1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(昭和五十年九月十一日)(木曜
日)(午前零時現在)における本委員は、次の
とおりである。
委員長 小宮山重四郎君
理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君
理事 田中伊三次君 理事 田中 覚君
理事 保岡 興治君 理事 稲葉 誠一君
理事 横山 利秋君 理事 青柳 盛雄君
小澤 太郎君 木村 武雄君
木村 俊夫君 小坂徳三郎君
小平 久雄君 千葉 三郎君
中垣 國男君 濱野 清吾君
早川 崇君 福永 健司君
早稻田柳右エ門君 赤松 勇君
中澤 茂一君 日野 吉夫君
八百板 正君 山本 幸一君
諫山 博君 沖本 泰幸君
山田 太郎君 佐々木良作君
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昭和五十年十月三十一日(金曜日)
午前九時四十八分開議
出席委員
委員長 小宮山重四郎君
理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君
理事 田中伊三次君 理事 田中 覚君
理事 保岡 興治君 理事 稲葉 誠一君
理事 青柳 盛雄君
小澤 太郎君 木村 武雄君
小坂徳三郎君 小平 久雄君
濱野 清吾君 福永 健司君
早稻田柳右エ門君 中澤 茂一君
日野 吉夫君 諫山 博君
沖本 泰幸君 山田 太郎君
玉置 一徳君
出席国務大臣
法 務 大 臣 稻葉 修君
出席政府委員
法務政務次官 松永 光君
法務大臣官房長 藤島 昭君
法務大臣官房司
法法制調査部長 賀集 唱君
法務省民事局長 香川 保一君
法務省刑事局長 安原 美穂君
委員外の出席者
最高裁判所事務
総局人事局長 矢口 洪一君
法務委員会調査
室長 家弓 吉己君
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委員の異動
九月十九日
辞任 補欠選任
木村 俊夫君 宇野 宗佑君
十月二十七日
辞任 補欠選任
中澤 茂一君 岡田 春夫君
同日
辞任 補欠選任
岡田 春夫君 中澤 茂一君
同月三十一日
辞任 補欠選任
佐々木良作君 玉置 一徳君
同日
辞任 補欠選任
玉置 一徳君 佐々木良作君
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九月二十日
船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案(
内閣提出第九号)
十月九日
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一五号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一六号)
同月十一日
刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二二号)
同月十六日
民法第七百六十七条の改正に関する請願(井岡
大治君紹介)(第七二七号)
同外一件(横山利秋君紹介)(第七二八号)
同(久保田鶴松君紹介)(第七七三号)
人事訴訟手続法第一条の改正に関する請願(井
岡大治君紹介)(第七二九号)
同外一件(横山利秋君紹介)(第七三〇号)
同(久保田鶴松君紹介)(第七七四号)
民法第九百条の改正に関する請願(井岡大治君
紹介)(第七三一号)
同外一件(横山利秋君紹介)(第七三二号)
同(久保田鶴松君紹介)(第七七五号)
同月二十三日
民法第七百五十条等の改正に関する請願(土井
たか子君紹介)(第八七〇号)
同(阪上安太郎君紹介)(第九一八号)
民法第七百六十七条の改正に関する請願(井岡
大治君紹介)(第八七一号)
同(土井たか子君紹介)(第八七二号)
同(稲葉誠一君紹介)(第九一二号)
同(阪上安太郎君紹介)(第九一三号)
同(金子みつ君紹介)(第九六五号)
人事訴訟手続法第一条の改正に関する請願(井
岡大治君紹介)(第八七三号)
同(稲葉誠一君紹介)(第九一四号)
同(阪上安太郎君紹介)(第九一五号)
同(金子みつ君紹介)(第九六六号)
民法第九百条の改正に関する請願(土井たか子
君紹介)(第八七四号)
同(井岡大治君紹介)(第八七五号)
同(稲葉誠一君紹介)(第九一六号)
同(阪上安太郎君紹介)(第九一七号)
同(金子みつ君紹介)(第九六七号)
は本委員会に付託された。
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十月二日
宇都宮地方法務局茂木出張所存置に関する陳情
書(
第二一号)
人権擁護委員の処遇改善に関する陳情書
(第二二号)
同月二十一日
過失による自動車損害賠償保障法第五条違反者
の処罰対策等に関する陳情書
(第一八三号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一五号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一六号)
船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案(
内閣提出第九号)
刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出
第二二号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/0
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001・小宮山重四郎
○小宮山委員長 これより会議を開きます。
国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
すなわち、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政の適正を期するため、本会期中、裁判所の司法行政に関する事項、法務行政及び検察行政に関する事項並びに国内治安及び人権擁護に関する事項につき、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により国政調査を行うため、議長に対し承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/1
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002・小宮山重四郎
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/2
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003・小宮山重四郎
○小宮山委員長 内閣提出、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案及び刑事補償法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。稻葉法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/3
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004・稻葉修
