1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年十一月十一日(火曜日)
午前十時二分開議
出席委員
委員長 大西 正男君
理事 愛野興一郎君 理事 片岡 清一君
理事 島田 安夫君 理事 高鳥 修君
理事 中山 利生君 理事 佐藤 敬治君
理事 山本弥之助君 理事 三谷 秀治君
伊能繁次郎君 亀山 孝一君
木村武千代君 小山 省二君
渡海元三郎君 永山 忠則君
古屋 享君 渡辺 紘三君
板川 正吾君 岩垂寿喜男君
細谷 治嘉君 山田 芳治君
多田 光雄君 林 百郎君
小川新一郎君 小濱 新次君
折小野良一君
出席国務大臣
自 治 大 臣 福田 一君
出席政府委員
通商産業政務次
官 渡部 恒三君
通商産業省立地
公害局長 宮本 四郎君
資源エネルギー
庁石油部長 左近友三郎君
消防庁長官 佐々木喜久治君
消防庁次長 森岡 敞君
委員外の出席者
資源エネルギー
庁石油部精製課
長 山中 正美君
地方行政委員会
調査室長 日原 正雄君
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委員の異動
十一月十一日
辞任 補欠選任
井岡 大治君 板川 正吾君
同日
辞任 補欠選任
板川 正吾君 井岡 大治君
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十一月十日
自治体病院の健全化に関する請願(稻葉修君紹
介)(第一七二九号)
自治体病院健全化に関する請願(木村俊夫君外
一名紹介)(第一七三〇号)
名古屋市営交通事業の財政危機打開等に関する
請願(岩垂寿喜男君紹介)(第一七三一号)
同(横山利秋君紹介)(第一七三二号)
同(岩垂寿喜男君紹介)(第一七七三号)
同(横山利秋君紹介)(第一七七四号)
同(赤松勇君紹介)(第一八六七号)
同(田中美智子君紹介)(第一八六八号)
同(横山利秋君紹介)(第一八六九号)
事業税に事業主報酬制度創設に関する請願(木
村俊夫君紹介)(第一七三三号)
同(坂口力君紹介)(第一七三四号)
同(羽田野忠文君紹介)(第一七三五号)
同外一件(天野公義君紹介)(第一七七一号)
同(山田久就君紹介)(第一七七二号)
同(奥田敬和君紹介)(第一八四八号)
同外四件(椎名悦三郎君外一名紹介)(第一八
四九号)
同(高鳥修君紹介)(第一八五〇号)
地方自治体の財政危機打開に関する請願(井岡
大治君紹介)(第一七三六号)
同(河上民雄君紹介)(第一七三七号)
同(坂口力君紹介)(第一七三八号)
同(瀬野栄次郎君紹介)(第一七三九号)
同(堀昌雄君紹介)(第一七四〇号)
同(井岡大治君紹介)(第一七六二号)
同(小川新一郎君紹介)(第一七六三号)
同外一件(河上民雄君紹介)(第一七六四号)
同(久保田鶴松君紹介)(第一七六五号)
同(瀬野栄次郎君紹介)(第一七六六号)
同(広沢直樹君紹介)(第一七六七号)
同外一件(堀昌雄君紹介)(第一七六八号)
同(矢野絢也君紹介)(第一七六九号)
同(渡部一郎君紹介)(第一七七〇号)
同(浅井美幸君紹介)(第一八五五号)
同(新井彬之助君紹介)(第一八五六号)
同(井岡大治君紹介)(第一八五七号)
同外一件(河上民雄君紹介)(第一八五八号)
同(久保田鶴松君紹介)(第一八五九号)
同(田中武夫君紹介)(第一八六〇号)
同(林孝矩君紹介)(第一八六一号)
同(堀昌雄君紹介)(第一八六二号)
同(正木良明君紹介)(第一八六三号)
同(渡部一郎君紹介)(第一八六四号)
営業用トラックに対する自動車関係諸税の増税
反対に関する請願(森下元晴君紹介)(第一七
四六号)
東京都の財政危機打開に関する請願(松本忠助
君紹介)(第一七六〇号)
地方財政の危機打開に関する請願(鈴切康雄君
紹介)(第一七六一号)
同(玉置一徳君紹介)(第一八六五号)
同(林百郎君紹介)(第一八六六号)
小規模住宅用地の固定資産税等減免に関する請
願(折小野良一君紹介)(第一八四七号)
地方財政の危機突破対策に関する請願(下平正
一君紹介)(第一八五一号)
新産業都市に伴う財政特別措置の延長等に関す
る請願(下平正一君紹介)(第一八五二号)
地方財政の確立に関する請願(野間友一君紹
介)(第一八五三号)
地方財政確立のための施策に関する請願(山田
太郎君紹介)(第一八五四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
石油コンビナート等災害防止法案(内閣提出第
二三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/0
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001・大西正男
○大西委員長 これより会議を開きます。
内閣提出に係る石油コンビナート等災害防止法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますのでこれを許します。板川正吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/1
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002・板川正吾
○板川委員 石油コンビナート防災法について若干質問いたしたいと思います。
本法案は、前国会、衆議院を全会一致で通ったものですが、参議院で審議未了、廃案となって、今回、同様のものが提案をされたわけであります。私は、かねてこの法案の内容について若干疑問点を持っておったのでありまして、この機会に質問をさしていただきまして、まことにありがとうございます。
冒頭に実は申し上げておきたいのでありますが、この法案について異論なり疑義を持つ私の真意は、水島事故の経験を生かして、今後再び同種の災害を防止しよう、こういう意図にあるのでありまして、ぜひそうした私の真意を理解の上に御答弁を願いたい。妙に何かなわ張り争い的な感じを持たないでもらいたい、こう思います。
まず第一に伺いますが、水島コンビナートの三菱石油タンクの破裂事故によって重油が流出をして、非常な損害を与えたわけでありますが、この事故の原因は何であるのか、この点をまず伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/2
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003・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 現在この事故につきましての原因調査委員会が設置されまして、ただいまその最終答申につきましてのまとめの段階に入っておるのでございますが、このような大きい事故になりました原因は、いろいろ考えられるわけでありますけれども、やはり直接の引き金になりましたのは、タンクに付設されました直立階段というものが、タンク本体の建設が終わりました後で、そのタンク本体の基礎を壊しながら直立階段の工事が行われて、その工事の後始末というものが非常に悪かったために一部に非常な応力が生じ、タンクの側板とアニュラプレートの継ぎ目付近が破裂をしたというようなことになっておるわけでありまして、やはりこの工事管理というものについての不徹底というものが直接の引き金になったというふうに考えられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/3
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004・板川正吾
○板川委員 わかりました。新しい工法を用いられたものが恐らくあの事故の直接の原因であったろう、そういう見当をつけておられるようであります。
では次に伺いますが、水島事故の損害は、現在までのところ一体どの程度になっておるのか、もう一つは、この事故を惹起した行政上の責任というのは一体どこが負われるのか、この二点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/4
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005・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 この事故の損害は、一つは、漁業補償を中心といたしますいろいろな損害補償の関係でございますが、現在まで約百五、六十億の損害補償が支払われておるというふうに聞いております。それからさらに重油流出に伴うその清掃等の経費が約百三十億前後、それから会社側の発表によります営業停止期間中における営業損失というものが約百五十億程度あるというふうな会社側の発表でございますが、それらを合わせまして四百億以上の損害があったというふうに考えられるわけであります。
また、この事故につきましての行政上の責任の所在の問題でありますが、石油タンクにつきましてのいろいろな法律上の規制事務は、消防法の規定に基づきまして市町村長が権限を行使をしておるわけであります。そういう意味におきまして、第一次的には市町村、三菱の場合におきましては倉敷市長というものが第一次的な行政責任を持つというものでございます。
ただ、この行政は危険物行政でございまして、地方自治法の規定に基づきまして、機関委任事務というふうに規定をされております。したがいまして、この事務につきましては国の事務というふうに考えられておるわけでありますので、この事務の性格から見て国がその指揮監督の権限を有すというこの権限の規定に基づきまして、行政責任は当然国においてもあるというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/5
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006・板川正吾
○板川委員 この事故の損害賠償は四百億を超えておる。これは現在のところ企業が負担しているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/6
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007・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 この損害の補償その他は、すべて企業が負っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/7
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008・板川正吾
○板川委員 いま長官は、この行政の責任は第一次的には倉敷市が負う。そしてこれを機関委任しておる関係からして当然国も指導監督の権限があるし、国も責任を負う、こういうことをおっしゃいました。
