1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年四月十二日(金曜日)
午前十時八分開議
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○議事日程 第十八号
昭和四十九年四月十二日
午前十時開議
第一 国務大臣の報告に関する件(昭和四十七
年度決算の概要について)
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○本日の会議に付した案件
一、国家公務員等の任命に関する件
以下 議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/0
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001・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。この際、国家公務員等の任命に関する件についておはかりいたします。内閣から、原子力委員会委員に松井明君、宮島龍興君を任命することについて本院の同意を求めてまいりました。まず、宮島龍興君の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/1
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002・河野謙三
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/2
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003・河野謙三
○議長(河野謙三君) 次に、松井明君の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/3
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004・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/4
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005・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(昭和四十七年度決算の概要について)
大蔵大臣から発言を求められております。発言を許します。福田大蔵大臣。
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/5
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006・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十七年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。
昭和四十七年度予算は、昭和四十七年四月二十八日に成立いたしました。この予算は、わが国経済と国際経済との調和をはかりつつ、国民福祉の向上をはかるという基本方針のもとに編成されたものであります。さらに、その後における人事院勧告の実施等に伴う公務員の給与改善等について措置するほか、経済情勢の変化に伴い特に緊要となった経費について所要の措置を講ずるため、昭和四十七年十一月十三日補正予算が成立いたしました。この補正によりまして、昭和四十七年度一般会計予算は、歳入歳出とも十二兆千百八十九億四千九百十三万八千円となりました。
以下、昭和四十七年度決算についてその内容を数字をあげて御説明申し上げます。
まず、一般会計におきましては、歳入の決算額は十二兆七千九百三十八億円余、歳出の決算額は十一兆九千三百二十一億円余でありまして、差し引き八千六百十七億円余の剰余を生じました。この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして一般会計の昭和四十八年度の歳入に繰り入れ済みであります。
なお、昭和四十七年度における財政法第六条の純剰余金は二千八百五十七億円余であります。
以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額十二兆千百八十九億円余に比べて六千七百四十九億円余の増加となるのでありますが、この増加額には前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額三千百二億円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和四十七年度の歳入の純増加額は三千六百四十七億円余となるのであります。その内訳は、租税及び印紙収入、雑収入等の増加額七千二百四十七億円余、公債金における減少額三千六百億円余となっております。
一方、歳出につきましては、予算額十二兆千百八十九億円余に昭和四十六年度からの繰り越し額九百五億円余を加えました歳出予算現額十二兆二千九十四億円余に対しまして、支出済み歳出額は十一兆九千三百二十一億円余でありまして、その差額二千七百七十三億円余のうち、昭和四十八年度に繰り越しました額は千八百六十五億円余となっており、不用となりました額は九百七億円余となっております。
次に、予備費でありますが、昭和四十七年度一般会計における予備費の予算額は千百億円であり、その使用額は千九十九億円余であります。
次に、昭和四十七年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十一でありまして、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。
なお、これらの特別会計の歳入歳出の決算額を合計いたしますと、歳入決算におきましては二十二兆五千六百七十二億円余、歳出決算におきましては、十九兆三千六百九十七億円余であります。
