1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年十月三十日(木曜日)委員長の指名で、
次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
地方税に関する小委員
亀山 孝一君 小山 省二君
篠田 弘作君 高鳥 修君
渡海元三郎君 保岡 興治君
小川 省吾君 佐藤 敬治君
山本弥之助君 三谷 秀治君
小川新一郎君
地方税に関する小委員長 高鳥 修君
消防に関する小委員
木村武千代君 住 栄作君
高鳥 修君 中山 利生君
古屋 亨君 渡辺 紘三君
岩垂寿喜男君 細谷 治嘉君
山本弥之助君 多田 光雄君
小濱 新次君
消防に関する小委員長 中山 利生君
地方公営企業等に関する小委員
愛野興一郎君 伊能繁次郎君
片岡 清一君 島田 安夫君
中山 利生君 永山 忠則君
井岡 大治君 佐藤 敬治君
山田 芳治君 林 百郎君
小川新一郎君
地方公営企業等に関する小委員長愛野興一郎君
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昭和五十年十月三十一日(金曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 大西 正男君
理事 片岡 清一君 理事 高鳥 修君
理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君
理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君
伊能繁次郎君 小山 省二君
古屋 亨君 岩垂寿喜男君
小川 省吾君 細谷 治嘉君
多田 光雄君 林 百郎君
小川新一郎君 小濱 新次君
折小野良一君
出席政府委員
通商産業省立地
公害局長 宮本 四郎君
資源エネルギー
庁石油部長 左近友三郎君
自治政務次官 左藤 恵君
消防庁長官 佐々木喜久治君
消防庁次長 森岡 敞君
委員外の出席者
運輸省港湾局計
画課長 大塚 友則君
海上保安庁警備
救難部長 山本 了三君
建設省都市局都
市政策課長 松原 青美君
地方行政委員会
調査室長 日原 正雄君
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本日の会議に付した案件
石油コンビナート等災害防止法案(内閣提出第
二三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/0
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001・大西正男
○大西委員長 これより会議を開きます。
内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。佐藤敬治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/1
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002・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 この前の審議からしばらく時間がたちまして、いろいろなことが解明されたと思います。
長官にお伺いしますが、水島の事故の中間報告が少しありましたようですけれども、最終的に原因が解明されましたか。大体秋ごろできるようなお話でしたが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/2
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003・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 水島のタンクの重油流出に関します事故調査委員会の検討は、その後順調に進んでおるわけでございますが、ただ原因、結果についての実験等がややおくれた面がございまして、現在の見通しでは十一月末ぐらいにその結論がまとまりまして、大体十二月中ごろまでには発表できる段取りになるかと思っております。現在、その結論についてのまとめの段階に入っているところでございますが、あの中間報告にありましたような直接の引き金となりました原因というものについては、大体中間報告の結論が具体的な実験の数値等をもって正確に表現をしているというような形で調査報告書がまとまるであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/3
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004・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 直接の引き金になったというお話がいまありましたが、直接の引き金になったという意味は、垂直のはしごのことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/4
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005・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 タンク本体ができ上がった後に垂直はしごの工事が行われた、これによって垂直はしごのありましたアニュラプレートの部分に特異な応力が発生した、こういうことが直接の引き金であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/5
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006・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 その点についてこの間調査に行ったときも、それが引き金だ、直接の原因だというふうなお話でしたが、いまここに近畿大の助教授の保野さんですか、水島の重油流出のタンク破損の原因を研究したものが出ているのですが、これによりますと、はしごの工事ミスではないというふうな結論を出しているのですよ。
〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕
それで、ほとんど地盤の局部沈下が原因である、こういうふうに先生は結論を出しておるのですが、いまの結論の中に、東大の先生を中心にした政府の調査団、あれの中にこういうような意見はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/6
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007・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 水島の製油所におきましては、事故が起きました二七〇号タンクのほかに二七一から二七三までの四基のタンクが同じような工法で建設をされておるわけでございます。これは三菱石油自体が実験をしたわけでありますけれども、隣の二七一号タンクにおきまして、水張り試験をその後行ってまいりましたところ、この水張り試験の結果、垂直階段の部分において非常に特異な応力が発生をするというような実験の結果も得られておりますので、現在、事故調査委員会が原因と見ております部分については、おおむね隣接タンクにおいても同じような結論が、実験結果が出ておりますので、その直接の引き金というものについては、大体中間報告にありますような結論ということを一応言い得るのではないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/7
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008・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 その点はさておきまして、水島の製油所が八月十九日から、八カ月ぶりで操業開始いたしました。しかし、あの前後の状況を見てますと、御承知のように後にも先にもいろいろな事故が起きて、あの大事故の教訓が製油所の態度というものに正しく生かされておらないじゃないか、こういうような気が非常にするんです。これは水島に行きまして、所長さんでしたか、常務さんでしたかの説明を聞いておりましても非常にそういう気がするのです。
一つは、七月の六日に例のナフサの流出事故がありましたね。これは、あの報道を見てみますと、一つは許可を受けないで機械を動かした。これはもう厳重に、許可がなければ動かさないという取り決めがあったにもかかわらず、許可を受けないで勝手に動かした、こういうこと。それから、事故が起きたパイプの中間にある空気の分離器、これを解体検査してみたら、フロートやてこ、こういう部品がさびついていて、てこの役割りを全然果たしていない、そのために空気穴の開閉弁が開かないで二一〇号タンクからナフサが流出した、こういうふうに言われていますね。これはそのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/8
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009・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 水島製油所は、昨年十二月に事故が発生いたしまして以来、全装置を停止いたしておったわけであります。したがいまして、その七月に動かした時点におきましては、半年以上の期間にわたって装置が動いておりませんので、さびが発生をしておったというのは事実でございます。そうした問題もありまして、水島製油所の方におきましては、そういう点検をしたいという気持ちもあって動かしたもののようでございますけれども、これにつきましては、操業停止命令の違反でございますので、これは倉敷の消防本部から消防法違反として告発をしておるわけであります。
確かに、この製油所の装置が半年以上動かしておらないというような関係から、装置の各部分についていろいろなさびの問題でありますとか、その他の事故につながる問題が発生をするであろうということは、一応想定をされておったところでございます。そういう意味におきまして、操業再開をするという段階におきましては、もう一度十分点検をし直して、そして操業再開を行わせるというような方式をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/9
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010・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 まず第一に、あれだけの大きな事故を起こし、あれだけの協定を消防署と結んで、許可を受けないうちは絶対動かさない、こう言って約束しているのに動かしている、この企業の態度、これは全く事故に対する反省がない、こうしか言いようがない。しかも、八カ月も休んでいればパイプがさびつくのは当然です。分離器がさびつくのは当然なんでして、操業開始するに当たっては、当然主要部分は、これはどうせ後からこうして解体したんですから、解体して、さびついていないのか、十分な機能を果たすのか、こういう一番大事なところは十分な点検をして、その上で動かさなければいけないと思うんですよ。いま私はあなたを責めているのじゃなくて、これは当然監督する消防署の側でも、そういうものは大丈夫かと、こういうことを点検してやるべきだけれども、届けもなくて勝手に動かせば、あるいは調べられないという事態が発生するのは無理はないと思うのです。問題は、私は企業の態度だと思う。これほど大きな事故を起こし、これほど大きな迷惑をかけておりながら、約束を破って、しかも八カ月も使わなければさびるのは当然、むしろさびているんじゃないかと思うのが当然なんですね。これに対して何らの反省もなくいきなりこういう事故を起こす、こういう企業の態度というものは、私、一番先に言ったように、幾らああいう事故を起こしても、それを教訓として生かそうとしていない無責任な企業の態度というものがあらわれている、こういうふうに思うのですよ。幾らコンビナート法をつくっても、消防署と協定をしても、何をつくっても、企業がこういう態度を持っている以上は何にもならぬ、こういうふうな感じが強くするのです。さらに、この事故の通報がおくれている。これなんかも即座に通報して一緒にやらなければいかぬのに事故の通報がおくれている。これに対しても消防署が非常に憤慨をしている、こういうふうな事実がありますね。こういうことに対してどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/10
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011・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 これはまさしく企業のこうした事故に対する姿勢の問題というものに大きい疑問を私たちも持つわけであります。これは、その内容を見ますと、確かにさびの危険ということもありまして、ナフサの移動の段階におきましては、通常圧力以下の二分の一ぐらいの圧力で装置をそろそろ動かしながらナフサの移動を行うというようなこともあったわけでありますけれども、いずれにいたしましても、操業停止命令中に油の移動を行ったということは何としても問題でございますので、倉敷の消防本部におきましては消防法違反としての告発の手続をとったわけでございます。
なお、会社側といたしましては、現地におけるこうした取り扱い方について非常な責任を感じまして、その当時の所長以下責任者を社内の規程による処罰を行うというような措置もとっておるわけであります。その後、倉敷消防本部との間におけるいろいろな協定に当たりまして、そういう問題を十分織り込みながら対処していくという方針も見られたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/11
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012・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 通報がおくれたとか許可を受けないで動かした、これも非常にけしからぬ話だけれども、一番けしからぬのは、八カ月も放置しておけば金物が当然さびることを考えなければいかぬのに、それを何にもあれせずにガスを通した、こういうようなことは、私は大変な問題だと思うのですよ。いまから考えると、こういうことがああいう事故につながった、こう考えてもいいと私は思う。
そのほかにまだあるでしょう。年末に事故が起きてからすぐ、水島地区の関連五社に対して操業停止命令を無視して重油や原油やナフサを供給した、こういうような事実もあるでしょう。事故を起こして、そしてその後で操業停止命令を無視して重油だとか、原油だとか、ナフサを供給している。百八十万キロリッターというような製品を違法に出荷しているんですよ。こういうことだって、さっき言ったようなことと全く一連の無責任な企業の態度につながっていると私は思う。おかしいと思うのですね。ちょっとお伺いしますけれども、年末の事故、十二月ですね、それから七月の十六日にこれが発見された。百八十万キロリッターという膨大なあれが、操業停止命令を無視して供給されておった。これが八カ月ぐらいも消防も県も何も知らないでおった、こういうことは私はあり得ないと思うのですが、やはりわからなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/12
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013・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 水島製油所におきましては、ちょうどその時期に第一回目の保安点検を行っております。それで、保安点検の際には、原油から製品に至るまでの過程を、油を入れて、いわば操業の状態に置いて点検を行ったわけでありますが、その際に、その点検によって生じました製品については、その部分は出荷を認めておるわけであります。ただ、それ以外に、ナフサの事故の時点において調べてみますと、油について出荷をしたのではないかというような事例がいろいろ見られるようでございまして、これは出荷をするということになりますと、全装置についての使用停止命令中でございますので、明らかに消防法違反というようなことになるわけであります。したがいまして、これにつきまして現在警察におきましてその内容の調査を行っている段階でございます。また、これらについては、当然に操業停止命令というものは必ず守られているというような前提のもとに消防署としては対処したものと考えておるわけでありますけれども、こうした各企業等に対する油の供給というものはパイプラインをもって実施をしておりますので、外部から直ちにこれを確かめるということは非常に困難だったようでございますけれども、もしそういうことが明らかになりますれば、当然に警察当局の方におきまして消防法違反という形で処理がなされるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/13
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014・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 私の言うのは、単にこういう事実が出てそれをいま調べているということではなくて、さっきも言ったとおり、幾らどんな法律をつくってどんな協定を結んでも、企業がその気にならなければ何もできない、こういうことのいい証拠だと思うのですよ。いまも話されましたように、消防署では善意をもって、ああいう紳士がたくさんいるから守っているだろう。個人個人に会えばまことに紳士だけれども、工場全体として、企業として見れば、金もうけのための虫になってしまって、人に迷惑をかけても何も思わぬ、こういうような態度に出る。企業というものを全部信用してかかって、大丈夫だろうなんてかかっていると大間違いになるという一つのいい例なんですよ。定期的な点検か何かしょっちゅうしていないと、とんでもないことになると思う。
それからいまの、警察がいま調べておりますからというような、それでいずれそれができれば処分になるのでしょう、こういうようなことではやはり困ると私は思うのですよ、ただそれだけのことでは。やはりこれの責任者として消防署なりがそれなりのきちっとした結論を出してもらわなければ、非常に無責任な状態になるのではないか、こういうふうに思いますよ。
さらに、これだけじゃないのです。操業再開後わずか二週間余りの九月三日、この日朝から操業する予定の第六水素化脱硫装置の第二熱交換器から火を噴いている、こういうようなことがまたあらわれてきている。しかもここは、水島製油所の心臓部とも言われる一番大事だし、一番注意を要する場所である。それなのに、その場所でそういう事故が起きている。操業開始時にはガス漏れ、こういう事故が多いことはもう当然予想されることであるから、こういう一番大事なところには一層の注意が必要であるのに、こういうような事故が起きている。
これを考えますと、私どもは、一体、三菱の水島製油所というものは本気になってああいう災害の再発を防止するつもりがあるのかないのか、こういうふうな、何と言うか、寒心にたえない、こう思うのです。
私は視察に行きまして、あそこで水島の所長でしたか専務でしたかの説明を聞きました。例の垂直階段の問題でいろいろ質問しました。そのときの説明する人の態度というものは、まさにこれを裏づけていると私は思いました。そう感じましたがね。これはどこでしたか、石川島播磨重工じゃないし、これをつくったのは千代田化工ですか。(佐々木(喜)政府委員「石川島です」と呼ぶ)石川島ですね。ここが日本の権威だ、ここがつくったのだからおれに責任がない、みんなあそこの責任だ、こういうふうな態度なんです。私はたまりかねまして、それを全部採用したのはあなた方じゃないか、自分は知らないというような態度は何ですかと言って質問しましたけれどもね。こういう無責任な態度というものが、ああいう事故があったにもかかわらず次から次と連続してこういうような事件を起こしている、これにつながっているものだ、こういうふうに私は思います。
だから、これを単に、コンビナート法をつくったとかあるいは企業に対していろいろな防災の協定を結んだとか、こういうものを幾らやってみても、結局動かす人は企業であるので、企業がこれに対して断固たる態度で対応する十分な心構えがなければ、これはとても事故の再発を防げない、こう思うのです。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/14
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015・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 まず第一点の、操業停止中に油を関係企業に送っておったのではないかというような問題は、七月のナフサの流出事故に当たりまして消防法違反という形で消防機関が告発をいたしました。その告発に関連をいたしまして書類等を調査いたしますと、そういうような疑いがあるというような事例が出てまいったわけでありまして、この時点におきましては、関係証拠書類というものは警察の方にすべて引き揚げられて、警察が調査をしたというような形になっておりますので、消防機関の方といたしましては、これ以上調査のしようがないというような状況にあるわけでございます。
ただ、いずれにしましても、御指摘のようにそうした消防機関と企業との信頼関係というものが損なわれるような事態は非常に問題であるわけでありまして、確かに制度をつくっただけで十分に企業自体がそれを認識をして、安全対策あるいは保安体制というものをしっかりやってもらわなければ、また次の事故が発生するという危険が出てくるわけでありまして、この制度をつくりました場合には、十分にそれを守っていくという姿勢を企業としてとってもらわなければならないというふうに考えておるところでございます。
それから、九月のガス漏れの問題でございますが、実は今回の操業再開に当たりまして、一応の点検をして操業を開始したわけでありますけれども、この段階におきましては、点検はガスによって、しかも常温によるガスを通しまして点検をしたわけであります。あの操業再開の際には、さらにもう一度、ガスを通常使う温度まで上げて点検をして、次に油を通すというような方式をとったわけでありますが、あのガス漏れば、水素ガスを二百五十度前後まで熱しまして、それを装置に通すことによって最後の点検を実施した。その際に、装置の温度を上げるという段階におきまして、一部の装置の接合部分から熱い水素ガスが漏れてそれに引火したというようなことでございまして、これは、いわば最後の点検中における事故でありますので、私どもとしましては、一応点検に伴う一部の装置のふぐあいがあったというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、通常の操業中における事故というふうには考えておらないのでございます。
しかし、いずれにしましても、こうした危険物の非常に多い、そしてまた、災害危険度の高い施設について、十分な保安についての体制と姿勢をとりながら操業を進めてもらうということは必要なことであります。今後ともそういう方向での企業の指導は、消防機関を通じて十分これに当たっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/15
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016・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 ここに「月刊政策」という本があるのですが、この中に「海洋汚染防止対策を考える」という座談会が載っている。これを読みますと、こういうことが書いてあるんですよ。これは海上保安庁の次長の隅さんの発言ですが、「汚染の多発海域はみなさんよくご存知のように、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海でございます。件数は一番多いのは瀬戸内海六七二、大阪湾三二二、東京湾が二五八、伊勢湾二三四でこの四海域で大体六三%を占めております。」「その次にいえますのは、汚染の原因は主として人為的原因というものが多いことです。この中で原因が解明しておりますのは一四六一件で、このうち明らかに人間の要素が加わったのが一二三二件です。そのうち故意に排出したという悪質なものが五七七件、取扱い不注意で油を流してしまったものが六四五、その他、パイプだとか、タンクの破損、海難によるものが続きます。」こういうふうに書いてあります。
これを見てもよくわかるように、千四百六十一件のうち人間がやったのが千二百三十二件なんです。ほとんど全部が、単なる天災だとかそういう事故ではなくて、人間が故意にやっているものが最も多いのですね。ミスだとか人間が故意に出したとか、こういうものが一番多いのです。だから、いま私が言ったように、これはただ企業でやってくれるだろうというようなことで、性善説みたいなもので信用しておったのではいけない。人間というのはどういうふうに不注意であるか、どういうふうにでたらめであるかということが、この数字の中でよくわかるのですよ。私はこれを見てびっくりしました。とてもこれでは企業を信用できない。しかも、いま言ったように、あれほどの大事故を起こしながら、次から次と同じようなミスを起こしている。一体やる気があるのかないのか、このまま黙っておけば同じようなことになるのではないか、こういうような感じを強く持ったのです。
まだあります。三菱石油の前三月期の決算を見ますと、二百四十九億円という膨大な欠損が出ておる。これは明らかに漁業の補償金あるいは汚染海域の清掃費、こういうものを支出したのが原因だと思いますよ。ところが、これに対して、三菱石油が現在考え得るところの最高の防災措置を盛り込んだ、こうして災害防止協定を結んだ、それに基づいて防災設備をつくった、この設備費がわずかに二十億円なんです。この二十億円でもって現在考え得る最高の防災措置をした、こういうふうに言っているのです。私は、この損害の額と、現在考え得る最高の防災措置というものの差額が余りにも多過ぎまして、果たしてこれで現在考え得る最高の防災措置であるかどうか非常に疑問を持つのですが、長官はどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/16
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017・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 事故後におきまして、三菱石油は、この法案に規定してありますような流出油防止堤の設置でありますとか、あるいは事故発生の事業所内における通報装置でありますとか、油回収船の配置であるとかいうようないろいろな事故対策を講じておることは事実でございます。
ただ、この防災措置が、この法案に基づいて私どもが考えておる防災措置のすべてを満たしておるかということになりますと、まだ不十分な面が相当あるわけでございます。これらにつきましては、この法案の成立後必要な防災施設の設置をしてもらうというつもりでございますし、また、倉敷市と結びました防災協定というものも、この法案成立後の内容によりまして改定をしてもらうという方針でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/17
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018・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 さっき三菱石油の水島事故のことだけ申し上げましたが、三菱石油だけではなくて、まだあの海域でいろいろな事故が起きているのですね。特に水島の地域では、御承知のように七月の十八日に、これは水島コンビナートの一角にある三菱化成水島工場敷地内にある愛日株式会社水島第一工場の電解プラントの塩素脱水塔四基のうち、三基が大爆発をしている。塔内の塩素ガスが噴出して十二人が重軽傷を負っている。こういう事件が同じ水島で起きている。さらにまた九月の二日、三菱化成の水島工場敷地内の関東電化水島工場の塩素貯蔵タンクから塩酸が噴き出して、工業用塩酸が二、三百リッターも流出した。これは幸いけが人がなかった。さらにまた八月三十日には、愛媛県東予市の日本マリンオイルの本社工場で、高さ十二メーター、直径十一メーター、容量二千立方メーターの廃油タンクが、これも大音響とともに爆発して、近くの同型のタンク二基が誘爆して三十メートルも炎を噴き上げた。近くを通っている主婦が爆風で海に吹き飛ばされて死亡、従業員二人がやけどで死亡、さらに通行人三人と従業員七人、計十人が重傷を負っている。こういうような事故が水島周辺で次から次へと連続して起きているのですよ。
なぜ、こういうような事故が起きるのか。水島の事故というのが何にも生かされていないような気がするのです。あれほど大騒ぎし、あれほど大きな損害を加えた社会的な責任は何にも考えないで、次から次へと起きている。しかも、周辺の者がそれを他山の石ともしないで同じような事故を次から次へと起こしているのですね。私どもはこれをずっと考えてみますと、まことに残念しごくだし、とてもこのままでただコンビナート法をつくっただけで、これで満足だというわけにいかない、こんな感じがするのですよ。この点については政務次官と長官と両方の考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/18
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019・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 水島地区におきます爆発事故は、恐らく高圧ガス関係の事故であったというふうに考えております。また、東予市における廃油工場の事故は、廃油を分離いたしまして一部重油等を回収をしていくというその工場におきまして、石油からの発生しましたガスに引火をして爆発をしたというような事故でございまして、これはいわゆる消防法にいう危険物に関連をする事故であったわけであります。こうした事故につきましては、事故以前における保安体制の問題というものが非常に問題であるわけでありまして、特にコンビナートのように危険物が非常に多い地域におきまして、事故を起こす前の、いわば事故を起こさない体制というものを十分とらしておく必要があるわけでありまして、この点は企業における従業員教育の問題というものが非常に大きい要素を占めるものであるというふうに考えますし、また同時に、施設自体について常に保安体制というものをとり、そして施設の装置の監視というものを十分やっていく必要があるわけでありまして、これらについては特に従業員教育、施設の保安点検というものを十分励行させる必要があるというふうに私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/19
