごろあなたのほうで政治的中立確保に関するなんというようなことを盛んにこうおっしゃっている。何が中立か、そこらは、私の立場の中立とあなたの立場の中立とは根本的に違うようですけれども、その法律がある。この二つをそろそろとにかく、暫定法ですから、臨時措置法と暫定法ですからね、片方は日限を切っておるということもある、この法律をとにかく今度やろうじゃないかという声が政府部内にあったということは、これはまああんまり根も葉もないことではないと、私は心配しました。しかし、心配もしているし、これからも私の心の中から心配は抜けないとこう思っています。これはほんとうにあれですか、これは党の機関もいろいろあるでしょうけども、そういうものについて、全く根も葉もないというふうにあなたいまおっしゃったけども、閣議において、あるいは党の諸機関の中においてでも全然なかったことですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/119
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120・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 臨時大学運営措置法の処理をどうするかという問題について、そういう議論は一ぺんも私も聞いたことございません。
いまお話を伺っていますと、中立確保に関する法律とかいろんなことをお話しになりました。参議院の予算委員会であったかと思いますが、総理の発言の中に、教育公務員特例法を国会に提出したときに、いろんな議論があって、教育公務員が政治活動の制限の違反を行なう、そういう場合については、国家公務員は全部刑事罰の適用になっているわけであります。地方教育公務員は国家公務員の例によると、こういう当時の政府提案でございました。したがいまして、また刑事罰の適用になるわけでございます。それが参議院の段階において修正になって、刑事罰をはずしたと、そこに一つの問題点があると自分は思うんだというふうなことを、国会で総理が疑問として答弁しておられたことは私も伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/120
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121・小林武
○小林武君 私は、その点ではあんまりあなたのような楽観論には考えておりませんけども、これはどうもそうだそうではないというような議論のすべき筋合いのもんではありませんから、あなたないということをおっしゃるならそれでよろしい。総理からも聞いたことがないというんですから。
吉國法制局長官にお尋ねいたしますが、あなたは法律の何といいますか、最高顧問だと思うんですが、政府の。いまのようなその問題についての、何といいますか、何か聞いておりませんか、そのことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/121
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122・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) 先ほど文部大臣からお答え申し上げましたように、大学の運営に関する臨時措置法をどうするかということについては、文部省からも下相談がございまして、この附則の第五項で、「施行の日から五年以内に廃止するものとする」という規定がございますので、それをどういう形で処理をするかということについては、いろいろ技術的な点をも含めて相談を受けております。しかし、先ほど御指摘のありましたような点については、何ら私どものほうでもまだ話を聞いておりません。また、閣議等においてもそういう問題を聞いた覚えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/122
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123・小林武
○小林武君 法律の専門家としてのあなたにお尋ねいたしたいんですけども、ただし、これはもうあなた答えるのにちょっとつらいというんだったら、やめてもけっこうですが、教育の政治的中立という法律のときに、必ず出てくるのは刑事罰の問題なんですね、刑事罰の問題がある。刑事罰でおどかすというのが一番いいというような考え方は、警察の行動を見ればわかるんです。犯罪だということになる。この犯罪のことについては、多少あとで短時間でもお聞きいたしますけれども、この刑事罰と教育というようなことは、これはあなたも全然聞いてないことじゃないと思うんですけれども、昭和二十九年のあの国会の中に騒がしく論争されたあの当時のこと考えて、あなたの一体見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/123
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124・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) 刑事罰をもって臨むことが適当であるかどうか、これはまさに立法政策論の問題だと思いますので、その立法政策が決定をされましてから、法律案として私どものほうに相談があるわけでございます。その立法政策をいかに決定するかということは、まさに行政の政策と申しますか、もっと高い高次の政治の問題であろうと思います。私どもはいわば法律上の技術官でございまして、決定された立法政策を、いかに正確に法文として表現するかということに日夜苦心をしているだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/124
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125・小林武
○小林武君 そうでしょうね。いまのような御答弁しかできないことはよくわかっておりますけども、あなたはしかし法律をつくる上においては専門家であり、まあ言うてみれば、腕のいい職人みたようなところもあるんじゃないかと、こう考えますから、いかようなものでも御注文によってというようなことになることも考えられるわけでありますけれども、私としては、そういうようなやり方というものは、たいへん日本の教育の上において重大な問題だと、こう思っております。
そのことだけでひとつこの問題は打ち切りまして、それからひとつお聞きしておきたいことがあるんですが、文部大臣。田中総理が中国の教育にたいへん心酔されたのか、毛沢東主席の教育方針を採用するというような、いわゆる知育・徳育・何とかというようなことを盛んにおっしゃっておるが、あなた直接総理に聞かれたことあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/125
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126・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 直接伺ったことはございません。ただ、共産主義の国でも、教育守則とかいった式の教えがあるじゃないか。やはりわが国であっても、何らかそういう教えがあってしかるべきじゃないかというような気持ちを漏らされることは伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/126
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127・小林武
○小林武君 そこで、ひとつ聞いておきたいんですが、教育というものは、知育・徳育・体育というようなことはこれはだれにも必要なことですね。思想のいかんを問わずだけにも必要なんです。しかし、その知育・体育・徳育というものの中身になるというと、どんな人間をつくるかということによって変わるわけですね。私は、まあここで何も田中総理の言っていることに、田中総理でないあなたに言うというのはおかしいと思うけども、文部大臣だから申し上げたい。あんまり論理の一貫しないようなことは、これ人を惑わすことになると思う。何かの新聞にも書いておりましたけどね、知育・徳育・体育と言ったけど、そのあとの中国の教育をしようとする国民は一体何だという点については何にも書いていない。何にも言っていないんだと、こういって新聞が冷やかし的に書いている。まさにそのとおりだと思う。その場当たりの御都合主義みたようなことを並べ立てるようなことは、これは教育のためには百害あって一利なしだと私は思う。片っぽうにおいては、教育に対する干渉をさんざんやっておいて、片っぽうでは中国の知育・徳育・体育なんということをやって、これはおれと同じ意見だというようなことを言ったって、それはだめだということです。もっと真剣に日本の教育を考えるということになったら、日本人同士ですから、政党の立場の違いも越えたような議論を煮詰めて、ものをやるというような、そういう考えが先に立たずに、選挙の争点にして参議院で有利にするかなんというそんなけちな根性でやっているというような新聞の記事がほんとうであるならば、私は文部大臣としては、ひとつ相当のやはり日本の教育のために発言があってしかるべきだと私は思うんだけども。どうもあなたの態度がどっち向いているのかよくわからぬから、見ているというと、田中さんとは一番のウマが合っているような気もする、こう思うんだが、これはどうですか、一体。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/127
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128・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育問題を参議院選挙の争点にするんだというお話、たびたびおっしゃっておりますが、私はいまだかつて聞いたことございません。ただ国民にとって、物価問題でありますとか、教育問題でありますとかということが、今日の最大の関心事になっている。これは私は事実だと思います。したがいまして、それなりに私たちは教育をさらに充実振興させるために真剣に政策を考え出していかなきゃならない、こう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/128
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129・小林武
○小林武君 文部大臣にお尋ねをしたいんですが、この最高裁の大法廷において国家公務員や地方公務員、いわゆる公務員関係のこの憲法二十八条にからまる判決が二つあることを御存じだと思うのです。違いというようなもの、どうお考えになっておるか。あなたは前のいわゆる東京都教組事件の判決のときはあの判決の趣旨に従ってあれですか、その二つの判決が出てあなたの見解というのはどうですか、その間に大きな差がございますか、いや全く同じだとお考えですか。その点をひとつお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/129
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130・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃっているのは、四十四年の都教組事件についてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/130
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131・小林武
○小林武君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/131
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132・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 最高裁の判決と昨年の農林関係の警職法にからまる事件の判決の二つだと思います。前者につきましては刑事罰を適用する場合には、ストライキによって起こした影響、その程度、言いかえれば、ストの規模、態様等とあわせて考えて適用のいかんを決すべきであるという趣旨であったように思います。それに対しまして昨年の判決はそのようなことで区別しようとするところに今日の混乱があるんだというような多数意見もついておりまして、全面的に現在の法律どおり適用してしかるべきものだという判断が下された、こう思うわけでございます。私自身四・二五判決、これを読みまして非常にすっきりした考え方だなあという気持ちを従来から持っておるものでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/132
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133・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) この際、委員の異動について御報告いたします。
ただいま若林正武君が委員を辞任され、その補欠として高橋雄之助君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/133
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134・小林武
○小林武君 その間において、そう変わったことについてのあなたの感想というのは、前のが間違っていてあとのが正しいという、そういう判断ですか、いまの感想ですと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/134
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135・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 憲法が公務員は「全体の奉仕者」だと書いてあるわけでございますけれども、その「全体の奉仕者」だというものは、私は積極的に国民全体の利益を増進さしていく責務を負っている存在だと、こういう趣旨だと思うのでございます。そう考えていきますと、公務員が使用者である住民に迷惑をかけるストライキ、これはやっぱりあるべき姿ではないんじゃないだろうかなと、こう考えるわけでございます。単に国民全体の利益を阻害するようなことをしてはいけないということでなくて、積極的に国民全体の利益に奉仕する存在、それが公務員の姿ではないだろうか、こう思うのでございます。積極的に国民のために尽くさなきゃならない性格のものがストライキをやって迷惑をかける、これはやっぱり立法政策として認めないという判断を下すことは何ら憲法に私は触れるものではない、こういう考え方をしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/135
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136・小林武
○小林武君 ちょっとあなたのあれが、書類をさがしていて聞きのがしましたからごかんべんを願いたいのですが、私が聞いているのは、あの判決によって——あなたの話聞いていると、私の受け取り方は、あとの判決によってまともになったと、平たいことばで言えば。前の判決というのは、いわゆるあなたの憲法観から言うと、うまくなかったと、こういうふうにあなたがおっしゃっているふうに聞こえるのですけれども、違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/136
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137・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 憲法の条章等から判断をいたしまして、四・二五判決、これが非常にすっきりしている、こう考えているわけであります。前の判決では非常にあいまいな点があるというような理解のしかたを私自身しておりますことは、先ほどお答えを申し上げたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/137
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138・小林武
○小林武君 今度、また大法廷で、大体前の判決のような、もっとそれを上回るようなものが出てきた場合、同じようなものが出た場合、あなたはその際何か、国家公務員、地方公務員の上に立つ立場におありになったら、そのときは、どうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/138