次に、昭和四十七年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は十兆三百二十六億円余でありまして、この資金からの歳入への組み入れ額等は十兆五十一億円余でありますので、差し引き二百七十五億円余が昭和四十七年度末の資金残額と相なります。これは、主として国税にかかわる還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。
次に、昭和四十七年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。
以上、昭和四十七年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明いたした次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/6
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007・河野謙三
○議長(河野謙三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小谷守君。
〔小谷守君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/7
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008・小谷守
○小谷守君 私は、日本社会党を代表して、ただいま御報告のありました昭和四十七年度決算について、田中総理をはじめ関係各大臣に質問を申し上げたいと存じます。
昭和四十七年という年は、田中総理にとっては、長年の宿願を果たして首相の座につかれた記念すべき年であったと思うのでありますが、皮肉にも国民にとっては深刻な不幸と苦しみに向けての出発の年であったと言わざるを得ません。すなわち、狂乱するインフレ、大企業の不当利得、それに伴う国民生活の破壊等、今日の経済破局の原一因の多くは昭和四十七年度中に種をまかれたものであります。
以下、昭和四十七年度を中心に田中内閣の施策の誤りと問題点を具体的に指摘し、政府の解明を求めるものであります。
その第一はインフレ問題であります。
昭和四十七年度の前半は、四十六年十二月に一ドル三百八円の基準レートがいわゆるスミソニアン合意という形で実施され、四十六年八月十五日以降のドルショックによる混乱がどうにか終息したこともあって、物価は若干の微騰はあったもののやや安定したかに見えたのであります。特に国鉄運賃の値上げと健保の改悪が政府の強引な成立意図にもかかわらず廃案となったことは、物価へのはね返りを抑制し、国民生活の脅威を一時的にもせよ免れることができましたことは、特筆すべきことであったのであります。ところが、田中内閣が成立した七月を過ぎ、政策意図が漸次具体化されるにつれて、皮肉にも卸売り物価が騰勢に転じ始めたのであります。日本銀行の統計によりますと、卸売り物価の総平均は、昭和四十七年の一月から七月まで対前月比が〇・一ないし〇・二%程度だったものが、八月には〇・六%、九月、十月には〇・七%、十一月には一・五%、十二月には一・六%とウナギ登りとなり、以後今日に至るまで加速度的に上昇を続けてまいったのが実情であります。消費者物価もこれに呼応するように八月から騰勢を強めてまいったのであります。この原因は一体どこにあったと思われますか。政府は「昭和四十七年度決算の説明」においても、年度後半からの卸売り物価の急激な上昇を認め、その主要な原因として需要の急速な拡大、供給面における制約、海外物価の高騰をあげているのでありますが、これではみずからの政策の誤りについての一片の反省も示されておらないのであります。日本社会党は、今日の不幸を予測し、当時から何回となく経済政策の転換について政府に進言し、警告してまいりましたが、政府はこれに一顧も与えず独走を続けて今日の挫折に逢着したのであります。
私は、簡潔に主要な原因について指摘いたします。すなわち、その第一は、田中総理の持論である日本列島改造論を引き金とするインフレマインドであり、第二は、昭和四十七年度の超大型補正予算の編成であります。しかも、これらは明らかに田中内閣成立直後の選挙目当ての企業へのおおばんぶるまいと、当時まだふえつつあった外貨に対する円対策を調整インフレ政策の導入ということで切り抜けようとするねらいがあったことはおおうべくもありません。調整インフレ政策については、政府が盛んに否定的な言明を発してはいるものの、国際均衡の回復は他国並みに物価を引き上げることが一番早いという素朴な理屈に基づくものでありますが、これが政府のインフレ不感症の体質とぴったりの政策であったということは今日定説となっているところであります。第三は、累次にわたる公定歩合の引き下げ、低金利政策の誤りであります。政府は四十六年十二月と四十七年六月に各〇・五%引き下げを決定し、そのままずるずると放漫な金融政策を繰り返してまいりました。引き締めるべきときにその時期を失し、逆に緩漫な政策をとり、結果六兆六千億にのぼるといわれる過剰流動性を生み出し、これを放置したことが大会社の土地や商品の買い占め、物価の高騰を招いたのでございまして、これは大きな政策のミス、田中内閣の責任と言わずして何でございましょうか。列島改造論にせよ、公共事業費の増大を重点とする超大型補正予算、さらには昭和四十八年度の大型予算にせよ、一応は国際収支改善や福祉の充実、社会資本の整備等を大義名分としてはいるものの、しょせんは地域開発、土木工事の拡大を通じて成長政策を維持しようとするいわば土建屋的発想であります。はたしてこれらの政策によって笑いのとまらぬものは大手土建業であり、不動産業であり、そして開発プロジェクトのまとめ役としての大手商社なのであります。その反面、地価の暴騰、木材をはじめ建築資材の値上がりはすさまじく、庶民のマイホームの夢はこの時点からむざんにも打ち砕かれたのであります。インフレによる膨大な超過利得の味をしめた大企業や大手商社は、物価高に苦しむ国民を冷笑するかのように、千載一遇のチャンスとうそぶいているではありませんか一このような経済環境の素地は、実に田中内閣発足の年である昭和四十七年度における先見性の欠落と政策運用の誤りによるものと断ぜざるを得ませんが、総理と大蔵大臣はどのような反省をお持ちでございましょうか。