実はこの前商工委員会で議論をしたときに、森岡政府委員は、「機関委任をしておるわけでございますので、その機関委任事務が適切に処理されますような指揮監督権を、地方自治法上百五十条において設けておるわけでございます。その指揮監督の権限は消防庁に属しておる」こう言って、消防庁の責任というものを実は前に触れてなかったわけです。私は、機関委任は地方自治体にしておってもその最終責任は消防庁で負う、国が負う、これが本当じゃないかと実は確かめたかったのです。そしたら、まあいま長官は、最終的には国が責任を負うという意味のことをおっしゃいましたからいいと思うのですが、たとえば戸籍事務なんかは、これまた機関委任事務でしょう。しかし、戸籍上の間違いが起こったら、それは市町村長が第一義的に責任を負って国が負わぬということはないですね。あれはもう間違いが起これば国が責任を負う。機関委任して指揮監督権を持っている以上は国が負う、こういうたてまえでなくちゃならないと思うのですが、第一義的には国が責任を負う、第二義的に委任をしておる現場へ任した地方自治体にも責任がある、こういう考え方に立たないと、どうもこのコンビナートの安全というのは、将来安全を確保するというのは非常に不安を感じるわけです。私は、国が第一義的に責任を負うんだ、こういう気持ちを持ってもらいたいと思うのですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/8
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009・福田一
○福田(一)国務大臣 御指摘の問題でございますけれども、第一義的にはやはり機関委任をされたものが持つという姿の方が、今後行政をやる上において、この種のものはいろいろございますが、国が第一義的責任を持つというよりは、やはり現場が第一義的責任を持ち、そしてまたそれを委任した国が次に責任を持つ。その責任分担の度合いをどう決めるかということは問題はあるかもしれませんけれども、一応やはりそれを担当している第一義的責任を持ったものが責任を持ちませんというと、それに責任がないということになりますというとかえって問題を紛淆させるおそれがあるのではないか。でありますから、その度合いの問題とかそういうことは別にしても、第一義的にはやはり委任されたら、それがいやならばいやだと言えばいい、それはいやとは、法律ですから言えないけれども、法律で決まればやはりそれは責任を持たざるを得ない、こう解釈すべきではないかと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/9
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010・板川正吾
○板川委員 消防法の細かい点は、私はそれは市町村が第一義的に責任を負うという形もいいと思いますが、この巨大なタンクの安全性というようなものを確保するためにも、やはり国がもっと安全性をチェックし、国が規制を強化するというたてまえをとらなければ、その点をあいまいにしておいて市町村に第一義的な責任があるんだという形で言ったんじゃ、私は水島事故の根本的な原因というものは反省がない。そういう反省がなければ、安全を防止するためのコンビナート防災法というのは実際生きてこない、こういう感じがするから、私は国にもっと本腰を入れてもらいたいという気持ちを問うておるわけであります。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/10
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011・福田一
○福田(一)国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、たとえ法律でもって一義的な責任があるということになったとしても、それにそれだけの能力があるかどうかという問題が私はどうしても出てくると思うのであります。能力がないのに責任を持たされるということになるとこれはやはり無理がある。法律でございますから、それは決めればそれを変えるわけにはいかないけれども、能力のないものに能力を持てというところに私は問題点があるということについては先生と同じ意見だと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/11
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012・板川正吾
○板川委員 水島事故の二七〇号の石油タンク、これはエアリフト工法というのを用いたわけですね。これは新しく開発された工法をとったわけでありますが、そういう新しい工法をとったという場合に、タンク設置の許可に当たってその安全性を確保するために消防庁はどのような指導監督を行ってきたのですか。これも現地消防本部に一任されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/12
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013・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 タンクの工法なりあるいは構造の基準、また工事の管理につきましてのいわばマニュアルというようなものにつきまして、この事務を処理するにつきましてのいわば具体的な指針というものが十分に……(私語する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/13
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014・板川正吾
○板川委員 委員長、ちょっと静粛にしてください。聞こえないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/14
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015・大西正男
○大西委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/15
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016・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 十分に地方団体の方に示されておらなかった、こういう点は私どもも非常に反省をしておる点でございます。
この二七〇号タンクにおきましてエアリフト工法がとられた、その工法自体というものにつきましてはそう問題のある工法であるというふうには考えられないのでありますけれども、この工事全体として見ます場合に、基礎工事が完了をしてからエアリフト工法実施のためのいわば穴が掘られ、そしてまたタンク本体の工事が終わった後で独立階段の工事が行われる、こういうふうな工事の手順というものについて非常に問題がある工事が行われた。この点は、私どもも非常にこのタンクの工事に、特に事故の原因調査に当たって重大な問題があるというふうに考えているところでございまして、やはりその工事の手順というところについてまで具体的な指針を示していかなければ、タンクの場合には非常に大きい問題が将来とも起こり得るということを反省しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/16
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017・板川正吾
○板川委員 それからもう一つ伺いますが、このタンクの周辺には防油堤の設置が義務づけられております。この防油堤の高さもこれまた規制をされているわけです、周辺何メートルのところに一メートル何十の高さの防油堤をつくれと。この防油堤の目的ですね、これは許容量と防油堤の距離との関係をどういうところにポイントを置いたのか、これをひとつ伺っておきたいのです。
これは、今度の規制によって高さが低められて、周囲を広く改正されるようであります。まあ狭いと、火災が起こった場合は狭い方がいいのです。広くすると、火災が起こった場合にはかえって火の面積が広がりますから危ないのです。ところが従来の防油堤の設置の基準というのは、タンクの底から若干漏れてきた、それで漏れたのがある程度たまる場合に、それが防油堤の外に出ないようなという考え方で防油堤がつくられておる。タンクの底に亀裂が生じて、そこで破裂した、そして五万トン、十万トンというタンクがあった場合に、それが破裂した場合にはタンクの周辺何メートルの地域に一メートル程度の防油堤があっても、それはもう消防ポンプのホースの先みたいにぴゅっと飛び出すのですから、その近くに一メートル三十の防油堤があってもそれは役に立たない。ですから、この防油堤の性格というのを消防庁はどこにポイントを置いて基準をつくっているかということが一つ問題なんです。
それで私は、いままでの防油堤の設置基準というのは、漏れてそれがたまってきて堤外にこぼれて出ないということであって、亀裂が生じて噴出をするというものを避けるということの防油堤ではない。ですから、当然亀裂が生じて噴出をした場合には、その防油堤を飛び出して先に流れる、流れ出す。そういう場合に、その先に流れ出したものを、第二次防油堤をつくっておけば、いままではつくってないんだけれども、つくっておけば、少なくとも今回の事故は防げた。私はこの事件が起きて二日か三日後、商工委員会で、たまたま森岡次長に来てもらいまして、なぜ第二次防油堤をつくっておかなかったのか、こういう話をしたわけです。そうしたら、まあ話がよくわからなかったのですが、その後わかって、今回第二次防油堀をつくれという指示をした。この間私は鹿児島県の鹿児島湾上にある喜入という石油タンクの貯蔵基地へ行ってきましたが、新しい防油堤ができていました。そういう噴出を予想して、第一次防油堤じゃだめな場合に少なくとも第二次をつくっておけば、あの事故は未然に防げたはずなんです。だから、そういう点で防油堤の設置の基準というのをどういうふうに考えておるのか。今度広げて低くするということは、火災に対しては弱いんですよ。そういう点をどうお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/17
