1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和五十年十一月六日(木曜日)
午後零時三分開会
—————————————
出席者は左のとおり
委員長 佐藤 隆君
理 事
小林 国司君
高橋雄之助君
川村 清一君
神沢 浄君
原田 立君
委 員
青井 政美君
岩上 妙子君
大島 友治君
久次米健太郎君
鈴木 省吾君
温水 三郎君
初村滝一郎君
平泉 渉君
山内 一郎君
工藤 良平君
志苫 裕君
鶴園 哲夫君
相沢 武彦君
小笠原貞子君
塚田 大願君
向井 長年君
喜屋武眞榮君
国務大臣
農 林 大 臣 安倍晋太郎君
政府委員
農林大臣官房長 森 整治君
農林省農林経済
局長 吉岡 裕君
農林省畜産局長 大場 敏彦君
事務局側
常任委員会専門
員 竹中 譲君
—————————————
本日の会議に付した案件
○昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員
共済組合からの年金の額の改定に関する法律等
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院迭
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/0
-
001・佐藤隆
○委員長(佐藤隆君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府からの趣旨説明を聴取いたします。安倍農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/1
-
002・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農林漁業団体職員共済組合制度は、農林漁業団体職員の福利厚生の向上を図り、農林漁業団体の事業の円滑な運営に資するための制度として実施され、その給付内容も逐年改善をみてまいりました。
今回の改正は、その給付に関しまして、恩給、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度の改善に準じて改善を図ろうとするものであり、その内容は、前通常国会に提出し審議未了となった法律案と同一でありまして、法律案の附則につきまして若干の条文の修正を行っております。
今回の主要な改正点は、次の三点でございます。
改正の第一点は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十年八月分以後二九・三%引き上げ、さらに昭和四十四年度以前に給付事由が生じた既裁定年金につきましては、昭和五十一年一月分以後六・八%を限定として引き上げることにより、年金額の増額を行おうとするものであります。
改正の第二点は、退職年金等についてのいわゆる絶対保障額の引き上げであります。
改正の第三点は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。
その他恩給、国家公務員共済組合制度等の改善に準じ、障害年金の受給権の消滅について猶予期間を設けるとともに、八十歳以上の老齢者に対する退職年金等について算定上の特別措置を講じようとするものであります。
以上がこの法律案の提案理由及びその主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/2
-
003・佐藤隆
○委員長(佐藤隆君) 以上で本案の趣旨説明は終了いたしました。
これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/3
-
004・川村清一
○川村清一君 本法案は前七十五国会において十分に審議を尽くし、当委員会で可決決定したものであります。しかも、国民生活に関連する法案であり、国民が一日も早く成立されることを念願している法案でありますので、本日の委員会では質疑をできるだけ省略して、短時間のうちに質疑を終結して可決いたしたいと思います。したがいまして、私は、前国会審議と関連して二、三のポイントになる点だけについて農林大臣の見解をお尋ねしますので、大臣も誠意をもって簡潔に私の問いにお答え願います。
まず質問の第一点は、前国会において私や私の党の同僚議員の質問に対し答弁された事項は、大臣が誠意を込めて公約された事柄であり、決していいかげんな答弁ではないと受けとめております。したがいまして、約束した事柄は五十一年度予算編成に当たり、ぜひ実現するよう全力を挙げて努力するものであると再確認してよろしいかどうか、お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/4
-
005・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農林年金制度につきましては、従来から他の制度におくれることのないように改善を図ってきたところでございますが、今後とも、この制度がその本来の目的でありまする農林漁業団体職員の福利厚生を図り、さらにこれらの団体の事業の円滑な運営に資するよう、その制度改善に鋭意取り組んでまいる考え方でございまして、前回の国会で御指摘がございました諸点につきましては、私も答弁をいたしましたように、その実現方につきましては十分検討、誠意をもって努力を重ねてまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/5