第二に、外交について伺います。
田中内閣の対米追随と金権外交とも言える外交姿勢は、金大中事件や対韓援助に見られる不当な日韓関係をつくり上げ、東南アジア諸国民に反日感情を激化させ、消極的なアラブ政策から石油危機を招くなど、特に開発途上国に対する経済協力の面での立ちおくれと失敗をもたらしてまいったのでありますが、外務大臣は、これらをどのように反省し、対処されようとするのでありますか、承りたいのであります。
また、最近看過いたしがたき問題は、日中航空協定締結交渉をめぐる政府与党の醜態についてであります。これは四十七年九月の日中共同声明に対するゆゆしい背信行為と言わざるを得ません。政府は日中国交回復が国民の長年にわたる悲願と野党がむしろ先に立って協力してまいった一大成果であるということを忘れ、自民党という密室の中で長く詭弁と術策を弄し過ぎた結果ではありませんか。日中航空協定の機密が与党議員によって暴露された事件に関し、田中総理と大平外務大臣はどのような責任をお感じになっておるか、御見解を求める次第であります。
また、この協定交渉の今後の推移と今期国会に必ず提案し得る確信があるかいなかについても明白な態度を示されたいと思うのであります。
第三点は、補助金についてであります。
会計検査院の報告を見ますと、毎年のことながら、補助金の不当指摘が王座を占めているようであります。昭和四十七年度では、補助金の不当事項が件数にして百五十七件、金額にして二億三千八百九十七万円と相なっております。私があえてこれを問題にいたします点は、毎年の指摘にもかかわらず、一向に改善のあとがないという点であります。まず、この点に関し大蔵大臣の御所見を伺うものであります。
次に、不当指摘の多くの部分を占める市町村の土木施設の補助事業について、国はきめこまかい親切な指導に欠けていたのではなかろうか。地方とのつながりの多い補助金行政は、国と地方との施策の接点を円滑に調整する意味において重要な機能を持つものと存じます。今日、超過負担の問題をはじめ、過疎過密対策、都市対策、福祉対策等、国と地方自治体との間に残っている食い違いや不信は、どちらかといえば、国がナショナルミニマムについて確たる定見を持たぬところに問題の発端があるのではないかと思われますが、大蔵大臣、自治大臣の御見解を求めるものであります。
最後に、綱紀の粛正について伺います。
昭和四十七年、八年は中央官庁の汚職が多発し、科学技術庁、通産省、林野庁、建設省等々、大型汚職が相次ぎ、また行政指導という名のやみカルテル容認など、官僚のモラルの低下は憂慮にたえないところであります。こうした風潮は、しかし、大企業と行政の癒着が拡大していくことと正比例しており、企業からばく大な政治資金を受け取り、高級官僚を天下らせてきた政府・与党の体質に病根のすべてがあると存じます。田中総理は政府・与党を代表し、企業からの政治献金拒否を声明し、みずから手を清められることが今日喫緊の急務と存じますが、いかがでございますか。もし、なお従来の詭弁をかまえてこれを実行されないとするならば、それはまさに耳をおおうて鈴を盗むものと申し上げざるを得ませんが、田中総理の御所信を伺って、私の質問を終わるものであります。(拍手)
〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/8
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009・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 小谷守君にお答えいたします。
第一は物価問題についてでございますが、昨年来のわが国経済は、大幅な輸入価格の上昇、国内需要の拡大等による物価の根強い騰勢に対して、一連の総需要抑制策がとられてまいったわけでございます。ようやくその効果が期待された中で、昨年の秋以降石油問題が発生し、きわめてむずかしい事態を迎えるに至ったわけでございます。
政府は、物価の抑制を政策の最優先課題として、財政金融政策を中心とする総需要の引き締め、石油価格の抑制をはじめ、基礎物資、生活関連物資等の価格抑制など、あらゆる政策努力を傾けて物価の安定をはかってきたところであり、最近におきましては、卸売り物価、消費者物価の異常な騰勢は鎮静化のきざしを見せておるわけであります。
今春に予想される賃上げ等のコスト上昇圧力や輸入物価の動向など、今後の経済動向にはなお楽観を許さない面も多いので、政府としましては、できるだけ早期に物価を安定させるため、当面引き締め政策を堅持してまいりたいと考えておるのであります。
綱紀の粛正についての御発言でございますが、公務員の綱紀の粛正につきましては、従来から閣議決定等によりしばしば注意を喚起してきたところでございますが、昨年来不祥事件が続発したことはまことに遺憾でございます。政府といたしましては、昨年十月三十日の官庁綱紀の粛正についての閣議決定の趣旨に沿って綱紀粛正のための具体的措置を再点検するなど、各省庁が責任をもって綱紀粛正を実効あらしめるよう努力しておるわけでございます。
最後に、企業よりの政治資金の拠出についての御言及がございましたが、企業も個人も、政治に参加するために、直接投票権を行使をすること、また政治資金を拠出する等、憲法上認められておる自由な権利でございます。また、政治資金の拠出の制限というものは、戦後政治資金規正法が議員立法の形をもって国会に提案せられた当時から議論が続けられておるわけでございまして、これはできるだけ抑制をしてはならない、原則は自由でなければならない、そしてその当否は主権者である国民が判断をすることが望ましいということで議員立法としての政治資金規正法が成立をいたしておるわけでございます。その後、国会におけるいろいろな議論もございましたし、具体的な事例等もありましたので、政治資金規正法の改正案は、審議会の答申、調査会の答申等を基本にいたしまして間々国会に提案をされたわけでございますが、ついにその改正を見ないで今日に至っておるわけでございます。政治資金のみの改正案で事足れりとはしない。これは選挙制度その他すべて広範の立場からこれを見るべきであるということで、第七次調査会の答申をもとにしてそれらと関連する法律を提案をしようといたしたわけでございますが、御承知のような状態でございます。しかし、議会制民主政治の根底をなす問題でありますので、政府も与党も真摯な態度で検討を続けてまいりたいと考えるわけでございます。
