1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年十二月十七日(水曜日)
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議事日程 第十八号
昭和五十年十二月十七日
午後二時開議
第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を
改正する法律案(内閣提出)
学校教育法の一部を改正する法律案(第七十五
回国会、内閣提出)
午後二時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/0
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001・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
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日程第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部
を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/1
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002・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 日程第一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長藤尾正行君。
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防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法 律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔藤尾正行君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/2
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003・藤尾正行
○藤尾正行君 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案の内容は、海上自衛官五百十七人、航空自衛官三百三十六人、合計八百五十三人を増員すること、及び航空自衛隊第三航空団司令部の所在地を愛知県小牧市から青森県三沢市に移すことであります。
本案は、九月二十七日本委員会に付託され、十月二十八日政府より提案理由の説明を聴取し、十一月二十日より質疑に入り、慎重に審査を行い、十二月十六日質疑を終了し、討論に入り、自由民主党の木野委員より賛成、日本社会党和田委員、日本共産党・革新共同木下委員、公明党鬼木委員及び民社党の受田委員より、それぞれ反対の意見が述べられ、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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004・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。上原康助君。
〔上原康助君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/4
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005・上原康助
○上原康助君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法の一部改正及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対して、わが党の見解を明らかにしながら、反対の討論を行います。(拍手)
まず、反対する第一の理由は、自民党政府の外交、防衛政策が、ますます平和憲法の理念を無視して、アジア及び国際的なデタントの方向とは全く逆行する防衛力の増強、拡大を目指していることであります。
このことは、法案の審査を通しての委員会論議でもより明確になったことでありますが、、きわめて残念なことには、政府には、ポストベトナムのアジア情勢に基づいて、新しい視野と発想の転換の上に立ったわが国の安全保障の確立について、これまでの誤ったアメリカ追随の外交、防衛政策を根本的に洗い直して、自主的な施策もなければ、その意欲もうかがえないということであります。
ただ一つ、政府が変えていこうとしているのは、従来の所要防衛力構想から基盤的防衛力整備への転換、あるいは防衛問題に対して国民の関心を集め、これまでとは変わった防衛政策を打ち出そうと苦心している小細工の跡が多少うかがえないこともないが、防衛問題に対する思想と本質は、いままでにも増して見逃すことのできない危険な方向に歩みつつあることであります。
すなわち、第一次防から四次防まで続いた防衛力整備計画は、最近のインフレ・不況下で、予算上も国民の批判が多いので、なるべく金のかからない基盤的防衛力整備に切りかえていくなどと巧みに宣伝しているのであるが、その中身たるや、これまでの防衛力の増強計画と全く変わるどころか、質量ともに上回っていくことさえ予想されるのであります。
したがって、防衛費にしても、四次防計画が示すごとく、当初四兆六千億円程度の見込みが、最終的には六兆円を超える巨額のものとなりつつあるのであります。
さらに、それに加えて、ポスト四次防の基盤的防衛力の整備計画で、海空の質の装備を高めていくとなれば、むしろ費用はかさみ、五次防計画の予算は恐らく十兆円近くになることが予想されます。
インフレと不況、失業、就職難、財政危機などで国民全体が痛めつけられ、当分このような財政逼迫の状態が続く中で、これ以上巨額の国民の血税を防衛費に充てることは、国民大衆は全く望んでいないし、納得するものではないのであります。
反対する第二の大きな理由として指摘しておかねばならないことは、日米安保体制の問題であります。
自民党政府は、日米安保体制は、アジアにおける国際政治の基本的構造の不可欠の要素として、その平和と安定に貢献するとともに、わが国に対する侵略を抑制するなどと意義づけているのであります。しかし、これは日米両国の政治権力者がでっち上げた安保体制至上主義の姿勢であって、断じて黙認することはできないのであります。(拍手)
しかも、政府はポストベトナム後、朝鮮半島に仮空の緊張激化を日米韓一体となって強調しながら、従来にも増して、平時、有時を問わない日米間の軍事的協力関係を強化していく諸準備を着々と進めようとしているのであります。
いまや事前協議制度は完全に骨抜きにされ、核持ち込みの疑惑はますます深まり、沖繩嘉手納基地へのB52戦略爆撃機のたび重なる再飛来を政府は容認し、米軍の実弾射撃訓練も後を絶たず、基地周辺住民に多大の被害と犠牲を強いておきながら、米軍への基地の安定的使用をさらに保障しようとする政府の態度を断じて許すわけにはまいらないのであります。(拍手)
以上が反対する大きな理由の柱でございますが、本改正案の内容となっている海上・航空自衛官の八百五十三人の増員と、航空自衛隊第三航空団の小牧市から三沢基地への移転問題にしても、増員問題は欠員で十分カバーできるし、第三航空団の移転にしても、さほど緊急性を認めるわけにはまいらないのであります。
そのような立場で、わが党は本法案の改正に反対し、私の討論を終えたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/5
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006・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 三塚博君。
〔三塚博君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/6
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007・三塚博
○三塚博君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に賛成の討論を行うものであります。(拍手)
今日の国際情勢を一言にして言うならば、冷厳な東西対立が解消したとはいいながら、このことは、相互の信頼回復あるいは認識の強化という国際的な努力の中に行われておるわけでありまして、近年におけるSALT協定を中心とした米ソ両国間における緊張緩和への方向に向かっての種々の努力などは、世界平和の実現という観点からきわめて高く評価をされるところであります。
しかしながら、世界の国は、口には恒久的平和を唱えておるのでありますが、一たん自国に関係する問題が生じますと、あらゆる手段を尽くし国益の追求に邁進しているのが、遺憾ながら国際社会の厳しい現実であり、さらに見逃してなりませんことは、最近の政治的な緊張緩和は、それをもって直ちに軍事的な緊張緩和につながっていないという事実であります。
たとえば、アンゴラ、チモール、レバノン、中印国境等の問題に見られますように、依然として世界の各地において武力紛争が続発しており、いまだ国際情勢はまことに流動的であると言わざるを得ない現状にあります。
