1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年二月十八日(火曜日)
午前十時六分開会
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委員の異動
十二月二十八日
辞任 補欠選任
片岡 勝治君 粕谷 照美君
安永 英雄君 秋山 長造君
一月三十日
辞任 補欠選任
矢原 秀男君 藤原 房雄君
二月十二日
辞任 補欠選任
藤原 房雄君 矢原 秀男君
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出席者は左のとおり。
委員長 内藤誉三郎君
理 事
有田 一寿君
久保田藤麿君
久保 亘君
加藤 進君
委 員
山東 昭子君
志村 愛子君
高橋 誉冨君
藤井 丙午君
宮田 輝君
最上 進君
粕谷 照美君
内田 善利君
矢原 秀男君
小巻 敏雄君
中沢伊登子君
国務大臣
文 部 大 臣 永井 道雄君
政府委員
文部政務次官 山崎平八郎君
文部大臣官房長 清水 成之君
文部大臣官房会
計課長 宮地 貫一君
文部省初等中等
教育局長 安嶋 彌君
文部省大学局長 井内慶次郎君
文部省学術国際
局長 木田 宏君
文部省社会教育
局長 安養寺重夫君
文部省体育局長 諸沢 正道君
文部省管理局長 今村 武俊君
文化庁次長 内山 正君
事務局側
常任委員会専門
員 瀧 嘉衛君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○教育、文化及び学術に関する調査
(文教行政の基本施策に関する件)
(昭和五十年度文部省関係予算に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107515077X00219750218/0
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001・内藤誉三郎
○委員長(内藤誉三郎君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い、本委員会の理事が一名欠員になっておりますので、ただいまから補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107515077X00219750218/1
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002・内藤誉三郎
○委員長(内藤誉三郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に久保亘君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107515077X00219750218/2
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003・内藤誉三郎
○委員長(内藤誉三郎君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題といたします。
まず、文教行政の基本施策について文部大臣から所信を聴取いたします。永井文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107515077X00219750218/3
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004・永井道雄
○国務大臣(永井道雄君) 第七十五回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、所信の一端を申し述べます。
わが国は、最近における経済社会の急激な変化と国際交流の著しい進展の中にあって、厳しい資源的制約のもとに、さらに発展を続け、民主的社会を建設し、国民福祉の一層の向上を実現し、世界の繁栄と平和に貢献しなければなりません。そのためには、将来の日本を担う人づくりの根幹となる教育の役割りはきわめて重要なものとなっております。
私は、先人の努力と業績を継承しつつ、日本の伝統を尊重し未来を切り開く創造力に富み、二十一世紀を目指して国際社会において人類の連帯を進める日本人の育成を期して、教育・学術・文化の刷新充実に努めたいと思います。私は、対話と協調を基本とし、学ぶもの、教えるもの、それぞれの自主性と個性を尊重しながら、広く国民の合意の上に文教施策を積極的に推進してまいりたいと存じます。
