1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年十一月十日(月曜日)
午前十時六分開議
出席委員
委員長 大西 正男君
理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君
理事 島田 安夫君 理事 高鳥 修君
理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君
理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君
伊能繁次郎君 稻村左近四郎君
唐沢俊二郎君 小山 省二君
篠田 弘作君 住 栄作君
渡海元三郎君 古屋 亨君
綿貫 民輔君 渡辺 紘三君
岩垂寿喜男君 小川 省吾君
細谷 治嘉君 山田 芳治君
林 百郎君 小川新一郎君
小濱 新次君 折小野良一君
出席国務大臣
自 治 大 臣 福田 一君
出席政府委員
自治大臣官房長 山本 悟君
自治大臣官房審
議官 石見 隆三君
自治大臣官房審
議官 横手 正君
自治大臣官房審
議官 福島 深君
自治省行政局長 林 忠雄君
自治省行政局公
務員部長 植弘 親民君
自治省財政局長 松浦 功君
自治省税務局長 首藤 堯君
委員外の出席者
経済企画庁長官
官房参事官 額田 毅也君
大蔵省主計局主
計官 藤井 裕久君
大蔵省主税局総
務課長 福田 幸弘君
大蔵省理財局地
方資金課長 高倉 建君
大蔵省銀行局総
務課長 清水 汪君
大蔵省銀行局銀
行課長 宮本 保孝君
文部省初等中等
教育局地方課長 浦山 太郎君
厚生省医務局指
導助成課長 岸本 正裕君
厚生省児童家庭
局企画課長 加藤 陸美君
建設大臣官房会
計課長 伊藤 晴朗君
自治省財政局財
政課長 石原 信雄君
地方行政委員会
調査室長 日原 正雄君
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委員の異動
十一月十日
辞任 補欠選任
亀山 孝一君 稻村左近四郎君
木村武千代君 塩谷 一夫君
永山 忠則君 唐沢俊二郎君
保岡 興治君 綿貫 民輔君
同日
辞任 補欠選任
稻村左近四郎君 亀山 孝一君
唐沢俊二郎君 永山 忠則君
塩谷 一夫君 木村武千代君
綿貫 民輔君 保岡 興治君
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本日の会議に付した案件
昭和五十年度における地方交付税及び地方債の
特例に関する法律案(内閣提出第三〇号)
地方交付税法の一部を改正する法律案(井岡大
治君外八名提出、衆法第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/0
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001・大西正男
○大西委員長 これより会議を開きます。
内閣提出に係る昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案及び井岡大治君外八名提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/1
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002・小川省吾
○小川(省)委員 交付税特例法案について質問をいたします。
本法律案は、四日に提案以来各党からかなり時間をかけて審議を続けておるものでございますので、若干の点については重複をする点もあろうかと存じますが、ぜひひとつお答えをいただきたいと思うのであります。
本論に入ります前に二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。
まず大臣にお伺いをしたいわけでありますが、いろいろ職員が労働問題その他等について過去において行政処分等がなされたこともあるわけでありますが、私は、今後自治省はそういうふうな行政処分を都道府県や市町村等についてはさせないというふうに理解をしておりますが、そういう理解でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/2
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003・植弘親民
○植弘政府委員 先生の御指摘が、違法な行為が発生した場合における処分に対する措置の問題だということでございますならば、私ども公務員行政の主体は、公務能率の向上という一つの柱と、それからまた公務秩序の維持という柱が大事な問題であろうと思っております。したがいまして、現実に法律に抵触するような事態が発生したということになりますと、公務秩序維持の基本的立場から、適切なる処置を講ぜざるを得ないというふうに考えておりますので、そのような指導はせざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/3
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004・小川省吾
○小川(省)委員 私はいま大臣にお尋ねをしたのですがね。植弘大臣からお答えがありましたけれども、私はそういういまの答弁はちょっと納得できかねるのです。
私がなぜこのような質問をまず冒頭したかというのは、勘のよろしい福田大臣は恐らくおわかりになっているだろうと思うのであります。大臣というのも、これは公務員でしょう。そうですね。特別職でしょうけれども、公務員ですね。実は仮谷建設大臣の青森発言があったわけであります。予算委員会の中でかなり論議がされたわけでありますが、結果的には何らの処分がされませんでした。で、三木総理の発言を聞いておりますと、いずれにしてもあれは軽率であった、深く反省をしておるというふうなことで、一切の行政処分が恐らく今後においてもなされないだろうというふう
に私は思うのですが、大臣、そうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/4
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005・福田一
○福田(一)国務大臣 私は、いわゆる議員の責任という問題と一般の公務員との問題はやはり区別して考えていいのではないかというふうに考えておるわけでございまして、仮谷発言について、これは遺憾であるということであったわけでありますが、これについては、議員というものは選挙民から次の選挙で批判を受ける立場にあるわけでありますからして、その意味で、そのことだけで十分な責任をとらされておると思うのであります。したがいまして、議員の問題と一般公務員の問題とは分けて考えなければいけないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/5
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006・小川省吾
○小川(省)委員 そういう御答弁でありますけれども、大臣といえども、特別職の公務員であることには私は変わりはないと思うのです。ですから、公務員が、いろいろな問題を起こして、あれは軽率でした、深く反省をしておりますということになれば、少なくとも三木内閣のもとでは一切の行政処分はできないのだろうというふうに私は思っておるのですが、そういう理解でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/6
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007・福田一
○福田(一)国務大臣 私はそれはたてまえ論として違うと思います。法律でもってこういうことをしてはいけないということを書いてあることをする場合と、たとえば仮谷発言のような問題は、政治家として信義を重んじなければいけないとか、あるいは議会における答弁、あるいは日常の行動というものがその間に差異があってはいけないということは政治論として成り立ってはいくと思いますけれども、法理論としては特別成り立っておらないと私は思います。ただし、私は自治大臣でございますから、自治大臣として自治行政に関することについてもし私が過ちを犯しますれば、これは当然責任があると思うのであります。そこに政治論と法理論の違いがあると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/7
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008・小川省吾
○小川(省)委員 いずれにいたしましても、公務員に対するいろいろなスト等についての処分が各自治体等でやられているわけでありますが、現在スト権をめぐる論議が非常に重要な問題になってきておる段階でもございますし、後々の公務能率の増進であるとか地方行政の運営に支障があるような処分等については、慎重に進めるような指導をぜひひとつお願いをいたしたい、こういうことでまずこの問題を取り上げたわけであります。
次に私は、自治省の局長や部長や官僚諸君にお伺いをいたしたいわけでありますが、皆さん方は現在のポストにつかれる以前に、多かれ少なかれ地方庁において、財政課長であるとかあるいは総務部長であるとか助役であるとかというような要職につかれた方ばかりであります。そしてその当時その自治体の中で、職員団体等と勤務に関する条件等についても協議なり交渉なりといいますか、話し合いを進めてきた方ばかりであります。地方にあった当時はそういう立場で、現在自治省が盛んに何とか言っておるような、たとえばいわゆる渡り、複数格づけであるとかあるいは国公基準と違うような具体的な取り決めをなさった方ばかりであります。そういう方々が現在、従前の既得権であるとかそういうものに対して、盛んに不当の介入や干渉を行っておられるわけであります。口をぬぐって、あの当時はあの当時のことさと言うならばそれまでのことでありますが、どのように反省をし自己批判をしておるのか、官僚の諸君にひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/8
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009・松浦功
○松浦(功)政府委員 私は最近一番近い時期では北九州の助役でございましたが、あの当時やっておりましたことといま申し上げておることには、寸分の狂いもないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/9
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010・小川省吾
○小川(省)委員 もしも松浦さんが勤められたところでそういうような状態があったとすれば、あなたはどうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/10
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011・松浦功
○松浦(功)政府委員 私はいまの考え方でやってまいりました。その考え方は当時とちっとも変わっておりません。恐らく違う事情があったにいたしましてもいまと同じような考え方で、できたかできないかは別にして、組合とはそういう姿勢でお話し合いに臨むということをとったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/11
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012・小川省吾
○小川(省)委員 つまり、これはあなたですけれども、ほかの方々もみんな踏んでおられるわけですが、あなたの踏んできた自治体はすべて国公基準どおりであって、国公基準と異なるような運用とかいろいろな取り扱いはされていないというふうに受け取っていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/12
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013・松浦功
○松浦(功)政府委員 私が赴任をいたしましたときには、いろいろ違った条件がたくさんございました。それを国公の基準に合わせるように在任期間中努力をし、幾らかでもそういう結果が出し得たものというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/13
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014・小川省吾
○小川(省)委員 いまここでこれに余り時間をとるわけにはまいりませんけれども、事実具体的に皆さん方が地方庁のそういう労務担当といいますか、総務だとか人事だとか財政だとか、あるいは助役だとか知事だとかいうふうな時代には、多かれ少なかれ国公基準とは違うような扱いが話し合いの中ではなされてきた事実がたくさんあるわけであります。そういう点をいま口をぬぐって、一方的な指導をしているわけでありますから、そういう反省の上に立って話を進めてもらわぬと大変困りますので、実はこの問題を取り上げたわけでありますから、ぜひひとつそういう私の取り上げた趣旨を理解していただいて、地方庁の指導に対しても慎重に扱っていただきたいということを強く要請をいたしておきたいと思います。
ちょっと文部省においでをいただいておりますので、本論に入る前にお聞きをしたいわけでありますが、一つだけお答えをいただきたいと思うのであります。
いわゆる五段階給与というか、主任制の問題についてはいろいろ言われているわけであります。私どもは反対でありますけれども、案が固まらない間に外部に公表をされてしまったので、いま現在ではたな上げというか、作業中止の状態になっているというふうに伺っておりますが、そういうことでよろしいわけですか。そうなっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/14
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015・浦山太郎
○浦山説明員 主任制度の問題につきまして御説明を申し上げます。
学校が教育目的の実現に向かって教育活動を展開するために、教職員の組織というものが必要でございまして、その組織は管理主義的にならずに、効率的な学校運営ができるようなものであるということが望ましいわけでございます。いわゆる主任制度の問題につきましては、新しく職階を設けるということでもなく、また五段階給与を実現するものでもないというように私どもは理解をしておるわけでございます。現在このような方向で事務段階でいろいろ検討中でございますけれども、その内容についてはまだ固まったものがないので、申し上げる段階ではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/15
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016・小川省吾
○小川(省)委員 作業は中止をされているかどうかということを実はお伺いをしたわけでありますから、この次と一緒に答えていただきたいと思うのです。
そこで、私はこの委員会やあるいは予算の分科会等で何回か取り上げてきた問題でありますが、仮にこの案がつくられていく際に、学校教育現場で教員の給与を、調整手当であるとかあるいは人確法等で取り上げた以降、かなり異和感というか、学校の中で不調和の状態が学校事務職員との間に出ておるわけでありますが、今度の案を取り上げていく過程の中で、事務職員についてはどのような扱いをされていかれようと思われているのか、現段階においてお伺いをいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/16
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017・浦山太郎
○浦山説明員 先ほどの主任制度の問題につきましては、先ほど申し上げたように新しく職階を設けるということでもなく、五段階給与を実現することでもない。したがいまして、このような方向で従来から事務段階でいろいろ検討中であるということでございます。
それから学校事務職員の問題につきましては、従来からいろいろ学校事務職員の方から御希望がございまして、御承知のように現在学校教育法の第二十八条で、その他「必要な職員を置くことができる。」という規定に含まれて、その中で運用されているわけでございます。この職名なり職務内容を法令上いかに取り扱うかということにつきましては、現在検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/17
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018・小川省吾
○小川(省)委員 学校の教育現場でそういう人事管理上非常にまずい問題が起きておりますので、仮にそういう作業を進める段階があったなら、そういう点も配慮してもらいたい、こういう点を要請しておきます。
これまた私が再三取り上げてきた問題でありますけれども、特に学校用務員の職務の明確化の問題でありますが、この段階の中で、学校用務員の職務の明確化という問題を、何らかの形で明確にされていくようなおつもりがあるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/18
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019・浦山太郎
○浦山説明員 ただいま先生のおっしゃいましたような方向で検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/19
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020・小川省吾
○小川(省)委員 学校は校長さん、それからいわゆる教員さん、用務員さんというのは、明治以来から続いている制度でありますが、職務が明確化されていない。検討されるという御答弁でございますから、ぜひひとつそういう中で職務の明確化をやってほしいと思います。
さてそこで、質問を続けてまいりますが、まさに未曾有の地方財政の危機に直面をいたしておるわけであります。すべての自治体に関係をする方々が、地方財政をどうするかということで悩み、苦しみ、打開をする努力を続けているわけであります。地方自治体の総元締めである自治省としても、この法案を提案したように、自治省なりにかなりの努力をしてこの法案を提案をされてまいられたのだと思うのでありますが、しかし、これはあくまで根本的な、抜本的なといいますか、そういう地方財政の対策とは言いがたいのではないかというふうに思っています。現在の傷口を取りつくろうというような、いわゆる対症療法にしかすぎないのではないかというふうに思うわけであります。私どもが同じ四日の日に提案をした案とはかなり隔たっているのではないかというふうに思っているわけであります。持に、借金に加えた借金政策という、借金的なことで自治体が首が回らないような状態に陥っていくようなことが明らかであると思うのであります。
そういう点で以下順を追ってただしていきたいと思うのでありますが、まず第一にそういう点でお聞きをいたしたいのは、この案というのはあくまでも当面の赤字、当面の交付税や地方税収の落ち込みを埋めるだけであって、いわゆる当面の切り抜けの策であるということで踏み切って自治省は当たられた、こういう理解でいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/20
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021・松浦功
○松浦(功)政府委員 繰り返しお答えを申し上げておりますように、財政計画というもので標準的な行政の姿を地方公共団体にお示しをするとともに、その財源の裏づけを保障するというのが財政計画の性格でございます。その財源に穴があきましたので、これは埋めた、そういうことでございます。ですから、本年度の場合においては、措置は済んだ。ただ、その措置の仕方が、先生のおっしゃるように、特別会計への借り入れであり、地方債であるということが将来に対していろいろと地方財政全体の負担を残す形になるだろうという御指摘は、まさにそのとおりであるというふうに私どもも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/21
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022・小川省吾
○小川(省)委員 当然私は、この時間に根本的な財政対策を打ち出していかなければならぬと思うのであります。五十一年度以降の対策について若干お聞きしてまいりたいのですが、特に予算委員会の答弁を聞いている限りにおいては、五十一年度、五十二年度は情勢を見ながら借金政策で当面を切り抜けていく、五十三年度からは根本的な策を打ち立てたいというふうな考えのようであります。そういうふうに私自身は受け取っておるわけでありますが、少なくとも五十三年度からというふうなことであるならば、当然五十一年度からそのような方向を打ち出してやっていかなければ、五十三年度から根本的に地方財政対策を立てていくというふうなことはなかなか期待薄というのが、従来の大蔵なり自治省なりとの関係の中ではそういう経過をたどってきたわけだと思うのであります。実際にこの際改めてその根本的な、抜本的な対策についてどう具体的に考えておられるのか、伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/22
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023・松浦功
○松浦(功)政府委員 先日の当委員会においても大臣からもある程度具体的な時期まで御説明の中に入れながら御答弁を申し上げてあるはずでございますが、五十一年度、すなわち来年度は恐らく借金ということで、基本的な改正に手をつけることは不可能だ、というのは、本年度の予算の見積もりさえ完全に行えないというような状況のときに、そういうことは不可能であろう、ただ、本年度と五十一年度とをともに借金財政で過ごした場合に、国の財政も地方の財政も、それから先そういう形であるならば破綻に瀕するだろう、大臣もお話を申し上げておりましたように、五十一年の秋にはある程度この経済情勢がどういう方向に向かうかということの輪郭はわかるのじゃなかろうか、その時点から、そういった諸元を基礎にいたしまして検討をして、五十二年度には何らかの対策を立てないと、国、地方を通ずる公経済がおかしくなるのじゃなかろうか、こういうことを申し上げているところでございます。私どもも五十年、五十一年というのはどっちみちこういう形の借金財政にならざるを得ない、気持ちの上では五十二年には何らかの抜本的対策を国、地方を通じて考えて、そこにおいて国と地方との財源の配分というものを制度化していくということが最も望ましいと考えております。
あくまでこれは見通しでございますので、私どもは交付税の償還に当たりましては、五十二年から返すという形にすると、その問題がもしうまくいかなかった場合困りますので、五十三年から償還ということで、五十一、五十二は休戦という形にしておるのだということも当委員会で御説明を申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/23
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024・小川省吾
○小川(省)委員 いま局長が答えられたように、私はいまの時期こそ、そういう意味で根本的な地方財政の対策というものを確立し、固めていかなければならぬ時期だというふうに実は思っているわけであります。いま言われたような五十二年度からということであるとするならば、五十一年度は五十年度以上に、地方財政というのは予算編成もできかねるような状況でありますから、そういう意味では、少なくとも骨子ぐらいはお固めになって取り組んでいく必要が現段階においてあるというふうに実は思っているわけであります。いまお答えの中にもちらりと出ましたけれども、そういう中では、行政事務であるとか税源の再配分であるとか、あるいね交付税率の引き上げ等も含めて検討を進めていかれるというふうに受け取ってよろしいのかどうか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/24
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025・松浦功
○松浦(功)政府委員 五十二年度を目標に、そういうものも含みながら検討するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/25
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026・小川省吾
○小川(省)委員 いまお伺いしたように、そういうものを含めて検討するということでありますから、ぜひひとつ早く骨子を固めていかなければならぬだろうというふうに思っています。
それから、自治体の自主財源の確保についていろいろ心を砕かれている時期だと思いますけれども、税調も本格的な審議に入ろうとする時期でもありますし、自治省としてどう税調に対して意見を出しておられるのかということをお伺いいたしたいわけでありますが、私どもの承知をしている限りでは、自治省としては、まず第一に法人税における外形課税の適用、二つ目としては付加価値税も、先日も若干論議になりましたが、国税というふうに伺っているわけでありますが、これを交付税財源として現在の法人、酒、所得の三税に加えて付加価値税を交付税財源に取り入れていきたい、三つ目としては、市町村の道路財源としての自動車関係税を引き上げていきたい、四番目としては、事業所税を三十万都市にまで拡大をしていく、五つ目として、非課税措置の整理をやっていくことを重点としてやられるというふうに聞いておるわけであります。これらの中に私どもの賛成できない幾つかの点もあるわけでありますが、私が承知をしている範囲の中では、こういうふうなことを自治省の非常に高い位置におられる官僚の方からも伺っておりますので、自治省がそういう方針といいますか、そういう手順を決めながら取りかかろうとしているというふうに私は受け取っているわけであります。
五十一年度はちょうど時あたかも固定資産税の見直しの時期にも当たっているわけであります。そういう点では、特に農地の宅地並み課税は、私はまたこれが問題になるだろうと思うのでありますが、少なくとも日本の農業が農用に供しているような農地に宅地並みの課税をしていくというのは誤りでありますし、そういう点については撤廃をしていくべきだと思いますし、地方税法の附則十九条の規定は存続をせしめていくべきであろうというふうに思っているわけであります。これらの点について自治省の見解をただしたいというふうに思っております。これは、五十一年度からのこのような地方税に対する自治省としての基本的な考え方が、省内の中である程度おぼろげながらまとまっているものだというふうに私は受け取っているわけなんですけれども、いかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/26
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027・首藤堯
○首藤政府委員 明年度税制の審議の問題でございますが、ただいま税制調査会等で審議の最中でございまして、まだいずれの点についても結論の出ておる条項はない、現在審議中の状況でございます。
全般的に申し上げまして、先ほどから御指摘がございますように、ただいまの日本経済の状況、それから財政全般の状況等から考えまして、現在の国民の租税負担、国、地方を通じまして二〇%程度であるというのは先生御案内のとおりでございますが、これを行政需要のあり方等と絡めてどの程度の負担に持っていくのが適切かといったような基本問題は、わが国の税制では国、地方を通じてあるわけでございますが、このような基本的な問題は、現在のような経済情勢ないしは財政の状況下におきましては、いま直ちに国民のコンセンサスを得て結論を得るという事態はなかなかむずかしいのではなかろうかという一般的な考えのようでございます。そういう前提に立ちました場合に、将来国民の租税負担をどの程度まで持っていくのかといった基本的な問題を論議をいたします前の地盤といたしましても、現行税制における各種の、指摘をされております不均衡であるとか不公正であるとか、こういうものを是正をしながら、現行税制の手直しをやりながら、できる限り現在における税源を確保していく、そういった体制で明年度の税制が仕組まれるのではなかろうかと考えておるわけでございます。したがいまして、いま申し上げましたように、一般的な大幅な減税あるいは一般的な新税の創設とか一般増税、こういう事態はなかなか困難であって、現行税制の手直し、不均衡の是正、こういうことを通じて税源の充実を図っていくということが基本的な考え方であろうと思います。
そのような点に立ちました場合に、先ほど御指摘をいただきましたような各種の問題点を地方税の問題としては考えておるわけでございまして、事業税における外形標準の導入の問題でございますとか、あるいは自動車関係税の見直しの問題でございますとか、あるいは御指摘がございました固定資産の評価がえに伴います負担調整の問題でございますとか、あるいはことし新設をお許しいただきました事業所税の課税団体の範囲の拡大の問題でございますとか、こういったようなことを具体的な問題として私ども提案をしておるわけであります。そのそれぞれについて、税制調査会の御審議がこれから始まると申しますか、ただいまそういう事態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/27
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028・小川省吾
○小川(省)委員 いま税務局長のお話を聞いて、やはり自治省がそういうお考えに立っていることはわかりました。個々の税目については私どももかなり意見を持っておりますので、また別の場で論議をする機会もあるはずでありますから、自主財源の確保という点についてはぜひひとつ力を入れて当たっていただきたいというふうに思っております。
それから実は、交付団体、不交付団体を問わず、危機に襲われているわけでありますけれども、今般のこの手直しの中で、不交付団体に対する手当てというものがどうしても足りないのではないか、こういうふうに私は実は思っているわけであります。私どもが提案をした案の中では、少なくとも第二交付税という形で不交付団体に対しても手だてを講じているわけでありますけれども、これだけではどうも自治省として不交付団体に対する手当てが弱いのではないか、薄いのではないかというふうに危惧をいたしておるわけでありますが、不交付団体に対する手だてについて承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/28
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029・松浦功
○松浦(功)政府委員 今回の措置の中では、別に交付団体と不交付団体と差別をつけるというつもりは全くございませんので、不交付団体に対する手当てが手薄い、そういう御質問に対しては、私どもはそのように考えておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/29
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030・小川省吾
○小川(省)委員 同じ苦しみをなめているわけでありますから、私は、今回の措置とは別個に不交付団体に対する措置を考えていかないと大変なことになろうかと思っておりますので、地方財政の基本的な対策の中で、交付団体、不交付団体を問わず、ぜひひとつ財政措置をとるような手だてを講じていただきたいというふうに思っております。
また、国庫補助負担金制度の問題でありますけれども、地方制度調査会の答申の中にもずっとありますように、五十一年度の中で補助金、負担金の整理といいますか、基本額の引き上げであるとか、率の引き上げであるとか、または実額の精算制度の導入であるとか、こういうものを取り入れていかないと、補助金、負担金制度によるところの地方財政の圧迫というものがかなり従来からあるわけでありますから、自治体財政全体の運営に支障を来さないように、少なくとも五十一年度において補助金、負担金制度の改善といいますか、そういうところに取り組むべきだというふうに思っておりますが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/30
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031・松浦功
○松浦(功)政府委員 私どもも、国庫補助制度全体の中でかくあるべきだというものについては、相当の部分について意見を持っておりますので、それら地方公共団体側とも打ち合わせながら、各省に対してこういうところについてはこういうふうにしていただきたいということを強く申し入れをいたしておるところでございます。今後ともそれが実現をいたしますように各省に強力にお願いをすると同時に、大蔵省にもその旨きつく折衝をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/31
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032・小川省吾
○小川(省)委員 全般について私もすぐ一時に是正ができるとは思っておらないわけでありますが、非常に不合理な点もあるわけでありますから、一つ一つでも結構ですから、補助金、負担金の不当性の是正というものをぜひひとつ五十一年度からも取っかかって実現できるように、いまの局長の答弁のようにやっていただきたい、こういうことを要請いたしておきます。
それから自治省は、昨年末からことしの初めごろにかけてずっと一貫して、地方財政の危機の原因があたかも人件費にあるようなプロパガンダを実はしてまいったわけであります。私もこの委員会の中で、人件費攻撃に対する不当性については追及をしてまいったわけでありますが、余りこれに時間をかけるつもりもありませんけれども、若干触れていきたいと思っております。
人件費問題は確かに触れずに通るわけにはまいらない問題であるというふうに、私も、ニュアンスは違うけれども思っておりますので、伺いたいと思うのですが、実際これは社会全体がそうでありますけれども、自治体の中でも当然人間が、公務員が中心になって地方自治というものは行われているわけであります。こういう点はだれしも否定はできないことだろうと思うのであります。人間が生活をしていくわけでありますから、生活をしていくための賃金というのは当然必要であります。これを否定する論拠というのはないと思うのであります。法律なり条例なりあるいは制度なり行政等は人間によって運営、運用されるわけでありますから、これも否定をする理由はないだろうと思うのであります。そういう意味で、人件費問題は避けて通れない、地方自治と切っても切り離せない問題であると思うのでありますが、自治省の人件費キャンペーンも十分に、自治省として考えれば十二分過ぎるぐらいに目的を達成したように私としては実は見ておるわけでありますので、率直に何点かお伺いをしたいわけであります。
三千三百の自治体の中には、確かに国家公務員の賃金水準を上回るところが幾つかはあるかもしれません。特にそういうものに対して焦点を当てながら全体を推しはかっているところに問題があるということを、私は常々追及をしてきたわけでありますが、そういう団体にしても、現在の状況に至ったのは周辺の自治体やあるいは民間の賃金水準等を参考にし、考慮しながら、自治体と職員団体との間の話し合いといいますか、交渉で決まって、決まったものが議会で条例化をされて、承認をされて、賃金等は支給をされ、運用をされてきたものだということ、これは間違いない事実であります。そういうことでありますから、やみくもに自治体がこの団体に対してこういう賃金を支給をするなどということではないことは事実でありますから、そういう意味で、自治省の中で東京のラスパイレスの指数が少し高い、おかしいのじゃないかというふうに検討されてみたところが、東京都においては高小卒の職員がかなり多い、その職員が上級吏員や係長クラスに現在いるところに、実は東京都のラスパイレスが思ったより高いという原因があったというふうなことは、自治省の中では実はほとんどだれしも承知をしている事実のようでありますし、そういうようにラスパイレスの指数というのは実際にいろいろな作用を持っているわけでありますから、これだけを見てすべてを判断をするということはできないはずであります。そういう点で、自治省の中でもラスパイレスというのはおかしなものだということをかなりの方々が言っておるわけであります。
しかし、このような状態になったのは実は何年かかったかと言えば、現行給与制度ができたのが昭和三十二年、少なくとも十八年、さらには戦後三十年の間にこういうような状態が生じてまいったわけでありますし、それなりの理由があり、それなりの時日経過に基づいてこういう状態が出てきたものを、十年もかかったものを一年でやりあるいは二年で何とかということになりますと、かなり大きな矛盾なりいろいろな問題が起こってくることは当然であります。そういう点では、当然私は地方自治の後退につながるような問題が、この問題の取り上げ方いかんによっては出てくるというふうに実は危惧をいたしているわけであります。
そこで、七日に国公の給与法が成立をしたわけですね。恐らく国家公務員の諸君には今月の中旬には差額支給もされて、改定が完全に実施をされるだろうというふうに思っています。常々自治省は、国公に合わせて今年はおくれを来さないように給与改定は実施をするということを言ってきたわけでありますから、七日に法案が上がったわけでありますから、当然地方に対して指導通達を出して、給与改定については実施をするようにということでやられているだろうと思うのでありますが、当然地方としては臨時議会をやるかあるいは専決処分という形をとっていくわけでありますけれども、七日の通過に基づいて自治省は給与改定についての通達を出したのかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/32
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033・植弘親民
○植弘政府委員 七日に国家公務員につきまして給与法が成立しましたことにつきましては、連絡をいたしてございます。同時に、人事院がこの給与法の施行に伴う人事院規則の案等も示してございます。そういうものの連絡も直ちに行ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/33
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034・小川省吾
○小川(省)委員 その国公が通過したわけでありますから、当然地方公務員の差額支給も従来のように十二月になる、一月になるなどということがないように、少なくとも可及的速やかに改定が実施をされ、差額が支給できるような手だてというか、そういう指導はやってくれるわけですね。特に、従来いろいろな介入なり干渉なりというようなものは、抑制の指導というものはいやになるほどやってきたけれども、こういう状態になったら当然実施をしなさいということは指導してしかるべきなのだけれども、そういうふうにやっているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/34
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035・植弘親民
○植弘政府委員 いま先生御指摘のように、基本的に国家公務員に準じて地方公務員も給与改定をやっていただきたい、手続論でありますが、給与水準そのものは別といたしましても、やっていただきたいということは従来からやっていることでありますので、国家公務員について給与法が成立いたしますならば、できるだけ早い機会に地方公務員についても所要の条例による措置がとられることは、私どもとしては期待しておるところでございます。
ただ問題は、現在のような財政事情でございますから、地方団体が補正予算の状況等考えながらどのように措置をしていくか、ここらのところになりますと、それぞれの三千地方団体の御事情があろうかと存じます。それに際しまして、私どもといたしましては従来から給与条例というのはいわば議会において審議すべき最も重要案件の一つだと考えておりますから、専決処分は適当でないということを繰り返し言ってきております。したがいまして、先生も臨時議会という問題もおっしゃいましたが、問題は、そこらのところになりますと、先ほど言いましたように三千地方団体それぞれの御事情がございましょうから、できるだけ早い機会に措置をしていただくことについては決して私どもやぶさかでないし、お願いいたしたいと思いますが、それぞれの団体で適宜処理していただくということをお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/35
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036・小川省吾
○小川(省)委員 臨時議会を開くに至らない場合に、大事な案件でありますけれども、専決処分でずっとやってきておる自治体等もかなりあるわけでありますから、そういう意味では、当然議会が総務委員会なり等に委任をして、そしてその中で総務委員会だけを開いてやっていくというふうなケースが非常に多いわけです。そういう意味で、いまの答弁の趣旨でわかりますけれども、私どもは国公、地公同時解決の原則というのを実は打ち上げながらやってきたわけでありますから、そして自治省もそういうことを言ってきたわけですから、ぜひひとつそういうことで、国公が決定した現在、そういう形で地公の給与改定についても早急に実施をするようにという御指導を願いたいというふうに思っています。
そこで給与改定の財源の問題ですけれども、六千億かかる、四千八百億があって、千二百億で、節約で六百億で、あるいは人確の余りが四百三十一億だとか、いろいろ言っているわけでありますが、実際に地方で節約節約と言っても限度があるわけでありますから、少なくとも国公並みの改定財源だけは私は保障をしていかなければならぬというふうに思っていますが、これはこの法案でも実は十分ではないわけであります。ぜひひとつ給与改定財源だけは保障をするという約束をいただきたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/36
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037・松浦功
○松浦(功)政府委員 所要の給与改定財源は今回の措置で私はできておるというふうに理解をせざるを得ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/37
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038・小川省吾
○小川(省)委員 今回の措置で、〇・八五の国公並みの財源措置はいたしたので、できるはずだということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/38
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039・松浦功
○松浦(功)政府委員 国としては一〇・八五分をきちんと計算をして所要の措置を講じて、必要なものを交付税の増額という措置をとった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/39
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040・小川省吾
○小川(省)委員 自治省が特にことしに入ってから、各自治体に対して助言、指導を越えるような、私どもから見る限りにおいては介入なり干渉をここのところずっとやってきたように私は実は思っているわけであります。そういう意味では、賃金問題で、賃金というのは形成権ですから、そういう意味で、既得権なり期待権は持っているわけでありますけれども、こういうものが、たとえばこの間の知事会議の会長の、福島県の木村さんのところですか、というところで、従来の既得権なり期待権というものが全部パアになるような形をとられているところが実は少なからずあるわけであります。そういう点では、自治省が特に県の人事委員会に対する説明会だとか、あるいはいろいろな勧告に対する指導等をやってきているわけでございますが、私は自治省の権限外だというふうにも実は思っているわけであります。そういう点では、許しがたい状況だというふうに思っていますし、これは自治権に対する侵害であって、助言、指導ではないというふうに思っているわけであります。人事委員会というものがスト権の代償機関として設置をされた経緯というのはだれしも承知をしている事実でありますし、特に人事委員会を自治省としてはどう見ているか、伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/40
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041・植弘親民
○植弘政府委員 人事委員会につきましては、せんだっても先生から御指摘がございましたけれども、私どもといたしましては地方団体の行政機関の一つであることはよく承知しております。しかしその任命等につきましては、労使関係という問題もございますために特別な選任方法をとっているいわば第三者機関であるという認識を持っております。私どもも、人事委員会が地方公務員法に定められている機能を適正に執行することによって公務員行政が円滑に推進できることを期待しておりますし、その立場から必要な指導、助言を行っているつもりでございます。先般も委員長さん方の会議を開きましたが、そのときにも、当委員会で御説明申し上げましたように、私ども決して強制するというものでございませんで、委員長さん方に地公法の趣旨に従って運用するためにはどういう点が必要であろうかという点を指摘しながら御相談をして、お話し合いをしたということでございます。そして、いま先生の御質問の中に介入ということがございましたが、私ども決して介入するつもりはございませんし、介入もいたしておりません。
それから、ついでで恐縮でございますけれども、先ほどラスパイレスは非常に自治省でも矛盾に満ちたものだという感覚があるというお言葉でございますが、ちょっと説明させていただきたいのでございますが、なるほどラスパイレス指数が一〇〇%正確でないということは常々当委員会でも申しておりますが、少なくとも現在の統計処理においてライパイレス指数よりもっと正確なものはないと私は承知いたしております。そしてまた、先ほど東京都を例にされまして、いかにも東京都のラスパイレスがおかしいのじゃないだろうかという御指摘がございましたが、仮に東京都を中心として行いますパーシェの方法をとってみましても、その差はせいぜい二%以内でございまして、私どもその意味から言いましても、ラスパイレス指数の確度の高さというものについては十分自信を持っているつもりでございます。そういう意味で、なるほど一〇〇%鏡のごとく映しているものではございませんが、現在の制度では最も高い比較法であるという点は御理解のほどお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/41
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042・小川省吾
○小川(省)委員 またラスの話が出てきましたが、確かに統計数字としては比較的精度が高いというか、そういう点はわかるけれども、賃金の比較において使われるラスパイレス指数というのは信憑性がないということは事実であります。実は自治省が四十八年、四十九年のラスパイレス指数を公表しましたね。ところが、五十年度の実態調査の中でラスパイレスの指数がおぼろげながら現在でも出ていて、この五十年度の指数を自治省の指導の中ではいろいろ使っている向きもある。われわれにも知らされていない。こういうことで五十年度の指数は自治省だけが承知をしながら、各自治体の指導に使っているというふうに私は見ているのですけれども、そういう事実はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/42
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043・植弘親民
○植弘政府委員 五十年の給与実態調査の結果は今年末か明年の当初くらいにはまとめて集計できる予定でございます。それで、いま自治省だけがラスパイレス指数を知って使っているのではないかとおっしゃいますが、各県では、県段階になりますと、もう自分で資料がございますから、計算をいたしますと、これはもうそんなにむずかしい高等数学ではございませんから、大体自分のところがどの程度かというのはわかっているはずでございます。私どもがまだ公表いたしておりませんのは、地方団体全体の数字がまだまとまっておりません。したがって地方公務員給与実態調査の結果を公表する段階にないものですから、やっていませんので、その点は御理解賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/43
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044・小川省吾
○小川(省)委員 事実、五十年度のラスの指数が使われている点をかなり私どもも聞くわけであります。そういう点では四十八、四十九年度を公表してきたわけでありますから、全体的な公務員実態調査が正確にまとまるということは別として、そういうものを使われるときには私どもに知らせていただかぬと困ると思うのでありますが、ぜひひとつそういう点はなるべく早期に、わかっているなら出してもらいたい。
それから、いま人事委員会のお話がありましたけれども、人事委員会が勧告をしたものをそのまま受けて実施をするということに対して、何か人事委員会じゃなくてむしろ県当局に、その勧告をそのまま実施をするのはどうかというふうな干渉をやっておられるとも聞いておりますけれども、そういう事実があるのかどうか、あるいはまた、自治省の見た目で、ここの県の勧告がこうだというふうに見た場合に、勧告どおりに当然実施をしていくことについて何か自治省としての言い分なりクレームをつけるようなあれがあるのかどうか、そんなことは当然ないだろうとぼくは思うのだけれども、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/44
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045・植弘親民
○植弘政府委員 先生最後におっしゃいましたように、決して私どもは個別にクレームをつけたり介入するつもりはございません。ただ、一般的に新聞報道等で見ます各県人事委員会の報告によりますと、いかにも何か私どもの計数的常識ではちょっと理解しにくいような要素もないわけではございません。したがいまして、そういうような要素のございますものにつきましては、人事委員会を呼ぶということにつきましては先ほど先生がおっしゃいましたように第三者機関としての性格もございますから、受けとめた方の知事部局の方からよくそういった計数的な基礎がはっきりしているのかどうかを十分調査しておりますかという質問はいたしてございます。ただ問題は、人事委員会が適切な資料に基づいて行われました適切な勧告であれば私どもがとやかく言うべき筋のものではございませんし、問題はそれを受けた当局の側が十分にその資料というものをそしゃくしてやるのかどうか、この点は、先般も申し上げましたが、当然議会を通して住民の批判を仰ぐべき給与についてはその資料が正確であるべきであり、適切であるべきであるということを前提にいたしておりますので、そういう指導をさしていただいておるわけでございまして、個別的に給与決定方法をどうせよと言うつもりはございませんので、御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/45
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046・小川省吾