○稻葉国務大臣 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
現行商法は、船舶所有者が船舶による事故によって損害賠償の責任を負う場合等には、船舶及び運送賃等を債権者に委付して損害賠償の責任を免れることができる、いわゆる委付主義を採用しております。
このように船舶所有者の責任を一定の限度に制限する制度は、その方法にそれぞれ異なるところがあるとはいえ、世界各国に共通する制度でありますが、わが国の委付主義の制度は、委付の対象となる船舶の破損の程度等偶然の事情によって、損害のてん補される程度が著しく異なり、被害者保護の見地から合理的でないものとされ、現在わが国以外には、この委付主義をとる主要海運国はありません。
ところで、昭和三十二年に、船舶所有者の責任制限制度を国際的な金額主義に統一するための海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約が成立し、昭和四十三年に発効しましたが、現在までに英、独、仏等二十六カ国がこの条約を批准しております。
そこで、この法律案は、この条約を批准することに伴い、船舶の所有者等の責任制限制度を金額主義に改め、これを実施するため、所要の立法措置を講じようとするものであります。
この法律案の要点を申し上げますと、第一に、船舶所有者、船舶賃借人及び傭船者は、故意または過失がないときに限り、事故について負うべき損害賠償の責任を、一事故ごとに、その船舶のトン数に応じた一定の金額に制限することができることといたしております。また、船長、海員その他船舶所有者等が使用する者も、故意がないときに限り、船舶所有者等と同様に、責任を制限することができることといたしております。
なお、船舶所有者等の使用する者の債権等、特に債権者を保護する必要のあるものについては、例外として、責任制限の効力が及ばないことといたしております。
第二に、責任の限度額は、責任を制限する債権が物の損害に関する債権のみである場合には、一金フランの千倍にその船舶のトン数を乗じた金額といたしておりますが、その他の場合には、一金フランの三千百倍にその船舶のトン数を乗じた金額とし、そのうち一金フランの二千百倍に船舶のトン数を乗じた金額は、人の損害に関する債権の弁済のみに充てられるものといたしております。
第三に、責任を制限される債権の弁済を確保するため、船舶所有者等が責任を制限するには、裁判所にその旨の申し立てをし、かつ、供託等によりその責任限度額に相当する基金を形成しなければならないこととし、また、責任制限手続が開始したときは、裁判上の手続によりその基金を各債権者に公平に分配することとし、これらの手続について詳細な規定を設けることにいたしております。
なお、最後に、タンカーによる油濁事故から発生した損害の賠償請求権については、別途今国会に提出しております油濁損害賠償保障法案によることとなりますので、本法案の規定は適用されないこととなります。
以上が船舶の所有者等の責任の制限に関する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
次に、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。
政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び沖繩国際海洋博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。
第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、そのうち、内閣総理大臣及び国務大臣等を除く特別職の職員についてその俸給を増額することといたしておりますので、おおむねこれに準じて、高等裁判所長官の報酬並びに次長検事及び検事長の俸給を増額することとしております。
第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに応対する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。
これらの改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和五十年四月一日にさかのぼって適用することとしております。
以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
最後に、刑事補償法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
刑事補償法による補償金の算定の基準となる金額は、昭和四十八年の改正によって、無罪の裁判またはこれに準ずる裁判を受けた者が未決の抑留もしくは拘禁または自由刑の執行等による身体の拘束を受けていた場合については、拘束一日につき六百円以上二千二百円以下とされ、また、死刑の執行を受けた場合については五百万円とされているのでありますが、最近における経済事情にかんがみ、これを引き上げることが相当と認められますので、この法律案は、右の「六百円以上二千二百円以下」を「八百円以上三千二百円以下」に、「五百万円」を「千万円」に引き上げ、いわゆる冤罪者に対する補償の改善を図ろうとするものであります。
以上が刑事補償法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/4
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005・小宮山重四郎
○小宮山委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/5
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006・小宮山重四郎
○小宮山委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/6
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007・小宮山重四郎
○小宮山委員長 速記を始めて。
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案に対する質疑に入ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/7
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008・小宮山重四郎
○小宮山委員長 お諮りいたします。
本日、最高裁判所矢口人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/8
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009・小宮山重四郎
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/9
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010・小宮山重四郎
○小宮山委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。大竹太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/10