-
006・川村清一
○川村清一君 質問の第二点は、遺族年金の給付の問題であります。
現在の経済状況の中で、主人が亡くなって、その半額の遺族年金で遺族はとうてい生活していけるものではありません。主人が亡くなっても、家賃や水道料、電気料金、ガス料金、食費、その他生活上絶対必要な費用がすべて半減するものではございません。遺族の生活を支えるためには、遺族年金は欧米先進国のように八割程度は支給すべきだ、というのが私ども社会党の主張でありますが、明年度にその実現が無理であるとするならば、せめて七割程度までは上げるよう最大の努力を払うべきである、こう思っておりますが、大臣の御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/6
-
007・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま御質問の遺族年金につきましては、昭和四十八年度の改正によりまして、職務上、傷病によらないで死亡した場合の受給資格を、組合員期間十年以上から組合員期間一年以上に短縮をいたしまして、さらに昨年度の改正におきましては、扶養加算制度を創設するなど、その改善には努力をしてまいったところでございますが、さらに御指摘の支給率の引き上げの問題でございますが、これは今後の制度改正の重要な課題と考えております。そして、この問題はただ農林年金制度だけじゃなくて、全体の制度にも関連をするわけでございますが、その実現につきましては、私は各省とも十分連絡をとりつつ、検討を進めてまいりたい。できるだけ実現には、いま七割の問題も出ておりましたけれど、農林省としては積極的に各省と連絡をとりながら努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/7
-
008・川村清一
○川村清一君 第三の問題は、大臣に特別答弁される必要がないと認められましたならば答弁はされなくてもよろしい。ただし、これは前国会の公約でありますので、ぜひ実現されるよう強く要求いたします。それは、農林漁業団体職員共済組合法第五十三条の二第一項の規定により、農林年金の福利及び厚生に関する事業の委託を受けた者で農林大臣の指定する五団体に準用する職員は、法第一条に基づいて組合員の資格を取得するよう、五十一年度において必ず措置されたい、こういうことであります。——答弁される必要はございませんね。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/8
-
009・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) 前回もその問題についての御質問が出まして、私も答弁をいたしたわけでございますが、十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/9
-
010・川村清一
○川村清一君 検討でなくて、必ず措置されたい。これが私の要求であります。
以上で私の質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/10
-
011・相沢武彦
○相沢武彦君 現行の農林年金はかなり改善されてきましたけれども、各種年金制度と比べますと、いまだはなはだしい格差がございます。一つには、掛金率が最も高い水準にありますし、労働者は低い賃金と過酷な労働条件に置かれておりますし、また福利、厚生の点におきまして貧困でございます。こうしたことから抜本的な制度改正が求められているわけでございますが、今改正法律案は各党とも賛成の方向の模様でありますし、関係者から一日も早くこの可決が望まれておりますので、私は簡潔に次の五項目についてお尋ねし、政府の見解をただしておきたいと思います。
第一点は、財源再計算に基づいて大幅に今後掛金が引き上げられようとしておりますが、現行の掛金率でさえも組合員の負担は重くて、非常に生活を圧迫しておるわけでございます。現行千分の九十六を千分の百五十まで今後引き上げないと運営していけないというような意見もあるように聞いておりますが、財源が充足されないから掛金率を引き上げるというような安易なやり方は、私たちは容認できないのでございます。財政方式の再検討あるいは国庫補助のあり方等とも総合的に勘案して、この掛金率は決めるべきだと思うんですが、どういうような検討がされておるのか。
第二点目は、すでに附帯決議でも出されておりましたが、年金財政の健全化を図るために、給付に要する費用に対する国の補助率の百分の二十以上への引き上げ、それから財源調整費補助及び事務費の増額に努めることが明確に付されているわけでございますが、その内容が十分に尊重されて検討されているのかどうか。