○小川(省)委員 人事委員会の発足当時の五、六年ごろは、なかなか事務にもなれていないし、スタッフもそろっていなかったのでそういう時期も確かにありました。しかし、現在ではスタッフもそろってかなり精密な資料をとって適切な勧告、報告が行われているわけでありますから、そういうもの等に対して自治省が干渉することはやめてもらいたいということを強く申し上げておきます。
それから、最近、これは松浦さんだと思うのですが、自治省の指導は非常に巧妙になったというのか、あるいは連係プレーがよくなったというのか、ずる賢くなったというのか、起債の許可等について、あんたのところのラスの指数はどうだからというふうなことで、起債の許可についての点にラスの指数等をかなり、不当なくらいに言挙げをしながら使っているきらいがあるというふうに思って見ているわけでありますが、そういう指導方針を現在とっておられるのか、起債の許可とラスの指数とにどういう関係があるのか、松浦さんにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/46
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047・松浦功
○松浦(功)政府委員 そういう考え方は持っておらないのでございますが、御承知のように、ラスが非常に高い団体の中には赤字が非常に大きく出そうになっている団体がございます。赤字が大きく出そうになっている団体には、やはり起債を発行する場合にはよほど御注意を申し上げておかないと将来の財政問題が非常に危険であるという角度から、私ども起債をラスが高いからといって制限をしたという事例は聞いておりませんけれども、そういう団体は今後の問題として御注意を願わないといけませんよということを言っておることが、先生の耳にそういうふうに伝わったのではなかろうかと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/47
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048・小川省吾
○小川(省)委員 これは当然ラスの指数と直接関連のある問題ではありませんから、ぜひひとつそういう点は慎重にわきまえた上での指導はやってもらいたいと思うのであります。そこで、財政局としてはラスの指数がどのくらいなら高いというふうにいろいろな相談を受けた場合などでやっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/48
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049・松浦功
○松浦(功)政府委員 私どもは、あくまで財政的な態度からいったら一〇〇でございます。これは財政計画に一〇〇しか入れてないわけでございますから、われわれとしては一〇〇と言わざるを得ない。ただ、一二〇のものを一気に一一〇にしろと言ってもこれはそうできるはずがございません。これは皆様方の努力で計画を立てながらだんだん下げてほしいと、こういうことを申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/49
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050・小川省吾
○小川(省)委員 教員の教育費の国庫負担法による二分の一の負担がありますね、これによる教員の基準給与というのは国家公務員のあれと比べると大体どのくらいですか、ラスは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/50
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051・松浦功
○松浦(功)政府委員 国家公務員に比べての数字、私はっきりわかりませんけれども、一〇五を掛けたものを超えた場合には制限を受けるわけで、制限を受ける団体はごく一部でございますから、平均すると一〇〇をちょっと上回った程度ではなかろうかというふうに私は理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/51
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052・小川省吾
○小川(省)委員 確か義務教育費国庫負担法のあれは一〇九ぐらいのはずですよね。私は、ですからそのくらいというのは当然これは国庫で負担をしていくわけでありますから、これをもって高いということであればこんな負担法が成立をし、実際にやられているわけはないわけでありますから、そういう点等も踏まえながら財政局はひとつ慎重な指導をぜひしてもらいたいと思うのであります。
それから、一兆六百三十二億の減収補てん債でありますけれども、これは当然いわゆる事務レベルにおいて減収があれば補てんをしていくという方向をとるわけでありますから、これの実施について人件費云々などということが出てくるはずはないというふうに理解をしておりますけれども、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/52
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053・松浦功
○松浦(功)政府委員 減収補てん債の配分はあくまで実績及び推計で一つの方式を立てて算定をして配分したい。したがって、交付、不交付の別を問わず、その他先生がただいま御指摘になられたラスパイレスが高いとか低いとか、そんなことは私ども全く問題にならない議論だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/53
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054・小川省吾
○小川(省)委員 ですから、ぜひこの補てん債を扱うような状態で財政局も指導をしてほしいと思うのであります。
大蔵省においでをいただいておりますので、若干お伺いをしたいわけでありますが、今回の措置で大分取り上げられましたが、自治大臣と大蔵大臣との間で覚書が交わされているわけであります。この覚書についてずいぶん質疑が行われたわけでありますけれども、私も何回か読んでみたわけでありますが、この文言の裏側に書いてあることはこういうことですか。——大蔵省がいなければ大臣でもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/54
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055・松浦功
○松浦(功)政府委員 覚書の一の方の問題でございますが、これは別に裏側は何もございません。五十二年まではともかく自治、大蔵の間でこの償還の問題については議論はやめよう、休戦しようということでございますから、裏には何もない、これは後ろまる見えということでございます。五十三年にどうするかを五十二年に両大臣で協議をするのだ、その場合には国と地方の財政を勘案しながらその必要があるかないかを両大臣で検討し、必要があればどういう具体的な方法をとるかも両大臣でお決めをいただく、こういうことでございますので、裏はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/55
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056・小川省吾
○小川(省)委員 あなたの信頼する部下がそう言うわけですから、大臣もそうおとりになるのですね。しかし、私は皆さん方のように高級官僚でなくて地方のこっぱ役人だったわけですけれども、そういういわゆる役人流の読み方をすれば、このような時期にこういう文言を使って覚書を両大臣が交わすということの中には、必ず裏における何らかのものがなければこのような覚書を残すということは通常役人のしゃばでは余りやらないことだというふうに私は思っております。そういう意味では、役人としての常識的な理解の上に立てば、少なくとも交付税会計から国庫へ返していく場合に、これは元金についてもある一定以上は当然国が持つのですよというふうなことに私には読めるわけであります。私はそういうことを当然承知の上でこの覚書が結ばれたというふうに理解をしておりますし、この覚書を結んだゆえんもそういうところにあるというふうに実は推測をするわけであります。元金について将来にわたってある面ではある程度見るというふうなことがいろいろ微妙な表現になっておりますけれども、私は少なくともこの文言の裏の意味はそういうふうに理解をしていますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/56
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057・松浦功
○松浦(功)政府委員 お説のように負担の緩和について配慮を行う必要があるような状況に、五十三年度という年次を一つとってみた場合になるかならないかという問題がございますが、自治省としてはそうなるだろう、そうなってきやしないだろうかというようなことから、私どもはこういう覚書をいただいたわけです。大蔵省は、覚書は出しても、そうならないことを願っておられるのだと思うのです。そこはおのおの両省の立場が違いますからそういうことだろうと思いますが、両大臣が必要ありということに意見の一致が見られた場合にどうするかということになれば、交付税特別会計から返納する金額に対してそれを一部軽減するような形で、きのうも申し上げましたように、臨時特別交付金をいただくとか、あるいは五十三年度に返せなければその償還を繰り延べるとか、いろいろな方法があると思うのでございます。それは五十三年の問題については五十二年に、五十四年の問題については五十三年に、それぞれ予算編成の時期に両大臣で御協議をいただく、こういう意味だというふうに理解をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/57
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058・小川省吾
○小川(省)委員 何というのですかね、その表現されている文言以外に、少なくとも話し合いのニュアンスの中には何らかの含みがあるのではないかというふうに思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/58
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059・松浦功
○松浦(功)政府委員 それは大蔵省の担当官がおいでにならないところでこういうことを申し上げてはいかがかと思いますが、少なくとも、国がどんな場合であろうとも何にも援助をしないということであればこういう覚書に判を押すはずがないわけでございます。私どもは当然困ったときにはしてもらえるという前提で覚書をいただいているつもりでございます。その辺のところは、先行きはもやもやしておりますけれども、当省の立場から言えば、状況が困れば、私どもとしてはいろいろな案のうち地方団体が最も望んでいる案を持ち込むということはここでお約束をできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/59
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060・小川省吾
○小川(省)委員 私もいまあなたの答えたのがいわゆる役人流の解釈だと思うのですよ。私もそういう点をお伺いしたわけです。わかりました。そういうことで当然大蔵との間に絶えざる折衝があるわけでありますから、ぜひひとつ地方財政を確保していくという見地に立って、大蔵にあのときはあのときのことだというようなことでそういう点を忘れさせないような接触をしながらぜひやっていただきたいと思うのであります。
それから、銀行課長がおいでいただいているようでありますが、第二項の資金手当てについての問題であります。今月は何とかこの法案が通れば私は越せるのじゃないかと思いますけれども、少なくとも十二月の期末手当と賃金の支給になって、あるいはそれ以外の地方のいろんな支出を考えると、私は自治体の資金繰りが本当に詰まってしまうだろうと思っているわけであります。私もこの間地方銀行の頭取や専務、常務等の役員の方々とお会いしたわけでありますが、十二月における中小企業に対する産業資金の配慮等を考えるとなかなか大変だというふうなことを申しておりました。そういう点で、この覚書の第二項によって地方自治体の財政運用に支障のないような形の配慮を、責任を持ってとっていただけるのかどうか、また問題が起きた場合には、具体的にはどういう指導をなさってくれるのか、その二つの点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/60
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061・清水汪
○清水説明員 大臣の覚書の問題につきましては、すでにこの覚書が交換されました直後に、私どもの方から全国銀行協会連合会とか、そういうそれぞれの団体がございますが、そこに対しましてまず取り急ぎこの趣旨を伝えてございます。それからなお、その趣旨をさらに徹底を図るために近日中に通達も出したいということで用意いたしておりますが、いずれにいたしましても市中金融機関としては、ことに一部の都市銀行及び地方銀行がその中核になろうかと思いますけれども、地方財政につきましては従来からも相当協力的な態度で対処しておるということは言えるかと思いますが、さらに今後の問題につきましてももうそれぞれの立場でこの問題の重要性は十分認識されていることと思いますので、協力の態勢にはまず問題はないだろうと思います。ただ、それにいたしましても、いま御指摘のような全体の資金需給の中で民間需要の方との競合とか、そういった問題はそのときどきにおいて、あるいはそれぞれの金融機関の個別の事情としては出てくることもあろうかと思います。そうした場合に対しましては日本銀行の方でもきめ細かい配慮をしていくことが期待されるわけでございますし、あるいはそういうこととの関連におきましても、たとえば、先般発表されておりますような準備預金の引き下げというようなことも含めまして、金融当局の方でもできるだけ支障の起きないように配慮をしていく考え方を持っておるということを申し上げられるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/61
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062・小川省吾
○小川(省)委員 ぜひひとつそういうことで、地方の資金繰り、財政運営の中で資金に困ってどうということのないように、いまの御答弁の点を実際のそういう形で日銀なり地銀なりを指導してもらいたいということを強く要請をいたしておきたいと思います。
次に、大分県竹田市の実情についてちょっとお伺いをしたいと思うのであります。どうも調べてみると、竹田の例というのは市長の放漫財政の運営というのが一番大きな要因であるというふうに見られるわけですけれども、財政局長、そうですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/62
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063・松浦功
○松浦(功)政府委員 諸種の事情があるようでございます。少なくとも一言で言えば財政運営のやり方が必ずしも適当でない、こういうことだと受け取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/63
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064・小川省吾
○小川(省)委員 この赤字の要因のはしりというか、まず赤字が出てきた一番最初の方の理由の一つの中に、退職金の支給の問題があるわけであります。四十九年の四月十一日に起債についての通達が出ていますね。私は、それ以前に退職債について、とにかく出すからというふうな話を、これはだれがやられたかわかりませんよ。財政局のだれがそういう話をされたのかわからぬけれども、あるいは地方課長かどうかもしらぬけれども、そういうことで退職をさせて退職金を払った、こういうことによって退職債がつかぬ、こういうことで私は赤字の第一歩が始まったというふうに実は見ているわけなんですけれども、退職債の指導について四十九年の四月十一日以前に不用意な指導があったのではないかというふうに思うのですがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/64
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065・松浦功
○松浦(功)政府委員 私はそういう話は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/65
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066・小川省吾
○小川(省)委員 市長が、退職債をつけてくれるということで踏み切ったわけでありますけれども、実際、退職をして退職金を払ったら退職債がつかぬということで赤字が始まった。これは、市長が自分の勝手に言っているのかどうかその辺はわかりませんよ。しかし、そういうふうなことで、もしもそのような、市長にそういうような言質を与えるような形で、自治省の不用意な指導が仮にあるとすれば、やはりこれは問題だというふうに実は思っているわけであります。起債の制限の二〇%をかなり下回る自治体に対して、どうも最近の自治省の指導というのは、法適用というふうな形の指導をやってしまって、自主的に再建をするというふうな指導というのを余りおやりにならないのじゃないかというふうに実は思っているのでありますけれども、本年末にはかなりの団体で赤字が続出をしそうな時期であるときだけに、私は自主再建をするような指導というのをある程度やっていかぬと、地方の首長や地方の幹部はなかなか自主再建にも踏み切れぬという状態があるのではないだろうかというふうに思っています。何でもかまわず、六%や七%であっても法適用だというふうな形の指導というのは誤りだというふうに思っているのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/66
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067・松浦功
○松浦(功)政府委員 先般の当委員会でもお答え申し上げましたとおり、再建団体にすることを主眼に財政指導をするなどという考え方は毛頭持っておりません。制限の二〇%に立ち至る前に、その団体が自主的に計画をおつくりになって赤字を解消するということが最も望ましいと考えております。ただ、二〇%にならない団体が法適用を受けたいと言ってきたときに、私どもはそれを拒むわけにはいかない。
それともう一つは、法適用にならないと退職手当債、この問題が動かないという問題がございます。そこいらとの絡みの問題であって、せっかく先生から御指導をいただいたわけでございますから、できるだけ傷の浅いうちに自主再建計画をつくってやっていただくようにという基本方針をこれまでどおり今後もより一層厳守をしてまいりたい、こういうことをお答え申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/67
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068・小川省吾
○小川(省)委員 いま言われたように傷の浅いうちに自主再建をしていくことが最も望ましいことは事実であります。竹田の例も、恐らくまだ再建申請は出てきていないんだろうと思うのでありますが、かなり無理をして、機動隊を導入をしたり何かして議会の議決をやったりいろんなことをやっているわけですね。当然、自主再建をするにしても法再建をするにしても、職員の協力を得なければこんなことはできるはずはないわけですね。そういう手だて等も実はおろそかにされているわけであります。そういう意味では、何といっても職員団体とも十分話し合いをした上で、自主にしても法適用にしてもやっていかなければならないわけでありますから、そういう点等は当然指導されなければならぬわけであります。申請かいつ出てくるかわかりませんけれども、もっとよく慎重に竹田の実情を調査をして、仮に自主再建で立て直しができるとするならば、ひとつそういうふうな指導をやってもらいたい、こういうふうに思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/68
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069・松浦功
○松浦(功)政府委員 自主再建でやるか法再建でやるかということは自治体がお決めになることでありまして、当方から、法再建をやりたいというものを自主再建に切りかえなさいということは私どもとしては申せません。しかし、自主再建をやろうと思っているところに、法再建に切りかえなさいということも私どもは言うつもりはありません。ただ基本的な態度として聞かれれば、法再建に落ち込む前に、自主再建でやっていただくということは非常に結構なことじゃないかという指導は申し上げるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/69
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070・小川省吾
○小川(省)委員 非常に巧妙な答弁なんですよね。そういう形で自治体の指導を財政局はやっておられるわけですよ。しかし自主再建にするか法適用にするかというのは、当然自治体が決めることですよ。それはわかりますよ。しかしその以前に自治省との接触が全然ないということなんかないわけですね。それ以前に当然担当者が来て指導課とかなり細かに打ち合わせをされると思うのであります。そういうときにおける内面指導というか、こういう形でこういう方法もあるじゃないかというふうな指導をやっていただかぬと、みんなどこの自治体も松浦さんのような優秀な官僚がいるんじゃありませんからね。松浦さんというのは一人しかいないのですから、地方には本当にまだまだそういう意味では十分に、物事の理解の度合いが薄く、しかもそういうふうな窮状に立ち至った場合に、具体的な処理についても五里霧中というふうな方々も多いわけでありますから、そういう指導を具体的に、これは竹田に限らず、自治体が来られた場合の指導についてはぜひひとつ、法再建を自主にしろとか、自主を法適用にしろとかいうふうな指導は当然やられないと思うのでありますけれども、そういう中における内面的な具体的な話し合いというのを、ぜひひとつ温かみを持った指導をやってほしいということをお願いをしたいわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/70
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071・松浦功
○松浦(功)政府委員 ただいま御指摘をいただきました方向を十分踏まえて、原則を踏み外さない範囲において努力をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/71
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072・小川省吾
○小川(省)委員 先ほども申し上げたように、竹田の例でも、最も協力を得なければならない職員団体の意向というのを余り尊重をしていなかった こういう点も確かに一つの理由があると思うのであります。
大臣、自治労という組合があります。地方公務員の百十万人で組織をしている組合ですね。自治省が、自治労の意見をややもすれば軽視をしているといいますか、そういう意味では十分な意見も聞かないというところに、自治省がそうだからあるいは府県も各自治体等も職員団体を軽視をしたりあるいは意見を十分に聞かないというふうな事例がもう至るところで起きているのではないかというふうに思っています。当然、自治体が赤字財政の危機の中で立ち直りをし、健全な方向に持っていくためには、職員団体の意向というものを最も重要視をしなければならないということは、これは自明の理であります。そういう点で、自治大臣はそんなことはないと私は思うけれども、百十万人で組織している自治労の意向というものを、従来も何回かずっとお会いになっていますけれども、今後ともそういう意味で意思を尊重し、十分な協議をしていかれるおつもりかどうか、改めてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/72
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073・福田一
○福田(一)国務大臣 百十万の自治労の方がいられて、そしていろいろの御意見があるということは、私もよく承知をいたしております。それを顧みないというようなことはございません。ただしかし、政治というものは、いわゆる民主主義政治というものは、国会において法律を決めまして、そしてその法律に基づく権限に基づいて行政が行われておるわけであり、自治省の私たちも、また、その法律によって行動をすべき義務を負っておるわけであります。その法律を守るということは、自治省としてこれまた当然の義務でございまして、その法律を越えておる、あるいは法律に相反するというような場合に、どちらの意見をとるかということになりますと、やはり法律に従うよりいたし方がございません。その意見が自治労の意見と相反するということになれば、当然国会において審議が行われ、そしてその法を改正する、こういう方向でやっていくのが議会政治であり、いわゆる議会制民主主義の原則であろうと思うのでございます。私は、そういう意味合いにおいては、必ずしも自治労の言われることを全部自治省が認め得るかどうかということになると、その法に照らした場合にどう処置するかということで決まってくるわけでありますが、しかし私たちとしては、自治労というものがあって、そしてそういう方たちがいろいろな意見を持っておられるということについて、全然それを顧みないで物事をやっていくということはございません。また、法律というものもある意味では解釈というものがございます。法文の本意をどう解釈するかという、いわゆる解釈によってある程度のしんしゃくができる面もあるわけであります。したがって私たちは、その法律の解釈の限度においては自治労の意見というものも十分尊重する考えはありますけれども、しかし法律を曲げてまで、法律の根本的な物の考え方を曲げてまで御意見に従うということは、議会制民主主義に相反すると思いますので、さように私は理解をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/73
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074・小川省吾
○小川(省)委員 一〇〇%というか、オール・オア・ナッシングの話ではなくして、ぜひひとつ十分に、いま大臣の最後に言われたように、百十万人を組織をしておる団体なんですから、大臣よりもある意味では地方公務員の実態というのは承知をしている組織ですから、そういう意味で、法内の民主主義の原則に基づきながら、意見は十分にくんでいただきたい、こういうことを要請をしておきます。
それから、おとといも若干議論になりましたけれども、赤字の原因の一つに、地方財政計画上の人員と実人員との乖離がかなりあるわけであります。松浦局長は、おとといは六、七万人だろうということをおっしゃっていましたけれども、私は実際にはもっと、二十万人ぐらいいるのじゃないかというふうに思っているのですが、今年度十三万八千人の規模是正をしたのですね。五十一年度はいま確固たるものは決まってはいないだろうけれども、五十一年度規模是正に取り組まれるのかどうか、取り組まれるとすれば、どのくらいの人員をやっていただけるのかどうか、この点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/74
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075・松浦功
○松浦(功)政府委員 いろいろ折衝の相手方のあることでございますので明確なことは申し上げられませんが、四十八年度の給与実態調査に基づく乖離、これは四十九年度と五十年度でおおむね是正をした、残っておるのは六、七万人ぐらいだろう。これは国の節減計画に合わなかった部分とそれから法令に根拠がある職員の上積み分とが大部分だということをお答え申し上げたのでございますが、四十九年度の調査でまた若干乖離が出てきております。したがって、これらを整理した上で、できる限り規模是正ということを取り上げられれば非常にうれしいなという気持ちを現在持っております。と申しますのは、来年の財源に制限の問題もございましょうし、それからもう少し調査をいたしてみませんと、単金職員あるいは事業費職員等の出入りの問題もございます。具体的に、四十九年度でさらに出てまいりました乖離について少しでも詰めたいという気持ちで検討してみるということだけで御容赦をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/75
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076・小川省吾
○小川(省)委員 これはまさに激励です。ぜひ松浦さんがうれしいなと思うような状態をつくるように、乖離の数の人員は私どもの把握とは違いますけれども、ぜひひとつ乖離をなくしていく、少なくしていく、こういう方向で、いま何万人ぐらいやるつもりだというのを聞くのは私も時期的に無理だと思いますから、そういう意味でぜひひとつ乖離をなくすような御努力を、大変だと思うけれども、やってもらいたい、このことを要請しておきます。
それから、大臣、先ほどちょっと自治労の話が出ましたけれども、十月三十一日に地公法制定二十五周年記念の式典というのがありましたですね。これはどこで、何人ぐらい、どんな人たちを集めてやられた式典なんですか。何か六団体等も応分の分担金を負担しているというふうな話も聞いているのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/76
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077・植弘親民
○植弘政府委員 事務的な問題でございますので、私からお答えいたします。
地方公務員法が二十五年に制定されましてからことしで二十五周年であります。その間には、四十年のILO八十七号条約に伴う改正を含め数回の改正が行われておりますが、四分の一世紀ということで、この地方公務員法によってどういうような公務員行政が行われているか、この際反省してみる必要があるであろうといったのがこの二十五周年を記念するための催しをやる目的でございまして、何をやったらいいだろうか、こういろいろと考えてみましたが、結局、これは本来内部事務の問題でもあるし、私どもが自分で考えればいいのであろうということから、しかし、ひとつ地方公務員の皆さん方は一体この二十五年をどういうふうに見ていられるであろうかということで、記念論文を募集したのでございます。そうして同時に、「地方公務員月報」というのを毎月発行させていただいておりますが、この「公務員月報」の十月号を特集号といたしまして、関係者の方々のいろいろな論説等も記念号にいただいて、そうして二十五年間を振り返りまして、主な出来事をずっと歴年的に並べるという特集をいたしました。
ところで、それではその全国的な式典をどうしようか。ところが、その数日前に選挙法のがありましたが、選挙法と違いまして、これは本来内部の問題である、そのために経費を使うのもこれは大変であるということから、毎年、全国の人事委員会、それから公平委員会の連合会の定期総会がございますので、その時期に合わせて、この定期総会にお集まりの人事委員さんなり、公平委員さん方が一堂に会する機会に論文入選者の表彰を行おう、そうして同時にまた、ひとつ記念講演ぐらいをやったらどうだという、いわば実質的に内容のある、しかし経費をかけないといった考え方で行いました。
場所は九段会館でございまして、いま申し上げました人事委員さん、公平委員さん方を中心に約千人集まっていただきまして、そうして論文の入選発表と、同時に、地公法制定当時の次長でございまして政府委員を務めました鈴木俊一さんに記念講演をやっていただいたというのが経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/77
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078・小川省吾
○小川(省)委員 事務的な説明はわかりました。実際に全国の人事委員会の会議があったから、人事委員、公平委員が参加したということはわかるのですが、地公法というのは、読んで字のごとく地方公務員法ですね。この適用を受ける一般職員が参加をしていない。たとえば地方公務員の出身である地方行政委員の私のところへもこの式典の案内状は来てない。百十万人を組織している自治労の幹部のところへも行っていない。私はこういう自治省の政治姿勢に諸悪の根源があるし、自治省の政治姿勢の誤りがあるというふうに実は思っているわけであります。地公法というのは、そういう意味では地方公務員法の適用を受ける職員が、祝うかどうかは別としても、中心に据えられる対象でしょう。そういう自治省の政治姿勢というところに——政治姿勢じゃない。それを集める対象をどうするかということで、少なくとも私も地方公務員出身の地方行政委員ですよ。こういうところに案内も話もない。まあいいでしょう。それよりも百十万人も組織をしている自治労の幹部諸君というのは、地公法にまさに関係のある人たちですよね。こういうところにも案内状が行かないというのはどういうわけなんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/78
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079・植弘親民
○植弘政府委員 先ほども申し上げましたように、余り規模を拡大するということを避けたいと思いまして、したがいましてまさにおっしゃるとおりに、地公法制定に御尽力賜りました国会の当委員会に対しても御案内を差し上げておりません。それからまた、地公法施行については非常に関係の深い人事院あるいは総理府の事務局といったところにも案内を差し上げてございません。ということは内輪のもの、内輪ということになりますと、おっしゃるように百十万の自治労はどうなんだとおっしゃると存じます。しかし自治労にも来てもらうとかいうことになってまいりますと、全国知事の代表だとか、市長の代表だとか、町村長の代表とかいうことになりますと、非常に内輪的だという意味が拡大されますので、それらのところはすべて割愛させていただく。ただ先ほど申し上げました「地方公務員月報」十月号の特集号には、現職の自治労の委員長さんじゃございませんが、前の長尾さんにも随筆を載せていただいたということで、若干私どもの気持ちは御理解賜りたいと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/79
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080・小川省吾
○小川(省)委員 時間もぼつぼつ来るようでありますから締めくくってまいりますけれども、実は参議院の予算委員会の前に三木総理は、地方事務官制度の解消の問題について発言をしました。参議院の予算委員会対策でやられたのかどうかわかりませんけれども、ということは当然自治省内において一つのたたき台というか、固まった素案らしきものが出てこなければ、総理が発言をすることはないだろうというふうに思うのですが、その点は大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/80
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081・福田一
○福田(一)国務大臣 皆様から非常な要望がございますし、附帯決議等もあり、決議もありますので、それには来年の三月三十一日までにはぜひそれを実現しなければいけないという御趣旨でございます。
そこで政府といたしましては、実はいま関係の省庁の政務次官が集まりまして、いろいろと案を詰めております。それについては、もちろん関係各省大臣も一応そういう作業をすることについて同意をいたしまして、そして作業を進めておるのでありますが、具体的にどうするかということについては、全部が全部それはこの地方公務員にできるのかどうか、そういうような法制の問題等、いろいろ踏まえて、現実を踏まえて処理をしなければいかぬ。しかしこれだけの長い期間あって、そしてこれが処理できないということでは私は非常に残念である、私は自治大臣としてまことに申しわけない、こう思っておりますので、精いっぱい努力をいたしておるところでございまして、まだ案が決まっておるわけではないので、ここで申し上げるわけにはまいりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/81
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082・小川省吾
○小川(省)委員 まあ内容の問題はまた別の機会があると思うのでありますが、いまの大臣の考え方、決意のほどを伺えば、通常国会では当然自治法の附則八条の「当分の間」の問題は解消をするようなあれを出してくる、出すつもりでおりますということでよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/82
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083・福田一
○福田(一)国務大臣 出すつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/83
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084・小川省吾
○小川(省)委員 時間もぼちぼち来たようでありますから、最後に確認の意味でお尋ねをしたいんでありますが、給与改定については給与法が成立をした現在、地方も可能な限り速やかに条例化をして支給をしていっていいんだ、同時支給できるような指導をやっていきたいんだというふうな点がまず第一点。それから自治体が責任と自戒をもって進めていく給与の改定、これについては不必要な介入や干渉をすることはないということが第二点。第三点としては、地方財政の抜本的な対策については、少なくとも五十一年度からでも少しずつでも前進をさせて、あらゆる努力を詰めて交付税の引き上げやあるいは税源や事務の再配分等を含めて検討を進めていくという、この四点についての確認をいただいて質問を終わりたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/84
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085・植弘親民
○植弘政府委員 まず第一点、第二点でございますが、地方団体におきます給与改定につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、基本的に手続的には国と同じようにやっていただきたいという二とは私どもの希望するところでございますが、現実の問題といたしましては、地方団体では十二月補正予算をどうするかといった、いま先生も非常に御心配いただいております財源対策その他問題もございますために、同時という言葉が直ちにそのまま実施されるかどうか、私どももむずかしいと思います。
それから先ほど申し上げましたように、住民の理解を十分得たいという基本的な立場がございますから、給与条例の改正につきましては専決処分は適当でないという考え方を従来から持っております。その点は変えるつもりはございません。したがって当該地方団体が、十分誠意を持って職員らの意見なども聞きながら、当然財源計算を行い、議会と相談しながらどうしてやっていくかということは、地方団体独自の問題だと思いますが、まあいまのところでは私どもは残念ながら十二月からになるんじゃないかと思いますが、そこらのところは地方団体それぞれの立場で御検討いただくことと思います。
それから二番目の問題でありますが、給与改定について介入という問題でございますが、私どもは決して従来からも個別的介入したつもりはございません。今後も個別的介入するつもりはございませんが、少なくとも給与改定に当たりましては昨年来いろいろとお願いしてきておりますように、この際給与水準の適正化という問題をあわせて考えていただくということは特にお願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/85
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086・松浦功
○松浦(功)政府委員 御指摘をいただきました方向で、努力をいたさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/86
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087・小川省吾
○小川(省)委員 ぜひひとつ先ほどの要望事項といいますか、確認を求めたいという事項については特に配慮をしながら、今後地方財政対策なりあるいは給与の指導等についても、ぜひ慎重な十分な御配慮をお願いをして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/87
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088・大西正男
○大西委員長 山田芳治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/88
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089・山田芳治
○山田(芳)委員 残りの質問をやらしていただきます。時間がございませんので、最初に三点だけ確認する意味でひとつ自治省側にお伺いをしたいと思います。
まず第一に、人事委員会勧告がまだない府県がある。一体これをどういうふうに自治省としては考えているのかということが一点であります。
人事委員会制度はスト権との兼ね合いにおいて、その代替的な制度として置かれているわけでありますから、毎年一遍はやはりいろいろな点をしんしゃくしながら、府県当局あるいは指定都市の市当局に勧告をすべきであるというふうに考えるわけでありますが、この点一体どういうふうに現状がなっているのか、これについて自治省としては一体どう考えるかという点をまずお伺いをいたしたいと思います。それが第一点。
第二点として、福島県の町村会は、いま閣僚協で非常に問題になっているスト権の問題について、かつて昭和四十七年にスト権奪還のいろいろの運動をやったことに対して戒告をするというような、非常に非常識な不見識なことをやっているわけであります。いま問題になっているわけでありますから、そういうものに対して当然スト権を与えるべきであるという運動をするのが当然であろうと思うのでありますが、そういう点について今後もストに参加をすると行政処分をするんだという命令を出しているということははなはだどうもおかしいのではないか。しかも昭和四十七年の行為にさかのぼってやる。法律的には構わないと言うかもしれないけれども、こういう問題のときには、やはり問題の解決するまでそれぞれ運動するのがあたりまえだと思うのでありますが、この点を一体どう考えるかという点が第二点。
それから第三点でありますが、地方財政計画の問題であります。地方財政計画上の給与費の単価と人数については、はっきりいたしておりません。そこに問題があると思うのであります。ラスパイレスによるところの国家公務員と地方公務員の差が一一一、二%あるというふうに言われるわけでありますが、私は自分も地方行政を責任を持ってやっていたときにつくづく思ったのでありますが、少数制でたとえば五人でやるところを四人でやるんならば、その一人分の給与をある程度高めてやってもいいじゃないか、そのくらいの自主性というのは地方団体にあってしかるべきである。少数精鋭とそれから給与とのかかわりはやはりある程度弾力的に地方団体に任してやるべきだ。先輩の柴田護次官あたりは常に私どもに、おまえらもひとつそういう少数精鋭も考えてみたらどうかというようなことを言われたことを覚えておるわけでありますけれども、私は一つの考え方ではないかと思います。そうなると、地方財政計画上の人数というものをもう少し、本年十三万余地方財政計画の改定を行って加えていったわけでありますが、この点についてもまだ十分でないという意見があるわけであります。教員とか警察官については、これはもうきちっと数字が出るわけでありますから問題はないのでありますが、その他の人数についてももう少し資料を公開して、どういうところにどうなんだということを突き合わせするという必要がある。なぜなら、地方財政計画というのは、われわれはいままでは予算編成の一つの指針というふうに考えておったわけでありますが、今回の地方財政対策においてはこれが一つの大きな財源対策の目標というふうな形になってきて、地方財政計画それ自身がきわめて違った意味を持ってきたんじゃないか。そういう意味で地方財政計画については私どもいろいろ問題はあります。あるものについては積算の上で積み上げをやってみたり、あるものは包括的に算入をしてみたり、いろいろ内容的にありますから、非常に問題があると思いましたけれども、一つのめどであり指針であるという意味においての評価をしておったところ、今回のようにそれを一つの目標にして財源措置がされるということになるならば、もう一遍地方財政計画自身の内容というものを突き合わせをする必要がある、われわれももっと細かく勉強させてもらわなければならぬというふうに思うのでありますが、この三点についてまずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/89
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090・植弘親民
○植弘政府委員 第一点の人事委員会の勧告でありますが、人事委員会がいつ勧告するかは、いろいろその府県の事情によると思いますが、私どもの承知いたしておるところでは愛媛県だけがいま勧告していませんが、きょうやるような情報でございますので、愛媛県がきょう勧告いたしますと全部終わりでございます。
第二点の問題でありますが、福島県町村会の具体の事案を私ちょっと存じません。しかし一般的に申し上げますと、現実に違法事態が発生しようというおそれがあるときに、それに対して当局として、そういう違法事態が発生しないようにということで、職員に対して適切な指導を行うことは当然だろうと思っております。それからまたもう一つは、明らかに違法事態が発生した場合において、法務秩序の維持の立場から、これに対して適切なる措置を講ずる、これもまた適切なことと思いますので、その点は一般論でございますがお答えしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/90
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091・山田芳治
○山田(芳)委員 昭和四十七年にさかのぼっての点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/91
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092・植弘親民
○植弘政府委員 昭和四十七年でございましても、明らかにその事実が確認されたといたしましたならば、やはりそれについて適切な措置を講ずべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/92
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093・山田芳治
○山田(芳)委員 それはできるということを前提にして、ちょっと不見識ではないかと言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/93
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094・植弘親民
○植弘政府委員 したがいまして、いまその具体の事実がわからぬので、一般論で申し上げたわけでございます。事実を調べさせていただきますが、四十七年の問題でも、事実関係を明らかにしないことには当局としては措置が講じられませんので、その事実関係を明らかにするために日にちを要したとするならば、これは当然だろうと思いますし、そこらのところはちょっと私、事実を存じませんから、調べさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/94
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095・松浦功
○松浦(功)政府委員 ただいまの少数精鋭主義の問題ですが、それもまさに一つの見識であろうかと思います。私どもが給与の問題について財政的な観点からいろいろと御注意を申し上げていることは、給与費が財政を圧迫する形で住民サービスが低下する、そうでなければ赤字が出るということはよくない、これが基本的な態度です。したがって、赤字が出ない、住民サービスが低下しないという前提で出すが、少し高いということであっても、金が足りないから何とかしてくれというようなお話がなければ、私の方から突き進んでどうこう言うつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/95
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096・山田芳治
○山田(芳)委員 地方財政計画上の人員をもう少し詰め合うということはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/96
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097・松浦功
○松浦(功)政府委員 先ほどの小川先生の御質問にお答えを申し上げましたが、私どもは実態調査との乖離というものを理屈のつく限りにおいては埋めていくという基本方針は変えておりません。したがって、来年もいろいろ事情もありましょうし、交渉の相手方もございますけれども、できるだけ努力をしてみたいということをお答え申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/97
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098・山田芳治
○山田(芳)委員 次に、超過負担の問題をお尋ねをしたいと思います。保育所の運営費に限って質問を申し上げたいと思います。
厚生省の方にお尋ねをしますが、保育所の運営費に現在は超過負担がもうないというふうに考えられますか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/98
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099・加藤陸美
○加藤説明員 保育所の運営費につきましては、超過負担問題を含めまして年々改善を図ってきておりまして、今年度措置をいたしておりますので、いわゆる超過負担というものはないと考えております。しかし、内容改善については今後とも努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/99
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100・山田芳治
○山田(芳)委員 私どもは対象差あるいは数量差というものを含めて超過負担という考え方をとっているわけであるのですが、その点について具体的にこれから挙げて質問をいたしたいと思います。
まず第一に、ここに「昭和四十九年四月改定国の定める保育単価試算表」というのがありますね。これを基準にして、公立あるいは私立を含めてこの試算表で市町村なり府県なりあるいは私立の保育所に積算をして出されておりますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/100
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101・加藤陸美