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139・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 要するに、これは立法政策の問題だと思うのです。法律にきちっと、こういう場合には刑事罰を適用しますと書いているにかかわらず、規模、態様のいかんによってそれを適用したり、適用しなかったりするんだというような四十四年の最高裁判決は、私はいただけないような感じを持っているわけでございます。今後、国会におきまして、スト権についてどういう立法政策をとられるか、それによってまた変わってくることでございますけれども、現在の法律の諸規定というものは、何ら憲法に触れないと考えておるわけでございます。したがってまた、いまの法律規定をそのとおりに解釈適用できないんだと、規模態様のいかんによって刑事罰を適用するか、適用しないかということをきめていくんだと言われたんじゃ、ほんとうに私は混乱が起こってしまう、そう思うわけであります。昨年の最高裁の判決におきましては、多数意見をわざわざそういう意味でもくっつけているようでございます。四十四年の判決のようなことを言うておったんじゃ、行政的にいろいろな混乱が起こってくることはやむを得ない、現に混乱が続いている、こういうような指摘もしているわけでございまして、私も同じような気持ちを抱いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/139
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140・小林武
○小林武君 しかし、具体的には司法権は独立しているわけですからね。あなたの、独立しているかどうか、まあちょっと心配な点もないわけじゃありませんけれども、私も全然まあその面のしろうとでございますけれども、ちょっとの間、裁判官訴追委員というやつをやった中で、いやこれはむずかしいものだということを骨身にこたえるぐらい、また問題の多いときでございまして、裁判長を訴追するかとか、しないかとか、あるいは裁判官を再任するか、しないかとかというような問題の渦中の時期でございましたから、たいへんなものだと思う。しかし、あなたのような考え方というのが、これ為政者としてあるということはどういうことになりますかね。好ましくないということになると、これはたとえば最高裁の判事を任命するときには手心をするというようなことにもなりかねないというような感じもするのですけれども、そんなことは、どう思いますか。一体、裁判官がだれにも干渉されることなく、自分の信念に従って、法の上に立ってやるというような、そういう考え方というもの、これはあなたの考え方の中では認められない考え方のようですけれども、いかがなものですかな。文部大臣のこのお考え、もう少し聞かしてもらいたい。あなたの考え方はやっぱりああよかったと、いい判決が出たと思っているかしらぬけれども、私は違うほうですから。ようやくまあまともに近いものになりかかったと思ったらまた変わった。しかし、それ以上のものを、ひとつ私は別なものをひとつ感じているのです。それはあとで言いますけれども、どうですか、くどいようですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/140
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141・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 裁判所は法令審査権を持っているわけでございますので、法律が違憲だと思えば、それなりの判断を下すことは何ら差しつかえはないと思います。そういうことになれば、その判決が優先すると思います。いずれにいたしましても、現実の法律規定というものと、最高裁の判断というものとが食い違うような姿は私は望ましくない、こう考えるわけでございます。したがいまして、最高裁の判決で確定していきます場合には、当然それに合ったような法律規定に改められてしかるべきであろうと、こう考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/141
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142・小林武
○小林武君 まあ、あなたの考え方はとにかく、あれですな、司法権の独立ということについてはかなり疑義をお持ちになっている。独立よりかもやっぱり自分の方向に近づけたいという、そういういわゆるタイプのものの考え方と思う。
そこで、警察庁にお尋ねいたしますが、もし前の都教組裁判、全逓のあの裁判等にあったら、今度の捜査というのはできましたか、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/142
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143・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) まあ、それは非常にあれでございますが、われわれとしては、今度の捜査というのは、四・二五判決の趣旨に従って運用をしてまいったということをお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/143
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144・小林武
○小林武君 そうしますと、前の判決でございますというと、憲法二十八条の関係でできなかったということになりますか。はっきりするためには、できなかったと、こう言ってもらったほうがはっきりしますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/144
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145・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 私ども、実は、その四・二五判決の趣旨に従って、いわば捜査のいろいろな問題を考えておったわけでございまして、前の四・二判決というものに基づいた検討というものは実はいたしておりませんので、その点、お答えする準備ができておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/145
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146・小林武
○小林武君 そんなこと、あんただめだよ。それはそんなことを言うたらいかぬですよ。警察官というものは、警察というものは最もわれわれの生活に密接しているから、私らのようなもんでも警察官に一つの感じを持つんです。何ぼ社会党だって、警察なくなってもいいなんて考えているわけじゃないですから、警察なくなったらたいへんだ。私は警察官というものは民衆の味方としてぜひとも公平にやってもらいたい。だから、あなた、そういうことを言わないで、前の最高裁判決だったらやれなかったでしょうと私は言っているんだから、あれであればちょっとしり込みしますとかなんとか言えばいいのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/146
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147・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) やはり、法律の検討、その判例に基づくこまかいいろんな問題についてしさいに検討しないと、簡単に適用できる、できないというふうには、この場で言うことはできないということを先生よくおわかりだと思うんですが、そういうことで、その点については私、残念でございますが、お答えする立場にないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/147
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148・小林武
○小林武君 あんまり私をしろうと扱いにしてもらいたくないんだな、わかっているでしょうけれどもなんてね。あんた、私が言っているのは、単なる二十八条の問題だけ言っているわけじゃないけれども、結局、ここで二十八条のことを言っているのは、問題点は何かということなんだ。いわゆる二十八条をどう見るか、公務員の場合、地方公務員の場合、どう見なきゃならぬか。そういうことが前は違っているんだからね。だから、文部大臣はその点は、反対だけれども、すっきりしているところもあるね。やっぱりいまのほうがよろしいと、こういうことを言っているんだから、あなたは、警察官だって別にそんなことを避けることないでしょう。あなた、いいとか、悪いとか聞いているんじゃない。やれなかったろうと、こう言うんですよ、やれなかったろうと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/148
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149・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) われわれとしては、四・二五判決に基づいて捜査を進めたわけでございまして、四・二判決の立場からのしさいな検討というのは実はいたしておりませんでしたので、この点について、どうこうということをこの場ではっきり申し上げられないということを繰り返して申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/149
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150・小林武
○小林武君 どうも片岡さんの質問にははっきり答えて、私にはっきり答えてくれないのはうらみでもあるかね、あなたは私に。さっきは両方考えてやったと言ったでしょう、あんた。私のときになったら、がんとしてものを言わぬというのは、これはどういうわけですか。こんな片手落ちなことをやっちゃいかぬですよ。(笑声)あんた、笑い話じゃないんですよ、ほんとうに。そうでしょう。私はこういう問題こそはっきりしなければならぬことですわ。
私は、吉國さんに、忙しいというのにきょうはどうしても来てもらいたいと言ったのは、あまり私に都合のいいようなことを言わぬようだけれども、それでも法律のことだからね、これは。どうですか、それ言えませんか、あなた。言ったらたいへんだというのなら、あなたのいろいろなことを考えて私も悪追いはしませんけれども、私はそれではおさまらぬことだと思うのですよ。これは少なくとも、労働者のほんとうに一生にかかわる問題なんです。それも一人や二人の犯罪の問題じゃないんです。そうして、しかも、前のやっとあとのやつの違いはたった八対七で、一票違いでやったというのですね。そのことも知っているでしょう。なかなか一票違いでやるというようなことは、一票差で勝ったというような場合には、勝ったほうもやっぱりある程度遠慮しいしい相当七票の言うことも聞いてやらなければいかぬというのが、これは世の中の常です。この点どうですか、どうしても言いにくいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/150
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151・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) この四・二判決については刑事罰で論議する場合も、いろいろな制限、いわゆる二重しぼりですか、そういう問題があって、それもまたこまかく分かれておるわけでございますので、そういう問題について、今回の争議、これを適用してしさいに検討してみなければその結論は出ない。われわれとしては、現在までのところ、昨年の判決の趣旨に従って捜査を進めてきておりますので、その点についての詰めをしておりませんので、ここで無責任なお答えはできないということで申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/151
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152・小林武
○小林武君 ちょっととっておきましょう、まだお帰りにならないように。
吉國法制局長官にお尋ねいたしますが、この二つの判決の間には、大きな開きがあると思うのです。二十八条に限って、二十八条の労働基本権、これが、たとえばいま日教組が出ましたから日教組の問題としてやった場合には、たいぶ大きな違いがあるでしょうがね。あなたはさっきのあれから言うと、どっちがいいとか悪いとかということは言いかねるけれども、違いがあることだけは言ってもらえると思うのだけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/152
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153・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) いわゆる都教組判決と昨年の全農林判決とに違いがあることは、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/153
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154・小林武
○小林武君 違いがある。どういう違いがあるかね。それから具体的には、今度の日教組の大捜査というようなことは、これは政府に関係のないことでもございませんから、これらについても、言及してあなたの法律的見解を。(「委員長」と呼ぶ者あり)いやいや、長官言いなさいよ。あなたが長官よりえらいというなら別だけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/154
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155・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) その前に、最高裁の判決についての考え方でございますが、これは申すまでもなく、憲法第八十一条で、「最高裁判所は一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」ということがございます。この規定がいわゆる違憲立法審査権と呼称され、まあ広くは法令審査権といわれておるとおりでございます。その規定で従来でも法律そのものが憲法に違反するといわれた判例は非常に数えるほどしかございません。ただ、全逓中郵事件から始まりまして、一連の昭和四十四年の都教組判決に至りますまでの最高裁判決では、何と申しますか、平たく申せば一定の適用の条件と申しますか、適用の態様によって一定の法条が、法律の条文が憲法に適合すると、適用のしかたによっては憲法違反のそしりを免れないというようなことで、この都教組判決では地方公務員法三十七条の規定が全面的に争議行為を禁止している。その争議行為をあおる等の行為について全面的にいかなる行為であっても、これに対して刑事罰を科するんだということであれば問題であるというような言い方をしております。それに対しまして、昨年のいわゆる全農林判決は、その点のいわば限定を取りまして、これは地方公務員法ではございませんが、国家公務員法について争議行為の禁止を全面的に適用するといっておるところが根本的な違いであると思います。その点について、先ほど御指摘もありましたように、多数といっても八対七ではないかというお話、それはまさにそのとおりだと思いますが、その八対七の内容もいろいろこまかく意見が分かれておりまして、最終的にああいう判決になったと思います。私ども、法制局といたしましては、昨年の判決が出ますまでは、もちろん、全逓中郵判決なり仙台の全司法の判決なりあるいは都教組の判決なり、最高裁の判決を司法権の最終判断として受けとめまして、それに従ってあらゆるものごとを考え、処理してまいったわけでございますが、これを明らかに変更するような昨年の四月二十五日の判決が出まして以後は、この判決もまた最終的な判断として、これに従って行動しているわけでございます。憲法は先ほど御指摘のとおり、三権分立でございまして、司法権はいわば独立をしているものでございまして、行政府といたしましては、司法部の、それも最高裁判所の大法廷の最終的な判決には当然服すべきものでございますので、何回も申すようでございますが、昨年の判決が出ますまではそれまでの判決を尊重して、これによってものごとを律し、昨年の四月二十五日の判決が出まして以後は、これによってあらゆるものごとを考え、処理してまいるという態度で一貫しておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/155
