1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十九年五月十五日(水曜日)
午前十時八分開議
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○議事日程 第二十一号
昭和四十九年五月十五日
午前十時開議
第一 日本国と中華人民共和国との間の航空運
送協定の締結について承認を求めるの件
(衆議院送付)
第二 消防法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
第三 結核予防法等の一部を改正する法律案
(内閣提出)
第四 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
第五 中小企業庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(鉄
道労働組合関係)(衆議院送付)(委員会審
査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(国
鉄労働組合関係)(衆議院送付)(委員会審
査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(国
鉄動力車労働組合関係)(衆議院送付)(委
員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
国鉄施設労働組合関係)(衆議院送付)(委
員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
国鉄動力車労働組合連合会関係)(衆議院送
付)(委員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(日
本電信電話労働組合関係)(衆議院送付)(
委員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
国電気通信労働組合関係)(衆議院送付)(
委員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
専売労働組合関係)(衆議院送付)(委員会
審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
日本郵政労働組合関係)(衆議院送付)(委
員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
逓信労働組合関係)(衆議院送付)(委員会
審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(日
本国有林労働組合関係「月給制」)(衆議院
送付)(委員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(日
本国有林労働組合関係「日給制」)(衆議院
送付)(委員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
林野労働組合関係「月給制」)(衆議院送
付)(委員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
林野労働組合関係「日給制」)(衆議院送
付)(委員会審査省略要求事件)
一、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の
規定に基づき、国会の承認を求めるの件(全
印刷局労働組合関係)(衆議院送付)(委員
会審査省略要求事件)
以下 議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/0
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001・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
この際、おはかりいたします。
公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件(鉄道労働組合関係)
同 (国鉄労働組合関係)
同 (国鉄動力車労働組合関係)
同 (全国鉄施設労働組合関係)
同 (全国鉄動力車労働組合連合会関係)
同 (日本電信電話労働組合関係)
同 (全国電気通信労働組合関係)
同 (全専売労働組合関係)
同 (全日本郵政労働組合関係)
同 (全逓信労働組合関係)
同 (日本国有林労働組合関係「月給制」)
同 (日本国有林労働組合関係「日給制」)
同 (全林野労働組合関係「月給制」)
同 (全林野労働組合関係「日給制」)
同 (全印刷局労働組合関係)
(いずれも衆議院送付)
以上十五件は、提出者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加して、一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/1
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002・河野謙三
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
まず、提出者の趣旨説明を求めます。長谷川労働大臣。
〔国務大臣長谷川峻君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/2
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003・長谷川峻
○国務大臣(長谷川峻君) ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基づき、国会の承認を求めるの件(鉄道労働組合関係)外十四件につきまして、一括してその趣旨を御説明申し上げます。