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011・大竹太郎
○大竹委員 時間がございませんので、三点だけ一括して質問をいたしますので、適当な方から御答弁をいただきたいと思います。
第一点は、一般職の給与の引き上げに伴って裁判官、検察官の給与を引き上げるという趣旨でございますが、調べてみますと、一般職の平均ベースアップは九・四四ということになっておりますが、裁判官は六・九、検察官は七・五ということになっておりまして、ことに裁判官と一般職との間の差は相当あるようでありますが、この点について御説明をいただきたいと思います。
次に これはやはり大臣からお答えをいただかなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、特別職の総理大臣、国務大臣の給与を引き上げていないということで、これに相当する最高裁の長官、裁判官並びに検事総長については引き上げておらないわけであります。これは何か閣議で決まったということでございますが、これはどういうことで引き上げないことになったのか、簡単に御説明をいただきたいと思います。
第三点は、これはこの前のときにもたしか私、御質問したと思うのでありますが、今度も裁判官、検察官に対して、初任給の調整手当は増額されておりません。この制度はたしか昭和四十六年に制定されたものでありまして、その後一度も改定、増額をされておらないというわけであります。しかし、一般職の政府職員のうち、お医者さん、それから歯医者さんに対する初任給の調整手当は、四十七年以来年々増額をされているわけであります。
申し上げるまでもなく、四十七年以来ということになりますと、これは一般に国民の所得も上がれば、また、政府職員その他の給与も大幅にベースアップをされた時期でありますけれども、裁判官に関しては、一般よりもむしろ裁判官、検察官のベースアップが多かったから調整手当については引き上げないでいいという趣旨かと思うのでありますが、そういたしますと、医者、歯医者さんに対する考え方とそこは違ってくるというように思うのであります。
これに対してのお答え、この三点をお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/11
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012・賀集唱
○賀集政府委員 それでは、第一点と第三点につきましてお答えいたします。
第一点につきまして、平均引き上げ率の数字をお示しいただきましたけれども、そのとおりでございまして、今回審議をお願いいたしております裁判官、検察官の給与改定によりますと、裁判官の報酬につきましては平均六・九%、検察官の俸給につきましては平均七・五%。一般職についてでありますが、今回の給与改定による俸給の引き上げ率は九・四四%と相なっております。裁判官、検察官の方は、実は認証官を除外した数字でございます。
まず、裁判官と検察官の場合でございますが、検察官の増額率の方が幾分高くなっておりますが、これは今回の給与改定によります報酬、俸給の増額が、上に薄く下に厚いいわゆる上薄下厚の形になっておるからでございます。すなわち、上げ幅の小さい上位等級の占める割合が、裁判官の場合には定年が高いためでしょうか、検察官の場合に比較いたしましてより大きい、それから、簡易裁判所判事及び副検事のうち若い年代の方々、それがちょうど今回の上げ幅の大きいところの報酬、俸給を受けているのでございますが、裁判官の場合にはその若い簡裁判事の方の占める割合が検察官の場合における若い副検事の占める割合よりも小さい、こういうことによる、かように考えられるのでございます。簡単に申しますと、裁判官の場合には上げ幅の小さい上の等級の方が多く、検察官の場合には上げ幅の大きい下の等級の方が多いため、裁判官より検察官の方が平均引き上げ率において率が高くなっている、かような結果になるのでございます。
一般職の引き上げ率の九・四四%でございますが、この引き上げ率は、先ほど申し上げました裁判官、検察官の平均引き上げ率六・九%ないし七五%、これを上回っております。これは、今回の一般職の給与改定が特に中位等級職員の給与の改善に配慮するとともに、指定職を含む上位等級職員のそれについては、均衡上必要な最小限度の改定にとどめることとしたからでございます。その結果、ここでも先ほど申し上げました上溝下厚、こういう形になりまして、したがいまして、引き上げ率の低い上位等級の方が大ぜいいらっしゃいます裁判官、検察官の場合よりも一般職の方が引き上げ率が高くなっているのでございます。
それで、御参考までにどうして一般職の方が裁判官よりも、あるいは検察官よりも高くなっておりますかと申しますと、過去の例を拾い上げたのでございますが、いま申しましたように上薄下厚型、これは昭和四十三年、四十六年、四十七年、四十九年、それから今回の五十年、このようにあらわれておりますが、いずれも一番上げ幅の高いのが一般職、その次今度は裁判官、検察官の中では検察官、一番上げ幅の小さいのが裁判官。ところが、その反対に上に厚く下に薄い上厚下薄型ないしは指定職だけを高くした場合、これを挙げてみますと、昭和四十二年、四十四年、四十五年、四十八年でございますが、この場合は裁判官の場合が上げ幅の引き上げ率が一番高くて、その次が検察官、一番低いのが一般職、かように相なっております。
以上が第一点についての御答弁でございます。
その次の初任給調整手当、これを本年も増額しなかった理由についてでございます。
裁判官、検察官の初任給調整手当でございますが、これは御承知のように、司法修習生から裁判官、検察官に任官する人たちがそれほど多くなっていない、むしろ減少傾向にある、その最大の原因は、初任の裁判官、検察官の報酬、俸給が弁護士さんの収入よりも比較しまして低額である、その格差を埋めまして任官者の増加を図ろう、こういう観点から昭和四十六年四月に支給された次第でございます。
その額について申し上げますが、お手元の関係資料では五十八ページに額が載ってございます。五十八ページには初任給調整手当という欄が上の方に掲げてありますが、その一番下に二万三千円、これが初任の方の調整手当の額でございますが、この初任の方は今回の報酬、俸給の増額によりまして、合計で一体幾らもらえるかといいますと、その二万三千円のちょうど横の十五万四千九百七十六円、十五万五千円、これをちょうだいするわけでございます。ところが、弁護士さんの方の収入を私ども調査いたしましたところ、最高で二十万、最低で十一万。いろいろばらつきがございますけれども、平均いたしますと十五万一千七百円、こういう数字になったのでございます。そのように、弁護士さんの収入は、本年は格別の飛躍的増加はしていない。ただいま数字で申し上げましたけれども、初任給調整手当をつけまして、初任の方がちょうだいする十五万五千円よりもやや下回っておる、こういう結果に相なりましたので、本年は初任給調整手当の増額を断念した次第でございます。お医者さん、歯科のお医者さんにつきましては、本年も民間のお医者さんたちの給与の均衡を考慮いたしまして、俸給表の改善に合わせまして初任給調整手当の増額、こういう措置が講ぜられるようになったのは仰せのとおりでございますけれども、私どもの調査した範囲では、どうもお医者さんの収入増ほど弁護士さんの収入は上がっておらない、こういうことで本年は見送った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/12