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156・小林武
○小林武君 私は、いま長官のおっしゃった最高裁の大法廷における判決の威信の問題、この問題を私は、あなたがいま専門家らしいたいへんわかりやすい説明をいただいているとおり、これは、非常に大きな変わり方です。そうでしょう、「憲法二八条は、いわゆる労働基本権、すなわち勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利を保障している。」これは「憲法二五条に定めるいわゆる生存権の保障を基本理念とし、勤労者に対して人間に値する生存を保障すべきものとする見地に立ち、一方で、憲法二七条の定めるところによって、勤労の権利および勤労条件を保障するとともに、他方で、憲法二八条の定めるところによって、経済上劣位に立つ勤労者に対して実質的な自由と平等とを確保するための手段として、その団結権、団体交渉権、争議権等を保障しようとするものである。」という、こういうふうに、二十八条のことを書いて、そしてこのことについて、まあ中をはしょっていうと「これらの規定が、文字どおりに、すべての地方公務員の一切の争議行為を禁止し、これらの争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、あおる等の行為以下、あおり行為等というをすべて処罰する趣旨と解すべきものとすれば、それは、前叙の公務員の労働基本権を保障した憲法の趣旨に反し、必要やむを得ない限度をこえて争議行為を禁止し、かつ、必要最小限度にとどめなければならないとの要請を無視し、その限度をこえて刑罰の対象としているものとして、これらの規定は、いずれも、違憲の疑を免れないであろう。」と、こういっている。「違憲の疑を免れないであろう」こういっているのです。今度は堂々とやれるような判決になった。私は最高裁の大法廷における判決というようなものが、この間、何年たっていますかね。何年ですか。課長さんどうですか。何年たちましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/156
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157・角田礼次郎
○政府委員(角田礼次郎君) 四十四年と四十八年でございますから四年でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/157
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158・小林武
○小林武君 これらの重要な大法廷の判決が、たった四年ででんぐり返る。そのでんぐり返ったところで大強制捜査を実施する、こういうことが、いまやようやく財政的にも経済的にも世界の先進国らしいものになろうとしている日本の国の中に、こんなことでいいのだろうかと、私は思うのです。司法権の混乱ではないか。どうですか吉國さん、下級裁判の中において前の、違憲の疑いがあるというあの都教組裁判のような決定をしているものが相当あったでしょう、いままで。ありますね。そういう裁判をしている裁判官もある。しかし、その裁判官があるということは、幾つあるかひとつあとで教えてもらいたいが、そういうものがあるということ、それが大法廷で消されたとしても、こういう重大な問題がそう簡単にやられちゃたまらぬでしょう。私はまあ法律はあまりよく知らないからあれですけれども、憲法第十章の最高法規というところに、九十七条は私はたいへん好きなところです。「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」という、これは私はいわゆるこの基本的人権の重さというものをいっているのだと思う。最高法規九十八条、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」こういっている。私の読み方をもってすれば、しろうと読みをもってすれば、この十章の最高法規というものに書かれた基本的人権という問題を考えたら、しかも、これはもう「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」ということをいっているならば、四年に一ぺんずつ変えられちゃたまらない。私はこのあたり、また別の今度判決が最高裁のあれが出た。戦後の日本国憲法ができてからそんなに動揺するようなことで、国民が簡単にこの刑事罰にかけられたりなどしてたまるかということになるわけです。これに対して吉國法制局長官は、当たらずさわらずの答弁として、どういう答弁がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/158
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159・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) まず、先ほど御指摘のございました憲法第九十七条の基本的人権の本質に関する規定、これが憲法の第十一条の規定、あるいは第十二条の規定と相まちまして、日本国憲法の三つの大きな原則とも申すべき平和主義、民主主義及び基本的人権の尊重、そのうちの特に基本的人権の重いゆえんについて深く思いをいたして規定したものであることは、小林委員のおっしゃるとおりだろうと思います。憲法第十一条にもございますように、国民は、すべての基本的人権の亨有を妨げられない。この憲法が国民に保障しております基本的人権は不可侵の永久の権利として、現在の日本国民のみならず、将来の日本国民に対しても与えられるということを、厳然と規定したものであると思います。
それから、第二の問題でございます最高裁判所の判例の問題でございますが、これは、まさに司法権の独立にかかわる問題でございまして、私ども行政府といたしましては、司法権のあり方について何ら批判をいたすことは許されておりません。それこそ、憲法の精神に従いまするならば、司法権の行なうところを尊重して、それに従って行動をとることが行政府としてとるべき態度であろうと思います。もちろん、立法府におかれましては、司法部の行なうことについて、これをさらに高い見地から、国権の最高機関として一定の批判をされまして、行動に出られることはあり得ると思いますけれども、私ども行政府といたしましては、立法権を尊重すると同様に、司法権を尊重いたしまして、司法権のあり方について、それをそのままに受けとって、そのある姿を尊重して、ものごとを考え、処理してまいるというのが行政機関としての立場であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/159
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160・小林武
○小林武君 法制局長官としては、前半のほうはたいへんあれだけれども、おしまいのほうになるとだいぶ、なかなか言いにくいということはよくわかります。だからもう、私があなたに無理なことを言う気持ちはありません。ただ、私は、やはり同じ国のことを思うという立場からいえば、大法廷の判決なんというものが簡単に、ほんとうに三、四年で変わるというようなことになったら私は、これは国情の不安そのものをあらわすことですよ。それを見方を変えて言えば、それは、裁判官がけしからぬという考え方があることは、訴追委員会の中にいて十分承りました、いろいろな訴えがあって。しかし、それで済むものなのかどうか。私は少なくとも、労働運動にしろ、何にしろ、平和運動にしろ、わが国が、文部大臣のように国際人として、よりよき国際人として将来わが国を発展させ、わが国民もまた、それに大きな貢献をしようというならば、私はやはり、それに応じたものの考え方というものをやっておかないというと、私はほんとうの信頼というものはできないという立場をとる。どっちに近いかといったら、私は、単純な割り切り方をすれば、どうもあとのあれは後向きのほうだし、前のあれのほうが前向きである、こう考えています。しかし、そのところは、皆さんの考えは聞いたからあれですけれども。文部大臣、こういう司法権の独立というようなことは、口の問題じゃないということです。われわれが口でもって司法権の独立を言う前に、真に司法権の独立の中でほんとうに国民のための判決をするということが最高裁においてはとにかく私は必要なんだと、下級裁判の裁判をぶちこわしていって、最高裁でどんなあれをやっても、日本の国のこれからの将来は決して安定してはいかないと、こう思うのです。文部大臣は国務大臣として、あとの判決のほうが都合がよろしいというようなあなたの考え方よりもっと抜け出た、日本国の将来を見通したような、教育の総元締めらしい感想をお持ちなのかどうか承りたい。
それから、警察庁のほうにも申し上げたい。人間を罰するというようなこと、刑罰をもって罰するというようなことは、私は、人間としては最もつらいことをやるのです。そのつらいことをやるのに、ネコの目の変わるがごとく変わるというようなやり方はとるべきでないということを感じます。幾らそれが警察であっても。しかし、今度私が感じましたのは、地方公務員、国家公務員の中で、日教組にしぼったということは、ある意味では全部やっつけるよりかも、一つぐらいやっつけておいたほうがいいんじゃないかというようなことを考えてやったかという、まあ遠慮みたいなものがあったのかと思うけれども、これはなお悪い。みんなやれというんじゃないですよ。そういうあれでは、私は警察権というものも、これは警察というものも非常にむずかしい立場のものだと思う。思うけれども、少なくとも、この民主主義の社会の中において、憲法の中に書かれたようなことぐらいは守らなけりゃならぬということだけは、ひとつ肝に銘じておいてもらいたいと思う。しかし、このことはここで決着をつけて、いやこれからそうそうしますなんていうことを皆さんも答えられないことはよくわかっている。わかっているけれども、国の重大事であるということ、立場の相違とかなんとかの問題じゃない、人間の追求するその理想をうたい上げているこの憲法について、特にこの人権の問題に関して、日本国民はえりを正して、やっぱり向わなければならぬとこう思うのです。
質問をやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/160
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161・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) 質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/161
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162・加藤進
○加藤進君 法制局長官の御都合もあるようですから、最初にひとつお聞きをしたいと思います。すでに奥野文部大臣が衆議院でも、参議院の文教委員会でも繰り返し触れておられますけれども、教員ストの処分について、御承知の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第三十八条第一項の解釈について、次のように言っておられます。処分に対する教員の内申を市町村教育委員会に求めても提出しない場合も一定期間を置いたならば、都道府県教育委員会の判断で、処分に踏み切れるのではないかと考える、この見解について法制局長官とも相談している。また相談したいというような話を聞いたわけでございますけれども、法制局長官はどのような形でこの相談に乗られたのか、法制局として、文部大臣から正式のいわば相談を受けられたのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/162
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163・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) この地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第三十八条第一項の市町村教育委員会の内申の問題につきまして、これはまだ本年度の予算が衆議院で審議されていた間だったと記憶をいたしておりますが、文部大臣から非公式に御相談を受けたことはございます。県費負担教職員の任命権の行使につきましては、市町村の教育委員会の内申を待って行なうべきものでございますけれども、これは市町村の設置をいたします学校に勤務をする県費負担教職員の人事行政につきまして、都道府県教育委員会と市町村教育委員会とが協働関係に立って、円滑な行政を全うしようという趣旨のものでございまして、合理的な理由がございませんのに市町村の教育委員会が内申をしないというような場合に、いかなる場合でありましても、都道府県教育委員会が一切任命権を行使することができないというふうに解すべきかどうかと、その点については、一切任命権を行使することができないと解することは無理なんで、場合によってはその任命権を行使する場合もあり得るのではないかというようなことを文部大臣にお話ししたような記憶がございます。その後、事務当局間で詳細に打ち合わせをいたしましょうということで、現在でも文部省と私どものほうの第一部と打ち合わせをいたしておるはずでございます。文部大臣としては、私のいま申し上げましたような考え方を基礎に置いておそらく答弁を、文部大臣としての答弁をされたものであろうと思います。なお、非常にこの問題はむずかしい問題ではございまするけれども、きわめていかなければならない問題であることは明らかでございますので、なお、よくしさいに検討をいたしまして、的確な結論を出してまいりたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/163
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164・加藤進
○加藤進君 それでは、今日までの法解釈はどういう解釈であったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/164
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165・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) その点につきましては、文部省から都道府県の教育委員会方面あるいはその事務局に対して正式な通達と呼ぶべきかどうかわかりませんが、解釈通牒のようなものを出しておりまして、そこでは第三十八条の第一項で「市町村委員会の内申をまつて」というところは、いわば内申があって初めて処分ができるんだということをいままでは指導しておられたように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/165
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166・加藤進
○加藤進君 その点ではおっしゃるように、通達がこういうふうに書いています。「法第三八条に規定する県費負担教職員の任免その他の進退に係る市町村委員会の内申に対し、」——「都道府県委員会は市町村委員会の内申をまたずに県費負担教職員の任免その他の進退を行うことはできない」、できないと、こう断言してあるわけですけれども、その点について法制局としては、これはやはり通達はこのとおり「できない」と解釈するのが正しいと、こういうふうにお考えになるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/166