国民の教育、特に学習に励む児童、生徒、学生の立場に身を置いて考えるとき、教育の場に政争を持ち込むようなことがあってはならないことは、申すまでもありません。また、わが国教育において、学校数の増大とともに教育の内容の充実を図ることが緊急の課題でありますが、それには、いかにして受験体制の過熱化の現状の改善を図るかという課題に取り組まなければなりません。このための総合的、多角的な検討を行いつつ、教育政策を進めるべきであると考えます。
このような考えに基づき、以下当面する文教行政の諸問題について申し述べます。
第一は、初等中等教育の改善充実についてであります。
学校教育の成果は、究極において、それに携わる個々の教員の資質と意欲のいかんにかかっていると言っても過言ではありません。教育界にすぐれた人材を得て、その情熱を安んじて教育に傾注していただけるような条件を整備することがなによりも大切であります。このため、昨年の通常国会で制定されたいわゆる人材確保法に基づいて、昭和五十年度も引き続き教員給与の改善を行い、その計画的実現を図ることといたしております。
また、小・中・高等学校等の学級編制及び教職員定数の改善については、昭和四十九年度を初年度とする五カ年計画に基づいてその改善を進めるとともに、教頭がその職務に専念し得るよう必要な配慮をいたしたいと考えております。
幼稚園教育の普及充実については、幼児教育に対する国民の強い要請にかんがみ、昭和五十七年度当初までに就園を希望するすべての四、五歳児を就園させることを目標とする幼稚園教育振興計画を引き続き推進してまいりますが、特に父母の経済的負担を軽減するための幼稚園就園奨励費については、一層の拡充を図りたいと考えております。また、心身に障害を持つ児童生徒の教育については、養護学校教育の義務制を昭和五十四年度から実施することといたしておりますので、そのための諸準備を中心に特殊教育の拡充整備を計画的に進めるとともに、これら児童生徒の実態を的確に把握し、適切な教育方法の研究を推進するなど、きめ細かな措置を講じてまいる所存であります。
公立文教施設の整備については、児童生徒急増地域における小・中学校校舎の整備、校地確保のための小・中学校用地取得費の増額、社会教育にも利用されるよう配慮した小・中学校の屋内運動場の基準面積の改定等を行うことといたしましたが、特に建築単価については、大幅な改定を加え、地方公共団体の負担軽減を図ることといたします。
教育内容の改善については、現在、教育課程審議会に、小・中・高等学校を一貫する教育内容の精選充実について御検討をお願いしております。学校教育の過密化に対処し、児童・生徒に基本的な事項をしっかり身につけさせ、みずから考える態度を養い、その生活をゆとりあるしかも充実したものとすることによって、学校教育のよき伝統を継承しつつその一層の発展を期しているのであります。この際、道徳性の涵養につきまして、学校教育のみならず、社会教育、家庭教育の三分野を通じて十分配慮いたしますとともに、体育については一体位の向上と体力の増強に努め、知徳体の三面にわたって調和のとれた人間形成を目指さなければならないと考えております。
学校給食については、最近の諸物価の急騰のもとで、低廉良質な学校給食用物資の安定供給を図るため、新たに都道府県学校給食会に学校給食用物資安定供給資金を設定するための助成措置を講ずるとともに、学校給食施設設備の整備、学校栄養職員の適正配置等を促進し、学校給食の一層の普及充実を図る所存であります。
第二は、高等教育の拡充整備についてであります。
高等教育については、各大学の自主的な努力を助けて、国民の期待にこたえ得る改革の実現に力を尽くしますとともに、わが国の高等教育の将来に関する長期的な計画の策定を進め、また教員大学院大学、技術科学大学院の創設準備や、放送大学の実施調査、あるいは大学院の拡充整備等の諸施策を適切に取り進めてまいりたいと存じます。
社会的要請の強い医師の養成についても、昭和五十年度に富山医科薬科大学及び島根医科大学の創設を行い、残る七県についても、創設準備等を進め、無医大県の解消を図ることといたす考えであります。また、育英奨学事業は、大学院及び私立学校の奨学金について重点的にその充実を図ることといたします。
さらに、子弟を持つ父兄の重大な関心事であります大学入学者選抜制度については、受験体制の憂慮すべき現状にかんがみ、あらゆる角度からその改善に努力してまいる所存であります。
第三は、私立学校教育の振興についてであります。