第三点は、掛金の負担割合の改善についてでありますが、現行は折半負担と法律に明記されているわけでございます。しかし、実態を見ますと、経営の安定した単協等ではできるだけ、使用団体の負担を高める形で行っております。とは言っても、まだまだ能力のある一部の組合でしかやっていないと思うわけでございますが、今後組合員の負担を軽減するために負担区分を改正すべきではないかと思うわけでございます。もし明確な数字を挙げて、たとえば経営者七、組合員三というような、一律に負担率を変更するということが現状無理であるというならば、組合員の負担率が四割を超えてはならないというように、いまの折半の負担を一歩でも改善をする。また、連合会や組合の能力に応じて負担率の選択ができる余地も残される、こういう幅を持った方式を検討されてはどうかと、このように思います。
第四点、旧法年金と新法年金の不均衡是正についてでありますが、最低保障額の設定についても、また平均標準給与、年金額の算定方法あるいは低額年金の改善、こういうことにつきまして依然として不均衡のままで残されております。大臣はさきにも、関係各省との調整を図って格差是正の努力をしたいと、こう言われておりますが、いつから実施をしようとするのか、農林省としての見通し、決意をお述べいただきたいと思うんです。
最後に第五点目は、通算年金の改善でございますが、遺族年金、障害年金にも通算制度を導入することが関係者から大変強く要望されていますが、この点についてどうするお考えか。
以上五点、簡潔で結構でございますから、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/11
-
012・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま五点にわたる御質問がございましたが、私が主要な点について御答弁申し上げまして、あと事務当局から補足して説明をさせていただきたいと思います。
財源率につきましては、四十九年末を計算の基礎として現在再計算の作業をいたしておる最中でございます。まだしたがって数値は出ておらないわけですが、この再計算後の対処策としては、これは御指摘がございましたように、掛金率であるとか、国庫補助あるいは財政方式等も含めて農林年金財政全般にわたりまして総合的に検討を加え、妥当な結論が出るように努力をしてまいりたいと考えておるわけであります。
また、農林年金に対する給与に要する費用につきましての国庫補助率につきましては、毎回附帯決議があるわけでありまして、この附帯決議の趣旨を尊重して、五十一年度予算におきましても、その率を百分の二十に引き上げるよう概算要求は行っております。これは毎年行っておりますが、なかなか実現がされてないというのが現状でございますが、今回も概算要求で行っておるわけでありますが、どうかひとつ御協力のほどをお願い申し上げたいと思うわけでございます。
その他、負担割合の問題あるいは旧法と新法との年金の格差等につきましても努力を読けていかなければならぬ問題であると思いますが、事務当局から答弁をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/12
-
013・吉岡裕
○政府委員(吉岡裕君) 負担割合の問題でございますが、これは先生すでに御承知のとおり、現行法で組合員と使用者の折半ということになっておるわけでございまして、この考え方は農林年金だけではなくって、およそわが国の年金制度につきまして共通をした原則ということになっておるわけでございます。それから農林年金の対象団体の中で確かに折半を超えて負担しておる団体もあるわけでございますが、一方、赤字決算をしておる団体もいろいろあるというふうなことで、こういった赤字団体等に及ぼす影響等もございますわけで、私どもとしましては、これは簡単には結論を出すことはむずかしいと思いますが、年金制度の共通問題として十分検討をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
それから旧法年金と新法年金の間の格差是正の問題でございますが、確かにその間に格差があるわけでございます。この問題もやはり各共済制度共通にある問題でございまして、私どもとしましては、農林年金だけで単独でこの新法、旧法の差をなくしていくということにはいろいろ問題がございますけれども、私どもといたしましては、他の共済制度におくれないようにしながら、この点について関係各省とも十分に連絡をし、検討を重ねていきたいというふうに思っておるわけでございます。
それから、遺族年金と障害年金の通算の問題でございますが、繰り返すようでまことに恐縮でございますが、この制度も各公的年金制度の共通の課題ということで、現在、公的年金制度調整連絡会議というのが総理府の主催のもとにございますが、この中で関係各省間でいろいろ検討を進めておるということでございまして、その結論を待ちまして、農林年金としてもこれに対する対処を決めていきたい、そういう方向で努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/13
-
014・小笠原貞子