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020・左藤恵
○左藤政府委員 いま、長官からお答えがありましたが、とにかく石油コンビナート、そういうものを中心とした事業所というのは、やはり従来の消防法なり高圧ガス取締法あるいは災害対策基本法といった法律、それぞれの施策というものだけで、相互の連関調整というものがどうかいたしますと十分徹底して一貫したものになっていないというところがあったので、こうした法案を御審議をお願いしておるわけでございます。
いまもお話がございましたように、根本的にそういった企業におきまして、いままでどうかしますと、そこまで調整し一貫したものにするという以前の、それぞれの消防法なり高圧ガス取締法、そしてまたその以前のもっと基礎的な問題というものに欠けるところがあった。これはやはりそういった従業員の教育なり、会社自体の姿勢というものが、この問題についていまお話しのような事故を引き起こしている一番大きな原因になっておる、そういった原点に立ち返ると申しますか、というようなことにつきまして一層の自戒をし、努力をしていかなければならない、私はこのように考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/20
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021・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 この間、出光だとか三菱石油コンビナートを視察に行って聞きました。一番先に強調しているのが従業員の教育の問題なんですね。これを非常に強調している。組織の図面を見せられたりいろいろして、こういうふうにりっぱに教育していますと盛んに従業員教育を強調しているのですよ。そしてまた、かっこうだけ見ると非常によくやっているようにも見える。しかし、実際に次から次にこういうでたらめな、無責任な事故が起きてくるということになると、かっこうだけやっているのじゃないか、こんな気がするのです。一番問題なのは、責任者のやはり意識ですよ、トップの。この意識がしっかりしていませんと、幾らやってもこういう事故が絶えない。従業員は弱いですからね。トップがこうやれと言うと、やらざるを得ない。一番大切なのはトップの意識だと思うのです。そのトップがこういうような状態では、私どもとしてはどうも責任を感じているようには思えない気がするのですね。ここのところが私は非常に大切だと思うのですよ。
それで、ちょっと通産省にお聞きしたいのですがね。精製課長さんですか。この本を見て考えたのですが、資源エネルギー庁石油部精製流通課長の松村さんという人がおりますか、いまここじゃなくても。——この人の発言がこれに出ているのですね。こういうふうに書いてあるのです。水島の事故につきまして、「これは消防庁にも、海上保安庁のほうのご関係も、また、いまお話があった環境庁のほうでも問題になるわけですが、私どもは取締りということじゃなくて、産業を所管しているという立場から申しますと、いまもお話があったように非常に珍らしい、確率的に非常に少ないことが重ねて起こったわけです。たとえばタンクの底板があのように亀裂を生じるということが、これまでにない珍らしいこと」である。「そのあと防油堤の一部が梯子がぶつかったためにこわれたということが、これまた非常に珍らしいケースだ」「それから中に入っていた重油が非常に粘度が高くて作業がやりにくかった」これも珍らしい。「あるいは夜間であった」から、これも珍しい。「しかも瀬戸内海というところでそれが起きた」これも珍しい。こういうような不幸が次から次と重なってこの事故が起きたというふうに言っているのですよ。この中からどういう感じを受けますか。私は、通産省というのはでたらめなものだと思いますよ。大体珍しいと思っている、これがおかしい。タンクの底板に亀裂を生ずる、これは当然想像できることなんです。初めから想像していなければいかぬことなんです。これは珍しいことでも何でもない。この間調べたでしょう。ほとんど大部分のタンクというものが不等沈下している。不等沈下するということは、亀裂が生ずる可能性があるということなんです。ほとんど大部分のタンクが亀裂を生ずる可能性を持っている。それにもかかわらず、タンクに亀裂を生ずるということがこれまでにもない非常に珍しいことだ。とんでもない話だ。そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/21
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022・左近友三郎
○左近政府委員 いま御指摘になりました松村精製課長は本年の七月に他の職務にかわりましたので、私、監督の責にございます石油部長としてお答えをさせていただきたいと思います。
いま御指摘のありましたことにつきまして、本人がどういう気持ちで申したのかつまびらかにいたしませんが、もし、先生のおっしゃるように、こういうものについて単に珍しいことだというふうなことであって、従来のいろいろな事例を考えなくて発言をしたということであれば、やはり発言について注意すべきであったというように考えます。ただ、この中で言っておりますことは、恐らくこういういろいろなことが重なって起こったということが珍しいということだろうと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、事故が起こり得る可能性というものはあるわけでございますので、われわれ産業官庁といたしましても、事故がいつ起こるかわからない、それに対して絶えずそれに対処する体制をとっておく、こういう点についての警戒心と申しますか、注意は幾らしてもし過ぎることはないというふうに考えております。
したがいまして、われわれといたしましては、産業所管という立場にございますので、常に会社に向かっては、いろいろな法規を完全に遵法する、法規を守るという姿勢をいままで強調してまいっております。今後もわれわれとしてはそういう態度で臨みたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/22
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023・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 亀裂を生ずるということはどういう意味で言ったかわからないと言うけれども、「亀裂を生じるということが、これまでになく珍らしい」とこれにはっきり書いてあるのです。だからやはりこういう意味で言ったと思うのです。そんなことは、あり得ないことが起こったんだ、おれの責任じゃない、こういうような感じなんですね。その後ずっと並んでいるからますますそういう感じを受ける。「防油堤の一部が梯子がぶつかったためにこわれたということが、これまた非常に珍らしい」と言う。珍しいですよ、あの直立のはしごというのはたった四基しかないのでしょう。珍しいに決まっているのですよ。これは初めて起こる事故だ。直立させるとき基礎をあれと分離してつくれば、あの高いものが、狭い面積に重圧がかかれば不等沈下するということは初めから技術的に考えていなければいかぬ。それを考えない方がむしろおかしいのですよ。それをあたかも人間の能力を超越した、神様でも起こしたように、珍しいと言っている。それが倒れた場合に、十センチか十五センチしかない防油堤が壊れるのはむしろ当然のことなんです。珍しいことでも何でもない。これは倒れればあたりまえのことなんです。しかも、これのために不等沈下で亀裂を生じて油が出た、こういうふうに言っているのです。自分でつくっておいて珍しいなんて、こんな無責任な話はないのですよ。それから、中に入っている重油が非常に粘度が高い、自分で入れておいて粘度が高いなんてとんでもない話ですよ。粘度の高いものを自分で入れておいて、粘度の高いのは珍しいケースだなんて、そんなばかな話はないのですよ。さらにまた、夜間であった。一日の半分はこれは夜ですよ。そうでしょう。夜事故が起きないという保証はどこにあるのですか。夜間であったからだめだったなんて、事故はいつも起きるのですよ。しかも瀬戸内海だったからまただめだと言う。
私は、これを見てびっくりしました。珍しいことでも何でもないのです。自分でやっていることを、珍しい、おれの責任じゃなくて神様がやったんだ、だから人間の責任じゃないということを言っているのです。私は、こういうことが事故が起きるところの大きな原因になってくる、こう思うのです。
たとえば事故を起こしたタンクでも、垂直ばしごをかけておる。そして皆基礎を別々につくっているから不等沈下するのは当然ですよ。あれがそういうようなことにならないかということを初めから考えなければいけないのです。それを考えないで、これは珍しいことだ。こんな珍しいということで片はつかないんだ。直接の責任を負っている人かどうかわかりませんけれども、こういう通産省の枢要の地位にある人がこんなことを言うということがよっぽど珍しいことだと私は思うんだ。そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/23
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024・左近友三郎
○左近政府委員 この座談会における発言が不用意であったというような御指摘でございます。また、こういう点の心構えをもっとしっかりしなければこういう事故が防げないんだというような御指摘であろうというふうにわれわれは考えます。われわれといたしましても、今後こういう事故というものを起こしてはならないという気持ちで、ことに先生御指摘のように、仮に法律ができましても、それを守っていくという気構えがなければ実際の安全は保証されないという御指摘、われわれも身にしみて感じております。今後十分そういう点でやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/24
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025・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 その後ろにこういう発言をしているのですよ。「防油堤とか、あるいは第二次防油堤といいますか、いま消防庁で工場全体をとりまくものをつくる、ということを考えておられるようですが、そういうことをこの際に徹底する必要がある、そういう感じがいたします。」と書いてある。まことにそのとおりですけれども、私はここに、通産省というものが、つくってしまえば後は消防の仕事であっておれは知らぬ、事件が起きれば珍しいことだ、こういう感じが非常にするのです。
この間、私の方の社会党の地行部会と商工部会でもって、例の備蓄法の問題で合同部会をやりました。このときにこういう非常に強い意見があったのです。できるまでは危険物じゃない。できてしまって油を入れて初めて危険物になって、それを管理するのは消防庁だ。しかし、消防庁にはそれだけの力がない。それで大変な事故が起きる。だから、つくる最初からこの工事に対して監督なり介入をしなければいけない、こういう非常に強い意見があったのです。私はその意見を聞いておりましたので、そしてこれを読んだので、そう思ったんですよ。
通産省というのは、これを見ますと、責任を感じているどころか、何にも責任を感じてない、おれの責任じゃないということを言っているのですよ。一番責任を感じなければいかぬのは通産省ですよ、そういう危ないものをつくらしているのだから。それを、珍しいことだとか人ごとのように言って、そして後は消防任せだ。こんなことだから、いつまでたったってこれは直らないんですよ。あなた方の態度が企業のトップにそのまま反映して、それがこういう事故を起こさせるのだ、私はこう思いますよ。だから、あなた方の、特に通産省の態度というものをしっかりと固めて、決意を固めて、企業のトップにこれを厳重に申し入れる、こういうような決然とした態度が通産省にない限り私は直らぬと思う、幾らコンビナート法をつくっても消防を強化しても。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/25
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026・左近友三郎
○左近政府委員 いま先生のおっしゃるとおりだとわれわれは考えております。ことに会社の責任者にこういう安全に対する意識が確立されておらなければ、先ほど来再々おっしゃられますように、この法律を仮につくりましても、現実の実効が上がらないということはまさに御指摘のとおりだと思います。今後われわれといたしましても会社の首脳部に対しまして、安全というものがいかに大切かということは、十分協力してまいりたいと思います。
それから、このタンクの保安ということは法律上は消防庁の所管になっておりますけれども、われわれといたしましては、気持ちとしては、一緒になってその保安を遂行するという気持ちで、今後十分協力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/26
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027・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 いま私はその個々のことは申し上げませんでしたけれども、こういう事故が次から次へと起きて、しかもこれを監督する官庁の態度がこうであれば、私は事故は絶えないと思うのです。幾ら法律を、コンビナート法をもっと精密なものをつくっても、決してこのままでは事故が絶えません、こう言いたいのです。
だから私は、本当に消防庁よりも通産省の皆さんの方に要望したいのです。企業のトップというものにしっかりとした再発防止に対する意識を植えつけていただきたい。どうしても聞かなければ、やはりかなり強い罰則をあれするべきだと思います。これは後から刑事事件として、いろいろな問題が発生して罰せられるかもしれません。しかし、その前に、そういう事故を起こさないようにいろいろな問題を確立しておく必要があると思います。
ここにも出ておりますけれども、たとえば油を流すと「アメリカの罰則等によると、通報義務を怠っただけで一万ドルの罰金がかけられる、日本は十万円以下である」こういうふうに書いてあるのです。私は、これはやはりアメリカのように、こういうように幾ら協定してもいつまでたっても守られないのだったら、これはもうもっと厳しい罰金なり罰則を設けるべきだと思うのです。自動車の交通事故の罰金をうんと高くしたら事故がぐんと減った、あれと同じようなものなんです。聞かなければやはり罰則を強化する必要があると思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/27
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028・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 この法案によりまして、これまでの通報義務自体についての罰則がなかったものに対して、今度この法案によりまして罰則の規定を設けたわけであります。
その罰則についてどの程度の量刑を行うかという問題につきましては、現在の日本のこうした事犯に対する罰則との均衡の問題がございますので、内容的には法務省の方とも十分打ち合わせをし、その判断をしていただきましてこの罰則を設けたわけであります。
ただ、この罰則を適用するということは実は私どもとしましては望んでおらないわけでありまして、むしろこうした罰則を適用するようなことが起こらないようにしていきたいというのが私どもの考え方でございます。この罰則の均衡の問題につきましては、なお今後のいろいろな事犯の量刑の問題とも関連いたしまして、今後の検討問題とさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/28
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029・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 罰則の問題、いまここで細かいことを申し上げませんけれども、守っていれば罰則要らないのは私も同じなんですよ。ところが、あれだけの大事故を起こして何にも反省がない、だからやはり罰則が必要だ、こう言っておるのです。守れば罰則が要らないのは当然です。
その問題はそれで終わりまして、時間がありませんから、備蓄の問題についてちょっと伺います。
石油の九十日の備蓄をいま目指してやっておりますね。これは、石油ショック以来アメリカやEC、日本が石油備蓄をしてOPEC等に対抗しよう、こういうような戦略だと思いますが、日本でこれをいまやろうとすると、もう三十日分、三千万キロリットルの原油をどこかにためなければいけない。最近、三菱石油の事故以来石油タンクをつくるということに対して住民の反発が非常に強いので難渋しているようですが、この場所は大体決まっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/29
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030・左近友三郎
○左近政府委員 この石油の備蓄につきましては、本年度から五カ年の間に現在の六十日備蓄から九十日備蓄へ増加させようということで、いま御指摘のとおり大体三千万キロリットル積み増しをやる計画を立てております。そのうち、建設をしますのにわれわれが検討しております用地は、大体四分の三ぐらいは現在個別の企業が立地しておるところあるいはこれから立地の予定があるところに建設をする。それからそれ以外の大体四分の一程度は現在立地が見当たっておりませんので、共同備蓄会社というふうなものを関係者でつくらせて新しい地点を開発する、そういうふうな計画になっておりますが、現在のところ、ことしには新しい基地を建設するという必要はまだございませんので、いまのところどういう候補地がいいかという検討中ではございますが、まだ確定したものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/30
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031・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 この備蓄というものはこれはだれももうからぬ、ただそれを凍結しておくだけのものですから。私は国家的に言ってもそう大した利益があるものじゃないと思うのです。これから大変な金がかかるんですね。ある新聞の試算したところによると、一兆五千億円ぐらいかかるんじゃないか、いまはもっとかかるだろう、こう言われておるのです。この膨大な経費を、果たして新規にこれだけの経費をかけてこの低成長時代にやる必要があるかどうかと、すこぶる私は疑問を感ずるわけなんです。
この備蓄の問題に対して、備蓄をしなくてもいい方法がないか、新規にそういうものをつくらなくてもいい方法はないか、こういうことなんですが、まあこれはいろいろなことが考えられるけれども、私はやはり石油の節約ということを一番先に考えるべきじゃないかと思うのです。いまでも日本じゅうタンクの事故のためにコンビナートで盛んにまいっているときに、新たに一兆五千億も二兆円もかけてつくる必要があるのだろうかとすこぶる疑問なんです。もっと節約すればできるじゃないか。あのオイルショックのときに日曜日に車を運転しなかったりいろいろなことをしたら、石油の使用量がぐんと減った。あんなことを見ますと、大変な金をかけなくてもそのぐらいの備蓄は現在の制度でもって、設備のキャパシティーでもってやれるのじゃないか、こういう気がするのです。これはどこかの統計をとってきたのですけれども、膨大な原油の輸入量の二〇%が自動車のために使われている。自動車の輸送量を半分にすれば、汽車に切りかえるか何かすれば、黙っていて日本の油の輸入は三十六日分が浮いてくる、こういう計算になる。これは単に自動車だけではなくて、自動車をつくるところのいろいろな素材、これをつくるために使うところの熱にする油、あるいはまた、われわれの周辺を見てもむだな石油製品がたくさんある。極端なことを言うと、すし屋のササの葉っぱまで石油でつくっている。ササの葉っぱはそこらの山へ行けば幾らでもあるのですからね、塩づけにしておけばいつまでも青いのですから。そういう要らないものまでみんなアラビアからタンカーで運んできた油でつくったって何になるのです、これは極端な例だけれども。こういうことを考えますと、石油製品でなくても自然のものを使うあれが幾らでもあるのです?それを何を好んで石油をわざわざ持ってきて、そうして海を汚染し、コンビナートの事故を起こし、そしてそれでササの葉っぱをつくらなくてもいいと私は思う。これは節約すれば、このぐらいの節約はすぐ出てくるのじゃないか、こういうふうな感じを非常に強く持つのです。一兆五千億も二兆円も、この金がないときに使って、それがしかも生産に結びついていけばいいけれども、何も生産に結びつかない、死蔵しているだけなんですよ。わざわざこれから新しい設備をつくる必要があるのか、これに非常に疑問を感ずるのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/31
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032・左近友三郎
○左近政府委員 石油の備蓄量と申しますのは前年の使用実績に応じて決めるというふうな感じで計算をいたしております。したがいまして、使用量が減れば、同じ量を備蓄しておりましても備蓄の日数がふえるわけでございます。したがいまして、お説のとおり極力石油の使用量を減らすということが、また日本の経済の安定性をもたらすということになるわけでございまして、われわれといたしましても内閣に資源とエネルギーを大切にする運動本部というものを設けまして、石油の節約について、企業に対しては目標量を与えて節約に努めさせるとともに、一般国民の方の御理解も得るようなキャンペーンもやっておるわけでございます。最近、少しそういう気持ちが緩んでいるじゃないかというような御指摘もございますので、十分努力してまいりたいと思っております。
そういたしまして、極力努力した上でなおかつ必要なものはやはり備蓄をしなければいけないということでございまして、現在われわれが大体七
〇%以上の供給を仰いでおります中東地区というものは、御承知のとおりいろいろな政治的な問題が錯綜しておりまして、一朝事故が起きるというようなことが全くないというふうなことは考えられない地点でございます。したがいまして、われわれといたしましては、やはり日本の国民の生活を守るためには最低限の備蓄はしておかなければいけない、これがわれわれの責務であるというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/32
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033・佐藤敬治
○佐藤(敬)委員 私の言っているのはそうじゃないのですよ。備蓄するのは備蓄するでいいんですよ。だけれども、新たに二兆円も一兆五千億も金をかけないで、節約によっていまのキャパシティーをそれだけ余せないか、こう言っているのです。備蓄することを私は否定しているわけじゃないのですよ。備蓄してもいいから、新たにつくらないで、節約すればできるのではないか。そして現在の設備でもってその分の余裕を持てないか、こう言っているのです。これはもう答弁はいいんです。
まだやりたいのですが、十一時半までの約束ですから、一応進行に協力して、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/33
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034・高鳥修
○高鳥委員長代理 午後一時三十分から再開することとし、この際休憩いたします。
午前十一時三十九分休憩
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午後一時四十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/34
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035・中山利生
○中山(利)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
委員長所用のため、委員長の指名により、私が委員長の職務を行います。
内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案について質疑を続行いたします。岩垂寿喜野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/35
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036・岩垂寿喜男
○岩垂委員 この法律は三菱石油重油流出事故を機会に急遽制定をされたわけでありますが、この法案を審議するに当たって、もう一遍いまの時点で事故の経過というものを振り返ってみながら、この法律とのかかわりを議論し合うことは重要な課題ではないかと思います。
言うまでもないことですが、水島事故は重大な環境汚染を引き起こし、水産物や自然景観が大変被害を受けたことは申すまでもありません。従来はこのような事故に対して対応するというか、関係する法律というのは、たとえば海洋汚染防止法が船舶を中心とする規制の法律であり、消防法は陸上施設における災害防止の規制の法律であり、さらに、水質汚濁防止法などが排水から流出した汚染物質の規制の分野を受け持っていたわけであります。このような規制の細分化とばらばらな規制では、事故の予防あるいは事故前の適切な措置あるいは事後の対策が実効性が薄いというわけで、コンビナート法が制定されたわけでありますが、そこで実は、現地の対策本部長をなさいました左藤さんに一つだけ伺っておきたいと思うんですけれども、この事故が、いわゆるその企業の刑事責任と言われるものが訴追されない、こういう状態で今日まできているわけでありますが、たとえば消防法十一条に違反して、倉敷市長の許可を得ないでタンクの違法着工をしてきたというような事実に関連して、委員会で問題になったことがありました。このとき、消防庁長官も自治大臣も事務的なミスだというふうな形で、それは処罰の対象にならぬ、こうなったわけであります。
私は、やはり十一条の解釈というものをきちんと統一をしなければならぬ、にもかかわらず刑事訴追は受けないできてしまっているわけであります。それから、水質汚濁防止法の面でいっても、これは十二条だろうと思うのですが、これが大変「排出水を排出する者は、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出してはならない。」という項目だから、これも刑事罰の対象にはならない、こういうわけであります。大気汚染防止法などによりますと、実は事故についても刑事責任、刑事訴追を受けるということの道があるわけでありますが、実は水の方はそういうふうになっていないわけであります。ほかに、この事故には公害罪とかあるいは過失往来危険罪というような問題があるのではないだろうかというふうにも指摘されてきましたけれども、今日までそれも、言ってしまえばうやむやに過ごされてきている、こういうわけであります。
そこでお伺いしたいのですけれども、この法律が水島の流出事故以前にあったものとして、どういう形でこの法律があの事故に対して適用されただろうか、とりわけ刑事責任が訴追されただろうか、このことを私は聞いておきたいと思うのであります。水島の事故の反省から生まれたわけですから、それに対してどのような形で企業責任が追及されるかという問題点、これをぜひ承りたいと思いますし、その場合にそれがどういう点で弱点を持っているか。そしてその後の対策本部長として今日まで御努力をいただいた経過からかんがみて、その事故の教訓というものを本当にこのコンビナート法の中に十分生かされているかどうか、どうもその辺がきちんとした因果関係になっていないように私には思われてならないのでありますので、その点現地の本部長として非常に御苦労なさった立場から、率直な感想でも結構ですから、見解をぜひこの機会にひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/36
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037・左藤恵
○左藤政府委員 確かにいろいろ御指摘のとおり、企業の責任というものがどういうところにあって、そうしたものに対しての、たとえば今度の法改正をした場合には、そういったものが両罰規定と申しますか、会社も処罰される、この法律が通っておれば罰せられることになったであろうか、こういう御質問でございますが、今回の法律はそこまで予定はいたしておりません。私は、その点につきましていろいろ問題はあって検討はいたしましたけれども、その点が非常にむずかしいということもございまして、今回はそこまでもう一歩踏み込むということまでは至っておりません。しかしいまの感想を言えというお話でございますが、今回の水島事故の教訓という点から考えまして、やはりこの事業所そのものにおきます防災体制の確立強化、そして災害時の連絡通報体制の問題とか、そういったものがいままで、特に三菱石油の場合非常に立ちおくれておったと申しますか、手抜かりがあったように私は思います。
告発ということにつきましては、そうした点はまだいたしておりませんけれども、こういった法律がもしあれば、そういった点について少なくともそういう体制の十分でなかった点、連絡通報の十分でなかった点というものが当然科罰の対象にはなろうかと私は思いますが、そうした事業所の問題ということを取り上げた場合に、会社という大きな組織体というところまで及ぶかどうかという問題と、それから少なくともコンビナートにありますその事業所として、その責任体制というものを確立するためには、少なくともこの法律というものがあって、こういう形でやりなさいということを決めていただくならば、私はもっとはっきりした責任体制というものは確立できるのではなかろうか。いままでの点では、そういう点で確かに十分でなかった。一方で消防法あり、一方に先ほど申しましたように高圧ガス取締法があるとかあるいは大気汚染なりそういった公害関係の法律はございますけれども、そういった適用というものがもっとスケールが小さい事故といいますか、そういうふうな形のときには、一つの単独立法としての処罰の対象で十分であろうと思いますけれども、総合的にコンビナートというのは非常に複合的に大きな災害というものを起こす可能性を持つわけでありますから、いま先生御指摘のような点について、今度の法律であればそういったものがもう一つまとまった形で責任を追及することができるのじゃなかろうか、このように考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/37
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038・岩垂寿喜男
