1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和五十年十一月二十日(木曜日)
午前十時三十九分開会
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委員の異動
十一月十九日
辞任 補欠選任
森下 昭司君 加瀬 完君
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出席者は左のとおり。
委員長 原 文兵衛君
理 事
金井 元彦君
安田 隆明君
野口 忠夫君
神谷信之助君
委 員
安孫子藤吉君
井上 吉夫君
岩男 頴一君
大谷藤之助君
夏目 忠雄君
橋本 繁蔵君
赤桐 操君
小山 一平君
和田 静夫君
阿部 憲一君
上林繁次郎君
市川 房枝君
国務大臣
自 治 大 臣 福田 一君
国 務 大 臣
(行政管理庁長
官) 松澤 雄藏君
国 務 大 臣
(国土庁長官) 金丸 信君
政府委員
国土庁長官官房
審議官 紀埜 孝典君
通商産業省立地
公害局長 宮本 四郎君
建設政務次官 中村 弘海君
建設省都市局長 吉田 泰夫君
消防庁長官 佐々木喜久治君
消防庁次長 森岡 敞君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 保君
説明員
行政管理庁行政
監察局監察審議
官 關 言行君
資源エネルギー
庁石油部精製課
長 山中 正美君
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本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告に関する件
○石油コンビナート等災害防止法案(内閣提出、
衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/0
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001・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
昨日、森下昭司君が委員を辞任され、その補欠として加瀬完君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/1
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002・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。
昨日行いました石油コンビナート等災害防止法案審査のための委員派遣につきまして、派遣委員の報告は、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/2
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003・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/3
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004・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) 石油コンビナート等災害防止法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/4
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005・赤桐操
○赤桐操君 私は、昨日川崎市のコンビナート地帯を視察してまいりまして、現地における市長を初め市当局はもちろんでありますが、全市挙げて防災対策に打ち込んでおる真剣な姿を見、また、しかも、いろいろと実情をお尋ねしてみますというと、今日の川崎市の体制は実に三十年代の初めから自主的に積み上げてきたものである、こういうりっぱなものを目の当たりにいたしまして、深く敬意を表するものでございます。同時にまた、国政の立場におきまして、川崎市の独自のこの努力を見て大変深く責任を感ずるものがございました。以下、この視察をもとといたしまして質問をいたしたいと思います。
川崎市でまず一貫して言えることは、コンビナート地区の災害対策には何といっても事前の防止が大きな問題である、こういう基本的な姿勢であろうと思います。私も、この大きなコンビナート地帯における対策は、これがやはり正しいあり方だと思います。しかし、今日それだけ川崎市がいろいろの体制をつくり上げ真剣な取り組みをしていても、私は一つ大きな問題に直面していると思う。それは、どんなに川崎市が対策を立ててみましても、いまの段階ではあの過密の状態を解決するということはきわめて至難な問題になると思う。これを解決するのには、工場の疎開等をする以外にはないわけであります。要するに、コンビナート地帯の全体計画というものが立地の段階からチェックされなければならない、これは基本的な大前提になってきておるのではないか、こういうように考えます。発生源の隔離と規模の制限、密度の制限の関係、こうしたものは当該地域全体から見た防災及び安全確保のための規制措置としてきわめて必要な段階にきている、このように思うのであります。長官のお考え方をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/5
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006・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) 川崎市は、現在のいろいろな危険物施設につきまして非常な過密になっているということは御指摘のとおりでありまして、この一つの原因として私どもが考えなきゃならない問題は、現在の消防法関係の政省令の規定におきまして、保安距離の規定あるいは保安空地の規定いろいろございますけれども、そうした規定が施設の巨大化に対応して果たして現行のままでいいのかどうかというような問題があるわけでございます。これらにつきましては、私どもも、別途資料で差し上げましたように、保安距離についてのその輻射熱計算によるところの保安距離の延長でありますとか、あるいはタンク間距離のいわば緩和措置の廃止でありますとか、そういうようなこと。さらにまた、タンクの大きさにつきましての制限というようなことをいま検討しているところでございまして、こうした措置をすることによってあのような過密状態というものは相当程度抑制できるのではないかというふうに考えておるわけであります。もちろんまた、大きい石油工場あるいは備蓄基地というものがつくられます場合には、それらの工場地域の立地する場所によりましてもいろいろその特殊な問題があるかと思いますが、それらにつきましては、その地域の実態に応じた措置ということもあわせて考えておく必要があるというふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/6
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007・赤桐操
○赤桐操君 いずれにいたしましても、あの実態を見て、まず——きのう原委員長も最終の記者会見の中でも申しておられたと思いますが、またほかの委員の皆さん方もひとしく感じたことは、やはり過密であると思うんですね。こういうことは、やっぱり、当初申し上げたとおり、事前の立地の段階からもう制約していかなきゃできない、こういうように思うわけなんで、その点はひとつ確認をしておきたいと思います。
それから、一昨日の地方行政委員会の中で長官にいろいろ私がただした中で、タンクの設置に当たっては設計の段階からチェックするということについて明らかにしていただいたと思うんです。それは具体的にどんなふうにチェックをしたら効果があるのか、考えておられることを明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/7
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008・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) まず第一点の、立地の段階から全体の構成を考えて指導するという問題でございますけれども、今後、備蓄基地でありますとか石油精製の事業所が新しく設置をされるという場合におきましては、その立地計画の段階におきまして、防災緑地等も備えた、いわばこの法律が期待をしているような事業所あるいはコンビナート地域になるというような立地計画自体をやはり十分検討していく必要があるだろうというふうに考えております。したがいまして、こうした大規模な危険物施設の事業所ができます場合には、当然に、市町村におきましてもあるいは県におきましても重要なその地域開発の問題にもなりますので、それぞれ慎重な対処がなされるというふうに考えておりますけれども、同時に、私どもの方といたしましても、そうした立地の計画につきまして私どもなりの立場で各地方公共団体の指導ができますように、立地計画等も提出をさせて事前に必要な指導が行えるような体制にしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
それから、タンクにつきまして、いま私どもがこれからの暫定指針として出してまいりますに当たりましては、まず第一に、タンクの設置前に地盤調査を行わせる、このボーリング調査によりまして地質を十分調べ、そして、その土地が今後どれだけの地盤沈下量があるのかという測定を行わせる、それに対応いたしましてプレロードを行わせるわけでありますけれども、これも理論計算のもとにおきまして一定の計画のプレロードを行わせる、同時に、これには沈下計を設置いたしまして、その理論値と実際値というものがどう食い違うのか、あるいはその理論値どおりの沈下が行われているかということを測定をするということにいたすつもりでございます。
したがいまして、地盤につきましては、事前の地質調査の問題それから一定のプレロード期間——三ヵ月ないしその場所によりましては一年以上になるかと思いますが、その間における沈下の状況、それから沈下がおおむね終わる段階においてどういう状況になったか、これは二度の具体的な調査をいたす、こういうことにいたしまして、理論圧密あるいは実際の沈下量の比較検討を行いながら、その地域の地盤がおおむね地盤沈下が完了したと見られる、いわば九〇%以上の沈下が済んだ段階でタンクの建設を行わせる、こういうことにいたすつもりであります。その場合には、基礎工事につきましても一定の構造条件をつけるつもりでございます。
それから、建設の途中におきまして底板及び側板の溶接が終わりました段階で非破壊検査の実施をさせるというつもりでございます。そしてその非破壊検査の結果問題がないということになりまして、さらに工事を続行させて完成に至る。その完成に当たりましては水張り試験を行うわけでありますけれども、水張り試験後におきましてももう一度非破壊検査を行う、こういうことにいたしたい、こう考えております。
したがいまして、これからのタンクの建設に当たりましては、調査が地盤のまず地質の調査並びに沈下量の調査、それから溶接面の非破壊検査、それからさらに水張り検査というような段階を経てまいりますので、従来のものと比べますと相当検査内容というものも強化してまいりたいと思います。
そのほか溶接方法につきましては、重ね溶接の方法は禁止をする、あくまで突き合わせ溶接で底板につきましてももっていきたい。したがいまして、こうした溶接方法の変更に伴いまして、底板に用います鋼板の厚さは大体二倍程度にすることが可能であろうというふうに考えております。工事方法につきましても必要な変更を行っていく、こういうことにいたすわけであります。こういうことで、特に市町村の消防機関としましてはこの地質検査あるいは基礎の沈下計算というものが十分行い得るかどうか、この点が一つ問題でございます。
それから、非破壊検査につきましては、それぞれ専門の会社がございますけれども、その検査内容について十分な立会検査ができるかどうか、この辺が一つの問題点であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/8
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009・赤桐操