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167・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) 法律が予想しておりますような通常の事態におきましては、まさにこの通達にございますように、市町村教育委員会の内申をまって、そこで県費負担の教職員の任免その他の進退を行なうべきことは、これは文字どおりこの法律の規定を解釈して、さような解釈が立つことはむしろ当然であろうと思う。しかしながら、法律はあくまでこの三十八条の規定したゆえんのものを考えてみまするならば、市町村の学校に勤務をいたします市町村の県費負担教職員につきまして、その前の第三十七条の規定によりまして、任命権を都道府県の委員会に属さしめる。なお都道府の委員会が任命権を持つけれども、いわば現場に近い市町村の委員会の意見を参考としながら、その任命権を行なうことが法律の所期するところである。それが望ましい結果が生じるであろうということで、いわば市町村の委員会と都道府県の委員会とが相助けて一つの行政を実現してまいろう、そういうことでできておると思います。都道府県の委員会も一定の権限を持って動くと同時に、市町村の委員会も、その第四十三条にございますように、県費負担の教職員の服務を監督するような、そういうような権限を持っております市町村の委員会は実態に明るいというところから内申を行なういわば義務を持っておるわけでございます。市町村の委員会の内申というものによって実態が明らかになって、その実態の上に乗って都道府県の委員会が行動するということが法律が予想した順当な姿である。ところが、ただいま問題になっておりますような事例では、これは文部省からの話でございますが、都道府県の委員会が同法の第五十四条の二項によって、二項にかんがみても当然内申を出すように慫慂することはできることであると思いますが、一定の案を示して内申を求めたところが、それに対して市町村委員会としての内申がないという場合においても、一切都道府県の委員会が第三十八条第一項の規定の文字どおりの解釈によって行動できないということにいたしまするならば、この市町村立の学校の教職員の人事権の円滑な運用が阻害されるではないかというのが私どもの考え方でございます。
しからば、そういう場合に、どういうふうに都道府県の教育委員会は行動することができるかということは、先ほど申し上げましたように、諸般の規定のしかた、そのよって立つ実態というものをよく検討いたしまして、市町村立学校の教職員の人事権が円滑に行なわれるように、しかも、第三十八条の市町村委員会の内申をまってという法意も生かすように、その間に規定の全体の整々たる調整をはかりながら、解釈をやってまいらなければならない。あくまで、申し上げますように、この規定は、市町村委員会の内申をまって県費負担教職員の任免その他の進退を行なうというのは、これはもう原則であることはもうあたりまえでございます。しかし、これが法律が所期しているような、予想しているような事態とは違ったような事態の場合にも、このとおりやらなければならないということになれば、市町村立学校の県費負担の教職員の任免その他の進退が宙に浮いてしまうということは、また、法律の規定を的確に実施するゆえんでもないのではないかという懸念でございます。その懸念からして、そういうような問題が起こってまいりまして、先ほども申し上げましたように、文部大臣から非公式に御相談があり、それによって事務当局間でただいま打ち合わせをしている段階でございますので、的確にこうであるというところまで申し上げられませんことはまことに遺憾でございますけれども、内申がないあらゆる場合に、一切都道府県の委員会は行動ができないということでは、この法律の意図するところに場合によってはたがうこともあるのではないかということが、ただいままでの私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/167
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168・加藤進
○加藤進君 長々と御弁解めいたことをお聞きしましたけれども、私がもう一度お聞きしたいのは、それでは、法制定当時国会においてもこの法案についての審議が非常に深くやられたと思うんです。そういう中において、法制定当時は、市町村教育委員会からの内申がこないなどというような事態は予想しなかったと、こういうようないわばあなたのお話の論拠といいますか、そういうことが予想されていなかったんだという根拠というのは、一体どこにあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/168
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169・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) これはあらゆる行政について言えることでございますが、行政機関がいろいろ全体が有機的に組み立てられて、もちろん、内閣を頂点として中央では各省があり、各省に庁があり、局部があり、また付属機関があり、国の機関の地方支分部局といたしましては、種々のあるいは管区単位あるいは都道府県単位の部局があり、また、地方の行政につきましては、都道府県、市町村それぞれの組織を持って、整然と行政機関が組み立てられております。その行政機関は、各省の設置法なりあるいは地方自治法なりその他の規定によりましてそれぞれ一定の職務を与えられ、一定の権限を行使するようにできております。
そこで、このような行政機関が一定の職務権限を持って行動するということは、法律が当然そのような職務権限を行使することを予想してできているわけでございます。その職務権限がある個所において停滞をいたしたと、職務が完全に遂行されず、あるいは権限が適正に遂行されないという場合に、国民の側からいたしまするならば、行政不服審査法なり行政事件訴訟法なりによってそれを是正する道がございます。また、行政の内部におきましては、中央機関同士でございまするならば、指揮監督権を通じてその是正がはかられる。ところが地方公共団体と中央との関係あるいは中央におきましても、独立的な委員会と政府との関係等においては、必ずしも直接的な矯正手段、是正手段が設けられておらないような場合もございます。
そこで、このような矯正手段が設けられておる場合は、その矯正手段によって当然矯正をすべきであり、また、矯正手段が設けられない場合においても、法律的な矯正手段なり是正手段によらないで、できるだけ行政の目的実現にあらゆる努力を払うべきでございますけれども、法律の規定の上で、たとえば甲という機関と乙という機関が協力をして一定の行政目的の実現をはかるという場合に、甲なり乙なりの機関がその権限の正当な行使をいたさず、あるいは職務を遂行しなかったという場合に、それでは甲、乙協働で一定の行政目的を実現しようという法の達成しようという目的は失われるわけでございます。その場合においていかなる手段をとるか。これはよく比喩として申し上げてあるいは誤解を招くといけないかもしれませんが、一昨年あたりまではよく暫定予算が成立しなかった場合にはどうするんだと。まあ本年も十日間の暫定予算を御議決いただくようにお願いをいたしまして、四月一日から十日までは暫定予算が有効であったわけでございますか、その暫定予算が成立しなかったらどうなるかというような御質問があったことがございます。法律の、これは憲法でございますが、憲法の予想するような事態、最終的にはそれじゃどうするかということになれば、これは規定をすれば幾らでもいろんな規定をしなければなりませんけれども、一定の範囲以上はおのずからその機関の構成員である者の良識によって行動することが予想されている、憲法にしろ、法律にしろ、そういうものであろうと思います。で、この第三十八条第一項の場合も、市町村の委員会が内申をすると、市町村の委員会は市町村立の学校に勤務をする教職員について常時服務の監督もいたしておるわけでございまして、いかなる任免その他の進退が行なわれるかということについて的確な意見を持っておるはずでございまして、その的確な意見を都道府県の委員会に反映をいたし、そこによって法律の所期する任免その他の進退が行なわれるはずでございます。それが行なわれないような場合にどうするかというのがただいまの問題であるわけでございまして、その場合に、法律の解釈でそれを補う余地がないかどうかということに帰すると思います。そのような意味で、これはほんとうに法律の期待するようなものごとが正常な運行をしている場合ではないような場合についての問題でございますので、はなはだ異例、特異な事態でございますので、そういう事態については、またおのずから解釈も違ってこなければならないのではないだろうかというのが私どものただいまの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/169
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170・加藤進
○加藤進君 たいへん長い御答弁をいただきましたけれども、私の質問は、そういうことを聞いておるわけじゃないんです。奥野文部大臣が言われたように、あの法制定当時予期しなかったような事態が起こっているから、内申書の取り扱いについて市町村教育委員会からの内申を待たずにやることができると、こういう法解釈がいま出てきておる。そこで、私が聞いておるのは、それでは、この法律の制定のときに、いま言ったような事態は予想しなかったという証拠はどこにあるのかと、これを聞いているのです。私は御説明や解釈を聞いているのじゃないんです。法制局長官に聞いているのは、事実そういうことがあったのかどうか、その証拠がありますかと、この点だけをお聞きしているですから、あるならある、ありませんならありませんでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/170
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171・吉國一郎
○政府委員(吉國一郎君) そういう事態を予想していなかったという証拠はないと思います。予想しておりませんでしたから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/171
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172・加藤進
○加藤進君 けっこうです。
そこで、私は、文部省見解についてただすわけでございますけれども、文部省の通達もまたきわめて明確にこの法解釈についての文部省見解を示しておるわけであります。なお当時また、今日も文部省の高官である木田宏氏も、これはすでに前回でも触れられましたけれども、内申書なくして任免等を行なうことは違法だと、こう断定しておられる。違法なることを今日例外とか、あのときには予想しなかったような事態が起こっておるからといって文部省があえてやられる。ここに私は大きな問題がある、こう考えるわけでございますけれども、このような違法であるという文部省の断定を修正しなくてはならぬというのには、それ相当の理由が必要だと思いますが、その点については文部大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/172
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173・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) いまお述べきなりましたとおりの姿勢であくまでも私は臨んでいかなきゃならない、こう考えるわけでございます。そう考えるわけでございますが、幾ら待っても、また、幾ら督促をしても市町村が内申をよこさない、市町村としての責任を果たしてくれない、市町村が違法な状態を続けている、そういう場合には、都道府県は何ら責任を果たせないのかということになりますと、それはやはり都道府県は責任を果たさなければいけないでしょうと、こういう気持ちで申し上げておるわけであります。したがいまして、そういう場合には、しばしば申し上げるわけでございますけれども、期限を切って督促をしてもなおかつどうしても出てこない、そういう場合には、内申をしないという内申があったものとして処理せざるを得ないじゃないかと、積極的な意思表示もあるし、黙示の意思表示もありましょうというようなことを昨日お答えをさしていただいたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/173
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174・加藤進
○加藤進君 長官にはもうお帰りいただいてもけっこうです。
文部大臣、内申書が出ない、内申書を出してほしい、出せば処分もできるのに、こういう文部大臣やあるいは都道府県教育委員会の切なる意向があると思います。その意向に対して市町村教育委員会がどういう態度で受けるのか、こういう問題が市町村教育委員会との間の関係に出てくると思います。内申書が出る、これも一つの意思表示だと思います。内申書が出ない、あるいは市町村教育委員会が内申書を出すような必要はない、こう考えておる場合でも、文部省やあるいは都道府県教育委員会が出せというのになぜ出さぬのか、こういうことが一方的に断定し、強要できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/174
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175・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 内申書の出し方は、私はいろいろあると思うのです。こういう事案については戒告も不適当だと思うという内申の出し方もあろうかと思うのでございます。同時にまた、この内申を待ってということについては内申と違った処分をしてもさしつかえないんだということは皆さんおっしゃっているわけであります。内申書と違った処分をしてもさしつかえないにかかわらず、幾ら督促をしても市町村が責任を果たしてくれない、内申を出してくれない、そういう場合には、都道府県は責任を果たせないという解釈も私はいかがなものだろうか、こう考えるわけでございまして、そういう場合に内申をしないという内申があったものとして処理せざるを得ないのじゃないでしょうか、こう答えておるわけであります。しかし、こんなことは好ましいことじゃございません。たまたま衆議院におきまして、今度のようなストライキが行なわれる、秩序を守るためにはすみやかにそれなりの対応策をとるべきだと、非常に長い期間たってからやったりする、そういうことは行政処分としてはきわめて忠実な対応策ではない、こういう趣旨のお話があったわけであります。現にまた市町村が困っておられる。日教組の方々が内申をすべきでないということで、市町村に対しまして強い圧力をおかけになる。そういう圧力のもとでは市町村もなかなか内申を出しにくいというような、いろいろな雰囲気も実はあるわけでございまして、そういうところから、一部の方が言われますと、早くやるべきだ、こうおっしゃる、やれない、そういう場合には、やっぱりそういう解釈に立たざるを得ないじゃないかと、こうお答えしているわけであります。しかし、繰り返し申し上げますけれども、そういう事態になりますことは好ましくございませんで、あくまでも内申を待って処理するような、市町村教育委員会と都道府県教育委員会とが一体となって事務を処理するような体制を持ち続けたいものだと、かように念願をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/175
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176・加藤進
○加藤進君 ですから、内申書を出してほしいと、これはもう文部省あるいは都道府県教育委員会からの要望として当然あるところです。じゃ、これにまともにあるいは文部省、都道府県教育委員会の意向どおりに内申が出るか、出ないか。この問題については、私は市町村教育委員会が自主的に判断すべき問題だと思います。なぜか——たとえば処分の問題、文部大臣あるいは都道府県教育委員会は処分者を多数出せ、こういう要望があると考えましょうか。市町村教育委員会から見ると、そのような処分に該当するようなことはわが教育委員会なんかの中では、教員はやっておられません、こういうことになったならば、内申書は出さなくたっていいわけでしょう。これまで否定しますか。出せと言うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/176
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177・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) かりにストライキに参加されたという客観的な事実があったといたします、あったといたしまして、その事実についての意見を都道府県教育委員会としては市町村からの内申を待ってという場合に、やはり私はすなおに客観的な事実を市町村に内申していただくということが筋道じゃないだろうか、こう思うわけであります。市町村によりまして、これ対する対応策区々だろうと思います。しかし、都道府県の立場に立ちますと、なるたけ都道府県全体を通じまして均衡のある処分の行なわれること、私は何も重くしろとか、軽くしろとかと言うわけじゃございません。均衡のある処理が行なわれるということが、それぞれの関係者の納得を得る上においてもきわめて必要なことではないだろうかと、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/177