私立学校はわが国の学校教育において大きな地位を占め、独自の校風のもとに特色ある教育を行うことにより、多大の貢献をいたしてまいりました。このような私立学校の役割りの重要性にかんがみ、また、国・公・私立の学校間の格差是正を図るために、昭和五十年度においても、私学振興に格段の配慮をいたしたいと存じます。
すなわち、私立大学等に対する経常費補助の大幅な増額を図るとともに、私立大学の特別な需要に対応し、その質的向上に資するための特別の助成の道を開くなどの措置を講ずることといたします。また、従来、都道府県が実施しておりました高等学校以下の私立学校に対する経常費助成に対して新たに国庫補助の道を開くことにいたします。
以上のほか、日本私学振興財団を通ずる融資枠の拡大、私立学校教職員共済組合に対する助成措置の充実、学校法人に対する税制上の優遇措置の強化など私学振興に関する諸施策の一層の充実を図る所存であります。
第四は、社会教育及び体育・スポーツの振興についてであります。
これからの社会教育は、生涯教育の観点から、学校教育及び家庭教育との連携を強化し、幼児期から高齢期に至る生涯の各時期において心身の発達成熟の度合い及び学習意欲に即応して展開される必要があります。
このため社会教育活動促進の中核となる社会教育指導者について、派遣社会教育主事の充実を図るとともに、自主的な学習活動の拠点となる公民館等の各種社会教育施設の整備に努めることといたします。なかんずく、次代を担う青少年の健全な育成を図るため、学制百年記念事業の一環として構想された国立少年自然の家を昭和五十年度に高知県の室戸に創設することとし、その他の地域にも順次計画的に整備を進めることといたしております。
このほか、国立婦人教育会館の建設、家庭教育、高齢者教育等のための各種社会教育事業の充実、社会教育関係団体に対する助成措置の拡充等を行い、社会教育の一層の振興を図る所存であります。
体育・スポーツは、心身の健全な発達と明るく豊かな国民性の形成に寄与すること大なるものがあり、国民のすべてが日常生活の中において体育・スポーツに親しめるようにするため、体育・スポーツの普及振興を図ることは、余暇利用の見地からも、当面の重要な課題となっております。
このため国民体育館を初め各種の体育・スポーツ施設の整備充実を進めるとともに、新たに都道府県にスポーツ主事を設置し、市町村の求めに応じて派遣することにより、市町村のスポーツ指導体制の充実を図ることといたします。また、青少年の体育・スポーツ活動は、単に体力を養うばかりでなく、広く人間形成の上においてもはかり知れない効果が期待されることから、新たに都道府県中学校体育大会等について国庫補助を行い、青少年の体育・スポーツ活動を一段と奨励振興することといたす考えであります。
第五は、学術の振興と教育・学術・文化の国際交流の推進についてであります。
わが国の学術研究を振興し、新たな知見の開発と創造によって人類の進歩と発展に寄与するとともに、今日の国際社会にわが国として積極的に参加するために教育・学術・文化の国際交流を格段に推進することが必要になっております。
このため、分子科学研究所の創設など重要な基礎科学の分野における研究体制の整準を図るとともに、エネルギー、環境等人類の当面する重大な課題に対処するための基礎的研究を推進することを重点として、所要の研究体制、研究費、研究環境等の整備充実を図ることといたします。
教育・学術・文化の国際交流については、国際協調の時代にふさわしい日本人の育成、交流事業の内容の質的向上、留学生の受け入れ体制などの整備等を主眼として、各種交流事業を推進してまいりたいと存じます。
なお、先般東京に本部が開設されました国連大学は、地球上の人類共通の研究課題を世界的な規模で扱う国際機関であり、世界の研究教育活動をわれわれの身近なものとして持つことは、まことに意義深いものであります。わが国としても引き続きこれに積極的に協力してまいる所存であります。
第六は、文化の振興についてであります。
わが国が世界に誇る幾多の貴重な文化遺産を適切に保存し、広くその活用を図るとともに、これらの伝統的文化を継承しつつ新しい時代精神を反映する芸術文化を振興することは、われわれの重要な課題であります。
芸術文化の振興については、公立文化施設の整備を進めるとともに、青少年や、児童、一般人を対象とする舞台芸術巡回公演の充実等により、地方における芸術文化活動の促進と、青少年に対する芸術文化の普及に格段の努力をいたす考えであります。また国立の文化施設として第三国立劇場、国立歴史民俗博物館、演芸資料センター、国立国際美術館等についてその創設準備を着実に取り進めてまいる所存であります。