昭和四十九年二月以降、公共企業体等関係労働組合は、昭和四十九年四月一日以降の賃金引き上げに関する要求を各公共企業体等当局に対し提出し、団体交渉を重ねましたが、解決が困難な事態となり、四月六日から九日にかけて関係組合または当局の申請により公共企業体等労働委員会の調停段階に入り、さらに四月十三日同委員会の決議により仲裁手続に移行し、同委員会は、五月九日、日本国有鉄道当局と鉄道労働組合、国鉄労働組合、国鉄動力車労働組合、全国鉄施設労働組合及び全国鉄動力車労働組合連合会、日本電信電話公社当局と日本電信電話労働組合及び全国電気通信労働組合、日本専売公社当局と全専売労働組合、郵政省当局と全日本郵政労働組合及び全逓信労働組合、林野庁当局と日本国有林労働組合及び全林野労働組合並びに大蔵省印刷局当局と全印刷局労働組合に対し、本件各仲裁裁定を行なったのであります。
本件各仲裁裁定は、職員の基準内賃金を、本年四月一日以降、一人当たり基準内賃金の一七・九%相当額に八千三百円を加えた額の原資をもって引き上げることなどを内容とするものであり、これを実施することは、現状におきましては、予算上不可能であると認められます。よって、本件各仲裁裁定は、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められますので、同条第二項の規定により、国会の御承認を求める次第であります。
公共企業体等労働委員会の仲裁裁定につきましては、昭和三十二年以来、いずれも、裁定どおり実施されてきたところであり、政府といたしましては、本件各仲裁裁定につきましても、可及的すみやかに裁定どおり実施されることが望ましいと考えますので、一日も早く国会の御承認が得られますよう強く希望する次第であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/3
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004・河野謙三
○議長(河野謙三君) これより十五件を一括して採決いたします。
十五件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/4
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005・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、十五件は全会一致をもって承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/5
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006・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第一 日本国と中華人民共和国との間の航空運送協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。まず、委員長の報告を求めます。外務委員長伊藤五郎君。
〔伊藤五郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/6
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007・伊藤五郎
○伊藤五郎君 ただいま議題となりました中華人民共和国との航空運送協定につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
この協定は、一昨年九月の日中共同声明に基づき、昨年三月以来交渉が行なわれた結果、本年四月二十日に署名されたものでありまして、日中両国間に定期航空業務を開設するため、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を規定するとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行なうことができる路線を定めたものであります。
委員会は、運輸委員会との連合審査会をも開会して慎重審議を行ない、漁業、海運等の実務協定及び平和友好条約の締結の見通し、日台航空路の問題、台湾と韓国の飛行情報区と防空識別圏の問題、以遠権の問題、中国に乗り入れるわが国航空企業の問題等各般にわたり熱心な質疑が行なわれたのであります。特に日台航空路の停止については、これを放置すべきではないとする立場及び停止はやむを得ないとする立場の双方から質疑がなされましたが、外務大臣より、今後日中共同声明のワク組みの中でできる限り再開に努力したいとの答弁があり、また、イスラマバード経由の路線を獲得できなかった問題については、運輸大臣より、中国側は、今後の検討課題とする、日本を不当に差別しないと言明しているとの答弁がありました。
かくして昨十四日、質疑を終え、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/7
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008・河野謙三
○議長(河野謙三君) 本件に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。平島敏夫君。
〔平島敏夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/8
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009・平島敏夫
○平島敏夫君 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました日中航空協定の締結について承認を求むるの件に対し、賛成の意を表明するものであります。
中華人民共和国との間に航空協定を締結することは、日中国交正常化以来の懸案でありましたが、今回いよいよその解決を見るに至ったことは、日中両国の友好親善に寄与することはもちろん、わが国の国際航空網を拡充してわが国益の増大に貢献するものとして、その外交的、政治的意義を高く評価するものであります。