○岩垂委員 実は、余り責任を追及するようになっていないと私は思うのですけれども、それはそれとして、ほんの少しの油のいわばたれ流しは処罰されるけれども、数万トンと言われるようなこういう大きな、事故とはいいながら、しかも注意すれば、あるいは努力をすれば避けられたであろう、つまり不可抗力でない、この種の事故に対して企業責任というものが免罪になっているということについては、これは大きな残された問題であると私は思うのです。ですから、これらの課題をぜひ、もちろんそれはコンビナート法だけで議論をすることはできないと思います。たとえば水質汚濁防止法などについても、いま私が読み上げた法文の解釈、いろいろできると思うのですけれども、それらの改正も当然議論にならなければならないと思いますけれども、しかし、この問題は避けて通ることができない議論だろうと思いますので、今後その点については、ぜひひとつそういう不均衡がないような措置を法律の上で明らかにしていただきたい、こんなふうなことをまずお願いをしておきたいと思うのであります。それについて見解を承っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/38
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039・左藤恵
○左藤政府委員 いまの御指摘のような点で公害対策、公害の関係の法律というもの全体を見直して、そういった問題について今後とも検討して責任体制をはっきりさせるということは、私は大切なことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/39
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040・岩垂寿喜男
○岩垂委員 この法律は、前の通常国会で廃案になって、再提出されたわけであります。われわれは、いろいろな問題点はありましたけれども、その緊急性という意味で、そしてまた、いままでよりも、ベストではなくてもベターであるという立場で、賛成の立場でこれを衆議院の段階では成立をさせるように努力をいたしたわけであります。実は、この法案とパラレルな位置づけで、たとえば消防法の改正だとかあるいは本法案にかかわる政令事項などを含め、あるいは問題になっておりました高圧ガス取締法などのいわば改正措置と言われるものがきょうまで鋭意努力をされてこられたと思うのであります。この際、いまから四カ月前になるわけでありますけれども、六月二十六日の本院のこの法律に対する附帯決議と言われるものをぜひ思い起こしていただきながら、ともすると附帯決議というのは、ややアクセサリーみたいに扱われる危険性がありますので、四カ月の間に御努力をいただいた足跡を一つ一つつまびらかにしていただいて、そしてやっぱり政治が、あるいは消防庁が国民の信頼を取り戻していくという努力をこういうふうにやってきたということをぜひお示しいただきたい、そういう意味で、大変恐縮でありますが、附帯決議を一つ一つ伺ってまいりたいと思うのであります。
第一番目は、この特別防災区域に係る消防法、高圧ガス取締法、労働安全衛生法等の関係法令による規制を強化する、そして、当該区域の防災対策が真に一体的、総合的に講じられるように万全の措置を講ずること、そして防災行政の一元化、これはもうこの委員会で何回か指摘をされたことでありますが、そういう問題について、この法案を改めて本院に提出するに当たって、四カ月の期間を通してどのような手だてとどのような努力を今日までにされてこられたか、その点をぜひ明らかにしていただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/40
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041・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 御指摘のように、この法案は、消防法なり高圧ガス取締法あるいは労働安全衛生法等のいわゆる保安三法を初めといたします防災に関するいろいろな法律を前提にしながら、その全体にさらに防災のための網をかぶせていくというような形で立案をされておるわけでありますので、この法案と同時に関係諸法令の規制を強化していくということについては、この附帯決議にあります方向で私どもも検討していかなければならない、こういうことを考えておるわけであります。
〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
すでに、高圧ガス取締法の関係につきましては、前回の国会におきましてその規制の強化が図られておるわけでありまして、それに伴うコンビナート保安規則等の制定も通産省の方ですでに済まされているところであります。
消防法の関係につきましては、その作業がまだおくれておったわけでありますけれども、お手元に資料として差し上げておりますように、消防法関係の政省令についての検討を、私どもその後さらに進めてまいりまして、この法案の成立の前後の段階で、当面の、特に石油タンク等についての規制の強化策というものをとるつもりでございます。そういう意味におきまして、規制の強化の問題につきましては大体作業が順調に進んでおるという状況でございます。
また、防災行政の一元化の問題は、これは前国会におきましていろいろ御議論をいただいたところでございますけれども、やはりこれまでの二十数年にわたる行政の実績の積み重ねというような問題もございますし、また、地域におけるいろいろな関係機関における行政水準の格差といったような問題もございますので、これはさらに私どもは長期的な問題として十分検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/41
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042・岩垂寿喜男
○岩垂委員 それでは二項目目でありますが、この法律の審議を通して一番問題になったのは、既設事業所における災害の防止とその具体策という問題点が指摘されたことはもう御承知のとおりですし、附帯決議の二項目目にそのことが指摘をされているわけであります。「コンビナート等における石油・高圧ガスタンクの基礎、構造、防油堤、防液堤、保安距離等に関する規制を強化し、危険物等の過密化の防止その他安全性を高めるための措置を強力に推進する」という文章になっています。実は、この前の国会で、佐々木消防庁長官も、既設のものについては防災診断をやる、いま進めている、そうして、問題があるとすれば防災対策を一周強化していくという御答弁をいただいているわけであります。その既設のものについて問題があるとすればというその問題というのは、いまや随所に出ているわけでございまして、そういう点で二項目目の——まあ、四カ月しかございませんから、いろいろ時間的な制約はあろうと思いますが、御努力をなさった経過をぜひお教えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/42
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043・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 現在の石油タンクにつきましてのいわゆる技術基準の強化の問題につきましては、別途、消防法関係の政省令の改正事項の概要というところで資料として差し上げておりますように、私どももその後、ここに掲げております基礎工事の問題、構造の問題、防油堤あるいは保安距離、保安空地というような問題につきましても、規制の強化策についての検討を進めまして、大体具体案が得られる段階になりましたので、これはさしあたり指導通達をもちましてこの技術基準の強化を指導していくつもりであります。
なお、抜本的な技術基準の改正の問題につきましては、これは先般の国会でも申し上げましたように、いま学者の先生方を、相当の各分野にわたる専門家に相当数御参加いただきまして、鋭意検討中でございます。これはまだ作業が恐らく来年度いっぱいぐらいは少なくともかかるのじゃないだろうかというような感じでございますけれども、当面必要な規制の強化策というものは、この資料に掲げておりますように、ここで相当具体的に示していく、こういうつもりでこの法案と同時に施行できますように扱っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/43
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044・岩垂寿喜男
○岩垂委員 その通達を早めていただいて、法律とワンセットで、つまり既設の部分について、可能な努力を速やかに講じていく体制をぜひ要望を申し上げておきたいと思います。
その次に、これは実は直接的には運輸省の関係だろうと思うのですけれども、問題になりました海上防災に対する立法措置、この問題は、実は私もこの前問題提起をいたしましたけれども、コンビナート法と文字どおり一対のものとして、とりわけその境界線の防災措置と言われるものも含めたものとして急がなければならぬ、こういうふうに思っているわけでございます。消防庁なり自治省から運輸省に対してそういう申し入れをし、次の国会に提案をするという見解をたしか承っているわけでありますが、そのように考えてようございますか。
それから、もしその場合に、消防庁としてその海上防災法についてこんな点はどうしても盛ってほしいものだというような気持ちを、あるいは要望をなさっているならば教えていただきたいし、これからなさるとすればどんな点が問題にされなければならないか、私の言いたいのは、やはり企業責任を含めたそういう措置でありますので、その点についてわかっている範囲で結構ですからお教えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/44
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045・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 海上防災に関します新たな立法措置につきましては、現在運輸省の方でその担当の部門を設けまして、鋭意検討中であるというふうに承っておりますが、まだその具体的な内容につきましては私ども承知をいたしておりませんけれども、恐らくこの新しい法律を立法いたします段階におきましては、やはり陸と海との接点の場合に陸上と海上とでどう協力関係をとるべきか、特にこれが港湾区域等の問題につきましてその調整が必要になるであろうというふうに考えております。
そういう意味におきまして、運輸省の方におきましてある程度の成案が得られました段階で、私ども十分これについての意見の調整を行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/45
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046・岩垂寿喜男
○岩垂委員 やはりそれは消防庁の立場から具体的な意見を述べなきゃいかぬと私は思うのです。そういう意味では、運輸省の成案を待つということも役所同士の関係であるいはあり得るかもしれませんけれども、消防庁として今日までの災害対策を中心的にお進めになってきた関係から考えて、陸の上から海をながめるということだけではなくて、やはり総体的な防災という観点から意見を出してもらわなければ困るのではないだろうか、こんなふうに思います。その点をぜひ要望をしておきたいと思います。
それから項目ごとに、大変恐縮ですが、お許しをいただきたいと思います。
四番目の例の自衛防災組織の問題は、事業所に対する義務づけがないわけでありまして、これは実は資材だけじゃなくて技術者を含めて検討すべき課題ではないだろうかと思うのであります。実はそういう問題も、一体どういう形で行政指導をなさっていかれるのか、現になさってこられたのか、これはよっぽど言わないと今日のような状況のもとでは非常にいろいろ問題があると思うのであります。
そこで今日の経済状況から見て、不況が深刻になっておるという関係を含めても、そういう防災対策などのいわゆる安全投資が削減されるおそれがあるだろうと私は思うのであります。だから、ここ一、二年の動向を見ながらやっぱりその経過を判断をして、義務づける方向へ指針を示すべきではないだろうか、こんなふうにも思いますが、その点についての御配慮があるならば述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/46
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047・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 事業所の自衛防災組織につきましては、政令で基準を定めましてこれを義務づけるというつもりで考えておるところでございます。現在具体的にどういう組織、どういう防災資機材を備えつけさせるかという問題につきましては、特にコンビナート関係の地方の消防機関の意見を十分これに反映するという意味におきまして、専門の担当者も集まってもらいまして、現在鋭意これについての成案を得るようにいま努力中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/47
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048・岩垂寿喜男
○岩垂委員 六番目の事業所の従業員に対する防災教育、防災訓練の問題ですが、これも午前中社会党の佐藤さんからも御指摘があったわけですけれども、やはりかなり企業ごとにも格差があらわれてくるだろう。だからそういうものをどういう形で進めていくかということなどについても、これは企業任せというわけにもなかなかいかぬと思うのであります。全国的、統一的にやっていく配慮というものを具体策としてどのようにお考えになっていらっしゃるか、この辺はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/48
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049・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 従業員につきましての防災教育あるいは防災訓練というものは御指摘のように、今後コンビナートの安全を確保していく上には非常に必要なものでございますので、この従業員について具体的にどういう教育を行い、訓練を行うかということにつきましては、それぞれの企業が、この法律の規定に基づきます防災計画あるいは消防法、あるいは高圧ガス取締法の規定によりますそれぞれの防災に関する計画がございます、これらに相当具体的な内容で、防災訓練もいつごろの時期に、どういう範囲の人間について、どれだけの量の防災訓練を行うか、あるいは教育につきましても、どういう内容の教育を行っていくのかというようなことについて、具体的な計画をつくらせるということによりまして、その安全教育の面について十分に確保していきたいというふうに考えております。なおまた、この自衛防災組織等におきましては、最近の情勢から、各府県の消防学校等につきましてもある程度教育関係について余裕が得られる見通しも出てまいりましたので、それら消防学校を通じての教育ということも計画の中に織り込み得るのではないだろうかというような感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/49
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050・岩垂寿喜男
○岩垂委員 少し後からまた質問をいたしますから飛ばしまして、九項目目の「石油コンビナート等防災計画の作成にあたりては、住民の意思が十分に反映されるよう地方公共団体を指導すること。」という項目がございます。これは実は要するに防災計画の住民参加という課題であります。従来から言えばそういう住民に対する窓口というか、そういうものが不十分であったと思うのでありますが、やはり地域ぐるみ、町ぐるみ、住民ぐるみという形の防災計画というもの、つまり協力への体制を含めて考えていく必要があると思うのですが、この住民参加を保障していく手だてなどについてお考えになったことがあるかどうか、もしお考えになっていらっしゃるとすれば、どんな形を検討できるかという点について御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/50
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051・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 この防災計画の内容は、やはり住民がその地域の安全性の面から見て十分安心し得るようなものでなければならないというふうに考えておるわけであります。これについて法律で規定しておりますのは、この防災計画については公表をするという制度をとっているわけであります。したがいまして、この公表の制度によって広く住民にその内容を知らせるという形をとりますと同時に、防災本部の構成に当たりましては、その地域の実態に応じて、漁業関係の代表者でありますとか、あるいは地域の中で防災について専門的な知識を持っておられる方々について専門員としてこれを委嘱するとかあるいは委員として委嘱するとか、これはその地域の実態に応じまして都道府県知事が防災本部を構成いたします段階で十分配慮していただきたいというふうに考えておるわけであります。この点は、各地域の実態に応じてそれぞれ必要な措置がとられるように、私どもも指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/51
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052・岩垂寿喜男
○岩垂委員 防災会議のメンバーを指定するときに、知事やあるいは市町村長や消防署長とか、そういう人たちだけでなくて、やはり一般の市民というか、その種の防災にかかわりのある、あるいはそういう関心を持っている民間の人たちを積極的に参加させていく、こういう指導をなさるというふうに理解してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/52
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053・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/53
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054・岩垂寿喜男
○岩垂委員 十一番目になりますけれども、化学消防車やあるいは人員の増強など、消防力の充実強化のため必要な措置というふうになっておりますが、これは当然のことながら補助率の引き上げという問題になろうと思うのであります。二分の一にするというようなことをも含めて承ってはおりますけれども、それの見通し。つまり、予算要求にかかわることになるのかもしれませんけれども、その見通しと、それから特殊法人で危険物検査協会みたいなものを考えているということをこの前、仮称でありますが、承っておりますが、そういう作業は現実に急がなければならないと思うのであります。そういう課題をどのように具体化させつつあるのか、この点についても御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/54
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055・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 コンビナート地域の関係市町村における消防資機材の増強につきましては、すでに消防施設の強化促進法の規定の一部改正というものをこの法案の附則でお願いをしておるところでございまして、これに伴いまして、昭和五十一年度から補助率の引き上げを行うと同時に、補助金の獲得に十分な努力を払ってまいりたいというふうに考えています。これはすでに予算要求も行っているところでございます。
なお、こうした消防施設の増強に伴う人員の増強の問題につきましては、現在コンビナート地域の関係団体の人々も参加していただきまして、ことし改正いたしました消防力の基準の中に、コンビナート地域における消防力の基準というものをさらに追加をしていくといういま研究会を進めておりまして、来年度からその具体的な人員増強策というものが具体化できますように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
なお、保安検査協会といったような内容の特殊な法人をつくるという問題につきましては、現在政府全体としていろいろな公法人の抑制問題等もあるわけでありまして、それらとの関連も考慮しながら、あるいは法制上の問題にも若干の問題がございますので、それらをいま関係方面といろいろ詰めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/55
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056・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いま川崎のことを申し上げるのもなんですけれども、やはり消防署の中にケミカルを専攻した係官がいるというようなことで、かなり消防防災体制が強化されている面があるわけでありますが、先ほど前半に申された消防力の増強、とりわけ人員などの充実強化に関連する中では、そういう配慮をやはり全国的なコンビナート地域の一つの物差しとして検討をいただくことが必要ではないだろうか、こんなふうに思いますが、この点については御配慮をなすっておられるかどうか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/56
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057・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 やはりコンビナート地域におきましては、新しい化学消防車を中心にいたします警防関係の職員の増加という問題のほかに、特にコンビナートの特殊性に対応いたしました専門分野の技術を持った人間の増強が望ましいということは、御指摘のとおりでございます。ただ地域によりましてはそういう職員の採用がやはりなお困難だというような地域もあるかと思いますので、でき得る限りそうした地域につきましては、そういう市町村の技術を補完をする体制というものを何とか考えていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/57
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058・岩垂寿喜男
○岩垂委員 まだ、法律が前回衆議院を通過したときの附帯決議ですから四カ月しかたっていませんし、同時にまたこれは廃案になった経過ということもありますから、附帯決議の筋道が今日までまだまだ十分な対応がなされてないということを指摘をしながらも、ある程度やむを得ないことも承知をするわけでありますが、やはり法律ができ上がっていく過程の中では、この期間の中で万全を期して、法律が施行される以前にそういう体制ができ上がっていくことを期待をしたいと思うのであります。ですから、ぜひ附帯決議をそのアクセサリーとしてとどめることのないように御配慮を願いたい、このことをお願いをしておきたいと思います。
実はこれはそのこととは直接関係がありませんが、川崎と羽田国際空港との関係の中で飛行機の乗り入れ、上空のいわば高度の制限、規制というようなことを運輸大臣との間に川崎群がやりとりをしてきましたが、飛行機と、あるいは墜落事故と言われるような問題を考えたときに、全国的にこの指定地域などについて航空機の高度制限などというような問題は考えられなければならぬのだろうと思うのですけれども、そういうケースは、川崎以外にはたくさんいままでそういうふうに規制措置をとってきたところがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/58
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059・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 川崎の場合には、羽田空港とはいわば隣り合わせの地域でございまして、そういう意味におきまして離着陸というものが非常にこのコンビナート地域と接近して行われるというような関係で、特に事故の起きやすい地点においてたまたま大きいコンビナートがあるという地域でございますので、羽田と川崎の関係というのは、そういう意味で非常にむずかしい問題があるわけでございますが、他の地域におきましては、いまそういう問題について特に協定等を結ぶというようなことは、私どももまだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/59
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060・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これは前回私が質問をいたしまして、本法施行とあわせて、アメリカ軍のコンビナートについて立入調査などを含めて、事故のないような対策を施設庁と打ち合わせてやるために努力をする、こういう御答弁をいただいておりますが、その後施設庁などとこれらの問題についてやりとりをしたことがございますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/60
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061・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 米軍施設あるいは自衛隊の施設等につきまして、油の漏洩事故等が起きている地域がございまして、特に自衛隊の分につきましてはそれぞれ必要な措置をとってもらうということにいたしておるわけでありますけれども、まだ米軍基地の問題につきましてはその十分な調査というものが行き届いておらない面がございますので、先般お話しました内容について防衛施設庁の方でその調査を行うと同時に、必要な改善措置をとってもらうという申し入れをしておったわけでありますが、その後の内容についてはまだ把握いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/61
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062・岩垂寿喜男
○岩垂委員 やはりできるだけ早くそういうことは、事故は待っておりませんので、ぜひ措置をしていただきたい、このように考えています。
それから、これはちょっとあれですけれども、防災緑地というか防災遮断帯といいましょうか、そういう問題に対する交付税措置などについての配慮があるわけでありますが、何としてもやはり地方財政の今日の困難な条件と言われることの中で、事業者二分の一、国三分の一、地方公共団体六分の一というようなぐあいの提案をしたこともあるわけでありますが、できるだけ地方公共団体の負担を少なくしていく。同時に、限られた交付税の枠をそちらに分けるということが、全体的な交付税の性格から見ても問題があろうと思うので、やはり交付税制度それ自体の検討というものを前提にしなければならないときが来ていると思います。そのことに対してどう思うか。
それからもう一つは、不交付団体の扱いというのは一体どうなるのか、この点も定かでございませんので、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/62
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063・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 資料に差し上げておりますように、この特別防災区域につきまして緑地等を設置をする場合に、この緑地がいわゆる公害関係法の規定による公害緑地によって行うか、あるいはこの法律の規定によるいわば防災緑地として行うかというようなことになりますと、恐らく大部分の地域は公害緑地の関係で行うという方が、すでに計画をしている団体もございますし、またコンビナートを構成している事業所の構成内容から見て、公害緑地として徹底する方が負担の均衡その他から見ましてむしろ適当ではないだろうかというような感じがいたしております。この法律の規定による防災緑地というものは、そういう意味におきましては、コンビナートを構成している事業所が非常に単純な場合がこれに該当してくるだろうというふうに考えておりますが、いずれにしましても、すでに公害緑地として事業を行っております団体、あるいは事業をすでに実施をいたしました団体というものが、別の資料で差し上げておりますように相当数ございます。それらとの均衡の問題もあるわけでありますけれども、やはりこの緑地についての考え方は、一面においては、公害あるいは防災の面で必要な緑地でありますけれども、他面におきましては、都市施設としての効用が非常に大きくあるわけでありまして、こういう意味におきまして、やはり現在の段階におきましては防災緑地についてとられております内容と同じような方式でいくのが適当ではないだろうかというようなことを考えておるわけであります。
また、この地方団体の負担分につきましては、起債によってその地方負担分を賄い、そしてその元利償還につきまして一定割合で交付税措置を行うということにしておるわけでありますので、具体的には基準財政需要額の算定に当たって計算をされますけれども、そうした計算を行った後においてなお不交付団体になるというような場合におきましては、交付税が実際には交付されておらない、こういう形になろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/63
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064・岩垂寿喜男
○岩垂委員 まあその辺のところは何遍か討論をしてきたことですから私は要求にとどめておきますが、今日のような地方財政の非常に深刻な事態の中で、地方負担分というものをできるだけ減らしていくということ以外にその道がないわけであります。そういう点で、この三分の一、三分の一、三分の一というのはたくさんの問題を含んでいるというふうなことを指摘をしておきたいと思うのであります。
さて次に、災害と公害といいましょうか、私も公審の委員会のメンバーなんですが、防災と公害防止というものはやはり車の両輪で、市民の生命や健康、あるいは最低限度の生活、あるいは環境を確保するためには重視しなければならぬ問題点であります。その意味ではこのコンビナート法もそういうものを一体化するという配慮が望ましかったと私は思うのですが、この法律が公害とかあるいは公害防止とかという点での配慮の面で十分でありません。ほかの法律があるからいいじゃないかという議論があると思うのですけれども、ほかの法律も大変どうも中途半端でありまして、さっき水島の事故のいわば法律を探してみても、必ずしも適切な対応が、規制がはまっていくような条件になっていません。