○加藤説明員 積算の内訳の問題かと存じますが、そういういまお手持ちのあれを私、正確には存じませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/101
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102・山田芳治
○山田(芳)委員 お渡ししても結構ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/102
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103・加藤陸美
○加藤説明員 国の補助基準といたしましては、保育単価をそれぞれ決めておりますので、それを逆に分解してみたらというものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/103
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104・山田芳治
○山田(芳)委員 これぐらい分解してみないと一応総額に合わないわけですよね。だからそういう意味ではこの分解をした努力というものはあると思うし、また恐らく厚生省はサゼスチョンされているというふうに思うわけですね。だから一つずつ聞いていきますが、これによって運営費は出されているのかいないのか、まずお伺いをしたい。いないとするなら、これと同じような別のものがあるのかどうか。運営費がいま言ったように超過負担というものがないとおっしゃるならば、それぞれの規模に応じて一体どのくらいのもの——いま厚生省は各府県や市町村にお出しになるのは、人件費と運営費の中で項目を二年前から数を減らしたりなどしながら非常に包括的な形でしか交付をしていない。そういう点でわれわれとしては、一体積算の内容が何なのかということが全然わからない。だから私どもはこういうものを見て、これが一つの積算の根拠であるのかどうかということを推算して、これに基づいて質問をしようとしたわけでありますが、これが違うとおっしゃるなら、ひとつこれと同じような形の積算の根拠をお出しいただきたいと思うのです。そうしなければあなたが超過負担がないと言ったって、私の方はあると思うのでありますから、一遍それを出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/104
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105・加藤陸美
○加藤説明員 ただいま山田先生がおっしゃいましたように、人件費、管理費に分けまして、単価を保育単価という形で示しております。その中身の細部の積算、これは予算作成上はいろいろな試算をいたしておりますけれども、具体的にお示しする段階ではそれをまとめました単価になっております、したがいまして、これがそのままかとおっしゃいますと、直ちにそのままという御返事はいたしかねますけれども、分解して見るとこういうような積み上げがあり得るということはそのとおりかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/105
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106・山田芳治
○山田(芳)委員 これではないとおっしゃるなら、違ったものをぜひ出していただかないと、おっしゃったように超過負掛があるかないかの議論ができない。これですとおっしゃるならこれに基づいてやりたい、こう思うのです。この点をはっきりしていただかないと、いまおっしゃったように、超過負担があるかないかという議論の基本は積み上げによってやっておられるわけですから、これではないとおっしゃるなら積み上げの基本的な数字をひとつ厚生省で堂々と自信を持って出していただきたいというふうに思うのですが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/106
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107・加藤陸美
○加藤説明員 ただいま見せていただきましたばかりでございますので、この中身一つ一つについては詰めばお答えいたしかねますけれども、たとえば人件費の保母の号俸は国家公務員に当てはめて私どもの方もほぼこれに近い線を考えておりますが、それらをいま拝見いたしましたところでは大体考え方としては同じような分析をされておるように拝見いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/107
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108・山田芳治
○山田(芳)委員 私は一応これ以外にあるなら出していただきたいと思うけれども、まあこれに基づいても大して違わないというようなことですからこれに基づいてやります。
まず第一の質問をいたします。この表に基づいて、零歳児、いわゆる乳幼児四十人の保育所には何人の保母を配置されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/108
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109・加藤陸美
○加藤説明員 四十人の保育所の場合に、ゼロ歳児が何人おられるかによって積算は変わってまいりますが、ゼロ歳児の場合には別途加算がございますけれども、三歳未満児については六人に対して一人の保母の算定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/109
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110・山田芳治
○山田(芳)委員 われわれは自分の子供でも一人に手を焼いておるわけです。零歳児、しかも将来の健康その他に非常に留意をしなければならない、そういう時期の零歳児六人に一人というのは現実に合っていない。二人の子供があったらもう大変な親の手がかかるのであります。それにもかかわらず六人に一人。市町村ではやはり三人ぐらいに一人というのを限界にしてそれぞれ配置をしているというのが現状であります。それなのにかかわらず六人に一人ということでは、現実に合わないというふうに思うのであります。この一番右の端に、三歳未満の児童加算分と書いて、七・五人に保母一人というふうに書いてある。たとえば三歳未満が三十人であれば四人が加算される。いま言ったように、四十人という場合は四人になるわけですから、四人加算されて八人と見てよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/110
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111・加藤陸美
○加藤説明員 加算のことを申し上げますと、ただいまゼロ歳児について加算を別にしてとお答えいたしましたが、この辺のところは私もちょっと理解しかねるところでございますが、込みにして平均してみればという出し方だと思いますが、ゼロ歳児につきましては三人に一人になるように加算されておりますので、それをおしなべて平均するとこういう数字になるという試算だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/111
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112・山田芳治
○山田(芳)委員 ゼロ歳児については三人に一人だというのはどこにも書いてない。だから、それではひとつ試算の単価表を出していただきたいと思うのですね。そうしないと超過負担があるのかないのかわからない。要するに、包括して出されてきますからわからないわけですよ。私どもは、零、一、二歳は六人に一人、三歳児は二十人に一人、こういうふうに考えておりますし、四歳、五歳児は三十人に一人だというふうに考えておるのでありますが、そういう加算なり何なりの細かい点をもう少しひとつ表にして出していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/112
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113・加藤陸美
○加藤説明員 ゼロ歳児加算の問題、先生の方にまた連絡いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/113
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114・山田芳治
○山田(芳)委員 あわせて光熱水費その他もひとつぜひ、これは委員長にお願いしますが、この超過負担が本当にあるかないかというのは、こういう資料を出してもらわないと積算の基礎がわからないわけですよ、ある、ないと言ったって水かけ論になっておる。こういう資料があって積算をされているなら、委員長、ひとつ厚生省に言って出すようにお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/114
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115・大西正男
○大西委員長 後で理事会でひとつお決めを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/115
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116・山田芳治
○山田(芳)委員 では理事会で相談をしていただきます。
それでは次に伺いますが、大体百五十人ぐらいの保育所であるとどのくらい構成員といいますか、主任保母あるいは保母、調理員等を含めてそこに組織されますか。これは三歳児以上で結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/116
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117・加藤陸美
○加藤説明員 ただいますぐ計算できませんけれども、人員構成、年齢別構成によりましてはじき出さなければなりませんのでちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/117
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118・山田芳治
○山田(芳)委員 三歳児以上で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/118
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119・加藤陸美
○加藤説明員 全部三歳以上児だといたしますと、三歳児が二十対一でございます、平均いたしまして二十五対一と考えますと、直接所遇職員だけで最低六人はおられることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/119
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120・山田芳治
○山田(芳)委員 百五十人の場合はこれは八人というふうになっていますね。まあ調理員その他も入れているのだろうと思います。百五十人のところに六人というのは非常に少ないわけであります。しかし、それはそれとして八人ぐらいになると思うのでありますが、それの施設長が六等級六号俸九万九千四百円と出ている。いま言ったように、非常に大事な子供さんを扱っている保育所の長が十万円未満の月給だというわけであります。一体これは何を基準に九万九千円という俸給を適当とされたのか、ひとつそれをお答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/120
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121・加藤陸美
○加藤説明員 施設長さんにつきましては、特に保育所の場合、公立、私立いずれもございますし、また沿革的に保育所の施設長さんの学歴、経験年数等まちまちでございましてなかなかむずかしい問題でございますが、過去三十年にわたってやってきた行政でございますので、従来の実績からはじき出されてきたものでございますけれども、現時点ではさらに、いわゆる三省合同の実態調査、自治、大蔵、厚生でございますが、これに基づきまして改善をすべく、いわゆる超過負担解消措置をすべく六の九号俸相当あたりに上げるべく改善をいたしておるわけでございますが、それはそれといたしまして六の六というのは、国家公務員の金額に直しますとほぼそのあたりの給与の実態であったという過去の実績の分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/121
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122・山田芳治
○山田(芳)委員 超過負担の問題については三省庁、大蔵省を含めて調査されたはずなんですね。施設長、これは私の地元でずっと調べてみると、大体二十万ぐらいの月給を取っているはずです、どこへ行っても。だから、全国調査すると十万未満なんという実態調査の結果はあらわれてこないと思うのです。
それからもう一つ、この六等級九号俸だったら、一年たったらやはり一号俸昇給する、二年たてば二号俸昇給する、これがもうピラミッド型になっていて、毎年毎年新陳代謝して新しい人が来るというなら結構ですけれども、そういうことでない限り、実態調査をしたのですから、実態調査の結果そういう保育所の所長さんの給与というものを参考にしてこの超過負担の解消をやったんではないのかどうか、その点を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/122
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123・加藤陸美
○加藤説明員 御指摘の点、そのとおりでございまして、正確な数字を覚えておりませんが、本俸でございますが、十二万余りの額が妥当というふうに……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/123
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124・山田芳治
○山田(芳)委員 そうすると、十二万円なのにかかわらず、いま九万円幾らですね。超過負担というか、実態調査に基づく超過負担があるのではないかというふうに思うのですが、超過負担はないとさつきおっしゃったのは、それはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/124
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125・加藤陸美
○加藤説明員 そこに載っておりますのは当初予算の分でございまして、当初予算におきましてもそれを改善すべく努力いたしておるわけでございます。それは九万九千円ほどでございますが、今回十二万余りに補正措置いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/125
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126・山田芳治
○山田(芳)委員 十二万でこれは措置されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/126
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127・加藤陸美
○加藤説明員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/127
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128・山田芳治
○山田(芳)委員 いつからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/128
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129・加藤陸美
○加藤説明員 本年四月からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/129
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130・山田芳治
○山田(芳)委員 それではますます、そういう試算表を一遍出していただいて、本当に十二万になって、以下保母さんや何かの数その他もぜひひとつ出していただかなければ、それは私らはこんなものしかわからぬで、一体どれをもって超過負担があるかないかの議論をするのか、それについてもやはり九万九千円が十二万円になったとおっしゃるなら、ひとつそういう単価試算表なり何なりの積算の基礎の表をぜひお願いをしたい。そうしないと、これは違いますと、こう言われたのでは、さっき言ったように、だから私は最初から、これで議論しますかしませんかと言ったら、ほぼこれと同じでございますとおっしゃるから、それではこれでやりましょうと言って、いままず第一め施設長から始めたわけであります。以下たくさんあるのですけれども、これを出していかないと事ごとにまた違ってくるというようなことになったら困ると思うのですね。これは理事会でひとつぜひ出していただけるように、委員長、お願いをいたしておきます。
次に、私ども配置人員が非常に低いと思っておるので、たとえば、いま百五十人のところでも調理師が一人かそこら、それから用務員なんというのはゼロだ、こういうことですね。二人で本当にやれるというふうに思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/130
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131・加藤陸美
○加藤説明員 調理員等、これは用務員も含めてでございますが、その人数につきまして、百五十人の場合何人になるか、ちょっと確かめますけれども、一人というようなことはないはずでございます。(山田(芳)委員「二人です。調理師二人だけで用務員がいないのですよ。国の基準は二人だと思いますよ。用務員も含んで二人ということです。一人用務員だったら一人で調理師ということになりますよ」と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/131
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132・大西正男
○大西委員長 正式に発言なさるのなら……。正式に発言なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/132
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133・山田芳治
○山田(芳)委員 もう時間がありませんから、後でまた出していただきたいと思います。
それから、次に長時間保育の問題なんですが、いま保育所では原則として八時間、朝八時から四時。一体保育にかけるという場合、親が働きに行っているのに、四時に帰ってきて子供さんを受け取れるかということで、現実は七時半から六時ごろまでやっている。十時間半なんですね。ところが、原則として八時間。そうなってくると、十時間三十分との差は超勤等もあるのですが、これは恐らく、超勤の積算を見てみますと、産休代替とか病気になったときの臨時的なものをはじいているので、こういう長時間的なある一定の時間の保育というものを積算していないと思うのですが、長時間的な保育については厚生省はどうお考えになっておるかお答えをいただきたい。これは超過負担ではないだろうかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/133
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134・加藤陸美
○加藤説明員 いわゆる長時間保育という問題、これは時間の長さによりましてきわめてむずかしい問題もあるかと存じますが、先生ただいまおっしゃいましたような種類の長時間、つまり親御さんがお迎えに見えるまでの時間の問題、これは私どもではいわゆる早出、遅出というような言葉で言っておりますが、そういう保母さんないしそういうお世話をする方々の分といたしましては、予算上措置をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/134
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135・山田芳治
○山田(芳)委員 それじゃ、それもひとつどういうふうにしているか、積算の基礎を見せていただきたいんです。その点もわからぬので、それらも毎日四時でということはとうてい無理なんであって、親としてはやはり六時ごろまではどうしたって——通勤時間があります。だから、その点をもっと制度化してもらいたいという要求をあわせて申し上げておきますけれども、そういう点を見ておられるとおっしゃるなら一遍それを出していただきたい。
それから、次に障害児保育の問題です。
ここに「障害児保育事業実施要綱」というのがありますね。これは御承知ですね。厚生省だ。これによると、八人に一人、八人障害児がない限り一人保母を出さない、こういうんです。私は地元の保育所を全部調べましたけれども、一つの保育所に本当に障害児八人なんて受け取っているところはほとんどありません。たった一カ所だけ、私立の保育所があるというようなことで、ほとんど五人ぐらいであります。だから、五人ぐらいに一人を充てるべきである、こういうふうに思うわけであります。なぜなら、さっき話もありましたように、ゼロ歳から三歳までは六人に一人というんでありますが、障害児というのは、それよりもなお手がかかるし、ひどいんであります。それが八人に一人でなければ保母一人の配置ができない。したがって、運営費の配置ができない。だから、京都府においては五人に下げて単独事業としてやっているという実態があるわけですね。だから、この障害児保育は、まことに結構なんだけれども、現実にそんなものがないというような要綱では、これは実際に当てはまってない。まさに、こういうのも一つ超過負担の原因になっているというふうに思うんで、障害児保育事業についてもっと人数を下げて保母を割り当てるべきであるというふうに考えるのですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/135
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136・加藤陸美
○加藤説明員 障害児保育制度につきましては、実はまだ始めて日も浅いわけでございますが、いま先生おっしゃいました八人に一人ではございません。定員の少ないところではそういう余地がなかなかないということもございまして、九十人程度のところでその一割、まあ約八人になるわけでございますが、それに二人の保母をつけるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/136
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137・山田芳治
○山田(芳)委員 それは八人なければ二人はもらえない。それなら、四人なら一人というんならわかりますよ。そうじゃないでしょう。だから、八人も入れるということになると、これは大変なことなんだから、この点をいま私が言った五人ぐらいに下げないかどうか、そういう制度をおつくりにならないかどうか。それでなければ、私がいま言ったように、京都府下で何百とある保育所でもほとんどそういうものに該当してないというような要綱をつくられておって、現実にはないということと等しいんでありますから、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/137
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138・加藤陸美
○加藤説明員 八人に二人でございますので、四人ならば一人というような、数の上ではそういう計算になりますけれども、障害児の保育という問題は、従来いわゆる健全な子供さんの保育とまた違った問題があり、いろいろ対応策、工夫、検討をしなければならぬという問題もございまして、今後十分検討しなければいかぬということになっておる課題でございます。今後の検討課題かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/138
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139・山田芳治
○山田(芳)委員 もう時間がないからとおっしゃるからやめますが、私はまだいっぱいあるのです。具体的にもっと、光熱水費から超勤から何から全部やりたいと思ったのですが、時間がありませんので、改めてまたやらしていただきますが、要するに、いま数点を指摘しても、運営費についての人件費の問題その他について非常に不十分であって、本当に超過負担がないということを言い切れるかどうかということになると、言い切れないと思うのですね。いろいろまだ未解決の問題で検討中でございます、しかし現実は、どんどん進んでやっているわけですね、各市町村で。そういう点を含めて、一体、最初言われたように相も変わらず超過負担はない、こういうふうにやはり言い切れますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/139
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140・加藤陸美
○加藤説明員 今年度も精いっぱい改善の措置を講じておりますので、ないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/140
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141・山田芳治
○山田(芳)委員 じゃ最後に、それなら改めてその資料を出していただいて、あるかないか、実態についてひとつ検討さして質問さしていただく機会を持ちたいと思います。私どもは、いま数点を挙げただけでありますけれども、その他光熱水費、いっぱいこの超過負担の実態があるということをこの次の機会にぜひ申し上げて、超過負担がないなどというようなことは絶対にないということを申し上げて、私の質問を保留して、やめます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/141
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142・大西正男
○大西委員長 午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。
午後零時十分休憩
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午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/142
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143・大西正男
○大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出に係る昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案及び井岡大治君外八名提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/143
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144・林百郎
○林(百)委員 この法案の審議に当たりまして私たちが考えることは、地方財政が歴史的な危機に直面していると言わざるを得ないと思うわけです。
そこで、福田さんにまずお聞きしたいのですが、交付税が約一兆一千億、当初の地方財政計画よりは落ち込んでおるような結果が出てきておる。それから地方税収が約一兆六百億ですか減収をして、これも補てんをしなければならない。そのうちの八千億くらいは縁故債で地方自治体の責任において起債をしろということになっていますね。こういう事態は自治大臣として好ましい事態か、やむを得ない事態であるのでこういう法案を出したので、これは決して好ましい事態にあるとは思わないと、こういうようにお思いですか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/144
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145・福田一
○福田(一)国務大臣 好ましい事態ではもちろんございません。やむを得ずこういう法案を出した、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/145
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146・林百郎
○林(百)委員 そこで、経企庁にお尋ねしますが、こういうやむを得ない事態だということになっておるわけですが、来年度のGNPとそれから実質的な経済成長率は、いまの段階ではどのくらいと見ておいでですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/146
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147・額田毅也
○額田説明員 来年度の見通しのお答えでございますが、現在来年度の見通しにつきましてはまだ諸資料を整備中でございまして、確たるお答えをすることができないわけでございますが、五十年度の下期についてお答え申し上げたいと思います。
先般、第四次の総合的な景気対策が決定されまして、一兆六千億円に上る追加需要が国民経済に与えられることになったわけでございます。その結果、五十年度の下期の実質の成長率は上期に対しまして三・一%、約三%の成長になる。この三%ということは、下期が三%でございますから、年率にいたしますと約六%の成長になるということでございます。この下期の経済の伸びを来年度は受け継いでいくものと現在見ておりますが、来年度の正確な見通しについては現在まだお答えできる段階でございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/147
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148・林百郎
○林(百)委員 そうすると、名目の伸び率はどのくらいになるのですか、国民総生産、GNPの名目は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/148
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149・額田毅也
○額田説明員 来年の伸び率は、お話しいたしましたように、現在ちょっとまだお答えできる段階でございませんが、実質で五十年度の下期が三%、年率で約六%の増加でございますので、その傾向を受け継ぐものになろうかと思っておりますが、正確な数字はお答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/149
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150・林百郎
○林(百)委員 そうすると、十月九日に年初の経済見通しを見直しましたね。それはどういう率だったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/150
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151・額田毅也
○額田説明員 年初の経済見通しを見直しまして……(林(百)委員「年初幾らで、見直しは幾らか」と呼ぶ)当初五十年度の成長率は実質で四・三%、名目で一五・九%と見ておりましたが、十月九日で改定試算をいたしまして、五十年度の成長率は名目で一〇%、実質で二・二%程度と見たわけでございます。この五十年度の二・二%程度の成長率のうち、五十年度下期につきましては、先ほどお話しいたしましたように、下期は上期に対して実質で三%程度増、それは年率に直すと約六%であると申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/151
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152・林百郎
○林(百)委員 いま一兆円に上る景気刺激対策をとったので、下期の名目の成長率が一二%、実質六%になる見込みだというようなことを言いましたけれども、その一兆一千億というのは今度の補正予算で組まれてこれからやることなんでしょう。それがまだ補正予算が通過して数日しかたたないのに、もうそういう実質的な効果が下期に出ているという計算が出てくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/152
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153・額田毅也
○額田説明員 先ほど申し上げました約一兆六千億円の四次対策の効果がこの下期の国民経済、すなわち国民総生産に与えられるわけでございます。約一兆六千億円の需要創出効果が与えられるということは、経済全体に対しましてその効果が続いていきますと、大体約三兆円の需要創出効果があると考えられております。これは、通常政府投資というものは倍の効果を生むというふうに言われているわけでございます。その三兆円のうち、今年度におきまして約一兆八千億円程度の効果が出よう。その一兆八千億円を下期の効果が出るという前提にいたしまして五十年度下期のGNPを見通してみますと、上期に対して約三%の実質の伸び率になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/153
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154・林百郎
○林(百)委員 そういう一兆六千億円ですか、その景気刺激財政的な措置が、計数から言えばそれならばそうなるということでなくて、十月現在でGNP、それから実質成長は対前年度比どうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/154
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155・額田毅也
○額田説明員 五十年度上期の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/155
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156・林百郎
○林(百)委員 十月現在でいいです。上期の見通しなんてまだずっと来年の三月ですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/156
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157・額田毅也
○額田説明員 国民総生産の計算をいたします場合は、何月何日現在ということで実は計算するのではございませんで、五十年度の、たとえば年度全体でどれだけ投資が行われ、どれだけ消費が行われ、どれだけ政府の支出が行われるという年度全体で計算をするわけであります。ただ、この十月九日に公表いたしました改訂試算におきましては、すでに上期が終了しておりましたので、その上期の予想とあわせて下期の見通しを発表しておるわけでございます。上期の予想といたしましては、名目で百四十四兆四千億円程度の国民総生産になろうかと見通しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/157
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158・林百郎
○林(百)委員 対前年度比のパーセントを出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/158
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159・額田毅也
○額田説明員 五十年度上期の四十九年度下期に対する伸び率は実質で〇・九%、約一%程度と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/159
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160・林百郎
○林(百)委員 そういう計数の上からいって、今度は大蔵省の直税の方にお尋ねしますが、三税ですね、所得税、法人税、酒税、ことしの当初は約十三兆七千七百七十億ですか、そう見ていたのですが、いまの成長率、仮に、いろいろの数字が出ているわけですけれども、経企庁が見直したのは、伸び率が名目一五・九%を一〇%に、実質を四・三%から二・二に見直しているわけですね。いま経企庁が言うのには、一兆六千億ですか、景気刺激の財政的な措置をすればこれがたちまち一〇%の見通しが一二%になり、二・二%の見通しが六%になると言う。奇跡的な数字と私は言わざるを得ないのですが、数字が出るという、こういう要因があるとして、大蔵省の直税の方の三税の見通しは来年度はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/160
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161・福田一
○福田説明員 最初に、ことしの見通しから御説明いたしますと、先ほどおっしゃいましたように、税の方は名目の方が影響いたします。一五・九という当初のGNPの伸びが一〇・〇とマクロで申すとそういうふうに落ちるわけでございますので、この経済の予想外の停滞、これがことしの三税の特に法人税の減収にあらわれております。税の方はこの経済の見通しの改定に乗っかりますと同時に、最近までの課税実績、税収の収入状況、これを見ながら推計するわけでございまして、見通しでございますので、的確な数字かどうか問題でございましょうが、特に法人の落ち込みが大きいものですから、三税分について申しますと、約三兆四千四百億のマイナスが補正で生じておるわけです。補正全体では三兆八千七百九十億でございますので、そのうち三兆四千三百九十億がこの三税の減収、特に法人と、大きな法人でございます。次に所得ということでございます。
今後どうなるかの問題、いまの補正の影響の問題を含めまして今後どうなるかということでございますが、来年の経済がどうなるか、これはその前提になる経済の今後の見通し、これがまだよくわからないのが正直な経企庁の感じだと思います。ことしの補正の影響と申しますのは、法人につきましては経済の動向と法人税収はずれがございまして、決算期及びその動きの問題あたりが中心になりますが、ずれがございますので、ことしの補正がことしの税収にそのままあらわれるというふうには考えませんで、むしろ来年にその影響がずれ込むでしょう。しかしことしの景気の悪さというのはタイムラグを持っておりますので、景気の悪さ自体の方が大きく来年の方に響いてきて余り楽観ができない数字ではないかという感じを持っておりますが、いまの段階では的確な数字は申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/161
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162・林百郎
○林(百)委員 五十年の交付税の対象になる三税は、四十九年度比で三税で言いますと何%の伸びとなっていたわけですか。当初の地方財政計画を組むときの十三兆七千七百七十億というものは、四十九年度の所得税、法人税、酒税と比較して幾らの伸びになっていたわけですか。その伸びが五十年から今度五十一年、来年度にこの伸びが維持できるのかどうか。ことしはこれは落ち込んじゃいましたけれどもね。当初の地方財政計画で組んだこの三税の十三兆七千七百七十億が対前年比幾らの伸びだ、これと比較して来年の三税はこれだけ伸びるという要因があるのですかないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/162
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163・福田一
○福田説明員 お答えします。
当初予算で言われていました十三兆七千七百七十億、これはちょっと前の年との比較が問題でございますが、補正で落ち込んでおる。税収全体で申しますと、この三兆八千八百億というのを落としますと、昨年の税収に及ばない水準にあるわけです。それで、そういう全体の姿から見て、いま的確に三税分の伸びを数字を持っておりませんけれども、全体の税収が、特に三税の落ち込みを原因にいたしまして、補正後の数字が去年の税収実績に及ばない、一〇〇を割っておる数字でいま推移しているわけです。
来年どうなるかというのは、今後の景気のあれにもかかわりますけれども、やはり法人の伸びがタイムラグを持ってことしの悪さがまだ続くという感じは先ほど申し上げたとおりでございますが、その伸び率等についてはまだわかりませんけれども、余りいい形にはまだならないのじゃないかという感じが強いのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/163
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164・林百郎
○林(百)委員 わかりました。そうすると、四十九年度に比較して五十年度の三税の伸びの比率だけ来年度三税が伸びるどころか、本年度の三税の税収が維持できるかどうか、いまのところはちょっと楽観は許さないと、こう聞いておいていいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/164
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165・福田一
○福田説明員 その前提になる経済全体が来年幾ら伸びるか、その数字がまだ申し上げられない段階でございますから、その前提のところにマクロ的にはかかります。あと、内容的に法人税がどう動くか、これは決算期ごとに見ていかなければいけませんということで、どういうふうになるということはまだはっきり申し上げられませんが、なかなか楽観は許さないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/165
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166・林百郎
○林(百)委員 自治大臣にお尋ねしますが、この原因がどこにあるかは別として、交付税の対象になる三税の見通しはいま率直に大蔵省から言っているとおりなんですね。ことしの水準が維持できるかどうか心配だと言っているわけですね。そうすると地方財政計画からいっても、物価が政府の言うとおりにしても、来年の三月で一けたになると言いますが、いまのところ一〇%台ずっと平均して上がっているわけですね。そうすると何としても地方財政計画、ことに交付税は、大体で言っても一割増くらいの地方財政計画を組まなければならないときに、交付税の対象になる国税三税がことしの水準が維持できるかどうかわからないということになると、その対策はどうなさるんでしょう。率直に言って今年度の交付税交付金は四十九年度に比較して二九・数%、約三〇%アップで組まれたわけですね。五十一年度を四十九年と五十年の比で地方財政計画を組むとすればプラス三〇%で組まなければならぬわけですね。そして落ち込み分が三〇%くらいになっておるわけなんですけれども、落ち込み分を埋めてそして地方財政計画を四十九、五十年の当初の比率のとおり組むとすれば、六〇%くらい交付税をさらにまたふやさなければいけないということになるわけですね。こういう見通しが一体立つのかどうか、ちょっとお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/166
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167・松浦功
○松浦(功)政府委員 国税三税にリンクしているのが交付税でございますから、国税三税の傾向がそのまま同じ形で交付税に影響してまいります。影響しない部分は精算分の差し引きという問題だけでございますから、これをネグレクトいたしますれば先生の御指摘のとおりだと思います。私どもも先般の本委員会でお答えを申し上げたのでございますが、五十年の当初に計上いたしました交付税四兆四千、国税三税の三二%という前提で計算をいたしました場合に、来年確保できるかできないか、その程度のところじゃないかということを申し上げました。ただいまその点は先生からも御指摘があったとおりです。仮に四十九年から五十年度までに三〇%近いものが伸びている、それだけの伸びが必要だ、これはそういうことはないと思うのでございます。ベースアップ自体をとってみても、片一方は三二%平年度化に要する経費が本年度は一〇・八五というのですから、大分違うわけでございます。仮に先生の御指摘のように三〇%増額を確保する必要があるということになると、ことしの四兆四千を根っこに置いたとしても、三二%でございますから約一兆四、五千億伸びなければならぬ。それが伸びるどころかことしの四兆四千とどっこいどっこいだ、こういうことになるわけでございますから、四十九年度の交付税と比較いたしますれば、仮にことしに比べて三〇%伸びなければならぬとするならば、先生のおっしゃられるように一・三倍の一・三倍ということでございますから、これは相当大きな穴があいている、こういうことにはなろうと私どももそのとおり考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/167
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168・林百郎
○林(百)委員 そうなりますと、自治省で八月二十五日に出しました「昭和五十一年度予算関係主要事項」、これに概算が出ていますね。もちろんこの中には、いろいろなファクターが上がったり下がったりしているからそういうものはいずれ入れなければならないというただし書きはありますが、これを見ますと地方交付税交付金財源の繰り入れが四兆九千億、ことしは四兆四千億です。そうすると、三税の収入が大蔵省から言うとことしの計画どおり維持できるか、しかもことしの当初計画ですよ、落ち込んでいるわけです。当初計画のとおりいってくれればいいがというような意味の言葉を言っているときに、それよりも約五千億も大きく組まれたのはどういうわけですか。五十一年度予算関係主要事項の概算というものは今日の事態ではもう一度見直さなければならない事態になっているのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/168
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169・松浦功
○松浦(功)政府委員 全くお説のとおりでございまして、概算要求自体については大蔵省も御理解をいただいていると思いますけれども、これは私どもの意思というよりは三税がどう決められたら——三二%掛ければ交付税が出てくるわけでございますから、これはよく大蔵省の方も御理解いただいていると思います、全く架空の一つの前提を置いた数字でございますので私どもはそれにこだわっておりません。いずれ近い時期において大蔵省と来年の見通しについて見解を取りかわすことになろうかと思いますが、そのとぎには全部新しい数字で、考え方を新たにして要求しなければしようがない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/169
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170・林百郎
○林(百)委員 ちょっと福田さん、大分お疲れのようですが、これは大事なことだからお聞きしておきたいのですが、ことしの地方財政計画の交付税すら落ち込んでこういう措置をしなければならない、来年度もことしの地方財政計画の交付税交付金が計上できるかどうかはやや不安定な状態にあるということになりますと、物価が平均して一〇%アップくらいになって、まあ政府は来年の三月期までには一けたにしたいと言っていますが、これは新価格体系等が組まれてきてずっと諸物価が上がってきますから、私は不可能だと思いますが、仮にそうしてもことしの地方財政の行政水準を維持するためにはことしの当初の地方財政計画よりも上回った交付税交付金はどうしても組まざるを得ないわけですね、諸要因が上がってきまずからね。それがどうもことしの当初の地方財政計画の交付税が維持できるかどうか、三税の推移から言うとむずかしい。それはまた何らかの新しい手を打つかどうかはわかりません。うちの三谷さんが言ったように、場合によっては付加価値税などを創設してそれを三税の対象にするというような危険な方向もあるいはあり得るかもしれませんが、仮にいまのままでいったとすれば、行政水準を縮小していかなければならない方向へ行くか、あるいはことしみたいに何らかの、また交付税会計が一般会計から借り入れをするというような措置を繰り返していかなければならないのか。それから地方税収もどういう形にするか、補てん債にするかどうか知りませんが、ことしと同じ形を来年はさらに繰り返していかなければならないようなことが推定できないだろうか。先ほど自治大臣は、決して好ましい事態ではないとおっしゃった。好ましくない事態が来年はさらに一層深刻に、これが上回った形で地方財政計画に及んでくるということになると、これは何か根本的に考えなければならないことになるのじゃないでしょうか。その点どういうお見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/170
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171・福田一
○福田(一)国務大臣 御指摘のように、いまの景気の落ち込みから見ていきますと、来年急に大きな国税三税の増収を見積ることは困難だろうと思います。どんなにうまくいってもことしの当初予算の分まで見積もれるかどうかということになろうと思うのですが、一方において、あなたに言われたように物価が値上がりはするという面は、やはり一〇%前後は三月には値上がりするものとして考えていかなければならないということになりますと、歳出の予算規模はどうしてもある程度ふくらまざるを得ないと思います。いかに経費の節減とか合理化とかいうものを図っていってもある程度ふくらまさないわけにいかない。ということになれば来年も言うなれば何らかの形で、平たい言葉で言えば借金で過ごしていかざるを得ない形、いわゆる赤字を予定して、そして地方財政を組んでいかなければならない状況であると思うのであります。そういう場合においても、これをどのように獲得するかということについては、来年度の景気の状況あるいは税収の見込みというようなことを、国全体としてどうめどをつけるかということによって変わっていくわけでありますが、われわれとしては来年度は、ここでも申し上げたと思いますが、ことしのように赤字の形において、赤字をどう埋めるかという形において予算の編成をせざるを得ないのではないか。その意味ではあなたのおっしゃることはよく理解をいたしておるつもりであります。しかし問題は、法律にもありますように、ここで実際の話、高度成長から低成長へ入ってきたわけですから、われわれとしては来年は何としても景気の浮揚を図る、失業者を減らすという目的で諸施策をやっております。私がそういうことを言うのもおかしいのですけれども、第四次景気対策で足りなければ、場合によっては第五次も考えなければならぬ場合もあり得ると思うのです。私はそうすると申し上げるわけではありませんけれども、いずれにしても景気の浮揚を図っていって失業者を減らす、これ以上の失業者が出ないように極力努力をしていくということ、また失業者を減らす方向で国の財政を運営していくということ、これは当然なことだと思うのでありまして、それらのことをいまここで、こうなるからこうなるでしょうと、数字的に挙げて申し上げることはできませんが、おしなべて言えば、いまあなたのおっしゃったように、やはりある程度赤字を覚悟して予算を組まなければならない、そうした場合には、やはり公債に頼るとか借金に頼るということになるではないかということになるかと思いますが、これも来年度においては一応やむを得ないとわれわれとしては考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/171