いま本協定を本院において承認するにあたり、この協定の締結を決断された田中総理大臣並びに大平外務大臣及び徳永運輸大臣に対し、深甚の敬意を表するとともに、調印に至るまで精魂を傾け、困難な交渉を重ねた政府当局の努力に対して、心からその労を多とするものであります。
本協定の締結は、日中共同声明の中にあげられた実務協定の一つでありまするが、他の諸協定が多かれ少なかれこれまで両国間に存在したものを政府間協定に取り上げて発展させていく性質のものであるのに対し、この協定は全く新しいものであり、わが国の航空業界に新時代をもたらすとともに、日中の善隣友好を一そう深めるためのかけ橋となるものであります。これまでの日本と中国は、一衣帯水の隣国に位置しながら、両国間の交通は無用な回り道をしなければならず、近くして遠い国でありましたが、いまやこの協定によって、戦後四半世紀間の長きにわたった交通上の障害が除かれ、空の翼によって東京と北京はわずか四時間余をもって結ばれることになったのであります。
この日中間の空のかけ橋は、単に両国間の相互往来を促すだけではなく、日中間の大都市を通じて、欧州、中近東への路線が強化され、なお、以遠権の問題がわが希望の線に沿うて実現するならば、その国際的役割りはきわめて大きく、アジアの新幹線として重要な意義を持つことになるのであります。
さらに交通上の便宜にとどまらず、この協定の締結によって強化された両国間の友好関係は、そのまま日中双方の国際的立場を強め、国際間の平和と安定に寄与するところきわめて大きいものがあると信ずるものであります。
私は、この協定の締結が、さらに引き続き日中間の漁業協定、海運協定、さらには平和友好条約締結の促進につながることを念願いたしまするが、今回の交渉の経緯を振り返り、今後の交渉の貴重な教訓として生かされんことを政府当局に要望するものであります。
最後に、日台航空路に関して一言申し述べたいと思います。
わが国と台湾との関係は、歴史的にも地理的にも密接なものがあります。現在まで経済、貿易、文化その他各般の交流が行なわれてきましたが、日中国交正常化後のわが国の外交方針は、台湾との間に外交関係はなくても、これまでの実務関係は維持するということでありました。この考えは、今日も変わっていないのであります。日中航空協定の調印にあたって、政府は、日台間の航空路を民間協定の形で存続させることに努力を払いましたが、台湾側の了解を得るに至らず、ついに懸念された日台航空路線の停止という事態を招いたことは、まことに遺憾であります。台湾側が長い歴史と実績を持つ日台航空路線を停止する措置に出ましたその心情は、われわれも理解できるものでございます。しかし、日台双方にとってきわめて不幸なことと思うのであります。わが政府は、情義を尽くし、誠意をもって引き続き台湾の了解を得ることに努力されんことを強く要望するものであります。
私は、日中航空協定の締結に心から賛意を表するとともに、日台間の航空路線が一日も早く再開されることを期待して、討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/9
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010・河野謙三
○議長(河野謙三君) 西村関一君。
〔西村関一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/10
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011・西村関一
○西村関一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました中華人民共和国との間の航空運送協定の締結について承認を求めるの件に対し、対中国政策も含めて、当面するわが国の外交政策につき、政府に若干の注意と要望をいたしつつ賛成の意を表明するものであります。
まず、日中国交正常化の後の最大の懸案でありましたこの航空協定を妥結に導かれました大平外務大臣の日中関係の進展に果たした役割りを率直に評価するものであります。
わが日本社会党は、一九七二年九月の日中共同声明調印の際に、日中国交回復が日中両国国民の利益に合致し、アジアの緊張緩和と平和に役立つとの見地から、日中国交正常化を心から歓迎し、以来今日まで、共同声明を実体化する第一歩として、日中関係緊密化の柱ともなるべき航空協定の早期締結を政府に強く要求してきたのであります。その意味から、本協定の締結はややおそきに失した感はありますが、これによって日中友好の基盤は一そう強まり、相互の信頼関係を増進し、かつ、アジアの平和のためにもきわめて意義深いものであって、国民とともに日中航空路線の開設に心から賛意を表したいと思うものであります。
さて、本協定をめぐって与党の一部に強い反対の声のあることを深く憂慮するとともに、私はいま十八年前の日ソ国交回復当時のことを思い浮かべるのであります。時の総理鳩山一郎氏は、日本のために東方の窓を開くのだという強い政治的信念に基づいてモスクワを訪れ、日ソ共同宣言に署名をいたしたのでありますが、その国会承認の際、一部与党の諸君は反対の立場から本会議を欠席したことがございました。今日では、日ソ国交回復がその後の日本の国益にいかに大きく貢献したか、当時反対でありました人々にも異論のないところであると確信いたします。
歴史は繰り返すということばがございますが、眼前の利益を越えて、長い歴史の過程から国益を考えるのが政治家の使命ではございますまいか。世界の潮流も的確に判断できないような本協定の反対論者に対しては、私は、日ソ共同宣言の当時を想起して、強い反省を促したいと思うのであります。(拍手)