そこで、公害立法と言われる問題、公害の法体系になじむかなじまないかという議論を佐々木さんもこの前の委員会でなさったわけですが、この前の国会で自治大臣及び消防庁長官は、特別の立法を法務省を中心に検討してほしいと申し入れたというふうに承っております。そういうふうに御答弁を願っているわけでありますが、そうした、要するに特別立法の法制化について法務省がどんな作業を進めているか、あるいはそれに対して法務省がどんな見解を持っているか、これをぜひお教えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/64
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065・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 問題は、水島に見られましたような油の流出の事故というようなものについて、現在の公害立法あるいは消防法あるいは高圧ガス取締法のような防災立法、この両方の法律で罰則が適用できない面があるということは御指摘のとおりでございまして、これらは政府部内におきまして十分検討していかなければならない問題であるというふうに考えますけれども、これが直ちに刑法の分野に入るかどうかという点につきましては、法務省も非常に疑問を持っておられるようであります。やはり内容的には行政立法に伴う罰則規定というような形で処理すべきではないのか、こういうことになりますと、この面における立法はどこが担当するかというような問題が出てくるわけでございまして、この点は関係省庁との間におきまして十分検討していく必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/65
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066・岩垂寿喜男
○岩垂委員 瀬戸内海の状況、赤潮の現出状況の因果関係、それがどういうふうに評価をするかは別として、やはり自然を非常に損なっている。失われた自然は戻ってこないと思うのであります。それから同時に、失われた人命も取り返すことはできません。そういう意味ではやはりもうそういう法律があるから事故が起きない、ということでは本当は困るんですけれども、事故が起こったたびにそういうことが言われながら現実にその次まで見送られて、そしてそのたびに繰り返してくるようなことがいままであるわけでありますから、これは消防庁の所管ではないかもしれませんけれども、やはりそういう問題について自治省や消防庁が力を入れて国の施策あるいは法務省を含めた法律の検討を急がなければならぬ。ほっておくわけにはいかぬと思うのでありますが、その点をぜひひとつ急いでいただきたい、このように実は思うのであります。それから、実はこれは川崎の例を申し上げて恐縮なんですが、指定を予定されているあの地域には、夜間で二万人、昼間で八万人の居住または業務に従事している人たちがいます。この前もそのエリアの、要するに労働者やそういう生活をしている人たちの、たとえば災害が起こったときに逃げていく場所とかあるいはその生命をどうするかというふうな問題についても伺ったわけですが、それは個々の企業で最大の手だてをする以外にない。それがPPPの原則だという意味のことの御答弁をいただいたことを記憶をしておるわけでありますけれども、現実にたとえば川崎で言えば浮島、千鳥あるいは水江、扇町、扇島というようなところは、橋が落っこっちゃったらもうそこに働いている人たちが逃げていく場所がなくなってしまうのです。だから、事故の大きさにもよりますけれども、やはりこういう形では何ともそこに働いている、あるいはそこに住んでいる労働者の生命や健康というものが守れぬわけであります。これはやはり防災対策として配慮しなければならぬ問題になっているだろうと思うのであります。本来は企業の集団という形の出資によって対策を講ずることが必要だとは思いますけれども、しかし、少なくともあそこへコンビナートを配置し、そして日本の国民総生産を支えてきた川崎のコンビナートというのは、いわば国の行政の方向としてあるいは方針としてそこに配置があり、そこに生産活動の継続があるわけでありますので、そういう点について国が地方団体などと相談をして、そしてもちろん企業に負担させる配慮をも含めた手だてというものをどうしても講じなければいかぬ。それは、単に私は川崎だけじゃなくて、日本のコンビナートというのはほとんど臨海工業地帯といわれるところにあるわけですから、そういう配慮を、そこに働いている労働者や住んでいる人たちの最低限の安全を確保していく手だてというものを講じなければならぬと思うのですが、これらについてどうも討論が十分でございませんので、ぜひそれをどうするのか、どうしたらいいのか、どうなさろうとしているのかという点について御見解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/66
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067・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 このコンビナートの地域につきましては、その地域ごとに防災計画というものを策定することが義務づけられるわけであります。当然に、その地域に住んでおられる方あるいは従業員の方々が、コンビナートにおいて発生いたしました災害が非常に広範囲に広がってまいるというような事態の場合にどういう避難計画をするかということについては、やはりこの防災計画の大きな項目になるだろうというふうに考えております。特に川崎のような橋一つでつながっておりますようなコンビナート地域におきましては、こうした問題が、特に大地震等がありましたような場合には、非常にこの避難についての問題点が発生するであろうということは予想されるわけであります。やはり、安全対策というのは常に二重に安全を講じておるというような趣旨のもとに、この防災計画におきましてはそれぞれの地域ごとに具体的な計画を織り込んでもらうというのが必要であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/67
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068・岩垂寿喜男
○岩垂委員 地域ごとの対策ということだけでなしに、やはり国というか、そういう責任を、そういう個々の対策を助言する形で支えていただかないとどうにもなりませんので、その点はぜひ要望を申し上げておきたいと思うのであります。
消防庁は時間がなくなりましたからその辺で終わりますが、建設省にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
いまのお話のように、川崎の防災対策、とりわけ都市計画やあるいは町づくりという点でいろいろな問題があります。特にコンビナート地域の巨大化に伴って住宅が隣接しているという状況でありますので、これらの対策を進めていく上で、防災遮断帯計画が四十七年、四十八年と二年にわたって調査をされ、本委員会でも問題になりましたが、大変膨大な調査資料をつくられたわけであります。これには建設省も国土庁も加わってこられたわけでありますが、この調査の位置づけといいましょうか、この調査がこれからどのような形で行政の中に生かされていくか。そういうことについて建設省の見解をただしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/68
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069・松原青美
○松原説明員 御指摘のように、建設省では川崎、横浜の臨海部のコンビナート地帯につきまして昭和四十七、八年に防災遮断帯の調査を行っております。この調査は、特にそのコンビナート地帯におきまして大災害が発生した場合の被害想定と、防災遮断帯による防災効果につきまして基本的な対策の考え方を示す、こういうことでその京浜臨港地区をモデルといたしまして行ったものであります。
さらにその調査の中で、都市の防災安全化とあわせて都市環境の改善として都市構造自体の根本的な、また恒久的な一つのモデルの考え方を示してございます。これは一つのモデルとして考えました調査でございますので、この構想を具体的な事業として生かして実施していく、そのためには、その現地に即した具体的なその土地の利用状況とか、地元住民の意向なり、それから工場の移転がどのように進んでいくかというような各種の対策なり、それを行う場合にどういう事業規模をしていったらいいかというようなことにつきまして、特にその実現の可能性ということを踏まえましてさらに総合的なその地区の計画を行う必要があるわけでございます。
これを生かすためと、もう一つは、京浜地区におきますあのコンビナートで大災害が発生した場合に大きな惨事が生ずるおそれがございますので、建設省におきましては今年度、調査調整費約二千七百億弱でございますが、これをもちまして具体的にその計画調査を行うことにいたしてございまして、横浜市と川崎市に調査委託を行うことにいたしております。近く地元におきましては、神奈川県も含めました三者の協議会をつくりまして、相互に調整しながらその計画調査を行うことになっております。また建設省におきましても、同時に学識経験者等の御参加もいただき、関係各省の御参加もいただき、また地元の公共団体の参加もいただきまして委員会をつくりまして、早急に結論を出したい、かように考えておりまして、その四十七、八年の調査の延長が現在そういうような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/69
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070・岩垂寿喜男
○岩垂委員 松原さん、先ほど二千二百億と言われましたが、二千二百万でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/70
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071・松原青美
○松原説明員 失礼しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/71
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072・岩垂寿喜男
○岩垂委員 そういう形でお進めいただくわけですが調査の結論が恐らく三月いっぱいに出るだろうと思うのです。三月いっぱいといいますけれども、できるだけ早目に考慮いただいて、そして直下型地震などでも本委員会でいろいろな形で御心配を煩わしたわけですが、できるだけ早く具体的な仕事に着手しなければならぬと思うのであります。たとえば工場跡地ということで、ことしは新日本鍛工の予算化を進め、また来年は東京鍛工の買収といいましょうか、そういう形のことを進めていくことを含めて予算措置が講じられているわけですが、来年のそういう遮断帯の一つの要素としての工場跡地の買い上げとでもいいましょうか、そんなもくろみをどのようにいまお考えになっていらっしゃるかが一つと、それからもう一つは、対策を講じていくときに国と地方自治体が一体になっていまの遮断帯計画を、モデル地区として選ばれたわけですから、ぜひ川崎を重点にして考えていただきたいと思うのですが、それは建設省が中心になり、他の官庁や役所というものはどういう形でその委員会を構成することになるのか、その方向をぜひ明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/72
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073・松原青美
○松原説明員 建設省におきましての調査でございますが、先ほど説明申し上げました調査調整費に基づきますこの地域の遮断帯の整備の計画は建設省の調査でございますので、建設省にも委員会をつくりまして、公共団体に調査委託した結論の検討をあわせていたすということになろうかと思います。
事業の実施に当たりましては、この遮断帯、これを遮断緑地として整備いたします場合には、都市計画の都市公園事業として整備することになるわけでございますが、特に事業の緊急性とそれからその整備の財政措置等を考えます場合に、公害防止計画の恐らく見直しになってまいるのではないか。公害防止計画事業として実施いたすことになるのではないか。そういう場合に、建設省といたしましても特に緊急を要するものにつきましては重点的に努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/73
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074・岩垂寿喜男
○岩垂委員 いま御答弁いただきましたように、調査委託をしている結論が今年度中に出る。直ちにひとつ来年度予算措置を伴う実施というか、その遮断帯の作成に取り組むということをぜひお願いをしたいと思うのであります。特に緊急性という点で川崎だけを強調するつもりはございませんけれども、しかしいままでの調査の実情や、あるいは直下型地震と言われる危険というような問題が指摘された地域でもございますので、重点的な対策をひとつ急いでいただきたい、このように考えますが、そのことをまずお願いをしたい。それについて御答弁を煩わしたいと思う。
それから、これは全国的な話で結構ですが、緑地遮断帯を含めた要求ベースで結構ですから、来年度予算にどのくらい考慮をしようとしておられるか、要求しようとしておられるか、これをぜひ承っておきたいと思うのであります。それは一番最初に私質問したように、本法案の附帯決議の中にも十分に予算措置を講ずることという気持ちが述べられているわけでございますので、それらを含めて御答弁を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/74
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075・松原青美
○松原説明員 この緩衝緑地、これは都市公園事業の一環として行うわけでございます。建設省では来年度から第二次の都市公園等整備五カ年計画を策定いたしたいということで、総額三兆円の要求を出してございます。その中で、第一次に比べまして第二次の緩衝緑地事業費の占める割合は大きく飛躍をさせてございます。五カ年計画の中で四千三百二十億程度の額を計上いたしたい、かように考えておるわけでございますが、来年度につきましても、要求ベースで申し上げますと事業費としまして九十七億九千二百万円、こういう要求をいたしてございます。各種事業費、特に公園の中の事業費におきましても一番高い伸率を示しておるものでございます。これの予算の配分に当たりましても、特に緊急性の高いものにつきまして重点的に配分してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
なお、この数字は緩衝緑地でございまして、公害の緩衝緑地、コンビナート法によります防災緑地、両方を含めました緑地の事業の予算要求額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/75
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076・岩垂寿喜男
○岩垂委員 事業費ベースで九十七億九千二百万円、余り多くはないと思うのですけれどもね。緊急性から考えて、ぜひ政務次官、別にアベック闘争をやってくれというわけじゃないのですが、やはり緊急の課題にこたえていく政府の重点的な施策というものは進めなければならぬと思うのであります。そういう点で川崎の遮断帯を急ぐことと、それから予算的な措置を講じていただきたいということを、地元のことでかなり言いにくいわけですが、やはり切実な課題でもありますので、遠慮なく言わしていただいて要求をしたいと思うのであります。その点、ぜひひとつ、大臣も現地を視察されておりますし、その配慮をいただきたいと思いますが、この機会に御答弁を煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/76
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077・左藤恵
○左藤政府委員 この法律を成立させていただくということに関連いたしましてそういった問題についてわれわれとして努力しなければならない、当然でございます。できる限りそういった予算を、十分とまではなかなかいかなくても、少なくともそういった努力をいたしまして、少しでも多く獲得といいますか、予算を取って防災地帯の確立に努力しなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/77
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078・岩垂寿喜男
○岩垂委員 この前佐々木長官からも御答弁をいただいたんですが、川崎のケースはやはり事業主体のことも考え、公害防止計画で行くことがいいんじゃないだろうかというお話をいただいたわけです。いま松原政策課長もそういう見解だというふうに考えているわけですけれども、そういう場合のたとえば公害防止事業団の枠の確保だとか、まあいろんな問題があるわけでありますが、こういう点についても鋭意政府が御努力を願いたいというふうにお願いを申し上げるわけです。その点について何か御見解がございますればお教えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/78
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079・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 やはりコンビナート地帯の防災計画を、私どもが期待しているように進めますためには、必要な資金の確保、必要な補助金額の確保ということが必要になるわけでございます。私どもも、事業の主体はそれぞれ企業が行い、あるいは地方団体が行い、また予算措置等について国が行うという形になりましても、私どもは私どもなりにそういう面についての十分な予算措置、資金措置ができますように努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/79
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080・岩垂寿喜男
○岩垂委員 川崎は都市の生成の過程を通して、たとえば避難道路だとか緑地だとか、そういう都市計画が非常に不十分なんであります。そういう点でも、避難道路や緑地などに通ずる予算措置をぜひ来年度予算の中では御配慮いただきたい。
なぜかといいますと、直下型地震の危険というものが、あるいは去ったというふうな見解もありますが、依然として地下水の隆起はあるわけでありまして、そういう点で問題が解決したわけではありません。日本人の通例で、熱しやすく冷めやすいところがありまして、もう大丈夫じゃないかというようなことで考えているところもあるわけです。やはり危険性というものは潜在しておると思いますので、そういう措置を建設省にもぜひ御配慮願いたいということを申し上げておきたいと思いますが、その配慮をどのように願っているか、もし御答弁がいただけるならば御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/80
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081・松原青美
○松原説明員 先生御指摘のように、防災対策というものは特に緊急を要するものでございますので、事業計画がまとまり、実施可能になった場合には、特に重点的に配慮してまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/81
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082・岩垂寿喜男
○岩垂委員 通産省にお願いしてございますので、一番最後になって大変長い間待たせて恐縮でございますが、お尋ねをしたいと思います。
東京湾のそういう危険物の備蓄状況、これはトータルで数字であらわすことができますか。もしわかりましたら、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/82
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083・左近友三郎
○左近政府委員 東京湾の危険物のうちで石油についてお答え申し上げたいと思います。
東京湾沿岸にございます石油の貯蔵施設は、製油所あるいは油槽所合わせまして、大体四十九年度末現在の貯油能力で約三千六百万キロリットルございます。それはタンクの貯油能力でございます。現実にどの程度の油が入っているかということは、これは営業をやっておる段階でございますので出し入れがございまして明らかではございませんが、一応推定をやってみますと、東京湾沿岸にございますいま申しました石油貯油施設の貯油能力の全国の施設のうちでのシェアは、大体三九%ぐらいに当たります。そういたしまして全国の現在の貯油量がわかっておりますので、そのシェアで割ってみますと、大体二千万キロリットルという数字になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/83
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084・岩垂寿喜男
○岩垂委員 石油コンビナートの災害を防止すること、あるいは地震災害などを予想して、石油類や高圧ガス類の巨大な蓄積というものはどうしても避けなければならぬときが来ていると思うのであります。そういう意味では、地域的な総量規制ということを考えなければならないときが来ているように思います。この点について本委員会でもいろいろな角度で議論してきたわけですが、この点についての通産省の見解をぜひ煩わしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/84
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085・宮本四郎
○宮本政府委員 ただいま先生の御指摘のように、コンビナートにおきましては非常に大きな危険物が大量に貯蔵される可能性をはらんでおるわけでございますので、それに対しまして総量規制の必要があるだろうということは感じるわけでございますが、現在高圧ガス取締法のもとにおきましてはコンビナート等保安規則というのがございまして、これによりますと工場の敷地を最大二万平方メートルの区画に区分をいたしまして、この区画相互の間に設置されます高圧ガスの設備を三十メートル以上離せ、こういうことが一つございます。
それから第二に、このような面積の制限を受けた場合に、この単位面積あたりの集積量を幾らにするかということにつきまして可燃性ガスの総熱量を制限することで数字を定めておる次第でございますが、別途消防庁の方におかれましては石油タンクの各種の規制がございまして、総量規制の実質的な運用が行われているのではないかと思うわけでございますが、ただいま御審議願っておりますこの法案がもし成立するということになりますれば、こういったコンビナートにつきましては新しくつくる場合に事前に各種の資料が添付されてまいります。この資料添付によってチェックいたしまして、これだけの集積量があればこれは面積が足らぬではないか、もっと広げよう、離せというふうな指導も十分できるわけでございますので、私どもといたしましてはこの新しい法律に基づきまして総量規制の運用を先生御指摘のような方向でやらしていただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/85
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086・岩垂寿喜男
○岩垂委員 これからのコンビナートの配置あるいは計画、そういうことを通産省としてはどのように把握しておられるか、それをどのように進めていかれるおつもりかということをコンビナートの配置の問題に関連をして、この際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/86
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087・宮本四郎
○宮本政府委員 コンビナートという概念をどのようにつかまえるかということが一つ問題がございましょう。私どもの考え方におきましては相当の単位面積当たりにたとえば石油精製、石油化学、さらには鉄鋼あるいは電力というふうなものが複合して立地をするようなものをコンビナートと考えておりまして、こういう私どもの考えておる狭い意味のコンビナートということからいたしますれば、現在コンビナートを考えておる場所といたしましてはそうたくさんはございません。私どもがなぜそういうふうなことを考えておるかと申しますと、言うまでもなく、コンビナートにつきましては公害問題が非常に大きい問題になります。さらに、現在御討議願っております災害、防災の問題が非常に基本の問題でございます。したがいまして、新しいコンビナートの立地につきましては立地の地点、それから規模、環境の保全、こういった対策につきまして十分な配慮を払う必要があると考えるからでございます。したがいまして、今後はいわゆる三大湾、東京湾、伊勢湾、大阪湾それからさらに瀬戸内海でございますが、こういったところにおきましてはすでに計画が具体化されているもの、これはまあいろいろな事情で私どもやむを得ないと思うわけでございますけれども、そのほかの新増設につきましては原則として行わないように指導してまいりたい、こう思っております。
さらに、国民経済が伸びるということも当然必要なことでございますので、その場合にどうするかということでございますが、これは先ほど申しましたような既成の工業地帯から遠く隔たりまして、しかも新しく開発されるような外洋に面したような地域というところに誘導をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
先ほど多くはないと申しました計画中のコンビナートについてでございますが、現在ございます代表的な例は北海道の苫小牧東部地区、それから青森県のむつ小川原地区があるかと存じます。ここで詳細な計画はいま立案中でございますが、非常に大ざっぱな観点から二、三の数字を御紹介いたしますと、苫小牧東部の地区におきましては、当面石油精製三十万バレル、それから石油化学で四十万トン、火力発電、これは北海道でございますので石炭火力を考えておるようでございますが、三十五万キロワットというようなことを考えております。それからむつ小川原地区でございますが、ここにおきます青森県の現在の構想といたしましては、第一期分といたしまして、おおむね石油精製で五十万バレル、石油化学で八十万トン、それから火力発電として百二十万キロワットということでございますが、現在なお基本計画を作成中でございまして、結論には到達しておらないと理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/87
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088・岩垂寿喜男
○岩垂委員 志布志の方はいまどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/88
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089・宮本四郎
○宮本政府委員 志布志につきましては、鹿児島県が昭和五十年二月に「新大隅開発の方向について」という骨子を発表いたしました。この考え方は、総合的に調和のとれた住民福祉の向上の立場から環境の保全に留意し、かつ、農業、水産業等の地域産業の振興を図り、新たな産業の導入によりまして、就業機会の増大、生活環境、教育、文化環境の整備といったことを中心といたしまして、開発の基本的な考え方を示したわけでございます。しかし、この計画は開発の具体的内容をまだ示してはおりませんで、現在その内容につきまして、その骨子に基づきまして県下の二布十七町村と意見の交換をしておる、さらにそれを集約して一つのコンセンサスに持っていこう、こういう努力中であると承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/89
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090・岩垂寿喜男
○岩垂委員 まだ通産省に正式な申請という形にはなっていないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/90
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091・宮本四郎
○宮本政府委員 そういう段階に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/91
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092・岩垂寿喜男
○岩垂委員 もう時間が来てしまいましたから、これでおしまいにしますが、通産省と自治省の、この法律をつくる過程の中での災害行政の一元化という問題があるわけでありますが、これはやはり附帯決議の中にも述べられているように、所管がばらばらになっているということは、対策を進める上で非常な問題があると各委員からも指摘をいただいているところであります。そういう点でいますぐこの法律を直してという議論にはならぬわけでありますが、通産省と自治省が一元的な防災対策の運営について協議、合意を得るような努力をこの際要請をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/92
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093・大西正男
○大西委員長 多田光雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/93
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094・多田光雄
○多田委員 前国会で成立を見なかったコンビナート法案を再びこの委員会で審議することになったわけですが、七十五国会でもこのコンビナート法案が、一定の前進面はあるけれども、いろいろな問題点があると、同僚議員からもそれから私もかなり総合的にいろいろお伺いしたわけなんです。その中でいよいよ鮮明になってきたことは、このコンビナート、とりわけ臨海コンビナートというのが単に公害源であるだけでなくて、危険物の巨大な集合体であるということがわかり、なまはんかなことではここから起きる事故を防ぐことができないということもずいぶんこれは論議になったはずなんです。特に私どもとしては、前国会でこの法案が、先ほど言いましたように一定の改良はあるけれども、しかし、あすとは言えない、きょう大きな事故が起きないとも限らない既設のコンビナートに対して、抜本的な規制が行われていないという点で強い不満を申しましたし、あるいはまた、これから防災帯を含めた膨大な施設が非常に地方自治体の重荷になっていくというような意味も含めて、私ども賛成できなかったわけですが、このたびその法案がもとのままで出てきたということに対して、私どもは非常に遺憾に思っているわけなんです。