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178・加藤進
○加藤進君 ともかく、内申書なしには任免等を行なうことは違法であるというのが、文部省の正式見解として今日まで来ておるわけです。奥野文部大臣が、今回新たなる問題を提起された。これは、文部省の歴史の中において奥野文部大臣、歴史的なできごとだと思うんですよ。その奥野文部大臣が——文部大臣あるいは文部省として予想もできなかったような事態、すなわち内申書が出されないというような事態になったならば、覚悟があると言わぬばかりの発言なんですよ。だから、重大問題だと言うんです。法の解釈は、もうきちっとしているんです。法の解釈に基づいてやらなくちゃならない。その法の解釈がどういう根拠から出たということをもっと真剣に考えてみなくちゃならない、そうでしょう。ただ処分をしなくちゃならぬ、処分をしなくちゃならぬということだけから追及してみて、教育委員会、内申書出さぬのはけしからぬじゃないか、こんな簡単な論理では、この県教育委員会と市町村教育委員会との関係、文部省との関係を律することは不可能じゃないですか。私はそのあとでさらに意見を述べますけれども、こういうことを一方的に文部省や文部大臣の判断でやられるというところに大きな教育に関する問題が起こってくる。教育委員会の自主性は一体どこにあるのかと、言わなくてはならぬ問題が起こる。教育の地方分権主義というのは一体どこへ行くかと言わなくてはならぬような問題が起こってくるわけです。極論するなら、これは文部省の一方的な見解を押しつけて、教育の中央集権化の道を進もうというような意図が奥野文部大臣の中にあるのではないかと疑わざるを得ない問題でもあると思います。だからこそ私は、この問題については奥野文部大臣、あまり気ばり過ぎて、違法であるということまで断定されたような問題について軽々たる発言をされないようにすべきではないか。この前の当委員会におきましても発言がありました。もし、文部大臣の言われるようにされるというなら法改正が必要ではないかと言うのです。これは私は正論だと思います。現在の法解釈のもとにおいては違法であるし、あってはならないことなんです。これをやると言うんですから、これを現在の法律のもとにおいてやられると言うなら、これはもう文部大臣の一方的、独断的態度を押しつけるという、マキアベリズムです。独裁者の論理といっていいと思うんです。こういうことはやめなさいと言うんです。法のもとに、法を厳正に守るという立場でこの問題を処理するのがただ一つのわれわれの任務じゃないか、この点を踏みはずしてもらっては困る、こういうのが私の警告でございますから、よろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/178
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179・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は私なりに法律の純理を申し上げているわけでございます。中央集権とおっしゃいましたけれども、地方分権——都道府県教育委員会が人事権を持っている、市町村教育委員会が服務についての監督権を持っているのでございます。なぜ、都道府県教育委員会に人事権を持たせているか、それは都道府県を通じて人事権の適正な行使を行なわせよう、ばらばらな運営がなされたんじゃ適切を欠く、だから都道府県教育委員会に人事権を持たせているんです。一、二の教育委員会が自分なりの考えを突っぱねてあくまでも内申を出さない、そうすると、そこだけ行なわないでほかだけかりに処分を行なったとします、非常な不公平な処分結果を来たすんです。だから法律はどの市町村もすなおに内申をされるものという前提に立っているんです。だから内申なしでやることは違法だと言い切ってきたんです。私は、その文部省の態度は正しいと思うんです。しかし、もしどうしても内申を出さない、そういう市町村教育委員会が出た場合には、あくまでも処分できないのか、こうなりますと、衆議院の委員会でお述べになりましたように、法秩序を乱されているにかかわらず、いつまでもほうっておったんじゃ法秩序は守れないじゃないかというおしかりを受けたわけであります。いや、そういう場合には、やっぱり、幾ら督促しても内申をお出しいただけぬ場合には、それは都道府県の責任でやらざるを得ないでしょうと、こうお答えをしたわけであります。やはり都道府県教育委員会に人事権が与えられているんだという趣旨もぜひ御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/179
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180・加藤進
○加藤進君 そんなこと忘れておるつもりはありません。ただ、内申書の問題というのは、先ほども他の委員が触れられましたけれども、処分だけの問題じゃないでしょう。奥野文部大臣は処分、処分、処分と言って処分のことばかり頭に置いておられるようでございますけれども、内申書の問題は決して処分だけにとどまるものじゃないでしょう。その認識をまず私は改めてもらいたいと思うんですよ。
そこで、聞きますけれども。県費負担の教職員の服務を監督するところは一体どこですか。服務の監督ですよ。服務がどのように進められておるのか、どのように行なわれておるかということの監督は一体どこでやるの、監督権は一体どこにあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/180
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181・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 法律にきめられておりますように市町村教育委員会でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/181
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182・加藤進
○加藤進君 その点をひとつしっかり踏まえていただかないと事柄が誤ると言うんです。奥野文部大臣は処分処分と言って、とにかく服務に反する、こういうふうに見ながら、こういうことが現に行なわれておるのに市町村教育委員会から何ら内申書が出てない、こういうふうに言われますけれども、服務を直接監督しているもの、どのように服務が行なわれておるのか、あるいは服務が乱されておるのか、違反しておるのかということは、監督すべき教育委員会が自主的に判断すべき問題であって、この問題について上部の都道府県教育委員会にしろ、文部大臣にしろ、これに干渉を加えるなどというようなことは許しがたいことじゃないでしょうか。したがって、私たちが言うのは、市町村教育委員会における内申を待ってということに重みが出てくるんです。その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/182
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183・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 御承知のように、懲戒権は都道府県教育委員会にあるわけでございます。都道府県教育委員会といたしましては、都道府県におられます県費負担教職員全体がその運営について信頼を得ているようなことでなければならない、こう考えるわけであります。したがいまして、一部の地域をはずして他の地域だけで行なうというようなことは避けなきゃならない。処分に限りませず、人事の適正配置ということも、都道府県教育委員会に人事権が与えられている基本でございますので、そういう点については、各市町村教育委員会が協力をしてもらわなきゃならない、また、協力してもらうというたてまえで法解釈も申し上げてきていると、こう思うわけでございます。不幸な事態が起こった場合のことでございますので、あくまでもそういう事態の起こりませんように文部省としても指導していかなきゃならないと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/183
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184・加藤進
○加藤進君 ですから、市町村教育委員会以外には、教職員の服務がどのように行なわれておるのか、あるいはその中に違反が行なわれておるかどうか、こういうことを認定するところがないでしょう、ここをおいては。このことをしっかり踏まえていただかないといけないということでありまして、そのためにこそ、内申を待ってと言われておるわけでしょう。現認するのは、これ市町村教育委員会ですから、都道府県教育委員にその権限があるとか、文部大臣がそう見たからそのとおりだなどというような論理は許しがたいということが法の趣旨ではありませんか。だからこの市町村教育委員会がその教職員における服務の状況についてこれを現認する、認定するのであって、その服務監督権については、これは都道府県教育委員会にあるけれども、それは技術的には指導、助言、援助を原則とするというのが、昭和三十四年九月二十六日の和歌山地裁の判決じゃないですか、そうでしょう。これは間違いないですね。指導、助言ですよ。指導、助言の権限は都道府県教育委員会にあるけれども、服務の状態についての認定権は市町村教育委員会にある、これが私は正しい法解釈だと思います。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/184
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185・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は、たびたび申し上げていますように、市町村教育委員会の内申を待って都道府県教育委員会が人事権を行使するんだと、こう申し上げているわけであります。待たずにやっていいとは一つも言ってないんです。幾ら催促をしてもどうしても内申が出ないときにはどうなるのかということだけを申し上げているわけであります。同時にまた、市町村教育委員会は現場の教育委員会でございますので、服務の監督は法律上市町村が持っているんだと、こう示しておるわけであります。同時にしかし、人事権、懲戒権含めまして、それは都道府県教育委員会にあるんだということも法律が明定しているところでございます。その辺に両者呼吸合わせて運営していくという妙味を発揮しようと、これが法意だと思います。その両者呼吸を合わせてということがうまくいかぬ場合にはどうなんだろうかという非常に異例な一つの法解釈を申し上げているわけでございます。できる限りそんな事態が起こらないようにはしなけりゃならぬという気持ちには変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/185
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186・加藤進
○加藤進君 だからこそ指導、助言の立場に立ってその間の関係を正常化するように努力すべしと、こういうふうに法は言っていると思うんです。
そこで、この教員の内申の問題ですけれども、地教行法の第三十八条にいわれておる「任免その他の進退」、こういうのは何をさすのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/186
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187・岩間英太郎
○政府委員(岩間英太郎君) 詳しく申し上げますと、任用、免職、それから辞職承認、休職、復職、懲戒、給与決定、昇格、降格、昇給、降給、こういうものが含まれるわけでございますが、県費負担教職員につきまして都道府県の教育委員会が認められております以外のものというのは、たとえば教頭の発令でございますとか、職務命令でございますとか、こういうわずかなものでございます。それ以外の人事につきましては、先般大臣が申し上げましたように、都道府県の教育委員会にあるというふうに解されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/187
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188・加藤進
○加藤進君 ですから、その点について教職員の人事についてすべて市町村教育委員会の内申を待つことなしに都道府県教育委員会は行なってはならない、こういう結論が出るんじゃないでしょうか。ですから奥野文部大臣の言われるように、単なる処分ではなしに、教員人事のすべてに関係する、その教員人事については、市町村教育委員会にその権限を保障する、これが私は地方教育の地方分権主義ということの基本にかかわる問題だと思うんですけれども、その点は文部大臣、解釈はいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/188
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189・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 現在の地方分権とか、そうした権限の所在を私は一つも否定をしていないわけでございます。市町村からの内申が幾ら督促をしても出てこない場合に、それでは先生の発令をしないのかと、教育できないような現状も都道府県は目をつぶらなければならないのかと、そうなりますと、私は、やはり都道府県は責任を果たすべきだと、こう思うわけでございまして、そういうことも踏んまえまして、やはり都道府県内全体のことについて適正な人事行政を都道府県がやっていかなければならないわけでございますから、どんなに督促をし、待っても出てこない場合には手をこまねかなければならないわけじゃなくて、その場合には、内申をしないという内申があったという、黙示の意思表示があったとして都道府県はその責任を果たす以外に道はないんじゃありませんでしょうかと、こうお答えをしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/189
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190・加藤進
○加藤進君 これはいま言われたのは、法解釈というよりも、文部省ないし都道府県教育委員会が具体的に市町村教育委員会を指導し、あるいは助言を与える場合に起こる問題として言われておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/190
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191・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) やはり一つの法解釈だと思います。しかし、そんなことは法律は予想していませんし、できる限りそういう事態がないようにしなければならない、こうは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/191
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192・加藤進
○加藤進君 そういう点で、最近、文部大臣が市町村教育委員会から内申書が出ない、出ない、出ないということで何年も待ったというようないわば事例というのはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/192
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193・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 一昨日ですか、これもお答えをしたわけでございますけれども、事の起こりは、ある県の教育委員会の方が私のところに見えまして、一部の市町村の教育委員会、そこはいろいろな圧力を受けてどうしても出せない事態が生じて困っているんだ、こういうお話がございました。そのときに私なりの法解釈を言うたわけであります。そうしましたら、いや、文部省は元来内申がなければ都道府県は人事権を行使できないと言うているんですよと、ここで初めて問題の所在を知ったわけでございまして、それから法制局にも御相談し、私の解釈を検討してもらっているということでございまして、その過程において衆議院で質問が出ましたので、私なりの考え方を申し上げさせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/193