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172・林百郎
○林(百)委員 非常に厳しい側面ばかり言うんで、共産党はそういう側面しか見てないかと思われてもなんですから。
そこで、次の提案について、自治省の財政局長とそれから大蔵省の直税それから間接税関係で検討してもらいたいのです。
私の方は前から申し上げていますように、租税特別措置によって社内保留が非常に、まあわれわれから見れば、ことしの三月決算で一部上場会社五十社で約八兆五千億の社内保留がある。われわれは社内保留を全然してはならないとは申しませんけれども、累積約八兆五千億あるわけですね。これは国税の方ですけれども、これに臨時課税をする。法人関係の税金としてそういうことが考えられないか。
あるいは租税特別措置が、仮に自民党の国の政策として国税にそういう措置がとられるにしても、地方税に関してはこれを遮断するということが考えられないか。これはことしの予算委員会で私が福田経企庁長官に聞いたときに、それはもう一度考え直してみる必要がある、地方自治体への租税特別措置の遮断ということについては洗い直してみる必要があるということで、電気税について一部それが実行されたのですが、そういう方法は考えられないだろうか。
それから、これは地方税の方ですが、法人の事業税にしてもあるいは住民税にしても、所得がゼロの場合に十億とか何十億という資本の集積をし、自治体に対してそれだけの資本集積の影響を及ぼしているにもかかわらず、その地方税が均等割の五千円か七千円でとまっているということに対する資本課税ですね。そういうものを考えられないだろうか。
それから国税の方では、こういう事態ですから、法人税に対する還付金を一定の資本以上の会社に対しては停止するということは考えられないだろうか。
それから、これはことしの緊急措置ですけれども、国費事業の地方負担分の返還について一時停止の措置をとれないだろうか。
それから超過課税については、自治省としても法定で決まっている範囲ではこれを課税することについては当然干渉、介入はしないと思いますが、これを積極的に認めていく。
こういうような措置について大蔵省と自治省当局のそれぞれの見解をお聞きしたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/172
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173・福田一
○福田説明員 お答えします。
最初の企業の内部留保の課税の問題でございますが、五十社で八兆幾らという数字でございますが、その言っておられる数字は内容的に見ますと準備金のほかに引当金とか資本剰余金とか利益積立金が入っておりますので、その辺整理して申し上げなければいけないかと思います。
準備金は言われるように特別措置的な色彩があると思いますが、これは現在見直しをやっておるところでございます。
それから引当金は、企業会計及び商法において債務性があるということで会計上は引き当てということは認められておる制度でございますので、これは準備金とは区別する必要があると思います。
それから資本積立金、これはプレミアム、資本そのものと同じ性格を持っておりますので区分する必要があると思います。
それから利益積立金、これは課税済みの内部留保でございますので、一回課税して内部にあるものをさらに課税するということは問題かと思います。
それで準備金自体で申しますと、現在、四十八年度でございますけれども、約二兆円にすぎません。しかもこれは残高でございますので、毎年ふえていく分について問題になるわけで、そのふえていく分について税率がかかっていくというふうになりますので、八兆というような大きな数字ではございません。
税収といたしましては租税特別措置によ君減収額は約八千億円でございますが、法人税は約三千億円で、所得税が五千億円となっております。法人税につきましてはさらに交際費課税によって本来企業会計上は損金になるものをこれは否認いたしておりますので、これは二千三百億でございますので、これを引きますと全体の減収額は五千六百億ということで、法人自体はこの三千億よりももっと少なくなっているというのが実態でございます。いずれにしろ特別措置的なものについては元来区別していく必要がございます。
それから遮断の問題でございますが、これについては技術的な話になりますけれども、課税技術上遮断ができるかという問題が一つ一つ見ていくとございます。課税所得の計算過程にございますと、それを分離できないという問題がございます。さらに政策的に中小企業対策とか環境に対する対策というものは、これは国で考えますと同時に地方も同じ立場にあるという意味では、遮断については問題があろうかと思います。
その辺、一つ一つの見直しは内容的に考えなければいけませんが、これが自動的に影響するかどうかということにつきましては、個々の特別措置について具体的に考えていく、自動的に影響することの是非をやはり内容に即して考える必要があると思います。
御質問はあと還付金の問題がございましたが、これも企業会計、税法から考えますと、企業というものはゴーイングコンサーンで事業をやっておりますので、普通のわれわれの個人の所得と違いまして、赤字が出た場合にはその赤字をどうするかという処理の問題でございます。これを繰り越して処理するか繰り戻すかという問題にすぎませんので、繰り戻しをやめれば赤字の繰り越しがふえるということで、将来の税収減になるということで、外国でもこの繰り戻しをやってない国もございますが、考え方としては、企業の継続性の問題としては赤字の処理は繰り戻しもしくは繰り越しによって処置するというのが、会計上も税法上も正しいとわれわれは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/173
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174・林百郎
○林(百)委員 そうすると、大蔵省としては、租税特別措置の引当金あるいは準備金について課税でき得る、あなたの方の理論とわれわれの理論と違いますから、それは一致はできないでしょうが、それにしても、大蔵省としても、それについて課税対象になり得るものがあるかどうかということについては一応検討するという答弁でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/174
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175・福田一
○福田説明員 ちょっとニュアンスが違いまして、私がいま申し上げましたことは、対象にしておられる内部留保がいろいろある、引当金は対象にならない、それか序資本準備金及び利益積立金も問題の対象にならない、あと租税特別措置的な準備金が検討の対象にはなりますが、これは租税特別措置をどう見直すかで、いま検討いたしております。ただ、準備金の根っこから内部留保になっている分について、一律に何か税率を掛けてこれを納めるというのはわれわれとしては納得いたしかねる問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/175
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176・首藤堯
○首藤政府委員 ただいまの御質問にございました中で、地方税の関係もあるところでございますが、租税特別措置につきましての地方税への影響をなるたけ少なくしていく、それからまたこれをできるだけ整理、合理化していくという基本的な考え方は全く同感でございまして、ただいま大蔵省の方からも御答弁がございましたように、租税特別措置と言われております各種の措置につきまして、ただいま政府税調におきまして洗いざらい御審議をいただいておるところでございます。できるだけこれを整理していきたい。そのことに伴いまして、当然地方税としての事業税や法人住民税、そのほか住民税一般、こういうものにもいい影響が出てくるわけでございまして、私どももぜひそういう方向で検討していただきたいと思っておるわけであります。
それから、地方税への波及の遮断の問題でございますが、これはただいま御答弁ございましたように、課税技術的な面で、所得の把握の際等において実際問題として遮断をしてしまうということがなかなかむずかしい点もたくさんございますが、そのような点は国税そのものを直していただけることによって地方税も直ってまいりますし、それからまた、遮断のできます可能性のある個別のものについてはできるだけこれを洗って遮断をしていきたい、このように基本的に考えております。
それから第二の問題は、事業の所得が赤字である場合の税収の問題でございますが、いま資本課税をしたらどうかという御説であったわけでございます。事業税における現在の課税方式、所得を課税標準にいたしておりますものについてできるだけ外形標準的なものを課税標準の中に導入をする、持ち込む、こういうことができないかということで、前々から問題になっておりましたことは先生御案内のとおりでございまして、ただいまこういった経済情勢のもとでは、地方団体からもそのような要望が非常に強うございますので、私どもとしては、でき得れば外形標準を何らかの形で導入するように、これまた税制調査会等に現在お諮りをして審議をしていただいておる最中のものでございます。
それから第三点、超過課税の問題でございますが、ただいまの状況では法人住民税等におきまして、これが中心でございますが、地方団体のかなり多くの団体が超過課税をいたしております。超過課税は、御案内のように財政上に特別の必要があって、特別の財政需要がある場合に、特にそれだけの特別の負担の重課を住民に求めるという面において地方団体の財政運営の自主性を支える制度でございますので、私どもとしては、そういう正当な理由があります限り、超過課税がありますことも、それ自体としては当然なことだろう、このように考えておるわけでございます。
ただ、全般的にこの超過課税を自治省として奨励するかしないか、こういう問題でございますと、これはその自治体の財政サービスと申しますか行政需要、これと負担との関連において議論をさるべき問題でございます。自治体が自主的に判断すべき問題であろうと思いますので、自治省として超過課税を奨励するとかあるいはこれを禁止するとか、そのいずれの態度もとらない、自治体の自主的な判断によって、正しい意味での超過課税が行われるように期待をいたしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/176
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177・林百郎
○林(百)委員 経企庁にお尋ねしますが、どうも先ほどの説明が私わからないのです。中小企業の倒産数わかりますか。この十月はいままでのうちの最高の倒産数を示して、本年じゅうに、このままでいけば約一万数千件の倒産数が出るだろう、こう言われておりますね。それが来年、あなたの言う一兆六千億ですかの景気刺激によって国民総生産が一二%、実質六%なんて転換できるのですか。かつてない中小企業の倒産を示しておるわけですよ。あなたがいいかげんの数字を出せば、そうすると、自治省や方々であなたのところの指数を基準にしていろいろ計算していきますから、あなたのところが崩れたら全部崩さなければいかぬですよ。責任あるあなたのさっきの数字、それでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/177
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178・額田毅也
○額田説明員 中小企業の倒産件数が最近しばらく落ちついておりましたのが、十月に増加したということは聞いておりますが、御承知のように現在鉱工業生産指数がことしの三月から漸次増加を始めまして、生産面では景気の回復基調があらわれてきておるわけでございます。問題は、そういう生産面におきます景気の回復基調というものと、現実の企業におきます倒産というものは、たとえば資金繰りあるいは収益状況その他から若干ずれがあるのが通常でございます。私どもの見通しでは、鉱工業生産指数が三月から順次回復してきておる、その回復に加えまして第四次の対策で新しい追加需要が国民生産に加わる、こういうことから、下期の成長は上期に対して約三%、年率で六%の成長になるとお答えしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/178
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179・林百郎
○林(百)委員 何のことですか。下期に三%、年にして六%と言っても、年の半分は済んでおるじゃないですか。だから、年を通じて六%になるには、前半が三%だとすれば、あと六%だけじゃ足りないじゃないですか、九%にならなければ。だから、後半の数字を前半にまで及ぼすわけにはいかないでしょう。そんな変な経企庁の指数というものが出てくるはずないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/179
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180・額田毅也
○額田説明員 年の伸び率と、下期の上期に対する伸び率と、年率というのはお答えの申し方がやや不十分であったかと思いますが、下期は上期に対して三%ふえると申し上げました。上期はその前の期に対して約一%弱と申し上げたわけであります。そういたしますと、五十年度の成長率は上期は約一%弱、下期は三%でございますから、五十年度の成長率としては二%強になるわけでございます。ただ、下期の上期に対します成長率三%といいますものを、国民総生産の表示におきましては諸外国ともにそれを年率という数字に直して表示をするわけであります。年率という表示に直して諸外国とも比較をするわけであります。下期というのは六カ月でございますから、それを年率に直して表示するのが国際的な慣行でございます。その慣行に従いまして年率六%と申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/180
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181・林百郎
○林(百)委員 何だか知りませんが、下期の三%を上期まで及ぼして、そして六%にする、三%増ですか、われわれにはちょっと常識的にわかりません。まあいずれにしても、鉱工業生産指数が若干上昇になってきた。しかし、中小企業の倒産数は十月はかつてない数字ですよ。そうすれば、一部の大企業は若干上向きになっても、中小企業はかつてない危機に見舞われておるということはあなたはお認めになるわけでしょう。そういう中で、あとは法人税になりますからあなたのところは別としても、国民総生産が来年度どういう状況になるか。仮に上向きになったとしても、それは中小企業に縁のない国民総生産の上向きということになるのではないですか。そして法人税あるいはそれを対象とする地方交付税、それは依然としてやはり伸び悩むという状態になるんじゃないですか、法人全体としては。しかも一部の大企業は、さっき言ったように所得を引当金、準備金いろいろで租税特別措置でどんどん落としていきますから、資本金十億というような会社が地方へ行きますと五千円から七千円の均等割で済ましているようなことになっているわけです。これはあとは大蔵省の方に聞きますけれども。そういう法人税あるいはそれを対象とする交付税が、本年度に比べて来年度は上向きに伸びるということまであなたはそこで言えますか。それはあなたの管轄外だから、私はそこまでは言えませんなら言えませんと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/181
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182・額田毅也
○額田説明員 経済の見通しと現実の税収というものは、税の構造によりましてタイムラグその他がございますので、経済の見通しから直ちに税収というものを判断するわけにはまいりません。
もう一つ、中小企業のお尋ねでございます。中小企業と大企業との関係でそれぞれの具体的な状況はどうなるかというお話でございますが、この点につきましては中小企業、大企業別に鉱工業生産指数ができておるわけではございませんので、鉱工業生産指数の面からは判断できませんが、ただ最近の状況として私ども聞き及んでおりますところによりますと、景気の回復過程、鉱工業生産指数の伸びというのは繊維とかあるいは弱電関係、特に家庭電器の弱電関係あるいは自動車関係を中心として鉱工業生産指数の伸びが著しいと聞いております。伸びが高まってきておると聞いております。したがいまして、そういう業種におきましては、恐らく繊維におきましても弱電関係におきましても、部品の下請とか各種の中小企業もあろうかと思います。そういう意味で、現在の景気の回復局面は、業種によりまして非常に明暗はございますが、全体といたしまして三月から逐次鉱工業生産指数は高まってきておる、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/182
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183・林百郎
○林(百)委員 そうすると、もう一つだけあなたにお聞きしますが、それならば、そういう中で中小企業が十月現在最高の倒産数を示すというのはどういう要因から出てくるのですか、経企庁の見ているところでは。あなたは中小企業の倒産数、ことしの四月からずっとわかりますか、言ってごらんなさい。——いいですよ、時間か惜しいから。それでは、本年度では十月が最高の倒産数を示している、そういうことはお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/183
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184・額田毅也
○額田説明員 ちょっと私ども倒産件数の方を直接所掌いたしておりませんので、お答えいたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/184
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185・林百郎
○林(百)委員 わかりました。
そこで、大分回り道をしましたが、自治省に戻ります。交付税の来年度の見通しがなかなか渋いということ、それはもう自治省も知っているからこそこの覚書の第一項にそういうものも出たと思うのですが、「協議の上必要があると認めるときは、その負担の緩和につき配慮を行う。」これは当委員会でしばしば論議されているのですが、具体的にはどういうことになるわけなんですか。具体的な考えられる場合をちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/185
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186・松浦功
○松浦(功)政府委員 私も仮定の数字において御説明申し上げますが、五十三年度で今回借り入れました交付税を八百億国に返還するというふうに仮定をいたします。そういたしました場合に、この八百億を返すことによって財政計画上の歳入に穴があきそうだというような場合には、これは当然両大臣が必要と認める場合に該当してくると思います。その場合に、仮に三百億免除をして五百億埋めれば財政計画のバランスがとれるということであれば、三百億について償還を繰り延べるとかあるいは臨時特別交付金を国が補給をするとか、そういう方途によって乗り切る、こういうふうに御理解をいただいていいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/186
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187・林百郎
○林(百)委員 一応わかりました。
そこで地方税収の補てん債でありますけれども、この地方財政法の五条という規定が設けられた趣旨はどういうわけなんですか、どういう精神からこれが設けられているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/187
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188・松浦功
○松浦(功)政府委員 やはり地方債というものは、それに充当された事業が行われることによってそれだけ住民に対する効果が起きてくる、そういうものは将来の負債として将来の住民が負担をするという形であっても理解はできるけれども、単純に一般の行政経費等について後代に借金を送るということはよくない、またいまの五条のような規定を設けることが地方財政の健全性を確保するゆえんである、こういう理解のもとにつくられた法律というふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/188
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189・林百郎
○林(百)委員 わかりました。
そこで今度は、その五条にもかかわらず地方債を発行することができるというようになったのはどういうわけでしょうか。したがって、その五条にもかかわらず発行された地方債というのは、五条で規定されている目的以外にも、要するに行政費にもこれを使うことができる。あるいはもっと大きく言えば、補てん債自体が地方税収の落ち込みを埋めるわけなんですから、本来なら当該地方自治体が自主的に使うことのできる財源なんですから、これは本来地方自治体がどう使っても自由なたてまえでなければならない、本来は地方税収ですから。それが起債ということになりますと、恐らく自治省としては何に使うかということを聞く。ことに五条外の起債の発行については、自治省は一応これを検討なさることはあり得ると思うのですね。ことに松浦さんみたいな厳しい人は恐らくそれに目をつけるだろう。それについて、おまえのところの財政計画はどうかとか、これを人件費に回すことは好ましくないとか、ことしは約五、六百億の節減も考えておる際だからと。そういうような本来地方自治体が自主的に使えることのできる財源について、これをもとにして自治省が自治体の財政運営について介入をする、まあ介入すると言えば、アドバイスをするのでありまして決して介入などはしませんという答弁が返ってくるような気がしますけれども、しかしそういう機会を与えることになるのじゃないか。まあ五月に事務次官通牒も出ておりますから、ましてやこの五条外の行政費に本来使ってもいいもの、できるなら発行したくないのまで出させるということは、これは行政費に使ってもやむを得ないじゃないかというように思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/189
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190・松浦功
○松浦(功)政府委員 五条の規定を守っていきたいということは、本来法制定の趣旨からいって当然でございます。したがって、地方債を五条の規定に該当する範囲で発行していっておさまるならば、それが一番いいと思うのでございます。しかし今回の事態になりますと、国の方も全くお金がないという事態ですから地方もある程度借金でやむを得なかろうということになりますと、五条の規定で減収の落ち込みとのバランスがとれない団体については起債の範囲の特例を認めないと、受けざらがないために減収補てん債を完全に補てんするということはできない、こういうことになります。そのために設けた規定でございます。
したがって本来から申し上げますと、一兆六百三十二億の減収がなかりせば、当然公共事業なり単独事業に充てられておったであろうところへ起債をお認めすることによって、充てられておった一般財源を外へ追い出してしまうという効果が起きてまいります。それと先生に御指摘をいただきました五条に該当しない今回の特例規定に該当する部分は、これは五条に該当しないものについて認めるわけでございまして、これも一般財源でございます。
言いかえますと、追い出した一般財源とこれを合わせますと一兆六百三十二億になるわけでして、これはすべて一般財源であるというふうに私ども理解をいたします。したがって介入はおろか、これの使途については指導申し上げる必要はないと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/190
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191・林百郎
○林(百)委員 そのとおり聞いておいていいかどうか。ちょっといま突然松浦さんにしては珍しい答弁が出てきたものでこっちも戸惑っているわけですが、まあそうお聞きしておきましょう。
そこでこの八千億の引き受けなんですけれども、これも覚書の二項で、「両大臣は、その円滑な消化に努めるものとする。」とあるのですが、一体このうち自治省としては幾らが五条債で——八千六百三十二億ですね、あるいはこれに二千億加えて一兆六百三十二億でもいいのですが、このうち幾らが五条債で幾らが五条から外れる起債になるかどうか、そういう数字は出ていますか、いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/191
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192・松浦功
○松浦(功)政府委員 これは出ておりませんし、また私ども最終的に集計の段階ではつくろうと思いますけれども、いまからその数字が幾らになるかということを検討する実益と申しますか、これが余りないと思うのでございます。要するに一兆六百三十二億は、減収の補てんの分については間違いなく起債をお認めするつもりでございますから、それが財政法五条に該当するかしないか、これは余り論議する実益がないと思うのでございます。
それからもう一つは、あらかじめ後でおしかりを受けないようにお断りをいたしておきますが、五条の規定で読みますと、貸付金でございますとか、いろいろなものがまだ起債の許可の対象になるわけでございます。こういうものを地方団体に洗いざらい拾い上げさして、それに起債を認めてから残りは五条の特例でございますよ、こういうやり方をするのは非常に事務的に煩瑣でございます。ですから、われわれとしてはある程度大きなものについて起債を認めて残りは五条の特例であるという形で粗く処理をする方が地方団体にも御迷惑をかけないし、事務的にお互いに煩瑣でなく過ごせる、こういう気持ちを持っておりますので、これを細かな数字まで両建てに分けて詰めていくという気持ちはございません。
最終的に起債を許可いたしました場合に、先生方からお尋ねいただいてもいいように、枠外という形でこういう形が出ました、五条としてこういう金額になっております、ということは御報告できるように、時間をかけて集計はさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/192
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193・林百郎
○林(百)委員 その点、これはえらい細かく、これは五条債だ、これは五条債外だというようなことを自治省が言うことが、また一方では地方自治体へのある意味での介入にもなりますので、そういう松浦局長の考え方は考え方としてお聞きしておきたいと思います。
そこで地方債八千六百三十二億ですが、この引き受けについては、やはり大蔵、自治両大臣もその点を一応円滑な消化に努めると書いてありますが、これがどういうような引き受けになるのか。一般公募はどのくらいになるか、あるいは純粋の縁故債になるものはどの程度と見ておるか、その辺の内訳わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/193
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194・松浦功
○松浦(功)政府委員 各団体別にどれだけの減収補てん債を認めるか、これの数字自体が出ておりませんので、私どもとしていま明確にお答えはできかねますが、地方公共団体の御意向、これも十分お伺いしながら、御承知のように市町村については全部政府債を充てるつもりでございますから、都道府県と政令市だけでございますから数が限られております。御意向を聞きながら市場公募債の発行をこの中からとれればとってまいりたい、こういうつもりでおります。
いずれにいたしましても、年度当初計画が、市場公募債は千八百億でございますから、そんな大幅な市場公募債はとれるとは思っておりませんが、増発を地方団体の御希望を承りながら考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/194
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195・林百郎
○林(百)委員 銀行課長にお尋ねしますが、おいでですね。いま松浦財政局長の話のように、約八千億の地方債のうち大部分は金融機関の引き受けになると思うのですね。御承知のとおり、五兆五千億近くの建設国債と、それから赤字国債のこの引き受けもありますね。それにこれが加わるわけですね。これは当委員会でも幾度か質問がありましたが、それに、暮れになれば中小企業への融資もありますけれども、これについて地方債の、ことに一般公募以外の地方債の引き受けについての保障というものは、銀行課長の見通しから言うとどういう見通しですか。保障は十分あるのですか。少なくとも「両大臣は、その円滑な消化に努めるものとする。」ということが書いてある以上は、何かそこに問題がもしあるとするならば努力をするということが書いてあるわけなんですが、そういう地方債の引き受けについて何かネックになるようなものは考えられるかどうか、そういう場合にはどういう打開の方法があるとお考えになるのか、それをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/195
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196・宮本保孝
○宮本説明員 実はその点につきまして、本日各金融団体に対しまして銀行局長通達を発しまして、いろいろと理屈は並べておりますが、「上記の地方財政対策として増発されることとなつている地方債のうち民間金融機関による消化が期待されているものについては、関係金融機関において、状況に応じ相互に協調して、その円滑な消化に格段の努力を」払われることとされたいということで、実は通達を流しまして指導しているところでございます。
各県の状況につきましても、私どもは財務局を通じまして、いろいろと意見なりあるいは御意向などもありますので、いろいろ聴取いたしております。各府県によりましてはすでにシ団が結成されまして、協調してやっていくというふうなことを答えているところもございますし、あるいは、まだシ団は結成されないで、それぞれ特に地方銀行を中心といたしまして消化に努めるという回答も得ております。
われわれといたしましては、昭和四十年、四十一年当時にいろいろと国債、地方債等が発行されましたときに、それぞれ各地域に起債の懇談会のようなものが設置されましていろいろ協力いたしたような事例もございますので、必ずしも具体的にどうこうしろというようなことは申しませんけれども、それぞれ地方銀行が中心になりまして特に消化に努めるようにということを頼んでおるわけです。
同時に日本銀行に対しましても、マクロ的な話と別にいたしまして、個々の銀行によりますと非常に苦しくなってまいる銀行もあろうかと思います。特に首都圏、近畿圏の周囲の県にあります都銀、地銀につきましては、かなり苦しい状況になる銀行もあるかと思いますので、その辺につきましては、個別にきめ細かく対策を講ずるように日本銀行の方にも実はお願いしている、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/196
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197・林百郎
○林(百)委員 私の方の党の政策としては、これは全額国の資金運用部資金、財投で引き受けて利子補給をすべきだという政策を出していますが、この修正案によると先ほどのような話なんですけれども、そこで銀行課長にお聞きしたいのですが、平均して金利はどのくらいになりますか。一部は政府資金と縁故債との間の金利差を政府が補給するというものもありますけれども、約六千億近くのものは純粋な金融機関への縁故債になると思いますが、平均してこれは金利はどのくらいになるものか、それから引き受けた銀行とその地方債についての日銀との関係はどういう関係になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/197
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198・宮本保孝
○宮本説明員 公募債につきましては、最近の長期金利改定の一環といたしまして、表面八・五%で、応募者利回りが八・六か七になっているかと思いますけれども、縁故債につきましては個々の銀行と地方公共団体との間の話し合いによって決まるかと思います。一般的には、実は公募債の方が低くて縁故債の方が高いのが、理屈から言うとそういうことだと思いますけれども、現実問題といたしましては、どうも縁故債の方が、発行条件が悪いといいますか、金利が低くなっているような状況でございまして、平均的に幾らかとこうおっしゃられましても、ちょっといまお答えしかねるのでございますけれども、それぞれの公共団体と地区の銀行との間の話し合いに任せられていると思います。それはそれぞれ言い分があろうかと思いますので、しかるべく決まっていくんじゃないか、こういうふうに思っております。
それから第二点の、引き受けました銀行と日銀との関係というのは、ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのでございますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/198
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199・林百郎
○林(百)委員 それじゃちょっと補足して。いま言ったように地方銀行としては資金繰りが大分苦しくなってくるところもあるだろうということになりますと、それは買いオペの対象になるかどうか、あるいは担保に入れて借り出すということになるかどうか。これはあなたと私とは、若干日銀券の発行とインフレの関係については私的に討論してみましたけれども、意見が違いますからここでその討論を繰り返すことはやめますが、買いオペの対象にはならなくて担保として日銀から借り入れをするという道は市中銀行で地方債についてはあるのか。御承知のとおり、国債については一年間のチェックがされているわけですね。地方債についてはどういう関係があるということ。それから純粋に金融機関から借りた自治体の縁故債の償還条件ですね。金利についてはいろいろそれぞれの貸す方と借りる方との関係があるでしょうけれども、償還の条件についてはどういう条件があるのでしょうか。何か画一的なこういう方向でやれとか、あなたの方の通達がさっき出ましたけれども、それに何かあるのか。あるいは償還条件がどうなっているのか知らしていただきたい。
それから、委員長にお尋ねしますが、いまの銀行局ですかの通達を、当委員会へ資料として参考までにひとつ提出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/199
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200・宮本保孝
○宮本説明員 地方債の日銀との関係でございますけれども、公募地方債につきましては日銀貸し出しの担保適格とされております。先生いま一年間の条件のことを国債についておっしゃっておられましたけれども、日銀貸し出しの場合には国債につきましても、公募地方債につきましても一年間という制限はございません。これは貸し出しを受ける場合には、担保適格になれば一年たたなくても日銀貸し出しは受けられるという、こういう制度になっております。それから地方債につきましては大多数が縁故債でございます。この縁故地方債につきましては、現在流通性がほとんどないということから、日本銀行といたしましては貸し出しの担保適格にはいたしておりません。したがいまして貸し出しの担保適格にしようと思えばできるだけ公募債の方へ振りかえて出していただければと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/200
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201・林百郎
○林(百)委員 それから縁故債の支払い条件。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/201
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202・宮本保孝
○宮本説明員 償還の方は、ちょっと自治省の方からお答えいただいた方がいいんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/202
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203・大西正男
○大西委員長 通達の問題は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/203
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204・宮本保孝
○宮本説明員 通達は早速手配いたしまして出さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/204
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205・松浦功
○松浦(功)政府委員 これは金融機関と当該団体とが相対で決める問題であって、私どもがどうこう言うつもりはございませんが、大体平均して七年から十年ぐらいというのが一般的な決め方であろうというふうに私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/205
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206・林百郎
○林(百)委員 自治大臣。ちょっと大臣にお聞きしたいのですが、いまお聞きしたように普通の縁故債は日銀の担保の適格を欠くんだという話なんですけれども、ところが公募債よりは縁故債の比率の方が残された、まあ利子補給をする部分は別としても、政府資金で引き受ける残りの約八千億ですか、これの大きな部分が縁故債になるとすれば、その縁故債が——公募債の比率がわりあいに低いわけですから、それが日銀の担保適格を欠くんだということになりますと、市中銀行としては、それをずっと持ってなければならない。ということになりますと、地方債を引き受けるような、ことに都市銀行以外の地方銀行になりますというと、たたでさえ資金繰りが苦しいところへ日銀への担保適格を欠いているということになると、当該銀行としては地方債の引き受けを渋るように、ことに縁故債を渋るように考えられますけれども、まあそれがあるからこそ、私はこういうように大蔵大臣と相談しましたと、また銀行局もああいう通達を出したものだと思います。まあそうだと思いますけれども、その辺はどういうようにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/206
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207・福田一
○福田(一)国務大臣 いまあなたの御指摘になったとおりであろうかと思うのです。縁故債を引き受けておれば、これが担保適格債でございませんから、その分だけはやはりどうしても資金が動かないというか、地方銀行に定着してしまうというか、その分だけが定着する。そうすると、ほかのたとえば中小企業や何かに貸す金なども影響を受ける可能性があるのじゃないかということで、そういう場合にはそういうことによってほかの金融などには影響を受けさせないようにするという意味を含めて実はそういう申し合わせをしたわけで、覚書を交わしておるわけなんです。
と同時に、将来の問題としてこういうことが長く、将来もこういうふうに縁故債を出さねばならないということであると、地方銀行はある意味において非常に不利になりますから、できれば適格債にする工夫はないかということで、いまいろいろ私の方の事務当局あたりと日銀あるいは大蔵省の関係者とも話をしておるというのが、いまの段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/207
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208・林百郎
○林(百)委員 銀行課長に聞きますが、適格債にするかどうかは、これは規則で決められる、行政的な措置で決められるのでしょう、法律でなくとも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/208
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209・宮本保孝
○宮本説明員 日銀が、政策委員会が決定いたしますれば、できることになっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/209
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210・林百郎
○林(百)委員 これ、自治省でわかりますかね。一般会計の地方債の残が、これは公営企業の地方債を除きまして六兆八千二百八十億と聞いているわけですが、これはいまどこでどういうふうに持たれているのか。どういう金融機関にどう持たれているのか、それは内容がわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/210
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211・松浦功
○松浦(功)政府委員 詳細な数字が必要でございますれば、少し時間をおかしいただければ全部調べますけれども、正確なものは当省として持っておりません。おおむね銀行が持っているというふうにお考えいただいて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/211
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212・林百郎
○林(百)委員 おおむね銀行が持って、担保に入れているかどうかも知りたかったんですけれども、そういうわけで地方債というのはどうも銀行からきらわれるのじゃないかと思うんですね。その一つの資料としていまのことを聞いたわけですが、これも資料として委員会へ、自治省が時間があれば調査できると言っていますから、わかりましたら、一般会計の地方債の残高がどのような金融機関で持っているかという資料を当委員会へ提出するようにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/212
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213・松浦功
○松浦(功)政府委員 少し時間がかかりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/213
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214・林百郎
○林(百)委員 はい。結構です。
経企庁、もうお帰りくださっていいと思います。
その次の問題で、ことしの地方債の計画を見ますと、これに補てん債が加わるわけですが、当初が地方債一兆二千七百四十八億円、公債費が九千六百六十四億円ということになりますと、ここの差がわずか三千億なんですね。だから、地方債の発行高と公債費との間の弾力性がだんだん狭まってくるのではないかということが考えられるわけですね。先ほどお聞きしましたように、七年から十年、返済条件はそうだ、三年くらいは据え置きという条件もあるということも聞いていますが、いずれにしても地方債と公債費との弾力性が狭くなってくるということは、要するに公債費のために、地方債を発行してもそれを食われてしまう。そして実際の地方自治体の財源として運用できなくなるということが心配になるわけなんですが、ことに来年も地方税収がなかなか楽観を許さないということになると、また地方債の相当の発行を考えなければならない。場合によっては、ことしのような補てん債的なものをまた出さなければならないかもしれないということになりますと、地方債の増額、それから続いて公債費の増額、そこの中間の弾力性がなくなるということで、そこの矛盾をどう考えられているのか、またそれについてはどういう措置を将来考えているのか、説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/214
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215・松浦功
○松浦(功)政府委員 先生御承知のように、ことしの措置は特別の措置でございます。それからまた先ほど大臣にお尋ねいただいた問題も、あくまで好ましからざる臨時の措置であるというお答えであったように承っております。したがって、本年、来年の地方債の増発というものは、これは異常な事態のもとにある対策であって、将来続けられるべき問題であるとは考えておりません。したがって、五十二年ないし五十三年以降に従来の形に戻るということでございますれば、なるほどことし、来年借りました地方債というものが、ある程度公債費の増というかっこうになって将来の財政計画に出てくることは御指摘のとおりでございますけれども、それにつきましても、できるだけ将来の地方債の発行というものを抑える、一般財源に振りかえるということによって、その増高傾向を抑えていくという対策を当然とるべきであって、現在程度の数字でございますれば、先生がおっしゃられるような事態に持ち込んではいけない、持ち込むべきでないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/215
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216・林百郎
○林(百)委員 これは国債と同じ性格だとは言いませんけれども、地方債はほんとにやむを得ない事態として、わが党も補てん債の発行については反対はいたしません。しかし、一たんこういう赤字の起債を認めるということになりますと、それがだんだん増大していって、増大していくという趨勢は避け得ないことになりますので、やはり本来ならば地方税収を強化していく、そして少なくともこういう五条債以外の起債をしなくても済むような措置を自治省としては考えていかなければならないじゃないか。あるいは国と地方との税の配分を考慮するとか、あるいは交付税の交付額を考慮するとかということにして、これはやはり全く好ましくない、むしろ緊急やむを得ない事態として措置をされているということはわかりますけれども、これはやはり、将来はこういう五条債以外の純粋な赤字債は発行しなくても済むような方向を、真剣に自治省としては検討していく必要があるのではないかと思いますが、これは純粋な赤字国債とは若干性格が違うと思いますけれども、国債の経験から見まして、そういことが心配になるので一応お聞きしておきますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/216
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217・松浦功
○松浦(功)政府委員 本年、来年、いずれにしても臨時的な措置を講じざるを得ないと思っておりますが、特に本年は年度の途中でございまして、補てん債の割り振りについて、団体ごとの整合性が必ずしもとれないということから五条の特例規定を設けたわけでございますが、私ども事務当局としては、明年度の臨時的な措置をとるに当たりまして、本年と同じような特例を設けない範囲で財政計画を組むという努力をしなければならないというふうに、いまから自戒をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/217
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218・林百郎
○林(百)委員 これは一昨日三谷議員も質問されて、非常に重大な関心を持たざるを得ないのですが、国債の償還それから交付税の落ち込みの防止のための新たな税の創設というようなことを考えざるを得ないわけなんですけれども、たとえば付加価値税というようなものですね、これは国債の償還に関係してくる部分が大きいと思いますが、国民の消費が年八十兆、その一割としても八兆円という数字が一昨旦二谷議員から出されておりますが、それか、あるいは間接税の創設ですね、こういうような方向で国債の償還あるいは交付税の落ち込みを防止するための財源——私か先ほど言いました担税能力のある法人への臨時的なあるいは恒久的な課税ということになると……。こういう大衆的な方向への課税が、一連の国債あるいは地方債の償還の手段として考えられるのではないかということが、いま重大な問題になっておるわけですが、付加価値税の創設あるいは付加価値税そのものでなくても、何らかの間接税、もう酒、たばこ郵便料金が、三つの財源の引き上げとして出されているわけですが、こういう方向を大蔵省としては考えているのかどうか。これは大蔵省の間接税の課長がおいでになっていると思いますので、いまそういうことについてどういう検討を加えているか、責任ある答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/218
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219・福田一
○福田説明員 お答えします。
今後の税収の見通しは非常に厳しいものと思います。かつてのような自然増収は、国、地方ともに期待できないということでございます。一方において財政需要はいろいろと出てくるというのに長期的にどう対処するかの問題でございます。租税の体系と申すもの、これは現在直接税と間接税と、大きく分かれますが、直接税は七割、間接税が三割ということになっております。直接税は所得税、法人税とあるわけでございます。今後所得税にさらに増税を求め得るかどうか、法人税についてさらに増税の余地があるかどうか。現在法人の収益は非常に悪いわけでございまして、その原因を見ますと固定比率が非常に上がっておる。すなわち、人件費を含めまして法人の収益は相当悪いわけでございますので、さらにこれに課税を求めることができるかどうかという問題がございます。一方において、わが国は一般消費税を持っておりません。間接税は物品税を主にしております。いろいろな欠陥もございます。この点、間接税についてさらに負担を求めるとすればどういう形があり得るか。一つ一つの税目を考えながら税体系としての整合性、その場合はまた国と地方の税体系の問題もございます、その辺を、国民の負担に関係する問題でございますので、税調あたりにかけまして、やはり慎重に、いまの不況から脱出した後の経済のもとにおける税制の長期的な姿、これを慎重に検討したいと思っております。いまどの税をどうするという腹案は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/219
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220・林百郎