そこで、昨年暮れのあの水島の事故の教訓として幾つか挙げられておりますが、これは消防庁長官も何かにお書きになっていたと思いますが、やはりコンビナート災害に対する総合的、統一的な対処の仕方ということが、これまた多くの同僚議員からも指摘されていたはずなんです。これは後でまたお伺いいたしますが、残念ながらこれは必ずしもそうなっていない。前回、私特に陸上の問題に力点を置いていろいろお伺いしましたので、今回はそういう総合的、統一的な観点から、もっとコンビナート問題を見ていく上で、主としてきょう海上問題からお伺いしたい、こう思っているわけです。
そこで、これは消防庁にお伺いしますが、前回も聞いておりますが、その後お考えが変わったかどうか。つまり陸の方はかなりいろいろな規制措置があるのだけれども、海でもし事故が起きたという場合にどういう措置をとられるのか、もう一度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/94
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095・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 海の事故は、海面が非常に広いだけにその対応はいろいろでございます。ただ、海の事故が陸に及ぶおそれがあるというような事故の場合には、特に港湾区域の中等においても問題があるかと思っております。この場合の現在の防災体制というものは、海上面は海上保安庁が担当し、消防機関の方は可能な限りこれに協力体制をとっていくというような体制でいま進んでおるわけでございます。現在の消防機関の施設等は本当の意味の海上に対応するだけの施設は準備をいたしておらないわけであります。そういう意味におきまして、現在消防が対応し得るものは、港湾区域について海上保安庁と共同して防災に当たる、恐らくこういうことになるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/95
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096・多田光雄
○多田委員 前国会で、私ちょうど自治大臣に冒頭お伺いした。自治大臣はこういうことを言っていましたね。私、コンビナートで最悪の事態が起きたとき、この法律でどうなんだと伺いましたら、自治大臣はこういうふうに言っているのですね。「ただいま御指摘になりましたような災害が起きたといたしました場合に、この法律ができれば全部救えるかということであれば、私は非常に困難であろうかと思っております。」こういうことを御答弁になっておったわけです。そしてその大きな原因として、その後に自治大臣はこういうことを言っているのですね。関係法令が非常に多いのだ、そしてこれは日本の政治の一つの弊害といいますか、官僚制度のある意味での弊害と言える、そしてその種のことはいま一朝一夕にふっ切ることは非常にむずかしいのだということを自治大臣、大変正直に私に答弁されていたわけなんです。その後、私、この法律案をつくるので消防庁もずいぶん苦労したのだろうということを言いましたけれども、しかし大臣が認めるぐらいなわ張りがまだまだある。大臣は、官僚制度という言葉を使ったのですから。その意味では、私はこの法律案で不測の大災害を防げるという自信が本当におありなんだろうか、恐らくこれは大臣だけじゃなくて、そういう自信を持っている方は一人もいないのじゃないかというふうに思うのです。
そこで海上保安庁と運輸省に聞きますが、石油だとかLPガスそれからLNG、こういう可燃性物を運搬する大型タンカーの泊地、バース、それからコンビナートの隣接港湾について、海上防災の観点から総合的な調査、統一的な点検を実施したことがおありかどうか、これをお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/96
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097・山本了三
○山本説明員 海上保安庁からお答えいたします。
海上保安庁は、御承知のように海上の安全、これについて所掌いたしております。したがいまして、日本周辺の主要な港湾には海上保安部署が配置されております。また、その港湾には巡視船艇を配置いたしております。したがいまして、港湾の現況等についてはおおむね把握いたしておるつもりでございます。しかしいま先生御指摘の、防災面から細かくコンビナートあるいはその周辺の特に石油基地等については、私ども総合的な調査をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/97
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098・多田光雄
○多田委員 海上保安庁では、正直に言えば、なかなか説明があったけれども、コンビナートの防災問題については総合的な調査をやってない、こういうことですね。
それではお伺いしますが、運輸省はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/98
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099・大塚友則
○大塚説明員 私どもは港湾の立場で申しますと、主として港湾管理者の行政についていろいろ管掌しておるわけでございますが、したがって、実際には港湾管理者が現地の実態を一番よく存じておるわけでございます。そこで、先生いまおっしゃいました防災上の観点から総点検をしたことがあるかということでございますが、残念ながらそういう目的をもって点検したことは実はございません。ただ、日常の業務の中において港湾管理者がそれぞれ防災上の見地からいろいろ配慮しているということはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/99
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100・多田光雄
○多田委員 これも前回私、質問したときに、海上保安庁の船谷さんがこう説明しているのです。「まだ時期的なことははっきりしたものは置いてございませんけれども、次の国会にはぜひ」海上防災法を出したい、こう言っていたのですが、保安庁は、この海上防災法の次期国会提出の準備をいま続けておりますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/100
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101・山本了三
○山本説明員 先生御指摘のとおり水島の三菱石油大量流出事故以来、特に海上の災害防止につきましての要請というのが非常に高まっておるのは御承知のとおりでございます。したがいまして私どもといたしましては、次の国会に新たに海上の防災に関する立法措置を行いたいということで、現在鋭意立法措置を行っておるところでございます。ただ、まだ成案は見るに至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/101
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102・多田光雄
○多田委員 その準備中ということに対して港湾局の方はいろいろ相談に乗っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/102
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103・大塚友則
○大塚説明員 過去においてすでに御協議は受けております。もちろん私どもの方の立場からも幾つかの御意見を申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/103
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104・多田光雄
○多田委員 何回くらい話し合っていますか。どの程度の内容のものをやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/104
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105・大塚友則
○大塚説明員 まだもちろん法案の体系にもなっていない要綱の前段の段階で御相談を受けております。回数についてはちょっといまここではっきり覚えていませんが、多分二回ないし三回だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/105
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106・多田光雄
○多田委員 消防庁は相談を受けておりますか。あるいはまたその内容に立ち至っていろいろな意見を述べたり、あるいは聞かれたりしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/106
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107・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 まだ私どもの方には御協議をいただく段階になっておらないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/107
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108・多田光雄
○多田委員 前国会にこの場で、次期国会に提出する準備をしていると海上保安庁が約束をしているのですよ。それがいま港湾局の話を聞いてもこのていたらくなんです。しかもいままで事故を起こして、いわば陸からは地方自治体だとか消防庁にずいぶんいろいろ世話になっている。そこに何の相談もまだしていない。国会軽視もはなはだしいですよ。しかもあきれたことには、海上防災法をつくるというのに総合的な点検や調査もしていない。何をつくるんだろうか、何を基準にどういうものを一体つくろうとしておるのか疑問を持たざるを得ないのです。一体次期国会までにこの法案は——あるいは今国会で通るかもわからないが通ったとしても片手落ちなんですよ。先ほど言ったように、コンビナートの災害というものは陸からだけ攻めたってだめなんです。海からもやらなければならない。そのために準備しますと言っておりながらそういう状況なんです。一体次期国会までに出すという腹構えでいるのか、国会答弁を逃れるためにそういうことを言っているのか、それをひとつもう一度お伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/108
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109・山本了三
○山本説明員 次期国会に提出する予定で現在鋭意立案中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/109
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110・多田光雄
○多田委員 役人言葉で鋭意というのは大変気になるのだけれども、出すということで進めているのかどうなのか、はっきり言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/110
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111・山本了三
○山本説明員 先生御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/111
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112・多田光雄
○多田委員 コンビナートの災害はいま言ったように陸からだけじゃないのです。私の手元にあるこの雑誌を見ますと、この数年に起きた海の事故、大きい事故だけちょっと言ってみましょうか。昭和三十七年十一月十八日の京浜運河の第一宗像丸、一々内容は申し上げません、これは三十六客全員が目の前で死んでいるのです。それから室蘭港のヘンバート号、この事故が起きて二十数日港がとまってしまった、国鉄までとまってしまったのです。それからペルシャ湾における海歳丸。それからこれは木材を運搬した船ですが小名浜港の空光丸。それから川崎港外のていむづ丸。さらに昭和四十六年十一月三十日の新潟港外のあの有名なユリアナ号。さらに四十二年三月十八日、これは外国船ですが英仏海峡でのトリー・キャニオン号。それから昨年の十一月九日のあのLPガスを積んだ第十雄洋丸。さらに十三月十一日の、二名、体がばらばらになって飛ばされた横浜のシェル六号、これは幸いにして陸に波及しませんでしたよ。しかし第十雄洋丸のとき百数十メートルにわたって紅蓮の炎を吐きながら東京湾をさまよったわけでしょう。幸いこれは曳航に成功したからだけれども、もしそれが失敗したなら、横浜なり川崎のタンクの近くまで行ったらどうなるのですか。たばこのガスライターに火をつけてそれをつけるようなものなんです。これは大げさなことじゃないのです。そうであれば少なくともこのコンビナート法に並行して海上防災法をつくって、だから総合的統一なんだと政府が言うならばある程度私も納得しますよ。主として陸の面だけのコンビナート防災法をつくり上げて、その統一的なものは災害本部を設けて関係官庁がいろいろな協議をする、これは悪いことじゃないけれども、一体それで、大臣すらも認めているこのセクト主義の強い、官僚主義のある役所を総合的にまとめていけるかどうか。国民だけじゃなくてあなた方自身が一番よく知っていると思う。そのむずかしさは。だから私が声を大にして言うのは、どうしても次期国会までに海上防災法、名称は何とつくかわからないけれども、それをつくるべきなんだということを言っているのです。
そこで、きょう大臣来ておりませんから次官にお伺いしたいのですが、少なくともこのコンビナート法についてはそういった総合的なものでなければならないということは政府自身も御答弁で言っておられるのですよ。そうだとするならば、単に自治省の次官という立場だけじゃなくて、海上防災法をつくるために政府がそれぞれ協力をして次期国会に必ず出すために準備をしていくというふうなことをやる必要があると思うのですが、これは次官会議その他でも御検討願わなければならないのですが、これについてひとつ次官の御回答を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/112
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113・左藤恵
○左藤政府委員 ただいまの段階では事務的な段階として海上保安庁がその中心になって検討を始めておられるわけでありますが、いまお話しのように政府としてこの問題に対処するために、そうした問題としてわれわれもその法案の作成に協力するというよりももっと積極的な参加をいたしまして、お話しのような形で国会に提案をするということに努力しなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/113
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114・多田光雄
○多田委員 ではぜひ次官の方でもそういう措置をとっていただきたいし、重ねて保安庁の方にそれを強く要望しておきます。
そこで、運輸省もやっておられないと言うし、保安庁もやっておられないと言うので困っていたのですが、幸い全日本海員組合が昨年数カ月にわたって全国の主要な石油基地の隣接港湾の総点検をやっているのです。それを私資料として一応見せてもらったのです。これは海上保安庁、港港島それから消防庁ごらんになりましたでしょうか。それぞれごらんになったかどうかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/114
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115・山本了三
○山本説明員 海上保安庁は見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/115
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116・大塚友則
○大塚説明員 拝見しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/116
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117・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 私どもは見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/117
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118・多田光雄
○多田委員 そこでなお海の問題で少し伺っておきたいと思うのです。
最初に、危険物を積んだ船が入港するバースの問題についてお伺いしたいのですが、これは港湾局の方ですね。大型船舶、この喫水と泊地の水深の関係ですね、これを決めるのに何か基準があるのか、あるいはまた法的にどういう措置をとっておられるのか、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/118
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119・大塚友則
○大塚説明員 いまおっしゃいました泊地の水深等を含めまして港湾施設を建設する場合の技術基準というものを法律でつくるように定められております。それに伴いまして、四十九年運輸省令をもちまして技術基準を出しております。なお、補足する意味におきまして、港湾局長名をもって運用通達を出して指導しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/119
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120・多田光雄
○多田委員 その中身をちょっと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/120
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121・大塚友則
○大塚説明員 要点を申し上げますと、主としてたとえば航路でございますが、航路の幅とかあるいは深さあるいはその形、そういったものがそれぞれ要件になります。たとえば航路について申し上げますと、大体船の長さに等しいものから、非常に船舶の航行の激しい航路につきましては二倍ぐらいの幅をとるように、それから航路の深さにつきましては、大方満載喫水にプラスして一割以上とるように。それから泊地について申し上げますと、泊地につきましても船がそこで回るわけでございますから相当な広い泊地が要るわけでございますが、大方船の長さと同じ程度もしくはそれ以上の長さの半径を持つ泊地の面積をとりなさいとか、あるいはまた泊地の水深につきましては、先ほど申しました航路と同じように船の満載喫水プラス一割以上持ちなさいというふうな基準を決めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/121
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122・多田光雄
○多田委員 私もちょっとそれを見せてもらいました。そこで、たとえば入港した船の最大喫水、満載時の喫水、これは何というのですか制限喫水なんという言葉も使っているようですけれども、その喫水ですね。これが仮に十六・三メートルあったとすれば、それの一割、一〇%増しということになりますね。そうすると私の計算では十七・九三メートルの水深がなければならない。一応おたくの省令によりますとそういうことになるわけです。
そこで、これは海上保安庁に伺いますが、例の水島の日本鉱業二号原油桟橋の設計水深、それから現行水深、これは何メートルですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/122
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123・山本了三
○山本説明員 設計水深は十七メートル、現在の水深は十七・二メートルというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/123
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124・多田光雄
○多田委員 そうしますと、この桟橋に入港した最大船舶の総トン数、これは何という船で幾らでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/124
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125・山本了三
○山本説明員 船名はジャパン・アリス、日本国籍でございますけれども、トン数は二十五万二千五十九トン、最大級でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/125
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126・多田光雄
○多田委員 それは何回か入っているのですが、一番満載時の喫水は、何回か入っている中で幾らでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/126
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127・山本了三
○山本説明員 この船が入港いたしましたのは一回でございます。四十八年十二月の二十五日に入っております。このときの入港時の喫水は十三メートル三五でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/127
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128・多田光雄
○多田委員 私の聞いたのでは、これの喫水は十六メートルと聞いているのです。あなたの方に先ほど聞いたら十三メートル云々ということですが、私の聞いているのでは十六・三メートルと聞いております。これは至急調べてください。なぜ聞いているかというと、これは次官、実に浅いところに来ているのですよ。めんどうくさいから私もう数字は余り言いませんけれども、つまり一割増し、その水深にぎりぎりなんです。
それから航路幅についてちょっとお伺いしますが、ここの桟橋の航路幅は幾らありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/128
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129・山本了三
○山本説明員 水島航路といたしましては七百メートル、港内に入りますとだんだん狭くなりまして、一番狭いところでは三百八十メートルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/129
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130・多田光雄
○多田委員 港湾局に聞きますが、この航路幅は、おたくの省令によりますと対象船舶同士が頻繁に行き会う場所ということになっておりますが、伺うところでは日本鉱業の水島のところは非常に頻繁に行き会う航路というように私は聞いておるのです。そうしますと、これは2L、船長の約二倍ということになりますね。先ほど保安庁から聞いたジャパン・アリス号の場合、船の長さが三百三十六メートルあるから、これを倍にしますと六百七十二メートルなんです。ところが、いま聞きますと水島では二十万トンタンカーが年間五十隻入る。こういうところで、いま伺いますとわずか三百八十メートルの幅なんです。これで事故が起きないというのは、よほど船長が熟達していると思うのです。私は事故が起きてもそれほど不思議ではないと思う。
そこでこの省令ですけれども、これには一体罰則があるのですか、あるいはどういう義務規定になっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/130
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131・大塚友則
○大塚説明員 法令では罰則はございません。
それから一言敷衍させていただきますと、いま航路幅に対しまして過大な船が入っているのではないかというふうな御質問でございましたけれども、省令ではすべてを二倍L、つまり船の二倍の長さにとれというふうには言っておりませんで、比較的短い航路の場合でなおかつ船の行き来が少ないという場合には船の長さでよろしいというふうに書いてあるわけでございます。そこで水島の場合を例にとりますと、大きなタンカーが入る場合には、聞くところによりますと航行管制をやりまして、比較的他の船舶の通行がないような状態にしておる。それから、なおかつあそこの航路は幅三百八十メートルないし四百メートルの個所は非常に短いわけでございますので、そういった観点からいたしますと、大方船の長さ程度の幅があれば十分ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/131
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132・多田光雄
○多田委員 私その説明を伺いまして、これで本当の防災という観点が一体貫かれているのだろうかという疑問を感ずるのですよ。皆さんも一定の経験則に基づいてそういう御説明をなさっているのだろうと思うが、私はまじめに読んでそう考えているつもりなんです。これはいま論議しても、私は専門家じゃありませんからなんですけれども、少なくとも二十万トンタンカーが入ってくるという場合に、特別にきちんとした体制をとらないと、事故が起きないという保証はないわけです。たとえば水深の問題にしても、私の伺っているのは十六・三メートル、しかもバースまでの航路水深が、これは港外ですが十四・八メートルと聞いているのです。現地で聞いたら、満潮を利用して入っているのじゃないかという話さえ出ている。実際喫水と数字が合わないのです。相当無理をして入っているわけです。事故が起きればこれは船長の責任なんです。しかも船長会議の話を聞きますと、これは一々名前を挙げるわけにいかないけれども、昔はいろいろインターナショナルな国際パイロット協会の常識があって、そして水深も皆さんが決められておるよりは多いのですよ。そういうものをやっていたけれども、最近は事業者の圧迫でもってそれが守られなくなってきている、こういう泣き言が出てくるということを聞いているのです。
そこで私ぜひひとつ、これは海上防災法をつくるために海運局にも力を出してもらいたいのですが、そのためにひとつお願いしたいことは、この一・一倍増しですね、これを厳守させるのにどういう体制をとっておられるのか。これはむしろ保安庁ですかな。どういう態度をとっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/132
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133・山本了三
○山本説明員 先生御指摘の水深は、余裕水深と一応通常申しておりますけれども、要するに船底以下どれだけの余裕を持って港に入るかという余裕水深と言っておりますが、これにつきましては、海上交通安全法の指示基準の中に、余裕水深を指示することができるという規定がございます。したがいまして、私ども海上保安庁といたしましては、水島港に入ります場合には喫水の一割プラスの五十センチというのを基準にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/133
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134・多田光雄
○多田委員 ありがとうございました。それはそれで参考になりました。
港湾局で決められたこういう一・一倍にするというような問題をどのようにしてチェックしておられるのかということを私は伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/134
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135・山本了三
○山本説明員 巨大船が入港いたします場合に、海上保安官署に喫水等の報告をいたしてくることになっております。したがいまして、当該入港船がどれだけの喫水で入港してくるかということを一応把握することができます。
それから入港してまいりました場合には、荷役等の場合、巡視船艇が見回ることになっておりますし、適宜そのチェックをすることが可能であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/135
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136・多田光雄
○多田委員 理屈では可能であったとしても、それが厳重に守られているかどうかはこれはまた別な問題なんです。
そこで私港湾局にお願いしたいことは、もし今度海上防災法をつくられる場合には、この水深の問題について、ぜひひとつ最低限、皆さんのこの省令で書いておられることを守るような具体的な手だてというものを海上防災法に入れてもらいたい。入れるように努力してもらいたい。これはあなた個人だけで言えるものじゃございませんが、国際的なパイロット協会がありますね、ここの基準はもっと大幅なんですよ。しかもそれがたとえばイギリスなんかでは、いま聞きますというと常識的になっている、慣行としてやられている。せめてこの水準でやるように手直しができないものかどうか。とりわけ日本に入る船の半分以上が外国船だ。いわば日本の重要港湾と言えば国際港と言ってもよいでしょう。そうであれば、国際的にその安全を見込んだ慣行としてやられているようなものを、日本の特にコンビナート地帯の重要港湾に適用していくということは、これは防災を第一とするならば、私はごく常識的なことだと思うのですが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/136
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137・大塚友則