これらの問題に対しては、ひとつ、野党各位も、政府・与党のみの仕事ではないという立場に立って御検討を賜わらんことを切にお願いをいたす次第でございます。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/9
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010・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
今日の物価、インフレは田中内閣の責任じゃないか、どう考えるかと、こういうことでございますが、これは申し上げるまでもなく、政策というものは、政策当局が、そのときそのときにおける最高のこれは施策であるという考え方で打ち出しておるものでありまするけれども、あとになって考えてみますると、あるいは振り返ってみますると、まあいろいろ反省すべき点があると。これは、私は、そういう世の常であるということはよく小谷さんも御了解のことと存じます。今回の事態につきましても、いまになって考えてみますると、これはもう非常に反省すべき点が多々あったと、私はそう思います。
四十七年度予算の補正予算の問題四十八年度の予算の規模の問題、そういうようなことにつきましても、いろいろ議論のあるところだと思いますが、大事なことは、そういう過去のことをよく省みまして今後あやまちをおかさないと、こういうところにあると思います。
次に、補助金につきましてのお尋ねでございますが、相変わらず不当事項が多いじゃないかというお話でございますが、私も、不当として指摘される事実のあることをはなはだ遺憾に思います。しかし、これは予算の編成におきましてもずいぶん注意をしておるところであります。今後ともその実行につきまして鋭意その適正を期するようにいたしてまいりたいと、かように存じます。
また、補助金を予算に計上するそういう際に確固たる指針がないじゃないかというお話でございまするけれども、国には長期諸計画があるわけであります。全国総合開発計画あるいは社会経済基本計画あるいは各事業につきましての五ヵ年計画、十カ年計画それぞれあるんです。それに従いまして補助金を計上する、こういうことにいたしておるわけでありまするけれども、それらの長期計画をよりよいものにしなきゃならぬ。ことに、経済が非常に変わってきておる。そこで、その見直しを必要とするという問題があるわけでございますけれども、しかしながら、それらは現実に即して適正のものとなるよう極力努力いたしまして、適正な補助金が計上されるように心がけてまいりたいと、かように存じます。(拍手)
〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/10
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011・大平正芳
○国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑の第一は、経済協力についてでございます。わが国といたしましては、先進工業国の立場に立ちまして日本の国際的責任といたしまして経済協力を実施しておりますが、その実施のやり方といたしましては、相手国の自主努力にささえられた計画に対しまして、その国の国民の福祉とその国の国民経済の均衡ある発展に寄与したいという念願でやっておるわけでございます。しかしながら、小谷さんも御指摘のように、わが国の経済進出につきまして、あるいは経済協力につきまして、各種の批判があることは、私どもよく承知いたしております。このことはわが国の経済的プレゼンスが大きいという意味におきましてある程度やむを得ないと考えられますけれども、政府も、そうして進出企業側におきましても、正しい批判には常に耳を傾けまして、正すべきは正してまいらなければならぬと考えております。
石油危機の問題でございますが、これは世界の通貨不安、それから世界経済の不安の中で資源保有国側のナショナリズムの台頭の結果出てきたものでございまして、わが国の外交が経済危機をもたらしたものと私は考えておりません。ただ、わが国の外交といたしましては、そういう状況のもとにおきましてわが国が必要とする石油の安定確保をはかることができたかどうかということがそのメリットを問われるゆえんだと考えておりますが、大消費国といたしまして、いずれの国と比較いたしましても私はその面において不利を得ておるものとは考えていないのでありますが、今後一そう努力いたしまして、低廉な価格で安定確保ということに極力つとめてまいるつもりでございます。
それから次の御質問は、日中航空協定交渉とそれに関連いたしまして派生いたしました事件についての御質疑でございまして、今回御指摘の事件は、国際信用から申しましてたいへん遺憾なことであると考えておりまして、目下真相を調査いたしておりますが、この調査を待ちまして厳正な措置がとられるべき問題であると承知いたしております。しかしながら、このことが本交渉に影響があっては困るわけでございますので、私といたしましては、その影響を最小限度にとどめるよう措置しながら交渉の進捗をはかっております。目下のところ交渉自体は特別の支障なく進められておりまして、したがいまして、その仕上げを待ちまして今国会に御承認を求めるという方針に変わりはございません。(拍手)
〔国務大臣町村金五君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/11
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012・町村金五