○赤桐操君 いままでは地方のそれぞれ企業から出されてきて、それは消防署でチェックをしてきたと思うんですね。それはいま長官もはっきり言っておられましたけれども、川崎市の場合できのうもお尋ねしてみましたけれども、やはりこれは非常にかなり事前の打ち合わせを綿密にやっておるということです。たとえばそうしたレイアウトなりいろんな計画が出てくるというと、消防当局なり市当局は、まずその設計をした当事者と真剣な話し合いをする、そこで詰めるものを全部詰めて問題点を全部摘出してみる、その上で今度は別に企業の側と話し合いをする、それから後企業と設計者の間で話し合いをさせる、こういう大変綿密な手順を事前に踏んでおるということを私もきのう確認してまいりました。私はやっぱりそういう形のものが少なくともとられていかなければこれは事前のチェックにならぬと思うんですね。それは一体いまの地方自治体に所属している出先の消防機関でやるだけの能力があるかといったら、いまも明らかにされておりますが、それはちょっと無理だろうと。それだけの技術者の陣容が整えられていないだろうし、それが現実に行われて任務を果たしていけるようなものといったら、川崎の消防署、消防局ぐらいのものじゃないか、こういうことになってくると思うんですね。それで職員その他の養成、いろいろ聞いてみるというと、やはり今日の体制をつくり上げたのは二十年の歳月を経ている。決して偶然にでき上がったものではないというんです。直下型地震の問題があったからあれだけの体制ができたということじゃなくて、川崎市は独自の立場で今日まで積み上げてきたということを明らかにしておりました。私はやはりこれだけの体制をつくっていくのにはちょっと簡単にはいかないと思うんです。したがって、地方のそういう機関に任せるというやり方はこれはもうできないと思うんです。当面それに対する中央の機関としてどうするかということを真剣にやはり具体化しておかなければならないだろうと思うんです。その点についてもう少し明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/9
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010・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) 現在のタンクの構造その他に関する基準というもの、この基準自体が非常に大まかな基準になっておるという点も問題があるわけでございます。これからこの技術基準を出します場合には、タンクの大きさに対応するその使用材料等につきましても具体的な基準を定めていく、それによっていわば設計審査ということも可能になるような基準というものをつくり上げていく必要があるというふうに考えておりますけれども、確かに御指摘のように、このタンクの設置につきましては、土木関係から金属あるいは溶接、そういう特別な技術が必要でありますので、こうした技術関係の職員を、地方の消防機関がすべてそういう職員を持っておるということは事実上の問題としてなかなかむずかしい点がございます。川崎でありますとか、あるいは横浜でありますとかいうような大都市地域における消防の場合には人的にもそうしたものが可能でありますので、まあ大都市地域はそれほど問題はないかと思いますけれども、やはり小さい町村の消防になりますと非常に問題がある。したがいまして、現在のこうしたタンクその他の危険物施設に関する事務は、一応消防法上機関委任事務として市町村長の権限にゆだねられておるわけでありますけれども、実際問題として市町村が処理が非常にむずかしいという問題につきましては、これを市町村の申し出によって国が直接処理をするとか、あるいは別途の特殊法人をつくって専門の技術屋をプールいたしまして、それにその検査事務の市町村の技術を補完するという意味で検査事務を行わせるというような方法があるかと思います。これらにつきまして、それぞれの方式をとった場合の長短あるいは法律上の問題点というものをいまいろいろ私ども事務的に検討いたしております。できる限り早い時期、次の通常国会等におきまして、消防法の改正という形でその結論を出していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/10
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011・赤桐操
○赤桐操君 私はいまタンクの例で長官の見解を承ったのですけれども、川崎だけではなく、どこでもこれはコンビナート地域で言えることでありますが、貯蔵の問題が一つあると思うし、それから中身を見てみれば、製造部門があるし、あるいはまたその用役とか各施設にわたっていると思うんですね。それらはいずれもやはりタンクについての綿密な検討がなされなければならない、事前チェックが行われなければならぬと同じように、総合的にやはり各施設の事前の安全性のチェック、こういうことが確立されていかなければならないと思うんです。そうなってくるというと、この点については私は通産関係の方がそこに一つ問題が出てくると思いますが、通産の方の考えとしてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/11
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012・山中正美
○説明員(山中正美君) お答え申し上げます。
石油の精製工場の件でございますけれども、現在いわゆるリファイナリーを建設する場合には、石油業法によりまして許可の対象になっております。ただ、石油業法の許可基準というのはあくまで石油の安定供給ということを目的としておりまして、そういう需給をいかに安定的に実施するかということを対象にいたしまして石油業法の許可案件になっております。そういう意味で、石油業法では保安なりそういう面を中心としたチェックというのは現在のところできないわけでございますが、ただ一応われわれといたしましても、行政指導といたしましてできるだけ安全に留意いたしまして災害が起こらないように配慮していきたいと、こういうふうに考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/12
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013・赤桐操
○赤桐操君 そうすると、あなたの方で許認可権を持っているのは、コンビナート施設の中のどういう部門ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/13
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014・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 先ほど先生の御質問に補足さしていただきたいと思いますが、高圧ガス取締法に基づきますところの許認可権の対象となる施設がコンビナートの中にございます。その点につきましての御質問の点につきましては、私どもの方、前の国会におきまして高圧ガス取締法の改正をさせていただいたわけでございます。この改正規定によりまして、新しく製造段階からの検査というのを特定設備の検査という名目で導入させていただいておるわけでございます。これはどういうことかと申しますと、高圧ガス施設の中で特に危険な高圧ガスの製造設備につきましては、設備の製造の段階、これはプラントに大体なっておりますので、プラントを当該事業所に設置する段階では遅いと。メーカーの段階で、当該プラントを材料の段階から製造するその各工程におきまして十分検査をしていこう、こういう趣旨に立脚いたしておるわけでございますが、たとえばどういうものかと申しますと、タンクとかそれから反応塔とかそういったいろんなものがございますし、どういう方法でチェックするのかということになりますと、たとえば材料とか溶接の方法だとか、組み立てのやり方とかあるいは加工の工程、こういう各段階におきまして、材料そのもの、あるいは肉厚だとか、構造だとか、溶接部の検査だとか、耐圧試験だとか、気密試験、こういうことをやっておりまして、完成いたしましたら、完成検査ということで全体としての立場から、個々の材質ではございませんで再び検査をする、こういうやり方をいたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/14
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015・赤桐操
○赤桐操君 私そういう点も大変大事な前提だと思うんです。しかし同時に、いわゆる過密の問題であるとか適正配置であるとかという問題とあなた方の方の関係がないとは言えないと思うんです。タンクだけが適正配置やあるいは密度の制限の対象になっている、その他のあなたの方の所管されているものがそれから外れるということはあり得ないと思う。やっぱりあなたの方の許認可事項については、その過密なりあるいはまた立地の条件、こういうものとの関連を離れたあり方はあり得ないと思うんですね。そういう点について、そういう意味の、たとえばいまタンクは消防庁が事前のチェックをしなきゃならないところについて明らかにしておりますが、そういう意味の大前提となる立地の段階からの事前チェックですね、こういうものについては通産当局はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/15
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016・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 立地問題全体といたしましてはもちろん考え方はございます。たとえば立地問題について配慮すべき問題点として一番大事なものは、御指摘のように防災の観点がございますし、それからさらに公害問題ということがございます。こういうことでございますので、基本的なあり方といたしましては、現在非常にその過密化が目立っております三大湾、具体的に申しますと、東京湾、伊勢湾、大阪湾、さらに瀬戸内海でございますが、こういうところにおきましては、もうあんまり工場をふやさないと。現在すでに工場が立脚しておりまして、さらに現実問題としてはそれらの中に計画がすでに具体化されているものもございますから、そういったものはやむを得ないとはいたしましても、今後ふやしていかない。そういたしまして、既成の工業地帯から遠く離れた遠隔に開発される、外洋に面した工業地帯をつくる必要が今後経済の発展に伴って必要な場合にはそういうふうに考えておるわけでございますが、さらにこの方針に基づいて、具体的にただいま御指摘のような問題点が出てまいるわけでございます。私ども高圧ガス取締法に基づきまして、製造事業の製造の許可というのを法律に奉りいて実施いたしておりますが、その場合に、申請の際には詳細な図面、設計図、それからその配置状況が出されてまいりますので、もちろん個別にはチェックいたしておりますが、同時にそういった事柄が今度のコンビナート防災法によりましてもいろいろとレイアウトの形に出てまいりますので、あわせて御相談申し上げながら、消防庁その他と御相談申し上げながら、十分なレイアウトの配慮と申しますか、そういうものについて留意してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/16
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017・赤桐操
○赤桐操君 要するに、事前の安全性に立ったところのチェック制度というものについて私はお尋ねしているんですよ。消防当局の方はそれは必要だと一昨日からこれは言っておる。あなたの方は、消防当局の方との関連なしに仕事を進めるということはあり得ないわけだから、そのあなたの方の考えている事前チェック制というものと消防当局が考える事前チェック制というものがマッチしていなければならないと思うんですよ。それは合っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/17
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018・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 私どもの方の対象といたしております高圧ガス取締法の設備でございますが、それに相応する必要な製造上の基準というのがございますので、これは必ずしも、消防庁でお考えの、石油のタンクに仮に例をとった場合にそれとは一致していないかもしれませんけれども、しかしながら、その工場、事業所全体として安全の確保、災害の防止という観点から十分な配慮がなされておるかということにつきましては、同じような立場に立っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/18
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019・赤桐操
○赤桐操君 要するに私は、縦割り行政で個々の立場に立っては、いま課題になっているこの基本的な大前提の問題の解決はあり得ないと思うんですね。そういう意味でチェック制度の確立を私は要求するものです。
その一つのヒントを私は川崎で得てまいりましたが、川崎市コンビナート安全対策委員会というものが設置されていますね。この内容を見ますと、構成は学識経験者が三名、当市の消防、公害、経済各局の専門職員をもって構成する、こうなっている。そして非常に厳しい立場でこの安全対策委員会が運用されている。この中にはいわゆる通産あたりでやっているところの審議会ですか、例の企業が入った審議のあれがあるようでありますが、そういう内容のものではないわけですね。企業の側はシャットアウトした全くの第三者機関、専門の立場に立ってつくり上げた安全委員会だと思う。こういう純粋な形態のもの、性格のものを私はチェック機関として設けるべきだと思うんです。これが総合的な立場に立って、関係各省が全部入ってこの権威あるチェック機関を運用していく、こういうことであるべきだと思うけれども、この点について自治大臣なり通産大臣なりの意見を私は求めたいと思うんです。政府の立場に立った御答弁を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/19