○小笠原貞子君 いろいろそれなりに御努力はなすっていらっしゃると思うんですけれども、やっぱり働いているものの立場から考えれば、もっと努力が実を結ぶようにしていただきたいという希望があるのは当然のことだろうと思うんです。先ほどから御質問も出ておりました財源計算に伴う国庫負担増の問題などでございますけれども、たとえば現行が千分の九十六、折半になりまして千分の四十八ということになるわけで、各種の年金制度と比べてみましても、厚生年金、男性の場合には千分の三十八、それから私学共済千分の四十と、国共、地共の方は四十六・五とか四十七というふうになっておりますけれども、厚生年金と比べては十違うということになると、やっぱりその差は相当出ているんじゃないか。また再計算というのが相当かかるということでございますけれども、大体いまの見通しでは、どれくらいの期間で、再計算がはっきり出せるのか。私ども聞いたところでは、この再計算、概算で言うと、千分の百五十になるというようなことをお伺いしたわけですけれども、いまでさえも大変だといっているところに、これ千分の百五十ということになると、これは大変なことになると思うのです。で、それの計算というものが大体めどとしてはいつごろになるのか、千分の百五十というようなことが出されているのもどの程度だと、専門の方の目からは見ていらっしゃるのかということをまず第一にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/14
-
015・吉岡裕
○政府委員(吉岡裕君) ただいま先生からお話がございましたように、目下財源計算をいろいろいたしておるわけでございますが、現行の計算の基礎になりました昭和四十五年以降、制度改正がいろいろ行われておりまして、そういう制度改正を前提にいたしまして、他の条件は同じというふうにして計算をしてみますと、確かに千分の百五十くらいになるという一応の目安にはなるわけでございます。しかしながら、この財源計算は、目下詳細な計算をいたしておるところでございまして、その結論が出ました際に、全体の財源の持ち方、あるいは国庫補助率とか、そういうものを全体として考慮いたしまして、掛金率が最終的に決まるということになるわけでございまして、私どもとしては、確かに農林年金の掛金率が他の年金と比べて相対的に高いという状況は承知いたしておりますので、なるべく、そのような掛金率がさらに上がるということがないように、何とか全体の仕組みを考える必要があるということで努力をしていきたいというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/15
-
016・小笠原貞子
○小笠原貞子君 いろいろ検討して努力をしていただくということは、いつもと同じ御答弁で、それを疑うわけじゃありませんけれども、どうもそれがきちっとした結果では返ってこないということで非常に不安を持つわけです。そういたしますとどうしても、これを上げるのはもちろん押えなければならないし、いまも厚生年金なんかに比べて高いということから見れば、少なくとも、これを押えるどころか引き下げてほしいということがみんなの希望だと思うのです。そこで、国の負担率ということが、これも先ほどから問題になっておりましたけれども、まあ概算では百分の二十という概算要求をなすっていらっしゃる。御協力いただきたいとおっしゃったけれども、われわれが幾ら協力しても、大蔵省がやらなければだめなことですから大蔵省の方に向かって御協力切に、努力をしていただきたいと思うわけです。現行は一八%ですね、厚生年金の方は現行二〇%です。ここにも差が出てくるわけなんです。去年もそういう要求したけれども削られた。ことしもまた二〇%出して削られた。これではちょっと政治性無さ過ぎると思うのですね。みんなの要求は三〇%ですよ。少なくとも、ことしはその要求を踏まえて三〇%要求しておいてばっさり削れば、また一〇%も削ったか、ということで問題なんだけれども、去年と同じ二〇%で要求を出していて、削られました、というのではちょっと能がなさ過ぎる。やっぱりそこのところに姿勢の問題がちょっと——じゃない、相当あると思うのですけれども、その姿勢はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/16
-
017・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) 農林年金につきましては、毎年毎年国会でも御審議いただいておりますように、これは毎年改善が行われてきていることは御承知のとおりであります。しかしまだ、公的年金と比較をすると、いろいろと問題が、御指摘があるように存在することも事実ですから、これはわれわれの努力目標として、何としてもさらに改善、改正を図っていかなければならないということで、いま御答弁申し上げたように、今後とも最大の努力を続けていきたいと思っておるわけでありまして、概算要求も毎年しておりますが、なかなか実現をしておらないというのは事実でございますが、来年度は特に財政上の厳しい時代ではありますけれど、やはり年金の充実ということは非常に大事なことでございますから、その辺は十分われわれも留意をして、これを獲得をするために最大の努力をひとつ重ねたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/17
-
018・小笠原貞子
○小笠原貞子君 最大の上にもう一つ最大をつけてでも努力をしていただきたいと思います。