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013・稻葉修
○稻葉国務大臣 大竹さんの第二点の御質問、すなわち、特別職の国家公務員の給与については、一般職についての人事院の勧告があったにもかかわらず、なお、この際、内閣総理大臣及び国務大臣の給与を据え置くことに九月十二日の閣議で決定した理由、さらにもう一つ、最高裁判所長官、検事総長等も据え置かれている理由を申し上げます。
内閣総理大臣及び国務大臣の給与を据え置くことに決定をいたしましたのは、閣議決定でございます。長官及び検事総長の場合はそういうことに結果としてなったということで、閣議決定ではございません。
その理由は、わが国の経済は現在厳しい状態に直面しております。民間では手当等のカット、賃金支払いの遅延、雇用問題などが発生している状況にあり、また、財政面においても多額の歳入不足が発生する等、未曽有の困難に直面しておりますので、このような情勢にかんがみ、政府の最高責任者である総理大臣及び国務大臣の給与月額については、これを据え置くことにした次第でございます。
また、最高裁判所長官、検事総長等の報酬、俸給を据え置くこととなった理由について申し上げます。
最高裁判所長官及び最高裁判所判事の報酬並びに検事総長の俸給は、従来からそれぞれ内閣総理大臣及び国務大臣の俸給に準じて定められているところから、諸般の情勢にかんがみ、今回の特別職給与法の改定においては、内閣総理大臣及び国務大臣の俸給の改定が行われないことに決定いたしましたので、それに準じて最高裁判所長官等の報酬も同様に据え置くこととなったわけであります。
両院の議長、副議長についても、これはよけいなことでございますけれども、同様なことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/13
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014・大竹太郎
○大竹委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/14
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015・小宮山重四郎
○小宮山委員長 稲葉誠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/15
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016・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 きょうは時間がないので、別な機会にいろいろ質問したいこともあるわけですが、一つは、この法案にも関連をするのですが、いまちょっとありました初任手当というのですか、これは裁判官と検察官の両方にあるのですか。ちょっとよくわからないのですが、いつごろからいつごろまであるわけですか。ということは、初任手当がなくなる段階になってきますると、給与が上がっても実際に上がったのは二千円か三千円ぐらいで、これだけ二万、三万上がるようになっていてもそこで意味がなくなってしまうのだということを実際の判、検事の人はよく言うわけです。それでお聞きするわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/16
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017・賀集唱
○賀集政府委員 初任給調整手当でございますが、お手元の資料の五十九ページ、五十八ページをごらんいただきますと、補十二、簡十七、検二十と左の方にその欄がございます。これが初任でございます。ずっとそのページの上までは初任給調整手当がついてまいります。それからその前の五十七、五十六ページにいきますと、一番下に補五、簡十、検十三。補というのは判事補、簡というのは簡裁判事、検というのは検事でございますが、ここまで初任給調整手当がついてまいります。したがいまして、この間は約七年間つく、こういうことでございます。
ただいまのお尋ねは、初任給調整手当がつきますと、本俸におきましてかなりな額の増額が見込まれましても、なかなかそれだけの見合った額が増額にならないではないか、こういう御指摘でございまして、確かにさようになっております。一番初任の方と、検事でいいますと二十号、その上は十九号でその間差は四千八百円になっておりますところ、初任給調整手当は一番下には二万三千円、その上には二万一千円つく関係上、四千八百円の間差のところが二千八百円と、少しずつ間差は本俸額の間差よりも下がっております。下がっておりながら、やはり増額になりましたら——細かい計算はここで差し控えさせていただきますが、本俸の増額の約半額ずつぐらいは号俸が上がる、いわゆる昇給ごとに実収入が上がる、こういう結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/17
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018・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 その初任給調整手当を加えたものに対して賞与なり退職金が計算されるわけですか。裁判所の書記官の場合、調整手当はそういうやり方をしていると思うのですが、そこはどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/18
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019・賀集唱
○賀集政府委員 結論から申し上げます。これは本俸のみで、初任給調整手当は入らない額につきまして先ほどのボーナスのベースになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/19
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020・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 そうすると、これは裁判所の書記官の場合と違うのは、どういうわけなんだろう。こんなことは質問しない方がいいかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/20
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021・矢口洪一
○矢口最高裁判所長官代理者 いろいろの考え方があるわけでございますが、書記官の場合は特別俸給表に見合う調整でございまして、それ自体が本俸的な調整でございます。一方の方は、いわば最終的な収入を見ましてそれとの関係における初任給の調整ということで、そこのところの考え方と申しますか見方の差でございまして、書記官の場合はあくまでそれが本俸になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/21