現在、世界には、軍縮の問題、資源の問題、南北の問題、食糧危機と人口問題等々、国際間の理解と協力によって早期に解決を求められている多くの問題があります。いま、そのいずれを取り上げてみましても、中国の参加と協力なくしては一つとして十分な解決ができないほどに、中国の国際的地位は高く評価されているのであります。中華人民共和国政府が、成立後わずか二十五年にして国際社会においてかかる地歩を占めた理由はどこにあるのでありましょうか。世界一の人口と広大な領土を有するからではなくて、実に国際社会において信義をたっとび、かたくななまでに原則を重んじ、かつ実行するという一貫した外交政策を展開しているところに真の原因があるのではないかと思われます。しかして、日本の将来は、この隣国中国といかに友好関係を維持していくかということにかかっていることを深く思い、私は、本協定承認の機会に、政府の中国政策について若干の注意を喚起しておきたいと思うのであります。
まず、戦前の侵略政策、戦後もサンフランシスコ体制によって米国に追従した中国封じ込め政策に加担するといったような大きな誤りをおかしたことを反省し、その上に立って、何よりも真に中国と中国人民を深く理解するという努力からスタートしなければならないと信ずるのであります。(拍手)
政府は、しばしば世界の大勢について的確な判断を欠き、自主外交の欠除から、米国の頭越し外交で再三強いショックに見舞われました。資源政策の見通しの甘さから、石油危機を迎えるや、一夜にしてアラブ中東外交を重視するといったように、長期的展望に立った外交方針を欠いております。わがほうに何ら基本的政策を有することなく、いわば場当たり的外交の態様をもって中国に接していくならば、いつの日か中国の軽べつを買うのみか、ひいては対中国外交失敗の歴史を繰り返すおそれのあることを、ここに指摘しておきます。
いまこそ政府は、対中国基本政策の策定にあたって、与党内において十分のコンセンサスを得るとともに、野党の見解をも十二分にしんしゃくして、き然たる立場をもって中国との友好親善関係を深める政策を強力に展開されたいのであります。
このために、政府は、本協定締結の次の段階として、両国の基本関係を規律する平和友好条約と、また両国の相互理解を深めるための文化協定の締結交渉に直ちに着手されんことを強く希望するものであります。
次に、本協定への反対ないしは不平等論に関連して一言言及いたします。
日本社会党は当初から日台条約には反対の立場をとってまいりましたが、現実に中華人民共和国の施政権がいまだ台湾に及ばず、かつ日台間に民間の交流がある以上、日台航空路線の民間取りきめによる維持を全面的に否定するものではありません。事は、中国の国内問題に関連いたしますから、中国のこれが処理の出方を見守りながら、わがほうにかかわりのある台湾問題の正しい解決にいま一段の努力を払われんことを期待いたします。
さらに、日中航空協定の以遠権につきましては、わがほうの希望が実現できるよう、今後も事あるごとに交渉を継続されるとともに、不平等条約の典型とも言うべき日米航空協定の路線の改定についても、米国政府に対し再交渉の機会をとらえられんことを強く要請するものであります。
次に、私は、現政府の政治姿勢に対し、強い反省を求めます。
田中内閣の政治を一言にして表現すれば、政治とは力、力とは金であるといった権力第一主義の姿が国民の目に映ってくるのであります。これは議会制民主主義の破滅に通ずるものと考えます。かの著名な歴史家アーノルド・トインビー氏は、「機械文明が人間を不幸にしたことは明らかであり、とくに日本人は機械文明の空しさを感じている。外面的な繁栄よりも、人間の本質的価値を求めるということが、先進工業国に対する普遍的要求である。」と述べています。
いまこそ、高度経済成長と、国益追求第一主義の政策に根本的な反省を加え、真に平和愛好国として、また、いかなる国に対しても互恵平等の原則に立脚して、信義を重んずる国家として、国際社会においてあらゆる国から信頼される名誉ある地位を占める国家を目ざして強力な政治を展開されるよう、切に政府及び与党の皆さんに訴えるものであります。(拍手)
私は、かつて一九六三年秋、北京において、郭沫若氏が私のために揮毫してくれました大幅の書の一文をここに披露して、みずからの戒めとし、かつ、尊敬する外務大臣大平正芳氏に呈し、私のこの討論を終わりたいと思います。
書にいわく、「唐代鑑真上人渡日を決心し、五度航海を試み、均しく失敗に帰す。盲目の後、第六次航海に於て始めて宏願を遂ぐ、その毅力、固より之れ人を驚かす、千二百余年前、此の国際主義の直ちに実践に出ずる者良に之れ模範と為す也」
以上。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/11
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012・河野謙三
○議長(河野謙三君) 鈴木一弘君。
〔鈴木一弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/12
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013・鈴木一弘
○鈴木一弘君 私はただいま議題となっております日本国と中華人民共和国との間の航空運送協定の締結について承認を求めるの件に対し、公明党を代表いたしまして賛成の討論を行なうものであります。
日中両国の友好は、両国の交流始まって以来、実に何千年の歴史を持つものであります。しかしながら、日中両国間は近年戦争状態にあったことは、まことに不幸なことと言わざるを得ません。日中共同声明以来、両国の接触はようやく拡大し、多くの紆余曲折を経ながら、去る四月二十日北京において航空協定の調印をみたことは、まことに慶賀すべきものであります。日中友好のために努力をしてまいりました公明党としては、心から本協定の交渉促進に当たられた日本国民及び関係者とともどもに祝意を表するものであります。
しかしながら、本交渉にあたり数々の問題がありました。その最たるものが政治問題であったことは申すまでもありません。換言すれば、日中航空交渉は台湾問題をめぐる交渉であったとさえ言えるのであります。