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020・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) 個々の市町村につきましてそうした安全対策の委員会を設けるかどうかという点は、私どもももう少し検討する必要があるかと思いますが、現在この法律の規定による防災本部におきましては、関係省庁の地方機関も入りまして、防災体制についてのいろいろな対策を講じ、必要な防災計画をつくっていくという組織になっておるわけであります。さらにまた必要がある場合においては、防災並びに安全という問題につきまして、学識経験者としての専門員を置くというような制度も考えておるわけであります。この専門員の活用の問題につきましては、これは大学等におきまして専門に安全関係についての研究をしている学者、あるいはまた水産部門におきまして海域におけるいろいろな漁業関係との調整の問題について専門的な知識を持つ方、あるいはまた農業問題等につきまして専門の知識を持っておるその地域の方々、こういう人たちを集めて専門員を置くという制度も考えておるところでございます。こうした防災本部におきます全体的な会議と、それから防災本部に設置いたします専門員というものを活用していただきまして、これらについての安全対策というものを考えていけばいいのではないだろうか。特に大都市地域の場合でありますと、専門的な学者などが、市が独自でこれを選んでいけるというようなこともございますけれども、やはり地方の町村部の方に参りますというと、やはり県の防災本部等におきまして、そうした専門的な人を集めながら安全対策を考えていくという制度が運用される方がむしろ望ましいのではないだろうかというような感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/20
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021・赤桐操
○赤桐操君 私のいま申し上げていることは、消防庁という一つの次元での話じゃないんですよ。各省の関係がみんなまたがってきているわけなんですよ。それを政府の立場に立って統合した、あるいは総合的な純粋な意味における機関を設置すべきだと。そしてそれを統合してそれぞれの各県を指導していくという体制をとらなければ、事前チェックの役割りを果たせないじゃないか、こういうことを言っているわけなんで、そういうように理解してよろしいんですか、自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/21
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022・福田一
○国務大臣(福田一君) 確かに、いろんな問題を含めて防災対策を考えてみなければいけないことはもう御説のとおりだと思うんでございますが、その場合において、それぞれの市あるいは町村においての、また県においての一つの構想といいますか、意見が出ました場合において、消防庁にはもちろんこれが来るわけでございますから、私はその段階において必要とあれば関係省庁と十分連絡をとらしていただくように措置をすることによって、いまあなたが御指摘になったような問題は処理ができるのではないか。大体いままでにもよくあるんですけれど、すべてのものを集めてこうやっておきますというと、またいい場合もありますけれども、非常におくれる場合、処置をとる場合におくれる場合もしばしばあるように見受けられますので、御意見は御意見としてわれわれも何も反対ではございませんけれども、今度のこの法律でもってやってみて、またいま御指摘になったような問題で疑義が出たり、あるいはまた問題が起きないように努力はいたしますけれども、この法律の施行の状況を見た上で処理をさしていただくようにしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/22
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023・赤桐操
○赤桐操君 川崎市の市長からも訴えられておりましたけれどもね。この法律の重要な事項の大半が自治省、通産省にみんなまたがっているんですよ、御承知のとおり。そこへまた建設省あたりがひとつ飛び込んでくる。もっとその埋め立ての段階から見れば、運輸省の港湾関係も絡まってきておるわけですよ。公有水面埋め立ての問題が出てくるわけですね。いまお話があったように、農林、水産関係も入ってくるわけでしょう、港の関係があるわけですから。そうすればこれはますます多元化の方向をとっておるわけですよ。今度の法律は、私は一つのビルディングの中にいままでばらばらな家を全部統合するという目標でなければならなかったはずだと思うのですよ。それがコンビナート法の意義だと思うのですよ。そういうふうに自治大臣は私どもに前国会で約束されている。その方向で勉強をし努力をし、この国会に提起しますとして出てきたものがこういうものです。自治大臣が言われたことを出てきたものと比較するとこれは大変違いがあるということをわれわれは痛感しているわけです。そういう意味で、むしろこれは一元化の方向ではない方向をたどっているような感じがするのじゃないか、こういうことになってくるのであって、まして事前チェックというものがこれほど安全上の問題を左右するものであるということになってくるなら、やはりこれはそういう一つの形をとるべきじゃないのかという観点で申し上げておるわけなんです。大臣、これはおわかりになるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/23
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024・福田一
○国務大臣(福田一君) お考えのことはよくわかります。われわれとしては、もちろん、いまおっしゃったように関係のものを全部入れたようなものにしたいと思ったのでありますけれども、海の問題は、御案内のように、運輸省関係でまた別に法案をつくるということで、なかなかこの役所間の話し合いがとことんまでつかないわけでありまして、結果においてはそういうふうに分離することになりました。それではけしからぬじゃないかというお話もよくわかるのでありますが、まずさしあたりやはり一応法律というものはこの際つくらねばいけない、そういうたてまえで、ただいま皆様のお手元に提案いたしました法案を作成をいたしたわけでありますが、御趣旨をないがしろにしてやったというよりは、まあこの際とにかくこの程度でひとつやらしていただきたい、こういう意味と御理解をしていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/24
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025・和田静夫
○和田静夫君 ちょっと関連。すみません、行管庁長官、内閣委員会からわずかな時間もらいましたものですから。
いまの関連で少し尋ねたいのですが、まず第一は、先ほどありました赤桐質問のこの基本的な姿勢の問題なんですがね。石油類や高圧ガス類の過密化を避けるということが、昨日調査団として出向いたみんなが私は感じ取ったことだと思うのであります。そうすると、明確に総量規制の方向へ進むべきだ、そういう一致点が出るのではないだろうか。で、いずれ、いま大臣が言われたような趣旨で、この法律案について私は決して反対をする立場で物を言うのではなくて、近い将来に向かってそういう総量規制的な考え方を導入するおつもりもありながらいま言われたような形での御答弁であるのかどうか、そこのところをひとつまず第一に尋ねたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/25
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026・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) 確かに、この法律の立案の段階におきましても、総量規制の問題をどう考えていくのかというような問題点があったわけです。私どももそうした問題につきましていろいろ検討をしたわけでありますけれども、やはりこの総量規制につきましては、そのコンビナートが立地をされる場所によって相当問題の所在が違っておる。総量規制の基準をつくるということ自体が非常に技術的にもむずかしいということを感じたわけであります。ただ、現在のいろいろな規制立法の中で、現在の規制が、いまの危険物のいわば集積の大量化に対応して十分な規制数値になっているかどうかという点につきましては非常に問題がある。やはり今後のコンビナート地域においては、三菱の重油流出事故あるいは大協石油の火災というものから見ますというと、タンクの保安距離、保安空地、特にこうした保安空地等につきましては、やはり現行法令で緩和している規定というものはこれをやめる、廃止をする必要があるというような考え方に立ってきておるわけであります。こうした規制措置について検討をし直すことによって、相当な総量規制が事実上行い得るというふうに私どもも考えておるわけでありまして、まずそうした消防法関係の規制というものを見直すことによって一応の目的は達せられるのではないだろうかという感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/26
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027・和田静夫
○和田静夫君 大臣、いまの長官の答弁でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/27
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028・福田一
○国務大臣(福田一君) 私も事実問題として、そのつくられる場所、場所によって消防力がどの程度のあれができるかということで一応防災の見地から見て押さえていくという形で、消防力が弱いのに非常に大きいものをつくるというようなことはわれわれとしては認められない、こういう考え方に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/28
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029・和田静夫
○和田静夫君 したがって、大体、規制をされている部分の不適正な部分を外していきながらそれが総量規制に通じていく、こういう状態のものになっていくんだということを理解をしておいてよろしいですね。
そこで、消防組織法の六条で、「市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果すべき責任を有する。」と、こう定められているわけであります。しかし、石油コンビナート防災法案は必ずしもこの六条の趣旨に沿わない点がある。それは各省の折衝があったからいろいろのことが起こっているだろうということは推察するにかたくありませんが、市町村の消防機関に権限を一元化することがやっぱり望ましいんだと思うんです。この点が十分でないことはこの法律案では明確です。特にいわゆる保安三法と言われる消防法、高圧ガス取締法、労働安全衛生法、この統合が行われなかったのは一体どう考えてよいのか。このことば検討されるおつもりはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/29
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030・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) この法案の立案に当たりまして、現在個別立法によりまして、ただいま御指摘のようないわゆる保安三法と言われているものがあるわけでありますけれども、これをこの法律自体を統合していくということになりますと、これに伴って役所のその事務に関する限り統合した役所を設けるというようなことにもつながってくるのではないかという感じがいたしますが、こうした特に保安三法というものを統合していくということは実際上非常にむずかしいのではないかというふうに私どもは考えておるわけであります。また、コンビナート地域の防災対策というものは一刻も早くとらさなきゃなりません。こういう観点からいたしますと、やはり個別立法はいまのままに生かしておきながら、その個別立法の上にかぶせて、個別立法の足らない部分を補完をしていく立法措置を講ずる、こういうことでこの法案を立案をいたしたわけであります。ただ、この立案の過程で、少なくとも末端の第一線業務を行っている行政機関だけはできる限り統合していきたい。その統合いたします場合に、現実にいま高圧ガスは都道府県知事が行っておりますし、消防関係は市町村長が行っておる。この関係を少なくとも統合してみたらどうか、こういうことでいろいろ御相談もしたわけでありますけれども、やはり現在コンビナートがあります市町村の実態をながめますと、まだ高圧ガス関係の仕事を市町村に行わせるということがむずかしいところがある。こういうふうな観点から、この行政機関を一元化していくという問題も、非常に現実問題としてはまだ時間がかかるというような感じがいたしたわけであります。それにいたしましても、府県知事と市町村長との間の連絡というものは十分とらせて、府県知事の方も危険物施設の内容をよく知っておいてもらう、また市町村長も高圧ガス関係の施設内容というものも十分知っておいてもらうというような、相互の連絡調整規定を設けるということで当面はやらざるを得ない、こういうことで現在の法案は踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/30