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194・加藤進
○加藤進君 ですから、話を聞きますと、事の起こりというものは非常に具体的な、しかも、ささいなことから起こってきている。それはある県の教育委員会から相談があったと、そのときの話で実は困っておるなどというようなことが出たというのが発端でしょう。私は、文教行政の最高責任者である文部大臣が、どこかの教育委員が訪ねてきて、困った、困ったというような苦情を申していたということだけをきっかけにして、これをいかにも法解釈がぜひ必要だなどというようなふうに大きく拡大して問題を出されるというところに行政官としてあるべき正しい姿勢が欠けるんじゃないかと、こういう気がするんですよ。私は、もう少し事柄を慎重に運んでいただきたい。こういう事例が起こり、こういう事例が起こる、それもまさにこれは法解釈そのものにかかわる問題だ、こういうような認識がお持ちなら別ですよ。しかし、いまの話によると、ほんとうにあったかどうか私は知りませんけれども、とにかく奥野文部大臣のところにそういう苦情が出たということだけなんですね。これでは、私は文教行政の最高の立場にあるいわば責任者としての役目を果たす、しかも、文部行政の担当として法を守る、法を厳正に守る、違法のものは違法として、守る、こういうふうにはっきりと文部省の一貫した法解釈があるわけですから、これは私ははっきりと堅持していただいて、事を処理していただくということが必要ではないかと、なお、これにつけ加えて申し上げますと、文部大臣はよく日教組は違法なストライキをやる、違法だ、違法だということを極論されるわけでございますけれども、もしいまの文部大臣の発言を許しておくなら、文部省の一貫した法解釈に違反することをあえて文部大臣が自己発言でこれを国会において公言して、あたかもその解釈が正当なるかのごときいわば立場をとられる、これは私は法を真に守るという趣旨からいうと、それるんではないか。私は、法を守るというのは現時点における法解釈を正確に守りつつ事を処理する、そして問題を提起することはけっこうでございますけれども、これはもっと慎重に十分論議をし合いながらかかるべき問題ではないか、こういうふうに私は忠告を申し上げなきゃならないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/194
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195・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 昨年の半日ストは、四月に行なわれたんですけれども、ことしになってから処分が行なわれたりしているわけでございます。私はいずれにしてもあまり適当なことでないなという気持ちを持っているんですけれども、市町村の中でごく一部ですけれども内申を出してくれない、それが延びに延びてことしようやく内申を出してもらってやっと処分をしたというようなことがあったりするものですから、事務当局に検討を命じておるわけであります。事務当局で検討した結果を地方の教育委員会へ通達をする、やはりその前に、こうやってたいへん御熱心な国会の御論議をいただいたんで私はしあわせしたなと、こう思っているわけでございます。やはり十分御論議をいただいた結果で結論出すべきものだろう、こう思っております。したがって、まだ通達をしていないわけでございますけれども、多くの論議を踏まえて混乱が起きないような処理を私たちとしては考えていかなきゃならない、かように思っております。今後とも、そういうふうな姿勢で臨んでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/195
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196・加藤進
○加藤進君 その点は慎重に、しかも法解釈にもとらないような姿勢でひとつ対処していただきたいということをお願いしておきます。
そこで、処分の問題に入るわけですけれども、今度の教員ストに対する一斉強制捜査、これほど世論の非難をあびた捜査はないと思うんです。新聞をごらんください、どの新聞だって歓迎をしておりません。ある新聞はあまりにも政治的過ぎる捜査だと、行き過ぎは言うまでもないけれども、異例の捜査だと、何がゆえに春闘のまっただ中でやらなくてはならぬのか、しかも、日教組だけになぜねらい打ちをしておるのか、素朴な疑問ですけれども、これは疑問として私は当然な疑問だと思うんですね。しかも、政治的な背景からいったらどうでしょうか。文部大臣やあるいは田中総理が、やれ「日の丸」だ、やれ「君が代」だと言われる、教育勅語まで賛美される、そして靖国神社法案は強行され、教頭法も強行採決と、こういう異常事態が続いておる中で、日教組に対してはいかにもこれを敵視するような発言が相次いで行なわれる、こういう事態でしょう。これは私は政府がつくり出した政治的な新しい雰囲気や情勢だと思うんです。しかも、目の前には参議院選挙がある。物価問題では追いつめられた。となれば、論点をすりかえていくためには、教育問題が一番国民にアピールしやすいだろう、みんなそう言っていますよ。御存じでしょう。そういう状況なんです。そういう状況のもとで今回の事件が起こっているんです。今回の強制捜査がやられているんです。だから異常だと言うのです。私は異常というような表現や受け取り方はよくわかると思う。全部が全部と私申しませんよ。広範な人たちがそう感じているんですよ。
そこで、私は聞きたいんでございますけれども、警察庁、まず何のために春闘のまっただ中で、しかもそのスト権があるかどうかということが焦点として戦われておるそのまっただ中で、日教組だけをなぜねらってこのような強制捜査に踏み切られたのであるか。私は、その点をひとつ国会を通じて国民の前に解明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/196
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197・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) われわれとしては、国家公務員法違反あるいは地方公務員法違反ということで、国家公務員の労組あるいは地方公務員の労組、これが今回の春闘の中において行なった違法な争議行為、これについて捜査をそれぞれの都道府県警察がいたしておったわけですが、その捜査の中において、具体的にこの法律違反という形で問擬できるだけの証拠が集まったのがたまたま日教組関係であるというだけであって、ほかの関係の労組の違法行為についても、それぞれの府県警察において適切な捜査をしておるはずでございますが、まだそれを強制捜査という形で問擬するに至っていないというだけの現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/197
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198・加藤進
○加藤進君 それでお聞きしますけれども、いままで教員のスト行為に対してストの当日、ストライキのさなかで、これが行なわれたというような強制捜査は例があるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/198
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199・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) その当日というものは、私どもちょっと資料を持っておりません。そういう事実はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/199
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200・加藤進
○加藤進君 ないようなことが今回はやられた、だから異例だというのですよ。
そこで、なぜ一体そういうスト中に捜査を強行しなければならなかったか、そのいわば納得できるような理由は何であったか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/200
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201・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) その理由は、非常に技術的なことでございますが、やはり捜査を進めていく上で証拠をしっかり押えなきゃいかぬわけでございますが、その当日の動きを見ますと、いろいろと証拠隠滅の動きがあるということで、時期的には、その当日の争議行為の終わった時間帯、すなわち五時以降、こういう形での強制捜査を実施せざるを得ないというふうに考えて捜査をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/201
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202・加藤進
○加藤進君 そうすると、ストライキ中なら証拠隠滅も行なわれないだろう、事前に手を打て、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/202
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203・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) そういうような証拠隠滅の動きが具体的に出てきておりますので、われわれ捜査をやる者の立場からいうと、それを放置するわけにはいかないということで、当日の強制捜査ということに踏み切ったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/203
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204・加藤進
○加藤進君 今度の一斉捜査というのは、きわめて大規模だということですが、この大規模な一斉捜査はもうこれで終わっているんでしょうか。それとも今後もなお続けられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/204
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205・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 本件、この間の四月十一日の争議行為に対する捜査というのは、現在まだ捜査を進めておる段階でございますので、これからどういうふうに展開するか、いまの段階で私から申し上げることができないという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/205
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206・加藤進
○加藤進君 ですから、まだ今後捜査が拡大するという可能性もある、こういうことを認められたわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/206
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207・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) その法律によればそういうあおり等の行為のいろいろな立証にいま入っているわけでありますので、これからどういう形で展開していくか、いま、私から申し上げるだけの材料がそろっていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/207
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208・加藤進
○加藤進君 全国の中で三十数県を内定したけれども、その中で、特に十二県をマークして、これに一斉立ち入りを行なった、こういうことですね。
そこで、お尋ねしますけれども、全国の数ある県の中で愛知県も入っておるわけですけれども、愛知県はどういう理由で十二県の中に入っておるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/208
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209・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) やはり愛知県といっても、抽象的にしか申し上げられませんが、これの違反の具体的な証拠が集まってきて、それによって強制捜索できるだけの証拠が集まったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/209
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210・加藤進
○加藤進君 捜査の条件がとにかく愛知では存在していると、こういうことが理由ですね。
そこで、お尋ねしますけれども、今度の捜査で、愛知県の高等学校教育教員組合の本部が捜査を受けましたね。この本部捜査にあたっての捜査令状というのはどういう内容のものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/210
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211・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) これは、やはり地方公務員法六十一条四号のあおり等の行為に対する証拠を集める、そういう物件を捜索、差し押えするという令状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/211
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212・加藤進
○加藤進君 捜査令状の文面は御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/212
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213・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 各府県からそれぞれの捜索、差し押えについての正確な文言をわれわれのほうに報告とっておりませんので、申し上げられませんけれども、その体系というのは、やはり地公法の第六十一条違反という形でそれに関係ある物件ということで、組合の規約等々、それぞれそれを立証するに足る物件の名前があげられておるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/213
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214・加藤進
○加藤進君 ばく然とお答えになりましたから、私が正式の捜査令状の一部を読みましょう。「被疑者槇枝元文に対する地公法六十一条第四号違反被疑事件」、こういうことですね。だから日教組の委員長の槇枝元文氏にかかわる容疑に関してこの捜査が行なわれた、こう見ていいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/214
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215・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) それは、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/215
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216・加藤進