○林(百)委員 そうすると、付加価値税というような制度は、少なくとも来年度は設ける意思はないということはここで言えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/220
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221・福田一
○福田説明員 来年度としては付加価値税を導入する時期ではないと思っております。その後については、これは検討の結果によります。(「五十二年度から……」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/221
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222・林百郎
○林(百)委員 そうすると、いま昭和五十二年度からという声がありましたけれども、まあ来年度はとりあえずはやらないということで、あとはまた適当なときに詰めることにいたします。
それから、いろいろありますが、この五百七十億円の節約ですね、ことに人件費部分だと思いますが、五百七十億円の節約の数字が出ておるわけなんです。これは具体的にはどういう数字なんですか。旅費だとかいろいろ出ていますけれども、そんなに、これだけの冗費があるというようにお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/222
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223・松浦功
○松浦(功)政府委員 冗費があるから節約をしたのではございません。国、地方全体を通ずる厳しい経済の中で、苦しいだろうけれども少し無理をしても節約をしようということでございまして、国が現行の当初予算に組みました予算に対して掛けました節約率を地方財政計画の同じ項目に掛けて算出したというのがこの五百七十億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/223
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224・林百郎
○林(百)委員 大臣にお聞きしたいのですが、いま地方財政の危機の克服として人件費問題が云々されているのですが、しかし地方自治体の人件費の増大を見ますと、一昨日三谷さんが御質問なさったように、本来どうしても必要な保育所の保母、きょうも同僚議員も質問しておりましたが、本来それだけの人員がなければ福祉施設が運営できない、保育所だとかそういうものですね、あるいは警察、消防、教員というような、これは国の施策としてどうしても人員をふやさなければならないものでふえているわけなんですね。それを何か自治体が恣意に人件費をふやしているような宣伝が意識的に流されておるように受けとめられる点もあるわけなんですが、この点については自治大臣、どうお考えになりますか。ことに地方自治体の人件費というのは、そのものが、たとえば屎尿処理にしてもごみ処理にしても保育所の保母さんにしても、そのもの自体が地域住民に地方行政的なサービスをする人になるわけですね。そういう地域の住民への福祉のサービスとしての人的な必要度、それを国全体の枠組みの中からどうしてもふやしていく、警察だとか消防だとか教員だとかそういうものがあるわけですね。こういうものによって人件費が地方自治体で増大していかざるを得ない、そういう要因は自治大臣はお認めになるのですか。そうでないと、何か一方的な宣伝だけなされているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/224
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225・福田一
○福田(一)国務大臣 いまあなたが御指摘になったような警察とか消防とか教員ですね、それから福祉の問題等について、教員とか警察とかいうことになればはっきりしますから、これはもうその対象にはなかなかならないと思うんです。ただしかし、それでもやはり教員の中で何か枠外のあれをやったりいろいろありますよ、その分は。それはあなたの方がよくわかっている。だから経費のうちにもそういういろいろのものがあるわけですね。全然伸縮性のないものもあれば、また地方によって相当伸ばしておるものもある。そういう伸ばしておるようなものがあれば、それはひとつ考えてもらいたいというのがわれわれの考え方でありまして、何でも一律に福祉の分で抜けている分——それはあるでしょう。もちろんそれは認めますよ。そういう分はこれからもやはり認めていかなければいけません。しかしまた一方において、まあまあ何とか節約ができる分があればそれは抑えてもらいたい、こういう考え方を言っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/225
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226・林百郎
○林(百)委員 この問題もいずれ詰めなければなりませんが、時間がありませんので、また適当な機会に、何かそういう一方的な攻撃がなされているように思いますので、この点は詰める必要があると思います。
建設省の会計課長さんに、大分お待たせしたので最後に一つだけ質問しておきますが、景気対策のために約一兆六千億国が投資するというのですね。私は、これはやはりできたら地方自治体の単独事業として計画しているものとマッチするような、あるいは地方自治体が希望するような事業とマッチしていくような方向で行われるべきだと思うわけなんですね。たとえば、本四架橋だとか新幹線だとか高速自動車道路だとか大型なプロジェクトに投資するということよりも、いま地方自治体のこういう財政の苦しいときに地域住民にサービスできるような、地方自治体が考えている建設計画とマッチするような方向へ努力すべきだと思いますが、大体景気刺激政策の政府の投資のうちの、純粋に国の直轄事業となるものと、地方自治体の受けざらを必要とする事業の内訳、それと地方自治体が受けざらとして費用を捻出するものの事業種類はどんなものか、建設省の方から一応資料をいただいてありますので、この細かい、受けざらを必要とする国の補助事業については大体わかっておりますが、そのようなことですね。そういう観点についてひとつ建設省にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/226
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227・伊藤晴朗
○伊藤説明員 広範囲な質問でございますので、ちょっと的確なお答えになるかどうかわかりませんが、ただいまおっしゃいました今次の不況対策の中で、このたびの補正予算並びに財政投融資の弾力条項の発動によりまして与えられました建設省関係の事業は、おっしゃいました数字のうち大体七千二百十二億円程度でございます。
この内訳は、事業費規模で申し上げますと直轄事業に千二百五十四億、補助事業に二千五百七十二億、公団等に三千三百八十五億円でございますが、御指摘になりましたうち、たとえば本四架橋公団、これは今回の不況対策の中へ特別に経費を追加したものではございませんで、当初における事業費の凍結の解除でございます。その事業費の配分に当たりまして、地方公共団体の要望とマッチした方向で配分すべきじゃないかということでございますが、一つは配分の問題として事業種別の配分の問題があろうかと思います。これは御指摘のように、一つは景気対策という面から配慮する問題もありますし、それから地域的な配分の問題もある、それから生活関連、福祉関連を重視すべきじゃないか、そういったいろいろな状況を勘案して大蔵省の方でああいう形の数字が決められたものでございます。私の方はそれをさらに各県と実際に個所別にどういう配分をするかという点につきましては、ことしは御指摘のような都道府県の財政事情もございますので、異例のことではございますが、補正予算の編成過程に当たりまして、一応各県から非公式ではございますが、要望の数字等もいただきまして、配分に当たりましては個別に各県と数字を示しながら協議をして決めていった、そういう形をとった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/227
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228・林百郎
○林(百)委員 それではこれで終わりますが、いまお聞きしますと、景気刺激対策事業として地方自治体の受けざらが必要な事業は二千二百五十億円と、こう聞きました。そうでしたね。ところが地方自治体の方の負担は二千六十五億ですか、そうすると半々なんですね。国の景気刺激事業として行う事業について半々だということはちょっとわかりかねるのですが、この辺を質問して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/228
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229・松浦功
○松浦(功)政府委員 いま建設省からお話があったのは建設省所管だけ。それから私の方の二千六十六億というのは農林省も運輸省もみんな入っておるわけでございます。全体の事業費としては五千数百億になるはずでございます。それの裏負担が二千億である、こういうふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/229
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230・林百郎
○林(百)委員 それではこれで終わります。
それにしてもちょっと地方自治体の負担が多過ぎるんじゃないか。仮に五千億としても二千億というと約四割ですからね。国の景気刺激対策に対して地方自治体が四割もの負担をこの財政の苦しいときにしなければならないということは、非常に地方自治体については過酷な条件だと思いますので、その点は地方自治体を指導する場合に十分ひとつ指導するように、それから建設省も十分その点を考慮するように。地方財政は歴史的な危機にいま見舞われているのですから、国の景気を刺激するために約五千億の事業をやる、建設省だけでは二千二百何億ですね、二千億近くの受けざらを地方自治体が持っているわけですから、その点を十分考慮して、いやしくも超過負担やいろいろ生じないような措置を十分講じてもらいたい、このことを希望して私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/230
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231・大西正男
○大西委員長 小濱新次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/231
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232・小濱新次
○小濱委員 私は、昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案について、主としてきょうは自治大臣、そしてまた財政局長、それから、大蔵省来ておりましょうか、大蔵省、文部省、厚生省に順次御質問をしていきたいと思いますので、よろしく御答弁をお願いを申し上げたいと思います。
地方自治体が、ことしの財政危機もさることながら、いま一番心配していることは、来年度の経済の見通しであると思います。国は来年度も赤字国債を発行するようでありますが、地方財政についてどういう御方針でやるのか、基本的な問題でありますから、まずこの点を大臣からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/232
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233・福田一
○福田(一)国務大臣 あなたも御案内のように、世界経済の動きがかなり流動的な面もございますし、それから、ことしの補正予算をやって景気浮揚策をとりました効果がどのようにあらわれてくるかということも大きく考えてみなければいけません。そういうところから見ますと、来年度の予算の内容につきましては、歳入の面についていま確たる予想を立てることは困難でございまして、今後経済企画庁が中心になって一応の展望を考え、さらにはまた来年度の、今度は展望というよりは一応一つの計画をまとめて、それに基づいて歳入というものが算出され、またそれに基づいて今度は地方へ配られる交付税の基礎も出てまいります。またそれに基づいて地方税がどのようになるかということも出てくるので、それらの点を勘案してみませんと、いまここで、大体このような規模でこのようにいたしますというお答えはいたしかねるかと存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/233
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234・小濱新次
○小濱委員 地方自治体は来年度の予算を編成するために、国の基本的な方針が決まらなければ計画の立てようがない、そういう立場から、健全な財政運営を検討することが不可能である。大臣の御答弁のように、具体的に言えないというならば、どういう御方針でいつごろまでに明らかにすることができるのか、そういう考えはどうなのかということを伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/234
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235・松浦功
○松浦(功)政府委員 大臣がいまお答え申し上げたとおり、的確な明年度の地方財政対策を御開陳申し上げかねるのはまことに残念でございますが、これまでも大臣が繰り返して申し上げておりますように、地方財政計画の策定を通じて、どういう財源措置の方法をとるかは別にして、地方公共団体の財政運営に支障のないようにいたしたい、それが自治省としての責任であるということを大臣も申し上げておりますので、その方針でわれわれも努めてまいりたいと思います。
じゃ、しからば地方公共団体が具体的な予算編成をするに際して、一体国がどういう方針で財政計画をつくったかということがわからないと予算が組めないじゃないかという御指摘はまことにごもっともでございます。その点につきましては、国の予算編成がどうなるかと絡んで財政計画が決まってくるわけでございますので、財政計画が策定をされました時期にできるだけ早急に地方公共団体に御連絡を申し上げる、必要があれば総務部長会議を開いてこれに御説明を申し上げるというような手順で進めさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、これまでの例を見まして、年内編成の場合においても、地方公共団体の総務部長さんにお集まりをいただく時期は一月末ないし二月の初め、その辺の時期より前にはなかなか具体的な形での御指示はできかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/235
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236・小濱新次
○小濱委員 いろいろと御答弁は伺ってまいったわけですが、数字で示すことができないまでも、ことしの当初予算と比べてどうなんだろうかなという、そういう思いがいたします。そしてまた何%程度の伸びになるのであろうか、そういうこととか、自治体ではその方向づけというものを期待しているわけですが、この際やはり大ざっぱにでも言えないかなという感じを私ども持っておるわけであります。自治省としても大臣としても、多少の腹構えは当然あるはずだ、こういうように考えておりまして御質問を申し上げておるわけでございますが、何らかの方向を自治体に示すことができないかということが再度私の聞きたい問題点でございます。これをぜひ伺いたい、こう思っておるわけですが、この点もう一度ひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/236
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237・松浦功
○松浦(功)政府委員 恐らく大臣は、私どもにもお気持ちをまだお漏らしをいただいておりませんが、何かのお考えをお持ちだと思うのでございますけれども、先生、逆に私の方からこれはお願いしたいのでございますが、正確に計数的なものでお示し申し上げることは結構でございますが、粗い方針をお示しするということは非常に危険でございます。
こういう事例がございます。財政計画で一般交付税が三〇%伸びた、交付税を、前年度の普通交付税を三〇%伸ばしておいて、伸びた税金はそのまま計上してあるわけです。税金が伸びたものは当然収入額で引かれますから、実は交付税は去年より減っちまった。こういう団体が全国に数多いのでございます。
したがって個々に細かに、交付税はこれだけ伸びているけれども、法人税収の伸びがこういうふうにある団体は逆にへこまして見ておかなければいけませんよ、こういうようなある程度具体的な御指導を申し上げるのでないと、かえって地方公共団体が十分な説明が行き届かないために危地に陥る、こういう事例が出ておるものでございますから、私どもとしては具体的にはっきり財政計画が決まり、それを省としてどういう形で指導するかということを十分詰めた上で御説明申し上げる機会を設けて、それによって国の考え方というものをお示しした方が適切であろうか、かえってそういう心配すら起こってきますので、その点ひとつ御了解をいただけたら幸せだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/237
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238・小濱新次
○小濱委員 私の発言が的を外れておったということになれば訂正をしなくちゃなりませんけれども、いままでの御答弁の中から何らかの自治体に対する来年度の方針を示すべきであるという立場から私、一つの例を挙げてみたわけです。実際、私もこれは疑問のある言葉だと思っておりました。ですが、何らかの方向づけをぜひ与えてもらいたいという気持ちから御質問をしたわけでございまして、局長の御答弁でよく内容はわかります。そういう点でぜひこういう方向で努力をしていただきたいことを要望しておきます。
さらに、これも大臣からお答えをいただきたいと思いますが、今回の地方財政危機対策として交付税を一兆一千億円、特例地方債で一兆六百三十
二億円の措置をとったが、これは低経済成長に入った今日、今後の地方財政にとって後年度負担が著しく、特に住民の要望の強い福祉並びに生活環境施設を進める上でも大きな支障となることが考えられます。今回の財政危機は政府の経済政策の誤り、経済見通しの甘さから引き起こされたものであると私どもは考えます。その責任の立場からも地方税、交付税の落ち込み分を政府が補てんをすべきである、こう考えるわけでございます。しかし、国も厳しい現状においては、今回の措置はやむを得ない面もあるわけでございますけれども、問題はその償還にあるわけです。今後とも厳しい地方財政の状況から見て、交付税は、特別会計の借入金の償還については国の一般会計で全額負担するとともに、減収補てん債の元利償還金については交付税率の引き上げを図ることにより国が全額補てんすべきである、、こういうふうに考えるわけでございますが、どのように考えておられましょうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/238
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239・福田一
○福田(一)国務大臣 交付税が非常に落ち込んだことについて、見通しを誤ったことについてはわれわれも遺憾に存じておるわけでございます。そういう意味からいって、これは自治省だけの問題ではなくて国全体としての問題だと私は思うのでありまして、その意味で今後落ち込みの問題をどう処理して、またその処理した分の返還方法をどうするかということについては、従来は、四十一年に三二%に交付税率を上げましてから、両三回国からやはり交付税特別会計で借り入れまして、そしてその翌年度から返済をしておる例が恒例でございます。今回の場合考えてみますと、ことし借り入れて来年返すなどというようななまやさしい財政状態ではございません。そこでこれは二年間据え置いて、そして三年目から順次返還をするという形をとり、しかもその場合、借り入れるのではあるけれども、もちろん利子などは国で持ってもらうということにいたしておくわけであります。しかしその場合においても、三年後から返還できるかどうか、果たしてそのときにこの景気が立ち直って、そして国の税収も伸び、また地方の税収も伸びるということになりますればこれは返し得るのでありますけれども、それが返せないような状況になりましたときには、ここで自治、大蔵両省がよく話をして、そして地方財政が落ち込むために地方行政に大きな負担をかけることのないようにしなければいけないというのが覚書の趣旨でございまして、いまあなたのおっしゃるように、これは一般会計で持つのが当然ではないか、そのとき一般会計で持ったらいいではないかということでございますが、非常に国の税収が伸びたというような場合には、私は自治省としては、とにかくあれは国の方でめんどうを見てもらいたいということを言っても少しも差し支えないと思うのでありますが、いまのところ見通しがついておりませんから、そこで一応はこれはやはり地方債として地方が国から借りたという形で特交会計が借り入れて地方に配分する、こういう形をとっているわけでございまして、その意味では大蔵省の方でも無理を言って地方行政を痛めつけるというようなことはしませんよということが覚書の趣旨に出ておると私は考えておるわけでございます。その点にはそういうふうに申し入れをしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/239
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240・小濱新次
○小濱委員 財政制度を改正するとか、そしてまた税源をふやすとか、交付税率の引き上げ、いずれかの方法を政府の責任においてとるべきであると、いろいろと論議をされておるわけでございまして、大臣のお考えも伺って、そしてこれからの一層の御努力をひとつお願いをしたいということで御質問申し上げたわけでございます。
次に、私どもはこれまでも機関委任事務が増大している現状から見ても交付税率は大幅な引き上げを図らなければならない、このように主張してまいりました。したがって国と地方公共団体間の事務配分の再検討を早急に実施すべきであり、事務配分の適正化が行われるまでは当面の経済措置として八%引き上げ、事務配分を検討した結果、私どもとしてはさらに三%程度の引き上げが必要であり、合わせて四三%を上回る交付税率が必要になると考えるわけでございますが、このことについての御見解、これも大臣からお伺いをいたしておきたいと思いますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/240
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241・福田一
○福田(一)国務大臣 御意見は承りましてございますけれども、私たちは機関委任事務というものがどの程度の量を地方行政の行政費の中で占めておるかということについては、しさいにもっと検討してみなければいけない。また、この……(「これから検討するのか」と呼ぶ者あり)いやいや、再検討するというお話でございますから、もちろんある程度負担はいたしておるのでありますが、国はやはり負担しておるたてまえをとっておるのでありますが、それでは不十分であるという御趣旨だと私は思うのでありまして、その意味で検討をしてみなければならないと申し上げておるわけでございますが、いずれにいたしましても、その率がどの程度が適当であるかということについては、今後行財政の見直しを図り、さらにまた地方自治の拡充といいますか、これをどう実現していくか、また、この国税として徴収したものを一割は特交で回し、あとは補助金その他の形で地方に回していくという姿のいずれがいいのか、そういうような根本的な問題も含めて今後はひとつ研究を早急にいたさなければならない。そういう意味合いにおいて、来年度の予算、来年の秋ごろになりますと再来年のいわゆる五十二年度の景気の見通しというようなものも立ってくることでございましょう。そういうような場合に、ひとつあわせて十分検討をいたさなければならぬ問題の一つである、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/241
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242・小濱新次
○小濱委員 局長に再度お伺いしたいと思いますが、交付税率の引き上げ問題が大分論議をされているわけでございますが、これがむずかしいというならば、この事務の再配分を早急に実施をして、それに見合った財源の配分を行うべきであると私どもは考えておるわけですが、いつごろ実施する見込みなのか。早くやるように政府が腹を決めるべきだと私どもは考えておるわけですが、自治省の担当する局長としてひとつお考えを聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/242
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243・松浦功
○松浦(功)政府委員 事務の再配分の問題は実は財政局の問題ではないわけでございまして、行政局の方で本来国、地方を通ずる行政の効率化、責任性の明確化というようなことから御検討いただいております。その結論が出ると、それにどれだけ金がかかるか、いまの財源がそれで足りているか、足りていないか、こういう議論になるのだと思いますが、いずれにいたしましても、地方制度調査会等ですでに幾つかの建設的な御意見をちょうだいをしております。さしあたりそういうものの実現に向かって努力をしていくという態度は、自治省としては当然の態度であろうかと思っております。それにあわせて財源の再配分という問題の研究にも手をつける、こういうことであろうかと思います。
ただ、具体的に大臣もお話を申し上げておりましたように、五十一年度という年度はもうすぐ目の前に迫っておるわけでございまして、予算の編成は年内に行われるか年を越すかは存じませんが、いずれにしてももう一カ月しかないわけでございます。その段階においてこの問題をどうこうということを申し上げることは、できもしないことを言うじゃないかというふうに逆におしかりを受ける心配もございますので、私どもといたしましては、五十二年度を目途に、こういった事務の再配分を含めて、地方財政の基本的な制度というものにメスを入れるということにならざるを得ないのではないかということを当委員会で繰り返して御説明申し上げておるところであるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/243
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244・小濱新次
○小濱委員 自治大臣、ただいま地方制度調査会のお話がございました。そういうわけで早く実施の段階に至るように政府が腹を決めなくてはならない問題であると思っているわけですが、ぜひひとつあらゆる機会に一層の御努力を要望しておきたい、このように思います。
次に、今回国、地方ともに大幅な国債、地方債を発行することになるわけでございますが、地方自治体は地方債の消化について非常に心配をしているわけでございまして、この点について数点お伺いをしていきたいと思います。
まず地方債計画の修正による増加は一兆三千八百十二億円となっているが、そのうち政府資金は三千七百億円で残り一兆百十二億円を民間資金で充当することになっているわけです。民間資金のうち市場公募債はどの程度見込んでいるのか、また縁故債の消化はどのように考えておりましょうか。これは局長から御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/244
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245・松浦功
○松浦(功)政府委員 今回追加をいたしました地方債のうち、三千七百億円が政府資金でございます。その余は縁故資金でございます。縁故資金のうち、二千三百億円については政府資金並みに下がるまでの利子補給を大蔵省と約束をいただいておりますので、実質的には六千億の政府債相当のものが確保できたというふうにお考えいただいて結構でございます。ただ二千三百億円ぐらい利子補給がございましても実質には縁故債でございますから、三千七百億を除きましたものは全部縁故債でございます。
縁故債のうち、市場公募債は当初計画で千八百億円を見込んでおります。適格担保の問題等のこともございますので、地方公共団体の御意向あるいは引受機関との考え方の調整、こういったことを通じて、今回増発することになった縁故債のうち若干でも市場公募債をふやしていきたいということを基本の方針と考えておりますが、余り大きな金額は地方公共団体が希望しておらないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/245
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246・小濱新次
○小濱委員 現在の市場公募債の発行団体は二十二団体になっているようであります。従来大都市、大都道府県を中心に次第にふやしてきたようであります。今回また発行枠を拡大しようとしているようでもありますが、発行団体に対する今後の方針はどのように考えておられましょうか。またどのような団体にまで広げようとされるのか、非常に大事な問題でもありますので、ひとつ具体的にお示しをいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/246
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247・松浦功
○松浦(功)政府委員 先ほどの御質問に一つお答え漏れをいたしましてまことに申しわけございません。縁故債の消化の問題でございます。うっかりいたしました。
縁故債につきましては、自治、大蔵大臣の間で覚書もございますし、先ほど銀行課長から銀行局長名の各金融機関に対する指導通達が出ておることも御説明申し上げたとおりでございますので、それで何とか消化ができるものと考えております。もしそれでもなお具体的に、ある団体で消化が不可能であるという団体が出てまいりました場合には、こちらの方であらかじめ御通知を申し上げておきますが、すぐ自治省に申し出ていただきたい。そうすれば自治省の方から大蔵省にかけ合います、日銀の方にもかけ合います、こういう態度でおりますので、まず消化については無理がなく行えるもの、またそうあってほしいものだと私は考えております。
市場公募団体の問題でございますが、先生御指摘のように、旧八団体と申しまして、東京都、大阪府、兵庫県、大阪市、横浜市、名古屋市、京都市、神戸市、旧八団体、これに対しまして四十八年度に十団体を追加しております。それが北海道、神奈川県、静岡県、愛知県、広島県、福岡県、札幌市、川崎市、北九州市、福岡市でございます。さらに五十年度には地方団体の御要望もございまして、千葉県、埼玉県、京都府、宮城県を追加いたしております。合計現在では二十二団体が市場公募債の発行団体になっております。この団体を将来どうするかということになりますと、やはり市場公募が適格性を持っているというようなことから、地方公共団体が御希望になるならばある程度私どもの方はふやしていってもいいではないかということを考えております。現実にどこまでふやすかということになりますと非常にむずかしい問題でございますが、やはりある程度大きな団体で信用のある団体、信用というと非常におかしゅうございますが、大きな団体で財政力のある団体というようなことを一つの基準にせざるを得ないと思っておりますので、当面都道府県の中で御希望の強い向き、あるいは金融機関について了解の得られるようなところについては御指定を申し上げたらいかがだろうか、こういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/247
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248・小濱新次
○小濱委員 希望するならば今後かなり広めていく考えだということでございますが、たとえば、先ほどもいろいろ県別に名前を挙げていただきましたが、府県でもかなり残っているわけですね。その府県に対しては全部なのか、そういう方向で考えておられるのか、あるいはまた、市は指定都市のみということになっているようでありますが、この県庁所在地、そういう市に対しては全部なのか、それ以外はどういうふうになるのか、私どもいろいろ考えをめぐらしているわけですが、まあ希望するならば今後かなり広めていきたいということで尽きるようでありますけれども、やはりもう少し具体的に方向をお示しいただきたい、こう思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/248
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249・松浦功
○松浦(功)政府委員 団体によりましては当該関係の金融機関、いままでのいろいろ縁故のある金融機関が非常に資金を持っておる、当該団体に協力度も強いというところになりますと、そういう形で縁故を取った方が市場公募よりは有利になる。そういう団体は市場公募債を発行したがりません。したがって、私は一概にどうというわけにはまいらないではないかと思いますが、いままでの一つの基準でも、やはり人口がある程度まとまった団体であること、あるいは市場公募の発行の金額が一定金額であるものというような条件をつけてやってきたようでございます。その基準を緩和しないと、もうすでに指定する団体はございません。したがって、その条件にある程度検討を加えるとともに、地方公共団体の御意向、また指定をいたしましても金融機関、証券側が協力しなければどうにもなりません、そういった団体の御意向も承りながら、できるだけ広げるという方向では検討いたすつもりでございます。
具体的にお答え申し上げることは御容赦をいただけたら幸せだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/249
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250・小濱新次
○小濱委員 たとえば資金調達能力の弱い、そういう団体もありますわね。そういう団体に対してはどういうお考えをお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/250
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251・松浦功
○松浦(功)政府委員 私どもは、資金調達能力の弱い団体だから市場公募にするのではないのでございまして、資金調達能力がない団体には、何ら手間が要らない政府資金をできるだけ配る、これが自治省のたてまえでございます。したがって、今回の減収補てん債についても、追加公共事業の裏負担の地方債についても、政令市を除く市町村には全額政府資金を配付をするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/251
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252・小濱新次
○小濱委員 まあ能力が弱いとか、ないとかということで、いろいろわかってまいりました。政府資金で充当をしていく考えなんだ、ない団体に対しては、こういうことですから、よく理解ができました。
もう一点局長にお尋ねしておきたいのですが、市場公募団体に指定されないような地方団体の縁故債の資金の調達を図るために、公営企業金融公庫を改組し、地方団体中央金庫を創設するなど、何らかの措置を講ずべきではないか、こういうふうに考えます。最近の新聞紙上ではこういう記事が大分出ておったようにも見ておるわけですが、局長から御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/252
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253・松浦功
○松浦(功)政府委員 この構想は、先生御承知のように非常に長い歴史を持った構想でございまして、大蔵省との間に意見の調整ができずに今日まで実現を見なかったという経緯のある問題でございます。私どもといたしましては、自治省が常に御要望申し上げておる政府資金量というものはなかなか、大蔵省の御意向によって確保できない、そのために地方債計画の中の多くの部分が縁故債になっていくということから、こういう問題が発生してくるわけでございます。特に、本年度もさようでございましたが、明年度につきましては政府資金が本当に底をついている状況でございますので、私どもは、通常の姿で御要求申し上げる政府資金についての確保の問題も非常に問題が出てくると思うのでございます。そういう場合においては、政府資金に肩がわりする形として、公庫で金を募集して全国一本で地方債の手当てをするというような道が開けたら、非常に地方公共団体はいままでの苦しみから逃れることができるのではないだろうかというふうに考えております。したがって、先生の御指摘をいただきました問題は、自治省の長年の悲願であると同時に、来年度あたりにおいては本気でこれに取り組まないと、地方公共団体が地方債の消化ににっちもさっちもいかなくなるという事態が出てきはしないかということを恐れておりますので、せっかく御指摘をいただきました問題でございます、私ども前向きにこの問題を大蔵省と取り組んでいきたい、ごく積極的に取り組んでいきたいということを、この前の委員会でも御答弁を申し上げたところでございますが、そういうふうに御理解をいただけたら幸せでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/253
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254・小濱新次
○小濱委員 局長から力強い御答弁をいただきまして、ぜひひとつそういう方向で御努力を強く要望いたします。
次に、大臣にひとつお答えをいただきたいと思います。自治大臣、お答えをいただきたいと思いますが、今回の財政危機に対する政府の税の減収見込みは、当初より次第に多くなってまいりました。最終的に国と地方の落ち込みは、今回の予算並びに地方財政対策のように見込んだわけですけれども、これは九月決算が未確定のままに算定したものであるわけですが、減収見込み額の算定の根拠はどこにあったのか。仮にこれ以上税収入が落ち込んだ場合にはもう一度補正予算を組まなければならないが、そのような事態が生ずることはないと考えておられますか。もしあったらどのように対処されるのか。いろいろと私どもも大きな関心を持っている問題でございますので、御答弁をいただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/254
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255・首藤堯
○首藤政府委員 税収額の算定等の問題でございますので、私からお答えさしていただきます。
ことしの税収の減の見込みは、ただいま御指摘をいただきましたように、当初夏の初めごろ考えておりましたものよりだんだん大きくなりまして、事態が深刻でございまして、ついに国税の方も地方税の方も非常に大きな金額に到達したのは御指摘のとおりでございます。
この算定の見込みでございますが、いままでの、ことしに入りましてからの税の徴収実績、これを基礎にいたしまして、国税も地方税もまあ根っこの基礎は同じことになるわけでございますが、それを細かに積み上げまして、将来の見込みも勘案をしながら、このような金額を算定をいたしたわけでございます。もちろん、ただいま御指摘をいただきましたように、法人関係では九月決算期の会社の税の動向がかなり大きなウエートを占めるのでございますけれども、この九月決算期の会社の決算まで待ちますと、十一月の末、十二月にならないとこれが的確につかみ得ませんので、こういった緊急の事態に間に合わすためには、大体八月末の調定状況ないしは九月も大方見当がついておりましたので、八月及び九月時点までの調定状況等を基礎にいたしまして、大蔵省とも詰めまして計算をいたしたものでございます。したがいまして、後非常に大きな経済変動でもまた出てくれば、もちろん見込みでございますので、このとおりびた一文違わないで済むという確言はなかなかむずかしいのでございますが、現在の状況では、このままの状況で推移をすればそう大した差はなく、この程度の額でおさまるもの、このように私ども考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/255
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256・小濱新次
○小濱委員 そう大差はない、一応大丈夫と思う、こういうことでございますが、勘とか経験というのはよく狂いが生ずるものでして、非常に関心事となる問題でございまして、ぜひひとつ、もう一度補正予算を組み替えなければならないとか、いろいろな問題が起きないように、これはお互いに努力をしなければならない問題だと思いますが、一層の努力をお願いしたい、こう思います。
大蔵省の宮本銀行課長さんにお尋ねしていきたいと思います。今年度の財政危機によって、地方団体は一般会計あるいは企業会計の起債の獲得が非常に困難とされているが、そのほか特に急増地域においては、土地開発公社、学校建設公社の融資が受けられず非常に困っているという事例がございます。
そこで最近、自治体はこの融資をいままでの取引銀行だけに頼ることがほとんど不可能な状態であり、相模原のように、その苦肉の策として公社資金の融資団の編成に取り組んでいるところがあるわけですが、これが引き受け割合の点で話し合いがつかず難航しているというのが実情のようでございます。大蔵省としては、地方公社の融資問題についてどのように考えているのか、こうした融資団に対してどのように考えているのか、また今後どのように指導していくお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/256
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257・宮本保孝
○宮本説明員 われわれといたしましては、金融のあり方といたしまして、従来、産業金融といいますか企業金融に偏っておりましたものを、最近の行財政需要の高まり、それからまた今後財政主導型の経済に持っていくんだという基本的な見地から言いましても、公共部門への資金配分につきましては、十分積極的に協力していくべきであるということで従来から指導いたしておりまして、最近も財務局を通じまして各県の実情を聞いたわけでございますが、いま先生御指摘の協調融資団いわゆる引き受けシ団の結成がかなり進んでおるようでございます。私どもといたしましても、そういう地方公共団体あるいは地方公社等に対します資金配分につきましては、地元の金融機関が中心になりまして、積極的に応ずべきであるということで指導いたしております。
ただ、一部の地方公社等におきましては、非常に長期的な計画もなく、言わしていただければ財政的にやや放漫な点もないわけではございません。したがいまして、金融機関側といたしましても、地方公社等に対します融資につきましては、十分その貸し出し内容等を審査して、両者が協力して十分話し合いの上、適正な資金需要であれば積極的に応ずべきであるというような基本的な考え方で対処いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/257
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258・小濱新次
○小濱委員 直接に銀行局としては耳にしてないかもしれませんけれども、地方の財務局には相当こういう問題が入っているだろうと思います。そしてまた、そのことが銀行局の方にも入って、いろいろと自治体の窮状というものを勘案して、私どもはぜひこういう地元の要望を実現してあげたいと思っておるわけですが、どのように指導し、協調しておられるのか、取り持ちをやる程度にしても、どういう取り持ち方をするのか。これは大蔵省の銀行局の指導がなければ地元ではなかなか進んでいかない、そういう複雑な内容があるようでございます。時節柄ということもあるでしょうけれども、一般論としては当然これはいいのでしょうが、銀行局としてはこれからどういう方向でこれに積極的に取り組んでいかれるのか、方向づけを具体的に示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/258
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259・宮本保孝
○宮本説明員 その点につきましては、われわれは、たとえば全銀協、地銀協あるいは相互銀行協会等の集まり等におきましても、積極的にそのところに出席いたしまして、そういう面の積極的な協力につきましては、実は要請をいたしておるところでございますし、また財務局等にも言いまして個々に——これは銀行によってかなり違うのでございます。首都圏とか近畿圏近辺の都府県にございます地元の金融機関が特に困っておるようでございます。そうでない府県におきましてもいろいろと問題があるようでございますので、財務局あるいは財務部等に具体的に話を持ちかけてきてもらいまして、ケース・バイ・ケースで、そういう話がありました場合には相談に応ずるし、あるいは本省からも直接にそういう地元の金融機関を指導していくというふうな方法をとっております。
一例を申し上げますと、たとえば去年の十二月に大口融資規制の通達を出したわけでございます。これは地方公社等に対します貸し出しにつきましても大口融資規制の通達を適用いたしたわけでございますけれども、これを余り厳密にやっておりますと非常に困ってしまうところもあるようでございます。そういう場合には、特に自治省の方からもときどきお話があるのでございますけれども、個別にお話をちょうだいいたしまして、たとえば、いま大口融資規制の規制にはひっかかるけれども、二年後にはまた——現在、普通の銀行でございますと、自己資本の二〇%以上は貸してはいけないことになっておるわけでございますが、それをたとえ超過いたしましても、一時的な超過につきましては結構であるということで個別に承認を与えまして、そういう大口融資規制の通達をも部分的に緩和した運用をいたすというようなこともやっておりまして、個別のケースにつきましてできるだけきめ細かな指導をしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/259
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260・小濱新次
○小濱委員 大蔵省としては積極的な協力をしているということでございました。そして、具体的な持ち込みがあれば相談に応ずる、いまそういう御答弁のようでございましたけれども、私の申し上げている内容というのは、いろいろな地域で起こっている事例がここへ来ているわけです。大蔵省としては、持ち込んでくれば相談に応ずるというのじゃなくして、早急に実情というものを調査して適切な措置を講ずべきではないか、こう私は聞いているわけです。これからの方向づけというものをお尋ねしているわけですから、ひとつ見解を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/260
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261・宮本保孝
○宮本説明員 その点につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、本日付で、これは一般論でございますけれども、銀行局長通達をもちまして、地方公共団体等からの資金需要には積極的に協力するように通達を出したところでございまして、その通達に基づきまして、これから一般論としてはそういうことでやってまいりたいと思います。また個々にも、私どもといたしましてはすでに財務局を通じまして、各県あるいは各市町村等の実情をヒヤリングをいたして聞き出しております。そういう点に基づきまして、きょう、後ほどお配り申し上げましてここに御提出さしていただきますけれども、そういう通達を出しましたことでもございますので、その基本的な方向に従いましてさらに具体的な行政をやっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/261
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262・小濱新次
○小濱委員 自治省としてはどうでしょうかね、こういうものについての要望等はしたことございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/262
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263・山本悟
○山本政府委員 ただいまの御質問でございますが、自治省といたしましては従来からも選別融資の規制なり大口融資の規制なり窓口融資の規制等の場合におきまして、金融政策上の諸規制に対処いたしましてこういった関係が円滑にいくように、いま申し入れを大蔵省にもいたしているわけでございます。
また、具体の問題といたしましても、この公社等につきましてただいま大蔵省の方からお話のございましたような事例につきましては、別の問題といたしましてもやはり御相談をし、金融の円滑化についての依頼をする、こういうようなことでいたしてきているわけでございまして、これからを想定いたしますと、やはり国債、地方債その他非常に金融関係で需要が多くなってまいりまして、公社関係というものに回る余地があるのかどうかという点も心配されるわけであります。こういった問題につきましても、全体論もございますが、個々具体論といたしましてもよく実情を聞きまして相談をかけていきたい、また県等を通じまして指導もしていきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/263
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264・松浦功
○松浦(功)政府委員 一般論としては山本官房長の方からお答えを願ったのでございますが、私どもの方の仕事の面からながめますと、公共事業あるいは直轄事業等の先買い、国との協議が整ってあらかじめ先行取得しているものはなかなか国から買い取ってもらえない、そのために資金が滞留して困るという一面もあるやに承っておりますので、先般大臣の指示をいただきましたので、各省にできるだけ早くそういった形の先買いの土地を買い入れてくれるように、そうすればそれだけ資金繰りが楽になるわけでございますから、そういうお願いも財政局としては繰り返してまいりたいと考えておりますので、一言付言さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/264
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265・小濱新次
○小濱委員 自治大臣に申し上げておきたいのですが、いまお聞きのようにこのシンジケートという融資団の問題につきましては、相模原の場合は五十五年度までに小中学校二十六校を建てる、これはもう何をさておいてもやらなければならない教育行政であります。それから六十年度までには高校を七つ欲しいわけです。そういうことからして非常に悩み苦しんで土地開発公社、学校建設公社、この働きを通していままでおくれた行政を一生懸命取り戻してきた。しかし追っかけされない。こういう不況になってまいりますと、今度地方銀行ではなかなか金が出てこなくなってきた。そういうことで、このシンジケートといわれるような融資団の話は積極的に動いているのですけれども、時が時だけに、この引き受け割合のことでどうにもならないのです。そういうことから、その実態を私どもよく知っておるものですから、これから一層の協力をしてやってもらいたい、こういう内容を説明をしながら御答弁をいただいているわけでございまして、ひとつこれは自治大臣、大いに御努力をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/265