○大塚説明員 非常な貴重な御意見として承りましたので、今後海上保安庁ともいろいろ御協議さしていただく際におきましても、検討の大きな材料にさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/137
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138・多田光雄
○多田委員 それについて海上保安庁の御意見をちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/138
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139・山本了三
○山本説明員 巨大船等が日本の東京湾、伊勢湾、瀬戸内海に入港いたします場合には、海上交通安全法の規制を受けて入港してくるわけでございます。したがいましてこの規制の中に、ただいま申し上げるとおり余裕水深については指示をするという規定がすでにございます。したがいまして、この規定によりましてしかるべき余裕水深を指示して守らせる、そのようにいたしてまいりたい、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/139
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140・多田光雄
○多田委員 くどいようですけれども、防災法をお出しになるわけだから、その中に、安全第一で、すべての港をそうせいと言っているわけじゃない、巨大船の入る、しかもコンビナートを抱えた港湾の場合に、そういう水深をきちんとやられるようにしていただきたいということを私お願いしているのです。それをやっていただけるかどうかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/140
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141・山本了三
○山本説明員 慎重に検討さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/141
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142・多田光雄
○多田委員 それはひとつぜひお願いしておきたいと思います。
それから、これは海運局の方かな。危険物を積んだ船が入るバースと隣接するコンビナートもしくは石油タンクだとか住宅地域との間の距離について、いま法的な基準なり規制というものがあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/142
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143・大塚友則
○大塚説明員 具体的な基準は現在ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/143
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144・多田光雄
○多田委員 もう一つ伺います。
いま言った危険物を積んだ船がバースに着いている場合に、隣接する船との間隔、これに規定があるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/144
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145・山本了三
○山本説明員 現在のところ船と船との間隔を幾らにするかというような規制はございません。しかし一応一つの危険物積載船舶からは三十メートルを離隔するという行政指導を行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/145
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146・多田光雄
○多田委員 これは次官お聞きのとおりですね。陸上では、ともかく不十分であっても住宅との間に一定の間隔があるわけですよ、これも問題になっているところですがね。船の場合それがない。四十年前、五十年前と違って、まさに船からあの大きな災害になっていくという事例は幾つもあるのです。これは皆さんの方が専門家だからよく御存じだろうと思うけれども、昭和二十二年四月十六日ですか、有名な、アメリカのテキサスシティーでのグランド・キャンプ号という船の大事故、これは語りぐさのように皆さんからも伺っているし、私もパンフレットを見てあれなんですけれども、爆発して対岸の町までやられちゃったのですね。驚いたことに一マイル半、これは私英文でも読ましてもらったのです。一マイル半内のビル建物が二千百三十八個全部やられ、五百人以上の人命を失ったのです。そして港内にあった十数隻の船がだめになった。そしてその威力が出ていましたね。五トンのいかりが七百メートル飛ばされた、しかも二連のいかりのくさりとともに。これがいまでも置かれているというのです。こういう大きな事故がすでに三十年前起きているのです。そうだとすれば、これは海上防災法に住宅との距離、船と船との間隔——いま規定がないというのだから、それにはただ三十メートルのブイを置くぐらいなんでしょう。ポンポンポンと火を噴くポンポン蒸気が入らないことにしているぐらいでしょう。——うなずいているからそうだろうと思う。そういうことでは、これは幾ら陸の方で消防署の皆さんが努力してみたってどうにもならないのです。私はこれはこけおどしで言っているのじゃないのです。こういう災害は一度起きたら原爆と同じことで大変なことになるからなんです。絶対起こしてはならないから言っているのです。それをやって初めて陸と海とを総合的、統一的にやる上で一歩進んだと言えるから、それをお願いしているのです。そういう意味で船と船との間あるいは危険物を積んだタンカーと陸上のタンクだとかあるいは住宅街との距離、これを含めて海上防災法をつくるときにはひとつぜひ入れていただきたい、こう思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/146
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147・山本了三
○山本説明員 先生御指摘の点につきましては慎重に検討いたしてまいりたいとは思いますけれども、現在二十万トン等の原油タンカーが入ってまいりますバースというのは、一点係留ブイとかシーバース、こういうものに着いております。したがいまして、こういう船が並んで着岸しておる、そういう状態にはなっておりません。そういう原油タンカー等の荷役のバースを決定いたします際に、そういった安全問題については慎重に考慮を払っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/147
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148・多田光雄
○多田委員 海上保安庁の回答はちょっと一サイクルおくれているよ。シーバースだから大丈夫だというような言い方なんだが、皆さん、シーバースでこんな事故が起きたらどうなるのですか。だから繰り返し言っているのは、シーバースはかなり離れていますから距離の上では安全のように思えるけれども、そういうものを横浜のシーバースに行って見てごらんなさい。すぐ手にとるようにそこでしょう。付近に船も航行しているわけでしょう。だからそれらを総合して考えてくれということを私は言っているのです。
さて、そこでいま私が伺ったのはバースについてなんですが、今度は入港したときの安全対策です。これは入港する場合にどういう安全対策をいまとっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/148
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149・山本了三
○山本説明員 巨大船が入港いたします場合には、前日の正午までに入港予定時刻といいますか、航路に入ってまいります、東京湾とかあるいは伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、これに入ってまいります予定時刻を通報させます。そして、その時間が変更されるたびに修正をやらせる。それから航路に入ってまいります三時間前になりますと無線の聴取義務を課して、常時海上保安本部にあります航路管制官とその船とが無線で通話できるという状態にいたします。
それから東京湾等に入港いたします場合には行政指導によりまして水先をつけるとか、あるいは航路警戒や前方警戒のための警戒船を配置する、あるいは消防能力を持った防災船を随伴させる、そういった安全措置をとらせております。こういう船がいよいよ着桟いたします場合には十分な曳船を、タグボートを配置するとか、あるいはタンカーが入港いたして停泊し、あるいは荷役をいたしておりますときには消防能力を持った警戒船を配備するとか、夜間に着桟はさせないとか、それから着桟の場合には、その接岸のスピードを一定以下に抑えるとか、風速が十五メートル以上になりますと荷役を中止させるとか、その他オイルフェンスを展張させる、あるいは油処理剤を準備させるとか、あるいは着桟中、あるいは荷役作業中は火気、火を使うような作業は行わせないとか、その他細かい注意を払って安全を確保するとか、そういった指導をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/149
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150・多田光雄
○多田委員 いろいろ御説明いただきました。
そこで私は、海上防災法をつくる場合にぜひひとつ御検討願いたい何点かを項目だけ挙げておきます。
一つは入港する場合の進路警戒船がありますね。それから消防艇の配置がある。これはひとつぜひ、いまもついておりますけれども、もっと数をふやすように、たとえば二十万トンクラスの船が入る場合に、消防艇なんかはその船に見合った消防艇になっているかどうか、二十トンか三十トンの小型の消防艇でいいのかという問題もあるわけです。
それから二番目は航行管制のあり方の問題がありますね。
それから三番目は水先人を強制的に置かせるという問題、それからいま話した気象、海象の問題、これらを総合的にぜひひとつ入れていただきたい。これは要望として述べておきます。
それから停泊中の安全の問題なんですが、タグボートはいざ緊急のときに一体何分くらいで来れますか。あるいはまた何分以内に行けというふうな指示や規定がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/150
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151・山本了三
○山本説明員 二十五万デッドウエートトン以上の大型タンカーが着桟いたしておる場合には、タグをそのそばに置いて警戒をするということをいたしておりますけれども、それ以外のタンカーにつきましては現在そういった指導あるいは規制をやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/151
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152・多田光雄
○多田委員 これはさっき述べました海員組合の調査なんですが、調査した人が言っています。これは個別に聞いたので、水深その他の客観的な海図に載ったものと違って、若干主観が入るかもわからないと言っておりますが、この資料を見ますと、いざ緊急の場合タグボートが来るのに一時間もかかるところもあるし、東京湾のように早くすぐ来るところでは零分というところもある。これはそばにいるからでしょう。さまざまなんです。ですからこういう問題も非常に細かいように見えるけれども、実は大事な問題なんです、この水島の問題を見ても。そういうタグボートが、事故が起きたときに、たとえばこの港であれば十五分以内だとか、二十万トンですとこれは時間がかかるから大変ですけれども、しかしそれだけにどうするかという措置を含めて検討していただきたい、こう思うのです。
それからこういう問題もあるのですね。企業の桟橋に着くでしょう。そして水島にもあったそうですが、船に事故が起きたというので、船員が外出していたのが飛んできた。そうしたら企業はなかなか入れないというのだ。船員なしで動くわけにはいかぬでしょう。こういう事態もあるのです。ですからそれらを含めて二十万トンタンカーに限らずこういう危険物を積んでいる船が入港するところでは、入港時だけじゃなくて停泊中あるいは出港する場合も含めて、タグボートの問題を含めて、私はきちんとした対策をひとつとっていただきたい。
それから、これは消防庁長官にお伺いしますが、停泊中の船にそういう火災なり爆発があったときに、陸上の防災設備というものはどういうふうになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/152
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153・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 接岸をして停泊中の船につきまして火災が発生いたしました場合には、これは消防の責任ということになっております。したがいまして、そういう船舶に対応する消防施設というものは、陸上からの消防自動車、それから海上の消防艇、これによりましてその防災活動を行うということになるわけであります。ただ、コンビナート地域等におきまして、この接岸する部分について防災施設というものが現状のままでいいかどうかという点につきましては、現在検討いたしておりますが、特別防災施設としての規制を強化をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/153
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154・多田光雄
○多田委員 その規制の場合、やはり船によって大きさは違いましょうし、ひとつぜひそれは、私、後日もっと詳しくお伺いしたい、こう思っております。
そこで、いま海上の問題聞いてまいりましたが、まあ一定の手は打たれていると思うのですよ。しかし、その限りでは防ぐことはできない。いま私が何点か大ざっぱに申し上げた、しかしそれは皆さんにしてみればあるいは細かいことかと思われるが、まさにそこが大事なところなんです。そういう面で、運輸省にしても海上保安庁にしても、これからつくるわけだから、しかし遅きに失していると思う。ぜひひとつその点を考慮していただきたいということですが、さてこうなるというと、やはりもとに返ってくるのは、総合的、統一的な指導の問題なんですよ。
そこで、これは長官に伺いますが、今度の法律案で防災本部をつくるということで、現地の知事がその長になる、そしていろんな防災計画だとかいろいろ規定もありますし、あるいはまた現地の防災本部もつくるというふうになっているのですが、これで、私いま言ったように、海から災害が波及するというようなことの場合対応できるのだろうか。対応できるというおつもりでつくられたと思うのですが、なおどういう点に不備があるのか、これをひとつお話ししていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/154
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155・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 コンビナート防災法におきましては、二、三の海上に必要な防災施設、防災資機材の設置を義務づけるということにいたしておりますけれども、これの考え方は、どちらかというと、陸上に発生いたしました災害を海の方に及ぼさない、海に出ましても最小限度、陸に近いところで防ぐ、こういう観点からの防災資機材等の設置義務を考えておるわけであります。したがいまして、海から陸に向かって災害が波及をしてくる、こういうものにつきましては、現在考えておりますのは、岸壁部分について特定防災施設等義務づけを行いまして、現在は単に油を搬入搬出をする、その施設部分について消防用設備等が義務づけられておるわけでありますけれども、船全体が火災になった場合にタンクヤード等の関係をどう防ぐかという、この点について検討する必要があるということで、いまその内容を詰めているところでございますが、まだ海上から陸上に波及してくる部分についての詰めは十分でございませんで、この辺が、運輸省の方で海上防災法を立案されます段階におきまして、私どもの方とその関係を詰めていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/155
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156・多田光雄
○多田委員 これは運輸省なり保安庁なりで目下準備中ということですが、どういうふうなことをお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/156
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157・山本了三
○山本説明員 先刻申し上げましたとおり、現在のところまだ成案を得ておりませんので、どういうことにいたしたいと思いますというところまで申し上げることができない段階でございますけれども、私どもが現在考えておりますところの主なものは、船主サイドといいますか、そういったものの防災資機材の備蓄の措置、あるいは防災措置、並びに災害が発生いたしました場合の国、地方公共団体あるいは関係企業等の防災体制の確立、そういった大きな柱、二つを中心に防災規定を整備してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/157
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158・多田光雄
○多田委員 これは長官に伺いますが、海上防災法、私は大体見通しも立たぬわけじゃない、内容が。そうしますと、相当統一的なものをつくっていかないと、これはやはり個々ばらばらになっていくんじゃないか、いままでよりは幾らか改善されたとしても。屋上屋を重ねて、そのために特別な法律をつくるなんていうことは不可能だろうと思いますが、そういう意味で私は、これはひとつぜひ真剣に考えていただきたい、こう思うのです。
次官、いま海上保安庁の方からも伺ったのですが、仮に海上防災法ができたとしても、それはそれでまたけっこうなことです。しかし陸上の、いま審議しているコンビナート防災法、そしていま長官もおっしゃったけれども、この法案は主としてやはり陸上を中心にしたものだ、海上防災法は海上を中心にしたものだ。そうすると海陸を統一してやっていくというものは、防災本部長が現地の知事だというだけでは、私は本当の統一したものになっていかないのじゃないか。まさにそこがいろいろな、民間からも問われている問題なんです。どうやって海陸を統一してやるのか、これはなかなかむずかしい問題なんですが、ぜひひとつこの問題について政府としても検討していただきたいというふうに、私もこれは希望として述べておきます。
そこで最後に消防艇の問題をちょっとお伺いしたいのですが、前回ここで同僚議員から保安庁に対して消防艇の質問があったのですが、そのとき船谷という説明員の方が、海上保安庁で消防艇は大型、中型を含めて、それ専門のものが十一隻だ、その後ちょっと半年近くかかっていますからふえているかもわからないけれども、大型が三隻ですね。それについてこう言っているんですね。「消防能力についてはまだまだ足りないと考えております。しかしながらなかなか予算措置上、たとえばわれわれいろいろな任務を持っておりますが、」云々と、予算措置のことを述べておられるのですが、東京湾あるいは伊勢湾などの重要な港湾に対してなお消防艇を増強するお考えを持っているのか、あるいはどの程度の規模のものを持っているのか、これひとつ伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/158
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159・山本了三
○山本説明員 消防艇につきましては、海上保安庁といたしましては今後大型の消防船を増強いたしてまいりたい、そのように考えております。たとえば私どもの希望といたしましては、五十一年度予算の中におきましても大型の消防船を何とかいただきたい、そのような希望を表明いたしつつある段階でございます。それで、東京湾、伊勢湾あるいは大阪湾等におきましてどれぐらいの消防船を整備するかという点につきましては、私ども現在検討を鋭意進めております。したがいまして、大型船は何隻、中型船は何隻、そういうことをただいま申し上げられない段階でございますけれども、いずれにいたしましても官民の消防力を何とかふやしてまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/159
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160・多田光雄
○多田委員 大型というのは二百トンクラスですか。それの持つ威力はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/160
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161・山本了三
○山本説明員 海上保安庁が持っております大型消防船と申しますのは、総トン数が百九十トン、消防能力といたしましては、ポンプの能力が一時間千七百四十トンほどの能力がございます。あわを出します場合には一分間に大体十三トン程度、水を出します場合には一分間に約二十五トン程度の水を放出することができる能力がございます。
それで、この消防船は、建造いたします際の規格といたしましては、タンカーのサイドタンクの面積が約五百三十平米というのを目標にしてこれを消火する、そういう能力を備えております。この五百三十平米と申しますのは、大体現在つくられております二十万トンタンカーも、おおむねそのサイドタンク一個の面積はその程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/161
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162・多田光雄
○多田委員 あわを飛ばす距離はどれぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/162
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163・山本了三
○山本説明員 あわを飛ばす距離は五十メートルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/163
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164・多田光雄
○多田委員 これは消防庁に私ちょっと伺いたいのですが、二十万トンタンカーあるいはその前後のもので、非常に大きな爆発なり火災が起きた場合に、非常に輻射熱も強くなりますね。それであわ剤で五十メートルぐらいで、消火としてはこれはどうでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/164
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165・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 その点は私どもの石油タンクの場合も同じような問題があるわけでありますけれども、衝突等によって火災が発生をいたしましたその火災面の大きさによりまして非常に差があると思います。それから風向によりましても、どちらから放射をするかということによりますが、この問の第十雄洋丸等になりますと、火災面が非常に広がって、海面におきましても火災が発生しているという状況になりますと、その段階におきましては風上から消火作業に当たるということは可能な場合があるかと思いますが、火災面が非常に大きい場合には、この五十メートルの飛距離では非常に防御が困難であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/165
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166・山本了三
○山本説明員 大型タンカーの火災の場合に現有の消防艇で大丈夫かという御質問だと思いますけれども、私が先ほど申し上げましたとおり、あわの量につきましては対応するだけの能力がございます。
それから接近し得るかどうかという点につきましては、消防船は、御承知と思いますけれども、船の周りを水滴で覆うといいますか、自噴するといいますか、噴霧装置というものを備えております。噴霧によりまして船を覆いまして、それから火点に接近する、そういう装置がございます。したがいまして、相当の火力のところまで接近することができるという設計になっております。
次に、大型タンカーの火災の場合に重要なことは、消防のノズルの高さということでございます。御承知のように、タンカーは半載の状態になりますと相当の高さがあります。デッキの上まで相当の高さになるわけです。したがいまして、この消防船は十五メートルのやぐらを持っております。そのやぐらの上にあわの放射を行いますノズルを備えております。こういうことで、消防船といたしましては、世界でも有数の能力を持っておるというふうに私どもは自負しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/166
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167・多田光雄
○多田委員 問題は、いま消防庁長官が言ったように、これは船だけじゃなくて、油の場合は海面に広がるというおそれを持っているのですよ。それが一つの問題。それからいま一つは、二十万トンタンカーになると相当大きなものですね。ノズルの問題出てきたでしょう。ノズルを高くすると、いま十五メートルくらいとおっしゃったのだけれども、これは船の大きさによって、ノズルは、たとえばもっと高いところにつけられるということも可能ですね。それはどうですか。船の大きさに比例するものですか。これは私ちょっと伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/167
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168・山本了三
○山本説明員 ノズルの高さは、これはノズルをなるべく下向きにといいますか、ともかく上向きに放射しなくて、下向きに放射するということがその有効な使用に絶対の条件になるわけであります。したがいまして、タンカーの上甲板以上の高さにノズルの位置をもっていく、そのためにはそういうやぐらをつくっておく、こういうことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/168
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169・多田光雄
○多田委員 わかりました。どうもありがとうございました。
そこで、いま大型船が東京湾一隻でしたか、伊勢湾一隻ですね、それから大阪一隻ですね、三隻ですね。それから中型が四隻ですか、小型四隻、専用のものが十一隻というふうに伺っているわけですが、仮に東京湾のような船のふくそうしているところで大きな事故が起きた場合に、急速大阪湾、伊勢湾からというわけにいかないでしょう。あなた方の希望としてはどれくらいの隻数を必要としますか。これは市原から東京、横浜も全体を入れてですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/169
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170・山本了三
○山本説明員 現在、御承知と思いますけれども、海上保安庁の大型消防船が一隻東京湾にありますし、それから民間でつくりました同性能の消防船が二隻あります。したがいまして、さっき申し上げました、世界に冠たると申します消防船が三隻東京湾ではすでに整備いたしております。この三隻がありますと、三十分以内には大体東京湾はカバーできると私ども考えておりますし、この三隻が有効に機能いたした場合には相当の威力を発揮する、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/170
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171・多田光雄
○多田委員 時間も来たのですが、次官、いま世界有数の船だと言う、それはそうかもしれない。そうかもしれないけれども、これは専門家はそうは思っておらぬですよ。消防艇は一気に何十そうもつくれないけれども、やはり計画的に東京湾その他でつくる必要がある、大型で。その意味で私ちょっと提案があるのですが、その前に、大型船一隻つくるのにどれだけかかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/171
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172・山本了三
○山本説明員 現在三億程度かかるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/172
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173・多田光雄
○多田委員 そこで次官、事は商売の話ですが、国際的な捕鯨問題でかなりキャッチャーボートが——これはかなり大きいのです、五、六百トンくらいになりますが、いま捕鯨の統合の問題で、捕鯨統合会社というのをつくるという話、これは新聞に出ておりますがね。そこが、ある造船会社、これは名前を後で個別にでもよろしいのですが、それを消防船に切りかえるのに幾らかかるかというのを設計をさせたというのを聞いているのです。それによりますと、まあ中古船ですから一隻それをつけて約一億円と聞いているのです。これは皆さんお聞きになっているのかどうかわかりませんが、そうなりますとこれは一挙両得、一石三鳥ですか。それで大体二百トンぐらいですね、捕鯨船ですから遠洋も間に合うわけで、同時に、こういう不況下で海員の方も職を失うという方もかなり出てくるわけですね。大体数年で十五隻くらいこれがあくと言われているのです。だからそういうことも含めて、私は消防艇の問題をひとつ、三億の三分の一でできるというふうに言われているわけですから、これもひとつ検討材料にしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
世界最大級の話からいろいろ伺ったのですが、私、最後にこの法案について、一言私の態度を述べておきたいと思います。