このような情勢のもとにあって、世界の大多数の国々は、自国の安全をいわゆる集団安全保障体制に依存するという傾向にあり、さらには、いろいろな経済的な制約に直面しながらも、独自の国防力の整備について努力を続けているのであります。
わが国の場合も、総理訪米時の三木・フォード会談後の共同声明にも見られるごとく、日米安全保障条約をしてアジアにおける国際政治の基本的構造の不可欠の要素として、同条約を堅持することが改めて確認されている次第であります。
また、つい最近、フォード大統領により発表されました新太平洋ドクトリンにおきましても、わが国と米国とのさらに一層の協力関係を維持することの重要性が改めて強調されていることは御承知のとおりであります。
しかしながら、何と申しましても、日本の独立と安全を守るためには、国民の一人一人がみずからの国をみずからの手で守るという気概を持ち、自衛のために必要とする最小限度の防衛力を保持しなければならないという、いわゆる自助の努力をすることが最も重要でありまして、これなくしては、日本の独立も安全も守ることができないと私は確信するものであります。(拍手)
このような国際社会の現状を直視いたしますと、わが国が自国の独立と平和を守るために、日米安保条約を基調として、わが国みずからも憲法の認める必要最小限度の自衛力を保持するというのがわが党の政策であり、これが最も賢明かつ現実的な選択であると確信をいたしております。
このようなわが党の政策は、今日、多くの国民に支持をされておるところでありますが、一部の政党の主張に見られるごとく、国際社会の現実を無視した非現実的な空論がいまだ存在することは、国の基本的な行政の最大のものが国家安全保障の問題にありますだけに、まことに遺憾と言わなければなりません。(拍手)
わが国の防衛力は、もっぱらわが国の独立と平和を守るためのものでありまして、戦争を抑止し、一たん不正な侵略があったときにはこれを排除するためのものであります。
わが国が、第二次大戦後のこの三十年間、世界各国で紛争の絶え間のなかった冷厳な国際社会の中にありまして、平和と繁栄を享受し、国際的な地位を向上させることのでき得ましたことは、このようなわが党の政策の正しさを立証して余りがあるものであります。
わが国の防衛力は、戦後ゼロから出発をし、四次にわたる防衛力整備計画を策定して、国力、国情の許す範囲内で漸進的に整備をしてまいりましたが、現在実施中の四次防は、このような防衛力の整備の一環として策定されたものでありまして、この計画を完全に実施しても、なおわが国の防衛力は決して十分なものとは言えず、わが国の安全保障について不安を禁じ得ないものであります。四次防計画の速やかなる達成を念願してやみません。
以上の観点から見まして、本法律案は、現在の国際情勢のもとにおいて、わが国の防衛力を整備する上から見て、まことに必要最小限度のものであり、国民大多数がこれを支持するものと深く確信をいたし、私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/7
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008・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/8
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009・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を
委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/9
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010・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
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011・羽田孜
○羽田孜君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
すなわち、この際、第七十五回国会、内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/11
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012・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 羽田孜君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/12
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013・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
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学校教育法の一部を改正する法律案(第七十
五回国会、内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/13
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014・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。文教委員長久保田円次君。
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学校教育法の一部を改正する法律案及び同報告 書
〔本号末尾に掲載〕
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〔久保田円次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/14
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015・久保田円次
○久保田円次君 ただいま議題となりました学校教育法の一部を改正する法律案について、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案の要旨は、
第一に、公立及び私立の大学の大学院の研究科の設置廃止は、監督庁の認可事項とすること、
第二に、研究科の教育研究上必要がある場合には、当該研究科の入学資格を、修士の学位を有する者またはこれと同等以上の学力があると監督庁が認定した者とすることができること、
第三に、教育研究上特別の必要がある場合には、大学院のみを置くものを大学とすることができること、
第四に、大学院以外の教育施設は、大学院の名称を用いてはならないこと、
第五に、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること等であります。
本案は、第七十五回国会に提出され、今国会に継続されているものであります。
今国会におきましては、本日質疑を終了、次いで、三塚博君外三名から、本案に対し、第七十五回国会において専修学校制度の創設を内容とする学校教育法の一部を改正する法律が制定されたことに伴い、本案における大学院の名称の使用制限等に係る規定について所要の整理を行う趣旨の自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の共同提案に係る修正案が提出されました。
本修正案及び原案については、討論の申し出がなく、直ちに採決に入り、本修正案及び修正部外を除く原案は全会一致をもって可決、よって、本案は修正議決されました。
次いで、楢橋進君外四名から、本案に対し、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の共同提案に係る附帯決議案が提出され、採決の結果、異議なく可決されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/15
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016・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/16
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017・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/17
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018・前尾繁三郎
○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十一分散会
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出席国務大臣
文 部 大 臣 永井 道雄君
国 務 大 臣 坂田 道太君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107605254X01919751217/18
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