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031・和田静夫
○和田静夫君 提案理由の説明のところの部分はわかっていますからね。限られた時間ですから、質問にぽっかり答えてもらえばいいと思うのですがね。
私は、もっと具体的に言ってしまえば、大臣、高圧ガス類と石油類の防災関係の管理については、これはきのうも視察してみて、あるいは冒頭市長やあるいは県の代表のあいさつの中にもありましたが、やっぱり窓口の一本化を求めているわけです。そういうことがどうしても必要だと思うんですね。そういう意味での一元化は、これはやっぱり消防庁なら消防庁にする、自治大臣のところに一元化をする、こういう主張があってしかるべきだと思うんです。いま説明がありましたように、そういう考え方に立ってやってみたけれども、各省のセクショナリズムにぶつかり合ってなかなかむずかしかった。そのむずかしかった事情というのはわからぬわけじゃありませんが、そういう方向性というものはやっぱり私は確認をされてしかるべきだと思うのですが、これ大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/31
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032・福田一
○国務大臣(福田一君) 実は私も当初はそういうつもりでおったわけなんでありますが、なかなかこれが法律の問題と実際の市町村の実力というか、力の問題と考えると、統合することが、たとえば川崎のようなところですと、またああいう神奈川県のようなところですといいんですが、もっと過疎地などへ行きますと、なかなかそう簡単に、法律はつくったが実際にはできないというようなことが起きてもいけないというようなこともありまして、そこまではっきり踏み切れなかったというのが実相とお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/32
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033・和田静夫
○和田静夫君 そこで、私は都道府県段階あるいは政令都市以上段階とか、そういう形の分け方を段階的にはしてもいいと思う。そういう構想くらいは出してもいいんじゃないだろうか。これは意見として……もう時間がありませんからね。
そこで、行管庁長官、恐縮ですがね、重要なところを抜けて来てもらって。主務大臣による許認可等について、大変今度の法律は多くの規定があるんですよ。四十六条でそれが規定されているんですがね。たとえば第五条の一項、第七条の一項、第八条の三項、こういうところは石油高圧ガスの処理量の増加等の工事を行う場合は通産大臣及び自治大臣。これは届け出。これは二重ですね。それから高圧ガスの取締法では高圧ガスは知事の認可なんというようなこともある、まあ三重。そういう繁雑な手続をする必要というのはこれはどこにあったのかということを実はまず聞くんですがね。自治大臣にお聞きをするんですが。そこで、それの答弁がいま出ますから、消防庁長官からでも出るんでしょうが、行政管理庁はこういう法律の手続面における繁雑さについてどうお考えになるのか。あるいは事前に、この四十六条部分について行管庁と事前の煮詰めがありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/33
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034・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) ただいま御指摘のように、消防危険物関係につきましては市町村長、高圧ガス関係については府県知事というものに機関委任を行って、権限の委任を行って事務をやってもらっておるわけでありますが、コンビナート地域のような大きい施設について市町村長あるいは府県知事に事務を委任をして、国が全くそそれにノータッチの状態でおるというのは、いかにもやはり国としても責任体制がとられていないような状況になるのではないか。そういう意味におきまして、国もやはりこうしたコンビナート地域の防災については一半の責任を持って、直接その内容等についての規制を行うという立場が必要ではないのか、こういう観点から、国についても、大きいものについては届け出をさせ、必要な規制を行うという考え方をとったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/34
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035・松澤雄藏
○国務大臣(松澤雄藏君) ただいま御答弁がございましたような要領で事務当局をしてそのようなことを検討さしたわけでございましたが、結論的に申し上げますと、ただいまお話しのようなことでございましたために、私の方といたしましても、率直に申し上げて御答弁のとおりだと、こういうふうに申し上げた方がいいのじゃないかと、かように思います。いずれにしても、答弁といたしましてはただいま消防庁の長官から御答弁を申し上げたとおりだと言う以外にはなかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/35
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036・和田静夫
○和田静夫君 長官の御答弁もちょっとぼくの質問を誤解されておるような気がするのですがね、消防庁長官の方です。
行管庁長官に、先ほどお聞きになったかどうか知りませんが、自治大臣はすべてのものを集めるとおくれる場合がある、したがって云々と、こうなったわけです。私は、これは、いま言っているのは単に届け出事項なんですよ。届け出事項ですから、私は消防庁長官が集約すればいいのだと思うんですよ。なんであっちこっちに煩瑣なことをする必要があるのか。したがって、ぼくは国が関与しなさんなということは一言も言っていないんであって、ちゃんとやりなさいと。しかし、消防庁長官がおやりになったらいいじゃないですか、あるいは自治大臣がおやりになったらいいじゃありませんか。必要があれば通産省にその写しを回せばいいじゃありませんか。行管庁長官はそれぐらいの、いわゆる行管の立場に立った指導というものが、事前の協議があったとお答えになっていますから、もしあったのならなぜやられなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/36
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037・關言行
○説明員(關言行君) ただいま御指摘のような点はごもっともかと思いますけれども、そういうことは事務手続の面であるいはなお工夫の余地があろうかと思います。権限といたしましてはやはり長官が正しい方法ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/37
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038・和田静夫
○和田静夫君 そうすると、その長官というのは消防庁長官という意味でしょうからね。そうすると、私のいわゆる質問の趣旨が、行管庁長官、行管側としては正しいとこうお思いになっている、こういう答弁なんです。そうすると、まあ私はきょうここでこの法律を、賛成法案ですから、直しなさいということを自治大臣に返して言うつもりはありませんけれども、そこのところはお含みになって、通常国会に対して消防法に手を入れるという御答弁もありましたから、この辺のところは十分やっぱりお考え合わせの措置をしていただきたい、いまの答弁がそうなんですから。自治大臣、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/38
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039・福田一
○国務大臣(福田一君) 十分考慮さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/39
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040・和田静夫
○和田静夫君 行管庁長官、もう一点ですがね。同じことは省令にゆだねられた事項についても言えるんですよ。これは、たとえば第四十一条の二項、高圧ガス取締法に関する規定、これは通産省令によることになっている。それから、言うまでもないのですが、防災法案はあくまでも防災を目的としているんですね。それにもかかわらず、通産省はもちろん災害防止の責めを負っています。それからかつ高圧ガス取締法は通産省の管轄であることも知っておる。しかし、防災体制の一元化から言っては、これはやっぱり消防庁に移すべく法案作成というものが行われるべきであったし、行管庁の側としてはそういう指導をされるべきであったというふうに考えるのです。ここのところは私は意見で申し述べておきますが、四十八条には、「この法律の規定により主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、都道府県知事又は市町村長に委任することができる。」と規定されているんです。この内容は、許認可権は国に集中するということのように思われますが、その必要がどういうところにあるのか。言うまでもなく現行は市町村消防体制であって、そして消防組織法第六条により、消防は市町村に責任がある。実態の把握も結局市町村消防署が行う、許認可権だけ国が持つという理由というのは、これはどうも納得できないのですが、行管庁長官、こういう形での許認可事務の増というものを行管庁長官側としては望んでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/40
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041・松澤雄藏
○国務大臣(松澤雄藏君) 行政事務も技術的にあるいは専門的に分化せざるを得ないと考えておりますが、したがって、国民生活の安全を確保するという見地から、コンビナートに関する許認可というものが増加するのはやむを得ないではないかというふうには考えておるのですが、皆さん方の御判断もあるだろうと思いますけれども、何とも実際問題として許可認可というものが幾分なりとも増加するというふうなことに対してはやむを得ないというふうに考えざるを得ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/41
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042・和田静夫
○和田静夫君 ただ、そういう論法でいきますと、今後非常に膨大にこうずっとふくれ上がっていきますよね。そういうことというのは好ましいことではないんでしょう、前提としては。やむを得ないということになりますと、そのことはある意味じゃ好ましいことであるというふうにとられるような答弁に聞こえますから、それはそうであれば行管庁が存在をしておる理由がなくなってくると極言したくなるようなことになりますからね。その辺、審議官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/42
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043・關言行
○説明員(關言行君) 御指摘のように許認可がむやみにふえまして、国民の自由な活動を制限するとかあるいはその申請手続などのために無用の負担がかかるということは、私どもといたしましても極力避けなければならないと考えております。しかしながら、事が非常に安全上重要な問題を含んでおるとか、国民の福祉に非常に重要な関係を持っておるとかというものにつきましては、特に規制を強化する必要があるような場合におきまして、許認可等の事項がふえることもやむを得ない。ただ、一方におきましては、時代がたちますというと、中には社会情勢の変化等によりまして、既設の許認可等でも必ずしも強度の規制を加えなくても足りるようになるようなものも見受けられますので、そういうものにつきましては、別途御審議を願っております許可、認可等の整理法などを通じまして、これは法律だけではなくて、政府部内で承知をしてはおるものもございますけれども、そういうことで、ある程度の年数がたった段階で見直しをするというようなことで、御指摘のような、むやみに許認可事項が膨大になるというようなことは防止をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/43