前回相当網羅的にやりましたので、今回は特に海陸一体、総合的なということで、主としてこの委員会で運輸省と海上保安庁にお伺いしたわけですが、お約束どおり次期国会には必ず海上防災法を出していただくというふうにしていただく。そしてこの法案については、全く同じものであり、私どもとしては先ほど申し上げましたように、やはり一番危険を包蔵している既設コンビナート、これに対する抜本的な対策がとられていない、あるいは地方自治体に非常に大きな負担がかかる問題、あるいは統一的な指導の問題にしてもまだまだこれは考えてみなくちゃならない問題がある、その他等々あわせまして、これはなかなか賛成できがたい法案である、これは棄権せざるを得ないという私どもの党の態度を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/173
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174・大西正男
○大西委員長 小濱新次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/174
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175・小濱新次
○小濱委員 先国会では、石油コンビナート等災害防止法案の審議が尽くされ、最終段階で廃案になったことは、今日の複雑多様化したコンビナート地帯の実情から見て、非常に残念であったと考えるわけでございます。今回、再び審議の機会を得ましたので、幾つかの点について確認をし、政府の見解をただしたいと思います。
そこで、まず政務次官にお尋ねをいたしたいと思いますが、コンビナート災害対策の根本的問題は、最悪の場合、そういう場合でも災害を市街地に及ぼさない策を講ずることであると考えておるわけですが、そのためには、石油類、高圧ガス類の巨大集積を避けるための総量規制を行うことが必要である、こう考えておるわけでございます。この点、本法案には何も触れていないようだが、どうお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/175
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176・左藤恵
○左藤政府委員 総量規制という問題は、それではどのぐらいの総量であればいいというような問題もございますし、そういった検討も非常にむずかしい問題もございます。それから既設の問題ということで、すでに前国会においてもいろいろ御審議いただきましたが、既設のものに対します規制というか、それをすっかりやりかえてしまうということも実際問題として非常にむずかしい問題もございます。そういった意味におきまして、とにかく御指摘のような考え方を進めるということは、現実の展開という点で非常に困難なことがございましたので、それではとりあえずできるのは何かということになりますと、大規模な地域を指定して、その中において一つの防災計画を定めて災害を防ぐという体制をつくるということにあろうかと思います。そういったことに着眼して今回の立法を図った、このように御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/176
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177・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 ただいま政務次官から申し上げましたように、コンビナート地域の総量規制というものは、その立地条件等によりまして非常に差があるわけでありまして、一律的な総量規制ということは、現実問題として非常に困難ではないだろうかというような感じがいたします。ただ、別に資料で差し上げておりますように、消防法関係の政省令の改正による規制の強化ということをいま予定をしておるわけでありますが、この規制を強化することによりまして相当大幅な総量規制が現実的には行われてくる、こういうことになるであろうというふうに考えております。
この保安距離、保安空地等の問題につきましては、十分輻射熱等の計算をいたしまして、その基準を定めていく、あるいはまた、一防油堤におさめる油のタンクの総量を規制をしていく、こういうことによりまして現実的な総量規制が行われ得るというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/177
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178・小濱新次
○小濱委員 立地条件などの差があるという、それもよくわかりますが、市街地の距離であるとかあるいはまた事業所相互間の距離などを定めて、そして実質的な総量規制、これにつながる措置というものを、やはり現地を視察をしたりいろいろと私どもが調べた上で、必要だなあということを痛切に感ずるわけでございまして、そういう点でこの総量規制というものの一層重要性を私どもは訴え、これが対策を講ずるように配慮を促しているわけですが、それでは何かの対策ということになれば、今後政令などの関係法令を整備をする、そういう段階でこれらのことについて行うという用意があるかどうか、これは長官からで結構であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/178
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179・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 一つのコンビナートだけについての総量規制を行うということにいたしましても、その事業所が市街地との間においてどういう条件で立地されているかということによっても違ってくるわけであります。海面に面した部分に精製工場等があって、その外周にそうした危険物の余りない工場等が配置されている場合、この場合にはその事業所の総量規制というものについては大分割引ができるであろうというふうに考えられるわけであります。また、市街地に直接面して精製工場がつくられているというような場合には、これは相当な防災体制をとらなければ、市街地への災害の波及ということが考えられるわけでありまして、やはり場所によりまして、立地の状況によりまして、この安全のための規制というものは考えていかなければならないというふうに思うわけであります。
ただ、そうしたことを前提にしながら、別の資料で差し上げておりますように、消防法関係の政省令の改正事項の概要というところで、従来の保安距離あるいは保安空地に関する規定について、相当大幅な改正を行うことを予定をいたしております。したがいまして、通常のタンク火災等が発生いたしました場合には、まず原則的には市街地には及ぼさないというような対策を講じていくつもりであります。
ただ、こうした災害が非常に広範囲に起きました場合、これはやはり現在、消防法関係の政省令だけの保安対策ということでは不十分な面があるわけでありますので、これらにつきましては、この法案による防災緑地の設定というようなことでこれに対処しなければならないということになるわけでありますが、私どもも現在、既設のコンビナートにつきましては、防災診断というものの実施を急ぐことにいたしておりますので、これらの防災診断を行うことによりまして、それぞれの地域に適合した保安対策というものをとってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/179
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180・小濱新次
○小濱委員 いろいろ御答弁をいただきまして、総体的に用意があるというふうに理解いたしました。ぜひひとつこれは実現の方向に努力をしていただきたい、こういうふうに思います。
さらに、高圧ガスは通産省、石油類は消防庁に所管が分かれているわけですが、その取り締まりの問題についてはまた別になっておりますけれども、消防組織法六条の精神からすれば、この災害予防、災害防御の具体的行政は自治体側の市町村が行うことになっているわけでございます。またこのことは当委員会の附帯決議でも、液化ガスについて消防としての保安規制を行うなど、危険物行政の一元化を推進することとなっているわけでございます。今回もそうであるが、従来から通産省との関係でこの趣旨が生かされないようでありますが、安全基準の上から、従来から一口に、甘い、こういうふうに言われているわけです。そこでこの一元化が叫ばれているわけでして、この一元化ということについてどのようなお考えを持っておられましょうか、長官からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/180
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181・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 この法案を立案いたします過程におきまして、ただいま御指摘のように、高圧ガスにつきましては通産省が所管でございますし、石油類につきましては消防庁が所管をしているというような観点から、少なくともいわば第一線の業務につきましてはその体制を一元化をしていくということについて、いろいろ通産省との間において協議を進めたわけでありますけれども、やはりこの問題につきましては、従来の二十数年の行政の実績の積み重ねというような問題もあり、それからまた、現在の市町村の消防機関におきましては、相当な技術水準のところもある反面、まだ技術水準の面から非常に劣勢な消防機関もあるわけでありまして、これらを直ちに第一線の業務につきまして一本化していくということについてはやや無理があるというような面もあったわけであります。そういう観点から、当面、従来の所管の体制で高圧ガスにつきましては府県知事、危険物につきましては市町村ということの関係をそのまま残したわけであります。しかしながら、こうしたいろいろな保安関係その他につきましての行政処分をそれぞれ行います場合には、お互いにその重要なものについては通報し合って、それぞれの行政の内容を府県知事も市町村長も十分知っておくというような連絡のための規定が設けられたわけであります。
ただ、いずれにしましても、一たん災害が発生をいたしました場合には、その災害防除の活動は消防機関が行わなければならないわけでありますので、私どもも将来さらに市町村の指導を強化し、そしてまた内容の充実を図って、十分に高圧ガスについての災害防除体制というものをとり得る消防機関として指導育成してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/181
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182・小濱新次
○小濱委員 現場では、防災対策上万全を期すためにぜひとも一元化をと要望している面が伝わってくるわけでございます。消防行政の一元化ができない理由はどこにあるのか、こういうことをお尋ねしたかったわけですが、いま長官からは、いろいろな実情の実績の積み重ねとか技術水準の面からむずかしいので無理がある、こういう御答弁がございました。法律も所管が違うとかいろいろ理由があろうかと思いますが、当然脳裏に浮かんでくることは、この防災の現場がいろいろな形で脳裏に浮かんでくるわけですね。この防災の面だけでも消防に権限を移譲することについてはどう考えているのだろうかということを、ただいま長官の御説明でもちょっと触れましたけれども、もう一遍この点についてお答えをいただきたいと思います。防災の面だけでも消防に権限を移管することについてはどうか、こういう問題ですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/182
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183・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 ただいまお話がございました防災というものの仕事の範囲がどこから防災かというその辺が少し定義をつけて申し上げなければならないわけでありますが、やはりこうした危険物施設、高圧ガス施設というものの事故防止、災害発生を防止するという仕事は、まず保安という段階、予防の段階があるわけであります。それで一たん事故が発生しました場合に、それをできるだけ小さい範囲に抑えていくという活動は、保安の面から見ますというと保安活動の一部にもなるわけであります。そうした事故が他の施設等に波及をしていかないように抑えていく、これはどちらかというと災害防除活動になってくるだろうと思いますが、そういう意味におきましての防災活動というものはこれは消防機関が行うということは現在の法律の上でも明らかであるわけであります。ただ、こうした高圧ガス施設等におきましての保安活動が、どこまでが保安活動であり、どこまでが災害防除活動であるか、その辺の境界線がやや不明なところもございますし、さらにまた事故発生の際の活動というものは、どうしてもその施設の特殊性に応じた事故拡大の防止活動が行われなければならないということになるわけでありますので、境界線のあたりが非常にむずかしいところでありますけれども、その事故が大きな災害になる、その面からの活動は消防機関が担当していく、こういうことになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/183
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184・小濱新次
○小濱委員 消防行政の水準の格差、これはわかります。先ほど長官が言われましたけれども、いろいろな実績の積み重ねとか、あるいはまた、技術水準の面からむずかしいので無理があるということでしたけれども、もう指定都市などは相当実績の面からも、水準の面からもすぐれた実績、技術、それから設備を得っているわけですね。そういう点から、むずかしいだろうけれども、指定都市からでも何か一つの足がかり的な道を開いていく、そういう段階的に移行していくというような形のものができないかどうか。いろいろ格差はあるだろうけれども、すぐれたところから手をつけたらどうか、こういう考え方についてはどういう御見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/184
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185・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 一般的に申しますと、御指摘のように、現在指定都市の消防機関の技術水準というものは相当高いわけでありまして、十分に高圧ガス行政についても耐えられるだけの、こなすだけの水準にあるということは言えると思います。したがいまして、こうした保安防災の仕事につきまして一元化していく場合に、指定都市から逐次移譲していくことは、現実的な扱い方として十分考えられるところであろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/185
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186・小濱新次
○小濱委員 ひとつこの一元化という問題については、これから一層努力をしてもらわなければならない一つの問題点であると思いますが、よろしく御検討をお願いしたい、こう思います。
さらにまた、本法第二十条、「経過措置」について。
特定防災施設は一年ないし二年、自衛防災組織については一年ないし三年の経過措置を設けているわけでございますが、災害はいつ起こるかわからないことですし、防災という問題は一年ないし三年という長期間では、その間災害が起きないとは限らないわけですから、また、着々と準備を進めている企業の意欲を欠くことにもなりかねないわけでありますから、この経過措置の期間が長過ぎる、こう考えるわけでございますが、この点どのようにお考えになっておられますか、長官からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/186
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187・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 防災施設あるいは防災資機材の備えつけにつきましては、できるだけ早い時期に完備させるということを私どもも考えております。
ただ、その中には現在の生産能力から見て一年間でこれを設置することがむずかしいものがございます。たとえば高所放水車でありますとか油回収船というようなものにつきましては、現実の設計から完成まで相当な期間を必要とするものがございます。そういうものにつきましてはやむを得ず二年ないし三年というような期間でこれを設置をさせるということにいたしまして、そういう期間を必要としないで設置が可能であるというものにつきましては、できるだけこれを一年内に備えさせるという方針でいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/187
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188・小濱新次
○小濱委員 当委員会は水島、岩国、いろいろとコンビナート地帯を視察をいたしました。もちろん川崎も千葉にも伺いましたけれども、こうした現地を視察をいたしまして、企業の方々と懇談をいたしました。その中に、その設備を完全にもう終わったというところ、それから早くできるという企業、いろいろと声が出てまいりました。この一年ないし二年とか、一年ないし三年の経過措置を設けておりますけれども、消防庁として行政指導などの方法でこの期間を早めるように指導する必要があろうかと思いますし、またいろいろと内容的にはむずかしかろうと思いますけれども、やはりその意志が強固でなければ、この問題の推進はなかなかできないであろうとも感ずるわけですが、ひとつ何らかの方法で努力をするということの消防庁の考え方をもう一度聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/188
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189・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 たとえば特定防災施設等の中におきましても流出油防止堤というようなものは、これは事業所の周辺に工事を行うということでございますので、一年以内にこれをつくれということは可能であるというふうに考えております。ところが私どもが自衛防災組織に設置をさせるべく義務づけようとしておりますたとえばスクアートのような高所放水車になりますと、企業の生産能力が年間百台から百四、五十台というようなところでございますので、そういたしますと、この法律の規定によりまして、恐らく数百台の設置が必要になってくるだろうと思います。そういたしますと、現実問題として生産能力がない、こういう面から、そういうものにつきましては三年くらいの期間を置いてやらなければ、義務づけたところで企業としては設置ができない、こういう問題がございます。これらにつきましては、その生産を行っております工業界等にできるだけその能力を上げるようにというようなことはあらかじめ連絡をとりながら、いま設計などの仕事をさしておりますけれども、そういう問題があるものはやむを得ず二年とか三年というふうに規定せざるを得ないというふうに考えておるわけであります。できますものは大体一年の間に全部やらせる、こういう方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/189
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190・小濱新次
○小濱委員 いろいろと御苦心はわかるわけですが、ともすれば一つの事故で大きい人命、財産を失うことにもなりますので、特にひとつ御努力をお願いしたい、こういうふうに思います。
次に三十二条でありますが、石油コンビナートなど特別防災区域協議会の設置は、当該区域の特定事業者が共同して協議会を置くよう努めなければならないと努力規定になっているわけでございます。特殊災害対策のためにはこの協議会は非常に重要であることは申すまでもないことでありますが、これは努力規定でなく、さらに強化した設置を義務づけるための義務規定にすべきではないか、こういうふうに私どもは考えているわけですが、この点について政務次官からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/190
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191・左藤恵
○左藤政府委員 この特別防災区域に所在します事業所でプラントなどにおいて相互に関連する部分もありますし、一つの事業所で災害が発生した場合にほかの事業所に拡大する危険性が高い、そういうことで、特別防災区域の防災につきましては、事業者が共同してそういう防災に関する研究とか、ここに書いてあります一から四までの仕事につきまして、防災協議会というものをやるということの効果というものは確かにわれわれも期待しておりますので、そういうことで努めるように規定したわけでございますが、これを一足飛びに義務づけるということにいたしましても、実際問題としてそういった努力というものを義務づけましてもそれだけの効果が上がるかどうかということ、これはとにかくやってみなければわかりませんし、われわれといたしましてはそういうことを期待するけれども、そこまで義務づけて形式的になってもまた逆に効果がないのではないかということでもありますので、たとえば実際問題といたしましては、防災計画の定めるところによるということになっておりますので、実際的にはそういったところで、指導で、相当この区域協議会が設置されるということもわれわれとしては期待できると思いますので、そういった面でこの二十二条をとにかく設けて、そして実効の上がる形でわれわれは期待したい、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/191
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192・小濱新次
○小濱委員 さらにいまの問題で長官からお答えいただきたいと思いますが、御存じのように関係都市では行政指導によって実質的な協議会がすでに発足をしておるわけです。この点からも義務規定にしても問題はないというふうに私どもは見ているわけですが、真剣に対処方を考えるならば、当然これは義務規定にすべきではないか、こういうふうに考えているわけですが、これは長官にお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/192
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193・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 この特別防災区域を構成いたします企業というものは、その地域によっていろいろでございます。また特別防災区域のいわば範囲の区切り方響もいろいろございますが、やはりこれらにつきまして特別防災区域協議会というものをどういう形で設けるかということは、各府県に防災本部が設置をされ、そのコンビナートの防災計画が策定されます段階におきまして、どういう形でこの協議会を設置するかということは十分に規定をさせていきたい。規定をいたしますれば当然にこの協議会は設置をされるということになるわけであります。そうした地域の実情に応じた防災計画の策定の過程におきまして乙の協議会は現実的にこれを設置させるように指導していきたいというふうにえて考おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/193
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194・小濱新次
○小濱委員 努力規定であるとか、準義務規定であるとか、義務規定であるとか、いろいろと言葉はあるわけでございますが、できない、そういう現地の実情ではない。実質的にはもうすでに行っている地域もあって問題はないんだからやるべきだと私どもは考えているわけですが、御答弁いただきましたので、どうかひとつそういう方向で努力をしていただきたい、こういうふうに思います。
次に同じく二十三条でありますが「異常現象の通報義務」について。
タンク事故など異常現象の通報を必ず消防機関に行うことになっているわけでございますが、これを受けた消防機関は非常に軽微なものも、軽微ということはささいなものもということにもなりますが、防災本部や警察署、海上警備救難機関へ通報しなければならないことになっているわけでございます。そこで非常にこの事務が繁雑になることが予想されるわけでございますが、消防機関からの通報は防災本部だけにしてはどうか、そして状況に応じて関係機関に通報するように、異常現象の範囲とか程度を定めたならばどうか、こういうふうに考えるわけでございますが、この点はどういうふうにお考えになっておられましょうか。これは長官からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/194
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195・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 二十三条の第二項に規定がございますように、この異常現象の通報がありました場合には、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより通報する、こういう規定になっておるわけであります。したがいましてその計画を定める際に、いろいろな被害想定というものを、事故の想定を行うわけでありまして、こういう事故の場合にはどういう機関に通報するかということがこの防災計画の中で具体的に実際的に定められる、こういうことになるわけでありますので、すべての異常現象につきましてあらゆる関係機関に通報するというようなことには必ずしもならないわけであります。そういう意味におきましては、この防災計画の定めるところによって通報していく、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/195
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196・小濱新次
○小濱委員 指示、命令、号令とか伝達だとかいうことは、そのまま伝わるということは恐らくないはずであります。そういう点でどういう形で通報されていくのか。軽微なものとかささいなものだとか、いろいろが間違え伝えられて大きな出動に転じていく場合もありますし、そういう点では何か異常現象の範囲というものをもう少し現場に即した的確な判断をして指示、命令、号令を与えていく、こういう形で、何か義務的に通報すればいいのだ、そしてまたその順序でずっと伝わって通報されていくんだ、それで最後の発動ということになるわけですが、それが最初のことと最後が誤り伝えられないでばっと伝わっていけばいいのですが、そういう点で非常に私どもは危惧を感ずるわけでございます。長官御存じでしょうけれども、十人の方並べまして、間隔を置いて一人一人伝令を出します。次に行った伝令と次々、十人目にはどんな伝令になっていますか、ひとつやってみましょうか。大変な伝令になるわけです。そういう立場から、何かもう少し固めなければならないなというのがこの二十三条の異常現象の通報の義務というところにあるんじゃないかというふうに考えますので、その点は私どもはいろいろな立場から体験もしたり、そしてその後耳にしたことを申し上げておるわけですから、これは努力をしていただきたいと思います。
けさのNHKのテレビをごらんになりましたか。見た人。もちろん消防に関することですよ。——だれも見ていない。横浜市のコンピューターー、これを使った自動指令通信装置が四十九年末に完成いたしました。今日まで訓練を続けてまいったわけですが、いよいよ来る十一月一日、あしたから正式に運用を開始することになったということが放映されておったわけです。たしか二億四千万円ぐらいかかっているはずです。施設はつくりません。現在の施設の中にそういう設備を施してある。簡単に言えば、消防局の中にコンピューターの指令室があって、各消防署、横浜の場合は各区に一カ所、十四カ所とあと各出張所がございますけれども、そこへつながっているわけです。この場合の内容が非常にいいのですね。いまのようなこの異常現象の通報の義務ということが、これは誤り伝えられる可能性が十分あるけれども、このコンピューターのは早いのです。的確なんです。そして出動も、動きを起こしながら、また状況が伝えられていく仕組みになっているのですね。長官、御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/196
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197・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 私はテレビを見なかったのでありますけれども、新聞でこの記事は見ました。これは確かに横浜市でコンピューターによる自動指令装置をやっておるという話は聞いておりましたので、それができるだけ早い時期に実用になるということを期待しておったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/197
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198・小濱新次
○小濱委員 他の自治体にはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/198
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199・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 まだ私ども聞いておりませんが、恐らく東京都あたりは、現在新庁舎を建設いたしておりますので、それらの完成の時期と合わせてこうした方法ということも検討しているのではないだろうかというような感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/199
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200・小濱新次
○小濱委員 この自動指令通信装置の一番大きなメリットは何だとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/200
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201・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 結局、応援出動態勢というものが一定の計画に従ってコンピューターによりまして自動的に指令ができる、あるいはまた救急出動というものにつきましてもその出動時間というものを短縮できる、こういう効果があるだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/201