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266・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま一般論といたしましては財政局長からも申し述べましたとおり、土地の先買い等をいたしておりまして、国が行う仕事であって先買いをしてはどうかというような示唆もあって、公社、公団等が買っておるものも相当あるわけですね。そういう意味でいま言われたように、たとえば相模原市の場合にもそれがあると思います。その種のものは私は来年度予算においてはぜひ国として予算措置をとってもらって買い上げてもらう、こういうことにしますと、その地方の銀行としてもある程度のゆとりがまたできてくるわけです。そういう点を実は私非常に重要な来年度の予算編成の一つの項目として考えておるわけであります。
これは予算委員会でもそういう要望もありましたが、建設省がたとえば道路をやるから先にあそこを買っておいたらどうかというので公団に買わしておるとかというのがあります。中に滋賀県のような妙なもの、まだ処置ができないものまでやることはもちろんできませんけれども、いまお話しのような相模原市のような場合においては、小中学校の土地の問題で買ったもの——私具体的には知りませんよ、あなたのところの内容を知らないから。あるいは道路をやる場合に先買いした分があるというようなことであれば、ぜひ来年度はそういうものはひとつ解決をするようにしたいと思います。
それからどうあっても、いわゆる引き受けシンジケートをつくってみてもなかなかうまくいかないというところがあれば、それは自治省の方に言っていただけばすぐにでも大蔵省に言って大蔵省からしかるべき措置によって——私はそれまでは言う必要はないので、日銀と相談されるかあるいはどういう方法をとられるか知りませんけれども、必ずその分については努力をするという約束を取りつけておるわけでありますから、その意味で問題は十分に解決ができるものと信じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/266
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267・小濱新次
○小濱委員 こういう自治体があることをよくひとつ御認識いただいて御努力をお願いしたい、こう思います。
それでちょっと前後しますが、局長にもう一点お尋ねをしていきたいと思いますが、現在の交付税の算定は人口十万の都市が基準とされており、人口急増地域においては急増補正などきわめて微々たるものであり、実際の算定基準より大幅な需要が生じております。人口急増という特殊事情を反映させなければこれらの市町村はパンクしかねない。特に最も金のかかる義務教育施設について起債の元利償還の交付税算入率は、用地の場合現在三〇%ないし五〇%などがあるわけです。また建築については六〇%となっているわけですが、元利償還金については全額基準財政需要額に算入すべきであると当該市町村は強く要望をしている。こういうところがあるわけですが、この点についての御見解、局長からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/267
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268・松浦功
○松浦(功)政府委員 いろいろとこれまで長い経緯がございまして、だんだんと実態を研究しながら算入率をここまで引き上げてきたわけでございますので、これをにわかに直すということは交付税制度全体にきわめて大きな影響を及ぼしますので、軽々にお答えを申しかねる問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/268
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269・小濱新次
○小濱委員 私は実情を一つの例を引いてお話を申し上げているわけです。こういう要望があるということでお話を申し上げたわけですが、いろいろな影響があるからそれは不可能なんだということですから、局長の御答弁だけでこれはやめておきます、大臣に聞いても、ちょっと御無理かと思いますので。
厚生省来ておりましょうか。自治体病院は、いろいろと御質問が出ておりますが、どこの病院においても多額の累積赤字を抱え、経営がきわめて困難な状態にあり、加えてこれまで一般会計から多額の繰り出しを行い、病院の経営の改善に努力をしてきたわけでありますけれども、現在のように一般会計においても大幅な税の減収が予想されるような状況にあっては、今後は、一般会計からの繰り出しは不可能となることが当然考えられるわけでございます。
自治体病院の赤字が生ずる要因は、もっぱら不採算部門と高度医療部門を自治体病院が受け持っているからである。具体的例を申し上げますと、神奈川県茅ケ崎市立病院の場合には、累積赤字が四十九年度において一億四百万円にも上っている。また一般会計から繰り入れられた金額は、四十九年度七億二百万円、五十年度は六億五百万円という巨額の金額であり、これらの巨額の金額を繰り入れてもなお多額の赤字が生じているのが実情になっているようであります。
厚生省は、このような実情をよく把握した上で、赤字の要因である不採算部門に対する助成、高度医療対策について抜本的な方策を講ずべきである、このように私どもは考えるわけですが、所見を承っておきたい、こういうように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/269
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270・岸本正裕
○岸本説明員 厚生省といたしましては、従来から自治体病院の果たすべき公的な使命にかんがみまして、がんとか救急、小児医療、リハビリテーション等の特殊診療部門の整備に要します経費あるいは病床が不足している地域におきます病院建設に要する経費に対しまして助成を行ってまいりました。さらには僻地医療とか救急医療を担当している病院に対しましては、運営費をも補助することによりまして自治体病院による地域医療の確保の推進を図ってまいったところでございます。今後これらの施策に重点を置いてその充実に努力してまいる所存でございます。
昭和五十一年度におきましては、これら補助単価の引き上げ並びに運営費につきましては、救急医療部門の対象範囲の拡大とか、がん診療部門の新規対象等の改善を図るよう努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/270
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271・小濱新次
○小濱委員 岸本課長さんにひとつお尋ねしておきたいのですが、このいただきましたいろいろな資料の中から拾い出してみたわけです。国の財政措置は、不採算医療という問題で具体的な内容を取り上げてみますと、昭和四十九年度において不採算地区に対して二億四千万円が出たわけですね。これが最終決定になっています。それで五十年度、不採算地区に対して二億四千七百万円。七百万円がふえたという内容になっております。
〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
同じく五十年度の救急部門において、新しく二億五千六百万円、これが新設されました。それから五十一年度に不採算地区に六億一千四百万円、それから救急部門で八億二千六百万円、さらに新たにがん医療部門二億六千四百万円、これは概算要求を大蔵省になさっておられるようです。このがん診療部門について、五十年度に一遍削られたことがあります。今度また新たに出てきたようですね。このいきさつについて御存じなら少し説明をしていただきたいと思いますが、御無理でしょうか。——それじゃ次に進みます。
この予算要求額を大蔵省は認めるべきだとわれわれは考えているが、努力してもらいたいと思います。厚生省は、この予算を絶対確保するように一層の御努力をお願いしたいとわれわれ思っているわけです。地方自治体病院の赤字対策ということについての要因がいまお話ししましたようなこういう内容になっているわけですから、ぜひともこの実現を図っていきたいと思うわけですが、これについてひとつ担当課長として考えを示しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/271
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272・岸本正裕
○岸本説明員 先生いまおっしゃいましたように、私ども来年度は大幅な運営費助成の増額を要求しているわけでございます。われわれといたしましても、自治体病院が特殊高度診療部門等におきまして、いわゆる公的使命を果たすことを促進するために、このような要求をいたしておるわけでございますが、この実現に最大限の努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/272
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273・小濱新次
○小濱委員 自治大臣にお願いしておきたいのですが、自治体病院の赤字経営の挽回を何としてでも図っていかなくちゃなりませんが、厚生省でいま申し上げたような国の財政措置の概算要求が大蔵省に出ているわけです。これが出てまいりますと大分潤っていけるわけですけれども、自治体病院という良心的医療の立場からの特殊性というものを考えまして、これは当然大きな御関心を持っておられる担当大臣でありますから、万全の措置をとっていただきたいと私も考えているわけです。いろいろと閣僚の集まりもあるでしょうし、これから概算要求がどのように具体化されていくかわかりませんけれども、自治体病院の赤字対策ということで不採算医療という問題が要因になっている、その問題に厚生省としては努力をして、自治省としてもバックアップをしてもらう、こういうことが自治体病院に大変朗報をもたらすことにもなるわけでして、大臣の御所見を承っておきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/273
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274・福田一
○福田(一)国務大臣 お説のように、自治体病院の赤字の問題は近年とみにその解決の必要性が言われておるのでありまして、私としてはこれはぜひ厚生省に対して強く要請をいたしてまいりたい。ただ、これから自治体病院をつくられるような場合にはよほど慎重にやっていただきませんと、いろいろの問題もございますから、いままでのやつはどんどんこういうふうになったからといって、余りつくるようなことになりますと、またこれがいろいろの問題を起こす可能性もあるので、その点はわれわれとしても関心を持って見守っていきたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/274
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275・小濱新次
○小濱委員 関心を持って見守っていくという——もう一歩ひとつ大臣の決意を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/275
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276・福田一
○福田(一)国務大臣 いや、いままでの分はよくわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/276
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277・小濱新次
○小濱委員 一層の御努力を強く要望したいと思います。
私も、約束の時間でございますし、協力をするということでございまして、また、重複する点は大分削除いたしましたので、これで終わりますが、いまのような窮状というものをよく御理解願って、これからも一層の御努力を強く要望いたしまして質問を終わりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/277
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278・福田一
○福田(一)国務大臣 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/278
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279・大西正男
○大西委員長 細谷治嘉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/279
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280・細谷治嘉
○細谷委員 法案の審議も大体大詰めに参ったようでございますが、私も率直に御質問を申し上げますので、ひとつ率直な御答弁をいただきたいということをまず要望しておきたいと思います。
質問に入る前に、大変重要な問題が新聞記事に出ておりまして、ある意味では私の質問の、これが事実とするなら前提条件にもなるわけでございますので、お聞きをしておきたいと思います。
これはある新聞で「参院予算委審議から」、こういう記事の中でこういうことが書いてございます。見出しは「救われぬ地方財政 政府に欠ける本格対策」、こういう見出しの記事でございまして、ちょっと読んでみます。「自治省には一つ、足かせがかかっている。この夏、当面の地方財政危機対策を大蔵省と話し合ったとき「国も台所が苦しいのだから、交付税率の引き上げなど地方財政制度の改革問題には当分触れない」という休戦協定を結んでしまったのだ。」こういう新聞記事でございます。交付税率の問題について、こういう休戦協定が結ばれておるのかどうなのか、自治省、大蔵省の率直な御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/280
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281・福田一
○福田(一)国務大臣 参議院の予算委員会においてもお答えをいたしたのでございますが、そのようなことは全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/281
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282・細谷治嘉
○細谷委員 自治大臣がそういう休戦協定はないということでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/282
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283・福田一
○福田(一)国務大臣 根も葉もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/283
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284・細谷治嘉
○細谷委員 私はそれを信用いたします。
そこで具体的な質問に入っていくわけでございますけれども、この法律案が国会に出されたのは、先月の十七日でございます。その後いろいろなことがこの法案の取り扱いをめぐって新聞記事に出ております。
そこで大蔵省がいらっしゃいませんのでお聞きしたいのでございますけれども、十月二十六日のある新聞で「進まぬ補正審議 自治体財政干上がる 一兆円の交付遅延」という記事で大蔵省の見解が書かれてございます。私はこの記事を見まして、自治省が言うならともかくとして、大蔵省がこういう地方団体の支出等について、給料の支払いにも支障なんということを言ってあるかのごとく書いてあるところに一つの問題点があると思うのでございますけれども、これを受けまして自治省財政局財政課長の話として、この大蔵省の見解に対して二十七日に緊急実態調査をして何とか対応策を講じたい、こういうことを談話として新聞で発表しております。この緊急実態調査というのは、理事会からせんだって委員会に出されたのが緊急実態調査の内容なのかどうか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/284
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285・松浦功
○松浦(功)政府委員 本人からもお答えすると思いますが、私はそういうふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/285
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286・石原信雄
○石原説明員 その新聞の記事は、たしか日曜日の夜だったですか、どういう記事が出るのか私知らなかったのですけれども、どうなっているかという話がありまして、非常に困っている、そこで月曜日の日に電話照会で都道府県につきまして資金繰りがどういう状況になっているかを調べることを予定しておりましたから、そのことを、尋ねてこられた記者の方にはお答えいたしました。その結果は先般資料として御配付申し上げた都道府県の資金繰りの状況の資料でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/286
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287・細谷治嘉
○細谷委員 あなたのあれは大蔵省の発言、そういうものをお聞きした上で調査に入ったのですか、どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/287
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288・石原信雄
○石原説明員 私は大蔵省の方でどういう取材をされたか、そういうことは全然知らないで、どうなっていますかというお尋ねがありましたので、各自治体からどうなっているどうなっていると非常にせっつかれておりましたから、二十七日に調べるという予定をしておりましたので、その旨をお答えしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/288
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289・細谷治嘉
○細谷委員 このことが本題ではありませんから、これ以上議論しませんけれども、ただ私は二十七日の自治省の調べ、これが理事会のあれになりまして、そしてそれが新聞記事に十月二十九日に出ております。これを見ますと、たとえば四日に交付を決めて、そのために資金計画を立てておった。ところが四日に交付されないものだから毎日毎日利子で三億円損をしている。中には資金繰りがつかないところもある、こういう内容でございます。これはちょっと素人が読みますと、まさしく法律案の審議というものを、この新聞記事で国会の審議を抑制する、抑えてしまう、こういうことになりかねない内容として受け取られがちでありますけれども、どういうふうに思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/289
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290・石原信雄
○石原説明員 私は、取材した記者の方がどのように新聞記事を構成されるか、その辺までは存じておりませんでしたけれども、お尋ねがありましたので、各自治体から早くやってほしい、資金繰りが非常に困るということを毎日のように言われておりましたから、率直にその実情を記者の方には申し上げたわけでございまして、その取材によってどのような記事がつくられ、またそれが国会審議との関係でどういう影響をもたらすかというところまで考えて答えたわけではございません。率直に各自治体から毎日のようにどうなるかというお尋ねを受けている点をお答えしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/290
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291・細谷治嘉
○細谷委員 そこで今度は十月三十一日になりますと、いつまでに交付税が来ないとこれだけ赤字になる、こういう新聞記事が全国出納長会の調査に基づいて全国知事会の名において新聞に出ております。
たとえば交付税が交付されるのが十一月十五日になりますと、歳計現金の赤字は千百七十四億円、十八道府県に及ぶ、こういうことでありまして、借入金は三十二県で二千五百六十八億円。十一月三十日に交付された場合には千六百二十三億円の歳計現金の赤字で、借入金が三千三百十二億円、こういうふうになります。ところが、交付税が十一月末に交付された場合には五千九百十億円の黒字になる、こういう形で書いてございます。
全国知事会の記事として正確に読みますと、赤字というのは歳計現金の赤字、こういうことに書いてあるのですからいいわけですけれども、一般の人から見ますと、交付税の一兆円ばかしの交付がおくれたのがもう何千億円という赤字になる、こういうふうに読みかねない記事になっております。しかも、交付税がありますと、三千三百十二億円の借入金が一気に五千九百十億円の黒字になってしまう、歳計現金の残高になる、数字も合わないのですね。自治省もかかわり合っている問題で、いま地方財政の問題が真剣に論議されている段階にこういう形の記事が出るということは、全部が間違った記事だとは申しませんけれども、一般の人には大変な誤解を抱くような記事内容であった。しかもそういう問題に自治省が関連しているということに重大な関心を寄せざるを得ないのでありますけれども、私の一連の質問に対して、大臣なり局長、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/291
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292・松浦功
○松浦(功)政府委員 財政課の方で各府県の方から実情を調査したということは、実際問題として私どもの職責の範囲内で当然のことでございます。知事会の方の御調査になったことは私どもは関連のないことでございます。どういう御発表のなされ方をしたかあるいはどういう表のつくり方をされたか私どもよく存じませんので、それに対する論評は差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/292
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293・細谷治嘉
○細谷委員 大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/293
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294・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま財政局長がお答えしたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/294
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295・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、財政局長がお答えしたとおりですということでありますけれども、いま私が記事を拾ってこの経過を申し上げましたね。いろいろ記事内容について一般の国民があるいは自治体が大変誤解を生じやすい記事があり、しかも自治省の緊急調査もかかり合っていることでありますし、しかもこの問題について大蔵省がくちばしを入れて新聞に発表している、こういうことになりますと、やはり混乱が起こっておるのではないかという気がいたしますので、今後ひとつ十分な御配慮を要望しておきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/295
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296・福田一
○福田(一)国務大臣 この種の問題、よく新聞のニュースとの関係が出るのですが、これは新聞のことを私も二十年やっておりましたけれども、言ったとおり出る場合もあるし出ない場合もありまして、全部が全部その責任を役所で負うというのもいかがかと思うのです。しかしそれならば、そんなことを言ったら実際には記事が書けなくなるのですね。大蔵省でも自治省にしても、記者が来たら全部何でも内容を話してしまったんでは困る場合があるのです、特に人事の場合なんかしょっちゅう出るのですけれども。でありますから、ある程度は推定で書かれる場合もありますし、それまでとめるということが果たしていいことか悪いことか、私はこれもやむを得ないことだと思う、新聞のことから言えば。したがって新聞がどういうように書かれたからといって、これを全部役所の責任にするというのもなかなか問題があると思っております。ここいらは相互に相補完し合って、できるだけ新聞の方もそういうミスがないように、また行き過ぎがないようにしていただくようにお願いしたいし、またわれわれとしても、できることならばできるだけ発表して、正確に新聞の方にお伝えをするような努力をする、こういうことで問題を今後も処理をしていかなければいけないのじゃないか、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/296
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297・細谷治嘉
○細谷委員 もうこれ以上申し上げません。
そこで御質問したいわけであります。今度の法案の第二条に、「地方税の減収により、地方財政法第五条第一項ただし書の規定によつて地方債を起こしても、なお適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に不足」云々と書いてあります。私は少し神経質な質問かもしれませんけれども、ことさらこの第二条に「適正な財政運営」というように、「適正な」という三字をどうして入れたのか。と申しますのは、今度の地方制度調査会の七月二十三日の答申の十四ページを拝見いたしますと、「地方税、地方交付税等について地方財政計画上見込まれている歳入額に欠陥を生ずることとなった場合には、国において、当該年度における財政運営に支障をきたすことのないよう」と書いてあるのです。適正な財政運営というのは地方制度調査会の言葉にもないわけです。ことさらこの三字を入れたのは、何か意図がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/297
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298・松浦功
○松浦(功)政府委員 意図はございません。財政計画に即して適正に、こういうふうに御理解いただければ結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/298
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299・細谷治嘉
○細谷委員 「適正な」ということについてはことさら意図はない、言ってみれば、なお財政運営を行うにつき必要とされる財源、こういう意味と実態は変わらない、こういうふうに確認してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/299
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300・松浦功
○松浦(功)政府委員 そこはちょっと意見が違うのでございまして、「財政運営を行うにつき必要とされる財源に不足を生ずると認められる場合には」と読みますと、私どもは財政計画を基礎に物事を計算しているという前提でのお尋ねでございますればそのとおりで結構なんでございます。それを外してしまって適正か不適正かという議論になると議論が分かれますので、あくまで地方公共団体の地方税の減収、これは財政計画からの減収なんであって、その減収を埋めれば適正な運営ができるんだ、こういう簡単な理解で私どもはこの字句を入れたというふうに御理解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/300
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301・細谷治嘉
○細谷委員 そういうことなら理解しますけれども、わざわざ制度調査会ではどう言っているかというと、いま言ったように「当該年度における財政運営に支障をきたすことのないよう適切な措置を講ずべきである。」こう書いてあって、適正な財政運営に支障を来すことのないようという字句じゃないわけですよ。これは地方財政についての制度調査会の答申というのは、ある意味では重要な指針ですね。そういう言葉でないのに、ここにわざわざ入れたというところには何か隠された野望があるのではないか、こう私は思いましたので、それがなければ私は理解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/301
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302・松浦功
○松浦(功)政府委員 したがって、あるいは先生のこれから御質問なさろうとしておられることに先に触れるかもしれませんが、交付団体であるか不交付団体であるかを問わず、財政運営がわれわれの目から見て妥当であるか妥当でないかを問わず、そういうことと一切関連なしに全く交付税の基準財政収入額の算定方法、それによる減収はすべての団体に埋める、こういうように御理解いただいて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/302
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303・細谷治嘉
○細谷委員 その点を確認いたしまして次に移りたいと思います。
今度の地方財政計画に予定いたしました、計入いたしました税収見込み、これらがはからずも、というよりも必然的なものであったかもしれませんけれども、はからずもとしておきましょう、一兆六百三十二億円法人二税が落ち込みが起こった。だとするならば、第二条に書いてございますように、地方税の減収の補てん債として一兆六百三十二億円を措置するわけでありますから、考えていくわけでありますから、わざわざ「第五条第一項ただし書の規定によって地方債を起こしても」なお足らない、余りものについて一兆六百三十二億円を補てんしていくというのは筋違いではないのか。ずばり一兆六百三十二億円というのは税収の落ち込みによって地方財政計画を変更したわけでありますから、標準税収に戻して、それを一〇〇%補てんするということでございますから、筋合いとしては財政法五条の規定で充足してなお余ったものについてやるというのはおかしいのではないか、こう思います。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/303
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304・松浦功
○松浦(功)政府委員 先生の御指摘をいただきました方法もりっぱな考え方の一つだと思います。私どもが考えておりますこともりっぱな考え方の一つであると思います。どちらをとるかの問題は、これは考え方の問題だろうと思うのでございます。私どもは初め、先生のような発想のもとで法律をつくるということも検討いたしてみました。しかし少なくとも地方財政法五条というものが原則にあるわけでございますから、その原則を貫いてなおかつできない部分については地方債の対象を広げる、こういうことでいく方が、より現在の地方財政法五条の精神に沿うのではなかろうか、こういうことでやったわけであります。財政計画上の観念から申し上げますならば、いままで一般財源が充当されておったところに地方債を五条関係で充当いたしますから一般財源が余ってくる、それと、五条に該当しない部分の適債事業の範囲の拡大で認められた地方債の全体を合わせれば、これが、先ほどもお答え申し上げましたように、一般財源的に全部使えることになる、こういう考え方でございます。したがって私どもは先生の御発想を否定するつもりは全然ございません。りっぱな考え方の一つであろうと思いますけれども、われわれとしては五条を一応充当して、不足部分に適債事業の範囲を広げるという考え方が妥当であると考えてやった措置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/304
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305・細谷治嘉
○細谷委員 私が申し上げているのは、四十年不況、四十六年不況の際には今回ほど大きな税収の落ち込みがございませんでしたので、五条の範疇で全部おさまったわけです。ですからそういうものに基づいて四十年、四十六年の対策はいわゆる国のいう建設国債の範囲内においてという形でやっていったわけです。今度はどうもおさまりそうもない、五条の適債事業だけではおさまりそうもない、こういうことから特例債というものが出たわけでありますが、その特例債というのは間違いなく、地方財政計画の変更の中で法人二税の落ち込み、それに基づいて算入されておるわけでありますから、この冒頭にうたってあります地方税の減収に対して対応しているわけでありますから、私は、この一兆六百三十二億円というのは減収に補てんしていく、こういうことが本来の筋ではないか、こう思います。あなたも私も、いまの議論というのは地方財政計画に基づいて、そのベースにおいて議論しているわけですから、前提においては隔たりはないわけです。問題は、方法論として逆じゃないかというのが私のこの第二条を見ての意見であります。どうですか。それが正しいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/305
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306・松浦功
○松浦(功)政府委員 御意見として一つのりっぱな御意見であるということを私は申し上げておるのでございますが、私どもの方が間違っておって先生の御議論が正しいという議論には同調できない。二つ意見があったけれども、われわれとしてはこっちがいいと思ってとったので、こっちが間違っておるとは申し上げておりません。どっちかとらなければならない場合に、政府として決めたのはこっちの方法である、こういうことなんです。もっと具体的に申し上げますならば、全地方公共団体にこの条件が適用にならないような状況であるならば、先生の御議論を私は結論としてとったと思います。五条だけで間に合う団体が全国にはたくさんあるわけでございます。間に合わない団体の方が私は少ないと見ております。そこまで申し上げると御理解をいただけるのじゃないかと思いますが、先生の御指摘の方法もりっぱな方法でございます。しかし私どもは、五条というものがある以上、なるべく五条だけで済ませるということが理想だと思います。それができないから、五条を適用すればいい団体についてまで影響を及ぼす必要ないじゃないか、こういう気持ちでやったというふうに御理解をいただければ、地方財政の専門家の先生だから容易に御納得をいただけるのではないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/306
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307・細谷治嘉
○細谷委員 これは幾らやっても押しくらまんじゅうであって、従来の慣例に基づいて四十年、四十六年にとった措置に基づいてやって、余りの方を特例債で補てんしようという方法でございますが、そういう方法をやっていく場合に、地方団体として心配をしている点がございます。私の耳にも入っております。
どういうことかと言いますと、従来の慣例に基づいて適債事業として——まあ言ってみますと落ち込みは都道府県とそれから大都市が中心ですね、一兆六百三十二億円というのの大部分はそこにいくわけでありますけれども、その場合に適債事業五条の規定の方から先に押し込んでいきますから、従来の実績に基づいて期待しておった地方債というのがはねられてしまうのじゃないか、こういう心配をしておる地方団体がございます。そういう地方団体の心配は杞憂にすぎないということを御確認いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/307
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308・松浦功
○松浦(功)政府委員 全く杞憂にすぎません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/308
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309・細谷治嘉
○細谷委員 杞憂にすぎないということでございますから、少し具体的に御質問いたします。
せんだって岩垂委員の、神奈川県における減収補てん債について、神奈川県から出ておる具体的な数字もお述べになりました。昨日三谷委員の質問に対して、大阪府の問題についても具体的に数字を述べられました。あるいは不交付団体である東京都、愛知県も同じような問題があると私は思います。そしてこれらの四県は、従来の実績に基づいて国の財政計画を指針として予算編成を行っております。その中に当然地方債が幾ら入るということを見積もって計入をしておるわけでございます。そこで、たとえば東京都では幾らの減収補てん債というのが自治省の方に届けられておるのか、愛知県においては幾らの税収の落ち込みがあるのか、そういう点について自治省の方はすでに数字を把握しておると思うのでありますが、それを出していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/309
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310・松浦功
○松浦(功)政府委員 この前お述べをしたとおりでございまして、私どもが愛知県なり東京都なりの減収が幾らあるかということについては、一言も口にいたしておりません。これは法人が中心でございますから、九月の決算の状況を見ないと正確に算定できない。各府県の方からこの程度の減収補てんがありそうだという数字はちょうだいをいたしております。それでよろしければいつでも御発表いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/310
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311・細谷治嘉
○細谷委員 それを発表してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/311
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312・松浦功
○松浦(功)政府委員 各税目別に申し上げましょうか、トータルでよろしゅうございますか。トータルでは、東京都が千五百五十一億、これは九月二十六日の東京都からの報告でございます。神奈川県が二百四十七億、それから愛知県が三百七十四億、大阪が六百四十七億、こういう御報告をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/312
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313・細谷治嘉
○細谷委員 そこでお尋ねをいたしますけれども、この全国知事会の出しておる「都道府県展望」という中に、各県の財政状況というのが担当者から報告されております。その中に東京都の財務局主計部長が「地方財政の危機 東京都の場合」という形で書いてございます。それには約千五百億円、いま局長が言った数字は千五百五十一億円ということでございますから、ほぼ合致いたしております。ところが、私がお聞きしたいことは、この報告に書いてありますことは、「七月の法人二税調定実績は、対前年同月比で三〇%を越す大幅な減となり、これを基礎とした年間税収見込みは、予算計上額に対して、一二%に当る約千五百億円」であると書いてあります。質問にも局長答えられておりましたけれども、大体法人税でありますから、九月決算法人というのが圧倒的な比重を持っております。だとしますと、これは七月の千五百億円の見込みでありますから、九月の決算が把握される十一月ぐらいになってまいりませんと的確な数字は出てこないと思います。局長も、大体十一月の九月決算分をつかまえた上で自治省として最終的に査定をする、こういうことでありますから、当然そうやっていただかなければならぬわけでありますけれども、私の推定では、国の九月分の法人税、これから九月の決算分がどうなるか別として、この数字と余り大きな乖離はないのではないかと思います。しかしいずれにいたしましても、自治省としては九月決算を把握した上で十一月以降決める、こういうことになると思います。そういたしますと、いま申し上げた数字については大体七月末の数字のようでありますけれども、その際、九月決算を見て手直しをした上で、せんだっての委員の質問に対して、こういう要望については地方財政の運用というものができるような措置、こういうことでありますから、この金額を尊重して対応していくという意味のことをあなたはおっしゃっております。そういうふうに理解してよろしいかどうか、お答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/313
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314・松浦功
○松浦(功)政府委員 どうも一、二先生の御見解が入っているんじゃないかと思うのですが、私は地方財政の実情を見てと言っているわけじゃございません。税収入の実情を見てでございます。私どもはあくまで九月分から一年分の推定を立てるのでございますから、推計の方式を立てます。都道府県もおのおの自分で御推計をお立てになると思うのでございます。それが余り食い違っておっては非常におかしいから、どこに食い違いがあるのかをよく突き詰めて決めたい、こういうことを申し上げておるわけであります。あくまで見通しで立てるということは間違いないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/314
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315・細谷治嘉
○細谷委員 私は、いまあなたから示された数字を、これであなたの方の数字であるなんて確認をとろうなんて思ってないんですよ。九月の決算を把握しなければわからぬだろう。したがって、これが正しいかどうか、九月決算を見た上で自治省としての金額を決めて、減収補てん債を最終的に金額を決定なさると思いますけれども、地方団体だってうそをついて出しているとは思いません、標準税収の範囲で、私はそう思っているのです。ですから、七月と九月のずれの違いくらいであって、おおむね税収の減というものはこういうところであるということを、私もいま申し上げた四つの団体の二つぐらいについて状況を見ておりますから、お聞きしているわけであります。でありますから、この数字は当たらずといえども遠からず、こういうふうに私はにらんでおります。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/315
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316・松浦功
○松浦(功)政府委員 何ともお答えを申し上げかねるのでございますが、あくまで数字は都道府県が見込みとしてお立てになった数字でございまして、自治省全体として見通しを立てて、これは計数をつくらなければいけません。そういう計数をつくる際に余り食い違ってはいけないから、どういう理由で食い違ってきたかということはよく突き詰めて、都道府県なり政令市が納得するような形の減収補てん債を決めるように努めていきたい、こう申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/316
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317・細谷治嘉
○細谷委員 少しくどいようでありますけれども、いまの数字は各自治体から出てきた数字でありますが、これは自治省が把握したあくまでも減収補てん債であるから、従来一般の財政運用に当たって予定しておった実績等を勘案した地方債については何ら影響はない、こういうふうに理解してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/317
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318・松浦功
○松浦(功)政府委員 お説のとおりでございます。当初に定めた地方債計画の地方債の配分というものはいままでどおりにやります。そのほかにそれがある、こういうふうに御理解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/318
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319・細谷治嘉
○細谷委員 そこでお尋ねしたいのでありますけれども、そうだといたしますと、この減収補てん債の額の決定は明けてからになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/319
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320・松浦功
○松浦(功)政府委員 そうなると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/320
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321・細谷治嘉
○細谷委員 そこで、私は覚書の第二項について少し質問をして確認をしておきたいわけでありますけれども、いま問題になっておるところが縁故債であることは、これはもう申し上げるまでもございません。その縁故債については、地方税の減収補てんという形と総合的な景気対策という二つの観点から、大蔵大臣、自治大臣は円滑な消化に努める、こういうことになっております。私が心配しておりますことは、円滑な消化に努めるといいましても、これは当然この覚書どおりにやっていただかなければならないわけでありますけれども、一番問題は、来年の春を通り越すには十二月の資金というのがあります。こういう問題がなければ一月に到達できないわけでありますから、歳末の資金等についても配慮をいたさなければならぬと思うのです。この第二項は、十二月の一時借入金の資金確保等についても、大蔵省あるいは自治省としてはこの覚書の精神にのっとって努めていただけるかいただけないものか、これをはっきりと両省からお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/321
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322・松浦功
○松浦(功)政府委員 自治省としては、その覚書の中に十二月の資金繰りが入るとは存じませんが、地方団体の資金繰りがうまくいかなくなって債権者に対して迷惑をかけたり、職員に対して給与の遅払いが起こったりということになっては大変でございます。そういう意味では、これまでも努めてきたところでございますが、今年度の年末についても、私ども一般的に大蔵省にそういう面について御配慮をいただくようにお願いを重ねてまいるつもりでございます。具体的にまたお困りの団体があれば、当省においでいただければ大蔵省、日銀にもお連れをして、事情を説明して御協力を願うようにすることについてやぶさかでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/322
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323・清水汪
○清水説明員 ただいまの財政局長のお話の御趣旨に私どもとしても同感でございます。
覚書自体の問題につきましては、けさほども私から御説明申し上げましたけれども、すでに覚書の出ました段階で全国銀行協会連合会、そういった金融団体等にはその趣旨を徹底させてございますが、なお通達の形をもちまして近日中にその徹底をさらに図りたい、こういうふうに考えております。
それから、直接覚書の問題とは離れますけれども、ただいまのお話にございました点は、民間金融機関といたしましては、地方財政の問題につきましてはこれまでもできるだけの協力といいますか、ある意味で当然のことだと思いますけれども、それぞれの金庫というような地位もございますので、十分その重要性は認識してそれなりに努力してきておると存じておりますけれども、今後につきましても、その点は民間金融機関としてはできるだけ努力をしていくことは当然であろうと思いますし、それからそのために、たとえば金融調節の上で金融当局の方で必要な配慮すべき事項があれば、それもそれぞれの金融機関の事情等を含めましてきめ細かく配慮していくことは、これは当然必要なことであろう、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/323
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324・細谷治嘉
○細谷委員 いまの財政局長からのお答えは、減収補てん債についてはそういうことであるけれども、問題は、やはり十二月に一つの資金繰りという山があるわけですから、その段階においては工事代金の支払いあるいは給与、ボーナス等の遅配、欠配、まあ欠配ということはないですけれども、そういうことが起こらないように、資金繰りについても両省として最大限の努力をする、こういうふうに確認してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/324
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325・松浦功
○松浦(功)政府委員 結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/325
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326・清水汪
○清水説明員 基本的な態度につきましてはただいま申し上げましたとおりでございます。具体的な一つ一つにつきましていまここで、どの金融機関がどういう需要に遭遇するかということまではまだつかめておりませんけれども、全体といたしまして遺漏のないように指導をしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/326
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327・細谷治嘉
○細谷委員 この問題に関連いたしまして、すでに委員の皆さんから出ておりますけれども、最近の新聞紙の伝えるところによりますと、二十二の自治体で公募債の当初の計画に対して八百七十億円の追加をしたい、こういう記事が出ております。すでに質問に対して、大蔵省としては公募債結構であります、こういう銀行局関係の答弁がありますが、この当初の二千三百三十二億円に八百七十億円の公募地方債の上乗せということについては異議ないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/327
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328・松浦功