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044・赤桐操
○赤桐操君 きのうの視察の中で、コントロ−ルセンターのあり方についていろいろ私は説明を聞きましたけれども、現在のコントロール方式よりもう一歩自動化したいということを言っております。要するに、事故が発生したというときには自動的にそれが全部制御されるような形、一切の作動がとまるような自動化を考えたい、こういうことを、またその方向でいま検討しているということを私は聞いたのですがね。そこで私はつくづく考えたのですが、そういう形で自動化がますます進行していく。考えてみるというと、このコンビナート地帯というのは、いろいろ言われておりますように、省エネルギー化、それから高速化、それから集約化、自動化、こういう方向で技術的な追求が行われてきたと思うのです。その段階が今日かなり高度のところにきていると思うのですけれども、これをさらにまた進めていくということになる。
千葉県で、三井ポリケミカルという工場が爆発をいたしたことがある、これはもう何年か前でありますけれども。ところが、これはアメリカの特許でありまして、中へはいれないのですよ、消防署の人がはいろうと思っても。中へ入れないのです。それで幸い人身事故その他はなかったようなものなんで、問題はなかったようなんでありますけれども、これはたまたま人身事故がなかったということだけで、やはり人身事故どころじゃなくて次の爆発とか、いろんな問題を誘発するほどの大きな問題であろうと思うのです、あったと思うのです。そういう点から見ますと、もうこれで実証済みである、心配ないと、こういう試験が十分に行われ、試され済みのものでなければならないと思うのです、これらの改良されていくものというものは。そういう点について、私は少し、余りにもこの機械化とかいま四つの目標でやってきたことについて盲信してやり過ぎているのではないだろうか、こういう感を深くしたのですけれども、これらについて消防庁あるいは通産当局の見解をひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/44
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045・宮本四郎
○政府委員(宮本四郎君) 御指摘のように、高圧ガス取締法に基づきます事業所における事故をしさいに分析いたしますと、確かに操作ミスによることがかなり多うございます。したがいまして、これを防止するためにおきましては、保安教育の訓練の強化ということが非常に大事になってまいりました。このためには、いろいろ経営者のトップから、防災問題、保安問題について関心を持っていただきまして、組織をつくって訓練の徹底をいろいろやってもらっておる次第でございます。同時に、現在の高圧ガス事業所におきましては、きわめて高度な自動制御装置を幾つか導入しておるわけでございます。たとえば異常がありました場合に、自動停止装置、インターロック、こういったものがたくさん導入されておるわけでございます。これはこれなりに相当の効果を上げておるわけでございますが、もう一つ、保安の確保に携わる人の保安及び労働面におけるところの意欲の向上ということも非常に大事なことであろうかと思います。このためには、余りにコンベアシステムに重きを置き過ぎておって、その方面の自覚が崩れることを何とか防止いたしたい、こういうことで、いろいろ積極的に保安業務に働いていただくために従来から努力いたしておるわけでございます。人間の何と申しますか、生きがいのある職場づくりと申しますか、こういう方面でも各般の施策を重ねてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/45
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046・赤桐操
○赤桐操君 要するに、生産力増強のこの枠の中の安全性という改良的な段階ではもう済まされなくなってきている、こう私は考えるのですよ。だから、要するに、非実証的な技術の乱用や、あるいはまた自動化への盲信ということについては、これはやはり相当思い切った規制をする必要があると私は考えるので、この点をひとつ確認をしておきたいと思います。
それから次に、国土庁関係に伺うことになると思うのですが、川崎市では、お伺いするというと、三本の防災用のグリーンベルトをつくりたいと、これはまあ長官も聞いておられたと思います。これは予算が九千億ぐらいかかる、こういう話なんですね。それで、これを国、企業、自治体の三つの立場で三、三、三の割合で負担する、こういうことを私は聞いたんですが、これはちょっと大変な問題だと思うのです。どだい、いまこれらの企業というものは、コンビナート地域のこういうそれぞれの各施設というものは非常に大きな加害施設化してしまっておる。大変なそういう要素が集積されたものである、こういうように考えるわけです。そのために、今度は逆に住民の立場にはね返ってくるわけです。そのしりの始末を住民の立場や自治体が負わなければならぬということば、これは私は問題があると思うのですね。公害問題でも加害者負担ということが大きく今日問題になってきておりますけれども、私は同じ立場であろうと思うのです、原則的には。
そこで、一つの例を申し上げますると、自治体の立場なんか特にひどいと思うのは、たとえば私どもの方の千葉県の例で申し上げるというと、埋め立て当初、百万坪の土地に、一方は鉄鋼の企業がそこに施設をつくり上げて操業を開始した。やがてここでは約二万人を超える労働者が集まってきて稼働を始めた。一方では石油精製工場がつくられて、これもやっぱり百万坪の土地を使って始まったと。この石油関係の企業ではどのくらいの人間が動いているかというと、大体非常勤も含めて八百人と、こういうことなんですね。これは東亜燃料なんか見てもやっぱり同じです。非常に省力化された装置産業としての典型的なものだと思うのですね。そうすると、地方自治体の立場にしてみれば、どちらが金が落ちるかということになりますれば、これはやっぱり人間の多い方で、そして人がわさわさ動くところの方がこれは金も落ちるし、町のためにはなるんですよ。ところが、一方装置産業の方は、人間は要らない、高度の合理化された施設である、上がった収益はみんな本社へ持っていかれる、こういうことになってきては、自治体の立場としてはこれはやりきれないと思うのですね。しかも三、三、三の割合で川崎市の場合なんか三千億に及ぶところの負担までさせられるということになったのでは、これは話の筋がおかしくなってくる。私は、こういう問題については地方自治体に負担をさせるべきではない、こういうふうに考えるわけです。そして加害者負担の原則でいければ一番いいけれども、あるいはまた、とりあえず国がこれに対する保証を行っていく、自治体には持たせない、そして別途これらの企業に対しては企業課税を改めて設定する、こういうようなことについてどういう考えをお持ちになっているか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/46
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047・金丸信
○国務大臣(金丸信君) 六月二十一日の日に、建設大臣と同行いたしまして、横浜、川崎地区の先生御指摘のような状況を視察いたしたわけでございますが、国会で、予算委員会で答弁もいたしたんですが、一応九千億ぐらいかかると言っているけれども、この問題については、私も行ってみて、遮蔽壁というか、何しろ遮断壁をつくらなければ、人命に及ぼす影響が、もし間違いがあった場合はとんだことが出てくるというような実感を私も持たされたわけであります。そこで、国土庁といたしましてはこの問題をいかに扱うか。また、先生の御指摘の問題点等もあることでございますから、国土庁でいわゆる調整費という予算があるわけでございますから、二千六百万、建設省に調査をしていただくということで出したわけでございますが、その結果、横浜と川崎の調査の結果が出てまいりましたら、それによって、ひとつそれを踏まえながら、どうすべきか、あるいは立法もしなければならぬという場面もあるかもしれないし、先生の御指摘のように、自治体でいまのような現状の姿を考えてみればとてもしょえるものではない。また、普通の事態でも、たとえて言えば九千億というこの場合に、三分の一、三千億も持たなければならないということは、とてもできる相談ではない。それは、調査の結果、どのようにしようかという結果を見て先生方のまたお知恵も拝借したいと、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/47
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048・和田静夫
○和田静夫君 これ、建設大臣と、国土庁長官と、両方にもちろんお聞きしたいのですが、いま言われたような形で国土庁長官は建設大臣と一緒に視察をされた結果、建設省に対してそういう呼びかけをされたのです。そこで、直下型地震の問題、これはまた別に災害対策特別委員会でやるとしましても、そんなに時間をかけられたのではこれたまったものではないのです。私は、きょうは両大臣にお聞きをしたかったのは、建設大臣、国土庁長官との間で煮詰めをいつまでにやられるか、時期を一遍この辺で明確にしていただきたいということをぜひ両大臣の口から聞きたい、こういう考え方だったんです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/48
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049・金丸信
○国務大臣(金丸信君) 調査の完了するのはことし一ぱいで完了するという予定になっておりますので、御了承願いたいと思います。——いや、失礼しました。今年度一ぱいだそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/49
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050・和田静夫
○和田静夫君 建設省ね、そんなに横からこう、ようやくことし一ぱいというところまで……。あなたの方で三ヵ月も延ばすということをやめて、次官、力のある次官ですから、どうです、前言のようなことでいきましょうよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/50
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051・中村弘海
○政府委員(中村弘海君) 決して横から横やりを入れたわけじゃございませんで、私たちの打ち合わせがそのようになっておるわけでございますので、大臣に失礼な答弁があっちゃいけないと思いまして言ったわけでございまして、私たちの建設省といたしましても、国土庁と一緒に手を組みましてやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/51
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052・和田静夫
○和田静夫君 そこで、国土庁長官の方ですが、いわゆる三分の一負担というのが自治体にとってはこれは非常に重いわけです。地方行政委員会としては、そこからまた論議はこれからも発展させなきゃなりませんが、きょうその時間があるということではなくて。したがって、たとえば九千億のうちの三千億を国が持つことは非常に重いんだということを前提にされながら、その九千億そのものは調査結果が出なけりゃわかりませんけれども、川崎の例でとってみれば。前提にされながらお話を進められるのでは困るのでありまして、防災のための遮断地帯、グリーンベルトというのは必要なんだと、その必要な状態というものを満たすために措置としてこうするんだという観点に立って、ぜひこの判断というものは進めていただきたいと思いますが、そう理解しておいてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/52
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053・金丸信
○国務大臣(金丸信君) 私自体の考えは先生の考えと同じであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/53
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054・和田静夫