○国務大臣(町村金五君) 社会福祉対策などにつきまして国と地方公共団体との間に食い違いがいろいろ出ておるというのは、いわゆるナショナルミニマムということについての定見がないということから起こるのではないかという御指摘でありますが、御承知のとおり、国としては、福祉優先を基調といたしまして経済社会基本計画を策定いたしまして、福祉社会の実現をはかることにつとめておるわけであります。これに即応いたしまして、関係各省におきましても各種長期計画を策定して、計画的に国民の福祉充実をはかるための施策を推進しておるのでありまして、これに伴います国庫補助負担金等につきましても常にこれを勘案いたしまして適正に行なわれるようにその充実をはかっておるという次第でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/12
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013・河野謙三
○議長(河野謙三君) 中尾辰義君。
〔中尾辰義君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/13
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014・中尾辰義
○中尾辰義君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題になりました昭和四十七年度決算外二件につきまして、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
〔議長退席、副議長着席〕
昭和四十七年度を振り返って見のがすことのできない第一点は、政府の地価対策の貧困により、土地価格の連続高騰を主軸とした強いインフレマインドの強力な土壌があったことであります。そして、これは、昭和四十八年度後半の今日の物価狂乱の源流となり、国民の生活を直撃しておるのであります。この地価問題は、血税による公共投資の効率的使用、庶民の住宅地の確保、また融資担保等々、文字どおり国民経済の根幹をなす問題であることは言うまでもありません。
そこで、一連の金融引き締めや総需要の抑制傾向の中で、今日、地価高騰の鈍化が若干見られることは事実のようでありますが、現在の地価は、昭和四十七年までの土地投機の仮需要によってつくられたものであり、庶民には全く縁のない暴騰地価であります。いわば実需の手の届かない仮需要価格であり、投機価格であると思うのでありますが、政府はどうお考えになっているのか、お伺いしたいのであります。
投機によって暴騰したものがそのまま放置され固定化されることは、自由主義経済にとって決して健全ではないはずであります。国民経済の基盤である土地を投機の魔の手の支配から一日も早く解放し、この暴騰価格をくずさなければなりません。金融引き締め、総需要抑制の今日こそそのときであると思うのであります。田中内閣は、投機地価の下落をおそれ、むしろこのインフレ地価に実需購買力が追いつくような経済インフレによる処理しかしないのではないかと見る向きもあるのであります。また、地価の下落は、金融の増し担保等の事態を伴うものであり、金融と経済全般に大きな方向の変化をもたらすものと思われます。政府は、経済基盤の健全化のため、各種の土地政策、地価対策の今後の推進で、地価を現実に下落させる決意、見通しがあるのかどうか、総理、大蔵、建設の各大臣の率直な所信と見解をお伺いしておきたいのであります。
次に、昭和四十七年度を顧みて見のがすことのできない第二点は、政府の対民間の物資並びに公共事業の発注等のあり方の問題であります。
今国会は、インフレ克服と生活防衛を願望する国民の切実な思いを背景に開かれたのであります。いま、その審議を通じて総合商社、大手企業の価格操作や便乗値上げなどの反社会的暴利行為の数々が国民の前に暴露されたことは、未曽有のことであります。これにより商社等に対する国民のイメージが大きく変化し、商行為に対する監視の目は非常にきびしくなってきていることは動かしがたい事実であります。このような国民の意思を政治に反映させる観点に立って、業界と政府の経済取引について見直しをなすべきときが来たと思うのであります。
まず第一に、公共事業における業者の事実上の談合であります。会計検査院も、このような競争入札による価格の適正化が困難なため、検査指摘の重点を予定価格の積算に置き、入札価格の適正化の道は、もはや、競争による方途では達せられないものとあきらめているのが昨今の実情のようであります。従来、談合の具体例を示して政府にただせば、政府は、刑法的観点に立ってこれを否定してきたのが通例なのであります。本日は、予防政策論的観点からその実態の是正を求めるものであります。
自民党政府の言う健全なる自由主義経済は、公正なる競争の確保によってのみ保たれるとの原則論に立つべきであろうと思います。総需要抑制のこの一年をとらえて、この事態を点検し、実効のある競争機能確保の施策を打ち出すべきではないかと思いますが、総理、大蔵、建設、運輸各大臣の事態認識と、問題アプローチの姿勢を明示されたいのであります。
第二は、政府及び政府機関の物資購入の問題であります。特に官給資材の購入を総合商社に発注しておることであります。たとえば、運輸省の港湾工事に使用する鋼材の発注を三井物産をはじめとする総合商社に発注しているなど、工事現場所管の各省は、各メーカーからの直買いによる経費節減の努力をしていないのであります。
商慣習と言ってしまえばそれまででございますが、国民の血税を使用する各省庁は、大体八%といわれる商社マージンの排除の努力ぐらいすべきではないかと思われますが、総理大臣及び大蔵大臣の所信をただしたい。
また、運輸、建設各大臣は、所管のこの種の購入の実績を示して、改善策があれば示されたいのであります。
また、道路公団の料金徴収機は三井物産から二十数億円で購入しているが、メーカー直買いによる方途はないのか。アメリカのパテントを商社に取られたのでいまさらどうしようもない等という商社依存の姿勢は再検討しなくていいのかどうか、建設大臣にはつけ加えてただしておきたいのであります。
以上の問題については、四十七年度決算の付託されました委員会において各省庁別に審査の問題としていく所存でありますので、必要資料の提出など、全幅の協力を政府当局に要望いたしておきます。資料提出の確約につきましては、企業の秘密だなどと各省庁が言わないように、総理から明言しておいていただきたいのであります。