政府は、一昨年の日中共同声明において、「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認」し、また、中国側が「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部であること」を表明したのに対し、この立場を「理解し、尊重」するとの態度を明確にしたのでありますが、今回の交渉は、日本政府にとってこの認識を身をもって実行する試金石であったと言えましょう。この試金石を前にして政府が示した優柔不断と逡巡に対しては強い反省を求めるものでありますが、ともかくこれを乗り越えて調印の運びになったということは、本協定の歴史的使命がいかに大きいかを示すものであります。かくして両国間の国交樹立を象徴する航空協定の調印により、さきの貿易協定と相まって、両国間の国交が具体的に第一歩を踏み出したことは、すなわち、わが党がかねてより主張しております等距離中立外交への実質的な幕あけであり、わが国外交が多角的友好関係の樹立に向かって一歩前進したことを示すものであります。
この協定は、その意味で、戦争の火種をアジアにおいて根絶し、平和友好の輪を広げる第一歩となるものであります。その第一歩であるがゆえに、わが国外交の基本姿勢が明確でなければなりません。すなわち、日中共同声明第七項に示されているとおり、「日中両国がアジアにおいて覇権を求めるものであってはならない」との精神にのっとり、本協定の調印を契機に世界の緊張緩和への道をさらに進めるように今後の外交姿勢がとられなければならないと考えるものであります。
本協定の審議中、これに反対する勢力が幾つかありました。その中で最も顕著なものには、中国を代表するものは中華人民共和国であるという基本的原則にさえ挑戦する者もありましたが、これは、積み上げられてきた日中の友好と信頼を破壊し、時代に逆行する以外の何ものでもありません。政府・与党はこれらの点には十分な反省と責任を持つべきであります。
また、本協定について以遠権の等価値性に疑問を投げかける者がありました。しかし、現時点において日中友好の長き展望に立つならば、この議論は大きく止揚されるべきものと信ずるものであります。
日中間の真の平和友好への道は、決して安易なものではありません。政府は、多角的な等距離中立外交を貫き、真の友好と平和に向かってさらに前進を続けるべきであります。そのためには、侵略主義、軍国主義の疑いを抱かれるような外交姿勢を強く払拭しなければなりません。
政府は、いま、日中航空協定の調印により前進の道標を示したのでありますが、政府の言う信頼と友好は次の実質的なステップによって立証されなければならないと思います。すなわち、日中友好の確固たる基礎を築くための日中平和友好条約を早期に締結すべきであり、これによってアジアと世界の平和のためにさらに力強い前進と努力を遂げることを心から希望いたしまして、賛成討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/13
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014・河野謙三
○議長(河野謙三君) 村尾重雄君。
〔村尾重雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/14
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015・村尾重雄
○村尾重雄君 私は、民社党を代表し、ただいま上程されております日本国と中華人民共和国との間の航空運送協定の締結について承認を求めるの件に対し、賛成の討論を行なわんとするものであります。
かつてフランスのドゴール大統領は、国家間の友好関係は、感情に基づくものでなく、理性の結婚であるべきだと述べておりますが、日本と中国との関係もまさにそうした理性に基づく友好関係であるべきだと考えるものであります。しかし、これまでの長きにわたる日中関係はこうした理性に基づく関係とは言えず、それが不幸な戦争を引き起こし、あるいはわが国にとって対中国外交は常に政争の具となって国論の分裂を招いてきたことは周知のとおりであります。この原因は、中国における政権が分裂していたこと、そしてアメリカ、ソ連など大国がこれに介入していたこと、また、わが国の政治がこうした二つの政権のそれぞれと関係を持ってきたことなどであります。私は、今回の日中航空協定をめぐる動きも、こうしたこれまでの日中関係のパターンを少しも出ていないと考えざるを得ないのであります。自民党内が派閥抗争を背景としつつ、親中国派と親台湾派に分かれて対立し、それがかえって問題を紛糾させてきたことは明らかなことであります。こうした外交では、わが国の国益はとうてい守り得ません。台湾による日台航空路線の断絶は、その不幸な結末と言わざるを得ないのであります。
国家と国家との関係は、あくまで自主性と国益を踏まえた理性ある関係でなければなりません。わが国にとって自主性の国益を踏まえた日中間の理性ある友好関係とは、一昨年の日中共同声明を踏まえて中華人民共和国を中国の唯一の政府として友好関係を深めることであります。しかし、いかに一つの中国と割り切ってみても、台湾が現存し、そしてそこに一千数百万人の人たちが生活しているという事実に目をおおうことはできません。外交の出発点は、現存する世界の国家関係の実態を実態としてありのままに冷静に認めることであります。したがって、われわれは、この台湾の存在を直視し、同時に台湾との間に現存する経済、文化の交流をできる限り維持するよう今後努力すべきであろうと思います。
この見地に立って今回の日中航空協定を見るとき、確かにこの協定は一昨年の日中共同声明に沿う実務協定であり、われわれは、かかる見地から、今回の日中航空協定の調印を心から喜ぶものであります。
今回の航空協定の調印によって日中平和友好条約の締結のための条件が整いました。したがって、われわれは、今回の日中航空協定の締結を契機として、政府が懸案の日中平和友好条約の締結のためにすみやかに交渉を進めることを強く要請するものであります。