○和田静夫君 国土庁は、十五日に新全国総合開発計画の中間報告をまとめて発表されたわけです。その概略を見ますと、農業、沿岸漁業などに今後傾注する考えのようでいらっしゃいます。私はそれは賛成であります。なおしかし、むつ小川原、それから志布志湾などの巨大開発をもともに推進をしようとされているというふうに読み取れます。しかし、コンビナート地帯などに対する現状を考えますと、この新たな開発というものについては、昨日視察をしましたし、長官も行かれましたからよく御存じのとおりでありますが、とてもそれは心配で、心寒いものがあります。もうあそこに直下型地震が来た場合に、たとえば、与党の岩男先生などが大分で経験をされた経験から言っても、ああいう状態ではタンク全部吹っ飛ぶだろうということを、現地でやっぱり虚心に心配してお話しになっているわけですね。この辺のことを考えますと、私は、巨大開発よりも、やっぱり既成工業開発地帯の再開発といいますか、そういう提言を最近学者でしている人たちもいますが、そういうところに力点を置かれることの方が私はいいのではないだろうか。そういう意味において、巨大開発よりもコンビナート地帯などの再開発というものを、もっと国土庁としても、特に工場地帯と住宅地域というものの分離を何としてもやり遂げるというような意味でお計らいをやるべきだろうと、こう考えますが、長官、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/54
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055・金丸信
○国務大臣(金丸信君) コンビナート地帯、ことに住宅と工場との関係、こういうものについては、人命の尊重ということ、また非常に密集しておることですから、そういう先生の御提案というものについてはわれわれも考えておるところでありまして、当然やらなくちゃならない。また、むつ小川原というような面につきまして、この開発を大型のプロジェクトでやるということについては、よりもっと分割して小さくやった方がいいじゃないかという考え方、それはいろいろ考え方もあると思うんですが、私は今後の日本の土地の利用の均衡のあるという立場から考え、また所得の格差をなくするというようなことを考えてみれば、今後の日本の政治のあり方というか、方向というものは、東北、北陸、山陰あるいは九州の南部、こういうようなものへ政治のウエートというものを置くべきじゃないか、そうして所得の格差をなくするようなことをすべきじゃないかというような考え方を私は持っておるわけであります。そういう意味で、この開発という問題につきましても、どこまでが大型であるか、あるいは小型であるか、またいろいろ問題点もあると思うのですが、どちらにしても、調和のとれた開発で、ことに公害のない、あるいは環境破壊のないようなことは当然考えながらこれは進めていかなくちゃならぬ、こんなように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/55
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056・和田静夫
○和田静夫君 後ほど、「新潟地震火災に関する研究 消防庁」という文献を中心にしながら、若干の論議を私は自治大臣とやるのですが、その中に、「タンク等の設置にあたっては、土質の十分な調査及びその土質に応じた基礎工法が進められることが望まれる。」というふうに書かれているのです、この中に。ところが昨日も、全部埋立地の上にでき上がっていきます、そしてその土質はどうなんだと言ったら、非常に不安な説明なんですね。まず盛り土をやってみて、沈下の状態を見ながらそうしてまた砕石を入れてみて、そうしてコンクリートを何度も打ってみて、そうしてそのうちに盛り土をやって、そうしてその上に建てるんだというような論理なんですが、この埋立地の地盤というのは非常に軟弱なんだということを、やっぱり技術者の諸君そのものも述べながらそういうことを言っておる。そうすると、私は国土庁では埋立地などに対してこれは規制を強化する、そういうことがあってしかるべきだとこう思うのですよ、長官いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/56
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057・金丸信
○国務大臣(金丸信君) 前に閣議で自治大臣から、このコンビナートの石油のタンクの水島の事故のあった直後、沈下しておるタンクもあるような話を幾つかお聞きしたんですが、そういうことは危険につながることでありますから、厳重にそういう面については規制を今後ともやっていかなくちゃならぬ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/57
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058・和田静夫
○和田静夫君 長官、約束の時間ですからもうあれですけれども……。
建設次官、いずれにしても、新潟地震火災の教訓が生かされないままに石油コンビナートの過密化が一層進んだということを、昨日もつくづくながめてまいりました。現状では、石油タンクなどの使用を大幅に停止するか、あるいは徹底した防災遮断地帯を先ほど来論議をしたようにつくるか、いずれかをとらないと、地震対策との関係において私は大変な状態だと思うのです、あの過密の状態というのは。川崎のような状態というのは、民家の密集地に火薬庫を抱え込んだような状態です、あれは。第三十三条の規定というのは義務規定ではないんですが、ぜひそれぞれの特定防災区域でいわゆる遮断帯の緑地、グリーンベルトをつくるべきだという強力な指導というものを建設省は徹底をすべきだと、こう思っているわけですが、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/58
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059・中村弘海
○政府委員(中村弘海君) おっしゃるとおりでございまして、遮断帯を私どもが考えておりますのは、ただグリーンベルトのみではございませんで、耐火構造の倉庫とか、危険でない工場等、コンビナートの災害が一般市街地に及ばない施設というものをいま考えておるわけでございまして、この問題については、ただいま先生が御指摘になりました川崎などにおきましても、京浜防災遮断帯整備推進協議会を設置しておりまして、私たちの方と相互に緊密な連絡を図りながら調査をしておりますわけでございますので、これを必ず私たちは実現させてみたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/59
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060・和田静夫
○和田静夫君 必ず実現される……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/60
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061・中村弘海
○政府委員(中村弘海君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/61
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062・赤桐操
○赤桐操君 それでは、最後に一つ伺いたいと思うのですが、法案の第五条との関連になると思うのですが、通産省に伺いますけれども、喜入地区はもっと拡大するのですか、あの基地は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/62
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063・山中正美
○説明員(山中正美君) 現在一期計画と二期計画が終わりまして、六百六十万キロリッターのタンク容量を持っておりますが、さらに第三期計画を現在計画中でございまして、鹿児島県当局と喜入の地区を所有しております日石その他と現在相談中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/63
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064・赤桐操
○赤桐操君 その場合、この法案の第五条に適用されるのですか、されないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/64
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065・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) 第五条は高圧ガスと危険物が同時にある第一種事業所について適用される条文でございますので、喜入のように石油オンリーの、いわゆる貯油基地の場合には第五条は適用ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/65
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066・赤桐操
○赤桐操君 通産省が明らかにされている内容で、私が承った範囲で考えたわけですが、十万キロリットル程度のものがこれから適当なものだと、こう言っておられるわけですね。それでこれから六十日分を九十日分にしていくということになれば、当然これは少なくとも三百七、八十から四百個くらいのタンクをつくらなければならない、基地をつくらなければならぬ、こういうことを一昨日答弁でいただいているわけですがね。そうなってくると、これからできてくる備蓄基地というものについてはこの法案は適用されないことになるんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/66
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067・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) 備蓄基地につきましてこの法案が適用されない部分というのは、レイアウト規制に関する部分でございます。その他の規定は全部適用になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/67
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068・赤桐操
○赤桐操君 私はそのレイアウトが大変だと思うんです。これは港の関係が問題になってくる。あるいはまた言うなれば、その地域の森林地帯も大きく造成されるだろうし、あるいは埋め立てもなされるだろう。こうなってくると、各それぞれの関係のところがかかわってくるわけなんですね。それで、自治大臣にも先ほどお話を伺って態度表明をしていただいたように、少なくともこれは一本化したかっこうの中で審議をし、事前の安全性をチェックしていく、こういう形が望ましいということはもうはっきりしているわけですね。そうなってくると、私はやっぱりこれは非常に大きな問題があると思う。これをいま直ちにここでもって法案を改正せいということを申し上げてもこれはちょっと無理だと思うけれども、この問題は将来考えるということで大臣からひとつ表明してもらいたいと思います。これはこれからの備蓄基地に対する問題点だと思う。
それから過去の問題についてもそうですね。この法案は過去のものに適用しないことになっていますけれども、いままでのものに対する対策をどうするかということについては大変実は大きな問題だと思う。とにかく、いままでのものからさらにもう三十日分ふやす、そして備蓄状態を大体九十日というものを維持していくのだと、こういう形になってきているわけですから、これは、私は従来までのものに対する対策と、これからのものに対する対策というものが、この第五条との関連、その他との関連の中でもう一度真剣に検討される必要があると、こういうふうに思うんですが、ひとつ大臣のお考えを伺いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/68
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069・福田一
○国務大臣(福田一君) 私はごもっともな御意見だと思うのでありまして、その意味では指導を十分にやってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/69
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070・和田静夫