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022・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 それからもう一つ別なことになるわけですが、裁判官の報酬でたとえば三号、二号あたりですか、四号でもそうですけれども、ここら辺にくるとなかなか上がらなくて非常に長くいる人がいるわけですか。あるいは二号で十年以上やって二号で終わってしまう人もいるわけですか。そこら辺は長い人は何年くらいの人がいるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/22
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023・矢口洪一
○矢口最高裁判所長官代理者 当委員会でかつてそれに類似のお尋ねを稲葉委員からいただいたことがあったかと記憶いたしておりますが、一般的には定年までお勤めいただきまして、大体上の号俸にまで上がって、そこでおやめいただくのが例でございますが、多くの方がおいでになりますので、中には健康上の理由でございますとかいろいろなことがありまして、必ずしも最高上位の号俸までお上がりにならないでおやめになるという方もおありでございます。それは事実でございます。もっともそういう方でも、おやめになりますときにはできるだけのことを考慮さしていただいておるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/23
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024・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 私が聞いているのは、たとえば二号とか三号とかで非常に長くその号俸にとどまっている人がいるのですかと聞いているのですが、どのくらい長い人がいますか。それは大分不平があるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/24
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025・矢口洪一
○矢口最高裁判所長官代理者 四号ぐらいまでのところは二、三年あるいは四、五年で上がっておられますが、それから上になりますと、一番上の号俸で七年ぐらいの方がおありになるのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/25
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026・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 そうすると、十年近くになるという場合もあり得るわけだけれども、実際には十年近く同じ号俸にいるということは避けたいというふうにお聞きしていてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/26
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027・矢口洪一
○矢口最高裁判所長官代理者 御承知のように、一任期十年でございますが、十年間同じというようなことは避けるようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/27
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028・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 それから、今度修習生の報酬といいますか、給与というのか何というのか知りませんが、それはどういうふうに変わるわけですか。それはまたどこが所管するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/28
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029・矢口洪一
○矢口最高裁判所長官代理者 修習生の給与につきましては、やはり公務員の例に全く準じまして今回も上がることに予定されております。もっとも、それを決めますのは、最高裁の規則で修習生の給与に関する限りはこれを決め得るというような法制になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/29
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030・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 修習生は公務員でないわけですね。ですから、法律で決めるわけにいかぬでしょうけれども、どういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/30
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031・矢口洪一
○矢口最高裁判所長官代理者 資料の五十九ページのところをごらんいただきますとおわかりいただけますように、「報酬・俸給」というところの「修習生」というところがございますが、その金額になるわけでございます。現行金額は五十五ページの「修習生」というところがございます。要するに、八万五千四百円が九万四千七百円になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/31
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032・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 いまは修習生をやって、そして年齢その他の条件で裁判官にしないというのですか、簡裁の判事にしかしないというような制限はどこで設けているわけですか、実際上制限というのはあるのかないのかわかりませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/32
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033・矢口洪一
○矢口最高裁判所長官代理者 修習を終了された方を簡易判事に採用いたしました実質的な理由は、相当年配の方でございますと、判事補ということになりますと勢い判事補としての初任給を給するということになります。しかし、ある程度の社会的な経験年数をお持ちの方はやはりそれだけの経験をお積みになっておる方でありますので、そういう方こそ簡易裁判所判事としてむしろふさわしいということも言い得るわけでございますし、簡易裁判所判事に採りました場合には、そういった社会的な経験というものが俸給の算定の中に盛り込まれてくるということで、その結果は、簡易裁判所判事としての高い俸給をお受けになることができるというようなことがあり得るわけでございます。そういう点を考慮いたしまして、かつて相当の年配の方につきまして判事補に採用しないで、最初から簡易裁判所判事になっていただくというやり方をいたしてまいりました。しかし、その後判事補の初任給も相当高いものになりましたし、先ほど来御指摘のございました初任給調整手当といったようなものもいまは設けられましたので、できるだけ簡易裁判所判事ということはやめて判事補になっていただくという方針でまいっております。