○松浦(功)政府委員 当初の市場公募債の数字だけが私どもの認識とちょっと違うのですが、借りかえ債か何かが入っているのではないかと思うのですけれども、千八百億の市場公募でございます。それに対しまして約半分に近いものの希望があるというお話を聞いておりますが、当省としてはこれに反対するつもりはございません。ただ、国債あるいは政保債といったものとの競合性がございますために、証券会社等においてそういう線でうまいぐあいに話がまとまるかどうかという相手方の問題が残っております。これについては、地方団体の希望が入れられるように私ども努力をするという方針で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/328
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329・細谷治嘉
○細谷委員 いま局長が答えました千八百億円というのは、五十年度の地方債計画の中に織り込まれておる数字であります。私が申し上げたのは、これは新聞の数字をつまみ出したわけであります。公募債を発行することのできる二十二の自治体の公募債は、四十九年度は地方債計画上は千二百億です。千二百億でありますけれども、実績は千七百六十五億円という形で計画を上回っております。ところがこの二十二の自治団体では、当初の予定としては——内訳も書いてあります。書いてございますが、全体として二千三百三十二億円の公募地方債の予定をしておって、それに八百七十億円を上乗せしようということでありまして、おっしゃるように五十年度は千八百億でありますから、従来の実績からいきますと、この寄せたものが三千二百二億円になりますけれども、この地方自治団体の公募地方債についての要望の線に沿うて御検討がいただけるか、善処いただけるか、これを私はお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/329
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330・松浦功
○松浦(功)政府委員 市場公募債を起こすについてはいろいろ相手方もある問題でございますが、相手方自身にも問題がございますので、そこらもわれわれは詰めて、できるだけ地方団体の御希望の線に沿うような方向へ持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/330
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331・細谷治嘉
○細谷委員 そこで、この地方債計画、いまの公募地方債、ことしは千八百億円でありますけれども、去年の千二百億円の地方債計画が最終的には千八百億近くなったわけでありますから、ことしも千八百億円の計画を上回ることは従来の例から想像するにかたくありません。そこで、これに関連してお尋ねいたしたい点は、五十年度の地方債計画全体の問題であります。
今回の地方債計画の変更によりまして、当初の二兆八千三百五十億円というのが、追加地方債が三千百八十億円でありまして、それに先ほど問題になりました一兆六百三十二億円という減収補てん債がございます。このほかに、従来発行を許可しておりました枠外債というものはどの程度予定されておるのか。これは枠外債だからいまは予定はつかぬと言ってしまえばそれまででありますけれども、私が四十八年度の実績、四十九年度の実績、そういうものから推定をいたしますと、その率から伸ばしてみますと、五十年度には大体一兆一千億円程度の枠外債になるのではないか、こういうふうに思います。この私の質問はお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/331
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332・松浦功
○松浦(功)政府委員 認めるとか認めないとかいう問題じゃないと思うのでございますが、いままでの枠外債の主体は土地購入費でございます。したがって、こういう情勢になりますと土地購入費が余り伸びてくるということはございませんので、私ども、一兆を超えるような枠外債を今年度に出さなければならないだろうという認識は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/332
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333・細谷治嘉
○細谷委員 土地購入費ということでありますけれども、四十九年度の計画と許可額とを見ますと、大体において枠外債というのは一般会計債で六五・五%、計画より伸びておるわけであります。その中で一般公共事業が三三・一%、義務教育施設整備事業が九一・一%、一般単独事業が二二九・六%、それで公共用地先行取得事業というのが四四三%でありまして、一番伸びていることについては間違いありませんけれども、あなたのおっしゃる公共用地先行取得事業だけではございません。金額にいたしますと、むしろ一般単独債、こういうものが大きいわけであります。さらに、準公営企業債、下水道でありますけれども、これが千九百三十八億円、四六・一%伸びております。公営企業債が七百二億円伸びて、枠外債が許可されて八・四%、特別地方債が七百三十八億円伸びて二九%でございまして、全体といたしましては、枠外債で四十九年度は九千四百八十五億円で三七・七%計画より伸びております。こういうことでありますから、公共用地先行取得事業だけだというあなたの説明では納得できません。言ってみますと、九千四百八十五億円のうち公共用地は二千二百六十八億円でありますから、大体においてその四分の一以下、四分の三以上というものはそれ以外のものにございます。したがって、枠外債というのは、私がいま申し上げたように昨年の実績からいきましても九千五百億円程度でありますから、ことしは、全体としての規模からいって一兆円前後になるのではないか。仮に計画よりも、四十八年、四十九年と比較して三六%伸びたといたしますと、大体一兆一千億円伸びる、こういう計算になっております。でありますから、こういう財政事情のときでありますから、枠外債についても特段の配慮をしなければならぬ、私はこう思います。そういう意味において私は質問しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/333
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334・松浦功
○松浦(功)政府委員 この地方債の枠外の中に、公共用地先行取得債だけが土地だというふうにお考えいただいては困るのでございまして、義務教育の中の枠外債にもずいぶん土地が入っております。一般単独事業にも土地が入っております。そういう意味で、全体を合わせますと、土地は、四千億を超える土地代金が入っておるわけでございます。そういうことを御理解いただければ、私の先ほどの答弁を御納得いただけるのではないかと思います。
いずれにいたしましても、一兆円前後、先ほどは一兆一千億とおっしゃられて、今度は一兆円とおっしゃられたのですが、私どもは、一兆円程度というものが限度だろう、だから一兆円を超えるようなことはないだろうという御答弁を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/334
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335・細谷治嘉
○細谷委員 いや、私はさっき、三六%伸びたとすると一兆一千三百億円ぐらいになる、こういうことを申し上げたので、あなたがずいぶん渋るものだから、はしたは、はしょって、丸く一兆円前後と、こう申し上げたのであって、考えが変わったわけではないわけですよ。しかし、その程度だろうということでありますから、私は、とにかく従来の実績程度の枠外債というのは発行になる、こういうふうに理解いたしますが、大臣、これはいかかてすか。——それではいいです。大臣答えたがらない。時間ばかりかかるから。
そこでお尋ねいたしたい点は、このほかに、おおよそ一兆円か一兆一千億円程度の、従来の実績に即した枠外債というのが設けられるわけでありますが、これは覚書二項に該当いたしますか、いかがでしょうか。これはやはりこの段階でありますから、両省で協力していただきませんと……。わずかに、たった二千億円しか資金運用部資金を認めてない。国債を買うのに四千二百億円を継ぎ足しておきながら、二千億円しか運用部資金を設けていない。そしてようやく四〇%というところにつじつまを合わして、あと二千三百億円は利子補給、こういうけちくさいことをやっているわけでありますけれども、この覚書二項には、枠外債についてもやはり両省が努力するというふうに理解してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/335
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336・松浦功
○松浦(功)政府委員 一兆円程度の枠外債につきましては、覚書の中には該当するとは存じませんが、いやしくも自治大臣が大蔵大臣に協議して定める地方債の許可でございますから、覚書と同様の趣旨でその消化に万遺憾なきを期すということは私は当然であるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/336
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337・細谷治嘉
○細谷委員 そこで、これ以上私が申し上げますとまたすぐ平行線になっちゃうのですけれども、大臣も、今日の地方財政の実態というのは容易ならぬということで御努力をいただいておるわけでありますけれども、私は予算委員会でも指摘し、この委員会においても各委員から出た問題は、逐次直してきておりますけれども、自治省が策定いたしました地方財政計画、年度半ばで修正をいたしました修正地方財政計画、その最終的な地方財政計画と比較いたしましても、一六ないし一七%程度の乖離が四十八年度に起こっております。これはやはり何といっても重要なことでございますから、この乖離を極力圧縮するように努力をしていくということは、自治省なり、大蔵省としても当然の責務であろうと思います。そうだといたしますと、そういう基本的な精神にのっとってこの枠外債、これは起債許可方針等にのっとって行われるわけでありますけれども、特段の配慮と、消化についての御努力をお願いしなければならぬと思うわけであります。財政計画と決算との乖離を埋める、こういう前提に立って御努力をいただかなければならぬと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/337
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338・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいまのお話で、枠外債についても大蔵、自治両省において責任を持たなければならないことは、私もサインをいたしておることでございますからして当然のことであります。自治大臣がサインをいたしたことに大蔵大臣が知らぬということは、政府一体の原則と相反しますから、これはそんなことはないと思います。ただ、私お伺いしておってあれなのは、この四十八年度のときの地方財政計画と決算との間に乖離がある、こういうことは今後ぜひ是正をしていかなければならないというお話でございますけれども、地方財政計画というものは、一般基準の大体こういうことを基準にして財政を運営していきなさいということであります。そうしますと、地方によっては歳入がふえるというか税収がふえると、御案内のように単独事業をやる場合もございます。これはあなたの方がずっと詳しいのだ。そういうことで必ずしもその点は一致しない面が出てくるわけですね。それから、普通にたとえば学校建設をする場合でも何でも、一応の基準を示しておっても、それより以上の歳出を立てて実際に歳出をする場合もあります。これはいわゆる地方自治という精神から言えば、それをみんなぴちっと合わしたならばかえって地方自治というものと乖離していくような方向になる可能性がある。一定の基準というものを示しておいて、その中でそれをどういうふうに動かすかということはそれぞれの地域に基づくところの自主性というものを尊重することも、ある意味では大事ではないかという感じを私は持っているわけです。私はあなたほど自治の専門家ではございませんから、間違っておったら訂正していただいて結構でございますけれども、いわゆる基準財政計画というものと決算が一致しないということだけを……(細谷委員「基準財政計画なんてないよ」と呼ぶ)いやいや、われわれはそういうような考え方でずっといままでやってきておるのでありまして、それをお認めになる、ならないは、これは別のことでございましょう。そうなれば、一つの対立した意見が出てくるということでございます。われわれとしてはそういうやり方でいままでもやってまいりました。そしてその財政計画に基づいて収入というものがそれぞれの自治体に一応予定されるわけですね。しかし、予定された分でもなお足りない、そしていわゆる市会あるいは県会等において、これはまた別にこういうこともしようではないかとか、同じこの仕事でも一千万円を一千五百万円にふくらましてやろうではないかとか、それはそれぞれの歳入を考えられ、あるいは将来の償還計画をお考えになっておやりになることが自治だと私は思っておるわけであります。そういう意味から言って、それが余りに乖離がひどいということも問題はあろうかと思いますけれども、それをぴっちり合わせるということが自治ということとどういうことになるか、これはひとつ考えてみなければならぬのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/338
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339・細谷治嘉
○細谷委員 私はぴっちり合わせろなんということを言っておるわけじゃないのですよ。当初の地方財政計画、それから年度半ばに修正された修正計画、その修正計画と比べても一六、七%の乖離が起こっておる、こういう乖離はやはりできるだけ圧縮していくように努力すべきではないか。その乖離の圧縮努力については、私はやはりおっしゃったように自治の精神ということでありますけれども、あなたの方では、人件費が責任だ、しかし、地方の方では、超過負担の問題が大きな問題なんだ、いろいろと議論のあるところでありますけれども、少なくとも政府が法律に基づいて地方財政計画を国会に提出し国民に公表しなければならぬという原則に立つ以上は、しかも地方財政運営の基本的な指針であるからには、この計画というものと決算との乖離というのは圧縮するために、それは歳出を抑えていくかあるいは歳入をふやしていくかいろいろあるでしょうけれども、そういう努力を自治省がするということは、私は当然のことであると思うのですよ。ですから、あなたがこの私の意見に平行線で異議があるというなら、これは問題ですよ。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/339
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340・松浦功
○松浦(功)政府委員 大臣がおっしゃっておられるのは、地方団体が運営しておられる内容がそのまま計画を追っていくということでは何のための自治かわからない、こういうことをおっしゃっておられるので、基本原則として私どもは先生が御指摘になった計画と決算の乖離についてその是正を図るべきであるということについて御反論を申し上げたことは、少なくとも私の記憶では一度もございません。その方向で逐次努力はいたしているつもりでございます。
ただ、問題は、国の財政というのは一つでございますからきわめて問題の解決が簡単でございますが、地方財政計画というのは架空のものでございまして、三千数百の団体の集積という形で示されるものでございますから、たとえば年末の貸付金というようなものを収入にどれだけ見込んでいいか、あるいはその返還金をどう雑収入に見込むか、こういったことになりますと、技術的に非常に問題があるわけでございます。そういう問題を除いては、理屈があってなるほどこういうところを乖離は直せるというものがあれば、私どもは進んで直すつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/340
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341・細谷治嘉
○細谷委員 私が申し上げておる点は、地方財政計画と決算の乖離というのはいろんな点がありますけれども、そしてまああなたの方はあなたの方なりに指摘しているわけですけれども、やはり最終的な決算というのは、言ってみますと、地方債の計画よりの伸び、地方税の伸び、こういうものによって高度経済成長政策の中において、ある意味では地方団体も甘えながら決算は今日まで来たのだけれども、今度はできない。けれども、今日の段階においてそう何でもかんでも激変をやっちゃえなんということはできないわけでありますから、税収が伸びるどころか落ち込んでしまったわけでありますから、地方債について特段の配慮をしていただかなければどうにもならないのではないか。二本の柱のうち一本の柱、税収は欠けちゃったのですから、その点を私は申し上げておるわけですよ。おわかりになりますか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/341
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342・福田一
○福田(一)国務大臣 私は予算委員会でもその問題についてはお答えをしたつもりなんですが、それはごもっともな御意見だと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/342
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343・細谷治嘉
○細谷委員 そこで、少しくどくなりますけれども、そういうことでありますけれども、かなり大きな、国の方が五兆五千億という国債を発行する。いまの枠外債の一兆円前後のも加えますと地方の方も五兆五千億円くらいの地方債の発行ということになります。合わせて十一、二兆円の五十年度における資金というものを国と地方がやらなければならぬわけでありますけれども、そういう中において、自治省の方で、公営企業金融公庫というものを自治体の中央金庫に改組しようということが最近の新聞にも出ております。私は思うのでありますけれども、地方銀行に一時資金のあれを地方団体は依存しているわけであります。地方団体によっては——すべての地方団体が厳しいのでありますけれども、厳しい中においてもあるところではゆとりがある、あるところでは大変厳しくてもう中小企業に貸すものもないということが起こってくるのは十二月には必定であります。だとするならば、全国的に一定の率、地方債の中におけるいまの公営企業金融公庫の受け持つ割合というのは一割以下ですよ。こんなことではいかぬのであって、今後安定成長下におけるそういう問題に対処していくためには、しかも今日のこういう情勢の中においては、自治省が出しておる公営企業金融公庫の強化策として今日のシェアよりももっと拡充する必要があると私は思うのであります。
たとえば、自治省としてはギャンブルの資金とかなんとかということで利子の引き下げに努力をしてまいりました。そういう問題も含め、それから全国で強弱はあるわけでありますから、それをひとつ中央の金庫でその資金を集めてやれば——毎回毎回大蔵省と自治省がサインを出さなければ借りられないというようなことでは困るわけでありますから、やはりそういう金庫の設立が必要であると私は思う。そういう意味においては自治省の案に賛成でございますけれども、私の聞くところによりますと、この公営企業金融公庫を創立する際にも、それからその後の経過を見てみましても、大蔵省の壁というのは非常に厚いように思うのであります。
ずばり言いますと、今度の地方債一兆六百三十二億円に三千百八十億円、あの両省の覚書をやるという段階において具体的な対応としては公営企業金融公庫にある程度の融資能力をつけさせる、利子の補給もそこへ持っていく、このくらいの発想があってしかるべきだと思うのでありますけれども、どうしてそれができないのか。これは主として大蔵省側の銀行の圧力が多くてどうにもならぬということでは今日のこの地方財政の危機は救えないと思うのでありますが、この点について、両省の明確な見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/343
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344・松浦功
○松浦(功)政府委員 今般の財政措置につきましての経緯の内幕をここで述べることは相手方もあることでなかなかむずかしゅうございますが、私ども、ただいま先生から後段御指摘をいただいた構想というものを大蔵省にお示しをしなかったわけではございません。余り短期の間で、きわめて基本的な問題でございますために合意に達しなかったというふうに私どもは受け取っております。したがって、御激励をいただいたものと受け取って、私どもは来年度に向かってその方向で最大の努力をいたしたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/344
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345・細谷治嘉
○細谷委員 大臣、決意のほどを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/345
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346・福田一
○福田(一)国務大臣 自治省の方針は、財政局長が申し述べたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/346
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347・清水汪
○清水説明員 私の方は銀行局でございますが、いまの新しいお話につきましては、新聞でその記事を拝見しておることはございますけれども、まだよくお話を承っておりません。いずれにいたしましても、いまここで見解を述べるわけにはまいりませんけれども、いろいろむずかしい問題もありそうな気はいたします。検討すべき時期には慎重に検討させていただきたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/347
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348・細谷治嘉
○細谷委員 もう時間がないから言わないことにしようと思ったけれども、それでは大蔵省にお聞きします。
資金運用部の資産表というものを私はちょっと分析してみました。四十九年度末で資金運用部の資産が公営企業金融公庫には幾ら行っているかというと、たった六十六億じゃないですか。総額は幾らかといいますと三十四兆八千二百八十二億円ですよ。その中で公営企業金融公庫にはたった六十六億円。また公営企業金融公庫もなめられたものですよ。私は自治省が言ったかどうか知りませんけれども、この構想に対して、自治省は利子の補給までやらせるなんと言うから大蔵省が文句言うと思うのですよ。公営企業金融公庫から貸し出した資金の利子を持たせるなんと言うから、大蔵省では、今日の財政下では利子補給までなすりつけて公営企業金融公庫を強化するなんてもってのほかだ、こうおっしゃると思う。利子の補給というのは、少し自治省の勇み足だと思うのですけれども、いま申し上げたような資金運用部の資産の内容において、三十四兆の中でわずかに六十六億円。しかも四十八年度末は六百五十一億円ですよ。これが十分の一になってしまっているのです。一体なぜ大蔵省が事ほどさように公営企業金融公庫というのをこみやるのか、私はいまの話では理解できない。資産表が明瞭にそれを証明しているじゃないですか。もう一度お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/348
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349・高倉建
○高倉説明員 資金運用部全体の話は私直接把握しておりませんが、先生のいまの御質問につきまして若干説明をさせていただきたいと思います。
先生御承知のとおり公営公庫というのは民間資金を集めて、それを民間資金調達力の弱い団体に出すということでございます。地方団体に対します資金運用部資金の貸し付けは、これは直接地方公共団体向け貸し付けということで運用しているわけでございまして、先生おっしゃいました四十九年度末総資産三十四兆八千億という中に地方公共団体向け貸し付けは五兆五千億あるわけでございます。ただいま先生が御指摘されましたのは、これは推定でございますのであるいは正確じゃないかもしれませんが、運用部が一時、短期の金がございますと国債あるいは政保債というものを短期の運用として持っていることがございます。その中にたまたま公営公庫の債権があった数字が六十何億あるいは四百億というような数字であったと思いまして、本来の長期の運用として公営公庫に運用部資金を出しているものではないということを御説明しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/349
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350・細谷治嘉
○細谷委員 余りこれ以上は触れませんけれども、私は資金運用部の資金について、その使途についてだんだん地方公共団体のシェアがふえていっていることは認めます。けれども、四十九年度末において地方公共団体に対する資金運用部の資産はわずかに一五・七九%ですよ。莫大な三十四兆八千億という運用部の資金はどこへ行っているかといいますと、大きなのは、政府関係機関の中で日本開発銀行二兆四千億円、日本輸出入銀行二兆七百億円、こういうところで、シェアがだんだん上がったといいながら、今日、四十九年度末においては地方公共団体に対する資金運用部資金はわずかに一五・七九%、そして政府関係機関である公営企業金融公庫には六十六億円、こうなってまいりますと、庶民の郵便貯金等を集めた資金というのが、庶民には縁故のないとは申しませんけれども、庶民とは縁故の遠いところに使われておる。言ってみますと、国のぺースだけで国民、庶民の資金が活用されておる。地方公共団体なり公営企業金融公庫に対するシェアをもっと拡大するのが当然ではないかと私は思うのですよ。これだけ私は強く主張をしておきたいと思います。
そこで、大臣いやがりますけれども、少し聞いてください。あなたは、先ほど地方自治ということをしきりに言って私を説得しようとしたわけですけれども、最近、再建第一号という形で豊前市の再建が承認されました。私の選挙区とは違いますけれども、私の県でありますから、私も状況をよく知っております。ただ、豊前市の再建計画の承認内容というのを見てみますと、一つは、豊前市がこういう財政状態になったのは、新聞に書かれてあるように、人件費が問題だ。これを否定するなんということは私は考えておりません。確かに給与表の運用についても議論の存するところだと私は率直に言って思っております。
もう一つは、自治省が承認した地方債の対象よりも二倍以上の庁舎を建てて、しかも、単価の高い、よく言われるデラックスなものを建てて、そうして、旧庁舎の売却を一億五千万円ぐらいに予定しておったのが、それが思うようにいかなかった。市税の徴収率というのは、新聞を見ると大体九五%を割っているんですね。この田園都市豊前市ぐらいで市税の徴収率が九四というのは、やはり少しおかしいと思うのですよ。私は、田園都市なら九九から九九・五ぐらい行くのが今日の実勢だと思う。税務局長そうだろう。
そういう点が積もり積もってなってきたのでありますけれども、今回の承認内容を見ますと、九〇%以上はすべて人件費にしわ寄せをしております。こういうことは大臣、地方自治という以上は問題がある。現に、私が申し上げるまでもなく、公務員部長が来ておりますが公務員部でやっております地方公務員の給与のラスパイレスを見ましても、たとえば指定都市で昭和三十三年はラスパイレスは一三二・一でしたよ。三十八年は一三四で三十三年からやや上がりました。このころから大都市の財政状態は悪くなった。どういうことになったかといいますと、五年後の四十三年には一〇・二%ラスパイレスが落ちて一二四になっている。そのまた五年後には一二八となったわけですよ。でありますから、地方団体でも、高度経済成長でなくて、今度は環境が違ってきたんだ、財政も苦しくなってきたんだということで自粛の努力をしておることはもうまぎれもない事実であります。これは代表的な指定都市の例であります。全国の知事会でも、激変は困るから逐次激変が伴わないようにやってほしいと言っているわけであります。最近串本町で起こっておりますけれども、土地を造成したけれども買い手がないので五億数千万円の赤字になった、町長さんは断固自主再建でいくと、自治省は盛んに勧誘しているけれども応じないと新聞に書いてありましたけれども、そういう観点から言って、豊前市のこの再建計画については、まさしく大臣の言う地方自治を無視したやり方ではないかと私は思うのです。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/350
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351・福田一
○福田(一)国務大臣 私の聞いておるところでは、豊前市の方から、こういうやり方で再建をしたいと思うからという話があったので、結構でありますということを言ったので、全く自治を尊重した考え方だと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/351
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352・細谷治嘉
○細谷委員 それを言うと大臣、あなたは表面ばかりしか見ていない。豊前市が、むろん人件費の抑制、そういうものも織り込んだ再建計画案なるものを持ってきたわけですよ。あなたの方では、こんなものじゃだめだ、もっとここのところを詰めてこいと言って、でき上がったものがこの財政再建計画です。ですから、きれいごとだけではいかぬですよ、大臣。あなたには報告がなかったかもしれませんけれども、これは大臣、実相はそうですよ。豊前市がつくって持ってきたものを一言のもとにはねのけて、こういうふうにやりなさい、こういうふうにやりなさいということで、自治省の言うとおりにして持ってきて許可を得たというのが実相でしょう。大臣、そういう認識では困りますから、認識を改めて、この種の従来からの労使の慣行、やはり労使とも一体となってやらなければならぬのが今日の地方財政の実態でありますから、やはり話し合い、民主的に地方自治の精神にのっとってやっていく、こういうことで御指導をいただかなければならぬと思うのですけれども、もう一度ひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/352
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353・松浦功
○松浦(功)政府委員 豊前市の問題は、当局の指導課の方でいろいろと御相談にあずかっておりますが、私が聞いております範囲では、持ってこられた案では再建の見通しが非常に暗い、そういう財政的な観点から、まだここにも問題があるということで御指摘を申し上げたというふうには聞いております。しかし、それをお持ち帰りいただいて、議会で御承認があって、自治大臣に申請があったわけでございます。それを自治大臣が許可をしたということでございますので、あくまで自治を侵害しているとは存じませんし、また再建をしていくためにはこの程度のものでなければできないという技術的な、あるいは財政的な指導助言に関する責務というのは当省の責務であろうというふうに私どもは考えております。
なかんずく、豊前市の再建に当たりましては、再建であるがゆえにこれまでの事業費を落とすというようなことがあってはいけない、それでは住民に対して申しわけないじゃないかという観点から、事業費をできるだけ削減をしないという前提で、しかも赤字の解消期限というものには、これまでの再建計画にも一定の期限がございますので、年限の問題も十分検討して、実現の可能性のある方法を御指導申し上げた、こういうことだというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/353
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354・細谷治嘉
○細谷委員 大変かっこうのいい結末だけを言っているようでありますけれども、私は労使関係、しかも職員の勤務条件、労働条件等に関係する問題でありますから、長い間積み立ててきたものは金科玉条、一切後退はならぬということは申しませんけれども、議会の討議を経る場合に、少なくとも法律の示すところによって、労働団体、特に地公企労法等の規定もあるわけでありますから、そういうものに基いて組合とも十分な話し合いをして問題を解決すべきであろうと私は思います。ところが、一言の相談もなしに、この財政再建計画については承認があったからこれでいくのだという形は、労使のいい慣行というものをむしろ市側が自治省のバックアップのもとに破壊することになると私は思うのです。こういう点で、自治省の言い分を全面的に私は否定するわけじゃありませんけれども、ひとつ自治省の指導の基本姿勢、こういうものについても反省と言うと言葉が、そんなうんと言わぬかもしらぬけれども、格段の配慮が必要ではないかと私は思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/354
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355・福田一
○福田(一)国務大臣 私は、地方自治をやっておいでになる場合において、再建をせなければならないような計画をなるべくやらないように自治体が努力をすべきものであると思うのであります。それがまた自治でもあると思うのです。いま再建をするということになれば、何年間にどうしてというようなことになりますと、一種のこれくらいはというような意見もどうしても出てくるわけでありまして、それを、こういうことでなければ無理ではないかということをうちの指導課で申し述べたということをいま聞いたのでありますけれども、実は、われわれとしては何といっても一番大事に考えなければならないことは、市の議会、いわゆる議会制民主主義でございますから、市とか県の議会、その議会が決めたことを最善と思う。その決めるに当たって、市などが関係者とよく話をするということが必要だと思いますけれども、決めた以上それを尊重することが私は正しいのではないか。こういう意味で、先ほど簡単に申し上げて恐縮でございましたけれども、各三千三百もある自治体でございます。いろいろ事が起きるところがあると思いますけれども、今後もなるべくそういうことがないように、市の行財政の運営をやってもらうようにしてもらいたいものだと考えております。決して無慈悲といいますか無理に押しつけるというような考え方ではなくて、やはり自治を尊重すると言うのならば、自分のやったことは自治体は自治体で責任を持って処理をしていくという姿でなければいけないと私は思っておるのでありまして、そういう意味で、みんなで協力をしてそういうふうに持っていきたいものである、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/355
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356・細谷治嘉
○細谷委員 無理を押しつけない、みんなで協力をしてやっていく、そういう意味においては話し合いをいとわずに、やはり真実を訴えれば皆さんの協力は得ることができるわけでありますから、ひとつ大臣の精神で今後指導をしていただくように、特に担当者に大臣からの御指導をひとつよろしくお願いしておきたいと思います。
そこで話を変えまして、最近の新聞を見ますと、私が冒頭どうも休戦協定という新聞記事を言ったのもここに問題があるわけです。大臣は五十年度地方財政対策はすべて済んだと大みえを切っておるわけでありますけれども、もう目の前に迫っておる五十二年度どうするのか、五十三年度はどうするのかということについては、大臣なり財政局長からかなり決意のほどが述べられたわけでありますけれども、どうも五十一年度については何ら具体的な答えが出ておりません。
そこで私はお尋ねするわけでありますけれども、まず大蔵省にお尋ねいたします。
最近、新聞紙上で見ますと、どの新聞も一致した数字でございます。ですから、おれは知らぬということではないと思うので、具体的に進んでおる内容だと思うのでありますけれども、それを要約いたしますと、五十一年度の予算編成の重点は、第四次不況対策を引き継いで公共事業に重点を置いて、第四次不況対策をステップとして景気の安定的な浮上を図っていく。そのために、公共事業の伸び率は、五十年度に比して一五%を下らない程度の伸びになるのではないか。それから、こういう時期でありますから、公共料金について受益者負担の原則の徹底を図る。社会福祉関係でも高福祉高負担の原則を大胆に取り入れ、保険料をアップする。それから租税特別措置の整理、合理化を進めて増収を図る。新規政策を原則として認めない、こういう観点で大体はじいてみますと、どこの新聞も同じでありますけれども、各省庁の五十一年度予算として概算要求は二十四兆八千五百億円でありますけれども、大体一二%程度、名目成長率一三%、租税の弾性値一・二、こういうふうにして見計らっていきますと、最終的には六兆円か七兆円ぐらいの国債発行は必然だ、こういうふうに新聞で書いてあります。六兆円か七兆円の国債発行ということになりますと、建設国債を除いても三兆円を超す赤字国債が必要となってくる、こういうことがどの新聞にも書かれてございます。大体この新聞は、当たらずといえども遠からずでございますか、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/356
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357・藤井裕久
○藤井説明員 新聞の記事でいろいろ御質問ございましたが、結論から申し上げますと、新聞の記事について私どもそういうような確定的な数字を固めていることは全くございません。御承知のように、経済見通しもまだ決まっていない段階でございます。したがいまして、来年度財政の質をどう持っていくか、また税収見通しがどうなるかというようなことは、まだ不確定な要因が余りにも多く、全く決まっていないというのが実情でございます。ただ、おっしゃいましたように、非常に税収の見通しが現状から見て来年度も大幅に伸びることは考えられない、これは事実でございます。したがいまして、いわゆる特例債、これは、大臣が委員会でも御答弁申し上げましたように、ある程度は発行せざるを得ないというような状況にあると思いますが、とれも極力圧縮を図るべきでございます。したがいまして、歳出につきましても極力経費の洗い直しというようなことでやっていかなければいかぬということで、現在そういう経済見通し等が出そろうのを見きわめながら予算編成の作業を進めている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/357
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358・細谷治嘉
○細谷委員 予想したとおり、私は間違いなくこういう財政規模になるだろうと思っております。あなたは言わぬだけであって、間違いなくそうなります。事実が証明します。
そこで、財政局長にお尋ねいたします。
財政局長、新聞等に書かれてあります、いま私が申し上げたようなことに国の財政というのがなってまいったといたしますと、国の財政規模というのは二十四兆円ぐらいということになりますと、大体地方財政計画は二十四兆円か二十五兆円の間におさまるのではないか、こう思います。その場合に、国の税収というのは余り伸びは期待できないわけでありますが、仮に国税全体の八割ぐらいが国税三税だといたしますと、かなり交付税が五十年度の総額よりも落ち込みます。大体四兆四千億の総額に対して、いまの新聞に書いてあるような数字から交付税を見ますと、四兆四千億円からおおよそ四千億円から五千億円ぐらい落み込むのではないかと概算されます。同時に地方税も、国のぺースで従来のあれを勘案いたしますと、大体今年度の地方財政計画に計入いたしました税収よりも三千億円は少なくとも落ち込むと私は思います。そういたしますと、合わせて八千億から一兆円ぐらいの落ち込みになるわけでありますから、来年度の地方財政はまことに容易ならぬ事態に直面すると思います。
そこで、お尋ねいたしたいことは、すでに出してある地方債計画は改めて練り直して要求をするつもりなのか、どうなのか。それから、いま私が申し上げたような交付税の落ち込み、税収というのは、大体そういうことが予想されるとお考えなのか。これは財政局長、税務局長の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/358
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359・松浦功
○松浦(功)政府委員 先般の委員会でもお答え申し上げましたとおり、こういう事態になりますると、すでに出してあります地方債計画というのは余り意味がないことになってまいります。いずれ近いうちに、大蔵省と情報交換もやらざるを得ないと思います。その時点までにはもう一度きちっとしたものに地方債計画を改めるという必要は当然あろうかと思っております。
それから、交付税の落ち込みでございますが、これは国税三税との関連でございますので、私どもも何とも言えませんが、大体四兆四千億という本年度の当初計上額までに現行制度で交付税が達するのは、いまの経済情勢のままで推移すればむずかしいだろう、何千億落ちるか、先生のように私はよくわかりませんけれども、そこだけは一般論として申し上げてまず間違いないのではなかろうかという感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/359
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360・首藤堯
○首藤政府委員 明年度の税の見通しでございますが、ただいまの段階ではなかなか算定はできないわけでございますけれども、感じといたしましては、先ほど御指摘がございましたように、本年度の当初計画見込み八兆八千億、この額に達するか達しないか、そういったところがなかなかむずかしいところでございまして、いままでのような大幅な自然増収はやはり望みがたいのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/360
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361・細谷治嘉
○細谷委員 そこで、自治大臣、いま交付税は落ち込む、これは必至だ、それから税の落ち込みも必至だ、こういうことになりますと、地方財政対策としては、先ほどの質問に対して財政局長は、何らかの形で歳入を図るなり等をいたしまして、地方財政の運営に支障のないようにしたいというのが五十一年度対策だ、五十二年度になりますと、交付税率の引き上げというのが法律に基づいて、そういう段階になったらば引き上げを要求していくと、こういうふうにお答えをいただいております。
そこで、私は五十一年度にしぼりますが、そういう現状認識からいきますと、交付税の引き上げをやるか、あるいは実質的な交付税の引き上げと同じ結果になるように、たとえば基準財政需要額の方を四十一年度にやったような特別事業債によって振りかえていくという方式、あるいは交付税率の恒久的な引き上げではなくて、臨時特例交付金というものを一定額出して、その一定額については後年度で国が負担をしていく、こういう四十一年度方式が考えられなければならないと私は思います。自治大臣、これがないと、どうも休戦協定やったように結果としてなってしまいますよ。あなたが法律に基づいて地方財政計画も出すし、その柱である地方交付税の総額も決めていく責任があるわけでありますから、自治大臣としての毅然とした基本的な態度をひとつお聞かせいただきたい。あなたはよく、こういう質問をしますと、私は国務大臣でもありますからと言うけれども、自治大臣としての答弁を私はお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/361
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362・福田一
○福田(一)国務大臣 内閣は一体でございますから、自治大臣でもあり、国務大臣でもあるという考えで対処すべきものと私は思っておりますが、要するに、いまのお話を総合して考えてみると、歳入が不足をするではないか、それをどう処理するのか、またそれが適当であるかというお話でありますが、これは国の方も非常に不足する、地方の方も不足します。その合計がどれくらいになるか知りませんが、それをどういうふうな形で案分をし、そしてまたどういう形でやっていくか。これはどうも海外から金を借りてくるというようなことはとても考えられない問題でございます。そうすれば国内で処理するということになれば、これをどう処理していくかということは、国と地方とでどういう工夫をしていくかということに相通ずるわけであります。その内容をどうしていくかということで示せということでございますれば、われわれとしては、地方の自治が五十一年度において、まあ完全にといいますか、この事態に処してしかるべき行政が行われるような歳入だけはどうしても地方に与える必要があると私は思っておる。それをどう確保するかということはこれからの問題でございます。大体経済の見通しその他についても、企画庁でもまだ見通しをつけておらない、大蔵省でもいま答弁をしておるように、まだわかりませんとこう言っておる段階で、自治大臣だけが何か言ったとしても、私は専門家じゃないから、言えば勇み足になってしまうかもしれぬし、私はそのようなことはむしろこの際差し控えることが正しいことではないかと思うので、ひとつこの点は御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/362
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363・細谷治嘉
○細谷委員 先ほど財政局長は、五十一年度においては特例債を設けないで済むようにいたしたいと、こういう御答弁をしております。まことに結構なことでありまして、特例債で処理しないで済むようなことを、たとえば交付税の総額の引き上げあるいはそれを実質的な引き上げと同じ形において対応していただきたいということをお願いしたいと思うのです。
実は、財政局長、私は最近日本経済新聞から出ました「破綻する地方財政一という本を拝見いたしまして、こう書いてあります。あなたの先輩の、あなたは当時財政課長をしておったと思うのですけれども、「当時の柴田自治省財政局長は」、要するに四十一年対策の際に「地方の財政運営がそれで再び乱れては困る。それではせっかく財政再建に流した汗がムダになる」、いわゆる財政再建でやった努力です。「と自治体を説得、自治省は大蔵省に対し、たばこ消費税の増額、都市計画税、固定資産税の増額などを求めたうえで、」「うえで」ですよ。ちょっと耳をすましてください。「さらに地方交付税の税率を五・九%引き上げ三五・四%とするよう要求した。」これがいまから十年前の話であります。そうして、結果としては二九・五%から二・五%上がりまして、現在の三二%になったというのは御承知のとおりであります。
これくらいの決意がなければ、先ほどの、特例債を認めないで何としてでも地方財政の運営ができるようにするという財政局長の決意は実現しないだろうと私は思います。そこでひとつ、ふんどしは締め直しておると思いますけれども、自治大臣としてふんどしを締め直してがんばっていただきたい。私が申し上げるのは、建設省なりその他からおいでいただいて大変恐縮ですけれども、たとえば直轄事業の負担金について全国知事会と各省との間で問題があっております。あるいは今度の補正の中にも出ておりますけれども、私学についての助成費も交付税総額の中に八百九十三億円織り込まれるようになっております。こういうふうにいたしまして、本来交付税の中に織り込まれておらなかったのが、四十一年以降三二%になった後にどんどんどんどん新しいものが入り込んできております。入り込む操作をどうやったかといいますと、あっちへやったりこっちへやったり、そして、補正という美名のもとにやっておるのが今日の実態であります。精緻巧緻の交付税制度だと言うけれども、四兆四千億円の中の二二%ぐらいが政令、省令による補正額であるということも、これは法律よりも政令、省令が先行するということで、私は問題があろうと思います。そういう点を指摘して、せっかくおいでいただいておりますけれども、時間の関係でこの点は私の意見だけを申し上げて、ひとつ善処をお願いいたしたいと思います。
そこで、最後に私は地方税の強化の問題について——建設省なりあるいは文部省等おいていただきましたけれども、大変恐縮ですけれども、あしからず御了承いただきたいと思います。
地方制度調査会では、事業税の外形標準制度をとりなさい、ここまで法人税、特に法人事業税を中心として落ち込んだのは、やはり今日の課税の景気に決定的に左右されるところにあるので、安定的な税収を確保するという意味において外形標準を導入しろと言っております。それはことしの春、日銀の納付金の問題に関連して県知事からも強く指摘されておる点でございますね。そういう点でありますけれども、大蔵省は、この外形標準については国の税金が減るからいやだ、こういうふうに言っておると新聞等には書いてございます。そこで最近千葉県では、もし外形標準をやらないならばそれまでの過渡的な方法として重油消費税を新設いたしたい、こういう意向も持っておるようであります。重油消費税の新設をてことして法人事業税の外形標準を導入したいというのが千葉県の基本的な考えのようでございますけれども、税制調査会等でどういう形でこの実現に努力するのか、簡潔にひとつ自治省なり大蔵省のお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/363
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364・首藤堯
○首藤政府委員 事業税につきまして現在の所得課税方式だけでなく外形標準の課税標準を持ち込むべきだという議論は、先生御案内のようにもうずっと前からある議論でございまして、私どもとしても事業税の本質上そうあってほしいものだというように常々考えておる問題でございます。したがいまして、毎回そうでございますが、今回も特に地方団体の要求も強うございますので、外形標準を導入する方策についていろいろと推進をしておるところでございます。この点につきまして、ただいま、大蔵省の方が国税の税収が減少するので反対だというお説がございましたが、いままで大蔵省といろいろ話し合いをしました経過におきましても、そのようなことは、そういう理由で反対をしておるというようなことはございません。この問題は、ただいま政府の税制調査会にも持ち出しまして御議論をいただいておるものでございますが、まだ結論は出ていないのでございます。本来事業税はそうあるべきだと考えております私どもの考え方とともに、やはりこれにまつわります、毎回申し上げておりますがいろいろな問題点もございまして、税が激減をするとか、あるいは対象事業をどのように考えるかとか、あるいは外形標準をどのようなかっこうでどの程度持ち込んだらいいのか、こういう議論がたくさんあるわけでございまして、現在まだ審議が継続中の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/364
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365・細谷治嘉
○細谷委員 重ね重ね大変恐縮でございますけれども、「都道府県展望」の十一月号に石原財政課長が論文を書いております。「地方財政の現状と今後の展望」というものを書いてあります。この論文の終わりの方にある「昭和五十一年以降の地方財政の展望」、この中で、いまの地方税源強化の具体策として、「本年度から創設された事業所税の課税団体の範囲の拡大、事業税における外形基準課税の導入、自動車税、自動車取得税、軽油引取税等自動車関連諸税の税率引上げ」という形でぴしゃっと書いてあります。財政局長が言うように、やはり税収の強化も図りなさい。ぴしゃりこう書いてあります。大臣、賛成でしょう。あなたの部下が書いたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/365