○和田静夫君 理事会の側からずいぶんうるさいもんですから、まだ時間は本当は残っているのですが、やめますが、「新潟地震火災に関する研究」という大変りっぱな研究があるんですよ。そして、その八十三ページから四ページ、本当は読めばいいんですが、読むこともやめます。実は、この教訓が、各省との関係でしょうが、防災法案策定に当たって十分に生かされていない、ここの苦い経験が。ここのところを少し時間をかけて、実際の新潟地震との関係において論議をしたかったのですが、時間がありませんから、大臣、こういう約束をちょっとしていただきたいのですよ。この法律案は恐らく採決になるでしょう。私たちは、全体的に見ればいままでよりも前進でありますから決して協力をしないことはありませんから、賛成いたしますが、ただ、前の国会で赤桐質問のカドミの汚染米の問題と自治省とのやりとりなどの問題でも結論が出ないままずっときている。そういうようなやつもありますし、いま私が問題として提起をしようとしているマグニチュード七・七の新潟地震で発生をした、その中で得られたせっかくの研究が生かされていない幾つかの部分などというような形で論議がかなりたくさん残りました、残念ながらこの法律案。よって、今後引き続く地方行政委員会の中でこういう議論というものを煮詰めたいと思うんです。したがって、法律案は上がってしまったから、自治大臣忙しいから委員会に出席しないんだというようなことを言わずに、大臣の御出席をひとつこの機会に約束をしておいてもらいたいし、委員長に対しては、恐縮でありますが、そういう論議の保証、それから各省からの答弁者側の十分な出席の保証、それをお約束願って、わが党の方は質問を一応ここでとどめておきたいと思うんですが、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/70
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071・福田一
○国務大臣(福田一君) 委員長からの御要請がございますれば、私としては、もう政府として出席するのは当然だと思います。あなたの御趣旨に沿えるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/71
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072・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) 委員長は、できるだけいまの和田君の御趣旨に即してやるようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/72
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073・神谷信之助
○神谷信之助君 数点について簡単にお尋ねをしたいと思います。
一つは、タンク間の距離ですが、先ほどもちょっとありましたが、規制をしている部分と、それからただし書きがありますね、ただし書きで、三分の一で保安距離なり保安空地を減ずることができると。きのう現場を見せてもらって、そして、どうもタンク間の距離は十分じゃないんじゃないか、どうなんだと言って質問をしてみたんですが、そうすると、川崎市の消防局長さんは、政令十一条のただし書きでは基準の三分の一だけとってあればよいとなっている、大体みなそれが適用されておるわけです、これを実際には外してもらわないと現場としては困るという話をされたんです。先ほど長官は、そういう意味ではそういうただし書きをなくしていくような意味の回答をされたように思うんですけれども、ちょっとその点確認をしたいと思います。
〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/73
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074・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) この問題につきましては、先般の大協石油の火災事故等から見まして、現在のただし書きの緩和規定というものは消防活動の際にも非常に問題がある。また、各市町村の消防機関からの要請も、ただし書きについては再検討すべきだというふうな意見もございますし、私どももいまその点につきましていろいろ検討いたしておりますが、原則的にはあのただし書きの廃止という方向でいま結論を出したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/74
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075・神谷信之助
○神谷信之助君 そうしますと、災害はいつ起こるかわからぬわけですからね。そして、実際の消防活動に不便を生ずるということが明らかになっているならば、これはもう早く廃止しないといかぬと思うんですね。また災害が起こって消防活動が不便であった、できなかったということが繰り返されては困る。それから同時に、そういうことになりますと——これは既設のところですからね。既設のところで大体そういう状況なんですね。きのう調査に行って一緒におられた委員の方々からも、これは、まあ言うたら銀座みたいなところだとおっしゃっているわけですよ。ですから、既設のところについてもそういう点ではレイアウトの提出を求めて、これは廃止すればまた変えなきゃなりませんから、レイアウトの提出を求めて、その改善を勧告するなりなんなりの権限を持たなければだめだということになるわけだが、これがこの法案ではちょっとできないわけじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/75
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076・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) タンク間の距離の問題につきましては、ただいまお述べになりましたように、消防法関係の政省令の規定によるものでございまして、この規定の改正の形で処理していきたいというふうに考えております。ただ現実に、既設のタンクについて直ちにこれを間引きをしろということになりますと非常にむずかしい問題が出てまいりますが、既設のものにつきましては、現在のタンクに必要な散水冷却装置を設けさせるという代替措置を講ずることによりまして必要な安全対策は講じていきたい。新設、これからつくるものにつきまして、この保安空地の規定は緩和措置をなくしていくように考えたいというふうに思っております。
〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/76
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077・神谷信之助
○神谷信之助君 消防庁が、やっぱりそういう、何といいますか、実際にもし事故が起こったときに消防活動に不自由、不便だという実例があるのに、それを改善することが新設からだけだということではちょっと納得できないわけですね。時間がありませんが、これはひとつ早急に解決をしてもらいたいというふうに思います。
それからもう一つは、消防法の三十九条の二の例の罰則の改正の部分ですね、これはちょっと確認をしておきたいのですが、危険物を漏出、流出それから放出または飛散をさせて火災の危険を生じさせた者ということですが、これは火災にならなくても、いわゆる漏出、流出させた場合でも適用されるわけですか、それはだめということなのか、この点ひとつ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/77
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078・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) 三十九条の二の罰則につきましては、この罰則の内容をどうするかということでいろいろ法制局なり法務省、関係省庁とも苦心して相談したのでございますが、結論的に申しますと、消防法の罰則でございますので、火災の危険を生じさせた者を罰するという構成要件を定める、こういうことに相なっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/78
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079・神谷信之助
○神谷信之助君 だから、火災の危険というのは火災にならなくてもということですか。たとえばこの間の三菱の重油流出の事故ですね、あればもし引火をすれば火災になる。火災の危険ですね。危険を生じさせたということで、火災にならなくてもこれが適用されるのか。とにかく火にならなければこの適用はできないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/79
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080・森岡敞
○政府委員(森岡敞君) 危険物の種類によりまして引火点の低いもの高いものがございまして、C重油の場合にはかなり引火点が高うございますので、火災の危険度というものは、これは非常に薄いと言わざるを得ないわけでございます。ただ、「火災の危険を生じさせた者」でありますから、火災を生じさせた者に限定されるわけじゃありません。ただもう一つ問題ありますのは、ただし書きに書いてありますように「公共の危険が生じなかったときは、これを罰しない。」と、こうなっておりますから、いずれにいたしましても火災が発生するあるいは火災の発生するおそれがある、危険がある、その結果公共の危険を生じさせた場合に罰する、こういうことに相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/80
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081・神谷信之助
○神谷信之助君 それでは次に移りますが、先ほどから問題になった緑地帯の財源の問題ですが、きのうも三分の一ということでは自治体はどうにもこうにもたえられないというのが川崎の市長の強い要請でもありました。ところが、よく考えてみますと、特にああいうところ、まあこれから新設するところはそれだけの敷地を持ったあるいは空間を持ったそういうレイアウトでなければ承認しないわけですね。ただ既設の方は、本来ならば、いま建てるとすればそれだけの敷地を必要とするわけですよ、企業の方は。それだけのね。ところが、早く建ててしまったからそういう狭い敷地のところにタンクを乱立させる、そういう状況になってきておりますね。それを企業の負担を三分の一に抑えて国や自治体があとを持たなきゃならぬというのは、これから新しく新設をするところと比べてみても不公平なんです。だから、これは本来そういう点を考えてみても、これから新設のレイアウトする場合には、少なくとも国民の生命、財産に危険を及ぼさないそういう保安物件に対してしかるべき適当な距離をとらすわけでしょう。敷地を。それと同じように、本来とってなきゃならぬ敷地を確保してなかったんですから、これは企業の責任で当然確保させるというのがあたりまえではないかと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/81
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082・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) この防災緑地の規定は、いわば安全対策といたしましては企業がその敷地内にとっております保安距離の規定がございますが、これのいわば第二段目の安全対策というふうに考えられるもので、したがいまして、この防災緑地というものが現実にその機能を発揮いたします場合には、コンビナート地域のいわば全面的な火災というような状況に立ち至った場合にその効用が果たされる。しかしそれは防災対策上当然必要な施設であると、こういう観点から見ますならば、この防災緑地の負担というものは企業負担というのが当然の規定であろうというふうに考えます。
ただ、この防災緑地が現実にその防災緑地としての機能を果たします場合におきましては、それが何十年に一遍かの大災害というような場合にその機能が果たされるわけでありまして、通常の場合におきましては、この緑地は都市公園あるいは緑地、公共空地としての機能が、日常の生活、日常の通常の状態においてはその機能が果たされるわけであります。そういうような都市計画上の都市施設としての機能の面というものから見ますと、公共事業として国及び地方の負担がその場合に考えられるわけであります。
こうしたこの防災面の機能と、それから都市施設としての機能、この両者の機能をあわせ持つというような観点から、これにつきましては企業負担分というものを三分の一に求め、そして他の三分の二につきましては国と地方公共団体が折半をする、こういう考え方をとったものであります。これは現在公害防止施設として、公害対策基本法の規定に基づきまして公害緑地の設定の規定がございますが、それの考え方と合わせてこの防災緑地の規定を設けた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/82
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083・神谷信之助