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018・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 これまでの防油堤の基準は、ただいま御指摘ございましたような考え方に基づきまして、油の面積をできるだけ狭いところに押さえていきたい、それからまた、日常の保安点検業務に支障を生じないようにということで、高さ制限を一・五メートルということに制限をしておったわけです。ただ、この防油堤につきましては、昭和三十九年の新潟地震の経験にかんがみまして、耐震性ということにつきましては十分注意をし、あの地震の反省から耐震性の計算は十分行って、いまの防油堤の基準をつくったわけでありますけれども、先般の水島事故の経験から見ますと、耐震性よりも、やはりいま御指摘ございましたような噴出というものに対してどう対処をするかという問題が一つあったわけであります。
それからもう一つは、現在防油堤の容量の基準というものが最大タンクの五〇%プラスアルファということだったわけでありますけれども、この五〇%基準ということにいたしますと、これはタンクの繰業率の問題にも関連するわけでありますけれども、将来大きな備蓄ということを考えますと、タンクが常時五〇%程度の容量であるということはむしろレアケースに属して、もっと七〇%、八〇%のタンク容量というものは当然これは考えておかなければならない、こういうようなこともございますので、いま私ども消防関係の政省令の具体的な基準の設定作業を急いでおりますけれども、やはり水圧ということを考慮しての構造の強化を図らなければならない。さらに防油堤の容量につきましても最大タンクの一〇〇%は少なくとも収容するだけのものにしなければならない。したがって高さ制限というものは、これを撤廃せざるを得ない、こういうふうな考え方でいま作業を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/18
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019・板川正吾
○板川委員 この防油堤の問題で、素人の私でも、事件を起こした数日後、なぜ第二次防油堤がつくられてなかったのか、この防油堤の設置の基準の考え方、ポイントというのが、どうも火災を中心につくられておった感じがします。全く噴出についての予測をしてなかった。だから、当然噴出を予想しておるならば、あの防油堤では防油堤の役目を果たさない。したがって、第二次防油堤をつくっておくべきであった。こういう点は、この防油堤の基準をつくる消防庁が、素人の私でも事故が起こったとたんにそういう感じを持つのに、こういう危険物の安全を専門に研究している、そして基準をつくっておる消防庁が第二次防油堤を考えなかったというのは、私はこれは一種の職務の怠慢だと思いますよ、はなはだ失礼な言い方かもしれませんが。まあそういう点で従来のこの防油堤の基準というのは実にあいまいであったということを私は指摘せざるを得ません。
そこで次に伺いますが、私は過日、鹿児島湾にある石油貯蔵基地を調査してまいりました。海を埋め立てて、そのところに十万トンの石油タンクが数十、十五万トンのタンクがこれまた二十ばかり林立をしておるという備蓄基地であります。これはコンビナートじゃないのです。備蓄基地で、これは完全な消防庁の所管の地域であります。それが近く二倍の計画を持って、まあ石油備蓄法が通った場合にそこを現在と同程度さらに埋め立てをして備蓄基地としたいという計画があるようであります。その喜入を訪れてみますと、町長に会いましたら、町は人口一万二千人で、そして町の税収の九七%が基地よりの収入と、資料で私どもに示しておりました。その町にはもちろん常備消防ないし化学消防もない。まあ消防本部がないのですから、これはこの設置については県が担当したと思いますけれども、基地の防災は一切企業に任せてある状態であります。もちろんこの基地の防災は企業が第一次的に責任を負うのは当然でありますが、しかし消防法からいって当然、あるいは消防組織法からいっても、自治体が責任の一端を負っているわけであります。
私が強調したいのは、今後石油備蓄が行われるようなところは、海辺僻地以外にないんじゃないだろうか。内陸とか大都市工業都市、こういうところに石油基地というのは恐らく設置されないだろう、こう思います。横浜とか川崎とかいう政令都市、こういうところには十分防災要員もおりますし、防災体制が十分であります。しかし川崎や横浜のところでは市町村で十分な防災体制があるからということでこのコンビナート石油基地の防災というのを考えてはいけないのじゃないか。今後はこういう喜入のごとき海辺僻地ですね、こういうところ以外にはできないんじゃないか。そういうところは小さい町なんです。そういう小さい町に、たとえば全国の町村のうちで七〇%は消防本部があるようですから、そういうところに基地ができる場合に、それは市町村の責任だ、第一次的に責任だと、こういういまの体制のままでいくということは、私は石油基地の安全性を確保する面からいってもそれはとても不可能じゃないか、こう思うのです。市町村に全部責任を負わせるというのは無理じゃないですか。消防組織法上市町村に機関委任をするというならば、やはり国が、さっき私が言ったように責任を持ってそれを補助してやらなくちゃいかぬじゃないか、そういう考え方があるわけです。
たとえば十万トン、十五万トンというような巨大なタンクの安全性は、土木技術や工学力学的な技術、そういう高度の科学的な設計工法、こういうのが必要とされておる。そうした高度な科学技術的、力学的な産物である巨大タンクを地方自治体に機関委任しているのだからそれに責任があるのだという考え方は、防災法の趣旨に反するじゃないか。どうしてもそういう点は防災法として不十分な点だ、こう思いますがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/19
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020・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 私どもが石油備蓄基地を含めてこのコンビナート防災法の規定に基づく特別防災区域として指定されるであろうと予想している地域が現在七十ほどございますが、この七十地域の中でも現在常備消防のない区域というものが四つほどあるわけでございます。こういう地域が将来また石油備蓄法との関係から見てふえていくということもただいま御指摘のように予想されるところでございまして、確かにこういう地域における石油タンク等の安全管理という面で、果たして十分に対応し得るかどうかということになりますと、やはり私どもも相当心配があるわけであります。
特に石油タンクの技術基準につきましては、現在その改定を急いでおりますけれども、この基準から見ましても、特に地盤の問題、設計の審査の問題あるいは検査の問題というものを考えてみますと、果たして現在の弱小な常備消防の場合、あるいは常備の消防がなくて県がその仕事をするといった場合の県の技術水準という問題、これをあわせて考えましても私ども非常に問題点が残るというふうに考えております。
一つは、消防機関あるいは消防業務を担当する県自体の技術水準の向上あるいは開発ということも考えなければならないわけでありますけれども、やはり相当なむずかしい部分につきましては、何らかの方法によって市町村の技術を補完をしてやるということを考えていかなければならないわけです。
この方法としてはいろいろあるわけでありますが、たとえば国が直接そうした市町村の業務を補完していくという方式もあるかと思います。また、あるいは何らかの特別な機関を別に設けまして、その機関が市町村の仕事の補完をするというふうな考え方もあるかと思います。
ただ、国が機関委任事務をしているその事務について、一部また国に戻して国みずからが処理をしていくということにつきましては、やはり法律制度の上にも問題点がございます。また別な機関を設けるという場合に、果たしてそれだけの技術が十分充足できるような体制の整備ができるかというような問題、あるいはその場合の責任の所在というものをどういうふうにはっきりさせていくかというような問題がございます。
いろいろ長短問題がございますので、いま私どももこれからの検査あるいは点検というもののあり方について、法律的にあるいは技術的にその辺の検討を行っているわけでありますけれども、この点につきましては、次の通常国会におきまして消防法の改正という形でこの問題についてのはっきりした方針は確立をしていきたい。いずれにしましても市町村の技術は補完をしていかなければならないというふうに私どもも意識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/20
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021・板川正吾
○板川委員 前に森岡政府委員と私とのその点に対する質疑応答がございます。森岡政府委員は私の質問に対して、これは消防庁次長ですから消防庁を代表して、御指摘のありました点について、「第三者機関、技術者をプールいたしました検査機関を設けるということでございますが、これは私どもは明年度消防法を改正いたしましてそのような措置をとりたい、かように考えております。」こう言っておりますが、いまの趣旨と同じですね。
ただそのときに私が申し上げたのは、消防法を改正して第三者機関をつくり、これを認定するあるいは指定するということで地方自治体における検査機能を補完してやる、こういうことを答弁されておって、ただそれが消防法を改正しないで任意の検査機関というのではやはりだめだ、例の放射能検査機関じゃないけれども、任意の機関では国が国民に対して責任を負うという形をとらぬ、こう思います。地方自治体に委任しておきながら一部をとるといっても、地方自治体でもそれの安全性をチェックする機能が十分でないのですから、これを国が戻して、国の指定機関で検査を受けたものが、地方自治体のさらに書面審査なりそういう、とても実態調査まではできっこないのですから、書面審査なりを受けるということでいいのじゃないかと思うのですが、この検査機関を次の通常国会に設ける意思は間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/21
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022・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 いま申し上げましたように、この設置に当たりましての、技術的な審査を行う方法というのは国みずからが市町村等の要請に基づいて実施をするのか、あるいは第三者的な特殊法人といいますかこういう形で行う方がいいのか、いまこの辺についての検討中でございます。ただ、特殊法人という形で、国から一応切り離してその法人に一定の資格要件を与えて検査を行うということにいたします場合には、その責任の所在、この検査等に基づいて事故が発生した場合にどういう形で責任をとるべきか、こういう問題につきましてはやはり法律上問題もございますので、現在法制局の方ともいろいろそうした議論を煮詰めております。