文化財の保護については、国宝・重要文化財の修理・防災及び買い上げを初めとして、史跡等の保存のための土地の公有化、環境整備などの事業を充実するとともに、開発の進行に適切に対処するため、埋蔵文化財保護対策等を強力に推進してまいる所存であります。
なお、内外の社会情勢の進展に即応し、長期的観点に立って日本文化の振興を図り、文化の国際交流を推進するため、従来の文化行政を見直し、文化行政の長期総合計画を策定することを検討してまいりたいと考えております。
以上、文教行政の当面する諸問題について所信の一端を申し述べましたが、わが国の教育・学術・文化の振興のため、文教委員各位の御協力と御支援を得て、微力を尽くして取り組んでまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107515077X00219750218/4
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005・内藤誉三郎
○委員長(内藤誉三郎君) 引き続いて、昭和五十年度文部省関係予算について説明を聴取いたします。永井文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107515077X00219750218/5
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006・永井道雄
○国務大臣(永井道雄君) 昭和五十年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず、文部省所管の一般会計予算額は二兆四千三十五億九千八百九十九万円、国立学校特別会計の予算額は七千二百三十九億九千四百三十万円でありまして、その純計額は二兆五千六百六十四億七百八十一万円となっております。
この純計額を昭和四十九年度の当初予算額と比較いたしますと、六千六百九十八億三千三百九十三万円の増額となり、その増加率は、三五・三%(一般会計予算額の増加率は、三五・五%)となっております。
以下、昭和五十年度予算において取り上げました主要な事項について御説明申し上げます。
第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。
まず、教員の給与改善につきましては、教育界にすぐれた人材を確保するため、琉本的改善を図る措置として、四十八年度において義務教育教員の給与の一〇%相当額の引き上げの措置を講じ、四十九年度においても同様の措置を講じましたが、五十年度においては、四十九年度の第二次改善措置の平年度化分のほか、さらに第三次改善分として五%相当額の一カ月分の財源措置を講ずることとし、計八百十六億円を計上いたしました。なお、この第三次改善をもちまして教員給与の計画的改善を完結させることといたしました。
義務教育諸学校の教職員定数につきましては、四十九年度を初年度とする第四次の教職員定数改善五か年計画に基づく定数の増を行うとともに、教頭職の法律化に伴う教員定数の増についても配慮し、これにいわゆる自然増及び特殊学級の増設に伴う増員等を合わせて一万六千百二十三人の増員に必要な経費を計上いたしました。
次に、教材につきましては、義務教育諸学校の教材について引き続き年次計画による充実を図るとともに、学級当たりの単価の改定を行うこととし、また、義務教育教科書につきましても、五十年度前期用教科書から購入価格を三三%引き上げるのに必要な経費を計上いたしました。
次に、公立文教施設の整備につきましては、児童生徒急増地域の小・中学校校舎の新増築事業に力点を置くとともに、屋内運動場の補助基準面積についても、学校教育以外の社会教育、社会体育等の諸活動にも十分利用できるよう、補助基準面積の改定を行うことといたしました。また、建築単価につきましては、超過負担の解消及び最近における物価上昇を織り込み、三二%の引き上げを行うことといたしております。なお、児童生徒急増市町村の小・中学校建設用地の確保を促進するため、用地取得費補助金の単価を引き上げるとともに、交付率の引き上げを図ることといたしております。これらの施策に要する補助金として、四十九年度に対し、三七・三%増の二千七十四億円を計上いたしました。
公害対策につきましても、大気汚染地域及び市街地域の公立小・中学校に引き続き健康増進特別事業及び学校環境緑化事業を推進することといたしております。
次に、学校給食の整備充実につきましては、最近における物価の上昇に対処し、低廉、良質な学校給食用物資の安定的供給に資するため、新たに学校給食用物資安定供給対策特別事業を実施するための経費十二億五千万円を計上することとしたほか、給食施設設備整備の補助単価の引き上げ等を行うことといたしました。