この際、田中内閣の産業政策の基本につきましてお伺いいたしておきたいことがあります。
昨年の中ごろ、政府が大手製鉄各社に各一基の溶鉱炉の建設を認可し、現在建設に着手しておるのであります。一基三百億円といたしまして千二百億円となりますが、この設備拡大が総需要抑制の政策と短期的にどうかかわり合うのかという問題もさることながら、私は、溶鉱炉四基の建設開始は、物価問題のどさくさで国民の注意をそらしながら四十八年度一年間押えてきたものを一挙に認可したものであって、許せない措置だと思います。この四基のうちには、川崎製鉄のように、公害防止のための撤去に伴う代替のものもありますが、他の三基は増設であり、日本列島の公害の深刻化をもたらすのをどうするのか。そして産業の基本方向として、この四基の溶鉱炉建設は従来の経済成長型の安易な踏襲にすぎないのではないか。政府は将来の鉄鋼の増産計画をどのように考えているのか。アメリカの鉄鋼生産は一億三千万トン、わが国は一億二千万トンであります。わが国土はカリフォルニア州の面積の国土とほぼ同じであるにもかかわらず、アメリカを追い越す鉄鋼生産を目ざすという政策目標が政府にあるのかどうか、この際、明確にされたいのであります。知識集約型産業を目ざすかどうか、重大な経済政策の基本の問題なので、率直な所信を総理並びに通産大臣にお伺いしておきたいのであります。次に、公共事業の施行にあたり、政府はいわゆるインフレ条項を認め、現在のインフレの中で工事ができるだけ支障を来たさないように措置しているわけであります。総理は、かつて、インフレかいなかについて、学説はまちまちだし、インフレだといえば所得政策の問題が出てくる云々ということを言われたのでありますが、昨年末から現在の事態をインフレだと認められるかどうか、その点を明らかにし、具体的にこのインフレ条項を撤廃できるような状態にいつごろまでに持っていく見通しであるか、あらためて総理の所信をこの場でお聞きしておきたいのであります。
最後に、田中総理大臣に所信を聞いておきたいのであります。発想の転換ということが言われて久しいのでありますが、この際、会計検査院の検査官の人事について、官庁のなわ張り慣行を打破して、たとえば、民間人の起用によってその陣容を改め、機能を拡充し、また、公正取引委員会という経済監視機関の飛躍的強化を期すべきだと思うのでありますが、総理の所信、構想をただしておきたいのであります。
以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/14
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015・田中角榮
○国務大臣(田中角榮君) 中尾辰義君にお答えをいたします。
第一は、政府の地価対策や土地対策についての御発言でございますが、近時の地価の急激な上昇は、宅地需給の不均衡に起因し、過剰流動性に基づく投機的仮需要がこれに拍車をかけたものであることは、御指摘のとおりでございます。政府は、地価の安定のため、土地税制の改善、土地融資の抑制等の措置を講じたことは御承知のとおりでございますが、その効果は漸次あらわれてきておるわけでございます。しかしながら、土地問題を基本的に解決するためには、宅地需給の不均衡を是正いたしますとともに、土地取引等に関する強力な規制を行なう必要がございます。政府が国会に提出いたしております国土総合開発法案は、その方向に合致するものなのであります。現在衆議院建設委員会におきまして土地規制の方策について検討が進められておることも事実でございますので、政府は、その成果に基づいてより強力な土地対策を講じ、地価の安定をはかってまいりたいと考えておるのであります。
次は、競争入札についての御発言がございましたが、官公庁の入札は、会計法令によりまして厳正に行なわれており、適正な価格で落札されておるわけでございます。談合等の手段によりまして公正な競争機能が阻害されないよう、今後も十分措置をしてまいりたいと考えます。
次は、政府の物資購入についての御発言がございましたが、政府の物資購入にあたりましては、経費節減につとめるべきことは申すまでもございません。そのため、会計法上競争入札の原則も定められているところであり、この趣旨に沿った運営につとめているのでございます。要は、政府部門の調達活動が真に適正に行なわれるかどうかが問題でございまして、商社であるからといって頭から発注の対策からはずすということは適当ではないわけでございます。しかし、政府の物資の調達にあたりましては、中小企業問題等もございますので、これらの問題については配慮を行なっておるわけでございます。
また、今後委員会より資料提出などを求められたときは断わらないようにという御発言でございますが、入札の予定価格など、公表することが契約事務の公正の確保または能率的遂行のために不適当なもののほか、できるだけお求めについては応ずるように努力してまいりたい、こう考えるわけでございます。
なお、企業より入手しました資料の提出についての御発言がございましたが、企業の秘密にかかわるものもあるので、具体的ケースに応じてこれを外部に対し明らかにすることの必要性の程度、企業側の不利益の程度等を総合的に検討しなければなりません。ケース・バイ・ケースで提出可能なものにつきましてはこれを提出するように努力をしてまいりたいと考えるわけでございます。
新日鉄等の高炉建設等についての御発言がございましたが、詳細は通産大臣からお答えをいたすことにいたしますが、高炉建設着工につきましては、従来より通産省産業構造審議会鉄鋼部会の議を経て行なわれておるわけでございます。建設中の高炉は、君津四号及び大分二号の二基でございます。これが稼働する時点では、それら製鉄所からのSOX排出量は現在よりも大幅に削減させることが地元地方公共団体と協定されておるほか、NOX等についても所要の措置を講ずることとなしておるわけでございます。