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202・小濱新次
○小濱委員 いままでは人間の経験であるとか勘とかでこの指令を出していたわけです。先ほどの異常現象の通報の義務という問題とこれは関連してまいりますが。ところが、この自動指令通信装置というものは、コンピューターがすべてやってくれるわけです。しかも、先ほどお話しを申し上げましたように、いままでより車の出動が早く、時間の短縮になっているわけですね。いろいろと調べたところが、交代制で増員の必要はないということです。
国からの補助金はどういうふうになっておりましょうか。この件について、これは消防庁として何らかのやはり誠意を示していかなければならない、こういうふうに考えておりますが、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/202
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203・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 このコンピューターによる自動指令装置につきまして、これについての補助対象にするという問題については、特に横浜から御相談はございません。そういう意味で、私どもの方ではまだ、これを補助対象にするのかどうか、こういう点については検討いたしておりませんが、この実施の経過を見、また現実に特に大都市等で必要になるだろうと思いますけれども、それらと、大都市地域においてこの実際の供用開始した後における運用状況を十分検討いたしまして、各市町村の要望等も聞きながら対処していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/203
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204・小濱新次
○小濱委員 自治体の方で先にいろいろと苦心、苦労しながらそういう装置をつくっていくわけです。川崎の場合でも、ああいう特殊な地域ですから、化学消防車、大変高価な、六千万あるいは六千五百万円もかかるようなそういう車も必要に迫られてやむなくつくっている。しかも補助金は、十分の一ぐらいしか実質いただけない。こういうことでいいものができようとしておりますが、やはり国の誠意あるそういう助成措置があらわれてこないために大変おくれているというような、そういう向きもあるように感じているわけでして、相談がなかったからというのじゃなくして、大いにこちらから呼びかけて、その促進、進捗を図っていくような、そういう指導方向というものが必要であるとわれわれは考えているわけですが、今後この問題等の指導についてはどういうふうに方向づけをお持ちになっておられましょうか、長官からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/204
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205・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 各消防機関がその地域の実情に応じて新しい消防施設を開発していくということは、大変に必要なことであり、また現実に各市町村が行っておるというのが現状でございますが、ただ、われわれがそういうような施設につきまして補助対象にしていくというようなことになります場合には、そうした新しい施設が各消防機関に共通の、いわば普遍的な施設であるということでなければ、現実問題としてはなかなか補助対象にのせていくということは困難であるというふうに考えております。
ただ、こういうような特殊な、その市町村のいわば特殊な必要に応じて開発される施設というものにつきましては、やはり現在の制度から見ましたならば、起債等の対象にして処理をしてやる、こういうことになるだろうと思います。そういう意味におきましては、新しく開発された施設なり装置なりというものが、やはり各消防機関の共感を得られるようなものでなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/205
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206・小濱新次
○小濱委員 政務次官、いまお聞きのとおりでありますが、これは非常にメリットの大きい施設でありますので、事情はよくわかりますが、こういう方向で努力をしている地域もあるわけですから、どうかひとつ大いに関心をお持ちになって、これからこういう方向の実現のために一層努力をしていただきたいと思うわけですが、きょうは大臣がおりませんので、政務次官からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/206
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207・左藤恵
○左藤政府委員 これは全く初めての試みでもございますので、われわれといたしましてもその効果なり何なりを十分検討さしていただいて、そうした機械化とかあるいは省力というような万両あるいはまた適確、迅速な出動態勢を確保するという意味から見ても十分検討に値するものであろうと思いますので、いまの御趣旨の点をわれわれも踏まえまして、この問題について心をしていくといいますか、関心を持っていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/207
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208・小濱新次
○小濱委員 第二十五条であります。「自衛防災組織等に対する指示」について。
自衛防災組織に対し、市町村長と海上保安本部長との指揮権について、この点、競合することはないかという見解を持っておるわけですが、これはまず消防庁の長官と海上保安庁の両方からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/208
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209・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 特にこうした問題で、消防と海上保安官署との間において競合が出てまいりますのは、海と陸との接点のところでの問題であろうと思います。この問題につきましては、現在、水面上における消防活動の業務につきまして、すでに消防庁と海上保安庁との間におきまして業務協定が結ばれておりまして、その考え方を明らかにしておるところでございます。大体、こうした業務協定の基本的な考え方に応じまして、自衛防災組織等に対する指揮権の問題というものは発動されるであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/209
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210・山本了三
○山本説明員 海上保安庁の見解を申し上げますと、ただいま消防庁長官から御説明がありましたとおりでございまして、日ごろからといいますか、四十三年三月に消防庁と海上保安庁は消防活動についての調整をいたしておりますけれども、この趣旨にのっとりましてあらかじめ定められた防災計画あるいは消防、防災本部等の協議等を通じて、円滑に防災活動を行ってまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/210
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211・小濱新次
○小濱委員 海上保安庁、先ほども山本警備救難部長の御答弁がございましたけれども、コンビナート災害については、私どもはもう陸と海は一体化しなければならない、そういう上に立って法案というものは作成をしていかなければならぬ。陸上だけのものであってはならないし、海上だけのものであってもならないということで、海上保安庁の見解をただしてまいったわけですが、さきの本委員会の答弁でも、運輸省の代表は、別途法制化を進めているという話でした。ところが、今回も出てこなかったわけです。そして、次期通常国会にはというふうに、先ほども山本部長はお答えになっておられました。今度コンビナート法案がまた出てきたのですが、ここまで相当の期間があったはずですから、それだけの誠意があったならば、これは今国会にもやはり出すべきでなかったのかというふうにわれわれは考えておるわけです。この国会に出してこないのでは、通常国会にもこれは何らかのできない理由を述べて出してこないのじゃないかという心配がわれわれは出てくるわけです。その進捗状況はどうなんですか。山本部長さん、もう少し具体的にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/211
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212・山本了三
○山本説明員 海上防災法と申しますか、海上の防災の法規を次の国会に提出するという目標で、先ほども御答弁いたしましたとおり、現在鋭意検討を進めておるところでございます。海上交通安全法、港則法あるいは海洋汚染防止法、こういった三つの法律の活用によりまして、現在海上の防災についてわれわれ対処いたしておるところでございますが、海上防災法は、コンビナート防災法の前国会の附帯決議にもありましたとおり、陸の裏板といいますか、海版といいますか、そういったものになろうかと思います。コンビナート防災法で、ほかの法規との関係でいろいろ御苦心をされておりますけれども、海上防災法につきましても、いろいろな入り組んだ、それぞれの法律との調整その他検討いたすことが多々ございます。したがいまして、現在、遅いというおしかりを受けておりますけれども、次の国会には必ず出そうということで鋭意検討を進めておる段階でございます。御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/212
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213・小濱新次
○小濱委員 本法案の第二十八条、「防災本部の組織」の第二項に「本部長は、当該防災本部を設置する都道府県の知事をもつて充てる。」こうなっておるわけです。知事さんが指揮をとるわけです。それから災害対策基本法の中でも、知事さんが出てきて指揮をとるわけです。
山本部長さん、たとえば川崎のあの海岸に面した油タンクが事故を起こして、油が海面に流出して、不幸にも海面火災になったら、川崎のあの二千隻からの船はどうやって救いますか。先ほど世界一というお話もございましたけれども、どうやってこの船の救出を図りますか。これはもうできないはずですよ。たとえば横浜港の場合でも、湾内にある船だけでも三千五百もある。先ほどいろいろ説明がありましたけれども、海面火災になったら機動艇は走れますか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/213
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214・山本了三
○山本説明員 海上保安庁におきましては水島の事故以来、コンビナートから油が流出し、災害を海面に及ぼした場合にどうして対処するかということについて、いろいろ腐心をしておるわけでございます。東京湾におきましては、重立ったコンビナートそれからシーバース、まず五カ所ぐらいから約一万キロリットルの油が具体的にここから流れたということで想定をいたしまして、それに対応する方策といたしまして、どこのオイルフェンスをだれがどうやってどこに張るとか、何分後にそれができるとか、第一船はここ、第二船はここ、あるいは第三船、第四船はここと、こういうぐあいに細かくマニュアルを作成いたしまして、そういった事故が陸上から発生いたしました場合には、その通報というのは即刻参ると私ども期待しております。で、その事故に対応いたしまして、たとえば三十分以内にはこれとこれとこれが動員できる、そういった細かい検討をいたして、現にその訓練も実施をいたしております。
海面火災になったらどうするかという御質問でございますけれども、先ほど私は海上保安庁の消防船あるいは民間の消防船ということを申し上げましたし、そのほかに消防庁所管のいわゆる地方自治体の消防船あるいは消防艇、これも相当多数東京湾にはあります。あるいは巡視船艇ももちろん消防設備は持っております。タグにも消防設備は相当強力なのが設備されております。こういったものを有効に動員する、そうして災害を局限する、そういうことにいま最大限の努力を払うということではなかろうかと思っております。
そういうことで、具体的にそういったマニュアルも、最も可能性といいますか、恐ろしいようなところ数カ所については、ワーストケースを仮定して対策を練っており、何とか災害を局限いたしたい、そのように考え、努力しておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/214
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215・小濱新次
○小濱委員 山本部長さん、横浜の消防艇が何十トンが何隻、川崎が一隻、東京が——ああいう船は海面火災になったら働けないのですよ。ストップしてしまうのですよ、機械はとまるのですよ。あなたはその感覚で海面火災というものを想定して救済策を講じていかなければならないのですよ。走れますか、四十トンや五十トンの船が。そういうところでそうなったら、東京湾で活動できる船は一つしかないのですよ、あなたのところのあのでっかいのしか。そういうことで、あなたは一万トンの想定をやっているけれども、一万トンのタンクなんというのは京浜地区でも何千本とあるのですよ。五百トン以上のタンクだけども六千本ぐらいあるのですから。京浜地区だけですよ、千葉は入れませんよ。そういうことで想定が一万トンでは小さい。一万トンではもう海なんかに落とさないで防油堤でとまってしまうのです。そうじゃないのですよ。五万トン、十万トンのタンクがだだっと押し出していったときには防油堤など役に立たない。だあっと海にあらゆるものを押し流していってしまうのです。そのときに、その途中でばっとついたらば海面火災はどういうふうになるのか、それが今度は違うタンクにこう波及していったらどういうふうになっていくのかという最大の想定ぐらいして、対策を講じていかなくちゃならないと私は考えるわけです。ところが先ほども世界一のそういう船があるという話をしていたから、それでどれだけの対策ができるのか。
そういうことで、私はあなたをいじめるつもりはないけれども、もう少し海上というものについて、海面火災で酸素が補給を断たれれば、それはどういうふうに波風が起こるのか、また火勢がどう変わっていくのか、船の機械はどういうふうになっていくのか、そういう立場から想定をしていかなければ救済なんかできないのですね。そういう点で設備が非常に幼稚ではないのか、もう少し海上保安庁も、金のかかることだけれども、これは人命にはかえられないから、そこで設備に力を入れていくべきであるということをぼくは申し上げたいわけです。いまのようなことで満足しておったんじゃ全然だめなんです。しかもこの東京湾一帯がどういう形になって海面火災になっていくのか、恐ろしいような気持ちもわれわれはするわけですね。
そういう点で、この指揮権の競合ということについても、知事さんが指揮をとるのですね。これは消防庁長官、知事さんが陸、海あわせて指揮をとるのですね。そうすると知事さんは海上のことを果たして御存じかどうか。
山本部長、陸上で百の物を持ち上げられたといたしますけれども、海上ではそれが何分の一に力が発揮されていくのか。もう足元も定まらないわけですからね。そういう点で船の作業なんかできないわけです。状況の判断がなかなかむずかしい、そういう海上の指揮を知事さんがとろうというわけですから。そこでこの指揮、命令、号令の複雑なそういう発言が出てきて、競合しないかどうか私どもは心配しているわけです。指揮場が一つあって、そこからすべてがだあっと流れていくならいいですよ、応急指揮場。そうじゃないでしょう。指揮場は定めたにしたって、そこへ電話か伝令か何かが飛ぶのでしょうけれども、そんなことで急に応じられるかどうか。こういう点で、必ずこの競合ということで現地ではもう複雑多岐なそういう現象が起きてくるなということを私どもは心配するわけです。
指揮権の競合について消防庁長官いかがでしょう。ないと言われるか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/215
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216・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 コンビナート地域における災害の場合に指揮権が競合してくるのではないかというような問題は、確かにいまお説のように、災害が陸上から海に及ぶというような場合にこの問題が出てくるだろうというふうなことは想定されるわけであります。ただこの法案で考えておりますのは、陸上の災害を海に及ぼさないということを前提にしていろいろな防災対策をとらせるということにいたしておるわけであります。そしてまた特に海上の面になりますと、現在の消防機関がそれに対応し得る能力を持っている部分というものは港湾区域ぐらいしか現在ないわけでありまして、やはり海の上につきましてはどうしても海上保安庁の方にお願いをしなければならない。そしてまた、この防災本部長である知事でありましても、港湾区域外まで出ました場合には、実際の指掛というものはできないわけでありまして、そういう意味におきまして、陸と海との災害というものは、それぞれの水際線のところでとめるということを、十分これはそれだけの施設、対策をもって対処していかなければならないというふうに考えるわけであります。やはり水島のような場合におきましては、確かに海上の面と陸上の面とにおきまして指示の重複というものがあり得るわけでありますが、その辺は、やはり防災本部長である知事の調整権限というもので、本部の方で調整をしてもらうということになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/216
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217・小濱新次
○小濱委員 戦前のような階級意識が非常に強かった時代ならば、指揮、命令、号令も徹底できたはずですが、いまはそうじゃないのですね。知事さんの顔を知らないような人も多いのじゃないか、その人が指揮をとる、そこに今度は、できない人がそういうむずかしい問題の判断がどうしても必要になってくる場合が起きてくるというと、専門の人と意見の相違ができてきて、そしてそこに競合が出てきやしないかという不安を私は非常に抱いているわけでありますが、なければ結構でありますが、どうかそういう点で、これからもこの点については十分配慮をしていただきながら、これからのこの法案の進め方を研究をしていっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
次に、入沢横浜国大教授が建設省から委託をされまして、京浜工業地帯の防災遮断帯について、昨年の十二月、京浜防災遮断帯調査会からモデルプランにより計画内容が明らかにされております。今回、防災遮断帯の調査費として、横浜市と川崎市に建設省から総額二千四百万円が交付されております。調査の実施についてはどのような状況なのか、今後の見通しはどうなのか、御存じでしょうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/217
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218・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 これは建設省の方で行っておりますので、その具体的な内容等につきましては、私ども十分承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/218
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219・小濱新次
○小濱委員 せっかく二千四百万円という調査費が交付されているわけです。実質的な遮断帯などの防災対策に着手するその時期とか見通し、非常に私どもは関心が深いわけでございますが、建設省だけに任しておくわけにもいきません。大いにこれは関心を持たなければならない問題であろうと思うわけでありますが、主な調査の内容として考えられることは、関係工場の意向をただすとか、あるいはコンビナート隣接地区の現状を調査をするとか、関係諸法令の検討を進めるとか、整備計画の立案など、こういう問題が主な調査の内容になっていくかと思うわけですが、非常にいい傾向が生まれてきたわけですから、消防庁も最大の関心を持っていただいて、そしてこれが一日も早く実現できるよう促進を図っていただきたいと私ども考えているわけですが、この点については政務次官からひとつ大臣にもお伝えを願いたいと思うわけです。この点について政務次官からお答えをいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/219
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220・左藤恵
○左藤政府委員 確かに、このコンビナート法におきましても緑地の設置という問題は出ておるわけでありますが、そうした意味での一つ一つの遮断帯を建設省の方で計画されて、いまそういった設計といいますか、そういう調査費というものが予算としてついたということについては、われわれとしてもコンビナート地域における人命の安全とかいろいろな点で非常に大きな役割りを果たすものだと考えますので、側面からこの問題について消防庁としても当然関心を持って御協力申し上げるといいますか、その促進に努力するということは必要だ、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/220
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221・小濱新次
○小濱委員 最後に、これは関連する問題でございますが、消防法で、四十九年度スプリンクラーが義務づけをされました。これはさきの建築基準法の一部改正でダクトの義務化というものが進められておりますが、今回はまた古い建物について建築基準法の一部改正案が提出をされておるわけでございます。このダクトというのは御存じであると思いますが、空気の送風及び換気用の管路、これをダクトと言うんだというふうに辞典に書いてありましたが、この換気のためのダクトとスプリンクラー操作について最近テレビで取り上げられております。これも御存じありませんか。このダクトとスプリンクラーの操作の問題が取り上げられて、そして何かほかの委員会でも論議になったという話も聞いているわけです。このスプリンクラーとダクトとの因果関係というか、はっきり言えば建設省と消防庁との建築基準法の食い違いというふうにもとれるかと思いますが、これは消防庁長官、いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/221
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222・森岡敞
○森岡政府委員 いまのお話は恐らく建築基準法で、煙が上階に上がっていく、その結果、火災が発生いたしました場合に煙に巻かれて死亡者が出る、そういう事態を防ぐために、建築基準法を改正いたしまして、煙を遮断をするためのいろんな防火シャッターでありますとか、そういうものを遡及して義務づけようという改正案が出されて、いま建設委員会で御審議があるわけでございますが、それと、昨年改正いたしました消防法に基づくスプリンクラー設備の設置義務、この間の機能的な調整が十分とれているかどうかというお話ではないかと思うのでございます。その点につきましては、私ども消防法の改正と建築基準法の改正を昨年いたしまして、消防法の改正は御可決いただき、建築基準法の改正は継続審議ということになったわけでございますが、私どもといたしましては、立案当初、建設省と十分打ち合わせをして、火災の防消火の問題と煙の問題の双方から、やはり人命尊重という観点から、消防法及び建築基準法の改正をする必要があろう、こういうことで進めたものでございますので、まあ機能的な調整は十分検討を尽くして改正案を作成したという経過になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/222
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223・小濱新次
○小濱委員 最近は人のいない火災がスプリンクラーによって鎮火をしたという例もあったようです。まあ、スプリンクラーの使命というものは火災を鎮火させることにあるわけですね。それで、ダクトというのは排煙口、これはいろいろな形があるようですね。そういうふうになろうかと思いますが、死者の内容を調べてみましても薫煙で死ぬ率が非常に多いわけです。そういう点でこの排煙設備の強化というものが必要になってまいりまして、いまダクトというものが大いに論議を呼んでいるような形になりますが、上にもついているし、横っ腹にもついている、あるいは地下にもついているというダクトがあるようです。スプリンクラーが下についていることはないので、上についているものですから、排煙口からがあっと煙が出てしまいますと——スプリンクラーの発動温度が七十一度ぐらいですか、ですから、その七十一度の温度に達するまでに排煙口から煙が全部逃げてしまうというような形で、操作が非常におくれるとか鈍いとか、いろいろスプリンクラーについての御意見が出てきているということが一方であるわけです。それは、いまのようなダクトの施設ができてどんどん煙を出してしまうから、温度が上がらないためにそういう形が生まれてくるのだということで、そういう点で各法律の食い違いということで、スプリンクラーとダクトの因果関係についてという問題がテレビでも出ておる。建設委員会でも論議になっておるようですね。そういう点で、消防庁としてもこれは大いに関心を持ってもらわなくちゃなりませんし、この排煙口、薫煙対策というものは当然やらなくちゃなりませんが、その対策を一方で進めているが、一方ではスプリンクラーのいろいろな弱点も指摘されて、何というか批判をされている。こういう面があってこのダクトとスプリンクラーの因果関係というものが浮かび上がってきているという実態があるわけです。
次長からいまお話がございましたけれども、スプリンクラーのないところ、たとえば便所とか洗面所、物置、天井裏、こういうところについてはやはり何か対策を講じなければならないと考えるわけです。天井裏がだあっと燃えて、そして発見したときはもう処置がないということで焼け落ちるというような形が出てくるわけですね。そういう点で、スプリンクラーの取りつけについてもやはり研究が必要だなというふうにも感じますが、これはコンビナート対策とは関係がございませんが、長官としても大いに関心を持ってもらわなくてはならないということで、以上申し上げたわけです。このダクト問題についての論議はこれからも広まっていくであろうと考えますので、御検討、御研究をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/223
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224・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 現在スプリンクラーの設備は、たとえばデパート等で設置しておりますものは大体七十二度ぐらいで作動するような装置になっております。また、工場等で使っておりますものはそれ以上の温度になった場合に作動するということで、使用する場所によって温度差があるわけでありますが、確かに煙が多く発生するような火災の場合と申しますか、天井につけておりますスプリンクラーが七十二度までに達するということが、片方で排煙が非常によく進むということになります場合には、作動がおくれるというふうな問題がございます。また、炎が出てまいりますと比較的早く作動するということにもなるだろうと思いますが、この辺は現在決めております。十二度の温度が適当かどうか、こういう点でやはり検討の必要があるだろうと思います。
それから天井裏等の場合の火災でありますけれども、天井裏は通常の建築物の場合には燃えぐさが比較的少ないところでございます。また、天井裏の区画を比較的小さく区切っております場合には、その燃焼効率というものは非常に悪くなるわけでございますから、ある程度はこの延焼ということが相当時間が遅くなるということも考えられるわけでありますが、いずれにしましても天井裏等の火災原因というものを見ますと、たとえば漏電によって天井裏から火が出る、こういうものにつきましては漏電警報器なり、あるいはまた気がつかないところで火災が発生するというようなものにつきましては、煙感知器あるいは熱の感知器等によりまして火災の発見をするというふうな装置が同時にまた働いてくるわけでありますので、スプリンクラーというものをすべてのところに設置した方がいいのか、あるいはまたその作動温度というものが現在のままでいいのか、この辺は確かにまだ検討の必要があるだろうと思いますが、スプリンクラーだけに頼るということもまた問題があるかと思いますので、その点につきましては、火災報知機あるいは漏電警報器というようなものも、その効用を考えて同時に設置をしていく必要があるというふうに思っております。
建築基準法との関連につきましては、私どももさらに検討を進めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/224
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225・小濱新次
○小濱委員 高層ビルが非常に林立をしている今日ですから、スプリンクラーの役目も非常に高くなっているわけです。そういう点でわれわれは非常に期待を持っているわけですが、いろいろと論議が生まれておりますので御質問を申し上げたわけです。どうか御努力をお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/225
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226・大西正男
○大西委員長 次回は、来たる十一月四日火曜日、午前九時三十分から理事会、午前九時四十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00219751031/226
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