年齢の点でございますが、現在のところ判事補十年、判事になりまして十年、そこで定年を迎えられる、こう仮定いたした場合には、四十五歳前後までならば判事補に来ていただいてもいいのじゃないだろうかというふうに思っております。要するに、四十五歳で判事補におなりになれば、十年で判事になられてなお十年の任期がございますので、十分お仕事をしていただけるのではなかろうかというふうに考えます。結果的には、判事補任用のための年齢制限はほとんどしてないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/33
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034・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 私の聞いていたのは四十歳だというふうに聞いていましたけれども、いずれにいたしましても……。
もう一つ、地裁の事務局長とそれから簡裁の判事を比べた場合、地裁の事務局長の方が実際いろいろな手当、名前はどうか知りませんが、いろいろなものがつくでしょう。それだから実際には地裁の事務局長の方が給与は、簡裁の判事よりも同じような年代の場合に上なんだということが一つ、これは事実かどうか。
それから、簡裁の判事の場合は常置委員会に出ないわけでしょう。だから地裁事務局長の方は簡裁の判事になりたがらない。チャンスがあってもなりたがらない。地裁の事務局長の方がいいというふうなことを言っている。それから極端な例になると、地裁の事務局長は簡裁の判事を少しく低く見るというか、そういうふうなものがあるということがあちこちで言われるのですが、実際はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/34
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035・矢口洪一
○矢口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所の裁判官、現在大体毎年五十名近くの方が書記官等から試験に合格いたしまして任命をされております。そういった数の関係等から見ますと、多くの事務官の中で一人くらいしかおなりにならない事務局長あるいは高等裁判所の次長等、かなりいい待遇であろうか、そういう場合もあり得るかというふうに考えております。
ただ、なりたがらないということはないわけでございますし、いわんやどうとかこうとかということで、自分の方がえらいなどというふうに思っておる、そういう事務局長や次長はいないと確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/35
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036・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 話は別ですけれども、この前裁判の非常な迅速化ということが叫ばれて、たとえば京都の地裁なんかは、交通事故なんかでも証人調べまで半年以上ある。普通いま三カ月、四カ月ですけれども、半年以上あるというふうなことで、最高裁から、総務局から行ったのか民事局から行ったのか、三、四人行かれて、独立の部をつくられましたね。それで非常に事件を裁いたわけでしょう。ところが、その部の控訴率がほかの部と比べて非常に多いというのですね。一六%だかの控訴率になっていて、ほかは全体が一二、三%かな。最高裁から行った人の裁いた裁判というのは非常に控訴率が多いということが、日弁連の本の中に書いてあるから聞くのだけれども、あれは民事何部だったかな、京都に新しい部をつくったでしょう。その控訴率というのが非常に高いというのです。だから、きわめて事務的に事件を裁いたというので非難が上がっているということなんだけれども、そこら辺、実態はどうなんですか、これはまた別の機会にゆっくり聞きますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/36
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037・矢口洪一
○矢口最高裁判所長官代理者 京都で事件が非常に停滞いたしました関係で、民事六部というのであったかと思いますが増設いたしまして処理をいたしたことは事実でございます。しかし、私ども承知いたしておりますのは、非常によくやってくれたということで現地の弁護士会等からも非常に感謝されたというふうに承知いたしております。
控訴率の問題等、ちょっと手元に資料がございませんので何とも申し上げかねますが、そのようなことはなかったはずだというふうに私は確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/37
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038・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 きょうでなくていいのですけれども、民事の控訴率、たとえば簡裁から地方への控訴の場合は、これは場所によって非常に違うし、境界確定はほとんど控訴ですね。それからいま言った地裁から高裁への控訴率というのは、全国的に見てどの程度になるのですか、これはいまでなくていいと思うのですが。
京都の民事六部というのは一六%だかなにかで非常に高かったという。非常によくやったのだけれども、やはり当事者が納得しないで控訴したというのか、あるいは納得して控訴する場合もあるから何とも言えぬけれども、そこら辺の統計が、日弁連から出ている「裁判官」という新しい本があるでしょう、あの中に書いてあるのですよ。日弁連がうそを言うわけはないと思うのだけれども、そこのところは後でいいからゆっくり調べておいてください。
それから、法務省にお聞きするのですけれども、副検事ができて特号ができましたね。いま五十九人いるのかな。どういう人がなっているわけですか。どういう標準で特号の人にするのかというのが一つと、それからもう一つは、一号で十年近くやっている人がいるのじゃないですか。だから副検事でくさっちゃっている人がいるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/38
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039・賀集唱
○賀集政府委員 副検事の特号でございますが、これはやはり老練な方で、ことに検察事務官から副検事に上がるときに検察事務官時代よりもより優遇しよう、そういうところから副検事の特号を設けられたわけでございます。担当部局でないので先ほどお示しになった五十九という数字、それは現在資料を持ち合わせておりませんし、一号で何年いるかというところもまだ十分調査しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/39