次に、定時制及び通信制の教育の充実につきましては、新入学者に対して合宿による修学指導を行う経費を新たに計上するとともに、定時制課程について教科書の給与を三年次生まで拡大し、修学奨励費を二年次生まで拡大することといたしました。
次に、特殊教育の振興につきましては、前年度に引き続き、年次計画による養護学校及び特殊学級の増設を推進することとし、特に養護学校については、五十四年度からの義務制実施に備えて、都道府県、市町村等に設置する就学指導委員会を拡充するとともに、重度・重複障害児のための訪問指導員及び介助職員の増員、特殊教育就学奨励費及び特殊教育設備整備の拡充等を行うことといたしました。
次に、幼稚園教育の振興につきましては、引き続き公私立幼稚園の増設を計画的に進めることとし、施設整備の補助単価の引き上げを図るとともに、父兄の経済的な負担を軽減し、幼稚園教育の普及に資するため、幼稚園就園奨励費補助を拡充いたしております。
以上のほか、準要保護児童生徒に対する新入学児童生徒特別援助事業措置の計上等就学援助の強化、教育課程の改善、理科教育及び産業教育の振興、教員の海外派遣等各般の施策につきましても、引き続き所要の経費を計上いたしました。
第二は、高等教育の整備に関する経費であります。
まず、高等教育改革の推進についてであります。放送大学(仮称)につきましては、新たに教育方法についての各種の実験を行うなど実施のための調査をさらに前進させることとしています。また、教員大学院大学及び技術科学大学院(仮称)の創設準備等をさらに進めるとともに、筑波大学につきましては、第二学群及び芸術専門学群を増設するほか、大学院を設置し、大学附属病院の設置準備を進めるなど本格的な整備を図ることといたしました。
なお、大学入学者選抜制度の改善につきましても、共通学力検査等について引き続き調査を進めることといたしております。
次に、大学院の拡充整備につきましては、東京工業大学に新しい構想に基づく学部から独立の研究科を新設したほか、研究科の新設、専攻の増設等により、七百三十人の入学定員増を行うことといたしました。
医学教育の拡充につきましては、四十九年度に国立医学教育機関創設準備費を計上した五校のうち、準備状況等を考慮して富山医科薬科大学及び島根医科大学の三校の創設を行うこととし、他の三校については引き続き創設準備を進めることとしたほか、徳島大学歯学部の創設準備を継続することといたしております。さらに、医学教育機関三校の創設準備調査と琉球大学医学部の設置調査を行うとともに、大学附属病院・歯学部等の設置に関する調査も行うことといたしております。また、千葉大学に四年制の看護学部を創設するとともに、弘前大学、京都大学及び鳥取大学の三大学に医療技術短期大学部を創設することといたしました。なお、大学附属病院につきましては、新設の医科大学等の附属病院の創設準備を開始するとともに、既設の大学附属病院の整備充実についても配慮をいたしております。
次に、教員養成の改善充実につきましては、前述の教員大学院大学の創設準備等を進めるほか、国立大学の教員養成学部について、小学校教員、幼稚園教員、特殊教育教員及び養護教員を養成する課程の新設、拡充を図るとともに、附属養護学校等を新設、整備する等その充実を図っております。
国立学校の整備充実につきましては、これらの諸施策のほか、高等教育の機会増大に対する社会的要請にこたえて、学科、課程の新設、改組と入学定員の改定を行うこととし、前述の学部等の新設による増員を含め、大学学部及び短期大学の入学定員で総数千九百人の増募を行うことといたしました。また、教育研究条件の整備のため、基準的経費、施設、設備等の充実に努めるとともに、必要な分野について教職員の増員を図っております。なお、国立学校の入学料及び検定料につきましては、私立学校との均衡等を勘案し、五十年度に引き上げを実施することといたしております。
以上の諸施策等に要する国立学校特別会計の予算といたしましては、四十九年度の当初予算と比較して一千五百三十五億円増の七千二百四十億円を計上いたしました。その歳入予定額は、一般会計からの受け入れ五千六百十二億円、借入金三百七十一億円、自己収入その他一千二百五十七億円であり、歳出予定額は、国立学校運営費六千百四十六億円、施設整備費一千九十四億円となっております。
第三は、学術の振興に関する経費であります。