次に、遺族年金の問題なんですけれども、先ほどの御説明で、四十八年まで十年だったのを一年にした——大変努力なすったということは認めなければならないと思いますけれども、現行は一年だと、これも厚生年金と比べますと、厚生年金は六カ月というふうなことで、ここでもまた差が出てくるわけでございますね。そうするとやっぱりこの遺族年金の受給資格についても少なくとも、厚生年金と同じような六カ月にすべきではないかということを考えるわけなんですが、その点について、十年が一年までになったのだからよかったと考えていらっしゃるのか。当然六カ月にすべきであると、そしてそのためにまた最大の努力をするという御決意であるのか、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/18
-
019・吉岡裕
○政府委員(吉岡裕君) 先ほど申し上げましたように、今日まで遺族年金制度についての改善をいろいろ図ってきておるわけでございますが、他の年金制度におきましても、厚生年金と船員保険は六カ月ということになっているようでございますが、国民年金それから各省共済組合等は、これは一カ年というふうなことでございまして、そのような横並びの関係もあるわけであります。したがいまして、私どもとしては、そういう農林年金上の非常に重要な問題であるという点は先ほど申し上げましたように認識しておるわけでございますが、その実現方につきましては関係各省いろいろからむところがございますので、連絡をとりながら、今後十分検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/19
-
020・小笠原貞子
○小笠原貞子君 私が伺いましたのは、現行の一年でいいと思っていらっしゃるのか、それとも六カ月にすべきだという立場に立って考えていらっしゃるのかその点を、一言で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/20
-
021・吉岡裕
○政府委員(吉岡裕君) この問題は当然に、年金財政に非常に関係を持つ問題でございまして、当然、掛金率等にも影響があるというふうに私どもは思います。したがいまして、そういう点を総合的に判断をする必要があろうというのが私どもの考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/21
-
022・小笠原貞子
○小笠原貞子君 大変高度な御答弁で意味深長に伺いました。これ以上詰めても同じような御答弁だと思いますから次に進みますけれども、まあとにかく財源というものを見合わせなければいけないけれども、だけど本当に必要だという立場から財源をどう解決していくかと、常に上に向いての解決方法を探っていくという姿勢に立っていただきたいということを申し添えたいと思います。
それから遺族年金額の算出は現行五〇%と、これまた私に言わせると大変低い。少なくとも八〇%にしてほしい。しかし、これが無理であろうとも、ILO百八十二に定められている基準でいっても七〇%だと。こういうことから考えても、国際的に相当のレベルに立った日本とすれば、少なくともこのILO百八十二に言われている七〇%くらいにはすべての年金をそろえていくべきではないか、と遺族年金の場合思うわけですけれども、その辺のお考えはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/22
-
023・吉岡裕
○政府委員(吉岡裕君) ただいまのILO条約は、私どもの承知いたしておりますところでは、老齢年金についてはわが国は批准をしておるようでございますが、遺族年金については批准をしていないというように聞いております。まあそれによってどうこうというわけではございませんが、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、いろいろ横並びの関係もございますし、重要な課題として今後いろいろ検討を進めてまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/23
-
024・小笠原貞子
○小笠原貞子君 批准していないということは承知しているわけですけれども、当然実質的に七〇%くらいは出して批准できるような状況というものをつくり出していっていただきたい。そうあるべきだと、そういう立場から私は御質問申し上げたわけでございます。
もう時間もございません。最後に通算年金に、遺族年金の制度を設けてほしいというようなことを相沢議員からも出されまして、私も本当に、遺族年金においても通算年金としての制度を出していただかなければ、大変困難な状況に置かれている。特にこういうような状態では、ということで切にこれを御配慮いただきたいと思うのです。先ほど大臣の御答弁によりますと、他の公的年金——大臣でしたか、そちらでしたか。共通の問題があるから、調整連絡会議で関係各省と連絡の上結論を出したいというふうにおっしゃっていました。私、それはそうだろうと思うのです。しかし、大臣もそうおっしゃるし、今度ほかの方から突っ込むと、そのほかの担当大臣もそうおっしゃるんですね。そうするとみんなもう、三すくみじゃなくて、みんながもう各省と連絡、調整の上検討いたしますと言って、そのまんまになってしまうおそれがあるわけなんです。私はここで、その調整連絡会議という中で、まあほかの人たちが黙っている中でも安倍農林大臣が率先して、当然、通算年金として、遺族年金もその制度を適用させるべきだという意見を、ほかの方が黙っていらっしゃっても農林大臣の立場でこの年金の問題からででも提案をしていただいて、積極的に通算年金に遺族年金の制度を設けるということの道を農林大臣の中から出していただきたいということをお伺いして、そして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/24