同時にわれわれは、今回の日中航空協定の調印によってもたらされた日台間の航空路断絶という不幸な事態について言及せざるを得ないのであります。
さきに述べたごとく、日本と台湾との間の関係は、一昨年の日中国交回復の実現によってその政府間の関係は断絶いたしました。しかし、台湾は現存し、しかも日台間の経済、文化の交流はなお引き続き存続しております。日台間の貿易量は日中間のそれを上回り、また、日台航路の利用者は年間百万人に達し、日中間のそれが年間一万数千人であることに比べ、大きなウエートを占めているのが現状であります。しかも中国側は、日台航路を含め日本と台湾との、政府間でない地域的、民間の実務関係の存続を容認しているのであります。われわれは、この現実を踏まえて、日中関係の友好を促進すべきであります。
しかしながら、今回の航空協定の締結が日台関係に及ぼす影響について、田中内閣の見通しがあまりにも楽観的であったことが、事実をもって証明されました。台湾側は、すでに昨年以来、もし日中航空協定の調印に伴って台湾の尊厳が著しく傷つけられた場合は、断固たる措置をとることを再三にわたってわが国に対し警告してきておったのであります。こうした事実があったにかかわらず、政府は確たる見通しを持たず、安易な気持ちで外交折衝にこのたび当たってきたものとするならば、これは重大な問題であります。判断と見通しのつかない外交をやみくもに進めることをわれわれ国会は内閣にゆだねているのではありません。その意味で、日中航空協定の締結が日台航空路線の断絶をもたらしたことは、田中内閣の失態であると断ぜざるを得ないのであります。
しかし、われわれは、過ぎたことは過ぎたこととし、今後政府が、日台航空路線の再開のため全力を傾注し、すみやかに日台航空路が再開されるよう強く要求するものであります。
ともあれ、田中内閣の外交上の処理にきわめて遺憾な点はありますが、われわれは、日中航空協定の成立が今後の日中両国間の自主性と国益を踏まえた友好関係の発展にきわめて重要な役割りを果たし得るものと評価し、これに賛成の意を表し、私の討論を終わります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/15
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016・河野謙三
○議長(河野謙三君) 須藤五郎君。
〔須藤五郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/16
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017・須藤五郎
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、日中航空協定に賛成の討論を行ないます。
わが党は、一九四九年中華人民共和国の成立直後から一貫して、中国は一つであり、中国を代表するのは中華人民共和国政府であるという立場に立って、中華人民共和国との国交回復を早急に実現するよう主張し、そのために努力してまいりました。歴代の自民党政府の対米追随の中国政策にもかかわらず、国民世論のおもむくところ、さきに日中の国交が回復され、それに基づいて今回日中航空協定の調印に至ったことは、おそきに失したとはいえ、わが党はこれを歓迎するものであります。
わが党は、今回の航空協定の締結に引き続いて、日中両国間に海運、漁業協定、平和友好条約がすみやかに締結されることを求めるものでありますが、この機会に、日中両国の真の友好関係を発展させるため、政府に対して次の諸点を要求します。
第一に、日本が過去に犯した中国をはじめアジア諸国への侵略戦争の反省の上に立って、その教訓を明らかにすることであります。特に、最近の田中首相の教育勅語や軍人勅諭礼賛の言動など、ますます強まる軍国主義的姿勢を見るとき、私は政府に対して過去の侵略戦争への明確な反省を強く要求します。党創立以来、一貫して侵略戦争に反対して奮闘してきたわが党は、重ねてそのことの重大性を指摘するものであります。
第二に、日中の友好を発展させるために、政府は、台湾は中華人民共和国の不可分の領土であるという一つの中国の立場を一そう明確にし、実行することであります。日中航空協定の交渉にあたって、自民党の議員を含めて、政財界の極右勢力や右翼団体は蒋政権護持に狂奔し、協定の締結を妨害し、政府に対して事実上二つの中国の立場を維持するよう圧力をかけてきました。政府は、そのような圧力のもとで蒋政権に譲歩して、日中航空協定調印にあたっての外務大臣談話にも見られるように、日台路線の維持を肝要不可欠の課題とし、蒋政権の挑戦的態度にもかかわらず、あくまでもその意を迎えようとして卑屈な態度に終始しているのが現状であります。このような事実は、田中自民党内閣が真の一つの中国の立場に立っていないことを示すものであります。私は、政府がこのような態度をすみやかに改め、一つの中国の立場に徹底した外交措置をとるよう強く要求するものであります。
第三には、いわゆる台湾条項の問題であります。日米安保条約の極東条項のもとで、一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明は、台湾の安全を日本の安全と一体視する台湾条項を打ち出したのでありますが、一つの中国の原則に基づいて日中国交が回復された今日、このような日台運命共同体論が完全に放棄されなければならないことは言うまでもありません。ところが、政府は、五月九日の参議院外務委員会でわが党の星野議員の質問に対し、台湾地域における平和と安全の維持が日本の安全にとって重要な要素ではなくなったと言明しながらも、台湾条項を公式に廃棄することをかたくなに拒否しています。日中国交が回復し、日本政府としては台湾問題は中国の内部問題という明確な認識に立たなければならないにもかかわらず、このような台湾条項を残しておくことは、日中国交回復にあたっての基本原則である領土・主権の相互尊重、相互不可侵、内政不干渉、平等互恵、平和共存の平和五原則にまっこうから違反するものであると言わなければなりません。私は、日米安保条約の極東条項とともに、佐藤・ニクソン共同声明の台湾条項を公式に廃棄することを強く要求するものであります。