国が直接やります場合、あるいは特殊法人をもってやります場合、これらの長短をいま検討しながら、いずれにしましてもこの検査のあり方につきましては、消防法の改正をもってはっきりさせていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/22
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023・板川正吾
○板川委員 消防法は来通常国会に必ず改正案を出す、こういうふうに受け取ってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/23
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024・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 危険物行政の緊急性から見て当然に次の通常国会には提出しなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/24
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025・板川正吾
○板川委員 通産省に伺いますが、通産省は高圧ガス取締法を担当しております。高圧ガスタンクの安全性をチェックするためには、通産省の方としてはどういう措置をとっておられるのですか、その点をちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/25
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026・宮本四郎
○宮本政府委員 お答え申し上げます。
通産省におきまして、高圧ガス製造設備のもろもろの保安の確保のためにいろんな検査その他をやっておるわけでございますが、持に高圧ガス設備の欠陥によって大事故につながるおそれがございまして、持殊な危険な高圧ガスの製造設備につきましては、この前の国会におきまして高圧ガス取締法の改正をしていただきまして、新しく特定設備検査制度というのを導入したわけでございます。この特定設備検査制度と申しますのは、設備の製造段階での検査をやろうというところにねらいがございまして、従来、設備の完成検査、それから保安検査というのがございましたが、新しくこの特定設備検査というのが加わりまして、これで検査の体系的なかつ一貫的な体制をとることができるというふうに私ども考えております。
その内容でございますが、まず第一に、どういうものを対象にするか。言うまでもなく検査の対象は、非常に重大な事故につながる可能性のある基本的な部分でございまして、たとえば貯槽、タンクでございます、それから反応塔などの塔槽類、これは塔とかあるいは槽の類でございますが、それからポンプ、コンプレッサー、安全弁、緊急遮断弁、高圧バルブ、こういったものが対象になろうかと思いますが、当面は塔槽類を対象といたしまして、逐時こういった設備をふやしてまいりたいと考えております。
二番目に、内容とその検査の方法でございますが、特定設備検査は製造の工程ごとに行うことにいたしております。したがいまして、具体的に申し上げますと、たとえば材料の選択あるいは溶接、これはまあいろいろと事故につながることが過去の経験においてございました。それから組み立て、加工、こういった各工程ごとに設計書をチェックいたしまして、材料の品質、肉厚、構造、溶接部の検査、それから組み立て、加工の方法のチェックをいたします。最後に、耐圧試験、気密試験、これをいたしまして合格いたしました場合には、検査合格証を出すという仕組みになっておりまして、これらの設備がワンセットといたしまして完成した際には、これらの特定設備検査に合格しておることを確認して、全体の完成検査をやる、こういうことになっております。
それから次に、だれがこの検査を行うかという問題でございます。法律上は通商産業大臣、それから特殊法人でございます高圧ガス保安協会または高圧ガス取締法に基づきますところの指定検査機関ということになっております。その具体的な分担につきましては、検査の内容及び検査の対象によっておのずから軽重がございまして、現在検討中でございますけれども、原則といたしましては、危険性が非常に大きい、また複雑である、かつ大規模である、こういった設備につきましては通商産業大臣が直接に検査を行う、と申しますのは、具体的に申しますと、通産大臣の下に工業品検査所というのを直轄で持っております。あるいは高圧ガス保安協会、国または国に準ずる特殊法人が行うことになるだろうと思っております。それからポンプとか安全弁といったやや小型の設備につきましては、生産台数も多いし、その設備もわりあいに定型化しておるという観点から指定検査機関、これはどういう指定検査機関にさせるかということも検討中でございますが、公益法人である、あるいは技術的に能力がある、中立かつ公正な検査を実施し得るものであるというふうな観点から現在検討を進めておりまして、法律の規定によりまして五十一年の二月二十二日でございましたか、それまでにこの規則を出して検査に入ることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/26
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027・板川正吾
○板川委員 高圧ガスのタンクがたとえば事故を起こす、これまた工場災害になって非常な影響があるだろうと思います。これは徳山の出光工場の例を見るまでもなく重要な影響があります。しかし、今後備蓄基地における十五万トンタンクがたとえば破裂をし、その重油の流出事故があるというようなことになりますと、その被害は高圧ガスタンクの爆発と比較しても決してまさるとも劣らないような被害になる可能性があると思います。ですから、石油タンクはまあ製造設備じゃないんだというようなことで、従来タンクの安全性について過小に評価していたきらいがあったと思います。高圧ガスの方ではいま説明がありましたように、大型の特定のものは通産大臣が直接検査の責任を負う、あるいは順次保安協会とか指定機関とかそれぞれの検査機関を設けておって、大型の特定のものについては、設備の段階から材質から完成検査から、こういうふうなことをきちんと保安体制を強化して整えてきたわけですね。そうしますと、消防法による消防庁の石油タンクの規制は、なるほど消防庁が決められても、その規制されたものの高度の科学的な、技術的な、工学的な水準のものを判断するということが従来欠けておったのですよ。そこに私は消防法による防災体制の欠陥があったと思うわけです。
この高圧ガスで、通産大臣、保安協会、指定機関、こういう三つのそれぞれの機関がそれぞれの部署を担当して保安チェックをするわけですが、設計の段階からチェックをすると言われておりますが、やはり石油タンクもそういう設計の段階からチェックしなくちゃならないのじゃないですか。高圧ガスにはそういうように国が責任を持っておるのに、石油タンクには、第一次的には自治体だとこう言って、二次的にはあるだろうというような消極的な責任の負い方というのでは、私はコンビナート防災の目的は達せられない、こう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/27
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028・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 機関委任事務を完全に執行できるようにいたしますためには、市町村がそうした事務についての執行の基準あるいは技術的な基準というものを明確に示されることによってその事務を行い得るであろうということが考えられるわけでありますが、これまでの消防法の規定に基づきますタンクの技術基準の内容が、最近のコンビナート地域における石油タンクの巨大化というものに対して、十分これに追随していくことができなかったという点は私ども深く反省をしておるわけであります。いまの基準から見ますと、やはり五万トンとか十万トンというような巨大タンクにはいまの技術基準は非常に適合しておらないという点を私ども考えまして、この内容に根本的な検討をいま加えているところでございます。そしてさらに、その設計あるいは使用材料の内容というものにつきましては、タンクの大きさに応じた具体的な基準を設定しておかなければならない、それからまた、三菱の事故の例から見ましても、その工事管理、工程管理を十分やっていかなければならない、こういうことから、ただいま御指摘のように設計審査、それから地盤の検査、さらに地盤改良の工事内容、それから中間におきますところの特に溶接の問題についての非破壊検査、さらに完成検査、こういうふうな検査につきましても、いろいろな段取りを経て完成検査で終わりますように、そうした具体的な基準というものをやはり市町村に示していく必要がある。さらにまた、これらの技術基準の改正に伴って、それを十分こなすことのできない消防機関につきましては、その技術を涵養していく。これは先ほど申しましたような方式でいまその検討を行っているところでございますけれども、そういうことにして、もっとこの基準を具体的かつタンクの態様に応じた明確な基準を打ち立てていくということにいたしたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/28
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029・板川正吾
○板川委員 基準の明確化は結構なんです。ただ問題は、それを地方自治体、海辺僻地の小さい消防本部が、たとえば二万か三万の町にあったとする。そういうところにチェックをさせるのは不可能じゃないか。させても無理じゃないか。だから結局そうなると、それはもう企業の書類をうのみにするだけにしかすぎない、そういう判定する能力がないのですから。だから、そのためにはこのチェックする機関を国がちゃんとしてつくるべきだということを先ほどから言っているわけですが、ぜひそうしてもらいたいと思うのです。
それから、これは一つの私の意見ですが、この巨大タンクの安全基準というものに型式認定制度というのをとったらどうかな、こう思うのですね。たとえばこういう設計で、工法で、材質で、総合的に判断をして一つの型式を決める。チェックしやすいですね。たとえば今度水島で事故を起こしたのは、エアリフト方式をとった。これは新しい工法ですよ。しかも、新しい工法をとりながら加熱式を採用した。最近は石油タンクは加熱式というのはほとんどつくってないです。みんな保温式ですよ。魔法びん式ですよ。それを加熱式をとった。加熱式をとったために外側が熱くなりますから、どうしても外側にタンクより離らかして縦形のはしごをつくらざるを得ない。あれが保温式なら、タンクの周りにはしごをくっつけてらせん状に上がっていけばいいようにできているわけです。そうして縦形のはしごをつくった。二十何トンもあるはしごをつくるために基礎工事をした。こういうことが一つの事故の原因につながっていると思われますね。