わが国の産業構造を知識集約化、省資源化の方向に実現をしていくことは、御指摘のとおりでございます。鉄鋼業につきましては、積極的に海外立地をはかることが重要であると考えておるわけでございます。しかしながら、これらの海外製鉄所が実現し、現実の鉄鋼生産が行なわれ始めるまでには相当長期間を要する一方、世界的に見ても鉄鋼需給の逼迫は今後相当期間続くことが見込まれておるのでございます。したがいまして、わが国としましては、公害防止等環境対策に万全の配慮をしつつ、可能な範囲内において国内供給能力の増加をはかっていく必要があるわけでございます。
次は、いわゆるインフレ条項についての御発言でございますが、昨年末から最近までの物価情勢は、石油危機という異常な事態を背景とする異常な物価上昇であります。いわゆる物価変動条項は、このような事態における例外的な措置であり、できるだけ早く物価の安定を実現いたしますことによって、こうした措置をとる必要のない状況をつくり出すことが急務であることは、申すまでもないわけであります。最近におきましては、建設資材の価格につきましても鎮静化のきざしが見られており、政府としては引き続き全力をあげて物価安定に取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
最後に、会計検査院、公取の強化等の御発言にお答えをいたします。
会計検査院の検査官は、各般にわたって豊富な知識と経験を有し、かつ、人格にもすぐれ、常に厳正公平な判断を期待し得る人材を広く求めて慎重に選定をいたしておるわけでございます。非常にじみな仕事ではございますが、高度の専門的知識、技能を必要とする部署でございます。会計検査院の機能充実という面と、これが人材を得るために各省庁の中からどのようにして人材を得られるかというような問題に対しても、現に検討を進めておるわけでございます。
公取委の強化につきましては、現在独占禁止法の改正を公正取引委員会で検討中でありますので、政府としましても、その結果を待って実情に沿うよう十分検討配意してまいりたいと考えるわけであります。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/15
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016・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 土地価格は投機価格と認めるがどうかと、また価格引き下げの決意ありやと、かような御質問でございますが、土地の価格が今日のような状態に立ち至りました原因につきましては、私は中尾さんがいまお述べになったことと大体同じだろうと、こういうふうに思います。総理からも同じようなことが述べられておるわけであります。つまり、仮需要の発生ということが今日のこの地価を異常なものにしたと考えておりますが、今後の地価対策ということを考えてみますと、この仮需要が発生する余地なからしめるということが基本にならなきゃならぬ、かように考えるのであります。そのためにただいまは総需要抑制政策をとっておる。この影響はかなり出てきておると、かように見ておるのでありますが、全国見回しまして私は大体地価はもう頭打ちになってきておる、下落傾向をこれから示していくんじゃないか、さように思いますが、そういう総需要抑制政策を堅持してまいり、何とかして地価を思い切って下げるような方向に持っていってみたいと、かように考えております。しかし、いま総需要抑制政策で当面の事態に対応して対処しておるわけでございまするけれども、この問題はこの機会に制度的側面につきましても考える必要のある問題である、さように考えるのであります。いま衆議院の建設委員会において各党間でこの問題について話し合いが行なわれておる。その際には、私は、この土地というものは一般の商品と違う、もう生産はできないものである、さようなことで、これはまあ国民財産と申しますか、国民財産的な色彩の非常に強い特殊な財産である、さような考え方に基づきまして、公共の福祉のためにはその利用並びに価格につきましてこれは思い切った規制がとられてしかるべきだと、こういうふうな考え方のもとに、衆議院における各党間の話し合いが進められるということを深く期待いたしておる次第でございます。私も、昨年、行政監理委員会委員長といたしまして田中総理大臣にこの問題につきましては献策をいたしておるわけでございますが、お時間がありましたら、ひとつお読み取りくだされますれば幸甚の至りと存じます。
次に、物資調達につきまして、特に公共事業の発注に際しての公正競争の確保についてのお尋ねでございまするけれども、官公庁の入札は、これは会計法令の定めるところによりまして厳正に行なわれなければならないことはもちろんでございます。私といたしましては、法に触れるというような事実がありますれば、法令に基づく処分あるいは指名等からの排除、さような厳正なる措置をとってまいりたい、かように存ずる次第でございます。
なおまた、物資購入にあたりまして、商社を通さずメーカーから直接に買い付けてはどうかと、こういうお話でございますが、経費の節減をはかるためには、競争原理、つまり競争入札に付することが私は一番妥当であると、かように考えております。とにかくいい品物で安い、こういうものは、商社であろうがメーカーであろうがこれを買うということが私は当然のことであろうと、こういうふうに思います。商社であるからこれを競争入札参加資格者から除外するということは妥当じゃない。要は、政府の調達活動が真に適正であることでありまして、その点につきましては今後とも配意してまいりたい、かように存じます。(拍手)
〔国務大臣亀岡高夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/16
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017・亀岡高夫
○国務大臣(亀岡高夫君) お答えいたします。