最後に、日中航空協定の締結に伴う空の安全の確保と日本の空における主権回復の問題であります。台湾当局は、四月二十日の日台航空路線停止に関する声明の中で、日本の航空機が台湾の飛行情報区、防空識別圏を飛行することは許されない、日本機が許可なく侵入した場合、飛行情報区については日本の航空機への飛行情報の提供を停止する、防空識別圏については国籍不明機として必要な措置をとると述べています。蒋政権にこのような措置をとる国際法上の権利がないことは明白であり、これは日本の航空機の安全に対する悪質な脅迫であります。しかも台湾の飛行情報区と防空識別圏には、日本の主権が及ぶ沖繩南西部の領土・領空が組み込まれているのであります。これは、日本の航空機が日本領土上空を飛行する当然の行動に対する許しがたい挑戦であります。それに対して日本政府は、一片の抗議をするでもなく、日本の領土・領空である与那国島と石垣島間の南西航空路の安全確保について台湾当局にき然たる態度をとろうとしません。日本政府のこの卑屈な姿勢と台湾の不当な措置は、政府がアメリカの指導のもとに調整されている軍事空域を国際法に優先する絶対的なものとみなしていることのあらわれであり、アメリカを中心とした軍事同盟を至上のものとみなしている結果であります。
日中の真の平和友好関係の発展のためにも、また日本の空の安全を確保するためにも、日米安保条約に基づいて設けられている日本の空における米軍の軍事管制空域を一掃すること、空の米軍優先をやめさせることがますます重要な課題となっていることを強く指摘して、本案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/17
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018・河野謙三
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。
これより採決をいたします。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/18
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019・河野謙三
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/19
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020・河野謙三
○議長(河野謙三君) 日程第二 消防法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長久保田藤麿君。
〔議長退席、副議長着席〕
〔久保田藤麿君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/20
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021・久保田藤麿
○久保田藤麿君 ただいま議題となりました消防法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
本法律案は、最近における火災の実態にかんがみ、火災時における人命の安全を確保するため、所要の措置を講じようとするものであり、おもなる内容を申し上げますと、まず第一に、百貨店、地下街、複合用途防火対象物等の特定防火対象物については、既存のものにもスプリンクラー設備等の設置を義務づけるほか、消防用設備等の検査、点検及び報告の義務づけ等、その規制を強化すること、第二に、防火管理者の行なう防火管理業務が適正を欠く場合には、消防機関は防火対象物の所有者に対し、防火管理を適正に行なうよう命ずることができることとし、防火管理体制を強化すること、第三に、二以上の市町村にわたって設置されるパイプライン施設についての許可権限を明確にし、これら危険物施設の緊急時の措置、保安定期検査の義務づけなど、その保安規制を強化することであります。
委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/21
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022・森八三一
○副議長(森八三一君) 日程第三 結核予防法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長山崎昇君。
〔山崎昇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/22
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023・山崎昇
○山崎昇君 ただいま議題となりました二法案について、委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
まず、結核予防法等の一部を改正する法律案は、近年、結核医療の進歩等によって、結核患者が減少し、特に年少者については、健康診断による患者の発見率が著しく低下している反面、年少者に対する健康診断の際のエックス線被曝による影響を配慮する必要があることにかんがみて、第一に、義務教育終了前の年少者に対して、学校、幼稚園等の施設で行なっている健康診断の回数を、毎年一回から、政令で定める定期のみに行なうよう改めることとするほか、予防接種についても、ツベルクリン反応が陰性の者だけに行なうよう改めること。第二に、小学校就学の始期に達しない者に対して市町村長が毎年行なっているツベルクリン反応検査を政令で定める定期のみに行なうこととし、予防接種についても、ツベルクリン反応が陰性である者に対してだけ定期に行なうよう改めること等を内容とするものであります。