それからエアリフト方式をとれば工期が早いです。そして費用も一割から一割五分安上がりにつく。そういうように今後も新しい工法が発見されて、新しいシステムで安く早くつくろう、こういうふうに業界が思うのは、これは業者として当然なんですね。だから、新しい工法を採用するときには、徹底的に消防庁で安全検査、実地検査をした上で認定をする、こういう型式制度というのを採用したらいかがなものか、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/29
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030・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 型式の方式は、どちらかといいますと工場などで大量生産をしていくというようなものにふさわしい方式であろうというふうに考えるわけでありますが、タンクの場合にはその現地の状況に応じて、現場で組み立てていくというような方式になるわけでありますから、いわゆる型式認定方式というものは必ずしも適さないのではないだろうか。この型式のあり方についての理解の内容によって違うかと思いますが、私どもは先ほど申しておりますように、タンクの大きさに応じてその使用鋼材の内容その他についての基準を決めていきたいというふうに考えておるところでございます。
また工法につきましては、確かにエアリフト工法につきましてあの水島のタンクの場合には問題点があったわけであります。直接の原因にはならなかったのでありますけれども、このエアリフト工法につきましては問題があったということは言えると思います。ただ、この場合の問題点はどちらかというと、基礎工事が終わった段階で、せっかくでき上がった基礎をエアリフト工法を実施するためにもう一遍壊すというようなことで、基礎工事とタンク本体工事との間の十分な連係というものがとれておらなかった。したがって、あるいはあれも原因になり得る要素はあったという点において非常に問題である。したがいまして、やはり工程管理という点を十分やっていく必要があるんじゃないか。新しい工法につきましては、私どもも消防研究所等を通じまして、十分その内容についての判断をしていきたいというふうに考えておりますが、いま、そういうことで詳細な基準につきましては、専門の分野の先生方にお集まり願っていろいろ検討をいたしておりますので、こうした委員会における基準の審査を通じまして、御意見のような内容についての検討はさしていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/30
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031・板川正吾
○板川委員 エアリフト工法をとる場合には、まず地盤を固めて、そして底板を敷いて、その上に屋根をつくって空気の力で上へ上げて、いわば地上で作業ができる。いままでの組み立て方式ですと、下からだんだんと上に作業場を延ばして上に上げていかなくちゃならない。そういう不便があったわけですが、まず地下を固める、その固めたところを壊したわけですね。従来は、縦形はしごを採用しておったときには、ある程度土盛りをして、等沈下は予想してつくっておるわけです。不等沈下はいけないけれども等沈下ならやむを得ない、ある程度固めて、予想しておるわけですね。ですから、今度縦形のはしごをつくったということは、事故の原因の一つとして、エアリフト工法とこれまた全く無関係ではないと私は思います。いずれにいたしましても、そういう新しい工法が巨大タンクに用いられる場合には、これを地方自治体の消防署の責任だということでなくて、国が責任を負うんだ、こういう体制の中で保安基準、管理機関、チェック機関、こういうものを整備をしてもらいたいというのが私の質問の趣旨であります。
実はこれから商工委員会へ行ってもう一度別の案件で質問をしたいものですから、そういう趣旨でひとつ大臣、来るべき通常国会にぜひ検査機関を、高圧ガス取締法が指定しておるような同じようなものを消防法でもつくられて、そして消防法を改正してそれをきちんと法的な位置づけをする、国が安全の基準について責任を負う、こういう体制をぜひとってもらいたいということを要望して、大臣の御意見を聞いた上で終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/31
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032・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいまの御趣旨につきましては、立法の過程におきまして十分参考にさせていただきまして、対処をいたしてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/32
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033・板川正吾
○板川委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/33
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034・大西正男
○大西委員長 速記をとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/34
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035・大西正男
○大西委員長 速記を始めて。
折小野良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/35
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036・折小野良一
○折小野委員 つなぎでございますから、しばらく。
コンビナート防災法が成立するといたしますと、直ちにコンビナート防災の実態というものが、これは動いていかなければならないわけでございます。しかしながら、従来の防災体制というのは消防を中心にした防災体制、それから高圧ガスに関する通産省関係の系統の防災体制、そしてまた将来海上防災という問題が出てくるならばそういう系統の防災体制、こういう従来、違った立場における防災体制が一本になって、実質的な効果を上げなければ本当のこの法が期待をする防災体制というのはできないのじゃなかろうかと思うのであります。それは言葉で言うのは無常に簡単でございますが、実質的な、有機的なコンビナート防災を達成するということは非常に困難な問題であろうというふうに考えます。そういう点につきまして、特に消防庁の今後のいろいろな努力というものが必要であろうというふうに考えるのでございますが、それに対する消防庁の御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/36
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037・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 この法案でねらいにいたしております防災活動の一体化という問題は、これからのコンビナート災害に対処するために最も基本的な事項でございます。そういう意味におきまして、これまでの災対法の規定に基づきます地域防災会議あるいは防災計画というものを、コンビナート地域につきましてはこれを一本化して具体的な計画を決めていきたい、こういうことを考えているわけでありますが、やはり防災活動の一体化に当たりまして、これを名実ともに一本化していくということのためには、相当詳細、具体的な防災計画の立案というものを考えていただかなければならないわけです。さらにまた、この詳細な計画をつくりますに当たりましては、これまで消防が中心になります場合には、どうしても火災というものがいつも被害想定の場合の中心になっておったというものにつきましては、やはり関係機関とも十分協議をして、できるだけすべてのいろいろな分野にわたる被害というものを十分想定をして、それに対応する具体的な計画というものをつくっていかなければならないというふうに考えております。
さらに、先般の水島事故でも問題がありましたように、資機材というものにつきましては、被害想定に十分対応し得る資機材の整備というものを考えなければならないわけであります。この資機材の整備につきましては、いままでの防災計画等におきましては、どうしても陸上の火災というものに偏り過ぎた資機材の備蓄というものが行われておるわけであります。これも、いま申しましたように被害想定に見合う体制というものをつくり上げていかなければならないというふうに考えております。
それからさらに、こうした防災計画に基づきまして、一たん有事の際のそれに対応し得る人の動きというものを十分に的確なものを確保し得るためにも、保安のための教育、防災のための教育というものを中心にいたしました、従業員を含め、地域の防災機関というものは、それに対応する訓練というものが常時行われておらなければならない。こういう意味におきまして、そうした詳細な防災計画に基づきましたところの教育訓練というものを考える必要があるというふうに思っておるところでございます。これは昨日もすでに東京湾地域におきまして総合訓練も実施をいたしておるわけでありますが、そういう意味におきまして、いままでのこうした防災活動のあり方に反省を加えまして、この法律の趣旨の実現に、各機関の十分な協力を得て対処していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/37
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038・折小野良一
○折小野委員 きょうは突然なことでございましたから、海上防災関係の方々は見えてないと思いますが、この前の審議の際にも、コンビナート防災と言う以上、海上防災をあわせて考えることが最も大切なことである、そのために海上防災計画というものを早急に立てるべきである、こういう意見が非常に強かったわけでございます。これに対しまして政府の方といたしましても何とかしたいという御答弁がございましたが、その後の経過といたしまして法律の改正その他についてどういうふうな進行の状態になっておるか、お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/38