土地対策につきましては、総理大臣並びに大蔵大臣から詳細にお答え申し上げた次第でございます。その線に従いまして建設省といたしまして一は、具体的に都市の再開発並びに宅地開発等を積極的に推進いたしまして、何と申しましても土地上昇の原因は宅地の需給のアンバランスというところが一番大きい理由でございますので、この宅地の需給のアンバランスを解消するために全力をあげてそうして地価の安定をはかってまいりたいということで、本国会に宅地開発公団法等の御審議もお願いしておる次第でございますとともに、都市再開発の法案改正もお願いしておるところでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
官公庁の入札を厳正にせよということでございますが、大蔵大臣からお答えいたしたとおりでございまして、建設省といたしましても、国家公務員として国民に奉仕する立場から、厳正なる行政業務に服するように私は口をすっぱくして就任以来申しておるところでございまして、中尾議員の御期待にこたえるようにしてまいりたいと思います。
建設省及び建設省関係公団において建設資材を直接購入をいたしておりますのは日本道路公団だけでございます。日本道路公団におきましては、棒鋼、鋼板及びセメントの三種につきまして、公団が直接メーカーから年間を通じて安定した価格で購入し、請負人に支給いたしておるわけであります。昭和四十八年度の実績見込みは、棒鋼十六万七千トン、鋼板九万七千トン、セメント八十二万三千トンでございます。
最後に、日本道路公団の料金徴収機の件についてでございますが、中尾議員も御承知のとおり、昭和三十八年の名神高速道路の供用開始にあたりまして、料金収受システムについて種々検討いたしたわけでありますが、わが国で初めての高速道路であるために、国内において独自のシステムを製作することにつきましてはばく大な開発費と時間を費やすという事情から、高速道路の管理運営に長い経験を有しております米国のトーラー・アンド・クーパー社製を導入したことは、御承知のとおりであります。その後、日本でできないかということで、三菱重工業が三井物産の仲介によってトーラー・アンド・クーパー社から技術導入をしまして、実用機としての製造が可能となったわけであります。現在日本道路公団におきましては、わが国でただ一つの製造者である三菱重工業の料金機械を販売代理店である三井物産から購入いたしておるものでございまして、これは通常の商慣習による取引でございまして、御指摘のような心配はないものと私は考えておる次第でございます。
以上お答えいたします。(拍手)
〔国務大臣徳永正利君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/17
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018・徳永正利
○国務大臣(徳永正利君) 工事等の競争入札の問題は、総理並びに大蔵大臣から詳しく御答弁がございましたが、私もそのとおりでございまして、運輸省といたしましては今後十分配慮してまいります。
なお、運輸省所管の直轄港湾整備事業で支給の鋼材を三井物産等商社に発注した実績の概要は、四十七年度におきまして十社で約二十四億三千万円、四十八年度におきまして九社で約十二億二千万円であります。
また、現在の鋼材の販売体系は、鋼矢板、鋼管ぐい等主要資材につきましては、メーカー側の直接販売体制が整っておりません。そのためにメーカーから直接購入できるしかけとなっていないので、現段階で直ちに直接購入に切りかえることは困難であろうと思われます。しかしながら、できる限り低廉な価格で入手できるよう、今後とも慎重に検討を進めてまいりたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/18
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019・中曽根康弘
○国務大臣(中曽根康弘君) 鉄鋼生産の将来につきましては慎重に対処していきたいと思います。それは、公害の面及び省資源・省エネルギー産業型に日本を転換していくつもりであるからであります。しかし、当面の問題としては、それには多少時間がかかります。現在世界的に非常に鉄鋼に対する需要が多うございます。特に発展途上国からは日本に対して非常に強い要請が殺到しております。それからやはり現在日本のこれらの諸産業をささえていくためには、何といっても基本的にはある程度の鉄鋼生産をみずからやらなければできないという要素も一ございます。そこで、国内でやる分をどの程度、それから将来海外立地に向ける分をどの程度という計画的な調査をいまやっておりまして、現在においてはすでにブラジルにおいて海外立地で実行中でございますし、なお、産油国におきましてもかなりの要望がございますから、それにこたえて海外立地を推進してまいりたいと思っております。こういうふうにして、海外のものはインゴットとして生産して日本へ持ってきて、それをさらに加工する、そういう形態にしていくつもりでございます。これらの場合には公害対策が国内の場合でも海外の場合でも非常に重要でございますから、慎重にやりたいと思っております。現在におきましては、総需要カット及び石油関係等の事情から鉄鋼業者も非常に自重しておりまして、高炉建設につきましては、いまのところ増設について当局の指導に従っております。われわれのほうも、これについては慎重にやってまいりたいと思っております。
なお、知識集約型の産業育成は、鉄鋼の転換と同時に並行して、さらにあるいは先行して行なわなければならぬところでございまして、高度の組み立て産業であるとか、あるいはコンピューター産業であるとか、ファッション産業であるとか、そういう方面についていま通産省においていろいろ青写真をつくっておるところでございまして、鋭意努力してまいるつもりでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/19
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020・森八三一
○副議長(森八三一君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X01819740412/20
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