○加藤進君 こうして、日教組の委員長にからまる容疑ということで、愛教組の本部が捜査を受け、さらに、それに関連する組合員あるいは学校あるいは個人のお宅等々がずっと捜査を受けましたね。こういうことがもし許されるというなら、日教組の委員長の容疑ということで、組合員の数は六十万といわれていますが、六十万全体に捜査の網を広げるということだって警察庁はやろうとすれば、これはできるわけですね。できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/216
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217・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 結局、この法律に書いてありますあおり行為ですね、あおり等の行為、これらを立証するに足りる証拠を集めるということでございますので、そこいらは一応おのずからの限界があろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/217
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218・加藤進
○加藤進君 にもかかわらず、それは警察庁の見解に基づくわけでしょう。だから、今度のようなきわめて大規模な広範な捜査が行なわれたのでしょう。もし、こういうことが、警察庁の一方的な判断で行なわれるとすれば、教員組合ばかりじゃないですね。労働組合だって、労働組合の委員長に関する容疑、こういうことが理由に掲げられるなら、これどういうことになるでしょうか。労働組合員あるいは家族等々に対する捜査ということだって可能だと、私は、もしこういうことがほかの労働組合あるいは民主団体に行なわれるとすると、結果においてどういうことになるか。今度の捜査の結果、どこに捜査のいわば手が伸びておりますか。学校の先生の机まで、あるいはロッカーまで錠前まではずしてやられているのですよ。こういうことが許されるということになりますと、これは国民はたまったものじゃありませんね。労働組合をはじめ組合法に基づく、法に基づいてつくられた団体にしろ、その内部が全く混乱されるような事態というのは、これは起こるでしょう。家族に対してもそうですよ。こういう重大な問題ですから、このいわば弾圧事件というのは、単に教員組合だけにかかわる問題ではない、労働運動あるいは民主主義運動全体にかかわる重大な問題だ、こういうことで、大学の諸先生をはじめ多数の人たちがこういうやり方に対して、こういう今回の弾圧に対して大きな抗議運動が起こっているわけですよ。この点は御存じですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/218
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219・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) この種、地方公務員法違反の事件、これは組織を背景としておりますし、したがって、その犯罪のあおり行為の実態を、その経緯を解明するといいますか、それを立証するのが非常に複雑でむずかしく、かつ関係者も多数にわたると言わざるを得ないと思うわけでございます。したがって、被疑者何々に関するといいましてもかなりそれは組織の下のほうまで、たとえば分会等についてまで捜索を実施せざるを得ないということは捜査技術上やむを得ないと考えておりますが、これはどこまでもこの種の、今度で申しましても地方公務員法違反という、その六十一条四号違反という観点からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/219
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220・加藤進
○加藤進君 ですから、あおり行為の容疑を調べるという口実さえ、理由さえつけば、どんなところにまででも捜索ができる、こういう重大な問題が今度出てきておるわけです。しかも、大規模だということばかりでなしに、この捜査のやり方というものがきわめて異常だと、これはすでに他の委員の方たちも触れられました。
私も、この点について若干触れたいと思いますけれども、四月十九日付の読売新聞によりますと、こう出ています、広島市で「妊娠九か月で産休中や病休中の女教師が任意出頭を求められ、このうち病休中の女教師は容体が悪化した。」、こういう事態が起こっておるのですけれども、これは警察庁も現認しておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/220
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221・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) お答えいたします。
お尋ねの件、四月十九日付の読売新聞の記事に出ておりましたので、さっそく広島県警で調査をしてもらいましたところ、これらの事実について——この記事の内容いろいろあるわけでございますが、出頭を拒否すると逮捕することもあるとか、あるいは本人が不在のため数度口頭で、また訪れた本人が産休中や病気中であったりしたことがあったということですが、こういうことは、全くないということでございます。まあわれわれとしては、参考人取り調べについて常に平素から強制にわたるような言動をとらないように、またいろいろな場合、よく条件を考えて無理しないようにということは言っておるわけでございますが、そういうことからしても、こういう事実は全くないし、この報道によりますと、何か法務局に調査を依頼したというようなことでございますが、法務局に行きましても、そういうことはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/221
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222・加藤進
○加藤進君 私は、人権じゅうりんの捜査が行なわれておるのではないかという、そういう意味でいま新聞の切り抜きをお示ししたわけです。
私は、では、ほかのところから言います。これは各県の資料が集まっておりますけれども、埼玉県です。上尾署の五人が四枚つづりの捜査令状を持ってきて、表紙だけを見せて捜査させろと、こう言った、こういうのです。こんな表紙だけを見せるだけで、中身も見せないような捜査令状では捜査してもらっては困りますと、こう言ったら、こちらにも考えがあると言って、直ちに十二人ばかりの機動隊が呼ばれたんです。で、家の庭に機動隊が待機して脅迫した。大塚さんという方ですけれども、やむを得ず戸をあけて内に入れた。こういう事実が埼玉県の上尾で起こっているわけです。
さらに三郷市栄中学の光山可南子さんです。この先生は本人が留守で、吉川署の五人が教員住宅である光山先生の部屋に捜査にきた。初め間違って隣りの人の部屋を調べたが、先生が帰宅すると間違いがわかって、あわてて光山先生の部屋を捜索し始めた。留守の間に消防職員を立ち会い人にさせてやってきた。光山先生が捜査の理由を尋ねると、令状を見せたので、写そうとしたら写してはいかぬと言われてやむを得ず読むだけにした。そのうち外に支援にかけつけた人たちがやってきて声をかけると、警官はドアをあけさせずに内側からかぎをかけてしまった。光山先生がほかの人々と連絡すると、二人の警官がドアの両側に立ってドアをあけさせなかった。捜査は三時間半に及んだ。立ち合い人にさせられた消防職員の上司の人がやってきて、こんなひどいことになるのなら立ち会い人にさせるのではなかったとおこって、その消防士を引き上げさしている。こういう事例は、私が読んだらきりがありませんよ。これで厳正公平と申しますか、厳正中立な捜査、こういう警察庁のいわばキャッチフレーズがほんとうに生かされておるんでしょうか。こんなことまで、厳正で公平だといってよろしいと、こういう捜査であたりまえだと、こういうのが警察庁の姿勢なんでしょうか。こんなことはあってはならぬ、こういうことは厳に戒しめておって、こういうことが起こらないような何らの注意や警告というようなことを発せられたかどうか、その事実をはっきりあなたたちはつかんでおられるかどうか、この点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/222
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223・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 最初の埼玉県で表紙だけ見せて中を見せなかったということですが、そういうことは、ちょっと聞きましたので調べたんでございますが、そういう事実はないと、表紙はもちろん見せますけれども、さらにその中身も見せるということは日ごろから十分捜索にあたって捜査官の心がまえとして示しておりますので、表紙だけであとを見せないというようなことは考えられないということでございます。また、アパートの部屋を、教員住宅ですが、この際、先生が不在、これは三郷市でございますが、先生が不在であったということで、三郷消防署員に連絡して立ち会い人になってもらったと、そしてかぎがなかったので、かぎ屋を呼んできて合いかぎであけて入って捜索をしたということでございまして、また、それには消防署員が立ち会ったわけでございますが、しばらくたって先生が帰ってこられたのでこの捜索差押許可状を示して立ち会い人になっていただいて、捜索を続けて押収品目録交付書を交付をして帰ったということでございますが、この間、ここはまあ教員住宅ということで、ここに住んでおられる先生方数十人が集まって、まあ不当弾圧ということで、この捜索中の先生の部屋に入ってこようという気配を示したので、入ってこられては捜査に妨害になるということで、入ってもらわないように、いわば中からかぎをかけて、そうして入れないような形にして捜索を実施した。もちろん、最初から消防職員の立ち会いのもとでやったわけでございまして、いろいろと調べたんでございますが、われわれのほうとしては、そのようなことで、特に何といいますか、違法な捜索、差し押えではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/223
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224・加藤進
○加藤進君 人権侵害は、だからなかったと、捜査は厳正公平に行なわれていた、こう言うのですね。
しかし、ちょっと聞きますが、埼玉県教組の書記の島田さんの留守のところへ十一日、二十二時十五分に、浦和署の巡査部長など五名が捜査に来た。二十二時十五分ですね。十二日の零時二十分まで捜査を行なった。立と会い人は島田さん一人であったと言われ、奥さんも子供も外に出されて、やむを得ず他の家へ一時連れていった。こういう事態が起こっておりますが、これでも人権じゅうりんはなかった、公正な捜査が行なわれたと、こう言うのでしょうか。
もう一つあります。大里郡寄居中学の浅見先生の自宅に、十一日夜寄居署から五人ばかりがやって来た。本人は、留守のところへ来て、近くの消防署員を立ち会わせ、本人の家のかぎを破壊して内に入って捜索した。これも正常な捜査だと警察庁は言われるんでしょうか。
まだ、そのような類例は幾らでもありますけれども、私は、この程度にしておきますけれども、これで厳正適切な捜査であると、こういうふうに言われるんでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/224
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225・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 埼玉県の事件でございますが、これは、浦和市内の埼玉県教組書記長の自宅の捜索の際の事案と思われますが、十二日の夜、同宅で、夫人を立ち会い人として、捜索を終了した後、押収品の目録交付書をつくって、夫人に対して、これは受け取るように申し入れたが、拒否されて交付できなかったというような事案がございまして、これはあとで本人あてに送付いたしております。
それからもう一つは、御質問のは大里支部でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/225
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226・加藤進
○加藤進君 大里郡寄居中学です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/226
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227・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 寄居のほうで、われわれのほうの報告では、そういうようなおそい時間になったというのはございません。先生のほうで具体的に氏名等おわかりになれば、私どもでまた調査をいたします。
それからかぎをこわしたというような事案でございますが、このかぎをこわして入ったという事案について、やはり報告は来ておりません。ただ、もちろんどうしてもかぎがない場合は、刑事訴訟法の規定によって必要な処分をすることができるということでございますので、その状況をよく調べなきゃいけませんが、ただ、かぎをこわしたというだけで違法であるということにはならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/227
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228・加藤進
○加藤進君 まあ、下部からの報告はそういうことかもしれません。しかし、受けた本人は決してこれに納得しないと思うのですよ、そういう報告では。
東京都の話をします。荒川区の組合の書記長、これは自宅に夜捜査がされた。生後八カ月の嬰児がはしかで病気になっているところへ押し入られた。早く捜査を終わらしてほしいと、こういうふうに要望したのに対して、病気の子供は入院させればいい、こういう暴言を吐いたために、一日中この子は泣きやまなかった、まあこういう事実もあります。
それからもう一つ、文京区の大塚署の小沢巡査ですが、聞き込みに来て、二千円程度のお礼のバナナを持ってきたそうですけれども、こういうこともまた捜査の常套手段として、いつも厳正公正にやられる部類に入るのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/228
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229・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) 荒川における病気の子供さんのこと、これについては、そういうような報告は来ておりませんので何ともお答えできないわけでございます。
それから、何かお礼にくだものを持っていった、お礼といいますか、くだものを持っていったということでございますが、それについてもきょう一部の新聞に出ておりましたので調査いたしましたけれども、そういうような事実を現在把握していないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/229
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230・加藤進
○加藤進君 警察庁、しかし、すべてが厳正、公平、中立にやられた、こう主張されたいのでありましょうけれども、事実は決してそうでないのですから、多少の行き過ぎはあったくらいのことは言われたほうがいいじゃないですか。もう少し、厳正、公平な態度でやってもらわなければ国民は困るのです。とりわけこのような状態で、権力による捜査ですから、人権じゅうりんが起こるのです。
そこで、文部大臣、これは文部大臣にも直接重要な関係を持っていますね。こういう捜査が行なわれたために、学校教育の計画的な遂行が非常に阻害された、こういう事例についてはお聞きになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/230
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231・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 承知しておりませんけれども、こういう事件はかなり大きな衝撃を与えていることは間違いないと思います。ぜひ、衝撃から立ち直ってよい方向に教育を進めてもらいたいものだと、かように念願をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/231