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039・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 海上防災法につきましては、現在運輸省におきまして、内部に立案を担当いたしますワーキンググループを設けまして、まず運輸省内部における海上保安庁あるいは海運局、船舶局等の方の意見調整を行いながら、内部案の取りまとめということにいま全力を上げておられるというふうに伺っております。一応の案がまとまりました段階で私どもの方に御相談をいただくということになっているわけでありますが、まだこの段階には至っておらないのでありますが、当然に御指摘のように、特に港湾区域を中心にいたしまして、陸と海の接点の問題というものは十分私どもも考え方をまとめまして、運輸省とよく相談をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/39
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040・折小野良一
○折小野委員 海上防災関係はコンビナート地域の実態からいたしまして、これはもうきわめて必要な、しかも急を要する問題であろうというふうに考えております。各方面の要望も強いことでございますので、ぜひひとつ消防庁側からも推進をしていただきまして、少なくも次の国会あたりにその法案が出てくるというところまで御尽力をお願いをいたしておきたいと思っております。
ただそういうような状態になってまいりますと、政府の各機関というのはいわゆる縦割り行政でございます。縦割り行政のいい面というものももちろんあるわけでございますが、しかし従来それに余りにもなれておると申しますか、そういうくせが今後コンビナート防災という面に出てまいりますと、この法律が企図するような防災体制の一体化ということを阻害する、こういうようなことも憂慮されるわけでございます。たとえば従来高圧ガス関係を担当しておられる通産省といたしまして、恐らく実働の主体になります消防に、その関係の相当程度の業務をやってもらうということについてはなかなか不安もありましょうし、また不信もあるんじゃなかろうか。しかしながらコンビナート地域の消防の実際上の中心になっていかなければならない消防といたしましては、やはり高圧ガス関係についても相当程度これは関与するあるいはそういう面の知識を得るあるいはこれに対する対応策ということをみずから検討する、こういうことがなければ、やはりコンビナート地域全体の防災というものは完璧じゃなかろうと思っております。そういうような面からいたしまして、確かに法律ができた、あるいは統一した組織が今後できていくといたしましても、それが直ちに実際の有機的な行動に反映するかどうか、この辺は多くの不安があるところでございます。やはりそれは中心になる消防庁がその中に立っていただきまして、本当のコンビナート防災の一体化というものを進めていくということが必要でございます。そしてまた、そのためには訓練、研修、相互の連絡、いろいろな問題があろうと思いますが、そういう点について十分遺憾のないようにしていただきたいと思うのであります。これに対するお考えをちょっとお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/40
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041・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 災害が発生いたします場合に、その災害防除活動を行いますのはどうしても消防機関が中心となってまいります。したがいまして、御指摘のように消防機関が、高圧ガスが所管外であるからということで、この高圧ガス関係についてノータッチであるということはとうてい許されないことでございます。そういう意味におきまして、この法律の規定におきましても、府県知事が実施いたしております高圧ガス関係の行政の内容というものも十分市町村の消防機関に連絡をし合って、内容を明らかにしておくというような規定も設けたわけでございますが、このコンビナート地域の災害発生の場合には、その災害に対応して消防力も、その消火資機材を見ましてもその内容はいろいろなわけであります。そういう関係からしましても、消防機関としてはそのコンビナートの事業所のいろいろな危険な物質の流れというものを十分知っておかなければならないわけであります。そういう点につきましては、今後私どももコンビナート地域の消防職員につきましては、特にこうした危険物行政についての内容の十分な教育もあわせ行いながら、その対応策について遺憾なきを期していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/41
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042・折小野良一
○折小野委員 消防体制を充実する上におきまして、いわゆる消防資機材を整備する、これはもう当然なことでございます。ただいま長官の答弁の中にも一部そのことのお話がございました。それぞれのコンビナート地区、これは地勢的な面からもいろいろな実情からいたしましても個々に非常に事情が異なっております。その地域の特性に応じて十分な資機材の整備をするということが大切なことであろうと思っております。すでに資料を出していただきまして見せていただきました全国七十カ所の予定地域について見ましても、その資機材の現在の保有状況というのははなはだばらばらであって、果たしてこれでいいのかということが疑われるわけでございます。しかも、それにはそれぞれの地域の特性というものがさらに加わってくる。したがいまして、それぞれの地域の特性に応じた消防資機材の整備ということが非常に大切なことだと思っております。それにつきましては、実は消防力の整備を図るということはだれもこれに対して異論を唱える者はないのでございます。しかしながら、現実にはそれを整備するということは非常にむずかしい。これは市町村消防におきましても、その消防力の標準というものが消防庁においてつくられて、そしてそれの整備が要請されておるにかかわらず、今日までその整備が十分でないというのが実態でございます。これはやはり火事が起こってみなければそれに対する関心がわかない、これもまたやむを得ないことかもしれません。しかも今後、地方財政が非常に苦しいという情勢の中で、進んで消防資機材を負担、整備しておくということは非常に困難なことでございまして、この点につきましては、自治省、消防庁の積極的な御指導なり、財政面の御配慮というものがなければ、その成果を期するということは非常にむずかしいと思います。
したがいまして、特に今日各方面から注目をされており、また一たん災害が起こりますと非常に大きな損害というものが起こる、こういうことが予想されるコンビナート地域の防災上の資機材の整備につきましては、ただ単に標準をつくるということだけでなしに、その実効、これを保障するということ、これが非常に大切なことじゃないかというふうに考えますが、その点について、これは自治省も直接財源面その他について御配慮をいただかなければならない面もあると思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/42
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043・福田一
○福田(一)国務大臣 まことにごもっともな御指摘でございまして、いかにどういうものが適当であるかということになりましても、それを設備する財政的な裏づけがなくては、これは実効を上げることはできないことはおっしゃるとおりでございます。したがいまして、自治省としてはその面についても今後十分な配慮をいたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/43
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044・折小野良一
○折小野委員 林さんも見えたようですから、これで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/44
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045・大西正男
○大西委員長 林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/45
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046・林百郎
○林(百)委員 資料をとりに行っていたものですから、おくれて申しわけありません。
私は、この法案に関連して一問だけ、前から要請をされておりました件について、経過がどうなっているか、そういうことをお聞きしたいと思うわけです。
実は、愛媛県の新居浜市に黒島地区というところがございますが、ここに黒島石油配分基地を設置する、こういう動きがありまして、これに対して住民が非常に強い反対をしているわけなんです。その反対の理由は、黒島の港を埋め立てまして、そしてそこを石油の配分基地にするという案なんですけれども、その海岸に接して国道が通っておりまして、その国道の海岸と反対側に人家がずうっと並んでおりまして、その人家のすぐ裏が山になっているということで、もし国道に接しておるその石油配分基地に事故が起きたとすれば、裏は山ですし、その国道と山のわずかな間にある人家は大変な被害をこうむるということで、そこへはぜひ石油の配分基地をつくらないようにしてもらいたいという住民の強い要望があったわけでございます。私も現地を見にいってまいりまして、まことに無理ならぬことと思いまして、主婦の方々が約百人近く集まりまして、ぜひここへそういう石油配分基地をつくることのないようにしてもらいたいという強い要望が私にもあったわけでございます。
その後、このことを気にしておりましたところ、最近そこから四十キロほどの、同じような立地条件のところの東予市という新工業都市で八月三十日、日本マリンオイルの製造所のタンクが爆発しまして、工場の境界のコンクリートへいを爆風で吹き飛ばしまして、へいの外の、ちょうどいま私の申しております黒島石油配分基地のところを通っておる国道、この国道を通っておる通行人十二名に死傷を与えたという事故も起きまして、これは住民の皆さんの要望が無理からぬことだ、こういうように感じまして、その後ここについてどういう動きがあるのか。タンクの上物の設置については、所管あるいは許認可権が消防庁にあるというようにも聞いておりますし、それから、そういう基地をつくること自体の行政的な指導は通産省が持っておるということも聞いておりますし、またそこが港湾なものですから港湾委員会もありますが、これは運輸省の行政管轄になる。非常に複雑な関係にあるわけなんですが、ここを昨日調査して、きょうの委員会で報告するようにということを、消防庁と通産省と両方へ言っておきましたけれども、この経過を報告していただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/46