まず、重要基礎研究の推進につきましては、エネルギー開発を進展させるため、核融合研究を格段に充実する等原子力研究の一層の推進を図るとともに、地球をめぐる宇宙環境を解明するため、科学衛星及びロケット観測等を推進することといたしました。また、国立大学の共同利用機関として分子科学研究所を創設することとしたほか、既設の研究所についても計画的に整備を進めることといたしております。
次に、科学研究費につきましては、がん、難病等の生命科学、地震予知を含む災害科学、情報科学、環境科学等に重点を置き、国際共同研究計画の推進経費を含め、総額百七十億円を計上し、その拡充を図りました。
第四は、私学助成と育英奨学事業の拡充に関する経費であります。
私立学校の助成につきましては、まず、私立大学等の経常費補助について、専任教員及び専任職員の給与費の拡充と教員経費及び学生経費の物件費の充実を図り、四十九年度に対し五七・四%に当たる大幅な増額を行って、一千七億円を計上いたしました。なお、その内容として、私学の教育研究の質的向上に資するための特別な助成の方法を取り入れることといたしております。
また、新たに、高等学校以下の学校法人立の学校についても、国庫補助を行うことといたしました。
日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金十億円を計上するとともに、後述の私大奨学事業も含め財政投融資資金からの借入金三百四十五億円を計上し、自己調達資金を合わせて四十九年度に対して七十五億円増の四百五十五億円の貸付額を予定いたしております。
このほか、私立学校教職員共済組合補助につきましては、四十九年度に引き続き、長期給付の改善を図るための補助の拡大を行うことといたしました。
次に、育英奨学事業の拡充につきましては、日本育英会貸付金のうち大学院の人員及び貸与月額の増、私立大学特別貸与奨学生の人員増、私立高校人員の別枠設定及び私立学校の貸与月額の増等を行うこととし、このための貸付金の増額を図ったほか、私立大学を設置する学校法人が当該大学の学生を対象として行う奨学事業に対して、国が日本私学振興財団を通じて財政投融資資金を融資する私大奨学事業の援助についても、さらにその規模を拡大してまいることといたしました。
第五は、社会教育と体育・スポーツの振興に関する経費であります。
まず、社会教育の振興につきましては、社会教育の指導者層の充実を図るため、四十九年度に新設した社会教育主事の給与費補助について員数及び単価の引き上げを行うとともに、社会教育指導員の設置費補助についても単価の引き上げを行うことといたしました。
公立の社会教育施設につきましては、公民館、図書館、博物館、青年の家及び少年自然の家等の補助単価の引き上げを行うことといたしました。また、青少年のための国立の施設につきましては、国立青年の家の整備を進めるとともに、国立少年自然の家については、高知県室戸市に建設中の第一少年自然の家を五十年度中に開設することとし、そのほかについても引き続き計画的な設置を進めるための施設費、創設調査等の経費を計上いたしました。また、国立婦人教育会館(仮称)の建設につきましても、本格的な工事に着手することといたしました。
社会教育事業の促進につきましては、高齢者教室、家庭教育相談事業等の事業の拡充を図るほか、新たに乳幼児学級を開設するとともに、特に青少年関係団体を重点に社会教育関係団体補助を増額することといたしました。
次に、体育・スポーツの振興につきましては、社会体育の指導者層の充実を図るため、都道府県にスポーツ担当の社会教育主事を設置し、市町村の求めに応じて派遣できるよう、都道府県に対しその三百人分の給与費の二分の一を補助する経費を新たに計上することといたしました。
体育・スポーツ施設につきましては、引き続き拡充整備を進めることとし、施設建設費の補助単価を引き上げることといたしました。
体育・スポーツの普及奨励につきましては、前述のスポーツ担当主事の新設その他指導者の養成等と合わせて、特に地域住民のための体育・スポーツ振興に意欲的に取り組む市町村を地域住民スポーツ活動振興指定市町村として指定し、援助する事業を拡充するとともに、学校体育施設の地域住民への開放を一層促進することといたしました。
また、青少年の健全な心身の発達、育成を助長するため、全国高等学校総合体育大会の運営費を充実するほか、新たに都道府県単位の中学校体育大会、全国中学生選抜大会等の開催に必要な経費を補助することとするとともに、少年スポーツ教室の開設に必要な経費を補助することといたしました。
第六は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。