-
025・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) 遺族年金に通算措置を取り入れる点につきましては、公的年金制度調整連絡会議がありまして、各省間に、いまおっしゃるように調整を進めなきゃならぬのですが、農林省としてもこの問題は特に積極的に現在持ち出しております。したがって、十分そこで検討していただきまして、妥当な結論が得られるように努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/25
-
026・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 私は、きょうの主議題につきましては七十五国会で質問いたしましたので、きょうは避けたいと思います。そのかわりいま沖繩で重大な問題が起こっておりますのでそのことについて、きわめて短い時間でありますので、結論を申し上げて、それに対する回答をお願いいたしたいと思います。と申しますのは、実はきょう午後二時那覇市の与儀公園で「沖繩県畜産物輸入特別措置撤廃生産者大会」こういう見出しで、各市町村割り当て動員による五千名規模で大会が持たれるのであります。その大会に喜屋武議員も参加せよと、こういうことで、実は案内状も、計画書もまいっておりますが、参加するわけにいまいきませんので——そして、その大会に引き続いて総合事務局にデモをかけるようであります。そのデモの先頭に立ってもらいたいという要望もあるわけなんです。ところが、それも不可能でありますので、私はデモの先頭に立っておるつもりで大臣に質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。
それは、どういう目的できょう持たれておるかといいますと、一つは「輸入牛肉の沖繩への特別割当を即時撤廃せよ。」、二つに「輸入畜産物加工品の低関税措置を早急に撤廃せよ。」、三つに「畜産物の流通合理化と需給の抜本的対策を講ぜよ。」、四つに「県は畜産物価格安定の施策を早急に講ぜよ。」、こういう目的を打ち立てて大会を持っておるのであります。それじゃなぜこの大会を持ったかといいますと、最近沖繩県だけが例の復帰措置によって畜産物の価格安定対策に関する法律の適用が受けられない、特別措置によって。そのために特にオーストラリアあたりから非常に安い牛肉がどっと来て、そしてその結果、沖繩のいま畜産育成として非常に力を入れております肉牛業あるいは養豚業あるいはブロイラー、この産業にしわ寄せが来て、危機に直面しておる。このままでいくともう倒産寸前である。ブロイラーはもうつぶれておるという危機感でありますが、こういうことになったのも、私、県ともこの問題について話し合いましたら、県としては——五十年度割り当てから輸入量について県の意見を聞くことになっておるということで、県の意見としては、海洋博がことしあるので、その需要等も見合わせて二千四百トンの申し入れをした。ところが、四千二百六十五トン輸入されておる。これは県もあずかり知らないことだが一体どういうわけなのかと。これが、この危機感に拍車をかけておる、こういうことです。それでその理由を明確にしてもらいたいということです。
第二点は、この特別措置法は、政令はなるほど、この趣旨を見ますと、復帰対策要綱第一次、昭和四十五年十一月二十日閣議決定なされておりますが、「輸出入制度については、復帰後は本土諸法令を即時適用するが、このことに伴う県民生活および県内企業への影響等関連するため、品目または業種ごとに、必要に応じ、輸出実績の尊重、輸入についての特別の配慮および中小企業に関する各般の措置を講ずることとする。」という、こういう配慮がなされておるわけですが、この配慮と事実はうらはらであるということでありますので、それを明確に……。
それで第一点は、輸入牛肉の特別割り当て、これを撤廃してもらわなければいけない。第二点は、畜産物加工品の低関税の早期打ち切り、この点について御見解を承りまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/26
-