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047・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 新居浜市の黒島地区における油槽所の建設関係でございますが、これにつきましては消防機関が具体的な内容について相談を受けましたのが先月の二十七日でございます。この油槽所の敷地の予定面積が一万五千平米、タンクを六基建設をしたい、灯油が三千キロリッタータンク一基、軽油が二千キロリッター一基、ガソリンが二千キロリッター一基と五百キロリッター一基、それから重油が二千キロリッター一基と千キロリッター一基、こういう内容の六基を建設したい、こういう説明があったようでございます。
消防機関の方としましては、現在消防庁において屋外タンクの技術基準が改定準備中であり、近く内容が示されることになっておるので、新しい基準によって申請するようにという指導をいたしまして、設置者側としましてはその指導を了承をして、新しい基準ができた段階で申請をしたい、こういうことで帰っておるというのが現在の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/47
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048・山中正美
○山中説明員 お答え申し上げます。
黒島地区の石油の配分基地でございますけれども、これは四十七年当時に、地元の一宮工務店というのがございまして、その子会社に一宮観光というのがございますが、そこが従来製塩をやっておりまして塩田跡になるわけでございますけれども、御承知のとおり塩田の方は操業を停止いたしまして、その結果空き地ができたわけでございます。当時この製塩工場その他、一宮工務店と取引がございました出光興産に対しまして、この土地の買収方及びそこに配分基地を建設したらどうだ、こういうふうな申し出が一宮工務店からございました。出光興産の方は新居浜市内に油槽所を持っているわけでございますけれども、市内でございますので安全上問題があるということで、できればそこに建設したいという御意向を示したようでございますが、その後地元の皆さん方のいろいろな反対運動等もございまして、昨年度におきまして、一応出光興産としましてはもう白紙に戻したいということを一宮工務店に申し入れたようでございます。これは出光興産からの情報でございますので、われわれとしては判然としたところはわかりませんけれども、その後一宮工務店独自で一応タンクを建設いたしまして、それを出光興産等に貸したいというふうなことを一宮工務店が考えておる、そういうふうに聞いておりますが、出光興産としては特にそういう情報がなくて、一応地元の了解がなければそういうところには建設できない、こういうふうに考えているようでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/48
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049・林百郎
○林(百)委員 長官、事故が起きた場合には取り返しのつかないような死傷者が出る可能性もあると言って地元が反対している場合に、仮に申請があって消防庁で審議されるのは結構ですけれども、そういう場合に消防庁の基本的な方針としては、その付近に居住している人たちの安全を図るのが当然ではないでしょうか。そういうお考えを持って処するわけにいかないですか。ただ書類を、手続が変わるから改めて変わった手続で来いというだけでいいのですか。そういう場合の消防庁の基本的な方針はどうなんですか。四十キロくらい離れたところで、同じような立地条件で、工場のオイルタンクが爆発して国道を通っている人が十二人も死傷しているのですからね。そういう国道がずっと続いている。その国道に沿って人家がずっとあるところ。そのすぐ前に石油配分所をつくる。出光はいま一応白紙に戻したと言っていますが、一宮工務店というのはダミーじゃないか。というのは、反対派の人たちに十万円くらいずつの金を出して、一たん決めたのだから何とか賛成に変わってくれという運動をしているという情報もわれわれのところに入っているわけです。そのほか背後にいる人の名前もありますが、これは国会に関することですから私は言いませんけれども、そういうことをもっとよくごらんになって、こういう地域の住民に明らかに重大な支障を来すような石油配分基地の設置については、消防庁の責任において慎重な考慮をするというのが私は正しい態度だと思いますが、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/49
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050・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 地元の消防機関が、新しい基準が設定された段階で新しい基準に基づいて申請するようにということを指導いたしましたのは、いま私どもが作業をいたしております新しい基準は、これまでのいろいろなタンク事故の教訓から相当厳しい安全対策を織り込んだ基準になっているわけでございます。したがいまして、そういう新しい安全基準に基づいて建設をさせたい、こういう意味で指導をしたものでございます。
また東予市における事故は、これは廃油処理施設の処理施設自体の爆発がございまして、これによって通行中の婦人二人が死傷をする、あるいは従業員も相当死傷を出したということで、この爆発によりましてタンクにも引火をしておりますが、これは固定消火設備で消えておるわけでございます。こういう内容の事故でございまして、性格的には油槽所を建設いたしますこの内容と東予市の事故は大分違うわけでございます。
先般お手元に差し上げております今回の新しいタンクの基準に従いまして建設をされます場合には、危険の問題につきましてはまず十分に対策が立てられているというふうに私どもは考えておるところでございます。ただ、私どもも現地についてどういう状況になっているかということはまだ詳しく存じておりませんので、地元の状況等は十分また県を通じて内容を伺いながら、具体的な建設計画についての私どもの意見がもし求められる場合におきましては、それに対処していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/50
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051・林百郎
○林(百)委員 通産省にお尋ねしますが、一宮工務店というのはそれだけの施設をつくる財力があるのですか。これと出光とはどういう関係があるのですか。出光は白紙に戻したと言うのに、一宮工務店は、私はやるのだ、そして施設をつくって貸すのだ、その両者の関係ですね、これをお調べになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/51
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052・山中正美
○山中説明員 一宮工務店と出光は特に資本的な関係はございません。現在一宮工務店は建材等を製造しておりまして、その関係で出光石油からは重油等を販売しているという単なる売買関係にあるだけでございます。
それから一宮工務店の財力でございますけれども、これは時間がなかったので詳細はわかりませんけれども、もともと製塩工場がございまして、その製塩工場の跡地を売却する、こういうことになっております。現在その土地の処分に非常に困っておる、こういうふうに聞いておりまして、財力についてはまだ私ども現在捜査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/52
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053・林百郎
○林(百)委員 その建材をしておる一宮工務店が石油の貯蓄基地をつくって、そして出光興産に貸与するということ自体がおかしいと思うのですよ。もともとその石油配分基地が欲しいのは出光なんで、その出光が白紙に戻したというのに、建材を主として販売しておる一宮工務店がごれほど力を入れて、そして反対派には一人当たり十万というような金までばらまいて、何とか切り崩しを進めようとすることはおかしいんじゃないかと思うのですよね。
ですから、これは政治的な背景もあります。それを言っていくと差しさわりがありますから、私は実はここで言わないわけです。政治的な背景があって動いていることもあります。これは純粋に石油配分基地として必要だということだけでなくて、ある人が口をつけてやり出して、自分の政治生命にもかかわるということでごり押しをしているという要因もわれわれ聞いておりますし、現に私たちも行ってみて、さもありなんと思うこともあるわけなんですね。したがって、通産省としては十分その点を行政指導してもらいたいし、それから消防庁の長官はちょっと歯切れが悪いのですね。住民が危険で反対しているというんだから、その反対が納得するまでは、施設がどういうことであろうと、まずその人たちが危険を感じて、もしそこにできた場合はこれは大変なことになるんだから、それを納得させなければ、ただあなたがつくったその基準に合っているから、これは上物をつくってもいいということだけでいかないんじゃないですか。やはり最近の住民のそういう要望というものは、消防庁も十分慎重に、上物を設置する許可をするときの一つの重要なファクターとして考えなければならない問題じゃないでしょうか。あなたは東予の方は廃油処理施設だったというようなことを言っていますが、廃油施設が爆破しただけでも通行人の二人の婦人が死んでいるというのですから、もしこの貯油量、最終取扱量十万五千トンと言われておりますが、まあ幾つタンクができるかまだ具体的にはなっておらないようですが、最終取扱量十万五千トンのタンクの設置ということになっていますが、それがそのまま爆破したら、これは廃油施設の爆破どころじゃないと思うのですよ、被害を及ぼすことは。だからこそあなたは、安全の基準を設けて、そういう場合に万全の措置をするんだと言うかもしれません。しかし、住民の人たちが非常に不安で、現実に少し先のところでそういう事故も見ているわけなんですから、そういう場合は、やはり現実にそれを設置されることによって危険を感ずるような人たちがどういう意向かということを、消防庁としても考慮に入れるべきじゃないですか。それが民主主義的な行政のやり方じゃないですか。そう思いませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/53