○神谷信之助君 ちょっと時間を急いでますから簡単にしてもらいたいのですが、いまの公害緑地の場合は「全部又は一部」となっているでしょう。こちらの方は三分の一ですね、企業負担は。ですから、公害緑地と同じような考え方と言われても法文上は違うわけですね。この辺はどういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/83
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084・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) 公害という面から見ますと、いま申し上げましたように防災緑地につきましても同様に企業負担であるという考え方がとれるわけでありますが、公共都市施設としての面が相当あるわけでありますから、この公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、この法律の規定に基づきまして、企業負担は公害緑地の場合には四分の一ないし二分の一、こういう規定になっておりまして、現実の運用は、最近におきましては企業負担は三分の一ということになっておるのであります。これらの実態面とあわせましてこの規定を設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/84
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085・神谷信之助
○神谷信之助君 きのうも施設を見て思ったんですが、確かに企業側の説明を聞くと、事故が起これば全部ストップをして災害を拡大をしないのだと、そういう体制は完全にできているというように盛んに強調されていますが、しかし、実際は機械と人間ですからどういう事故が起こるかもわからぬ、こういう状況ですね。ですから、川崎のような人家に密接をしたああいうところで、実際災害を防ぐといってもこれは防ぎようがない。いわゆるコンビナート地域を遮断する以外にないじゃないか、それだけの本来はコンビナートをつくるべき防災的観点が貫かれておれば、あんなところでやるんじゃなく、もっと広大なところにとって、そして二キロなり三キロなりの距離を置いて本来はつくらなければならない。だからその点を考えてみますと、私はどうもいろいろ都市的施設もあるので、国や自治体が財源を一部負担するのは、三分の二まで負担するのはあたりまえだというのはどう考えてみても私は筋が通らぬ。この点はひとつ意見だけ申し上げておきたいと思います。
それからその次、最後にお伺いしたいんですが、この法案が成立して施行されることになりますと、八月十五日に出ました中央防災会議の内容で言っても、総合的診断その他消防署の技術活動というのは非常に強化されなければならぬということになりますね。ところが、実際にきのう行きました川崎のようなところは、もうすでに五十人からの理工科系の大学を出た人がおられるし、さらに三十人は新採用し、養成をしているということで進んできておるんですが、先般、倉敷で聞きますと、採用試験をやったけれども、なかなか人が集まらぬわけですね。向こうの消防長の岡野さんも、いままでは大学卒を採用して養成をしていたらそれで足りる、そう考えていたけれども、そんなもう悠長なことは言っておれぬと。だから重油流出事故で力不足をいやというほど味わった、したがって、スタッフをそろえたところの企業側に対応して適切な防災指導を行うためには、対等以上の知識を持たなければならぬ、そうしないと太刀打ちできぬ、そういうことで、大学を出て企業の研究所あるいは現場で働いていた三十から三十七歳ぐらいの化学、それから電気、機械、こういう者を募集したけれども、実際に採用できたのは修士号あるいは博士号を持った化学関係二名だけで、電気、機械はゼロだというんですね。だから、こういう点を考えますと、これは大変なことになると、コンビナート地域の消防における技術能力、こういう技術者を採用する上で、その待遇面の改善なりあるいはその他の措置、労働条件の改善なりについてどのような御意見をお持ちか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/85
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086・佐々木喜久治
○政府委員(佐々木喜久治君) コンビナート地域の市町村におきましては、それに対応する消防力という観点から、資機材の面におきましても、人的な面におきましても、他の通常の市町村よりは非常な経費がかかるという問題もありますし、その質的な問題もあるわけでありますので、私どももそういう面ではコンビナート所在市町村の消防力の基準というものをいま検討を進めておりますが、これによりまして通常の消防力の基準にプラスすべき基準というものを具体的に立てまして、それに対応する財政措置というものもやっていきたいというふうに考えておりますが、同時に、人の養成の問題につきましては、消防大学校に来年度そうしたコンビナート地域専門の課程というものも設置してまいりたいというふうに考えております。
なおまた、どうしても人の採用が困難であるというような地域につきましては、やはり別な方法によりまして、そうした技術の補完ということを考えていかなければならないというふうに思っておりますので、これらにつきましては、できるだけ早くそうした技術の補完をする方法というものを具体的なものとしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/86
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087・神谷信之助
○神谷信之助君 最後に、わが党のこの法案に対する態度について明らかにして、この法案の施行に当たってひとつ一層の積極的な面を伸ばしていただくという点を強調しておきたいと思うんです。
わが党は、この法案については棄権の態度を表明しておきます。
その理由は、コンビナートの事業所を設置をする場合あるいはこれを変更する場合、その配置等、これらの計画を政府に届け出て、そうして防災上必要があるというときには、政府が計画の変更または廃止、これを指示ができるようにしたという点、あるいはコンビナート企業が新増設計画を届け出ないで変更したり、あるいは計画に対する政府の指示に従わなかった場合は操業停止を命ずることができるという点、さらにはコンビナ−ト企業に特定の防災施設の義務づけを一定部分行っているという点、あるいは化学消防車等、自衛防災組織の義務づけを行ったという点など、幾つかの点で私は積極的な内容を含んでいるというように思います。
しかし、なお問題点としては、先ほどからも論議されておりますように、既設の事業所についてのレイアウト等の規制がないという点、それから行政の一元化が図られていないという点、企業の防災規定が届け出のみで許可制になっていない、さらに石油コンビナート等の特別防災区域協議会がこれは努力事項で義務規定でないという点、さらには緑地帯の設置についてのこの財源が、原則として企業負担によって行うべきであるにもかかわらず、三分の一しか負担しないという点、これらの多くのまだ問題点を残しています。昨日、川崎の視察においても、コンビナートの災害に対する不安が住民の中に非常に大きい、そうして住民の方はこの法案が早くできることを望んでいるという声もありました。そういう意見も聞きましたが、しかし、こういったまだ問題点を多く残しています。したがって、そういう意味でもまだまだ住民の不安を解消するものとはなっていない。そういう点で私どもも賛成をするわけにはいかないというのがわが党の棄権の理由であります。
以上をもって私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/87
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088・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/88
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089・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
石油コンビナート等災害防止法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/89
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090・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
金井君から発言を求められておりますので、これを許します。金井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/90
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091・金井元彦
○金井元彦君 私は、ただいま可決されました石油コンビナート等災害防止法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党及び第二院クラブの各派共同による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
石油コンビナート等災害防止法案に対する附帯決議(案)
政府は、国民生活及び自然に重大な影響を与えるコンビナート災害の重大性にかんがみ、その根絶のため次の諸点について善処すべきである。
一、消防法、高圧ガス取締法、労働安全衛生法等の関係法令による規制を強化し、本法とともに一元的かつ総合的な防災対策が講じられるよう運用に万全を期すること。特に石油コンビナート等に対する防災行政の一元化をはかるよう検討すること。
二、既設事業所に対する規制を強化すること。
三、海上防災に関する立法措置を講じ、陸上・海上の総合的かつ一体的防災体制を確立すること。
四、事業所の自衛防災組織の機能を高めるよう措置すること。
五、石油コンビナート等特別防災区域における共同防災体制の役割の重要性にかんがみ、共同防災組織及び石油コンビナート等特別防災区域協議会が設置されるよう指導すること。
六、事業所に対する定時及び随時の立ち入り検査を強化すること。なお、住民から異常発見等の理由による立ち入り検査の要請があつた場合、関係機関はすみやかに立ち入り検査を行うこと。
七、緑地帯の設置等防災対策を促進するため十分な財源措置を講ずること。
八、防災計画の作成にあたつては、住民の意思が反映されるよう地方公共団体を指導すること。
九、コンビナート関係地方公共団体の専門技術職員を充実するための教育訓練及び処遇の改善並びに化学消防車、人員の増強等、消防力の充実強化を図るための必要な措置を講ずること。
十、防災技術の高度化等を推進するため、消防庁、消防研究所その他国の関係機関の機構、人員等の充実強化に努めること。
十一、コンビナート地域について綜合的な防災診断を推進するとともに、石油タンク及び高圧ガスタンクについてその基礎、構造、非破壊検査等に関する専門的な検査体制の確立を図ること。
右決議する。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/91
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092・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) それでは、本附帯決議案の採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/92
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093・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) 全会一致と認めます。よって、金井君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、福田自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福田自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/93
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094・福田一
○国務大臣(福田一君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/94
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095・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/95
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096・原文兵衛
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107614720X00619751120/96
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