委員会におきましては、慎重に審議を行ない、質疑を終了いたしましたところ、本法案の施行期日である昭和四十九年四月一日がすでに経過しておりますので、これを公布の日とする修正案が自民党から提出されました。
採決の結果、多数をもって原案を修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、一般住民の検診を強化すること。結核の常時監視体制を確立すること、退院者の追跡健康管理、後保護等の措置に万全を尽くすこと、予防接種事故に対する救済制度を早急に樹立すること等を内容とする附帯決議を全会一致をもって付することに決しました。
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次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案は、戦傷病者戦没者遺族等援護法のほか、関連する五法律の改正案であります。
改正の第一は、障害年金、遺族年金及び遺族給与金等の額を恩給法に準じて二三・八%引き上げ、あわせて、旧防空法の規定により防空業務に従事中にかかった傷病によって障害者となった者またはこれにより死亡した者の遺族に対して、障害年金、遺族給与金等を新たに支給すること。第二は、旧防空法の規定により防空業務に従事中傷病にかかり、現に第五款症以上の障害がある者及び旧軍人または準軍人で公務上傷病にかかり、現に第三目症または第四目症の障害がある者に対して、戦傷病者手帳の交付、長期入院患者に支給する療養手当の月額の増額等を行なうこと。第三に、満洲事変以後日華事変以前に公務上の傷病にかかり、これにより死亡した軍人の妻及び父母等に、また、日華事変中の本邦等における勤務関連傷病により、遺族年金、障害年金等を受けることとなった戦没者の妻及び父母等並びに戦傷病者等の妻に対し、それぞれ新たに特別給付金を支給すること等であります。
なお、衆議院において施行期日の一部について修正が行なわれております。
委員会におきましては、慎重に審議を行ない、質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、一般戦災者に対し、援護の検討を目途として実態調査を行ない当時の救済状況を明らかにすること、最近の急激な物価上昇及び国民の生活水準の向上に見合う年金額等の水準引き上げにつとめること、戦没者等の遺骨収集を積極的に推進すること等の諸点を内容とする附帯決議を全会一致をもって付することに決しました。
以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/23
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024・森八三一
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。
まず、結核予防法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/24
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025・森八三一
○副議長(森八三一君) 過半数と認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/25
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026・森八三一
○副議長(森八三一君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/26
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027・森八三一
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/27
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028・森八三一
○副議長(森八三一君) 日程第五 中小企業庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長寺本広作君。
〔寺本広作君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/28
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029・寺本廣作
○寺本広作君 ただいま議題となりました中小企業庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法案の内容は、小規模企業に関する行政をより一そう強力に推進するため、中小企業庁の内部部局として小規模企業部を新設するとともに、同庁の所掌事務の整備をはかろうとするものであります。
委員会におきましては、小規模企業部設置の経緯、中小企業庁を省に昇格する問題、中小企業の営業分野の確保に関する問題、中小企業に対する金融対策等のほか、中小零細企業に関する各般の施策について質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/29
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030・森八三一
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/30
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031・森八三一
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107215254X02119740515/31
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