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040・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 それはどこの所管なのか、きょうでなくてもいいんですけれども……。ということは、特号という制度を設けたけれども、特号になるのに非常に厳しいということですね。やめることを条件にして特号にしたり、転勤することを条件にして特号にしたり何かしておるということが一つですね。
それから、十年近く一号をやっている人もいるんじゃないですか。十年まではいかないとしても、十年近い人もいるんじゃないかな。そこら辺はわかっていれば後でもいいから調べてもらいたいと思うのです。副検事の間で、ことに一号の人が非常に多いです。多くてそれがなかなか特号になれないので、非常にいろいろな意見があるわけですね。
それからもう一つ、最後にお聞きしたいのは、これは大臣に聞くのですけれども、昭和四十八年三月二十七日の、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案というのがありまして、そのときに附帯決議があったわけですね。
一つは、「近時における訴訟遅延の現象は、裁判官その他の裁判所職員の不足と裁判所の施設の不備によるところも大きい。よって政府並びに最高裁判所は、裁判所職員の増員と裁判所の施設の充実等について予算の増額その他適当な措置を講じ、もって裁判に関する国民の信頼にこたえるよう努力すべきである。」これはいいんです。
この第二の「政府は、最高裁判所裁判官国民審査の方法等について検討すべきである。」こういうふうにあるのですよ。きょうは急な質問なものだからそういう通告してないのですが、これは常識的なことで、最高裁判所裁判官国民審査の方法について検討すべきだというのは、具体的にどういうふうなことを言っているんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/40
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041・稻葉修
○稻葉国務大臣 お答え申し上げます。
御承知のとおり、最高裁判所裁判官国民審査に関する事務は自治省の所管となっておるわけであります。自治省設置法四条二十号、十条十一号、十四号、十五号等にその所管を明記されております。したがって、御指摘の昭和四十八年三月二十七日の附帯決議に係る国民審査の方法等についての検討も自治省の所管に属する事務であると理解しておりますので、私としてこの際、憲法論議などに入りますことは慎まなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/41
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042・稲葉誠一
○稲葉(誠)委員 いやいや、このときはあなたは大臣でなかったかな。だれが大臣だったか忘れましたが、この附帯決議が出てくることについては、法務省も関与してこういう附帯決議でいいからということでなったと思うのですよ。そうしてこの附帯決議について誠心誠意努力をもって何とかします、実現しますとは言わなかったかもしれぬけれども、検討しますとかなんとか言ったのじゃないですか。法務省としても最高裁判所裁判官国民審査の方法についてどうしているか。いまどこかに欠陥がある、欠陥があるから検討しようというのでしょうから、どういう点に欠陥があるというふうに考えているわけですか。これはもう常識じゃないのですか。大臣、どうなんですか。
では一つ、何でああいう制度が設けられたんでしょうかね。そこら辺から始めていきましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/42
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043・稻葉修
○稻葉国務大臣 何分にも現行の国民審査制度については皆世間で周知のとおり、すでにこれを合憲とする最高裁判所大法廷の判決があるわけです。また、憲法自身も国民審査の方法について具体的に規定していることでもありますので、現段階において何らかの具体的な方策を講じなければならない必要性を見出すには至っておりません。しかし、この制度の重要性にかんがみ、いろいろ憲法自体についても批判をする向きもありますので、なお引き続き検討を続けたいと思うのでございます。そうして、あなたの質問の、この制度の憲法上設けられた御趣旨等お尋ねになりますが、これは内閣としての意見だったら法制局長官に聞いていただいた方がいいと思うのです。どうも危なくてしようがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/43
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044・小宮山重四郎
○小宮山委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/44
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045・小宮山重四郎
○小宮山委員長 速記を始めて。
諫山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/45
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046・諫山博
○諫山委員 今度の改正案では、裁判官にしても検察官にしても、上級の人とそうでない人とのアップ率が幾らか手直しされたように思うのです。私たちは下級裁判官、下級検察官の給与はもっと上げる必要がある、上級の人は余り上げなくてもいいというふうに考えていたんですが、幾らかこれが採用されたように思うのです。どういう根拠でそういう措置を講ぜられているのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/46
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047・賀集唱
○賀集政府委員 お答えいたします。
御承知のとおり、裁判官、検察官の報酬、俸給、これの改定は、生計費及び一般賃金事情の変動に伴いまして、一般職の方で給与の改定がありましたらそれに準ずる、こういうスライド方式、そういう方式でされております。今回、一般職の方では指定職の方が非常に上げ幅が抑制されております。私どもの入手しました資料によりますと、その根拠といいますのは、今回の給与改定と申しますのは、「特に中位等級職員の給与の改善に配慮するとともに、指定職を含む上位等級職員のそれについては、均衡上必要な最小限の改定に止めることとした。」こういうように人事院勧告でもされております。恐らくそれは、最近民間におきましても役付手当その他がカットされているといいますか、増額が抑制されている。それから、最近の厳しい財政事情その他を反映いたしまして、指定職を含む上級職員、このアップ率が非常に抑制されまして、それと見合うところの裁判官、検察官の上級の方、それにつきましてはアップ率が一けたのパーセンテージ、そういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/47
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048・諫山博