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054・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 この油槽所の規模は、先ほど申しましたように六基で、タンクの容量が一万五百キロリッターでございます。今回の、新しくいま私どもが予定しております基準は、こうしたタンクが火災を生じました場合におきましても、近くの木造家屋というものに対しまして十分な安全度を見込んだ基準になっておりますので、通常の場合に隣接住家に対する危険というものはまず考えられないものを私ども想定をしておるわけであります。ただ、こうした危険物施設でございますので、やはり近所の住民の方々がそういう危険物に対応する危険度というものについて十分納得されてこういう施設が建設をされるということは望ましいことでございますので、そういう点につきましては、やはり地元の住民の方々に納得をしてもらった上で建設を始めるということは望ましいことだというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/54
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055・林百郎
○林(百)委員 それじゃ時間が参りましたのでこれで終わりますが、そうすると、やはり非常に危険を感じて反対をしておる地域の住民の人たちが——これはまあ私が行ったときも、主婦の人たちが、やはり家庭を守るということで主婦の人たちが非常に不安に感じて、百名ぐらいすぐ集まるんですね。ちゃんともう反対をする組織か何かできているんでしょう。ですから、いまの消防庁長官の答弁によって、地域の住民の中にそういう強い反対があるならば、反対の人たちが十分納得した上でそういう建設をするようにすることが好ましいという答弁をされた、ということを地元へ伝えていいですね。その答弁だけ聞いて私は終わりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/55
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056・佐々木喜久治
○佐々木(喜)政府委員 行政としては、そういう
ことがそういう方式で地元の住民の方々に十分納得してもらって建設をするということは望ましいことであります。ただ、これは法律上の処分とはまた別の問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/56
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057・林百郎
○林(百)委員 では終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/57
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058・大西正男
○大西委員長 これにて本案に対する質疑は終了
いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/58
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059・大西正男
○大西委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/59
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060・大西正男
○大西委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/60
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061・大西正男
○大西委員長 ただいま議決いたしました法律案に対して、中山利生君、山本弥之助君、三谷秀治君、小濱新次君及び折小野良一君から、五党共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、本動議の提出者から趣旨の説明を聴取いたします。中山利生君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/61
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062・中山利生
○中山(利)委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党を代表いたしまして、石油コンビナート等災害防止法案に対し、附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。
石油コンビナート等災害防止法案に対する附帯決議(案)
政府は、相つぐコンビナート災害、とりわけ三菱石油水島重油流出事故等の重大性にかんがみ、特に左の諸点に留意し、コンビナート災害の根絶を期すべきである。
一 石油コンビナート等特別防災区域にかかる消防法、高圧ガス取締法、労働安全衛生法等の関係法令による規制を強化し、本法とともに、当該区域の防災対策が真に一体的・総合的に講じられることとなるよう運用に万全を期すること。
なお、石油コンビナート等における防災行政の一元化についても検討すること。
二 既設事業所における災害を防止するため、石油コンビナート等における石油・高圧ガスタンクの基礎、構造、防油堤、防液堤、保安距離等に関する規制を強化し、危険物等の過密化の防止その他安全性を高めるための措置を強力に推進すること。
三 石油コンビナート等における災害の特殊性にかんがみ、すみやかに海上防災に関する立法措置を講じ、本法と相まって陸上および海上を通ずる総合的・一体的な防災体制を確立すること。
四 事業所の自衛防災組織については、当該事業所における災害に十分対処しうるだけの防災資機材を備えつけさせるよう措置すること。
五 石油コンビナート等特別防災区域における共同防災体制の役割の重要性にかんがみ、共同防災組織および石油コンビナート等特別防災区域協議会が設置されるよう積極的に指導すること。
六 事業所の従業員について、防災教育および防災訓練が十分に行われるよう指導すること。
七 本法および防災関係法令の基準が適確に遵守されることを確保するため、定時および随時に立入検査を実施する等事業所の監督を厳格に行うこと。
なお、石油コンビナート周辺地域の住民から異常発見等の理由により立入検査の要請があった場合、関係機関はすみやかに立入検査を行うこと。
八 防災のための緩衝地帯としての緑地等の設置が促進されるよう十分に予算措置等を講ずること。
九 石油コンビナート等防災計画の作成にあたっては、住民の意思が十分に反映されるよう地方公共団体を指導すること。
十 石油コンビナート等の防災に関する科学技術の研究開発を強力に推進すること。
十一 コンビナート関係地方公共団体の専門技術職員の充実をはかるための教育訓練および処遇の改善ならびに化学消防車、人員の増強等消防力の充実強化のため必要な措置を講ずること。
十二 近時における災害の多様化、大規模化に即応し、防災技術の高度化を推進するため消防庁、消防研究所その他国の関係機関の機構、人員等の充実強化に努めること。
十三 石油タンクの基礎、構造、非破壊検査等に関する検査制度の確立をはかること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ皆様方の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/62
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063・大西正男
○大西委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
これより採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/63
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064・大西正男
○大西委員長 起立総員。よって、中山利生君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福田自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/64
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065・福田一
○福田(一)国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/65
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066・大西正男
○大西委員長 次に、渡部通商産業政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/66
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067・渡部恒三
○渡部(恒)政府委員 ただいまの附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、行政に万全を期する次第でございます。(拍手)
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068・大西正男
○大西委員長 この際、お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/68
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069・大西正男
○大西委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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070・大西正男
○大西委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107604720X00719751111/70
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