027・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの喜屋武委員の御質問は、牛肉の上期の輸入割り当ては二千四百トンなのに四千トン近く入っておって、それによって沖繩の豚であるとかあるいは鶏の価格が値崩れをして生産者が非常に困っておると、これについてどうかという点が主題であると思うわけでありますが、この沖繩に対するところの牛肉輸入につきましては、もうよく御存じのとおり、本土に復帰される場合の暫定措置ということで、昭和四十七年度以来、特別枠を設定をして、これは今日まできているわけですが、そして毎年度、上期、下期別に数量を決めて輸入をしているわけですが、本年度上期につきましては沖繩における需要情勢を勘案して二千四百トンの割り当てを行ったわけでございます。それが四千トン近く入っておるというのは、これは昨年の下期の割り当てした分がずれて入ってきておる。それも入っておるのは四千トンじゃなくて、私たちが掌握しておる分では、ことしの上期と合わせて三千五百トンぐらい入ってきているのじゃないか。去年の下期がずれて輸入している。それで三千五百トンぐらい入ってきているのじゃないかと思うわけでありますが、今日までの牛肉の輸入によりまして、その他の食肉価格に悪影響が出ておるというふうには聞いていないわけですが、いまのお話しのように大会があるということになれば、事実はそういう事態が起こりつつあるかもしれない。私はそういうふうに聞いてないんですが、実態はそういうふうになるかもしれないので、これはすぐ現状を調査しまして、そしてこれから下期の割り当てやるんですが、これにつきましては、生産者の立場も十分考慮して、慎重にこれには対処してまいりたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/27
-
028・佐藤隆
○委員長(佐藤隆君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/28
-
029・佐藤隆
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより本案の討論に入ります。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/29
-
030・佐藤隆
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより本案の採決を行います。
昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/30
-
031・佐藤隆
○委員長(佐藤隆君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
ただいま可決されました昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案が先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜私から提案いたします。
案文を朗読いたします。
昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、農林漁業団体職員の特遇改善の指導に努め、本年金制度については、組合員の特殊性に対応し、健全な年金財政の確立を図り、国家公務員共済等他制度との均衡を考慮しつつ給付の充実等が促進されるよう、左記事項につきすみやかに検討を加え、その達成を期すべきである。
記
一、本制度の財政基盤が弱い現状にかんがみ、給付に要する費用に対する国の補助率を百分の二十以上に引き上げ、財源調整費補助を増額するよう努めること。
二、本制度と類似する私学共済の例に準じて、掛金に対する都道府県補助その他の公的な財政援助措置の実現を期すること。
三、財源率再計算に当つては、現行掛金率が他制度に比して高水準である現状にかんがみ、年金財政の健全性を考慮しつつ財政方式について検討を加えること。
四、掛金の負担割合については、組合員の負担軽減を図る方向で検討すること。
五、旧法年金については、新法年金との格差を解消するため、最低保障額について新法水準を考慮する等、その給付改善に一層努力すること。
六、既裁定年金の改定については、公務員給与の引上げに対応した自動スライド制を導入すること。
七、本制度の改善整備については、年金受給者の意向の反映に努めるよう指導すること。
右決議する。
以上であります。
それでは本附帯決議案の採決を行います。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/31
-
032・佐藤隆
○委員長(佐藤隆君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、安倍農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。安倍農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/32
-
033・安倍晋太郎
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重し、今後検討の上、善処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/33
-
034・佐藤隆
○委員長(佐藤隆君) なお、本案の審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/34
-
035・佐藤隆
○委員長(佐藤隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/107615007X00219751106/35
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。