○諫山委員 そうすると、法務省とか最高裁判所で独自に検討したというより、一般職の傾向にならったというふうに理解されるのですが、私たちはもっとこの傾向は進める必要があると思うのです。同じ公務員ですから、最高裁判所、法務省だけというのはなかなかむずかしいでしょうけれども、ぜひこの点は考慮していただきたいと思います。
それからもう一つは、検察官と裁判官の給与のバランスというのがずっと昔から問題になっておったのですが、現在、たとえば任官して十年目の検察官と裁判官、十五年目の検察官と裁判官、どういうことになっていましょうか、大体同じ給与ですか、幾らか差があるのか、これをちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/48
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049・賀集唱
○賀集政府委員 ただいま先生御指摘の裁判官、検察官につきましては、一般職とは異なるといいますか、独自の考え方で給与を考えるべきだという御指摘はかねがねこの法務委員会でも承っておりますが、一般の賃金事情、これの変動に伴います給与改定と申しますのは、これはおしなべてすべての公務員に通ずることでございまして、一たん裁判官、検察官の給与体系として独自のものができ上がっておりますときには、一般職も賃金事情の変動に従いまして上がりますと、それにスライドといいますか、見合う形で上げますから、一たん決められました独自の体系、裁判官、検察官の、仕事の特殊性を持った給与というものがそのままの形で反映するということで、いつも一たん決めております独自の体系が並行した形で確保される、こういう仕組みでずっと伝統的にスライド方式というものでやっております。
それから、次の昇給の問題ですが、先生からの資料要求がございまして、急遽調べましたところ、十年目、二十年目あたりは裁判官、検察官は大体同一歩調で上がっているというデータが出ました。それから上のあたり、判事三号、検事三号あたりから少しは違っている。その違い方といいますのは、裁判官の方が、どう言いますか、定年も長うございますし、上の方がたくさん出てきまして、同じ一号同士の平均年齢を比較しましても裁判官の方が平均年齢が上だ、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/49
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050・諫山博
○諫山委員 そうすると、号俸に関係なく、たとえば勤続何年というような計算をすれば、裁判官と検察官というのは大体同じ給与と見ていいんですか。結論だけで結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/50
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051・賀集唱
○賀集政府委員 昇給基準がありまして、それはお互いにわかりませんけれども、結果として出ました数字というものは、少なくとも二十年あたりまでは同じ結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/51
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052・諫山博
○諫山委員 もう一点聞きたいんですが、公務員の上級職試験、昔の高文行政科と言われておった人たちの給与体系がいろいろあると思うのですが、この人と、裁判官の給与というのはどういう関係になりますか、そのことだけお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/52
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053・賀集唱
○賀集政府委員 その点につきましては少し調べたところがございまして、初任の方、これはかなりな開きがございます。それから十年以上、その方を考えますと、お手元の資料の四十七ページで……(諫山委員「傾向だけで結構です」と呼ぶ)傾向を申し上げますと、十年経験、二十年経験、そこらあたりは格段の開きがございます。格段の開きというのは、裁判官、検察官の方が上級職を通った人よりも倍に近い、倍までいきませんけれども、はるかに優位である、こういう結論を申し上げることができます。
その次に、次官クラスになりますと、大体同年次に大学を卒業された方、その方が行政職の方にも次官が出ますと、私どもの裁判官、検察官の方にも同じように次官クラスの給料をもらう人があらわれる、そういう結果になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/53
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054・諫山博
○諫山委員 じゃ、最後に要望を申し上げます。
私たち、下級裁判官、下級検察官の給与はもっと上げた方がいいというふうに思っているんですよ。これは裁判官だけじゃなくて、検察官についてもそうなんです。そういう意味じゃ、幾らか従来と違った案になっているというふうに私たちは考えまして、賛成しようと思っているんです。しかし、もっと私たちが賛成できる傾向を今後とも強めていただくということを希望しまして、終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/54
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055・小宮山重四郎
○小宮山委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/55
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056・小宮山重四郎
○小宮山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/56
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057・小宮山重四郎
○小宮山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/57
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058・小宮山重四郎
○小宮山委員長 起立総員。よって、本案は可決すべきものと決しました。
ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/58
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059・小宮山重四郎
○小宮山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/59
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060・小宮山重四郎
○小宮山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時十九分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605206X00119751031/60
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