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232・加藤進
○加藤進君 具体的な事実を御存じないようですから若干申し上げますと、教員が出勤途上強制的に連行されて授業ができなかった。子供たちはといえば、新学期で新しい先生に期待をかけている、その授業ができないような状態になった、こういう事例がありますよ。それから、夜おそく四回も聞き込みにこられて、女の方ですけれども、恐怖を感じて友人の宅に泊まった。こんな先生が次の日に正常な授業ができるか、これはできませんね。ですから、捜査をやるということによって、また捜査のやり方によって、こういう事態が教育の上に非常に大きな影を残しているのです。子供たちはどう見るでしょう。目の前で先生が連れていかれた、目の前で職員室にがちゃがちゃと捜査が行なわれた。そういうことがありますよ、昼間はストで休んでいますけれども、夜間高校ありますね、定時制があります。生徒たち見ていた。そこで、母親たちはどう見ているかというと、これは先生たちのストよりも、あんなことをやられたほうが私たちは心配でならない、子供たちにどんな影響があるのだろう、こういう声が出てきておる、これは当然だと思うのです。こういう状態について、文部大臣は、私は少なくとも、文教行政の担当者であるなら、なお、警察庁に対してこのような具体的な事例が示されておるわけだから、こういうことが絶対に今後起こり得ないようなという意味の警告一つぐらい、あるいは注文一つぐらいつけられても、私はよさそうなものではないかと思うのですけれども、文部大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/232
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233・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) いずれにいたしましても、こういう事態の起こらないように最善の努力を払うのは私の責任だと思います。そういうつもりで就任以来努力を傾けてまいったつもりでございます。不幸にしてこういう事態になったわけでございますけれども、警察当局といたしましても、教育現場の混乱は最小限度にとどめて必要な警察上の責務を果たそうと、こう考えていただいていることも、これは当然理解できることでありますので、私としては、警察当局を信頼していきたい、こう思っております。
特異な事態が起こった場合には、私なりにまた行動もとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/233
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234・山本鎮彦
○政府委員(山本鎮彦君) ただいま授業中に捜索をしたとかということでございますが、そういうことはわれわれとして厳に戒めてそういうことのないようにという指導をいたしておりますので、それはないと考えております。現在そのような報告はございませんし、また、子供の前で先生を連行したというのですが、これもまた、連行というのはいわば強制力を用いたということばでしょうが、そういうことは絶対にないというふうに確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/234
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235・加藤進
○加藤進君 警察には警察の言い分があることは私も存じております。しかし、文部大臣は文部省の立場があるし、文教行政の責任者でもあります。私は、学校の先生たちがこの捜査によってどのような影響を受けておるか、そのために、子供たちに対する影響はどうか、学校教育の計画的遂行はすなおに順調にいっておるのかどうか、私はこれを文部省として十分調査する必要があると思いますけれども、そのような点について、調査をされたことあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/235
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236・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) ストライキをすることも、警察が手入れをすることも、教育現場に対しては大きな衝撃だと考えておるわけでございます。
将来とも、将来またとこういうような事態の生じないように私としては努力をしていきたいものだと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/236
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237・加藤進
○加藤進君 最後に、私は注文をしておきますけれども、とにかくこういう事態は現に起こっているのですから、起こっておる事態について十分に状況を掌握するということ、そのための調査をやるということ、そのためのいわばどういう意味で教育上さらにこの点についての対策を立てるか、対処していくか、こういう私は方策が必要だと思うのです。その点について文部大臣、そのような御決意があるかどうか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/237
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238・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) できるだけ客観的な情勢を把握していきたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/238
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239・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) よろしゅうございますか。
本件に関する質疑はこの程度にとどめ、暫時休憩いたします。
午後五時三十七分休憩
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午後六時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/239
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240・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
学校教育法の一部を改正する法律案(第七十一回国会閣法第一一二号)を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。奥野文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/240
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241・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) このたび政府から提出いたしました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現在、小学校、中学校、高等学校、盲・ろう・養護学校及び幼稚園の教頭は、文部省令の規定により教諭をもって充てることとなっておりますが、各学校における実態は、校長に次ぐ重要な地位を占めるものとなっており、その職務の内容も全国的に見てほぼ定型化されてきておりますので、この際、その地位と職務内容に応じて、教諭とは別に独立の職として法律上その位置づけを明確にする必要があります。
また、小学校、中学校、高等学校、盲・ろう・養護学校等に置かれております養護助教諭、講師、実習助手、寮母につきましても、その職務内容は、現在、文部省令に規定されているだけでありますが、市町村立学校職員給与負担法など、教育職員に関する他の諸法律の適用については、校長、教諭等と同様に取り扱われておりますので、この際、明確にこれらの職員の設置と職務内容をこの法律に規定する必要があると考え、この法律案を提案したものであります。
次に、この法律案の概要について申し上げます。
第一に、小学校、中学校、盲・ろう・養護学校及び幼稚園には、原則として教頭を置くこととし、その職務は、校長を助け、校務を整理し、児童、生徒の教育をつかさどることとするとともに、校長が欠けたときは、その職務を代理し、校長に事故があるときは、その職務を代行することができるようにいたしました。
第二に、高等学校につきましては、全日制の課程、定時制の課程及び通信制の課程には、それぞれの課程に関する校務を分担整理する教頭を置くこととし、その職務については、小・中学校等の場合と同様にいたしました。
第三に、小学校、中学校等の講師及び養護助教諭につきましては、教諭または養護教諭が得られない場合にこれらの職にかえて置かれる職であることを明らかにし、その職務を明確に規定することとするとともに、高等学校には、実習助手を置くことができることとして、その職務を規定いたしました。
第四に、盲・ろう・養護学校に寄宿舎を置くこととし、これらの学校には、寮母を置かなければならないこととして、その職務を規定いたしました。
第五に、この法律の施行期日を、公布の日から起算して三月を経過した日といたしました。
以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/241
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242・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員受田新吉君から説明を聴取いたします。受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/242
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243・受田新吉
○衆議院議員(受田新吉君) ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正につきまして御説明申し上げます。本修正は、自由民主党及び民社党の共同提案にかかるものであります。
修正案文につきましては、すでにお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。
次に、修正の趣旨を御説明いたします。
第一は、教頭は、学校の管理運営上の職務に従事することとし、必要に応じ教育または保育をつかさどることとしております。
第二は、小・中学校等には、特別の事情のあるときは、教諭等にかえて助教諭等を置くことができることとする改正規定を整備することとしております。
第三は、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法が公布されましたので、関係規定の整備を行なうこととしております。
以上をもちまして修正案の趣旨の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/243
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244・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) 以上をもちまして本案の趣旨説明の聴取並びに衆議院における修正部分の説明聴取は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/244
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245・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) 次に、義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇に関する法律案(第七十一回国会参第二五号)を議題とし、発議者から趣旨説明を聴取いたします。加藤進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/245
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246・加藤進
○加藤進君 日本社会党、公明党、民社党、日本共産党の共同提案による義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇に関する法律案の提案理由を申し上げます。
ただいま議題となりました義務教育諸学校等の女子教育職員の育児休暇に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
御承知のとおり、女子教育職員育児休暇制度の問題については、本委員会において、昭和四十二年以降六年間にわたり熱心に論議されてまいりました。特に一昨年の第六十八回国会においては、この問題に関する小委員会が設置され、鋭意検討の結果、成案が得られ、文教委員長提出法律案として参議院で可決されましたが、残念ながら衆議院で審査未了となりました。その後も今日まで、数々の努力が関係者の間でなされてまいりましたが、いまだ日の目を見ていないことも御案内のとおりであります。
そこで、各般の情勢を検討した結果、ここに社会、公明、民社、共産の四党共同提案として、一昨年の委員会決定案と同じ内容の法律案を提出することといたしました。
まず、提案理由を簡明に申し上げます。
今日、幼稚園から高校までの義務教育諸学校等に勤務する女子教育職員は四〇%を占め、年間出産者も約二万人に及んでおります。核家族が多く、保育施設も不足している状況の中で、これらの女子教育職員は、退職を余儀なくされたり、あるいは職にとどまっても職務を十分に遂行できない実情にあります。
そこで、こうした人々に対し、育児休暇を認め、休暇終了後引き続いて勤務できる措置を講じ、その間は代替教員を配置することによって一貫した教育を行ない、もって学校教育の維持向上をはかることが適切であるとして本法律案を提出いたしました。
次に、内容のおもな点について御説明申し上げます。
第一に、幼稚園から高等学校までの国公立学校に勤務する女子教育職員で、一歳未満の子を育てるものが育児休暇を申請した場合、任命権者は、特別の事情のない限り、これを承認しなければならないこと。
第二に、育児休暇期間は、産後休暇終了の翌日から生児が一歳に達する日の属する学期の末日までを原則とすること。
第三に、育児休暇を承認された女子教育職員は、その間身分を保有するが職務に従事せず、給与は支給されないこと。ただし任命権者は、教育上特に必要があると認めるときは、育児休暇中の女子教育職員に対し、一月に三日以内の勤務を命ずることができることとし、その場合には相当額の給与を支給すること。
第四に、女子教育職員は、育児休暇により勤務しなかったことを理由に不当に不利益な取り扱いを受けないこと。
第五に、任命権者は、育児休暇を認める女子教育職員にかわる教育職員を臨時的に配置すること。
第六には、退職手当、復職時の俸給調整、公務災害補償、労働基準等、その他の法律関係につき所要の規定を定めたこと。
第七には、私立学校の設置者は、育児休暇制度を実施するようにつとめること。
第八には、この法律の施行期日を昭和四十八年九月一日からとしたこと。
第九には、本法施行前六カ月以内に産後休暇を満了した女子教育職員で、法施行後一カ月以内に育児休暇を申請した者には、本法が適用されることを経過措置として定めたこと。
以上が本法律案の提案理由並びにその内容であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/246
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247・世耕政隆
○委員長(世耕政隆君) 以上、両案に対する質疑は、後日に行なうことといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後六時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215077X01019740425/247
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