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366・福田一
○福田(一)国務大臣 私は一つの見識であると思います。しかし、これを取り入れるかどうかは政府の方針によって決めるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/366
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367・細谷治嘉
○細谷委員 税務局長にお尋ねいたします。
租税特別措置と地方税独自の非課税規定というものが今日の地方財政に重大な悪影響を与えておることは、私が申し上げるまでもありません。たとえば五十年度においては、租税特別措置によって千四百七十二億円、地方税の非課税による減収によって二千五百十億円。しかもこの二千五百十億円の非課税規定の八四%というのは市町村ですよ。圧倒的な非課税規定というのは、府県じゃなくて市町村に向けられているということが注目されなければならぬと思うのです。特にその中において現在訴訟になっております——あなた被告だろう。電気税、これはもう五%なんてのはずいぶん古い話ですよ。それが依然として五%という過去のあれから脱し切れないところに問題があると私は思うのであります。たとえば電気だけで八百億円、これを仮に、かつて自治省が言っておるように一〇%に上げますと、八百億円が三百億円になっちゃうわけですよ。山はどこにあるかと言うと、五%から一〇%にあるわけです。こういうのを思い切って整理なさることが、地方財政を健全化する、地方財政の適正な運営をする重要な点であろうと私は思います。この非課税規定についてどういうお考えを持っているのか。
さらに租税特別措置は、知事会も、地方税と遮断すべきである、国の経済政策としてやっているものをダイレクトに地方にはね返させることは問題があると私も思います。
そういう点、この二点についてどういうふうにお考えになっているのか、税務局長と自治大臣の御答弁を聞きたいと思います。
これをまた引き合いに出して恐縮でありますが、石原論文の中でこう書いてある。「医師の社会保険診療報酬収入に対する課税の特例や産業用電気に対する電気税の非課税措置等の租税特別措置の整理縮小を速やかに断行するとともに」、「速やかに断行する」と言い切っているんですよ。ひとつこの辺ずばっと——石原課長のこの論文に私も全く同感です。敬意を表しているんですよ。そういうつもりでひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/367
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368・首藤堯
○首藤政府委員 ただいま御指摘のございました租税特別措置、これは国の租税特別措置が地方に影響いたしておりますものと、それから地方税法で独自に設定をしておりますものと二つありまして、その金額が先ほど御指摘のような影響を及ぼしておるのは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、できる限りこのような租税特別措置は整理をいたしまして、その整理を通じて地方財源の増加ということを図ってまいりたい、基本的には完全にそう考えておるわけであります。
まず、国税の租税特別措置関係でございますが、これは、一つには租税特別措置そのものをやはり見直して、できる限りこれを整理をしていく、そうすれば地方の事業税あるいは法人住民税、こういったものにもその廃止の影響が及ぶわけでございます。
それからいま御指摘のように、国の方の措置の地方への影響を遮断をするという方法論も物によってはあろうかと思います。そういった個別のものについてただいま検討を加えておりますが、実際問題といたしましては、主として国の租税特別措置は所得の算定段階における特別措置といったようなものが多うございますので、これは課税技術上の問題でございますが、その影響を地方独自で遮断をしてしまうということの可能な税目がそうたくさんはない、こういう状況でございますので、国税における租税特別措置そのものをやはり見直していただいて、これを整理縮小していく、この点については大蔵省も全く同感でございまして、いま具体的にその内容を税制調査会等にお諮りをして議論をされておる最中でございます。
それから地方税関係の特別措置の中では、御指摘のように市町村関係が多うございますのは、一つは固定資産税におきます国の特別償却そのほかに関連をいたしました税の減免でございますか、この特例措置がかなりございますことと、それからただいま御指摘の電気税、これにおける非課税の影響がかなり大きい、こういうことだろうと思います。固定資産税の特例措置につきましては、国の特別償却そのほかの措置の見直しとも関連をいたしまして、やはりこれはできるだけ私どもとしても整理をしていきたい、こう思っております。それから電気税関係も、昨年来たびたび申し上げておるわけでございますが、私どもとしてはできるだけこれを整理したいということで考えておりまして、その案もやはり税制調査会にお諮りをして、ぜひ進めていただくように極力努力をしてみたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/368
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369・細谷治嘉
○細谷委員 税務局長にお尋ねいたしますけれども、それはあなたの使命でありますから、ひとつ大臣をどんどん支えて、長年の懸案でありますし、こういう時期でありますから、ぜひ五十一年度に実現していただくように重ねて要望をしておきたいと思います。
そこで、もう一点お尋ねしたいのは、一兆六百三十二億円という法人二税の減収が起こったわけでありますけれども、その他の税ではふえたり減ったりで、財政局長の答弁としては、大体もうプラス・マイナス・ゼロに近いのじゃないか、こういうことでありますが、財政局長の考えのような実態ですか。これは税務局長、主管局長としてお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/369
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370・首藤堯
○首藤政府委員 個別の団体におきましてはいろいろな状況があろうかと思いますが、全体的に考えてみました場合には、不動産取得税でございますとか、あるいは特別土地保有税、こういったところで減収が見込まれますが、その他の税目でやはり増加をするものもございますので、全般的に考えました場合にはそう猛烈に大きな金額になって云々ということにはならないで済むのではないか、こう考えております。これはマクロの問題でございまして、個別の団体ごとには若干状況があろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/370
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371・細谷治嘉
○細谷委員 そこで、三千三百の自治体でありますから、マクロでは財政局長が答弁されたとおり税務局長もお認めになったわけですけれども、やはり先ほどの調整の問題で、土地等の関係でたとえば特別土地保有税とか、あるいは不景気でありますから料飲税とか、いろいろな税目において落ち込みがあろうと私は思います。その落ち込みがあった場合に、個々の自治体について配慮をして、それについては特別交付税で措置したいというのが財政局長の答弁でありますけれども、私は御高配はありがたいけれども、何でもかんでもごみためのようにそこに求めていくことには問題があるのではないか、こういうふうに思います。したがって、特別交付税で措置するという財政局長の答弁を否定するものでありませんけれども、それだけで済むのか済まないのか、私は問題があろうと思うのです。こういう点、財政局長どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/371
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372・松浦功
○松浦(功)政府委員 先生一番よく御承知のように、マクロで見てまあまあというのであれば、どこかが引っ込んでいるということはどこかが出ているということでございます。出ているところにある特別交付税を引っ込んだところへ回すというのが交付税の制度でございますから、これは特別交付税で措置をするということは考え方としては誤っていないと私は思うのでございます。
ただ問題は、これは税務局長が一番よく御存じでございますけれども、客観的に、なるほど取れるものが取れなくなったという算定ができる税目とそうでない税目があるわけでございます。料理飲食等消費税、これは県ごとによって全然違うのでございます。これは先生一番よく御承知のとおりで、東京の赤坂で飲みました税金と福岡の博多で飲んだ税金とでは違うはずでございます。これは先生が実感としてよく御承知のはずであります。したがって、そういう点は御理解をいただいて、やはり客観的につかみ得る税目について、なるほど気の毒だというものについては、私どもは総体として標準税収入より落ち込んだものがあれば特別交付税でできるだけ配慮をいたしたい、こういうふうにお答えを申し上げたつもりでございますので、御了解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/372
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373・細谷治嘉
○細谷委員 私はあなたの答弁で解せない点があるのです。赤坂で飲んだ料理等飲食税と博多で飲んだ料理等飲食税では、赤坂の方が高いのでしょう。そうじゃないですか。首都東京ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/373
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374・松浦功
○松浦(功)政府委員 これは先生よく御承知でおっしゃっておると思いますのでこれ以上申しませんが、十分御承知のはずと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/374
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375・細谷治嘉
○細谷委員 一向わからぬわけですけれども、問題は、あなたの言いたいことは、税の徴収に最大限の努力をしているところとそうでないところがあるので、そういう実態も見てみなければ一般論としては言えない、こういうことであろうと思うのですよ。私は赤坂に行ったことはありませんけれども、福岡で飲んだときよりも赤坂の方が高いと思っているのですよ。あなたはどうもそうでないような含みを言うものだから、私はわからぬわけだ。問題は、努力をしておってもやはりある、しかも落ち込みもあるし、出っ張ったところもある、それは交付税で調整するのが交付税の使命だと、わかります。けれども、二千五百億円ちょっとの交付税の中にそういうものを押し込んだらば、本来の特別交付税の機能を——ことしは災害もありました。問題があるのであって、個々のケースについてはそういう特別交付税だけでは、山田委員に対するお答えでありますけれども、もっと実態に即した配慮というのが必要なのではないか。あなたは、必要じゃないかと言ったら、そうは一口には言えませんとおっしゃるかもしれませんが、私は配慮があってしかるべきではないか、あってもよろしいのではないか、こういうふうに思います。これはたとえば地方債等で何らかの考え方をやっていく、こういうこともあるでしょうが、その辺いかがですか。料飲税を出したところに問題があるんだけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/375
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376・松浦功
○松浦(功)政府委員 お気持ちはわかりますけれども、政府としては、事業税及び住民税、これについての落ち込みについて補てんをするというのが基本的な態度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/376
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377・細谷治嘉
○細谷委員 大臣何もありませんか。——もう約束の時間が来ましたので、私はいろいろな問題について、時間が足りませんから、なお交付税のあり方等について議論もしたがったのでありますけれども、これでやめますけれども、問題は、新聞に書いてありますように、国の財政危機という言葉は言葉としてありません。地方財政は危機だ、こういうところに——地方財政危機というのはとの新聞も書いてありますよ。国家財政危機なんというそういう言葉はないですよ。赤字が大きくなった、税収が落ち込んだ、こういう表現でありますが、私は、そこに今日の地方財政の実態があろうと思うのです。したがって、ひとつ大臣、五十一年の予算編成に当たっては、その部下の局長以下を指揮督励して、格段の努力をしてこの危機を、泳ぐんじゃないですよ、とにかく苦労しながら越えていけるような、そういう地方財政対策を講じていただくように強く要請をして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/377
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378・福田一
○福田(一)国務大臣 御趣旨を体して努力をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/378
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379・大西正男
○大西委員長 これにて、内閣提出に係る昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案に対する質疑は終了いたしました。
午後七時から再開することとし、この際休憩いたします。
午後六時三分休憩
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午後七時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/379
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380・大西正男
○大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出に係る昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案を議題といたします。
本案については先刻質疑を終了しております。
この際、本案に対して三谷秀治君外二名から修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。三谷秀治君。
—————————————
昭和五十年度における地方交付税及び地方債の
特例に関する法律案に対する修正案
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/380
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381・三谷秀治
○三谷委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
今日、地方財政は、深刻な不況とインフレの同時進行のもとで、かつてない深刻な危機に直面しております。現に本年度においては、国税三税の収入見込み額の減収に伴う地方交付税の当初予算計上額に対する落ち込み約一兆一千五億、地方税の当初見込みに対する減収額は、住民税、事業税だけで約一兆一千億円に上るなど膨大な歳入不足を生ずることが見込まれております。
一方、歳出面では第四次不況対策、給与改定などによる新たな財政需要が必要となっております。その結果地方財政は、まさに危機的な状態に陥り、地方行財政の抜本的対策が不可欠でありますが、さしあたり当面の困難を切り抜けるための緊急措置が必要となっております。
今回の政府の緊急措置を見るならば、わずか二百二十億円の臨時特例交付金を除きまして、地方交付税の不足額約一兆一千五億円、地方税減収額約一兆一千億円をすべて地方自治体の借金で賄うという内容のものであります。
このような借金による地方財源措置は、償還が開始される昭和五十三年度以降、地方財政に過大な負担となり、とりわけ、来年度以降の財政見通しが不確定な状況の中で、後年度においても、償還財源が全く見込まれていないなど地方財政危機が引き続く結果となることは明らかであります。
また、こうした地方財政危機の一要因である地方財政計画と決算の乖離は巨額に上っております。
地方自治体職員、たとえば厚生省の保母の増員要求を大蔵省が認めないことによる人員差を初めとして、人員差にかかる所要財源は、四十七年度決算におきまして約四千億円に上り、この額は五十年度国税三税の当初見込み額の三%に該当するのであります。
政府の特例措置は、こうした乖離分に対する措置を全く等閑視するものであります。これは、地方財政計画に基づく基準財政需要額から排除された膨大な地方公務員は、財政措置の対象外に置かれることになるのであります。
わが党は、さきに今日の経済危機を打開するための緊急政策を発表し、また昭和五十年度補正予算案編成替え動議を提出しておりますが、その中で地方財政対策として、現在の深刻な地方財政危機を根本的に打開するためには、わが党が一貫して要求し、いまでは地方自治体関係者の間でも一致した要求となっております地方交付税率の四〇%への引き上げ、超過負担の完全解消、国の機関委任事務の大幅整理を初め国と地方の事務の民主的な再配分などの抜本的な対策を進めなければなりませんが、当面の困難を切り抜けるための緊急措置をとることがいま必要であることを明らかにしてきたのであります。
わが党は、こうした立場から、とりあえず実現可能な緊急で現実的な措置をとることによりまして、直面する地方財政危機を切り抜けるため、本修正案を提案した次第であります。
次に本修正案の概要について、御説明申し上げます。
第一は、国税三税の減収に伴う地方交付税の不足の補てんなどのために必要となる一兆千百九十九億八千万円を交付税特別会計において借り入れたことに伴う償還金を一般会計で負担することとして、そのため昭和五十三年度から六十年度までの間地方交付税の総額は現行法定額に、別表に規定する当該年度償還額を加算した額とすることとしております。
第二は、昭和五十年度に限り地方税の減収約一兆一千億円が生じたことに対して、地方財政運営に支障を生じさせないため各地方公共団体は、地方財政法第五条の規定にかかわらず、地方税減収額相当額を限度として、特例債を起こすことができることとしております。
この特例債は、国が全額政府資金で引き受けることとし、その利子は、国の一般会計から利子補給することとしております。
第三に、昭和五十年度に限り、地方財政計画と決算の乖離分を補てんするため、四千百三十三億円の地方財政特例債を認めることにしております。この総額は、補正前の国税三税の三%に相当するものであります。
地方財政特例債は、地方財政法第五条の規定にかかわらず起こすことができることとし、その利子は国の一般会計から補給することとしております。
第四に、第四次不況対策として、昭和五十年補正予算案により、追加されました公共事業に伴い、必要となる地方負担分の経費に充てるために起こした地方債の利子を、国が一般会計から補給することとすることであります。
以上が、本修正案の提案理由とその概要でございます。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/381
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382・大西正男
○大西委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
本修正案については、別に発言の申し出もありません。
この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればこれを聴取いたします。福田自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/382
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383・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいまの日本共産党・革新共同提案の修正案については、政府としては反対であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/383
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384・大西正男
○大西委員長 これより原案及び修正案を一括して討論を行います。
討論の申し出がありますので、これを許します。高鳥修君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/384
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385・高鳥修
○高鳥委員 私は、自由民主党を代表し、政府提案の昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案に賛成、日本共産党・革新共同提案の同法律案に対する修正案に反対の意見を表明するものであります。
最近の経済の厳しい状況を反映して、年度当初に見込まれた国税、地方税の収入額は著しく落ち込むことがはっきりしてまいりました。すでに成立した補正予算による国税の収入見込みは、当初予算に比べて三兆九千億円弱の減収となる見込みであり、このうち国税三税の減収による地方交付税については、当初予算計上額に対して一兆一千億円余の落ち込みを生ずることとなっているのであります。また、地方税については、当初見込みに対して一兆六百億円余の減収になると推定されております。このままでは地方団体の財政運営は非常な困難に陥るのであります。
そこで今回の地方財政に関する補正対策においては、これらの異常な事態に対処するための諸措置を講ずることといたしております。
すなわち、本年度における地方交付税の落ち込み分一兆一千四億八千万円については、交付税特別会計において借り入れることとし、当初予算計上額を確保するとともに、国家公務員の給与改定に準じて地方公務員の給与改定を行うための財源措置、国の補正措置に伴う地方負担の増等に対処するための財源措置のはか、本年度における経済環境の激変下に、地方財政の健全な運営に資するための財源措置を講じているものであります。このための措置として臨時地方特例交付金二百二十億円を一般会計から繰り入れるほか、百九十五億円を交付税特別会計において借り入れることといたしております。以上の結果、地方交付税の借入金は合計一兆一千百九十九億八千万円となりますが、この借入金については、二年据え置き八年償還することとなっています。
また、地方税の減収に対しては、一兆六百三十二億円の地方債を増額発行するほか、景気刺激のための公共事業費等の増額については地方債三千百八十億円を措置することとしており、以上の諸措置はいずれもきわめて時宜に即した適切妥当な措置であると存じます。
次に、今回の法律案について検討いたしましたところ、昭和五十年度における地方交付税の総額については、臨時地方特例交付金の繰り入れ及び交付税特別会計における借り入れにより当初予算計上額を確保するとともに、給与改定等のための所要の財源措置を講ずるものとしているはか、給与改定等に伴い、昭和五十年度分の単位費用の特例を設けることとしております。また、今回の借入金を償還することに伴い、昭和五十三年度から昭和六十年度までの間の地方交付税の総額について特例を設けることとしております。さらに、本年度限りの措置として、地方税の減収により、適切な財政運営を行うにつき必要とされる財源に不足を生ずると認められる場合に地方債を起こすことができることとしており、これらの措置は、現下の地方財政対策として適切な措置であると存ずるものであります。
以上、申し述べたとおり、今回の政府原案における法律案の内容は、いずれも適切妥当なものであると考え、政府原案に賛成、日本共産党・革新共同の修正案に反対の意を表するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/385
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386・大西正男
○大西委員長 山田芳治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/386
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387・山田芳治
○山田(芳)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案について、次の理由を申し述べて反対の討論をするとともに、共産党・革新共同の提出をしております修正案についても反対の意見を申し述べるものであります。
今般のわが国の経済不況に伴う地方交付税及び地方税収の大幅減収に対する政府の地方財政の諸措置は、政府当局がその見通しの誤りを認め、遺憾の意を表明している点からいっても、もっと具体的対策を講ずるべきであったと存じます。
二兆数千億に上る地方財源の不足という事態はまさに異常でありますが、それを従来の制度を固定化して、自治体の福祉削減や人件費合理化のみに終始し、借入金政策で補って当面を糊塗する方策が果たして許されるであろうか。
第一に、交付税の減収に対しては、国の責任において、わが党及び公明党がともに主張しているように、交付税率のアップをこの際考えるべきであるにもかかわらず、来年度を含めて、税率については、当委員会の質疑を通じても引き上げる意思のないことを表明していることはまことに遺憾と言うほかないのであります。
また、地方税の減収落ち込みに対し、減収補てん債の発行で措置していることは、これが元利の償還には将来交付税の先食いにつながり、それに対する財源措置も現段階においては明確でないことは遺憾と言わざるを得ません。すなわち、税収減のときは交付税増の方式を崩し、交付団体に対しては明年度以降措置するも、不交付団体には自己負担ということは納得できません。
次に、第四次不況対策における公共事業の地方負担分については、不況対策が国の措置でありながら当面を借金政策で補い、それらの元利の償還財源は何ら触れられていないことは、景気浮揚策はまず住民生活優先の地方財政をてこ入れすることによってその効果を発揮するということを忘却しているのではないであろうか。
以上三点が今回の地方財政対策における問題点でありますが、要するに問題解決をすべて借金政策による一時糊塗と、これに伴い緊急の要ある地方財政の確立の抜本策をこうした時期にこそ明確にすべきときでありながら、その解決を将来に引き延ばしていることはまことに遺憾と言うほかはありません。
また、この地方債の発行は、膨大な国債の発行と地方債の発行とによる資金需要に、果たして金融市場がたえ得るかどうかも新しい不安の材料であり、来年度も同様の措置が不可避であり、したがって日銀による買いオペレーションは必至であり、再びインフレを招来することは予想されます。
国も地方も厳しい条件のもととはいえ、なぜ昭和四十一年度にとられたような諸措置を最低限とれなかったかが問題であります。
超過負担の解消については、来年度分を繰り上げたことで問題の解決をしたとするならば、地方の実情と余りにも乖離があり、とうてい賛成することはできません。
次に、来年度の地方財政については本年度同様きわめて厳しいものがありながら、現段階では前向きの答弁がなされていないことはきわめて遺憾であります。せいぜい公営企業金融公庫を改組し、機能拡充を図り、地方団体のための金融機関が設置できるならば一定の前進であると評価できるという程度でありますが、これとて起債制度の抜本改善が前提であります。
以上、要するに自治大臣を初め自治省当局の努力は努力としながらも、われわれの立場からは残念ながら将来の地方財政のあり方を含めて今回の措置を十分であるとして賛意を表することができないのであります。
また、地方公務員の給与改定について、本年度はその著しい特色として、スト権と引きかえに設けられた人事委員会勧告措置が十分機能を発揮せず、自治体に働く労働者諸君の給与が財政難を理由に人事院勧告と同様四月に遡及して改善されることがきわめて困難な団体が多いということも、自治省当局の指導措置に問題なしとしないのもまた私どもが今回の措置に賛成できない点であります。
最後に、共産党・革新共同の提出された修正案に対し、反対の理由を申し述べます。
第一に、共産党・革新共同の修正案は政府案と同じく当面の借金政策を是認することが前提になっております。われわれ社会党の案は、交付税率の引き上げを前提としながらも、本年はやむを得ず借り入れをすることとしているのに比べて本末転倒している点であります。
第二に、修正案の財政特例債の配分について府県と市町村間の配分についてはきわめて算出基礎が不明確であり、人口と過疎地の特例だけではきわめて静的なとらえ方であって、準過疎団体や人口急増団体に対する配慮が欠けているのではないか、こういうふうに考えるわけであります。したがいまして、私どもは共産党・革新共同の修正案に反対をいたします。
以上、政府原案及び共産党・革新共同の修正案にともに反対する討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/387
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388・大西正男
○大西委員長 林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/388
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389・林百郎
○林(百)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となっております政府提出の昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案について反対、同法律案に対するわが党提出の修正案に賛成の討論を行うものであります。
言うまでもなく、激しい不況とインフレの長期化という未曾有の経済危機の中で、地方財政危機もまたがつてない深刻な状況に立ち至っているのであります。
これまで政府・自民党は地方自治体に三割自治を押しつけ、上からの財政統制によって地方自治と地方財政を締めつけてきたものでありますが、最近のインフレと不況の同時進行の中で、住民の命と暮らしを守るため、自治体の行政需要の増大の中で、超過負担の押しつけ、起債枠の圧縮、不当な人件費攻撃、福祉切り捨て攻撃などで犠牲を住民と地方自治体に転嫁し、地方財政を危機に追い込んで、中央政府の経済の高度成長政策に協力し、またその延長の政策に協力をしてきたものであります。
加えて、地方財政は今日の経済情勢がもたらした日本経済の構造的な危機の中での厳しい不況によって、国税三税の減収に伴う約一兆一千五億円に上る交付税の不足、約一兆六百三十二億円の地方税の減収など、文字どおり破綻寸前に追い込まれていると言っても過言でないと思います。
この深刻な地方財政危機が、国民生活と地方自治体を犠牲にして、大企業を優先してきた経済の高度成長政策型の国の税制、金融、財政の仕組みがもたらしたものであることはすでに国民の常識となりつつあるところであります。
ところが三木内閣は、この地方税、地方交付税の不足分の補てん措置を、国の税制、金融、財政の仕組みを根本的に民主化するという方法ではなくして、地方自治体の借金政策で行おうとしているのであります。一口で言うならば、三木内閣のこの地方財政措置は、三木内閣みずからの責任を全くたな上げにして、この深刻で膨大な地方財源不足を、地方自治体の負担と犠牲で処理するという糊塗的な措置にすぎないものであります。
さらに、この地方自治体の負債の償還は、従来の経済見通しと償還の保障がないまま、その償還計画が押しつけられようとしております。地方行財政が直面している未曾有の危機的状態に対して、何ら適切な措置をとろうとしていないことは明らかであります。
以下、反対の理由を具体的に述べたいと思います。
第一に、償還の保障のない一兆一千百九十九億八千万円の借り入れでありますが、本案による一兆一千百九十九億八千万円の借り入れ措置は、不況と国の税収見込みの誤りによって生じた国税三税の減収に伴う地方交付税の不足を補てんするために行われる措置であることは言うまでもありません。
昭和四十、四十一年などの地方財政危機の際、地方交付税の不足を補うために、地方交付税率の引き上げ、臨時特例交付金の交付を行ってきた経過もあるのであります。
しかるに、今日のかつてない歴史的な地方財政危機に対処するために政府が講じた措置は、全く不足額全額を交付税特別会計が借り入れるという借金措置にすぎないのであります。この借り入れ措置は、将来の地方交付税の先食いにすぎません。償還の保障は何ら見出すことができません。
こうしたこそくな欺瞞的な措置によって、今日の地方財政危機をこぎ抜けようとすることは、全く不可能であるし、許すことのできないところであります。
当然、地方交付税の著しい不足に対しては、まず交付税率の引き上げあるいは地方自治体の負担とならない臨時特例交付金の交付で措置をすべきであります。政府の行おうとしている借金措置は、いわゆる借り入れ措置は、とうてい容認できないところであります。
第二は、地方債の特例でありますが、この特例措置は、地方税の減収約一兆六百三十二億円を補てんするための措置であります。地方税の減収もまた不況と国の地方税収入見込みの誤りによって生じたものにほかなりません。
政府の地方税減収補てんのための約一兆六百三十二億円の地方債は、その約八割が民間資金である。政府資金はわずか二割弱の約二千億円にすぎないことは明らかであります。また民間資金による地方債約九千億円のうち、二千三百億円については政府資金と市場公募債の利率の差を補給しようとするにすぎないのであります。しかし、この償還についても、地方交付税の償還と相まって、将来の地方財政に与える影響は甚大であり、その償還の保障は全くないのであります。
政府は、減収補てん債全額を資金運用部資金で引き受け、かつ、その利子を政府の責任において補給すべきものであります。当然地方自治体の収入となるべき地方税収入が落ち込んだからといって、それに利息を地方自治体に賦課することは全く不合理千万なことだと思います。
以上、申し上げましたように、本案による地方財政対策は、地方自治体の負担と犠牲で財源の補てんをしようとするものであって、将来大きな犠牲を地方自治体に加えるものであり、日本共産党・革新共同は全く本案に賛成することはできません。
第三に、この特例法による財源措置は、地方財政計画の範囲内に限定されている点であります。地方財政計画と決算の乖離は、昭和四十七年度の決算と地方財政計画の乖離を見ますと、地方税収で七千二百億円、歳出では一般行政経費及び給与費で約一兆九千四百億円にも上っているのであります。政府はこの莫大な乖離を何ら措置することなくそのままにし、わが党は、政府のこのような実情に即しない地方財政計画と決算の乖離をそのままにしておく措置を見逃すわけにはいきません。わが党は、政府の地方財政計画の枠内での財源措置では、現実的な地方自治体の財政運用は不可能であると考えます。これは全く不当と言わざるを得ません。
以上、申し述べました理由によって、政府案について反対、日本共産党・革新共同提案の現実的な措置に基づく修正案について賛成の意見を述べ、かつ、地方自治体の財政確立に寄与するわが党の修正案には全く賛成をする次第であります。
以上をもって、私の討論を終わるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/389
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390・大西正男
○大西委員長 小川新一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/390
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391・小川新一郎
○小川(新)委員 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております政府提出の昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案に反対し、また、日本共産党・革新共同提出の修正案に反対の立場から討論を行います。
今日の戦後最大の地方財政危機は、政府が経済の見通しと対策を誤った結果、インフレ、不況、失業問題等深刻な社会問題を巻き起こし、あまつさえ民主主義の母体と言われる地方自治体の行財政に衝撃を与えたのであり、この責任は一にかかって政府にあることは言をまちません。しかも政府は、インフレ対策のみに心を奪われ、不況によって起こった交付税の減収一兆一千五億円については、国の資金運用部からの借金によりその減収の穴埋めとしております。また同じく地方税の減収一兆六百三十二億円についても特例地方債の発行を認めることによって補おうとしております。しかも交付税、地方税の今回の措置は、その償還財源について何ら具体的な方途が明確にされておりません。
このままでは交付税、地方税の減収に伴う借金、借入金や特例地方債の償還のための地方側の負担の増大を招き、地方公共団体は、後年度において実質的な交付税率の引き下げや地方税の減額を来し、今後の地方財政にとっても重大な問題であります。
本来、国の財源によって地方財政の減収を補てんすべきでありますが、百歩譲っても、現在のような国、地方ともに苦しい財政の状況下では、借金財政もやむを得ないかもしれませんが、その場合でも交付税、地方税の減収に対する借金の返済に対して、国の責任を明確にすべきでありますが、これがなされておりません。
経済低成長下では、地方財政の収入増は多くを期待できないことから、交付税の借入金返済は国が責任を持つべきであり、また地方税の減収を補てんするための特例地方債を地方財源から償還するのであれば、交付税率を引き上げるべきであると強く主張しているのでありますが、今回はこのような措置が全くとられておりません。
また、不況下の明年度以降の長期経済計画も定まらず、ましてや地方財政の方向すら皆目見当がつかないのが実情であります。今回の地方財政の一連の審議を通じても、こうしたことは全く明らかにされないままであります。
このような基本的問題が明確でないまま、来年度の予算編成の時期を迎えている地方公共団体の苦しみは日を追って深まるのみであります。来年度の方針だけでも早急に示すべきでありました。
また、地方財政補正措置を見ると、地方財政計画ベースで収支の均衡を図り、そのため決算が常に大幅に計画を上回っている事業分は必要最小限度の地方の要求であり、その実情を正確に把握していただきたいのであります。特に、地方税と交付税の落ち込み分について、地方財政計画で計上した歳入までは何とか確保しようとしておりますが、この計画を上回っている歳出分についての財源措置は何ら講じられておりません。これが反対理由の第二であります。
本年度は、特に四十八年度の石油ショック以来、経済の高度成長が見込まれなくなったにもかかわらず、産業優先的な国税の租税特別措置、地方税の非課税措置によって地方税及び地方交付税は大幅な減収を余儀なくされております。このような情勢に対処する抜本的な行財政制度の改革に手をつけようとする姿勢が具体的にはうかがえませんでした。これが反対理由の第三であります。
次に、今回の財政危機は、国、地方とも膨大な借金をすることになり、地方債は特例債一兆六百三十二億円、公共事業の地方負担分等を合わせて一兆三千八百十二億円を増発することになっております。しかし、この中で政府債はわずか三千七百億円にすぎません。そのため、残りの大部分は縁故債によって措置しなければなりません。これまでも力の弱い地方自治体は縁故債の借り入れに困難を来たしておりますが、地方の各開発公社等においても、同じく資金の借り入れに困難を来たしてきたわけであります。しかも、五十年度下半期は大量の国債及び地方債の増発と民間の中小企業の資金需要が殺到することが予想されますが、特に年末における自治体の資金繰りが非常に心配されております。こうした縁故債その他の融資について、公明党は地方自治体が容易に起債の獲得ができるように、現在の公営企業金融公庫を発展的に改組して仮称地方公共団体中央金庫を創設すべきであると主張してきましたが、政府部内でこの方向に沿った改善策を検討しているようでありますが、それに対する明確な見通しがまだついておりません。これが反対理由の第四であります。
次に、超過負担の解消措置についてでありますが、政府は五十一年度で解消する予定であった超過負担の解消分百十億円を五十年度の補正で解消したと言っておりますが、これは四十八年度事業のうち農業委員会費、補助金等の六事業の運営費の単価差のみであって、五十年度で八十三億円、五十一年度で百十億円と、すでに決定していたものにすぎません。一部の事業の単価差の解消措置のみでなく、全事業の単価差、数量差、対象差、認証差について年間約三千億円を超えていると言われております超過負担の完全解消を図るべきであります。不況対策としての公共事業等も消化できなくなり、政府の超過負担の解消措置は完全解消とはほど遠いものとなっております。
公明党が提唱しております超過負担全面解消のため、国と地方公共団体との財政上の負担関係の健全化に関する法律案の早期制定を図るべきであります。
次に、人口急増対策についてであります。現在、人口急増地域の都道府県の最大の要求は公立高校の建設問題であり、これまた、都道府県のみの問題でなく、いまや子供を持つ父兄にも大きな問題となっております。これまでのように、高校建設を地方に任せきりでは、急増を続ける高校進学者の要望に対処することは、きわめて困難であります。そのためにすでに準義務教育化している高校建設に対し国庫補助制度が必要でありますが、五十一年度以降の明確な方針が打ち出されておりません。来年度は必ず高校建設の補助制度を確立することを強く望むものであります。
また、人口急増市町村の財政需要は、依然として増大を続けております。当該自治体はさまざまな工夫をこらし、対策を立ててはいるものの、ふえ続ける財政需要に追いつけないのが実情であります。
現在の人口急増市町村の交付税措置は、人口急増補正が十分でないことと、また、これらの市町村の財政難打開のためには、根本的には、国の強力な財政措置にまつ以外にないのであります。
私どもは、この解決のために、国庫補助率の引き上げ等を盛り込んだ人口急増対策特別措置法案を提言しているのでありますが、この措置がとられておりません。
結論として言えることは、赤字団体が急増する中で、地方自治体の自主財源が大きく揺らいでおり、新憲法で保障された地方自治の本旨が財政面からゆがめられ、ひいては民主主義そのものの基盤を危うくすることを深く憂うるものであります。
いま最も重要なことは、真の地方自治を確立し、住民福祉を推進することであり、そのためには政府が責任を持って必要な地方財源を確保することに全力を挙げるよう強く要求するものであります。
最後に、日本共産党・革新共同の提出修正案に反対し、以上をもって私の討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/391
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392・大西正男
○大西委員長 折小野良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/392
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393・折小野良一
○折小野委員 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案について、反対の討論をいたします。
以下、簡単に政府原案に対する反対の趣旨を申し述べます。
その第一は、現行の地方交付税制度を初めとする地方財政諸制度が、現在のような財政危機の事態に対応できなかったということでありまして、これを応急措置によって補てんしようとするのがこの特例法の原案であります。しかし、いわゆる借金による対策は、事態を後に引き延ばすということでありまして、むしろ今日の危機を一層深刻なものにするだけであります。
第二は、あるべき財源対策は、適切な地方財政の規模を確保するものでなければなりません。今日の地方財政計画は、現状を大きく乖離し、さらに、あるべき地方行財政の指標としても十分にその機能を発揮しているとは言いがたいのでありまして、その意味においても、本年度の当初の地方財政計画を保障するという立場における特例法案の措置は、適切な対策として不十分であることを免れないのであります。
第三に、特に問題といたしたいのは、地方財政の危機に対する政府の姿勢についてであります。見通しの誤りもさることながら、将来に対する積極的な危機克服の意欲と、これに基づく抜本対策の構想が見られないことであります。
今日の地方財政の危機は、いわば過去の矛盾が今日の経済の激変に際して一挙に露呈したものであります。しかし、反面、過去の矛盾が露呈したことによって、改革を推進するについての絶好のチャンスだとも言えるのであります。この際、政府は、地方自治の本旨に沿った前向きの姿勢において、あるべき地方自治の確立とその振興のために一層の努力を払うべきであります。よって、強くこれを要請をいたしまして、私の討論といたします。
なお、日本共産党・革新共同提案の修正案についても反対でありますことを申し添えて、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/393
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394・大西正男
○大西委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/394
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395・大西正男
○大西委員長 これより採決いたします。
まず、三谷秀治君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/395
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396・大西正男
○大西委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/396
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397・大西正男
○大西委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/397
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398・大西正男
○大西委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、片岡清一君、佐藤敬治君、小濱新次君及び折小野良一君から、四党共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、本動議の提出者から趣旨の説明を求めます。片岡清一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/398
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399・片岡清一
○片岡委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により、昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案について附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。
昭和五十年度における地方交付税及び地方債の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本年度以上に窮迫の予想される明年度以降の厳しい地方財政の状況にかんがみ、とくに左の諸点について善処すべきである。
一、昭和五十一年度の地方財政対策をたてるに当つては、地方交付税率の引上げ、臨時特例交付金の交付等を含め、地方交付税の所要額の確保等一般財源の強化充実につとめること。
二、昭和五十一年度の地方財政計画の策定に当つては、引き続き積算内容の改善合理化を図り、決算とのかい離の是正について十分配慮すること。
三、国、地方を通ずる事務及び税財源の再配分について早急に検討するとともに、とくに昭和五十一年度においては、租税特別措置及び非課税措置の整理、事業所税の課税団体の拡大、法人事業税における外形標準課税の導入、地方道路目的税源の拡充を図ること。
四、昭和五十年度の財政措置をとるに当つては、(1)交付団体・不交付団体の別、(2)給与の実態、(3)財政状況の如何にかかわらず、異つた取扱いをしないこと。
五、地方債については、その総額を増額するとともに、政府資金の確保、償還期限の延長、手続きの簡素化等に努めるほか、金融事情の悪化にかんがみ、縁故債が円滑に消化されるよう関係機関との調整を図ること。
六、超過負担については、引き続きその完全解消措置を講じ新たな超過負担を生じさせることのないようにするとともに、国庫補助負担金制度の改善合理化を図ること。
七、人口急増地域及び過疎地域の市町村に対する財政措置を充実し、住民生活の安定及び住民福祉の充実を図ること。
八、地方公営企業金融公庫を地方団体中央金庫(仮称)に改組し、地方債資金の充実を図る等の方途を講ずること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ皆様の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/399
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400・大西正男
○大西委員長 以上で趣旨の説明は終わります。
これより採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/400
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401・大西正男
○大西委員長 起立総員。よって、片岡精一君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福田自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/401
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402・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま満場一致で御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと思います。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/402
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403・大西正男
○大西委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/403
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404・大西正男
○大西委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/404
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405・大西正男
○大西委員長 次回は、明十一日火曜日午前九時五十分から理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00619751110/405
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