まず、芸術文化の振興につきましては、芸術祭三十周年を記念して主催公演を拡充し、さらにアジア民族芸能祭を実施することとしたほか、移動芸術祭、青少年芸術劇場の拡充を行うとともに、子供を対象に成長段階に応じた音楽、舞踊、演劇の巡回公演を行うこども芸術劇場についても拡充することといたしました。また、地方文化施設等が行う自主事業に対する助成、芸術関係団体に対する助成、芸術家の在外研修及び文化テレビ放送についても拡充を図ることといたしました。
次に、文化財保護の充実につきましては、東大寺金堂の修理等の重要文化財建造物の修理、史跡の保存修理・環境整備、埋蔵文化財の発掘調査等の国宝重要文化財等保存整備費補助を重点的に充実するとともに、無形文化財の保護についても、重要無形文化財の保持者に対する特別助成金の増額、伝承者の養成、保存団体等に対する補助金の増額を行うほか、能楽の調査に続いて文楽の保存に関する調査を行うことといたしました。
また、国宝重要文化財等の美術工芸品の国による買い上げを促進するとともに、史跡の保存についても、藤原宮跡等の国による買い上げを継続して実施するほか、地方公共団体による史跡等の買い上げに対する補助の充実を図っております。
地方文化施設等の整備につきましては、文化会館の建設費に対する補助単価を引き上げるとともに、文化財保存施設の整備充実を行うこととしております。
国立の文化施設につきましては、国立国際美術館(仮称)の設立準備をさらに進めるとともに、国立歴史民俗博物館(仮称)の設立準備として新たに基本設計費及び土地購入費を計上することとしたほか、第二国立劇場(仮称)及び演芸資料センター(仮称)の設立についても引き続き調査を進めることといたしております。
なおまた、内外の社会情勢の進展に即応し、長期的観点に立って、新しい見地から日本文化の振興を図るため、文化行政の長期総合計画を策定することとしております。
第七は、教育、学術、文化の国際交流の拡大に関する経費であります。
まず、国際連合大学につきましては、四十九年度に大学本部が東京都内で開設されたことに伴い、事務所の借り上げ、協力会議の開催等に必要な経費を計上することといたしました。
次に、留学生の交流につきましては、国費外国人留学生の給与月額の引き上げ、留学生宿舎対策の充実強化等留学生に対する世話体制の整備を図るとともに、海外派遣人員を増加し、学生の国際交流を推進することといたしました。
また、学術交流につきましては、日本学術振興会の機能と活動を拡充し、研究者の交流等の国際協力を拡大することとしたほか、国際深海堀削計画及び国際磁気圏観測計画に参加する等国際共同研究を推進することといたしております。
さらに、ユネスコを通ずる国際協力につきましては、国際大学院コースの受け入れ等の教育協力のほか、科学協力として新たに東南アジア基礎科学ネットワークに対し資金を拠出することといたしました。このほか、文化交流、海外勤務者子女教育等につきましても引き続きその推進を図ることといたしております。
以上、昭和五十年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞ、よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107515077X00219750218/6
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007・内藤誉三郎
○委員長(内藤誉三郎君) お諮りいたします。
お手元に配付してあります昭和五十年度文部省所管予算案概要補足説明につきましては、説明を省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107515077X00219750218/7
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008・内藤誉三郎
○委員長(内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいいたします。
以上をもちまして、文教行政の基本施策及び昭和五十年度文部省関係予算についての説明聴取を終わります。
なお、本件に対する質疑は後日に行いたいと存じます。
本日は、これにて散会いたします。
午前十時四十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107515077X00219750218/8
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